第7号 令和7年4月4日(金曜日)
令和七年四月四日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
安藤たかお君 草間 剛君
後藤 茂之君 佐々木 紀君
塩崎 彰久君 鈴木 隼人君
田畑 裕明君 田村 憲久君
根本 拓君 長谷川淳二君
平口 洋君 深澤 陽一君
福田かおる君 松本 尚君
森下 千里君 吉田 真次君
東 克哉君 大塚小百合君
大西 健介君 小山 千帆君
酒井なつみ君 宗野 創君
堤 かなめ君 長谷川嘉一君
宮川 伸君 山井 和則君
柚木 道義君 阿部 圭史君
池下 卓君 猪口 幸子君
福田 徹君 森ようすけ君
沼崎 満子君 浜地 雅一君
八幡 愛君 田村 貴昭君
…………………………………
議員 岡本 充功君
議員 浅野 哲君
厚生労働大臣 福岡 資麿君
厚生労働副大臣 仁木 博文君
厚生労働大臣政務官 安藤たかお君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官) 内山 博之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 岡本 利久君
政府参考人
(厚生労働省医薬局長) 城 克文君
政府参考人
(厚生労働省保険局長) 鹿沼 均君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
四月四日
辞任 補欠選任
福田かおる君 松本 尚君
池田 真紀君 東 克哉君
中島 克仁君 小山 千帆君
同日
辞任 補欠選任
松本 尚君 福田かおる君
東 克哉君 池田 真紀君
小山 千帆君 中島 克仁君
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四月三日
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
医療法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二一号)
は本委員会に付託された。
四月三日
健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案(第二百十六回国会衆法第二三号)の提出者「中島克仁君外八名」は「中島克仁君外九名」に訂正された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案(中島克仁君外九名提出、第二百十六回国会衆法第二三号)
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○藤丸委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案及び第二百十六回国会、中島克仁君外九名提出、健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
順次趣旨の説明を聴取いたします。福岡厚生労働大臣。
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医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○福岡国務大臣 ただいま議題となりました医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。
不正事案の発生等に伴う医薬品の供給不足や創薬環境の変化等が生じる中、引き続き品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供していくことが重要な課題となっています。
こうした状況を踏まえ、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化、医療用医薬品等の安定供給体制の強化等、より活発な創薬が行われる環境の整備、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等を通じて、品質の確保された医薬品等の国民への迅速かつ適正な提供を図るため、この法律案を提出いたしました。
以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。
第一に、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化を図るため、製造販売業者に対して、医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者の設置を義務づけます。また、製造販売業者又は製造業者において法令違反等があった場合に、厚生労働大臣が、薬事に関する業務に責任を有する役員の変更を命ずることを可能とします。
第二に、医療用医薬品等の安定供給体制の強化等を図るため、製造販売業者に対して、特定医薬品供給体制管理責任者の設置及び特定医薬品の出荷停止時の届出を義務づけるとともに、製造販売業者等に対して、重要供給確保医薬品等の供給不足の発生を未然に防止するための措置や増産の指示等を行うことを可能とします。また、後発医薬品の安定的な供給の確保を支援するための基金を設けます。
第三に、より活発な創薬が行われる環境の整備を図るため、条件付承認制度を見直し、臨床的有効性が合理的に予測可能である場合等の承認を可能とします。また、医薬品の製造販売業者に対して、小児用医薬品開発の計画策定を努力義務とします。加えて、革新的な医薬品等の実用化を支援するための基金を設けます。
第四に、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等を図るため、調剤業務の一部の外部委託を可能とします。また、指定濫用防止医薬品の販売方法に関して、若年者に対しては適正量に限って販売すること等を義務づけます。
最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、公布の日から六月を超えない範囲内で政令で定める日としています。
以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。
御審議の上、速やかに可決していただくことをお願い申し上げます。
○藤丸委員長 次に、岡本充功君。
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健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○岡本(充)議員 ただいま議題となりました健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律の一部を改正する法律案、通称、医薬品不足を解消するための中間年改定廃止法案につきまして、提出者を代表いたしまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
薬価の見直しは、従来、診療報酬改定に合わせて二年に一回行われてきました。しかし、平成二十八年の四大臣決定を契機にして、診療報酬改定のない年にも薬価乖離、価格乖離の大きな品目を対象に薬価改定、いわゆる中間年改定が行われており、それまでの二年に一回行われていた薬価改定と比較して薬価の急激な引下げが行われています。
この薬価の中間年改定は、医薬品産業の賃金競争力を低下させ、業務負担を増加させるといった悪影響を及ぼしています。その結果、離職者が増加するといった事態を招き、医薬品産業の基盤が大きく揺らいでおります。また、薬価が削られやすい傾向にあることが昨今の医薬品不足やドラッグロスの要因にもなっています。
このような状況を踏まえ、薬価引下げの要因となっている中間年改定を廃止することにより、医薬品の安定供給、イノベーション創出の基盤を強固にし、国民に品質の高い医薬品を安定して供給できるようにするため、本法律案を提出いたしました。
以下、本法律案の概要を御説明いたします。
本法律案は、厚生労働大臣の裁量に委ねられている診療報酬改定の改定時期を法律に位置づけ、診療報酬の基準は二年ごとに必要な改定を行うことを原則とすることを法律上明確化することとしております。
以上が、本法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ御賛同いただきますようよろしくお願い申し上げます。
○藤丸委員長 以上で両案の趣旨の説明は終わりました。
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○藤丸委員長 この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房医薬産業振興・医療情報審議官内山博之君、大臣官房審議官岡本利久君、医薬局長城克文君、保険局長鹿沼均君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江澤正名君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○藤丸委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。古賀篤君。
○古賀委員 おはようございます。自由民主党の古賀篤でございます。
本日は、自民党として六十分、質疑の時間をいただきまして、前半三十分、私が質問させていただきます。
また、現在、この厚生労働委員会で理事を仰せつかっておりますが、藤丸委員長を始め理事の皆様、また委員の皆様方には、大変御指導いただいていることをこの場をかりて心から感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。
まず一つ目でありますが、今回のこの法案の柱の一つであります、医療用医薬品等の安定供給体制の強化について伺いたいと思います。
振り返りますと、冬を中心に、コロナが長く続いた後にもインフルエンザ等がはやる中、薬が足りないということが大変ちまたでも大きな問題となりました。薬局であったり、また患者の方が、薬が手に入らない、こういった切実な声をいただいてきたところであります。
数字で見ますと、現在、医療用の薬品、約二〇%が限定出荷であったり停止の状態であるというふうに聞いております。ちょっと前は二五%だったということなので少し下がってはおりますが、まだまだ数字は高い。この数字が下がっていくことが大変大事だというふうに考えるところであります。
今回、その対策として、医療用医薬品から製造販売又は販売の状況を把握する必要がないものを除いた特定医薬品ということを定義づけて、この医薬品を対象に、供給不安の報告であったり供給状況の報告を求める、こういったことが規定されているほか、実際、供給不足時等における製造販売業者あるいは卸売販売業者等に対する増産であったり販売調整等の協力要請、また薬局、病院等に対しては調剤、処方に対する配慮等の協力要請を法制化しているというふうに理解しております。
また、今申し上げました特定医薬品の一部を供給確保医薬品として医療法上定義づけた上で、その中でも安定的な供給確保を図ることが特に重要なもの、これを重要供給確保医薬品ということで、供給の不足の蓋然性が高い、国民の生命、健康に重大な影響を与えるおそれがある場合には、増産、原薬の調達先の確保等の安定供給確保の措置の指示を出すということになっておりまして、指示に従わない場合の企業名の公表措置であったり、また一方で、増産等に必要な財政上の措置について規定されていると理解しております。
