衆議院

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第19号 令和6年6月19日(水曜日)

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令和六年六月十九日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 岡本 三成君

   理事 小林 鷹之君 理事 鈴木 隼人君

   理事 松本 洋平君 理事 山下 貴司君

   理事 荒井  優君 理事 山岡 達丸君

   理事 守島  正君 理事 中野 洋昌君

      東  国幹君    井原  巧君

      石井  拓君    上杉謙太郎君

      大岡 敏孝君    加藤 竜祥君

      神田 憲次君    岸 信千世君

      国光あやの君    小森 卓郎君

      杉田 水脈君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    冨樫 博之君

      中川 貴元君    福田 達夫君

      細田 健一君    堀井  学君

      三谷 英弘君    宮内 秀樹君

      宗清 皇一君    森 由起子君

      山際大志郎君    和田 義明君

      若林 健太君    大島  敦君

      落合 貴之君    小山 展弘君

      近藤 和也君    重徳 和彦君

      田嶋  要君    山崎  誠君

      市村浩一郎君    小野 泰輔君

      山本 剛正君    吉田 宣弘君

      笠井  亮君    鈴木 義弘君

    …………………………………

   経済産業大臣       齋藤  健君

   厚生労働副大臣      宮崎 政久君

   農林水産副大臣      武村 展英君

   内閣府大臣政務官     平沼正二郎君

   厚生労働大臣政務官    塩崎 彰久君

   経済産業大臣政務官    石井  拓君

   経済産業大臣政務官    吉田 宣弘君

   国土交通大臣政務官    尾崎 正直君

   環境大臣政務官      朝日健太郎君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田辺 康彦君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 上村  昇君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       向井 康二君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            川崎  暁君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           石垣 健彦君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           斎須 朋之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局農村政策部長)       神田 宜宏君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         南   亮君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         上村 昌博君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務・サービス審議官)    茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           井上誠一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           橋本 真吾君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           牛山 智弘君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       柏原 恭子君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官)         山影 雅良君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            井上 博雄君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        定光 裕樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    須藤  治君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            松浦 哲哉君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           勝又 正秀君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宿本 尚吾君

   政府参考人

   (国土交通省道路局次長) 岸川 仁和君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 奥山 祐矢君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十九日

 辞任         補欠選任

  石井  拓君     小森 卓郎君

  加藤 竜祥君     森 由起子君

  宮内 秀樹君     三谷 英弘君

  山際大志郎君     杉田 水脈君

  吉田 真次君     岸 信千世君

  和田 義明君     東  国幹君

  落合 貴之君     近藤 和也君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     和田 義明君

  岸 信千世君     上杉謙太郎君

  小森 卓郎君     石井  拓君

  杉田 水脈君     山際大志郎君

  三谷 英弘君     宮内 秀樹君

  森 由起子君     加藤 竜祥君

  近藤 和也君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  上杉謙太郎君     吉田 真次君

    ―――――――――――――

六月十二日

 原発からの撤退を求めることに関する請願(笠井亮君紹介)(第二三二四号)

 岸田政権の新原発推進政策の撤回に関する請願(本村伸子君紹介)(第二五八七号)

同月十四日

 原発を廃止し、再生可能エネルギーに転換する原発ゼロ基本法の制定に関する請願(笠井亮君紹介)(第二六八八号)

同月十七日

 岸田政権の新原発推進政策の撤回に関する請願(笠井亮君紹介)(第三二一八号)

 原発を廃止し、再生可能エネルギーに転換する原発ゼロ基本法の制定に関する請願(笠井亮君紹介)(第三三一五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

岡本委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 本委員会は、去る十二日に、経済産業等の実情調査のため、石川県において視察を行いましたので、その概要について御報告申し上げます。

 本視察は、本年一月一日に発生した令和六年能登半島地震による被害・復旧状況等について、調査を実施することとしたものであります。

 参加委員は、理事小林鷹之さん、鈴木隼人さん、松本洋平さん、山下貴司さん、荒井優さん、山岡達丸さん、守島正さん、中野洋昌さん、委員笠井亮さん、鈴木義弘さん、そして私、岡本三成の十一名であります。

 このほか、現地参加議員として、西田昭二さん、近藤和也さんが参加されました。

 今般の地震においては、住居を始めとする建物、道路、上下水道などあらゆる生活基盤に甚大な被害がもたらされ、人々のなりわいを始め、経済活動にも多大な影響が生じております。

 ここに改めて、今般の地震において尊い生命を失われた方々に対し、心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災され、今なお厳しい生活を送っていらっしゃる全ての方々に対し、お見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告申し上げます。

 まず、珠洲市の視察現場に向かうバスの車内におきまして、金田副市長から、被害や復旧の状況等について説明を聴取するとともに、珠洲商工会議所の袖事務局長から、市内の経済状況について説明を聴取いたしました。

 その後、珪藻土を使ったしちりん等の製造を手がける株式会社鍵主工業において、鍵主社長から、事業所及び従業員の被災状況等について説明を聴取するとともに、事業の再建に向けた課題等について、意見交換を行いました。

 あわせて、珠洲市における応急仮設住宅の建設現場を視察し、建設や入居等の状況について説明を聴取するとともに、恒久的な住まいの確保に向けた課題等について伺いました。

 次に、輪島市において、まず輪島市役所で中山副市長から、被害や復旧の状況について説明を聴取するとともに、被災された方々に対する支援の現状及び課題等について、意見交換を行いました。

 その後、輪島の伝統工芸品である輪島塗の仮設工房を視察し、入居者の方々の活動の再開状況や、今後の展望等について伺いました。

 また、輪島港、輪島朝市及びわいち通りにおいて、地震に伴う海底隆起や、地震直後に発生した大規模火災による建物の焼失といった甚大な被害状況を視察し、生活の再建や、輪島の伝統あるなりわいの再生に向けて厳しい状況にあることなどを伺いました。

 次に、七尾市の中能登農道橋を視察いたしました。この橋は、能登島につながる二つのルートのうちの一つで、現在も通行止めの状況が続いており、生活や事業活動に影響が生じております。橋には段差や亀裂が生じており、完全な復旧には三年程度を要することなどを伺いました。

 次に、内灘町の西荒屋地区における液状化の現場を視察し、川口町長から、多数の住宅が被害を受けている現状等について説明を聴取するとともに、地面の隆起やひび割れなど深刻な被害状況を目の当たりにいたしました。

 最後に、石川県庁におきまして、馳石川県知事から、石川県内の被害及び復旧の状況についての説明を聴取するとともに、生活やなりわいの再建に向けた支援の在り方や、能登の魅力を生かした創造的復興に向けた課題等について、意見交換を行いました。

 以上が、調査の概要であります。

 今回の調査では、今般の地震が、生活や事業活動におけるあらゆる場面において甚大な被害をもたらしており、被災地の再生に向けては、年単位の取組が必要であることを改めて認識いたしました。

 同時に、被災され、厳しい状況にありながら、前を向いて生活の再建やなりわいの再生に力を尽くしておられる方々が数多くいらっしゃることも認識いたしました。

 当委員会といたしましても、人々のなりわいの再生を始め、社会経済活動の再生が着実に進むよう、継続的に取り組んでいく必要性を痛感した次第であります。

 最後に、視察に当たりまして御協力をいただきました関係者の皆様に深く感謝の意を表しまして、御報告とさせていただきます。

    ―――――――――――――

岡本委員長 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣府大臣官房審議官田辺康彦さん外三十二名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岡本委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。近藤和也さん。

近藤(和)委員 近藤和也でございます。

 この会期末ぎりぎりでも委員会を開いていただきましたことを、委員長を始め、両筆頭、理事の皆様に心から感謝を申し上げます。

 そして、先日は、経済産業委員会として能登に視察にお越しいただきまして、ありがとうございます。様々な場面を見ていただいたと思います。まだこんな状態かと思われた方もいらっしゃると思いますし、現地で生きている人間からすれば、ようやくここまで来た、そういったそれぞれの見方はあると思いますが、何とか、これからもまた皆様に寄り添っていただけたらと思います。

 そして、齋藤大臣始め、経済産業省の皆様、国土交通省の関係の皆様も含めて、今まで復旧復興に御努力いただきまして、ありがとうございます。その都度その都度、新たな問題というのは出てきますし、今まで未消化だった問題で、これは何とか越えてほしいという課題もございますので、どうかお力をかしていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、まずは、和倉温泉の護岸について質問したいと思います。

 和倉温泉については、先日も齋藤大臣からもおっしゃっていただきました、専属の職員を派遣をしていただいて、この和倉温泉の復興というのは石川県能登半島の復興拠点になるんだと。これは、茶谷七尾市長もそうですし、馳石川県知事も、まずはここでしっかりと復興していただいて、そして工事関係者の皆様の宿泊拠点をつくっていく、そして後々は観光のお客様に来ていただくんだ、こういうことで力を入れていただいています。

 そこでなんですけれども、まず、この護岸については、港湾区域内については、公共の部分、こちらについては代行復旧の工事ということで予定をされている。それはそれでありがたいことなんですけれども、港湾区域内の民有の部分について、こちらについては、公共に、七尾市に渡す。そして、結果として、護岸工事をちゃんとしてくださいねというのがこの宿泊施設の方々の思いではあるんですけれども、現実問題として、七尾市に護岸の部分を渡していただいたとしても、この代行復旧の対象にならない。イコール、七尾市からしてみれば、国からの災害対応の支援がない形で、通常の公共事業になってしまいかねない。

 もちろん、七尾市も大変広いですから、いろいろな対応、公共事業もしていかなくてはいけない中で、でき得れば補正という形で、災害復旧復興という形で事業をしていただくことが、七尾市にとってみても、そしてその土地を七尾市に渡される宿泊関係者の方々にとっても共通の願いだと思います。

 その点について、何とか、補正も含めて、地方自治体の負担が少ないように、そして早急に事業をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

尾崎大臣政務官 お答えをいたします。

 和倉温泉でございますけれども、能登地域の復興を進める上で、復興の拠点として必要不可欠な地域であるとともに、極めて重要な観光資源であると考えております。

 そのため、被災した海沿いの護岸の復旧を、なりわいの再開を期する事業者の御意向も踏まえまして、しっかりと進めることが必要であると考えておりまして、現在、復旧工事の進め方について、七尾市とともに、事業者と個別に協議を進めさせていただいているところでございます。

 御指摘のとおり、民有の護岸について、七尾市に帰属される場合は七尾市が護岸を再整備することとなりますけれども、国土交通省としましても、御指摘の必要な予算の確保に努めますとともに、七尾市を始め、関係する皆様方とよくコミュニケーションを取りながら、技術的な助言等も含め、着実に復旧工事が進むよう尽力してまいりたい、そのように考えております。

近藤(和)委員 必要な予算を確保ということで、是非とも、どういった形でも結構です、地元負担が少ない形で、そして早く事業をしていただく、それが宿泊施設の再建にそのまま直結をいたしますので、何とぞお力をかしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 尾崎政務官、これで結構です。ありがとうございました。

岡本委員長 尾崎さん、御退席ください。

近藤(和)委員 そして、この和倉温泉が能登の復興拠点になる、これは間違いないことでございますし、力を入れていかなくてはいけない、石川県の復興プランの中でも、和倉温泉はしっかり明記されているんですね。

 一方で、能登には幾つも温泉、宿泊施設、奥能登にも幾つもございます。おらっちゃのこと、どうなっとんがかやということはやはり言われるんですね、輪島であったり、珠洲であったり、能登町であったりですね。ですから、ほかの地域も含めて、大臣には是非とも見ていただきたいなと。

 大臣には、一月の段階で輪島も行っていただいています。朝市関係の方であったり、輪島塗関係の方も含めて、大変様々な御支援をしていただいていますが、でき得れば、政務三役、ほかの方も含めて、珠洲などにはまだ行かれていないということのようですし、まだお話を聞かれていない業種の方々、たくさんいらっしゃると思います。国会が間もなく閉会ということでもございますし、何度かまた足を運んでいただいて幅広い御意見を聞いていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 御指摘のとおり、自ら被災地に出向きまして、現場の実態や課題を肌身で感じながら施策を進めていくということは極めて重要ですし、私の現場主義の考えにも沿ったものであります。

 御指摘のように、私自身は、発災後の一月二十六日に中小企業支援パッケージを取りまとめて、いち早く支援施策をお伝えしたいということで、一月二十七日に七尾市、輪島市を訪問し、現場の実情を把握するとともに、復興に向け立ち上がろうとする旅館関係者や職人、店主の皆様の思いに触れまして、胸を打つものも正直ありました。

 また、岩田副大臣は輪島市、穴水町の仮設商店街予定地、吉田政務官は輪島市門前町の仮設商店街予定地、志賀町の能登中核工業団地を視察するなど、手分けして各地を訪問させていただいております。

 加えて、発災当初より、各地域から直接情報収集を行おうということで、私が本部長を務める被災中小企業・小規模事業者等支援本部において、最前線で復旧に当たる被災四県の自治体や商工団体の関係者から、仮設工房の設置支援ですとか液状化への対応の必要性など、現場の実態や課題を私も直接聞かせていただいております。

 さらに、三百五十名を超える職員を被災自治体などに派遣をしておりまして、ライフラインの復旧や支援物資の供給に加えまして、被災企業を訪問して生の声を聞くなど、昼夜を問わず、総力を挙げて対応しているところであります。私も、帰任した職員から被災地での状況について直接報告を受けたりしております。

 引き続き、被災地の状況を踏まえた的確な支援をすべく、私自身の現地視察を含めて、経済産業省を挙げて、現場主義で対応していきたいと考えています。

近藤(和)委員 現場主義、そして現地視察、今後もしていただけるということで、ありがとうございます。

 でき得ればですけれども、やはり何らかの形で一泊していただきたいなと。泊まる場所、なかなか少ないんですけれども、探し出してでもしていただきたいと思いますし、例えば温泉であれば、大抵が海の近くか、崖の近くか、山の中かということで、景色のいいところイコール危ない、災害があれば危ないということもあります。それぞれの、どういったところで立地をしているか、こういったところも見ていただけたらと思いますし、例えば、珠洲市の飯田の飲み屋街、珠洲市役所のすぐ近くなんですけれども、ですとか、輪島市の観音町、こちらも歓楽街といいますか、昔であればネオンが輝いていたところですとか、七尾市では、銀座というところがあるんですね、本当にきらきらした、地方にとってみればきらきらした飲み屋街なんですけれども。こういったところの、今どういった状態なのか、ちょっと今日はスナックもラブホテルも取り上げたいと思っていますけれども、そこを是非とも歩いていただけたらと思いますし、現状、夜がどれだけ暗いか、こういったところも是非見ていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、なりわい補助金について質問したいと思います。

 今、皆様から言われるのは、このなりわい補助金、手続が大変だ、書類も多過ぎるということで、ちなみに、これがなりわい補助金に関する資料です。プリントアウトいたしました。実際には、説明やQアンドAがこの半分ですね、三センチぐらいでしょうか。そして、申請書類そのものは一センチぐらいです。

 言い分は分かるんですよ、丁寧にしなきゃいけないということも分かるんですけれども、余りにも書類が多い、手続が面倒だ、ただでさえ、家の片づけも含めて、今生活再建を図ろうとしている中で、この手続でもう断念してしまうよということを私も土曜日、日曜日に戻るたびにやはり言われます。何とか改善をしてほしいと思うのですが、いかがでしょうか。

吉田大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘の手続の簡素化につきましては、被災事業者の直面する状況を勘案し、事業計画書を可能な限り簡素にするなどの対応を行わせていただいております。

 一方で、なりわい補助金も税金等を原資とした補助金の一つでありまして、国民の皆様の理解を得ながら執行することも重要でございます。補助金申請額が適正であるか否かを客観的に評価することも可能な申請書類というものも求めさせていただいているところでございます。

 ただ、申請書類につきましては、書類一式を、今先生、お手元でお示しになられましたけれども、束ねて事業者にお渡しするということもあると聞いております。そこで、事業者自身においてどの書類が必要か判断しやすくするために、今般石川県とともに連携をしながらフローチャートというものも作成をさせていただいて、既に現場における活用が始まっているところでございます。

 引き続き、被災事業者の実態を丁寧に把握しながら、きめ細やかに対応をしてまいります。

近藤(和)委員 私も全部目を通しましたが、正直、くらくらしますね。経営者の方であったとしても、平時であったとしても大変だと思います。どうすれば、今、被災状況に合った、経営者の方々がこの手続を進めていくことができるかということを、その都度その都度しっかりと寄り添っていただきたいと思います。

 そこでまた皆様から言われるのが、商工会議所等に相談に行くと、能登空港の方に行ってくれと言われるそうです。実際には、もうすみ分けするしかないねと、持続化補助金については商工会議所や商工会で、そして、なりわい補助金は、やはり大変ですから、中身も充実したものにしなければいけないということも含めて、能登空港の方に誘導しているそうです。例えば輪島の町中から能登空港だと、車で三十分ぐらいかかります。珠洲市の町中から行くと、大体五十分ぐらいですね。もう大変なんですよ、空港へ行くまでに。

 実際には、商工会議所や商工会さんの現状も分かります。自らも被災者です。是非とも、大臣も含めて、商工会や商工会議所さんの施設、建物も見に行っていただきたいんですが、本当に悲しい、つらいです。こういったところに一時避難して事業をされているのか、事業者のお手伝いをしているのかと。先日、トイレがようやく使えるようになったというお話も聞きまして、本当に過酷な中で商工会議所の方々もお仕事されておられるので、彼らにこれ以上頑張ってくださいと言うのも、これも私は申し訳ない気がいたします。

 このようなときだからこそ、しっかりと国として商工会や商工会議所の皆様をサポートしていく、そして事業者をお支えしていくということが必要だと思いますが、何とかお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

吉田大臣政務官 お答え申し上げます。

 なりわい再建に向けた具体的な相談が増加しつつある中でございます。事業者の相談に真摯に対応し、寄り添いながら事業再開の道筋を立てていくことは、極めて重要でございます。

 政府といたしましても、可能な限り事業者の負担が少なくなるよう、相談先となる各支援機関の体制を強化するなど丁寧な対応を行っているところでございます。

 具体的に申し上げますれば、全国の商工会、商工会議所から能登半島事業者支援センターや被災各地の商工会、商工会議所に経営指導員などの専門家を派遣、石川県よろず支援拠点から金沢事業者支援センターに専門家を派遣、独立行政法人中小企業基盤整備機構から各支援機関や事業者に中小企業診断士などを派遣するなどの取組を行っているところでございます。

 また、石川県におきましても、対面相談に加え、オンラインミーティングによる相談も可能としているところでございます。

 さらに、こうした支援に当たる実務者間の連携も一層重要となっております。経済産業大臣が本部長を務める、先ほども御答弁ございましたけれども、被災中小企業・小規模事業者等支援本部の下、自治体や商工団体などの実務者の皆様によるワーキンググループを通じて連携を強化しつつ、現場の声に耳を傾けながら、被災された事業者の皆様に寄り添った支援というものを進めてまいります。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 様々な形で支援、人を派遣していただいていると。ただ、これも、今、被災六か月目ですけれども、様々な、経済産業省以外の部分も含めて、全国から人を派遣していただいているのは大変ありがたいんですが、やはり人が入れ替わることによって、また一から説明しなきゃいけない、前の人はいいと言っていたのに、新しい人が来たら駄目だとなるということもやはりあるんですね。

 大変申し訳ないですけれども、今あらかたトイレが使えるようにもなってきていますので、長期の派遣、それでマンツーマン、入口から出口まで徹底的にその事業者、事業者におつき合いしていくんだというくらいの、ここは来ていただく方には申し訳ないですけれども、何らかそういった形で、そしてたまには東京なりどこかにちゃんと戻れる手当ても含めてしていただければと思いますし、できれば商工会や商工会議所の方々への手当てといいますか、これも直接的にはできないとは思いますけれども、何らかの形でお力添えをいただきたいと思います。ありがとうございます。

 それでは、なりわい補助金の具体的な中身について質問をしたいと思います。

 なりわい補助金は、今少しずつ採択が増えてきているということなんですが、定額補助がなかなか該当しないという苦しさがあります。委員の皆様、定額補助を余り御存じない方が多いと思いますが、なりわい補助金は四分の三を支援していただけます。定額補助というのは、なりわい補助金であれば、十五億が上限のところ、五億円全額出していただけます。そして、持続化補助金であれば、二百万円がマックスのところ、定額も二百万円出していただけます。

 十分の十ということですから、ある意味、常識を超えた手厚い徹底的な支援ということで、ハードルを高くせざるを得ないことは分かりますが、聞いていますと、ハードルが高過ぎて、該当者はほとんどいないんじゃないかということを心配をしています。昨日の時点で伺いますと、持続化補助金の方では一件だけ定額のところがあるというふうに聞いていますが、恐らくなりわい補助金のところでは定額はまだゼロなのではないかなと思うんですね。

 資料1のところで、傍線が引っ張ってあります四の「債務を抱えている事業者」のところもそうですし、二のところのイ、「当該災害から復旧・復興に向けて国等が実施した支援を活用した事業者」とありますが、これは、去年、珠洲で震度六強、そしておととしは震度六弱の地震がありました。このときに、いろいろな国の支援を受けると、ちょっとやはり手かせ足かせ、自力で頑張っていきたいということも含めて、支援を得ないで自力で手当てをしたという方も対象外になってしまっているんですね。そして、「債務を抱えている事業者」なんですが、債務がない、例えば、うちは無借金経営でずっとやってきているんだという方が、去年やおととしの地震も含めて、歯を食いしばって借金を返して、現状、今年の一月一日のときに無借金の状態だった方が対象外になってしまうんですよ。

 例えばですけれども、一億円、当座でも現預金でもいいんですが、キャッシュがあります、負債が百万円ある方は、恐らくこの四に該当するんです、一億円キャッシュがあっても。一方で、当座でも現預金でもキャッシュが百万しかない、負債がゼロの方は、対象外になるんですね。

 こういったところはやはり柔軟にやっていく必要があるのではないかというふうに思います。この点について、齋藤大臣、何とか要件緩和も含めてしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、令和六年能登半島地震の被災地において、令和四年八月の大雨災害や令和五年奥能登地震など、過去数年以内に発生した災害でも被災し、今なおその影響を受けている中小企業も多くあることから、こうした多重被災事業者について、一定の要件の下で、一定額までは自己負担のない定額補助を行うこととしている、こういう多重債務が前提でまず講じられている制度だということであります。

 この定額補助の要件については、被災事業者の声を踏まえつつ、既に柔軟な運用を始めているところであります。

 具体的には、売上高が二〇%以上減少しているという要件はあるわけですけれども、これはコロナ禍前の同時期と比較すればいい、比較できるということとさせていただきましたし、また、売上高が減少していない場合でありましても、厳しい債務状況にあって、経営再建に取り組み、認定経営革新等支援機関によって事業計画等の確認を受けていたりすれば、定額補助の対象となるように配慮もしているということであります。

 定額補助について現場で課題があるようでありますので、ここは、私が本部長を務める被災中小企業・小規模事業者等支援本部の下に、自治体や商工団体などの実務者の皆様によるワーキンググループ、これを設置しておりまして、ここでいろいろ柔軟なやり取りをさせていただいています。そのためにつくったわけでありますので、ここで議論をさせていただくということも可能だろうと思っています。

 また、被災事業者への支援につきましては、なりわい補助金だけではなくて、日本政策金融公庫による特別貸付けですとか災害関係保証などの金融支援も併せて講じているので、関係省庁、機関、自治体の様々な施策とも連携しながら、被災事業者の実情に合った形での支援をしていきたいというふうに考えています。

近藤(和)委員 先ほど大臣が言われたのはこちらの三のイの部分だと思いますが、厳しい債務の状況でないにしても、例えばですけれども、珠洲市のある旅館が原状回復のような形で同じように施設を造ろうと思ったら、三億円かかりますと。四分の一の自己負担でいけば、七千五百万円、また借入れを起こさなきゃいけないんですね。預金が七千五百万円あるのであれば、どうぞやってください、頑張ってくださいでいいと思うんですが、例えばですけれども、七千五百万円の半分、ですから三千七百五十万円以下しか現預金がないとか、七千五百万円の十分の一しか預金がない、それでこのなりわい補助金を使ってやろうと思ったら、一遍に債務がぐんと増えるわけですよね。

 ですから、今、債務が厳しい債務状況じゃないにしても、事業を再開しようとしたら途端に苦しい状況になってしまう方がいらっしゃるということで、何とか現場に合わせた形での突破口を見つけていただきたいと思います。

 珠洲は、三十年間で人口は半分になりました。今回も、三年連続の地震です。もうやめようかというふうな気持ちになっても致し方ありません。間違いなくお客さんはこれから減っていきます。その中でも事業を再建しようという大変ありがたい、宝物のような方々ですから、何とか助けていただきたいと思います。

 時間が参りましたので、なりわい補助金のところで、スナック、そしてラブホテル、何とかしてほしいということを取り上げようと思いましたが、時間がなくなりました。

 現状では厳しいという答えしかないということは認識はしているんですけれども、明かりを取り戻すといった観点、そしてまた、仮設店舗の、中小企業支援機構のところではスナックは対象になっているんですよね。

 こういったところも含めて、そして、今ラブホテルの方々も工事関係者の方に場所を提供したりとかしていますし、能登半島、七尾から以北に十のラブホテルがあるんですけれども、今経営を確認できているところは二か所しかありません。大体、香川県と同じぐらいの面積です。想像していただければと思いますが、香川県でラブホテルが二軒しかない。そして、仮設住宅も、皆さん見ていただきたいと思いますが、珠洲や輪島は、三分の一、仮設住宅です。若いカップル、余り委員会で表現は難しいんですけれども、愛を育むといいますか、そういったこともなかなか厳しい状況なんです。

