第8号 令和7年4月8日(火曜日)
令和七年四月八日(火曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 藤丸 敏君
理事 上野賢一郎君 理事 古賀 篤君
理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君
理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君
理事 梅村 聡君 理事 浅野 哲君
安藤たかお君 井出 庸生君
今枝宗一郎君 草間 剛君
工藤 彰三君 後藤 茂之君
佐々木 紀君 鈴木 英敬君
鈴木 隼人君 田畑 裕明君
田村 憲久君 土田 慎君
中曽根康隆君 西野 太亮君
根本 拓君 平口 洋君
福田かおる君 松本 尚君
向山 淳君 森下 千里君
吉田 真次君 池田 真紀君
大塚小百合君 大西 健介君
酒井なつみ君 鈴木 岳幸君
宗野 創君 堤 かなめ君
長妻 昭君 長谷川嘉一君
宮川 伸君 山井 和則君
柚木 道義君 阿部 圭史君
池下 卓君 猪口 幸子君
福田 徹君 森ようすけ君
沼崎 満子君 浜地 雅一君
高井 崇志君 田村 貴昭君
…………………………………
厚生労働大臣政務官 安藤たかお君
厚生労働大臣政務官 吉田 真次君
参考人
(学校法人都築学園日本薬科大学学長) 福井 次矢君
参考人
(厚生労働省ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ構成員)
(一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長) 天野 慎介君
参考人
(ファルメディコ株式会社代表取締役社長)
(医療法人嘉健会思温病院理事長) 狹間 研至君
参考人
(日本製薬団体連合会会長) 岡田 安史君
参考人
(ボストンコンサルティンググループマネージング・ディレクター&パートナー) 柳本 岳史君
厚生労働委員会専門員 森 恭子君
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委員の異動
四月八日
辞任 補欠選任
草間 剛君 西野 太亮君
塩崎 彰久君 土田 慎君
長谷川淳二君 工藤 彰三君
深澤 陽一君 中曽根康隆君
中島 克仁君 鈴木 岳幸君
八幡 愛君 高井 崇志君
同日
辞任 補欠選任
工藤 彰三君 井出 庸生君
土田 慎君 鈴木 英敬君
中曽根康隆君 向山 淳君
西野 太亮君 草間 剛君
鈴木 岳幸君 中島 克仁君
高井 崇志君 八幡 愛君
同日
辞任 補欠選任
井出 庸生君 今枝宗一郎君
鈴木 英敬君 塩崎 彰久君
向山 淳君 松本 尚君
同日
辞任 補欠選任
今枝宗一郎君 長谷川淳二君
松本 尚君 深澤 陽一君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
――――◇―――――
○藤丸委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。
本日は、本案審査のため、参考人として、学校法人都築学園日本薬科大学学長福井次矢君、厚生労働省ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ構成員、一般社団法人全国がん患者団体連合会理事長天野慎介君、ファルメディコ株式会社代表取締役社長、医療法人嘉健会思温病院理事長狹間研至君、日本製薬団体連合会会長岡田安史君、ボストンコンサルティンググループマネージング・ディレクター&パートナー柳本岳史君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。
次に、議事の順序について申し上げます。
最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
なお、発言する際はその都度委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
それでは、まず福井参考人にお願いいたします。
○福井参考人 おはようございます。京都大学名誉教授で、現在、日本薬科大学の学長職にあります福井と申します。
本日は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対して意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。
私は、厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の部会長として、今回の改正法案の前提となる制度改正の方向性に関して、昨年の四月以降、関係業界へのヒアリングを含めて計十回にわたって議論や検討を行い、薬機法等制度改正に関するとりまとめを本年一月十日付で発出いたしました。
したがって、私からは、薬機法等制度改正に関するとりまとめに記載されておりますように、今回の法案改正の方向性四点につき説明をさせていただきたいと思います。
第一の方向性は、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化でございます。
令和元年の薬機法改正以降も、後発医薬品の製造業者等を中心とした医薬品の不適切製造事案の発生、例えば、五年前の事例ですけれども、抗真菌薬に睡眠薬原料が混在し、健康被害、死亡事例が報告されたことがございました。このような発生が続いたことから、薬事監視を質的に向上させる必要があるということが制度部会において指摘されました。また、更なる法令遵守や品質確保、違法行為の抑止に向けた包括的な取組が必要とされました。さらに、市販後に収集された情報に基づく安全確保措置に加えて、リスクベースの市販後安全対策を効果的に実施する必要があるとされました。
このような背景を踏まえますと、製造販売業者において医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者の設置を法律で定めることや、法令違反等があった場合に責任役員の変更命令を可能とすることなどを通じて、製造販売業者における品質保証や安全管理に関するガバナンスを強化していくことが必要と考えます。
第二の方向性は、医療用医薬品等の安定供給体制の強化についてです。
制度部会におきましては、海外での製造トラブルを発端とした医薬品の供給の不足や、製造販売業者等の品質管理に係る行政処分が相次ぐとともに、感染症の流行等による需要の変動と相まって、品質の確保された医薬品の安定的な供給が困難となっていることや、その背景として、後発医薬品産業における一部非効率な生産構造や過当競争等の問題もあることが指摘されました。こうした状況を踏まえて、製造販売業者における供給体制の整備等を通じて、品質の確保された医療用医薬品の適切な供給を図る必要があるとされました。
また、薬事規制の面では、グローバルサプライチェーンが複雑化する中、迅速な薬事承認を可能とする体制の確保や、国際的に整合性の取れた手続を明確にする必要があるとされました。
このような背景を踏まえまして、医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置を義務化すること、医療用医薬品の供給不安の迅速な把握や製造販売業者への協力要請等の対応を法律で定めること、後発医薬品製造基盤整備基金を設置することによって企業間の連携、協力、再編の後押しをすること、製造販売の承認を一部変更する場合の手続に関して国際的に整合した類型を新設することなどを通じて、安定供給のための体制を強化することは必要な措置であると考えます。
第三の方向性は、より活発な創薬が行われる環境の整備についてです。
近年、医薬品製造の基盤技術の方法及び手段が多様化、複雑化してきていること、アカデミアやベンチャー企業等との連携による創薬が一般化してきていること、リアルワールドデータの利活用への期待が高まっていることなど、創薬環境が変化してきています。
制度部会においては、ドラッグラグ又はドラッグロスの解消のためには、薬機法上の各種制度の改善を通じて創薬環境を整備する必要があると指摘されました。
このような背景を踏まえますと、これは、探索的臨床試験等で安全性が確認された場合、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合ですけれども、条件付承認制度を適用する医薬品を増やすことや、小児用医薬品の開発の計画策定を努力義務とすることなどを通じて、医薬品への速やかな患者アクセスを確保することは必要な措置であると考えています。
また、国費と民間からの寄附金で革新的な新薬の実用化を支援するための基金を設置することは、将来の医療の質向上に向けて有効な対応策と思います。
第四の方向性は、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化についてです。
制度部会におきましては、医療需要が増大する中、対物業務の効率化により対人業務に注力できる環境の整備や、地域における薬局機能の見直しを行う必要があると指摘されました。また、情報通信技術の進展も踏まえ、要指導医薬品、一般用医薬品へのアクセスを進めるとともに、乱用等の課題に対して迅速かつ適切に取り組む必要があるとされました。
このような背景を踏まえまして、調剤業務の一部の外部委託を可能とすることや、乱用のおそれのある医薬品の販売方法を見直し乱用の問題に速やかに対処すること、医療用医薬品の不適切な零売を規制するため、法律上の規制を明確化すること、薬剤師等による遠隔管理による一般用医薬品の販売を可能とすることなどを通じて、薬局機能を強化することは必要な措置であると考えています。
ここまで申し上げてきた内容を制度部会で議論してまいりましたが、制度部会では、医療関係者や製造販売業者、学者、薬害関係団体の方々など、様々なステークホルダーの委員の方々に御議論いただくとともに、制度改正が実効性のあるものとなるよう、関係業界の方々からも御意見を聴取する機会を多く設け、コンセンサスを得ながら議論を進めるというプロセスを経て取りまとめに至りました。
品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ適正に提供するため、改正法案の速やかな成立をお願いいたします。法案が成立した暁には、政府におかれましては、円滑な施行に向けて、引き続き関係団体の意見を丁寧に聴取し、準備を進めていただきたいと思います。
以上が、今回の改正法案に対する私の意見でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○藤丸委員長 ありがとうございました。
次に、天野参考人にお願いいたします。
○天野参考人 おはようございます。
本日は、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。お手元の資料を御参照いただきながらお話を聞いていただければと思います。
全国がん患者団体連合会は、現在、加盟団体五十二団体、会員総数およそ二万人を有する患者団体の連合組織でございます。
私自身は、二〇〇〇年、二十七歳のときに血液がんである悪性リンパ腫を発症いたしまして、薬物療法や放射線療法、移植を受けました。二回の再発を経験し、治療の影響や合併症として薬剤性の間質性肺炎や左目の視力を失い、また、透析も受けております。
私は、再発を繰り返し、五年生存率も当時一〇%程度と言われましたが、たまたま治療が奏功し、今こうして皆様の前でお話しすることができております。当時はがんの薬物療法も限られておりましたし、亡くなられた仲間のがん患者の方々も多くいらっしゃいました。
しかし、その後、分子標的薬や免疫療法など、がんの薬物療法は大きく進歩いたしました。
資料の二ページを御覧ください。こちら、札幌市在住の中畠由美子さんは、二〇一三年、私と同じ悪性リンパ腫を発症し、再発を繰り返し、移植後も再発をしてしまい、かなり厳しい状況でした。しかし、先日衆議院予算委員会でも高額薬剤として取り上げられていました、CAR―T細胞療法のキムリアを国内治験最初の患者として北海道大学で受けて完全寛解となり、九年たった今も、再発もせず、仕事に復帰されてお元気に暮らされています。
近年、このようないわゆる革新的治療薬が増え、治験や臨床試験を受けて長期生存される患者さんも増えてきましたし、中畠さんも主治医から治験を紹介され、治験を受けて完全寛解となることができました。治験や臨床試験は、もちろん有効性や安全性を確かめることが本来の目的ではありますが、このように、再発した、あるいは難治性のがん患者さんにとっては、治療の選択肢の一つになっています。
しかし、治験を主治医から紹介されず、治験の情報を知らされなければ、治験に入ることは難しいという状況が現在でもございます。そもそも、主治医が治験の情報をよく知らないということもございます。
資料三ページを御覧ください。薬機法の第六十八条では、何人も、承認前の医薬品について、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならないとされています。
資料四ページを御覧ください。令和五年の厚生労働省監視指導・麻薬対策課長通知では、治験に係る情報提供の取扱いについて、治験情報を求める者のみに対して情報提供を行うことができるとされています。
日本では、jRCT、臨床研究等提出・公開システムにおいて情報公開されてはいますが、資料五ページを御覧ください。一方で、海外では、例えばこちらは米国の例になりますが、米国は、NIH、国立衛生研究所の支援により、リサーチマッチ、つまり、患者さんと臨床試験のマッチングを行うようなサイトも出てきております。
日本では、現状では、患者が自ら能動的に治験情報を求めない限りは、情報提供を受けることはできません。これは、命が限られた患者の中で命の情報格差を生む、極めて不公平な取扱いだと考えます。
薬機法第六十八条を改正いただく、あるいは第六十八条の対象から治験や臨床試験に関わる情報を除外するなどの対応が必要と考えます。これが本日私より申し上げたい一点目となります。
次に、二点目を申し上げます。
資料六ページを御覧ください。がんでは、患者さんに遺伝子パネル検査を行い、がんの遺伝子変異に基づいて、エキスパートパネルと呼ばれる専門家の会議で検討し、患者さん一人一人に合った治療薬を提案するがんゲノム医療が広がっています。
一方で、エキスパートパネルで提案された治療薬が未承認薬や適応外薬であることも多くあります。
資料七ページを御覧ください。その場合、現在の保険診療下では、まずは患者さんは治験や拡大治験を考慮し、それがなければ先進医療を考慮し、それでもなければ患者申出療養を考慮するという流れになっています。
拡大治験や患者申出療養については、現状、手続がまだまだ煩雑であるため、命が限られた患者さんがなかなか入ることができません。拡大治験については、米国のシングルペーシェントIND制度、すなわち、患者個人を対象とし、人道的見地から未承認薬の提供を行う治験を参考に手続の簡略化を行うとともに、患者申出療養については、必要に応じて法改正なども検討しつつ、手続の簡略化を行うことを検討いただきたいと考えております。
次に、三点目です。治験の審査に関する透明性の向上についてです。
PMDAでは、承認された医薬品の審査報告書については公開をしていますが、不承認となった場合、あるいは申請取下げとなった場合の審査報告書については、現状、分かりにくくなっています。新たな治療薬の開発に期待を寄せていた患者からすれば、なぜ不承認となったのか、なぜ申請取下げとなったのかが分からず、審査の透明性の向上が必要と考えます。
資料八ページを御覧ください。欧州医薬品庁、EMAでは、ウィズドローアル・アセスメント・リポート、すなわち取下げを評価するレポートが公開されていますので、PMDAも同様の取扱いとし、分かりやすく公開することが必要と考えます。
資料九ページを御覧ください。最後に、薬機法と高額療養費の関連について、具体的には、薬機法の議論でもあった後発品やバイオシミラーの使用促進との関連について意見を申し述べます。
資料十ページを御覧ください。高額療養費制度では、多数回該当があり、自己負担限度額を過去十二か月以内に三回超えた場合、患者さんの負担が軽減されます。
資料十一ページを御覧ください。しかし、自己負担限度額が引き上げられると、それだけ多数回該当となるハードルも上がりますし、多数回該当とならなければ負担も増えます。