この薬をめぐる状況を考えますと、先ほど大臣がおっしゃられたように、不正事案が発生して供給が不足している、この背景を考えますと、今、ジェネリック医薬品の普及が八割を超えると言われているような中で、製薬の企業の収益の面であったり生産体制を考えますと、こういった措置を設けても、果たして本当に企業の方はしっかり対応できるのかという心配を持つわけでありますが、今申し上げましたいろいろな法制化の部分、これの実効性を確保するためにどういった取組あるいは考えで臨む必要があるのか、伺いたいと思います。
○内山政府参考人 お答えいたします。
御指摘の協力要請等の規定は、現在も厚生労働省が供給不安の事案を確認した際に行っている一連の対応を、法律の根拠を持って行うことができるようにするものでございます。これまでも、企業に対する増産の働きかけや増産体制への補助等により、様々な関係者に御協力いただき、供給不足への対応を行ってきたところでございます。こうした企業に対する増産の働きかけを法律の根拠を持って行うことによりまして、更に実効性のある取組にできるものというふうに考えてございます。
加えまして、医薬品の安定供給は、こうした協力要請の規定のみをもって達成できるものではありませんで、後発医薬品業界における少量多品目生産の解消に向けて、企業間の連携、協力、再編を後押しをするための基金の造成、供給体制管理責任者の設置を始めとする製薬企業における安定供給体制の整備等の各種施策と相まって、その効果を発揮するものというふうに考えてございます。
引き続き、様々な関係者に御協力いただきつつ、市場全体として安定供給体制が確保されるよう取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○古賀委員 今の内山審議官から御答弁いただきました中で、基金という話を触れていただいたところであります。
今回、この法案においては二つ基金の設置が規定されているわけでありますが、その一つが、今おっしゃられた後発医薬品製造基盤整備基金というものだと理解しております。
これから、今おっしゃられたようなジェネリックを中心としたいろいろな構造改革を進めていく、これは五年間というような期間を設けて集中的にやっていくというふうに伺っているところであります。それとの関係で、恐らく基金も五年というような期限を設け、さらには、施行後三年をめどとして検討をするというような規定も置かれていると承知しております。
また一方で、この基金は令和八年からなんですけれども、その前の段階として、既に令和六年度の補正予算では七十億の措置もされていると理解しておりますが、この補正も含めて、どういった狙いでこの基金をしっかり運用していくのか、ポイントのところも含めて、是非伺いたいと思います。
○内山政府参考人 御指摘いただきました後発医薬品製造基盤整備基金につきましては、後発医薬品産業における供給不安の原因の一つとして指摘されています少量多品目生産の構造の解消に向けて、企業間の連携、協力、再編を後押しするために、五年間の期限を設け、設置することとしたものでございます。
既に後発医薬品業界におきましては、各社が独自に、例えば、複数企業でコンソーシアムを形成し生産拠点の整備等を実施するモデル、あるいは、ファンド傘下にある企業間で連携し品目を集約するモデル、そして、自社の生産能力を生かし他社から依頼のあった自社品を増産するモデル等、品目統合や事業再編に向けた取組方針が公表されているところでございます。
政府としましては、これも御指摘のございました令和六年度補正予算におきまして、本基金と同趣旨のモデル事業を実施しているところでございまして、まずは、この事業によりまして、こうした後発医薬品業界の品目統合、事業再編の動きを後押ししてまいりたいというふうに考えてございます。
その上で、本法案が成立した場合には、モデル事業の実施状況等も勘案しつつ、今後の予算編成過程で必要な基金のための予算を要求する方針でございます。
この基金の活用によりまして、更にこうした業界の動きを後押しし、後発医薬品産業全体の生産性の向上、そして安定供給の確保を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
○古賀委員 今答弁いただいたように、ジェネリックの業界というのはやはり小さい企業が多くて、そういう中で、なかなか設備投資も難しい、あるいは、生産体制をどう拡大するのか、こういった課題があるんだと理解しております。そういう意味では、いろいろな法制化でルールを設けるとともに、やはりいろいろな、お金の面ですね、財政的な後押しをするその取組、体制は大変大事だと思っております。
一方で、昨今、基金に対してはやはりいろいろな厳しい声もありますので、今回この基金を設けるに当たっては、この法案を見ますと、いろいろなルールを設けられているなということも見て取れるわけであります。国庫返納だったり、期間があったり。そういう意味では、国会報告もあるんですかね。ですから、しっかり運用していただく中で、いい報告が伺えるといいなというふうにも思っております。
そして、厚生労働省に是非お願いしたいのは、いわゆる産業振興みたいな面では、これから厚労省もより旗を振っていただきたいなと思っております。どうしても監督だったり、そういうところも、どうしても厚労省といえばそういうイメージがあるんですけれども、やはりこの業界が振興していくことが国民の健康を守るということにつながるんだという理解をしておりますので、是非、厚生労働省がしっかり先頭に立って、この業界再編を始め、薬の供給が安定化するような取組を是非お願いしたいと思っております。
続きまして、三つ目でございますが、医薬品の過剰摂取、特に若者がオーバードーズ、これが大変問題になっているということで伺いたいと思います。
今回のこの法案におきましては、乱用等のおそれがある医薬品を指定濫用防止医薬品として、薬剤師あるいは登録販売者の方が販売時に、購入者が若者の場合には氏名や年齢、またそれ以外にも、ほかの店でどういう購入をしているのか、購入状況、また複数購入の場合には購入の理由、こういったことを確認した上で情報提供するというふうにされております。そして、その情報提供というのは、この改正法案、具体的には第三十六条の十一において、厚生労働省令で定める事項を記載した書面を用いとなっております。また、あるいは電磁的な記録ということになっているわけであります。
指定濫用防止医薬品には、リスク区分でいうと第二類の医薬品も入ってくるんだと思いますが、情報提供におきましては、同じく書面による情報提供が求められている要指導医薬品であったり、第一類医薬品も同様の規定があるというふうに承知をいたしております。今申し上げた要指導医薬品、第一類医薬品と、今回求められている書面を用いてというのは同様のものなのか、あるいは違いがあるのかということ。
そしてさらに、医薬品販売においては、都道府県ごとの監視指導が行われることになるわけでありますが、今回の指定濫用防止医薬品の販売について、監視指導が都道府県ごとにばらつきが出ないか、こういったことも懸念されるわけであります。
さらには、済みません、もう一つなんですが、購入時の情報提供の今申し上げたような対応について、しっかり現場に伝わること、これも大事だというふうに思っております。こういったところの考え方について伺いたいと思います。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、指定濫用防止医薬品の販売時の情報提供につきましては、規定としては、要指導医薬品や第一類医薬品と同様に、書面を用いた情報提供を求めるということにしておりますが、その内容につきましては、当然、区分に応じたものとして考えております。
要指導医薬品や第一類医薬品におきましては、当該医薬品の名称、有効成分の名称及びその分量、用法、用量、効能、効果、使用上の注意などであることを省令で定めておりますが、指定濫用防止医薬品につきましては、不適切な使用により健康被害や依存のおそれを生じ得ることなど、乱用に係る情報提供とするということを省令で定めるということを想定をいたしております。
このように、要指導医薬品や第一類医薬品と指定濫用防止医薬品では情報提供すべき内容が異なるということでございますので、実地の情報提供におきましても、その内容や販売現場の実情に応じて、ふさわしい方法で行っていただきたいと考えておりまして、例えば、指定濫用防止医薬品では、薬局や店舗における具体的な対応としましては、別に文書の交付に限るものではなく、フリップや掲示物、製品の箱の表示等を用いることも認めるという等の、そういった方法を想定しているところでございます。
また、施行に向けましては、御指摘いただきましたように、自治体によって実施する内容や指導にばらつきが出ないよう、行政通知や講習会などを通じて、販売現場でありますとか自治体へも十分な周知を含め、関係する団体や自治体とも緊密に連携をしながら対応を進めてまいりたいと考えております。
○古賀委員 今、城局長から御答弁いただいたように、要指導医薬品であったり、あるいは第一類医薬品とはまたちょっと違う対応になってくるんだということを理解したところであります。
そういった内容の中で、やはり市販薬の乱用防止というオーバードーズ対策として、販売時において、繰り返しですが、薬剤師の方あるいは登録販売者の方がしっかり対応するということは重要であるという一方で、現場が適切に業務を行う、ワークできる、ワークする、つまり過度な負担があったり、なかなか薬を入手するのに非常に手間がかかる、当然、安全は確認しなきゃいけない部分はありますけれども、そういったバランスが大事だと思っております。
ちょっとその点について、大臣にお考えを伺えればと思います。
○福岡国務大臣 市販薬の乱用防止が重要な課題となっていることを踏まえまして、本法案では、乱用のおそれがある医薬品を指定濫用防止医薬品と位置づけ、薬剤師や登録販売者に専門性を発揮していただき、購入理由の確認など各種対応を行っていただくこととしています。
その際、今御指摘がございましたように、販売の現場において過度な負担とならないように運用していくということは大変重要だというふうに考えております。
先ほど局長からも答弁いたしましたように、例えば、書面により行うこととされている乱用に関する情報提供も、文書の交付に限るものではなく、フリップであったり、掲示物、また製品の箱の表示等を求めることも認める方向で考えております。
こうした書面での情報提供の運用も含めて、販売時の具体的な対応方法につきましては、本法案が成立した際には、この御審議の内容も踏まえまして、販売現場の対応が効果的に乱用防止につながりますよう、販売業者さんであったり、メーカー等を含めた幅広い関係者からしっかり御意見を伺いながら進めてまいりたいと思います。
○古賀委員 大臣、ありがとうございます。いろいろな意見をしっかり聞いていただけるということで安心をいたしました。
恐らく全国各地に、私の地元もそうですけれども、いろいろなドラッグストアがございまして、私も風邪を引いて薬を買いに行くこともあるわけですけれども、そういうところに行くと、登録販売者の方がおられて、丁寧に、症状であったり、あるいはどういうものを希望されるのかと聞き取っていただいて、薬を提案いただくというようなことを経験したことがございます。
やはり、いろいろな現場で薬の安全性を確保する意味での御努力をしていただいている、こういったことも厚生労働省は状況をしっかり把握していただいて、繰り返しですが、うまくワークできるように対応いただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。大臣もありがとうございます。
