衆議院

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第2号 令和7年3月14日(金曜日)

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令和七年三月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮崎 政久君

   理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君

   理事 山下 貴司君 理事 荒井  優君

   理事 山岡 達丸君 理事 山崎  誠君

   理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君

      東  国幹君    岩田 和親君

      鬼木  誠君    小池 正昭君

      坂本竜太郎君    島田 智明君

      鈴木 英敬君    関  芳弘君

      世耕 弘成君    土田  慎君

      西野 太亮君    根本  拓君

      細野 豪志君    松本  尚君

      松本 洋平君    宮内 秀樹君

      向山  淳君    山本 大地君

      東  克哉君    大島  敦君

      岡田 克也君    落合 貴之君

      小山 展弘君    鈴木 岳幸君

      田嶋  要君    福森和歌子君

      吉田はるみ君    村上 智信君

      岡野 純子君    平岩 征樹君

      福重 隆浩君    山口 良治君

      佐原 若子君    辰巳孝太郎君

      吉良 州司君

    …………………………………

   経済産業大臣       武藤 容治君

   財務副大臣        横山 信一君

   内閣府大臣政務官     岸 信千世君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 古谷 一之君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中溝 和孝君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局官房審議官)       向井 康二君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          高橋 宏治君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 新田 一郎君

   政府参考人

   (出入国在留管理庁在留管理支援部長)       福原 申子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  真弘君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房脱炭素成長型経済構造移行推進審議官)         龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           奥家 敏和君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            伊吹 英明君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁次長) 畠山陽二郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         木原 晋一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    山下 隆一君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            山本 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           小林 太郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局航空ネットワーク部長)     秋田 未樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          森下  泰君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          金城 慎司君

   参考人

   (日本銀行企画局長)   奥野 聡雄君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  小池 正昭君     根本  拓君

  島田 智明君     山本 大地君

  西村 康稔君     西野 太亮君

  松本 洋平君     松本  尚君

同日

 辞任         補欠選任

  西野 太亮君     土田  慎君

  根本  拓君     小池 正昭君

  松本  尚君     松本 洋平君

  山本 大地君     島田 智明君

同日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     東  国幹君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     西村 康稔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

宮崎委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として日本銀行企画局長奥野聡雄君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、経済産業省大臣官房脱炭素成長型経済構造移行推進審議官龍崎孝嗣君外二十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。

小泉(進)委員 おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。

 まずは、武藤大臣、訪米お疲れさまでございました。おととい帰ってこられたばかりということで、まずは、日米の関税交渉、こちらについて大臣にお伺いをしたいと思います。

 実は、私は先日、二月二十八日の予算委員会でも、大臣が訪米前に、同じこの関税交渉に向かう上でお話をさせていただきました。そのときに私が予算委員会で大臣に対して申し上げたことは、仮に自動車関税が課されることになれば、二〇一九年に日米貿易協定が最終合意に至った際の首脳共同声明がほごにされたことになると。仮に自動車関税を課される場合は、日米貿易協定によってアメリカ産の牛肉や豚肉などの農産品に与えた日本へのマーケットアクセスも見直すべきではないか、このように私は指摘をさせていただきました。

 しかし、今回、最近のアメリカ高官の発言、例えば、おとといのレビット報道官、日本の米、事実に基づかない七〇〇%の関税とか言っていますけれども、乳製品や牛肉の関税が高いとも発言をしています。

 このように見ていると、この第二次トランプ政権の高官の発言、この日米貿易協定の経緯もインプットされているのかいないのか、また意図的なのか。やはり、日本のアメリカにおける投資がいかに大きいものか、貢献をしているか。そしてまた、この日米貿易協定、これは安倍総理とトランプ大統領の第一次政権での合意、そしてまた、当時の茂木外務大臣とライトハイザーさんとの当時のやり取りもあったと思いますけれども、改めて武藤大臣が向き合われて、今後、今回はアルミと鉄鋼は日本が除外されずということになりましたけれども、次は自動車が来ます、これに向けて、どのように向き合っていこうとお考えか。また、相手が正しい日本に対する現状を理解していないとなかなか話にならないというこの状況を、政府を挙げて、よりあらゆることの努力をして、日本の情報をインプットする、また、訴えていく必要は、今以上に努力をしなければならないのではないかと思いますが、今回訪米されて向き合ってみて、武藤大臣から、受け止め、そしてまた今後の交渉に向けた御決意などあれば、お伺いしたいと思います。

武藤国務大臣 おはようございます。

 小泉委員から、今回の訪米の件についての私の状況報告をさせていただきたいというふうに思います。

 今回の訪米におきましては、ラトニック商務長官、グリア通商代表、そしてハセット国家経済会議委員長と、それぞれ会談を行いました。米側に対しては、我が国が関税の対象となるべきではないことを申し上げる際、日米貿易協定に関する我が国の理解についても申し上げたところであります。

 米国からは、日米それぞれの事業者が相手国で同等の扱いを受けられるよう様々な制度における相互性を重要視しており、米国における製造業の復活ですとか雇用の確保を重要視していることに改めて説明があったところであります。

 鉄鋼、アルミ製品に関する関税措置に関しましては、今般の訪米を含め、これまで様々なレベルで我が国の懸念を説明し、措置の対象から我が国を除外するよう申し入れてきた中で、日本が除外されない形で追加関税の賦課が開始されたことは誠に遺憾であります。

 他方、今回の訪米では、関係閣僚との、正直、初対面の方ばかりでございましたので、率直なやり取りを通じて、個人的な信頼関係、この構築につながったものとも感じているところであります。また、各閣僚からは、いずれも、これまでの日本の貢献策、これについて非常に重く受け止めておられました。日本を重視している旨の発言が数々あり、首脳レベルを含めてこれまで日本の貢献などを説明してきたことから、日本の立場には一定の理解を得られているものと感じたところでもあります。

 今回の訪米の成果を踏まえて、先生おっしゃられるように、今後、自動車の関税を四月二日に控え、また、もちろん、鉄、アルミの、十二日から発動されていますけれども、米国による関税からの適用除外の働きかけを含めて、米国と引き続き緊密に協議をしてまいります。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 これまでトランプ政権が、カナダ、メキシコ、そこと向き合ってきたやり方を見ていますと、一回関税をかける、後は交渉次第で押し引きをやるということを考えると、まさに日本の、今回はアルミと鉄鋼が関税対象ですけれども、これからが勝負だと思うんですね。ですので、武藤大臣には、今回先方と築かれた人間関係をこれからの交渉に生かしていただきたいというふうに思います。

 今日は、残りもう十分ぐらいですから、話題は国内のことも触れたいと思います。

 今日取り上げたいのは、日本のこれからの賃上げのサイクルをしっかりと回していく、物価高を上回る賃上げの好循環をつくっていく上で私は不可欠だと思っている特に地方、そしてまた中小企業、ここに関わる官公需のことを取り上げたいと思います。

 耳慣れない官公需という言葉、我々、この世界はよく使いますけれども、国や自治体が発注する仕事ですよね。地方に行けば行くほど、この割合は大きい、依存率も高い。

 そういった中で、今、経済産業省におかれては、大企業から中小企業への価格転嫁を進めるために、毎年三月と九月に中小企業の三十万社の調査を行っています。その中で、この官公需、これも対象となっているんですが、官公需の発注の厳しさを訴える受注企業の生声がこの三十万社調査でも多数あるというふうに聞いています。

 まず、これは山下長官でいいんですかね、どのような声が現場から、中小企業から上がっているかをお答えいただきたいと思います。

山下政府参考人 二〇二四年度に実施いたしましたフォローアップ調査において、国や地方公共団体が発注者となる官公需に関する受注者からの生の声といたしましては、自治体に価格交渉を申し入れたが予算がないと一蹴されたとか、資材費の高騰に際して、発注者の設定している単価と実際の単価の乖離を提示したが今後検討するとの回答のみであったとか、物価上昇局面において、前年と同等の仕様の業務にもかかわらず予算削減のため前年より委託金額が下がったなど、厳しい声が寄せられているところでございます。

小泉(進)委員 これ、民間だったらアウトですよね。今、公取にお願いしてGメンが入って、とにかく去年と同じじゃ駄目だとか、切り下げたら社名を公表するぞと。

 これは、大臣、現場からこういう声が上がってきて、今長官が紹介をしてくれましたけれども、この中小企業の声は真剣に受け止めるべきではないですか。大臣としては、どのように受け止めて、これからどのように対応されますか。

武藤国務大臣 官公需については、今長官からお話があったとおりの生声があります。

 委員御指摘のとおり、官公需契約における価格転嫁の実態を把握して、受注者からの声を真摯に受け止めることは極めて重要であるというふうに承知しています。

 隗より始めよじゃないですけれども、役所からやらなくてどうするんだというのが、まさに今年、勝負どきの大きな課題だというふうに思います。

 その上で、発注者としての行動を見直していく必要があるということで、経済産業省としまして、これまで官公需法に基づいて毎年度策定している国等の契約の基本方針というものがございますけれども、ここに、契約の途中で実勢価格に変化が生じた場合には、契約変更を含め適切に対応すること、また受注者の申出があれば迅速かつ適切に協議を行うこと、そして最新の実勢価格を踏まえた適切な予定価格を作成することなど、国の機関等が発注を行う際に取るべき措置を盛り込んできたところでもあります。

 また、これらの措置を適切に実施するように、各省庁あるいは地方公共団体に対して、文書での周知や説明会を通じて呼びかけも行ってきたところでもあります。

 令和七年度の国等の契約の基本方針には、価格転嫁についても新たに盛り込む措置を検討しております。早期に政府として決定をしながら、各省庁や地方自治体への周知、説明を行ってまいりたいと思っています。

小泉(進)委員 武藤大臣から力強いお言葉がありました、まず隗より始めよと。私も全くそのとおりだと思いますが、このテーマについて言えば、まず官より始めよだと私は思うんですね。

 民間に対して公取が入って、ここまで世の中、国からもお願いして、一方で、国や地方自治体が発注する仕事の世界においては、もう本当に切下げ、切下げ、安い生活、安い仕事の中で生きなきゃいけない経済圏がある。

 しかし、今大臣から前向きな、まず隗より始めよだと。この言葉を受けて、この制度所管が、官公需の発注は財務省、そして自治体の制度を所管している総務省、この二省が的確に対応しなければ、この制度や運用を見直すことはできません。そこで、両省の受け止め、対応を伺いたいと思います。

横山副大臣 公共調達における円滑な価格転嫁に関しまして、中小企業者の受注機会を確保するため、毎年度閣議決定をしております国等の契約の基本方針においても、原材料費等の上昇や最低賃金額の改定等があった場合における契約金額の変更も適切に対応すること等が定められています。この方針に基づいて適切に対応していくことが重要であると考えています。

 その上で、ダンピングを規制する低入札価格調査制度というのがございますが、財務省及び中小企業庁が実施した国等における低入札価格調査制度の実態調査、この結果も踏まえて、制度が機能しているかの分析を行っているところであります。この結果につきましては、今日公表することになっております。これを踏まえまして、必要がある場合には、制度改善についての対応策を検討してまいります。

新田政府参考人 お答え申し上げます。

 総務省においては、これまで地方の官公需において適切に価格転嫁が行われるよう促してまいりました。

 一方、今ほど御指摘もございましたが、財源の問題がございますので、財源確保も重要だろうということもございますので、令和七年度の地方財政対策において、対前年度三百億円増の一千億について、自治体の委託料の増加などに対応するための経費として財源の確保をいたしました。また、補正予算に計上されました重点支援地方交付金も活用できますので、こちらの活用も自治体に促してまいります。

 そして、今後も、総務省としては、あらゆる機会を捉えて適切な価格転嫁の取組を促しますとともに、また、自治体の中には低入札価格調査制度などの制度を導入していない自治体もございますので、こういった制度的な対応についても関係省庁と連携して取り組んでいきたいと考えてございます。

小泉(進)委員 ありがとうございます。

 今、横山副大臣からは、今日また新たな調査結果が公表されるということですが、今総務省からも言及があった低入札価格制度の導入状況、これを見ますと、もう業種によっては全然導入されていない、こういったことが多々あります。

 例えば、警備、清掃、廃棄物処理、給食、そして印刷、こういったこととかはもう全然導入されていませんね。我々、政治家ですから、役所に行けば、入口に警備の方がいます、そして建物の中で清掃されている方、よくお会いします。こういった方々が一体幾らの仕事をしているんだと。こういったところに目を向けなければ、政権の大看板である地方創生だっておぼつきませんし、GDPの中で約三分の一を占めるのがこの官公需でありますから、今、集中回答日で、大手の企業は満額回答が連発していますけれども、集中回答日の満額回答連発ということと全く真逆の世界がこの官公需の世界だと思います。ここを何とか前に進めていくことによって、地方の経済をよくして、そして暮らしの質を高めて、また、少子化、こういったことも地方はより深刻ですから、こういった中で、何とか経産省、財務省、総務省、連携して取り組んでもらいたいと思います。

 今、私は、自民党の中で新しい資本主義実行本部の事務局長をやっていて、このテーマを自民党を挙げて取り組む予定です、新たなPTも立ち上げる予定で。そして、政府の中においては、この官公需を含め、様々な、例えば財務省が五十年ぶりに見直すという少額随契のこういった価格、これもデフレ時代のしみついたものがいっぱい日本の政府の中に眠っていますから、これを総点検して、何とかこの好循環を更に加速をさせていきたい、そういうふうに思っていますので、政府、官邸の中でも諮問会議の下で取り組まれるということも聞いておりますので、経産省、総務省、財務省には、いま一度、改めて経産大臣の言葉の、まず隗より始めよというところから始めていただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、鈴木英敬君。

鈴木(英)委員 おはようございます。自民党の鈴木英敬です。

 今日は質問の機会をいただきまして、理事の皆さんに心から感謝を申し上げたいと思います。

 一問目でありますけれども、大臣の訪米についてお伺いしたいと思っていましたところ、小泉先生と丸かぶりでありましたけれども、ここからインターネットテレビを見ている方もいらっしゃるかもしれませんので、是非、大臣、済みません、お手間かけますけれども、是非よろしくお願いしたいと思います。

 先ほど小泉先生からもありましたとおり、大臣、訪米、大変お疲れさまでありました。鉄、アルミ、自動車、これの関税を、日本を対象外にしようということで行かれたわけでありますけれども、確かに鉄やアルミは自動車と比べれば影響は少ないかもしれないけれども、結果として、この三月十二日から例外なく措置が適用されたということであります。

 また、昨日、次期駐日大使の候補であるグラスさんも、公聴会で、日本と厳しい対話をしていかなければならないということで、楽観視はなかなかできない状況もあるかもしれません。しかし、せっかく今回大臣に行っていただいて、私は成果もあったと思うんです。是非、武藤大臣に、今回の訪米の成果と今後の対応についてお伺いしたいと思います。

武藤国務大臣 ありがとうございます。鈴木委員から、小泉委員に引き続いて御質問をいただきました。

 改めて、重ねて申し上げますけれども、今回の訪米では、ラトニックという商務長官、そしてグリア通商代表、ハセット国家経済会議委員長と、それぞれ会談を行ったところです。率直なやり取りが正直申し上げてできさせていただきまして、個人的な信頼関係の構築につながったと感じております。

