衆議院

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第2号 令和7年3月12日(水曜日)

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令和七年三月十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      東  国幹君    安藤たかお君

      石橋林太郎君    川崎ひでと君

      草間  剛君    国定 勇人君

      後藤 茂之君    坂本竜太郎君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      島田 智明君    鈴木 隼人君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      中西 健治君    根本  拓君

      長谷川淳二君    平口  洋君

      深澤 陽一君    福田かおる君

      三反園 訓君    森下 千里君

      吉田 真次君    池田 真紀君

      大塚小百合君    大西 健介君

      酒井なつみ君    宗野  創君

      堤 かなめ君    中島 克仁君

      長妻  昭君    長谷川嘉一君

      宮川  伸君    山井 和則君

      阿部 圭史君    池下  卓君

      猪口 幸子君    福田  徹君

      森ようすけ君    沼崎 満子君

      浜地 雅一君    八幡  愛君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   政府参考人

   (内閣官房内閣人事局内閣審議官)         砂山  裕君

   政府参考人

   (内閣法制局第一部長)  佐藤 則夫君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 大濱 健志君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          竹林 悟史君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          源河真規子君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       福原 申子君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森友 浩史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡本 利久君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局感染症対策部長)   鷲見  学君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省職業安定局長)            山田 雅彦君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君

   政府参考人

   (国土交通省航空局安全部長)           北澤  歩君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十二日

 辞任         補欠選任

  安藤たかお君     中西 健治君

  草間  剛君     石橋林太郎君

  塩崎 彰久君     川崎ひでと君

  根本  拓君     坂本竜太郎君

  長谷川淳二君     国定 勇人君

  森下 千里君     島田 智明君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     草間  剛君

  川崎ひでと君     塩崎 彰久君

  国定 勇人君     東  国幹君

  坂本竜太郎君     根本  拓君

  島田 智明君     森下 千里君

  中西 健治君     三反園 訓君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     長谷川淳二君

  三反園 訓君     安藤たかお君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

藤丸委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣人事局内閣審議官砂山裕君、内閣法制局第一部長佐藤則夫君、警察庁長官官房審議官大濱健志君、こども家庭庁長官官房審議官竹林悟史君、長官官房審議官源河真規子君、出入国在留管理庁在留管理支援部長福原申子君、文部科学省大臣官房審議官森友浩史君、厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、大臣官房審議官岡本利久君、医政局長森光敬子君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、健康・生活衛生局感染症対策部長鷲見学君、労働基準局長岸本武史君、職業安定局長山田雅彦君、雇用環境・均等局長田中佐智子君、社会・援護局長日原知己君、社会・援護局障害保健福祉部長野村知司君、老健局長黒田秀郎君、保険局長鹿沼均君、年金局長間隆一郎君、政策統括官朝川知昭君、国土交通省航空局安全部長北澤歩君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。

 端的に御答弁いただければと思います。

 まず、年金が心配なんですね。何か、年金法案を出す、出さないでもめているという、とんでもないことが起こっているようでございます。

 重要広範議案に国会に予告をして、国会が、自民党も合意して重要広範議案にしているんですね。四本しているんですね、今国会では。そのうち三本はもう全部出ているんですよ、国会に。議会に調べていただくと、六ページ、過去、重要広範議案の法案が提出されなかった事例は一回もありませんということなので。

 大臣もよく御存じだと思いますが、去年の財政検証ではっきりしたんです。何がはっきりしたかというと、就職氷河期世代以降の方々が受給するときに、基礎年金が三割、実質価値が減る、三割目減りするということがはっきりしたんですね、去年。そうしたら、法案を出すというのは通例なんですね。就職氷河期の方々で最年長が恐らく今五十四歳ぐらいだと思うんですが、ですから、十年ぐらいすると、どっと順次、年金受給になってくるんですよ。これをどうするかというのが喫緊の課題にもかかわらず、そういう就職氷河期世代以降の方を見捨てるんでしょうか、法案を出さないということは。ひどい話だというふうに思います。

 審議会の先生方も長期間綿密に本当に審議をされておられて、こういう報道が出ること自体、怒っておられる方も多いんですね。これは間違いなく出していただいて、きちっとした議論をしなきゃいけない。我々も、多分ここにおられる方皆さんが、これから実質的に基礎年金が三割目減りするという危機感をみんな持っていると思うんです。共有して、これを何とかしなきゃいけないと。こういう危機感の中できちっとした議論をしなきゃいけない。

 普通は、財政検証の次の通常国会で、これまでずっと法案が審議して成立しているんですね。過去は、財政検証の以前は財政計算という、昭和三十年代とか四十年代とか、昔からそういうふうになっているんですよ。ただ、一回だけ、GPIFで株の比率をちょっと高くするという法律が絡むようなところの議論が長引いたので、それは次の臨時国会になったということは、これはイレギュラーでありますが、今回そういうことはないので。

 大臣に聞きたいのは、法案提出、閣法については内閣の責任なんですね、閣議決定で提出しますから。これは総理の責任になりますよ。担当はもちろん厚生労働大臣なので、仮に出さないとなったときに大臣は責任を取るおつもりがあるかどうか、この一点だけ聞きたいんです。

福岡国務大臣 御指摘ありましたように、基礎年金については全国民共通の給付でございまして、その給付水準を確保するということは極めて重要だという認識は委員と共通してございます。

 そして、今回の法案では、国民のライフコースが多様化する中で、経済が好調に推移せず、基礎年金の調整期間が長期化する場合の備えとして、将来の基礎年金の底上げを図り、特に氷河期世代以降の若い方に幅広く恩恵が及ぶよう、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了、すなわち、当面の年金額の抑制措置の期間を短縮できる仕組みについて検討しているところでございまして、引き続き、提出に向け……

藤丸委員長 簡潔に。

福岡国務大臣 各方面の御理解を得られるように努力してまいりたいと考えています。(長妻委員「そうじゃない。責任を取るつもりがあるかと。ちょっと質問できませんよ。一回止めてください、速記」と呼ぶ)

藤丸委員長 じゃ、もう一度答弁お願いします。もう一度。

福岡国務大臣 現在、提出に向けまして、各方面の御理解を得られるように、まさに作業をしている最中でございます。

 仮定の話についてはお答えを控えさせていただきます。

長妻委員 そうすると、提出しないということはあり得ないということでいいんですね。

福岡国務大臣 まさに関係各方面の御理解がなければ提出できないわけですから、御理解をいただくように、今鋭意努力しているということでございます。

長妻委員 出ない場合の責任の取り方。

福岡国務大臣 所管する大臣といたしまして、法案提出に最大限努力してまいりたいと思います。

長妻委員 普通、成立に向けて努力すると言うんですけれども、提出に向けてと。だって、提出すると国会に告知があって、提出するということで自民党も重要広範議案にしているわけですから、もう一〇〇%するということなんですから。しない場合は、これはもう責任を取っていただきたいし、我々も徹底追及しますよ、しない場合。消えた年金のみならず、消えた年金法案、消えた年金底上げということで、徹底的に追及しますよ。出てきたら、きちっと問題意識を共有しているから、ちゃんと議論をしましょうよ、これ。

 何か報道では、参議院の自民党が反対しているということなので。皆さんは前向きに議論をしたいと思っておられるので、是非、こういうとんでもない、氷河期世代以降の方々をないがしろにするようなことはやめていただきたいということを強く申し上げます。

 そして、次に非正規雇用の問題を申し上げますが、今日は内閣人事局に来ていただいておりますけれども、これは初めて計算していただいたんですね、政府に。つまり、主要官庁の全職員に占める非正規雇用比率、このランキングを初めて作っていただきました、パーセンテージをつけて。三割以上が非正規の主要省庁をちょっと御紹介いただけますか。これは資料一番です。

砂山政府参考人 各府省から内閣人事局に対して提出されております令和六年七月一日時点の統計報告に基づいて御報告をいたします。

 いわゆる審議会の委員等を除いた非常勤職員の割合が、常勤、非常勤合わせた人数に対して三割を超える府省は、大きい方から順に、厚生労働省が五三・三%、農林水産省が三七・二%、内閣府が三五・七%、文部科学省は三四・〇%となっております。

 なお、法務省は五五・四%でございますけれども、これは給与が支給されない保護司約四万六千人を含んだ数字でございますので、これを除きますと一三・六%となります。

長妻委員 改めて、これはパーセントが初めて出たわけですが、ちょっと驚くんですね。厚生労働省というのは、やはり安定した雇用をつくる役所なんですが、断トツなんですよ。半分以上が非正規雇用。つまり、雇用期間の定めのある雇用という方々なんですね。民間でいったら契約社員なんですね。

 やはりこれだけ、半分以上の、主要省庁で厚労省だけということは、これは深刻に受け止めて、どういうふうに、大臣、考えますか。

福岡国務大臣 まず、ハローワークにおいて非常勤職員の割合が高いのは、やはり雇用というのは景気や雇用情勢によって変化する、その時々によってハローワークに求められる状況が変わるというようなことの要因もあるというふうに承知をしています。

 そういう中で、今おっしゃられましたように、非常勤職員を常勤化させていく、そういった取組というのは当然大事なことだというふうに思っています。当然、公務員の定数の合理化の範囲、縛りがある中ですが、できるだけそういった流れについては理解をしていきたいと思っています。

長妻委員 今、ハローワークの話もありましたけれども、資料二番ですね、ハローワーク、過去十年からどんな感じですか、非正規雇用比率は。

福岡国務大臣 ハローワークの非常勤職員数は令和七年四月一日時点で一万八千百四十人でございまして、職員全体に占める割合は六三・四%の予定となっております。

 また、平成二十七年度の非常勤職員数一万五千五百六十三人と比較いたしますと、令和七年度は二千五百七十七人増えております。

長妻委員 これは本当に深刻だと思うんですね。安定雇用をつくるハローワークの職員の方が、六三%が非正規雇用である、これは非常にやるせない感じですよね。

 大臣は、つまり、改善すべきだと思っておられるのか。仕方がない、このままでいいんじゃないのかと思って、この比率をやはり下げる、いろいろな、定員のこととかありますから、ほかの省庁とか人事院とか働きかけて、そういう構造的改革をしないといけないと思うんですね、ほかの省庁もそうですけれども。

 これはやはり改善すべきと思っておられるんですか。

福岡国務大臣 今委員おっしゃられましたように、いろいろな制約がある中ですが、改善の方向に向けて努力していきたいと考えています。

長妻委員 東京二十三区を調べてみますと、四ページですけれども、これは派遣が入っていないらしいんですけれども、派遣を入れなくても非正規雇用比率が四割を超えている区もあるんですね、文京区とか、荒川区とか、葛飾区とか。ただ、派遣を入れると、私も、漏れ聞こえてくるのは、相当、これよりももう驚くほど比率が高いというような区もあると聞いておりまして。

 これはもちろん、行政、公務員のみならず、民間の非正規も増えているわけで、ただ、民間の非正規、全体の被用者に占める非正規雇用は四割と言われていますから、むしろ公務員の方が高くなっちゃっているんですよ。厚労省の方が高いわけですね。

 ですから、民間も含めて入口規制を私は入れるべきだと。契約社員というのが日本は自由自在に、一年、二年、三年契約とか自由に契約社員をやってしまっているんですが、これを厳格に条件を決めて、契約社員を雇えるのはこういう条件に限定すると非常に厳密な条件をつけて、そういう入口規制についての導入について是非前向きに検討していただきたいんですが、どうですか。

福岡国務大臣 入口規制の導入につきましては、無期転換ルールの創設を盛り込んだ労働契約法改正の内容を平成二十三年に労政審で検討していただいた際に議論がされましたが、有期労働契約を利用できる合理的な理由への該当性をめぐる紛争を招きやすいことであったり、また、雇用機会を減少させる懸念もあることから導入すべきとの結論には至らず、公労使の三者で丁寧に議論を行った結果、現行の無期転換ルールにより、有期労働契約者の雇用の安定を図る形となってございます。

 現在、入口規制の導入について検討するよりも、まず、無期転換ルールの適切な運用を通じて有期契約労働者の雇用の安定を図ってまいりたいと考えています。

長妻委員 ちょっと、まだそんな答弁をしているのかと。

 我々は、入口規制の法案、議員立法を何度も出していますが、自公の審議拒否で通っていないんですね。是非これをやってください。ヨーロッパでは、厳密に契約社員というのは制限されていますから。日本は自由自在に、あなた、一年ね、二年、三年ねと。本当に雇用がどんどんどんどん劣化しておりますので、是非お願いします。

 そして、最後の質問でありますけれども、抗菌薬の問題ですね。伊勢志摩サミットでも大きな議題になりましたし、今、国連総会でも大きな議題になっております。抗菌薬を使い過ぎてはならない。特に日本が大丈夫なのかと言われております。

 まず大臣の見解をお伺いしますが、抗菌薬を風邪の患者さんに出すということは適正なんでしょうか。

福岡国務大臣 風邪、一般的に上気道炎のものの多くはウイルス由来のものでありまして、当然、中には細菌由来のものもあります。ウイルスにはいわゆる抗菌薬というのは余り適しないと言われていることから、そういったことも踏まえた対応が必要だというふうに認識しています。

長妻委員 九ページ、厚労省の資料ですけれども、感冒に対しては抗菌薬投与を行わないことを推奨するということなんですね。

 にもかかわらず、十一ページを見ていただきますと、政府が抗菌薬の使用を、国連の議論も受けて、二〇二〇年から一五%減らす、こういう目標を立てたんですが、現実は、十二ページ目の資料ですが、二割増えちゃっているんですよ、二割増えちゃっている。これは深刻なんですね。医療費の無駄遣いにもつながりますし、抗菌薬をウイルスに効かないのにどんどん投与すると、耐性菌ができて、むしろ体に害がある。こういうようなことが、厚労省が立てた計画、一五%減が、逆に二割増になっているんですよ、今。これは本当にゆゆしき問題。高額療養を削るんだったら、こっちの方を削ってくださいよ。体に害ですから。無駄以上に、体に害ですから。

 十六ページを見ていただきますと、実際に、これはちょっと私もびっくりしましたが、耐性菌ができたらば具体的にどれだけ害があるのか、それが厚労省の資料に出ておりますが、三・四倍とか、死亡率三・七倍とか、入院日数とか、ここら辺をちょっと簡単に説明いただけますか。(発言する者あり)

藤丸委員長 じゃ、速記を止めて。

    〔速記中止〕

藤丸委員長 速記を起こして。

 福岡大臣。

福岡国務大臣 済みません、手元に資料がございませんで。委員がお配りいただいたこの資料、厚労省の研究班で行った診断群分類データを用いた試算によりますと、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症症例の入院費用は、非メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症症例に対して約三・四倍、在院日数は約三・〇倍、死亡率は約三・七倍であったというようなことが記載してございます。

長妻委員 時と場合によってはこういう、だから国連でも問題になっているんですね。サミットでですよ、サミットで主要議題になっているんですから。これは日本が非常に遅れているということでございまして。

 興味深い研究が十五ページにございました。これは東京大学の大学院の医学系研究科の青山先生らが研究したんですが、どういうところが抗菌薬が必要がないのに風邪の患者さんに出しているのかというと、ちょっと三つのファクターが出てまいりまして、高齢の院長の診療所、つまり、昔の知識だと、何か念のため出した方がいいみたいな話もあったやに聞いております、それ以外の原因もあるかもしれませんし。患者数が多い診療所、そして単独診療の診療所とか。

 あと、現役の方に多いんですね、投与が。つまり、現役の方は、早くあしたから仕事をしたいので、早く治してくれと。抗菌薬をくれ、抗生物質をくれと患者さんからも言われるらしいんですが、これはちゃんとお医者さんが言わなきゃ駄目なんですよ。それは余り意味がないですよというようなことを言わなきゃいけない。

 十ページ目を見ていただきますと、これは厚生労働省の回答でありますが、感冒の約九割はウイルスであるというふうにここに書いてありまして、ですから、九割、ほとんどが抗菌薬は余り意味がないということだと思います。

 最後に、厚労大臣に是非御決断をいただきたいんですが、私は、恐らく四つぐらい対策があるんじゃないかと。今のままだと駄目です。一つは、使用量が多い医療機関に警告を発する。使用量が多い医療機関、診療所があるんですよ、そこに警告を発するということ。二つ目には、ビラを患者さんに渡す、風邪を引いた方で薬が欲しいと言われる方などに。ビラを渡したらお医者さんに少し報酬をつけて、デメリットをそこに書く。耐性菌ができたら死亡率が上がりますよ、大変なことになるんですよ、可能性もあるんです、不用意に飲むとですね。そして三番目は、使用のガイドラインをかなり厳密に、こういうこと以外は使わないでくださいというのを周知して、きちっと厚労省が公表する。そして、最後の手段としては、これは検討事項ですけれども、保険適用を見直していく。そういう普通の風邪でばんばん抗生物質、抗菌剤を出す場合の保険適用を見直す等々で、医療費も削減をすると同時に、国民の健康を守るということが必要だと思います。

 いろいろな先生が削減効果を数百億円というような試算も出しておりますが、政府に聞いてもちょっと削減効果の金額は出てまいりませんけれども、まずこういうようなところから、高額療養制度に真っ先に手をつけるのではなくて、こういう体に害があって医療の無駄遣いのところをどんどん潰していく。

 これは、私は、背後に大きな利権があるんじゃないかと疑っているんです。ずっと前から言われているのに、なかなかこれが改善できない。医療費は、言うまでもなく、五十兆円近いお金が毎年毎年右から左に動く、日本最大の利権の分野に今やなっているんですね。ですから、本当に一つ一つ見るとすさまじいいろいろな既得権益がありますので、こういうところにきちっと切り込んでいただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問といたします。よろしくお願いします。

藤丸委員長 次に、山井和則君。

山井委員 十五分の質問時間ですので、大臣、誠に申し訳ありませんけれども、端的に結論だけお答えいただければと思います。

 まず何よりも、手元に持っておりますのは、今回、高額療養費の負担限度額引上げの反対に対するアンケート。これについては、一月十七日から十九日までたった三日間で、三千六百二十三人の不安の声、悲鳴がこの中にございます。私の配付資料にもその声を幾つか載せさせていただきました。

 そしてまた、この間、福岡大臣には大変患者の方々に寄り添っていただいて、声を聞いていただき、様々な調整が大変だったんだと思いますが、その中で、今回、私たちや患者団体の方々が要望をしておられました今年八月からの引上げを凍結していただいたことには、本当に感謝を申し上げたいと思います。

 ただ、問題は、患者団体の方々も非常に不安に思っておられまして、再検討はいいんだけれども、全く同じ案が出てくるんじゃないかということなんですね。

 そこで、限られた時間ですので、質問通告どおり、端的に御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、質問通告一。初年度、今年八月からの高額療養費引上げは見合わせるということになった。ついては、見合わせるという意味についてお伺いします。当初の引上げ案は一旦白紙にして、ゼロベースで高額療養費の在り方を再検討するのか、それとも、年間五千三百億円の高額療養費を抑制するという当初の引上げ案をベースにして秋までに再検討するのか、お答えください。

福岡国務大臣 検討に当たりましては、高額療養費制度の持続可能性を確保しながら、患者さんの経済的な負担が過度とならないものにするようにすることが重要であると考えてございまして、具体的な検討はまさにこれからの話でございまして、現時点で方向性が定まっているものではございません。

山井委員 ということは、ゼロベースでもなく、そうしたら、当初案をベースに再検討するという可能性もあるということですか。

福岡国務大臣 現時点では、まだ方向性について定まっていないということでございます。

山井委員 これ、意味ないんじゃないんですか。当初案が駄目だから、再検討ということを福岡大臣も石破総理も決断していただいたと思うんです。

 これはちょっと誤解しないでいただきたいんですけれども、私は追及するためにやっているんじゃなくて、福岡大臣もこれは困っておられると思うんですよ。結局、再検討は決めたものの、当初案がベースか白紙撤回かもまだ決まっていない、これは厚労省も多分困ると思いますよ。話が全然、全く違う議論になるわけですからね。だから、ここは本当に与野党協力しながら、私は、やはりこれだけ大問題になった以上は一度白紙に戻すべきじゃないかと思うんですけれども。

 それに関連して、質問その二ですね。結局、今日の配付資料にもございますけれども、今回、三年後完成すると五千三百億円の抑制になるんですよ。これがきついんですよ。五千三百億円ですからね、年間医療費、高額療養費に関して。これについて、この年間五千三百億円の抑制は、悪影響が患者の方々に対して大き過ぎます。五千三百億円の抑制を堅持するのであれば、これは再検討の意味は全くないと思うんですね、はっきり言って。

 再検討の際には、年間五千三百億円という当初案の抑制額は縮小する方向で、年五千三百億円の抑制にはこだわらず議論すべきではないでしょうか。それとも、年五千三百億円の抑制方針は、五千三百億円抑制ありきとして変えずに堅持し、この枠内で再検討するのですか。お答えください。

福岡国務大臣 高額療養費制度につきましては、高額な薬剤の登場などにより、その額が医療費全体の倍のスピードで伸びております中、この大切なセーフティーネットを次の世代にも持続可能なものとするため見直しを行うものでございまして、五千三百億円の給付費削減を目的に見直すものではございません。ですから、繰り返しになりますが、再検討の前提として五千三百億円の削減という目標を置くことはございません。

山井委員 確認ですが、それが前提ではないということは、年五千三百億円という抑制額は縮小する方向で議論すべきということでいいんですか。前提がなくて六千億に増えたら、これはもう大変なことになりますからね、当たり前の話。当然、それが前提じゃないということは、縮小する方向性、方向性ですよ、これはめちゃくちゃ重要ですからね。増やすのか減らすのか、百八十度方向性が違うんですから、これを減らす方向で議論すべきという理解でよろしいですか。

福岡国務大臣 その方向性も含めまして、有識者の方々で御議論をいただくということでございます。

山井委員 これは開いた口が塞がらないですよ。これはさすがに増やすことはあり得ないでしょう。ちょっと、その答弁はさすがにひどいんじゃないんですか。答えにくいのは分かりますよ。

 そうしたら、本当にお聞きしますけれども、可能性としたら、再検討したら、結果的には、もっと自己負担額を大幅に引き上げて、抑制額が五千三百億円より増える可能性は一%でもあるんですか。

福岡国務大臣 当然、様々な有識者の方々で御議論いただく中にありまして、今回、そのプロセスの中で、患者団体様のお声も踏まえながら検討を行っていくというようなことを示させていただいている、その中で方向性が示されていくものと思います。

山井委員 繰り返し言いますけれども、私は福岡大臣を追及しているつもりはなくて、与野党あるいは患者団体の方々も含めて、方向性ぐらいは分からないと、右向いてはるのか、左向いてはるのか。言っちゃ悪いけれども、少なくとも今の答弁では、再検討の結果、患者の方々の、がん患者の負担は増える可能性もあるということですよね。それは何ぼ何でも私はひどいと思うんです。

 だから、三問目。さらに今、長妻議員もおっしゃいましたように、私は、基本的な考え方としては、昨日も東京都医師会が記者会見しまして、その中でこう言っているんですよね、つまり、東京都の医師会ですよ。医療者の努力、医療の質を保ちながら無駄な医療費を削減、画一的な検査の繰り返しなど不要と思われる検査をなくす、経済的に負担できる方への湿布薬や保湿剤の処方箋を減らす、レセプト審査の適正化、それで、現役世代の社会保険料負担が限界に来ているが、高額医療費削減から手をつけることは国民皆保険制度の根幹であるセーフティーネットの崩壊につながりかねない、これは医師会が言っているんですよ。

 だから、質問通告のとおり質問しますが、基本的な考え方として、高額療養費五千三百億円抑制ありきではなく、命に関わる医療の抑制ではなく、軽症の患者の医療の抑制をより優先して先に実施すべきではないでしょうか。お答えください。

福岡国務大臣 まず、先ほども申し上げましたように、高額療養費制度の見直しは、制度の持続可能性の維持や保険料負担の軽減を図る観点から行われるものでありまして、具体的な給付費削減を捻出することを目的としているものではございません。

