衆議院

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第12号 令和7年4月25日(金曜日)

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令和七年四月二十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 藤丸  敏君

   理事 上野賢一郎君 理事 古賀  篤君

   理事 長坂 康正君 理事 井坂 信彦君

   理事 岡本 充功君 理事 早稲田ゆき君

   理事 梅村  聡君 理事 浅野  哲君

      安藤たかお君    黄川田仁志君

      草間  剛君    小池 正昭君

      後藤 茂之君    佐々木 紀君

      塩崎 彰久君    鈴木 隼人君

      田畑 裕明君    田村 憲久君

      根本  拓君    長谷川淳二君

      平口  洋君    深澤 陽一君

      福田かおる君    向山  淳君

      森下 千里君    吉田 真次君

      池田 真紀君    大塚小百合君

      大西 健介君    酒井なつみ君

      宗野  創君    堤 かなめ君

      中島 克仁君    長妻  昭君

      長谷川嘉一君    宮川  伸君

      山井 和則君    柚木 道義君

      阿部 圭史君    池下  卓君

      猪口 幸子君    福田  徹君

      森ようすけ君    沼崎 満子君

      浜地 雅一君    八幡  愛君

      田村 貴昭君

    …………………………………

   厚生労働大臣       福岡 資麿君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   厚生労働大臣政務官    安藤たかお君

   厚生労働大臣政務官    吉田 真次君

   国土交通大臣政務官    高見 康裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         秋山 伸一君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  森光 敬子君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局長)            岸本 武史君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安全衛生部長)       井内  努君

   政府参考人

   (厚生労働省保険局長)  鹿沼  均君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           堤  洋介君

   厚生労働委員会専門員   森  恭子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十五日

 辞任         補欠選任

  田畑 裕明君     小池 正昭君

  長谷川淳二君     向山  淳君

同日

 辞任         補欠選任

  小池 正昭君     黄川田仁志君

  向山  淳君     長谷川淳二君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     田畑 裕明君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案(内閣提出第五七号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

藤丸委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として厚生労働省大臣官房総括審議官秋山伸一君、医政局長森光敬子君、労働基準局長岸本武史君、労働基準局安全衛生部長井内努君、保険局長鹿沼均君、国土交通省大臣官房審議官堤洋介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

藤丸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

藤丸委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。鈴木隼人君。

鈴木(隼)委員 おはようございます。自民党の鈴木隼人でございます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 今回の法改正で個人事業者が労働安全衛生法による保護の対象になることを評価したいと考えていますが、個人事業者にとって具体的にどのようなメリットがあるのかということについて伺いたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正によりまして、個人事業者等が労働者と同じ場所で混在作業を行う場合に、元方事業者による統括管理等の対象に含まれることとなりまして、連絡調整などの措置の対象となるところでございます。

 建設現場などにおきましては、現在でも個人事業者等も含めた連絡調整の措置は実態としては行われている場合が多うございますが、今回の改正により法律上位置づけられることによりまして、その実効性も高まることが期待されると考えております。

 例えば、建設現場の一人親方や機械を自分で持ち込んで作業を行う個人事業者にとって、現場の危険箇所がどこにあるのか、他の作業者が危険な機械を運転する時間帯はいつなのかなどをあらかじめ認識できることになりまして、連絡不足が招く災害の防止につながるものと考えております。

 さらに、個人事業者等が就業する場所や請け負った作業に関して、労働安全衛生関係法令に違反する事実があるときには、個人事業者等が労働基準監督署に申告をして、是正のための措置を取ることを求めることができることになります。これによりまして、元方事業者に対してその是正を指導することにより、個人事業者等が適切に保護されることになると考えております。

 また、本法案では、個人事業者等の災害報告制度を創設することとしております。報告制度を通じまして、個人事業者等の業務災害の原因や災害の状況等を具体的に把握することで、今後の更なる災害防止対策につなげることもできると考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 今回の改正では、個人事業者は安衛法による保護対象となるだけでなく、使用する機械の定期自主検査を行ったり、危険有害業務に就く際の特別教育を受講することなどの義務もつけ加えられます。個人事業者にとって、これらの義務が過大な負担とならないかどうかについて確認を行いたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 個人事業者といえども、自らが現場に持ち込む機械のメンテナンス不足ですとか、危険有害業務に関する知識不足が原因で、自らの危険、あるいは同じ場所で働くほかの労働者の方に危険を及ぼすことは避けるべきと考えておりまして、そのために必要不可欠な検査や教育に要するコストについては御理解いただきたいと考えているところでございます。

 例えば、油圧ショベルの検査を検査業者に依頼する場合、二万円から三万円程度、また、特別教育につきまして、足場の組立て等の教育を例に取ると一万円程度で受講することが可能でございまして、過大な負担を課すことにはならないのではないかと考えておりますが、さらに、これらの費用も含みます請負金の費目等につきまして、労働安全衛生法第三条の規定に基づいて、注文者に対して、安全衛生を損なう条件を付さないよう配慮することを求めているところでございます。

 こうした配慮が適切になされるよう、事業所管官庁や関係団体とも連携しながら、周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 この法案で、ILO第百五十五条約が批准できるようになります。これまでどのような点がネックで本条約を批准できなかったのか、また、どのような経緯で今このタイミングで条約の批准を行うこととしたのか、伺います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のILO第百五十五号条約でございますが、これは、二〇二二年に、ILOの第百十回総会におきまして、新たに、ILOが十本定めます基本条約に追加することが決定されたものでございます。

 この条約との関係で申しますと、具体的には、この条約の十七条という条項に規定されております二以上の企業の同一の作業場における協力義務につきまして、現在、労働安全衛生法におきましては、建設業、造船業、製造業の三業種のみにしかこの協力に関する規定が存在しないことが締結に当たりましての主な課題でございました。

 この点につきましては、労働災害の実態を踏まえ、危険性の高い業種から優先的に対応してきておりまして、建設業と造船業は昭和四十七年の労働安全衛生法制定当時、また、製造業は平成十七年の労働安全衛生法改正により作業間の連絡調整を義務づけたところでございますが、近年、産業構造、就業形態の変化に伴いまして、これらの業種以外でも混在作業による災害が発生しておりますことから、第百五十五号条約がILO基本条約に追加されたことも踏まえまして、今回の法案では、業種を限定することなく、作業間の連絡調整を求める規定を設けることとしたところでございます。このことによりまして、この百五十五号条約の批准を行う環境が整備された、こういうことでございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 次に、ストレスチェックについてお伺いいたします。

 通告では、民間組織等への委託について三問に分けて通告をさせていただいていましたけれども、ちょっと問い数が多いので一問にまとめてお聞きしますが、内容がなくなったりはしていませんので、まとめて答弁いただければと思います。

 五十人未満の事業所におけるストレスチェックにおいては、高ストレス者への医師面接指導をどのような体制で行うかが課題の一つで、地域産業保健センター以外の担い手を確保することも一案と考えていますが、健診機関ですとか民間企業等も受託することができるのかについて伺うとともに、仮にこういった組織が受託可能な場合、その質を担保するためにも、労働衛生機関への加盟等、何らかの要件が必要ではないかと考えていますが、その辺りについて答弁をお願いします。

井内政府参考人 お答えさせていただきます。

 まず、法人、営利法人等の受託の可否というところでございますが、労働安全衛生法上、高ストレス者の面接指導を行うのは医師としておりますが、医療行為には該当しないと考えておりますので、御指摘のような株式会社の営利法人におきまして、例えば、当該法人が医師と契約を結ぶ等により、ストレスチェックと併せて面接指導、そういったサービスを受託するということは可能と考えております。

 また、現時点でも、医師会直営型も含めて、地域の健診機関において面接指導を実施していただいているところでもございまして、こうしたところも重要な役割を果たしていくと考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 精神障害による労災認定件数は増加傾向にあって、労働者のメンタルヘルス不調を予防するためにストレスチェックを全事業場に広げる意義は分かるんですが、小規模の事業所でストレスチェックを実施した場合には、労働者のプライバシーは守られるのかといった課題があるかと思います。その辺りについて答弁をお願いします。

井内政府参考人 ストレスチェック制度におきましては、労働者のプライバシーへの配慮の観点から、ストレスチェックの結果は労働者本人に直接通知されることとなっており、労働者の同意がなければ、事業者に結果を把握されることは基本的にはございません。

 ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された労働者は、事業者に対し、医師による面接指導を受けることを自身の意思により申し出ることができますが、事業者は、労働者が申し出たことや面接指導の結果を理由とした不利益な取扱いを行ってはならないとしております。労働者のプライバシーが守られるというのが原則でございます。

 さらに、五十人未満の事業場向けマニュアルの作成を今後すると考えておりまして、関係者や専門家の意見を伺いながら、労働者のプライバシー保護に配慮した具体的な方法というのは検討させていただきたいと思っております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 次に、化学物質の関係でお伺いします。

 譲渡する製品の成分が営業秘密に該当する場合の代替名通知について、企業の健全な競争環境を守るための重要性は理解しますが、必要な情報が伝えられないことにより労働者の健康障害が生じてはなりません。そうならないように法案ではどのような仕組みが設けられているのか、その辺りについて答弁をお願いします。

井内政府参考人 化学物質による健康障害を防止するためには、物質の譲渡、提供者がその危険性、有害性情報を確実に伝達すること、その情報に基づき、受け取った側の事業者がリスクアセスメントを的確に実施し、必要な措置を講じることが重要と考えております。

 リスクアセスメントを的確に実施するためには、化学物質の危険有害性情報の入手が前提となりますが、法に基づく危険有害性情報の通知義務を果たしている事業所の割合は令和五年度で八九・七%にとどまっており、実効性の担保が課題となっております。

 また、通知事項に変更が生じた場合の変更通知は努力義務にとどまっておりますが、化学物質の危険有害性は新たな科学的知見により変更される場合もあり、事業者が的確にリスクアセスメントを実施するためには、変更後の情報を速やかに譲渡、提供先に通知することが必要と考えております。

 このため、今回の改正では、化学物質の危険性、有害性情報を確実に伝達するため、通知義務の不履行に対して罰則を設けるとともに、努力義務となっている変更通知を義務化することとしたものであります。

 法の履行確保については、説明会等を通じ、その改正内容を幅広く周知するほか、労働基準監督署において通知義務の不履行等を把握した場合には法違反の是正を指導するとともに、重大、悪質な法違反が認められる場合には送検すること等により対応してまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 代替名通知の適正な運用を含めて、SDSの交付義務を確実に履行させることが労働者の健康を守るために必要だというふうに考えております。履行確保策の強化について、厚労省の見解、認識をお伺いできますでしょうか。

井内政府参考人 先ほど申し上げたことと繰り返しになりますが、化学物質による健康障害を防止するために、物質の譲渡、提供者がその有害性、危険性情報を確実に伝達するということをするために通知義務というのを課しておりますので、その通知義務というのを強化をし、普及啓発を図っていくというものでございます。

鈴木(隼)委員 次に、機械災害の防止の関連でお伺いをいたします。

 危険な機械の製造許可の一部や製造時等の検査を民間機関に移管するといいますが、安全性が損なわれては本末転倒となってしまいます。民間機関の適正な業務執行を確保するために、この法案ではどのような仕組みが設けられているのか、御説明をお願いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案の中で、ボイラーやクレーン等の機械の製造許可申請の審査の一部や製造時等検査の民間移管を盛り込んでおりますが、これにつきましては、設計審査や製造時等検査に求められる知識経験が専門高度化していること、十分な知識経験を有する民間検査機関が存在することを踏まえまして、設計審査等を専門性の高い民間検査機関が担う仕組みを整備しつつ、行政職員が、現場での事業者への指導など、権限行使を含む行政ならではの役割に注力できる環境を整えることを目的としているものでございます。

 一方で、御指摘のとおり、民間検査の質の担保は極めて重要でございますので、これにつきましては、登録機関に対しまして、法定の器具等を用いて審査等を行うこと、専門的な知識経験を有する者が一定数いることなどを登録要件として求めておりまして、これにより、技術面で適切な審査が行われることを担保しております。また、審査等の対象となる特定機械等の製造者等に支配されている法人は登録機関にはなれないなどの規制も設けております。また、設計審査等の検査方法の斉一化のため、今回の法案で審査、検査方法に関する法定の基準を定めることとしております。

 こうしたことを通じまして、登録機関の適正な業務執行を担保してまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 次に、高齢者の労災防止についてお伺いをいたします。

 高齢者の労働災害が年々増加しているという話を伺っておりますが、政府としてこの発生状況は把握しておられますでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、六十歳以上の高年齢労働者の労働災害は年々増加しておりまして、令和五年には三万九千七百二件となっておりまして、全労働者の労働災害のうち二九・三%を占めております。これは、雇用者に占めます六十歳以上の割合一八・七%よりも高い割合となっております。

 高年齢者の労働災害の内容を見ますと、作業中、移動中につまずいたり滑ったりして転倒、負傷したものが約四一%、踏み台や脚立などを使って作業していた際に転落して負傷したものが一七%、重量物の取扱作業や介助作業中に腰や腕、足などを痛めたものが一一%など、労働者の行動に関わる災害が多くなっているところでございます。

 こうした高齢者の労働災害が増加している要因は、まずは、高年齢労働者の数や雇用者に占める割合とも増加していることが挙げられますが、ほかにも、定量的にお示しすることは現時点で難しゅうございますが、各職場において、従来は若い方が担っていたような、身体機能を有することを前提とする業務に高齢者の方が徐々に就くようになってきている、こういったことが背景にあるものと考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 今回、高齢者の労働災害防止措置を努力義務化することによって、どのような取組が進展していくことを期待をしておられますでしょうか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 高齢者の労働災害の防止に当たりましては、加齢による身体機能の変化等は個人によって大きなばらつきがあること、また、業種や業態によっても、作業による労働災害リスクあるいは安全な作業の実施のために求められる身体機能等も様々であることを認識して当たることが重要であると考えております。

 このため、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、適切な作業管理等の幅広い取組を事業者の努力義務といたしました上で、各事業者が個々の職場の作業環境などを踏まえて高齢者の労働災害リスクを評価をし、それを踏まえた適切な措置を講ずることができるよう、新たに指針を定めて周知や指導に取り組んでまいりたいと考えております。

 具体的には、高齢者の方が就業する場所において、つまずきやすい段差の解消、作業負荷の軽減のためのリフトなどの補助器具の使用などといったものが考えられると思います。

 こういった取組につきまして、指針の周知のほか、補助金による支援、あるいは各業種における好事例の水平展開、こういったことを組み合わせまして、実効ある対策の実施を進めてまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 これから夏に向かってまいります。熱中症による労働災害の問題は年々深刻になっております。

 厚生労働省では、先日、労働安全衛生規則の改正を公布をして、六月から企業に熱中症防止のための措置が義務づけられています。その内容の説明と、また、中小事業者を含めた現場への周知について伺いたいと思います。

井内政府参考人 昨年の職場における熱中症による死亡者数は三十人と、三年連続で三十人以上となり、対策の強化は喫緊の課題でございます。

 こうした課題に対応するため、労働安全衛生規則を改正し、事業者に対し、熱中症のおそれがある作業者を早期に発見するための体制整備、熱中症の重篤化を防止するための措置、手順の作成、これらの体制や手順の関係作業者への周知を義務づけることとし、六月一日から施行することとしております。これらにより、熱中症による死亡災害の減少に向けて取り組んでいただきたいと考えております。

 また、改正労働安全衛生規則の着実な施行に向けて、事業者への周知啓発が重要になることから、五月から開始する「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を始めとする機会を捉え、リーフレットの配布や労働基準監督署における説明会を実施し、中小企業者を含めた現場への周知に努めてまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、岡本充功君。

岡本(充)委員 立憲民主党の岡本でございます。

 限られた時間ですから、いろいろ聞きたいところはあるんですけれども、端的に御答弁をいただきたいと思います。

 まず最初に大臣にお伺いしますけれども、昨日も報道がありましたけれども、年金法案の提出について確認をしておきたいと思います。

 今月中の提出ということでよろしいでしょうか、それとも、来月のどの辺りで提出する、そういうめどがあるのでしょうか、それとも、全くめどが今立てられないんでしょうか。お答えください。

福岡国務大臣 年金改正法案につきましては、様々な御意見をいただいておりまして、昨日、自民党の厚生労働部会での御議論を経まして、提出に向けた次の党内手続に移るものと承知をしております。

 担当大臣であります私からも、これまでも行ってきましたが、昨日も、党の幹部に対しまして、党内の調整を進めていただくよう依頼したところでございまして、引き続き、各方面の御理解を得て、できる限り早期に法案を提出すべく、最大限努力してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 できる限りといっても、会期末じゃ困るので、もう少し明確なお話をいただきたいと思います。できる限りといったら、会期末でもいいことになってしまいます。どこら辺ですか。

福岡国務大臣 御承知のとおり、今、与党内で審査をしていただいておりまして、その審査のプロセスを経なければ、国会に提出できないような状況でございます。

 重ねてになりますが、こちら側としましては、早く御理解をいただいて、提出に向けて調整をしていただくべく、最大限努力してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 質疑のある意味前提として、国対委員長間で四月二十五日という話があったわけですよ。今日の午前中にも国対委員長に対して一定の提示があるやに報道もされていますけれども、大臣、少なくとも、めどぐらいはここで言ってくださいよ、質問に入りたいから。この辺で出すと、めどをお話しいただきたいと思います。できるだけ早くといったら、さっき言ったとおり、六月末でも、これでできるだけ早かったんですと言えちゃうことになりますよ。是非お願いします。

