第9号 令和7年4月11日(金曜日)
令和七年四月十一日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 宮崎 政久君
理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君
理事 山下 貴司君 理事 荒井 優君
理事 山岡 達丸君 理事 山崎 誠君
理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君
岩田 和親君 鬼木 誠君
勝目 康君 小池 正昭君
坂本竜太郎君 佐々木 紀君
島田 智明君 鈴木 英敬君
関 芳弘君 世耕 弘成君
西村 康稔君 深澤 陽一君
細野 豪志君 松本 洋平君
宮内 秀樹君 向山 淳君
森下 千里君 簗 和生君
東 克哉君 大島 敦君
岡田 克也君 落合 貴之君
小山 展弘君 鈴木 岳幸君
田嶋 要君 福森和歌子君
吉田はるみ君 東 徹君
村上 智信君 岡野 純子君
平岩 征樹君 福重 隆浩君
山口 良治君 佐原 若子君
辰巳孝太郎君 吉良 州司君
…………………………………
経済産業大臣 武藤 容治君
国務大臣 伊東 良孝君
文部科学副大臣 武部 新君
農林水産副大臣 笹川 博義君
経済産業副大臣 大串 正樹君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府特別補佐人
(公正取引委員会委員長) 古谷 一之君
政府特別補佐人
(原子力規制委員会委員長) 山中 伸介君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 塩崎 正晴君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 新田 一郎君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 清浦 隆君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉田 修君
政府参考人
(農林水産省大臣官房参事官) 萩原 英樹君
政府参考人
(経済産業省大臣官房長) 片岡宏一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 南 亮君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 河野 太志君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 依田 学君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 浦田 秀行君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 奥家 敏和君
政府参考人
(経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長) 辻本 圭助君
政府参考人
(経済産業省イノベーション・環境局長) 菊川 人吾君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官) 茂木 正君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官) 木原 晋一君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
参考人
(原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長) 山名 元君
参考人
(東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長) 山口 裕之君
経済産業委員会専門員 花島 克臣君
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委員の異動
四月十一日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 勝目 康君
西村 康稔君 佐々木 紀君
向山 淳君 森下 千里君
同日
辞任 補欠選任
勝目 康君 深澤 陽一君
佐々木 紀君 簗 和生君
森下 千里君 向山 淳君
同日
辞任 補欠選任
深澤 陽一君 岩田 和親君
簗 和生君 西村 康稔君
―――――――――――――
四月十一日
下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)
経済産業の基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
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○宮崎委員長 これより会議を開きます。
経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、参考人として原子力損害賠償・廃炉等支援機構理事長山名元君及び東京電力ホールディングス株式会社代表執行役副社長山口裕之君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、経済産業省大臣官房長片岡宏一郎君外二十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小泉進次郎君。
○小泉(進)委員 おはようございます。
本日もよろしくお願いいたします。
大臣、今、毎日、トランプ大統領の発言がどうなるか、どう変わるか、夜も、そして起きたときも、経産省の皆さん、本当に大変な状況だと思います。
そういった中で、何とかその影響を、悪影響を最小限にとどめるために何をすべきかということで、経産省は今、全国に一千か所の相談窓口を設けました。まだ相談窓口を設置してからそんなに時間はたっておりませんが、現時点で何件、そしてどのような声が寄せられているでしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
今般の関税措置を受けまして、経済産業省では米国関税対策本部を立ち上げまして、国内産業への影響の精査、国内産業や雇用を守るために必要な対応の検討を進めております。
委員御指摘の相談窓口の設置、ジェトロには二月に設置されておりますが、それに加えて、特別相談窓口を設置しております。これは短期の支援策の柱の一つでありますが、ジェトロも含めて約千か所の窓口において事業者からの相談にきめ細かく対応してきたところ、四月九日時点で合計一千百五十三件の問合せを受けております。
その相談の多くは、自社の製品に適用される関税率など今回の関税措置の詳細に関する問合せ、また一部には、将来仮に発注が減少した場合の資金繰りや雇用維持への不安が大きい、設備投資など前向きな取組を応援してほしい、そういった意見もございます。
今後とも、この相談窓口における相談内容も踏まえまして、追加の対応を検討していきたいと考えております。
○小泉(進)委員 ありがとうございます。
千百五十三件で、中身を今お答えいただきましたけれども、もしあれば、例えば地域分布、こういったことというのは把握されていますか。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
詳細は私の手元にございませんが、特に先ほど申しました制度の詳細、これはやはりジェトロに問合せが多く、今のところ来ております。
○小泉(進)委員 今、地域分布をお尋ねした理由の一つは、やはり、今回、九十日間の相互関税の停止とはいいつつも、実は自動車関税についてはそのままなんですよね。ですので、今、この九十日間停止のままで一番あおりを受けている、全く状況に好転材料がない、これは自動車産業です。なので、地域的に、自動車産業の集積が見られる地域は、相当これからの先行きに不安を覚えていると思うんです。
そこで、経産副大臣の古賀副大臣がこの前群馬県に行かれて、SUBARUの皆さんと意見交換をされたと聞きました。SUBARUは、聞くところによれば、アメリカに日本から約七割輸出をしている。直撃ですよね、打撃が。
今日は古賀副大臣はほかの公務があって委員会には来られませんが、まず、そこの、SUBARUとの意見交換においてどんな声があったか、御紹介いただけますか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
米国の関税措置の影響を把握するために、プッシュ型で、事業者の方々の声を直接お聞きしていくことをしております。
その一環で、先ほど委員からありました古賀副大臣に加えまして加藤政務官が自動車産業が集積する地域に赴き、中小サプライヤーなどの現場の声をお伺いすることとしており、今週七日には古賀経済産業副大臣が群馬に、十日には加藤経産大臣政務官が広島に訪問いたしました。
私もどちらの現場にも行きましたけれども、現場での意見交換の中では、今後の見通しの不透明さに対する不安、仮に今後発注が減少した場合の資金繰りや雇用維持に関する政府の支援への期待、さらには前向きな事業強化に向けた応援の要望、そういった様々な声をお伺いいたしました。
今後もプッシュ型で影響把握を切れ目なく続けていきたいと考えております。
○小泉(進)委員 今日は笹川農水副大臣に来ていただいているんですが、笹川副大臣には米について触れることでお呼びをしたんですけれども、その前に、笹川副大臣、御地元はまさにSUBARUですから、今現場で最も様々な声を聞ける立場にもあると思うんですね。どのようなお声を現場で伺っていますか。
○笹川副大臣 所管外のことをお答えするのはいかがと思いますが、今委員から御指摘がありました、地元の声というものを代わってお伝えするならば、先ほど答弁の中にありましたが、七日に経産の副大臣を早速に派遣していただきまして、大臣にも感謝申し上げたいと思います。同時にまた、九日の日にも、党の小野寺政調会長を含めて経産省の方もおいでになって、SUBARUの大崎社長、それからサプライヤー六社からのヒアリングということでございました。
いずれにいたしましても、今資金繰りの話もありました。それから、雇用をどう確保していくかということもありました。しかし、一番大きいことは先行きの不透明感だというふうに思います。仕事をしている中で、先行きの不透明感の中で仕事をしていくということは物すごく困難なことだというふうに思います。そういった、これは経営者だけではありません、働いている人たちにとっても我が社がどうなるんだろうかということもあります。
そういったことにやはり寄り添うために政府として全力を挙げてほしいということの声が多かったというふうに思いますし、この雇用の問題につきましては、現況であるならば、いわゆる外国人材の活用ということについても心配の声が上がったことは事実でありますので、是非、そういった意味では、相互関税が九十日間という話があって、何となくほっとした声というか雰囲気もないわけじゃありませんが、しかし、現実とすれば、自動車はもう二五%が発動中でありますので、そういった現場の危機感というものは今までもう想定以上の危機感を感じていると思っていただければというふうにありますし、そういう声が寄せられているということでありますし、反面、ちょっとあれでございますが、いわゆる農業の現場においても、違った意味でのやはり緊張感と、同時にまた不安感もあるということ、それはやはり、自動車のために農業がと、こういうことの心配の声もあるということはつけ加えさせていただきたいというふうに思います。
○小泉(進)委員 さすが、中小企業の経営者出身の笹川副大臣の御答弁だったと思います。
やはり、一番解消しなければいけないのは、いろいろなことはあるけれども、先行きの見通しをどうやって明るくするか、そして、なかなか、これは相手があることですから日本だけがどうできるという問題だけではないですが、そこに安心感を届けられるような対応策が必要だと思います。
そこで、武藤大臣、今笹川副大臣からお話があったように、九十日間停止というのが、あたかも全ての関税が九十日間停止というふうな見方をされている方もいるかもしれませんが全く違いまして、自動車に関する関税は二五%のまま、停止されずであります。今、自動車産業、裾野が広い産業です。日本にとっても極めて重要な産業です。ここに向けてどのような対応策を講じることを今検討中ですか。お答えいただければと思います。
○武藤国務大臣 先ほど事務方からお話がございましたように、一千か所、すぐ窓口をつくりました。また、ジェトロの方はもっと早くて、鉄、アルミが発動された三月につくられておりますけれども、今おっしゃられた千五百何十件というものの七割から八割は大体ジェトロの方に集約している情報だというふうに聞いています。そこは、これからどうなるんですか、この関税って一体どうなるんですかというのが主体のお話だというふうに承知しています。
今委員がおっしゃられたように、自動車、これは二三二条の関係ですから、もうそのままずっと出されている。ここもそもそも論の話で、アメリカと日本のバランスが悪いじゃないかといって、トランプ大統領がおっしゃった結果でありますので、我々としては、これを何としてでも死守しなきゃいけない。取りあえず、今回赤澤大臣が一応アメリカとのカウンターパートになりました。私は一応国内産業中心になるんだと思いますけれども、製造業そして自動車産業等々をどうやって、これをこれからも支援をしながら、しっかりとした産業としてこれを位置づけなきゃいけない。
実を言うと、火曜日の日に、加藤政務官だったり古賀副大臣が行っていますけれども、私の方は自動車関係の業界の方、第二回目なんですけれども、業界の話を聞こうということで、経産省に来ていただきました。各社長さんたちの話を聞いても、実を言うと、私はその場では、何とか皆さん、今年、価格転嫁等をしっかりやっていただいて、何とか賃上げを上げてくださいというのがそもそも論の、そこの場でありました。その中で、関税の問題についても、皆さんからも御意見を賜りました。しっかりと先行き、本当に皆さんがやはり心配をされています。それぞれ、メーカーさんによって、すぐ対応できるところ、また、SUBARUさんや又はマツダさんもそうなんだと思いますけれども、輸出が主体になっているところ、これは微妙に差はあるんですけれども、それぞれの対応を承りながら、早急にちょっとまとめていきたいというふうに思っています。
ということで、今日も、これは余り言っちゃいけないのかもしれませんけれども、第二回目の対策会議をやりますし、各局長からも、全国の局長からもその辺の情報を収集しながら、対策を早めに、皆さんにもまた御意見をいただきたいと思います。そのような形で今進めさせていただいています。
○小泉(進)委員 ありがとうございます。
早急に対応するということで、今日二回目の会合もやるということですから、しっかりと届けていただきたい、そして、安心感をしっかり現場に提供できるような対応策を実現していただきたいと思います。
そして、今こういう状況ですと、毎日どう動く状況か分かりませんので、私は安易にカードを切るべきではないと思っています、どうなるか分からない状況では。
それで、先ほど笹川副大臣が、最後の方で非常に配慮された表現をされました。農業現場には、反面、別の不安があると。あれは、やはり自動車というものを守るために米がどうなるんだという、歴史的にいろいろ見た場合に、思いを持つのはよく分かります。
その米について、アメリカは、トランプ大統領自身も報道官も、度々米の関税七〇〇%と言い続けているんですよね。これに対しては、どうやって正しい情報をインプットするかという声もあるんですけれども、私はそう思っておいてもらった方がいいんじゃないかと思うんです、七〇〇%と思うんだったら、そのままでと。実際違うんですから。そう思ってくれていた方が下り幅があるじゃないですか。
それで、実際、じゃ、今何%なんですか。
○笹川副大臣 委員の御指摘も受け止めさせていただきます。同時にまた、米国政府の発言について、我々が承知もしていますし、また一々反応するものでもないというふうに思っておりますし、大臣からは、農水委員会の委員会の中での発言ということも、議事録の中では確認できるわけでございます。
同時にまた、委員から何%というようなお話でございましたが、実際のところは、MA米につきましては、関税は無税でございます。そのほかについては、一キロ三百四十一円といういわゆる重量税、そういう形での関税ということでありますので、パーセンテージで表記をしているわけではございませんので、これを答弁とさせていただきます。
○小泉(進)委員 ミニマムアクセス米がゼロ、そして一キロ当たり三百四十一円、これを換算すると、報道では大体二〇〇%台ということになりますが、七〇〇%と思ってもらっているんだったら、それも一つの発想として、今後交渉で是非向き合っていただきたいと思っているんです。
そして、そこで、私は忘れてもらいたくないのは、農業だけではなくて、水産のこともそうです。今私は自民党の水産調査会長をやっていますが、実は、アメリカは日本との貿易赤字、これを問題視していますが、農林水産物に限って言うと、アメリカは日本にとって最大の輸入相手国なんですね。つまり、日本が、この農林水産物に限って言えば、日本が大幅な貿易赤字なんです。
今、日本で、私も農林部会長も笹川副大臣とともに党内でやっていましたけれども、あのときからずっと日本が力を入れたのは、とにかく輸出ですよね。アメリカに米を輸出したい。そして、今水産でいえば、ブリが物すごい好調なんですよ、アメリカへの輸出が。ホタテもそうです。中国が禁輸をしましたから、これはアメリカにむしろ販路を直接開拓をしようということで、経産省だって支援をしてくれて、今までだったら、殻をむく中国に出してから、中国からアメリカへというルートが変わってきて、頑張ってきた。
しかし、これでアメリカの関税が高くなるということで、農林水産業界の中での不安は、関税の問題、日本が自動車と米という関係で何かディールをするんじゃないかという現場の不安だけではなくて、この頑張ってきた輸出というものがどうなるのかという先行きの不安もあると思うので、是非、水産も含めた、農林水産物に限って言えば日本が貿易赤字国なんだ、これを武藤大臣、そして農林水産の江藤大臣、笹川副大臣、また、担当される赤澤大臣が共有をした上で、私はカードを早く切るべきじゃないとは思いますが、交渉の中でいかなる状況にあっても適切に対応できる準備だけはしっかり進めていただきたいと思います。
そこで、トランプ関税対策の中の一つに、最後に触れたいのは、アラスカなんです。このアラスカのLNGについては今までいろいろ言われていますが、まず、その事業自体そもそも何なのか、具体的なところが余りまだ共有されていない気もします。
そこで、まず、経産省から、このアラスカLNG事業というものはどういったものか、まず基本的なところを説明してください。
○和久田政府参考人 お答え申し上げます。
アラスカのLNGプロジェクトでございますけれども、これは、アラスカ州の北部の既存のガス田から南部に向けて、新たに約千三百キロに及ぶガスパイプラインを敷設をいたしまして、南部で年間最大二千万トンの液化天然ガスを生産、輸出する計画のプロジェクトであるというふうに認識をしてございます。
○小泉(進)委員 そのアラスカのLNGについてはどのように評価をしていますか。
○和久田政府参考人 お答えを申し上げます。
まず、アラスカの今申し上げたLNGプロジェクトでございますけれども、これは、アラスカのガス開発公社の公表によりますと、パイプライン事業につきましては、二〇二五年の最終投資決定が期待されているというふうに承知をしてございます。
このプロジェクトにつきましては、先ほども申し上げましたように、千三百キロのパイプラインを敷設するということでございますので、その建設動向など、詳細について米国関係者からよく状況を伺う必要があるというふうに考えてございます。
○小泉(進)委員 いろいろ課題があると思うんですけれども、リスクもあるということは私も承知をしています。一方で、難しいからこそ、カードの一つにはなるという発想もあると思っています。
三月の二十日、先月、台湾の台湾中油という会社は、アラスカ・ガス開発公社との間でLOIに署名をしたと聞いています。これについてはどのように評価をしていますか。
○和久田政府参考人 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、台湾中油、CPCと呼ばれておりますけれども、三月二十日にアラスカ州の公営企業と液化天然ガスの開発、購入に向けた基本合意書を結んだという報道については認識をしてございます。
これは一般論でございますけれども、プロジェクトにつきましては、単独の企業が参画するよりは、プロジェクトに参加する企業がやはり増加した方がプロジェクトの成立には寄与するというような評価はしてございます。
○小泉(進)委員 台湾のやっていることをそのまま日本がやればいいということではないとは思っています。ただ一方で、可能な範囲で、この取組が進んでいることをどう見せるかという、こういった発想は大事なことではないかなと思います。
今、多くの国がアメリカとのディールに乗り出していて、アメリカ側からも、発表としては、六、七十か国が今アメリカと話をしたいと言っていると。
その中で、例えば、ベトナムは、対米関税をゼロにするというふうに表明をした上で、詳細を見ると、戦闘機買いますとか、中には、トランプ大統領の個人的な会社のゴルフ場も造ります、こういったところまで言っているんですよ、公の発表ですけれども。相当様々なことを言いながら、しかし、現実はまだどの国もディールが成立していないということであります。しかも、そのディールをする側の発言はころころ変わります。だから、私は、こういう状況の中で安易にカードを切るべきではないというふうに思っているんです。
ただ一方で、このアラスカについては、ベッセント財務長官も、トランプ大統領も、何度も言及していることは事実でありますし、もしも日本にとってもプラスなことがあるのであれば、私は考える材料になるんだろうと思います。日本にとってアラスカがどういう州なのかというのは、ふだん余り我々は考えることはありませんが、アメリカにとってはアラスカは軍事戦略上の要衝であることはよく分かります。
実は、去年十二月に、ハドソン研究所、アメリカのシンクタンクですが、そこでアラスカの戦略的な重要性ということに対するイベントが開催されて、ダン・サリバン、そしてケン・ワインスタイン、これは元駐日大使でもありますけれども、が出席をされました。そこで指摘されているのは三点です。一つは、アメリカにとってアラスカはミサイル防衛の要で、アメリカを保護する主要なレーダーシステムはアラスカにあるということ。二つ目は、インド太平洋地域と北極圏の航空戦力のハブであること。三つ目、北半球のどこでも六時間から七時間以内に行ける地理的重要性を有すること。
このアラスカのアメリカにとっての戦略的な意義を正しく理解できていないと、単純に、経済合理性とかこういったエネルギー政策というだけで、またディールというカードの一つだけで捉えるのは、私は誤ると思います。
ですので、日本から見ても、アラスカのLNGは、地理的な近接性もありますし、地政学的なリスクに対応できる可能性のある一つの場所だと。仮に、南シナ海で、今軍事拠点化を中国がやっていますけれども、そこで何かあったときにも、別のルートを持っておく、これは日本のエネルギー安全保障上の悲願の一つでもあると思いますし、将来の北極海航路も、これが開けてくるというような未来も含めて、このアラスカに日本の足跡を残す、また持っている、こういったことの意義というのは私はやはりあると思います。
今、台湾やタイそして韓国は、アメリカとのディールのためにアラスカLNGを購入することを考えているんだろうと、様々な情報から思います。別の視点に立てば、多くの国が中国との貿易量を増やしつつある中で、他方で、トランプ政権下においては、アメリカがこのインド太平洋地域から引いていくのではないかという懸念があるときに、トランプ大統領はビジネスが頭の中にあるかもしれませんが、日本はむしろ逆手に取って、アメリカのLNGを通じたインド太平洋地域の経済的依存の関係を構築をしていく、そして、我が国の安全保障の観点からもプラスの関係をつくっていく、こういった発想から、アラスカLNGを単なるガス案件というふうに考えないで、アメリカにとっての意義、日本にとっての意義、そしてインド太平洋地域にとっての意義という観点から総合的に考えてみる必要があると思います。
事務方の立場はいろいろあると思いますが、こういった大きな案件は最後は政治だと思います。武藤大臣、これは武藤大臣の思いとリーダーシップが非常に重要だと思いますので、この案件について一言いただければと思います。
○武藤国務大臣 なかなか一言で終わらない話なんでございますが。
この話を最初ちらっと聞いたときに、私どもエネルギーをやっている立場からいうと、LNGの貴重性というのは、まさに先生も御承知だと思いますけれども、日本のエネルギーをこれからやっていくという形では、いわゆる長契とよく言っていますけれども、長期契約で何とか安定したものを入れなきゃいけないという一つの枠組みもあるのも御承知かと思います。
アラスカというのは日本に案外近いから、これは早く持ってこれるということになればコストも安いだろうという話じゃないのという話で、最初僕は感じたところなんです。ただ、いろいろと、これも正直いろいろなメーカーさんからも聞きましたけれども、状況的に、前も一回検討されたこともあり、そして、その工事の難しさ、そして時間のかかる工数の今の日程感、要は、コストが合うかどうかです。確かに日本に早く来れるかもしれないけれども、工事そのものが物すごいお金がかかったり、あるいは液化にするプラントでまたお金がかかったりという等々で、これは、正直申し上げて、そういう意味ではちょっと厳しいところもあるなと。
これは誰が言っているのと言ったら、トランプが言っているというので、そういう意味では、非常に、私どもとしても、カードの一つとしてはあり得るかもしれないけれども、そんなことをしているうちに台湾の話が出てきたり韓国の話が出てきたんです。私も、韓国の安徳根だったかな、商務長官というか、この前、私のカウンターパートとソウルで会いましたけれども、いや、そんなことはないと。台湾がちょっと先行しているのは事実かもしれません。ただ、MOUの中身も何も大したことはない。いわゆる本当のちょっとしたきっかけをつくるというのが台湾のやり方かもしれません。
そういう中で、日本としてこれはどう考えるんだというのは、先ほど来申し上げているとおり、何が本当にこれがメリットになるのか、何が必要なのか、そういう総体的な中で、これも一つのものとして考えるべきだろうというのが私の考え方であります。
先生おっしゃっている地政的な面、これは多分、相当強いものがあるんだと思います。今、北極海というものが非常に注目を浴びる中で、我々としても、そういう意味では、また外務省、それなりのところと連携をしながら、その辺については考えていかなきゃいけない話だろうと思っています。
○小泉(進)委員 御丁寧なお答え、ありがとうございました。
確かに、工事が難しいとか、そして、台湾のMOUを見ても、余り書いてないと。でも、私は、そこもポイントだと思っているんです。トランプ大統領が恐らく文書をそんなに読むと思えませんから、ああ、合意したんだな、いい相手だなと。日本は余りに真面目過ぎて、相手が読まないものを幾ら頑張ったってしようがないですから。このどう見えるか。そして、どの国もそうですけれども、相手にも任期というものがありますから、難しい工事はそんなにすぐできませんよ。
余りこれ以上言いませんけれども、そういったことも考えると、戦略的な見せ方ということだって、なかなか日本の官僚が一番苦手な部分ですけれども、中身にこだわっちゃいますから。まさにそれを、そうじゃないぞ、今回、相手に見せなきゃいけないのはそこじゃないぞ、こういう政治のリーダーシップ、かじ取りがまさに不可欠な局面だと思いますので、是非、武藤大臣におかれましては、赤澤大臣とともに頑張っていただきたいと思います。
