衆議院

メインへスキップ



第5号 令和7年3月26日(水曜日)

会議録本文へ
令和七年三月二十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      安藤たかお君    草間  剛君

      後藤 茂之君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      根本  拓君    長谷川淳二君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      福田かおる君    古川 直季君

      森下 千里君    吉田 真次君

      池田 真紀君    大塚小百合君

      酒井なつみ君    杉村 慎治君

      宗野  創君    堤 かなめ君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      長谷川嘉一君    宮川  伸君

      山井 和則君    柚木 道義君

      阿部 圭史君    池下  卓君

      猪口 幸子君    福田  徹君

      森ようすけ君    沼崎 満子君

      浜地 雅一君    八幡  愛君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   厚生労働副大臣      仁木 博文君

   防衛副大臣        本田 太郎君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 山田 幸夫君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   辻  貴博君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡本 利久君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房政策立案総括審議官)       廣瀬 律子君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十六日

 辞任         補欠選任

  草間  剛君     古川 直季君

  大西 健介君     杉村 慎治君

同日

 辞任         補欠選任

  古川 直季君     草間  剛君

  杉村 慎治君     大西 健介君

    ―――――――――――――

三月二十五日

 安全・安心の医療・介護の実現のため人員増と処遇改善を求めることに関する請願(櫛渕万里君紹介)(第五二三号)

 同(篠田奈保子君紹介)(第五二四号)

 同(森田俊和君紹介)(第五二五号)

 同(阿部知子君紹介)(第五四三号)

 同(大河原まさこ君紹介)(第五四四号)

 同(岡本あき子君紹介)(第五四五号)

 同(下条みつ君紹介)(第五四六号)

 同(堤かなめ君紹介)(第五五九号)

 同(川内博史君紹介)(第六三三号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第六七四号)

 最低賃金全国一律制度の法改正を求めることに関する請願(西川厚志君紹介)(第五二六号)

 同(森田俊和君紹介)(第五二七号)

 同(山田勝彦君紹介)(第五二八号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第五四七号)

 同(松下玲子君紹介)(第五四八号)

 同(西岡秀子君紹介)(第五六〇号)

 同(川内博史君紹介)(第六一四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第六七五号)

 人権を保障する福祉職員の賃金と職員配置基準を引き上げることに関する請願(篠田奈保子君紹介)(第五二九号)

 同(たがや亮君紹介)(第五三〇号)

 同(西川厚志君紹介)(第五三一号)

 同(山田勝彦君紹介)(第五三二号)

 同(阿部知子君紹介)(第五四九号)

 同(大石あきこ君紹介)(第五五〇号)

 同(下条みつ君紹介)(第五五一号)

 同(奥野総一郎君紹介)(第五六一号)

 同(堤かなめ君紹介)(第五六二号)

 同(柚木道義君紹介)(第五六三号)

 同(青柳陽一郎君紹介)(第六一五号)

 同(牧義夫君紹介)(第六一六号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六三四号)

 同(篠原豪君紹介)(第六三五号)

 同(寺田学君紹介)(第六三六号)

 同(松木けんこう君紹介)(第六三七号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第六七六号)

 同(白石洋一君紹介)(第六七七号)

 パーキンソン病治療研究支援及び医療費助成制度の改善に関する請願(枝野幸男君紹介)(第五五八号)

 国民を腎疾患から守る総合対策の早期確立に関する請願(青山大人君紹介)(第五六八号)

 同(赤羽一嘉君紹介)(第五六九号)

 同(井坂信彦君紹介)(第五七〇号)

 同(石井智恵君紹介)(第五七一号)

 同(上田英俊君紹介)(第五七二号)

 同(鬼木誠君紹介)(第五七三号)

 同(小渕優子君紹介)(第五七四号)

 同(鎌田さゆり君紹介)(第五七五号)

 同(吉良州司君紹介)(第五七六号)

 同(黒岩宇洋君紹介)(第五七七号)

 同(斉木武志君紹介)(第五七八号)

 同(佐藤公治君紹介)(第五七九号)

 同(志位和夫君紹介)(第五八〇号)

 同(高市早苗君紹介)(第五八一号)

 同(武村展英君紹介)(第五八二号)

 同(田嶋要君紹介)(第五八三号)

 同(辻英之君紹介)(第五八四号)

 同(寺田稔君紹介)(第五八五号)

 同(西岡秀子君紹介)(第五八六号)

 同(根本拓君紹介)(第五八七号)

 同(野田聖子君紹介)(第五八八号)

 同(野間健君紹介)(第五八九号)

 同(長谷川嘉一君紹介)(第五九〇号)

 同(福田昭夫君紹介)(第五九一号)

 同(福田達夫君紹介)(第五九二号)

 同(藤岡たかお君紹介)(第五九三号)

 同(古川元久君紹介)(第五九四号)

 同(古川禎久君紹介)(第五九五号)

 同(松田功君紹介)(第五九六号)

 同(馬淵澄夫君紹介)(第五九七号)

 同(柳沢剛君紹介)(第五九八号)

 同(山登志浩君紹介)(第五九九号)

 同(山岡達丸君紹介)(第六〇〇号)

 同(山田賢司君紹介)(第六〇一号)

 同(米山隆一君紹介)(第六〇二号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第六三八号)

 同(稲田朋美君紹介)(第六三九号)

 同(稲富修二君紹介)(第六四〇号)

 同(梅谷守君紹介)(第六四一号)

 同(岡田克也君紹介)(第六四二号)

 同(岡本あき子君紹介)(第六四三号)

 同(亀井亜紀子君紹介)(第六四四号)

 同(川内博史君紹介)(第六四五号)

 同(源馬謙太郎君紹介)(第六四六号)

 同(神津たけし君紹介)(第六四七号)

 同(志位和夫君紹介)(第六四八号)

 同(重徳和彦君紹介)(第六四九号)

 同(田村智子君紹介)(第六五〇号)

 同(寺田学君紹介)(第六五一号)

 同(長友慎治君紹介)(第六五二号)

 同(波多野翼君紹介)(第六五三号)

 同(平口洋君紹介)(第六五四号)

 同(福島伸享君紹介)(第六五五号)

 同(船田元君紹介)(第六五六号)

 同(宮下一郎君紹介)(第六五七号)

 同(本村伸子君紹介)(第六五八号)

 同(山本大地君紹介)(第六五九号)

 同(井野俊郎君紹介)(第六七八号)

 同(大西健介君紹介)(第六七九号)

 同(小熊慎司君紹介)(第六八〇号)

 同(岸田文雄君紹介)(第六八一号)

 同(木原稔君紹介)(第六八二号)

 同(後藤茂之君紹介)(第六八三号)

 同(小林茂樹君紹介)(第六八四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第六八五号)

 同(白石洋一君紹介)(第六八六号)

 同(仙田晃宏君紹介)(第六八七号)

 同(高橋永君紹介)(第六八八号)

 同(中曽根康隆君紹介)(第六八九号)

 同(葉梨康弘君紹介)(第六九〇号)

 同(松本剛明君紹介)(第六九一号)

 保険でよりよい歯科医療を求めることに関する請願(藤原規眞君紹介)(第六〇三号)

 同(牧義夫君紹介)(第六〇四号)

 同(松田功君紹介)(第六〇五号)

 同(小山千帆君紹介)(第六六〇号)

 同(重徳和彦君紹介)(第六六一号)

 同(西川厚志君紹介)(第六六二号)

 同(古川元久君紹介)(第六六三号)

 同(おおたけりえ君紹介)(第六九二号)

 同(大西健介君紹介)(第六九三号)

 従来の健康保険証を残すことに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第六〇六号)

 同(志位和夫君紹介)(第六〇七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第六〇八号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第六〇九号)

 同(田村貴昭君紹介)(第六一〇号)

 同(田村智子君紹介)(第六一一号)

 同(堀川あきこ君紹介)(第六一二号)

 同(本村伸子君紹介)(第六一三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

藤丸委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官山田幸夫君、財務省理財局次長辻貴博君、厚生労働省大臣官房審議官岡本利久君、防衛省大臣官房政策立案総括審議官廣瀬律子君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。福田かおる君。

福田(か)委員 自由民主党の福田かおるです。

 戦後八十年に当たり、国内外で犠牲になられた全ての方々に哀悼の意を表します。苦難と犠牲の上に今の日本があること、平和な日本を引き継いでいくには甚大な努力が必要であること、改めて感じております。

 さきの大戦は、私も、そして私の両親も生まれる前のことになっております。他界した私の祖父母の世代もまだ若者だった頃の、遠い昔の話となりつつあります。語り手の皆様も少なくなる中、八十年といった節目も捉まえ、過去の苦難に思いをはせ、記憶にとどめ続ける習慣をつくっていくことが大切なのだと感じております。

 今回の法案、これはまさに、さきの大戦において命を落とされた方々のことを思い、八十年という特別な機会を捉まえ、弔慰の意を表すために特別弔慰金を支給する、こういった制度だとも理解しております。

 厚生労働省にお伺いいたします。

 法案の目的、概要について、改めて御説明いただけますでしょうか。また、今回支給の対象となる方々は、どの程度の人数を見込んでおられるのでしょうか。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金は、今日の我が国の平和と繁栄の礎となった戦没者等の尊い犠牲に思いを致し、昭和四十年以降、戦後何十年といった特別な機会を捉え、国として弔慰の意を表するため、記名国債の交付により支給をしているものでございます。

 戦後八十年に当たる令和七年には、現在償還中の特別弔慰金が最終償還を迎えるということから、国として改めて弔慰の意を表するため、特別弔慰金の支給を継続するための法改正を行うものでございます。

 今回の法案では、五年償還の額面二十七万五千円の記名国債を五年ごとに二回お渡しするということにしておりまして、令和七年から請求受付が開始される特別弔慰金の支給対象者は、全体で約五十七万人と見込んでいるところでございます。

福田(か)委員 ありがとうございます。

 私の祖父は軍医、祖母は教員として、それぞれ大陸に渡り、そして帰還した引揚者でした。祖父は私が生まれる前に亡くなり、祖母は約三年前、鬼籍に入りました。満百歳でした。今回の法案により弔慰金の給付を受ける方々に思いをはせると、まさしく私の祖母とそう遠くない年代の方々なのだろうと理解しております。

 遺族の方々の高齢化などを踏まえ、前回、平成二十七年の法案審議の際には、弔慰金の支給に当たり、手続の簡素化に努めるという附帯決議がなされていると承知しております。申請から受取までに時間を要しているという指摘もあると存じます。半年といったケースもあれば、一年を超えてしまうケースもある。

 七十年の際には、申請を行っていなかった、支給が認められていなかった、こうした方々からの申請については、戦没者の方との関係性の特定など、さきの大戦当時の情報に遡って確認を行わなければならないため、時間を要することは容易に想像ができます。一方、申請を行ったことがあり、支給を認められた方々についてはいかがでしょうか。

 前回の法案審議の際にも議論になった所要時間の短縮、手続の簡素化、これらについて、今回の弔慰金の給付に当たってはどのように対応する予定でしょうか。厚生労働省にお伺いいたします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 特別弔慰金の請求におきましては、請求者の支給順位を確認するために、請求書に加えまして、現況の申立て書というものを提出をしていただいているところでございます。令和二年四月から請求開始となりました第十一回特別弔慰金からは、前回受給された方が請求を行う場合には、その際に提出をした現況申立て書を市区町村が保管しているときはその写しを利用できるということにいたしまして、その旨を市区町村に周知を行ってきたところでございます。

 御高齢となられました御遺族の御負担を考慮いたしますと、請求手続の簡素化を行うことは重要であることから、今回の法案が成立をさせていただければ、令和七年四月に請求が始まる予定の特別弔慰金につきましても、市区町村に対して同様の周知を行うこととしております。

 また、更に五年後の令和十二年四月にも二回目の特別弔慰金の請求をしていただくことになりますが、それに備えて、市区町村において現況申立て書などの関係書類を保管しておくことについて、呼びかけを行ってまいりたいというふうに考えております。

福田(か)委員 ありがとうございます。

 特に、前回も申請し支給が認められている方々については、所要時間の短縮、手続の簡素化が行いやすいと思っております。お話しいただきました現況申立て書や戸籍など、同じような書類については流用することができるかと思います。現場で事務手続に当たっておられる市町村、そして都道府県の職員の方々にもしっかりと内容を周知していただければと思います。

 そして、残念ながら、前回お受け取りになった遺族の方が御高齢で亡くなられてしまったというケースもあるかと承知しています。こうしたケースについては、ほかの受給資格を有すると思われる方が御存命の場合、どのようにそのことを知ることができるのでしょうか。また、受給資格者であるという新規の申請がなされた場合は、遺族であるかについてどのように審査がなされるのでしょうか。お伺いいたします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 戦没者等の御遺族が特別弔慰金を受給していただけるよう、特別弔慰金の制度周知の取組をしっかり行っていくということが重要であると考えております。

 具体的には、政府広報を活用した新聞やラジオ等による広報、都道府県や市区町村の請求相談窓口などにおけるポスターやリーフレットによる広報を実施するほか、都道府県や市区町村の広報誌への掲載の依頼、日本遺族会に対し制度の周知依頼などを行うこととしております。こうした取組によりまして、前回受給者がお亡くなりになった場合におきましても、受給資格を有するほかの御遺族の方が特別弔慰金を受給していただけるよう、制度の周知を適切に図ってまいりたいというふうに考えております。

 また、前回受給者ではない新たな御遺族から申請がなされた場合におきましては、戦没者の方と請求者との親族関係の確認を行う必要がございますが、こうした確認につきましては、戦没者の死亡当時における戦没者と請求者との続き柄を証する戸籍を提出をいただき、それを確認することによって行っているところでございます。