福岡国務大臣 重ねての答弁で恐縮ですが、与党内の手続を経なければ、私どもとして法案提出ができません。

 そういう意味においては、与党で審査が円滑に進むよう、私どもとしてもできる限り、いろいろな資料等を用意させていただきながら、早く環境整備ができるように努めてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 これでは全然答弁になっていないですよ。できる限りと言っているのは、自分の大臣としての職を賭してでも提出するんだという、じゃ、決意だけでも言ってください。自分の、それは決意ですから。

福岡国務大臣 これまでも何度も、できる限り早く提出するべく努力すると申し上げてきました。昨日も党の幹部に対して、できる限り早く御調整をお願いしますということを再三申し上げてきたところでございます。

 引き続き、最大限の努力を払ってまいります。

岡本(充)委員 本当に、決意も述べてもらえないんですね。そうやって、決意をちゃんと述べてくださいと言っても、できる限りじゃない、自分の職を懸けてでも、厚生労働大臣としてその職責を懸けて提出をしますと言われたらどうですか。それは言えない。言えるのか、言えないのか。そこまではできないんだったら、できないと言ってください。それであれば、そういうことなんだと理解しますし。できるのか、できないのか、どちらですか。

福岡国務大臣 ですから、厚生労働大臣として、提出に向けて最大限努力してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 結局、できないということですね。残念ですよ、本当に。決意を述べてほしかった、僕はそう思いますよ。大臣、そうやって決意を述べていただける人だと思っていただけに、大変残念です。

 さて、そんな状況の中ですけれども、法案審議をしなければならないということで、残念ながら審議をしていくわけでありますが、気持ちよくやりたかったですよ、本当に。大臣の決意を聞いた上でやりたかったですが、じゃ、質疑に行きたいと思います。

 今回、安衛法の登録機関、検査業者に対する大臣、労働局長の権限という表を厚労省にまとめてもらいました。これまでも、累次にわたって様々な改正の中で、誰が主体になるのかというのがばらばらであったと思います。

 今回、そちらの表にありますように、登録設計検査等機関の登録、届出、そして適合・改善命令、業務停止命令・登録取消し、こういったところは大臣、そしてまた登録性能検査機関についても同様に今の四項目は大臣、そして登録個別検定機関についても先ほどの四項目は全て大臣、さらに、登録型式検定機関につきましては、これまた四項目は大臣ということになっています。

 一方で、検査業者において、複数の都道府県にまたがる場合には大臣となっていますが、単一の都道府県のみの検査業者の場合は労働局長ということになっています。更に言えば、登録教習機関については、登録、届出、適合・改善命令、業務停止命令・登録取消し、こういったものが労働局長になっています。

 この大臣と労働局長の差異はどのようにして生ずるのか。昨日もちょっと議論したんですけれども、検査業者が他の都道府県に出張して検査をすることがあり得ると思います。例えば、愛知労働局長に届け出た検査業者が三重県で検査をするということがあり得るわけでありますが、そういった場合でも労働局長への届出で済むという解釈はなぜ成り立つのか、それを含めて局長の答弁を求めたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 労働安全衛生法上の登録機関に対しましては、登録機関の種類に応じて、厚生労働大臣や都道府県労働局長等がそれぞれ登録、命令や登録取消しの権限を有しております。

 この理由でございますが、基本的には、扱う機械等の危険性や確認に要する専門性の程度などを考慮して定めているところでございます。

 今回の改正で創設いたします設計審査や、従来からあります製造時等検査、性能検査、個別検定、型式検定を行う機関につきましては、対象機械の危険性が高いものですから、そういった機械を取り扱う登録機関でございますことから、登録要件や業務内容の確認に高度な専門性を要しますため、これは大臣が行うこととしております。

 また、検査業者でございますが、これは、今申し上げた機械と比べますと相対的に危険性が低い機械等を対象として、事業者が行う自主検査の一部を代行する機関である、こういう性格の業者なものですから、検査業者の事務所の所在地に応じて、大臣又は都道府県労働局長が行うこととしております。

 この場合、御指摘のとおり、事務所の所在が都道府県をまたぐかどうかによって大臣か労働局長かを定めておりますが、労働局は、御案内のとおり、厚生労働省の地方出先機関でございまして、厚生労働省の一部として、同じ基準に従って、同じ厚生労働省職員が検査を行うものですから、労働局が行うか本省が行うかにおいて確認の内容に本質的な相違があるわけではなく、専ら実務的に、業務量なども勘案しまして、一の都道府県内で完結するものはその都道府県を管轄する労働局長にやらせているということでございます。

 また、登録教習機関は、危険有害業務従事者への技能講習を実施している機関でございますが、これは極めて全国に多数ございまして、技能講習実施計画や実際の設備などを確認する必要がございますことから、より現場に近い都道府県労働局長が登録を行うこととしております。

岡本(充)委員 前段のところで、より高度な検査だから大臣だと言っている、同じ厚生労働省職員だから基準は一緒だ、こういう説明をしている。だったら、全部大臣でいいじゃないですかという話になってくるんですよ。仕事の量が多いから、これを唯一の理由として挙げられましたけれども、いずれにしても、各労働局で検査を行ったとしても大臣名でも許可も出せるわけですから、届出もできるわけですから、私はやはり、次に向けて、どうあるのかというのを整理していくというのが一つあってもいいんじゃないかと思います。

 登録機関不在、廃止時等の業務について、気になるのは、一つだけ監督署長が残っているんですよ。何でこれは労働局長にしなかったんですか。また、個別検定機関についても、大臣又は労働局長、これもまたがっているんですよ。これは整理しておいた方がよかったんじゃないですか。どうですか。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 監督署長が権限を持っておりますのは、性能検査という検査でございます。これは、製造許可や製造時等検査を経て実際に使われている機械について、その後、定期的に検査を行うというものでございまして、最初に機械が使われ始める、きちんと造られたかどうかといったことを検査するものと比べますと、専門性といいますか、検査する項目などについて最初の検査よりは軽易であることから、監督署長に行わせているということでございます。

 また、登録個別検定機関につきまして、大臣又は労働局長と分けてございますが、これは、個別検定の対象機械は様々ございまして、非常に数が少ないもの、それから、個別検定対象機械は基本的には専門性が高いものなのですが、その中でも専門性が高いものとそうでないもの、また数が少ないものと多いものとございまして、実際に実務的により実効ある検査を行えるようにという観点から、登録個別検定機関については、その不在時に個別検定を代わって行う場合、大臣が行うものと労働局長が行うものに分けているものでございます。

岡本(充)委員 細かな話になって恐縮ですけれども、登録性能検査機関が不在のとき、つまり、登録性能検査機関というのはより高度な判断が必要だから大臣と言っておきながら、不在のときはいきなり監督署長という、この差がどうして生ずるのかということを私は聞いているのであって、大臣であれば、当然、不在のときも大臣がやるというのが普通なんじゃないかと私は思うんですよ。何でこれがいきなり監督署長に落ちるのかということを聞いています。

岸本政府参考人 失礼いたしました。改めてお答えいたします。

 登録性能検査機関について、機関自体の適正性だとか持っている専門性の水準などを審査する、そういう登録性能検査機関の登録や、適合命令、改善命令、業務停止命令などを行う権限は大臣としておりますが、この登録性能検査機関が仮に登録を取り消されたりして誰も検査を行う者がいなくなった場合は、国が代行して行うこととしております。そのときには、登録性能検査機関の専門性だとか体制を審査するのではなくて、個々の性能検査行為を行いますので、それは監督署長に委ねているというものでございます。

岡本(充)委員 こればかりやっていてもしようがないんですけれども、ちゃんと整理してほしいですよ。

 私が言っているのは、難しい、より高度なものをやるから大臣にしていったという話の一方で、実際に検査する者が不在のときにはその検査は監督署長が代行できるということであれば、先ほどの高度だから大臣という話と矛盾するんじゃないかと思っています。そういう指摘をしておいて、またちゃんと整理をして説明を求めたいと思います。

 続いて、今回の安衛法の九十七条第三項の件について行きたいと思います。

 今回、作業従事者という定義を新たに法律につくりました。労働者以外に作業従事者。これが先ほどのILO百五十五号条約の批准に重要なキーワードになったんだと私は理解をしていますが、今回、不利益取扱いの禁止をなぜか、労働者は九十七条第二項で、そして第三項においては、作業従事者とせずに、その中で幾つかの者を省く、そういう項立てになっています。具体的には、例えば元方事業者の役員なんかは適用対象とならないわけです。

 当然のことながら、不利益取扱いは全ての人にかかるべきだと思うんですが、あえてこれを除いた理由を答えてください。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今回の労働安全衛生法の改正におきまして、個人事業者等を労働安全衛生法の保護の対象に加えますことに併せまして、労働基準監督署に法令違反について申告をした場合の不利益取扱い禁止についても規定を整備をしております。

 そのうち、契約関係がない個人事業者等でございますが、これを除いている点でございますが、これについては、今回の法案では、個人事業者等について対象としておりますのは、基本的には、元方事業者との請負関係の下で、個人事業者等が労働者と同一の場所で作業を行う場合を対象にしているものでございますので、九十七条三項の不利益取扱いの禁止規定についてもそれを反映しているということと、それから、申告をした者への不利益取扱いの禁止は罰則をもって担保しているものですから、法違反の法的主体を明確にする必要がある、こういったことを考慮しまして、契約の相手方というふうな規定の仕方をしているものでございます。

 また、もう一点御指摘の元方事業者の役員でございますが、仮にそういった方が自身が所属する事業場の法違反を申告をいたした場合には、今回の不利益取扱いの禁止規定はかかってまいりませんが、これは、所属企業の役員でございますので、労働安全衛生法は、会社に対して労働者が、自分の安全や衛生についてきちんとした措置がなされていない、そういうことを申告をするということを想定しているわけでございますが、所属企業の役員の方ですと、むしろ安全や健康を保護しなければならない立場の方でございますので、自分の安全や健康について、法令を守られていないという形での申告の対象にはしていないものでございます。

 ただし、役員の方がそういった形で通報することは、別途、公益通報者保護法上の役員に該当する場合には、同法による保護が及ぶといったことも可能性としてはございます。

岡本(充)委員 更問いのところまで答えてもらってありがとうございます。

 そうです。公益通報者保護法の対象になるのかどうかというところは私は聞こうと思っていたわけですが、後ろでにやっと笑っている役所の方がいますけれども、まさにそのところが一つポイントだと思います。

 続いて、化学物質のラベルの表示についてであります。

 化学物質を事業場内で保管する場合、実際に保管されている場合、ラベルが汚れていたりする。汚れていたときに、このまま保存しておいていいのかということで、資料につけました安衛則の第三十三条の二においては、要するに、取引においてはSDSのシートを交付するなどして情報提供するわけですけれども、最後、現場で保管をしているところでラベルが汚れている、こういう状況のときに、現在であれば、そのSDSシートが壁に貼られていたら、これで事足りるということになる、こういう理解でよろしいでしょうか、ラベルが汚れていても、読めなくても。

井内政府参考人 危険有害な化学物質を譲渡する場合には、労働安全衛生法に基づき、容器へのラベル表示、SDS等の交付が義務づけられております。

 これを受け取った側の事業者がラベル表示された化学物質を保管するときは、労働安全衛生規則に基づき、事業者は、保管する容器への表示、文書の交付等により、化学物質を取り扱う者に明示しなければならないとされております。

 御指摘の、ラベルが汚れて読めなくなる、代わりにSDSを掲げている場合、こういった現場の実情に応じて個別に判断する必要はあると考えてはおりますが、規則で容器への表示を義務づけている趣旨に照らせば、一般論として、視認性を保って明示する必要があるというふうには考えております。

 労働者に化学物質の危険有害性情報を確実かつ分かりやすく伝えるという法令の趣旨、目的に照らして、的確なラベル表示が行われるよう事業者に周知してまいりたいと思います。

 もう一つ、つけ加えてありました、いわゆる壁にSDSが掲示されているという場合でございますが、そういった場合には、これもまた個別に判断する必要があるとは考えますが、一般論として、ラベルに表示すべき事項がSDSに含まれているという場合には、それのみをもって明確に違反とまでは言い切れないのではないかというふうには考えてはおります。

岡本(充)委員 実際に、私もいろいろな会社の産業医をやっていますから、本当に五十人前後の会社から上場企業まで、いろいろな会社に行きますけれども、様々な取組をされています。

 現に、今お話をしたような有機溶剤の管理などについても、SDSのシート、これは、委員の皆さんにも是非、行かれたことはないかもしれないですけれども、選挙の檄ビラみたいな感じで壁にずらっと貼ってあるんですね。皆さん、どうでしょう。選挙の檄ビラが貼ってあったら、誰が貼ってあるか、チェックされるのかもしれませんけれども、政治家の皆さんだと見た感じが分かると思うんですが、こういうシートがばあっと貼られていても、それが一文字、一文字がめちゃくちゃ小さい、読めない。これで安全管理としていいのかという問題意識をすごく持っているんです。

 業者の取引でSDSシートの交付というのはいいとしても、労働者に、自分が使っている溶剤、もっと言えば、経営者に、自分が従業員に、使っている化学物質がどういう危険性があるのか。昔は少なかったですよ、数が。どんどん増えて、あっという間に百を超えて、千を超えてみたいな、もうすぐ数千になるんでしょう。そんなのは、産業医だって数千もの化学物質を覚えていられません。

 もっと言うと、今日指摘をしておきたいと思いますけれども、昨日かな、おとといかな、来られた役所の方にお話ししましたが、例えば除光液で汚れを取るようなことをやっている。除光液はSDSシートがないんですよね。結果として、いろいろなものがブレンドされた有機溶剤を使って汚れ取りをしているけれども、これは今の労働安全衛生法だと抜け穴になっていませんか。どうです、部長。

井内政府参考人 申し訳ございません、個別の事象ですので、ちょっと手持ちでございませんので、また調べさせていただきたいと思います。申し訳ございません。

岡本(充)委員 いや、除光液の話はしたんです、役所の方は覚えていると思いますけれども。ほら、うなずいている人がいますよ、後ろで。お願いします。

 それで、だから、やはり今の現状ではちょっと補い切れていない課題があるということを指摘しておきたいと思います。

 ストレスチェックの前にもう一つ、産業医の権限強化を聞きたいと思います。

 安衛則の第十四条の四によって、産業医の権限強化が前回の法改正以降なされたと理解をしています。この結果、本当にこれが権限強化につながっているのかということを私自身は思うわけでありますけれども、この検証はなされたでしょうか。いかがですか。

井内政府参考人 産業医の権限につきましては、労働安全衛生法に基づき、事業者に意見を述べる等の権限が付されているというところでございます。五十人以上である事業場では、事業者に衛生委員会等を開催する義務もございます。その中で、構成員である産業医が発言をし、議事の概要は労働者に周知されるというような形になっております。

 そういった中で、また、昨年の十二月、議員の御指摘を踏まえて、産業医選任の仕組みの権限の周知ということで、現在、リーフレットを作成し、周知に取り組んでいるところでございます。

岡本(充)委員 権限の付与を行った効果を検証したのかと聞いているんです。つまり、まだ周知をやっている段階だということなんですよ、今。言われてやり始めましたと。

 なかなかこれは難しいですけれども、これからストレスチェックの質問に入りますけれども、ストレスチェックもそうです。集団分析を行うことが鍵だと言われていながら、集団分析をした後にそのアウトプットがどうなっているかということについて、まだこれは十分なされていない、義務化できていませんから。結果として、PDCAサイクルがうまく回っていないというところも私はあると思っています。

 現場での様々な課題について、どのように中立的に産業医が事業者、事業主に意見提出をし、そしてそれをどの程度反映しなければならないということを事業主に求めるのかということは明確にしていく必要があるのではないか、こう考えているので、質問させていただきました。

 ストレスチェックの話に行きたいと思います。

 同様に、ストレスチェックのチェック項目について、検証はどのようになされ、そして、これはもう始まって十年たつわけですけれども、結果として項目は変わっていないと思います。これまでどういう検討がなされ、そして、どういう結果に基づいて項目の出入りすらないという状況になっているのか。私は見直していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

井内政府参考人 現行の五十七項目の職業性ストレス簡易調査票につきましては、米国など国際的に使用されている調査票を基に、大規模な調査研究を行った上で作成したものでございます。その後でございますが、平成二十三年、令和六年というところで検証を行っており、調査票は労働者のストレスの状況を適切に把握できるという形で現在も続けさせていただいております。

 一方、御指摘のありましたように、調査票の項目につきましては、これからも引き続き検証等は行う必要があるというものでございます。項目の見直しということも含めて、今後も適時検証を行ってまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 ストレスチェックについての項目は、大臣、やはり私は不断の見直しをしていくべきだと思います。是非その見直しを、これでいいのか。

 それからもう一つ。残念ながら、精神障害の労災支給決定が二〇二三年で八百八十三件ですか、増えてきているという話もありますから、やはりストレスチェックだけじゃない、例えば同僚からの意見を聞いた上でとか、どういうものが精神の不調につながっているのかというのをいろいろ見て、例えば私なんかがよく安全衛生委員会で言っているのは、お昼御飯を抜いている人はいませんかとか、一人でぽつんと食べているような人はいませんかとか、それから、やけに最近仕事のミスが多い人はいませんか、無断で遅刻や欠勤する人はいませんか、こういうような外的要因で客観的に分かるような指標を使って、ストレスチェック、本人のチェックだけではなくて、外部からのアクセスによる評価をしていくということも必要じゃないかと思っています。