最後に、一点だけ、前回の質問をさせていただいたときの案件で、これは、今、私が中小企業の関係とか地方創生に資する自民党の中でプロジェクトチームをやっていることで、地方の自治体とそして国の発注する仕事をしている皆さんが安値で仕事を受けている、今の民間に対して、価格転嫁をお願いします、賃上げをお願いしますという世界と全く真逆で、この世界を何とかしない限り、日本の地方創生や経済回復はあり得ないという問題意識で、官公需の問題を前回質問させていただいて、そのときの大臣答弁が、まず隗より始めよだ、そのとおりだと力強いお言葉をいただきました。
しかし、昨日、自民党でまたいろいろな団体の皆さんからもヒアリングを受けたときに、ある団体からは、幾つかの自治体の具体的な名前を挙げられて、最低賃金の改定に伴う価格交渉を門前払いされた、そういう訴えもありました。これを今、民間の世界でやったら、公取が出ますからね。これが今の起きていることなんですよ。民間で、賃上げしてください、価格転嫁してください、自治体、国は全く逆ですから。
だから、武藤大臣が、まず隗より始めよだと、本当にそのとおりなんです。ですので、この隗より始めよということを具体的にやっていただくためには、総務省、厚労省や環境省などが通知を出していますが、通知を出したということの答弁の中で、それで終わって、自治体で的確に執行されているかというところのフォローアップまではできていない。そのフォローアップをちゃんとやっていただきたいというのが一つ。
そして、もう一つは、今、予算が決まった後も、この期中の中で既に賃上げや物価高対応などが進んでいるんですが、毎年閣議決定をされる国の契約の基本方針の中に、年度内であっても物価高騰等へ的確に対応していくべきことが明記されているにもかかわらず、なかなか、現実、そんな動きがないんです。
まず隗より始めよと言うのであれば、この閣議決定をされている国の契約の基本方針に基づいて、年度内であっても物価高騰などへ直ちに対応していく指示を経産省から各省庁にしっかりと出すべきではないでしょうか。最後に、武藤経産大臣からいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 委員におかれましては、官公需、今、座長さん。(小泉(進)委員「はい」と呼ぶ)大変ありがとうございます。応援していただいていると思っております。
まさに、この前もそうだったんですけれども、隗より始めよということで、我々の、今の契約の基本方針、これは契約の途中でも実勢価格に変化があった場合は契約変更も含め適切に対応する旨が盛り込まれている、現実、違うじゃないかということだろうと思います。
私も、どこの県とは言いませんが、私の県ですが、昔は、例えばガソリンも、災害協定をやっているんですよ。ところが、現実に何かあったときは一般競争入札、競争原理の世界だ。だから、知事さんによっても変わるし、それもまた、市町村に行くとまた更に厳しい。
これは何かといったら、確かに、先生おっしゃるように、そういうふうな制度を変えていきますけれども、残念ですけれども、やはり予算がついて回る話だ。これはやはり交付税が決定的に足りていない。だから、これは先生方にも御協力していただかなきゃいけない話なんだと思います、正直申し上げて。
この場でこんな討論を残しちゃうと私は後でまた首を絞められるかもしれませんけれども、現実、そういうこともまた官公需のPTの中で御提案をいただいて、総務省にもしっかり私も対応していただきたいと思っておりますし、是非、先生方のお力で何とか、全国でお金を回す、これは隗より始めよで、官公需を徹底的にまず考え方を直していかなきゃいけないということだろうと思いますので、よろしくお願いしたいです。
○小泉(進)委員 ありがとうございました。
時間が来たので終わります。
○宮崎委員長 次に、落合貴之君。
○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。
私は、十年以上連続してこの経産委員会に所属をしているんですけれども、最近ちょっとほかの委員会にかかり切りで、武藤大臣になってから初めて質問をいたします。
今日は一般質疑ということですので、経済産業政策の根本的なところについて、主に武藤大臣から御見解を伺えればというふうに思います。
まずは、アメリカのトランプ政権による関税の大幅引上げについてでございます。
先月、トランプ政権は、鉄鋼、アルミにまず二五%、四月三日に自動車に二五%、四月五日はほとんどの国を対象に一律一〇%、関税をかけますと。四月九日に、貿易状況に応じて、アメリカから見てアメリカが貿易赤字が大きいという国に関しては高い関税をかけるということが発表され、対日関税は二四%ということで発動がされました。その十三時間後でしょうか、日本も含めまして、報復措置を取らず、問題解決に向けて協議を要請してきている国に関しては、九十日間、四月九日の措置については停止をするということが発表されたわけでございます。
四月九日の措置は停止されましたが、一律一〇%というのが残っています。それから、自動車、アルミ、鉄鋼への追加関税二五%も残っています。また、九十日後にどうなるか分かりません。輸出関連産業、事業計画ですとか資金繰りですとか、どうなるか、やはり不安が広がっているわけでございます。
これはもう企業努力ではどうにもならないところがあるわけです。外交問題によって事業環境が急変してしまったということで、少なくとも、中小企業には政府が何らかの手助けをするべき状況になってきているというふうに思います。今は公的な機関は経営相談などに応じているわけですが、政府からも補正予算が必要なんじゃないかというような話も出てきています。影響を受ける中小企業へ補正予算を組んで金融支援、例えば、リスケですとか、新たなゼロゼロ融資をつくったりですとか、また補助金ですとか、何らかの措置を講じるべきではないかというふうに思いますが、大臣、今の状況でいかがお考えでしょうか。
○武藤国務大臣 落合委員さん、久しぶりでございます。私も最近、ちょっと二年ぐらい国対でサボっておりましたので、久しぶりに経産に戻ってきたんです。
今の話は、先ほど小泉委員にもちょっと御質問にお答えさせていただきましたけれども、全国一千か所、相談窓口を大至急つくりました。先月のいわゆる鉄、アルミのときには、ジェトロをまず先に相談窓口としてすぐオープンをいたしました。
そういう形の中で、今、私どもからも、副大臣に頼んだり政務官に頼んで、SUBARUさんだったりマツダさんだったり、広島、群馬という形で、プッシュ型でお邪魔をしていますし、事務方にも、当然ですけれどもそれぞれのサプライヤーの関係も含めて、今、調査を始めさせていただいているところであります。
ですから、まず、日本の基幹産業である自動車というものは、正直、今ある二三二条の関係でそのまま二五%になっていますから、これは早急に対策をまとめなきゃいけないという中で、まずは現場の苦しみといいますか悩みを吸収しなきゃいけない。
先ほど申したとおり、私自身も、自動車産業が、要するに、物価を上回る実質賃金というものを何とか上げるために価格転嫁をこの前もお願いしたばかりでありますので、そういう中で、この業態と一緒になって、これからどうするという話をこれから早々に詰めていかなきゃいけないんだろうと思います。
その中で、今、補正の話が出ましたけれども、ここは政府としてどう考えていくのかというところだと思いますし、今日の朝も閣議がありまして、その関係の二回目の閣議が開かれました。
ということで、総理からも御指示がありましたので、いつということじゃないんですけれども、私どもとしてはとにかく早々に、全国の対応を早く決めていかなきゃいけないということで、また今日の夜というか夕方に、全国の、経産省の中の対策会議をやるものですから、そこで指示をまた出していきたいというふうに思っています。
○落合委員 相談体制の整備とともに、やはりお金をつけないといけない状況だと思いますので、是非積極的に補正予算をやるべきだと。これをやるべきだということを発信をいただければと思います。
まだコロナが明けてからそんなにたっていません。そのとき、コロナ対策のゼロゼロ融資ということで、結構中小企業は債務が増えてしまっています。加えて、また重なって同じような業種が影響を受けるというような形で、債務が二重になってしまうようなところも出てきてしまうというふうに思います。
輸出に関連する中小企業は、昔は製造業がどんどん輸出するというような産業構造でしたけれども、もうそんなに輸出型の産業も強いわけではない、残念ながらそういう状況です。是非、的確な措置を取らないと、この産業の衰退を招いてしまうと日本全体にも影響を及ぼします。貿易黒字が常にあるという状況ではなくなってきていますので、これはしっかり対応しなければならない問題だと思います。
なお、前のゼロゼロ融資、コロナ融資に関しても、まだ返済が始まったばかりなわけですよね。これは、我々の党としても、ゼロゼロ融資も、自己責任で債務が増えたわけじゃない、コロナということで、政府が経済活動を止めてくださいということも言った中で債務が増えてしまったこともあるので、そういう政府が止めたことによって発生した債務については一部減免してもいいんじゃないか、自分の責任ではなくて政府が止めたわけですのでという法案もかつて我々は提出をしております。私が筆頭提出者だったんですが。
やはり、この二重の債務問題、これは早急に取り組んでいくべき問題として表に出てくると思いますので、是非注視をいただければと思います。
こういった状況の中で、中長期的なことについて大臣に伺えればと思います。
戦前も関税合戦がありました。経済がブロック化されて、それが大国間の対立を生み、そして国際情勢を不安定化させた。
それを反省を基に、戦後は、国際機関をつくって、自由貿易を基調とした世界を築いていこうということを世界各国が努力をしてきたわけでございます。冷戦後は、更にそれが加速しまして、フラット化した世界とも言われましたが、地球上の最適なところで人、物、金を使っていく。自由貿易が更に拡大していきました。この経済のグローバル化でかなり富が増えたわけでございます。
しかし、副作用もだんだん出てきたことも確かでございます。
まず、よく言われているのが、格差がこの三十年間で拡大した、富が偏在したということです。
それから、目の前でも目に見えてきているのは、例えば鎌倉とか京都、オーバーツーリズム。そこに住んでいる方々が、道も渋滞し過ぎで、住んでいる方々にとっては住みづらい町になってしまっている。これは、ベネチアやパリですとか、そういう観光地でも言われてきています。
それから、物づくり。これは、地球の裏側から部品を持ってきて、あるところで組み立てて、それをまたあるところに運んでというような形で、地球全体がサプライチェーンになっている。これはコロナのときに実感しましたが、世界中から部品を調達していることでサプライチェーンが複雑になって、一か所でも閉じてしまうとそれが全体に影響を及ぼしてしまう。私も、あのコロナのときに事務所の軽自動車が壊れて注文しましたが、半年以上たってやっと納車されるというような形になりました。これは自動車会社にとっては売上げが遅くなるわけですから、経済にはマイナスになっていったわけでございます。
食料品も世界でやり取りをしていますが、戦争ですとか天候不順で輸入の食料品の価格も上がってしまっています。
今回のアメリカの関税も、数年前に中国に対してぼんと関税をかけますと。我々の国の製造業は、じゃ、中国から近くのベトナムとかカンボジアに生産拠点を移そうといって移したら、今度はベトナムに四十何%、カンボジアにもというような話になってしまっています。
欧米では、安い労働力に仕事が取られてしまっているということで暴動も起きています。
これは、確かに、自由貿易、そしてその先のグローバリズムをバラ色だということで追いかけることで、物すごく地球全体の富は増えました。しかし、一方で副作用もかなり出てきてしまっている。
今の目の前の現状を見ると、今までこの八十年追求してきたグローバリズムに対応した経済構造、これは日本がやってきました。これは、この数年間を見てみると、そろそろ見直していかなきゃいけない状況にあるんじゃないかな、自由貿易を基調としながらも、グローバリズム、行き過ぎのところは是正しなきゃいけないんじゃないかな、ということは、産業政策も変わってくるというふうに思います。
大臣は、このグローバリズムの状況を踏まえて、経済産業省の政策をそろそろちょっと変えた方がいいかなというふうにお考えか、それよりも、更に自由貿易、グローバリズムを追求した方がいいというふうにお考えか、根本的な政策の理念について伺えればというふうに思います。
○武藤国務大臣 グローバルサプライチェーンについてのお尋ね、私の考え方をということだというふうに思います。
これは昨日も役所とずっと相談しながら作った答弁書もあるんですけれども、いずれにしても、先生おっしゃるとおり、この数十年で大分世の中はグローバル化へ進んだわけですね。
ところが、やはり世の中の変化というのは、これは落合先生には多分委員じゃなかったので言っていないですけれども、一九八〇年から九〇年代、うちの父が通産大臣をやったのは一九九〇年なんです。あのときに日米構造協議があって、半導体協定もあのときにありました。ということで、あのときの貿易赤字というのは、今の日本のアメリカに対する貿易収支の十倍あったんですよね。相当ひどい戦いをやられる。ですから、そういう意味でいうと、半導体もそこでいろいろな足かせをはめられて、どんどんどんどん日本の半導体は弱くなったという背景もあるんだと思いますけれども、現実、今回のあのトランプ大統領の案件というのは、このグローバル社会というものが、自由貿易主義というものがまさに崩壊するんじゃないかと思われるぐらい大きなインパクトを生んでいるんだと思います。
我々からすると、経産省としては、グローバル化、そして、何よりも日本の国内産業、そして、世界へ今までいろいろな形でグローバル化した日本のメーカーさん、また商社さんも始めいろいろな会社がありますけれども、そういうネットワークというものを、またどうやってこれを今回のネタで構築しなきゃいけないかというところが今の課題だというふうに思っています。特に、この数年といいますか、地政学的な面がえらく変わってきているのも委員御承知のとおりでしょうし、予見性が持ちにくく、投資判断ができにくいという中になってしまった。じゃ、これをどうしようかということだろうと思います。
ですから、今、ある意味で、先ほど来申し上げた自動車関係でいえば、とにかく今の状況をまず精査をして対策を練りつつ、そして、今のビジネス環境というのは、先ほど来、小泉先生もおっしゃっていましたけれども、アメリカがやる、そして今、中国とという形になって、世界の二大国がまさにドンパチやり始めそうな雰囲気になっている。これは相当、今先生おっしゃられたように、ASEANの国々に大きな影響を及ぼします。アメリカも、そこから迂回輸出しているんだから、これは大きな関税をかけようというので、もう本当に嫌らしいぐらいやり方を徹底してきているということですから、そういうところの中で、じゃ、そこら辺も含めて日本としても考えていかなきゃいけないということです。
この前の委員会で多分私申し上げたと思いますけれども、AZECでもASEANの国々が非常に日本に期待をしています。日本がリーダーシップを取ってください、この二大大国の大きな争いというものはあんたのところぐらいしかまとまらないじゃないのというような気持ちもあるぐらい、そのぐらいの気持ちで僕も受け取りました。
ただ、ここは、我々もちょっと作戦を今練っていますので、赤澤大臣の下で、新しい形で、新しい形というか、十分に作戦を練りながら、しっかりと、こちらの日本が取れる分、またアメリカの取れる分といいますか、全ての選択肢はやはりなくすわけでもないし、その中で選んで対応策を作っていくということになるんだろうと思います。
○落合委員 こういった状況の中では、生産の国内回帰ということはある程度必要になってくるというふうに思います。
先ほどおっしゃられた一九九〇年あたりですと、調べてみると、世界の半導体の半分を日本が生産していたわけです。今は一割行くかどうかになってしまいました。これは、半導体を使わない製品というのはどんどんなくなってきているわけですので、やはり必要なものは国内である程度作っていくというようなことがこれから求められていくんじゃないかなというふうに思います。
例えば、戦後は、産業政策がかなり当たりました。これからは鉄が何を造るにも必要だということで、傾斜生産方式で集中的に鉄等に投資をして製造業を立ち上がらせたというような産業政策をやっていったわけですけれども、これからの時代、大臣は、どのような産業に経産大臣として旗を振っていくつもりか、お伺いできればというふうに思います。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
ここはもう今いろいろと、この委員会でもそうですし、私どもはエネルギー基本計画もやりましたし、皆さんにもいろいろと御意見を賜りました。特にGX、DX、これを推進しながら、経産省としては、特に集中的に政策資源を投入しながら、この不透明な時代をどう生き抜いていくかということになるんだと思います。
先生おっしゃるとおりです。米中対立の激化、また足下の米国の関税措置によって世界の不確実性が更に高まってきているわけですから、国内投資や賃上げを継続させる、この賃上げと投資が牽引する成長型経済、これをどうやって実現させていくんだろうと。今、正直申し上げて、この関税の話が出るまでは案外いいステップアップをしてきていたかなと思います。
日本の産業も、従来、鉄鋼に随分、鉄鋼中心主義みたいなのがあって、いろいろ大変な世の中になりましたけれども、ここも中国にだんだんやられ、厳しい状態になっていますが、日本の鉄鋼は非常に高品質なものを、すばらしい技術を持っていますから、そういう意味の中ではやはり世界の中でも強さを持ち、アメリカから今度、鉄、アルミで関税をかけられましたけれども、大体たしか五%から六%か七%ぐらいのアメリカの中での割合だと思いましたけれども、とてもアメリカで代替品ができるものではないということになりますと、これは当然ながら、アメリカのコストアップになりますけれども、日本としてはまだこれからも引き続いてアメリカ産を買っていかざるを得ないんだろうと思います。
そういう中で、企業の予見性を高める、これはまさに、DX、GXを中心にしながら、社会的課題解決分野というものを成長の源泉として捉えて、ここを中核にこれからも政策を総動員していくことになるんだろうと思っています。
○落合委員 GX、DXは重要だと思います。
その中で、生産の国内回帰をある程度図っていく時代になるということを考えると、絶対に必要なものをいろいろ考えてみると、まず食料は国民にとって必要です。それからエネルギー、これは何をするにとっても必要です。あと、我々の生活を考えるとデジタル、これは絶対に必要になってきました。
やはり、GX、DXの流れを考えつつ、基幹的な産業としてしっかりとエネルギー自給率を高めていくこと、そしてデジタル自給率を高めていくこと、これは重要であると思います。
具体的な産業としては、半導体ですとか、あと、ソフト面ではクラウド、AI、それから、それを組み合わせたドローンもあります。エネルギーでは、風力発電、今注目を日本でもされてきました。あと、新型太陽光発電、蓄電池、水素、これらはやはり経産省が力を入れていくべき分野であると思います。
先日のラピダスの支援も、金額が巨額で、支援の仕方というのはいろいろな意見があると思います。しかし、そういった、世の中にとって、国民の生活にとって絶対に必要なものはなるべく自給率を上げていく、余ったものは輸出をしていく、そのことで世界にとって日本の産業が必要なものとして認識をされていく、それが国際的な日本の価値も高めていくことになるのではないかというふうに思います。
この分野で進んでいるのは、やはりアメリカと中国なんですよね。よく調べてみると、軍事技術が転用されてそういった新しい分野が伸びていることが多い。
軍事技術がなぜイノベーティブなものを生むのか。これも調べてみると、軍事分野は全部国が関わっているわけです。何だかんだイノベーティブなそういう新しい技術を生んでいるのは、国が大規模、長期、計画的に関与をしている、それによって、アメリカや中国で新しい技術が進み、それが民用化されているということでございます。
経産省が数年前に経済産業の新機軸を打ち出しました。これは、大規模、長期、計画的に国が支援をしていくんだ、産業政策を支援していくんだということです。私はこれは間違っていないというふうに思います。
その中でも、デジタル産業なんですけれども、デジタル赤字がどんどんどんどん拡大しています。これが国際収支全体の足を引っ張っているわけでございます。このデジタル赤字の拡大、要は、デジタル分野は自給できていなくて、海外の力をかりないといけない、海外から買わないといけない状況になっているんですが、これについて、大臣、どうお考えか、お聞かせください。
○武藤国務大臣 デジタル赤字の問題を多分御質問されたんだと思います。
クラウドあるいはAI、このデジタルサービスが今、日本に一層浸透していき、経済活動の生産性ですとか国民生活の利便性が向上していく一方で、それを享受すればするほど国富が海外に流れていく、これが今の我々の問題意識であります。
この課題に対して、今、我々は、事業者が競争力あるクラウドサービスを提供できるように、これも経済安全保障推進法というものができて、技術開発支援ですとか、日本発の生成AIの開発、普及に向けて、高度なコンピューターの整備支援ですとか、スタートアップのAIとか、人材育成などの施策に今進んできているところだと思います。
こういう中で、デジタル収支の改善、ここはもう政府全体で施策を強化していく必要があると思いますし、今回、AI・半導体産業基盤強化フレームというものも活用しながら、これも関係省庁と連携をしながら、デジタル収支の改善に資する取組の拡充をやっていかなきゃいけないと思います。
先生おっしゃられるように、私は戦争は大反対なんですけれども、過去の歴史を見ると、こういう戦争が技術の進歩を生み出しているというのが、残念ですけれども、世界の歴史であります。今回、いろいろな意味で、ウクライナへのロシアの侵攻等、また中国の軍事増加などを見ると、全く世界が変わってきているなというのはもう先生御承知のとおりだと思います。
そういう意味で、技術というものに対して日本がしっかりとこれからも伸びていくためにも、やはり自分の国は自分で守れるというものが、今回、アメリカの大統領の御発言でもありませんけれども、安倍晋三総理のときから、日本が歩んできた、日本の大転換期になっているのかなという気がしております。
○落合委員 経産省の柱がGXとDXなわけですが、DXに関しては、デジタルサービスを提供する企業が国内にほぼないので、各企業がDX化すればするほどデジタル赤字が進んでいくという状況になってきているわけです。
先ほど経済安全保障の問題でクラウドとおっしゃいましたが、実は、最初、この議論が始まったとき、クラウドが入っていなかったんです。私、それを取り上げまして、自民党の担当している方にも話しに行きました。結果、クラウドが入りました。
今はAIも進んできましたが、当時はデジタル化イコールクラウド化であった、なのに自給率がほとんどなかったということで、クラウド等を、力を政府がバックアップしてつけていかせること、これは重要だというふうに思います。
残念ながら、行政が使っているクラウドさえ海外のものなんです。私は、行政が使うものぐらいは国内産にするべきだということも取り上げてきました。しかし、なかなか、政府の方々は堅い答弁で、進んでいません。是非、国内産業の振興の上でも、大臣のお力でも前に進めていただければというふうに思います。
○武藤国務大臣 先ほども申したとおり、国富が海外に流出してばかりいるということは、この実態というのは我々はしっかり受け止めなきゃ駄目だと思います。ですから、先生おっしゃられるように、その意味では私もしっかりやらせていただきたいので、応援してください。
○落合委員 今日、公取委員長と、財務省からも政務官にお越しいただいています。
デジタルプラットフォーマー、これはほとんどアメリカ独り勝ちです。日本にもプラットフォーマーはありますけれども、米国のデジタル巨大企業には勝てない状況です。
これは欧州も同じような危機感を持って、デジタル主権ということで、米系のプラットフォーマーに対してある程度規制をかけて、国内のプラットフォーマーを育成していくんだということをやってきました。その欧州の規制を勉強して公取が新しい法律を作ったわけですけれども、今、欧州に対してトランプ大統領が、これは非関税障壁じゃないかというようなことを言っているわけです。
こういった状況の中で、私は今まで公取が頑張ってきたことを強く評価したいと思うんですが、委員長、状況が、ちょっと国際情勢が変わってきましたが、それでもがつんとこれからもやっていくんだということでよろしいでしょうか。
○古谷政府特別補佐人 お答えいたします。
非関税障壁のお話がございましたけれども、私どもが今認識しております範囲では、USTRが三月三十一日に公表した外国貿易障壁報告書というのがありますが、そこでは、我が国のデジタルプラットフォーム事業者に対する規制について幾つか記載はございましたけれども、スマートフォンソフトウェア競争促進法、これに関する明示的な言及や懸念の表明は今のところなかったというふうに認識をしております。
そういう議論を少し気にはしつつありますけれども、私どもとしましては、本年十二月までに予定をされておりますこの法律の全面的な施行に向けて、ぶれることなく着実にその準備を進めていきたい、こう思っております。
まず、先月、事業者から提出をされました届出等を踏まえまして、法律の対象となる事業者としてアップル社とグーグル社を指定をいたしております。
また、独禁法や経済学の専門家ですとか、プライバシーの問題やセキュリティーの問題の専門家等も委員になってもらっております有識者検討会を開催しまして、昨年、国会審議の際にありました附帯決議なども踏まえて、下位法令やガイドラインの整備を進めているところでございます。
こうした本法の施行準備におきましては、指定事業者側とも現在丁寧に議論を重ねてきております。一定の理解は得ているものだというふうに認識しておりますので、引き続き、アメリカ側の事業者を含む関係事業者とも緊密にコミュニケーションを取りながら、関係省庁とも十分に連携して、実効的な法執行に向けた準備を着実に進めてまいりたいと思っております。
○落合委員 先日のその規制につきましては、時代の状況、執行状況も見て、また更に必要あれば規制をかけていくというような方針も示されていました。これは、今のルールを運用していくと同時に、更なる規制も検討の範囲内であるというようなことでよろしいですね。
○古谷政府特別補佐人 前の国会でも様々な御議論をいただいております。
まずはこの新たな新法を着実に実効性のある執行ができるような体制をつくっていくということが大事だというふうに思って、今準備をいたしております。
○落合委員 委員長、もうすぐで退任されるということで、先のことを余り言うのはというふうに考えているかもしれません。是非次の方にも委員長の精神を引き継いでいただければというふうに思います。長い間お疲れさまでした。
土田政務官にもお越しをいただきました。
デジタル課税ということについても、私、もう十年近く取り上げてきました。今までのグローバル企業は、海外に物理的拠点を持っていたので、進出していた先でしっかり税金を払っていました。しかし、デジタル企業は物理的拠点が余りないので課税がされない。なので、各国の富がどんどんどんどん海外に、外に出ていってしまう、課税もできないという状況になってきているわけです。
これは、多国間で話し合って、課税ルールを作ろうということでどんどん積み上げてきました。バイデン政権においてようやく、あとちょっとでゴールだというところが見えている中で、今回の政権交代になってしまいました。
デジタル課税も非関税障壁だというような形で言われているわけでございます。欧州などでは、独自に課税しちゃおうということで見切り発車して、それもアメリカに怒られているわけですけれども、日本も、何もしなくていいのか、どうするのか、方針を伺えればと思います。
○土田大臣政務官 委員におっしゃっていただいたとおり、経済のデジタル化に伴って、市場国に物理的な拠点がなくサービスを行う企業が増えてきたものですから、市場国で適切な課税が行えないというような問題が起きてきております。
こうした枠組みに対応するために、BEPS包摂的枠組みにおいて、第一の柱の多数国間条約の交渉が行われてきたところでございます。具体的には、一部の欧州諸国などが導入しているような各国独自の一方的な税制措置を廃止するとともに、市場国に新たな課税権を配分することが議論されてきております。
