衆議院

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第10号 令和5年4月21日(金曜日)

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令和五年四月二十一日(金曜日)

    午前十一時十五分開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    東  国幹君

      畦元 将吾君    石橋林太郎君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      小森 卓郎君    高村 正大君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      新谷 正義君    杉田 水脈君

      瀬戸 隆一君    田村 憲久君

      高階恵美子君    土田  慎君

      橋本  岳君    平沼正二郎君

      古川 直季君    穂坂  泰君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    野間  健君

      山井 和則君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   内閣府副大臣       大串 正樹君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   環境副大臣        小林 茂樹君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   政府参考人

   (内閣官房水循環政策本部事務局長)        朝堀 泰明君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         鋤柄 卓夫君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          片岡  進君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    真渕  博君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           坂田  進君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    松原  誠君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 針田  哲君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十一日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     小森 卓郎君

  小泉進次郎君     佐々木 紀君

  高村 正大君     東  国幹君

  塩崎 彰久君     平沼正二郎君

  本田 太郎君     穂坂  泰君

  三谷 英弘君     杉田 水脈君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     高村 正大君

  小森 卓郎君     古川 直季君

  佐々木 紀君     小泉進次郎君

  杉田 水脈君     三谷 英弘君

  平沼正二郎君     塩崎 彰久君

  穂坂  泰君     石橋林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     本田 太郎君

  古川 直季君     勝目  康君

    ―――――――――――――

四月二十日

 建設アスベスト被害給付金法を改正し、建材企業が参加する補償基金制度の創設を求めることに関する請願(青山大人君紹介)(第八三四号)

 同(西岡秀子君紹介)(第八五五号)

 同(野間健君紹介)(第八五六号)

 同(宮本徹君紹介)(第八五七号)

 同(石川香織君紹介)(第八八一号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第八八二号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第八八三号)

 同(佐藤公治君紹介)(第八八四号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第八八五号)

 同(櫻井周君紹介)(第八八六号)

 同(篠原豪君紹介)(第八八七号)

 同(田中健君紹介)(第八八八号)

 同(寺田学君紹介)(第八八九号)

 同(中谷一馬君紹介)(第八九〇号)

 同(牧義夫君紹介)(第八九一号)

 同(山岡達丸君紹介)(第八九二号)

 同(山岸一生君紹介)(第八九三号)

 同(山井和則君紹介)(第八九四号)

 同(吉田統彦君紹介)(第八九五号)

 同(吉田はるみ君紹介)(第八九六号)

 同(渡辺周君紹介)(第八九七号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第九〇四号)

 同(落合貴之君紹介)(第九〇五号)

 同(笠井亮君紹介)(第九〇六号)

 同(末次精一君紹介)(第九〇七号)

 同(たがや亮君紹介)(第九〇八号)

 同(武部新君紹介)(第九〇九号)

 同(米山隆一君紹介)(第九一〇号)

 同(笠浩史君紹介)(第九一一号)

 同(荒井優君紹介)(第九一七号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第九一八号)

 同(斎藤アレックス君紹介)(第九一九号)

 同(本庄知史君紹介)(第九二〇号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第九二一号)

 同(山崎誠君紹介)(第九二二号)

 同(山田勝彦君紹介)(第九二三号)

 同(鈴木庸介君紹介)(第九二七号)

 同(堤かなめ君紹介)(第九二八号)

 同(重徳和彦君紹介)(第九三四号)

 同(福田昭夫君紹介)(第九三五号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第九四四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九四五号)

 同(吉川元君紹介)(第九四六号)

 同(渡辺創君紹介)(第九五五号)

 同(志位和夫君紹介)(第九六八号)

 同(道下大樹君紹介)(第九六九号)

 若い人も高齢者も安心できる年金制度に関する請願(宮本徹君紹介)(第八三五号)

 パーキンソン病患者への難病対策の推進に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第八三六号)

 同(金子恵美君紹介)(第八三七号)

 同(岡本あき子君紹介)(第九〇三号)

 同(中村裕之君紹介)(第九三一号)

 同(上田英俊君紹介)(第九六〇号)

 同(高鳥修一君紹介)(第九六一号)

 同(冨樫博之君紹介)(第九六二号)

 同(宮本徹君紹介)(第九六三号)

 同(柚木道義君紹介)(第九六四号)

 同(吉田宣弘君紹介)(第九六五号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第九七二号)

 同(土井亨君紹介)(第九七三号)

 国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(奥野信亮君紹介)(第八三八号)

 同(亀岡偉民君紹介)(第八三九号)

 同(野間健君紹介)(第八四〇号)

 同(阿部知子君紹介)(第八五〇号)

 同(熊田裕通君紹介)(第八五一号)

 同(下条みつ君紹介)(第八五二号)

 同(馬場雄基君紹介)(第八五三号)

 同(吉田宣弘君紹介)(第八五四号)

 同(泉健太君紹介)(第八七七号)

 同(上田英俊君紹介)(第八七八号)

 同(平林晃君紹介)(第八七九号)

 同(吉田統彦君紹介)(第八八〇号)

 同(堀井学君紹介)(第九一六号)

 同(古賀篤君紹介)(第九三二号)

 同(重徳和彦君紹介)(第九三三号)

 同(吉川元君紹介)(第九四二号)

 同(玉木雄一郎君紹介)(第九五四号)

 同(渡海紀三朗君紹介)(第九六七号)

 若者も高齢者も安心できる年金と雇用に関する請願(阿部知子君紹介)(第八四六号)

 安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(下条みつ君紹介)(第八四七号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第八七二号)

 同(吉田統彦君紹介)(第八七三号)

 福祉職員の大幅な賃金の引上げと増員に関する請願(阿部知子君紹介)(第八四八号)

 同(下条みつ君紹介)(第八四九号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第八七四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九四〇号)

 全国一律最低賃金制度への法改正に関する請願(源馬謙太郎君紹介)(第八七五号)

 同(吉田統彦君紹介)(第八七六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九四一号)

 同(志位和夫君紹介)(第九六六号)

 令和四年度診療報酬改定による看護職員処遇改善評価料に関する請願(笠井亮君紹介)(第九〇二号)

 全ての世代が安心して暮らせる持続可能な社会保障制度の確立に関する請願(源馬謙太郎君紹介)(第九三九号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第九四三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 連合審査会開会に関する件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四五号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房水循環政策本部事務局長朝堀泰明君、内閣府食品安全委員会事務局長鋤柄卓夫君、消費者庁政策立案総括審議官片岡進君、審議官真渕博君、審議官依田学君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、農林水産省大臣官房審議官坂田進君、国土交通省水管理・国土保全局下水道部長松原誠君、環境省大臣官房審議官針田哲君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。川崎ひでと君。

川崎委員 おはようございます。自由民主党の川崎ひでとです。

 今回は、法案に対する質問の機会をいただき、理事そして委員の皆様に感謝を申し上げます。各省庁の皆様も、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、総論として、私は今回の法律案については大賛成です。

 厚労省は、医療、福祉といった社会保障制度、そして雇用制度など、課題が山積する広範な重要業務を担っていただいており、中央省庁の中でも特に業務量が多いと感じております。加えて、この度の新型コロナ感染症の対応もしていただき、今後も、次の感染症危機に備えて様々な準備をいただかなければならない、こういう業務を担っていただいております。

 コロナのワクチンに関する業務を思い出してみると、あのときは、新型コロナウイルスワクチン接種推進担当大臣、これを新たに創設され、対応に当たられました。もしこの担当大臣を設けなければ厚労大臣が恐らく主として対応されていたのではないか、そう考えると、業務量は、正直、想像を絶するものであります。そのため、今回のように、適宜、業務内容を見直し、必要に応じて所管を変更するということは、非常に大切だと思っております。

 まず初めに、厚生労働省伊佐副大臣にお尋ねを申し上げます。

 改めて、今回の法律案を内閣が提出した経緯、こちらについて教えてください。

伊佐副大臣 令和四年五月に内閣官房に、新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議が設置をされました。そこで、新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を振り返りまして、政府の対応に関しての客観的な評価をまずしていただいて、そして、次の感染症危機に対する政府の体制づくりというところも含めまして、同年六月に課題を整理をしていただきました。

 この整理を踏まえまして、同月、新型コロナウイルス感染症対策本部におきまして、平時から感染症対応能力を強化するために、生活衛生関係の組織について、一部業務の他府省庁への移管を含めた所要の見直しを行うという対応の方向性が決定をされました。

 この方向性に関して、その具体的な対応としまして、同年九月、同じく対策本部におきまして、食品衛生基準行政を厚労省から消費者庁に、そしてまた、水道整備、管理行政を厚労省から国交省また環境省に移管することとして、今通常国会に法案を提出し、令和六年度の施行を目指すことが対策本部で決定をされました。

 この決定に基づいて、また、政府全体として行政の機能強化を図ることができるように、今回の法案を提出したという次第でございます。

川崎委員 伊佐副大臣、ありがとうございます。

 今まさにおっしゃられていただいたとおり、これから感染症の対応等、様々な業務をしていただくためには、厚生労働省自体、業務をスリム化しなければならないと思っています。そして、その目的は、やはり、政策スピードを速めなければいけない。我々厚労委員会のメンバーも、かなりの扱わなければいけない法案の数に、正直、目を回している部分もございますので、やはり、こうしたところからも分散化をしっかり図ることでこれから先の政策スピードを速くする、これはかなり重要なことだろうと思っております。

 次の質問を伺わせてください。

 その中で、今回、今まさにおっしゃられていただいたように、消費者庁、環境省、そして国交省に業務を移管するということでございますが、この省庁を決定した理由についてお伺いをいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど伊佐副大臣から御答弁差し上げたとおり、昨年六月の新型コロナウイルス感染症対策本部での決定を受け、その後、同年九月の同じく感染症対策本部までの間に、関係各省庁間で移管すべき業務の内容等について協議を行いました。

 その結果、食品衛生基準行政につきましては、消費者庁が食品安全行政の総合調整を担っている点、水道整備、管理行政につきましては、水質、衛生に関する事務については、環境省が河川等の環境中の水質、衛生に関し専門的な能力、知見を有している点、また、それ以外の事務につきましては、国土交通省が社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力、知見を有している点、こういった点を踏まえまして、それぞれ移管することが適当と判断いたしました。

川崎委員 ありがとうございます。

 今御説明があった中で、食品衛生基準行政は、今回、消費者庁に移管されますが、食品衛生監視行政は厚生労働省に残すことになります。その理由を改めてお聞かせいただけますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 食品衛生行政につきましては、近年、食へのニーズの多様化により、これまで流通していなかった新たな食品の開発が行われるなど、食品に関わる関係者が多様になりつつございます。また、水道整備、管理行政につきましても、近年、飲用に適さない水が摂取されるリスクは減少している一方で、水道施設の老朽化の進行や耐震化の遅れといった課題がございます。こうした中で、食品の部分で、御指摘の、基準と監視をなぜ分けたのか、同じリスク管理なのにという点についてお答えいたします。

 食品衛生監視行政は、有害、有毒な食品や、規格基準に合わない食品の取締りや、食品関係の営業者に対する営業規制、監視指導等を通じ、食品による健康被害の未然の防止や、健康被害が生じた際の被害の拡大防止を主な目的としております。

 例えば、食中毒を取りましても、原因となる微生物や物質によっては、初動の段階では、それが原因が食品なのか、それともそれ以外のヒト・ヒト感染のような形なのか、直ちには分からない場合も多うございます。そのため、常に食品衛生部局が感染症部局等の他の部局と情報共有及び連携を図りつつ、迅速に原因の究明、危害の拡大防止対策を行うことが重要となります。実際に、現場である保健所におきましても、食品衛生部局は他の部局と連携して原因究明及び危害の拡大防止に当たっているところでございます。

 こうしたことから、食品衛生監視行政につきましては、引き続き、公衆衛生に関する幅広い知見を有している厚生労働省において、感染症対策や、また健康危機管理対策と一体的に担うこと、こういう整理をいたしました。

川崎委員 ありがとうございます。

 今お尋ねをさせていただいた三問、答弁を聞かせていただいても、正直、全く違和感を感じるものではございません。つまり、かなりいろいろな議論をされた上で、適切に今回の移管を検討されたということがおうかがいできます。

 ところで、今回のこの法案については、そのタイトルに、機能強化という言葉を使われております。つまり、単純な移管ではなく、厚労省で所管していた以上に強化されるんだろうと思いますけれども、どういった点が強化されるのか、お伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、食品衛生基準行政について強化される点でございます。

 食品の安全性の確保に関する施策、いわゆる食品安全行政につきましては、現在、消費者庁が、食品安全行政に関する基本的事項の案の作成や関係行政機関の事務の調整等の司令塔機能を担っております。リスク管理につきましては、厚生労働省が食品衛生に関する規格基準の策定や先ほど申し上げました食品衛生監視行政を担っております。

 近年、食へのニーズの多様化等を踏まえると、食品に関わる関係者が多様になっている。そうした中で、食品安全行政の総合調整を担っている消費者庁が食品衛生基準行政を担うことで、政府内の関係府省とより緊密に連携し、食品衛生に関する規格基準の策定に当たることができる。この点が強化される点でございます。

 加えて、関係府省庁等による食品に関するリスクコミュニケーションの推進の取りまとめを担う消費者庁が食品衛生基準行政を担うことで、科学的知見に裏打ちされた食品安全に関する啓発の強化に資するものとも考えております。

 もう一点、食品衛生基準行政を消費者庁に移管することで、国際食品基準における国際的な議論において、食品安全行政における総合調整等を担う消費者庁が一体的に参加することが可能になると考えております。

 続いて、水道整備、管理行政の強化される点でございます。

 水道整備、管理行政につきましては、現在、清浄にして低廉、豊富な水を供給し、公衆衛生の向上や生活環境の改善に寄与する観点から、公衆衛生の向上、増進を任務とする、これを厚生労働省が所掌している形になっております。

 一方で、近年、我が国の水道は、約九八%という高い普及率を達成し、国民生活や経済活動に欠かすことのできないインフラとして社会に定着し、飲み水、飲用に適する水、これが適さないという状態になるというリスクは減少している一方で、人口減少社会の到来に伴う水道事業者の、一点目、経営環境の悪化、二点目として、水道施設の老朽化の進行や耐震化の遅れといった課題に対する重要性、さらには、三点目として、災害発生時の断水といった災害対応に迅速に取り組むことが求められるようになっております。

 こうした中で、社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力、知見を有する国土交通省が水道整備、管理行政を担うことで、層の厚い地方支分部局を活用しつつ、下水道等の他の社会資本と一体的な整備等を進めることにより、水道整備、管理行政の機能の強化が図られると考えております。

 水質基準の策定等についてです。

 環境中の水質、衛生に関して専門的な能力、知見を有する環境省が担うことで、迅速かつ効果的な水道水の水質基準の策定につながるなど、水質や衛生の面でも機能強化を図ることができると考えております。

 以上申したような機能強化が実現するよう、厚生労働省としても、円滑な業務移管、これに向けて、引き続き関係府省庁と緊密に連携して準備を進めてまいりたいと考えております。

川崎委員 御説明ありがとうございます。

 今、御答弁いただいたことを広くPRすることは最も重要だと思っています。単純に省庁の中の変更だけだと、やはり国民には伝わりません。やはり、しっかりと政府が考えた上で国民の皆様のために今回、機能強化を図るんだ、このメッセージはかなり重要になってくると思っています。

 では、まさに国民の皆様の目線に立って質問をさせてください。

 今回の水道事業に特化して質問させていただきますと、具体的に、移管をしたときに、消費者や水道事業者にとってどのような影響があるのか、厚生労働省にお伺いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申したとおり、我が国の水道は現在、約九八%という高い普及率を誇っております。人口減少社会の到来に伴う水道事業者の経営環境の悪化、また老朽化の進行や耐震化の遅れ、こういった課題も先ほど申し上げました。

 例えば、災害で申し上げますと、最近でも、昨年九月に発生した台風十五号では、川から水道施設に水を取り入れる取水口の閉塞、詰まること等によって、静岡市を中心に、静岡県内で最大七万世帯以上の断水が発生したり、また、今年の一月末の記録的な寒波の際には、水道管の凍結等により、石川県内で一万世帯以上の断水が発生するなど、国民生活に大きな影響を及ぼすこととなりました。

 こうした中で、災害対応に関する専門的な能力、知見を有する国土交通省に水道整備、管理行政を移管し、同省での層の厚い地方支分部局の活用によって、災害復旧が、今までの、更なる機能強化が図られてくる、それによって、国民に対しての裨益、影響があるものと考えております。

 また、この法案では、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法や社会資本整備重点計画法の対象施設に水道を加える改正も盛り込んでおります。これによって、災害復旧事業に要する費用が原則、国庫負担の対象とされるとともに、社会資本整備重点計画を策定し、水道施設の重点的、効果的な整備を図る、こういった影響もまた期待されているところでございます。

 いずれにせよ、こうした業務移管のメリットが、先ほど委員御指摘のとおり国民に知られる、また水道事業者の方に実感していただける、こういったものになるように、引き続き準備を進めてまいりたいと考えております。