 是非、大臣、検証してもらいたいんです。そういう検討をしてください。

福岡国務大臣 先ほど政府参考人が申し上げましたように、ストレスチェックについても不断の見直しというのを検討していく必要があるのと加えまして、御指摘のとおり、職場におけるメンタルヘルス対策を効果的に推進するためには、ストレスチェック制度の活用によるメンタルヘルス不調の未然防止のほか、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な措置を行うことが重要でございまして、セルフケアに加えまして、ラインによるケアであったり、事業場内産業保健スタッフ等によるケア等のケアが継続かつ計画的に行われることが重要である旨、労働安全衛生法第七十条の二第一項の規定に基づく労働者の心の健康の保持増進のための指針において示しているところでございます。

 こうしたことも行いながら、これらのケアについても推進してまいりたいと思います。

岡本(充)委員 私が言っていることも是非やってもらいたいという話をしているわけですよ。是非、検討していただけるということでいいですね。

福岡国務大臣 御指摘を踏まえ、どういうことができるのか、検討を進めたいと思います。

岡本(充)委員 また結果を教えていただきたいと思います。

 さて、ストレスチェックの話でいうと、今お話があったように、直接雇用の人たちはやるんですけれども、派遣の話とか請負とか、つまり、職場巡視をしていると、いろいろな働き方の方が工場にいらっしゃいます。あの人は派遣さんですから、先生、うちの社員じゃないので、こう言われる。でも、実際に産業医として回っていたら、あの人ちょっととか、この作業は危ないんじゃないかと思うことがあるんです。

 これは産業医の負担増になるわけではありますけれども、派遣や請負など、先ほどの、作業従事をする人の新たな概念をつくったわけですから、個人事業主もいるかもしれないね、こういった新たな概念をせっかくつくって、作業従事者という概念をつくったわけですから、この方に対しても職場巡視を通じて、派遣元に言うのか事業主に言うのかは別として、こうした直接雇用でない者に対しての産業医の在り方というのも検討するべきだと思います。

 大臣、どうですか。大臣、大臣。検討してくださいと言っている。答えられますか。

井内政府参考人 まず事実関係を申し上げますと、派遣労働者に対して産業医が意見を言う場合でございますが、派遣労働者に対し、働く場を管理する事業者に対して、労働安全衛生法第二十二条に基づく健康障害を防止するために、場の管理の一環として、産業医は作業環境の改善等について意見を述べることはできます。

 また一方、長時間の就業による健康障害の防止、メンタルヘルス不調の予防など、個人の健康管理に関しては派遣先の方では言えないということになっておりますので、本日議員の御指摘等を踏まえまして、また、派遣労働者に対する産業医の関わり方というのは、きちんと整理をし、考えてまいりたいと思っております。

岡本(充)委員 派遣だけじゃないですよ。ほかのいろいろな働き方がいますから、大臣、是非ほかも含めてちゃんと検討してください。

福岡国務大臣 今御指摘いただいた件も含めて、しっかり整理した上でまたお答えさせていただきたいと思います。

岡本(充)委員 準備した質問、最後になりますけれども、個人暴露の測定に係る有資格者による測定実施の徹底や人材育成について、最後に部長にお答えいただいて、終わりたいと思います。

井内政府参考人 今回の改正は、個人暴露測定について、作業環境測定士が実施することを義務づけることにより、個人暴露測定の精度を担保するものでございます。

 個人暴露測定が的確に行われ、化学物質対策が適切に実施されるよう、個人暴露測定が実施できる作業環境測定士の育成、確保や、関係事業者に対する制度の周知徹底等に取り組んでまいりたいと考えております。

 また、労働基準監督署の監督指導等において個人暴露測定の実施状況を把握し、問題が認められた場合には、その是正を指導してまいりたいと考えております。

岡本(充)委員 終わります。

藤丸委員長 次に、梅村聡君。

梅村委員 日本維新の会の梅村聡です。

 今日は労働安全衛生法ということですけれども、その前に、ゴールデンウィーク前ですので、ちょっとこの質問だけはしておかないといけないなということで取り上げさせていただきますが、大臣の下にも、病院団体から、もはや今、病院経営、非常に厳しいんだ、そういう緊急要望もあられたかと思います。

 この三月、四月も、六病院団体が行った二〇二四年度病院経営状況の調査結果、これが三月十日に発表されましたし、それから、福祉医療機構、WAMも病院経営についての分析を出されてきております。

 これを、よく中身を読むと、確かに医業収益も多少伸びているんですね、おととしに比べて、去年に比べて、多少は今年も伸びているんですが、それ以上に経費の伸びが著しい。この経費の伸びも、保険償還ができる経費だったら、できるかどうか分かりませんが、期中改定をしたり、次の改定で手当てをすればいいんですけれども、保険償還できないような経費の伸びが今非常に著しいということが分かってまいりました。

 人件費もそうですし、あるいは委託費、光熱費、これは保険償還できませんから、ですから、そういった意味からいえば、補正予算もどうも出されないという報道もされておりますけれども、何らかの緊急的な財政支援、これはもう検討する段階に来ているんじゃないかなと私は思いますが、緊急財政支援の検討の余地があるのかないのか、これを大臣にちょっとお答えいただきたいと思います。

福岡国務大臣 医療機関の経営の厳しさにつきましては、この委員会でも再三、いろいろ御指摘をいただいてきたところでございます。資金繰りが悪化することによって、地域で必要な医療が提供できないようなことになる事態は避けなければいけないというふうに感じています。

 そういった意味において、政府においては、令和六年度診療報酬改定で一定の措置を講じましたが、依然として物価高騰の影響がございますため、令和六年度補正予算によります一千三百億円の緊急的な支援であったり、重点支援地方交付金の積み増し、また、令和七年度予算によります入院時の食費基準の引上げを行うほか、これらの取組の効果が出るまでの資金繰り支援といたしまして、福祉医療機構の融資を大幅に拡充させていただいたところでございます。

 補正予算によるこの支援を全国に速やかに行き届かせられるように、都道府県と連携して対応いたしますとともに、その効果や物価等の動向、経営状況など、足下の情勢変化もよく把握した上で必要な対応を検討していきたいと考えております。

梅村委員 検討していきたいということでありますので、是非機敏に対応をお願いしたいと思います。

 特に今、報酬改定は六月スタートですから、そうしますと、来年の八月にならないと新しい体系にはならないということですから、私は、何らかの手当てが必要であるということ、これを指摘しておきたいと思っております。

 それでは、労働安全衛生法に参りたいと思いますけれども、先ほどから話題になっておりますのはストレスチェックであります。今回は労働者五十人未満の事業者にも実施が義務化をされるということでありまして、このストレスチェックが始まったのは二〇一五年の十二月だったと思います。ちょうど十年になると思いますけれども。

 実は私、この制度を初めてお聞きしたとき、例えば定期健康診断あるいはメタボ健診、こういったものは、労働者に対するしっかり保護をしなければいけないということで、事業主に結果が知らされます。ストレスチェックは、先ほどからお話がありますように、本人の同意なく事業主に情報提供することは禁止されている。なぜならば、それは、本人さんたちが安心してチェックを受けられるように、こういうふうに言われてきたわけです。

 これを初めて聞いたのが僕は二〇一二年頃だったと思うんですが、当時も少し、例えば、ある方が心療内科の診察券を持っているよ、えっ、そうなの、どこか何かあるんじゃないのという差別のような、メンタルというのは特に差別があるような時代がありました。だけれども、今はどうですか。むしろ、メンタルがもし不調であれば、積極的に医療機関に相談をしてください、あるいはかかってください、こういう時代になってきたわけなんですね。

 それから、精神の不調による労災、これについても、もし事業主が知らないのであればストレスチェックは受けたかもしれないけれども、私は聞かされていなかったよと、これが本当に労働者にとってプラスなのかどうかという論点が、やはり時代とともに私は出てきているんじゃないかなと思います。

 そうした観点からいいまして、今回の改正に当たって、審議会等あるいは厚生労働省の皆さんの中にも、許可なく事業主には知らされないという制度をやはり見直していくべきじゃないか、こういう論点はなかったのかどうか、ちょっと御紹介をいただきたいと思います。

福岡国務大臣 今おっしゃったように、時代の変遷とともに考え方が変わってきている部分というのはあるのかもしれませんが、実施義務の拡大をした有識者の検討会におきましては、プライバシーの保護を厳格にし過ぎると職場環境の改善は難しくなるのではないかといった意見も一部にはございましたが、お互いに顔の見える小規模の職場ではストレスチェックに本音で回答できなくなるのではと懸念する御意見がありまして、検討会やその後の労政審においても、プライバシーの保護を求める意見の方が大半を占めたということでございます。

 このような審議会等の議論を踏まえまして、今回義務化を検討しております五十人未満の事業場におけるストレスチェックにおいては、現行と同様、結果は労働者に直接通知され、労働者の同意がなければ事業者に把握されないものとする考えに立っているところでございます。

梅村委員 時代が進むにつれて考え方は変わると思いますので、この点は是非、次回のまた論点に検討いただければなというふうに思います。

 それで、今回は五十人未満の事業所にも実施が義務づけられるということで、五十人未満の企業は、当然、産業医の選任義務、これはないわけであります。つまり、高ストレスの方は、五十人以上だったら、産業医の方に御相談ください、これはできると思いますけれども、五十人未満の場合は、先ほどから話題に出ておりますように、医療機関であるとか、あるいは委託先であるとか、そういうところを利用して希望者は面談を受けるということになるかと思います。

 その中で、私もよくこれは申し上げていたんですけれども、地産保を利用してください、こういうことも厚労省は言っておられると思います。地域産業保健センターですけれども。

 私も実は、地元の地域産業保健センターはどこかということを余り知らなくて、区役所にあるのかなと思って昨日少しネットを調べたら、出てまいりました。我が地域、私は大阪市淀川区というところに事務所があるんですけれども、そこをネットでたたくと、住所がマンションの一室になっていました。この資料を今日お配りしていますけれども、淀川地域産業保健センターですね。私の家ではありません。これは賃貸マンションですね。家賃がここは七万円、二LDK。ちょっと昨日、秘書に行かせまして、中に人がおるかどうか、ピンポンダッシュしてこいと。ダッシュはしたらあきませんね。ピンポンを押してこいと言って、行ったけれども、誰もいないということですね。

 ここの淀川地域産業保健センターは、池田市、豊中市、箕面市、豊能郡、淀川区、東淀川区、これで人口が百万人を超えています、人口百万人を超えている地産保の所在地がこのお見せしているマンションの一室、これがホームページに載ってあって、連絡先は携帯電話番号が載せられております。

 こういう状態ですと、労働者の皆さんに、地産保を使ってください、ちなみに、これは僕の幼いときにこの前の道路で縄跳びしていたところなんですけれども、それはいいんですけれども、行ったらここの一室だということが、私は信頼という面から考えて、少しやはり考え直すべきじゃないかと思いますが、こういった事象がありますけれども、どう捉えられているのか、教えていただきたいと思います。

井内政府参考人 地域産業保健センターは、労働安全衛生法に基づく国の援助として、産業医の選任義務のない事業場のニーズに対応し、面接指導、相談対応、個別訪問による産業保健指導などを提供しております。

 例えば、令和五年度の実績、オール・ジャパンではございますが、医師による面接指導は三千六百件、相談対応は十万件以上というようなことでございます。現状、三百五十か所の地域産業保健センターがございますが、活動実態がばらつきがあるということで、好事例の水平展開等をしつつ、今後、活動を底上げをし、サービス提供の充実というのを図って、更に認知度というのを上げていきたいと思っております。

 その上で、今回御指摘いただきました淀川地域産業保健センターでは、医師の面接指導に関しましては登録産業医の勤務先の医療機関で実施、その他産業保健サービスは郡市区医師会のスペースを利用して提供するなど、現在でも適切にサービス自体は提供できるというものでございます。

 地域産業保健センターは、地域の実情を踏まえた場所にございます。ただ、これも、時代とともに地域産業保健センターの活性化を図っていく中で、場所も含めて、ふさわしい在り方について検討をしてまいりたいと考えております。

梅村委員 ばらつき、それから時代の変遷とありましたけれども、ちょっとさすがに、賃料七万円のマンションというのは私は問題だと思いますので。もちろん、独法のことなので、厚労省はどこまで手を出せるか分かりませんけれども、やはり国民が安心して受けられる体制をつくっていただきたいということ、これを指摘して、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、池下卓君。

池下委員 日本維新の会の池下です。本日もよろしくお願いします。

 それでは、労働安全衛生法、安衛法の改正についてお伺いをしていきたいという具合に思っております。

 今回の法改正の趣旨ですね、多様な人材が安全に、かつ、安心して働き続けられる職場環境の整備ということで出されておりますので、この点につきましては、私も、非常に重要である、強化していかなければならないという具合に思っております。

 一方で、改めてちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、今回、企業に義務づけされております健康診断の位置づけ、これの本来の目的はそもそもどういうものなんだということからお話をさせていただきたいと思うんです。

 この安衛法で企業が義務づけられているということでありますので、そもそも企業のためなんだ、企業が利益を出すために従業員さんにはしっかりと健康になっていただきまして、シフトに穴を空けないであったりとか、効率的に仕事をしていただくために健康診断をやるのかということ。若しくは、働く労働者の皆さんのため、労働者の皆さんが病気にかからずに健康にお仕事をしていただいて、そして元気で長生きしていただける、そういう仕組みをつくることによりまして、重症化予防であったりとか、将来的には医療費の抑制であったりとか、そういうところに資するような積極的な仕組みをつくっていくのか。どういうとこら辺が目的なのかというとこら辺が、私、実は重要なのかなという具合に思っております。

 それはなぜかといいますと、我々日本維新の会といいますのは、皆さん御存じのように、現役世代の医療費、社会保険の負担というものを削減していかなきゃいけないよというのを言わせていただいておりますし、加えて、保険料の抑制にとどまらず、実際にかかる医療費、自己負担も抑えていかなければならないという具合に考えているところであります。

 つまり、やはり、病気にならない、未病の状況をいかに長く保つかによりまして、健康で長生きするということを少しでも長く保たなきゃいけないのかなという具合に思っておりますけれども、そのために、予防医療の推進であったりとか、早期発見、早期治療をすることが大事である。その一番手前にあるのが健康診断。特に、企業で働かれている方というのは、企業での健康診断というのが非常に重要であってくるという具合に思っております。

 もっとも、こうしたアプローチといいますのは、当然、今現在、健康である方はいいんですけれども、一方で、高額療養のこともありましたけれども、既にがんになったりとか難病であったりとか既往症のある方なんかといいますのは、別のアプローチ、しっかりと医療を受けてもらう、適切な医療を受けてもらう、こういったことが大事でありますので、やはり未病の状況をしっかり保っていくというのと、もう一方で、しっかりと治療を受けられる、この両輪をしっかり両方で回していくということが大事なのかなという具合に思っております。それが、ひいては持続可能な社会保障の構築につながってくるとも思っております。

 そこで、健康診断、具体的な運用の在り方について質問をしていきたいと思うんです。

 例えば、具体的に言いますと、慢性腎臓病、いわゆるCKDというところに入っていきたいと思うんですが、このCKDにつきましては、成人のうちの五人に一人、約二千万人の方々が罹患しているという具合に言われております。放置すれば、腎臓病が進んでいきますと透析にもなりますし、透析といいますと、非常に生活の質も落ちますし、医療費もかかりますよというのは皆さん御存じやと思います。更にその先に行きますと、私も先日取り上げましたが、臓器移植、腎臓移植ということにもつながってくるということになってまいります。

 こうしたCKDを未然に防ぐために、私は、これまでの委員会におきましても、尿たんぱくの検査、これは、尿たんぱくの検査というのも大事やと思うんですけれども、一方で、血清クレアチニン検査、これも重要であるという具合にお伝えをしてまいりました。

 厚生労働省は、令和三年に、医療法に基づく医療計画の策定に当たっては基本方針というものを都道府県に出されております。CKD、慢性腎臓病は、いわゆる五疾病に当たらないものの、健康増進施策等、関係施策と調和を図りながら講じることが必要であると記載をされています。これに基づいて昨年四月からスタートいたしました第八次医療計画におきましては、複数の都道府県におきましてCKD対策というものが明記されているという具合に聞いております。

 ただ、私もいろいろなところに聞きますと、CKD対策、具体的にどうやっていったらいいのかよく分からないよという都道府県もたくさんあります。こうした都道府県へのアプローチとして、研修会等の実施と併せて、CKDの重症化予防のための診療体制の整備、多種連携による療養指導等を行うためのモデル事業を行う旨、以前この委員会の場におきまして、当時の加藤厚労大臣から御答弁をいただきました。

 そこで、このモデル事業、CKD対策として実際にどのような取組が行われたのか、また、各都道府県、地域のCKD対策として具体的にどのような成果を上げたのか、まず教えていただきたいと思います。

福岡国務大臣 御指摘がございました慢性腎臓病対策に関するモデル事業につきましては、かかりつけ医や専門の医療機関、保健師などが多職種で連携して、腎疾患対策に取り組むための体制を構築するものでございまして、令和五年度から実施しております。具体的には、多職種連携体制の構築であったり評価を行う協議会の設置であったり、産業医等に対する研修や説明会の開催などを行ってきたところでございます。

 この事業によりまして、対象医療機関の所属地域において、慢性腎臓病に関する医療連携体制の構築に資する病診連携ツールの利用促進であったり、また、研修プログラムによるCKD診療に積極的に関わるかかりつけ医の育成、また、一部地域においては、CKD患者さんの診療において、専門医とかかりつけ医の連携事例数の増加などの成果が得られているところでございます。

 今事業から得られた成果がほかの地域にも広がるように、取組を進めたいと考えております。

池下委員 ありがとうございます。

 今、このモデル事業なんですけれども、昨日の問取りでちょっと聞きました。六医療機関、令和五年、六年、七年でやっていらっしゃるというところであります。

 私が指摘させていただきたいのは、CKD対策というのは、地方によって格差が出てはならないと思っています。やはり、積極的なアカデミアがいらっしゃるところなんか、又は行政機関が頑張っているところなんかというのは進むんですけれども、そうじゃないところは一定進まないというところを心配しております。