米国の動向については、予断を持ってコメントすることは差し控えさせていただきますけれども、日本としては、第一の柱、多数国間条約が国際課税システムに安定と確実性をもたらし、世界経済への悪影響を防ぐものであることを主張するなど、引き続き、各国政府とよく議論をし、早期の交渉妥結に向けて議論に貢献していきたいというふうに考えております。
○落合委員 これは、庶民とか中小企業には厳しく課税して、世界で強い企業には課税ができない、ひよってしまっているというような状況では、財務省の国民の信頼は得られないというふうに思います。これは財務省の存在価値にも懸かっている重要な問題であると思いますので、是非本気で取り組んでいただければと思います。
少し質問が残っていますが、時間になりましたので、今日はここで終わりにさせていただきます。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、山崎誠君。
○山崎(誠)委員 こんにちは。立憲民主党の山崎誠でございます。
本日も貴重なお時間をいただきまして、ありがとうございます。
今日は、お忙しい中、東京電力ホールディングスの山口副社長にもおいでをいただきまして、本当にありがとうございます。山名理事長にも、引き続きの、こちらに来ていただきまして、ありがとうございます。
前回に引き続きまして、東京電力による日本原子力発電株式会社、日本原電に対する支援という形でお話をしてまいりまして、今日もその話題を、お話をさせていただこうと思います。
これは、大きな意味で、東京電力、今本当に電力供給で大きな役割を担われていて、国民の皆様は今電気代も高いという中で、どうやってこの電力の安定供給、そしてコストを抑えて効率的、効果的にエネルギー事業をやっていくか、非常に今私は大事な局面だと思っておりまして、そういう中で、こういう、今日これからまたお話をするような事案について考え方をやはりしっかりとただしていかなければいけない。これは国民の皆さんの声にも基づいているということを御理解をいただきたいと思うところであります。個社を攻撃するということでは決してなくて、よりよい方策に何とか方向転換あるいは検討いただければという思いでございますので、よろしくお願いします。
前回、三月二十六日にこのテーマを取り上げました。原賠機構の山名理事長にもお越しをいただいていろいろ議論した中で、原賠機構の立場、姿勢ということで、冒頭の御質問でこう山名理事長さんはお答えいただいています。「原賠・廃炉機構のメカニズムを使って東京電力にこの事故の責任を果たさせる、そのために東電に経営をしっかり改善させる、その目標に沿って私ども十四年間頑張ってまいりました。」と答弁されました。
やはり原賠機構として東電の経営をしっかりと改善させたいんだ、特別事業計画も協力をして作るわけでありますし、その中に収まるということもありますけれども、その中で、更にやはりよりよい経営を実現していく、そういう私は決意かというふうにお聞きをしたのでありますけれども、この姿勢は今後も変わらないか、確認したいと思います。
○山名参考人 ありがとうございます。
私ども、原子力事故を経て、東京電力に確実にこの事故の責任を果たさせるということに対して全力で取り組んできておるわけです。
先生御指摘のように、その責任を果たさせる上で、東電がしっかりとした経営を続けて、電気の供給を絶やすことなく、賠償責任と廃炉の責任を果たしてもらうように全力で取り組んでいくという姿勢に何ら変わりはございません。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。確認をさせていただきました。
その上で議論を進めたいと思います。
今日は、資料一をお届けをしたんですけれども、日本原電の度重なる事故についてでございます。
前回、東海第二の原発について、防潮堤の工事に不備が見つかったということで、原子力規制委員会から工事のやり直しを求められているというお話をしました。
今日は、それに加えて、相次いで火災の事故が発生をしています。記事を読んでびっくりしますが、二〇二二年九月から二四年末までの間に十件の火災が起きている、そして、本年の二月には原発の頭脳とも言える中央制御室の制御盤から出火をしたということで、この記事にあるように、県知事から厳重注意をいただいたということであります。
同じ原発の運転を任されている東電さんの立場、他社のことではありますけれども、どういうふうにこの事故を評価されるのか。東電は、この原電から電気を買おうとしている、そしてそのために巨額の投資をしているわけであります。そういう立場では、他人事では済まされないと思います。こういう事故が頻発していることをどういうふうに受け止めていますか。
○山口参考人 東京電力の山口でございます。
当社の福島第一原子力発電所の事故によりまして、今もなお、地域の皆様、広く社会の皆様に多大なる御心配、御負担をおかけしておりますこと、この場をおかりしまして、深くおわびを申し上げます。
お答えをいたします。
日本原電では、二〇二三年度以降、火災が複数回発生をしてございまして、再発防止を徹底していたところで再度発生したことは、誠に遺憾だというふうに感じてございます。
まずは、改めて再発防止を徹底していただき、その上で、東海第二の再稼働に向けて、審査対応や地元の信頼回復、こちらに取り組んでいただきたいというふうに考えてございます。
当社といたしましても、引き続き状況を確認してまいりたい、このように考えてございます。
○山崎(誠)委員 山口副社長にお聞きしたいんです。
今後、原電は安全、再稼働のためには何をすべきだと思いますか。もう少し具体的に。
○山口参考人 お答えをいたします。
日本原電の安全性向上対策の工事の許認可につきましては、二〇一九年の二月に再稼働の意向表明以降、工事が順次実施されてございまして、二〇二一年十二月には特定重大事故等対処施設の設置許可変更の許可が下りまして、二〇二二年二月には工事計画認可の申請を行い、既に四回目の申請分について二〇二四年十二月までに認可を受けるなど、着実に進捗をしてございます。
同じく、安全性向上対策工事そのものの進捗につきましては、躯体工事のおおむね八割が完了し、完了目標は二〇二六年十二月と原電からは聞いてございます。
原電が地元説明会や施設見学等の対応を実施しておりまして、また、避難計画策定が順次進められているなど、着実に進展が見られているというふうに判断をしてございます。
審査の進捗、地元の御理解、避難計画の策定等、再稼働までに対応すべきことはまだまだございますけれども、それらの対応が着実に進められ、東海第二から受電することができるようになれば、我々も卸電力市場などから調達する場合との差益効果があると判断してございます。
引き続き、状況に大きな変化がないかを適宜確認しながら、適切に判断をしてまいりたいと考えてございます。
○山崎(誠)委員 副社長、是非お聞きしたいんですけれども、東電さんとしては、日本原電からいつこの東海第二の電気を調達をしたいのか、お聞かせください。
○山口参考人 当社は、競争しながら福島への責任を果たすという必要がある中で、東海第二は競争電源であるというふうに判断をしてございます。
したがいまして、先生から今いただきました再稼働の時期、あるいは、受給電力料金等、受電条件の具体的な内容につきましては、競争情報に当たるため、回答を差し控えさせていただきたいというふうに考えてございます。
○山崎(誠)委員 これまで、東京電力さんは日本原電さんに毎年五百五十億円、基本料金としてお支払いをしています。これまでの間、ほかにも、工事のための資金援助一千四百億円、トータルで八千五百億円、これを超えるようなお金を入れている。
電力を一キロワットアワーも発電をしていない日本原電東海第二の原発にこれだけの資金を投資することというのは、東京電力、競争戦略としてこれはどうしても必要だということでしょうか。
○山口参考人 お答えを申し上げます。
当社の最大の使命は、先ほど山名理事長からもございましたとおり、福島への責任の貫徹でございます。そのためには長期的に資金を確保していく必要がございます。また、電気事業者である当社の責務といたしまして、お客様に低廉で安定的かつCO2の少ない電気をお届けするということも重要でございます。この福島への責任と電気事業者としての責務、こちらを全うするための電源の調達先といたしまして、日本原電の東海第二発電所からの受電が期待できると考えてございます。
審査の進捗、地元の御理解、避難計画の策定等、再稼働までに対応すべきことはまだまだございますけれども、それらの対応が着実に進められ、東海第二から受電することができるようになれば、卸電力市場などから調達する場合との差益効果があるというふうに判断してございますので、引き続き、状況に大きな変化がないかを適宜確認しながら、適切に判断をしてまいりたいと考えてございます。
○山崎(誠)委員 先ほど申し上げた五百五十億円というようなお金は、これはもう公に、いろいろな報道でも出ている数字でありますからね。この八千億円というものは東京電力から原電には渡っている、それで原電は一キロワットアワーも発電していないのに経営ができているということであります。
今後の見通しを期待してそういう投資を続けているということだと思うのでありますけれども、東海第二、もう四十六年という老朽原発です。先ほどお話ししたような火災事故も起こっています。私は、やはり東京電力の経営という意味で、この五百五十億円というのは発電原価に入っていますよね。ですから、電気代に乗っかっているんですよ。なので、この使い方が本当に正しいのかというのは、経営の観点からもう一回しっかりと見直していただきたいということをお願いしています。
もちろん、選択肢の一つかもしれません。
じゃ、御提案します。
この今八千億円、これまで日本原電に預けてきたお金、例えば地熱発電、日本は大変なポテンシャルがあります。まだまだ開発の進んでいない、余地がある再エネ、例えば地熱発電でいいです。安定電源であり、クリーンであり、大型の投資が要りますから、東電さんのこの例えば八千億円というお金があれば、五十メガワット級の発電所、例えば二十基建てれば原発一基分ですよね。この八千億円というお金をそうしたものに投資をすれば、もう今、初期から十四年たっていますから、その間で五基あるいは六基造ることができたんじゃないでしょうか。そういう経営判断をやはりすべきではないでしょうか。
安定的に安価な電気を供給するのであれば、脱炭素電源をもっと広げるのであれば、老朽化した東海第二にお金をつぎ込むよりも、今お話ししたような地熱発電に投資をする方がずっと東電さんにとっても国民にとっても利益がある、メリットがあると私は思うのでありますけれども、いかがですか。
○山口参考人 お答えを申し上げます。
当社は、再エネが、当社グループの更なる利益拡大と二〇五〇年のカーボンニュートラル、こちらの実現への切り札であるとの考えから、国内外の再エネ開発を進めておりますけれども、日本原電の東海第二発電所を含めた原子力につきましても、同様に、福島への責任、電気事業者としての責務を果たすための重要電源であると認識してございます。
当社といたしましては、安全性の確保を大前提に、Sプラス三Eのバランスを取れるよう、各電源の特性や役割を踏まえまして、中長期的な電源構成を考えてまいります。
○山崎(誠)委員 福島の責任ということをおっしゃるのであれば、老朽原発に頼るそのエネルギーミックス、ポートフォリオからの脱却を図るべきだと私は思います。
今、本当に、東海第二、古くていろいろな問題が起きていますよ。これから動くかもしれない。何年先か分かりませんよ。二〇二六年の十二月にあの防潮堤の工事の不備が何とか収まるという話ですよ。その先どういう時間がかかるか分からない、それを申し上げています。
このテーマは最後にしたいのでありますけれども、この間の質疑の中で、山名理事長から、特別事業計画の収支計画の中に収まっているので問題はないんだ、東電の経営の裁量範囲内でやっていただいていますという話をされました。
であれば、この特別事業計画が甘いんじゃないんですか。調達の見込みがなかなか立たない原発にこれだけの、八千億を超えるようなお金をつぎ込む事業計画、これ自体に問題がある。そういう事業計画を認めているのは、申し訳ない、経産大臣ですよ。
経産大臣、この事業計画、妥当ですか。もう一回。
○武藤国務大臣 委員から前もこれは御指摘いただいた話かなと思いますけれども、東京電力は、日本原電との契約に限らず、事業活動の中で様々な契約を交わしているものと承知をしているところであります。どのような電源を用いて電気を供給するかを含め、個々の経営判断、これは取締役の責任でなされるものであって、国から個別の経営判断の是非についてコメントすることは適切ではないと考えているところであります。
○山崎(誠)委員 違うんですよ。機構法の中には、経営をきちっと確認をして事業計画を作ると書いてあるんですよ、法律に。ちょっと条文を読む時間はありませんけれども。だから、この事業計画を作るときには、東電の経営にきちっと声を上げてチェックをしていかなきゃいけないんですよ。
そう考えたときに、こういう投資について議論をし問題を提起しているので、これを取り上げてもらいたいんですよ。お話ししたとおり、東電さんの経営を本当に安定化させて、国民の皆さんにも納得いただけるそういう投資に切り替える、何のちゅうちょもなく私はできると思うのであります。こればかり話しているわけにいかないんですけれども、是非これは前向きに御検討いただきたい。
少なくとも、五百五十億円という毎年毎年お金をつぎ込んでいることについて再検討していただきたい。場合によっては、それを半額にするとか交渉をして、先々の見通しももう一回再検討して、電力の調達のお考え方、計画を見直していただけませんか。副社長、お願いします。
○山口参考人 お答えをいたします。
先ほど、日本原電に支払っておりますお金につきましては、意義や妥当性についてはお答えをしたというつもりでございますが、今発電停止中でございますけれども、再稼働に向けて発電所を安全に維持運営する費用ということで支払う必要があるというふうに今は考えてございます。
○山崎(誠)委員 お答えいただけないので、極めて残念です。その金があったら例えば地熱発電をもう少しやっていただきたいんですよ。その方が次につながりますから、是非御検討をお願いをしたいと思います。
では、次のテーマに移らせていただきます。
東京電力福島第一原発の廃炉作業です。
これも現場の皆様には大変な御苦労をおかけしているお話だと思います。本当に心から現場の皆様には敬意を表します。
毎年あの現場にも伺わせていただいていますけれども、少しずつ少しずついろいろな環境も改善されて、進んでいるのは分かります。ただ、その前提で、今日は厳しいお話をしなければいけないということだと思います。
廃炉作業の進捗の評価、課題、これは山口副社長にまずお答えをいただきたいと思います。
○山口参考人 お答えをいたします。
当社といたしましては、国の中長期ロードマップで示されたマイルストーンを目標に、足下の作業を一つ一つ積み上げまして、複数の工程を安全かつ着実に進めているところでございます。
中でも、ALPS処理水の海洋放出につきましては、二〇二三年八月からALPS処理水の海洋放出を開始いたしました。これまでに計十一回の海洋放出で海域のモニタリング結果等に異常は確認されておらず、計画どおり、安全な放出ができていると考えてございます。
また、廃炉の本丸でございます燃料デブリの取り出しにつきましては、二号機におきまして、昨年九月に試験的取り出しに着手し、昨年十一月にはテレスコ式装置を用いて燃料デブリの採取に成功いたしました。燃料デブリ取り出しの第一歩を踏み出した意義は大きく、特に、高線量下において遠隔技術を用いて取り出しを完遂できたことは、今後につながる貴重な経験になったと考えてございます。一方で、作業中断を強いられるなど、高線量かつ前例に乏しい廃炉作業の厳しさにつきまして認識を新たにしてございます。
引き続き、これまでの廃炉作業で得られました経験や知見、こちらを今後の廃炉作業に生かし、安全に進めてまいりたいと考えてございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
これまでの御努力は非常に評価をするのでありますけれども、今お話がありましたデブリの取り出し、試験取り出しはできたというお話でありますけれども、この試験の取り出しと本格的な取り出しというのはまた全然別次元だと思います。本格的な取り出しについては、これからその手法だとか検討、設計をやっていかなきゃいけませんね。それから、例えば燃料の取り出しもまだ当初の予定から遅れているというふうに聞いています。
様々な作業は、私は、ロードマップ、大きな廃炉のスケジュールがあるので、その中に収めよう収めようとされてはいるのは分かるのでありますけれども、終わりが見えない、各作業の終わりが見えない、デブリの取り出し、ではいつ終わるんだ、そういう目標はいつの間にか消えてしまっている、それが現状だと思います。私はそれを責めるつもりはないんです。分からないんです、難しいんです。なのに、このロードマップは四十年で終わるというふうに書かれている。
私は、東京電力さんのためにも、この中長期のロードマップを早く見直す作業を着手をしないと、現場の皆さんは無理なスケジュールで難しい作業を強いられることになる。私は、ここは政治の決断も大変重要になります。この中長期のロードマップをどこかで見直す。
日経新聞の記事、上げました資料に、「二〇五一年の空疎」と。四十年で廃炉を完了する、そういう目標は、専門家の中でも誰もそんなことができると信じていないよという記事が書かれています。これは本当によくまとまっていると思います。当初はスリーマイルの事故のメルトダウンを参考にしてスケジュールを組んだんだ、でも、今回のデブリの取り出しで分かった、スリーマイルのメルトダウンと福一のメルトダウンは別物だ、だから、スケジュール、この中長期ロードマップを作った前提も崩れているんじゃないか。これは私は適切な指摘だというふうに思います。私は、二〇五一年空疎と書かれているこのスケジュールの見直しを是非とも進めていただきたい。
その前提としてもう一つ議論しなければいけないのは、いわゆるエンドステートと言われる、廃炉の後、どうするのか。この記事の中にも書いてありますけれども、本当に更地にして皆さんにお戻しができるのかどうかというところ、ここも今曖昧なんですよ。誰も議論していない。決められない。もちろん、決められない、難しい課題です。でも、それが分かっていないと、決めていないとこの廃炉の工程に大きな影響があります。
週末、伊方原発に行ってきたんですよ。伊方原発は一号機、二号機の廃炉作業がスタートしているんですよ。伊方原発の廃炉作業のスケジュール、四十年ですよ。正常に止まって、適切な工程で処理ができる廃炉作業に四十年ですよ。あの福島の事故後の原発の廃炉作業のスケジュールも四十年。二〇五一年完了。これだけを見ても、素人が見たっておかしいでしょう。
私は、ここは政治の責任で検討をスタートしていただきたい。しっかりといろいろな知見を集めて、これは廃炉のコストにも影響します。これは時間をかけてじっくりとやっていくことによって最終の廃棄物の量も減ってくる。
記事にも書いてありますけれども、百年かかるかもしれない、百七十年かかるかもしれない、そういう研究がある、それでも終わらないかもしれない。そういう覚悟を持ってこのロードマップというのは見直していかないと、本当に、廃炉作業、大変な作業を東電さんに強いることにもなるし、無理をして事故が起きるかもしれない。私は、そういう今大事な局面に来ているんだというふうに思います。
大臣、この廃炉スケジュールは政府が作っています。これは、与野党を超えて是非そういう委員会をつくって、いや、当初の計画は民主党政権時代に作っていますから、私もその頃民主党におりましたので責任を感じているのであります。是非、専門家の皆さんもいろいろな議論をされていると思いますけれども、先ほど言ったような、今いろいろな条件が変わってきた、見えてきた、そういう中で、ゼロベースでこのロードマップの見直しを進める、その指示を出していただけないですか。
○武藤国務大臣 委員からの御提案でございますが、これもいつもいろいろお話し申し上げていますけれども、これはもう世界でも例のない、類のない、技術的にも難易度の高い作業である。本当に、委員おっしゃられるのは、これで、二〇五一年で本当に終わるわけないじゃないかというような多分お気持ちだというふうに思いますけれども、正直、今回、燃料デブリも、やっと、今月中かな、多分二回目の取り出しに入るんだというふうに承知をしています。
いずれにしても、柔軟な方向性を調整するステップ・バイ・ステップというこのアプローチ、もうしばらくしっかりと、この技術というものがどのぐらいなものなのかというものを、私自身は、日本の技術は心底すばらしいと思っていますので、ここはしっかり見ていきたいとまだ思っております。
中長期ロードマップにおいても、廃炉作業の進捗、これを踏まえて継続的な見直しを行うこととされておりますけれども、現在の状況を踏まえて、中長期ロードマップに基づく廃炉全体の工程に影響というものは生じないとは思っておりますけれども、しっかりウォッチはしていきたいというふうに思っています。
○山崎(誠)委員 もう一歩踏み込んでいただきたかったのでありますけれども、ありがとうございます。前向きな御答弁だったと思います。
いろいろな意見は確かにあるんだと思います。東電さんの報告を読んでいると、そのロードマップに合わせよう合わせようとして、表現が残念ながら変わってしまうんですよ。ゴールがどんどんどんどん曖昧になっていく、そういう状況をこれ以上東電さんにも強いることは、やはり私は政治として不適切ではないか、もっと言うならば、福島の皆さんに対して不誠実ではないか、そのように強く思うので、皆さん、山名理事長も専門家で廃炉責任者でもありますので是非御意見をお聞きしたかったんですけれども、ちょっと時間がありません、申し訳ないんですが、是非御検討を進めていただければというふうに思います。
最後に一問。洋上風力の事業の話をさせていただこうと思います。
今、第一ラウンド、入札をしたプロジェクトがうまく動かないということで、このコストが大変高くなって事業性が危ぶまれているということであります。
そういう中で、この運用指針の変更のようなことを計画をしているということ、公募の時点からどんな見直しをするのか、具体的にどんな変更を考えているのか、お聞きしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘いただきました洋上風力発電でございますけれども、インフレなどの影響を受けまして、世界的にも一部でプロジェクトの中断等が発生してございます。したがいまして、今お話しいただきましたとおり、公募の公平性を担保しつつ、事業を完遂させるための環境整備を進めていくことが重要と認識してございます。
そして、御指摘いただきましたFIP制度ということで、二〇二二年四月に開始をしてございます。こちらは、従来のFIT制度の課題を踏まえまして制度改善を図る観点から、発電事業者に発電計画の策定を求めるとともに、発電事業者の売電収入を時間帯ごとの電力市場価格に連動させることなどにより、国民負担を増やすことなく再エネの電力市場への統合を促すものでございます。関係審議会でもお示ししているとおり、将来的には洋上風力を始めとする全再エネ電源についてFITからFIPへの移行が望ましいと位置づけているところでございます。
したがいまして、FIP、認定を取得済みの電源について、二〇二二年四月のFIP制度開始以降、陸上風力を含め電源種を問わずFIP移行を可能とした上で、必要な事業環境整備を通じ、FIP移行を強力に推進してきたところでございまして、この考え方につきましては再エネ海域利用法の選定済みの事業者についても何ら変わらず、実施した公募の公平性を損なうことはないと承知をしてございます。
○山崎(誠)委員 ありがとうございます。
時間になりましたので終わりますけれども、そういう認識を事業者の皆さんは持っていない。多くの皆さん、そんなはずじゃなかったよという声が出ています。事実関係を今後また確認をさせていただきたい。
やはり、洋上風力をこれから進めていくためには、多くの関係者の方に協力していただかなきゃいけない。そのベースは、入札事業の公募のシステムが信頼を置けるんだということがやはり根本になっていなければいけません。そして、第一ラウンドの皆さんの条件を変えることによって、第二ラウンド、第三ラウンドの皆さんの例えばPPAの電力の販売先、そういったものにも影響が来るんじゃないかということで、皆さん非常に心配をされています。こういう心配、不信、そういったものを取り除いていかないと本当に風力事業は伸びないと思いますので、今後議論をさせていただこうと思います。
終わります。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、東克哉君。
○東(克)委員 立憲民主党、広島三区の東克哉と申します。
本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まずは、経済産業省における介護保険外の認証制度創設を担う業界団体の設立支援の現状、期待するところについてお伺いさせていただきたいと思います。
私自身も理学療法士として介護の分野で約二十年間仕事をしてきまして、保険の中でやる事業のやりにくさということと、保険外でやはりニーズが高いということを肌感覚で、そして実際の声として聞いてきていましたので、これを、経済産業省が保険外サービスを推進してやるということは非常に期待感を持っているところですので、これから一緒に頑張って取り組んでいきたいなというふうに思っております。
そして、本年二月、二か月前ですね、本年二月に介護関連サービス事業協会が設立されました。この団体は、介護給付の対象とならない、介護保険外サービスの事業を振興する目的で設立されたものと承知をしております。実際の介護現場では、こうした保険外のサービスは利用者の皆さんにとっても必要であり、そして、そのサービスの質、そしてその担保、認知度の向上、振興について大変共感をしているところでございます。
こうした介護関連サービス事業協会の開設の取組について、経済産業省のお考えを改めてお伺いいたします。お願いいたします。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
日本では、高齢化の進行に伴いまして、仕事をしながら家族を介護する方の数は増加しております。その結果、介護負担に起因した労働総量や生産性の減少によって、大きな労働損失が生じております。このような背景を踏まえますと、介護需要の多様な受皿の整備を目的とした介護保険外サービスの振興は、委員御指摘のとおり大変重要であると認識しております。
このような介護保険外サービス振興のためには、当該サービスの信頼性の確保や認知の向上が重要であります。
このため、経済産業省としまして、二〇二三年度より、民間企業が主体となった介護関連サービス事業協会の設立を支援しております。具体的には、介護保険外サービスの品質を担保するためのガイドラインの整備、当該サービスに関する情報発信及びガイドラインに基づく認証制度の運営準備、こうしたものを支援してきております。
経済産業省としましては、関係省庁とも連携しまして、介護関連サービス事業協会を含め、このような民間主体の取組を通じて、引き続き介護保険外サービスの振興を行ってまいりたいと思っております。
○東(克)委員 ありがとうございます。
まだ走り出したばかりなので、なかなか加速度的には進まないと思いますが、確実にニーズのあることですので、着実に進めていっていただきたい、私どもも一緒に汗をかいていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
経済産業省さんのお考えはお伺いさせていただきましたが、実際に厚生労働省さんにもお伺いをさせていただきたいと思っております。
実際の介護現場では、介護事業所において、生活に密着した介護サービス、特に、デイサービス、ヘルパー、訪問介護、こちらの方々のニーズが非常に高いということは認識しております。
