衆議院

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第15号 令和5年5月19日(金曜日)

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令和五年五月十九日(金曜日)

    午前十時三十分開議

 出席委員

   委員長 三ッ林裕巳君

   理事 上野賢一郎君 理事 大岡 敏孝君

   理事 田畑 裕明君 理事 高木 宏壽君

   理事 小川 淳也君 理事 中島 克仁君

   理事 池下  卓君 理事 佐藤 英道君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      石川 昭政君    上田 英俊君

      加藤 竜祥君    柿沢 未途君

      勝目  康君    川崎ひでと君

      小泉進次郎君    小林 鷹之君

      高村 正大君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    新谷 正義君

      杉田 水脈君    瀬戸 隆一君

      田村 憲久君    高階恵美子君

      橋本  岳君    平沼正二郎君

      深澤 陽一君    古川 直季君

      堀内 詔子君    本田 太郎君

      松本  尚君    三谷 英弘君

      八木 哲也君    山口  晋君

      吉田 真次君    渡辺 孝一君

      阿部 知子君    井坂 信彦君

      大西 健介君    西村智奈美君

      野間  健君    山井 和則君

      吉田 統彦君    早稲田ゆき君

      一谷勇一郎君    遠藤 良太君

      吉田とも代君    古屋 範子君

      吉田久美子君    田中  健君

      宮本  徹君    仁木 博文君

    …………………………………

   厚生労働大臣       加藤 勝信君

   法務副大臣        門山 宏哲君

   厚生労働副大臣      羽生田 俊君

   厚生労働副大臣      伊佐 進一君

   厚生労働大臣政務官    畦元 将吾君

   厚生労働大臣政務官    本田 顕子君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         鋤柄 卓夫君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          野村 知司君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          浅野 敦行君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           安彦 広斉君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         富田  望君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  佐々木昌弘君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  榎本健太郎君

   政府参考人

   (厚生労働省健康局長)  佐原 康之君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬・生活衛生局長)         八神 敦雄君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            鈴木英二郎君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            田中 誠二君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         村山  誠君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           川又 竹男君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  大西 証史君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (厚生労働省人材開発統括官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 中村 博治君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           熊谷 法夫君

   政府参考人

   (運輸安全委員会事務局審議官)          岡野まさ子君

   厚生労働委員会専門員   若本 義信君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十九日

 辞任         補欠選任

  川崎ひでと君     深澤 陽一君

  小泉進次郎君     古川 直季君

  土田  慎君     山口  晋君

  堀内 詔子君     渡辺 孝一君

  本田 太郎君     杉田 水脈君

  三谷 英弘君     佐々木 紀君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     三谷 英弘君

  杉田 水脈君     高村 正大君

  深澤 陽一君     平沼正二郎君

  古川 直季君     石川 昭政君

  山口  晋君     加藤 竜祥君

  渡辺 孝一君     八木 哲也君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     小泉進次郎君

  加藤 竜祥君     土田  慎君

  高村 正大君     本田 太郎君

  平沼正二郎君     川崎ひでと君

  八木 哲也君     堀内 詔子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

三ッ林委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府食品安全委員会事務局長鋤柄卓夫君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、長官官房審議官野村知司君、長官官房審議官浅野敦行君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、文部科学省大臣官房審議官安彦広斉君、厚生労働省大臣官房総括審議官間隆一郎君、大臣官房総括審議官富田望君、大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官城克文君、大臣官房生活衛生・食品安全審議官佐々木昌弘君、医政局長榎本健太郎君、健康局長佐原康之君、医薬・生活衛生局長八神敦雄君、労働基準局長鈴木英二郎君、職業安定局長田中誠二君、雇用環境・均等局長村山誠君、社会・援護局長川又竹男君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、老健局長大西証史君、保険局長伊原和人君、人材開発統括官奈尾基弘君、政策統括官中村博治君、農林水産省大臣官房審議官熊谷法夫君、運輸安全委員会事務局審議官岡野まさ子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

三ッ林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

三ッ林委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。吉田久美子君。

吉田(久)委員 公明党の吉田久美子です。

 まず、薬剤耐性菌、AMRの問題について質問をさせていただきます。

 新型コロナ感染症、五月八日に感染法上の二類相当から五類感染症に分類を変更し、一つの区切りがつけられたわけですが、WHOからも緊急事態宣言が発出されており、三年三か月、先日、五月五日、ようやく終了が宣言をされました。三日の時点で、全世界で累計で七億六千五百万人が感染をし、六百九十二万人が亡くなるという、今世紀に入って未曽有の被害を出した感染症となりました。

 この間、感染症には国境は関係ないこと、そして人獣共通の感染症対策を国際社会が一体となって強化し、進めなければならないということ、動植物含めた環境の健康が結局、人の健康に直結するのだということ、つまり、ワンヘルス、そしてグローバルヘルスの重要性への認識は間違いなく広がったし、深められたと思います。

 これからもコロナやインフルエンザ等のウイルスとの戦いは続くと思われますが、今、全世界で最も危惧をされているのは、細菌による感染症、特に、様々な薬害に耐性を持ってしまった薬剤耐性菌、いわゆるAMRの存在です。もし何も対策を打たなければ、二〇五〇年にはコロナを超える年間一千万人以上が亡くなるとも言われております。二〇一五年のWHOの総会で既にその危機が共有され、世界行動計画が採択をされております。

 日本の、二〇一六年から二〇二〇年まで策定した薬剤耐性アクションプランにおいて、ヒト抗菌薬の使用量の成果指標を設定しておりますけれども、達成度はどうなのか。また、新しく策定した薬剤耐性、AMRアクションプラン二〇二三―二〇二七でのヒト抗菌薬の使用量の成果指標は、諸外国との比較、現状の比較としてどうなのか。

 抗菌薬を使えば、細菌も生物として耐性を持ってしまいます。つまり、使えば使うほど耐性菌が生まれる。これを防ぐには、抗菌剤の使用量を国際社会で減らしていくしかない。特に、我が国において、人への抗菌薬の使用量を二〇二〇年までに三分の二にするという目標は達成できたのかどうか、風邪や下痢などに不必要な処方を減らせたのかどうか等々、まずは、さきのアクションプランについての総括をお聞かせください。

佐原政府参考人 お答えいたします。

 薬剤耐性、いわゆるAMRにつきましては、政府として、今御指摘の、二〇一六年にアクションプランを作成しまして、本年四月に新たな五か年計画を作成しているところでございます。

 この二〇一六年のアクションプランの成果目標の一部でありますヒト用抗菌薬の使用量につきましては、二〇二〇年の人口千人当たりの一日抗菌薬使用量を二〇一三年の水準の三分の二に減少させるとした目標につきましては、二〇二〇年には二〇一三年と比較して約三〇%減少となっております。二〇二〇年のデータにつきましては、医療機関の受診控え等、新型コロナの流行の影響にも留意する必要があるとは思いますけれども、このアクションプランの目標はおおむね達成できているものと考えております。

 なお、我が国の二〇二〇年の抗菌薬使用量、御質問の欧州連合の諸国、先進国の中で比較しますと、これは低い水準となっております。ただ一方で、経口薬のうち幅広い細菌に対して有効な一部の系統については、他国と比較してなお多く使用されておりまして、新たな薬剤耐性菌を生まないためにも適正使用の推進は必要と考えております。

 こうした背景を踏まえまして、新しいアクションプランにおける二〇二七年までのヒト抗菌薬の使用量の削減目標については、全抗菌薬について二〇二〇年比で一五%減少と設定しておりまして、本目標の達成に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。

吉田(久)委員 一部の経口薬の適正使用、これも是非、推進も進めていただきたいと思います。

 次に、AMRと食の安全について何点かお伺いしたいと思います。

 一つ。厚生労働省の研究班が実施した調査では、鶏肉の約半数から薬剤耐性菌が検出したとの報道が二〇一八年にありました。二〇一六年から始まったアクションプランの取組の一つとして、食品の薬剤耐性菌についての調査がありますけれども、厚生労働省の研究班の最新の調査結果について、例を挙げて教えていただきたいと思います。

佐々木政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、食品分野でもAMR対策は非常に重要と考えております。

 そこで、この調査研究、厚生労働科学研究における研究班では、大きく分けて二つの柱、食肉由来の薬剤耐性菌の耐性機序ですとか、また動向調査、こういった柱の立て方をしております。その中で、先ほど御指摘いただいた鳥肉の薬剤耐性菌の耐性傾向の変化について、これは毎年度、継続的にモニタリングしています。

 結果の具体例を申し上げます。市販の鳥肉由来の大腸菌の薬剤感受性試験を行いました。これによりますと、耐性菌、これは国産由来株と外国産由来株では異なる傾向にある、こういった調査結果が、例示としてここまで上がってきているところでございます。

吉田(久)委員 家畜に抗生物質を使用したことによって、その家畜の体内で薬剤耐性菌が生まれてしまいます。その耐性菌の残留した肉を、食肉、人が食べた場合、人の健康への悪影響の程度についてどこまで解明されているのか、リスク評価の結果について教えていただきたいと思います。

鋤柄政府参考人 お答えいたします。

 食品安全委員会では、農林水産省から評価要請を受けて、家畜に使用される抗菌性物質によって選択される薬剤耐性菌について、食品を介して人の健康に悪影響を及ぼす可能性及び悪影響の程度を専門家が科学的に評価をしています。

 具体的には、家畜や畜産物に由来する薬剤耐性菌の発生状況や評価対象抗菌性物質の人の医療における重要性などの観点から科学的に評価を行い、リスクを総合的に推定することで、四つのリスクの推定区分、すなわち、高度、中等度、低度、無視できるのいずれに該当するかを判断しております。

 令和五年五月現在、日本で使用されている全ての抗菌性飼料添加物について評価を終了しており、評価結果は、高度が該当なし、中等度は二物質、低度は三物質でした。また、動物用抗菌剤についても着実に評価を進めており、評価結果は、高度が該当なし、中等度は十一成分、低度は十四成分でした。

 これらの食品健康影響評価の結果を踏まえ、農林水産省において、薬剤耐性菌のリスクを管理する各種の措置を講じているところであります。

吉田(久)委員 この内閣府食品安全委員会の評価結果を受けて、農林水産省においてどのような対策を講じていらっしゃるのかを教えていただきたいと思います。

熊谷政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省では、食品安全委員会の評価結果を踏まえ、抗菌性飼料添加物のうち、中等度及び低度と評価された五つ全ての指定を取り消しました。また、動物用抗菌剤のうち中等度と評価されたものについては、初期治療には使用せず、初期治療に用いた後に顕著な効果が見られない場合に限って使用する第二次選択薬に位置づけ、適正使用、慎重使用を指導しているところです。

 本年四月に策定された新たな五か年のアクションプランでは、更に抗菌剤の慎重使用を推進するために、家畜ごとの薬剤耐性率の成果指標が設定されたところです。

 農林水産省としては、関係府省と連携して、抗菌剤に頼らない畜産生産や慎重使用の徹底など、獣医師や生産者等への指導を通じて薬剤耐性対策を推進してまいります。

吉田(久)委員 しっかりと適正使用、慎重使用をしていただいているということで安心をいたしました。

 これまでのこうした取組の総括の上で、AMRアクションプラン二〇二三―二〇二七が策定をされたわけですけれども、コロナの影響下で進まなかった国民への知識や理解を深めることや、目標に達しなかった点については、反省も踏まえてしっかりと総括をし、取り組んでいただきたいと思います。

 そして、今回、感染症対策には、国際社会の一員として貢献することの重要性を踏まえ、基本計画の名称を、国際的に脅威となる感染症対策の強化のための国際連携等に関する基本戦略と改めて、政府一体で国際社会との連携強化を推進することについては評価をしたいと思います。まだ分からない点も、データの収集やゲノム解析を実施し、明確にすることが必要だと思いますけれども、その研究や政策立案においても、是非、国際社会を主導する立場で貢献をしていただきたいと思います。

 現在、全ての耐性菌に効くという画期的な抗菌薬開発を日本の製薬会社がリードしており、非常に喜ばしいことではありますけれども、新たな耐性菌を生まないためには、使用量は極力控えるべきという性質の薬でありますから、これは到底、民間の製薬会社がもうけ度外視に持続し続けられる事業ではありません。必要な経費をどうしていくのか、国として、そして国際社会として、その重要性をしっかりと認識し、支援、後押しを続けるべきではないかと思います。

 岸田総理も、G7に先立って行われる保健大臣会合を踏まえて、日本が国際保健上の諸課題への対応に関する議論をG7において主導したいとの決意を、三月の、公明党高橋光男参議院議員の予算委員会での質問に対して答えられたわけですけれども、先日開催されました長崎出島でのG7保健大臣会合において、日本としてのAMR対策の議論をどうリードされたのか、加藤大臣にお伺いいたしたいと思います。

加藤国務大臣 先週末のG7の長崎保健大臣会合では、より健康な未来に向けた協働をテーマにG7各国で議論を行い、G7保健大臣としての共通の方向性、G7長崎保健大臣宣言を採択をしたところであります。

 御指摘の薬剤耐性、AMRについては、G7においても、地球規模な課題ということで大変強く認識をしているところでございます。AMRに関する国際的な議論の進捗、また国内における研究開発の進展などを踏まえ、AMR対策を、国際協調しながら、また各国において促すことが重要であるということ、また、AMR対策としては、新たな薬剤耐性を生まないよう適正使用を推進しつつ、薬剤耐性菌に対する新規抗菌薬を確保する必要があります。

 これまで、新規抗菌薬の研究開発では、いわゆるプッシュ型のインセンティブを中心に進められてまいりましたが、今委員お話しのように、一方で、新規抗菌薬、なかなか開発が進んでいかないという背景には、研究開発だけではなく、いざ開発が成功しても、使用量を抑えられるわけですから、将来の売上げがなかなか見通せない、こういった課題があるわけで、そういったことに対して、いわゆるプル型インセンティブという手法、これはいろいろなやり方がありますけれども、上市後の新規抗菌薬に対して一定額の収入を支援する仕組み等の重要性を踏まえまして、今回のG7長崎保健大臣宣言では、G7として初めて、このプル型インセンティブの取組を進めること、もちろん、従前のプッシュ型も必要でありますけれども、合意をいたしました。

 また、我が国においても、今年度からプル型インセンティブの事業を開始するところであります。

 また、あわせて、先ほど農水省等にも御質問されましたけれども、やはりAMRというのは、保健、農業、環境、様々なレベルが一緒になって取り組むべき筋合いのものでありますので、G7として初めてとなる保健、農業、環境の三省合同のワンヘルスに関するハイレベル専門家会合を年後半に開催することも打ち出したところでございます。

吉田(久)委員 リーダーシップに期待をしたいと思います。

 続いて、経口中絶薬の承認についてお伺いします。

 ラインファーマ株式会社の経口中絶薬、メフィーゴパックの製造販売が承認をされましたけれども、厚生労働省として、臨床的にどのような意義があると考え、どう評価されているのかをお伺いしたいと思います。

伊佐副大臣 メフィーゴパックにつきましては、令和三年十二月に承認申請がなされまして、PMDAによる審査を経て、令和五年四月二十一日に薬事・食品衛生審議会薬事分科会、薬食審において、承認して差し支えないとされまして、同年四月二十八日に製造販売の承認を行ったところでございます。

 経口中絶薬については、あくまで、これは母体保護法の下での人工妊娠中絶が認められる場合にのみ使用される、つまり、対象者は同じという中で、中絶の手技における新たな選択肢を提供するものである。特に、外科的処置が不適切とされる女性、例えば、子宮奇形でありますとか子宮筋腫、こういったものを合併されて、外科的処置が不適切とされる女性が一定数存在されますので、こういう方々に対しては有用な選択肢であるというふうに考えられております。

吉田(久)委員 女性にとって選択肢が増えることについては評価をしたいと思います。

 少し角度を変えた質問をさせていただきたいと思います。

 中絶には様々な理由があり、産むか産まないかは当事者である女性に決定権があるべきだと思います。ただ、経済的な理由や一人で育てることができない等々、育てられないという理由だけで産むのを諦める、中絶を選ぶという事態になるのは、社会の責任として絶対に減らさないといけないと考えます。経口中絶薬の承認で、子供がおろしやすくなる社会になることを目指すのではなく、貴い命を育むことが最大に尊重される社会を目指すべきです。

 子供が欲しくて、つらい不妊治療を続けられても成就せず、結局子供を持つことを諦めた夫婦もいらっしゃる一方で、令和三年度、年間十二万六千百七十四人の中絶手術が行われております。

 たとえ望まない妊娠だったとしても、授かった命を喜んで中絶をする方は皆無に近いと思います。経済的な支援や社会的養育の強化で、子育てをみんなで支える社会にしていくこと、そして、どうしても本人が親として育てられない場合、生まれてきた子供の視点に立つと、子供を養育するにふさわしい家族に迎え入れてもらえる養子縁組制度を利用することが一般的になること、その環境整備も併せて進めることが重要だと考えます。

 海外では、自分の子もいながら、人種も違う子供を何人も養子縁組をして豊かな人生を謳歌しているセレブが有名ですが、日本では、最近の事件から養子縁組にマイナスのイメージだけが強まってしまいました。しかしながら、子供に永続的に安定した養育環境を保障するためには、もっと本来の養子縁組について正当な評価をすべきですし、プライバシーの保護にも配慮した上で、当事者の生の声を基にプラス面の発信もすべきだと思います。血のつながった親子でも泥沼の関係にもなれば、血はつながっていなくても深い愛情で結ばれている幸せな親子もたくさんいらっしゃいます。ただ、私たちが目にする機会が少ないことも、養子縁組制度が我が国で一般的にならない理由の一つでもあるかと思います。

 今回の経口中絶薬の承認と併せて、子供の最善の利益を確保する観点から、養子縁組制度について周知や利用促進についての強化も進めるべきだと考えますが、政府として今後どう取り組んでいかれるのか、お伺いしたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 予期せぬ妊娠に悩む妊婦の方につきましては、相談支援体制の整備でありますとか、あるいは母子生活支援施設を活用した支援など、妊娠から出産前後にわたる支援体制の構築に取り組んできているところであります。

 そうした中で、出産後に自ら養育することが難しい場合に、家庭養育優先という考え方にのっとりまして、特別養子縁組あるいは普通養子縁組が活用されて永続的に安定した養育環境が提供されるということは、子供の健やかな成長にとって、御指摘のとおり重要なことであるというふうに認識をしております。

 これまでも、特別養子縁組制度に興味を持つ方を増やすということと併せまして、関心のある方に分かりやすく制度の周知を図っていく、さらには利用の促進を図っていくという観点から、年間を通じまして、様々な媒体を活用した広報啓発でございますとか、あるいは民間あっせん事業者と共同した広報啓発活動などを行ってきたところでございます。

 あわせて、養子縁組あっせん法におきましては、養子縁組あっせん事業を行う事業者につきましての許可でございますとか、あるいは業務の適正な運営を確保するために規制といったものなどが設けられておりまして、こうした仕組みが適切に運用されることにより、適正な養子縁組が促進され、子供の最善の利益が最大限に考慮されるように取り組んでいくことが必要だと考えております。

 今後とも、永続的に安定した養育環境が子供に対して提供される養子縁組の活用、これがしっかりと進むように、当事者あるいは関係者の方々の御意見を踏まえながら、制度に関する社会的認知度、周知、こういったものを高め、その推進に努めてまいりたいというふうに考えております。

吉田(久)委員 最後に、看護休暇についてお伺いします。

 あるお母さんから、看護休暇、現在、未就学児一人につき五日しか取得できない、是非、小学生も対象にしてもらえないでしょうかというお声が寄せられました。

 看護休暇については、法定休暇の制度で、当日での休暇申請が可能で、後日診断書を出せばいいという制度で、この制度を使ったからといって労働者に不利な扱いをすることは禁止をされております。ただし、有給か無給かは企業に任されております。

 幼い子供は、急な発熱等で体調を崩しやすく、けがもつきものです。また、定期予防接種や健康診断にも連れていかなければいけない。この制度は、小学生を含めた育児期を通じた柔軟な働き方を推進する上で、更に拡充することが必要だと思います。

 小一の壁と言われるものが存在をしております。学童保育に入れなかった、また、病児保育も小学生に入ると利用できなくなる等々の理由で、今まで何とか続けてこられた、これが、仕事を辞めざるを得ないという壁があります。

 中には、小学生でも病児を預かってくれる施設がある自治体や、ベビーシッターを利用できるところもあるそうですが、地方の小規模地方公共団体ではそこまでの対応が未整備であったりと、地域格差があります。また、大企業では、福利厚生で、有給で看護休暇を小学生以上まで整えるところもある一方で、未就学児でも無給という企業もあり、この看護休暇制度の運用にはかなりばらつきがあります。

 先ほど言いましたように、子供の発熱等は突然来ます。けがをしたと学校から急に呼び出されることもあります。子供の看護休暇について、更に仕事と育児の両立の支援を進めるため、小一の壁を解消すべく、小学生までを対象とすることや、休暇取得事由の範囲を拡大していくべきだと考えますが、いかがでしょうか。伊佐副大臣、お願いします。

伊佐副大臣 現行の子の看護休暇につきましては、その対象はまず、小学校の就学前まで。取得の事由は、負傷、疾病、また予防接種や健康診断となっております。一年度に五日、子が二人以上の場合は十日取得できるというふうになっておりますが、御指摘のように、小学校就学以降の子を育てる際にも、子供が病気の際などに休みにくいなどの問題があることは承知をしておりまして、三月に小倉大臣の下で取りまとめられました子供、子育て政策の強化に関する試案において、子の看護休暇については、対象となる子供の年齢、また休暇取得事由の範囲などについて検討するというふうに盛り込まれております。

 現在、厚労省においては、有識者による研究会を立ち上げまして、この試案に示された子の看護休暇をめぐる検討項目を含めて、今後の仕事と育児の両立支援の制度の在り方について、労使を始めとする様々な関係者、当事者へのヒアリングを重ねながら、今検討を行っております。

 仕事と育児が両立しやすい職場づくりに向けて、今委員御指摘の対象事由の拡大なども含めまして、しっかりと検討してまいりたいというふうに思っております。

吉田(久)委員 しっかりと推進を期待したいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党の大西健介です。

 今日は、一般質疑の機会を賜りまして、ありがとうございます。

 今日から広島でG7のサミットが始まっております。今日は各国首脳が広島の原爆資料館を訪問するというふうに伺っております。これは大変意義深いことだというふうに思っておりますけれども、先日、G7の保健大臣会合が長崎で行われました。このときも、G7とEU、それから招待国のインドネシアとベトナムの保健相ら十人の皆さんが平和公園を訪問して黙祷、献花を行ったというふうに伺っております。平和の決意を共有するという点で大変よかったんじゃないかというふうに、高く評価をしたいというふうに思います。

 一方で、被爆者の方々からは、是非、被爆者と面会をしてほしい、それから、長崎にも原爆資料館がありますけれども、こちらの方にも皆さんで訪問していただきたい、こういう希望があったというふうに聞いておりますけれども、残念ながら、これは実現をいたしませんでした。このことについて、加藤大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