続きまして、四つ目でございますが、一般用医薬品のリスク区分の変更について一つ伺いたいと思います。
医療用の医薬品からスイッチOTC化の推進、これはセルフメディケーションを推進するという意味でも、重要な取組、推進だというふうに理解をしております。
その過程で、要指導医薬品から一般用医薬品へ移行する。そして、一般用医薬品の中でも、リスク区分として第一類、第二類、第三類というのがありますけれども、特に今回伺いたいのは一類から二類への分類変更についてです。こうした移行が、当然ながら、安全性が確認された上でスムーズに移行していくということは大事だというふうに思います。
スイッチOTCにつきましては、製造販売後、原則三年間の調査の実施が承認条件となっている、そして、調査期間を経過するまでは要指導医薬品となる、この期間を経過すると一般用医薬品に移行していく、こういった流れだと伺っているところであります。
そうした中で、今申し上げました一類の医薬品として、例えばH2ブロッカー胃腸薬、商品名でいうとガスター10とか、こういったものをよく耳にされると思います。あるいはロキソニンなどの解熱鎮痛剤、こういったものも一類医薬品として位置づけられているわけであります。
先ほど、ドラッグストアに行ってという話をしましたけれども、またあるときドラッグストアに行きまして、私に限らず、私はそのときちょっと発熱していたんですけれども、本当に病院にかかって診療していただくということも大事な一方で、夜だったり、あるいは休日でどうしても通常の病院は閉まっているというときに、薬で何とか対応し、週明けに、あるいは翌日に行くというやり方も十分あるわけであります。
ただ、この一類の医薬品というのは、薬剤師さんが関わらなきゃいけなくなっておりますので、その結果、なかなか、私が申し上げたようなドラッグストアに行っても、薬剤師さんがいない店舗、あるいは勤務時間外でおられないということで、薬が手に入らないというようなことも発生しているということだと思います。また、実際私が行ったときも、薬剤師さんはおられるんですが、やはりすごく混んでいて、なかなかすぐに対応いただけない、こういったことも起こったわけであります。
そういった問題意識の中から、やはりこの一類の医薬品も、いろいろな節目節目で調査いただけているのではないかと思いますが、しっかり分類変更をしていく必要があるのではないか。長く第一類医薬品に留め置かれているものがあると承知しておりますが、どういうルールになっているのか、変更のルールはどうなっているのか、また適宜、調査分析でやり方を見直す考えはあるのか、その辺を伺いたいと思うんです。
○城政府参考人 御指摘いただきました一般用医薬品のリスク区分でございますが、その変更の必要性、妥当性について科学的根拠を持って説明でき得れば、現行の法制度下でも薬事審議会の意見を聞いた上で変更することは可能でございますが、そういった使用状況や副作用発生状況の変化が認められなかったことでありますとか、定期的な見直しの仕組みがなかったこと等がございまして、現在のところ、要指導医薬品から一般用医薬品への移行後に行われるリスク区分の決定の後に、第一類から第二類に変更した品目はないというところでございます。
御指摘の区分の変更に関しましては、令和六年十二月の規制改革推進に関する中間答申におきましても、第一類医薬品について、定期的に販売区分の変更の要否を改めて検討し、販売区分の変更を行う等の仕組みについて所要の措置を講ずることとされておりまして、定期的にリスク区分の変更の要否を検討する仕組みの構築を進めてまいりたいと考えております。
○古賀委員 この点は、なかなかすぐには大きく動かないのかなという感じも持っておりますが、またちょっといろいろな節目節目で、どういう検討が進んでいるのか、取組が変わったのか、伺えればというふうに思っておりますので、是非スピード感を持って取り組んでいただければというふうに思っております。
続きまして、健康増進支援薬局について伺いたいと思います。
今回、この法案には、健康増進支援薬局が新たに位置づけられているわけであります。本当に全国各地に薬局があって、その薬局の役割、地域住民の健康を守るために、調剤だけでなくて、大変いろいろな取組をしていただいているというふうに理解しておりますし、大変ありがたい存在だと思っております。
振り返りますと、今回の健康増進支援薬局の前には、平成二十八年から、まさに地域住民の健康の維持増進を支援する、今回と似たような目的なんですけれども、健康サポート薬局という制度が開始して、その後、令和三年には地域連携薬局、専門医療機関連携薬局、これは認定制度でありますが、令和三年にこの二つの薬局制度もスタートしているということです。
今、最初に申し上げました健康サポート薬局というのは、全国に約三千余りというふうに聞いております。ですから、全体の薬局の一割もないということですよね。ということで、そういう意味では、数が少し残念な結果になっているわけであります。
令和元年の厚労委員会の法案審議の際の附帯決議においても、健康サポート薬局については指摘がされているというふうに確認をしたわけでありますけれども、健康サポート薬局の評価だったり、あるいはそれを受けた課題の把握、そして、まさに今回の健康増進支援薬局の目的、非常に似た役割だと思いますが、何が違うのか。また、届出から認定制度への変更もされているわけですが、この辺り、ちょっと丁寧に伺えればと思いますので、答弁よろしくお願いします。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
健康サポート薬局でございますが、御指摘いただきましたように、届出につきましては、令和六年九月末の時点で三千二百三十二件でございまして、令和二年の三月、前回の附帯決議のときの時点でありますが、そのときの件数から約千件の増加ではございますが、その増加件数は現在頭打ちとなってきているところでございます。
その原因といたしましては、まず、地域の住民の方々から見た場合、認知度が低くて、利用するメリットが分かりにくいといったことでありますとか、薬局の側からいたしますと、名称を表示できる以外に明確なインセンティブがないといったこと、また、在宅対応や二十四時間の調剤対応体制の確保などの基準がございまして、これがハードルになっていること等が挙げられるということでございます。
一方で、地域における薬局の役割といたしましては、住民の皆様方の健康維持増進を支援する取組というのが期待されておりまして、気軽に住民の方々が健康相談等をできる健康サポート機能の強化が必要であるということでありますとか、健康サポート機能に関する取組の質を確保、維持をするといったことが必要だよということが、有識者の検討会において指摘をされたところでございます。
こうした状況を踏まえまして、健康サポート薬局とその提供するサービスにつきまして、公的に認定をするといった仕組み、公的に認定をされますことで質や安全を確保いたしまして、一般に認知されやすくなるといったことを目指しまして、今般の改正において、都道府県知事による認定制度を導入することとしたところでございます。
この法案が成立をいたしました暁には、更に薬局による健康サポート機能が適切に発揮されるよう、必要な取組を推進してまいりたいというふうに考えております。
○古賀委員 いろいろな今回の背景について伺ったところであります。
名称どおり、健康増進支援ということでありますので、当然、薬局だけでできる部分もなくて、いろいろな医療関係者だったり、地域の方との連携も重要だというふうに思います。当然、厚労省の所管じゃない、地域というと別の役所だったりするわけですけれども、是非こういったいろいろな、これまでの健康サポート薬局の反省に立って、よりこれが広がっていくように、別に数だけの問題ではないとは思っております。ですから、人口が減る中で、薬局が地域、特に地方においてどういう位置づけであるのか、大変大事な部分だと思いますので、健康増進支援薬局についてはしっかり取り組んでいただく、その中で、薬局を始め関係者とのコミュニケーションをしっかり取っていただければと思います。
そして、もう一点。これは答弁を求めませんが、今回、届出制度から認定制度になる。先ほど申し上げました地域連携薬局だったり、専門医療機関連携薬局も認定制度ですよね。かつ、この更新が一年と。ほかも一年でやって、今回もこれも一年となっていると伺っております。
一年ごとに更新するとなると、どの程度の作業量になるか詳しくはちょっと承知しておりませんが、普通に考えればなかなか大変になるのかなとも理解するところですし、そういう声も実際いただいているところであります。
ですから、是非、地域連携薬局や専門医療機関連携薬局の声も、更新しているときのいろいろな要望も踏まえて、これも過度な負担にならないような規定を、ルールを設けていただければと思います。
そして、質問はこれで終わらせていただきますが、今回、特によく社会問題になっております医薬品の安定供給であったり、オーバードーズについて質問させていただきました。特に若者のオーバードーズに関しては、しっかり、いろいろな悩みとか問題を抱えている中でつい薬に手を出してしまう、そういう深刻なというか、背景には大きな問題があるんだと思います。ですから、そこをどう取り組むかというのは、当然、厚生労働省だけでなくて、文部科学省だったり、各省の連携が必ず必要になってくると思っています。いわゆるODと略されるオーバードーズ問題について、ちょっと広報部分もいろいろな指摘が以前あったところでありますので、是非何か分かりやすい、伝わりやすい、そして、何が原因かということを踏まえた対策をしっかりと取っていただければ、少し対策も前進できるのではないか、より前進していくのではないかというふうに思っているところであります。
この法案改正を通じて、更に様々な取組が前進していくことを心から願いまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、塩崎彰久君。
○塩崎委員 おはようございます。自民党の塩崎彰久でございます。
今日は、薬機法の質問に入る前に、福岡大臣に一問、遺骨収集の関係でお伺いしたいと思います。
福岡大臣、今週の一日に、アメリカの遺骨収集を担当する米国国防省の捕虜・行方不明調査局、DPAAのケリー・マッキーグ長官と面会されたと伺っております。
元々、日本とアメリカの遺骨収集の協力については、二〇一六年に安倍元総理が真珠湾を訪問した際にDPAAを訪問して、そこから続いているというふうに理解しておりまして、私もマッキーグ長官と今週お会いをさせていただいたんですが、日米間での遺骨収集の協力の深化、そして、特に同位体分析という手法を日本でもう少し取り入れていただいてはどうか、こういう御提案もありました。
ちょっと説明しますと、安定同位体分析というのは、ある遺骨のサンプルを見つけたときに、これが本当に日本人のものか、そうでないのか、こういったことを分析するときに、今、日本では、DNA解析をして、これは日本人だということが分かった上で、もう一回行って取ってくる、こういうプラクティスになっているわけでございますが、安定同位体解析というものを使えば、その骨の成分からおおよそ国籍が判別できるということで、DNA解析に比べると圧倒的に短い時間とコストでできる。こうしたことを通じて、日米間での遺骨収集の取組をもっと協力を深められるのではないか、こういう御提案でございました。
ケリー長官によれば、遺骨収集という取組を行っている国は、世界で日本、米国、韓国、この三か国だけであるということで、こうした同盟国の間での取組の強化、これは非常に大事なテーマだと思っております。