 私からは、日本の対米投資は二〇一九年から五年連続で世界一位である実績ですとか、米国の産業、雇用に対する我が国の貢献を説明をし、米国の関税措置が発動されれば、我が国の産業だけでなく米国の投資、貢献にも好ましくない影響を及ぼし得ることを説明してきたところです。

 その上で、米国の関税措置について、我が国が対象になるべきではない旨を申し入れたということでございまして、各閣僚からは、いずれも、こうした日本のこれまでの貢献を非常に重く受け止めている、そして日本を重視している旨の発言がございました。首脳レベルを含めてこれまで日本の貢献などを説明してきたことから、日本の立場に一定の理解を得られているものと感じたところでもあります。

 そのような理解をいただきながらも、米側からは、関税措置は米国内における製造業や雇用の復活を目指すための措置だ、そして様々な制度の相互性を重視しているとの説明があり、今回の会談では我が国の関税措置からの除外を確認するには至らなかったところです。

 今後は、お互いの立場を理解した上で、どのようにすれば両国の国益をウィン・ウィンにしていくことができるのか、引き続き緊密に協議をしていくことを確認したところです。まずは事務レベルで協議をすることになっておりまして、議論を進めていきたいと考えております。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 日本の貢献をしっかりインプットできたということでありますので、今後、大臣のリーダーシップと、経産省、また政府挙げての交渉が進展していくことを心から期待をしたいと思います。

 続きまして、北海道電力泊原子力発電所の再稼働についてお話を聞いていきたいと思います。

 後でも述べますが、この北海道の泊原子力発電所、これは我が国の半導体産業の命運を握ると言っても過言ではない脱炭素電源でありますので、安全性を大前提としつつ、そして立地地域の御理解をいただくということの前提の上で、早期の再稼働が私は必要ではないかと思っています。

 現在、三号機が再稼働に向けて審査中で、去年の十二月には実質的に審査が終了しておりまして、所要の手続が順調に進めば、本年夏頃には設置許可に関する結論が出るのではないかと認識しています。

 まず、そもそも北海道電力泊原発の早期再稼働、これは、今、東日本と西日本で原発の再稼働状況が違いますから、料金格差、料金の東西格差というのが出ています。こういうのを解消するという意味でもそうですし、先ほども言いました、二〇二七年頃に量産化を予定としておりますラピダス、これの影響、それからデータセンターの誘致、そして北海道鈴木知事なども全力で取り組んでいただいているゼロカーボン構想の実現、こういうことの観点でも、北海道の泊原発の早期再稼働が重要だというふうに思っておりますが、地域理解の確保や防災対策の充実にしっかり関係省庁が連携して取り組んでいくべきと考えますが、政府の見解を伺います。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、泊発電所は、量、価格共に安定的な電力供給の実現を支え、北海道において進められている脱炭素化の鍵となる重要な電源でございます。ラピダス社にとっても、脱炭素電源によって生産される製品を求める顧客の確保という観点から、重要な意義を有するものと考えております。

 原子力発電所の再稼働に当たっては、高い独立性を有する原子力規制委員会が、新規制基準に適合すると認めた場合のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めていくのが政府の方針であります。

 経済産業省として、地元の実情を踏まえ、関係省庁と連携し、エネルギー政策上の必要性などについて丁寧で分かりやすい説明や情報発信を行うとともに、地震を始めとする自然災害と原子力災害の複合災害を想定した原子力防災対策の強化等の取組を進めてまいります。

鈴木(英)委員 是非、関係省庁連携して、しっかり取り組んでください。

 続いて、少し個別のことを聞いていきたいと思います。

 これまでの安全審査におきまして、北海道電力が、プラントの安全性を更に高めるという観点から、発電所の敷地外に燃料輸送設備、分かりやすく言うと港なんですけれども、これを新設する方針を示して、他の発電所でもこういうのは類似のケースがあることも踏まえて、規制庁の審査チーム、事務方の審査チームとしてはこれを認めているというふうに認識をしております。

 改めて、この北海道電力の判断は、規制委員会から見て、安全確保の上で適切なものと評価できるかをお伺いします。

金城政府参考人 お答え申し上げます。

 北海道電力泊発電所三号炉の新規制基準適合性審査では、泊発電所の専用港湾に停泊中の燃料等輸送船が津波によって漂流物となり、防潮堤が損壊して敷地に津波が浸入するなどの悪影響を与えるおそれがあることが大きな論点になっていました。

 この論点に対して、北海道電力は、燃料等輸送船を含む大型船を泊発電所専用港湾に入港させない方針を示しました。この方針によりまして、防潮堤への悪影響が回避できることを審査チームで確認しております。

 現時点では、泊発電所三号炉の新規制基準への適合性については審査中でありまして、今後、審査チームによる審査結果の取りまとめを基に原子力規制委員会として判断を行うこととなります。

鈴木(英)委員 ありがとうございます。

 審査チームとしては一定そういうふうに認識をしている、これから、原子力規制委員会として今後そういう内容をしっかり審査していくということでありました。

 続きまして、今言っていただいた安全性について、安全確保という観点で重要だというふうに認識しておられるこの港ですけれども、これができるまでには一定の期間がかかると思います。その港の竣工が再稼働自体の要件ではないというふうに私は認識しておりますけれども、原子力規制委員会の見解を伺います。

金城政府参考人 お答え申し上げます。

 発電所の敷地外に新設する港の荷揚げ場が竣工せずとも、泊発電所三号炉の安全対策が新規制基準に適合していると認められれば許可処分はできると認識しております。

鈴木(英)委員 今、大変重要なことをおっしゃっていただきました。その港ができ上がるまでも、規制基準に発電所自体が適合していれば許可になり得るということをおっしゃっていただいて、これはしたがって再稼働自体の要件ではないということを私は認識できたと思っております。

 そこで、港の竣工が再稼働自体の要件でないということであるとすれば、当面の間、再稼働した後、使用済みの燃料とかは、周辺地域の安全確保や発電に支障が生じることのないよう、発電所構内で安全に保管される必要があると思っております。この点について、原子力規制委員会は法令に基づいて責任を持ってしっかりと確認を行っていくという理解でよいか、伺いたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、泊原発で使用済燃料を安全に管理することは非常に重要なことだと思っております。

 原子力規制委員会は、原子炉等規制法に基づく原子力規制検査、これを実施しておりまして、北海道電力の泊原発の使用済燃料のピット、プールに保管している使用済燃料につきまして、その貯蔵管理の状況、これを含めまして、事業者が実施する保安活動が法令や原子力規制委員会が認可をしております保安規定、これに従って適切に実施されているかを、これまでも監視してきておりますし、これからも引き続き監視してまいります。

鈴木(英)委員 これまでもやってきていますし、これからもしっかりやっていくということをしっかりとおっしゃっていただきました。

 続きまして、先ほど言った港もそうですし、発電所の敷地から陸上輸送をしていく、それも含めた燃料輸送に関する安全性につきましては、一部自治体の方々とかの中でも、不安に思っておられる方も中にはいらっしゃるということを聞いておりますので、原子力規制委員会も含めた政府全体でしっかりと安全性の確認をしていくことが必要と考えます。

 原子力規制委員会も、関係各省と連携をして、燃料輸送全体の安全確保について主体的に取り組んでいくという理解でよいか、聞きたいと思います。

森下政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、港への燃料の陸上輸送も含めまして、安全を確保されるということは大事だと考えております。

 一般論でございますけれども、実用発電用原子炉の新燃料それから使用済燃料を陸上で車両によって運搬する場合には、原子炉等規制法及び関係法令に基づきまして輸送物の技術基準への適合性を原子力規制委員会が確認しておりまして、輸送方法その他の技術基準の適合性を国土交通省が確認することとなっております。また、輸送の経路あるいは日時につきましては、原子力事業者等が都道府県の公安委員会、これに届出をすることになっておりまして、災害の防止のために必要に応じて指示がなされるということになっております。

 このように、発電所の外で新燃料や使用済燃料を輸送する場合におきましては、原子炉等規制法の下で、原子力規制委員会も含めた関係省庁全体で安全性を確認することとなっております。

鈴木(英)委員 地域の皆さんが心配されている燃料輸送のこと、港のこと、それから使用済燃料の安全性を確保すること、しっかりやっていくということもるるおっしゃっていただきました。加えて、重要な電源であるということ、そして再稼働自体の要件ではないということ、こういうこともしっかりとおっしゃっていただきました。

 こういうことをしっかり地域で丁寧に説明することが重要だと思います。これからもしっかりと丁寧に説明をしていくということの政府の姿勢をお伝えください。

金城政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力施設等に係る規制の厳正かつ適切な実施を任務とする原子力規制委員会としては、自らが行った科学的、技術的判断について、国民に対して丁寧に分かりやすく説明をしていくことが重要と考えております。

 新規制基準適合性に係る許可処分を行ったプラントについて、これまでも、地元自治体からの要望も踏まえ、地元自治体や住民を対象とした説明会において規制庁職員が審査結果の説明を行ってきています。

 これに加えまして、原子力規制委員会の委員が原子力発電所を訪問し、現場の状況を把握するとともに、事業者だけでなく、知事や市町村長などの地元関係者との間で、原子力施設に関する規制上の諸課題について意見交換を実施してきています。

 原子力規制委員会としては、引き続きこうした取組に努めてまいります。

鈴木(英)委員 これからもしっかり安全性を、重要な電源でありますから、丁寧に地元に説明をし、そして、安全確保について政府を挙げてしっかり取り組んでほしいと思います。

 次に、サイバーセキュリティーについて聞きます。順番を入れ替えて、岸信千世政務官にお伺いしたいと思います。

 私、昨年、自民党のサイバーセキュリティーのプロジェクトチームの事務局長をやっていました。そこで書いた提言に関して質問をしたいんですけれども。

 IoT製品、インターネットに接続して利用できる電子機器あるいはネットワークに接続可能な通信機能を持つ機器、これをIoT製品といいますけれども、これがセキュリティー要件に適合しているかどうかの評価を行って、その評価を行ったものを政府調達、政府調達するときには、そのセキュリティー要件を確認して、適合性があるということを踏まえたものを使うんだということを政府調達の要件に私はするべきだというふうに思っていますし、国がそういうふうにすることで、自治体にもそれが波及していきます。一方で、国が政府調達の要件にするというのが遅れると、自治体はどんどんどんどん遅れます。そこで重大なインシデントがあってからでは遅いんです。

 そういうことを考えまして、早期に政府調達の要件化をした方がいいと思っておりますが、令和七年度にも改定が予定されているガイドラインにおいて政府調達の要件化を位置づけるべきと考えますが、政府における現在の検討状況と今後の対応について岸政務官にお伺いします。

岸大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘のガイドラインは、今、政府機関等の情報セキュリティー水準を維持向上させるための統一的な枠組みであります。また、サイバー空間の急激な昨今の変化のスピードに対応していくために、機動的に改定を行うこととしておりまして、令和五年、令和六年に改定をしてきております。

 お尋ねのIoTの適合性評価制度につきましても、昨年の七月の改定の際に、政府調達の予見可能性を高める観点から、同制度の活用についてガイドラインに盛り込むなど、自民党のPTの提言をいただいたことも踏まえまして、制度の運用開始前ではあったものの、速やかに対応してきたところでございます。

 このIoT適合性評価制度は間もなく一部の運用が始まる、まさにそういったタイミングでございますので、政府調達における同制度の活用、これをしっかり推進する観点から、IoT製品の登録状況を踏まえて、制度を所管する経産省と連携し、次期のガイドラインについても必要な見直しをしっかり行っていく、また、内閣官房としても、スピード感を持ってしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

鈴木(英)委員 大変力強い前向きな答弁をいただきました。スピード感を持ってと政務官はおっしゃっていただきましたので、是非そうしていただきたいと思います。

 最後、一点、サイバーセキュリティ産業振興戦略を今回経産省がまとめました。これも、我々の提言の中で、こういうパッケージをしっかりつくるべきというふうに言ってまいりましたので、こういうのを作っていただいたことを高く評価をしています。

 その上で、でも、これは、今は経産省だけの戦略になっています。そこの中にも政府調達のことも書いてあって、是非、政府全体で取り組むべきことなので、この戦略を政府のものとして、政府全体のものとして位置づける必要があると思っています。サイバーセキュリティ戦略の中に書くのか、サイバーセキュリティ本部でオーソライズするのか、それはいろいろあると思いますが、政府戦略の全体にするということと、あと、これは、定期的な見直し、ローリングの規定がありません、不断のブラッシュアップが必要だと思います。この二点について、見解をお伺いしたいと思います。

奥家政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、サイバー産業の振興につきましては、政府全体としては、昨年十一月に内閣官房の有識者会議で取りまとめられましたサイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた提言などにおいて、我が国のセキュリティー製品、サービスの供給強化に向けた支援が必要だということを掲げられております。

 御指摘をいただきました、経済産業省が策定しましたサイバーセキュリティ産業振興戦略は、こうした政府全体の方針と軌を一にするものです。今後、具体的な取組内容につきましては、関係省庁ともよく連携し、政府全体の基本的な方針を定めるサイバーセキュリティ戦略、また年次計画、こういったものに反映することを目指してまいりたいというふうに思います。

 また、御指摘をいただきました本戦略の実行状況の確認、見直し、こういったものにつきましては、政府文書のフォローアップや経済産業省の有識者の検討会を行っておりますので、こうしたものを通じて、継続的に実施してまいりたいというふうに考えております。

鈴木(英)委員 是非、政府を挙げて取り組んでください。

 終わります。

宮崎委員長 次に、岡田克也君。

岡田(克)委員 岡田克也です。

 大臣、訪米お疲れさまでした。今、自民党の方から質問がありまして、お答えがありましたので、同じ答えは聞きませんので、お答えにならなくて結構です。

 私がまずお聞きしたいのは、アメリカにおける記者会見において、大臣はこういうふうに言われました。日米貿易協定に関する我が国の理解についても申し上げた。大臣は、日米貿易協定についてどのように理解しておられるんですか。簡単にお答えください。

武藤国務大臣 岡田委員から御質問いただきました。

 二〇一九年の日米首脳共同声明において、両国が、日米貿易協定が誠実に履行されている間、同協定及び同共同声明の精神に反する行動を取らない旨を明記しているところであります。

 そして、これが日本の自動車・自動車部品に対して米国が追加関税を課さないという趣旨であることは、当時の首脳会談において安倍総理からトランプ大統領に明確に確認されたものと承知をしているところであります。

岡田(克)委員 今大臣のお答えになったとおりなんですが、これは、第四項についての解釈として、安倍総理も国会で何度も、自動車について追加関税は課さないという趣旨であるということを答弁されています。

 ということになると、もし自動車に関税を課するということになった場合には、この日米間の約束に反するということになりますよね。そこについて、アメリカ側はどう説明したんですか。あるいは、大臣は、約束に反することになるということは明確に主張されたんですか。

武藤国務大臣 この第四項の解釈について、今回の訪米において、米側に対して、我が国が関税の対象になるべきではないことを申し上げる際に、日米貿易協定に関する我が国の理解についてもしっかりと申し上げたところであります。