福田(か)委員 ありがとうございます。

 戦没者の遺族の方々について網羅的に現況を把握するということは、膨大な行政コストを要するものでありますので、一部の方を除き、個人を特定した通知ではなく、政府広報などといったマス向けの情報発信になってしまうことはやむを得ない部分もあるかとは思いますが、しっかりと広報を行っていただくようお願い申し上げます。

 また、受給資格者であるかどうかの審査に当たっては、大戦時まで遡り、戸籍を確認し、生計関係も確認していくということだと理解いたしました。明治五年、一八七二年から施行された戸籍制度が戦前も堅実に運用され、現在も八十年前の家族関係が確認できるというのは、なかなか驚くべきことであります。紙で保管された戸籍の確認をしていくということかと思いますので、時間がかかるものとは理解しますが、受給資格者の皆さん、高齢ですので、可能な限り迅速な対応をお願いいたします。

 さて、さきに祖母の話をしました。今となってはもうかないませんが、もっといろいろ話を聞いておけばよかったと思っております。

 私たちの世代は、主に文字情報で戦争体験を知り、教えられてまいりました。悲惨な、筆舌に尽くし難い当時の状況を文字情報で私自身も教えられてまいりました。文字にはよい点も悪い点もございます。安価に安定的に長期間保存することができる一方で、年月を経て自分の知っている生活とのギャップが大きくなってくると、どこか客観的で、かけ離れた世界の話のように戦争体験が感じられてしまう側面もあるかと思います。

 この点、直接お話を伺うことは大変貴重な機会となります。苦しく悲惨な戦争体験だけではなく、その時代の生活、楽しかったこと、大変だったこと、そうした日常生活と、お話をしてくださる方のお人柄、戦争体験が混じり合って初めて、臨場感を持って戦争のことを知ることができる。私も、お話を伺いながら、そんな経験をこれまでしてまいりました。戦後八十年ということで、この先の十年は、私たちにとって、そうしたお話をお伺いし、記録として残す、ほぼ最後のチャンスとなるかもしれません。

 厚生労働省は、今、平和の語り部事業という、戦時中や戦後の記憶を語り継いでいくという大切な取組をされていると承知しております。戦没者の遺族の方々など、語り部の方も御高齢になり、人数も減ってきてしまっていると聞いておりますが、今回の弔慰金の制度などと連携し、弔慰金申請や支給の際には、平和の語り部事業のこともお伝えいただき、これまで自らの戦争体験をお話しになってこなかったような方々にもお話しいただく機会をつくっていただければと思っております。

 厚生労働省に御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 戦後八十年を迎えて、戦争を体験された方々の高齢化が進んでいる中で、やはり、より多くの方からさきの大戦についての様々な体験をお話ししていただく機会、これを設けることは、今ほど委員からお話がありましたが、大変意義深い取組であるというふうに認識をしております。

 このため、平和の語り部事業につきましては、様々な機会を通してより多くの方々に知っていただくということが重要でありまして、事業の周知広報に積極的に取り組んでいくところでございます。

 委員御指摘の申請や国債交付のタイミング、これは御遺族に直接、事業を周知する貴重な機会である一方で、各自治体の事務を考慮いたしますと、例えば、特別弔慰金の請求者が国債を受け取る窓口にそうしたリーフレットを設置をするということを自治体にお願いをしたりということで、どのような取組ができるかということを検討してまいりたいと思っております。

福田(か)委員 ありがとうございます。是非御検討いただき、実施していただければと思います。

 また、今は、文字情報と変わらないくらい、安価に映像情報も保存できる時代となっております。先日、三月十日、八十年前に東京大空襲があった日、私の地元の小金井市で、こがねいデジタル平和資料館の完成発表会もございました。市民の皆さんから提供を受けた当時の様々な資料や証言を引き継いでいこうと、映像も含め、様々な形での展示が行われ始めております。

 平和の語り部事業などの中でも、体験を広く映像情報として保存し、また教育の機会などにも活用していくということも御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、戦争を体験された方の高齢化が進む中で、その記憶を確実に次の世代に受け継ぐということが喫緊の課題であるというふうに考えております。

 このために、戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝えていくことを目的として、学校などでの語り部活動に対して補助を行う平和の語り部事業を令和六年度より実施しているところでございます。

 令和七年度の予算案におきましては、令和六年度よりも予算を大幅に増額をいたしまして、また、御指摘のございました証言映像の作成に係る経費というものも計上しております。

 戦争の悲惨さ、平和の尊さ、こうしたものを伝える声を後世に残せるよう、語り部活動の取組を推進してまいりたいというふうに考えております。

福田(か)委員 ありがとうございます。

 先ほど来お話しいただきました平和の語り部事業の中では、慰霊碑の見学や清掃などを行いながら、さきの大戦を考えるといった取組も行われていると遺族会の皆様からも伺っております。

 慰霊碑については、年月がたつ中で、建立者が不明になったり、倒壊のおそれが出たりしているものも増えていると聞いておりますが、こうした状況にはどのように対応していくのか、厚生労働省にお伺いいたします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 民間団体等が建立をいたしました戦没者慰霊碑については建立者の方が自ら維持管理を行っていただくということが基本でございますが、平成二十八年度から、維持管理状況が不良である民間建立慰霊碑につきまして、地方公共団体が移設等の事業を行う場合に、その費用の二分の一を補助する事業を実施しているところでございます。

 その上で、昨今の状況も踏まえまして、令和七年度政府予算案におきましては、この事業の補助上限額を五十万円から百万円に引き上げて計上しているというところでございます。

 また、維持管理状況が不良である民間建立慰霊碑を把握するために、平成三十年度に都道府県を通じた調査を実施いたしましたが、今般、改めて管理状況を調査することにしております。

 こうした調査の結果や関係者の御意見も伺いながら、引き続き必要な取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

福田(か)委員 ありがとうございます。

 インターネット上に、弔慰金を受け取られた方がお父さんに会ってみたかったと書いておられるのを拝見しましたが、苦難と犠牲の上に今の日本があること、平和な日本を引き継いでいくには甚大な努力が必要であること、改めて感じております。

 是非、今回の法案とそのほかの様々な催しや取組を連携して運用し、未来に向けた無形の資産を構築する機会とすることをお願い申し上げ、質疑とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

藤丸委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 立憲民主党の岡本でございます。

 本日は戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の改正案の審議ということでありますので、まず、私からも冒頭、本当にさきの大戦で大変な思いをされた皆さん方がいらっしゃいました。もちろん、戦死をされた方、傷を負われた方、大変な思いだったと思いますし、その御家族や、そしてその方に関わる多くの皆さん方もつらい思いをされたということで、大変な苦難があったということを改めてこの場で思いをはせながら、そしてそういった皆様方に報いるという意味でも、また戦争を繰り返してはいけないという思いを強く持つものであります。そういった思いを込めながら、私も哀悼の意を表したいと思います。

 その上で、今日は法案の質疑でありますので、この弔慰金制度、しっかり私もこれからも行っていかなきゃいけない制度だと思います。そして、この制度の根幹でもあります受給権のある方、支給を受けられる方、こういった方がどういった方で、そしてまた、そういった方がどんな大変な思いをされてきたかということがやはりここで明らかになることも、納税者の理解を得るという意味では大変重要だと思います。

 そういう意味で、納税者の理解を得ていくという意味において、今の現状、支給を受けられている方は平均年齢は八十代後半だ、こういうふうに伺っています。本当に御高齢の方が多くて、私は、国債という形がいいのかどうかも含めて本来は検討するべきだと思っていますけれども、それはちょっと後段の話として。

 まず、この支給を受けている方の中で、一方で、どういった方が若い方でいらっしゃるのかということもちょっと確認をしたいと思います。相続をした者を除き、最も若い受給者は今お幾つの方でしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 令和二年四月一日施行の第十一回の特別弔慰金の受給者の中で、本来の権利者の受給権を相続した方を除きますと、最も若い受給者の方というのは平成五年生まれの三十一歳ということでございます。

岡本(充)委員 その方が受給権を得てみえるというのは、現行法にのっとって受給権を得られているというふうに理解はしますけれども、三十一歳ということだとすると、同年代の方も同様でありましょうけれども、現実に戦争を経験された、若しくは戦後直後の混乱の中で御苦労を重ねられた年代とはちょっと違うという印象も持つわけであります。

 ちなみに、三十代、四十代の方というのは、じゃ、どのくらいいらっしゃるんでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 三十歳代の受給者の方は、先ほど御答弁を差し上げましたこの方一名ということでございます。それから、四十歳代の受給者というのは六名いらっしゃるということでございます。

 なお、こういった特別弔慰金の支給対象となる御遺族につきましては、戦没者等の生存時に出生した方に限られるということでございますが、例えば結核など、戦争中にかかった病因が原因で近年になってから亡くなった場合、比較的年齢が若い御遺族が受給者となることもあるというふうなことで承知をしているところでございます。

岡本(充)委員 まさにそういう意味で、この問い二の話に移るんですけれども、弔慰を示すべき方はどういう方なのか。これからも戦没者としてもちろんお亡くなりになられる方が出てくるとは思いますが、どういった場合にこの令和の時代で戦没者と認定をされるのかということは、一定程度明らかにしておく必要があるのかなと思っています。

 今日は総務省にもお越しをいただいていまして、恩給との比較もしてみたいと思って、今日はお越しをいただいています。

 お手元の資料で三ページ目以降が総務省作成資料で、今回の法律では三親等までということですけれども、恩給は、これを見ると、祖父母若しくは子というところに公務扶助料は限られています。これは亡くなられたときの支給されるお金でありまして、四ページ目にありますように、遺族給付の中の公務扶助料というところはそこに限られているということです。

 また、五ページ目を見ていただくと、この法律とちょっと違うところは、受給権者の裁定は、旧軍人軍属に関しては、恩給の場合、総務大臣が裁定をします。一方で、今回のこの法律は、都道府県知事が裁定をする、事務を請け負うということになっていますけれども、したがって、二つ目のポイントは、恩給との差と同時に、各都道府県で裁定に差がないか。

 昔、私、ここの委員会で、そちらに座っているときに責められたことがありまして。年金の運用三号というのがありまして、もう知っている方も少ないかもしれませんけれども、三号年金の受給権のある方が裁定に行ったとき、年金事務所ごとにばらつきがあったわけですよ。それで、例えば、本来は御主人と結婚していて、そして専業主婦をやっていて裁定に来られるというのが通例なわけですけれども、途中で離婚された場合は、年金事務所はそれは把握しない、そして実際、裁定に行って初めて、あれっ、あなた、三号の期間、もうないですよね、離婚されてから年金に入っていませんよねと言われたときに、どう対応するかが事務所ごとに違ったわけですね。

 いわゆる事務所ごとの裁定にばらつきがあった、こういったことが民主党政権下で明らかになったということがありまして、正直申し上げて、このときも本当に対応に苦慮したわけでありますが、もう既に裁定をされている、それぞれの年金事務所で裁定がなされてばらばらだった、その責任は、当時、厚労大臣なり政府にあるんだといって責められたわけでありますけれども、正直、そのときの話を今することもないですけれども、そういう運用がされていたのかと知ったわけであります。

 だから、大臣にもお話をしています。各都道府県でどういう運用になっているのか。四十七都道府県でばらばらだといけないんじゃないかという思いも持っています。

 そこで、ケース一、ケース二の場合をつくりました。

 まず、総務省にお尋ねしたいと思います。

 軍人在職七年目として、ケース一、ケース二とも同じです。広島にて任務中、原爆に被爆をし、そのときは軽傷であって、やけど程度であった、恩給の一時金を受け取っていた。その後、普通に暮らしていたが、令和になり、百歳で胃がんを発症し、手術をすれば摘出可能な早期胃がんであったが、年齢が高齢であり、手術ができずに胃がんが進行し死亡した、こういうケースの場合は公務扶助料の対象になるでしょうか。

 ケース二、同じように七年目の軍人の方が戦地で負傷し、両足が膝上で切断、そのときに増加恩給を受給することとなり受給していたが、平成になり、糖尿病が発症して運動療法ができないために糖尿病のコントロールが悪く、透析に移行し、令和に入り、急性心筋梗塞で死亡した。

 このケース一、ケース二は公務扶助料の対象になるのか、まず総務省に聞きたいと思います。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、恩給の公務扶助料の対象となるかどうかにつきましては、個別の請求内容に基づき個別に判断することとなりますけれども、一般論として申し上げますれば、恩給の公務扶助料の対象となるためには、その死亡原因について、公務に起因したものと認められる必要がございます。

 被爆者援護法で認定された原爆に起因した死亡につきましては、原則として、恩給において公務に起因したものと認めているところでございます。

 それからもう一つ、ケース二のお話もございました。こちらにつきましても、先ほどと同様でございますけれども、一般論として申し上げれば、当該軍人の方の死亡原因が公務傷病である場合につきましては公務扶助料の支給が認められるということでございます。

 委員御提示の事例に沿って申し上げれば、軍人の方の死亡原因が、公務傷病の足が切断された場合に起因したものであると認められる場合であれば、認められるということになろうかと思われます。

 また、直接の死因が脚部の切断ではなく急性心筋梗塞であるという場合においては、脚部の切断から急性心筋梗塞により死亡に至るということが通常の経過であるというふうに認められるものでなければ、公務扶助料の支給は認められないというふうに考えられるところでございます。

 いずれにいたしましても、個別の事例につきましては、具体に即し、専門家の意見に照らして判断させていただくということになろうかと思います。

岡本(充)委員 それは、もっといろいろな情報も欲しいのかもしれませんが、一般的に言うと、なかなか、戦傷病が原因で死亡に至ったというふうに考えにくい事例もあるんじゃないかと思っているという意味で、ちょっとケースをつくったわけですけれども。