ケリー・マッキーグ長官とお会いされて、福岡大臣の御感想と、こうした安定同位体分析の更なる活用に向けてのお考えをお聞かせいただければと思います。
○福岡国務大臣 御指摘のように、四月一日にマッキーグ長官とお会いしましたが、それに先立つ三月二十九日、総理、防衛大臣とともに、硫黄島の方に行って日米の合同の慰霊祭に出席をさせていただきました。その際にいろいろ現地を見させていただきましたが、いまだ硫黄島においても半数以上のお骨が戻ってきていないというような状況にございます。戦後八十年を迎える中で、遺骨収集を更に推進していかなければならないという思いを強くさせていただいたところでございます。
その上で、二〇一九年四月に米国国防総省捕虜・行方不明者調査局、いわゆるDPAAと協力覚書を取り交わして以降、厚生労働省とDPAAは戦没者の遺骨収集について緊密な協力関係を築いてきたところです。
一日、マッキーグ長官とお会いした際にも、これまでの連携による成果について感謝を申し上げさせていただくとともに、引き続き連携して取り組むことの重要性について、お互い改めて確認をさせていただいたところでございます。
意見交換では、DPAAが戦没者の遺骨の鑑定に活用していただいている安定同位体分析、委員が御紹介いただいた安定同位体分析に関する情報を共有していきたいとの御提案をいただきました。
厚生労働省においても、安定同位体分析を用いて日本人の遺骨かどうかを判別する所属集団判定の実用化を図るため、令和四年度から研究事業を実施してございます。具体的には、南方地域と日本の食性が近似していることを踏まえまして、日本人か現地の方かを正確に区別するために必要な元素等に関する研究を今行わせていただいています。
安定同位体の研究を含めまして、引き続き、DPAAとの連携を進めながら、一日でも早く、一柱でも多くの御遺骨を収集できるように取り組んでいきたいと思います。
○塩崎委員 ありがとうございました。
戦後八十年でございます。今なお帰国を待ち望んでいる多くの御遺骨の一日も早い御帰還を目指して、福岡大臣、そして各国との協力の下でこの取組が進むことを心から願っております。
さて、薬機法の今回の改正についての質問に移らせていただきたいと思います。
私は元々、こちらの永田町に来る前はコンプライアンスの弁護士をしておりまして、昨今、相次ぐ製薬業界における品質問題、そして製造不正、こうしたコンプライアンス事案の相次いでいる現状に大変憂慮していたところでございます。
今回の法改正におきましては、製薬企業において医薬品品質保証責任者等の設置を薬機法上で明文化、義務化する、こういう規定が導入されております。これは、まさに医薬品の不正製造、こうしたものの対策ということが念頭にあると考えておりましたが、今回の改正によって実効性あるガバナンス体制がどのように担保されるのか、お答えいただければと思います。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
薬機法の令和元年の改正におきまして、薬機法上の許可等業者のガバナンスの強化等を図ったところでございますが、依然として、医薬品関連業者による不正事案が続いているところでございます。その中には、製造販売業者による製造業者に対する管理監督が不十分であったというふうに考えられる事例が複数発生をしているところでございます。
こうした状況を踏まえまして、今回の改正におきましては、品質保証に関するガバナンスを強化する、そのために、医薬品の製造販売業者における品質保証責任者につきまして、その設置義務の根拠を省令から法律に引き上げるとともに、必要に応じて総括製造販売責任者に対して文書で意見を述べなければならないこと、総括製造販売責任者はその意見を尊重しなければならないこと等を規定をいたしまして、その役割と責任を法律上明確化することといたしております。また、厚生労働大臣による変更命令の対象とすることによりましてその責務の実効性を確保することで、医薬品の製造販売業者における品質管理の向上につながるものというふうに考えております。
加えて、今般の改正におきましては、許可等業者が法令に違反し、役員が違反に直接関与した場合など、その責任役員を変更しなければ、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために必要な業務の改善が見込まれないと認められる場合に、製造販売業者等の責任役員の変更命令を可能とするとともに、医薬品の製造販売業者の製造所等に対する製造管理及び品質管理の実施状況の監督、監査の法定化等を行うことといたしております。
こうした措置と併せまして、医薬品の製造販売業者等におけるガバナンスを強化をしまして、品質管理、製造管理における法令違反を効果的に防止することができるものと考えております。
○塩崎委員 ありがとうございます。
今の御説明の中で、最後の方に役員、責任役員の変更命令についての言及がありました。これは非常に強力な権限だと思うんですね。厚労省が、あなた、交代しなさいということを命じることができるわけでございます。
これは、今までの実態に照らして、コンプライアンスの観点から必要だ、この趣旨は分からなくはないんですが、逆に、安易に厚労省の判断で役員変更命令が乱発されてしまう、そうすると、これは非常に会社として不安定な状態になってしまうのではないか、こういう声も聞いているところでございます。
責任役員の変更命令の規定、これはどういう場合に適用されていくのか、公平性や公正性はどのように担保していくのか、お聞かせください。
○城政府参考人 御指摘の責任役員の変更命令でございますが、許可等業者による法令違反に役員が直接関与した場合など、その責任役員を変更しなければ、保健衛生上の危害の発生や拡大を防止するために必要な業務の改善が見込まれないと認められる場合に限って行われるものでございます。会社のガバナンスの状況を踏まえまして、慎重な検討の上で適用すべきものと考えております。
このため、例えば、責任役員が不正を発見した場合に隠すことなく適切な対応を行っている場合でありますとか、許可等業者において法令を遵守した業務が行われるよう業務改善命令等の処分や行政指導による対応を行うことによりまして、当該役員の変更を命じなくても業務運営の改善が見込まれる場合等につきましては、役員変更命令が適用されることにならないというものと考えてございます。
また、実際に役員変更命令に至るまでには、立入検査、報告命令等を含む事実関係の調査を行った後に、行政手続法にのっとりまして、意見申述のための機会を付与した上で行政処分を実施するといったことを想定をいたしております。
さらに、施行に当たりましては、役員変更命令の適用の考え方を公表することに加えまして、過去の事例も踏まえながら実施の要否を判断するなど、公平性、公正性を十分に担保しつつ運用していくことといたしております。
○塩崎委員 ありがとうございます。
今、城局長がおっしゃったように、役員の方が不正の端緒を認知したときに適正に対応していれば変更命令は発動されない、そして、業務改善命令など厚労省からの指導に対してきちっと対応していれば変更命令は発動されない、これは非常に大事な答弁だと思います。こうしたバランスの中でしっかりと、省としてのガバナンスと、そして企業の自主的なコンプライアンスの取組、このバランスを図っていっていただければというふうに思います。
さて、不正の関係でございますが、最近、いろいろな事例を見ておりますと、やはり製造不正というものは、要は、厚労省に対して届け出ている製造プロセス、これを厳密に遵守していなかったことによって不正になる、こういう事案も多いわけでございます。
もちろん、届け出ている手続にしっかりとのっとっていく、これが大事なことは言うまでもありません、命に関わる薬でございますから。他方で、やはり大昔に申請を出した手続が、そのときはそれでいいかなと思ったんですが、経年、時間がたっていく中で、どう考えても時代遅れになってしまっている、しかし、手続の変更をする、この届出やプロセスが非常に煩雑で時間がかかってしまうから、それを飛ばしてしまって、実際には手続と実務のずれが生じてしまっていた、こんな事例も散見しているところでございます。
こうした問題に一つ対応する、改善していくきっかけになり得るかなと思うのが、今回の法改正で導入をされています、中リスクの程度のお薬の変更に対する手続の新設でございます。
ちょっと解説しますと、今までも、軽微な変更であれば届出でいいですよ、でも、一部変更であれば一変の手続を取っていただいて、それをやっていただくわけですけれども、審査に少し時間がかかる。この軽微変更と一変の間の手続がない、あった方がいいんじゃないかということで、今回、中リスクの変更の手続が導入されるわけでございますが、この制度については、実は昨年の九月から試験的に開始されていると聞いております。これまでの利用実績はどうなのか、そして、今後、利用拡大に向けてどのような制度設計を行っていくのか、お聞かせください。
○城政府参考人 御指摘いただきましたように、今回の薬機法の改正法案におきましては、医薬品規制の国際整合性を踏まえつつ、医薬品の安定供給に資するために、製造方法等の変更が生じた場合で、変更に伴う品質への影響が中程度の場合には、申請から一定の日数、短い日数以内に迅速に承認をする仕組みというのを設けることといたしております。
この仕組みは、御指摘いただきましたように、昨年九月に試行的な取組を開始をいたしておりまして、この仕組みの対象となるかどうかということについてのPMDAへの医薬品手続相談の申込件数は、本年三月末の時点で十二件いただいているところでございます。
この中リスクの変更申請の対象となる事項といたしましては、製造所の追加でありますとか、確認試験の一部削除や、海外薬局方の改正に伴う変更、実測値に基づく有効期間の延長などが該当し得るものというふうに考えております。
今後、試行的取組の結果や、関係業界等からも意見をいただきつつ、その更なる活用を推進してまいりたいというふうに考えております。
○塩崎委員 ありがとうございました。
今後は、この新制度の下で、簡単にできる軽微変更、そしてしっかりと審査をしてもらう一部変更、そしてその中間的な、中間的なリスクのための手続変更、この三つの制度を併用していただいて、企業のコンプライアンスが更に向上していくということを期待したいと思います。
今回の、様々な製造不正が起きるときに、多くの場合においては業務停止命令というものが出るわけでございます。そして、この業務停止の結果、非常に頻繁にお薬の不在というものが起きてしまうことがあります。私の地元でも、お薬がない、解熱剤がないとか去たん剤がないとか、こうしたことが、幼いお子さんを抱えているお母さんたちからよく心配の声として寄せられることがございます。
先ほど古賀委員の方からも、安定供給についての取組ということの御紹介がありまして、今回の薬機法の改正において、厚労省から、特定医薬品を作っている製造メーカーに対しては、供給不足のときに増産や販売協力等の協力要請、これができることになります。
これは制度としては非常にいいと思うんですが、実際、この協力要請を受ける側のメーカーさんの立場からしてみると、お薬が足りないと言われて、大変だ、厚労省から増産してくれと言われて作ってみたら、作ってみたはいいけれども、何かみんなパニックはあっという間に収まって、卸したものが大量に返品されてくる、こういうリスクもあり得るわけなんですね。
こうした協力要請をしたときに、実際には需要がそこまで上がらずに大量の在庫リスクが生じてしまう、政府としては、こういうリスクが生じることについてはどのように手当てを考えているんでしょうか。
○内山政府参考人 お答えします。