川崎委員 ありがとうございます。

 まさにメリットが多いというところは安心いたしました。

 そこで、国交省にお伺いいたします。

 国交省からすれば、業務が増えることになります。もちろん、下水道の事業費だけでなく、上水道の整備費、こうしたものもしっかり予算確保をお願いしたいと思いますし、国交省や地方整備局、この体制の拡充も重要だと思っています。こちらについて、古川政務官の御見解をお聞かせいただけますでしょうか。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、移管を受ける水道整備、管理行政のまさに機能向上に向けて、責任を持って臨む必要があると考えているところでございます。

 このため、下水道事業はもとよりでございますが、水道事業の必要な予算の確保は極めて重要だと考えているところでございまして、移管に向けてしっかりと対応をしてまいります。

 また、組織体制についてでございますが、これは、委員からもお話ございましたように、国土交通本省に加えまして、地方整備局、北海道開発局、こうしたところにおいても新たに水道整備、管理行政を担うことになります。ですので、この国土交通省で持っております現場力、技術力、こうしたものをしっかり活用して的確に行うことができるように、必要な組織体制の確保にしっかりと取り組んでまいります。

川崎委員 古川政務官、ありがとうございます。力強い御答弁でございました。

 本当に、本省だけではなくて、地方整備局、つまり現場の強化をすることが一番重要だと思っています。頭の組織だけ大きくなっても、やはり目詰まりを起こしてしまいますので、しっかりと地方整備局にも目を向けて、整備体制を行っていただきたいというふうに思います。

 続いて、引き続き国交省にお伺いいたします。

 これまでは、上水道は厚労省、そして下水道は国交省が所管されていたために、それぞれで若干ルールが異なるものがございました。例えば下水道排水設備工事責任技術者、こちらは、標準水道条例第六条の五第一項で資格の更新が定められております。一方で、上水道の資格である水道給水装置工事主任技術者というのは、研修機会の確保は義務づけられておりますが、更新制度はございません。官公需を担う事業者からは、是非こういったルールの違いをこれをきっかけに見直してほしいという要望があります。先般、斉藤国交大臣にも要望を提出されているというふうにも伺っています。

 本件について、見直されるかどうかという点について教えてください。

松原政府参考人 お答え申し上げます。

 水道における給水装置工事主任技術者や下水道における排水設備工事責任技術者の資格制度は、これまで、それぞれの経緯の下で運営されてきたものと承知をしております。

 国土交通省といたしましては、厚生労働省から資格制度も含めた水道整備、管理行政の課題をしっかりと引き継いで、水道事業の円滑な実施が図られますよう、必要な施策について検討してまいります。

川崎委員 ありがとうございます。

 まさに官公需の業務を担う皆様からの声でございますので、切実に受け止めていただきたいというふうに思います。

 また引き続き、厚労省にお伺いいたします。

 水道整備、管理行政を厚労省から国交省と環境省、この二省に移管することで、事業者からの申請先が二つに分かれてしまうというような面倒くさいことにならないかということも気になります。やはり現場目線から考えれば、申請先が二つあるようなことは、できればないようにしてほしいというふうに思っております。

 行政が非効率化しないように、この点、どのようにお考えか、お聞かせいただけますでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の二省に移管した後ですけれども、水道事業の許認可等、水道事業者による手続につきましては、水質、衛生の観点からは環境省の意見を聴取しますが、国土交通省において一元的に対応する。これによって、分かれる、どっちか迷うということがないようにしたいと考えております。

川崎委員 ありがとうございます。

 今、国交省が一元的に窓口を担うということで、安心いたしました。是非、ここに併せてDXも入れながら、更なる効率化をお願いしたいなというふうに思います。

 そして、続いて、環境省柳本政務官にお伺いいたします。

 環境省においては、元々、河川などの水質に関する専門的な知識を有しておられるので、今回の移管は非常に適切だ、むしろなぜ最初からやっていなかったのか、このように思うくらいでございます。引き続き安全で良質な水道水を確保していただきたいと思っておりますが、そのためには、やはり環境省においても、例えば研究予算だったり、あるいは人員体制、こうしたものの整備も必要なのではないかなというふうに思いますが、こちらについて御見解をお聞かせください。

柳本大臣政務官 お答えいたします。

 水道の整備、管理を適切に行うためには、環境省における水道関係の事務に係る予算の確保及び適切な体制整備が必要不可欠であると認識しております。今後、その詳細を検討していくことになりますが、予算については、厚生労働省における水道関係の予算が環境省と国土交通省に移管される方向であり、環境省として、研究予算を始め水道水質基準の検討等に必要な予算の確保に努めてまいります。また、体制については、水道水質基準と関係の深い部局内で整備する方向で準備を進めているところでございます。

 環境省といたしましては、水質に関するこれまでの科学的知見、専門的な能力を生かし、水道整備、管理行政の機能を強化するために必要な予算、定員の確保に努めてまいりたいと考えております。

川崎委員 ありがとうございます。

 環境省は本当に専門的な知見を有しておられますので、まさにパフォーマンスが落ちることがないように、是非よろしくお願いしたいと思います。

 柳本政務官に対する質問は以上でございますので、御退室いただいて構いません。

三ッ林委員長 柳本政務官は退室して結構です。

川崎委員 続いては、食品衛生基準行政に特化してお伺いいたします。

 今回の法律案で、食品衛生管理基準行政と監視行政が切り離されることで、両者の一貫性が保たれなくなり、リスク管理の一体的な遂行に支障があってはなりません。この点について、是非政府の御見解をお願いいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在既に、食品安全行政につきましては、厚生労働省、消費者庁、食品安全委員会、農林水産省といった関係省庁が連携し、取組を推進しているところでございます。

 今回、この中で、リスク管理の中の基準が移るわけですけれども、この業務移管によって、消費者庁が食品衛生基準行政を、厚生労働省が食品衛生監視行政を担うことになる際に、消費者庁と厚生労働省の連携が適切に行われるような、いわゆる連携規定を設けているところでございます。

 こうした今までの取組の枠組み、そして新たな法律上の担保されている連携規定、こういったものを活用し、委員御指摘のような、一体的な遂行に支障がないように努めてまいりたいと考えております。

川崎委員 ありがとうございます。

 是非、移管後もしっかりとしたリスク管理を行っていただくとともに、やはり、これは守るだけではなくて、しっかりと食品産業や貿易の振興、こうしたものにも努めてほしいなというふうに思っています。まさに、食品に関しては消費者庁に移管したことでパフォーマンスが上がった、今回の移管はすばらしいものだった、成功だ、こうしたお声が聞けるように、是非そうした働きをお願いしたいと思いますが、この業務遂行に当たっての体制面についてお伺いをいたします。

 尾崎大臣政務官にお伺いいたします。

 例えば、国際食品標準、いわゆるコーデックスにおける国際的な議論を策定するのに、やはり人員が必要になると考えられますし、また、引き続き国内の食品規格と国際基準の調和を円滑に進めるためには、しっかりと研究予算を積んで、研究機関と連携していくことが非常に重要であると考えます。

 この研究予算や人員体制整備の点について御見解をお聞かせください。

尾崎大臣政務官 お答えいたします。

 食品衛生基準行政を消費者庁に移管した後においても、食品安全基本法に基づきまして、リスク分析の考え方により、科学的知見に基づいた衛生規格基準を策定するという政府内の食品安全行政の基本的な枠組みを継続していくことが重要であると考えているところであります。

 このため、今回の法案では、まず、食品衛生基準行政に関する調査審議は、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会から、消費者庁に設置される食品衛生基準審議会に移管することとするなどして、消費者庁としての対応を強化していくことといたしているところであります。

 また、委員御指摘のとおり、食品衛生基準行政を消費者庁に移管することによりまして、国際食品基準、いわゆるコーデックスに関する国際的な議論において、これまで消費者庁が所管してきた食品表示の基準と、移管される食品衛生に関する基準について、国際的な議論に一体的に参画していくこととなるわけであります。

 このような移管による効果を最大限に発揮させるためには、御指摘のとおり、必要な研究予算の確保や人員体制の整備が不可欠と認識をいたしております。

 具体的には、まず、食品衛生に関する研究につきましては、現在、行政経費や厚生労働科学研究費によりまして国立医薬品食品衛生研究所等において行われているわけでありますけれども、仮に本案を成立させていただきましたならば、その施行後につきましては、消費者庁から同研究所に研究委託等を行うなどして、移管後におきましても有用な科学的知見が得られるよう、必要な予算の確保に努めていかなければならないと考えているところであります。

 あわせて、移管に伴う消費者庁の定員などにつきましても、今後、国際食品基準、コーデックス等の国際的な対応も含めて、必要な定員、体制の確保、整備にしっかりと努めてまいりたいと考えるところでございます。

川崎委員 尾崎政務官、ありがとうございます。

 今かなり重要なキーワードをお話しいただきました。今回の消費者庁においては、いわゆる二つの武器を持つことでしっかりと国際的な会議に参加できる、議論に参加できる、これはかなり強みになってくると思います。その上で、それをしっかりと支えるための研究、人員体制というのは本当に重要になってまいると思いますので、我々政治家の方も頑張ってまいりますけれども、是非、消費者庁としても、そこらあたりはリーダーシップを取って、しっかりとした体制づくりをお願いしたいと思います。

 最後にお伺いいたします。

 今回は、厚労省、二つの業務を移管されるということで、スリム化を図られると思いますけれども、本当にこれで十分なのでしょうかというところが気になります。やはり、依然、厚生労働省はたくさんの業務を持ち過ぎているという印象がございます。まだまだ見直す余地があるのではないかなというふうに思っておりますけれども、伊佐副大臣、どのようにお考えでしょうか。

伊佐副大臣 今委員のおっしゃったような見直し、スリム化、この意義は、感染症対応も含めまして、厚労省がやるべき行政にきちんと注力できるというところが大事だというふうに認識をしております。

 そういった観点では、厚労省の組織の見直しとしましては、健康局に感染症対策部を設置する、また、感染症等に関する新たな専門組織、いわゆる日本版CDCを創設する、そして、今回、今御審議いただいています法案にありますような、食品衛生基準行政等を関係省庁に移管するというような取組をお願いしているところでございます。

 また、このほかにも、厚労省の関係する組織の見直しとしましては、今月からこども家庭庁が創設をされました。主に子ども家庭局が移管をされまして、子供に関する取組や政策については、政府全体として、司令塔機能及び政策立案機能を強化するということになりました。

 こうしたように、時代に応じて要請される行政課題の対応に合わせて厚労省の組織の見直しに取り組んでいるところでありまして、一般論として申し上げれば、委員の御指摘のとおり、今後も、必要となる行政機関の在り方について考えていくものというふうに認識をしております。

 あと、もう一点だけ、重要な点は、必要な人員確保が大事だというふうに思っておりまして、ここもしっかりと取り組んで、行政課題に対応してまいりたいというふうに思っております。

川崎委員 伊佐副大臣、ありがとうございました。

 今、副大臣がおっしゃられるように、やはり時代に合わせていろいろなものを見直すというのがかなり重要になってまいります。決して厚生労働省だけではなく、ほかの政府もしっかりとその部分は見てほしいと思いますし、それに必要な人材、そうした体制も早急に整備する必要があると思いますので、引き続きどうぞよろしくお願いします。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

三ッ林委員長 加藤大臣が十一時四十五分に参本会議から到着する予定でしたが、到着が二十分遅れるとのことですので、早稲田ゆき君の質疑は本会議散会後に行うこととし、この際、暫時休憩いたします。

    午前十一時四十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時四十五分開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。早稲田ゆき君。

早稲田委員 立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 それでは、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律案、これについて、私は、主に水道、下水道の機能強化、基盤強化という観点から、水道行政の移管部分について質疑をしてまいります。その後にお時間をいただきまして、カルト宗教脱会者に対する研究会の報告書についても御質問をさせていただきます。

 まず、水道についてでありますけれども、我が国の水道は、皆様御存じのように、二〇二一年度末で九八・二%という高い普及率でありまして、蛇口をひねれば飲める水が出てくるという、これが当たり前の日本でありますけれども、そういう国は世界的には少ないということでありまして、国交省によれば、世界で僅か十二か国ということでありました。

 しかしながら、この人口減少に伴いまして、非常に料金収入も減少しております。また、小規模な水道事業者の経営状況も悪化が懸念されている中ということであります。法定耐用年数を超えている水道管路が二〇・六%、その中で更新率は僅か〇・六五%に満たないということですから、大変これも重要な問題になっております。それから、水道施設の耐震化、水道管の耐震化が適合している割合は二〇二一年度末で四一%でございまして、これも更新が必要であります。また、自然災害が多発、それからまた激甚化をしておりますので、そうしたところへの対応、これも多くの課題がございまして、今の水道の基盤を強化するためにはどうしていくことが一番ベストであるかということを私たちも一緒に考えていきたいと思います。

 そうした情勢の中で、六十年ぶりの水行政の統合という大転換であります。

 この移管についてなんですけれども、私は、水行政の大統合、統一ということはいいと思うんですけれども、移管については、コロナ禍で感染症危機、そのときの組織の在り方に関する様々な課題が顕在化した中で、厚生労働省が感染対策部を設置をするということになりました。そして、その議論の中で再編ありきで始まりまして、そして水道行政の分割、移管がまとめられるに至ったその経過というもの、これはコロナ対策本部の方で決定をしていることから見ても、なぜなんだろうと思わざるを得ないわけです。そこの経過が非常に不透明であり、不明確なのではないか。そして一部、やはり水道行政がそれによって押し出されてしまったのではないかという懸念も拭えません。

 それと比較いたしますと、二〇〇一年の省庁再編の折には、水道行政の所管については非常に丁寧な議論がされたと聞いております。人の健康、命に、生命に関わる公衆衛生事業であるから、水質の管理も、それから施設の管理も一体として厚労省の所管とされた経緯があると思います。

 にもかかわらず、今回のということでありまして、また、水道法の基本法には、住民等は、中を除きますが、とにかく水道は地域における共有財産である、そしてその水道の経営に自らも参画している認識で水道に関わることが重要と明確に記されておりますが、今回、そういう国民の意識の醸成もないままにということがあるのではないかと私は心配をしています。

 今回の分割、移管が、なぜ、それを決められたのがコロナ感染症対策本部決定であり、そしてまた、そのときにはどのような現状と課題を分析して、どのような議論が行われ、また、どのような理念に基づいて、具体的には機能強化、これをどのように図ろうとしているのか、国民にとって分かりやすく大臣には御説明をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今、現状と課題の分析、どのような経緯、理念、そして機能強化、四つお話をいただきました。

 まずは二点目、三点目に関わるところでありますが、経緯と理念に関わる話でありますが、新型コロナに関するこれまでの取組を振り返り、次の感染症危機に備えるため、昨年六月に、内閣官房に設置された有識者会議において、政府の対応に関する客観的な評価、次の感染症に対する政府の体制づくりも含め、中長期的な観点から課題を整理をしていただき、その整理を踏まえて、昨年六月の政府対策本部で、厚労省における平時からの感染症対応能力を強化するため、生活衛生関係の組織について、一部業務の他府省庁への移管を含めた所要の見直しを行うとの対応の方向性が示され、決定されたところであります。

 その後、関係省庁間で、行政を取り巻く情勢の変化なども踏まえつつ、各省庁の所掌事務との関連性も勘案し、厚生労働省から他省庁に所掌事務を移管することにより政府全体として行政機能の強化につながるものとする観点から協議を行い、昨年九月の政府対策本部において、食品衛生基準行政を厚労省から消費者庁に、水道整備、管理行政を厚労省から国交省、環境省に移管することが決定されたところであります。

 先ほど委員からもお話がありましたが、我が国の水道は、約九八%と高い普及率を達成をし、国民生活や経済活動に欠かすことができないインフラとして社会に定着し、飲用に適さない水が摂取されるリスクが減少している一方、人口減少の到来に伴う水道事業者の経営環境の悪化、水道施設の老朽化の進行、耐震化の遅れといった課題に対応する必要性が増すとともに、災害発生時の断水といった災害対応にも迅速な取組が求められているところであります。

 こうした中で、社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力、知見を有する国土交通省が水道整備、管理行政を担うことで、層の厚い地方支分部局を活用しつつ、また、下水道等の他の社会資本と一体的な整備等を進めることによって、水道の整備、管理行政の機能の強化を図ることができると考えているところでございます。

 また、水質基準の策定等の業務については、環境中の水質、衛生に関して専門的な能力、知見を有する環境省が担うことで、迅速かつ効果的な水道水の水質基準の策定につながるなど、水質や衛生の面でも機能の強化が図ることができると考えているところでございます。

 このような機能強化が実現できるよう、厚労省としても、円滑な業務の移管の実現に向けて、当該関係省庁と緊密に連携をし、必要な準備を進めていきたいと考えています。

早稲田委員 今大臣が御答弁された中で、災害対応、それから社会資本整備ということでは当然私も分かりますけれども、公衆衛生という観点にあって、今大臣がおっしゃったような内容が厚生労働省に残ったからといって、それが進まないとは到底思えないわけです。コロナ禍にあっても、日本は、飲める水道があるからこそ、うがいができ、手洗いが励行され、大変そうしたことが功を奏したと私は思っています。ですから、経過が不透明である、不明確である、それからまた、現場の意見がどうなのかというようなことについては、今の御説明ではなかなか理解ができません。

