衆議院

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第11号 令和5年4月26日(水曜日)

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令和五年四月二十六日(水曜日)

    午後三時二十分開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      池田 佳隆君    石井  拓君

      上田 英俊君    柿沢 未途君

      勝目  康君    高村 正大君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      杉田 水脈君    瀬戸 隆一君

      田村 憲久君    高階恵美子君

      土田  慎君    西野 太亮君

      橋本  岳君    穂坂  泰君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      おおつき紅葉君    大西 健介君

      篠原  孝君    西村智奈美君

      野間  健君    吉田 統彦君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    吉田とも代君

      古屋 範子君    吉田久美子君

      田中  健君    宮本  徹君

      仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   内閣府大臣政務官     尾崎 正直君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   環境大臣政務官      柳本  顕君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    依田  学君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         富田  望君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 岸本 武史君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局下水道部長)    松原  誠君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十六日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     石井  拓君

  小泉進次郎君     宮路 拓馬君

  小林 鷹之君     杉田 水脈君

  土田  慎君     石橋林太郎君

  三谷 英弘君     西野 太亮君

  阿部 知子君     篠原  孝君

  山井 和則君     おおつき紅葉君

同日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     川崎ひでと君

  石橋林太郎君     平沼正二郎君

  杉田 水脈君     小林 鷹之君

  西野 太亮君     三谷 英弘君

  宮路 拓馬君     穂坂  泰君

  おおつき紅葉君    山井 和則君

  篠原  孝君     阿部 知子君

同日

 辞任         補欠選任

  平沼正二郎君     土田  慎君

  穂坂  泰君     池田 佳隆君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 佳隆君     小泉進次郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第四五号)


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁審議官依田学君、厚生労働省大臣官房総括審議官富田望君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、政策統括官岸本武史君、国土交通省水管理・国土保全局下水道部長松原誠君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。西村智奈美君。

西村(智)委員 立憲民主党の西村智奈美です。

 今回の法案、私は、このタイミングでこういう形で提出されたということが、ちょっと、いささか疑問に思っているんですね。これまでの質疑の中で、昨年九月に方針が決まった、対応の具体策が決まって、それを基にこの法案が提出されているという説明が繰り返し聞かされるんですけれども、なぜこのタイミングなのか、そこから伺いたいと思うんです。

 つまり、答弁などを聞いていると、厚生労働省は業務がとても多い省庁である、大臣の一人の肩に負わせるのは重いから、それを外に出すんだというような答弁のように私には聞こえるんですけれども、そういったことを前々から厚生労働省としては考えていて、この機会にということでこの法案の提出になったんでしょうか、伺います。

加藤国務大臣 流れそのものはもう何回も説明させていただいているので重複をなるべく省いてしゃべりますが、昨年六月、有識者において、これまでの評価と今後の対応について御議論いただいて、そうしたことを踏まえながら政府の対策本部で、厚労省の一部機能について、感染症対応能力強化の一環として生活衛生関係の一部の機能について他省庁への移管ということが出され、そして、今お話があった九月に具体的な方向性が出された。こういう流れの中で、今回、全体、それぞれについても、司令塔機能の話も別途出しています。それから、日本版CDCは、別途、国会にも出させていただいています。

 一連のパッケージ、パッケージというか、一連として、今回この法律の改正案も出させていただいた、こういう経緯であります。

西村(智)委員 日本版CDCをつくるとか、IHEATの話とか、それはそれで別個の話として議論があるところで、それは分かるんですけれども、生活衛生の件や水道の件については感染症とは直接関係がない。それをあえて切り離すというのは、私にはやはり、何か前々から厚生労働省はそういうことを考えていて、この機に乗じて法案提出をしているんじゃないかなというふうに見てしまうということは申し上げておきたいというふうに思います。

 具体的に伺うんですけれども、食品衛生のことについてです。

 今回、食品基準審査課、これが、厚労省にあったものが消費者庁に移管されるということです。法案の内容的には組織を動かすということしか書いていないものですから、あえて組織のことを聞かせていただきたいと思っているんですけれども、消費者庁に移管されるということなんですけれども、そもそもこの食品基準審査課というのはどういう業務を行っていたか。食品添加物、それから農薬、こういったもののポジティブリスト化、それから安全性の評価、こういったものは内閣府食品安全委員会が担う一方で、その結果を踏まえて、薬事・食品衛生審議会、ここにある分科会ですとか部会で決まっていたというふうに承知をしております。

 消費者庁に審議会も新設することになるわけですよね。審議会の委員や審議会の規則は、どういうふうに決定をするのか。消費者庁には、どういうふうに決定するのかを伺いたいと思います。厚生労働省には、言ってみれば、審議会の事務局、送り出すわけですから、そこでどういうふうに委員会の委員や規則などを確認をするのか。そこは送り出す側の責任もあると思うので、厚労大臣と消費者庁に、それぞれ伺いたいと思います。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 今、委員お話があった食品衛生基準審議会をどうするかという話になると、これは消費者庁によって設置をされますので、それを厚労省がとやかく申し上げる立場にはない。ただ、そこにおいて必要があれば、もちろん我々の方から知見や経験を有する職員の出向をさせたり、必要な支援はしていく、こういう関係になるわけであります。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 この食品衛生基準行政を消費者庁に移管した後におきましても、食品安全基本法に基づきまして、リスク分析の考え方により、科学的知見に基づいた衛生規格基準を策定するという食品安全行政の基本的な枠組みを継続していくことが重要だ、そのように考えております。

 移管後も、引き続き、科学的知見に裏打ちされた衛生規格基準の策定が担保されるよう、今回の法案では、食品衛生基準行政に関する調査審議については、現行の厚生労働省の薬事・食品衛生審議会から、消費者庁に設置される食品衛生基準審議会に移管するなど、消費者庁の対応を強化することとしているところであります。

 この審議会の今後の在り方については、この法案を仮に通していただくことができますれば、その中で詳細を検討していくことになりますけれども、基本的に厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の構成を参考とさせていただきながら、同様の科学的知見を得られた皆様方で構成をさせていただくということになろうかと思います。