 職業で差をつけないで、地域を復活させるといった観点で、この風営法のところも枠組みを外していただきたい、このことをお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、重徳和彦さん。

重徳委員 立憲民主党の重徳和彦です。

 初めに、中国製のEV、電気自動車について質問をさせていただきたいと思います。

 先日、六月九日に欧州議会選挙も終わりまして、結果、極右とか右派が伸びた、自国優先的な内向き志向が始まっているということも報じられております。

 それに先んじて、五月十四日に、バイデン・アメリカ大統領が、中国政府の補助を受けて過剰生産された製品、とりわけEVに対して、これまでの関税二五%、これを四倍の一〇〇%に引き上げるという思い切った政策を打ち出されました。また、EVだけではなくて、車載用の電池とか太陽光発電設備とか半導体などの品目についても関税を引き上げる。

 また、先ほど言いました欧州においても、早速、六月十二日には、欧州委員会が中国製EVに最大三八・一%の追加関税を課す、こういった動きが出ております。

 こういったことについて経済産業省としてどのように認識をされているか、そしてまた、日本は、状況はどうなのかということ、そして、それに対して何か対応を考えておられるのかどうか、質問します。

齋藤(健)国務大臣 米国政府は、先月、通商法第三〇一条に基づき、中国の不公正な貿易慣行から自国の労働者と企業を保護するということのために、EVを含む中国からの輸入品に対する追加関税の税率引上げを発表をしています。

 また、欧州委員会は、二〇二三年十月から中国産EVに関する反補助金調査を開始しておりまして、御指摘のように、今月十二日に、暫定的な相殺関税措置について事前公表したというふうに承知しています。

 本措置は、相手国からの補助金交付の事実、またそれによる自国産業に対する損害の事実がある場合には、当該製品に追加関税を課すことがWTO協定上認められる措置であります。

 我が国におきましては、現時点において、米国のような独自の措置を講ずるということは検討していませんが、また、欧州のような反補助金調査、WTO整合的な反補助金調査の実施については、中国から我が国へのEVの輸入はいまだ限定的であるということを踏まえれば、調査の要件に合致するということでもなかろうと思いますので、現時点では状況を注視をしていく段階であろうというふうに考えています。

 自動車産業は、各国のメーカーが内外に市場を持つグローバルな産業であります。欧米の措置が国際貿易や我が国の自動車産業に与える影響などについては、その動向を高い関心を持って注視していく必要があるだろうというふうに考えています。

重徳委員 こういった措置は、関税のかけ合いだったり報復合戦ということにもつながりかねないことでもありますし、また、特に中国は、日本にとっても最大の貿易相手国でありますし、地政学上も隣国でありますので、欧米とはおのずとスタンスも違う面もあるのかもしれません。それから、現にEVの輸入が極めて限られているという事実もあろうかと思います。

 一方で、中国は、多くの分野で生産過剰な状況で、これをばんばん海外に売っていく、こういう攻勢をしかけている、こういう面もありますから、こういったことにも負けないように、日本政府としても、しっかりと状況を見極めて、常に、対抗措置といいましょうか対応を、どのような対応ができるのか、し得るのかということについてもしっかりと研究をしておいていただきたいということを申し上げたいと思います。

 さて、次に、今日は、今国会最後の委員会になろうかと思いますので、今国会で成立しました水素社会推進法につきまして関連する質問をしたいと思います。

 水素関連事業というものをこれから日本で進めていかなきゃいけないわけですが、特に私の愛知県は、製造業やエネルギー産業が大変盛んであります。製造品出荷額は四十四兆円ということで、四十七都道府県の中で断トツの数字を出している、そういう県であります。

 愛知県の方でも、あいち水素関連プロジェクトというものを打ち出しまして、事業者や各自治体と連携して、県が音頭を取って、世界に誇る水素産業拠点の形成をしていくんだ、それから水素の需要、供給の一体創出を図っていくんだ、こういう目標を掲げて、様々な事業をスタートさせております。

 そこで、これは、委員会の中でも、なかなかこれまで進んでこなかったこと、だけれども力を入れていくんだ、こういう議論にもなりました水素ステーションの整備、そしてFCV、燃料電池自動車、これは商用のトラックとか大型の車を中心に進めていくんだという話が経産省の方からも累次の答弁でありましたが、これを愛知県でも進めていこうということになっております。

 聞くところによると、年度内に重点地域の指定の手続に入ると聞いております。愛知県で水素ステーションの整備、それから商用FCVの導入といったことに取り組んでまいりますが、ここに対して、重点地域の指定の手続に向けた状況や、あとは、燃料代も、実際水素は高いですから、こういうところにもサポートしてもらえないか、こういうことを地元の方からも聞いておりますが、今後の方針につきまして御答弁をお願いします。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 今後のFCVの普及に向けましては、乗用車と比べ、航続距離が長く充填時間が短いという特性を踏まえまして、商用車に重点を置いて導入を進めていくことが重要だと考えてございます。

 こうした考えの下、商用車の水素需要が相当程度見込まれ、加えて、商用車導入に地方公共団体が意欲的である地域、こういったところを御指摘のとおり重点地域と定めまして、こうした地域で、商用車の導入、あるいはこれを見据えた大規模水素ステーションの整備、運営、こうしたことを先行的に進める事業者に対しまして支援をしていく、その際、既存燃料価格を踏まえた追加的な支援についても検討していきたいというふうに考えてございます。

 意欲のある地方公共団体と連携しながら、商用車分野に政策資源を集中的に投下いたしまして、車両とインフラ一体でFCVの普及を推進していきたいというふうに考えております。

重徳委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いします。

 それから、別の委員会でありますが、環境省の方で地球温暖化対策推進法が今国会で改正をされたということでありまして、特にポイントは、従来、市町村単位、市町村のみだった再エネ促進区域が、今後は都道府県と市町村が共同で促進区域の設定ができるようになるというふうに聞いております。

 そうなると、法改正されたばかりでありますのでこれからの話になっていくわけですが、私としても愛知県あるいは愛知県内の市町村といろいろと話をしていきたいと思っておりますが、この再エネ促進区域というものをうまく活用して、例えば、市町村をまたぐようなメガソーラーとか再エネの設備を整備をして、その発電の余剰電力で今の水素を、これも国内生産が必要ですから、水の電気分解をするための電源として使って、そして、その水素を使って、グリーン水素ですから、グリーン水素を使って今のFCVの燃料にしたり、あるいは工業炉の燃料に使うとか、いろいろなことが域内でできるんじゃないかなというふうに思っております。

 こういうことを考えるわけなんですけれども、こういったことをこれから県とやり取りしながら、市町村とやり取りしながら進めていくことに関しまして、環境省から、国としても応援するよというようなことを、メッセージをいただければと思います。

奥山政府参考人 お答え申し上げます。

 地球温暖化対策推進法に基づく地域脱炭素化促進事業制度、こちらは、市町村が協議会などで合意形成を図っていくプロセスを取ることで、地域に貢献する地域共生型の再エネ導入を促していこうとする、そういったものでございます。促進区域内において市町村から認定を受けた事業については、例えば環境影響評価法の特例などが措置されているところでございます。

 先生御指摘のとおり、今国会で成立いたしました改正温対法によりまして、都道府県が市町村と共同で促進区域を設定することが可能となります。このため、御提案のような、市町村をまたいだ促進区域の設定が促進されることが見込まれているところでございます。

 また、地域共生型再エネの導入によりまして、それに合わせて、水素製造を始め再エネを活用した産業が起きてくれば、産業の脱炭素化に寄与するといったことも期待されます。

 環境省といたしましては、改正温対法の着実な施行に向けまして、地方自治体への財政支援、技術的支援などを行っていく予定でございますけれども、御提案のような取組を含めまして、地方公共団体から促進区域に係る相談がございましたら、積極的に対応してまいりたいと思っております。

重徳委員 是非、積極的にお願いします。

 もう一点だけ。

 この委員会でも、SAFですね、サステーナブル・エーベーション・フュエル、持続可能な航空燃料というんですかね、これをこれから促進していく必要がある。特にSAFについては、二〇三〇年には航空燃料の一〇%はSAFにしなきゃいけない、こういう方向になっておりますので、需要が確実なわけですよね。

 ここに対して、愛知県でも、中部国際空港エリアでも、SAFを航空機に注入する、こういう実証試験といいましょうかね、モデル事業的なことは進めておりますが、SAFそのものがまだ東南アジアの廃食油由来のもので、要するに輸入しているものだというふうに聞いております。

 したがって、地元愛知のことばかり言っているように聞こえるかもしれませんが、結局、このSAFをどうやって作るかということについては、この委員会でも少し議論させていただきましたが、農山村地域とか、人が住んでいるところならどこでも廃食油は出るわけだし、バイオマスも使える。そういうのは、日本中に資源はあるわけなんですね。だから、私が昔赴任をしていた山形県とか青森県とかいろいろなところの農山村地域とか、いろいろなところからバイオマス資源を集めるような形で新たな燃料を作っていく。こういう地産地消型の、地域循環型のエネルギー供給モデルを、まず愛知県がいいなら愛知県からやっていくというような形ができないものかというふうに考えます。

 これもこれからの取組になりますけれども、そういったSAFを航空機に入れるに当たって、それはやはり、我々の身近なところから出たものを使って飛行機が飛んでいるんだ、こういうことを体感していただくためにも、ある意味夢のあるプロジェクトになっていくと思うし、全国に広げていくには非常にいいことになるんじゃないかなと思います。

 今、現時点で他県で取組も少し始まっているとも聞きますし、国の支援について、どういう姿勢で臨んでいかれるのか、これは大臣からお答えいただけますか。

齋藤(健)国務大臣 御指摘の廃食用油については、海外でのSAF製造のために輸出をされているという実態もありまして、貴重な国内資源として活用が必要だというふうに思っています。

 現在、この輸出されている廃食用油などを国内で有効活用するために、既にSAFの製造事業者が自治体や飲食チェーンとの連携を進め、国産SAFの原料とする取組が各地で広がってきています。御指摘のとおりであります。

 こうした取組につきましては、国産原料の有効活用という観点のみならず、我が国エネルギーの安価かつ安定的な供給にもつながる取組であると考えていまして、経済産業省としても推進をしていきたいというふうに考えています。

 このため、昨年十二月のGX実行会議におきまして、GX経済移行債を活用して、今後五年間で三千四百億円の大規模なSAF製造設備への投資支援や生産、販売量に応じた税額控除の導入を決めさせていただいたところであります。

 経済産業省として、国産SAFの供給を推進するとともに、廃食用油を所管する農林水産省、環境省とともにしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

重徳委員 そうですね。各省との連携も必要になってくると思いますので、地元にもハッパをかけていきたいと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 さて、ちょっと質問通告の順番を変えますけれども、次に、AI時代にこれから入っていくわけですが、そこにおける教育なり職業の在り方について議論をしてまいりたいと思います。

 資料をお配りしております。資料一と二があるんですが、これからAI化が進むとなくなっていく職業、あるいはそれでも持続できる職業、こんなことが、いろいろなところから情報は出ているんですけれども、とりわけよく引用されている、発表された時期は若干古いんですが、二〇一五年に野村総研がオックスフォード大学の研究員と連携して発表したと言われております資料を引用して議論したいと思います。

 まず、資料一というのが、人工知能やロボット等による代替可能性が高い、すなわち、これから減っていくんじゃないか、なくなっちゃうかもしれない、そういう仕事が百件並んでおります。大体、共通するのは、事務員とか製造業、作業員、店員さんといったところが自動化していくんじゃないかと。これは確かに、駅なんかでも駅務員、IC化も進んでおりますし、無人駅も増えてきております。また、コンビニに行けばセルフレジもあります。そういうことで実感もされるところじゃないかなと思います。

 それから、資料二の方は、それでもこれから残り続けていく、大事、重要であり続ける仕事ですね、代替可能性が低い百種の職業とあります。これは簡潔にまとめることは、一言でまとめにくいんですけれども、一つにはアート、芸能、デザイン、音楽といった独創性の高い分野、それからスポーツもそうでしょうね。それから、医師、教師、福祉、介護、保育、犬の訓練士とか、そういうものがあります。人と人でやる、何か人肌の温かさというものが感じられないとなかなかできないこと。あとはどうでしょうか、コンサルティング、広告ディレクター、バーテンダー、料理研究家、美容師、学者といった、そういったお仕事。そういったものはこれからもAIに代替されることはなかろうという見通しであります。

 こういう中でも、AIがあろうとなかろうと、日本の地域でも、我々の生活の中でも重要であり続ける仕事というのは当然あるわけなんですね。AI時代に残れるかどうかという価値基準じゃなくて、今、現にあって、これからも必要だし、いなくなっちゃったら困る、こういうものもあると思います。

 この辺のまず認識合わせを齋藤大臣としてみたいと思うんですが、例えば農業ですね。大臣は農水大臣もされていましたので、思いも強いと思いますけれども、農業なんかは、AIに代替されるだなんだ以前に、激減しているわけですね、農家さんが。基幹的農業従事者と言われる個人農業者はこれから二十年で四分の一に減ると農水省は発表しております、百二十万人が三十万人に減ると。これはいかぬだろうと思います、食料自給率、特に食料安全保障が強調されている昨今において。農業は大事。

 それから、介護ですね。高齢社会において、まだまだ行き届かない、サポート体制というのがもっと必要なんですが、処遇が低いとかなり手が少ないというようなことで、介護事業というものは非常に苦しい状況にあります。

 こういったことは、AI云々以前に、これは国を挙げてなんですけれども、経済産業省所管だけではありませんけれども、こういった仕事が確かにある、そういう産業は確かにあるんだということについて、大臣からも認識をお願いいたします。

齋藤(健)国務大臣 まず、委員が御指摘になった資料を見て感じるんですけれども、これは二〇一五年に出た資料ですので、その後の生成AIの劇的な進展がありましたので、この人工知能やロボット等による代替可能性が低い百種の中でも、例えば俳優ですとか作曲家ですとか、そういうのはもしかしたらかなり代替されていく可能性があるのではないかと思いますので、より事態は厳しくなっているのかなと思います。

 農業や介護といった分野は、国や経済社会、人々の安心、こういったものを根底から支えるものであると思っています。こうした分野の重要性、必要性は、いかなる時代においても私は変わらないと考えています。

 他方で、今後の日本におきまして、人口減少、労働投入量の減少、これは継続していくことが見込まれるわけでありまして、こうした分野において、相対的に生産性や賃金が低いというような状況が続くとすれば、人手不足がより深刻化して、産業として成り立たなくなるというおそれもなきにしもあらずではないかと思っていますので、こうした分野においてこそ、AIを始めとしたデジタルツールをうまく活用することで、少ない人手でも質の高い品物ですとかサービスを提供できるように、生産性を向上させていかなくてはならないのではないかと考えています。

 すなわち、AIに代替されるのではなくて、AIに補完してもらうということで、そこで働く人たちが今後よりよい環境下で働いていくことができるようにしていくことが大事なのではないかと考えています。

 このため、経済産業省におきましては、例えば、介護分野において、厚生労働省と共同でロボット技術の介護利用における重点分野を定めて、高齢者の自立促進ですとか介護現場の負担軽減や生産性向上につながる、AI技術活用も含むロボット介護機器の実用化を目指して、開発支援を実施したりしているところであります。

 引き続き、我が国社会経済の基盤となる、こうした産業分野への政策支援にしっかり取り組んでいきたいと考えています。

重徳委員 今日は文科省の方にも来ていただいていると思います。

 今、大臣とやり取りさせていただいたのは、これからも引き続き重要であり続ける仕事についてでありました。

 AIが加速度的に導入をされてくると、淘汰されていく仕事があり、また、それでも残り続ける重要な仕事がある。更に考えると、AIが、いわゆるシンギュラリティーと言われますけれども、人間並み、あるいはそれ以上の能力を持ったそのときにおいて、新たに人間がやらなきゃいけない新しい仕事というものも生まれてくるであろう。そこまで予見していかなければ、特に教育を受ける若い世代の方々にとっては、時代に適応できなくなっていくんじゃないかなと。

 これは、これからどういう仕事が登場するかというのは諸説ありますので、それこそ、ネットで検索するとまあいろいろな仕事が登場します。

 例えば、データ探偵というんですが、「名探偵コナン」の探偵ですよね、データがいろいろ収集され分析されるんですが、それを、更にどうその内容を見抜くかとかアイデアをブラッシュアップしていくかとか、こういう、データを使って更に人間が創造的といいましょうか、探偵のような仕事をしていくというようなこと。それから、サイバー都市アナリスト。ちょっとこれは外国でつくられた概念だと思うので意味は分かりにくいんですけれども、市民や都市開発などに関するデータ、統計を分析したときに、セキュリティー面はどうなんだという観点からその情報を管理していくというようなこととか、仮想通貨の信頼性というものをしっかり確保する仕事とか、それから、AIがいろいろ健康とか栄養状態に関するデータを集積、分析をする、これをもって、更にそれを使ってアドバイスをしていく仕事とか、いろいろなものが登場するわけです。

 だから、結局、それは何かというと、AIを使いこなす、AIのやっていることをちゃんと理解した上で、それを管理し、そしてそれを新しい仕事に充て、そして、恐らく責任を取るというところまではAI自身はできませんので、最終責任は人間がちゃんと取るというようなことを仕事とするみたいな、そんなようなこととか、もちろん、人の心を動かす人間的な仕事というのは、これからも、AIを使いながらも重要であり続けるだろう、こういうふうに、私の勝手なイメージですけれども、そんなことを考えております。

 そういう意味で、なかなかこれは難問なんですけれども、シンギュラリティーという時代を見据えて、こういう、AIによって新たに生まれてくる仕事とか産業とか、そういうことに向けて教育内容も改革していく必要があると思うんですけれども、その点はどうでしょうか。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 グローバル化やデジタルトランスフォーメーションなどが労働市場に変容をもたらしておりまして、これからの時代の働き手に必要となる能力も変化をしてきているというふうに考えております。こうした変化に教育も対応していく必要があるだろうというふうな認識には立っております。

 現在の学習指導要領を策定する際の議論の中でも、中央教育審議会におきましては、例えば、今の子供たちが将来社会に出ていくときには、およそ六五%は今は存在しない職業に就く可能性があるのではないかという予測ですとか、あるいは、先ほど先生からお話ございました、今後数十年程度で半数近くの仕事が自動化されるのではないか、こういう予測を前提に検討、議論が行われました。

 その上で、今回の学習指導要領におきましては、これからの子供たちが出ていく社会を見据えて育成を目指すべき資質、能力とは何なのかということ、それから、教科や科目などを学ぶ意義ですとか、教科間あるいは学校段階間の接続をちゃんと見据えた教育課程、カリキュラムの編成をどうするか、そして、与えられた学習内容をどのように学ぶのか、自分で学び続けていく、主体的、対話的で深く学んでいく、こういうことが必要だということで改訂をした上で、基礎的な知識、技能をしっかり習得させるとともに、この知識を活用して課題を解決するための思考力、判断力、表現力を育み、さらに、将来にわたっても主体的に学習に取り組む態度、こういうものを養っていく。これで、やはり全てのことを学校だけで教えるということはなかなか難しゅうございますので、将来にわたって目の前の課題に自らがチャレンジし続けていく、こういう力も身につけていくということを主眼に置いてございます。

 こういう基本的な資質を義務教育段階で身につけた上で、高校段階でも更に、探究的な学びということで、より教科を深く学んだり、教科の本質に迫るような、そして仲間たちと一緒に新たな課題を解決するような、そういう知識を身につけるような教育を展開してございます。

 大学などの高等教育段階でも、文理横断的な知識、スキル、能力を身につけるといったようなことを目指して、様々な改革を進めているところでございます。

 文部科学省として、引き続き、社会がより複雑化、高度化し、予測困難な状況となっていく中で、急激な社会の変化にも柔軟に対応していける力を育成して、社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材を育てていくように鋭意進めてまいりたいと考えております。

重徳委員 いろいろと聞きたいことがあったんですけれども、時間が来ましたので、これで終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、鈴木隼人さん。

鈴木(隼)委員 自民党の鈴木隼人でございます。

 本日は、質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 この委員会の冒頭に、委員長から視察の御報告がありました。私もその視察に参加をさせていただきました。まずは、地震で貴い命を失われた方々に心からの御冥福をお祈り申し上げますとともに、また、被災された方々にお見舞いを申し上げたいと思います。

 その上で、視察先でお話を伺った方から御要望をいただいたりですとか、それから、私自身、その視察を通して感じたことを基に本日の質疑をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、一つ目ですけれども、能登半島といえば輪島塗が非常に有名でありますけれども、今回の震災で、この輪島塗の工房もかなり広く被害を受けたというお話を伺いました。

 この輪島塗を含めて、伝統工芸というものは我が国の貴重な文化でありまして、これを後世にきちんとした形で引き継いでいく、残していくといったことは非常に重要なことであるというふうに私は考えております。そういった意味で、政府としても、是非、震災に関連して、この伝統工芸へのしっかりとした支援を行っていただく必要があるだろうと。また、行っていただいているだろうというふうに思いますが、今回の震災に関連して、伝統工芸への支援をどのように行っているのか、御説明をいただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 輪島塗を始めとした能登半島地震で被災した伝統的工芸品産業につきましては、委員御指摘のとおり、その再生と復興に向け支援が必要な状況と認識いたしております。

 このため、中小機構による、被災事業者が仮設工房として活用できる集合型仮設施設の整備支援事業、事業再開に必要となる道具や原材料の確保を支援する伝統的工芸品産業支援補助金、事業に不可欠な施設や設備の復旧に御活用いただけるなりわい補助金などの支援策を講じているところでございます。

 仮設工房につきましては、四月一日に第一弾の施設がオープンし、現在、第二弾を整備中でありまして、また、第三弾、第四弾の整備に向けて、輪島市が地元の皆様の要望等を踏まえつつ調整中と聞いています。

 伝統的工芸品産業支援補助金につきましては、二次公募を実施中でございまして、被災事業者に寄り添った支援となるよう、一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会と連携し、中小企業診断士にも対応いただき、申請などに関する相談、申請書類等の手続サポートを行っております。

 輪島塗を始め、被災された伝統工芸の事業者が安心して再建の道を歩めるよう、引き続き、現場の声に耳を傾けながら、事業者に寄り添った対応を続けてまいりたいと考えております。

鈴木(隼)委員 詳細に答弁をいただきまして、ありがとうございました。

 中小機構が前面に立って、仮設工房を造っていただいたり、また道具の支援、なりわい補助などなど、いろいろやっていただいているということで、そういう御説明をいただきました。

 ちなみに、この輪島塗に関して言いますと、私も視察の際に仮設工房を訪問させていただきました。そこには四つの工房が入居をされていました。被災をされた工房というのはまだまだたくさんあるということでありますので、実際に支援の手が届いているのは、現状ではそのごく一部ということであります。

 ちなみに、政府として、輪島塗の工房というのはどれぐらいの数の工房が被災をされていて、二次、三次と今後公募をしていくというお話でしたけれども、そのプロセスの中でどれぐらいが救われていくのか、そのようなことを考えておられるようでしたら、具体的なお話をお聞きしたいと思います。

橋本政府参考人 お答え申し上げます。

 被災の状況については、必ずしも全貌を把握しているわけではございませんけれども、多数の事業者が被害を受けて事業を営めない状況にあるというふうに認識しております。

 今御指摘がありましたとおり、第一弾については四室の整備でございまして、今、整備中の第二弾につきましては、十室ほどの整備を予定しておるところでございます。また、第三弾、第四弾、先ほど調整中と申し上げましたけれども、ここにおきましては、現在まだ検討中ではございますけれども、四十ないし五十程度の整備というものを念頭に置きながら検討しておると伺っております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 実際に被災をされた工房は、大体五十ぐらいということであります。そういった意味で、今回、第一弾で四室、第二弾で十室、そして、第三弾、第四弾、トータルで五十程度という御説明を今いただいたわけですけれども、経産省の御努力によって、最終的には全ての被災した工房が仮設工房にまずは入居をできる、そういう状況が想定されているわけであります。本当に、手厚いお手当てをいただいておりますことに、心から感謝を申し上げたいと思います。

 それで、被災地を視察させていただく中で、本当に多くの建物が揺れによってなぎ倒されてしまっている、大変悲惨な状況を目にいたしました。そういった状況の中で、被災された中小企業の経営者の方々としても、事業の今後の再開に向けて、かなり途方に暮れるような思いをしておられるんじゃないかなというふうに思います。

 こういった経営者の方々の今後の事業の再開に向けて、専門のアドバイザーが相談に乗ってさしあげるというような取組が非常に重要だというふうに思っておりますし、また、他の災害においても、こういったアドバイザーの方々が御活躍をいただいたというお話も伺っております。

 今回の震災に関連しても、この相談事業が行われているというふうには聞いておりますが、改めて、どのような取組を行っているのか、政府の方から御説明をいただきたいと思います。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 先生御指摘のとおり、早期のなりわい再建を図るためには、経営者からの相談に真摯に対応していくことが重要だと思っております。まさに、どうしていいか分からないというようなところでございますので、いろいろな支援策も御紹介しながら、一緒に寄り添って再開への道筋を立てていく、こういうことが重要ではないかと思っております。

 足下を見ますと、インフラの復旧に伴いまして、なりわい再建に向けた具体的な相談が増えてきております。相談先となる各支援機関の体制強化を図ってまいります。

 具体的なことでございますけれども、まず第一に、全国の商工会、商工会議所から、能登半島事業者支援センターや被災各地の商工会、商工会議所に経営指導員などを派遣する、それから第二に、石川県よろず支援拠点から金沢事業者支援センターに専門家を派遣する、そして第三に、中小機構から支援機関や事業者に復興支援アドバイザーを派遣するなどの取組を行っております。