 そして、軽症の患者の方の医療費を抑制すればいいじゃないかというお話もありましたが、当然、その軽症の方が重症化すればより医療費がかかるわけでありまして、軽度のうちから適切な医療を提供するということは極めて大事なことだと思います。

 そもそも、様々な制度改革はそれぞれの必要性に応じて対応していくべきものでございまして、高額療養費制度の見直しについても、高額療養費制度の見直しか他の制度改革かといった二者択一の議論ではございませんので、高額療養費については高額療養費の中で、しっかりと有識者の方々にも御議論いただきながら方向性を定めていきたいと考えています。

山井委員 私は、限られた時間なので、厚労省、厚労大臣の基本的な認識を聞いているんですよ。両方手をつけますとかじゃないんですよね。

 例えば、東京大学大学院の五十嵐准教授なども、高額療養費制度に手をつけなくても、医療費の別の部分で大幅に節約できるということをおっしゃっていますし、また、東京都医師会も同じ見解なんですよね。

 だから、基本的認識です。どっちを優先するのか。命に関わる医療の抑制が先なのか、軽症患者の医療費の抑制が先なのか。両方というのは分かりますよ。でも、どちらをより優先して実施すべきと考えるか、その大臣の見解をお聞かせください。

福岡国務大臣 まず、これまで、医療費抑制策については、改革表、工程表の中で示された項目について、それぞれ専門家にも御議論いただきながら方向性を示してきたところで、まだ議論中のものもありますが、方向性を示してきたものもございます。

 今おっしゃったように、二者択一でこちらを取るかこちらを取るかではなくて、それぞれの項目において、適切な医療の在り方はどうかということを検証を深めていく必要があるというふうに考えています。

山井委員 私は、それはおかしいと思いますよ。信じられない。恐らく、これは与野党関係ないと思いますよ。風邪やおなか痛、軽症の人の医療を削るのか、この薬、この治療を削ったらもう命が奪われる人と、どっちを先に抑制するのか。はっきり言って、私が聞いた医療の研究者は全員、やはり命に関わる医療を削るのは最後だ、軽症者が最初だと。医療の経済学者とか医療の研究者、私が知っている範囲では全員おっしゃっていますよ。

 ついては、四番目の質問、通告に従いますよ。石破首相は、患者団体の納得を得ないまま引上げは強行しないと答弁されました。そのためには、再検討の決定の場に患者団体が委員として入っていただく必要があります。よって、今日の配付資料にありますが、十年前には大谷貴子さんが、ここにありますね、骨髄バンク協議会顧問として、がん患者の方、当事者が医療保険部会に入っておられました。そのような例もありますので、高額療養費の再検討の審議会には、全がん連の代表者や難病団体、JPAの代表者も委員に入っていただくべきではないでしょうか。

福岡国務大臣 今後の見直しに当たりまして、学識経験者であったり医療制度に関わる関係者で構成される審議会において議論されることを想定してございます。

 その際には、社会保障審議会が制度全体に関わる様々な議論を行う場であることから、患者団体の方々からの御意見の伺い方につきましては、よく検討していきたいと考えています。

山井委員 それは石破総理の答弁に矛盾していると思いますよ。石破総理は、強行はしない、反対を押し切っては再検討の案は決定しないと言っているんですよ。そうしたら、意思決定の場にがん患者の方々の代表が入っていなかったら、ヒアリングして、がん患者の代表の方々が反対です、ノーですと言ったら、その案、じゃ、実行しないということになるんですか。矛盾しているでしょう。意思決定の場にがん患者の方々の代表が入らなければ、強行はしないという石破総理の答弁は矛盾するんです。

 これは要望として新たに言いますけれども、石破総理は、おとつい、がん患者の方々の反対を押し切っては強行しないと国会答弁されたんですよ。ということは、自動的にがん患者の方々を決定の場に入れないと、強行しないということが担保できないと思うんですけれども。

 改めて、是非、今すぐにとは言いませんけれども、政策決定の審議会にはがん患者や難病団体という高額療養費の一番影響を受ける人の代表を入れるということを、前向きな答弁をお願いします。

福岡国務大臣 総理からも話がございましたように、今後の検討に当たりましては、当然、当事者の方々のお声もしっかり承るということは、おっしゃるとおりでございます。

 その上で、社会保障審議会医療保険部会については、例えば、高額療養費以外にも、マイナ保険証だったり、出産の保険適用だったり、国保制度の在り方だったり、被用者保険の適用拡大であったり、様々なテーマについて御議論いただいています。当然、その時々のテーマによってお話をお聞きすべき方というのは変わってくるわけでございまして、そういったことも含めまして、どういった形で御意見を伺っていくかについては、よく検討を深めていきたいと考えています。

山井委員 何か、再検討と言いながら、ヒアリングだったら今でもやっているわけです。

 それで、もう一つお聞きします。

 私、びっくりしたんですけれども、今回、高額療養費引上げを決めた場には、健康局のがん対策課とかは関与していないんですよね。がん患者の人の命が奪われる改革を議論するのに、がん対策課が同じ厚労省の健康局で関与していないというのはどういうことなんですか。

 ついては、新たな再検討の検討会の場では、健康局のがん対策課も当然関与すべき。当たり前ですよね、そんなの。がん患者の方々のために改革を議論する面もあるわけですから。これについて、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 今御指摘いただいたことも含めて、検討してまいりたいと思います。

山井委員 是非進めてください。

 それと、今年秋までには決定するのは拙速だということを東京都医師会もおっしゃっています。これは是非延ばしていただきたいと思いますが、どうしても、あとはもう質問時間が来まして終わりますが、今年の秋と締切りを切ることは拙速ではないかという心配の声が患者団体や医師会からも出ておりますので、是非そこはじっくりと議論していただきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

藤丸委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、高額療養費の引上げ凍結と、そして年金法案について伺います。

 まず高額療養費について、総理は、国会で繰り返し、この十年間の経済、物価動向の変化を踏まえて、自己負担上限額を定率で引き上げる必要があると答弁、説明をしてきました。厚労省の資料でも、この十年で賃金が約一〇%伸びたから、高額療養費の自己負担上限額を一〇%引き上げるんだと記載をされています。しかし、私は、この考え方は、倫理的にはもちろん、数学的にも間違っているというふうに思います。

 大臣に伺いますが、賃金、物価が一〇%伸びたら、なぜ高額療養費の上限額を一〇%引き上げなければならないのでしょうか。

福岡国務大臣 高額療養費につきましては、その総額が医療費全体の倍のスピードで伸びてございまして、制度の持続可能性の維持と現役世代を中心とした保険料負担抑制の観点から、定率改定も含めた見直しを予定していたものです。

 その上で、定率改定の引上げ幅につきましては、高額療養費の伸びによる負担の増加をどのように分かち合うかという観点から、負担能力に応じた配慮を行いつつ、前回見直し後の経済、物価動向を勘案して、平均的な年収の方、年収三百七十万円から七百七十万円の方々の定率改定の幅を一〇%と設定していたものでございます。したがって、物価上昇率や賃金上昇率と機械的に連動させていたものではございません。

 いずれにしましても、今後、どのような形で見直していくか、しっかりいろいろな方の御意見も踏まえながら検討を進めたいと思います。

井坂委員 大臣、これは、物価が一〇%上がったから、自己負担も一〇%引き上げて患者さんに一〇%多く自己負担してもらおう、賃金も一〇%増えているから、自己負担が一〇%増えても払えるだろう、こういう理屈だと思います。

 果たして本当にそうかということを、ちょっと今日は時間を取って議論をしたいと思います。

 私は、今回政府がやろうとしていたように上限額を引き上げなくても、賃金が上がれば、患者の自己負担額は自然に上がると考えています。賃金、物価が一〇%伸びたら、全ての患者の自己負担総額も自動的に一〇%上がるので、上限額を経済、物価動向に合わせて引き上げる必要はないと考えています。

 配付資料の一番を御覧ください。左側、七十歳未満の表だけ使います。

 二〇二二年の段階で、年収一千百六十万円以上の保険加入者が百四十プラス八十プラス百六十で三百八十万人、全体の四%、年収七百七十万から千百六十万円の加入者が千百三十万人で全体の一二%、そして年収三百七十から七百七十万円が四千百二十万人で四三%、そして年収三百七十万以下の方が三千三百万人で全体の三四%、そして住民税非課税が七百二十万人で七%いらっしゃいます。

 もう一枚めくっていただいて、配付資料二ですが、同じことを、今から十年前の二〇一五年のデータも厚労省に持ってきてもらいました。

 緑色の棒グラフだけ見ますけれども、七十歳未満の加入者分布、年収一千百六十万以上の加入者が全体の三・一%、七百七十から一千百六十万が全体の九・七%、三百七十万から七百七十万が全体の三九・三%、そして三百七十万以下が全体の三七・七%、住民税非課税が一〇・一%いらっしゃいます。

 この配付資料一と二を、加入者分布を一つのグラフにまとめたのが次の配付資料三であります。

 左側のグラフで緑色のグラフは、さっきの資料二の右上の緑色のグラフを縦向きに描き直しただけです。何もいじっておりません。青いグラフが、最初の資料一の左端にある青いパーセントの数字、加入者分布をグラフに直しただけです。

 緑色の二〇一五年と青色の二〇二二年を比べると、住民税非課税とそれから年収三百七十万円以下の加入者割合は減っていて、そして、年収三百七十万から七百七十万、年収七百七十万から一千百六十万円、そして年収一千百六十万円以上の加入者割合が増えています。この間に、賃金が増えて、加入者がより右側の、より高い年収区分に移動していったということが一目瞭然で分かります。

 大臣に伺いますが、資料三の左側のグラフを見て、賃金が増えれば、年収の分布は賃金の高い右側にずれるということは、事実としてそうなっているし、理屈としても必ずそうなるということは、これはお認めをいただけますでしょうか。

福岡国務大臣 委員がお示しになられましたように、所得が上がることによって推移していらっしゃるグラフを作っていただいた、そういうことがあるということについては十分認識をいたしました。

井坂委員 ありがとうございます。

 続きまして、資料三の右側の表を御覧いただきたいと思うんです。二〇一五年と二〇二二年の高額療養費の自己負担上限額の平均値を計算した表であります。

 例えば、この右上の表、二〇一五年は、年収一千百六十万円以上で上限額が二十五万二千六百円の人が三%います。年収七百七十万円から一千百六十万円で上限額十六万七千四百円の人が一〇%います。各年収の上限額に分布のパーセントを掛けて全て縦に足し合わせていくと、二〇一五年の加入者全員の平均上限額が八万一千百十七円と赤い文字で出てまいります。同様に、右下の表で、各年収の上限額に分布のパーセントを掛けて全て足すと、二〇二二年の加入者全員の平均上限額が八万六千八十六円と出てまいります。

 上限額を引き上げていないのに、二〇一五年から二〇二二年の七年間で、加入者の賃金が伸びたことによって、平均上限額は八万一千百十七円から八万六千八十六円と六・一%も増えています。

 年収が幾らでも高額療養費の上限額は一定、仮にこういう真っ平らな制度であれば、これは、年収や経済が伸びたら上限をやはり引き上げていかないと、自己負担額が増えていかないというのはよく分かります。しかし、今の制度は、年収が高くなるほど階段状に上限額が上がっていく制度ですから、こういう制度では、世の中の賃金が上がったら、別にここの天井を上げなくても、賃金が上がったら人はどんどんどんどん右にずれていきますので、例えば年収七百万ぐらいの人は、賃金が一〇%増えたら七百七十万になって、隣の、天井が八万から十六万、天井が倍高い隣の部屋に移っていくわけです。こういう制度なんですね。そうなると、上限額の平均というのは自然に上がります、これは天井を一々引き上げなくても、どんどんどんどん人が右にずれていきますから。

 大臣に伺いますが、今御説明をしてグラフを見ていただいたように、賃金が上がっても、高額療養費の自己負担額を引き上げる必要はないのではないでしょうか。お伺いします。

福岡国務大臣 今おっしゃられたように、機械的にこういうふうに試算されればそうかもしれませんが、お一人お一人の置かれた状況は違います。当然、お一人当たりの高額薬剤が、かつてと比べるとかなり高い薬剤が普及してきている、そういった背景もございますので、一概にこの数字だけをもってそういう分析をするというのは早計に過ぎるのではないかと思います。

井坂委員 早計まで言われると、ちょっとびっくりするんですけれども。

 一人一人の話をしたらもっといろいろあって、例えば、今、全員が上限額に当たっていたら、天井が上がった分、自己負担額が上がるという話をしましたけれども、現実は、天井に当たっていない人がほとんどなわけですよ。天井に当たっていない人というのは、賃金が一〇%増えたら、あるいは物価が一〇%増えたら、自己負担額も経済の上昇に合わせて一〇%増えているんですよ。別に天井に当たっていないですからね。だから、上限額を引き上げなくたって、ほとんどの人は、天井に当たっていない人は自己負担額が一〇%増えているんですよ。

 天井に当たっている人、仮に全員が天井に当たっていたという極端なケースを考えたって、賃金が増えたら、隣の天井が高い部屋に移る人が一定出てくるので、天井を引き上げなくたって自己負担額は増えるでしょう、一番極端な例でもそうなるでしょうと言っているんです。

 大臣、早計とおっしゃったのは私は間違った答弁だと思います。全体傾向を見ても、マクロで平均を出しても、事実としても上がっているんですよ。もう一度御答弁いただきます。

福岡国務大臣 まず、早計という言い方が不適切であったとしたら、取り消させていただきたいと思います。

 その上で、委員が御指摘いただいた、そういった分析が本当に当たるかどうかについては、もう少し子細に分析をさせていただいた上でまた議論をさせていただきたいと思います。

井坂委員 そうですね。反論いただくのであれば、きちんと厚労省なりの、では、どういうケースでどれだけ、上限を上げなくても自己負担の平均額ないしは全患者の自己負担の総額がという話は、構造上増えないんだというのであれば、それはそういうロジックを出していただきたいというふうに思います。

 大臣、やはりお認めをいただきたいのは、自己負担上限額をわざわざ今回の諦めた政令改正みたいに引き上げなくても、賃金が伸びれば全ての患者の自己負担合計額は必ず増えるということはお認めいただけますね。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 審議会でもいろいろ御議論させていただきましたが、まずは、従来からの引上げのときの考え方につきましては、協会けんぽの平均総報酬月額の推移を見て、この引上げ率を見ながら上げてきたという経緯がございます。今回につきましては、平成二十七年度から直近の賃上げも加味すると約一二%程度伸びているというところを加味して、それよりもちょっと抑えておりますが、一〇%の引上げということをさせていただきました。

 そういった形で従来の考え方を踏襲してきたということと、あわせて、例えば、世帯収入が平成二十七年度から令和五年度に一六%増えているということですとか、あと、また、先生がおっしゃるような、こういった平均の上限額が上がっている中にあっても、引き続き、高額療養費が通常の医療費に比べて倍のペースで伸びている、この伸びているものをどういうふうに分かち合わなければいけないのか、こういった視点から議論をさせていただいたものでございます。

井坂委員 聞いたことに答えてください。

 上限額を引き上げなくても、賃金が伸びれば全ての患者の自己負担合計額は必ず増える、構造上も増える、理屈上も増える、そして事実としても、二〇一五から二〇二二年までもろに増えている、これはお認めをいただかないと、おかしくなると思います。

鹿沼政府参考人 御指摘のように、平均上限額が伸びれば、その部分、当然ながら患者のマクロの負担の額は上がってくるというふうに思っております。ただ一方で、高額療養費全体がそれ以上に伸びている中で、それをどういうふうに分かち合うかということかと思っております。

井坂委員 ちょっと微妙に答弁をずらしましたけれども、平均上限額が伸びれば総額は増える、これは当たり前の話。そうじゃなくて、賃金が上がれば平均上限額が伸びるということはお認めいただきたいと思います。

鹿沼政府参考人 賃金が伸びれば平均上限額が伸びて、それを、マクロでいった場合の患者の方の全体の負担が増えてくるかもしれませんが、一方で、高額療養費全体が非常に伸びてくる中でそれをどう分かち合うか、そういう点で御答弁をさせていただきました。

井坂委員 お認めはいただきました。

 実は、厚労省の毎月賃金統計を見ますと、二〇一五年から二〇二二年までの七年間で賃金は五%伸びています。だから、賃金は五%伸びて、今計算した平均上限額は、上限を上げなくたって平均で六・一%伸びているわけであります。恐らく、賃金がこの間一〇%増えていたら、上限を引き上げなくたって、自己負担の平均上限額は一〇%以上伸びているというふうに思います。

 最後、大臣に伺いますけれども、今後、賃金が一〇%伸びたから、これは厚労省の資料の一ページ目に書いてある話ですからね、さっきおっしゃった、医療費が伸びているからというコスト面の話は、それは一方であるでしょうけれども、コスト論じゃなくて、賃金が一〇%伸びているから上限額も一〇%伸ばすんだと、厚労省の説明資料の一ページ目に書いてある基本中のロジックですから、そこは改めていただきたいんです。

 賃金が一〇%伸びたから上限額を一〇%上げなければいけない、このロジックは私は間違いだと思いますので、今後の見直しをもし行う際にも、このロジックは使わないということでよろしいですね。

福岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、賃金や物価が一〇%伸びたから、今回負担を一〇%お願いすると言っているわけではございませんで、高額療養費の伸びによる負担の増加をみんなでどのように分かち合うかという観点から、負担能力に応じた配慮を行いつつ、そのときに、前回見直し後の経済、物価動向も勘案してということで賃金、物価の値を使わせていただいているということですから、当然、今後、その議論に当たってどういう形で議論を進めていくかということについては、また改めて検討していくということになると思います。

井坂委員 ちょっと大臣、ごまかさないでください。これは厚労省の我々議員向けの説明資料の一ページ目の左上ですよ。一番最初のところに、考え方、前回見直しを行った約十年前からの平均給与の伸び率が約九・五から一二%であることを踏まえ、平均的な所得層の引上げ幅を一〇%に設定、こういうロジックで引き上げますと一番最初に書いてあるんですよ。ごまかさないでください。もう一度御答弁をお願いします。大臣、お願いします。

福岡国務大臣 今御説明した理屈というのは、引上げの幅を設定するに当たっての、厚労省として説明の理由として説明をさせていただいた理由でございまして、何度も申し上げますが、今回の高額療養費については、負担の増加をどのように分かち合うかという観点から、負担能力に応じた配慮を行う、その中で、当然、一つの指標として経済、物価動向も勘案しているということでございますが、今後どういうことを勘案しながら決定していくかということは、今後検討を進めていくということでございます。

井坂委員 だから、さっき聞いたことにお答えいただきたいんですが、要は、賃金が一〇%上がったから上限額も一〇%引き上げます、こういう決め方は今後やめていただけますね。

福岡国務大臣 今後、引上げ方の方向性については、まさに審議会で御議論をいただいていくということでございます。

井坂委員 何のために議論をしてきたのか。それぐらいは言ってくださいよ。大臣がお認めいただいたとおり、賃金が一〇%上がったから上限額を一〇%引き上げなければいけませんというロジックは間違いなんですから、そういうロジックで上限額を引き上げるのはやめてくださいと。お答えください。

福岡国務大臣 そのロジックの違いというところについて、私がにわかにちょっと理解ができない部分がありますが、いずれにしても、どのようなロジックで検討していくかも含めて、しっかり今後検討してまいりたいと思います。

井坂委員 いずれにしてもじゃないんですよ。何のためにこれまで、グラフを描いて、計算過程も全部示して、途中途中大臣にお聞きして議論してきたんですか。賃金が上がったら、上限額を引き上げなくても自然に自己負担上限額の平均は上がるんです。それはお認めいただいたとおりですから、だから、賃金が上がったんだから、その分上限額を引き上げなきゃいけないという考え方は間違いなので、今後、そういう理屈で引上げ幅を決めるのはやめてくださいと。それぐらい答弁してくださいよ。

福岡国務大臣 今後しっかり検討していくんですけれども、先ほど局長も、マクロで見ればその費用は増加していくという話でございましたが、例えば、今までも三百七十万から七百七十万円の方、その中で所得が増えていかれる方については今までと同じ階層の中にいらっしゃるわけで、そこの階層を乗り越えられる方についてはそういった負担が発生するかもしれませんが、そういった状況も含めて、子細に状況については検討する必要があるということでございます。(発言する者あり)

藤丸委員長 速記を止めて。

    〔速記中止〕

藤丸委員長 速記を起こして。

 じゃ、鹿沼局長、それを踏まえて。

鹿沼政府参考人 先生が先ほど御提示いただきました一二%という数字につきましては、これは先ほどもお話ししましたが、協会けんぽの平均総報酬月額は平成二十七年度から直近の賃上げを踏まえて考えると一二%程度上がっている。これが従来の引上げの考え方だということで、その考え方に従って、それを参考にしながら、最終的には一〇%という形にさせていただいたところでございます。

 また、あわせて、これは審議会の資料にも出ておりますが、世帯収入が一六%伸びているとかそういった点も、様々な点を考慮してそういった数字を設定させていただいたところでございますが、いずれにしましても、今後、議論を行うに際しましては、よりロジックをしっかりと詰めて議論していきたいというふうに思っております。

井坂委員 やはり保険制度というのは数学だと思うんですよね。ミクロで見たら、平らなところで天井が上がらない人もいる、それはそうですよ。でも一方で、際の人は一気に天井が倍に上がるんですよ。だから、それをトータルして、実績値としても賃上げ以上に平均上限額が上がっているじゃないですかと実績値も示して、ロジカルにだってそうですよ、端っこの人は大幅に上がるんですから、平均するとやはり賃上げ分ぐらい上がるんですよ。だから階段状にしているんですよ。階段状の値段設定をしていたら必ずそうなるという、そこまでは途中の答弁でお認めをいただいたと思いますけれども、だから天井を上げる必要はないという当たり前のことを答弁いただくのに、こんなに時間がかかるとは私は思いませんでした。大変心配であります。

 最後、残された時間、年金のことをいろいろお聞きをしようと思っていたんですけれども、ちょっと一点だけ。

 私、やはり、今回、厚生労働の筆頭理事もさせていただいておりますから、年金法案を出さない、そんな選択肢があるということ自体に驚いております。政府が出すといって、国会で、それが必ず出るという前提で、与野党で重要広範議案と、今年の重要法案のベストフォーに入れて、まさにしっかり時間を取って議論をする構えを既につくっているわけであります。大臣は出せるように調整、努力するとおっしゃいますけれども、それは当たり前ですよ。全ての重要広範を出せるように努力をして、過去、出せなかったことは一度もないんです。大臣、もし出せなかったら、私は、大臣を辞職していただかなければいけないような重大な失態だと思いますよ。我々に不信任を出されても文句を言えないぐらい重大な失態だと思います。

 大臣に最後、一言お伺いをしたいんですが、もちろん努力をする、これは大臣の職を懸けて提出をできるように努力をすると言っていただけますか。

福岡国務大臣 今まさに御理解をいただくべく鋭意努力をさせていただいている、それは当然、提出を目指して努力をさせていただいているということでございます。

井坂委員 だから、そんな甘い話じゃなくて、過去、出せなかったことはないんです。努力しておられるのは当たり前で、出して当たり前なんです。出さないなんということを検討していること自体が言語道断だと私は思っております。

 そんな、努力していますじゃなくて、せめて、大臣の職を懸けて提出をいたします、提出できるように努力をいたしますと御答弁いただけますか。

福岡国務大臣 当然、今、提出すべく努力をさせていただいているということでございまして、提出できなかったという仮定のことについてコメントすることはできません。

井坂委員 本当にその程度の認識で重要広範議案を考えていただきたくないんですよ。必ず出していただきたい。出さなかったら、これは憲政史上に残る大失態だということを強く申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

藤丸委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 それでは、十分という限られた時間ですから、質問に入らせていただきます。

 今、井坂議員との話で高療の話がありましたけれども、分かち合うお金が増えてきているからと。

 質問通告をしていないから、ちょっとこれは意見として言わせていただきますけれども、私、今でも病院で働いているんですけれども、先週かな、仕事が終わった後にMRさんが来られて、名前を出すから会社も言ってもいいんだと思いますし、もう厚労省は製造承認を出していますからいいと思いますが、マルスタシマブという血友病の新しい薬、ファイザーが出すんですけれども、これの薬価収載、今月を目標にしていますといって説明に来られましたよ。こんなペンです。ごめんなさい、振り返ってもらっても持っていないんです、今日、こんな話になると思っていなかったから。ちょっと、質問というよりは、是非大臣も知っていただきたい。