 その上ででありますけれども、私はやはり、先ほど来、この水道法にも書かれている、地域の共有財産であるということ、それから自らも参画をしているということも、国民にとっては重要なことだと思っています。法案審議に当たっては、水道法の論議では議論が尽くされてこなかったこれまでの経過を含めて、これまで以上に水道の基盤を確固たるものにしていくことがもちろん求められています。

 ですから、水道事業、下水道事業をどのように持続可能にしていくのか、なぜ移管が必要なのか、水行政の将来展望、一元化や統合を今後どのようにしていくのか、どのように見通していくのか、災害対応や復旧対応が移管によりどのように改善されるのかをはっきりと国民の皆さんに示して、そしてまた、現場で実際に水道行政をやっていらっしゃる現場の自治体の皆さん、それから国民の皆さんにヒアリングなどを行って、私は国民的議論を今こそ、こういう移管をするからこそやるべきだと思っています。それによっていろいろな施策が可視化をされて自分事化されるようにすべきだと、この機を捉まえてやるべきだと思いますが、大臣の御見解を伺います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今委員から御指摘いただいた、水道行政において施策をより可視化していく、自分事化が図られるようにしていく、このことは私ども非常に重要なこととして平素の行政に取り組んでいるところでございます。その上で、今御指摘いただいた点についての私どもの見解を申し上げます。

 先ほど来委員から御指摘いただいておりますように、水道法では、水道事業者において水道の需要者である住民等に対して積極的に情報発信するとともに、その意見を聞きつつ事業に反映すること、また、国等において国民等への情報発信や意見の把握に努めることは重要である、まずこのように考えております。これらのことは、水道法に基づく水道基盤を強化するための基本的な方針、これは告示でございますけれども、この中においてもお示しをしております。

 この方針の趣旨も踏まえつつ、今回の移管に当たっては、移管による機能強化が発揮されるだけでなく、その内容について国民に御理解いただくことが大事であり、引き続き、様々な機会を捉えて情報発信していくとともに、水道事業者に対して、水道事業者における情報発信や意見聴取についても地域の実情に応じて実施されるよう、今後とも国として必要な助言等をしてまいりたいと思います。

 もう一点加えますと、先ほど委員が御指摘いただいた四点、どのように持続可能にしていくのか、なぜ移管が必要なのか、水行政の一元化や統合をどのように進めていくのか、今般の移管により災害対応や復旧対応がどのように改善するのかといった観点から、市民に御理解いただきながら、そして先ほど大臣からも御答弁申し上げたような課題や分析も発信しますし、議論や経緯も発信し、理念、考え方もお示しし、その上で具体的な、三、四点申し上げました機能強化を図っていく、このような取組を進めてまいりたいと考えております。

早稲田委員 おっしゃる御答弁は分かりますけれども、この移管の経過に当たっては、そうしたことはほとんどなされなかったわけなんです。

 周知していくというのは、それは当然、全て行政事業ですから、皆さんに分かっていただくのはこれからなさるのかもしれませんけれども、なぜ国交省と環境省に移すのかということも分からないし、このコロナ禍での、公衆衛生に鑑みてとおっしゃいますけれども、そこもよく分からない。そういう中でこれが行われたということは、やはりもっと前に進めるためには、そこをもっと周知していただかないと。そしてまた、この水行政について私は、統合、一元化ということを、先ほど最後におっしゃいましたけれども、これも進めていくべきだと思いますので、重ねてここのところはしっかりと進めていただくよう、大臣にも強く要望させていただきたいと思います。

 その上で、水道と下水道事業はこれまで厚生労働省と国交省でありましたけれども、河川管理は国交省、それからまた農業用水は農水省、それから工業用水は経産省と多岐にわたっているわけで、水行政の一元化ということがこれだけを見ても分かるのではないかと思います。

 そして、二〇一四年に成立をしている水循環基本法、これも、国民共有の財産である水に関わる行政の一元化、統合の実現という、先ほども水道法の方でもおっしゃいましたけれども、そういう理念が基本的にあるわけで、これをどのようにしていくかというのもこの移管によって更に考えて進めていく必要があるのではないかと思います。

 今回、移管になっても、水道法上では明確になっていない水源林保全、流域の水源管理、それから災害対応などの事業も施策が推進することを私はとにかくやってもらいたいと思っています。そうでないと、日本ではまだあれですけれども、世界では大企業による地下水の採取、それから買占めというような事態もあって、そして地域が非常に混乱をしている、そういうところも問題が多発をしています。この問題は、ペットボトルの水が多く使われるということになっておりまして、地下水の利用、それから利用に関する包括的な国内法も、日本でもありません。条例で定めているところはありますけれども、国内法の包括法はございません。こうした諸々の問題を考えていくにも、やはり、一元化ということ、それから国民的な議論が必要だということは明確だと思います。

 そして、私は、自然環境保全と水問題を一体で捉え、そして、水源である森林から蛇口まで、また、排水口から海洋まで健全な水循環を進めるために、それを念頭に置いた一体的な水行政の端緒となるような施策を推進するべきではないかと思っておりまして、これについては大臣に伺いたいと思います。

加藤国務大臣 政府全体として、今おっしゃられたような視点に立って、水循環なり、そうしたものを見ていくことは必要だと思いますが、現在、先ほど委員がおっしゃったように、それぞれの、例えば工業用水だったら経済産業省、農業用水だったら農林水産省、これはまたそれぞれの理由があってそうした役割分担になっているわけでありますから。全体として、水は循環して流れてきているわけでありますし、工業用水だった水がまた流れ込んできて、また雨が降って、また森林に落ちて、それがまた今度は飲料用に行くかもしれません。まさに循環をしているわけでありますから、それを全体として見ていく、これは非常に大事なことであり、政府全体として、また、各省連携しながら進んでいかなければならないなというふうには思っております。

 今回の措置は、そうした、先ほど冒頭申し上げましたように、感染症への対応をしっかりしていくという一方での流れと、それから同時に、今の水道事業について、特に耐震化あるいは老朽化、こういったことが進んでいる、こういったものをどう進めていくのか。その上で、誰が担えばいいのか。こういった観点から、今回、国交省において、そうした部分については移管をしている、こういうことでございます。

早稲田委員 水循環ということで今大臣おっしゃいましたけれども、やはり、全体の中で、世界的な規模の気候変動危機、気候危機という問題があります。今循環しているのが当たり前だと思っていても、いつ川が干上がるか、そうした懸念もあるわけですね。実際に、世界的にも起こっています。干ばつという問題以外にも起こっているわけです。ですから、全体で、工業用水、農業用水、それから飲み水、いろいろありますけれども、やはり、ダムの件とか、全てを水循環基本法に基づいて私はやっていく視点をもっとこの移管によって強めていくべきだということを申し上げさせていただきます。

 それから、海外での事例で申し上げたいと思います。

 水行政の一元化に関わるモデルとして、フランスのパリ市の水道事業、これは、ある意味、非常に有名でありますが、一度は民営化をしたけれども、それで非常に不具合、問題が多発をして、また再度公営化をいたしました。この再度公営化をしたのが二〇一〇年。そして、パリ市の水道は、経営の透明化、それからまた、市民参加の下で運営が行われており、上流の水源域、これの水環境保全や、水源流域の無農薬農業への事業利益の再投資や補助を行うなど、それから、水環境施策を統合的に行っていると聞いています。それから、ボルドー市やリヨン市などの水道事業も今年一月からまた公的な管理へと移行したそうで、貧困層への料金減免なども計画をされております。これはフランスの事例ですけれども。

 それから、日本でも、岩手県の矢巾町、こちらは、全国に先駆けて、住民参加の下の水道行政を実現した非常に好事例だと思います。これは、水道サポーターという制度を創設して、公募によって集まった町民の皆さんたちが水道事業について学ぶ、そして、意見交換をしながら率直な意見を行政に届ける仕組みであります。

 国民の方、市民の方、もちろん水道は安全ということを第一に考えられる、でも、水道料金が上がっちゃ困るのよね、やはりそういうふうに思われるわけです。もちろん、それを上げるということは問題なわけですけれども、それでも、この人口減少の中でどのようにやっていくか、持続可能なということも、これは国民的な議論がないとなかなか理解が得られないと思うわけです。それで私はここを強調したいわけですけれども。

 パリであり、この矢巾町の住民参加の取組について、大臣の所見を伺いたいです。こういうものを全国的に広げていく、そうしたことも移管に当たりましては必要なことではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 ちょっとパリの話は、いろいろ、文章では承知していますが。

 今委員お話があった岩手県の矢巾町などにおいて、利用者である住民からの料金収入によって事業が運営されているということを踏まえて、住民の意見を直接聞いて、それを事業の運営に生かされている、これは大変重要な取組と考えております。

 また、平成三十年に改正された水道法では、厚生労働大臣が定める水道の基盤を強化するための基本方針を作ることになり、それにおいても、水道事業者は、住民のニーズに合った積極的な情報の発信を行うこと、住民の意見を聞きつつ、事業に反映させる体制を構築すること、水道は地域における共有財産であるという意識を醸成することが重要である旨、示されているところであります。

 水道事業者においてこれらの取組が適切に実施されるよう、引き続き水道事業における住民参加の意義についても、その周知を図っていきたいと考えております。

早稲田委員 是非、そうした好事例をほかのところにも伝えていただきまして、そして、実際に、こうしたことがどんどん広がるようにしていただくことが大変重要ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それから、私はやはり、こうした安全、安心、そしてまた、持続可能な水道事業ということの展望に当たりましては、民営化ではなく公営による福祉の増進、それから水行政の統合ということを住民参加で進めるべきと強く思います。

 その意味で、この項の最後でございますけれども、この移管をきっかけに将来の水行政の統合の確立に向けて、水質管理それから施設管理、経営形態、官民連携の在り方を含めて水道、下水道事業をアップデートしていくことが必要ではないか。特に、安易な民間委託をする、財政が厳しいからといって民間に委託していくということにならないように私は強く要望するわけですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

松原政府参考人 お答えいたします。

 将来に向けて水道事業及び下水道事業の持続可能性を確保するとともに、機能を向上させていくことが大変重要であると認識をしております。

 国土交通省といたしましては、厚生労働省から水道整備、管理行政の様々な課題をしっかりと引き継いで、必要な施策について検討を進めてまいります。

早稲田委員 非常にあっさりした御答弁なんですけれども。

 やはり、国交省に移管されることで、非常に、国交省さんは様々な場面で民営化を進めていらっしゃるということもあり、水道の民営化が加速するのではないかという懸念の声は、これは拭えません。そうした意味においても、今私が申し上げたように、公共の福祉である、重要な社会基盤インフラであるということをよくお考えいただきまして、そして、私はやはり水循環基本法に基づく、総合的かつ一体的に住民参加の下でやっていくということがこの移管によって進むことを強く要望いたしまして、この項の質問を終わります。

 次に移ります。

 これは、私も取り組んでおります、カルト集団、特定集団からの離脱者に対する精神医学的・心理学的支援の在り方についての研究会の報告書、要旨だけを多分お配りをさせていただいていると思いますが、これは要旨なんですけれども、平成十二年、二〇〇〇年十二月に出されているもので、五十ページにわたる報告書でございます。

 これは、オウム真理教のときの、あの重大な事件のときを契機に設置をされたものでありまして、オウム真理教対策関係省庁連絡会議幹事会の申合せを踏まえて、当時の厚生省が警察庁、法務省と密接な連携の下に設置をした研究会の報告書であります。研究会の会長は、国立精神・神経センター精神保健研究所の吉川武彦先生でいらっしゃいました。そして、いわゆるカルト宗教からの離脱者、脱会者に対する支援の在り方について、この中身を見ますと、大変貴重な提言が幾つも出されております。

 これについて厚生労働省は共有をされていたでしょうか。そして、大臣はこれをお読みになったでしょうか。

加藤国務大臣 委員御指摘の特定集団からの離脱者に対する精神医学的・心理学的支援の在り方についての研究報告書、これは平成十二年にまとめられたということだそうであります。

 これは既に文書の保存期間も経過をしていて当省の中には保管されていないということではありましたが、委員の御質問をいただいて公文書を入手させていただいたところでございます。

 このマニュアルを見ますに、この報告書自体は、当時はオウム真理教教団において、刑事事件として立件され、法に基づく規制措置が行われたところから、社会復帰を希望する信者、元信者への支援ということで本研究が対象とされたというふうに承知をしているところでございます。

 このマニュアルについて、当時、カルト離脱者の社会復帰対策の一環として実施する精神的ケアの参考とされるよう、各自治体の衛生主管部局にも周知されたと承知をしております。

早稲田委員 文書の保存期限を過ぎているからということで、ないとおっしゃいました。そして取り寄せていただいた、国立公文書館からということでありますが、重大な、重要なものについて、その保存期間が過ぎても、やはりデータなどに残しておくというのが当然ではないんでしょうか。これは是非、大臣、読んでください。五十ページありますけれども、非常に中身の濃い内容であります。

 そして、ここでは、オウム真理教等のカルト特定集団の構成員からの離脱を求める方に対する援助及び十分な人権的な配慮を行うとともに援助の在り方について学術的な研究を行ったと最初に書かれておりますが、この中身を見ますと、カルト集団、カルトということについての定義もあります。マインドコントロールということについても、政府の出した報告書の中に書かれております。

 マインドコントロールと言うことが難しい、カルト集団というのを定義をするのが難しいと、政府の皆さん方はこれまでずっとおっしゃっていますけれども、もうここで、これが結論ではないかもしれないけれども、非常に学術的な、心理の専門家、そして警察庁、法務省、厚生省、全てが入ってやった研究書が、報告書があるじゃないですか。それを知らなかったと言っていただきたくないんですね。これがもし、このマニュアルをしっかりとやっていただいていたなら、こんな、また再びの事件は起こらなかったのではないかと当然思います。

 この省庁連絡会議を経て、警察庁、厚生省、法務省、心理関係者などの専門家が参加して、これは脱会者のケアという話が書かれておりますけれども、それだけではなくて、カルト研究センター(仮称)、これを設けるという提言まで出されているわけです。これはなぜかというと、今、もちろん、厚生労働大臣中心にいろいろなことをやっていただいています。文科省もやっている、消費者庁もやっているけれども、そうしたばらばらでやると、また十年後には、全てこうしたいろいろなカルト的な、カルト団体の被害者の方たちの情報が散逸してしまうのではないかと非常に懸念をいたします。それを申し上げているんです。

 それが、保存期限が過ぎているからということで、厚生労働省にレクしたときに、ないんですとおっしゃいますけれども、これは厚生省がその会長をなさっているわけですね。精神保健の専門家の方もおっしゃっています。心理のカウンセリングということが非常に重要で、そういうものを、やはり児童相談所も含めて、それから、ほかの警察庁なんかも含めて一緒にやっていくべきだというような提言までなされている。

 でも、それが全く白紙です、知りませんということにはならないんじゃないんでしょうか。それだけ本気度がなかったということなんです。あれだけの事件、あれだけの人の命が奪われた。そして、まだ苦しんでいる方が、ほかの教団だけれども、いらっしゃる。

 その中には、予防啓発運動を積極的に行うことでカルト勧誘に対する抵抗力をつけるということまで書かれている。これもやられていませんよね。今になって、やっと、大学なんかで、そういうカルトの人たちの勧誘に乗らないようにということで、大学が独自にやっていらっしゃる。

 だけれども、この間、私たちも何度も党の方でヒアリングをさせていただいたけれども、被害者の団体の方がおっしゃっていました。北海道からずっと電話をかけていったと。まず警察、それから、都道府県ですね、児童相談所だから。それで、この統一教会の関係でと、そうやって話し出すと、あっ、ごめんなさい、宗教問題はもう一切取り扱いません、警察も、児相も、都道府県も、市町村の窓口も、口をそろえてそうやっておっしゃっている。だから、そこから先に進まないんですよ。被害者が話そうとしたって、進まない。

 それは、こういう報告書、きちんとした政府として出している報告書をこうやってないがしろにしてきたということを私は非常に反省をしていただきたいと思います。大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 今回の御指摘のマニュアルに記載されている支援の内容、これは、心理的に動揺しているので親身になって話を聞く、過去のことには極力触れず、将来の生活設計や家族の大切さを中心とした話題を心がけるなど、これはいわば現在実施している相談の対応の際の考え方にも通じているものだというふうに認識をしております。

 文書そのものは確かに、先ほど申し上げたように、ちょっとどの時点で廃棄されたか承知をしておりませんけれども、文書の管理の規程に基づいて廃棄をしておりますが、そこで議論されてきたもの、そういったものも受け継ぎながら、今回のこうした厚労省としての対応等、今移っていますけれども、させていただいているということでございます。

