衆議院

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第3号 令和6年3月15日(金曜日)

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令和六年三月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 新谷 正義君

   理事 大岡 敏孝君 理事 大串 正樹君

   理事 橋本  岳君 理事 三谷 英弘君

   理事 井坂 信彦君 理事 中島 克仁君

   理事 足立 康史君 理事 伊佐 進一君

      秋葉 賢也君    畦元 将吾君

      上杉謙太郎君    上田 英俊君

      勝目  康君    金子 容三君

      川崎ひでと君    塩崎 彰久君

      鈴木 英敬君    田所 嘉徳君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      高階恵美子君    中谷 真一君

      仁木 博文君    堀内 詔子君

      本田 太郎君    三ッ林裕巳君

      柳本  顕君    山本 左近君

      吉田 真次君    阿部 知子君

      大西 健介君    堤 かなめ君

      西村智奈美君    山岸 一生君

      山井 和則君    柚木 道義君

      早稲田ゆき君    一谷勇一郎君

      遠藤 良太君    岬  麻紀君

      福重 隆浩君    吉田久美子君

      宮本  徹君    田中  健君

      福島 伸享君

    …………………………………

   厚生労働大臣       武見 敬三君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           朝川 知昭君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  伊原 和人君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宿本 尚吾君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十五日

 辞任         補欠選任

  畦元 将吾君     上杉謙太郎君

  吉田 統彦君     山岸 一生君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     畦元 将吾君

  山岸 一生君     吉田 統彦君

    ―――――――――――――

三月十五日

 障害者の社会参加を保障するヘルパー制度の実現に関する請願(阿部知子君紹介)(第三六三号)

 介護保険制度の改善、介護従事者の処遇改善を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第三六四号)

 同(野間健君紹介)(第三九八号)

 同(宮本徹君紹介)(第三九九号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四四六号)

 同(笠井亮君紹介)(第四四七号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四四八号)

 同(志位和夫君紹介)(第四四九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四五〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四五一号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四五二号)

 同(宮本岳志君紹介)(第四五三号)

 同(宮本徹君紹介)(第四五四号)

 同(本村伸子君紹介)(第四五五号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第五一〇号)

 全ての看護職員の処遇改善に関する請願(阿部知子君紹介)(第三六五号)

 病気(がん)による高校生の治療などに関する請願(青柳陽一郎君紹介)(第三九七号)

 パーキンソン病治療研究支援及び医療制度等の改善に関する請願(伊藤渉君紹介)(第四四四号)

 同(階猛君紹介)(第四四五号)

 安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(泉田裕彦君紹介)(第四九一号)

 同(小熊慎司君紹介)(第四九二号)

 同(小沢一郎君紹介)(第四九三号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第四九四号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第四九五号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第四九六号)

 同(神谷裕君紹介)(第四九七号)

 同(吉良州司君紹介)(第四九八号)

 同(斎藤洋明君紹介)(第四九九号)

 同(篠原豪君紹介)(第五〇〇号)

 同(篠原孝君紹介)(第五〇一号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五〇二号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第五〇三号)

 同(牧義夫君紹介)(第五〇四号)

 同(宮本徹君紹介)(第五〇五号)

 同(山岡達丸君紹介)(第五〇六号)

 同(山崎誠君紹介)(第五〇七号)

 同(米山隆一君紹介)(第五〇八号)

 同(早稲田ゆき君紹介)(第五〇九号)

 最低賃金全国一律制度への法改正を求めることに関する請願(小沢一郎君紹介)(第五一一号)

 同(宮本徹君紹介)(第五一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)


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     ――――◇―――――

新谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官田中佐智子君、社会・援護局長朝川知昭君、社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君、保険局長伊原和人君、国土交通省大臣官房審議官宿本尚吾君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

新谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

新谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。金子容三君。

金子(容)委員 おはようございます。自由民主党長崎県第四区の金子容三です。

 本日は、生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。限られた時間でございますので、早速質問に入らさせていただきます。

 早速ですが、武見厚生労働大臣に、今回の法改正の意義についてお伺いいたします。

武見国務大臣 人口高齢化の中で、特に高齢者人口そして女性の高齢者人口が増えてきているという中で、持家比率の低下などによって、住宅確保が困難な方などへの住まい支援のニーズが今後ますます高まることが想定されています。また、世代を超えた貧困の連鎖を防止するために、生活保護世帯の子供の自立に向けた支援をより一層強化する必要があります。そして、福祉ニーズの複雑化、複合化が進む中で、多様で複雑な課題を抱える生活困窮者等に対する支援体制をより一層強化していくことが求められております。

 そこで、本法案は、こうした状況に対応するために、生活困窮者等に対する安定的な居住確保の支援、それから、生活保護世帯の子供に対する支援の充実、それから、複雑な課題を抱える生活困窮者等をネットワークで支援する体制整備の促進などの措置を講ずることによって、生活困窮者などの自立支援の強化を図るというものでございます。

金子(容)委員 ありがとうございます。

 今御説明いただいた法改正の趣旨を前提に、法改正に関する個々の内容について質問をさせていただきます。

 まず、今回の法改正において居住支援について強化されるということですが、現在も、住まいに関する相談窓口や住宅供給の支援等が都道府県や自治体により行われております。

 一方で、入居希望者と自治体が所有する公営住宅等のマッチングがスムースにいっていないケースがあるということを耳にします。ある自治体では、市営住宅に多くの空室があるにもかかわらず、現在公募を行っておりませんので次の募集までお待ちくださいという御案内をせざるを得ない状態であるということを聞いております。

 現状でも、DV被害者等、緊急を要する方については、緊急避難的に公営住宅への入居は認められているということですが、その運用について、自治体の担当者まで行き届いていない実情があります。住居確保給付金の対象が拡大されても、すぐに居住できなければ意味がありません。

 入居を希望する方へのスムースで細やかな対応について、具体的にどのような策を講じていくのか、お伺いいたします。

宿本政府参考人 お答えいたします。

 公営住宅は、地方公共団体が住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で供給をするということを本来の目的としております。

 一方で、本来の目的に支障のない範囲で、DV被害者や犯罪被害者など緊急的に住まいを必要とする方々に対し、公営住宅の空き室を目的外使用させることが可能となっております。

 目的外使用につきましては、地方公共団体が直接提供する取組のほか、居住支援を行うNPO法人などを通じて、いわゆる転貸などによりまして公営住宅を提供することで、生活相談などきめ細かいサポートを含めた住まいの提供を行うような取組も行っているところです。

 これまでも、公営住宅をDV被害者などの居住の安定確保のために目的外使用することにつきまして、地方公共団体に通知をし、働きかけてまいりました。引き続き、このような目的外使用の取組事例につきまして地方公共団体向けの会議や研修で周知することなどを通じて、DV被害者などに対して適切に住まいの提供ができるよう取り組んでまいります。

金子(容)委員 ありがとうございます。今回の法改正を機に、再度、各自治体への、担当者レベルまで周知できるような情報の周知をお願いをいたします。

 続きまして、今回の法改正におきまして、子供の貧困への対応のための措置として、生活保護受給中の子育て世帯へのアウトリーチ、訪問事業の法定化とありますが、子供への対策については、周りの環境にも大きく影響されることがあるため、よりきめ細やかな対応が必要であると考えます。

 政府の目指す姿では、現在、支援の場に出てくることができずに必要な情報や支援が届いていない方や子供たちに対して、学習環境や生活環境の改善、子供向けの居場所へのつなぎ、奨学金の活用や進路選択に関する情報提供など、訪問による支援を行うこととしております。

 このアウトリーチ事業は生活困窮者自立支援においても同様に推進していくことでよいのかの確認と、本対策を講じることでどのような効果が期待できるのか、政府の見解をお願いいたします。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 生活保護受給中の子育て世帯につきましては、子供が将来の進学に向けた意識などの面で課題を抱えていることが多いということや、保護者も周囲の地域との関わりが少ない傾向がございまして、必要な情報や支援が届きにくいということ、また、子供が支援の場に来ないということなどの課題がございます。

 このため、本法案では、生活保護受給中の子育て世帯に対して、訪問等によって、学習、生活環境の改善に向けた働きかけ、子どもの学習・生活支援事業を始めとする子供向けの居場所へのつなぎ、奨学金の活用を始めとする進路選択に関する情報の提供など、相談や助言を行う事業を新たに創設することとしております。