加藤国務大臣 今委員からお話がありましたように、先週末のG7長崎保健大臣会合においては、G7保健大臣、インドネシア、ベトナム、まあインドの代表はちょっと所用があって先にお戻りになられましたが、とともに平和公園を訪問して、平和祈念像に献花をさせていただきました。

 大体、この保健大臣会合、ほかの大臣会合もそうですが、それぞれの大臣が大変タイトなスケジュールの中で日にちを取って、そしてこうした会合のスケジュールを立てているということで、なかなか、いろいろなメニューを地元からも頂戴はしたんですけれども、今回は平和公園のみの訪問となったところでございます。

 しかし、訪問し献花をした中で、平和の必要性、また悲惨な事態が二度と起こらないように努力していかなければならない、そういった思いは私も含め各国大臣で共有できたのではないかな、そういった意味で、ここで訪問させていただいたというのは大変時宜にかなった意義のあるものだと思っております。

 なお、保健大臣会合の間において展示を見て回るというのがありまして、その中においても、平和関連の展示ブースも設置をしていただいて、そうした関連の展示を見ていただく。また、各国の代表や事務方の中には、原爆資料館などを別の機会に、別の機会というのは、今回の一連の流れの中で訪問された方もいらっしゃるとお聞きをしているところでございます。

大西(健)委員 黙祷、献花が行われたことは本当によかったというふうに思うんですが、やはり、せっかく長崎でやったわけですし、厚労省は被爆者援護事業をやっているわけですから、できれば被爆者の方々との面会の機会を実現してほしかったなというふうに思いますけれども、そのことは申し上げておきたいというふうに思います。

 次に、今、芸能事務所による児童への性加害が告発されて大きな問題になっていますけれども、これは氷山の一角にすぎないと見られています。

 経済的、社会的な関係上の地位に基づく影響力を利用して性暴力やわいせつ行為が行われた場合、これは当然、刑法や児童福祉法などで処罰の対象になる行為です。ただ、なかなか、こういう例えば雇用関係にあるということになると児童が他者に助けを求めるということは難しい、そうなると被害が発見されづらい、そういう傾向があります。

 この点、虐待の主体を保護者に限定している児童虐待防止法を改正して、地位を利用した第三者による性暴力やわいせつ行為を通報義務の対象にしてはどうか、こういうことが、今、我が党の中でも検討されています。こうすることによって、虐待の未然防止であったりとか早期発見につながるんじゃないかというふうに考えているわけですけれども、この委員会でも繰り返し宗教虐待等についても答弁をされている加藤大臣に、是非こうした考え方についてどう思われるかということをお聞きをしたいと思います。

加藤国務大臣 児童虐待防止法について、更にその対象を拡大をしていくというような議論が政党間においても行われていることは承知をしております。

 委員御承知のように、本年四月から当該法律はこども家庭庁の方に移管をされているところでありますけれども、しかし、どういった形にしろ、子供に対して、性的な被害が行われる、あるいは性的な加害が加えられる、こういったことはあってはならないというふうに考えております。

 昨年五月に犯罪対策閣僚会議でまとめた子供の性被害防止プラン二〇二二に基づき、関係省庁が連携して子供の性的搾取を防止するための取組を総合的に推進していく必要があると考えており、厚労省は厚労省の立場において、できることを対応していきたいと考えております。

大西(健)委員 今、刑法の方の議論もされておりますけれども、児童虐待防止法も、別に通報義務違反で罰則がかかるわけじゃないんですけれども、これができたことによって、今までは、隣の家で夜中にぎゃあと泣いている声が聞こえるけれども、でも、通報義務ができたことによって、やはりそれは通報しなきゃいけないんだという意識が生まれて、認知件数というのが増えているという効果はあると思いますので、今回こういうことが起きていて、何十年も表に出てこなかったということを考えると、こういうことも是非検討に値するのではないか。我々の方で、今、議員立法を出す方向で検討しておりますので、与党の皆様にも是非御賛同いただきたいなというふうに思います。

 次に、国土交通省の天下り問題で、人事情報がOBに流されていたということが問題になっています。特に、職員の名前とか入省年次、それから、内示された異動先に加えて、前任者と後任者が線でつながれて流れが分かるようにまとめた部内資料、一般にこれは線引きというふうに言われているということですけれども、我々の仲間でも、政務官や副大臣を経験した皆さんに聞くと、こういうものを自分たちも見ていたというふうに言っていますけれども、線引きとか、あるいはトロッコというような呼び方もされるようですけれども、こういう資料がOBと共有されて、天下りあっせんに活用されたんじゃないかということが問題になっています。

 そこで、厚労省においては、OBに対して人事情報を公表前に知らせたり、今言った線引きと呼ばれるような部内資料を渡したりするというようなことは行われているのか行われていないのかということについて、しっかり調べてここでお答えしてくださいということでお願いをしておりますので、お答えいただきたいと思います。

間政府参考人 お答えいたします。

 省内の各人事担当者に確認いたしましたところ、公表前の人事に関する情報や資料について、当省OBに対して事前に提供していないというふうに承知してございます。

大西(健)委員 国交省も最初はないと言っていたんですよ。ないと言っていたけれども、企業側の独立検証委員会がパソコンやスマートフォンのデータを復元して、OBへの人事情報の提供が発覚しました。そういう意味では、今あえて聞かせていただいたのは、国会で答弁したことは議事録に残りますし、もしそれと違うことが出てきたら、これは虚偽答弁ということになりますから、そういう意味で、しっかりここで確認をさせていただきました。

 今、再就職規制の抜け道として、OBはその対象になっていない。だから、OBが事実上仲介をして天下りが行われているんじゃないか。退職することになったら、人事課から、OBの誰々さんのところに挨拶に行きなさいといって、挨拶に行くと、ああ、そうかといって、実はここがそろそろ空くんだけれどもというようなことが行われているんじゃないかということが言われていて、その中で、この線引きみたいな資料が活用されているんじゃないかということが言われているので、是非、この点については、我々もしっかり今後もチェックをしていきたいというふうに思っています。

 それから次に、私、前回の質疑で、労働安全衛生関係の様々な団体に、多くの厚労省OBが再就職をしていることを指摘をしました。

 例えばこれなんかを見ても、この線引きみたいなものがあればあっせんしやすいんじゃないかななんて思うんですけれども、それはそれとして、前回の答弁では、再就職等監視委員会の厳格な監視の下でやっているから問題ないんだと大臣は答弁されました。ある部分ではそのとおりなんですけれども。

 そこで、改めて、前回私が抽出をした団体にいわゆる補助金等が流れていないかというのをチェックしてみて、まとめてみました。皆さんのお手元にお配りをした資料がそれです。

 一番右側の列のところに再就職している役職名を書いてありますけれども、真ん中のところに、令和三年度決算ベースの国からの補助金等が幾ら出ているかということを並べてみました。これを見ると、例えばですけれども、上から二つ目、建設業労働災害防止協会には、更新支援補助金事務センター長、技術総括審議役、技能管理部長に厚労省OBが再就職していますけれども、年間約七億八千万円の国の補助金等が入っています。それからまた、下から二番目ですけれども、中央労働災害防止協会の専務理事、これは歴代厚労省OBの方が就いていますけれども、同じく年間七億円を超える多額の税金が流れている。例えば、中央労働災害防止協会の専務理事は、公募資料を見ると、年収一千五百万と書いてあります。

 つまり、要は、能力を発揮してもらって、生かしてもらって再就職する、それは監視委員会の規制の下にやっているから問題ないんだと言っているけれども、要は、七億とか税金が流れているところに再就職ポストがあって、歴代厚労省のOBの方が行っていて、そこで一千五百万もらっているという、これがやはり天下りの問題なんじゃないですか。天下りがなぜ問題になるかといったら、そこに税金が流れていて、そしてそこに再就職にずっと行っている、それはやはりおかしいんじゃないかというのが、根本的な天下りの問題だと思うんですけれども、これを御覧になって、加藤大臣、どう思われますか。

加藤国務大臣 前回も答弁させていただいたように、国家公務員の再就職については、国家公務員法にそれぞれ規定があり、そして、それの実施状況が、再就職等監視委員会の下で厳格に監視が行われている。まさに委員御指摘のように、それぞれ再就職先においては予算や権限の関係するところもこれは正直言ってあるわけでありますが、そうしたことを前提に置いても、それをバックに再就職が行われないようにするということで今の仕組みができ上がっているというふうに認識をしております。

 個々一つ一つについて私は詳細を承知しているわけではありませんが、ただ、いずれも、前回申し上げましたように、国家公務員法の規制の下で、また、再就職等監視委員会の厳格な監視の下でこうした再就職等が行われているものと考えております。

 引き続き、所属職員に対しては再就職等の規制、こうしたことを周知の徹底を図っていく、そしてあわせて、今御指摘のような疑念が持たれないように、労働安全衛生行政を進めるに当たっても公正な執行に努めていきたいと考えております。

大西(健)委員 かつて何度も天下りの問題が問題になってこういう今の仕組みができ上がっているんだけれども、今回の国交省の事例を見ても、実はやはり骨抜きになっているんじゃないか。先ほど大臣は、権限や予算をバックにして行かないようにと言っているけれども、でも、中央労働災害防止協会の専務理事は歴代厚労省のOBですよ、年収一千五百万ですよ、それで七億円を超える税金が流れているわけですから、これを見て、いや、予算や権限をバックにしたものじゃないんだと言っても、なかなか国民の理解が、それで国民が理解する、納得するんだったら、そもそも天下りの問題なんて問題にならないんだと私は思いますけれども。

 やはり、こういうことがずっと続いているから、あれだけ問題になって仕組みをつくったけれども結局は骨抜きになっているんじゃないかというのが、今国交省で起きていることを見て皆さんが思っていることだというふうに思いますので、やはりそこはしっかり見ていただきたい。先ほど大臣言われましたけれども、まさに国民のそういう疑念を招かないようにするためにはどうしたらいいのかというのを、再度考えていただきたいと思います。

 次に、マイナ保険証に別人の情報がひもづけられていたという問題で、本件は、個人情報が赤の他人に閲覧されてしまったという、ある意味で実害も出ている問題で、かつ、マイナ保険証への信頼を大きく傷つけた大問題だと思っています。

 ところが、松本総務大臣は、医療保険を管理、運営している保険者におけるデータ登録の課題になるかと理解しており、厚労省で対応しているものと承知しておりますと述べています。また、河野デジタル大臣は、事務的な保険者の手違いが原因と認識しております、詳細は厚労省にお尋ねいただきたいと。厚労省に聞いてくれと、厚労省に責任転嫁するような発言を繰り返しています。

 では、その厚労省はどうかといえば、加藤大臣は、事務的な保険者の入力ミスが原因と認識していると。やはり、健保組合や協会けんぽなど現場に責任を押しつけるような発言をされています。

 でも、そもそも、現場のいろいろな懸念の声を無視して、来年の秋には紙の保険証を廃止してマイナ保険証に一本化することを強引に推し進めてきたのは、政府じゃないですか。それを、問題が起きると現場に責任を押しつけるような発言は余りにもひどいと私は思いますけれども、加藤大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 認識をしているというのは、どこでそういったことが起きたのかということについて申し上げたわけでありまして、そういったことが起きないようにすることについて、全て保険者に責任を転嫁しているわけではなくて、我々としても、これまでもそうでありますが、しっかりチェックする仕組み、これは共に考えていかなきゃならないし、特に、マイナンバーカードと保険証を結びつけてオンライン資格確認を進めているのが厚労省でありますから、厚労省の責任においてそうした事案が発生しないようにしていかなきゃならないというふうに思います。

 実際、結果的に薬剤情報が他者によって閲覧をされるという事態、これは大変申し訳なく思っておりますし、また、こうした事態が続くことは、国民の皆さんがオンライン資格確認を利用するに当たっても、大変システムに対する信頼を毀損するものであるというふうに考えております。

 迅速かつ正確なデータ登録がしっかりなされていけるように、そして、この仕組みを通じて、そのメリットを国民の皆さんがきちんと享受していただける、そのためにも、厚労省として、こうした間違ったひもづけ等がなされないように、仕組み面からも含めて、しっかり対応していきたいと考えております。

大西(健)委員 誤登録が行われたものの多くが、実は協会けんぽで起きているんですけれども、通称協会けんぽ、全国健康保険協会の理事長代理、総務担当理事は、元厚労省の保険局長、木倉さんですよ。このポストは前任者も厚労省からの天下りになっている。厚労省は人ごとのような言い方をしていますけれども、言ってみれば身内がやっているんですよ。

 木倉理事は、メディアの取材に対して、当初から問題になっていた、事業主が書き間違えるし、写し間違いもある、人間が入るので常に起こる可能性がある、思い込んで書いているものもあると。これも人ごとのように言っていますけれども、じゃ、ミスがあるということが予見されたなら、何で初めから厳格なチェックをしなかったのか。人がやっているからミスは起こるんだと言っているんですけれども、起こることが分かっているんだったら、ちゃんと初めからチェックを厳しくすればいいじゃないですか。そういう無責任体質が生まれているのも、やはり天下りが影響しているんじゃないか。

 あるいは、さっきも言いましたけれども、あめとむちで、マイナ保険証の取得を急がせた。つまり、急いでやって、多くの人が一気にばあっと、みんながマイナ保険証の登録をやったから、現場もあっぷあっぷになって、こういうミスが起きているんじゃないか。その責任をしっかり私は痛感をしていただきたいというふうに思っております。

 では、次に、アベノマスクの調達単価について質問します。

 資料の次のページですけれども、当初、厚労省は、資料を黒塗りにして、単価を明らかにすることを拒否していました。ただ、裁判で資料が明らかになりました。

 この配付資料ですけれども、布製マスクの調達契約についてという資料、これを見ていただくと、例えば上から二段目に五十五円というのがあります。でも、例えば上から三つ目の会社の中には、幾つかありますけれども、百五十円というのがあるんですね。これは、時期も、大体令和二年の三月で同じですけれども、五十五円と百五十円といえば、三倍ぐらいの開きがあるんです。

 それからまた、下の方をずっと見ていただくと、一番下のところに、同じ令和二年の六月二十二日の契約日で幾つかの契約が並んでいるんですけれども、これも、契約先によって、六十二・六円から百三十七・三円まで、倍以上の開きがあります。

 もちろん、コロナが急に蔓延して、それに対処するということで、随意契約という例外的な方法で行われているわけですけれども、だからこそ、国民の税金で購入されている布マスクの価格が本当に妥当だったのかどうかについて、国の説明責任が私はあると思います。

 合同マスクチームの実務上の責任者だった当時の厚労省医政局の経済課長が証言していますけれども、総理秘書官の発案によってトップダウンで指示が下りてきて、彼らも知らされたのは発表の直前だったと。そういうどたばたの中でやって、結局、業者の言い値で契約したんじゃないか。やはりこれは隠すんじゃなくて、誤りを誤りとして認めて、私は反省すべきだと思いますけれども、加藤大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 当時、私は担当大臣でありましたから、マスクがないということをかなりいろいろなところから指摘をされたところでございます。

 そういった意味での供給体制をこれから構築していくというのもそのときの反省に基づく対応ではありますが、布製マスクというのは、そうした状況の中で、国民の皆さんがマスクが調達できない、また、それに伴う不安を解消しようということで、布製マスクであれば洗って使えるわけであります。当時、不織布は一回使ったら捨てるということでありましたから、そういった意味で、増加するマスクの需要に対応していくために、布製マスクを調達するということでありました。

 当初より、企業に幅広く声がけをし、マスクの品質、価格、企業の供給能力、迅速な対応が可能であるか等を総合的に判断して、企業を選定した上で契約を行ったものであり、その契約過程そのものは適切なものだったというふうに考えております。

 その後、不織布のマスクが行き渡るようになった結果として、布マスク等については政府が在庫を抱える等々にはつながったわけでありますが、当時の状況を考えれば、そうした対応というのは合理的な対応だったというふうに考えております。

 調達単価について、当初公表できなかったのは、企業上、それを開示することによって他からの入手等がなかなか難しくなるということ等があって開示できなかったわけでありますが、その後、地裁の判示があり、また、当然、一旦そうした状況は収束していたわけでありますから、それぞれについて公表をさせていただいた、こういう経緯であります。

大西(健)委員 さっき言ったように、だんだん不織布が出回ったりとか、時期によって価格も変動していくのであれですけれども、さっき私、指摘したように、同じ時期ですよ。契約日が同じでも倍以上、あるいはほぼ同じ時期でも、三倍開きがある。でも、これだけ開きがあってもそれは仕方なかった、さっきの答弁はそういうことでいいのか、確認です。

加藤国務大臣 やはり必要量を確保していくというところがあるわけでありますから。平時であれば、そこから少なかったらもう買わないという選択もあるかもしれませんが、あのときには、やはり国民の皆さんにすべからく行き渡る、そういった量を確保していく。しかし、当然、品質等々、あるいは供給、ちゃんと本当に契約しても納入されるのか、こういったことはしっかりチェックしなきゃならなかったと思いますけれども、そうした幅がある中で、必要な量を合理的な判断に基づいて契約をした。こういうことであります。

大西(健)委員 けれども、そうやって一生懸命集めたマスクはほとんど余って、最後、捨てたわけじゃないですか。だから、そのときの判断はあったかもしれないけれども、今になったらやはりそれは反省すべきところはあったといって反省するのが私は普通じゃないかと思うんですけれども、そういう反省はなかったということで、残念な気がいたします。

 次に、将来推計人口の年金財政への影響についてお聞きしたいと思います。

 厚労省は、足下の少子化の加速を反映して将来の出生率が前回推計より下方修正となるのは年金財政にマイナスに働くけれども、一方で、外国人が増えて支え手が増えることはプラスの影響を与えるために、高齢化率は前回推計とほぼ変わらないことになるというような説明をしています。

 しかし、外国人が従来の推計より毎年九万人多く入ってくるという前提そのものが、私は根拠が希薄だというふうに思いますし、そもそも彼らが年金保険料を納めて確実に支え手になってくれる保証もない。一方で、つじつまを合わせるかのように、政府では特定技能二号の対象分野を広げる方針を打ち出しています。日本人は減るけれども外国人が増えるから年金は大丈夫だ、こういう説明が、いわば移民に頼る年金財政というのを政府が本気で考えているとしたら、私は問題じゃないかというふうに思いますけれども、加藤大臣、いかがですか。

加藤国務大臣 ちょっと、今の議論の中で、外国人だから求められている社会保険料を負担しないということはないわけでありまして、今、日本で働いている海外の方々も、きちんと社会保険料をまず負担していただいている、このことは申し上げておかなきゃならないというふうに思います。

 その上で、年金財政の財政検証をするときに何を使ってきたかというと、これまで、先般発表させていただいた国立社会保障・人口問題研究所が公表する将来推計人口、これを参考とするデータの一つとして、もちろんそれ以外にも経済状況等々ありますけれども、推計をしているわけでありますから、今回出されたものをベースにこれから見ていけばそうなるということで、別に、べき論をここで述べているわけではないということを是非御認識をいただきたいというふうに思います。

 ただ、今御指摘のように、外国人の増加の見込み方についていろいろと御議論をいただいているわけでございますから、財政検証においては、その点をどう考えながら行っていくのか、もちろんベースは人口推計ではありますけれども、そういった御疑念あるいは留意点を含めて、どういうことを行っていくかということは考えていきたいと思います。

大西(健)委員 外国人に頼って、年金は大丈夫なんだというのは、私はちょっとやはり無責任な感じがしますので、そこは指摘をしておきたいと思います。

 時間がないので次に移りますけれども、ギャンブル依存症の場合に児童手当の振り込み先を変えることができないかということについてお聞きします。

 ギャンブル依存症の人は支給された児童手当を使い込んでしまうので、振り込み先を夫の口座ではなくて妻の口座に変えてほしい、そういう要望が多くあります。

 児童手当法では、当該児童の生計を維持する程度の高い者というふうに書かれているので、ほとんどの場合は父親に振り込まれるんですが、平成二十六年十月三十日の参議院厚生労働委員会の答弁では、父親が家計や児童の養育を顧みることがなく、母親が生計の主宰者として児童の養育を行っていると認められる実態がある場合には、母親を児童の生計を維持する程度の高い者と判断するよう市町村には考え方を示しているところでございますという答弁があります。

 ところが、現場の運用がそうなっていないんです。資料の次のページを見ていただきたいんですけれども、これはギャンブル依存症問題を考える会が調べたものですけれども、これを見ていただくと、振り込み口座の変更ができたケースでも、夫の自署による書面の提出を求められるケースが多く見られます。しかし、ギャンブル依存症は否認の病と言われるように、本人が自分が病気だということを認めないんです。そもそも本人が口座変更に応じてくれるんだったら、それはもう家族の中で解決する問題で、行政に頼る必要はないんです。

 また、口座変更が認められなかった、不可と書いてあるケースを見ていただきたいんですけれども、多くで離婚の意思を明示するように求められています。ギャンブル依存症の家族の方々は、かつての優しくて働き者の夫に戻ってほしい、夫の回復と家族の再生を願っています。なのに、離婚の意思がなければ口座変更ができないという対応は、これは私はあり得ないというふうに思います。

 こども家庭庁から、少なくとも、自署による書面の提出であったりとか離婚の意思を示すことを求めるといった対応は、これはやらないように、また、児童手当をギャンブルに使い込んでしまうようなケースでは柔軟に口座変更を認めるように、改めて自治体に通知をしていただけないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 児童手当は、児童を監護し、生計を同じくする者に支給することとされておりまして、また、そうした者が複数いる場合は、児童の生計を維持する程度の高い者を受給者としております。この程度の高い者につきましては、原則として所得の高い方の方が受給者となりますが、その他の事情を総合的に考慮して判断することとしております。

 御指摘に関しましては、例えば、相当程度の収入がありながらも、家計や児童の養育について顧みることが少なく、児童の監護や扶養責任についての熱意が疑われるような場合で、配偶者の方が家計の主宰者として児童の養育を行っていると認められる実態があるときには、当該児童の生計を維持する程度の高い者というのは当該配偶者の方であると判断することが可能である旨、市町村にこれまでもお示しをしてきております。

 このため、こうした実態が確認をできれば、受給者を配偶者として振り込み口座を変更する取扱いが可能でございますし、また、その取扱いに当たって離婚を要件とするものでもございません。

 こうした取扱いに基づきまして、市町村において適切に対応いただけるように、改めて周知を図ってまいりたいと考えております。

大西(健)委員 今の御答弁というのは、いわゆる、私が示した、平成二十六年十月三十日の参議院厚生労働委員会における答弁とそんなに大きく変わらないんです。でも、それが、実態、行われていないから私は今日質問しているんです。ここにお示ししているとおりで、離婚するという意思がないと駄目だと言われているんですよ。

