衆議院

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第3号 令和7年3月14日(金曜日)

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令和七年三月十四日(金曜日)

    午前八時五十五分開議

 出席委員

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      安藤たかお君    石橋林太郎君

      草間  剛君    栗原  渉君

      後藤 茂之君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      根本  拓君    長谷川淳二君

      平沼正二郎君    福田かおる君

      森下 千里君    山本 大地君

      吉田 真次君    大塚小百合君

      大西 健介君    岡田 華子君

      酒井なつみ君    宗野  創君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      西川 将人君    長谷川嘉一君

      宮川  伸君    山井 和則君

      阿部 圭史君    池下  卓君

      猪口 幸子君    福田  徹君

      森ようすけ君    沼崎 満子君

      浜地 雅一君    八幡  愛君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官)            内山 博之君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省雇用環境・均等局長)         田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    野村 知司君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 森川 善樹君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     山本 大地君

  塩崎 彰久君     石橋林太郎君

  長谷川淳二君     平沼正二郎君

  深澤 陽一君     栗原  渉君

  池田 真紀君     岡田 華子君

  堤 かなめ君     西川 将人君

同日

 辞任         補欠選任

  石橋林太郎君     塩崎 彰久君

  栗原  渉君     深澤 陽一君

  平沼正二郎君     長谷川淳二君

  山本 大地君     佐々木 紀君

  岡田 華子君     池田 真紀君

  西川 将人君     堤 かなめ君

    ―――――――――――――

三月十四日

 精神障害者の生活保護障害者加算認定に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第三三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第三三八号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三三九号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第三四〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第三四一号)

 同(田村智子君紹介)(第三四二号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第三四三号)

 同(本村伸子君紹介)(第三四四号)

 従来の健康保険証を残すことに関する請願(武正公一君紹介)(第三四五号)

 同(岡本充功君紹介)(第三五一号)

 同(重徳和彦君紹介)(第三五二号)

 同(坂本祐之輔君紹介)(第四三三号)

 安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(青山大人君紹介)(第三八六号)

 同(安藤じゅん子君紹介)(第三八七号)

 同(井坂信彦君紹介)(第三八八号)

 同(大石あきこ君紹介)(第三八九号)

 同(岡田華子君紹介)(第三九〇号)

 同(小熊慎司君紹介)(第三九一号)

 同(小沢一郎君紹介)(第三九二号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第三九三号)

 同(川原田英世君紹介)(第三九四号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第三九五号)

 同(小山千帆君紹介)(第三九六号)

 同(佐藤公治君紹介)(第三九七号)

 同(西川厚志君紹介)(第三九八号)

 同(西川将人君紹介)(第三九九号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第四〇〇号)

 同(藤原規眞君紹介)(第四〇一号)

 同(米山隆一君紹介)(第四〇二号)

 同(笠浩史君紹介)(第四〇三号)

 同(石井智恵君紹介)(第四三四号)

 同(稲富修二君紹介)(第四三五号)

 同(神谷裕君紹介)(第四三六号)

 同(神津たけし君紹介)(第四三七号)

 同(志位和夫君紹介)(第四三八号)

 同(篠原孝君紹介)(第四三九号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第四四〇号)

 同(鳩山紀一郎君紹介)(第四四一号)

 同(福田玄君紹介)(第四四二号)

 同(八幡愛君紹介)(第四四三号)

 同(柚木道義君紹介)(第四四四号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第四八五号)

 同(篠原豪君紹介)(第四八六号)

 同(白石洋一君紹介)(第四八七号)

 同(高橋永君紹介)(第四八八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四八九号)

 同(野間健君紹介)(第四九〇号)

 同(松木けんこう君紹介)(第四九一号)

 同(屋良朝博君紹介)(第四九二号)

 最低賃金全国一律制度の法改正を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四〇七号)

 同(小山千帆君紹介)(第四〇八号)

 同(志位和夫君紹介)(第四〇九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四一〇号)

 同(高井崇志君紹介)(第四一一号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第四一二号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四一三号)

 同(田村智子君紹介)(第四一四号)

 同(福田昭夫君紹介)(第四一五号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第四一六号)

 同(牧義夫君紹介)(第四一七号)

 同(本村伸子君紹介)(第四一八号)

 同(田村貴昭君紹介)(第四九三号)

 同(藤岡たかお君紹介)(第四九四号)

 同(藤原規眞君紹介)(第四九五号)

 人権を保障する福祉職員の賃金と職員配置基準を引き上げることに関する請願(青山大人君紹介)(第四一九号)

 同(安藤じゅん子君紹介)(第四二〇号)

 同(岡田華子君紹介)(第四二一号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第四二二号)

 同(神谷裕君紹介)(第四二三号)

 同(川原田英世君紹介)(第四二四号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第四二五号)

 同(小山千帆君紹介)(第四二六号)

 同(重徳和彦君紹介)(第四二七号)

 同(高松智之君紹介)(第四二八号)

 同(福田玄君紹介)(第四二九号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第四三〇号)

 同(八幡愛君紹介)(第四三一号)

 同(米山隆一君紹介)(第四三二号)

 同(有田芳生君紹介)(第四九六号)

 同(池田真紀君紹介)(第四九七号)

 同(小熊慎司君紹介)(第四九八号)

 同(菊田真紀子君紹介)(第四九九号)

 同(志位和夫君紹介)(第五〇〇号)

 同(田村貴昭君紹介)(第五〇一号)

 同(長友慎治君紹介)(第五〇二号)

 同(西川将人君紹介)(第五〇三号)

 同(野間健君紹介)(第五〇四号)

 同(藤原規眞君紹介)(第五〇五号)

 同(屋良朝博君紹介)(第五〇六号)

 同(笠浩史君紹介)(第五〇七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

藤丸委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、医政局長森光敬子君、医薬局長城克文君、労働基準局長岸本武史君、雇用環境・均等局長田中佐智子君、社会・援護局障害保健福祉部長野村知司君、保険局長鹿沼均君、政策統括官朝川知昭君、政策統括官森川善樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 本日は、大臣所信に対しての質問ということですが、福岡厚労大臣に対しての参議院での通告が予想以上にあったということで、こうしてイレギュラーな質問時間となっておりますが、こうして質問の機会をいただいたことに感謝を申し上げます。よろしくお願いいたします。

 まさに国民全体が厚労大臣に今これはどういうことなのかと聞きたいこと、山盛りということの表れだと思うんですが、まずは私、やはり高額医療費制度の見直しについてお伺いしたいです。

 昨日、国会前には、当事者である患者の皆さんや医師ら百人以上が集まって、負担引上げは白紙撤回と書かれた紙を掲げて、シュプレヒコールを行われておりました。

 一週間前の三月七日、今年度の引上げは見送るとされましたけれども、同日の大臣所信には、現役世代の保険料負担の軽減を図ると引き続き明記しておられましたし、石破総理も、秋までに改めて制度の在り方を検討して、方針を決めることを表明しました。

 国民はばかじゃないので、ああ、参議院選挙の対策なんやなと気づいていると思うんですよね。選挙が終わったらまた持ち出されるんちゃうかなと、不安でいっぱいだと思うんですよ。そもそも、好きで病気になっている人はいないと思うんです。そこが今の政府にはごっそり何か抜け落ちているんじゃないかなと私は思います。

 令和七年度の予算案に対する修正として、高額医療費制度の見直しについて、多数回該当の方の自己負担の見直しをせず、据え置くとすることによって五十五億円が予算として増額されていますと説明がありましたが、今回、たった五十五億円ですよ。五十五億円を削りたいがために、どれだけの人の心をそいだのか。

 同じく令和七年度の防衛関係費の予算というのは、過去最大の八兆七千五億円なんですよ。命を守る予算は本当はどっちなのかなと、私は本当に憤っております。

 大臣は、今現在も高額医療費制度を利用している方が不安な日々を過ごしておられると思うんですけれども、そういうことを考えられたことはあられますか。大臣の受け止めを聞かせてください。お願いします。

福岡国務大臣 まず、今回御指摘がありましたように、参議院選を見据えてそういうことをやったということは全くございませんので、まず冒頭、申し上げさせていただきたいと思います。

 そして、高額療養費の見直しに当たりましては、私自身、患者団体の皆様方と複数回面談をいたしまして、当事者の切実なお声をお伺いしてまいりました。先週金曜日には、総理とともに、また再び患者団体の皆様のお声をお伺いしました。

 これまで様々なそういった切実な声を承ってきたことを受けまして、例えば、その中での見直しで、やはり長期間療養される方の負担感がきついということで、多数回該当の基準であったり、また、高額療養費の額が上がったところによって、多数回も含めて、高額療養費に該当しない方がいるんじゃないかというようなことも踏まえた対応等も行ってきましたが、そういった中で、そもそもその検討プロセスに丁寧さを欠いたのではないかというような国会での御議論であったり、また、患者団体様からの御指摘を重く受け止めさせていただいておりまして、そういう声を踏まえまして、本年八月に予定していました定率改定を含めて、見直し全体について実施を見合わせることとさせていただいたものでございます。

 他方で、ずっと国会でも説明してまいりましたように、高額療養費が医療費全体の倍のスピードで伸びているという事実にも向き合う必要があると考えておりまして、将来にわたってこの制度を守っていくためにも、患者団体さんを含む関係者の御意見もよくお伺いしながら、増大する高額療養費を能力に応じて分かち合う方策について検討を深めてまいりたいと考えています。

八幡委員 何度も言いますけれども、たった五十五億円ですからね。防衛費とどっちが命を救うのかということを、いま一度、もう一回考えていただきたいと思います。

 れいわ新選組は、高額医療費制度の自己負担引上げについて、見送りや凍結ではなく、撤回一択です。むしろ、より予算をつけて拡充していくべきだと考えております。本当にこれも何回も言います、好きで病気になる人はいないんですよね。高額医療費制度、私は、日本が世界に誇るべき、命を守るセーフティーネットだと思っています。なので、しっかりと今後もこれを守っていきたい、それを訴えていきたいと考えております。

 病気になっているだけでも苦しいのに、医療費の負担で生活が苦しい、しんどいという多数回該当の受給者を更に苦しめる医療費の値上げを進めようというのが政府の当初案であったことに改めて驚くんですが、そもそも、どうしてこのような高額医療費制度の見直しが決定されたのかなと、私、調べたんです。