 また、こうした支援に当たる実務者間の連携もより一層重要になると考えております。経産大臣を本部長といたします被災中小企業・小規模事業者等支援本部の下に、ワーキンググループを設置しております。自治体や商工団体などの実務者による連携を強化しながら、復旧に取り組む事業者をしっかりと支援してまいります。

鈴木(隼)委員 ありがとうございました。

 相談事業は非常に重要であるということでありますので、是非、現地の被災した経営者の方々に寄り添う相談対応を引き続き行っていただければというふうに思います。

 次に、また同じく中小企業の事業再開に向けてのお話でありますけれども、やはり、急な震災で、例えば工場が倒壊してしまった、それを建て直していかなきゃいけないとか、本当に、予定していない大きな資金繰りというもので悩んでおられる方も多いのではないかというふうに思います。

 そういった意味で、資金的な支援といったときに、補助事業、それから金融事業があると思いますが、まずは補助事業について、どんなことをやっておられるのか御説明をいただきたいと思います。

須藤政府参考人 補助事業についてでございますけれども、具体的に幾つか申し上げます。

 まず第一に、施設や設備の復旧を支援するなりわい補助金、先ほど製造局からも御紹介ありましたけれども、伝統工芸に限らず幅広い産業でお使いいただけるものとなっております。それから、販路開拓など、まず手始めに行っていくということがございますので、これを応援する持続化補助金、そのほか、商店街のにぎわい再生、あるいは商店街のハード支援といったようなことも行っております。

 引き続き、補助金の実施主体である県や関係者と連携しながら、状況を丁寧に把握して、より使い勝手のよくなるようなことも意識しながら、しっかりと支援を進めてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 しっかり補助事業も行っていただいているということでありますが、先ほど近藤委員の質疑の中でも、現物をお持ちいただいて、申請書が非常に大変だということもありますので、その辺り、今お話のありましたように、使いやすい制度にこれからも引き続きブラッシュアップをしていただくのがよろしいかなというふうに思います。是非お願いいたします。

 それでは次に、資金支援の中でも金融支援もやられているかと思いますので、どういった金融支援をやっているのか、御紹介をいただければと思います。

須藤政府参考人 金融支援について申し上げます。

 まず、日本公庫による特別貸付けを行っております。これは、当初三年間の金利を〇・九%引き下げるという措置を取っております。次に、セーフティーネット保証や一般保証とは別枠で、一〇〇%保証をする災害関係保証を適用をしてございます。加えて、全国的には六月末で終了するコロナ借換え保証について、能登半島地震の影響が残る地域として、石川県内の災害救助法適用地域の十七市町村では、七月以降も継続してまいります。

 また、被災中小企業者にとっては、既往債務、既に抱えている債務が負担となり、事業再建や必要な新規資金調達が困難になる、いわゆる二重債務問題への対策として、三市三町の被災事業者を対象に既往債務について債権買取りや出資を実施する、百億円規模の能登半島地震復興支援ファンドを設立しております。

 加えて、ファンドでの債権買取り支援等につなげるために、四月一日に七尾市に能登産業復興相談センターを開設し、その後、奥能登地域にサテライトオフィスを設置するなど、きめ細やかな相談体制をしているところでございます。

 御指摘ございましたけれども、補助金含めて、金融含めて、しっかり相談をして、事業者の方々が使っていただきやすいようなことを意識しながら対応を進めてまいります。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。改めて、御説明を伺いながら、本当にきめの細かいサポートをしていただいているということを感じます。

 今回の地震で、先ほど申し上げたように、工場が倒壊するなど、こういった状況の中で、事業の休止に追い込まれている事業者も多いようであります。そういう御説明を視察のときにも伺いました。

 その中で、失業者の大量発生、こういった事態を防ぐ観点からはどういった施策を政府として講じておられるのか、その辺りも御説明をいただきたいと思います。

田中(佐)政府参考人 お答えをいたします。

 被災地におきまして今後の復興復旧に取り組んでいくためにも、雇用の維持、重要な課題でございます。

 事業活動の縮小などを余儀なくされた事業主に対して、厚生労働省としても、様々な特例措置を講じて支援を行っております。

 まず、事業主が労働者に対して支払う休業手当それから賃金などの一部を助成する雇用調整助成金でございますが、中小企業に対する助成率を三分の二から五分の四へ、大企業に対する助成率を二分の一から三分の二へ引き上げております。また、従業員一人当たりの支給日数の上限、一年間で百日から三百日へ引き上げるなどの特例措置を講じてございます。

 また、雇用保険ですが、事業所が災害により休止、廃止したために休業して賃金を受けることができない方につきまして、離職していない場合、それから一時的に離職している場合も失業給付の受給を可能にするといった特例措置を実施をしてございます。

 今般の取組を通じまして、被災地の事業主などをしっかりと支援してまいります。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 今お話のありましたように、雇調金を三百日に延長していただいたということで、これは現地の被災者も一定程度感謝をしておられましたが、ただ、一方でこういうお話もあったんですね。工場が倒壊をしてしまいました、工場を建て直すに当たって建築業者さんにお願いをしている、ただ、この建築業者さんも非常にあちこちからお仕事の依頼が、こういう状況ですから重なっておられて、実際にその工場の建て直しの着手に入れるのが一年後だという話。工場の着手に入るのが一年後だとすると、実際に工場が再開できるのは更にもっと後ということになりますので、せっかく三百日に延長していただいたのではありますが、三百日ではとても足りない状況だ、それが現状だというようなお話もありました。

 この辺り、何か政府として対応の方策を考えておられるのか、その辺りをお聞かせいただければと思います。

田中(佐)政府参考人 御指摘ではございますけれども、今般の特例措置におきましては、過去の災害時の対応も参考としながら、先ほど申し上げました助成率、支給日数の引上げに加えまして、現地での休業による雇用維持だけではなく、従業員が二次避難を行っている場合などの出向を活用した雇用維持も助成の対象とする、それから、被災企業がより制度を活用しやすいよう、休業などの規模が小さい場合でも助成の対象となるよう要件を緩和するといったきめ細かい配慮を行っているところでございまして、今般の特例措置を通じた引き続きの被災地の事業主に寄り添った支援を続けてまいりたいというふうに考えております。

鈴木(隼)委員 政府として一定程度そういったことも考えて対応していただいているという御説明だったんだと思いますけれども、これからまた更に被災地からもいろいろな声が上がってくるんだろうと思いますので、よく政府としてもそういった声に耳を傾けながら、どういうサポートをしていくべきなのか、その時々でしっかりと検討をし続けていただきたいなというふうに思っております。

 今回の能登半島地震におきましては、輪島朝市の火災、これも全国に非常に大きなショックを与えました。

 この出火の原因というのは一体何だったのか、既に分析を政府の方でされておられると承知しておりますので、御紹介をいただきたいと思います。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 令和六年能登半島地震に伴いまして石川県輪島市で発生しました大規模な市街地火災につきましては、消防庁長官による火災原因調査を実施いたしておりまして、五月の二十八日に調査結果をまとめたところでございます。

 その結論といたしましては、本火災は、地震の影響により電気に起因した火災が発生した可能性は考えられるが、火元建物全体が焼失し、建物内に残存している物品も全体的に著しく焼損し大半が原形をとどめていないことから、具体的な発火源、出火に至る経緯などの特定には至らなかったということでございます。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 電気であった可能性はあるけれども、詳細は分析不能な状況だというお話でありました。

 今回については完全に特定はできなかったということでありますが、今後想定される南海トラフですとか首都直下ですとか、こういった震災を想定をしたときに、やはり火災の被害は甚大になると想定をされます。そういう意味で、あらゆる火災の原因というものを、なるべく事前に芽を摘めるものは摘んでおかなければならない。

 そういった意味で、一つのテーマとして、感震ブレーカーの設置の推進というのが非常に重要なテーマとなってくる。

 既に取り組まれている自治体もありますけれども、これは非常に重要でありますので、この点について、現在の設置状況と、それから今後の設置の推進に向けた取組、政府としてどのように取り組んでおられるか、あるいは状況を把握しておられるか、御説明をいただきたいと思います。

田辺政府参考人 委員御指摘のとおり、感震ブレーカーの設置は、電気火災の発生抑制に大きな効果があると認識しております。

 感震ブレーカーの設置状況については、全国では、令和四年時点で約五・二%、首都直下地震緊急対策区域内の地震時等に著しく危険な密集市街地においては、令和元年時点で約二二%との調査結果があると承知しております。

 国においては、感震ブレーカーの普及を図るため、これまで、第三者機関による製品認証制度の適用による製品への信頼性の確保や、電気設備の施工時に適用される民間の規定において、危険な密集市街地等における住宅に対し感震ブレーカーの設置を強く促すなどの取組を行ってまいりました。また、毎年春、秋に行われる全国火災予防運動でも周知を図っております。

 さらに、市区町村を中心に、感震ブレーカーの設置に対する助成制度を設けて普及に取り組んでいるほか、例えば東京都においては、木造住宅密集地域を対象に、感震ブレーカーを無償で配布する取組を進めているところと承知しております。

 今後とも、関係省庁や自治体等と連携し、感震ブレーカーの普及にしっかり努めてまいります。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 まさに国を挙げてと言っても過言ではない、政府としても、あるいは自治体でも、しっかりこの感震ブレーカーの導入の促進に向けて御努力をいただいているということでありますが、これは、なかなか強制ということも難しいことだと思いますので、設置の状況が思うほど芳しくないという状況もございます。引き続き、粘り強い対応をいただければというふうに思っております。

 そして、視察の際には、石川県知事、馳知事とも意見交換をさせていただきました。その際に、福祉支援の充実について馳知事から要請がありました。

 現状、災害法制の中で、福祉的支援としてどんなことを行っているのかについて御説明をいただきたいと思います。

田辺政府参考人 委員御指摘の福祉は、災害関連死を防止する観点からも重要な視点と考えております。

 このため、現行の災害救助法の運用においても、福祉避難所の設置や、避難所で福祉支援を行う災害派遣福祉チーム、DMATの派遣など、福祉的な配慮を含めて支援を行っています。

 また、災害対策基本法に基づき、平時から福祉避難所を指定し発災後の早期開設に備える、高齢者、障害者等の要配慮者のうち自ら避難することが困難であり避難の際に支援が必要な方について個別避難計画の作成を進めるなど、様々な方法で要配慮者への支援等を行っているところです。

 内閣府としても、災害時に福祉的な視点を踏まえた支援が行われるよう、引き続き取り組んでまいります。

鈴木(隼)委員 ありがとうございます。

 被災地においては、福祉避難所を設置するといったような、そういった取組もしていただいているということでありますので、そういったきめの細かい対応に大変感謝申し上げますとともに、是非、そういった地元からの声もあるということで、これからも地元の声に耳を傾け続けていただけたらというふうに思います。

 これは、以下御質問ではありませんが、視察の中で私が一つ感じたこととして、内灘町は、液状化で側方流動が起きてしまって、本当に町全体がぼろぼろというような状況でありました。今後、復興フェーズにおいては、地域全体で、面として、地盤改良ですとか、そして、その上で筆界の確定などを行っていかなければならないような状況。ここまでの被害というのはこれまできちんと想定をされてきたのかどうか、私は疑問なところがあります。というのも、政府の方と意見交換をさせていただいても、そこまでの被害に対する支援スキームというのは十分なものがないのではないかなというふうに感じております。

 これは、じゃ、ここまでの広域になると、個人個人をサポートするというよりも、内灘町、自治体に前に出てもらわなければならないだろうというような視点も恐らく出てくるだろうと思いますが、ただ、一方で、非常に、町全体、面として再整備をしていかなければならない大きな事業となりますと、自治体任せで本当に進むのかというようなところも懸念事項としてございますので、国としてもしっかりそこはサポートしていただきたいなというふうに申し上げます。

 最後になりますけれども、この度、珠洲市では、金田副市長、それから珠洲商工会議所袖事務局長、株式会社鍵主工業の鍵主社長、輪島市は、中山副市長、そして輪島塗の仮設工房に入っておられる入居者の方々、また、七尾市で御対応いただいた市役所の方、内灘町川口町長、石川県庁、馳知事含め職員の皆様、復興復旧お忙しい中で御対応いただいたことに心から感謝を申し上げ、本日の質疑を締めさせていただきます。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、中野洋昌さん。

中野(洋)委員 公明党の中野洋昌でございます。

 早速、通告に従いまして質問をさせていただきます。

 今日は一般質疑ということではありますけれども、能登半島の地震に関連をしまして、委員会でも、冒頭、委員長から御報告ありましたとおり、視察に行かせていただきました。

 公明党の石川県本部の皆様からも、毎週のように我が党でも会議を開かせていただいたり、様々な御要望もいただきながら、やはり復興に向けてしっかりやっていかないといけないということで、私も、そういう意味では現状は様々聞いていたつもりではあったんですけれども、やはり実際に行かせていただくと、本当に、地震の被害の大きさであるとか、あるいは、公費解体も含めて、家屋の倒壊の状況、こうした状況が、進めていくのが非常に大変だということも含めて、やはりこの復興についてはいま一度国がしっかり力を入れていかないといけないというのを改めて感じましたし、また、そういう大変な状況の中で今回の視察に様々御協力いただいた地元の皆様には、本当に感謝を申し上げる次第でございます。

 経済産業委員会ということで、先ほども何点か指摘がありましたけれども、やはり事業の再生、なりわいの再建、こういうところについて、まず冒頭、御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 やはり、能登半島、奥能登の地域で非常に高齢化も進んでいて、事業者の皆様、社長、経営者の皆様もかなり平均年齢も高いという状況の中でのここからの再建ということで、様々なハードルがあるというふうなことも改めて感じた次第ではありますけれども、なりわい再建補助金というのが、様々、私も、議員になったり、あるいは経済産業政務官もやらせていただきましたけれども、災害のたびに、やはりこれを改善した方がいいんじゃないかとか、いろいろなことを改善をしてきた、そういう大事な補助金のツールだというふうに思っておりますけれども、今回も、やはり非常に申請が煩雑であるとか、いろいろな御指摘も、地元の商工団体等も含めて様々御要望があったというふうに思います。

 こうしたことを含めて、制度の改善も今回もるる図ってきているというふうにも聞いておりますので、改めてそうした状況を確認をさせていただくとともに、また、申請はやはりこれからだというふうに思います。まだまだ再建の計画が立たないという状況の中で、これから具体的に進んでいくという状況であると思いますので、やはりそうした、中小零細、あるいは非常に高齢化も進んでいるというふうな経営者の方も多い中で、しっかり伴走をしていく、伴走型の支援の強化ということが非常に大事なんだというふうに思います。この点についても、どういう形でしっかり強化をしていくのかということを併せて御質問をさせていただきたいと思います。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 なりわい補助金につきましては、被災地域の復旧復興の促進に向けて、被災中小・小規模事業者の皆様の御事業に不可欠な施設設備の復旧を支援しております。

 委員御指摘のように、これまで石川県の商工団体等から寄せられた改善要望との関係におきましては、例えば、原状回復に必要な費用が上限ではありますものの、その範囲内であれば、現行の法令基準を超える耐震性能の向上、あるいは修繕で可能な半壊の場合であっても建て替えを認める、そういった柔軟な対応を行ってきているところであります。

 また、加えて、御指摘がありました申請の書類につきましても、これまで書類一式を束ねて事業者様にお渡ししてきたところでありますが、事業者様御自身においてどの書類が必要かを判断しやすくするために、我々、今般、石川県とも連携しながらフローチャートを作成いたしまして、既にそのフローチャートは現場にも展開して活用を始めていただいておるところであります。

 また、被災地域におきましては、早期のなりわい再建を図るために、事業者様からの相談に真摯に対応するため、寄り添いながら事業再開の道筋を立てていくことが極めて重要であると認識しております。

 このため、全国の商工会あるいは商工会議所から、能登半島事業支援センターや、あるいは被災された各地の商工会、商工会議所に経営指導員の方を派遣しております。また、石川県のよろず支援拠点からは、金沢事業者支援センターにおきまして専門家を派遣しております。加えて、独立行政法人中小企業基盤整備機構からも支援機関や事業者様に中小企業診断士などを派遣しております。

 こうした現場の体制の強化によりまして、事業者様のなりわい補助金の申請のサポートを行っております。

 さらには、私ども中小企業庁におきましても、自治体や商工団体など実務者の方によるワーキンググループを開催いたしまして、こうした支援に当たる実務者間の連携、これの一層の強化を図っているところであります。

 引き続き、被災事業者の皆様に寄り添いながら、被災地の復旧復興に向けて全力で励んでまいりたい、かように考えております。

中野(洋)委員 是非お願いを申し上げます。

 少しここからはテーマを変えまして、前回の質問で最後できなかったところもありますので、ちょっと取り上げさせていただきますと、一つは、今国会の大きなテーマの一つである、物価高に対応する賃上げや価格転嫁というところであります。

 前回の質疑のときに運送業を取り上げまして、これが特にデータ的に一番進んでいないんだというふうなこともお話をさせていただき、この国会では、流通業務総合効率化法あるいは貨物運送事業法、これの法改正もしましたので、荷主を所管する経済産業省はこれをしっかり指導していかないとこれは変わらないということも指摘をさせていただきました。

 これだけで十分なのかということも私は感じておりまして、今、公正取引委員会の働きも非常に大事だと思っております。価格転嫁について今社名の公表などいろいろやっていただいていますけれども、独占禁止法上の対応ということもありまして、やはり、これはかなり、いろいろな意味で対応が大変なんじゃないかというふうに思っております。

 今、下請法でもこれをしっかり対応すべきだというふうな、いろいろな御要望もいただいております。やはり、荷主と運送事業者、これは下請法で対応していった方がいいんじゃないかということであるとか、あるいは、こうした優越的な地位の濫用で、どうしても、値引きとか、そういうところはあれなんですけれども、今インフレでどんどん物価高の中で、価格の据置きだけでもこれは非常に大変だというふうな御意見もあったりですとか、こうしたことも対象にすべきであるとか、いろいろな御要望をいただいております。

 やはり、この下請法の改正も視野に入れて、価格の転嫁というものをもう一重しっかり対策をしていくべきではないか。これを公正取引委員会に御質問したいというふうに思います。

向井政府参考人 お答えいたします。

 荷主と物流事業者間の商慣行や物流業者の多重下請構造、そこから生じる課題につきましては、公正取引委員会としては、従来から強い問題意識を持って取り組んでいるところでございます。

 具体的には、独禁法や下請法に違反する行為がございましたら、それに対しまして厳正に対処する、そのほか、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査、これにつきましては継続的に実施をしているところでございます。

 引き続き、価格上昇局面における価格転嫁の問題に対しては、独占禁止法の優越的地位の濫用、御指摘のありました下請法に基づく買いたたき、減額などに該当する事案につきまして積極的に執行を図りまして、適切な価格転嫁を新たな商慣習としてサプライチェーン全体で定着させる、そういうような取組を進めていきたいと思います。

 その上で、価格転嫁円滑化のために更に必要な施策については、取引慣行の実態、そして転嫁の状況を検証いたしまして、委員御指摘の下請法の改正の要否を含めまして、今後、幅広く必要な検討を行ってまいりたいと考えてございます。

中野(洋)委員 しっかり、この下請法改正というところも私は必要だと思っておりますので、是非お願いをいたします。

 最後に、今日、茂木審議官に来ていただいております。万博の関係で、ちょっと幾つか確認をさせてください。

 私も、兵庫が地元なんですが、大阪がお隣でありますので、やはり万博の成功というのは非常に重要だと思っております。他方で、最近、いろいろな御不安の声もいただいたりもして、成功の機運醸成のために、やはりこうした不安を払拭することは大事だと思っております。

 一つは、工事中にメタンガスの爆発というのがありましたので、これが、特にパビリオンの工区の、パビリオンワールドのところは大丈夫なのかという御不安の声をいただいております。

 これについて、まず、本当に大丈夫なのかというところが一つと、やはり安全対策というのを強化する必要があるのではないかというふうに思うんですけれども、まずはこれについて御確認をさせていただければと思います。

茂木政府参考人 まず、本年の三月二十八日に発生いたしましたメタンガスを起因とした爆発火災事故について、御心配をおかけしております。改めまして、来場者の安全確保に最優先に取り組むということが万博の成功の基本であるというふうに強く認識をしておるところであります。

 三月二十八日の事故につきましては、博覧会協会におきまして、専門家の意見を聞いた上で工事期間中の再発防止策を取りまとめて、四月の十九日に公表して、工事を再開しているところであります。

 また、御言及ございましたパビリオンワールド工区におけるメタンガスの検出でございますが、これは、会期中の一層の安全対策を検討するに当たりまして、これまで取っておりました測定記録を再検証しましたところ、四か所で、労働安全衛生規則で対策が求められる基準値の四分の一以下ではございますが、低濃度のメタンガスが検出されたというデータを確認したものでございます。

 パビリオンワールド工区も含めました会期中のより一層の安全対策については、博覧会協会において現在検討中でございますけれども、専門家の意見も聞きながら、六月中を目途に取りまとめるべく調整をしているところです。これは、取りまとまり次第、速やかに公表したいというふうに考えています。

 子供たちを始め多くの方に安心して万博にお越しいただけるよう、安全対策には万全を期して取り組んでまいります。

中野(洋)委員 安全対策を今検討していただいているという御答弁もありましたので、これは是非しっかりやっていただきたいと改めてお願いを申し上げます。

 ちょっと時間も迫ってまいりましたので、最後の質問は二つまとめてさせていただきたいと思うんですけれども、もう一つよくいただく御心配が、運営費というか、コストがやはり何回か上振れをしたということが残念ながらありまして、それがこの機運の醸成の足を引っ張っているんじゃないかと、私、個人的には感じておるところもあります。

 我が党も、やはり予算執行管理をしっかりやるべきだというところを訴えさせていただいておりまして、こうした執行管理の見える化というのも現在行われているというふうに承知をしておりますので、まずは、事業費、会場整備費というか、ここの部分の上振れはもう起きない、しっかり見ているというところを確認をさせていただきたい。

 もう一点、最近よく言われますのが、運営費の方が、チケットの販売収入というところが原資になりますので、当然、ここが伸び悩めば費用が足りないというところであります。これは、チケット販売の促進というのが当然これから必要になってくるわけではあるんですけれども、こうした点についても、国費の追加の投入というところはしない、そういうことではない、しっかりと対応していくんだというところも是非確認をさせていただきたいというふうに思いますので、合わせて二点、お願いをしたいと思います。

茂木政府参考人 まず、会場建設費でございますが、最大二千三百五十億円に見直すという博覧会協会の精査結果について、昨年でございますけれども、物価上昇や労務費の計算の妥当性など、様々な観点から精査を行ったものでありまして、この中で、予期できない更なる物価上昇等に対応するための金額も見積もられておりますので、更なる増額は想定してはおりません。

 それから、運営費についてですが、これは先ほど委員からも御指摘ありましたとおり、入場券の売上げの状況ですとか民間企業からの協賛金、それからライセンス収入などの動向を踏まえて、収支相償となるように、その範囲内で事業を具体化していくというふうに考えておりまして、博覧会協会にて赤字にならないように取り組んでいくというふうにまずは承知をしております。

 政府としても、この費用の適正性を継続的にモニタリングしていく必要があるというふうに考えています。外部有識者から成る大阪・関西万博予算執行監視委員会というのを設置しておりまして、こうした枠組みを活用しながら、協会による適正な事業運営を確保しまして、赤字にならないように、早期にその芽を摘み取りながら対策を取っていくということが重要だというふうに考えております。

中野(洋)委員 改めて、機運醸成のために様々な取組を是非お願いをしたいというふうに思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

岡本委員長 では、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

岡本委員長 速記を起こしてください。

 次に、荒井優さん。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。

 今回、経済産業委員の理事として、先週、能登半島の視察に行かせていただきました。

 実は、行く前は大変もやもやしていまして、思い起こせば、十三年前の東日本大震災のときは、当時、民間人として被災地に駆けつけて様々なボランティア活動等してまいりましたが、改めて、こういう国の中枢にいる立場で何ができるんだろうとずっと思いながら半年間行くことができずに、また、国の仕事の一環として税金で行かせていただくことに対して、本当にそれがどういうふうに役に立つのかというのをすごく悩みながらではありましたが、結果として、行かせてもらって大変よかったというふうに思っております。

 今日は、その質問についてさせていただきたいというふうに思います。

 また、あと今日は、行かせていただいたのが理事の皆さん方だけだったと思いますので、是非委員の皆さんにも二つほどお願い事があって、是非、この経済産業委員の皆さんとともに能登半島全体の復興に協力したいと思って、お願い事が二点だけございますので、少し耳を傾けていただければというふうに思っております。

    〔委員長退席、中野(洋)委員長代理着席〕

 元々、僕自身、ちょうど大学生、二十歳のときに阪神大震災がありまして、当時、一大学生としてボランティアに行き、本当に、古着の仕分とか、大したことはできなかったかもしれませんが、それが原体験にもなっていたかと思っております。

 そういった観点から考えましても、今日、資料一をお渡ししてございますが、石川県でも、今、震災復興のアドバイザリーボードというものを組成して様々に議論されていますが、十名いるアドバイザリーボードのうちの六名ほどが、東日本大震災の復興にも直接に関わった若い世代。

 もう四十代の後半ですから、この四十代、五十代の人たちを若いと言い切れるかどうか分かりませんが、少なくとも、十三年前は三十代中盤で、若いNPOの人たちが多くて、政府と直接に仕事をするというのがなかなかできない中、被災地で本当に細かく丁寧に、いろいろと歯を食いしばりながらやっていた人たちが、今こうして石川県や政府若しくは各政党の様々なところで話をしたり提言できる立場にいるということは、まさにこういう震災の復興に関わっていくことが、同時に、人も成長していくし、そして新しい復興のスタイルもつくってきているんだなということをすごく感じました。

