衆議院

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第8号 令和5年4月12日(水曜日)

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令和五年四月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      石井  拓君    上田 英俊君

      柿沢 未途君    勝目  康君

      川崎ひでと君    小泉進次郎君

      小林 鷹之君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      瀬戸 隆一君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      中曽根康隆君    西野 太亮君

      橋本  岳君    鳩山 二郎君

      穂坂  泰君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    松本  尚君

      三谷 英弘君    山口  晋君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    西村智奈美君

      野間  健君    山井 和則君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    漆間 譲司君

      遠藤 良太君    吉田とも代君

      古屋 範子君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       和田 義明君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  朝川 知昭君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 中村 仁威君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 阿久澤 孝君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   前田  努君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (文部科学省総合教育政策局社会教育振興総括官)  森友 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官)            浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           五十嵐徹人君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           岩月 理浩君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 茂木  陽君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十二日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     石井  拓君

  小林 鷹之君     中曽根康隆君

  橋本  岳君     鳩山 二郎君

  一谷勇一郎君     漆間 譲司君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     山口  晋君

  中曽根康隆君     西野 太亮君

  鳩山 二郎君     穂坂  泰君

  漆間 譲司君     一谷勇一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     小林 鷹之君

  穂坂  泰君     橋本  岳君

  山口  晋君     川崎ひでと君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官朝川知昭君、内閣審議官鹿沼均君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、長官官房審議官野村知司君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、外務省大臣官房参事官中村仁威君、財務省大臣官房審議官阿久澤孝君、主計局次長前田努君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、総合教育政策局社会教育振興総括官森友浩史君、厚生労働省大臣官房危機管理・医務技術総括審議官浅沼一成君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、社会・援護局長川又竹男君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、国土交通省大臣官房審議官五十嵐徹人君、総合政策局次長岩月理浩君、防衛省大臣官房審議官茂木陽君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。土田慎君。

土田委員 おはようございます。自由民主党の土田慎でございます。今日はよろしくお願いいたします。

 私は、今日、全世代対応型持続可能な社会保障制度を構築する健康保険法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。

 わざわざこの法律名を最初に、長い長い法律名を申し上げたのは、この改正法案名の名前というのは非常に大事だと思っていますので、言わせていただきました。

 社会保障制度というのは、私は、安全保障と一緒で、国民の皆さんお一人お一人が、本当にこの国に生まれてよかったであったりだとか、自分の根底にある安心感を感じる、最も大事なものだというふうに認識をしております。しかし、一方で、私の同世代の若者なんかにお話を聞くと、何となく漠然と、日本の社会保障制度はやばいんじゃないか、まずいんじゃないかというような認識を持っている人が非常に多いというふうに私は思っています。

 それに当たって、今回の改正案というのは、日本の社会保障制度を次の世代にもしっかりバトンタッチをしていくというような思いが込められていて、そして、関係者の皆さんの努力の痕跡が物すごい見られるものだというふうに思っております。

 今、若者の話を申し上げましたけれども、高齢者の方においても、自分たちの健康の不安なんかもありながら、一方で、やはり社会保障制度をしっかりと次の世代にも残していきたいというような思いを持っている方が非常に多いなというのを私自身、日頃、地域、地元を回っていて大変強く感じるところでございます。

 先ほどから申し上げておりますけれども、この法律案には本当にいろいろな思い、各世代の思いが詰まっているものになっていると思いますが、この法律案、改正法案に込められている思いをまず最初にお聞かせいただければと思います。

伊佐副大臣 本格的な少子高齢化、人口減少時代を迎えていくという中で、現役世代の負担上昇の抑制を図る、そしてまた、負担能力に応じて全ての世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みが必要だというふうに考えております。

 この法案におきましては、例えば、子育て世代にとっては、社会全体で支援するという観点から、出産育児一時金に係る費用の一部を後期高齢者医療制度が支援する仕組みを導入するというようなことであったりとか、あるいは、高齢者の皆さんにとっては、高齢者医療を持続可能なものにしていくという観点で、負担能力に応じて全世代で公平に支え合うために高齢者医療制度を見直す、また、都道府県医療費適正化計画における記載事項を充実する、こういった医療保険制度の基盤強化に関することも規定をしております。そしてまた、医療、介護の連携機能や、かかりつけ医機能の制度化を含む医療提供体制の基盤強化ということも規定をしております。

 こうした改革を通じまして、全ての国民がその能力に応じて支え合い、そして人生のステージに応じて必要な保障がバランスよく提供される、全世代対応型の持続可能な社会保障制度の構築を目指してまいりたいというふうに思っております。

土田委員 ありがとうございます。

 今、本当に、各世代、各視点に立った、この法律案に関しての思いを、込められた思いを聞かせていただきましたけれども、これを全てまとめると、やはり、我が国の社会保障制度、誰もが世界で一番優れたものだというふうに自認をしているこの社会保障制度をしっかりと次の世代にバトンタッチをしていきたいという思いが一番強いんだというふうに私は思っております。

 がしかし、この委員会なんかでもそうですけれども、各党によって、また各議員によって立場がいろいろ、この改正法案について異なっております。皆さん、恐らく目的は同じくしているんですけれども、何でこれが、皆さん、ある意味、総論賛成で各論反対になってしまっているかというと、皆さん、党によって、また各議員によって、見ている世代の目線であったりだとか見ている人の立ち位置の目線が異なるのが、私は一番大きな原因なんじゃないかなというふうに思っております。

 私がこの法律案を最初から最後まで読ませていただいても、とある特定の世代に立つと、確かに一〇〇%の内容ではないんだというふうに思っております。こんなことを言っていいのかどうかは分からないんですが、全ての世代ができる限り少ない負担で、そして十分な医療を受けられるというのは、これは理想ではありますけれども、私はある意味一種の幻想でもあるというふうには思っております。

 例えば、高齢者の方に偏って恩恵を受けられるという制度であっても駄目だし、また、現役世代の負担が重過ぎてもいけないし、また逆に、この改正案によって現役世代の負担が軽くなり過ぎてもいけないし、また、子育て世代の負担は当然軽くしていく方向性、そのために鋭意、目下努力をしているわけでございますけれども、そこの世代だけ偏って負担が軽くなり過ぎてもいけない。そういうような非常に難しい話になっているんだというふうに思っております。

 各世代にある程度の負担をお願いしないといけない部分はありますけれども、やはり一番大事なのは、皆が、全世代が健康的に生活をして、そして、何かあったときにしっかりと病院に行ける、医療を受けられるという社会保障制度をつくっていける、また、お金の心配をせずに子供を産める、こういうような制度を、いろいろな世代の意見を集約しながらつくっていくというのが非常に大切だと思っております。

 みんながいいことだらけではなくて、負担もしないといけない部分があるからこそ、今回の改正法案に込められている、冒頭申し上げた、次の世代に社会保障制度をバトンタッチしていくという思いを、しっかりと国民に、皆さんに分かりやすく伝えるのが非常に大事なんだというふうに思っています。

 そこで質問でございますけれども、法律案名に、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築とありますが、子供、子育て支援、そして高齢者医療制度に関して、どのような世代にどのような負担をお願いして、また一方でどういうメリットがあるのかというのを参考人の方から御説明よろしくお願いいたします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、まず、子育て世代に対する支援という観点から、十三年間据え置かれておりました出産育児一時金を四十二万円から五十万円に大幅に引き上げます。あわせまして、七十五歳以上の方が加入する後期高齢者医療制度が出産育児一時金に要する費用の一部を支援する仕組みを導入させていただきます。さらに、産前産後期間における国民健康保険料を公費により免除する制度を導入する、こういうこととしております。

 また、後期高齢者の医療費の約四割は現役世代の負担となっておりまして、今後も増大していく見通しとなっております。こうした中で、後期高齢者医療制度の創設以降、後期高齢者御自身の保険料の伸びを現役世代が負担する支援金の伸びが大きく上回っているという現状がございます。こうしたことを踏まえまして、今回、後期高齢者と現役世代の負担の伸び率が同じとなるよう制度を見直すことによりまして、現役世代の負担上昇を抑制することとしております。

 こうした制度改正に伴いまして、令和六年度から高齢者の方々に新たな御負担をお願いすることになりますけれども、その際も、高齢者全員に一律の負担をお願いするのではなく、低所得の方々の負担増が生じないよう、負担能力に応じた負担にするとともに、出産育児一時金に対する後期高齢者からの支援対象額を二分の一にするなど、激変緩和措置を講じることといたしております。

 このように、各世代に対して様々な配慮をしながら改革を進めていくということによりまして、全ての世代が公平に支え合う形の見直し、これを実現していこうと考えています。これが、ひいては医療保険制度を持続可能なものとし、先生御指摘のように、次世代につなげていくということにつながっていくんじゃないかと考えております。

土田委員 ありがとうございます。

 今、各世代、各立場によるメリットそしてデメリットもお話しいただきました。

 その中で、出産一時金の五十万円に増額、その一部を後期高齢者医療制度の中から拠出するというお話もいただきました。

 いろいろ、この委員会なんかでも、皆さんのお話、質問、意見を聞いていると、百五十三万円以下の、今回、増額分、後期高齢者医療制度、要は、年金を年間百五十三万円以下の人からはいただかないという話がある一方で、百五十三万以上というか百五十四万円ぐらいの人の生活というのは楽だと思っているのかみたいな話、質問もあります。

 当然、恐らく、ここにいる議員の皆さん全員が、別に金融資産もあるわけじゃない、年金だけで生活している百五十三万円以上の収入、年金収入の高齢者が裕福な生活、十分な生活を送れているかというふうに聞かれると、そうではないというふうには思っているんだというふうに私は思います。

 そんな中でも、やはり、我が国の宝物の社会保障制度を維持していくためには、現役世代の負担の伸びと後期高齢者の負担の伸び率というのをこれから合わせていく、全世代公平な形でできるだけ近づけていくというような方向性をしっかりと分かりやすく説明していかないといけないんだというふうに思っています。

 また、一方で、現役世代の話もそうですけれども、現役世代が、先ほど局長から説明いただきましたけれども、後期高齢者医療制度に四割拠出をしている、お金を払っているという状況がある中で、確かに、現役世代、みんな、自分が余り病院に行っていないのに何でこんなに払わないといけないんだと言っている人、非常に多いです。けれども、やはり、それは国全体での助け合いの話ですから、後期高齢者医療制度の拠出金、支援金においても、現役世代の負担分と高齢者の負担分を、伸び率の負担分を合わせる、そういう努力もしているんだということを平易な、分かりやすい言葉でしっかり説明をしないといけないと思っています。

 やはり、皆さんに分かりやすく説明をしていくという中で、非常に大きな、私が課題となっているなというふうに思うのは、社会保障制度という文脈、くくりの中で出てくるワードというのは、結構普通に使うんですけれども、結構分かりづらいんですよ。

 私、この質問をするに当たっていろいろ聞いてみましたけれども、被用者保険という言葉と、そもそも国民健康保険という言葉の違いは、何か聞くけれども、厳密に分かっている人は多分ほとんどいないです。保険者という言葉も分かっていないけれども、保険者の中にも、健保組合だったりだとか、協会けんぽ、共済、後期高齢者医療制度など、いろいろありますけれども、こういうことも、普通に生活していたら、そんな言葉の違いとか自分の入っている保険者の違いというのは基本的に分かっていないです。それはしようがないことだと思います。私も、議員にならないと、恥ずかしながら知らない部分がございました。

 そんな中で、最後に、時間なので質問させていただきますけれども、言葉が難解なこの保険制度を皆さんに理解してもらうために、言葉が難解過ぎて全世代に伝わらない保険制度になってしまっては何の意味もないというふうに思っておりますけれども、今後、一部野党の議員の皆さんからも発信の仕方の質問がございましたが、どういうふうに全世代に分かりやすく発信、伝えていくのかというのを最後に質問、聞かせてください。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、年金制度もそうですし、医療保険制度も言葉が難しく、なかなか一般の方に御理解いただくのは難しいということがあることは率直にそのように感じております。そういう意味で、今回の制度改正の中身を始めとしまして、やはり国民の皆様に分かっていただく、趣旨を御理解いただく、これは非常に重要なことだと考えております。

 これまでも、そうした視点に立って、医療保険制度について御理解いただくために、仕組みとか、財源のこととか、あるいは制度改正の中身については、できるだけ分かりやすい形で整理してホームページで公表、それは当然やってきました。それから、最近、特に若い方々に社会保障の意義や仕組みを御理解いただく、あるいは身近に感じていただくということも大事だということで、中学生、高校生、あるいは大学生を対象に、社会保障教育という取組も進めております。

 今回、法案を提出させていただいておりますけれども、今回の改革も、令和六年度から本格実施に当たりますと、やはり御負担をお願いするということになりますので、やはりその点についてはしっかりと御理解いただく必要があると思っています。

 特に、新たな御負担をお願いする後期高齢者の方々、こうした方々には、改正の趣旨、内容について、激変緩和措置も含めて丁寧に御理解いただかなきゃいけないと考えておりまして、お一人お一人へお知らせをちゃんとお送りする、世代に応じた周知広報に取り組んでまいりたいと考えております。

土田委員 質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党、吉田久美子です。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 まずは、三月三十一日に政府より示された少子化対策のたたき台について質問させていただきます。

 公明党として、昨年十一月に発表した子育て応援トータルプランの実現に向けて、三月二十八日、改めて、子供の幸せを最優先する社会を目指し、次世代育成のための緊急事態宣言等についての提言を岸田総理と小倉担当大臣に提出をしました。その際にも、総理からは、政府案にも反映したいと言っていただいたと聞いております。

 国際的な研究におきましても、人生への満足度が高いほど子供をもうける確率が高いということが分かっており、このたたき台の中でも、「はじめに」の中でも、結婚や子供を産み育てることに対する多様な価値観、考え方を尊重しつつ、個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させることが少子化対策の目指すべき基本的方向であるとされたこと、大いに賛同いたしますし、基本理念に掲げられたとおり、若い世代の所得を増やすことや、働き方改革、また、男女共に家事、育児に協力しながら取り組めるように、また、職場、地域が子育てを支援する社会の構築、親の働き方、就労形態にかかわらず、全ての子育て世帯を切れ目なく支援する行政への転換等、特にこの三年間、政府一丸となって加速化をし、進めていただきたいと思っております。

 今回のたたき台には、基本的な方向性も含めて、具体的な政策におきましても、公明党からの提言も多く取り入れていただいたと感じております。たたき台の内容につきまして、厚労大臣としてコメントがあればお聞かせいただきたいと思います。

加藤国務大臣 小倉大臣の下で取りまとめられました子供、子育て政策の強化に対する試案、いわゆるたたき台において、厚労省関係では、出生後一定期間内に両親共に育児休業を取得することを促進するため、育児休業給付の給付率を手取りで十割相当へ引き上げること、子供が二歳未満の期間に時短勤務を選択した場合の給付を創設すること、おおむね全ての地方自治体において実施されている子供医療費助成について、国民健康保険の減額調整措置を廃止することなどが盛り込まれております。

 こうした政策は、御党からいただいている提言とも趣旨、内容が共通しているものと認識をしております。

 今後、総理も申し上げておりますように、今回のこの試案をベースに、総理を議長とするこども未来戦略会議において更に具体的な検討を深めることとしておりますので、厚労省としても、所管する制度について、あるいは政策について、関係省庁とも連携しながら、この会議における議論も含めてしっかりとした対応をしていきたいと考えております。

吉田(久)委員 ありがとうございます。

 このたたき台について、世論調査では、少子化に効果が表れると思えないという声も多いようでございますので、六月に発表される骨太の方針には、更に若い世代が将来への安心と希望を感じられるものになるよう、更に生の若者の声も聞いていただきながらブラッシュアップをしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、出産育児一時金増額に伴う後期高齢者の負担増についてお伺いします。

 本法律案は、世界に類を見ないスピードで日本が迎える超少子高齢化社会、そして人生百年時代に対応すべく、全ての世代が能力に応じて公平に支え合う仕組みの構築を進めることを狙うものだと認識をしております。

 二〇二五年には全ての団塊の世代が後期高齢者になり、二〇四〇年には団塊ジュニア世代も高齢者世代に入る。これに伴って深刻なのは現役世代の急減でありますけれども、一千百万人の生産人口が不足するという見立てもあります。日本の誇る国民皆保険の医療制度も、介護保険も、年金制度も、全て現役世代の支えがあってこそ成り立つ仕組みであり、今のままでは我が国の持続可能性が脅かされる、まさに静かなる有事に直面をしております。

 この現実を改めて皆様にお示しをしますと、政府・与党は今まで何をしていたのかというお叱りを受けることもございます。けれども、公明党は、二〇〇六年には少子対策トータルプランを策定し、幼保の無償化、私立高校も含めた高校授業料の無償化、給付型奨学金の創設等々、プランの実現も一つずつ果たしてまいりましたが、しかしながら、それでも、OECD加盟諸国の、子育てに対して国が支出をしている家庭関係支出の平均にも及んでいないというのが実情であります。

 子供をもうけることをちゅうちょする理由として多いのが子育てに係る経済的負担が大きいことであるという回答が多いことからしても、もっと子育てを社会全体で応援していくべきだと、公明党として、冒頭の質問でも紹介したとおり、子育て応援トータルプランも策定し、さらに、この三年間、特に次世代育成・集中期間、そして、二〇三〇年まで七年間を次世代育成を最優先させる七年とすることを提言しているところでございます。

 政府におきましても、少子化については危機感を持って、二〇一九年から全世代型社会保障検討会議を設置し、二〇二〇年の十二月に最終報告が閣議決定、二〇二一年六月には全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律が成立、二〇二一年十一月には全世代型社会保障構築会議が開催され、昨年、二二年五月の議論の中間整理を受けて、六月、骨太方針二〇二二として示され、十二月に同構築会議の報告書を取りまとめ、目指すべき社会の方向性が示されたわけでありまして、したがって、今法案は、健康保険法改正の第二弾というべきものであります。

 その上で、今回、出産育児一時金の四十二万から五十万円への増額がこの四月から実施をされることが決まりました。これは、我が党からも強い要請をして実現したものでありますが、多くの子育て世代からは大変歓迎をされております。

 一方で、その一部の費用は後期高齢者医療制度からの支援金の導入という形で実現するものでありまして、昨年秋より窓口負担が二割になった方も三百七十万人、およそ後期高齢者の方の二割の方が、負担が増えていらっしゃるわけですので、世代対立を生まないため、全世代で支え合う、応能負担という視点から、この後期高齢者の負担について改めて説明をお願いしたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 後期高齢者医療制度の創設前は、後期高齢者御自身も国保、健保に加入しまして、出産育児一時金を含め、子供の医療費について御負担をお願いしておりました。一方、後期高齢者医療制度の創設に伴いまして、こうした子供に対する医療費を後期高齢者が負担する仕組みはなくなったのでございますけれども、その後、生産年齢人口が急激に減少していく中で、少子化をめぐって様々な対策を講じてきましたけれども、いまだに少子化の流れを変えるには至っていないという状況がございます。

 今般、子育てを社会全体で支援する観点から、出産育児一時金を大幅に引き上げることといたしました。あわせまして、後期高齢者医療制度が、出産育児一時金に要する費用の一部、これをお願いすることとし、令和六、七年度においては、後期高齢者お一人当たり月額五十円程度の御支援をお願いする、こういう仕組みを導入することにいたしました。

 ただ、この制度改正に当たりましては、令和六年度から高齢者に新たな御負担をお願いするということになるものですから、高齢者全員に一律に負担をお願いするのではなく、低所得の方々の負担増が生じないよう、負担能力に応じた負担とする、それから、出産育児一時金に対する後期高齢者の支援対象額を二分の一にする、こうした激変緩和措置を講じるということとしてございます。

 こうしたことによりまして、均等割保険料のみが賦課される約六割の低所得者の方々には、制度改正に伴う負担の増加が生じないようにするとともに、さらに、その上の所得の約一二%の方々につきましても、令和六年度は制度改正に伴う負担の増加が生じないようにする、こういうことにしてございます。

 こうした改正につきましては、激変緩和措置も含めて、高齢者の被保険者お一人お一人にお知らせをお送りするなど、丁寧な周知広報に努めてまいりたいと思っております。

吉田(久)委員 出産における医療体制についてお伺いします。

 女性にとって、妊娠、出産は、いつの時代においても、病気ではないとはいいましても、何が起こるか分からない、まさに命懸けで挑むものであります。

 少子化の時代が続く中でやむを得ない変化だとはいえ、ここ数十年で産科医や産科の病院が減少していることは大きな懸念でございます。

 今日お配りした資料にも、産婦人科であっても分娩を扱っていないケースも増えておりまして、病院の二五%、そして、診療所では何と六五%が分娩を扱っていないということが示されております。近くに産婦人科があるから大丈夫だろう、私も、産婦人科というところは全て分娩を扱っていると思っておりましたけれども、実は、四つの病院に一つは分娩ができない事態になっているわけであります。

 また、高齢出産、また低出生児の増加など、リスクの高い出産の割合も増えております。出産費用は用意できたとしても、近くの病院や診療所でお産はできないから無理だと諦めるような事態にならないように、どこに住んでいても安全なお産が保障されることが重要であります。

 少子化によって産科医療体制が崩壊しないような施策は早めに手を打たなくてはならないと考えますが、厚労省としての取組をお伺いしたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 周産期医療につきましては、従前より、医療資源の集約化、重点化を推進することが良質かつ適切な医療を提供するために有効であるという考えに基づきまして、各地域において周産期医療体制の構築を進めているところでございます。

 一方で、今委員御指摘ございましたように、周辺に分娩取扱施設がなく、また、分娩取扱施設を整備することが必要であるといったような地域につきましては、都道府県が策定した計画に基づいて行います周産期医療体制の整備でありますとか産科医師の確保といった取組に対して、補助金や地域医療介護総合確保基金によって財政的な支援を行っているところでございます。

 また、令和六年度から第八次医療計画がスタートいたしますが、それに向けて、周産期医療の維持のために、各都道府県に、二次医療圏にこだわらず周産期母子医療センターを基幹として集約化、重点化を行うなどによって必要な医療を確保すること、また、各医療機関の役割分担を進めるということ、そして、集約化、重点化により分娩施設までのアクセスが悪化した地域に居住しておられる妊産婦に対して、地域の実情に応じて対策を検討することなどを行うことを求めているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、引き続き、都道府県等と連携しながら、地域において必要な周産期医療を確保できますように取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。

吉田(久)委員 続きまして、産前産後期間の国民健康保険料の免除についてお伺いしたいと思います。

 今までは被用者保険だけ免除されていたものが、国民健康保険料も免除する仕組みができることは、働き方に関わりなく子育てを支援する仕組みを整備する上で、歓迎をしたいと思っております。

 しかしながら、国民健康保険に加入されているフリーランスや自営業の方には、育児休業給付金という仕組みがございません。これも早急に、働き方に関わりなく享受できる仕組みの創設が必要だと考えます。

 この就業に関わりなく子育てを支援する仕組み、これは、たたき台の方にも、しっかり入れていきたいというふうに方向性が示されておりますけれども、どう進められていくのか、政府のお考えをお伺いしたいと思います。

伊佐副大臣 働き方にかかわらず、希望する方々が出産、子育てしやすい環境を整備していくということは重要な課題というふうに認識をしております。

 フリーランス、また自営業の方については、先ほど委員の方からも御指摘がありましたとおり、本法案におきましても、産前産後の国保の保険料の免除を盛り込ませていただいております。

 更に加えまして、先般、小倉大臣の下で取りまとめられました子供、子育て政策の強化に関する試案においては、自営業やフリーランスの皆様についても、子育て期における仕事と育児の両立や多様な働き方を支えていくというために、被用者保険の取扱いを踏まえながら、育児期間に係る国民年金の保険料の免除措置の創設に向けた検討を進めるということが盛り込まれております。

 今回の試案を踏まえまして、今後、総理を議長とするこども未来戦略会議において、必要な政策強化の内容等について更に具体的な検討を深めていくということになりますが、厚労省としても、制度を所管する立場として、関係省庁とも連携して、この会議における議論をしっかりと踏まえながら対応してまいりたいというふうに思っております。

吉田(久)委員 医療、介護の持続可能性の強化に向けた取組についてお伺いいたします。

 医療費は、団塊の世代が後期高齢者に入り、増加する局面において、今後増大していくと予測され、お金も人的リソースも無尽蔵にあるわけではありませんので、過度に増大していかないように適正化し、持続可能なものにすべきであるとの趣旨から、二〇〇八年より医療費適正化計画が定められ、現在、国と都道府県で、第三期計画の最後の年となっております。まず、その適正化計画の効果についてお伺いしたいと思います。

 続けまして、二〇〇〇年から始まった介護保険制度も、年々保険料の負担が増大し、多くの方から、どうにかしてほしい、これ以上負担が増えたら生活ができないという切実なお声も伺っております。

 今法案において、医療法人や介護サービス事業者に経営情報の報告義務を課し、データベースを整備することにしておりますけれども、医療も介護も、保険制度と税金でほとんど成り立っていますので、適正化するためにも、経営の透明化は必要であり、報告義務は当然だと思っております。

 一昨年の臨時国会で、介護従事者の処遇改善として一人九千円アップを狙い、確保した補正予算だったにもかかわらず、給与が上がると聞いていたけれどもほとんど実感できなかったとのお声も現場でお聞きいたしました。

 今法案の成立後、各施設の経営状況の見える化などで収集、把握した情報によって、利用者にとっても、また医療・介護従事者にとっても、そして経営者にとっても、三方よしとなることが望まれるわけですけれども、特に、人手不足に陥っている介護従事者、この処遇改善に利するものになるのかどうか、確認をしたいと思います。

 二問続けてお願いしたいと思います。

伊原政府参考人 第三期医療費適正化計画についてお答え申し上げます。

 この第三期医療費適正化計画では、健康の保持の推進に関する目標としまして、特定健診、特定保健指導の実施率などを目標に設定しました。それから、医療の効率的な提供の推進に関する目標として、後発医薬品の使用割合、こうしたことを設定しまして、取組を進めてまいりました。

 今年度が最終年度でございますが、現状といたしましては、まず、特定健診の実施率は、目標の七〇%に対しまして二〇二〇年度は五三・四%、特定保健指導の実施率は、目標の四五%に対して二〇二〇年度は二三%となっておりまして、実施率の向上に向けた更なる取組が必要と考えております。一方、後発医薬品の使用割合につきましては、二〇二一年度に七九・六%となっておりまして、目標の八〇%をほぼ達成しております。

 令和六年度から新たに第四期の医療費適正化計画の実施期間となりますけれども、新たな目標としまして、医療資源の効果的、効率的な活用を位置づけるとともに、今回御提出させていただいていますこの法案におきまして、計画の実効性を高めるため、都道府県ごとに保険者協議会を必置といたしまして、計画の策定、評価に関与する仕組みを導入するなど、都道府県が関係者と連携して取組を推進する体制を構築すること、こうした取組を強化いたしまして、都道府県における医療費適正化に向けた実効性ある取組を推進してまいりたい、かように考えております。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 介護の経営状況の見える化で関係者三方よしとなるのか、特に介護従事者の処遇改善に利するものになるのかというおただしでございました。

 介護職員の処遇改善のほか、物価上昇ですとか新興感染症の影響などを踏まえた介護事業者への支援策の検討などのためには、介護サービス事業者の詳細な経営情報を定期的に収集、把握することが重要でございます。このため、本法案におきましては、先生御指摘のとおり、介護サービス事業者に対して経営に関する情報の報告を求めまして、その情報に関するデータベースを整備することとしております。これによりまして、事業所、施設に従事する職員の人件費等につきましても把握をしてまいる予定でございます。

 事業者から報告を求めます経営情報によりまして、介護職員の処遇、これを含めまして、事業者全体での経営状況の経年の変化を把握することができます。これによりまして、例えば、介護事業経営実態調査で把握できない直近の収支の状況なども踏まえた政策の検討に活用していくことができるようになるものと考えているところでございます。

吉田(久)委員 介護施設におきましては、働いてくださる介護従事者を何度募集しても一向に集まらず、また、来ていただいても、すぐまた辞めてしまうのが多いという現実がございます。閉鎖する施設も増加をしております。政府の施策で、これ以上介護難民が生まれないよう、処遇改善を含めてしっかりと対策を進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 まずは、最大の争点となっているかかりつけ医機能について伺います。

 本法案の医療機能情報提供制度では、医療機関は自己申告でこの機能がありますと報告をして、それがホームページに掲載されることになります。現在、七百項目あるその情報項目の中で八項目がかかりつけ医機能の項目とされていますが、日常的な医学管理及び重症化予防とか、地域の医療機関等との連携、在宅医療、介護等との連携、適切かつ分かりやすい情報の提供などなど、当たり前の項目ばかりであります。普通のいわゆる町医者であれば、かかりつけ医機能の幾つかは機能ありと自己申告できるような内容であります。

 そこで大臣に伺いますが、一項目でもこれらの機能があればかかりつけ医機能ありということになるのか、また逆に、医療機能情報提供制度でかかりつけ医機能ありと申告できないような医療機関というのは具体的にどのような医療機関があり得るのか。今のままだと町医者であれば全てかかりつけ医機能ありと国民に情報提供されてしまうのではないかと思いますので、伺います。

加藤国務大臣 これまで医療機能情報提供制度は医療法施行規則の規定に基づいて行われてきたところでありますが、今委員からも御指摘ございましたが、情報提供項目の具体性が乏しいとか、あるいは、診療報酬の届出状況をそのまま公表しているだけで内容が分かりづらく、国民、患者が実際に医療機関を選択するツールとしては不十分といった御指摘を社会保障審議会等の議論においてもいただいたところでございますので、本法案ではこの制度の充実強化を図ることとしております。

 かかりつけ医機能に関する情報提供項目の見直しについては、今後法案が成立した場合に有識者等の意見を聞いて検討していくこととなりますが、国民への情報提供に当たっては、全てのかかりつけ医機能を併せ持つ医療機関を公表するというものではなく、医療機関が有するかかりつけ医機能のそれぞれの具体的な内容を公表するということにしております。それを踏まえて、国民、患者がそのニーズに応じてかかりつけ医機能を有する医療を選択できるということでございます。

 情報提供項目については、まさにこれから議論させていただきますけれども、それを踏まえながら各医療機関で御判断いただくということになると思います。

井坂委員 機能の項目の中身はこれから更に検討するということで、それは分かっているんですが、その項目が一項目でもありと自己申告すれば、その医療機関はかかりつけ医機能ありということになるのかということについて、お答えください。

加藤国務大臣 かかりつけ医機能があるとかないとかではなくて、かかりつけ医機能、いろいろとお示しをさせていただくわけですが、その機能があるということをお示しいただくということでございますので、医療機関によっては、簡単に言えば、例えばですけれども、五つあるうちの二つということで出されるところもあるかもしれないし、五つということで出されることもあるかもしれないということであります。

井坂委員 一項目も機能がない場合は、これはさすがにかかりつけ医機能なしの医療機関ということになるんでしょうか。

加藤国務大臣 この今の、医療機能情報提供制度におけるかかりつけ医のそうした項目に該当するものがないという場合には、まさにそこからは出てこないということになるわけでありますから、ここで言っているまさにそうした項目に係る機能は持っていないということになるんだろうというふうに思います。

井坂委員 ちょっと分からないんですけれども、政府がこれから、何項目か、かかりつけ医機能としてこれこれの項目がありますというのを定めて、それが一項目もない、うちはないですよという医療機関は、かかりつけ医機能がない医療機関ということでいいんでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、この法律で言っている意味においてはそういうことになるわけであります。

井坂委員 そのかかりつけ医機能の中身、何でこんな形式的なことをお聞きしているかというと、まさに、これまでもいろんな委員がいろんな質問をしてきましたけれども、結局、誰もかかりつけ医機能というのが何なのかというのが分からないんですよ。法律が通ってから中身を決めるとおっしゃっているんですけれども、何がかかりつけ医機能なのか、どんな医療機関がかかりつけ医機能を持っている医療機関として住民に選ばれるのかということが、もう全く分からないんですね。

 何か八項目とか、今八項目ですけれども、それが何項目になるのか分かりませんが、例えば、夜間、休日診療があるという項目も恐らく入るんだと思いますが、じゃ、それがあればかかりつけ医機能がある病院なのかといったら、全然そんなことはなくて、ただの救急病院かもしれないですし、ということなんですよ。

 ちょっと私が提案をしたいのは、今政府が想定しているであろうかかりつけ医機能を何項目持っても、結局、それは日常的な医療を提供している町医者ですということの証明にしかならないと思います。実際に、本法案のかかりつけ医機能の定義はそうなっています。なぜ政府のかかりつけ医機能が単なる町医者機能になってしまっているかというと、かかりつけ医の一番重要な機能が抜け落ちているからだと思います。

 大臣は、前回、私との質疑の中で、患者がこの情報提供制度のページで医療機関を選んで、そこに継続的に診てもらえばかかりつけ医になるんだろう、こういう答弁をされました。私、それにいろいろ突っ込みたかったんですけれども時間切れだったんですが、明確に、その答弁は、そうではない、間違っているというふうに思います。

 例えば、私がここ数年、一番通っている医療機関は耳鼻科です。そこは明確にかかりつけ医ではありません。なぜかというと、そこは、年に数回花粉症の薬をもらいに行くだけで、私の病歴とか体質とか生活環境などを分かった上で継続的に診てくれているわけでは全くないからであります。

 大臣に伺いたいんですけれども、こういう機能をやはり明確に項目に入れる必要があるんじゃないかという御提案をいたします。現役世代も含めて、病気でないときも、一人の住民を継続的に診続けて、病歴、体質、生活環境などを把握した上で予防や医療を提供する機能という、このかかりつけ医のど真ん中の機能を、かかりつけ医機能報告制度のかかりつけ医機能の定義に含めるべきではないでしょうか。通告どおりです。