 社会保障審議会医療保険部会での議論が四回開催されております。今回、高額医療費の引上げについて国民から強い批判を受けております。審議会の議事録を読んだんですけれども、経団連や健康保険組合連合会はその審議会で強くこれに賛成しているんですね。例えば田辺医療保険部会長、見直すことの必要性、それから大きな方向性に関しましては、皆様方の意見が一致していたと認識とおっしゃっていて、審議会のメンバーの多数派と国民の意見との間に確実なずれがあると思うんです。審議会で賛成多数で決定された事案が、こうやって国民や世論を巻き込んで猛批判を浴びました。これも事実です。

 これは何のための審議会だったのかなと。大臣、どうお考えでしょうか。お願いします。

福岡国務大臣 まず、政府といたしましても、また審議会のメンバーといたしましても、委員がおっしゃったように、この高額療養費制度というのは日本が誇るべきセーフティーネットであるからこそ、どうやってこの制度を将来にわたって持続可能なものとするかという観点から、真摯に御議論をいただいたというふうに思っております。

 その中で、今回の見直しに向けた議論の過程では、様々な立場の有識者で構成される専門の審議会医療保険部会におきまして、データ等に基づき四回の議論を行って決定をさせていただきました。これは、前回の見直し時における審議会の議論が二回であったことと比較しても、必ずしも少なかったとは言えないと考えています。

 ただ、他方で、審議会における患者団体さんからのヒアリングについても、過去の見直しにおいても行っていないことから今回も行わなかったことに対しまして、この検討プロセスが丁寧さを欠くという御指摘をいただいている点については重く受け止める必要があるというふうに考えております。

 そうしたことから、今後、本年秋までに改めて方針を検討し、結論を得ていくということとしておりますが、その際には、患者団体さんを含む関係者の御意見もよく伺いながら検討を進めていきたいと考えています。

八幡委員 回数じゃないですからね。国民の負担軽減の名の下に、分断を図って、弱者の生命をないがしろにする人たちが審議会に存在するんじゃないかなということに私は危機感を持っております。

 何より、この合計四回の審議会で、見直しで負担軽減となる経団連、健康保険組合連合会の委員はおったんですが、その場にいらっしゃったんですが、当事者である患者さんや患者団体のヒアリングは一切なかったんですよね。なぜ今回、当事者の声を聞こうとしなかったのか。私は、当然、当事者の声を聞くことは政治の決定の場では絶対大事なことだと思っています。

 今回に限らず、今後、社会保障改革などが行われる際には、厚労省の審議会において当事者の声を聞く気はあるのかないのか。是非聞いていただきたいんですが、大臣、お願いします。

福岡国務大臣 そこについては、先ほども御説明させていただきましたが、これまでそういった専門の審議会において患者さんの御意見を聞いていなかったということ、それに対して、今回も同様の扱いをしたことに対して、丁寧さに欠くという御批判を多方面からいただいているということでございます。

 総理も申しておりますように、今後は患者さんの御意見を承りながら、そういった方向性を定めていくということですね。その際に、従来から申し上げていますように、この審議会自体、いろいろなテーマについて御議論をしている場でありまして、そこの審議会のメンバーにそれが入っていただくのがいいのかどうかということも含めて、どういった形でその意見を伺っていくか、そういったことについては検討を深めてまいりたいと思います。

八幡委員 国民の命を握っているというか、何かいろいろなテーマがあると言いますけれども、やはり生きていて何ぼですから、命があって何ぼですからね。治せるんだったら治した方がいいし、高額医療費を国がカバーできるんだったらやった方がいいし、私はそう思います。そういった観点からも、この審議会のメンバーというものを、大臣、もうちょっと前のめりになって、どういう人がいるのかとか、もうちょっと何か関わっていただきたいなと私は思いました。

 次に行きますね。

 自民党と公明党と日本維新の会の三党が教育無償化の具体策や社会保険料の負担軽減策などについて合意した件にも一応触れておきます。

 維新の会さん、社会保険料を下げる改革案で、国民医療費の総額を年間で最低四兆円削減することで、現役世代一人当たりの保険料負担を年間六万円引き下げるとしております。

 政府は、保険料負担軽減の検討に当たっては、政府・与党の方針に加えて、公明党や日本維新の会の主張を念頭に置くとされておりますが、維新さんお得意の、現役世代と高齢者とを分断したり、強い者しか生き残れないという自己責任論の構築、非常に危険である。僭越ながら、私、大阪維新帝国からやってきましたので、私からの助言として議事録に発言を残させていただきます。気をつけてくださいよ。本当に気をつけてください。福岡大臣、石破総理に絶対これを伝えていただきたいです。

 続いて、年金制度改革について行きますね。

 重要法案である年金改革、これは今国会に提出されるのかされないのかと与野党で探り合っているという何かあり得ない展開で、私、本当に新人ながらよく分からないんですね。だから、政治家の先輩として、ちょっとこれは通告していないんですけれども、大臣に教えてほしいんですけれども、これは何が起きているんですかね。だって、みんなでやろうと決めているんですよ、年金改革を。なのに、何か、出すとか出さへんとか。先ほども冒頭、参院選挙、関係ないと言ったけれども、一国民として、これは選挙のために何か引っ込めているのとちゃうかなとかと思っても仕方ないじゃないですか。

 是非、政治家の先輩として、今何が起こっているのか、なぜ与党は年金改革やるぞと言えないのかどうか、教えてください。お願いします。

福岡国務大臣 年金制度については、例えば被用者保険の適用の拡大であったり、また、基礎年金水準を底上げしていくことであったり、そういった必要性から、私どもとしては、提出をお願いさせていただきたいということで、関係方面と調整を続けてきたところでございます。

 当然、関係各位の御理解をいただかなければ法案提出に至らないわけでありまして、今、御理解を得て、各党の党内手続等も踏まえてやっていただいた上で、法案を提出させていただくべく、早くまず提案させていただくべく、調整を今させていただいている、そういう最中だということでございます。

八幡委員 済みません、私、不勉強で申し訳ないんですが、誰の御理解を伺っているのか、ちょっとよく分からないです。みんなでやろうと決めていて、私たち野党も一緒になって一緒にやろうと言っているのに、何でやらないのかなと思うので。

 引き続き、是非、もうこれはやるしかないと思っています。断言していただきたいんですが、大臣というのは、私の中のイメージでは、それぐらい、大臣がやろうと言ったらやれるんちゃうかなと思っているので、是非この厚生労働委員会で引き続き検討していきたいと思っております。

 この年金の問題に関して、私たちれいわ新選組、年金の底上げ、積極的にしていくしかないと訴えております。特に、所得、雇用環境が不安定で相対的に貧弱だと言われてしまっている就職氷河期世代、この方たちが高齢化した場合も懸念されております。年金改革していくという大前提でございますけれども、これは積極的に底上げしていくべきだと私たちは考えております。

 大臣、いかがでしょうか。お願いします。

福岡国務大臣 年金の給付水準につきましては、経済情勢によって大きく変化するところでございますが、仮に今後、経済が好調に推移しない場合に、昨年の財政検証では、基礎年金と報酬比例部分での調整期間の終了期間のずれが大きくなり、基礎年金の調整期間は今後三十年余り続き、給付水準が低下するおそれがあることが明らかになったところでございます。

 こうしたことを踏まえまして、仮に経済が好調に推移せず、基礎年金の調整期間が長期化する場合の備えといたしまして、将来の基礎年金の底上げを図り、特に、今御指摘がありましたように、就職氷河期以降の若い方々に幅広く恩恵が及ぶように、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了、すなわち、当面の年金額の抑制措置の期間を短縮できる仕組みについて今検討させていただいているところでございまして、引き続き、御理解が得られるように努力を重ねてまいりたいと思います。

八幡委員 私は、これまでフリーランスとして活動してきて、タレント業をしてきたんですけれども、この年金がしんどかったんですよ。でも、やはり将来に向けて納めなあかんと思って、一万五千円とか一万六千円とか納めてきたんですが、今まで納めてきた人が安心できる制度であるように、やはり今国会でしっかり議論されることを望みます。

 続いて、質問行きます。

 大臣所信では、どなたも自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、関係省庁と連携し、SNSを活用した相談体制の拡充など、自殺対策を強化しますとのことでしたが、今月三日、政府広報のホームページやSNSで公開された厚生労働省の広告動画についてお伺いします。

 一般用医薬品の乱用、いわゆるオーバードーズ抑止のための広報動画が、関係各所や様々な人たちから批判が殺到しました。これは当時の投稿、もう今は消されているので、引用しますね。つらい気持ちになったなら、ODするよりSD(相談)、ODするよりSDしよう、あなたに寄り添いたい、そんな支援があります、オーバードーズは、心と体を傷つけてしまう危険な行為ですなどと、私、これを見たとき、ひっくり返ったんです。オーバードーズは今や社会問題となっているのに、内容がそもそも軽過ぎるし、言葉遊びしている場合ではないと思うんです。この動画、三月十一日には削除されました。

 大臣、こちらの動画、厚生労働省とばんと名前がついていましたけれども、御覧になられましたか。もし見られていたら、どう思われたか、感想をお聞かせください。お願いします。

福岡国務大臣 近年、悩みや閉塞感を抱えておられる若者の間で、風邪薬などの市販薬の過剰摂取が大きな問題となっておりまして、体に深刻な影響を及ぼす危険な行為でございまして、過剰摂取の防止に向けて今取り組んでいる、必要があると考えております。

 御指摘の政府広報につきましては、若者に対して、悩みや閉塞感を感じた場合は、医薬品を過剰摂取するのではなく、適切な相談機関に相談をしていただくように呼びかけるために、内閣府とともに行ったものでございます。

 内容について私自身も確認をさせていただきましたが、SNS等で当事者や支援者の方々からは、当事者に寄り添う気持ちが感じられないといった御批判を頂戴していますので、御批判については真摯に受け止めさせていただいて、停止の手続を内閣府において行っているものというふうに承知をしてございます。

 その上で、医薬品の過剰摂取を防止するための取組は重要であるというふうに考えておりまして、引き続き様々な取組を行ってまいりたいと存じます。

八幡委員 その動画を見られたということですが、これを見て、あっ、ずれているなと感じないと、厚生労働大臣として本当にやばいと思います。しっかりと受け止めていただきたいです。