 そこで、CKDの早期発見には健康診断が必要ですよ、大事ですよということはお話をさせていただいたと思うんですけれども、今回の安衛法に基づいて労働者の健康診断というのは義務化されているものの、尿検査は必須となっているんですが、一方で、血清クレアチニンについては必須項目ではありません。医師が必要と認めた場合には実施する、追加で実施するオプションということは聞いておるんですけれども。

 ただ、尿検査で陰性の場合でも血清クレアチニンで結果が高い場合もありますし、またその逆の場合もあるという具合に聞いています。ですので、やはり尿検査だけじゃなくて、血清クレアチニン、両方やることで、クロスでやることによってより正確な診断結果を導き出すことによって、早期の発見、早期の治療につなげていくことは私は非常に重要であると思っているところであります。

 また、今の段階ではお医者さんが認めた場合ということになっているんですけれども、患者さんを診る産業医、地域のかかりつけ医、腎臓疾患へしっかりとした知識を持ってスクリーニングするということも非常に大事だと思っております。

 そこで、安全衛生法に基づく労働者への健康診断において、血清クレアチニンが法定化されていない理由はなぜか。

 あわせて、専門医を含めた地域での医師偏在が問題として上げられる中で、CKDの早期発見のためにかかりつけ医などへの教育をどのように行っていくのか、お伺いしたいと思います。

福岡国務大臣 御指摘がございました血清クレアチニン値検査を労働安全衛生法に基づく一般健康診断に追加すべきかどうかにつきましては、平成二十八年に開催いたしました有識者検討会において議論をされました。その中で、腎機能検査につきましては、既に尿たんぱく検査があること、また、腎機能悪化の要因であります高血糖や高血圧につきまして、これらを測定する検査は既に健診項目に含まれているといった意見があったことを踏まえまして、法定項目には含めず、労働者の健康状態等を勘案しながら医師が必要と認めた場合には実施することが望ましいとされたものでございます。

 そして、CKDに係る教育や研修につきましては、厚生労働省の支援の下、都道府県等が実施主体となるCKD特別対策事業において、かかりつけ医を含めた医療従事者向けの研修会等を実施してございます。

 令和六年度には、日本腎臓学会監修の下、慢性腎臓病の診療における血圧であったり貧血の管理目標値等を記載したかかりつけ医診療のポイントであったり、腎臓専門医、腎臓専門医療機関への紹介基準を記載したリーフレットを作成いたしまして、日本医師会を通じて、日本全国の医師に向けて周知を行ったところでございます。

 引き続き、CKDの早期発見、早期治療に資する取組を進めてまいりたいと思います。

池下委員 今お答えいただいた中で、データが平成二十八年ということで言われておったんですね。平成二十八年といいますと、結構前になるわけです。そこからいろいろエビデンスも積み重なっているという具合に聞いているわけなんですが。

 そこで、厚労省では、昨年九月より、安衛法に基づく一般健康診断の検査項目に関する検討会というものを開催されていると聞いております。労働者の健康確保に必要な検査項目について検討を進められると聞いておりますが、同検討会では、日本腎臓学会より、血清クレアチニンの値の追加について要望が上げられているという具合に聞いております。ただ、これは議事録にもなかなか記載された形跡もなくて、昨年十一月にまとめられた中間取りまとめにも記載がありません。これはなぜなのか、非常に不思議に思うわけなんですが。

 そこでお伺いいたしますが、労働世代へのCKD対策として、早期発見、早期治療のために血清クレアチニン検査を一般健診項目に追加して、患者のQOLを守って、あわせて医療費の抑制をしていくべきと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。

福岡国務大臣 慢性腎臓病の発見であったり重症化予防は重要な課題だと認識をしております。国といたしましては、労働安全衛生法に基づく一般健康診断におきまして尿たんぱく検査を必須項目とするなどにより、腎機能の評価をしてございます。

 また、CKDにつきましては、近年、新しい治療薬の登場によりまして重症化予防が可能になっていることから、CKDに関する普及啓発であったり、医療連携体制の構築等を推進しているところでございまして、日本における透析患者数は二〇二一年をピークに減少に転じております。

 一方、労働安全衛生法の一般健康診断に新たに検査項目を追加する場合においては、専門家であったり労使関係者による検討会に加えまして、労働政策審議会において検討され、適当となった場合には省令改正等を行うこととなります。その際、検査によって検出できる疾患が、業務に従事することで発生又は増悪するエビデンスがあるのかどうかといった観点から議論が必要でございます。

 御指摘の血清クレアチニン値検査につきましても、学会等の関係者から知見をいただきながら、まずは検討会において検討を進めていただきたいと考えております。

池下委員 昨日の問取りでもちょっといろいろ聞いていたんですけれども、令和六年度で学会が出したデータというのがあるそうですので、一度是非検討会で検討していただきまして、これは省令改正ということですから、しっかりスケジュール感を持ってやっていただきたいなと思います。

 血清クレアチニン検査なんですけれども、採血をしていれば大体一回六十円くらいで実施が可能やということです。透析になりましたら年間四百万とか五百万とか医療費がかかるわけですし、加えて、臓器移植なんかをすればもっとお金がかかるということになりますから、国への医療費の負担はもちろんのこと、患者さんの健康をいかに守るのかというのはやはり国の責務だという具合に思っておりますので、是非そちらの方は検討をなるだけ前に進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、福田徹君。

福田(徹)委員 国民民主党、福田徹です。

 いきなり当たり前の話になってしまいますが、私は、今まで医師として正しい医療に全力を尽くしてまいりました。この患者さんには何が最善なのか、夜遅くまで勉強しました。救急医には時間がないときがあります、あと十分でこんな病気の患者さんが来ますと。もう大急ぎで教科書を開いて、論文を調べて、とにかく命のために、本当に正しいことは何なのか、このやり方でいいのか、常に真実を見て最善を尽くしてきたつもりです。それが本当に心から人を大切にすることだと思っております。

 今日議論させていただく労働安全衛生法は、働く人のためのものです。そして、これが最善なのか、データに基づいて、心を込めて議論させていただきたいと思います。

 今回の法改正で、労働者数五十人未満の事業場においてもストレスチェックが義務化されます。これまでは五十人以上の事業場のみでした。今日は、ストレスチェックにどれほどの効果があるのか、よりよいものにできないのかについて伺いたいと思います。先ほど、岡本先生、梅村先生の質疑にもありましたように、現時点では大きな問題がある、それをよりよいものにしていきたいと思っております。

 まず、ストレスチェックは平成二十七年十二月から始まっています。平成二十七年十二月から現在までのメンタル不調による休職者、離職者の推移について教えてください。

井内政府参考人 メンタルヘルス不調により連続一か月以上休業又は退職した労働者がいる事業場の割合は、労働安全衛生調査において平成三十年より調査しており、平成三十年は一〇・三%、令和五年は一三・五%となっております。

 メンタル不調による休職者数、離職者数は把握してございませんが、同調査におきまして、メンタルヘルス不調により連続一か月以上休業した労働者の割合を調査しており、平成二十七年は〇・四%、令和五年は〇・六%となっております。また、メンタルヘルス不調により退職した労働者の割合については、平成二十七年は〇・二%、令和五年も〇・二%となっております。

福田(徹)委員 今お示ししていただいたとおり、ストレスチェックが始まってからも、メンタル不調による休職や離職者というのは増えていることが分かります。ただ、もちろん、これはストレスチェックに意味がないという意味ではないです。社会状況の変化のせいでメンタル不調を起こす人は激増していて、ストレスチェックのおかげで、その増加が抑制されているかもしれないです。

 でも、困っている労働者、経営者は物すごく多いじゃないですか。大臣も、お話をたくさん聞くことはあると思うんですよね。やはり政治はもっと本気で取り組む必要があると思っています。

 私は、ただストレスチェックを小規模な事業場に義務づけるのではなくて、やるのであれば、本当に労働者や経営者にとって価値のあるストレスチェックを届けたいなと思っております。

 そして、お尋ねします。ストレスチェックが始まった平成二十七年から現在まで、ストレスチェックが導入されたにもかかわらず、メンタル不調の人が増えている原因は何だと判断されていますでしょうか。

福岡国務大臣 メンタルヘルス不調による休職であったり離職というのは複合的な要因が関わるものでございまして、休職者であったり及び離職者が増加傾向にある原因については、一概に申し上げることは難しゅうございます。

 一方で、現在のメンタルヘルスの不調の発生の背景といたしまして、令和五年の労働安全衛生調査によりますと、職業生活で強い不安、悩み、ストレスがあるとする労働者の方々が挙げているストレス要因につきましては、仕事の失敗、責任の発生等が三九・七%、仕事の量が三九・四%、対人関係が二九・六%、仕事の質が二七・三%となっておりまして、これらのいずれか又はいずれもが労働者の方々のメンタルヘルス不調の増加の背景にあるものと推察されます。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 今、複合的な要因ですが、幾つか理由をおっしゃっていただきました。その中でも、特にストレスチェックで介入できるかなと思うのが人間関係。人間関係も物すごく多い。民間の調査でも、これを一番に挙げている調査もあります。

 人間関係も問題の一つだと判断されているのであれば、そこに取り組む必要があると考えます。例えば、現在のストレスチェックは、個人が特定されない形で集団分析を行うことになっています。もちろんプライバシーは大事です。そうすると、この部署の労働時間が長くなっているとか、この部署は電気が暗くてストレスになるとか、こういう部署全体の評価には有効なのですが、この方とこの方が合わないみたいな人間関係というのは、物すごく評価しづらい制度になっているんですよね。

 原因を人間関係もあると認識しているのであれば、特に人間関係のストレスに注意を向けた取組というのも必要だと思います。例えば、五十七項目にある、私の職場の雰囲気は友好的であるのような質問の答えで一定以上評価が低い場合を認めたら、必ず事業者にその事実確認と対策の報告を求める、もちろんプライバシーに配慮の上で、そういうことを求めることも一つの対策なのかなと思います。

 次に、現状のストレスチェックの効果について確認させてください。

 ストレスチェックの効果を調べたアンケートで、事業者が、メンタルヘルス不調者が減った、離職者が減ったと答えた人の割合を教えてください。また、労働者が、ストレス解消につながった、高ストレス状態に気づいて相談ができたと答えた人の割合を教えてください。

福岡国務大臣 令和三年に行いました調査事業の結果によりますと、事業場がストレスチェックを実施したことにより感じた効果といたしまして、メンタルヘルス不調者が減ったと回答した事業場は一六・九%、離職者が減ったと回答した事業場は四・一%となっております。一方、社員のメンタルヘルスセルフケアへの関心度の高まりと回答した事業場は五三・一%、職場の雰囲気の改善と回答した事業場は二三・三%となっておりまして、事業場において一定の評価をいただいているところでございます。

 また、労働者の方がストレスチェックの受検により感じた効果といたしまして、ストレス解消につながったと回答した労働者は二・九%、高ストレス状態に気づいて相談できたと回答した労働者は一・四%となっておりますが、一方で、自身のストレスを意識するようになったと回答した労働者は五〇・二%おり、ストレスチェックを受検したことが自身のストレス状況への気づきを得る機会となっているというふうに考えております。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 離職者が減ったが四・一%、ストレス解消につながったが二・九%です。ちなみに、会社の利益の向上につながったと答えたのは〇・五%でした。

 大臣、この結果について、今のストレスチェックのこの効果について、どう評価されていますか。

福岡国務大臣 このストレスチェック制度の効果検証につきましては、専門家検討会におきまして、学術論文や研究報告書等を基に議論が行われております。

 同検討会における議論の結果、ストレスチェック制度の効果につきましては、厚生労働省の委託調査によりますと、ストレスチェックの実施だけでも、約七割の労働者から、ストレスチェックの個人結果をもらったことを有効とする回答が得られたこと、また、ストレスチェックの実施に加え、その結果の集団分析、職場環境改善の取組により、労働者の心理ストレス反応の改善等が見られたことなどが確認されておりまして、一定の効果はあると思いますが、冒頭申し上げられたように、よりよくしていくということについては大変重要な論点だというふうに思いますから、今後も、御指摘も踏まえて、どういう在り方がいいのか検証してまいりたいと思います。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 関心が高まったという数字は半分以上いくんですよね。ただ、やはり、時間をかけて、お金をかけて、結構現場は大変なんです。そして、義務化してそれをやらせるのであれば、やはり、メンタル不調者が減った、離職者が減った、ストレス解消につながった、そういう効果を目指していきたいなと思うんですよね。

 これは、ストレスチェックという制度の、いいとか悪いとか、評価をしているのではなくて、本当に、真に労働者のために、労働者の利益のために言いたい。そして、私たちが今議論しているのは労働安全衛生ですので、しつこいかもしれませんが、政治家として、本当に意味のある制度にしたいなと思っております。そのためには、ストレスチェックが正しく運用されなければいけません。

 ストレスチェックの目的というのは二つあります。一つは、ストレスチェックの結果を分析して改善につなげる。そうすることで、まだ不調になっていない人が不調になるのを防ぐ。これを一次予防といいます。そしてもう一つは、メンタル不調の労働者を早期に見つけて、医師の相談、面接指導につなげる。いわゆる早期発見、早期治療のようなものです。これを二次予防といいます。ストレスチェックには、分析と改善、医師の面接指導、この二つの取組で価値を生み出します。

 お尋ねします。ストレスチェックを行った事業場で、集団分析と職場環境改善を行った割合を教えてください。そして、高ストレスと選定された労働者で、医師による面接指導を受けた割合を教えてください。

井内政府参考人 令和五年の労働安全衛生調査によれば、ストレスチェック結果の集団分析を実施している事業場割合は二八・七%であり、集団分析結果を活用した職場環境改善を実施している事業場の割合は二二・四%となっております。

 また、五十人以上の事業場にはストレスチェックの実施結果を労働基準監督署に報告することが義務づけられておりますが、その報告結果によれば、令和五年に医師の面接指導を受けた労働者の割合は〇・四六%となっております。

 厚生労働省としては、必要な方が医師による面接指導を受けられるよう、周知徹底を図ってまいりたいと思っております。

福田(徹)委員 そうなんです。環境改善につなげたのが二二・四%ですよね。要は、七八%ぐらいは生かしていないです。そして、医師の面接指導を受けたのは〇・四六%。ほとんど医師の面接指導につながっていないですよね。

 これは、義務だからやったけれども何も生かしていないと言ってもおかしくないぐらいの状況だと思っております。このような制度を今のまま小規模事業場にも義務として広げる、これは合理的な判断でないという意見があってもおかしくないと思うんですよね。

 私は、ストレスチェック自体を否定したいわけでは全くありません。でも、ストレスチェックを行う現場の経営者、労働者からは、やはり、義務で仕方なくやっているとか意味があるのかという声は度々聞きます。そして、現在手に入れられるこういうデータで、私が物すごくいい取組だから絶対にやった方がいいよとは言いづらい状況なんですよね。これを、何とか私たちで働く人にとって意味のある制度にしたいなと思っております。

 そして、次に教えていただきたいです。面接指導する医師とは、どのような立場の医師でしょうか。精神科専門医の資格を持った医師の割合を教えてください。そして、医師の面接を受けた人で、適切な指導を受けられた、就業上の措置を講じてもらえたと答えた人の割合を教えてください。

井内政府参考人 労働安全衛生法上、高ストレス者の面接指導を行うのは医師と規定しておりますが、診療科や専門分野に関する特段の限定は行っておらず、精神科を含め、診療科別の割合は把握しておりません。

 面接指導を行うに当たりまして、労働者の勤務状況や職場環境を把握した上で助言を行うことが望ましいことから、厚生労働省が作成しているストレスチェック制度の実施マニュアルでは、事業場の産業医又は事業場において産業保健活動に従事している医師が推奨される、産業医の選任義務のない五十人未満事業場で実施する場合には、産業医資格を有する医師のいる地域産業保健センターを利用することが可能であることを示しております。

 また、令和三年度に行いました調査事業の結果によれば、医師による面接指導を受けた者のうち、高ストレス状態の解消に向けて適切な指摘を受けられたと回答した者は三一%、就業上の措置を講じてもらえたと回答した者は一七・二%となっております。一方、ストレスチェックを受けた労働者の約七割は、自身のストレスが分かった、有効というような回答が得られて、一定の評価があるというのは先ほど述べましたとおりでございます。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 産業医が面接指導をしているとすると、少し古いデータになりますが、厚生労働省の産業医及び産業保健活動の現状と課題という資料には、嘱託産業医のうち、精神、神経領域が専門である者は一・八%と記載がありました。

 もちろん、精神科医でなくても、産業医であれば、ある程度のメンタル不調の評価や指導はできるかもしれませんが、やはり精神科専門医のレベルではないはずです。岡本先生のように度々産業医として活躍されている先生もいらっしゃると思いますけれども、実際は違います。私の周りには、ごくまれにしかそういう活動に携わらない産業医の方もたくさんいらっしゃいます。

 そして、事実、医師の面接指導を受けた労働者のアンケートでは、適切な指摘を受けられたが三一%、就業上の措置を講じてもらえたは一七・二%です。これは、本当に困っている労働者からしたら、決して高くない数字だと思います。

 高ストレスの人を医師の面接指導までまず持っていけないことが今問題ですけれども、持っていけたとしても、同時に、医師の面接指導自体、その内容にも質にも改善点があると思いますので、是非、精神科専門医の割合の把握から、質を高める取組をお願いしたいと思います。

