衆議院

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第11号 令和7年4月23日(水曜日)

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令和七年四月二十三日(水曜日)

    午前九時三十二分開議

 出席委員

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      安藤たかお君    五十嵐 清君

      草間  剛君    後藤 茂之君

      佐々木 紀君    塩崎 彰久君

      鈴木 隼人君    高木  啓君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      根本  拓君    長谷川淳二君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      福田かおる君    牧島かれん君

      森下 千里君    吉田 真次君

      若山 慎司君    池田 真紀君

      大塚小百合君    大西 健介君

      酒井なつみ君    宗野  創君

      堤 かなめ君    中島 克仁君

      長妻  昭君    長谷川嘉一君

      宮川  伸君    山井 和則君

      柚木 道義君    阿部 圭史君

      池下  卓君    猪口 幸子君

      福田  徹君    森ようすけ君

      沼崎 満子君    浜地 雅一君

      八幡  愛君    田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   政府参考人

   (内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長)     廣瀬 健司君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮崎 敦文君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省健康・生活衛生局長)         大坪 寛子君

   政府参考人

   (厚生労働省医薬局長)  城  克文君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局長)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省老健局長)  黒田 秀郎君

   政府参考人

   (厚生労働省年金局長)  間 隆一郎君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 朝川 知昭君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  安藤たかお君     牧島かれん君

  佐々木 紀君     高木  啓君

  長谷川淳二君     若山 慎司君

同日

 辞任         補欠選任

  高木  啓君     佐々木 紀君

  牧島かれん君     安藤たかお君

  若山 慎司君     五十嵐 清君

同日

 辞任         補欠選任

  五十嵐 清君     長谷川淳二君

    ―――――――――――――

四月二十二日

 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)(参議院送付)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)(参議院送付)

 厚生労働関係の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

藤丸委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房就職氷河期世代支援推進室次長廣瀬健司君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮崎敦文君、医政局長森光敬子君、健康・生活衛生局長大坪寛子君、医薬局長城克文君、労働基準局長岸本武史君、社会・援護局長日原知己君、老健局長黒田秀郎君、年金局長間隆一郎君、政策統括官朝川知昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山井和則君。

山井委員 十五分間、質問をさせていただきます。質問時間が短いですので、大臣、簡潔に答弁いただければと思います。年金と介護の質問をさせていただきます。

 まず、この配付資料にありますように、一ページ、これは許可を得て、自民党の厚生労働部会に先日提出された厚生労働省の資料ですね。ここにありますように、P九参照、基礎年金の底上げ措置の具体的な取組、基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了は、十分理解が得られていないことから、今回の法案に規定しないと。

 これは、私たちが今までから要望しておりました、就職氷河期世代以降の、低年金の現役世代の底上げをしてほしい、これが今回の政府の年金改革法案の目玉だと言われていたわけですけれども、その目玉部分を削除してしまったと。大変ショックを受けました。あんこのないあんパンとも言われているわけですね。

 今までから私はこの場で質問をさせていただいておりますように、年金は、ある意味で、与野党がけんかするテーマではなくて、将来世代ですね、就職氷河期世代以降の低年金、三割年金が減るという国家的な最大の課題、この課題に衆議院厚生労働委員会の与野党が協力して、藤丸委員長のリーダーシップの下、どうこの難問を解決できるかという、これは与党・政府だけじゃなく、野党にも問われている課題だと思っているんです。

 残念ながら、その一番重要な現役世代の年金の底上げを、三割カットに対する底上げを削除したことに関してどうなっているのかということですけれども、この配付資料、順番に行きます。

 五ページにありますように、今でも生活保護の半数以上が六十五歳以上で、下手をすると、二〇五〇年には七割以上の生活保護が高齢者になる可能性がある、この三割カットを放置したらですよ。

 そして、その次。駒村先生、氷河期世代を放置するな。また、日経新聞の二月二日、年金改革、氷河期に届くのか。

 そして、その次の九ページ、ここにもありますように、生活保護、今は半数が高齢者なのが、下手をすると、二〇五〇年には六十五歳以上の高齢者が約七割になるリスクすら可能性としてはあると。大変深刻な状況です。

 これに対して、次のページ、十ページ。朝日新聞の社説は、年金法案、国会に提出して熟議を。そして、毎日新聞の社説は、年金改革案、難題を避ける政治の無責任。

 そして、次のページ、十二ページ、毎日新聞、年金改革と自民党、不安解消へ責任を果たすとき。

 そして、十三ページは、低年金対策、政策か政争か、自民、立民は必要性は一致、熟議の国会の試金石に。

 そして、十四ページには、日本経済新聞でも、年金なき氷河期支援は形骸だ、老後の理不尽こそ対策を。

 それに対して、政府は先週、氷河期世代の支援のための閣僚会議を立ち上げたんですね、閣僚会議を立ち上げた。でも、一番深刻な問題は年金なんですね。ここは私、矛盾しているんじゃないかと思うんですよ。一方では、就職氷河期世代の一番の不安である年金の底上げをするということは法改正から削除しますと。言葉は悪いけれども、就職氷河期世代をもう見捨てたような話ですよね。一方では、閣僚会議を開いて支援する。私は、どっちなんだと言いたいわけですよ。

 私は信じていますよ、政府も与党も。だから、就職氷河期世代の支援をやろうというのであれば、やはり今回の年金法案、あんこの部分を削除しないでいただきたいんです。

 十八ページに行きます。毎日新聞でも、底上げ案削除を提示、基礎年金改革後退、百年安心綻び、修繕策不発。

 そして、一番下、十九ページ。日本経済新聞社説、年金改革から逃げる政治は無責任だ。そして、これも日経新聞、四月十八日、低年金対策、相次ぎ後退、これでは高齢化にかてない。

 つまり、ぼろかすに言われているわけですよね、ぼろかすに。一言で言うならば、今の国会は与野党を含めて政治屋ばかりで選挙のことしか考えていないじゃないか、本当の政治家だったら、多少泥をかぶってでも将来世代の低年金の底上げをやるべきじゃないかということを全ての新聞の社説も私は言っていると思うんです。

 そこで、福岡大臣にお伺いをします。

 まさに低年金の底上げの肝とも言える調整期間の一致はなぜ削除したのか。この削除をしたことと就職氷河期世代の支援の閣僚会議を立ち上げていることというのは矛盾しているんじゃないか。お答えください。

福岡国務大臣 御指摘がありました基礎年金のマクロ経済スライドの早期終了につきましては、元々、経済が好調に推移しない場合の備えといたしまして、次期財政検証の後に発動の可否を判断する仕組みとして御提案をさせていただいたものです。

 その後、与党とも法案について御議論いただく中で、積極的な御意見があった一方で、厚生年金の積立金を活用することなどについて慎重な御意見があったところでございます。

 こうした中で、できる限り早期の法案提出という観点からも一定の判断が必要であることを踏まえまして、今回の法案では、基礎年金の底上げの具体的な仕組みは盛り込まない方向で検討を進めさせていただいております。

 御指摘がありました就職氷河期世代以降の将来世代の基礎年金水準につきましては、今後の社会経済状況を見極めながら、改めて所得再配分機能の強化等について検討することとしてございまして、今回の様々な御議論、御指摘も踏まえて対応してまいりたいと思います。

 その上で、今回の法案につきましては、将来の年金給付水準の充実につながります被用者保険の適用拡大など、引き続き盛り込むことを検討させていただいております。

 各方面の御理解をいただきながら、できる限り早く法案を提出できるように、引き続き努力を重ねてまいりたいと思います。

山井委員 今おっしゃったように、元々の法案も判断は五年後と、調整期間の一致はしているわけですよ。だから、削除する理由はないんですよ。別に、入れたって今すぐ決断するわけじゃないわけですから。

 さらに、私たちは法案審議を是非したいと思っていますが、法案が出てきたときには、やはり、就職氷河期世代の年金底上げを削除した法案というのは、言っちゃ悪いですけれども、将来世代に対して申し訳ないですよ、はっきり言って。そこは、私たちとしてはこれを再度入れてくれという修正をお願いする可能性もあると思いますし、その修正をして与野党で協議をして、円満に成立させる。私たちも、ある程度の修正ができれば、立憲民主党も野党第一党として、私たちが反対したらそもそも成立しない可能性大なわけですから、そういうことについては私たちも前向きに是非協議をしたいと思っております。

 そんな中で、今もおっしゃいましたように、厚生年金の流用だということで批判が出ているということなんですけれども、私、これは多少誤解があるんじゃないかと思うんです。国庫負担も増えるわけですから、多くの現役の厚生年金の方にとっては年金受給額は増えるんじゃないんですか。それと、二〇四〇年以上、長生きした人にとっても年金は増えていくんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 与党とも法案について議論する中で、今回の法案では基礎年金の底上げの具体的な仕組みは盛り込まない方向で検討させていただいているため、具体的な内容についての回答は差し控えさせていただきたいと思います。

 基礎年金水準につきましては、今後の社会経済状況を見極めながら、改めて所得再配分機能の強化等について検討を進めてまいりたいと思います。

山井委員 ですから、今日の配付資料にもありますように、国庫負担が入りますから、厚生年金の方も多くの方は、現役世代の方は年金は増えていくんですね。厚生年金の人が損するというのは違うんですよ。一階は基礎年金なんですから、基礎年金は増えるんですから。厚生年金の人は基礎年金ももらっているんですから。だから、こういう厚生年金の人に不利だみたいな、本当に幼稚な批判ですよ、はっきり言って。やはりこういうことで先送りするということでは、私は、将来世代に対して申し訳が立たないんじゃないかと思います。

 それともう一つ、何か国庫負担で負担増になるという話ですけれども、例えば、質問通告もしておりますが、将来的には国庫負担を増やすために一・七兆円必要ですけれども、これは二十五年先、二〇五〇年ですよね。二十五年先の負担増で、法案を通すにしても今すぐ決めるんですか。安定財源が必要だと思いますよ。

 別に、今すぐ消費税を二十五年後に一%上げると決めるわけじゃないんですよね。来年一・七兆必要だというんだったらまだ分かるけれども、二十五年先の負担増になるから年金の底上げは放棄しますというわけにいかないと思うんですけれども、一・七兆円必要になるのは二十五年先で、安定財源はどうされるか、お答えください。

福岡国務大臣 重ねて恐縮でございますが、今回の法案では基礎年金の底上げの具体的な仕組みは盛り込まない方向で検討を進めさせていただいておりますので、具体的な内容については回答を差し控えさせていただきたいと思います。

山井委員 今も具体的な答弁は差し控えるというわけですけれども、だから早く法案を出してもらわないと、これは議論にならないじゃないですか。

 言っちゃなんですけれども、このまま年金底上げを放置して、将来、二十年後、三十年後、多くの今の就職氷河期の方が生活保護になったり低年金になったときには、今のこの衆議院厚生労働委員会のメンバー、今の現役の国会議員、みんな恨まれますよ。この世代の人たちが無責任に検討、検討といって先送りして、法案まで出しておいて何で先送りしたんだと。これは歴史に検証されますからね、二、三十年先に。私たちは歴史の検証に堪えねばならないと思います。

 是非とも年金法案を早く出していただいて、これは出さなかったら、申し訳ないけれども、大臣不信任案を出させていただきますし、出したにしても、もう成立するはずないと審議時間もないときに出しても、これは同じく大臣不信任案を出すしかありませんからね、そういうことでは。そんなことはしたくないから、是非出していただきたいと思います。

 残り時間が少ないですので、介護職員処遇改善、これも私のライフワークでもありますが、この後、井坂議員も質問されますが、介護、障害福祉処遇改善法案を一月三十日に国民民主党、日本維新の会、立憲民主党が共同提出しました。野党みんな賛成なんですよ。これをずっと審議してほしいとお願いしているんですけれども、審議していただけないんですね。

 自民党さんも参議院選挙の公約に介護職員処遇改善を入れられると聞いているんですよね。入れないんだったらいいんですよ。片や、介護処遇改善をやりますと選挙で言っていて、実際、国会では介護処遇改善法案の審議は絶対阻止する、介護職員処遇改善は絶対阻止するというのであれば、申し訳ないけれども、自民党さんも公約には、私たちは介護職員処遇改善は阻止します、大反対ですというのをやはり書いてもらわないと、言っていることとやっていることが違うじゃないですか。そうじゃないでしょう。公約に入れられるのであれば、是非とも円満に審議をして、与野党協力して成立させたいと思っております。

 時間が短いので、一言、介護処遇改善と訪問介護事業者の支援についてお答えください、福岡大臣。

福岡国務大臣 御党提出の法案の取扱いは国会で御議論いただくべきことですが、処遇改善は喫緊の課題だというふうに認識をしております。

 介護職員の平均給与額につきましては、令和六年度処遇状況等調査におきましては前年比四・三%増と、報酬改定での想定の令和六年度二・五%を上回り、各種取組の効果が反映されているものと考えておりますが、更なる賃上げに向けまして、処遇改善加算の要件の弾力化であったり、補正予算において賃上げに向けた支援を講じさせていただいております。まずはこれらの措置が現場に行き届くよう取り組んでいきますとともに、これらの施策の実施状況をよく把握し、財源と併せて必要な対応を行ってまいりたいと思います。