 じゃ、同じように、今回の戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給に当たっての都道府県裁定では、このケース一、ケース二はそれぞれ、まず都道府県はどのように対応するというふうに答えられたか、厚生労働省に。都道府県は、四十七都道府県、こういうケース一、ケース二はどうされるというふうに答弁をされましたか。厚労省に照会する、認容する、若しくは否定する、この三つだと思います。どういうふうな考えでしたでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案の判断につきましては、先ほど総務省の方からもお話がありましたけれども、個別の事実関係や状況等を踏まえて行うものだということであるというふうに考えております。

 それで、先生からお話のありました都道府県の状況ということでございますが、先日、都道府県の方に対しまして、新規の戦没者が公務死に該当するかどうかの判断について調査をしたということでございます。

 具体的には、医師の診断書があって、死亡の経緯として戦争の際の傷と直接の因果関係は記載はしていないが、間接的な影響があった旨の記載があるという事例について、都道府県として公務死と認める判断をするか、公務死と認めない判断をするか、厚生労働省に受給権を照会するかというふうなことをお尋ねをしたところでございます。

 その際には、例示といたしまして、戦地で片足を失った軍人の方が糖尿病で亡くなった場合、その医師の診断書に片足がなく運動が不十分だった点も影響していると書いてあった場合、こういうふうな例示も含めまして照会をしたところではございますが、全ての都道府県から、こうした事例があった場合には、都道府県のみで判断を行うのではなく、厚生労働省に受給権の照会をして助言を求めるというふうな回答があったところでございます。

岡本(充)委員 大臣、時間がないから改めて全部聞くのは大変だろうということで、ちょっと前のレクの内容の答弁で今日はいいですよという話をしたんです。

 ポイントは、総務省において既に恩給を受け取っている、つまり、公務性がある傷病だということが分かっている段階で都道府県に来た場合はどうなるかというところが肝なんです。ところが、今の答弁は、新規で、全く、要するに、都道府県にとっても初耳、足を失ったことも知らなかったような方が来られて、全く新規にやるときには都道府県はそうやって聞いてきます。ただ、既に恩給の受給権を持っている、援護法で何らかのお金が支給されている、こういったことで、その傷に公務性があるということを既に認められている方の場合はどうなるかということについては、聞いていないんです。

 大臣、もう一度、これを今日までにやるのは大変だと思って、じゃ、まずは今日の答弁はそこまでにしましょうと言っているんですが、是非、改めてもう一回確認を取っていただきたい。大臣、お願いします。

福岡国務大臣 先生が都道府県ごとにばらつきがあってはいけないという問題意識で様々お問い合わせいただいたこと、私もその件でいろいろ勉強させていただきました。

 御指摘の点を踏まえまして、また検討というか調査の方をさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 是非お願いします。

 それと先ほどの、私は、この制度をきちっと維持していくためには、今後、附帯決議もつくようでありますけれども、かなりの国費がかかるという前提の中で、もちろん必要な弔慰金だとは私は思いますけれども、納税者の理解を得ていくということも極めて重要だと思います。

 そういう意味で、先ほどの話じゃないですけれども、令和の時代に戦没者となり、そこから新たな受給権が出てくるというようなことは、相当特殊な事例を除いてはなかなかないんじゃないかというふうにも思っています。

 大臣、その点についてはどうですか。

福岡国務大臣 先ほど参考人の方からも申しましたように、例えば結核など、戦争中にかかった病気が原因で最近になってから亡くなられた場合、比較的年齢が若い御遺族が受給者となる場合もありますが、これは本当に、委員も御指摘がありましたように、まれなケースであるというふうに認識をしております。

岡本(充)委員 したがって、この法律が成立した後、要するに、現行法では受給権が発生をしていない、支給が受けられていない、若しくは戦没者と認定をされていない方が新たに認定されるに際しては、しっかりとした検証ができるように。これも質問しようと思って、調べてもらおうと思ったら、何か紙の記録で相当大変みたいで、悉皆調査みたいな調査は正直かなり大変だろうということで、今日は答弁を求めないわけなんですけれども。

 大臣、十年後も恐らくこの審議をきっとするんだと思います。そのときの議員の皆さんが、この十年間の新たな受給権者の発生について、どういうケースであったのか、そして、どういう裁定がなされたのかということが後から検証できるような。そんなにたくさん出てくるとは思えないんですよ、正直。したがって、そこが分かるような仕組みをつくり、資料を残しておいていただきたい。十年後にこの議事録を見た方が、十年前にこういうことを言っていたじゃないかと言われたときに、そうです、だから出しますといってそれを示せるような、そういう資料をきちっと残しておいてほしいと思うんですが、いかがですか、大臣。

福岡国務大臣 問題意識としては共有をさせていただきます。

 この次の改正に向けて、今御指摘いただいたみたいに、どのようなやり方があるかについてはまた御相談させていただきますが、しっかり検証できるような材料を残していくということは大変大切なことだと認識しています。

岡本(充)委員 是非それもお願いしたいと思います。

 そして、最後にもう一つが、三十代の受給権者の方がいらっしゃるという状況の中で、これから更に、戦後八十年といいながら、この先またその方が受給をされていくということになるわけでありますけれども、本当に百五十年たってもこういう方式でやるのか、百年たってもこの方式でやるのか。

 もう既に六十年たったわけですね。先ほどもお話をしました、国債というやり方がいいのかとか。毎年お支払いにするにしても、ほかの方法もあるかもしれない。いろいろなやり方がある中で、六十年同じことをやっているんですね。どういう支給の仕方がいいかも含めて、慰藉の表し方、お金の問題だけではない慰藉の表し方について、弔慰の表し方について、厚生労働省の中で検討するべきだと私は思うんですけれども、そうした検討をしていただけますか。

福岡国務大臣 委員御指摘のとおり、十年前のときの附帯決議におきましても、国として弔慰の意を表す方法について検討するというふうなことがございまして、全都道府県で特別弔慰金受給者を含む関係者に対してヒアリングを実施してございます。そのときのヒアリング結果といたしましては、国債による支給の継続を望む声を多くいただいたため、今回のようにさせていただいていますが、当然、その次の見直しに向けて、どういう方向がいいか、御遺族の心情等も勘案しつつ、関係者の御意見も伺いながら、具体的な弔慰の表し方については検討してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 とにかく、納税者の皆さん方の理解も必要だということです。

 最後に言っておきますけれども、受給をされている、支給を受けている方に聞けば、この制度はありがたいというふうに、ありがたいですか、ありがたくないですかと、ありがたいと答えるに決まっていると思います。国債がどうですかと言われたら、ほかの方法を提示しなければ、この方法で結構ですと言うと思います。そういう意味で、聞き方、聞く対象、こういったものももう少し考えないと、それはちょっと偏ったアンケートだと私は思いますから、是非そこも踏まえて検討をお願いをしたいと思います。

 終わります。

藤丸委員長 次に、山井和則君。

山井委員 よろしくお願いします。

 十五分ですので、大変僭越ながら、福岡大臣には簡潔に答弁をしていただければと思います。そして、後半の方は、戦没者の、十年前の採決の際の附帯決議のことなどを中心に課題、問題点を質問したいと思いますが、その前に、誠に済みませんが、今、年金改革法案が非常に重要になっていますので、そのことについて少しだけ議論をさせていただきたいと思います。

 といいますのは、私は非常に危機感を持っております。年金改革は、一言で言いますと、厚労省だけじゃなくて、超党派で合意をしないと駄目なことなんです。

 それで、今回の年金改革法案、提出を私たちは当然求めておりますけれども、一言で言いますと、今日の六、七にありますように、就職氷河期世代の低年金をどうするかという問題なんですよ、はっきり言いまして。現役世代の低年金をどうするかという問題で、私、今、立憲民主党の厚生労働の部会長をさせていただいておりまして、年金改革にも二十五年間関わってきましたけれども、率直に言いまして、もちろん多少の修正は求めるかもしれませんが、今回の改正には方向性としては賛成です、まだ法案審査はしていませんよ。なぜならば、厚生年金の適用拡大とか、調整期間を一致して、現役世代、就職氷河期世代の低年金を何とか救う、将来三〇%年金がカットされる将来世代を救うというのは、私たちも求めてきた方向性なんですよ。もちろん微修正は必要かもしれませんけれども、このことは是非私も今申し上げたいと思います。

 そして、ここに書いてありますよね。駒村先生、私も大変尊敬しておりますが、就職氷河期世代を放置するなと。一言で言いますと、今回の法案を修正も含めて成立させるかどうかというのは、私たち、今いる超党派の議員が、就職氷河期世代の低年金を放置するのかしないのか、これが超党派に問われているわけです。

 そこで、おとつい、興味深い新聞が出ました。これは、生活保護、過半数が六十五歳以上、日経新聞なんですね。四ページを見ていただきたいと思います。年金改革の先送り響く。これは、日経新聞ですから、ある意味で日本の経済を保つという視点からも、現役世代の、就職氷河期の低年金は何とかせねばならないという賛成の方向の記事なんですよ。

 ここに書いてありますように、二〇〇〇年には、生活保護、六十五歳以上が三七%だったんですよ。ところが、二〇二三年には五三%。

 そこで、私も理系出身ですから、今回試算してみました。じゃ、将来これはどうなるのかということですけれども、八ページに、一橋大学の教授の方が二つの推計をやっておられるんですね。

 もちろん、将来、高齢者の生活保護が増えるのか横ばいかは分かりませんけれども、私個人の意見じゃなくて、この教授が書いておられるケース2という、今のトレンドで高齢者の生活保護が伸びていくということでいっちゃった場合、今百万人の生活保護、高齢者が二〇五〇年度には二百万人に倍増するというんですね。そうしたら、ここの最後のグラフがありますけれども、どうなるか。最悪の場合ですけれども、今五三%なのが二〇五〇年度には六八%、生活保護の七割ぐらいが高齢者になる危険性があるんです。

 言うまでもなく、年金は保険料と多少の国庫負担ですけれども、生活保護になったら、四分の三は国、四分の一は自治体、公費で丸抱えなわけで、低年金を放置した方が国は安くつくんじゃないかというのは、とんでもありませんから。

 そこで、福岡大臣にお伺いしたいんですけれども、この改革から、選挙もあるとか、そういういろいろな議論はあるかもしれませんけれども、与野党、私たちも含めて、逃げてこの改革をしなかったら、就職氷河期世代を始め、現役世代、非正規の方々も含め、将来、生活保護受給者がどんどん増えていくと思うんです。

 ついては、今回の法案で検討されているような厚生年金の適用拡大とか、厚生年金、国民年金の調整期間の一致を含む年金の底上げ法案、ポイントは底上げ法案ね、年金の底上げ法案は、やはり与野党協力して、多少の修正も含めて、今国会で成立させる必要があるんじゃないかと私は思いますが、いかがですか。

福岡国務大臣 まず、様々な影響が考えられますから、将来の推計について、そうなるかどうかについてはなかなか予測は難しいところでありますが、高齢化が進展する中で、生活が困窮されていく方のリスクを低減していくということは極めて重要だというふうに思っております。

 そして、委員御承知のとおり、昨年の財政検証におきまして、若い世代ほど、労働参加が進展することによりまして厚生年金の被保険者期間が延び、年金の給付水準が充実する傾向にある一方で、今後、経済が好調に推移しない場合は、基礎年金の調整期間が今後三十年余り続き、給付水準が低下するおそれがあるということは御指摘があったとおりでございます。

 こうしたことを踏まえまして、今回の年金法案では、被用者保険の更なる適用拡大であったり、また、特に就職氷河期世代以降の若い方に幅広く恩恵が及ぶよう、基礎年金のマクロ経済スライドを早期終了し、将来の基礎年金の底上げを図ることを検討しておりまして、こういったことは大変重要な観点だというふうに思っております。

 できる限り早期に法案を提出し、将来の年金額の底上げにつなげることができるように努力を重ねてまいりたいと思います。

山井委員 将来のことは分かりませんがとおっしゃったけれども、それでは通用しないんですよ。分かりませんがと言っていて、三十年後、低年金で生活保護になる就職氷河期の方が激増したときに、私たちは今日の議事録を将来低年金になった方々に見られるんですよ。当時、どの党のどの議員がどういう議論をしたのか、万が一先送りしたら、どの議員が先送りを主張したのか、どの政党が先送りにしたのかということを問われる危険性があります。

 そこで、お伺いしたいんですけれども、私は、あえて最悪のことを考えて先取りするのが政治ですから、最悪の場合、六、七割になったときには何が起こるかといったら、じゃ、ある程度、保険料を払うのをやめたといって、生活保護になった方が楽なんじゃないかというふうな風潮が広がりかねないんですよ。そうやって年金保険料を払う人が減っていったら、年金制度が根幹から崩れてしまいますよ。それについては、福岡大臣、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 まず、あらゆるものを活用してもなお生活に困窮する方を対象とする生活保護に対しまして、基礎年金については、老後に一定水準の生活を可能とする、これまでの生活基盤だったり貯蓄等と併せて老後の生活を可能にするという考え方でありますから、それぞれの役割や仕組みが異なっておるということはまず申し上げさせていただきます。

 その上で、世代間の支え合いの仕組みであります年金制度というのは、国民から信頼していただくことというのが極めて重要であるということは委員御指摘のとおりでございますので、各方面の御理解をいただきながら、できる限り早く法案を提出し、将来の年金額の底上げにつなげられるように努力を重ねてまいりたいと思います。

山井委員 戦没者の質問もありますので短く行きますが、昨日、中嶋邦夫先生から資料をいただきまして、九ページにあります。今回、もう一回整理しますが、このままいくと基礎年金の目減りが大なんです。そして、解決策としては、調整期間の一致によって、基礎年金の給付水準が底上げされるとか、世代間不公平が改善される、こういうことが重要であって、今回の改正によって、全体として将来世代の低額層に恩恵があるんですよ。