西村(智)委員 消費者庁の答弁はそのとおりだろうなというふうに思うんですね。

 大臣、必要に応じて知見を消費者庁に提供するというよりは、もっと、今まで食品安全基準審査、そういったところに責任を持ってきた厚労省として、もう少し積極的に、これまでの知見あるいは人材、そういったものを消費者庁に提供するというか確認するというか、そういった姿勢が必要なんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。

加藤国務大臣 もちろん厚労省としては、移管当初から消費者庁においてそうした業務が適切に行われるよう最大限の協力をしていく、これは当然のことであります。

西村(智)委員 次に、今度は、消費者庁の問題といえば問題なんですけれども、これまで消費者庁は、リスクコミュニケーションの総合調整をやるというところであった。一方で、消費者庁と名前がついているぐらいですから、消費者に寄り添う立場でもあられるわけですよね。

 ただ、基準については、先ほども答弁ありましたように、科学的に行われるということがやはり消費者の不安を払拭するということにもつながると私は思っています。

 ただ、この間、消費者庁のいろいろな問題の中で、例えば無添加表示問題、あるいはゲノムの問題、それから遺伝子の問題、なかなか、何と言ったらいいんでしょう、事業者と消費者の両方とも何かこれらをめぐって混乱して、逆にその不安をあおっちゃったんじゃないか、消費者庁がそういった不安を実はもたらしてしまったんじゃないかということがあったので、私は、消費者庁が本当に科学的な見地に立ってまさにこの基準の問題、やっていただけるのかということについてはちょっと不安を覚えているんですけれども、その点について消費者庁の方はどういうふうにお考えですか。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 現行でも、消費者庁におきましては、食品表示に関する事務のほかに食品安全行政につきましても、基本的事項の案の作成とか関係行政機関の事務の総合調整等の司令塔機能を担っている、そういうところであります。

 現在、厚生労働省が担っている食品衛生基準行政について、このような食品安全行政の総合調整を担う消費者庁に移管させることによりまして、消費者庁が政府内の司令塔となって関係府省間の調整をより円滑に行うことができる。結果、新たな食品に対応し得るバランスの取れた衛生規格基準の策定ができることになるものと考えておりますし、そのように心がけていかなければならぬ、そのように考えております。

 また、先ほど申し上げましたとおり、また委員からも御指摘ございましたように、この度、食品衛生基準行政に関する調査審議に関する機能を消費者庁に移すということを通じまして、科学的知見に基づいた衛生規格基準の策定、こちらもしっかりと担保してまいりたいと考えるところです。

 このように、食品安全行政の総合調整機能と科学的知見に基づきます調査審議に関する機能を活用することで適切に対応してまいりたい、そのように考えております。

西村(智)委員 科学的な見地に立つというところはそれで了といたしたいんですけれども、バランスを取るというふうに言われますと、またちょっと心配なんですよ。

 そこは、消費者庁ではあるけれども、先ほども私申し上げましたけれども、まさに消費者庁がこれまで司令塔としての役目を本当に果たせてきたのかというのは、よくよく考えていただきたい。無添加表示、何であんなに混乱したのかとか、本当にそこはよくよく考えていただいて、バランスは取らない、そういうふうにちょっともう一回言っていただけませんか。

尾崎大臣政務官 何といいましても、一番大事なことは科学的知見に基づくことであります。そしてまた、関係省庁がございますので、その間で総合調整機能をしっかり果たして結論を出していきたい、そのように思います。

西村(智)委員 関係省庁との力関係というのもありましょうから、ごめんなさい、あえて私こういうふうに言わなきゃいけないのは、今日は組織の改編に関する法律だから、あえてこういうふうに言っています。ほかの省庁との力関係でいうと、消費者庁はやはりまだ弱いところがある。そこはちゃんとしっかり科学的見地に立つんだということを肝に銘じてやっていただきたいと思っております。

 厚労大臣にお伺いいたします。

 監視行政が今回厚労省に残るということなんですけれども、この理由について伺いたいと思います。

加藤国務大臣 食品衛生監視行政は、有毒、有害な食品、規格基準に合わない食品の取締り、食品関係の営業者に対する営業規制、監督指導などを通じ、食品による健康被害を未然に防止することや、健康被害が生じた際の被害の拡大を防止することを主な目的としております。

 食中毒は、原因となる微生物や物質によっては、初動の段階で、原因が食品によるものかそれ以外によるものか、直ちに分からない場合もあります。このため、食品衛生部局は、常に感染症部局等の他部局と情報共有や連携を図りつつ、迅速に原因の究明や危害の拡大防止対策を行うことが重要であり、実際に保健所においては、食品衛生部局は他の部局と連携して原因の究明や危害の拡大防止に当たっているところでございます。

 そうしたことから、食品衛生監視行政については、引き続き、公衆衛生に関する幅広い知見を有する厚生労働省において、感染症対策、健康危機対策と一体として担うこととしたところであります。

西村(智)委員 食品に関する事故、あるいは食中毒、感染症、なかなか最初は原因が分からないと。初動のところで原因の特定をちゃんとやっていくためにも、従来どおり、保健所と連携をきちんと取ってきた厚労省のところで、自治体、都道府県も挟むことはありましょうけれども、情報のやり取りなどが遺漏なくできるということで残したんだということだと思って受け止めました。

 その関連で、先日、実は阿部知子委員が、本委員会において、水俣病に関連して、食品衛生法の関連での検証をお願いしたいというふうに質問をされましたところ、厚労大臣は、当時の法律の体系の中で適切に対応してきたものというふうに認識をしておりますという答弁をされました。私、これを聞きまして、本当かなというふうに思ったんですね。

 ちょっと振り返ってみますと、水俣病は、公式認定されて六十何年でしょうか、一番最初に水俣病というのが世に知らされたのは、恐らくは一九五六年であろうというふうに思います。熊本大学の水俣病医学研究班が、水俣湾の周辺地域で、どうも中枢神経性、当時はそういうふうに言っていたかどうかはあれですけれども、そういった疾患、同じような症状が出ているということで調査に入られて、結果、本疾患は、伝染性疾患でなく、一種の中毒症であり、その原因は水俣湾産魚介類の摂取によるものであるというふうに報告をしました。つまり、食中毒だと。魚を食べて中毒症状が出ているということですから、食中毒だということで明らかになったんですね。