 私自身は、ライフワークとして様々な依存症の問題に取り組んでおります。オーバードーズというのも薬物依存症の一種です。依存症患者に対して一番やってはいけないこと、これはまず否定から入ることなんですよ。ODすることで周囲にSOSを発信しているという場合もありますので、この政府広報が出した、ODするよりというこの文言で、否定から入る、これは最悪でした。

 依存症からの自殺に至るケースも多々報告されております。日本は依存症問題について非常に軽視をしていると私は常々思っております。世論を見ても、まさに、自己責任論ですか、なかなか依存症対策の中での治療につなげるということができていないと私も危惧しております。だからこそ、全体として、ODよりSDみたいなキャッチフレーズが飛んできたと思うんですけれども。

 その依存症を軽視しているという例をちょっと今日御紹介したいので、配付させていただいた資料を御覧ください。これは、私は大阪から来ましたので、大阪市の令和七年度の予算案です、予算です。統合型リゾート、IR、いわゆるカジノですね、統合型リゾートの立地実現のための予算ということで、措置状況において、依存症対策の推進として、令和六年に続いて、令和七年度も八・四億円の予算がついているんですよ、と見えるんですね。

 ここで、私も含めてカジノ反対派、カジノなんか要らぬと言っている人たちは、カジノをつくることでギャンブル依存症が増えるから、その対策に八・四億、けしからぬとなると思うんですけれども、この八・四億、実は依存症対策全体の政府予算なんですよ。

 要するに、これは私もそれぞれ厚労省にも確認したんですけれども、要するに、大阪市は自分たちの都合のいいように、政府による依存症対策の推進予算を、統合型リゾート、IRの立地実現の予算に含めているかのような資料を勝手にこうやって作成していて、この予算を反対すると、日本全体の依存症対策予算を否定してしまうことになるというロジックさえも生み出しているんです。

 政府や行政が依存症対策をこうやって軽視しているからこそ、何か都合よく平気で数字を勝手に使えるようにも思えますし、IR推進のためのギャンブル依存症対策を含めた上での、様々な依存症対策についての予算八・四億ということ自体も到底少ないと私は思っております。

 政府は、ODよりSDなどというしょうもない動画に予算つけて広告代理店と一緒に満足している場合ではなくて、もっともっと当事者団体とか当事者にヒアリングをして、依存症対策を打ち出すべきです。そして、自殺対策と併せて依存症対策の予算をもっとつけるべきではないかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 まず、依存症対策を進めるということは大変重要であるというふうに考えておりまして、厚生労働省においても、これまで必要な予算の確保に努めてきたところです。

 令和七年度予算においては、ギャンブル等依存症を含む依存症対策全体の推進に係る予算として八・四億円を計上しております。具体的には、依存症の支援に取り組む民間団体への支援、依存症に関する正しい知識と理解を広めるための普及啓発の実施、依存症対策の全国拠点機関である国立病院機構久里浜医療センターにおける地域の指導者等の養成、研修や、依存症に関する調査研究の実施などに必要な予算を計上してございます。

 厚生労働省といたしましては、これらの取組を着実に進めるためにも、引き続き、ギャンブル等依存症を含めた依存症対策に必要な予算の確保に取り組んでまいりたいと思います。

八幡委員 是非それは問題意識を持っていただいて。

 今回、そんなしょうもない動画を作ってしまったということは、厚生労働省全体、政府広報、内閣も含めて受け止めていただいて、こういうのを作ってしまったんだから、大臣、まさに御自身で今おっしゃっていましたけれども、理解を深めるために、やはり勉強しないといけないと思うんです。なので、是非是非、予算を私たちはもっとつけるべきだとは思うんですけれども、しっかりと政府として、様々な問題があるとは思うんですが、この依存症対策、依存症が理由で自殺に陥ってしまう人たちというのも本当にたくさんあります。本当に閉塞した世の中でございますので、自殺対策と併せて、私は依存症対策も考えていただきたいと思っております。

 最後に、医療DXについて聞きます。

 医療DX推進について、特に町の診療所や中小の病院で動きが鈍いという報道があります。私は、医療DX自体を否定する立場にはありませんが、導入に当たってのインフラ整備ができないという医療機関へのサポートの仕組みをつくることは必要だと考えております。

 そのための予算もついていないんですよね。小規模な診療所では、例えば電子カルテ化を進めるために、パソコンを買うところから始めたりするわけですよ。高齢化が進む医師の中には、医療DXをきっかけに、もう廃業を検討するという声も出ております。マイナンバーのときですら、個人情報の漏えいも問題になりましたし、そもそも、今の日本で、医療DX、政府が求めている医療DXが成立するのか、不安を感じている国民も多いと思います。

 医療DX推進のための初期費用、そして最近、医療機関へのサイバー攻撃も多いと聞きます。その辺りの対策も含めて、もっと国がきめ細やかにフォローしていくべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 医療機関のサイバーセキュリティー対策につきましては、厚生労働省では、法令において、医療機関の管理者に対してサイバーセキュリティー確保のための措置を義務づけた上で、ガイドラインを策定し、研修の実施であったり、バックアップの確保など、医療機関が具体的に取るべき措置を定めてございます。加えて、こうした措置を医療機関が講ずることができるように、財政上の支援も行わせていただいています。

 また、中小の医療機関の電子カルテの導入につきましては、現在、政府におきまして、御指摘のありましたように、小規模な医療機関でも導入しやすいクラウド型の標準型電子カルテの開発を進めさせていただいておりまして、今月下旬から一部の医療機関で試行版を利用するモデル事業を予定をしております。

 医療機関の負担にも十分配慮しながら、電子カルテの普及促進を図っていきたいと考えています。

八幡委員 この国が発展していくために、そうやって医療DXや何やと、例えばマイナンバーのときもそうでしたけれども、私は進めていくことには否定はしないです。ただし、やはり様々な情報漏えいをしているという事実がありますから、国民からしたら不安なわけですよ、信用がないわけです。そこをしっかりと向き合っていただきたいですし、やはり医療の自分の情報、病気の情報だったり薬の情報だったりが外に漏れてしまうんちゃうかなという、これは、大丈夫、大丈夫と言われても、不安というものは消せないものですから、しっかりと受け止めていただきたいのと、やはり大臣の話を聞いていても、全ての構想が大手の病院を想定しているように思えるんです。

 いや、中小もやるよ、クラウド作ったんだ、それを試しにやってみるねんと言うんだけれども、さっきも言いましたけれども、パソコンを買うところから始める人たちもいるわけですよ。その人たちはパソコンを使えへんのが悪いねん、時代に乗らへんのが悪いねんと言ってしまうということが、そういう人たちも取りこぼさずに、小さい診療所、町に根づいた、地域に根づいた診療所の人たち、その人たちもすくい取っていく、その人たちを置いてきぼりにしないということ、これが、私たちが本来目指すべき次世代の医療体制を整えていくこと、これが我々が求めている医療DXだと思うんですよ。

 みんながいろいろな形で、一人も残さない、取り残さない、そういったやはり姿勢を政府は持たないと、こんなの全部一緒ですよ。大企業が中小零細を食い潰すみたいな、淘汰していく、これを特に医療業界なんかは起こしてはいけないです。

 やはり地域に根づいて、ずっと毎週何曜日にこの患者さんがいらっしゃるみたいな、そういった密接な関係を地域では行われていますので、そこを、医療DXについてこられへんから、じゃ、残念、バイバイみたいな、私、そんな冷たい日本の医療体制というのは、これは違うなと思いますので、是非大臣にはそこをしっかりとフォローいただきたいと思っております。

 今国会も、私、厚生労働委員会として国民の皆様の命と暮らしを保って守っていけるように、私の決意と気合を添えて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 最初に、高額療養費の制度の問題についてお伺いします。

 高額療養費上限額の八月引上げ計画は見送られて、そして、来年度予算案は修正されることになりました。石破茂首相は、昨日の予算委員会の答弁で、患者団体と面会したとき、厚生労働大臣から報告を受けていたとし、患者団体との懇談は福岡労働大臣からお伺いしていたとしていて、理解をいただくに至ったと判断したが、その判断は間違いだったと昨日答弁されました。

 患者団体から、これだけ大きな問題になって声が上がっているにもかかわらず、直接声を聞かなかった総理の姿勢には問題があると思います。しかし、最大の間違いというのは、今でも限界にある高額療養費の上限額を、有無を言わせず、患者団体の声も聞かずに引き上げようとしたことではなかったのか、そこに最大の問題があったのではないかと思いますが、大臣、いかがですか。

福岡国務大臣 委員におかれては、患者団体の皆様方の声が書かれたペーパーを直接お渡しいただいたりして、これまでもそういった声を届けていただく御尽力をいただいてまいりました。そして、私自身も、御承知のとおり、複数回にわたりまして患者団体の皆様方と面談し、お話を直接伺わせていただきました。本当に切実な様々な声がありました。

 ただ、その中でも、当然、高額療養費を将来にわたって持続可能とするために負担の分かち合いを行っていくこと、そのことについては患者団体の皆様方も御理解をいただいた上で、そうはいっても、長期において療養されていらっしゃるがん患者の皆様方にとってつらい状況にある、そういったお声を様々いただいてきながら、これまでも、その見直し案等についてお示しをさせていただいたところでございます。

 ただ、そういったプロセスを経ましても、検討プロセスに丁寧を欠いたとの御指摘をいただいたところから、それを重く受け止めなければならないと考え、今回、見合わせることとさせていただいたということでございます。

田村(貴)委員 つまり、上限額の引上げが納得を得られていないということなんですよね。

 高額療養費の見直しは、全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋、改革工程の、二〇二八年度までの各年度の予算編成過程において、実施すべき施策を検討、決定として、高額療養費の自己負担限度額の見直しが盛り込まれた。ここから始まっているわけであります。

 総理は、昨日の予算委員会で、改革工程に基づいて検討を続けることを明言しました。そして、引き上げないと断言しないとまで述べたわけであります。これは、いずれ引き上げるということなんですか。

 そして、秋までに方針を決定すると答弁されました。この先、自民党と公明党とそれから維新の会の予算案での合意によって、三党協議会で医療費削減の議論が行われようとしています。