 そして、小規模事業場でそもそもできるのかという質問をさせてください。

 まず、ストレスチェックにかかる費用は、およそ幾らくらいでしょうか。また、集団分析は、プライバシーに配慮して原則十名以上でやることになっています。五十人未満の事業場では、一つの部署に二人ということも当たり前にあると思うんですよね。そういう場合はどのように分析を行うか、教えてください。

福岡国務大臣 今回義務化を検討しております、五十人未満の事業場におけるストレスチェックの実施につきましては、労働者のプライバシー保護の観点から、原則として外部委託を推奨することとしております。

 ストレスチェックの実施を外部委託する場合に、ストレスチェック自体の費用は労働者お一人当たり数百円から千円程度、そして、高ストレス者に対する医師の面接指導の費用は、五十人未満の事業所につきましては、地域産業保健センターに依頼された場合は無償で実施する方針でございます。

 集団分析は、検査結果を集団ごとに集計、分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげるために行うものでございますが、十人未満の事業場の集団分析に当たりましては、国の指針により、プライバシー保護の観点から、原則として、対象となる全ての労働者の同意を取得しない限り、集計、分析の結果を事業者に提供してはならないとしておりまして、集団分析を実施することは慎重であるべきだというふうに考えております。

 今後、法案が成立した後に、五十人未満の事業場向けマニュアルを作成する際には、関係者の方であったり専門家の御意見を伺いながら、労働者のプライバシー保護に配慮した具体的な集団分析の実施方法を検討してまいりたいと考えています。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 まず大切なポイントは、小規模事業場の場合は、恐らく、ほぼ間違いなく外部委託になると思います。もちろん、外部委託には業者があります。その業者が、小規模事業所は物すごく多いですので、物すごく仕事が増えるわけです。そこで、やはり外部委託する業者の質の担保、これがまず物すごく大事になってくると思います。

 そして一方で、分析、改善が大切というにもかかわらず、小規模事業所の場合は分析自体が難しい。つまり、小規模事業所に対するストレスチェックの効果というのは、今までやっていた大規模事業場に比べて下がる可能性があるんですよね。そこは、小規模事業場でも適切なストレスチェック、意味のあるストレスチェックが行えるように、しっかりと検証をしていっていただきたいなと思います。

 ストレスチェックに関する最後の質問です。大臣、働く人のためにお答えください。

 現行のストレスチェックを更に効果の高いものにするために、働く人にメリットのあるものにするために、これから何をされますか。教えてください。

福岡国務大臣 先ほど委員が御指摘ありましたように、職場環境の改善につなげていくことは大変重要でありますが、令和五年度の労働安全衛生調査によれば、集団分析結果を活用した職場環境改善を実施している事業場はいまだ二二・四%にとどまっているという現状がございまして、その取組の促進が課題だというふうに認識しております。好事例の収集であったり周知であったり研修の実施など、必要な対策を講じていきたいというふうに考えております。

 また、メンタルヘルス不調は、職場以外における要因も含めて複合的な要因が関わるものでございまして、休職数等を目標値として設定することは難しいというふうに考えておりますが、労働基準監督署等も通じながら、しっかり対策を講じてまいりたいと思います。

福田(徹)委員 ありがとうございます。

 やはり、分析、改善が大事というのであれば、多分、ストレスチェックをした後、分析、改善をしましたという報告を求めるだけで、かなり改善される率は上がると思いますので、是非考えてください。

 この日本でメンタル不調に悩む労働者は物すごく多い。だから、やはり減らしたい。そのためには、目標値を立てて、期限を決めて、本気で取り組むという姿勢を見せた方がいいと思うんですよね。私も、そのためにできることを一生懸命やりたいと思います。私たち政治家の仕事は、法律を作ることではなくて、法律で人を幸せにすることだと思っております。どうか本気でやりましょう。

 そして最後、ちょっと時間がないですが、労働災害が起こった際に、現場で応急手当てができるとすごくいいんですよね。労働災害、予防ももちろん大事ですが、私は救急医ですので、今までたくさんひどい外傷を見てきました。現場ですぐに止血できる、これだけでも全然違います。

 現場の責任者始め、労働者に応急手当ての講習を受けることを進める取組、この取組はできませんでしょうか。

井内政府参考人 労働者が負傷又は疾患に罹患した場合は速やかに医療機関に搬送することが基本でございますが、労働安全衛生規則において、事業者は、負傷者の手当てに必要な救急用具及び材料を備え、その使用方法等を労働者に周知させなければならないとしております。

 一方で、酸素欠乏、硫化水素危険作業などの命に関わる一部の危険な作業においては、労働災害防止に向け、労働者の指揮等を行う作業主任者に対して蘇生講習の受講を法令上位置づけております。

 労働災害が起こった際に現場で質の高い応急手当てが行われることは重要であると考えており、引き続き、実態を把握しながら、必要に応じ具体的な対応は検討してまいりたいと考えております。

福田(徹)委員 前向きな御回答、ありがとうございました。

 時間オーバー、済みませんでした。

 終わります。ありがとうございます。

藤丸委員長 次に、八幡愛君。

八幡委員 れいわ新選組の八幡愛です。

 本日は、労働安全衛生法について質問いたしますが、れいわ新選組としては、本当にこの法改正で、日本の職場における労働者の安全と健康を確保して快適な職場環境の形成が促進されるのかということが疑問が多いところでありますので、その視点に沿って進めさせていただきます。

 今回の法改正において私が一番評価できると思ったことは、個人事業者等に対する安全衛生対策が推進されるということです。

 この法改正の契機になったのが建設アスベスト訴訟の最高裁の判決なんですけれども、健康障害防止措置の対象が、労働者イコール会社組織の社員とかだけではなくて、同じ場所で働く個人事業主や一人親方さんなども対象となるという点ですね。これは、逆に、今までそうじゃなかったんかいというところがちょっとびっくりなんですけれども、職場における労働者の安全と健康の確保を同じように求められますよということが明文化されますので、ここは評価ができます。

 しかし、この建設アスベストの問題は残された課題も多いです。

 二〇二一年に議員立法によって給付金法が成立しました。そして、翌年施行されたことによりまして、建設アスベスト被害に関する国による給付金の支給というのは始まっているんですけれども、この建材メーカーというのは、責任を認めることになると賠償を拒んでいるんですよね。現在も裁判が係属しております。また、この救済対象には、責任期間が限定されていて、屋外作業者、外で作業する人たちが除外されているんですね。

 まず、この責任期間。アスベストは、かつて広く使われた建材の一つです。コンクリート建設の耐用年数の関係から、令和の今のこれから解体されるコンクリート建設の中にもアスベスト建材があるかもしれない。当然、解体する前に業者さんがアスベストが入っているか入っていないかと調査することは大前提だとは思うんですけれども、本当にちゃんと調べてくれるのかなという不安も残ります。

 そういった意味では、アスベスト問題というのは、過去の問題ではなくて、これからの問題でもありますよね。ですので、責任期間の制限というのは私はすべきではないと思っております。

 そして、もう一点。建設アスベストの判決で、屋外作業者、外で作業する人たちは風とか自然換気によって石綿の粉じんの濃度が薄まるんだといって、国とメーカーが危険性を認識することができたとは言えないと判断したんですよ。これはやはりおかしいと私は思います。確かに、屋外だから換気は悪くはないんですけれども、実際には、アスベストが混在した壁とか、解体作業を行うとなると、やはり飛散するし、舞い込んで吸い込んでしまうという危険性がありますよね。

 やはり今回、労働安全衛生法を審議するに当たって、働く人たちの安全性を考えたときに、改めて大臣に聞きたいんですけれども、率直にどう思われますか。外だからといって、石綿とかの粉じんの濃度が薄まるから大丈夫と本当に思えますか。

 工事現場とかを見ていただいたらすぐ分かると思うんですけれども、やはり砂ぼこりが飛んでいますし、皆さん、マスクをされていますよね。でも、大丈夫かといったら、そうではないと私は思っていて。というのも、私、被災地のボランティアに行ったときに、N95のサージカルマスクをつけて作業していたんですけれども、終わったら、いろいろな粉じんとかで口と鼻の中が真っ黒になっていたんですね。サージカルマスクをやっていても真っ黒になる。

 それを踏まえても、建設アスベスト問題について、屋外だから換気されているからオーケー、補償の対象外ですと本当に言えますでしょうか。大臣の率直なお気持ちをお聞かせください。お願いします。

福岡国務大臣 石綿にさらされる建設業務に従事した労働者の健康被害につきましては、最高裁判決等におきまして、国が労働安全衛生法に基づく権限を行使しなかったことは、同法の目的に照らして著しく合理性を欠くものであるとして、国の責任が認められたものでございます。

 これを踏まえて、議員立法により、いわゆる建設アスベスト給付金法が令和三年六月に制定され、最高裁判決によって国の責任が認められ、特定の時期に石綿の吹きつけや屋内の建設作業に従事したことにより石綿関連疾病にかかったことに対して、労働者等を対象に給付金の支給を行っているところでございます。

 御意見ありましたように、屋外の建設作業従事者及び対象期間外に作業に従事した労働者等につきましては、最高裁判決でも国の責任は否定されておりますことから、給付金の支給対象とすることは、当該法の趣旨からは困難ではないかというふうに考えております。

 厚生労働省としては、今後とも同法の適切な執行に努めてまいりたいと考えています。

八幡委員 ありがとうございます。

 建設作業従事者の就労時期によって救済に差を設けず、屋内外の全ての建設作業者を対象にして、解体の作業者も含めて、差別することのない法の救済対象を私たちは求めていくべきだし、こちらの給付金の法改正についても、何とか党派を超えて議員立法で実現していきたいなと思っているんですが。

 なぜ冒頭、このアスベストの問題をやったかというと、やはり労働者の安全とか健康とかというのは、その時々で全然違うと思うんです。だから、一概に法律の文章に当てはめてとかということではなくて、やはり一番大事なのは現場の声だと思いますので、その辺り、柔軟に法改正、これから審議されていきますけれども、やはり現場で働く人たちの声を聞くということが大事だということを申し伝えて、次の質問に行かせていただきます。

 れいわ新選組の基本政策として、労働基準監督署の予算と人員を拡充しようということは最初に入れ込んであるんですけれども、現在、厚労省が二〇〇八年に技官、労働安全衛生分野の専門職の採用を停止したので、地方労働基準行政に配置された技官さんたちが急速に減少していると言われております。

 この技官の採用を何で停止したのかというと、二〇〇六年六月三十日の閣議決定、国の行政機関の定員の純減に基づくとの指摘がされておるんですが、要は、公務員を減らしましょうという流れですよね。これを受けて技官さんの採用をやめているとも受け取れると私は思うんですけれども。

 今回、この法案を審議するためにレクチャーを頼んで厚労省の方に来ていただいて、どういった法改正なんですかと聞いたときに、やはり印象に残ったのが、機械とか製造許可申請の審査、安全にその機械が使われるのかどうかという審査を自分たちがしないといけない、行政の人たちが、これがもう負担になっているんだ、これを専門の知識を持った民間の人たちに委託することによって現場負担を軽減することも今回の目的なんだと聞いたときに、いやあ、それは大変ですねと私は言ったんですよ。こんなの、だって、公務員の人たちが機械の調査までするんですか、それは大変ですねと思ったんですけれども。

 そもそも、技官をそのまま採用し続けていればいいわけであって、民間に委託するということ、これはやはり、れいわ新選組としては、民間に依存していくというところは、ちょっと違うんじゃないかなと思っております。

 何でなんですかといって聞くと、指導監督業務と安全衛生業務との関連が相互に増大したから、技官の採用をやめて労働基準監督官の採用に一本化したんだというんですけれども、結局、それでも人手不足が解消されたわけではないんですよね。

 まずは確認なんですけれども、厚生労働省が二〇〇八年に技官の採用を停止したからこそ現場が疲弊しているんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。お願いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、労働基準行政を担う現場の必要な体制確保は重要であるという認識は私どもも持っております。

 その上で、安全衛生業務に関します専門性を有する職員につきましては、現在、理系の試験区分で採用された労働基準監督官を中心に、中長期的に育成していくという考え方を取っているところでございます。これは、先ほどもございましたが、安全衛生分野の監督指導業務と安全衛生に関する技術的な指導を行う安全衛生業務との関連が相互に増大しておりますことから、従前行っておりました技官の採用から労働基準監督官の採用に一本化をしたものでございます。

 また、人材育成につきましては、特定機械等の検査等の業務に従事する職員は、安全衛生部署に所属する職員の中から、研修機関での座学や実機による実地研修の受講、所属長や上司による検査結果の確認等によるOJTにより育成してまいりました。また、労働局で製造許可等に従事する職員については、理工系の知識を有する職員に追加の座学及び実地研修を実施しているところでございます。

 効果的な指導を行う観点から、引き続き、現在の採用の枠組みの下で、安全衛生業務に必要な専門性の確保を図れるよう、人材の確保と育成に取り組んでまいりたいと考えております。

八幡委員 当然、何もやっていないと言うてるわけではなくて、様々工夫されて人を集めているというのは、私も資料を、採用の人員の推移を全部見させていただいたんですけれども、増えてはいるんですよね。

 それはすごく大切なことなんですが、その中でも民間に頼らざるを得ないというところで、その考えというのは理解はできるんですけれども、やはり実務経験というところでいくと、民間に頼ってしまってもいいとは思うんですけれども、ちゃんとある人とない人というか、差があると思うんですね。特定機械、ボイラーやクレーンなんですけれども、やはり製造許可とか検査というのを全部民間に任せてしまうというのは、普通に考えて、ちょっと危険じゃないかなというのもあります。

 というのも、登録制の検査機関というところに行政処分をされている、ちゃんとやらなかった業者があったということで行政処分の過去もありますし、あと、やはり安全衛生分野における専門性を継承させるために、国の安全衛生専門技官、国がそういう人たちをちゃんと育成して育てるべきだと私たちは考えております。なので、技官の採用及び育成、直ちに再開すべきだと訴えさせていただきます。

 安全に関する許可、検査、これは改めて大臣に聞きたいんですけれども、やはり民間任せにせずに、公務員が実施すべき、ちゃんと責任を持って国が育てていく、国が安全性を確保するためにその人員を育てる、もう民間には任せないと私は考えるんですが、大臣、いかがでしょうか。お願いします。

福岡国務大臣 今回の法案におきましては、設計審査であったり製造時等検査に求められる知識経験が専門高度化していること、十分な知識経験を持つ民間検査機関が存在することを踏まえ、設計審査等を専門性の高い民間検査機関が担う仕組みを整備することとしております。

 同時に、行政職員が事業者への指導など権限行使を含む行政ならではの役割に注力できる環境を整えることで、より効果的に災害の防止、減少を図ってまいりたいというふうに考えております。

八幡委員 でも、ここでいろいろやり取りはしていますけれども、一番大事なのはやはり労働者の安全ですからね。それが民間でうまくいくんだとおっしゃっているんですけれども、ちょっと頭の片隅にでも、やはりそういった安全というのは国がちゃんとやらなあかんのちゃうかなという、私たちれいわ新選組は積極財政で公務員を増やせという側なので、今の流れの公務員を減らせというのとは違うというところを念頭に置いて質問を続けさせていただくんですが。

 続いて、高齢者の労働災害防止の推進というのも今回の法案に入っております。

 高齢者の労働者の労働災害の防止を図るため、その特性に配慮した作業環境の改善、作業管理、そのほかの必要な措置を講ずることを事業者の努力義務とすると書いてあるんですけれども、厚生労働省は二〇二〇年に高齢者の労災防止に向けた指針を作成して、そして、企業に働き手の健康状態の把握とか、あと職場の例えば階段とかの差をなくすとかスロープを設置するとかという対応を呼びかけているんですが、取組が広がっているとはやはり言えないと思うんです。なので、今回の法改正にこの文章が入ってきたと思うんですけれども。

 直近の厚労省による調査によると、約七千八百社で対策を講じたのは一九%にとどまったんですね。私、これを何か強制的にやれというのは、またちょっと違うと思うんですよ。だって、企業側からしても、高齢者の方に来て働いていただく、そのために対策をしたいんだけれども、その対策をするお金がないねんという人たちはいっぱいいる。お金と、あと余裕ですね。そういう推測がされるので、全員にこれをさせろというのは違うとは思うんですが、どうしてもやはり後回しになってしまいます。

 事前レクチャーで聞いたんですけれども、これらに対応するために補助金がありますと聞いたんですけれども、今年度予算で七・六億円なんです。何か、まあそこそこついているなと思うんですけれども、対象になるであろうとされている中小企業でいくと一千二百社、一千二百社で割ると、大体一社当たり六十三万円ちょっとなんですよ。六十三万円ちょっとで、そんなスロープをやったり階段をなくしたり、そんなんできるかなという疑問もあるので、やはり、ここの予算の措置、補助というものもしっかりしていただきたいなと思うんです。

 そのほか、これらの措置も含めて、企業への支援策などがあればお知らせください。お願いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 今回の法改正によりまして、高年齢労働者の労働災害防止のため必要な措置を講ずることを事業主の努力義務として法律に位置づけることによりまして、事業主の取組を一層進めていただくことを期待しているものでございます。

 その上で、必要な対策でございますが、厚労省で定めておりますガイドラインでは、高年齢労働者の特性を考慮した作業管理としていろいろ挙げているところでございますが、その中には、ゆとりのある作業スピードにすることですとか、無理のない作業姿勢となるように作業手順を見直すこと、あるいは、重量物を小分けにするなどによって作業負担を軽減するなどといった取組も紹介しておりまして、高齢者の方のための作業改善、作業環境改善といいましても、必ずしもお金のかからないようなアプローチも様々ある、こういったことも周知をしてまいりたいと思います。