資料十二ページを御覧ください。仮に多数回該当とならずに支払いを続けると、所得にもよりますが、年間百万円以上の負担増となる場合もございます。そうなると、患者さんや医師にどのようなインセンティブが働くかというと、自己負担限度額を超えることがインセンティブとして働きます。すなわち、具体的には、自己負担限度額を超えるために、安価な後発品やバイオシミラーよりも、高価な先発薬を使うということがあり得ます。
こうなると、後発品やバイオシミラーの使用促進には逆行することになりますので、多数回該当の在り方を変える、あるいは高額療養費に年間上限額を設定するなど、制度の在り方から考え直さなければならないと思います。つまり、高額療養費の対象となる患者の受診に与える影響調査が必要ということになります。
加えて、高額療養費の対象となる患者の家計に与える影響調査も必要と考えます。
資料十三ページを御覧ください。高額療養費引上げが、政府の当初案で引き上げられた場合の年間の自己負担上限額です。これだけを見ていても、患者の負担感は必ずしも十分には伝わりません。
一方で、資料の十四ページを御覧ください。自己負担の上限額が年収に占める割合で見ると、実は所得が低い方の負担割合がまだまだ高いことがお分かりいただけるかと思います。
そして、最後、資料十五ページを御覧ください。こちらは、自己負担の上限額が手取り所得に占める割合で、四十五歳単身世帯を想定していますが、これに扶養家族やお子さんが加われば、負担感は更に大きなものとなります。
今回、国会におきましても高額療養費制度についても御議論いただいてきましたが、この議論の過程においては、厚生労働省の例えば審議会などの議論の場で、現場感覚が欠如したまま議論が行われたことは問題だと考えております。
今後、仮に高額療養費に関して議論を行っていただく場合には、高額療養費の対象となる患者の受診に与える影響調査や家計に与える影響調査を実施いただくとともに、高額療養費を利用する患者やその治療を行う医療者の意見を聞いていただきたいと考えております。
私からは以上でございます。ありがとうございました。(拍手)
○藤丸委員長 ありがとうございました。
次に、狹間参考人にお願いいたします。
○狹間参考人 おはようございます。大阪の狹間でございます。よろしくお願いいたします。
私からは、医師をしながら薬局そして病院を経営している観点から、今回ちょっと意見を述べさせていただきたいというふうに思います。
お手元にぺら二枚の資料がございます。そちらもちょっと御覧いただきたいんですけれども、医薬分業制度が始まって五十年になります。薬物治療の適正化を目指して医師と薬剤師が連携をする、これがそもそもの本分だと思うんですけれども、医師の専門性は診断と救命にあると思いますが、薬剤師さんの専門性というのは、薬理学や薬物動態学、製剤学といったものを基に、薬が体に入ったらどうなるかということを見極めることに専門性があると思います。
医薬分業のそもそもの意味合いというのは、医師が診断をして、それに薬剤を使う、その薬剤がきちっと効果が出るのか、副作用が出ないのかということを薬剤師さんがフォローして、それを医師にフィードバックしていくという、このプロセスが重要なのではないかと思ってやってまいりました。
ただ、現状の医薬分業制度の中では、どうしても薬剤師さんというのは薬を出すまでのところに限定されがちですので、スライドにも示しましたけれども、薬が体に入ったらどうなるかという学問を構造的に使いにくい形態、これが今、年間八億枚以上の処方箋が出ておりますけれども、日本で行われています。
昨今、ポリファーマシーの問題や残薬の問題、これは医療費適正化の中でも非常に大きな課題だというふうに認識をしておりますが、これを改善するためには、薬剤師さんが服用後をしっかりフォローして、そこで薬学的なアセスメントを行って、医師にフィードバックする。端的に申しますと、患者さんが様々な、例えば目まいなら目まいという症状をおっしゃったときに、医師は目まいを起こす疾患を考えて薬を出すわけですけれども、薬剤師さんに聞くと、この薬を飲んでいれば目まいは起こり得るんじゃないか、そういうことを思っている。それを私どもに一度フィードバックをしていただければ、私ども医師もそれを考えて適切な処方につなげることができるんじゃないかということを考えてやってまいりました。それは今、大阪の自分の薬局とともに、病院の方でもそういったことをやると、やはりいい結果は出るというふうに認識をしております。
そういった意味で、今回、薬機法の改正について三点申し上げたいというふうに思います。
一つは、調剤業務の一部外部委託についてでございます。
これは御案内かと思うんですが、大阪で国家戦略特区で、私、代表として大阪府、大阪市とともに共同提案し、取り組まさせていただきました。百五十六症例に対して外部委託を行いましたけれども、その結果については、安全性については担保できたというふうに考えております。
一番の成果は、A薬局からB薬局にお願いをするわけですけれども、電磁的に情報を伝送することができるようになりまして、それによって、間違った機械の操作というのは起こらないというふうに考えております。
そこの部分を担保しながら、安全性とともに有効性と経済性ということについても検討したんですけれども、ここにおいては、やはり、一包化に限定されていると、調剤、対物業務の効率化にしっかりつながりにくいケースがあるということ。
それからもう一つは、これは個人情報保護法とも関係するとは思うんですが、患者さんの同意をいただくわけですけれども、この同意に非常に煩雑な手間がかかります。オプトアウトのような形式でしっかりやることの方が、対物業務の効率化については、実際、法律が実効性のあるものとして機能する際には重要なのではないかというふうに思います。
いずれにしましても、対物業務の効率化に伴って対人業務の充実を実行することは、これからの地域の中で薬物治療が適正化される上では必須の項目というふうに考えております。その際には、どの程度まで外部に委託するのかとか、若しくは、同意をどこまで取るのかということをしっかり議論していただきたいというふうに思います。
それとともに、高額医薬品の在庫の問題は薬局の経営にも直結いたします。今、外部に委託するのは一包化だけというふうに議論が進んでおりますけれども、高額医薬品も少しそういった形で委託できるようになれば、小さな薬局でも高額医薬品についてきちっとした服薬指導とか服用後のフォローができることで、患者さんは継続してその薬局にかかり続けることができる、そういったことができるんじゃないかなというふうには考えております。
二点目は、医薬品の販売区分及び販売方法の見直しでございます。
いわゆる零売のことですけれども、零売というのはやはり例外的なものだろうというふうに思います。そこにもお書きしましたが、医薬品の使用には医師の適切な診断が必要だというふうに考えます。そのためには、薬剤師さん自身の安全性も担保するためには、医師と薬剤師さんのタスクのシェアリングが重要なんじゃないか。軽微な疾患は当然ながら薬剤師さんが見ていくというシフトの概念もあるとは思うんですけれども、最終的には医師と薬剤師さんの連携が必要だというふうに思います。
そういった意味では、御議論いただいたように、安価に医療用医薬品が入手できる手段として零売という制度が適用されることは、少し問題じゃないかなというふうに思います。
一方、セルフメディケーションの推進それから薬剤師の職能発揮のためには、医師の処方を前提にした医療用医薬品の零売ではなくて、やはりきちっと、一般用医薬品の制度がございますので、OTC医薬品を適切に販売するということが重要ではないかと思います。
その際に、セルフメディケーションについても、薬剤師さんはきちっと販売を、前回の薬機法改正でも示されたように、服用後をしっかりフォローをして、そして、医師に必要であればフィードバックする、受診の勧奨をするということが重要だというふうに思います。情報提供書を基に、こういった症状でこういった薬を出したけれども、余り症状がよくならないのでしっかり調べてあげてほしいといった、そういう情報提供書の添付等々も今後必要になるんじゃないかなというふうに考えております。
三つ目は、医療用医薬品の安定供給体制の強化でございます。
私、病院では、ケアミックスの病院でございます、元々外科医をなりわいとしておりましたけれども、ほとんど今は高齢者の内科の疾患を診ておりますが、例えば、抗生物質が入らないとか、もう本当に耳を疑うようなことがございます。それによって、自分の診療がどうしても制約を受ける。これの被害を受けるのはやはり患者さんでございますので、医薬品の供給というのは非常に重要であるというのは、私も同様の認識でございます。
その中で、包括払いで今やっておりますので、当然ながら後発品の使用というのを第一にしているわけですけれども、後発品の供給が滞るということは、やはり、そもそも、現状、人件費の高騰や物価の高騰で、現在の診療報酬制度では非常に赤字の病院も、特に民間病院は多いと言われる中ではゆゆしき問題だと思いますので、是非その安定的な供給というものも実現をしていただきたいというふうに願っております。
そういった意味では、今回、基金の創設を含めて、小ロットの多品種生産体制を一定修正をしていくということは非常にありがたいというふうに思います。
ただ、全体の再編をしていく中でも、少し本論とはずれますが、中間年改定が行われている現状では、やはり一定期間まとまった連携といいますか統合というものは、経済的にもやりにくいというところがあるというふうにも考えます。ですので、是非こういったところとも連携をしながら、後発品の安定供給ということに是非業界として取り組めるような体制づくりというものをお願いしたいというふうに思っております。
以上、私からは、調剤業務の一部外部委託の点については、同意書の部分とそれから委託範囲の部分について、是非、実効性のある部分というものをつくっていただくのがいいんじゃないかなということ。それから、零売については、零売はあくまで例外的なものであって、やはりきちっと、今回、PPIもOTCになるというふうに議論されていますけれども、そういったものをきちっと一般用医薬品の枠組みで行うということ。そして、後発品については、是非、多品種少量生産というところを、制度として修正しやすいような、そういった制度の見直しというものをしていただければというふうに思います。
以上、現場で患者さんを診ながら、中小の薬局そして病院を運営している立場から意見を申し上げさせていただきました。
今日はこういう機会をいただいて、ありがとうございました。以上でございます。(拍手)
○藤丸委員長 ありがとうございました。
次に、岡田参考人にお願いいたします。
○岡田参考人 おはようございます。日本製薬団体連合会会長の岡田でございます。
本日は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案に対しまして陳述の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
まずは冒頭に、私は本改正案に賛成であるということをまずもって申し上げたいというふうに思います。
当連合会は、昨年三月に、医薬品医療機器等法の制度改正に係る要望書を当時の武見敬三厚生労働大臣に提出をさせていただきました。
昨今、製薬産業を取り巻く環境の急激な変化を受けまして、様々な課題が顕在化いたしております。海外で承認されている医薬品が日本で使用できないといういわゆるドラッグラグ、ドラッグロスという問題、あるいは製薬企業の品質不正に端を発した後発品を始めとする医薬品の供給不安の問題、また医薬品の原料や原材料の調達から製品化までのサプライチェーンのグローバル化に対応した各国間の規制の整合性、こういった課題が挙げられます。
こういった現状を踏まえ、私どもは、その解決に向けて、医薬品のアクセス向上、品質確保と安定供給の実現、安全対策の充実及び効率化を柱として、迅速な薬事承認、変更管理、製造所のガバナンス強化など、様々な要望をさせていただきました。
その後、厚生労働省の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会にて各領域の専門家の先生方による御議論をいただきまして、私どものほぼ全ての提案をこの度の薬機法改正案に反映いただきましたということを、まずもって感謝申し上げたいというふうに思います。
本日、私からは、この度の改正案の柱になっております三つの点について意見を述べさせていただきたいと思います。一つ目は医薬品等の品質及び安全性の確保の強化という問題、二点目は医療用医薬品の安定供給体制の強化という観点、三点目はより活発な創薬が行われる環境の整備、以上三点でございます。
まず初めに、一点目、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化について、私どもの認識をお話しさせていただきます。
まずは、近年、後発品を中心とした多くの品質不正事案が発生し、医薬品の安定供給に支障を来しておりますことを、この場をおかりいたしまして心よりおわび申し上げます。こういった背景から、この度の法改正では、責任役員、品質保証責任者、安全管理責任者の変更命令など、当局による監督権限の強化を始めとするガバナンスの徹底が求められるということになっておりますけれども、このことに異論はございません。
安全性の確保の観点からは、市販後安全対策の強化が色濃く打ち出されたと理解をいたしております。医薬品業界としましても、いかに効率的に市販後の安全性情報収集を行うかは重要な課題と考えておりまして、この度の法改正を受けて、医薬品リスク管理計画の届出と実施、そして安全性の懸念発生時には迅速かつ医薬品のリスクの特性に応じた対応をしっかりと行っていくというふうに進めてまいりたいというふうに思います。
次に、二点目は、医療用医薬品等の安定供給体制の強化という点でお話をさせていただきます。
この度の改正案には、リスクに応じて製造方法等の迅速な変更を可能とする中等度変更制度の導入、供給体制管理責任者の設置や手順書作成といった、高品質の医薬品を迅速かつ安定的に供給することを企図した多くの施策が盛り込まれておるというふうに認識をいたしております。
供給不安解消策としては、供給問題が発生した時点での届出が義務となることにつきましても、現在も、各企業に適切に報告するよう傘下団体を通じて周知するとともに、供給情報を取りまとめ、公開をしてまいりました。この度、そのことが法に位置づけられるということを受けまして、遵法の重きを持って引き続きしっかり対応してまいりたいというふうに思います。
また、増産に係る安定確保措置の指示は、対象薬を販売する企業の責任が非常に重いものになりますけれども、当局とも連携し、一刻も早く供給問題が解消されるよう取り組んでまいりたいというふうに思います。
産業構造の観点からは、現在の供給不安の課題の一つとして、後発医薬品産業における少量多品種生産における生産効率の低下等々の問題が指摘をされています。こうした状況を受け、この度の法改正にて後発医薬品製造基盤整備基金を設置の上、品目統合に伴う生産性向上のための設備投資や事業再編を支援いただけることには、深く感謝申し上げたいというふうに思います。この基金を積極的に活用し、高品質の医薬品を安定供給する産業構造をしっかりと構築してまいりたいというふうに思います。
安定供給確保に向けた業界の取組について少し紹介させていただきますと、当連合会傘下の日本ジェネリック製薬協会では、安定供給責任者会議というものを設置をいたしております。この会議では、当該企業の安定供給体制の中心的な役割を担っている安定供給責任者のネットワーク構築を図るとともに、各社の安定供給に資する取組や好事例などを共有し、各社の供給体制の強化につなげていくということを目指しております。
そして、最後、三点目でございます。より活発な創薬が行われる環境の整備についてでございます。
患者様が少ない希少疾患や生命に重大な影響を及ぼす重篤な疾患の治療のための、医療上必要性が高い医薬品へのアクセスを諸外国に遅れることなく確保するための条件付承認制度、小児適応の可能性のある医薬品の開発計画の策定、希少疾病用医薬品について欧米と歩調を合わせた指定の早期化について御議論の上、法整備を進めていただきました。一方で、こういった開発の迅速化に対して、承認後のリスクマネジメント計画策定も法定化をいただき、産業界としましては、極めてバランスの取れた法改正と認識をいたしております。
また、創薬基盤の強化として、革新的医薬品等実用化支援基金の創設は、我が国の科学技術水準の強化に資する施策と考えております。一方で、いまだ、具体的な計画や基金の運営など、詳細は決まっていないと認識をいたしております。製薬業界といたしましては、この基金を活用して有望なシーズが見出され、迅速に実用化につながるよう、今後しっかりと議論に参加してまいりたいというふうに思います。