早稲田委員 受け継ぎながらと。もちろん、マニュアル、これを見なくてもやっているんだという御答弁でしょうけれども、いろいろこの中には、もう本当にいろいろなことが含まれているわけです。警察庁もかなり踏み込んだ、カルトとマインドコントロールということを言っているし、法務省もおっしゃっている。それから、厚生省でいえば、脱カルト支援のためのNPOへの助成や、宗教家、弁護士、メンタルヘルスの関係者のネットワークの構築が必要だと、そこまでおっしゃっているわけです。それを二十年間やってこなかったじゃないですか。だからこういう事件がまたも起こっているということは深く反省をしていただきたい。

 そして、これをもう一度、厚生労働省としても、それから法務省、警察庁、全部共有をしていただきたいと思います。今般の統一教会、エホバの証人、こうした宗教二世、三世問題に政府として今一丸となって取り組んでいただいているわけですから、当然ながら、これが出てきたわけですから、厚生労働省としても報告書を改めて精査して、分析をして、法務省、警察庁とも共有をして、そして岸田総理にも御報告をしていただきたい。

 そうした上で今後の取組に是非生かしていただきたいと強く要望いたしますが、大臣の御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 いずれにしても、旧統一教会問題に関連して専門的な支援を必要とする方々が適切な相談支援や場合によっては医療が受けられるよう、我々としてもまた、当該部分はこども家庭庁に移管しておりますけれども、こども家庭庁、警察等とも連携しながら、しっかりと取り組ませていただきたいと考えています。

早稲田委員 ここに書かれているのは、第一次の窓口として相談を受ける機会の多い警察、民生委員、市町村窓口、教育センター、人権センター等で対応を充実させると書いてあります。そして、第二のところの窓口は、保健所、精神保健福祉センター等を含めと書いてあります。この第一の窓口のところの、私は、「人権センター等」の等、これには児童相談所が入りますよねと厚労省に伺いました。そうしたら、所管が違うから分からない、聞かない、そういうふうにお答えになったんだけれども、私は大変残念です。

 今まで、三月三十一日まで、この児童虐待の問題はもちろん厚生労働省としてやっていただいていた。そして、この報告書の問題は三月三十一日までの話ですから、もちろん今も続いているけれども、だったら、児童相談所もこれは入っていたんじゃないかということについては、真摯にそうやって対応して、こども家庭庁に聞いたらいいじゃないですか。それをなさらないという姿勢が私には信じられない。ここまで、被害者、宗教二世の方たちが苦しんでいる、今大臣にもエホバの関係でいろいろヒアリングもしていただいている中で、それは関係ないと言い切れるということ自体が、私には信じ難い事実であります。

 是非、これをもう一回精査をして、分析をして、そしてまた、今の宗教二世に対する問題にも生かしていただくことを強く要望して、質問を終わります。引き続きこの問題に取り組んでまいります。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、阿部知子君。

阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。

 先ほどの早稲田議員に引き続いて、今回改正となります食品衛生法並びに水道法についてお尋ねをいたします。

 元々、この二つを改正していく理由は、新型コロナウイルス感染症に関するこれまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策として挙げられた四番目にございました。

 私は、早稲田議員との質疑をお聞きしても、やはり、なぜこの二つの法律を、この新型コロナウイルス感染症に関する、例えば四番目、感染症対応能力を強化するために変えるということでありますが、この二つを変えるとどんな感染症対応能力が強化されるのでしょうか。大臣に伺います。

加藤国務大臣 まさに、今回の法律を出させていただいたのは、生活衛生等関係行政の機能強化を図ること、これが目的でありますけれども、こうした厚労省の所管の一部を他省庁に移管することで、厚労省、厚生労働大臣の負担を軽減することで、厚生労働省が感染症対応により注力することが可能となり、厚生労働省における感染症対応能力の強化にも資すると考えているところでありますし、この移管だけではなくて、あわせて、健康局に感染症の対策部を設置をすること、医薬品の審査体制を強化すること、これはまた別に法律を出させていただいておりますが、感染症等に関する新たな専門家組織を創設する、こういった措置を一体的に講ずることによって、平時からの感染症対応能力の強化、これにつなげていきたいと考えています。

阿部(知)委員 確かに、コロナで、この間、厚生労働省の皆さんには、多忙を極め、長時間の残業もあったと思います。所管する業務が大変多いということも日頃から思っております。ただ、今回の再編は、そうした感染症対応に傾注するために、この二つを、あえて言えば切り離していくと。本来、食品衛生行政あるいは水道行政の必要から生まれたものではないように思います。それが、非常に唐突感がございますし、国民への説明責任も果たされていないと思います。

 以下、順次お尋ねをいたします。

 まず、食品衛生法の改正ですけれども、今般の改正では、いわゆるリスク管理、これは、食品衛生の基準行政と監督行政というものがございますが、これは従来、厚生労働省が両方を担っておられましたが、今般、基準は消費者庁の方に移されるということであります。開いて二枚目の、食品衛生法の改正の簡単なものを作ってみましたが、食品衛生の基準行政が消費者庁、そして監督、監視が厚生労働省。従来、これは、監視をしながら基準を作っていく、監督しながら基準を作っていく、フィードバックということも非常に重要な一部でありました。けれども、今後は消費者庁と厚生労働省に分かれるわけです。

 このことによってむしろリスク管理の質が下がるのではないかという御指摘が、特に、例えば生活協同組合の皆さんを含めて消費者サイドから出ておりますが、これにはどうお答えになりますでしょう。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 リスク管理の基準そして監視で、両輪的に今まで行ってきたところでございます。

 ただ、近年、食へのニーズの多様化により、これまで流通していなかった新たな食品の開発が行われるなど、食品に関わる関係者が多様になりつつあるのが現状でございます。

 こうした中で、食品安全行政の総合調整を担っている消費者庁が食品衛生基準行政を担うことで、政府内の関係府省がより緊密に連携し、食品衛生に関する規格基準の策定に当たることができると考えております。ですので、その意味では、政府全体の取組としては、より一体的に行うことができると考えております。

 加えて申し上げますと、この基準、そして監視、その先にあるのが国民でございますので、国民の皆さんとのリスクコミュニケーション、これを関係府省等と一緒に行っておるわけですけれども、この取りまとめを行っているのも消費者庁でございます。こうして食品衛生基準行政を消費者庁が担うことで、科学的知見に裏打ちされた食品安全に関する啓発の強化に資するものと考えております。

 もう一点、この連携に問題が生じるのではないかという点でございますけれども、これは先ほど申し上げたとおり、今既に、消費者庁も加わった、食品安全委員会ですとか農林水産省ですとか私ども厚生労働省、こうした政府全体の取組の中で、関係省庁が連携して取組を推進してきたところですので、これによって連携に問題が生じるということはないように取り組んでいきたいと思っております。

阿部(知)委員 今、後段おっしゃったのはコーデックスのことかと思いますが、コーデックスも、農水省、厚生労働省、消費者庁と関わっておりますので。ただ、今るる述べられましたけれども、そうしたことが消費者の皆さんと十分コミュニケート、相互意見交換されているかというところが今回の一番問題なんですね。一方的なんです、はっきり言って。連携も強化されると思いますとか。そうならないだろうから心配が生じているので、各団体、声が出てくるわけです。

 では、薬事・食品衛生審議会、これまでございましたね。ここに、先ほどの基準行政と監督行政を分けるということを諮られましたか、大臣。じゃ、どうぞ。短くお願いします。

佐々木政府参考人 手短にお答えいたします。

 結論から申し上げますと、薬事・食品衛生審議会で主に審議を行っていただいております食品衛生分科会に対しての諮問という形ではございませんが、昨年十二月に政府対策本部での内容を報告しております。まず一回、十二月に行っております。

 その上で、先月、三月でございますけれども、法案の閣議決定を行いましたので、この内容についても食品衛生分科会に報告を行ったところでございますし、また、その際にも御意見を伺った上で、十二月にいただいた御意見を踏まえた上での法案、そして三月の閣議決定、こういう流れを取っております。

阿部(知)委員 これも同じで、一方的に伝えたんだと思いますね。いただいた御意見が少しでも反映されていれば、少し私は違うんだと思います。まず、諮問事項じゃないから諮らないという姿勢、それも問題です。聞き置くというような、御意見を頂戴するというのもやめていただきたい。

 食は日々口に入るもので、食べる当事者の不安を取るということが一番大事な行政の目的であります。そこにおいて、基準と監督が分かれて大丈夫だろうかと思っているということをどうやってコミュニケートしていくかというところが問われているわけです。

 加えて、今回、いわゆる食品安全に関しまして、食品安全法との関係で申しませば、二〇〇三年のBSE、この発生によって、今私が申し上げたリスク管理とリスク評価、リスク評価の方を食品安全委員会がなさって、その間のリスクコミュニケーションをしましょうということになって、当時は厚生労働省だけがやっていたものを独立性のある食品安全委員会に委ねたわけです。その方がよりいい安全性が担保されるということでありますが、今般、消費者庁の方に基準行政、そして安全委員会の方にはリスク評価。これは共に内閣府の中にあるわけです、組織でいえば。もちろん、各々分かれた委員会ですけれども。

 当時のいろいろな言われているところを見ますと、お手元の資料の三枚目を開いていただきますと、ここには、食品安全委員会というものは、規制や指導等のリスク管理を行う関係行政機関から独立をしていなければならないと。独立をするということは、同じ内閣府の中にあるということから見ていかがかと思うんです、安全委員会と消費者庁ということにおいて。

 あと、恐縮ですが訂正させていただきますが、この出所、私が下に消費者庁と書いてありますが、これは内閣府の誤りですので、訂正をさせていただきます。

 質疑に戻りますが、このような形でBSEの教訓から後退をしているのではないかと思いますが、大臣、どうでしょう。

鋤柄政府参考人 お答え申し上げます。

 食品安全におけるリスク評価とリスク管理の分離や食品安全委員会の中立性は引き続き重要であり、改正法施行後においてもその考え方に変更はありません。

 また、今回の食品衛生基準行政の移管は、リスク管理機関である厚労省と消費者庁の間における所掌の変更であり、リスク評価機関である食品安全委員会の役割、機能、評価体制などについても何ら変更はありません。

 法改正後におきましても、食品安全委員会では、食品の安全性の確保に関する優れた識見を有する専門家が、最新の科学的データなどの知見に基づいて客観的かつ中立公正に科学的なリスク評価を行うこととしており、引き続き中立性を維持してまいります。

阿部(知)委員 そういうことを形式的に言うだけじゃなくて、ちゃんと、安全委員会なんですから、リスクコミュニケーションしたらいいんですよ。こういう改正をしてどうかと不安に思っている消費者がいっぱいいるんですから。

 今まで、リスク管理は厚生労働省、そして食品安全委員会が内閣府にあったんですよ。分かれていたんです。今度、消費者庁にリスク管理の一部が来るんですよ。このことの意味と、でも、今るる言われたように、しっかりやりますということが伝わっていないから、本当に何のために改正しているのかよく分からないんですよ、唐突感があって。私は、聞けば、そういう言葉の答弁はありますよ、でも、内容を伴わない、本当に国民の不安が取れないものかと思います。

 そして、ここは大臣に答えていただきたいんですが、私にとって食品衛生法ということで一番胸が痛むのは、やはり水俣病であります。もしも、水俣病が、一九五六年に水俣病の診察をしたお医者さんから保健所に申請があって、食中毒としてそのとき食品衛生法を適用されておれば、ここまで長引いて拡大することがなかったかと思います。食品衛生法の改正を考えられるからには、水俣病の総括をしていただきたい。大臣、いかがでしょう。

加藤国務大臣 ちょっと長くなってよろしいですかね。

 水俣病が発生した当時の食品衛生法第四条第二号では、有毒な、又は有毒な物質が含まれ、又は付着しているものの販売等を禁止するとなっていたわけであります。有毒な物質が含まれる食品については同号の規制対象となるものの、その疑いのある食品についてはいまだ同号の規制対象となっていなかった。

 当時、水俣湾内特定地域の魚介類全てが有毒化しているという明らかな根拠が認められなかったため、この特定地域で漁獲された魚介類の全てに対して食品衛生法第四条第二号の規制を適用することはできないと判断したところでありますが、一方で、当時、水俣湾内特定地域の魚介類を摂取することで原因不明の中枢神経疾患を発生するおそれがあったことから、摂取しないよう指導、これはいわゆる一般的な行政指導ということでありますが、を行い、そうした法律の体系の中で適切に対応してきたものというふうに認識をしております。

 ただ、その後、昭和四十七年の食品衛生法改正において、第四条第二号の規定が、いわゆる疑わしいというものも含む形で改正され、疫学調査等により有害な物質等が含まれる疑いが客観的に認められる場合にも、この規定を適用できるようにしたところであります。

 現在、水俣病が発生した昭和二十年代、三十年代と比較をいたしますと、食品衛生法等の今申し上げた法規定の整備、また原因調査による必要な試験分析技術等が飛躍的に進歩しており、より迅速かつ効果的な対応が可能となっているわけでありますから、厚労省としても、国民の健康の保護を図る観点から、食品安全の確保、これに積極的に取り組んでいきたいと考えています。

阿部(知)委員 疑いでは規制しない、あるいは、全部の魚が汚染されているわけではないから規制しないというのは、大臣も今御答弁になったけれども、やはり適切じゃないんですよね。販路を断って、拡大しないようにしなければ。だって、じゃ、水銀汚染していたら色が変わるとか、何か分かればいいですよ。そんなことはないわけですよ。湾の全体の魚が汚染されていなきゃ食品衛生法の適用にないというのも本当におかしなことで、もちろん、昭和四十七年、一九七二年、改正されますが、いずれも後手に回って、その間にも患者が拡大して、今も裁判が後を絶っていないわけですから、是非、厚生労働省にあっては、この問題は深刻に、総括、過去を振り返り、再び過ちのないようにやっていただきたい。

 次に、水道法の改正についてお伺いいたしますが、私は、今、コロナ感染症対策として水道法を変えて感染防御効果があるかというと、全く逆だと思っております。

 元々、水道というのは、もう大臣もよく御存じのように、水系伝染病、コレラですね、これの蔓延で、横浜市から水道の行政が始まっております、水を通じて広がる感染症対策として。そこから公衆衛生という概念が生まれました。でも、今、公衆衛生、今般の改正はすごく後退をさせるものだと思います。

 そもそも、一九五七年から一貫して厚労省が担ってきた水道行政、下水は別ですが。と同時に、二〇一八年の改正でいわゆるコンセッション方式が導入されて、民営化の懸念、先ほど早稲田議員がおっしゃいましたが、指摘されているところです。

 今般の改正は、水質の基準策定が環境省、水道の基盤の管理が国土交通省、一体、厚生労働省はどこへ行っちゃうのかなと思います。これは、そもそも、公衆衛生の向上の観点が担保されるのでしょうか。

 今回のコロナ感染だって、きれいな水があって、うがい、手洗いと言ったものですよね。水ってすごく大事なんです。アフガンで皮膚病の子供が多かったときに、診察した中村さんが、なぜかと思ったら、干ばつが原因だったと。水がないということがこれだけ感染を拡大させると分かって、彼はそれから聴診器をユンボに替えて、干ばつ対策に向かうわけです。

 水というのは、命と直結するし、公衆衛生の基本なわけですが、今般の改正で、何か公衆衛生の向上に資したもの、あるでしょうか。大臣、お願いします。

加藤国務大臣 水道整備、管理行政のうち、水質基準の策定等の業務を移管する環境省では、現在でも、科学的知見に基づいて、環境基本法の水質汚濁に関する環境基準を策定するなど、水質また衛生に関して専門的な能力、知見を有していると承知をしております。業務を移管することで、水質に関する基準、これは河川などと水道とにおける水質に関する基準を一貫して検討することが可能になり、より迅速かつ効果的な水道水の水質基準の策定にもつながるなど、機能強化を図ることができると考えたところでございます。

 その上で、厚労省として、業務移管を円滑に行うことはもとよりでありますけれども、公衆衛生の向上等の観点から、環境省とは緊密に連携を図りたいと考えています。

阿部(知)委員 私は、環境省は環境省なりによくやっておられると思うんです。そのことを否定しておりませんし、今後も頑張ってほしい。ただ、厚生労働省がやるべきことがあるでしょうというのが健康との関係なんです。ここまで環境省に押しつけるわけにはいかない。頑張って厚生労働省にやっていただかなければならない。

 そして、そのために例を取り上げさせていただきますが、今、大変社会的に大きくなっている有機フッ素化合物、PFASと総称いたしますが、これがいわゆる水、水系の汚染をもたらしていて、開いていただいたページ六には、PFASの影響で取水を停止している浄水施設、多摩地区ですね。取水を停止するということは、本来の水道行政からいえば、水を清廉に渡せないというところがこれだけ出てきてしまっています。

 そして、その下には、水が汚染されているだけじゃなくて、血液を測ってみたら、やはりアメリカやドイツの基準よりは高い人が過半数見つかっているということで、当然ながら、住民の不安であります。

 まず、水が止められている状態、飲んじゃいけないんだということ。それから、蓄積しますから、血中濃度も高くなっていく、これは消えないものなんですね。そうなると、これだけの懸念と健康被害のリスクを抱えた中で、今、水道行政が厚生労働省の手を離れて環境省に行くということが本当に適切であるのかということであります。