 その上で、当然、ハード面での整備に関しては、やはりお金がかかる部分もございますが、これに関しては、御指摘いただきましたエイジフレンドリー補助金、令和七年度予算では、従来と比べましてより補助率の高い、補助率五分の四の新しいコースも創設をしておりますが、こういったものを活用していただきながら、ハード面、ソフト面、併せて取組を促進してまいりたいと考えております。

八幡委員 引き続き取り組んでいただきたいんですが、自分で聞いていて自分で言うのもなんなんですけれども、やはり何か、高齢者が働かないといけない世界というのが、ちょっとこれも異常なのかなというのは、私も自分で今回いろいろ勉強しながら思いました。

 やはり、私のイメージでは、七十歳以上だったらもう縁側でお茶を飲んでゆっくりするのかなと思いきや、七十歳以上がばりばり働いていらっしゃるわけじゃないですか。お金がかからずに、何か負担のかからない働き方をとかといって、そんな世の中でいいのかなというのを、改めて厚労委員会でこうやって質問させていただいて考えるきっかけになりました。

 ということで、時間もないんですけれども、この労働安全衛生法なんですけれども、まだまだ突っ込みどころがたくさんありますので、引き続き、この委員会で質問したいと思います。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、田村貴昭君。

田村(貴)委員 日本共産党の田村貴昭です。

 労働安全衛生法について質問します。

 今回の改正では、事業場に個人事業主等が混在する際に、労災防止のため、作業間の連絡調整等の措置を義務づけるとされています。これは、建設アスベスト訴訟の最高裁判決を受けての必要な措置であります。

 一方で、実態としてある個人事業主に対して、安全衛生上の必要性を超えた指示が行われる可能性があります。労安法が新たに義務づけた指示だとしてです。

 従来、偽装請負が問題となっていた運送業や倉庫業なども法改正の対象となります。偽装請負への監督が難しくなるということが予想されるんですけれども、この対策は立てておられるでしょうか。

福岡国務大臣 元方事業者等が現場で作業する個人事業者等に対して直接指示を行う場合でありましても、それが安全衛生関係法令で義務づけられている安全上の指示であるような場合には、直ちに労働基準法上の労働者性を肯定する方向に働く事情とはならず、偽装請負と判断されるものではないと考えられます。

 しかし、個人事業者等に対して、法令の遵守や労働災害防止に必要な範囲を超え、作業内容や作業の遂行方法について具体的な指示を行う場合は、労働者性や偽装請負への該当性が高まることとなります。

 御指摘ありましたように、この線引きが分かりにくいというような課題がありましたことから、安全上の指示と労働者性、偽装請負との関係についての基本的な考え方であったり留意事項を整理した通達を本年三月に発出したところでありまして、関係団体等を通じて周知を図ってございます。

 改正法案を隠れみのにした不当な指示等が行われることがないように、労働局、労働基準監督署において、既存の判断基準であったり通知に照らし、労働者性が認められ、労働安全衛生法の違反が認められる事案や偽装請負が認められる事案に対しては、是正を指導してまいりたいと思います。

田村(貴)委員 しっかり対応していただきたいと思います。

 続いて、建設労働者の処遇改善、賃上げについて質問します。

 全産業と比べて賃金が一五%低い一方で労働時間は長いために、建設業は担い手の確保が困難となっています。昨年、必要な担い手の確保を目的とする担い手三法が成立し、建設業及び工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律の改正によって、建設労働者の処遇改善に取り組むことが定められたところであります。

 重要なのは、何といっても賃上げであります。資料一を御覧ください。中央建設審議会が、これは国交省の資料ですが、労務費の基準、標準労務費を作成、勧告するとしてあります。この右の方には、労務費確保のイメージという図が載っています。

 今日は、国交省の高見政務官にもお越しいただいております。お尋ねします。

 この標準労務費というのは、賃上げをもちろん目的とするんでしょうね。そして、この右の図にあるように、下請、孫請、それ以降も標準労務費は維持される、そういう理解でよろしいんでしょうか。

高見大臣政務官 お答えいたします。

 標準労務費制度ですけれども、適正な水準の労務費が、公共工事、民間工事を問わず、受発注者間、元請、下請間、下請同士の全ての段階で確保されて、技能労働者に適正な賃金が支払われることを目指す新たな仕組みでございます。

 ですので、委員御指摘のいわゆる重層下請のような状況においても適用される制度であります。

田村(貴)委員 設計労務単価が十三年連続引き上げられた。しかし、現場で下請に入っている建設労働者にとってみたら、その実感がない、賃上げしている感じがないと。そして、資材が今高騰して大変だという状況にある。共通の認識があります。

 標準労務費は、実質的な賃金が上がっていない、こうした問題をクリアできるんでしょうか。設計労務単価との関係についても説明をしていただけないでしょうか。

高見大臣政務官 標準労務費制度は、適正な水準の労務費が、公共工事、民間工事を問わず、受発注者間、元請、下請間、下請同士の全ての段階で確保され、技能労働者に適正な賃金が支払われることをまさに目指すものであります。

 この標準労務費につきましては、今、国の中央建設業審議会に設けました労務費の基準に関するワーキンググループにおきまして、今委員おっしゃいました公共工事設計労務単価を基礎として計算された水準で作成する方向で今検討しているところであります。

 現場の技能者の方々の賃上げの実現、非常に、極めて大事だと思っております。その実現に向けまして、受注者、注文者の双方に標準労務費を踏まえた価格交渉を促すなど、制度の適切な運用を図ってまいります。

田村(貴)委員 ワーキンググループで論議をされているということなんですけれども、この標準労務費は、今年、いつの段階で示され、そして勧告される予定になっているんでしょうか。国交省、分かりますか。

堤政府参考人 お答えいたします。

 この標準労務費制度につきましては、今年の十二月に施行する予定でありますので、その前、十一月あたりをめどに示したいと考えてございます。

田村(貴)委員 目指す目的は非常に大事で、是非実現していかなければならないと思います。

 一方で、重層下請構造の建設業界において、下請建設労働者は、工賃を引き上げてほしいとなかなか言えないですよね。それから、適正単価を求めづらいという長い間の慣習の中で耐えてきたところであります。

 私は福岡県なんですけれども、福岡県建設労働組合にお話を聞いたら、例えば、ゼネコンの下請に入っている型枠の大工さん、一人親方は、第一次下請の会社に対して見積りなど、とても言い出せないと言っているということです。ある程度仕事をやる段階で発注書が来ると。これは型枠だけではなくて、鉄筋でも、とび職でも、そういう状況があるというふうに伺いました。長年の見積慣行の打開が求められると思います。

 こうした問題についてどういうふうに進めていこうとしているのか、お答えください。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

堤政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、特に一人親方を始め下請業者の中には、見積書を提出する習慣がない、あるいは見積書を受け取ってもらえないという声があることも承知しております。しかしながら、適正な労務費を確保するためには、受注者、注文者間できちんと見積書の提出、受取がなされ、その上で、見積書に標準労務費を踏まえた内訳が明示されることが重要となってまいります。

 このため、中央建設業審議会の労務費の基準に関するワーキンググループにおきまして、注文者側の代表者にも参画していただきながら、労務費を内訳明示した見積書の普及方策について議論をしているところでございます。

 具体的には、例えば、注文者は下請業者から見積書を受け取って、その内容を尊重すべきであるということを標準労務費制度の運用に当たり明確に示すことですとか、簡易な見積書のひな形や作成手順を国が示すなど、一人親方等の見積慣行のない主体にも活用いただけるツールを提示することなどについて検討しているところであります。

 引き続き、受注者、注文者、双方の間で見積書を提出、尊重するという商慣行が構築されるよう、官民一体となって取り組んでまいります。

田村(貴)委員 改正法の実効的確保として、建設Gメンによる監視体制の強化が書かれています。資料二を御覧ください。

 建設Gメンが監視体制を組んでいくというんですけれども、この建設Gメンそのものの人員は何人おられるんでしょうか。全体、それから、私は九州なので九州地方整備局、こうしたところについて、数字が分かればお答えください。

 それから、建設労働者に標準労務費が適用されるように、この建設Gメンというのは、発注する企業の方に是正とか指導の役割を果たすということの仕事となるのか、それについてもお答えいただきたいと思います。

堤政府参考人 お答えいたします。

 建設Gメンは、請負契約の締結状況等を調査し、必要に応じて建設業者に対する是正指導等を行っておりまして、これにより取引の適正化を図っているものでございます。

 改正建設業法による標準労務費制度が施行された後には、建設Gメンが標準労務費を著しく下回る労務費となっていないか等についても調査をし、労務費の行き渡りを図ってまいります。

 体制につきましては、令和七年度現在、建設Gメンは百四十八名おりまして、建設Gメンの職務をサポートするために配置予定の補助員十名を含めますと、百五十八名となります。

 九州地方整備局については、建設Gメン十九名、補助員一名でございます。

田村(貴)委員 建設Gメンの役割は非常に大事です。ただ、あまたある建設現場において百五十八名では、寂しいな、少ないなという思いがあります。

 そこで、現場からの情報、それから告発、これは非常に大事になってくると思うんですけれども、こうした現場から、ピンはねされた、あるいは標準労務費が達成されていない、そういう情報とか連絡に対しては即応する体制になるんでしょうか。

堤政府参考人 お答えいたします。

 体制につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、実際の運用について申し上げますと、令和六年度から書面調査を大幅に増やしておりまして、そこで得られた違反疑義情報ですとか、建設現場で働く方々から駆け込みホットラインに寄せられた通報等を有効に活用して、違反のおそれが高い事案を優先して実地調査を実施するなど、効果的、効率的な調査のための工夫を行っているところでございます。

 引き続き、建設Gメンによる調査の運用状況を踏まえながら、都道府県許可部局と連携した指導監督の実施や、建設産業行政に携わる他の職員の活用など、必要に応じ、体制の強化に努めてまいります。

田村(貴)委員 高見政務官、建設労働者が、今度の担い手三法、そして標準労務費、今までの慣行を打ち破って、そして次の建設業を支える担い手を確保できるように、相当期待感があります。これが実施されるように、しっかり取り組んでいただきたいと強く要望させていただきたいと思います。

 最後に、労働者の安全対策、熱中症対策についてお伺いします。

 四月なんですけれども、最高気温が三十度超えの真夏日を観測しており、早い段階からの熱中症対策が求められます。

 労働安全衛生規則の一部を改正する省令が六月一日に施行されます。熱中症のおそれがある作業者を早期発見し、迅速に対処することとして、その環境として示されているのが、暑さ指数二十八度又は気温三十一度を超えた作業場で、継続して一時間以上又は一日当たり四時間を超えることとされています。

 しかし、幾ら暑くても、人手不足、工期や納期との関係などで、継続して一時間以上、一日四時間を超えて作業することはざらであります。どうやって事業者への三つの義務を進めていくのでしょうか。

井内政府参考人 今回、事業者に義務づける措置は、電話等による報告や責任者等による作業場所の巡視、熱中症のおそれがある作業者の早期発見のための体制整備、作業離脱をする、させる、救急隊を要請する等、熱中症の重篤化を防止するための措置の実施手順の作成、事業場の見やすい箇所への掲示やメール等の送付等、これらの体制及び手順の関係作業者への周知でございます。

 これらの措置は、熱中症の重篤化による死亡災害を防止するために必要なものであり、WBGT二十八度又は気温三十一度以上の作業場において、継続して一時間以上又は一日当たり四時間を超える作業を行う場合には実施していただくべきものと考えております。

 作業そのものを禁止するわけではございませんので、建設現場に当たっては、事業場の実情に応じて個別の対応というのを考えていただく、講じていただくというふうに考えております。

 六月の施行に向け、今般の省令改正の内容を正しく周知し、事業者に適切に取り組んでいただけるように進めてまいりたいと思っております。

田村(貴)委員 時間が来ました。

 予防対策を含めて、大きな支援をしていただくようにお願いして、質問を終わります。

長坂委員長代理 次に、浜地雅一君。

浜地委員 公明党の浜地雅一でございます。

 私は、まず冒頭、ILO基本条約の点について一つ質問をしたいと思っております。

 今回の法律の改正が行われますと、一つには、今回、業種を問わず、労働者や個人事業者が混在するような作業場所におきましては、作業間の連絡調整等が必要的な義務として位置づけられることになりました。これに従いまして、資料一でも示しておりますとおり、ILO条約、百五十五号条約、これが、いわゆる国内整備法として今回法律が成立すれば、措置されることになるわけでございます。あとは、外務委員会でこの基本的な法律がまた審議が進めば、晴れて批准という形になるわけでございます。

 ILOの総会が恐らくジュネーブで、五月ですか六月ですか、行われると思いますので、そのとき、政務が恐らく行かれると思います。この百五十五号の条約が批准になるのか、若しくはなっている、国会審議にもよりますけれども、しっかりと国際社会にアピールをまずしていただきたい、そのように要望をしておきます。

 その上で、実は、ILO基本条約、十の条約があるわけでございますが、百五十五号は、今申し上げましたとおり、批准となるであろう、法案が成立すれば。しかし、もう一つ実はILO基本条約の中で日本が批准できていないものが、この黄色の上の方、百十一号という形になります。これは雇用及び職業についての差別待遇に関する条約ということでございますが、まず、この条約の基本的な中身と、なぜ日本が現在までこの条約が批准できないのか、その理由についてお答えをいただきたいと思います。

秋山政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのILOの第百十一号条約でございますが、この条約は、人種、皮膚の色、性、宗教、政治的見解、国民的出身又は社会的出身、こういった七つの事由に基づきます雇用、職業における差別待遇の除去を目的とした条約でございます。

 この条約の批准につきましては、重要性は認識してございます。他方、公務員の政治的見解の表明の制限に関する規定のほか、就業、労働条件について性に基づく差異を設ける規定などの国内法令との整合性を確保する必要があると考えております。

 したがいまして、引き続き、この条約を批准する上での課題につきまして、関係省庁とともに慎重な検討を進めてまいりたいと思っております。

浜地委員 今御答弁がありましたとおり、公務員の政治的見解の表明に関する制限。我が国では、国家公務員法で、公務員の政治的行為の制限があります。詳しくは人事院規則で様々定めておるわけでございまして、これはなかなかハードルが高いんじゃないかというふうに思っています。

 むしろ、諸外国が、公務員について、政治的な見解の表明、これについていわゆる日本より緩い規制を持っているわけでございますが、これについても、逆に、我が国のやはりこれまでの歴史、公務員の政治活動に対する様々な判例等による積み重ねがございますので、ここはなかなか難しかろうと思います。

 ですので、ILOの総会に行かれますと、百五十五号は批准したという話になるんですが、じゃ、逆に、百十一号はどうなっているんだという話にも恐らくいろいろなところでなろうかと思いますので、しっかりと日本の立場を説明をして理解を求めていただきたいな、そのように、福岡大臣はちょっといらっしゃいませんが、政務の皆様方にも、また厚労省の皆様方にも、しっかりと国際社会に我が国が批准できない現在の課題を分かるように御説明をしていただきたい、そのように御要望をさせていただきたいと思います。

 続きまして、ストレスチェックに行くはずだったんですが、大臣が参議院の本会議に行かれましたので、ちょっと質疑の順番を変えます。

 化学物質について質問をしたいと思っております。

 化学物質につきましては、いわゆる化学物質を譲渡する際に、譲り渡す者が、危険性、有害性を示した安全データシート、SDSを交付することになっております。その中の、今回の改正の中身の一つとして、化学物質の成分名が営業機密である場合には、代替化学名等の通知を認めることとしております。

 化学物質の危険性、有害性は、確かに、営業秘密があるといっても、やはり労働者の安全を守るためには、しっかりとこれが、ある程度分かる形が必要だと思っています。特に、危険性、有害性は、化学物質に応じて様々なグラデーション、濃淡があろうかと思っておりますので、今回、代替名通知の対象となる化学物質はどの程度の危険性、有害性を持つ物質なのか、具体的なイメージがつくように御答弁を求めたいと思います。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

井内政府参考人 今般の改正案では、化学物質の成分の情報が譲渡者等の営業秘密情報である場合に、有害性が相対的に低い化学物質に限って、成分名について代替化学名の通知を認めることとしております。

 例えば、急性毒性の有害性を持つ物質は、有害性が最も高い区分一から、最も低い区分四までございます。このうち、最も低い区分四についてのみ、代替化学名等の通知を認めることとしております。

 また、急性毒性のうち、代替化学名等の通知が認められない区分一から三の物質が延べ約千四百物質ある中で、区分四として代替化学名等の通知が認められる物質は延べ約七十物質に限られているものでございます。

 この七十物質のうち、例えばでございますが、美白系サプリメントなどに含まれるLシステインというのが該当しております。このLシステインについては、サプリメントとして用法、用量を守って使用する場合には、濃度が低く、健康への有害な影響は考えにくいのでございますが、製造時に大量に暴露した場合等に健康への影響があるということで、区分四ということになっております。区分四というのは、そういったものでございます。

浜地委員 ありがとうございます。

 今、健康食品を使っての御答弁がありました。ちょっと私も、大分イメージが湧いたところでございます。しかも、区分四というところで、一番有害性が低い分類にこれを認めるということでありますので、ある意味、バランスの取れた規制かなというふうに今理解したところでございます。

 続いて、化学物質につきましては、個別の規制から、いわゆる自律的管理、譲渡される者がSDSを交付し、そして、それを受け取った使用者が自らしっかりと管理をしていくということに移行していくわけでございます。

 また、今後もこの規制対象物質は拡大していく予定でございますので、中小企業も含めて、自律的な管理というものに対応できなければなりません。しかし、中小企業が自律的管理に対応できるように、やはり私は、一定の国としての支援、これが必要だろうと思っておりますが、この点についてどのようにお考えか、御答弁をいただきます。