 離婚しろって、だって、さっきも言ったように、優しい夫、働き者の夫に戻ってもらって、また家族を再生したいと思っている人たちに、離婚の意思がないと駄目だ、こんな運用はひどいじゃないですか。これはやめさせてください。これをやめさせるという答弁をしてください。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 今し方も申し上げたとおり、離婚を要件とするものではございませんので、そうしたことも含めてしっかりと周知を図ってまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 じゃ、ちょっと時間がないので、続けてこども家庭庁に質問します。

 私は、昨年の十一月九日の本委員会で保育士の配置基準の見直しについて質問しましたけれども、政府が三月末に発表したこども・子育て政策の強化について(試案)の中で、七十五年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善というのを挙げていただいており、関係者からは喜びの声が上がっていました。

 ところが、政府は、配置基準そのものの見直しではなくて、既に実施されている三歳児の配置改善加算と同様の方法で対応しようとしているということが分かって、残念ながら、関係者の方からは落胆の声が上がっています。

 なぜ加算じゃ駄目なのかということですけれども、これは資料の最後につけましたけれども、例えば名古屋市を例に取ると、三歳児の一人当たりの月額加算は八千九百二十円、これを年間にすると二百十四万円にしかならず、常勤保育士の人件費の半分程度にしかなりません。しかも、利用園児数というのは、途中で引っ越しをしたりとかして加算の基準になる人数を割っちゃったりするので、変動するために不安定です。実際、三歳児加算が実施されているのは、この下に書いてあるように、公立保育園では全体の三割に満たず、愛知県五十四市町村のうち三市にすぎません。

 加算ではなくて配置基準自体の見直しを行うというのが現場の声だと思うんですけれども、こども家庭庁は、これにどうお答えになりますか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の試案におきましては、一歳児及び四、五歳児の職員配置基準について、一歳児は六対一から五対一へ、四、五歳児は三十対一から二十五対一へ改善すること等とされております。

 また、御指摘のとおり、今回の試案を踏まえた対応につきましては、基本的には公定価格の加算措置により実施することになると考えております。

 最低基準としての配置基準自体を引き上げた場合には、全ての施設において、新しい基準の下で、その基準に見合うだけの保育士等を確保することが必要になってまいりますため、保育士等の確保ができない施設においては子供たちへの保育の提供に支障が生じて、保育の現場への混乱が生じる可能性があることを踏まえて、慎重に検討する必要があると考えております。

 なお、加算でありましても、また基準自体の見直しでございましても、支給額が異なるということは基本的にはございません。

 また引き続き、職員配置の改善や人材の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 こども家庭庁は、先日、不適切保育の初の調査結果を発表されました。しかし、先日私が話を伺った保育士さんは、例えばこんなことを言っていました。トイレに失敗してズボンを脱いでしまって下半身丸裸の園児に手が回らないで、ちょっとだけ待っていてねと言って、そこにたまたま別の保護者が来て、下半身が丸裸でほったらかしているなんて、これは不適切保育じゃないか、こういうふうになってしまうんだと。つまり、一人で三十人の四歳児、五歳児を見るなんて、やはり無理なんですよ。

 今、基準を引き上げると保育士の確保が難しくなるということを必ず言われるんですけれども、有資格者の七割もの潜在保育士がいるのは、結局は処遇改善が不十分だから、それから、今のままの配置基準では現場に余裕がなくて働きたくないという人がいるからなんです。だからこそ、やはり処遇や配置を見直していかなきゃ、結局やりがい搾取になってしまうということだというふうに思います。

 七十五年間放置してきた基準さえ変えることができずに、何が異次元の少子化対策なのかということを強く申し上げて、私の質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、野間健君。

野間委員 立憲民主党の野間健です。

 本日は一般質疑ということで、とりわけ、来年三月末に迫っております医師の働き方改革の問題、そして、トラック等の運転手さん、ドライバーの働き方改革、物流二〇二四年問題とも言われていますけれども、この問題を取り上げたいと思います。

 なぜこれが私たちにとって重要な問題かといいますと、私は地元が鹿児島県でありますけれども、首都圏とか大消費地、大都市部、その周辺に住んでいる方は余り実感ないかと思いますけれども、私どものところは、離島が、有人離島ですね、これが二十八もあります。また、僻地も多いです。そういったところで、医師一人がいるかどうかということは、そこに住む方々にとって本当に死活問題なんですね。命が救われるかどうかという問題であります。

 また、物流の問題も、今まで、例えば、生鮮、私どもの地域で捕れる養殖のブリとかカンパチとか、こういったものを首都圏に運ぶ、これも、従来の規制の、今までのなかったときであれば、一日かけてドライバーが運ぶことができた。これが、こういう規制が入ることで二日、三日ということになると、これもまた、その商品の売行きに、死活問題の大きな課題となっております。

 そういった意味で、首都圏とか大都市部とは全く違う、私どもの地方の田舎の課題が非常にこの問題ははらんでいますので、お聞きしたいと思います。

 まず、これは、二〇一八年に労働基準法や働き方改革の関連法案が通って、とりわけ医師は、長時間労働、過労死も多い、様々な裁判の実例も、現在も続いておりますけれども、そういったことで、五年の猶予を持って、今いろんな改革も行われ、来年からは、まあいろんな特例措置はありますけれども、改善が進んでいくということになると思うんですが、今現在、来年施行前の段階ですけれども、どれぐらい長時間の勤務とかそういったものが改善されているのか、どういう方向に来ているのか、お答えいただきたいと思います。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 医業に従事する医師につきましては、医療は、二十四時間三百六十五日、休日でありましても、その医師による診療が必要な場合には休日労働を指示せざるを得ないといったような状況、また、患者数が多いような状況でありますとか、緊急手術が重なるといったようなことに対して対応を要する場合がある、そういったような労働実態がございますので、他業種と比較いたしましても長時間労働となっているのが実態でございまして、平成二十九年の就業構造基本調査を基に算出いたしましたデータによりますと、週六十時間以上の労働時間の方の割合が、全体では約一割ある一方で、医師は約四割というふうな状況になっているところでございます。

 また、令和元年に行いました病院勤務医の時間外労働の調査におきましても、病院勤務医の約四割が年九百六十時間を超えて働いておられる、また、約一割が年千八百六十時間を超えて時間外、休日労働を行っているといったような状況がございまして、長時間労働の実態が明らかとなっているようなところでございます。

野間委員 なかなか、改善がまだまだ道半ばのところだと思います。

 それで、この前、四月の十八日ですか、全国大学医学部長そして病院長の会議の中で、文科省の調査結果が発表されましたけれども、全国八十一の大学病院の勤務の実態の調査ということで、五万一千人いる勤務医のうち一万五千人以上が、いわゆる来年の四月以降の特例申請、年千八百六十時間の特例の申請を行うということ、つまり、三割ぐらいの人たちはやはり過労死ラインを超えたような勤務をするんだという申請が出たということが発表されました。

 こういう現実の実態があるわけですが、私たちが一番気にするのは、こういったことで大学病院なりそういったところが基準を満たしていこうとすればするほど、私どもの場合ですと、例えば、鹿児島市という県都に医療機関、大学病院があって集中しておりますけれども、そこから派遣をして、各地方、地域に、郡部に派遣する、あるいは離島に派遣をするという人たちを、やはり、行かないでくれ、派遣を止めようということが現実に起こらざるを得ないわけですね、これを満たしていこうとすれば。これをされると本当に私どもの地域の医療は崩壊してしまうんですね、今回のコロナの問題もそうなんですけれども。

 そういった意味で、いろいろ今考えておられますし、宿日直の問題とかインターバルのこと等ありますけれども、現実にそういうことを基準を満たすためにやらざるを得ないということになってくると思うんですけれども、どういうふうに対処しようと思われますか。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 医師の働き方改革につきましては、委員最初に御紹介ございましたように、来年四月の施行に向けて着実に準備を進めていく必要がございます。

 そういった中で、今委員御指摘がございましたように、地域医療を引き続き確保するということが非常に重要な課題でございますので、都道府県や病院を対象として、施行に向けた準備状況や、また地域医療へ及ぼす影響に関しましても、実態を把握をしながら必要な対応を行うということで進めさせていただいているところでございます。

 一方で、地域によっては、今御指摘がありましたように、医師が不足するケースもあるというふうに考えられるところでございますので、医師の確保につきましては、特定の地域や診療科での勤務を条件とする地域枠を医学部定員に設定するといったことに加えまして、短期的に効果が得られる施策ということで、医師が不足する医療機関に医師を派遣できますように、地域医療介護総合確保基金によって大学病院等への寄附講座を設置をするでありますとか、非常勤医師の確保経費への補填を行うといったような取組を支援をさせていただいているところでございます。

 引き続き、都道府県や医療機関などの御意見を丁寧にお伺いをいたしながら、また、緊密によく連携を図り、医師の働き方改革の施行に向けて取り組んでいきたいと考えているところでございます。

野間委員 ちょっと更に問うてみたいんですが、そういうのはいろいろな、まあお願いベースですよね、こうしてくださいと。だけれども、できない、やはりどうしてもここは派遣をやめなきゃいけない、こういうことに対して、特にペナルティーとかそういうものはないわけですよね。

榎本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘ございましたように、各大学の医局などを中心として、各医療機関に対して医師の派遣を現に行っていただくことによってその地域の医療が支えられているという実態がございます。そういった中で、大学のいろいろな考え方の下で、医師を入れ替えたりとか、あるいは引揚げをするようなケースも恐らくあるかと思っております。

 ただ、今回、こういった医師の働き方改革を大学もやらなければならないという中でこれを進めていただくことになってまいりますので、今委員お話があったように、大学によっては医師の派遣を取りやめることで大学の体制を整えたいというふうに考えられるところもあるかもしれませんけれども、私どもとしては、できるだけやはり、地域に医療を現に提供していただいている機能を引き続き維持をするということが重要でございますので、引き続き、大学当局にもよく御理解をいただきながら、地域医療の確保に対して影響が及ばないようなやり方を考えていただく、また、必要な場合には、県の当局ともよく御相談をしていただきながら、先ほど申し上げました地域医療介護確保基金の活用といったようなことも行うことで、必要な医師の確保を図りながら取組を進めていただくように進めていきたいと考えているところでございます。

野間委員 是非そうはしていただきたいんですが、そうであってはならないとは思うんですが、例えば、厚生労働省の迫井、二〇一九年当時官房審議官のあるインタビューの中で、医師の働き方改革について、将来の医療需要を見据えた適切な医療提供体制とマンパワーの配置に向かって体制を転換するための非常に強いドライビングフォースになると。つまり、これをある意味奇貨として、地域の医療とかそういうのを縮小、統合、地域医療構想を推進していくための一つの原動力にしていくんだというような意図を持っていると、これを読む限り思うんですね。

 そうしますと、やはり、地域の医療は、そういう方向に行くと、離島の医療、僻地の医療を含めて非常に絶望的になってくるんですが、そういう意図が本当に、大臣、あるんでしょうか。それについて、ちょっと大臣、お答えいただけますか。

加藤国務大臣 迫井さんがどういう意図で言われたか、ちょっと私は承知をしておりません。

 それから、私の地元も、離島もございますし、どちらかというと中山間地域で、まさに開業されているお医者さんが高齢化に伴って、後継者はいらっしゃるんだけれどもその人は都会で勤務医をされていて、残念ながら診療所を閉じざるを得ない、それをどうカバーしていくのか、まさにそういった課題に直面をしているところでございます。

 ただ一方で、やはり、これまでの日本の医療というのは、かなり医療の従事者の皆さんの自己犠牲、今申し上げたように、あの時間というのはちょっと、まあ、研修するとかなんかのときにというのはあるのかもしれませんが、それを常にというのは、これは持続可能なのか、また、そういった働き方をする人がいれば、次に若い人たちがそこで働くということにつながっていくのか、そういったやはり危機感を我々はしっかり持っていかなきゃならないし、そして、それを進めるに当たって、もちろん病院における働き方もありますけれども、限られた医療資源をどうするんだという、地域医療構想を含めて、あるいは地域と診療科の偏在問題、こういったものも一体として取り組んでいかなきゃならない、そういう思いは私も持っておるところでございます。

野間委員 今、本当に大臣おっしゃるとおり、そういう事態が着々と進んでいるわけですね。医師の本当に自己犠牲の中でこういうところまで来てしまったということでありますので、ですから、これは、理想論でいえば、地域医療もきちっと維持をしながら、その上で、やはり医師の長時間労働等の課題も解決していく、両立させていくということしか解決方法はないわけですけれども、じゃ、その原因は何かといいますと、やはり政府が医師の数を抑制してきたという大きな問題があると思います。そしてまた、医師会なんかは、医療費をずっと抑制してきた結果じゃないかという意見も出ております。

 とにかく、そういった、従来、コロナでも出ましたけれども、そういう根本的な問題を解決しないと、二〇三六年に何か均衡するというふうになっているそうですけれども、OECDのいろいろな平均値とかと比べても日本はまだ医師が少ないというのは事実だと思いますし、偏在も起きています。

 そういった意味で、こういう大きな視点で、大臣、やはり医師の数を増やさなきゃいけない、その問題についてはどうお考えですか。

加藤国務大臣 必要な医師数を引き続き確保していくということは大事だと思います。しかし、それも一つの要素であって、やはり、例えば、日本の場合、よく指摘されているのは、病床当たりの医師の数が少ない、あるいは逆に言えば、病床数が多いという指摘もあります。それから、やはり小規模病院が多いということで、今回のコロナ対応でもいろいろな指摘もいただきました。

 そういったことも含めて、地域において限られた医療資源をどううまく、そして、これから先の地域の情勢、あるいは医療ニーズを含めて構築していくのかという意味において、地域医療構想を私はしっかり進めていくことが必要だというふうに思っております。

 あわせて、今回の働き方改革においても、御承知のように、一遍に全部が九百六十になるわけではなくて、例えば、医師を派遣する病院等は二〇三五年度末までは取りあえず千八百六十時間でいくという段階を置いて進めさせていただくのと同時に、各病院からも丁寧に話を聞きながら、そして、先ほど局長からお話をさせていただいた様々な支援措置も含めて活用をお願いしながら、まさに丁寧に進めていき、医師の働き方が進みながら、他方で、委員御指摘のような懸念、こうしたものが顕在化しないように努力をしていきたいと思います。

野間委員 是非、地方の、大臣の御地元もそうでしょうけれども、疑念を抱かせないように、払拭していただけるようにお願いしたいと思います。

 次に、いわゆる貨物の輸送、トラックドライバーの処遇改善の問題についてですけれども、これも今、二〇二四年の物流の問題だということで、かなり大きく取り上げられるようになってきております。

 大きなトラックのドライバーといいますと、昔は菅原文太さんの「トラック野郎」とか、ある意味、非常に憧れの花形の仕事、きついけれども稼げる、そういう仕事だったわけですが、今は、きつくて稼げない、しかも高齢化している。私の地元でも七十を超えた方がドライバーをやっています。本当に健康面でも大丈夫かなと思いますけれども、実態はそういう人しかドライバーは来てくれないという現状にあるわけです。

 いろいろな声が出るわけですね。働いている方ももちろんですけれども、中小零細の業者さん、運送業者さん。彼らも、改革はしたいけれども、それに見合う収入が元請なりから来ないという大きな問題がありますし、いわゆる荷主さんのいろんな、倉庫まで運んで、それから、そこでまた荷物を降ろして、検品もしてとか、運送以外のこともやらされるということも、皆さん御承知のとおりですけれども、そういういろんな問題があります。

 今、トラック運転手さんの過労死それから長時間労働の実態、来年を控えて、どうなっているんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えを申し上げます。

 道路貨物運送業の、まずは過労死でございますけれども、これは、令和三年度の脳・心臓疾患及び精神障害の件数でございますが、道路貨物運送業は百三件と、これは業種の中で最も多い業種となってございます。

 また、トラック運転者の年間労働時間につきましては、これは令和四年の賃金構造基本統計によりますと、全産業平均で二千百二十四時間でありますところ、例えば大型トラック運転者は二千五百六十八時間と、約四百時間程度長い状況にあるところでございます。

野間委員 あと、もちろん収入の面もほかの産業と比べて低いんだと思うんですけれども、どれぐらいの程度になっているんでしょうか。

 まあまあ、なければ、とにかく、全産業平均でもかなり低いわけですね。ありますか。

三ッ林委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

三ッ林委員長 速記を起こしてください。

 鈴木労働基準局長。

鈴木政府参考人 失礼いたしました。

 同じくこれは令和四年でございますけれども、年間賃金につきましては、全産業平均よりも五%から一五%、約二十万から六十万低いという状況になってございます。

野間委員 そういう意味で、収入も低い、また過労死も多い、そして非常に長時間労働だということで、厳しい職種になっているわけであります。

 とりわけ、先ほども申し上げましたけれども、首都圏、消費地から離れている地域からの輸送が、今後ますますいろんな規制の中では困難になりますけれども、これはこれでやっていかなきゃいけないことなんですが、一番私どもも地域の皆さんに言われるのは、中小零細運送業者さんが、輸送費の運賃の値上げを求めても、なかなか荷主さんが聞いてくれない、いろんな、これだけ価格転嫁の問題等が起きていても聞いてくれないんだと。あるいは、どうも元請は、荷主からはきちっとした、かなり値上げをした運賃をもらっているんだけれども、下請にはそれを回してくれないということを訴える方も多いんですが、その辺について、どういうふうに対処をして、また対策を立てているんでしょうか。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 トラックドライバーにつきましては、御答弁ございましたが、他産業と比較して労働時間が長く、低賃金にあることから、時間外労働の上限規制の適用などにより健康と安全を確保するとともに、適正な賃金水準を実現することにより魅力のある職場づくりを進めることが重要であるというふうに考えてございます。

 このため、国土交通省では、貨物自動車運送事業法に基づきまして、標準的な運賃といったものの周知、浸透を図ってございます。また、適正な取引を阻害する疑いのある荷主等に対する働きかけや要請などについても取り組んでいるところでございます。

 さらに、中小企業庁や公正取引委員会と連携し、下請代金法、独占禁止法等の法執行による取引適正化を推進するとともに、経済産業省や農林水産省と共同で開催してございます検討会において、適正な取引環境の実現に向けて検討を進めているというところでございます。

 こうした中で、本年三月には、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議が設置、開催されました。この関係閣僚会議の場におきまして、岸田総理から、六月上旬を目途に政策パッケージを取りまとめるよう御指示がございました。

 国土交通省といたしましては、この政策パッケージにおいて、中小零細事業者も含めて、労働環境の改善に資する実効性のある具体策を盛り込めるよう、スピード感を持って関係省庁と議論を深めてまいります。

野間委員 六月にパッケージをまとめるということですけれども、荷主と実際の運送業者の力関係がありますので、なかなか頼んでもやってくれない、そういったときは、行政の力で、ある程度の強制力を持ってやってもらわないと、なかなか運賃の改善はできないと思いますけれども、その辺、いろいろ、パッケージはどういう話合いになっているんでしょうか。

岡野政府参考人 お答え申し上げます。

 パッケージにつきましては、まさに今、関係省庁と議論を深めているというところでございますが、まずは、先ほど申し上げましたとおり、貨物自動車運送事業法に基づきまして、標準的な運賃というものを国土交通大臣の方で告示をしてお示しをする、それを事業者の方におきましては参考指標としまして使って、荷主と交渉していただくということを進めてございますので、こちらの周知、浸透というのを引き続きしっかりと図ってまいりたいと思いますし、また、契約にない荷待ちですとか荷役作業、こういったものを荷主から押しつけられるということがあった場合には、荷主等に対して国土交通省の方から働きかけや要請を行うということもございますので、これをしっかりと徹底してまいりたいと考えてございます。

野間委員 とにかく、荷主との力関係がありますので、是非、行政として、そこは配慮していただきたいと思います。

 それと、実際、来年、そういう規制になるんだというのを知らない方がすごく多いんですよね。そうなんですかと、何か、ちょっと見たぐらいで、実際どうなるのか、どういう罰則があるのかとか、分かっていない方が、いろいろなアンケートを見ても、半分ぐらい、知らなかったとかという人も出ているんですね。

 その辺、周知されていると思うんですけれども、どういうふうに周知しているんですか。いろいろな協会等を含めてだと思いますけれども。

鈴木政府参考人 御指摘のように、トラックの運転者に対する上限規制は来年の四月一日から施行されます。これまで猶予されていましたところについて、上限九百六十時間というのが適用になる。

 あわせまして、トラック運転者の場合は拘束時間なんかも含めまして規制がございまして、これは改善基準告示というのがございますけれども、これも改正されてございます。

 これを併せまして、まずは、私ども労働基準監督署が法の施行機関でございますので、こちらから各事業主若しくは事業主団体に対しましていろいろと周知をいたしますとともに、今現在は、各事業場を回りますときに、こういうのがあるということを含めまして周知啓発を図っているところでございます。

 これにつきましては、国土交通省さんとも連携しながら、積極的に周知してまいりたいと考えてございます。

野間委員 是非、業界団体等も通じて周知を図っていただきたいと思います。

 それでは、最後の質問になりますけれども、これは保育の問題になります。こども家庭庁からお見えになっていると思いますけれども。

 これだけ今、保育の問題、少子化、子育ての問題が取り上げられておりますけれども、延長保育事業について、いろいろと課題が出ているということを地元の方からも聞いております。

 今まで、十八時、午後六時を超えた延長保育に対して、月平均ということでしょうかね、六人以上の園児がいないとその延長事業の対象にならない。しかし、園児が一人でも保育士さんを二人配置しなければならない。保育園としては負担は変わらないわけですね。こういった現象について、今までの、そのままの基準でいいんだろうかという疑問も出ているんですけれども、どうなんでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 延長保育事業は、保護者の就労形態の多様化等に伴いまして、対象となる児童に対して保育時間を延長して保育を実施した場合に、その費用の一部を補助する事業であるわけでございますけれども、こちらの事業では、利用者の多様な保育ニーズに応じまして安定して一定数以上の児童を受け入れる体制を築いていただきたいということで、実施要件として、延長保育時間内の平均対象児童数を定めてございます。

 具体的には、今し方御紹介ございましたとおり、一時間延長の延長保育を実施する場合には六人以上というふうにしてございますけれども、例えば、二時間延長以上の場合は三人以上というふうに緩和してございますし、また、三十分延長の場合であれば一人でも実施可能というふうに緩和をしているところでございます。

 また、複数の専門職の配置ということでございますけれども、これによって安全面を含めた保育の質を確保するために、職員配置については、保育所の配置基準に準じて、一つの実施場所につき保育士は二人以上の配置を必要というふうにしているところでございます。

 引き続き、多様な保育ニーズに応じて、安心して子育てできる環境の整備ができるように、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

野間委員 いろいろな、今おっしゃったように多様な働き方を保護者もしているわけですから、もう少しその辺のところは柔軟にやってもらってもいいんじゃないかと思いますけれども、いろいろ決まりを作らなきゃいけないというのはよく分かるんですが、もう少し柔軟な対応が必要だと思いますけれども、そういういろいろな声は上がっていないんでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 我々も様々な声を聞いております。現場の声ですとか、実情を把握いたしまして、引き続き、適正な在り方というものについて検討を続けてまいりたいというふうに考えております。