 このことも、最後に、今回、馳知事とお話しさせていただいたときにも、まさにこういった面々が活躍していますねというお話をしたときに、大変、知事も西垣副知事も、喜んでいただいてという言い方はおかしいかもしれませんが、本当に、大変心強いですということをおっしゃっていただきました。

 そういった意味でも、当時の僕が、大学生が、ボランティアの活動をして、微力ながら、でも無力ではないという思いでやってきたことが、こうして十年、二十年後に大きく形になるかもしれませんので、是非身近な若い人たちに、今から能登半島のボランティア活動に行ったらいいんじゃないかということをお声がけいただきたいというふうに思っております。

 ちなみに、今回、実は、輪島市に行ったときに、わじま未来トークということの復興イベントが、ポスターが掲げてあったんですが、ちょうど先週末行われたんですが、このときのわじま未来トークにボランティアとして、そしてファシリテーターとして参加されていたのは、東日本大震災のときの復興をずっとされている、石巻の雄勝のモリウミアスというところがあるんですが、そこの立花貴さんという方が今回行かれて、ファシリテーションをされていました。

 立花貴さんは、十三年前の東日本大震災のときに、霞が関から石巻まで、これは約六時間あるんですが、車を週二回、合計年百回走らせて様々なボランティアの人たちを連れていくんです。実は、霞が関の若い官僚が土日返上でたくさんこの車に乗って、当時、十三年前に雄勝の復興にたくさん関わるんですね。そこからしばらくしてから、実は人事院が、これを是非人事院で全省庁の若手研修に使わせてくれということで、十三年間、毎年やっているんですね。

 そういった人たちが今も能登半島でも活躍をしていますし、逆に言うと、今、全省庁でこうやって東日本大震災の復興ボランティアで活動した人たちが皆さん働いているんだということを、是非、こういった人たちが次の時代をつくっていくということも含めて、政務の皆さんや議員の皆さんにも知っていただきたいというふうに思っております。

 実は、そういう中で、僕もいろいろ今回行ってきて、その後に、このアドバイザリーボードの皆さんや震災復興に関わった皆さんにいろいろと問合せをしたところ、今回、いろいろな厳しい現状を見てまいりました。特に、もちろん、なりわいの再建ではあるんですが、なりわいの再建は前提として、家の再建が大前提になるわけです。でも、家の再建というのは非常にお金がかかることになっていますが、これはどうやったら本当に復興できるのかというのをいろいろな人に聞いてみましたら、岡本正さんという弁護士の先生がいらっしゃいます、この人も若い先生ですが、この岡本正さんから言われたのは、やはり地震保険への加入が非常に重要だったんじゃないかということを言っています。

 公的支援、後で公的支援の話をさせていただきますが、やはり公的支援だけではどうしても家は建たないわけですね。東日本大震災のときには大体家を一軒新築するには二千五百万円ほどかかったと言われていますが、出している公的支援は四百万円なんです。どうしても二千百万円分はお金が出せないわけですね、被災者の方々は。

 ちなみに、この地震保険というのは、これは一九六六年、ちょうど約六十年前の新潟地震のときに、田中角栄さんが大蔵大臣として、こういったものを創立するべきだと言って、政府が支援する形でつくった、そういった制度なんだということを僕も今回初めて知りました。

 ちなみに、損害保険料算出機構というところで調べますと、各地域の地震保険の加入率というものが出ております。全国の平均では六九・四%、約七割の方が入られているんですが、今回、石川県では六四・七%、平均よりちょっと低いということなんですね。それでも既に九・五万件、八百四十九億円の金が出ていて、その地震保険でお金を出しています。一方、僕の選挙区であります北海道は六二・七%と、平均の七割よりちょっと下がっているわけですね。齋藤大臣の千葉であれば六四・八%、やはり平均よりもちょっと低いわけです。ほかにも、岡山、六八・四、愛媛、七六。そういった形で、結構、地域によって差があるのがこの地震保険なんじゃないかと思うんです。

 この能登半島の地震を一つの契機にしながら、やはり地震保険の普及というものは、もう少し、我々、立法府の人たちも、これを普及促進してもいいものなんじゃないかというふうに感じております。

 なので、今日、これは一つ委員の先生方への御提言で、是非、地震保険について少し興味、関心を持っていただいて、多くの皆さんに、これから、地震大国ですので、一つの今回の教訓として、是非知っていただければというふうに思います。

 まず、今日は一つ厚生労働省にお伺いしたいんですが、今回、被災地を視察する中で、先ほども先生たちからもお話ありましたが、鍵主工業の鍵主社長という珠洲市で頑張られている方からお話をいただいたんですが、やはり社会保険料の負担が非常に企業にとっては苦しいんだと。それで、実は珠洲市は八百五十社ほど会社があるんですが、そのうちの五割が今まだ休業や未定で、一割が既に廃業している、そんなお話もあるんですが、実は、廃業した経営者仲間にとっては、この社会保険料が払えなくて廃業を決めざるを得なかった人もいるんです、そういうお話をいただきました。

 東日本大震災のときはこの減免措置が図られたということではありますが、今回はまだ行われていない、難しいということですが、どうして今回できないのか、お答えいただけますでしょうか。

    〔中野(洋)委員長代理退席、委員長着席〕

塩崎大臣政務官 お答えいたします。

 委員、今回、経産委員会の理事の皆様で現地の実情視察へ行っていただいたということ、ブログも拝見いたしましたけれども、本当につぶさに見ていただきまして、被災された皆様にとっても大きな励みになったのではないかと思います。

 大きな自然災害が起きたときに、限りある財源の中でどういう公的な支援をしていくのかというのは、非常にこれは難しい課題であるわけでございますが、災害時の社会保険料につきましては、社会保険制度が、制度に加入する被用者を保障するための費用を事業主と被用者全体が納める保険料によって支え合うという原則であるということと、年金や医療等の給付は経済状況にかかわらず継続していかなければならないということもあり、基本的には、減免ではなく、納付期限の延長によってこれまでの数多くの自然災害でも対応してきております。

 ただ、今御指摘があって、委員自身も関わられたと伺いましたが、東日本大震災、また阪神・淡路、こうした場合には、極めて甚大な人的被害が発生したこと、また、これに加えて、二次災害による影響もあって、建物等への物的損害も大きく、経済活動の継続に多大な支障が生じると考えられたこと、こういったことから、特例的な措置として、特別法により、給与等の支払いに著しい支障が生じた事業所について社会保険料の免除を行った経緯がございます。

 今般の能登半島地震においては、石川県及び富山県に所在する事業所について、まずは社会保険料の納付期限を延長する措置を講じさせていただいているところでございまして、こうした制度を適切に運用しながら、引き続き、被害状況、そして復興の状況、皆様の御意見を踏まえながら、復興に向けて丁寧に対応してまいりたいと考えております。

荒井委員 政務官、ありがとうございます。

 先ほど申し上げたように、田中角栄大臣、財務大臣だったときに、まさに政治の大きなダイナミズムで、そういった地震保険等を民間と一緒に創立したんだというふうに思います。今回、改めて、民間人ではなく政治家として、こういう震災復興に、僕自身は関わっているというほど、まだ言えるわけではありませんが、やはり政治の可能性というのはこういうところにもあるのではないかというふうに思っておりますので、是非役所の中から、もちろん、財源のこと、難しさは重々承知しておりますが、リーダーシップを発揮していただいて、次に向けて是非御支援いただければというふうに思ってございます。

 また、もう一つ同じくお伺いしたいことが、今回の石川県地域福祉推進支援臨時特例給付金、少し長い名前になりましたが、臨時特例給付金について。

 これは、実はずっと、今回の国会が始まったときから野党が、野党全党で、三百万円の特例給付金に上乗せする形で、もう三百万円をという形でずっと提言をしてまいりました。最終的には、武見大臣や総理にも認めていただく形で六百万円にもなりました。これは、僕も予算委員会で質問する前後に政務官にも御相談もさせていただいたり、厚労省の皆さんが大変苦悩しながら頑張っていただいてつくっていただいた支援で、大変そこは感謝しております。

 ただ、今回、自分自身も、石川県、つまり能登と言われる地域とそして加賀と言われる地域と両方回ってくる中で、そして、加賀の、県庁所在地である金沢市のすぐ北にある内灘町という、その地域での今回の液状化による、家が埋まってしまっている状況を拝見すると、やはりこれは石川県全体の話、また、液状化は実は新潟やほかの地域でも起きてはいるんですが、それがなぜ今回、内灘町の方からも、この特例給付金三百万円分がうちの町では使えないのかということを言われて、そこはすごく答えに窮したところがございます。

 被災地において、ここは、みんな同じ地震で被害に遭っているわけですが、こういったほかの地域に適用を広げること、いかがでしょうか。

塩崎大臣政務官 お答えいたします。

 この新たな交付金につきましては、まさに委員も関わられ、多くの議員の皆様の声により今回つくられたものでございます。

 この新たな交付金制度の対象地域につきましては、高齢化率が著しく高いこと、それに加えて、家屋を建設できる土地が極めて少ないなど、半島という地理的な制約があって、住み慣れた地を離れて避難を余儀なくされている方も多いなど、地域コミュニティーの再生に向けて乗り越えるべき大きくかつ複合的な課題があるという能登地域の実情、特徴や、他の地域と比べて特に深刻な被災状況に鑑み、これは石川県と調整の上で、能登地域の六つの市町を対象とさせていただきました。

 内灘町につきましては今回その対象ではないということでございますが、新たな交付金制度の対象となっていない地域につきましても、被災者生活再建支援金のみならず、生活福祉資金貸付けの特例措置、また、関係省庁の様々な支援措置が重層的に用意をされております。また、地域の実情に応じて液状化対策等も活用可能であることから、こうした総合的な対策、支援策、こういったことを講じる形で、世帯の皆様に支援が行き届くようにこれからも取り組んでまいりたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございました。

 こういった制度、確かに各知事からも、どうして今回だけがプラス三百万円なんだ、もっと平等に、ほかの地域でもというお話もございます。物価の高騰や賃金等も、どんどん経済状況は変わってきていますので、引き続きいろいろな改善をどうぞお願いいたします。

 そして、続いて、もう一つ、今度は国交省に伺いたいんですが、ボランティアの高速の無料化について。これが七月までで終わるんじゃないかという話を実は何人かのボランティアの関係者から聞いたんですが、この状況がどうなっているのか、教えていただけますでしょうか。

岸川政府参考人 お答えいたします。

 地震等によります被災地の復旧を支援するために、被災自治体からの要請を踏まえまして、高速道路会社におきまして、災害ボランティアの方の車両への高速道路の無料措置を行っているところでございます。今般の能登半島地震に関しましては、被災自治体であります石川県、富山県、新潟県からの要請を踏まえまして無料措置を実施しております。その期限の延長につきましても、同じく高速道路会社において、被災自治体の意向を確認をさせていただいて、それで対応しているところでございます。

 この無料措置でございますが、委員の方から、今、七月までというお話ございましたが、厳密には六月三十日までというふうに今なっておりましたけれども、被災自治体の意向を確認させていただきました結果、引き続きボランティアの協力が必要であるという御意向を確認できましたので、昨日、六月十八日になりますけれども、無料措置の期間を九月三十日まで三か月延長したところでございます。

 引き続き、被災地の復旧復興に向けて、必要な支援にしっかりと取り組んでまいります。

荒井委員 ありがとうございます。

 今回、ボランティアの高速道路の利用というのが、無料措置がまさに昨日延びたんですよね。三か月間、九月三十日まで延びました。

 これは、実は登録が物すごく簡単な仕組みで、各高速道路会社のホームページ、まあグーグルで検索すればすぐ出てきますので、そこで簡単に登録して、そして、この発行書を持って、ETCは使えないんですけれども、人のいるところから乗って、そして、ボランティアをしましたよということを現地で押してもらったら、行き帰りの高速道路代が無料になるわけです。

 今、ちょうど六月末になってきています。これから、大学生は七月の末ぐらいから大体夏休みを迎えてきますし、能登も本当に、今回行かせてもらって思いましたけれども、大変すばらしい地域だなというふうに思っております。そういったところに是非この夏休みに多くの大学生とか、もちろん大学生じゃなくてもいいんです、社会人も含めて、ボランティアで行っていただきたいというふうに思っております。

 例えば、大臣の地元の千葉からこの能登半島の珠洲市まで行くとすると、車でおおよそ九時間かかりますが、片道一万円、往復二万円という形になるわけです。友人やそういった人たちと乗り合わせてボランティアに行って、そして、いろいろと能登半島をしっかり見てもらう、経験してもらうというのは、今一番いい時期じゃないかと思っています。

 ただ、ボランティアに今行っている人たちも、どうもこの高速料金の無料化が今月で終わっちゃうんじゃないかみたいなことをやきもきしていたところもございますので、是非この情報の発信を丁寧にしていただきながら、そして是非、これから、私たち、立法府の人たちも地元に戻る機会が多いと思います、若手の人たちとか青年部の人たちとかに、是非一度この夏休みにボランティアに行ってみたらどうかということを声をかけていただきたいと思いますので、二点目のお願いでございました。

 続いて、ちょっと順番を変えまして、復興の在り方について内閣府の政務の方にお伺いしたいというふうに思っております。

 今回、いろいろと被災地のボランティアかつこういったアドバイザリーボードの皆さんとお話をしていくと、そういった皆さんが政府や県の立場に立っていろいろ話をしていくと、やはり、行政が進めていく復興というのは、どうしてもインフラを直していくことにすごく力とパワーがかかっていて、ただ、実際、今回、先週末行われたのと未来トークでも、能登の皆さんもようやく、自分たちがこれからどういうふうに生活を復興していくのかと少しずつ胸を開いてくることがあって、そのスピード感がどうも違うんじゃないかということに、逆にボランティア、NPO出身の方々は大変苦しんでいるんだなというのを改めて感じました。

 こういった、災害対策基本法みたいな形の今までの法案というのは、やはりインフラを直すことに重点を置いておりますが、やはりこれからは、こういった人間の復興みたいな、まさに生活を復興していくためにその軸を移していくことがどんどん必要になっていきますので、こういった新しい視点でNPOの、全ては行政ではできないと思いますので、NPOの方々そして地元の若い人たちと、一緒にやっていくにはどうしてもリードタイムがかかっていくので、もう少しゆっくり復興を進めていくということも時には必要なんじゃないかというふうに思いますが、平沼さん、どういうふうにお考えか、教えていただけますでしょうか。

平沼大臣政務官 お答えいたします。

 委員、現地を見ていただいて、あと、私もブログも拝見いたしました。その中においては、やはり地域住民の皆様方の意見をしっかりと聞いて復興プランを立てていくというのが非常に重要なことだと思っております。

 被災地の復興に当たっては、地域の事情に精通する地域の方々が、地域の特性や課題を踏まえて、地域住民の皆様の声を聞きながら、もちろん、ベースメントになるこのインフラの復旧に加えて、地域とコミュニティーといった被災者の日常生活や仕事となりわいの復興など、人の営みの再生に向けての主体的ビジョンを構想して、その実現に取り組むことが重要であると考えております。

 五月二十日に公表されました石川県の創造的復興プラン案の中には、先ほどこれも委員もおっしゃっていただいた、のと未来トークを開催いたしまして、これは委員のお知り合いの方も六名ほどいらっしゃるということでございますけれども、地域の住民の皆様であったり東北の復興に関わった皆様を入れながら、これからの能登、町に住む当事者のみんなで考える取組を進めてきたものと承知をしております。

 この中においては、災害に強い地域づくりに加えて、能登の特色のあるなりわいや暮らしとコミュニティーの再建、安全、安心に暮らし学ぶことができる環境づくりを四つの柱として、奥能登版デジタルライフラインの構築を含む十三の創造的リーディングプロジェクトを推進することが打ち出されております。

 政府の役割といたしましては、地域が取り組むビジョンの形成やその実現をしっかりと後押しして伴走することが重要であると考えておりまして、今後も、被災地の声にしっかりと寄り添い、創造的復興プランの実現に向けて全力で復旧復興に取り組んでまいりたいと思っております。

荒井委員 ありがとうございます。是非よろしくお願いいたします。

 あと、今回、学校をこれから統廃合していくみたいな話にどうしてもならざるを得ないと思うんですね、再建をする中で。ただ、経産省は未来の教室というのをずっとやってまいりました。その中で、分散型の教育の在り方というもの、これはDXを活用したものをいろいろとやってきたと思うんです。

 まさにこの能登の復興、震災の復興で、これから、やはりハードだけではない、まさにこういう分散型な教育の在り方というものを進めていくということをいろいろと試す大きなチャンスというふうにも捉えられるんじゃないかというふうに思うんですが、今回、こういった未来の教室の施策を生かした、知見を生かしたものができ得るのかどうか、担当の方に伺いたいと思います。

山影政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省におきましては、人口減少が進みまして小規模校が増加していく中で、探究心あるいは研究心といったものを育む教育環境を提供する観点から、今御指摘のございました「未来の教室」実証事業として、例えばでございますけれども、オンラインを通じて複数校をつなぐことで、過疎地域においても生徒あるいは教員の皆様が多様な専門性、関心を持って探究活動を行える環境づくり、そういうものの実証などを実施したところでございます。

 学校規模の適正化につきましては、それぞれの地域の実情に応じまして各自治体において検討されるものと承知してございますが、経済産業省といたしましては、まさしく今御指摘のございましたような自治体からの御要望、また、それに合わせまして、丁寧に、これまでの「未来の教室」実証事業において積み重ねてきた成果等の共有を図ってまいりたいと考えてございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 今回、石川県のアドバイザリーボードをされている今村久美さんは、経産省の産構審等でも委員をしていますし、文科省の中教審でも委員をしていて、まさに彼女からも、今こそ未来の教室の知見が生かせるときじゃないかと。そういう意味では、そういった応援団も要ると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 そして、最後に大臣にお伺いしたいわけですが、今回、馳知事の横には西垣副知事が、経産省から出向されている方で、いらっしゃいました。報道によると、西垣副知事が御退任されて、今度、新たにまた経産省から出向されるということですが、以前ここでお話しさせていただいた、各学校現場を回って、そして、非常に信頼を受けている人がまた今回副知事になるんじゃないかという報道になっていて、僕としても、学校現場やこういった取組に大変一生懸命やっていただけるんじゃないかと思っております。

 経産省としてこれからどういうふうに石川県をサポートしていくのか、最後にお話をいただければと思います。

岡本委員長 齋藤経産大臣、申合せの時間が経過しておりますので、簡潔な答弁でお願いいたします。

齋藤(健)国務大臣 既に能登半島地震につきましては、発災直後より最大百名以上の体制で災害対応業務に当たってまいりましたし、これまでに三百五十名を超える職員を石川県庁や被災自治体などに派遣をして、昼夜を問わず、経産省の総力を挙げて対応に当たってきました。若手の職員も積極的に登用し、帰任した職員から私も話を聞きましたけれども、彼らは獅子奮迅の活躍をしてくれたというふうに私は確信をしています。

 新しい副知事の話もありましたけれども、私も県で副知事の経験がありますので、今度行くことになる者に対しまして、副知事の心得を先日厳しくお話をしたところであります。

 いずれにいたしましても、経産省としては、大変すばらしい人材を今回石川県に出向させていただくということになりますので、是非十二分に御活用いただけたらというふうに思っていますし、本省の方でサポートできることがあれば、震災対応に限らず貢献をしていきたいというふうに思っています。

荒井委員 ありがとうございました。

 最後に、今回、理事職を初めて務めました。与党の先生方、野党の先生方、本当にありがとうございました。

岡本委員長 次に、山岡達丸さん。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日、この一般質疑、委員長の御差配と、そして与党、各党みんな、理事の皆様の御理解の中でこうして実現をしました。六月十二日には視察も、石川県能登半島に行かせていただきました。

 経済産業委員会として石川県の被災にきちんと向き合うという形を皆様と一緒につくらせていただけたということで、本当にありがたく思いますし、私も、北海道胆振東部地震の、本当に、齋藤大臣も発災当時は農水大臣だったと思いますが、そうした被害を受けた被災地の身として、困ったときはお互いさまという思いで、当時も、立場を超えて、与野党を超えて、多くの皆様の温かい言葉と様々な声がけの中で、多くの予算の確保をさせていただいたという経緯もございまして、そうした意味で、経産委員会としてもしっかり向き合っていくということが大事だということも、改めて私、この場でも申し上げさせていただきたいと思います。

 この視察の中で、経済産業委員会ですから、商工業の立て直しということがやはりメインにはなってくるわけでありますけれども、行かせていただいた中で、石川県の珠洲市、しちりんの製造会社であったりとか、あるい輪島塗の職人さんともお会いしましたけれども、このなりわいの再建ということは非常に重要なんですが、私、経済産業政策上も一つ大きな視点として現場に行ってうかがえましたのは、やはり石川県も世界と戦っている企業があると。このしちりんも世界の中で競争しているし、輪島塗はもう伝統工芸ですから、言わずもがなであります。

 そうした皆様のお話を聞きますと、もちろん、自分たちのなりわいの再建も、あるいは従業員の皆様の生活も、これも立て直しも必要なんですけれども、もう一つすごく懸念されていたのは、やはり、世界市場を今確保している中で製造量が落ちると、このシェアをほかの国々に取られていってしまうんじゃないかということも心配されているという、ある種、製造能力を回復さえすれば、また私たちはやっていけるんだという前向きなお話も伺って、だからこそ、やはりこの再建というのを急がなければならないということを強く感じました。

 大臣、この視点からの御見解、そしてまた復興への決意をお伺いさせていただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 私も輪島塗の被災地に足を運んで当事者からお話を伺いましたけれども、本当に力強い志を強く持っているので、むしろこっちが勇気づけられるぐらいの印象を持った記憶がございます。

 伝統工芸品は、伝統的な技法に基づく高いデザイン性などの観点から、私は、海外で高い人気が既にありますし、これからますます人気が出るんじゃないかというふうに思っています。

 今回の地震の被害によりまして、国内はもとより、こうした海外市場のニーズを失うことになってはならないというふうに考えておりまして、もちろん、なりわい補助金は使えるようになっているわけでありますが、それに加えまして、いかに海外を含めた販路の開拓を後押ししていくかということが重要だと考えています。

 国内的には、百貨店等での催物や展示会への出展支援を行うということに加えまして、外務省に御協力をいただきまして、在外公館等を活用したPRも行っていきたいと思っていますし、四月に行われました日米首脳会談の際には、岸田総理からバイデン大統領に、輪島塗の若手職人が手がけたボールペンとコーヒーカップを贈呈をいたしました。そうしたら問合せが非常に多かったということも伺っておりますので、こうした外交の機会も捉えて、輪島塗その他の工芸品の魅力を世界に発信するということも大事なんだろうなと思っています。

 被災地を訪問した際の職人の方の言葉で、伝統工芸を途絶えさせることなく未来につないでいくんだという強い思い、この思いにしっかりと応えていきたいというふうに考えています。

山岡委員 ありがとうございます。大臣から様々御決意もいただきました。今も世界からの問合せが来ているという話であります。

 本当に、そうした再建というのは、まさに販路の確保というのも政府として対外的にも対応していただくというお話をいただきましたので、是非このことも進めながら、被災地の経済的な復興、更なる発展ということにも、是非この委員会もまたいろいろ後押しをしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 あわせて、北陸の地域というのは、北海道と共通していますのは、海にも近く、洋上風力、様々そうした関心も高い地域ということもございました。今日は洋上風力のことも、あるいは再エネのことも、この後ちょっと伺っていきたいと思っておりますけれども。

 今日、大臣に伺いたいのは、今の日本の洋上風力の入札の環境についてでありますけれども、最近の洋上風力、もちろん領域内の、法律に基づいて入札が進んでいるわけでありますけれども、ここは、価格の入札において、FIT、FIP制度、いわゆる再エネ賦課金等、国民の皆様に負担をお願いする制度によらない、もうそこに頼らない、独自の、企業がお金を出して入札に参加して洋上風力の電源を、将来の電源を確保するという動きが、今回の入札で非常に見られているということであります。

 もちろん、この間、経産省が、漁業者の皆様とか様々利害関係者の皆様と調整した中で領域を確保して進めてきている、本当に汗をかきながら進めているわけでありますけれども、しかし、再エネに独自の価値が生まれているというのは本当にすばらしい傾向ですし、国民負担がない中で進んでいくというのは、これは本当に洋上風力というのは一つのモデルになるようなケースになっているんじゃないかなと思うわけであります。

 そこで、やはり大臣にお願いしたいのは、今、世界的な規模で戦うところは、自分たちの会社は再エネでやるんだ、だから洋上風力を確保するんだという目先の利く企業が入札の中で確保しているんだと思いますけれども、この環境は、競争環境をよりあおるという意味も込めて、もうほかの企業は、様々な企業が洋上風力の電源を独自に確保しようとしていますよ、ほかの需要家の皆様は、世界と戦う皆様は自分たちで確保しなくていいんでしょうかということも含めて、やはりこうしたことを周知、広報していくことが非常に重要じゃないかと。

 この入札の仕組みは、価格のところで最高点がつくと、あとは国内調達率とか、むしろ日本国内の経済にどれだけいい影響を及ぼせるかとか、あるいは安全性、部品確保の、様々なそういう部分も含めて、そういう部分を競うということにつながっていきますから、是非政府としてもこの状況を広く周知していただきたいと思いますが、大臣の御見解をいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 委員御指摘のとおり、昨年末と今年三月に結果を公表いたしましたいわゆる第二ラウンド公募では、四海域のうち三海域におきまして、FIP制度に伴う再エネ賦課金での国民負担が見込まれない供給価格を提示した事業者が選定をされました。

 この背景には、事業者の選定に当たりまして、国民負担に直結する供給価格については、事業計画の内容と同等に我々が重視をして評価をしているということ、それから、国内に、御指摘のように、例えば自動車産業ですとか半導体産業ですとかデータセンターといった洋上風力発電などに由来するクリーンな電気に対する長期にわたる旺盛な需要、こういったものがある、こういった点が挙げられると思います。