最後に、この度の薬機法改正趣旨に関連して、追加の意見を一つ申し上げさせていただきたいというふうに思います。
本年四月に、八年連続となる薬価引下げが実施をされました。毎年の薬価引下げは、企業の投資原資となる収益悪化を招くとともに、投資対象としての日本医薬品市場の魅力の低下を招いております。インフレ局面へと転換し、物価高騰や賃上げへの対応が求められる中で、財源確保を目的とした予見性のない薬価引下げが継続されることは、製薬企業にとって、医薬品の安定供給や日本での早期の新薬開発をちゅうちょさせることになります。ひいては、そのことは結果として国民に大きな不利益をもたらすということを、この場をおかりして申し述べさせていただきたいというふうに思います。
こういった現状を踏まえた薬価制度の在り方、特に中間年改定の廃止につきましては、是非とも御検討を賜りたいということをお願い申し上げたいというふうに思います。
以上、今回の薬機法改正案に関する私どもの認識でございます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○藤丸委員長 ありがとうございました。
次に、柳本参考人にお願いいたします。
○柳本参考人 おはようございます。ボストンコンサルティンググループ、柳本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本件に絡みまして、本日、私からは二点、創薬力強化というところと後発品のあるべき産業構造というところに関してお話ししたいと思っております。
本件に関しまして、厚労省が主催しておりました創薬力強化に向けた薬事検討会及び同じく厚労省が主催しておりました後発品産業のあり方検討会議の委員も務めておりました。また、創薬力構想会議においても、プレゼンテーションを通じた情報提供などで協力をさせていただいておりました。
早速中身に入りたいと思います。
一点目、創薬力強化に向けてというところでのエコシステムの必要性ということになります。
三ページを御覧ください。
皆様も御存じのとおり、創薬力構想会議の中間取りまとめにおいて、創薬力の強化においてはエコシステムの強化が必要だということがうたわれております。
なぜかと申しますと、創薬というものは、研究から実用化、そして上市というところに向かって、幅広い能力、研究開発の能力に加えて、さらには社会制度、そういったものが必要になってくるという中で、エコシステム全般にわたる人材ですとか臨床の基盤、そういったものが必要になってくる、それを、国際的な視点も踏まえながら、我が国ならではの道を模索していく、これが必要だということがうたわれております。
具体的な例として四つほど挙げられておりまして、多様なプレーヤーとの連携、出口志向での研究をリードできる人材ですとか、国際的な水準の臨床試験制度、さらには、新規モダリティー及びその他医薬品の国内製造体制の整備というところ、最後に、アカデミアやスタートアップからの絶え間ないシーズの創製、こういったものがうたわれておりました。
翻って、諸外国において特に成功しているエコシステムを見たときに、どのような特徴があるかというところを四ページにまとめてございます。大きく五つございます。
当然ではありますけれども、やはり世界的な水準のアカデミアが存在するというところ、一点目。二点目は、高度な臨床試験を支える医療体制ですとか制度が存在するというもの。さらには、豊富なリスクマネー。そして、そういった人材、知見が集積してコミュニティーを形成していること。これは、単にそこに集積しているだけではなく、しっかりとコミュニティーを形成し、そこで人や企業がつながり、シーズからニーズにつながる、そういったことが必要ということ。最後に、それらをしっかりと海外リソースを最大限に活用して実現しているということになります。
特に、最後の点ですね。我が国において過去には余り意識されていなかったところかなというようには思いますけれども、最も先進的なエコシステムを形成していると言われている米国においても、ボストン・ケンブリッジにおいても、ベイエリアにおいても、海外からの人材、そして資金、技術、企業、そういったものを、全て海外からそれなりの規模で入ってくることを前提としてエコシステムを形成している。こういう点に関しては、より規模の小さい我が国はしっかりと見習うべきだというように思っております。
五枚目、そういったエコシステムをどのように形成していくかというところになります。
下半分、丸いところに主なプレーヤーを書かせていただいております。スタートアップですとかアカデミア、製薬企業といった実際に研究開発を行う方々、そして、臨床基盤、臨床研究ですとか臨床試験を実施する医療機関、さらには、スタートアップ等を支援するようなCRO、CDMO、受託の製造ですとか臨床試験を請け負うような機関に、いろいろな生成AIですとかそういったテクノロジーを提供する企業、あとは、ファンドを提供する公的、民間のプレーヤーというところ。
ただ、こういった下側のプレーヤーが自律的に頑張れば勝手にエコシステムができるかというと、世界的に見ても、なかなかそういうことは起こらない。最も有名なボストン・ケンブリッジにおいても、二〇〇〇年代初頭にマサチューセッツ州政府が相当力を入れて発展に尽力した。こういったことを我が国としても見習いながら、しっかりと政府が旗を振っていく必要があるというところ、それが上段になります。
具体的には、戦略の策定というところと、実現に向けて不足している基盤の整備、人材の育成ですとかプレーヤーの招致、様々な基盤の整備ということが求められます。そういったことを実現していくために、今回の薬機法改正の中でも基金の設置ということが求められている、うたわれているのかなというように理解をしてございます。
続いて、安定供給の確保に向けた後発医薬品産業の在り方ということに関してお話ししたいと思ってございます。
こちらは、そのままの言葉で薬機法にうたわれている、1、2と書かれたような、製造管理、品質管理体制の確保、安定供給能力の確保といったことに加えて、持続可能な産業構造の在り方ということに関しても、後発品の検討会の方で議論されてまいりました。
具体的には、1、2といったところに対してしっかりと対応していこうとすると、やはりそれなりのコストがかかる。さらには、市場もこれから大きく成長しないことが見込まれている中で、そのコストを捻出していくためにも、これまでのような低いシェアで多品目を売るというよりも、一定のシェア確保を目指し、そして品目も適正化していく、それによって生産性、収益性を担保し、将来に向けた投資、安全性確保に向けた投資ということをしていく必要があるというようにうたっております。
今、どれほど本当に少量多品目生産になっているかといいますのが、八ページになります。横軸に、企業がどれほどの成分数を保有しているかというところを示しております。
成分といいますのは製品とは同一ではなく、あくまで成分に対して様々な規格、錠剤ですとか注射剤ですとか、錠剤の中でも五ミリ以上、二十ミリ以上みたいな、そういった様々な規格、それぞれ一つ一つが製品ですので、実際取り扱っている製品はこの数倍というところになりますけれども、こういった横軸に成分数を取り、縦軸に日本国内で最も売れている三十成分における各社の平均シェアを取っております。
御覧いただきましたら分かりますとおり、専業大手は三百を超える成分数を誇りながら、主要成分における市場シェアというのは五%から一〇%にとどまるというところで、各市場においても非常に細分化されておりますし、各社の観点におきましても、その小さな細分化された部分に多くの製品を提供するために、何度も何度も生産体制、交換を繰り返しながら供給しているという非常に非効率な状況になっていることになります。
参考として、九ページ、米国の状況を紹介しております。上位十成分の中で、緑で示している上位三社がどれほどシェアを占めているかといいますところ、大体五割を超えるところのシェアを上位三割で占めている。より集約的な市場形成になっているということが言えるかなと思っております。これが必ずしも正解かというと、当然、各国それぞれいろいろな問題はございますけれども、一つの例として学ぶべきものかなと思っております。
そういったものを目指していく上で、やはり企業間での提携、再編というものが重要になっているというように考えております。十ページが、我々が耳にしている、目にしているような、幾つかの再編ですとか提携の取組の例でございます。
一つ目は、ジェネリック企業同士が様々な提携、機能的、品目的な提携をすることによって、より効率的な経営を目指すというもの。二つ目が、大手の企業が少し規模の劣る企業を買収していくというもの。三つ目は、企業同士ではなく企業の一部、後発品事業のみを他社に譲渡するというもの。四つ目が、それらの取組を後発品企業そのものではなくファンドが主導するというようなもの。最後は、川下のプレーヤーと呼ばれる薬局ですとか医療機関、若しくは物流企業みたいなものが需要側を集約することによって、川上にいる供給側、後発品企業を緩やかに収れんしていく、こういったモデルが見られております。
ただ、こういった取組は、あくまで取組であったりですとか、まだ検討段階で顕在化していないものは多くございます。理由といたしましては、やはり、後発品企業、それほど現時点で収益性が高くない企業も多く、体力もない企業が多い中で、検討はしながらもなかなか先に進めない、資金も知見も経験もないというようなことが多い中で、今回の薬機法の中で設置される基金は、こういった企業の取組の後押しをするものだというように理解をしております。
以上、私からの発表を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○藤丸委員長 ありがとうございました。
以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
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○藤丸委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。根本拓君。
○根本(拓)委員 参考人の皆様、今日は、お忙しいところこの委員会に参加いただきまして、いろいろ御教示を賜りまして、どうもありがとうございました。大変勉強させていただきました。自民党の根本拓でございます。
まず、福井先生にお伺いをさせていただきたいんですけれども、先生、今回の法改正の前提となる部会でのお取りまとめをなさっていただいたということで、まず先生に、このお取りまとめをしていただくに当たって、どういう思いでそのお取りまとめをなさっていたのか、特に問題意識や危機感を持っている論点などありましたら、是非教えていただければと思います。
○福井参考人 私としましては、病院長として、ある日突然、患者さんへの処方薬がなくなりますというふうな、そういう事例を何回も経験いたしまして、先ほど四つの方向性のお話をいたしましたけれども、非常にそのような鮮やかな記憶があるという意味では、医療用医薬品等の安定供給体制の強化、これをどうにか早く実践していただきたいという思いを持って部会長を続けましたけれども、ただ、終わってみますと、私、長期的なスパンでは、やはり国民が受ける医療の質向上という点からも、国際的な我が国の立ち位置からも、三つ目の方向性である、より活発な創薬が行われる環境の整備が非常に重要ではないかなと思いながらディスカッションに当たってきました。
それで、非常に項目が多くて、一つ一つ説明はできませんけれども、ただ、全体的には、医療現場での運用上のフレキシビリティーや手順の簡略化が図られていると思いまして、例えば、条件付承認制度なども、こういう場合はまだ確実に結果は出ていなくても患者さんのためにはやっていいのではないかとか、それから、自家細胞を用いた再生医療等の製品の規格外の販売、投与を認める事例だとか、医療用麻薬の都道府県をまたぐ流通を認めるとか、今までの画一的な法律の適用ではなくて、やはり現場でこうした方がいいのではないかという事例に基づいて、かなりフレキシブルに今回の改正は当たることができたのではないかというふうには思っています。
以上です。
○根本(拓)委員 ありがとうございます。
創薬環境の強化について、まさに先生がおっしゃったとおり、現場の実情に合わせたフレキシブルな対応ができることによって、これが前に進む、そういう改正になっているということを理解させていただきました。
先生がおっしゃるとおり、今回の改正はすごく論点が多くて、理解するのにも一つ一つ大変で、いろいろ御意見もあったところかなと思います。それを先生がお取りまとめくださったことに改めて感謝申し上げます。
その上で、部会の議論の中で、ここは特に意見が分かれたなとか、特に議論を尽くしたなという論点があったら教えていただいた上で、その上で、なぜ今の状態に落ち着いたのかということがあれば教えていただければと思います。もし、皆さん満場一致でこんな感じだったということであればいいんですけれども、特に議論したところがあれば、教えていただければありがたく思いました。
○福井参考人 余り、議論が分かれて非常にまとめるのが難しいというケースは今回はなかったようには思うんですけれども、ただ、いろいろディスカッションを行って、非常に、やはり意見が分かれて判断が難しいと思いましたのは、中間年の薬価改定の是非といいますか、それについてはいろいろな立場がございますので、なかなか難しいなというのが私の個人的な印象ではございます。それ以外は、比較的、議論がスムーズに今回は進んだように思っています。
以上です。
○根本(拓)委員 先生、ありがとうございます。
まさに今、今回の改正案については、委員の皆さんがそれぞれ意見をおっしゃっていただいて、皆さんが納得した形でここにまとめていただいたということで、そういう意味では、委員の中でもかなりコンセンサスが取れたものにしてくださったというように理解しました。ありがとうございます。
続いて、岡田会長と柳本さんにお伺いをしたいんですけれども、後発医薬品製造基盤基金の創設、柳本さんもプレゼンの中でお話しくださいましたけれども、その基金についてお伺いしたいと思います。
この基金というのは、ジェネリック業界、後発医薬品業界の設備投資だとか事業再編に係る経費を基金から出捐してサポートするというものになっております。
ただ、よく考えてみると、一般的に、市場が効率的に回っているのであれば、こういう基金がなくとも設備投資というのは勝手に進んでいく、事業再編というのも一番効率的な形で、MアンドAを含めて進んでいくはずだ。そうであるにもかかわらず、今回、こういう基金がないとそういうものが進まないということだと思うんですね。
もしそうだとしたら、なぜそういう設備投資だとか事業再編というものが今まで妨げられてきたのか、どういう障害がそこにあったのかということについてまずお伺いしたいのと、その上で、この基金があることによって、そういった障害がどのように取り除かれたり乗り越えられたりするのか、この基金があることによって、どういうことが実現していくのか、この点について、お二人それぞれから教えていただければと思いました。
○岡田参考人 御質問ありがとうございます。
現在の医療用医薬品の供給不足の課題の一つとして、後発医薬品産業における、いわゆる少量多品目生産というキーワードがよく出てまいります。それによる生産効率の低下ということが指摘されております。このことは、更に言うならば、日本における後発品企業が非常に多いということによって、どこかで欠品が生じても、どこでどれだけ欠品しているか分からないという中で、それをカバーするような構造になっていないという問題があります。
今般の法改正の中では後発医薬品製造基盤整備基金を設置いただいて、その目的は品目統合といわゆる企業再編ということに絞られているというのは、その資金の明確な使途であるというふうに思います。言い換えれば、そのような構造改革を伴うような改革をしないと、現行のこの安定供給がなかなか戻らないという問題は根本的にはなかなか解決しないということが裏にあるというふうに思っております。
この問題では、予算措置がされたからたちまち解決するのかということになると、今日、我が国が直面しているその状況というのは、国を挙げての後発品使用推進策によって、先ほど申し上げましたような企業構造によって導かれた産業構造問題というのが今一つ大きな問題としてありますので、このことを含めて、やはり行政とも連携をして、安定供給を妨げる、それ以外の多くの因子もありますので、連合会としては、企業再編、品目統合だけではなくて、あらゆる情報の共有化を含めて、できることは全て手を打って対応してまいりたいというふうに思っているところであります。