 それで、ここに書いてありますよ。人間の価値判断にはゆがみがある。近視眼性、目先を重視し、将来を軽視する傾向、損失回避、利益よりも、損失を強く感じる傾向、変動回避、確実なことを好み、不確実なことを嫌う傾向。そして、年金は、目先で確実に負担が生じ、将来に不確実な給付がある仕組み、理解を得るには、しっかりと説明する必要があるということなんです。

 はっきり言って、年金というのは、偉そうなことを言うわけじゃありませんけれども、どこかが増えたら、どこかが減るのはしようがないんですよ。はっきり言って、低年金者、将来世代を救うには、どこかが割を食うのはしようがないし、私も、偉そうなことを言っていますけれども、その人たちから苦情が来るのは当然なんですよ。ただ、それをできるだけ減らすために、どう修正するかというのはあると思うんですけれども。

 そういう意味では、仮に先延ばしした場合、私はあえて言いますよ、じっくり議論しろとか先延ばししろと言う人は、その言っている人は、先延ばしして、泥をかぶるこの仕事を自分が中心になってやる気があるんですかということですよ。これは大変な難事業ですよ。だから、先延ばしすると言う人が責任を持って、就職氷河期世代が生活保護にならないような法案をまとめるというんだったらいいけれども、そういう人に限って、いやいや、あとは年金に詳しい人がやった方がいいんじゃないですかと。

 年金を十年、二十年、取り組んでいる議員としては、やはりこの方向性というのは厚生労働省と全く一緒、何とか今回のことはやらねばならないと思っております。もうこれは意見にしておきます。

 戦没者の質問に移ります。

 それで、質問通告どおり、参議院で附帯決議の一について、弔慰金の支給方法として、今後も国債の形がよいのか、マイナンバー制度の活用は検討したのか、検討したのであれば、なぜ全て今までのままで変えていないのか、お答えください。

福岡国務大臣 先ほどの岡本議員からの御質問ともかぶる部分がありますが、前回、平成二十七年の附帯決議を受けまして、平成二十七年から平成三十年にかけて、四十七都道府県で特別弔慰金受給者を含む関係者に対してヒアリングを実施したところ、国債による支給の継続を望む声を多くいただいたところでございます。

 昭和四十年の創設以来、六十年間慣れ親しんだ仕組みとなっている支給方式を変更することは、受給者の方に混乱を与えかねず、国債を毎年償還することにより、国としての弔慰の意を継続的に実感していただけるものと考えております。

 御指摘のように、例えばマイナンバーによる公金受取口座を活用することも考えられますが、この場合には現金支給が前提となってしまうということが考えられます。

 ですから、以上の点を総合的に考慮し、これまでと同様に国債の交付により行うことが適当であると考えたところでありますが、当然、情勢の変化等もございます。次に向けて、どのような形が望ましいか、先ほども答弁申し上げましたが、それについてはしっかり今後も検証してまいりたいと思います。

山井委員 十年前の成立の際の附帯決議二には、戦後八十周年に向けて、戦没者等の遺族の心情等を踏まえつつ、国として弔慰の意を表する方策について検討を行い、国民の理解と支持を得た上で必要な措置を講ずることとありますけれども、どのような検討を行い、どのような措置を講ずることとしましたか。

福岡国務大臣 御遺族の皆様方からは、国が戦没者を忘れないあかしとしまして、特別弔慰金の継続支給について強い御要望をいただいたことは申し上げたとおりです。

 厚生労働省といたしましては、こうしたヒアリング結果であったり御遺族の皆様の声も受け止めた上で、御遺族の負担も考慮しながら、国として弔慰の意を表する方策について総合的に検討を行い、前回に引き続き、五年償還の国債を五年ごとに二回交付する方式により特別弔慰金の支給を行うための法案提出に至ったものでございます。

山井委員 先ほど岡本議員もおっしゃいましたけれども、弔慰金は、皆さん、喜んでおられるんですよ。もらっている方は喜んでおられるので、こういう批判とか問題点を指摘するのは心苦しいんですよ。心苦しいんだけれども、やはり多くの公費が使われている以上は、本当は、一般の国民の理解を得られるかということはチェックする必要がありまして。

 附帯決議三には、学校教育の充実及び啓発及び広報等の取組の更なる強化を図ることとあるけれども、文科省とはどのような連携を図りましたか。

福岡国務大臣 学校教育を担う文部科学省と密接に連携することは、委員御指摘のとおり、大変重要であるというふうに考えておりまして、附帯決議をいただきました平成二十七年度以降、毎年度、文部科学省主催の各教育委員会等を対象とした協議会等におきまして、昭和館、しょうけい館等の資料を配付し、教育委員会等に周知を実施してございます。

 また、令和六年度より実施しております平和の語り部事業につきましては、令和六年四月に、厚生労働省から文部科学省に対して、教育委員会等への周知を依頼しております。

 引き続き、文部科学省とも連携しながら、さきの大戦の記憶の継承についての啓発及び広報等の取組を進めてまいりたいと思います。

山井委員 もう質問時間が終わりますけれども、福岡大臣、先ほど言いましたように、将来の低年金者をやはりしっかり救っていかないと駄目なんですね。そういう意味では、これは本当に、各党、大変なんですよ。何をやっても必ず苦情は来ますからね。必ず苦情は来ます。ただ、やはり将来世代の、就職氷河期、現役世代の方々の低年金を底上げせねばならないというのは、党派を超えた、今、国会に籍を置いている厚生労働委員と厚生労働省の私は社会的責任だと思っておりますので、是非超党派で合意をしてこの法案を、修正も含めてですけれども、原案どおりとはいかないかもしれませんけれども、やはり成立させて、将来世代の低年金者を救っていく、是非このことを要望して、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、阿部圭史君。

阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史でございます。

 大臣、先日、大臣の所信表明に対する質疑で私が、戦後八十年、戦後七十年談話について質問したことを覚えていらっしゃると思います。改めて、この戦後七十年談話は我が国の歴史にとっても非常に重要なものというふうに思っておりまして、まさに未来志向の視点でこれを出された安倍総理は、もうそれだけで立派な総理だったと私は思っております。

 戦後七十年談話をめぐる英知と努力については、船橋洋一先生が書かれていらっしゃる「宿命の子」に詳しいですけれども、福岡大臣、お読みになられましたでしょうか。

福岡国務大臣 恐縮ですが、まだ読んでございません。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 この本の中では、戦略的歴史観というふうな表現があります。これは、まさに過去から未来までをも見据えた、包摂した考え方であると思いますけれども、本日は、そのような未来までも見据えてという観点から、戦没者遺族特別弔慰金支給法の改正に関連して質疑させていただきます。

 本件、反対する理由が全くございません。非常に重要な法案ですね。国は戦没者を忘れないという趣旨からも、しっかりと継続していかねばなりません。

 このような法案は、当事者のお心にかなうかどうかというのが重要な点だと思いますけれども、日本遺族会によれば、昨年時点で戦没者遺児の平均年齢は八十三歳、遺族の兄弟の平均年齢はおよそ九十六から九十七歳ということで、私も昨日お会いした前参議院議員の水落敏栄遺族会会長によれば、約六十万人の対象者の高齢化を考えますと、最後の処遇改善運動になるのではないかということです。

 また、日本遺族会の活動の根幹は二つあるというふうに伺っておりまして、一つは英霊の顕彰、二つ目は遺族の福祉向上でございます。本法案が目指す二つ目の遺族の福祉向上については、遺族の高齢化に伴いまして、今後はやはり一つ目の英霊の顕彰に重点が移ってくるのではないかということでございます。本当の英霊の顕彰は何かと考えたところ、遺族会の方々から、平和の語り部、そういった結論に達したというお声が出ておりまして、結果として、政府としても新規事業を始めていらっしゃると思います。

 ここで、お伺いします。

 福岡大臣にとって、英霊の顕彰とは具体的にどのようなものだとお考えでしょうか。

福岡国務大臣 まず、今日の我が国の平和と繁栄は、さきの大戦における戦没者の皆様の貴い命と苦難の歴史の上に築かれたものであるということを決して忘れないということが大事なことだというふうに考えております。

 こうした観点から、具体的には、毎年八月十五日に、さきの大戦の全戦没者に対しまして国を挙げて哀悼の誠をささげるため、政府主催で全国戦没者追悼式を挙行してございますほか、戦没者の御遺骨の収集であったり、戦没者の方を慰霊するための慰霊巡拝などに取り組んでいるところでございます。今回御審議いただいている特別弔慰金についても、戦没者の方を弔い、遺族を慰藉する観点から実施するものでございます。

 御指摘がありましたように、戦後八十年を迎えました。今おっしゃいました顕彰、これをしっかりと次の世代にも受け継いでいく、戦没者の尊い犠牲に思いをなして、引き続き援護施策に取り組んでまいりたいと思います。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 実は日本遺族会は、英霊の顕彰の根幹は、戦没者の犠牲を忘れないための、国家を代表する首相や閣僚による靖国神社参拝の定着だともおっしゃっています。大東亜戦争時代の兵士は、いや応なく政府の召集に直面しまして、例えば給料を倍にするぞですとか遺族の福祉を向上するぞといったことではなくて、死んだら靖国神社に祭ってもらえるぞ、祭るぞということで出征したわけですね。

 私の祖父も、今日、防衛副大臣がいらっしゃっていますけれども、当時舞鶴にございました海軍機関学校の最後の卒業生でございます。当時は兵学校と機関学校が兵機一体化されておりますので、海軍兵学校の卒業生でもあるという位置づけでございますが、一九四五年の三月三十日に卒業いたしました。沖縄本島に米軍が上陸したのが四月一日、東京大空襲が三月十日ですから、いよいよ本土防衛が目の前に迫るときであったわけです。祖父の日記にも靖国神社に関する様々な記載がございまして、まさに、当時の軍人にとりまして、死んだら靖国に祭られるということが非常に重要であったことが分かります。

 福岡大臣にとって、靖国神社とはどういう存在でしょうか。

福岡国務大臣 私も、遺族会の方々を始め、いろいろな方といつも意見交換をさせていただいておる身でございます。

 そういう思いではありますが、ただ、ここは厚生労働大臣として答弁する立場でありますことから、個人の見解について述べることは差し控えさせていただきたいと思います。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 大臣は、かつて、二〇〇五年八月十三日付の御自身のたかまろ通信で、靖国神社について、日本人としての心情の発露として参拝したと述べた上で、総理が個人の信条に基づいて参拝することは私は賛成ですというふうに述べていらっしゃいます。これは、私、まさに福岡大臣と思いを一にしております。

 かつて、旧日本維新の会の共同代表であった石原慎太郎先生が、二〇一三年二月十二日の衆議院予算委員会で、国民の皆様への遺言と題して質疑を行いました。私、これに対しては歴史に残るすばらしい質疑だと思っておりまして、ここで石原先生は、神道は、普通の宗教とは異なり、人間の情念の結晶であると述べていらっしゃいます。言い方を変えれば、私が思うに、こういった神道というものは、宗教という類いのものというよりは、日本人としての精神性の発露なのだと思っております。日本人としての心情の発露と述べた福岡大臣とまさに同じだと思いますね。

 私も、今回の質疑に当たりまして、日曜日に靖国神社を参拝してまいりました。

 福岡大臣は、昨年十月の靖国神社秋季例大祭に真榊を奉納していらっしゃいますけれども、今年は参拝される御予定はございますでしょうか。

福岡国務大臣 参拝するか否かにつきましては、個人として適切に判断をしたいというふうに思います。現時点において、確定的に決めている事項はございません。

阿部(圭)委員 個人として適切に判断、それでいいんだと思うんですね。石原慎太郎先生も同じ予算委員会でおっしゃっておられましたけれども、究極的には、我々のような世俗の政治家、時の内閣が靖国神社への参拝について云々するというよりも、やはり天皇陛下に御親拝いただける環境を整えるということが非常に重要なのではないかと私は思っております。

 実際、石破総理も、昨年九月の自民党総裁選の期間中に、首相に就任した場合の靖国神社への参拝については明言はせず、このようにおっしゃっています。靖国神社ができたときの兵隊さんや御家族への約束は、どんな方でも神様として祭ること、そして必ず天皇陛下に祭祀を執り行っていただくこと、陛下にお出ましいただける環境をつくる、自分が行くとか行かないとかではなく、その約束をきちんと果たすのが総理の仕事、このようにおっしゃっているわけですね。私もそうだと思います。

 天皇陛下が靖国神社に御親拝した最後は昭和五十年、一九七五年。以来、御親拝は途絶えておりますけれども、福岡大臣は、天皇陛下の靖国神社御親拝についてどのようにお考えでしょうか。

福岡国務大臣 天皇陛下の靖国神社への御親拝につきましては、私自身、お答えする立場にないため、恐縮ですが、答弁は差し控えさせていただきます。

阿部(圭)委員 福岡大臣には、今、厚生労働大臣の立場としてということですが、一政治家としては同じ思いだと思っておりますので、内閣の一員として、同じ思いを共有する先輩の政治家としても、是非、天皇陛下御親拝の環境づくりを頑張っていただきたいというふうに思っております。

 次に、千鳥ケ淵戦没者墓苑と自衛官の関係についてお伺いいたします。

 千鳥ケ淵戦没者墓苑は、一九五三年、昭和二十八年十二月十一日の閣議決定、無名戦没者の墓に関する件に基づき造成されたものです。

 現在、防衛省の敷地内には、この千鳥ケ淵とは異なりまして、自衛隊殉職者慰霊碑というものがございます。私も昨日、志ある自衛隊員の方とともに参拝をいたしました。この設置根拠は何ですかということで防衛省に問うたところ、よく分からないということでございました。この設置根拠をしっかりと検証していただきたいと思いますけれども、重要な施設には変わりないと思っております。