野間委員 今、もちろん昨年からもありますけれども、保育士さんの処遇を改善しようということで、いろいろな方策を打っていただいている。現場でも非常に、処遇の改善、給料が上がったということで喜んでいる方も多いんですけれども、よく言われるのが、処遇改善、加算の一とか二とかいろいろあるんですが、この手続が、書類が相当面倒なんですよね。

 例えば、加算の一というのがあるんですけれども、そこに出す書類、これは横浜市がこういうふうにやるんだというテキストを作っていますけれども、例えば、そこに、職員録を提出しなさいというのがあるんですが、ただ名前を書いて住所というのではないんですよね。この職員録の書き方で、この本の中で十三ページにわたって、こうやって書いてください、ああだこうだと、すごいんですよ、これは。

 そういうマニュアルとかQアンドAとか、いろいろなホームページに出ていますけれども、とにかく、書類を作って提出するまでの手間、煩雑さ、これで、もう面倒で改善しなくてもいいやとなると言うんですね。

 とりわけ、若い、パソコンとかに精通している人はいいんですけれども、ある程度の年齢以上で、いや、ちょっと、こんなに面倒だったらもう我慢してくれと言ってしまうんだというような、この書類の煩雑さ、手続の面倒。当然、これは、国のお金が入ってくることですからきちっと厳重に公正に手続を取るというのは当たり前のことですけれども、それにしても、もう少し何とかならないか。

 これはほかのいろいろな事業でも当然なんですけれども、もう余りに煩雑で、高齢の人にはできないという現状があること、これはいろいろな議員の皆さんもお聞きになっていると思うんですけれども、この一つの問題について申し上げれば、どうなんでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士等に対する処遇改善等加算の手続に関しましては、処遇改善等加算の趣旨を踏まえた適正な加算の実施を担保するために、賃金改善計画書ですとか実績報告書の提出を求めているところでございます。

 他方で、委員御指摘のとおり、手続の簡素化、効率化、これは非常に重要なことであると考えておりますし、また、必要な請求手続について、しっかりと説明、周知を図っていくということも重要であるというふうに考えております。

 国といたしましては、必要な手続に関しまして、都道府県等を集めた会議での説明、制度の解説資料をなるべく分かりやすいものにして周知徹底をする、あるいは、自治体からの照会の多い内容等について、FAQをまとめてお示しをするといったことに取り組んできているところでございますけれども、引き続き、施設や自治体の方々の御意見も伺いながら、事務負担の軽減が更にできないかということについては、取り組んでまいりたいというふうに考えております。

野間委員 是非取り組んでいただきたいですし、保育の現場の方は、この書き方のやはり、説明会なり研修会をしてほしいと言う方も多いんですね。これは自治体がやらなきゃいけないことなんでしょうけれども、自治体にも是非、そういう声があるんだということで、自治体に対してそういった指導をしていただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 自治体等から施設等への説明会等の実施状況、国として把握しているところではございませんけれども、国は、毎年度実施している全国会議等におきまして、都道府県、指定都市、中核市に対しまして、施設等への周知の徹底をお願いしているところでございますけれども、これについては、引き続き、更にしっかりと徹底できるように、我々としても周知をしてまいりたいと考えております。

野間委員 是非お願いいたします。

 ちょっと最後、大臣、先ほどトラックの問題を申し上げたところですけれども、物流の二〇二四年問題ということですけれども、やはり、これはただ単に、トラックドライバーさんの労働問題、あるいはいろいろな運賃等の問題ということより、更に、一つの日本の経済構造の問題といいますかね、今確かに物価がやっと上がってまいりましたけれども、なかなかデフレでずっと、物価を上げられない、運賃も上げられない、賃金も上げられない、そういった世の中がずっと続いてきた中で、まだまだデフレマインドといいますか、荷主に対しても物が言えない、賃金もなかなか上げられない、価格転嫁が進まない。とりわけ中小零細企業ですね。

 こういう一つの社会構造自体に、大きなこの問題が解決していかない原因があると思うんですけれども、大臣のお立場で、そして政治家として、ここはやはり転換していかなきゃいけない時期だと思いますけれども、どうお考えでしょうか。

加藤国務大臣 まさに、例えば賃上げを進めるに当たって、大企業もありますが、特に、その下請、協力会社等から見れば、やはりその賃上げできる環境をつくっていかなきゃいけない。そういった意味で、契約関係というんですかね、そういったものにおいて、中小企業における賃上げ、あるいは物価高騰、こういったものをしっかり反映したものにしていかなきゃなりませんし、また、それぞれの価格を上げていける環境をつくっていかなければ賃金も継続的には上がっていかない、こういった課題が、課題というか、そういうことに取り組んでいく。

 まさに経済が成長していく中においては、これまで、物価も上がるけれども、それを超えて賃金が上がる、そしてその中で人々の実質の所得が上がり、またそれが経済を回していく、こういう流れをつくり出してきたわけでありますから、今回の物価のスタートが海外からの物価高騰ということではありましたけれども、それを中心に今、春闘でも大変力強い引上げがなされてきている。これを一過性にせずに、これを構造的につなげていく。

 人への投資等も実施させていただいていますし、それを進めていきながら、しかし、併せて委員御指摘の働き方改革、これも並行して進めていきたいというふうに思っています。

野間委員 是非、大企業のみならず、中小零細、そしてまた地方にそういう波が及ぶように、我々も頑張っていきたいと思います。

 ありがとうございました。終わります。

三ッ林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

三ッ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。小川淳也君。

小川委員 立憲民主党の小川淳也です。

 大臣、まず、午前中、サミットに関連をして、主要国の首脳が原爆資料館を初めて見学、そろってされたようでございます。これは、日頃、岸田政権を厳しくチェックする立場ですが、率直に申し上げて、歴史的意義は非常に大きい。戦傷病者対策、被爆者対策、また援護事業全般を担当する担当閣僚として、その受け止めをまずお聞きしておきたいと思います。

加藤国務大臣 私も先ほどニュースで聞かせていただきました。

 先ほど、午前中の委員会でも御質問いただきましたけれども、長崎のときも、資料館とまではいきませんでしたけれども、出席した閣僚を始め招待した大臣には、長崎の平和公園を訪問し、献花もしていただきました。また、今回こうして各国首脳、G7の首脳がそろって資料館に行かれた。大変意義あることだと思っております。

 まさに、ウクライナに対するロシアの侵攻等、そうした中で核の使用もいろいろとうわさされている、こういったタイミングで行かれたことは大変意義があると思いますし、また、かつての原爆によって当時大変な被害があり、またその被害が今なお続いている、こういったことを併せて理解をしていただく、また、日本としては、そういった方に対する、被爆者援護に対することをしっかりと進めていかなければならないというふうに思っています。

小川委員 七年前にオバマ大統領が行かれたときは、たしか、滞在十分、そして、ロビー、折り鶴を始めとしたごく部分的な視察。それでも行ったことの意義は大きかったと思いますが、今回、詳細な報道を待ちたいと思いますが、願わくば、展示場の奥深くへ入って、そして、あそこまで行かなければ見られないような惨状、惨劇、あれを見たから想像できるとも思えないんですが、しかし、見ないことには始まらない、それを是非期待したいと思います。いずれにしても、歴史的な、非常に大きな出来事だというふうに、これは党派を超えて受け止めております。

 午前中、大西議員が質問されましたので、答弁は求めませんが、さりとて昨夜の最大のニュースは歌舞伎界における衝撃的な事件でした。そして、我が党としては、ジャニーズにおける小児性被害についてもヒアリングを行いました。これは、成人しているか未成年であるかにかかわらず、社会的地位を利用し、そして閉鎖空間においてなかなか社会に明るみに出ないセクハラ、パワハラ、性被害が蔓延し続けてきたことが、今、何かうみが噴き出すように表層に現れていると感じております。答弁は求めませんが、その半歩、第一歩にもなるかと思われる児童虐待防止法の改正については、これは閣僚のお一人として御協力をいただくことを重ねて求めたいと思います。

 第二に、今日の厚生労働行政一般についての質疑を行う前提は、ちょっとこれは私もリスクを取って申し上げますが、与党側からは、この後、旅館業法の審議に入りたいということを前提としたお申出と受け止めています。

 この法案の扱いは、私の立場上、非常に難しい法案でございまして、当然、旅館業を始めとした最前線で勤務されている方々からは、何らかの法的手だてが欲しいという要請をいただいております。片や一方、例えば、感染症に関連して仮に宿泊拒否という事態が発生する場合、歴史的にいえばハンセン病患者の皆様、そして今回の条項に見られる障害者から上がっている懸念の声、これは十分聞いて聞き過ぎることはなく、余りあるほどにお聞きせねばならない。そして、もっと言えば、大臣のお耳にどの程度入っているかは分かりませんが、事業譲渡に関連した免許の付与に関しても、一定、懸念の声が上がっています。

 それこれ、審議入りする前提として、十分環境を整えた上でなければこれは円満に審議に入ることはできないというのが私どもの基本的な立場でございまして、ここは重ねて、大臣のお耳に具体的にどの程度入っているか分かりませんが、この場をおかりして、与党筆頭の上野先生には多大なる御協力とそして真摯な御努力をいただいていることを野党第一党の私の立場からも御披瀝を申し上げ、法案の名称、そして障害者やハンセン病患者から上がっている懸念の声、そして事業譲渡に伴う免許への懸念、こうしたことを虚心坦懐に、現在提出している原案に全くこだわらず、これは担当課長さんも含めて省内で相当御努力いただいています。大臣がリーダーシップを取って、与野党を超えて、幅広く理解と共感を得るものに十分見直していく用意があると、その決意を、大臣、一言お聞かせをいただきたいと思います。

加藤国務大臣 なかなか難しい、法案の審議に入っておりませんので、どこまで言及していいのかという思いを持ちながら答弁をさせていただきたいと思います。

 一つは、今、小川委員がおっしゃったように、我々は、法案を作る過程の中においても様々な立場の皆さんから多様な御意見をいただいて、そして、それを踏まえて作らせていただいた。ただ、出したタイミングが臨時国会だということはもちろんありますけれども、あの段階で出していただき、臨時国会で継続審議になって、そして、当然、内閣の立場としては、提出した法案について、その成立をお願いするというのが今の私どもの立場であります。そこから先は、まさにこれから、まず御審議をしていただく、そして審議の中でいろいろな御意見をいただく。

 これは、ここから先は一般論ということで言わせていただきますけれども、これまでの処理の中において、与野党においていろいろ御議論をし、場合によっては法案自体を修正をする場合、場合によっては附帯決議をつける場合、いろいろなケースがあったというふうに思っておりますので、それは委員会の御審議、あるいは委員会としての御判断、これはしっかり受け止めていかなきゃならないというふうに思っています。

小川委員 ただ、ちょっと実務的な露払いの作業、といっても大規模な作業です、を水面下で内々行わせていただいているわけですが、大臣がまさにおっしゃった、各方面の意見を聞いて出さなきゃいけない、それはそのとおりなんですが、今回の経緯を見る限り、私は、そこの努力が十分だったのか、甚だ反省が求められるというのが率直な感想なんです。ですから、そのことも含めて、まさに一般論で言えるぎりぎりの範囲のことをおっしゃっていただいたと受け止めますが、まさに虚心坦懐、法案の名称から中身に至るまで、柔軟な構えを取り、そして関係者への説得を尽くし、そしてその思いを受け止めるということを重ねてお願いをしておきたいと思います。

 今日はいろいろなテーマをお聞きしたいんですが、コロナが五類に移行して十日余りがたちました。恐らく、本日、午後二時と聞いていますので、もしサービスいただけるようであれば、この答弁でお答えいただいてもいいんですが、直近の感染者数が、この十日間、どう推移したのか。そして、死亡者については超過死亡で何か月かかかると聞いています。そして、私どもが更にウォッチしたいと申し上げた救急困難事案件数の推移、更に言えば、ワクチンの副反応の被害者の救済件数の進捗、こうしたものを定期的に私どもとしてはウォッチしたい、大臣としては責任を持って発表、発信に努めていただきたいという立場から、十日余りたちましたが、今日の動向について、御答弁いただける範囲でお願いしたいと思います。

加藤国務大臣 分類見直しによって、例えば個々の届出が出されなくなったということで、感染動向の捉え方は変更しているところでありますが、引き続きその状況をフォローしていくことは大事であることは、委員御指摘のとおりであります。

 感染症の移行に伴って、感染動向も、日々の感染者数の総数ではなく、定点医療機関からの報告で平均的な患者数の推移を確認していくこととしておりまして、全国五千か所について、一週間たったものを翌週に集約し、そして金曜日に、というか今日ですね、今日発表するということでございます。

 サービスとかいうことではなくて、一応二時ではありますが、これまでも、事前にいろいろマスコミから問われたときにはお話をさせていただいた事例もございますが、五月八日から十四日までの定点当たり報告数は二・六三となっております。

 公表に当たっては、併せて、HER―SYSデータを用いた、五類感染症へ移行する前の定点のシミュレーションをして、それと、そのときの感染動向がどうだったかといったものも参考としてお示しをすることにしております。

 それによりますと、比較的低い水準ではありますが、緩やかに増加傾向が続いているように見えますが、ただ、この間、連休という事態があったものですから、そこをどう考えるのかということで、引き続き注視する必要があると思っています。

 それから、在院者数は、これまでも療養状況調査に基づいてやっていますので、これはこれまでと同じでありますが、五月十日時点で四千四百四十九人、前週より二百四十八人の増加であります。

 また、救急搬送困難事案数は、五月八日から十四日までの一週間で二千四百九十四件ということで、明らかな増加傾向は認められていないと承知をしております。

 また、死亡者数、これは、発生届の提出がなくなるので、これまでのような形でお示しすることはできません。一方で、人口動態統計で把握することが基本となりますが、これには二か月程度の時間がかかるということで、今後、協力の得られる自治体を対象として、新型コロナ感染の有無を問わない総死亡者数の迅速な把握を行い、いわゆる超過死亡、過少死亡の有無、その推移を公表するということで今準備を進めさせていただいておりますので、このデータにはちょっともう少しお時間をいただきたいと思っております。

 それから、新型コロナワクチンの健康被害救済制度の関係ですが、進達、進達というのは上がってくる、私どもに上がってきた受理件数は、四月二十日時点が七千二百八十八件、五月八日時点は七千四百七十三件であります。認定件数は、五月八日時点で二千五百九十五件であります。まだまだ受理をしながら認定できていないものがございますので、迅速な救済に向けて努力をしていきたいと考えています。

小川委員 この二・六三という数字の受け止めが、ちょっと私も直ちに暗算できればいいんですが、恐らく、今まで私どもは一日当たり何名かという数字に慣れていますので、ちょっと翻訳して受け止めなきゃいけないんだろうと思います。

 それから、救急困難事案については、毎週発表されていますからこれからもウォッチしますが、これも私は若干微増傾向にあるんじゃないかなという受け止めです、図を見る限り。

 それから、ワクチンの被害救済ですが、おっしゃったように、約二百件の申請がこの三週間で新たに行われ、そしてこの三週間で二百四十件の認定ないし認定拒否あるいは保留という意思決定が行われ、ということで、この三週間で減ったのが四十件なんですね、在庫が、積み残したのが。ということは、今の体制下で、一体、この約五千件の積み残しを百か月かけてやるんですか、千か月ですか、十年ということになるんです、単純計算でいえば。私どもは、この点、是非、審査の体制強化、迅速化に向けて、議員立法の提出も含めて検討したいと思っておりますが、これも含めてよくウォッチをしますし、また、適時適切な発信、発表に努めていただくことを併せてお願いしたいと思います。

 大変、五月雨式で恐縮ですが、ちょっと、主要な政策変更が報じられましたので、二点、特に、一つは、御担当分野でいえば失業給付の給付開始の見直し、これはちょっと後ほど医療分野に関連してお聞きします。

 それから、子育て支援に関連した特別会計の創設。四月以降、直接の御担当ではないとおっしゃるのかもしれませんが、これは、ちょっと、私の受け止めは、社会保険に上乗せし子育て財源を徴収する、その前準備、環境づくりとして特別会計を設けようとしているというふうに受け止めていますが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

加藤国務大臣 確かに報道ベースでそういうことは出てきていますけれども、今、子供、子育て施策の強化について議論しておりますこども未来戦略会議、一昨日にも開催されましたけれども、そこにおいては、子供、子育て施策の強化に関する具体的な制度設計については議論が行われましたが、御指摘のような、特別会計の創設をするべき、でないといった意見は出ていないということでございます。

 まさにこれからそうした点も含めて、含めてとうのは、別にそれを除外せずという意味で申し上げているわけですけれども、まさに戦略会議でしっかり議論を深めていただき、それを踏まえて、政府として対応を考えていくということになるんだろうというふうに思っています。

小川委員 ここはちょっと前もって指摘しておきたいんですが、私の受け止めはそうでした。社会保険料の引上げに向けて、特別会計という器をつくることで何となく説得力は増すという作戦なのかなと私なりに受け止めました。しかし、前もってちょっと指摘しておきたいのは、かねてからここで議論させていただいたとおり、やはり大事なのは会計ではなくて財源であり、仮に特別会計を設けるとなれば、通常、これは特定財源があるものですから、そういう傾向を強めるのかもしれませんが、社会保険料には主に三つの問題、現役世代への過重な負担、そして極めて強い逆進性、さらに子育ては保険事故と言い得るのかという哲学的な問題、これは特別会計にしても、一切、全く改善はしませんので、何となくそういう構え、器をつくることで環境づくりのふりにはなりませんよということは、ちょっと前もって指摘しておきたいと思います。

 失業給付の見直しについては、ちょっと後ほど、医療分野との関係で、関連でお尋ねしたいと思います。

 医療分野で、幾つか確認なり、お尋ねしたいことがあるんですが、午前中、大西議員がこの点も指摘されました、マイナ保険証、マイナンバーと保険証情報とのひもづけについてでありますが、既に、このマイナンバーの運用をめぐっては、一見便利な面もあるんでしょうが、住民票や戸籍証明については十四件の別人の資料が出てくる、そして、印鑑登録については、抹消したものも含め、十一件のいわばでたらめなものが出てくるという誤作動につながっていますが、医療分野でも、マイナンバーカードと保険証情報で別人の情報をひもづけていた、これが七千三百件に及ぶという、ちょっと異常な報道に触れています。

 今、改善に努めて改善したという説明は受けているんですが、ちょっとこれは私は確認する必要があると思っていまして。つまり、なぜこんなことが起きたのかと。先ほど、午前中、責任論については少々議論がありましたが、大事なことは、なぜこんなことが起きたのかということを掘り下げることだと思っています。

 昨日、事務的に説明を受けたことでちょっと驚いていますが、昨日、事務的に説明を受けたことを大臣がもし御自身の口で説明できるようであればしていただきたい。なぜこの七千三百件もの誤登録が起きたのかという、その詳細についてです。

加藤国務大臣 まずは、別人の資格情報がひもづけられた事例、今委員御指摘の七千三百十二件などがあったということ、また、御自身ではないというか、他人が、他の方がその方のまさに医療に関する情報の閲覧をすることができるような状況があったということ、このことは我々は真摯に受け止めて対応していかなきゃならないし、また、そういったことはまさにこうしたオンライン資格確認等システムに対する信認を毀損すると、大変重たく受け止めさせていただいています。

 その上で、昨日、ちょっと私、小川委員にどう説明したかは聞いていないので、そごがあるかもしれませんが、私が認識をしている誤登録の原因としては、届出に記載された個人番号が誤っていた、例えば家族間で取り間違えていた、また、被保険者が個人番号を提出していなかったので保険者においてJ―LIS照会を行って、十分な確認を行わず、別人の個人番号を取得、登録した、あるいは、保険者による個人番号等の入力誤り、こういったものが、まあ全部を見ているわけではありませんが、分析をした中からは出てきているというふうに承知をしています。

小川委員 ここをもうちょっと踏み込む必要があると思うんですが、私がお聞きしたところ、大臣の御答弁と矛盾はしないと思います、矛盾はしないと思いますが、もうちょっと実態をイメージできるように、これはきちんと詳細を掘り下げ、解釈しておく必要があると思っていまして。

 例えば、就職をした、あるいは転職をした方が、場合によっては組合健保、場合によっては協会けんぽ、医療保険に入る。そのときに当然、自身の住所、氏名、そして生年月日、性別、さらに記載をされる方はマイナンバーを記載される。しかし、物によっては、中によってはマイナンバーを記載したくないという人はいるわけですよね。それは会社から保険者へマイナンバー不記載のまま情報が伝達され、その方は晴れてその組合の被保険者となる。

 ところが、私、ここで二つのことに驚いたんですが、マイナンバーを申告していない社員はマイナンバーを医療情報として活用したくないという意思を含んでいるケースがあると思います。つまり、ひもづけを拒否しているというケースがあると思います。が、しかし、それは本人に知らされることなく、勝手にとあえて言いますが、勝手に保険者は、住民情報を処理している、住民番号を持っている団体に照会をかけ、そしてこの方の氏名、住所、生年月日から、この方のマイナンバー、番号が本人から取れないので分かりますでしょうかと言って、照会をかけているわけです。そして、照会をかけて返ってきた番号が唯一で間違いなければそれを登録される。

 ですから、一つ目の驚きは、本人が希望していなくても、マイナンバーを取った瞬間、あるいは持っているがゆえに、採用と同時にそれは医療情報とひもづけが自動的になされているということです。これは、私は従来の世の中に対する説明と違うんじゃないかということで、一つ目の驚きです。

 もう一つの驚きなんですが、検索照会を受けた、ちょっと法人名は忘れましたが、いわゆるJ―LISですよね、地方自治情報センターが前身の団体、ここで住民番号を管理しているわけですが、同姓同名、たくさん出るはずです。番号が書いていないわけですから。同じ生年月日で同姓同名がいるケースも多々ある。そして、性別が一致する、あるいは住所が近いということが多々あり得るわけで、私が受けた説明では、その際、複数人が出てくる可能性がある。複数人が出てきた場合、多分この人じゃないかといって登録しているというんですよ。信じ難いでしょう。にわかに信じ難いでしょう。そういうずさんな管理が実際には行われているんじゃないかということです。行われて、少なくともきたんじゃないかということです。

 それは二重三重に問題があって。つまり、住民番号と医療情報とのひもづけを望まない、明示的かあるいは暗示的に望まないという人たちにも、半ば強制的に、自動的に、勝手にひもづけていた可能性があり、そして、それは番号が不記載だからという理由の下、検索結果で複数出てきたら当てずっぽうでつなげていた可能性がある。でなければこの七千件もの誤登録ということは考えにくいということです。