 翌年に、熊本県が、食品衛生法の適用で対処しようということにはなったんですけれども、当時、熊本県の副知事が主張しまして、当時の厚生省と、本当に食品衛生法を適用していいかどうか打合せをしようということになりまして、文書で厚生省に照会が行われたんです。

 今も文言が残っていますけれども、原因となる、これは答弁を大臣もされていますけれども、有毒な、又は有毒な物質が含まれ、又は付着しているものの販売等を禁止するということで、当時の食品衛生法第四条第二号で書かれているんですけれども、厚生省からの回答は、残念ながら、適用するということにはならなかった。

 水俣湾特定地域の魚介類を摂取することは、原因不明の中枢性神経疾患を発生するおそれがあるので、今後とも摂食されないよう指導されたいというふうに言いながら、次の項では、しかし、水俣湾内特定地域の魚介類の全てが有毒化しているという明らかな根拠が認められないので、当該特定地域にて漁獲された魚介類の全てに対し食品衛生法第四条第二号を適用することはできないものと考えるというふうに、前段と後段と矛盾したような答弁をされて、結論としては、食品衛生法の適用ができないというふうに回答が、当時の厚生省からされたんです。

 大臣、なぜこのような矛盾する回答が当時なされたのか、まず、その回答の中身について、大臣はどういうふうに評価しておられますか。

加藤国務大臣 矛盾というのはどこを指しておられるのか、ちょっと認識できなかったんですが。

 当時の食品衛生法第四条第二号では、有毒な、又は有毒な物質が含まれ、又は付着しているものの販売等の禁止をしていた。その有毒な物質が含まれる食品については同号の規制の対象になるものの、その疑いのある食品については、いまだ同号の規制の対象になっていなかった。この点、昭和三十二年に、今委員お話がありました、熊本県からの疑義照会を受けた時点で、水俣湾内特定地域の魚介類全てが有毒化しているという明らかな根拠が認められなかったことから、この特定地域で漁獲された魚介類の全てに対し規制することはできない、こういう判断をしたということ、まさにそのとおりだというふうに思っています。

西村(智)委員 前段と後段というのは、水俣湾の、ちょっと略しますけれども、水俣湾特定地域の魚を食べることは原因不明の中枢性神経疾患を発生するおそれがある、だから摂食しないように指導してほしい、ただし、魚介類の全てが有毒化しているという明らかな根拠が認められないのでと。私、これは矛盾していると思うんですよ。前段ではおそれがあると言いながら、後段では全ての魚がそうか分からないというふうに言っている。これは、やはりちょっとおかしいと思うんですよね。原因物質が分からないということであれば、食品衛生法に基づいて施設の立入調査などを行えば、これはすぐに分かることだったんじゃないかというふうに思います。

 何でこういうことを申し上げるかといいますと、今、公健法、それから二回の政治判断による解決法、これによってもまだ救済されない方がおられて、現に今も裁判を闘っておられる方々がたくさんおられます。私は、実は水俣病被害者とともに歩む国会議員連絡会の今会長をしております、私は地元が新潟ですので。

 もし、一九五六年の時点で、熊本大学のお医者さんたちが原因不明のことに対して食中毒だと言われた、このときに、熊本県が一応問合せはしたけれども、当時厚生省が、いや、これは食品衛生法の適用でいいんだと。つまり、当時の、今もそうですけれども、食品衛生法には、例えば販売目的で魚を捕るということを仮に禁止したとしても、誰が生活補償をするとか、そういったことというのは食品衛生法には書かれていないわけです。だから、厚生省が食品衛生法を適用して、これは禁止してよろしいんだ、捕獲を止めてよろしいんだというような判断をしていれば、その後、要は、まだまだ水俣地域でも患者さんは物すごく増えられたわけです。新潟でだって、新潟はその数年後ですから、それが本当に止まったかもしれない。今いろいろな意味で補償も行われておりますけれども、被害者の数も少なくできたと思うし、それに伴って、補償のお金も、言ってみれば少なく済んだ、そういった問題じゃないかというふうに思うんです。

 もう一回振り返ってみて、大臣、このときにやはり食品衛生法を適用しておくべきだったのではないか。もちろん、その後改正されまして、おそれがあるものというふうにはつけ加えられたんだけれども、大臣自身は、今振り返ってみて、こういうことで食品衛生法の適用が止められてしまったということ、このことについては、御自身でどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、今委員からお話があったように、そうしたこともあって、昭和四十七年の食品衛生法改正において「又はこれらの疑いがあるもの」がつけ加えられる改正がなされ、疫学調査等によって有害な物質が含まれる疑いが客観的に認められる場合にもこの規定が適用できるようになった、こういう経緯があります。

 したがって、当時の規定文、やはり行政は法律にのっとって対応していくわけでありますから、その範囲では、先ほど申し上げたように、適用することはできない。しかしながら、当時の水俣湾の特定地域の魚介類を摂取することで、原因不明の中枢性神経疾患を発生するおそれがあったことから、摂取しないような指導を行ったということ、そういった意味では、そういった法律がある中で対応できることという趣旨で、そうした指導が行われたものというふうに思っております。

西村(智)委員 熊本県から当時の厚生省公衆衛生局に照会があってから実際に回答がなされるまでに随分、時間がかかっているんですね。恐らく、当時の厚生省はすごく悩んだと思います。だから、その悩んだ結果として、前段と後段が何か矛盾するような回答が、熊本県の方に、しかも知事宛てに出されているんですけれども。

 私は、やはり、こういった食品衛生法のこれまでの経緯をよくよく踏まえた上で、今後も、例えば食中毒ですとかそういった案件に当たってもらいたいというふうに思っているからこそ、こういうふうにも質問をしている。もちろん、現に、今裁判を闘っておられる、あるいは声をなかなか上げられない被害者の方々のためということもありますけれども、やはり、あのときに本当に食品衛生法の適用をしていたら、ここまでにはなっていなかったというふうに思うんですよ。是非そこは、大臣も、当時の話をもう一回掘り返していただいて確認をしていただきたいというふうに切にお願いをいたします。