加藤国務大臣 ちょっと個別の話に言及していいのかどうかですが、多分、その花粉症の治療に当たるお医者さんも、委員についていろんなものを診ながら多分処方されているので、何というか、おっしゃった趣旨がちょっと、私、酌み取れなかったんですが。したがって、全身全部を常にかかっているわけではなくて、それぞれ疾患があって、一番あり得るのは継続的な医療を必要とする方、そうすると、その疾患について行っているわけですけれども、その疾患を介してということにはなるんでしょうけれども、いろんなことを、多分、情報を収集されながら、処方したり、医療を提供されている。したがって、そういった方も一般的に言われるかかりつけ医として認識、我々、一般的な用語ですよ、としての中では、多分、一般の方は、例えば、皮膚科で行っている、私のかかりつけ医は皮膚科の先生もということになるんだろうというふうに思いますが。

 ただ、今御指摘がありましたけれども、この法案では、まさに、地域で確保していく必要があると考えられるかかりつけ医機能について、各医療機関から報告を求めるということにしているところでありますが、この機能については、高齢者以外の継続的な医療を要する方に対する機能や、予防に関する機能などを対象とすることも含めて、今後、有識者の意見も踏まえて検討していきたいと考えております。

井坂委員 今大臣がおっしゃったような程度のことをかかりつけ医機能と本当に思っておられるのであれば、本法案は全く意味がない法案だと思います。それはもう、全ての町の診療所はかかりつけ医機能ありということに単純になってしまうと思います。

 大臣が後段おっしゃった、継続的な診療が必要な方が対象というのは、本法案はそれでは不十分で、健康な人とか現役世代とかも含めて継続的に、しかも背景まで見て、しかも予防まで含めて提供していく機能がかかりつけ医機能として私は必須だというふうに思いますけれども、今、私が申し上げた機能をまず項目に入れてほしい。

 これは、もちろん検討いただきたいんですが、単にワン・オブ・ゼムの項目に入れるのではなくて、必須の機能として定義づけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 ですから、先ほど申し上げた、報告を求める機能の対象には、高齢者以外の継続的な医療を要する方に対する機能のみならず、予防に関する機能も対象となること、これも先ほど申し上げたところでありますので、これについては有識者等の意見も踏まえて検討していきたいと思います。

 そもそも、今回の六条の中でも、身近な地域における日常の診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能云々、こういう書き方をさせていただいたところでございます。

 委員がおっしゃっている、健康な方に関する支援というは、この幅、どういったものが入るのかということでありますが、一般的には、医療機関のみならず、様々な取組が都道府県、市町村、地域において行われているというふうに思いますので、地域における役割分担の下、必要なサービスの確保を通じて、国民の健康の増進、これをしっかり図っていきたいと思っています。

井坂委員 今大臣がおっしゃった地域における役割分担という部分も、本法案の問題点だというふうに考えています。

 これは参考人にお伺いしますけれども、地域全体でかかりつけ医機能を分担するという場合に、ある住民にかかりつけ医機能を過不足なく提供するということについて、誰が中心的な役割を果たし、誰が責任を持つことになるのか、お伺いいたします。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもといたしましては、かかりつけ医機能に関する制度整備につきまして、地域のそれぞれの医療機関が、地域の実情に応じてその機能や専門性に応じて連携しつつ、かかりつけ医機能を発揮するよう促すということが重要であるというふうに考えてございます。

 このため、本法案におきましては、医療機関に対してその機能の報告を求め、都道府県がその体制を有することを確認、公表し、これらを踏まえて、都道府県と地域の関係者との協議の場で、必要な機能を確保する具体的方策を検討し公表する、そういった制度を設けるということとしてございます。

 このように、地域でかかりつけ医機能を確保する具体的な方法につきましては、誰が中心的な役割を果たすのか、国が画一的に定めるのではなく、地域の関係者の方々との協議の結果に基づいて定まってくるというふうに考えておりまして、その機能ごとに、地域の実情に応じて確保していただくこととなるというふうに考えてございます。

 いずれにいたしましても、この法案が成立いただきますれば、施行に向けまして、地域の協議の場において検討する具体的な方策でありますとか、国の支援の内容などにつきまして、今後、有識者などの御意見をお伺いして、詳細を検討していきたいというふうに考えてございます。

井坂委員 私が、今回、ずっと議論を聞いていて、また、自ら質疑して思うのは、大臣、かかりつけというのは、つまるところ関係性だと思うんですね。

 例え話ですけれども、太郎さんと花子さんが結婚するから夫婦なのであって、その関係性を定義せずに、太郎さんには夫婦機能がありますみたいなことを言うから、今すごいおかしなことになっていると思います。まして、何か夫婦機能を太郎さんと次郎さんと三郎さんで分担して、全員で面的に夫婦機能を提供しますみたいなことになると、もう訳が分からないことになっているんですよ。花子さんの夫は誰ですかという基本的な問いにも答えられない状況になっています。究極の無責任体制になるんじゃないかということを、私が今一番懸念をしているところであります。

 かかりつけ関係という、その関係性を否定したまま、かかりつけ医機能などと名づけて、やっている感を出すのは、やはりやめた方がいいというふうに思います。私、昨日、消費者委員会でちょうど景品表示法の質疑をしましたけれども、やはりこんなのは、国民を意図的に誤認をさせる不当表示じゃないかというふうに思いますよ。素直に、地域日常医療機能とでも呼べば済む話ではないでしょうか。

 心ある厚生労働官僚の皆様は、やはり、かかりつけ医関係があるかかりつけ医制度を今からでも構築をして、パンデミック対応とか予防・健康政策をバージョンアップさせてほしいというふうに強く申し上げたいと思います。

 次に、地域における本来目指すべき予防・健康機能について伺いたいと思います。

 大臣は、コミュニティーナースという仕事については聞いたことがおありかもしれません。私は、ちょうど落選浪人中に、奈良県の山添村というところで、コミュニティーナースの方に丸一日付き添って、その仕事の中身を見せていただいたことがあります。

 そのコミュニティーナースさんというのは、一時はガソリンスタンドで働きながら、地域住民の健康や生活環境を見ていたりもしたという方であります。地域住民の病歴や家庭環境を個別に把握をしていて、家庭訪問をしながら、それとなく住民の健康状態を確認をし、そして、必要があれば、すぐ医療、介護や福祉につないでいる、そういうお仕事であります。役所にいる保健師さんとは違って、常に町中にいて住民の健康維持を行う、かかりつけナースと呼ぶべき存在かというふうに私は見ました。

 コミュニティーナースは、町の保健室とか、そういった健康イベントや相談イベントも開催をします。しかし、多くは介護保険の制度内で予算を使ってやるために、高齢者向けとか認知症向けの相談しか中心にできないのが悩みであるということでありました。また、中には、移動販売で塩分控えめのお弁当を地域で売りながらコミュニティーナース活動をするといった、そういう工夫もあるそうであります。

 まさに、現役世代や健康な人も含めて、地域の全世代向けに本来のかかりつけ医機能の一部を提供しようとする試みにも見えるわけであります。

 そこで、大臣に伺いますが、こうした全世代向けの健康相談あるいは生活指導、またそこにつながる多面的な活動を支援する事業や補助金を創設すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 その前に、先ほどの関係性というお話がありました。やはり、一般的に言われるかかりつけ医について、まさに皆さん様々な思い、イメージを持っておられる。そういった中で、まずは機能に着目をして理解を深めていこうではないかというのが今回の法案の趣旨でありますので、その点は是非御理解をいただければと思います。

 その上で、健康に対する対応ということでありますけれども、御指摘のように、様々な世代が健康づくりに取り組んでいただくということは大変大事なことでありますし、住民に身近なサービスを提供する市町村において、地域のNGOや住民組織、多様な主体と協働しながら住民が健康づくりに取り組んでいける環境整備を進めていかなければいけないと考えています。

 健康づくり運動をこれまで国も進めてまいりましたが、令和六年度から開始される国民健康づくり運動プランにおいて、行政だけではなく多様な主体とともに健康づくりを進めていくことが必要と考えており、具体的には、このプランにおいて、保健、医療、福祉の関係機関やNGO、住民組織等の関係者と連携して地域住民の健康増進を図ることを盛り込むことを検討しているところでございます。

 今委員からコミュニティーナースのお話がありましたが、こうした取組など、自治体において多様な主体と協働して行っておられる健康相談、生活指導等の取組を把握しながら、他の自治体にも周知を図り、また、自治体の御意見も伺いながら、どのような支援が必要であり効果的か、こういったことを引き続き検討していきたいと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 このコミュニティーナースの方は、子供食堂みたいな場をつくったり、あるいは様々な訪問活動も、いろいろな名目で行っているわけであります。

 しかし、ここでも問題になるのは、全ての施策が、やはり年代や疾病、状態ごとに分けられているということであります。

 参考人に伺いますが、子供食堂や対象者を限定した訪問活動ではなくて、全世代向けの場づくりや全世代向けの訪問活動ということを支援する仕組みが必要ではないでしょうか。

川又政府参考人 地域における包括的な支援体制づくりという点についてお答えをさせていただきます。

 地域共生社会の実現を目指し、市町村において、地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応するため、包括的な相談支援体制、参加支援、地域づくり支援、これらを一体的に行う重層的支援体制整備事業というものを創設をいたしまして、令和三年度から実施をしております。

 これにより、高齢者、障害者、子供、子育て世帯、生活困窮者など、対象者の属性を問わず、地域における多様な居場所や社会資源の開拓、課題を抱えている個人及びその世帯に対しての訪問による状況把握、相談を行うアウトリーチ等の支援などを実施することとしております。

 こうした事業も活用しながら、属性を問わない居場所づくり、あるいは地域社会への参加支援を通じて、地域における保健活動とも連携をしながら、包括的な支援体制づくりができるように取り組んでまいりたいと考えております。

井坂委員 今おっしゃった場づくりの政策と、それを保健活動と連携というだけでなくて、保健活動と本当に接続し得る場づくりをきちんと支援をしていただきたいということだけ申し上げておきます。

 次のテーマなんですけれども、前回の質疑で、私は、健康政策や医療を、効果の有無によって分けて、効果のあるものを優先して実施すべきという議論をいたしました。ちょうど、先週の参考人質疑でも、日本総研の川崎参考人が、同じことを、より専門的に提案をされたわけであります。

 大臣に伺いますが、医療の価値、有効性が高いかどうか、また、財政面も含めて、制度の持続可能性を高めるかどうか、データを継続評価しながら定期的に医療を選択し直す仕組みが必要ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員の御指摘のように、その医療が有効であるかどうか、あるいは制度が持続可能であるのか、こういった点に着目をし、そしてデータの活用をその中で図っていく、それは全くそのとおりだというふうに思います。

井坂委員 そういう仕組みをきちんと実装すべきではないかということなんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 これまでの対応としては、市場規模の大きい医薬品の薬価等について、令和元年度から、患者のQOLも指標とした費用対効果評価制度を導入し、これまで四十二件の医薬品の評価等の見直しを対象としているところでございます。

 また、今後、高齢化が更に進展していく中、医療保険制度の持続可能性を高めていくため、医療費の適正化が重要な課題であり、エビデンスを踏まえて実効的な取組を進めていくことが必要との観点から、令和六年度から、第四期医療費適正計画では、急性気道感染症に対する抗菌薬処方など、効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療を適正化することを新たな目標として位置づけたところであります。

 関係者が、地域におけるデータを踏まえながら、医療サービスの提供状況を把握、検討し、地域ごとに適正化に向けた必要な取組を進めていくこととしております。

 今後とも、幾つか事例を申し上げましたけれども、データを活用して、その有効性あるいは制度の持続可能性、こういったものをしっかり検証しながら進めていきたいと考えております。

井坂委員 参考人が明確に指摘をしたわけですが、薬や機器に対する評価はしている、我が国は。それから、医療技術に対しては、経済性の評価のみ一部しているけれども、一般的な価値の評価、今回の法案で、価値のない一部のものについてはそういうことをやるということで、私はそれはよいと思いますが、全般的に、医療の価値に対する評価、まして、私が提案している持続可能性への寄与度の評価ということはいまだ実装されておりませんので、是非それを仕組みとして実装していただきたいという提案であります。

 続きまして、医療の評価、私は主に学術的なエビデンスのことを中心に議論をしてきたわけでありますが、参考人は、エビデンスだけだと時間もかかるし、足りないということで、ビッグデータ、とりわけリアルワールドデータも活用して、提供している医療を現在進行形できちんと価値評価をしていこうということをおっしゃっていて、なるほどと思ったわけであります。

 参考人に伺いますが、こうしたリアルワールドデータも活用した医療の価値評価ということをやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、保健医療政策の立案、実施に当たりましては、比較対照実験に加えまして、臨床等の中で得られたリアルワールドデータを活用していくことは今後非常に重要となってくると考えております。

 実際、例えば、昨年度の診療報酬改定におきまして医療技術に関する点数の見直しを行いましたが、その際、ロボットを用いた腹腔鏡手術につきまして、臨床データの登録システムに集積されたリアルワールドデータの解析結果から、術後の合併症の発症率、こうしたことに着目しまして、ロボットを用いない場合と比べた際の優越性、これを踏まえて見直しを行ったところでございます。

 また、医薬品の承認審査や市販後のデータ収集におきましても、リアルワールドデータを活用する際の考え方をガイドライン等でお示ししておりまして、例えば、医薬品を投与した患者群に対する比較対象として、プラセボ群に代えましてリアルワールドデータを使用するなど、その利活用を進めているところでございます。

 今後も、臨床試験の結果やリアルワールドデータを適切に組み合わせながら、保健医療政策へのデータ活用に取り組んでまいりたいと考えております。

井坂委員 ありがとうございます。

 最後なんですけれども、今回の法改正で、医療法人や介護サービス事業者の経営情報の調査分析というものが含まれています。施設や事業所ごとの収益や費用を情報収集して、医療・介護政策の立案に役立てるということであります。

 私は、長年、介護スタッフの賃上げ法案などを本委員会に提出をし、医療、介護、福祉、保育などの給料アップを目指してきた立場であります。

 データベースによる全体の政策のブラッシュアップも重要でありますが、もう一つやっていただきたいのは、やはり事業所ごとの人件費比率などが今後分かるようになるわけですので、処遇改善加算などを取っているのに人件費比率が全然上がっていかないとかいうのも分かってくるわけであります。

 参考人に伺いますが、医療法人や介護サービス事業者から集めた経営情報を、医療・介護従事者の個別の給料アップにきちんと役立っているのか、そういう目で分析をして活用すべきではないでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、今般の新たな制度の案におきましては、医療従事者、介護従事者等の処遇の適正化を検討するために、医療機関や介護サービス事業所、施設におけます職種別の給与の状況につきましても任意で報告を求めるということとしてございます。

 蓄積したデータをしっかりと十分に分析をして、さらに、属性などに応じてグルーピングした分析結果が表す趣旨や背景なども併せて、国民の皆様に分かりやすく丁寧に情報提供することで、医療、介護の置かれている現状や、また実態の理解の促進を図るということとしておりまして、こうした取組の中で、職員の給与の取扱いも含めて必要な対応を検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

 なお、医療従事者等の処遇改善を検討する上では、医療機関等の職種別の給与の状況を把握することも、御指摘いただいたように大変重要な取組だというふうに考えております。施行に当たりましては、関係団体の協力も得ながら、分析に活用可能な規模のデータがきちんと提出されますように進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

井坂委員 以上で質疑は終わりますが、本法案のかかりつけ医機能というのは、一部与党委員も指摘したように、そもそも全世代型とは言えないものであります。また、社会保障の持続可能性に大きな影響を与える予防・健康政策の強化にも残念ながらつながらないというふうに思います。また、目玉だった出産育児一時金は、法案審議中に、保険適用という全く異なる方針が示され、もはや議論する意味がなくなってしまっています。社会保障の持続可能性を高める方策は、保険者間の複雑で細かいお金のやり取りに終始し、問題解決ではなく、先送りにすぎないわけであります。

 各論反対ではなく、総論として問題だらけの法案だということを強く申し上げて、私の質疑を終わります。

 ありがとうございます。

三ッ林委員長 次に、西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 先ほど井坂委員が、総論、全体として問題がある法案だというふうにおっしゃって質問を締めくくられましたけれども、私も全くそのとおりだというふうに思っております。

 今日は私は、後期高齢者医療制度の負担の見直しについて最初に質問したいと思いますけれども、今回、高齢者の皆さんの保険料負担率、これが変わるということであります。

 主には、それは賦課限度額の引上げ等ということなんですけれども、この保険料の見直しによって、一体全体、保険料収入、どのくらい増えるか、そしてそれは何に使われるのか、まずはこれから伺います。

加藤国務大臣 今回の制度改正によって、後期高齢者の皆さんには保険料負担の増加をお願いすることとなります。

 保険料の増加分は、子育てを社会全体で支援するため、出産育児一時金に係る後期高齢者医療制度からの支援金を導入するための費用約百三十億円に充てるほか、後期医療を全ての世代で公平に支え合う観点から、現役世代の負担上昇を抑制するため、後期高齢者医療における高齢者の保険料負担割合を見直すための費用約八百二十億円に充てることとしております。

西村(智)委員 子育てを社会全体で支える、出産育児一時金ですね、これで百三十億円。負担割合の見直しということで八百二十億円ですね。

 ということなんですけれども、この賦課限度額の引上げ等なんですけれども、政府から説明を受けましたときに、始点が、年収ですね、収入が百五十三万円の後期高齢者から、言ってみれば角度がついて、上がっている割合が、もっと角度が高くなる。しかも、賦課限度額が上がっていく。私は、一番最初にこの法案の説明を受けたときに、賦課限度額の引上げだけで九百五十億円、これが出るのかというふうに思ったんですけれども、実はそうじゃなくて、もっと割と低い収入の方から上がっていくということなんですね。

 私たち、二年前に、後期高齢者医療制度の窓口負担が一割から二割になるというときに、対案として、後期高齢者の皆さんの賦課限度額、これを引き上げるという、あれは修正案でしたか、対案として提出をいたしました。残念ながら、審議は行われたんですけれども、否決されて、それで二割になっているという現状があるわけなんですけれども。

 今回、年収百五十三万円から上げているというこの理由ですね。なぜ百五十三万円から上げるということになったんでしょうか。理由を聞かせてください。

加藤国務大臣 まず、令和六年度から高齢者に新たな負担をお願いするに当たっては、高齢者全員に一律の負担をお願いするのではなくて、低所得の方々の負担増が生じないようにしよう、そうした観点から、均等割保険料のみが賦課される年収百五十三万円以下の低所得者の方々、約六割いらっしゃいますが、その方には今回の制度改正に伴う負担の増加が生じないようにしたところであります。

 また、今回、所得割保険料が賦課される年収百五十三万円以上の方々には新たな御負担をいただくこととしていますが、その上の年収の約一二%の方々には、令和六年度は制度改正に伴う負担の増加が生じないように配慮したところでございます。

 したがって、百五十三万というのは、今申し上げましたように、均等割保険料に加えて所得割保険料が賦課される、ここが年収百五十三万ということでございます。

西村(智)委員 賦課限度額の引上げも、今回八十万円ですか、言ってみれば、この図形ですね、図形のところがなぜ決まったかといえば、私は、最初に出産育児一時金の百三十億円というのと、それから負担割合の引上げで必要になる八百二十億円、この額が最初にあって、それに見合うように、百五十三万円から、そして賦課限度額を八十万円にするということが決まったんじゃないかというふうに思うんですけれども、そうではないんですか。

加藤国務大臣 まず一つは、出産育児一時金は現状に合わせて五十万円まで大幅に引上げをするということの決定をいたしました。その上で、その負担をどうしていくのか。それから、後期の医療については、後期の保険、後期高齢者の医療負担とそれを支える現役の支援金の負担、この伸びが現役世代に偏っているため、それを是正をしていく、いわば、今の介護保険制度で実施をしている仕組みに戻していく。まず、それがあり、そしてそれに係る費用がどれだけかということを捻出し、そして、それはどういう形で、まず医療保険全体の中で負担があるわけでありますが、さらに後期の中でどう負担をしていくのかということで、こうした負担案を提案させていただいた、こういう考え方の流れであります。

西村(智)委員 つまり、九百五十億円という数字が先にあって、それに見合うように、言ってみれば図式を描いた。ですから、年収百五十万円世帯の、例えば後期高齢者の方々に対する、言ってみれば負担割合の見直しでどのくらいの影響が出るかということについては調査をされていない、分析をされていない。そういう状況で今回これが決まった、法案として今提出をされているということだと思うんですよね。

 これはやはり、私、大変問題だというふうに思います。今、コロナ禍の中でもありますし、物価上昇の中でもある中で、後期高齢者の方だけではないですけれども、全ての方々が非常に生活が厳しくなっているというこの状況で、言ってみれば生活への影響を考えずにこういった提案がされたということは本当に問題だというふうに思います。

 それで、後期高齢者医療制度ですけれども、そもそも平成二十年に、私たち、大変問題があるというふうに主張してきていた中で、自民党政権がわざわざ国保なんかから後期高齢者医療制度を切り離して、それでつくった制度なんですよ。それで、老人保健制度のときは、例えば負担をしていた出産育児一時金、こういったことですとか、負担割合も、負担率も、そのまま国保なんかに残っていたら、これはまた別の考え方、方向があったと思うんですけれども、わざわざそうやって切り離しておいたのに、また今回、その負担の部分だけ戻すというのは、私は本当に厚生労働省として一体どうなんだろうと。

 それだったら、ちょっと極論を言えば、そのまま老人保健制度、国保だとかに戻して、そのままにしておくという考え方もあったと思うんですよ、わざわざ切り離したのは自民党政権ですから。それで今回、また負担のためということで負担だけしていただくというのは、これはやはり、私、厚労省としての怠慢というか、責任放棄にも値するというふうに思うんですけれども、大臣はどうお考えですか。

加藤国務大臣 まず、後期高齢者医療制度は、高齢化が進み、医療費が増加する中で、その前の老人保健制度でいろいろ問題が指摘をされていました。高齢者と現役の負担の割合の明確化を図るべきではないか、財政運営責任の明確化を図るべきではないか、そうした観点から創設をしたものであります。

 今委員御指摘のとおり、老人保健制度においては、高齢者世帯も、出産育児一時金も含めて子供の医療費などを負担をしていた形になりますが、平成二十年度以降は今申し上げた制度になったことから、高齢者は、出産育児一時金の費用を直接は負担をせず、現役世代から後期高齢者支援金による支援のみを受け取る形でスタートしたところであります。

 しかし、その後、現状、少子化をめぐる様々な問題等が出てきて、これに対してどう対応していくのか。そういったことから、子育て世代を社会全体で支援するという観点に立って、先ほど申し上げた出産育児一時金の大幅な引上げ、また、あわせて、子育てを社会全体で支援し、年齢にかかわらず負担能力に応じて全世代型社会保障の構築に資する見直しをして、こうした改革を提案し、その費用負担についてお示しをさせていただいたところであります。

 今委員、これでは元と一緒じゃないかということでありますが、この支援の対象は、現役世代や子供全体の医療費ではなくて、あくまでも出産育児一時金に限定しているところでありますので、高齢者医療制度の創設の前のように、全世代で全世代の医療費を賄う仕組みに戻すというような考え方に立っているわけではないということでございます。

西村(智)委員 最後の部分は、私がちょっと通告で書いたところがそういうふうに読まれちゃったんだと思うんですけれども。

 私、申し上げたかったのは、出産育児一時金は、それは老人保健制度のときは、高齢者の皆さんも、後期高齢者の皆さんも負担はしておられました。今回、後期高齢者になって、またそこは皆さんからもちょっと負担してくださいということで、負担だけちょっと戻ってくるということなんですよ。これはやはり、私、本当に、いろいろなことを大臣は今おっしゃいました、財政的なことで見えやすくなったとか。確かに見えやすくはなりましたよ、七十五歳以上を切り離したんだから。

 だけれども、やはりこんなふうにして切り離しておいて、また足りなくなりますから後期高齢者医療制度から出産育児一時金、まあ、平成二十年ですから、今から十五年ぐらい前までは負担してもらっていたんだからいいでしょうという形でやるというのは、ちょっと、私は本当にいけないというふうに思うんですよね。

 それで、先ほどから大臣からも何度も言われております社会全体で子育てをするということです。私もこの考え方には賛成なんですけれども、でも、例えば、今ずっと言っている後期高齢者医療制度から出産育児一時金を負担させる。これってやはり保険制度の原則を超えちゃっているんじゃないかと思うんですよ。そういうことなんでしょうか。保険制度の原則を超えてまで社会全体で子育てをしていくということについて、大臣はきちんと説明ができますか。

加藤国務大臣 今回の後期高齢者医療制度も、医療給付費については、後期高齢者の保険料で約一割を運用しているのであって、公費で約五割、さらには、現役世代からの後期高齢者支援金で約四割という形で運営されておるわけで、これは別制度に加入する現役世代からの支援については、まさに後期高齢者の医療費を国民全体で支え合うべきという共同連帯の精神に基づいて実施をしているわけであります。

 この法案では、まさに今申し上げたようなことと同様に、子育てを社会全体で支え合うべきという考え方に立って、また、出産育児一時金の大幅な引上げが必要であるということから、後期高齢者医療制度が、出産育児一時金に要する費用の一部を支援していただく。こういう仕組みを導入することとしたところであります。

西村(智)委員 それは御説明ですね。御説明ですけれども、私は、やはり保険制度、だって、後期高齢者、ここでも何度か議論があったと聞いていますけれども、議事録も私も拝見しましたけれども、保険というのは、要するにみんなで保険料を出し合って支え合っていくというやり方ですよね。もちろん後期高齢者の財源については先ほど大臣がおっしゃったとおりだと思います。でも、それは平成二十年に自民党政権がまさにつくった制度ですから。

 ただ、保険という考え方でつくられているここから、出産育児、後期高齢者の方々は、およそなかなか対象にはならないというふうに考えるんですけれども、本当に、そういったことを認めちゃうというのって、やはり、どうですか、保険制度の原則からして、ちょっと問題があるなというぐらいは思いませんか、大臣。

加藤国務大臣 多分、委員は、そうじゃなくて、国費で負担すべきだという話なんだろうというふうに思うんですが、ただ、出産育児一時金の費用は元々、医療保険の給付として、原則として保険料で賄われてきたという経緯もあります。それから、先ほど申し上げた後期高齢者医療制度の例もあります。

 そういった中、それらを踏まえて、今回新たに高齢者の皆さんに御負担をお願いする。しかも、それは、一律の負担ではなくて、負担能力に応じて御負担をお願いするという形を取らせていただいたところでございます。

西村(智)委員 負担能力に応じてというところも私は疑問符なんです。だって、さっき申し上げたように、九百五十億円というお金が先にあって、確かに、所得割が賦課される、加わってくる百五十三万円というスタートラインについては、なるほど、そういう考え方はあるかなと思いましたけれども、角度のつけ方、それから賦課限度額の額、これについては、高齢者に対する、例えば生活の影響とかを分析した上ではないわけですよね。ないわけなんですよ。数字ありき、今の現行の制度ありきなので、やはりちょっと説明になっていないと思います。

 社会全体で子育てしていくというのは私も本当に大賛成なんだけれども、それを錦の御旗にして、例えば保険制度から、原則から外れるようなところから持ってくるということを認めちゃったら、何でもかんでも認めることになりませんか。

 決算剰余金がすごくコロナ関係で多くて、それが今回いろいろなものに使われているという、そういった問題もあるんですよ。そういった、何というんでしょう、お金に色は確かについていないけれども、きちっきちっとしておかないと、本当にずるずると、せっかく厚労省が取った予算がほかのところに持っていかれかねないということになるので、私は申し上げているんです。

 ですから、私は、これは国費から負担するというのが本筋だと思うんですけれども、いずれにしても、後期高齢者医療制度からの支出に関して、やはり真摯な説明というのが私は圧倒的に不足しているというふうに思います。

 これは本来は総理に伺うべきなんですけれども、大臣に説明をしていただきたい。なぜ、社会全体で子育てをするということのために、こういった仕組みにするのか。

 紙に書いてあることはすごく読まれて、仕組みとして説明を受けるのは本当にそのとおりなんだけれども、なぜかという説明が足りない。それから、先ほど申し上げたように、何で、この後期高齢者医療制度をわざわざつくって切り離しておいて、そして足りなくなったからまた負担してください、これってちょっと、被保険者、保険料を払ってくださっている方に対しても不信につながっていくと思うんですよ。

 大臣、ちゃんとここは御自身の言葉でお話しいただけませんか。

加藤国務大臣 まさに委員がそうだとおっしゃっていただいたように、子育てを社会全体で支援をしていく、そして、その必要性が、今回の急激な少子化等を踏まえて、より高まってきている、それをどう推進していくのか。一方で、全世代型社会保障構築会議の考え方を基本として、それぞれの負担の能力に応じて負担をしていこうということで、これまでも議論をさせてきていただいたわけでございます。

 そうした一連の議論の中で、今回、出産育児一時金の大幅な引上げに合わせて、その一部を、後期高齢者医療制度に加入している、所得の低い方を除外をした、それ以外の皆さん方に是非負担をしていただきたいということを、このお願いをさせていただいているということでございます。

 こうした内容については、全世代型社会保障構築会議や社会保障審議会医療保険部会などにおいても、これまで議論をさせてきていただいたところでございます。また、特に医療保険部会において、負担能力に応じた負担ということと、出産育児一時金に対する後期高齢者の支援対象額は二分の一とする激変緩和措置を講じること、こうした医療保険部会における議論を踏まえてこうした措置も加えさせていただいたということでございますので、一方で、高齢者の状況にも配慮しながら今回の提案をさせていただいたということでございます。

西村(智)委員 やはり紙を読まれるので、残念ですが、伝わりません、申し訳ない。ちゃんと本当に子育てを社会全体でするというのであれば、それは相当の覚悟でやるんだということでやっていただかないと、何かその程度の説明で国民が納得すると思っているんですかね。私はちょっと今のお話を聞いても全く理解できません。

 ちょっと時間がなくなってきたので、次の質問は少しまた次回に回させていただくことにして、全世代型の社会保障構築会議報告書、これが年末に出ておりますので、ちょっとこの点についてだけ一点、二点、伺いたいと思います。

 昨年の十二月十六日、全世代型社会保障構築会議報告書が出ています。ここで、労働市場や雇用の在り方の見直しということで、非正規雇用労働者を取り巻く課題の解決という項目があります。そこで、同一労働同一賃金ガイドライン等の必要な見直しを検討すべきであるというふうに書かれているんですね。

 これは、大臣、どの程度のことをお考えになっておられますか。ガイドラインを見直すということは、これは法改正まで行くのかということですね。いかがでしょうか。

加藤国務大臣 御指摘の全世代型社会保障構築会議報告書の中では、同一労働同一賃金の履行確保に向けた取組を一層強力に推進するとされているわけでありますので、それらも踏まえて、現在、労働基準監督署と労働局が連携して遵守の徹底に向けた取組を開始をし、非正規雇用労働者への賃上げの流れを波及するため、三月十五日から五月末までを同一労働同一賃金取組強化期間と定め、企業への働きかけや指導等に集中的に取り組ませていただいているところであります。

 また、非正規雇用労働者の処遇改善に与えた効果を丁寧に検証した上で、ガイドライン等の必要な見直しを検討すべきとされておりますので、現在実施をしている今申し上げたような取組を踏まえながら、働き方改革関連法における施行後五年後見直しの規定にも基づき、施行後の実態を把握、分析した上で検討していきたいと考えているところでございます。

西村(智)委員 じゃ、ガイドラインの見直しだけではなくて、働き方改革の五年見直しが近づいてきているので、法改正も含めてそれは頭の中にはあるというふうに大臣の今の御答弁だったと思います。どうですか。

加藤国務大臣 平成三十年の働き方改革の法律の附則の検討事項、このことも踏まえて今検討していくということでありますから、それは直ちに法律を変えるかということではなくて、その規定も踏まえた上で検討していくということを申し上げたところでございます。

西村(智)委員 コロナで一番困難を極めたのは、やはり非正規雇用者、それから女性の雇用者、労働者だと思っております。私どもは、先般、短時間パート・有期労働法等の一部改正案を議員立法として国会に提出いたしました。非正規雇用処遇改善法案というふうに通称で呼んでおりますけれども、パート・有期労働法、それから派遣法、労働契約法、職務待遇確保法、こういったことの改正、見直しで、合理的と認められない待遇を禁止すること、それから正規と非正規の範囲をもうちょっと分かりやすく判断できるようにすること、それから事業主の説明責任を強化すること等々、様々な項目を盛り込んで提出をいたしました。やはりこのくらいのことを抜本的にやらないと、本当に雇用の在り方の見直しには私はつながっていかないと。

 先ほど、全世代型の報告書で書かれていた同一労働同一賃金ガイドラインですけれども、ガイドラインって、皆さんも、見たことないかもしれないんですけれども、一度見ていただきたいと思うんですよ。違法と考えられる例、違法には当たらない例、確かにこういった例示がいろいろなされているんですけれども、見ると、ここまでだったら脱法しても大丈夫ですよ、そういう何かリストに私には見えてしまうんですよね。ですから、ここはしっかりと必要な見直しをするというふうに大臣には言っていただきたい。これが一つ。

 それから、昨年の十一月に、私、この場で質問させていただいたマニュアルです。職務評価を用いた基本給の点検・検討マニュアル、これも併せて、ガイドラインを見直すのであれば見直しが当然図られるべきだ。しかも、これはマニュアルですので、急ぐということなんですけれども、大臣、この点についてはどうですか。もう少し踏み込んで答弁いただけませんか。

加藤国務大臣 先ほど、最初のガイドライン等の見直しについては、現在実施している取組の結果も踏まえながら、働き方改革関連法における施行五年後見直しの規定に基づいて、施行後の実態を把握、分析した上で検討するということを申し上げたところでございます。

 それから、マニュアルでありますけれども、マニュアルなども通じた施行の在り方を含めて、当然その中で検討していくことになるというふうに思います。

西村(智)委員 ちょっと、いつもそうなんですけれども、大臣の答弁はすごく事務的で、質疑に対しての答弁が、やはり、説明責任を果たしているというふうには私は言えないと思います。やはり負担をお願いするわけですから、それなりに、まさにそういった痛みに寄り添った説明をしていただかないと、これは賛否の判断そのものも私はできない。賛成とか反対とか言うという前の段階だというふうに思うんですよね。