サービスの提供者側そして利用者側、介護保険内のサービスと保険外のサービス、これら両方があってこそ本当によい介護サービスが提供できる、満足のいく介護サービスが受けられるというものと本当に感じております。
今お話があったように、経済産業省の支援で、介護保険外サービスの認証制度の創設を担う業界団体の設立の支援を進めているという現状を踏まえて、引き続いて、厚生労働省に、介護保険外サービスへの振興の考え方、地域包括ケアシステムの中で民間事業所に期待すること、介護保険内のサービスとそれに関連することについて、厚生労働省のお考えをお聞かせください。
○吉田政府参考人 お答え申し上げます。
高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるようにするためには、介護保険制度に基づくサービスが着実に提供されることを前提とした上で、多様化する高齢者のライフスタイルに対応していくことが望ましいと考えております。介護保険制度に基づくサービスに加えまして、介護保険外サービスが提供されることにより、こうした高齢者の多様なニーズに対応できるものと考えております。
今般の業界団体設立は、一定の質が確保された介護保険外サービスの提供に資することを目指したものと認識しておりまして、高齢者が安心して介護保険外サービスを利用できるようになることを期待しております。
厚生労働省としましても、経済産業省とも連携しながら、引き続き介護保険外サービスの活用促進に向けた取組を進めてまいりたいと考えております。
○東(克)委員 ありがとうございます。
是非、厚生労働省さんと経産省さんが連携してこの事業を進めていただいて、本当に、地域包括ケアシステム、住み慣れた町で暮らしていけるような体制を、しっかりバックアップをつくって、私もしっかり現場の声を届けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
なお、この保険外サービス、主にニーズがある、これをやらないといけないなと思っているのは、中小の小さい介護事業所、デイサービスであったりヘルパーであったり、そういった介護事業所であるんですけれども、続いて、小規模の、中小企業のそのことについてお伺いさせていただきたいと思います。
小規模企業振興基本計画が三月二十五日に見直しをされて、閣議決定をされたというふうに把握をしております。おおむね五年ごとの基本計画の変更と承知しておりますが、今回のこの見直しを踏まえて、小規模事業者の支援強化、そのことについて経済産業省の意気込みをお聞かせください。
○大串副大臣 今般見直しを行いました小規模企業振興基本計画では、小規模事業者の意義として、多様な事業を創出し地域経済を支える重要な存在であり、また、地域生活に欠かせない生活関連サービスの提供や地域文化の担い手など、地域コミュニティーに欠かせない存在と位置づけております。
また、小規模事業者が構造的な人手不足や物価高など様々な経営課題に直面しておりまして、これまで以上に稼ぐ力を高めていく必要があるという認識の下で、本計画では、小規模事業者の経営力の向上とそれを支える支援機関の体制、連携強化を目指すこととしております。具体的には、商工会、商工会議所の経営指導員のスキルアップや人員不足への対応、広域的な支援体制の構築等を図ることとしております。
また、小規模事業者が提供する付加価値に適切な価格が設定されなければ稼ぐ力の向上にも結びつきませんので、このため、下請代金法の厳正な執行や相談窓口の運営など、取引適正化対策についてもしっかりと計画に盛り込んでおります。
本基本計画に基づきまして、小規模事業者の皆様の経営力の向上等に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
○東(克)委員 ありがとうございました。
先ほども出てきたように、稼ぐ力ですね、このままでいいわと思っている小規模事業者というのはやはり結構ありますので、やはりそこの売上げをできればゼロ一つ増やしていけるような支援、若しくは、価格転嫁、インフレに打ち負けることのないように支援をしていかなければならないということも、私自身も、小さな会社ですけれども経営していた身として、非常に痛感しております。
その中小企業、小規模事業者の支援策の中で、先ほども言っていただきましたように、支援機関の体制、強化の連携については昨年末の経済産業委員会でもお伺いさせていただきましたが、中小企業の支援については、先ほど言われましたように、商工会議所、そしてよろず支援の窓口などのワンストップサービスが必要であるということ、そして、そこの支援の構築、地方公共団体や各種の経済団体、金融機関が連携して支援をしていかなければならないということを認識しております。
昨月、令和七年度の予算が成立したことも踏まえて、これがどのように進んでいったのかということを、経済産業省としてどのように取り組んでいくのかということをお伺いさせてください。
○山本政府参考人 お答えいたします。
中小企業、小規模事業者は、企業数全体の九九・七%、従業者数の七割、付加価値の過半を占める日本経済の屋台骨でございまして、地域経済を支える重要な存在であります。一方、人手不足や物価高、金利上昇など様々な経営課題に直面しております。
このように刻々と変化する経営環境において経営者単独で対応することには困難もありまして、経営者に寄り添った経営支援が非常に重要であると認識しております。そのため、様々な経営課題に対応する専門家が在籍するよろず支援拠点を全国四十七都道府県に設置し、売上拡大や経営改善等の経営サポートを行っております。事業者はこちらで何度でも無料で相談することが可能となっております。
また、地域における身近な支援機関として、全国の商工会、商工会議所におきましても、経営指導員が小規模事業者に対し、補助金情報の提供や補助金の獲得に向けた支援に限らず、総合的な経営サポート等の伴走支援も行っているところであります。
引き続き、各支援機関を活用するとともに、地方公共団体や金融機関とも連携をさせていただいて、今年度もしっかりと取り組んでまいる所存でございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
よろず支援拠点や商工会議所のことについてなんですけれども、済みません、ちょっと通告していなかったんですけれども、もし分かればで構いません。
先ほど、先日、四月十日ですか、広島の自動車のところにお伺いされたと言ったんですけれども、そういう大きなところはいいんですけれども、その多重構造の下のところは、まだ関税が自分のところにどうやって影響を受けていないかということを分かっていないところが比較的あります。私も、連絡して聞いたら、何かうちに影響はあるのかというふうに言われたところもあったんですけれども。
全国にジェトロを始めとして窓口を千か所つくった、その窓口になっているのは、商工会議所とかよろず支援拠点以外にもしどこかあるのであれば、教えていただけますか。もし分かればで構いません。分かりますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
今挙げていただいたジェトロ、商工会議所のほかに、全国の商工会、また日本政策金融公庫を始めとする公的な金融機関も含めて、様々な御相談にあずかり、お求めのある情報を提供してまいるという対応を取っていく所存でございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
公庫も中に入っているということは、恐らく私の連絡した人は多分知らなかったと思いますが、確実にここには融資を受けているという話も聞いていましたので、そういうところに情報発信して、何かあったときには、まあ、あったときにはというか、ないように動かないといけないんですけれども、多重構造の下になっているところについては、そこが窓口になっていることを改めて私の方からも発信していきたいと思いますし、是非、経産省さんからも、もし発信できることがあれば発信していただきたいなというふうに思います。
済みません、急な質問で。ありがとうございました、お答えいただきまして。
続いて、先ほどのサプライチェーンの多重構造の話に戻りますけれども、一旦、春闘賃上げというのが一息ついて、また中小は今からやっているところもありますけれども、新年度がスタートしていく中で、今後サプライチェーン全体で価格転嫁にはやはり取り組んでいかなければならないというふうに強く感じております。
これも、令和七年度の予算が成立したこの時点において、いろいろな取組をこれからしていこうとしているというふうに認識をしております。
業界ごとの商習慣も異なる中で、例えば、私の広島も言いましたけれども、自動車産業などについて一層の価格転嫁の取組、経済産業省のお考えをお尋ねさせてください。
○山本政府参考人 お答えします。
中小企業庁では、価格転嫁対策といたしまして、年二回の価格交渉促進月間に基づく、発注企業ごとの交渉、転嫁の状況の公表や事業所管大臣名での指導助言、下請Gメンによる取引実態の把握、労務費転嫁指針の周知徹底などに取り組んできておるところでございまして、令和七年度予算も活用し、これらの対応を引き続き着実に実施してまいる所存であります。
さらに、公正取引委員会と共同で下請法改正案を今国会に提出しておりまして、協議に応じない一方的な価格決定の禁止等を通じ、これまで以上に価格交渉しやすい環境整備に取り組んでまいります。
加えて、委員御指摘もございました、業界ごとに存在する、価格転嫁を阻害する商習慣の一掃も必要と認識しております。経済産業省では、大臣を始めとするハイレベルから、直接、関係業界団体に対する要請を進めております。
先日、武藤大臣が自動車関係業界各社のトップと面会をいたしまして、サプライチェーンの頂点となる企業、業界として、直接の取引先の更に先まで価格転嫁が可能となるような価格決定を行うこと、また、更に先への価格転嫁の予算確保も含めまして、価格転嫁の方針がサプライチェーンの隅々まで伝わるよう、例えば取引階層の深いサプライヤーも参加するセミナーの実施など、広く情報発信を行うことを求めたところであります。
また、手形等による支払いの早期化や型取引の適正化等を推し進めるとともに、米国の追加関税で厳しい状況に直面する中でも適正取引に引き続き配慮することなどを要請しておるところであります。
中小企業の賃上げ原資の確保に向けて、価格転嫁対策をしっかり継続してまいる所存であります。
○東(克)委員 ありがとうございます。
このことについては、引き続きやはり下請法のときにまた議論をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続いて、外国人の育成就労制度についてもお伺いさせてください。
これは中小企業に限らないと思うんですけれども、地域によっては特に人材不足が大きな課題となっています。
これまでの技能実習制度から、令和九年の施行を目指している育成就労制度の運用開始に向けた準備が進められると理解しておりますが、受け入れられる外国人材の、分野ごとに受入れ見込み数を設定して育成計画を実施するものと承知しておりますが、特に、製造業、介護分野を始め、地方の人材不足の解消につながるような人材育成制度になるように希望していますが、その辺りの政府の考え方についてお伺いさせてください。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
我が国は深刻かつ構造的な人手不足に直面してございまして、特に、御指摘のとおり、地方の企業において、より厳しい状況であるというふうに認識してございます。このため、人手不足の分野における人材確保、それから人材育成を目的とした育成就労制度、これを適切に活用していくことが非常に重要だと考えてございます。
政府におきましては、本年三月に、本制度を所管する出入国在留管理庁及び厚生労働省が中心となって、特定技能制度及び育成就労制度の運用の基本的事項を定めた基本方針が閣議決定されたところでございます。
経済産業省におきましては、工業製品製造業について、業界の声、それから人手不足の状況、生産性向上、国内人材育成のための取組等を踏まえながら、制度の対象分野や試験内容等の検討を進めているところでございまして、工業製品製造業分野における外国人材の適正かつ円滑な受入れに向けて、引き続き、業界の声もしっかり踏まえながら、関係省庁と連携して検討を進めていきたい所存でございます。
○東(克)委員 引き続き、厚生労働省さんからもお答えいただけますでしょうか。
○吉田政府参考人 介護の分野についてお答え申し上げます。
高齢者の増加と生産年齢人口の減少が進む中、委員御指摘の介護分野におきまして、人材の確保、とりわけ地方での人材確保は厳しい状況にございます。必要な介護サービスを安心して受けられるよう、その担い手を確保することは喫緊の課題と認識をしております。
育成就労制度の創設により、介護分野におきましても、育成就労から特定技能一号へステップアップし、介護福祉士の国家資格を取得して、在留資格「介護」での就労をも見据えるといったキャリアアップの道筋がより明確になると考えております。
本年三月に閣議決定されました基本方針の中でも、大都市圏に人材が過度に集中しないよう配慮に努めることとされており、こうしたことも踏まえつつ、引き続き、介護分野の関係者の意見も聞きながら、関係省庁と連携して必要な検討を行ってまいりたいと考えております。
○東(克)委員 ありがとうございます。
是非、令和九年度の施行に向けて私も汗をかいていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案に関連して、懸念事項についてお伺いいたします。
これは後日委員会が立つと思うんですけれども、既に閣議決定をされております円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案について、まずはこの本法案の目的について、経済産業省、お聞かせください。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
足下の経済状況でございますけれども、原材料高、それから人手不足の進行などを受けまして、倒産件数も増加傾向にございまして、ある民間調査会社の調査によりますと、二〇二四年の倒産件数は十一年ぶりに年間一万件を超えた状況でございます。
こうした経済社会情勢の動向を受けまして、この通常国会に提出いたしました円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案、いわゆる早期事業再生法案でございますけれども、経済的に窮境に陥るおそれのある段階の事業者につきまして、公正かつ中立な第三者機関、それから裁判所が関与する形で手続の透明性、公正性の両方を担保しながら、直接の商取引に影響しない金融債務に限定した形で債務の整理を多数決により迅速に行うことで、早期での事業再生を円滑に行うことができる制度基盤を創設するものでございます。
本制度によりまして、事業者が早期での事業再生に取り組むことで、事業価値の毀損、それから技術や人材の散逸の回避につながっていくというふうに考えてございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
早期の事業再生に向けて債務整理をする、全員一致の要件を緩和して多数決による金融債務の早期整理を可能にするというものだというふうに理解をいたしました。
既存の事業再生に関する手続において、人員の整理、労働条件の引上げなど頻発しているというふうに、実際資金繰りが困ってくるとそうなるというふうに思いますが、本制度を労働者保護に関する懸念という視点で現時点で経済産業省さんがどのように考えているか、お聞かせください。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども申し上げたとおり、本法案はあくまで金融機関等の有する金融債権に限定して権利変更を行うための手続を定めている制度でございまして、例えば、未払い賃金や退職金などの労働債権は権利変更の対象とはされてございません。
また、そもそも本制度は、経済的に窮境に陥る前の段階で早期での事業再生を図り、事業価値の更なる毀損を防ぐことを可能とする制度でございますので、労働者の方々の利益にも資するものであるというふうに我々としては考えてございます。
他方で、御指摘ございましたけれども、事業再生に当たっては、その企業で働く労働者の方々の御理解それから御協力を得ること、これも重要であることは事実でございまして、また、事業再生の個別事案において、現場で働く労働者の方々が賃金や雇用の観点で御不安を感じることがあることも認識してございます。
また、本制度を検討する際に開催された事業再構築小委員会の報告書に関するパブリックコメントにおきましても、労働者保護の重要性を指摘する御意見を頂戴しておりまして、制度の具体的な運用を定めていく上で重要な論点であると認識しております。
引き続き、関係者の意見を丁寧に伺いながら、制度の具体的な運用等について検討を進めてまいる所存でございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。是非、先ほど言われた再生前に相談できるような体制を整えていけるように、よろしくお願いいたします。
続いて、生成AIについて、労働市場に及ぼす影響について、現状の御認識をお伺いさせてください。
近年、生成AIは様々な分野で使われて、人間の仕事がAIに取って代わられて、仕事を奪われるのではないかということで、雇用、労働の負の懸念などを指摘する声を承知をしておりますが、現在、生成AIの活用においてどのような影響が起こり得るのかということを考えているのか、政府のお考えをお聞かせください。
○塩崎政府参考人 お答え申し上げます。
一般論といたしまして、生成AIが現在の仕事の一部を代替できるということは事実でありますが、例えば、他人と感情を共有し共感することや、五感を通じて得られる感覚をイメージすること、実際に体を動かす作業などは現時点で人間に大きく劣っているものと承知しております。
そうした人間が強みを持つ仕事は引き続き残るとともに、生成AIの普及によりまして、従来にはない新しい職業や産業が生まれたり、AIエンジニア等のAI関連の職業に対するニーズも増加するものと考えられております。
また、これまで人間が実施することが困難でありました業務が実施できることなどを通じまして、生産性の向上や労働力の不足の解消など、労働市場における諸課題の解決に大きく貢献することが期待されます。
一方で、生成AIによりまして現在の仕事の一部が代替されるようになることを踏まえまして、今後、民間企業等とも連携しながら、AI人材の確保に向けたリスキリング関係の施策の充実が必要であると考えております。
いずれにしましても、経済社会における人材事業や働き方が今後大きくシフトしていくと考えられますので、労働者に対する負の影響を最小限に抑え、労働者が今よりも安全かつ安心に、そして幸せに働くことのできる社会を実現できますよう、関係省庁とともに所要の検討や取組を進めてまいる所存でございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
何度もお伝えしているように、私も介護の分野で仕事をしていますので、そこは本当に、AIに取って代わられるものが五感を使った仕事になりますので、それを補完できるようにAIを活用していけるようにしていきたい、そういう制度をつくっていきたいなというふうに思っておりますので、またよろしくお願いいたします。
制度の活用についてなんですけれども、AI事業者ガイドラインというものを作成されておると承知しております。今後、企業内のAIが活用されていく中で、従業員の個人データなどのプライバシーの保護、AIの間違った評価による労働者への不利益など、AIに対する懸念もあると承知をしております。
こうしたAIのリスクに対して経済産業省さんとしてどのように対応していくのか、お尋ねします。
○奥家政府参考人 お答え申し上げます。
AIは、国の競争力や社会の豊かさを左右する重要な技術である一方で、委員御指摘のとおり、様々なリスクをもたらし得る技術でもあるというふうに認識しています。
こうした問題認識から、我が国がリーダーシップを発揮して、二〇二三年のG7広島サミットにおいて、人間中心主義などの尊重をうたう、高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針などをまとめています。
こちらを踏まえまして、AIシステムを開発、提供、利用するそれぞれの事業者が、リスクに応じて適切なガバナンスを利かせるように、人間中心、プライバシー保護など十個の指針を示したAI事業者ガイドラインを昨年四月に策定し、本年三月に更新を行うとともに、周知活動を行ってきています。
また、昨年設置しましたAIセーフティ・インスティテュート、いわゆるAISI、こちらは、国内外の関係機関と連携を図りながら、AIセーフティーに関する技術的な評価手法などを示しています。
さらに、本年二月です、AIの利用、活用に関する契約チェックリストというものを公表しました。AIに提供されるデータ、個人データのようなものとか含めて、こうしたものが不適切に利用されるリスクなどがあることを踏まえまして、事業者が慎重に検討して契約することを促しています。こうした取組によりまして、契約締結に当たっての懸念やリスクを低減させて、AI利用を推進する環境づくりを行っています。
今国会では、内閣府が中心となりまして、国として、AIのイノベーションの促進とリスク対応を両立するためのAI法案を提出しています。関係省庁と連携しながら、我が国が世界で最もAIを開発、活用しやすい国となることを目指してまいりたいというふうに考えています。
○東(克)委員 時間が参りましたので、質問を終わりたいと思います。残りの質問がありましたこともおわび申し上げます。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、斉木武志君。
○斉木委員 斉木武志でございます。
今日は、武藤大臣、そして山中委員長にも来ていただきました。まずは武藤大臣からお伺いをしたいと思います。
今日も、日本のマーケットはまた五%近く日経平均を下げておりますけれども、トランプ関税への対応と日本の戦略についてでございます。
このトランプ関税をめぐっては、私は、米国債が一つ大きな鍵になってくるのではないかなというふうに思っております。というのも、日本に対する追加関税を含めて九十日間猶予をするということをトランプさんが発表された記者会見の中で、みんなちょっと慌て過ぎだというふうに言いましたね。米国債が値段が下がった、そして米長期金利が四・五%近く上がっていく。一方で、ドルが下がる、株も下がる。いわゆる米国債という国債が売られ、ドルが売られ、そしてS&P五〇〇もダウ平均も大きく下げる、株式が値下がりする、いわゆるトリプル安です。このトリプル安というものに非常に危惧を持ったのではないかというのが、私は、九十日間猶予をすると発表した大きな原因ではないかなというふうに思っております。
トランプ大統領自身も、債券市場や債券市場の金利上昇を見ていた、ウォッチしていたということをその変更理由に掲げておりますけれども、大臣として、トランプさんがいきなり手のひら返しのように九十日間猶予するよというふうに言ったのは、アメリカの米国債の値動きとかマーケットに対する彼の感覚というんですかね、心配、懸念というのがあったのかどうか、大臣の御所見はいかがですか。
○武藤国務大臣 トランプ大統領が今回の国債の話で九十日という決定をしたのかどうかという御質問でしょうけれども、私自身はトランプ大統領には直接会ったことはないので。
ただ、これまでの、今までハワードさんとかいろいろ会ってきた中で、正直申し上げて、この九十日停止を認める、これは報道は分かっているんですけれども、私の立場自身も我が国の保有する米国債について申し上げる立場でもないので、これは政府一丸となって、いずれにしても、米との協議に知恵を絞る中で、この国債というものもよくよく調査をしていかなきゃいけない話だということぐらいで、お止めさせていただきたいと思います。
○斉木委員 お聞きしていない我が国保有の米国債までお答えいただいて、ちょっとフライングぎみかなと思ったんですけれども、トランプさんがなぜ手のひら返しをしたのか、態度を豹変させたのか、その彼の心中をどう見るかという御質問だったので、そこまでは聞いていなかったんですけれども。
おっしゃるように、米国債というものは、これは米国の運営の要ですね、日本では日本国債、今、発行残高というのは二十八兆米ドル、日本円にすると四千五十兆円という、実は世界最大の金融商品でもあります。ですので、まさに世界中が注視をしているその米国債の価格と米国長期金利がどうなるのかということは、大きくこれは日本のマーケットにも影響を与える、世界の金融関係者の関心事項ですね。
ここのところで、米国債というのは、大臣も今おっしゃったように、世界一の持ち手は日本なんですよ。世界第二位の持ち手は中国なんですね。ですので、今回、いわゆる、アメリカと中国は報復関税戦争に今入りました。ですので、中国勢がアメリカ国債の入札に参加していないんじゃないかというような疑念がニューヨークでも日本でも駆け巡りまして、米国債の価格下落につながった、長期金利が急上昇したという局面がございます。これがトランプさんの翻意を招いたというところでございます。
ですので、これは、日本としても、大きな交渉材料というか強みになると思うんですよ。誰がアメリカの国債を持っているんですか、世界一買い支えているのは日本ですよということは、これはまさに日本を無視できない、マーケットに敏感なトランプさんですから。やはり、その辺りというのは今後の交渉でも大きな材料になると思うんですが、大臣、御所見いかがですか。
○武藤国務大臣 そういう意味で、ちょっとフライングぎみにさっきも申し上げたとおりだというふうに思います。
いずれにしましても、米国の協議に知恵を絞りながら対応していくことになるんだろうと思います。
○斉木委員 実は、大臣、マーケットの方が先に動いているんですね。日本勢が、じゃ、どれだけこの米国債を始めとする外国債券を売り越しているかという統計を財務省が持っております。財務省の統計によりますと、日本勢が、このアメリカ国債を中心とする外国債券の売り越し額、これが先週およそ二・五兆円と、五か月ぶりの大きさを記録しました。これは、まさに日本勢も含めたアメリカに対する不信感の表れですよ。
アメリカのトランプさんが急に全世界に、無人島も含めて関税をかけるということを発表した、中国とはばちばちと一二四%、今一四五%でしたっけ、どんどん訂正して高くしていっている。こういったトランプさんの予見不可能性、何を次に言ってくるのか、手のひら返しするのか、全くクレディビリティーが、信用性がないから、そういった国の債券からは手を引かざるを得ない、やはりそれが素直なマーケットの反応だと思いますよ。ですので、そこがまさにトランプさんの足下を揺さぶっていると思います。
大臣の慎重な言い回しに先行して、日本勢がこれだけ、先週二・五兆円というのは私も見たことのない売り越し額なんですけれども、これだけアメリカ国債を民間金融機関の独自判断で売っている、この状況をどう見ますか。
○武藤国務大臣 申し訳ない、所管外なので、ちょっとお答えするわけにはいかないと思います。
○斉木委員 私の言わんとするところは、是非、これは日本の大きな交渉材料になると私は思います。世界一、日本、それこそがアメリカに対する貢献じゃないですか。米国債を世界一持っているということは、アメリカの財政、借金を世界一支えているのは日本なんですよ。日本がそれの入札を見送ったり民間金融機関が売ったりしたらどうなりますかということは、アメリカにとっては最大のアキレス腱だと私は思います。
こういうことをあえて言う意図は、実は、これは経産省の職員と昨日話をしていたんですけれども、助かりますと言うんですね、率直に言って。日本の立法府、国会でこのような本当のストレートな議論が行われているということは、じゃ、経産省の職員だって、向こうのカウンターパート、アメリカ側と話をするときに、こういう議論が国会でも行われていますよということは言えるじゃないですか。やはり、お願いだけでは交渉にならないと思うんですね。
やはり、こういった強い、日本の強み。確かに、安全保障は依存しているかもしれません。でも、おたくの金庫を支えているのは我々なんですよ、おたくの金庫からうちが手を引くそぶりを見せただけで債券市場はどうなりますかということを、やはりこういった、中国は実際に交渉の道具として使い始めているじゃないですか、世界二位の保有国は。