 三党合意に掲げられた具体策の一つに、現役世代に負担が偏りがちな構造の見直しによる応能負担の徹底という項目があります。これは維新の会が出されている文書にもあるんですけれども、三党が念頭に置くとする社会保険料を下げる改革案、維新の会のたたき台の応能負担の徹底の中身を見ますと、医療費窓口負担及び高額療養費負担限度額の所得区分判定の見直しというふうにあります。つまり、政府の基本方針文書である改革工程と維新の会のたたき台は、医療費削減の手段として、高額療養費制度の見直しということで一致しているわけであります。

 三党合意による医療費削減は、早ければ来年度予算からとなっています。しかし、総理は昨日の答弁で、来年度中の高額療養費の見直しは考えていないと述べました。

 大臣、この三党合意という文書はどうするんですか。撤回、見直しを行うんですか。いかがですか。

福岡国務大臣 三党合意というのは公党間の御議論によって合意をされたものでありますから、その合意の内容について私からコメントをさせていただくということは控えさせていただきたいというふうに思います。

 その上で、高額療養費の見直しに当たっては、患者団体の皆さんも含めてしっかり丁寧なプロセスを経ていくということを総理は申されておりますので、それに沿って作業を進めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 政権与党の自民党と公明党と、維新の会の三党合意だから、大臣はその中に入っているし、閣僚のお一人であるし、まさに厚生労働大臣なんだから、このことについて、総理の昨日の答弁とも整合性が合わないから聞いているんですよ。

 こうしたやはり負担を引き上げるという根拠的な合意とか、それから基本文書、閣議決定されたものがあると、それに縛られていくんですよ。そう見るのが普通じゃないですか。だから、今、一旦引上げは見送っている、そのことで根拠規定はどうするんですかと聞いているんだけれども、総理も福岡大臣もお答えにならない。私は、これはある意味、無責任だと思います。

 がん、難病の患者さん、当事者から、自己負担増によって医療を諦めざるを得なくなっている、現在でも深刻な負担になっているとずっと聞いてまいりました。

 厚労省にお伺いします。自己負担を引き上げても受診抑制にはつながらない、そういう認識なんでしょうか。

福岡国務大臣 一般論として申し上げますと、窓口負担が上がると受診行動に影響を及ぼすという研究結果があることについては承知をしておりますが、受診の都度支払いが生じる窓口負担割合を見直した場合と高額療養費の負担限度額を見直した場合ではその影響が異なるのではないかといった指摘、これは審議会でもなされておりまして、受診行動への影響を一概に申し上げることは難しいと考えております。

 高額療養費の見直しについて申し上げれば、例えば、平成二十九年に七十歳以上の外来特例の見直しを行わせていただきましたが、その際には、マクロベースでの受診率の影響については観測をされてございません。

 今後の検討に際しましては、個々の患者さんの疾病の状況や就労、生活実態が様々である中で、その負担の実態を網羅的に把握することは大変難しゅうございますが、可能な限り、実態を踏まえたデータを出すように工夫させていただくとともに、患者さんの皆様方の話をよく伺い、丁寧に議論を進めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 高額療養費の負担引上げの当初案の削減効果は五千三百三十億円、このうち長瀬効果によるものは二千七百七十億円と厚労省は説明しています。総理は昨日の予算委員会で、高額療養費の変化による受診行動の変化を示すものではないと長瀬効果について答弁しています。そうなんでしょうか。

 二〇二一年の健康保険等の改定の審議の中で、当時の保険局長は次のように答弁しています。二〇〇六年、平成十八年に行われました高齢者医療における現役並みの所得者の自己負担割合の見直し、このときは、現役並みの所得のある七十歳以上の患者負担、これを二割から三割に見直しましたけれども、このときの実績を見ますと、長瀬効果による受診日数の減の理論値が〇・四日で、実際の受診日数の変化は〇・五日ということで一定程度整合している、このように答弁しているわけなんですよね。

 このように、厚生労働省は、従来、経験的に、医療保険の自己負担を増やせば受診日数が減少する、受診行動が変化して医療費が削減する、国会でそう答弁してきたのではありませんか。事実関係を聞いているんです。そうじゃないんですか。

福岡国務大臣 医療費の減少を推計するいわゆる長瀬効果の額につきましては、実効給付率が変化した場合の医療費の増減効果を過去のデータに基づいて機械的に試算したものでございまして、これは受診行動の変化を示すものではなく、必要な受診が抑制されることを意味するものではないというふうに考えております。

田村(貴)委員 でも、答弁では、受診日数が減ったと述べているわけなんですよ。患者さんの自己負担が二割、三割、上がったら受診を抑制している、そういうふうに述べてきたんですよ、長瀬理論、長瀬効果を使って。自己負担増は受療行動に変化が起こる、変化につながるというのがこれまで一貫した厚生労働省の説明なんです。がんや難病の患者さんが受診抑制につながると受け止めているんです。今もそう言っておられるんです。

 では、自己負担増が受療行動の変化、受診抑制につながらないという根拠はどこにあるのか、教えていただきたいと思います。

福岡国務大臣 まず、先ほど申し上げたことと重なりますが、受診の都度支払いが生じる窓口負担割合を見直した場合と高額療養費の負担限度額を見直した場合であっては、その影響が異なるのではないかといった御指摘はあるところでございます。

 その上で、例えば、今回の、私どもが当初示させていただいた案におきましては、平均的な所得を下回る方については自己負担上限額の引上げ率を抑制するとともに、長期にわたって治療を継続される方々の不安の声を踏まえ、高額療養費に年四回以上該当する方々の自己負担額は据え置くなど、必要な受診についてできる限り抑制を招かないようにしているということを説明してきたものでございます。

田村(貴)委員 それは納得できません。だって、患者さんにとってみたら、月に払う上限額、それから年間の上限額、これは数万円、十数万円、数十万円で上がっていく。そうすれば、もう私は治療を諦めて子供たちにお金を残していきたい、そう生の声は、大臣、何度も聞いてきたはずじゃないですか。今でも限界なんですよ。その上限額を引き上げるということは、すなわち死を意味する、治療を断念する、そういう思いがまだ伝わっていないのか。私は、この問題、引き続き取り上げていきたいと思います。

 この間、政府は、高額療養費の伸びは国民医療の倍近い、持続可能性を維持するために負担上限引上げは必要だと繰り返し述べてきました。全がん連との協議においても、制度維持の必要性を強調されたというふうにも聞いています。

 しかし、医療保険というのは、人間誰しも病気になり、けがをします、そのときの医療費負担を社会連帯の精神で、国民全体で分かち合う制度なのではないんですか。社会連帯の制度だからこそ、保険は応能負担になっているんです。なぜ高額療養費は独自に持続性が問題となるんですか。

 政府が繰り返し強調する持続性というのは、国民医療費の伸びの範囲に高額療養費の上昇を収めようとするのか、これに合わせようとしているのか、だから負担増は仕方がないとしているのか、それについてもお答えをいただきたいと思います。

福岡国務大臣 これまでも何度も説明させていただいてまいりましたが、高額療養費の総額が医療費全体の倍のスピードで増加している状況にあり、かつ、今後とも高額な薬剤の一層の登場が見込まれる中で、制度を次の世代にも引き継ぐことを可能とするとともに、被保険者の保険料負担を抑制するため、制度の見直しを行おうとしたものでございまして、御指摘がありましたように、高額療養費の伸びを国民医療費の伸びの範囲に収めるようにするといった考えに基づいて行うものではございません。

田村(貴)委員 上限額を引き上げれば、必然的に、高額療養費の給付を受けている現役世代の人、多数回該当になっている人は影響が大きくなるのは、これはもう必然です。術後や再発後に長期の抗がん剤投与などで高額な医療費を負担している患者さんほど、負担が重くならざるを得ません。こうした、がんと闘っている方、難病と闘っている方、長期に治療を継続しなければならない方に対して、上限額の引上げはまさに罰則のようなものではないでしょうか。

 国民医療費の増加の要因は、高齢化と、そして医療の高度化であります。医療の高度化によって、従来治らなかったものが治るようになりました。高度化によって薬価が高騰し、高額療養費が上昇しているのは事実であります。しかし、これは、政府がこの間進めてきた画期的新薬の開発促進、これが高額療養費の上昇の原因の一つではありませんか。

 治療法の開発促進で患者さんの希望にともしびを与えた、新薬そして医療の技術によって患者さんに希望を与えた。しかし、一方で、その費用の高騰分を患者さんに押しつける。これでは、お金がある人だけが治療を受けられることになる。こういうやり方でいいんですか。高い薬価を抑制したり、それを改善するという議論はないんでしょうか。いかがですか。

福岡国務大臣 革新的医薬品に対しまして、イノベーションであったりコストに見合う薬価上の評価をしない場合は、製薬企業の研究開発意欲を阻害し、かえってドラッグラグ、ドラッグロスにつながりまして、ひいては、国民皆保険の下で質の高い医療への国民のアクセスを阻害することになりかねないというふうに考えています。

 このような課題を解消し、革新的医薬品が日本国内の医療現場へ迅速に導入され、早期に患者さんがアクセスできるようにする観点からは、薬価制度において、国民皆保険の持続性と両立させながら、イノベーションを適切に評価することは重要であると考えています。

 他方で、高額な薬剤が医療保険財政に与える影響等も考慮する必要がございまして、薬価収載された医薬品に対して、収載後の価格調整のルールといたしまして、当初の予想を超えて市場規模が拡大した場合に薬価を引き下げる市場拡大再算定であったり、既存の治療と比較して費用や効果がどれだけ増加するかを分析し、その結果に基づいて価格を調整する費用対効果評価といった仕組みを設けてございまして、引き続き、こうした取組を通じて適切に対応していきたいと考えています。

田村(貴)委員 この問題、引き続き議論していきたいと思いますけれども、大臣、石破総理大臣も、つらい人、苦しい人の立場を聞く、これから話を聞いていくと言われたんです。これは聞きおくだけでは駄目ですよ。今、患者さんは、上限額の引上げが、これが物すごいプレッシャーになっているんですよ。引き上げたら駄目だ、白紙撤回する、この立場で臨んでもらわないといけません。そのことを強く要求したいと思います。