 今日はこれから総理が入って質疑が行われるということですけれども、私は、今の状況では、賛否の判断すらもできる状況の手前の段階に残念ながらこの法案はあるというふうに言わざるを得ない。それを強く申し上げて、私の質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 今、西村智奈美議員とも議論があったところから質問に入りたいと思います。

 今もお話ありましたように、七十五歳以上の後期高齢者の皆さんが出産一時金の一部をこれから負担をしてもらうんだという法改正が今出ているわけですけれども、そもそも、今も議論になりましたけれども、かつてあった老人保健制度では、当時、七十歳以上の高齢者が国民健康保険や被用者保険に納付した保険料の一部は出産育児一時金や子供関連の医療費に充当されていたわけですね。それをその後、七十五歳以上の後期高齢者の方だけを切り取って、そういう負担をさせない、新しい独立した制度をつくったわけですけれども、なぜ、当時、出産一時金等の負担をさせない、そういう制度にしたんでしょうか。

加藤国務大臣 まず、それまでの老人保健制度では、七十五歳以上の方々は、国民健康保険又は被用者保険に加入し、それぞれに保険料を納付し、高齢者世代も、出産育児一時金も含めて、子供の医療費は確かに負担をしていたわけでありますが、今回の後期高齢者医療制度は、公的年金制度の充実や成熟化に伴う高齢者の経済的、社会的自立を踏まえ、全ての七十五歳以上の方々を被保険者とし、公費の投入や現役世代からの支援を受けながら個人ごとに保険料を負担いただくという医療給付の仕組みとしたところでございますし、そこに至る過程としては、当時の後期高齢者医療制度の前については、費用負担の関係がよく分からないと様々な御指摘もあったということでございます。

 その時点においては、今委員御指摘のように、高齢者は出産育児一時金の費用は負担とはせず、現役世代から後期高齢者支援金による支援のみを受ける形ということで制度がつくられたわけでありますが、しかし、その後、先ほど申し上げたように、生産年齢人口が急速に減少、また少子化をめぐっては、まさに危機的な状況にあるということで、今回、出産育児一時金の大幅な引上げを行わさせていただいた。

 それに当たって、その費用負担について、先ほどから申し上げておりますが、全ての世代において、負担能力に応じて支え合っていくという考え方にのっとり、また平成二十年の後期高齢者医療制度創設以降の所得の状況を見ると、後期高齢者の一人当たりの所得は、この間、六%の伸びが見られる一方、現役世代の賃金はやや減少傾向にあるといったような状況、これらも踏まえて、この法案で、高齢者全員ではなくて、賦課限度額や一定以上の所得のある方の保険料を引き上げるという形で、低所得者の負担増は生じないという中で、こうした仕組みを導入するということにしたところでございます。

野間委員 その経緯は分かるんですけれども、なぜ外したかなんですね、七十五歳以上の方を、後期高齢者を。恐らく、これはもう常識的に考えても、やはり七十五歳以上になれば、なかなか現役世代と違って収入も減るし、体力的にもいろんな意味で厳しいということで、そこまで七十五歳以上の方を負担させるのはやめておいた方がいいだろうという判断があったんじゃないかと思うんですけれども、大臣はそこはどう思われますか。

加藤国務大臣 後期高齢者医療制度が入ったときに、まさに高齢者の医療制度をどう支えていくのかということを中核に御議論をされて、そして、その後の見通しなんかを見ながら今の形にさせていただいたわけでありますが、ただ、その後の様子を見ると、先ほど申し上げたように、現役世代が大きく減少する、そして所得の状況を見ても、必ずしも、現役世代の賃金は減少している一方、後期高齢者の一人当たりの所得は増えている、こういった状況は出てきているわけであります。

 そういったことも踏まえて、どういう形で能力に応じて負担をしていただくのか、こうした観点に立って、改めて今回の制度を提案させていただいたということでございます。

野間委員 先ほど、七十五歳以上の方の所得、六%改善したと言いますけれども、全然そういう実感はないですよね。ここにいらっしゃる皆さんも地域を回っていて、そんなことを感じている人は誰もいないと思います。

 いずれにしても、そういった理由があって、後期高齢者制度の中では子供、出産関係の負担は外そうということになったことを、今回、またいろんな事情があるからもう一回戻そう、今、西村委員とのやり取りの中でもそれがありましたけれども、これはちょっと、七十五歳以上の方は、そのときから物すごく生活が改善されたから負担してもいいやというふうになっている方は聞いたことはないです。

 ですから、非常に、今、七十五歳以上の方、怒りを持っていますよね。またこうやって我々に負担させるのかということは御承知のとおりかと思います。それで、そういう非常に理由が分からないことで取ってつけたようにこうやってやったということは、今の西村委員とのやり取りでも明らかですけれども、我々としても納得し難い大きな問題だと思います。

 そしてまた、あと、出産一時金の引上げ、これも言われることですけれども、従来も、一時金を引き上げるたびにまた病院側も出産の費用を上げていくということで、イタチごっこがずっと続いています。いろいろ見える化等をやるということですけれども、どうなんでしょうね、病院によってもいろんな設備とか技術とかの違いもあるし、これをならしていずれ保険適用ということにしていくということなんでしょうけれども、これが本当に出産費用のかえって増加につながるんじゃないかという見方もありますけれども、どうなんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、出産費用につきましては年々上昇しておりまして、妊婦自身の自由な選択によって様々なサービスが利用されている中で、平均的な費用に地域差があるということについても承知いたしております。

 そうした中で、昨年秋以降、医療保険部会というところで出産育児一時金の引上げに関して議論をしてまいりました。そこで、地域差の問題などに関しても議論したんですけれども、そこでは、やはり地域別に水準を変えるということは不公平感が出るといった御意見もございまして、今回の見直しに当たりましては、全国の平均的な標準費用を全て賄えるように、全国一律で五十万に引き上げる、こういうことをさせていただいた次第でございます。

 それに当たりまして、先ほど先生からも、出産育児一時金を引き上げると現場で出産費用の改定が、また引上げが起こるんではないか、こういう御指摘がございます。これは、様々な報道等もございましたので、先月、妊婦の方々に関して、改定の要因等について十分な説明を行われるようしっかりと対応していただくということで、通知を出しまして、まず、改定の内容や理由等を妊婦の方々に対して適切に周知して、丁寧な説明を行ってくださいと。それから、出産費用の見える化の開始に先立ちまして、それぞれの自院において出産費用を分かりやすく公表するということを要請したところでございます。

 今後、出産育児一時金の引上げが出産費用や地域差のことにどのような影響を与えるかについて、現時点で予測することは難しいんですけれども、今後、より詳細な費用分析を行って、この見える化の効果検証をやってまいりたい、このように考えております。

野間委員 是非そういう周知徹底をしていただいて、公平な形に持っていっていただきたいと思います。

 それから、今回、後期高齢者一人当たりの保険料と現役世代一人当たりの後期高齢者支援金の伸び率を一緒にするというお話が出ているんですけれども、伸び率が一緒になると、何か気分的には、感覚的には、ああ、そうやって共に負担するんだなというような感覚は分かるんですが、後期高齢者の人数と現役世代の人数も全く違いますし、それ自体、何か伸び率を一緒にするということの意味が分からないんですね。ちょっと御説明いただけますか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど大臣からもちょっと御説明をさせていただいたところもあると思うんですけれども、二〇二五年までに団塊の世代が全て後期高齢者になる、こういう中で、やはり現役世代の負担上昇を抑制しつつ、負担能力に応じて全世代で増加する医療費を公平に支え合う仕組みというのが非常に大事だと考えております。

 そうした中で、平成二十年の後期高齢者医療制度を創設して以降、後期高齢者の保険料の伸びが一・二倍であるのに対しまして、現役世代の支援金の伸びが一・七倍と大きく上回っていることを踏まえまして、介護保険を参考に、先ほど先生が御指摘いただいたように、後期高齢者一人当たりの保険料と現役世代一人当たりの後期高齢者支援金の伸び率が同じになるようにするということでございます。

 これは何を意味しますかといいますと、後期高齢者の医療費を全ての世代が同じ伸びで今後負担していく、こういう仕組みに見直すものでございます。これをやることによりまして、負担を全世代で公平に分かち合っていくということが実現できるんではないかと考えております。

野間委員 公平に分かち合うんだという言葉は美しいんですけれども、これは明らかに後期高齢者への負担が増していくことですよね。一・二倍と一・六倍というお話ですけれども、じゃ、後期高齢者、一・六倍にするんだ、二倍にするんだ。明らかに後期高齢者の負担の方が、痛みの方が大きくなっていきますよね。ですから、そういう意味で、やはりこれもまた七十五歳以上の方に大きな負担、痛みを負わせるものではないかと思わざるを得ないわけであります。

 ちょっと前後しましたけれども、今回の負担率の見直しで、令和六年の財政影響で、後期高齢者の保険料は八百二十億円増、一人当たり四千円。協会けんぽが三百億円、健保組合二百九十億、共済組合は百億、それぞれ減ということになる、あと国民健保も八十億減。ただ、高齢者の場合、一人当たり四千円の増、しかも、令和八年になると八万七千二百円の負担になるという計算が出ていますけれども。今の協会けんぽとか健保組合にしても、月額九十円とか六十円とか安くなるんだと。これでは、全然、現役世代が、負担が軽減されたとか誰も思う人はいないですよね、六十円安くなったからといって。

 いろいろそういう、言葉は美しいんですけれども、実際に余り現役世代の実感もない、しかし高齢者には負担を求めていくと。これは、本当に高齢者の皆さん、納得しないですよね、現役世代の方も全然納得しないと思いますけれども。しかも、この分の差引き五十億は国庫が負担をしなくてよくなる。五十億ぐらいけちなことをして、全然国民も納得できない話だと思うんですけれども、どうなんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御説明させていただきましたように、後期高齢者が増えている、団塊の世代が後期高齢者に二〇二五年になるという中で、やはり医療費が増加しております。そういった意味で、やはりこの増加する医療費を誰かが負担していかなきゃいけない。そういう意味で、今回、分かち合いの負担ということでお願いしているところでございます。そこは御理解いただけるように努力していかなきゃいけないと思っておりますけれども。

 実際、後期高齢者の方から御負担をいただくに当たりましては、高齢者の方に一律に御負担いただくのではなく、低所得の方々に負担増が生じないように負担能力に応じた負担にするとか、ほかにまだ様々な激変緩和措置を講じる、こうしたことをやっていく中で御理解をいただきたいと考えております。

 なお、御指摘の五十億円の話でございますけれども、この五十億円の話につきましては、なぜそういうことが生じたかと申しますと、国民健康保険におきまして、現役世代が負担している後期高齢者支援金については公費が投入されております。そこで、今回、高齢者の保険料の負担率を見直すことに伴いまして、国保に加入する現役世代が負担する支援金が減少するということになりますので、その減少に併せて公費が減るということでその五十億円ということが生じているのでございます。

野間委員 先ほども話が出ましたけれども、百五十三万円で切っているわけですけれども、月十二万七千五百円ですよね。これでは、本当、この物価高の中で生活するのはやっとなんですよね。そこで切られていること自体が本当に高齢者の皆さんの怒りを呼んでいるわけです。

 それともう一つ、前期高齢者の財政調整制度で今後、三分の一報酬割の調整を入れるということになっているんですが、本来、給付は、公平、フラットな健康保険制度において、これをやることで給付と負担の関係がゆがんできますよね。しかも、後期高齢者への支援金の場合、最初三分の一からどんどんどんどん増えていって、結局今は全部が報酬割の負担になっています。本当に三分の一で、絶対これから増やさないということが言えるんでしょうか。また、何か増やしていこうとされているんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御質問いただきました、前期高齢者の医療給付費を保険者間で財政調整する前期財政調整という仕組みがございますが、今回、報酬の調整、こういう仕組みを入れることにいたしております。

 これは、どうしてそういう見直しをしているかと申しますと、報酬水準の低い保険者の負担が相対的に高い状況が生じている、同じ健保組合の間で格差が生じている、こういう状況がございます。それから、やはり、全世代型社会保障の議論の中でもありましたように、負担能力に応じて公平に負担していただく、こういうことから、現役世代の中での負担能力に応じた負担ということで、報酬調整という形をさせていただきました。

 具体的な、水準をどのくらい調整するかにつきましては、これも、医療保険部会で審議する中で、やはり、保険者の自主性、そうしたことも鑑みまして、今回三分の一という形の範囲でさせていただくことにしております。

 今後、実際この制度を導入した後の各保険者に与える影響、こうしたことを見極めていくことではないかと考えております。

野間委員 ということは、三分の一以上になる可能性もあるということなんですね。

伊原政府参考人 現段階で、我々として三分の一という形で設定させていただいています。今後については、まさに、さっき申し上げましたように、この制度改正の影響、これを見ながら考えていくことだ、このように考えております。

野間委員 これは、給付と負担の関係が非常にゆがんだものになるという問題点は指摘させていただきたいと思います。

 次に、今回、介護情報基盤整備について、小規模の介護事業者や、あるいは、介護情報の共有、活用事業の実施主体である市町村、こういったところがいろいろな情報基盤のデータベース等をつくらなきゃいけないために、いろいろな設備投資、人材確保をやっていかなきゃいけないんですが、小規模の介護事業者の方々やまた市町村では、これを負担してランニングコストを持っていくというのは、もう非常に大変なところも出てくるわけですが、こういったものについての国の支援、これをやっていかないとできないと思いますけれども、いかがでしょうか。

大西政府参考人 お答えいたします。

 本法案におきましては、御指摘のとおり、介護サービス利用者の情報を、御本人、また介護事業所、医療機関等関係者が電子的に共有できます介護情報基盤を整備していくこととしております。この介護情報基盤につきましては、市町村の地域支援事業に位置づけることとしておりまして、その運用に係る費用負担につきましては、費用全体の約二割につきまして全市町村が分担して負担いただく形とした上で、残りを国、都道府県の公費と保険料で負担をすることといたしております。

 御指摘の設備や人材の観点等を含めまして、介護事業者の負担ができるだけ少なくなり、また、市町村において円滑な運用が行われますように、自治体や介護事業所等の関係者の御意見もしっかり伺いながら具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

野間委員 それにしても、市町村は二割負担しなきゃいけないわけですよね。これも大変だと思いますので、また総務省等とも連携していただいて、負担がないようにしていただきたいと思います。

 次に、今回、医療法人、介護サービス事業者の経営情報を見える化するということなんですが、国公立、公的病院についてはこの範疇に入っていないんですけれども、これは、どういう形で補完されていくんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、医療法人の経営情報をこれからの政策などに活用することを目的といたしまして、医療法人が開設する病院、診療所ごとに、毎年度の決算終了後に収益や費用の内容など経営情報の報告を求めるほか、任意で職種別の給与の情報につきましても報告を求めることとしまして、これらを蓄積したデータベースを構築するということとしてございます。

 医療法人は、医療法において毎年の決算終了後には財務諸表を含む事業報告書などの届出が義務づけられている法人でございまして、医療機関の設置主体としては全国の病院の約七割を占め、また、全国の医科診療所の約四割を占めているなど、民間医療機関の中心的な設置主体というふうになっているところでございます。

 政策への活用に当たりましては、今御指摘ございましたように、公立・公的医療機関なども当然ございますところですので、そういった他の設置主体との比較分析など、医療法人以外の情報が必要とされる場合も考えられるということでありますので、国公立病院などの経営情報なども活用するといったことで、目的に応じて必要な対応を検討していきたいというふうに考えているところでございます。

野間委員 先ほど井坂議員からも指摘がありましたけれども、私どもとすると、やはり、医療や介護、福祉に携わる皆さんの賃金が本当に低い状況があるので、これを何とか処遇を改善すべく、こういった情報が活用されることを望むわけですけれども、医療法人、介護サービスに従事する職員の皆さんの賃金も、分からない形であるにしても公表すべきではないかと思いますけれども、どうなんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたように、今般の制度におきましては、医療従事者、介護従事者などの処遇の適正化を検討するために、医療機関や介護サービス事業所、施設におけます職種別の給与の状況につきましても任意で報告を求めるということとしてございます。

 蓄積したデータを十分に分析をして、さらに、属性などに応じてグルーピングした分析結果が表す趣旨やあるいは背景なども併せて、国民の皆様に分かりやすく丁寧に情報提供をいたしますことで、医療、介護の置かれている現状、実態の理解の促進を図ることとしてございまして、こうした取組の中で、職員の給与の取扱いも含めて必要な対応を検討していきたいというふうに考えておるところでございます。

野間委員 是非、処遇改善につながるデータの活用をお願いしたいと思います。

 次に、ちょっとこの法案からは離れますけれども、今、御承知のとおり、小規模の介護事業者の倒産、これがもう過去最大の数になっております。介護難民という方々が多数生まれている、こういう現状があるんですが、私の地元でも、もちろん人手不足の問題、それから物価の高騰、もちろんコロナがあります。こういったこともあるんですが、とにかく人手が、今まで看護師さんとか、あるいは介護支援の専門員さん、こういう資格を持った人たちが、私も驚いたんですが、最近はオーストラリアとかに行ってしまうんですね。もう給料が二倍、三倍もらえるからというので。よくそんな外国に行ってしまうんだなと思うんですが、やはり、そういう収入が高いところに、そういう引き抜きがどんどん今行われています。

 こういった介護難民の発生、どういうふうにこれは改善していこうとお考えでしょうか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 先生も御指摘がありましたけれども、例えば東京商工リサーチさんから、二〇二二年の倒産件数、介護事業所の倒産件数が百四十三件、休廃業、解散件数が四百九十五件といった調査結果が公表されているところでございまして、原因として、コロナ禍の影響ですとか物価高などが指摘されているところでございます。そういうふうに認識をしております。

 これまでにも、コロナ禍の中で介護サービス事業所の利用者に対しまして、必要なサービスが安定的、継続的に提供をいただけるように、各種補助等を実施をしてきたところでございます。

 また、御指摘ありました、現下の物価高騰といったことも踏まえまして、介護サービス事業所等への支援といたしましては、先般、昨年よりの更なる対応ということでございますけれども、三月二十二日、電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金の更なる積み増しを含めまして追加策が示されたところでありまして、これは、引き続き交付金の活用を通じまして、事業者さんと、更に自治体としっかり連携をしていく必要があるわけでございますけれども、地域の実情に応じたきめ細かい支援が行き渡るように努めてまいりたいと思っております。

 さらに、今後とも必要な介護サービスがしっかり提供いただけますように、次期報酬改定に向けました議論を行っていく中で、介護サービス事業者の皆様の収支の状況等をしっかり注視してまいりたいと考えております。

野間委員 今お話ありましたけれども、特定処遇改善加算等あるんですけれども、この手続が面倒で小規模なところはもうできないんですね。その書類を作れ、ああだこうだですね、本当に困っています。ですから、やはり、今お話ありました来年の介護報酬の改定、本体できちんとそれを見ていただきたいと思います。

 最後の質問ですけれども、これも私もいろいろ地元でよく聞くんですが、歯科材料、今、パラジウム、これはウクライナ侵攻でいろいろな価格が上がっている等、いろいろな問題が起きていますけれども、そういったことはちょっとおいておいて、金属によるアレルギーになっている方が結構多いんですよね。いろいろ分からないで調べていったら、合金の歯の詰め物でそういうアレルギーが起きた、皮膚の疾患が起きたということもよく聞くんですけれども、確かに安全性は確保されているんだということなんですね。合金自体は安全だ、そうだと思います。ただ、それが唾液だとか、いろいろな、食事とか、歯を磨いたりすることで、金属がイオン化をして、抗原になってアレルギーになるんだということが言われているわけです。

 諸外国は、ドイツとかスウェーデンは、特に乳幼児とか妊婦さんは金属の歯は使っちゃいけない、禁止されているんですよね、法的に。そういうのを我々日本はなぜかそのまま使っています。セラミックとかジルコニアとか、いろいろなこれに代わる安全性の高いものがあるわけですから。これは保険適用されていないので、なかなか使われないということなんですけれども。

 これはどうなんでしょうね。相当な方が、病気をこれによって患っている方もよく聞くんですけれども、どういうふうに対処されるんでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 歯科材料に用いられますパラジウムは、審査過程におきまして、日本産業規格であるJISのT六〇〇一等の規格に従いまして、人体への有害性を含め、生物学的な影響への十分な評価を行ったものが使用されているところでございます。

 一方、評価を経たものでございましても、今議員御指摘ございましたように、個人の体質により金属アレルギーといったものが生じることもございます。本材料の添付文書の禁忌、禁止の項におきまして、本合金又は類似成分の合金に対して発疹、皮膚炎などの過敏症の既往歴のある患者には使用しないということを注意喚起するなどの安全対策を講じているところでございます。

野間委員 こういった合金はいろいろな国際的な市場価格で相当変動しますので、パラジウムが上がって歯科医さんも赤字を抱えているところもあることはもう御承知のとおりです。ですから、そういう意味では、やはりセラミックとか、そういった新しい合成物質等に対する保険適用を是非進めていただきたいと思います。

 最後の質問になりますけれども、マイナ保険証の簡易版を今度導入するんだということが報道が出ていました。これは、簡易版としても、またずっと、永遠にこれから使っていくんだということなんでしょうか。要するに、二種類並行して使われていくのか、通常のマイナンバーカードと簡易版ということなんですけれども、これはどうなんでしょうか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御質問いただきました簡易版ということでございますけれども、保険医療機関以外の、柔道整復師、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、こうした施術所でも保険証で資格確認を今まで行ってきております。今回、オンライン資格確認が導入されますと、やはり資格確認が必要になってくることから、来年の四月に向けて、資格確認だけができる簡素な資格確認限定型の仕組みを導入する予定でございます。そういう意味では、この仕組みは一応恒久的な形で導入するということを予定しております。

 また、この簡素な仕組みにつきましては、オンライン資格確認義務化の例外となっている医療機関、薬局、こうしたところでも導入ができるんじゃないか、このようにも考えてございます。

 いずれにしましても、今後、細部の検討を進めて、システム開発や仕組みを導入する施設の支援、これを実施してまいりたい、このように思っております。

野間委員 是非、恒久的にそれは使えるということですので、そういう使えない方にはそれをやっていっていただきたいと思います。

 最後になりますけれども、今回の全世代対応型の社会保障制度については、大変名前は美しいものでありますけれども、中身が本当に高齢者に大きな負担を強いるものであって、到底承服しかねる内容だということを最後に申し上げて、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、山井和則君。

山井委員 三十分間、全世代型社会保障健康保険法の改正に関連して質問をさせていただきたいと思います。

 今、野間議員からもお話がありましたけれども、結局、出産一時金とか、そういうことを増額するために高齢者の負担を増やすとか、そういう全世代型でどうやって支えていくのかという大きな議論なんですけれども、今回の異次元の少子化対策のたたき台、非常にメニューとしてはすばらしい、これを誰がどうやって財源も負担していくのか、そういうふうな議論を三十分間させていただきたいと思います。

 それで、まず配付資料の十二ページを見ていただきたいんですけれども、前回の質問の続きになります。これは機械的に山井事務所で試算をいたしました。つまり、子育て支援政策に必要とされる経費が八兆円の場合は、社会保険料でやるとすると月に負担増が約九千円、そして年間になると約十万円の負担増になるのではないか。これは非常に機械的に試算をしております。

 その前提は、前のページになりますけれども、今回のメニュー全て使うと総額八兆円プランであるということを、これは自民党の幹部の方が言っているということで報道をされております。別に私たちが言っているわけではありません。

 それで、前回、この質問に対して、加藤厚労大臣はこういう質問、してくださっているんですね。八兆円というのは自民党が出したものを仮に全部やればということだ、財源を確保しないと具体的な政策はできないので、財源の根拠を検討し、国民の皆さんの御理解をいただかなければいけないという答弁をしてくださいました。

 ここは与野党を超えて、社会保障の充実と負担の問題というのは、税でやるのか、社会保険料でやるのか、あるいは国債でやるのかとか、頭の痛い問題なんでありますけれども、ここを加藤大臣ともう少し議論をさせていただきたいと思います。

 改めてですけれども、機械的計算でやれば、まさに協会けんぽの場合では、機械的なイメージでは社会保険給付のうち保険料が七十四・一兆円を負担している、八兆円は一〇・八%に相当、それを協会けんぽの場合で機械的に計算してみると、事業主負担も合わせると一人当たり約九千円、そしてそれに十二を掛けると年間約十万円の負担増になると思うんですけれども、これはストレートに言って、幾ら政府がたたき台で、いい、八兆円とも言われるプランを出しても、月に九千円、年間十万円以上の負担増というのはなかなか国民に理解を得るのは難しいんじゃないですか。加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今、政府と言いましたが、これは党が、八兆円というのは党から出てきたもので、まとめればということでございますので、政府においてこれからどう中身を詰めていくのか、そして、前回、委員に対して申し上げたように、当然、こうした施策をするに当たっては財源をしっかり確保していなければ施策を具体的に進めることができないわけでありますから、その点はしっかりと、先般スタートいたしましたこども未来戦略会議等において議論をしっかり深めていき、厚労省としても、我々、所管に関わることについては積極的に取り組んでいきたいというふうに考えているところでございます。

山井委員 私、負担は誰かが何らかの形でせざるを得ないのかもしれませんけれども、そもそもやはりちょっと本末転倒、自己矛盾があるんじゃないかというのは、子供をなかなか産み育てにくいというのは、子育て世代が経済的に苦しいという前提なんですよね。ところが、社会保険料方式、どういう方式でやるかはあるにせよ、子育て世代にかなりの負担増を強いることになっちゃうんですよ。となると、子育て世代の負担を軽くするためにやっている政策がブーメランのように子育て世代の負担増に大幅になるとなれば、これはなかなか理解を得られないんじゃないかと思うんですけれども。

 改めて、加藤大臣、根本的な考え方ですよね。子育て世代を支援することに対して、かなり大幅に、今も言いましたように、月九千円、年十万円ぐらいの、八兆円プランを全て一〇〇%やればですけれどもね、やれば自己負担増になるということに関しては、本末転倒、矛盾していると思われませんか。

加藤国務大臣 先ほどから申し上げているように、数字についてはまさにこれからということなので、それを前提にするのは差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で、これからどう財源をするのか、そしてどういう内容にしていくのかということですから、結果的に、子育て世帯あるいは世代から見たときに、どういう様々な子育て支援のメニューが、あるいは受益があるのか、そしてそれに対してどういった方々がどう負担をしていくのか、そういった総合的な判断ということが求められていくのではないかな。

 ですから、負担だけではなくて、それに対してどういう受益もあるのか、それを総合的に考えていく必要があるのではないかというふうには思います。

山井委員 ちょっと釈迦に説法ですけれども、つまり、会社員さんの負担が月に四千五百円上がるといっても、事業主負担を合わせると月九千円、年間合計十万円以上になりますから、これは、つまり、企業負担が入るということは、その負担がなければ、月九千円、あるいは年間十万円、賃上げできる余地があるということも言えるわけで、これは会社員の負担は半額じゃなくて、やはり負担は月九千円、そして年間十万円ぐらいのボリュームだということになるんじゃないかと思うんですね。

 それで、今回、政府がまとめたたたき台においては、児童手当の拡充、給食費の無償化、出産費用の保険適用、両親共に育休が取得できて、給付金を手取り十割に引上げ、子供誰でも通園制度、保育士さんの処遇改善、配置基準の見直し、授業料後払い制度の創設とか、バラ色のすばらしいメニューが進んでいるんですけれども、ここまで、はっきり言いまして、選挙の最中にこういうことを政府が打ち出して議論している以上は、やはり国民の皆様の中にも、あっ、やってくれるんだなという期待は高まってくると思うんですよね、普通に考えたら。

 ところが、今議論しているように、おいしいごちそう、お店にありますよと言いながら、お代は幾らですかというのを言われていないわけで、例えば、選挙が終わってから、いや、実はそれは年間十万円負担増なんですよ、賃下げになりかねないんですよと言うと、ええっと、多分びっくりされると思うんですね。

 そこで、例えば、先日のこども未来戦略会議の後、十倉経団連会長はこうおっしゃっているんですね。結局、社会保険料を今回の財源に充てるのは、今回の賃上げの効果が半減する、ですから、社会保険料引上げだけじゃなくて、税財源も含めて議論していく必要があるのではないかと。

 繰り返し言いますけれども、事業主負担が入るわけですよね、保険は。当たり前の話。そうすると、やはり企業にとっては賃上げの足かせになる、ブレーキになる。一歩間違うと、まあ、ないと思うけれども、賃下げになりかねない。そういうふうなリスクすらあると思うんですけれども、十倉経団連会長の、税財源も含めて議論していく必要があるという、この点について、加藤大臣、いかが思われますか。

加藤国務大臣 こども未来戦略会議のそれぞれの参加されている方々の一つ一つにコメントするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、まさに、そうしたことも含めてこども未来戦略会議でしっかり議論を深めていただくことが大事だというふうに思っております。

 現時点においては、具体的な財源の在り方を申し上げる状況、まさに議論していただいていますから、申し上げる状況ではないわけで、これから今申し上げたこども未来戦略会議において丁寧に議論が深められていくものと承知をしております。

山井委員 といいますのは、私も社会保障をライフワークにしているんですけれども、では、税財源と社会保障財源は何が違うのか、メリット、デメリットは何なんだということなんですけれども、一つの考え方は、社会保険料の方が、上限があったりして、逆進性が入りやすいんですね、どっちかというと。税の方が累進性を入れやすい。もちろん、これは制度の組み方にもよりますからね。

 そういう意味では、制度の組み方にもよりますけれども、社会保険料の方が逆進性が高いんじゃないか。要は、低所得者により厳しいんじゃないか、税の組み方にもよりますけれども。こういう意見については、加藤大臣、いかが思われますか。

加藤国務大臣 先ほどから申し上げている、子供、子育て施策の財源については、まさにこれから深めるということなので、それについて具体的なことを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、その上で、一般論として多分お話をされているんだろうと思います。

 社会保険料と税で一番私の認識において異なるのは、保険料の場合には、保険に入る代わりに例えば医療サービスを受ける、医療保険であれば。年金であれば、年金保険料を納める代わりに将来において年金を受けることができるという、給付と負担の関係が割と見やすくてという関係にあるんだろうというふうに思います。

 一方で、税については、そうした関係が必ずしもストレートに見えるわけではないということと、それから、税によって、今のお話も、所得税なのか消費税なのかということで随分異なるわけで、一般に言われているのは、所得税は、幅広く負担を求めることができる一方で、所得水準に対する税負担の逆進性が生じかねないという指摘がなされているものと承知をしております。一方で、所得税については、一般的に累進課税構造を持っておりますから、高い所得水準ほど多くの税負担を求める。一方で、所得の種類によって課税ベースが、把握に差が生じるといった、そういった問題も指摘をされているということでございます。

 そんなことも含めながら、これから議論されていくんだろうと思います。

山井委員 これも質問通告しておりますが、念のために確認しますが、今日の配付資料の十三ページにありますように、今日も健康保険法の審議ですけれども、もし健康保険料に上乗せする形で、それを子供、子育て支援の財源に使うのであれば、当然、保険料引上げあるいは新たに保険料を徴収する場合には法律改正が必要である、そういう認識でよろしいですか。加藤大臣、質問通告はしております。

加藤国務大臣 まさにこれからその辺も含めて議論していく、どういうことをするか、どういう形で財源を得るかということで、負担をしていくことになりますが。

 現行の医療保険法における給付対象に係る規定等を申し上げれば、国民健康保険や後期医療制度については、その法律において、保険料を充てることができる給付や事業が規定をされています。一方で、保険料に関する上限額や保険料率の算定方法の基準は、法律に基づく政令において決めているところであります。

 また、健康保険制度については、健康保険法において保険料を充てることのできる給付や事業などが規定されており、また、保険者は、三%から一三%の範囲内で同法に定める手続に従い、厚労大臣の認可の上保険料率を設定する、こういう仕組みになっているわけでございます。

山井委員 つまり、増税よりも社会保険料引上げはやりやすいんじゃないかという議論もあるわけですけれども、どちらにしても法改正が必要なわけであって、この法改正は簡単なことではないと思うんです。今、物価高も含めて非常に苦しんでいるわけですから。そもそも、先ほど言ったように、子育て世代が賛成するかどうかも、これは私は疑問だと思うんですね、それだけ負担が増えるのであれば。

 それで、NHKの世論調査によりますと、十三ページにありますように、結局、五六%の人はほかの予算を削る、八%の方が国債の発行、八%の方が増税、一七%の方が社会保険料負担の見直しで、五六%、一番多い方は、やはりほかの予算を削るということなんですね。

 例えば防衛費倍増においては、歳出改革や剰余金の活用ということがあるんですけれども、加藤大臣、ということは、必ずしも負担増じゃなくて、防衛費がやっているわけですから、同様に、子育て支援の財源確保として、歳出改革や剰余金の活用も当然検討すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 まさに先ほどから申し上げているように、具体的な財源の在り方は現時点で申し上げる状況はありませんけれども、そうした議論に当たっては、広範な議論をしていく必要があるんだろうと思いますし、先ほど十倉経団連会長のお話がありましたけれども、こども未来戦略会議においてしっかり議論を深めていただきたいと思っております。

山井委員 これからしっかり議論していく中で、今日の法案審議にも関係するんですけれども、マスコミ報道によると、ある政府の関係者はこうコメントされているそうなんですね。

 社会保険料から捻出する方法については、高齢者への給付、具体的には年金、医療、介護でしょうけれども、の給付を抑制する案もあるのではないか。だから、削れるところをまず探す。そして高齢者への給付の見直しなどをまずやって、削れるところを探して、医療、年金、介護で。社会保険料の引上げはその先じゃないか、こういうことも報道されているんですけれども、政府関係者の発言として。

 ということは、これまた大変な話になってきて、社会保険料引上げもなかなか簡単じゃないなといったら、ブーメランのように話が戻ってきて、子育て支援の確保のために医療、年金、介護を抑制する、こういうことも選択肢としてはあるんですか。

加藤国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、具体的な議論というのはまさにこれから進めているので、これが入る、これが入らないということをここで申し上げるのは差し控えたいというふうに思います。

 一方で、現下の医療や介護の状況は、私どもの認識として、やはり人件費の高騰、あるいはエネルギー価格等に伴う物件費の高騰、こういったことの中で大変厳しいということで、先般、予備費で確保させていただきました物価高騰に対する交付金、これは地方でやっていただくわけでありますが、そういった交付金も使って、医療あるいは高齢者施設、こういったことに支援、こういったことを今、厚労省からも各都道府県にお願いしているというのが今の状況でございます。