 こうした支援を行うことによりまして、生活保護受給中の子育て世帯において、早い段階から学習環境の改善を図ることができ、また、高校卒業後の進学や就職など、本人の希望を踏まえた進路選択の実現が図られていくものと考えてございます。

 また、生活困窮者についてのお尋ねもございましたが、生活困窮者につきましては、既に子どもの学習支援事業あるいは自立相談支援事業でアウトリーチを行うこともできる枠組みになってございますので、そういったことも活用しながら対策を進めていきたいと考えております。

金子(容)委員 ありがとうございます。是非、生活困窮者世帯そして生活保護世帯での切れ目のない支援事業の提供の徹底をお願いしたいというふうに思っております。

 次に、新生活立ち上げ費用の支給についてお尋ねいたします。

 現在、生活保護受給世帯の子供が大学等に進学する際に進学準備給付金が支給されておりますが、この度の法改正により、生活保護受給世帯の子供が、本人の希望を踏まえた選択に基づいて高校卒業後に就職する際、新生活の立ち上げ費用に対する支援を行うことで安定した職業に就くことを促進するとあります。私の地元長崎県では、生活保護世帯における高校卒業時の就職率は全国平均を大きく上回っており、今回の支援は大変有意な対応であると思っております。

 一方で、子供たちが高校等を卒業し、就職して自立する際に支給される費用について、ほかの使途で使われるのではなく確実に子供たちの元に届くようにするには、厳格な運用と制度が求められると考えます。

 政府として、子供たちに確実に新生活立ち上げ費用が届くようにどのような対策を講じているのか、講じていくのか、お伺いいたします。

朝川政府参考人 生活保護受給者の子供が高等学校等を卒業した後の進路でございますが、大学等への進学も含めて様々であります。そういう中、自らの希望によって就職して自立する、そういったことを支援することは、被保護者の自立の助長の観点からも重要と考えてございます。

 こうした中、大学等への進学の際に支給される進学準備給付金と同様に、高等学校の卒業者等が就職して自立する際に新生活の立ち上げのための一時金を支給するということは、安定した就労や生活を確保して、安定した職業に就くことを促進するのに有効と考えております。

 この一時金は、就職する子供に対して支給することとしておりまして、保護者等に対する保護費とは別に取り扱うこととしてございます。

 支払い方法につきましては、進学準備給付金と同様に、就職する子供の本人名義の口座に振り込むことを予定しておりまして、子供本人に支援が確実に届くように工夫をしていきたいと考えております。

金子(容)委員 ありがとうございます。子供の教育、成長に資するように、確実に給付金がその目的のために使われるよう、運用の徹底をお願いしたいと思います。

 次に、人材確保についてお尋ねをいたします。

 今回の法改正により、就労準備支援事業や家計改善支援事業の全国的な実施の推進、また支援会議の設置を努力義務化することについては、大変重要なことと理解しております。一方で、その担い手となる人材の確保や質の向上も必要であります。

 地元長崎県としても、各自治体に対し、支援事業の実施や支援会議の設置を働きかけるよう努めておりますが、専門的な知識を有することや、相談者の課題の深刻化、地域における支援者の確保が困難であるということを理由に、事業を実施できない自治体もあるという現状があります。

 長崎県では、支援を担う人材の質の向上を目指し、毎年、自立相談支援事業等に従事する支援員や社協、行政担当職員を対象とした人材養成研修を実施しつつ、複雑化する相談者のニーズに応えるために、様々な対策を講じながら支援事業を行っているということを聞いております。

 また、支援会議は、相談者本人の同意なしでも、関係機関がそれぞれ把握している困窮が疑われるような個々のケースの情報の共有や地域における支援体制について検討できるというメリットがあり、課題が深刻化する前の支援につながるものでもありますが、県内での設置が進んでおりません。長崎県内においても八市町にとどまっております。

 この度の法改正により、国から都道府県や地方自治体への人材支援を含めたしっかりとした支援は非常に重要であると考えます。政府の見解をお伺いいたします。

宮崎副大臣 今、金子委員から、御地元の長崎県の実情をお聞き取りをいただいた上で、人材確保についての御質問をいただいたところであります。

 この生活困窮者自立支援制度は人が人を支え合うという仕組みでありますので、各種事業を担う関係者、支援員の方々というのは、この制度を実施する上での重要な基盤となっております。絶えず支援体制の強化を図っていくことは、御指摘のとおり、大変重要な課題だと思っております。

 そこで、まず、令和六年度の当初予算案においては、この自立相談支援事業等の国庫補助の基準を見直すことといたしまして、支援の実施状況に応じた基準額になるようにする見直し、また、有資格者などの良質な人材の確保やアウトリーチの体制の整備、訪問支援について、支援の質を高める取組を評価する加算を新設するということにしております。

 さらに、今回の法改正に当たりましては、生活困窮者家計改善支援事業、これの国庫補助率を二分の一から三分の二に引き上げることとしております。

 特に、この家計改善支援事業につきましては、金子先生の御地元長崎県で、お隣になるかと思いますが、対馬市において、大変有意なお取組をしていることを承知しております。専任の家計支援員を常駐で配置するのではなくて、委託先のフィナンシャルプランナーさんが二か月に一度、二泊三日で市に駐在をしていただいて、生活困窮者宅を相談支援員の方とともに訪問をして、税の滞納の解消などについての助言を進めていただいているというような実情もございます。

 このような効率的な実施を工夫していただいている自治体の好事例の取組につきましては、厚生労働省としても、これを横展開するような形で周知をさせていただいて、地域の実情に応じた事業の実施をこれからも進めてまいりたいと思っておりますし、自治体の皆様への支援事業につきましては十分に配慮していかないといけないと考えているところでございます。

 以上です。

金子(容)委員 ありがとうございます。せっかくいい制度、事業があっても、それを活用できる中身の魂の部分が非常に重要ですので、しっかりと御対応のほどをよろしくお願いしたいというふうに思います。

 最後に、本法律は、制定時から、生活困窮者となった状況や理由による区別をせず、制度のはざまに陥ることがないように支援を行うという性質上、法律の運用においては多くの課題が存在し、非常に注意を払う必要があるということを聞いております。

 前回の法改正におきまして、附帯決議の五に記載されました、「一部の生活保護受給者において、ぱちんこ等のギャンブルに過度の生活費をつぎ込むといった生活保護の目的に反した支出が行われている例があることを踏まえ、家計管理への支援やギャンブル等依存症に対応した医療機関等との連携を含む適切な助言や支援の実施を推進すること。」となっておりますが、この点は今回の法改正においても大変重要なものと考えます。

 パチンコ等のギャンブルのみならず、ほかのケースでの依存症により生活困窮者となった方への治療や訓練、社会復帰のための自立支援を応援することの重要性、人それぞれの治療や訓練の方針や経過の管理などの対策も重要と考えますが、最後に政府の見解と対策についてお伺いいたします。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、パチンコなどのギャンブル依存によって生活困窮に陥るというのは、生活困窮に陥る原因の、要因の一つと考えております。そのような場合は、まずは、自立相談支援機関においてその方の課題を丁寧に把握、分析をしながら、必要な支援につないでいくということになります。

 生活保護制度にも、生活困窮者制度にも、家計改善を支援する事業というのがございまして、こういうギャンブル依存、要するに支出が少し多くなっている方々ですので、そういった支出面をコントロールすることによる家計改善を支援していくということ、これは今回、生活保護の方で法的な位置づけも与えていきます。さらに、地域の自助グループとか、あるいは専門的な医療機関、そういったところにつないでいくということも重要でございますので、そういう自立相談支援機関、あるいは家計改善支援事業、そういったことをしっかり強化しながら対応を進めていきたいと考えております。

金子(容)委員 ありがとうございます。是非、引き続き推進していただきたいというふうに思います。

 私からの質問は以上になります。ありがとうございました。

新谷委員長 次に、伊佐進一君。

伊佐委員 おはようございます。公明党の伊佐進一です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 二年前なんですが、公明党の党大会が二〇二二年の九月にありました。そのときの開催に向けまして、我々は重要政策というものを議論していたんですが、その中で困窮者支援というのが一つのテーマでありました。困窮者支援だけじゃなくて、独居の高齢者の生活、あるいは子育て支援とか、こういうのをいろいろ考えたときに、住まいというのはやはり一つのキーワードですよねというような議論になりました。