 こんなペンで、要するに自己注射をする。血友病で出血する人が、これを注射することで血液製剤を使用する可能性が減り、そして、インヒビターと呼ばれる、血友病の抵抗性が発生しないような薬になるんですと。まあ、それはちょっと専門的なんですけれども、そういう話で、ああ、いい薬だね、幾らと言ったら、一本二百万弱を考えていますと。週一回注射、誰が考えても、計算すれば金額が分かるわけで。

 こういったものが、人口十万人に十人ぐらいいる患者さんの、いや、ファイザーも頑張ったと思う、だから一定の評価をしなきゃいけないし、価格がどうあるべきか、類似薬効方式でノボノルディスクさんが似たような薬を出している、そういうものも踏まえながら考えていくということになるんだと思います。安くしろということではないけれども、適正な薬価の在り方というのを考えていかないと、こういう費用の薬が出てくる。

 私もそこでは国会議員ですといって座っているわけじゃないので、大学病院の症例検討会みたいなところですから、正直言って、一医師として話を聞いて、へえといって帰ってきたんですけれども、たまたまそういう話になったからここで披瀝をさせていただきますが、私は、繰り返しです、ファイザーさんの研究者が頑張って、いろいろな病院の皆さんが臨床試験を頑張られ、治験をやられ、出てきたものに対して適正な評価があるべきだという一方で、今の金額の設定というのがどうなのかというのを見直していかないと。

 大分昔ですけれども、トランプさんが一期目のときに、たしかファイザーさん、呼ばれて、価格の上昇は少し見合わせてくれなんという話をされたような記憶もあります、大分前の話ですけれども。

 だから、どのような価格が適正なのかというのを、今日は通告しないで今話したので、また戻られて、大臣、是非御検討いただき、また、事務方からでもいいですので、御説明いただけるようにお願いしたいと思います。

福岡国務大臣 今おっしゃられた薬については、しっかり話を承って分析させていただきたいと思います。

 その上で、薬価の在り方というのは、この委員会でもずっと御議論いただいてきました。やはり適正な薬価でなければなかなか、今、日本もドラッグロスの問題等もあって、日本で上市していただけないみたいな問題もありますが、それは国民の方々の御負担にもよるところですから、どういう薬価の在り方がいいか、しっかり検証してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 本当に難しい話ですよ。健康保険を持続可能にするために何が必要なのか。今回いろいろな法律が出てくる中で、OTC類似薬の話もあるようですけれども、いろいろな方式を使いながら健康保険を持続可能にしていく、それは高療の見直しだけじゃないということを改めて指摘をしておきたいと思います。

 さて、今日通告していたのは、地方の医療機関が大変なことになっています。大臣、今物すごい、各地の市民病院等、大学病院もそうです、とんでもない赤字であったり、いろいろな理由はある。これは何とかしないといけないという思いがおありだとすれば、何らか対策を打っていただきたい。今では、このままだと、もう四月に給料を払えないという市民病院が出てきています。御存じですか、そういう状況にあると。御存じ。

 だとすれば、四月にもう給料を払えないと言っている市民病院をどうするんですか。対策を出してあげなきゃいけないじゃないですか。是非、これはメッセージを出すべきだと思います。大臣、是非それをお願いします。

福岡国務大臣 今御指摘がありましたように、医療機関、病院経営、非常に厳しい状況にあるということについては各方面から御指摘をいただいているところでございます。

 そして、昨年の末、補正予算で措置したお金、これからまさに各医療機関に行き渡りますが、当然、それでは十分じゃないみたいなお声もございます。しっかりそういった状況を見極めながら、適切な対応を行っていきたいと考えています。

岡本(充)委員 四月にもう現金が足りなくなる市民病院がある、その認識はあるんですか。

福岡国務大臣 今おっしゃられましたように、月々の運転資金が足りないというような御要望についても各方面からいただいているところでございます。

岡本(充)委員 であれば、早急にやらないと。四月の給料を払えないと言っているんですから。頼みますよ。本当ですよ。今言われたんだから、早急に何らかの対応をしていただけるということで御期待したいと思います。

 そしてもう一つは、医師確保の話です。

 医師確保の取組、いろいろやってこられたんだけれども、これまで都道府県が中心となってやってきている。だけれども、結局、都道府県にも財政的な限界がある中で、全ての病院に手当てをすることは難しい。うちの都道府県ではここだよ、こう決めちゃう。こうされると、自分のところも頑張りたいと思っても、都道府県が県の財政、若しくは北海道なら道の財政を背景にこれ以上できない、こういう話になってくるのがこの基金の問題でもありました。

 都道府県内でもいろいろなところに問題があるという中、理解していてもできない。それでもやりたいという意欲のある市町村があるわけで、このような、じゃ、都道府県が自分で財源は用意できないけれども、俺たち市町村で頑張って用意するぞ、例えばそういうことをする市町村があったときに、国が支援をするということがあってもいいのではないか。

 積極的に医師確保の取組を行おうとする意欲のある市町村に支援をする、届けるということは重要だと考えるけれども、厚生労働省としてはどのような取組をやっていくのか、医政局長に答弁を求めます。

森光政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のように、医師確保に向けた取組につきましては、地域の医療提供体制の確保に責任を有する都道府県を中心として進められている中、御指摘のとおり、より地域に密着した市町村との連携が重要であるというふうに考えております。

 こうした考え方を踏まえまして、令和六年度補正予算で措置いたしました重点医師偏在対策支援区域において承継、開業する診療所への補助事業の実施に当たっては、主体的に診療所への追加支援等を行う市町村に十分配慮させていただきたいと考えております。

 さらに、今後、昨年末に策定いたしました医師偏在の是正に向けた総合的な対策パッケージに基づきまして、令和八年度予算編成過程において、医師偏在是正に向けた経済的インセンティブの具体策について検討することとしておりますが、その際にも、都道府県と市町村の効果的な連携や、医師確保に積極的に取り組む市町村への配慮等の観点から、どのような対応が可能であるかを含めて、よく検討してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 都道府県によって財政状況は違いますから、全部の市町村に手当てできない。そんな中で、頑張ろうという市町村を応援していただきたいと思います。是非、来年度予算の進捗をまた御説明いただきたいと思います。

 最後に、昨日ちょっと事務方と話をしたんですけれども、ハローワークの在り方ですね。本当に、先ほど、非正規が多いと。職員の非正規の問題もさることながら、五百四十四ですか、この数が適正なのかというのは、かなり長きにわたって同じ数を維持してきています。

 もちろん、今、随分時代が変わって、ハローワークに行かなくて済む様々な手続が多くなりました。ウェブでできることも増えてきています。そういう意味で、労使の負担、雇用保険の在り方、こういったことの見直しにつながって、結果としてこの費用を、例えば健康保険の方に回せるとか、労使のお金ですから似たような仕組みですので、こういう考え方もできると思います。

 厚労省的には壁があるのはよく分かりますけれども、そこは大臣、ハローワークの在り方というのを私は検討をお願いしていますので、是非厚労省としても検討していただき、また御説明いただいて、この場で議論していきたいと思いますので、取組をお願いしたいと思います。どうでしょうか。

福岡国務大臣 今おっしゃられましたように、ハローワークは、地域の実情に応じて、雇用のセーフティーネット機能を果たしている機関でございます。その中で、様々な工夫により合理化が図られるのではないかというような御指摘をいただいています。

 また、今後、そういった御指摘を踏まえて議論をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 だから、そういうことを踏まえて、ちょっと私、宿題も投げていますから、実際に、小さな市町村でどういうふうな福祉部局との連携をしているかとか、なかなか、人口減少してしまって、そういうニーズすらないところもあるのかもしれない。そういうことも含めてきちっと、今後の負担の在り方ともつながってきますから、そういう意味で調査をしていただき、御報告をいただきたい、こういうことです。

 お願いできるかどうか、そこだけ最後にお願いします。

福岡国務大臣 私どもとしましては、ハローワークは、地域において必要な機能を維持し、これまで、平成十年代から二十年代にかけて七十以上のハローワークを削減した中で、今、ハローワーク一か所当たりで対応すべき労働力人口及び失業者については、関係各国を見ても日本がかなり多い状況にある。

 そういう状況でありますが、今おっしゃったいろいろな御指摘も踏まえて、どういうことができるか、しっかり分析を進めてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 じゃ、結果を待っています。

 終わります。

藤丸委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 立憲民主党、大西健介です。

 時間が限られているので、早速質問に入りたいと思うんですが、配付した資料の一ページ目、新聞記事を御覧をいただきたいんですけれども、私も、当時、厚労委員でもあったのでよく覚えていますけれども、働き方改革で裁量労働制の導入が問題になったときに、裁量労働制というのは一旦導入されると濫用がなかなか表面化しにくいんじゃないか、こういう議論が行われたときに、当時の加藤大臣が、いやいや、大丈夫なんだ、例えば野村不動産に特別指導をしましたということを例に挙げて、こうやってちゃんと厳正に指導監督をするので大丈夫なんですよと言ったんですけれども、ところが、後になって、実は、この特別指導は、過労死、過労自殺があったから指導に入ったんじゃないかということが分かったんですね。そうすると、やはり結局、人一人死なないと濫用が表面化しないんじゃないか、こういうことが大きな議論になりました。

 その上で、じゃ、加藤大臣は社員の過労死をいつ知ったんですかというこの質疑、これは二ページ目に会議録をつけていますけれども、今質問に立った岡本委員の質問ですけれども、ここで繰り返し、時間を使ってこの議論があって、そのときに加藤大臣は、労災決定があったということを私が承知したのは先ほど申し上げた三月五日ということでございます、この答弁を何度も繰り返したんですね。

 ところが、最初の新聞記事に戻っていただくと、厚労省は、特別指導について、十一月から十二月にかけて大臣に三回レクをしていたと。じゃ、そのレクの資料をこの委員会に出してくれということで理事会に資料が出てきたんですけれども、それが、いわゆるノリ弁で黒塗りだったんです。それを見ても、だから、特別指導だけじゃなくて、過労死や労災認定について大臣が説明を受けていたのかどうなのかというのが当時よく分からなかったんです。

 ところが、この一ページの新聞記事を見ていただくと、不開示決定取消し訴訟というのが行われて、その結果、この文書の一部が今回開示されました。これが三ページ目の資料ですけれども、いまだ黒塗りされていますが、この資料の下の方を見ていただきたいんですけれども、今後の予定は以下のとおりということで、十二月二十六日火曜日、労災認定というのが出ているんですよ。これは、当時、労災という言葉が出ているところは全部マスキングを外せと言ったんだけれども、外されなかったんですね。

 ですから、まさに、これを見ると、もうレクを受けたときに、過労死の労災認定が行われることを加藤大臣は知っていたということなんですよ。ですから、知っていたにもかかわらず、法案を通すために加藤大臣がこの都合の悪い事実を隠していた。これは、そうだとしたら、私は大問題だと思います。

 当時、このことをめぐって、貴重な国会の審議時間が多く費やされました。厚労省は、大臣が過労死や労災認定のことを知りながら、野村不動産への特別指導を裁量労働制の取締りの好事例として紹介する答弁を行ったということを認めて、謝罪すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事案につきましては、当時の加藤厚生労働大臣の御答弁では、平成二十九年十二月二十六日に労災保険の支給決定を行ったことについて、平成三十年三月五日に事務方から報告を受けたというふうにお答えをしております。

 また、御指摘の文書は、労災保険の支給決定前である平成二十九年十二月二十二日に当時の加藤大臣に御説明した資料でございまして、その中に、平成二十九年十二月二十六日に労災認定を行う予定であることが含まれていたというものでございます。

 これらのことから、労災保険の支給決定を行ったことについて報告を加藤大臣がお受けになったのは平成三十年三月五日であるという加藤大臣の答弁は、御指摘の文書の内容と矛盾はしてございません。

 なお、御指摘いただきましたとおり、当時の加藤大臣の国会答弁におきまして、労災保険の支給決定ではなく、労災請求ですとか労災認定の予定などについて聞かれましたときには、被災者や御遺族のプライバシー保護の問題、また、私どもの監督指導の端緒、きっかけを世の中に公にしないということといった点を総合的に判断をして、明らかにできること、できないことを整理した上で答弁を申し上げたものでございます。

 特に、前段の御遺族のプライバシーの問題につきましては、平成三十年の四月の上旬でございましたが、御遺族の方からファクスをいただきまして、それについての確認をして、三点について、原則としては、労災保険の認定の個別の内容についてはお答えをしないというのが行政のスタンスでございますが、この件に関しましては、そのやり取りを踏まえまして、野村不動産株式会社に勤めていた従業員の方が過労死したことについて新宿労基署が労災認定を行ったこと、労災認定基準に当てはめて労災認定を行ったこと、認定日は平成二十九年十二月二十六日であることというこの三点について公にするというような御確認をさせていただいた上で、それを、その範囲内で、御答弁できる範囲については御答弁をし、その範囲を超えてしまうものについては控えさせていただくという対応を取ったものでございまして、何か、都合のいい、悪いというようなことで操作をしたものではございません。

大西(健)委員 これは確かに、加藤大臣は、支給決定があったことというのは、微妙にそういうふうには答弁されていますけれども、問題は、そのとき議論になっていたのは、いや、裁量労働制の濫用はないんだ、だって、こうやって特別指導をちゃんと厚労省はやるんだからと言ったんだけれども、でも、その特別指導は人が死んだからやったんでしょうという話で、それが大問題になったわけですよ。たくさんの時間を費やしたんです。

 当時は、ここに、労災という言葉がこのマスキングの中に入っているところがあるんだったらそこを開けろと言ったのに、開けなかったんですよ。そのとき開けていたら、こんなばかみたいに時間を費やす必要はなかったんですよ。悪質ですよ、これは本当に。国会の議論が、本当に無駄な時間を費やしたわけですよ。

 しかも、裁量労働制はやはり濫用のおそれがあるんだというこの重要なポイントについて、こういう隠すようなことをやったんですよ。これは本当に、こういうことをやっていたら、この国会での議論が意味がなくなってしまうというふうに思います。

 もう一つ、新聞記事を見ていただきたいんですけれども、左の方で「不開示は「加藤氏の意向」」というふうに書いてあるんですけれども、この中で引かれているコメントを見ると、当時、厚労省は、過労死した社員の遺族が事案の公表に同意したことを受けて黒塗りを外すことを検討したが、加藤大臣から黒塗りを維持するように指示された、また、大臣からは、理屈じゃない、これは戦いなんだと言われた、国会での答弁との矛盾を野党から突っ込まれたくないという政治判断だったという当時の厚労省幹部の証言がこの記事に載っているんです。

 この黒塗りは加藤大臣の指示だったんですか。いかがですか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年当時の国会答弁や国会に提出をさせていただきました資料の内容を踏まえますと、開示するかどうかの判断に当たりましては、先ほども申し上げましたが、被災者や御遺族のプライバシー保護の問題、また、私どもの監督指導の端緒、きっかけを公にしないようにすることといった観点から検討が行われておったものでございます。

 このように検討した結果、当時、既に開示されていた部分以外に新たに開示をすべき部分はなく、不開示を維持すべきというふうに判断をされたものでございます。

 厚生労働省といたしまして、こうした観点で検討する、つまり、開示に当たって、プライバシーの問題、それから監督指導の端緒、きっかけの問題から考えて、どこが開示で、どこが不開示になるか、そういう議論を超えて、その記事で挙げられておりますような、当時の加藤厚生労働大臣から特別なそういった指示があったという事実は確認してございません。

大西(健)委員 当然、開示するかしないかについては、それを大臣まで上げて決定しているわけですよね。

 大臣が、だから、これは外すなということで最終的に決断されたということでよろしいですか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年四月頃のことでございますが、事務方から、どこを開示し、どこを不開示にするかという案を上げ、加藤大臣にも御相談をし、その上で、省として、開示、不開示部分を決定したという経緯でございます。

大西(健)委員 これは、加藤大臣当時のことですから、あえて政府参考人に聞きましたけれども、今の議論を聞いていただいて、福岡大臣、裁量労働制は濫用される危険がある、それに対して厚労省は、いやいや、特別指導を厚労省はこうやってちゃんとやっているんだから大丈夫なんですよと言った、その特別指導が実は人が亡くなったからやっていたんだということが、そういう疑いが出て、国会でさんざん議論したときにマスキングを外していれば、そんな無駄な時間を費やす必要はなかったんですよ。

 これはどう思われますか、大臣、聞いていただいて。

福岡国務大臣 厚生労働省としては、当時いらっしゃった職員の方にも確認をしましたが、被災者や御遺族のプライバシー保護、監督指導の端緒を知られないようにすること等の観点を超えて、当時の加藤大臣が特別な指示をしたという事実は確認してございません。

 その上で、一連の対応について、ちょっと、仮定の話でございますので、私としてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

大西(健)委員 是非、これは本当に国会審議の在り方に関わる話なので、当時の加藤大臣、今は財務大臣ですけれども、厚労委員会に来てもらって、私は説明を求めるべきだと思いますけれども、委員長、お取り計らいいただきたいと思います。

藤丸委員長 じゃ、理事会で協議いたします。

大西(健)委員 時間がないので、ちょっともう飛ばして、今日、文科省に来ていただいているので、ちょっと文科省に聞きたいんですけれども、東京大学大学院の皮膚科学教授及び特任准教授が、カンナビジオール、CBDについて、一般社団法人日本化粧品協会との共同研究をめぐって、高級飲食店や風俗店での度重なる接待を受けた疑惑が報じられています。

 本件は、東大のコンプライアンス通報窓口にも通報されているということですけれども、また、国立大学法人の教職員はみなし公務員になるために、本当だったら、これは贈収賄に当たる可能性があると思いますけれども、文科省は、本件について東大から報告を受けていますでしょうか。

 また、事実であれば、刑事訴訟法上の告発義務があると思われますけれども、捜査機関に対して告発すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

森友政府参考人 お答え申し上げます。

 本件につきましては、東京大学におきまして事実関係を確認中と聞いているところでございます。

 文科省といたしましては、東京大学におきまして事実関係の確認を踏まえた適切な対応が図られるよう対応を注視するとともに、必要に応じて指導助言を行ってまいりたいと考えているところでございます。

大西(健)委員 これはすごくひどい事例なので、また、その記事を御覧いただきたいんですけれども、こういうことが起こっている背景に、改正大麻取締法によって、大麻草由来成分、CBDなどを使用した製品の規制の緩和が行われた結果、グリーンラッシュと呼ばれるような状況になっている。CBDを配合した食品や化粧品の市場が急拡大していて、様々な事業者が市場に参入してきています。そうした中で先ほどのような不祥事も起きているんじゃないかというふうに私は思います。

 また、これは利権の囲い込みの動きも見られます。そこで、資料を御覧いただきたいんですけれども、資料の最後のページですけれども、これは、本年の一月に設立された一般社団法人カンナビジオール安全・安心協議会の登記事項証明書ですけれども、これを見ていただくと、代表理事の二川さん、厚生労働事務次官でありますけれども、ほかにも、ここに書いてある理事の天羽さんは元林野庁長官、それから稲垣さん、この人は国税庁長官、それから黒田さんは消費者庁の元次官、それから坂口さん、この人は警察庁長官と、もうオール天下りの巣窟みたいになっていて、これは大丈夫かと。

 CBDを緩和して、みんな、役人が天下りして、こういう利権の囲い込みみたいなことをやっているんですよ。こういう背景で、さっきの東大の化粧品協会との不祥事みたいなのが起きているんだと思うんですが、大臣、これをちょっと御覧いただいて、どう思われますか。こんなの、いいんですかね。

福岡国務大臣 御指摘の団体につきましては、カンナビジオールを含有する製品の安全を確保することにより、消費者が安心して利用できる環境を構築し、これを拡大することを目的として設立された民間団体であると承知しています。

 離職後二年を経過後に再就職した者は、国家公務員法に基づく再就職に関する情報の届出の対象外でございますが、当該団体に、御指摘ありましたように、二川元厚生労働事務次官が在籍しているとの情報は把握してございます。

 その上で、麻薬及び向精神薬取締法違反等の薬物事犯については、法に基づいて厳正に対処しているところでございまして、いかなる団体、個人であっても、適切な取締りを行っていきたいと考えています。

大西(健)委員 さっき言ったように、二川さんだけじゃなくて、もう警察、農水、消費者、財務省まで、本当にみんなで利権を奪い合っているみたいな、こういうことは本当にやめていただきたいというふうに思います。

 質問を終わります。

藤丸委員長 次に、池田真紀君。

池田委員 池田真紀です。よろしくお願いいたします。

 私も、高額療養費、通告をしておりましたが、前段の委員と大臣のやり取りの確認からしていきたいと思います。

 まず、今回の見直しの見直しと言ってもいいでしょうか、につきましては、五千三百億円の抑制ありきを含めても、方向性がまだ定まっていないということでよろしいですか。

福岡国務大臣 まず、先ほども申し上げましたように、今回、その改正を、方向性といたしましては、この制度を持続可能なものとしていくこと、また、保険料の負担をどう軽減していくかというような観点から行ったものであって、まずその五千三百億円を削減ありきで話を進めているわけではないということでございます。

 その上で、今後の方向性については、一旦見合わせた上で、関係各位、そして患者さんの方々の御意見も踏まえながら検討を進めてまいるということでございます。

池田委員 何で見直ししたんでしたっけ、理由です。今回、見直しの見直し。一旦凍結の話です。

福岡国務大臣 見直しの見直しにつきましては、今回の決定プロセスに丁寧さを欠くのではないかというような御指摘があったことを踏まえて、もう一度、様々な方々の御意見をいただきながら検討をしていこうということでございます。

池田委員 であるならば、そのプロセスをやはり示さなければならないと思うんですね。

 先ほど大臣は、有識者の皆さんが方向性を示すとおっしゃったんですが、これはあくまでも、今おっしゃられた、丁寧さを欠いた、これまでの審議会のメンバーだとか、あるいはやり方について問題があった、課題があった、補足すべきところがあったということで見直したということであれば、せめて、その方向性や時期というのは示さないといけないんじゃないんですか。例えば当事者のメンバーを入れるとか、何かないでしょうか。

福岡国務大臣 まず、最終的に様々な御議論を経た上で意思決定をするのは、政府の責任において行うということでございます。その上で、まさにこれから、関係各位、それは患者団体さんも含めた御意見を踏まえながら方向性を議論していくということでございまして、その方向性を、あらかじめ政府がこちらというのではなくて、きちっと議論をしていただいたその結論を踏まえて、政府として最終的に判断をしていくということでございます。

池田委員 でも、今回の見直しというか、最終的な判断といいますか、この間の予算委員会も含めて、年末お示しになられたことを大きく方向転換したのは、政治判断じゃないんですか。

福岡国務大臣 まさに、私たちは、今回のこの制度見直しの方向性について、御理解をいただくように御説明をしてきたつもりでございますが、その上で、もう一度、そのプロセスについて、見合わせるべきだという御指摘を踏まえて、もう一回、関係各位の御意見も踏まえた上で検討を進めようということでございます。

池田委員 そうしたら、ちょっと用意していた質問に戻りたいと思いますけれども、今回、先ほど来大臣もお話しされておりましたが、高額な薬剤のお話を特に強調されております。しかし、全体像が示されておりませんで、高額レセプトは示されているんですね。高額レセプトの順位ではなくて、利用者数です。単発でも何でもいいんです。利用者数をお知らせいただきたい。お願いします。

鹿沼政府参考人 多分、いろいろな現状の数字ということだと思いますので、お答えさせていただきます。

 直近、実績を把握しておりますのが令和三年度の高額療養費の支給実績になります。全体の件数は六千二百万件、総額で二・八五兆円となっております。これは、いつも御答弁させていただいていますが、平成二十七年度が二・四九兆円でしたので、通常の医療費の倍のペースで伸びているというものでございます。