 経済産業省としては、洋上風力を実施する海域における案件形成を進めて、委員御指摘のように、FIP制度により洋上風力由来のクリーンな電気が相対取引の下で調達可能なんだということが広く認知されるように発信をしていきたいと思っています。

 そして、こうした取組と併せて、引き続き、適切に公募における事業者選定を進めることによりまして、国民負担を抑制しつつ、洋上風力発電の導入を促進していきたいと考えています。

山岡委員 大臣から今御答弁いただきました。ありがとうございます。

 再エネ賦課金というのがこの再エネの普及でネガティブな話でいろいろ言われる中で、やはりこういう仕組みをつくってこられた経産省そして資源エネルギー庁の現場の皆様には本当に心から敬意を表しますけれども、大臣お話がありましたけれども、是非広く伝えていただきたいと思います。

 再エネ自体がやはり独自の価値を私は持ち始めているということを思うわけでありますが、これは経産省の方にも伺いたいと思いますけれども、今審議会で、これまで原則として一つの小売からしか事業者は電源を手に入れられなかったわけでありますけれども、これを分割してでも複数のところから入れられるようにしようという議論も進められているということであります。

 これは是非進めていただきたいと思いますのは、幅広くいろいろ事業をやっている皆さんが、特定の製造プロセスを、この製造プロセスは、世界と戦う部分で、ここは一〇〇%再エネですよということをアピールしていくに当たって、やはり複数の小売から再エネの電源を組み合わせて、これをきちんと世界に、製造するプロセスの部分だけは、これは再エネ電源なんですと言えるような環境をより柔軟につくりやすくするというのは、この分割供給の議論の先にあるものだと思っています。

 この点、今審議会の議論中だと思うんですけれども、是非前向きな形で進めていただきたいと思いますが、政府から御答弁願えますか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問いただいた供給の在り方として、これまで部分供給ということをやっておりまして、これは、供給力を持たない新電力の電源確保と参入促進の観点から、卸電力市場が機能するまでの当面の対策として措置してきたもので、現状ではその役割を終えたということで考えておるところでございます。

 一方で、この制度、従来の制度では、複数の新電力が電力需要の変動に合わせて供給する、いわゆる負荷追随の供給を行い難い状況であったということと、再エネ電源を用いたオフサイトPPAの拡大等、従来想定されていなかった事業環境の変化に即した競争環境の整備が求められること等を勘案いたしまして、新たに分割供給の検討を進めているところであります。

 この分割供給は、需要家に対し、新電力同士を含めた二者の小売電気事業者から供給することを可能とする仕組みでありまして、御指摘のとおり、性質の異なる再エネ電源や蓄電池、DR等を組み合わせた供給を実現することにも資するというふうに認識しております。

 具体的な仕組みについては、現在、資源エネルギー庁の審議会において、需要家保護が適切に図られることや、実務的な対応が可能なものであること等に留意して検討を進めておりますけれども、一昨日、六月十七日の審議会において、基本的な仕組みや十月初旬を目途に新たな制度をスタートさせるということについて御議論いただき、賛同いただいたところであります。

 引き続き、十月初旬の制度開始を目指し、関係する事業者等の御意見も伺いながら、速やかに検討を進めてまいりたいと思います。

山岡委員 ありがとうございます。

 今まで例外的な部分供給という形だったのを、分割供給という正式な形でしっかりやっていくと。原則、単独の新電力からしか受けられなかったというのは是非改定していただきたいと思いますので、まだ議論中だとは思いますけれども、これは是非期待したいと思っております。

 大臣にまた、再エネと同様に、GXの切り札とされていますCCSのことについても伺いたいと思います。

 CCS事業法が成立から一か月が経過しましたけれども、このスケジュール感ですが、二〇三〇年までにCCS事業を開始する、二〇二六年までに最終投資を決めるということを既に公示しているわけであります。

 私たち、国会での議論でも、附帯決議の中で、地域で活用できる交付金制度を含め、関連する産業や雇用の創出等に向けた支援の仕組みを検討するということと、経済的な支援措置とか制度的な措置を早期に明確化するということを書かせていただいているわけでありますけれども、この二〇二六年ということの日程を逆算して、社会的にも導入していくということになれば、この附帯決議の部分を含めた予算や制度の措置の具体的な方針というのは、私は今年度にもめどをつけないといけないということも思っているところでもあります。

 この機会ですので、大臣に御見解をいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、CCS事業法につきまして、様々な観点から御審議いただきましたことに対しまして、改めて感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、今後、CCS事業法に基づいて、事業者の参入、これを確保していくことが必要となります。

 米国や欧州では、近年、予算や税制などCCS事業に対する様々な導入支援制度が構築をされて、事業者の参入に不可欠な事業の予見可能性が向上してきている現状にあります。

 我が国でも、二〇三〇年までにCCS事業を開始するためには、二〇二六年を目途に事業者が収支見通しを得て投資決定を行う必要があることから、予算、税、クレジットなど諸外国の支援措置も参考に、早急に事業者の円滑な参入、操業を可能とする支援制度の在り方について検討していきたいと考えています。

 その際、既に先進的CCS事業により事業性調査等の支援を行っているところもありますので、GX経済移行債の活用についても、先進的CCS事業の結果を踏まえて検討していきたいと考えています。

 また、CCSは、カーボンニュートラルの実現に向けて、産業や発電などの分野でCO2排出を抑制していくための重要なインフラでありまして、地域産業の維持発展への寄与が期待をされます。こうした利点を丁寧に説明しつつ、地域においてCCSに関連する産業や雇用が創出できるように、政府としてどのようなサポートができるのかにつきましても検討していきたいというふうに考えています。

山岡委員 大臣におかれては、近くまた、苫小牧のCCS、そしてまた、今CO2の船舶の輸送の実証実験もやっていますけれども、そうしたことも御視察いただくということもございました。

 先ほど、洋上風力では、漁業者の皆様との調整の中でこの間進めてこられているわけでありますけれども、CCS事業も、本当に漁業者の皆様のこの十年以上の御理解がなければ進まなかったという中で、様々な課題もまだ積み残されている部分もございまして、また現場でお話を聞いていただいて、是非、課題の解決にも対応いただきたいということもお願いさせていただきたいと思います。

 それで、割と明るいGXの再エネのお話なんですけれども、しかし、再エネは、やはり地域のトラブルということも言われている、今この議論があるわけでありますけれども、今日は委員の皆様に、ちょっとお手元に写真を配付しております。

 これは、私の地元で、一つの形態として農業委員会の中で認められたソーラーシェアリング、いわゆる農業と太陽光パネルを組み合わせてやる、そういう在り方として現にあるものでありますけれども、ソーラーシェアリングというと、恐らく農水省の資料も、土地利用型の作物、麦とか大豆とか米とか、そこに機械が入る、その上にソーラーパネルがあるわけでありますけれども、これは酪農とか、あるいは、放牧をして、牛であったりとか、この写真は牛ですけれども、このほか、今度は羊を放ちたいという話も地元で出ていて、農業委員会の方は困惑しているという状況であります。

 今日、済みません、農水省の武村副大臣にもお越しいただいておりますけれども、ソーラーシェアリングは、農家さんが、営農中心に、副収入で売電収入を得られるならいいと思うんですが、この形態、今写真を御覧いただくと、事実上、農地にソーラーパネルをべた張りして、そこに動物が放たれているという状況。これは、御覧いただくと、一部牛はいますけれども、本当に十個以上のソーラーの列があるという状況なんですけれども、これを許すと、私、事実上、農地がソーラーパネル化していく抜け道になるんじゃないかということをすごく危惧するわけでありますが、副大臣に伺いますが、この形は適正な形なんでしょうか。

武村副大臣 お答え申し上げます。

 御指摘の営農型太陽光発電は、再生可能エネルギーの発電と下部農地での営農を両立させる取組でありまして、支柱部分を一時転用許可の対象としているところであります。

 そして、一時転用許可に際しましては、下部農地で栽培される農作物が地域の単収の八割以上を確保するという基準を満たす必要がありまして、また、許可後におきましては、毎年営農状況の報告を求め、下部農地において適切な営農が行われていることを確認することとしております。

 この場合、設備下部の農地で牧草の栽培を行い家畜を放牧しているようなケースであっても、牧草の栽培管理が適切に行われ、地域の単収の八割以上を確保できているものについては、設置要件を満たしているものとして扱っているところです。

 農林水産省といたしましては、発電に重きを置いて、営農をおろそかにしている事例が散見をしているとの指摘を踏まえまして、従来通知で規定をしていた許可基準や提出資料を農地法施行規則に明記をするとともに、制度の趣旨や具体的な運用を示したガイドラインを作成し、これらを本年四月に施行したほか、今国会におきまして農地法を改正し、違反転用事業者の公表及び転用事業の進捗状況報告等の許可条件の義務化の仕組みを設け、不適切な営農型太陽光発電の解消に取り組んでいるところです。

 他方、委員の御指摘のような営農がおろそかになっているような事例があるとすれば問題であり、今回の制度見直しにおける厳格化に向けた対応を農業委員会や農地転用許可権者にお願いをしつつ、国としても情報を収集してまいりたいと考えております。

山岡委員 今お話いろいろありましたけれども、これは遠くから見たら完全に、よくあるべた張りしているソーラーパネルの景色と同じなんですよ。近くに行くと、そこに経済動物が、牛とか羊がいるという状況になっているという状況であります。

 それで、単収の八割ということが基準である、営農がおろそかになっているかということであるんですけれども、土地利用型の農業であれば、それは周りの農業との比較の中でどれぐらい収入があるかというのは分かりやすいんですけれども、北海道の、ほかの地域もそうかもしれませんが、酪農、畜産というのは、やはり集約型なんですよね。牛舎の中に多くの牛がいてお乳を出すとか、あるいは畜産もそうなんですけれども、放牧型というのは類型がないんですよ。何が、どの程度が正しい収入の程度なのかというのは、どの程度の広さにどの程度の牛を放つのが適正な状況かというのは、これは今のお話に照らし合わせても非常に判断しにくいんですね。しかも、それを制度上は農業委員会が現場で判断して、不適正だと思ったら上に上げると。

 今、経産省の法律の制度がありますから、これはもし不適正なら交付金を止めるとかいろいろできるわけでありますけれども、判断の部分が非常に難しいケースというのはこのケースだと思いますし、おととい、農水省の御担当の方とレクの中でお話ししたら、やはり酪農、畜産型のソーラーシェアリングというのはこれまで想定されてきたものじゃなかったと。あくまでも土地利用型の、農水省の全部の資料の写真を見ても、土地利用型のソーラーシェアリングなんです。これは非常に大きな問題になり得ると私は思っております。

 これは、問題の共有をしたいので、この場で取り上げさせていただきたいと思いますし、大臣にもお伺いしたいと思います。

 こういう、再エネの正しい普及、これにも足を引っ張るようないろいろな抜け道というのが出てきちゃいけないと思うんです。私、ソーラーシェアリングそのものは、農家さんの副収入になるのであれば大いに進めて、営農もきちんとやっていけるのであれば進めていくべきだと思うんですけれども、大臣、この件についての御見解をいただければと思います。

齋藤(健)国務大臣 まず、再エネについては、導入目標である二〇三〇年度の電源構成比三六から三八%実現に向けて、導入拡大を進めていかなくてはいけません。

 一方で、導入拡大に伴って、安全面、防災面、景観や環境への影響に対する懸念など、地域との共生上の課題が顕在化しているのも事実であります。こうした懸念は、営農型の太陽光発電についても例外ではありません。営農と発電を両立した好事例も見られる一方で、例えば、農地転用許可の前提に反して一定面積当たりの収穫量が減少しているなど、営農が適切に行われていない事例などが指摘されているものと承知をしています。

 経済産業省といたしましては、再エネの導入に当たって、地域との共生が図られることが大前提と考えています。このため、農地法を含め関係法令の違反が確認される事業者に対しては、我々ができることとして、本年四月に施行した改正再エネ特措法に基づいて、早期の是正を促す観点から、FIT、FIP交付金の一時停止措置を実施するなど、厳格に対応していきたいと考えています。

 同時に、農業政策との調和が図られた営農型太陽光発電につきましては、FIT制度で五十キロワット未満の低圧太陽光発電に求めている、発電電力量の三割以上を自家消費する要件を免除する措置等を通じて、引き続きその導入を促進していきたいと、我々両にらみで考えているところであります。

 引き続き、関係自治体や関係省庁と連携し、事業規律の強化を通じて、地域との共生が図られた再エネ導入拡大を進めていくということでありますので、営農として適切かどうか判断をいただいた上で、我々が判断していくということになろうかと思います。

山岡委員 ありがとうございます。

 農地は安く取引されるわけであります。転用規制が厳しくかかっているから土地の値段自体は安い、しかも税制優遇もある。これは本当に、事実上、申し訳程度の酪農、畜産とともに太陽光パネルが敷き詰められるという状況であれば、今大臣からのお話、経産省の立場では再エネ普及なんですけれども、やはり農地かどうかの判断をするのは農水省なんだと思います。農水省の矜持として、やはり日本の農業を守っていくということが大前提だと思いますので、厳しく対応していただきたいということを申し上げさせていただきたいと思います。

 環境省、今日は朝日政務官にもお越しいただいていますけれども、環境省さんにも伺いたいんです。

 ゼロカーボンシティー宣言、様々環境省は進めているわけでありますけれども、自治体の首長の皆様は、いろいろな条例を作れば再エネ法と併せて適正な対応もできるんですけれども、もうゼロカーボンシティー宣言をしちゃったから、なかなかそれを逡巡するんです。うちの町も四六%目標を達成しなきゃいけない中で規制していいんでしょうかという話が出てきています。地域住民との共生を前提としない形の再エネ普及というのが環境省としても望ましいことなのか、これは御答弁を一言いただけますでしょうか。

朝日大臣政務官 現在、ゼロカーボンシティーは、全国で千を超える自治体の皆様に宣言をいただいております。

 そういった中で、再エネ導入拡大に当たっては、地域における合意形成を図り、環境への適正な配慮を確保した、地域共生型の再エネ導入が重要であると環境省では考えております。

 そのため、例えば、地球温暖化対策推進法に基づきまして、地方公共団体に対して、地域の協議会などで合意形成を図り、再エネ促進区域の設定を行う制度の活用を促しているところであります。また、環境影響評価制度により、地域の声を踏まえた適正な環境配慮が確保されるよう取り組んでおります。

 これらの取組を通じまして、地域共生型再エネの導入を促進してまいりたいと考えております。

山岡委員 ありがとうございます。

 環境省さん、今、温対法の促進区域のお話も言及いただきましたけれども、是非汗をかいて、自治体との調整の中でゾーニング、ポジティブエリアをつくって、それできちんと進めていくということを進めていただきたいと思います。今まだかなり数字は低いようでありますけれども、是非進めていただきたい。

 金融庁さん、今日最後に一言いただきたいと思います。

 GX金融特区、北海道も指定されていますが、GXの推進は重要なんですが、再エネのトラブルを招くような資金源になってもらっては困るんです。ラピダス含めて、洋上風力含めて、進めていただきたいものはたくさんあるんですけれども、金融特区は決してそんなものじゃない、そういうことを一言御答弁いただけますでしょうか。

岡本委員長 金融庁川崎総合政策局審議官、申合せの時間が過ぎていますので、簡潔な答弁でお願いします。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁では、今月の四日に、金融・資産運用特区の対象地域や具体的な取組を示します金融・資産運用特区実現パッケージを公表させていただいております。その中におきまして、この金融・資産運用特区は、金融、資産運用セクターの発展に向けて、国内外の方々にとって魅力的なビジネス、生活環境を整備し、金融、資産運用サービスを特定の地域へ集積させるとともに、国内外の投資資金も呼び込みながら、金融規制の改革も含め、地域の産業、企業が発展しやすい環境を実現することを目指すものであります。

 金融・資産運用特区については、地域との調和が図られつつ、地域の成長産業の振興、育成にも資する前向きなものとなりますよう、金融庁としても、関係省庁及び自治体と緊密に連携、協働させていただきたい、こう考えてございます。

山岡委員 ありがとうございます。

 是非GXがよい形で進んでいただくことを願っております。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、守島正さん。

守島委員 日本維新の会の守島です。

 先週、私も、経産委のメンバーとして能登の視察に参加させていただきました。調整、御尽力いただいた皆さんに改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。実際に現地に伺って現地を知ることは本当に有意義と感じました。

 復興に当たっては、従来、話がありましたように、国の予算措置もあって人的支援もあったおかげで、この間に幹線道路の復旧とか断水の解消とか、仮設住宅も大体八月にはめどがつくというように伺っておりまして、そうしたインフラには一定めどがついてきたということは本当に安堵した気持ちで聞いていた次第です。

 とはいえ、宅地配管であったり、さっきもありましたけれども漁港とか護岸の整備であったり、現地に行って家の解体はやはり進んでいないなというふうに思ったので、まだまだ復旧というところには至っていないところもあって、現地でボトルネックになっているものもたくさん聞きましたし、解体が終わっていない家とか、すごいたゆんだ地盤とか、そういうのを施設とかも含めて見ると、これからも問題を解消していくのに国の後押しが必要だなと強く感じた次第です。

 そうした中、今回は経産委の代表として現地に行きましたので、経済的な復興の観点から質問をしたいと思います。

 現地を伺う範囲では、経産省のなりわい補助金を活用して本格的な再建という前に、雇用の維持とか生活基盤の再建というのがまず先に来るという話を聞いていました。現状では、事業の本格再建する前段階で、例えば雇用調整助成金とか持続化補助金とか、また融資とかでしのぎながら会社を維持しているという話も伺いまして、やはり、雇調金にも限度額とか期間の制限があって、給付金とか融資で受けたものであったり、又は会社の資産を切り崩しながら、営業を一部再開したり事業再建に向けて準備している企業がたくさんあるんだろうなというふうに思っております。

 まず、こうした中、経産省の管轄である小規模持続化補助金の現在の申請状況及び執行状況を教えてほしいのと、この小規模事業者持続化補助金に関して、一般枠と今回の災害支援枠で内容にどのような違いがあるのか教えてほしいです。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の小規模事業者持続化補助金につきましては、小規模事業者の皆様が経営計画を自ら策定し、商工会、商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓、これを支援するものでありまして、原則として補助上限は五十万円としております。

 他方で、令和六年能登半島地震におきましては、被災された小規模事業者の方のために当該補助金に災害支援枠を設けておりまして、これにつきましては、補助上限が、損壊等の直接的な被害を受けた事業者の方におかれては二百万円、また、売上減少等の間接的な被害を受けた事業者の方におかれては百万円となっているところであります。

 災害支援枠につきましては、本日時点におきまして、件数で申し上げますと、被災された石川県、富山県、福井県、新潟県、この四県の申請件数は九百八十二件となっており、採択件数は八百四十四件となっております。また、委員が視察された石川県につきましては、申請件数は六百五十九件、また採択件数は五百七十五件となっております。

 足下では第三回目の公募を行っているところでありまして、引き続き、被災事業者の方に寄り添いながら、被災地の復旧復興に向けて全力で取り組んでまいりたいと思います。

守島委員 補助額に違いがあるということで、手続的には余り変わるということは聞いていないんですね。申請も徐々に増えているようで、今回三回目ということで、中でもやはり石川の人が多く利用しているということで、やはり利用しやすい制度としてやっと活用されてきたのかなというふうに思っています。

 というのも、なりわい補助金に関しては、特にまだ交付決定の件数というのが少ないというふうに確認しておりまして、私のところにも、なりわい補助金の補助対象になるのか、こういう規制緩和をしてほしいという声も多く届くんですね。こうした持続化補助金とかなりわい補助金に対して、まだ持続化補助金の方が使いやすいという理由で手を挙げている人が多いと思いますし、今日、朝あった近藤さんの質問では、なりわい補助金、ちょっと資料多いんじゃないのというような指摘があったんですけれども、そうした現場のニーズというふうなものを行政はどういうふうに捉えていて、それに対してどう対応しているのかということを、お答えできる範囲でお願いします。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 被災地域における早期のなりわい再建を図るためには、経営者の皆様からの御相談に真摯に対応し、寄り添いながら事業再開の道筋を立てていくことは極めて重要であります。

 昨今、インフラの復旧に伴いまして、なりわい再建に向けた具体的な相談が増加しつつあるところでございますが、相談先となる各支援機関、ここの体制を強化しつつ、丁寧な対応を実施しているところであります。

 具体的な内容といたしましては、全国の商工会、商工会議所から、能登半島支援センターあるいは被災各地の商工会、商工会議所に経営指導員などを派遣しております。また、石川県のよろず支援拠点からは、金沢の事業者支援センターに専門家も派遣しております。あわせて、独立行政法人中小企業基盤整備機構からは、支援機関や事業者の方に復興支援アドバイザー、これを派遣するということで、実際には中小企業診断士を派遣して、こういう取組を行っているところでございます。

 また、こうした支援に当たる実務者間の連携も一層重要となっているところでございまして、齋藤大臣を本部長とする被災中小企業・小規模事業者等支援本部の下に自治体や商工団体などの実務者の方によるワーキンググループを設置いたしまして、そこでの連携を通じまして、復旧に取り組む事業者の方々をしっかりと支援してまいりたいと思います。

守島委員 ありがとうございます。

 やはり、現場のニーズをしっかり聞いた上で、利用者が申請しやすいというものを真摯に取り組んでいただきたいというふうに思っています。

 私自身は、これまでこの委員会でも、例えば助成金とか補助金に対しては結構厳しめな意見を言わせていただいていました。例えば、コロナのときの持続化給付金なんかでいうと、手続が簡単過ぎて怖いなというふうに実際に思っていましたし、経産省以外の予算でも、雇調金なんかは、コロナで最大一万五千円もらえるときは、むしろ高過ぎるんじゃないかなという意見とかも違うところでは言っていたんですけれども。というのも、全員で働いて付加価値を上げるより、一定、休業補償をした方が会社的に得すると考える経営者も出てくるというのが想像できましたし、コロナ禍においては実際そういう不正が多発したというのは、これは実態としてあるわけです。

 とはいえ、やはり能登の現状というのは異なっていまして、雇調金の場合で、今、特例で延ばしていただいて、支給日数が三百日と長い期間設定されていて、助成率もアップしているんですけれども、助成金の上限は平時と同じで八千四百九十円となっていて、もう完全に収益が途絶えている会社とか、あと、復旧に年単位、僕らが行かせていただいた鍵主さんとかも、年を越えて復旧にかかるというようなことをおっしゃっていたので、そういう時間を要する会社では、結果としてやはり人件費の持ち出しが多くなってしまうので、今回の被災のように物理的に営業ができないという状況においては、やはり事業を再建するまでにより手厚い支援が必要だというふうに思っていますので、先ほどの補助事業も含めて、しっかり事業者ニーズを聞いてほしいというのが私の願いであります。

 そうした中で、本格復興に向けて徐々に進んでいっているとは思うんですけれども、各種の支援策を講じながら事業を継続して雇用を維持するということが重要になってくるフェーズだと思うんですけれども、実際には、もう既に離職してしまったよという人がいるということも現実として聞いていますので、元どおり事業が再開できるのかということに関しては一定の壁があるのかなというふうに思っています。

 なので、厚労省さんに聞きたいんですけれども、現下の石川県の離職状況など、雇用情勢を教えてほしいです。

石垣政府参考人 お答え申し上げます。

 石川県の本年四月の有効求人倍率は、季節調整値で一・四六倍となっております。三月から〇・〇二ポイント上昇しております。雇用情勢は全体として求人が求職を上回って推移しておりますものの、令和六年能登半島地震の影響によりまして、一部地域において弱さが見られるところでございます。

 また、新規求職者のうち、離職を理由とした者の人数でございますが、能登半島地震発災の翌月の本年二月には、前年同月比で二一・一%増加しております。人数で見まして、四百六十四人増となっております。また、直近の四月におきましても、前年同月比でございますが、一四・五%増加ということで、人数にしまして五百八人増となっているところでございます。

 引き続き、石川県の雇用情勢について注視してまいりたいと考えております。

守島委員 今おっしゃっていただいた有効求人倍率は、今、一定高いところにありますし、直近でもやや上がっているということで、被災前から人手不足だったというのが北陸の状況だと思うので、雇用の回復傾向というのは一定見えているんですけれども、どういうふうに経済を復興していくのかというのを確認したいと思います。

 というのも、なりわいを従来どおり再建するというのは重要だと思うんですけれども、今おっしゃったように、そもそも求人もエリアによって濃淡があるというか、少ないというところもあるとおっしゃったように、被災前の従来産業で元のとおり雇用が回復できるかということに関しては分からないところがあると思う中で、私は、最後に石川県庁で馳知事の話を伺ったときに、復興のための事業再生の話に加えて、結構、新たなイベントであったりコンテンツであったり、そういうアイデアの話をされていたのが印象的で、この災害を機に新たな産業をつくろうという思いを強く感じたんですね。

 実際に経済規模を被災前に戻すに当たり、産業構造をどういうふうにしていくのか、転化していくのか、若しくは元のように極力戻していくのかというところをどう考えているのか確認したいんですけれども、新たな産業を構築しながら経済的な復興を目指しているのか、その道筋を検討している範囲で教えてください。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、石川県におきましては、創造的な復興を進めることが重要と考えておられて、創造的復興プランの策定に取り組まれておられるものと承知しております。

 こうした中、私ども中小企業庁といたしましては、中小企業においては、例えばなりわい補助金におきましては、原状回復に必要な費用を上限とはしますが、被災前よりも高性能の製造設備の導入とか、単なる原状回復にとどまらない被災事業者の皆様の取組を支援可能としているところであります。