だから、こういったことも、お願いします一辺倒、右の頬を張られたら左の頬も差し出すではなくて、是非、こういった日本としての強みを持って交渉に臨んでいただきたいと思うんですが。じゃ、まあ特定しなくてもいいです、米国債は所管外なので。是非、そういった、日本として、どういう材料を持って今後交渉に臨まれる気構えでしょうか。
○武藤国務大臣 今日、今朝方も官邸で、今度の、米国関税対策会議というかな、そういうのがまたありまして、だから、ある意味で、さっき所管外と申しましたけれども、日本政府としてどうするかというのは、もう、この前の委員会でもそうですけれども、委員が、お願いするだけじゃ駄目ですよと。それは当たり前の話で、日本にも、世界にも、そしてアメリカにも、それぞれがやはり大きな波乱が起きないように、これは、我々としては、最善のケースを想定しながら、やはり相手を説得するという形だと思いますので。
そういう意味でいうと、この米国債の話というのは、今おっしゃられるように、中国も持っているわけですから、これは正直申し上げて、日本という形でこういうものでディール扱いにして、では、中国がどういうふうに出てくるかとか、これからそういういろいろな形のまた動きが出ますので、ここは、この委員会では、私の立場からいえば慎重になりますけれども、当然ですけれども、日本政府として、そういうものもいろいろとこれも考えていかなきゃいけないということだろうと思います。
○斉木委員 さて、私は前回、被害者は世界中なので、是非そこと手を組むべきじゃないかということを申し上げました。実際、フランスからもうラブコールが届いていますね。今朝の日経新聞に載っておりましたが、フランスの貿易担当相、サンマルタンさんが日経新聞のインタビューに対して書面で回答をしております。その中で、是非、日本と緊密に連携をして対米政策を行っていきたいというふうに表明をされている。
ちょっと読みますけれども、日本との類いまれなパートナーシップ強化は、米政権の措置を受けて決めたわけではない、経済的結びつきは確固たるものだ、特に重要鉱物の戦略的分野では、供給源の多様化と供給網確保に向けた強力な協力関係を築いた、例えば先月は駐仏日本大使も同席して、JOGMECや経済産業省、岩谷産業とフランス・カレスター社のレアアースのリサイクル工場の起工式を行った。
レアアース分野でも連携していこうというふうに具体的に動いていらっしゃる。
実際に、アメリカに対しても、やはり、これは連携して取り組んで引下げを求めていくべきじゃないかとおっしゃっているわけです、まさにカウンターパート、貿易担当相が。これは、私は、是非こういう声を受けて連携すべきだと思うんですが、いかがですか。
○武藤国務大臣 委員おっしゃるとおり、もちろん、それは、我が国として、いろいろな、エネルギーでも、各国、世界の中でもいろいろなカウンターパートがいます。
今エネルギーの話をしていただきましたけれども、こういうところとは情報交換をしながら、やはりアメリカというものに対してどうするかというところもありますし、一方では、やはり、中国というものがどういうふうに出てくるのか、特に資源の関係は中国が大分握っているので、そこら辺の重要鉱物の資源の扱いというものも十分我々としては配慮していかなきゃいけないんだと思います。
そして、米国の一連の措置に対して各国が様々な対応を行っていることは、これも承知をしているところでもあって、これは前も言ったと思いますけれども、各国と必要な情報交換を行ってきているところであります。その中で、各国それぞれ、国益そして米国との貿易構造、様々な考慮要素もある中で、各国との連携を含め、何が日本の国益に資するのか、あらゆる選択肢の中で何が最も効果的なものなのかを我々はよく見極める必要があるんだというふうに承知をしているところです。
○斉木委員 今、中国の話も出てきていましたけれども、ちょうど、この貿易担当相、サンマルタンさんもちょっとそれにも言及をしておりまして、EUは中国とバランスの取れた互恵的な経済関係を構築しようとしている、市場への相互アクセス、国際ルールの尊重、透明性が前提だ、我々の経済的利益を守りつつ、中国のパートナーとの対話を維持すると。いわゆる全方位外交をされている。ですので、やはり全方位の目くばせというのは絶対重要だと思います。
G7加盟の西側諸国からもこういうラブコールが来ているわけですから、こういったところというのは是非全方位で、被害者も本当に世界中ですので、ここのところを、ちょっとトランプさんやり過ぎだよというふうに、今、米国債の値下がり、長期金利の上昇、ナスダック、S&P五〇〇、ダウ平均の下落、そして、本日、日経平均も下がっていますけれども、乱高下していますよね、毎日毎日、彼の発言次第で。ちょっとやり過ぎだよ、余りに信認性が低いよ、信用できないよという声が米国債の値下がりにも私は出ていると、マーケット関係者もそう分析しておりますので、その最大の持ち手である日本の強み、これは絶対に大きな交渉材料になるであろうということを申し上げて、トランプ関税についてはちょっと終えたいと思います。ありがとうございます。
そして、もう一つ、山中規制委員長にも来ていただきました。ありがとうございます。
山中委員長には、昨日、原子力特別委員会で来ていただいて、ちょっと積み残しの質疑がございますので、それに関してお聞きをさせていただきたいというふうに思っております。
大飯発電所のドライキャスク置場に関してなんですけれども、福井県、今、関西電力さんが、燃料プールがいっぱいになるので、県外搬出までの間は、ドライキャスク、乾式貯蔵施設を大飯、高浜、美浜に造らせていただいて、そこに置かせていただきたいと申請が来ていると思います。
大飯発電所のドライキャスクの置場が崖の上にあって、その崖が、下に四号機、今稼働中ですけれども、四号機に隣接をしております。どうしても、ドライキャスクを置くといっても、各発電所の敷地というのは結構山がちな谷間にあったりするので、置く場所を探すのに結構苦労しているなという所感を持っております。
ただ、崖の上、運転中の発電所の崖の上に置かれてしまうと、もしそこが崩れるとか転倒するとかで、建屋に損傷を与えかねないという事態も想定はされますので、関西電力さんからも、一旦、置くといった計画をちょっと再検討させていただきたいみたいに規制委員会の会合自身で発言があったやに聞いております。
今、安全性の評価と、事業者が今後どのような方向性を示しているかというのをお答えいただけますか。
○山中政府特別補佐人 お答えいたします。
現在審査中の関西電力大飯発電所につきましては、申請の当初、兼用キャスクを高台の上にも設置するとしておりましたけれども、関西電力は、先行の高浜発電所での審査を踏まえまして設計の変更をするという検討を進めているというふうに聞いております。
先行する高浜発電所での審査におきましては、大飯発電所の四号炉の原子炉補助建屋の西側に兼用キャスクを設置するとしていた設計を、高浜発電所の審査結果に基づいて見直しをする可能性があるというふうに関西電力は説明をしているようでございます。
先行する高浜発電所の審査では、兼用キャスクを設置する地盤の変形、変位によって兼用キャスクが斜面を転がり落ちたりする場合に周辺の施設に影響を与えないか、兼用キャスク自体に影響が生じないかを確認しているところでございます。
関西電力では、こうした状況を踏まえまして、大飯発電所についても同様の確認を進めているものと承知しておりますけれども、具体的な内容については、いまだ承知するところではございません。
以上でございます。
○斉木委員 大臣にも伺いたいんですけれども、この使用済燃料対策は、まさに本当に頭の痛い課題です。そのいわゆる搬出準備施設と関電が位置づけておりますけれども、ドライキャスクを今後福井県内含めて全国のサイトにこれから増やしていくと思います。
ただ、我々地元としては、高浜も大飯も崖の下、谷間に立っている発電所というのは結構多いですね。リアス式海岸のところにあって、谷間の狭隘部にある、敦賀発電所もそうですけれども。そういった地形ですと、なかなか、ドライキャスクを置くといっても、いい平地、空き地がないという構造は全国同じ状況だと思います。やはり、こういった、ちょっと山がちな発電所内にドライキャスクを置くときには、是非その地形含めて安全な置き方にしてくれよ、万が一にもドライキャスクが壊れて中の使用済燃料が露出するみたいなことはやめてほしいというのは、これは当然大臣も御理解できると思います。
今後福井県に対してドライキャスクの設置をしてくれと言うのであれば、是非、そういった設置場所に関しても安全性というものに対して留意するよう、事業者を指導していっていただきたいんですが、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 今の設置場所等の危険性も含めてだと思いますけれども、敷地内全ての断層の基準適合性を確認するための追加調査を、現在、外部の専門家から御意見を伺いながら検討を進めている、その中で……(斉木委員「それは敦賀、敦賀二号機、答弁違う」と呼ぶ)要は、規制委員会の中で、こういう形で、今の適正場所についても、私自身からも、検討をさせていただければというふうに思います。
○斉木委員 後ろが慌てていました、敦賀二号機の答弁をお読みになってしまって。
では、もう一度お聞きしますけれども、是非、答弁はないかもしれませんが、存念を伺えればいいんですよ。そういった崖の上とかに置かれると、倒れて発電所が損傷する可能性もあるから、安全な場所にやはりしてくれというのが立地地域の願いなんです。だから、そういったことを是非事業者にも御指導いただきたいと思うんですが、いかがですか。
○武藤国務大臣 安全性確認の御了解、させていただきます。進めていかせていただきます。
○斉木委員 是非落ち着いて答弁をされていただければと思います。
残りも少なくなってまいりましたけれども、昨日、山中委員長に再びお伺いいたします、六ケ所村の再処理施設がいつ動くのかという話でございます。
設置の許可と……(山中政府特別補佐人「設工認」と呼ぶ)設工認ですね、設工認、そして検査、この三段階、これが、六ケ所村に関しては、旧規制基準下で検査の途中まで行っていたけれども終わっていない、新規制基準下ではその設工認ですかの途中のところに今差しかかってきているということでした。
ただ、私が、経産省側からのレクでは、このガラス固化に関して、技術的な問題はないよ、もう全部動くと原燃側は言っていると言っているが、まだそれが規制委員会のお墨つき、審査はもらっていない状況ということでよろしいですか。今、このガラス固化に関して本当に動くのかどうかという、私、二十七年間の延期という実績がありますので、ちょっとそういう懸念があるんですが、今の検査状況と、動くのかどうか、いつ頃なのか、いかがでしょうか。
○山中政府特別補佐人 お答えをいたします。
委員御指摘をいただきましたように、日本原燃株式会社の再処理施設につきましては、平成二十五年に新規制基準が施行される以前の段階で、当時の規制機関において、事業指定、設計及び工事の計画の認可、いわゆる設工認、保安規定の認可をしておりました。一方で、当時の使用前検査では、使用済燃料を用いました施設の検査が実施されておりましたけれども、ガラス固化施設等に関わる検査は終了しておりませんでした。
その後、規制委員会が発足いたしまして、新規制基準を策定して以降は、当該基準に適合するための変更許可申請が行われまして、その審査を行ってきたところでございます。
再処理施設につきましては、令和二年の七月に新規制基準への適合性に関わる許可を行っております。また、令和四年十二月に第一回の設工認の認可を行っているところでございます。現在、規制委員会において、第二回目の設工認の申請の審査を行っている段階でございます。
現時点では、審査における技術的な大きな論点があるというのは聞いておりませんけれども、設工認の認可時期等については、現状でお答えできる段階にはございません。
また、原子炉等規制法に基づきまして、施設が竣工するまでには、現在審査を行っております設工認に加えまして、保安規定の変更認可、ガラス溶融炉等を含めた施設設備に関わる規制委員会の使用前確認等を受ける必要がございます。
規制委員会としては、引き続き厳正に審査、検査を行ってまいる所存でございます。
○斉木委員 ということは、まとめて平たく言いますと、事業者及び経産省側は技術的課題はクリアしているというふうに主張しておりますが、まだそれは規制委員会の見解とは違う、それにお墨つきを与えていないということでよろしいですか。
○山中政府特別補佐人 規制委員会としては、今後設工認に至った場合には、その後、日本原燃から使用前確認の申請がなされます。その日本原燃による使用前確認の申請の中には、事業者が行います使用前事業者検査の計画等が申請されるものというふうに認識しております。
その内容の確認も含めまして、規制委員会といたしましては、日常検査あるいは使用前確認の検査を通じて、今後とも審査、検査を継続してまいりたいというふうに考えております。
○斉木委員 まだ継続中ということなので、経産省さんや原燃さんの主張される段階とちょっと違うかなというふうに所感を持ちました。
使用済燃料を持っていく大切な搬出先ですので、是非、確実な完成、本当に見通せるのかどうか含めて、きっちりとウォッチをしていただくことをお願い申し上げまして、本日の質疑を終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、東徹君。
○東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。
大臣に、まず最初に、いよいよもう万博が開催されますので、万博からちょっとお聞きしたいなと思います。
この万博の誘致決定は、二〇一八年の十一月の二十三日、パリのBIEの総会で決まったわけですけれども、当時の大臣は世耕大臣でありました。本当に感謝をいたしております。それがいよいよ二日後には開催されていくというわけであります。
この大阪・関西万博の開幕に向けた武藤大臣の意気込みを是非お聞きしたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
○武藤国務大臣 いよいよ明日になりました。この職に就かせていただいて、万博というものもあなたの担当です、博覧会協会の担当は経産省がやっているというので、すばらしい職に就かせていただきましたと思ったんですけれども、総理からも、もうちょっとミャクミャクを何とかしろとか、いろいろと御指導があった中で、あっという間にここまで来たなというのが正直なところです。
様々な課題も、実は、この前のテストランもおかげさまでできましたけれども、まだまだ正直言ってございます。ブラジル館のぼやがあったり、いろいろな意味でここまでばたばた来ておりますけども、いずれにしても、私自身も当時まだ十五歳でしたけれども、前回の万博の会場をまだ覚えております。
いわゆる万博のレガシーというのは、大人の社会もそうなんでしょうけれども、お子さんにいかに夢を持っていただけるもの、チャンス、それが大きな一つだと思いますし、もう一つは、やはりこれだけ、アメリカの問題もありますし、世界がいろいろな、今世の中が浮動な動きをしている中で世界のきずなが一つの場所に集まるというのは、ある意味で大変すばらしい大阪のイベントということ、日本のイベントということになります。そういう意味でいって、いよいよでございまして、会場入りもこの前ももう二回目をしましたけれども、大分整ってきているのも事実であると思います。
何せ百五十日間という長い期間ですから、いよいよスタートしますけれども、その百五十日間を充実できるようにしっかりこれからもフォローアップをさせていただければというふうに思いますので、先生方にも行かれる方はたくさんいらっしゃると思いますけれども、世界へ向けて、皆さんからも是非PRをお願いできたらと思っておるところです。
○東(徹)委員 ありがとうございます。
日本の未来だけではなくて、世界の未来、地球の未来が非常に面白い、楽しい、夢があるというふうに多くの方が是非感じてもらえるような万博として成功させていきたいというふうに思いますし、そういったPRを是非やっていただきたいなというふうに思います。
ただ、ちょっと、今トランプ関税のことで世界経済が非常に不安定になってきているという状況もありますので、是非、海外に向けても大阪・関西万博のPRもしていただきたいなというふうに思っております。
トランプ関税のことについても、私の方から一点お伺いをさせていただきたいと思います。
今日も朝からいろいろと質疑がありましたが、やはり気になるのは日本の基幹産業である自動車産業かなというふうに思っておりまして、その中でも、日産自動車が米国向けの主力車の国内生産を一部、米国での生産に切り替えていく検討に入ったというような報道もありました。そうなっていくと、日本国内の減産となっていって、中小の部品メーカーへの打撃ということもやはり避けられなくなってくるわけであります。
自動車産業というのは本当に裾野の広い産業でございますから、トヨタだけでも延べ六万社を超える国内の取引先があるということで、今回の追加関税は多くの会社の収益を圧迫していくことになるわけですけれども、やはり、心配なのは我が国の自動車産業の国内の空洞化、これを防ぐことが大事であるというふうに考えておりまして、この対策についてどのように考えているのか、この点についてお聞きしたいと思います。
○武藤国務大臣 今日いろいろなところで、先生方の質問でお答えさせていただいていますけれども、自動車産業、これは本当に、中小企業、小規模事業者を含む裾野の広いサプライチェーンを擁しておられます。
こうした部品を作る中小企業への追加関税の影響をよく見ながら対策を講じる必要もあるんだということで、先ほど来申しましたとおり、政務の方にも群馬県へ行ってもらったり広島県へ行ってもらったりして、いろいろな現場の声を集めさせていただいておりますし、また、ここはもう、まさにティア2、ティア3のところまで来ていただいて、車座をやりながら皆さんの意見も聞いてきていただいているところです。
対策は先ほど申し上げたところで、何をこれからやっていかなきゃいけないというところは、これも早々にまとめてやっていかなきゃいけないというのが我々の立ち位置であります。
そして一方で、日産さんも最近特にいろいろな動きがございました。自動車業界というのは、次世代の自動車に向けて、今、大転換期でもありますし、様々な形で我々としてもこの産業というものを支えていかなきゃいけませんし、そこに入ってきたのが今回の自動車関税の話ですから、そういう意味では、徹底的にそういうものを対応しながら育てていかなきゃいけないと思っています。
ある意味で、資金繰り支援、また中小自動車部品サプライヤーの事業強化、これも事業再構築から、ちょっと変わったパターンで今やらせていただいていますけれども、これも補正で組ませていただいたものもありますし、是非こういうものを、実効性のあるものの中で、事業の存続を続けさせていただかなきゃいけないというふうに思っています。
○東(徹)委員 ありがとうございます。
そんな中で、もう一つ、やはり心配になってくるのは、今、日本は経済を成長させていくためにも賃金を上げていく、失われた三十年と言われておる中で、賃金を今上げていく方向に来ているわけでありますが、でも、なかなか、賃金も、物価高ということで、実質賃金がマイナスになったりとかしているわけですね。
今、賃金を上げていく非常に一番大事なときであるわけですけれども、トランプ関税によって経済がちょっと不安定になってきている。そんな中で賃金を上げていくための機運を守っていかないといけないというふうに思うわけですが、そこの点についてどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
○大串副大臣 こちら、答えさせていただきます。
御指摘のとおり、今回の米国による関税措置は国内産業にも広範囲に影響が出る可能性がありますので、これをしっかり精査しながら、我が国の産業や雇用を守るために必要となる支援に万全を期してまいります。
その上で、賃上げに関しましては、近年の春季労使交渉においては高い水準での賃上げ額が続いておりまして、本年も昨年を上回る勢いであると認識をしております。
地方の企業、中小企業も含めまして、こうした力強い賃上げの機運を維持して更に広げていくことが重要であります。
このため、経済産業省といたしましては、取引適正化の推進、そして生産性の向上、省力化投資への支援、成長分野への国内投資など、あらゆる施策を総動員いたしまして、賃上げ原資の確保も含めた賃上げの環境整備に引き続き取り組んでまいります。
○東(徹)委員 是非、賃上げの状況もしっかりと見ていっていただきまして、その機運をしっかりと守っていただきたいなというふうに思います。
続きまして、ガソリンの暫定税率のことについてお伺いさせていただきます。
ガソリン価格を抑えるためにこれまで八・二兆円の巨額の予算を講じてきたわけでありますけれども、今回のトランプ政権の関税策を受けて、今年六月から来年三月まで改めて補助金でまたガソリン価格を下げる、これは自民、公明、国民の三党で合意されたということであります。
国民の負担を下げるということでは、これは確かに賛同はしますけれども、ただ、補助金の形だと、これは今までずっと言われてきたことではありますが、お金の流れが不透明だというふうなことで、そしてまたもう一つは事務コストも増えてしまうということで、暫定税率を廃止する方が分かりやすく、そしてやはり透明化もできるというふうに考えます。
確かに暫定税率はガソリンと軽油が対象で、灯油など暫定税率のかからないものもありますけれども、国民生活に直結するのはガソリンと軽油でありまして、国民の負担を軽くするためには暫定税率の廃止の方が効果的だというふうに考えます。武藤大臣、どのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 これもずっと今までやってきている話で、激変緩和事業、これは補助事業であるがゆえに迅速かつ臨機応変に価格抑制をやってこれたという背景も実はあるんだと思います。これはもうファクトとして、私はそれは認めているところであります。
ただ、まさにいろいろ流通の混乱を招かないとか様々なことで、今こういう形で、自民党、公明、国民民主党の三党の幹事長会談でトリガーをやめましょうということは、ガソリン暫定税率について、これをどうするという話になると、これは秋になっちゃうので時間がかかりますよねということで、報道でも何かいろいろ流れているのは私どもも承知をしています。ただ、補正でやるとかガソリン補助金を使って下げるとかいう形でいろいろ今御提案があるようでありますけれども、具体的な方策、これを早く対応していかなきゃいけないという思いもありますけれども、引き続き検討が三党の中の真摯な協議の中で進められていくものだというふうに承知しています。
ガソリン暫定税率の廃止につきましては、これは一方で安定的な財源というものが必要になってきますので、そういうような必要な法改正に向けて更に真摯な政党間協議が行われるというふうに思っておるところでありまして、当該協議の結果を踏まえて、我々としては適切に対応していくことになるんだろうと思っています。
○東(徹)委員 補助金でやるよりかは、私は、暫定税率を廃止した方が透明化されていて、より分かりやすいというふうに思うわけですね。だから、是非その点を、大臣にはこれをしっかりと受けて考えていただきたいなというふうに思います。
続きまして、電力の出力抑制のことについてお伺いをさせていただきます。
まず、電力の出力抑制、これはどういったものなのかということを含めて、二〇二三年、二〇二四年の回数をお聞きしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま御指摘いただきました再生可能エネルギーの出力制御につきましては、需要と供給のバランスを回復させるということで、一定の場合に出力を制御するという仕組みでございます。
二〇二三年、二〇二四年の出力制御の回数、お尋ねがございましたけれども、二〇二三年は二百八十九回、二〇二四年は三百六十回となっているところでございます。
なお、出力制限の回数につきましては、同日に複数のエリアで制御があった場合にはそれぞれの回数を一回ずつ計上しており、また、制御量や制御時間にかかわらず一回と計上しているところでございます。
○東(徹)委員 二〇二三年が二百八十九回で、二〇二四年が三百六十回ということで、これはどんどん増えていっているわけですね。
非常にこれはもったいない話でありまして、再生エネルギーというのは、もう御存じのとおり、太陽光は発電時間がやはり偏るということで、消費し切れずに発電を止めるわけでありますけれども、昨年の一年間で、九州電力が百二十回、中国電力七十回ということなんですね。非常に九州電力とか中国電力は多いわけでありますけれども。
この見込みでいくと、今年はまたこの出力抑制というものが増えるのではないのかというふうに思うわけでありますが、今年の出力抑制はどういうふうに推計、見通しを持っているのか、お聞きしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げたとおりの事情でございますので、出力制限の回数につきましては、特段、二〇二五年ということで試算をしてございませんが、再エネ出力制御の見通しにつきまして、経産省では、事業者の予見性確保等の観点から、各エリアにおける出力制御率というものを公表しているところでございます。
これを踏まえますと、一定の仮定の下で、全エリア合計の二〇二五年度の制御率の見通しは一・七%となるということでございまして、なお、二〇二三年度は一・八%でございまして、二〇二四年度は、二月までという実績でございますけれども、一・三%ということでございます。
これらの見通しにつきましては、一般送配電事業者が電力需要量、供給量等について一定の前提を置いて試算したものでございますので、実際の需給の状況等によっては変動し得るという点に御留意いただければと存じます。
○東(徹)委員 今でも太陽光発電というのはどんどん増えていっているわけでしょう。増えていっているわけですから、普通に考えたら、出力抑制はまた増えるというふうになっていくわけですよね。これは非常にもったいない話でありまして、やはりどうしていくのかというのが非常に大事だというふうに思います。
この出力抑制の問題を解決しないと、再エネを増やしても、効率的に電力が使われない、貴重な電力をやはり捨ててしまうということになっていくわけです。北海道と本州を結ぶ送電線の新設というのは検討されているようですけれども、すごい莫大なお金を投じてやるということみたいでありますが、これも二〇三〇年度以降でありますから、まだまだ先の話ですよね。
今、直近でやはりどうにかしていくべきだというふうに思いますが、何とか捨てている電力を使う方法というのをやはり考えていかないといけないと思いますが、出力抑制の対策としてどういったことを考えているのか、お伺いさせていただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
再生可能エネルギーの出力制御につきましては、電力の安定供給を維持しつつ、再エネの最大限導入を進めるために必要な措置ではございますけれども、まさに委員御指摘いただきましたとおり、これによって再エネの導入を妨げられることがあってはならないということで承知をしてございます。
このため、経産省におきまして、出力制御量を可能な限り抑制するために、出力制御対策パッケージというものをまとめておりまして、需要面、供給面での対策を進めているところでございます。
具体的には、先ほど御指摘ありました系統増強に加えまして、火力の最低出力の引下げの徹底や、出力制御量の抑制等にも寄与するFIP制度の更なる活用促進、また、出力制御時間帯における需要のシフトを促すための蓄電池の導入支援などの取組を進めることによって、出力制御の最大限の抑制にしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。
○東(徹)委員 昨年でしたっけ、山梨県では、再生可能エネルギー、太陽光を使って水素を作ったりとか、そういったことをしている事例も見させていただきました。こういった太陽光、再生可能エネルギーを使って水素を生成するとか、何かそういったものを是非やっていってもらいたいなというふうに思います。