 今の私の認識が根本的に間違っていたら、担当者でも結構です、あるいは大臣。

 私は、今日、過去のこととはいえ必ず聞きますよと申し上げたのは、こういうことが実際に起きていたということを大臣に知ってほしいからなんです。つまり、これから保険証を廃止し、マイナンバーに一本化し、あるいはマイナンバーの活用範囲を広げ、情報管理を徹底していき、利便性を高めますと口では言っているわけですから、政府は。この情報管理、ひもづけに関する危機管理度の度合いといいますか、いいかげんさといいますか、ずさんさ、これはとてもじゃないが話にならない。事実を認めるか、あるいは、部分的にといえども私が言っていることが正しいか、それはちょっとこの場ではっきり言ってもらえませんか。

伊原政府参考人 お答えいたします。

 まず、最初の御指摘の、マイナンバーを使って御本人の医療保険の資格を登録するというのは、元々、マイナンバーというのは、社会保障上の事務に使われるために導入されたものでございまして、当然、ある一つの番号で、その方が誰の何兵衛さんで、どこに住んでいて、それから性別がどうで、生年月日がどうでということを結びつけることとしてございます。それは当初からそういう位置づけになってございます。

 それで、先ほど先生の方から医療情報との結びつけという話がございましたけれども、これは、まさに、医療情報と結びつけて、それを利用するかどうか毎回同意するという仕組みがございまして、そういう意味で、自動的にそういう形になっているということでございます。

 それから、もう一つ、先ほど大臣からも、こうした七千三百件に上るひもつけ誤りがあったということでございまして、そこは大変反省しなければいけないところでございますけれども、起こった原因につきましては、その一部ではございますけれども、さっき御指摘になりましたように、三情報だけで、複数の方が候補になるのに、確認せずに、ある特定の方とその個人を結びつけているという事例があったことは確かでございます。

 したがいまして、そういうことがございましたので、まさに、今年の二月に、今後の事務の取扱いについて、そういう間違いが起こらないよう徹底することといたしまして、現在では、五情報、五情報で一致した場合にちゃんと情報として結びつける、そういう事務の具体的なルールをしっかりと周知したところでございます。

小川委員 局長、それは事実でございますと大きな顔しておっしゃる話じゃなくて、あり得ないことなんですよ、このずさんなひもづけは。あり得ないということをもっと真摯に厳しく受け止めてもらわないと。答弁の様子ぶりで分かりますからね、これをどう受け止めているかが。大臣、ちょっと、この際、こういうことだったんだということは改めてたたき込んでいただきたいと思っているんです。それでこの話題を出しました。今後こういうことがあってはならないし、二度とないように厳しく運用に努め、つまり、自覚ということなんですよね。これが極めてセンシティブな、重要な個人情報だということに対する自覚ということです。

 お聞きしたいことが医療分野でもう複数ございまして、先ほど、失業給付の見直しについて後ほどお聞きすると申し上げたんですが、自己都合退職の際は、これまで、失業給付を受け取るのに二か月かかったが、今後、会社都合で退職させられた場合と同様、一週間で給付を行う、これは、私は、いろいろなメリット、デメリットあるでしょうが、一つ、一定理解できることです。

 それからもう一つ、この同じ会議体の発表した、雇用、つまり、労働市場改革、これから大事だと思います。雇用の流動化という言葉は、私、余り好きじゃないんですが、今までの雇用の安定は固定的に安定させようとしてきた。しかし、これからの雇用の安定は、ある意味、動的に安定させていく、動態的に安定させていく。これをもって、産業構造の転換を促し、そして、被雇用者の人生設計を下支えし、底上げしていくという観点が極めて重要だろうと私は思っています。したがって、同じ、この報告書の中に極めて重要なことも書いてあって、退職所得課税を見直すということも書いてあるんですね。これは極めて重要なんですよ。

 十年、二十年、三十年、四十年勤めた人には、退職金が、莫大な退職金が、物によっては莫大な、特に国家公務員なんかそうですが、支給され、そのほとんどに税金がかからないという仕組みになっているんですね。これはまさに、一か所に何が何でもしがみつくインセンティブを与えてしまっていることにもつながっています。問題は、こういう退職金を過度に優遇する税制は世界には存在しないということなんです。もはや日本にしか存在しないという過去の、昭和の時代の遺物なんですよね。ですから、こういうものを見直していくことも必要。

 そして、同じ報告書にもう一つ記載されているのが、キャリアアップや職業紹介に対する施策の充実なんです。これも重要。

 問題は、ところがなんですが、最近私、ちょっとある報道に触れて衝撃を受けたのは、介護事業所の倒産が相次いでいる、今。その一つの主要な要因に、もちろん人手不足があり、それを補うために人材紹介所に頼り、そこに年収の三〇%とも言われるマージンを払い、それは派遣業でもそうですが。これは、昔から雇用というのは基本、直接の無期雇用が原則ですから、それを、派遣労働を全面解禁し、そして、職業紹介に至っては、平成に入るまで僅か全国に三千社しかなかったものが今や三万社となり、そして、この手数料に上限規制がないものだから、三〇%ものピンはねが行われる。

 そして、もう一つ深刻な問題がある。この職業紹介は手数料ビジネスですから、一人紹介した後、その人が一か所に長期安定勤務するよりは、短期間で転職を繰り返し、その都度紹介料を受け取り、それがかさんでいく方がもうかるという仕組みになっている。これは、紹介した労働者の早期退職、すぐに転籍、転職、都度都度三〇%のピンはねということにつながっている可能性がある。

 それは、私は大臣に是非意識していただきたいのは、その申し上げた報告書の中に、ハローワーク、ハローワーク、ハローワークと出てくるんですよね。これはかねてからの課題ですが、ハローワークが極めて、ある種前向きの転職というんですか、収入も増え、より責任のある、あるいは高い報酬とステータスへの職業移転にほとんど機能していない現実がある。そして、これを民間事業者が収益と引換えに行うという、日本の雇用市場を極めていびつなものにしてきた構造がある。

 ですから、人材紹介業が、いや、真面目に一生懸命やられている事業者もあると思いますよ、あると思いますが、構造的に私が申し上げた問題点をはらんでいる、ビジネスの本質として。これは、私は、ハローワークの機能不全と表裏一体である。したがって、ハローワークには、政府が動態的な雇用安定を目指すというのであればなおさら、極めて今までのクオリティーの面でも信頼性においても決して高いとは言えないこのハローワークを、相当レベルアップしていく努力と工夫が大いに求められると思いますが、大臣、今申し上げた観点から、何らか前向きな、積極的な御答弁をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 まず、その前に、ひもづけに関わる話、マイナンバーとですね。

 これは、委員おっしゃったように、あるいはその前に私も申し上げましたけれども、まさにシステムに対する信認があって初めて、皆さんが安心してこれを使っていただき、またメリットを享受できるわけですから、それを毀損することにつながっていくものだという強い危機感を持ちながら対処させていただきたいというふうに思っております。

 それから、民間企業の紹介について、これは前も、大変高い手数料を取られている、そして、その対象になっているのが例えば医療機関、介護、保育ということになると、これはほとんど税あるいは保険料で賄われている、そういったものがまさにそうした過度に高い手数料に転じているのは問題ではないかということは、従前から御指摘をいただいたところであります。

 これについて、厚生労働省としては、紹介手数料等の情報を開示させる、優良な事業者認定制度の運用、また、各都道府県労働局に医療、介護、保育求人者向け特別相談窓口の設置、ハローワークにおける人材確保対策コーナーの拡充等の取組も行ってきたところでございます。

 実際、今、私どもの手元の資料によりますと、例えば、医師、看護師についていいますと、令和三年度、ハローワークで約四万件を御紹介しているのに対し、民間有料職業紹介事業者においては七万五千件、介護の場合には、ハローワークが約七万に対して民間有料が五万七千というのが今の状況であります。

 引き続き、ハローワーク以外においても認定制度というのは設けさせていただいていますけれども、そうしたところを中心に適正な価格においてこうした職業紹介が行われていくこと、そしてまた、ハローワークにおいては、今委員からもいわば激励の御質問をいただいたというふうに受け止めさせていただきましたけれども、その期待される役割をしっかり医療、介護、保育分野においても発揮できるように更に努力をしていきたいと考えております。

小川委員 つまり、昔から人身売買やそのおそれがあるからこそ規制されてきた分野がどんどん市場開放されているということなんです。それは適正な範囲で行われているとおっしゃっちゃ駄目で、上限規制が私は必要だと思いますし、手数料に関して。それから、今おっしゃった認定制度は、約三万社のうち二十一社でしょう、利用されているのは。三万社中、二十一社です。それから、ちょっとこれも聞いて驚いたんですが、どういう分野で紹介業が増えてきたか、あるいはどういう分野で行われているかを把握していないというんですよね、許可業務でありながら。これなんかも早急に改めるべきだと思います。

 最後に、医療分野、あるいはこれに関連して二問お尋ねして、終えます。

 かねてから、精神保健分野は日本社会の一つの闇だということは指摘してきました。これに関連して、特にこの極致たる身体拘束、精神科医における身体拘束の要件は、基本、これはやはり自傷行為や自殺行為、自らを傷つけることを防ぐため以外では正当化できないでしょうと思っていますが、これを緩和する大臣告示改正が予定されているのではないかという懸念の声があります。これに関して一言、大臣、その懸念を払拭するような答弁をお願いしたいと思います。

 もう一点。

 今日は、お忙しい中、法務副大臣、御出席ありがとうございます。

 精神障害にせよ、あるいは認知症にせよ、知的障害にせよ、最終的に後見制度に頼らざるを得ないケースがあります。特に成年後見に関しては、使いにくい、そしてフェアじゃない、信頼が置けない、様々な声をいただいています。

 特に典型的なケースを申し上げると、これは知的障害の子供さんを抱えた親御さん、あるいは認知症の患者を抱えた息子さんやお嬢さんから聞くことですが、突然、成年後見を利用しようと思ったら、見知らぬ方がやってきた、弁護士さんであれ、税理士さんであれ、司法書士さんであれ。そして、年に一回顔を合わせるか合わせないかの見知らぬの方のままであり続け、ほとんど。その方々に月額数万円の報酬を支払い、そのために、その被監護人の私有財産の使途に制約が設けられかねない状況にあり、そして、一旦就任させたら替えられないんだという非常に不便の声が届いています。

 ですから、家族が希望した場合は専門家に替わって任命されるべきでしょうし、交代や任期制も含めて、今御検討中だと思いますが、この制度の改善について。

 ちょっと時間が間もなく来ますので、ちょっと簡潔に二点、御答弁をいただいて、終えたいと思います。

加藤国務大臣 精神科病院における行動制限については、令和三年十月から開始された、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会において、行動制限の最小化に向けた議論が当事者も含めた公開の場で行われ、処遇基準告示の改正を含む提言がなされたところであります。また、社会保障審議会障害者部会においても御議論いただき、同趣旨の提言が令和四年六月にまとめられました。

 身体的拘束を含む行動制限の最小化は大変重要な課題であります。その方策については、こうした今申し上げた検討会、また障害者部会の提言なども踏まえ、当事者の御意見も丁寧に聞きながら、引き続き検討していきたいというふうに考えています。

門山副大臣 成年後見制度につきましては、昨年三月二十五日に、第二期成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されたところでございます。

 本基本計画におきましては、本人にとって適切な時機に必要な範囲、期間で制度を利用できるようにすべき、終身でなく有期の制度にすべき、本人の状況等の変化に応じて後見人等を円滑に交代できるようにすべき、後見人の報酬の決定についてできるだけ予測可能性の高い制度にすべきといった指摘も踏まえ、成年後見制度の見直しに向けた検討を行うものとされました。

 このような中、昨年六月には成年後見制度の見直しについて検討する研究会が立ち上げられており、法務省としても、この研究会における議論に積極的に参加しているところでございます。

 今後は、基本計画で指摘された見直しの方向性も十分踏まえつつ、更に検討を深めてまいります。

小川委員 これは是非お願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、吉田とも代君。

吉田(と)委員 日本維新の会の吉田とも代です。本日もどうぞよろしくお願いいたします。

 前回の質問では、若年層を中心とする市販薬の過剰摂取、オーバードーズについて質問をさせていただきました。本日も引き続き、この冒頭に、薬物乱用の取締り等について質問をさせていただきます。

 昨年十一月に、自民党の高木宏壽理事が、この件、薬物行政について非常にすばらしくまとまった御質問をなさっておりまして、感銘を受けました。重なる部分もございますが、御容赦ください。よろしくお願いいたします。

 近年、薬物全般に関する検挙数は横ばいであるのに対し、若者を中心にファッション感覚で大麻を乱用、検挙者が急増しています。調査によると、八年連続で増加、特に十代、二十代の検挙者数はこの八年間で十六・四倍に膨れ上がっており、私の地元徳島県でも、ホームページ上で、大麻摘発が過去最多になったということで注意喚起をしております。

 そもそも、海外、G7各国では大麻の生涯経験率は高く、例えば欧米は二〇%から四〇%台であるのに対し、日本は一・四%と圧倒的に低い状況ではありましたが、現在の日本は、大麻乱用期に突入していると言えます。

 大麻事犯の日本での乱用状況、取締り状況、薬物情勢を御説明ください。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、我が国における令和三年の薬物事犯の検挙人員は一万四千四百八人、依然として高水準で推移をしております。

 そうした中、大麻事犯につきましてですが、御指摘いただきましたように八年連続で増加、令和三年は五千七百八十三人と、過去最多を更新をしております。特に三十歳未満の検挙人員は大麻事犯全体の六五%以上を占めており、若年層での大麻乱用の拡大が懸念をされる状況でございます。

 背景としては、大麻に有害性はないとか大麻は健康によいといった誤った情報がインターネット等で流布をされ、安易な乱用が拡大をする一因となっているというような実態があると承知をしております。

吉田(と)委員 今るる御説明をいただきましたけれども、警視庁の実態調査では、大麻の使用のきっかけは、誘われてや、興味本位が最多になっております。

 今、インターネットで誤った情報、こういったものをうのみにしないよう、正しい知識をこれまで以上に強く普及啓発すべきと考えます。これは、若者の将来、ひいては日本の未来を守るためにもゆるがせにできないところでございますので、しっかりお願いしたいと思います。

 さて、この大麻草ですが、元々、麻という植物は古くから日本で栽培をしており、繊維としても大いに利用してきました。昭和二十三年に、これら大麻の定義を規定した大麻取締法が制定されました。大麻栽培者や大麻研究者は免許制とし制限をされておりますし、大麻の用途を学術研究及び繊維、種子の採取だけに限定していると承知しております。

 現行の規制状況、大麻犯の罰則規定を教えてください。

八神政府参考人 大麻取締法の取締り規制の内容ということでお答えします。

 まず、大麻取締法では、免許を取得している者以外は、大麻を栽培あるいは輸出入、譲渡、譲受け、所持等を行うことを禁止しており、その違反に対する処罰が設けられております。一方、大麻の吸引などの使用行為については処罰の対象となっていないというのが取締り規制でございます。

吉田(と)委員 取締りにおいて、所持が対象ということであれば、使用して使い切ってしまうと、もう所持していないということになって、かえって検挙されない、されにくいということかと思います。

 警視庁において、大麻の使用罪に対する認識調査を、実際大麻で検挙された方に対して実施をしたところ、大麻取締法において使用罪が規定されていないことを認識していたのは、令和二年度で八二・二%、使用罪が規定されていないことと大麻を使用したこととの関係の調査結果においては、大麻の使用に対するハードルが下がった一九・七%、大麻を使用する理由となったのは七・五%となっています。もちろんこれが全てではないのでしょうが、使用罪があれば大麻を使用しなかったと言える回答が一定数あったというのは、無視し得ないのではないでしょうか。

 大麻検挙者が増加の一途をたどる中、ほかの規制薬物と同様に大麻の使用罪についても罰則を設けるべきと考えますが、見解をお聞かせください。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 大麻使用罪に関してということですが、大麻所持で検挙された者の調査結果は、今先生御紹介をいただいたようなものと承知をしております。

 こうしたものも踏まえて、昨年九月の厚生科学審議会大麻規制検討小委員会、ここの取りまとめにおきまして、大麻に使用罪が存在しないことのみをもって大麻を使用してもよいというメッセージと受け止められかねない誤った認識を助長し、大麻使用へのハードルを下げている状況がある、大麻の使用禁止を法律上明確にする必要があるといった方向性が示されております。

 こういった取りまとめを踏まえまして、大麻の使用罪に関する制度改正について検討を進めてまいりたい、このように考えております。

吉田(と)委員 大麻の使用罪がない現状において、大麻の使用に関する証拠が十分あった場合でも、その所持に関する証拠が十分でなければ所持罪でも使用罪でも検挙することができない状況が生じておりますので、是非とも早急に進めていただきたいと思います。

 これは、なぜ、立法として所持罪だけで使用罪がなかったかというと、法制化された昭和二十三年当時は、まだ、危険薬物としての作用を引き起こす成分について化学的に同定がされておらず、さらに、当時の麻農家で時折見られた麻酔いの場合も検挙対象になると問題であるということで、目に見える草木としての大麻を取締りの対象にしたわけです。

 しかし、その後の研究で大麻草における危険な成分が同定されました。その成分はTHC、テトラヒドロカンナビノールと言われ、幻覚等の精神作用を示す成分で、化学合成されたものは麻向法で規制されています。ただし、化学合成ではない、植物由来のものは物質として規制されておりません。この場合は、現行の大麻法において、大麻から製造されたとしての規制の対象になります。

 一方で、大麻におけるもう一つの主成分、CBD、カンナビジオールといい、物質としては特に規制されていないものです。このCBDは、麻薬、危険物としての性質がなく、現行法下でも許可され、免許を与えられた者が栽培をし、使用が許可されている成熟した茎等から抽出されて製品になったものは取締りの対象にはなりません。薬物の大麻とは成分が異なり、乱用や依存の危険がないと言われます。海外では、医薬品の原料や食品、サプリメントとして使用されており、ドーピングの対象外となっています。

 海外でのこのCBDの取扱い、大麻に関する取扱いの最近の情勢について、厚労省にお伺いします。

八神政府参考人 CBD、カンナビジオールの海外での取扱いということでございます。

 幾つかございます。

 まず、世界保健機関、WHOの依存性薬物専門家委員会、ここの報告書、平成三十年でございますが、人において、CBDは、乱用あるいは依存可能性を示唆する作用を示さないと結論づけられております。また、昨今、欧米諸国におきましては、大麻草から製造された医薬品が重度のてんかんなどの治療薬として承認をされたものがございます。

 こうしたことを踏まえて、国連の麻薬委員会におきまして、麻薬に関する単一条約における大麻の位置づけというものが見直されております。令和二年になります。医療上有用性がないカテゴリーから、医療用途での使用が可能なカテゴリーに変更されております。

 このほか、海外では、医薬品としての利用のほかにも、食品等の分野でのCBDの利用も進んでいるというふうに承知をしております。

吉田(と)委員 今御説明いただきましたが、このCBD、日本では特段規制の対象になってはいないのですが、一方で、海外からこれを使った製品がどんどん入ってきているということで、今御紹介いただいた重度のてんかん症に対する期待をされている、現在、国内で治験を行っていらっしゃると承知をしておりますが、エピディオレックスという医薬品を始めとして、こういった主成分であったり、また、産業用の用途、これも多岐にわたるとの話もございます。

 先ほど所持が罪になるということでしたけれども、現行の大麻取締法において、取締り規制対象を教えてください。

八神政府参考人 大麻取締法の取締りの対象ということでお尋ねいただきました。

 現行の大麻取締法におきましては、大麻につきまして、大麻草の部位に基づく規制を行っております。具体的には、成熟した茎や種子を除く花穂や葉など、こうした部位が規制の対象となっておるというところでございます。

吉田(と)委員 現行の大麻取締法においては、部位規制を課しているとのことでした。しかしながら、海外から大麻由来の製品が持ち込まれた場合、部位は外から見ても判断ができません。

 例えばCBD製品の場合、どの部位から作ったか、規制部位か否かを判断する際に、実態は、THCの検出、つまり有害物質の有無で取締りを行っている、また、規制部位からの製品かどうかを判断していると伺っております。有用なものを適切に利用する、そのためには、部位規制ではなく成分規制が必要と考えますが、見解をお聞かせください。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたように、現行の大麻規制の下では、大麻草の規制部位以外から抽出されたとされるCBD成分を含む製品が海外から輸入され、食品やサプリメントの形で販売されている実態がございます。

 一方で、国内で販売されているCBD製品から有害成分のTHCが微量に検出され、市場から回収をされるといった事例も発生をしております。安全な製品の適正な流通の確保、これが課題となっております。

 欧米諸国におきましては、有害成分のTHCに着目をした大麻規制を行っており、我が国でも、大麻由来の医薬品等を適切に利用できるようにするためにも、部位による規制から有害成分に着目した規制体系に移行するべきといった方向性が先ほど御紹介いたしました小委員会の取りまとめでも示されたところでございます。

吉田(と)委員 そもそも、日本で、今大麻草を栽培している方は、免許を持っている方はごく少数の方々です。それら日本で許可を受けた方々の栽培によって、現在の大麻の乱用増加傾向が生まれていると厚労省はお考えでしょうか。

八神政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、免許を取得している栽培者というのは、今減少の一途をたどっております。今二十七名ということでございます。

 昨今、特に若年層を中心として大麻乱用の拡大が懸念をされる状況ですが、我が国では、大麻栽培免許において厳格な栽培管理を行っておりますので、これら乱用に供されるものは正規の栽培に由来するものではなく、大麻の乱用者の増加とは直接的な関係はないものというふうに考えております。

吉田(と)委員 また、現行のように管理された栽培者による麻栽培が今以上に増えたとして、大麻の乱用増加につながるとお考えになりますか。

八神政府参考人 お答えします。

 産業用の大麻草の栽培免許に関しまして、先ほどの検討小委員会では、栽培目的を拡大をするといったこと、それとともに、盗難対策に重点を置いた栽培規制から、有害物質であるTHC濃度の低い栽培品種を活用した合理的な規制に変更する方向性が示されております。

 今後、仮に大麻栽培者が増加をしましても、このような有害物質の濃度が管理された大麻草を適切に栽培するということを確保している限りにおいて、その大麻草が乱用に使用されるとは考えにくく、大麻の乱用の増加には直接的につながるものではない、このように考えております。

吉田(と)委員 こうなりますと、このTHC成分に注目をして、海外からの製品そして種子などの流入を阻止することに注力すべきと思います。

 さて、本来、この大麻、麻は、天与の優れたアサ科の一年草で、一万四千年以上の歴史があり、日本の伝統文化や神道の世界から切り離せないものでありました。私の地元徳島は麻文化発祥の地でありまして、吉野川市は阿波忌部が麻を全国に普及させた土地柄でございます。現在は残念ながら麻栽培は行われておりませんが、先年の令和の御代替わりにおいては、古式にのっとり、阿波忌部直系の三木家が、天皇陛下即位の大嘗祭に麻織物、あらたえを献上するため、専用の麻畑で栽培をしたそうです。