委員御指摘いただいたように、今回新設いたします増産要請によりまして企業が過剰な在庫を抱えることにならないよう、医薬品の供給状況、それから市場における医薬品の需給状況、これを適時適切に把握する、そういう仕組みが必要だというふうに考えてございます。
このため、川上であります製造販売業者の供給状況、それから川下であります医療現場における需給状況、こうしたものを把握し、可視化する仕組みについて検討を行ってきておりまして、今後、医薬品の需給状況を把握する仕組みの構築に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。
協力要請を行う際には、こうした仕組みにより需給状況、供給状況を把握した上で、企業の御意見も伺いながら丁寧に行っていきたいというふうに考えてございます。
○塩崎委員 そういう在庫リスクが最小になるように丁寧に需給を見ていきたいということで、最近のお米の価格の高騰なんかを見ても、やはり需給状況の正確な把握というのは非常に大事だというふうに感じております。
そこで、今回の薬機法の改正の中では、電子処方箋の調剤データ、これを活用して、需給状況をより正確に把握するための仕組みが入るというふうに理解をしております。今、薬局では、電子処方箋、非常に導入を進めていただいておりまして、今年の夏にはほぼ一〇〇%に近いところまで行きたいというところで今進んでいるところでございますが、薬局の電子処方箋情報、このデータを使ってどのような形で正確な需給予測につなげていくのか、教えてください。
○内山政府参考人 医薬品の需給状況の把握、今御指摘いただいたようなものもございますし、また、これまでの審議会等におきましても、市場全体の供給状況、それから現場の需給状況、こういうものを正確に把握するという必要性が指摘されたところでございます。
まず、御指摘いただきました川下の医療機関等の需給状況につきましては、本法案におきまして必要な改正を盛り込んだ上で、電子処方箋管理サービスの調剤データを活用して、薬局における調剤量、それから卸売販売業者から薬局への出荷量、これを比較することにより需給状況を把握する仕組みの構築に向けて検討を行いたいというふうに考えてございます。
また、あわせまして、川上の製造販売業者の供給状況につきましても、令和五年度補正予算事業におきまして、製造販売業者の生産量それから在庫量等のデータの活用について検討を行ってございまして、こうしたデータを可視化して、市場全体における供給状況を把握する仕組みに向けた構築を行っているところでございます。
こうした取組を通じまして、市場全体における医薬品の川上の供給状況、それから川下の需給状況を把握して、医薬品の安定供給の確保に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○塩崎委員 ありがとうございました。
電子処方箋のデータという即時性と正確性の非常に高いデータをうまく活用していただきまして、川上から川下まで、需給状況の正確な把握に努めていただければと思います。
お薬不足も問題でございますが、オーバードーズも大変な問題でございます。先ほど古賀委員からありましたように、今回の法改正の中では、指定濫用防止医薬品販売についての新たな規制が入ることになりました。
今回の指定濫用防止医薬品、複数、大容量購入の禁止、そしてインターネット販売でのビデオ通話、これについては一定の年齢制限が入ると理解しております。厚労省の審議会の取りまとめによると、乱用実態の調査結果など身体への影響を踏まえて、これは大体二十歳未満かどうかというところがこの線引きの基準になるというふうに伺っております。
ただ、今、民法では成人年齢はもう二十から十八に引き下げているわけでございまして、十八歳になれば、一定の大人と同様の事理判別能力があるんじゃないかということで、責任も負わせているわけでございます。大容量購入やインターネット販売についての基準についても、本当に二十歳でないといけないのか、十八歳からでもいいのではないか、こうした議論があり得るのではないかと思いますが、厚労省の見解を教えてください。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会、また医薬品販売制度検討会というところで議論してまいったわけですが、ここでの議論におきましては、乱用の実態につきまして、まず、医薬品の過剰摂取に起因する健康被害による救急搬送の事例につきましては、これは乱用の実態を反映して、十代と二十代のみ、ここ数年増加をしているといったことがございました。また、市販薬の乱用経験のある人は、全年齢層では、十五歳から六十四歳までという幅ですが、そこでは〇・八%でございましたが、高校生では一・六%と、約二倍であるといった調査結果がございました。
また、社会的な状況としては、学校等での教育、啓発を考えた際には、高校生全体をカバーする、捕捉できる対象が望ましいということがございます。
また、飲酒、喫煙を許容する年齢も、一定程度身体が成長していることを目安として、十八歳ではなく二十歳を採用しているというところでございまして、これを鑑みましたところ、医薬品についても、身体作用をもたらすものであることから、二十歳とすべきというふうにその議論の中ではされたところでございます。
一方で、委員御指摘いただきましたように、民法上の成人年齢が十八歳であるというところも踏まえまして、これは省令事項でございますので、省令の制定に向けて、どのような年齢層が適切なのかということについて様々な観点から検討を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
○塩崎委員 ありがとうございます。
厚労審の中での議論は議論もありますし、また、これから様々な意見を聞いて省令に落とし込んでいくということだと思いますので、是非柔軟な検討をしていただければと思います。
さて、元々お薬があればいいわけでございますが、お薬がそもそもないという事例もございます。これは非常に、やはり患者の皆様にとっては一日千秋の思いで、薬が早くできないのか、特に難病や希少疾患を抱えている御家族、私の地元にも大勢いらっしゃいますが、本当に切実な思いでお薬の開発を待っていらっしゃる方が大勢いらっしゃいます。
こういう患者の皆さん、私、今、顔を思い浮かべても思いますけれども、彼らにとって朗報になるのが今回の条件付承認制度の適用拡大であるというふうに考えております。条件付承認、これを今まで以上に広げていくことによって、難病、希少疾患に対する新薬の早期実用化、これが期待できるところだと思います。
一方で、実はこの制度は今までもあったんですよね。今までもあったんですが、なかなか、これを使って新しい新薬ができましたという朗報に我々は接することが少なかった、こういう実態もあります。
今回、もちろん、安全性の懸念、これをしっかり対応していかないといけませんが、今までの条件付承認と何を変えて、そしてそれによってどうやって、この制度運用を通じて、承認や取消し、これを通じて新薬の創出につなげていくのか、そのお考えを聞かせてください。
○城政府参考人 御指摘いただきましたように、条件付承認制度につきましては、令和元年の薬機法改正で導入をされたものでございます。
ただ、これにつきましては、承認後の取消し規定がないこと、また、その要件としましては、対象患者が少なく臨床試験が実施困難である場合というのに限られておりましたことから、これまで実績がないという状況でございます。
そのため、今回の制度改正におきましては、対象疾患における患者数の大小にはよらず、重篤かつ適切な治療法がないなどの医療上の必要性が高い場合に適用できるという仕組み、こういうふうに拡大をいたしたいというふうに考えております。安全性が確認されまして、臨床的有用性が合理的に予測可能であれば承認を与えることができるという、米国等と同様の仕組みに見直すことといたしております。
具体的には、条件付承認時には、医薬品等を早期に使用するベネフィットが有効性が確認されていないリスクを上回るかどうかにつきまして、個別の承認審査の段階で提出されるデータ等から判断をするということになるというふうに考えております。その後、条件として求めた臨床試験等に基づいて有効性を確認し、引き続きその使用を認めてよいかどうか判断するということとしております。
ドラッグラグ、ロスの課題に対応いたしまして、国民に最新の医薬品を迅速に届けられますように、条件付承認制度を含む薬事制度を適切に運用してまいりたいというふうに考えています。
○塩崎委員 ありがとうございました。
今御説明があったように、まずそもそもこの制度を使える入口を広げるということ、そして、承認した後、駄目だったら取消しをできるよという制度を入れてあげる、こういうことだと思います。
私も政務官時代にPMDAの担当者の方とお話をさせていただくと、やはりお薬の承認を出すかどうか、世間的にはやった方がいいとかいろいろメディアが言うこともありますけれども、実際、担当官としては物すごく責任の重い判断を抱えていらっしゃるんだなということがよく分かります。
日本では、過去に薬害の問題で、実際に承認をした担当官が刑事罰に問われたようなこともございます。こうした現場の方々がしっかりと自信を持って、そして安心して判断をしていただけるように、今回の制度改正、そしてそれがしっかり運用上も活用されることを期待しております。
最後になりますが、今の条件付承認も含めて、やはりこの制度を使って新薬をどんどん生み出していただくスタートアップ企業の存在がとても大事だというふうに思っております。
政府では、創薬力強化に向けて、昨年の岸田政権の下で政府全体を挙げた構想を練ってプランを発表させていただきまして、厚生労働省の中でも、私が政務官時代に、ヘルスケアスタートアップの振興・支援に関するプロジェクトチームで二十五の提言を出させていただきました。
その提言の一番目、一番最初に挙げさせていただいたのがMEDISO、メディカル・イノベーション・サポート・オフィス、メディカル系のスタートアップ支援の総合窓口であるMEDISOの抜本的な機能、体制の強化でございます。
MEDISOの機能、体制の強化についての現在の取組状況についてお答えいただければと思います。
○内山政府参考人 お答えいたします。
今御指摘いただきましたヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチームの提言におきましても、MEDISO、医療系ベンチャー・トータルサポート事業の機能、体制の充実強化は、御指摘のとおり、一番目の提言として挙げられておりまして、厚生労働省としても重要な課題と認識してございます。
提言一つ目のMEDISOの充実の実現に向けましては、十六個の実施すべき取組を設定し、外部の専門家も交えて、進捗管理も行った上で、今対応を進めているところでございます。
令和七年度におきましては、このうち、アカデミア、スタートアップによる英語ピッチイベントにおいて海外ベンチャーキャピタルの招致を行うビジットプログラムの開催、スタートアップとベンチャーキャピタルとの個別マッチングの導入、複数サポーターによるメンタリングの導入、海外サポーターの拡充等について対応することとしてございまして、引き続き、この提言の実現に向けてしっかりと取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○塩崎委員 ありがとうございます。
MEDISOの強化に関わる十六の提言、いずれも大事なものでございます。福岡大臣のリーダーシップも是非期待したいところでございますし、私の後任で同期でもあります吉田政務官、是非しっかりとこうした取組を前に進めていただけることを期待したいと思います。