 直接、例えば現金給付、住宅支援手当とか、こういうもののやはり財政規模も考えると、ちょっとまだ先の話、相当難しいかなと。じゃ、どうするかというと、やはり大事なことは、低廉な家賃の住宅をいかに確保して、いかに提供できるかというのが重要だ、そこに併せて、当然、家計改善の支援というのも重要だということで、二〇二二年の九月の党大会で重要政策として取りまとめた中に、住まいというのを一つの柱に置きました。

 そこにどう書かせていただいたかというと、単身高齢者や障害者、困窮者、一人親家庭、外国人、刑務所出所者等は住まいを確保することに困難を抱えており、住まいの課題は避けて通れない、そしてまた、住まいと暮らしの安心を提供する支援付住居などを選択できる多元的な住まいの保障を実現するため、制度的な対応に取り組みます、こう結論づけました。

 その後、国交大臣、厚労省にも働きかけを行って、その九月の後、十二月に全世代型社会保障の報告書で初めて同旨の方向が盛り込まれて、そこから国交省と厚労省の検討会が始まりました。今回の自立支援法では、こうした中で一定の成果、結論を法律として出していただいたものだというふうに思っておりまして、評価をしております。

 具体的にこの法律でどう変わるか、国民の皆さんに、あるいは現場にイメージを持っていただくことが重要だというふうに思っておりまして、先ほどの低廉な住宅の提供といったときに、じゃ、何で今これが進んでいないかというと、例えば、大家さんがなかなか貸すのにちゅうちょする。何がネックかというところを伺うと、要望が高いのが、例えば見守りとか生活支援があったら貸しやすいであるとか、あるいは、同じぐらいの要望があったのが、死亡時の残存家財処理、こうしたものがあればありがたいと。

 今回の法律でこうした大家さんの懸念が解消されるのかどうか、具体的にそれぞれ厚労省と国交省から伺いたいというふうに思います。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 単身高齢者等につきまして大家さんが不安を感じますのは、他の人と関わりがなくて孤独な状態で、支援が必要なときにも適切な支援につながらない、そういったことがございます。

 本法案では、入居支援や入居後の訪問による見守り等の支援を行う地域居住支援事業などを実施することを福祉事務所設置自治体の努力義務といたしまして、各自治体における事業の実施を促進していきたいと考えています。

 また、この地域居住支援事業において見守りを実施する期間、最長一年と現在しておりますが、高齢者などは一年以内の支援期間では自立した生活に移行することが困難な方もいらっしゃいますので、今後、省令を改正いたしまして、自治体が必要と認める場合は、一年を超えて柔軟にこの事業を実施できるようにしたいと考えております。

 加えて、見守り支援を行うに当たりましては、生活困窮者に対して相談支援を行う自立相談支援機関と住宅セーフティーネット法に基づき指定されます居住支援法人、これらの積極的な連携を呼びかけていきたいと考えてございます。

宿本政府参考人 死亡時の残存家財処理、いわゆる残置物処理に関してお答えをいたします。

 国土交通省では、身寄りのない高齢者がお亡くなりになった後の残置物処理が円滑に進むよう、令和三年に法務省と共同で残置物処理などに関するモデル契約条項を策定しております。このモデル契約条項では、入居者がお亡くなりになった後の残置物の廃棄や送付につきまして、生前に入居者が推定相続人や第三者に委託をすることで、入居者の意思に従って残置物を円滑に処理できる仕組みをお示ししているところであります。

 国土交通省が今国会に提出をしております住宅セーフティーネット法などの一部を改正する法律案におきまして、入居中の見守りなどを行う居住支援法人の業務に入居者死亡時の残置物処理を追加いたします。そういたしまして、このモデル契約条項を活用した残置物処理を推進してまいりたいと考えております。

伊佐委員 今、厚労省の方から答弁がありました見守り支援なんですが、これは現在でも行っていただいているんですけれども、ただ、今やっている自治体は五十四自治体、全体の六%しかありません。だから、今後この担い手をどうやって拡大していくかというのが大事なテーマだというふうに思っております。

 今やっていただいている担い手の皆さんというのは、これは自治体の事業ですので、自治体から委託をする、NPO法人とか社福とかに委託をするということになっている。ここは厚労省が管轄をしているわけですよね。今回、居住支援法人も重要な担い手として、見守り支援の担い手として入っていただく。これは都道府県が指定しますけれども、国交省が管轄するということになっています。また、考えられるケースとしては、今まで生活支援をやっているような機関、厚労省が管轄するような法人が居住支援も今後やりますと、かなり入り乱れてくるというふうに思います。そういう意味では、国交省あるいは国交省の関連機関と厚労省の関連機関の連携というのも重要だと思いますし、さっき申し上げた担い手の拡大というのも重要になってまいります。

 じゃ、この新しい取組をそれぞれの地域地域でどうやって取り組んでいくのか。ここをしっかり、国としてある程度の考え方、方向性を示していくべきじゃないかというふうに思いますが、そこはいかがでしょうか。

朝川政府参考人 地域居住支援事業の実施を始めとしまして、生活困窮者への住まいの支援を強化するに当たりましては、福祉の支援に関わる機関と、おっしゃっていただきました居住支援法人等の住宅支援に関わる機関の連携体制を強化することが必要です。

 このため、本法案において、生活困窮者自立支援制度に基づく事業等を実施するに際しては、居住支援法人の業務との連携を図るよう努めるべきことを明確化しております。

 また、住宅セーフティーネット法に基づく居住支援協議会、これは、市区町村の福祉部門や住宅部門、民間の不動産会社、社会福祉協議会といった関係者が地域の住まい確保について協議する仕組みでございまして、国としても、国交省と連携してその設置促進を図っていって、生活困窮者自立支援制度の関係機関に対しても積極的な参加を促していきたいと考えています。

 本法案では、地域居住支援事業等の全国的な実施や質の向上を図る観点から、実施体制の整備に関する大臣指針を策定することとしておりまして、この中で、自治体においてこうした福祉と住宅の連携に取り組みやすくなるような方策についても示していきたいと考えてございます。

伊佐委員 次に、地域づくり事業について伺いたいというふうに思います。

 生活困窮者といいましても、恐らくその要因はいろいろあるんだろうというふうに思っています。就労に困難を抱えて、そこで生活困窮者になっている場合があれば、あるいは、障害を持っていらっしゃって、例えば適切に認定がなされていないような場合もあるかもしれません。また、介護の負担が今大変だとか、あとシングルマザーの方、あるいは疾病を抱えていらっしゃる方。

 そのときに、例えば各市役所に行ったら、経済的な問題は例えば保護課ですよね、障害だったら障害福祉課へ行ってください、疾病の問題だったら健康福祉課、健康保険課へ行ってくださいとなって、結局、それぞれの縦割りで見ると支援の基準にそれぞれが実は達していないんだけれども、それが複合的に合わさって大変な状況になっている。この例、具体的な事例も含めて、私、これは何度もこの厚労委員会でも質疑をさせていただきました。

 それぞれに関係なく、属性に関係なく、まず居場所があって、居場所づくりをしっかりとしていただいて、そこから早期発見とか支援につなげていく仕組みが重要だということで、地域づくり事業というものを今進めていただいております。サロンとかコミュニティーカフェ、触れ合い喫茶とか、こういうようなものをやっていただく、そういうところに支援をする事業でありますが、これはまだ全国で四百自治体でしか使われていないという状況であります。

 もうちょっと活用いただけるように、国からも引き続きプッシュをしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

朝川政府参考人 生活困窮者支援等のための地域づくり事業は、複雑化、複合化する地域課題や制度のはざまのニーズ、孤立、孤独等の課題に対して、地域におけるつながりの中で柔軟に対応できるよう、地域福祉の推進のための取組を推進する事業です。

 具体的には、地域住民のニーズや生活課題の実態把握でありますとか、地域住民の活動支援や情報発信、あるいは、地域コミュニティーを形成する属性や世代によらない居場所づくりなどの多様な取組が可能となるよう支援をしております。

 国としても、多くの自治体で取組が進みますよう、既に好事例も出てきておりますので、積極的に周知をして横展開を図って、自治体における取組を後押ししていきたいと考えております。