 古来から生活、文化などを支えてきた麻は、昔は二万五千通りもの使い方があり、日本の産業を支えるジャンルの一つだったと言われていますが、先ほどお話がございましたけれども、現在、大麻栽培免許者数は全国で二十七名でございまして、栽培方法を伝授できる方も数少なくなっております。神社のしめ縄ですとか横綱の綱も麻でできておりまして、相撲は神事ですので、ほかの素材では代用できないということです。

 危険なものは危険と認識をしつつ、有用なものを取り入れるためにうまくつき合っていく、それが先祖の知恵です。日本文化を守り、継承していく、その一部に麻も位置づけられていたと思います。麻文化が廃れ、理解が不足していることが誤った憧れを生んでいて、危ない草だからということで遠ざけたものが、海外経由で格好いいものとして帰ってきてしまったように思われます。

 今国会の厚生労働委員会の所信演説で、加藤厚生労働大臣は、医薬品等の安全性の確保や薬物の再発防止に一層取り組みます、さらに、大麻に関する制度の見直しに向けた検討や薬物乱用防止対策にも取り組みますと述べられました。これまでの経緯を踏まえて、加藤大臣の見解をお聞かせください。

加藤国務大臣 大麻規制の見直しの方向性については、厚生科学審議会大麻規制検討小委員会の取りまとめを踏まえ、本年一月に、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会で議論を行い、了承されたところでございます。

 また、取りまとめにおいては、薬物乱用防止対策において、正しく栽培、使用されているものと、嗜好用と称して乱用されるものを区別して適切に情報提供するなど、科学的なエビデンスに基づいた大麻の有害性に関する正確な情報の広報啓発に取り組むべきとの方向性も示していただきました。

 これらの議論を基に、厚労省としては、大麻取締法や麻薬及び向精神薬取締法の改正に向けた検討を進めているところでございますので、引き続きこの検討を進めていきたいと考えております。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 加藤大臣から大変前向きな御発言をいただきました。

 皇位継承に伴う重要な皇室行事、大嘗祭は数十年に一度でありまして、一旦調達が途絶えてしまえば、現場の作業、技術が分からなくなると阿波忌部の子孫の三木さんはおっしゃっています。畑の周囲には、大麻取締法にのっとり、栽培するために高い柵や監視カメラを設置して、生育までの三か月間、毎日二十四時間畑を見守ったそうです。皇室とのつながり、それから伝統の継承に向けて政府も是非後押しをしていただきたいと思います。

 そういった皇室行事、神事はともかくとしまして、現在、麻製品が多く中国製などに取って代わられている状況でして、麻栽培の復興には、周辺住民はもちろん、社会的な理解が不可欠です。今、日本で栽培されている多くは無毒な大麻で、ヘンプと呼ばれるものに置き換わってきているそうです。正しい知識を周知することで、麻産業が様々なジャンルに生かせる可能性を秘めています。薬物の乱用問題にしっかり取り組んでいただいた上で、是非、文化としての麻産業についても、まずは成分規制といったところから前向きに進めていただきたく、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 こどもまんなか社会の実現に向けて忘れてならないのが、働くお父さん、お母さんへのサポートです。急な発熱で子供を保育園に預けられないが、今日は仕事を休むのが難しい。そんな子育て中の共働き世帯、一人親世帯は、多かれ少なかれ誰しもこういった経験をしているのではないでしょうか。

 病気や回復期の乳幼児や児童を看護師や保育士がサポートする病児保育、これは保護者の仕事と子育ての両立を支援する上で、今や必要不可欠な存在となりつつあります。一方、自治体によっては、定員が非常に限られており、利用したいときに利用することができないといった指摘や、対象年齢についても、小学校に入学すると利用できない自治体もあると伺っております。

 もちろん、子供の看病のために保護者が仕事を休めれば一番いいのですが、やはり仕事の都合で難しい場合や、また非正規、一人親世帯の場合は収入に影響が大きいと考えます。

 そこで、質問いたします。

 小学校入学後、病児保育を利用できない自治体があることについて厚労省はどのように捉えているのでしょうか。また、現実問題として、小学校低学年の子供が病気で学校を休む場合、保護者の就労中に自宅で一人で過ごすことができるのでしょうか。見解をお聞かせください。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、仕事と家庭の両立のためにも、小学校入学後も病児保育事業を利用できることは大変重要であるというふうに考えております。

 このため、病児保育事業におきましては、利用の対象を、保育を必要とする乳児、幼児又は保護者の労働若しくは疾病その他の事由により学校において保育を受けることが困難となった小学校に就学している児童であって、疾病にかかっているものとしておりまして、小学校就学後の児童も対象に含まれることを自治体にお示しをしているところでございます。

 ただ一方で、発熱等により体調が変わりやすい保育園児を優先的に受け入れる等といった観点ですとか、あとは、小学生については、自治体独自に病児への支援を行っているケースがあること等から、実施主体である市区町村の判断によりまして、未就園児に限った受入れを行っている自治体もあると承知をしておりますが、我々としては、市区町村において地域の実情も踏まえ、小学校入学後の病児も含めた受皿の拡充を図っていただきたいというふうに考えているところでございます。

吉田(と)委員 ありがとうございます。

 病児保育が未就学児に限るものではなく、小学校入学後も使える制度設計だということは分かりました。ただ、御説明のように、各自治体ごとの判断でそうなっていないところもあります。たまたまそういう例に当たった保護者の方々というのは、別の施設なりを探さなければなりません。確かに都市部では病児保育施設も要件によって別の施設を利用することが可能かと思いますが、地方では病児保育施設が一つしかない、選びようがない、こういった実態が間々あります。

 これらに対しても厚労省が一定考慮いただいて、病児保育施設の運営は、現在、実際に利用した児童数に応じて補助単価が変動する仕組みで、受入れ体制を整えていても、当日キャンセルにより補助額が減少して、安定した運営ができないという課題があります。

 こういった厚労省の加算は、設定していただき大変評価はできると思いますが、病児保育事業を増やしていく方向であるというふうにお伺いをしております。是非それは進めていただきながら、地域性も考慮していただき、より柔軟な対応をお願いしたいと思います。

 病児保育の利用者負担については、各自治体ごとに決めており、無料もあれば、利用者に少し支払いを求めるものもあるとのことですが、低所得者に向けては、その負担を減らす措置を自治体が取っていただく。そして、国としては、その分の減免措置について補助金を増やし、低所得者向けの負担減措置を支援していただいていると承知をしていますが、今後更に、異次元の少子化対策、仕事と子育ての両立が可能な社会を目指す中で、是非、病児保育の利用料全般について、個人負担がないような形になるように補助を進めていただきたいと思います。

 また、保護者が望む病児保育の在り方、年齢別や形態も含めて、是非アンケートを取っていただくことが望ましいと考えます。それが病児保育の充実につながると思いますので、よろしくお願いいたします。

 では、続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 コロナ禍においては、保育の現場も感染対策の難しさや利用者の減少等に直面をしてきました。一方で、感染を過度に恐れる余り、保育園によっては独自のルールを設け、登園を制限するといったケースがあると伺っていました。病児保育の関係者からは、医師からは問題ないと言われているが、保育園に登園できないので病児保育を利用したいとの要望が増えていたとの指摘もございました。保育園として感染への不安も十分に理解はできますが、やみくもにリスクがあるから登園不可という対応が増えれば、保護者の方も困ってしまいます。

 五月の八日から五類相当へと変更となりましたけれども、このような保育園の対応はなくなると考えていいのでしょうか。病児保育を利用する際には一日当たり数千円の自己負担が発生する場合もあり、園独自の判断で登園を制限された場合には、その分のコストも利用者が負担しなければならなくなります。

 そこで、質問いたします。

 病児保育の定数にも限りがあることから、必要なときに必要な保育を受けられるように、保育園における登園基準の平準化、何らかの対応が必要と考えます。見解をお聞かせください。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 乳幼児が長時間にわたり集団で生活する保育所では、一人一人の子供の健康と安全の確保はもとより、集団全体の健康と安全を確保する必要があるということを踏まえ、感染症対策を適切に行うことが重要であります。

 こうしたことを踏まえまして、国におきましては、各保育所等が適切に感染症対策を行うことができるよう、保育所における感染症対策ガイドラインを策定し、周知しております。この中で、各感染症の種類に応じて罹患後の登園の目安を示しているところでございます。

 新型コロナウイルス感染症につきましても、五月八日から感染症法上の位置づけが五類感染症となったことに伴いまして、ガイドラインにおきまして、登園の目安は、学校の取扱いに準じて、発症した後五日を経過し、かつ、症状が軽快した後一日を経過することとしたところでございます。

 なお、病児保育における新型コロナウイルス感染症の感染者の受入れの可否につきましては、施設の整備状況や人的体制、さらに、既に利用している児童の状況、こういったものを踏まえて、自治体や医療機関など、病児保育を実施する施設において適切に判断いただきたいと考えております。

 各保育所等において、このガイドラインに基づき、適切な感染症対策を実施した上で必要な保育を提供し、子供たちの健やかな育ちが保障されるよう、今後とも周知徹底を図ってまいりたいと思います。

吉田(と)委員 今後、保育園の対応は統一され、このような問題は起こらないということが確認できました。これから更に女性、母親も働きやすい社会を実現していく、そして労働力確保の観点からも、この病児保育を利用する際の費用についても同じですが、コストが発生する施設もありますので、どの施設を利用してもコストがかからないように補助を出していくことも検討していただく必要があるのではないかと申し添えたいと思います。

 それでは、ちょっと少し質問が残りましたが、私の質問は以上で終わらせていただきます。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日もよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、順次質問の方をさせていただきたいと思いますけれども、今回、まず調剤薬局の調剤における外部委託の問題につきましてお尋ねの方をしていきたいと思います。

 政府の規制改革推進会議の方では、薬局の調剤業務を外部委託できるように提案されまして、規制緩和と効率化というものが述べられております。ちょっと昨日、厚労省の事務方の方から、どういう趣旨でこれをやられているんですかということでお伺いをさせていただいたんですけれども、業務を外部の業者に委託することで薬の調剤や在庫管理といった対物業務、これを効率化することによって、逆に薬局での飲み方などの説明をするといった対人業務、まさに物から人にシフトしていきたいんだ、そういったメリットがあるんだということでお話を伺いました。

 しかし、私の方が実際に薬局の現場の方から聞き取ることによりますと、外部委託をすることによって調剤を受けた方の薬局サイドの責任が本当にちゃんと取れるのかどうかという御心配、さらには、グループ等々で外部委託等をいろいろやれることになるかと思うんですけれども、ほかの例もあるかと思うんですけれども、一日お一人の薬剤師さんで四十枚の処方箋、これをやられるわけなんですけれども、つけ替えの問題も発生してくるんじゃないかということの御懸念ということが言われておりました。

 そういうところになるんですけれども、やはり最終的に一番心配しているのは、規制緩和をすることはすごく私は大事だと思うんですけれども、一方、大事なのがやはり患者の皆さんの体の安全、安心、これは欠かせないものだと思っております。まずは、この安全をしっかりと担保する、これをやらなければならないと思いますが、患者や現場の薬局、この御意見も含めて、調剤を外部委託することについて社会的な必要性が今本当に求められているのかどうかにつきまして、加藤大臣の方にお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 まさに少子高齢化の進展、他方で医療ニーズが増大するという中で、医療の担い手の確保が困難になることが予想されております。薬局薬剤師の皆さんは地域包括ケアの支えとして重要な役割を果たすためにも、対物業務をできるだけ効率化し、他方で対人業務を充実させることが大事だと考えております。

 こうした考えの下、日本薬剤師会、日本保険薬局協会、消費者団体などを構成員とする薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループを開催し、現場の実情なども踏まえつつ、対人業務の充実を含めた今後の薬剤師、薬局業務の在り方を検討していただき、昨年七月、取りまとめを公表いたしました。

 取りまとめでは、対人業務を更に充実させるためには、委員御指摘のように、医療安全が確保されることを前提として対物業務等の効率化を図ることが不可欠であるとし、調剤業務の一部外部委託はそのための一つの方策として提言されたところであります。

 調剤業務は、自動分包機器等の活用により負担やミスの削減が期待できますが、外部委託により、中小の薬局においても高価な機器を導入することなく高機能な調剤機器を効果的に運用できるというメリットもあると考えております。

 厚労省では、取りまとめに基づき、調剤業務の一部外部委託に必要な制度整備に向けて検討を更に深めていきたいと考えております。

池下委員 御説明いただきましたけれども、今、私、薬局に行きましても、いろいろな説明を受けますけれども、調剤するのにめちゃくちゃ待たされているよね、二、三日お薬待ってくださいね、そういうことは当然経験したこともございませんし、お薬がないということであれば後で配達とかしてくれたりとか、非常に丁寧に今指導をやっていただいているかなと思っております。

 厚労省としても、これまで、健康サポート薬局であったりとか、あとはかかりつけ薬局、薬剤師さん、そういうことをやったりとか、あとは薬大、四年制から六年制、この間もお話をさせていただきましたけれども、そういう専門的な知識というのをどんどんつけていただいて、対人業務をもちろんやっていただいているわけであります。当然、調剤業務もやっていただいているわけであります。

 そんな中で、業務を外部委託をすると、本当に町の薬局さんが単なるお薬販売人になってしまうんじゃないかなと、本当は専門性があるんですけれども。そういう懸念もちょっとしているところであるんですね。

 そこで、流れ作業的、今効率化を図っている今回の外部委託、一包化になるんですが、ということで、これまでの厚労省、お薬、やってきた取組とそごが発生してくるんじゃないかなと思うんですけれども、ちょっと、改めて大臣の方にお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 先ほど申し上げましたように、調剤業務の効率化を図るに当たっても、患者の医療安全が大事であることは当然であります。

 厚生労働科学研究において、調剤業務の外部委託の工程で生じると考えられる安全上のリスクへの対応など、患者の安全を確保しつつ、適切に委託を行うために必要な留意点等の検討を今行っているところでございます。

 また、患者のための薬局ビジョンにおいても、健康サポート薬局やかかりつけ薬剤師などを推進するためには、薬剤の調製などの対物中心の業務から、患者、住民との関わりの度合いの高い対人業務へとシフトを図ることが求められております。

 このため、対物業務の効率化により対人業務を充実させることを目的とするというのは、まさにこれまでもそういう形で進めさせていただきましたし、今回の調剤業務の一部外部委託もそうした目的であります。特段の、これまでの施策、方向性とはそごはないものと考えております。

 ただ、何度も申し上げ、御指摘もいただいておりますが、安全性の確保は当然優先されるべきであります。同時に、質の高い医療が提供されるよう、この問題も含め、薬局、薬剤師をめぐる問題についてしっかり取組をさせていただきたいと考えています。

池下委員 本当に効率化、大事だと思うということは冒頭申し上げましたけれども、経産省とかが、効率化ですよ、経済的にと言うことは分かりますけれども、やはり厚労省ですので、第一は患者さんの安全というところで、しっかりとやっていただきたいと思います。

 ちょっと時間がなくなりますので、この問題の最後、本田政務官の方にお伺いをさせていただきたいんですけれども、ワーキンググループの方で薬剤師関係の方々も入られているかなと思うんですけれども、やはり、私も、一部、いろいろなところで聞きますと、そうじゃないよねという声も聞こえてくるわけなんです。

 現在、ガイドラインを策定中ということなんですが、日本薬剤師会もこの制度を積極的に活用してやっていこうということで、全体的な理解と、あと、行動というのをしっかりとされていこうとされているのか、お伺いをしたいと思います。

本田大臣政務官 池下委員にお答え申し上げます。

 今、ワーキンググループの取りまとめに基づきガイドラインを作成しているところであります。その中には、日本薬剤師会や、先ほど大臣からもありましたけれども、日本保険薬局協会の方も入っていただいておりました。

 一番、町の中心になる地域のかかりつけ薬剤師、薬局、その方たちが、大小にかかわらず、外部委託により、高機能な調剤機器を導入せずとも運用可能となることで一部のメリットのことはお伝えをさせていただきましたけれども、何よりも、薬には効く部分と副反応というものがありますので、医療安全の確保を前提に、小規模薬局を含めた薬局、薬剤師が患者や住民にとって安心して相談できる身近な存在となり、地域包括ケアを提供する一員として必要な役割を果たしていただきたいというふうに考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 またこれからも経緯、注視させていただきたいので、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと時間なくなりますので、順番を変えさせていただきたいなと思うんですけれども、ちょっとお薬関係が続くんですが、緊急避妊薬のOTC化についてお伺いをしていきたいなという具合に思います。こちらの緊急避妊薬、現在、医師の処方箋が必要なんですが、これをOTC化することによって薬局でも販売できるようにするというものになります。

 このOTC化が求められているのは、DVであったりとか性犯罪、女性が望まぬ妊娠をしないようにということで、様々、多くの声が上がってきているところですけれども、こちらのお薬は性交後七十二時間以内に服用していくということで効果が出てくるということであります。もしこういう被害に遭ったとき、なかなか職場にも言えない、学校でも言えない、そしてお医者さんに行けない、タイミングを逃してしまう、そういう時間的なハードルであったりとか、若しくは、やはり心理的になかなかお医者さんに行けないよねということもあるかもしれません。そういう様々なハードルがある中で、せっかく今あるお薬でも、これでは、役に立ってこないとは言いませんけれども、難しいことになってきてしまいます。

 先日、五月十二日に評価検討協議会が開催されたということでありますけれども、この案件、六回目をやられたと聞き及んでいます。昨年の末から本年の一月に行われたパブリックコメントでも、四万五千三百十四件の御意見が集まりまして、そのうち約九七%ですか、こちらの方がOTC化、薬局販売の方でやっていただきたいという賛成の声が上がってきていたということで聞いております。

 今朝の報道でも、検討の会の場で、これだけ市販化の社会的要望が多い薬剤にもかかわらず、審議が際限なく長期化し、科学的な根拠に基づかない議論が繰り返されていることが問題とありました。

 現在の状況と、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討協議会での論点と、一部地域の試験的運用、なぜこれは一部なのかな、どこなのかなと思いましたけれども、意見があることにつきまして、加藤大臣の方にお伺いをしたいと思います。

加藤国務大臣 緊急避妊薬のスイッチOTC化については、そのニーズを踏まえ、令和三年六月より、医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議において、薬剤そのものの有効性や安全性に加え、薬局等における適正販売や適正使用が確保されるかなど、様々な視点から議論をいただいております。

 昨年末から本年一月末までの間に、それまでの議論を踏まえ、スイッチOTC化した場合の課題と対応策に関するパブリックコメントを実施し、今月十二日に開催した評価検討会議において、パブリックコメント結果を踏まえた議論を行っていただいたところであります。

 この十二日の評価検討会議では、年齢制限の要否、プライバシーの確保の在り方、薬剤師における対面販売、産婦人科医との連携の在り方などについて様々な意見が出されたほか、多くの課題について対応策を講じるには時間を要するため、まずは地域の一部薬局における試験的運用を通じてデータ、情報を収集、分析し、課題対応策を検討してはどうかという提案があったところであります。

 こうした議論を踏まえて、評価検討会議では、提案された試験的運用が実施可能なのか、また実施可能である場合にはどのようなスキームで実施すべきかなどの論点について、厚生労働省でまずは整理、検討し、そして同検討会議で引き続き議論を行っていただくこととしたところでございますので、今後ともスピード感を持って検討を進めていきたいと考えております。

池下委員 ただいま大臣は、スピード感を持ってということでお伺いしましたので、これも関係団体の皆さんからお声を、今日も出ていたのかなと思うんですけれども、緊急避妊薬のスイッチOTC化につきまして、市民団体さん、非常に関心が高いということなので、この審議の過程をユーチューブ等でライブ配信とかすることによりまして、まさに透明化していただきたいという声も今朝のニュースで上がっておりましたので、是非、御検討いただければなという形で思います。

 それでは、続きまして、違う案件にお話を移させていただきたいと思うんですけれども、次は、以前にも児童福祉法の改正のときに質問させていただきまして、児童の一時保護に関わる司法の関与についてお伺いをしていきたいと思います。

 児童虐待が発生した場合は、まず、疑わしきはしっかりと一時保護していくということにつきましては、私も当然やっていかなければならないということで思っております。

 しかし、実際には事故等であったり虐待の事実がないにもかかわらず、長期間子供たちを保護していくということは、子どもの権利条約にも反していくものかなということで考えております。

 そんな中で、一時保護に不服であると親権者が思った場合には、実際に不服申出をできるのは児相だけなわけですよね、一方、先ほどちょっと言い間違えましたけれども、親権者とか子供が不服である場合には、行政訴訟による司法審査を申し立てることはできるということは当然承知をさせていただいているんですが、これは前回の質疑の方でも質問させていただいたように、実際、時間がかかり過ぎてほとんど使われていないというのが現状であります。

 そこで、前回、いろいろな質疑をさせていただきましたけれども、その後、一時保護前の司法関与について、現在の検討状況についてお伺いを、こども家庭庁の参考人の方にお伺いしたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 先生からも御指摘ございました、昨年の児童福祉法改正で、この一時保護の適正性、手続透明性の確保の観点ということで、保護開始時に裁判官が審査する仕組みを導入をし、こちらにつきましては、令和七年六月までに施行することとしております。

 その施行に向けまして、児童相談所関係者、一時保護を経験された方、最高裁判所などの参加の下、今、一時保護時の司法審査に関する実務者作業チームを厚生労働省子ども家庭局時代より引き継ぎまして、現在、こども家庭庁においても開催をし、子供の意見、意向確認の方法、親権者の同意確認の方法、一時保護状請求書の様式などなど、具体的な運用方法の検討を進めているところでございます。

 今後、運用の詳細につきまして詰めていきました上で、最終的にはマニュアルの形で現場の児童相談所にお示しすることを目途といたしまして、精力的な検討を行っているところでございます。

池下委員 今、検討会をしていただいているというところでありまして、昨日も聞きましたけれども、その当事者の方々を入れていただいているということは一定評価をさせていただきたいなという具合に思っております。

 ただ、前回の児童福祉法の改正のときにも、これは附帯決議で入っているところです。私は、やはりこの附帯決議といいますのは、今、大臣いらっしゃいませんけれども、非常に重たいものだと思っておりますので、しっかり引き続きやっていただければなと思っております。

 そして、次に、これも以前の委員会で話をさせていただいたんですけれども、行政訴訟で親権者の請求が認められました、そして二か月以内に一時保護が解除されたケースはあったんですかという前回の質問を、当委員会でさせていただいたんですけれども、そういうケースは把握していないという回答でありました。

 児相は不服申立てができまして、一方、当事者である親権者や子供は、事実上不服申立てという道が閉ざされている、これは本当に公平な裁判の制度なのかなということで、非常に私は疑念と疑問を持っているところでありますけれども。

 つまり、一時保護開始決定から二か月間の間におきまして、保護に対して同意をしていない保護者、親権者にしっかりと意見を聞く機能が発揮されていないのではないかなと思っております。