今日は、薬機法の改正に関係しましてるる質問させていただきました。お薬の製造、流通、開発、様々な、お薬全体のライフサイクルにわたる、今回は非常に重要な改正が盛り込まれた法案だというふうに理解をしております。
我々国民の健康、それを支える一番身近にある薬が安心して信頼の下でこの国で流通していくように、是非、今回の法改正、この精神にのっとって前に進めていただければという願いを込めまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、浜地雅一君。
○浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。
私も、薬機法につきまして、四十分質問をさせていただきます。先ほどから古賀委員また塩崎委員も御質問をされておりました、まずはジェネリックを中心とする医薬品の供給不足というところにスポットを当てていきたいと思っております。
医薬品の供給不足、薬が足りないという問題はもう数年続いておりまして、先日、私も若干体調を崩しまして風邪薬をもらいに行きましたが、残念ながらPLという一般の風邪薬がないということで、花粉症の薬を処方をしていただきました。大体同じような効果があるので大丈夫というようなお話でございましたが、やはり一般の方からすると、風邪なのに花粉症の薬を渡されると不安に思うんだろうというふうに思っております。
ですので、これから私は創薬の話もしていきますが、やはり、薬がない、なかなか手に入らないということは、一般の国民の一般生活にも大きな影響を受けておりますし、政府に対しても、これに対してしっかりと対策をしてほしいという声は日に日に高まっておるわけでございます。
そこで、今回の薬機法につきましては、まず、品質が不良であったことに対して品質責任者を置くこと、そして、安全の管理もしていく責任者を法定化することになりました。したがいまして、法定化されておりますので、何か事故があった場合には役員の変更も認められることになったわけでございます。また、厚労大臣がしっかりと供給不足の状況を把握できること、報告を義務づけること、そして協力を要請できることが、これまで通知でやっていたものが法律に明記をされ、権限が強化をされるということであります。やはり、一つ、先ほど塩崎さんもお話をされておりましたが、増産の指示もできるということも、今回の大きな法改正の意義があろうかと思っております。
この点につきましては、先日、予算委員会の一般質疑でも厚労大臣に質問をさせていただきましたので、私は、一般の低分子化合物の中のジェネリックということを視点を変えて、バイオシミラーについての今後の供給というものについて質問をさせていただきたいというふうに思っております。
御存じのとおり、バイオシミラーはバイオ医薬品の後続品なわけでございます。もう釈迦に説法でございますが、なぜ後発品と言わないかというと、低分子医薬品と違いまして、バイオの場合は細胞、微生物を使いますので、全く同じ成分の薬というのはなかなかできにくい。ですので、同等の成分、効能を持つものを作るわけでございます。
しかし、先ほど申し上げましたとおり、微生物や細胞、これがたんぱく質を作る力を用いてバイオ医薬品を作るわけでございますけれども、今、国内になかなか製造基盤がないという問題が指摘をされております。先ほどのジェネリックにつきましては、国内に生産基盤があるのに安定供給できないという問題でありますが、このバイオシミラーにつきましては、国内の生産基盤が脆弱でありますので、仮にこの点がスポットを浴びてきますと、これまで以上の恐らく供給不足になるんだろうというふうに思っております。
私の手元の資料では、我が国の先発薬の売上げのトップテンのうち五つがバイオ医薬品でございます。今、十八成分、バイオシミラー、後続品は指定をされておりますが、まだ特許が切れていない先発品が多いわけでございまして、これから特許が切れてきますと、この後続品というものが世に出回っていかないと、現状のジェネリックの供給不足以上の混乱が起きるであろう、そのように私は危惧をしているところでございます。
そこで、まず基本的なところの確認でございますが、我が国においてバイオシミラーの普及が遅れていると言われている要因について、どのように分析をされているのか、厚生労働省の方にお聞きをいたします。
○内山政府参考人 お答えいたします。
バイオシミラーの普及が遅れている要因につきましては、認知度が低いことに加えまして、バイオシミラー、バイオ医薬品の製造には、従来の低分子の医薬品等と異なりまして、バイオ医薬品を生産するための細胞を作製、培養するための知識や技術、それから当該細胞を培養するためのタンクといった、専門の人材、それから設備等が必要になりますけれども、委員に基盤がないという御指摘をいただいたように、我が国におきましては、このような人材や設備が全般的に不足をしていて、製造の海外依存度が高いこと、こういうことがバイオシミラーの普及が遅れている要因だというふうに認識をしているところでございます。
○浜地委員 ありがとうございます。
先ほどの御答弁はバイオの特徴だったんですが、一つ気になるところは、海外依存度が高いという御答弁がございました。実際、原薬の七割が海外から輸入をしている。そして、日本で作るバイオ製品についても、製造の段階では一度海外の製造業者に委託をして、更に輸入をしているという状況がございます。これは、経済安全保障の点からも今後問題になってくるであろうというふうに思っております。
そこで、先ほど御指摘ありましたとおり、まず人材が不足している、技術を習得している人がいない、そして設備が少ない。具体的には、受託開発製造事業者、CDMOといいますけれども、この整備が遅れているんだろうと思っております。
これについて、問題点が明確に分かっておりますので、具体的には、バイオ医薬品の製造のための人材確保やCDMOの整備について、現在どのような施策を行っているのか。目標も含めて、これは厚生労働省と経済産業省がお互いに事業を持っておりますので、それぞれ、お答えをいただきたいと思います。
○内山政府参考人 厚生労働省におきましては、令和六年九月、バイオシミラーの使用促進のための取組方針、これを定めたところでございまして、この方針に基づきまして、バイオシミラー製造のための人材確保、それから施設整備等に取り組んでいるところでございます。
まず、人材確保につきましては、これまでもバイオ医薬品の製造に係る人材育成のための研修事業を行ってきたところでございますけれども、令和七年度からは、新たに製薬企業等の実際の生産設備を利用した研修を実施する等、内容の更なる拡充を行うこととしているところでございます。
また、製造設備の整備につきましては、令和六年度補正予算におきまして、バイオシミラーの国内製造設備に係る補助事業を実施しているところでございます。
引き続き、バイオシミラー製造に係る人材確保、それから設備整備に向けて、関係省庁とも連携しながら、必要な取組を実施してまいりたいというふうに考えてございます。
○江澤政府参考人 経済産業省です。お答え申し上げます。
バイオシミラーも含めたバイオ医薬品でございますけれども、複雑な製造技術が必要であります。そのため、製造工程にノウハウが蓄積する、そういった特徴がございます。このため、製薬企業がCDMOと呼ばれる受託開発製造事業者に製造を委託する水平分業が世界的に加速していると認識しています。このため、我が国のCDMOが競争力を持ち、国内外にバイオ医薬品を供給していくことが非常に重要だと考えています。
経済産業省では、令和三年度及び令和四年度の補正予算を活用しまして、ワクチン等のバイオ医薬品の国内製造拠点の整備を進めております。二〇二八年度までに、海外への輸出も見据えた十六の製造拠点等が立ち上がる予定となっております。さらに、令和六年度の補正予算において、再生・細胞医療等の国内製造拠点整備についても新たに措置し、取り組んでいるところでございます。
それから、人材につきましては、既に整備を始めているバイオ医薬品の製造拠点では千人を超える雇用が生まれる予定でありまして、各社で人材育成を進めているところでございます。さらに、今後は、先ほどの再生医療等の分野においても、国内製造拠点整備の事業においては、製造関連の人材の育成に係る支援を実施することを併せて措置することとしております。
こうした取組を通じて、引き続き、厚生労働省とも連携しまして、我が国におけるCDMOの整備及び関連する人材の育成をしっかり進めてまいりたいと考えております。
○浜地委員 それぞれ御答弁ありがとうございました。
先ほど経産省の御答弁の中で、今、バイオ医薬品の世界は水平分業が進んでいるという言葉がございました。開発をするところ、そして製造するところでございますが、お隣の韓国は、思い切って国策でかじを切りまして、なかなか開発というのはアメリカや欧州が強い、では、製造の方は、韓国としては、しっかりバイオ医薬品、自分たちに受注が来るように、国策としてバイオのCDMOの施設整備をしたわけでございます。まさに半導体と同じでありまして、半導体も、米国中心に設計はしますけれども、いわゆるファウンドリーという製造のところは台湾や韓国が担ってきたわけでございます。
我が国は両方やろうということでありますけれども、やはり、私としましては、まず製造施設があることによって、様々、バイオを作るいろんな経験というものができてくると思いますので、しっかり製造分野についての予算措置というものも引き続きお願いしたいなと思っております。先ほど令和六年の補正という話もありましたけれども、これは恐らく息の長い施策にしなければなりませんので、私を含め、補正に限らず、しっかりと予算として獲得できるように頑張っていきたいな、そのように思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
バイオシミラーのお話はここで終わりまして、続きまして、いわゆる開発の方の創薬力の強化というところにスポットを当てていきたいと思っております。
私も、党内で現在、創薬力強化プロジェクトチームというものを発足をさせていただきまして、今、座長として、様々、視察又は有識者等のお話を聞いているところでございます。
昨年の当委員会におきまして、一般質疑でございましたが、まずドラッグロスの現状についてしっかりと把握をすべきだというお話をさせていただきました。欧米で承認をされている薬のうち、日本で承認をされていない薬が百四十三品目ある、そのうち、日本では開発に着手をしていない、将来的には日本で結局それは手に入れることができないだろうというドラッグロスにつながる品目が、百四十三のうち八十六品目あるという報告がありました。そのとき、昨年、私は、実際に八十六品目というのはどういった医薬品であるのか、どういった分野の疾患のものが欠如しているのかということを問うたわけでございますが、このときは、実は今調査中という報告でございました。
いよいよ、特別研究班によるドラッグロスの我が国の現状について報告が出たというふうに聞いておりますので、その結果と、その結果を踏まえての今後の施策の方向性につきまして、これも厚生労働省にお伺いいたします。
○内山政府参考人 ドラッグロスの解消に向けた取組、これは適切に進めていく必要があるというふうに考えてございまして、今御指摘いただきましたように、昨年度、厚生労働科学特別研究事業、これを行いまして、これも御指摘いただいたドラッグロスが指摘されている八十六品目につきまして、その開発の必要性の高さを整理し、今年、先日三月三十一日に、その整理結果を公表をさせていただいたところでございます。