 あわせて、訪問介護についても御指摘がありました。事業者の経営状況が地域の特性であったり事業者規模等に応じて様々でございます中、一律の支援金支給というよりも、状況に応じたきめ細かい対策を講じることが必要であると考えておりまして、これまで補正予算等で必要な対応を行ってきているところでございます。支援策の効果も含め、事業所の状況の丁寧な把握、分析に努め、適切な対応を検討してまいりたいと思います。

山井委員 今、委員室から、予算審議のときにやれとおっしゃったので、私、予算委員会筆頭理事ですよ、財源を含めて処遇改善の修正案を出しましたよ。それに政府・与党が反対したわけですよ。

 最後に、もう時間もありませんので藤丸委員長にお願いしたいんですけれども、これだけ新聞でも、介護現場も崩壊の危機に瀕していますから、どうしても与党が法案審議をしないというんだったら、衆議院の予算委員会でも最後は多数決で議決をして、松本参考人の招致というのを三十八年ぶりにやらせていただきましたので、私はそんなことをすべきではないと思いますが、どうしてもこの介護職員処遇改善法案審議入りを与党の方が阻止したいというのであれば、最後は、是非、藤丸委員長、議決をしていただきたいんです。そうしたら話ははっきりしますから。

 やはり、誰が処遇改善を賛成しているのか反対しているのかというのは、参議院選挙前に明らかにする必要があります。私は信じていますよ。そういう意味では、自民党さんも公明党さんも処遇改善には賛成だから、審議入りには賛成してくださって、これは超党派で成立するというふうに固く信じていますので。

 藤丸委員長、最終的には、どうしようもないんだったら議決をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

藤丸委員長 じゃ、理事会協議とさせていただきます。

山井委員 私は、与野党協力して年金底上げと介護処遇改善をやりたいという思いですので、よろしくお願いします。

藤丸委員長 次に、井坂信彦君。

井坂委員 立憲民主党の井坂信彦です。

 本日は、B型肝炎訴訟と、そして野党が法案提出した今の介護、福祉の賃上げ法案、それから政府の提出が遅れている年金法案について伺います。

 先日、B型肝炎訴訟の患者さん、そして弁護団とお会いをしました。資料一を御覧ください。国の集団予防接種が原因でB型肝炎になった患者に対して、国は救済策として給付金を支払っています。しかし、B型肝炎が発症して一度治ってから何十年もたって再発や再々発をした場合に、最初の発症から二十年たってしまったということを理由に、給付金が大幅に減額をされてしまう仕組みが不当だと患者さんが訴訟を起こしています。

 今年の三月十四日に福岡高裁が、再々発の場合も、一定の条件を満たせば、三回目の発症から二十年以内なら給付金を満額支給するようにと和解案を示しました。患者側はこの和解案を受け入れて、福岡高裁は厚労省に四月中に対応を決めるようにと求めています。

 大臣に伺いますが、厚労省がこの和解協議をやっているのは、患者さんが一人ずつ訴訟して、この人は再々発の日から二十年、この人は最初の発症から二十年、そんな一つ一つ判決を出してもらわなくてよいように、一定の条件を満たした再々発患者は同じルールで給付金を満額支給できるように、そのために和解協議を厚労省はやっているということでよろしいですね。

福岡国務大臣 御指摘のB型肝炎訴訟につきましては、国は、集団予防接種等の際の注射器等の連続使用によりましてB型肝炎ウイルスに感染した被害者の方々に甚大な被害を生じさせ、その被害の拡大を防止しなかったことについて責任を認めますとともに、原告団、弁護団との間で同種の訴訟に係る紛争を和解により解決するため、双方が基本合意書を締結し、B型肝炎特別措置法に基づき、救済に取り組んでいるところでございます。

 令和三年の最高裁判決における再発型に対する除斥の起算点の考え方を踏まえまして、現在、裁判所の仲介の下、弁護団及び原告団と協議を行っているところでございまして、引き続き、感染被害の迅速かつ全体的な解決に向けまして、B型肝炎特別措置法に基づき、早期救済に努めてまいりたいと思います。

井坂委員 今大臣がおっしゃった令和三年の最高裁判決、再発患者は二回目の発症から二十年以内なら満額支給するようにというこの判決、参考人に伺いますが、この最高裁判決によって満額支給の対象者が少し増えたわけでありますが、それで増加をする救済費用は大体何億円と見込んだのか、お答えください。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 令和三年の最高裁判決では、最初の慢性肝炎発症後、HBe抗原が陰性化し肝炎が六か月以上鎮静化した後に、HBe抗原陰性のまま慢性肝炎を再発した場合につきまして、質が異なる損害として、再発時点を除斥期間の新たな起算点とする判示をいただいたところでございます。

 この令和三年の最高裁判決と同様の事案がどの程度おられるかにつきましては、注射器の連続使用によって感染された方のうちどれくらいいるかということについて想定が困難でありますため、厚生労働省としては見積りを持っていないところであります。

井坂委員 昨日、大分レクでやったんですけれども、そんな、幾らかかるか分からないでゴーサインを出すわけないんですよ。数百億円というふうに聞いております。

 この数百億円、これは別に単年度に必要なお金ではなくて、これから数十年にわたって出てくる再発患者に支払う給付金の総額ですから、単年度に必要な金額は、恐らく十億円とか二十億円とか、そのレベルだと思います。

 参考人に重ねて伺いますが、ちなみに、今回争点になっている発症が三回目の再々発患者の人数というのは、再発患者の人数の大体何分の一ぐらいになると思われますか。十分の一ぐらいでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 日本肝臓学会が作成をしておりますB型肝炎治療ガイドライン、これを基に試算をいたしますと、HBe抗原が陰性化し鎮静化した肝炎のうち、一〇から二〇%の症例がその後、肝炎の再燃が見られると記載がございます。また同様に、同ガイドラインにおきましては、肝炎の再発の後、HBe抗原が再度陽性化をして肝炎が再燃するケースにつきましては四から二〇%の症例があると記載されております一方で、今回議論をしておりますHBe抗原が陰性のままで再燃するケースについて、医学的知見は学会におきましても明らかとなっておりません。

 B型肝炎がどの程度再々発するか、今回の協議の対象となっている方がどの程度いらっしゃるか、全体としての医学的知見を持ち合わせていないというところでございます。

井坂委員 そんなゼロ回答で、だらだら長く答弁しないでほしいんですよ。

 恐らく十分の一ぐらいだというふうに想定をされております。つまりは、単年度にかかるお金というのは、せいぜい一億とか二億とかいう話だと思います、今回の福岡高裁の和解案を受け入れたとしても。

 最後、大臣に伺いますが、和解案の受入れの期限が四月末に迫っております。厚労省が意地を張ってこの和解案を拒否したら、国にとっても患者にとっても不毛な訴訟が繰り返されるだけであります。時間がたてばたつほど、給付金を満額もらえる患者がどんどん減ってしまいます。福岡高裁の和解案を受け入れる政治決断を、大臣、していただけないでしょうか。

福岡国務大臣 B型肝炎特別措置法に基づく給付金の支給につきましては、慢性肝炎の発症後、民法上の除斥期間であります二十年が経過し国の損害賠償責任が消滅した方であっても、現在、減額した給付金を支給するといった政策的な対応を行っているところでございます。

 除斥期間の起算点につきましては、令和三年の最高裁判決におきまして慢性肝炎が再発した場合の考え方が示されたことを受けて、判決で示されたものと同様と考えられる事例につきましては、既に昨年八月から救済を開始しているところです。

 現在、福岡高裁の仲介の下、国と弁護団及び原告団との間で協議を行っているところでございますが、福岡高裁における協議が今継続中でございますため、御指摘につきまして裁判所外でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 感染被害の迅速かつ全体的な解決に向けて、B型肝炎特措法に基づき、早期救済に努めてまいりたいと思います。

井坂委員 是非、早期救済をお願いをしたいと思います。

 続いて、ちょっと年金の方を飛ばして、通告九番の介護、福祉の処遇改善について質問します。

 本日、この後、労働安全衛生法が審議入りをするわけです。元々は、医療法と、そして介護、福祉賃上げの野党の議員立法を同時に審議入りしようと与野党で協議をしてまいりました。ところが、一昨日の夕方、急に、最後にやるはずだった労働安全衛生法を審議入りしたいと与党から言ってきたわけであります。このおきて破りの異常な提案の背景には、野党の議員立法である介護、福祉賃上げ法案だけは絶対に審議入りしたくない、こういう与党の徹底的な審議拒否があると思います。

 一方で、先週、自民党の元厚生労働大臣は介護の賃上げを求める集会で壇上に登ったり、あるいは自民党の参議院議員が大挙して財務大臣に介護の賃上げをわざわざ申入れに行ったというふうに報道をされております。

 大臣、自民党の元厚生労働大臣や参議院議員の一団が介護の賃上げを求めて行動を起こしているという今の現状をどう受け止めておられますでしょうか。

福岡国務大臣 個々の議員の活動について政府としてコメントすることは差し控えさせていただきますが、介護、障害福祉分野におきましては、物価高騰の厳しい状況に直面している中、それぞれの議員の活動の中で現場からの厳しい声を受け止められているものと認識をしております。

井坂委員 まさに元厚生労働大臣とか参議院議員の多くの方々が、大臣がおっしゃったように、現場からの厳しい声を受け止め、また各議員も現場の厳しい現状をよく見て知っているわけです。そして、処遇改善も本当に異例なことだと思いますよ。与党の議員が、まして元大臣が何人も何人も集会に出たり、申入れしたりというのは、これは異例なことだと思います。

 大臣に伺いますが、私は別に、個々の議員がどういう行動を起こそうが、これは本当に自由だと思います。ただ、私が思うのは、やはり与党のそれだけ責任ある、力のある方々であれば、集会や申入れをする暇があったら、既に今野党が出している介護、福祉賃上げ法案を審議拒否せず、今すぐ審議すべきだと思うわけであります。

 大臣に伺いますが、立法府のことは我々が今も交渉しているわけでありますが、大臣は、そもそも年内に追加の介護、福祉の処遇改善を行う必要があるとは思いませんか。

福岡国務大臣 処遇改善が喫緊の課題だということは先ほども申し上げました。

 そして、足下を見ますと、介護職員の平均給与額につきましては、令和六年度処遇状況等調査におきましては前年比で四・三%増と、報酬改定で想定した令和六年度二・五%を上回り、各種取組の効果が反映されているものと考えておりますが、ただ、いろいろな方から、他産業と比べてもこれでは十分じゃないという御指摘もいただいているところです。

 更なる賃上げに向けまして、処遇改善加算の要件の弾力化、これは二月から受付を開始しまして、これが適用されて支払いが行われるのは、今後、六月以降というふうに承知しています。また、先般の補正予算において賃上げに向けた支援を講じている、これもまさにこれから現場に行き渡るところでございまして、これらの措置が確実に現場に行き届くように取り組んでまいりたいというふうに思います。そして、その状況をしっかり見させていただきながら、必要な対応については財源と併せて検討してまいりたいと思います。

井坂委員 平時であれば、今行っている施策の効果を見て、足りなければ次ということで分かるんですが、さっき申し上げたように、そうそうたる元厚生労働大臣とか参議院の本当に大臣をされたような立派な方々が、今すぐ追加の処遇改善をやってくれと実力行使、行動に移っておられる現状があるわけなんです。

 これはやはり、大臣、現状に対する危機感が足りないのではないかというふうに思います。打ち手も何も、給料は上がったとおっしゃいますけれども、民間はもっと上がって、民間平均と介護の賃金、月額、元々七万円だったのが、八万三千円までまた広がっているんですよ。これまで曲がりなりにも増え続けてきた介護職員が、ついに初めて大幅に減少に転じているんですよ。

 この状況で、しかも、よく分かっている自民党の議員さんみんな、これでは足りないから追加の処遇改善が必要だと言うだけじゃなく、行動に移しているんですよ。その危機感、大臣にはないですか。

福岡国務大臣 現場の厳しさについては十分承知しています。

 その上で、置かれた状況については、例えば地域であったり事業規模等によってかなり違うというふうに考えておりまして、そういう意味では、一律にというよりも、その実情に応じた支援をしていくということが必要だというふうな意味で、しっかり足下を見ていく必要があるというふうに申し上げたところでございます。

 その上で、事業継続が厳しくなってはいけませんので、福祉医療機構等による融資を今回提案させていただいているように、しっかりその地域において事業が継続できるような環境整備にも努めてまいりたいと思います。

井坂委員 ちなみに、自民党が介護、福祉賃上げ法案の審議を拒否する理由は何なんですかと理事会でお尋ねをしたところ、四千億円の財源が必要だからという答えでありました。

 参考人に伺いますが、介護、福祉の処遇改善には必ず何らかの財源が私は必要になると思いますが、その認識でいいですか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 介護、障害福祉分野の処遇改善の方法としては、現行制度の運用改善による対応、それから制度改正あるいは報酬改定による対応がございます。