 残りの時間で、最低賃金のことについて伺います。

 物価高騰に国民が長年苦しんでいます。そして、物価高騰に賃金が追いついていません。国民は暮らしの安定を切望しています。政府はこの声に応えているでしょうか。

 先日の厚生労働省の発表では、二〇二四年の実質賃金は前年比〇・二%減で、三年連続マイナスになっています。

 資料をお配りしています。御覧いただきたいと思います。パネルにもしています。

 二〇二一年の後半から物価高騰が始まりました。そこで、二〇二二年一月以降の消費者物価指数と実質賃金の推移を示しました。グリーンの帯が物価指数です。そして、赤色が、名目賃金から物価変動を差し引いた実質賃金の推移です。賃金が物価高騰に長く長く、全く追いついていないということが読み取れると思います。

 福岡厚労大臣は、所信表明の冒頭で、物価上昇を上回る賃金の引上げを実現していくと述べました。この物価上昇を上回る賃金の引上げというのは岸田政権からずっと政府は唱えてきているんですけれども、全く展望が見えませんよね。消費税を始めとする減税にも踏み込まない。価格高騰対策も、これは本当に限定的で、規模も圧倒的に小さい。

 大臣、物価高騰を上回る賃金の引上げというのは、これはいつ実現するんですか。

福岡国務大臣 我が国の実質賃金は、他の多くの先進国の実質賃金が中長期的に上昇傾向にある一方、横ばい傾向にあると認識をしております。

 その要因といたしましては、バブル崩壊以降、長引くデフレ等を背景に、企業は、足下の収益の確保のため、賃金であったり成長の源泉である投資を抑制せざるを得ず、結果として、消費の停滞であったり物価の低迷、さらには成長の抑制をもたらしたためだと考えています。

 今期の春季労使交渉は今月十二日に集中回答日を迎えたところでございますが、大手企業を中心に昨年超えを含む高い水準の回答が相次ぐなど、昨年に続き、大企業を中心に賃上げの力強い動きが出てきたものと考えています。

 賃上げの環境の整備を行い、物価上昇を上回る賃金の引上げを実現するために、関係省庁と連携して、価格転嫁対策の徹底であったり生産性向上の支援を推進するとともに、今月末までに全都道府県で開催いたします地方版政労使会議を通じまして、各地域における賃金引上げの機運醸成に取り組んでいきます。

 また、令和七年度予算案におきまして賃上げ支援助成金パッケージを取りまとめたところでございまして、こういった取組を通じて、労働市場全体の賃上げを支援していきたいと考えています。

田村(貴)委員 出ているのは、大企業の満額回答ぐらいじゃないですか。中小企業は大変じゃないですか。中小事業者は、賃金を上げたくてもできないじゃないですか。その現実がずっとあるわけなんですよ。

 大臣、所信では、最低賃金、時給千五百円について、二〇二〇年代に実現していくと。二〇二〇年代、これはいつ実現するんですか。解説は結構です。政府の取組も結構です。早く最賃を上げないといけないんじゃないですか、物価高騰に追いつく、賃金を引き上げなくちゃ、いけないんですか、もっとスピードアップしなければいけないんじゃないですか、早く達成しなければいけないんじゃないですかと聞いているんです。大臣の決意を聞いているんです。いかがですか。

福岡国務大臣 おっしゃられましたように、二〇二〇年代に全国平均千五百円という高い目標に向け、たゆまぬ努力を続けることとしてございます。

 その上で、様々な、先ほどおっしゃいました中小・小規模事業者も含めて、そういう環境が整えられるようにしっかり努力していきたいと思います。

田村(貴)委員 遅いと言わなければなりません。

 実は、大臣、千五百円に、時給、最低賃金を上げたとしても、これはもう生活できない、そういう水準なんですね。

 全労連が専門家の監修の下に行った最低生活費の試算というのがあります。大臣も聞かれたと思います。

 九州で見てみましょう。九州で見てみると、福岡市は、最低生活費、時間給千七百七十七円かかるとされました。大臣の地元、佐賀市は千六百十三円です。しかし、現在は九百五十六円です。福岡は九百九十二円です。これだけ開きがあるわけなんですね。しかも、最低賃金はランクが分かれていて、九州でいうならば福岡はBランク、あとの県はCランクです。低い水準にあります。

 ここが、例えば佐賀県の若者は、道一つ隔てて福岡県の賃金の高いところに仕事に行く、アルバイトに行く。そして、福岡の人は、もっと賃金の高いところに行っていく。この労働力の流出というのが大きな問題になっています。だから、今、全国一律の最低賃金に対する共感がぐっと広がっているわけです。全国一律、そして一日も早い千五百円の、時給アップ、引き上げていかなければいけないんじゃないですか。

 もう一問、伺います。

 徳島県は、昨年の地方最低賃金の審議会の中で、知事が発言もし、八十四円のアップになりました。これは、中央最低賃金審議会の目安から大きく上回っているわけです。こういう動きが出てまいりました。

 中央最低賃金審議会の目安というものが、目安になっていないんじゃないですか。そして、物価高騰に合わせて、最低賃金審議会、年二回も開いていいわけなんですから。かつて私も予算委員会で言いました。こうした対応をして、やはり現実に合わせた最低賃金の引上げ、それをしないといけないんじゃないですか。いかがですか。

福岡国務大臣 各地域の最低賃金の決定に当たりまして、各地方最低賃金審議会におきまして、県外への労働力の流出を防ぐために、目安より引上げを行うべきという議論があることについては承知をしてございます。

 政府といたしましては、最低賃金の地域間格差を是正していく必要については認識をしておりまして、地方最低賃金審議会に対しては、地域間格差是正の観点も含めて御議論をいただくよう、各都道府県労働局長から諮問をさせていただいています。このため、目安を上回る引上げが行われたとしても問題はないというふうに考えています。

 なお、令和六年度は、最低賃金の最高額に対する最低額の比率は八一・八%と、十年連続で改善をしております。引き続き、地域間格差の改善に向けて取り組んでまいりたいと思います。

 そして、年二回以上最低賃金を引き上げるというような御意見もございましたが、最低賃金法は全ての使用者に適用されるものでございまして、一年に複数回改定を行うことについては、実務面への影響もよく考慮する必要があることから、公労使の御意見をお伺いしながら検討を進めていくべき課題だと考えております。

田村(貴)委員 もう一つは、最低賃金を引き上げる事業所に対する支援であります。これは地方から大きな声がずっと上がっています。政府の責任において、最低賃金を引き上げるための中小企業、中小事業者に対する直接支援が必要だというふうに考えております。

 厚労省の業務改善助成金、この制度は有効であります。労働者で、九万人を超える人たちへの効果があったといいますけれども、最低賃金近傍労働者数というのは六百六十万人います。こうした方々が、もっとやはり最低賃金を上げてほしいと言っているわけです。この方たちの願いをかなえるために、政府の直接支援が今まさに必要だと思います。

 海外では当たり前になって、そして物価高騰に賃金は追い上げている。これに学んで政府はもっと力を入れるべきだと思いますが、最後の質問です。大臣、どうですか。

藤丸委員長 岸本労働基準局長、時間が来ておりますので、簡潔に。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 三月十二日に政労使の意見交換が開催されまして、その際にも、中小企業関係団体の皆様方から、労務費の価格転嫁や生産性向上への支援の更なる強化が必要であるとの御発言をいただいております。その際、総理からは、最低賃金引上げのための効果的な政策の具体化についての御指示を頂戴しております。

 なお、御指摘の企業に対する直接支援でございますが、最低賃金の引上げに伴う人件費増加分を直接企業に補填したとしましても、企業の生産性や稼ぐ力を向上させない限り、企業収益の拡大にはつながらず、長期的な賃上げや事業の継続には結びつかないものと考えております。

田村(貴)委員 終わります。

藤丸委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午前九時四十七分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時五分開議

藤丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福田徹君。

福田(徹)委員 国民民主党、福田徹です。

 福岡資麿大臣の所信表明について質疑させていただきます。

 私は、現役世代の負担を抑えながら世界一の日本の医療を守る、そのために政治の舞台に参りました。救急医としてのキャリアを通して、人の命を守るのは薬やメスだけではない、政治が多くの人の命と健康を守れると確信しております。そして、今この激変する我が国の環境の中で、正しい医療の方向性、これを進めていくためにまず必要なことは、国民、政治、医療業界、皆が同じ正しい医療のビジョン、これを共有していること、とても大切だと思っています。

 これだけ変化している人口構造、経済環境の中で、医療を受ける人も医療を提供する人も、これまでどおりでいい、そうは思っていないと思うんですね。本当はみんな分かっていると思います。これからも大切な医療を受け続けるためには、本当は大切でない医療を安く受け続けることはできないし、大切な医療を提供できない医療機関が今後存続していくこと、これは難しいと思うんですよね。

 目の前にある様々な課題に対して、場当たり的に、いろいろな人の顔色を見ながら、あるべき方向と違う政策をちりばめる、もうこういうのはやめなければいけないと思っております。皆で同じビジョンに向かって、同じ方向に向かって進む、そして、その方向というのは、私は、価値の大きい医療とそうでない医療、これを科学的な根拠に基づいてしっかりと見分けて、価値の大きい医療に集中投資する、この方向だと信じています。

 そして、三月七日の福岡大臣の所信表明、私、すばらしかったと思います。例えば、二〇四〇年を目指した新しい地域医療構想として、病院や診療所という箱をどうするべきか、大臣は考えていらっしゃいます。そして、医師の偏在対策として、その箱の中にいるべき医師がどうあるべきか、それもしっかり考えられています。そして、創薬、医薬品安定供給の部分で、医師が使う薬をどう確保するか、これもしっかり考えていらっしゃる。この大臣のストーリーの中で医療において必要なものをしっかり網羅されていて、全て達成されればすばらしい医療制度がつくられる、そう感じさせていただきました。

 今日、私の質疑では、その大臣の思いを実現させるために必要な議論をさせてください。所信表明の中にあった、推進する、取組を進める、検討を進める、この言葉の具体的な中身を議論させていただいて、実現するための力とならせていただけたらなと思っております。