 さらに、保険者ごとに分析いたしますと、協会けんぽが四百八十五万件で五千八百億、健保組合が二百五十九万件で三千百億、共済組合が七十三万件で八百四十億、市町村国保が千九百七十五万件で一兆一千二百億、後期高齢者の場合が三千三百六十三万件、七千百億円となっております。これは外来特例が入っておりますので、七十歳以上が入っているところは比較的、金額と件数の割合が低めになってくるというものでございます。

 また、高額療養費の疾病別の状況でございますが、高額療養費につきましては、その月の自己負担額を合算して判定するものでありますので、同一の方であっても、様々な疾病をお持ちで、それが理由で高額療養費の上限額に達するケースがございますので、疾病構造の分析というのはなかなか難しいんですが、先生が先ほど言いました健保組合における令和五年度の高額レセプト上位百位におきましては、悪性腫瘍が七十四件、先天性疾患が十四件、血友病が四件というようなデータが出ております。

 いずれにしましても、様々なデータについて、引き続き、どのような形で分析できるかについて検討してまいりたい、このように思っております。

池田委員 多くの方に影響がある今回の高額療養費で、非常に今回、高額な薬剤というのをすごくおっしゃられるんですけれども、高額な薬剤を今後認めないというふうに聞こえちゃうわけですよね。すごく、この間、多くの患者さんたちが心配をなされていたこと。

 そしてもう一つは、今回、ここに手をつけることの危うさというのは、国民皆保険制度で、みんながもしものために、全国民が、健康な人も、何もなかった人が突然何かあって御病気になられて、大きな多額な医療費を払うときに助かって、入っていてよかったと思える制度なわけですよね。非常に拙速だったというふうに思わざるを得ません。

 そのことも指摘をさせていただきたいんですが、もう一度プロセスに戻るんですけれども、今日、配付資料に添付をさせていただきましたが、ちょっと、この間、当事者の団体、そして医師会、さらには学会からの様々な声明が出ております。なかなか話題にも上がらないので、ソーシャルワーカーも出ておりますので、これは忘れないでいただきたいなというふうに思いまして、こういったところからもしっかりヒアリングをしていただきたいということをお願いを申し上げたいと思います。

 今後のプロセスについて、ここについて受け止めをお願いしたいと思います。

鹿沼政府参考人 大臣の方からも何度も御答弁をさせていただいておりますが、患者団体を始めといたしまして、関係者の皆様方から、丁寧な議論を進めることで、本年秋を目指して議論を進めていきたい、このように考えております。

池田委員 是非よろしくお願いいたします。

 そして、でき得ることなら、今回の見直しについて大臣にお願いを申し上げたいんですけれども、見直しのプロセスをいつ御提示いただけますでしょうか。いつまでに見直しのプロセスを御提示いただける予定でしょうか。今国会中でしょうか。

鹿沼政府参考人 今回の見直しといいますか、一旦立ち止まることに至った経緯といたしまして、丁寧な検討といいますか、そういったプロセスがというふうな御意見をいただいているところでございます。

 そういった意味でも、今後のプロセスにつきましても、我々、しっかり丁寧に議論していきたいと思っておりますので、今の時点でいつとは、なかなかあれでございますが、ただ一方で、本年秋というふうに私ども言っておりますので、そういう意味でいえば、速やかに、そういったプロセスについてちゃんと議論をして、その上でお示しをするようにしたいというふうに思っております。

池田委員 今回、非常にみんなが心配しているのは、見直しの方向性が示されないことの一旦の立ち止まりなんです。漏れ伝わるようなところで、報道ベースですけれども、参議院選挙対策じゃないかみたいなことがあったりとかするわけですよ。ですので、ここについて非常に皆さんが御不安になっているんです。私もそうです。

 ですので、ここについては、大臣、やはり方向性とかは示していただきたいんですよね。少なくとも参議院選挙前に、こういった方向性、そして、先ほどの五千三百億円の抑制ありきではないということさえも言い切れないわけですよ、ですので、そこはしっかり示していただきたいんですよね。今回、何が過ちだったのかということが、全くこれでは分からないです。

福岡国務大臣 今回の見直しに当たりましては、患者団体さん等のお声も踏まえて判断をさせていただいたもので、決して選挙目当てというようなことはございません。その上で、今後のプロセスについては、どういう形で進めていくか、今の時点でまだ定まっておりませんが、皆様方にお示しをしていく必要があるというふうに思います。

 方向性につきましては、何度も申し上げますように、専門家の方々であったり、その方々が今後御議論をいただく中で方向性というのが定まっていくものだというふうに承知しています。

池田委員 申し上げましたけれども、やはり、がん対策基本法、そして計画、この理念からもすごく逆行している今回の見直し案だったと思いますので、是非そこは考えを根本的から変えていただきたいんですということを申し上げておきます。またこれは引き続き行っていきますね。

 そして、もう一つなんですが、今年の自殺者数のうち、動機を確認をしたいと思います。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年の年間自殺者数、これは暫定値でございますけれども、二万二百六十八人。これを原因、動機別に見ますと、複数計上でございますが、家庭問題が四千三百三十四件、健康問題が一万一千九百八十六件、経済、生活問題が五千七十五件、勤務問題が二千五百五十九件、交際問題が八百四十三件、学校問題が五百七十八件、その他が千六百八十五件となってございまして、不詳が千九百八十九人となっているところでございます。

池田委員 少し数値が違っているんですが、私、古い方の資料だったので、今日添付をしております一枚目の裏紙にありますが、やはり、ここで、自殺者数が健康問題が多いんですよね。そして、健康問題と経済が絡まって、この要因の部分が物すごく多いということが分かると思います。

 もちろん、がんの部分で申しますと、初診を受けて、診断から二年以内に自殺をされている方の比率が非常に多く、そして、一か月以内の自殺リスクは同時期の一般人口の比較の四・四一倍も高いというデータは、これは厚生労働省さえも出している数値でございますので、いかに高額療養費についての見直しの検討というのが、高額になったからとか制度の持続可能だとか、そこから切り込むのではあってはならないというふうに思うんですね。大切な命を厚生労働省から、自らここを奪っていくような、大変、今回は、見直しについて過ちだったと指摘せざるを得ないと思います。

 先ほど山井委員から、今回の見直しの見直し、一旦凍結の感謝があったと思いますけれども、私は、非常に、感謝をしている場合ではないなというふうに思っていて、本当に憤りを感じているんですね。ですので、もう猛省をしていただきたいと思って、私たち委員、国会議員も含めてですけれども、今回、ここまで時間をかけてしまったことに対して、非常に、この間、命を削って、不安で不安で仕方がない方たち、当事者の方たち、がんのみならず、そういった方たちに対しても大変反省しなければならないことだと私も受け止めておりますので、大臣も受け止めをお願いします。

福岡国務大臣 この間、私も、患者団体さんとも複数回面談をさせていただいてまいりました。その中で、患者団体の皆様方も、増大する医療費をみんなで分かち合う必要性については御認識をされていらっしゃいましたが、そこの検討に当たって自分たちの御意見も聞くべきであったことであったりも含めて、その検討のプロセスが、もっと丁寧にやるべきだったというような御指摘があったところでございますので、そういった御指摘をしっかり踏まえていきたいと思います。

池田委員 考えている以上に、すごく心臓を潰されているような、DVに近い状態。今回、ここまで首をつかまれた状態で、次の見直し、これ以上やったらまた上げるぞみたいな、脅されながら、DVのような状況で、今、本当に不安でしようがない、今回はそんなようなプロセスで、今までもあるというふうに思いますので、そのことは申し添えておきたいと思います。

 それでは次に、訪問介護の話に移らせていただきたいと思います。

 御案内のとおり、訪問介護、今日は資料をつけたとおり、皆さんも御案内ですが、非常に、訪問介護、休業、そして厳しい状況ということで報道がされております。

 その中でですけれども、ごめんなさい、これはちょっと最新の話題でもあるんですが、その前に、立憲民主党の方で訪問介護については法案を出させていただいておりますので、当然これは実現を図っていただきたいと思いますし、もちろん、これを超えた抜本的な改革が私は必要だというふうに思っておりますので、是非、訪問介護の在り方についてもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 そして、今日、ちょっと確認をしたいんですが、広域な地域ということの特性、そして、あと、私は北海道ですので、訪問するときに、雪をかかないと入れないんです。おうちにどなたかいらっしゃればいいんですけれども、お独り暮らしでいたりとか、これは多分、往診の先生もそうですし、訪問看護さんも同様だと思います。どか雪が降って、これは私たちの仕事じゃありませんとか言っても、そこをかいてから入らないと入れなかったりするんですが、ここについての手だては何か検討されておりますでしょうか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、訪問介護は広域的なサービスとして位置づけられておりまして、その中で、委員御紹介ありました豪雪地帯を含めました中山間地域におきましては、地域資源等の状況によりまして、やむを得ず、移動距離を要したり、事業運営自身が非効率な面もあるというような形の運営がやむを得ないというケースも存在するというふうに考えております。

 こうしたことがありますので、訪問系サービスにつきましては、こうした地域などに事業所が所在をする場合ですとか、居住している利用者に対してサービス提供を行った場合に介護報酬上の加算が設けられておりますし、あわせて、令和六年度介護報酬改定において、利用者への継続的な訪問介護サービスの提供につきまして、新たに評価の対象とする等の措置を行っております。

 それから、後半にお尋ねのありました除雪への支援でございます。

 一般的には、市町村などの自治体が実施をする事業、除雪支援事業ですとか、そういった形で実施されるケースが多いというふうに承知をしております。訪問介護につきましては、生活援助という類型がございますが、日常的に行われる家事の範囲を超える行為は対象外とされておりますので、そういったこととの兼ね合いで個別の判断があろうかと存じます。

池田委員 ですから、サービスでやっちゃっている状況なんですよね。当事者から取るわけにもいきませんし、それを報酬に充てるというのも本筋ではないと思うわけなので、ここの手だてがないと、やはり地方で暮らすことはできないし、地方での介護が実現できないのではないかというふうに、私は強く現場のお声からも伺っておりますので、申し上げておきたいと思っております。

 そこでなんですけれども、昨日の福祉新聞で、全国老人福祉施設協会の方から中山間地域での行政の介入の提案があったというふうに報道がありました。

 そして、今日お配りをした資料なんですが、最後のページですかね、訪問介護の受難の二十五年と書いてありますが、ここで、一九六三年に、低所得者の世帯を中心に、市町村による家庭奉仕員という制度でしたけれども、サービスが始まりました。私がまさにこの家庭奉仕員で仕事をしておりましたので、これは老人から始まっていますけれども、障害者や児童も含めて、低所得者世帯を中心に、公務員、要は公的なところが行ったというものでございます。

 これは、介護保険が始まって、その後にほとんどがなくなってしまったわけなんですけれども、ここについて、復活をしていく方向性での検討を行っているかどうか。ちょっと、方向性なので参考人さんには申し訳ないかもしれませんけれども、今聞いている範囲で結構でございますので、お答えをお願いできますか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 直接、二〇〇〇年より以前にあった事業をそのままの形でという検討を行っているかと言われると、そのような検討では必ずしもございません。

 一方で、先生、前の質問でも御質問いただきましたように、人口が減っていく地域、中山間地域等々でどのようにしてサービスの基盤を整えて守っていくのかという点は、非常に重要なテーマだと思っています。ですので、そのことを目的に置いたときに、どのような政策手段が考えられるのかという点につきましては前広な検討が必要だと思っておりまして、その部分については、次の介護保険事業計画、第十期でございますので、そちらに向けて、様々な、中山間地域を所管をしている自治体の御意見ですとかお話もよくお聞きをしながら、前広に検討していきたいと存じます。

池田委員 実は、介護保険が始まるときに、介護指導という形で、特別区あたりは、一旦、調整役ですね、例えば困難事例で二人とか、あるいは、往復の時間は勤務時間に入らないわけですから、こういったところが、公務員であったり公的な確保が、行っている事業によってこれが保障されているわけです、空振りだとかね。

 あとは、私の地域であれば、物すごく、往復で一時間、二時間、当たり前にかかりますし、そういった労力も含めて、困難ケースや事業所の倒産、廃業、こういったときの事業所さんや利用者さんの調整も含めて、導入の部分はサポートしていく、直接、介護をしながら調整をしていくということがございました。今それを行っている自治体はありませんから、自治体は、困難なお話は聞けるかもしれませんけれども、今ならまだ、そうやって活動していた、仕事をしていた人たちが地域に散らばっていますので、是非、経験を聞いていただきたいと思いますので、そのことをお願い申し上げたいと思います。

 済みません、最後に、大臣の所信ということだったので、広くなってしまいますが、福祉人材というところでの関連で、児童相談所のことをお聞きしたいと思います。訪問介護と同様、児童相談所も非常に地域の差がございますので、こちらについてお伺いをしていきたいと思います。

 広域の実態把握といいますか、移送の補填といいますか、こういったところの実態把握というのはどの程度されているのか、今現在の状況をお知らせいただけますか。今は、市町村、市の方に設置をしていきましょうという取組をしているのは承知をしております。そして、市の方で設置をしているところについては、私も個別にヒアリングをさせていただいておりますので状況を把握しておりますが、広域な部分、ここについての手だての状況を教えていただけますでしょうか。

源河政府参考人 お答えいたします。

 児童相談所ごとの管轄面積については把握しておりませんが、管轄区域につきましては、児童福祉法において、地理的条件、人口、交通事情その他の社会的条件について、例えば、交通事情から見まして、速やかに子供の保護を行う上で支障がないことなど、政令で定める基準を参酌して都道府県が定めるものとし、都道府県が適切に設定しているものというふうに承知しております。

 今議員から御指摘がございました、子供の移送や訪問等のための移動に様々な負担があるということは承知しておりまして、虐待通告を受けた場合の安全確認について、児童相談所職員のほか、児童相談所が依頼した者ができることとしておりますほか、一時保護時や里親への委託のときに、子供の移送に関しまして、児童福祉司とともに移送を行う非常勤職員の配置に対する補助を設けております。

 このようなものを通しまして、児童相談所の子供の移送時の職員の業務負担軽減についても努めてまいりたいというふうに考えております。

池田委員 都道府県とか自治体任せは、やはり駄目だと思うんですね。今回発表のありました子供の自殺率でございますが、昨年の部分ですよね、全体的には減っているのに子供が増えたということは、すごく重く受け止めなければならない。そして、広域、今日は参考資料をつけましたけれども、北海道は広いです。本当に九州が二つ入っちゃうし、例えば、この二十一番から六番の丸まで四百九十一キロです。車では六時間四十五分、徒歩だと、まあ徒歩で行く人はありませんけれども、五日。さらに、ここでいえば、移送のときには非常に、管外までもありますから、子供さんを移送する職員は、児相内でやると、やはり職員に負担がかかっちゃうわけですね。

 なので、特別な手だてをお願いをしていきたいと思いますが、これは問題提起ということで、私も、引き続きこの後の委員会で質問させていただきたいと思っております。

 本日はありがとうございました。

藤丸委員長 次に、宮川伸君。

宮川委員 立憲民主党の宮川伸でございます。

 私は、少子化問題、急速な少子化に関して大変危機感を持っておりまして、これにしっかり取り組んでいかなければいけないと思っています。しかしながら、もうこれは十年以上前から指摘をされているのに、しっかりした対策を取ってこなかったために、本当に今、状況が厳しいというふうに認識をしております。

 昨年の出生数ですが、七十万人を割ると言われており、さらに、その減っていく割合が加速化しているんじゃないかということも言われています。そういう中で、この少子化対策の一つの大きな柱が雇用の問題で、非正規雇用の問題だと思っております。

 この非正規雇用ですけれども、低賃金で生活が安定できないという問題の中で、例えば、若い人たちの中には、結婚したいけれどもその余裕がない、あるいは、子供を持ちたいけれどもその余裕がないというような声があるということも大臣もよく御存じだというように思います。

 そういった中で、この非正規雇用の問題を今日はまず最初に取り上げたいんですが、先頭に立ってこの非正規雇用の問題に取り組むのは厚生労働省であります。ですから、今日も何人かの議員から質問がありましたが、厚生労働省管轄のハローワークを取り上げて、じゃ、先頭に立って取り組まなければいけない厚生労働省が、どのぐらいその足下のハローワークで働いている方々を見ているのかということ、こういう切り口で質問させていただきたいと思います。

 まず、ハローワークですけれども、これは御承知のとおりで、例えば就職氷河期の方々は非正規雇用でなかなか安定できない中で、少しでもいい職業、安定できる職業、正規になれるようにということで相談に乗る仕事、あるいは、しばらく仕事ができなかったような方々が仕事に復帰する、そのために、その人に合った仕事を探してあげて、そしてアドバイスをする、そのような仕事をハローワークはやっているわけであります。ですから、ハローワークの中心はやはり相談員の方々で、相談員の方々がいいアドバイスをする、これがちゃんとできなければ、ハローワークは機能しないわけであります。

 しかし、その相談員の方々の多くが非常に厳しい労働環境にある。要は、多くが非正規雇用で、毎年毎年雇用になっているという不安定な雇用だというのが大変大きな問題意識であります。

 その上で、まず大臣にお伺いをしたいんですが、三年ルールというのが昨年改定をされました。これは、今まで、三年ごとに公募をしなければいけないというルールがあったわけですけれども、ですから、十年ぐらい働いていた人も、三年たつと一度辞めて、もう一度公募で面接とかをし直さなければいけないというルールだったんですね。だけれども、これは非常に相談員の職員の方々からしてみるとストレスであり、不安であり、そういったことでは仕事がしにくいという声があったわけです。

 私の理解では、こういう状況では、やはり、いい人材を獲得したり、あるいは、いい人材に長く働いてもらうのが難しいということもあって、厚生労働省の方から人事院の方に、ここは改められないかというようなことも申し上げたんじゃないかというふうに聞いております。

 その上で、今、これが去年撤廃をされたわけですが、撤廃されたことによって、本当に、その相談員の皆さんが、非正規雇用の皆さんが安心して働けるような状況になっているのか。それとも、更に厳しい、毎年毎年、雇い止めに遭うんじゃないかと不安になっておられるんだということですが、今、本当に、状況が悪化したんじゃないかという不安を持っている方々がたくさんいらっしゃるわけですけれども、大臣、この問題についてどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

福岡国務大臣 御指摘ありましたように、ハローワークで働く方がやりがいを持って働いていただく、そういう環境をつくっていくということは大変重要だというふうに考えております。

 今般の三年公募ルールの廃止は、人事院において、期間業務職員としての高い適性を有する人材が三年を区切りに公務外に流出するなどの弊害が生じていたこと等に鑑み、人材確保の実情に応じた方法で柔軟に採用を行うことを可能とするために行われたものだと承知をしています。

 厚生労働省においては、今回の制度改正も踏まえまして、毎年度、再採用の可否を判断するために実施する能力の実証を適正に運用するよう各労働局に指示しておりまして、特に、日常の業務の中で、業務実績や勤務態度の状況や課題等について、上司と相談員の間で認識を共有しながら取り組み、改善に向けて必要な助言、指導等を行うことを強調して指示してきているところでございます。

 引き続き、そういった相談員の方々の不安を払拭できるように、制度の適正な運用や説明に取り組んでまいりたいと考えています。

宮川委員 今、できるだけ働く方々が安心してということで三年ルールは撤廃したというような御答弁でありましたが、非正規公務員ボイシズという団体がありまして、早速アンケート調査を取っています。

 これは本当に最近出た結果なわけでありますが、幾つか例をお話しさせていただきますと、例えば、三年ではなくて一年ごとの更新になっただけ、国は更に非正規を切りやすくなり、非正規は更に雇用の不安が増大したとか、あるいは、周囲は皆、三年ではなくて一年ごとの更新に変わった、むしろ毎年切られるのだという認識になり、人間関係はぎすぎすしている、自分が残るためには同じ立場の非正規を蹴落とさなければならない状況であるとか、もう一つ、例年のような一般公募こそなかったものの、内部選考が行われたことから、これが毎年行われることが予想され、これまでより雇い止めの不安が増したというような声がたくさんあるんです。

 大臣、こういうことはない、今までよりも職場環境はよくなる、安心できるということをもう一度御答弁いただけますでしょうか。

福岡国務大臣 今、様々な声の実例について御紹介をいただいたところでございます。

 先ほど来申し上げましたように、相談員の方々の不安を払拭できるよう、制度の適正な運用であったり、相談員の方々への説明にしっかりと取り組んでまいりたいと考えています。

宮川委員 大臣、是非、各労働局、ハローワークにそういう通知を出していただいて、これは毎年毎年厳しくするという方向じゃないんだということを通知を出していただけますでしょうか、大臣。

山田政府参考人 お答えいたします。

 今大臣の方からお話があった内容については、新しい制度への移行をしているということもありますので、現場の労働局、ハローワークに対しては、この制度変更の意味というのをしっかり伝えていくということは、対応していこうと思っております。(発言する者あり)あっ、済みません。

藤丸委員長 じゃ、もう一度、お願いします。ゆっくりでいいです。

山田政府参考人 はい。

 制度の変更の内容がきちんと現場の労働局、ハローワークに伝わるように、本省の方からも、労働局、ハローワークに対してそういったことがきちんと伝わるようにしたいと思っております。

宮川委員 今日お配りしているものに棒グラフがあると思うんですが、正規職員、非正規職員の、常勤と非常勤の人数が変わっているわけです。それで、非正規のところはやはり人数が変わっているところがありますが、しかし、一万人ぐらいの人数はずっと変わらずに十年以上きているわけであります。

 そういった中で、毎年審査が入るということで、人事評価に関して、大変不透明でおかしいという声もたくさん聞いているところでありますが、人事評価というのはどのように行われているんでしょうか。端的にお答えいただけますでしょうか。

福岡国務大臣 相談員の方々の適正な人事管理や公正な採用を行うためには能力の実証が重要でございまして、これまでも、人事院規則等に基づき、公募によらずに再採用する場合、面接及び勤務実態に基づく能力の実証を行ってきたところです。

 その上で、来年度の採用に向けましても、各労働局に対しまして、能力の実証におきましては、職務遂行能力、利用者に対する接遇、応対能力、勤務態度等の評価項目に基づき評価を実施すること、日常の業務の中で、業務実績や勤務態度の状況や課題等について、上司と相談員の間で認識を共有しながら取り組み、改善に向け必要な助言、指導等を行うことを指示したところでございます。

 相談員の方々に対して、能力の実証においては勤務実績、勤務態度、能力等により判断する旨を伝えるよう労働局に指示をしてございますが、改めて、評価の項目や観点など、能力の実証の重要な事項が相談員の方々に伝わるように徹底してまいりたいと考えています。

宮川委員 今の御答弁、本当にそのようにやっていただきたいと思っているんですが、これもちょっとアンケート調査、本当に最近出たものでございます。少し読み上げさせていただきますが、誰が何件求職者を就職させたのか、何件求人票を出したのかなど、非正規同士、競争させられ、上司に数えられる、それが来年の任用に影響があると言われる、しかし、窓口に来る人は均一のプロフィールの方でないため、成績に差が出るのは当たり前、就職しにくい人を半年かけてやっと就職させた一件と、どこでも就職できるような人を五件就職させたなら、どちらが公共機関として必要かと思うが、上の方は五件の方を評価する、そのため、同僚の中では、就職しやすいプロフィールの求職者を取り合いになり、人間関係は最悪であるというようなアンケート。

 もう一つ。ふだん接することがない幹部が評価することになるが、幹部は専門性もなく、社会問題や求職者が置かれた背景なども何も知らない安定雇用の人だ、その幹部に更新の可否が決められることに不信感がある、私たちの能力を見極める能力や基準にも不信感がある、更新については以前と変わらず不安であるというような、今大臣がおっしゃられたこととは到底かけ離れたような人事評価が現場では行われているのではないかという懸念がありますが、どのように思われますでしょうか。

福岡国務大臣 この件についても、今、具体的な生の声を御紹介いただいたところです。

 先ほど申しましたように、まず、どういった評価項目があるのかということをしっかり示していくこと、それについて上司と相談員の間で認識を共有しながら取り組んで改善を図っていくということは大変重要だというふうに思っておりまして、その中で、今あった御指摘を踏まえて、どういった対応があるのか、しっかり検討してまいりたいと思います。