 現行制度の運用改善による対応の場合は現行財源の中でも実施が可能でございまして、これまでも、既存の財源の中で処遇改善加算の取得促進や要件の弾力化などが実施されております。

 一方で、制度改正あるいは報酬改定による処遇改善を行う場合には、所要の財源を確保した上で実施する必要があると認識してございます。

井坂委員 現行制度の運用で取りやすくというような話ではなくて、本当に賃上げ、処遇改善をしようと思えば、財源は必要なんですよ。逆に言えば、財源が要るから反対などと言っている間は、私は、介護、福祉の賃上げをする気がないと言っているに等しいと思います。

 委員長に、先ほど山井委員からもありましたけれども、我々、やはり、閣法の審議は本当にこういう異常な形で最速で受け入れて、今なんか、連休明けもこういう日程でやらないと、閣法が六法案あるうちの四つしか通りませんよというようなことまで申し上げている状況であります。

 委員長には、閣法も全力で全部やる、我々が出した、しかも複数の野党が共同提出している野党の議員立法はいつまでも審議拒否をしない、そういう委員会運営を是非ともお願いをしたいと思いますが、一言お願いします。

藤丸委員長 そういう、公平を旨として審議を進めさせていただきます。

井坂委員 委員長、ありがとうございます。

 続いて、通告の六番に戻って、政府の年金法案について伺います。

 資料の二番を御覧ください。政府が元々提出するはずだった年金法案の中身を変えて、その説明のために作った資料であります。

 今国会の目玉法案の目玉であった現役世代の基礎年金の底上げについては、真ん中の段に、十分な理解が得られていないことから今回の法案には規定しないと削除をされてしまいました。

 大臣、これは一体、誰の理解が十分に得られていないんですか。

福岡国務大臣 御指摘の基礎年金の底上げ措置につきましては、昨年末の社会保障審議会年金部会の議論の整理におきましても、賛成と慎重な意見があり、意見がまとまらなかったところでございます。また、与党とも法案について議論をする中で、積極的な御意見がある一方で、厚生年金の積立金を活用することなどについて慎重な意見もあったところでございます。

 できる限り早期の法案提出という観点からも一定の判断が必要であることを踏まえ、今回の法案では、基礎年金の底上げの具体的な仕組みは盛り込まない方向で検討を進めさせていただいております。

井坂委員 要は、与党の中で理解が得られなかったということでありますが、これは中身の問題というよりも、選挙を恐れる自民党参議院議員の理解が得られなかっただけではないかというふうに思います。

 大臣、重ねて伺いますが、この資料でも、就職氷河期以降の現役世代の基礎年金の底上げを削除した一方で、その下には、基礎年金の保険料を納める期間を四十年から四十五年に延長することを検討する規定が追加をされています。

 基礎年金の保険料支払い期間を延長すると、端的に言って現役世代の負担が増えるのではないでしょうか。

福岡国務大臣 基礎年金の拠出期間の延長につきましては、一般論といたしまして、保険料を納めていただいた期間が長くなれば、それに伴い給付も充実することになりますが、昨年七月に公表いたしました財政検証の結果におきまして、前回と比較して所得代替率が改善したことを踏まえ、今回の制度改正で措置する必要性は乏しいと判断し、対応を見送ることとしたものでございます。

 その上で、昨年末に取りまとめました年金部会の議論の整理におきましては、基礎年金の拠出期間の延長について、健康寿命の延伸や高齢者の就労進展等を踏まえますと、基礎年金の給付水準を確保するために自然かつ有効で意義ある方策であると考えられ、引き続き議論を行うべきとされておるところから、引き続き制度の在り方について検討したいと考えております。

井坂委員 資料三も御覧いただきたいんですが、政府が基礎年金の底上げを法案から削除したために、様子見のために厚生年金のマクロ経済スライド調整を延長することになっております。厚生年金受給者が損をしないように配慮措置を考えたのがこの資料です。

 上の段の米印に、報酬比例部分の所得代替率が低下する者はいないと書かれていますが、参考人、二〇三〇年までの厚生年金受給者で損をする人は一人もいないんでしょうか。

間政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のありました今回検討している配慮措置につきましては、令和六年財政検証の結果を前提として、二〇二八年度まで報酬比例部分のマクロ経済スライドによる調整を行うところを、次期財政検証の翌年度である二〇三〇年度まで調整を継続するものの、これによって給付水準が低下しないように、年金数理計算に基づき実際のマクロ経済スライド調整率を三分の一に緩和するものでありまして……(井坂委員「もう時間がないので、損をする人がいないかどうかだけ答えてください。時間がないんです」と呼ぶ)はい。二〇三〇年度までの厚生年金受給者に不利にならないように検討しているところでございます。

井坂委員 誰一人損をしないどころか、二〇二六年から二〇二九年の厚生年金受給者は得をするわけであります。代わりに誰が損をするのかというと、結局、現役世代が将来もらえる年金額が少し下がるんだと私は理解をしております。

 今回の与党の自民党の修正、大変ひどいと思って、将来世代の底上げは削除し、そして保険料は増やし、さらに、足下の配慮をするためにまた将来減らす話を持ち込んでいる、これは大変問題だというふうに申し上げて、質疑を終わりたいと思います。

藤丸委員長 次に、宗野創君。

宗野委員 立憲民主党の宗野創です。

 冒頭、介護分野における特定最低賃金の設定と処遇改善に関して質問をいたします。

 参議院予算委員会での石破総理の答弁を受けて、三月二十一日、記者会見で福岡大臣が、特定最低賃金の導入の検討を進める、そういった旨を述べられました。資料一のように、新聞でも大きく報道されました。

 特定最低賃金の新設には、同じ分野の労働者が二分の一以上労働組合に加入し、協定を結ぶことなどが条件になっています。その上で、関係労使からの申出があり、地方最低賃金審査会でその必要性が議論されるというフローなわけです。

 そこで、伺います。

 介護従事者の労働組合の加入率を教えてください。また、特定最低賃金の改正、新設の申出がこれまで行われた中で、必要なしと判断された件数はそれぞれどれくらいあるでしょうか。よろしくお願いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 労働組合基礎調査によりますと、令和六年六月末時点で、社会保険、社会福祉、介護事業における労働組合員数は約十五万人であり、労働力調査によりますと、令和六年六月の同産業における雇用者数は四百七十六万人でありますことから、その比率を機械的に計算いたしますと、同産業における労働組合の組織率は約三・二%と推定されます。

 また、令和六年度におきまして特定最低賃金の改正、新設の申出があった件数は二百三件でありまして、このうち、審議会において必要性に関する審議が行われた結果、改正、新設の必要性なしとなった件数は六十八件でございます。

宗野委員 今御答弁のとおり、介護業界の組合加入率は非常に低い状況にあります。さらには、そもそも、地域最低賃金を設定している審議会で、さらにそれを上回るような特定最賃の必要性を議論するという構造になっていますので、なかなかその必要性を認められづらいという側面があります。こういった構造的な課題から、実際にこの特定最賃、実現は非常に高いハードルがあると思うわけです。

 そこで、伺います。

 審議会の検討プロセスの変更などを含めて、今、具体的にどの程度検討されているんでしょうか。

福岡国務大臣 御指摘がありましたように、最低賃金法上、特定最賃は地域別最低賃金との役割分担の下に設けられておりまして、関係労使から申出がなされることを要件としておりまして、労使の主体性がより強い仕組みとなっております。このような特定最低賃金の性格であったり成り立ちを踏まえますと、特定最低賃金の検討プロセスの在り方についても労使のイニシアティブを尊重する必要があると考えております。

 その上で、与党の御議論なども踏まえまして、今後、労使の皆様の御意見であったり特定最低賃金の実態について再度確認し、検討してまいりたいと思います。

宗野委員 資料もつけさせていただきましたけれども、記者会見で御発言されたということで、非常に大々的に報道もされました。私のところにも介護事業者の方から問合せもありまして、現場は非常に注目をしています。

 ただ、今、検討中ということで、何でこのタイミングでそんな大々的に言ったというところがちょっと私も分からないところなんですけれども、もはや、これは選挙を見越した、やったふり処遇改善どころか、言っただけ処遇改善と言ってもしようがないんじゃないかなと思うわけですね。政策手段に関してやはり具体的な御説明をいただかないと、先ほど来のお話じゃないんですけれども、介護業界の処遇改善、本当に深刻だと思います。

 その上で、特定最低賃金だけでは、そもそも処遇改善は十分ではないと考えています。特定最低賃金のみを上げれば、当然、介護事業者にとっては人件費の負担が上がる。経営悪化の大きな要因にもなります。今後、特定最低賃金を上げる際には、当然ですけれども、十分な介護報酬の引上げとセットで検討すると明言をしていただけますでしょうか。せめてここまでは御答弁をお願いします。

福岡国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、特定最低賃金につきましては、労使の皆様の御意見であったり特定最低賃金の実態について再度確認し、検討することとしております。

 一方で、先ほど来お話があっていますように、介護分野の人手不足は大変厳しい状況でありますから、処遇改善は喫緊の課題だというふうに認識しています。

 政府といたしましては、更なる賃上げに向けまして、処遇改善加算の要件の弾力化であったり、先般の補正予算において賃上げに向けた更なる支援策を講じているところでございまして、これらの措置が現場に行き届くよう取り組んでいきたいと思います。その上で、これらの施策の実施状況をよく把握し、財源と併せて必要な対応を行ってまいりたいと思います。

宗野委員 介護の処遇改善というんだったら、やはり介護報酬、特に基本報酬の引上げが必要じゃないでしょうか。もし期中改定が難しいということであれば、まずは、やはり我が党が提案しているような、取り急ぎ月一万円、年十二万円の処遇改善法案や、あるいは訪問介護の緊急支援法案も含めて、早急に議論を進めるべきであると改めて強調させていただきたいと思います。

 そして、もう一つ議論をしておかなければいけないのが、そもそもなぜ介護職の賃金が上がっていないのかという点です。

 かねてより御指摘がありますように、キャリア、経験、資格が十分に反映されていないんじゃないかという課題があります。一つの参考として、資料二におつけしました介護職の勤続年数ごとの月収の表があります。

 これは十年以降のところがポイントになっているなと思うんですけれども、一方で、全産業平均を比べますと、ほかの産業だと、十年を過ぎた辺りからボーナスであるとか基本給がどんどんどんどん上がってくるという傾向があります。

 介護職の場合、十年以上の方、資格でいえば介護福祉士の方であるとか、あるいは介護支援専門員の方も増えてきますし、役職でいうと施設長や管理職になってくる。まさにここに賃金のギャップがあるわけでして、これは最低賃金を上げても解決しない問題であるわけです。

 そこで、伺います。

 介護業界において、キャリア、経験、資格と比例して報酬が上がる仕組みが必要だと思いますけれども、具体的に今の段階で施策はありますでしょうか。

黒田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、職員の定着等に向けて、職員の経験年数、勤続年数に応じた処遇改善の取組を講じることは大変重要でございます。

 厚生労働省といたしましても、処遇改善加算の加算額を事業所内の職員に配分する際には柔軟な対応を認めておりますが、特に経験、技能のある介護職員へ重点的に配分することが重要だということをお示しをしてございます。

 また、あわせて、処遇改善加算の取得要件の一つとして、勤続年数や経験年数などに応じて昇給の仕組みの整備を行うこと、あるいは、経験、技能のある介護職員のうち一人以上は処遇改善加算による賃金改善後の賃金額を四百四十万円以上とすることなどを求めることで、処遇改善の取組と併せて、長く働き続けられる環境整備を図っているところでございます。

 今後とも、介護分野における処遇改善の実施状況等をよく把握した上で、必要な対応を行ってまいります。

宗野委員 やっていますということだと思うんですけれども、できていないから質問になっているんですね。

 なので、やはり方向性としては各党一緒だと私は思っています。介護職の処遇改善、これを選挙目的のやったふり処遇改善に終始しないで、与野党を超えて実現する必要があると改めて強調いたしまして、次の質問に移らせていただきます。

 本日、ちょっと議論させていただきたいのが、パーキンソン病等の指定難病の認定と特定医療費助成について伺いたいと思います。

 私が小学生のとき、祖母がパーキンソン病を患いまして、十年間の闘病生活が続きました。パーキンソンというのは、体の震えが止まらなくなって、次第にそれが震えじゃなくてこわばりになってきて、最終的には、飲み込み、嚥下が難しい状況になりました。

 大臣、御覧になられたことがあるかあれなんですけれども、「レナードの朝」という映画がありました。ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズが出ている映画。そういった中でも症状が分かりやすいと思いますけれども、いまだに根本的な治療法は確立していません。

 そうした中で、資料三の記事にありますように、先日、人のiPS細胞を活用した治験によってパーキンソン病の改善効果と安全性が確認されたというような、京都大学病院が発表した記事がありました。この治験に協力した住友ファーマさんなんですけれども、このデータを基に、国に医薬品の製造販売の申請を今後行うとしています。

 そこで、伺います。

 政府として、治験データを活用した医薬品の製造販売の申請に対して迅速な対応をしていただくとともに、再生医療全般に関する研究成果の実用化に向けて一層の支援をしていただきたいと考えますが、大臣の所見を伺います。