以上でございます。
○柳本参考人 御質問ありがとうございます。
まず、なぜ進まなかったのかというところに関しましては、後発品企業は、苦境に徐々に陥りながらも、とはいえ、日々の収益はしっかりと得られている状況において、なかなかそこまで極端な変化をつくりにいくというところになかったのかなというところ。じゃ、徐々にそういう機運が高まってきたとして、それをやろうとしたときに、これまでですと、例えば、二社が合併したときに品目をすぐに集約できるかといいますと、それぞれで承認を取っている関係で、その統合に数年単位でかかってくるということも鑑みると、統合して同じものをぱちんとなくせない。
そんな中で、さらには、個社が抱えるいろいろなコンプライアンスリスクも見えてきたというところも鑑みて、まずくなってきたぞとなっても、一緒になるですとか、ほかに提携するというところがなかなか進まなかったところ。ここまでの、今回の改正案の手前のところで、既に、品目統合における様々な運用を通達レベルで改善してくださったりとかしておりますので、少しそれが緩和されてきているですとか、さらに、この先、難しい状況が見えてきているというところになっておりますので、そんな中で、先ほど申し上げましたような機運が高まってきている。
残るは何かというと、やはり資金面などというところ。もちろん、政府が全てを負担するというものは、それはいろいろなものをゆがめるとは思うんですけれども、政府がそのような形で後押しをしていくことによって、後発品企業が一歩を踏み出しやすくなる、若しくは、後発品企業を資金的に支援するような金融機関というものが動き出しやすくなるというようなところで、単純に資金だけではなく、そうした政府としてのコミットメントを示すという観点でも有用なのかなというように思ってございます。
○根本(拓)委員 どうもありがとうございます。
今、お二人ともすごく重要な点をおっしゃっていただきまして、まず、基金はすごく重要で、ただ、これからジェネリック業界の再編だとか品目統合というのを進めていく上では、この基金だけではないと。
まさに岡田会長がおっしゃったとおり、いろいろな情報の共有、先ほど御発言の中でベストプラクティスを各社で共有しているということもおっしゃっていただきましたけれども、そういったほかの手当ても必要ですし、柳本さんがおっしゃっていただいた品目統合の障害となっている制度的な面も、もしかしたら更に取り除いていかなければいけないということなのかもしれないということを感じました。
そういう意味で、この基金をしっかり運用していくというだけではなくて、より広い視野から、品目統合や事業再編、こういったものをどう進めていけばいいのかということを継続的に考えていかなければならないんだなと思いまして、引き続き御指導をいただければと思いました。
また一方で、基金の意義ということもよく分かりまして、この基金、例えば事業再編については、例えばリーガルフィーのような経費を補填するものになっていて、全てのコストをカバーするものにはなっていない。これで不十分なんじゃないかという考え方ももしかしたらあるかもしれないですけれども、まさに今、柳本さんがおっしゃったとおり、こういうものを政府が出すことによって、金融機関が安心してお金を出せるようになる、要は呼び水としての資金になっていくんだというような意義があるということも教えていただきましたので、その意義もよく理解しながら、これを進めていければというように思っております。
最後に、少しだけ時間があるので、せっかく柳本さんが資料を用意してくださったので、これについてお伺いしたいんですけれども、今、様々な形態の再編が検討されているということですけれども、この柳本さんの資料の十ページに示していただいた統合形態の中で、特に日本ではこの形態での統合が必要だと、基金を活用するに当たって、例えばこういう事業再編というのを、重点的にとまでは言わないですけれども、意識しながら目指していくべきだというものがもしあれば、柳本さん、もし御意見があれば岡田会長も教えていただければと思います。
○柳本参考人 どうもありがとうございます。資料を用意したかいがございました。
特に、これをやればいい、これだけ進めればいいというものはないのかなというように思ってございます。
各社、様々な事情を抱えておりますし、同じ会社であっても、ここは企業統合をして解消しようという部分と、ここは例えばファンドの傘下で企業統合をしていこうというような、四番に入る企業であったとしても、それしかやらないかといいますと、一番の中に入って、一部は他社とのコンソーシアムの中で機能共有をしていこうですとか、場合によっては川下側での共同購買みたいな形に乗っていこう、こういうような組合せがあるのかなと思いますので、いずれにおいても、しっかりと後押しし、それらが進んだ結果として、品目の統合、収益性、生産性の強化というものが起こればいいのかなというように思ってございます。
ありがとうございます。
○根本(拓)委員 どうもありがとうございます。
今日のこの質疑を通じて、今回の改正というのは、まさに福井先生おっしゃるような、現場で薬がなくなるという事態をなくすための改正であり、また、日本がまだまだ弱いと言われている創薬力、これを強化するための改正であるということをより深く理解させていただくことができました。改めて、お礼申し上げます。
以上で私の質疑を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、井坂信彦君。
○井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。
本日は、各専門家の皆様から様々な知見を与えていただき、ありがとうございます。
まず、天野参考人にお伺いをいたします。
命の情報格差というようなお話もありましたが、患者さんが治験の情報を知るか知らないか、大きな違いとなります。この薬機法の六十八条の広告規制とか、あと資料四でお配りいただいた治験の情報提供に関する令和五年一月二十四日の通知、これだけだと、お医者さんや製薬会社は、治験や臨床試験の積極的な情報提供をためらってしまうということであります。
お伺いをしたいのは、広告に当たるのかどうか分からないというような理由で、一体どのような情報提供をためらっている現状があるのか、具体的に教えていただきたいと思います。
○天野参考人 お尋ねありがとうございます。
まず、改めて、こういった規制があることによってどういったことが生じているかというと、例えば、先ほどの中畠さんのように治験にたどり着ける患者さんがいらっしゃいましたが、たどり着けない患者さんもいらっしゃって、例えば、がんも様々ながんがありますが、生存期間の中央値が一年程度という厳しいがんもあります。そういった患者さんにしてみると、標準治療というのはあってないようなものなんですが、そうすると、臨床試験へ入れるかどうかは極めて重要になってきますが、例えば、初回治療を受けてしまって、その後、時間がたってから再発をして、そこで臨床試験があったということを初めて知る、もう治療を受けてしまっているので臨床試験へ入ることはできないという患者さんは実際いらっしゃったりします。
また、私、海外の学会、米国や欧州の学会に患者団体の立場から出席することがありますが、海外の患者団体の方々に聞いても、私が聞いている範囲では、欧米の患者会の方々で、こういった規制は特にないというふうに聞いております。
また、この論点については内閣府の規制改革推進会議でも議論されていまして、私も参考人として呼ばれましたが、その際に別の参考人として呼ばれた患者団体の方の事例をこの場で紹介いたします。
その患者団体の方は、ある非常に待ち望んでいた治験があって、製薬企業に対して情報提供を求めた。その際、厚生労働省に対して広告規制に当たらないかを確認したところ、幾つかの注意をされて、製薬企業から直接話を聞く機会を設けていただいたんですが、その際に厚生労働省から言われたこととして、その説明する場にいた人だけに提供してくださいと。一般の方に提供に当たらないようにしてほしい、すなわち、その説明会の模様を会報誌やレポートや動画等に撮ってほかの方に頒布するのは禁止、また、その日、たまたま体調が悪くて来れなかった患者会のメンバーの方がいたらしいんですが、その方に改めて情報提供するのも禁止ということで、正直、こうなってくると、誰のために何を守っているのかよく分からないというのが私の率直な感想でして、是非、臨床試験や治験等の情報が患者の選択肢の一つになっているということを鑑みて、改めて、この六十八条の取扱いについては検討いただきたいと願っているところでございます。
以上です。
○井坂委員 ありがとうございます。
同じく天野参考人に伺いたいと思いますが、患者申出療養の手続も簡素化をすべきだというお話がありました。
これも、ちょっと具体的に、どこを簡素化すると効果的でしょうかということと、あと、何か、簡素化する際に法改正が必要と厚労省にどこの部分で言われたのかということも、もしお分かりになれば教えていただきたいと思います。
○天野参考人 ありがとうございます。
私が先ほどお手元に配らせていただいた資料の方で、七ページに患者申出療養制度の概要が載っております。
こちらの方は、いわゆる困難な病気と闘う患者の思いに応えるということで導入していただいた制度になりまして、この右側の図の、患者が国に対して申出をしてからは原則六週間ということで、この部分については、極めて速く審査されていて問題ないのですが、問題は、そこに入るまでが問題ですね。
どういうことかというと、そもそも患者申出療養というのは未承認薬などを使用することを想定しているので、有効性もよく分からないし、安全性も不明ということで、要は臨床試験をやるということになっているんですよね。臨床試験をやるということになると、当然、プロトコルを作らなきゃいけないですし、プロトコルを作るためには専門の医療者だとか費用もかかってくるし、時間もかかるということで、普通の医師ではできない、あるいは普通の医療機関では対応できないので、臨床研究中核拠点等でしかできないということがありますが、こうなってくると、かなりハードルが高いということがあります。
一方で、例えば、提出する書類等を簡素化するということに関しては、比較的早く対応が可能とはなると思うんです。例えば、患者申出療養でも、まだ海のものとも山のものとも全く分からないような未承認薬もある一方で、海外では既に承認されていて一定の実績があるようなものも含まれています。なので、私の個人的な意見としては、海外で一定の実績がある、既に承認されていて使用の実績があるようなものに対しては、もう少し簡素化することができるのではないか。
また、私も実は患者申出療養評価会議の構成員で、今日、参考人として参加されている福井先生も座長ですので、後で福井先生にもよければ伺っていただければと思うんですけれども、実際、臨床試験を組んだとしても、安全性は評価できますけれども、有効性はほとんど分からないんですよね、なぜかというと患者さんが少数例しかいないので。もちろん、多数参加されているような患者申出療養もあるので、そういった場合は、ある程度有効性も評価できるかもしれませんが、現状、有効性はなかなか評価できない。
であれば、安全性を担保することによって、より患者さんに迅速に提供する仕組みが必要ではないかという趣旨のことを以前厚労省に申し上げたところ、それは法改正が必要となってくる可能性がある、具体的には、患者申出療養は健康保険法等で規定されているわけですが、そういった部分の改正が必要になるかもしれないと言われたというふうに記憶しております。
○井坂委員 ありがとうございます。
では、ちょっと今、福井参考人にもというお話がありましたので、端的に、どこを簡素化するのか、あるいは法改正が必要なのかということについてお伺いをしたいと思います。
○福井参考人 ありがとうございます。
私が患者申出療養評価会議の会長といいますか、座長をずっと引き受けてやっております。非常に実は難しくて、患者さんの数が、統計学的に有意差を持って有効だということを検証できるような、それだけの数、そもそもがいないんですね。
ですから、せいぜい評価できるのは安全性についての評価であって、実はそのことが、先ほど、ちょっと私、御意見を申し上げるときに触れたんですけれども、条件付承認制度のところにもございますけれども、これも、結局は、安全性が確保されたところで、まだ有効性は証明できていないんだけれども、取りあえずは認めよう、その代わり、並行して有効性についても評価していく、そういう患者さんの数を増やしていこうということで、私はこれは本当にすばらしいと思っているんですけれども。
それと似たようなところがございまして、患者申出療養評価会議でも、一人、二人という患者さんが対象になることが多くて、非常に難しいテーマですけれども、やはり、ほかにちゃんとした治療法がない限りは、少しでも可能性のある治療法はできるだけ、希望される患者さんには提供するべきではないかなというふうに私は思っています。
以上です。
○井坂委員 ありがとうございます。
続きまして、後発医薬品をかえって使わなくなるというような関連から、天野参考人が高額療養費の制度設計についてもお話をされました。
高額療養費を、例えば、おっしゃるような年間上限額方式みたいなやり方に変える方法ももちろんあると思うんですけれども、これは私の私見でありますけれども、このいただいた資料の十二ページのように、要は、いつまでも多数回該当に到達しないみたいなことがあり得るわけですよね、多数回該当の額が上がってしまうと。
そうならないように、例えば、この図でいうと、自己負担額の累計が、八万円掛ける三の二十四万円を三か月とか四か月で超えてきたら、その後は月額上限が四万四千円まで下がります、いわゆる多数回該当扱いのようになりますよというような制度設計も考えられるのではないかと思いますが、そういう制度設計で、何か患者さんの目線で問題ありそうと思うことはありますでしょうか。
○天野参考人 ありがとうございます。
もちろん、今先生おっしゃるような、そのような制度設計は十分あり得ると思います。特に、長期にわたって継続して治療を受ける患者さんの負担は極めて大きくなるので、そういった形で、今、正直な話を言うと、多数回該当に該当するために、実は患者さんもいろいろな苦労であるとか工夫をされているという状況があります。その過程で、先ほど申し上げたように、先発薬の方をむしろ好んで使ってしまう、好んでという言い方は違いますね、そちらの方を進んで使ってしまうということがあり得まして、実際そういうことは起きているので、そういったことが起きないように、今先生おっしゃったような制度にしていただくということもあり得ます。
また、年間上限と言ったのは、例えば、上限額を設けて、その金額に到達したら、もうそれ以降は、今先生おっしゃったように自己負担が定額あるいはなくなるといった仕組みにしないと、多数回該当に当たるためにいろいろな苦労を強いられるということは保険財政上も余りよろしくないと思うので、そういった部分については改善が必要かなというふうに感じている次第です。
○井坂委員 ありがとうございます。
要は、今おっしゃったように、よかれと思って政府も制度を提案したんでしょうけれども、現場の患者さんの感覚からいうと、まさに多数回該当に到達するために、わざとというか、高い方を選んでしまうということが実際あり得るんだという話であります。
そういう現場感覚が欠如したまま議論が行われたことが問題なのではないかというふうにも思うんですけれども、政府が今後、患者にただヒアリングをするだけでなくて、やはり審議会の議論に、いろいろな専門家がああしたらどうだ、こうしたらどうだとおっしゃるその場に当事者もいて、いや、その御意見だと、実は患者はこういうふうに考えて、こう動いてしまうんですとか、そういう議論の場に患者が参加をするということが私は大変重要だと思うんですが、患者が正式な議論の場に参加をするということを求められますでしょうか。
○天野参考人 ありがとうございます。
高額療養費に関しては、厚生労働省の事務方の方々であるとか、あるいは大臣とも何度か面談させていただいて、今の御質問の件についても話し合わさせていただきました。
その際に御意見としていただいているのは、例えば、厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会については、高額療養費だけを議論する場ではないので、そこにがんや難病の患者団体の方が参画するのはどうだろうかという御意見をいただいていて、それは、私自身もなるほどと思うところはございます。