今後は、この整理結果を踏まえまして、まずは、開発の必要性が特に高いとされたものが十四品目ございますけれども、この開発の必要性が特に高いとされた十四品目につきまして、医療現場の有識者等から構成されます、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議におきまして、医療上の必要性の評価を行っていただきまして、国内企業への開発要請、それから開発企業への公募、こういうものを行ってまいりたいというふうに考えてございます。
次に、開発の必要性が特に高いの次のカテゴリーでございます、開発の必要性が高いとされたもの、これは四十一品目ございますけれども、これにつきましても、引き続き情報の整理を進めまして、順次、医療上の必要性の評価を行って、必要な対応を講じてまいりたいというふうに考えてございます。
○浜地委員 ありがとうございます。
私も、その評価Aという開発の必要性が特に高い品目について、一覧表を見させていただきました。やはり、かなりオーファン、患者数が少ない希少疾患が多いのであろうと思っています。中には、推定国内患者数がお二人であるものであったり、三十人とか、そういったものがございます。五万人以下はオーファンというふうにいうと私は承知しておりますが、そうなりますと、当然、ドラッグロスでございますので、患者が少なかろうと、この患者の皆様方にお届けしていくことも大事であります。
ただ一方で、製薬業界の、また創薬の産業支援と産業振興という点でいきますと、当然、オーファンに注力することは大事でございますが、やはりもう少し患者のターゲットが大きい、そういったところについても後押しをしていく必要があるんだろうと思っておりますので、ここは、ドラッグロスの患者を助ける、そういう必要性と、もう一方の要請でございます、しっかり創薬を産業として育てていただくというこの二つの側面がありますので、その辺りも注視しながら、今後こういった施策に取り込んでいただきたいなというふうに要望をさせていただきたいというところでございます。
続きまして、それでは、我が国の創薬過程における問題点について様々お聞きしながら議論をしてまいりたいというふうに思っています。
今日、資料一を持ってまいりました。これは、もう多くのところで使われている創薬の事業化フェーズに応じた課題と対応ということであります。多くの委員の皆様方も、これは御覧になったことがあろうかと思っております。
先日もお話をさせていただきましたが、この事業化フェーズのうちの、基礎研究、応用研究、非臨床試験、臨床試験、薬事承認、そして製造販売と移るわけであります。先ほどCDMOのお話をしましたのは、この一番右の製造のところであったわけでございますが、一番、創薬で谷と言われていますのは、右から二番目の臨床試験、特に第三相試験に行くところであります。検証的臨床でございますので、多くの患者さんを使って、多くの資金も投与しなければならないということでありますので、ここが大きな壁であるというふうに承知をしております。
実は、様々、創薬力PTでお話を聞く中で、もう一つ、谷、壁があるという指摘がございます。それは、左側の基礎研究から応用研究、そして非臨床に至る段階でのシーズアーリーというところ、いわゆる創薬の早い段階、アーリー段階での壁ということでございます。
具体的にはどういう壁があるかといいますと、アカデミアの皆様方が研究を始める、当然、学者の皆様方は論文を書くために再現性のあるデータを取る、論文を書いて、そこで終わってしまう。しかし、創薬を実用化していくためには、誰がやっても何回やっても同じ結果が出るというデータの再現性、信頼性が必要である。若しくは、この薬はどの疾患に効くだろう、ターゲティングも、本来であればこちらの疾患の方にやれば効くはずだったのに、実は、研究者の皆様方は御自分の研究をされるというところであります。
当然、非臨床に行く前、治験薬を作るわけでございますが、このときに、二億、三億、普通は要るわけでございます。ここでベンチャーキャピタルがお金を投資しますけれども、やはりそういったデータの取り方が不足をしていたりしますと、なかなかベンチャーキャピタルはリスクを取ることができないということも、この前お聞きをしました。
あるベンチャーキャピタルの投資収益率の目標は二〇%だそうでございます。投資した金額に対して二〇パー、リターンがないと投資家から結局バツをつけられる。しかし、もう御存じのとおり、創薬は確率が低いですから、一つ一つが二〇%のパフォーマンスを得るような、付加価値を得るような事業ではなくて、失敗があるので、一つ一つの事業については、投資した金額の八倍の価値が結局最後エグジットするときに生まれなければ投資をできないということであります。
そこで、実は、もう少し再現性のデータを取り直すための費用があればこのシーズは創薬として育つのに、若しくは、ターゲティングを変えてもう一度この研究をやり直すような費用があればこのシーズは実用化になるのに、その二億、三億のお金が、なかなかベンチャーキャピタルはちゅうちょをしてつかないという問題があるというふうに私は聞いたところでございます。
そこで、ちょっと私の方がお話をし過ぎましたが、厚生労働省としては、やはりアーリー段階においてどういう課題があるのか、今私もるる述べましたけれども、ここを改めて厚生労働省の御見解をいただきたいと思います。
○内山政府参考人 創薬力の強化に向けましては、アカデミア、スタートアップ、投資家、製薬企業、政府等が相互に協力して創薬に取り組むエコシステムを構築することが重要というふうに認識してございます。
この創薬エコシステムの構築に向けて、これまで臨床試験の整備等、必要な対策を講じてきたところではございますけれども、しかしながら、現状でも課題として、御指摘いただいたようなことも含めて、幾つかの課題が指摘をされているところでございます。
まずは、御指摘いただいたように、アカデミア等が創出するシーズを企業やベンチャーキャピタル等につなぐのに必要な資金、それから試験データを得るノウハウが不足していること、それから、国際レベルの臨床試験体制が不足していること、そして、先ほども御指摘いただいたところですけれども、新規モダリティーの開発、製造を受託できるようなCDMOが不足していること、こうしたことが指摘されているところでございまして、こうした課題に対応した支援を講じること、これが求められているものというふうに考えてございます。
○浜地委員 今、御答弁の中で、問題点の一つとして、いわゆるシーズをベンチャーキャピタル等に橋渡しする機能が不足をしているということでございました。
しかし、経産省の事業の一つとして、これはAMEDの中にありますが、この表にもありますけれども、このブルーのところ、創薬ベンチャーエコシステム強化事業がございます。ここで、経産省が認定をしたベンチャーキャピタルにつきましては、ベンチャーキャピタルが例えば一投資をしますと、その倍、二ですね、例えば一億投資しますと、二億、実は国の方が補助をして、投資をするという仕組みがございます。
しかし、先ほど私が言いましたとおり、これまでのベンチャーキャピタルは、どうしてもシーズアーリーのところで、非臨床が見えてくる最終開発候補品がなければ結局投資をしないという、やはり今のマーケットの状況でございます。
しかし、私が言いましたとおり、最終開発候補品ができるまでのデータの取り方や様々な研究の仕方というところに問題があるわけでございまして、ここについて、もう一歩前に出て、最終開発候補品ができる前でも、この国の事業を使っていますので、認定ベンチャーキャピタルは、もう一歩前の資金的な支援をしていただきたいと思いますが、これにつきまして、経産省の御見解をいただきます。
○江澤政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘ありました創薬ベンチャーエコシステム強化事業、これにおいては、医薬品等の実用化開発を行う創薬ベンチャーへの支援を通じて、十年間かけて日本の創薬ベンチャーエコシステムの底上げを図るべく取組を進めているところでございます。
創薬シーズの実用化に向けては、創薬ベンチャーに対するアーリーステージからの切れ目ない支援が重要であり、早期に資金調達ができる環境の整備が課題であると考えています。このため、本事業においては、非臨床の初期段階から支援ができるように、昨年八月に、認定ベンチャーキャピタルによる出資要件の一部引下げを行いました。
それから、御指摘のありましたような最終開発候補品が明らかでない状態でも支援を行える出資要件については、元々出資の下限が十億であったところを一億に引き下げる等の対応を行いまして、取組を強化しているところでございます。当該対応を開始して、これまで三回公募を行っておりまして、アーリーステージの創薬ベンチャーの採択もしてきているところでございます。
今後も順次、こういったアーリーステージの創薬ベンチャーも採択していく予定としておりまして、引き続き、文部科学省、それから厚生労働省、関係省庁と連携しまして、政府一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
○浜地委員 ありがとうございます。
今、私の問題意識に答えられて、もう昨年の八月から、最終開発候補品がない段階での、その前の段階でも、資金がショートするところにつきまして、認定VCの資金の供給が結局行えるようになったということの御答弁でございました。
ですので、さっき言いましたとおり、いわゆる非臨床のところに行くまでの研究のデータをもう一回取り直したり、又はターゲティングを変える、そして最終的には最終開発候補品を作るわけでございますが、そこが一億、二億、場合によっては三億足りないということでありましたが、お金の手当ては、先ほどの経産省の御答弁でありますと、資金的なものはこれで手当てができるであろうというふうな答弁であったと思います。
しかし、やはり目利きの部分、実際にそれをアドバイスをしていき、実際にどういうデータを取って、どういった信用性のデータを取るのかという、まさに橋渡しのソフトの部分、やはり伴走して支援をする部分というのが大事だろうと思っております。
そこで私が期待しているのは、今、令和六年の補正で行われております創薬エコシステム発展支援事業であります。この表の図一の一番左のところ、創薬エコシステム発展支援事業、赤字で書いてありますが、ここは、橋渡し、ベンチャー企業の設立支援、創薬開発支援ということでございますが、まさにこの部分に力を発揮するのがこの創薬エコシステム発展支援事業ではないかと思っております。先ほどの私の問題意識に答える形で、是非、この事業の特徴について御答弁をいただきたいと思います。
○内山政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきました創薬エコシステム発展支援事業は、産業界で実用化に取り組んできた支援者が、創薬の取組の早期を含めた様々な段階で実用化目線で支援活動を実施し、ベンチャーキャピタル等からの資金調達につなげることを目指すものでございます。
具体的には、産業界の目線で実用化を確実に推進できるよう、例えば、支援者が実用化に結びつきそうな研究を積極的に見出すことや、複数の研究の組合せ、研究者の想定疾患等とは異なる疾患等への変更などを支援者側から提案すること、支援者の提案を受け、海外人材も含む民間団体の助言も得て支援決定をすることなど、柔軟かつ迅速な支援を行うことによりまして、我が国の優れた創薬シーズの実用化につなげていきたいというふうに考えてございます。
本事業の実施に当たりましては、製薬企業を中心といたします関係者の声を丁寧に伺いながら準備を進めているところでございまして、実効あるものにしてまいりたいというふうに考えてございます。
○浜地委員 ありがとうございます。