 まず、二〇四〇年を目指した新しい地域医療構想についてお聞きします。

 令和六年九月六日、第八回新たな地域医療構想等に関する検討会資料には、医療機関の連携、再編、集約化が書かれています。同じく九月三十日、第九回会議資料には、必要に応じて構想区域を拡大と書かれています。つまり、今よりも広い区域で医療機関を集約化させる、私は正しいと思います。

 私は、人口が減り、患者も減り、働き手も減る二〇四〇年に、今ある全ての医療機関が役割を果たすことは難しいと思うんですね。必要な医療機関に資源を集中させる、これは必要だと思います。ただ、国民からは、我が町から病院がなくなる、遠くなる、医療経営者からは、うちの病院がなくなる、やはり反対意見も出ると思います。実現するためには、それを乗り越えるリーダーシップが必要です。

 大臣にお聞きします。

 このビジョンについて、どのように国民、医療経営者に説明し、同意を得ていきますでしょうか。教えてください。

福岡国務大臣 まず、委員におかれては、医療の専門家として、国民の方々の命を守るには政治の機能が大変重要だというふうな御指摘をいただいたこと、肝に銘じてこれからも行政運営に当たっていきたいというふうに考えております。

 二〇四〇年頃を見据えますと、八十五歳以上の高齢者が増加し、人口減少が進む中で、質の高い効率的な医療提供体制を確保できるように、医療機関の役割分担を明確化し、医療の質や医療従事者を確保しながら、医療機関の連携、再編、集約化を推進することが重要だというふうに考えておりまして、新たな地域医療構想の策定等を盛り込んだ関連法案を提出をさせていただいています。

 医療機関の連携、再編、集約化についての必要性については委員もお述べになりましたが、現役世代の減少に伴いまして手術件数の減少が見込まれます中、例えば食道がんであったり脳腫瘍などの一部の手術等において、多くの症例数を集約して提供することで医療の質が確保されることであったり、また、地域全体の医療従事者の効率的な働き方を可能にし、将来にわたって地域での医療提供体制の確保が可能となるなどのメリットがございまして、こういったことを国民の方々や医療機関に丁寧に周知していくことが重要だというふうに考えております。

 新たな地域医療構想の具体的な取組や国民の方々への周知の進め方については、法案の御審議も踏まえつつ、地方自治体や医療関係者等の御意見を伺いながら検討を進めてまいりたいと思います。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 私も、町から病院がなくなるという不安はすごくよく分かります。一方で、今の説明、物すごくいい説明だと思います。是非これが多くの国民に届くように、大きな声で出していきたいと思います。

 次に、医師の偏在対策についてお聞きします。

 都会では開業が増え過ぎて、患者の取り合いになっている。一方で、地方では医師が足りない。偏在対策は間違いなく必要です。現在提出されている医療法等の一部を改正する法律案には、都会での開業を抑制する施策が入っております。例えば、都会の外来医師過多区域での開業に対して、不足している医療を提供するよう要請、勧告、公表するとあります。例えば、予防接種、在宅医療、初期救急医療、これらを要請すると思います。

 この要請の実効性についてお尋ねします。

 今回の法改正で明記される前から、今既に医師の多い地域では同様の要請を行っていると認識しています。問題は、要請に同意される割合はどの程度でしょうか。そして、今回、勧告、公表が加わることで、どの程度同意が得られる割合が増えると予測していらっしゃいますでしょうか。

福岡国務大臣 現行の仕組みにおきましては、地域の外来機能の不足、偏在等に対応するため、国のガイドラインによりまして、少なくとも、外来医師多数区域において、都道府県が新規開業希望者に対して、地域に必要とされる医療機能を担うよう要請すること等を求めています。

 令和五年度においては、外来医師多数区域において要請を行った新規開業者数が二千百十二、合意に至った数が六百四十でございまして、合意が得られた割合は約三割となってございます。こうした仕組みの実効性を確保し、地域における必要な医療提供体制を確保するため、今国会に提出いたしました関連法案において、外来医師偏在指標等が一定の基準を超える外来医師過多区域においては、無床診療所の新規開業希望者に対する事前の届出や要請、勧告、公表等の法定化を盛り込んでいるところでございます。

 要請への合意が増える割合を具体的に想定しているわけではございませんが、法案の御審議を踏まえ、実効性が確保されるよう、外来医師過多区域における要請等の具体的な取扱いについての詳細は、地方自治体や医療関係者の御意見を伺いながら検討していきたいと考えています。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 今、要請に合意されるのは約三割とお話しいただきました。ただ、その中でも、特に大切そうな初期救急医療を担うことへの合意は最も少なかったようです。この施策の効果の検証、そして改善、これをしっかりやっていただけるようお願いしたいと思います。

 今回、医療法改正案では、罰則による抑制だけではなくて、インセンティブによる誘導も入っております。医師不足地域で働く人、医師を増やすため、手当を支給するということです。抑制する施策と誘導する施策を同時に入れる、これは本当に本気度を感じます。

 こちらも、この実効性について確認させてください。医師不足地域で働く医師への手当、これはおおよそ幾らくらいになるのでしょうか。

 そして、もう一点、手当は保険者から支払われるとなっております。本来、保険料というのは病気やけがの治療のリスクに備えて払うものです。そして、それに見合う保険料が計算されているはずです。一方で、医師不足地域の医療を守るための手当というのは、やや目的が違うように感じます。そして、地域に必要な医療というインフラを国が責任を持って守るというのであれば、国費から支払う、そういう選択もあるのではないかと思います。この辺り、いかがお考えでしょうか。

福岡国務大臣 地域の医療提供体制の確保に向けましては、国と都道府県が連携して取り組んできた一方で、保険者においても、保険あってサービスなしとならないように、医師少数地域における適正な給付の維持、確保に一定の役割を果たしてこられたというふうに考えております。

 こうした中、今回提出いたしました法案では、重点的に医師を確保すべき区域において、医師への手当の支給に関する事業を検討してございますが、これは、医師の人件費が本来診療報酬により賄われるものであるところ、特定の地域に対して診療報酬で対応した場合、当該地域における患者負担の過度な増加を招くおそれがあることから、保険者の役割も踏まえ、全ての被保険者に広く協力いただく形で、保険者からの拠出金により対応することとしているものでございます。

 その上で、この事業は、医師への手当の支払いである診療報酬とともに医療給付費の中で一体的に捉えることが適当でありますことから、この事業の実施が医療給付費や保険料の増加の原因とならないようにする形で、診療報酬改定において一体的に確保することとしております。

 医師お一人お一人の手当の具体的な額等については、令和八年度予算編成過程において検討、調整をしていきたいと考えています。

福田(徹)委員 手当は検討中かと思いますが、国が守るんだ、その姿勢はしっかりと見せていただきたい、そう思っております。

 そして、大切なのは、医師の数だけではありません。質も大切です。厚生労働省でも、かかりつけ医機能の推進について議論されています。私も、特に医師が少ない地域では、一人の医師で幅広く診療して、その地域に安心を届けられる、そういう医師がいることが理想的だと思っております。

 例えば、幅広い疾患を診れる医師がいて、その医師を地域の人口に合わせて適切に配置して、地域のお一人お一人がどこかの医師に登録して、そして初期の医療は登録した医師の下で受ける、こういう制度が最も計画的に、効率的に行えるのではないかと思っております。

 一方で、令和六年九月五日、第百十回社会保障審議医療部会で出された資料には、フリーアクセスのもとと記載されています。フリーアクセスというのは、今よくあるように、内科、整形外科、皮膚科など、複数の医療機関をその都度選んで受診することです。かかりつけ医機能を推進するけれどもフリーアクセスを維持する、これはやや矛盾した方向性に感じます。

 大臣にお聞きします。かかりつけ医機能を推進しながらフリーアクセスを維持する理由はいかがでしょうか。

福岡国務大臣 身近な地域において日常的な診療等を行うかかりつけ医機能というのは、今後ますます求められる機能であるというふうに認識しています。国民がかかりつけ医機能を有する医療機関を適切に選択できるようにするとともに、地域においても必要なかかりつけ医機能を確保するために、令和五年の改正医療法におきまして、医療機関からかかりつけ医機能の有無について報告を求め、国民の方々に情報提供し、また、地域の関係者の方々で協議して必要な機能を確保する仕組みを創設したところでございます。

 制度の検討に当たりましては、審議会等において、御指摘の登録制も含めて様々な議論が行われたところでございますが、医療機関は患者さんが選ぶものという国民の意識を踏まえると、登録制というのは抵抗感が強いのではないかといった御意見だったり、また、既存の医師養成制度はかかりつけ医の登録を前提とした教育になっていないといった御指摘をいただいているところでございます。

 御指摘のフリーアクセスにつきましては、患者さんが必要なときに必要な医療を受けられることが重要でございまして、地域においてかかりつけ医機能が適切に発揮されるよう、この制度の来年度からの実施に向けて取り組んでまいりたいと思います。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 自由な選択と教育がポイントだと分かりました。そのとおりだと思います。

 確かに、国民の自由な選択は大切です。ただ、全ての地域に多くの診療科を複数置くこと、これは今後難しいと思うんですよね。幾つかある総合診療医の中から、登録する医師を自由に選べる、これで一定の自由な選択は担保されるのではないかなと思います。

 私からの提案としては、真の意味でのかかりつけ医となれる総合診療医の育成、やはり教育だと思います。国民が安心してかかりつけ医にできる、幅広い疾患を安心して任せられる総合診療医が増えて、地域を守っていただけるといいな、そう思います。

 そして、総合診療専門医というのは、まだ二〇二一年に一期生が誕生したばかりです。是非、後押しをお願いしたいなと思っております。

 次に大事なポイントとして、地域にとって価値のある病院、医師をそろえても、病院が経営できなければ全く意味がありません。今、医療機関の中でも、特に病院の経営状態が悪いことが言われています。一口に医療機関と言っても、病院と診療所、公立、公的、民間、それぞれで置かれている状況が全く違います。特に今日は病院について質問させてください。

 今、地域で大切な役割を果たす病院の経営が悪くて存続の危機を迎えていること、このことを把握されているかと思います。そして、対策を立てるためには、正確に原因を捉えていなければいけないと思います。

 今、経営状態が悪化している原因は何だと分析して、どう対策を立てられていますでしょうか。

福岡国務大臣 医療機関の経営の厳しさについては、私自身もいろいろな方から直接お声を承っておりますし、この国会審議の場を通じても、様々な委員から御指摘をいただいてきているところでございます。経営状況は、物価高騰であったり、賃金上昇、医療需要の急激な変化などに起因しているというふうに認識をしています。