福岡国務大臣 私も「レナードの朝」を見ましたし、身内にもパーキンソン病を患って亡くなられた者がいます。

 再生医療に関しましては、国といたしましても重点的な支援を行ってきたところでございまして、例えば、京都大学で実施されましたパーキンソン病に対するiPS細胞を用いた治療につきましては、関係省庁とも連携し、AMEDを通じて継続的に支援を行ってきたところでございます。

 今回の臨床試験での成果は、こうした長年の研究支援が実を結んだものと考えておりまして、引き続き、我が国発の革新的な再生医療等製品の創出を目指し、研究開発支援を行っていきたいと考えています。

 また、こうした支援に加えまして、再生医療等製品の日本での早期の実用化に向けまして、承認審査におきましても、条件及び期限付承認制度であったり、先駆的医薬品等指定制度に基づく優先審査などの仕組みを設けているところでございまして、安全性に配慮しながら、迅速な承認審査に努めていきたいと考えています。

宗野委員 前向きな御答弁、ありがとうございます。一日も早く根本治療が確立することを願います。

 その一方で、指定難病の要件に関する課題があると思います。今、患者の数が全人口の〇・一%から〇・一五%、約十八万人未満であるというルールが指定難病にはあります。

 現在、パーキンソン病の医療費助成対象者は約十四万七千人になっています。先日、患者団体の方からもお話を伺いましたけれども、パーキンソン病患者の方は近年増加傾向にありまして、いつ指定難病の対象外とされるか、毎日不安な日々を過ごしているということです。

 患者の増加、それを根拠として、既に認定されている指定難病をその対象外とすることはないと是非明言していただけませんでしょうか。是非、患者の皆さんが安心して日々を過ごせるようなメッセージを大臣からお願いします。

福岡国務大臣 難病法におけます医療費助成につきましては、症例が比較的少ない難病について医療費助成を行うことで、難病患者さんの症例を効率的に集積し、治療研究を推進するとともに、効果的な治療方法が確立されるまでの間、長期の療養による医療費の負担が大きい患者さんを支援するものでございます。

 指定難病の要件につきましては、この目的を踏まえて設定されておりまして、その一つであります希少性については、難病法の規定を踏まえまして、指定難病検討委員会において、その数字を、医療受給者証の所持者数がおおむね人口の〇・一%、十八万人程度としているところでございます。現時点で、御指摘のパーキンソン病の医療受給者証所持者数につきましては約十四万七千名ということで承っておりまして、現時点では、御指摘の疾患はこれを下回っているということで認識をしております。

 既存の指定難病が指定難病の要件に該当するかどうかにつきましては、こうした制度の趣旨を踏まえまして、指定難病に関する研究の進捗状況等を確認した上で、指定難病検討委員会において総合的に判断することとしております。その際に、既存患者さんへの経過措置の在り方等についても丁寧に検討してまいりたいと考えています。

宗野委員 平成二十六年の難病法の附帯決議に、今後の指定難病の見直しに当たっては、患者数だけではなく、患者の治療状況や指定難病に指定された経緯等も考慮しつつ、慎重に検討することとされているわけですね。

 今議論しているのは、新規の設定の話じゃないんですね。既にもう指定されている難病をどうするかという話なんです。患者の数が増えても、難病の特性、あるいは日々の生活の困難には何ら変わることはありません。それにもかかわらず、これを対象外とすることは、やはりこの附帯決議の意義から考えても合理性が不十分だと考えます。

 事実関係は別として、いま一度、もう一度、大臣、御答弁いただけますでしょうか。

福岡国務大臣 先ほど申しましたように、指定難病検討委員会においてそこは御検討いただくということでありますが、今おっしゃられましたように、既に認定されて受給をされていらっしゃる方、そういった方々についてはしっかり見ていく必要があるということは御指摘のとおりだと思います。

宗野委員 ありがとうございます。

 今既に診断を受けていらっしゃる方に関しては慎重に御判断されるということを御答弁いただいたと思っています。高額療養費の問題もそうなんですけれども、やはり患者の方の生活実態を十分に把握した上で議論を進めていただきたいと思います。

 もう一つありまして、特定医療費の助成の申請なんですけれども、例えばパーキンソン、これは進行性の病気にもかかわらず、毎年の申請が必要になっています。診断書など必要書類を集めて役所で手続を行う。これは、患者の方、そして家族にとっては大きな負担となっています。

 こういった進行性の難病においては、特定医療費助成の申請を隔年の対応を可能にするなど、緩和措置を御検討いただけませんでしょうか。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 指定難病制度におきましては、指定難病の患者様が、まず、重症度分類を満たしていること、二つ目に、重症度分類を満たしていなかったとしても、申請月以前の十二か月以内で医療費の総額が三万三千三百三十円を超える月が三月以上あること、このいずれかに該当する場合には医療費助成を行うこととしております。その助成に当たりましては、患者様の所得区分に応じて、月当たりの自己負担上限額、これを設定しているところでございます。

 このため、重症度分類や直近十二月の医療費及び所得区分を定期的に確認する必要があることから、支給認定期間を原則一年間とさせていただいております。

 他方で、先生御指摘のように、医療費助成の申請手続、これが大変負担であるとのお声は患者団体の皆様からもお聞きをしているところでございます。

 このため、厚労省といたしましては、診断書のオンライン提出の取組を進めるとともに、マイナポータルを活用した申請手続の検討なども進めているところでございます。

 今後も、患者様の利便性向上のために、手続の簡素化、効率化に取り組んでまいりたいと思っております。

宗野委員 進行性なので、先ほどの話でいえば、納得できないところもありますけれども、そういった中でも、今、オンライン申請を検討されているということでございますので、今後も、できる限り患者負担のないような行政事務の執行をお願いいたします。

 最後になりますけれども、重層的支援体制整備事業について伺います。

 自治体において、八〇五〇問題やダブルケアなど複合的な要因を持つ課題に対して、包括的な相談支援や、多機関の協働による対応が期待をされています。しかし、課題が複合的だからこそ、窓口に相談に来ても、当然、すぐに解決に導くことができないケースが数多く存在します。

 そこで、伺います。

 多機関協働などで相談をしても、具体的な支援につながらない滞留ケースがあることへの問題意識はありますでしょうか。あわせて、相談支援の役割の明確化、コーディネート役などの司令塔が必要だと考えるわけですが、そういった場合の人材面の制度的支援の強化が必要ではないでしょうか。御答弁をお願いします。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 令和四年度に厚生労働省において実施しました調査研究事業におきまして、多機関協働事業を実施する上での課題として、多機関協働事業のみにケースが任せ切りにされてしまうと回答した自治体が一定数ありまして、多機関協働事業で相談を受け付けた後に、課題整理や役割分担が進まず、多機関協働事業を受託された事業者にケースがとどまってしまって、具体的な支援につながらない事例があるということは課題として認識をしてございます。

 これにつきましては、本来、多機関協働事業は、個別のケースを単独で支援するということは想定しておりませんで、相談支援の対象者の方の課題の整理や、支援関係機関の役割分担を行うその調整役ですとか、あるいは、支援者の支援などの司令塔機能を担うこととされているものでございますけれども、この趣旨を十分に市町村に認識いただけていないということも一因というふうに考えてございます。

 現在、厚生労働省で開催し、御議論いただいております地域共生社会の在り方検討会議におきましても同様の課題が指摘されておりまして、多機関協働事業の趣旨、機能の明確化や対象案件の一定の整理、平準化などの具体的な方策について検討を進めてございます。

 この検討会議における御議論も踏まえつつ、包括的な支援体制の整備を促進するとともに、重層事業の質の向上に向けて必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。

宗野委員 ちょっと時間がなくなりましたので、最後、一点だけ指摘させていただいて。

 災害ケースマネジメント、災害が起きた際の専門家協働の仕組みがあります。自治体では、これに重層的支援体制のケース会議を盛り込むという事例が増えてきていますので、そういった中、今後、こういった事例の活用も検討しながら、よりよい事業としていただきますようよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

藤丸委員長 次に、梅村聡君。

梅村委員 日本維新の会の梅村聡です。

 今日は、大臣には、政策の中身というよりは、厚生労働省の最高管理職として幾つか質問をさせていただきたいと思います。

 それで、やはり今、厚生労働省の職員の皆様も日夜非常に業務に奮闘されているということは、我々議員側から見てもしっかり認識をしているところであります。

 最近は、私の事務所にレクに来ていただいたりとか、そういう職員、特に若手の方には、もう時代が変わってきまして、やはり、転職ということはごく当たり前のことではあるんですけれども、もし可能だったら、厚生労働省で長く勤めていただいて、そして経験を、あるいは知識を是非蓄えてほしいな、そういうことを声をかけることも私は非常に多くなってきておりまして、それだけに、役所の皆さんにどうやって快適な職場、そして職場環境、こういったことをきっちり我々議員も協力ができないのかな、こういうことを日々思っております。

 例えば、我々議員も、私の場合なんですけれども、こういう国会の質疑の質問レク、これは、私、この六年間は全て電話で終わっております。一回だけ来られたことがあると思いますけれども、六年間ずっと、基本的には電話でさせていただいておりますし、我々日本維新の会は、法案の説明も、個別の議員が呼ぶということではなくて、合同の部会を設定するので、できる限りそこでヒアリングも終わらせるようにしよう、これは我々、党としても取り組んでいるところであります。

 ですから、そういった面からいえば、どうやって職員の方に過重な負担なく働いてもらうか、これが非常に大事なことだと思っております。

 ちょうど今から五年ほど前に、厚生労働省の改革若手チームが、厚生労働省が価値を提供すべき全ての国民と未来の厚生労働省の若手職員のためにということで、提言書をまとめられております。

 これを、私、見たときに、当時は、今から五年ほど前ですけれども、非常にショッキングなデータが幾つかあります。アンケート調査で、厚生労働省は職員を大事にする職場である、はいと答えた方が八%、これは大変なことだと思います。この中身も読ませていただきましたら、厚生労働省に入省して、生きながら人生の墓場に入ったとずっと思っている、家族を犠牲にすれば仕事はできる、一生この仕事で頑張ろうと思うことはできない、当時はこういうアンケートもたくさん並んでいたわけなんですけれども、あれから五年たちまして、ここに書いてある提言、様々実行に移されたかと思いますが、どのような実行で、成果がどのようなものが上がってきているのか、これについて少し御披露いただければと思います。

福岡国務大臣 御指摘がありましたように、令和元年の八月に厚生労働省の若手職員の有志チームが取りまとめました厚生労働省改革若手チーム緊急提言、さらに、同年十二月に取りまとめました厚生労働省改革工程表を踏まえまして、労働環境の改善に向けた取組を進めさせていただいています。

 具体的には、説明資料のペーパーレス化であったり、オンライン会議の積極的な活用、テレワークの推奨といった取組に加えまして、国会対応業務の改善策といたしまして、これまで委員会の当日の早朝に実施しておりました答弁についての説明を、昨今では、先生御実践いただいていますように、なるべく早く通告していただいたり、電話等によって通告していただくように大変御協力していただいていることもございまして、前日の夕方になるべく受けられるレクは受けるように分散させることなどによりまして、職員の残業時間の減少が実際に確認されるなど、職員の業務の効率化、柔軟な働き方が推進されているというふうに認識しております。

梅村委員 レクを大臣が夕方に受けられる、これは非常に有効な手だてだと思いますけれども、衆議院は定例日が水曜日と金曜日ですよね、参議院は火曜日と木曜日にありますから、ですから、大臣は、夕方か朝か分かりませんけれども、基本的には毎日、委員会が普通に行われれば、レクを受けられるということなんですけれども、大臣、大体、もし朝に受けられるならどんな時間帯で受けられているのか、夕方だったらどれぐらいまでの時間がかかられているのか、何か日常生活を聞くみたいで申し訳ないんですけれども、ちょっと教えていただければと思います。

福岡国務大臣 今御指摘いただきましたように、なるべく夕方に済ませられるものは済ませながら、ただ、そのときに準備できていないものもございますから、そういったものについては当日の朝にレクを受けるような流れになっております。

 通常国会におけます答弁の説明は、委員会の前日の、委員会が終了後ですから、十七時及び当日の夕方スタートするのとともに、朝の場合はなるべく朝八時ぐらいから開催するようにしておりまして、私自身も、職員の方々に早朝から出勤していただくということもなかなかこの働き方改革の中で難しゅうございますから、そういった意味においては、答弁書等をファクスで自宅に送っていただいて、あらかじめ自分が目を通した上で、問題点を整理して、朝八時ぐらいからスタートして、間に合うような形で作業を進めさせていただくようなことを努めさせていただいているということでございます。

 引き続き、国会対応業務の改善、先生方にも大変御協力いただいていますが、職員の負担の軽減を図りながら、的確に答弁できるように努めてまいりたいと思います。

梅村委員 御苦労していただいているかと思うんですけれども、私は、まず参議院議員から衆議院議員になって一番変わったのは、参議院は委員会は朝十時からなんですよ。衆議院は朝九時から。まあ、一時間早う起きれば済むことなんですけれども。そして夕方は、みっちりやれば五時ですね、参議院も衆議院も五時で終わる。