 そして、岡田先生から更問いがありましたか。

 では、取りあえずそういうことでお答えしておきます。

岡田(克)委員 ですから、もし関税を課することになれば、それは日米間の首脳間での約束に反することになりますね。そのことについて大臣は明確に指摘されたんですか。そして、アメリカ側の反応はどうだったんですか。

武藤国務大臣 私からは明確にその辺についての私どもの理解を申し上げておるところであります。これは繰り返しになっちゃいますけれども、米側に対して我が国が関税の対象となるべきことがないことを申し上げる際、日米貿易協定に関する我が国の理解についても申し上げたところであります。

 向こうの反応がどうであったかということだろうと思いますけれども、これ以上の詳細はちょっと外交上のやり取りになるので、議論の詳細については言及を差し控えさせていただきますが、特に申し上げれば、グリア通商代表はライトハイザー前通商代表の補佐をやっていらしたので、こうやってうなずいておられましたのは御報告申し上げたいと思います。

岡田(克)委員 うなずいたかどうかということではなくて、明確に反することになるということは主張されたわけですね。アメリカ側はそれに対して、反してでもやります、やる可能性はあるというふうに答えたんですか。それとも、約束は守りますと言ったんですか。

武藤国務大臣 米側の反応でありますけれども、米国からは、様々な制度の相互性を重要視しており、米国における製造業の復活や雇用の確保を最重要視していることについての説明をされたところでありますということです。

岡田(克)委員 一般論を聞いているんじゃないんです。自動車について聞いているんです。

 明らかなこれは約束違反じゃないですか。そのことについて一言も説明もなかったんですか、もし課すことになれば。

武藤国務大臣 約束違反だということへの向こうの答弁は、明確な答弁はございませんでした。

岡田(克)委員 それで明確な答弁のないまま引き下がってくるのも私には理解できないことなんですが。

 そもそも、そういう約束があったのかどうかというところに疑問は帰ると思うんですね。

 安倍総理は約束はしたということを国会で何回も答弁されたんですけれども、例えば共同記者会見で述べるとか、あるいは、そういったものが紙になっている、文書になっているとか、そういうことはないわけです。安倍総理の国会答弁だけなんです、担保するものが。だから、本当にそういう明確な約束がなされたのかどうかということについて、当時から、私も含めて、様々な疑問が国会で呈されてまいりました。議事録をちゃんと国会に提示すべきだという話も強く出されました。

 だから、私は、改めて、当時の首脳会談の議事録、一体どういう言葉のやり取りで、安倍さんが述べたような約束がなされたのかなされないのかということを明らかにするために、議事録の提出を、国会法百四条第一項に基づいて、本委員会に議事録を提出することを求めたいと思います。

 委員長、理事会でお諮りください。

宮崎委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議をすることといたします。

岡田(克)委員 もう一つ、ちょっと、大臣も今言われたんですが、茂木大臣は、日本としては、数量規制、輸出自主規制について反対だと明確に主張し、ライトハイザーUSTR代表の了解、確認も取ったというふうに国会で答弁されました。しかし、これも文書はないんですね。

 大臣は、数量規制しないということをライトハイザーの後任のUSTR代表と確認はしたんですか。

武藤国務大臣 今回は、数量規制については何ら言及はしていないものと承知をしているところであります。

 以上です。

岡田(克)委員 大臣から、そういう約束がありましたねということは確認していないということですね。

武藤国務大臣 先ほどの二〇一九年の文書についての御理解というものは確認をさせていただきましたけれども、今回、数量については確認をしていません。

岡田(克)委員 これも、当時から、果たしてどういう約束をしているのかということは国会で議論になって、茂木大臣とライトハイザーとの間のやり取りを国会に提出するようにということを我々は求めました。

 これは、改めてこの点についても求めたいと思いますので、委員長、理事会でお諮りいただきたいと思います。

宮崎委員長 ただいまの件につきましても、理事会で協議をいたします。

岡田(克)委員 いずれにしましても、これは四月二日ですよね。もうかなり迫ってきているわけです。

 私は、言うまでもなく、やはり自動車の輸出に二五%の関税が課されるということになると、これは我が国の経済や雇用に極めて大きな影響を及ぼすということになります。今まではそれを何とかしてブロックしてきたということですが、いとも簡単にそれを課されるということになれば、これは大きな責任問題ですよね。

 ですから、大臣には、四月二日までの間に、そういうことにならないように、事務方も含めてですが、大臣は何回でもアメリカと交渉して、これは職を賭してしっかりと結論を導いていただきたいと思いますが、いかがですか、覚悟は。

武藤国務大臣 まさに自動車産業というものは、先生よく御承知だと思いますけれども、出荷額においても製造業の二割、雇用においては全産業の一割、設備投資額や研究開発投資額は製造業の三割とよく言われている我が国の基幹産業であるのは、私自身の地元でもやはり自動車産業のメッカでもありますので、よく承知をしているところであります。

 自動車関税につきましては、こうした自動車産業の重要性を踏まえて、米側に対して繰り返し問題提起をしてきているところでもあります。そして、今回の訪米においても、日米貿易協定に関する我が国の理解をまず含め、そして、日本が自動車関税の対象となるべきことではないことを再三申し入れてきているところであります。

 今後の米側の協議の中でも、これを更に申し入れていく。

 まさに先生おっしゃられている四月二日ということですから、タイムスパンはそんなにないわけであります。全力を尽くして私も頑張ってまいります。

岡田(克)委員 今まで日本としては関税を課せられることはなかったし、しかも、この日米貿易協定の中では、アメリカ側はゼロに向かって努力することになっているはずなんですね、本来は。日本政府も余りその点について交渉してこなかったと私は思っていますけれども、ゼロに向かって努力しなきゃいけない中で、逆に、しかも明確な約束が首脳間であったとすると、にもかかわらず二五%の関税を課するというのは、これは同盟国に対して極めて失礼な話だというふうに思うんですね。

 大臣、改めて、職を賭してでもやり抜くんだ、日本政府としてやり抜くんだということを、決意を述べていただきたいと思います。

武藤国務大臣 私の立場で、全力を尽くして日本のウィンの一つの自動車産業を守るということについては全力を尽くしていきたいのは、重ねて申し上げておきたいというふうに思います。

 しっかり、今回、トランプさんの第二次政権ということで、大分閣僚も替わって、ただ、政府の方もまだ全部決まっていないという背景もある中で、時間のない中で、いずれにしましても、今回、個人、人間関係をつくれたところもありますので、しっかりと応対をしてかち取っていきたいというふうに思っております。

岡田(克)委員 大臣も先ほどおっしゃったように、USTRの代表は交渉の経緯をよく分かっている人ですよね。それから、やはりこれは、当事者はトランプ大統領ですから、四月二日までに首脳間でもう一回この問題を含めてしっかりと意思疎通するしかないと私は思うんですが、大臣から総理にそういうふうに進言される御予定はないですか。

武藤国務大臣 総理はもちろんですけれども、ある意味で、我々の経産省だけじゃなくて、これは各省とも連携をしながら、向こうからは、いわゆる相互関税もある、そして非関税措置とか、いろいろな形で要求もあると思いますので、そういう形の中で、総理にも御報告を申し上げながら、しっかりと対応していきたいというふうに思います。

岡田(克)委員 では次に、ちょっとエネルギー基本計画について。

 新たなエネルギー基本計画では、原発依存度の低減という表現が削除されました。これは、新たな原発を今後積極的に建設していこうというもので、国家として極めて重要な政策転換だと思います。

 大臣、その認識はありますか。そして、なぜそのような決定となったのか。いろいろ今までの答弁もお聞きしていますが、一言で言うと、なぜ原発依存度の低減という表現を削ったのか、そこについてお聞きしたいと思います。

武藤国務大臣 この背景ですけれども、DXやGXというものが、これが進展をしながら電力需要増加が見込まれるというところが一番の今回のポイントだというふうに思います。脱炭素電源の確保が国力を左右する状況の中で、低いエネルギー自給率や火力発電への高い依存といった課題を克服する観点でも、脱炭素電源の確保が求められているところであります。

 したがって、第七次エネルギー基本計画では、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指すとともに、必要な脱炭素電源を確保するため、再エネと原子力について、二項対立ではなくて、共に最大限活用していく方針を示したところであります。

 これまでのエネルギー基本計画では、可能な限り原発依存度を低減するという記載に加え、必要な規模を持続的に活用するとも記載をされていたところでありますが、これは、原発依存度が東日本大震災の約三割を下回って、一方で必要な原発は活用していくという趣旨であります。この考えは、第七次エネルギー基本計画においても変わりません。

 一方で、原子力に対する様々な御懸念の声があることは十分に承知をしているところであります。これを真摯に受け止めながら、それぞれの課題にしっかりと取り組み、丁寧に説明を行いながら、原子力を活用していきたいというふうに存じています。

岡田(克)委員 電力需要が増えるから原発が必要だ、そういうふうに政府の関係者の方は繰り返し述べられるんだけれども、果たして二〇五〇年に向けて電力需要は増え続けるのか、それは分からないですよね。当面は増えると思いますよ、データセンターあるいは半導体工場もできるわけですから。だけれども、更に先のことは分からない。

 例えばスターゲート計画。トランプ大統領は、孫さんで五千億ドル投入する、これを四年間でやると言っているんですね。データセンターとその電力を賄うための発電設備を四年間で建設する。四年間ということを考えると、これは原発ではあり得ないですよ。ソフトバンクの専務取締役も、原発の活用について、私たちの選択肢の中では順位は極めて低いというふうに記者会見で答えられています。

 つまり、五千億ドル投入する極めて大規模なデータセンター、それからそのための発電設備、その発電設備というのは原発じゃなくて自然エネルギーだ、そしてそのための貯蔵のものも当然設備も必要になるでしょう。だから、感覚が大分違うんですよ。

 電力が増えるから原発が必要だ、それは一つの考え方にすぎない。いかがですか。

武藤国務大臣 スターゲートの話も存じ上げておりますけれども、あるいは、アメリカですと、今、マイクロソフトがSRMの新しい原発を近くに造るとか、いろいろな報道はあるというのは承知しています。

 日本の場合は、やはり火力に今まで七割依存している。そして、再生エネルギーを一生懸命頑張ってやっておりますけれども、なかなかここも、太陽光の敷くところがだんだんなくなってきているとか、いろいろな規制も入ってきています。

 そういう意味でいうと、二項対立じゃなくて、原子力で安全なものはやはり動かさざるを得ないだろう。そして、再生エネルギーも、地熱もそうですけれども、風力も含めて、全てやはり、今、トランジションの世の中ですから、研究開発をどんどん進めて、実証性のあるものを作っていかなきゃいけない。そういう中で、何よりもエネルギーの安定供給、これを確保するということが大変大事なことだろうという趣旨で私は考えておるところであります。

岡田(克)委員 二項対立という表現も基本計画にも出てくるんですが、正確じゃないですよね。二項対立というのは、どっちを取るか。でも、どっちを取るかという話じゃないんですよ。自然エネルギー、再生可能エネルギーは、これは主要電源だ、その上で原発をどう考えるかという話で、二項対立という言い方は、私は全く正確じゃないというふうに思いますよ。

 令和三年のエネルギー基本計画ではこういうふうに表現しているんですね。福島第一原発事故を経験した我が国としては、安全を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減すると。この考え方は捨て去ったんですかと聞いているわけです。

武藤国務大臣 私も、福島は、今からいうともう七年前ですけれども、副大臣をやっているときに、原子力災害対策本部長で一年間福島にも通わさせていただきました。廃炉を間違いなくこれは実現させなきゃいけない、そして風評をとにかく抑え込んでいかなきゃいけない、様々に地元に寄り添ってきました。ですから、その教訓は決して忘れることはしません。できません。

 その上で、依存度の低減、これは震災後に福島の反省として入れたのではないかという今委員の御指摘でありますけれども、今回、再エネを最大限導入するとともに、特定の電源や燃料源に過度に依存しないようなバランスの取れた電源構成を目指すという考え方を明記したところであります。この考え方の下で、二〇四〇年のエネルギーミックスとしては、原子力の比率は二割程度とお示しをしたところであります。

 原発依存度の低減という文章は、人材確保やサプライチェーンの維持の観点で将来の見通しを損ない、原子力発電事業者や廃炉作業に支障を生じさせないということもあろうかと思います。そのため、安全性や原子力利用の将来像といった観点からも立地自治体からも見直しを求める声があり、表現を見直したところであります。

 東京電力福島第一原子力発電所事故の反省と教訓を肝に銘じながらエネルギー政策を進めることは、一貫した政府の方針であります。

岡田(克)委員 私も、原発の再稼働については、現在のこれ以上二酸化炭素の排出を増やさないという観点からも、安全性の確認、地元理解、そして避難路の確保というような条件が満たされた場合にはこれを是認すべきだ、そういう考え方なんです。ただ、新しいものを造っていくということは、未来永劫原発に依存するということですから、それはそうではないんじゃないか、やはり原発に依存しない社会を目指していくべきじゃないか、そういう観点で質問させていただいているわけです。

 大臣は、この場で、ミサイルによる攻撃について、それは自分の問題でないというような答弁をされて、後で少し訂正をされたようですが、そういったミサイルやドローンによる攻撃とか、あるいは防御不可能なサイバー攻撃とか、あるいは地震や津波だって現在の想定を超えるものがあるかもしれません、そういうときにどう対応するのかということについて、大臣の答弁を求めたいと思います。

武藤国務大臣 原子力は、福島事故の反省を踏まえて、これもいかなる場合もゼロリスクではないという認識、ここに立って、安全性の確保を最優先にリスク低減に取り組んできていると承知しています。

 地震などの自然災害あるいはサイバーテロ等に対して、原子力規制委員会が、福島事故の反省を踏まえて策定をされた新規制基準、この下で厳格な規制を行ってきているところでもあります。この新規制基準では、事故は起こり得るという前提に立って、放射性物質を低減しつつ放出することにより格納容器破損を防止する対策であるとか、仮に格納容器が破損したとしても放射性物質の拡散を抑制する対策も確認をすることとされているところだと思います。

 また、今委員おっしゃられたような原子力発電所に対する武力攻撃への対応、これも我が国自身の防衛の問題であり、弾道ミサイル等による攻撃に対しては、イージス艦やPAC3等により対応するほか、事態対処法、国民保護法等の枠組みの下で、原子力施設の使用停止命令、住民避難等の措置を準備しているところであると思います。例えば、発電所近傍へのPAC3の機動展開訓練など、各種事態発生時における関係機関相互の連携強化にも不断に取り組んできているところだと承知をしているところです。

岡田(克)委員 使用停止といったって、攻撃されてから使用停止したって意味がないじゃないですか。それから、いろいろな、PAC3とか言われましたが、それで完全に防げるわけではない。だから、そういう場合に一体どうするのか。それは政府としてきちんと答えが出ていないじゃないですか。

 原子力、核分裂の怖いところは、分裂が始まったときにそれを止める手だてが限られている。場合によっては数十万、数百万の人間が退避しなければいけないとか、あるいは、東日本大震災のときに我々が経験したのは、最悪の場合には東日本全体が人が住めないような状況が生まれるかもしれない。極めて大きな被害が可能性としてあるというところがほかのリスクとは違うところです。そこに対してどうするんですかということを私は聞いているんです。