伊佐委員 この点で朝川局長に、厚労省に是非私の方からも一個ちょっと提案申し上げたいのは、こういう事業に是非郵便局も積極的に関われるような形をつくっていただければありがたいなというふうに思っております。全国津々浦々に拠点があってユニバーサルサービスを提供していただいている、こういう郵便局というのは日本にとって重要なインフラだと思っておりますし、緩やかな見守りみたいなものと非常に相性がいいんじゃないかというふうに思っておりますので、是非総務省とも連携をしていただきたいというふうに思っております。

 就労A型の施設の報酬改定について伺いたいと思います。

 前回の所信に対する質疑では、就労B型の報酬改定についてということで何人かの議員から議論がありました。私は、A型について、障害者の皆さんあるいは困窮者の自立という観点で少しちょっと質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 A型というのは、皆さん御案内のとおりで、利用者の方と施設が雇用契約を結びます。だから、最低賃金が適用されます。この観点は、雇用とか経済活動という趣旨があります。同時に、当然、本来の趣旨であります障害者の自立というようなものも目指すということがあります。

 ただ、その中で、いろいろなルールがあるんですが、そのうちの一つが、生産活動の収支が賃金以上じゃないといけないというルールがあります。つまり、取ってきた仕事の中で、そこでちゃんと利益を出して賃金を払いなさいよというルールがあります。つまり、報酬として施設に入ってくるお金を施設で使わず、そこを賃金に回したら駄目ですよというルールがあります。今までも、このルールで、基本報酬にも一応差を設けてきました。ちゃんと利益を出しているところには、報酬がある程度しっかり評価される。

 ところが、今回の報酬改定は、ここを更に深掘りする、強烈に深掘りをして、生産活動収支で賃金が出せていないところ、つまり、自分たちの報酬、身を切って賃金を払っているようなところが三年続いた場合、あるいは二年続いた場合は厳しく報酬を下げる、スコアをマイナスにするという制度が今回決まりました。

 これで、現場からいただいているお声、何が起こるかというと、本来のA型の使命というのは、自立していただくんでしょう、一般就労につなげるというのが本来の役割じゃなかったのかと。だから、一生懸命仕事を覚えていただいて、その方が仕事ができるようになる、生産性が上がる、卒業して一般就労で抜けると、事業者全体の生産性が今度は落ちるわけです。また、だから収支ができなくなる。だから、自立させればさせるほどやっていけなくなる、逆のインセンティブの報酬改定をしたんじゃないかというお声をいただいています。

 もっと言えば、困難を抱える利用者さんを施設で受け入れると生産性は下がります。収支が悪化するんですよ。だから、受け入れないというような方向にインセンティブが働いてしまう、あるいは、それだったらB型でお願いしますというふうに言われてしまう。

 今回の報酬改定は、生産活動というものに重きを置き過ぎて、本来の使命の例えば一般就労とかというところをやりにくくさせているんじゃないかというふうなお声をすごくいただくんですが、これはどう理解すればいいでしょうか。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 就労継続支援A型の事業でございますが、障害者が自立した生活を営めるように、雇用契約による就労機会を提供し、一般就労に必要な能力向上のために必要な訓練等を行うものでございます。こうした支援を安定的に提供する観点から、従来より、指定基準の中で、事業者の基準として、生産活動収支が賃金総額を上回るように求めてきたところでございます。

 これは、先生御指摘いただきましたように、仮に生産活動収支が賃金総額を下回っている場合は、本来適切な支援を行うために使われるべき報酬が賃金に充てられることとなってしまい、利用者に対して安定的なサービス提供、適切な支援が行われるとは言えなくなるためでございます。

 こうしたことを踏まえまして、令和六年度報酬改定では、生産活動収支が賃金総額を上回った場合を高く評価するとともに、その一方で、下回った場合の評価を厳しくするなどの見直しを行ったものでございます。こうした見直しの趣旨というのは、賃金総額を下回るような状況の事業者をそのままの状態とすることではなくて、むしろ、賃金総額を上回るように改善を図っていただきたいという趣旨も含むものでございます。

 引き続き、就労継続支援A型事業の健全な経営を確保するとともに、福祉専門職の配置の加算なども活用しながら、障害者の一般就労や自立を目指せるように支援してまいりたいと考えております。

伊佐委員 私は、なかなかこれは理解していただくのは難しいかなと思っています。さっき、厚労省の答弁というのは、安定的な支援のために経営改善とか賃金アップにつながるようなことをやってもらわないと困るということなんですが、だから、そうできていないところは厳しくして、報酬を落とすわけですよね。今までサボっていました、努力していませんでした、だから、ちょっと厳しくしたら、これは大変だ、じゃ、努力しようとなって、実入りのいい仕事を取れましたとなるかというと、これまでも努力をしてきて、一生懸命頑張ってやってきた方々が、そこで、どうしても今の環境でこうなっているのに、報酬を下げたから、じゃ、頑張れるかというと、私はそこはちょっとどうなんだろうと思っています。

 大臣、ちょっと最後に伺いたいんですけれども、もし経営改善の評価を重くするというのであれば、それと同じように、あるいはそれ以上に、さっき申し上げた、本来の使命は一般就労ですので、一般就労をしっかりと評価すべきじゃないか。利用者の皆さんが仕事を身につけて、生産性を上げて、卒業して一般就労していく、こうなった場合には、今までのこの生産活動収支でちょっと減っていく以上にちゃんと評価をしていただいて、全体としてきちんとプラスになるような報酬改定であるべきだというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

武見国務大臣 就労継続支援A型事業所につきましては、生産労働収支が賃金総額を上回ることによって利用者に対して安定的なサービスの提供を行うことが重要だという考え方の中で、そこに御努力をされた方に対しては更に支援が行われる、こういう構図になっているわけであります。

 一方で、就労継続支援A型の報酬では、生産活動収支以外の取組も評価しておりまして、従前よりも一般就労に移行した場合を加算で評価するとともに、令和六年報酬改定では、マナー研修などにより利用者の能力向上のための支援を行った場合をこれまた新たに評価することとしております。

 こうした活用を通じて、引き続き障害者が一般就労や自立を目指せるように支援していきたい、かように考えているところでございます。

伊佐委員 ありがとうございます。

 今の大臣の御答弁は、いろいろな加算がありますよということだと思うんです。ちょっと、もし、事務方から補足していただきたいんですけれども、今回、でも、スコアで下がるわけですよね。下がるけれども、ちゃんと就労すれば、それを上回ってちゃんとプラスになるのかどうかをはっきり御答弁いただきたいというふうに思います。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと個別の様々な状況がありますので、従来より上回るような加算を取れるような努力を促すために、加算の趣旨等についてしっかり説明をするといったようなことを努力していきたいと思います。

 数字については、ちょっと様々、個別のケースがあると思いますので、しっかりとした、新たな加算を活用していただけるように努力していきたいと考えております。

伊佐委員 もう時間になりましたので終わりますが、例えば、是非説明をちゃんとしていただきたいと思うんです。今回、スコアが下がって一ランク報酬が下がったとしても、基本報酬自体は上げてくださっていると思うんです。そこのところでちょっとカバーできますとか、あるいは、一般就労の報酬の方がこれぐらい大きいので、そこの方が上回りますよとか、ちょっとそこを現場に分かりやすく是非説明をしていただきたいというふうに思います。

 終わります。ありがとうございました。

新谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 おはようございます。日本維新の会・教育無償化を実現する会統一会派の一谷勇一郎です。どうぞよろしくお願いをいたします。

 この生活困窮者の自立支援の法律ですけれども、我々維新の発祥の地である大阪は、非常にこの問題で戦ってきた歴史があります。私は当時、議員ではありませんでしたが、民間人として町を見ながら、本当に目の前のブルーテントがなくなって生活困窮者の方が救われていくという状況を目にして、私は維新で政治をやりたいというふうに思って、今ここにいます。ですので、我々にとってはこの法律は非常に重要な法律だと思っております。その思いを込めて質問をさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、生活困窮者の自立支援を考えるに当たって、現場の声を聞いてきますと、最も問題になっている一つは高齢者の就労問題だというふうにお聞きをしております。法律上、六十五歳までは雇用の保障、そして令和三年に、七十歳までの雇用義務、これが企業に課せられました。しかし、七十歳以上の方の就労問題というのがかなり深刻だというふうにお聞きをしております。

 シルバー人材センターやハローワークを紹介したとしてもなかなか仕事のマッチングができないとか、ある程度企業で役職を持って働いてこられた方のやはりプライドもあるでしょうから、なかなか草むしりとか自転車の整理とか、そういったところの仕事ではうまく、働く意欲が湧いていかないということで、非常に現場としては困っているということなんですが、この七十歳以上の就労について政府はどのように考えておられるか、政府参考人の方にお伺いをいたします。二役の方、ありがとうございます。是非答えていただけたらありがたいです。