一方で、今御指摘のように、全く意見が反映されないまま議論が進んでしまうと、それは非常に問題だと思うので、少なくとも、医療保険部会では、高額療養費について議論いただく場合には、参考人やオブザーバー等の立場で参加させていただければと思っております。
あるいは、医療保険部会はそもそも高額療養費を議論する場ではない、なじまないというのであれば、例えば、医療保険部会の下というか別というか、どちらかには分かれますけれども、別に、高額療養費について専ら議論していただく小委員会であるとか、そういったものを設けていただいて、そちらに、患者の立場、あるいは患者だけでなく現場の医療者の方、医療者の方の御意見も非常に大切だと思うので、そういった方々を加えていただく形で議論いただくのは望ましいと考えています。
○井坂委員 ありがとうございます。
次に、薬価の中間年改定について、岡田参考人にお伺いしたいと思います。
狹間参考人も中間年改定を見直すことは重要とおっしゃっておりましたが、医薬品市場の魅力とか、あと事業予見性、岡田参考人に伺いたいのは、そういう意味では、例えばですが、GDPの成長率に合わせて、薬剤費の総額の伸びを、そこまでの伸びは認めるという方式も考えられると思いますが、そのことについて、御所見があれば伺いたいと思います。
○岡田参考人 御質問ありがとうございます。
薬剤について、GDPの伸びを保証すればいいのではないかという御指摘かというふうに思います。
ちょっと振り返りまして、昨年七月に創薬エコシステムサミットが開催されて、政府として、医薬品産業を日本の成長産業、基幹産業としていくというふうに位置づけられました。そして、本年二月十八日に閣議決定された健康・医療戦略において、我が国の市場の医薬品売上高を増加基調とするというふうに記載をしていただいたというふうに理解をいたしております。
我々とすると、GDPの範囲内で成長というよりも、我々は逆に、成長産業、国民の健康寿命を支え、健康寿命の延伸と国の経済成長を牽引する産業として、むしろ我々が日本のGDPを伸ばすということに貢献をしてまいりたいというふうな認識を持っております。
こういう背景を踏まえると、ここ数年、社会保障関係費の伸びについては、これまで、高齢化の伸びの範囲内にとどめる、そういうシーリングがかかっておりました。これはある意味、物価が上昇しないという基調の中では、何とかそれでやってこれたというふうに思いますけれども、経済状況が変わって、いわゆるデフレから成長経済に変わって、そういう中で、やはり物価、賃金上昇に加えて医療の高度化を反映していただきたいというふうに考えているというのが我々製薬産業の認識でございます。
以上でございます。
○井坂委員 終わります。済みません、ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、梅村聡君。
○梅村委員 日本維新の会の梅村聡です。
今日は、五名の参考人の皆様、本当にありがとうございました。
早速ですけれども、それぞれの参考人の皆さんに質問をさせていただきたいと思います。
それでは、まず最初に、岡田参考人とそれから福井参考人にお伺いをしたいと思います。
最近、我々も、有権者の方から、医薬品不足を何とかしてください、こういう声が非常に大きいわけなんですね。厚労省の方にこの原因が何かということを説明をしてもらうと、二〇二一年に後発医薬品の某メーカーで不祥事が起きて、品質と製造の管理の問題があって、それを発端として日本の後発医薬品の体制の脆弱性が出てきたんだというふうに、そういうふうな説明を受けるんです。そして、今回の法案の中にも、そういった企業のガバナンスの問題とか、あるいはこれからの統合再編であるとか、こういったことが今うたわれているんだ、こういうふうに認識をしております。
一方で、私の感覚ではなかなか俎上に上がっていないなという問題の中に、いわゆる手順書、これは正式名称でいいますと製造販売承認書、つまり、手順書に従って薬は製造してください、これに違反をしていれば、例えばこれが人体の健康や命に関わるものであれば行政処分とか出荷停止まで行くということであるんですけれども、逆に、メーカーの方々からは、この手順書が余りにも細か過ぎるんじゃないかと。
そして、行政も、あるいは自主点検の中でも、例えば添加物の産地の国が違うとか、製造するときのカラムの直径が違うとか、そういうことでも一つ一つチェックが入って、これが、では増産をしようと思ったときに、コストをかけてまで、手順書をまた変えて増産体制に入るかというと、そういうことはなかなかモチベーションが湧かない。
実は、この手順書の問題というのを非常に私はよく聞くんですが、まずそういったことが、岡田参考人、業界の中で今議論になっているのかどうか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○岡田参考人 御質問ありがとうございます。
なかなか回答が難しい御質問だというふうに思うんですけれども、我々とすると、今回、後発品企業を中心とする不正に端を発して今般の事案が発生しているということについては、先ほどの冒頭の陳述でも申し上げました。そういう実態の中で、今先生がおっしゃったように、いやいや、規制が厳しいのでこうなっていますというのは、我々がそういうふうに言うのはまさに本末転倒な問題だというふうに思っているというのがまず基本スタンスであります。
ただ、確かに、先生御指摘のように、何か製造方法を変える、原料を変える、製造場所を変えるといったときの手続について、不要な手続論というものについて見直すということについてはもちろん必要だというふうには思っていて、そういった点については引き続きしっかりと、要は、先発品から後発品に、ライフサイクルとともに製造者が変わっていくという中で、引き続き議論しなければいけない論点であるというふうには思っております。
ただ、冒頭申し上げましたとおり、この点については、我々とすると、今定められている法をしっかり遵守して、いかに安定供給と品質確保を保つのかというのがむしろ優先だというふうに思っているところでございます。
○梅村委員 ここでいきなり、手順書を簡単にしてくれというのは言いにくいと思いますけれども。
要は、申し上げたいことは、命とか健康に関わるためにチェックしなければいけないことと、形式上守っているか守っていないことがごっちゃになって査察を受けたりしていることが、やはりメーカーからしたらこれは非常に重荷なんじゃないか、私はそういうことを考えるんですが、福井参考人、こういったこと、実際に今回の審議会等でも話題に出たのかどうか、ちょっと記憶にあれば教えていただきたいと思います。
○福井参考人 ありがとうございます。
手順書のところのレベルまで私たちがディスカッションした記憶は余りないんです。申し訳ありません。私自身、後発医薬品が突然供給されなくなったということで驚いた記憶はございます。少量多品目で製造のシステム自体がなかなか追いついていけないということも、実はその頃初めて知ったのが正直なところでして、済みません、余り役に立ちませんで。
○梅村委員 これは、実際の製造メーカーさんと、あと行政との間の手続の問題でありますので、我々議員も、そういった課題があるということを是非共有をしておきたいなというふうに思います。ありがとうございます。
それでは、続きまして狹間参考人に。
今日は、大阪から来ていただきまして、ありがとうございます。狹間参考人に来ていただきました理由は、今日も御説明の中にありましたけれども、国家戦略特区に大阪府、大阪市と共同提案をして、そして調剤業務の一部外部委託、これの実証実験をされたということで今日は御説明をいただきました。
今回の法案の中にもそういったものが含まれておるんですけれども、私は最初に聞いたときに、正直、一包化だけなのかと。安全性、有効性、経済性を考えれば、もっとほかの業務も外部委託できる可能性があるんじゃないかと思うんですが、現実的に、この実証実験に参加されたお立場として、この辺り、一包化以外にも可能性があるのかどうか、教えていただきたいと思います。
○狹間参考人 ありがとうございます。
百五十六例を実施したと申し上げましたけれども、実施薬局は二桁でありますので、確率としては非常に少ない例しか実行できなかったということはございます。
その一つの理由が、先ほど同意書の話をいたしましたが、もう一つが、やはりこれだと、逆に任せてしまった方が煩雑になると。
今回、手順書上は、一包化に限るというふうになっておりましたので、一包化の手作業、そこの部分を機械に任せるというところだけをしたので、それでは、例えば貼り薬、湿布が出ている方であるとか、あと漢方薬が別包で出ている方とかは対象から外れてしまいます。そうすると、一包化の部分だけをほかの薬局にお願いして、また戻ってそれをやるんだったら、まさに業務フローがぐちゃぐちゃになるので、そうすると、安全性の観点からもそれはお願いできないということで少なくなったという点がございます。
ですので、これは議論でも事前にあったところではございますが、一包化に限らない部分というものはいずれかの時点でやはり検討していただきたいということできましたので、今回の改正案の中でもそういった方向性でお話が進めばいいなというふうに思っています。
それからもう一点は、医薬品が非常に高額になっておりまして、抗がん剤を含めて、薬局で、一錠何万円とか一箱百万円とか、そういったものを在庫しなくちゃいけないというふうになっています。
今回、薬機法の施行規則の十一条の十一というところで、薬局開設者は、処方箋を応需した場合に、その処方箋を応需した薬局の薬剤師さんにその薬局の中で調剤をさせないといけないという、これは当然だと思うんですけれども、そうなると、そこの薬局に在庫していないものは調剤できないということになります。
もちろん、それは取り寄せればいいわけですけれども、例えば十錠の薬があって八錠余ってしまった際に、その八錠が一錠数万円ということになると、中小の薬局にとってはそれは非常に大きなことになりますし、現に、それが大きな経済的なマイナスになって、経営を諦めざるを得なかったという薬局も出ておるというふうに聞いておりますので、やはりその取りそろえの部分、そこの部分も含めてできるようにすることが、かかりつけの薬局をずっと使い続けていただく上でも重要じゃないかなというふうに考えています。
以上です。
○梅村委員 ありがとうございます。
もう一つお伺いいたしますが、零売薬局、零売の販売、これについても、先ほど、あくまでも補完的にやるものだ、そういう御答弁というか、発表いただきましたけれども、我々も、実は我が党もこれは大分議論をしたんですが、零売がいいか悪いかという前に、いわゆる薬剤師さんが実は患者さんの本当の病名を知らない。表向きはそうなんですね。昔は院内薬局がほとんどでしたから、カルテは多分見ていたと思うんです、入院患者さんも外来の方も。今、医薬分業になったことによって出てきた脆弱性がそこに当たるわけなんですね。
我々としては、処方箋に病名を書けとまでは言いませんが、何かしら情報が医療側と共有をできるようにしなければ、零売であろうがなかろうが、これは非常に問題ではないかという問題意識が一つあります。これが一つ目の質問になります。
それからもう一つは、リフィル処方という制度が実は始まっているにもかかわらず、これがなかなか広がらないままに、零売はどうなのかという議論に行ってしまっている。これが広がらない理由が一体どの辺りにあるのか、これをちょっと教えていただければと思います。
○狹間参考人 ありがとうございます。
まず、病名は処方箋に書いていませんので、例えば抗がん剤一つ取っても、抗がん剤ということは分かるんですけれども、どこの部位のがんかが分かりませんし、ファーストラインなのかセカンドラインかも分からないので、薬剤師さんは、非常にセンシティブな薬だけれども、いつもの薬以上にちゃんと説明できないというジレンマがうちの薬局でもやはりあります。
ですので、医療情報のネットワークが完結する中で、やはり医師の診断名、それからもう一つは処方意図、そういったものがきちっと薬剤師さんに分かるということで、これはどこが変わるかというと、薬剤師さんから医師に対してのフィードバックの内容が変わってまいります。
今、私ども病院の方では、当然ながら、電子カルテの内容を薬剤師さんは全部見るので、診断名、検査結果、そして医師の診断、それから治療方針、さらには患者さんへの説明内容も全部、看護記録とともに見ます。それを基に服薬指導に当たりますので、やはり医師と薬剤師さんとのチーム医療というのは格段によくなるというふうに思いますので、情報のネットワークに今回薬局が入っているというふうにも伺っておりますので、是非、薬局の方でも診断名、それからさらには検査結果も一部開示できるようになっていますけれども、医師との情報共有がうまくいくような仕組みづくりというのは、これから、抗がん剤もそうですけれども、どんどん薬物治療は病院外で行われるようになりますので、そこは重要かなと思います。
それからもう一つ、リフィルなんですけれども、一つは認知度の問題もあるとは思うんですが、私も何人かリフィルに出したときに、主には血圧の患者さんが多いんですけれども、高血圧の薬を出します、三十日分三回で、九十日後に来てもらうんですけれども、どうでしたかと言うと、先生、めちゃくちゃ便利です、待たなくていいしと。
そのときに、薬剤師さんに血圧のお手帳を見せましたかと言ったら、見せていないし、聞かれてもいないというんですね。それは困りますと。やはり薬剤師さんがちゃんと、これでいいね、狹間がこれを五ミリで出しているけれども、今回も五ミリ三十日分をお渡ししますという、ここの、いわゆる服用後のフォローですよね。そこで、これでは血圧が低過ぎる、高過ぎるということを思った場合には、これは出せないので、医師にきちっと言って、もう一度診察を受けてくださいというフィードバック、これは薬機法で定められているところですけれども、ここはやはりまだ機能し切っていないという部分がございます。
これは対人業務と言われるものの一つだと思いますけれども、ちょうど外部委託のことも含めて、対物業務の効率化を図らないとなかなかそういったところにシフトできない、そういうところがあるんじゃないかなというふうには思います。
以上です。
○梅村委員 ありがとうございます。
ですから、現時点でも、やはり改善をした上で法改正なりなんなりで実効性を担保していく、これが非常に重要なことではないかなというふうに思います。
済みません、天野参考人と柳本参考人にも聞きたいことが実はあったんですけれども、時間が来ましたので、これで終わらせていただきます。
今日は、五名の皆様、本当にありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、浅野哲君。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。
本日は、五名の皆様、大変お忙しい中、非常に多岐にわたる視点からの冒頭の御発言、ありがとうございました。
私からも何点か御質問をさせていただきたいと思いますが、まず、今日、冒頭伺いたいのは、柳本参考人に先ほど説明いただきました資料の内容をもう少し聞きたいところがありますので、伺わせてください。
資料の四ページから五ページにかけては、いわゆる創薬エコシステムについて記載がございまして、五つの要素があり、これがそれぞれそろっていることが大事だ、こういったような御発言をされておりました。
これは感想になってしまうんですが、非常にどれも重要だと思いますし、特に、継続的な人材流動性の確保、あるいは技術需給のマッチング、これをしっかり動くようにしていくと、これは本当にすばらしいエコシステムなんだろうというふうに思います。
こうしたことが起こるようなコミュニティーの形成というものが我が国においても図られれば、それはすばらしいことなんですが、このために、こういったことも視野に含めながら、今回、基金を新設するということが法案の内容にも含まれておりますが、釈迦に説法ですけれども、基金をつくったから、それでめでたしめでたしというわけにはいかず、では、その基金をどういうスキームで、どういうルールに基づいて使っていけば、そういったコミュニティー形成につながるのか、やはりここが非常に重要だと思うんですね。
この点に関してはもう少し参考人の御意見を伺いたいなと思いましたので、冒頭、ちょっと質問をいたします。
○柳本参考人 柳本でございます。
先生、どうもありがとうございます。非常に重要な点だと思っております。