 また、将来の町づくり、これを視野に入れて、例えば輪島市においては伝統産業、輪島塗、こういったもの、あるいは和倉温泉、あるいは各地の目抜き通りとなる商店街のような取組、こういった地域の核となる産業の振興、復興、これを急ぐことも地域全体の復興を牽引する上では極めて重要である、かように考えております。

 いずれにせよ、引き続き関係省庁、自治体とも連携しながら、被災者の声をしっかりと受け止めながら進めてまいりたいと思います。

守島委員 元どおりということも大事なんですけれども、やはり、創造的復興、是非、極力、生産性であったり魅力を高めていくということを念頭に置きながら被災地の支援をしていただきたいなというふうに思っています。

 ちなみになんですが、視察させていただいた翌日、北国新聞さんで記事がありまして、能登の被災地で発生したアルミなどの廃材を再精製して万博の案内板に使うということが決まったというニュースを見ました。案内板を復興を象徴するレガシーとして活用してもらうということで、万博終了後にはまた被災地に戻してそれを展示したりするために、万博からまた寄贈するという形になるらしいんですけれども。

 これは博覧会協会主導なのかもしれませんけれども、被災地において被災前のような需要が確保できるかというのは分からない中で、皆さんそのためにやっているとは思うんですけれども、こういう国家プロジェクトを機に新たな需要とかコンテンツを見出して、復興に少しでも寄与するということは有用な取組だというふうに感じた次第で、こういうニュースが増えると、少しずつ復興というか被災地に対してプラスの効果を与えてくれるのかなというふうに感じる次第なんですが、この点に関しての最後、大臣に、経産省として、被災地の需要を誘発する取組とか考えがあれば教えていただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 被災地での復興を加速させるためには、需要喚起、これがもう不可欠だと思います。地元商店街のにぎわいを取り戻すべく金沢市金石地区で実施された出張輪島朝市、あるいは北陸新幹線開業に合わせたイベントなど、石川県で五十三件の具体的な取組を採択して、既に支援をしています。

 それらに加えまして、日米首脳会談など外交の機会を捉えて輪島塗の魅力を世界に発信することですとか、首都圏における石川の物産展ですとか伝統工芸品フェアの開催ですとか、中小機構を通じた能登の事業者の販路拡大のためのビジネスマッチング支援、そういったことなどを進めています。

 また、私自身も、二月のいしかわ伝統工芸フェア、四月の石川県伝統的工芸品復興支援フェアを訪問したほか、先月は、経産省内で若手有志チームが中心となりまして実施をした物産フェアにも足を運びまして、魅力的な特産品を購入をさせていただきました。

 引き続き、復興の加速化に向けて、関係省庁、自治体と連携をして、あらゆる機会を捉まえて需要喚起を進めていきたいと考えています。

守島委員 大臣、ありがとうございます。是非、需要喚起のために御尽力いただきたいと思っています。

 ちなみになんですが、昨日、我々、北陸新幹線の敦賀―新大阪間のルートを小浜から米原にするべきじゃないかという提言書を国交省さんに出させていただきました。米原ルートの方が、建設費が安いというのは大前提なんですけれども、もちろんBバイCも圧倒的に高くて、何より工期が大分短く済むんですね。工期が短く済むということは、被災地復興に寄与するというふうに思っていますし、北国新聞さんが石川県下の議員にアンケートをしたら、大半が米原ルートの方がいいといまだにおっしゃっていて、今度、六月ぐらいに自民党の県連が米原ルートに変更してくれという要望を出すらしいです。

 こういう点、所管は国交省かもしれないですけれども、経済的な価値という観点、被災地復興という観点から、やはりインフラの在り方ということを考えるには大臣の意見も重要だと思いますので、その点も是非念頭にいただけたら幸いに思っております。ありがとうございます。

 続きまして、半導体関連に関して質問します。

 大分時間が超過してしまいましたので、質問はちょっとはしょっていくかもしれませんが、御了承ください。

 本年末に熊本のTSMCの第一工場が本格稼働する見通しという中で、半導体投資に関連するニュースに対して賛否含めた記事が結構出てきています。もちろん、現状の政府の方向性におおむね我が党も賛意を示しているわけなんですが、特定の業界に対する投資額としてはやはり莫大で、三年間で三・九兆円、GDP比でも〇・七一%に相当する額になっている上、政府系のファンドから半導体企業への出資などもあります。

 もちろん、補助金とか出資金は、原資は税金なので、巨額の投資には慎重であるべきというのは当然なんですが、まず、この間の議論で、半導体分野への政府投資を強化する背景に、各国も多額の投資をしているという説明を聞くことが多いです。規模は実際に米中に劣るんですけれども、だから過剰投資ではないという説明もあったんですけれども、先ほど言った対GDP比では欧米を上回るレベルに今投資規模はなっていますし、特徴として、投資先に外資の割合が多いというのが日本の特徴かなというふうに思っています。

 半導体投資に対する否定的意見として、政府投資の割に日本の半導体の売上げや世界的なシェアアップへの寄与が低いんじゃないかということが言われていて、政府投資に対するEBPM、エビデンスというのが大事なんじゃないかということが求められていると思いますけれども、半導体投資に対する妥当性をどのように感じているのか、経産省に聞きたいと思います。

野原政府参考人 半導体政策の必要性は三つあるというふうに思っていまして、一つは、コロナのときに顕在化したように、半導体不足によって経済、産業、国民生活が止まる、したがって、国民生活や産業や経済活動、日本経済の活動を支えるために将来の半導体不足に備えて安定供給を図る、そのためには、半導体不足のときには国内に拠点がないと供給を受けられないという問題がありますので、国内に投資をする、これが一つ目の目的です。

 二つ目の目的は、グリーンの話でございまして、AIの浸透によってデータの量が非常に増え、それに連動して電力消費というのも非常に増えるということが予想されております。これは、電力供給できる範囲に電力の消費を抑えていく必要がありますので、テクノロジー、すなわち半導体のイノベーションで電力消費を抑えていくということが不可欠である。これは、先端の半導体がなぜ必要かということについて、そういうことで説明される。

 三つ目が、成長産業だということでございまして、これは、世界的に共有されている見通しとして、今後十年で一兆ドル産業になるというか、二倍増、三倍増に成長する産業だということが認識をされています。それで、各国、自国の基幹産業として半導体を持ちたいということで、各国が競って誘致をしている、そういう背景がございます。

 そういう文脈で半導体政策は考えられているわけでございますが、各国の取組について少し御紹介をしますと、アメリカは、二〇二二年の八月にCHIPS法が成立いたしまして、いろいろ施策が講じられていますけれども、今年の三月から四月にかけて大型の支援決定が相次いで行われました。インテルに一・三兆円、TSMCとサムスンに一兆円、マイクロンに九千二百億の設備投資補助金の交付が発表になりましたけれども、アメリカの制度は日本と異なりまして、同一の投資案件に設備投資補助金と二五%の投資税額控除がダブルで適用されるという制度になっています。

 財務省の財政審議会での分析は、税制の部分を全く言及しない、そこをオミットしてGDPで比較をしていましてああいう分析になっていますが、そこもカウントして計算すると、アメリカ、ヨーロッパ、中国等々の国々と比較して日本がGDP比で突出しているということはないというふうに分析をしておりまして、それは半導体・デジタル産業戦略検討会議の資料で我々も公表しているところでございます。

 ヨーロッパでも欧州半導体法が去年の九月に施行になりまして、官民で六・二兆円規模の官民投資を計画しているところでございますが、ドイツ政府がこれに基づきまして、ドレスデンに今TSMCの一号棟を誘致をしていますが、これは熊本の一号棟と全くスペックが同じでございます。今、欧州委員会の承認待ちでございますが、承認を受けたら建設に入るということですね。日本の熊本の一号棟は今年の年末から量産が開始されますけれども、彼らドイツの方はこれから建てるということでございまして、そこで日本とヨーロッパのスピード感の違いというのを御理解いただけるんじゃないかと考えております。

 以上です。

守島委員 分かりました。税制も含めて、規模の妥当性というのは判断していきたいというふうに思っています。

 おっしゃるように、確かに、身近なところでもやはり半導体不足というところを感じるところもある中で、供給不足状況にあるのは間違いないので生産能力を上げていく、それが外資とかにかかわらず、日本の技術として持っていないものを受け入れるということも非常に肝要でありますし、経済安保の観点からも重要な物資であるという認識は共有しています。

 しかし、投資の妥当性ということに関して今答弁いただいたんですが、過去の日本の半導体の失敗ということを見るに、やはりエルピーダの話もそうなんですけれども、それ以外の電機メーカーへの投資なんかも政府から行って、結局、半導体部門を守り切れなかったという結果、巨額の税投入に対して一定恐れを持つというのは当たり前の感覚なのかなということは御理解いただきたいというふうに思っております。

 今日は、特に懸念点として、ラピダスの投資に対して、実際的に技術的に担うまでちゃんと製造ベースに乗せることが可能なのかとか、実際にその後にマーケットというのは担保されているのかということをちょっと聞こうと思っていたんですけれども、時間が余りないので、これは次回の機会にまたしていきたいというふうに思っていますので、ラピダスに対する質問に関しては一旦割愛させていただきたいというふうに思っています。またやりますので、是非よろしくお願いします。

 次に、政府系ファンドに関して聞きたいんですけれども、産業革新投資機構株式会社、いわゆるJICCに対して、政府も三千六百七十億円の出資をしています。ほかにも民間出資とか政府保証の借入枠とかを使ってこのファンドを運営されているんですけれども、最近、JICは半導体関連買収が目立っています。具体的には、JSRとか新光電気工業株式の公開買い付けにおいて当該企業の株式の非公開、非上場化を進めているんですけれども、こうした政府系ファンドによる投資の意図及びそれに対する経産省の見解というのを教えてください。

野原政府参考人 JICキャピタルによる半導体関連投資でございますが、JSRにつきましては、同社が中核を担う半導体材料に関しまして、将来の需要増加に対応した供給能力の確保に必要な投資規模を迅速に確保するために構造改革や事業再編を進めていく必要がある、それから新光電気につきましては、同社が生産している半導体パッケージ基板に関しまして、半導体の更なる高機能化、多機能化のニーズに対応するための技術開発と事業化を進めていく必要があるというふうな考え方でございます。

 これは、半導体の素材や製造装置は日本の強みでございますが、先ほど申し上げたように、世界市場が二倍、三倍に成長していきますので、それに合わせてやはり供給責任を果たしていかないと、投資をして供給責任を果たさないと、その分他国のコンペティターがどんどんマーケットシェアを取っていきますので、日本の強みのところもどんどんシェアが下がっていく、そういうふうな構造にあります。

 そういう意味で、自社で十分な投資体力があればどんどんそれに投資できますが、世界的な要請に応じるぐらいの供給をできるやはり投資体力をつけていかなければいけませんし、そういう観点もございまして、構造改革や事業再編、あるいは技術開発や事業化を進めていくのについて、JICキャピタルが投資をして支援をしているということでございます。

 JICキャピタルが対象企業を非公開化することによりまして、資本構成の制限を受けずに、また短期的な業績変動に動じることなく、企業価値の向上、技術の深化を続けることで、我が国の半導体産業の国際競争力を高めていくことにつながる。そういう意味で、半導体政策とこのJICキャピタルの投資というのがちゃんとアラインして、連動しながら政策としては展開している、そういうふうに考えております。

守島委員 投資をする必要性に関しては重々理解しております。資本的圧力を受けないようにというところに関してはもうちょっと詳しく理由を説明いただきたかったんですが、成長させる段階ということで安定的な株式構成にしようというふうな意図があって、そこは経産省とも連携しているということを確認できれば、今日はまあいいということで、乖離していなければいいんじゃないかなというふうに思っています。

 最後、時間も近いので、全体的な話を聞きますが、半導体分野に関しては、半導体だけに限らず、周辺の装置とか部素材に関して、日本企業で世界的なシェアとか技術的な優位性を持っている企業も存在しているので、例えば半導体の国際的な分業供給に資する形の施策なんかも検討できるとは思うんですけれども、今後も含めた半導体投資全体に対する戦略を大臣から聞きたいと思います。お願いします。

齋藤(健)国務大臣 半導体に対する支援の重要性については、局長の方から答弁をさせていただきました。

 ただ、半導体の生産には多くの製造装置や部素材、これが必要でありまして、それらは我が国企業が世界の中でも強みを有する領域だというふうに考えています。

 これまでも、政府による支援に加えまして、我が国の製造装置や部素材産業の厚みによって、熊本のTSMC、JASMの工場建設を始めとする複数の大規模国内投資を実現してきたというふうに考えています。また、九州では昨年度の設備投資計画額が前年度の二倍以上と、伸び率としては過去最高を記録しておりまして、製造装置や部素材産業への大きな波及効果、好循環が生まれ始めています。次世代半導体の量産に挑戦するラピダスプロジェクトを含めて、こうした流れを継続、加速させていくことが重要だと考えています。

 日本の半導体政策はいまだ道半ばでありまして、これからが本当の勝負だと考えています。製造装置や部素材産業を含めまして、我が国半導体産業の復活と、それを起点にした日本経済全体の国際競争力の強化、サプライチェーンの強靱化による経済安全保障の確保などなどに向けて、引き続き全力で取り組んでいきたいと考えています。

守島委員 大臣、ありがとうございます。

 政府投資に対しては、しっかり妥当性を評価して、日本の強みを生かして国際市場の中で勝ち抜ける半導体分野をつくっていただくことを期待しまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

岡本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。市村浩一郎さん。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。

 この通常国会、最後の機会だと思います。感謝いたします。

 昨年の臨時国会、それから通常国会と、経産委員会に属させていただきまして、様々な議論、また質疑、提案をさせていただきました。今日は、その取りまとめということと、是非とも経産省としての推進の意思の確認を改めてさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

 まず第一のテーマは、とにかく電気を安くどんどん作ろう、そうしないといかぬということであります。

 今の需要予測だと、二〇三〇年までに今より減るという予測になっているんですね。これでは、いわゆるエネルギーの使用量と産業の発展というのは正比例の関係でありますから、すなわち、正比例ということは、電気需要量が減るという見込みということは産業の活性化も減るということであります。

 結局、今、潜在成長率がマイナスであるという日本であるという中で、産業競争力を強化してもっと日本を復活させようというのがいろいろ議論してきたことだと思います。ですので、やはり電気需要を、一番大きいやつは、今大体九千億キロワットアワー弱なんですが、これを二兆キロワットアワーぐらいにしようというのが一番大きな目的だというふうに聞いていますので、じゃ、それに向かって電気をどんどん安く作らないかぬわけですね。そうしないと、データセンターもそんなに誘致できないわけです。半導体にも電気は要りますし、リニアモーターカーだって電気は要りますということで。

 じゃ、どうやって電気を作るか。本当は、一番いいのは原発に決まっているんですが、なかなか日本は三・一一もあってそうはいかないというところで、再エネというのもあると。あとは、かつ、LNG、石油、それをたいてタービンを回すということでありますが、そのときはどうしてもやはりCO2が発生をするということで、CCSの議論がありました。

 しかし一方で、CCUもある、ユーズの方もあるということで、じゃ、Uの方に持っていくためには、UにしてもSにしても、CO2をやはり分離・回収する技術が必要であるということでありまして、この委員会でもいわゆるアミンの話をさせていただきました。

 今、アミン溶液の場合は一CO2トン当たり四千円ぐらいかかるんですが、ゲル状の固形のアミンがもう実用化されて、商用化もされているという段階に入っています。これだとトン当たり二千円なんですね。将来的にはこれを膜にして、それを通過させてCO2を選択的に分離・回収する方法も今模索されています。

 更に進むと、DACといって、空気中から直接CO2を吸収するということで、これはダイレクト何とかカーボンなんですが、そこまでいくにはやはりこれからあと十年ぐらいはかかるだろうということで、じゃ、今あるものをしっかりと使うべきだろうというところで、私は固形アミンの話をここでもちょっとさせていただきました。

 これにつきまして、是非とも推進してほしい。膜を待つのもいいんですけれども、今あるものを使う。膜はやはり十年ぐらいかかると思うと、二〇三〇年までに二〇一三年比でCO2を四六%削減しなくちゃいけないわけでありますから、これからの五、六年が勝負でありまして、今あるやつはどんどん使おうと。

 このアミン固体は非常に優れているようでありまして、CO2を分離・回収できる。一つの例としては、農家のビニールハウスですね。農業のビニールハウスで、灯油をたいて熱を供給しなくちゃいけないわけですね。冬場とか、やはりビニールハウスは温度を保たなくちゃいけませんから。温度を保つために灯油をたくと、やはりCO2が出ているわけです。これをアミンの固体で分離・回収して、CO2をまた戻すんですね、ビニールハウスに。なぜ戻すかというと、光合成に使うからです。今、ビニールハウスの中であえて木炭をたいているところもあるぐらいらしいんです、CO2を出すために。

 だから、ビニールハウスの外で灯油をたいて、熱を供給していたところでガスが出ている、そのガスをこのアミン溶液に通すとCO2だけ分離・回収してくれて、それを、CO2をまた戻すということも今もう実用化されています。これは九州大学がやっておられまして、私も行ってきました。農学部がやっておられます。

 だから、こういうこととか、あと、ごみ焼却場とか鉄鋼炉でも、とにかくCO2を含むガスが出るところはこうして、アミン、今のは固体、将来的には膜でCO2を分離・回収する。そして、回収したやつをまとめてどこかでCCUにする。できるだけCCUで頑張って、どうしても使い切れないならCCSということになるんだと思いますが、経産省としての取組を、志を聞かせていただければと思います。よろしくお願いします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘もございましたが、安価にCO2を分離・回収できる技術は、排出されるCO2を回収して資源として利用するCCU、カーボンリサイクルですとか、地下に貯留するCCSに共通する重要な技術でございます。既に実用化をされております化学吸収法のほかに、様々な方法の開発が進められているところでございます。これは、分離・回収に要するエネルギーの低減、CO2の排出源ごとに異なるCO2の濃度や圧力に応じた最適な分離・回収技術の開発が主な研究開発課題となってございます。

 委員先ほど御指摘ございました、これはアミン含有ゲル粒子膜ということだと思うんですが、アミンを付加したゲル状の微粒子をスプレー塗工した膜によって素早くCO2を透過させて回収する技術でありまして、大型化や膜の耐久性向上などの技術開発課題に対しましてNEDOが開発支援を行っているということと承知をしております。

 これは、引き続き、更なるコスト低減や、CO2の濃度や圧力が異なるガスに対応した新たな分離・回収技術の開発に対して、グリーンイノベーション基金等も活用し、支援をしていきたいと思っております。

 こうした技術開発を通じまして、これは関係省庁とともに、分離・回収コストの低減と社会実装に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

市村委員 次に、メチルシクロヘキサンに参ります。MCHですが、これも常温常圧で水素を運べるというところであります。

 これも私の地元の企業が実証サイトを造っています。本当にコンパクトなところです。もし大臣がよければ来ていただきたいんですが、要するに、水を電気分解して水素を作り出し、それをトルエンに吸収させてメチルシクロヘキサンを作る、MCHを作る、それを燃料電池の材料にして、そこで電気を起こすというところであります。これは水素社会の構築に大変重要なものでありまして、しかも、これは何といっても、常温常圧で取り扱える。

 ただ、このトルエン、これが一応ガソリンと同じぐらいの扱いらしいです。ただ、我々人類は、あの危険なガソリンを今日はもう普通に使っているぐらいになっています。ガソリンと同程度ぐらいですから、じゃ、ガソリンも扱ってきたんですからトルエンも扱えるはずだということで、それに水素を吸着させてまた離させるというところで、しかも常温常圧であるということで、これは大変いい取組だと思いますし、ここでも御紹介しましたウィンドハンター計画、これも、まだ七十メートルは先らしいですが、いわゆるヨット型のやつで、この間も実証実験をされたということで、経産省、エネ庁の方も行かれたというふうにお聞きしていますけれども、大変これは有効だと思います。これも水素を作り出していく。

 今日ここでも議論がありましたように、一応、大型車とか商用車には使おうと。なかなか、充電時間もかかるし、それから走行距離もまだ短いのでということでありますけれども、将来的には、どんどん技術開発が進んで、とにかくカーボンニュートラルのために水素社会を目指すというわけでありますから、是非ともこのMCHをもっと経産省としてもエネ庁としても推してほしいなと思いますが、いかがでございますでしょうか。

井上(博)政府参考人 お答え申し上げます。

 MCHですけれども、御指摘のとおり、一つには、常温常圧で液体であるため取扱いが容易だ、二つ目は、既存技術を最大限活用するため技術成熟度が比較的高い、三つ目は、季節変動にも対応できる長時間の貯蔵が可能といったような特徴を有しておりまして、水素の効率的な輸送、貯蔵手段として、今後、商用的に活用が広がることを期待しております。

 MCHによる水素の輸送につきましては、日本が世界初の国際間水素輸送を実現しておりまして、世界でもトップレベルの技術力を有している分野でもございます。国としても、グリーンイノベーション基金等を活用して大規模実証を進めてきているところでございます。

 今後、市場の動向であるとか技術開発の進展等を見ながらではございますけれども、今国会で成立いただきました水素社会推進法案、ああしたものも活用しながら、しっかりと進めていければと考えております。

市村委員 次に、最後、また洋上エネルギーファームについてお話しさせていただきたいんです。

 この間、環境委員会の方でも、元々、洋上エネルギーファーム的なものを最初に支援していたのは環境省でありまして、もうこれは十五年ぐらい前の話になります。

 そこで、前もここで御紹介した、レンズをくっつけた、レンズ技術の風力発電システム、これは日本が、ちなみにこれも九州大学でありますが、開発しているというところでございまして、先ほどちょっと議論があったんですが、今予定されている洋上風力、これは着床なんですね。しかも、高さが大体二百六十メートルから三百メートルぐらい、ブレードの一番先端までいきますと。これが、めちゃくちゃ低周波というのが出るんです。これを、例えば山形沖では、一・二キロから五キロ以内に四十五基から五十とか五十五とか並べようとしているんですね。

 環境省の、委員会で私が伺ったときに、やはり環境アセスから考えると、これはかなり厳しいと。ここでも太陽光パネルの議論がかなりありますけれども、これは環境省的にいくと恐らく多分難しいと私は思っています。

 やはり、諸外国の例を見ると、二十キロ沖なんですね。しかし、日本の場合、遠浅がありませんから、二十キロ行っちゃうと、これはもうまさに浮体式洋上風力にならざるを得ないことになるんです。

 しかし、そこは是非とも、浮体式であれば、私がずっと提案をさせていただいております、これは別に私が提案しているというよりも、環境省もお金を出して支援をしてきてくれた、あと、NEDOさんも風力発電のところではとても支援をしてきてくれた技術をやはりいま一度生かして、太陽光や波力、潮力、海洋温度差も含めた洋上エネルギーファームにやはり持っていく必要があるというふうに思っておりますが、改めて、まず井上部長の方からお聞かせいただいて、大臣にもちょっとお志を聞かせていただけたらと思います。よろしくお願いします。

井上(博)政府参考人 まず、御指摘のレンズ型風車でございますけれども、エネルギー生産の新たな方式として、環境省の事業においても技術開発が進められていると承知しております。

 また、御指摘の、洋上における再生可能エネルギー。今後の可能性としては、洋上風力のみならず、洋上太陽光や潮力発電に加えて、レンズ型風車を含む洋上エネルギーファームもあり得るものというふうに考えてございます。

 他方で、この場でも御議論させていただいておりますとおり、様々な技術的論点もまだ存在していることは事実でございますので、こうした点も踏まえながら、しっかりと見極めてまいりたいと考えてございます。

市村委員 何度も私も申し上げておりますが、技術的論点とおっしゃると何の事業でも同じでございますので、あえてこの洋上風力発電のところだけおっしゃらなくて、是非とも、当然何事もいろいろ課題はあるわけでありますので、浮体式の洋上風力という意味でいうと、ベクトルは同じでありますから、今、風力だけという細いベクトルに、例えば太陽光とかいろいろな技術を束ねて、ベクトルは同じ方向を向いているわけですから、矢は。ですから、それを束ねて、サンフレッチェじゃないですけれども、この矢を強くして向かってほしい、これが私の洋上エネルギーファームへの思いでございます。

 大臣、もう一個、冷熱の話をさせていただいた上で、大臣からちょっと御見解をいただきたいと思います。もう一個、次は冷熱です。

 いわゆる冷熱というのは、熱を熱として利用する、なので、熱を電気に変えてとかいうことではなくて、またそれを熱に変えてというのが、今、例えば空調なんかそうですよね、熱を電気に変えて、電気を使ってまた冷熱とかを得ているわけです、我々。けれども、そうじゃなくて、熱は熱として使う。温熱は温熱として使うし、冷熱は冷熱として使うという発想であります。

 温熱は皆さんももうよく御存じのところでありますけれども、冷熱もあるんです。将来的には液体水素もありますが、これは二百五十度以下の世界になりますけれども、今でも、LNG、液化天然ガスはマイナス百六十二度まで下げないと液化しませんので、だから、そういう冷熱があるということで、この冷熱をやはり活用しましょうと。

 一つは、ここでも御披露しました、マイナス百度ぐらいでお米を瞬間冷凍させて、それを、ある程度の力をかけると粉になってくれるので、これは小麦粉代替の米粉ということで、小麦についても、いろいろグルテンフリーとか今言われていまして、やはり小麦よりは米がいいんだと。しかし、米の需要はなかなか増えないというところで、だから、食べ方を工夫するとなると、やはりそれは米粉にして、それを小麦粉代替で使っていくという発想があります。

 そのときに、捨てている冷熱を、今は捨てていますこの冷熱をとにかく利用して米粉を作ろうとか、マイナス四十度ぐらいだと冷凍庫の保管とか、あとは冷蔵庫とか、あと最後、七度ぐらいで大体空調に使えますから、だんだん温度が上がってくると、その温度帯でいろいろ使えるものがあるということであります。