 具体的には、水質管理基準逐次改正検討委員会、これは厚生労働省が今、やっておられますが、これからはどこがやるんですか。また、国立保健医療科学院、ここにもPFAS関係の研究があります。みんな厚労の関係機関です。これらはどうなるんですか。予算はどうなるんですか。もっと言えば、健康は誰が見るんですか。大臣、御答弁ください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 今、委員御指摘のうち、大きく分けて、二つお答えしたいと思います。

 まず一つ。現在、厚生労働省において水質を検討している会議体でございますけれども、これはその根拠となる水質基準が環境省に移管されることに伴い、環境省で行うこととなります。

 もう一点。私どもの国立保健医療科学院で持っている水道に関する研究部門につきましては、これは引き続き厚生労働省の施設等機関として存置するものでございます。

 ですので、環境省において、その必要があれば、保健医療科学院に、今まで私どもが様々な形での研究委託を行ったその措置を講ずることによって、引き続き国立保健医療科学院が貢献できるものと考えております。

阿部(知)委員 できるものと考えるのは勝手と言うと失礼ですけれども、いいですけれども、片っ方、厚生労働省の施設で、研究費もそっちから出るわけですよ。もっと研究を強めなきゃいけない。例えば血中濃度を広く測ろうと思ったときに、予算づけが必要になります。でも、一方で、環境省の方で水質管理はやっているわけです。環境省の方だって予算に困るでしょう。厚生労働省だって同じですよ。

 水というものが公衆衛生に基本を置くことの一番の象徴は、私は今のPFAS問題だと思います。水俣病で食品衛生法が誤ったように、今、PFASの汚染というものは、大阪の摂津のダイキンという企業から広がって、一万数千名の署名が集まって、子供への影響が懸念されているという矢先なんですよ。そこに、ばらばらにして、どうなっちゃうか分からない改正。

 私は少なくとも、公衆衛生機能をもっと厚生労働省が頑張るという前提だと思いますが、大臣、どうですか。

加藤国務大臣 まず、PFOS、PFOAについて、免疫系や肝臓等への有害な影響の原因となり得ることが指摘をされておりますが、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかについては、必ずしも現時点では明らかにはなってないと承知をしております。

 しかし、今、水道事業の話、ありましたが、水道事業者等に対して、水質基準に準じた検査等の実施に努め、水質管理に活用するよう要請しており、必要に応じ、水道事業者等において水質検査が実施されております。また、WHOにおける飲料水水質に係るワーキンググループでの議論にも、先ほどお話がありました保健医療科学院の職員が参加をしている。

 現在、血液検査等を実施することは考えていませんが、PFOSやPFOAの毒性評価等に関する国内外の科学的知見を集めること、また、我が国の水道水におけるPFOSの検出状況等の把握に努めて、専門家の御意見も伺いながら、必要な検討は、これは厚労省としてしていかなきゃならないというふうに考えています。

阿部(知)委員 血液を検査することを考えていないこと自身が問題なんですね。だって、アメリカだってドイツだって、血液の基準値を作成しているんです。もちろん、水系の基準値は、今年の一月、アメリカでは、今までのたしか七十から四に見直すと、四ナノに。非常に下げているんです。できればゼロにしたいというところであります。これは水系です。

 でも、水は何にくるかというと、私たちは水なしには生きられない、体にやってくるわけです。おなかに赤ちゃんがいたお母さんは、その水が赤ちゃんに影響をするわけです。胎児への影響まで指摘されている中で、そして、高い水系の濃度を示すところで血液中の濃度を調べないなんてことはあり得ないんです。水俣病で私たちが分かったことは、予防原則に立たなければ被害は拡大するということで、拡大した被害に長く苦しむわけです。

 今度、四ナノにアメリカ基準が、一リットル当たり四ナノグラムです、EPA、米国が見直されたとき、日本は、今、五十ナノグラム・パー・リッターですが、この見直しはどうされますか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、海外における状況でございますが、先ほど委員から、米国におけるPFOSが四ナノ、PFOAが四ナノ、それぞれパー・リッターですけれども、これが第一種飲料水規制案として、先月、規制案が発表されたところでございます。

 一方で、他の海外におけるPFOS及びPFOA濃度の目標値を御紹介しますと、イギリス、英国ではPFOSが百ナノグラム・パー・リッター、PFOAが百ナノグラム・パー・リッター、ドイツでもPFOSが百ナノグラム・パー・リッター、PFOAが百ナノグラム・パー・リッターと設定されているものと承知しております。もう一つ、WHOにおいて、飲料水水質ガイドラインにおいてPFOSが百ナノ、これもそうですけれども、PFOAが百ナノ・パー・リッターとするガイドライン値案が既に提案されてきたところでございます。

 厚生労働省でございますけれども、今年の一月、先ほど御紹介いただいた私どもの検討体において議論を行いました。今後、国内外の知見が順次明らかになってきます。それに基づいて必要な議論をしてまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 緩い方の基準に合わせようというのはやめてくれますか。厳しい基準で臨まなければ予防原則じゃないんですよ。何でそこが分からないんでしょうか。そして、都合のいいところ、緩い基準を取るなんていうことは、日本の厚生労働行政の恥であります。

 子供たちへの影響も調べるべきです。一定血中濃度以上のお母さんたちが何人もいるわけです。環境省でも、エコチル検査でPFAS関連の調査はしているはずです。調べようと思えば、体系立てようと思えば幾つものデータを持っているのに、やる意思がなければ、健康被害は放置されるんです。私は、分かっていての今の御答弁だと思います。

 諸外国の数値は、資料七につけさせてはいただきました。

 でも、今回、アメリカが四ナノグラムに、これは水ですよ、見直すということは、物すごく影響があると思います。今、国を挙げてバイデン大統領はPFAS対策に臨んでいるわけです。国民を守りたいから、国民の健康を守りたいからなんですよ。そういう姿勢を厚生労働省が持てないとしたら、私は、もうそれは厚労省の意味がない、死を意味すると思います。

 そして、もし、四ナノグラム、日本も変えたとすると、測定の技術やその人たちを教育するのが非常に一つの大きな課題になってきますが、これはどうされるんですか。今後、国交省に移管するわけですよね、行政は。そこで人材育成とかどうするんですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、リスク管理を行う上では、まず、基準値、それをちゃんと測定できる、そして、その測定できるという意味では、機器もそうですし、それが分析できる人ですとか機器が、またそういったインフラがある、ここまでそろってのものが必要になります。

 現在、厚生労働省で行っておりますこうした水道に関連する一連の業務は、先ほど来御答弁申し上げているとおり、水質に関する部分については環境省に、それ以外は国土交通省にとしております。今後、もしこの法案をお認めいただければ、来年四月からは、国土交通省、環境省がそれぞれ、それぞれの業務に対しての連携規定も今回お示しした法案の中に規定しているところでございます。こういった連携規定もありますし、それまでの間に、私ども厚生労働省が培ってきた様々な知見、経験、これが円滑に引き渡せるよう、様々な取組を進めてまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 繰り返しますが、機械も技術も人もみんな予算なんですね。これからどうなるか。例えば国土交通省は、水質の安全管理にお金をかけるということは、やはりそれだけ水道の管理費用が上がるわけですよ。これからコンセッションとかになるかもしれない、安くという圧力も来るかもしれない、その中で、健康を守るために公的な業務としてきたわけですよ、命に代えられないから、水は。

 私は今の答弁はアバウトだと思いますよ。本当に機械も人も予算もどこがつけるんですか。大臣、どうですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、今のリスク管理に当たっての分析ですけれども、当然ながら、実際に分析をする、又はその基準を満たす事業者等において行われるべきものでございます。それを含めてのそれぞれの事業所においての必要な予算、予算と申しますか、その経営に必要な原資、これは水道料金賦課も含めて行われるというのが原則でございます。

 一方で、新しく基準等を設けた場合、それを世の中、日本中で広く行ってもらうために必要な対応、これについては、私ども厚生労働省が行ってきたものは、引き続き国土交通省ですとか環境省に引き継いでまいりたいと考えております。

阿部(知)委員 申し訳ないけれども、引き継がれる担保がありませんので、厚労大臣には覚えておいていただきたい。

 最後に、一つだけ要望です。

 コロナ感染症において、コロナの早い時期から、いわゆる人間社会に流行する前から下水道に表れます。コロナの下水道検査と申します。もう二年前からこれは質疑しておりますので、こういうことを強化することがコロナ感染症の公衆衛生対策の強化なんですね。大臣、最後にこれだけ御答弁ください。

加藤国務大臣 下水サーベイランスについては、関係省庁と連携して取り組むこととしており、厚労省では、下水サーベイランスに関する推進計画に基づき、今年度の調査研究としては、国立感染症研究所等において、下水ウイルス濃度と地域の感染状況の相関関係の分析を引き続き行うとともに、新たに、コロナウイルスに限らず、下水中の複数の種類のウイルスの同時検査手法の検討を行うこととしております。

 また、内閣官房が二十六自治体の協力を得て実施した昨年度の実証事業の結果、これが間もなく取りまとめられるというふうに聞いているところであります。

 これらも踏まえて、新型コロナの監視体制の強化にどのように下水サーベイランスが活用できるのか、していくのか、これらについて引き続き関係省庁とも連携して検討をしていきたいと考えています。

阿部(知)委員 今、二類から五類への見直し、あるいは患者数の全数把握もできなくなった中であります。一つの有効なツールですので、感染の蔓延を予知して対策できるように、研究研究研究というんじゃなくて、もう一歩前に、神奈川では実際に実用に用いておりますので、是非普及させていただきたいと思います。

 終わらせていただきます。

三ッ林委員長 次に、遠藤良太君。

遠藤(良)委員 日本維新の会の遠藤でございます。

 今回の閣法に関しまして質問させていただきたいと思いますけれども、まず初めに、食品衛生基準行政についての、消費者庁に移管するというところで、規格や基準の策定を消費者庁がすることで食品衛生について科学的安全を確保すると。この安全を確保するというところなんですけれども、具体的にどのように安全を確保していくのか、まず確認したいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、食品の安全は、国際的に共通のリスク分析の考え方がございます。これに基づいて、国際動向及び国民の意見に十分配慮しつつ科学的知見に基づいて確保することとしており、その旨は食品安全基本法に規定されています。これに基づいて、関係省庁が連携して食品安全の確保に、例えばリスク評価、リスク管理といったことで取り組んでいるところでございます。

 業務移管後も科学的知見に裏打ちされた規格基準の策定等を行うことができるよう、この法案では、現在、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会が行っている規格基準の策定等に関する調査審議の役割を担うべく、消費者庁に食品衛生基準審議会を設置し、この審議会で食品衛生基準行政に関する調査審議を行うこととしています。

 こうした仕組み、取組によって、引き続き食品安全の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 先ほども阿部議員が指摘されていましたリスク管理のところなんですけれども、農水省が農薬、厚労省が食品衛生、消費者庁が食品等表示の分担であるというところなんですけれども、今回、この規格や基準が守られているかの監視については厚労省に残すというところなんですけれども、厚労省のところに監視を残して移管しなかったというところ、これを確認したいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 食品衛生監視行政は、有毒、有害な食品、規格基準に合わない食品の取締りや、食品関係の営業者に対する営業規制、監視指導等を通じ、食品による健康被害の未然の防止や、健康被害が生じた際の被害の拡大防止を主な目的としております。

 例えば、食中毒を考えますと、原因となる微生物やまた物質によっては、直ちにその原因が初動の段階で分からない場合がございます。そのため、常に食品衛生部局が、例えば微生物ですと感染症部局といった、ほかの部局との情報共有や連携を図る、この必要性がございます。実際に、保健所でも、今申し上げたような食品衛生部局と他の部局の連携が構築されているところでございます。

 こうした実態を考えますと、食品衛生監視行政については、引き続き、様々な幅広い形での公衆衛生に関する知見を有している厚生労働省が行うことの方が、政府全体の役割を担う中で、よいだろう、こういう結論に至ったところでございます。

遠藤(良)委員 食品衛生の基準は科学的知見に基づくことが必要であるというところで、科学的知見については国立医薬品食品衛生研究所を活用しているんだと。これが消費者庁に移管する。移管後の知見の活用については問題ないのか、確認したいと思います。

佐々木政府参考人 先ほど阿部委員から、保健医療科学院について同様の御指摘をいただきました。

 国立医薬品食品衛生研究所におきましても、現在は、行政経費や厚生労働科学研究費によって、厚生労働省からの予算支出等の形で食品衛生に関する研究等を行っているところでございます。この国立医薬品食品衛生研究所は、厚生労働省に引き続き残る形になります。

 消費者庁に食品衛生基準行政を移管した後も、消費者庁から国立医薬品食品衛生研究所に対して、例えば研究委託を行うことなどによって、委員御指摘のとおり、この研究所に蓄積された知見等が活用できるように、そして、それが食品衛生行政に関する研究を推進、裏打ちができるようにする、こういう役割分担を考えております。

遠藤(良)委員 この中で、食品基準審査課が消費者庁に移管していく、五十名程度が移るんだというところなんですけれども、食品基準審査課を消費者庁の中で既存の課に組み込んでいくのか、この体制、五十人程度移る以降のこの体制、どのように考えているのか、確認します。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の移管後も、先ほど厚労省の方から御答弁ございましたように、科学的に裏打ちされた衛生規格基準の策定が担保されるように、今回の法律におきまして、食品衛生基準行政に関する調査審議を行う審議会は、消費者庁の方に食品衛生基準審議会として設置することといたしております。

 一方、今委員御指摘の、どのような課を設置するかということにつきましては、今後、令和六年度の組織・定員要求の過程で決定するということでございますので、どのような課の名称にするかということも含めて、現時点ではお答えすることができないということを御理解いただければと思います。

 いずれにしましても、食品安全行政について、消費者庁としても、必要な定員、体制の確保、整備に努めてまいりたいと存じます。

遠藤(良)委員 分離していくんだというところなんですけれども、今後、消費者庁と厚労省との人事交流であったり、うまく本当に交流ができるのかどうか、確認したいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 先ほど消費者庁の政府参考人からお答えしたとおり、令和六年度の組織・定員そのものについては今後進めていくことになりますけれども、私ども厚生労働省といたしましては、業務移管が円滑に行われ、移管当初から消費者庁において当該行政が適切に行われるためには、お求めいただければ、知見や経験を有する厚生労働省職員を出向と申しますか配置するということも含めて、必要な知見を引き継ぐための方策を検討したいと考えております。

遠藤(良)委員 最近、健康茶でステロイドが含まれていたという事案があったと思います。その中で、問題は、インフルエンサーを通じて被害が広がっていったというところなんですけれども、現在も医療機関は受診を勧めているんだというところで、こういった問題について厚労省としてはどういうふうに対応していくのか、確認します。

八神政府参考人 健康茶にステロイドが含有されていたという事案についてお尋ねをいただきました。

 いわゆる健康食品の中には、医薬品成分を含有する製品や、また、その表示等から消費者に病気の予防とか治療に効果があるといった誤認をさせる製品があり、消費者がこれらの製品を用いることにより健康被害を受ける可能性や適切な治療を受ける機会を逸するという可能性もあることから、医薬品医療機器等法、薬機法と呼んでおりますが、これでは、こうした未承認の製品の広告、販売等を禁止をしております。

 御指摘ございました事案につきましては、四月十二日付で、国民生活センターから厚生労働省に対して、薬機法に基づく指導等を求めるという要望がございました。これを受けまして、厚生労働省から当該事業者を管轄する大阪市に依頼をし、現在、大阪市において、当該事業者に対して調査、指導を行っているところでございます。本事案に関しましては、厚生労働省としても、引き続き、大阪市と協力をして、健康被害、指導の状況の把握といったことに努めてまいります。

 また、薬機法に違反するような健康食品の流通を防止するため、今後とも、自治体や消費者庁等と連携をし、健康食品の販売業者等への監視、指導、取締り、これを徹底してまいりたい、このように考えております。

遠藤(良)委員 大阪市と連携していくというところなんです。

 これは消費者庁としてはどのように対応していくのか、確認します。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁におきましては、消費者安全法に基づきまして、関係行政機関や地方公共団体等から、いわゆる健康食品の健康被害を含む消費者事故等の情報を収集しているところでございます。収集した消費者事故等の情報につきましては、消費者被害の発生、拡大防止のために定期的に公表いたしまして、消費者への情報提供、必要に応じて注意喚起を行っているところでございます。

 また、いわゆる健康食品につきましては、健康食品QアンドAなるものを、パンフレットで作成しておりまして、健康食品は薬ではなくて、病気を治したりする効果が期待できるものではないこと、保健機能食品以外のいわゆる食品につきましては、販売前で人での安全性や有効性がほとんど確認されていない、したがってどの程度の有害な作用があるかは分からないこと、こういったことを、リスクコミュニケーションの一環としまして、SNS等の様々な場を通じまして周知を行っているところでございます。

遠藤(良)委員 今回はSNSで拡散されたというところで、インフルエンサーがこういった企業案件を受けて販売につなげていく、いわゆるステルスマーケティングと言われる部分ですけれども、このステマの対応についてはどのように考えていくのか、確認したいと思います。