 私はやはり、このとき、有毒な魚を食べるということを完全に規制して、生活補償と原因施設の調査に入るということが行政の責任だったというふうに思います。二度と同じことを繰り返さない、そのためにも、主には今は環境省に舞台は移っているわけですけれども、当時の行政的な責任は私はやはりあったというふうに思いますので、是非振り返ってみていただきたいと切に思います。

 それで、環境省の方に伺います。

 二〇〇九年、二回目の特措法で、健康調査をするというふうに規定が盛り込まれました。住民の健康調査を国が実施するということだったんですけれども、二〇〇九年から十三年たって、まだ行われていない。昨年の年末、十二月に水俣でようやく説明会があって、MEGというんですかね、客観的評価方法が大体ここまで来ましたということで説明があったそうなんですけれども、今後これはどうされるんですか。

柳本大臣政務官 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、水俣病の健康調査については、昨年十二月に国立水俣病総合研究センターにおいて開催された報告会におきまして、研究者から、脳磁計とMRIを使って、メチル水銀による脳への影響をある程度客観的に評価できるようになったとの報告がございました。

 この報告を踏まえ、環境省では、この評価法が健康調査に活用できる可能性があると考え、評価法の精度として一定の段階には到達したと整理したところでございます。

 健康調査の在り方については、関係者の中でも様々な御意見があると承知しておりまして、引き続き、丁寧に御意見を伺いながら、検討を進めていく必要があります。

 あわせて、調査の在り方の議論を進めるためには、専門的知見の充実、整理も図る必要があることから、現在、研究班の立ち上げの準備を手続として進めているところでございます。

 こうした専門家による議論も十分に踏まえながら、できるだけ早く検討を進めてまいりたいと考えております。

西村(智)委員 これから研究班を立ち上げるということなんですけれども、昨年の十二月に報告をして、今四月末ですから、もうここまでで五か月たっているわけですよね。十三年待ったから五か月も短いでしょうということにはならないわけなんです。

 私は、先ほども、ある程度は患者さんを特定できる、聞きましたら、大体八割ぐらい、水俣病の患者だというふうに認定された方々のうち八割が、そのMEGという方式でも同じように患者さんだというふうに認定される、こういうレベルの結果だということなんですよね。

 私が恐れているのは、これを患者さんのスクリーニングみたいにしてはいけないというふうに思うんですよ。八割ですよね。しかも、実際にMEGで検査をすると、お一人当たり二時間ぐらいかかるというんですか。もう何万人対象がいらっしゃるか分からない中で、物理的にはやはり無理ということをいろいろ考えますと、やはり、その開発していただいた手法は、それはそれとして、本当に長い時間をかけて、お金も随分かかりましたね、何億円ですか、かかりましたよね、かかった。

 それはそれで、一つのものとしては、判断材料としてはあるんだと思うんですけれども、やはり疫学調査じゃないですか、ここは必要なのは。客観的にといいますか、医師による、それが必要なんじゃないか。それがやはり地域の皆さんが求めていることなのではないかというふうに思うんですけれども、疫学調査、これはやはり是非やっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

柳本大臣政務官 お答えをいたします。

 繰り返しになりますけれども、健康調査の在り方については、関係者の中でも様々な御意見があると承知しております。そういったことから、引き続き、丁寧に御意見を伺いながら検討を進めていく必要があるというふうに考えております。

西村(智)委員 今、阿部委員から、何年も何年もそういうふうにしているという声がありましたけれども、本当にそうなんですよ。

 本当に、水俣病は、四大公害病の中でも比較的特殊といいますか、この問題の発生の経緯も、それから病状も、それから、それに対する行政的な、政治的な救済の在り方も、その都度その都度いろいろなことがやられてきたというのは、それはそれであったんだと思うんですけれども、やはり余りにも長く待ち続けている。もう六十年、胎児性水俣病の方がもう六十歳ですから、そういうことを考えますと、やはり期限を区切ってでも私はやっていただきたい、本当に強くここは要請をいたします。

 残り時間が短くなってきまして、厚労大臣の方に戻らせていただきます。

 今度は水道の方なんですけれども、先ほども連合審査でいろいろ質問がありましたが、水道水の安全性評価についてですが、これもいろいろな、食品安全委員会、それから厚生科学審議会で審議されてきたと。

 水道水の基準業務についても環境省に移管するということなんでしょうけれども、今まで環境省が取り組んできた水質というと、私のイメージは、湖の水質とか川の水質とかそういったものであって、ちょっとやはり人が飲む水とは趣旨が異なるんじゃないかというふうに思うんです。

 環境省、実際に、水道水の安全基準については、どの課というか局に置くことになるんでしょうか。

柳本大臣政務官 お答えいたします。

 環境省は、これまで、環境中の水による人の健康への影響を防止する観点から、一般環境中の水の環境基準等を設定してきておりまして、その際培ってきた科学的知見、専門的な能力を有しております。移管後は、これらを最大限活用し、水道水源から蛇口の水までを一体的にリスク管理することができると考えております。

 委員から御質問いただきました環境省への具体的な移管先につきましては、水道水質基準と関係の深い部局内で整理する方向で準備を進めているところでもございます。

 環境省としては、水質に関する科学的知見、専門的な能力を生かし、国民の水道に対する安全、安心をより高めるべく、全力で取り組んでまいります。

西村(智)委員 同じ水ですから、水の関係の局の中に置くということは分からないではないんですけれども、ここでもずっと議論が、午前中もあったんですよ。水というのは、やはり私たちの命の水だと。口の中に入る。人間、水がなきゃ生きていけないわけです。

 そういう意味で、これまで環境省がやってこられたものとちょっとやはり発想が違う、その立場に私としては立ってもらいたい。飲む水、人の本当に体の中に入る水だということで、その重要性については、政務官、お分かりいただいているということでよろしいですよね。答弁してください。

柳本大臣政務官 委員御指摘のとおり、まさに命の水といった形の表現もございますし、国民の水道に対する安全、安心をより高めるべく、全力を尽くして取り組んでいきたいと考えております。