宮川委員 私は、実態調査をすべきだと思います。今現状、通達を出しているわけですから、以前から。それがちゃんとやられているかどうかというのを実態調査をして、やられていないところには、ちゃんとやるようにという指導をすべきだと思いますが、やっていただけますでしょうか、実態調査。

山田政府参考人 お答えいたします。

 今年の四月の採用分から新しい制度に移行します。そういう中で、能力実証の話も含めて実態がどういうふうになっているのかということについては、労働局、ハローワークから、ちょっとどういう方法でやったらいいのかというのはありますけれども、きちんと情報を吸い上げるようにしたいと思います。

宮川委員 そして、相談員の方々は、最初の問題意識ですけれども、ハローワークのコアの方々なわけです。このコアの方々が毎年雇用というのは、やはりおかしいというふうに思います。

 そういう中で、厚労省さんも努力をされていて、常勤枠が、例えば昨年、令和六年度、百十一枠増えていて、非正規雇用の方が常勤化された方が百六十六名いるということです。ですが、しかし、常勤になった場合には、例えば転勤があるとか、あるいは管理職としての仕事をしなければいけない、専門職としての相談員の仕事以外の仕事も入ってくるということであります。

 しかし、今必要なのは、やはり専門職としての相談員の方々が、これがしっかりと、言い方としては、例えば無期雇用、有期雇用ではなくて無期雇用にする、あるいは常勤にするということが私は大切だというように思いますが、大臣、どのように思われますでしょうか。

福岡国務大臣 前の長妻議員とのやり取りの中でもありましたが、いろいろ制約はある中ですが、常勤化を進めていくということは大切な流れだというふうに思っております。

 その上で、ハローワークの業務には、職業紹介に関する業務のほかに、雇用保険業務や企業に対する障害者雇用率の達成指導などの雇用対策に関する業務があることから、ハローワークの職員の方々は、幅広く業務に対応できるよう、様々なポストを経験していくキャリアパスを基本としてございます。

 一方で、御指摘のように、職員の専門性を高め、その分野で能力を発揮していただくという観点も重要であることから、令和六年度から、職業紹介業務を中心にポストを経験する職業紹介キャリアパスを設けたところでございます。

 特に、職業紹介部門の非常勤職員をされていた方が常勤職員として採用された場合には、その専門性と経験を生かすために、この職業紹介キャリアパスの対象に積極的に加えるべく検討するよう、二月に開催いたしました全国職業安定部長等会議においても指示してございます。

 今後とも、ハローワークの人事管理においてしっかり検討してまいりたいと思います。

宮川委員 とても前向きな御発言だったと思うんです、いわゆるジョブ型という言い方がいいかどうか分かりませんが。

 今、今日はハローワークの問題を出しましたが、厚生労働省さんが特に中心になって、やはり専門職で本当に重要な仕事をしている方々が使い捨てのような状況ではなくて、ちゃんと、オールマイティーにできなくても、専門的な方々が雇用が安定している常勤あるいは無期雇用の状況になるというのを厚生労働省が先頭に立って示していかなければ、例えば、地方自治体の会計年度職員であり、あるいは一般のところでも、非正規雇用を望んでいるけれども、有期雇用ではなくて無期の雇用にしてもらいたいという方々の声は多いわけです。こういった方々の声に応えるためにも、まずは、厚生労働省がハローワークの相談員を例にして取り組んでいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 次の議題ですけれども、これは毎年毎年の契約更新という話でありましたが、同じような問題で、重度訪問介護の問題を取り上げたいというように思います。

 私の知人で、ALS、筋萎縮性側索硬化症という病気の方がいらっしゃいます。この病気は、時間とともに、手や足やあるいは喉、筋肉が弱ってきてしまうという病気でありますが、いい治療法がなくて、難病だというふうに言われているものであります。私の知人は、手や足がもう動かすのが非常に難しくなっていて、今しゃべることも難しい状況になっているわけですが、目の動きでパソコンで文字を打ち出して会話をするというような状況に今はなっています。

 その方は今、重度訪問介護のサービスを一日二十時間受けているわけでありますが、これは、基本的な時間が八時間というのがあって、これは自治体にもよるんでしょうけれども、毎年毎年、八時間以上の時間は、審査をしないと何時間つくか分からないというふうに言われています。ですから、昨年も、もしかしたら二十時間が減らされるかもしれないというようなことを市の窓口から言われているということです。

 その方がお話しされていたことの話ですが、私は、あるNPO法人で働くことにしました、なぜならば、もし今回、介護の時間を減らされたら生きていけないので、働かざるを得ないと思いました、精神的に大変苦痛ですというようなお話をされています。

 目の動きでコンピューターで会話をする、そういう方がここまで追い詰められているということに対して、大臣、どのように思われますでしょうか。

福岡国務大臣 毎年の判断につきましては、当然、その時々で重くなっていかれる方もあって、その時々によって適切なサービスが提供される必要があることから、その時々による状況をしっかり見ていくということは必要だと思います。

 一方で、重度訪問介護を含む障害福祉サービスの利用については、障害者の総合支援法上、各市町村において、介護を行う者の状況や障害者の方々の置かれている環境、障害福祉サービスの利用意向等を勘案して支給の要否が決定されるものです。

 また、各自治体に対しましては、常に、日常生活に支障が生じるおそれがある場合には、利用者お一人お一人の事情を踏まえまして、個別に市町村審査会の意見を聴取して支給決定を行うなど、障害者の方々が地域において自立した日常生活を営むことができるよう適切な支給量を決定するように、これまでも何度もお示ししてございますが、今御指摘がございますので、改めて、今週、三月十四日に開催いたします関係課長会議の場などを活用いたしまして、周知を徹底してまいりたいと考えています。

宮川委員 大臣、もう一度。進行性の病気で、難治性の病気もあるわけです。ですから、症状が変わらない、あるいは症状が悪くなるような方に関しては、サービスは下がらない、サービスは年度年度によって下がることはないということをしっかり自治体に伝えていただくということでよろしいでしょうか。

福岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、利用者お一人お一人の事情を踏まえまして、個別に市町村審査会の意見を聴取して支給決定を行うということですが、その目的としては、障害者の方々が地域においてしっかり日常生活を営むことができるよう適切な支給量を決定するということでございまして、そのことを改めてしっかり周知をしてまいりたいと考えています。

宮川委員 これは本当に高額療養費の話と同じですが、これは最後のとりでなわけです。この方に減らないかどうかというメッセージを出さなければ、減るかもしれないとなったらば、生きていけないじゃないですか、大臣。

 減らないのかどうかということをお答えいただけますでしょうか。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 仕組みといたしましては、利用者一人一人の事情を踏まえて市町村の方で支給決定するということになりますので、一定の場合、ある特定の事情を想定をいたしまして、この場で、それが当該市町村における支給決定で増えるのか減るのかということを保証的に、保証というのはギャランティーするという意味ですけれども、お答えすることは、なかなか正直言うと難しいところはございます。

 さはさりながら、やはり、障害のある方々が地域の中で望まれる暮らしを続けていくためにはどうすればいいのかという観点で支給決定というのを行っていただきたいということを周知をしておりますので、そういう観点からは、状態が変わらないとかということであれば、それに即した支給決定をしていただくということが一つは考えられるのかなと思っております。

宮川委員 大臣、もう一度、大臣からお答えいただけませんでしょうか。

 もうほぼ二十四時間介護が必要なような方、これが今八時間が基準になっているから、それ以上は審査しなきゃいけないと言われているわけです、毎年毎年。それが、じゃ、二十時間が八時間になっちゃったら、生きていけないじゃないですか。

 これは、大臣、減る可能性があるということでいいんですか、本当に。減らないということを明言していただけないでしょうか。

福岡国務大臣 ちょっと、その御指摘を踏まえて、どういうふうに検討するかということを改めて精査させていただきますが、お一人お一人の実情を踏まえまして、市町村において審査会の意見を聴取して支給決定を行う。その上で、自立した日常生活を営むことができるようということをしっかり各市町村に対して徹底をしていくということだと思います。

宮川委員 ちょっと別の切り口でいきますが、今の方は、本当は二十四時間欲しいということなんですが、二十時間しかつけられていなくて、残りの四時間は自費で払っているということです。ですけれども、貯金もありますから、だから、働かざるを得ないという声を上げているわけです。

 ですから、その方の必要な介護の時間をしっかりとつけるという考え方でいいのかどうか。その自治体の財政力だとか、その担当の課長の考え方とかで変わるのではなくて、その人が必要な介護をちゃんとつけるという考え方でよろしいんでしょうか、大臣。

野村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、支給決定は、あくまで本人の状態に応じて必要なサービスをということでありますので、それを担当する課長の意向であるとか、そういったことに左右されるものではないということであります。

 つまり、どういったサービスがどの程度必要かということを踏まえながら支給決定をしていただきたいということを徹底していきたいと思っております。

宮川委員 大臣、大臣からお答えいただいていないんですけれども、最初に説明しました。実際の方が窓口で減らされるかもしれないということを言われているわけです。ALSの患者さんで、既に手や足が動かなくなっていて、しゃべれない、目で、コンピューターで会話をする。その方が窓口で二十時間が減らされるかもしれないということを言われているんです。

 そういうことが起こるのは、財政面の問題であったりとか、その担当の部署の考え方であったりとか。もらえていたわけですから、以前は。そういうことはない、財政状況や担当者によって変わらないということを答弁いただけないでしょうか。

福岡国務大臣 財政状況だったり担当者によって判断が変わるということはあってはございませんで、そういう意味でいうと、障害を持った方お一人お一人がどう適切な支給量を決定されるかという観点から御判断いただくように、改めてしっかり周知を図っていきたいということでございます。

宮川委員 時間になりましたので終わりにしますが、どうぞよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、宗野創君。

宗野委員 立憲民主党の宗野創です。

 委員会では初めての質問となります。よろしくお願いいたします。

 私は、小学生のときに祖母がパーキンソンで要介護五、そして祖父が脳梗塞で要介護四となりまして、家族で十年弱にわたる介護を経験しました。当時、親は、働きながら祖父母の介護と私の子育てという、いわゆるトリプルケアの状態でした。私も、小学校から帰りますと、親が帰るまでの間、介護を担当するという、いわゆるヤングケアラー、当事者として私も育ちました。

 こうした経験を基に、NPOやあるいは地域福祉の団体でこれまで活動してまいりました。医療、介護、年金といった社会保障があったからこそ、今の私たち家族があると思っています。今日は、現役世代の視点、そして地域福祉の当事者の視点から質問をさせていただきたいと思います。

 冒頭、年金制度改革における現役世代への影響についてお尋ねをさせていただきます。

 本日、多くの質疑がありましたけれども、年金部会の資料によりますと、過去三十年の投影ケースで、二〇五七年には基礎年金の所得代替率が約三割下がると試算をされています。特に影響があるのが、やはり私たちと同じような世代、現役世代。そして今、最近は本当にフリーランスの方も増えてきていると思います。こういった厚生年金に加入できていない、あるいは手薄であるという方々、本当に深刻な現状があると思います。

 こういった中で、基礎年金の所得代替率が将来大きく下がるという試算ですので、これを放置するのか、それとも放置をしないのか、明確に御答弁ください。その上で、放置をしないのであれば、年金改革法案はいつ提出されるんでしょうか。これも明確に御答弁ください。

福岡国務大臣 御指摘がありましたように、基礎年金につきましては、全国民共通の給付でございまして、その給付水準を将来にわたって確保するということは極めて重要でございます。

 そういった意味において、今提出を目指しております法案におきましては、国民のライフコースが多様化する中で、経済が好調に推移せず、基礎年金の調整期間が長期化する場合の備えとして、将来の基礎年金の底上げを図り、特に現在の若い方に幅広く恩恵が及ぶように、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了、すなわち、当面の年金額の抑制措置の期間を短縮できる仕組みについて検討しているところでございます。

 この国会への法案提出に向けては、様々な御意見があることを踏まえ、現在、検討及び調整を進めさせていただいておりまして、できる限り早く提出できるように作業を進めてまいりたいと考えています。

宗野委員 それだと、なかなか不安感は解消されないと思います。

 状況は本当に深刻だと思っています。高額療養費の問題、そしてこの年金の議論も、結局、国は現役世代とか若い世代のことを考えていないんじゃないかという強いメッセージになってしまうと思います。その上で、これを受けて若い人たち、ただでさえ、日本のこういう社会保障制度、大丈夫なのかと信頼が非常に低いという中で、この信頼性の根本を揺るがすようなことになると思います。

 よもや、所信表明ではっきりと言及されている年金関連法案を議論するどころか提出しないということはあり得ないと思いますので、強くこの意見を申し述べさせていただきまして、次の質問にさせていただきます。

 続きまして、昨年の六月から、無痛分娩に使用する麻酔薬の提供不足というのが状況報告されています。私は今三十二歳なんですけれども、この世代は、無痛分娩を現実的に考えているという方が本当に多くいます。周りの同世代から多くの不安の声が届いています。

 近年では、無痛分娩を選択したいがために、様々な医療機関を本当に探して、一生懸命医療機関を選んでいらっしゃるという方もいらっしゃいます。せっかく医療機関が見つかったのに、当日になったら何と無痛分娩が受けられない、これは本当にあってはならないことだなと考えておるわけですが、さらに、これから出産される方にとっても、もしかしたら自分のときもそうなるんじゃないかと非常に不安が広がっていると思います。

 無痛分娩に使用する麻酔薬、アナペインの供給不足によって医療機関による無痛分娩が行えないという事例、これに関して、現状における供給状況をお答えください。

内山政府参考人 お答えします。

 医薬品の供給不安に対しましては、医療現場の声、それから製造販売業者からの報告を踏まえ、製造販売業者への増産の要請や医療機関等への適切な処方等の働きかけを行うなど、個別の事例に応じて丁寧に対応しているところでございます。

 御指摘いただきましたアナペインにつきましては、製造設備のトラブルにより、御指摘のとおり、令和六年六月から受注の全てには対応できない状況が続いておりましたけれども、現在、設備のトラブルは解消しており、出荷量を徐々に回復させている段階にあるというふうに承知をしてございます。

 また、厚生労働省におきましては、アナペインの後発医薬品の販売開始時期を早めるために薬価収載を前倒しするなどの対応を行った結果、令和六年十一月にはこのアナペインの後発医薬品が発売されたところでございます。

 こうしたことから、現在、アナペインの後発医薬品により、不足分の供給を賄うことが可能な生産状況になっているというふうに承知をしてございます。

宗野委員 御答弁ありがとうございます。

 今後もしっかりと推移を御観察いただければと思います。

 その上で、今後、こういったケースに対しての対応策を大臣の方から御説明をお願いします。

福岡国務大臣 今般、国会に提出いたしました薬機法等改正法案におきましては、医薬品の安定供給の確保に向けまして、供給体制管理責任者の設置といった製薬企業における安定供給体制の整備を図りますとともに、供給停止時の届出義務の創設により、迅速に供給不安を把握しながら、製薬企業に対し増産等の必要な協力要請を行える規定を設けることとしております。加えまして、後発医薬品の製造基盤を整備する観点から、新たな基金を造成し、後発医薬品の品目統合、事業再編を支援することで、産業全体の生産性の向上を図っていくこととしております。

 こうした取組によりまして、市場全体の安定供給体制の整備を進めながら、企業に対する増産の働きかけであったり、増産体制整備への補助、薬価の下支え等の取組により、足下の供給不安の解消にも引き続き取り組んでいきたいと思います。加えまして、中長期的な取組と足下の供給不安への対応の双方に取り組むことで、医薬品の安定供給を確保していきたいと考えています。

宗野委員 ありがとうございます。

 そもそも、やはり薬剤の供給という広い観点からいえば、中間薬価改定の話もそうですけれども、卸の問題もあります。ナショナルミニマムと市場原理、両方ある、この構造問題そのものをもう少し真剣に議論していかないと、どんどんどんどんいろいろなケースが出てくると思いますので、今後も検討いただければと思います。

 続きまして、今日少しじっくりと議論したいんですが、ダブルケアの支援に関してお話をさせていただきたいと思います。

 大臣から、所信表明において、仕事と育児、介護の両立支援に関しても言及があったものと存じ上げています。御承知のように、晩婚化そして高齢出産、長寿化、少子化でダブルケアラーが今後加速的に増加して、課題自体もより複雑になってくるものと思っています。

 昨年から毎日新聞では特集を組んで、一年以上、ダブルケアの現状に関しての報道をしています。おつけさせていただきました資料一のように、これは私のことだと本当に当事者の方から多くのお声が届いている。この記事、実は、私も読んだときに、当時の家族のことを思い出しまして、本当にこらえることができませんでした。

 こういった現状がある中で、資料二の方にあるように、昨年、毎日新聞の独自調査の方で、少なくても二十九万三千七百人がダブルケアラーであると報じられて、話題となっています。

 一方で、二〇一六年の、内閣府、育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書によりますと、約二十五万人がダブルケアというふうな統計になっているんですね。国は、この調査を最後に精緻な調査を行っていません。

 また、令和六年度男女共同参画白書に記載されているダブルケアをしている者の数及び割合によると、二〇二二年のダブルケアラーの数は二十万一千人となっているんですが、本当に五万人も減っているんですかね。私、にわかに信じ難いんですけれども、こういった状況でして、現在、ダブルケアに関して継続的な国の調査は実施されていません。

 その一方で、この二〇二二年の報告と毎日新聞の報道によると、数字にすると約一・五倍の差があるということです。現状が十分に把握されていないんじゃないかと思うんですが、こういったところ、御答弁をお願いします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の報道機関による推計ですけれども、昨年一月に公表されたもので、平成二十九年の就業構造基本調査を基にしたものです。これによりまして、約二十九万人がダブルケアに直面している旨の報道がなされたものと承知をしています。

 一方で、ダブルケアに関します国の実態把握の取組といたしましては、内閣府において平成二十四年と令和四年の就業構造基本調査を活用して推計を行っておりまして、調査の時点が異なるものではありますけれども、それぞれ約二十五・三万人、約二十・一万人であったと承知をしております。

宗野委員 これは様々取り方があるのは認識しているんですけれども、やはりなかなか、こういう数字の把握がいいかげんじゃないかなというふうに思っているんですね。

 こども家庭庁さんがつくられて、子供に関わる課題の多くが厚生労働省の所管から変更されています。調査の実施という一点に関してもそうなんですけれども、介護の側から見るか、子育ての側から見るかというので、資料請求一つに対してもかなり難しい状況がある、いわゆるお見合いの状況になってしまっているんじゃないかという問題意識を持っています。

 こういった中で、元々、やはり介護の分野からダブルケアの相談というのは来るケースが多いということですので、是非、厚労省さんにリーダーシップを取っていただきたいと思うわけです。継続的、かつ、統一基準に基づいた調査を行うべきではないでしょうか。その際に、厚生労働省がリーダーシップを取るというような考えはあるんでしょうか。大臣の所見を伺います。

福岡国務大臣 育児と介護のダブルケアにつきましては、これまでも、平成二十七年度の内閣府による推計であったり、令和六年度男女共同参画白書における推計等において実態把握の取組がなされてきたものと承知しておりますが、厚生労働省といたしましても、こうした調査結果も活用しながら、関係省庁と連携しつつ、実態把握に努めてまいりたいと考えています。

宗野委員 もう少し踏み込んでいただきたいなと思うんですけれども、さらに、私がちょっと問題だなと思っているのがダブルケアの定義です。

 過去の統計を確認しますと、未就学児の育児と介護というものを対象としています。現状をまず確認したいんですが、対象年齢も含めて、国としてダブルケアの定義は定まっていますでしょうか。明確に御答弁ください。

田中政府参考人 御指摘のダブルケアですけれども、子育てと介護を同時に行うことというのを指す造語でございまして、法律等の定義は現在は存在いたしません。

宗野委員 そうなんです。定義はまだ定まっていないんですね。今御答弁にもあったように、これは子育てと介護のはずなんですよ、一つの見方としては。でも、しれっと育児になっていまして、これは大分違う話になってくるんですね。

 この統計の対象を未就学の育児としたことによって、知らない間に、ダブルケアの対象というのは育児だけというような統計がベースでいろいろなものが語られていってしまうというところに私は問題意識を持っています。例えば、十八歳未満の児童の子育てをしながら介護をしているという世帯を考えたときに、これは二十万から三十万といった数字じゃとても収まらない方々が今ダブルケアの状態にあるんじゃないかと思います。

 そこで、伺います。

 十八歳未満の児童を育てながら介護を同時に行っている方はどの程度いらっしゃるか、把握していますでしょうか。

田中政府参考人 過去の内閣府等による推計におきましては、いずれも、就業構造基本統計調査における、ふだん未就学児の育児をしている、かつ、ふだん家族の介護をしていると回答した者の数を用いているものと承知をしております。

 そのため、委員御指摘の十八歳未満の児童を育てながら介護を同時に行っている方の数については、政府としては把握をしておりません。

宗野委員 ありがとうございます。

 これは統計上、だから、把握していないということなんですよね。

 毎日新聞の特集で取り上げられた当事者の方の多くは、当然、これは未就学児だけじゃないわけです。私も、いわゆる小学生のときだったので、この定義からするとダブルケアの家庭ではないということになるわけですけれども、本当に様々なケースがあると思います。介護の方から見ても、例えば遠方の通い介護が定義に含まれていないとか、様々な問題があります。実際には、今の統計の何倍にも、いわゆる一般的な意味でのダブルケアラーの方々がいらっしゃるということなんだと思います。

 こういった実態把握を含めて、何でここを強調して言うかというと、これは、何倍にもなったら、予算規模、当然、施策をするときについてくるというふうになったら、基準が変わってきますので、これが把握できていないということは、そもそも予算措置を伴う様々な施策というのを検討していないということだと私は思うんですね。

 こういった問題意識を持って、改めてちょっともう一度大臣に御答弁いただきたいんですけれども、今後、包括的な実態把握に努める、そういった御意向はあるかどうか、御所見を伺います。

福岡国務大臣 過去の内閣府等による推計においてもこれまで実態把握をしておりますが、厚生労働省といたしましても、今後、計画的に実施してございます委託調査なども利用しながら、仕事と育児、介護を同時に行っている労働者の方々が抱える課題等の把握に努めてまいりたいと考えています。

宗野委員 ちょっと次の論点も出したいと思いますけれども、ダブルケアへの支援というと、相談支援というのが中心に行われてきたと答弁でもありました。地方自治体は、もう一歩踏み込んだ取組も行われています。ダブルケア対象者の方に、例えば、特養に入りやすくするとか、あるいは認定こども園、認可保育園に入りやすくするというような政策です。

 大阪府堺市の例を挙げますと、特養の入居基準特例措置や、認定こども園、認可保育園の入所基準加算措置などが行われています。具体的に見ると、おつけしました資料三のように、堺市では、特例入所の要件に追加で、若しくは育児、就労等による、支援が期待できずと、これはあえて明確化して記載しています。

 伺います。

 厚生労働省がこういった指針において育児、就労などに関する文言を入れて明確化することによって自治体の対応の方向性を示すことは、これは方法論としてはまず可能なのか、その上で、現時点で検討しているか、お答えください。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な中重度の方を支える施設としての機能に重点化を図るということで運営してまいりました。

 このため、新規入所者は原則として要介護三以上に限られているところでございますが、同時に、要介護一、二であっても、居宅で日常生活を営むことが困難なやむを得ない事情がある場合には、特例的に入所を可能とする運用、通称特例入所という運用が認められております。その運用に当たって考慮すべき事情といたしまして、議員が参照されました国の通知においては、家族等の支援が期待できない場合などを具体的にお示しをしているところでございます。

 この家族等の支援が期待できない場合の中には、御指摘のような、育児と介護のダブルケアで家族による支援が難しい状況にある場合も含まれているというふうに考えておりまして、その明確化に向けて、自治体等の御意見も伺いながら、必要な対応について検討を行ってまいります。

宗野委員 済みません、方法論としては可能かというところを明確に。可能か可能じゃないかだけ、お願いします。

黒田政府参考人 お答えいたします。

 方法論としては可能でございます。

 その上で、元々の含意の中に含まれているということ、それから、それについてより明確化をするという観点で、必要な対応については検討させていただきたいということを申し上げております。