続きまして、経産省の所管する法人についてお伺いさせていただきたいと思います。
まず、経産省の所管する法人の数についてお聞きしたいと思います。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
経済産業省が主たる所管である法人につきましては、独立行政法人が九、それから特殊法人が三法人、特別の法律に基づき限定数設置されている認可法人が四法人ございます。
また、他省庁が主たる所管の法人のうち、当省も所管している法人といたしましては、独立行政法人が五法人、特殊法人が二法人、特別の法律に基づき限定数設置されている法人が三法人ございます。
以上でございます。
○東(徹)委員 あと時間は何分ぐらいなんですかね。(発言する者あり)終わりですね。
ということだと思いますので、この点につきましては、次回の委員会で続きを聞かせていただきたいと思いますので、これで質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、丹野みどり君。
○丹野委員 国民民主党、丹野みどりです。
質問の機会をいただき、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
まずは、トランプ関税です。
上乗せ分を九十日間停止、その理由として、七十五以上の国が譲歩につながるような交渉を求めてきているからと話していますが、そうはいっても自動車はそのままということで、私の地元愛知、豊田、みよしは、本当に厳しいという状況は変わりません。いずれにしても、本当に振り回されっ放しだと思っております。
これまで、大臣も、いかに日本が貢献してきたか、本当に丁寧に真面目に説明をされていても、向こうが聞いてくれないわけですから、もうこれは次の行動を取らないといけないなと思っております。
現状として、今、関税を課されている国のうち、報復するのか否かという、いわば強硬派と消極派に割れているとは思っておりますが、そんな中で、日本はどういった立ち位置をしていくのか。
そして、先日の質疑の中で維新の斉木委員も何度も言っていました、今日もおっしゃっていましたけれども、日本が一人で立ち向かうのではなくて、被害者みんなで行けと提案もされていました。私もそれは一理あると思っておりまして、やはりトランプ政権というのは多国間協議を嫌っていると思っております。一対一のディールに持ち込もうとしていて、個別に対応しているとどうしても押し切られるというのがあると思うんですね。
今回、理不尽で、本当に不当だと思います。こういう関税を課された国々と連携してトランプ氏の暴走を止めてほしいと本当に思うわけですけれども、日本は、戦略の一つとして、こういったほかの国と連携して、結束をして対米交渉力を上げるべきというお考えはいかがでしょうか。
○武藤国務大臣 今日もいろいろな先生方から御質問をいただきました。結託して何とかなるんじゃないかというところの御指摘もあろうかと思います。
我々としては、いずれにしましても、先ほどもエネルギーの関係でも斉木先生からお話ありましたように、各国とは必要な情報交換を行っております。
もちろん、各国が国益それぞれ違うものですから、そういう中では、必要な情報収集、分析を行いながら、アメリカ、あんた何とかしなさいよといってみんながまとまったG7なんというのは、それもおかしな話かなという気がするんですけれども、いずれにしましても、対抗措置を講じた結果、中国を始めとしてまさに対抗措置の応酬に発展しているというのが今のこの数日間だというふうに思います。各国の国益、米国との貿易構造、それぞれ考慮要素も異なりますが、我々としては、とにかく、あらゆる選択肢の中で、何が日本の国益に資するものなのか、そして何が最も効果的なのか、よく見極めていかなきゃいけないということが原理原則の中の一つだというふうに思っています。
今日がもう金曜日ですよね。週末、まだまだいろいろなことがあると思います。今回、ベッセント財務長官が向こうのカウンターパートとして、日本の赤澤亮正大臣と、一応決まりました。そういう中で、いつ行かれるか分かりません、それはいろいろな報道も私も聞いていますけれども、早急に向こうとカウンターパートとしてこれは詰めていく話です。ベッセントが言うには、日本が一番優先権があるなんと言って、テレビでもまた報道されるものですから、何が本当なのかなという正直よく分からない話がありますが、いずれにしても、早くそういう形で、お互いが今後どうするのかというのは詰めていかなきゃいけないと思います。
もう一つ、さっき国債の話がありました。これは確かに一つの大きなディールの扱いになると思います。ここも、アメリカの報道を見ていますと、トランプ大統領が座っている間でベッセントと、ここにラトニック長官がいて、これを報道されていましたから、本当にこれがこのままいくのかなというところも正直まだまだ分からないと思います。
いずれにしても、我々も外交というのは本当にしたたかにやらなきゃいけませんので、先生方もお気遣いいただきながら、また御意見を賜りながら、しっかりと一歩一歩着実に前に進めていくことが大事だろうと思います。
○丹野委員 本当に慎重に見極めながらカードを切っていくということで、ありがとうございます。
次の質問とちょっと重複するかもしれませんが、大臣、お答えください。
トランプさんも、みんなちょっと過剰に反応し過ぎだとか、怖がり過ぎだとか、よく言うわと思うんですけれども、財務長官も、報復をしてはいけない、そうすれば報われる、報復しなければ報われるんだとか、いろいろなことをおっしゃっていて、本当に大臣おっしゃるとおりなんですけれども、前回は関税をかける前の交渉で、今回は関税をかけてからということで、本当に見通しも含めてより難しいと思っております。
先ほどお話にありました、交渉担当が赤澤大臣ということはもちろんございますけれども、武藤大臣としては、経済産業大臣としてどんなことを進言されて、どうサポートし、そして、総理の真価も問われる中、日本一丸となってどう臨むのか、もう一度お願いいたします。
○武藤国務大臣 赤澤大臣をどう私がサポートするかという多分御質問かということで、経済産業省も、まさに政府全体で赤澤大臣を支えていかなくてはいけないと思います。我々としては、自動車を始めとした各産業について、米国との貿易・投資に関する実態ですとか関税措置による影響などの情報を赤澤大臣のチームと共有しながら、交渉戦略の立案を共に進めていくことになるんだと思います。
また、国内産業や、とにかく雇用を守り抜くべく、国内の対応策に万全を期していかなきゃいけません。短期の支援策、また資金繰りへの支援などを着実に実施するとともに、関税措置が契機となって適切な価格転嫁が進まないと、我々としては、一番今回最も困りますと思いますので、しっかりと業界に要請しているところであります。さらに、プッシュ型で、これも引き続いて現場に出向いて影響把握を掌握しながら、追加の対応というものも検討させていただきたいというふうに思っております。
○丹野委員 ありがとうございます。
今、お話の中で国内対策というのがありましたけれども、本当に、交渉の一方で国内対策が非常に重要と思っております。自動車大手が、当面アメリカでの価格の値上げをせずに踏ん張るんだということをお話ししました。生産基盤とか雇用を守っていくという方針でありましたけれども、これもいつまでできるのか、いつまでかぶれるのかというものがあります。産業の空洞化も避けなきゃいけないし、長期戦を覚悟という報道ももちろんありましたけれども、長期間つき合っているうちにどんどん国内が倒れていくという御指摘もあります。
本当に釈迦に説法で恐縮なんですけれども、やはり、とりわけ自動車は多重構造であるサプライチェーンを擁しておりますので、ティアの奥深くになると価格転嫁が本当に難しくなってまいります。だからこそ賃上げの原資づくりに水を差さないでほしいなと思っております。
今こそ私は減税対策が必要だと、国内に向けて、思っております。先日我が党が打ち出しました「もっと!手取りを増やす」経済対策というのがありますけれども、従前から物価高に苦しんでいる国民の皆さんの暮らしを守ること、そして需要を掘り起こして経済の好循環を生み出すために、以下の項目、幾つかあると思うんですけれども、大きく分けると、年収の壁を引き上げるとか、今お話がありました、ガソリン税の暫定税率を廃止するとか、現役世代の社会保険料の負担を減らすとか、ガス代、電気代を下げるとか、もろもろ、種々ありますけれども、特に年収の壁の引上げとかガソリン税につきましては、もう昨年から御党と公明党さんと本当に三党協議をしてきましたけれども、残念ながら目標をかなえることはできませんでした。
今こそこれは必要な経済対策と、心から私は思っております。そのために、必要であれば補正を組むこともちゅうちょしてはいけないと思っております。お話がありました現在の国内への対策、当然、相談窓口を設けたり、そして資金繰りを支援、これも本当に重要と思いますけれども、経済対策としてどうするのかをお聞かせください。
ちなみに、トランプ大統領は、今回の関税の副作用でインフレになることは分かっているので、大規模な減税方針というのも打ち出しています。言い出しっぺの本人が国内で減税対策を打ち出しているわけですから、日本も今こそ減税、経済対策が重要と思っておりますが、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 今般の関税措置は、国内産業にも広範囲に及ぶ影響があるという可能性が非常に高いということで、これをしっかり精査し、国内の産業、雇用を守るために必要となる支援に万全を期すことが重要だということで、今週開催をされました米国の関税措置に関する総合対策本部、これは官邸でやるものですけれども、総理からも指示があったところであります。
今委員おっしゃっていただいたように、我々も、短期対策としては、相談窓口をつくったり、資金繰り等々の、いろいろなものを今は御案内をさせていただいているところでありますが、御提案の減税等ということになりますと、現時点でどのような対策が有効な政策になるのか、これはまだ予断を持って申し上げることはちょっと困難だと思います。
先ほど来申したとおり、いろいろ自動車関係も幅広いものですから、プッシュ型で出向いていろいろと情報を集約しながら、それぞれやはり違いもあると思いますので、そこら辺を総合的に判断をしながら、経済対策として我々からも提案をさせていただけるような形になるんだと思います。
○丹野委員 ありがとうございます。
来週、下請法の改正も控えておりますけれども、本当に中小企業の皆さんにとっては価格転嫁というのが正念場でございますので、そういったことも含めて経済対策をお願いしたいと思います。
では、次の質問に移ります。
次は、日本における蓄電池産業と全固体電池を取り上げたいと思います。
第七次エネ基では、再エネを最大限活用していく、そのためにペロブスカイト太陽電池の実用化を急ぐ方針というのがうたわれました。
このペロブスカイトは前回私も取り上げましたけれども、太陽光は残念ながら晴れている日中しか発電できませんので、その安定供給のためには蓄電池が当然ながら有効となります。私が取り上げましたペロブスカイトですけれども、急いで設置をしていくというお話がありました。だとするならば、それとセットで蓄電池の導入も強力に推し進めていかないといけないのかなと思っております。
質問です。
現在、実用化されている蓄電池は全国的にどれくらい導入されているんでしょうか。また、現状、導入がまだまだ進んでいないのだとしたら、どういったふうに普及を促進していくのか、教えてください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御指摘いただきましたとおり、再生可能エネルギーの主力電源化を進めていく中で、再エネで発電した電気を貯蔵できる蓄電池の導入を進めることは大変重要な課題と認識してございます。
系統用蓄電池につきましては、昨年末時点で約十七万キロワットが系統に連系済みとなっているところでございます。比較のイメージとしまして、例えば、二〇二四年度時点の調整能力を持つ電源の設備容量が全体で約八千六百万キロワットであることも踏まえますと、脱炭素化された調整力を供給する蓄電池の更なる導入を進めていく必要があると承知をしてございます。
このため、経産省としまして、系統用蓄電池について、脱炭素電源への新規投資を促進するための制度でございます長期脱炭素電源オークションの対象電源とするとともに、令和七年度当初予算におきまして導入支援補助金として四百億円を措置することで、現時点でも新たに数十万キロワット程度の導入を見込んでいるところでございます。
こうした様々な支援措置などを通じ、引き続き蓄電池の導入をしっかりと後押ししてまいりたいと存じます。
○丹野委員 ありがとうございます。
今の数字で十七万キロワットと。八千万というのはかなり開きがあるなと思っておりまして、これは本当にいち早く、実用化されている蓄電池も今導入しなきゃいけないなと思っております。再エネの利用拡大をうたうのであれば、それは必須だなと思っております。
この再エネを増やす方針ということになりますと、そのインフラの根幹を成すところも蓄電池となる可能性も当然あるわけですけれども、その場合、安全性の確保というのが要求されると思いますけれども、その対策を教えてください。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、蓄電池の導入に当たりましては、電力システムに影響を与えないための安全対策を講じることが何よりも重要と承知をしてございます。
蓄電池を含む事業用電気工作物につきまして、電気事業法において感電、火災等のおそれがないよう設置することが求められているところでございまして、その上で、蓄電池については、この法令に適合するための具体的な解釈について、現在、審議会において、蓄電池に関する過去の事故事例も踏まえ、検討を進めているところでございます。
加えまして、系統用蓄電池の導入補助金等の支援措置において、蓄電池の類焼が起こらないことを確認する試験に適合していることに加え、事業計画について、適切かつ十分なサイバーセキュリティー対策等が講じられていることや、蓄電システムの早期復旧が可能となる体制が整備されていること、こういったことを要件としておりまして、政策的支援を行うものについて安全性の確保に努めているところでございます。
○丹野委員 ありがとうございます。
サイバーセキュリティー対策というのも本当に重要な視点ですので、お願いしたいと思います。
今回の蓄電池もそうなんですけれども、これも日本が研究開発をリードしておりました。それがいろいろ抜かれて、中国や韓国に抜かれております。前回の日の丸半導体しかり、太陽電池しかり、本当にこのパターンだなと思ってしまいます。
今回のこの蓄電池における日本の敗因は何でしょうか。
○武藤国務大臣 いろいろ負けた話ばかりであれなんですけれども、従前、蓄電池産業政策に対する反省については、有識者を交えた官民で議論を行いまして、二〇二二年に蓄電池産業戦略を策定した際に整理をしたというふうに承知をしています。
それによりますと、従来の政策というものは、世界に先行して日本が技術優位を確立した液系のリチウムイオン電池、これについて、量産投資は民間企業に委ね、そして、次世代技術である全固体電池、この方に技術開発を我々は政策資源を集中してきたという基本的な方針がございました。
しかし、世界では、例えばお隣の国ですとか、政府支援の強力なものを背景に、液系リチウムイオン電池の投資競争が激化をして、中国並びに韓国企業が技術で日本に追いつき、コスト面も含めて国際競争力で逆転をされてしまった、まさに日本の蓄電池の世界シェアの低下につながったものと分析をしているところであります。
蓄電池産業戦略はこうした過去の反省も踏まえて策定しておりまして、現在はこの戦略に沿って政策を進めているところであります。
○丹野委員 ありがとうございます。
本当にこれも、技術で勝ってビジネスで負けるという本当に残念なパターンなんだなと思うんですけれども、今のお話で、こういった反省点を生かして、日本は今後蓄電池を産業政策として今度こそ推進してほしいと思うわけですけれども、具体的には、量産体制の確立をどうするか、国内需要の拡大はどうするのか、それから海外展開を踏まえて、具体的に教えてください。
○武藤国務大臣 先ほど申し上げました蓄電池の産業戦略に基づきまして、二〇三〇年までに国内における蓄電池の年間製造能力を百五十ギガワットアワーの確立を目指しています。二〇三〇年にグローバルシェアは二〇%製造能力確保、そして、二〇三〇年頃、全固体電池の本格実用化といった目標の達成に向けて着実に取り組んでいるところであります。
国内の生産基盤確立に向けて、経済安全保障推進法に基づく約七千億円規模の設備投資支援等を通じて約百二十ギガワットアワー規模の計画が進行しておりまして、今後順次稼働していく見込みであります。
また、こうした投資を、あれと一緒で、半導体もそうなんですけれども、需要面でも支えるため、電気自動車等の購入ですとか充電インフラの整備を積極的に進めるとともに、長期脱炭素電源オークションですとか導入補助金を通じて定置用の方の蓄電池の普及も目指しているところであります。
さらに、グローバルシェアの拡大に向けて、カナダなど有志国との連携も進めており、北米を中心に海外市場における日本企業の蓄電池関連投資が進んでいるところでもあります。
引き続き、あらゆる政策を総動員して、蓄電池産業の強化に全力で取り組んでまいりたいと思います。
○丹野委員 ありがとうございます。
次の質問は、リサイクルに関する話なので、少し先の話になると思います。
といいますのも、先ほどのお答えで、まずそもそも普及していないわけだから足りないという状況でした。ですから、まずはたくさん導入して、寿命が来た蓄電池がたくさん生まれてという、そんな状況になってからの話ではありますけれども、鉱物資源の確保も重要と思っておりまして、蓄電池に使った鉱物資源を国内で再利用していく仕組みづくり、これをどのように、いつまでをめどに行うのか、教えてください。
○西村政府参考人 お答えいたします。
蓄電池産業戦略において、二〇三〇年度までに国内のリサイクルシステムの確立を目指すこととしており、その実現に向けて、リチウムイオン電池に含まれるニッケルやコバルト、リチウムを回収する技術開発や、リサイクル事業者が国内に拠点を立地するための設備投資を支援しているところでございます。
具体的には、グリーンイノベーション基金において、電炉を用いた乾式精錬や溶媒等を用いた湿式精錬等、多様なアプローチで競争力のあるコスト、蓄電池材料として再生利用可能な品質でレアメタルを回収する技術の開発を進めているところでございます。
国内の拠点整備については、経済安全保障基金等において、実証設備の立ち上げや商用規模の工場の立ち上げが進められているところでございます。
一方、足下では、委員からも御指摘ありましたが、リサイクルの原料となる製品として市中に出回っている電池の量はまだ少なく、国内の蓄電池リサイクルは電池工場からの工程端材や不良品から徐々に立ち上がってくるものであり、その実情に応じてリサイクル推進のための取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○丹野委員 ありがとうございます。
このリサイクルが回るぐらい導入してほしいなと思っております。
次は、この面においても人材について伺いたいです。
研究開発ですとか現場で働く人を含めて、人材育成をどのように進めていくのか、教えてください。
○西村政府参考人 お答えいたします。
蓄電池人材の育成に当たっては、蓄電池関連産業が集積している関西地域で、産学官が連携して立ち上げた関西蓄電池人材育成等コンソーシアムを設立し、その取組を進めているところでございます。
具体的には、主に高校や高専に向けて二〇二四年度からコンソーシアムで作成した教材コンテンツや産業技術総合研究所での実習等を活用したバッテリー教育プログラムを開始しております。二〇二五年四月現在で二十九校まで実施校が増えてきてございます。
また、蓄電池業界で働く人材の必要な技能、技術を見える化することによって、人材エージェント等で産業間の人材流動を促進する取組も実施しているところでございます。
こうした活動を通じてモデルケースとなる取組を一つでも多く生み出していくこと、そして他地域へスムーズに展開していくこと、大学とも連携をしていくこと、こういったことを通じて日本の蓄電池の人材育成を前進させてまいりたいと考えてございます。
○丹野委員 ありがとうございます。
とにかく、蓄電池を戦略的に大急ぎで推し進める必要があると思っております。
そこで取り上げたいのが、先ほど固有名詞も出ましたけれども、全固体電池なんですね。現在、研究開発をしているのが、トヨタ、ホンダ、日産、GSユアサでございます。この特徴は、発火や液漏れがない、当たり前ですね。エネルギー密度が高いので、同じ体積であったら航続距離が二倍、同じ距離なら小さくすることができる、また、急速充電が可能であって、液体の三分の一の時間で充電できる、いろいろ魅力があるわけですね。
実際、この全固体電池に対して国も支援をされています。例えば、ホンダ、日産、GSユアサに対しては、二〇二二年から二〇三〇年の間に、グリーンイノベーション基金というのを通して、ホンダに最大二百億円、日産に最大九十八億円、GSユアサに最大四十四億円、また、トヨタ自動車に対しては、経済安全保障推進法に基づいて、液体も固体もこれは両方なんですけれども、両方の蓄電池の支援として最大千百七十八億円を拠出されています。
現在、この全固体電池というのは、EV車の性能を上げるためのものとして開発をされております。とにかく、いかに小さくできるか、航続距離が二倍になるとか、同じ距離を行くんだったら小さくできるという、そういう特性を生かして、しのぎを削っている。いかに車用に開発して性能を上げるか、車の居住空間を広げることにつながったりとか、スペックを上げるとか、そういういろいろなことがあって車載用の蓄電池として開発が進んでいることは重々承知しております。
ただ、本当に、私が思うのは、それ以上の可能性を私はこれに感じておりまして、車のためだけではなくて、再エネを向上させる蓄電池としても研究をしていくということによって、イノベーションが生まれたりとか、技術転用が生まれたりとか、そういうことが起きるんじゃないかと思っております。現在、日本にしかないすばらしいこの技術をもっともっと国が支援をすることによって、再エネを支えていく次世代の蓄電池として世界に先駆けて実用化する必要があると私は強く思っております。
質問です。
この全固体電池を再エネ普及の切り札と捉えていらっしゃいますでしょうか。また、全体も含めてなんですけれども、国の蓄電池産業の中で、技術開発を全固体電池に関してはどういったふうに加速していくのか、教えてください。
○武藤国務大臣 全固体電池なんですけれども、私も前、自動車の関係の議連に入っていたときに、トヨタで現物を見に行って、非常に期待をされるところだということは、もう見てきております。従来の液体リチウムイオン電池と比較しても、高エネルギー密度というやつですね、そして高い入出力特性があるということで、性能面での優位があるということで、今先生がおっしゃっていただいたように、電気自動車の航続距離の伸長ですとか充電期間の短縮化につながる、こういうのを、車載用を念頭に実用化を目指して今取り組んでいられるところであると承知をしているところです。
先生がおっしゃられるように、これを定置用の蓄電池ということで使ったら非常にすばらしいじゃないかという御指摘は、よく分かります。
ただ、現実、今のところでは、特質であるというところの高いエネルギー密度等の性能がちょっと求められておらず、やはりコストというものを考えれば、全固体電池の特性を逆に今現在で考えれば生かし切れないということになってしまいます。
将来の需要創出に向けては、車載用だけではなく、委員御指摘の定置用の電池を含めて、様々な用途への展開、これが必要になるんだと思います。是非、官民一体で今後とも積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っています。
○丹野委員 ありがとうございます。
EV車の世界的な先行きというのが本当に見通せない状況になっておりますので、EV車にずっと両足を突っ込むというのはないような状況になっておりますけれども、再エネの普及に関しては、やはりカーボンニュートラルという世界的な命題がありますので、その課題を達成するためにもやはりこれは世界的に取り組まなければいけない命題でございまして、すなわち、それは全世界が市場になるわけですね。
だから、先ほど大臣もおっしゃいました、いろいろ課題もあるし、今のところ車に目がけてかなり技術開発を、しのぎを削っているけれども、私は、何度も繰り返しになりますが、再エネをこれだけ増やしていこうという、第七次エネ基にもあるぐらいですから、やはり、再エネを増やすのであれば、蓄電池も本当に同じ以上に増やさないとこれは担保できないと思っておりますので、そこの技術開発を含めて、是非よろしくお願いしたいと思っております。今ある蓄電池が最新のものをどんどん作り出せるような体制、これも支援してほしいですし、その先に、全固体電池も強力に投資支援をしてほしいなと思っております。前回からもお伝えしております、半導体しかり、ペロブスカイトしかり、本当に日本が起死回生をするために本当にお願いしたいというのを強く訴えます。
実は、私は時間を見ながらお話ししておりまして、すごく押すといけないと思って、前半かなりはしょりながら飛ばしていったものですから、済みません、終わってしまいそうなんですけれども……(発言する者あり)大丈夫ですか。大変申し訳ないです。もうちょっと時間キープをしっかりいたします。巻き過ぎました。済みません。(発言する者あり)長いよりいいですか。済みませんでした。今度はキープいたします。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 この際、暫時休憩することとし、本会議散会後、委員会を再開いたします。
午後零時二十一分休憩
――――◇―――――
午後三時三分開議
○宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。佐原若子君。
○佐原委員 れいわ新選組、佐原若子です。よろしくお願いいたします。
大臣、お疲れのところ、どうも済みません。
では、お伺いいたします。
使用済みMOX燃料第二再処理工場の再処理費用を電力会社が積み立てているということですが、どなたが、いつからいつまで、幾らぐらい積み立てていますか。教えてください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
再処理等拠出金法におきましては、使用済みMOX燃料を含めて、全ての使用済燃料を対象として、再処理等業務を行うために要する費用の長期的な見通しに照らしまして、当該業務を適正かつ着実に実施するために十分なものとするよう、拠出金単価を定めることとなってございます。
その上で、再処理等拠出金については、特定実用発電用原子炉設置者が使用済燃料再処理・廃炉推進機構に対して納付しておりまして、二〇一六年度から二〇二三年度までの合計値として、北海道電力は約八百四十九億円、東北電力は約千四百三十二億円、東京電力は約一兆四千百九十億円、中部電力は約二千八百七十九億円、北陸電力は約二百四十四億円、関西電力は約一兆六百八十一億円、中国電力は約九百十二億円、四国電力は約二千七十九億円、九州電力は約六千七百九十三億円、日本原子力発電は約千八百三十八億円を納付しているものと承知してございます。
○佐原委員 ありがとうございます。
その費用は消費者が支払う電気託送料金に入っていますか。入っていれば、現在、一キロワット・パー・アワー、幾らぐらいですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
再処理等拠出金は、再処理等拠出金法に基づきまして、特定実用発電用原子炉設置者が使用済燃料再処理・廃炉推進機構に納付するものでございます。
その上で、再処理等拠出金は託送料金の原価に算入することは認められておらず、御指摘の費用は託送料金には含まれてはございません。