山井委員 今回の法案も、肝の部分は、出産一時金を増やすために、その一部を、後期高齢者の負担も増やすということで、まさにこの法案と同じようなパターンで、子育て財源、負担増がなかなか困難だということになったら、医療、年金、介護を抑制する、高齢者の給付を抑制する、そういうことになったらこれまた大変な問題になってくると思うんですけれども、今の加藤大臣の答弁では、そうしたら、今後、こども未来戦略会議の中で、こういう医療、年金、介護、高齢者の給付を抑制する、こういうことの議論も排除はされないということですか。

加藤国務大臣 会議そのものを運営しているわけではありませんが、そこにおいては、幅広く、まさに、一般論でありますけれども、幅広く御議論いただけるものというふうに思います。

山井委員 いや、これは、ちょっと言いづらいんだけれども、先出しで、いいプランだけどんどんどんどん出して、いざ財源の議論になったら、年十万円の賃下げか、負担増か、あるいは年金、医療、介護もその財源のために抑制するかもしれませんよというのが後で出てきたら、これは大変なことに私はなるんじゃないかと思うんです。片や防衛増税とおっしゃっているわけですね。やはり、防衛増税に加えてこういう負担増というのは、私はなかなか難しいんじゃないかというふうに思います。

 それで、ちょっと先ほども話がありましたけれども、少子化対策のたたき台において、前回の続きになりますが、今日、こども家庭庁からも来てもらっていますが、私、ちょっとまた一週間考えて納得できないのは、こども家庭庁設置法を読みましても、子どもの貧困対策の推進に関する法律、これは超党派の議員立法で、私も参加して作らせてもらいました、十年前に。今年、十周年です、成立。子どもの貧困対策の推進に関する法律第八条第一項に規定する大綱の策定及び推進に関することを行う、こども家庭庁で。

 それで、かつ、ここの中身は、子供の貧困対策として、日本には、生まれ育った家庭や様々な事情から、健やかな成長に必要な生活環境や教育の機会が確保されていない子供がいます、全ての子供たちが、生まれ育った環境にかかわらず、夢や希望を持つことができる社会を実現するため、こども家庭庁では、関係省庁と連携しながら、こうした子供の貧困の解消に向けた総合的な取組を行っていきます、こどもまんなか社会の実現に向けて取り組みます、こう書いてあるんですけれども。

 その中で、私も、学生時代から、母子寮、母子生活支援施設でボランティアを六年間やっていましたので、数十年間、児童扶養手当の引上げのことは取り組んでいるんですけれども、今回のたたき台の中で、一番、貧困子育て家庭から要望が強い、切実な要望が来ている、児童扶養手当の引上げと、児童扶養手当の対象年齢の、支給対象の緩和ですね、所得制限の緩和。これについては、今日の配付資料の中でも、五団体の方々が、配付資料の七ページですね、つまり、児童扶養手当の増額と所得制限の緩和をということを五団体の方々がおっしゃっていますけれども、これをせめて検討対象には、八兆円のプランがあるんですから、入れてほしいんですけれども、こども家庭庁、いかがでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の少子化対策の関係の加速化プラン、ちょっと、八兆円かどうかというのは、先ほど加藤大臣からもお答えのあったとおりですので、なかなかコメントのし難いところではございますけれども、この試案、取りまとめられたものの中での加速化プランでございますけれども、これは、まずは今後三年間を集中取組期間として優先的に取り組むものとして整理をしたものでございます。

 この加速化プランの中では、確かに、国際比較において相対的に割合が低くなっている現金給付を強化をしようという方向性を打ち出しております。ただ、その現金給付の中で、どこからということに関しては、まずは、全ての子供の育ちを支える経済的支援の基盤を強化をするということを図っていくこととしております。

 ゆえに、具体的に、中身といたしましては、児童手当の所得制限の撤廃、高校卒業までの延長、多子世帯の経済的負担を踏まえた手当額の拡充などを方向性として打ち出すよう、させていただいたところでございます。

 なお、高等教育費の負担軽減などについても盛り込ませていただいたところでございまして、こうした児童手当の見直しなどの施策を通じて、一人親家庭の方々の経済的負担の軽減にも大きく資するものではないかというふうに考えてはおります。

 御指摘の児童扶養手当でございます。これも、これまで、多子加算額の増額でございますとか、所得制限限度額の引上げなど、累次の改善などに取り組んでまいったところではございます。

 こうした児童扶養手当の在り方につきましては、就業支援でございますとか、あるいは、一人親の方々の子育て、生活支援、あるいは、就業支援と重なりますけれども両立支援などを含め、生活全体を総合的に支えていくという視点でございますとか、あと、児童手当などと他制度との関係も踏まえまして、慎重な議論が必要ではないかなというふうに考えております。

山井委員 いや、ここがね、八兆円のプランを作っていて、なぜ、児童扶養手当の増額、所得制限の緩和という経済的支援に対して、何で慎重になっちゃうのかが。これは言っちゃなんですけれども、子供貧困対策の議員連盟がありまして、自民党、公明党、共産党、維新の党、そして国民のみんなで要望しているんですよ。やはりここは、是非、こども家庭庁さんの看板の一つが子供の貧困対策なんだから、これは検討課題にしていただきたいと思います。

 今年六月、また、子ども貧困対策法成立十周年、十年前にこの委員会でそれを成立させたわけなんですから、そこは、もう一回ふわっとお聞きしますが、今後の子供の貧困対策大綱とか、そういう加速化三年間のプランの中の経済的支援の強化というのもおっしゃっているわけだから、その経済的支援の強化の中には、児童扶養手当の増額とか所得制限の緩和も排除されないということぐらい言ってもらえませんか。これは、自民党さんも、公明党さんも、与党さんも強く要望されていることなので、いかがですか、排除はされないと。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 政策の議論について、あるかないかを二項対立的にお答えするのは非常に難しい立場におりますので、なかなかお答えが難しいのではありますけれども、今回の加速化プランというのは、向こう三年ぐらいの集中取組期間ということで、先ほど申し上げましたように、児童手当の各種見直しを通じて、経済的支援の基盤の強化を図る、全ての子供の育ちを支える基盤を強化をする、そういったことを基礎としつつ、一人親家庭などの多様な支援ニーズに対しても自立支援の拡充などに取り組んでいく。そうした観点から、一人親家庭の方々に対しましても、就業支援の促進の観点ということで、雇い入れて、人材育成、賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援や、資格取得に向けた取組の支援の充実などを掲げたところではございます。

 そうした上で、一人親家庭の方々を含め、多様なニーズを有する世帯の方々への支援につきましては、こども家庭庁の下で策定することになりますこども大綱、これは、現在の子供の貧困対策に関する大綱も含めて策定することとなってまいりますが、その中できめ細かな対応を議論していきたいというふうに考えてございます。

山井委員 その強化プランの中で議論するというふうに理解したいと思いますが、また近日中に小倉大臣に質問しますので、そのときはもうちょっと前向きな答弁をお願いしたいと思いまして、もう本当、田村先生、古屋先生を始め多くの与党の方々もこのことは取り組んでおられることでありますので、僕らもある意味で余り対立構造にしない形で応援をしていきたいと思います。

 それと、それに関連して、こども未来戦略会議有識者構成員、十九ページにあります。

 こども未来戦略会議、これも今の話とちょっと似ているんですね。これだけメンバーがおられるのに、子供の貧困対策に取り組んでいる有識者なり団体の方が入っていないんですね。ちょっと今から追加していただきたいんですけれども、岸田政権、あるいはこども家庭庁は子供の貧困対策を頑張ってくれると私も期待していますし、信じていますので、ちょっと今後、子供の貧困対策に取り組んでおられる団体の方、有識者の方を是非追加していただけませんか。いかがですか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 こども未来戦略会議におきましては、試案で取りまとめられた今後三年間で優先的に取り組むべき政策の内容を踏まえて、必要な政策強化の内容、予算、財源を検討すべきものとされているところであります。

 先ほど、こども家庭庁の方からも話がありましたが、具体的には、全ての子供の育ちを支える支援の基盤を強化するという観点から、児童手当の所得制限の撤廃、高校卒業までの延長等の拡充を行うほか、高等教育費の負担軽減、住宅支援の強化などを行うこととされていることに加えて、非正規職員に対するセーフティーネットを構築するため、雇用保険の適用拡大、こういったことなども検討対象となっております。

 今、先生から、こども未来戦略会議の構成員の追加についてのお話がありましたが、構成員につきましては、子ども・子育て会議の会長を務められた方ですとか、また、子供政策の推進に関する有識者会議の座長など、子供、子育て政策について幅広い御所見をお持ちの方を始めといたしまして、また、ほかにも労働法制とかいろいろなテーマがあるものですから、そういった方々にも入っていただいております。また、子育てや家族支援の現場の方、子育て当事者、こういった方にもお入りをいただき、今後、この会議において、必要な政策強化の内容、予算、財源こういったものについて議論していただく上で適切な方として、大臣以外を含めますと、関係団体を含んで十九名、まさに今先生のいただいた資料にあるように、非常に多くの方に入っていただいているところでございます。

 こうした中でありますので、今時点で有識者を追加するということについては私どもとしては考えていないというところでございます。

山井委員 こども未来戦略会議のこのペーパーにも、貧困家庭、一人親家庭などに一層の支援と書いてあるんですよ、お題目には。やはりそれは論より証拠で、ちゃんとメンバーに入れていただきたいんです。ここも繰り返し言いますけれども、余り子供の貧困問題は与野党が対決するのは好ましくありませんので、これ以上は言いませんけれども、是非持ち帰って検討をいただきたいと思います。

 それで、加藤大臣、もう一回戻りますけれども、今回、防衛増税がありますよね。防衛増税もかなり賛否両論あると思います。反対意見も強いと思います、今、生活は非常に苦しいですから。その防衛増税がある中に、片や少子化対策として、八兆円プランを全部実行したらですけれども、年十万円ぐらいの負担増という、ダブルでの負担増というのはなかなかこれは厳しいんじゃないかと思うんですけれども、ただ、私、申し上げたいのは、八兆円プランを出した以上は、いや、一割しかできませんでしたというのは、やはりちょっとこれは国民に対して通らないと思うんですよ。

 おまけに今選挙中ですから、選挙中に八兆円プランを出しているんだから、終わったら、いや、一兆円でしたよでは、これはある意味で私は済まないんじゃないかと思うんですけれども、防衛増税に加えて年十万円ぐらいの負担増になりかねない少子化対策というのは、ダブルで負担増になるので、なかなか困難じゃないかと思いますが、その辺りの国民の負担増の受け止めについて、加藤大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 委員も承知の上で言っておられるんだと思いますが、八兆円の話は政府のプランではなくて、党の挙げたものを全部足せばということの数字だということであります。

 その上で、そうした内容と、そして、それを実行するための財源をどうしていくのか、これをこども未来戦略会議で御議論いただくわけでありますけれども、当然、そうした中においては、今委員御指摘のように、まず、危機的な状況の少子化というこの状況をどう乗り越えていくのか、そして、それに当たって、それぞれの世代の生活の状況とかいろいろなことを多面的に判断しながら議論いただく。今回の、先ほどお話がありましたこども未来戦略会議のメンバー、そういった観点からも選出されているものと考えております。まさにそうした、縦、横、斜めとでもいうんでしょうか、様々な観点に立った議論をしっかり深めて結論を出していきたいというふうに思っています。

山井委員 もう時間が終わりましたので質問を終わりますが、最後に、改めてでありますけれども、私も、大学院で化学の研究をやっていたところ、政治の世界に入ったのは、当時ボランティアしていた一人親家庭の福祉施設で、本当に貧困家庭の子供は大変だなと思ったから、私も人生を懸けてこういう世界に入りましたので、是非とも、こども家庭庁さん、そして内閣官房さんも、子供貧困対策、進めていただければと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、中島克仁君。

中島委員 立憲民主党の中島克仁でございます。

 全社法案、参考人質疑も入れて、今日で、私、四回目の質疑に立たせていただきます。

 先週に引き続いて質問いたしますが、先週は、前半が、出産育児支援金の拡充と後期高齢者からの拠出の審議をしている最中に突如として保険適用の検討が加わったこと、そのプロセスが不透明だということを御指摘をさせていただきました。これについては今日も議論があるとは思いますが、私、それよりも、かかりつけ医の部分をどうしてもということで、後半はかかりつけ医の制度整備の話をしました。

 先週の質疑の最後の言い切りで終わった部分から質問させていただきたいと思いますが、今回のかかりつけ医機能が発揮される制度整備、新設されるかかりつけ医機能報告、何をもってかかりつけ医機能があるのか、その要件、情報提供項目、具体的なことが示されていない。今後有識者の意見を聞いて検討ということですが、まさに、この要件、項目がどうあるべきか、何を要件にするのかが大変重要で、その要件、項目がこの場で明確になれば、かかりつけ医機能とは一体どういった内容かが国民の皆さんと。恐らく、今も、大臣と私、そして今日ここにいる委員の皆さんと、かかりつけ医、それぞれ共有できていない。私はこう思っている、私はこう思っている。こういう要件を何にするか、何をもってかかりつけ医とするか、その共有をすることが本法案で最も重要だと、私は、改めて、この質疑を通しながら思いました。

 先日の大臣の答弁でも、かかりつけ医機能ということで、これについてきちんと報告をしてもらう、この仕組みについては詳細はこれから議論をさせていただきますと答弁をされました。

 まさに、この仕組み、今も言ったとおり、詳細が重要なわけで、その前提である、そもそもかかりつけ医とは何者なのか、何をもってかかりつけ医機能があるのか、改めてですが、より具体的な項目、要件が明確になっていない。かかりつけ医機能の制度整備、これが明確になってようやく、国民の皆様、今日この場にいる方々の中でも、かかりつけ医機能とはこういうもの、これが共有できて初めて、大臣、度々、本法案は第一歩、第一歩と言いますが、これが共有できて初めて私は第一歩になると考えますが、大臣、御見解をお伺いします。

加藤国務大臣 今委員の中でおっしゃられた、まず、かかりつけ医のイメージ、これはかなりばらばらであるということは私もそのとおりだと思います。

 そうした中で、そこにある要素としてのかかりつけ医機能について今回こういう形で法律の中に盛り込ませていただき、その具体的な内容は、今委員から御指摘いただいた、これから有識者の意見を聞いて決めていくことになるわけでありますけれども、まず、医療法において、医療機関の機能として、身近な地域における日常的な診療、疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能と定義をした上で、具体的なかかりつけ医機能としては、日常的な診療の総合的、継続的実施、休日、夜間の対応、入退院支援の実施、在宅医療の提供、介護等と連携した医療の提供など、これは法律第三十条の十八の中で規定をさせていただいているわけでありまして、今後、これを踏まえながら、具体的な、あるいは詳細については有識者等の意見を聞いて省令で定めていきたいと考えております。

 前回から申し上げているように、こうした制度整備を進めていく中で、国民一人一人のニーズを満たすかかりつけ医機能の実現、これにつながる今回その一歩になるというふうに考えて、そう申し上げているところでございます。

中島委員 先ほど井坂委員も質問されていましたが、今挙げられた五項目、そして、一応、定義、法制上した内容。今現在開業している先生方、例えば、日常よくある疾患への幅広い対応、これはしていますよね。そして、休日、夜間、これは救急当番、私も二か月に一回やっています。入院先の医療機関との連携、退院時、これは、もちろん、紹介状を書けば返事が返ってきてそれに応じて。それを対応というかどうかは分かりませんが。在宅医療も、今、患者さん、介護保険、主治医意見書を書きます。この内容を出して、そして、大局は、身近な地域における日常的な診療、疾病予防のための措置。これは何か、スポーツの選手宣誓みたいですよね。宣誓、私は、地域で開業して、こういう疾病の予防のための措置その他の医療の提供を行う機能を発揮するように努力します。

 この中で、私たち、今、細かい部分、より詳細な、先ほど大臣も言いましたが、かかりつけ医に対する認識が、どういうことをしてくれるのかという認識がばらばら、それを、この法案を通して、より詳細な項目、それを政省令に投げちゃった、その後、有識者に、検討される。

 これは、全世代型社会保障構築会議、この厚生労働省令の内容が重要であると指摘し、多くの構成員から、厚生労働省令の内容をしっかりフォローし、より開かれた場で議論するべきだと。全世代型社会保障構築会議の構成員からも、この肝の部分を省令に投げてしまうこと、これは危ぶまれると指摘をしています。

 本来なら、その内容が、より具体的な項目、そして、国民の皆様と我々とで、かかりつけ医が一体何をしてくれるのか、どういう存在なのか、それがおおむね固まってから今回の法案は提出するべきだったのではないか。国会に白紙委任を迫るような姿勢で本当によいと考えているのか、大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まさに、今回の法律を通じて、国民、患者がそのニーズに応じて適切な医療機関が選択できるように、また、地域において必要なかかりつけ医機能を確保する、これを目指して今回の法案を提出させていただきました。

 具体については、先ほど申し上げた、今回の法律の第三十条の十八の四においてそれぞれ規定をさせていただいておりますので、それを受けて、先ほど申し上げた、有識者の意見を聞いて省令において定めていきたいというふうに考えておりますので、全く何も示していないということではないんだろうというふうに思います。

 ただ、他方で、こうした省令の内容についても、全世代型社会保障構築会議においてもしっかりフォローアップしていきたいという御意見もございましたので、まずは有識者における議論をしっかり深めていただき、また、引き続き、必要に応じてそうしたフォローアップも行っていきたいというふうに考えます。

中島委員 先ほども言った具体性に欠ける項目、要件、これを省令、そして有識者でこれから決めていく。資料の三枚目ですね。そういう肝の部分が、この法律、後づけになっている。

 そして一方では、左下のところですね、今回新設された医療機能情報提供制度の中で、今までは、入院は病床機能報告、そして外来の部分は有床診療所と病院に報告制度が対象になっていた。今まで対象になっていなかった無床診療所、在宅、ここに報告制度の対象が新たに新設された。これだけの話ですよね。でも、ここになぜか、もう既に、かかりつけ医機能と入っちゃっている。

 何も要件も決まっていないのに、そして、さっきのような選手宣誓のような内容を一応法令化して、ここに、かかりつけ医が何をする人なのか分からないまま、もう既に無床診療所と在宅はかかりつけ機能があるがごとく、ここの報告制度、名前をつけてしまった、冠をつけてしまった。

 このことが、今回の法律、今も大臣答弁されましたが、まだ、かかりつけ医機能とは何ぞやということは何も決まっていないまま、今回のタイトル、大きな、全世代対応型社会保障構築、そしてこの内容は、かかりつけ医機能が発揮されるための制度整備。これはかなりの誇大広告じゃないですか。

 これは、かかりつけ医機能は全く関係ない。ただ、今まで対象となっていなかった無床診療所、在宅が報告制度の対象となっただけで、かかりつけ医がいかなるものかということは全く関係ない。かかりつけ医機能の発揮される制度整備、これは誇大広告だと思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 まさに、これまでかかりつけ医自体が省令等で行われてきたものを、今回、明確に法律の中に、第六条の改正で位置づけさせていただいたところであります。

 また、かかりつけ医の内容については三十条ということになりますけれども、そこで、さっき申し上げたような形で法律上位置づけさせていただいて、そして、詳細についてはまさにこれからではありますけれども、この詳細を決めていくことも相まって、かかりつけ医機能が発揮できる制度、これを構築していきたいというふうに考えているところでございます。

中島委員 私は、誇大広告ですよねと聞いたんですが。

 私、どう考えても、逆に、私は期待したんです、本当に私は、このかかりつけ医を。なぜかというと、そういう経験をしてきて、我が国、冒頭に言いました、人口構造、社会構造、疾病構造の変化、これまでの延長線上ではなかなか対応し切れない。その脆弱性が、このコロナでまさに浮き彫りとなったわけです。今まで一ミリも動かなかったこの議論、ようやく一ミリ動いたと本当に期待したんです。

 前回は財務省にも来てもらいました。令和四年度の財政審建議、その後の骨太二〇二二、改革工程表、中間報告までは、いわゆる質を担保するための認定制度、そして、確実に、必要な方が必要なときに医療につながるための事前登録、これは入っていたはずです。これが抜け落ちた。

 今回も、肝の項目、要件について省令、後々に後づけするということで、前回も紹介しましたが、今日、資料にもおつけしました、四枚目、赤く印をしてあるところ。これは、慶応大学の、構築会議の権丈先生の二月二十四日の構築会議での御発言です。

 十二月に報告書を取りまとめた後、まさにレントシーキング花盛り。この構築会議と医療部会の関係もレントシーキングで説明できます。そして、医療部会とその後、物事の進め方、進み方ということもレントシーキングのなす業です。政策形成の在り方としてはいただけません。今日、たまたま日経の五面でロビー活動の透明化という文章がありましたけれども、これはかなり重要な側面になっています。

 五枚目ですね。

 このレントシーキングというのはなかなか本当に根強いものがあって、我々が今日も香取さん、香取さんは元の厚生労働省年金局長。香取さんから熊谷さんからずっとみんな言っていること、多分無視されます。それがレントシーキングというものです。この辺りはしっかりとみんな理解しておいてもらいたい。社会保障全般に関して正しく政策展開がなされているのかどうか見ていくのは、この構築会議ぐらいしかない。構築会議の取りまとめに沿った社会保障改革がなされているのかどうかということを、省令段階も含めてしっかりフォローしなきゃいけない。

 大臣、このレントシーキング、言うまでもない、改めて確認。民間企業、団体などが政府や官僚組織に働きかけを行い、法制や政治政策の変更を行うことで利潤を得ること。

 構成員である権丈先生のこの公式な会議での御発言、大臣、思い当たること、考えられること、ありますでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど委員から、骨太方針に登録云々というお話がありました、骨太方針に書いてあると。ただ、骨太方針の中に、例えば二〇二二においては、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を行うとともにという形で書いてあるわけでありまして、その具体的な登録云々と、たしかそんな内容にはなっていなかったという、まず認識をしているところでございます。

 それから、今のレントシーキングのお話がありました。これは、権丈先生の発言について私がとやかく言うべきものではありませんけれども、我々としては、そうした様々な方々の御意見も踏まえながら全世代型社会保障の報告書ができ上がり、その報告書を踏まえて今回の法律を作らせていただいたというふうに認識をしております。

中島委員 これは、ほかの委員の方も、私も分かります、どのような団体なのかは誰だって分かります。日本医師会ですよ。

 二月二十六日、日本医師会長、こう述べています。今回の法案、かかりつけ医機能の制度整備について、かかりつけ医とかかりつけ医以外を決して区別するものではない、登録制、認定制の懸念は払拭できた、かかりつけ医制度になっていないと強調をしているわけです。

 私は、先ほども言ったように、財政審の建議、そして、先日、参考人の中でも、我々が言っているのはですよ、我々が言っているのは、かかりつけ医の制度化は、明確にまずかかりつけ医を定義する、そして、質を担保するため、今回は報告、情報公開だけになっていますが、やはり、質がどうあるべきなのか、一定の研修も必要にこれからなってくるかもしれない。そして、確実に、今回コロナで浮き彫りとなったように、かかりつけ医だと思っていた人に、いざ、肝腎なときに行ったら、私はあなたのかかりつけ医ではありませんと言われた、こういう状況を、先ほども言ったように何とかしていかなきゃいけない。そして一方では、人生百年時代、自らの健康増進のために何でも相談できる、我々は、プライマリーケア機能を発揮する、これを定義づけしておりますけれども、残念ですが、政府の方はそこがない。

 こういう状況から、私は、改めてですが、このかかりつけ医、我々が提案している、まずかかりつけ医そのものを定義する、そして、質を担保するための認定制。将来的にですよ、今すぐだとは言いません。でも、最終形は、必要な方が確実に医療にアクセスできる登録制、これはやはり検討していくべきだと私は思います。そのための第一歩と私は捉まえていますが、日本医師会長が言っているとおり、この登録制、認定制の懸念は払拭できた、今回の法案で、これで終わりだというような言い方をしているわけですが、大臣は将来的に、事前登録や、また質の担保のための認定、この検討は必要だぐらいは、是非、大臣、言っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今の段階では、先ほど申し上げたように、全世代型社会保障構築会議の報告書において、もう時間がないから読みませんけれども、そういったことを踏まえて今回の法案を出させていただいたところでございます。ある意味では、第一歩と申し上げておいたように、これで完成形だということを私たちは申し上げているわけではございません。

 したがって、今回、法律の検討規定の中にも、ちょっと今すぐ条文は出てきませんが、検討規定もつけさせていただいて、今後必要に応じて検討するということも附則において規定させていただいているというところでございます。

中島委員 時間がないので。

 そもそも、前回のときも言いましたが、どうも政府と我々と話がかみ合わない部分がある。

 私、考えました。まず、かみ合わない理由の一点目、これは、私たちはまず、かかりつけ医というものが何者か、ちゃんと明確にしています。その上で、どうあるべきかお話ししている。一方で、政府は、かかりつけ医そのものは患者さんが選ぶ、もちろんそうですが、その道筋の話をしている、そこに到達するかかりつけ医はこれから議論する。ここがすれ違っている一点だと思うんです。

 そしてもう一点は、よく田村元厚労大臣も、そんなことをしたらイギリスのGPじゃないかみたいなことを言うんですが、我々が言っているのはイギリスのGPとは全く違います。

 資料の一枚目。これは各国ですね、代表的なのは英国、今のイギリスのGP、隣がフランス、ドイツ、日本。日本に関しては、いわゆるかかりつけ医の制度化的なものは全く整備されていない。一方で、イギリス、代表的なGP、いわゆるゲートキーパーですよね。そして、我々がこの議論をすると必ず、例えば国民の権利が侵されるとか、イギリスのGPを念頭に話をする。そこが食い違っている大きな、二点大きく食い違っていると思うんですね。

 我々が言っているのは手挙げ方式ですよ。お医者さんの方も手挙げをして、私、かかりつけ医機能がありますと。例えば、ある町にAという、私、かかりつけ医機能があります、Bというかかりつけ医がありますと。それを、患者さんがAとBの先生を選んでいく、ちょっと違うかなと思ったらBの先生も選べる、こういう状況。この絵でいけば、フランスやドイツと同じような状況ですよ。

 改めてですが、私が先ほど言った、かかりつけ医を定義して、認定制にして事前登録をすることと、現在の、これは手挙げ方式ですよ、手挙げ方式で、それぞれが手を挙げた先生のところへ、患者さんが選んでかかりつけを持とうとする。これはフリーアクセスそのものだと思うんですが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 委員とは、まず、今回、こうした改革に取り組まなきゃいけないというその背景では多分一致していると思うんですね。先ほどおっしゃったように、高齢化が進む、あるいは地域の医療資源が限られている中で、より効率的な医療を提供しなければならない。

 やはり、かかりつけ医という言葉に対して、先ほど、なかなかイメージがつかめない、そして、そうした中で時間が流れてきた、そうしたことで、今回、全世代型社会保障構築会議の御議論もいただいて、こうした提案をさせていただきましたが、委員おっしゃるように、かかりつけ医という用語を法律上規定するということ、これは、単に、一般的な用語として私ども使っています、かかりつけ医を活用しましょうというのとは違って、やはり国民の権利義務に影響を及ぼし、また、今委員のお話の中でも、受療がどうなるのか、受診行動がどうなるのかという言及もされておられましたけれども、そういったことにもどう影響を与えていくのか、そうした総合的な判断が必要ではないかと思います。

 それに対して、今回は、そうした患者の受療行動、これの介入については規定をすることなく、また、患者の医療へのアクセス制限にもつながらないということ、これを前提としながら、まず地域におけるかかりつけ医機能の確保を図っていきたいということで、こうした提案をさせていただいたということでございます。

 ただ、先ほどから申し上げているように、今回はまず第一歩だということ、そのことはこれまでも申し上げてきたところでございます。

中島委員 時間なので終わりますが、改めて、冒頭にも言いましたが、今回、かかりつけ医は全く関係ないのに、ただの外来機能報告に、かかりつけ医という冠をつけてしまったがために余計混乱が生じる可能性がある。これから、今、コロナもふつふつとまた増え始めています。まさかですけれども、私、今回のことで浮き彫りとなった、かかりつけ医は一体どこにいて、何者なのかが全く分かっていない、この状況でまたコロナが再燃したときに、困ったらかかりつけ医などとアナウンスしたら、また混乱が生じますよ。

 加えて、もう終わりますけれども、この議論を通して分かったのは、先ほどのレントシーキング。私たちはもう数十年前から、少子高齢化、人口減少、こういう状況になることは分かっていた。にもかかわらず、自分たちに都合のいい立場を守ろうとして、いわゆる既得権益、医療の既得権益の中でこの法案も骨抜きにされてしまった。こういう状況は、この法案審議を通してよく分かりました。

 何十年も前から分かっていたこと、フランスやドイツは少しながら、その制度整備、ジェネラリストを確立しようということを努力してきた。日本は、ちまちましているうちに、コロナで大変な状況に陥った。こういう状況を何とかするために、国民本位の医療制度改革、成し遂げられるのは今の政権与党ではないということがよく分かった。そのことを申し伝えて、質問を終わりたいと思います。

三ッ林委員長 午後一時五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時七分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五分開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤良太でございます。

 それでは、早速、お昼休憩明け一発目ということでしっかりとさせていただきたいと思いますけれども、まず初めに、三月二十九日の厚労委員会で、LIFE、科学的介護情報システムについての質問をさせていただいたんですけれども、その中で、更に今日はこの内容について少し深掘りしていきたいと思うんですけれども、介護についてのこの収集データについては非常に重要であるというところだと思うんですけれども、反面、事業者のデメリットが、負担の、入力であったりとか、そういったデメリットが大きいというところがあるんですけれども、現在、LIFEでデータを提出している事業者、施設は現状どれぐらいあるのか、確認したいと思います。

大西政府参考人 お答えいたします。

 令和四年九月時点でございますが、LIFE関連加算が算定可能な事業所、十万二千二百十八施設のうち、実際にこれを算定しております事業所数でございますが、四万二千七百三十施設、四二%、約でございますが、となっております。

 内訳を申し上げますと、施設系のサービス事業所が一万五千八百三十七施設のうち一万四百九十一施設、およそ六六%でございまして、通所、居住系のサービス事業所は八万六千三百八十一施設のうち三万二千二百三十九施設、およそ三七%となっているところでございます。

遠藤(良)委員 令和六年度の介護報酬改定に向けて、このLIFEのシステムの改修や入力項目の見直しなど、こういったところの負担軽減についての対策について検討していくということの御答弁だったと思うんですけれども、今後、どのようなスケジュール感でこれを進めていくのか、お尋ねしたいと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 LIFEへの入力につきましては、先生も御指摘のように、負担感ということでございますが、介護事業所へのアンケート調査を行いましたところ、各種情報の入力に手間がかかる、またADL等の評価方法が分かりにくいといった御指摘をいただいておりますことから、令和六年度改定に向けまして、システム改修、入力項目の見直しなど、更なる負担軽減の方策につきまして検討していくこととしてございます。

 このために、令和五年三月に開催いたしました社会保障審議会介護給付費分科会におきまして、まずは、当該アンケート調査の結果など、令和三年度報酬改定の効果検証に係る調査研究事業につきまして報告を行ったところでございまして、今後、こうした検証結果を踏まえまして、同分科会におきまして、令和六年度報酬改定において対応すべき課題を整理し、その課題に対してどのような対応を講ずるべきかということで、引き続き検討してまいりたいと思います。

 スケジュール感というお尋ねでございました。

 例年のスケジュール感ということで御紹介申し上げますと、秋頃には具体的な方向性の議論を実際に行っていただきまして、年末、十二月には介護給付費分科会における議論の取りまとめ、一月に諮問、答申というのが例年のスケジュールとなっているところでございます。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 秋頃というところなんですけれども、来年ですよね、令和六年というところなんですけれども、スケジュール、非常に重要だと思います。その中で、このLIFEで得られたデータというのは、介護の見える化につなげていくというところだと思うんですけれども、エビデンスの蓄積をしていくという観点からすると、データを提出する事業所であったりとか施設というのは増やしていく必要があると思います。

 LIFEを利用する事業所、施設の方向性についてはどのように考えられているのか、お尋ねしたいと思います。

大西政府参考人 お答えいたします。

 方向性というお尋ねでございました。

 冒頭に御説明申し上げましたように、今加算を算定いただいております事業所を拝見しますと、施設の事業所がやはり割合も多めになっておりますが、通所系の、在宅系のサービスは割合が低うございます。それは、おのずから、規模の面でも、小規模な事業者さんはやはりなかなかやっていただけていないということの表れかと思っておりまして、そういう意味では、小規模事業所の皆さんにもできるだけ参加していただきたいという方向性だと思っております。

遠藤(良)委員 前回も指摘させていただいたんですけれども、小規模の事業所というのが、入力であったりとかそういう、現場を持ちながら、サービスをしながら、LIFE以外でやっていくのが非常に難しいと思うんですけれども、その中で、介護情報の閲覧、共有については、LIFE情報のほかに、レセプトや、要介護認定情報であったりとか、ケアプランとか、そういったものを想定されていると思います。様々なデータを集約していこうという趣旨は分かるんですけれども、介護情報基盤において、新たにまた再度入力するといった事務的な負担が生じにくいようにすることが望ましいというところだと思います。

 例えば、LIFE情報、今もう既に入力されている情報をそのまま新たなシステムでも利用できるようにするということなどが考えられると思いますけれども、この辺り、いかがでしょうか。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の御質疑でも私の方から御答弁申し上げたようにも思いますが、今御指摘いただきましたように、幾つかの入力いただく、御報告いただくシステムなり体系をこれからつくっていくわけでございますけれども、そういうもので二度手間にならないように、うまく連携を取っていくということは重要であると考えております。