宗野委員 同様に、保育サービスに関しても伺います。

 こういった通知において、優先利用の対象例として家族の介護への配慮を盛り込むことは、方法論としては可能なのか、現時点で検討しているか、お答えください。

竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 保育所等に子供を預けるためには、まず保育の必要性の認定を受ける必要があります。この認定事由の一つとして、同居親族等の介護、看護が定められておりますので、育児と介護のダブルケアを行っている方が子供を保育所等に預けることは可能となっております。

 その上で、保育の実施主体である市町村では、保育所等に申込みをされた方について、それぞれの保育利用の優先度を踏まえ、どの施設を利用していただくかを調整する利用調整を行うこととなっております。

 市町村の利用調整の参考に資するように、通知を発出し、例えば、一人親家庭でありますとか、虐待やDVのおそれがある場合といった優先利用の対象事例を通知で示しておりますけれども、その中で、明示的にダブルケアについては現在はお示しをしていないところでございます。

 ただ、各市町村の判断で、例えば就労しながら育児と介護を行っている方の優先度を高くする、こういった対応をしていただくことは可能でございまして、堺市などはそういう対応をされているものと承知をしております。

 ですので、方法論としてはもちろん可能でございますし、現状では、自治体の独自の取組としてされているところでございます。

 全国の待機児童数は、ピークであった平成二十九年度に比べますと約十分の一まで減少しておりまして、かつてと違って、優先利用に該当しなければ保育所等に入所できないという状況は、全国的にはかなり改善してきているというふうに思っております。

 こうした状況も踏まえ、各市町村において、地域の実情を適切に把握した上で、必要な対応を行っていただきたいというふうに考えております。

宗野委員 ありがとうございます。

 方法論としては可能ということを確認しましたので、今後、具体的な支援策の検討をお願いします。

 関連してですが、介護休業の現在の取得率、これは何%なのか、端的に伺います。

田中政府参考人 令和四年の就業構造基本調査によりますと、家族の介護をしていると回答した回答者のうち、この一年間に介護休業などの制度を利用したと回答した割合は一一・六%、うち介護休業に限った割合は一・六%となっております。

宗野委員 ありがとうございます。

 この四月から改正育児・介護休業法が施行されていくと思いますので、周知に取り組んでいただきたいと思うんです。

 そもそも、九十三日間という日数なんですが、これの根拠が平成七年を根拠として出ている。それから三十年以上たって、介護を取り巻く状況が大きく変化しています。

 例えば、民間事業者のホームページによりますと、特養の入所に当たって、待機期間は早くて一か月以内、一、二年が一般的とされていますが、平均して二、三年かかります、こういうふうに記載されているものもあります。

 九十三日間という日数は、こうした現状と乖離があると考えます。延長を検討するべきではないでしょうか。厚生労働大臣、御見識をお願いします。

福岡国務大臣 介護休業制度につきましては、平成七年の創設以来、制度の利用実態等を踏まえた検討を行ってまいりました。こうした中、直近の利用実態におきましては、介護休業期間の利用実態は一週間未満が二六・一%と最多、三か月未満でも七四・五%にとどまること、また、介護休業を利用したことがある方のうち、離職した方ほど、介護休業期間中に排せつの介助などの負担の重い介護を自ら担っておられる方の割合が高くなってございました。

 こういったことを踏まえまして、令和五年の労働政策審議会の建議では、介護の体制を構築するために一定期間休業する場合に対応するものという介護休業の制度の理解の状況に照らすと、現段階では、介護休業ができる期間や分割回数については改正を行わないと結論づけた上で、むしろ、制度目的の理解促進を通じて、両立支援制度の効果的な利用を促していくこととされたところでございます。

 このため、令和六年改正育児・介護休業法では、介護保険サービスを上手に活用しつつ、介護休業制度等の趣旨、目的に沿った効果的な利用を促す観点から、労働者からの介護の申出時に両立支援制度に関する情報を個別に周知し、利用の意向を確認すること、四十歳時の早期の情報提供などを事業主に義務づけることとしたところでございます。

 引き続き、必要な介護サービスの受皿整備と併せて、改正法の周知徹底に努めてまいりたいと考えています。

宗野委員 ただ長期化することだけが大事じゃないということは理解しているんですけれども、やはり九十三日間あれば適切なサービスが見つかるという安心感があって利用が進むと思いますので、引き続きの御検討をよろしくお願いします。

 ちょっと残余の質問がございました。申し訳ございませんでした。また引き続きよろしくお願いいたします。

藤丸委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。

 久々の厚生労働委員会での質問ですので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず冒頭、高額療養の御質問をさせていただきたいと思ったんですが、るる事情がございまして、順番を変えさせていただきたいという具合に思います。安心してください。

 まず、風邪の感染症の五類指定についてお伺いをしていきたいという具合に思っております。

 本年の四月からになりますけれども、急性呼吸器感染症、いわゆるARI、これが五類指定になるということで承知をしております。このARIというのは、大きくは風邪ということも入ってくるということになってくるかと思うんですけれども、感染症の管理の必要性、医療提供体制の整備、若しくは社会通念上、社会的な影響、こういうものが五類指定によってどのような形で影響がかかってくるのかということについての懸念をしているところでございます。

 そこで、この四月で五類指定をやっていくよというタイミングなんですけれども、なぜこのタイミングでやっていこうという判断に至ったのか。医療機関の負担、また、これまでの感染症対策の整合性であったり、科学的な根拠を含めまして見解をお伺いしたいと思います。

 もう一つ、加えてになりますけれども、やはりこのARIという言葉自体が、国民の皆様にはなじみがどうしても薄いものになってくるかと思います。風邪ということが五類指定になるということでありますと、やはり国民の皆様に周知されていないということなので、学校を休まなきゃいけないとか、会社を休まなきゃいけないとか、自宅待機をしなきゃいけないとかという誤解もあるかもしれません。

 私の地元であります大阪府の医師会、このホームページ上に書かれていることなんですけれども、今回の決定はWHOの定義と異なって、発熱を伴わないいわゆる風邪、これ全体を対象としたことで、報告症例が膨大となって、全国三千か所ある定点医療機関の負担増が懸念されるという具合に指摘をされています。

 医療現場の懸念に対して政府としてどのように対応するのか、国民への周知も併せてお伺いをしたいと思います。

鷲見政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、感染症法の五類感染症に指定された際の経緯でございますけれども、お尋ねの経緯も含めまして御説明させていただきたいと思います。

 厚生科学審議会感染症部会におきまして、令和五年一月、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを議論した際に、急性呼吸器感染症を対象とした包括的なサーベイランスの必要性が指摘されたところでございます。

 その後、サーベイランスの実施に向けまして、感染症部会において議論を重ねてまいりました。そして、これまで個別に把握してきました季節性インフルエンザウイルス、新型コロナウイルス感染症等を含む急性呼吸器感染症につきまして、発生状況を把握し、平時より包括的なリスク評価を行うため、急性呼吸器感染症を感染症法の五類感染症に位置づけたところでございます。

 また、先生御指摘のとおり、こちらは国際基準に準じまして、急性呼吸器感染症を一体的に把握する体制を整備するということでございます。

 医療現場に求められる対応といたしましては、本サーベイランスの実施に当たりまして御協力いただく医療機関は、患者数を報告する約三千か所の定点医療機関、また、検体を提出するその十分の一に当たります約三百か所の定点医療機関でございまして、これらの医療機関の皆様には、一週間当たりの患者数の報告や、検体を提出する医療機関におきましては検体の提出をお願いするため、御負担が増えることになります。ですが、本サーベイランスの目的についてきちんと理解いただけるように、私ども、リーフレットなどを活用しながら、都道府県を通じて説明をしてまいりたいと思っております。

 また、先生御指摘の患者様に対してでございますけれども、御理解いただきたいポイントをまとめたQアンドAを昨年十二月十一日にまとめて、リーフレットを本年三月五日より厚労省の専用ホームページに掲載して、周知を図っているところでございます。

 また、実際に医療機関でサーベイランスに御協力いただく際にも、こうした資料を用いて理解を求めることとしておりまして、引き続き丁寧に説明してまいりたいと思います。

 以上でございます。

池下委員 WHOからの推奨というのもあったかなとは思うんですけれども、ただ、ちょっと懸念するのが、これまでの政府の感染症の方針とそぐわないといいますか、誤解を生む可能性があるのではないかということなんですね。

 このARIといいますのが、いわゆる風邪も包括的に入っているということなんですけれども、いわゆる軽症の病状になってくるかと思います。

 ちょっと資料を皆さんに配付はしていないんですけれども、令和二年の際に、セルフケア・セルフメディケーション推進に関する有識者検討会というのが行われたと聞いております。その中では、ちょっと一部抜粋して読みますと、可能な限り健康で有意義な生活を送りながら活躍できる社会、それをするためには、限られた医療資源を有効に活用しながら、セルフケアの推進の議論も進めていく必要があるということで、報告があったかと思います。

 今回のARIの五類指定が、風邪が五類指定になったよということになりますと、患者さん、国民からすれば、今までだったらドラッグストアで風邪薬を飲んでゆっくり休んでいたらいいかなと思っていたのが、病院に行かなければならないんじゃないかな、そういう具合の誤解も受けるかと思いますけれども、そういう形で変なメッセージにならないように、政府として、これまでの方針と矛盾しないのか、これからのメッセージをどうしていくのか、お伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 急性呼吸器感染症を五類感染症に位置づける見直しは、国内で発生しております感染症の動向を早期に把握し、国民の皆様や医療関係者に提供、公開することを目的としております。

 今、患者の方々であったり、医療者の方々の心理的なハードルに関する御指摘がございました。見直し後も罹患時の就業制限や登校制限の取扱いは同様でございまして、特別な感染症対策が必要となるものではございません。

 今回の対応につきまして分かりやすく周知し、国民の皆様の不安を招かないようにすることが大変重要であると考えておりまして、厚生労働省のホームページにQアンドAを掲載、リーフレットを作成するなど、丁寧に説明し、理解を促してまいりたいと思います。

 なお、セルフメディケーションの取組も重要であることから、現在、税制上のインセンティブを設けてございまして、こうした対応を含め、引き続きしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

池下委員 OTCの話も今ありますけれども、やはり、軽症で受診されますと、どうしても社会保険の医療負担というのは増えてきますので、そういうところの周知をやっていただきたいと思います。

 ただ、今ちょっとセルフケア税制のことを言及されたと思うんですが、最近の新聞でも、なかなかここにつきまして活用されていない、質問しませんので大丈夫なんですが、活用されていないという実態もございますので、そこら辺はしっかりと対応していただきたいなという具合に思います。

 そこから、大臣、戻ってこられたということなので、改めて高額療養につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 本日も、立憲民主党さんの皆さん、熱心に御議論していただきました。そして、我が党の阿部議員からも私の後に質疑をしていただくことになるかと思います。

 この高額療養の引上げについてなんですが、私、先日、予算委員会でも質問させていただきましたけれども、まず、一番きつい患者団体のところからメスを入れていくということは、やはりこれは悪手だというところをお話をさせていただきました。今回、二転三転したということは、私は政府に対しては猛省をしていただきたいという具合に思っております。

 一旦凍結されたということはよい判断をしていただいたのかなと思うんですけれども、一方で、この月曜日に、全がん連の皆さんであったりとか難病連の皆さん、うちの事務所にお越しいただきまして、よくやっていただいたということで感謝をいただきました。ただ、一方で、やはり不安なんですという言葉もおっしゃっていらっしゃいました。なぜかといいますと、この後質問させていただきますが、本当に我々の声を聞いてくれるのかなということもおっしゃっていました。

 そこで、衆議院の予算の採決が終わった後にこのような判断をされた経過、そしてどういう具合の反省点を持っていらっしゃるのか、どのような認識を持っていらっしゃるのか、ちょっと改めて御認識をお伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 今回の高額療養制度の見直しに当たりましては、専門家の方々で構成されます審議会におきまして様々なデータに基づき御議論をいただいて決定したところでございますが、他方で、その審議会において患者団体様からのヒアリング等については今回も行わなかったということ、このような検討プロセスが丁寧さに欠くんじゃないかという御指摘をいただいている点ということについては、重く受け止める必要があるというふうに考えてございます。

 今後、本年秋までに改めて方針を検討し、結論を得ていくこととしておりますが、その際には患者団体さんを含む関係者の御意見もよく伺いながら検討を進めてまいります。

池下委員 まさに丁寧さを欠いていたということであります。今日の議論でもるるありましたけれども、患者団体の意見の聞き方、これは単なるヒアリングだけであっては私はいけないと思うんですよね。やはり審議会であったりとか、そういう実質的に協議をする場の中に入っていただきまして、御意見を聞いていただくことが一番重要だと思います。一番最悪なのは、ガス抜きで終わる、これが最悪だと私は思っております。

 先ほども御答弁がありましたけれども、なぜここまで患者団体のメンバーさんを検討会や審議会の中に入れることに対して拒否をされているのかということもお伺いをしたいと思いますし、余り反省されていないんじゃないかなという印象を受けざるを得ないという具合に思います。

 そして、今大臣も言われましたけれども、この秋を目途に再検討する、結論を出すという方向性がありました。今日、山井議員も議論されておりましたけれども、検討はまだゼロベースではないというお答えがあったと思いますし、当初案、今の案かも分からない、方向性はいまだに決まっていない、そういうお答えが続いてきたかと思うんですけれども、そういう具合にやはり方向性が見出せない中ですと、患者の皆さんといいますのはこの秋まで不安でしようがないんじゃないかなと思います。ましてや、秋ですよね。今日もありましたけれども、夏に参議院選挙があります。この参議院選挙を過ぎたらまた元どおりになるということがあっては、これ、今まで何の議論をしてきたのかさっぱり分からないという状況になってくるかと思いますので。

 ですので、今後の再検討の結論を出されるというこのスケジュール感、なぜこのような時期になったのか、根拠も併せてお伺いをしたいと思いますし、あわせて、受診抑制にならないような形で、命を守る制度をつくるべきだと思いますけれども、大臣の見解をお伺いいたします。

福岡国務大臣 まず、今後どのような形で審議会等を進めていくか等については、先ほども申しましたように、この医療保険部会、様々なテーマを扱っています。その時々で御意見を聞くべき方は必ずしも重なりませんため、どのような形でやっていくかについては今後検討が必要ですが、いずれにしても、丁寧に患者団体様のお声も聞いていく必要があるという点については、私どもも十分認識をしておるところでございます。

 そして、今後のプロセスということでございます。従来から、私ども、今回改正の見直しの目的につきましては、増大する高額療養費の中でどうやってこの制度を持続可能なものにするか、そして保険者の方々の負担をどう考えていくか、そういった観点から見直しの必要性をお話をさせてきていただいた。それを様々な御指摘を受けて一旦見合わせるということとさせていただいたものでございまして、検討プロセス等についてはしっかりこれから精査をした上で、秋までに結論を得ていきたいというふうに考えているところでございます。

池下委員 まさに秋にされた理由がちょっとよく分からないというところでありますけれども、またこの後、阿部議員もちょっと議論させていただきますし、またあした予算委員会があるんですかね、そういう中でもいろいろ、るる出てくるかと思います。

 ただ、まさに、今まで患者さんの御意見を聞いてこられなかったといいますのは、政府の怠慢の表れなんじゃないかなという具合に思っておりまして、この点に関しましては、ほかの政策についても同じようなことがあるんじゃないかなという具合にちょっと心配をしております。

 どういうことかといいますと、例えば厚労関係でいいますと、創薬エコシステムのための法改正、また私が先日、予算委員会で質問させていただいたんですけれども、来年予定されている薬価の中間年改定についても、私のところには、当事者の皆さんと十分な議論ができていなかったんじゃないかなというお声を聞いております。

 そこで、ちょっと資料の方を見ていただけたらいいんですけれども、日刊薬業さんの方の資料です、これは予算委員会でも資料として出させていただきました。アメリカ経済界、日本大使に抗議書簡、中間年改定や費用対効果の拡大を懸念というタイトルで出されておりますし、ちょっと前の話ですけれども、厚労大臣の方からまだ精査できていないというのが、ちょっと右側の資料の方にも出てきております。

 こちらの内容なんですけれども、全米の商工会議所を含む複数のアメリカの団体さんが、日本の在米日本大使に宛てまして、抗議文書、二〇二五年の薬価の中間年改定、費用対効果の評価制度の拡大に関する抗議文を送付したということで記されております。

 先日の私の予算委員会の質問に対しまして、福岡大臣の方からこういう御答弁がありました。ちょっと要約なんですが、特に新薬創出加算の累積控除について、福岡大臣は、昨年七月から複数回にわたり中医協で透明性を持って検討が進められ、新薬創出加算の累積控除の着実な運用を求める意見が出され、議論の上で最終決定されました、今回の対応、公平性を欠くとは考えていないが、該当企業と事前調整した事実はないという具合に答弁されたわけなんですね。

 これは二百、三百億という形になるんですけれども、限られた企業になっておりまして、企業、個人、患者の違いはあれど、やはり意見を聞かれていないということが私は事実なのではないかなということで思っております。

 中医協で議題に上がっていたとしても、実質的な議論が始まった、単に中医協で長いことこれをやっていたらいいんですけれども、これは昨年の十二月から議論が始まって、年末の三大臣合意に至るまで、本当に十分な議論ができたのかなということで私は懸念をしております。

 今、日本政府といいますのは、前の岸田前総理もそうですけれども、製薬産業に対しまして成長産業にしていこうという旗を振っているわけでありますけれども、まさに逆行、矛盾していることをやっているのではないかなということで心配をしております。

 そこで、関係者の意見を丁寧に聞きながら、透明性と予見性を確保したプロセス、これをやっていくべきだと思うんですけれども、昨年末の大臣折衝における費用対効果の評価の在り方について、具体的な合意内容と今後の議論のスケジュール、そして、透明性確保のためにどのようにしていくのか、見解をお伺いいたします。

福岡国務大臣 我が国におきましては、現在、安全性、有効性などが確認され、必要かつ適切と認められる医薬品等を保険給付の対象とした上で、市場規模が大きかったり、また、単価の高い医薬品に限って費用対効果を個別に評価し、その結果に応じて価格の調整が行われております。

 こうした状況を踏まえまして、昨年末の財務大臣との折衝におきましては、我が国の費用対効果評価の更なる活用に向け、引き続き、対象範囲の拡大に向けた検討を進めるとともに、費用対効果評価の実施体制の強化であったり、適切な評価手法の検討と併せ、薬価制度上の活用方法、診療現場での活用の方策など、今後の在り方について具体的な検討を進めるとされたところでございます。

 これまでも、費用対効果評価制度の見直しの議論では、中医協において関係業界の方々の意見を聞く機会を設けてきたところでございまして、大臣折衝の内容も踏まえました費用対効果評価の更なる活用の具体的内容につきましては、引き続き、医薬品や医療機器のイノベーションの推進と国民皆保険の持続性の両立を図る観点から、関係業界の御意見も伺いながら、中医協において検討してまいりたいと考えています。

池下委員 まさに今大臣言われました費用対効果の活用、費用対効果と言いますと聞こえがいいんですよ。本当に効果があるのかないのか、それを適正に評価しましょうというお言葉は分かります。ただ、薬価の中に関しましては、費用対効果、これをやると、ほぼほぼ薬価は下がります。ずっと下げてきている実情があるわけなんですよね。そうすると、やはり今、ドラッグラグ、ドラッグロスということで、日本の中で薬が足りないとか、海外で薬は流通しているけれども、日本の中では薬はもらえないよねとかという議論がずっとされているわけなんですけれども、そういうことでは製薬企業の方も、経営されているわけですから、予見性であったり、研究をやるためのイノベーションというものがどうしても発揮されないのではないかなという具合に私は懸念しておりますし、やはりここは丁寧に、当事者の皆さんの見解といいますか、御意見を聞いていただきたいと思います。

 もう一つ心配しているのは、アメリカで起こっていることなんですね。抗議はアメリカで行っているわけです。今、大統領はトランプさんなんですよね。今、関税の問題であったりとか、日本だけではなく諸外国でも様々問題が発生していますけれども、ここを外交問題の一つにぴゅっと取り上げられて指摘されてしまいますと、やはり日本の医療の中に対しても非常に問題が起こってくるのではないかなと懸念しておりますので、是非、その点に関しましては丁寧な対応というものをしていただきたいという具合に思っております。

 それでは、今の点に関しましてもちょっと御指摘をさせていただきたいと思うんですけれども、あともう少しちょっとお時間がありますので、あと一つ質問をさせていただきたいと思います。次は、臓器移植関係で御質問させていただきたいと思います。

 私は、昨年は法務委員会に所属させていただいておりまして、その前、その前々年と二年にわたりましてこの厚労委員会で所属をさせていただきました。その中でも特に私が力を入れておりましたのが、臓器移植という問題に力を入れさせていただきました。

 当時、二年前に比べまして、日本の脳死判定における臓器移植の提供数というのは、少しずつではありますものの、増加してきているということは承知をしておりますし、この点に関しましては評価をしたいという具合に思っております。

 ただ、依然としまして、多くのレシピエント、患者さんの皆さんが待機をされておりますし、まだまだドナーの数も足りていないということも理解をさせていただいております。特に、ドナーの登録の促進、あと、家族の意思決定への支援の充実、提供可能な病院機能の強化、こういうことが私は非常に重要になってきているかと思います。

 近年は、せっかくドナーの、提供をされる方が出たとしても、医療提供をされる医療機関がちょっと移植は今できないということで辞退されるケースということも出てきているという新聞報道も出てきておりました。

 移植を実施できる医療機関の機能強化、これはもう待ったなしだと私は思っておりますし、さらには、移植コーディネーターの確保、家族の意思決定への支援、こういったところも含めてしっかりとこれは政府が旗を振ってやっていくべきだと考えておりますけれども、大臣に対しまして、これからの方向性、見解、どうやって促進していくのか、お伺いをしていきたいと思います。

福岡国務大臣 移植医療を円滑に進めていくためには、臓器提供施設、臓器あっせん機関及び移植実施施設のそれぞれが十分に機能を発揮することがとても重要であると考えておりまして、昨年十二月の審議会におきましては、移植医療に係る改革案が取りまとめられたところでございます。

 具体的には、臓器提供施設につきましては、臓器提供の経験が少ない臓器提供施設を支援する連携体制の充実、臓器あっせんにつきましては、日本臓器移植ネットワークのみが担っている患者さんへの説明などの業務を臓器提供施設内のドナーコーディネーターに委嘱することであったり、適合率を高めるためのレシピエントを選択する基準の見直し、移植実施施設につきましては、移植を希望される方が複数の医療機関に登録することを可能とするなどの方針が示されているところでございます。

 こうした取組によりまして、厚生労働省といたしましても、移植体制の強化を図ってまいりたいと考えています。

池下委員 ありがとうございます。

 数年前に比べましても、いろいろな施策をしていただいているということは理解をしております。これは本当にありがたい話でありますけれども、ただ、やはり、今の現在の状況に比べまして、いわゆる海外の医療先進国に比べましても、まだまだこれは不十分なところがあるかなと思っております。

 ちょっと時間も少しなくなってまいりましたので、あと一問させていただきたいと思うんですが、次、心臓移植のレシピエントの選択基準の見直しについてお伺いをしていきたいと思います。

 今、日本では心臓移植、臓器移植でもいろいろな臓器移植があるわけなんですけれども、その中でも特に心臓移植の患者のドナー数、これは非常に、ドナー数が患者数よりも大分少ない、まだまだ少ないということですね。そして、その分だけ、多くの患者さんが長期間待機をされているというわけであります。

 腎臓移植であったりとかであれば、家族であったりとかいろいろな方から移植される可能性はあるものの、やはり心臓移植といいますのは、人間で一つしかないものですから、本当に非常に難しい、数が少ないものだと理解をしております。

 特に、これまでのレシピエントの選択基準におきまして、移植を緊急に要する患者さんが必ずしも優先されないケースというのがあると聞いております。やはり、命ですので、命に優先順位はもちろんないわけなんですけれども、緊急性の高い方の優先度というのも理解しなければいけないのではないかなと私はちょっと懸念しているところであります。