 だから、ここでは、温熱でもそうですけれども、温度帯で、この温度だったらこれでいけるとかありますから、ですから、そういうところで冷熱の利用も是非ともこれから、熱を熱として使うということもやっていくべきだと思いますが、先ほどの洋上風力のお話と併せて、大臣の方から是非とも御見解をいただきたいと思います。

齋藤(健)国務大臣 ありがとうございます。

 まず、冷熱についてですけれども、利用されていない冷熱などの活用は、私は熱エネルギーの有効利用の観点から重要な取組だと思います。

 足下では、LNGを気化する際の冷熱の活用、これが徐々に進みつつあるように思います。例えばLNG基地内での水産物の養殖ですとか、まあ水温を下げる、それからドライアイスの製造といった取組が進められていると承知をしています。

 今後、政府として水素の導入促進を図る中で、液化された水素が広く活用されるようになれば、御指摘のように、その冷熱も可能な限り有効活用していくということが重要だろうと思っています。

 こうした新たな冷熱のほか、工場等での廃熱も含めまして、コストや技術面の課題から現時点で利用されていない熱エネルギーは身近にも幅広く存在しているのではないかと思いますので、今後、様々なアイデア、技術の可能性、これを追求していきたいと思っています。

 また、委員から、CO2の膜の分離の話ですとか、MCH、洋上エネルギーファームについてお話がありました。

 我々としては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現、これは極めて高い目標でありますので、その実現に向けて、SプラススリーEの原則の下で、あらゆる可能性を排除せずに、使える技術は全て活用していくことが必要不可欠だと考えています。

 今参考人からもお答えさせていただきましたが、それぞれの技術は、まあ、確かに実現すればすばらしいものばかりなんだろうと思うんですけれども、例えばCCUSに活用できるとか、水素、再エネの普及に向けて有望な技術であるとか、そういう考えを持っておりますが、政府としては、技術の成熟段階に応じて、引き続き研究開発や実証などの支援をしていきたいというふうに考えています。

市村委員 今、冷熱の利用のところでドライアイスとありました。大体マイナス五十度ぐらいですね。今はマイナス百六十二度を近くで使うしかないんですね。というのも、遠くに送れないわけです。

 でも、この委員会で御紹介した真空二重管というのを、今、実は川崎重工さんが、例の液体窒素のところで使っていらっしゃいます。あれは超電導体のために開発されたものなんですが、それもたしかNEDOか経産省が出してくれているはずなんですね、あれは五十億ぐらい。

 だから、そういうのを使えば、温度をある種上げないで、設定した温度に上げながらとか、そこで運べるという技術もありますので、これも経産省が今まで取り組んできた技術の一つでありますから、是非ともこういうのも使って、その温度帯でどんどん使えるようにすることもやっていただきたいと思います。

 次に、今度は例の暗号でいきます。

 いろいろ議論させていただいて、いろいろ話を聞きますと、結局CRYPTRECさんが暗号のことはやるんだという話になったわけでありますが、CRYPTRECさんはどちらかというと学術的なところをやっておられるんですね。学術的に暗号というものを見るというところなんです。

 ところが、これを実装して市場に出していくということになってきますと、これはIPAという組織が経産省さんにありまして、例えば、学術的に考えられているものを具体的に、実際のチップの回路設計、こういうものをやっているのはこっちなんです。だから、ちょっとこれは縦割りになっちゃっているんですね。

 しかし、私が是非とも国で審査して認証してほしいと申し上げている技術については、これはいわゆる工程も含んでいるんですね。学術的なものだけじゃなくて、工程も含んでいるんです。だから、いわゆる原理だけではなくて、それをどう実用化していくかという工程も含んでいまして、これはCRYPTRECだけでは非常にまだ難しいんですね。

 ですから、私は、CRYPTRECの中でいいですから、今のやり方は残した上で、別のトラックをつくっていただいて、そういう工程も含んだ部分については、それこそ、機微に係る、公開できないような情報というのもこれは含まれてきますので、だから、それはやはりクローズな場で、公ですけれども、公でオープンではなくて、公でクローズな場をCRYPTRECにつくっていただきたい。

 いろいろ議論させていただいて、いろいろ聞かせていただいて、また改めて提案をさせていただきたいと存じますが、いかがでございますでしょうか。

上村(昌)政府参考人 まず、委員御指摘の点で、こちらの説明が足りない部分もあったかもしれませんけれども、CRYPTRECは、経産省始め関係省庁と、それからIPAが連携してやってございます。そして、学術的なと申しますか、アルゴリズムなど、あるいは仕組み、暗号、このチェックに加えて、実際、それが個々の機器、製品に体化されないと使えませんので、実装の可能性についても実はきちんと調べてございます。

 やはり経済産業省の立場で暗号を考えた場合には、デジタルが経済社会にこれだけ使われておりますので、誰が使っても安全であること、かつ、その仕組みがブラックボックスではなくて、なるほど、こういう仕組みであるから、ここは限界があるけれども、じゃ、その限りにおいて、こういう情報ならそのシステムに預けよう、こういうプロセスが大事になってまいります。

 したがって、これまでるる申し上げてきたように、公開された客観的な情報に基づいて専門家が評価をするというのが、CRYPTREC、特に経産省において、暗号システムをどうデジタル社会で使っていくかという観点では原理原則になっているところは是非御理解を賜れればと思ってございます。

市村委員 済みません、またここでその議論を始めると長くなるので。

 とにかく、今、私が申し上げる完全暗号、コンプリートサイファーでありますけれども、これがもう日本人の手によって理論、原理もつくられて証明されて、しかも十年かけて実証し、しかも今、実用化されている技術があるということなんですね。だから、これを使わない手はないんです。誰もが安全に使えるという意味では、まさにそのとおりなんです。その技術があるとされているわけです。もう実際使われているんです、これを。だから、あるものを、しかも日本人が開発したものを、私だったら、即教えてほしいとこっちから行くべきじゃないかと思うぐらいなんですけれども。

 これが本物だったら、もうサイバーセキュリティーの議論は終わるんです、これで。もう次の段階に行ける。次の次元の議論ができるようになってくるんですね、サイバーセキュリティーじゃなくて。だから、情報は守られるということが確定するわけです。しかも、耐量子の時代。もう量子コンピューターもほぼできていると言われています。実際は、実はもう使っている国があるんじゃないかということも言われています、表に出ないだけで。そういうふうな時代になっているんです。だから、そのときに、耐量子の時代はもう来ていると考えれば、当然にそれを、耐量子でも守られる、情報を守ることができるコンプリートサイファー、完全暗号というものを、日本人が開発したというのなら、私は素直に聞かれるのが一番いいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。時間がないので、大臣、ちょっとお願いします。

齋藤(健)国務大臣 委員のこれまでの御質問に対しましても、やはり技術評価に実績のある第三者の専門家により内容を確認された論文などが一切ない状況の下で……(市村委員「いや、一切ないわけじゃないです」と呼ぶ)だから、実態を正確に把握するための客観的な資料等の提示の必要性というのは依然としてあると我々は認識をしています。

 その上で、そういった資料を提示していただけるのであれば、委員からこれまで御指摘いただいた技術についても、事務方としっかりコミュニケーションを取らせていただければなというふうに思っているということであります。

市村委員 またこれは引き続きになりそうな気がしますが、またやらせてください。

 次、最後に産総研です。

 これはもう長い歴史、百四十年以上の歴史を持った機関であります。二〇〇一年に今の産総研になったということでありますが、ここから出た技術は、例えばリチウムイオン電池、これは吉野先生。吉野博士がノーベル賞を取られました。あと、今話題になっている燃料電池、これも実はこの産総研から出ています。これは児玉先生という方が開発に携わられたわけであります。大阪の所長も務められた方ですけれども。

 だから、すばらしい研究所で、日本が誇る、歴史もある研究所でありますが、その先輩方から、ちょっと先輩たちと話をしていると、今産総研が網羅的になり過ぎているんじゃないかという御指摘がありました。

 それで、七つか十ぐらいの具体的なテーマに絞って、一チーム五百人ぐらいの体制で徹底的に議論をやるというのがいいんじゃないかなということで、市村君、機会があったらそういうのもやってみてくれないかということでしたので、ちょっと今日は話題に取り上げさせていただいているところであります。

 大変、産総研を応援したいという思いであります。是非とも、この産総研につきまして、大臣、今どうお考えか。

 済みません、まず、よろしくお願いします。

田中(哲)政府参考人 まず、お答え申し上げます。

 産業技術総合研究所につきましては、特定国立研究開発法人の一つとして、国家戦略に基づき、科学技術・イノベーションの基盤となる世界トップレベルの成果を生み出すことが期待される研究機関でございまして、委員いろいろ御指摘いただきましたが、産総研で働く研究者は高い専門性を持った研究に従事していくことが必要不可欠でございます。

 さらに、産総研は、研究成果を着実に社会実装していくことによって、我が国の産業競争力の強化、社会課題の解決に貢献していくということが強く求められております。こうした社会実装への取組によって将来の優秀な研究者が研究活動を妨げられないようにしていくということが重要だと考えておりまして、産総研では、研究成果の社会実装に向けた別組織、子会社を設立しまして、研究者とは別の専門人材を活用して対応しているところです。

 さらに、委員御指摘の、研究分野ごとにいろいろチームをつくってという点でありますけれども、我々の認識では、やはり、近年、社会において解決すべき課題が複雑化、高度化している中で、こうした課題解決に資するイノベーションを創出していくためには、各技術分野を横断した融合的な研究開発がますます重要であるというふうに考えております。

 こうした認識の下、経産省においては、先ほど御指摘ありましたが、二〇〇一年に、当時の工業技術院の十五の研究所と計量教習所を統合再編いたしまして、新たな組織として設立したものがまさに現在の産総研でありまして、経産省としては、産総研には各技術領域での高度な専門性を集結した総合力を発揮しながらイノベーションに貢献していってもらいたいというふうに考えております。

齋藤(健)国務大臣 産総研のミッションは、社会課題の解決ですとか経済成長、産業競争力の強化に貢献するイノベーションをつくり出していくというところにあるんだろうと思います。この点では、各国での研究開発競争が激化をしている中で、世界最高水準での研究開発の成果というものを創出するためには、私は専門性の強化というのは不可欠なんだろうと思っています。

 一方で、今答弁をさせていただきましたように、総合化する能力というのも今大事になってきています。私は双方を追求をしていくということが大事なんだろうというふうに思っていますので、そういう意味では、産総研の研究者には、国際的な研究機関とのアライアンスを強化したり人的交流を進めたりなどして専門性を高めていただくということとともに、成果の社会実装を見据えた広い視野を同時に持って研究開発に取り組んでいただきたいと考えています。

市村委員 目利き人材、伯楽人材が必要だということを申し上げて、終わります。

 ありがとうございました。

岡本委員長 次に、笠井亮さん。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、本委員会が六月十二日に行った能登半島地震被害復旧状況等調査に関わって質問いたします。

 齋藤大臣、中小企業庁が本年二月二十八日に公表したなりわい再建支援事業の概要という資料があります。その資料から六月十日の同じ名称の資料に至る運用上の改善点、それと運用についての明文化をした点というのは、大まかに言うとどのようなものでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 なりわい補助金における運用の改善点や明確化すべき点については、被災各県とも連携しながら、中小企業庁において整理、公表しております。現場の状況に照らして、都度改定を行っています。二月二十八日の初版から、六月十日公表時点で実は第九版ということになっています。

 運用の改善点について申し上げますと、例えば、原状回復に必要な費用を上限に、被災前よりも高性能の製造設備の導入など、単なる原状回復にとどまらない被災事業者の取組も支援可能ですよとした点、また、明確化した点について申し上げれば、例えば、原状回復に必要な費用を上限とする範囲内で、現行の法令基準を超える耐震性能の向上、あるいは修繕で対応可能な半壊の場合であっても建て替えを認めるなど、柔軟な対応を行っている点が挙げられると思います。

笠井委員 今大臣が言われた改善と明文化というのは、被災各県事業者になりわい補助金をより分かりやすく伝えて、多く使ってもらうというためだということでよろしいでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 もちろん、そういう趣旨でございます。

笠井委員 私たちが珠洲市で訪問した鍵主工業の鍵主社長は、このなりわい補助金の申請については実はまだこれからということで、おっしゃっていたのは、町工場のおやじがまず申請のための書類をいろいろ取ってそろえたり、それから事業計画を立てたり、県や商工会議所、中小機構あるいは銀行とも相談しているけれどもなかなか大変なんだと率直に言われておりました。また、世界、東南アジアなどではしちりんの需要というのが多くて、そしてそういう事業を先々やる見通しを持ちながらやりたい、そういう意欲を持っていらっしゃって、世界市場でシェアを確保するために、先ほども議論がありましたが、スピード感が大事ということもかなり強調されていました。早くにそうやって再建しないと、もう本当にシェアを取られてしまっているという状況になると。

 石川県によれば、五月十日の時点でこの補助金の交付決定は、県のホームページによりますと、まだ十七件しかないということになっているわけですが、齋藤大臣、この煩雑な手続をなるべく簡便にして、利用できるようにするところまでしっかりと支援していくというのがやはり行政の仕事ではないかと思うんですが、そういうことでよろしいでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 基本的にはお考えのとおりだと思います。

 なりわい補助金の前身となりますグループ補助金では事業者グループによる復興事業計画の申請を求めていましたが、このなりわい補助金では、単独の申請でも可能にするとともに、県による対応に変えるなど、既に大幅な簡素化を進めてきています。

 他方、なりわい補助金も国民の皆様に納めていただいた貴重な税金で賄われるものであり、その点に留意も必要だと思っています。

 このため、適切な補助額を算定するための必要最低限の申請書類が必要となりますが、一方で、被災事業者にも配慮し、事業計画書を可能な限り簡素にするなどの対応を行ってきています。さらには、相見積りの提出など、やむを得ない事情で困難な場合には、もう理由書の提出をもって柔軟な対応を行うということも可能だというふうにさせていただいております。

 いずれにせよ、申請に当たっては、更に、地域の商工会、商工会議所等の支援機関と連携をしまして、こうした個々の被災事業者が抱える課題を踏まえながら、申請において丁寧に御支援申し上げたいと思っています。

笠井委員 四月の八日の日に石川県の馳知事が齋藤大臣に手渡した要望というのがありますが、そこには、なりわい補助金の支給対象を大規模半壊に加えて半壊にも拡充させるようにという項目がしっかり入っております。

 石川県の復興プランでも、支援策で真っ先に出てくるのはなりわい補助金ということで、持続化補助金もあるわけですが、それはあくまで応急処置というふうに位置づけられています。

 やはり、本格復旧のなりわい補助金が使えるめどがなければ事業再建の意欲にもつながらないということになると思うんですけれども、その点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 そのとおりでありまして、被災地の現状を踏まえて、支援策を活用いただきやすくするということが非常に大事だと思っていますので、先ほど申し上げたように、なりわい補助金についても、必要な運用の改善や明確化を進めているんですが。

 こうした改善点等に関する情報につきましても、被災事業者に広く周知をし御理解いただくということが大事なので、なりわい補助金の適切な活用につながり、ひいては被災地の復旧復興に資するというためには、やはり周知をしっかりするということだろうと思っていますので、そこに尽力をしていきたいと思っていますし、それでもなお分かりづらい場合もあると思うので、地域の商工会、商工会議所等の支援機関と連携をいたしまして、相談に丁寧に対応していくということが大事だと考えています。

笠井委員 鍵主社長は、これから先、事業を続けたいと思っているとはっきりおっしゃっていたわけです。それで、本格的な再建を望んでいる事業者に正面からやはり応えるべきだと、今回、調査、視察に行っても改めて痛感したところです。

 冒頭の、六月十日のなりわい再建支援事業の概要に至る、九次にわたるというお話がありましたが、運用上の改善点と運用についての明文化が、やはり、今大臣も強調されましたが、きちんと事業者に伝わることが大事だと。

 財産処分に該当しない場合や補助金相当額の納付を求めない場合があることについては、四月十五日の災害特の調査の際にも私も参加しまして、馳知事それから西垣副知事との意見交換も経て、早急に柔軟な対応に踏み込んだ申請の案内のチラシに、県からも、改善されたということがありました。

 大臣、重ねてなんですが、やはり、財産処分以外の点についても様々、よくこの中身について本当に知られていくし、活用しやすいようにするということがあると思うので、やはり事業者にきちんと伝わるようにということで、被災各県への働きかけというのが国の側から、経産省の側からも重要ではないかと思うんですけれども、その点については、特にこういう点をやっていくというようなことでお考えはおありでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 これも御指摘のとおりだと思っていまして、石川県を始めとする被災各県と進めてきたなりわい補助金等の説明会は、これまで計四十回開催しておりまして、延べ約五千六百人の参加をいただいています。

 説明会の際には、例えばですけれども、先ほど申し上げたように、原状回復に必要な費用を上限としてではありますが、被災前よりも高性能の製造設備の導入ですとか耐震性能の向上なども可能ですよというようなお話も丁寧にさせていただいてきているところであります。

 また、私が本部長を務めます被災中小企業・小規模事業者等支援本部の下に設置をしている、自治体や商工団体などの実務者の皆様によるワーキンググループにおいて、このような実務的な運用の改善点などもしっかり共有しながら進めさせていただいておりますので、御指摘のように、補助金の実施主体である県とも連携をして、被災者に寄り添った丁寧な対応を進めていきたいと考えています。

笠井委員 被災事業者は自らの生活自身も大変ということで毎日御苦労されているので、その辺は是非徹底してやっていただきたいというふうに思っております。

 東日本大震災のグループ補助金では、やむを得ない業態変更や補助金を活用して導入した建物、設備の改修、改良それから用途の変更、廃棄などを余儀なくされた事業者が補助金返還を求められる事態が大きな問題となって、能登半島地震のなりわい補助金でも当初申請をちゅうちょする要因ともなっていた。

 我が党は衆参各委員会でも度々改善を求めて、私も本委員会で三月十五日にただして、四月十一日には、全国商工団体連合会、全商連の方々と石井経産政務官に申入れもやってまいりました。

 運用上の改善と明文化というのは大いに歓迎いたしますが、被災地の実態に即して更に必要な改善も常に図っていただきたいということを強く求めていきたいと思います。

 そこで、宮崎厚生労働副大臣にお越しいただいておりますが、鍵主工業の鍵主社長は、ピザ窯生産を更に進めることも今後の展望としてあると。もう既にピザ窯を作っていらっしゃるんですが、その中で、事業再建までには一定の時間がかかる、見通しを立てる上でも、それまでの間の雇用調整助成金、雇調金、三百日をもっと延ばすことと同時に、満額支援も考慮して何とか助けてもらえればと、本当に必死の思いで要望を私たちにされておりました。

 この点では、更にそうした要望に応えて踏み込むべきではないかと思うんですが、副大臣、どのようにお考えでしょうか。

宮崎副大臣 今般の能登半島地震の被災地において、今後の復興復旧に取り組んでいくためにも、先生御指摘ありましたとおり、雇用の維持、従業員の方の確保というのは重要な課題でございます。

 雇用調整助成金につきましては、今般、助成率を引き上げる、これは中小企業五分の四、また支給日数は御指摘の一年三百日という形でこちらも引き上げる特例措置を講じたところでございます。

 また、今般におきましては、過去の災害時の対応も参考としながら、これらの引上げのほかにも、現地での休業による雇用維持だけではなくて、従業員の方が二次避難を行っている場合などの出向を活用した雇用維持も助成の対象とすることや、被災企業がより制度を活用しやすいように、休業規模要件を小さい場合であったとしても助成の対象とするというようなきめ細かい配慮も行っておりまして、こういった特例措置を通じて被災地の事業主の方に寄り添った支援をしてまいりたいと現状思っております。

 先生今御指摘がございました満額また三百超えは、例えばコロナ特例のときはこういう措置を取らせていただいたところでございます。ただ、コロナ特例では、やはり、国から事業者や国民の皆様に感染防止などのために行動制限を中心とした強い要請を行う中で実施したというケースでありますので、現状、同一に論じられるものではないと考えており、今、一月一日発災、六月が終わろうとしている状況でございますので、先ほどの拡充をさせていただいた中で、しっかりこれを周知、また活用していただけるように取り組んでいきたいと思っております。

笠井委員 事業再建というのは、一年間でできればいいんだけれども、二年、三年かかるという状況の中で、今の三百日をもっと延ばしてという要望というか要請については、要するに、今の制度でいうと、三百日使ってしまうと、その後一年間のクーリング期間となって、その一年間続けて利用できなくなるという制度になっているということで、まさにそこを続けて利用できるようにしてもらいたい、雇用を維持するためにもということになってくるわけですよね。

 岸田総理は、今国会の施政方針演説で、異例の措置でもためらわず実行するというふうに明言して、表明をされました。

 まさに、そういう点では、よく熊本地震のときと同水準というようなことで言われるんだけれども、そういうことであったら、異例の措置とは言えないわけですね。コロナ特例は、特例の特例であったという言い方をされたわけですが。

 やはり、今の事態というのは、この被害の実態と、再建には一定の期間がかかる、その間になりわい補助金も是非申請して立て直すということでやりたいと思っているときに、雇用が維持できなければということになるので、そういう点では、現実に見合って、事業者の切実な紹介したような願いに正面から向き合うべきじゃないかと思うんですが、改めて、どうでしょうか。

宮崎副大臣 先生の御指摘の趣旨は共有をしていると思っておりますし、また、総理御発言についての御指摘もそのとおりでございます。

 ただ、今、厚労省としても、雇用調整助成金につきましては特例措置を打たせていただいているところでございますので、この特例措置をしっかり運用しながら、雇用の維持への支援を行ってまいりたいと思っているところでございます。

笠井委員 趣旨は共有して、総理の発言もそのとおりということであれば、やはり、きちっと踏み込んでということでやっていただきたい。これを強く求めて、検討していただきたいと思います。

 そこで、次の問題になりますが、齋藤大臣に伺います。

 今、中小事業者、小規模企業の倒産をめぐる状況というのは極めて深刻になっています。

 六月十日に東京商工リサーチが発表した五月の倒産件数、負債総額一千万円以上は四三%増と、前年同月比のそういう増加になっていて、千九件ということで、約十一年ぶりの一千件台となっている。まさに深刻な事態になっています。全体の九割を従業員十人未満の小規模企業が占めている。前年同月比で見ると、業種別では、建設業が四六%増の百九十三件、運輸業が二倍の五十四件と苦境が際立っています。

 さらに、五月の物価高倒産は四七%増の八十七件で、小規模企業は、大企業や中堅企業と比べ、価格転嫁力が乏しいと指摘をされています。

 価格転嫁の状況は深刻で、城南信用金庫が取引先八百社を対象にした調査では、原材料のコスト増加分を全て価格転嫁できている企業というのは、何と一四%にとどまっている。こういう状況です。

 大臣は、まさにこの現状というのは放置できないところにある、そういう危機感は当然お持ちですね。

齋藤(健)国務大臣 全国の企業倒産件数、これは、御指摘のように、建設業やサービス業を中心に増加傾向にあります。これは、特にサービス業や建設業などの人手を多く必要とする業種において、人手不足も重なりまして、事業継続を断念する企業が増えているのではないかと認識しています。

 引き続き、失業率が上がってしまうような不適当な水準での倒産増加が起こらないように、まずしっかり注視するとともに、人手不足対応や生産性向上のための省力化投資支援のほか、コスト増に対応する価格転嫁対策や資金繰り対策を通じて、地域の中小企業、小規模事業者の経営を支え、成長を後押ししていきたいというふうに考えています。

笠井委員 宮崎副大臣、御退席いただいて結構です。どうも。

岡本委員長 宮崎副大臣、じゃ、御退席ください。

笠井委員 二〇二三年の十一月に、岸田政権は、デフレ完全脱却のための総合経済対策を打ち出して、それを受けて経産省が今年三月八日に策定した再生支援総合対策に、事業再生情報ネットワークの創設というのが盛り込まれております。

 須藤中小企業庁長官、どのようなものでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 公租公課滞納によります倒産は増加傾向にありますものの、中小企業活性化協議会の中には、日頃から年金事務所等と相互理解を深めた上で、個別事案で問題が生じた場合には、協議会と年金事務所等が密に情報共有を行うことで、公租公課納付を前提とした再生計画を策定できた事例というのもございます。これは、まだこういう事例があるということでございます。

 こうしたことを踏まえまして、今般、取組を開始した事業再生情報ネットワークでございます。これは御指摘のものでございますけれども、再生支援の見込み、金融支援による財務改善見込みといった再生可能性の高い中小企業に関する情報を厚労省を通じて年金事務所などに共有することで、関係機関による方針や支援の判断、決定に資する仕組みを全国で構築する、こういう仕組みをつくりまして、公租公課の確実な納付と事業再生の両立を目指してまいりたいと考えております。

笠井委員 公租公課ということがありましたが、社会保険料の負担軽減は事業者の大きな要求の一つであります。事業再生の支援対象がどれぐらいの範囲なのかが問題になります。

 齋藤大臣、中小企業活性化協議会が受けている公租公課の分割納付の相談など、負担軽減の相談件数というのは一体どれだけあるんでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、中小企業活性化協議会に対する相談件数は、二〇二三年度には過去最高の六千七百八十四件となるなど、増加傾向にあります。

 このうち、公租公課に係る事案について具体的件数を把握しているわけではないんですけれども、昨年十一月に中小企業庁が全国の中小企業活性化協議会を対象に、公租公課の納付上の問題が生じた事案や協議会の支援により問題が解決した事案の有無、これを確認をさせていただいたところでは、四十七協議会のうち二十七の協議会において、そうした事案があったという回答をいただいているところであります。