遠藤(良)委員 是非、本当に二度手間にならないようにしていただけるように要望したいと思います。

 経営情報についての開示のところなんですけれども、会計基準に則して用意されているもので、それをシステムの方で受け取って整理をしていくような方法での運用などを検討していくという御答弁があったと思います。できるだけ事業者の負担にならないようにする方向性が望ましいと思うんですけれども、先日、一谷議員も質問されていた中で、経営情報の見える化については、義務づけの対象外となる事業所を、過度な事務負担が生じないようにする観点から、事業者さんの規模なども含めて検討していきたいということであったと思います。

 報告を求める小規模な医療法人で、経理に携わる者が限られることが見込まれる法人は、新たな制度の対象から除外すべきであるとされていると思いますけれども、介護の経営情報について、どの程度の法人を想定されているのか。

大西政府参考人 お答えいたします。

 本法案では、介護サービス事業者が運営する事業所、施設ごとに収益ですとか費用の内容などの経営情報の報告を求め、これを蓄積したデータベースを構築するとともに、国で分析し、属性等に応じてグルーピングした分析結果を公表することとしております。

 新たに報告を求めるに当たりましては、省令で義務づけの対象外となる事業者を定めることとしておりまして、その具体的な対象につきましては今後検討することとしております。その際は、国の分析結果に大きな影響を与えないことを前提としつつ、先生御指摘のような事業者負担も踏まえ、事業所の規模なども含めて、報告の対象を検討することが重要であると考えております。

 引き続き、詳細な運用等につきましては、事務負担の軽減にも配慮しつつ、また、正確な情報の把握に向けて、関係者の御意見も踏まえながら、施行までの間に検討を進めてまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 今回の法案で、都道府県に介護サービスの生産性向上の取組の努力義務を規定していると思いますけれども、どういった効果を生じることを期待しているのか、お尋ねします。

大西政府参考人 お答えいたします。

 今後、介護サービスの需要は更に高まってまいります一方、生産年齢人口は急速に減少していくということで、介護人材の確保は喫緊の課題とされております。介護ロボット、ICTなどのテクノロジーを活用した介護現場の生産性向上を一層推進していく必要がございます。

 これまでも厚生労働省におきましては、介護ロボット、ICT機器の導入支援、開発、実証、普及の各段階での事業者支援に取り組ませていただきました。そういう拠点の整備ですとか生産性向上に取り組む介護事業者の皆さんに対する様々な支援に取り組んできたところでございます。

 こうした中で、より多くの事業者さんに生産性向上の取組を普及させていただくためには、発信力のあるモデル的な事業所を地域で育成し、周辺に取組を伝播させていくなど、自治体がある意味主導していただいて、地域の福祉関係者はもとより、雇用ですとか、教育ですとか、そういう多様な関係者とも連携しながら、地域全体で取組を推進していく必要があると考えております。

 このため、本法案におきましては、都道府県を中心に一層取組を推進していただきますように、都道府県に対しまして、介護現場の生産性の向上に資する取組を促進する努力義務を設けるとともに、令和五年度予算におきまして、様々な支援メニューを一括して取り扱い、適切な支援につないでいく、ワンストップ型の事業者相談窓口を各都道府県に設置するための予算を計上するなどの取組を講じることとしております。

 こうした施策などを通じまして、介護職員の皆さんの業務負担の軽減、職場環境の改善にしっかりとつないでいき、介護現場で働く方々がより自信と誇りを持って働いていただくことができますように、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 三十府県で、生産性向上等につながる取組を行う事業所に対する評価、認証、先ほども出ましたけれども、優良モデルを横展開していくために、モデルケース、そういうものを設定していくと。

 実際、横展開していく方策はどのようにやっていくのか、確認します。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 今御示唆いただきましたのは、人材育成等に取り組む介護事業者の認証評価制度というものでございまして、現在、令和四年時点で三十都府県でお取り組みをいただいておるところでございます。

 介護現場の生産性向上の取組をより多くの事業所に普及させていくために、先生御指摘のとおり、積極的に取り組んでいただく事業所さん、好事例を広く周知いたしまして、横展開を図っていくことが重要な取組の一つと考えております。

 職員の人材育成、職場環境の改善といったことに取り組む事業所を都道府県が評価し、認証を付与する制度、これが先ほどのものでございまして、これの全都道府県への普及を目指すとともに、令和五年度から、職員の待遇改善、人材育成、介護現場の生産性向上等について優れた取組を行う事業所を内閣総理大臣及び厚生労働大臣が表彰する制度を開始することとしております。

 こうした取組によりまして、より好事例を全国に普及させていくことを通じまして、先ほどのような目的を達成していけるように頑張ってまいりたいと思っております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 指摘したいのは、やはり、介護は、仕入れというのは人材というところで、優良なモデルというのは、うまく人材を採用して、そして待遇もしっかりとしているところだと思います。

 ただ一方で、採用していくのは非常に難しいですし、今、こういう人口が減少している中で、この分野にどんどん人が必要に、ますますなってくる中で、是非、人材をどういうふうに獲得していくのかということに、しっかりと、優良モデルと言われるところは、僕はクローズアップしていただきたいなというふうに思います。本当に、特に地方を見ていると、やはり人材確保は本当に難しいですし、なかなか働き手自体もそういう意味でこの分野には入ってこないというところがあると思いますので、是非、そこに注力していただけるようにお願いしたいと思います。

 一方、こういう中で、介護ロボットであったりとかICTの活用というところの取組を、一方で、更にそういう意味では進めていかないといけないと思うんですけれども、実際、今現状、この介護助手の導入に向けた取組というのはどういったものがあるか、お尋ねします。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる介護助手の活用についてでございますが、介護人材の確保が喫緊の課題とされる中で、多様な人材の活用によります裾野の拡大、介護職員を始めとする専門職の業務負担軽減といった観点から、介護助手の活用も積極的に進めていく必要があると考えております。

 これまでも、事業者さんに周知を行っております生産性向上ガイドラインにおきまして、介護助手導入に当たっての検討すべきポイントですとか、好事例などを紹介をいたしますとともに、都道府県福祉人材センターなどに、なり手の掘り起こしや受入れ事業所への支援などを行う普及推進員を配置する、そういった事業等の取組を実施してきたところでございます。

 また、社会保障審議会介護保険部会におきましても議論をいただいたところでございまして、昨年十二月の意見書におきましても、介護助手の制度上の位置づけですとか、評価、教育の在り方、専門職との連携も含めて、サービス特性を踏まえた導入促進のための方策を引き続き検討することが適当などと御指摘いただいたところでございます。

 また、令和四年度は、いわゆる介護助手の導入状況、業務実態、その導入効果などに関する詳細な実態把握などを行ったところでございまして、こうした調査結果、さらに、介護保険部会での御意見なども踏まえまして、令和六年度の次期報酬改定に向けて、更なる活用促進に向けた検討を行ってまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 この業界、本当に、申しましたように、人材の確保というところでロボットも必要ですし、一方で、ロボットについてはコストもかかりますし、そういった対策も必要になってくると思いますし、一方で、外国人の技能実習生も、報道でも出ていましたけれども、廃止していこうということがちらっと出ていましたけれども、その外国人の活用についても非常に重要なワードになってくると思いますし、是非とも、人材というところをしっかりと、目線でですね、取り組んでいただきたいなというふうに要望したいと思います。

 次に、ちょっと質問を移りたいと思いますけれども、三月二十九日の委員会で質問させていただいた出産費用の保険適用について、妊婦自身が自由な選択で様々なサービスを利用され、施設ごとあるいは地域ごとにいろいろな差が見られるという実態の中で、全国一律の診療報酬で評価する医療保険制度との整合性をどう考えるかという課題があると思っておりますということで保険局長の方から御答弁いただいたというところなんですけれども。

 他方、三月三十一日、こども・子育て政策の強化について、いわゆるたたき台において、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行うということなんですけれども、いきなりどうしてこのような方向転換を図ったのかというところをまずお尋ねしたいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 保険適用の検討に至った経緯ということでございます。

 昨年秋、今回、医療保険制度改革に関しまして社会保障審議会医療保険部会において議論が行われた際には、出産の保険適用に関する議論もございました。そして、年末にまとめられた議論の整理におきまして、出産費用については、年々上昇しており、地域差もあることから、引き続き、こうした状況を踏まえたより詳細な出産費用の分析を行うとともに、出産費用の見える化の効果などを踏まえ、引上げ後三年を目途に、出産育児一時金の在り方について検討するべきとされたところでございます。

 さらに、年頭に総理から、異次元の少子化対策に挑戦し、大胆に検討を進めるとの表明があったことや、それから、国会の審議などにおきまして、保険適用を検討すべきとの御指摘をいただいたことも踏まえまして、先日、小倉大臣の下で取りまとめられた子供、子育て政策の強化に関する試案におきましては、出産費用の見える化の効果等の検証を行い、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行う旨が盛り込まれたというふうに承知してございます。

遠藤(良)委員 我が党も、昨年の参議院選挙のマニフェストにも入れましたけれども、出産費用の保険適用を訴えてきたんですけれども、保険適用は政府の見解としても望ましいというところだと思います。

 もっとも、医療保険制度との整合性については課題があると思います。これについてどのように対応していくのか、お尋ねします。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 健康保険法上、出産というものは、疾病、負傷とは別の保険事故として位置づけられております。出産に関しましては、これまで出産育児一時金として現金給付が行われてまいりましたが、仮に、出産を保険適用、いわゆる疾病、負傷の場合と同様に現物給付とする場合には、当然、一つのメリットとして、分娩サービスの内容が標準化されるとともに、一律の価格を設定することが可能となります。

 他方、以前から課題だというふうに申し上げている点は、妊婦さん御自身が自由な選択で様々なサービスが提供され、出産費用の地域差や施設間の差が見られる実態がございます。仮に、出産を保険適用した場合に、この実態との乖離をどのように埋めていくかということが課題でございまして、この課題に向き合いまして、どのような対応ができるか今後検討していきたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 保険適用だとすると、自己負担が発生する。我々はバウチャーを配付することを提案しているんですけれども、二十九日の局長の答弁の中で、新たな事務負担が発生する、あるいはもう一つは、バウチャーの対象範囲、どういう費用まで使っていいのかといった論点があるということだったと思いますけれども、自己負担についてはどのような認識というか、どのような対応をしていくのか、お考えをお聞きしたいと思います。

伊原政府参考人 御質問の自己負担につきましては、先ほどから繰り返しになりますが、サービス内容や費用が地域や施設ごとに異なっている中で、今までは、平均的な標準費用全てを賄うという観点から、出産育児一時金、現金給付を行いまして対応してまいりました。結果として、現状では、妊婦の方によって、自己負担がなく、手元に残るケースもある一方、高額な差額負担が生じるケースもあると承知してございます。

 今後は、まさに出産の保険適用、現物給付化を議論していく過程の中においては、この自己負担の取扱いを始めとして、それ以外の課題も含めまして、具体的な対応を考えていきたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 この保険適用については、やはり、そもそも、今回、四十二万円から五十万円に上げたというのは、恐らく、出生率を上げていこう、その中で異次元の子育て政策なんだというところだと思うんですけれども、結局、どこまで行っても自己負担については課題が残ると思います。

 今回、たたき台の中で、「出産費用の見える化について令和六年度からの実施に向けた具体化を進める。その上でこれらの効果等の検証を行い、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行う。」というふうにあるんですけれども、検討は令和八年度からだとすると、出産費用の保険適用はかなり先になるんじゃないかなというふうに思うんですけれども。

 確認したいんですけれども、最短だと保険適用はいつになるのか、また、令和八年度保険適用スタートに向けて検討していくという趣旨で間違いないのか、確認したいと思います。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 保険適用に関する検討についての具体的なスケジュールのお尋ねだと考えます。

 まず具体的な段取りを申し上げますと、まず、この四月に出産育児金を引上げを行わせていただきました。そして、見える化に向けまして、まず、本年夏までに、有識者による検討において公表項目等の整理を行います。そして、秋以降、医療機関等の協力を得て必要な情報の収集やホームページの立ち上げを行って、来年四月には本格稼働させていきたいと考えております。そして、その本格稼働した中で、一定期間のデータを集積したいと考えております、費用やサービスの内容について。これを、令和七年度にかけて、見える化の効果等を検証しつつ、出産費用の上昇や地域差の状況に関するより詳細な費用分析を行うと考えております。このような作業を経て、分娩についてのサービスの標準化など保険適用に必要な議論が整理できると考えておりまして、そうした中で、令和八年度を目途に検討を進めたい、このように申し上げてきているところでございます。

 以上の作業をしっかりやりながら、子供を安心して妊娠、出産できるような環境整備に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 今月から給与のデジタル払いが可能になるというところで、決済アプリであったりとか電子マネーで支払うことができる、二〇二五年には大阪万博では全てキャッシュレス決済ができるということで、先ほど、局長の方が、二十九日の答弁でもあったように、新たな事務負担が発生するというところがあると思います。自己負担を例えばキャッシュレスで支払うとか、こういった方法も考えられると思うんですけれども、その辺り、いかがでしょう。

伊佐副大臣 この保険適用については、答弁させていただいていますとおり、見える化をしっかり進めた上で、その検証を行った上で、御指摘の自己負担の在り方も含めて検討するということになっております。

 いただいた、バウチャーを含めた、電子の取扱いについては、具体的制度設計がどうなるかという、様々な仮定を置いた上での御質問だというふうに思っておりますので、事務負担を含めてどうなるかと、一概にお答えするのはなかなか難しいかなと思いますが、ただ、一般論として申し上げますと、様々なサービスをデジタル化、DXで効率化して取り組んでいくということは重要だというふうに思っております。

 以上です。

遠藤(良)委員 是非、すぐにというか、もう既にDX化も進んでいますし、キャッシュレス、どんどん進んでいますし、そういう観点で、取り組むのであれば、早く、是非、保険適用のところは、また、漏れた部分ですね、自己負担の部分についても、是非早急に検討いただきたいなというふうに思います。

 次の質問に移りたいと思うんですけれども、シングルマザーのところで、たたき台には、一人親家庭の自立促進が記載されている。「ひとり親を雇い入れ、人材育成・賃上げに向けた取組を行う企業に対する支援を強化する。」と書いているんですけれども、一人親家庭の自立促進について、具体的にどのような取組を進めていくのか、お尋ねしたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 一人親家庭につきましては、子育てと生計の担い手という二重の役割を一人で担うこととなりますので、住居でございますとか、就労の継続、子の養育と仕事の両立などといった面で、様々な課題と向かい合いながらの生活になってくるというふうに承知をしております。

 そうした点で、一人親家庭の自立に向けた切れ目のない支援を行うため、父子、母子自立支援センターなどによる就業支援を基本としつつ、保育所優先入所などの子育て・生活支援、さらには、養育費の確保に向けた養育費確保支援、さらには、児童手当あるいは児童扶養手当などによる経済的支援、こうした、就業、子育て支援、養育費確保、そして経済的支援の四本柱により取組を進めているところでございます。

遠藤(良)委員 シングルマザーにとっては、保育の時間も必要ですし、今、保育園に入る優先順位としては、仕事をしていないと、まずはその要件を満たさない、優先順位が下がっていくんだと。その中で、実際、就職をして、さらに、じゃ保育園に入れるのかといったら、案外それが入れなかったりするという課題があって、これは何かすごい矛盾しているんじゃないかなというふうに思うんですけれども。

 このたたき台の中で、「全ての子育て家庭への支援を強化するため、現行の幼児教育・保育給付に加え、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付の創設を検討する。」というふうに書いているんです。実際、こういったシングルマザーの保育については改善されるのか、確認したいと思います。

黒瀬政府参考人 お答えいたします。

 現行の保育制度におきましては、就労のほか、保護者の疾病、障害や求職活動等の保育の必要性がある方を対象としておりまして、一人親世帯については、保育の必要性で認定された場合には、優先利用の対象とすることで配慮を行っております。

 ただ一方で、御指摘のとおり、保育の必要性のある方に利用が限定をされておりますので、未就園児のいる全ての家庭に対する支援には限界があるということで、現行の仕組みとは別に、二歳までの未就園児のいる全ての御家庭への支援の強化に向けて、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に保育所、認定こども園等に通園が可能となる新たな給付を創設することを検討しているところでございます。

 具体的には、保育所の空き定員の状況なども踏まえつつ、子供一人につき月一定時間までの利用可能枠の中で、時間単位等で柔軟に通園が可能な仕組みとすることを想定しております。

 いずれにしましても、具体的な制度設計は今後議論していきたいと考えておりますが、当面は、令和五年度予算案に盛り込んだ未就園児の定期的な預かりを行うモデル事業の拡充を行いながら、基盤整備を進めてまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 読売新聞の記事で、県庁所在地や政令市など保育の需要が大きい百三自治体の保育施設のうち四割は定員割れになっていると。これは、保育需要の減少のほかに、保育士の不足であったり利用者の希望の偏在が原因だと思うんですけれども、これは実際どういうふうに今後対応していくのか、最後、確認したいと思います。

黒瀬政府参考人 お答えいたします。

 都市部の一部等では引き続き待機児童の問題がある一方で、地方部を中心に、定員割れが生じている保育所等もあると承知をしております。

 一方で、ゼロ―二歳児の約六割を占めるいわゆる未就園児を含め、子育て世帯の多くが孤立した育児の中で不安や悩みを抱えている中で、乳幼児の発達支援と保護者支援等を担ってきた保育所等や保育士が、地域全体で子育て家庭を支えていく際に大きな役割を果たすことが期待されています。

 こうした中で、今後の保育所等の在り方につきましては、人口減少地域も含め、各地域において良質な保育を提供する体制を確保することを前提としつつ、多様な保育、子育て支援ニーズを地域全体で受け止める環境整備を行うため、その機能を多機能化していくということが重要と認識をしております。

 そのため、令和五年度予算においては先ほどのモデル事業を実施することとしておりますし、さらに、今般取りまとめた子供、子育て政策の強化に関する試案におきましては、「就労要件を問わず時間単位等で柔軟に利用できる新たな通園給付の創設を検討する。」としているところでございます。

 また、令和六年四月からは、改正児童福祉法に基づき、全ての子育て家庭を対象に、気軽に相談支援を受けられる機関を整備していくこととされておりまして、保育所等にもその担い手となることが期待されています。

 こうした取組を通じて、今後、個々の保育所等の強みや体制等を踏まえた役割分担の下で、関係機関と協働しつつ、保育所等が多様な保育、子育てニーズを受け止める環境整備を行ってまいります。

遠藤(良)委員 ありがとうございました。

 時間になりましたので、終わります。

三ッ林委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 先ほど、我が党の遠藤良太議員からも出産費用について質問させていただきましたけれども、私も、本会議また予算委員会等でお訴えをさせていただきましたが、いいお返事をいただいておりませんので、改めてここで質問をさせていただきます。

 日本維新の会は、どの他党よりも早く、二〇二二年参議院マニフェストから、出産の公的医療保険適用を前提とした、出産費用の完全無償化による出産、育児世帯の負担軽減を提案してまいりました。

 そのような中、先月末、小倉こども政策担当大臣が発表したこども・子育て政策の強化について(試案)では、「出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行う。」と記載されました。出産について公的医療保険の適用を検討する方向性については歓迎したいと思います。

 さて、出産に公的医療保険を適用した場合の自己負担分については、三月二十日の菅前総理の発言や、また、三月二十七日の自民党「こども・若者」輝く未来創造本部が小倉こども政策担当大臣に提出した論点整理からすれば、自己負担部分が、そのまま出産、育児世帯の負担とする方向性はないと推測をします。我が党も、出産、育児クーポン等を利用し、自己負担分は全額支援すべきと考えています。

 そこで、質問いたします。

 こども・子育て政策の強化について(試案)の記述からは、出産への公的医療保険適用について、こども家庭庁、厚労省等のどこで検討されるのでしょうか。また、今後の検討次第であることは承知をしておりますが、大まかな方向性はもう見えているのではないでしょうか。加藤厚生労働大臣に見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 まず、出産の保険適用に対応する省庁でありますけれども、医療保険制度を所管する我が厚生労働省が中心になって行うこととなります。

 妊婦の方の自己負担については、これまで、サービス内容や費用が地域や施設ごとに異なる中で、平均的な標準費用も全て賄うとの観点から、出産育児一時金の額を設定してきたところであります。

 もっとも、結果においては、妊婦の方によって、自己負担なく、更に手元に残るというケースがある一方で、持ち出しというんでしょうか、更に差額を負担しているケースがあるものと承知をしております。

 今後、出産の保険適用を含めた検討を行う中では、御指摘の自己負担の取扱いを始めとする様々な課題について、現行の出産育児一時金の取扱いとか状況、これらも踏まえてよく検討していきたいと考えています。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 自民党の茂木幹事長が、異次元の少子化対策の財源について、社会保険料に言及をされました。出産費用の無償化の財源として保険料を活用するというこの案では、現役世代に配る資金を現役世代から集めるということで、結局、相殺になってしまうと思います。私としては、妊婦さんの自己負担分は税金から支出、つまり、クーポン等で賄って、保険料を自己負担に使うべきではないと考えております。このことについては、もう少し先に改めて議論をさせていただきたいと思います。

 続きまして、今回の法改正に伴い、出産費用の見える化として、医療機関の特色やサービス内容等も併せて公表する取組が行われると承知をしております。それは、妊婦の方々が、出産費用について、出産を予定する地域での出産費用の相場観をつかむことが可能となり、また、スタンダードな出産に伴うサービスの在り方を見出すこともできるものとなります。

 ですが、その費用の見える化のために集められた情報の公表は、来年四月をめどに厚生労働省が新たに設ける見える化のホームページで各医療機関ごとに公表する、ただし、できるだけ公表項目が取りまとまった段階で各医療機関のホームページで先んじて公表するように促す取組も検討されていると承知しています。

 そこで質問いたします。

 そもそも、産婦人科に限らず、それ以外の耳鼻科とか内科とか、どんな診療科でも、病院に行って、どのくらい診療費がかかるのかという料金表というのは待合室に貼っていないと思います。本来、産婦人科だけではなくて、どの診療科でも、重立った診療費については患者さんが分かるように掲示すべきではないでしょうか。例えば、会計をしたときに、今日は六百円ぐらいだとか、三千円ぐらいだとか、料金表がないので、私は、受診するときにいつも財布に多めにお金を入れていくわけなんですが、それは本当に時価のおすし屋さんみたいなものだと思うんですね。

 診療報酬であるにもかかわらず、初診料そして再診料というのはどこの病院のホームページにも書いていません。商品を買うときには値札を見て買うのが当たり前で、診療も病院に料金の掲示が必要であり、領収書を出す以前の話だと思います。

 ホームページの見える化だけではなくて、産婦人科だけではなく、そもそも全ての診療科で医療費の透明化が必要なのではないでしょうか。大臣の見解をお伺いいたします。

加藤国務大臣 現在の出産、特に自然分娩の場合などの自由診療の場合は、医療機関において、本当に一つ一つの作業についてまちまちな価格になるわけです。ただ、保険診療の場合には、診療報酬という公定価格がございますから、それにのっとって決定をされるということで、開示する、説明するその必要性は自由診療と保険診療では少し異なるのではないかということ。それから、あらかじめというお話がありましたけれども、まさにその方の疾病の症状を様々な状況で医師がこういう治療が必要だと判断して、それによって治療がなされ、そして診療報酬という公定価格を踏まえた負担が生じてくる、こういう仕組みになっていますので、あらかじめ事前に費用を提示するというのはなかなか難しいのではないかな。

 ある意味では、これはなかなか一般の方には見えにくいですけれども、診療報酬という形で既に、点数の形ではありますけれども、示されている。ただ、事後の話にはなりますけれども、保険医療機関においては、個別の診療報酬の算定項目が分かる明細書の交付、これを原則として義務化をしているところでございますので、こうしたことも含めて、国民や患者の皆さん方が、どうした医療負担がかかるのか、あるいはかかったのか、こうしたことが理解していただけるように、医療機関においても適切な対応が図られるように我々としても働きかけていきたいと思います。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 全ての項目を掲示する必要はないと思います。例えば、初診料が幾らだとか、再診料が幾らだとか、処方箋料が幾らだとか、基本的なものぐらいは掲示をして、患者さんが、自分の医療費がどれぐらいかかるのかなということや、どのように計算されているのかということ、それを知ってもらうということも大切ですので、こういう文化をつくっていくということも必要だと思います。是非、前向きに検討していただけたらと思います。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 三月十三日から、マスクの着用は個人の判断で着用することとなりました。厚生労働省のウェブサイト「マスクの着用について」では、通勤ラッシュ時など、混雑した電車やバスに乗車するときにはマスクの着用を推奨するとされています。

 過去、電車やバス等でのクラスター発生など、感染拡大が確認された事例はあるのでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省では、自治体のプレスリリースなどを基に、同一の場で二名以上の感染者が出たと報道などされている事案の収集をしておりますが、公共交通機関の中でお尋ねのクラスターが発生した事案は把握しておりません。

吉田(と)委員 今、把握していないという御答弁をいただいたんですけれども、保健所に届け出たときに、例えば何時何分の電車に乗っていたというようなデータは元々集めていませんので、クラスターが発生していないことを証明はできないと思うんです。よって、科学的に、通勤電車ですとかバスですとか、クラスターが発生していないということを証明する必要があると思います。それを証明してこそ、満員電車でマスクを着けるべきとか外すべきといった判断ができないかと思いますので、今からでもいいので調査をすべきだと申し上げておきたいと思います。

 続きまして、現在も鉄道やバスでは換気が実施されていますが、通勤ラッシュ時には換気量が不十分であると考えられるのでしょうか。それとも、換気量不十分と判断可能な基準はあるのでしょうか。国交省と厚労省、それぞれに御答弁を求めます。

五十嵐政府参考人 お答えします。

 各公共交通機関においては、政府の基本的対処方針を受けて業界が定めたガイドラインに基づき換気等の感染対策が適切に行われてきたところですが、それらのガイドラインには、議員から御指摘があったような、各個人のマスク着用の判断に資するような換気の判断基準等があるとは承知しておりません。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 新型コロナの感染経路、飛沫やエアロゾルの吸入、それから接触感染等あるわけでありますけれども、お尋ねの公共交通機関における換気基準につきましては、厚労省からはお示しをしていないところでございます。

 今、国交省からも御答弁ありましたが、公共交通機関における換気については、各公共交通機関が業種別のガイドラインを作成しているというふうに承知しております。

吉田(と)委員 先ほどガイドラインというのをお話しいただきましたけれども、例えば、鉄軌道事業における新型コロナウイルス感染症対策に関するガイドライン、これを少し読み上げさせていただきますと、空調装置等による換気が可能な車両については、当該装置の機能を用いて適切に換気を実施すること、必要に応じて窓開けにより換気を実施する場合には、窓開けの状況を確認し、折り返し時等において係員が窓を開けることや、利用者に対して窓を開けることの協力を呼びかけることなどにより、車内環境に配慮しつつ、可能な限りの換気が行われるように努めるなどが記載されています。

 こうしたガイドラインに基づいて適切な管理が行われているということなんですけれども、これを見て、余りイメージが湧かないんですね。各駅停車だったら比較的窓は開けなくてもいいのかとか、折り返し時には全ての窓を開けるのかとか、全くその目安というものが書いていないので、これぐらいの人数が乗っていたら窓を開けなくてはいけないというようなことが分からない。換気しましょうということしかメッセージがないんですね。

 ガイドラインというものに関しては、例えば、読んだときに、これぐらいはしないといけないんだよというようなことが分かるものがガイドラインというものだと私は思っています。それは、先ほどと少し同じ話になるんですけれども、やはり科学的に証明する、目安というものを国民に伝えないといけないのではないかなと思います。

 例えば、以前、ソーシャルディスタンスというものがありましたけれども、二メートル以上離れてというようなことであったり、窓をどのぐらい開ける、五センチ、十センチ、時間も、どの程度開けておくのがいいのか、現時点での科学的な知見を国民に説明する上で、マスクをつける、つけないの判断をしていただく。

 このガイドラインを見ると、両省庁で話し合っているというような雰囲気が全く伝わらなかったんですね。交通機関でなくても、厚労省というのは科学的な証明をするのが得意な分野、専門であると思いますし、国交省というのは交通機関の社員、乗務員に換気の方法を指示するというのが得意だと思いますので、是非、両省庁、力を合わせてデータを収集していただきたいと思います。

 続きまして、通勤電車よりも新幹線や特急列車の方が車内で食事をする機会や会話がされる機会が多く、飛沫の発生する可能性が高いようにも思われます。比較的会話が少ないと思われますラッシュ時の通勤電車についてマスク着用が推奨され、一方で、飲食や会話を伴う可能性が比較的高いと思われる新幹線等では推奨までは求めない、この科学的な根拠はどのようなものなのでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 三月十三日からのマスクに関する見直しに当たりまして、専門家からは、マスクの有効性をお示しいただくとともに、高齢者等が公共交通機関を利用することを考えれば、混雑時に協力を求めることが必要との御意見をいただいております。

 これを踏まえまして、政府としては、通勤ラッシュ時等の混雑した電車やバスに乗車するときなどは、高齢者等の重症化リスクの高い方への感染を防ぐために、マスクの着用を推奨することといたしました。他方、お尋ねの新幹線など、おおむね全員の着席が可能な公共交通機関については、基本的に混雑が想定されないため、マスク着用を推奨する場面から除いているものでございます。

吉田(と)委員 同じことの繰り返しになりますけれども、新幹線のような空間で、すなわち密室ですけれども、強制換気をしていない空間で飲食をしたらどのぐらいのリスクがあるのかということを国民にやはり示すということが必要であり、国民の皆さんが判断ができる科学的な調査を改めてしていただきたいと思います。

 続きましての質問です。

 マスク着用が推奨される場面として、医療機関や高齢者施設等や通勤ラッシュ時の電車等への乗車時等が挙げられています。それぞれ、推奨される理由を明確にすべきではないでしょうか。ハイリスク者が身近にいる可能性だけでは、日常生活の様々な場面で可能性というものがあり、結局、ユニバーサルマスクとして、現状と変化がなくなるのではないでしょうか。マスク着用について個人の判断とはするが、政府としてユニバーサルマスクであってほしいというような認識なのでしょうか。

加藤国務大臣 マスクの着用については、三月十三日から見直しをしたところでございます。

 マスク着用が効果的な場面としては、医療機関を受診するとき、高齢者等の重症化リスクが高い方が多く入院、生活する医療機関や高齢者施設等を訪問するとき、また、先ほど御質問がありました通勤ラッシュ時等の混雑した電車やバスに乗車するときといった場面をお示しし、マスクの着用をお願いをしています。

 こうした場面においてマスクの着用を推奨しているのは、アドバイザリーボード等、専門家からの御指摘もいただいて、人混みが生じる公共の場所など、感染した場合に重症化しやすい人、健康な方でも感染を避けたい人などがいることも鑑み、こうした方々が不安を感じることなく参加できるよう配慮のある感染対策が求められる場面がある、そういった御指摘を踏まえて、高齢者等の重症化リスクの高い方への感染を防ぐためということで、マスクの着用を推奨しているところでございます。

 ユニバーサルマスク、マスクの着用が不要な場面でもマスクを着用し続けるということについての御指摘がございましたけれども、各個人が場面に応じて適切に判断していただくことが重要であります。各個人でマスクの着脱を判断いただけるよう、引き続き、今回の見直しの趣旨、あるいはそうした理由、背景、そういったものを丁寧に説明をしていきたいと考えています。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 ちょうどマスクの着用が個人の判断に委ねられてから、間もなく一か月になります。AIが調べた三月十三日での東京駅での着用率というのは八九・七%、そして、おおよそ一か月たった四月十日の着用率は八五・六%と、四・一%ほど減少はしたもののほぼ横ばいで、大きく減ってはいないということが分かりました。

 コロナ以前につきましては、私のように、例えば花粉症でマスクを着けて、厚生労働委員会でこのように質問することは許されなかったと思うんです。ですけれども、今は外してもいいし、マスクを着けたままでも、着用ができる。こういった選択肢が増えているという意味では、実はよい社会になっている可能性もあります。

 花粉症の人も、堂々とマスクを着けて会議に出られたり、会食にも出られる、様々なイベントにも参加できるようになった。今までだったら、やはり、帽子と同じように、マスクもマナー違反ですよ、外してくださいと言われかねなかったわけですので、今選択肢ができたよい社会であるということ、だからこそ、どんな場面なら感染リスクが少ないのか、また逆に、どんな場面は着けた方がいいのか、科学的に調べるべきであると申し上げておきたいと思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 岸田総理が打ち出した異次元の少子化対策では、保育の質の向上や保育士の配置基準の見直しが一つの争点となっていましたが、先般発表された子供、子育て政策の強化についての試案では、幼児教育、保育の質の向上として、配置基準改善や更なる処遇改善も盛り込まれました。具体的には、職員の配置基準について、一歳児は六対一から五対一へ、四、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善が見込まれています。

 せんだって、三月十七日に、日本維新の会とそして立憲民主党さんも共同で、特定教育・保育施設における保育教諭等の配置の充実のための措置に関する法律案、これを提出させていただいたところであり、配置基準や、保育士以外の職員の活用についての検討規定を設けています。

 今まで、国基準の保育士の数では現場が回らないという声が多くあり、実際に何とかやりくりをして基準以上の保育士を配置している保育所が多いと言われておりました。ただ、地域によっては、保育士自体を探すのも一苦労であるとの声もあります。保育士の全国の有効求人倍率は、昨年十月の時点で二・四九倍に達しており、全職種平均の一・三五倍を大きく上回っています。保育士が足りず、トイレに行く暇もないぐらい忙しい保育士の代わりに、例えば、おもちゃの片づけであったり、給食の配膳、園外活動の見守りなど、保育士の肩代わりをしてくれる人材も必要であります。政府も、保育士資格を有していなくても保育周辺業務を行う保育支援者への補助など、保育士以外の人材の活用を進めているというところは承知をしております。

 そのような中、読売新聞のアンケートでは、県庁所在地や政令市など保育の需要が大きい百三自治体の保育施設の少なくとも約四割が、今年四月入園の第一次選考終了時点で定員割れになっていたという結果が出ています。

 政府は、二〇二一年度から四年間で計十四万人分の保育の受皿を増やす新子育て安心プランを進めてきていますが、今後の方向性や対策をお聞かせください。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 保育の質の向上等のためにも、保育士の配置の改善を図っていくことは重要と考えておりまして、これまでも保育士の配置の改善に努力を重ねてきたところでございます。