井内政府参考人 化学物質の自律的管理の対象となる化学物質が、令和八年四月には約二千九百物質に拡大されることが予定されており、中小事業者や製造業以外の業種にも、広くリスクアセスメントやその結果に基づく暴露防止措置の実施が求められることとなります。

 こうした業種等への支援といたしましては、取るべき対策を簡潔にお示しした業種別、作業別マニュアルや、保護具の選定マニュアルを策定、また、事業者の疑問に電話やメールで相談に応じることができる相談窓口の設置、リスクアセスメント等の実施や、保護具の使用方法等を解説した動画教材やQアンドAの公表等の取組を行っております。

 こうした取組を通じ、中小事業者におきましても適切な対応が講じられるよう、取組を更に進めてまいりたいと考えております。

浜地委員 ありがとうございます。

 特に中小企業者は、自律的管理ですから、これを怠った場合に、結局労働者に重大な結果が起きてはなりませんので、しっかりと先ほどの取組が周知されるように、是非図っていただきたい、そのように思います。

 では、最後の項目に参りますが、先ほどから、委員の皆様方、ストレスチェックの質問をるるされておりました。

 本当は福岡大臣に、何か福岡大臣は、厚労省が推奨しています職業性ストレス簡易票、これを自分も行ったという答弁が参議院でありましたので、その感想を聞こうかと思いましたが、もう既に本人はいらっしゃいませんので、質問を飛ばしたわけでございます。

 私自身も、実はこれをやってみました。特にCのところが大事だなと思ったのが、資料二に実はつけているんですけれども、自分自身の健康状態とかよりも、Cは周りの状況が必要であります。上司に気軽に話ができるかとか、職場の同僚がそういう人がいるかとか、頼りになるかとか、上司とか同僚がということで。ちなみに、私の場合は、上司、職場の同僚のところは点数が低かったということでありますので、党内で嫌われているのかなと一瞬思いましたが、大事なのは、配偶者や家族、友人にいろいろな話ができるかということでありまして、こういったものも一つやはりストレスの要因になっているんだなというふうに思いました。

 逆に、そうなると、企業側としては、上司や又は同僚との関係ということを聞かれておりますので、これが改善をできないと、例えば、職場環境の安全配慮義務に反したということで、当然、労災認定に至るケース又は訴訟で損害賠償も認められるケースになろうかと思っています。私が経営者だったら、特に小規模企業の経営者でありましたら、この質問、逆に怖いなというふうに思う。これを間接事実というか証拠として、様々、いろいろな紛争に使われるんじゃないかなというふうに、ちょっとうがった見方で私は思ってしまいます。

 そうなりますと、今回、五十人未満の事業所にも、ストレスチェック、義務づけとなりますが、果たしてこれがまずしっかり行われるのかという私の疑問と、それと、ストレスチェックを行っても、実際は、職場改善に資するもの、改善されなければ意味がないんですが、小さい企業というのはなかなか配置転換とかも難しいと思いますが、この実効性の担保についてどのようにお考えか、最後に御質問をさせていただきます。

井内政府参考人 ストレスチェック及び医師の面接指導の実施による自身のストレスの状況への気づきを得る機会は全ての労働者に与えられることが望ましく、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することの重要性は、事業場規模にかかわらないものと考えております。

 ストレスチェック制度は、実施した結果、高ストレスの方が医師による面接指導を受け、さらに、面接指導の結果を踏まえた業務内容の見直しなどの就業上の措置につながることが有用と考えております。加えて、個人が特定されないよう集団分析を行い、職場環境の改善につながることが重要となっております。

 事後措置や職場環境改善の実施に当たりましては、事業場の実情に応じた対応を取っていただくこととなりますが、小規模事業場におきましては配置転換が難しい場合があるなど、大規模の事業場に比べ、現実的に取り得る措置に制約があることが考えられます。他方で、例えば、労働者の意見を聞きながら、仕事をしやすくなるよう、作業場所の環境を改善する、職場でのコミュニケーションを改善する、過大な作業量を見直す等の取組になるきっかけということも想定されているところでございます。

 今後、五十人未満の事業場でストレスチェックを実施するためのマニュアルを作成することとしておりますので、その際に、関係者や専門家の意見を伺いながら、小規模事業場の実情を考慮した事後措置や職場環境改善の方法についても検討し、実効性のある方法というのを取ってまいりたいと考えております。

浜地委員 時間でありますので、終わります。ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、森下千里君。

森下委員 質問の機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。自由民主党、森下千里です。

 今回の労働安全衛生法の一部を改正する法律案について、幾つか御質問させていただきます。

 この法律は時代とともに何度も改正をされてきておりますが、それだけ働き方が変わったり、労働者の年齢や性別が変化していることも大きく関係しているのではないかなと感じております。

 さて、そんな中でありますが、今回の法改正で、個人事業者を労働安全衛生法の保護の対象に取り込むこととなりましたが、早速ですが、どのような意義があるのかお伺いしたいということと、また、保護の対象になることで事業者サイドへの御負担が増えるといったことなどを理由にし、例えば個人事業者側に対する仕事の発注が減るなどというケースが想像されるのかどうか、その辺りも踏まえて御見解をお伺いしたいと思います。

安藤大臣政務官 どうもありがとうございます。

 ちょっと車椅子なので、着座にてお話をさせていただけることをお許しいただければ幸いです。

 今回の改正により、個人事業者等が労働者と同じ場所で混在作業を行う場合には、元方事業者による統括管理等の対象に個人事業者等が含まれることとなり、連絡調整などの措置が対象になります。

 建設現場において、現在も、個人事業者等も含めた連絡調整等の措置は実態として行われている場合が多いのですが、今回の改正により、法律上、義務として位置づけられることにより、元方事業者や関係請負人の認識が高まり、取組の実効性も高まることが期待できます。

 これにより、例えば、建設現場の一人親方や機械を持ち込んで作業を行う個人事業者にとっては、現場の危険箇所がどこにあるのか、他の作業者が危険な機械を運転する時間帯がいつなのかなどをあらかじめ認識することとなり、連絡不足等が招く災害の防止につながることから、労働災害のみならず、労働者と同じ場所で就業する個人事業者等も含めた現場全体の安全衛生水準の向上に資するものと考えております。

 なお、御指摘の発注控えについては、先ほど申し上げたとおり、今回の改正による措置は、現在も実態として多くの現場において行われているものでありますから、元方事業者の過大な負担になるものではなく、個人事業者等に対する仕事の発注に直接の影響を及ぼすものではないと考えております。

 以上でございます。

森下委員 ありがとうございます。

 本当に働く方々のコミュニケーションというのは大変に重要だなと、私自身も日頃から感じているところでございます。

 今回の改正によって、注文者側では、作業間の連絡調整、まさに今おっしゃっていただいたとおりだと思いますが、措置対象に下請の個人事業者を含めることになりますと、個人事業者の側でも、使用する機械の自主点検を行うことや危険有害業務に就く際の特別教育、これを受講すること等の義務を負うことになりますが、まさに労働者の方が現場に行って準備ができておりませんでしたということがあってはならない、そういったところから、円滑な施行に向けて現場への周知をどのように進めておられるのか、具体的にお伺いしたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 まず、連絡調整に関しましては、今回の改正で、個人事業者等が労働者と同じ場所で混在作業を行う場合に、元方事業者による統括管理等の対象に個人事業者を含めていただき、連絡調整などの措置の対象とすることとしておりますが、この点は、現在でも建設現場におきましては、実態としては朝礼に一緒に入るような形で行われておりますので、引き続きその周知、指導に努めてまいりたいと考えております。

 またほかに、今回の改正では、個人事業者等に対し、危険有害な機械や業務による災害の発生を防止するため、機械の定期自主検査や特別教育の受講を義務づけることとしております。これについては、新たに個人事業者等にこれに対応していただくようにするためには、現場に持ち込む機械等が構造規格や安全装置を備えているか、作業に必要な教育を受講されているかを注文者の方に確認をしていただく、こういったことが重要になると考えております。これらの状況を注文者が確認することが望ましい旨をガイドラインにより明らかにすることなどによりまして、その周知に取り組んでまいりたいと考えております。

 またほかに、加えまして、労働安全衛生法では、元方事業者に対して、請負人の労働者が請け負った仕事に関して労働安全衛生法令の違反をしたと認めたときには、元方事業者から是正のために必要な指示を行っていただく、こういう義務を課しております。

 今回の法案では、この指示の対象に個人事業者も追加することとなりますため、個人事業者による法令違反があった場合には、元方事業者に同様に対応していただくことになります。このことについても、元方事業者に対する周知や指導に努めてまいります。

森下委員 ありがとうございます。是非よろしくお願い申し上げます。

 さて、今回の法改正によって、労働者と同じ場所で作業する個人事業者の方もこの労働安全衛生法の保護対象になるということになりました。その一方で、労働者と異なる場所で作業する個人事業者が法案に入っておりませんので、今後の課題になるんだというふうに思います。

 働くという意味では、個人事業者であっても、場所、環境が違うというだけであっても、そのままでいいわけではないというふうに感じますので、是非ともこれは、厚労省としてどのように今後対策というか取組を進めていくのか、お聞かせ願いたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案では、労働者と同じ場所で作業に従事する個人事業者等を法律に基づいて保護などの対象にしておりますが、これは、令和三年五月の建設アスベスト訴訟の最高裁判決の趣旨をこの法体系に生かしていく、こういう考え方からこのような仕組みとしているところでございます。

 一方で、御指摘のとおり、労働者と別の場所で作業する個人事業者につきましては、仕事を注文する方の、注文者の管理下にない異なる場所において従事していること、また、労働契約に基づく指揮命令関係もないことといった相違がありまして、なかなか同じように扱うことは難しいというふうに考えた次第でございますが、個人事業者等が異なる場所で就業する場合でも、注文者が例えば作業場所を指定するなど、注文内容が作業上の安全衛生に影響を及ぼす場合もありますことから、労働安全衛生法に基づきまして、注文者に対して、施工方法や工期などについて、安全で衛生的な作業の遂行を損なうおそれのある条件を付さないような配慮というのを求めている規定がございます。

 こういった規定の運用を通じまして、事業所管官庁や関係団体とも連携しながら、異なる場所で働く個人事業者等についても、今の仕組みでできることについて周知啓発に努めてまいりたいと考えております。

森下委員 ありがとうございます。

 本当に個人事業者の方も多くなったなというふうな印象があります。私自身も長く個人事業者として働いてまいったので、本当に、保護対象に入っていないという意味で、例えば労災だったり保険だったり、そういった形で不安に思うことは確かにありました。個人だからこそいいこともあるんですけれども、その一方で、やはり不安を解消していけるような取組を進めていきたいなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、先ほどから質問にもありましたが、ストレスチェックについて伺いたいと思います。

 今のこの現代で、ストレス時代と言われますので、働く方でストレスを感じられていない方、ここにいる方もおられないのではないかななんというふうに思うわけですが、ただ、自覚しているかしていないかというのは大きく違うなというふうに思います。

 とはいえ、一生懸命働いていますと、自分がどこでストレスを感じているのか分からない、又はストレスを感じていないというふうに思う方もおられます。私も、先ほど先生方からありましたストレスチェック、自分でも簡易的にやりましたが、なかなかこれは答えにくいななんというふうに思いながらやっておりました。

 やはりストレスを放置していくということは大変によくないことだなと思うその一方で、今回の改正によって、ストレスチェックの実施義務、これを労働者五十人以上の事業場から全事業場へと広げることになりましたので、まずこの背景についてお伺いしたいと思います。

井内政府参考人 精神障害の労災支給決定件数が令和五年度には八百八十三件と過去最多で、五十人未満の小規模事業場においても多数発生しており、メンタルヘルス対策は事業場規模にかかわらず課題となっております。

 ストレスチェック制度は、高ストレス者に対する医師の面接指導と相まって、労働者が自身のストレスの状況への気づきを得る機会となるものであり、こうした機会は小規模事業場の労働者であっても与えられることが望ましいものと考えております。

 このようなことから、労働政策審議会におきまして労使にも御議論いただいた上、今般、ストレスチェックの実施義務の対象を五十人未満の事業場に拡大するものとなったものでございます。

森下委員 ありがとうございます。

 より多くの方に自分のストレスを自覚していただく、分かっていただくということは大変重要だなと思います。

 とはいえ、小規模な事業所でありますと、やはり人間関係だったり、先ほどもありましたが、配置換えというのも大変に難しいかな、自分の意見を言ってどうなるものでもないかななんというふうに思ったりするところもあるのではないかなという、そのようなところから、今回の小規模事業所である中で、アンケートに対するプライバシーの配慮ということがどこまで進められておられるか、お伺いしたいと思います。

井内政府参考人 プライバシーの配慮でございますが、ストレスチェック制度におきましては、労働者のプライバシーへの配慮の観点から、ストレスチェックの結果は労働者本人に直接通知されることとなっており、労働者の同意がなければ事業者に結果を把握されることはございません。

 ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された労働者は、事業者に対し、医師による面接指導を受けることを自身の意思によって事業者に申し出ることができるが、事業者が、労働者が申し出たことや面接指導の結果を理由とした不利益な取扱いを行ってはならないとしております。労働者のプライバシーが保護されるということになっております。

 さらに、五十人未満の事業場向けマニュアルを作成する際、関係者や専門家の意見を伺いながら、労働者のプライバシー保護に配慮した具体的な方法を今般検討することとしたいと考えております。

 メンタルヘルス対策は事業場規模にかかわらず課題となっており、小規模事業場においても、プライバシーを保護しながら取り組むことができるような実施方法の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

森下委員 大変にここが難しいバランスだなと自分でも質問しながら思うのですが、プライバシーを保護することは本当に大切なことだと思いますが、その一方で、やはり結果を事業者サイドが把握していなければ、このストレスチェックの効果を最大限に発揮できないのではないかなと思います。

 集団分析と職場環境改善、ここまでつなげていくことが最終地点ではないのかなというふうに考えるところから、是非とも、労働者側として気づきを得ること、そして医師からの面接指導を受けられるということからも、メンタルヘルスの不調、これを未然に防ぐということももちろんでありますが、ストレスチェックを実施したこと自体が、事業所にとって、どのようなことで労働者に対してストレスを与えているのかとか、ストレスが生まれているのかということを、事業者サイドがやはり把握することも大変に重要なことだと思います。

 だけれども、今回、集団分析また職場環境改善というのは、これは義務づけられていないと承知しております。その理由と、実施を今後どう促していくのか、このバランス、本当に難しいとは思いますけれども、是非とも最大限に発揮していただくための取組、どう進めていくのか、お伺いしたいと思います。

井内政府参考人 ストレスチェック制度は、メンタルヘルス不調の未然防止のための集団分析及び職場環境改善まで含めた一体的な制度であり、事業者には、ストレスチェック結果を活用した集団分析及び職場環境改善を行うよう努めていただく必要があると考えております。

 有識者における検討会におきましては、集団分析、職場環境改善につきましては、現時点では、大企業であっても試行錯誤をしながら取り組んでいるところ、取組内容は極めて多様で、引き続き事業者の努力義務とするという方針となったところでございます。

 厚生労働省といたしましては、事業者等に対するストレスチェック制度は、集団分析及び職場環境改善まで含めた一体的な制度であることを周知、集団分析結果を活用した職場環境改善の取組事例の収集、取りまとめ、取組事例を含めた研修の実施などの対策を通じ、適切な取組の普及に取り組んでまいりたいと考えております。

森下委員 ありがとうございます。

 まさに、実施はしていても結果につなげていないでは大変もったいないなと思いますので、是非とも、働く側もそうですが、いわゆる事業者サイド、お互いに本当にいい関係がつくれるような、そういった法整備、進めていただきたいなというふうに思います。

 また、これは通知しているわけではないのであれなんですけれども、やはり産業医が大切だなと改めて感じます。年々、産業医は増加していると伺っておりますけれども、メンタルヘルスに対して大変な専門医の産業医の方がまだ少ないというふうにも伺いましたので、そこも併せて、やはりお医者さんに相談すると解決することもたくさんあるように感じますので、是非とも取り組んでいただきたいなと思います。

 ストレス、大変に難しいなと思いますが、私はこれは地元でよくお話を伺うところで、もちろん事業所内のストレスもありますが、働きたいのに思うように働けない、こういったこともストレスにつながっているのではないかなと少し思います。

 また、もう一つ、これは経営者の皆様方、特に私の地域は、小規模事業者、中小企業の経営者の皆様も多いわけであります。今回、この法律の改正についてはあくまで労働者サイドが中心となっているなと感じますが、経営者について、ストレスチェックなどは義務化されていく予定等あるのか、お答え願いたいと思います。

井内政府参考人 労働安全衛生法に基づき事業者に義務づけられている健康管理やストレスチェック等の対象者は労働者であり、経営者など、労働者に該当しない者は対象とはなってございません。

 一方、法律に基づく仕組みではないものの、経営者が自らの心身の健康に配慮することができるよう、個人事業者等の健康管理ガイドラインにおいて、例えばメンタルヘルス不調の予防については、厚生労働省のポータルサイト、こころの耳が提供しているEラーニングによる心の健康に関する理解、ストレスセルフチェックを活用した定期的なストレス状況の確認等に努めるようお示しをしているところでございます。

森下委員 ありがとうございます。

 労働者の皆様方をやはり守っていくのも経営者でありますので、経営者の皆様の心と体の健康も守っていく必要があるなと私は感じております。

 今教えていただいたこころの耳、Eラーニング、セルフチェック、こういったこともあるのであれば、もっと周知していただきまして、是非とも、働く労働者サイド、また事業者側も、お互いに本当にいい関係がつくれるようにしていっていただきたいなというふうに思っております。