武藤国務大臣 先ほど申したとおり、福島事故の反省、これを踏まえて、いかにゼロリスクに抑えていくかということだろうと思いますし、その認識の下で安全性の確保をどうやって確保するのか。これはまさに、経産省だけじゃなくて、各省とも連携をしながらということで、原子力災害というもの、これを防ぐということが我々に求められているタスクだというふうに承知をしているところであります。

岡田(克)委員 だから、具体的にどうやってということを聞いている。答えがないんですよ。

 結局、その背景にあるのは、都合の悪い事実から目をそらす、そういうことは起こらないと信じる、安全性神話、そこに陥っていると私には見えてしまうんですね。そこをやはり責任ある答えがなければ国民は納得しないと思いますが、いかがですか。

武藤国務大臣 ちょっと重ねての問いになるかもしれませんけれども、ゼロリスクはないという認識に立った上で、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた新規制基準の下、安全性の確保を最優先として取り組む、ここが大事なことだと思いますけれども、その上で、万が一事故が起きた場合、原子力災害の迅速な対応、すなわち、事故の拡大防止という早急な事態の収束や、自衛隊、警察、消防、海上保安庁といった実動組織による各種支援を含めて、住民避難の支援、物資の円滑な供給、医師の派遣などが円滑に行われるように、関係法令に基づき、責任を持って対処をしていくこと。さらに、被害者に対する賠償が迅速かつ適切になされるよう、原子力損害賠償法、これは、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法、枠組みがございますけれども、責任を取っていくことが重要であるというふうに思います。

 ただ、やはり、事故が起きないように、万全の平生からの各省連携の対策を打っていかなきゃいけない、これが前提になると思います。

岡田(克)委員 ミサイルが飛んでくるような事態というのは防衛出動事態ですよね。自衛隊はそれへの対応を全国的にしなきゃいけない。だから、原発だけに構っていられないんですよ。だから、どうやってこれに本当に対応するのかと真剣に私は政府の皆さんが考えているとは思えないんですよね。それで本当に大丈夫なのかというふうに思います。明確なお答えをいただけなかったということですので、なおこの問題についてはしっかりと答えを求めていきたいというふうに思います。

 経団連が、昨年十月のエネルギー基本計画の見直しに向けた提言の中で、原発の事故については、米欧各国では一千億から二千億円程度の有限責任としている例が多い、日本においても、事業者の有限責任を認めて、超過分は国が補償することを検討すべきだというふうに提言されました。

 この点、どう考えておられますか。福島第一原発のような事故があった場合に、東電の事故処理費用というのは現在でも二十三兆円を超えているというふうに思います、その二十三兆円を税金で納税者に負担させるということをお考えなんですか。それとも、そういうことは全く考えていないということですか。

武藤国務大臣 原子力事故の損害賠償に関しては、原子力損害賠償法の規定によって、原子力事業者に無限の責任を負わせることとしているところです。

 その一方で、一千二百億円ありますけれども、損害賠償措置を超える賠償については、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法等に基づく事業者間の相互扶助によって、その賠償に必要な資金を確保できる制度となっているところです。

 事業者の責任を有限とすることについては、過去の法改正時にも議論がなされたと承知をしていますが、責任限度額の水準の適切性など、様々な課題があることから、無限責任を維持することが妥当とされた。

 国としては、現実の無限責任に基づく制度を適切に運用することが重要だと考えているところであります。

岡田(克)委員 有限責任というのは適切でないという今の大臣の答弁というふうに理解しました。

 ただ、先ほどおっしゃった今の仕組みも、結局、電力料金を上げて、それで国民に負担させているということですから、税金で賄うのと余り変わらないということは申し上げておきたいと思います。

 もう一つ、原発のコストについて一つ聞いておきたいんですけれども、今回の基本計画やGX二〇四〇年ビジョンでは、他電源と遜色ないコスト水準であるというふうにされています。

 ただ、事故リスクについては、福島第一原発事故を参考にして計算しておられると思いますが、しかし、福島第一原発、デブリの取り出しは全くめどがついていない。現在の想定をはるかに超えることが予想されるわけですね。それから、除染も、人が住むところの周りは除染していても、例えば森林とかそういうところの除染というのは基本的にやっていないと理解していますし、帰還困難区域全部の除染のめどなど立っていない。最終処分費用、これは現時点では想定することができないはずです。

 そういう要素があるにもかかわらず、他電源と遜色ないコスト水準という結論はどうやったら導き出されるんですか。

武藤国務大臣 原発のコストの件の御質問だというふうに思いますが、経済産業省が実施をしました発電コスト検証では、原子力について、例えば、追加的安全対策費、これを含む建設費、あるいはまた東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や除染に係る費用、また最終処分に係る費用も含めて、現時点で合理的に見積もることができる費用を全て織り込み、算定をしているところだというふうに承知しています。

 他方で、資材価格等の更なる上昇の可能性であるとか、現時点で合理的に見積もれていない費用があることは認識をしているところであります。そうした費用の増加に対応して、発電コストがどの程度変化をするのかという試算も併せてお示ししております。

 こうした点も含め、過去の検証と同様、公開の場で専門家の方々に複数回御議論をいただいた結果として、キロワットアワー当たり十二・五円以上とお示しをしたところです。

 なお、欧米で建設費が上昇した例についても、サプライチェーンの劣化ですとかコロナ禍の影響等により工期の遅延が発生をし、それが契約形態や資金調達コストに起因する費用の増大につながったと認識をしているところですが、前提条件が日本とは異なるため、そのまま日本でも起こるとは言えないと考えております。

 いずれにしましても、サプライチェーン劣化によってコスト上昇を回避することは重要と考えておりまして、また、原子力の産業基盤、人材の維持強化のために様々な取組を進めていかなくてはいけない。今委員がおっしゃられるように、全てのコストというものを、やはりこれは、今後ともまた御指導いただきながら、ちゃんとしたものをつくっていかなきゃいけないというふうに思っております。

岡田(克)委員 合理的だとか全て見積もっているとか言われますが、先ほど言ったように、廃炉費用一つ取ったって、一体、燃料デブリがどれだけ取り出されているんですか。計画と全く乖離しているじゃないですか。トータルで幾らかかるかと全く分かっていない中で、今ある非現実的な数字だけを前提にはじいているだけじゃないですか。除染も同じです。最終処分費用に至っては、どこに最終処分するのかということが決まっていない中で、どうやって数字がはじけるんですか。

 そういうことがあるのに遜色のない価格だと言うのは、私は極めて誠実さを欠いていると思いますが、いかがですか。

久米政府参考人 まず事実関係について申し上げます。

 委員御指摘のとおり、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉や除染に係る費用を含めまして、さっき大臣が答弁申し上げましたとおり、現時点で合理的に見積もれていない費用があるということは事実でございます。

 福島第一原発の廃炉は、世界にも前例のない困難な事業でございます。デブリ取り出し後の処分が必要となる分量や処分方法が見通せない中で、燃料デブリの処分費用まで含めた全体の廃炉費用について一定の蓋然性をもって算出することは難しいというのが現状でございます。こうした中で、今後各費用が増加する可能性を考慮して今の試算というのは示させていただいたところでございます。

 その上で、仮に廃炉費用あるいは賠償費用が増加した場合の感度分析というのもお示ししておりまして、例えば損害賠償費用あるいは廃炉費用が十兆円増加した場合、発電コストはキロワットアワー当たり〇・〇四円から〇・一一円増加するという結果を得ているところでございます。

岡田(克)委員 想定できないものを他電源と遜色ないコスト水準と軽々しく言わないでもらいたいということは申し上げておきたいと思います。

 最後に、時間が参りましたが、太陽光について、大臣も立地とか限界があるということを言われましたが、一方で、屋根置き型とか営農型についてポテンシャルがあるということも認めておられますよね。だから、そこにもっとしっかりとした助成を考えていきませんか。例えば、二〇三〇年に新築住宅の六割なんですよ、今、エネルギー基本計画では。だけれども、東京都は新築住宅に基本的には全部義務づけているじゃないですか。もっともっとそういったところについて政策的にやる余地があるというふうに私は思っておりますので、できないできないと頭から言わないで、しっかり可能性を探っていただきたいと思います。

 終わります。

宮崎委員長 次に、小山展弘君。

小山(展)委員 静岡県中東遠エリア出身の衆議院議員、小山展弘です。

 まず冒頭、少し触れさせていただきたいことがございます。

 今朝、私どもの党の農林水産部門会議の方に製パン業界の労働組合の皆様方がお見えになられました。製パン業界と小売業界の商慣習の見直しについてのお話があって、もちろん、これは食品ですので、パンは在庫を持つことがなかなか難しい。毎日生産、毎日納品が基本なんですけれども、パンの製造には、発酵したりとかいろいろ焼いたりとかそういうことで、非常に時間も手間もかかる。ですので、小売業者さんから納品日の二日前に受注することが必要だということで、これは農水省の方からもそういうことを発出をしているんです。

 スーパーはいいんだそうです、だけれども、正直申し上げますと、コンビニ業界などからはいまだに前日発注が行われていて、見込み生産を行うということになると、受注の数と異なったり、あるいは夜、見込み発注をして多めに作っちゃうということになってロスも発生するし、また、このロスも年間数十から数百トンの廃棄が発生していると言われております。

 また、物流も大きく変わりつつある中で、配送車両の効率的な確保が進まないとか、納品のための深夜の集中的な作業、こういった、特にこれは国交省のマターになりますけれども、ドライバーの待機時間増加にもつながっている。また、こういったコストがあることで、製パン業界のコスト上昇とかそこに働く皆様方の賃金にも影響を与えている。

 企業規模からすると下請法の対象にはならないそうですけれども、発注企業が受注企業に対して強い影響力を持って無理強いしているというような構図は確認できるんじゃないかと思っております。

 また、指摘されている業者は農水省のワーキングチームへの資料提供も渋っているというようなことも伺っておりまして、こういった製パン業界の受発注のリードタイムの適正化に向けても、是非経産省、これは発注側の方は経産省さんの所管になると思いますので、また公正取引委員会でもしっかりと対応していただきたいと要望申し上げたいと思います。ここで私が質問をしてしまうと当日発注になりますので、それは次回質問させていただきたいと思っております。

 さて、今、岡田議員からのお話の中にも、電力使用量についてもお話ございましたが、今後どのぐらいの見通しになるかというのはなかなか難しいんですけれども、AIとかデータセンターでの電力使用量が増えるといったことも予想されています。

 経産省は、二〇三〇年の日本の電力需要の総量がどのぐらいになると今後見込んでいらっしゃいますでしょうか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、今後の電力需要は、データセンター、半導体工場の新増設の影響等によって増加する見通しとなってございます。

 具体的には、電力広域的運営推進機関が本年一月に公表した見通しによりますと、国内の電力需要は、二〇二四年度が約一億五千七百六十万キロワットでありますのに対して、二〇三〇年度が約一億六千三百三十三万キロワットとなっておりまして、二〇三〇年度は、二〇二四年度と比較して約五百七十三万キロワット、四%程度増加する想定となってございます。

小山(展)委員 キロワットアワーでいうと、八千四百二十億キロワットアワーというような試算も出ているようでございます。また、国のエネルギー基本計画によれば、二〇四〇年には、九千億キロワットアワーから一兆一千億キロワットアワーという見込みも出ております。

 ただ、これは、AIが更に進化をして、AGI、汎用人工知能の開発競争が二〇二七年ぐらいから始まるんじゃないか、こういう見立てもありまして、このAGI、汎用人工知能には十ギガワット、約一千万キロワットの電力が必要ということになりますと、大体、原子力発電、平均的に一基百万キロワットと仮定すれば、十基分に相当する電力が必要になるんじゃないか、これはトレーニングだけでですね。こういったAI、あるいはデータセンター、あるいはAGIといったものの発展によっては、電力需要は見込みを上回る可能性もあろうかと思っております。

 こういった電力需要の増大の可能性に対して、地熱発電による電力供給が期待をされております。IEA、国際エネルギー機関は、地熱発電の潜在的な資源が活用されれば、世界全体で現在の一千倍の電力供給が可能ではないかと。

 また、元経産省にいらっしゃった日本アイパルス社長の片瀬裕文氏は、講演の中で、現在の地熱発電、稼働中の設備容量は五十一万キロワットであるが、日本の潜在的な地熱発電の資源は二千三百四十七万キロワットぐらいあると推測されていて、世界第三位の潜在的資源量と話しております。また、この利用についても、現在は三キロメートルの深度の掘削の話であって、この日本アイパルスさんの多少御紹介もあるのかもしれませんが、最新技術ですと八キロぐらいまでの深度の掘削ができると。

 そうなりますと、地熱増産システムと言われるEGS技術を使用する場合には、何と、日本で、国内で原発千五百基分の電力供給を賄える可能性があるとのことであります。現在の三キロ程度の浅く確度の高い地点に限っても、三十八ギガワット、三千八百万キロワット、これは原発三十八基分ですね、発電資源があるとも推測もされております。こういった掘削技術の進歩、地熱発電の技術の進歩によって、非常にこの地熱発電の可能性が広がる。

 石破総理も、私は個人的には、いろいろあっても石橋湛山議連の仲間でもありますし、頑張っていただきたいという気持ちもありますけれども、この地熱発電のことも触れていらっしゃって、非常に可能性が広がるということも考えられると思いますが、経産省は、今後、地熱発電による電力供給の可能性についてどのように認識されていらっしゃいますでしょうか。

武藤国務大臣 委員が大変地熱について研究をされていることに敬服させていただきたいと思います。私も地熱は大好きな方でありますので。

 ただ、まず、将来の電力需要の増加に対して、我が国が将来の有数のポテンシャルを有している、まさに、地熱発電を含めた脱炭素電源を拡大をし、最大限活用していくことが必要だというふうに思っております。

 電源構成に占める地熱発電比率は、二〇二三年度時点でまだ〇・三%ということでありますけれども、二〇四〇年度の見通しでは一から二%程度というふうにしております。開発を加速させていく必要があるんだと思います。

 地熱発電は、開発初期のリスクが高いということが今までの課題でありました。今後、新たにJOGMEC自らが初期調査を実施することで、業者さんというんじゃなくて、JOGMECが初期調査を実施することで開発リスクを低減させ、民間企業の参入を促していきたいというふうに思っております。

 また、高温の岩盤に水を循環させて熱を取り出す、今先生おっしゃられたようなクローズドループとか、いろいろ最近新しい技術の可能性が出てきておりますが、次世代型地熱発電による抜本的な地熱発電の導入拡大を実現するため、二〇三〇年代の早期の実用化を目指し、研究開発及び実証を進め、事業化につなげていきたいと思います。

 関係省庁、事業者、自治体等々の関係者と緊密に連携をしながら、地熱発電の開発を促進してまいりたいと思います。

小山(展)委員 是非これは進めていただきたいと思います。

 世界の中でも、地熱発電の可能性がない、資源がないというか、そういう地域もありますし、アメリカや日本などでは、アメリカはもっと多いと言われておりますけれども、せっかくのこういった日本にある資源ですので、なかなか、国立公園とか国定公園の中にそういったものが多いというような、いろいろとハードルもあろうかと思いますけれども、先ほどのクリーンエネルギーという中、自然可能エネルギーでもありますので、是非これは進めていただければと思っております。