 今般取りまとめました試案におきましては、御紹介いただいたとおり、職員配置基準について、一歳児は六対一から五対一へ、四、五歳児は三十対一から二十五対一へと改善をすることとしたところです。

 保育人材の確保に向けましては、保育士の補助を行う保育補助者の配置、清掃や消毒、園外活動時の見守り等の保育の周辺業務を行う保育支援者の配置、それから、登園管理システムの導入など、ICT化の推進などの業務負担の軽減を通じた保育士の就業継続のための環境づくりに取り組むとともに、養成校に通う学生への修学支援、修学資金の貸付けなど、資格の取得促進、保育士・保育所支援センターによるマッチングの支援などに取り組むことで、保育の現場と職業の魅力向上を図りつつ、人材確保策に総合的に取り組んでまいります。

 また、未就園児のモデル事業についてでございますが、保育所等の定員充足率が全国的に逓減傾向にある中で、保育所、保育士の子育て支援のノウハウを生かして保育所の多機能化を進める観点から、令和五年度予算において、保育所の空き定員等を活用して未就園児を定期的に預かるモデル事業を実施することとしております。

 三月末の試案でも、就労要件を問わず時間単位等で柔軟に保育所等を利用できる新たな通園給付の創設を検討する等としているところでございまして、しっかりと取組を進めてまいります。

吉田(と)委員 アンケートでは、施設定員について課題に感じていることを尋ねたところ、四十三の自治体が、保育士不足で定員まで子供を受け入れられない施設があるとしています。保育士以外の人材の活用だけでは解消できない保育士不足の問題があります。

 一方で、人口減少により需要が減少して、定員に余裕がある保育施設が増えているとも言われています。依然、希望どおりに利用できない実態もありますし、希望が集中して定員を超えて預かる人気園がある一方で、子供が集まらず、なかなか、定員に余裕がある施設、施設間の差が大変大きくなってきております。

 今後、就労時間にかかわらず保育園に子供が預けられるようにということで、子供誰でも通園制度、仮称ですけれども、この創設も検討されていて、本格的な制度改正まで当面は段階的に施行していくというふうに聞いてはおりますけれども、保育園の経営とそれから質の確保、この両立がうまくできるような取組を是非進めていただきたいと思います。

 人口が減少する中で、施設の有効活用というものを今後更に深く議論を進めていくべきではないかなと思います。例えば、高齢者施設と保育の兼営運営といいましょうか、保育所と高齢者の方々が一緒の時間を設けることで、子供たちも、高齢者の方となかなか触れ合う機会というのは減ってきていますから刺激にもなるでしょうし、また、高齢者の方々も、子供たちと触れ合うことでよりお互いがいい刺激になる。また、親から学べないしきたりだったり文化だったり、こういったものも知るいいきっかけになると思いますので、是非前向きに検討をしていただきたいと思います。

 本日は、保育の質についても質問をさせていただく予定だったんですが、少し時間的に厳しくなってまいりましたので、次回に併せて質問をさせていただきたいと思います。

 私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 まず最初に、今回の法改正で余り取り上げられなかった地域医療連携推進法人についてお伺いをしたいと思います。

 病院の数が多く規模が小さい特徴を持つと言われます我が国の医療提供体制というのは、利便性は高いのでありますが、経営効率において負の要素が大きいと言われてきた中で、二〇一七年に導入された制度であります。合併や買収ではなく、参加法人が各々独立性を保ちながら、医療品の共同購入、また、参加法人間の病床融通、人的交流や医療従事者の共同研修など、グループ化の利点を享受できる特徴があります。

 この間、様々な地域で法人が設立をされて、直近ですと二十九を数えることになりますが、今回、これに個人立の医療機関や介護事業者等の参加を可能とする仕組みを導入するということでありますが、この仕組みを導入するに至った理由というのをまず伺います。

加藤国務大臣 そもそも、この法人をスタートしたときから変わらない背景がありますが、少子高齢化の進展で医療需要の変化、また医療の担い手そのものの減少、こういった中で、限られた医療資源をどう有効に活用していくのか、介護も含めた医療機能の分担、連携、こういったことの必要性がより高まってきていると認識をしております。

 地域の限りある医療資源等を有効活用するためには、現在は法人立の間だけでありますが、個人立も含め、地域の医療機関等が協力して機能の分担や業務の連携を推進することが重要であります。

 そういった観点から、この法案では、地域医療連携法人について、個人が参加する場合には、地域医療連携推進法人を通じて参加する法人や個人に対して資金の貸付け等を行えないこととした上ではありますけれども、個人についても参加可能な仕組みとさせていただいたところでございます。

田中(健)委員 現状でも、勤務、また開業医に限らず、フリーランスや独立独歩でやっておられる方はなかなか成立がしづらいと言われていますが、この制度が広まれば、今まで以上に、理想ではありますが、地域や組織のつながりというのを意識しながら、また、地域医療とか、個人の方はチームの一員となるように医療を捉えていくような働き方にもつながればいいと考えます。

 個人立が入ることでどういうメリットがあり、また、医師の働き方というのにも関連して効果があるのか、見解を伺えればと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年度に地域医療連携推進法人とそれからそこに参加している法人に対して調査を実施したところでございますが、その中でお聞きをいたしますと、制度のメリットとして、各法人の経営課題などについて議論する関係の構築ができて、地域の状況を踏まえつつ問題解決を図ることが可能となったなどの地域連携上のメリット、そしてまた、患者の紹介、逆紹介や転院の円滑化による病床稼働率の改善、また医薬品などの共同購入による経費削減などの経営上のメリットがあるといったこと、そしてまた、医療従事者などの人事交流や質の高い共同研修の実施により医療サービスの質の向上や人材育成につながったなど、運営上のメリットなどが挙げられていたところでございます。

 今回、個人立の医療機関などが新たに連携推進法人に参加いただくことによって、個人立の医療機関などにおきましても、今申し上げたようなものと同様のメリットが享受できるようになるのではないかというふうに期待しているところでございます。

 また、今委員御指摘の医師の働き方ということでございますけれども、働く環境については様々な要因に影響されるものでございますので、なかなか一概にこの制度による効果ということは申し上げにくいところが正直ございますが、一般的に申し上げれば、地域の医療機関の機能分化や連携が進むことによりまして医療機関間の負担の偏りの平準化にも資するといったことが期待されまして、その結果、そこで働く医師を始めとした医療従事者の方々などが専門性を生かして働くということにもつながっていくことが期待されるというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 なかなか病院の経営、また個人でやるのが大変な中、何とかできないかという提案で、皆が生き残っていけるように、診療報酬と介護報酬を再配分する医療、介護に関する地域連結決算、その法人の中の報酬を一緒にして、決算にして分配できるような仕組みができないかというような提案もされているところでありますが、この考えについてはどのような判断でしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 診療報酬や介護報酬についてでございますが、これは、医療サービスや介護サービスを提供した対価ということで、サービス提供を実施した医療機関などに支払われるものというものでございますので、実際にサービス提供を実施をしていない保険医療機関等に対して報酬を支払うということはできないというものになってございます。

 また、連携推進法人におきましては、参加する医療機関などで支払われました診療報酬などを連携推進法人がいわば吸い上げて再配分するといったような仕組みは想定をしていないという状況でございます。

 なお、今の連携推進法人におきましては、グループ全体で円滑な資金調達が可能となりますように、参加法人の余裕資金を活用した資金の貸付けは行うことができるような仕組みとなっているということでございますので、そういった仕組みなどを活用しながら取組を進めていただければというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 報酬による分配はできないということでありますが、やはり、個々の利益にとらわれずに、地域全体の収支に着目して、共倒れを防ぎ、また、みんなが存続していける方策を探ろう、そういう考えは理解してもらえるかと思います。

 慢性疾患を抱えた病人が増える中、いかにして高度急性期から慢性期や療養病床、また、地域包括ケアの病床へスムーズに移行できるか。先ほどもお話がありましたが、機能分化というのが大きなテーマとなってくるかと思います。また、鍵になってくるかと思いますが、どのようにこの役割を果たしていける可能性があるのか、見解を伺います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 地域医療連携推進法人につきましては、先ほども委員からお話ありましたように、地域の医療機関相互の機能の分担、連携を推進をするということで、まさに質の高い医療を効率的に提供することを目的とした仕組みとなってございます。

 少子高齢化の進展によって医療需要の変化や医療の担い手の減少が見込まれて、今後、地域の限りある医療資源などを有効活用するということで、この法案で、個人立の医療機関なども参加できるような仕組みを設けるとさせていただくことを御提案申し上げております。

 経営面におきましては、先ほどお尋ねありましたように、地域医療連携推進法人でその受け入れた収益を再配分するということは難しいところがございますが、地域医療連携推進法人自体は統一的な連携推進方針の下で一体的な運営を目指すということにしておりまして、そういった考え方の中で、法人内での人事交流による人員の最適配置でありますとか、患者の紹介や逆紹介、また、医薬品などの共同購入といったような連携などを地域で進めていただくことによって、参加医療機関等全体の経営状況を改善するといったような効果も期待できるというふうに考えてございます。

田中(健)委員 二〇一七年にできたときは、すごく期待をされ、また、多くのメディアでも取り上げられたんですが、ここ最近、ちょっと、今ちょうどその実証をしているところだと思うんですけれども、余り取り上げられず、今回、少しではありますけれども、法改正が進んだということでありますので、是非、地域における病床機能の分化や連携につながるように議論を更に進めていただきたいと思っています。

 引き続きまして、地域医療機能推進機構、JCHOの積立金前倒し納付について伺います。

 本会議でも数多くの議論が出ておりましたが、積立金の六百七十五億円のうち、防衛費の財源確保の特別措置法案により、三百二十四億を前倒し納付の対象とすると示されました。一方、JCHOにおいては、コロナの緊急包括支援交付金の過大交付が会計検査院からも指摘をされているところであります。

 この交付金の金額、さらに、三百二十四億円というこの算定根拠というものについて伺います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、特例的な国庫納付をお願いしているJCHO、地域医療機能推進機構でございますが、JCHOの方で納付をお願いする金額として、今委員御紹介の三百二十四億円というものを上げているところでございます。これは、新型コロナ対応のために、一般財源を原資として、令和三年度に交付されました病床確保料の実績を踏まえて、病床確保に係る費用などを考慮して算定をしております。その際に、ちょっと今委員御指摘がありましたが、会計検査院の指摘ということもございまして、病床確保料の返納というものが一部生じておるわけでございますが、この算定に当たりましては、会計検査院の指摘を踏まえた、確保料の返納が今後一定程度生じ得るということも考慮した上で算定をしているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、地域医療機能推進機構がその責務や地域医療における役割を今後とも適切かつ確実に果たす運営を行うことができますように、今後の経営状況などを注視していきたいと考えているところでございます。

田中(健)委員 この過大交付の返還額、分からないということでありますけれども、さらに、今、それも考慮して三百二十四億を決めたということなんですが、これは、山本理事長の発言によれば、自主点検の結果、相当な額になりそうだとも発言があります。

 例えばこれが、分かりませんが、三百億であったならば、三百二十四億円のうち三百億円は元々は交付されて返還されるものですから、収益というのは二十四億円になると考えてよろしいんでしょうか。そうなりますと、前倒し納付というよりも、今のうちに確保してしまえというふうにも捉えられてしまってもおかしくないんですが、返還額を確定するのは今まだ調べている先ということでありますが、例えば、返還額があった場合に、この三百二十四億円というのは変わることはあるんでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回、返納金額として三百二十四億というのを法案の上でも計上させていただいているところでございますが、これにつきましては、先ほどもちょっとお答え申し上げましたように、今後、まだ実績自体は確定はしているところではございませんけれども、会計検査院の指摘を踏まえて、確保料の返納が一定程度生じるということを考慮して算定をしているというものでございます。

 そういう意味で、私どもとしては、基本的にはこの三百二十四億円というのには変わりがないというふうに考えているところでございます。

田中(健)委員 そうしますと、仮定でありますが三百億であった場合、今、積立金は六百七十五億から三百二十四億を引かれた三百五十億ほどですが、その中で返すということになるわけでよろしいんですね。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今、委員の仮定のお話でございますので、今の段階で具体的に返納額が幾らになるかという点については、お答えすることはなかなか難しい状況ではございますけれども、私どもとしては、一定程度これが生じ得るということを見込んだ上で算定をしておりますので、基本的にはその枠の中で対応可能ではないかというふうに考えているところでございます。

 実績自体はまた改めて、今現在、各都道府県に対して会計検査院の結果を踏まえて調査をお願いしているところでございますので、その結果を踏まえて、またそれ自体はしっかりと対応していきたいというふうに思っております。

田中(健)委員 JCHOは独立行政法人ですけれども、この委員会でも私は別の件で何度か質問させてもらいましたが、赤字でも国の交付金は入らず、自己財源でのやりくりをしながらの運営でありますが、今回、一般財源を原資とした収益は前倒しということです。

 前回議論をさせてもらった地元のJCHOの清水桜ケ丘病院、今新設中でありますが、建設資金が足りずに、五億円を市民に募るというようなことをやりながら何とか開業を目指しています。

 このように、コロナの先行きが見えない現状を抱えているのが今の医療の現場であるかと思っていますので、だからこそ、理事長が、二四年の中期計画、何とか積立金を充実させてほしい、充当させてほしいということも何度か訴えておりましたが、今回の前倒し計画をお願いをしたということでありますが、これはJCHOさんも理解、また合意の上、納得の上でという理解でよろしいでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 地域医療機能推進機構には、これまでも、新型コロナ対応の関係では、病床の確保でありますとか、あるいは臨時医療施設に医療人材の派遣など、通常の医療と並行して新型コロナ対応についても御尽力をいただいてきたところでございまして、私どもとしても深く感謝しているところでございます。

 今回、地域医療機能推進機構の積立金につきましては、地域医療機能推進機構法に基づきまして、期間満了時に、次期期間中に必要な業務の財源に充てるために繰越しを認めた額を除き、年金特会に納付をするということとされていること、また、診療事業につきましては、平成二十五年の閣議決定において、積立金は、次期期間中に必要な施設整備などの財源に充てられるよう配慮するとされていることなどを踏まえつつ、政府の方針として、新型コロナ対策の予算などによって積み上がった積立金のうち三百二十四億円について、中期計画の期間満了を待つことなく、特例的に前倒しで国庫納付に御協力をいただくということとしたところでございます。

 昨年末、予算編成時に大臣と財務大臣との折衝を行っていただいたところでございますけれども、今後の積立金の取扱いにつきましては、地域医療機能推進機構に課せられました責務や、あるいは、地域医療におけます役割を適切かつ確実に果たす運営を行うことができますように最大限の配慮をするということを確認をいたしておりまして、機構においては、この前提の下、政府の決定として受け止めていただいているというふうに考えているところでございます。

 施設設備の整備につきましては、これまでも、繰り越された積立金の多寡にかかわらず、当期の診療報酬などの自己収入や、あるいは財政投融資資金の借入れなどを財源として、法人が担うべき医療を長期的に安定して実施できますように、中期計画に位置づけられました整備計画に基づいて計画的に取り組まれているというふうに承知しております。

 次期の整備計画につきましては、今後、令和五年度中に法人において計画されるものでございますので、現時点で具体的な内容については承知してございませんけれども、令和三年度の法人の財務状態につきましては、今般の積立金の返納があったとしても、令和元年度と比較して改善しておりまして、自己収入や、あるいは借入金などにより必要な投資が直ちに困難になるというふうには考えておらないところでございます。

 今後とも、地域医療機能推進機構が引き続きその責務などを果たせますように、機構の今後の経営状況などをしっかりと注視してまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 今、局長お話がありました平成二十五年の閣議決定、これは、予算委員会の中で、確かに中期計画中に必要な施設整備の財源に充てて、そして踏まえた上で、政府の方針として防衛力を維持強化するためにあらゆる工夫を検討したと。この答弁を答えたのは加藤大臣であったわけですけれども、私は、とてもJCHOの現状を配慮した、また国民の負担を考えたとは言いづらいと思っています。

 今局長からもあったように、JCHO、地域医療の機能推進機構ということで、地域医療を担う病院として全国にあります。そして、コロナにおいても本当に大きな役割を果たしました。その中で、このようにして三百二十四億円を前倒しされるということについて、改めて大臣の見解を最後に伺えればと思うんですが。

加藤国務大臣 今局長から御答弁をさせていただいた中身によって今回対応させていただいているところでございます。

 我々としても、もちろん、今後の地域医療推進機構の経営といいますか、運営、そういったことも見通しをしながら、もちろん、現段階で次の計画は明らかになっていませんけれども、これまでの対応等、これらも踏まえながら判断をした上で、こうした金額について国庫に前倒しで納付するということを決めさせていただいたところでありますが、地域医療機能推進機構が、コロナにおいてもしっかりとその役割を担っていただいたわけでありますけれども、引き続き、地域における医療を含めてその役割を担っていただけるように、機構ともよく連携をしながら対応させていただきたいと考えています。

田中(健)委員 是非お願いしたいと思います。

 最後、前回の質問が残っておりまして、ワクチンの接種でありますけれども、この予防接種の健康被害救済制度の認定数が、新型コロナウイルスワクチンはかなり増えています。月に今三回やっておりますが、三月十七日が百八十四人、二十七日が百八十三人、直近の四月七日は百七十六人と、かなりの認定数が出ているように見て取れますけれども、さらに、十七日を分析しますと、十代、二十代の急性心筋炎が多数確認をされています。

 これは何が起きているんでしょうか。ワクチンの副反応に何か変化があるのであれば、教えていただければと思います。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 予防接種による健康被害に関する予防接種健康被害救済制度における認定に際しましては、厳密な医学的因果関係を必要とせず、また、予防接種によって起こることを否定できないものも対象として、迅速に幅広く救済しているものでございます。このため、予防接種被害救済制度における認定件数をもって直ちにコロナワクチンの安全性を議論することは適切ではないと考えております。

 一方で、副反応を疑う症状につきましては、医療機関などから報告された情報を収集しまして、関係審議会で個別症例の評価や集団での系統的な分析、評価によりまして予防接種の安全性等を評価した上で、適切な措置を講じてきたところであります。

 また、委員御指摘の認定件数の急増につきましては、救済制度の審査の迅速化のため、これまで、審査会の開催頻度の増加、審査会の増設、それから事務局の機能の増強などの取組を行ってきたところでありまして、さらには、審査事例が蓄積されたこと等により、令和五年三月には、おおむね月前の進達受理件数を上回る審査結果となったところでございます。

田中(健)委員 時間が来ましたが、いつも厳密な医学的因果関係はないと言うんですけれども、トレンドだけを見ても、十二月は七十四人、一月は六十八人で、この三月、四月の一か月で五百四十三人です。もちろん調査を増やしたと言うんですけれども、やはりこれだけの数がいる。今、トータル二千百八十八件あります。この数を、単なる数、単なる被害者数というふうに言ってしまうんですけれども、そうではなく、今何が起きているのかと。

 やはり、ワクチンについては、心配な人というのはかなり多くいらっしゃいます。ワクチンを、でも政府としては打ってほしい、打たなきゃならないという中、やはり説明をして、何が起きているのかというのをつぶさに伝えて、そして、安心して皆がワクチンを打てるような環境を整えてほしいと思います。

 以上で質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 今日も、子供の医療費についてお伺いいたします。

 今、全国三分の二の自治体が子供の医療費は無料にしております。一方、三分の一の自治体が、一回当たり二百円だとか五百円だとか、こういう負担を取っているということです。

 この間、加藤大臣は、子供の医療費無料化について、不適切な抗生物質の利用などの増加が懸念される、比較的健康な子供の外来を増やす、そういった課題が実証研究で示されていると述べて否定的な姿勢を示されております。その考えだと思いますけれども、岸田政権の少子化対策のたたき台の中にも、子供医療費を有料化しよう、こういう方向に向けた文言が盛り込まれております。こう書いているわけですね。「適正な抗菌薬使用などを含め、こどもにとってより良い医療の在り方について、今後、国と地方の協議の場などにおいて検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる。」と。

 これは、この間の大臣の答弁と重ねてみれば、このたたき台の文言は、地方自治体に対して子供の医療費有料化を求めていくものであるというふうに思えます。私は、子供の医療費について有料化を求めるというのは反対でございます。

 そこで、先週、私は、加藤大臣が紹介された実証研究のデータというのは、二〇〇五年から二〇一五年までのものだ、二〇一五年以降は抗生物質の適正使用の取組が進んでいる、こう指摘しましたが、大臣からは、それは推測ではないかと言われました。

 そこで、改めてお伺いしたいと思います。これは参考人で結構ですので。

 二〇一五年に比べて、抗菌薬の使用量、販売量はどれだけ減少しているでしょうか。二〇一九年と二〇二二年の値を教えてください。

    〔委員長退席、田畑委員長代理着席〕

佐原政府参考人 お答えいたします。

 これは、国立国際医療研究センター、AMR臨床リファレンスセンターの全国抗菌薬販売量サーベイランスによりますと、ヒト抗菌薬の販売量は、二〇一五年が十四・六八DID、DIDというのは、人口千人当たりの一日の量ということでありますが、二〇一五年が十四・六八と比較しますと、二〇一九年は十三・二八DIDで約一〇%の減少、二〇二二年は十・二二DIDで約三〇%の減少率と、それぞれ減少しているところでございます。

宮本(徹)委員 今、全体の数字を述べてもらいましたけれども、小児医療ではどれだけ減少しているでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 AMR臨床リファレンスセンターでは、匿名レセプト情報・匿名特定健診等情報データベース、いわゆるNDBに基づいた抗菌薬使用量の動向調査を行っておりまして、本調査に基づきますと、十五歳未満の抗菌薬の使用量は、二〇一五年が一六・七三DIDでありまして、これと比較しまして、二〇一九年は一二・七五DIDで約二三%の減少率、そして二〇二〇年は七・九六DIDで約五二%の減少率と、それぞれ減少しております。

 なお、二〇二〇年以降の抗菌薬使用量及び販売量については、新型コロナの流行の影響も想定されることから、今後の推移について注視が必要と考えております。

宮本(徹)委員 コロナの影響もあるので、あえてコロナの前の年の二〇一九年も今日は紹介していただきましたけれども、紛れもなく、二〇一九年までの傾向を見ても、抗菌薬の使用、抗生物質の使用は減っている、とりわけ小児の分野で顕著に減っているということでございます。

 ですから、私が先週述べたことは、推測ではなく、厳然たる事実だということをまず初めに申し上げておきたいと思います。

 その上で、小児医療において抗菌薬の適正使用の取組、どう進んでいるのか、紹介していただけますか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 薬剤耐性対策につきましては、政府として二〇一六年に薬剤耐性対策アクションプランを策定いたしまして、これは二〇二三年四月七日に新たな五か年計画で改定しているところでございます。

 厚生労働省では、委託事業として、国立国際医療研究センターのAMR臨床リファレンスセンターにおきまして、小児に特化した抗菌薬の適正使用等に関するAMR対策等の研修会を開催するとともに、教育ツールを作成しております。

 それから、小児医療においては、厚生労働省では、生後三か月以上から学童期未満の乳幼児編を追加した抗微生物薬適正使用の手引き第二版を二〇一九年に策定し、また、診療報酬におきまして、抗菌薬の適正使用を進めるため、小児抗菌薬適正使用支援加算等により、適正使用の取組を評価しております。

 さらに、二〇二四年度から始まる次期医療費適正化計画における新たな目標として、小児医療において診療することが多い急性気道感染症、急性下痢症に対する抗菌薬など、効果が乏しいというエビデンスがあることが指摘されている医療の適正化を位置づけ、都道府県が地域の保険者、医療関係者等と協力して取り組むこととしております。

宮本(徹)委員 今紹介してもらいましたけれども、政府も自治体も医師も国民も努力して、不適切な抗生物質の使用というのは減らしてきている。二〇一五年以降、子供の医療費を無料化にした自治体は広がりましたけれども、その中でも、実際は小児における抗生物質の使用量というのは減ってきているわけですね。

 四月七日、先週金曜日ですけれども、新たな薬剤耐性対策アクションプランが策定されましたが、この中では、不適切な抗生物質の利用を減らすために医療費の自己負担を設ける、このような方針はあるんでしょうか。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のAMRアクションプランにおきましては、医療費の自己負担に関する記載はないと承知しております。

宮本(徹)委員 そういうことなんですよね。

 ですから、子供の医療費有料化によって不適切な抗菌薬を減らそうなんて、そういう邪道な方針は元々政府は考えていなかったわけですよ。ところが、ここになって突然、ある論文に依拠して出てきているわけでございます。

 私は、やはりこれまでどおり、医師などへの普及啓発、教育活動だとかこういうことを通じて、不適切な抗菌薬の使用は減らしていくというのが王道だと思いますよ。これを自己負担によって減らそうということをやったら、自己負担を設ければ必要な医療までアクセスできない方が生まれてしまうわけですから、こういうやり方はやるべきではないと思います。

 それでは、配付資料の裏面に、政府がこの間、答弁で紹介しております東大の飯塚先生と重岡先生の論文、一ページだけ今日は掲載をさせていただいております。この中で、確かにレセプトデータでは、不適切な抗生物質の使用が、二百円の自己負担を課すことによって一八・三%減少するということにはなっているわけですが、これは二〇一五年までのデータでございます。

 大臣の認識をお伺いしたいと思いますが、今ほど来の数字を踏まえて、二〇二三年の現状において、この二〇一五年までの結果というのは当てはまるとお考えでしょうか。

加藤国務大臣 いや、まさに、こうやってAMRに対する対策を取ってきて、その効果が出てきているということ。

 ただ、二〇〇五年から二〇一五年をベースにしたときには、そうした医療費の無償化というものが、抗生物質の使用など、文章上は価値の低いという言い方をされていますが、価値の低い医療を増やしてきた、これは実証として出てきているわけでありますから、その点は十分留意する必要がある。

 ただ、それに対してどう対応していくのかという意味において、AMRに関しては、本件、子供医療だけじゃなくて大人医療全般も含めて、また、今度のG7の保健大臣会合でも一つのテーマになると思いますが、これは国際的にも取り組むべきものとして取り組んできたということで、そしてその効果がこうして表れてきているというのは、様々な皆さんの努力のおかげだというふうに思います。

 その上で、じゃ、飯塚論文に言う価値の低い医療がどうなのかということに関しては、これはどういうふうに減ってきたのかも分かりませんから、少なくとも、直ちに、全体が減ったから、それがなくなったということにはつながらないし、また、抗生物質以外にも様々なそうしたことが指摘されている医療もございます。そういったことも含めてよく見ていく必要があるということと、それから、やはり大事なことは、こうした医療に医療資源が使われるということは、逆に、本来必要なところの医療資源というものがそちらに使われなくなってしまうという、医療資源そのものをどう使っていくのか、こういった視点にものっとって議論していく必要があるというふうに思います。

    〔田畑委員長代理退席、委員長着席〕

宮本(徹)委員 さすがに大臣も、この二〇一五年までのデータがそのまま当てはまるとは言えないと思うんですよね。

 私も、念のため論文の執筆者に今回確認して、質問をしております。こうおっしゃっていました。我々の論文で使用したレセプトデータは二〇〇五年から二〇一五年ですので、その後については論文から直接言えることはありません、こういうふうに伺っておりますので。

 ですから、この間、何度も大臣が述べられている、不適切な抗生物質の使用が増えるというのは、それは二〇一五年までのデータの話ですから、今についてそれが当てはまるかどうかというのは、それは直接言えることではないんだという立場に立っていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 その上で、もう一点、大臣は、子供の医療費無料化では比較的健康な子供の外来を増やす、こう述べられてきたわけですけれども、これも同じページに論文の表が出ておりますが、ヘルスとシックというふうに分けておりますが、この論文の、ヘルス、シック、健康、病気のデータの区分からすると、比較的健康な子供とは受診の時点で健康な子供という意味ではない、こういうことでよろしいですね。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の論文では、地方自治体による子供医療費への助成の内容に変化がない六か月間における総医療費の実績に基づきまして、三つのグループに子供たちを分けて、総医療費が最も低いグループを健康、最も高いグループを病気としていると承知しております。

 大臣が先日答弁をいたしました比較的健康な子供は、このグループでいうと、健康の区分に該当した方のことだと承知しております。

宮本(徹)委員 今答弁あったとおり、比較的健康と言っているんですけれども、しかも、この論文も、ヘルスとシック、健康、病気と書いていますけれども、これは、皆さん、症状があって医療機関に基本的に受診された方々の区分けなんですよね。

 ですから、健康というふうに、あるいは比較的健康と大臣がおっしゃっている方々も、皆さん、病気ないしけがで医療機関にかかっている子供なんですよ。何か、比較的健康な子供と言うと、病気でない人がかかっているかのように聞こえるわけですよね。そういう誤解を広げる言葉遣いは、私はこういう場ではやめた方がいいと思います。

 そして、このヘルスのグループ、あるいはシックのグループも、受診の結果かかった医療費で分けているということなんですよね。受診の結果、それほどたくさんの治療は必要じゃなかった方がヘルスになって、たくさんかかった方がシックということですから。

 ただ、これは、親御さんの立場からすると、受診の前に熱がある、心配だと連れていくわけですよね。もしかしたら、それはただの風邪かも分からない。しかし、大きな病気が潜んでいるかも分からない。それは我々は素人だから分からないわけですよね。だから医療機関にかかるわけですよ。そういうことを考えると、受診の結果で区分けした資料をそのまま私たちが受け止めていいのかなというと、私は違うんじゃないかと思います。

 そして、この論文は、少額の自己負担、一回二百円があった場合、どれだけ受診が減少するのかというのが、レセプトデータに基づいて算出しているわけですけれども、月三回以上の受診数の減少率に着目すると、ヘルスとされているグループが大きいわけですけれども、受診の減少幅、これに着目すると、シックのグループの方が大きいんじゃないですか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の論文では、一か月に一回以上外来を受診する割合について、外来を受診した際の自己負担なしのケースと一回二百円を負担しているケースを比較した場合、結果としまして、一回二百円を負担するケースの方が、健康なグループでは一六・七%減少、病気のグループでは二・五%減少と、減少率は健康なグループの方が大きくなっております。そこについての論文の評価は、自己負担なしのケースと大きな違いはなく、統計学的にその差は小さいというふうに述べられています。

 それから、もう一つ、表の中には、一か月に三回以上外来を受診する割合についても見ておりまして、この場合は、一回二百円を負担するケースの方が、健康なグループでは二七・九%の減少、病気のグループでは一二・三%となっておりまして、減少率は健康なグループの方が大きくなってございます。

 先生の方から減少幅という御指摘ございますけれども、その比較は、病気の方が減少幅で見ますと若干多くなっておりますが、これは、元々、健康なグループの受診数が病気のグループの受診数の三分の一以下であるということがございまして、その絶対値を比較することには慎重に考える必要がある、このように考えております。

宮本(徹)委員 その最後の言い方がよく分からないですね。

 絶対的な幅は病気のグループの受診の方が減るわけですよ、絶対的な幅は。この三回以上の受診ということを見ても、有料と無料化というので見れば、病気の方々が〇・〇二のマイナス、ヘルスの方が〇・〇一四のマイナスということですから、減少幅でいえば、病気、シックのグループの方が大きいわけですよね。

 私は、多く何度も何度もかからなきゃいけない、三回以上です、これは、何度もかからなきゃいけない、しかも医療費がかかる方々ですよ。そういう方々が、少額の負担によっても受診を我慢せざるを得なくなっちゃう、ここに私は注目しなきゃいけないと思うんですよね。

 ここはもう大臣にお伺いしたいと思いますけれども、子供の医療費無料化について評価する際は、ヘルスとされているグループにおいてもシックとされているグループにおいても、自己負担を設けることによって、受診の減少をもたらしています。これ自体、私は、やはり負担というのは大きな問題があると思っています。必要な治療の抑制につながっていると思います。

 こういう点をしっかり見ていかなきゃいけないんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 先ほどの幅ということを言い出すと、集団の人数が多い方へ、率が少なくたって、数が増えるということになりますから、統計を見るときに、やはりそれぞれの集団の規模ごとの特性を踏まえて考えれば、率に着目するという方が合理的だし、この論文の方もそれにのっとって議論し、そして、それについてそれぞれ優位性がある等々統計的な処理をされ、そして、特に一回以上の場合においての判断については、先ほど局長からも答弁がありましたように、自己負担なしのケースと大きな違いはなく、経済学的にはその差は小さい、経済学的というか統計学的というのか、そこは分かりませんが、こういう判断をされているということですから、むしろ、こういったデータも見ながら、私は議論していく必要があると思います。

 それから、大事なことは、先ほど少し申し上げましたけれども、結果的に、限られた医療資源をどう有効的に使っていくのかという中において、医療費が無償の場合と比較して、一般的に、子供の受診を減らし、特に相対的に医療費が少ないグループの子供の受診を減らすことによって、症状の重い患者あるいは重い子供さんの患者に医療資源をより割り当てる効果がある、こういった報告、このことはしっかり受け止めながら議論していく必要があるんだろうというふうに思います。

宮本(徹)委員 いや、私、それは多分、多くの保護者の皆さんの実感と違うと思いますよ。子供の受診を医療資源を理由に減らさなきゃいけない、そんな状況というのは、今、日本社会の中で生まれているんですか。小児科医のところは、もう本当に全く小児科医がいなくて、ぱんぱんに腫れちゃって、子供の受診を、比較的重くないだろうと思われる方は受診を抑制しなきゃいけないような事態が日本社会で生まれているんでしょうかね。私は、そんなこと、とても生まれていないと思いますよ。

 それよりも、本当に、熱発であっても大きな病気が潜んでいるかも分からない、だからこそ安心して医療にかかれるようにする、そのことによって健康と命をしっかり守っていく、このことの方がはるかに大事なことだと私は思いますよ。(加藤国務大臣「同じことを言っています」と呼ぶ)同じことを言っていないですよ。全く違うことを言っているから、私は申し上げているわけでございます。

 大臣、反論したそうですけれども、私の質疑時間が終了しましたという紙が来てしまいましたので、またこの議論については引き続きやりたいと思います。

 終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 大臣、今日、私がこの採決の前の大臣に聞ける最終バッターになりますので、よろしくお願い申し上げます。