今回の基金に関しましては、先ほど申しましたとおり、創薬力の強化に向けて有効だというように思っておりますが、基金だけを用意してお金を落とせばいいかというと、全くそうは思ってございません。
実際、皆様御存じのとおり、過去にも、基金という形ではないにせよ、多くのお金が公的な資金として投じられ、例えば、いろいろな地域にいろいろな研究拠点がつくられました。今でも、例えば、そういったところがどういう状況かといいますと、特に首都圏に近いですとか、とある大学に近いというところは、一定の入居率を誇り、そこで様々な活動が行われていますが、少し離れた場所にあるところですとか、工業団地型の箱物になってしまっているところ、こういったところは入居率も非常に低く、これを繰り返してはならないというように思っております。
ですので、今回、まだ基金の行く末というところは決まっていないというようには聞いておりますけれども、やはり基金の行く末を考える上で、しっかりと民間、アカデミア、そういったプレーヤーの意見を参考にするとともに、諸外国で様々行われているエコシステム形成に関わる政策的な支援というところをしっかりと踏まえた上で、実になる、コミュニティーであればコミュニティーのしっかりと形成につながるような、例えば、拠点をつくるにしても箱物ではなくて、箱物をどこかにつくればいいというわけではなく、しっかりと物理的にも需要があるような地域に置き、そこの中で諸外国、例えば、海外のボストン・ケンブリッジエリアのような拠点の中で提供されているようなサービスを提供していくですとか、それらを、もちろん政府ができるものは政府がしてもいいのかもしれませんけれども、民間事業者、それも、日本の力だけでは、日本の企業だけではなくて、海外の企業の力なんかもかりながら、そういったことが実現できるといいのかなというように思っております。
回答になっていますでしょうか。
○浅野委員 ありがとうございます。
私も、海外リソースをいかに活用できるか、海外リソースとの接続をいかに成功させるか、これが非常に重要だと思いますし、参考人がおっしゃるように、箱物をつくればいいのではなく、しっかりそこもニーズとシーズがフィットする、そういった立地であったり、あるいは環境整備を含めて、ちゃんと計画的に進めていかなければいけない、そういうふうに理解をしております。
さらに、ちょっと時間も限られているんですが、できれば簡潔にお答えいただきたいんですけれども、海外リソースを活用するといったときに、仲介する存在も大事なんですが、やはり我が国で活動するメリットというものが先方になければいけないと思うんですね。
今、日本の創薬業界は非常に様々な規制があり、世界から見たときの魅力が低下しているのではないか、こういった指摘を度々受けるんですけれども、どういった点が日本の魅力なのか、コミュニティー形成に当たってどういった視点を持つべきなのかということについて、簡潔に是非よろしくお願いします。
○柳本参考人 簡潔に申しますと、様々な観点があるとは思うんですけれども、やはり日本で提供し得るもの、例えば、過去にありましたような、再生医療三法のような、海外ですと整備されていないような法環境をいち早く整備することによって、我が国における臨床試験をやりやすくするですとか、我が国でしか入手ができないような様々な研究資材が手に入るようにする、そういったところが重要なのかなと思いますので、決して、必ずしもお金だけであったりですとか、そこにある人材だけではないというように考えております。
○浅野委員 ありがとうございました。
では、続いて、法案のちょっと具体的な中身について一問、こちらは実業界に関わられている狹間参考人と岡田参考人に伺えればと思っております。
今回の法案の中では、乱用防止のために、医薬品を販売する際の年齢確認であったりですとか、現場で売る、売らないの判断が求められる、そんな法改正内容が含まれておりますが、やはり薬を購入する顧客からすると、体調が悪かったり、何らかの理由で薬が必要だから買うという方が大半なわけです。そこで販売を断るということが現場でなされることになると、顧客とのトラブル原因になることも想定されるわけです。
実際の販売現場における、法令を実行する段階で現場における懸念点などがあれば、是非御意見を伺いたく思います。
○狹間参考人 ありがとうございます。
例えば、零売そのものもそうだと思うんですけれども、お医者さんに行けなくてお薬が二日間切れてしまう、金曜日で切れてしまって、土日で行けなくて、月曜日には行けるんだ、その間に薬が欲しいとか、若しくはちょっとした風邪で薬が欲しいという場合には、それは当然ながら、提供する役割というのは薬局側にあるとは思います。
その一方で、今回やはり問題になっているのはオーバードーズの問題であったりアビューズの問題だと思いますので、そういったところを規制する上において、薬剤師さんがきちっと患者さんに対して、医薬品の適正使用と医療安全の確保が薬剤師さんのミッションなので、この方にこの薬をお渡し、お売りすることが適正かどうかとか、安全性が担保できるかどうかという観点でのチェック機構が、今、薬局では残念ながら十分ではないと言わざるを得ないところ、これが一番の課題と思います。
薬剤師さんも今そこをキャッチアップされてきていますけれども、そこが埋まっていく一つのステップとしては、ちょっと規制があるというのは必要なんじゃないかなというふうには思っております。というのは、やはり薬剤師さんが何で売れないんだと言われたときに、これはちょっと法律で禁じられているのでというふうに、自分が意地悪で売らないわけじゃなくて、こういう部分があるので少しこれは対応できませんというふうなところは一つあり得るのかなというふうには考えています。
以上です。
○岡田参考人 御質問ありがとうございます。
今、狹間参考人がおっしゃったように、医薬品については、その承認内容に基づいて、しっかりと有効性と安全性を確認された下で処方されるものというのがまず基本であるというふうに思います。
ただ、製薬企業は、患者様への販売、そこには直接関わっておりませんので、ここについて、いい、悪い、含めたコメントは差し控えさせていただければというふうに思います。
以上でございます。
○浅野委員 それでは、最後の質問になるかと思いますが、薬価改定の考え方についてお三方に伺いたいと思います。福井参考人、岡田参考人、柳本参考人のお三方に伺いたいと思います。
薬価改定については、現在は市場実勢価格と薬価との乖離率をベースにした算出方法、いわゆる乖離率モデルというふうに言いますけれども、これを基本としておりますけれども、やはり近年、中間年の改定が繰り返され、低い価格に合わせた薬価の引下げや、あるいは薬剤が持つ革新性への評価というのが不十分なのではないかという指摘であったり、あるいは、そういった中間年薬価改定が行われることに対する事業者側から見た収益予見性の欠如というものが問題視されています。特に、後発医薬品メーカーにとっては経営が非常に苦しい原因にもなっておりますし、イノベーション投資の回避傾向なども強まっているというふうに認識しています。
世界を見ると、アメリカではバリュー・ベースト・プライシング、あるいは英国でも国立医療技術評価機構という機構が行っているように、アウトカムベースであったり、あるいは費用対効果評価、こうしたものを活用した評価を取り入れる動きもあるというふうに認識をしております。
これまでの薬価改定の考え方は皆さんも十分に御認識だと思いますが、これからの薬価改定を考える指標についてどのような考えを持っているか、お三方、それぞれ是非御意見を伺いたく思います。
○福井参考人 ありがとうございます。
私自身、余りそのテーマについて深く考えたことがございませんので、申し訳ないんですけれども、ここで意見を述べるのは控えさせていただきたいと思います。申し訳ありません。
○岡田参考人 御質問ありがとうございます。
特に、ちょっと釈迦に説法の部分はありますけれども、医療機関あるいは薬局の医薬品の購入価格というものに基づいて薬価を改定する仕組みにおいて、当然のことながら、取引価格というのは、保険償還価格は一〇〇で決まっておりますので、下は自由市場ですので、それよりも安い価格で取引されております。さらに、他の商取引と同様に、購入数量の多寡、すなわちバイイングパワーというものも働いているというのが今の実態であるというふうに思います。
今御指摘の現行の市場実勢価に基づく価格の改定方式というのは、今より約三十年前、一九九二年に導入されました。そのときは、医療費に占める薬剤費の比率は三〇%を大きく超えておりました。そして、薬価の乖離差も二〇%を超えている。薬剤を使えば薬価差がどんどん入ってくる、こういうことが問題であるということで今の制度が導入されました。
これを是正するために導入されたわけですけれども、それから三十年以上が経過をして、今、医療費に占める薬剤費比率は諸外国とほぼ同じ、いわゆるグローバルスタンダードの二〇%ちょっとになりました。また、薬価差も五・二%まで縮小いたしました。すなわち、百円の薬価のものが九十五円ぐらいで取引されている。すなわち、五%は、例えば在庫の損耗コストであったり、いろいろな費用を考えた場合には、実はもうぎりぎりのところまで来ているというのが今の実態であるというふうに思います。
言い換えれば、制度導入当初の課題はほぼ解決した、市場実勢価格に基づく改定方式を入れた所期の目的は達成したというのが今の現状であるというふうに思います。そういった中で、中間年改定の導入によって毎年改定をしているということが過剰是正になって、足下では不採算品を増やして安定供給問題にもつながっているという状況であると思います。
今後どうしていくかということでございますけれども、今後は、市場実勢価に基づく一律の改定というところから、先ほど御指摘がありましたように、例えば新薬であったり、特許の切れた長期収載品であったり、後発品、あるいは時間の経過とともに医療上必要性が確認された、長きにわたって使われる薬剤といったように、その役割とか位置づけに基づいた、カテゴリーに応じた薬価制度をつくっていくということが非常に重要だというふうに思っております。
とりわけ、やはり新薬というところについては、先ほど、今日は時間も限られていますので詳細は申し上げませんけれども、単純に類似薬効であったり原価計算方式ということだけではなくて、グローバルにも、革新的なイノベーションの価値をどのように評価していくのかということについては非常に議論がされております。医療上の価値だけではなくて、薬を投与することによって介護者の負荷も落ちるということも加味すべきだとか、いろいろな論点がありますので、ここについては引き続き是非御議論させていただければというふうに思っております。
以上でございます。
○柳本参考人 ありがとうございます。
具体的な案があるわけではございませんが、イノベーションの加速、推進というところと、やはり安定供給の下支えというところに関して薬価は非常に重要なレバーになるというところ、これは強調したいと思います。
一方で、医療財政の均衡、患者負担の低減という観点も忘れてはならないというところですので、それらをしっかりと鑑みてこれからも議論を続けることが大事なのかなというふうに思っております。
どうもありがとうございます。
○浅野委員 終わります。ありがとうございました。
○藤丸委員長 次に、浜地雅一君。
○浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。
今日、まずは五人の参考人の皆さん方、大変貴重な御意見を賜りましたこと、心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。
まず、私は天野さんにちょっとお伺いをしたいと思います。
先ほど、いわゆるバイオシミラーと高額療養費の関係について御意見をいただきました。大変貴重な意見だったと思っております。先ほどの意見では、高額療養費に達さないがために、あえて先発品を使うという患者さんがいらっしゃるという問題でありました。
それと、もう一つの問題というのは、バイオシミラーは元々金額が高いので、バイオシミラーを使うことによって高額療養費に達しないという問題では恐らくなく、バイオシミラーを使っても、若しくは先発品を使っても、恐らく高額療養費の金額に達してしまうので、バイオシミラーを選ぶインセンティブがない、そのためには一部高額療養費の上限を設定したらどうかというような建設的な意見だったというふうに私は理解しましたが、バイオシミラーと高額療養費の関係について、もう一度、その辺りの天野さんの御意見をお伺いできればと思います。
○天野参考人 ありがとうございます。
確かにおっしゃるとおりで、バイオシミラー自体、比較的高価であるということがあるので、それほどインセンティブが働かないのではないかという御意見かと思いますが、ただ、私が現場で患者団体あるいは医療者の方々と接している中では、少しでも金額を上げたいというやはりインセンティブはありまして、例えば患者さんの中には、実際、例えば数百円とか、本当に僅かな金額が足りないがために高額療養費の多数回該当から外れてしまうという患者さんがいらっしゃるので、そういった中で、価格差は少ないにしても、先発品を使う方向に進むというふうなインセンティブが働く可能性はあるというふうには思っております。
ただ、バイオシミラーも、結局、例えば薬局等で購入するようなお薬と違って、処方薬なので、患者さんが主治医にお伝えするということになってきますよね。そうすると、病院としてバイオシミラーを積極的に使っているのか、あるいは先発薬を使っているのかというところにかなり左右される部分があって、患者さんが絶対先発品にしてくれということは、そんなにしょっちゅう通るわけではないということはあるかと思います。
回答になっていますでしょうか。
○浜地委員 ありがとうございます。
要は、上限金額を設けることとの関係をちょっとお伺いしたかったのでありますが。インセンティブがなかなかないので、やはり高額療養費の金額に上限をつけるべきではないかという御意見だったかどうかということをちょっとお伺いしたかったんです。済みません。
○天野参考人 大変失礼しました。
先生御指摘のとおりで、やはり上限を設けていただく方が私は望ましいというふうに思っております。
ありがとうございます。
○浜地委員 この高額療養費制度、本当に制度の維持、やはり財源の確保という問題と、それとやはり患者さんの御負担という二つの両面がございますので、今の御意見、大変建設的な御意見だったというふうに受け止めたいというふうに思っております。
次に、柳本参考人にお伺いをしたいと思っています。
先ほど、様々な御説明の中で、特に海外のエコシステム、ボストンを中心に発展をしていると。しかし、これも、自然発生的にできたというよりも、やはり州政府等が、しっかりと政府が主導しながら海外のエコシステムはつくっていったんだという御発言がございました。そのためにも、今回、法案の中に盛り込まれました革新的新薬実用化支援基金というのが大事であるという御意見も賜ったと思っております。
私は先日の厚生労働委員会でもお話をしたんですが、革新的新薬の実用化支援基金、これにつきましては、いわゆる創薬のクラスター支援、どちらかというと箱物の支援の方は大体この金額を使おうというふうになっておりますが、いわゆるアカデミア若しくはバイオベンチャー企業のシーズを実用化に向ける、具体的に言いますと、ベンチャーキャピタルが投資をする環境まで、研究のデータや、様々な最終開発候補品のリードまで持っていく過程が私は大事だという質問をさせていただきました。
しかし、そのためにあるのが創薬エコシステム発展支援事業、令和六年の補正でついた事業だと思っておりますが、これについても、私はこの革新的新薬の実用化の基金にやはり取り入れていかないと、先ほど言われましたボストンのような、政府主導での最初の始動というのが大事だと思っております。
ただ、これにつきましては、AMEDで同じような事業があるのではないか。しかし、私は、AMEDというのはどちらかというと公募に応募する形で、どちらかというとアカデミアの方からの研究をサポートするもの。しかし、創薬の開発というものは、やはり、要はプッシュアップといいますか、こちらから出かけていって、様々いろいろなシーズにアクセスしていくことが大事だと思っています。
そこで、この創薬エコシステム発展支援事業を基金事業にすることの意義というものは私はあろうかと思いますが、専門家の立場から柳本さんの御意見を頂戴できればと思います。
○柳本参考人 御質問いただき、ありがとうございます。
まず、AMEDとの役割分担に関しましては、私はAMEDの事業の方は余り詳しくございませんので、私の方から述べることは難しいかなと思っております。