 次に、今よくSDGsと言われておりますけれども、このSDGsや生物多様性条約によって、日本でも生物多様性国家戦略やネイチャーポジティブ経済移行戦略といったものも策定され、またプラネタリーヘルスと言われる考え方への研究が始まっております。

 企業のネイチャーポジティブ経営への取組を促進する政策も検討されているとも伺っておりますが、環境省は生物多様性への国や企業の取組を促進するためにどのような政策を検討しておりますでしょうか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、環境省におきましては、昨年三月に、関係省庁と連名でネイチャーポジティブ経済移行戦略を策定し、企業による自然環境への配慮が単なるコストアップではなく、新たな成長の機会につながることを示しつつ、必要な施策を取りまとめたところであります。

 企業におけるネイチャーポジティブな取組を促進するためには、情報開示等による取組の見える化を通じて、企業価値の向上につなげていくことが重要と考えております。

 このため、環境省では、自然関連財務情報開示タスクフォース、いわゆるTNFDに即した情報開示等の促進と開示内容の質的向上を図るため、今年度、モデル事業を実施しており、その成果を企業向けに共有したところであります。

 今後とも、こうした施策を通じて、企業のネイチャーポジティブ経営への移行を支援してまいりたいと考えております。

小山(展)委員 こういった、評価されることの見える化ということかと思いますけれども、これは、SDGsの後の開発目標の中に、こういったネイチャーポジティブとかプラネタリーヘルスといったことが組み込まれてくるのではないか。これは、二〇二七年ぐらいからSDGsの次の世界開発目標というものは議論されるということで言われておりますし、また、トランプ大統領が登場して、様々な国際レジームとか国際条約から撤退をして、孤立主義を深めているような国際的な動向もありますので、今後一〇〇%こうなるということは言い切れませんけれども、しかし、こういった生物多様性への配慮といったことが恐らく大きな流れでいけばますます強まってくるのではないか、また、それが企業戦略にも影響を与えてくる。今まで環境配慮ということが、かつては全くなかったです、それがここまで環境配慮ということが言われるようになってまいりましたので、非常にこれからも企業戦略にも企業経営にも影響が出てくるんじゃないか。

 是非、世界の動きから取り残されずに、むしろ、先頭に立ってルール作りをするような姿勢で取り組んでいただきたいと思います。

 このネイチャーポジティブあるいはプラネタリーヘルスといった場合には、先ほどの地熱発電は、地球に穴を空けるわけですから、なかなか一〇〇%これに合っているというわけではないですけれども、ただ、よりリスクや、あるいはよりこういった自然に対する影響が少ないということをやはり選択肢として選んでいかなければいけないのではないかとも思います。

 また一方で、生物多様性にも大きな影響を与えるということがほぼ推測されておりますリニア新幹線南アルプストンネル工事についても、これはジオパークにトンネルを掘削するものでもありますので、また、二〇一四年当時も、環境大臣が、生物多様性への影響を回避すべきと、意見も出ております。

 是非、こういったものはネイチャーポジティブ経済あるいはプラネタリーヘルスといった観点からも検証すべきではないか、そのようにも考えております。

 また、日本では今後、次の質問になるんですけれども、七十九万人のIT技術者不足が懸念をされております。

 昨年、額賀福志郎議長がインドのモディ首相を訪問しまして、ほかにも様々な政府間の交流がありますけれども、日本・インドのIT人材の交流についても提案をしてきました。私も野党議員として同行させていただいておりましたけれども、その後、日印のIT人材の交流や、あるいはインドからのIT技術者の受入れ、特定技能者も含めてどのような進捗があったか、御答弁いただきたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、昨年七月末、小山委員と額賀衆議院議長など親善訪問議員団が訪印された際には、モディ首相などと面談され、日印間で五年間で例えば五万人以上の人材交流を打ち出してはどうかと提案されたと承知しております。

 これを踏まえまして、経済産業省は、令和六年度補正予算において、インド人材の育成、雇用推進のために約十五億円を措置しました。具体的には、ジョブフェアなどの開催によるインド人とのマッチング促進、日本企業による幅広い分野のインターンシップの受入れなどを通じたインド人材の雇用促進、インドのパートナー企業探しなどを促進するための日本企業ミッション団の派遣などを進めていく予定でございます。

 また、外務省や文部科学省におきましても、インド人大学生や大学院生などの招聘による共同研究や日印大学間交流、日本企業におけるインターンシップなどの機会を提供して、インド人材との交流を促進していく予定と承知しております。

 引き続き、関係省庁と緊密に連携しまして、日印双方に恩恵のある形で、幅広い分野での人材交流促進を図ってまいりたいと考えております。

小山(展)委員 是非、日印の交流は、IT人材、特定技能人材、共に重要ですし、また、インドは今後、恐らく世界第三位のGDPを持つ大国になることが予想されます。

 よく、こういう話をすると、日本とインドでどこかアジアの他の国を脅威とみなしてというような話が多いんですけれども、むしろ日本とインドが協力して、どうやって世界の安定あるいは緊張緩和に資するかということをもっと話していただきたいとも個人的には思っておりますが、是非、こういった様々な日印の交流、これまでの成果の拡大をお願いできればと思っております。

 たしか田中参事官も一緒に御同行させていただいて、本当に大変お疲れさまでございました。

 次の質問をさせていただきたいと思いますが、タクシー会社への補助制度の中で、対象が赤字事業者となっていて、黒字事業者を除くというような種類のものがあります、今も検討中だと伺っていますけれども。

 タクシー会社さんによっては、コロナ時の打撃で大きな赤字を出しつつも、経営改善に必死に努めて黒字化を図ったり、あるいは、コロナのときに、お客さんが少ないから、こういうときにこそ設備投資をやって、企業の体質を強化するというようなこともやってきた企業さんもあります。

 こういった企業さんの中には、繰越欠損を抱えている企業さんもまだまだたくさんあります。後々に、三年、四年たった今年あるいは来年に黒字企業は補助制度から除外されるというんだったら、だったらコロナ時に設備投資なんかやらなきゃよかった、赤字を小出しにすればよかった、こういうような声も聞かれております。

 是非、繰越欠損の企業も累積赤字であることも勘案すれば、赤字企業として補助制度の対象とすべきと私は思いますけれども、政府の認識はいかがでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のようなタクシー事業者の皆様からのお声は私どもも承知をしているところでございます。

 まさに現在、制度についてその要件等を検討しているところでございますので、補助制度の趣旨も踏まえながら、関係者の皆様方の声をしっかり丁寧に伺いながら、適切に対応してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小山(展)委員 是非、現場の声も、いろいろな、逆の声もあるかとは思いますけれども、様々な声を聞いていただいて、現場に寄り添った対応をお願いできればと思っております。

 次に、保育士不足のことをお尋ねしたいと思います。

 保育士不足が懸念される一方で、実は、保育士養成校では生徒が集まらず廃校になっている、こういうケースも聞かれております。

 ちなみに、もし答弁を終わられた皆様方、御退席いただいても構いませんので。お忙しい中お越しいただいておりますので、お願いいたします。

 これだけの保育士に対するニーズがあるにもかかわらず、保育士を目指したい人がいないわけでもないにもかかわらず、保育士養成校に通う生徒さんの生活、通学事情が厳しいことが背景にあろうかと思っております。

 保育士を増員して、また保育士養成校による保育士を輩出するためにも、ここは重点的に必要なところ、大事なところに資源を集中して投下するという意味でも、保育士養成課程の学費の無償化、このぐらいのことを、社会的に必要とされているのでやってもいいんじゃないかと思いますけれども、政府の認識を伺いたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 保育人材の確保につきましては喫緊の課題でございまして、保育士を目指す学生が経済的な事情にかかわらず保育士養成校で学ぶことができる環境の整備は極めて重要というふうに私どもも考えてございます。

 このため、こども家庭庁におきましては、保育士養成校に通う学生の経済的負担軽減のために、修学資金の一部として、入学準備金でありますとか、あるいは学費として月額五万円などを貸し付けまして、卒業後五年間、実際に実務に従事していただく、つまり、保育士として勤務していただくということで返還を免除するという取組を行っておりまして、これによりまして、実質的に経済的負担軽減が図られているというところでございます。

 また、加えまして、生活保護受給世帯など、より経済的な困難を抱える学生に対しては、今申し上げた貸付けとは別に生活費の加算を設けるなどして手厚い支援を行っているというところでございまして、こうした取組を通じまして、保育士を希望する学生を支援していきたいというふうに考えておるところでございます。

小山(展)委員 もちろん、今御紹介いただいた制度もあるということは非常に大事なことだと思いますし、ありがたいことだと思っておりますが、一方で、この制度の、入学準備金と就職準備金も合わせて二年間で総額二百万ということは、また加算部分があっても総額二百八十万ということになろうかと思いますけれども、よく今百三万円の壁と言われていますけれども、私は、この修学準備金も、一・七倍までとは思いませんけれども、物価高の今日、やはり必ずしも多いとは言えないのではないかなと。むしろ、少ないといったような声も聞きますし。

 これは、二年制の養成課程はカバーされるんですけれども、四年制の場合には二年間分が全くカバーされないということになっております。ですので、こういった制度の充実も是非御検討いただきたいと思います。一・七倍までしなくても、物価高分ぐらいの積み増しもしてもいいんじゃないかなと、そんなことも思いますけれども。

 それと、是非、この制度のことで申し上げたいことがあります。

 これは、この制度は、大学に入学してから手続を行うんですね。ですから、高校の進路指導の教員なんかは知らない、あるいは、知っていても、是非この制度を活用して保育士になったらどうというようなことを高校生にお話しする際に、いや、自分の手が離れてからのことなので、ちょっと言いにくいというようなこともあるようです。

 ですから、それはそれで理解できるんですけれども、高校の教員の方々への周知徹底、情報宣伝や、あるいは進学が決定したという時点で申請手続ができるというようなことにもう少し制度を柔軟にしていただければどうかなと。保育士さんだけにこれだけ手厚くするのはどうかというようなことは、そういう御意見もあろうかと思いますけれども、今非常に保育士不足が日本の大問題になっておりますので、養成校が廃校になったりとかコースが廃止になっているというような現状もありますので、是非手厚い対応をお願いしたいと思っております。

 それと、今度、ちょっとまた救命救急のことでお尋ねしたいと思います。

 AEDの使用によって救命率が非常に向上している。これは、公衆的な場所よりも、住宅等の建物内とか高齢者施設の中での事案が大多数を占めるというような意見もございます。

 このAEDについて、リース等のやり方も使って一般住宅に設置される例も見受けられるんですけれども、こういった費用を市町やあるいは国が助成して設置を促進することで救命率が向上することも考えられますけれども、そういったことも是非お願いをしたいと思います。

 何といっても、救命の際に使用されるAEDの設置場所、これが、アプリで見ると、例えば、どこどこの体育館にありますということはアプリで出てきても、体育館のどこにあるかというのが分からない。こういうようなことが市町村議会でも質問が出ているそうでして、確かにそれは言われてみればそうだなと。体育館にありますといっても、体育館のどこか分からないと、その間に心臓マッサージをしていて、探してくる間に何かあってということになってもいけない。

 施設のどこに設置されているかというものも表示されるような分かりやすいアプリの開発を求める声も聞くんですけれども、担当省庁の御認識をお尋ねしたいと思います。

森政府参考人 AEDに関するお尋ねでございます。

 一つは、AEDマップについて、場所が実際の建物の中の本当のどこにあるか分からないということでございますが、こちらについては、今様々な団体がそれぞれ別々にデータベースを作成しております。

 全国統一的なデータベースを作っていく必要性があるというふうに私どもも考えておりまして、その際には、当然、設置、何々ビルに置いてあるというだけじゃなくて、何階のどこの場所にあるとか、そういった詳細な内容も含めて表示できるような方策について検討していきたいということで、今議論を進めているところでございます。

 公的施設に設置するAED等に対して、リース等を支援するような仕組みというのは今ございませんが、いち早くAEDを現場に届けられるようにいろいろな支援をしております。例えば、一一九番があったときに、AEDのボランティアという方がいらっしゃいまして、現場にAEDを届けるような実証的なことをやっている自治体もございます。そういった仕組みも活用しながらサポートしていければというふうに考えているところでございます。

小山(展)委員 今、これからも全国統一のデータベースというかアプリの開発ということで、その際には、各市町村の消防隊の方、救命隊の方々の現場の声も是非幅広くお聞きいただいて、いい開発になるようにお願いしたいと思います。

 最後の質問ですけれども、二〇二二年以降物価が上がり始めまして、預金金利はほとんど変わっていないということで、預金の実質金利がマイナスになっている状態が続いております。これは、預金者が非常に不利益を被っている状態だと思っております。

 中には、為替の専門家の方なんかによりますと、為替というか金融関係のアナリストなんかによりますと、日本でこれだけ実質金利マイナスだと資産が目減りしている、だったら外貨建ての預金にしていったらいいじゃないかと。日本人は、資産の約半分を預金にしております。ところが、ヨーロッパなどでは資産の大体三分の一ぐらいが預金である。では、今、日本の半分から三分の一ぐらいまで、もしこの部分がキャピタルフライトしたらどうなるか。もうこれは大変な円安になる、円安は歯止めが止まらない、こういうような可能性や懸念を危惧する識者もおります。

 実質金利マイナスによる預金者の不利益について、日銀はどのような認識を持っておりますでしょうか。

奥野参考人 お答え申し上げます。

 私ども日本銀行では、昨年来、経済、物価等の情勢を点検しながら政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いの調整を行ってまいりました。こうした中、このところは預金金利は上昇しておりまして、預金者の利子所得を押し上げる方向に作用はしております。

 ただ、その一方で、先生御指摘のとおり、物価上昇が続く下で、実質金利はマイナスになっているところでございます。また、このことが預金の実質価値を押し下げているということも、私どもとして十分認識しているところでございます。

 その上で申し上げますけれども、金融政策は、物価の安定の実現という観点から、あるいはそれを目的として適切な金利水準を設定していくという形で運営しているものでございます。

 日本銀行としては、一月に公表しました展望レポートでお示ししましたとおり、二%の物価安定の下で、その持続的、安定的な実現という観点から、経済、物価、金融情勢に応じて適切に金融政策を運営してまいりたいと考えているところでございます。

小山(展)委員 今、本来であれば、なかなかタイムラグがあろうかと思いますけれども、やはり物価上昇と同じぐらいの預金金利になるような金融政策というものが必要ではないかと思っておりまして、そういった金融の正常化に向けて、是非これからも御尽力いただければと思います。

 預金者が不利益を被って、債務者が利益を受けて、最大の債務者は国であると。ですから、もう既に今の時点で、そういった意味では増税効果が生まれていると思いますし、例えば、円安で輸出業者は非常に多くの利益を得て、円安であるがために、輸入に関連する方々、資材高、原材料高、特に原材料から部品を作るメーカーさんは、一概には言えないですけれども、いわゆる下請という企業さんは円安のデメリットを受けて、でも、部品を組み立てる企業さんは輸出のメリットを受けて。ここに、それこそ乾いたタオルを絞って一滴の水を絞り出せって、乾いたタオルを本当に絞ったことがあるのかみたいな話があるんですけれども、こういうことが行われると、実は、まさに価格転嫁が行われないと、この輸出企業さんの利益というものが波及していかない。まさにこれこそ、コストカット経済の正体だったのではないかと思います。