 今回の法案に関する議論で、全世代型、私はかねてより全地域型ということも訴えてまいりました。限られた医療資源でございますが、少なくとも二次医療圏には、フリーアクセスの下で、受けたい治療あるいは診断、診察を、国民が比較的同じような保険料を払っているのであるならば、受けられるようにあるべきだという、いろいろなことを申し上げてまいりました。

 その中で、ちょっとこの間、野党系の皆様方の下でも出ておりますかかりつけ医のことについて確認したいと思います。大臣、主治医とかかりつけ医の違いは何ですか。

加藤国務大臣 少なくとも、法律上、主治医、かかりつけ医という定義はないというふうに承知しています。

仁木委員 大臣、法律上ないのは分かりますが、かかりつけ医の定義がファジーというか、なかなか定まっていない中で、私は、議論がなかなかかみ合わないというふうに思っています。

 そういう中で、大臣が患者さんであるとするならば、主治医、かかりつけ医、違いはどういうことになると思いますか。

加藤国務大臣 私のケースでいって、だから大臣の答弁ということではなくて個人的な見解ということでありますけれども、基本的に、私のことになりますけれども、余りそこは明確な区分、定義を自分自身でつくって、余り区別していないというふうに思っております。

仁木委員 それでは、政府参考人に確認したいと思いますけれども、私は、主治医というのは、同じ臓器、同じ疾病においては、二人以上、一般にはいないと思うんですけれども、かかりつけ医はそれがあってもいいというふうに思いますが、いかがでしょうか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる主治医というのは、いろいろな疾病の状況に応じましても、専門科目によっても、いろいろな主治医の方々というのはやはりおられる可能性はあるかというふうに思っております。

 一方で、かかりつけ医というのも、今回、私どもとしては、法案の上では特段定義を置かずに、一般的な用語ということでこれまで御説明申し上げてきておりますが、日頃からかかっている身近な医師や医療機関というような意味で私どもとしては用いさせていただいている、一般的な用語として使用している、施策の中でもそういった形で使用させていただいているという状況でございます。

仁木委員 私は、今回、医療の現物支給である現場に関しまして、その基となる財源、これを公平に支え合うという今回の法改正、このことには賛成なんですけれども、束ね法案で、ではその財源をもってしてどういう医療が展開されるのかというところに関しまして、特に、かかりつけ医というキーワードが定まっていない。今お聞きしましても、政府参考人からの答弁でもちょっと、しっかり、国民の側には分かりにくいと思う中で、なかなか賛成しにくい状況はありますが、その上で、私がちょっと感じていることを質問したいと思います。これは通告していました。

 今、かかりつけ医制度、コロナ禍で、特に、医師法に抵触する対面診療というのが変わってきまして、遠隔診療というのがかなり主流になりつつあります。これを将来的に私はどんどんと展開していくべきである、特に、私が先ほど申し上げた、全地域型、医療資源の乏しいところにおいては、この遠隔診療というものもこれから主流になるべきだと考えていますが、その辺、大臣、展望ですね、今、いろんなICTが進歩しておりますし、国民のニーズも高まっております。そこに医療DXも乗っかってきていますので、その辺の展望に関する大臣の所見をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 オンライン診療については、令和二年の四月に、新型コロナ禍の時限的、特例的な取扱いとして、初診を含め可としてスタートしたところでありますが、その後、新型コロナ禍におけるオンライン診療の活用状況を踏まえつつ、コロナ収束後の恒久的な枠組みについて検討を行った上で、昨年一月、オンライン診療の適切な実施に関する指針が改定され、かかりつけの医師による診療であることなど、一定の要件を満たしていれば、初診からオンライン診療を可能とするなどの見直しを行ったところでございます。

 オンライン診療の実施に当たっては、医学的知識のみならず、情報通信機器の仕様、情報セキュリティー等に関する知識が必要となるため、厚労省としても、オンライン診療の研修事業等を実施をさせていただいているところでございますので、こうした研修事業を通じてオンライン診療を始めとした遠隔医療が適切に実施されるよう、取り組んでいきたいと思います。

 特に、今委員から御指摘もありました、過疎地については、実際、私の地元でもそうでありますけれども、医師の高齢化、残念ながら、その後、後を継ぐ方がいないという状況もあるわけでありますので、そういったところにおいて、こうしたICTを活用した遠隔医療を含めた医療の展開、こういったことも考えていく必要があると思います。

仁木委員 将来的に医師法の改正も視野に入れているように受け取れましたが、私は、医療の現場において、特に、かかりつけ医がどういう機能を果たすんだろうと、現場に落として、この法案が通った後の現場を想定するに、例えば、患者さんも、受けたい医療が、かかりつけ医であったら二十四時間、場合によっては夜、いわゆる外来診療時間外でも受けられるとかですね、そのかかりつけ医であるならば。もちろん、それに伴う、現物支給ですから、その対価として診療報酬等々もあるわけでございますけれども、そうすると、今高齢の医師のお話を大臣されましたが、やはり、医師になる者も、ICTリテラシーもしっかりと診療とミックスして研修していく、そういったことも重要だと考えております。

 私は、この間、そういった、今、電子カルテも、あるいはオンライン本人確認にしましても、やはり、インストール、いわゆる設置しても、それをランニングしていくコスト、これは結構、ベンダーロックイン現象とか、いろいろほかの要因もあるけれども、実際、具体的にそういったことを担保する、結構高いにもかかわらず、経営的な概念でいうと、担保するそういった財源が余り明確になっていないと思うんですね。国民から、いわゆる患者からある程度負担をいただくということもありますけれども、そのメリットも国民、患者さんに通じていない中で、私の質問は二点あります。

 医師が、そういったことを、ICTリテラシーも含む上で研修も必要だと思いますが、そのことはいかがですかという一問と、もう一個が、それをバックアップするための診療報酬等々、ICTの環境、医療環境が変わっていくわけですね、その辺に関することに関して、二点お願いしたいと思います。

伊原政府参考人 一つ、実際かかる費用をどうしていくかという話について御答弁させていただきますと、まず、確かに、オンライン資格確認もそうですし、様々なICT機器の導入に伴って新たなコストがかかります。そこに関しましては、今実際、例えばオンライン資格確認でいきますと、システム整備とか、あるいはカードリーダーの費用とかは公費で支援をしております。ランニングコストに関しましては、具体的な特定項目を決めてやっているわけではございませんけれども、今、臨時的には、加算措置というような措置も講じております。

 ただ一方、この先を考えてまいりますと、オンライン資格確認を導入しても、実際、事務処理コストが下がってきていると。私も、この前、医療機関を訪問させていただきましたけれども、そうした現状もございますので、やはり、かかるコストと、それによって効率化する部分、その辺を全体評価しながら考えていくことではないか、このように思っております。

仁木委員 それでは、ちょっと時間の関係で、次の質問に移りたいと思います。

 私は、財源確保という、例えば大きな財源というタンクに水、いわゆるほかの支援を公平に入れていくということに加えて、出口の部分、タンクから出ていくありようを、やはり保険者機能を強化して適正化していく、医療の適正化について、あるいは介護の適正化について質問したいと思います。

 今、いろいろな方々が、タスクシェアを行いながら、一人の患者さん、地域包括ケアシステムの中、中学校区でお暮らしの高齢者あるいは患者さんを守っているというか、そういうサービスが提供されていると思いますが、今、現場では、リハビリを実際担う方は、PTさん、OTさん、STさん、いらっしゃいますけれども、そういったリハビリをもっと受けたいな、医療保険で、もっとこういうのがあったらいいな、介護保険でという声があります。

 大臣、リハビリもかなりエビデンスがありまして、それに対する国民の理解さえ進めば、そういった報酬を変えていくということに関して、私はリハビリがもっと受けられるようにすべきだと思いますが、その辺は、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 リハビリに対するニーズはいろいろあるというふうには承知をしております。心身機能の向上のみならず、ADLの改善、社会参加の促進にもつながるものであります。

 医療保険と介護保険のそれぞれにおいて診療報酬、介護報酬上の評価を行っているわけでありまして、医療保険の疾患別リハビリテーション料については、標準的算定日数を定めていますが、それを過ぎた場合であっても、治療の継続により状態の改善が期待できると医学的に判断される場合には、引き続き医療保険においてリハビリテーションの提供ができる。また、介護保険においては、訪問、通所リハビリテーション事業者の利用者がリハビリテーションによるADLの向上等により通所介護等に移行した場合に、その事業所を介護報酬の加算で評価するなど、アウトカムにも着目した評価を行っているところでありますし。

 さらに、医療と介護のリハビリに関する連携も重要でありまして、医療保険と介護保険、これはそれぞれ役割分担はありますけれども、それを前提とした上で、例えば医療保険のリハビリテーションを提供する医療機関が介護保険のリハビリテーションを提供しやすくなるように、必要な面積、人員等の要件、これを緩和するなど、累次の診療報酬、介護報酬改定での見直しも行ってきたところでございます。

 さらに、先日開催した令和六年度の同時報酬改定に向けた意見交換会において、リハビリについて、医療と介護でリハビリテーション計画書の内容を共有することが重要といった意見もいただいたところでございますので、それらも踏まえて、今年の年末は同時改定も控えておりますので、中医協等々において、リハビリテーションの評価の在り方、これについてもしっかり議論していただきたいと考えております。

仁木委員 私は、そういった出ていく部分の適正化に関して、やはり、医療経済学という医療の分野でありますけれども、そういったことをどんどんとスタディー、やっていくべきであると感じています。特にそういったツール、いわゆるデジタルトランスフォーメーションというのが行政等々にこれから浸透していきますので、そういった情報社会の国民にとっての利活用をこの分野でもやっていくべきだと思っています。

 特に、もう一点申し上げたいのは、食事というか栄養に関して、これは、実は重要なんですね。

 食育から始まりまして、高齢者にとっても今、低栄養が問題になっております。そういった栄養に関して、管理栄養士の活用であったり、あるいは今、自治体とコラボしてやっているなんということもあります。例えば、自治体とはまた別に、地域の郵便局の郵便局員の方が地域の高齢者を回って、いろいろな情報を集めてきて、それをケアマネにつないでいくとか、あるいは、お弁当配食業者がそういったことを、お弁当を配食して、デリバリーして、その際の地域のお年寄りの方の情報をつないでいく、そして医療とか介護につないでいく、そういったタスクシェアを、地域包括ケア、出ていく部分での適正化というのをやっていただきたいというふうに思います。

 それに関しまして、大臣、こういった、いわゆる、特に医療経済学的にならないかもしれないんですけれども、広くいろいろな統計、データが必要なことも加味した上での介護経済学、医療経済学的ないわゆる費用対効果というか、そしてアウトカムということを先ほども大臣もおっしゃいましたけれども、そういった事業を今後、スタディーというか研究をやっていただきたいと思いますが、大臣、どうでしょうか。

加藤国務大臣 委員の御指摘は、エビデンスに基づきながら医療、介護等を進めていくし、また実際やったものをどう評価するかということなんだろうと思います。

 これまでも、例えば特定健診、特定保健指導などについても実証事業を行って、その結果を踏まえて見直しを行ったということも実施をしてきているところでございますので、今後ともそうした観点に立って、例えば健常な高齢者に対して国立長寿医療研究センターを中心にアプリを活用した介入を実施し、その検証結果を踏まえ、介護予防に関するエビデンスの確立やエビデンスに基づく介護予防政策の横展開も行いたいと考えておりますので、引き続き、こうした実証事業も行いながら、それぞれの政策への反映、また成果の活用、こういったことを進める中で、いわゆるEBPMの考え方に基づく予防あるいは健康づくりといったことを進めていきたいと考えています。

仁木委員 大臣、ありがとうございます、前向きな御答弁。

 最後に質問します。

 高齢者の介護におけるボランティアポイント制度というのがありまして、これは個々の高齢者が健康寿命を延ばすことになるんですけれども、私が考えていますのは財源にも寄与する、例えば四十歳以下の方々が介護保険料を払うかどうかの議論もこの間あったと思いますが、そういった保険料を払う代わりに、要支援一、二の方々が必要とする訪問介護で行う清掃とか料理を作ったり、あるいは買物、あるいは医療機関への送迎等々、そういったことを被保険者が保険料を払う代わりにやって、財源に寄与していく。そして、働いた労働時間がたまっていって、そのポイントは自分が実際使うとき、高齢になったとき、あるいは病気をしたときに、介護を使うときに使っていくという制度を一応私は思っているんですけれども、大臣、それに関して、通告出していますけれども、最後に御見解いただきたいと思います。

加藤国務大臣 介護保険制度は、介護が必要となるリスクに対応するために国民がお互いに支え合う社会保険方式でありますので、保険料を負担をしていただく、また利用者負担についても一定の割合で負担をしていただくということが基本だというふうに考えております。

 ただ、他方で、今委員おっしゃったように、ボランティアにいろいろな対応していただく、特に介護の分野、あるいは周辺業務においてしていただくことは大変大事だというふうに考えており、これまでも、介護人材の確保から、現役世代や高齢者が介護分野の研修に参加したり、介護の周辺業務などのボランティア等を行ったりした場合、あるいは介護予防等の観点から、高齢者が介護予防に資する活動やボランティアに参加した場合には、例えば地域医療介護総合確保基金などを活用して自治体が商品等に交換可能なポイントを付与するといった取組に、まさに国庫補助を行ってきているわけであります。

 こうした取組がより一層幅広く行っていくように、我々としても取り組んでいきたいとは考えています。

仁木委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 自民党の小泉進次郎です。

 五分ですので、総理、早速質問に入らせていただきます。よろしくお願いします。

 今日は、総理が掲げています子供、子育て政策の基本理念の一つ、社会全体の構造や意識を変えていく、このことについてお伺いをしたいと思っています。

 例えばドイツは、保育園とか公園を造るときに、子供の声は騒音だ、こういったことでなかなかうまくいかない、頓挫してしまう、こういったことがないように、子供の声は騒音ではない、このような法律などもあるそうです。これも一つ、社会の意識とか構造を変えていく、これはドイツなりの取組なんだろうなと思います。

 今日はまず、総理にお伺いしたいのは、この前、総理が三月十七日の記者会見で触れられた子供ファストトラックです。

 これは、総理は、一例として国立博物館などを挙げましたが、私は、是非、公共交通機関、バスとか電車とか空港とか、やはり日々の日常の中で肩身の狭い思いをする育児中の方がその思いが軽くなったな、そんなことを感じるようなところで、子供や育児中の方が肩身の狭い思いが軽くなるような、そういう環境をつくっていくことが大事だと思うので、こども未来戦略会議などで経団連の会長などもいますし、経済界の方々にこういった協力、働きかけ、されたらいかがですか。

岸田内閣総理大臣 委員御指摘のように、子供、子育て政策を進める基本理念として、社会全体の意識あるいは構造を変えていく、こうした考え方を打ち出しています。

 ともすると、少子化問題、女性の問題、子育て世帯の問題となりがちなところ、是非社会全体の問題、国民一人一人の問題であるという捉え方をするべきであるということで、企業、男性、地域社会、高齢者、独身者を始め、あらゆる方々に参加をしてもらい、社会構造、意識を変えていかなければならない、このように思っています。

 そして、委員御指摘がありましたファストトラックの取組にしても、先行的に国の施設から始めようということで、既に新宿御苑においてはファストトラック、始めております。今後、公共施設あるいは民間部門へとこうした取組を展開させていきたいと思っておりますし、あわせて、子供の声が騒音だという声がある、こうしたことについても問題意識を委員と共有を、子供の声が騒音であるという声に対して、我々は改めて考えを改めなければいけない、こういった問題意識に私も共有をいたします。

 こうしたことこそ社会の意識を変えるということであり、先ほど申し上げたように、経済界を始め、あらゆる方々にこうした活動に参加してもらう、これこそ次元の異なる政策であると考えて、これからも政策を進めていきたいと考えております。

小泉(進)委員 私が今、そういう質問をしたのは、今、政府、また党から、いろいろな支援、やりますと出てきているんですけれども、余りに出過ぎて、どんな社会をつくるのかというところがなかなか伝わっていない部分があるんじゃないかなと感じているんです。

 私は、今日、この資料、パネルを用意したのは、たまたま先週、統一選で、神奈川県の大磯駅という東海道線の駅に行って、ホームに降りる階段の途中にこのポスターが貼ってあるのが目に留まったんです。

 それで、私も今、ベビーカーを、息子が三歳なので使うときがあるんですけれども、ああ、こういうことが周りに伝わっていくとありがたいなと思ったんです。これは子供の車椅子のことですけれども、ベビーカーも同じように、なかなか重かったり、畳みにくかったりするケースはあるので、こういう理解を、少しでも育児中の方が肩身の狭い思いをしない、そして、政府がちゃんとやってくれているというふうに実感を伴う場所というのは、総理は国立博物館とか挙げられましたが、やはり日々の日常の中でそれを感じる機会というものが極めて重要だと思っています。

 もう時間もあるから終わりますが、男性育休の取得支援も、私も環境大臣のときに取ったときは、若手の国家公務員から、大臣が取れば取りやすくなる、これをやはり重く受け止めました。中小企業も物すごく大変です。総理は今、取得をする支援だけではなくて、取得をした方の、人がいなくなるわけですから、その周りへの負担を軽減をするために、周りに手当が行くような支援を拡充をすると言っていますので、是非、そういう周りも応援しやすい環境をつくること、そして、本人も、育児中の方も肩身の狭い思いをしない環境をつくることが、今、政府がやろうとしているんだ、そういったことを、いろいろな支援策が単純に打ち出されていくのではなくて、その基本理念のところがしっかり伝わることが重要だと申し上げまして、時間が来ているので、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 今日、初めて岸田総理に質問をさせていただく機会をいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速、三点続けてお伺いしたいと思います。

 三月三十一日に発表された政府の少子化対策のたたき台において、出産費用を保険適用にする方向性が示されました。早速その日のうちに、報道を目にした方から、これから保険適用で三割負担となったらますます子供を産まない人が増えるんじゃないですかと疑問を投げかけられてしまいました。

 これまでは、病気ではないという理由で出産は保険対象外とされ、出産育児一時金で出産費用の全額補填、負担ゼロを目指してきたと思いますが、年々費用が増える、イタチごっこ状態となり、地域によってはかなり足が出てしまう。四月からは八万円の増額で五十万円を実現をいたしましたけれども、これは、出産費用の見える化と併せて行うことにして進めていく、この方向性だったわけですが、今回このたたき台において保険適用へと方向転換するに至った経緯を教えていただきたい。

 また、昨年四月からは、公明党として長年取り組んできた不妊治療の保険適用が実現し、多くの方からは大変喜ばれてはおりますが、保険適用できない医療行為については費用負担が増えたとのお声も一部にあり、やはりそこには、エビデンスがあるかどうか、保険適用範囲には線引きがされるわけであります。

 出産費用についても保険適用にすることのメリット、デメリットについて、総理の御認識をお伺いしたい。

 そしてまた、今まで出産育児一時金の中で出産費用をカバーできていた人もいたわけですから、保険適用になってもこの自己負担ゼロを実現していくべきだと強く主張したいと思いますが、総理のお考えをお伺いしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 まず、妊婦の方々が安心して出産できる環境を整備する、これは極めて重要であるという考えに基づいて、今月から、出産育児一時金、四十二万円から五十万円に大幅に増額をし、平均的な標準費用、これを全て賄うようにいたしました。併せて、委員御指摘のように、見える化、これを進めることによって、費用とサービスの内容を比較して妊婦の方々が選択できる環境、これを整えていく、このようにいたしました。

 その上で、この国会においても各党から様々な御提案をいただきました。様々な議論をさせていただきました。こうした議論や提案を踏まえて、今申し上げた出産費用の見える化を進めて、その効果等の検証を行った上で、次の段階として、小倉大臣の下でたたき台をまとめ、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行う、こうした旨盛り込んだところであります。

 そして、御質問で、メリットとデメリットという御質問がありました。メリットについては、サービスの質が確保されるというメリットが出産の保険適用にはある一方で、全国一律の診療報酬で評価されることから、自由な選択によりサービスを選択できる、こうした現状から、かえって選択の幅を狭めることになってはいけない、こうした指摘はよく頭に入れておかなければなりません。だからこそ、見える化を進めることが重要であると思います。

 そして、費用についても御指摘がありましたが、出産費用の自己負担については、出産育児一時金を引き上げることによって平均的な費用を全て賄えるようにするとしたわけでありますから、保険適用に当たっても、こうした基本的な考え方、これは踏襲していきたいと考えております。

 それ以外にも、出産育児一時金の場合、出産費用に大きな地域差がある、こういったことから、実質的な負担状況に差異が出ている、こうした点についても、見える化を進めながら検証する必要がある、こうした指摘もしっかり踏まえた上で、議論を進めていきたいと考えています。

吉田(久)委員 済みません、時間が参りましたので以上で終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 それでは、十分しかございませんので、基本的な質問しかいたしませんので、せっかく総理入りの貴重な審議でありますから全て岸田総理のみにお答えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 全世代型社会保障に関連をし、異次元の少子化対策の財源などについて伺います。

 少子化対策の強化のたたき台、試案につきましての財源について、社会保険料の可能性について、岸田総理も、御自身も言及をされています。

 また、こちらの記事でありますけれども、これは、少子化対策、自民党の政策の内容といたしまして、八兆円増額ということがここに記事としてなっております。自民党の幹部は、この自民党の提案に係る予算、これは年額八兆円と試算をしているわけですが、であるならば、私たちも試算をいたしまして、機械的に試算をして、社会保険料で賄うとすれば、個人、事業主を合わせて月額九千円、そして、年でいうと十万円の負担増になります。

 これは、賃金の引下げにもなりかねない問題でありまして、大変重大な巨額の負担増になります。これは、国民に受け入れられますか。岸田総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 報道等、随分先行しているのは承知しておりますが、従来から御説明しておりますように、小倉大臣の下でたたき台を作った上で、今、こども未来戦略会議、このたたき台に基づいて、この政策強化の内容、予算、財源、これを更に検討を深める、こうした作業を進めているところです。

 現時点において特定の財源を念頭に置いている、こういったものではない、六月に向けてこうした議論を進めていく、こうしたことを申し上げているわけですから、今の時点で、この財源について、これで賄うということを申し上げているものではないと承知をしております。

 是非、こうした安定的な財源をどう賄っていくのか考えていかなければならないわけですが、その際には、徹底した歳出改革、これは大前提だと思っています。また一方、少子化対策は社会全体の問題である、先ほども申し上げたとおりでありますが、社会全体の問題、それから国民一人一人の問題という認識の下、社会経済参加者全体が広く負担していく、こういった視点も重要であると考えています。

 いずれにせよ、六月に向けて、大枠を示すべく議論を深めていきたいと考えています。

早稲田委員 でも、総理自身がこれに言及されていますよね、参議院の決算委員会で。社会保険のことも含めてとおっしゃっています。

 そして、社会保険料を機械的に計算をすれば、こういう試算をすれば十万円の負担増になるわけですけれども、そのことについても否定はされませんね。

岸田内閣総理大臣 私が従来国会で答弁させていただいておりますのは、まずは内容を具体化し、その内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、様々な工夫をしながら社会全体でどのように安定的に支えていくか、これを考えていく、このように申し上げております。

 そうした考え方に基づいて、先ほど申し上げましたこども未来戦略会議において議論を深めていきたいと考えています。

早稲田委員 いえ、そうではなくて、十万円の負担増になることも、試算では今こういうふうに出ているわけですから、そこから逃げないでいただきたいと思います。

 選挙では、メニューの盛りだくさんなことはたくさんおっしゃっています。でも、財源論については一切触れられません。だからこそ、その選挙の後にまた巨大な財源論が出てくるのでしょうか。それでは本当に、国民に対して私は不誠実だと思います。社会保険料引上げの場合、事実上の子育て目的税、これはもう増税と同じであります。防衛増税に加えて、子育て支援の社会保険料の十万円増、これはダブルの負担増、そして事実上のダブル増税ということではないかと。そして、子育て世帯、特に子育て世代の方々の負担増になり、本末転倒ではないかと考えますが、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 様々、議論を先行して試算される、これはそれぞれのお立場で勝手ではありますが、政府として試算ということは一度もしたことはありません。

 先ほど申し上げた考え方に基づいて、この内容をまず確定することが重要であると申し上げて、内容に基づいて、その予算、財源についても議論を進めていく、六月に予算倍増に向けての大枠を示す、従来から、今年の初めからそう申し上げ続けているわけであります。そのスケジュール感に基づいて、具体的な予算、財源、しっかり示していきたいと考えています。

早稲田委員 勝手というのはひどいのではないでしょうか。与党の方でも八兆円規模ということを出しているわけですから、それに基づいて私たちは試算をしているんですから、勝手でも何でもないです。総理、いいです、答弁は。

 そして、報道によれば、さらに、政府関係者からは、少子化対策の財源確保のため、高齢者の給付、つまり年金、医療、介護の給付を抑制するという意見も出ているとのことであります。少子化対策の財源のため、高齢者の年金、医療、それから介護の抑制、カットもあり得るのでしょうか。

岸田内閣総理大臣 様々な意見が出ている、これは承知をしています。しかし、政府として、この財源をこれにするとか、具体的な試算を行うとか、こうしたことは一度もまだ行っていません。何よりも、まず、今の時代に求められる子供、子育て政策、具体的に何が求められるのか、この議論を進めており、そして、たたき台を示した、この段階であります。

 是非、このたたき台に基づいて、内容をより深め、そしてそれに伴う予算、財源についてしっかりお示しをする、こういった作業を進めていく、こういったことを申し上げているわけです。六月の骨太の方針に向けて作業を進めていきたいと考えています。

早稲田委員 もう一度伺います。

 高齢者の年金、医療、介護、これのカットはしないんですね。

岸田内閣総理大臣 今、冒頭申し上げたように、特定の財源、これを念頭に議論を進めているものではありません。内容、予算、財源、こうしたことについて更に検討を深めるということで、こども未来戦略会議、これを立ち上げたわけであります。是非、この議論を進めていきたいと思っています。

早稲田委員 今後、年金、医療、介護、カットはしないとは今、明言されませんでした。そうしたことも排除をされないということと私は理解をいたしました。

 国民がどれだけ物価高で苦しいときに、今、これをやります、あれをやりますというメニューはお示しになります。でも、この選挙が終わった途端に負担増の議論ですか。まず、今までのメニューを示すだけで、国民は不安だから、本当に自分たちの負担増がたくさんになるんじゃないか、そういう不安に応えていない、不誠実であります。そういうことを踏まえても、今やはりある程度のこういうメニューを示したのなら、そのことも言うべきであると私は考えます。

 これがダブルの負担増、そして事実上のダブルの増税と言わざるを得ません。岸田政権は岸田負担増政権、そして岸田増税政権と言わざるを得ない、そして国民の苦しい生活に寄り添っていない政治ということを申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

三ッ林委員長 次に、小川淳也君。

小川委員 立憲民主党の小川淳也です。

 総理、ようこそ御出席をいただきました。日頃の激務、御精励には率直に敬意を表した上で、厳しくお尋ねしたいと思っています。

 まず、先ほどの議論ですが、子育てに要する費用を社会保険料に求める、社会保険料に逃げ込むというのは極めて筋違いで不適切だと思います。

 幾つか論点を申し上げます。

 極めて現役世代に負担が偏るでしょう。それが一点。

 それから、逆進性が強いんですよ、日本の社会保険料体系は。低所得者に対して極めて厳しい。高所得者に対して極めて緩い。

 第三に、もちろん賃上げに逆行しますよね。可処分所得を減らす。

 それから、もっと大事なこと。病気になる、年を取る、介護が必要になる、これはみんな選択の余地のないことなんですよ。共助で補わざるを得ない。ところが、子育て、子供を持つ持たない、これは究極、選択の問題でもある。これを共助を軸とした社会保険料に委ねるというのは、まさに取りやすいところから取る、財源論として逃げ込んでいる、極めて不適切で筋違いだと思います。

 これは撤回していただきたい。

岸田内閣総理大臣 先ほどから申し上げておりますように、今、内容、予算、財源について議論を進めています。今、特定の財源について、これでいくというようなことを申し上げているわけではありません。内容をしっかりと、この議論を深めた上で、予算、財源についても考えていく、こうしたことであり、今、社会保障に逃げ込むという御指摘でありましたが、そういったことを申し上げているわけではありません。

 是非こうした議論を進めたいと思いますが、やはり第一に申し上げたいこと、もちろん、財源、負担、これは大事な視点でありますが、何よりも、今の社会において、子供、子育て政策、広く国民はどんな政策を求めているのか、この内容をしっかりと明らかにすることが大事であり、その上での予算、財源であると考えています。

 そして、この子供、子育て政策は、社会全体の構造や意識を変えていかなければならない、社会全体が裨益する大変重要な課題であるという認識の下で、それを社会でどう支えていくのか、これを考えていくのが議論の道筋であると思っています。

 そういった考え方に基づいて、財源、そして予算についても考えていきたいと思っています。

小川委員 だから申し上げているわけですよ。現役世代に負担が偏り、逆進性が強い社会保険料に逃げ込むのはおかしい、筋違いだと、だから申し上げているわけです。

 これは、撤回というのは、つまり、検討の対象から撤回してほしいということですからね。いずれにしても六月に出てくるんでしょうから、これは厳しく見届けたいと思います。

 歳出改革を先行させるとおっしゃいましたが、歳出改革は全部、防衛費に優先的に充てるんでしょう。何で防衛費だけ聖域なんですか。このあらゆる特会の剰余金、基金からの繰戻し、決算の剰余金、歳出改革の費用、防衛費をいきなり三兆円も増やして、これに優先的に充てる。つまり、防衛費だけなぜ他の政策と対等な競争関係に立たずに聖域化され、そこにあらゆる財源を優先的につぎ込むなんという、ちょっとうなずき難い方針をなぜ立てるんですか。

岸田内閣総理大臣 これも再三国会で申し上げておりますが、防衛費の財源の議論における歳出改革、これは、社会保障費以外の部分の努力を行うということを申し上げております。子供、子育て政策の努力、これは、当然のことながら、社会保障を含む様々な歳出改革ということになるんだと思います。

 防衛費を聖域化している、こういった指摘でありますが、決してそんなことではないと思っています。令和五年度予算においても、予算全体の六割以上は社会保障であったり教育費に割り当てている、こうしたことであります。

 今の政権において、防衛費、そして子供、子育て政策、決して、二者択一という考え方には立っておりません。それぞれの国民の暮らし、命、そして幸せを守るためにどうあるべきなのか、重要な課題であると認識をし、それぞれの財源について丁寧に議論を進めていきたいと考えています。

小川委員 防衛費を優先するために法案を出しているじゃないですか。聖域化しているじゃないんですか。ということは、今の御答弁を前提にすると、社会保障、子育てのための歳出改革は社会保障からやるという趣旨になりますからね、今の答弁は。

 本当に時間が限られた中ですので、ちょっと積年のいろいろな思いがあるんですが、防衛費、まあ一つには、私、大平正芳さんの地元なんですよ、香川。自民党宏池会はどうなったんですか。この二%の防衛費、敵基地攻撃、集団的自衛権、国葬決定。岸田さん、総理の視線の先には、恐らく自民党の清和会があるんでしょう。そして、それは来年秋の自民党総裁選の再選を最優先に考えている。あらゆる政策決定の背景にそれがあるんですよ。

 それから、もう一つ、これはちょっと本当に時間があるときにしっかりやりたいが、この国は今でも、ちょっとさっきの防衛費の関連ですが、今でも憲法に、九条、戦力不保持条項を持っているんですよ。しかし、総理は軽々とこのGDP一%の戦後の歴史を踏み越えた。世界第三位の軍事力を持ち、敵基地を攻撃すると言い、もう憲法は、つまり、憲法はというか、法治国家が崩壊しているんですよ。法治国家がメルトダウンしているんです。それは、軽々と総理はそこを飛び越えていくんですよ。

 それで、ちょっとこの短時間の中で本当に難しいことなんですが、総理、ちょっとこれは答えてください。

 三月十一日に、福島に行って中学生と会いましたね。そのときに、なぜ総理大臣を目指したかと言われ、一番権限が大きいからだと言った。私、これはぞっとしたんですよ、この報道を見たとき。

 総理は、自民党右派に気を遣って軽々と飛び越えることと併せ、御本人にこれといった政治信条、根幹となるポリシーが不存在、だから軽々と乗り越える。

 子供たちに、せめて、私はこういう社会にしたい、あるいはこの課題を解決したい、だから総理大臣を目指したと言えるような総理大臣であるべきじゃないんですか。

岸田内閣総理大臣 まず、我が国の置かれている安全保障環境、これは戦後かつてない大変厳しい複雑な状況の中にあります。その中で国民の命や暮らしを守る、これは政治にとって最も大切な課題であります。これを派閥単位の議論に矮小化するなどということは、私は全く考えておりません。どの立場であっても政治の責任を果たすために全力で取り組まなければいけない。その課題として、防衛力の抜本的強化、これを掲げたわけであります。

 これと併せて、今、世界規模で歴史的な転換点に我々は立っているんだという問題意識を持たなければならないと思います。こうした安全保障もそうですし、人口減少の問題、気候変動を始めとするこうした地球規模の課題においても、今、決断をし、行動しなければ我々は手遅れになってしまう、こういった思いで、一つ一つ先送りされてきた課題に取り組んでいる。これが私の基本的な立場であります。

 これからも、こうした歴史的な転換点にあって先送りできない課題について、一つ一つ答えを出していきたいと考えております。

小川委員 もっともらしいことをつらつらとおっしゃるのは結構なんですが、じゃ、社会保障に戻りましょう。先ほど、現時点でとおっしゃった。現時点で詳細、具体化していないとおっしゃった。

 もう一つ、これも私、岸田文雄さんの私的都合だと思うんですが、今、早期解散風を吹かせていますね。これも来年の自民党総裁選をにらんででしょう。それで、それは、国家的大義、国民大義とは無関係ですから、これだけ一つ約束してください。解散の前に、この防衛増税の具体的な時期、そして進め方、さらに子供政策の財源、これは社会保険料なのかどうか、ちゃんと国民に問うに値するグランドパッケージを示して国民に信を問う、これだけちょっと宣言してくれませんか。