笠井委員 数は把握していないけれども、事案があったという回答が二十七の協議会においてあるということですが、各地の現状を見ますと、例えば民主商工会に悲鳴のような相談が相次いでおります。

 東京都新宿区の美容施術業者は、新宿年金事務所から社会保険料滞納分の全額納付を再三要求された、昨年末には、職員が財産調査と称して営業中の店内に押しかけて、写真を撮り、金庫、レジを開けさせて、百万円を差し押さえたと。ほかにも、分納を拒否をされて、会社が潰れようが関係ないと言われた神奈川のサービス業の例。三か月以内に全額支払わないと、売り掛け、近いうちに回収が見込める現預金などに差押えを行うと言われたという京都の建設業などの事例があります。

 大臣、このような事態にこそ経産省としてもやはり踏み込んだ対応というのが必要なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 そういう意味で、先ほど申し上げた、まだできて間もない組織でありますが、事業再生情報ネットワークを通じて、再生可能性の高い中小企業に関する情報を厚労省等を通じて年金事務所等に共有をさせていただくということも可能ですので、そうしたことを通じて、事業再生と公租公課の確実な納付の両立、これを目指していきたいと考えています。

笠井委員 こういう現実に対して、事業者に事業再生計画を立ててもらうということが大事なんだということが言われたりするんですが、それを描ける事業者も限られているわけですね。これを条件にすると、ごく僅かしか救えない。しかも、社会保険料は利益に関係なくかかる。賃上げしても、雇用を増やしても、事業者負担が大きくなるわけであります。

 中企庁長官に伺いますが、二〇一四年に小規模企業振興基本法を採決した際に、本委員会の附帯決議は、社会保険料の負担軽減について何を求めていたでしょうか。

須藤政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘の附帯決議におきまして、社会保険料の負担につきましては、以下読み上げさせていただきます、「法人事業所及び常時従業員五人以上の個人事業所に義務付けられる社会保険料が、小規模企業の経営に負担となっている現状があることに鑑み、小規模企業の事業の持続的発展を図るという観点に立ち、従業員の生活の安定も勘案しつつ、小規模企業の負担の軽減のためにより効果的な支援策の実現を図ること。」と記載されております。

笠井委員 それが二〇一四年ですので、あれから十年です。

 齋藤大臣、社会保険料の負担の軽減はどうなったのかということなんですけれども、例えば、今年一月末に岩手県の大手タクシー会社が倒産をいたしました。従業員八十五人全員が解雇された事案があったわけですが、そこでは社会保険料滞納があった、年金事務所がタクシーを差し押さえたということが破産のきっかけでありました。

 一体、いつ、より効果的な支援策ということを実現するということになるんでしょうか。

齋藤(健)国務大臣 まず、社会保険料の負担の在り方については、厚生労働省の所管ですので、私の立場からお答えをすることはできないんですが、その上で、経済産業省といたしましては、地域経済、雇用を支える小規模事業者が収益、売上げを拡大をして、定められた水準の社会保険料を納められる環境を整備するために、引き続き、価格転嫁ですとか生産性の向上を強力に推進をしていきたいと考えています。

 御案内だと思いますが、価格転嫁対策としては、価格交渉促進月間等の取組を粘り強く続けていくことで、中小企業にとって価格交渉しやすい環境を引き続き整備をして、サプライチェーンの隅々まで価格転嫁を浸透させていきたいと考えていますし、また、生産性向上のためには、カタログから選ぶような簡易で即効性のある省力化投資の支援等にも取り組んでいるところであります。

 大事なことは、こうした取組が厳しい環境にある小規模事業者にしっかり届くようにすることだろうと思っておりまして、よろず支援拠点等における経営支援の中でも、こういった点について丁寧にサポートしていきたいと考えています。

笠井委員 やはり全く正面から答えられていないというのが私の今の受け止めです。

 中小企業家同友会全国協議会、中同協は、昨年十月二十六日の要望、提言で、物価上昇や経営環境の悪化の局面では、減税政策や社会保険料の減免などによる中小企業、小規模企業への負担軽減を図るべきというふうに訴えています。

 社会保険料の軽減に今こそ踏み込む。その点では、社会保険料の問題は本来厚労省の所管だとおっしゃったけれども、やはり経産省としてもこの問題について取り組んでいくということが言われてきて、やっているわけですから、是非連携して、現実に中小企業者が求めていることに対して応える方向で、附帯決議もあったわけですから、正面からそれをどうするかということについて検討して、やはり答えを出していくということが必要だと思うんですが、大臣、重ねて、どうでしょう。

齋藤(健)国務大臣 先ほど答弁したとおりに経済産業省の立場としてはなるわけでありますので、それにつけ加えることはございません。

笠井委員 今やり取りをさせていただきましたが、今、大企業に対しては、戦略分野国内生産促進税制で、例えば、EV一台当たり四十万円とか、グリーンスチール一トン当たり二万円などの生産、販売量に応じた税額控除という、ある意味空前絶後の支援策までやっているわけです。さらに、去る五月に成立した産業競争力強化法で新たに定義された従業員二千人以下の中堅企業、約九百者ということが明らかになっていましたけれども、そこには地銀や商工会議所、自治体との連携を促して重点支援など、至れり尽くせりということになっています。

 他方で、圧倒的多数の中小・小規模事業者には社会保険料の負担軽減も、さらには、先日も質疑をいたしましたが、新紙幣発行に伴う中小・小規模事業者の券売機などに対する直接の対応支援もない。同じ事業者なのに、大企業、中堅企業と、それに対して圧倒的多数の中小・小規模事業者ではこんなに違う。

 大臣、余りにこれは差別的だというふうに思われませんか。

齋藤(健)国務大臣 補助制度を始めとしまして、それぞれの制度は、その制度の政策目的に従って講じられているわけでありますので、大企業だから、中小企業だからということで差別的に講じているという意識は、我が方には全くございません。

笠井委員 差別的に講じているという意識はないとおっしゃっても、現実にやっている施策は、事業者に対しては明らかに違うという現実があるわけであります。

 中小企業憲章は、中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役とうたって、小規模企業振興基本法は、小規模企業の成長、発展のみならず、事業の持続的発展を位置づけているわけです。

 一握りの大企業や中堅企業偏重ではなくて、やはり、幅広い中小企業を底支えする、そういう政治に根底から切り替える、やはり全体をよくしていかないと日本経済もよくならないわけですから、そして暮らしもよくなっていかない、それが本当に今急務だということを強調したいと思います。

 そのことを強く求めて、今日の質問を終わります。

岡本委員長 次に、鈴木義弘さん。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 先般行われました能登半島地震の視察に当たりましては、委員長始めスタッフの皆さん方にお世話になりまして、この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げたいと思います。

 私は二回目だったんですが、災害特の方で、たしか四月だったと思います、能登半島の方に視察に行って、二か月ぐらいしかたっていないんですけれども、ほとんど余り変わっていないなというのが一番の印象でありました。違う場所も見させてもらったので、やはり現場第一主義、大臣が言われているとおり、一回足を向けて、どういう状況になっているかをつぶさに見るというのは大変大事だと思います。

 日本も、これは二十年ぐらいの周期かなというふうに思うんですけれども、過去に、国内の中で大規模災害というのが、ずうっと、私の記憶でいくと、阪神・淡路があって、山古志村があって、東日本があって、熊本があって、今度は能登。その前に、北海道の奥尻も大きな被害があったりしたんですけれども、結局、なかなか進まないというのは、伴走型でやるのはすごくいいことなんだと思うんですね。住民の、また事業者の意見を聞きましょうと。その意見をなるべく取り入れて政策に反映させていくということは否定するものではないんですけれども、もう少し、復興するのに時間をかけないようにどうすればいいのかというのが一番キーになるんじゃないかと思うんですね。

 では、今までの過去に大きな災害、震災とか風水害もあったんですけれども、そこで学んだことは何なのか、それで、今回の能登の地震に対して、どういうやり方を変えたから少し短縮できるとか、もっと早く復興ができる道筋が立てられるというふうに考えるのか、幾つか事例を挙げてお答えいただきたいと思います。

南政府参考人 お答え申し上げます。

 一月に発生しました能登半島地震につきましては、経済産業省では、発災直後から最大百名以上の体制で災害対応業務に当たってまいりました。また、これまでに三百五十名を超える職員を石川県庁や被災自治体などに派遣しまして、被害状況の正確な把握に加えまして、電力などのライフラインの復旧、避難所への支援物資の供給、こういったものを、昼夜を問わず、総力を挙げて対応に当たってまいったと考えております。

 今、先生御指摘のございました過去の災害対応の経験ということですが、例えば、今回、災害が発生した際に、現地に派遣する職員候補をあらかじめリスト化しておりまして、そうしたことから、発災翌日から迅速に職員派遣を行うことができたということがございます。それから、早期に被災自治体と電力供給ミーティングを開催し、現場の状況を直接伺うことで、電力供給の優先順位などの要望を明確化することができました。また、過去に災害対応に当たった職員の豊富なノウハウを生かし、例えば速やかに仮設トイレを始めとする支援物資の手配を行うことができた、そのように考えているところでございます。

 今回の能登半島地震の対応からも重要な知見、経験が得られると考えているところでございまして、現在、政府全体で検証チームを立ち上げ、今回の災害対応の中における課題を整理して、六月に自主点検レポートとして取りまとめたところであります。

 経済産業省としましても、被災地の復興に全力で取り組むとともに、今回の対応における振り返りをしっかりと行い、今後の教訓としてまいりたいと思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 それと、四月に視察に行ったときに、やはり公費解体が進まないという説明だったんですね。それは、権利者がいて、全員の相続人、二代前、三代前の名義人のままになっていると、どうしても相続人が何十人も出てくる場合もありますし、その人の全員の同意が得られないから公費解体に入れないんだという説明が四月だったんですね。今回は、一部、輪島のあの焼失してしまったところの一番端の方で重機が動いていましたから、やっと入ってきたのかなというのは少しだけ見ることができたんです。

 では、震災復興のスピードを上げていくのに、やはり公費解体を加速させていくべきというのはもう論をまたないと思うんです。やっと法務省が職権で滅失登記ができるようになったとか、先ほど御答弁いただいたんですけれども、例えば、五月の末に市町村は、固定資産税の納付書、あなたのところ、今年は一万円納めてください、五千円納めてくださいと納付書を送付しているんですね。返ってきちゃった場合は、宛名不在だとか受取人がいなかったということで、そこはもう一回調べ直せば、誰が持っている建物なのか、土地も一部あるんでしょうけれども、それが、登記所は登記所、県は県、市町村は市町村で持っている情報がみんなばらばらなの。それで、いざ震災が起きると、さあどうしちゃったもんだかというので右往左往する。中には、一次、二次の避難場所で、コミュニティーがそこでできていればどこの誰かというのは把握できると思うんですけれども、個人宅に親戚を頼って行ったら、結局そこは連絡がつかないんだそうですね。

 では、どうするか。ホームページで照会をかけたり、是非名のり出てください、サポートしますからと言っても、ホームページすら見られない、見ない人も中にはいると思うんです。ここが一番最後に残っていく大きな問題になっていくと思うんですけれども。

 公費解体を加速させるというのを、ある程度の月日というんですかを持って対応すべきだと思うんですけれども、その辺の見通しを教えていただきたいと思います。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 公費による解体工事につきましては、これまで、申請手続や工事に先立って行う現地調査、解体費用算定といった工事前調整に時間を要しており、この二点がボトルネックとなっていたところであります。

 このうち、申請手続につきましては、五月の二十八日に法務省と連名で事務連絡を発出しました。事務連絡では、建物性が失われた倒壊家屋等について、関係者全員の同意がなくても公費による解体撤去を進めることが可能であることをお示ししております。また、倒壊家屋等以外の損壊家屋等についても、やむを得ないと考えられる場合において、いわゆる宣誓書を活用して公費による解体等を行うことは差し支えない旨を具体的な手順とともにお示ししており、これまでよりも踏み込んだ形で宣誓書方式の活用を後押ししています。

 二点目の工事前調整につきましては、その効率化に取り組みつつ、専門の技術者を四月の約九十名から六月には約三百名と大幅に増員するなど、体制確保、強化等を図ってきたところであります。

 こうした取組の結果、申請棟数は、四月末の約一万棟から六月十七日には約一万九千七百棟、累計の解体実施棟数は、四月末の約三百棟から六月十七日には約二千二百棟に増加しており、今後更なる増加が見込まれるところであります。

 石川県の計画では、令和七年十月までに解体撤去の完了を目指すこととされていますが、一日も早く景色が変わったと感じていただけるよう、解体工事の実施の前倒しに向けて、環境省始め政府一丸となって公費による解体を最大限加速させてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 是非、一日も早く解体をしてもらって、撤去した後じゃないとイメージはなかなか浮かんでこないと思うんです。

 そこで、夕方に内灘町というところに行って液状化の現場を見てきたんですけれども、もう家が傾いちゃっているんですね。

 埼玉県でいえば、三・一一のとき、東日本大震災のときに、沼地を埋めたところに住宅が宅造されているんですけれども、そこが、家が半壊というんですか、家は普通に建っているんですけれども、もう液状化で傾いちゃっている。その現場も見させてもらったんですけれども、町長と歩きながら、説明を受けながら話を聞かせてもらったんですけれども、罹災証明書が、建物しか見てくれないんだよ、こういう話なんですね。

 結局、住居の建物のすぐ隣に車の車庫があったんです。車を出せないで、下から砂が噴き上がっちゃって、もう斜めになっちゃっている。あとは、玄関の入口のエントランスのところが、ひびが入っちゃって使えない。玄関のエントランスは建物に付随しているので、それは罹災としてカウントしてくれるんでしょうけれども。

 なぜ、居住というのかな、建物だけしか罹災証明書というのは出せないのか、そこのところが不思議でしようがないんですけれども、何か根拠になるものがあるんだったら教えてもらいたいと思います。

上村(昇)政府参考人 お答えいたします。

 罹災証明書は、被災者生活再建支援金の支給や住宅の応急修理など、住家被害に着目しました被災者支援策の適用に多く活用されていることなどから、災害対策基本法上、住家被害を必須の証明事項としております。

 一方で、例えば住家以外の不動産被害や家財等の動産被害などの証明は条文上必ずしも必須とはなっておりませんが、条文の上では、「住家の被害その他当該市町村長が定める種類の被害の状況を調査し、」と規定しており、住家以外の被害についても市町村長が任意に証明することは可能であります。

鈴木(義)委員 要するに、一番最初にお尋ねしたのが、二十年ごとに大きな災害が起きたときにきちっと学んでいるんですかといったときに、結局、東日本大震災のときに、私の記憶が間違っていなければ、浦安で液状化が起きちゃっているんですよね。あれは直すのに二年とか三年ぐらいかかったと思うんですけれども。そういうことも踏まえて、これは経産だけとか国交だけとか農水だけとか、そういう話じゃなくて。

 だって、電車がないようなところで、車がないと生活できないところは、車庫はやはり必要なんでしょうね。住家というふうに区切っちゃうんですけれども、昔はそれでよかったのかもしれません。でも、やはりモータリゼーションの時代で、いろいろな移動手段で使っている車だとかトラックだとか、そういったものを収納しているところまである程度見てあげられないと、復興を早くしろといっても、要するに、三百万とか四百万しかお金をもらえなければ、あとは全部手持ちで出すか、ローンを組むしかないんですよね。だから、そこのところを是非今後早い時期に検討してもらえたらなというふうに思います。

 それと、罹災証明のところでもう一点お尋ねしたいんですけれども、今回見させてもらったのは自社物件の工場だったんですが、例えば、貸し工場だとか貸し倉庫、テナントだとか、そういったものに対する支援策はあるのか。住家はいいとして、人が住んでいるところはいいんだけれども。

 あともう一つ、時間がないので併せてお尋ねするんですけれども、賃貸マンションとかアパートの場合は、サポートする制度があるのかということなんです。そこに住んでいた、アパートに住んでいる人が被災をしたら、この方にはサポートする、お金を出すとかいろいろなサポートはあるんでしょうけれども、元々住んでいたアパートだとか賃貸物件の居住用のもの、これはサポートの制度があるのかどうか、お尋ねしたいと思います。

松浦政府参考人 お答え申し上げます。

 なりわい補助金は、大規模な災害により被災された中小・小規模事業者の方が、事業に不可欠であり、かつ原則として自らが用いられる施設設備の復旧を行う際に、その費用を補助するものであります。このため、賃貸目的の施設につきましては、原則としては補助対象とはしておりません。

 ただし、事業用として貸し付けていた施設であって、借主であるところの中小企業者あるいは小規模事業者の方が継続して事業を行う上で不可欠な場合、この場合におきましては、当該事業者の方を支援する観点から、例外的に補助対象とさせていただいております。

 その上で、個別具体的な事案につきましては一概に御判断をお示しすることは難しいことから、事業者の方から各県、石川県と各県において設置されている相談窓口にお問い合わせいただくことになっております。

 いずれにせよ、能登半島地震で被災された事業者の方のなりわい再建へ向けまして、引き続き、被災事業者の方に寄り添いながら、被災地の復旧復興へ向け、全力で取り組んでまいりたいと思います。

宿本政府参考人 賃貸住宅のオーナーの方への支援に関してお答えを申し上げます。

 国土交通省におきましては、被災されました方々の恒久的な住まいの確保に関して、自力での再建が可能な方については、低利の融資で支援を行っております。被災をされて罹災証明書の交付を受けられた賃貸住宅のオーナーの方々が自力再建するに当たっても、低利の融資を活用して再建をしていただくということになります。

 独立行政法人住宅金融支援機構が提供いたします災害復興住宅融資におきまして、被災者の住まいの確保を幅広く御支援をするという観点から、賃貸住宅のオーナーに対しても全期間固定金利による低利な融資を提供しているところでございます。

鈴木(義)委員 昨日資料をいただいたんですけれども、ここの資料を見ると、過去の災害時における住宅の応急修理の実施状況というので、半壊以上だと、多いところで約五三%ぐらい、少ないところだと三六%という数字が出ている。準半壊以下だと、もっとぐっと減っちゃうんですね。だから、こういったデータもやはり大事にしながら、次の震災が起きたときにどういう対応をすればいいのか。

 例えば、内閣府の方からもらった、罹災証明書の、これも細かく出しているんですね、全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、準半壊に至らない、パーセンテージで一〇%ずつぐらい下げている。でも、これは機械で測っているわけじゃないから、人間の目視でどうやってパーセンテージを細かく切っていくのか、不思議でしようがないんですけれども、半壊以上だったら補助金が出たり、融資も低利でという話になると思うんですけれども、その辺のところもやはり一回チェックした方が私はいいんじゃないかなと思うんです。

 それで、元々の考え方が、震災や風水害で被害に遭っても、原状回復という考え方でやろうとするんですね。そうじゃなくて、原状が一〇〇だったら、一〇〇で震災でダメージを受けたんだったら、一一〇にするとか一二〇にするという考え方で整備をした方がいいという考え方なんです。でも、ほとんど、財務省も、一〇〇で壊れたんだから一〇〇に戻せばいいと、そのぐらいの予算しかつけさせないんだよね。じゃ、一〇〇%見積りを出したからといって、それを措置してくれるかといったら、九掛けだよ、よくて。下手すればもっと下げられる。そんなことをやっていたら、次にもし同じような災害が来たときには耐えられない、また国民の税金を投入しなけりゃならないということになるんだと思うんですけれども。

 そのときに、埼玉でもいろいろな、湖沼だったところを埋め立てて、住宅が建っているところが幾つもありました。そうすると、そこに住宅を建てて、もし大きな地震が来たときに液状化になるとか、要するに、元々の、建物を建てていい基準を国が示すべきだと思うんです。

 沼地を、田んぼを埋めました、そういった、元々地下水が高いようなところに宅地造成をかけて建物を建てるといえば、必ず液状化のおそれが出てくるわけです。そういったところには最低でも基礎を打たなくちゃいけないとか、土壌改良をしなくちゃいけないという指針をきちっと出して、それで市町村が開発の許可を出すとか、埼玉県なら埼玉県が許可を出すとかというふうにしないと、同じことが日本全国どこかでやはりまた地震が起きたときには起きると思うんですね。その辺もやはり対策をふだんからやっていかないと。

 内灘町の液状化のところを見させてもらいましたけれども、丘陵地帯のちょっと出だしのところなんです。川に向かって江戸時代に埋立てをしたところだというふうに説明を受けました。そういったところは、大きな地震が来れば、やはり振られますよ。浦安だって埋立て。昔、私が小学生ぐらいのときにハゼ釣りに行ったんですけれども、昔は海だったんだ。そういったところを埋め立てれば、液状化は起きますよ。

 そういったところをやはり一度チェックして、対策を取ってからじゃないと建物は建てられませんよぐらいなことをやらないと、結局同じことの繰り返しになるんだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

勝又政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、復興のまちづくりに当たっては、復興以前の、災害が発生する前から居住や都市機能を誘導する地域の安全を確保するといった、こういう考え方が必要だと思っております。

 このような観点から、令和二年度に都市再生特別措置法を改正いたしまして、我々の立地適正化計画において、建築基準法の災害危険区域を始めとするいわゆるレッドゾーン、こういったところは居住誘導区域、居住誘導を図る区域から除外するということを行いました。また、災害ハザードエリアにおける開発抑制の強化を図るなど、頻発、激甚化する自然災害に対応する安全なまちづくりのための総合的な対策を講じているところでございます。

 加えまして、立地適正化計画の防災指針に位置づけられた避難路、避難地の整備に対して重点的に支援を行うなど、地方公共団体における取組の支援を図っているところでございます。

 復興まちづくりにおきましては、被災市町の御意向を踏まえながら丁寧に対応してまいりたいと存じております。

鈴木(義)委員 今みたいな制度を入れたんだったら、市町村の意見を聞きながらといっても、駄目なものは駄目ですよというふうにきちっと言わないと、それを市町村だとか都道府県任せにしたら、やはり同じような災害が私は起きてしまうと思うんです。一番は、人命救助が大事。そうならないようにどうすればいいかというのは、日頃から考えなくちゃいけないことだと思います。是非一日も早い復興を願う一人であります。

 次に、違う質問をさせていただきます。

 政府は、世界で競争力を先鋭化しようという方向を出し、そこに予算をつけて後押しをしています。AIだとか量子、ロボット、宇宙などの先端技術だけが日本の製造業の強みなんでしょうかというものです。

 かつては、トヨタや日産などの自動車や、ソニーやパナソニック、東芝を始めとする電子機器、家電等が代表的でしたが、技術は確かに大事です、しかし、大成功したGAFA、日本でもヤフーや楽天など、どれだけ技術があったんでしょうか。最初は素人ながらのコーディングからスタートした企業が多く、起業家がスーパーエンジニアであったのかといったら違うだろう、スーパービジネスパーソンと呼ぶ方が近いのではないかというふうに識者も言う人がいるんです。

 つまり、実際にはテクノロジーだけではビジネスの成功は約束されておらず、ビジネスで勝つには、ビジネスルールを学び、武器を活用する必要があり、それがまさに経営だというふうに指摘されています。特に失われた二十年を語る上で、この技術偏重が招いた功罪は極めて大きいんじゃないかとこの人も言っています。ある種の過信からくる経営判断、国内での過当競争の放置、撤退判断の遅れ、中途半端な投資、これらが日本産業の競争力を削り取っていったと分析しています。

 外国人留学生が卒業する際、日本のどの企業に就職したいのかというアンケートでは、大半の学生が挙げたのは大手のメーカーさんの名前です。その中の一人は、任天堂に就職したいというものだったんです。なぜ任天堂なのといったら、日本の企業は何らかの支援を国から受けるんだけれども、任天堂は支援を受けなくても世界の任天堂になっていると。支援を受けたからいいのかといったら、支援を受けなくても世界に出ていっている企業さんがいるわけですね。そういった、やはり考え方なんだと思うんです。

 どこまで独自性を出せるのか。技術力プラスマネジメント力が勝負を決するのかと思います。どこの分野を成長させようか、その分野に予算をつけて牽引する。しかし、何かが足りない、足りないものが分からない、その繰り返しがこの三十年から三十五年になったのではないんでしょうかというものなんです。

 是非、御所見をお聞かせいただきたいと思います。

石井大臣政務官 お答えいたします。

 大まかなところでないと答弁が難しい点もあるとは思っております。

 これまで日本の経済を取り巻いていたそういったものを、経済を振り返りますと、長引くデフレの中で、企業が合理的な判断の下、コストカット型経営で収益を拡大し、生み出した収益を主に海外投資に使うことで収益性を高める、その一方で、国内における設備や人への投資が大きく後れを取ってしまっていたと考えております。こうした中で、国内で縮み思考に陥り、十分な経営変革が行われてこなかった可能性があるものと認識しております。

 また、政府も、民間主導という考えの下、民間の制約を取り除く市場環境整備策を中心としており、新たな価値創出に向けた取組が結果として官民共に不十分であった、そのようにも認識しております。

 このような状況を踏まえて、政府は、企業の持続的な成長とそのための大胆な経営変革を促す観点から、ガイドラインの設定や社外取締役の質の向上を始めコーポレートガバナンスの改革に取り組んできたところであり、これらを通じて、企業の経営への規律を高め、資本効率や稼ぐ力の向上につなげております。

 経済産業省としては、GX、DXなどの世界的な社会課題解決領域において、ミッション志向で政府も一歩前に出て、大規模、長期、計画的に取り組む経済産業政策の新機軸を進めております。これにより我が国の産業競争力の強化を実現してまいりたい、そう考えております。

鈴木(義)委員 通常国会も、今日、経済産業委員会が最後だと思いますので、ちょっと時間をオーバーしていますけれども、齋藤大臣と議論ができたことがすごくうれしく思っております。今後ともよろしくお願いします。

 終わります。

岡本委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十八分散会


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