宮崎副大臣 ありがとうございます。

 人生百年時代を迎えるという中でありますので、御指摘のように、働く意欲のある高年齢者の方がしっかりとニーズに応じた就職ができるということは大変重要なことだと思っております。

 政府におきましても、厚生労働省では、全国三百か所のハローワークで、高年齢者の就職支援を行う窓口として生涯現役支援窓口というものを設置をさせていただいております。

 ここでは、専門の職員を配置をいたしまして、高年齢の求職者の方に対して、今まさに御指摘になった、それぞれの就業経験であったりとか現状の所得の状況なども踏まえた生涯設計就労プランというものを作成させていただきまして、きめ細かく相談援助を行うとともに、高年齢者向けの求人の開拓を行うなどによってマッチングに取り組んでおります。

 その際、生涯現役支援窓口の求人者支援員が企業を訪問させていただく際には、高年齢の方が就業しやすいように、例えば短時間であるとか、作業の中を分類して、これを切り分けて出してもらうというような形で、マッチングが進むような工夫もさせていただいているところでございます。

一谷委員 ありがとうございます。

 是非これを進めていただけたら人手不足も解消していくのではないかなと思いますし、実際、私の体験からいきますと、やはり資格を持っていたら、八十歳の看護師さんもうちで仕事をしてくださっていますけれども、非常にありがたいなというふうに思うんです。やはりそういった資格がないと、なかなか仕事というのを長く続けるのは難しいのではないかなというふうに思っていまして、住宅の問題が先ほど出ましたけれども、なぜ政府がこれだけ力を入れられるかというと、今、やはり四十歳、五十歳の方の資産が余りなくて、低年金、無年金の方がいらっしゃるということで、本当に長く働いていかないといけないということを前提とした政策というのを早い段階からやっていただくことが重要だというふうに思いますし、私もそれを経験をしております。

 こういったマッチング、高齢者の方の就職支援というのを担っておられる一つとして、地域包括支援センターがあります。

 次の質問なんですけれども、生活困窮者自立支援のための施策、今回もたくさんメニューが用意をされました。それは過去のメニューもあって上積みにされていくんですけれども、現場の支援体制が追いついていないのではないかなというふうに考えます。

 社会福祉の共通理念である地域共生社会ということであれば、今後はそれこそ地域包括支援センターがこういった仕事もかなり担っていかれると思うんですが、現場が悲鳴を上げているという状況を政府は認識をされておるか、どういうふうな対策を取られるかということをお聞きをします。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃっていただきましたとおり、地域包括支援センターの業務は、高齢化の進展等に伴って総合相談支援業務の相談件数が増加して、業務負担が大きい状況にもございます。

 そうした中、高齢者の就労支援ということを考えてみますと、困窮者制度の方の自立相談支援機関が状況に応じたきめ細かな就労支援を行っておりますので、地域包括支援センターから紹介を受けて支援することが可能でございます。

 具体的には、ハローワークへの同行、相談窓口への同行でありますとか、シルバー人材センターとの連携などによる就労支援でありますとか、地域での就労、ボランティア等も視野に入れた、活躍の場につなげるといった取組を進めています。

 こういう支援を強化するためには体制の強化も必要でございますので、令和六年度当初予算案におきまして、自立相談支援事業でありますとか就労準備支援事業、こうした国庫補助の基準を見直しまして、支援の実施状況に応じた基準額になるように見直すとともに、有資格者等の良質な人材の確保やアウトリーチの体制整備など、支援の質を高める取組を評価する加算を新設してございます。

 引き続き、自治体において、地域包括支援センターなど関係機関との連携体制を構築して、適切に支援が実施できる体制が整備されるよう、取組を進めてまいります。

一谷委員 今、加算がつくというふうにお伺いをしたんですが、今回の法改正でそうなるんだというふうに思いますが、現場の声を聞くと、ここはボランティアでやっている部分もかなり多くて大変だという話もありますので、本当に予算措置がされているかということを、また私も現場に行って法改定後はヒアリングをしますけれども、やっていただきたいと思います。

 こういった地域包括支援センターに出す、事業所としてですね、福祉事務所というのがあると思います。これは民間の福祉事務所ではなくて、今回の法案の中にもたくさん出てきますけれども、生活保護法、児童福祉法、母子及び父子並びに寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法から成る福祉六法に定める援護、育成、再生の措置、さらには、生活保護受給者などを狙った貧困ビジネスの実態調査、指導に関する事務を所管するとあります。都道府県と市には設置の義務づけがされており、町村は任意で設置されるということです。さらに、福祉事務所は、福祉への税の使用を直接決定、処理する重要な場所だというふうに認識をしております。

 全国に千二百五十一事業所、職員数六万人の規模ということなんですが、実際、福祉法第十五条は、被保護世帯数に応じた福祉事業所の定員を条例で定めるように規定しています。二〇〇〇年の法改正時に配置数が法定数から標準数に見直されたこともあり、条例定員が必ずしも満たされていないのではないかというふうな御指摘をいただいております。

 こういった満たされているかどうかの調査を、福祉事務所人員体制調査というのをされているそうなんですが、二〇一六年以降、この調査をされていないということになっていますが、今回の法改定に当たってこういった調査をされたのかどうかということと、もしされていないのであれば、今回の法案の附則の「検討」の中に、第二条に、「政府は、この法律の施行後五年を目途として、この法律による改正後のそれぞれの法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律による改正後のそれぞれの法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」とありますが、適切な措置を講ずること、調査をすることができないのではないかというふうな問題意識を持っています。政府参考人の方に、お答えができるのであればお答えをいただきたいというふうに思います。

朝川政府参考人 ケースワーカーについてでございますけれども、こちらは、地方交付税の算定上、その増員を図ってきてございます。実績として、一人当たりの担当世帯数は減少してきておりまして、こちらは、福祉事務所人員体制調査及び被保護者調査、さらにケースワーカーの数については地方自治体の定員管理調査、これらを踏まえますと、平成二十八年にはケースワーカー一人当たりの担当世帯数は九十・一世帯でしたが、令和四年現在、八十四・九世帯という形で、人員増は図ってきております。

 引き続き、ケースワーカーの配置というのは生活保護などの実施体制に非常に重要なことでございますので、しっかり自治体と連携して取り組んでまいりたいと思います。

一谷委員 それを是非公表していただきたいというふうに思います。やはり、事業の構造を見ていくときに、公表がなければ、なかなか我々も、うまくいっているのかどうかということを考えることができないので、是非ここは公表していただきたいと思います。

 そして、これは現場からの声です、地域包括支援センターで実際支援に当たっておられる方の声なんですが、生活困窮者から生活保護の流れは非常にスムーズだということなんですが、生活保護からいきなり自立に行ってしまって、生活保護から生活困窮者を経て自立に行くことの流れが仕組み化されていないのではないかという声をいただいております。

 ただ、私、今回の法案の条文を見ますと、そこはちょっと制度化されているのではないかなというふうにも思うんですが、この辺り、政府参考人の方でお答えできるのであればお答えをいただけたらと思います。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 生活困窮者自立支援制度が創設された際に、制度の枠組みの整理として、生活困窮者制度による事業は生活保護の被保護者を対象としない、そういう整理がされております。

 今回の法改正におきましては、そこの不便さ、今おっしゃっていただきましたように、生活保護から困窮を経て自立に行く、そういう流れもしっかりシームレスにつながっていくように、困窮者制度の事業、例えば就労の事業でありますとかあるいは家計改善の事業でありますとか、そういった事業を被保護者でも利用できるように、そういう制度の見直しを今回図っているところでございます。

 こうした見直しが現場でしっかり定着することによって、被保護者から困窮者制度を経て自立に向かっていく、そういう流れをつくっていきたいと思います。

一谷委員 家計の見直し、それも非常に現場から声をいただいていまして、今回、住宅をスモールダウンするときの、家賃を低価格に抑えるための、スモールダウンする、そこも手当てが入ったということで、これは非常に現場が求められていたことなので、まさに、本当にばしっとはまった改定になっているんだなと思うんです。やはり、いきなり生活保護脱却と言ったらいいんですかね、抜けていくときに、はい、自立というのはちょっと難しいと思いますので、ここはしっかりやっていっていただきたいというふうに思います。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 これは私の今日の質問の中で一番課題だと思っているんですが、生活保護の医療扶助の問題であります。