 これまで対応してきた児童相談所、これの負担軽減、これも、保護するのも児相ですけれども、相談を聞くのも児相ですよということになりますので、親、親権者の相談業務を、第三者、都道府県の児童福祉審議会などの第三者機関を用いた一時保護の妥当性の審査、こういうものを検討していくべきかなと思うんですけれども、こども家庭庁、参考人の御意見をお伺いしたいと思います。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 児童福祉法に基づく一時保護につきましては、子供の安全を確保するということを目的として行われるものでございますが、一方で、御指摘のように、親子を一時的に分離させるという側面もございますので、その適正性の確保というのは、これは引き続き意を用いなければならない点だと思っております。

 その中で、御指摘のように、児童福祉審議会等において審査を行う仕組みでございますけれども、まさに今般の法改正で導入いたします司法審査、こちらの方も裁判官による第三者的な立場からの審査であるということも踏まえますと、それに加えて更に何か手続を設けるかどうかといった点については、慎重に考えなきゃいけないという面もあるのかなと思っております。

 こども家庭庁といたしましては、児童相談所から親権者に対し、その一時保護の理由等をできる限り丁寧に説明することなどを今後お示しするマニュアルに明記することでございますとか、裁判官の判断が親権者自身の考えも把握した上で行われるよう、親権者の方が自身の意見を記載した資料を作成し、児童相談所に提出できるようにすることなど、親権者の方にも配慮したような仕組みとなるように準備、検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

池下委員 ちょっと時間がなくなりましたので、もうこれで終わりますけれども、本当に実効性がない制度といいますか、本当に意味がないものだと思っております。先ほど慎重に検討しますというお答えでしたけれども、前向きに是非これは検討していただきたいなと思いますので、引き続き見ていきますので、よろしくお願いしたいと思います。

 時間になりましたので、これで終了します。ありがとうございました。

三ッ林委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 今日は、介護事業についてお伺いをしたいと思います。

 まず、外国人の人材についてです。

 介護現場の人材不足は深刻であり、大変大きな問題であります。二〇二五年には三十七万人が不足すると言われ続けてきまして、もう間もなくでありますが、その解消にめどがついていません。

 その一つの解消策として、外国人の雇用が行われてきました。独立行政法人医療福祉機構の三月末の調査では、特養ホームにおける外国人の人材の受入れは約半数以上に及んでおりまして、形態として最も多いのが技能実習四二・九、その次が特定技能一号四〇・七とあります。技能実習は、コロナ禍にかかわらず、この間、一〇ポイント以上増えているということであります。

 そんな中、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の中間報告が出されまして、現行の技能実習制度の廃止の方向が示されました。この廃止の中間報告についてどのように受け止めているか大臣に伺いたいと思いますし、また、介護現場は、今後の外国人の受入れの在り方をめぐって様々な今議論があり、また、一部心配の声も上がっています。現在の介護、高齢者施設の現状の認識とその対応も併せてお伺いできればと思います。

加藤国務大臣 五月十一日に、今お話があった中間報告書が提出をされました。今後の検討の方向性として、現行の技能実習制度は廃止して、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すること、新たな制度においては、人材育成に由来する転籍制限は残しつつも、労働者としての権利性をより高め、また、制度趣旨や外国人の保護を図る観点から、従来よりも制限を緩和する方向で検討することなどが示されており、大変重要な御提案をいただいたと受け止めているところでございます。

 有識者会議では、こうした検討の方向性に沿って、最終報告書の取りまとめに向けて議論されていくというふうに承知をしておりますが、厚労省としても、有識者会議での議論を踏まえながら、当方関係の部分についてしっかり検討を行っていきたいと考えております。

 また、介護分野について申し上げれば、将来、介護人材不足が見込まれる中で、必要な介護サービスを安心して受けられていくようにするためにも、その担い手の確保が喫緊の課題であります。

 介護人材の確保に総合的に取り組むべく、外国人介護人材の受入れ環境の整備についても、介護人材一般の総合的な取組に加えて、介護事業者向けには、外国人職員と円滑に働くための講習会への参加、外国人職員の生活支援、メンタルヘルスケア等にかかる経費の助成、外国人介護労働者向けには、介護業務の悩み等に関する相談支援などを実施をしたところでありますし、引き続き、様々な取組を通じて、外国人の方が安心して我が国に来て就労していただけるよう、外国人介護人材の確保に取り組んでいきたいと考えております。

 また、ゴールデンウィーク中を活用いたしまして、フィリピン、そしてベトナムなどにも行かせていただきました。その際には、先方の労働担当大臣、また、送り出し機関等も視察もさせていただきました。

 よくそれぞれの事情等も踏まえながら、送り出す国と受け入れる我々とがよく連携を取りながら、それぞれの地域から来た方が安心して働いていただける環境をつくるべく努力していきたいと考えています。

田中(健)委員 御丁寧にありがとうございました。

 今その中で、緩和という話がありましたが、働く場所を広げていくということも大切だと考えています。現在、外国人人材は、訪問介護などの訪問系サービスの従事が認められていません。訪問入浴介護や定期巡回・随時の対応サービス、有料老人ホームやサ高住、幅広い現場で外国人が働けていません。介護現場からは、住宅型有料老人ホームやサービスつき高齢者向け住宅など、保険事業と併設しているところが多いので、そういうところでは活用を検討してもいいんじゃないかという声も上がっています。

 当初、技能実習の介護における固有要件の中では、技能実習生の人権擁護や適切な在留管理の観点から、訪問系サービスは対象としないと定められていました。人権擁護は守られてきたか、これはなかなか難しい問題ではあるんですけれども、今でも、大きく変化する中で、その理由で認められていないという理解でいいのか。また、技能実習制度の廃止が提言された今、対象拡大を含めた外国人の働く環境の整備ということも大変大切ではないか、また、議論が必要になってくるのではないかと思いますが、見解を伺います。

加藤国務大臣 御指摘の訪問系サービスについては、利用者の居宅で介護職が一対一で介護するということで、御指摘のように、人権擁護や適切な在留管理の観点からの懸念が排除できないといった業務内容の特性を踏まえ、技能実習の在留資格では現在認められないという対応をしているところでございます。

 それ以外にも、外国人介護人材に関しては、様々な御意見を頂戴し、課題があることは承知をしております。そうした点も含め、外国人介護人材の業務の在り方については、先ほどの有識者会議からの中間報告書が提出されたところであり、介護現場の実情、関係団体等の御意見も伺いながら、また、今後取りまとめられる最終報告書も踏まえ、検討していきたいと考えております。

田中(健)委員 たしか入浴介護は一人でありますけれども、全てが一人で対応する事業だけではありませんので、是非、今、現場の実態を把握していただけるということですので、一日も早く解決していただきまして、一定の条件をつけてもいいと思うんですけれども、そういう工夫もしながら、人材確保、先ほども大臣からありました、それにつなげられるようにしていただきたいと思っています。

 といいますのも、中間報告の中で、技能実習の目的というのが、今までは、人材育成を通じた国際交流から、人材確保ということが掲げられました。これまで、どうしても人材育成と人材確保が実態が乖離をしているというか、実態と沿わずに様々な課題があったかと思っていますが、これが実質に合わせられてきます。そうしますと、キャリアパスの構築というものも同時にこの提案書では書かれているんですけれども、受け入れる側も、それを支援する体制づくりの強化が必要になってくると思っています。

 そういう意味では、有識者会議の中で、ヒアリングでも示された著しい人権侵害を生むような風土、これをいかに取り除いていくかということも大事になってくると思いますが、なかなか、最終報告が出なければ前に進めないという今のやり取りでありましたけれども、例えば、できることでは、介護保険法の中で利用者の尊厳保持というのは明記をされていますけれども、利用者だけでありまして、そこで働く従事者における尊厳、人権というものが明記をされておりません。今度は、外国の方、もちろん日本人も同じですが、働く側も人権や尊厳の保持ということが大切になってくるかとは思いますが、こういったものを明記して、前に進めていくというようなことは考えられませんでしょうか。

加藤国務大臣 有識者会議で実施した関連団体からのヒアリングにおいても、御指摘のような人権侵害等が課題として指摘をされたというふうにお聞きをしております。まさに、外国人にかかわらず、介護をされる皆さん方が、尊厳が守られ、そして安心して働き続けられる環境を整備していくということは非常に大事でありますし、また、そうしたことが、長く介護の現場で働いていただくことにもつながっていくと思います。

 介護職員などの労働条件については、労働基準法、労働安全衛生法などによって保護が図られ、また、職場のハラスメントについては、男女雇用機会均等法や労働施策総合推進法において、事業主に対して相談体制の整備等の雇用管理上の措置を講ずることが義務づけられるなど、これはすべからく労働者でありますから、当然、介護職員もそれの対象になることはまず大前提とした上で、介護保険法に基づく指定基準においても、事業者は職場において行われる性的な言動又は優越的な関係を背景とした言動であって業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより就業環境が害されることを防止するための方針を明確化する等の必要な措置を講じなければならないと、基準において定められており、さらに、介護の現場における利用者、家族等による暴力、ハラスメント対策として、対応マニュアル等を作成し、厚労省のホームページ等々で周知を図り、また、自治体が介護従事者などを対象として実施する研修などに対しては、財政的な支援も行わせていただいているところであります。

 このように、既に介護従事者の保護を図るための規定等が設けられていること、あるいは、対応を図ってきているところでありますので、介護保険法の改正というところまでの必要性はないというふうには考えておりますが、引き続き、介護従事者の尊厳が守られ、安心して働き続けられる環境が整備されるよう、今申し上げたような政策を含めて、取組をしっかりと行っていきたいと考えております。

田中(健)委員 実習生の廃止は、大きく私たちのこれからの労働環境が変わるきっかけにもなるかと思いますので、是非、技能実習生だけの話でなく、大臣からも話がありましたが、日本人も含めた現場従事者の尊厳に当たる問題でありますから、技能実習生が直面してきた様々な苦しみというのは、同じ、私たち全ての働く人の働きにくさにもつながっているというような認識を持って、今後、対応にまた臨んでほしいと思っています。

 引き続きまして、介護業界の、今度は賃金について伺います。

 介護サービスの事業者、専門者らで組織する十一の団体が、十六日、介護職の賃金上げに必要な施策を早急に講じるよう求める要望書を岸田総理に提出をしたばかりであります。過去にないほど厳しい現状だ、賃上げまで行う余裕もない、介護職は置き去りにされている、介護現場から人材の流出を招いているこの現状を見て、介護職も一般企業と同等の賃上げをすべきとして、来年度の介護報酬改定も含めた早急な対応を求めました。

 これまでも、私たちからも、また多くの委員からも、処遇改善の要望がたくさんありまして、処遇改善の支援補助金、またベースアップ等の支援加算などが実施されてきたところではありますが、それでも厳しい現状が続いています。

 現状をどう認識し、そして、この緊急的措置要望に応えていくのか、見解を伺います。

加藤国務大臣 介護事業者団体の皆さんが総理に要望されたことは承知をしております。

 介護サービスの担い手の確保を図るためにも、介護職員の処遇の改善は大変大事であり、現状、全産業平均に比べて給与が低い状況にありますので、現場で働く方々の給与を恒久的に三%引き上げるための措置など、累次の処遇改善は行ってきたところであります。

 結果として、介護職員と全産業平均の給与の差自体は縮小してきていると承知しておりますが、まずは、今般の処遇改善の措置が職員の給与にどのように反映されているかなどについて、令和六年度介護報酬改定に向けた議論の中で検証していきたいと思っております。

 また、公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえて、費用の使途の見える化を行いながら、介護の現場で働く方々の処遇改善、また業務の効率化、負担軽減、これらを併せて進めていきたいと考えております。

田中(健)委員 これは団体の調査ではございますけれども、令和五年の賃上げ率、介護事業者は一・四二ということで、春闘が三・六九でありましたから、やはり今言ったように、まだまだ大きな差があります。コロナは五類にはなりましたけれども、介護保険事業者は、一人でもコロナを出しちゃいけないと、高齢者の方が多い事業所ではございますから。そういった中で、大変厳格な感染対策にも努め、努力をしております。是非、大臣からもその差を何とか縮めなきゃならないという声がありましたので、質の高いサービスを提供できるような対策をお願いをしたいと思います。

 その中で、事業者の運営という意味では、先ほど小川委員からも指摘がありましたが、人材紹介の件についてもお聞きをさせていただきたいと思います。

 これは、様々なところで以前からも指摘をされてきたようであります。二月二十日の社会保障審議会でも、派遣などの費用が施設、事業者にとってどれくらいの負担になっているのか明らかにすべきではないか、また、派遣のコストが物すごく高くなっている、その部分を調査した方がいいと。また、翌週の二十七日の審議会の中でも、このような声が上がっています。

 国の審議会で多くの委員から、介護サービス事業者からの人材紹介や人材派遣に対する声が上がっていますが、どんなことが今起きているのか。介護事業者の人材紹介、人材派遣会社への支出に関して特に調査をしてくれという要望がこれまでされてきましたが、この取組についてお伺いをしたいと思います。

大西政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省におきましては、介護サービス施設、事業所の経営状況を把握するために、介護事業経営実態調査また介護事業経営概況調査を行っているところでございます。この調査におきまして、介護サービス事業所の支出の状況についての調査項目を設けておりまして、その中の一つの項目としまして、先生、人材派遣会社と人材紹介会社とおっしゃっていただきましたけれども、そのうち人材派遣会社の関係になりますけれども、派遣委託費等の金額につきましては聞いているところでございます。

 この派遣委託費の収入に対する割合はサービスごとに異なるわけでありますけれども、直近の令和四年度の介護事業経営概況調査によりますと、例えば介護老人福祉施設、特養でございますが、こちらで一・五%、訪問介護では〇・七%、通所介護では一・一%となっていたところでございます。

 他方、人材紹介に係る費用につきましては、先生御指摘のように、社会保障審議会介護給付費分科会や介護保険部会におきまして、複数の委員から、実態を把握すべきといった御意見がありましたことから、今後実施いたします令和五年度の介護事業経営実態調査におきまして、事業所ごとの金額、人材紹介手数料を把握することとしたところでございます。

田中(健)委員 是非、早く調査をしてほしいと思います。

 さきの医療福祉機構の調査、これは特養の調査ではありますけれども、実際、人材紹介会社への支払い、九九%の施設が高いと回答して、さらに、平均三百五十四万円という調査が出ています。一施設当たりのサービスの活動収益の一%を手数料だけで占めるというような状況であります。

 この人材紹介や人材派遣会社について、この問題を解消するために取り得る対策というのは今考えていらっしゃるんでしょうか。伺います。

田中政府参考人 お答えいたします。

 介護分野において人手不足が進展していることを背景に、介護事業所における人材確保に当たって、紹介手数料が高まる、あるいは定着率が低くなるなどに関する問題を指摘する声があることは承知しております。

 厚労省としては、様々なニーズや事情がある中におきまして、求人者、求職者、双方に対し、多様なサービスの中から適切な選択ができる環境を整備することが重要と考えております。

 このため、これまで、民間職業紹介の紹介手数料等の情報開示を進める、優良な事業者認定制度を運用する、各都道府県労働局に医療、介護、保育求人者向けの特別な相談窓口を設置する、また、無料の職業紹介を行っておりますハローワークにおいて人材確保対策コーナーを拡充し、求人者に対するアドバイスなどを充実する、こうした取組を行っております。

 引き続き、労働市場で民間の職業紹介事業者とハローワークが適切に役割を果たすことで、人手不足の業界、介護業界を含めて、人材ニーズが適切に満たされるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

田中(健)委員 ニーズや事情があるということで濁されてしまうんですけれども、また、適切に適切にと言うんですが、適切にされなかったからこそ、今、こういう状況があるんではないでしょうか。

 特に、ほかの人材派遣や紹介とは違いまして、医療、介護は、やはり、税金や保険料による介護保険財源ないしは介護報酬、そういったものの税金が大きな原資であります。人材紹介会社の手数料として使われているというのは、やはり見過ごせない状況であります。本来なら、それだけのお金があれば、先ほど来議論した処遇改善に使いたいという事業者は多いんじゃないかと思います。四百万、五百万、一千万が手数料に全部取られてしまっているわけですから。

 そういった意味では、五月十一日、財政制度審議会の中で、しっかり具体的な対策というのが必要ではないかということが提言されています。述べさせてもらうと、就職お祝い金の現行規制、これはあるんですが、徹底すべきだと。まだ行われているという現状があります。適切な手数料水準も設定すべきだ、一般の人材紹介よりも厳しい対応の必要性だ、規制強化をすべきといった提言がありまして、このどれもが私はもっともだと思いますし、こういった具体的な対策が今こそ求められているんじゃないかと思いますが、見解はいかがでしょうか。

田中政府参考人 お答えいたします。

 民間の人材ビジネス、特に今御指摘の職業紹介事業については、有料職業紹介については、特に過去において原則禁止という時代がございましたけれども、これについては、国際条約の改定もあり、我が国としては、原則としてその事業を認める方向で、一九九九年以来、法改正をし、進めてきております。

 その中で、どのような形で職業紹介事業者の適正運営を確保するかということについては、自由な市場競争を確保するという視点と、市場原理の中でなかなかうまく構造的に対応できない部分というものを慎重に見極めながら、対応の在り方を検討する必要があります。

 特に、紹介料といういわばサービスそのものの値段をどう決めるかということについては、これは営業の自由とかそういったものと、それから労働者などの保護の観点、こういったものがどうしてもぶつかる部分がありますので、そういった部分を慎重に検討しながらこれまでもやってきましたし、今後もそういう形でしっかりと対応していきたいと考えております。

田中(健)委員 時間になりましたので最後にします。

 自由な市場経済、それが行き過ぎたかもしれません。しっかり、現状を先ほど調査すると言っていただきましたので、把握した上で対応をしっかり取らないと、介護事業者はそれによって経営が成り立たないとか、これから倒産が相次ぐようなことがあってはならないと思っておりますので、是非とも対応をお願いして、質問を終わります。

 以上です。

三ッ林委員長 次に、宮本徹君。

宮本(徹)委員 日本共産党の宮本徹です。

 くしくも、小川さん、田中さんに続きまして、私も有料職業紹介についてお伺いしたいと思います。私も何度もこの問題を取り上げてまいりました。

 最近、こういう相談があったんですね。適正認定された事業者から紹介された保育士さんが、四月一日から勤め始め、四月八日に離職した。この人材紹介会社は、七日以内の退職なら手数料は一〇%、八日目以上なら五〇%支払う規定になっており、八日目の離職だということで手数料の五〇%を請求された。労働者と事業者が結託して食い物にしているんじゃないか、こういう疑念を持っているというお話でございました。果たして、これが適正認定していいような事業者なのかという疑問の声が上がっております。

 そして、内閣府の規制改革推進会議の医療・介護・感染症対策ワーキンググループが、四月十四日に人材紹介会社の問題について議論をしております。

 資料の四ページ目につけておりますけれども、そこで内閣府が様々提案しているんですけれども、適正な紹介事業者を選択できるための認定基準の見直し、採用後一定期間内、例えば六か月以内に離職した場合に手数料の返戻を行うことを認定基準に組み込むなどが必要ではないかということとされているわけですね。

 大臣、直ちにこうした改善は必要じゃありませんか。

加藤国務大臣 その場においてもお答えをさせていただきましたけれども、認定制度の更なる改善を図るため、早期離職の場合の紹介手数料の返還、返戻に関する事項を含め、認定基準の見直し等について検討していきたいと考えております。

宮本(徹)委員 直ちにやっていただきたいと思います。

 その上で、有料職業紹介について、この間、介護職や保育士さんの手数料が上がってきていると現場から声が上がっております。ちょっと数字を紹介していただけますか。

田中政府参考人 有料職業紹介事業者に対しましては、毎年、四月三十日までに前年度分の職業紹介事業の状況の報告を求めております。

 その事業報告を基に、御指摘の、常用就職一件当たりの手数料という形で算出いたしますと、経年的に、五年前と、それから最大で比較可能なデータが存在する七年前、それから直近の令和三年というのを比べてみますと、まず、介護サービスの職業については、七年前の平成二十六年度が二十五万円、五年前の平成二十八年度が十九万円、令和三年度が四十二万円ということでございます。それから、保育士に関しましては、七年前の平成二十六年度が三十四万円、五年前の平成二十八年度が二十四万円、それから令和三年度が五十四万円という形の数字となっております。

宮本(徹)委員 ここに来て、ぐっと上がっているわけですよね。

 介護職でいえば、五年前、七年前は十九万、二十五万だったのが四十二万円。保育士さんでいえば、二十万円台、三十万円台だったのが、今、五十四万円だと。これは令和三年度ですから、更に上がっている可能性があるわけですよ。これは本当に経営も圧迫する事態になっていますし、先ほど来お話がありますように、本来、賃金に回すべきものが回らないという事態になっているわけでございます。

 規制改革推進会議のワーキンググループに、業界団体の皆様が、様々資料を出しております。こういう声も出ているんですね。紹介手数料の原資となっている介護報酬が下がっている現状で、紹介手数料を支出しながら介護人材の処遇改善は限界に来ているなどなど、医療、介護、保育の分野で、人材紹介手数料に事業者が苦しむ状況が記されております。

 大臣、御覧になられて、どう受け止められているでしょうか。

加藤国務大臣 手数料のお話がありました。

 一部の事業者で負担感があるという話も承知をしておりますけれども、常用就職一件当たりの手数料という数字だけで見ますと、全職種平均額が約八十四・五万円であるところ、例えば介護では約四十二万円、こうした水準になっているというのはあるんだろうと思います。

 厚労省としては、様々なニーズや事情がある中において、求人者、求職者双方に対し、多様なサービスの中から選択できる環境を整備することが重要と考え、紹介手数料等の情報開示、優良な事業者認定制度の運用、こういった取組も進めてまいりました。

 その上で、紹介手数料の水準について、労働市場の需給に応じて変動し又は求人の内容に応じて様々であるところ、特定の分野の紹介手数料に一律の上限規制を設けると、その結果として、その分野を取り扱う紹介事業者間の人材の供給に支障が生じかねないといった懸念もあるものと考えております。

 ただ一方で、求人者、求職者が多様なサービスの中から選択できる環境を整備するということは必要でありますので、手数料に関して、規制改革会議においても、都道府県ごとに、職種ごとに、国が手数料の平均値、下限値等を公表してはどうかといった提案もなされているところでありますので、そうしたことも踏まえて、更なる取組について検討を進めていきたいと考えています。

宮本(徹)委員 先ほど、手数料が全産業よりも低いじゃないかという大臣の答弁がありましたけれども、これは基本的に、年収に対して何%でやっていますから、介護や保育の人材の処遇が低いから、一件当たりの手数料も、そういう全産業に比べて低くなっているという話であって、お医者さんなんかは物すごい大きな額、あるいはエンジニアなんかも物すごい大きな額で手数料が出ているわけですから、何%ということでいえば、本当に同じように取られているわけですよね。