真渕政府参考人 お答えを申し上げます。

 ちょっと個別の事案に関してはお答えは差し控えたいと思いますけれども、お尋ねのいわゆるステルスマーケティングにつきましては、その規制の対象となりますのは、広告であるにもかかわらず広告であることが分からないものでございまして、三月二十八日に指定をした告示につきましては、本年十月一日が施行日となっておりますため、施行日前に行われた表示に遡及して適用されることはございません。

 ただ、一般論として申し上げますと、例えば、広告主が芸能人などに対して、自社の製品、役務についてよい口コミを投稿するよう依頼した上で、その芸能人が広告であることを隠して依頼内容に沿った表示をSNSなどに投稿する場合には、広告主が表示内容の決定に関与したと考えられますので、いわゆるステルスマーケティング規制の対象となり得るものと考えております。

 いずれにしましても、消費者庁としましては、景品表示法上、問題となる具体的事案に接した場合には、同法に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 十月一日以降は対応できるというところで、確認できたと思います。

 次の質問に移りたいと思いますけれども、水道のところなんですが、今回、水道の老朽化の進行と耐震化のおそれということで、国交省に移管されるというところなんですけれども、国庫負担の対象というところなんですけれども、どのような進展を期待されているのかをお尋ねしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 現在、全国の水道事業者等において法定耐用年数を超えた管路の割合は、令和二年度時点で二〇・六%となっております。それで、水道管路の計画的な更新を行っていくことが求められております。

 委員御質問の国交省に移ってからのことを申し上げますと、今般の法律案の中では、社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力、知見を有する国土交通省に水道整備、管理行政を移管する、その上で、層の厚い地方支分部局を活用してもらう、さらには、下水道等の他の社会資本と一体的に水道施設の整備等を進める、こういった、まず行政の構造としての役割を期待しておりますし、また、あわせて、関連する国庫負担の法律等の改正また計画に関する法律、これもこの法律案に盛り込んでいるところでございます。

 こうしたことによって、委員御指摘のような国土交通省移管後の行政が進む、こういうことを考えております。

遠藤(良)委員 広域連携のところでちょっと確認したいんですけれども、人口減少しているところで水道の広域化の必要性があると思うんですけれども、この中で、兵庫県では、平成三十年、水道広域化プランを策定して、令和五年に改定をして、プランについては、かなり早くからこういった地域で取り組んでいる。

 例えば、他県から、兵庫県内じゃなくても別の地域から、連携した方がいいと、配水池を一緒にしたいとか、メーターの共同購入など、こういった連携をしていった方がいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども、今後のこういった広域連携の在り方についてはどのようにされていくのか、お尋ねしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、現状ですが、平成の大合併が落ち着いた平成二十三年度から令和三年度末までの間に、上水道事業では千四百二十九から千三百四、簡易水道事業が六千四百五十五から二千四百十五事業へ、統合するなど、進んではきております。

 都道府県に対して、現在、厚生労働省では、将来の見通しのシミュレーションを実施した上で、広域化の具体的な効果を明らかにするために、水道広域化推進プランの策定をお願いしてきております。現在、四十四の道府県でこのプランが策定されております。

 国土交通省に移管した後におきましても、このような形での広域連携を推進していくことの重要性は変わらないと認識しております。

遠藤(良)委員 最後、大臣にお尋ねしたいんですけれども、今回の移管だけではちょっと不十分かなというふうに思うんですけれども、最後、今後の組織の見直しについてお尋ねしたいと思います。

加藤国務大臣 今回、移管だけではなくて、この後、法律を出させていただきます日本版CDCの設置、あるいは感染症対策部の設置等によって、感染症対応により注力するという体制を強化できるというふうに考えております。また、委員御承知のように、今月からこども家庭庁も創設されたところでございます。このように、時代に応じて要請される行政課題に対して、厚労省、まあ政府全体ということでありますが、その中で、厚労省の組織の見直しにも取り組んできたところであります。

 今、具体的にということは今申し上げたところでありますけれども、今後も、時代の変化あるいは社会のニーズ、そうしたものに対応して、行政機関の在り方についても日々日々議論され、必要に応じて変更していくものと認識をしているところでございますが、現時点で厚労省が担う公衆衛生、保健医療等々について、こうした国民生活に密着した行政分野についてはしっかり人員確保等に取り組み、一つ一つの行政課題に対応していきたいと考えています。

遠藤(良)委員 ありがとうございます。

 厚労省は大きな組織ですし、しっかりと人事についても議論していきたいと思います。

 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代です。

 本日も、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。各省庁の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

 さて、先日まで議論をしておりました出産育児一時金の増額を含むいわゆる全世代型保障法案の中で、出産費用の見える化、これが大きな対策の柱でございました。ところで、見える化といえば、旧文通費、現在の調査研究広報滞在費についても、我が日本維新の会は、見える化が大切であると申し上げてまいりました。そこで、旧文通費、調査研究広報滞在費について、冒頭、質問をさせていただきます。

 財務省によれば、日本の現在の国民負担率は四六・八%、財政赤字を加えた潜在的な国民負担率は五三・九%となる見通しです。つまり、国民は稼いだ収入の半分を国に持っていかれる計算となります。

 そのような中、岸田政権の打ち出す政策は、防衛費においては増税が、そして少子化対策の財源は保険料値上げが言われておりまして、全て、財源として、増税や借金など更なる国民負担を求めています。歳出削減や経済成長により増収をもたらす規制改革など、痛みを伴う改革が全く足りていないのではないでしょうか。財源が必要になったら取りやすいところから取り、政治家自らの身分や既得権は守る姿勢、これは到底容認できるものではありません。

 昨年の国会中に既に案がまとまり、今国会、つまり、昨年の国会ですけれども、結論を得るとの与野党の約束を自民党がほごにしました。

 そこで、加藤厚生労働大臣にお伺いします。

 岸田政権の中での大臣のお一人として、また、かつ、与党に属する政治家のお一人として、この問題を放置したままでいいとお考えでしょうか。加藤大臣の御見解をお聞かせください。

加藤国務大臣 まず、前段の部分ですけれども、不断に歳出の中身を見直しをしていく、これは当然のことだと思いますが、他方で、税と保険料というのは、当然、それに見合った形で様々なサービスが提供されているわけでありますから、受益と負担、この辺をよく見ながら議論をしなきゃいけないと思っております。

 その上で、今、旧文書通信交通滞在費、いわゆる文通費の件でありますが、ここは厚労大臣として答弁する立場であります。総理が既にお答えをされているように、いわゆる文書交通費に関しては、各党各会派で御議論いただいているわけであります。政府の立場としてお答えするということは差し控えたいと思います。

吉田(と)委員 加藤大臣、ありがとうございます。

 なかなかお答えしづらい中ではございますけれども、我々政治家こそが、身を切る改革、これに取り組むべきです。まずは、この調査研究広報滞在費、これの見える化に取り組みませんか。国民に負担を強いるならば、まずはそれを決める国会議員から始めるべきではないでしょうか。既に約束をしているこの旧文通費の改革ぐらいできなくて、政治家が国民に負担をお願いする資格はないと申し上げて、法案質疑に入ります。

 本法律案により厚生労働省から移管される業務を、生活衛生等関係行政のうち、食品衛生基準行政及び水道整備、管理行政とした理由は何でしょうか。厚生労働省の広範な所管業務の中から、どのような経緯、検討を経て選ばれたのでしょうか。所管業務全体を見直したのでしょうか。また、両業務の移管先をそれぞれ、消費者庁、国土交通省及び環境省とした理由についてお伺いをいたします。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、食品衛生行政、食品安全行政についてでございます。

 近年の食へのニーズの多様化等を考えますと、これまで、平成十五年に食品安全委員会が設置され、平成二十一年に消費者庁が設置され、そして、今の政府全体での食品安全行政を担う省庁の枠組みができたところでございます。

 こうした中で、まず、食品の中で現在の食品衛生基準行政について、消費者庁が食品安全行政の総合調整を担っているところでございます。現在の、先ほど申し上げました、ニーズの多様化、それに伴う関係者の多様化、これに対応するためには、政府としては、食品衛生基準行政については消費者庁が担うことがより機能を発揮できるだろう、機能強化を図れるだろうという考え方でございます。

 水道整備、管理行政につきましても、水の質そのものについては、飲むのに適さない水が摂取されるリスクは減少していると考えております。ただ一方で、施設の老朽化、耐震化の遅れ、災害における対応、こういった課題が近年における課題だと思っております。これを考えますと、水質、衛生に関する事務については既に河川等の知見を有している環境省がよいだろう、さらに、社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力、知見を有しているのは国土交通省だろう、こういう考え方から、この度の法律案の内容になったところでございます。

吉田(と)委員 御説明ありがとうございます。

 さて、本法律案により消費者庁が食品衛生基準行政を所管することとなりますが、消費者庁は、令和五年四月一日現在、定数四百五名の小さな組織であり、消費者行政と食品衛生基準行政とは大きく業務内容が異なります。消費者庁において、食品衛生基準行政を担う人材をどのように確保していくのでしょうか。消費者庁の本来業務は何かを併せて御説明をお願いいたします。

大串副大臣 食品安全の確保に関する施策につきまして、消費者庁は、現在、食品安全行政に関する基本的事項の作成や関係行政機関の事務の調整等の司令塔業務を担っておりますけれども、移管によってこの業務が影響を受けることはございません。

 また、食品安全基本法に基づきまして、リスク分析の考え方により、科学的知見に基づいた衛生規格基準を策定するという食品安全行政の基本的な枠組みは、食品衛生基準行政を消費者庁に移管した後においても変更されることはあってはならないというふうに考えております。

 食品衛生基準行政に関する調査審議は、現在、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会で行われているところでありますけれども、引き続き科学的知見に裏打ちされた衛生規格基準の策定を担保するため、本法案では、この機能を、消費者庁に新設する食品衛生基準審議会に移管することとしております。

 移管後の消費者庁の組織体制につきましては、令和六年度の組織・定員要求の過程で検討、決定されていくことになるため、現時点でその見込みをお答えすることは困難でありますけれども、食品衛生基準行政を含む食品安全行政の機能が十分発揮されるよう、必要な定員、体制の確保、整備に努めてまいる所存でございます。

 また、行政職員の確保についてというお問合せでございますが、知見を有する職員の確保につきましては、厚生労働省との人事交流によって知見を有する職員を受け入れるなど、移管当初から業務の円滑な遂行を行えるよう必要な体制を整備するとともに、組織としての知見の蓄積を図ってまいりたい、このように考えております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 行政の執行に支障がないように人材確保をすべきだと私も思います。

 恐らく、答弁にはございませんでしたけれども、厚生労働省から丸ごとその部門が出向するようなイメージなのかなと推測をいたします。人員ごと移るというのであれば対応は確かに問題ないのでしょうが、今回の措置では、厚生労働省自体はスリム化をしても、行政府全体としては、右から左に移っただけで、スリム化にはならないのかなと思っております。

 続きまして、質問の四番は少し、時間の関係上飛ばして、五番の質問に移らせていただきます。

 食品の安全を守る仕組みとして、二〇〇三年に食品安全基本法が制定され、リスク分析の手法を導入しています。

 今般の法案では、厚生労働省の食品衛生に関する規格基準の策定のみを消費者庁に移管することとされています。しかしながら、リスク管理は農林水産省も農薬の使用基準の策定などで参画をしており、リスク管理における両者の役割や実施すべき事項は、農林水産省及び厚生労働省における食品の安全性に関するリスクの管理の標準手順書に記載をされています。

 消費者庁が食品安全行政の総合調整を担うのであれば、農林水産省も移管をすべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、これまでも、農薬や動物用医薬品などの生産資材の規制のほか、生産、加工、流通段階における食品の安全性向上の取組への支援や、消費者等への情報発信などを実施してきたところでございます。

 今般の法律案は、食品衛生についての科学的な安全を確保し、消費者利益の更なる増進を図るため、厚生労働省が所管している食品衛生基準規格の策定に関する事務を消費者庁に移管するものであり、今般の法律案により農林水産省の所掌事務に変更はございません。

 食品の安全を確保することは農林水産省としても最も重要な任務の一つであり、引き続き、消費者庁や厚生労働省等の関係機関と連携して適切に対応してまいりたいと考えております。

吉田(と)委員 食品の安全を確保するためには、食品供給行程の各段階の適切な措置を講じるという観点から、生産現場から食卓までの各段階におけるリスク管理措置が重要であると考えます。リスク管理を行っている厚生労働省、農林水産省共に移管をする方が、消費者庁の司令塔機能、総合調整が可能になるのではないかと考えますけれども、今御説明いただきましたように、農林水産省の生産過程における取組支援も重要と考えますので、更なる連携をよろしくお願いいたします。

 では、続きまして、時間の関係上、八番の質問に移らせていただきます。

 本法律案では、水道行政のうち、水質、衛生については環境省に移管をし、それ以外は国土交通省に移管をするとしています。水道行政が環境省と国土交通省に分かれてしまうことになりますが、国における上下水道行政の窓口はワンストップ化すべきではないでしょうか。国土交通省が上下水道行政を一元的に担うようになると、地方自治体にとって新たにどのような効果、メリットが生じるのでしょうか。

松原政府参考人 お答えいたします。

 今回の移管に伴い、国土交通省が、下水道に加えて水道についても一体的に所掌することとなります。これにより、上下水道一体の組織が多い地方公共団体との関係で、国土交通省に窓口が一元化され、効率的に対応することが可能になります。

 また、下水道を始めとしたインフラ整備、管理の知見を活用することで、水道整備、管理行政のパフォーマンスの向上が図られるものと考えております。

吉田(と)委員 地方公共団体の水道事業関係者の声を踏まえていただき、利用しやすい上下水道行政の実施体制を構築していただきたいと思います。

 では、続きまして、本法律案は感染症対応を契機として検討され、令和四年九月二日の新型コロナウイルス感染症対策本部決定では、感染症対応能力を強化するための厚生労働省の組織の見直しとして、厚生労働省が所管する生活衛生関係組織の一部業務を他省庁へ移管することとしています。

 この法律案の趣旨としましては、よりよい省庁へ業務を移管し、感染症対応に特化できるように厚生労働省のスリム化が行われたと考えてよろしいのでしょうか。見解をお聞かせください。

加藤国務大臣 厚労省の業務の一部を他省庁に移管することで厚生労働省の負担を軽減する、そして、厚生労働省が感染症対応により注力することが可能となります。

 また、今回の一部他省庁への移管と併せて、感染症に関する新たな専門家組織を創設する、あるいは健康局に感染症対策部を設置する、こういった措置を一体的に講ずることで、厚労省による感染症対応能力の強化、これを図っていきたいというふうに考えています。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 厚生労働省は、感染症対応のほか、社会保障、それから雇用対策など、広範な業務を担っていただいています。その上、このコロナ禍において更に業務が増加をしたため、大変な業務量で、寝る暇もなかったとお察しをいたします。業務量過多によって、このコロナ対応をめぐって機動性を欠いたとの声もありますので、是非、所管業務の見直しと併せて、業務の合理化、それから職員配置など、機動性を確保していただけるようにお願いをいたします。

 続きまして、日本維新の会では、基本的政策方針として、複雑な制度設計による行政機構の肥大化を否定し、シンプルかつ公平な制度設計による簡素な行政機構を実現するとしております。

 本法律案により、食品衛生行政は消費者庁と厚生労働省が担い、水道行政は国土交通省それから環境省が担うこととなりますが、いずれも、一つの省庁で一元的に担い、簡素な行政機構とすべきではないでしょうか。御見解をお願いいたします。

加藤国務大臣 今般の業務移管は、移管先の各省庁の専門的な能力、知見を生かすことによって、政府全体として生活衛生等関係行政の機能強化を図ることを目的としております。

 一方で、移管後における関係大臣の専門的な能力、知見を活用しながら、相互に密接な連携を図ることが必要でありますので、それぞれ、食品衛生法また水道法等において、関係、食品衛生法であれば消費者庁と厚生労働省との間の連携、水道法であれば環境省と国交省との連携、これを図ることとさせていただいております。

 こうした、それぞれの知見を生かしていくこと、また、業務移管後においても、その新しい体制の下で各連携をしっかり図っていくことを通じて、政府全体として、これまで以上に効率的かつ効果的な行政ができるよう、しっかりと対応していきたいと考えています。

吉田(と)委員 加藤大臣、ありがとうございます。

 現行は、環境省の衛生工学担当者の方が厚労省に出向して水質管理をしていると伺っております。それなら、厚労省に出向中の環境省水質担当の方々がこの法改正とともに環境省に戻るのではなくて、今度は国土交通省の方に移管、出向すれば、国土交通省でより一元的に水道行政を担うことが効率的だと思います。わざわざ連携規定を設けなくてもよいと考えますので、前向きに御検討をいただきたいと思います。

 それから、次の質問ですが、少し時間が限られておりますので、また次回、質問させていただきたいと思います。

 私の質問は以上で終了させていただきます。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 順次、質問をよろしくお願いいたします。