 今、実は、生活保護費負担金、事業ベースの中で、医療扶助が占める割合が約半分だということで、この数字を見て私はかなり驚きました。そして、六十五歳以上の人が半数以上で、入院が何と六割だ、そして、普通の医療保険に比べて精神、行動の障害の割合が高いというふうになっております。

 入院は致し方ないとしても、頻回受診をどのようにして回避していくのかというところで、私は、ある一定、ワンコインが有効ではないかというふうに思うんですが、その辺りのことを政府参考人の方にお伺いをいたします。

朝川政府参考人 医療扶助は、医療費の全額を公費で負担するものでございまして、制度の信頼性の維持向上のためにも、適切な運用を図ることが重要と考えてございます。

 各福祉事務所において、頻回受診対策を始めとした医療費の、医療扶助の適正化、あるいは、生活習慣病の発生予防のための健康管理支援事業に取り組んでいただいております。

 さらに、今回の法改正において、都道府県がデータ分析を行って、市町村に対して、取組目標の設定、評価や助言の仕組みを創設するということにしておりますし、また、本年三月から導入いたしましたオンライン資格確認の仕組み、これを活用した適正受診を促す取組の検討、そういったことも進めていきたいと考えてございます。

 医療扶助につきまして、自己負担を導入するという御意見もあるんですけれども、医療扶助は最低生活の保障の観点から行っているものでございますということと、自己負担額を用意できずに被保護者の必要な受診を抑制してしまうおそれがあるなど、そういったことも踏まえますと、慎重な検討が必要と考えてございます。

一谷委員 基本のその支給される中に医療費が入っていないということで、窓口負担をたとえ五十円でもした場合に、それを還付するのが、これは自治体の事務が大変だという意見も聞きましたけれども、これこそ本当にマイナンバーで対応すればできるのではないかというふうに思います。

 今のお話ですと、患者さんとして頻回受診を抑制をしていくということはできると思うんですが、こんなことを言うと怒られるかも分からないですが、医療側はどのようにして受診を、まあ医療側としては受診していただいた方がありがたいと思って受診を促してしまうかも分からないんですが、これはどのようにして医療側の受診を促進するのを止めるのか。このお考えがもしあるのであれば、参考人の方にお伺いいたします。

朝川政府参考人 医療扶助の受給について、その適切な利用は、基本はやはり被保護者に対して助言、指導することによってその行動を改善していただく、これが基本だと考えております。

 ただ一方、不正受給のようなことが医療機関の方に認められれば、こちらは都道府県が指定医療機関ということで監査をする仕組みがございますので、そういった中で対応していくということになります。

一谷委員 不正受給は、これはもってのほかだと思うんですよね。通院もしていないのに通院したようにするというのは、これはもってのほかだと思いますが、ただ、やはり医療のドクターと患者さんの差があって、ドクターが本当に、受診に来てくださいねと言われると、患者さん側としては行かざるを得ないような状況もあると思いますので、ここは、患者さんの受診を抑制するのも大事ですけれども、やはり科学的根拠を持って、医療側も、それだけ本当に受診する必要があるのかということは何か抑制をかけていかなければ、この生活保護の医療扶助というところは抑えていけないのではないかなというふうに思います。

 今何かペーパーが来ましたので、もしお答えがあればお願いいたします。

朝川政府参考人 今回の法改正で、都道府県がデータ分析を行って、福祉事務所にいろいろな医療費適正化とかの取組目標を設定して助言をしていくという仕組みを設けることにしているんですけれども、都道府県がそういうデータ分析なんかを行う際に、やはり行政だけで考えるのではなくて、地域の医療機関の先生方にも参画いただきながら、いろいろな助言をいただきながら対策を考えていくことが重要だと思っています。

 都道府県がそういういろいろな施策を講じるに当たって、地域の医療機関、指定医療機関と連携をする、意識合わせをする、そういったことを通じてこういう頻回受診対策なんかも進めていきたいと考えてございます。

一谷委員 生活保護の医療だけではなくて、全体として社会保障の中の医療というものをやはり考えていかないといけないのではないかなというふうに思いますし、実際問題、生活保護を受けられている方の半数以上が高齢者の方で、そして医療をこれだけ受けられるとなると、生活保護の問題意識がかなり今の時代と合っていないのではないかなというふうに思いますので、こういった抜本的なところも我々維新としてはしっかりとした政策を検討して、皆さんと議論していきたいと思います。

 時間になりましたので、私の質問を終わらせていただきます。誠にありがとうございました。

新谷委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 今、一谷議員から御質問申し上げた、その一番最初に一谷さんが宮崎副大臣に、高齢者の就労問題について職業安定的な観点から御答弁をいただきました。これは大変重要な問題だと思っていて。

 とにかく少子高齢化が進んでいると。これは副大臣じゃなくて、副大臣でもいいんだけれども、大臣でもいいし、局長でもいいんだけれども、要は、生活保護制度であれ、こういう生活困窮者の自立支援制度であれ、元々、別に高齢者を想定してつくられた制度じゃないですよね。高齢者のための制度じゃないはずなんです、元々。特に、生活困窮者自立支援というのは、さっきもあったように、しっかり就労していただくということを前提につくられている。局長、そうですよね。元々そうだと思います。ところが、少子高齢化の中で、生活保護もとにかく、全体は増えていないんだけれども、高齢者ばかり増えている。低年金、無年金の中で、高齢者がどんどんどんどん生活保護のプールに入っていく。今日の審議している生活困窮者自立支援法も、高齢者の対応が大変深刻化している。まず、局長、そういう理解、正しいですか。

 要は、高齢者問題が大変深刻化している、元々この法律を作ったときは、別に高齢者、高齢者と思って作ったわけじゃないんだ、そういうことでいいですね。

朝川政府参考人 現在の生活困窮者自立支援制度は、生活保護制度が最終的なセーフティーネット制度、その手前で、第二のセーフティーネットということで当時は言われてつくられたものです。

 これは、この制度が主に念頭に置いて対象にしていますのは、就労支援事業でありますとか、あるいは家計改善支援事業であるとか、そういったことでございますので、基本的には、困窮に陥ってきた方が就労支援なんかを受けることによって家計を改善して自立をしていく、そういう制度でございますので、主には現役世代が念頭に置かれている制度でございますけれども、最近はやはり、高齢者でも就労して、できるだけ長い期間働くという方も多く、増えてきていらっしゃいますので、この生活困窮者制度を高齢者が利用するということも当然想定しているものでございます。

足立委員 ありがとうございます。

 しかし、高齢の方というのは、日本は、日本の労働市場は定年制というのがあって、基本的には六十とか六十五、七十、そこで就労は終わることが想定されているわけですね。だからこそ、今、一谷委員からも冒頭、高齢者の就労問題が深刻化しているんだと。これは当たり前だと思うんですよ。

 別途いろいろな機会にこの委員会でも議論してきたように、低年金、無年金問題が大変な問題になっているわけです。これは年金局の仕事ですね。これは別に今日はやりませんよ。でも、低年金、無年金が大変深刻になってきている。低年金、無年金の方々が高齢層に入っていく、でも就労には限界がある、低年金、無年金で就労できない、貯蓄がもしなければ必ず生活保護に入らざるを得ない、これは当たり前じゃないですか。そのメカニズムは当然にありますよね。

朝川政府参考人 高齢世帯が、一般的に、就労の時期を終えて、八十代、九十代、そういった世代になっていったときに新たに収入が増えていくということは一般的に考えにくいというのはそのとおりだと思いますが、困窮の原因は、一つは収入の問題もありますけれども、もう一つは支出の問題もございますので、支出をコントロールすることによって困窮を脱していく、そういうこともございます。

 困窮者制度では、そのために、家計改善支援事業でありますとか、今回であれば、住まいの対策の強化、低廉な家賃の住まいを多く増やしていくということ、そういったことも考えてございますので、そういう組合せを政策で考えながら、生活保護に必ずしも頼らなくても済むような、そういう社会をつくっていく必要があると考えております。