西村(智)委員 最後の質問になるかと思います。

 今後、水道の施設の整備などについては、一元的には、事業者とのやり取りは国土交通省とのやり取りになるということであります。

 水道水に起因する食中毒や水質事故があった場合には、保健所や事業所などから、都道府県などを介したりもして、国交省というふうになっていくというふうに思うんですけれども、これは厚労大臣にお答えいただくことになりますが、今後、例えば水質の事故とか水に起因する何か食中毒があった場合にも、何かあった場合にも、妨げられることなく情報のやり取りが、ずっと対処が可能であるというふうに考えてよろしいかどうか。厚労大臣、お願いします。

加藤国務大臣 現在、水道水に起因すると思われるものも含め、食品中毒患者又はその疑いのある方を医師が診断した場合には、食品衛生法などにより、保健所に届け出ることとなっております。保健所は、水道水に起因すると思われる食中毒が発生した場合、食品衛生法に基づき、水道水の調査などの対応に当たることとなります。このような食中毒への対応に関する枠組みは、本法案によって何ら変更されるものではありません。

 今般の業務移管が行われた後も、厚労省は食品衛生監視行政の観点から食中毒への対応に当たることになるため、水道水に起因する食中毒が生じた場合には、水道整備、管理行政を担う国土交通省や環境省と緊密に連携し、対応していくこととなります。

 また、人の健康を害するおそれがある水質事故が発生した場合、水道法において、水道事業者は直ちに給水の停止等を行うこととされております。また、保健所は、地域保健法に基づき、水道の衛生に関する事項の指導を行うこととされており、水道の水質事故が発生した場合には、必要に応じ、水道施設の調査などの対応に当たることとなります。ここも従前どおりであります。

 今般の業務移管が行われた後は、水道整備、管理行政を担う国土交通省は、環境省と保健所が連携して水質事故に対応することになりますが、移管当初から今申し上げたいろんな事態にしっかり対応できるよう、必要な準備を進めていきたいと考えています。

西村(智)委員 とにもかくにも、やはり私たちが口にするものはまさに私たちの命を紡いでいるものでありますので、その安全、安心を最優先に取り組んでいただきたいと強く要望して、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日もよろしくお願いしたいと思います。

 まず、水道事業について私の方からお伺いをしていきたいと思いますけれども、今日もたくさん議論がありましたが、御存じのように、この水道事業といいますのは、自治体の方で、市町村ですね、経営が原則でありまして、独立採算制ということになっております。ただ、今後、今日もありましたが、人口減少に伴う経営の悪化であったりとか、水道管や浄水施設を含めた更新がなかなかできていないということと、やはり人材がなかなか育っていかないということで技術の継承が難しいなどといったようなことがありました。

 そういうところで、今回、この水道施設、特に水道管の更新について焦点を当ててお話をしていきたいなと思うんですが、今日もありましたように、この水道管の耐用年数といいますのが四十年と。年の更新率が現在〇・六五%ということでありまして、水道管を更新するだけでも百年かかると。本来であれば、年二・五%程度で更新していかないと、耐用年数、この四十年間では収まり切らないという状況であります。

 また、この更新需要としましては、二〇二〇年代から二〇三〇年代にピークを迎えるという中で、毎年一兆円ほどの更新費用が必要だという具合に言われております。

 今日もありました、宮城県でのコンセッションの方式でメリット、デメリットというお話もありましたし、ただ、このコンセッション方式でも、ある程度の経営的な規模がないと難しいということで、やはり中小自治体なんかというのが取り残されていくのではないかという懸念もあります。

 また、一方、地元の大阪市の方でも、コンセッション方式やPFIの方式を導入しようとはしたんですけれども、逆に、大都市過ぎて、規模が大き過ぎて、公募の事業者が手を下げるという事態もありました。

 そんな中で、ちょっとお伺いをしていきたいと思うんですけれども、そもそもこれまで老朽管を何年も更新できていなかった理由というのをお伺いをしたいと思います。

 例えば、官庁会計は、当然今は公会計になっておりますけれども、民間の財務会計や企業会計ででいいますと、現金の支出を伴わない減価償却費又は減価償却累計額という考え方があります。当然これはお金の支出を伴わない費用ということなので、毎年毎年、価値が下がった分だけ財務会計では企業内に現金がプールされるという考え、いわゆる自己金融効果という言い方をしていくものであります。

 本来、やはり、水道の施設を造ったときから更新のことを考えて計画立てていくのが本来の筋だという具合に考えておるんですけれども、これまで丼勘定でやられてきたのかということについて、一つお伺いをしたいと思います。

 もう一つ、これまで老朽管を適切な時期に更新してこなかった理由といいますのは、一義的には水道事業者、自治体の方にあると考えております。ただ、一方としまして、国としても、許可権者として適切な指導が本当だったら必要ではあったのかなと思うんですけれども、ここにつきまして、御見解をお伺いしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まず、国として適切な指導がというところでございますが、委員御指摘のとおり、きっちり計画的に物事を考えて、必要な費用、予算を確保していく、それで、言い方はあれですけれども、無駄を削っていくということが大事だと思います。

 厚生労働省は、平成二十一年にアセットマネジメントに関する手引を公表するなど、老朽化した施設の計画的な更新について、水道事業者への指導助言に取り組んできました。その後、平成三十年に法改正を行いました。この中では、都道府県が水道事業者の広域的な連携を推進することについての努力義務規定も設けましたし、また、水道事業者は、水道施設を良好な状態に保つため、水道整備台帳、この台帳の作成、保存、施設の計画的な更新に努める、こういった適切な資産管理に関する規定も創設したところでございます。

 例えば、この改正における適切な資産管理を行うための基本となる水道整備台帳の作成、保存に係る規定につきましては、ただ、施行は昨年十月、令和四年の十月でございました。

 こういった形で、順次、厚生労働省としても指導等を行ってきたところでございます。

池下委員 これまで更新ができなかったという点に関しましてはちょっとお答えがなかったのかなということで思います。

 自然災害が発生すれば、この老朽管の被害というのは非常に大きいものだと思っておりますし、数年前、私の地元の高槻市でも、二〇一八年、大阪北部地震がありまして、老朽化した水道管が破裂しまして、アスファルトから噴出すると。お近くの吹田市の方でも同様ありまして、約二十万人に影響が与えられたという形で言われています。