 ただ、職員の皆様もそうですし、我々議員もそうですし、委員部の皆さんもそうですよね、九時に始まって五時に終わる、五時になったらみんな帰ろうか、朝は九時に出勤したらいい、そういうわけではないんですよ。いろいろな業務も当然あられますし、若手の職員の方は、委員会が終わってから決裁を受けなければいけないこともあるかと思います。

 そう考えますと、これは皆で考えることかもしれませんが、朝の九時から夕方の五時まで委員会をみっちりやることが、これは省庁だけではなくて、我々議員も、ほかの省庁にヒアリングをするときに、五時まで委員会があるから五時半に来てくれ、六時に部屋に来てくれ、これが本当に今の世の中の流れに合っているのかどうか。

 私は、勝手に申し上げますけれども、じゃ、朝十時に始まって、お昼三時で委員会の質疑は一旦終えます、その後は各自、議員の皆さんはまた自分たちの仕事に取り組んでください、職員の方は、役所の方は、それぞれまた持ち場に戻ってください、こういうふうに委員会の質疑の時間を短くすることも、私はやはり省庁の働き方改革に合致するんじゃないかと思うんです。

 これはもちろん我々議員も考えないけないことですけれども、こういう考え方について大臣はどう感じられるか、ちょっと教えていただきたいと思います。

福岡国務大臣 質疑時間など委員会の運営につきましては、これは国会においてお決めいただくことですから、私自身が評価をするということは差し控えさせていただきたいと思いますが、私自身のことでいうと、委員会の定例日は、参議院が火、木で衆議院が水、金ということでございますので、そういう意味でいうと、月曜以外は朝からずっと国会対応に追われているというような状況があるということは御指摘のとおりでございます。

 一般論といたしまして、仮に委員会の質疑時間が短縮されれば、用意する答弁の数からも全体の作業量の減少につながり、ひいては国会の対応の業務の軽減につながるものというふうに考えておりますが、いずれにしましても、職員の業務負担の効率化など労働環境の改善を図ることが重要であるというふうに考えておりまして、厚生労働省を若い方にも魅力ある職場だというふうに感じていただけるように、必要な取組を進めてまいりたいと思います。

梅村委員 時間が来たので終わりますけれども、これは非常に我々も与えられている課題だと思います。できるだけ質問を短くして必要な答弁をいただいて、また役所の方もできるだけ端的に答弁をまとめていただく、こういう努力をしていけば、私は実現できるんじゃないかなと考えておりますので、また議員の皆様も一緒に考えていただければなと思います。

 私からは以上です。今日はありがとうございました。

藤丸委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下卓です。本日もよろしくお願いしたいと思います。

 私の方からは、B型肝炎の訴訟の問題、除斥期間の問題について御質問させていただきたいと思います。

 この問題につきましては、幼い頃、子供の頃に予防接種等を通じてB型肝炎に罹患されたという、まさに国の責任の問題であると思っております。

 また、先日の委員会では田村委員の方からも御質問がありました。そして、本日も井坂委員の方からも御質問がありました。やはりこの問題につきましては超党派で取り組んで、同じ答えになるかもしれませんけれども、しっかりと議事録に残すことで、多くの議員が政府に対して問題提起をしているんだ、早期の課題解決をしてくださいということのメッセージであるということをしっかりと認識をしていただきたいなという具合に思っております。

 それでは、質問の方に入らせていただきたいと思います。

 この問題につきましては、令和三年の四月におきまして、最高裁判決ですね、再発型の感染者に対して除斥期間の適用を除外、排除する判断がなされまして、さらに、補足意見では、長期にわたる感染被害者の実情に鑑み、上告人らと同様の状況にある特定B型肝炎ウイルス感染者の問題も含め、迅速かつ全体的な解決を図るために、国において、関係者と協議を行うなどして、感染者被害の救済に当たる国の責務が適切に果たされることを期待するという具合に言及をされております。

 これを受けまして、私も令和四年の五月二十日にこの厚労委員会の場におきましてこれを取り上げさせていただきました。そして、その中で、できるだけ国の責任で被害の救済に当たってくださいということを強く訴えたという記憶がございます。

 そんな中で、先日の三月の十四日、福岡高裁、これは今日も井坂先生からありましたけれども、再々発型について裁判所の見解が出されています。慢性肝炎の再々発型につきましての除斥期間の起算点を繰り上げる基準に関する所見というものを提示をされております。ただ、この点に関しましては、今日も、先日もありましたけれども、残念ながら、大臣の方からは、係争中であるということですので、裁判外ではコメントがなかなかしづらいということがありました。

 ただ、私、先日の四月十日のB型肝炎の原告団の皆さんの院内集会に招待されまして、切実なる御意見、御要望というものを受けさせていただきました。そんな中で、こういう協議の停滞、原告団との協議の停滞というのはまさに司法の判断に反するものであると思っておりますし、やはりこれは国の責任が放棄されているのではないかという具合に国民に受け取られかねぬという具合に考えております。

 この除斥期間といいますのは、民法上に規定されておりますので、本来、裁判所が厳格に民法の規定を適用していくということは承知をしているわけなんですけれども、一方で、やはり国というのは、本来、これは国の責任で発生している事案でございますし、そこの被害の実情に応じて柔軟に早急に対応することが必要であるということが大事なのかなという具合に思っております。まさにそこが政府に求められている部分なのかなと思っております。

 そこで、今回の福岡高裁の所見、これを速やかに受け入れまして、協議を進めて、再々発型を含めた除斥期間の問題に正面から向き合って、広く被害者を救済するための方針を示すべきではないかなと思いますが、この福岡高裁の見解に対して大臣の御所見を伺いたいと思います。

福岡国務大臣 先ほども申しましたように、現在、福岡高裁の仲介の下、国と弁護団及び原告団との間で協議を行っているところでございまして、福岡高裁における協議が継続中でございますため、御指摘について裁判所外でコメントすることは差し控えたいと思います。

 その上で、令和三年の最高裁判決もそうですが、これまでの除斥期間の前提に立った上での判断ということでございます。私たちも現行の除斥期間の考えに立った上で、起算点をどう考えるかというようなところにもよりますが、引き続き、B型肝炎特措法に基づき、被害者の方々の早期救済に努めてまいりたいと思います。

池下委員 三月十九日でしたか、読売新聞の記事を私は見させていただいていたんですけれども、その中には、高裁の方から四月中に見解を出すようにということを求められているということが報道されておりました。四月中といいますともう本当にあと僅かしかありませんけれども、そういう中で、これはしっかりとお答えを出していただきたいなという具合に思います。

 それでは、もう一つ、同じB型肝炎関連について御質問させていただきたいと思うんですけれども、B型肝炎の除斥期間に関しましては、症状が一旦落ち着いて鎮静化したとしても、また再び再燃するということが今回の問題になっているわけであります。

 ただ、国が起算点の根拠として認めている検査資料の提出、この時期というものになってくるわけなんですけれども、これも患者団体さんから切なる声を伺っておるわけなんですが、二十年以上前の資料提出は極めて困難であるという声です。そもそも、国が求めている検査内容が当時の医療現場で必ずしも実施されているとは限らず、また、仮に検査が行われていたとしても、その資料が今日まで適切に保存されている保証もないんだということを言われておりました。これは本当に大事な問題だと思っておりまして、実際に再燃した場合でも、資料がないからといってむげにされるということはあってはならないと思います。

 再発型については当然いろいろ、今からお答えがあるかと思いますけれども、再々発型についてもしっかりと、救済が必要な方につきましては、資料の不備を理由にして門前払いにするのではなく、広く門戸を開いて救済の道をつくっていくべきだと考えますが、見解の方をお伺いいたします。

大坪政府参考人 お答え申し上げます。

 手続に関することですので、事務方からお答えさせていただきます。

 令和三年の最高裁判決では、慢性肝炎が再発した場合には、再発起点を除斥期間の新たな起算点とする考え方をお示しをいただいたところでありまして、昨年八月から救済を開始しております。

 その手続におきまして、慢性肝炎が再発したこと、これは原則として、肝機能の指標でありますALT値、これが持続的に正常であることをもって、初発の慢性肝炎が鎮静化していることを確認することとさせていただいております。

 ただし、先生御指摘のように、ALT値の検査結果が確認できない場合ですとか、様々事情があるかと思いますので、カルテや各種検査結果等の医療記録に基づき、医学的知見を踏まえて、総合的に慢性肝炎が鎮静していたか否かを判断することとさせていただいております。

 こうした取扱いにつきましては、引き続き周知に努めるとともに、被害者の早期救済に努めてまいりたいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 再発型につきましてはALT値の数値がなくてもということでありました。是非、実際、困られている方というのは、再発型につきましてはいいんですけれども、再々発型、これに関しましてもこの点というのは留意していただきまして、しっかりと認められるような形、救済ができる道を早急につくっていただきたい。この点に関しましても、先ほどありましたように、できれば四月中に答えを出していただけると非常にありがたいなという具合に感じている次第でございます。

 それでは、時間もありますので、次の質疑に移らせていただきたいと思うんですが、新規モダリティーの体制整備ということで、新しい医療、治療方法であったり医薬品であったりとか、そういう観点からの整備体制をどのようにしていくのかというのをまず一番最初、大きくお伺いをしていきたいという具合に思っております。

 本年二月に閣議決定されました健康・医療戦略では、今後のmRNAワクチンやウイルスベクターワクチン、放射性医療品など、新規モダリティーによる革新的な治療法の開発と社会実装というものがうたわれておりまして、私もこれは非常に重要である、有効的な対策を行っていかなければならないと考えております。

 現実には、体制整備などの遅れから国内では導入が進まず、結果として、多くの患者さん、海外では治療を受けられるんだけれども、国内ではまだ受けられないんだよという患者さんもいらっしゃるかと思います。

 こうした革新的治療法の開発導入に当たっては、研究段階から制度運用の面で事前協議であったり調整であったり、こういうものが必要であると思っております。実際には、薬事規制や医療体制などの整合性に問題がありまして、なかなか迅速な社会実装にはつながっていないと思っておりますが、今後、制度設計であったり運用方針をどのように見直して柔軟かつ現場に即した対応をしていくのか、大臣の方に見解をお伺いいたします。

福岡国務大臣 新規モダリティー医薬品の開発につきましては、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、AMEDを通じまして、基礎研究に対します様々な支援を行っているところでございます。

 こうした支援に加えまして、独立行政法人医薬品医療機器総合機構、PMDAにおきまして、御指摘がございましたように、承認後の実際の臨床現場での使用を想定した開発計画の相談を開発初期の段階から受け付けるなど、社会実装を視野に入れた支援を行っているところでございます。

 新規モダリティー医薬品を含めまして、有効で安全な医薬品が必要とされる患者の皆様に適切に届けられることが重要であると考えておりまして、承認後の実際の臨床現場での使用も見据えながら、引き続き適切に対応してまいりたいと思います。

池下委員 臨床後の結果を見ながら適切に対応ということであったんですけれども、まさにこれは旗を振るだけではないということを実行していただきたいなという具合に思います。

 それでは、ちょっと時間もありませんので、最後、一問だけ御質問の方をさせていただきたいと思いますけれども、この新規モダリティーの治療方法の中で、一つ、放射性医療品を用いた核医学治療について御質問させていただきたいと思います。

 資料の方があるので、ちょっと御覧いただけたらいいかと思うんですが、タイトルの方には「放射性医薬でがん狙い撃ち」ということで、この放射性医薬品につきましては、通常、外部から放射線を当てるんですけれども、注射であったりとか経口薬、これを投じて、体の内部からがんの部分について効果を持たせていくというものでございまして、私はこれは、非常に今までの治療法よりも副反応であったりとかいうものが少なくて、体に負担が少ないということで、効果もあるんだということで理解をしております。

 ただ一方で、我が国では、医療法上の放射線防護規制や、排水、排気設備の整備など、導入に当たってはやはり日本特有の課題というものもありまして、医療機関の負担も大きいというのが現状でございます。また、新薬の上市時にも、ほかの患者さんや周囲環境への影響に特段の配慮が必要でありまして、一般の医薬品とは異なる対応が求められるところであります。

 こうした特殊性を踏まえて、政府として今後どのような支援体制であったりとか整備であったりとかをやっていくのか、見解をお伺いいたします。

森光政府参考人 お答え申し上げます。

 放射性医薬品等を用いました核医学治療につきましては、治療を受けている患者等から放出される放射線による被曝から一般の方や医療従事者を防護する観点で、医療法施行規則等におきまして、放射線治療病室の構造設備や、当該病室から退出してよい放射能、放射線レベル、医療用放射性汚染物の排水中、排気中の濃度限度等に関する基準を設けております。

 こうした中、厚生労働省といたしましては、これまで、新たな核医学治療の治験等の円滑な実施や、それから医療機関の負担の軽減のために、当該新薬に関して、放射線治療病室から退出してよい基準や、企業等の相談にも応じながら、速やかにその基準を策定するとともに、令和四年には、医療法施行規則を改正いたしまして、一般的な病室で適切な措置を講じたものを特別措置病室として放射線治療病室の類型の一つに位置づけるということで、一般病室でも治療を可能とするといったような制度的対応を行ってきております。