足立委員 大臣、そういう問題意識で通告をさせていただいているんですが、いろいろな政策体系の中で、生活困窮者就労訓練事業とかそういう、物の本を読むと、中間的就労、いろいろな、あの手この手で生活保護との境目のところを何とか、ドーナツ状にこれを何とかしようとしているんだけれども、生活保護のプールが余りに深過ぎて、そこはやはり制度的にもう、今あったように、低年金、無年金の高齢者は働けなくなったら必ず生活保護になる、生活保護がどんどん増えていく、幾ら対策を取ってもそれはもう無理なんですよ。

 そうであればもう少し、中間的就労ということではなくて、私は中間的給付と言っているんですけれども、生活保護は身ぐるみ剥がされますから、そういう深いプールではなくて、その周りにもう少し浅い、給付額はもうちょっと低くてもいいから、例えば地方へ行ったら自動車がなかったら生活できない、自動車は持っていていいよという、今の生活を維持しながらも高齢の方が生活保護に陥らない中間的給付というものを私たちは党内で議論をしています。まあ財源の議論にまたなると思いますが、それはそれで別途やるとして。

 この世界を、もうちょっと合理的、まあもう少し公正なですね、制度にしていく、それから簡素な制度にしていく。今日もありました、大臣からも冒頭、福祉ニーズが複雑化している。複雑化しているニーズに対して複雑な制度をつくっていったら切りがありません。もう少し簡素で公正な中間的給付というものを構想すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

武見国務大臣 先ほどから委員御指摘のように、高齢化による低年金等を原因としての生活保護者が急増するこの構造、これをまずどうつくり変えていくかということが大事だという点については、私も全く同じ認識を持っております。

 この中で、実際に、生活保護の仕組みに加えてその以前の段階でもう少し柔軟に、先生の場合には現金の給付をする仕組みをつくれという趣旨ではないかというふうに受け止めましたけれども、私もこれはいい考え方かもしれないなと思って、事務方にも聞きました。ある程度のことはやっておるんですね。

 それで、ちょっとそこは紹介させていただきたいと思うんですけれども、実際に我々はこれを重層的なセーフティーネットと呼んでいます。必要な支援を実施するための重層的なセーフティーネットにおいて、支援を行うに当たっては、生活に困窮する方々に対しては、個々の状況に応じて早期に支援を行って、自立の促進を図る。また、最低限度の生活を保障する生活保護制度とは別に幅広い現金給付を行うことの是非といった大きな論点が確かにある。御指摘のような緩やかな要件で一律に金銭給付を行うことは、実際には、即そのままでは適切ではないだろうと。その上で、生活に困窮する者に対する、方々に対する支援については、相談支援を行って、個々の状況に応じて就労支援や家計改善支援を行っております。

 例えば、生活困窮者自立支援制度における、就業活動を支援するための家賃費用に充てるための住居確保給付金というのがまずある。それから、求職者支援制度における、訓練期間中の生活支援のための職業訓練受講給付金など、必要な金銭的な給付も行っているということなんです。

 さらに、本法律案の中で、生活保護受給者についても生活困窮者就労準備支援事業においても支援できるようにする仕組みを準備するということが組み込まれておりまして、生活保護に至る手前の重層的なセーフティーネットというものを強化するという考え方がこの中には組み込まれていることは改めて申し上げておきたいと思います。

足立委員 大臣は今、私の問題意識は完全に共有をくださっているということはよく分かりましたが、ただ、御答弁を伺うと、まさに住宅確保給付金とか、あるいは生活困窮者就労訓練受講給付みたいなものがいろいろとあると。まさに複雑、不十分だし、現場も大変だし、役所の方々も大変だし、それを受ける方もややこしいし。それは、もう少し簡素で公正な制度を構想できるんじゃないか。

 井坂信彦委員なんか多分……(発言する者あり)今、ベーシックインカム年金。これは私が言い出した話なんですよね。BI年金というね。私たちは、実は、日本大改革プランということで、BI、ベーシックインカムという議論をしています。

 ベーシックインカムというと、何か皆さん、げっとなるんですけれども、そんな特別なことを言っているんじゃないんです。

 例えば三つに分けて、子供BI、現役BI、BI年金、人生を三つに分けて考えてみてください。

 もう既に、今、児童手当の所得制限は撤廃になっているわけですね。これは子供BIですよ。だから、実は、私たちが選挙で戦う自公政権も、もう子供BIはやっているんですよ。

 高齢者については、民主党政権が最低保障年金ということを言った。民主党は能力がないので、財源で倒れてこの話はなくなったわけ、なくなっていない……(発言する者あり)ああ、民主党がないわけですね。しかし、今日、今、私が最初から申し上げている低年金、無年金問題というのは、もうあらゆるところに波及していっているので、そこはもう税で最低保障をしていくという議論は私たちは持っています。これがBI年金というものですね。

 現役世代は、何で現役世代にBIの議論があるかというと、例えばコロナとか、誰が困っているか分からないから、私は緊急時BIでいいと思うんですけれども、要は、戦争が起こる、感染症が蔓延する、そうしたときには、現役世代もまずはマイナンバーをベースに現金を給付して、後で還付、還付というか払戻しをしていただく、お金持ちの方は、困っていない方は後で払い戻していただく。

 そういうことで、子供、現役、高齢ということで、日本大改革プランということを構想して、もう一貫してそういうことを訴えているのは日本維新の会なんですけれども。

 さて、大臣、今申し上げたように、大臣も問題意識は共有をしてくださっている。この議論は、財源の議論が解決すれば大臣も御相談に乗っていただけますか。

武見国務大臣 財源の議論は全く無視できるわけでありませんけれども、やはり、こうした生活困窮者に関わる、まずは住宅といった生活における重要部分について、まず具体的にそれを支援するという仕組みを今、住宅とかいう形で具体的に進めているわけであります。

 複雑化してけしからぬとおっしゃるかもしれないけれども、やはり、必要なものから確実に実行していって、そして、ある程度まで行ったところで再整理する必要が出てきたら再整理する。今はまだ最初の一つ一つの課題について実行してみて、それをどう総合的に整理するかというのはその次の段階だと私には思えます。

足立委員 その次の段階として議論すべきだと思うんですよ。だから、私たちはこの法律、繰り返しというか一谷さんも申し上げましたけれども、これはすばらしい法律だと思います。だから賛成したいと思う。賛成したいと思うんだけれども、次のことはもうちょっと考えていこうよということを今実は与野党筆頭とも御相談をしているところでありまして、次に向けての何かある種の方向づけみたいなことを是非この法律の審議中に議論を固めていければと思っているわけであります。

 なぜ私が簡素で公正な制度を構想すべきだと言っているかというと、この法律はすばらしいんだけれども、あるいは、生活保護制度というのは憲法上保障された必要な制度なんだけれども、それで実は困っている人たちがいるんですね。

 例えば、障害を持たれている方。生活保護制度には勤労控除というものがあります。これが八千円から一万五千円に上げられましたが、低く抑えられている結果、障害福祉サービスの平均工賃がどうしてもそこで低く、一万とか一万五千とかに抑えられる傾向があって、そこは因果関係というか影響があるんだと現場から聞いていますが、私も論理的にはこれは絶対影響があるな、こう思っているわけでありますが、厚労省の認識はどうでしょう。

辺見政府参考人 お答え申し上げます。

 障害福祉サービスの就労継続支援B型につきましては、障害者が自立した生活を営むことができるよう、生産活動を通じてその能力の向上のために必要な訓練等を行うものでございます。

 その工賃につきましては、生産活動に係る事業収入から必要経費を控除した額を工賃として支払うということになっているところでございますが、お尋ねの、生活保護の勤労控除等の工賃の影響につきましては、生活保護受給者に限った工賃の分析は行っておりませんので定かではないところでございますが、都道府県ごとの平均工賃を比べますと、二万円を超えている県も七県ございます。一定のばらつきが見られるところでございます。また、コロナの影響があった期間を除けば、これまでの取組により着実に平均工賃額は増加をしているところでございまして、直近の令和四年度は一万七千三十一円となっております。

 今回の改定でも工賃向上に向けた取組を評価しておりまして、引き続き工賃向上を支援してまいりたいと考えております。

足立委員 御答弁あったように、障害福祉サービスにおける制度改善が着実になされ、よりよくなってきているということは評価しています。それはもう全然、そうなんです。

 ただ、障害を持たれている方で生活保護を受けていらっしゃる方は少なくありませんので、別の制度としての生活保護の勤労控除、これは私はやはり関係があると。だから、それも配慮しながらまた勤労控除の在り方は考えなあかん、こう思っているんですが、繰り返しになりますけれども、それは関係ないという見解ですか。