 しかし、重要な施設ではあるんですが、いかんせん、防衛省の敷地内にあるということで、なかなか入ることができません。私も昨日、朝、正門に行って、結構待ってからようやく入れていただけたということで、やはり日本社会に開かれて人口に膾炙したものと言うことはできません。顕彰の仕方としては疑問が残るというふうに言わざるを得ないのではないかなと思います。靖国神社や千鳥ケ淵戦没者墓苑が広く社会に開かれていることを考えれば、戦後の自衛隊が非常に肩身の狭い思いをされているのではないかとの思いに至ります。

 ここで、お伺いします。

 厚労省設置法三条二項は、厚労省の任務として、戦傷病者の援護を定めています。また、同法四条一項百二号は、所掌事務として、戦没者の遺骨の収集、墓参及びこれらに類する事業に関することと定めています。文理解釈上、この戦傷病者や戦没者は、特段、大東亜戦争に限られるものとして明記はされておりませんが、この理解は正しいでしょうか。

福岡国務大臣 厚生労働省設置法第四条第一項第百二号につきましては、平成二十八年に成立いたしました戦没者の遺骨収集の推進に関する法律の附則による改正で新たに新設された規定でございます。

 厚生労働省による戦没者の遺骨収集等の業務につきましては、改正前の設置法では、旧陸海軍の残務の整理に関することに含まれるものとして実施してまいりましたが、戦没者の方々の遺骨収集を厚生労働省の業務として明確化するため、遺骨収集等の事業について明記するとともに、当該事業に含まれないその他の業務については、現在の第百三号のとおり、前号に掲げるもののほか、旧陸海軍の残務の整理に関することとして整理したものでございます。

 こうしたことを踏まえれば、お尋ねの第百二号の戦没者の遺骨収集等の事業につきましては、旧陸海軍の残務の一つでございまして、したがいまして、自衛官の方につきましては、職務に起因してお亡くなりになられた場合であっても、本号の戦没者には該当しないものと認識しております。

阿部(圭)委員 やはり、今おっしゃっていただいたように、立法経緯からすると自衛官は入らない、一方で、文理解釈上は読めるということで、どういうふうにするのか、今後検討していかなければならないというふうに思いますけれども、やはり未来志向のということで考えますと、将来に起こり得る万一の有事の際に、自衛官が戦死者、戦没者となった場合にどうするのかということが非常に問題だと思っております。

 この際の、自衛官が戦没者になったときの戦没者顕彰施策はどのようになっているのか、また、戦死者、戦没者となった自衛官の氏名が分からず、無名戦士、無名戦没者となった場合の、自衛隊殉職者慰霊碑と千鳥ケ淵戦没者墓苑との関係の整理はどのようになっているのか、まず防衛省にお伺いした上で、厚生労働大臣にその後お願いいたします。

本田副大臣 お答えいたします。

 防衛省では、任務遂行中に不幸にして職に殉じた自衛隊員を追悼するため、毎年、防衛大臣の主催によりまして、自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣の御臨席の下、自衛隊殉職隊員追悼式を執り行っております。

 この自衛隊殉職隊員追悼式は、防衛省内の慰霊碑地区において、御遺族の方々が参列し、殉職隊員の殉職年月日、階級及び氏名を刻印した銘板を慰霊碑に奉納するなど、慰霊碑地区は、顕彰された殉職隊員の御遺族の方々にも、追悼の意をささげる場と御理解をいただいておるところです。

 その上で、これまでも、公務上の事故等で御遺体が発見に至らない場合であっても、御遺族の意向を踏まえまして、他の殉職隊員と同様に、慰霊碑地区での追悼式において、貴い命を国家にささげた隊員の功績を永久に顕彰し、深甚なる敬意と追悼の意をささげてまいったところでございます。

 また、委員お尋ねの千鳥ケ淵戦没者墓苑については、昭和二十八年の閣議決定に基づきまして、太平洋戦争による海外戦没者の遺骨であって遺族に引き渡すことができないものについて、これをお納めするための施設として建立されたものと承知しておりますが、防衛省として、それについて見解を申し上げる立場にはございません。そのように考えております。

 いずれにいたしましても、防衛省・自衛隊といたしましては、国の職務に殉じて亡くなった隊員に対しましては、今後も引き続き最大限の敬意を払い、適切に対応してまいる所存でございます。

福岡国務大臣 委員からも、冒頭、顕彰という言葉をいただきましたが、国家のため、任務の遂行中に不幸にしてその職に殉じた自衛官の方々に対しまして弔慰の意を表するということは、大変重要なことであるというふうに認識をしております。

 その上で申し上げますと、千鳥ケ淵戦没者墓苑は、昭和二十八年の閣議決定に基づき、太平洋戦争による海外戦没者の遺骨であって御遺族に引き渡すことができない御遺骨について、これをお納めするための施設として建立されたものでございます。

 こうした墓苑の建立目的を踏まえると、自衛官の方々が殉職され、仮に御遺骨の身元が特定できないような場合であっても、千鳥ケ淵戦没者墓苑に納骨する取扱いにはならないものと考えております。

阿部(圭)委員 そうしますと、では、将来、有事になった際に、武力攻撃事態に至った際に、お亡くなりになった自衛官、自衛隊員をどうするのかということは特段の定めがないのではないかというふうに思っております。

 自衛隊の殉職者慰霊碑がございますけれども、それでいいのか。国民としてそこに、例えば靖国神社や千鳥ケ淵戦没者墓苑は、犬の散歩をしながら、皆さん、お参りに行ったりとか、そういったこともされていらっしゃいます。そういった状況にないわけですから、やはり人口に膾炙したものとなるように、しっかりとやっていただきたいというふうに思っております。

 次にお伺いしますのが、まさに若い自衛官についてでございます。

 先週の土曜日、横須賀にある防衛大学校の卒業式に私も出席してまいりました。国家国民を思う三百六十三名の情熱あふれる若者の巣立ちに、一国民として万感胸に迫るものがございました。

 その後にすぐ行われました任命・宣誓式では、先ほどまで学生服を着ていた三百二十三名の学生が陸海空の制服に着替え、見違えた姿になります。そこで、陸海空の各幕僚長から陸海空曹長の任命とそして幹部候補生の任命があった後に、各学生、新任官された者から代表者が服務の宣誓を行います。事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務め、もって国民の負託に応えることを誓います、このように宣誓をした後、この陸海空の三名の代表者が、そう書いた宣誓書を、登壇をされて、内閣総理大臣に手渡します。この内閣総理大臣に手渡した瞬間の彼らの迷いのない顔を見て、私は涙が流れ落ちました。

 やはり、彼らが命を落とすことなく最後まで任務を全うできる国にするべく、国会議員としての務めを果たさねばならない、このように誓いを新たにした次第でございます。ただ、その上で、万が一有事となった場合に、自衛官が前線で戦います。その際、戦傷病者、戦没者になり得ますので、前線に赴く際には後顧の憂いがあってはなりません。そのような観点からも、しっかりとそういった施策もやっていただきたいと思っております。

 国家国民のために命を賭す方々の顕彰をいかにするべきか、きちんと今後も筋の通った整理をしていただきたいというふうに両省にはお願いを申し上げます。

 そこで、質問でございます。

 現在の自衛官が戦傷病者や戦没者になり得る、そのような観点からも、一身を賭して国家国民を守る任務に就かんとする若者の巣立ちである防衛大学校の卒業式、これに、そういった戦没者、戦死者の事業を扱っている厚生労働大臣も出席するべきではないかと思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

福岡国務大臣 まず、自衛隊の方々におかれましては、硫黄島における遺骨収集に係る人員であったり、また物資等の輸送支援であったり、遺骨の収容支援、また海上自衛隊護衛艦による御遺骨の本邦送還などに携わっていただいておりまして、戦没者の遺骨収集事業の推進にも多大なる御協力をいただいております。厚生労働大臣といたしまして、防衛省の関係者の皆様方の御協力に心から感謝を申し上げるところでございます。

 その上で、御指摘の防衛大学校の卒業式への出席につきましては、その他の業務の状況等も勘案した上で適切に判断してまいりたいと思います。

阿部(圭)委員 その他の業務を勘案してということですが、これは国家にとって非常に重要なことだと思うんですね。優先しない理由がないというふうに私は思っております。

 防衛省として、通告しておりませんけれども、厚生労働大臣が出席されたら迷惑でしょうか。

本田副大臣 お答えいたします。

 決して迷惑ではございません。

 防衛省といたしましては、各国会議員の方々、そして政務三役の方々に御案内を申し上げているところでございます。

阿部(圭)委員 ありがとうございます。

 しっかりとそういったことも出席をして、国全体として、こういった戦没者、戦死者、そして自衛官の方々を守っていただきたいというふうに思っております。

 これで私の質問を終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、森ようすけ君。

森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。

 通告に従いまして順次質問してまいりますので、本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 今年は戦後八十年を迎えるわけですが、これまでと同様に戦没者の遺族に対して弔慰を表する特別弔慰金を支給することは、重要なことであると考えております。

 一方で、法の施行に当たっては、弔慰が適切に示されることや、効率的に実施することも重要であると考えております。前回改正時の十年前の附帯決議でもそうした観点での指摘がされておりましたので、そうした附帯決議も踏まえながら、本日は質問させていただきます。

 まず、本来であれば給付の対象ではない家族が給付金を受け取るケースがあるということでございます。

 特別弔慰金として支給されるのは国債でございます。この国債を受け取った方が亡くなった場合は相続されまして、相続を受けた方は必ずしも、特別弔慰金の趣旨に照らして真に国が弔慰を表すべき方とは限らないわけでございます。

 そこで、まず質問ですけれども、こうしたように、相続により本来支給対象ではない相続人が弔慰金を受け取る件数、割合はどの程度ございますでしょうか。お伺いいたします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の第十一回特別弔慰金につきましては、令和二年十月から令和四年九月までの二年間に、国債の記名の変更が行われた総数は四万八千六百二十三件となっておりまして、調査をした対象件数全体は七十万件弱ですが、その約七%程度ということでございます。

 この中には、相続人が法律に規定する特別弔慰金の給付対象者である場合も含まれますが、委員御指摘のように、特別弔慰金の給付対象者以外の方が相続している件数がどの程度あるかについては、把握はしていないということでございます。

 なお、記名変更先の続き柄でございますが、九五%以上は記名者の方の配偶者と子供ということになっております。特別弔慰金の支給対象者の範囲を三親等内の親族までとしているということでございまして、戦没者と比較的近い親族の方が相続人として多くいらっしゃるというふうなことかと考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 調査が難しいということで、国債の記名変更の件数を報告いただいたわけですけれども、この七%という数字、多いのか少ないのか、人それぞれ判断はあると思いますけれども、今後、弔慰金の受給者の高齢化がますます進んでくるわけで、相続人が給付金を受け取るケース、これが増加してくるものというふうに予想しているところでございます。

 また、相続の九五%ですかね、それが子供であったり配偶者であるということも御答弁いただきましたが、やはり、配偶者、子供であっても、法律で本来規定している弔慰金を渡すべき対象者にはなっていないわけでございますから、それが弔慰を表する意味で正しいのか、適切なのかというところには一定の判断が必要かなというふうに考えているところでございます。

 そして、前回の附帯決議においても、弔慰の意を表する方策について検討を行い、必要な措置を講ずることとされておりますが、この十年間でどういった検討、対応がなされたのでしょうか。お伺いいたします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 特別弔慰金につきましては、記名国債をお渡ししたときに弔慰の意をお示ししているというふうに考えておりますが、償還の途中などで受給者の方が亡くなった場合には、国債は既に有価証券として受給者の所有となっているということでございますので、ほかの財産と同じく、民法の一般原則に従って、受給者の相続人が相続することはあるというふうに認識をしております。

 本法案、今回の法案の検討に当たりましては、十年前の平成二十七年にいただいた附帯決議を踏まえまして、制度の在り方について早期に検討を開始する観点から、平成二十七年から三十年にかけて、全都道府県で特別弔慰金の受給者を含む関係者の方にヒアリングを実施したところ、国債による支給の継続を望む声を多くいただいており、御遺族の皆様からは、国が戦没者を忘れないあかしとして、特別弔慰金の継続支給について強い御要望をいただいたところでございます。

 厚生労働省としては、こうしたヒアリング結果や御遺族の皆様の声を受け止めた上で、御高齢の御遺族の御負担も考慮しつつ、国として弔慰の意を表する方策について総合的に検討を行った結果、前回に引き続き、五年償還の国債を五年ごとに二回交付する方式により法案を御提案させていただいているというところでございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 ヒアリングの結果、国債の発行を求めるという人が多いというのは、これまでの質疑で皆さんが指摘されていましたとおり、それは受け取っている人はそういうふうに言うと思いますので、今後、次の十年間も見据えて、しっかり、この在り方というのはどうなのかというのは検討を進めていただきたいと考えております。

 例えば、一つの方向性として、五年償還の国債ではなくて、スパンを短くして、弔慰を表する回数を増やしていくというような対応も一つの案かというふうに思っております。五年ではなく、もう少し短くしていくというような方向性でございます。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、今後に当たっては、遺族の心情なども踏まえながら、特別弔慰金の支給の在り方について改めて検討することが必要だと考えますが、この支給の在り方について御見解をお伺いいたします。

福岡国務大臣 まず、特別弔慰金につきましては、記名国債をお渡ししたときに弔慰の意をお示ししていると考えておりますが、償還の途中などで受給者の方々が亡くなった場合においては、国債は既にもう有価証券として受給者の所有となっておりますため、他の財産と同じく、民法の一般原則に従い、受給者の相続人が相続することがあるというふうに認識をしております。