今回、この薬機法の中に根拠を持つ革新的医薬品等実用化支援基金というものが十年の期限を持ってつくられるわけでございます。ここに対しまして、現在は、創薬のクラスターの整備、設備等の支援は入るであろうというふうに言われております。
先ほど審議官に答弁をいただきました創薬エコシステム発展支援事業については、要は、実施の状況を見て決めていくようなお話でございますが、是非これは大臣に御要望したいのは、多分これは補正でやりますけれども、来年の夏には、やっと緒につくだけだと思っています。当然、シーズの段階でも三年から五年かかりますので、これはやはり、安定的にこの事業を行って、我が国の創薬力を強化するために、これは八月までの結果ではなく、長い目でしっかり見て、この基金事業に私は組み入れるべきだというふうに思っておりますので。そこは実は予算委員会で一度聞いておりますので、今日は御答弁を求めませんが、是非、これを改めて強くお願いをしておきたいというふうに思っております。
では、テーマを変えまして、次は指定濫用防止医薬品について質問をしたいというふうに思っております。
一つ、この規制の必要性というところを聞こうと思いましたが、これは私の方でお話をさせていただきたいと思っています。
検討会が、特に乱用のおそれのある医薬品、オーバードーズ対策ということで行われました。その後、審議会で行われたわけでございますが、このときに、私がるる見ておりまして感じたことは、当然、現在、若者を中心とする緊急搬送事案や、時には死亡事案があるんだと、これはニュースでも報道されております。ですので、やはり、これまで以上に、恐らく、若者は市販薬等を使って、乱用の、要は態様というのは、事例は増えているんだろうと思います。しかし、検討会や審議会を見ておりますと、じゃ、実際、どの程度の割合で増えているんだろうか、又は、どの成分をどの程度の用量を飲んで若者たちはこういった緊急搬送事案になっているんだろうかという、そういった検証が少し私は弱かったような気がしています。
当然、厚生労働省は規制官庁でございますので、規制をするのは当然必要。しかし、反対側の利益、いわゆる国民の医療品へのアクセス、又は販売側のそういった営業の自由というものもございますので、そういったところの配慮について、今後検討されるときは更に詳細なデータを持ってお願いしたいということをまず冒頭申し上げて、御答弁は求めません。
そこで、先ほど古賀委員も御質問されておりましたが、指定濫用防止医薬品のうちの、三十六条の十一におきまして、乱用のおそれのある医薬品につきましては、販売時、薬剤師や登録販売者が、厚生労働省で定める事項を記載した書面を用いて情報提供をすることが義務づけられるということであります。
なぜ重ねて質問するかというと、先ほどの検討会、審議会とかのお話じゃないですけれども、検討会、審議会では、説明義務は課すが、書面を用いてまで説明をさせることについては議題に上がっていなかったんじゃないかという実は現場の声もございます。それが、条文に書面として載ってきたものですから、この書面というのはどういったものを指すんだろうか。そして、しかも、これは厚生労働省令で定める事項でございますので、これは法律が成立した後に厚生労働省内で検討される。どういった内容だろうかという現場からの実は不安がございました。そういった声も受けて、恐らく古賀委員も質問されたと思っております。
私も同じ趣旨の質問になりますが、同じような文言があるものが、要指導医薬品、そして第一類の医薬品、一般薬でございます。要指導薬や第一類の医薬品は、名称や有効成分、また用法、用量、そして効能、効果を説明する義務があるというふうに省令で書かれているわけでございますけれども、今回の三十六条の十一、指定濫用防止医薬品につきましては、求める書面、この趣旨、内容について、私からも改めてお聞きをしたいと思います。
○城政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘いただきましたように、この指定濫用防止医薬品の販売時の情報提供につきましては、書面により行うということを規定をいたしておりますが、その中身については、物によって、区分によって異なるものということでございます。
具体的な情報提供を行う事項としましては、この指定濫用防止医薬品につきましては、当該医薬品の不適切な使用により健康被害や依存のおそれを生じることなど、乱用に係る情報提供というものを省令に規定したいというふうに考えてございます。
したがいまして、要指導医薬品や第一類の医薬品の販売における書面による情報提供のような、効能、効果や用法、用量といった事項の説明を求めるものではなく、これらの情報については、個別の製品の市販薬としての分類に従って情報提供がなされるというものでございます。
○浜地委員 ありがとうございます。
そして、その具体的な中身のイメージをちょっと聞きたいんですが、まずお願いしたいのは、省令で定めるときには、しっかり、先ほども古賀委員が質問されておりましたが、販売者側の様々な、いわゆる販売に支障を来すことがないように、まず御相談をして、こういう内容でいいかどうか、現場の声を聞いて、まずは省令のときには決めていただきたいこと。
そして、今日、私は資料二で持ってきておりますが、これは、令和二年九月十一日に発出をされました厚生労働省の事務連絡にある資料なんですが、先ほど古賀さんの答弁でフリップということもございましたが、もう既にイメージを令和二年の段階で厚生労働省は示しているわけでございます。
内容は当然少し変わってまいるわけでございますが、もう既に現場で使用されている、既に令和二年において提示をした、こういったフリップを現場で提示をする形でよろしいのかどうか、これについても御答弁をいただきたいと思います。
○城政府参考人 指定濫用防止医薬品の販売時の情報提供につきましては、書面により行うということを義務づけることとしておりまして、具体的な情報提供を行う事項としては、先ほど申し上げたとおりでございます。
この情報提供の方法でございますが、具体的な薬局や店舗における対応でございますけれども、文書の交付でもよいわけですが、それに限るものではございませんで、先ほどのようなフリップ、また掲示物でございますとか、製品の箱の方にそのような記載をするようなことになると思いますが、こういった表示を使って説明を行うということも、そういった趣旨のものがきちんとあればいいということで、そういったことを認めるということを想定をいたしております。
この趣旨、乱用防止に資する情報提供を行うという趣旨でございますので、こういった趣旨を踏まえて、具体的な内容や方法を省令等に規定するということを考えておりますが、その際には、医薬品の販売を行う関係の方々、メーカー等も含めた幅広い関係者の方々から御意見をいただきながら進めていきたいというふうに考えてございます。
○浜地委員 ありがとうございます。
続いて、漢方や生薬の処方箋以外医療用医薬品の販売についてお聞きをしたいというふうに思っております。
今回、一般の、いわゆる処方箋以外医療用医薬品につきましては、処方箋がない場合は、やむを得ない場合でなければ販売することはできないというふうに法改正がされます。しかし、漢方や生薬については、いわゆる逆スイッチOTC、元々は市販薬があったものが医療用に、実は逆の方向で取り入れられてきたという歴史的経緯がございます。
したがいまして、現在、OTC、いわゆる市販薬が既にない漢方薬等もございまして、患者の皆様方から、又は現場からは、これが実際に、やむを得ない場合という厳格な形で販売規制をされると、実際に漢方を使って現在処方している人が非常に困るという声がございます。
そこで、漢方、生薬の処方箋以外医療用医薬品の販売につきまして、どのような方策を考えているのか、局長に御答弁をいただきます。
○城政府参考人 御指摘いただきましたように、漢方、生薬につきましては、伝統医学としての知見の積み重ねでありますとか、古くからの使用経験等の長い歴史がございまして、一般用医薬品として昔から販売が認められておりました一方で、エビデンスを積みまして医療用に使われるなり、医療用医薬品がそのうち主流となり、同一成分の一般用医薬品の販売が中止されるなどの流れがございました。現在では、医療用医薬品の製品しか製造販売されていない漢方、生薬製剤が存在する、こういう特殊な背景があるものというふうに承知をいたしております。
そのため、まずは、こうした漢方、生薬製剤につきましては、薬局製造販売医薬品というものがございますが、薬局で出せるものでございますが、これは、その範囲の見直しや拡大の検討をいたしたい。そして、医療用医薬品の漢方製剤を製造販売するメーカーに一般用医薬品の製造販売の働きかけをいたしたいということで、安全性の確保を前提に、既存のルールの中での販売ができるようにという対応を図りたい、鋭意検討したいというふうに考えてございます。
ただ、こうした対応のみならず、現在行われている販売に支障を来さないように、この省令に規定する内容を検討する場合にも適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
○浜地委員 是非よろしくお願い申し上げます。
では、最後の質問にしたいと思っております。
調剤の基本料、調剤報酬の基本料についてお聞きをしたいというふうに思っております。
今回の改正の一つとして、調剤の一包化、一つにまとめるということが外部委託できるようになりました。これは、まさに薬局等の効率化を後押しするための今回の施策でございます。
しかし、実は現在、効率化を求める、効率化を達成している、すればするほど調剤の基本料というものが下がる仕組みになっております。具体的に言うと、一か月の処方量が四十万回を超えた場合、又は、グループ薬局、チェーン薬局が三百店舗ある場合におきましては、この調剤基本料というものが下がる仕組みになっているわけでございます。
これは、令和四年の改正でそのように決まったわけでございますけれども、今回は、私言いましたとおり、一包化を外部委託するという、いわば効率化を推奨する施策があるのに、こういった効率化に逆行するような、大規模な調剤薬局等については点数を下げていくような、こういう動き、これはやめていただきたいというふうに思いますが、局長、御答弁をいただきます。
○鹿沼政府参考人 お答えいたします。
調剤基本料につきましては、まさに薬局の基本的な運営経費を評価しているものでございます。先生おっしゃられましたように、過去の診療報酬改定におきまして、規模の大きい薬局グループにおきましては、医薬品の備蓄などに伴うコストが小さいこと、また収益率がよいこと、こういったことを踏まえ、調剤基本料の引下げを行ったものでございます。
基本料の在り方につきましては、保険薬局が地域の医薬品の供給拠点としての役割を担い、地域医療に貢献することができるよう、令和六年度の診療報酬改定による影響の調査検討も踏まえながら、中央社会保険医療協議会において御意見をいただきながら引き続き議論していきたい、このように考えております。
○浜地委員 時間になりました。終わります。
ありがとうございました。
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○藤丸委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案審査のため、来る八日火曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
次回は、来る八日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十時四十七分散会