 今回の法改正は、コロナ禍を受けて、厚労省の組織見直しによるものであると伺っております。その中で、説明を受けますと、また、今までの質疑を聞いてきますと、食品衛生事業、食品衛生基準ですね、また食品表示、また水道事業に直接何か問題があったわけではないということはよく分かりました。また、生活衛生を政府全体で担うというようなことだと思っておりますが、そうであれば、これまでは、縦割り行政の下、政府全体で危機管理を考えていなかったというふうに逆説的に捉えられるんですが、これまでの厚労省の組織の課題、また今回の改正でどのように組織が変わっていくのかという認識をまず大臣にお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 まず、今回の新型コロナ対応に関しても、厚労省において、私も二回目と三回目がコロナ禍でありましたけれども、それぞれ現場現場においては最大の努力を図って対応してきたというふうには考えておりますが、昨年六月に、内閣官房に設置された有識者会議においては、新型コロナに関するこれまでの取組を振り返り、次の感染症危機に備えるため、中長期的観点から、今回の教訓を踏まえ、危機時にオール・ジャパンで取り組めるよう、有事における法規制整備、様々な立場から情報を収集、分析できるような体制づくりなどを推進することが急務であることなどの課題の整理をいただいたところであります。

 総理が司令塔となって行政各部を指揮命令し一元的に感染症対策を行う体制を強化すること、行政の縦割りを排し、関係省庁の実働組織が一体的に取り組む体制を構築すること等の提言をいただいたところでありまして、これを踏まえて、昨年九月の政府対策本部で、政府全体の体制づくりとして、内閣感染症危機管理統括庁や感染症に関する新たな専門家組織の設置、感染症対応能力を強化するための厚生労働省の組織の見直しなどの方針が決定され、今回、この法案も含めて、関連法案を提出させていただいたところでございます。

 こうした法案の成立を図っていただいた中で、体制づくりを進め、今後の公衆衛生における危機対応においては、これまで以上に自治体との緊密な連携も図りながら、政府が一丸となって対応できるようにしていきたいと考えています。

田中(健)委員 もちろん、厚労省は、多岐にわたる仕事、またコロナで本当に御苦労だったことは、本委員会でも皆さんから指摘があったことであります。

 是非、この改定がオール・ジャパンで取り組む契機になってもらえればとは思うんですが、幾つか懸念事項もありますので、具体的に質問をさせていただければと思います。

 まず、水道整備、管理行政のことについてお伺いします。

 国土交通省に移管をするということでありますが、具体的にちょっとお聞きをしたいんですが、資料を御用意させてもらいました。これは厚労省の水道行政の最近の動向に出ておりましたが、台風十五号の影響です。ちょうど私の地元静岡市、特に清水区において、取水口の閉鎖等による大規模な断水が発生して、大きな被害を受けました。この資料の真ん中にある写真がそうでございます。これが取水口でありまして、これが土砂や瓦れきで詰まってしまって水が取れなくなってしまった。同時に水道管の崩落などもあって、十三日間の断水が起こりました。

 今回の法改正により、所管が国交省に移ることで、水道施設等も災害発生時における対象施設となるとのことでありますが、今回のものを例にすると、災害復旧制度が活用できた場合、どのような支援が可能となり、またそれが結果的に早急な復旧支援につながることが想定されるのかを伺いたいと思います。

本田大臣政務官 田中委員にお答え申し上げます。

 清水区の断水のときには、私も上水道の管理の厚労省の立場として現場を視察をさせていただきました。

 昨年の台風十五号では、本当に水道の断水が広範囲に生じましたので、先生の資料にもございますけれども、日本水道協会の五十七水道事業者に加え、国土交通省の中部、関東、北陸、近畿の各地方整備局や海上保安庁による給水支援が行われたものと承知をしております。また、自治体からも給水車の派遣があったわけでございます。

 今般、災害対応に関する専門的な能力、知見を有する国土交通省に水道整備、管理行政を移管し、同省において層の厚い地方整備局を活用しつつ災害復旧に当たることで、災害対応の分野でも行政の機能強化が図れるものと考えております。

 具体的には、国土交通省では、災害発生時、TEC―FORCEでありますけれども、緊急災害対策の派遣隊が現地に派遣をされるわけですが、その被災調査の実施や散水車等の資材、機材の派遣など様々な支援を行っておりますが、この災害復旧をより迅速に行うために、地方公共団体からの要請に応じ、災害現場の経験が豊富な災害査定官が速やかに現地に派遣され、現地に入って一緒に考えていくことで、応急措置や復旧方針の立案について助言を行うなど、積極的な技術的支援を行っていけるものと考えております。

 また、災害が起きたときに一番地元の皆様から要望があるのが、補助額の問題のところがございます。今回、法案には、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、この対象施設に水道を加える改正を盛り込んでおりまして、これにより、災害復旧事業に要する費用が原則、国庫負担の対象となることで、法律に明記されることで安定な支援ができるようになります。

 具体的に申しますと、水道施設の災害復旧事業費の国庫補助は、現在は予算補助として、災害の規模等に応じ補助率二分の一以上の範囲で行っているのに対し、改正をすることで法律上に明記をし、地方公共団体の財政力に応じ補助率三分の二以上の範囲で財政的支援を行うことができるようになります。

 以上のように、移管後は、より手厚い技術的支援や財政的支援により、水道施設の災害復旧への対応が強化されることになると考えております。

田中(健)委員 御丁寧な説明をありがとうございます。

 本田政務官は、二十七日に来ていただきまして、現場、まさにこの取水口を見ていただいたということで、私も拝見しておりました。

 課題としましては、水道管の復旧に必要な資材の調達も難航しまして、大変苦労をいたしました。国交省が中心となって、水道管の、特に災害における対策というのを是非進めていただきたいと思います。ちょうど静岡市清水区も水源検討部会が立ち上がったばかりでありまして、今年いっぱいかけてこの対策を行います。この法案が通っても来年四月からですから、今年いっぱいは厚労省がしっかりと責任を持って、また協力をいただければと思います。

 こちらの件は大変いい取組だとは思うんですが、懸念するのは環境省に移管する件でございます。今日は、副大臣にもお越しをいただきました。

 環境省は、今回、水質の基準策定を担うということでありますが、環境省が担ってきた水と水道水というのは、やはり大きく性質が異なると思います。塩素などの衛生上の措置、また、水質調査等の水道法に基づく水質管理というのは多岐にわたります。

 専門性や人員などを含めて、どのように飲み水をしっかりと安全管理をし、確保していくのか、継続していくのかということを環境省の立場から伺えればと思います。

小林副大臣 お答えいたします。

 環境省は、水道水質基準が設定されたものを含む多くの物質について、一般環境中の水の環境基準を設定してきておりまして、水質、衛生に関して長年にわたって培った科学的知見、専門的な能力を有しております。

 また、人員を含む組織体制につきましては、今後その詳細を検討していくことになりますが、水道水の安全管理を継続していくために必要な体制を整備をしてまいります。

 これらに加えて、従来から水道水の水質検査に従事されている検査機関の専門性や人員も引き続き活用することで、水道水の安全を引き続き確保してまいります。

 以上です。

田中(健)委員 環境省も取り組むと力強い意見をいただいたんですが、そうはいっても、今まで厚労省が五十人以上の人たちで取り組んできて、環境省は三千人いない職員数の中で、これまで全国の様々な対応をしてきましたので、是非、人員確保、また専門性は、厚労省が過去、これまで積み上げてきたものがありますから、そこの連携をしっかりと図っていただきたいと思っています。

 具体的に、質問を更にさせてもらいますと、先ほど阿部委員からも指摘がありました、有機フッ素化合物、PFASについて伺いたいと思います。

 これは今、東京都だけでなく、沖縄県、神奈川県の米軍基地周辺、また大阪の工場周辺などの河川から、国の目標値を超える値が相次いで検出をされています。環境省が今調査をしているということですが、これらの物質を調べたところ、百三十九か所も国の値を超える場所が次々と見つかっているということであります。

 同時に、資料の裏側にもつけさせていただきましたが、環境省が、PFASに係る専門者会議を今年一月に立ち上げて、対策会議を今行っているということなんですが、まず、一体、これは何が起きているのか、説明いただければと思います。

小林副大臣 PFASのうち、PFOS及びPFOAについては、新たな製造等が禁止をされておりますが、過去に使用されたものが環境中に存在しておりまして、一部地域で暫定目標値を超過する事例もございます。

 そのため、関係自治体や地元住民から、その影響に関する不安の声もあるほか、国際的にも様々な科学的な議論が行われております。

 環境省では、こうした状況を受けて、本年一月に専門家会議を設置をし、厚生労働省と連携をして、水質の目標値等について御議論をいただいているというところであります。

田中(健)委員 この資料を見ていただきますと、下段の水色のところなんですが、1、2で、1のところに、PFOS、PFOAに係る水質の目標値等の専門者会議とあります。ここで厚労省の逐次改正検討会とともに連携をして今取り組んでいるということなんですが、改正で全てこれを移管をしてしまうと、全て、このような専門者会議は厚労省から外れ、環境省が単独で管轄するないしは会議を開くということになるのでしょうか。

 まず、事実関係をお聞かせください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 現在、厚生労働省において設置、水質基準について検討しております会議体につきましては、水質に関する検討を行っているため、来年四月一日、法案をお認めいただければ、環境省において一元的に、水道水についても検討、そのための会議体が設けられて、そこでの御議論になるということに考えております。

田中(健)委員 基準を定めるのは環境省が一元にやるということですが、今現時点では、厚労省と一緒にこの検討会をする中で、先ほども阿部先生から指摘がありました、健康との関係というのも議論となっています。

 基準を作るのはもちろん環境省でいいとは思うんですが、やはり健康を守っていくというのは厚労省がこれからも引き続き担っていかなければならないですし、そこにしっかりと関与していかなければならないと思っていますので、大変に、先ほども副大臣からもありましたが、この問題は関心が高く、また不安な声もありますが、それぞれ、環境省と厚労省、これについてどのような対応をこれから図っていく予定なのか、お聞きします。

小林副大臣 水道行政の移管後は、水道水質基準値や目標値等については環境省が専門的に科学的見地から議論いただくとともに、水道事業者の監督権限を有する国土交通省の意見を聴取しつつ策定をすることになります。

 以上です。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 水道行政につきましては環境省そして国土交通省に移管されることになりますが、例えば、水道水によって何らかの健康影響が出る、その容体において直ちに原因物質が分からない、結果的には水道水という場合もございます。こういった場合は、食中毒として、食品監視行政において厚生労働省が引き続き担っていきますので、引き続き、国土交通省、環境省との連携というものを十分にして対応してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 水質と、また、健康の問題は分かったんですが、このPFAS自体、今大変に心配されて、皆さんが懸念されているんですけれども、この対応についての具体的な取組というのを、環境省それから厚労省、あればお聞かせください。

小林副大臣 PFOS等については、環境省の専門家会議において、国民の不安払拭のために、分かりやすい情報発信の必要性が指摘されています。

 環境省としても、今後の専門家会議での議論も踏まえながら国民の不安払拭に努めるとともに、環境省が一般環境と水道水の水質基準を一元的に所掌することで、国民の水道に対する安全、そして安心をより高めていく、そのように全力で取り組んでまいります。

 以上です。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在、既に私ども、PFOS、PFOAに関しての国内外の知見を収集し、必要に応じての検討を行っております。ですので、少なくとも法案をお認めいただいて移管されるまでの間は、私どもが有している知見をできるだけ蓄えますし、その過程においても、環境省と連携をしながら、それぞれの検討、必要に応じて合同での会議を設けるといったことで対応してまいりたいと考えております。

田中(健)委員 健康被害が出る前にしっかりと調査をして、そして、しっかりと情報提供をして、市民の不安の払拭に努めていただければと思います。

 以上で質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 まず、食品衛生基準行政の消費者庁への移管についてお伺いいたします。

 コロナ本部の決定にある文言で、販売現場におけるニーズ等の規格基準策定に係る議論へのタイムリーな反映が可能となる、こういう文言があるんですけれども、この文言を起案したのは、どの省庁のどの部署なんでしょう。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、昨年の六月に政府対策本部決定……(宮本(徹)委員「いいです、そこはいいですから」と呼ぶ)はい。

 端的に申し上げます。この文言がどのような検討過程でということで、そこの点について手短に申し上げます。

 内閣官房、消費者庁、厚生労働省において、食品衛生基準行政についての検討が行われたものでございます。

宮本(徹)委員 ですから、起案はどの部署なのかと聞いたんですけれども。

佐々木政府参考人 起案と申しますか、まず、少なくとも検討過程は先ほど申し上げたとおりです。その上で、最終的には、昨年九月二日に政府コロナ本部決定という形に至ったものでございます。

宮本(徹)委員 販売現場におけるニーズを基準の策定、規格の策定に反映させると。販売現場のニーズというのは、食品メーカーとか流通メーカーだとか、こういう話になってくるわけですよね。食の安全の基準というのは、やはり科学的根拠に基づいてやるのが基本であって、こういう食品メーカーとか流通メーカーのニーズを反映させていくというのは、ちょっといかがなものなのかと思うんですよね。

 厚労省の食品基準審査課と国際食品室が、今度移管されると聞いています。そして、消費者庁に行くわけですけれども、それぞれの民間企業からの受入れ状況について教えていただけますか。

佐々木政府参考人 今月一日時点の数字で申し上げます。国際食品室の定員五名中一名、食品基準審査課の定員四十三名中五名が民間企業からの受入れ職員という状況です。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者庁におけます民間企業からの職員の受入れ数につきましては、令和四年で三十三名となってございます。

宮本(徹)委員 消費者庁は四百五人の職員ですから、三十三名、八%ぐらいが、一割弱の方が民間企業からの出向、いわゆる天上がり。資料を配っておりますけれども、食品大手も少なくないわけです。

 そして、厚労省の食品基準審査課、今、四十三名中五名というお話がございましたが、この五名は医薬品メーカーということでよろしいんですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 食品基準審査課に着任している五名ですけれども、医薬品メーカーからの職員の受入れもございます。

宮本(徹)委員 五人全員が医薬品メーカーということで聞いているわけですね。国際食品室の方が食品メーカーという話なんですね。

 それで、今回、販売現場におけるニーズ等の規格基準策定に係る議論へのタイムリーな反映が可能になるということで、こういうメーカーの皆さんの意見を規格基準策定に反映させる、これを大きな目的として消費者庁に移管される。そうすると、今度消費者庁に新設される食品衛生基準審議会があるわけですけれども、ここにメーカー代表者が参加をして食の安全がないがしろにされる、こういうことが起こりかねないんじゃないかと思いますが、いかがですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、食品の安全は、我が国においては、国際的に共通のリスク分析の考え方に基づいて、国際動向や国民の意見に十分配慮しつつ科学的知見に基づいて確保することとしております。このことは食品安全基本法に規定されているところでございます。

 この考え方に基づいて、現在、食品の規格基準等の策定に当たっては、リスク評価を行う食品安全委員会、リスク管理を行う厚生労働省、厚生労働省の中でも薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会が、それぞれの役割分担を踏まえて科学的知見に基づいて調査審議を行うことで食品安全の確保を図っております。

 ですので、消費者庁に移管した後も、科学的知見に裏打ちをされている、このことを考えますと、先ほど、現在は厚生労働省の食品衛生分科会で検討していると申し上げましたが、この法案では、消費者庁に食品衛生基準審査会を設置することとしております。ここで科学的知見に基づいて食品衛生基準行政に関する調査審議を行うこととしております。こうしたことによって、委員御懸念の点が払拭されるように取り組んでまいりたいと考えております。

宮本(徹)委員 その食品衛生基準審査会に、今回のコロナ本部の決定に書かれた文言からいくと、食品メーカーの代表者らがどんどん参加するという事態は起きないんですか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在の厚生労働省の食品衛生分科会での委員構成を申し上げます。この分科会につきましては、現在、二十二名の委員で構成されております。ここでの議論の中では、食品メーカーに在籍する委員も二名おります。この観点ですけれども、食品メーカーは、食品を供給する立場からリスク管理の役割を担っております。そこで、審議会での議論において、食品を供給する立場からのリスク管理、この立場からの得られる知見も重要であることから、現在、この二名が入っているという状況でございます。

宮本(徹)委員 いや、現在の二名の話を聞いているんじゃないんですよね。このコロナ本部の決定で、販売現場におけるニーズを基準策定に反映させるなんてことを書いているから私は聞いているわけですよ。そういう観点よりも、もっと違うメーカーの意向が反映させられていくんじゃないかということを私は懸念しているわけですね。そのことについてお答えがないというのは大変不安ですね。食の安全がないがしろにされる懸念、拭えないと思います。

 次に、水道についてお伺いをしたいと思います。先ほど来議論がございますPFASですね。

 私ども東京の多摩地域の住民の血液検査で、六割の方から、アメリカのアカデミーが昨年八月に公表した臨床ガイダンスの基準値を超えるというものが確認されているわけです。暴露源は主として水道と考えられるとされております。

 そういう中で、阿部さんからも紹介がございましたけれども、アメリカのEPAは三月十四日に水道水のPFOA、PFOSの規制値案を発表しまして、それぞれ一リットル当たり四ナノグラムということなんですね。