朝川政府参考人 生活保護の勤労者控除と今の工賃の話は、制度としてはやはり別物でございます。

 ただ、勤労者控除が一万五千円に設定されている中で、その設定の金額を決める際に、障害者の平均工賃とかそういったことも参考にはさせていただいております。

 なので、我々の勤労者控除の額が一万五千円だから障害の方に影響しているということではないと考えています。

足立委員 ちょっと、そこはエビデンスというか、もうちょっと議論せなあかんと思っていますので、ここはこれ以上やりませんが、ちょっと御答弁には納得いっていないので、引き続き、この生活保護と障害福祉サービスの在り方、これは取り扱っていきたいと思います。

 次に、外国人の話がよく出ます。通告でいうと十二番目になるんですが、要は、外国の方については、人道的観点から生活保護が被保護者に外国人もなっているケースが多いわけでありますが、私はやはり医療扶助等に、さっきも一谷さんからあった、医療扶助がすごく元々でかいわけです、そこに外国人がフリーライド的に、まあそういう事件も一部出てきているわけですから、乗ってきている可能性があると思うんですね。

 それで、実は、役所に、生活保護の種類ごと、扶助の種類ごとに外国人の受給がどうなっているか教えてくださいと言ったんですが、これは、何かデータがないらしいんですね。要は、同じように分布していれば合理性があるなと思うんですが、外国人だけ抽出したときに医療扶助だけ膨らんでいると、いろいろやはり課題が、ちまたというか、いろいろなところ、ちまたじゃないな、現場で言われている議論に一定の可能性がある、こう思うわけでありますが、そういうデータはやはりないということですか。取る努力をしていただけないでしょうか。

朝川政府参考人 生活保護の決定は世帯単位で行ってございます。受給世帯の中には、日本人と外国人が混在する世帯もあります。そういうようなこともあって、外国人に係る費用を特別に取り出して把握することが難しいという事情がございます。

 一方、令和四年度の被保護者調査において、生活保護受給世帯についてどのような扶助を受給しているかを見た場合、これは費用ベースではなくて世帯の数ベースですけれども、世帯主が日本国籍を有しない生活保護受給世帯では、世帯員に日本人がいる場合も含む数字ではありますが、生活扶助が九三・三%、住宅扶助が八九・五%、介護扶助が二一・四%、医療扶助は九〇・五%。一方、全ての生活保護世帯では、今の同じ数字が、生活扶助が八六・九%、住宅扶助が八五・七%、介護扶助が二四・九%、医療扶助は八七・九%となってございまして、大きく傾向に差は見られないと承知してございます。

足立委員 なるほど、ちょっと事前にそれを拝見していなかったので、また精査しながらこの議論も続けていきたいと思います。

 残る時間で、あと、大臣、幾つかというか、二つ三つ、二つかな、大臣から御答弁いただきたいと思いますが、まず一つは、この今日審議されている生活困窮者もそうだし、生活保護もそうですが、例えばさっきの住宅の問題、これはコロナのときに急増したんですね、相談とかいろいろなものが。通告の十番目になりますが。それから、二十万円貸し付けるとか、いろいろな制度がありましたよね、コロナのときに。あれも全部、社会福祉協議会がやったわけですよ。それで、パンクをした。かつ、そこで莫大な税金がいろいろな方に貸されたり配られたりしたわけですけれども、特に貸付けについては回収がほとんど進んでいない。

 それは何でかといったら、福祉がやっているからですよ。だって、緊急時に、さっきの障害のあられる方の話も、いろいろな話があるんだけれども、弱いところに全部行く。国の役所の制度でいうと、福祉部局の福祉窓口が全部抱え込んだわけですよ、当時は。今もそれにあっぷあっぷしている。

 だから、平時の今こそ、緊急事態、戦争とか疫病とかそういうふうになったときに福祉の窓口だけでそういうものを全部抱え込むのではない、緊急時の仕組みというものを今から構想しておくべきだと思いますけれども、大臣、どうですか。

武見国務大臣 基本的には委員の御指摘のとおりだろうと思います。

 ただ、実態として、こうしたコロナ給付金などを行う地域社会における最も適切な窓口というのは、やはり社会福祉協議会であったと思います。ただ、そこが実際に緊急時の対応を全てし切れるほどのキャパがなかったということもあったので、実際には、そこの人員を急激に増やすというようなこともやって、その機能の強化を図って対応してきたところだというのは御理解いただきたいというふうに思います。

 この社会福祉協議会は、新型コロナウイルス感染症の感染症拡大の影響で収入が減少した方々に、いわゆる緊急の小口資金等の貸付け、貸与を実施しましたね。それで、この貸付けについては、令和二年三月から令和四年九月末までに、件数は約三百八十二万件にも上ったんです。非常に多くの方が窓口に来ました。こうした中で、各市町村の社協の窓口では、感染防止の観点から郵送での申請書類の受付だとか、社協内の他部署の職員による応援だとか、それから臨時の職員の雇入れや派遣職員の受入れなど、必要な体制を整えて、ようやく対応しました。そこによって、社協の職員の負担は物すごく大きかったんです。こうしたコロナ禍での対応を踏まえて、今後、同様な事態が生じた際にどのような対応を行うかということは、先生の御指摘のとおりなんです、あらかじめ検討しておくことが重要なんです。

 そこで、現在、特例貸付事業の検証を進めるとともに、平時からの社協の貸付事務の効率化を図るという観点から、申請の受付や審査業務をオンライン化することの課題などについて、今現在、研究調査を進めております。

 これらを含めて、コロナ禍と同様の事態が生じた際については適切に対応できるよう、引き続き検討は確実にしていきたいと思います。

足立委員 これは厚労だけではないので、しっかり政府全体でやっていただきたい、こう思います。

 最後に、日本経済はいよいよ、三十年続いたデフレからの完全脱却に向けて、今、歩みを進めているところでありまして、その点では、私は、政府・与党、政府の取組あるいは日銀、全力で支えていきたい。ちょっと金融緩和の解除は、金融緩和的ではあるんだけれども、いわゆる今まで取ってきた政策の転換を余り急ぐべきではないと私は思いますが、いずれにせよ、これから金利のある世界が生まれます。

 質問は生活保護と社会保障全体に分けていましたがちょっと一本化して大臣にお願いしたいんですが、社会保障全般についてで結構ですが、年金は、インフレ、マクロ経済スライドということで仕組み化されています。医療や介護、社会保障全般にわたって、生活保護もそうですよ、インフレというもの、これからそれが常態化していくわけですから、仕組みとして、メカニズムとして組み込んでおくべきではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

武見国務大臣 年金の給付の場合と、それから医療等の給付の場合というのは、やはり、人の生活に与える影響というものは物すごく大きく違いがあります。医療の方の給付というのは、確実にもっと複雑になります。

 そうしたときに、御指摘のような、物価変動という観点から年金と同じようなスライドで制度を導入をしてそれに対応するということができれば、それは簡単だろうとは思うんですけれども、果たしてそれが現実に、人に与える給付の内容から考えてみて問題なくできるかどうかというところは、もう一工夫考えてみないと、直ちに、今の先生のおっしゃったことについて、なるほどというふうにはちょっとまだ申し上げられないというところだと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 私もこれは難しいと思うんですが、ただ、改定が医療、介護は二年とか三年とか、その三年の間持ちこたえなあかんわけですから、現場は。だから、年金みたいに減らすための仕組み化ではなくて、ちゃんと現場がもつように仕組み化できる方法を我々もまた考えていきたいと思いますので、御指導いただきたいと思います。

 もう時間が来ましたので終わりますが、さっき議事録の修正を私自ら申し上げました。やはり不適切発言は自分で言うことが大事です。

 森裕子さんという方がいらっしゃって、森裕子さん、原英史さんに裁判で負けたんですけれども、その裁判で負けた点がまだ議事録に残っているんですよ。

 だから、是非、両院で、これは参議院ですけれども、衆参両院で、裁判でこれはおかしいとなった議事録が残っているようなケースについては、例えば森裕子さん本人が、もう落選されているけれども、申し入れればそれが、議事録が修正できるように何かメカニズムを衆参両院、議運とかでまた提起をしていきたいと思います。

 厚労と全く関係ありませんが、一言申し上げさせていただきました。

 ありがとうございます。

新谷委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十一分散会


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