 しかも、民間の会社と違って、介護も医療も保育も、全部、税金と保険料で、公定価格でしか来ないですから、手数料が増えれば増えるほど、経営は本当に深刻な事態になるわけですよ。

 それで、先ほど大臣からは、一律の手数料の基準を設けると、その分野での人材の供給が心配だというお話がありましたけれども、元々ハローワークがやっていたわけですよ。別にハローワークがやっていた頃に、人材の供給が心配だなんてことは起きていないですよ。別に、そこで人材紹介会社が撤退したら、ハローワークがしっかりやればいいだけの話なんですよね。

 これは今日、各委員からもお話が出ていますけれども、例えば一割とかこういう水準で、過去は、自由化する前は一〇・一%という数字もあったわけですから、上限規制をしっかりこの分野については設けるべきだと思いますが、いかがですか。

加藤国務大臣 基本的にさっきと同じことでありますので、まさにそれぞれ、民間民間の中で水準が決められていくということなんだと思いますが、ただ、それが適切に進められるためにも様々な情報の開示がなされなければならないということで、更なる情報を提供する中で、適正な水準といったものの中でそれぞれが判断していただくという環境をつくっていくことが必要だということと、一方で、ハローワークにおいては、先ほどから申し上げておりますように、こうした分野における職業の相談というんでしょうか、あっせんというんでしょうか、そういったものに対してもしっかり取り組んでいかなきゃならないと思っております。

 それから、もう一つあるのは、やはりそれぞれの事業者において、引き続き長期において雇用が継続されていくということが、結果的に見れば、そうした費用が発生せずに事業を経営し、そして、逆を言えば、その分が働く方の処遇改善にもつながっていくということだと思いますので、そういった意味で、引き続き、それぞれの事業所において、希望すれば長期に働いていただける、こういった環境もつくっていくということが大事だというふうに考えています。

宮本(徹)委員 私は、初めの大臣の答弁に対して、一律の手数料を一部の分野だけ決めたら人材の供給の点で懸念があると言うから、いや、そんなことは起きないでしょうということを申し上げたわけですよ。それはそうですよね。医療、介護、保育について、手数料を上限規制を設けたからといって、それによって就職したい人の人数が減るということはないんじゃないですか。ハローワークがちゃんと受け止めて、あるいは看護協会だとかいろいろなところが受け止めてやればいいだけの話じゃありませんか。

加藤国務大臣 もちろん、ハローワークがしっかりやっていくということは、先ほど申し上げたところであります。

 ただ、就職される方が、必ずしも、例えば介護に就職されるというわけではなくて、別に介護の現場じゃなくても、違うところという選択というのもあり得る。実際、介護で働いている方が違う分野に行かれる、違う分野の方が介護に入っていかれる、そういう出入りもあるということを考えて先ほどのことを申し上げたわけで、今委員おっしゃるように、一つの固定化した市場だけを考えればそうかもしれませんが、そこから出たり入ったりするということを考えたときに、そこにそうした紹介業者の動きが、それだったら介護じゃなくてこっちへ行ってよ、そうした対応を取ることが、結果として、当該介護市場における労働者の市場から外に流出してしまうことを誘引するおそれもあるのではないかということを申し上げたわけであります。

宮本(徹)委員 私は、そういうおそれは全くないと思いますよ。それは本当に大臣の推測みたいな話で、それを裏づけるようなデータがあるんだったら是非出していただきたいと思います。

 その上で、もう一点お伺いしたいんですけれども、適正な認定事業者なんですけれども、適正な認定事業者に認定する基準というのは、手数料が高い低いは関係ないんですよね。手数料を公表すればいい、いろいろなものを公表すればいいという話になっていまして、決して手数料は低いわけじゃないんですね。

 手数料の平均というのは、どのぐらいなんですか、この事業者の皆さんは。

田中政府参考人 現在、介護職種に関する職業紹介事業者の手数料等については、それぞれホームページ等において、実際の手数料、それからサービス内容等を公表していただいているところでございます。

 ただ、この中に手数料の水準というものも記載されているわけですけれども、この公表情報について、厚生労働省が手数料等の一定割合以上はどれぐらいかというようなことを、一定の割合を示して整理して表明した場合には、この基準となった数値に何らかの意味合いを生じてしまう、先ほど少し申し上げましたけれども、職業紹介事業の業界の、手数料の決定に関する市場原理をゆがめてしまいかねないというふうに考えておりまして、そういう数字は出しておりません。

 機械的に計算すれば出ますけれども、厚生労働省として申し上げることは差し控えさせていただきたいということでございます。

宮本(徹)委員 それは全く理解ができない答弁ですね。認定している事業者の手数料の平均は幾らかと言ったら、それを公表したら市場に影響を与えるというのも本当によく分からないですね。

 私も取りあえず事務所でそれぞれ一覧表を作って出しましたけれども、大体二五から三〇パーとか、二〇から三五パーとか、三〇パーとか、中には五〇パーというところもありますね、今のは介護の話ですけれども。介護の認定事業者が二十一あるうち、高いところは、三〇%以上となっているところは十三あるわけですね。六割ぐらいがそうなっているわけです。保育も同じような状況なんですね。一方で、一〇%未満だとかというところはないですよ。

 その一方で、私、今日お配りしております資料の一ページ目を見ていただければ分かりますけれども、有料職業紹介活用の実態というところで、これは民間の団体のアンケート調査ですけれども、手数料水準が年収の一割未満のところ、これは一割ぐらいはあるわけですよね。実はもっと低いところがあるのに、そういう低いところじゃないところが、適正認定事業者として適正だというふうに紹介されているという実態があるんですね。

 これは、せめて、適正な認定事業者については、紹介手数料の水準については、年収の一割程度だとか、そういうのをしっかり決めていくべきなんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかが思いますか。

田中政府参考人 繰り返しの答弁になりますけれども、職業紹介の手数料というものは、職業紹介サービスの対価として両当事者によって決定されているものですから、それについて一定の水準を示したり制限を加えたりすることは非常に慎重に考えないといけないというふうに思っております。

 その前の段階として、やはりそういった値決めというものがきちっと行われるための情報が公平に両当事者に行き渡るように、国としても努力しないといけない部分もあるというふうに思いますので、そういった内容の取組を今後しっかりと強めていきたい。いわば、手数料の見える化といったアプローチで対応していくべきではないかと考えております。

宮本(徹)委員 見える化といったって、これは調べるのも大変なんですよね。それぞれのホームページから、適正な事業者の数を、物すごい一部しか、限られていますけれども、その手数料水準がどこに出ているのかという別に一覧表がどこかにあるわけでもないですし。全然見えないですよ。よほどの人が、一生懸命、一生懸命、それぞれの一社一社がどこに出ているのかなというのを調べない限り、全然見える化もやっていないですよ。

 本当に、私、やはりこの業界を自由化したこと自体が大きな間違いだと思いますよ。介護、医療、保育というのは、税金と保険料でやっているわけですから、ここはやはりちゃんと公的に、しっかり規制が及ぶ分野にすべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。

 あと、時間が少なくなってまいりましたので、もう一点、ちょっと違う問題について質問させていただきます。

 資料の最後のページを御覧いただきたいと思います。ハーバード大学の研究チームが先日発表しましたPFASに関する論文なんですね。

 泡消火剤が使われた米軍のケープコッド基地の消防訓練区域の汚染状況を基に解析したところ、前駆物質が微生物の活動で長期間かけて化学変化して、アメリカで法的規制の対象として検討中のPFAS六種類のうち、PFHxSやPFBSの地下水濃度を引き上げることが分かったということなんですね。そして、この研究チームは、泡消火剤による汚染物質の多くが、通気帯、土壌の隙間が水で満たされていない領域、ここに保持されると指摘しております。この通気帯の浄化ができなければ、下流域の地下水汚染が数世紀にわたり続く、こう警告しているわけですね。

 日本でも、沖縄や、あるいは横田基地など米軍基地の周辺あるいは下流域の地下水でも高濃度のPFASが確認をされております。

 大臣にお伺いしたいと思いますけれども、水道を所管する大臣として、通気帯が浄化できなければ地下水のPFASの汚染が数世紀にわたって続くという研究を、どう受け止めるのか。米軍基地への立入検査を含めて、汚染源の確認、除去のために真剣に取り組む必要があると思いますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 PFAS、PFOSあるいはPFOAをめぐる問題については、この委員会でも度々取り上げられておりますし、地域の皆さんからも不安の声が上がっていることは承知をしております。

 政府としてもこれまで様々な取組をしておりまして、汚染の未然防止の観点から、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づき、PFOSとPFOAを第一種特定化学物質に指定し、製造、輸入、使用の原則禁止をする。汚染の拡散防止の観点から、自衛隊や消防機関等が保有しているPFOS等を含有する泡消火剤については、非含有のものへの交換を進める。あるいは、人体への暴露を低減する観点から、令和二年四月以降、PFOSとPFOAを水道水の水質基準体系における水質管理目標設定項目に位置づけ、合算値で五十ナノグラム・パー・リットル以下という目標値を設定をして運用しているところでございます。

 厚労省として、米軍基地への立入調査云々について申し上げる立場にはありませんが、汚染源の把握に資するものとして、環境省では、全国の河川等におけるPFOSの存在状況を把握するための調査も行っているところでございますし、さらに、科学的根拠に基づいたPFOSに対する総合的な対応を検討するとともに、国民への分かりやすい情報を発信することを目的に、本年一月、PFASに対する総合戦略検討専門家会議も設置されたものと承知をしております。厚労省でも本年一月に、環境省の会議と合同で水質基準逐次改正検討会を開催し、PFOSとPFOAの取扱いについて検討を行ったところであります。

 今後も、引き続き、毒性評価等に関する国内外の科学的知見の収集、我が国の水道水における検出状況等の把握に努めつつ、専門家の御意見も伺いながら、更に検討を進めていきたいと考えているところでございます。

 さらに、内閣府の食品安全委員会では、本年二月にワーキンググループを設置し、PFASを摂取することによる健康への被害について、科学的な評価を進めているところであり、この評価の結果が得られ次第、速やかに水質基準逐次改正検討会での検討にも反映していきたいと考えております。

 こうした形で、政府としても、この問題に対しては取組を進めているところでございます。

宮本(徹)委員 厚労大臣として米軍基地への立入検査についてはコメントできないようなことをおっしゃっていましたけれども、汚染源を確認して除去しないと、ずっと汚染が続く。地下水の汚染が続いたら、東京の多摩地域の水道には地下水が入っております。もちろん地下水のうちのPFASの濃度が濃いところは止めておりますけれども、それ以外のところからは、地下水はまだ今でも使っているわけですよね。そうすると、当然、その水道を通じて人体への影響が出かねないということがあるわけですよ。

 水道行政は今度移管するということになっていますけれども、現時点では司令塔は厚労省なわけですから、加藤大臣が水道行政の司令塔なんですから、そこは、汚染源もちゃんと対応しなきゃいけないんだという立場に立ってもらわないと、米軍基地への立入検査がほとんどできない状況で、東京の横田基地でいえば、汚染源の確認もできなければ汚染源の除去もできないという状況が続いているわけですよ。

 何世紀も先まで影響を及ぼすという研究がここまで出てきている以上、ここは、政府として、そして水道行政を所管する厚労大臣として、しっかり責任を持った対策を取っていただきたいということを申し上げまして、質問を終わります。

三ッ林委員長 次に、仁木博文君。

仁木委員 有志の会の仁木博文です。今日もよろしくお願いします。

 通告と順番を変えて質問したいと思います。

 まず、厚生労働大臣、医薬品、医療の現場でなくてはならないものでございますけれども、大臣は、この医薬品の、例えば日本の世界での立ち位置、ヨーロッパやアメリカ、そして、そういう日本を含めた三大創薬地とされていた今のポジションが揺るがされています。そういう今の現状、特に、製薬メーカーを主とした業界ですけれども、今までのように、私も、この委員会でも数多く質問してまいりましたけれども、やはり創薬を十分なしていく力が衰えているように思います。そういう中で、やはりメーカーがしっかりとした適正な回収を、資源回収を、投資した回収を行う場である医療の現場の価格に影響する薬価、来年はトリプル改定を控えております。

 大臣、今のこの業界の、厚生労働大臣として、そして、今までそういう創薬について、場合によったら、私と同じように、世界の中でもそういった、健康で日本が外貨を稼ぐ、そういう経済的な面も担っている製薬業界という立場に造詣の深い大臣というお立場で、特にそういう御経験のある中で、今の現状と来年の同時改定に向けてのお気持ちというか御感想をいただきたいと思います。

加藤国務大臣 製薬業界の皆さんにおいては、国民に安全な、そして、より有効な薬を、できるだけスピーディーにお届けいただくという役割を担っていただき、また一方で、イノベーティブな投資等を展開することによって、我が国の、その分野のみならず全体の経済成長を引っ張っていただく、こういったことも強く期待をされているわけであります。

 他方で、現状については、一つは、いわゆるドラッグラグ、ドラッグロスと言われた状況が、むしろ、ここ数年見ていると悪化しているということが言えると思います。それから、世界における日本の製薬企業発の品目のシェアが減少し、国際競争力も低下しているという課題もあります。更に言うと、ジェネリックを始めとした安定供給における課題等もございます。

 そうしたことに対して、医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会を立ち上げて、薬事、薬価制度の在り方、創薬力強化を含む様々な問題について議論をしていただいているところでございますので、この議論も踏まえて、今お話があった年末における薬価改定を含む診療報酬改定、こういったことにも取り組んでいきたいと考えております。

仁木委員 是非とも、大臣の発言、今おっしゃったことが具体的に形になるような診療報酬改定であってほしいと思います。

 次に、大臣、ちょっと質問が続きますが、がらっと質問を変えますけれども、大臣、平均的に最近、睡眠、何時間お取りでしょうか。

加藤国務大臣 六時間ぐらいは取っていると思いますけれども。

仁木委員 今、大臣、六時間は取っているとおっしゃいましたが、私が今日配付しました資料を御覧になっていただきたいんですが、我が国の国民の平均睡眠時間というのは、世界の中でも、特にOECD諸国では最下位に近いぐらい短い、そういう国民になっています。

 大臣、国民の健康を担当する、所管する大臣として、睡眠と健康、例えば、具体的に言うと、睡眠不足だと、寝不足だと翌日は確実に血圧が上がります。こういったことが続きますと、例えば耐糖能異常であったり、あるいは免疫力が落ちたり、あるいは、ちょっと話はそれますが、やる気というか、例えば性欲とか性機能も落ちたりします。こういったことが非常に社会的にもインパクトがあるんじゃないかという指摘を、今日、順番にしていきたいと思います。

 その中で、まず、子供の睡眠について質問したいと思います。

 寝る子はよく育つといいますが、実は、睡眠不足が続く、特に昼夜逆転が、子供の特に二次性徴の前に起こったりしますと、早く二次性徴が起こったりして、その段階では、ほかの生徒よりも、ほかの子供よりも背が高くなるんですけれども、骨端線が閉じますので、ある程度年齢を重ねてみると、結果的に身長が伸びていないというふうな、いわゆる性ホルモンと軟骨等々を始めとした骨端線への影響があります。そういうことでいうと、やはり寝る子は育つという言葉は、医学的にも根拠があるわけでございます。

 今日、文科省の人そしてこども家庭庁の政府参考人をお呼びしていますけれども、こういった子供の健康、特に睡眠との関係を、教師を中心とした子供に対峙する人たちに啓発していって、それを何らかの形で、子供の授業の中、あるいは子供に向き合う中でフィードバックしていくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

安彦政府参考人 お答え申し上げます。

 小中高等学校におきまして、学習指導要領に基づきまして、発達の段階に応じて、体育科また保健体育科を始め学校教育活動全体を通じて健康教育が行われております。

 健康における睡眠の必要性に関しましては、例えば、小学校では、毎日を健康に過ごすには、運動、食事、休養及び睡眠の調和の取れた生活を続けることが必要であること、また、中学校では、生活習慣病などは、運動不足、食事の量や質の偏り、休養や睡眠の不足などの生活習慣の乱れが主な要因となって起こること、また、生活習慣病の多くは、適切な運動、食事、休養及び睡眠の調和の取れた生活を実践することによって予防できることなどについて指導されているところでございます。

 文部科学省におきましては、こういった指導の参考となるよう、指導案の例などを掲載しました指導参考資料を作成、周知しておりまして、教員がこうした資料を参考に睡眠の重要性を理解した上で児童生徒に対して指導できるよう、引き続き努めてまいりたいと考えております。

黒瀬政府参考人 こども家庭庁の方からお答えを申し上げます。

 子供の心身の健やかな発達のために、睡眠は非常に重要であるというふうに考えております。

 このため、厚労省時代でございますけれども、厚生労働科学研究といたしまして実施をした、未就学児の睡眠と情報通信機器使用に関する研究におきまして、未就学児の睡眠指針を取りまとめるとともに、それを保護者向けに分かりやすく解説したQアンドAの冊子を作成をいたしまして、例えば、生活習慣や光と睡眠の関係を含む子供の睡眠に関する基礎知識ですとか、子供のよりよい睡眠のためのポイント等をお示しをしておりまして、こども家庭庁のホームページなどで周知を行っております。

 また、本年四月からの母子健康手帳の様式におきまして、子供と保護者の睡眠に関する記録欄というのを新たに設けたところでございまして、保護者や保健医療関係者が子供の睡眠に注意する機会となることを考えております。

 こうした取組を通じまして、引き続き睡眠の重要性についてしっかりと普及啓発を行ってまいります。

仁木委員 これからの人生の中で、大臣も六時間という数字をおっしゃいましたが、四分の一以上は寝ているわけでございまして、大切な睡眠が、しかも健康、そしてそれ以降の社会に出ての労働環境にも影響するということでございますので、大切なことだと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと、配付しました資料の裏面に、これは最近の記事でして三月四日の朝日新聞の記事ですけれども、日本の女性、これは世界的に見ると、この新聞の記事の裏面の資料のように、海外では男性より女性の方が睡眠時間が長いんですけれども、日本におきましては女性の方が二十分ぐらい男性より睡眠時間が短い。世界的な統計で見るとちょっと違った形になっております。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、このことの原因、朝日新聞においては、いろいろな家事であるとか、いろいろ、日本のこれまでの家庭的な価値観とか、そういうふうなものが原因ではないかと思われていますけれども、大臣、このことに関してはどういうふうに分析されますか。

加藤国務大臣 二〇二一年のOECDのデータによりますと、日本人女性の平均睡眠時間は七時間十五分、OECD諸国の中で最も低い状況ということであります。

 国民健康・栄養調査によりますと、三十代、四十代の睡眠の確保の妨げとなっている原因としては、女性では家事や育児を答えた人が多い一方で、男性では仕事と答え、家事や育児と答えた人は数%ということでございます。

 こうした調査を踏まえますと、家事、育児が女性の睡眠時間の短さの要因になっている可能性はあると考えております。しかし、日本人男性の平均睡眠時間も七時間二十八分、そう女性と変わるわけではありませんし、OECD諸国の中で最も低い状況にありまして、仕事がその短さ、ある意味では長時間労働がそうしたことにつながっているというふうに考えるところでございます。

 そういった意味において、まず働き方改革をしっかり進めていくということ、あわせて、育児、家事に対して男性も主体的に関わっていく、こういったこと、まさに共働き、共育ちというんでしょうかね、そういったことを実践していくことが必要だというふうに考えています。

仁木委員 私も、この新聞記事のイラストにあるような、自分の例えば家庭で、妻も働いて、家事、子育てもやってもらっています。ですから、こういう状況で、本当は私の方が家事ももっとシェアしなきゃいけないんですけれども、自分の生い立ちを考えると、学校教育において、家庭科とか等々、やはりそういったことももう少しやるべきで、食事とかもできるような、そういう男性であるべきだったという反省もありますが、こういった家庭の問題になかなか入っていきにくいというのもあると思います。ただ、実態として、今、岸田政権においても異次元の少子化対策と言っていますけれども、こういったことも原因だと、私は、あるいは対策を講じていかなければいけないと思っております。

 というのは、データもあります。第一子が例えば生まれたときに、子育て、家事等、そういったものを夫が、つまり男性が手伝う家庭ほど第二子、第三子につながっておるというデータもありますから、やはり、このことを踏まえた上での対策というものも重要ですし、大臣も次の質問に関わることをおっしゃっていただきましたけれども、働き方改革。やはりこれも、睡眠不足でうつが増える、そういったことも原因だというふうに思っております。ですから、睡眠で例えばうつになったり、あるいはうつになって睡眠不足になるということもあります。

 大臣、光療法といいまして、例えば、太陽光であるとか強い光線を浴びて体内のホルモンを調整して、それで良眠をもたらすとか、あるいは免疫力を高めるとか、そういうことがあります。

 そこで、今、労働安全衛生法に基づいて職場においてもメンタルヘルスを意識したストレスチェックテスト等々ありますけれども、私が冒頭に大臣に睡眠時間を幾ら取っていますかとお聞きしましたが、例えば、職場における事業管理者あるいは上司等が従業員に対して睡眠に対してのアンケート的なことも聞くような、それで、従業員のメンタルヘルスというかヘルスを管理というか把握するということも、ある種、私はこれから重要だというふうに考えますが、大臣、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 今の時点でどういうことを具体的にしているかというのはちょっと今手元に資料がないので分かりませんけれども、いずれにしても、長時間労働をすれば、結果的に家に帰って寝る時間が短くなるわけでありますし、当然、家事、育児に携わることもなかなか難しくなっていくというふうに思いますので、そういった意味では、職場のチェック以前の問題として、まずは、長時間労働の是正、働き方改革、それにしっかりと取り組んでいただければと思っておりますし、もしその関係で必要があれば事務局から答弁させます。

鈴木政府参考人 それでは、私は、労働安全衛生法上の現行の取組について御説明申し上げます。

 長時間労働で疲労蓄積がある方やストレスチェックによって高ストレスとして選定された方につきましては、労働者本人から申出があった場合には、その方に対する医師による面接指導を事業者に義務づけているところでございます。そして、医師の面接指導のマニュアルにおきましては、睡眠時間や睡眠の質について確認することを推奨しているところでございます。

 また、働く人のメンタルヘルスに関します総合的な情報提供を行うポータルサイトにおきましても、良質な睡眠を確保することの重要性について周知を行っているところでございます。

仁木委員 いずれにしましても、国民がより睡眠を取るということは、健康に寄与するのみならず、最後の段階で聞きました、職場、いわゆる、よく働き方改革のときに、就労時間を短くして、それで効率性をいかに上げていくかという議論があったと思いますけれども、やはり、良眠、睡眠をしっかり取って、それでそれぞれの仕事に臨むことが、日本の社会における労働環境、特に効率性を上げていくことにも寄与するということも指摘しておきたいと思います。

 質問の時間が終わりましたので、ちょっと漏れました、今質問がありましたCBDのこととか等々、また次回の方に質問したいと思います。

 ありがとうございました。

三ッ林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時二十九分散会


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