岸田内閣総理大臣 今、我々、我が国において立ち向かわなければならない課題、防衛力の抜本強化のみならず、原子力を始めとするエネルギー政策、あるいは子供、子育て政策、あるいは賃上げを始めとする新しい資本主義、経済モデルの問題、日本経済の再生など、様々な課題があります。こうしたものに一つ一つ取り組んでいく、これが今の政権の基本的な方針であります。

 その中で、国民の皆さんに信を問う、声を聞かせていただく、これは、時の総理大臣の専権事項として考えていかなければならない課題であります。いつ、どの時点で選挙を行うべきなのか、これは、多くの課題があるわけですから、一つの課題のみを念頭に選挙について考える、こういったものではないと考えております。

小川委員 それも、きれいごとをつらつらとおっしゃればそういうことなんでしょうが、解散で煙に巻いた後、防衛増税の全体像と子供費用の負担の全体像を明らかにするというのは、国民に対して極めて不誠実ですからね。それだけは申し述べておきたいと思います。

 私、積年の思いがあって、いろいろやじられるのは覚悟しましょう。それで、総理にちょっとどうしても私、聞きたかったことがあるので、二、三。

 果敢な外交姿勢は多としているんですが、ウクライナにしゃもじを持っていきましたね。あれは総理の、御本人の判断なんですか、指示なんですか。それから、まんじゅうにサミットのロゴを入れろと言った。それも総理の御判断ですか。それから、最後に、中国大使の離日の挨拶を拒否している。それも総理は知っていたんですか。知っていて会わなかったんですか。ちょっとこの三つ。私、総理の発案を止める人が周囲にいないのか、周囲の発案を総理がうのみ、丸のみにしたのか、そこを極めてかねてから聞きたかったんですよ。ちょっとお願いします。

岸田内閣総理大臣 まず、ウクライナ訪問に際しての贈呈品についてでありますが、しゃもじばかりが取り上げられていますが、私は、贈呈品として、広島のしゃもじと併せて、宮島御砂焼による折り紙をモチーフとしたランプを持参いたしました。ですから、込めた思いというのは、侵略に果敢に立ち向かっているゼレンスキー大統領、ウクライナ国民への激励と、そして平和を祈念する思い、これをセットで贈呈品として贈った、こうした次第であります。

 また、ロゴマークについて御指摘が……(小川委員「聞いていることに答えてください。総理の指示なのかと」と呼ぶ)私の判断です。もちろん私の判断で、今、それを説明させていただいております。

 ロゴマークについても、ロゴマークの使用の主な目的、これは、サミットの広報、PRを通じた開催機運の醸成にある、こうしたことが認められたからこそ、使用承認、基準に合致した、こういった承認がされたものであると認識をしております。

 また、中国大使の離任に当たっての表敬ですが、これは、日程の都合上、表敬は実現しなかったわけですが、駐日大使の離任に当たって総理表敬が行われること、これは慣例となっているものではありません。また、近年、我が国中国大使の離任時にも、中国国家主席や国務院総理への表敬、これは行われておりません。今回、日程の都合で実現しなかったわけでありますが、これは、決して慣例を破ったなどということではなく、あくまでも日程の都合であるということを申し上げております。

小川委員 一つだけ。つまり、この国の総理大臣は、亡くなられているロシア兵にすら敬意と哀悼と同情と哀れみを示すべきなんですよ。のんきに必勝しゃもじなんて持っていっている場合じゃない。極めて不適切な判断だ。

 また改めて、社会保障を含めて議論したいと思います。

三ッ林委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 総理には積年の思いは特にございませんけれども、質問の方をさせていただきたいと思います。

 まずは出産の保険適用についてお伺いをしていきたいと思うんですけれども、こちらの方は、本日の朝日新聞の方になります。

 ちょっと記事を見ますと、「「出産に公的保険」急浮上 首相、慎重姿勢から一転」という大きな見出しが出ております。そして、その中に、「首相も国会で、野党が保険適用を求めるのに対し、「保険適用は慎重に考える必要がある」などと答弁。」私も本会議場で質問させていただきましたけれども、「今年三月十六日の衆院本会議でも「課題があると考えている」と慎重姿勢だった。」と。さらに、記事の方は、「「統一地方選挙のタイミングで項目だけだす。選挙目当ての手法と言わざるを得ない」との批判の声もあがる。」という記事が本日の新聞の方に出てありました。

 そういう中で、我々、出産の保険適用についてなんですけれども、本来であれば、今回の法案にしっかりと書き込んで、この委員会の中でしっかりと検討をしていくべきだと思っております。突如として方針転換されたということは、非常に今回の流れというのは不透明だと考えております。

 そこで、今回、国会でのこれまでの政府の説明を覆すのでありましたら、是非、総理の言葉で丁寧な説明をすべきと考えますけれども、御見解の方をお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 出産費用の保険適用について、これまでの経緯について丁寧に説明しろという御指摘だと思いますが、そもそも、妊婦の方々が安心して出産できる環境を整備する、これは極めて重要であるという認識に基づいて、今月から出産育児一時金を四十二万円から五十万円に大幅に増額した。平均的な標準費用を全て賄えるようにした。ただ、徹底した見える化を進めて、費用とサービスの内容を比較して妊婦の方々が選択できる環境を整備していく、これを併せて進めることが重要だということで取組を進めてまいりました。

 これに対して、委員御指摘のように、各党から様々な御提言をいただきました。保険適用について様々な御提案をいただきました。こうしたことを踏まえて、まずは出産費用の見える化を進めて、その効果等の検証、これを行った上で、次の段階として、小倉大臣の下でまとめた子供、子育て政策のたたき台の中に、出産費用の保険適用の導入を含め出産に関する支援等の在り方について検討を行う旨が盛り込まれたわけであります。

 その議論、是非、出産の保険適用の議論、進めていきたいと思っていますが、メリット、デメリット、様々な指摘があります。特に、現状、妊婦の方々御自身の自由な選択によって様々なサービスが利用されている現状から、こうした保険適用によってかえって選択の幅を狭めるのではないか、こういった指摘もあります。だからこそ、見える化をしっかり進めた上で検証を行い、そして出産費用の保険適用について議論を進めていく、こうした議論をしっかりと順番を追って進めていく、こういったことが大事であると考えております。

 今回の議論の経緯については、今申し上げたような順番で議論が進んできたと承知をしております。

池下委員 るる御説明をいただきました。見える化ということについても、本会議の方で説明していただいたので、理解をさせていただいております。

 首相の方から、見える化の結果が出てから検証したい、その上で議論したいということでありますけれども、やはり、まさにこの委員会の場が、その見える化を踏まえた上で議論をする場がまさにこの厚生労働委員会というものじゃないんでしょうか。私はそのように思いますので、是非、それをしっかりと理解をしていただければ非常にありがたいなと思います。

 ちょっと時間がありませんので、次に質問を進めさせていただきたいと思うんですが、今回の法案といいますのは、地域における医療と介護、具体的には、地域包括ケアの中で医療と介護の仕組みづくりをやっていく、これを中心に考えられていると思います。その上で、ちょっとお伺いしたいのが、在宅医療における医療従事者の安全確保について、ちょっと違うんですけれども、御質問していきたいと思います。

 昨年の一月、埼玉県のふじみ野市で、在宅医療を受けていた患者さんが亡くなりまして、その息子さんに主治医を含む医療関係者が自宅に呼び出され、主治医が射殺されるというショッキングな事件がありました。

 資料の一枚目と二枚目を、ちょっとこちらの方を御覧いただきたいなと思うんですけれども、こちらは、全国訪問看護事業協会の報告書の一部であります。

 こちらは訪問看護師の利用者、家族からの暴力等の経験率ですけれども、身体暴力については四五・一%、精神的暴力は五二・七%、セクシャルハラスメントについては四八・四%の方が経験をされているということなんですね。

 また、資料の二の方になりますけれども、こちらの方は暴力等へ対しての対策ということになりますけれども、事業所で暴力等の対策を行う必要があるというアンケートに対しまして、全くそう、そうであると答えられたのが合わせて九七・五%もあります。

 そういう中で、埼玉県では独自に、費用をかけて、お金をかけて対策を複数やっていただいております。ちょっと時間がないので詳細はお話はいたしませんけれども、政府が目指す地域完結型の医療・介護提供体制における、国として医療・介護従事者の安全確保に向けた方針と、昨年の埼玉県の事件を教訓にされた埼玉県独自の取組の評価につきまして、これは加藤大臣の方にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 医療・介護従事者の方々が安全を確保し、安心して従事できる体制を整えていくことは非常に大事であり、厚労省では、医療や介護の現場における患者、家族等による暴力、ハラスメント対策として、対応マニュアル等を作成するとともに、自治体が医療従事者等に対して実施する研修に対する支援も行い、また、診療報酬、介護報酬では、暴力行為、器物破損行為等が認められるような現場において複数名で訪問看護や訪問介護の提供を行った場合、これを加算するという仕組みも設けているところでございます。

 加えて、厚労省から各都道府県に対し、警察庁の通達も踏まえ、各都道府県医師会、医療機関、各都道府県警察と連携し、在宅医療従事者等の安全確保のための意見交換の機会を設ける等の取組も推進するよう、事務連絡を発出して、依頼をしているところであります。

 埼玉県のお話がありました。

 在宅医療従事者の安全確保対策として、複数人訪問費用の補助事業、専用相談窓口の設置事業、安全対策の取組に対する費用の補助事業等の取組、これを全国に先駆けて進めておられるところであります。地域医療介護総合確保基金などを活用していただいているところでございます。

 引き続き、こうした取組も参考に、また周知を図りながら、対策を総合的に進めていくことによって医療・介護従事者の皆さんが安全、安心に従事をしていただき、そして必要な医療・介護サービスの提供が行われるように、我々も努めていきたいと考えています。

池下委員 御答弁いただきまして、警察とやはり医療関係者の連携というのは非常に大事だと思っております。

 もう一つ、大臣の答弁の中に、複数人の医療関係者の方が一緒に行って対応される場合には診療報酬や介護報酬の加算ができるというお言葉がありましたけれども、こちらの方も、これは大阪府の医師会のニュースの中にもちょっと記載されている部分になるわけなんですけれども、複数人で訪問する場合には、暴力がありますよ、ハラスメントがありますよ、だから複数人で行かせてくださいねということを相手方、いってみたら、患者さんであったり、その家族に同意を求めないといけないわけですね。同意を求められた、あなたが暴力をしますからお金を更に下さいねというのは、それはもう、医療関係者や介護従事者の方は、それはなかなか言えないと思うんです。

 そんな中で、今ちょっと、これは非常にまずい仕組みなんじゃないかなと思っておりますので、やはり医療、介護の従事者というのは、アンケートを見ても非常に困難な立場になっているというのは理解できますので、是非、対策の方をお願いをしておきたいと思います。

 ちょっと時間がありませんので、最後、質問をさせていただきたいと思うんですが、介護と給付の負担について、一つ質問をしていきたいと思います。

 いわゆる介護の第一号被保険者といいますのは、介護サービスを全て受けることができます。四十歳から六十四歳の第二号被保険者といいますのは、末期がんであったりとか老化に起因する特定疾病は受けることができます。ただ、それ以下、三十九歳以下、例えばAYA世代と呼ばれるような方々につきましては、納付もしていませんけれども、その分、給付も、介護サービスも受けることができない。私も知り合いの中にAYA世代でがんになったメンバーがおりますけれども、そういう中、非常につらい思いをされております。

 今後、人材や財源が限りがあるにもかかわらず、介護サービスの需要は急激な増加が予想されるところです。四十歳未満の若年層の介護負担の軽減につながっていく本制度の受益の多様性や、社会保障審議会介護保険部会の、受給者範囲を拡大し、介護の普遍化を図るべきという議論もありますけれども、給付と負担の見直しは喫緊の課題と考えますけれども、総理の見解をお伺いいたします。

岸田内閣総理大臣 介護保険の被保険者の範囲については、制度創設以来、現行の仕組みを維持するべきか、それとも、要介護となった理由や年齢にかかわらず給付の対象とし、保険料を負担する年齢層も拡大する制度の普遍化を目指すべきなのか、こうしたことを中心に議論が行われてきたと認識をしています。その中で、昨年十二月にまとめられた審議会の意見書においても、大きく分けてこの二つの意見それぞれが示され、引き続き検討を行うことが適当である、このようにされたと承知をしております。

 被保険者範囲の在り方について、様々な意見や介護保険制度を取り巻く状況の変化、こうしたものを踏まえながら、これは引き続き議論を行っていくべき課題であると認識をしております。

池下委員 今回あえてちょっとこの質問、本来はもう一つさせていただきたかったんですけれども、今、若年層の負担を減らしましょうという議論が出ている中で、あえてこの質問をさせていただきました。給付と負担といいますのはやはり両側面あるわけですので、ちょっと本日は時間がございませんけれども、引き続き議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。

 まず、二点お伺いします。

 一つ目は、出産費用です。

 総理は、二十九日のインタビューで、少子高齢化対策について、出産費用を公的医療保険の適用対象とするという考えを表明いたしました。これが大きく報道されたことで、国民は、すぐにでも保険適用になると思っている方もたくさんいます。

 一方、今回の法案では、出産育児一時金の増額が示されて、後期高齢者の保険料負担などは激変緩和の措置の後、それを経て、二六年から適用となります。審議の途中で説明の資料が委員会に配付されるなど、異例の、今回、委員会の議論となりました。早期の導入を望む声があるのは当然でありますけれども、一方、今、私たちはこの法案を議論して、何とかこれを成功させようとしているんですけれども、その中で総理があのような発言をしたことで、大きな混乱や、また、私たちも戸惑いがありました。

 これについて、どういうふうに考えて総理は発言したのか、まず伺います。

岸田内閣総理大臣 先ほどから答弁させていただいているように、今月から出産育児一時金につきまして五十万円に大幅に増額をした、平均的な標準費用を全て賄えるようにするとともに見える化を進めた、こうしたことでありますが、こうした取組について、この国会においても各党から様々な提言がありました、御意見がありました。そうした議論を踏まえて、この出産費用の見える化を進めて、検証を行った上で、次の段階として出産費用の保険適用を含め検討を行う、こうしたことを子供、子育て政策のたたき台の中に盛り込んだ、こうした経緯をたどりました。

 この出産の保険適用については、先ほども議論の中にありましたが、メリット、デメリット、様々な指摘があります。こうしたことから、まずは令和四年から、見える化を本格的に実施しつつ、その後、集積されたサービスの内容や費用のデータについて検証を行った上で、妊婦が自由にサービス内容を選択できる環境を生かしながら、出産費用の保険適用について検討を行っていく必要があることから、令和八年度をめどに検討を進めることとしております。環境整備とともに、議論をしっかり進めていきたいと考えています。

田中(健)委員 令和八年に検討するというのは、厚労省も当初から言っていました。そこに総理の発言があったからこそ大きな混乱を招いていると思いますので、本来なら、しっかりこの法案が通ってから、総理がそれについて今後は目指すということを言ってほしかったと思いますし、余りにこのスケジュールがごちゃごちゃになってしまい、混乱を与えたのは否めないと思っています。

 引き続きまして、質問します。

 今回の少子高齢化対策は、多くが子育て支援となっています。給付制度はもちろん大切であり、協力をしていきたいと思うんですけれども、やはり少子化対策と子育て政策というのは分けて考えるべきであると思っています。

 三十一日に示された子供、子育て政策の強化の試案には、結婚や子供を産み育てることに対する多様な価値観、考え方を尊重しつつ、個人の幸福追求を支援することこそが、結果として少子化のトレンドを反転させると。まさにそのとおりだと思っています。

 そうであれば、給付制度に加えて、例えば議論のあったN分N乗、世帯収入で税率を決めるのではなく、子供一人一人を収入源に換算するだとか、つまりライフスタイルに中立でないような税制になりますけれども、そういったものの検討。さらに、結婚の有無、婚姻にとらわれることなく、かつ婚外子にも完全に中立な社会をつくっていく。ないしはまた、変わりますけれども、卵子、精子の老化、これは大きな問題でありますけれども、こういったものを教育にしっかりと盛り込んで、そして社会的認知を上げていくなど、少子化対策というのは、どういう社会をつくるのか、先ほどもありましたけれども、それを示した上で、あらゆる可能性を排除せずに、また目を背けることなく議論して国民の理解を得ていく、それが総理の掲げる異次元の少子化対策ではないでしょうか。見解を伺います。

岸田内閣総理大臣 先日まとめたたたき台の中でお示ししているように、個人の幸福追求を支援することで、結果として少子化のトレンドを反転させること、これが少子化対策の目指すべき基本的方向である、このように考えております。よって、結婚や子供を産み育てることに対する多様な価値観、考え方、これを尊重しつつ、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もが子供を産み育てることができるようにすること、これが重要であると考えています。

 そして、委員の方から三点御指摘がありました。

 今言った基本的な考え方を持ちながら議論を進めていきますが、その中で、N分N乗方式については、所得税非課税世帯の方々には効果が及ばないなどといった課題、これについて考えていく必要がある。また、婚姻の有無や婚外子であるか否かにかかわらず、平等に家族として認める社会については、家族の在り方が多様化しており、どこまで法律上の親族関係として捉えるのか、こうしたことについて様々な意見がある、こういうふうに承知をしています。そして三点目、出産に影響する正しい認知あるいは教育の推進、これについては、児童生徒の発達段階に応じた教育を推進しているところであり、こうした取組はこれからも進めていく必要があると考えております。

 いずれにせよ、様々な意見があるところですが、私が目指すのは、若い世代が希望どおり結婚し、希望する誰もが子供を持ち、ストレスを感じることなく子育てができる社会、そして、子供たちが、いかなる環境、家庭状況にあっても分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会、こうした社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えています。

田中(健)委員 時間となりました。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 少子化対策の財源について、お伺いいたします。

 総理は、この間の国会答弁では、少子化対策の財源に関わっていつも初めに挙げているのは、社会保険という言葉なんですよ。決まっていない、決まっていないと言いながら、いつも社会保険という言葉を言われているんですよね。

 配付資料を見ていただきたいと思いますけれども、政府の税制調査会の資料でございます。

 社会保険料には逆進性があります。所得に占める負担率は、所得二百万円から二百五十万円台では一六・二%、所得一千万円で一〇・八%、所得一億円では一・六%と、低所得者ほど負担が重く、富裕層ほど負担が軽いというのが社会保険料なんですね。私は、少子化対策の財源を、社会保険料、庶民の負担で出すべきではないと思うんです。

 総理の認識をお伺いしたいと思いますけれども、社会保険料負担というのは現状でも低中所得者にとって大変重い負担になっている、こういう認識はございますか。

岸田内閣総理大臣 社会保険の保険料は、原則として報酬や所得に応じて設定されているとともに、国民健康保険等について、低所得者の負担に配慮して、所得に応じて保険料負担を軽減する仕組みとなっていると認識をしております。

 その上で、先ほど来からお答えしておりますように、今、たたき台に基づいて、こども未来戦略会議において必要な政策強化の内容、予算、財源について検討を深めるとしているところであり、現時点において、特定の財源、これを念頭に置いているものではありません。

 まずは、この内容を具体化した上で、その内容に応じて、各種の社会保険との関係、国と地方の役割、高等教育の支援の在り方など、様々な工夫をしながら、社会全体でどのように安定的に支えていくか、これを考えてまいりたいと思っています。

 その際に、歳出の改革、これは大前提であります。また、少子化対策は社会全体の問題、国民一人一人の問題であるという認識の下、社会経済の参加者全体が広く負担していく、こういった視点も重要であると考えております。

宮本(徹)委員 私が聞いたのは、低中所得者にとって今でも社会保険料は重い負担になっているという認識はあるのかと聞いたんですよ。重い負担になっているという認識はないんですか。なかったら大変な問題ですよ。

 この間、総理、世論調査を御覧になっていますか。朝日新聞、少子化対策のための国民の負担増はよくない、六〇%。国民の多数は、今でも税金、社会保険料の負担は大変だと、そして物価高の中で大変苦労しているんですよ。こういう中での庶民の負担を増やすというのは、私は国民の理解は到底得られないと思いますよ。

 総理は、世論調査の結果をどう受け止めているんですか。

岸田内閣総理大臣 先ほど来申し上げているように、今、予算、財源についての議論を深めているところです。特定の財源について念頭にあるというものではないと申し上げております。

 社会全体でどのように子供、子育て政策を支えるのか、こうした全体像を示すことが重要であると考えています。

宮本(徹)委員 これから考えると言いますけれども、考えるに当たって、国民の多くは、世論調査で、庶民の負担を増やしてくれるなということを示しているんですよ。これをちゃんと受け止めて考えるのかということを聞いているんですよ。先ほど小川さんも、社会保険料というのは選択肢から外すべきだとおっしゃっていたじゃないですか。それを外しますと、ここでお約束していただければいいんですよ。なぜ、それが言えないんですか、世論を受け止めないんですか。

岸田内閣総理大臣 現実の社会の中で必要とされる子供、子育て政策をどのように社会全体で支えるか、こういった議論を進めてまいります。今の段階で特定の財源について念頭にあるものではないと申し上げています。

 是非、こうした議論を進めることによって、国民の皆さんから理解される、社会全体で支える子供、子育て政策の全体像、こうしたものを示していきたいと思っています。

宮本(徹)委員 世論調査がどう出ようとも関係なく国民全体に広く負担を求めようというのが、今の総理の答弁ですよね。

 大軍拡にはどんどんどんどん財源を投入して、こんなのやめれば、少子化対策の財源、どんと出てくるじゃないですか。あるいは、総理は、総裁選のときに、所得が一億円を超えたら税金が軽くなる所得一億円の壁を撤廃するとおっしゃっていたじゃないですか。そんなのちっともやらずに庶民の社会保険料を上げていく、こういうやり方は到底国民から理解を得られない。

 そのことを厳しく申し上げまして、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 岸田総理に質問したいと思います。

 デジタル行政そして医療DX、私も推進派でありますが、個別に質問したいのでございますけれども、今、出産育児一時金八万円の増額に関しまして、例えば、便乗値上げするような産科、あるいは周産期医療を担っている医療機関はないと思いますが、そういうのも含めて内容の見える化ということを答弁されました。

 私は、例えば今、三十年前になかったような形で、医療機関を受診すると、窓口で、負担した分に関する領収書みたいなのがあって、そこに明細書というのがありますね。そういうことの内容をより充実させるべきだと思います。特に、例えば検査結果等々、これは従来、公文書に準ずるカルテに記載されています。これを国民が望めば、そういった自分の情報ですから。

 総理、これは将来的に、この厚労委員会でも、総理のデジタル行政、DXを推進するということを受けて、例えば、電子カルテとNDBというレセプトの情報、あるいは、電子処方箋も含めて、個人の情報とデジタル、そういうことを、マイナンバー制度、特に、マイナ保険証を通じて連携していくというふうなことを言っていますので、私が申し上げたいのは、医者というのは、例えば、検査も治療も、やはりその根拠を聞かれると、患者さんに説明する責任があると思っています。

 そういう意味で、明細を見て、何でこういう検査をしたのか、何でこういう処方をしたのか、より赤裸々に、主体者である、患者である国民が知ることによって医療の適正化が進むというふうに思うわけでございますけれども。今、出産育児一時金に関しまして答弁されました見える化ということと、自分の体のこと、健康のことに関する自分のレコードをより知ることによって医療の適正化につながるというふうな考えを私は持っているんですけれども、総理の受け止めはいかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 国民が自身の保健医療情報を閲覧できる仕組みとして、現在、薬剤や特定健診等の情報をマイナポータルを通じて確認できる仕組みを運用しているところですが、これに加えて、今後、医療DXの取組として、全国医療情報プラットフォームを創設することにより、電子カルテ情報等の医療情報や介護情報もマイナポータルを通じて確認できる仕組みを構築し、国民の更なる健康増進に寄与することを目指してまいります。

 医療DXの取組については、この春をめどとして策定予定の工程表に基づき具体化を進めることとしており、引き続き、スピード感を持ってこれを積極的に取組を進めていきたいと考えています。

仁木委員 総理、私が申し上げているのは、明細書には検査項目とかはあるんですけれども、数値とかはないんですよ。例えば、検査を行ったといっても、分かりにくい用語で、コンパクトに何々料と書いているだけであって、実際にどういう検査を行ったかというのはないわけですよね。

 そうすると、例えば、コストも分かっていると、患者さんも窓口負担をするわけでございますから、やはり、どういう検査が必要だということを医師に言われたとき、そういった自分の医療を、自分の体に関係する、あるいは治療に関係する具体的な検査項目、お薬も含めて、情報の格差はありますけれども、非対称性がございますけれども、やはり患者も選んでいけるという、自分の医療を自分で決めていくことができるというふうな前向きな医療になっていくことが、ひいては財源に寄与する、医療の適正化につながるというふうに思うわけでございまして、そのことに関しての、総理のこれから医療DXを推進するお立場での御見解をお聞きしたいと私は聞いておりますので、その意味でもう一度お答えいただけますか。

岸田内閣総理大臣 要は、DX等を通じて国民に提供される情報、これをできるだけ国民のニーズに合ったものにしていくことによって、医療費を抑えていくことにつながる、こうしたことになるのではないかという問題提起でありますが、基本的にはそういった考え方に基づいて先ほど申し上げました取組を進めていく、これも大切な観点ではないかと思います。

仁木委員 時間がないので最後に申し上げますが、カルテというのは、情報開示となってくると、医療過誤が起こったりして、何か患者さんと医師との対立関係になったりして、あるいは、公文書でございますから、だから、公文書の管理のことに関しましてやはり法改正とかそういうことも含めなければ、今、お互い共通した感じの医療になっていかないのかということを、私は確認したかったんです。

 そういう意味で、今後とも、そういった情報社会、特に医療DXを推進するに当たっての、患者さんも医療を選んでいける、選択していけるということの充実した医療、それがひいては医療の適正化につながる、そういう現場をつくっていくために私も前向きな議論をしていきたいと思いますので、総理、よろしくお願い申し上げます。

 終わります。

三ッ林委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。中島克仁君。

中島委員 私は、立憲民主党・無所属を代表し、政府提出の全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。

 本年二月、出生数八十万人割れという衝撃的なニュースがありました。政府予想よりもはるかに速いスピードで少子化が進んでおります。また、人口構造、社会構造、疾病構造の三つの変化により日常からの予防医療や医療相談が重視され、医療と介護をつなぐ家庭医、プライマリーケア医の充実が求められております。そして、コロナ禍では、国民皆保険を標榜する我が国において決してあってはならない自宅放置死が発生してしまいました。少子高齢化、人口減少対策、そして医療提供体制の改革が急務であることは誰の目にも明らかであります。

 しかし、本法案の内容は、技術的な改正が大半を占めております。どこが全世代対応の社会保障制度構築なのでしょうか。明らかな誇大広告、看板倒れではありませんか。

 そして、本法案のかかりつけ医機能の法整備ですが、質疑を重ねても、今と何が変わるのか全く見えてきません。コロナ禍で浮き彫りとなった課題、かかりつけ医と思っていた医師に、あなたのかかりつけ医ではないと診療を拒否された、国民の不満、不安を解消するものには全くなっておりません。単なる外来機能報告制度の拡充をかかりつけ医機能の報告と言い換えた、看板に偽りのある羊頭狗肉です。かかりつけ医に相談したい国民に更なる混乱をもたらす、誤解を生む法整備と評価せざるを得ません。かかりつけ医の定義を定め、かかりつけ医機能の大まかな内容を示した上で、法案を再提出すべきです。

 そして、出産に対する医療保険適用導入検討という突然の大きな方針転換。出産費用への医療保険適用は、井坂委員を始め、多くの委員が訴えておられました。しかし、岸田総理は、本法案の本会議質疑でも慎重な姿勢を崩しませんでした。本法案審議中の突然の公表。ならば、なぜ本法案にその内容が盛り込まれていないのか。政府は速やかに法案に盛り込んで再提出すべきです。よって、本法案には反対であります。

 最後に、出産費用の無償化を始めとする社会全体での切れ目のない子育て支援と地域におけるプライマリーケアを実現し、地域包括ケアシステムの中核となって医療、介護の連携を図り、国民一人一人に寄り添う国民本位の医療制度の構築を強く訴え、私の討論は終わります。(拍手)

三ッ林委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 私は、日本維新の会を代表し、政府提出の全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に対して、反対の立場から討論を行います。

 まず、かかりつけ医機能の法整備を行うならば、かかりつけ医を定義すべきです。

 日本維新の会は、かかりつけ医機能を有する病院又は診療所の医師をかかりつけ医と定義し、国民が自らのかかりつけ医を主体的に選ぶことができる制度を構築し、同時に、かかりつけ医の質を向上させる教育及びかかりつけ医の研修の在り方が検討されなければならないと考えています。

 しかし、本法案のままでは、かかりつけ医機能を持つとされた医療機関の医師に、たまたま治療を受けた患者は、自らのかかりつけ医がその医師だと誤解することにもなりかねません。国民の誤解を招きかねない法整備は避けるべきです。

 次に、出産育児一時金の増額及び出産費用の見える化について申し上げます。

 我々日本維新の会は、通常分娩を公的医療保険の対象となる医療に位置づけ、自己負担分については妊婦健診と併せてクーポンで支給し、実質自己負担をゼロにするということを主張し続けてまいりました。

 これに対し、政府は、この四月から出産育児一時金を増額し、便乗値上げには、出産費用の見える化の強化で対応するとされています。しかし、既に、医療機関の便乗値上げ実施が報じられています。本法案の内容では、出産、子育て世帯への確実な支援とはなりません。

 そして、本法案審議中の三月三十一日、通常分娩への保険適用を含めた検討が公表されました。そもそも、なぜ本法案にその検討内容が盛り込まれていないのか、対応が後手に回っていると言わざるを得ません。

 以上の内容を主な反対理由とし、本法案への反対討論とします。(拍手)

三ッ林委員長 次に、佐藤英道君。

佐藤(英)委員 公明党の佐藤英道です。

 自由民主党・無所属の会及び公明党を代表し、ただいま議論となりました全世代型社会保障法案について、賛成の立場から討論をいたします。

 人生百年時代を迎える中、我が国の最大かつ喫緊の課題は、少子高齢化、人口減少であります。大胆な少子化対策によって人口減少の流れを変えると同時に、これからも続く超高齢社会に備えて、社会保障制度の持続可能性を高める対応を強化していかなければなりません。

 こうしたことを踏まえ、全世代型社会保障法案に賛成する理由を申し述べます。

 第一に、昨年の出生数が八十万人を下回り、想定を上回るペースで出生数が減少するという危機的な状況から脱却するために、出産育児一時金に係る費用の一部を後期高齢者医療制度が支援する仕組みの導入等を通じて、子供、子育て支援を拡充し、子供を産み育てたいと希望する全ての人が安心して子育てができる環境を整備することが必要であります。

 第二に、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心というこれまでの社会保障の構造を見直し、増加する高齢者医療費について、現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ負担能力に応じて全ての世代で公平に支え合う仕組みを構築するために、後期高齢者が負担する保険料率の設定方法を見直すことを通じて、給付と負担のバランスを確保しつつ、それぞれの人生のステージに応じて必要な保障をバランスよく確保することが必要であります。

 第三に、更なる高齢者の増加と生産年齢人口の急減が見込まれる中で、地域によって異なる医療や介護ニーズや活用可能な資源の状況を踏まえつつ、かかりつけ医機能が発揮される制度整備や医療・介護分野におけるDXの推進を図るとともに、地域医療連携推進法人制度の見直し等の医療法人制度改革等を通じて、医療、介護の連携機能や提供体制等の基盤強化を図ることが必要です。

 以上、本法案に賛成する主な理由を申し述べました。

 全ての世代が能力に応じて社会保障制度を支える仕組みを構築するとともに、個人のニーズに応じた良質な医療・介護サービスを効率的に提供し、将来にわたって持続可能な社会保障制度を構築することが急務であります。

 この法案は、全世代型社会保障を構築するに当たり必要不可欠であり、目指すべき社会の実現に向けた全世代型社会保障法案を速やかに成立させることを議員各位にお願い申し上げ、私の賛成討論といたします。

 以上です。(拍手)

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党を代表して、健康保険法等改正案への反対討論を行います。

 本法案の審議のさなかに、突然、政府は、出産の保険適用について、二〇二六年度をめどに検討を進めると表明しました。

 本法案は、出産一時金の費用を七十五歳以上の高齢者に新たに求めるものです。法の附則では二〇二四、二五年度は本則の負担の半分とされ、本則の実施は二〇二六年度です。つまり、本改正案の本則部分は実施されない場合もあるわけです。このような法案の採決など、立法府として許されません。

 本法案に反対する理由を述べます。

 第一の理由は、高齢者負担率の引上げと新たな出産一時金の負担により、七十五歳以上の高齢者の保険料を引き上げるからであります。

 出産一時金の負担を後期高齢者医療制度に求めるのは筋違いです。現役世代の負担軽減というのであれば、この間、引き下げられた後期高齢者医療費に占める国庫負担の比率を元に戻すべきです。負担増となるのは月収十二万七千五百円以上の方です。低所得者世帯にまで保険料の負担を増やすのは大問題です。年収二百万円以上の方は、昨年十月から医療費の窓口負担の二倍化で、受診抑制が起きています。その影響を政府として把握もできていないのに保険料を増やすのは、国民の健康を守る上で無責任であります。

 反対の第二の理由は、国庫負担の削減です。

 本法案は、協会けんぽの国庫負担一千二百九十億円を削減するなど、差引き九百十億円もの国庫負担を削減します。本改正案で協会けんぽや共済組合の負担も増えます。現役世代の負担軽減は、看板に偽りありです。

 第三に、都道府県の保険料の水準の平準化の名の下に、自治体が独自に行っている国民健康保険料軽減をやめさせようとしていることです。高過ぎる国民健康保険料は、引下げこそ必要です。

 第四に、医療費適正化の名で、個々の患者にとって必要な医療が抑制される危険があることです。

 最後に、安心の医療制度のために、国庫負担を大幅に増やすことこそ必要であります。そのために、大軍拡はやめ、大企業、富裕層優遇税制を正す大改革をすることを求め、反対討論とします。(拍手)

三ッ林委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十四分散会


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