 今回の法案につきましては、御遺族の皆様の声を受け止めた上で、御遺族の御負担等も考慮しながら、前回に引き続き、五年償還の国債を五年ごとに二回交付する方式により提案させていただいておりますが、将来の制度をどうするかにつきましては、今後、御遺族の高齢化が更に進むことが見込まれる中、この特別弔慰金の制度趣旨であったり御遺族の心情等も勘案しながら、最終償還を迎えることとなる十年後を見据えて、関係者の御意見も伺いながら、具体的な対応について検討を進めてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。是非検討を進めていただければと思います。

 次の質問ですけれども、前回の法改正で、支給回数が、十年償還の国債一回から今回のような五年償還の国債二回に変更がされたところでございます。弔慰を表する機会が増えるというメリットがある一方で、自治体にとっては、事務負担が二回に増えるわけですから、自治体の事務負担が増えるというようなデメリットも存在しているかと思います。

 この五年ずつ二回、分けて支給するというような運用が十年間なされたわけでございますが、自治体の事務負担も含めて、こうした支給方法についてどのように評価をされていますでしょうか。お願いいたします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 特別弔慰金の支給に当たりましては、五年償還の国債を五年ごとに二回交付する方式に改めたということでございますが、これについては、国として弔慰の意を表する機会を増やすという観点から実施したものでございますが、自治体に対しても、提出書類の削減やシステムを活用した自治体の事務処理の支援などを通じて、その負担軽減に努めているところでございます。

 自治体の事務負担につきましては、特別弔慰金の支給継続に向けまして、その改善方策を全都道府県の担当者の御意見を聞きながら継続して検討してきているというところでございまして、今回の法案が成立をした暁には、システムを活用して提出書類を削減するといった自治体の事務処理の効率化に更に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 引き続き、自治体において円滑かつ迅速な事務処理を行うことができるように、国としてもしっかり取り組み、また支援をしていきたいというふうに考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 提出書類の削減でしたり事務処理の効率化、是非とも進めていただければと思います。

 また、この弔慰金は、記名方式の国債の発行という形でされているわけでございますが、国債の償還手数料であったり交付の手数料、そういった記名国債ならではの手数料負担というのも生じているというふうに思っております。

 自治体の事務委託費も含めて、国債発行による手数料、これはどの程度かかっているのでしょうか。お願いいたします。

辻政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、特別弔慰金支給のための国債発行に係る手数料でございますが、本法案が成立した場合、令和八年度から償還が開始されることになるわけでございますが、令和八年度の償還事務取扱手数料、これは二・一億円、それから交付事務取扱手数料は一億円と見込んでおります。

 それから、国債発行自体に関する手数料ではございませんが、委員からも御指摘ございました、都道府県に委託しております裁定事務等の委託費として、これは、所管省庁であります厚生労働省において、令和七年度予算に十・四億円を計上していると承知しております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 自治体の事務手数料については、国債をやめて、例えば現金給付に変えたとしても、それは引き続き残るわけでございますが、国債をやめることで、少なくとも三億円ですかね、年間削減することができるというのは分かると思います。単年で三億円ですから、五年、十年といったら、それだけまたかかってくる。

 この記名方式というのは、弔慰を表する上でメリットはありますが、やはり一定の負担は存在しているものと思います。また、高齢化も進んで、受取に当たって、郵便局窓口に行ってお金を受け取る必要があったりとか、国債での支給は、効率性の問題であったり利便性の観点から、必ずしも望ましいことではないというような考えもできるわけでございます。

 マイナンバーによる公金の受取口座の登録も進んでいるわけでございますから、支給については国債ではなく現金給付で行って、弔慰については別途弔電なりなんなりで、令和の時代でございますから、変えていくということも望ましい考え方だというふうに考えております。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、効率性や利便性の観点から、弔慰金の支払いを現金給付にしていってはどうかというふうに考えますが、御見解をお伺いいたします。

福岡国務大臣 前回の法案成立時の附帯決議等で弔慰金の在り方について御提言いただいたことを踏まえまして、平成二十七年から平成三十年にかけて、四十七都道府県で特別弔慰金受給者を含む関係者に対してヒアリングを実施したところ、国債による支給の継続を望む声を多くいただいたことから、今回も同様のスキームとさせていただいています。

 昭和四十年の創設以来、六十年間慣れ親しんだ仕組みとなっている、そういった支給方法を変更することは、もう既に今高齢化されている受給者の方々に混乱を与えることにもつながりかねないこと、また、国債を毎年償還することにより、国としての弔慰の意を継続的に実感していただけること、こういったことから、国債の交付により支給することが適当であるというふうに考えておりますが、先ほど来、委員も御指摘ありましたように、この趣旨や御遺族の心情等も勘案しながら、今回の特別弔慰金が最終償還を迎えることとなり得る十年後を見据えて、関係者の御意見も伺いながら、どういう姿がいいのか検討してまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。次の十年間も見据えて、是非検討をお願いできればと思います。

 次に、戦争の教訓の継承についてお伺いできればと思います。

 戦後八十年を迎えて、高齢化も進んで、なかなか戦争の記憶の風化が進んでいるというのは間違いないことだと思います。私は、平成六年生まれの三十歳でございまして、祖父母の世代がちょうど大正から昭和の生まれなので、十七、八歳くらいのときに祖父母が戦争を経験していた世代になるわけでございます。

 小さい頃に祖父母からよく戦争の話は聞いておりまして、おじいちゃん、おばあちゃんの話というのは、皆様もお感じのところだと思うんですけれども、同じことを何回話すねんということが多いと思うんですけれども、本当に何十回と、戦争が大変だったよとか、お芋ばっかり食べて、みすぼらしい生活をしていたよとか、そういった話を祖父母から再三聞かされて、自分の家族がそういう経験をしたからこそ、戦争というのは悲痛なものなんだなというのが、私自身、身にしみて感じていたところでございます。

 一方で、今の十代だったりとかそれ以下の世代は、家族の中で戦争を経験している世代、こうした方がいない子供たちが増えてくるんだと思っております。そうした中で、今生きている方々、戦争を経験されてきた方々の思いでしたり経験というのをしっかり記録して残していく、こうしたことも必要だというふうに考えているところでございます。

 附帯決議の中においても、この教訓をしっかり継承していくために取組を強化していくということも書かれておりましたが、大臣にお伺いいたしますが、この十年間において戦争体験の継承に関してどのような取組の強化を行ってきたのか、また、風化させないためにどういった取組を今後していくのか、そうしたことについてお伺いできますでしょうか。

福岡国務大臣 戦後八十年を迎えまして、戦争を体験された方々の高齢化が進む中で、その体験であったり教訓を次の世代へ受け継ぐという委員の御指摘は、大変重要な御指摘だと思います。

 こうした施策を行うに当たりまして、学校教育を担う文部科学省と密接に連携することが重要でございまして、附帯決議をいただいた平成二十七年度以降、毎年度、文部科学省主催の各教育委員会等を対象とした協議会等におきまして、昭和館、しょうけい館等の資料を配付いたしまして、教育委員会等に周知を行っております。

 また、戦争の悲惨さ、平和の尊さを伝えていくことを目的といたしまして、学校等での語り部活動に対しまして補助を行う平和の語り部事業を令和六年度より実施しておりまして、令和六年四月に厚生労働省から文部科学省に対して教育委員会等への周知を依頼しておりますほか、戦後八十年を迎えます令和七年度予算案におきましては、予算を大幅に増額する予定としておりまして、この語り部活動の取組を更に推進してまいりたいというふうに考えております。

 引き続き、文部科学省とも連携しながら、さきの大戦の記憶の継承に関する取組を進めてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 時間が迫っているので、最後、質問ではなく、私から発言だけさせていただければと思うんですけれども、今回、空襲被害者への弔慰、こうしたところについてもしっかり、戦後八十年という年でございますから、していただきたいというふうに考えております。軍人軍属の方の遺族だけではなくて、こうした一般の方々、空襲で被害を受けた方々についても弔慰をしっかり示していく、給付をしていくといった仕組みについて、政府として、与党として是非ともお願いできればと思いますので、そうした点についても御検討をよろしくお願いいたします。

 以上でございます。ありがとうございます。

藤丸委員長 次に、沼崎満子君。

沼崎委員 公明党の沼崎満子です。今日、よろしくお願いいたします。

 まず初めに、戦後八十年を迎えるに当たりまして、私たちは、戦没者の方々の尊い犠牲を忘れてはならず、また、その遺族に対する支援の重要性をこの八十周年の節目に再認識する必要があると感じています。戦争の記憶、薄れつつある中で、遺族の方々が抱える苦悩や悲しみを理解し、適切な支援を行うこと、求められております。

 政府は、さきの大戦において公務等のために国に殉じた戦没者等の遺族に対して国としての弔慰の意を表するために、これまで戦後二十年から十年ごとに特別弔慰金を支給してきました。今年、現在の償還中の特別弔慰金に係る国債が最終償還を迎えるということで、遺族の要望を受け止めて、改めて、戦後八十年、弔慰の意を表する特別弔慰金の支給継続を決めたことに感謝を申し上げます。

 そこで、御質問させていただきます。

 まず、戦没者の遺族に対する特別弔慰金の支給の、八十周年で改めての継続を決定した経緯を改めてお聞きしたいと思います。お願いいたします。

吉田大臣政務官 お答えを申し上げます。

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金は、今日の我が国の平和と繁栄の礎となりました戦没者の尊い犠牲に思いを致し、昭和四十年以降、戦後何十年といった特別な機会を捉え、国として弔慰の意を表するため、記名国債の交付により支給をしているものでございます。

 戦後八十年に当たる令和七年におきましては、現在償還中の特別弔慰金が最終償還を迎えるが、御遺族の皆様からは、やはり特別弔慰金の継続の強い御要望をいただいているということでございます。

 厚生労働省といたしましては、こうした御遺族の皆様の声を最大限受け止めて、国として改めて弔慰の意を表するため、今回、特別弔慰金の支給を継続するための法律案を提出をしているというところでございます。

沼崎委員 ありがとうございます。

 次に、度々今質問がありましたけれども、記名式国債の形で支給をされています。特に、記名式国債の形で弔慰を表している理由をお聞かせいただきたいというところと、これまでの質問にもありましたけれども、選択ができるような、そういった形を考えているのかどうか、そういったことに関してもお聞きしたいと思います。お願いいたします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 記名国債で支給をしている理由ということでございますが、特別弔慰金につきましては、国として弔慰の意を受給者の方に一層実感いただけるように、制度の創設以来、記名国債という、形のあるものということで支給をしてきているというところでございます。

 支給の方式について様々な御意見があるのではないかということでございますが、先ほど来申し上げましたように、平成二十七年から全都道府県で受給者を含む関係者に対してヒアリングをさせていただきまして、国債による支給を望む声を多くの方からいただいたということでございます。具体のお声としましては、ほかのお金と同じような振り込みだとというふうな、そういったことも含めて、ヒアリングをさせていただいて、お声を伺ってきたということでございます。

 そういった中で、昭和四十年の創設以来、六十年間慣れ親しんだ仕組みであるということを踏まえまして、今回の提案におきましては、従来どおりの形でということで御提案をさせていただいているということでございます。

沼崎委員 ありがとうございます。

 是非、様々な意見を取り入れていただいて、引き続き、今後、継続の予定があれば柔軟な対応というのもお願いしたいと思います。

 また次に、弔慰金に関しては、これまでも、申請の手続の煩雑さや、あるいは申請から給付までに非常に時間がかかるといった課題もありました。まず、申請の、請求の手続の現状についてお示しをいただきたいと思います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 請求の手続につきましては、居住をされている市区町村で受付をした後、居住地の都道府県を経由をいたしまして、戦没者の方が除籍をされたときの都道府県で裁定を行っているということでございます。裁定の都道府県で審査が可決された場合には、厚生労働省から財務省に対して国債の発行請求を行いまして、その後、日本銀行の代理店を通じまして、国債が市区町村に引き渡されるというふうな形になるということでございます。

 御遺族の方の高齢化が進む中で、請求手続の簡素化等々を図ることは重要であるというふうに考えております。

沼崎委員 ありがとうございます。

 今お示しいただいたように、手続が、ステップが多くて非常に煩雑ということで、今、御遺族の方が高齢化が進む中で、なるべく簡便で速やかな支給が求められていると思います。簡便化という意味では、公明党はこれまでも、オンラインでの申請であるとか、あるいは事務のDX化というのも求めてまいりました。

 今、政府は特別弔慰金のオンライン化を進めていると認識しておりますが、具体的にどのような請求方法が運用されるのか、また、今回の支給においても新たな請求方法、支給の方法を運用される予定か、お聞かせいただきたいと思います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 御遺族の方が高齢化が進む中で、やはり手続の簡素化といったことを図ることが大事だと思っております。

 このため、次期の特別弔慰金請求のオンライン化というものにつきましては、令和七年の十月から、マイナポータルのぴったりサービスというものを活用いたしまして、請求書などの提出ができるように検討を行っているところでございます。利用の開始に向けて、デジタル庁あるいは自治体と協力をして、適切に準備を進めてまいりたいというふうに考えております。

沼崎委員 新たな請求方法にもなると思いますので、特に、高齢の受給される方が手続で困らないような対応というのも併せてお願いしたいと思います。

 また、事務の短縮に関しては、ほかに何か取組が具体的にございましたら、追加でお示しいただきたいと思います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 事務の簡素化あるいは迅速化といったようなことを進めていくということが大事だと思っております。このために、先ほど申し上げましたオンライン化ということだけではなくて、自治体あるいは関係機関、財務省、日本銀行に協力をいただきまして、国債交付までの期間の更なる短縮というのを図っていきたいというふうに考えております。

 具体的には、システムを活用することによりまして提出書類を更なる削減をするといったことで、請求の手続だけでなくて、自治体にとっての審査の方も簡素化をするということでございます。