 こういうことから、やはりこれは、金融政策において、正常な金利、そして金融政策の正常化というものがあって、その中でそれぞれが自分たちの経営努力をして競争していくということが本来望ましいと思っておりまして、ですので、金利やあるいは金融政策が正常でないと、様々なゆがみ、不均衡といったものが生じてきてしまうと思います。

 是非、正常化に向けて、タイミングを見つつ一歩一歩進めていくことが本当の意味での日本の技術力、産業競争力、今、産業競争力とか様々な指標が日本は低下しておりますし、海外からインバウンドで来るということは、逆にそれだけ円が安くなって、日本が安くなっているということですから、是非金融の正常化に向けて歩みを進めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

宮崎委員長 次に、大島敦君。

大島委員 大島です。

 今年の一月の第一週は、中国の上海と蘇州に行っておりまして、上海では、創業して十年のニオという電気自動車のメーカーを訪問させていただいて、中国経済、結構悪いとは聞いているんですけれども、富裕層が多いので、やはり動いている感じはしました。

 十年目で、ベルリンに開発拠点があるので、テイストとしては欧州車。バッテリーは、充電ではなくて、ステーションに持っていくとバッテリーごと取り替えるというシステムで、バッテリーのそういうステーションを上海中心に多く持っていらっしゃる。

 ただ、うまくいくかどうかは分からないと思う。ただ、中国は、電動車のメーカーとしてたくさんできて、そして今は多分淘汰の時代に入っていると思います。BYDは、二〇一八年に本社に行って、創業者と会っています。ですから、動いている感じがしますね。

 それで、蘇州では、日産自動車が中国のソフトウェア会社と組んで、全自動のタクシーを運行している。スマホで呼ぶと、目の前まで来て、どこに行ってくれと言うと、ドライバーは乗っていますけれども、一切ハンドルには触れることなく、次まで行ってくれる。責任者の方に伺うと、人が運転するよりも安全だとおっしゃっていました。多分そうだと思います。

 今は、サイエンスパークの中で、情報を集めながら精度を上げて、多分、近い将来、二〇三〇年ぐらいまでには一般道も走るようになると思います。ポピュラーになりますよね。ですから、日本の産業構造そのものが幾何級数的に世界で変わる、その瞬間に私たちは立っているのかなという実感を得ています。

 一月の第二週目は、これは、量子コンピューターの最先端の研究者と意見交換を二つの研究所へ行ってしてまいりました。量子については、ずっと意見交換をさせていただいて、国の研究所は、大臣、寒いんですよ。何で寒いのかと聞くと、彼らは、明確には言いませんけれども、電気代が上がって研究開発費に回す費用がないから暖められないと言うんです。

 これが今の日本の国立の研究所の実態だと思っていて、今日は財務省を呼んでいないんですけれども、その点は、与党も野党もなく、しっかりとした物価高に応じられる支援はしていただかないといけないなと思っています。

 もう一つは、ある研究所、これも最先端の量子コンピューターの研究室で、八割が外国人だと。日本の、今、円安ですから、多分、理化学研究所含めて、外国からの研究者を呼ぶことは結構難しい時代に入っているので、そういうことも含めて政府がしっかりと取り組んでいただかないと、多分今でもぎりぎりだと思っているので、その点をまず発言をさせていただいて。

 同僚議員のお話を聞きながら、今回のエネルギー基本計画で、大規模言語モデルのデータセンターを造るから、電気代がウナギ登りであるから対応しなければいけないというのはよく聞くんですけれども、これは瞬間風速だと思っています。

 もう大規模言語モデルの在り方は分散化に入っているので、将来的には、多分、昔、私も、モデムを使ったパソコン通信からISDNに代わって、その次は光かと思っていて、ただ、私としては、恐らくソフトで解決する部分があるからということで、ADSLが出て光に移ったので、多分、大規模言語モデルについても、近い将来、そんなに電力消費量がかからないし、NTTが開発している光電融合、半導体から直接光が出せるようになると百分の一になりますから、状況は様変わりするので、よく技術の進歩は見ながらエネルギーの計画は私は作るべきだと思っております。

 先週は、産総研にお邪魔をして、これは柏市で大きなデータセンターを造っていて、人工知能学者あるいは事業者に対して、これから、もう公開しているのかな、エヌビディアの半導体を使いながら、GPUを使いながらというところを見せていただいて、GAFAがやっているデータセンターはどのくらいの規模なんですかと聞いたら、産総研のデータセンターは小ぢんまりしたビル一つなんだ、GAFAは、そこの、柏のキャンパス全体にこれが建っている感じだと聞いて、投資金額が全然違うので、そこに対抗するかどうかというのは違うかなとは思いました。

 ただ、エヌビディアを一番最初に発見したのは産総研だというお話を伺いました。実は、エヌビディアは日本のゲーム産業が育てた。ですから、日本のゲーム産業が、エヌビディアが厳しいときにお金を入れたりもしている、貸してあげているのかな。

 そして、エヌビディア、要は、この大規模言語モデルに使えるというのは、産総研で一番最初にそれを取り組んで、その結果が今に至っていると聞いているので、一番最初のきっかけは、日本、我が国はいい線いっているかなと思っていて、このいい線いっているところをできるだけ深掘りしていきたいなと思っています。

 今日は、大臣にも前に質問させていただいた、やはり価格転嫁の問題。

 私は鉄鋼業に十四年間いて、今でも地元の工場を見学するのが趣味といえば趣味でして、車に乗っていて、ちょっと止めてと言って、工場があるとすぐ経営者の方に工場見学させてほしいと頼んで、工場に入って、NCマシンの減価償却は終わっているのかとか従業員の給与はどのくらいかとかと聞くわけ。そうすると、小さい会社だと、NCマシンが五基、六基あって、おおむね減価償却は終わっている。従業員は五十代なので、まあ四百万から五百万ぐらいであれば、別に転職は、このままでもいいかなと、ローンも終わっているから。そして、別の会社ですけれども、検査工程にいらっしゃる女性の方も、六十代ぐらいで、何か十万個とか百万個の部品の検査をしていて最低賃金だと。

 恐らく、十年たつと、日本のメーカーはなくなると思います。サプライチェーンは途絶すると思います。やはり第一次産業の農業と第二次産業の製造業をサボった国というのは、私は疲弊していくと思う。

 ですから、その点について、どのようにまず価格転嫁を進めていくのかについて大臣に質問をしていきたいと思っておりまして、一問目が、価格転嫁を進める理由なんです。

 私は、今の下請構造は強烈な二十世紀が残っていると思っていて、受注側にも責任はあります、なかなか営業努力をしないというところが。ただ、発注側も今までの商慣習に慣れているところがあって、やはり日本の部品メーカーを、一つ一つ独立して、自分で考えて、自分で営業して、様々な商品について対応できる部品メーカー群をつくらないと、我が国の産業構造が維持できないし、高度化しないと思っております。

 ですから、私としては、価格転嫁というのが、やはり、今、私の地元の知り合いの経営者の方にお話ししても、今はしっかりと利益は出しているんですけれども、息子さんが結構いいメーカーに行っていて、会社を辞めて戻すには忍びないという話がありまして、なかなか継がせられない、この経営環境ではとおっしゃられるので、その点について、まず大臣の御所見を伺わせてください。

武藤国務大臣 大島委員には、いつも示唆に富んだお話をいただきながら、感銘を受けさせていただいているところでありますけれども、まさに中小企業の価格転嫁なのであります。

 臨時国会のときでもたしか御質問いただいたと思いますけれども、中小企業、小規模事業者の皆さんに賃上げの原資というものを確保していただくためには、労務費、原材料費等のコスト上昇分を適切に価格転嫁をすることが極めて重要だ、これはもう委員と全く共有しているところであります。

 コスト上昇による負担増を、サプライチェーンを支える受注側の中小企業だけにしわ寄せされるのは公正ではない、そして、適切な価格転嫁によって、サプライチェーン全体でコスト増加分を公平に分担をし、利益を共有することは、事業の成長への意欲を促し、競争力の強化に資するものであると思っています。

 こうした観点から、先生を始めとして今までもいろいろな御指導をいただきましたけれども、公正取引委員会始め各省と緊密に連携をしながら、価格転嫁、取引適正化に粘り強く取り組んできたところであります。

 いよいよ下請法改正法等も出てまいりますので、是非しっかりとこれを実行しながら価格転嫁を進めていきたいというふうに思っています。

大島委員 大臣の地元の産業構造を考えると、五年ほど保険のセールスをしていたときに、足利という町を全部営業したことがある、栃木県の足利。そうすると、昔、繊維産業だったので、足利はプラスチックの射出成形の産業が結構多かったりもして。多分、大臣の地元も、昔、繊維産業があったりするので服飾関係の製造メーカーがあったり、あるいは食器のメーカーがあるのも、江戸時代、昔はそういう金物を作っている会社があったから、それからメーカーの方に移行していると思うので、多分、大臣の頭の中には産業構造とか産業クラスターが入っていると思うんです。

 国立国会図書館のデータベースに当たると、大臣の選挙区は三千三百五十九社あって、五十一人以上の会社が一〇%ぐらいですから、大体、産業構造は頭の中に入りまして、ヘンケルスもありますよね。それで、どのように変えていくのかについて、若干、あと二十分ぐらいしか時間がないので、私の資料を見ていただきたいと思います。

 まず、今日は公正取引委員会の委員長にも来ていただいて、度々取り上げている労務費の適正な転嫁のための価格交渉に関する指針ということで、なかなかよくできている指針で、この指針を徹底したら問題ないかなと思っています。

 一番は、ポイントとして私が考えるのは、これまでも多分多くの国会議員の皆さんが大臣に質問したとおり、このような指針、多分、これから提出される下請法の改正案についても、それが浸透しないというところが私としては価格転嫁が進まないところだと考えているものですから、その点についての所感を伺わせていただければと思います。

古谷政府特別補佐人 一昨年の十一月に、内閣官房と連名で、この労務費転嫁指針を策定、公表いたしましたんですけれども、その後、様々な機会を活用して、政府を挙げて周知広報活動を重点的に行ってきております。

 この周知広報活動を含めて特別調査を私どもいたしたんですけれども、十二月に取りまとめましたその結果を見ますと、調査を行った時点は比較的早く、昨年五月時点ではありますけれども、まだまだこの指針の認知度が全体で半数程度にとどまっているということと、地域別に見ましても相当ばらつきが認められました。一方で、この指針を知っておられる方の方が、知らない方よりも取引価格の転嫁を行えているということも確認をできたところでございます。

 そういう意味では、昨年五月の調査時点から現時点まで恐らく認知度は向上してきているんだろうと期待しておりますけれども、現時点におきましても、この特別調査で認知度が低かったということが分かりました地域などを重点的に広報を行っておりますほか、政府広報と連携しまして、例えば電車での交通広告などでもこの指針を取り上げてもらうといったようなことをいたしまして、周知徹底に取り組んでいるところでございます。

 引き続き、事業所管省庁とも緊密に連携をしながら、この周知徹底に努めて、是非この指針を使って価格転嫁の協議を進めていただきたいというふうに考えております。

大島委員 これまで八年間、価格転嫁の問題を政府は取り組んできておりまして、価格交渉促進月間による社名公開や評価のよくない企業への指導助言、パートナーシップ宣言、下請Gメンによる取引実施の把握、業界団体による自主行動計画の策定、遵守、労務費指針の策定、周知など、様々取り組んでおりまして、私の資料の一ページ目が、おととしの公正取引委員会の指針。

 二ページ目が、考えてみたんですよ。

 エネルギー管理統括官、これは省エネ法ですよね。設置義務者として大規模事業者、エネルギー使用量が一定以上。地位、役員クラス。主な任務として計画の策定、改善、監視。選解任の届出は経済産業大臣。

 去年国交委員会で通りました物資の流通の効率化に関する法律、ここでは、物流統括管理者を設置。設置義務者は大規模荷主である、貨物重量が一定以上。地位は役員クラス。主な任務は計画の策定、管理体制の整備。選解任の届出は所管大臣。

 先ほどの質疑の中でも出たかと思う、農水省も今回閣議決定をしていて、食品や農産物の取引で適正な価格転嫁を進めるため、食品等流通法などの関連法の改正案を提出する予定だと聞いておりまして、私も、この省エネ法あるいは昨年の物流効率化法に並んで、供給網内取引における価格の適正化に関する法律案を作ってみたんですよ。

 そこには、取引価格適正統括責任者というのを置いて、設置義務者は大規模製造業者、供給を受けている部品、構成品の数量又は種類が一定以上。地位は役員クラス。主な任務は法令遵守の周知徹底、調査、方針の作成。選解任の届出を経済産業大臣。そんな難しい法律じゃないんです。

 これは、今日つけようと思って、やはり会社の資料なので添付資料はつけませんでした。ある本当に小さな下請メーカーからいただいた部品見積書というのを、これは一度大臣に説明しておりますけれども、いや、なかなか書く欄がたくさんありまして、小さい部品でも、見積内訳、材料費、加工費、外注加工費、購入部品費、製造原価、一般管理費、見積単価、材料費内訳もたくさんあって、加工費内訳もたくさんあって、一番下に、以下、弊社記入欄につき記入不要と書いてあって、判こを押す欄がある。まず担当が判こを押す、係長が判こを押す、課長が判こを押して、部長が判こを押して、役員が判こを押す、全部で五つ判こが必要なんです。

 そうすると、私の今の資料の三ページ目を見ていただくと、これが多分、五次下請だと、役員の判こも含めて六つだとすれば、三十の判こが必要なわけ。ですが、私、新法を作りまして、一度全部、例えば五次下請だったら二十五の判こを経産大臣のところに持ってこい、六次下請であれば三十の判こをついて持ってこいと。

 やはりサラリーマン、私もしていると、なかなか浸透しないです、担当は、おっかなびっくり、価格は上げないですから。やはり、社長から言われてようやく上げるのがこの担当であり、その上の係長であり課長ですから、やはり、公取委の皆さんが作られたこの指針をしっかり読んで判こをついてこいと法制化したときに、私も質問をしなくて済むのかなと思う。強制しろとは言わない。そんなに難しい法律ではないです。

 やはり、こういうことをやってできるだけ下請価格を上げないと、政治でも今、できるだけ手取りを増やしてほしいとか、いろいろな、様々な民意があるじゃないですか。それは、しっかりと賃金が上がっていないからなんです。

 賃金を上げることが最大の我が国の課題だと思っていて、賃金を上げるためにはやはり、そんなに、大島でも作れる法律なので、経産省の皆さんだったら十分作れると思うし、こういうことを提出するぞといって業界団体と打ち合わせたときに初めて業界団体も動き始めると思っている。首相官邸に社長の皆さん、経営者の皆さんを呼んでパートナーシップ宣言とかされても、多分本音はひょっとしたら右から左かもしれないので。