○佐原委員 電気託送料金にはほかに原子力関係では何か入っていますか。金額も教えてください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
託送料金に関しましては、二〇一六年に閣議決定されました福島復興支援等に基づきまして、賠償負担金及び廃炉円滑化負担金につきまして、託送料金を通じまして広く需要家に負担を求める措置を講じてございます。
その上で、令和二年、二〇二〇年に託送料金で回収することを承認いたしました賠償負担金は総額で約二・四兆円、廃炉円滑化負担金は総額で約五千億円でございます。
○佐原委員 最初にお尋ねした第二再処理工場の費用ですが、再処理が延々と始まらない場合、延々と積み立てていくのですか。具体的なロードマップはありますか。失敗して中止になったら、積立金はどうなさいますか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど、私の答弁で、福島復興指針と申し上げるべきところを福島復興支援と申し上げまして、訂正させていただきます。失礼いたしました。
今御質問いただきました、積立てを今後どのように進めていくのかということでございますけれども、再処理等拠出金法におきましては、使用済みMOX燃料を含めて、全ての使用済燃料を対象として、再処理等業務を行うために要する費用の長期的な見通しに照らして、当該業務を適正かつ着実に実施するために十分なものとなるよう、拠出金単価を定めることとなってございます。
その上で、全ての使用済燃料について再処理等を着実に実施するために、六ケ所再処理工場の竣工に向け、官民一体で責任を持って取り組むとともに、同工場の竣工後、安全性を確保した安定的な長期利用を行うため、メンテナンス技術の高度化などに取り組み、さらに、使用済みMOX燃料の再処理技術に関する研究開発を進め、その成果を六ケ所再処理工場に適用する場合を想定し、必要なデータの充実化を進めるといった取組が重要だと考えてございます。
以上の取組の進展を踏まえつつ再処理等拠出金を算定していくということになりますので、再処理工場が中止になった場合といった仮定の御質問にお答えすることは困難でございます。
一般論として申し上げますと、再処理等拠出金の具体的な算定に当たりましては、使用済燃料再処理・廃炉推進機構の運営委員会におきまして、専門的な知識経験を有する有識者が最新の知見に基づいて毎年度精査することとなってございます。
○佐原委員 ありがとうございました。
二〇一八年十月五日の記者会見で、当時の世耕経産大臣が、第二再処理工場のスケジュールなどについてはまだ定まっておりません、今後しっかりと検討していくべき課題と述べていらっしゃいますが、既に七年も過ぎています。一向にスケジュールが出てきませんね。どのようになっているのでしょうか。教えてください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
二〇一八年十月の世耕大臣の記者会見では、使用済みMOX燃料の再処理につきまして、第二再処理工場も含め、第五次エネルギー基本計画のとおり、研究開発に取り組みつつ検討を進めるべき課題である旨を申し上げたというふうに承知してございます。
その後、本課題につきましては、二〇二三年に日仏事業者が共同でフランスのラアーグ工場での使用済みMOX燃料の再処理実証研究を具体化させるとともに、審議会での議論を経て、第七次エネルギー基本計画で、研究開発の成果を六ケ所再処理工場に適用する場合を想定し、必要なデータの充実化を進める方針を示すなど、当時、世耕大臣から申し上げましたとおり、研究開発及び政策検討を進めてまいりました。
これを受けまして、第七次エネルギー基本計画では、想定される使用済燃料の発生量も勘案した上で、六ケ所再処理工場について、安全性を確保した安定的な長期利用を進めるべく、メンテナンス技術の高度化などに取り組むとともに、さらに、使用済みMOX燃料の再処理技術に関する研究開発を進め、その成果を六ケ所再処理工場に適用する場合を想定し、必要なデータの充実化を進めるとの方針の下、着実に再処理を進めることとしてございます。
その上で、いわゆる第二再処理工場につきましては、六ケ所再処理工場の稼働状況や原子力発電所の稼働状況とその見通し、これを踏まえた核燃料の需要量や使用済燃料の発生量等を総合的に勘案しつつ、引き続き検討してまいります。
○佐原委員 ありがとうございました。
結局のところ、日本にはまだMOXを再処理をする技術がないし、今も検討中というか、技術の研さんをしていらっしゃるものだと考えますが、関電はオラノに二百トンのMOX燃料を再処理に出すということですね。日本はまだ再処理の技術開発中なので、それはそうかもしれませんが。
だから、ロードマップなんていうのは元々描けないですよね。であるのに、ロードマップなんてないのに、いわゆるお金だけ上乗せして、いただくというのは、いただくというよりも、それは拠出するためにためておいているんだと思いますけれども、国民が今苦しくて電気代が高いと言っているときに、本当に、発電もしない、絵に描いた餅かもしれない再処理工場に対して、どうなんでしょうと私は思うんですよ。
私は、関電が再処理に出したオラノという会社、以前、コジェマに行ったことがあります。コジェマはアレバになって、それからALPS処理水をした会社になって。そのコジェマのときに行ったんですね。そのときにラアーグの、怒れる母たちという母親たちの団体とお会いしたんですよ。そのときに、ここの子供たちが、ボーモン県の子供たちですね、白血病が多発した、それはあなたたち日本人のせいだよと言われたんですね。私、そのときに、ああ、そうですねと思いました。
イギリスやフランスに再処理を委託してやらせていた。お金は払っていたと思います。でも、国産のエネルギーということで原発に依存する余り、他国に、それは迷惑とは言えないかもしれない、だけれども、ある程度の影響があるのではないか。国産エネルギーといっても、ウランはほとんどが海外から買ってきていますよね。そこには、先住民の人たちには、やはりいろいろな被害が出ています。そこは、そこの国の責任だと言われればそれまでですけれども、私は、やはり子供たちのことを考えると、申し訳ないなと思います。
そしてまた、青森の六ケ所再処理工場は、二〇〇六年にアクティブ試験で実験をしたので、レッドセルといって、中の様子を目視もできない、もちろん補修工事もできない。耐震設計に関する問題もいろいろあると思うんですよ。
再処理とかというのは、電力を生まないし、必要ないんじゃないかなと思うんです。今日、午前中にも、再エネを制御していると。そんなもったいないことをして原発を造って再処理もやってって、何なんだろう。私個人としては、再処理なんかしてほしくないんですよ。
再処理は、何もしなくても、稼働しなくてもというか、発電しないのに、三日動かせば原発一年分の放射能を出すというふうに言われております。そんなものを青森県では、高レベル廃棄物だっていつ出してくれるか分からない。五十年したら出すという約束。いろいろなところにいろいろな約束をしていますよね。おらほの県から出してくれというところがいっぱいあると思いますよ。でも、全部それは六ケ所に行くわけでもないし、福島に行くわけでもない。だから、先のことを考えたら、もう原発からは撤退するべきなのではないかなと私は思うんですよ。
もちろんCO2という言い訳はしますよね。だけれども、本当にそうなのと。制御しなきゃいけないぐらいの再エネがあるんだから、もっと工夫したらメイド・イン・ジャパンのすばらしいエネルギーが出て、いろいろな企業がもっと伸びていくんじゃないのかなと思うんですよ。何かあったら大変な事故になる。
今、そういうことを考えたときに、経産省がもし英断をして、いや、核燃やめます、原発やめますと言ったら、これはもう全国的な、全世界的なニュースになると思うんですよ。
宮沢賢治がこう言ったんです、世界中が平和じゃないと個人の幸せはないよねと。だから、日本は日本のことだけ考えていちゃいけないんじゃないかなというふうに思うんですよ。
私は、すばらしい日本の技術、分かります。すばらしい省エネでも、ラピダスのときもそうです。すばらしいな、日本にこれからチャンスがあるかもしれない、本当にジャパン・アズ・ナンバーワンにもう一度返り咲くかもしれない。でも、そのときにもっと倫理的であってほしい、哲学を持ってほしいと思うんですよ。ミッション・ビジョン・バリューのように、あのようなすばらしい考えを持った人たちがいらっしゃるんだから、本当に、原発ってどうなの、再処理って本当に必要なの、そうやってもう一度みんなで考えていけたらいいなと思っています。
もう時間ですので、これで終わりにします。どうもありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
今日は、この委員会で何度も何度も何度も取り上げてきた万博問題、メタンガス問題を取り上げたいというふうに思います。
四月の六日、テストランが行われまして、我が党の寺本けんた守口市会議員が、昨年三月に爆発事故が起きたグリーンワールド工区、夢島一区の工区、東トイレ付近のマンホールを検知器で測定をしたところ、メタンガスが爆発する濃度の五vol%超えが表示されました。寺本議員はすぐに会場スタッフに伝えましたけれども、消防に通報することもなく、事の緊急性を把握せずに、防災センターにもつないでもらえずに、やむを得ず一一九番通報いたしました。
まず、大臣、今回の爆発濃度のガスが出た状況、原因を教えてください。
○武藤国務大臣 グリーンワールド工区の屋外の電気通信設備の地下ピット、ここで今委員おっしゃられたような五ボリューム%超えのメタンガスが検出をされました。当該箇所である夢洲一区というのは、これまでもメタンガスが発生していた場所であります。
今、当該箇所につきましては、会期中のメタン対策として、穴が空いたマンホールへの交換などの対策を講じておりますが、結果として、原因は、十分な換気ができていなかったということが原因と考えているところであります。
○辰巳委員 今大臣おっしゃっていただいたように、昨年の三月の二十八日に爆発事故が起きて以降、万博協会はその対策として、電気設備が下に入って配線が入っているようなところのマンホール、これは元々穴が空いていないようなマンホールなんだけれども、そこに穴を空けて、有孔化ですね、穴を空けてガスを出す対策をしますといって、この間、工事期間中もやってきた。会期中もこれでやろうとしていた。ところが、結局、ガスは除去されなかった、されておらずに、爆発濃度のガスがそこに滞留をしていたということなんですよ。
これは大問題なんですよ。穴が空いていますから、いつかの質問でも私はやりましたけれども、これはたばこでも入れられたら一巻の終わりですよ。爆発ですよ、これ。
大臣、これは対策がちゃんとできていなかったということなんじゃないですか。何でメタンガスは逃げていなかったのか。対策ができていなかった、このことをお認めになりますね。
○武藤国務大臣 今回、五ボリューム%超えのメタンガス検知において、その他のグリーンワールドエリアの地下ピットでは基準値を超える濃度は検出されていません。また、当該地下ピットですが、蓋を開けて換気を行ったところ、メタンガスは検出されなくなりました。このことから局所的かつ一時的なものと考えられておりまして、会場全体に広がる全く事象ではないというような報告を受けているところです。
今委員おっしゃられたように、今回ガスが検出された地下ピット、これも蓋を常時開放することとして、周辺箇所も含めてモニタリングの頻度を上げていくなどの追加対策を講ずることによりまして、更なる安全確保、これに万全を期すものと承知をしているところであります。
○辰巳委員 蓋を常時開放しというんですけれども、これはなぜそうなったかというと、四月六日のテストランで爆発濃度のメタンガスが検知をされたからなんですよ。ですから、この約一年間やってきた対策は何だったのか。全く役に立っていなかったということですよね、蓋を常時開放せなあかんわけですから。
今日おつけした資料の中には、人が立ち入ることがないように当該箇所の周囲に柵を設けることにしましたというんですよ。今になってそういう対策をせざるを得なくなったということが大問題なんですよね。
大臣、グリーンワールド工区というのは、メタンガスが一日、一日ですよ、二トン以上出ているんです。二十五メータープールにすれば、九つ分以上のメタンガスというのが毎日毎日出ているんです。これは今も増えていると言われております。これは、柵を造るとか、蓋を開けておくとか、ここだけでいいんですかということですよ。
グリーンワールド工区、夢洲一区というのは、本来は立入禁止にせなあかん、そういう類いのメタンガスが、常時、毎日、制御できない、コントロールできないメタンガスというのが出ているということ、これをやはり認識せなあかんと思いますよ。非常にずさんな対策、このことも指摘しなければなりません。
それだけじゃありません。今日おつけしました資料も見ていただきたいんですけれども、ぺろっとめくっていただきますと、三枚目ですかね、これはガス抜き管なんですけれども、バスターミナルのところに数十本のガス抜き管というのが出ております。これは私が危険だ危険だという話で指摘をしたところ、先っぽが傘を逆にひっくり返したようにくるっとなっているんですね。これは私が、もしこのガス抜き管のところにたばこの火でも入れられたらえらいことになるよということで、この蓋の部分も逆にくっと、対策をしたということだとお聞きをしております。
ところが、それだけの対策では全く不十分だということが分かりました。
真ん中あたりに穴があるのが分かりますでしょうか。実は、ここにメタンガスの検知器を毎日差し込んで、メタンガスがどれぐらい出ているのかということを万博協会が調べているんですね。
ところが、この四月六日のテストランのときには、何か普通はガムテープでこの穴を塞いでいるらしいんですけれども、このガムテープがぺろっと剥がれていたということで、消防士である我が党の寺本けんた守口市会議員が、じゃここでも調べてみようということで検知器を挿しますと、もちろん爆発濃度のガスが検知をされたと。ガスを出していますからね、それは濃いのは当然なんです。
だけれども、問題は、ここは誰でも行けるところなんです。バスターミナルの通路ですからね、ここは。こんなところに、先ほども申し上げたように、上からたばこは放れないかもしれないけれども、これはちょうどたばこが入るような穴の大きさになっているじゃないですか、高さになっているじゃないですか。こんなところに入れられたら一巻の終わりじゃないですか。これはどうするんですか、大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 このグリーンワールドのガス抜きの管ですけれども、あれは多分、去年の臨時国会のときだったかな、委員からその御指摘を受けて、私もその後に行って、あれは何じゃ、あれはやばいだろうという話があって、すぐやるということになって、それがこういう形で、形を変えていらっしゃるんですね。
今おっしゃったようなメタンガスの測定の穴というものも、これはもう確認させていただきましたけれども、測定孔というもので、ガス抜き管の測定孔については、通常、メタンガスの測定時以外はテープで塞いでいるということなんだそうです。理由は分からないけれども剥がれちゃったと言うから、ちょっとそれは待て、それは駄目だよということで、いや、これはもうそういうことで、間違いなく外れないようにこれからもちゃんとやりますと。じゃ、何で外れたの、おまえちゃんとビデオで確認しているのか、それをと。
そういうものも当然ですけれども、これはカメラもあるわけですから、誰がやったのかはよく分かりません、これは虫か鳥かもしれませんし、何か分からないけれども、一応、そういう意味で、万全を期すためにこのテープ補強というものの対策を講じながら、委員の御指摘も含めて、異常がある場合には直ちに報告するよう警備員等に周知して、更に徹底していきたいというふうに思っているところであります。
○辰巳委員 いや、本当にそれで十分なのかなというふうに思いますよ。
たばこはこういうところでは吸えないということになっているんでしょうけれども、たばこが好きな人は耐えられない人もいますからね、本当に。大阪市役所の中でたばこが吸えないということで、わざわざ公用車を借りて、その中でたばこを吸うた大阪市長というのがいたんですね、万博誘致した松井一郎さんなんですけれどもね。耐えられない人もいるんですよ。どれだけ対策しても、これはこういうところで本来やるべきじゃないということなんです。
それと、もう一点。ガスは夢洲一区中に出ていますから、非常に危険で、一区で裸火は禁止だという話を、全体でも火は禁止だという話があったのにもかかわらず、万博協会は、いろいろな例外を作って、プロパンガスの使用なども認めてきた。これも非常に重大だと思うんですが、ライターの問題、ライターね、大臣。
これは実は、ライターの持込み、多量のライターの持込みは禁止となっているんです。ところが、この寺本議員も持込み検査をやったときに、ライター一つだけ持っていった、それはオーケーだというんですよ。何で、一つはええのに、多量は駄目。ライター一本だけで火をつけれますよ。ライターを全区的に禁止をするべきだと思うんですけれども、いかがですか。
○武藤国務大臣 規約も見せていただきました。大量のライターは駄目だというふうになっているんですけれども、現時点でライター自体の持込みについては禁止していないものと承知をしているところです。
一方で、安全性、これをやはり担保するためには、基準値を超えないように既に追加対策を講じ、引き続き、メタンガスの低濃度管理を徹底していくという報告を受けているところであります。
○辰巳委員 いや、怖い怖い、怖いです。大臣がやばいやばいと言うてるぐらいでしょう。
メタンガスというのはコントロールできないから怖いんですよ。先ほどの爆発濃度のときも、彼が検知したその日も、朝検査したときはゼロvol%だったというんです。朝ゼロであっても、昼間になったら爆発濃度に行っちゃうんですよ。
その穴だけじゃないですよ。夢洲一区全体が、ごみの焼却、下水汚泥も入っている、だからメタンガスが出るんです。だから、普通はこんなところで巨大イベントはしないんですよ。
これは、事が起こったら誰が責任を取るのか。メタンガスのコントロールは不可能ですから、万博の開催中も発生を止めることはできませんので、十三日からの開催は見合わせるべきだということは改めて求めたいというふうに思います。
もう一点、万博協会の問題を今日は指摘をしたいと思うんですが、今回のテストランの参加には全てのメディアが許可されたわけではありません。会期中におけるしんぶん赤旗、我が党の機関紙です、大阪民主新報あるいはフリーランスのジャーナリストは実は排除されてきたんですね。こんなことは、赤旗でいうと、愛知万博でも東京オリンピックでもなかったことなんですよ。
当時、赤旗もAD証といいまして、通過証、通行証ですね、メディアに発行されるこのAD証、取材パスも出ていました。私は、多額の国費が投入されているイベントでこれはないだろうというふうに思います。
大臣に改めて確認しますけれども、なぜしんぶん赤旗、フリーのジャーナリストが取材、メディアパス、これは排除されているんですか。
○武藤国務大臣 これはちょっと御説明をさせていただきます、委員からも事前通告をいただいていたので。
博覧会協会は、大阪・関西万博での取材についてのガイドラインというものを作られております。記者会見への参加などが可能なメディア関係者について入場証を発行している。
同ガイドラインには、取材、撮影における禁止事項として、特定の政治、思想、宗教等の活動目的に利用されるおそれがある事項というものを掲げているということだそうです。博覧会協会では、御指摘のしんぶん赤旗を含めて、政党誌、宗教誌に関しては、こうしたおそれがあることからメディア関係者用の入場証を発行しない方針としていると承知をしております。
ただし、同ガイドラインは、政党機関紙の記者が一般来場者として会場内に入り、撮影をする、取材活動をすることを妨げるものではないということだそうです。
このため、しんぶん赤旗を含めたメディアについて、不当な取材制限をかけているものではないとは認識しているところであります。
○辰巳委員 いや、大臣、今申し上げた、特定の政治、思想、宗教等の活動目的に利用されるおそれがある、こういうところを排除しているんですか。これ、初めて聞きましたよ。初めてですよ。
大臣、経済産業省の記者会見も、内閣府の記者会見も、厚生労働省の記者会見も、赤旗は認められて入っているんですよ。万博協会は公益社団法人ですよ。役員、職員はみなし公務員ですよ。何で、そんな万博協会がそんなことで排除できるんですか。
これは、要するに、万博に都合のいい報道をしてくれるところだけを認めるということじゃないですか。万博に都合の悪いような報道をするようなところは認めないということじゃないですか。大臣、これはあり得ないと思いますよ。そういう方針は撤回するべきだと思います。いかがですか。
○武藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、博覧会協会のガイドライン、これは政党機関紙の記者が会場内に入り、撮影する、取材活動をすることを妨げるものではないと認識をしているところでありまして、現時点でメディアガイドラインの改定等の措置を行う必要があるとは認識していません。
ただ、他のイベント等の事例については、これは事務方にちょっと確認をさせていただきたいというふうに思います。指示していきます。
○辰巳委員 大臣、ちょっと最後が聞こえなかったんですけれども、他のイベント、今私が申し上げた官公庁などに赤旗が認められて取材をしているということなども勘案して、万博協会として、それも勘案して判断していくということでよろしいですか。
○武藤国務大臣 それを踏まえて、他のイベントの事例については、事務方に確認を指示していくところであります。
○辰巳委員 他のイベントにしんぶん赤旗が参加をして取材をしているということを確認するということですね、大臣。今うなずいていただきました。
そして、実態を見て、万博協会としての取扱いも、それを踏まえた取扱いをしていくということでよろしいですか、もう一度、答弁をお願いします。
○武藤国務大臣 その意味で、事務方に指示をしておきます。
○辰巳委員 これ、本当にそうなんです。
私は、昨日ですよ、昨日、経産省の方からいただいた、このメディアガイドラインというのを見たんですけれども、記者クラブに加盟している記者は認めますとか、いろいろ書いてあるんですけれども、せやけど、一つ、こう書いてあるんですよ。十万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーは認めると書いてあるんです。しんぶん赤旗、八十万人の読者がいてるんですよ。いや、本当に。認めていただきたい。
今回メタンガスの爆発濃度が分かったのも、私たちが、我が党の議員が中に入って、おかしいんじゃないかと。だから、改善されたんでしょう、よかったんでしょう、対策することができたんでしょう。それは私たちが行ったからですよ。これは、フリーの記者も含めてきちっと認めるということを改めて求めたいと思います。
同時に、今声が出ているのは、今からフリーの記者も申請書を出すと言うてますよ。申請書を全然出してくれなかったんだから。出してくれなかったんですよ。審査に数週間かかるとも言われているんです。十三日から始まるというんだから、大臣、審査を急いでもらう、赤旗、フリーの記者に関して審査を急いでもらうということも指示を出していただきたい。いかがですか。
○武藤国務大臣 先ほども申したとおり、そういう意味で確認をしていきますので、指示しておきます。
○辰巳委員 来週も経済産業委員会がありますからね。大臣、よろしくお願いいたします、本当に。
もう一点。
これだけのガス爆発濃度が出ているということで非常に危険なんですが、同時に今、文科省として、今日は副大臣にもお越しいただきましたけれども、万博遠足や修学旅行、これをどんどんやりましょうという話になっています。
三月十九日の私の質問に対して武部副大臣は、文科省としても、学校への安全対策に関する情報提供に協力してまいりました、文部科学省としては、引き続き、安全確保の徹底について、関係省庁を通じ要請するとともに、都道府県教育委員会等に対する必要な情報の提供についても関係省庁と協力して対応してまいります、こういうふうに答弁をしております。
今回の爆発濃度のメタンガスの検知に関しても、こういうことが起こったよということを各都道府県の教育委員会に通知していただけませんでしょうか。
○武部副大臣 今般のメタンガスに係る事案については、文部科学省としても、経産省から説明を受けているところです。会期中の安全対策は博覧協会において講じるところであります。
文部科学省としても、これまでも、委員の御指摘のとおり、関係省庁に対しまして安全確保の徹底を要請しております。また、博覧協会等における学校への安全対策を含めた情報提供に協力してきたところであります。
引き続き、安全確保の徹底について関係省庁に要請するとともに、今後の都道府県教育委員会等に対する大阪・関西万博に係る必要な情報の提供についても、関係省庁と連携し、適切に対応してまいりたいと思います。
○辰巳委員 ほぼ前回と同じ答弁ですよ、副大臣。せやけど、現場は本当に困っていますよ、先生方は。大丈夫なのか、こういう懸念が払拭されないので、万博遠足をやめるという学校も今どんどん増えてきております。これは、事が起こったら、責められるのは現場の先生、教職員たちですから。文科省として、これはもうどう考えても安全とは言い切れませんから、遠足や修学旅行を見合わせろということ、これを求めていっていただきたいというふうに思います。
危険な万博をストップさせるために引き続き頑張る決意を述べて、私の質問といたします。
以上です。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 有志の会、吉良州司です。
自分の考えを自分の言葉で語られる武藤大臣、本音の話ができればなと思っています。
トランプ関税、これまでも多く質疑が出ていますけれども、トランプ関税と電力の安定供給、この二つのテーマで質問させてもらいます。
まず、トランプ関税についてですけれども、私は安心しているし、もう多くの人の共通認識だと思いますけれども、報復なんかしても、アメリカを恐れるだ何だ、忖度してとかではなくて、日本は何一つ国益にならないので、報復というようなことを取ろうとしなかったということについては、共通認識でもあり、よかったと思っていますし、今回九十日停止ということになって、結果論としてもよかったというふうに思っています。
一方、心配していますのが、日米首脳会談の中で、前も言いましたけれども、一兆ドルの民間投資ということについて、日本側がどういう言い方をしたかは別にして、トランプ大統領側は一つのコミットと捉えていることがあって、そういう意味で、今回の関税、日本としてのトランプ関税対応の中で、今言った首脳会談の一兆ドルの対米投資と合わせ技で、どんどんやはり日本も対米投資してくれ、こういう方向になっていくことを私は正直言って危惧しております。
民間は、当たり前のことですけれども、自らの経営判断として、トランプ後もトランプ的な米国であり続けるとすれば、場合によっては対米投資を考えるかもしれないし、そう判断しなければ嵐が過ぎ去るのを待とうとするかもしれないし、それはひとえに民間の判断です。それを、間違っても、政府が音頭を取って、さっき言いました首脳会談との合わせ技で、どんどん対米投資しろと言うことがない、石破大臣は、その趣旨のことをおっしゃっていない、逆のことをおっしゃっていますけれども、武藤大臣の方からも、政府が音頭を取って対米投資やれと言うようなことはないということについて確認をさせてもらいたいと思います。
○武藤国務大臣 長い間商社マンとして世界を飛び回っていた先生でございますので、お気持ちはよく分かります。私自身もある意味民間から出身ですので、民間に変に政府は口を出すなというところはよく分かります。
今回のやつというのは、一兆ドルという形で、総理が向こうのトランプ大統領との会談を行った一つとして、情報として出てまいりました。
ある意味で、アメリカに対する我々の投資というのは、先生御承知のとおり、五年間で世界最大の投資をしていますし、そういう中で、今まで、給与水準も、製造業が多い中で、アメリカの中でも最大の方でいっていますし、いろいろな意味でやってきているわけですね。