 さて、次の質問に参りたいと思いますが、今回の法改正で、高齢者の労働災害防止措置を努力義務化することとなりました。現在、高齢になって働く方、大変に増えております。心強いなと思うその一方で、まだまだ、やはり事故やけがが多いという指摘が拭えません。また、どうしても御高齢になりますと、ほかの世代と比べて労働災害の発生率が高い傾向があるように感じます。一度けがだったりをしてしまいますと、どうしても休業時間が長くなる傾向があります。事前に防ぐことが大切だなと感じるわけでありますが、これまでに政府が進めてきた高齢者の労働災害防止対策についてと、今回の改正の意義について御説明いただきたいと思います。

 また、今後、こうした高齢の方が働くに際しまして、職場の環境改善や安全衛生管理体制を整備するに当たって、国がどう支援していくことができるのかも含めてお答え願いたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましては、高年齢者の安全対策につきましては、平成十六年頃から職場改善マニュアルを作るなどしてスタートさせておりますが、現在行っております取組は、まず、令和元年にエイジフレンドリーガイドラインというものを通達で策定をいたしまして、その中で、安全対策の担当者の明確化ですとか、リスクアセスメントの実施、安全衛生管理体制の確立、身体機能の低下を補う設備、装置の導入や、高年齢労働者の特性を考慮した作業管理などの職場環境改善などを求めてきたところでございます。

 また、翌令和二年度にはエイジフレンドリー補助金という補助金制度を創設いたしまして、中小企業者への経済的な支援にも取り組んでいるところでございます。

 今回の法改正によりまして事業者の努力義務として位置づけますことによって、事業者の取組がより一層進むことを期待をしております。

 また、現行のエイジフレンドリーガイドラインをベースに、通達のガイドラインを法定の指針に定めることによりまして、その内容を説明会を開催するなどで周知するなどして、より実効性のある対策が進めていただけるようにしてまいりたいと考えます。

 さらに、エイジフレンドリー補助金につきましても、令和七年度予算において、リスクアセスメントと組み合わせることによって最大補助率五分の四とする新コースも創設をいたしましたので、こういったものも活用していただきながら、取組の促進を図ってまいりたいと考えております。

森下委員 ありがとうございます。

 本当に働き方は多様化しております。

 時間が来てしまいましたが、最後に、私がもう一つだけ不安にというか心配に思っているのは、働く女性です。本当に増えてまいりました。伺ったところ、健康診断に女性特有の病気だったり質問というものがまだまだ不足しているようなふうに感じるところがございましたので、是非とも、この多様性と言われる社会に、いろいろな働き方、働き手の皆さんを守っていけるように、これからも皆さんとともに頑張ってまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

藤丸委員長 次に、深澤陽一君。

深澤委員 自由民主党の深澤陽一でございます。

 質問の機会をいただきましたこと、心から理事の皆さんに感謝申し上げます。

 それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。

 まずは、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進について質問させていただきたいと思います。

 建設業、造船業、製造業の注文者が、現場で働いていただいている方の中で従業員以外に下請の方がいらっしゃって、またあるいは下請の方々だけかもしれませんけれども、そのうち、今までは個人事業者等に対しては連絡調整等の義務がなかったところ、今回の法改正で義務化していくということでございます。

 一方、個人事業者等に対しても、安全のための講習を義務化し、また、事故が起きた場合には注文者に報告する義務を負わせることになりました。

 これらによって、いわゆる一人親方も法律で保護されることになるということでありますが、そもそも論なんですけれども、この保護について、どのように保護されるのか、保護とはどういう意味なのか、もう少し詳細に改めて御説明いただけますでしょうか。お願いします。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 今回の改正によりまして、個人事業者等が労働者と同じ場所で混在作業を行う場合に、元方事業者による統括管理等の対象に個人事業者等が含まれることとなり、連絡調整などの措置の対象となるところでございます。

 建設現場においては、現在も、個人事業者等も含めた連絡調整の措置は実態としては行われている場合が多うございますが、個人事業者等を連絡調整の輪から含めていなくても、法律上は違反ではないというのが現状でございます。

 これに対して、法律上そこを義務づけることによりまして、混在した現場で働く中で、その現場全体を仕切っている元方事業者による安全管理、安全配慮の目が個人事業者等にも及ぶことになるという意味で、これは一つ、これをもって保護というふうに言っている、そういう内容でございます。

 例えばですけれども、建設現場の一人親方の方、機械を自身で持ち込んで作業を行う個人事業者にとって、現場内の危険箇所の所在ですとか、他の作業者の危険な機械の運転時間帯の予定ですとか、そういったことが分かることはやはり自らの安全確保に役に立つものであり、そういった面で個人事業者等の保護に資するものと考えております。

 また、加えまして、個人事業者等が就業する場所や請け負った作業に関して、労働安全衛生関連法令に違反する事実があるときには、個人事業者等が労働基準監督署に申告をして是正を求める、こういうこともできるように法律の内容に含んでおります。そのことによって、労働基準監督署の監督指導によって是正されました場合には、やはり個人事業者等が働く環境がより安全なものになるという意味で、こういった面でも保護を及ぼすことになる。

 さらに、加えまして、個人事業者等の災害報告制度を創設することとしておりますので、報告制度を通じて、現在は網羅的なデータはございませんが、個人事業者等の業務上災害の原因ですとか災害の状況などを具体的に把握することによりまして、今後の国としての災害防止対策につなげてまいる、こういったことを考えているところでございます。

深澤委員 御説明ありがとうございました。

 とにかく、安全というところをどのように高めていくかというところがこの法の趣旨だと思います。これは、間違いなくその方向で私たちも進めていかなきゃいけないというふうに思います。

 ただ一方で、安全ということが前提なんですけれども、現実的に、特に高齢者なんかは予期せぬ事故というものは起こり得ると思います。あるいは、高齢による、この趣旨もそうなんですけれども、後ほどありますけれども、高齢者だからこそ、運動機能が落ちたり、注意力とかいろいろな体力とかを含めて、足りなかった、それによって起きる事故がある。だから法律を整備するんだよということかもしれませんが、しかし起きることがあるというところが、これ、どっちがどうという話じゃないんですけれども。

 そうすると、心配するのは、やはり高年齢者の方は使いにくいという話になって、高年齢者の雇い止めみたいなところにいってしまうことはすごく心配をしているところであります。特に事故、災害の通報制度については、やはりこれは絶対通報しなきゃいけないものなんですけれども、それによって、当然、公共事業などは点数に影響してきますよね、工事の評価点に。そうすると、やはり、高齢者を使うと優良表彰とかがもらえなくなるから、こういった大きなところでは使わないように、あるいはここでは使わないみたいなところが起こらないとは言えないと思いますので、是非、そういった現場の状況を踏まえて、高年齢者であっても雇っていただけるような環境というものを考えてこの制度を運用していただければというふうに思っております。

 続いての質問に移ります。

 次に、職場のメンタルヘルス、様々もう既に出ておりまして、熟している部分はありますが、通告どおり聞かせていただきます。

 メンタルヘルス対策の推進については、精神障害の労災支給決定件数は年々増加傾向にある、職場のメンタルヘルス対策は喫緊の課題だということは理解をしております。

 メンタルヘルス対策に取り組む事業場の割合は、労働者数五十人以上では令和五年度のデータで九一・三%となっている一方で、三十人から四十九人の事業場では七一・八%、十人から二十九人では五六・六%と、事業場の規模が小規模であればあるほど取組に課題があるのだろうということでございます。

 そのような中で、今回、五十人未満の事業場でもストレスチェックを義務化しようということは一つの大きな前進であると認識しておりますが、反面、企業にとっては負担であると考えております。この義務を負う、負担を負うことになる企業の負担について厚労省としてはどのように対応されるか、お伺いをいたします。

井内政府参考人 労働政策審議会の議論におきましても、中小企業にストレスチェックの実施義務を課した場合、費用負担が大きいのではないかというような御指摘はございました。

 このため、中小企業の負担に配慮をし、施行まで十分な準備期間を確保した上で、高ストレス者の面接指導を無料で地域産業保健センターの体制整備をして行うということ、中小企業における実施体制、実施方法についてのマニュアルを国で整備をすること等の対応を行うということとしております。

 これらを含めた制度内容等について、厚生労働省ホームページや労働基準監督署による説明の場等、様々な機会を捉えて周知をし、事業者の理解を進めてまいりたいと考えております。

深澤委員 ありがとうございます。

 様々、政府としての役割を果たしていただく。ただ、やはり負担というのは、実施してみてどんどん声が出てくると思いますので、その情報収集等についてもしっかりと行っていただきたいというふうに思います。

 続いての質問に移ります。

 機械等による労働災害の防止の促進等についてお伺いをさせていただきます。

 改正案では、産業機械の新しい技術の誕生に伴い、設計や検査手法が高度化、専門化してきているため、ボイラー、クレーン、移動式クレーン等の特定機械等の製造許可申請の審査及び製造時等検査を民間が行えるようにするものということでございます。

 新たな技術に対し民間の力が必要であるということは理解をしておりますが、それが信頼に足るものでなければならないということは言うまでもありません。その安全性について、どのように確保あるいは確認していくのか、これは先ほども議論でありましたが、改めてお伺いしたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 今回、ボイラーやクレーン等の機械の製造許可申請の審査の一部や製造時等検査の民間移管を行う内容を法案に含んでございますが、この移管先の審査、検査の信頼性確保は重要な課題でございます。

 法案の内容としましては、法定の器具等を用いて審査を行うこと、専門的な知識経験を有する者が一定数いることなどを登録要件として求めておりまして、これにより、まず技術面で適切な審査等が行われることを担保しております。また、審査等の対象となる特定機械等の製造者等に支配されている法人は登録機関になれないなどの規制も設けて、公正さの確保にも配慮しております。

 また、設計審査等の検査方法の斉一化のため、今回の法案では、審査、検査手法に関する法定の基準を定めることによりまして、機関によって違うというようなことが起こらないようにしております。

 さらに、不正防止のため定期的な監査を行い、登録要件を欠く場合等には登録の取消しや業務の一部停止を命ずるなど厳重に処分することによりまして、登録機関の適正な業務遂行を担保してまいりたいと考えております。

深澤委員 ありがとうございます。

 クレーンとかあるいは移動式クレーン等、また様々な機械なんですけれども、やはり人手不足あるいはDX化ということで、今いろいろと、私の地元でも、例えば港湾の現場とかでも、だんだん無人化とか、そういったことでどんどん機械が新しくなっているのは目にしているところであります。こういったことがどんどん進む中で、今までの機械だけではなくて、様々なシステムを含めて、いろいろと設備がより高度化しているのは理解しているところでありますので。

 また、安全面の部分で、どのように技術者が関わるのか。高度化しているところ、民間に出すということであれば、民間の技術に何とかいろいろな方々が追いついていけるように、厚労省の現場の方々も追いついていけるように、しっかりと情報収集、これも行っていただくようお願いをさせていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 高年齢者の労働災害防止の推進について、改めてお伺いいたしたいと思います。

 労働力の高年齢化が進む中で、高年齢者の労働災害発生率が他の世代に比べて高いこと、そして、災害に遭った場合の休日日数もほかの世代に比べて高いことが、先ほど来の議論でも出ております。

 このような中で、改正案では、高年齢者の特性に配慮した作業環境の改善、作業の管理その他の必要な措置を講ずる努力義務を事業者に課し、厚生労働大臣が指針を策定することになっております。

 作業環境改善等は必要なことですが、それを確実に普及するための指針についてどのようにお考えかをお伺いしたいと思います。

 加えて、もう一問、質問させていただきます。

 データでは、高年齢者だけでなく、若い世代の労働災害発生率も高くなっております。特に十九歳以下の男性、次いで二十歳から二十四歳の男性の労働災害発生率の数字が大変目立っております。

 この数字を見ての私の想像の話で恐縮なんですけれども、させていただきますと、技術を伝える、例えば職人の世界では、段取りを覚えていくことが最も効率よく、かつ安全な方法ということであることが伝統としてあるのではないかというふうに私は思っております。

 それは、基本的には先輩から後輩に伝えられるものが多いんだろうというふうに思いますが、その指導について、今までの指導というものの中にはハラスメント的な性格が含まれておりまして、というか、指導というそのものがハラスメントと時に表裏一体の部分があるのだろうというふうに思っております。

 今の時代、ハラスメントと判断されてしまう可能性があることは全て認められない世の中になっておりまして、反面、経験が伝えにくい状況になっているのではないかなというふうに想像をしております。

 ということをあえて申し上げ、また、ハラスメントの定義を議論するつもりはありませんので、そういった中で、特に、若い世代の労働災害防止についても厚労省としてどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

岸本政府参考人 お答えいたします。

 まず、高齢者でございますが、今回の法改正によりまして、高年齢労働者の労働災害防止のため、必要な措置を講じていただくことを事業者の努力義務といたしますとともに、現在、通達で行っておりますガイドラインを参考に、法律に基づく指針を定めまして、これを、説明会の開催など、労働基準監督署を通じて事業場によく周知、浸透を図りまして、実効性のある対策を事業場において取っていただけるように全力を尽くしてまいりたいと考えております。

 また、補助金制度もございますので、特にハード面で費用がかかるような職場改善につきましては、是非これも使っていただいて、取組の促進に役立ててまいりたいと考えております。

 それから、もう一つ、若年世代でございますが、御指摘のとおり、十九歳以下、それから二十歳から二十四歳のところも、高齢者とはまた別に労働災害発生率が高い集団でございます。やはり経験年数が短いことから作業に慣れておらず、危険に対する感受性も低いことが労働災害に被災しやすくなっている要因であるというふうに考えております。

 労働安全衛生法では、まず、事業者に対しまして、雇入れ時、また作業内容を変更したときに安全衛生教育をやっていただくことを義務づけておりまして、未熟練な若者に対する教育が適切に行われるよう、事業者への指導等に取り組んでまいりたいと考えております。

 厚労省としましても、未熟練の方の労働災害防止に資するよう、製造業、陸上貨物運送業、商業などを主な対象としまして、雇入れ時などの安全衛生教育を有効に行うためのポイントや教材をまとめた、未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアルといったものを策定しておりますので、こういったものも是非使っていただければと思います。

 ハラスメントの関係につきましては、ハラスメントはあくまで業務上必要かつ相当な範囲を超えたものという概念でございますので、安全上必要な指導については、これは是非しっかりやっていただきたいというふうに考えておりますし、そのようなことが事業場において取り組んでいただけるように、周知についても努めてまいりたいと考えております。

深澤委員 ハラスメントの考え方まで突っ込んでいただきまして、御説明いただきまして、ありがとうございます。

 とはいうものの、ハラスメント等はやはり受け止める方の感じ方というのも一つ判断の基準でもあると思いますので、そういう意味ではなかなか難しいところがあるのかなと。

 ただ一方で、地元に戻ってみますと、七十あるいは八十を超えても現場で働いている方がいます。今回、高齢者の安全ということが議論されていますが、一方で、七十、八十でも働いている方は、やはり現場のノウハウを持っている方、また段取りがちゃんと分かっている方、それが安全につながるというのもありますので、これはもう現場現場ですので、法律によって一律に何でもかんでも決めつけるということではなくて、やはり高年齢者の経験を現場に生かす、そのようなマニュアルも是非作っていただけたらというふうに思います。

 次、続きまして、労働災害防止の観点でもう一つ御質問させていただきます。

 今回の法改正とは関係ありませんが、労働災害防止のために必要なものが、先ほどの環境改善と、もう一つ、健康であるというふうに思います。先ほども議論のテーマの中で出ておりましたけれども、労働者の健康維持増進には、事業主による一般健康診断が重要であるというふうに思います。

 厚労省では、現在、一般健康診断の検査項目に関する検討を進められているというふうに伺っております。その中で、眼底検査も検討していただいているというふうに承知しております。

 目の疾患は、釈迦に説法ですけれども、例えば緑内障など、治らないものを早期発見して悪化を防ぐということは、長く安全に働いていただくことにつながってくると思います。

 個人的にもこのような要望を以前から伺っておりましたが、この項目の追加、変更について、現状をお伺いできればというふうに存じます。

井内政府参考人 労働安全衛生法に基づく一般健康診断の健診項目の追加等に関しましては、現在、学会等から要望をいただいており、順次、有識者検討会の中で検討するということとしております。

 労働安全衛生法では、事業主に対し、健診結果を踏まえ、労働時間の短縮等の就業上の措置を講じることを義務づけているということもございますので、検討会では、要望を出していただいている関連学会から最新の医学的な知見をヒアリングをするというのとともに、検査によって検出できる疾患が、当該業務に従事することによって発生又は悪化するものであるかというような観点も踏まえつつ、検討を行うこととなっております。

 御指摘の眼底検査の追加につきましては、日本眼科医会から要望いただいており、令和六年九月の検討会でその内容の御紹介は既にさせていただいております。現在、同会に、検討に際し必要となるデータの提供をお願いする等、意見交換を行っているところであり、必要な準備を行った上で検討会における議論をしていただきたいと思っております。

深澤委員 ありがとうございます。

 具体的なことはまだなかったと思いますけれども、いろいろな学会から最新の情報も含めて、このことについては検討を進めていただけるということなんですが、最新の情報だけでなくて、基本的に、今の情報でも足り得る部分もありますので。しかも、目については、当然、私たち働く者には欠かせないものでありますので、健康というものは。費用も安くて、検査も非常に短い時間で行えるという意味では、是非これは前向きに検討をお願いしたいというふうに思います。

 時間なので、これで終わらせていただきます。以上です。

藤丸委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時五分散会


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