 引き続き、開発を行う企業等からの相談に丁寧に対応しながら、核医学治療を適切に提供するための体制整備に向けて対応を行ってまいりたいと考えております。

池下委員 時間が来ましたので、これで終わりにさせていただきたいと思いますが、今お答えいただいたんですけれども、当然、今までも取り組みいただいているとは思うんですが、まだまだ全国でも百五十室くらいしかそういう設備がない、部屋がないという具合に聞いておりますので、是非これを普及していただいて、国民の健康に資する先進的な医療が受けられる、そういう仕組みづくりを是非つくっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、森ようすけ君。

森(よ)委員 国民民主党の森ようすけです。

 本日は、就職氷河期政策についてお伺いさせていただければと思います。

 この就職氷河期世代政策に関しては、政府が本腰を入れて検討を再開する動きが見えてきているところでございます。就職氷河期世代に対する政策を検討する関係閣僚会議の設置でしたり、骨太の方針に盛り込むために六月をめどに新たな支援策を取りまとめること、こうした方針で進んでいると聞いているところでございます。

 私たち国民民主党は、この就職氷河期世代に対する政策を以前から力を入れて打ち出しているところです。昨年の六月には、党内の就職氷河期世代のプロジェクトチーム、PTで提言を取りまとめたり、九月には、当時の武見厚労大臣に提言の申入れ、こうしたものもしてきたところです。

 政府において直近でどのような方針が打ち出されていたかというと、昨年度の骨太の方針では、このような記載がされております。「就職氷河期世代の就労支援は、五年間の集中的取組により、一定の成果を挙げている。来年度以降、この世代への支援は、中高年層に向けた施策を通じて、相談、リ・スキリングから就職、定着までを切れ目なく効果的に支援するとともに、地方自治体と連携し、個々人の状況に合わせ、就労に向けたリ・スキリングを含む幅広い社会参加支援を行う。」

 要すれば、安倍政権から取り組み始めた五年間の取組は成果を上げてきたため、世代に絞った対策ではなく、一般的な中高年層に向けた施策にシフトしていく、こうしたことが昨年度の骨太では示されていたと承知をしております。また、骨太から、この就職氷河期世代、そうした単語もなくなるのではないかということも言われていたところです。

 そこで、まず福岡大臣にお伺いいたします。

 昨年度の骨太において、就職氷河期世代政策は一段落ついたとも読める方針が示された一方で、今回、関係閣僚会議を設置するなど、方針転換をしたように思います。どのような経緯、背景があるのでしょうか。お願いいたします。

福岡国務大臣 就職氷河期世代に対しましては、政府といたしまして令和元年から集中的な支援に取り組んでおりまして、特に、就労の支援であったり、また社会参加支援を中心に、きめ細かい支援を実施してきたところでございます。こうした取組によりまして、正社員化等の処遇改善に一定の成果が上がっているものと認識しております。

 他方で、新卒時に正規雇用に就けなかったことによりまして、その上の世代と比べまして、賃金上昇が緩やかであるといったことであったり、また保有する金融資産が少ないといった課題もあるというふうに認識しております。

 このため、今週にも設置が予定されております閣僚会議では、そうした課題も念頭に、総理の下、政府一丸となって、支援の取組を充実強化するための議論を行っていくものと承知をしております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 この就職氷河期世代支援に一区切りつけようとしていた昨年の骨太から一転して、力を入れて取り組もうとされている、これは非常にありがたいことだと感じております。

 就職氷河期世代、様々定義がございますが、一般的には、バブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期、一九九〇年代の半ばから二〇〇〇年代にかけて就職活動した世代ということで、今でいうと三十代後半から五十五歳の方々が一般的に示されるところです。

 私は三十歳ですので、就職氷河期世代ではなくて、実際に自分が経験したわけではございません。ただ、当事者の声を聞くと、政治から見放されてきた、自分の努力だけではどうしようもなく、時代が悪く、取り残されてきた、こうした悲痛な声が届いているところです。

 福岡大臣は、昭和四十八年生まれの五十一歳ということで、就職氷河期世代に当てはまる世代だと思います。就職がなかなかうまくいかなくて、その後も大変な思いをされていた知人でしたり知り合い、こうした方も多くいらっしゃるのではないかなと思います。

 そこで、御自身が就職氷河期世代である大臣の御見解をお伺いさせていただきたいんですけれども、先ほど課題のところも触れていただいたんですけれども、改めて、この就職氷河期世代が抱える問題、どのように当事者として捉えているのか、また、どうしたところに困難さがあるというふうに感じているか、お願いいたします。

福岡国務大臣 御紹介いただきましたように、私も就職氷河期世代の一員でございまして、私自身も就職に大変苦労いたしましたし、知人においては、非正規で働かざるを得ない、不本意で非正規として働かざるを得なかった知人もいます。

 また、就職氷河期世代には、さっき言いましたように、非正規雇用で働いていらっしゃる方であったり、社会参加に向けて丁寧な支援を必要とする方など、様々な課題に直面している方が含まれているというふうに認識をしております。

 就職氷河期世代の方々への対応につきましては、我が国の将来に関わる重要な課題だというふうに認識をしておりまして、厚生労働省としても、就職氷河期世代の方々が抱える、就労であったり社会参加といった課題に対しまして、しっかりと支援を行っていきたいと考えています。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 御答弁いただいたとおり、様々な課題に直面しているというのが難しいところだと私も感じているところです。就職氷河期世代と一くくりに言っても、様々な属性の方がいる。よく国民民主党はペルソナというふうな単語を使うんですけれども、定職に就けずに引きこもり傾向にある方もいれば、非正規の雇用が長くて老後の生活資金が貯金できていなくて将来が不安な方、年金の滞納があって将来十分な国民年金を受け取ることができない方、また、団塊の世代の親がいて介護の支えが必要な方でしたり、こうした様々な方々がいらっしゃるわけですから、一概に、一度に解決できる魔法のつえというのがなかなかないというのが難しいところなんだと個人的には感じているところでございます。

 だからこそ、どういった属性の方がいらっしゃるのか丁寧にひもといて、それぞれに効果的な施策を打ち出していく、言うのは簡単なんですけれども、こうしたことについて進めていくことが大事だというふうに思っております。

 そこで、政府にお伺いさせていただきたいんですけれども、これまで、就職氷河期世代政策として様々行ってきたことがあると思います。就労支援でしたり、いろいろあると思うんですけれども、改めて、これまでどのような取組をしてきたのか、御説明をお願いいたします。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 政府は、二〇一九年から、地方自治体とも連携しながら、氷河期世代の集中的な支援に取り組んでまいりました。

 具体的には、例えば、ハローワークに専門窓口を設けました就職支援、非正規雇用者を正規雇用化した企業に対する助成、引きこもり状態の方々への相談窓口の相談対応、地方自治体の取組に対する交付金による支援など、様々な支援を行ってきたところでございます。

 その結果、二〇一九年から二〇二三年までの間に、就職氷河期世代の正規雇用者は八万人増加、企業の役員は十三万人増加、合計で二十一万人の方々が好待遇を得ており、政府の取組は一定の成果が上がっているものと認識をしているところでございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 御説明いただいたんですけれども、私の問題意識としては、やはりこれまでの取組が、雇用対策であったり社会参加の支援、こうしたところに偏ってきたのではないかなというふうに感じております。

 先ほど福岡大臣も御答弁いただきましたけれども、低賃金のときが長くて、なかなか資産の形成ができていない。これはやはり、就労の支援だけではなかなか解決し得ない問題なのかなというふうに感じているところでございます。もちろん、就労ができていなかった、望まない非正規で働かれていた方が安定した職に就けるように支援することも大事だとは思うんですけれども、やはりこれまでの取組とはちょっとジャンプアップした、政治としての判断、政策が必要になってくるというふうに感じているところでございます。

 そこで、福岡大臣に改めてお伺いしたいんですけれども、今、就職氷河期世代への支援策の御紹介をいただきましたが、これまでの政策について、福岡大臣御自身はどのような評価をされていますでしょうか。やはり、雇用対策に偏っていたのではないかというふうに個人的に思っております。昨年度の骨太の、一定の成果を上げている、これは今でも変わらない評価なんでしょうか。お願いいたします。

福岡国務大臣 先ほどの政府参考人とも若干重なりますが、これまで、令和二年四月から令和七年二月までの間にハローワークの職業紹介によりまして、延べ約五十六万人の不安定就労又は無業であった就職氷河期世代の方々が正社員として就職、また、非正規雇用労働者を正社員転換した企業への助成によりまして、延べ約十四万人の就職氷河期世代の方々が正社員に転換、また、引きこもりの相談窓口を設置いたしまして、NPO等を通じた相談支援であったり、居場所づくりを実施する自治体数が八十一自治体から三百三自治体に増加といった成果が出てございまして、一定の成果を上げたという評価については変わりないところでございます。

 加えて、先ほど委員も御紹介いただきましたように、今後の課題といたしまして、そういった賃金上昇が緩やかだったり保有する金融資産が少ない、こういったところについての対応についても今後検討していくということでございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 でしたら、今後の具体的な進め方、スケジュールについてもお伺いしたいと思います。

 第一回の関係閣僚会議は今週の二十五日に開催されると聞いているところです。そして、六月をめどに新たな支援策を取りまとめる、こうした報道もされております。今後、どのようなスケジュールで進めていくのか。例えば、就職氷河期世代の当事者の声をヒアリングで聞いていくのかでしたり、労使を始め様々な関係者のヒアリングを行うのかでしたり、今後の進め方について具体的に教えていただけますでしょうか。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 関係閣僚会議について様々報道があることは承知してございますが、第一回の関係閣僚会議は今週中に開催される予定となってございますが、その後のスケジュールについては、第一回の会議の議論も踏まえて決定されるものと承知してございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 なかなか現時点で言えないことが多いというのは理解はできるんですけれども、一方で、就職氷河期世代の方々は、これまで政治に見向きもされなかった、置いてけぼりにされたと疎外感を抱いている方が多いと思います。ですから、これまで以上に丁寧で早め早めの情報発信をすることで、そうした当事者の方々の疎外感を取り除くことにもつながるのかなというふうに考えております。そして、検討に当たっては当事者の声をしっかりと拾い上げていただき、そういったことも大事にしながら検討を是非ともお願いできればと思います。

 そして、新しい支援策の方向性についても、各紙、報道がされているところです。老後資金の不安や貯蓄の少なさが指摘される氷河期世代の高齢化を見据えた家計改善や資産形成、住宅確保の支援、こうしたことを検討していると報道ではなされていると承知をしております。就労支援や処遇改善の支援、社会参加への支援だけではなくて、これから高齢期を迎える就職氷河期世代の今後を見据えた支援を検討しているのは、非常にうれしい、喜ばしい方向性だと感じております。

 そこで、お伺いいたします。

 現時点における具体的な政策の方向性について教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

廣瀬政府参考人 お答えいたします。

 こちらにつきましても、様々報道があることは承知してございますが、具体的な支援の方向性、内容につきましては、今後、関係閣僚会議において御議論されるものと承知しております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。具体的なことはまだ言えないというのは理解させていただきました。

 ただ、昨日のレクの際に、御担当からこうした御説明をいただきました。資産形成の支援ということで、どういったことを検討しているんですかというふうにお伺いしたところ、金融リテラシー、金融教育を中高年層に対してしっかりやっていくことで、老後に必要な資産をためることを後押ししていく、こうした御説明をしていただいたところです。

 こうした方向性を聞いて、皆さん、どういうふうに捉えられているかというところなんですけれども、私としては、就職氷河期世代の方々は、やはり非正規の雇用の期間が長くて給与が低い、その時々の生活でいっぱいいっぱいで将来の生活資金が貯金できていない、こうしたことが大きな課題だと思います。

 声を聞くのは、二十代は時給八百五十円で働いて月収十二万円しかなかったと。こうした生活だからこそ、資産形成ができていないわけなんです。だからこそ、金融リテラシー、金融教育というのはいい取組だとは思うんですけれども、やはりそれだけでは資産形成というのは十分にできてこないと思います。

 やはり高齢化を見据えた資産形成を支援していくということで、例えば、金融リテラシーというところではなくて、就職氷河期の将来を支えるという意味では、年金、これが大変重要な役割を担ってくるというふうに考えております。就職氷河期世代は非正規の雇用の方が多くて、厚生年金に加入している方の割合が少ないわけです。

 年金法の改正案では、基礎年金を底上げするために基礎年金のマクロ経済スライドの調整期間を一致させる改革案、こうしたことも元々盛り込まれていたところです。一方で、厚生年金を流用させることに批判の声が多いということで、与党の中で基礎年金の底上げ措置は今回の改正案から削除する方針とも報道がされております。先ほど、山井議員の質疑の中でもそうした答弁をされたと思います。

 やはり、就職氷河期世代を含めて、基礎年金だけを受け取る方でも安心して生活をすることができる環境をつくるためには、必要な年金制度の改革、こうしたものを力を入れて取り組んでいかないといけないと考えております。