一方で、おっしゃられたとおり、しっかりとシーズを実用化につなげていくという中で、公募として待っているだけではなくて、むしろ取りに行く、そこを何ならつくりに行くというところが大事ということは間違いないかと思っております。
私の陳述の中でも述べさせていただきましたとおり、日本のアカデミア、研究自体は当然、研究力は相当高い。ただ、じゃ、創薬に向けて、必要な特許戦略ですとかデータをどういうふうに取っていくかとか、そういう戦略を立てられるかというと、立てられませんし、それを支援するような伴走するような機関、それが充実しているかというと、それも充実していない。加えて、ベンチャーキャピタルに関しても、まだまだ日本の創薬関係のベンチャーキャピタル、それほど規模が大きくないところが多い。まさに鶏、卵でありますので、投資対象が少ないというところとの裏返しでもありますけれども、そういった中で、何らか政府が支援する余地というものは十分ある。
さらに、基金化というところに関しましては、やはり創薬の期間が十年、十五年かかること、それを鑑みますと、単年度事業の中で支援するということは難しいのかなというように思っており、基金化の意義があるというように考えております。
○浜地委員 ありがとうございます。
済みません、もう一問、ちょっと柳本さんにお聞きをしたいと思います。
もう一つの基金がございます。後発品の再編のための基金であります。これは五年間の時限の基金ということなんですが、私は個人的に危惧をしておりますのは、恐らく後発品企業によるコンソーシアム形式というものを厚労省は推奨していくのかなというふうに思っていますけれども、これもなかなか、恐らく、いろいろな会社が一つにならないように、自分たちの企業の様々な機密を融通し合うということについてはちゅうちょするんじゃないかなというふうに思っています。
ですので、私は、この基金事業は、五年ほっておくと実際には少量多品目、品質というのは、改善されないんじゃないかという危惧を実は持っておりまして、もう少しやはり強力に税法上の支援とか、再編を促すような、更に強度な仕組みが必要なんじゃないかというふうに私は個人的に思っておりますが、後発品企業の再編に向けての柳本さんの、もう少しこういったものがあると進むんじゃないかということを開陳いただければというふうに存じます。
○柳本参考人 柳本でございます。ありがとうございます。
先ほども申しましたとおり、まず、基金が全てを解決することは間違いなくないというように思っております。
基金以外のところで、検討会の中でも議論されていたような様々な政策が今は途上なのかなというように思っておりまして、例えば、企業要件というところで、要件を満たさない企業の退出を促すですとか、あとは、収載時に七社を超えた場合には薬価を先発薬の四掛けにする、十社だったのが七社にするですとか、将来五社じゃないかというような発言もありましたけれども、そういったところでより集約を促すというところのインセンティブも働いているでしょうし、あとは、先ほど来議論になっているように、薬価のところでのインセンティブをどうしていくかというところ、加えて、じゃ、実際にやるぞとなったときの資金面以外のところでの規制面、そういったところの手当てがしていけるといいのかなと思っており、通達で対応されている中程度での品目統合といったところなんかがしっかりと運用に乗ってくれば、それなりに動いてくるのかなというようには思ってございます。
○浜地委員 ありがとうございました。
それでは、岡田参考人にお伺いします。
昨年三月に製薬企業等で出されました要望書を拝見をいたしました。その中で、先ほどの意見の中でも、要望の多くが今回の法改正に盛り込まれたというふうにございますけれども、一つ私、気になったのが、医薬品の円滑な輸出に向けての取組という項目がございました。恐らく、これは今回の法改正には盛り込まれていないところであります。
もう釈迦に説法でございますが、日本は約三兆円弱、医薬品につきましては貿易赤字でありますけれども、輸出用の医薬品の手続については、この要望では、法改正の機会に制度上明確化する必要があるというふうに提言では書かれております。この辺りの認識について、今回は改正されませんでしたけれども、どういった問題点があって、協会としてどういった御要望があるのか、お伺いをし、次につなげていきたいと思いますので、御意見を頂戴したいと思います。
○岡田参考人 御質問ありがとうございます。
医薬品のサプライチェーンというのは、原材料の手配、製造、あるいは出荷するまでにグローバルにボーダーレスに構築をされておりまして、そういった中で、特にどの国で生産設備を持つのかということについては、やはり制度が明確で、予見性が高くて、投資インセンティブの有無によって意思決定をいたしております。
したがって、今回、医療用医薬品ということを見た場合に、多くの企業のモデルは、日本で製造して、例えば米国であるとか中国に輸出するというモデルは実は取っておりません。現地に近いところに製造拠点を持っていて。ただ、我々は日本に知的財産を所有していて、最終的なロイヤリティーを日本に持ってきてそれを納税する、こういうモデルをしておりますので、そういった中で、製造をどこで作るのかというのは、一方でさっきバリューチェーンの問題から申し上げましたように、どの国で作れば最も効率的なのかということを、安定供給、それからインセンティブの有無によって意思決定しているということでございます。
したがいまして、日本も、現状よりも更に予見可能性とか効率性を重んじた制度としていただいて、内資企業のみならず、諸外国の企業からも、日本にやはり製造拠点を置くということについてのインセンティブ、薬事行政的にフレンドリーであるというようなことを整備いただくということが重要だというふうにちょっと認識をしております。ちゃんとした御質問への回答になっていない部分がありますけれども、非常に難しい問題でございます。
以上でございます。
○浜地委員 ありがとうございます。
では、最後の質問にしたいと思いますが、狹間参考人にお伺いをしたいと思っています。
今、OTC類似薬、いわゆる処方箋以外医療用医薬品を保険適用から外してはどうかという議論を実は三党でやっていまして、私もそのメンバーでございます。
これにつきましては、当然、医療用でございますので、OTCとは用法、用量が違う、また効能も違うということでありますけれども、仮に用法、用量が一緒で効能も同じものだったら保険から外してもいいんじゃないかというような議論もあるわけでございますが、先生は医師でありますし、薬剤もされておりますし、OTCも扱っていらっしゃると思いますので、この辺りの見解について、先生の御意見を最後頂戴できればというふうに思っております。
○狹間参考人 ありがとうございます。
特に花粉症のお薬とかですね、やはり保険からいきなり外すというのはちょっと議論が必要かなというのは、個人的には思います。
というのは、いろいろ薬剤の中にも、例えば抗がん剤の副作用のところでも使う薬剤で、そういった今おっしゃる類似薬の部分は、医師が診療を行う上で、これは患者さんにいい医療を提供する上で、自分の範疇から外れていってしまうというのは少し避けた方がいいのかなという部分がございます。
ただ、やはり社会保障の原則の中で、小さな病気は自助で、大きな病気は公助でということになりますと、基本的に、選定療養とは申しませんけれども、そういった軽微な疾患に使うものについての還付率、そこをちょっと調整するとか、そういったものはあるのかなというふうには、個人的には考えておりました。
以上です。
○浜地委員 時間になりました。終わります。ありがとうございました。
福井先生、質問がなく、大変申し訳ございません。ありがとうございました。失礼します。
○藤丸委員長 次に、高井崇志君。
○高井委員 れいわ新選組の高井崇志でございます。
今日は、参考人の皆様、貴重な御意見、陳述をありがとうございます。
まず天野参考人にお伺いしたいと思うんですが、天野参考人のインタビュー記事をちょっと読ませていただいたんですが、二十七歳のときに悪性リンパ腫と診断されたとお聞きをしました。実は私の秘書も悪性リンパ腫、三十代のときに診断をされて、一年足らずで亡くなってしまいました。もう数年前のことなんですけれども、本当に早かった、あっという間だったという、本当につらい経験をいたしました。
天野参考人は、今、患者団体の代表としてすばらしい活動をされておられますけれども、どんな思いでその活動をされているかということ。
それからもう一つ、先ほど高額療養費の説明もありましたけれども、先般、超党派の議員連盟が立ち上がりましたけれども、この超党派の議員連盟に期待することを、今日の法案とは少し離れますけれども、最初にまず聞かせてください。お願いします。
○天野参考人 ありがとうございます。
今御質問のように、私自身も五年生存率一〇%程度と言われ、たまたま私は治療が奏功しましたが、やはり同じ仲間で亡くなっていった患者さんはたくさんいらっしゃいました。その患者さんたちは何を願っていたか、もちろん、それぞれのお考えが、当然、お考え、思いがあるとは思うんですが、やはり御病気を治したいというお気持ちがあったでしょうし、病気を治して、もっと生きたいという思いが一番強かったと思います。もし生きることがかなったのであれば、患者さんたちは何を望むだろう、やはり、がん医療がよくなること、医療環境がよくなることということを望むだろうと考えておりまして、私自身はそういった思いから患者支援団体の活動に関わらせていただいております。
また、薬機法の議論におきましても、いわゆるドラッグラグの解消であるとか、あとは、場合によっては、お薬の安定供給というお話もありますが、それぞれやはり、特にがんの患者さんにとっては切実な問題で、例えばお薬の安定供給に関しても、情報が十分患者さんに来ないということがありまして、これも薬機法の広告規制等が絡んでいると私は考えていますけれども、患者さんが必ずしも情報を知る環境にない、また、お薬がまだまだ迅速に届かないということがありますので、一人でも多くの患者さんに一日でも早く有効なお薬が届くよう、この薬機法の審議をしていただきたいと思っております。
また、いわゆる超党派議連ということに関しましては、やはり今回の高額療養費に関して、政令事項ということで、短期間で十分現場感覚がないまま、欠如したまま審議されてしまったのは非常に問題だということに加えて、やはり、国民の代表者として選ばれている国会議員の先生方が、必ずしも十分に事前の検討の段階で関わっていただいていなかったということも問題だと思っております。
私個人としては、もちろん、厚生労働省の審議会で検討いただくものとは承知しておりますが、それに加えて、議員の先生方から、幅広く超党派の先生方から高額療養費の議論に加わっていただいて、よりよい制度をつくっていただきたいというふうに考えている次第です。
ありがとうございました。
○高井委員 私の秘書、小笠原君といいますけれども、本当に、天国で聞いていてくれたかなと思って聞いておりました。
また、議員連盟は、私も末席に加えさせていただいておりますので、是非、皆さんの声、しっかり受け止めて、審議会だけで決めるということなく、できれば審議会に皆さんの代表が入っていただくということも大切だと思いますし、会長は自民党の武見先生ですから、是非、超党派でいい議論ができればと思っております。
それでは、ちょっと法案の中身に入りますが、れいわ新選組では、今回、様々な改正項目がありますけれども、やはり一番注目している点は、現行の薬機法の十四条の三項にあった臨床試験の試験成績という文言を削除して、品質、有効性及び安全性に関する資料として厚生労働省令で定める資料というふうに変更をされている、この点に非常に懸念を覚えます。
これは五人の皆さんに同じ質問をしますので、それぞれお答えください。
これは、やはり医薬品の安全性、有効性という観点から、本当に大丈夫なんだろうかということを危惧いたしますので、それぞれお立場は違いますけれども、御意見。
それと併せて、もう一つ、我々の提案としては、そういった心配もありますから、そういった臨床試験を、第三者機関のようなものをつくって、しっかり公平性の観点からそういう試験も定期的に行って、その結果を公表していくというようなことも不安を解消する一手ではないかというふうに考えるんですけれども、その二点について、五人の参考人からそれぞれ御意見、お聞かせください。
○福井参考人 臨床試験につきましては、私も、いろいろなグループがやっていて、少々クオリティーに差があるところもあるのではないかと。研究結果などを学術誌で評価する立場、日本から英文雑誌、日本医師会がやっているジャパン・メディカル・アソシエーションのジャーナルという英文誌がございまして、そこに投稿されてくる原稿なども見ておりますけれども、やはり臨床試験につきましては、まだまだ我が国から来るものにつきましては質に問題があるのではないかというケースもございまして、臨床試験に携わる人員のクオリティーのところも私は問題があるのではないかな、まだまだ改善の余地があるのではないかなというふうに思っています。
今回の法案に関わるところにつきましては、私としては、余り現在の状況以外に意見はありませんので、申し訳ないですけれども。
以上です。
○天野参考人 ありがとうございます。
まず、臨床試験についてですけれども、私は臨床試験を審査する体制ということについて申し上げたいと思います。
いわゆる臨床研究の審査委員会が各医療機関や研究機関等であるわけですけれども、私は厚生労働省の先進医療技術審査部会の構成員をしておりますけれども、先進医療ももちろん臨床試験なわけですけれども、そこに上がってくるプロトコルですら、先進医療技術審査部会の専門の先生方から見ると、必要最低限のことが必ずしも十分に審査されていないクオリティーのものが臨床試験として上がってきてしまっているという現状があります。
また、臨床試験を審査する組織、委員会が多過ぎると、それぞれの組織ごとに審査をして承認をするというプロセスになりますので、それだけ手間も費用もかかってしまう。しかも、今申し上げたように、クオリティーが必ずしも担保されていないということになりますと、いわゆるセントラルIRBというか中央審査という形で、いわゆる、ある程度は集約化して、質も担保しつつ、かつ、時間の短縮も図っていただくということが臨床試験の推進に必要であるというふうに思っております。
私からは以上です。
○狹間参考人 私からは、現場で診る者としては、迅速に、我々は、世界で使われているものが日本で使えないという状況は、やはり患者さんからするとどうしてなんだという話になりまして、我々もそこは、いかに安全で安心できる薬剤を適切に使用していけるのかというところでは、やはり今、日本においてドラッグラグの問題とかもございますので、少し前向きな対処をしていただければいいかなというふうには思います。
以上です。
○岡田参考人 御質問ありがとうございます。
今回の法改正では、抗悪性腫瘍治療薬等の重篤あるいは致死的な疾患に対する画期的な治療薬ですとか、あるいはこれまで治療薬がなかった遺伝疾患の治療などの誕生、従来の開発手法の法律上の定義との間にある意味ミスマッチが起こっていて、今回それが法整備としてなされた、整備されたというようにまず理解をいたしております。すなわち、文言がなくなった、すなわち臨床試験が不要になったということではないというふうにまずもって思っております。
特にまた、リアルワールドを用いた承認申請についても、ウェアラブルデバイスを用いたデジタル技術等の科学技術の進歩は非常に目覚ましいものがありまして、こうした技術の利活用というのは従来の臨床試験という定義に収まらない、そういったものが今もう実際の臨床試験として使われているということで、それが今回、法整備につながっているということでございまして、繰り返しになりますけれども、臨床試験が不要になったということではないというふうに我々製薬産業は理解をいたしておるところでございます。
以上でございます。
○柳本参考人 ありがとうございます。
大変申し訳ないんですけれども、本件は回答に必要な専門性を有しておりませんので、回答を控えたいと思います。
ありがとうございます。
○高井委員 どうもありがとうございます。大変参考になりました。明日また法案の質疑がありますので、しっかりそれを参考にさせていただきたいと思います。
これも、次、五人の参考人の皆さんにお聞きしたいんですが、少し大きな話というか、法案から広げてお話をします。
