第12号 令和7年4月23日(水曜日)
令和七年四月二十三日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 宮崎 政久君
理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君
理事 山下 貴司君 理事 荒井 優君
理事 山岡 達丸君 理事 山崎 誠君
理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君
岩田 和親君 鬼木 誠君
小池 正昭君 坂本竜太郎君
塩崎 彰久君 島田 智明君
鈴木 英敬君 関 芳弘君
世耕 弘成君 西村 康稔君
細野 豪志君 松本 洋平君
宮内 秀樹君 向山 淳君
東 克哉君 大島 敦君
岡田 克也君 落合 貴之君
小山 展弘君 鈴木 岳幸君
田嶋 要君 福森和歌子君
吉田はるみ君 東 徹君
村上 智信君 岡野 純子君
平岩 征樹君 福重 隆浩君
山口 良治君 佐原 若子君
辰巳孝太郎君 吉良 州司君
…………………………………
経済産業大臣
国務大臣
(GX実行推進担当) 武藤 容治君
農林水産副大臣 滝波 宏文君
経済産業副大臣 古賀友一郎君
財務大臣政務官 土田 慎君
政府参考人
(内閣官房米国の関税措置に関する総合対策本部事務局次長) 桐山 伸夫君
政府参考人
(外務省大臣官房参事官) 渡邊 滋君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 田原 芳幸君
政府参考人
(国税庁課税部長) 高橋 俊一君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 日向 信和君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 清浦 隆君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 佐藤 大作君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 大隈 俊弥君
政府参考人
(農林水産省大臣官房審議官) 押切 光弘君
政府参考人
(農林水産省農産局農産政策部長) 山口潤一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房長) 片岡宏一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房商務・サービス審議官) 南 亮君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 井上誠一郎君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田尻 貴裕君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 田中 一成君
政府参考人
(経済産業省イノベーション・環境局長) 菊川 人吾君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局長) 野原 諭君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官) 茂木 正君
政府参考人
(資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長) 伊藤 禎則君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 久米 孝君
政府参考人
(中小企業庁事業環境部長) 山本 和徳君
政府参考人
(中小企業庁経営支援部長) 岡田 智裕君
経済産業委員会専門員 花島 克臣君
―――――――――――――
委員の異動
四月二十三日
辞任 補欠選任
西村 康稔君 塩崎 彰久君
同日
辞任 補欠選任
塩崎 彰久君 西村 康稔君
―――――――――――――
四月二十二日
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
経済産業の基本施策に関する件
私的独占の禁止及び公正取引に関する件
――――◇―――――
○宮崎委員長 これより会議を開きます。
経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
両件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、経済産業省大臣官房長片岡宏一郎君外二十一名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小池正昭君。
○小池委員 皆様、おはようございます。大変お世話になります。自由民主党、千葉十区の小池正昭でございます。
本日、この質問の機会を頂戴しまして、ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
まず冒頭なんですが、米国の関税措置に関する件で、少しだけ触れさせていただきたいと思っております。
実は、貿易の額で、いわゆる金額ベースでいくと、我が国の最大の貿易港は成田国際空港、私の地元であります。二〇二四年の輸出総額というのが十七兆五千百八億円、うち米国向けが二兆四千五百五十一億円を占めます。非常に大きな額なんです。
実は、この成田国際空港で、これまで世界の空港間競争に後れを取っていたという現実を直視しまして、空港規模を倍にして千ヘクタール拡大する、そしてまた新たに三千五百メートルの滑走路も整備をするという、更なる機能強化という国家プロジェクトを今現在進めているわけなんですが、既に当然に航空物流関係事業者が集積をしておりまして、更に今後この増強を図っていこうということで動き出している中で、輸出に関して、やはり米国関税の行方というのが非常に注目をされているところであります。最大の関心事というか、懸念が漂っているというところであります。
是非、武藤大臣におかれましては、我が国の国益、経済を守るためにも、最大限の御尽力をお願いを申し上げたいと思います。