 そこで、大臣にお伺いいたしますが、年金法改正案の提出状況、そして、基礎年金の底上げ措置を削除するという方針の検討状況も併せてお願いいたします。

福岡国務大臣 まず、就職氷河期世代につきましては、先ほども言いましたように、私ども、これまで就労支援とか取り組んできましたが、幅広く生活支援を行っていく上に当たっては、当然、所管する省庁が幅広くなってきますが、そういう意味では、関係閣僚会議で幅広い議論を行っていく、そういったことだろうというふうに思っています。

 そして、年金について言いますと、与党とも法案について議論する中で、マクロ経済スライドの早期終了の部分につきましては積極的な御意見がある一方で、厚生年金の積立金を活用することについて慎重な御意見もあったところでございます。

 こうした中で、できる限り早期の法案提出という観点からも一定の判断が必要であることを踏まえまして、今回の法案では基礎年金の底上げの具体的な仕組みは盛り込まない方向で検討を進めさせていただいています。その上で、今回の法案におきましては、将来の年金給付水準の充実につながります被用者保険の適用拡大などは、引き続き盛り込むことを検討させていただいています。

 各方面の御理解をいただきながら、できる限り早期に法案を提出できるように引き続き努力を重ねてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。

 ただ、やはり大事な肝の部分は基礎年金の底上げ策だと思います。今回の年金法の見直しでこれを放置して五年後に先延ばしすることは、就職氷河期世代の将来の生活、年金問題を放置することと同じことではないでしょうか。先送りをすれば、ますますできることが少なくなっていって、対処できるものもできなくなってくるわけです。閣僚会議を設置して氷河期世代の高齢化を見据えた支援策を検討していくのであれば、政策の一丁目一番地として年金改革は据えられるべきものではないでしょうか。

 例えば、私たち国民民主党が提言している国民年金保険料の遡及納付も一案だと思います。当時は生活が苦しくてなかなか保険料を納められなかったものの、今では過去の未納分も含めて何とか納付することができる、そういった方々もいらっしゃると思います。一方で、現行の仕組みでは、未納する際に申請を出していないと遡及納付をすることができないわけです。

 こうした国民年金保険料の遡及納付をできるようにすることも含めて、就職氷河期世代の年金問題についてどのように対応していく考えでしょうか。お願いいたします。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

福岡国務大臣 御提案の、現行十年となっております国民年金保険料の追納期間の延長につきましては、毎月保険料を納付している方に加えまして、免除であったり猶予の手続をしておられる方とのバランスを考える必要があるということであったり、また、事後的な納付機会が増えますことで、納付を後回しにして、結果的に納付ができず、将来の年金額が低額となる方が出てくる可能性が一層高くなることなどの慎重な検討が必要だというふうに考えております。

 その上で、今回の年金法改正案では、将来の年金給付水準の充実につながる被用者保険の適用拡大などを盛り込むことを検討しておりまして、こういったことは就職氷河期世代も含めた年金給付水準の充実につながるものでございますから、そういった御理解をいただきながら、早期に法案提出に努めてまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。

 もちろん、慎重に検討すべきというのは理解はできるんですけれども、できない理由を考えても仕方ないと思っていて、就職氷河期世代政策を進めていく、新しい政策を検討する上で、できる理由を考えていく、政治判断をしていくことが大変重要だと考えております。

 国民民主党では、先ほど説明したとおり、就職氷河期世代PTというのを立ち上げて、昨年提言を取りまとめたわけですが、直近では、ユーチューブで就職氷河期世代チャンネルというものを立ち上げました。先週の金曜日、十八日に立ち上げたばかりですが、チャンネル登録者数は一万人を超えて、多くの関心が集まっているところです。こうしたユーチューブでの発信も通じながら、氷河期世代の当事者の声をしっかりと集めていって、必要な政策の検討を進めていきたいと考えております。

 そこで、最後に大臣にお伺いいたしますが、我が党が行っている就職氷河期世代政策への取組への考え方、そして、我が党も含めて他党との連携についてどのように考えているか、お願いいたします。

福岡国務大臣 御党が就職氷河期世代の支援につきまして様々な施策を打ち出していただいていることについては承知をしておりますし、私も、提言については実際読ませていただいております。

 今後、関係閣僚会議におきまして、関係省庁とも連携して、必要な施策の検討を進めていきたいというふうに考えておりますが、その際には、御党の様々な御提案も踏まえながら、しっかりと議論を重ねていきたいと思います。

森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。

 やはり、私も含めて、政治家、官僚というのは、就職氷河期世代の方々が抱えている課題について、なかなかまだまだ理解ができていないところが大きな課題だと思います。

 例えば、こうした声が今届いております。何とか就職したが、賃金は上がらず子育てをしてきた、上の子供が就職三年目になったが、主人の手取りとほとんど変わらない、貯蓄もほぼない、下の子供の進学費用で必死である、老後は生活保護になるのではないかと不安に襲われながら毎日働いている、少しでも安心感の持てる毎日が送れるように考えてほしい、こうした声でしたり、自分たちの子育てが終わった途端に教育の無償化、子育て支援の拡充、必死に働いてきて退職かと思えば退職金課税の見直し、やるせない、常に踏み台にされてきた世代だ、こうした当事者からの悲痛な声が届いているところでございます。

 就職氷河期世代が五十五歳を迎える今、就職氷河期世代政策に取り組める最後のチャンスだと考えております。是非、与野党一致して、この世代の課題解決につながるように取組を進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 以上です。

藤丸委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 今日、本来であれば医療法改正案の予定だったんですが、急遽、昨日変更になり、一般質問ということで、質問の機会は大変ありがたいんですが、医療法改正案というのは、介護現場の処遇改善を目指す議員立法とセットにされて審議される予定だったので、自公が反対しても野党が全会一致すれば可決されることが濃厚なので、一旦避けはったんかなとちょっと推測してしまうんですが、しかし、そのようなことは国民には全く関係ないわけで、それぞれが党利党略で話を進めるのではなく、国民のために議論をしていくというのが本来の国会の役割です。

 年金改正案も同じで、まずは私も議論することが大事だと思うんです。選挙前だからやりたくないんですかと以前大臣に伺ったんですけれども、いや、それは関係ないとおっしゃっておられた。じゃ、やるしかないやんと思うんですけれども、でも、出せない、出てこない。それぐらいやばいものなんじゃないかなと私はやはり思ってしまうんですが、れいわ新選組は、徹底して、どの世代であっても年金底上げと負担軽減を目指すべく訴えていくということを申し上げまして、質問に入ります。

 先日、SNSを中心に、小学生の自殺というセンセーショナルなワードがトレンド入りし、話題となりました。

 これは、一昨日、二十一日付の朝日新聞の記事によるもので、日本を含む主要七か国の十代の死因として自殺が一位となっている国は日本しかないという事実が改めて周知され、その中でも、年少の八歳から十二歳の自殺の背景分析、これはほとんど研究されていないんだという点が取り上げられておりました。実際、昨年一年間に自殺した小中高生は五百二十九人で過去最多であったという悲しいデータが先月末に厚労省から発表されております。

 間もなくゴールデンウィークが始まりますが、長期休暇直後の小中高生の自殺も多くなるというデータもありますので、何としてでも命を守るためにも今日は質問させていただきたいです。

 まず、これら急増する子供たちの自殺問題について政府は分析などしているのか、見解や受け止めをお願いいたします。

日原政府参考人 ただいま議員からお話がございましたように、令和六年の自殺統計におきましては、小中高生の自殺者数が五百二十九人ということで、統計開始以降で最多となったところでございまして、大変重く受け止めてございます。

 性別に見ると、男性は二年連続で減少しておりますけれども、女性は二年連続で増加をしてございます。中でも女子中高生は令和二年以降増加が続いておりまして、令和六年では、女子中学生は九十九人、女子高校生は百八十五人と極めて深刻な状況であるというふうに考えてございます。

 自殺の多くは多様かつ複合的な原因、また背景を有していることに留意が必要でございますけれども、令和六年の小中高生の自殺の原因、動機について、判明したもので申し上げますと、全体では学校問題が最も多く、次いで健康問題、家庭問題となってございます。このうち、小学生では家庭問題が最も多い一方で、中学生、高校生は学校問題が最も多いなど、学校の段階別、性別で様相が異なる結果となってございます。

八幡委員 政府としても分析されているということで、やはり学校の問題ですね。学校の現場とも協力をして、一人でも多くの命を止めないといけない、自分で自死を繰り返すということを止めないといけないなと改めて答弁を聞いて思いました。当然、原因は一くくりにはできないと思います。数は少ないとはいえ、やはり小学生までもが自ら死を選ぶという世界は本当に異常だと思うんです。

 異常といえば、私は、今年二月の予算委員会で、こども家庭庁の三原じゅん子大臣にも伝えたんですけれども、子供の自殺者数が過去最多なのに、こども家庭庁の今年度の予算は七・三兆円ある中、子供の自殺対策予算は、昨年度六千百万円から六千万円へ百万円予算が減っているんですね。一方で、少子化対策として、街コンビジネスとかマッチングアプリの開発に十億ついているんですよ。何がこどもまんなか政策なのかなと腹立たしく思ったんです。もう中抜きでしかないと思われても仕方がないですよね。政府として、しっかりと改めて子供の自殺問題には向き合っていただきたいと思っております。

 そして、これらを踏まえて、子供たちの自殺増加、本当にこれは悲しいことだと思うんですが、厚生労働大臣としてどう受け止めておられるか、お聞かせください。お願いします。

福岡国務大臣 自殺者数の総数については減少傾向にあるものの、先ほど答えましたように、令和六年の小中高生の自殺者数については、統計のある一九八〇年以降で最多の五百二十九名となったこと、これは大変重く受け止めなきゃいけないことだというふうに思います。

 厚生労働省では、子供の命を守るために、子供であったり若者の利用が多いSNS相談について、民間団体であったり、また地方公共団体における相談体制拡充や相談窓口の周知を行うことであったり、また、都道府県等において、自殺防止支援者の支援を行うこども・若者の自殺危機対応チーム設置の推進などの取組を進めさせていただいております。

 引き続きまして、こども家庭庁であったり、また、学校の部分については文部科学省も所管していますから、こども家庭庁だったり文部科学省など関係省庁と連携しながら、子供の命を守るための取組に全力を尽くし、誰も自殺に追い込まれることのない社会を実現してまいりたいと思います。

八幡委員 本当に、まさにおっしゃるとおり、地域でも、例えばゲートキーパーという、自殺のサインやSOSをキャッチするための研修や活動を民間の方でされている方もたくさんいらっしゃいますし、もうこれはみんなで力を合わせて、みんなで命を守っていかないといけないと思っております。

 こんな当たり前の話を国会でしないといけない事態に私も悲しいんですけれども、ゴールデンウィーク、この週明けが一つのポイントにもなりますので、厚労省としても、こども家庭庁と連携して対策を行っていただきたいと思います。

 子供だけではなく、やはり大人の自殺問題も深刻なんですね。先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、昨年の全国の自殺者数というのは二万三百二十人と、減少傾向にある。これは私もレクチャーを受けました。でも、例えば自殺未遂者というのは、大体これまで自殺者数の十倍程度だと言われてきたんですが、日本財団が行った調査によると、今や二十倍以上にもなっており、例えば二〇一九年、一年間、自殺未遂の方が五十三万人という統計も発表されております。

 一年に五十万人以上の人が死にたいなと思って行動に移したということを考えると、もう本当にどうにかしないといけないなと思うんですが、厚生労働省は毎年三月を自殺対策強化月間として様々な取組をされているようですが、成果はありましたでしょうか。お願いします。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の自殺対策強化月間につきましては、三月は自殺者が多い傾向にあることも踏まえて、特に対策を強化しているものでございまして、平成二十八年には、自殺対策基本法の改正により、法律上も位置づけられております。具体的には、関係府省庁、自治体、民間団体などの連携の下で、電話やSNSによる相談体制の拡充ですとか、ポスターや動画による集中的な啓発活動などを重点的に実施してございます。

 この自殺対策強化月間が自殺対策基本法に規定される前の平成二十七年とそれから直近の令和六年につきまして、年間自殺者数と三月の自殺者数との減少率を比較いたしますと、三月の減少率の方が若干大きい傾向にございます。その背景について一概に申し上げることは困難でございますけれども、これまでの自殺対策強化月間の取組には一定の効果があったのではないかというふうに考えてございます。

八幡委員 効果があったと感じておられるなら、是非、三月だけではなくて、継続して続けていただきたいんですよね。卒業や進学、就職などで環境の変化がある三月、四月、そしてゴールデンウィークがやってきて、五月病という言葉もあるくらいですから、いろいろな要因がそれぞれあるとはいえ、統計上も三月から六月にかけて年齢を問わず自殺者が増えると分かっているんだったら、対策をしていくべきだと思います。相談窓口の拡充なども引き続きよろしくお願いいたします。