 また、私もいろいろ患者団体さんとおつき合いがあるわけなんですが、小児、小さいお子さんの移植術については、国内での移植機会というものが非常に限られていると。やはり大人に比べても体が小さいであったりとか提供数が少ないとかということもあって、非常に移植機会が限られております。こういった多くの家族の皆さんが高額の医療費を負担して海外での移植、これを選択せざるを得ない、こういう状況も一方であります。イスタンブール宣言、当然理解はしているものの、そういう状況もあります。

 こういった渡航移植の実態を踏まえまして、政府として、国内での移植機会の拡充や支援策の強化について、基準見直しを通じてどのような改善が図られるのか、政府の見解をお伺いしたいと思います。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省では、先ほど大臣申し上げましたように、今後の臓器移植医療の在り方につきまして、臓器の提供施設、臓器のあっせん機関、臓器の移植機関、それぞれが十分に機能を発揮するため、抜本的な見直しを進めているところでございます。

 昨年、移植実施の辞退数とその理由を調査をさせていただきまして、移植の辞退理由の多くが低心機能などのドナーの医学的理由に関するものであったことが判明したため、あっせんの段階でレシピエントとの適合率がより高まるように、レシピエントの選択基準の見直しを行わせていただきました。

 具体的に申し上げますと、緊急に移植を施行しないと短期間に死亡が予測される病態等であって、予測余命一か月以内の六十歳未満の方といった緊急度が高いレシピエントを特に優先度の高い方として、必ずしも臓器の状態が良好でないドナーの心臓であっても、ドナーからの提供を優先的にあっせんを行うよう基準を見直すこととしたところでございます。

 こうした見直しを速やかにシステムに導入することにより、移植をより必要としている方へ優先的な臓器提供を行ってまいりたいと考えております。

池下委員 レシピエントの選択基準の見直し、これは私、非常に重要なものであると思いまして、本当に命に差はないというのは承知をしておりますけれども、やはりこの部分をしっかりと改正することによりまして、救える命をしっかりと救っていただく。こういう政策を進めていくことが、やはり患者さんのため、国民のためにもなるかと思いますので、是非進めていただきたいという具合に思います。

 それでは、時間になりましたので、私の質問を終了させていただきたいと思います。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、阿部圭史君。

阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史でございます。

 大臣、ちょっと顔が見えませんけれども、大臣、医療にかかわらず、物事を語る上で、我々日本維新の会は、やはりユーザー目線を大事にしております。医療については、すなわち患者目線ということですね。

 私も、これまで人生で幾度も患者でもございました。例えば、今、私、ズボンを履いておりますけれども、これを一つ脱げば、右足一本、継ぎはぎでございます。例えば、手塚治虫の漫画で「ブラック・ジャック」というのがありますけれども、ブラック・ジャックは、幼い頃、不発弾の処理ができていなかったところで爆発をして、それで全身ばらばらになって、継ぎはぎになったということですね。顔も継ぎはぎですけれども、体も継ぎはぎということで、まさに私の右足一本、そんな感じなんですけれども。

 私の場合は、幼少期にアメリカにいたときに、自分で熱湯をぶっかけまして、それで皮膚が溶けて、右足一本、皮膚移植しております。そういった中で、小児のやけど専門病院に搬送されまして、何せ、国民皆保険制度がきちんと整っていないアメリカですので、これは何百万かかるのか、何千万かかるのかということで非常に戦々恐々としておりましたけれども、驚くことに、何と、ただだったんですね。無料でございました。これはなぜかといいますと、子供病院で、全て寄附で成り立っている病院だったからということで、アメリカの場合、そういったことがあるんですね。

 そういったこともありまして、医療費で破産するかもしれない、若しくは治療が受けられないかもしれないという恐怖というのは、我が事のように感じているところでございます。

 そういった私自身の経験からも、今回の我が国の高額療養費制度をめぐる問題において、身体的、精神的に苦痛にあえぐ患者さんたちに対して、この制度というものは、まさに安心を与えるものでございまして、私自身は、国民皆保険における宝物のような制度だというふうに思っております。国民皆保険の中核中の中核ということですね。

 したがって、先ほど池下卓議員も申し上げましたけれども、医療改革の文脈では最後に手をつけるべきようなところではないかなというふうに思っておりまして、やはり、この自己負担の限度額引上げの前に、多くのやるべき医療改革の課題があるというふうに認識をしております。

 その観点で、今回、石破総理が、遅きに失したとはいえ、これを一度立ち止まったというのは、必要なことであったろうというふうに思っております。

 通告しておりました一問目で、今後のスケジュールについて聞こうと思っておりましたけれども、先ほど池下議員も聞きましたので、これは飛ばさせていただきまして、今般の高額療養費制度のいろいろなごたごたをめぐる政府の政府内手続についてお伺いしようと思っております。

 政府は、高額療養費制度に関する社会保障審議会医療保険部会の意見、答申、こういったものに基づきまして、一度は十二月に制度設計をしておりました。これを政府当初案と呼ぶといたしますと、その上で、この当初案を変えまして、多数回該当は据え置くとした政府修正案を公表しております。

 てんまつとしては、この後、この政府修正案も制定を見送ったという経緯でございますけれども、この政府修正案は、医療保険部会の意見、答申を受けて設計されたものではなくて、その後、政府自らが発案、設計、公表したものというふうに認識しておりますけれども、これはこれで問題はないのでしょうか。大臣、お願いいたします。

福岡国務大臣 まず、昨年末に政府が決定いたしました高額療養費制度の見直し案につきましては、様々な立場の有識者で構成される専門の審議会において、データ等に基づき複数回にわたる議論を行っていただいた上で、最終的には、予算編成過程において、厚生労働大臣と財務大臣の合意という形で決定をしたものでございます。

 その後、国会等での御議論を踏まえまして、また、総理とも御相談の上、長期療養者の方々の経済的負担に最大限配慮する観点から、多数回該当の金額の据置きなど、二度にわたる修正を行わせていただきました。

 現時点では、これらも含め、秋までに改めて検討し、決定することとしておりますが、これまでのいずれの修正も、政府の考えで行ったものではございますが、セーフティーネットとしての高額療養費の役割を維持すること、今回の見直しにより必要な受診が妨げられないようにすることという医療保険部会の考え方に沿うものであるというふうに考えてございます。

阿部(圭)委員 これはやはり、今大臣が御答弁されたように、最終的な案については、別に医療保険部会に諮ったものではないということだというふうに認識をいたしました。今の大臣の御答弁ですと、厚労大臣と財務大臣の合意によってということでしたので、基本的には、諮らなくても、最終的に大臣の裁量で、御判断で制度設計ができるんだというふうに理解をいたしました。

 今後、患者団体から話を聞くということが、本当に重要なこととして、るる先ほどからこの委員会でも言われておりますけれども、これを聞く場合に、先ほど池下議員も申し上げましたとおり、医療保険部会で聞くというのは非常に重要なことだと思っております。

 一方で、今の大臣のお話ですと、別に、制度設計をするに当たっては医療保険部会ではなくてもいい、そういったことなんでしょうか。御答弁をお願いいたします。

福岡国務大臣 先ほども申し上げましたように、医療保険部会で御議論いただいた方向性に沿って、政府として決定をするということでございます。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 今御答弁いただいたように、方向性に沿ってということですが、具体的な詳細な制度設計については、そこは諮っていないということかなというふうに思いましたので、今後、患者団体の皆様のお話を聞くに当たって、どういうふうに反映をしていくかというのを私どもも注視していきたいと思います。

 そもそも、この医療保険部会というものにつきましてお伺いしたいと思いますが、私が見たところ、特段、高額療養費制度の内容について決定するという所掌を有していないんじゃないかというふうにも見えるところでございまして、この医療保険部会の設置根拠と、明文化された所掌があるのかどうか、その点についてお伺いいたします。

鹿沼政府参考人 社会保障審議会の医療保険部会につきましては、厚生労働省設置法第七条第一項において、社会保障に関する重要事項に関して厚生労働大臣又は関係行政機関に意見を述べることがその事務の一つと定められている社会保障審議会の下に、審議会の定めるところに部会を置くことができるとする社会保障審議会令第六条第一項の規定に基づき設置されているものであります。

 設置につきましては、平成十五年五月二十日の第十二回社会保障審議会におきまして、医療保険制度体系に関する改革について議論いただくことを目的とし、設置する旨の資料を提示し、御審議いただいた上で御了承いただいたもの、このように考えております。

阿部(圭)委員 今、医療保険部会の設置についてということで、社会保障審議会令で定められた部会に即してつくられているということがございましたけれども、これは私の手元に、皆さんのところに資料をお配りしておりませんので恐縮ですが、手元に、部会の設置の趣旨及び審議事項というものがございまして、今、御答弁ですと、医療保険制度体系に関する改革について議論いただくためというふうにございました。ただ、この前に枕言葉がございまして、「この」というふうについております。「この医療保険制度体系に関する改革」。

 「この」というのは何なのかといいますと、これは、平成十五年の健康保険法等の一部を改正する法律附則第二条第二項の規定に基づく基本方針に基づく医療保険制度体系に関する改革ということが明文化されておりまして、この改革というのは、まさにこの改革のことを示しているんだというふうに思います。

 これを読み解きますと、三点、この基本方針で示されております。一つ目、保険者の統合及び再編を含む医療保険制度の体系の在り方、二つ目、新しい高齢者医療制度の創設、三点目、診療報酬の体系の見直しということがございまして、高額療養費制度ということは特段書いていないわけですね。

 これは果たして読めるのかということで御答弁いただければと思いますが、これは通告しておりませんけれども、お願いいたします。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 平成十五年の当時のものにつきましては、おっしゃるように、基本方針に基づくということで、医療保険制度体系に関する改革というふうに書かれております。

 その後、この基本方針につきましては、後期高齢者医療保険制度の創設ですとか、保険者の再編についても様々な議論がなされて、法改正、制度体系についても議論されたところでございます。

 ただ、それ以降も、決して、後期高齢者保険医療制度、また再編の議論、そういったものが、課題がもう終わったということではございません。そうした中で、医療保険制度体系に関しての議論ということでこの医療保険部会で御議論いただいているところでございますし、また、社会保障審議会におきましては、定期的にそれぞれの部会の検討状況等について御報告をさせていただいて、それを御理解をいただいているところだと思っております。

阿部(圭)委員 これは、明確にここに書いてあるわけですね。「この医療保険制度体系に関する改革」と書いておりますから、やはり、ここは一種、逸脱している部分もあるんじゃないかなというふうに私の方では見ておりますけれども。やはり、ここも超えて、医療保険部会、若しくは、社会保障審議会の下に医療部会というものもございます。ほか、るる部会がございますけれども、分科会というのも社会保障審議会令に定められております。これも、ほぼ動いていない、運営されていないというふうにも伺っておりまして、やはり、審議会や部会の扱い方、管理が、ある意味雑過ぎる、ずさん過ぎるということもあるのではないかというふうに思います。

 例えば、先ほどの大臣の御答弁ですと、高額療養費制度については、医療保険部会に最終的に諮って政府修正案が出てきたわけではないということだと思いますが、この辺が非常に明確ではないというふうに思うんですね。

 手続の正当性の観点から、今般の様々な修正について問題があるのではないかというふうに思いますけれども、大臣、御答弁をお願いいたします。

福岡国務大臣 行政手続の正当性の観点でいいますと、先ほど局長が答弁させていただいたとおりでございます。

 そして、今後の見直しの再検討の議論の場としましては、医療保険部会を想定してございますが、様々御意見をいただいているところでございますから、どういう形で御意見を伺いながら、どこで議論するかということについても、よく検討していきたいと考えています。

阿部(圭)委員 また、この高額療養費制度については、しっかりと患者団体の意見も聞いてやっていただきたいと思いますが、引き続きまして、医療政策に関する、今、手続論の話がございましたので、ほかの政府内手続、特に中医協について伺いたいと思います。

 二月二十八日の予算委員会第五分科会におきまして、私から大臣に対して、健康保険法に定められている療養の給付について、これを定める際の中医協の諮問と答申の関係についてお伺いをいたしました。このときの大臣の答弁が、健康保険法等において中医協に諮問すべきものとされている事項については、これまでも中医協の答申を踏まえて実行をしているということでございまして、そういった必要があるというふうに認識していますという答弁をいただいております。

 そういった必要があるというふうに認識していますというのは、具体的にどういう意味なんでしょうか。

福岡国務大臣 先般、必要があると認識していると申し上げましたのは、健康保険法におきまして厚生労働大臣が中医協にあらかじめ諮問すべきこととされている具体的な診療報酬の点数や算定要件などを定めるに当たっては、健康保険法などの規定に基づいて、厚生労働大臣から中医協への諮問や中医協からの答申を経て行う必要があると認識していることをお答えさせていただいたものでございます。

阿部(圭)委員 これは、基本的には、社会保険医療協議会法ですとか健康保険法、そういったことに諮問と答申というのは書いてあるわけですね。

 ただ一方で、私が思うに、この諮問と答申、答申の後に療養の給付を定めることについては、一種、断絶があるんじゃないかなというふうに認識をしております。

 例えば、先ほどの医療保険部会の話を踏まえますと、審議会の意見は意見としてお伺いをして、最後は、まあ二大臣の合意でということでしたので、ある程度の裁量権を持って厚労大臣が決めることができるということなんだろうと思っております。要するに、厚生労働大臣は、療養の給付に係る、社会保険医療協議会法の定める中医協の答申については、この答申の内容を四角四面にそのまま踏襲をして定めなければならないというわけではないのではないか。

 これについて、最終的な内容について、厚労大臣に最終的な裁量と権限があるというふうに認識しておりますけれども、まずは法制局にお伺いをしたいと思います。一般的に、諮問と答申の関係について、答申というのは、あくまで意見を聞きましたということという理解でよろしいんでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問にありました社会保険医療協議会法の個別の規定の解釈に関することにつきましては、一義的には、同法を所管する厚生労働省よりお答えいただくべきものと考えておりまして、また、当局としましても、同省からこれに関する相談を受けていないことから、この点についてのお答えは差し控えたいと考えております。

 その上で、一般論として申し上げますと、国家行政組織法第八条のいわゆる諮問機関の答申については、政府としてこれを尊重すべきではあるが、法律上、これに拘束されるものではないということと認識しております。

阿部(圭)委員 御答弁ありがとうございます。

 まさに、それに拘束されるべきとも考えていないということだと思いますので、今の法制局のお話も受けまして、大臣の方から、大臣の裁量、権限についてお伺いいたします。

福岡国務大臣 御指摘がございましたように、健康保険法だったり社会保険医療協議会法において、厚生労働省が中医協の答申に法的に拘束されるという規定がないという意味では、診療報酬の具体的な点数などの内容は、最終的には厚生労働大臣が定めるものでございます。

 他方で、中医協に諮問を行うこととしている法の規定の趣旨も踏まえれば、国民皆保険の下で適切に保険給付を実行していく観点から、医療従事者や保険者、学識経験者といった様々な関係者から御意見をいただき、議論を進めていくことも重要だというふうに考えてございます。

 したがって、支払い側、診療側及び公益委員から構成される中医協からなされた答申につきましては、基本的には尊重すべきものだというふうに考えてございまして、診療報酬の具体的な点数などの内容を議論するに当たっては、法で定められた手続にのっとるとともに、関係者の方々の幅広い御理解を得て進めることができるよう取り組んでまいりたいと考えています。

阿部(圭)委員 基本的には、法の趣旨に基づいて尊重するということ、まさに専門家が議論しているからということだとは思いますけれども、やはり、民主的正統性を持った政治家が閣僚をやっているわけですから、そういった裁量と権限を持ってやるということも大事なのではないかというふうに私は思っている次第でございます。

 時間の関係もございまして、ちょっと質問を飛ばさせていただきまして、戦後八十年のことについてお伺いしたいと思います。

 資料をお配りさせていただいております。これは戦後七十年談話についての資料でございますが、大臣の所信表明でも、戦後八十年、本年についてということで言及がございました。

 厚生労働省は戦後処理に関する多くの事業を行っていらっしゃいますが、先日、とある新聞社の記事にこのようなものがございました。石破首相は複数の官邸幹部と戦後八十年談話に向けた検討、議論を開始、過去の首相談話が終戦記念日の八月十五日当日やその前日に閣議決定されていることを踏まえ、談話を出す時期などをめぐって協議した、有識者会議の設置についても今後検討する。

 これは、もし本当だとすれば、一体何を考えているのかというふうに私は思っておりまして、やはり、故安倍晋三総理が十年前に戦後七十年談話でお話しになられたこと、これで戦後の談話は終了したんだというふうに私は思っております。この八十年談話というのは、全く出す必要がないということですね。

 私、二〇一二年十二月に発足した第二次安倍政権が、翌二〇一三年の四月に初めて政府が雇用した官僚の一人でございまして、安倍総理の訓示を受けて公の仕事を開始したわけですけれども、その二年後の二〇一五年に、まさにこの談話を発表されて、そのとき、私、二〇一五年の八月十四日、まさに大臣が所管されている厚生労働省の自席に座りながらこの談話を聞いていたところです。

 談話の一部、資料にございますが、読み上げさせていただきます。「日本では、戦後生まれの世代が、今や、人口の八割を超えています。あの戦争には何ら関わりのない、私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。」

 私、この談話を聞いたときに、一国民として自然と涙が流れましたね。十年前のこの七十年談話というのは、やはり、戦前戦中を知らない我々戦後世代を過去のくびきから解き放って、未来に向けて目を向けさせていただいたものだというふうに認識をしております。このような観点でも、八十年談話などというものは、戦後七十年談話をめぐる英知と努力を台なしにするものでございまして、全く出す必要がないというふうに思っております。

 これまで、戦後五十年の村山談話、六十年の小泉談話、七十年の安倍談話は、全て閣議決定がなされてきました。福岡大臣は、内閣の一員として、そして戦後処理を預かる厚労大臣として、このような動きがあった場合には是非とも全力で阻止していただきたいというふうに思っておりますが、我が国の一時代を預かる一政治家として、是非ともお考えをお聞かせいただきたいと思います。

福岡国務大臣 まず、総理大臣談話につきましては、厚生労働大臣としてはお答えする立場にないため、コメントを差し控えさせていただきたいと思いますが、厚生労働省といたしましては、戦後八十年を迎え、戦争を体験された方が少なくなる中で、改めて戦没者の方々とその御遺族の方に対する弔慰の意を示しつつ、広く国民の方々が戦争の記憶を共有、継承し、そして未来に生かしていくことが重要であると考えてございます。

 具体的には、今国会に法案を提出してございます戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の継続支給、また、戦没者遺児による洋上慰霊の実施、教育現場などで次世代への戦争に関する記憶の継承を行う平和の語り部事業の拡充、戦没者の方々の遺骨収集事業の推進、こういったことについて着実に取組を進めてまいりたいと考えています。

阿部(圭)委員 最後に、一つ質問して終わります。吉田政務官に是非。

 まさに、七十年談話を出された故安倍晋三総理の地盤を引き継いで、まさに今、戦後処理をやっていらっしゃると思いますけれども、やはりこれは非常に重要なものだと思いますので、もしお考えがあれば、お聞かせください。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 私は厚生労働大臣政務官としてこの立場にいるわけでありますので、先ほど、今大臣が申し上げたとおり、厚生労働省としては、この談話の発出の可否についてはお答えをする立場にない、こういうふうに思っております。

阿部(圭)委員 これで終わります。党派を超えて取り組んでまいります。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十分開議

藤丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。塩崎彰久君。

塩崎委員 自由民主党の塩崎彰久でございます。

 質問の機会をありがとうございます。そして、安藤政務官、お元気そうで何よりでございます。

 今日は大臣所信に対する質疑ということでございますが、大臣所信、一番最初に出てくるのは、物価上昇を上回る賃上げでございます。先週日曜日には、連合の芳野会長が二十年ぶりに自由民主党の党大会に御出席をいただき、今まさに春闘をやっておりますけれども、賃上げの重要性について訴えられました。

 でも、実際、なかなか地方に行くと大変です。私も地元に帰るとよく言われます、塩崎さん、東京の大企業はええかもしれぬけど、なかなか地方は大変よと。まさに地方の中小企業にとっては、賃上げをどう工面していくのかというのは喫緊の課題でもございます。でも、まさにこの賃上げこそ、与野党を超えて、今、最重要の課題の一つでもあります。

 鰐淵副大臣、今日お越しいただいていますが、副大臣においては、今、全国の政労使会議なども御出席いただいて、まさに生の現場の声を聞いていらっしゃると思います。賃上げに向けた決意と、そして厚労省として具体的にどうした取組を続けていくのか、お答えいただければと思います。

鰐淵副大臣 お答えいたします。

 今委員からも御紹介いただきました地方版政労使会議は、賃上げの機運醸成を図るため、また、持続的な賃上げを実現するために、今月末までに全四十七都道府県におきまして開催することといたしておりまして、これまでに四十四か所で開催をされております。そのうち、御案内をいただきました福岡県を始め、三か所に私は参加をさせていただきました。

 その中で、物価上昇を上回る持続的な賃上げが重要である、こういった認識は政労使共に一致をしております。しかし一方で、今委員からも御紹介がありました、賃上げを実現するためには、特に地方、そして中小企業にはまだまだ課題がある、そういった声も多数いただいております。

 具体的には、防衛的な賃上げを行わざるを得ない状況に置かれており、労務費を含めた価格転嫁が必要であるということ、また、そのほか、業務効率化による生産性の向上に向けた支援が更に必要であるということ、また、継続的な機運の醸成のために、国民の皆様も含めてしっかりと啓発をしていただきたい、そういった声もいただいております。

 こういった現状を踏まえまして、厚生労働省としましては、令和七年度予算案におきまして取りまとめております、生産性向上に資する設備投資等を支援する助成金を始めとした賃上げ支援助成金パッケージの更なる周知広報を行うとともに、価格転嫁の対策、こういった徹底だったり、また、生産性向上支援につきまして、関係省庁としっかりと連携を図りながら、政府を挙げて、賃上げの実現、また、賃上げしやすい環境整備にしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

塩崎委員 ありがとうございました。

 まさに今副大臣が言及された、地域の、地方の切実な現場の声を、是非、成長を豊かさの実感に転換する賃上げにつなげていただければと思います。

 続きまして、大臣所信の中で、スタートアップの支援、こちらについても取り組まれております。

 昨日、私が国会が終わって事務所に戻ると、うちの事務所に検査ビジネスのパンフレットが来ておりまして、あなたのがんリスクについて調べます、今、三千円割引ですと。多分、先生方の事務所にもそういう御案内が来ているんじゃないかと思います。

 今、日本では、遺伝子とか血液とか尿検査とか、いろいろな非臨床の検査ビジネスというものがスタートアップを中心に非常に広がっておりまして、二〇三〇年までには百億円以上のマーケットになってくるというふうに言われております。

 一方で、DTCと言われる消費者向けの検査サービスについては、課題も指摘されております。消費者が利用する中で、品質、信憑性、本当に大丈夫なのか、根拠があるのか、間違った情報に基づいて消費者が誤った行動を取ってしまわないか、こうした観点から、アメリカとか欧州では、ガバナンスの仕組みが法規制として入っているところでもございます。

 日本でも、これからこうした非臨床の検査ビジネスが広がっていくためには一定のルールが必要ではないかということで、昨年、厚労省で私が政務官時代に取りまとめさせていただいたヘルスケアスタートアップに関する施策、その提言の十番、お手元の資料にございますが、非臨床の消費者向け検査サービスに関する法規制の明確化を図るということを入れております。

 そこで、厚労省にお伺いしたいと思いますが、様々な検査ビジネスがある中で、いろいろな結果報告書というのが送られてくるんですね。その報告書の記載ぶりについてもいろいろあるのでございますが、例えば、結果報告書の中で、あなたのがんリスクはAランクですよとかBランクですよとか、こういう記載があった場合、これは法律上、問題はないんでしょうか。