 これらはいずれも五十年前以上に布設されたものであります。今、アセットマネジメント、資産管理ということのお話を言ったわけですけれども、当然これは自治体に、努力義務ということもありましたけれども、お願いしてやるわけなんですが、ただ、かけ声だけでは、なかなか抜本的な更新対策というのは非常に厳しいのではないかなという具合に考えております。

 また、今、昨年、平成三十年の話もありましたし、平成二十年代ですかに様々やられていたと思うんですけれども、これは、大阪なんか、都市部なんか五十年前に布設されているわけですから、もう非常に遅きに失しているのではないかなという具合にちょっと個人的には思っております。

 そこで、改正で関係者の責務を今回明確化されまして、国、都道府県及び市町村は、水道の基盤強化に関する施策を策定されることを決められました。また、水道事業者は、水道施設の更新に関する費用を含むその事業に係る収支の見通しを作成し、公表するよう努めなければならないとされておりますけれども、公表だけでは本当に実効性のある対策が取れているのかということに非常に不安に思うんですけれども、この点につきまして、加藤大臣の方にお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 公表し、それから、広域連携の推進のためには協議会を法定すること、また、適切な資産管理の推進のため、水道事業者に対し、水道施設を良好な状態に保つために施設の維持、修繕を行う義務や、施設の計画的な更新を行う努力義務を課したところであります。

 その結果、先ほども御説明いたしましたが、現在、四十五の都道府県で水道広域化推進プランが策定され、その中で広域化のパターンごとの将来の経営状況の予測等も行われているところでございます。

 また、令和三年度に実施した調査によりますと、千三百九十三事業者のうち、約九割の千二百四十一事業者において、更新需要や財政収支の試算が行われるなど、計画的な水道施設の更新に向けて、法律で求められていたそうしたこと、また、その成果が出てきているというふうに考えておりますので、それを今後具体的な更新につなげていくということが必要だと思います。

池下委員 御答弁あるように、まさに計画的にということなんですけれども、私、実は、地方議会議員のときに同じ水道の更新について質問をさせていただきました。そのときに、都道府県に聞いたところによると、今まで国の方も指針を出していただいておりますので、効率化をしっかりやっていきますよということの当時お答えをいただいたんですけれども、ただ、金額を見ると数億なわけですよ。ほんの数億の金額でありました。

 今回、更新というのは本当に莫大な金額がかかってくるわけですので、今ゼロで、ここから始めますよということであれば、計画を立ててやってくださいねということになるかと思うんですけれども、今、なかなか更新していない老朽化したものは本当にたくさんある中で、抜本的な改革というのができるのかなということで非常に思っております。

 ただ、今大臣言われましたように、広域の連携というのも当然大事ですし、今言われた計画ということも当然大事ですので、しっかりとやっていただきたいと思っております。

 そこで、水道の更新に関しまして、やはり、都市部でやったり、地域、地方でやったりといったところで、様々事情が異なるかと思うんですけれども、国交省さんの方にお伺いをしたいんですが、水道事業を厚労省から国交省へ移管することで、老朽化や耐震化対策等、課題に積極的に取り組まれると期待するところなんですけれども、国としても、維持管理や更新の支援に対して、今まで以上に現実的な予算も含めて支援をすべきと考えますが、見解の方をお伺いをしたいと思います。

松原政府参考人 お答えいたします。

 水道整備、管理行政におきましては、委員御指摘のとおり、現在、老朽化、耐震化などへの対応が課題となっているものと承知をしております。

 こうした課題に対しまして、国土交通省は、これまで取り組んできた下水道などのインフラ整備、管理に関する知見や地方整備局などの現場力、技術力を活用し、水道整備、管理行政のパフォーマンスの一層の向上が図られますよう、必要な予算の確保を含めまして、しっかりと取り組んでまいります。

池下委員 必要な予算をしっかりと確保していくということでお話を受けましたので、詳細は、多分、昨日問取りしたところによると、これからということで聞いておりますので、それがどの程度になっていくのかということはちょっと着目しておきたいなと思います。

 ただ、冒頭お話ししましたけれども、やはりこれは、第一義的には地方自治体の責務になってくるものだと思っております。水道は命の水ということでありましたけれども、本来はやはり水道水の料金に跳ね返ってくるものでありますので、今、コロナ禍の中で水道料金の基本料金をなくしているというところももちろんありますけれども、本当に更新費用といいますのが水道料金にばあんと跳ね返ってきたときに、国民の皆様のやはり生活に跳ね返ってくるということになりますので、そこら辺はちょっと懸念しているところであります。

 ちょっと時間がないので、次に行かせていただきたいと思うんですが、次に食品の安全を確保するための取組についてお伺いをしていきたいと思います。

 現行では、内閣府に設置された食品安全委員会がリスク評価、厚労省、農林水産省がリスク管理を担っているところであります。本法案によりまして、リスク管理の機能の一つであります食品衛生基準行政が内閣府の外局である消費者庁に移管されると、リスク評価とリスク管理の両方を内閣府に設置されている機関が担うことになりまして、リスク分析の適切な機能の妨げにならないかという指摘が先週の委員会の方でもありました。

 今回、消費者庁に移管する理由として、消費者庁がリスクコミュニケーションの総合調整等の食品安全行政における司令塔機能を担っているということが挙げられておりますけれども、関係省庁は本法案の内容について、審議会であったりとか検討会であったり、この部分でしっかりとまさにリスクコミュニケーションがされて、御意見を伺って行われてきたのかお伺いをしたいと思います。

佐々木政府参考人 厚生労働省についてお答えいたします。

 薬事・食品衛生審議会の下に設置されました食品衛生分科会で、昨年十二月にまさにこの内容について御意見を賜ったところです。いただいた御意見ですけれども、消費者庁への移管のメリットを期待する声もありましたが、例えば食品衛生基準行政と食品衛生監視行政の連携が十分に確保されるべきという意見、食品等の規格基準の策定は科学的根拠に基づき実行可能性等も考慮して策定されるべき、こういった御意見もいただきました。この意見も踏まえて今般の法案の内容を策定したところでございます。