 最後に、WHOの自殺報道ガイドラインについて。これは、著名人をめぐる自殺に限らず、一般の事件でも毎回指摘されることなんですが、自殺に関する内容をトップニュースとして扱ったり、報道を漫然と繰り返したり、自殺の手段を描写しない、場所に関する名称や詳細を報じないという、模倣自殺をさせないための報道をするというガイドラインなんですが、私の感覚では以前よりましになってきたかなと思うんですが、それでも、詳細は紹介しませんが、今年に入っても、過激だなと思う報道を見たりもしました。

 政府としてどのように対応されていますか。お願いします。

日原政府参考人 自殺の手段や場所などの詳細を報じることなどは、その内容や報じ方によっては、特に子供や若者、また自殺念慮を抱えている方に強い影響を与えかねないために、自殺の手段を描写しない、場所に関する名称や詳細な情報を伝えないなどの注意点を盛り込みましたWHOの自殺報道ガイドラインを踏まえた報道を要請していくこととしてございます。

 具体的に申し上げますと、自殺に関する報道が確認された場合に、厚生労働大臣の指定調査研究等法人であります、いのち支える自殺対策推進センターとの連名で、報道機関に対し、ガイドラインを踏まえた報道の徹底について注意喚起を行っておりますほか、いのち支える自殺対策推進センターにおきましては、このガイドラインに関する理解を深めることを目的としまして、厚生労働省からの交付金を活用して、メディア関係者やプラットフォーム事業者向けの勉強会を開催しているところでございます。

 引き続き、こうした取組をしっかりと進めてまいりたいと考えてございます。

八幡委員 しっかりやってください。くぎを刺しておきます。

 最後に、私自身も政治家として、消費税廃止とか積極財政とか経済政策とか言っていますけれども、生きていて何ぼですから、やはり命あってこそですから、皆さんと一緒に、生きていてよかったと思える世界をつくっていきたいと思います。

 ありがとうございます。

藤丸委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 今月二日、介護報酬引下げについて質問をしました。福岡厚労大臣から次の答弁がありました。厚労省が実施したアンケート結果について、地域別に報酬改定前後の収入を比較すると、都市部などでは同一建物減算の算定なしの方が収入減の事業所の割合が高くなっており、こうした地域では、小規模な事業者を中心に収入減となっていることが確認された旨の答弁でありました。

 資料をお配りしています。資料一、真ん中のグラフ、都市部とその他の地域、同一建物減算のあるなしを比較したところ、右側の数字を御覧ください。算定なしがいずれも収入減となっています。

 大臣に改めて質問します。

 地域で一軒一軒家を訪ねて回っているような小規模事業者に、介護報酬改定は大きなマイナスの影響を与えたのではないでしょうか。有料老人ホームなど集合住宅を中心にサービスを提供している事業者にはそれほど影響がなかったということがこの資料からうかがえるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 委員も資料でお示ししていただいておりますように、訪問介護の経営状況につきましては、地域の特性であったり事業規模、事業形態に応じて様々であると認識をしております。

 今回の改定検証調査におきまして、都市部の状況を同一建物減算の算定有無別に見ますと、算定あり、算定なし、いずれの場合も、改定前後の収入が増加、減少しているケースがそれぞれ一定割合見られますが、算定なしの事業所では収入減の割合が高くなってございます。

 こうした背景といたしましては、様々な影響が考えられますが、都市部においては、高齢者の方々の人口の増加に伴いまして需要が伸びている中で、新規事業者の参入もあり、利用者が事業者間で分散し、訪問回数の減少につながっていることなどが考えられると思っております。

田村(貴)委員 いずれにしても、地域を一軒一軒訪問している小規模事業者の経営に打撃を与えたことは、これは資料からも読み取れます。間違いありません。

 厚労省は、この間、利用者数、それから訪問回数が前年よりも減少して収益が悪化している、これを収支悪化の原因とする見方を専ら重ねてまいりました。再び、この資料の右下の表には、そのような傾向にあります。しかし、介護報酬の影響というのは、事業所の事業形態によって変わり得るということであります。厚労省の調査によっても明らかになったということです。

 はっきりしているのは、同一建物減算のあるなしを含めて、トータルでは、中山間地、離島、都市部、その他の地域、いずれも介護報酬改定によって減収となっているんです。これは厚労省が出している資料ですから、明らかです。マイナスの改定が事業所の減収になっていることは、これは明らかなんですよね。だから、これを元に戻さなければなりません。

 とりわけ、中山間地、離島等は厳しい状況にあります。中山間地、離島等の訪問介護事業者の介護保険収入は、同一建物減算があってもなくても、利益率が四%前後下がって、約九六%程度に悪化をしています。この真ん中のグラフの一番上ですね。九六・三、九五・五、同一建物減算があるなしにかかわらず、マイナスになっている。

 厚労省が先週十四日に出した訪問介護事業所に対する更なる支援策、ここでは、高齢者の人口の伸びが鈍化などを理由に挙げています。それが一年で数字に表れるほど大きな影響になることはあり得ません。介護報酬の改定がこの減少の大きな原因になった、そうじゃないんですか、大臣。マイナス改定が減収の大きな原因になったことは間違いないと思います。いかがですか。

福岡国務大臣 今回の改定検証調査におきましては、中山間、離島等地域の状況は、改定前後で収入増の事業所と収入減の事業所がそれぞれ一定割合見られたところでございます。同一建物減算の算定有無別で見ましても、算定あり、算定なし、いずれの場合も、全体の平均では収入減となっておりますものの、同様に、改定前後で収入増の事業所と収入減の事業所がそれぞれ一定割合見られたところです。

 その上で、中山間、離島等の地域を含めて、事業所の訪問一回当たりの収入は微増をしてございます。中山間、離島に所在する事業所では訪問回数が減少しておりまして、これにより、小規模事業所を中心に減収、収入減となっております。

 中山間、離島等の地域で訪問回数が減少している背景としましては、高齢者の人口の伸びが鈍化と前回申し上げました。その減少傾向にあることに加えまして、高齢者の状態であったり社会資源の状況の変化など、様々な要因があるというふうに考えております。

 訪問介護の経営状況につきましては、地域の特性等に応じて様々であることを踏まえまして、これまでも補正予算などにおいて様々な対策に取り組んでおりまして、訪問介護事業所の運営状況につきましては、こうした支援策の効果も含め、引き続き丁寧な把握、分析に努めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 全体では収益が下がったということをお認めになりました。それから、高齢者人口は増えているにもかかわらず、全ての地域で減少している。共通する要因は、その背景は介護報酬改定にあったことは間違いありません。

 二日の質疑で、同じく大臣は、地域の特性であったり事業規模、事業形態に応じた支援の必要性が確認されたとお答えになりました。しかし、厚労省が先週十四日に出した訪問介護事業所に対する更なる支援策についてでは、利用者の居宅が離れていて効率的なサービス提供ができないという課題は全くスルーされています。

 資料二を御覧ください。介護報酬改定に向けた議論をしていた二〇二三年に介護給付費分科会に出された資料です。

 ケアマネジャーから紹介のあった方へのサービス提供を断った理由の二番目に、訪問先までの移動時間が長く、対応が難しかったためと挙げられています。地域特性を考えるときに、ここが一番の課題であります。サービス提供の苦労、すなわち労働に見合った報酬が得られていない。人員確保や事業所の収益にも影響する問題は、介護報酬改定前から分かっていたはずであります。分科会にこの資料を出すぐらいですから、報酬改定前から厚生労働省も認識していたはずであります。

 介護報酬改定後に調査をして、支援の課題を認識したと言われていますけれども、訪問先までが遠い、つまり時間と経費がかかるというこの大きな問題に直接向き合っていません。改定前から指摘された問題が改定後も解決されていない。むしろ深刻化させたことに対する責任をどのようにお考えになっておられますか。期中の臨時改定など、こういう措置を取るべきではないかと考えますが、いかがですか。

福岡国務大臣 訪問介護につきましては、中山間地域など、地域資源の状況により、やむを得ず移動距離等を要し、事業運営が非効率にならざるを得ない場合があるということは認識をしております。このため、中山間地域に事業所が所在している場合などに、加算により評価をしておりますほか、令和六年度の介護報酬改定でも、利用者へ継続的にサービスを提供していることを新たに評価の対象とする等の対応を行ってきたところでございます。

 その上で、報酬改定以降におきましても、処遇改善加算につきまして、小規模事業所等の更なる取得促進のため、本年二月申請受付分から取得要件を弾力化しておりますほか、物価高騰であったり賃上げに対応する支援、また、先般の補正予算等による訪問介護事業所向けの各種支援などの対策に取り組んできております。

 さらに、今回の調査結果を踏まえまして、中山間地域等の小規模な事業所の経営安定化を早期に図りますため、中山間等地域に係る加算の取得要件の弾力化、研修体制の構築支援であったり、協働化、大規模化に関する対象要件の弾力化といった取組を講じることとしておりまして、こうした支援策の効果も含め、引き続き丁寧な状況の把握、分析に努めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 いろいろ言われましたけれども、処遇改善加算の促進と言われたけれども、それは大事ですよ、でも、これでは解決できないんですよね。やはり報酬を上げないといけない。期中の臨時改定をやるべきだと強く要求したいと思います。

 本委員会に付託されている医療法改正案は、二〇四〇年をめどとして、目指して、介護給付の、介護と給付の抑制政策を前提に、効率的な医療や介護の提供体制をつくるために行われるとされているわけであります。新しい医療構想が、訪問介護などの在宅介護をどうするかという問題抜きには議論できません。足下で訪問介護の崩壊が進んでいる下で、また効率化が進んでいったら、更に地域で高齢者が住み続けることができなくなるのではありませんか。

 介護事業者の支援のために、介護報酬の抜本的な引上げこそが必要だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

福岡国務大臣 高齢者の方々が住み慣れた地域で安心して住み続けられるようにするためには、訪問介護など在宅介護サービスの提供体制を安定的に確保していく必要があるというふうに認識しています。そのため、担い手であります介護職員の処遇改善や介護事業所の経営の安定化、このことの重要性についても認識をしております。

 このため、先ほども申し上げましたように、処遇改善加算の弾力化であったり、物価高騰や賃上げに対応する支援、先般の補正予算等による各種支援などの対策に取り組んできましたほか、今回の調査結果を踏まえ、特に中山間地域などの小規模な事業所の経営安定化を早期に図る観点から、更なる支援策を講じることとさせていただいたものでございます。支援策の効果を含め、丁寧な把握、分析に努め、適切な対応を検討してまいりたいと思います。

 さらに、人口減少のスピードが地域で異なります中、二〇四〇年に向けまして、訪問介護も含めた介護サービスの提供体制の構築のため、人材確保であったり経営支援、また、医療・介護連携を始めとします地域包括ケアの体制確保といった課題への対応につきまして、今般、検討会で中間取りまとめを行わせていただいたところでございます。

 引き続き、関係審議会において様々な議論を進めてまいりたいと思います。

田村(貴)委員 時間が来ました。終わります。

     ――――◇―――――

藤丸委員長 次に、内閣提出、参議院送付、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。福岡厚生労働大臣。

    ―――――――――――――

 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

福岡国務大臣 ただいま議題となりました労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明いたします。

 少子高齢化が進展し、生産年齢人口の減少が見込まれる中、多様な人材が安全に、かつ、安心して働き続けられる職場環境を整備することが重要です。こうした観点から、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、職場のメンタルヘルス対策の強化、化学物質による健康障害防止等の仕組みの整備、機械等による労働災害防止の促進、高年齢労働者の労働災害防止のための取組の強化等の措置を講ずることを目的として、この法律案を提出いたしました。

 以下、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。

 第一に、労働者のみならず個人事業者等による災害の防止を図るため、注文者等が講ずべき措置を定めるとともに、職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約(第百五十五号)の履行に必要な規定の整備を行うこととします。

 あわせて、個人事業者等自身が講ずべき措置や業務上災害の報告制度等を定めることとします。

 第二に、ストレスチェックについて、労働者数五十人未満の事業場についても実施義務の対象とすることとします。

 第三に、化学物質の譲渡等実施者による危険性、有害性情報の通知義務違反に罰則を設けるとともに、化学物質の成分名が営業秘密である場合に、一定の有害性の低い物質に限り、代替化学名等の通知を認めることとします。

 また、個人暴露測定を作業環境測定の一つとして位置づけ、測定基準に従って実施しなければならないこととするとともに、作業環境測定士等による適切な実施の担保を図ることとします。

 第四に、ボイラー、クレーン等の特定機械等に係る製造許可の一部や製造時等検査について、民間の登録機関が実施することができる範囲を拡大することとします。

 あわせて、登録機関や検査業者の適正な業務実施のため、検査基準の遵守義務を課すとともに、不正への対処や欠格要件を強化することとします。

 第五に、高年齢労働者の労働災害防止のため、事業者に対し、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善等の必要な措置を講ずる努力義務を設けることとします。

 また、厚生労働大臣は、これらの措置の適切かつ有効な実施を図るために必要な指針を定めることとします。

 最後に、この法律案の施行期日は、一部の規定を除き、令和八年四月一日としています。

 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容の概要でございます。

 御審議の上、速やかに可決していただくことをお願い申し上げます。

藤丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十五日金曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十分散会


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