 それから、自治体内の事務処理の支援を行うことにいたしまして、前回受給された方というものを区分処理をするといったこと、こういうことを推奨する、あるいは市区町村の方に前回受給された方のリストの提供を行う、こういった支援ということを考えたいということでございます。

 それから、三番目といたしまして、国債の発行開始日というものにつきまして、今回、日本銀行の方と協力をして前倒しを行うことといたしまして、一か月前倒しをしていただくということで、受付の初年度の処理可能数を増加させるということで、より多くの方の処理を促進することができる、こういうふうな取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

沼崎委員 幾つか、様々取組が行われているということで、私も少し安心いたしました。市町村に対しても積極的に取組を推進していただくようにお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。

 特別弔慰金の請求漏れを防止するためには、御遺族に対する広報というのは非常に重要だと思います。この制度を知らないために不利益が生じないような、そういった周知徹底に努めていただきたいと思います。

 そこで、以下の点についてお伺いします。

 現在、遺族への特別弔慰金申請に関する広報活動はどのように行われているのか、そういった具体的な取組手段についてお示しいただきたいのと、申請手続に関する情報は、どのような媒体、例えばホームページであるとか広報、どういった媒体を通じて今御遺族に提供されているのか。特に、高齢化が進んでいる御遺族に対して、効果的な何か広報というのは工夫をされているかどうか、その点についてお聞きします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の特別弔慰金の周知に関しましては、新聞広告による広報、それから、都道府県や市区町村の請求相談窓口あるいは協力機関におけるポスターやリーフレットによる広報を実施したということでございます。このほか、都道府県や市区町村の広報誌への掲載でありますとか、日本遺族会の方に対して制度の周知依頼ということを行ったということでございます。

 ポスターやリーフレットにつきましては、高齢の方が多いということも踏まえまして、国立病院機構でありますとか、あるいは年金事務所の方に御協力をいただいて、掲示や配布を行ったということでございます。

 次期の特別弔慰金につきましても、こういった取組によりまして、積極的に広報を行っていきたいというふうに考えております。

沼崎委員 是非、御高齢の方の目の届きやすいところで広報をしていただきたいと思います。

 次の質問に移らせていただきます。

 戦後八十年の節目を迎えるに当たって、御遺族への弔慰を表する方法、また、戦争の記憶を後世に伝えることについてお伺いします。

 戦争によって命を落とされた方々の御遺族に対して、弔慰金も非常に大切な支援の一つではありますが、御遺族の心情に寄り添う上で、戦争の記憶を風化させないということも大切と思います。この点は、未来に向かって平和を構築していく上でも非常に大切だと私自身も強くお訴えをしたいと思います。

 そこで、以下の点についてお伺いします。

 遺族への弔慰を表すために、弔慰金以外にはどのような支援や取組が行われてきましたか。具体的な取組についてお示しください。

福岡国務大臣 戦没者の御遺族に対しましては、御遺族に対する特別弔慰金の支給に加えまして、これまでに、戦没者等の妻に対する特別給付金や戦没者の父母等に対する特別給付金の支給などを取り組んできたところでございます。また、戦没者遺族等に対する援護施策の観点から、戦没者の遺骨収集であったり、慰霊巡拝などの慰霊事業などにも力を入れて取り組んでまいりました。

 本年は、御承知のとおり、戦後八十年の節目の年でございます。引き続き、援護施策に着実に取り組んでまいりたいと思います。

沼崎委員 戦争の記憶を後世に伝えるということは、非常に平和の重要性を理解する上でも欠かせないことだと思います。特に、本年は戦後八十年ということでもありますので、それを祈念した何か継承の取組がございましたら、お示しいただきたいと思います。

福岡国務大臣 戦後八十年を迎える中で、戦争を体験された方がだんだん少なくなられていく中で、改めて戦没者とその遺族の方に対する弔慰の意を表しつつ、広く国民が戦争の記憶を共有、継承し、現在そして未来に生かしていくという御指摘は、大変重要なことだというふうに思っております。

 このため、御審議いただいている法案に基づく特別弔慰金の支給の継続に加えまして、令和七年度予算案には、戦没者遺児による洋上慰霊の実施であったり、また、教育現場などで次世代への戦争に関する記憶の継承を行う平和の語り部事業の充実、また、戦後八十年に際したシンポジウム等の実施、また、ペリリュー島などにおける遺骨収集の推進に向けた予算を盛り込んでおりまして、予算が成立した暁には、これらの取組を着実かつ全力で進めてまいりたいと思います。

沼崎委員 時間になりましたので終わりますが、是非、私自身も、先日、千鳥ケ淵で遺骨収集の受取、初めて同席させていただきましたけれども、改めて戦争の悲惨さというのを訴えて、引き続き、平和な日本を築いていくために私自身が尽力していくことをお誓いして、質問を終わりたいと思います。

 本日はありがとうございました。

藤丸委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 戦後八十年の節目にこの法案と向き合うことによって、弔慰とは何か、私自身も考えを深めるきっかけとなりました。十分という短い時間ではございますが、福岡大臣と一緒に考えていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、当然なんですが、私も福岡大臣も、実際の戦争というのは経験していないわけです。そんな我々が今、日本の政治家であり、そして今日も、ここ国会にいるわけなんですけれども、私の戦争体験というのは、徴兵された祖父から聞かされる話でした。祖母からも、子供ながらに空襲から逃げ惑ったというような話をよく聞きました。

 ここで聞きたいんですけれども、大臣がこれまで見聞されてきた戦争体験についてお知らせください。

福岡国務大臣 私の場合、両親が戦前の生まれでありまして、また、親族等にも戦地で亡くなられた者が多数いるということもあり、小さい頃から、戦争の悲惨さであったり平和の大切さについては、いろいろな方からお教えをいただいてきたところであります。

 ただ、やはり戦後八十年たつ中で、そういったいろいろな体験を持ってお教えいただいてきた方々が少しずつ減ってきておられるというのは現実として感じているところですから、先ほど来申し上げているように、平和の語り部事業、実際にそういった見聞きした人の体験をしっかり後世に引き継いでいく取組というのを進めていくということは、大変重要なことだというふうに考えています。

 私、厚生労働大臣に就任する前に、自民党の遺骨収集推進の特命委員会の委員長というのもさせていただいておりました。そういう意味でいうと、遺骨の収集の推進、こういったのも大事なことだというふうに思っております。

 大臣就任後も、昨年十一月に千鳥ケ淵戦没者墓苑において行われた戦没者の御遺骨の引渡式に出席をさせていただいたり、また、本年一月、閣僚懇談会において、戦後八十年を迎えるに当たり、各府省庁に対する政府建立戦没者慰霊碑への訪問のお願いなどを行ってきたところでございます。

 これらの取組を通じまして、国内外の戦没者の方々の慰霊と平和への思いを改めて強く認識するとともに、一日も早く戦没者の御遺骨を収集し、御遺族にお返ししたいというふうに考えております。

八幡委員 大臣から自分の言葉で答弁いただいたことと、そして、大臣も政治家としての立場で、戦争、そして特に戦没者、遺族の皆様と向き合ってきたということは伝わってまいりました。

 私の祖父は耳に障害があったんですけれども、それでも徴兵されていて、もしかしたら自分で志願したのかもしれないんですけれども、そのことに祖父はすごい誇りを持って、ずっと話してきていて、祖父が語る言葉というのはどこか勇ましさというのがあって、子供ながらに、こんなふだん穏やかなおじいちゃんが戦争の話になると変わるんだなというのを、当時小学生だった私の心にはすごく強く印象が残っているんですね。戦争というものは、何もかもやはり価値観を変えてしまうのかなとかというのも子供ながらに感じたんですが、そんな祖父や祖母がいたからこそ、生き残ったからこそ、今も私、ここに立っていると思うんですけれども。

 改めて、国が戦没者の遺族に対して弔慰の意を表すことは大切だと私も考えています。今回の法改正に反対する理由というのは、私はないと考えています。ただし、同時に、残された問題にも我々政治家は向き合う必要があると考えています。

 冒頭、大臣の戦争体験の話も聞いたんですが、やはり忘れてはいけないのは、私も、そしてここにいる皆さんもそうなんですけれども、実際戦争を自分の目で見ていないということだと思うんです。だからこそ、様々な人の意見を聞かなければいけない。

 今残っている大きな問題は、原爆で亡くなった方や空襲被害の補償についてです。

 昨年、日本被団協は、戦争の被害は国民が受忍しなければならないという日本政府の主張にあらがって、ノーベル平和賞の授賞式で、原爆被害は戦争を開始し遂行した国によって償われなければならないとスピーチをされて、被爆者援護法だけではない、原爆投下によってお亡くなりになった方への補償がされていないという問題についても、広く国民に問題提起をするきっかけとなりました。

 そして、今月十日、東京大空襲から八十年目を迎えました。この空襲による死者というのは一晩で十万人以上、罹災者は約三百万人とされています。これら民間の空襲被害者らの救済に関して、石破総理が先日の予算委員会で、歴代の総理よりも踏み込んだ答弁をされているんですね。次の時代に対する責任として行政が判断しなければならない問題だとも強調されていて、戦後八十年の節目を控えて、救済へ新たな動きがあるんじゃないかと国民の関心が集まっていると思います。

 そしてまた、東京都世田谷区、保坂展人区長が今月二十一日に、見舞金の創設も含めた民間の空襲被害者への独自支援を検討すると表明されていて、都内の自治体では異例とのことなんですけれども、私は、やはり、こういうのこそ、見舞金のそういう姿勢、国としての姿勢、これはやはり国がやっていくべきだと考えるんですが、戦後八十年という節目、それぞれがどう捉えるか、国民も注目しています。

 その中で、民間人への補償について、福岡大臣、どうお考えになられているのか、教えてください。

福岡国務大臣 まず、さきの大戦におきましては、全ての国民の方々が何らかの戦争の犠牲を被って、一般の市民の方々の中にも、筆舌に尽くし難い御苦労を体験された方が多数おられるということは承知をしております。政府としては、これまでも、一般戦災者に対しまして、一般の社会保障施策の充実などを図る中で福祉の向上に努めてきたところでございます。

 現在、超党派の議連において、御指摘ありましたように、予算委員会での総理とのやり取りを私もつぶさにずっと拝見してまいりました、その中でもずっと総理も答弁されていましたが、超党派の議連において、今、空襲被害者に対する特別給付金の支給、実態調査等を内容とする議員立法が議論されているというふうに承知をしております。引き続き、その動向を注視してまいりたいと思います。

八幡委員 ありがとうございます。

 れいわ新選組としても、その議員立法には関わっていますので、しっかり超党派として、この八十年という節目で引き続き訴えていきたいと思います。

 れいわ新選組は、国として犠牲者への国家補償を行うことを求めております。空襲被害者の救済法案の給付対象者は推定で四千六百人、予算は二十三億円程度なんですね。一方で、今年度の防衛関係予算、八兆七千五億円を計上されておりますし、また、今回の戦没者特別弔慰金支給法改正案では、該当者の総数は約五十七万人、特別弔慰金支給の総額は約一千五百六十八億円と見込まれております。本当に、民間人の被害にも弔慰の意を今こそ示すべきだと思います。すぐにでもやっていただきたい。それができる金額だと私たちは思っております。

 戦後八十年目を生きる我々ができる最大の弔慰というのは、やはり戦争の記憶を忘れないこと、風化させないことであると考えております。戦争を体験した世代が少なくなる中、戦後九十年に向けて、戦前や戦後のこの国の歩みを次世代に伝えていくために、厚生労働省の具体的な取組についてお伺いしたいです。お願いします。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 戦後八十年を迎え、戦争を体験された方が高齢化の進む中で、その体験した記憶を確実に次の世代に受け継ぐということが重要であると考えております。

 厚生労働省といたしましては、令和七年度予算案におきまして、戦争の悲惨さや平和の尊さを伝えていくことを目的として、教育現場などで次世代への戦争に関する記憶の継承を行う平和の語り部事業というのを大幅に拡充するという予定でございます。

 また、国民が経験した戦中戦後の労苦を伝える展示施設であります昭和館でありますとか、それから、戦傷病者の方とその御家族の御労苦を伝える展示施設、しょうけい館というふうなところで展示をしてきているところでございます。

 引き続き、この八十年という機会を捉えまして、改めて弔慰の意を示しつつ、広く国民が戦争の記憶を共有、継承して、現在それから未来に生かしていくことができるように取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

八幡委員 子供たちに戦争を伝えていくための伝承事業というのは当然重要だと思います。先ほどおっしゃったことを是非是非遂行していただきたい。

 ですが、一昨年、広島市教育委員会が平和学習教材に引用掲載してきた漫画「はだしのゲン」が削除されましたよね。原爆の悲惨さを伝える作品として国内外で評価が高く、核をめぐる状況が深刻さを増す今こそ、読み伝えるべきだと私は考えるんですが、この国は、本当に、未来を担う子供たちに戦争体験というのを継承していくことができるのでしょうか。

 最後に、大臣、一言お願いします。

福岡国務大臣 今、ずっと委員も御指摘いただきましたように、戦争の体験をしっかり後世に伝えていくということは極めて重要だというふうに思っております。

 御指摘のその書籍の取扱い等につきましては、直接の所管ではございませんので、お答えは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、様々な方々が本当に筆舌に尽くし難い御経験をされた、それをしっかり後世に引き継いでいく取組をしっかり進めてまいりたいと思います。

八幡委員 日本には、本当に戦争の悲惨さを伝える作品とかというのはたくさんあります、映像作品も含めてですが。それらの表現を削るのではなくて、より子供たちに伝えていく、悲惨だから見せないというのではなくて、より伝えていくということが今必要だなと思って、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 法案について質問します。

 特別弔慰金の支給で、相続人ではなくて三十歳代の受給者がいると伺いました。これは軍人軍属だった方が戦後数十年を経て亡くなられて、そして公務死亡が認められたということです。