具体的に今回質問をさせていただきますが、洋上風力発電についてであります。
我が国を取り巻くエネルギー情勢、これは、ロシアのウクライナ侵攻あるいは中東情勢の緊迫化、またDX、GXの進展に伴う電力需要増加など、将来の見通しに対する不確実性、これが高まっていると言えます。
こうした中でも、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、引き続き国を挙げて対応することが急務でありますが、今年二月に策定されました第七次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーの主力電源化を徹底し、地域との共生を図りながら最大限導入を促すと明記されているところであります。中でも、洋上風力につきましては、再生可能エネルギーの主力電源化の切り札とされているところです。
海洋国家である我が国は、洋上風力発電について、二〇三〇年までに一千万キロワット、二〇四〇年までには三千から四千五百万キロワットの案件形成を目指すということになっておりますが、また、洋上風力発電設備の設置エリアをこれまでの領海内から排他的経済水域、EEZにまで拡大する法案が現在提出されておりまして、審議中であります。この法案につきましても、我が国のエネルギー政策上必要なものであるというふうに考えております。
しかしながら、昨今、この洋上風力をめぐる事業環境、厳しい状況になっているということは否めません。二〇二〇年頃からの世界的な資材価格の高騰であるとかサプライチェーンの逼迫、また金利上昇などの影響を受けまして、洋上風力先進国と言われてきたイギリスを始めヨーロッパにおいても、開発コストが実際に上昇したということで事業から撤退する、こういった状況が生まれています。また、最近では、アメリカ・トランプ大統領が洋上風力発電の開発を制限する、こういった大統領令に署名をしています。
実際、世界的なコンサルティング会社が発表したものによりますと、二〇二八年までの世界の洋上風力導入見通しについて、これも三〇%ぐらい下方修正をしている、見通しを非常に低く設定というか、そういったデータを公表しています。
この状況、実は日本においても同様の影響がありまして、千葉県の銚子市沖と秋田で二海域、合わせて三海域ありますが、第一ラウンドの選定事業者であります三菱商事と中部電力の子会社であるシーテックが、今年の二月にゼロベースで事業性を再評価するという発表をしました。
私の地元の銚子沖のこのプロジェクトは、地元の漁業者あるいは経済団体の方々等、多くの関係者と信頼関係を積み上げてきた上で成り立っているものでありまして、実は今年の一月からいよいよ陸上工事が始まるというタイミングでありましたので、非常に大きな衝撃が走り、また、現在不安の声が上がっているところであります。
そこで、まず大臣にお伺いしたいんですが、このような厳しい環境に置かれている中でありますが、政府として、再エネ主力電源化の切り札としている洋上風力発電の確実な実施に向けてどのように対応していくのか、見解をお伺いいたします。
○武藤国務大臣 小池委員、おはようございます。
長きにわたって、千葉県の中で、市議会、県議会、政治を引っ張ってきていただいていることに改めて敬意を申し上げたいと思います。
また、今の成田の話もあると思います。関税問題で何か問題があったときに是非またお教えいただきたいと思います。プッシュ型で今いろいろ情報を集めていますけれども、別の機会でも、もしよろしければまたおっしゃっていただければありがたいと思っています。
今、洋上風力の件で質問をいただきました。インフレなどの影響を受けて、これは世界的に、一部のプロジェクトを始めとして中断等が発生しているものと承知をしているところです。
国内の洋上風力プロジェクトについても、事業が完遂されるための事業環境整備というものが重要でありまして、第七次エネルギー基本計画にも必要な施策を明記したところであります。
具体的に申しますと、洋上風力の公募制度を見直しをしまして、入札後の物価変動リスクに対応して価格を調整する仕組みなどを導入することといたしました。
洋上風力、先生おっしゃられるように、まさに我が国のいわゆるエネルギーの大きな一つの強いものになると思っていますので、是非、この導入が停滞しないように今後も必要な対応を行ってまいりたいというふうに思っております。
○小池委員 ありがとうございました。
先ほど述べましたけれども、是非とも、様々な対応をいただいていることを承知しておりますが、引き続きの御支援を賜りたいというふうに思います。
洋上風力発電、この推進をしていく上で、何といっても、エネルギーを安定的に供給する仕組みに加えまして、産業基盤の形成というのが重要になってまいります。特に、排他的経済水域、EEZにおいて導入が想定されています浮体式の洋上風力発電、これはコストが問題でありますので、既に先行している欧州での例を参考に、強靱なサプライチェーンの形成も必要になってくるであろうというふうに思います。
政府が二〇二〇年に策定しました洋上風力産業ビジョンというものがありますが、産業界の目標として、国内調達比率、これを六〇%に掲げているわけでありますが、政府として、強靱な国内サプライチェーンの形成、これが必要であると思いますが、どのように支援していくのか、見解をお伺いします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘いただきましたとおり、二〇二〇年に策定いたしました洋上風力産業ビジョンにおきまして、産業界として二〇四〇年までに国内調達比率を六〇%とする目標を掲げております。昨年一月に運転開始をいたしました石狩湾新港における洋上風力のプロジェクトにつきましては、既にその目標を達成したと承知しているところでございます。
国内に洋上風力産業を支えるサプライチェーンを構築することは、電力の安定供給に貢献するだけでなく、御指摘いただきましたとおり、我が国の産業競争力の強化の観点からも大変重要であると認識してございます。
このため、経産省としまして、サプライチェーン構築に向けて、再エネ海域利用法に基づく事業者の選定に際しまして、事業者が策定するサプライチェーン形成計画を重点的に評価することとしているところでございます。