 ですから、やはりここは、もうここまで来れば、しっかりここで手当てを打っておかないと、多分、日本のサプライチェーン、先ほど原子力発電の話も出ました。私が確認してみると、原子力のサプライチェーンもほとんど寸断しているので、様々なサプライチェーンが寸断していて、こう政府がやりたいと言っても多分できない時代に入りつつあるので、その点について大臣の御所見を伺わせてください。

武藤国務大臣 幾つか質問を今いただいたんだと思いますけれども。

 まずは、価格転嫁が進まない理由というものも委員の御質問からありますので、まずちょっと簡単に申し上げたいと思います。

 先ほどもちょっと委員長の方から話がありましたけれども、価格転嫁は進んできているんですけれども、まだ価格転嫁率というのは四九・七%と、いまだ半分程度であります。特に、これはもう前から先生方からも言われているとおり、サプライチェーンの取引段階が深くなっていくほど転嫁割合が低くなる傾向もある。

 こうした理由は、企業や業種によって様々な理由がありますけれども、例えば、価格転嫁を申し出れば取引の減少、失注に至るとか、あるいは賃上げの分の原資は合理化努力で賄うべきとの認識が根強く残っているものという、まさに、これまで三十年続いたデフレ経済もそうなんですけれども、こういう日本の中小企業にしみついた中小企業の中の商慣習というものがあると思いますし、私自身も商売を前にやっていましたので、資材担当者の責務からいくと、これはなぜ私の仕事ではいけないんですかというような、これはもう上からの評価というものもありますし、今先生がおっしゃられたような、こういう階層別にそれぞれの判こを押すという中もやはり変えていかなきゃいけないというのが当然のことかと思います。

 ただ、一朝一夕に変えることは容易でもないので、二十年ぶりに今回提案をさせていただいた下請法の改正ですとか価格転嫁を阻害する商習慣の一掃に向けて取り組むように、これはもう石破総理からも指示が強く出ているところでもありますので、これも我が省だけではなくて、各省に協力を求めながら前に進めていかなくてはいけないというふうに思っております。業界への価格転嫁の要請も含めて、粘り強く今後とも対応してまいりたいと思います。

 そして、もう一方で、下請法の改正の中の話で、ちょっとここも先に、もう時間がないと思いますので、簡単に申し上げたいと思います。

 下請法の改正については、公正取引委員会と連携をしながら、協議に応じない一方的な価格決定の禁止などを内容とする改正を閣議決定させていただいたところであります。厳格な法執行を含めて、一層の取引適正化を推進いたします。

 また、サプライチェーンの深い層まで取引適正化を浸透させるためには、下請法の対象取引のみならず、サプライチェーン全体での対応が必要であり、経済産業省としては、下請法改正の検討に加えて、価格交渉促進月間に基づく調査、発注事業者名の公表や指導助言の着実な実施、また様々な業界に対するハイレベルでの要請等、あらゆる手段で中小企業の価格転嫁、取引適正化を進めてまいります。

 また先生にもいろいろ御指導いただきながら、法案についてもまた御相談させていただきます。

大島委員 二ページ目の資料に戻るんですけれども、前の通産省の時代に作った省エネ法、この物流効率化法も多分省エネ法をモデルにして作っておりまして、農水省も法律を改正することによって強制力を持たせようとしておるので、やはり、取引価格適正統括責任者、仮称を各企業に置いて公正取引委員会の指針なり今回の下請法改正案の内容がしっかり周知できているかどうか、調べるだけでも十分効果はあると思います。その点、是非お願いしたいと思う。

 やはり、これまで八年間、どっちかといえば御理解を求めながらでしたんですけれども、ここまで来ると時間がないものですから、若干アクセルを踏む法律かなと思っていて。

 三ページを見ていただきますと、政策イメージまでちゃんとつくっておりまして、製造業においては、その階層的な取引構造から、各段階における価格転嫁が容易に進まず、長年にわたり、サプライヤーである中小企業が適正な利益を確保することが困難な状況にある、大臣も納得していると思います。

 このような状況に鑑み、その製造する製造物について、大量又は多種の部品、構成品の供給を受けている大規模製造者に対し、そのサプライチェーン内における価格の適正を図るための統括責任者の設置を義務づけ、中小製造業者が適正な利益を確保することができる環境を整備し、製造業における技術革新を促進することを目的とするというと、なかなかいい感じだと思うんですよ。

 そしてその後に、特定製造業者の定義。

 そして、取引価格適正統括責任者が何をするのか。

 設置があって、これは、特定製造業者は、その供給を受けている部品、構成品の各供給者間の取引における価格の適正を図るための統括責任者を設置しなければならないこと。

 義務、この義務は、まず一として、供給網内取引における公正な取引に関する法令その他指針の遵守の周知徹底、これは公取の指針を徹底しろと。二つ目に、供給網内取引における価格形成の実態調査、これはなかなかいいですよね。下請業者が把握できないという話をよく聞くんですよ、役所の方からは。大島は、例えば武藤経産大臣の選挙区、三千三百五十九社、全部目を通しているので、難しいことじゃないです。その中で製造業ということだけ抜き出せば、全国でそんな何十万社もあるわけじゃないので、可能です、これは。

 任務としてやるのが、供給網内取引における公正な取引に関する法令その他指針の遵守の周知徹底と、供給網内取引における価格形成の実態調査、二を踏まえて、供給網内取引における価格適正を図るための指針の作成なんというのを義務づけて。

 地位、この地位は、特定製造業者が行う事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位にある者をもって充てなければならないこと、特定製造業者は、その選任、解任を経済産業大臣に届け出ねばならないことというのを作ると、多分、私の質問はこれを最後に終わるかもしれないので、是非お願いしたい。やはりここまでやらないと難しいと思うので、是非お願いをしたいということを述べて、そろそろ時間の方はもうすぐ、あるので、じゃ、最後に頭出しだけさせてください。

 先ほど小山先生からあった地熱の話をしようと、次回に綿密にやりますけれども、やはり、去年の十二月のIEAのレポートの中で、地熱についてのポテンシャルは大分言及されているのかなと思っています。

 我が国の地熱の総量、資源は、国別で見ると第三番目だと聞いておりまして、その点についての御答弁、政府参考人からいただければと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国内には、御指摘のとおり、世界第三位となります約二千三百四十七万キロワットの地熱資源があるというふうにされております。これらを活用した地熱発電の開発を進めてきたところでございます。

 その上で、IEAも注目しておりますけれども、新しい方式、技術も世界では進んでおりまして、高温の岩盤に水を循環させて熱を取り出すクローズドループなど、こうした新しい技術、これが実用化できれば、更に日本の地熱ポテンシャルは拡大をする可能性があるというふうにされております。

 今後、早期の実用化に向けて取組を進めてまいりたい、このように考えております。

大島委員 大臣、私も地熱発電について、議連等に入らせていただいて話を聞いていると、これまでは、従来型というのは余りポテンシャルがなかった、やはり熱の塊と水蒸気が出てこないといけないので。ただ、先ほど政府参考人が答弁いただいた内容だと、ループさせればいいので、環境負荷、掘れば掘るほど熱くなりますから、これはチャレンジしてもいいかなと思っていまして、その点については、次回、また詳細に質問をさせてください。まずは価格転嫁対策からお願いします。

 以上です。ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸です。

 本日、質疑の機会をいただきました。委員長、理事、委員の皆様に感謝申し上げながら、質問に入らさせていただきたいと思います。

 武藤大臣におかれては、一緒に経産委員会の理事も務めさせていただいて、当時は、附帯決議を委員会内でまとめる、その役割を我々いただいたということで、与野党の立場で様々御調整を共にさせていただいたことを思い出しますし、お人柄もよく承知しておりますので、是非御活躍いただきたいという思いであります。

 その上で、今回また訪米もされてこられて、大変な役割だと思いますけれども、日本の国益のためにその役割をしっかり果たしていただきたいという思いもお伝えさせていただきながら、私もちょっとこの訪米のことについて伺いたいと思うんですけれども。

 いわゆるトランプ関税と言われているこの問題に対して、日本がその対象から外れればよかったわけでありますが、少なくとも鉄鋼とアルミはそうなっていない、これから自動車がどうなっていくのかということが今注目されているわけであります。二〇一九年の日米首脳会談に反するという指摘もありますし、そもそも関税自体が貿易をゆがめますから、これそのものの考え方がどうなのかとか、様々な論点はありますが、今回もできれば外交努力で回避できるのが一番いいことなんですけれども、ただ、トランプ政権の、トランプ大統領のこれまでの一連の様々な経過を見ていると、そうした理屈とは関係なく、やはりそうした今の関税の路線を貫徹してくる可能性もあるということは、これは想定しなきゃいけないのかな。

 ということを私が思うのは、それは、私自身の地元北海道のエリアは、室蘭、苫小牧とありますが、自動車産業もありますし、アルミ、軽金属も鉄鋼も、それぞれ産業が全てありまして、現実的に起こったときにどれぐらいの影響が出るのか、どれぐらいの打撃が出るのかということは非常に関心も高く、そして、例えば一律に関税が世界にかかれば、ライバルになるのは米国国内の企業ですから、直ちに様々な影響は出ないんじゃないかという意見もあれば、いやいや、大変な影響が出るという、様々な話もあって、現実と向き合っていかなきゃいけない地域でもあるわけであります。

 経産省として、もしいわゆる関税が全て引き上がるということになった場合、日本の国内産業にどんな打撃があるとお考えか、大臣のお考えを伺いたいと思います。

武藤国務大臣 細かいファクトでしたらまた参考人の方から御説明させていただきますけれども、自動車産業そのものでいいますと、先ほども申し上げましたとおり、製造業の二割、雇用においては全産業の一割、設備投資額や研究開発投資額においては製造業の三割という、大変我が国の基幹産業、これはもう間違いないことであると思います。また、鉄鋼、アルミ産業は自動車を始め多岐にわたる製品の基礎材料を提供する立場にある、そういう意味でいうと日本経済の屋台骨となる産業である、これも間違いないことだと思います。

 二月二十五日、私も自動車業界あるいは鉄鋼、アルミ業界との意見交換を実施をさせていただきました。各社の抱えている懸念ですとか、関税措置の除外を求めてほしい旨の要望もいただいた上で、今回訪米をさせていただいて、米国の閣僚に対して直接、鉄鋼、アルミですとか自動車への関税等について、我が国が適用対象となるべきではない旨を申し入れたところであります。残念ですけれども、それにもかかわらず、鉄鋼、アルミ製品に関する関税措置については、去る十二日、そして日本に除外されない形で追加関税の賦課が開始されたことは全く遺憾だということは先ほど申し上げたとおりです。

 自動車は四月十二日でありますけれども、少なくとも、鉄、アルミについても、発動はされていますけれども、関税による我が国産業への具体的な影響、これは措置の詳細等を更にまだ踏まえていかなくてはいけないと思っています。速やかに精査を進めていき、鉄鋼、アルミ産業あるいは自動車産業の重要性を踏まえて、今後米国と協議をしていく中で、我が国を措置の対象から除外するよう、引き続き排除するように申し入れてまいります。

山岡委員 自動車、四月十二日とおっしゃいました。四月二日……(武藤国務大臣「二日」と呼ぶ)二日ですね。

 四月二日までにやはりできる努力は全力で尽くしていただきたいと思いますし、今お話しいただいたように、そうした産業を抱えている地域としては、やはり固唾をのんで見守っているということもお伝えもさせていただきたいと思います。

 その上で、私の地域は、室蘭の町には日本製鉄も高炉を抱えて、そうした地域で働いている方もたくさんおられる地域でもあって、昨年あるいは年始から、いわゆるUSスチールと日本製鉄をめぐる一連の話についても本当に非常に高い関心を持っております。

 ちなみに、今回の会談でUSスチールとの件は議題に上がったんでしょうか、伺いたいと思います。

武藤国務大臣 本件の具体的な計画については、民間の関係者において検討、調整が進められているものと考えております。

 今回、あったかどうかという話ですけれども、外交上のやり取りになるので、議論の詳細についての言及は差し控えさせていただきます。

山岡委員 今回、メインは関税だとは思っているんですが、ただ、これも先日の首脳会談でテーマに上がっていて、今回の議題に上がる上がらないことは大変関心事なんです。

 ちょっとこの話についてもまた深掘りして伺っていきたいんですけれども、二月七日、首脳会談の後、トランプ大統領が、彼らはUSスチールを所有するのではなく多額の投資をすることで合意したんだ、これは非常にエキサイティングなんだということを述べたということが報道になっています。その後の会見でも、過半出資をすることは日本製鉄がないのだということもトランプ大統領が述べているんだということが報道でされているという状況であります。

 他方で、それぞれの国は自由経済を標榜しているわけでありまして、今のお話、民間同士のお話ということもありましたけれども、そもそも、民間の取引の在り方が、政府の合意でその是非が決まる、投資の是非が決まるというのは非常に違和感がある、そうした話でもあるわけであります。

 ちょっと正確な状況を確認したくて、答弁していただきたいんですけれども、USスチールの件に関して、日本と米国政府との間に、合意事項として、具体的な出資割合をこうするのだという議論は首脳会談の中であったんですか、なかったんですか、そのことを伺わせてください。

武藤国務大臣 先般の首脳会談では、具体的な出資割合に関する議論はなかったものと承知をしているところです。

 トランプ大統領と石破総理との間で認識が共有されたことは、本件は、どちらかが一方的な利益を得るような単なる買収ではなく、日本の技術と資金を活用し、米国に大胆な投資を行うことで、米国や世界が求める優れた製品を共に生み出すことであり、日米が共に利益を得る、いわばウィン・ウィンの関係になるものにしようというものであって、具体的な出資比率までは議論されていないと承知をしています。

 今、日本製鉄が検討中のUSスチールへの具体的な投資計画ですけれども、民間の関係者において検討、調整が進められていくものと考えているところであります。

山岡委員 ちょっと更なる問いをさせていただきたいんですけれども、端的に伺いたいんですが、そうすると、トランプ大統領が過半数を持つことがないというようなことを合意したかのような報道がなされていますけれども、そんな合意はないということでよろしいのか、端的にお答えください。

武藤国務大臣 ないと思います。

山岡委員 ありがとうございます。

 非常に、首脳会談でそうした方向が決まったのではないかということも今伝えられている中で、今正確な状況も確認させていただきましたので、民間同士のいろいろな議論がきちんと落ち着いた環境で進むということを強く望むところでもあります。

 日本製鉄が大胆な投資、これが買収というのか、投資というのか、大胆な投資というのか、いろいろ言い方はあると思いますけれども、大胆な投資で、資金的にも技術的にも、大きな設備投資も含めた支援が両国にとってもウィン・ウィンになるんだという今お話がありました。

 室蘭の地域で働いている方々にもたくさん私もお会いしているわけでありますが、もちろん、設備投資の新技術は非常に日本製鉄は世界的にも優れたものを持っておりますが、他方で、やはり、そこで働いている方々も、安全確認とか安全確保の在り方とか、業務の進め方含めて、様々なノウハウがそこには積み上がっているという状況でもあります。