 このように、戦後長い期間を経て亡くなられ、そして被爆などで公務性が認められた例について紹介をしていただけますか。

福岡国務大臣 戦傷病者戦没者遺族等援護法における事例となりますが、学校報国隊員として工場等で勤務に従事をされていた際に原爆被爆をされ、令和になってからがん等により亡くなられたという事例がございます。このほか、例えば結核など、戦争中にかかった病気が原因で最近になってから亡くなられた場合には、公務による死亡であると認められる場合もあるというふうに承知しておりますが、いずれにしても、まれなケースであるというふうに承知をしております。

田村(貴)委員 軍人軍属、それから内地で軍に従事していた人、動員学徒、先ほど学校報国隊員といいますから、若い方で戦争の犠牲になった方がおられて、しかも、長崎とか広島におられて被爆した人、それから原爆投下後に入市被爆した人、こういう方がその後がんなどで亡くなった場合も弔慰金支給の対象になるということであります。私も改めて認識をしたところであります。太平洋戦争の被害の重さを改めて感じたところです。

 大臣、被爆によって健康を害して、そして様々な苦労をされてこられた方々です。国としてしっかり弔慰を示さなければならないと思いますが、弔慰金の制度そのものが周知されずに、申請していない方もいます。しっかり周知を行って、受給権があるのに支給漏れがないように努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 特別弔慰金の制度周知につきましては、前回におきましても、新聞広告による広報でありますとか、自治体における請求相談窓口あるいは協力機関にポスターやリーフレットを置くといったことのほか、自治体の広報誌への掲載依頼、それから日本遺族会に対して制度の周知を依頼する、こういった様々な周知の取組を行ってきているところであります。

 今回の弔慰金につきましても、こういった形で幅広くしっかりと周知を行っていきたいというふうに考えております。

田村(貴)委員 しっかり対応していただきたいと思います。

 次に、戦後処理の問題として、戦争によるPTSD、心的外傷後ストレス障害の問題について質問します。

 戦地から帰ってきた父が無口になってしまったであるとか、無気力になって定職に就かず家が貧しかったとか、酒に溺れて家族にひどい暴力を振るう等々、戦争は復員兵に対して戦争トラウマという深刻な問題を引き起こしてきました。戦争によるPTSDの当事者や家族の経験、苦しみを明らかにし、将来に引き継いでいくということは大変重要だと思います。

 一昨年の三月、我が党の宮本徹議員の質問に、加藤厚労大臣は、しょうけい館によって家族の体験や専門家の成果を調査するというふうに答弁されました。その後、どうなっているでしょうか。

福岡国務大臣 心の傷を負われた元兵士の方であったりその御家族の方々の実態を語り継ぐことは、戦傷病者とその御家族が戦中戦後に体験した御労苦を次の世代に伝えていくためにも大変重要であるというふうに認識をしております。

 このため、昨年、二〇二四年のしょうけい館運営有識者会議におきまして、心の傷を負われた兵士の展示に関して御議論いただき、今年度、しょうけい館において展示を行うための調査を実施してございます。

 これまでのしょうけい館の展示は、戦地で身体に傷を負われた方に関する展示が中心となってございまして、心の傷を負われた元兵士やその御家族の御労苦の展示が行われるということは大変少のうございましたが、本調査結果を踏まえ、来年度にこうした方々の展示を行うことができるよう、対応を進めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 アジア太平洋を戦場とした太平洋戦争で、日本軍は七百万人余りの兵士を戦場に送りました、戦地に送りました。

 上智大学の中村江里教授によりますと、日本陸海軍の戦病者のうち、一九四二年から四五年に発生した精神病その他の神経症は約六十七万人とされています。調査は戦傷病の認定を受けた兵士に限定されるということでありますけれども、多くの復員兵は、何の支援も受けないままに復員して、地域で戦後生活を送ってきました、そして送っている方がおられます。

 太平洋戦争における戦争PTSDの実相を把握する上で、戦傷病の認定を受けていない元兵士の方も対象に調査をすることが必要ではないかと考えますが、いかがですか。

福岡国務大臣 心の傷を負われた元兵士の方やその御家族の実態を語り継ぐということは大変重要でございますが、戦傷病者と認定をされていない元兵士の方々については、戦後八十年が経過し、さきの大戦で帰還した兵士の多くの方がお亡くなりになっている中、戦争とその症状の因果関係の判断が大変難しいなどの課題があるものと認識をしております。

 このため、まずは戦傷病者を対象とした調査を確実に展示につなげることが重要であると考えてございまして、来年度にはしょうけい館において、心の傷に関する新たな展示を実施することを予定しております。

田村(貴)委員 そのしょうけい館の企画展や常設展の具体化がもう既に進んでいるわけですよね。そして、進行している中であるからこそ、戦傷病の認定を受けていない方も、裾野を広くやはり調べる必要があるというふうに考えております。

 そして、兵士の家族の調査も、今大臣言われましたけれども、私は不可欠だというふうに思っております。PTSDの全容と家族の影響を明らかにするためにも、家族への聞き取り、これを具体化していかなければいけないんじゃないですか。

 既に多くの方がもうお亡くなりになっていると思います。その子供さん、あるいは家族の方の聞き取りも必要だと考えますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 心の傷を負われた戦傷病者の方々の御遺族についても、様々な御労苦があったものというふうに考えております。

 このため、こうした御家族の御労苦につきましては、今年度、しょうけい館が実施いたしました調査においても、御家族も含めた体験記等を収集をさせていただいております。

 体験記等の内容も踏まえまして、来年度からしょうけい館において、心の傷を負われた戦傷病者や御家族の御労苦に関する新たな展示を行うことを予定してございまして、こうした御労苦についても着実に記憶の継承を図ってまいりたいと思います。

田村(貴)委員 戦傷病以外の元兵士の聞き取りというのは、これは検討されませんか。いかがでしょうか。

福岡国務大臣 御指摘のような、戦傷病者と認定されていない元兵士に関する更なる取組につきましては、こうした新たな展示の開始後、展示内容等を専門家等にも御覧いただきながら、その実現の可否も含めまして、どのようなことができるか検討してまいりたいと思います。

田村(貴)委員 日本公認心理協会会長でカウンセラーの信田さよ子さんがこのように述べておられます、日本のDVの源泉は戦争ではないかと。戦争と家庭内暴力が初めて結びついて、はっとさせられました。数多くの戦争復員兵とそして家族内における暴力、これを聞き取りして、日本のDVの源泉は戦争ではないかと言われた。私もこの言葉にはっとさせられました。

 DV被害を見たり受けて育った人がDVの加害者になる、この負の連鎖という問題もあります。その連鎖のルーツをたどっていけば、戦争につながる。だからこそ、戦争トラウマ、PTSDは今日的問題でもあろうかと思います。

 現に、自衛隊の海外派遣によって、様々なやはり心の病を受ける方もおられます。こうした視点も持って、戦争PTSDの問題を広く深く広めて、対策をしていただきたいというふうに思います。

 以上で質問を終わります。

藤丸委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 この際、本案に対し、井坂信彦君外一名から、立憲民主党・無所属提案による修正案が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。井坂信彦君。

    ―――――――――――――

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

井坂委員 ただいま議題となりました戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者として、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。

 第一に、特別弔慰金の支給の在り方の見直しについてです。

 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金については、これまで、戦後二十年に当たる昭和四十年から十年ごとに支給に関する立法措置が講ぜられてきたところです。終戦から今年で八十年を迎えるからといって、遺族の悲しみが消えるわけではなく、戦没者等の尊い犠牲に思いを致し、遺族に弔慰の意を表することは極めて重要であります。

 他方で、現在の厳しい財政事情の下、特別弔慰金の国債償還に係る財政負担は、令和八年度において二百八十億円と見込まれています。また、特別弔慰金の国債は受給者の財産となることから、本来支給対象者ではない相続人が特別弔慰金を受け取るケースが増加することも考えられます。この点は、前回の改正時において既に指摘されていたことであり、参議院厚生労働委員会の附帯決議では、国として弔慰の意を表する方策について検討を行うことが求められていました。

 そこで、本修正案では、特別弔慰金の二回目の支給に関する規定を削除し、額面二十七万五千円、五年償還の国債を一回のみ支給することとした上で、その償還期限が来る五年以内に、戦没者等の遺族に対する弔慰の意を表すための方策について検討を加え、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、必要な措置を講ずることを政府に義務づけることとしております。

 第二に、特別弔慰金を受け取る権利の裁定に関する措置についてです。

 特別弔慰金を受ける権利の裁定に係る厚生労働大臣の事務は、都道府県知事が行うこととされていますが、その裁定に関する基準が都道府県ごとにばらつきがあるのではないかとの指摘がございます。

 そこで、本修正案では、都道府県知事が行うこととされている特別弔慰金を受ける権利の裁定に関し、統一的な運用が図られるよう必要な措置を講ずることを政府に義務づけることとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容の概要であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

藤丸委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。岡本充功君。

岡本(充)委員 私は、立憲民主党を代表して、ただいま議題となっております戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の支給法の一部を改正する法律案につき、立憲民主党提出の修正案及び修正部分を除く原案について賛成の立場から討論をいたします。

 苛烈を極めたさきの大戦で多くの方が亡くなりました。その中でも軍人軍属さらには準軍属に対しては、昭和二十八年に軍人恩給が復活してからは、恩給法による公務扶助料、軍人援護法による遺族年金等の年金のほか、一時的な給付としての弔慰金が支給されてまいりました。

 しかしながら、戦後、時を経るにつれ、受給権者の死亡や再婚等により、遺族でありながら公務扶助料や遺族年金等の受給権がない方が相当数いることが問題となってまいりました。

 その中で、昭和四十年に、国として弔慰を示すため特別弔慰金を支給することとし、公務扶助料や遺族年金等の受給権を有する遺族がいない場合に限り特別弔慰金を支給すること、こういうこととなったわけです。以来、十年ごとに特別弔慰金を支給する立法措置が六十年にわたり続いてまいりました。戦没者等の尊い犠牲に思いを致し、遺族に弔慰の意を表することは極めて大切です。

 他方で、特別弔慰金の国債償還に係る財政負担は令和八年度で二百八十億円と見込まれ、本来支給対象ではない相続人が特別弔慰金を受け取るケースが増えることも予想されます。この点は、十年前の改正時に参議院で指摘をされており、国として弔慰の意を表す方策について検討を行うことが求められてまいりました。

 そのため、今回、この修正案においては、この点を踏まえ、戦没者の遺族に対する弔慰の意を表す方策について検討を加え、その結果に基づいて、国民の理解を得つつ、必要な措置を、期限を設け、五年以内ということで講ずることを求めるものになっています。

 当委員会でも、既に厚生労働省は調査を行ったと言われてはおりますけれども、その調査対象や調査方法、こういったものに偏りがあったのではないかということを指摘をされておりますように、十分であったとは言えないと考えています。

 また、特別弔慰金を受ける権利の裁定に係る厚生労働大臣の事務は、都道府県知事が行うこととされていますが、その裁定に関する基準が統一的な運用なのかは、委員会審議の中では判然となりませんでした。したがって、統一的な運用になるよう必要な措置を講ずることを政府に今修正案では義務づけるものとなっています。

 納税者の理解を得ながらこの制度を存続するために必要な措置として、私たちはこれに賛成をしたいと思っています。

 いずれにしましても、今の日本の平和と繁栄は、さきの大戦で亡くなられた方々や、筆舌に尽くし難い苦難を乗り越えてこられた皆様方があってのものであります。さきの大戦で亡くなられた全ての方々へ哀悼の意を表するとともに、今、この戦争の体験を風化をさせないことこそが、そしてまた二度と戦争を繰り返さないことが、こうした皆様方への最大の弔慰を示すことであることを意見表明し、私の討論とさせていただきます。(拍手)

藤丸委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 私は、日本共産党を代表して、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法改正案、同修正案に対する討論を行います。

 まず、政府提出案についてです。戦没者等遺族特別弔慰金法による特別弔慰金の引上げ及び延長措置は、戦没者等の遺族が受けた労苦に鑑み必要な改正であり、賛成です。

 立憲民主党提案の修正案は、特別弔慰金の支給を二〇二五年度一回とした上で、二〇三〇年以降の特別弔慰金支給について方向性が示されておらず、特別弔慰金支給が維持されるのかが明確でないため、反対とします。

 以上です。

藤丸委員長 以上で討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、井坂信彦君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

藤丸委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

藤丸委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 この際、本案に対し、長坂康正君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及びれいわ新選組の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。長坂康正君。

長坂委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。

 一 特別弔慰金の支給に当たっては、遺族の高齢化等を踏まえ、請求手続について必要な支援に努めるとともに、制度の周知等の請求漏れ防止策を徹底すること。

 二 特別弔慰金を受ける権利の裁定に当たっては、都道府県によって差が生じることなく、全国で引き続き統一的な運用が図られるよう必要な措置を講ずること。

 三 特別弔慰金の支給については、年三百億円以上の予算を計上する見込みであること、受給者の国債を相続した者が特別弔慰金の趣旨に照らして真に国が弔慰の意を表すべき者とは必ずしも限らないこと等に鑑み、戦後九十年に向けて、戦没者等の遺族の心情等を踏まえつつ、国として弔慰の意を表する方策について、支給対象者や支給方法の在り方も含めた検討を行い、国民の理解と支持を得た上で必要な措置を講ずること。

 四 戦後八十年を迎え、先の大戦の記憶が風化しつつある現状に鑑み、当時の記憶及び教訓を次世代に継承していくため、学校教育の充実並びに啓発及び広報等の取組の更なる強化を図ること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

藤丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

藤丸委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、福岡厚生労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福岡厚生労働大臣。

福岡国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして努力してまいります。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

藤丸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十四分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.