先般、自民党、公明党、それから日本維新の会で三党で合意をされて、予算案の成立との引換えというか条件だったようなんですけれども、社会保険料の改革というのを行う、それで協議会が設置されるということになりまして、先般開かれたと聞いておりますが、その中で、日本維新の会は、国民医療費を年間四兆円削減して、一人当たり社会保険料負担を六万円引き下げるということを提案をされている。具体的には、OTC類似薬を公的医療保険の適用対象外とする改革を優先的に議論したい、そして、高齢者も支払い能力に応じて負担する応能負担の強化、こういったことも挙げたというふうに報道をされています。
この動きについて、それぞれのお立場でどのような見解をお持ちか、お聞かせください。
○福井参考人 申し訳ないですけれども、私も余り深くその点について考えてきておりませんので、知識も本当に表面的なことしか持ち合わせしておりませんので、ちょっと意見を控えさせていただきたいと思います。
○天野参考人 ありがとうございます。
患者の立場からすれば、もちろん、国民皆保険の下で全ての医療がカバーされる、これが理想であるのは申し上げるまでもないことですし、患者の願いであります。
ただ、一方で、様々な財政上の理由その他の理由でどこかを削らなければいけないということがもしあるのであれば、私たち、がんの患者団体ですので、がんの患者団体の立場からすれば、公的保険のそもそもの意義というものを考えた場合、リスクが高いものは公助、リスクが比較的低いものは自助という方向性ということが、一つの方向性としてはあり得るというふうに考えています。
○狹間参考人 私は、病院が大阪市の西成区というところにございますが、もう御案内のように独居率も高くて、経済的基盤が余り満足ではない方が多いエリアで、そういったところで診療しておりますと、御自身の健康管理についてやはり十分な補助がないというケースもございますので、そういったセーフティーネットのところはしっかりしながら、その一方で、やはりきっちりと、御自身の健康管理に対して、特に軽い病気についてはきちっと自己負担をしっかり持ちながらやるような制度にしていかないと、何か、制度が結構、本来の意図とは違う形で使われているようなケースを診療の現場では散見いたしますので、しかるべきやり方というものを進めていくのが大事かなというふうに考えております。
以上です。
○岡田参考人 御質問ありがとうございます。
今回、四兆円削減を念頭にという金額が出ています。医療費、恐らく四十六兆ぐらいだというふうに思うと、一〇%近いということであると思います。
ただ、今回上がっているメニューを駆使することによって、四兆円というのを果たして本当にどういうふうにするんだろうというのが正直なところでございます。
ただ、いずれにしても、一九六一年に導入された国民皆保険、世界に冠たる国民皆保険があって、これを、給付範囲と負担のところをどう見直していくのかということについてある程度本質的な議論がなされない限り、この一〇%にも及ぶ医療費を削減していくということについては、なかなか、表面的な議論では進まないんじゃないかというふうに正直思っているところでございます。
以上であります。
○柳本参考人 ありがとうございます。
本件も専門外ですので、回答を控えたいと思います。
ありがとうございます。
○高井委員 ありがとうございます。
我々は四兆円削減なんかとんでもないと思っていますけれども、それぞれ皆さん、お立場もある中で難しいことを聞いてしまいましたが、大変参考になりました。
どうもありがとうございます。
○藤丸委員長 次に、田村貴昭君。
○田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。
五人の参考人の皆さん、本日はありがとうございます。
最初に、福井参考人にお尋ねいたします。
二〇二二年、新型コロナウイルス薬のゾコーバの緊急承認取消しがありました。この年の日経新聞のインタビューで福井参考人は、たくさんの人に投与して初めて副作用が明らかになることもある、限られた人数で安全性や有効性を確かめるのが難しいからこそ、過去の反省に基づいた最善の治験手法がゴールドスタンダードとして確立されてきた、その基準を満たさない薬を使用することには慎重でなくてはならない、このようなインタビュー記事でありました。
今回、法改正で条件付承認制度の見直しというのがあるんですけれども、場合によって、多数の患者を対象に行う第三相、検証的臨床試験を経ずして医薬品を承認するというたてつけです。一旦承認してしまうと臨床試験は組みにくくなるのではないか、こうした疑念もあり、厚生科学審議会では慎重意見が出されたというふうに伺っております。この点についての御所見をお聞かせください。
それから、承認前後の有効性、安全性の検証について、リアルワールドデータが代替可能となるというふうにも見受けられるんですけれども、これで大丈夫なのかという思いもあります。御見解をお聞かせいただければと思います。
○福井参考人 ありがとうございます。
かなり、統計学的に有効性、統計学的に有意な差を引き出すためには、病気とそれから薬にはよりますけれども、例えば、今までの薬と新しい薬の有効性の差が一〇%ぐらいだ、今までは五〇%の人に効いていたのが新しい薬では六〇%ぐらいだ、その一〇%ぐらいの差しかない有効性の検証と、それから、今まで三〇%ぐらいしか効いていなかったのに九〇%効く薬が出てきた、それの有効性の差は六〇%あるわけでして、それの検証に必要な患者数というのは全く違うんですね。
ですから、多くの場合、残念ながら、非常に有効な治療法がたくさん、限られた数の病気を除けば、ほとんどの病気についてかなり有効な薬があって、それにプラスアルファの有効性を検証するためには、本当に僅かな有効性の差のことが多いんですね。一〇%とか、せいぜい二〇%いくかいかないかぐらいの差を検証するためには、患者数が恐らく何百人、何千人と必要な、そういう場面がほとんどになってきまして、そういう意味では、条件付承認制度でもって、少なくとも安全性が確保されていれば、今あるものよりも少しでも有効な可能性があるものについては、私は、承認した上でやっていいのではないかというふうに思っています。
ただ、並行して、たくさんの患者さんを集めるタイプの有効性についての検証もできるだけパラレルで、多くの場合、実は、一国内、一つの国ではなかなかできないくらいの数の患者さんが必要な場面もありますので、やはり国際的な連携も今まで以上に取って、患者さんの数を多くリクルートできるような、そういうシステムづくりも必要ではないかなというふうには思っています。
済みません、ちょっと二つ目は……(田村(貴)委員「リアルワールドデータ」と呼ぶ)リアルワールドデータ、ごめんなさい。
リアルワールドデータも、私は、できるだけ利用するべきではないかなというふうには思っています。
統計学的には、非常に限られた種類の患者さん、特徴を持った患者さんしか、統計学的な有効性を出すためにはリクルートをしないという方針で来ましたけれども、でも、リアルワールドデータがもしあるのであれば、それもやはり活用した上で、取りあえずは判断していいのではないかなというふうには思っています。
○田村(貴)委員 続いて、天野参考人にお伺いします。
海外の薬が日本で承認されるまで時間がかかる、あるいは承認されないドラッグラグ、ドラッグロスの問題があるんですけれども、その背景に、私は、日本の研究開発費が貧弱であるというふうに考えております。
二〇二四年度の医療分野の研究開発関連予算は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構で千二百四十五億円、国のインハウス研究開発経費八百五億円を加えても、二千億円にすぎない。アメリカでは、国立衛生研究所で毎年七兆円を超える予算が医療研究にかけられている。この差があるんですけれども、こうした問題の解決も必要ではないかと思いますが、天野参考人、いかがでしょうか。
○天野参考人 ありがとうございます。
私も、患者団体の立場で海外の学会を訪問することがございますが、海外の学会でお話を聞いていると、まさに今先生御指摘のように、圧倒的に医療の研究予算が違います。
また、私、AMEDの課題評価委員も拝命しておりますが、様々な研究が上がってくるんですけれども、予算が必ずしも十分でない中で、これにもつけたいんだけれども、残念ながら予算の制約でつけられないということもあるというふうに承知しています。
そういった観点からすると、総額として、いわゆる研究費がまだまだ不足しているというのは先生の御指摘のとおりだと思いますし、患者の一人としても、その予算の増額を望むものであります。
以上です。
○田村(貴)委員 続いて、岡田参考人にお伺いします。
後発医薬品の供給不足が問題になっているんですけれども、後発医薬品業界で不正、不祥事が頻発したことに対して、医薬品迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会では、次の指摘がなされました。
二〇〇二年改正による医薬品製造の委託、受託、後発品の共同開発導入によって開発コストが低廉化し、新規収載品が上市しやすく、同成分、同規格の製品が多数の企業で製造販売された、しかし、新規収載品を上市する企業に一定の製造能力を求めるなど、供給量を担保させる取組を行ってこなかった、新規品目の上市には、十分な製造能力を確保する等、安定供給を担保する一定の要件を定め、要件を満たさない企業は市場参入できなくする仕組みを検討すべきと。
こういう指摘もあったんですけれども、製薬団体としての受け止めをお伺いしたいと思います。
○岡田参考人 御質問ありがとうございます。
御指摘のとおりであるというふうに思います。共同承認制度というものができた背景として、国を挙げての後発品使用促進というものがあって、言い換えれば、後発品産業への参入障壁が非常に低くなりました。これによって、今日の何百という企業が後発品に関与しているという今の産業構造に至っております。
今回、それについて、支援基金ということでいくと、品目統合、それから事業再編、企業再編ということに関して支援をして、その構造を修正していくという話があります。
また、今御指摘がありましたように、後発品についてしっかりと高品質なものを安定供給できるかどうかということについて、今般、薬価改正の中では企業要件というものが定められて、いわゆるしっかりと高品質なものを安定供給できるというものについて薬価上もインセンティブがつくという仕組みが出てきたというふうに思っております。
長年にわたって、この現状、安定供給を欠く状況というのは産業構造上つくられておりますけれども、今数々打たれている施策によって、できる限り早くこの事態を収拾していきたい、対処してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○田村(貴)委員 次に、柳本参考人にお伺いします。
条件付承認制度は、アメリカの迅速承認制度も参考にされたというふうに聞いていますけれども、柳本参考人は厚生労働省の創薬力の強化・安定供給検討会のメンバーでもいらっしゃいます。この検討会では、アメリカの迅速承認制度に対する批判記事も紹介されたところであります。
二〇二三年五月十八日のアメリカのブルームバーグの記事ですが、筋ジストロフィーの治療薬として迅速承認されたエクソンディス51が承認後七年たっても有効性を証明するデータが提供されていない、その間に関連薬剤を含めて二十五億ドル、三千四百億円を売り上げているという中身です。
条件付承認制度の見直しによって、こうした有効性の検証が不十分な新薬の承認が増えて、医療保険財政の支出も増える、こういう可能性も出てくると思うんですけれども、御所見をお伺いしたいと思っております。
○柳本参考人 御質問ありがとうございます。
おっしゃるとおり、薬事検討会で、その点に関して非常に多くの議論がありました。御紹介された記事のようなことが全く起こらないかというと、起こり得る。ですので、そこはしっかりと監視する必要があるとは思っておりますが、やはり、医療提供側の皆様、患者団体の皆様から、いち早く可能性のある新薬にアクセスすることを求める声も多く、あくまで限定的な環境下で条件付での承認というものを緩和してはどうか、ただし、それはしっかりと見直す、有効性が確認できなければ市場からは撤退するということを前提に承認するということになっておりますので、その原則が運用上しっかりとなされれば、今御紹介いただいた記事のようなことは起こらないのかなというように思ってございます。
ありがとうございます。
○田村(貴)委員 同じ質問を狹間参考人にもお伺いしたいと思うんですけれども、条件付承認制度の見直しによって有効性の検証が不十分な新薬の承認が増えると、医療保険財政の支出も増えたり、様々な問題点が惹起される可能性もあると思うんですけれども、そうしたことをお考えになったり御所見があれば、お伺いしたいと思います。
○狹間参考人 あくまで臨床現場の立場ではなかなか正しい判断は難しいと思いますけれども、先ほどの繰り返しになりますが、やはり、いろいろいい薬が出てきたときに、それで悩まれる、それさえあれば少し病状の改善が得られるという患者さんに適切に、かつ安全に使える。我々は、やはり患者さんの診断と治療に集中しますので、そこで用いる薬剤の安全性等々については、しかるべきスピードで、しかるべき形でしっかり承認されたものが手元に適正にあるという状況があるというのが大事かな、そういうふうに考えています。
以上です。
○田村(貴)委員 天野参考人にもう一つお伺いします。
天野参考人は、がんのサバイバーとして、また、多くの仲間とともに、たくさんの苦労を重ねてこられました。そのことを先ほど拝聴いたしました。新薬の承認は、できるだけ早く有効なものを患者さんにという一方で、やはり安全性の問題もあろうかと思います。
参考人は、要望を出したいと考えているその治療法に、推奨するだけのエビデンスがあるのか、我々は、研究で有用性が認められている治療であるかどうかや、複数の専門の医師の意見を参考にするなど、しっかりとした裏取りを取っていく上で活動するようにしていますというふうにも答えておられますけれども、この治療法とか新薬の承認について、安全性の観点からの御所見をお伺いしたいと思います。
○天野参考人 ありがとうございます。
私も、冒頭で申し上げましたように、お薬の副作用で様々な健康被害というか合併症を経験しております。薬物療法と放射線治療によって間質性肺炎を経験しまして、これは致死的なもので、かなり厳しい状況でした。これを治すためにステロイド剤を大量投与して、左目の視力を失ったという経験があります。なので、私自身は、いわゆる薬物療法等、治療に伴う副作用の怖さは、自分自身の経験としても身をもって知っているつもりです。
一方で、私がその治療を選択をしなければ、恐らく私は今この場にいなかったと思うんですね。なので、有効性と安全性のバランスを考えることがとても大切だと思っています。
その際に、安全性をどう見るのかということなんですけれども、私の患者団体での経験を一つ申し上げますと、ある非常に革新的な治療薬がございまして、患者の大きな期待を持って承認されたお薬がありました。患者団体との交流会等で患者さんのお話を聞いていると、ある副作用があるんじゃないかという声が患者さんの間から上がってきたんですね。
当時、私、そういった声が患者さんの間から上がっているということを専門の医療者の方に申し上げたところ、臨床試験ではそういった副作用は出ていないという話だったのですが、それから数年たって、先ほど来お話ししているように、より多くの患者さんに使用されるようになって、やはりその副作用は実はあったんだということが科学的に示されたという経験がございます。
なので、まずは、一日でも早くお薬を使用したいという患者さんには、リスクがあるということを十分に知っていただいて、そのことを理解していただいた上で早期に承認していくということも必要ですが、市販後にしっかり調査をしていただいて、何かおかしい兆候であるとかデータであるとか患者の声があれば、それを拾い上げていただいて、一日も早く承認の再検討等に使用していただく仕組み、それをしっかりつくっていただくことが非常に重要だというふうに考えています。
○田村(貴)委員 参考人の皆さん、ありがとうございました。
以上で終わります。
○藤丸委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
参考人の方々におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、誠にありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
次回は、明九日水曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時三十六分散会