 こうした中におきまして、令和六年度の診療報酬改定であったり、また、昨年末に成立いたしました補正予算におきまして、物価高騰や賃上げに対応する観点から対応を行っておりますとともに、令和七年度の予算案では、低所得者の方に配慮しながら、医療機関の入院時の食費基準の引上げなどを行うこととしておりまして、まずはこうした措置を着実に実施し、必要な支援が医療現場に行き届くように取り組んでいきたいと考えています。

 その上で、今後、これから現場に行き届く補正予算の効果であったり、物価などの動向、経営状況など、足下のこの厳しい状況については把握していますから、情勢の変化もしっかりと把握した上で適切に対応してまいりたいと存じます。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 私はこう考えています。日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会など、病院団体が経営状況を報告しています。ポイントは、病床利用率は上がっているということです。つまり、しっかり仕事をしているということなんですよね、それなのに赤字が増えている。つまり、医薬品費、材料費、水道光熱費、こういういわゆる物価ですね、様々な費用が上がって赤字になっている。今の赤字は、しっかり働いて患者さんに治療をしているのに、物価上昇によって赤字になっている、病院の診療努力ではどうにもならない赤字ができているということです。これは、追加の支援が必要だと言える十分な根拠だと思います。

 そして、その支援というのは、今まさにおっしゃったとおりです。ただ、私の計算では、かなり足りないような見込みなんですね。しっかりと検証して、必要なときは早急な追加の支援、どうかよろしくお願いします。

 最後に、私、人に優しい医療改革というスローガンを掲げて政治活動を行っております。候補者となる前、私、初めて政治家の先生にお会いして、福田さん、何がやりたいの、こう聞かれたとき、この医療改革の話をしたんですね。そのとき言われました。福田さん、それは政治の世界ではタブーですよ、そうおっしゃった先輩がいらっしゃるんですよね。

 医療改革というと、誰が負担するのかとか、誰のサービスが減るのか、誰が痛みを負うのか、こういう議論になりがちです。だからずっと進まなかったと思います。でも、本当は違います。健康に影響のない医療はやめよう、大切な医療を提供できる病院を増やそう、大切な医療をやりたい医者を増やそう、こういうデータに基づいた説明、一人一人の国民を大切に思った丁寧な説明、それができれば、医療を受ける人にも、医療を提供する人にも、医療を支える人にも、皆にうれしい、人に優しい医療改革ができると信じております。

 私たち国民民主党は、対決よりも解決、そして、医療改革というのはまさにそれが必要な、大切な価値観だと思っております。

 福岡大臣、委員の皆様、共に国民のために医療をつくりましょう。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、森ようすけ君。

森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。通告に従いまして質問させていただきますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 初めに、全世代型社会保障制度、こちらについてお伺いいたします。

 福岡大臣の所信表明演説の中で、こういった御発言がございました。本格的な少子高齢化、人口減少が進む中で、負担能力に応じて皆が支え合う全世代型社会保障を構築していくことが重要です。

 これは、まさにそのとおりだと思います。少子高齢化が進み、また働き方が多様になり、旧来の人口構造であったり社会構造を前提とした社会保障制度については抜本的に見直していく必要がある、こうしたふうに考えているところでございます。これは恐らく、本日お集まりの委員の皆様を含めて、共通している思いかなというふうに思います。

 この全世代型社会保障、この表現について、言い表そうとしていることについては分かるんですけれども、具体的にはよく分からないというふうに思われる国民の方々も一定いらっしゃるのかなというふうに思っております。

 そこで、初めに、基本的な質問にはなるんですけれども、この全世代型社会保障、これは具体的にどのようなことを示していますでしょうか。お願いいたします。

朝川政府参考人 お答えいたします。

 政府の社会保障の改革工程に記述がございますが、全世代社会保障は、年齢に関わりなく、全ての国民が、その負担能力に応じて負担し、支え合うことによって、それぞれの人生のステージに応じて、必要な保障がバランスよく提供されることを目指すものでございまして、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直していくものでございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 ここで重要な点は、個人的には、年齢に関わりなく、その負担能力に応じて負担していくということでしたり、給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっている構造を見直していく、こうしたところがすごく大事な考え方かなというふうに思っております。少子高齢化が進む中で、これまでのような世代間の支え合いではなくて、世代の中で負担を分かち合う方向性に向けて見直しをしていく、こうしたことが急務であるというふうに考えております。

 私たち国民民主党は、手取りを増やすことを掲げております。手取りを増やすためには、主に三つ、やることがあるというふうに思います。まず一つ目は、根本になる給料を上げていくこと、額面の給料を上げていくことでございます。そして二つ目が、引かれる所得税、住民税、税金を減らしていくこと。三つ目が、引かれる社会保険料の負担を減らしていくこと。この三つを実現することで手取りが増えていくというふうに考えております。

 そのうち、社会保険料の負担、現役世代にとって、かなり重たいものになっているのではないでしょうか。例えば、協会けんぽ、中小企業に勤務されている方ですと、月二十万円の給料を受け取っている場合は、社会保険料の負担は二万八千円。事業主負担もございますので、合わせると五万五千円の社会保険料負担が発生しております。月二十万円の給料で五万五千円の負担でございます。月三十万円の給料の場合は、事業主の負担も合わせて八万五千円の負担が発生しているわけです。

 社会保障の必要性というのは、若者を含めて全ての世代が認識しているとは思うんですけれども、やはりこれだけ負担が大きいというのは、現役世代にとって、特に若者世代にとって、かなり苦しいというふうによく声が聞こえてくるところでございます。

 そこで、福岡大臣にお伺いいたします。

 今話したような負担感、現役世代にとっての社会保険料負担が余りに重くなっている現状について、御見解をお伺いできますでしょうか。

福岡国務大臣 委員、協会けんぽの保険料率について御紹介いただきました。私の出身の佐賀県が全国で一番保険料率が高い県でございますので、そういった声については、様々な方からお話を承っているところでございます。

 少子高齢化が進む中で、社会保障給付費の水準が増大し、所得に占める社会保険料負担の割合が今、中長期的に増加傾向にあることを踏まえますと、現役世代の負担にも配慮しながら社会保険料負担の抑制に取り組むべきという問題意識については共有させていただいております。

 厚生労働省といたしましては、年齢にかかわらず、適切に支え合うことを目指す全世代型社会保障の理念にのっとりまして、改革工程にのっとって、給付と負担の見直し、医療DX等による効率化や医療提供体制の改革などを行う中で、保険料負担の抑制を図っていきたいと考えています。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 思いを共有していただけると、ありがたい御答弁もいただきました。やはり、保険料負担、現役世代の負担を減らしていくこと、これは是非力を合わせて取り組んでいきたいと思っております。

 現役世代は、社会保険料負担について悲鳴を上げていると思います。結婚をしたくても、なかなか一歩踏み出せないことであったりとか、子供をもう一人産もうとしても、この負担がなかなか大きくて、手取りが増えなくて諦めてしまう、そうした現役世代が多いのではないでしょうか。全世代型社会保障として、負担が現役世代中心になっている構造を見直していく、このように掲げているわけですから、しっかりその方向性で政策を実行して、是非、共に現役世代の保険料負担を軽減していきたいと思っております。

 そうした中で、高額療養費制度の見直しについて拙速な検討が進められて、多くの批判が集まって凍結がされたところでございます。高額療養費制度をめぐっては、自己負担限度額の引上げ、これは、長期の治療を続けられる患者の方々、そして家族の方々に影響が多大なものでございますから、見直し凍結は大変望ましい判断であると考えております。

 一方で、六十九歳以下と七十歳以上において、住民税非課税世帯の中でも負担の上限額が異なることでしたり、七十歳以上に限って外来の特例が設けられている、こうした側面もあります。

 高額療養費制度においても、現役世代の負担を増やさない改革の余地、これは多分にあると思っております。年齢に関わりなく、負担の能力に応じて負担をしていくというような全世代型社会保障の考え方であれば、同じ所得でありながら年齢によって負担が異なるというような方針というのは、間違っているのではないかというふうに感じているところでございます。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、大臣所信では、高額療養費制度について、現役世代の社会保険料負担の軽減を図る必要がある、こうしたことが示されておりましたが、見直しが凍結された中で、どのように現役世代の負担を軽減していくのでしょうか。お伺いいたします。

福岡国務大臣 まず、高額療養費についても、多数回該当みたいに、長く治療されている方については負担を下げる、そういう仕組みがあることですから、例えば、御高齢者というのは加齢に伴いまして様々な疾患にかかる可能性が高くなって受診頻度も高くなる、そういったことをどう考えるかということも、一つの論点としてはあると思っています。

 保険料負担を抑制するための歳出改革等については、高額療養費の見直しに限らず、改革工程に記載された医療であったり介護制度等の改革を実現することを中心に取り組んでまいります。その際、歳出改革として実施する取組につきましては、二〇二八年度までの各年度の予算編成過程において検討、決定していくこととしておりますが、必要な保障が欠けることのないよう、その影響にも十分配慮しながら、丁寧に検討を進めてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 やはり、見直し凍結されていますけれども、全世代型社会保障の考え方であります、年齢ではなく負担能力に応じてやっていく、こうした考え方に基づいて、高額療養費制度についてもしっかりと議論を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

 改革工程の話も出していただきましたけれども、やはり、医療制度改革についてはパッケージで進めていくことが大変重要だと思います。実行しやすいものから細切れでやっていくというよりかは、パッケージとして、痛みを伴いながらも総合的に進めていくことが社会保障の改革においては重要なことだと考えております。

 私たち国民民主党は、昨年九月に、医療制度改革、こうしたものを発表させていただきました。その中では、後期高齢者の医療費の自己負担について、一割負担ではなく原則二割にする、そして現役並み所得がある方は三割負担にすること、年齢ではなく能力に応じた負担というのが我が党では掲げているところでございます。持続可能な社会保障制度の構築、そして現役世代の負担軽減のためには、痛みも伴う、国民に受けることばかりではなくて、受けないこともしっかりやっていく、こうしたことが社会保障の問題、医療の問題においては重要であるというふうに考えているところでございます。