それが、今回、こういう、毎日のようにというか、半日ごとに情報がいろいろ交錯している中で、じゃ、今はこれはどうなっているのというところもあるんだと思いますが、先生おっしゃられるように、私は今、赤澤大臣がこういう形で通商代表という形で選ばれましたので、自動車産業を始めとした国内産業を中心に支えていかなきゃいけない立場になりました。
ラトニック長官ともいろいろ、あのときあったお話では、やはりトランプさんが気に入るような何かを持ってこいよという話も正直ありました。それを持ってきたら動くかもしれないと言ったんだけれども、状況は大分本当に正直言って変わってきているのも事実ですから、その中で、先ほど来、今日ずっと朝から申し上げているとおり、本当にいろいろな選択肢は外すべきではないと今の段階ではまだ思っています。
その中で、本当に向こうが乗ってくる話もあれば、あるいは、先ほど国債の話もありましたけれども、どこがそういうポイントがいろいろあるのかというところも精査しながら、本当に日本政府として、日本の経済はもちろんですけれども、ここは本当に世界の経済に影響が行かないように、これは日本がリーダーシップを取って、先生からも言われた助け合いじゃないですけれども、価値観を同じくする国がやはり情報共有しながら、しっかりと言うべきことは言っていかなきゃいけない、今はまさにそのときかなという気がしています。
○吉良委員 今大臣からおっしゃられました、いろいろな選択肢を持っていく。それは本当に、交渉ですから、選択肢を持ち続けるということは大事だと思っています。
今大臣からおっしゃられた、赤澤大臣が交渉担当ということで、これからカウンターパートとやり取りしていくわけですけれども、正直、こういう場で言っていいのか、トランプ大統領というのは本当に単純で、言い方は悪いんだけれども、足し算、引き算しか分からないというふうに思っていますので。
貿易赤字というのを必要以上に私は気にしていると思っているんですが、外国人である私というか、日本から見て、アメリカがそこまで貿易赤字を気にしなければいけない国なのかというふうに思っているんですね。本当はそこも質問して、返ってからでいいんですけれども、ちょっと時間を使うので、私から申し上げます。
この委員会に属する人たちにとっては常識かもしれませんけれども、赤澤大臣が交渉する際に、今も大臣おっしゃった、これまでも、日本というのは、対米投資、今も最大の投資国であり、雇用を生み出し、そして利益を生み出し、納税もし、経済成長にも貢献している、こういう説明はこれからも続けていくんだと思うんですけれども、プラス、大統領本人には無理だとしても、周りの側近、ブレーンに対しては、アメリカの強み、私に言わせると、まず、基軸通貨国であるということですね。自国通貨が国際決済通貨、こんな強い国はないですよ。私は、日本でよく出てくるMMT理論、ふざけるなと思っていますけれども、ひょっとするとアメリカは通じるかもしれない、それぐらいやはり基軸通貨国というのは強い。
加えて、アメリカは完全鎖国して生きていける国なんですね。私に言わせると、アルゼンチンとアメリカだけです。特に、資源があり、食料があり、そしてアメリカの場合は最先端の技術があり、完全鎖国しても生きていける国、何にも怖くないです。これが二つ目。
そして三つ目は、今も生産年齢人口が増えながら、国全体としての人口も増えながら成長を続ける唯一の人口大国先進国だということですね。その三つ目を本当は深く掘りたいんですけれども、時間があるのでそこはさらっと流しますけれども。
この三つがある限り、極端に言ったら、ドルを刷れば幾らでも赤字があったっていいんです。そして、アメリカ、イギリスの共通点ですけれども、やはり消費が中心の経済成長ですから、海外の人に一生懸命汗をかいてもらって作ったものを自国通貨で払ったら買えるわけですから、本当に貿易赤字を気にする必要のない国なんですね。
このようなこと、大臣にも釈迦に説法になるし、赤澤大臣にも釈迦に説法になるかもしれませんけれども、トランプ大統領本人には難しくても、今言った側近、ブレーンには十分説明をいただきたいと思っていますけれども、これについては簡単なコメント、感想があれば。
○武藤国務大臣 私が会ったのは、グリアもそうですけれども、ラトニック、そしてハセットに会ってきましたし、この前もラトニックさんとは二回目でオンラインをやりましたけれども、そういう旨はもうお話をしていますし、加えて言うならば、あの当時は、私自身も、日本の自動車産業の今までの貢献策はもちろん申し上げたわけですけれども、これが自動車関税をかけられたら、本当にこれから投資をしようとする意欲をそぎますよと、それは。これは決してあなたのところにもよくないことだと。それについてはもう十分御理解を得られたというふうに思います。
ただ、大統領がなかなかその認識に行かない。ですから、周りの側近というものが、これからも我々は力を合わせてやっていかなきゃいけませんし、大統領の考え方がそういうふうにできるだけ早く変わっていくように、そして、彼も上げた拳が何とか下りられるようにこれはやはりやっていかなきゃいけない、これが外交政策だというふうに思っています。
ですから、そういう意味で、先生の御指摘もよく分かるところでありますので、これからも頑張ってまいります。
○吉良委員 今大臣がいみじくもおっしゃいましたけれども、外交交渉で、相手の拳、上げたり下げたり、これは、トランプ大統領の場合は、というか、普通、政治家のみならず誰でもが、拳を上げようとするときも何で上げるんだという口実が必要だし、下ろすときも何らかの理屈が必要なんですけれども、トランプさんは全く関係ない。気ままに上げてみたり下げてみたり、何も理由も言わない。また、説得力のある理由もない。なので、正直、御本人への交渉というのはほぼ無理だというふうに私は思っていますね。それだけに、外堀を埋めていく。
そして、私が今言っているのは、今回の九十日間の停止というのは何かといったら、やはり最後は、世界中のマーケット、特に株式市場、債券市場、ここが国際的なデモを起こしたと一緒なんですね。さすがのトランプさんも、そのデモに圧倒されて、九十日の停止ということで振り下ろしたんだというふうに思っています。そういう意味で、やはり外堀から埋めていかなきゃいけないなというふうには思っています。
その上で、関税の最後にしますけれども、日本政府が関税対応として取ってはならないこと、ある意味、取るべきことは何なのかということについて、ちょっと抽象的かもしれませんけれども、じゃ、これだけはやってはならないということは何だとお思いでしょうか、関税対応について。質問通告は日本政府が取るべき行動についてということでありましたので、取るべきではないと。
じゃ、私の方からちょっと提起させていただきたいと思っているんですけれども、やはり、今、与党からも野党からも出ている、トランプ関税で痛みを伴うというか、痛みが出てくる企業に対して例えば何らかの給付をしなければいけないという議論が出てきていることです。私は、さっき言った、気まぐれに手を上げたり下げたりするこういう大統領を相手に、こっちがすぐ、じゃ、現金給付だとか、こういうようなばらまきというか、ていのいい、支援とはいいながら、ばらまきをするべきではないと私は思っているんです。
先ほど見ました日本企業を全体として強くしていくために必要なのは、何か困ったことがあったら、お上に何かねだれば、頼めばお上が何かしてくれるというこの依存心、ここを払拭しない限り、私は日本企業が成長することはないと思っています。(発言する者あり)当然。そして、その際に、じゃ、こういう、かといって、一企業の責任にできないような事象によって大きな痛手を被る、これについては何とかしなければいけない。しかし、それもやはり経営判断の選択肢の中にしなければいけない。
ちょっと抽象的なので、ずばり言います。私は、NEXI、貿易保険、又は政投銀だったり政策金融公庫だったり、そういうところに、私もビジネスをやっていたときに出会ったことのあるビジネス・インターラプション・インシュアランス、事業の中断だとか今言った不測の事態によって利益が大きく減少する、その損失なり得べかりし利益、これは中身はいろいろなメニューが出てくるんですけれども、それを補填する保険というのがあるんですね。農業でよくある共済と似たような、ビジネス版だと思ってもらえばいいんですけれども、それを政府のメニューとして用意をしておく。同じ何か、今言った政府が支援しようというときも、企業自らが経営判断として、いざまたトランプ関税みたいなことが、またいつコロナが起こるかも分からない、そういうときに備えて、今言った、事業が大きく損失を被るときにきちっと保険を掛けておこう、そのときにきちっと政府がメニューを整えておく。そして、必要ならば、その損失が国全体として大きければ、その保険会計に対して政府として支援をしていく、補助をしていく。
こういう形で、企業がただお上に頼ればいいというのではなくて、経営判断の中で、保険料は、コストはかかるけれども、やはりいざというときに備えておこう、そういうことを促す、そしてそれに応え得るメニューを備えておく、こういうことが必要だと思っていますけれども、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 今、日本国内、いろいろプッシュ型で情報を聞いたり、いろいろこれからやって、今日も本会議場で申しましたとおり、情報集めを今やっています。ここの中から精査をして対応していかなきゃいけません。ですから、中には、今先生おっしゃられたような、やたらお金を配るとかいう発想は今我々にはないんですけれども、今の現実、NEXIの話ですとか、いわゆる事業保険みたいなものは大変参考になるものであるということはもう承知しています。
ですから、そういうものを集めて、今後どういう対策を取るかには、もう委員の御指摘のとおり、そういうものも是非考えていきたいというふうに思っています。
○吉良委員 そのことを申し上げた上で、このトランプ関税について、最後。
前回の私の質問時に日米首脳会談を取り上げて、USスチールのこと、そして一兆ドル投資のこと、そしてアラスカLNGのことを申し上げました。全て民間の経営判断なんだからというふうに言いましたけれども、今朝ほどの小泉進次郎さんのアラスカに対する提起ではないですけれども、先ほど言いました、ブレーン、側近にはいろいろな情報を入れることができるけれども、本人にはやはり貿易赤字を解消しますとやらないとすとんと来ない。
そういう中で、日本にとってそうじゃなくたって必要なものがLNG。これは前回も言いました。そのLNGを、やはり日本がそれに投資していくことで少しでも貿易赤字の解消につながる、これは、今回のトランプ関税を経て、私はありだと思うようになりました。
そして、先ほど小泉進次郎さんの方から、アラスカという地政学的位置づけを考えると、これは単にビジネスだけではなくて、今言った地政学的にも安全保障上も非常に重要だという話をされました。私もそう思っています。
これは私の経験で、随分古い話なんですが、一九八八年、九年に、まだソ連があった頃、トルコの、ボスポラス海峡のすぐ、地中海側のイズミールというところで大きな石炭火力発電所を建設するプロジェクトに携わっておったんですけれども、そのときのコンソーシアムリーダーが、アメリカの政商とも言われる最大の建設、エンジニアリング会社ベクテル、かつて、古い人は知っていますけれども、シュルツ国務長官というのが社長をやっていた会社ですけれども、そこがコンソーシアムリーダーをやっていて、我々商社はやはり、トルコ、しかも近くに黒海、ソ連がある、いわゆるカントリーリスクの保険を掛けようという話をベクテル社員に持ちかけたら、何言っているの、第六艦隊、地中海艦隊は、米国が投資したそういうプロジェクトに対して、絶対に、かつての国有化であったりとか、それを必ず守るために地中海艦隊を派遣しているんだという話で、そういうカントリー保険とかを掛ける気は毛頭ないという話がありました。それがある意味米国だと。それゆえ、地政学また安全保障上の、民間のプロジェクトといえども、そういう観点は必要だと思っています。
ただ、これはもう質問という形にはしませんけれども、今のトランプ大統領と真っ当な米軍の人たちとが本当に意思疎通ができるのか、そういう面も含めて、そこはちょっと心配ではあります。
ちょっと脱線したんですけれども、そのアラスカLNGについて、前回も申し上げました。LNGの開発プロジェクトは、きちっと資金を集める、ファイナンスを組成するために最も大事なプレーヤーがオフテイカーだということ、引取り手だということを言いました。二十年間の長期契約であれば、二十年間潰れることなく必ず引き取って、必ず払い続ける。このプレーヤーがいない限り、上流であるLNGのプロジェクトも実ることがありません。
そういう意味で日本を考えたときに、前回指摘したことでありますけれども、じゃ、日本の中でアラスカのLNGを開発したときに誰が引取り手になり得るんだと。AI含めて今後の電力需要を考えても、それはやはり、首都圏を中心とした関東圏、そして今なお成長が続く中部圏、関西もそうですけれども、主にこの関東と中部。そういう意味では、今、東京電力と中部電力が五〇、五〇のジョイベンをつくっているJERA、ここが引取り手になるんだろうと思っています。
ただ、私が中部電力なら、東電はパートナーで、今ある意味では手を差し伸べているかもしれぬ、中部電力は。けれども、二社が五〇、五〇のリスクで新たに大きな長期にわたるリスクを引き受けようとしたときに、東電大丈夫か、これは当然思うことであります。
そう考えたときに、前も言いました、日本の対米国益、そして日本のエネルギー安全保障、日本の電力の安定供給、そしてそれの一つの具体的プロジェクトとしてアラスカのLNGを考えるとき、もう一回東電に体力をつけさせる、JERAと言ってもいいかもしれませんけれども、体力的に弱っている東電をもう一回体力を回復させる、これは極めて重要なことだというふうに思っています。
その中で、これも今朝ほど廃炉についての議論がありましたけれども、私は、元々国策民営の原子力、そして許認可を含めて、本来、福島の事故は政府と東電の共同責任だと思っているんですね。そういう意味で、東電の体力をつけさせる意味も含めて、廃炉については国に移管すべきだと思っています。
ただ、実務的には、じゃ、今までずっと東電が廃炉をやってきて、先ほども出ていましたけれども、ロードマップというのを作って、それが現実味があるかどうかというのは議論があるという先ほどの話でもありましたけれども、そういう計画を作り、そういう技術者を養い、それを東電はやっていますので、また東電が請け負うかもしれません。ただ、今、東電の責任として廃炉を全部やる。仮に交付国債で資金は供給されたとしても、それは東電が返さなきゃいけない。電力のシステム改革によって、特に小売のところは物すごい競争になっている。そういう中で体力がどんどんどんどん奪われていく。
繰り返しますけれども、対米国益、エネルギー安全保障、そして電力の安全保障を考え、アラスカLNGを対米交渉の一つの重要な手段と捉えるときに、東電の体力を回復させる、オフテイカーとしての。そして、その具体案として、廃炉事業を国に移管する。その後、繰り返しますけれども、引き受ける、もう一回受託するのは東電又は今それを請け負っている会社かもしれませんけれども、ここまでしても今言った対米、エネルギー安全保障、電力安定供給が必要だと思っていますけれども、大臣の見解をお伺いします。
○武藤国務大臣 大変示唆に富んだ御意見をいただきまして、ありがとうございます。
アラスカ、今日も小泉委員から御指摘もありましたし、ほかの先生方からもあったかもしれません。
いずれにしても、LNGというものの扱いについては、日本のエネルギーの基本計画にも今回また入っていますし、大変大事な観点だというふうに承知しています。ですから、長期契約の一つとして、そういうオフテイクができるようなものとして我々は考えていかなきゃいけません。
私としては、アラスカだけじゃなくて、パナマの、今、アメリカ湾と言わないとまた飛んできますので、そういうふうに言わせていただきますけれども、あそこの開発も進んでいる中で、いわゆるLNGの今の開発の先行きも見通しながら、民間の人たちとも大変意見をまた聞きながら、我々ができることは何なのかというところもやはりやっていかなきゃいけないと思います。
まさに、経済安全保障やエネルギー安全保障だったり、今の対米カードとして、そういう意味で、これからも先生のまた知見をいただきながら、しっかりと対策を打てるように頑張っていきたいというふうに思います。
○吉良委員 その際、私、オフテイカーとしてJERA、またそれを構成する東電の体力の必要性というのを説いたわけですけれども、同時に、これも先ほど議論に出ていたと思いますけれども、韓国、中国といったやはり東アジアの国々も、天然ガスというのは、それぞれの国々が掲げるある種の将来的なベストミックスがあっても、それまでの移行期間も、それからベストミックスが達成されて以降も、天然ガスだき火力発電は一定程度必ず必要になりますので、そういう意味で、私は、日本がある意味では主体的なオフテイカーになりながらも、それを同時に韓国にもそして中国にも、ここが大事なんです。
やはり、中国となると、みんな拳を上げて、対中国にどう対抗するかみたいになるんですけれども、例えば世界経済が安定していくということについても、やはり米中が今ここまで摩擦というか、お互いが手を振り上げているので、非常に不安定になっている。そのときに、日本が中心となる例えばアラスカ・プロジェクトで、ある意味では日本が仲介役となって米中をつなぐ。
これは、いろいろ厳しい安全保障環境とか言っていますけれども、それは対抗しようとするほど厳しくなるわけですけれども、それがそういうビジネスを通じて融和を導いていけば我々にとって安全保障コストも低く抑えていくことができるわけですから、こういう一石二鳥、三鳥を狙うということも必要だと私は思っています。それについてまた大臣の見解を。
○武藤国務大臣 この前、日本と中国と韓国とやったんですよ、商務長官というか、貿易通商担当大臣会合。非常に中国は、ある意味で、米国、それはここまで、まだ一二〇%とか一五〇になっていないときなので、まだそんなにあれじゃなかったんですけれども、何かにこにこしていまして、前回会ったときはもっと厳しそうな感じだったんですけれども、いつでも俺のところに来いよという感じだったんです。まさにそういうところが、日本というものが仲介役として、先生おっしゃられるようなことも、これはないとは言いません。
ただ、我々としては、やはり中国というところと、第一位がアメリカであり二番目が中国ですから、貿易相手国として、その両巨頭が今頑張ってやっていらっしゃるわけで、よく冷静にやはりここはしっかり見ながら対応していくことが必要なんだろうと思っています。
○吉良委員 ありがとうございます。
少し話が戻るというか、廃炉の国への移管について、なかなか明確に答弁できないのは分かっていますので、また私自身の考え方、持論をお伝えしたいと思っているんですけれども。
さっき、福島原子力発電所事故については政府それから東電の共同責任だというふうに申し上げました。あのとき、深入りはしませんけれども、私自身は、原賠法三条ただし書がなぜ適用されないんだということも、当時、民主党政権でありましたけれども、相当叫び回りました。過去の裁判所の見解として、関東大震災の三倍ぐらいという一つの目安が出ていたわけですけれども、それが実は地震エネルギーでいいますと関東大震災の四十五倍ぐらいあったわけですね、東日本は。それが三条ただし書の免責対象にならないということについては私は疑問を持っておりました。
そして、さっき言いました国策民営であったし、例えば、あのプラントで、防潮堤をこの高さでいいですかと言って、許可したのも国です、経産省です。そして、非常電源を地下に置きます、これでいいですかと言って、許可したのも当時の当局です。それで、防潮堤を乗り越えてきました、浸水しました、非常電源が機能しなくなりました。許可って一体何なんでしょうか。許認可って一体何なんでしょうか。
そういう意味で、私はあのときに東電一人だけに責任を押しつけるということについて非常に疑問を持って、ただ、先ほども話がありました、当時、民主党政権でした。私は、そのことも大きな理由として、六十四人の仲間を集めて、当時、菅総理、即刻退陣せよという、私と、御党に行った長島昭久と二人がリーダーとなって、菅総理辞めろと。こんな誰かを敵にして対応していくということについて疑問を持つし、今言った、この事故というのは原賠法を見る限り本来は免責であるべきだし、そして、今言った許認可等々を含めて国と東電とで二人三脚でやってきたはずなので、それを一方的に東電に責任を押しつけ、ある意味、国側は裁判官側に回りましたよ、被告席には自分は座らずに。私はそういうことに対して物すごく本当に正直憤りを感じておりまして、それがゆえに、繰り返しますけれども、国と東電とは共同責任なんだ。当然、東電も責任を免れようがありません。けれども、国も同じくある。
ということであれば、繰り返しになりますけれども、さっきから言っている対米国益、エネルギー安全保障、そして電力安定供給等を考えたときに、日本の安定供給を担う東電の体力を回復させて、そのために、今言った廃炉については国の責任において実施していく。そして、さっきのロードマップが現実性がないというのであれば、国においてもう一回見直せばいいではないですか。
大臣の答えられる限界があるということは承知していますけれども、もう一度、今言った廃炉については国に移管すべきであるという私のこの意見に対する大臣の見解を求めたい。限界があるのは分かっています。
○武藤国務大臣 いろいろお気遣いいただきまして、ありがとうございます。
ここの廃炉の問題については、これはちょっといろいろ事前の、中で聞いていますのであれですけれども、当時も、私、まだ落選している最中でありましたから、あの日は。ですから、大変今も思い出しておりますし、その後、福島のいわゆる原子力災害対策本部長として一年つき合わさせていただいて、まさに福島の復興を何としてでも成し遂げていかなくてはいけないという思いがよく分かります。
その中で、この廃炉の問題、これもいろいろ長い歴史の中で、日本のエネルギー基本計画からずっと来ていますから、そういう意味で、これはちょっと読まさせていただきますけれども、東電の原点というのは、福島への責任の貫徹、そして、一Fの廃炉については、原子炉の設置者であり、現場に精通している東京電力が責任を持って行うことが重要であるということは、これはもう認識をしているところであります。
一方で、国として、東京電力福島第一原発事故の経験、反省と教訓、これを深く肝に銘じながら、最後まで福島の復興、再生に全力を尽くす、これがまさに国の責務であるということを認識しているところであります。
その上で、我々としては、今、ALPSの処理水とか、いろいろ問題が起きていますけれども、しっかりとやり抜いてきていると思います。中国がいろいろこれも言っています。しかし、やはり、早く中国が解除するように我々としては要求していますし、国も前面に立って一つ一つ取り組んでいくところであると思います。
あとは、中長期ロードマップ、さっきから、今日もずっとお話が出ました。これも、安全かつ着実な廃炉、そして原子力損害賠償・廃炉等支援機構による支援も併せて、最後まで責任を持っていかなきゃいけないということだろうと思っています。
原子力というのは、先ほど佐原先生からもありましたけれども、要するに、全国に使用済核燃料というのがプールにあるのもこれも現実ですから、様々にこの解決もして、最終処分の話もありますから、我々としてはまだまだやらなきゃいけない問題、課題が山ほどあるわけです。しかし、一方でやはり原子力も使っていかざるを得ない、今の脱炭素への世の中の要望もあり、しっかりとこういうことも、バランスという形の中で、何としてもこれは切り抜いていかなきゃいけない、そういう思いで、委員から今いろいろ、今日御指摘いただきました、JERA、あるいは東電の廃炉の国への移管とか、様々な解決策もあるんだと思います。
是非、そういう意味で、またいろいろ御意見をいただきたいというふうに思っています。
○吉良委員 ありがとうございます。極めて紳士的な。
もう時間が来ましたので、短く言いっ放しで終わりますが、国は廃炉について移管を受けることはできるんです。けれども、その人員と設備と、東電、JERAが持つ電力の安定供給主体に代わることはできないんです。それは東電にしかできない、またJERAにしかできない。
廃炉については、今言った、結果的に請け負うのはまた東電とその関係会社だったとしても、その責任者として国に移管することはできます。けれども、繰り返しますが、電力供給者になることはできないんです。そして、その電力供給者としての東電が、今、許可を得ながら柏崎が動いていない、そして、補償、廃炉、これでのたうち回っているわけです。
やはり一つ一つそれを軽くして、そして、さっき言った共同責任であるがゆえに、国が引き受けてもおかしくないものは引き受けて、そして電力供給の安定者としてきちっと活躍してもらうというか、その責務を果たしてもらうようにやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 経済産業大臣は御退席いただいて結構でございます。
朝から御苦労さまでございました。
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○宮崎委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。伊東国務大臣。
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下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
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○伊東国務大臣 ただいま議題となりました下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
我が国の雇用の七割を占める中小企業が物価上昇に負けない賃上げの原資を確保できるようにするため、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させることが必要不可欠です。事業者間の対等な関係を推進して中小企業の取引の適正化を図るためには、協議を適切に行わない代金額の決定の禁止、規制及び支援の対象となる事業者の範囲の拡大等の措置を講ずる必要があるため、この法律案を提出した次第です。
次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
第一に、下請代金支払遅延等防止法について、禁止行為として、費用の変動等の事情が生じ協議を求められたにもかかわらず、代金の額に関する協議に応じず、一方的に代金の額を決定することや、代金の支払い手段について手形を交付すること等を禁止する旨追加することとしています。
第二に、下請中小企業振興法について、振興事業計画における支援の対象として、二以上の段階にわたる委託関係にある事業者を追加することとしています。
第三に、下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法について、従業員数の大小による基準を新設して、代金の支払い遅延禁止等の規制の対象や振興事業計画における支援の対象となる事業者の範囲を拡大するとともに、これらの規制や支援の対象として、特定の運送委託に係るものを追加することとしています。また、下請事業者その他の用語を中小受託事業者等の用語に改め、あわせて、法律名を改めることとしています。
なお、これらの改正は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしています。
以上が、この法律案の提案理由及び概要です。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
○宮崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る十六日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時十九分散会