 これは、設備投資、資金的なことというのは直接的ないわゆるハードウェアの支援にもなるんだと思いますけれども、うまく話が進むということがあれば、例えば、業務改善、あるいは効率的な作業の在り方とか、あるいは安全上のいろいろな安全の確保の在り方とか、様々これまで日本国内でも高炉の運用において積み上げてきたノウハウとか、例えば室蘭等も含めて全国に高炉はあるわけでありますけれども、そうした部分の技術の活用というのが非常に大きな役割を果たすんじゃないかと思うわけでありますが、大臣、どうお考えか、ちょっと伺えますでしょうか。

武藤国務大臣 委員から御指摘いただくノウハウの活用等を含め、日本製鉄のUSスチールへの具体的な投資計画、これは民間の関係者において今後とも進めるもの、先ほどからの答弁だと思います。ですから、政府のコメントは控えます。

 一般論で申し上げれば、日本の鉄鋼業が有する高い製品力ですとか生産性は、委員の御地元の室蘭を含めて、各地の製鉄所において培われた技術やノウハウに支えられてきている、これはもう間違いないことでもありますし、日本の鉄鋼業がグローバルに事業活動をしていく上での礎になっているものと認識をしているところではあります。

山岡委員 ありがとうございます。

 大臣からお話しいただきましたけれども、しかし、そうしたノウハウも、やはり少なくとも五一%以上の出資がない中で行えばただの技術流出ということになりますから、なかなかそうはならないわけでありまして、落ち着いた環境でよい形になってほしいということは強く期待しますし、そうしたサポートがどういう形で政府でできるのかというのは、今後、支援の在り方も検討していただきたいんです。

 ただ、今回、仮に期日まで契約がなされなかったら、ちまたで言われているのは、カントリーリスクといいますか、国同士の、あるいは先方の政治的な都合であったとしても、日本製鉄側に違約金が発生するんじゃないかということを言われています。

 経産省は貿易保険等の制度も持っていますが、ただ、MアンドAとかで、こういう契約状況の違約金等に対してカバーしているような仕組みにもなっていないようでありますし、こうした事態が今後、特に今、世界各国で、国の孤立主義といいますか、そうした議論が、自分の国が一番だという主義が台頭していく中で、こういう契約がひっくり返されていくような話があると、国際的なMアンドAというのを検討することに大分及び腰になるんじゃないかという懸念もあるわけであります。

 今回の件も、極めて理不尽であり、仮に違約金が発生するという状況になるのであれば、やはり政府として何らか支援を考えるべきじゃないかということを思うわけですが、大臣、御見解をいただきたいと思います。

武藤国務大臣 違約金の御質問だと思いますけれども、日本製鉄とUSスチールの間の契約で定められているものと理解をしているところです。その妥当性について、契約当事者ではない日本政府がコメントすることは適当ではないというふうに考えているところで、なお、日本製鉄が検討中のUSスチールへの具体的な投資計画については、先ほども申し上げているとおり、民間の関係者において検討、調整中と理解しています。

 その上で、一般的な話ですけれども、国を越えた企業間取引において、相手国政府が政治的に介入し、取引が困難になるということは、両国間の緊密なパートナーシップの維持強化という点でも、ビジネスの予見可能性という点でも望ましくないところは先生おっしゃられるとおりです。

 仮にそのような事態が生じた場合には、必要に応じて事業者間の意思疎通の促進に努めるなど、政府としても対応していくことが重要と考えているところです。

山岡委員 こうした事態が頻繁に起こってほしくないわけでありますけれども、ただ、今後、こうしたことがまた起こり得る時代になったということも踏まえて、いろいろ事態の進捗を見ながらこの委員会でも取り上げていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 今日は、公正取引委員会古谷委員長にもお越しいただいております。

 ちょっと話は大きく変わって、今国会で、三月十一日に公正取引委員会として国会に閣議決定で提出された下請法についても伺いたいと思います。

 公正取引委員会では、ずっと、中小企業の労務費を含めた価格転嫁、その指針をまとめていただいたりとか、とにかく、労務費の賃上げのための交渉、これを非常に進めやすくするためのそうした取組に力を入れてきていただいているものだと思います。

 今回の下請法も、まさに会社の優越的な関係を使った一方的なそういう決定を認められないよという中身が含まれると思うんですけれども、今、この三月はまさに春闘が行われているシーズンなんですけれども、やはり、日本の商慣習として、賃上げの大きなタイミングというのは春闘であるということは押さえておかなきゃいけない事実なんですけれども、今回公取の皆様が議会に提案したいわゆるこの下請法は春闘の賃金交渉にどんな効果が期待できると思われるか、委員長の御見解を伺いたいと思います。

古谷政府特別補佐人 お答えをいたします。

 公正取引委員会では、取引の適正化という観点から、円滑な価格転嫁を促す取組をいろいろしてきておるわけですけれども、中小企業の皆さん含めて持続的な賃上げを進めるためには、やはり価格転嫁というのは大事だと思っております。

 そういう観点から、今回、御指摘もありましたけれども、物価上昇局面でのコスト上昇分の円滑な価格転嫁を進めるということで、受注者サイドから価格の引上げを求めたにもかかわらず、発注者側がその協議に応じることなく一方的に価格を決定することを新たな禁止類型として定めたいという改正案をお願いをいたしております。

 こうした新しい禁止類型も踏まえて、取引上の立場の弱い中小の受注者の皆さんが価格交渉がしやすくなって、賃上げ原資が確保されるということを期待しておるわけですけれども、下請法は規制法でございますので、下請法の運用と、今御指摘があった労務費指針など、これも引き続き強力に周知徹底することなどを通じて、価格転嫁が行われやすい取引環境をつくっていきたいというふうに思っております。

山岡委員 今回の法案、施行は、もし議会で成立したら、一年後となっているわけでありますけれども、一年後ということは、どう考えても来年の春闘以降の話になっちゃうと思うんですけれども、春闘に間に合わせないと効果がやはりまたそれは半減するんじゃないかということを思うわけでありますが、これは施行を早めていただくこと、早めるべきじゃないかと思うんですが、委員長、いかがですか。

古谷政府特別補佐人 今、下請法は規制法ですと申し上げましたけれども、今回、いろいろな禁止事項や規制対象の拡大といった形で、ある意味で発注者側に新たな負担を求めるような法案にもなっておりまして、そういう意味では、政令とか規則とか運用基準など下位法令も整備した上で、取引関係者にきちんと周知徹底をし、そのための広報もしていく、そういう施行準備が必要な法律だと思っております。

 そういうことも踏まえて、提案しております改正法案の中では、施行期日については、御指摘がありましたように、公布の日から起算して一年以内の日というふうにいたしております。

 春闘との関係が今御指摘がございましたけれども、これはまだこれから法案を審議していただく段階ですので、私どもからは是非法案の審議を進めていただきたいということをお願いする立場でございますけれども、仮に本法案が可決、成立いたしましたならば、今御指摘の点も踏まえて、先ほど申し上げましたような施行準備の作業、これはスピーディーにやっていかなければいけない、そういう認識は持っております。

山岡委員 国会での審議がこれからありますけれども、非常に連合という労働団体もこの法案の制定にはかなりコミットもしてきたということも聞いておりまして、春闘に効果があるような形になってほしいという思いも持っていますので、どういう形でまた進めるべきか、議会でのこれから本格的な審議の中でも様々申し上げていきたいと思っております。

 今日は、国交省さん、いらっしゃっております。航空局の皆様に来ていただいています。

 春闘までに間に合わせなきゃいけないという話、様々な業種で多くの課題がある中で、公取さんの下請法のみならず、いわゆる業界ごとのガイドラインも作っていただいて、そして適正取引をやっているという状況もあるわけでありますけれども、このガイドラインが全ての業種にそろっていないということもまだまだ課題はあるんだと思っております。

 そのうちの一つに、いわゆる空港の地上の職員の方々、空港ハンドリング業務と言われているそうした方々、旅客対応、私たちをお客さんとして迎えてくださる方が一番分かりやすいですけれども、それ以外にも、貨物であったりとか、あるいは航空機の誘導で、ランプハンドリングというそうですが、それぞれ専門性の高い人たちが活躍している世界ではあるんですけれども、こちらも多重下請構造で、三次、四次委託が非常に多い。

 なかなか働く立場の人たちの処遇が改善しない中で、一方で政府は二〇三〇年にインバウンド六千万人といって、支える現場の人たちの環境が整わないとそうした政策ももたなくなるんじゃないかと言われている中で、今、いわゆる働く立場の、労働組合でいえば航空連合の皆さんが一月三十日に、公正取引委員会や中小企業庁もそうですが、国交省の航空局にも何とかまずガイドラインだけでも作るべきだということを申入れに行き、これは策定の方向で検討していただいているんだということは聞いておりますが、ただ、これは春闘に間に合わせなきゃ意味がないんじゃないかと思うんですけれども、このガイドラインの作成もやはりきちんと早くしていただきたいと思いますが、今、考えを伺えますでしょうか。

秋田政府参考人 お答えをさせていただきます。

 空港グランドハンドリング業務につきましては、令和五年六月の有識者会議におきまして、多重委託構造の見直し等により、業界において適正な企業間取引が行われることが重要である、こういった旨の取りまとめがされているところでございます。

 これを受けまして、国土交通省といたしましては、適正取引等推進のためのガイドラインが策定されておられます他の業種の例も参考にしつつ、空港グランドハンドリング業務でのガイドライン策定に向けた準備を現在進めているというところでございます。

 今後、労働組合を代表する方を含みます官民の関係者による検討の枠組みを設けたいと思っております。それとともに、ただいま委員からいただいたこの早期策定の必要性につきましても、官民の関係者とよく共有をさせていただきまして、議論をこれから深めさせていただきたい、このように考えておるところでございます。(山岡委員「春闘までにという話」と呼ぶ)これから委員会を立ち上げて、よく御相談をさせていただきまして、委員から御指摘いただいた春闘に向けてということもよく共有させていただいた上で議論を深めていきたい、このように考えているところでございます。

山岡委員 これは本当に、この機会を逃すとまた更に一年後、二〇三〇年が目前に迫っている中で、来年の春闘、今、春闘も念頭に置くという趣旨の話もいただきましたけれども、これは非常に重要なので、労働団体の話も聞きながらやるんだという話は重要な視点だと思いますが、これはスピード感を持って対応していただきたいということを重ねてお伝えをしたいと思います。

 今お話にもありましたけれども、労働団体は、何とか作ってほしいということで、自分たちでガイドラインの案まで作って持ち込んでいるということは御存じのとおりだと思うんですね。そうした中身も、ちょっと更問いになりますけれども、十分に話を聞いていただいて進めていただけるということでよろしいでしょうか。簡単に答弁してください。

秋田政府参考人 委員から御指摘いただきましたとおり、ガイドラインの策定に当たりましては、労働組合の方のお話も伺いながら、策定に向けた議論をスピード感を持って進めてまいりたい、このように考えております。

山岡委員 スピード感を持ってというお話も改めていただきましたので、是非、期待もしておりますし、また、進捗も確認させていただければということを思っております。

 済みません、またテーマが少し変わりますが、大臣に伺いたいと思います。

 二月二十一日になりますけれども、いわゆるCCS事業法、昨年の国会で様々大きな議論もありましたけれども、そのいわゆるCCSの実施の可能性のあるエリアとして特定区域の指定というのがあるわけでありますけれども、全国の最初の指定の場所として苫小牧を認定していただいたということであります。

 私も、苫小牧は地元でありますから、今回、この経済産業委員会、これまでもCCSについて再三この必要性、重要性もいろいろ議題に上げさせていただいてきて、私たちの地域で先行的な実証事例もやってきている中で、脱炭素の様々な鍵を握るCCSという事業が地域としてもやはり大きな役割を果たしていくということもお伝えしてきた中で、こうした場所に指定していただいたということは、更に前向きに私たちとしても今後の議論を進めていきたいという思いを新たにするわけであります。

 経済産業省主導の国家プロジェクトということになりますから、是非プロジェクトの成功に向けて進めていただきたいということを強く思うわけでありますけれども、大臣として、これまで、担当課の刀禰課長が地元に来ていただいて、脱炭素の切り札になるんですという話もこの間講演もいただいたりとかして、様々御見解はいただいているんですけれども、この委員会の場でありますので、大臣に、CCSの苫小牧地区の選定と、地域にどんな期待を寄せているかということ、御見解をいただければと思います。

武藤国務大臣 CCSは、もう御承知のとおりで、これまで苫小牧で大規模実証試験を実施してきまして、私も、七年前だったかな、副大臣のときに何とか苫小牧もちょっと伺いたいなと思ったんですけれども、残念でした、伺わさせていただいていないんですけれども、今委員おっしゃられたように、特定区域の第一号として、北海道の苫小牧市沖の一部区域を指定したところであります。これにより、当該区域において、本格的なCCS事業に向けた試掘の許可申請を行うことができるようになりました。

 苫小牧でのCCSの事業化の検討が進むことで、CCSを活用した新たな産業の創出が地域において進むことを期待しているところであります。

山岡委員 この間、地域でCCSという事業をやっていく中で、やはり海の関係の皆様、陸上から斜めに海に向かって穴を掘って、その下にCCSとして二酸化炭素を埋めるという事業ですから、特に漁協の皆様とか、本当に大きな理解もあって、とりわけ物づくり産業の分野の人たちではないですから、直接的な利益があるのかといえば、そうじゃない中で協力してきたという経過もありますし、あるいは、苫小牧市の方も様々な形で広報啓発もしてきて、苫小牧市では昨年十二月に金沢さんという新しい若い市長も誕生したという状況でもあります。

 大きな期待も持っていただいているということであれば、先ほどなかなか来るチャンスもなかったというお話もありましたけれども、大臣として、このCCSの事業、特定区域として選ばれた地域が苫小牧でありますから、是非足を運んでいただきたいという思いであります。なかなか国会審議が忙しいですから、六月でも七月でも、国会が終わった後でも、あるいは後段余裕ができたらでも構いませんが、是非苫小牧に足を運んでいただいて、そうした関係者と十分にコミュニケーションを取っていただきたいと思いますが、大臣にお伺いしたいと思います。

武藤国務大臣 苫小牧でのCCSの大規模実証試験、これは地域の漁業者の皆様に御理解と御協力をいただきながら実施してきております。地域の漁業者の皆様には心よりこの場をかりて感謝を申し上げたいと思います。

 今後、本格的に事業を進めるに当たっては、地域の漁業者の皆様と丁寧なコミュニケーションを図りながら、立地による地域への経済効果などを説明してまいります。また、CCS事業法に基づく措置を通じて、安全に事業が実施されるよう取り組んでまいります。

 委員からお話がありました。機会があればお邪魔させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

山岡委員 機会があればといいますか、所管のプロジェクトですから、是非、じゃ、この日、この辺りで来てくださいよと私言いますから、そうしたら、よろしいですか。大臣、もう一回、じゃ、足を運んでいただけるかどうかの部分の決意をお願いします。

武藤国務大臣 国会がお許しいただけるならば伺います。

山岡委員 そうです。ラピダスも四月からまたパイロットラインが始まるということもありますし、いろいろありますので、是非来ていただけるように私たちもまた期待しておりますので、そうしたこともお伝えさせていただきながら、質問を終わらせたいと思います。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次回は、来る十九日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十七分散会


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