森光政府参考人 お答えさせていただきます。

 現在、民間事業者による様々な消費者向けの検査サービスが存在するということは承知をしております。

 個別事例についての回答は差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論として、民間事業者が利用者の検査結果に基づいて疾患の罹患可能性の提示や診断等の医学的判断を行うということについては、医師以外による医業を禁止します医師法第十七条に抵触するおそれがあると考えております。

塩崎委員 ありがとうございます。

 個人が罹患可能性があるかどうか、高いかどうかについての提示というものは、医師法十七条に違反する可能性があるという非常に具体的な御答弁をいただきました。

 まさに、リスクが高いですよと検査機関に言われて病院に行って、結果的に問題はなかった、これはまだいいと思うんですね。でも、DTC検査でリスクは低いですよと言われて、それで病院に行かないで、もしかしたら早期発見の機会を逃してしまった、こういうことがあると本当に命に関わってきてしまうというふうに思っておりますから、この辺りのルールの明確化というのはとても大事だと思っております。

 ただ、私は、問題は表記だけではないと思っております。その表記の裏にちゃんと科学的な根拠があるのかどうか。これがないのであれば、単なる占いと一緒ということになってしまいかねないわけでございます。

 そこで、こういう科学的な根拠が示される必要があるか。実は、実際に、示されているもの、示されていないもの、いろいろ私も散見されているのを見ておりますけれども、科学的な根拠や合理性がない結果についての厚労省の考え方についてお示しいただければと思います。

森光政府参考人 お答えさせていただきます。

 現在、厚労省と経済産業省の連名で平成二十六年に策定をいたしました健康寿命延伸産業分野における新事業活動のガイドラインにおきまして、民間事業者は、検査結果に基づく診断を行うことはできないため、検査後のサービス提供については、検査又は測定の結果の事実や検査項目の一般的な基準値、これを通知するにとどめなければならないとしております。

 現在、議員御指摘のように様々な消費者向けの検査サービスが存在する、また御指摘のような表記があるということを踏まえまして、厚生労働省といたしましては、一般的な基準値につきましては、客観的な事実を提示しているということが利用者にとって明らかとなるよう、医学的、科学的根拠が適切に示されていることが必要であるということ、また、事業者にも適切に御理解いただくためにも、具体的な適法例、それから違法例、これを併せてお示しすることについて、現在の当該ガイドラインの見直しを含めた必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

 引き続き、厚生労働省といたしましては、法令を遵守した適切な消費者向け検査サービスが提供されるよう取り組んでまいりたいと考えております。

塩崎委員 ありがとうございます。

 今、森光さんからのお答えの中で、やはり検査結果については客観的な根拠が求められるということ、そして、それが消費者にもきちっと示されている必要があるというのではないか、このお考えをお示しをいただきまして、私もまさにそのとおりだと思います。

 是非、こうした厚労省の考え方がしっかり広く周知されて、消費者においても、そしてスタートアップにおいても、安心して優良な企業が成長していけるように、この考え方を取りまとめていただければと思います。

 それでは、次の質問に参りたいと思います。

 大臣所信の中で、電子カルテ情報の医療機関での共有、こちらについても非常に重要なテーマとして挙げていただいております。

 医療DX、私も政務官の時代に大変深く取り組ませていただきました。ついおとといも、ある大手の電カルベンダーさんにお邪魔をさせていただいたときに驚いたんですけれども、物すごくやはり技術が進んでいるんですね。

 電子カルテに入っている様々な情報を基に、その会社のサービスでは、生成AIを組み合わせて、今病院が持っている情報から、退院サマリーと言われる、入院してから退院までどういう処置をしたかということの要約を自動的に生成するサービスがもう既に実装されている。そして、このサービスを入れることによって、お医者さんのかかる時間が半分以下になったというふうに言われております。まさに病院においても、人手不足、大変深刻な問題となっている中で、人手不足を解消しながら、そして医療の質を上げていくためには、医療DXが欠かせない政策だというふうに思っております。

 しかし、その大きなハードルになっているのがシステム費の高騰化でございます。今、様々な病院、医療機関では、非常に経営が苦しい中で、一生懸命医療DXを進めようと思っても、なかなかシステム改修コストがネックになって進まない、このジレンマを私も政務官時代に随分経験をしてまいりました。そうした意味では、このシステム化を進めていく、どうやってコストを下げながらシステムの合理化を進めていくかが大変大事ということになってまいります。

 厚労省では、一月二十二日に「病院の情報システムの刷新に係る方向性について」と書かれた書類を発表しておりまして、現在のオンプレ型のシステムを刷新して、電子カルテ、レセコン、部門システムを一体的に、二〇三〇年までのできるだけ早い時期に、モダン技術を使用したクラウド型システムに移行してほしい、この方針を発表しています。この点について少しお伺いしたいと思います。

 オンプレ型というのは、分かりやすく言えば、施設の中にデータサーバーが置いてあって、システム改修をするたびにシステムエンジニアさんが病院に来ていただいて、いろいろかちゃかちゃ直していただいて補修をしていただくサービス。大変手間がかかりますし、コストもかかる。これをクラウド型にすれば一括してできるのではないか、こういう発想で、私も非常に理解できるところでございます。

 ただ、落とし穴があるんですよね。クラウド型にも実は二種類あります。クラウドリフト型と言われるものとクラウドネイティブ型、同じクラウドでも全然違う。

 クラウドリフト型というのは、今あるシステムのアプリなどをそのままクラウドに上げるだけ。実は、その保守にかかる手間やコストはそんなに下がらないのではないかと言われております。

 一方で、クラウドネイティブというのは、元々クラウドで最適化されるようにアプリとか接続の仕様なども作り直す形のもので、これは確かにランニングコストも非常に大きく下がっていく。セキュリティーの観点からも堅牢だというふうに言われております。

 厚労省に確認をさせてください。

 厚労省がこの一月二十二日のペーパーの中でうたっているモダンシステムのクラウド型というのは、これはクラウドリフト型をイメージしているのか、それともクラウドネイティブ型をイメージしているのか、どちらでしょうか。

内山政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたように、本年一月二十二日に、病院の情報システム、これをオンプレ型からクラウド型システムに移行するための方針というのを打ち出させていただきました。

 このクラウド型システムの指すところは、これも御指摘いただきましたように、インフラからアプリケーションまでをクラウド化する、いわゆるクラウドネイティブ、これを想定しておりまして、クラウドネイティブ化のシステムを推進していきたいというふうに思ってございます。

塩崎委員 ありがとうございます。

 是非、クラウド化と書いたときに、クラウドリフトと混同しないように進めていっていただければと思います。

 具体的に、じゃ、クラウドネイティブ化を進めていくためにどういう取組をされようとしているのか、お答えいただけますでしょうか。

内山政府参考人 お答えします。

 クラウドネイティブ化の推進をこれから進めていくわけですけれども、クラウドネイティブ化の推進の前提としまして、複数の医療機関でシステムを共同利用するということが前提になります。そういう意味では、医療機関において従来の独自運用によるカスタマイズ、これは避けていただく必要があると思っています。

 こうしたクラウドネイティブなシステムを開発するため、厚生労働省といたしましては、二〇二五年度、来年度を目途に病院システムの標準仕様を策定し、それを基に民間システムベンダーが開発できるよう、そうしたことを目指していきたいというふうに思ってございます。その際には、幅広いシステムベンダーの協力を得ながら進めたいと思ってございます。

 さらに、医療機関の独自運用によるカスタマイズ、これを先ほど申しましたように極力避けるために、医療機関の理解を得ながら、共同利用に適した小規模医療機関、それからグループ病院等から段階的に導入できるように、こうした方向で進めてまいりたいというふうに思ってございます。

塩崎委員 ありがとうございました。

 是非、政策的な支援も含めて、しっかりこのクラウド化を進めてまいりたいと思います。

 最後に、臓器移植についてお伺いしたいと思います。

 昨年九月、私も政務官として臓器移植ネットワークを視察をさせていただきました。やはり様々なレベルにおいて課題があるなというふうに伺っております。午前中も質問が出たということでございますので、少し深掘りしてお伺いしたいと思います。

 臓器提供施設では、今、実施可能な施設が全国で九百あるんですが、実際に臓器提供できているのは三百施設に限るということになっております。十二月五日に厚労省で発表していただいた対応策の中でも、経験のある施設がほかの施設も取り組めるように支援するとありますが、単に人が行くだけでは、なかなか人手不足の中でこれは難しいんじゃないかと思っております。

 どうすれば臓器提供施設の機能を強化することができるのか、具体的な方策があれば教えてください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の臓器提供施設につきましては、令和元年から、臓器提供の経験豊富な医療機関が経験の少ない医療機関を支援するという取組、連携体制を行っているところでありますが、これを更に充実するために、様々な関係者のお話を伺った上で、厚生労働省では、令和六年度の補正予算を活用いたしまして、経験の少ない医療機関がリアルタイムで相談や御指導を受けられるようにしたいということで、遠隔操作ができる高性能のカメラを設置をすることとしております。

 こういったことで、よく丁寧に医療機関の御事情を伺いながら対策を進めてまいりたいと思っております。

塩崎委員 ありがとうございます。

 遠隔操作もできるような、そういうオンライン、テレワークみたいなことも使いながら、是非これを進めていっていただければと思います。

 厚労省の皆様におかれましては、昨今、いろいろ大変な御苦労も多いかと思いますが、今日お話しいただいたような、国民の健康、生活を改善するための改革努力、これもしっかりと、これからもたゆまず進めていただければと思いまして、エールとさせていただきます。

 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 今日の最後の質疑者、残り二十分、時間を使って行わさせていただきたいと思います。

 昨日、いわゆる育成就労制度の基本的運用指針というものが閣議決定をされました。言うまでもなく、育成就労制度は、法務省そして我々の厚労省の共管でございます。これに関して数問、まず質問をしていきたいと思っています。

 特に私が問題意識を持っておりますのは、外国人材の活用のうち、空港の業務に関わる方々、もう少し拡大をしていけばいいんじゃないかという問題意識があります。

 現在、空港関連業務としましては、国交省が所管しますグランドハンドリングですね、飛行機を後ろに引っ張ったり、又は貨物を飛行機の中に積んだりするのが代表的なグランドハンドリングという業務であります。これは既に技能実習、そして育成就労にもつながりますし、特定技能の分野も外国人材の活用が既に認められているところであります。

 もう一つが空港の保安検査業務です。いわゆる手荷物検査、ボディーチェック業務ですね、一番大事なところでもあるんですが、ここが実はまだ外国人材の活用というのが行われていない分野であります。

 コロナが終わりまして、委員長も福岡空港を使われますが、御案内のとおり、コロナが終わった後は、手荷物検査場、もう長蛇の列。私どもは、大変失礼な話、ちょっと済みません、早く乗れたりするんです。そういうことを言うと、また国民の皆さんに怒られますが。一般の方は、本当に一時間以上並んで手荷物検査を受け、航空保安業務を行っているところでございました。

 当然、コロナで飛行機がなかなか運航できませんでしたので、こういった保安業務に関わる方々、保安検査に関わる方々はお辞めになって、人手が足りない。それで、コロナが終わり、国内線が復活をし、今やインバウンドがすごい人数来られていますので、非常に空港が混雑をしているという状況が長らく続いておりました。警備会社等の皆様方の努力もあって、現在はコロナ前の九二%の水準まで保安検査員の人数が戻っているということで、若干、以前に比べますと航空の混雑はなくなっているんであろうと思っておりますが、しっかりとこれについて取組をすべきだと思っております。

 実は、グランドハンドリング業務は国交省の所管で、すっと認められたんですが、これは私の理解でございますが、保安検査業務は警備業に関わりますので、警察庁が所管でございます。当然、警察は、国内の治安を守る、国内のテロ等も含めてしっかりと対処するという使命を担っておりますので、やはり、外国人の方が手荷物検査等に関わることはリスクがあるんじゃないか、そういうことも懸念をされて、実は、この航空保安検査業務、育成就労や技能実習にエントリーをしようとしたんですが、やはりやめておこうというような経緯があったと、これは私の理解で聞いております。

 しかし、実際は抜け穴もありまして、日本に来ている留学生は、アルバイトとしての資格外活動として、既に空港保安業務に従事をしている方々がいらっしゃいます。先ほど、コロナ前よりも九二%人員が戻ったという中においては、実は外国人材をアルバイトとして活用をしている例もあるわけでございます。

 そこで、まず一つ法務省に確認をしますが、留学生が資格外活動として航空保安検査業務に従事すること、これは何らかの法律で制限をされているかどうか、端的にお答えをいただきたいと思います。

福原政府参考人 お答え申し上げます。

 留学生に対する包括的な資格外活動許可で認められる就労活動につきましては、原則として週二十八時間以内という時間的制限がございますが、活動の内容につきましては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に定める風俗営業が営まれている営業所で行う活動などが除かれているほかは、制限はございません。

 したがいまして、入管法令上、留学生が資格外活動許可を受けて御質問の空港保安検査業務に従事することは可能でございます。

浜地委員 実際に現地で話を聞きますと、外国人の留学生は従事をしております。航空保安のやり方は、皆さん飛行機に乗られますのでお分かりのとおり、最初、誘導員がいて、荷物をここに置いてくださいと。それで、チケットをかざして、要は、乗る方、人の方はゲートをくぐって、何かもし金属性の反応があればボディーチェックを受ける。荷物の方は、モニターを見ながら、モニターの中において何か危険な液体がないかとかをしっかりと検査をする。そして、出てきたものを、もう一度ボディーチェックをしたり、また荷物を少し取っていただいてやるという、四人から五人一組でやっているんですね。

 逆に、要は、もしテロや保安上の問題があるんだったら、外国人の留学生はどの分野を担当させるか、本当ははっきりさせた方が私はリスクが低減されると思うんです。やはり人のボディーチェックのところと荷物をモニターで見るところというのが、まさにしっかり見ないと保安上の問題であります。

 しかし、今、アルバイトが実際に入っているのは、そういった制限はないんですね。ならば、これは正面から外国人材を活用するということを門戸を開いて、逆に外国人の方については、モニターを見るとか、若しくはボディーチェックをする。まさに航空の保安検査業務の核のところは、例えば最初は行わせないが、付随業務ですね、例えば荷物を取ってあげたり、様々誘導するような、そういったところについては認めていくような、そういう取組をした方が、私は、保安上も逆に安全であり、かつ、人手不足も解消されるんじゃないかという問題意識を持っております。

 航空保安業務だけに限りますと、警備業全体の話もありますので、そういった点も踏まえて、警備業を今後、育成就労及び特定技能に追加していくことについて、分野を追加していくこと、今から、有識者会議が四月から行われますが、これについて是非、警察庁さんにも検討してこれを俎上に上げていただきたいと思いますが、その点について御答弁をいただきます。

大濱政府参考人 お答えいたします。

 深刻な人手不足への対策の一つといたしまして、業界団体において、特定技能制度等へ警備業の分野を追加することにつきましても検討を行っているものと承知しております。

 警察庁においても、特定技能制度等への追加による外国人雇用につきましては、業界団体や関係省庁と意見交換を行っているところでございます。

 今後、業界の意向が固まれば、それを踏まえまして、関係省庁とともに必要な対応を行ってまいりたいと考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 当然、治安、テロ対策、これを担われている警察庁さんですから、慎重になられることも私も理解できます。先ほど言ったように、しっかりバランスを取りながら、私は、警備業の中の航空検査、航空保安というものだけを取り出しましたけれども、やり方によって様々工夫ができるんだろうというふうに思っておりますので、いわゆるそういったことも含めて、業界の意見を聞きながら、是非一歩前に進めて、人手不足に対応していただきたい、そのように要望させていただきたいと思っております。

 そしてもう一つ、次は、空港業務のグランドハンドリングですね。

 先ほど言いましたトーイングカー、飛行機はバックできませんので、飛行機は押さないと滑走路まで行けなかったり、又は荷物を出し入れするような、いわゆる車を運転する方がいらっしゃいます。

 実はここは、空港内ですから制限区域内なので、道路交通法上の運転免許は要りません。要らないんですが、実は、航空法の方で、実際は現場の運用にしっかりと任せるというような法律がありまして、現実問題には、外国人のグランドハンドリング業務に従事する方は、我が国の普通免許を持っていることが必要となる運用、法律でなくて運用がなされているというふうに聞いております。

 ただ、外国の免許から日本に切り替えるのに時間がかかったり、なかなかこれがスムーズにいかなくて、せっかくの外国人材がこういったトーイングカーを運転することができないというような、実は現場の声を私は伺っております。

 そこで、現在、我が国の普通免許が必要となっている運用について、どのような改善策を検討されているのか、ここは所管でございます国交省の政府参考人に御答弁をお願いいたします。

北澤政府参考人 お答え申し上げます。

 空港の制限区域内においてトーイングカーなどの車両を運転するためには、空港管理者から運転許可を得る必要があります。その際、空港管理者は、我が国の公安委員会発行の運転免許証や国際運転免許証などを保有していることを確認することが求められております。このため、外国人の方が制限区域内での運転を行う場合には、我が国の公道でも有効な運転免許証への切替えなどが必要になっております。

 国土交通省としましては、外国人が自国の有効な運転免許証を保有している場合には、我が国の公道を運転できる免許証へ切り替えずとも、当該者の知識及び技能を別途確認した上で、制限区域内における車両の運転を許可できることとする運用について、現在、検討を進めているところでございます。

浜地委員 今、私の問題意識に対して、それに沿った検討が進められているということでございますので、早く検討結果が周知ができるように御努力いただければと思います。

 外国人材についてはこれで終わりですので、もし関係の御答弁者がいらっしゃいましたら、退席されて結構でございますが、委員長、よろしゅうございますか。

藤丸委員長 はい、どうぞ。

浜地委員 ちょっとテーマを変えまして、募集情報等提供事業者、いわゆる求人サイト等における転職等が決まったときの祝い金の制限について、質疑を残りの時間でしたいと思っております。

 御案内のとおり、現在は、いわゆる職業紹介事業、既に転職が、また就職が決まったときに、職業紹介所が当該求職者に対してお祝い金を渡すことは、社会通念上相当と認められる限度を超えるものはよろしくないということで、今は指針、ガイドラインの方でいわゆる制限をされているというところであります。

 これに加えまして、令和六年十月の十一日に、職業紹介事業に加えまして、現在よく、求人サイトというふうに言った方が分かりやすいと思うんですが、募集情報等提供事業者に対しても同じように、例えば転職がこのサイトを使って行われたときに、当該登録をしている求職者に対してお祝い金を社会通念上相当と認められる限度を超えては渡してはならないという、ガイドラインに追加をされたわけであります。

 当然、この趣旨は、昨今の人手不足の中、お祝い金がもらえるから、例えば、ちゃんと就職をしたんだけれども、お祝い金目当てで違うところに転職をしてしまう、これをやはり防止することは、今の人手不足の状況もございますし、そもそも、労働市場の適正化という面では必要な規制であろうと私自身も思っております。

 ただ、私、いつも厚生労働行政を見て思うのは、規制の必要性も大事、しかし、もう一つの視点として、規制方法の相当性ということにも気を遣わなきゃいけませんし、それは、ひいて言うと、規制を受ける側の反対側の反対利益、これについても配慮をしていかなければならないと思っております。

 これは私の一つの考えですが、どうしても厚生労働省は規制省庁でございますので、規制の必要性の方にかなりの重点を置きますけれども、やはりそれが果たして相当だろうか、反対側の利益者に対して、規制が強過ぎるのではないかという視点が、私は去年一年、副大臣も経験させていただきましたが、若干欠けているんじゃないかなということで、様々、私もいろいろなことを申し上げたつもりでございます。

 要は、お祝い金以外の、これに類するものについても供与を禁止するということでガイドラインが作られているわけでございます。

 今日私が持ってきた資料の三ページ目の最後のQアンドAのところですね、金銭等の提供禁止に該当しないものはありますかという質問でございます。要は、お祝い金そのものを渡さなくても、それ以外のもの、これに該当しないものは何ですかというふうな、結局、QアンドAです。

 答えの方は、一つ前のQアンドAにも書かれている今般の措置の趣旨に照らし、下記の一、二については原則禁止の対象外となりますということで、例えばその一つは、サービスの質の向上を図るために、求人サイトの利用者に対してアンケート調査を行う。アンケートを答えた人に対しては、要は抽せんで、全員ではなくて、少数者に対して五百円程度の電子ギフト等を提供する場合には、規制のこの趣旨に該当せず、許容できますよということであります。

 まず、この文章の書き方がおかしい。なぜかというと、下記一、二についてはということで、この一番目と二番目のような形に限定列挙のように読めるんですが、じゃ、これ以外は一切認めないという趣旨でありますか。まず、そこを確認します。

山田政府参考人 お答えいたします。

 一、二に、先生が今御指摘された以外については指針の対象には該当するというふうにしております。

浜地委員 そうなると、その前のQアンドAでいくと、社会通念上相当と認められる限度は何であるか、どのように判断すればいいですか。

 総合的な判断になりますと書いてあるんですね、金銭の金額については総合的な判断になると。本家本元の祝い金については総合的な判断になりますと書いておきながら、それ以外の類する、例えばサービス向上のためのアンケート調査については、これを見ると、一、かなり具体的に、抽選による少数者に対して。まず対象を限定する。かつ、金額についても、五百円程度の電子ギフト等を提供するものに限っている。

 これは、一番最初の、祝い金は社会通念上相当と認められるのは総合判断と言っておきながら、それに類するものの例として一と二に限定列挙をし、かつ、金額についても五百円程度というふうに明示する。これは文章として私はちょっとおかしいんじゃないかと思いますが、ちょっと率直に、まずその点について、この関係性を答えていただいていいですか。

山田政府参考人 お答えいたします。

 社会通念上相当ということについては、我々としては、労働市場への影響に鑑みて総合的な判断になりますが、行ってはならないということになっているというのは、総合的な判断になるけれども、額が大きくなったりとか反復されたりすれば、社会通念上認め難くなるという理解で考えております。

 ここに挙げられた例につきましては、業界の方からも、業務改善又はサービスの質の向上のためのアンケートへの回答数を確保することを目的にして一定の金銭等を提供する、そういったニーズが業界の方にあるということは、我々もこの議論を審議会でしているときに承っておりまして、その上で、今般の指針改正に向けた関係審議会でこの点も含めて公労使で御議論いただき、今先生が読み上げていただいたようなところについて明確に示すということに至った次第でございます。

浜地委員 そういった経緯を今理解しましたけれども、明確に示したがゆえ、かなり限定的になってしまって、さっきの問題意識ですけれども、元々の社会通念上相当と認められる範囲は総合評価なのに、このQによって、結局、限定列挙で、何かやり方も、提供サービス、質の向上のアンケート調査だったら何とか許しますよ、でも、全員じゃ駄目ですよ、若しくはイベントに来場した方の、就職フェアに来た、ブースに来た方に対して何か電子クーポン、ギフト券を渡すのはいいですよと、かなり限定的になり過ぎてしまっている。

 要は、現場で萎縮効果が起きています。これ以外は全て認められないんじゃないかというふうな解釈になってしまっている。それでは、元々の趣旨であります、就職を決めるのに祝い金がもらえるから私は転職しようということを防止することが一番の目的であります。しかし、サービス向上のためのアンケート調査まで何か縛られてしまうと、これは趣旨を没却して、やはり過剰な規制になっているんじゃないかというふうに私は考えております。

 これについて、是非、このガイドライン、若しくはこのQアンドAについて、今後再考されて、現場に合った趣旨に手直しをしていただきたいと思いますが、最後、その答弁をいただきたいと思います。

山田政府参考人 今回の規制につきましては、何段階かの過程を経て、一番最後の規制のプロセスというのは、今年の四月一日の施行分が最終になります。

 我々としては、これまでの議論を踏まえてリーフレット等の整備もしておりますし、それを周知する。周知するというのは、そういった求人サイト等を利用する事業者もさることながら、求人サイトを運営する事業者の方にもきちんと周知した上で、そういったユーザー側、それから実際に求人サイトを運営している事業者、双方の御理解をいただきながら丁寧に施行していきたいと思いますし、これからもユーザー側、事業者側双方に、この規制についてどう考えるのかということはきちんとフォローアップしていきたいと思います。

浜地委員 時間になりますので、終わります。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次回は、来る十四日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十分散会


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