 現在、この四ナノグラムという値を超えるPFOA、PFOS、日本では何都道府県、何か所で検出されているんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 令和二年度の水道水におけるPFOS等の検出状況については、測定地点数、五百八十九地点ございます。このうち、PFOS及びPFOAの濃度の合計値が八ナノグラム・パー・リッターを超過している地点数は六十三地点ございました。

 委員、委員長よろしければ、先ほど、販売現場におけるニーズの……(宮本(徹)委員「いいです、ちょっともう時間がないので」と呼ぶ)承知しました。

宮本(徹)委員 六十三か所ということで、五百八十九か所調査したうち六十三か所ですから、もしアメリカの規制値を採用するとしたら、一割以上は超えているということになるわけですよね。私、これはかなり深刻な、アメリカの規制値を基準にすれば深刻な汚染というのが今の現状だというふうに思います。

 アメリカが今回こういう規制値を発表したのは、この規制値案でいけば、数千人の死亡を防ぎ、数万人の病気を防ぐことができるということで、かなり厳しく見ている数値を立てているわけですけれども、やはり日本でも予防原則に立ってしっかり水質基準を決めていくということが大事だと思うんですけれども、当然、このアメリカのEPAの規制値の程度を考えていくということでよろしいんですか、大臣。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、現在、我が国では、令和二年四月から、PFOS及びPFOAの水質管理目標設定項目と位置づけて、数値を設定しているところでございます。

 一方で、委員御紹介のとおり、先月、米国環境保護庁、EPAが新しい規制値案を公表いたしました。WHOにおいても既に昨年の秋にガイドライン値案が提案されているところでございます。

 それぞれの数値は現在ばらついてはいるものの、私ども厚生労働省としては、本年一月に、水質基準逐次改正検討会において、このPFOS及びPFOAの取扱いについても検討を行ったところでございます。

 今後も、引き続き、こういった毒性評価等に関する国内外の科学的知見の収集ですとか、我が国における先ほど御紹介した検出状況等の把握に努めて、専門家の御意見も伺い、検討を進めたいと考えております。

宮本(徹)委員 やはり予防原則に立って考える、ここは、そういう原則に立って厳しく考えるというのが基本だということでよろしいんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 当然、こうした数値の設定においては、今委員御指摘の予防原則の点も含めて、また、それに基づく様々なデータを基にして評価を行って、その評価を行った上での数値の設定という流れを取るものと考えております。

宮本(徹)委員 私は、本当に厳しくしっかり規制値は定めていっていただきたいと思うんですね。

 問題は、今回の法案では、環境省が水質基準を省令で定めるときは国土交通大臣の意見を聞かなければならないとされているんですね。そうすると、国土交通大臣というのはどういう観点から水質基準に意見を言うことになるんでしょうか。

松原政府参考人 お答えいたします。

 水道事業者が水質基準を遵守し、水道事業が適正に実施されるためには、水質基準は、水道に関する技術や水道事業者の状況等を踏まえつつ、適切に制度設計されることが必要であると考えております。

 このような観点から、国土交通大臣は、環境大臣に必要な意見を述べることを想定をしております。

宮本(徹)委員 その水道事業者の状況ということを考えた場合に、いや、そこまで厳しい規制値にしたら、とてもじゃないけれどもお金がかかって大変だよ、こういう意見を国土交通省サイドから言うことになるんじゃないですか。結局、命を守るべき基準を緩めようという横やりが挟まれることになるんじゃないかということを私は大変懸念をしております。

 その上で、PFOS、PFOAに関わって大臣にお伺いしたいことがあるんですけれども、今回、多摩地域の皆さんが住民の血液検査というのをやっているわけですけれども、京都大学の先生なんかにも御協力いただいてやっていますけれども、これは、本当は国や行政にやってもらいたいということでずっと言っていたんですよね。ところが、やってくれないから自分たちでやっているという状況なんですね。

 本来ならば、国として、PFOS、PFOAの影響について大規模な血液検査、健康調査というのを行うべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 その前に、さっき、販売現場におけるニーズと、供給者側だけのお話をされましたけれども、需要者、消費者側を踏まえた、こういったこともあって、かつての食肉の生食、これに対する対応などもその例だということをまず申し上げておきたいというふうに思います。

 その上で、PFOS、PFOAについては、先ほども答弁させていただきましたけれども、免疫系や肝臓等への有害な影響の原因となり得ることが指摘されておりますが、どの程度の血中濃度でどのような健康影響が生じるかについては現時点では必ずしも明らかではないということでございますので、まずは、PFOS、PFOAの毒性評価に関する国内外の科学的知見の収集、我が国の水道水におけるPFOSの検出状況の把握に努め、専門家の御意見を踏まえながら、必要な検討を進めていきたいと考えております。

宮本(徹)委員 いや、明らかでないからこそ、やはり大規模に疫学調査的にやる必要があるんじゃないかと私は思うんですよね。厚労省は命と健康を守る部署ですから、是非真剣に検討していただきたいというふうに思います。

 あと、本当は一問目に、本法案の立法事実はあるのかなというのを伺いたいと思っていたんですけれども、その辺りはかなり前半で議論されていましたけれども、感染症対策の強化というときに、大臣の負担が軽減されるんだというお話が初めに加藤大臣からありました。

 大臣の負担軽減は非常に大事なことだと思いますけれども、やるんでしたら、私は、厚生省、労働省と、そういうところでどんと分割すれば、本来、大臣の負担は軽減されて、感染症対策に注力できるんだと思うんですよ。その厚生省と労働省をくっつけた巨大官庁にしたまま、本来一体にやった方がいいところを切り分けていくというのは非常に問題があるということを申し上げて、今日は、終わりの合図が来ましたので、終わりにさせていただきます。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。

 今日はラストバッターでまた質問をさせてもらいます。よろしくお願いします。

 大臣、先般の委員会で積み残した私の質問をもう一度受けていただきたいと思いますが、五月八日以降、疾病分類五類に緩和されるに当たって、特に病院における面会、御家族の面会のことについて答弁をいただきたいと思います。

 というのは、面会ができるかできないかによって、実際、大臣、患者さんの治療に大きく影響しています。つまり、面会できないんだったら、この治療を受けずに在宅、治療を受けないで病院に行かずにおうちで過ごそうと。そのことによって、場合によれば、医療介入がないわけですから患者さんの寿命が短くなっているかもしれないけれども、そういった最期を迎えるに当たっても、やはり病院でいるよりはおうちで家族と楽しい時間を過ごした方がいいという患者さんが出ています。

 そういう意味で、改めて御答弁をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、医療機関における面会については、これまでにおいても、あるいは、現状においても、政府として一律に制限しているわけではなく、新型コロナの感染拡大防止の観点と、利用者、御家族のQOL等の双方の観点から検討するべきとしており、新型コロナの類型見直し後においても、こうした基本的考え方については同様であります。

 感染症法上の位置づけ変更後の医療機関における面会については、面会の重要性と院内感染対策の両方に留意し、患者と面会者の交流の機会を可能な範囲で確保するよう、各医療機関での検討をお願いするとともに、具体的な面会をするとした場合の実施の流れ、こういったことも例示をして、そうしたお願いをさせていただいているところであります。

仁木委員 大臣、今の御答弁ですと、やはり五月八日以降の現状が余り変わらないような気がします。

 やはり、ここであえて医療機関の方に、個々の様々な変化については、例えば今日もこの国会の中でのアクリル板のことも厚労省から出ていますけれども、そういった現場での対応を改めて通達、上で出していただいて、それでもやはり、医療機関であり、あるいは、高齢者施設であり、感染すると重症化する患者さんあるいは入所者さんがいるところですから感染対策には留意してください、そういう形でお願いしたいと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 四月四日付で、体調の確認等面会者の対応を行い、常時換気する等、面会場所を工夫し、対面面会が困難な場合はオンライン面会を実施するなど、こういった具体的な流れを既にお示しをさせていただいて、それにのっとって対応していただくということ。最終的にはそれぞれの医療機関における御判断ということに、これはどうしてもなるわけでありますけれども。

仁木委員 五月八日以降は、クラスターなる言葉はなくなるとは思いますけれども、やはりそういった、個々の判断に任せるとはいえ厳しい現実がある、いわゆる面会ができないということが本当に今常識になりつつある中での、私の、現場からの切迫した意見というか要望の方を述べさせていただきました。

 本題に移りたいと思います。

 今回の法改正によって、様々な食品そして水道に関する所管が変わりますけれども、大臣、この間の議論を聞いていまして、例えば昔、東京都の水道がまずい、何か消毒の薬品が入っているとかいうようなことがあって、そういうことが議論になってかなりおいしい水になったというふうなことが評価されていますけれども、やはり、何げなく毎日蛇口をひねると当たり前に供給される水でございますけれども、この間も議論で出ていましたPFASの問題等々でも、やはり今までなかったような化学物質あるいは物質があって、それがよくよく調べると人体に影響がある、あるいはあるかもしれない、こういった水道の基準の策定に関するところでございますけれども。

 今後、様々な産業活動あるいは経済活動を含めて、そういったことが出てくる中で、今私が危惧していますのは、今厚労省に所属している方々が例えば環境省に移管する、そういうときに、その方々は配置換えされてずっとそこでいくというような形になるわけでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 現在の政府の中においては、例えば特定のバックグラウンドを持つ職員が他の省庁に出向という形で適切にその能力が発揮できるような配置を行っているところでございます。

 今後、現在、厚生労働省が担っている水道行政、そのうちの水質の部分が環境省に行ったとしても、同様の人材への配置を続けることによって行政の質の担保を図りたいと考えております。

仁木委員 私は、その基準を策定する以上、そこでの人材というのは、アカデミア、大学とか研究機関とのやはり強い連携が必要だと思いますし、そういった専門的な知識なるものがやはり必要だと思っていますので、そのことを確認したかったわけです。

 次に、食品の方に移りたいと思いますけれども、過去に、大臣、いろいろな食生活の変化等々で、例えば生レバーが禁止になって、カンピロバクターとかO157、腸管出血性大腸菌の感染症等々があったと思いますけれども、そういったことで、事が出るたびに変わってきてはいますけれども、日本の従来の文化、食文化とか、あるいはそのときのトレンド等によって、食品の衛生法のありようも変わってくると思います。

 そういうことで、この食品衛生の基準策定に関しましても消費者庁に移管するわけでございますけれども、この辺の世界的なことも、食品ですから、海外からも、もう食料自給率を見ても分かるように、多くの食材あるいは食品が輸入されています。そういうことで、人材の育成、あるいは規模というのは、この法案が通って、実際省庁の移管が済んだ後には、大体どれぐらいでスタートするというような形になっているんでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、規模のことを御質問いただいたので、そこのところのみお答えいたします。

 厚生労働省で、先ほど御指摘いただいた国際食品基準に従事する職員含めて、現在四十七名が従事しておりますので、この規模のもので恐らく消費者庁は来年度の組織・定員要求をし、そのノウハウを持った人間がそのような配置になるものと考えております。

仁木委員 私、この議論を見たときに、食品衛生法に基づいた移管ですけれども、アメリカにFDAという食品医薬品局がありますけれども、そこでは食品や薬、あるいは場合によっては化粧品、そういったことも、人が食べたり、身につけたり、塗ったり、そういったことも含めて、みんな一元化してやっているような、そういった政府の機関がありまして、そこで一万八千人ぐらい働いていて、年間八千七百億円ぐらいの予算が投じられているわけでございますけれども、そんな機関もある種、私は理想かなということを思っていました。そう意味でいうと、今回のことは、私はそれなりに意味があるというふうに思っておりますので、是非とも新しい体制でやっていただきたいと思います。

 次に、もう一度水道の方に戻したいと思いますけれども、今、全国の自治体、すごい勢いで人口減少が進んでいまして、やはり、ペイ・アズ・ユー・ゴーというか、受益者負担の下で、水道料金の問題があると思います。例えば、兵庫県の赤穂市とかは八百五十三円、これは令和三年度の数値でございますけれども、一か月の料金。ところが、財政破綻した北海道の夕張市は六千八百四十一円という形で、そこに住む住民が支払う一か月の水道料金に八倍の差がある。そういった憲法二十五条の、国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む、いわゆる生存権にも影響するような問題だと思うんですけれども、こういったライフラインを受ける、ある種ナショナルミニマムと思うんです。

 この辺に対して、大臣の認識として、よく、この間も出ていました、いわゆる持続可能な水道に、そういう水供給システムにするために、大規模化とか隣接する自治体のいろいろなそういった水道インフラをシェアしていくとか、そういう議論があると思うんですけれども、大臣、平成三十年にもこういった水道法の改正もありましたけれども、いまだにそういう格差がある、されど水というのは日々欠かせない国民のライフラインである、そういったナショナルミニマムをこの国がやはり保持すべきと思っています。

 そんなに八倍も格差がある現実を踏まえて、かつ、これから人口減少をしていく自治体、そして、負担がその自治体のそれぞれの住民に乗っかかってくるような状況について、大臣の、この新しい法案に基づいての、移管も含めて、大臣、御意見というか、国民に安心を与えるような答弁をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 今委員お話がありましたように、特に、小規模で経営基盤が脆弱な事業者、また一方で、老朽化が進み、あるいは耐震化が進んでいない、こうした現状の中で、やはり水道施設を良好な状態に保ち、そして安心な水道水を供給していくということ、このことは大変重要なことでありまして、委員御指摘のありました平成三十年の水道法改正では、都道府県が水道事業者の広域的な連携を推進することについて努力義務規定を設け、都道府県による広域連携の推進のための協議会の設置等についても、法律上位置づけたところでありますし、また、水道事業者が水道施設を良好な状態に保つため、施設の維持、修繕を行うこと、施設の計画的な更新を努めることなど、適切な資産管理を推進するための規定も創設をしたわけでありますけれども、今般のこの法案で提案させていただいていますように、社会資本整備や災害対応に関する専門的な能力、知見を有する国土交通省に水道整備、管理行政を移管することで、層の厚い地方支分部局を活用しつつ、また、下水道等の他の社会資本と一体的に水道施設の整備、これを進めることが可能になるというふうに考えておりますので、今回の移管によって、国交省において水道施設の整備等がより進むことができるよう、移管の前から国交省ともよく連携していきたいと考えております。

仁木委員 ある種、水というのは、セキュリティー、いわゆる安全保障上、本当に大切なことだと思っていまして、有志の会同僚議員が、予算委員会でも、水の源である山、水源が外国人に買われているとか、そういうことも質問しました。まさに、水システム、そして蛇口をひねって当たり前のように出てくる水でございますけれども、その背景には、山があって、山があるからきれいな川があって、川があったら水源になって、そこで水が国民に供給されるというライフラインになっているということを改めて認識しなければいけないと私は思っています。

 古くは、大臣、これは、今、橋本委員はいらっしゃいませんが、お父様の橋本総理のときの一九九七年に橋本行革で、国土保全、そういった国土保全省なるものができる、水を一体として国土交通省がいわゆるケアしていくというか、そういうふうなことも議論されたというふうに聞いておりますので、私は、今回、上水道がいわゆる厚労省、そして下水道が国交省、あるいは合併浄化槽が環境省、そして農集が農水省、そんな水システムというのも、やはり一括して、大きな命題でいうと、安全保障的なライフラインという形で保持していくシステムになっていくというのはいいことでございます。

 その中で、大臣、最後の質問ですけれども、特に、やはりこれから、私、過疎化が進んでいくということで、九八%でも、張り巡らされた水道管があると思います。その入替え工事等々、莫大な費用がかさみます。そういう維持、メンテナンスをする上での一つの手法として、小規模の循環型水システムというのを開発しているような会社もあったりしまして、そういった有事に使われているんです、今。避難所の水を再利用して、シャワーをしたり手洗いをしたり、そういうシステムを持っている会社もあります。私の徳島県出身の社長がつくったようなシステムなんですけれども。

 そういうふうな、新たな、パッケージになった、いわゆる供給と排せつというか、インとアウトがパッケージになったような小規模循環型水システム、コスト削減そして持続可能な水のシステムのためにこれから考えていくというのもいいと思いますけれども、大臣、そのことを通告していますので、何か答弁いただければと思います。

加藤国務大臣 ICT等の先端技術の活用など、民間企業が有する技術、経営ノウハウ、これを活用するための官民連携を進めていくことは重要だと考えております。水道事業者等と民間事業者との連携を促進するため、官民連携推進協議会の開催などにより、官民連携の推進にも取り組んできているところであります。

 また、山間部の小規模な水道事業においては、簡易かつ確実な浄水技術の活用など、地域の実情に応じて対応していくことが重要であり、厚労省としても、人口減少地域に適した新たな技術に関する情報、これを収集して、技術的な支援にも努めていきたいというふうに考えております。

仁木委員 ありがとうございました。

 時間になりました。ありがとうございました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。

 ただいま審査中の本案に対し、国土交通委員会から連合審査会開会の申入れがありました場合には、これを受諾するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 また、連合審査会において、政府参考人及び会計検査院当局並びに参考人から説明又は意見を聴取する必要が生じました場合には、出席を求め、説明等を聴取することとし、その取扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、国土交通委員長と協議の上決定いたしますので、御了承願います。

 次回は、来る二十六日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十八分散会


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