 さらに、今御審議いただいている法案につきましても、本年三月の同じく食品衛生分科会で報告を行ったところでございます。

池下委員 ちょっと時間がありますので、最後質問だけしたいと思います。

 先週の質疑では、現行の食品安全行政において、消費者庁は総合調整、司令塔機能を担っており、現状の厚労省等の連携に加えて、新たに食品衛生法に設けられた連携規定に基づいて適切に連携していくという御答弁がありました。現行において厚労省が食品衛生管理行政と一体的に担っている食品衛生基準行政が、今度は消費者庁に移管されることで、リスク管理の実施に障害が生じることがないよう、消費者庁と厚労省は、これまで以上に緊密な連携を図る必要があると考えますが、御見解の方を最後伺いたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、消費者庁におきましては、現行でも、食品の安全の確保に関する施策について、例えば食品安全基本法第二十一条第一項に基づく基本的事項、こちらの案を作成しまして閣議決定の調整をするとか、あるいはリスクコミュニケーションにおける関係行政機関の事務の総合調整を行っているところでございます。

 今般、食品衛生基準行政を厚労省から消費者庁にということになるわけでございますけれども、移管後の消費者庁の組織体制につきましては、いずれにしましても、この法案を通していただいた後に、令和六年度の組織・定員要求の過程で詳細を決定していくことになりますけれども、今回移管されます食品衛生基準行政を含め、政府内の食品安全行政の機能が十分発揮されるように消費者庁として、必要な定員、体制の確保、整備に努めてまいりたいと存じます。

池下委員 しっかりとやっていただきたいと思います。

 ちょっと時間が来ましたので、これで質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。

 法案審議に入る前に、大臣に一点、ちょっと質問をしたいと思っているんですが、最近話題のチャットGPTについてお聞きをしたいと思います。

 こちら、農水省が利用を検討と言い出したり、また、経産大臣は国会答弁にも活用の可能性があるというふうに言って、報道では関係閣僚の足並みが活用でそろうというようなことも言われていますが、大臣はこの活用についてどのようにお考えになっているかお聞きします。

加藤国務大臣 チャットGPTについては、行政分野における活用の可能性も今いろいろ報じられておりますし、業務負担軽減のメリットといったものもあるというふうに考えていますが、一方で、機密情報の取扱い、セキュリティーの確保等々のリスク等も指摘をされています。まさにメリットとデメリットを認識しながらどのような対応の仕方があるのか、しかし、こうした先進的な科学技術でありますから、それを利活用する際にどのような点に留意しなければいけないのか、こういった点について関係省庁とも協力して取り組んでいきたいと考えております。

 厚労省としては、まずは今申し上げたセキュリティー面の課題、また活用が期待できる業務としてどういうものがあるのか、こういったことについて内々勉強はさせていただいているところでございます。

田中(健)委員 私、どんどん使ってみてもらって、できること、またできないことというのはどんどん分かってくるかと思いますので、是非またこの委員会でも議論をさせてもらえばと思っています。

 法案に移ります。

 昨年成立した経済安全保障推進法がありますが、この中で、基幹インフラの役務の安定的な提供の確保に関する制度の対象の事業十四分野の一つに水道が位置づけられました。制度運用開始に向けて今取組が進んでおりますが、どのようなことが今進み、また、今後の水道行政にどのような影響があるのか、伺います。

加藤国務大臣 昨年五月に成立をいたしました経済安全保障推進法において、水道分野は基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度の対象の一つとされております。この制度は、一定の基準に該当する基幹インフラの重要設備について、我が国の外部から行われる役務の安定的な提供を妨害する行為の手段として使用されることを防止するためのものであります。

 この制度が運用開始されますと、対象となった水道事業者等においては、重要設備の導入や維持管理の委託を行う際に、国に対して計画書の事前届出を行い、審査を受けていただくことが必要となります。

 本制度の対象等を定める省令の策定に向けた検討を現在進めているところであります。水道事業者等関係者の意見を丁寧に聞きながら、来年春頃の制度運用開始に向けて着実に検討し、準備を進めていきたいと考えています。

田中(健)委員 分かれば、今おっしゃられました水道分野の対象事業者はどのくらいいらっしゃるのか。また、まさに大臣からありましたが、今まさに政省令の策定がそれぞれの省庁で進んでいるということですが、令和六年春頃の制度運用開始ですと、まさに今法案が通りまして水道行政が国交省に移るのも四月ということで、かぶるわけですね。今ちょうど進めていて、テクニカルなことは、もちろん、省庁を替えればいいんですけれども、実際、今一年かけてこれを進めているということですから、是非国交省とも協力をして進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、まず対象となる事業者、そして国土交通省と今後よく話をして進めてまいりたいと考えております。

田中(健)委員 もう一問、水道分野の対象事業者というのはどのくらいを想定しているのか、分かればお答えください。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 まだ数というところではございませんけれども、既に公表している指定基準の案といたしましては、給水人口百万人超の水道事業、これで大体どれぐらいの都市かお分かりいただけると思います。

 加えて、水道用水供給事業としては、一日最大給水量五十万立米、一日当たりこれぐらいの事業規模のところを考えております。

田中(健)委員 是非、大切な法案でありますし、事業でありますので、国交省とも協力して取り組んでいただければと思います。

 以上で終わります。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 本法案で厚労省に残ります食品安全行政は、マンパワーが非常に大事だと思います。輸入食品は検疫所が主に担い、国内では主に保健所が担っております。検疫所の食品衛生監視員は、この四年間、人員は横ばいです。都道府県を見ますと、専任の食品衛生監視員が一人もいないところが約二十府県もあるという状況なんですね。

 そこで、まとめて三つお伺いしますが、一つ目、輸入食品の十年前と直近の検査率、そして、直近の違反件数について教えていただきたいと思います。二つ目、検疫所の食品衛生監視員の数、地方自治体の食品衛生監視員の体制は十分と大臣はお考えなのか。三つ目に、この法改正によって食品安全監視行政を担う国、地方自治体の職員数が減ることはないのか。以上三点、お伺いします。