 そこで御質問ですけれども、政府においても、高齢者の窓口負担、こちらについては改革工程の中でも検討項目に上がっていると認識しております。高額療養費制度の見直しが凍結される中で、代替案として、後期高齢者の窓口負担の引上げについて検討を加速して導入すべきというふうに考えますが、御見解はいかがでしょうか。

福岡国務大臣 窓口負担を原則二割とすることについては、所得が低い一方で医療費が高い傾向にある後期高齢者の方々にとって大きな負担増となるとの御指摘であったり、また、必要な受診が抑制されるおそれがあるといった御指摘もあることから、後期高齢者の方々の所得状況や受診状況等を丁寧に確認することが必要であるというふうに考えております。

 後期高齢者の方々の自己負担割合に関しましては、一昨年末に閣議決定いたしました改革工程において、二〇二八年度までに実施する検討項目といたしまして、三割負担の対象となる現役並み所得の判断基準の見直しが掲げられておりまして、まずは、こうした課題を中心に、患者さんに対する必要な保障が欠けることがないよう、見直しにより生ずる影響も考慮しながら検討を進めてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 もうちょっと深く質問させていただきたいんですけれども、丁寧な検討が必要というのはもちろん重々承知しているんですけれども、この改革工程の中で、二〇二八年度までに検討が必要という項目の中に、この負担の割合というのは入っております。高額療養費制度の見直しについても、同じように二〇二八年度の検討項目に上がっていたと思います。

 やはり、同じスケジュールのところに入っているわけですから、この負担の割合の見直しについても、しっかりスケジュールをつくってやっていくべきだというふうに考えておりますが、今後のスケジュールについて、もうちょっと詳しく教えていただくことは可能でしょうか。

鹿沼政府参考人 お答えいたします。

 改革工程につきましては、二〇二八年度までに検討となっておりますが、二〇二八年度に検討すればいいという問題ではなくて、できるものについては速やかに検討していくということで議論をさせていただいているところでございます。

 一方で、先生おっしゃっている後期高齢者の負担割合につきましては、改革工程に書いてあるものにつきましては、現役並み所得の基準のところの話でございますが、一方で、今、いろいろな公党間からの御意見の中で、二割負担ですとか三割負担についていろいろな御議論をいただいているところだと思っております。

 そういったことも踏まえて、今後、いろいろな議論をしていく必要があるとは思っておりますが、私どもとしましては、改革工程に書いてあるのは、まさに現役並みのところの基準の議論ということなので、ちょっと議論の内容が違うのかとは思っておりますが、いずれにしましても、よく公党間の議論も踏まえながら対応していきたい、このように思っております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 二〇二八年度までということでございますけれども、しっかり見通しを立ててやっていく必要がある。そして、今回、高額療養費の見直しが凍結されて、現役世代の負担料の軽減に若干歯止めがかかる方向性に動いていますので、それを穴埋めするような形で何をつくっていくのかということについても、しっかり議論していきたいなというふうに思っております。

 そして、この負担割合のところに関して言うと、負担能力の測り方についても見直しが必要だというふうに考えております。

 現状では、年金所得、そして就労所得のみを判断基準として用いているわけでございますが、高齢者の方々の中には、金融所得をいっぱい稼いでいる方であったり、金融資産を多く持たれている方、こうした方もいっぱいいらっしゃるというふうに思っております。こうした方々は、今の基準でいうと所得が低いということになりますけれども、負担能力があるかないかと言われれば、あるというふうに捉えてもいいという考え方は十分できると思います。

 こうした様々な、所得、負担能力というような単語でございますけれども、もうちょっと幅広く、能力の測り方ということを検討してみてもいいと思っております。例えば、従来の年金所得や就労所得に加えて、金融所得、そして金融資産の保有状況を反映させることで、より正確に負担能力を把握できることになって、より全世代型社会保障の考え方に沿うような仕組みにもでき得るのかなというふうに考えております。

 例えば、マイナンバーカードも活用して、預貯金の金額でしたり金融所得についてしっかりと把握することができるわけですから、こうしたことについて思い切って踏み込んで、大臣としても、負担割合の検討の項目の一つとして、金融所得、金融資産について考慮する方向性について進めていただきたいと思いますけれども、御見解をお伺いいたします。

福岡国務大臣 御指摘の金融所得であったり金融資産の勘案につきましては、政府といたしましても、一昨年末の改革工程において、能力に応じた全世代の支え合いの観点から、二〇二八年度までに実施について検討する項目に位置づけておるところでございますが、現時点においては、全ての預貯金口座へのマイナンバー付番がなされていないことであったり、また、負債の把握も困難であること、また、市町村の事務負担の整理が必要であることなど、どのように金融所得や金融資産を把握するかという手法がまだ十分に整理されていないというふうに認識をしております。

 マイナンバー制度等によって被保険者の金融所得や金融資産を把握することができるかについて、その実務上の課題や実務負担等も考慮しながら、引き続き整理を進めていきたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 おっしゃるとおり、なかなか把握する手法が十分ではないというのは重々理解はできるんですけれども、やはり、完璧を求めると、いつまでたっても導入ができないというのがもったいないというか、なかなかアクセルを踏み込んでいけないポイントだと思いますので、ここは思い切って導入をしていく、導入に向けて検討を加速していく、こうした政治判断を是非ともお願いできればなというふうに思います。

 次に、年金制度の改革についてお伺いいたします。

 大臣所信の中では、関係法案を今国会に提出すべく調整を進めるというふうにございましたけれども、法案提出の目安でもございました本日の十四日において提出がなされていないところでございます。夏の参議院選挙に影響があるから慎重に検討した方がいい、こうしたような党内での意見が出ていると報道もなされているところでございますが、今回、与野党で合意した上で、重要広範議案として年金法の改正案を取り扱うことにしたわけでございますから、まだ法案が提出されていない状況というのはいかがなものかなというふうに思っているところでございます。

 今の年金制度の大きな問題の一つは、基礎年金の最低保障機能をどのように担保していくのかということだと思います。生活を支えるに足る年金額をしっかり保障していくことこそが、全ての世代の方々が安心して、将来を不安に思うことなく暮らすことができる、そのために必要な制度の見直しだと思います。

 これから特に、就職氷河期世代が年金を受け取る年齢に差しかかってくるわけですから、正規雇用でなかなか働けなくて、厚生年金の加入期間が短い方々が、こうした就職氷河期世代の方々が基礎年金でどのように生活をしていくのか、こうしたことについてしっかり見ていく必要があるというふうに思っております。

 基礎年金を底上げして、全ての方々が安心できる年金制度を構築していくという方向性については、与野党で一致できるものであると思います。どのような方法論で実行していくのかという点について、法案を是非提出していただいて、開かれた国会の場で、熟議を通じて実現していきたいというふうに思っております。

 痛みを伴う内容だからといって法案の提出を見送るのではなくて、痛みを伴う内容だからこそ、開かれた国会の場で、与野党でしっかり議論を進めていきたいというふうに考えておりますが、大臣の見解をお伺いいたします。

福岡国務大臣 年金法案につきましては、現在、今国会への提出に向けて、検討及び各種調整を進めさせていただいておりますが、様々な御意見があり、調整に時間を要しておるところでございます。

 今回の法案につきましては、様々、今、論点、御指摘いただきましたが、例えば、社会保険の適用に関して就業調整が行われているのではないかといった課題が指摘される中で、被用者保険の適用拡大を行い、より手厚い年金が受けられる方を増やすとともに、より希望に応じて働きやすい制度とするなど、大変重要な法案だというふうに考えておりまして、昨日、総理からも、法案の今国会への提出に向け、党に対して党内調整を急ぐように指示があったものと承知をしてございます。

 厚生労働省といたしましても、できる限り早期に法案を提出できるように、各方面に幅広く御理解をいただけるよう、最大限努力と説明を重ねてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 是非、検討を加速して、一緒にこの国会の場で議論をさせていただければと思いますので、大臣のお力、よろしくお願いいたします。

 最後に、年収の壁についてお伺いいたします。

 今回、所信の中で、キャリアアップ助成金の拡充を検討している、こうしたことの御発言がございましたが、具体的に、このキャリアアップ助成金の拡充の内容についてお伺いしたいと思います。

 また、現状、百六万円の壁への対応としてこの助成金の制度がございますけれども、その制度の利用状況もいかがでしょうか。お願いいたします。

田中政府参考人 お答えいたします。

 現在、いわゆる年収百六万円の壁への当面の対応といたしまして、年収の壁・支援強化パッケージによりまして、新たに被用者保険を適用するとともに、労働時間の延長とか賃上げを通じて労働者の収入を増加させる取組を行う事業主をキャリアアップ助成金により支援をしております。

 その上で、御指摘の百三十万円の壁への対応でございますが、現在実施しておりますキャリアアップ助成金による措置を拡充をするということとしておりまして、これを令和七年度中に実施すべく、支給要件の見直しや助成額の引上げ等、具体的な検討を進めております。

 また、現行の百六万円の壁への対応として実施をしておりますキャリアアップ助成金の活用状況でございますが、本年一月末時点で、事業主から計画届の受理件数は二万一千八百十三件、その対象となる取組予定の労働者数、令和五年度から令和七年度の合計になりますけれども、三十二万七千九百九十七人となっております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 年収の壁への対応として、助成金の仕組み、これは大変いい取組だと思うんですけれども、導入の件数、人数として三十三万人程度ですかね、そうした人数も挙げていただきましたが、やはり実施率がまだまだ低いと思っております。このキャリアアップ助成金、いい取組ですけれども、時限的な対応ですし、なかなか場当たり的な仕組みだと思いますので、年金の仕組みでしたり社会保障の仕組みをもうちょっとそこから抜本的に見直して、年収の壁を解消していくということが重要ではないかというふうに考えております。

 特に、今回、年金法の見直しで、百六万の壁をなくして二十時間にしていく、こうしたことが打ち出されていますけれども、この二十時間を十時間まで下げて、雇用保険と同じ基準まで下げて、勤労者皆保険のように、働けば絶対に社会保障、厚生年金に入るような仕組みを導入していくことで、基礎年金の問題も解消し得る方向につながると思っておりますので、そうした方向について、是非とも、今後とも議論させていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

藤丸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十五分散会


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