加藤国務大臣 まず、食品衛生法に基づく輸入食品の監視指導については検疫所の食品衛生監視員が、また、輸入業者による届出の内容の審査や一定数を抽出して検査を行うモニタリング検査等を実施をしているところであります。

 輸入食品に対する検査の実績としては、検査率に関しては、平成二十四年度が一〇・二%、令和三年度は八・三%。違反件数に関しては、平成二十四年度は千五十三件、令和三年度は八百九件となっております。

 また、検疫所における輸入食品の監視体制については、輸入食品の届出件数の増加などを踏まえ、適切に監視指導を実施するための体制整備を図ってきたところであります。令和四年四月時点における食品衛生監視員は四百二十二人と、平成二十四年の四月に比べると二十三名の増加となっております。

 また、国内で流通する食品に対する地方の食品衛生監視体制については、各都道府県ごとにおいて監視指導の実施のために必要な人員を適切に確保した上で、監視指導が実施されるものと承知をしております。なお、地方公共団体の食品衛生監視員の総数は令和四年三月末時点で八千三百二十七名となっており、これは平成二十五年の三月時点と比較すると三百三十二名の増となっているところでございます。

 本法案は、食品衛生基準行政を厚生労働省から消費者庁に移管するものであり、検疫所や都道府県等が対応を行う食品衛生監視行政の内容そのものを変更するものではないというふうに考えております。

宮本(徹)委員 内容そのものは当然法律上は変わらないわけですけれども、分割されていくことで、そこに対しての予算だとか人員削減で食品安全監視行政が後退するようなことがあってはならないと思っております。

 その上で、先ほどの検査率のお話を聞いても、検査率が下がると、その分、違反件数も減っているというふうにも見えるんですよね、数字を見ると。九割以上が届出のうち検査ができていないということを考えると、増員こそ必要だということを申し上げておきたいというふうに思います。

 あと、もう一点お伺いしますが、今回の法改正によって、食品基準行政、水道行政に関わる職員数、消費者庁、国交省、環境省の本省の職員数というのは、現在の厚生労働省の本省の担当の職員数よりも増えるのか減るのか、お答えください。

加藤国務大臣 移管後の各省庁の体制については、移管業務に関わる厚生労働省の組織・定員も併せて移管することを基本とし、令和六年度の組織・定員要求の過程で具体的に検討、決定されていくことになりますので、今の時点で具体的なことを申し上げることはできないことは御理解いただきたいと思いますが、食品衛生基準行政や水道整備、管理行政の機能がより一層強化充実されるよう、必要な体制の確保に努めていくことはこれまで同様というふうに考えております。

宮本(徹)委員 仮に、強化ということで、減るということはあり得ないというふうに思うんですよね。減らないという約束はできないということも大変心配なんですけれども、時間になってしまいましたので、五分しかないので、これで終わらせていただきます。

三ッ林委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党を代表して、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案に反対の討論を行います。

 そもそも、本法案には立法事実が見当たりません。感染症対応の強化、大臣の負担軽減が本法案の出発点とされます。国民の食の安全を守るために食品安全行政をどう強化していくのか、公衆衛生の向上と生活環境の改善のために水道行政をどう強化していくのかということから出発した法案ではありません。

 厚生労働省が公衆衛生の向上の観点から一体的に行っている食品安全行政と水道行政を移管、分割することについて、国民から懸念の声が出ております。

 食品衛生行政の消費者庁への移管については、食品安全の規格基準の策定と監督指導の分離で連携が十分に取れなくなる懸念があります。規格基準の策定に際して、厚労省所管の国立医薬品食品衛生研との連携が弱められる懸念も指摘されております。

 さらに、消費者庁等には食品メーカーからの天上がりが少なくない下で、本法案の改正目的として、販売現場におけるニーズを規格基準策定の議論にタイムリーに反映させることと掲げられたことを踏まえますと、科学的根拠に基づいて決められるべき基準が食品メーカー等の意向に影響され、食の安全がないがしろにされる懸念が拭えません。

 また、かつて省庁再編の際、厚生省自身が、水道行政は国民の生命、健康の安全を確保する観点から、施設の整備も含め一元的に管理できる厚生行政が所管することが必要としてきました。厚生科学審議会生活環境水道部会でも、一体性、迅速性が損なわれるのではないのかとの懸念や衛生上の確保に懸念が示されております。

 公衆衛生の向上の観点から、効果的な食品安全行政、水道行政はどうあるべきか、専門家、関係者の参加の下、合意形成をしていくことが必要だと指摘し、反対討論とします。

三ッ林委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 この際、本案に対し、田畑裕明君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、公明党、国民民主党・無所属クラブ及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。野間健君。

野間委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    生活衛生等関係行政の機能強化のための関係法律の整備に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 水道・下水道事業の施設整備に係る必要な予算を確保すること。また、近年多発する災害への対応強化や迅速な復旧がされるよう十分な予算を措置すること。

 二 水道・下水道事業の基盤強化に向け、国や事業者が事業運営等に必要な組織、人員と専門性を確保できるよう、必要な措置を講ずること。

 三 水道事業におけるこれまでの「官民連携」の実態を把握するとともに、その結果を踏まえつつ、水道事業の公共性や持続性に十分留意したものとなるよう必要な助言を行うこと。

 四 水質基準の必要な規制強化と実効化を高めるため、必要な予算の配分や人員の配置を行い、水質基準の策定や管理・検査の体制を確立すること。

 五 食品衛生基準行政の消費者庁への移管に当たっては、食品安全推進の取組に支障や停滞が生じることがないよう、規格基準の策定と厚生労働省が引き続き所管する監視指導・調査研究との連携等に万全の措置を講ずるとともに、消費者の選択の権利の確保のためには、食の安全は当然として、食の安心にも十分に留意すること。

 六 移管の対象となる行政分野において支障や停滞が生ずることのないよう、権限の移管に当たっては、移管元の厚生労働省と移管先の省庁及び関係機関との間で連携を図り、必要な予算の配分や人員の配置など万全の措置を講ずること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

三ッ林委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

三ッ林委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、加藤厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。加藤厚生労働大臣。

加藤国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時三十分散会


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