加えまして、サプライチェーン構築の観点から、着実な案件形成による事業者の投資の予見性確保、また設備投資の支援などの対策を総合的に講じていくことが重要であると考えてございまして、このため、御指摘いただきましたとおり、広大なEEZにも洋上風力を拡大させるための法案を今国会に提出させていただいたところでございまして、また、昨年度からは、GXサプライチェーン構築支援事業におきまして、風車の羽根などを支えるタワー、また浮体設備などの設備投資を支援しているところでございます。
予見可能性を高めることにより、国内外から洋上風力関連産業への更なる投資を促すため、御示唆いただきましたとおり、浮体式洋上風力発電に特化した目標を含む産業戦略を掲げることが重要と承知をしておりまして、今後、作成に向けた検討をしっかり行ってまいりたいと存じます。
○小池委員 ありがとうございました。
是非、今後に向けて、今御答弁いただきましたけれども、何とぞ力を入れていただきたいというふうに思います。
私、地元、千葉県なんですが、お隣になりますけれども印西市というところがありまして、グーグル、アマゾンを始め世界のIT企業のデータセンターが今次々と建設されてきました。まさにデータセンター銀座とまで言われるようになっているところでありますが、これからDX、GXが加速していく中で、世界的にも、データセンターを運営する事業者にとっては、実際に再生可能エネルギーなどの脱炭素電力を求めるという動きが顕在化しているところであります。
先ほどありましたけれども、二〇二四年一月には、北海道石狩湾の関係で、洋上風力発電事業、近隣に開業したデータセンターへの電力を供給する取組が実際に始まったということ、これは非常にすばらしいなと思っているんです。
そこで、今後、カーボンニュートラルを表明する企業が増えていく中で、再エネ等の脱炭素電源はデータセンター等の産業立地の面でも期待できるというふうに考えているんですが、実際にそういった立地を促すという意味でどのように支援していくのか、見解を伺います。
○古賀副大臣 小池委員御指摘のとおりでございまして、世界的にも、脱炭素電力を利用した製品やサービス、GXに貢献する製品、そういったものに関しまして大規模な投資を呼び込む動きがあるものと承知しております。
その一方で、我が国でも脱炭素電源の供給拠点には地域的な偏在性がございます。そこで、更なるGX投資の促進とDXに不可欠なデータセンターの整備を例に取り上げますと、脱炭素電源の近傍や電力インフラから見て望ましい地域に新たな産業を集積させる、こうした大胆な発想が必要になってまいります。
そこで、経産省といたしましては、GX二〇四〇ビジョンに基づきまして、産業用地の不足解消といった操業環境の整備、それから国内外の企業からの投資の呼び込みを実現する。その一方で、自治体が更に脱炭素電源を整備するきっかけとなる産業立地政策の実現を目指してまいりたい、このように考えております。
現在、具体的な政策につなげていくために、データセンターに関しましては、電力と通信の効果的な連携の在り方を議論いたしますワット・ビット官民連携懇談会や、GX産業構造実現のためのGX産業立地ワーキンググループを通しまして、今様々な専門家と議論をしているところでございまして、これらの議論を通しまして制度設計の具体化を急いでまいりたい、このように考えております。
○小池委員 副大臣、ありがとうございました。是非よろしくお願いしたいなというふうに思います。
時間の関係で、多分最後の質問になろうかと思いますが、今いろいろお話しさせていただきましたけれども、やはり、この洋上風力発電、地方での雇用創出であるとか、部品の点数が非常に多い、数万点に及ぶなど、非常に、産業界に与える影響、裾野も広いということから、経済的な波及効果が期待できる。まさに、石破総理が掲げる地方創生二・〇にもつながるものというように考えます。
そこで、洋上風力発電を前に進める観点から、地方創生の見地も含めて、是非、政府としてどのような支援を考えているのか、見解を伺いたいと思います。お願いします。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま委員から御指摘いただきましたとおり、洋上風力発電は、部品数が数万点に及ぶなど産業の裾野が大変広くございまして、発電設備の維持管理も数十年にわたるということで、地域の雇用創出にも貢献をし、また経済波及効果が期待される電源であると承知をしてございます。
一例としまして、秋田県では、国内最多となる四つの促進区域を擁する、また、二つの港湾区域内のプロジェクトが稼働しているところでございますけれども、こちらでは、地元企業が重要な部品を開発する方針を示して、新工場も建設をする、既にこういった動きが出てきている。また、男鹿市におきまして、経産省の支援事業を活用して、年間一千人規模の受講生を目標とした洋上風力発電の総合訓練センターを設置しているところでございます。また、非常に長期にわたるプロジェクトということで、宿泊、また飲食を始めとした、広く地域経済に波及効果があるなど、まさに洋上風力産業が地方創生に資するということを体現していると承知をしてございます。
経産省としまして、企業の設備投資への補助、また人材育成拠点の整備などを積極的に支援をしまして、地方創生に寄与する形で洋上風力の導入拡大を進めてまいりたいと存じます。
○小池委員 ありがとうございました。
私も、地元、様々な課題を抱えていますが、最大限努力をしてまいりますので、どうか御支援のほど、よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、岡田克也君。
○岡田(克)委員 立憲民主党の岡田克也です。
まず、米国との関税措置に対する日米協議について、その体制についてお尋ねしたいと思います。
アメリカ側の交渉者は、当初、ベッセント財務長官、それにグリア通商代表が加わった。グリア通商代表は、前回のことをよく承知しているので、日本にとっても必ずしもマイナスではないという判断もあるのかもしれませんが、それにラトニック商務長官も、少なくとも前回の会合では、四月十六日の協議では加わったということであります。
三人体制ということになったわけですが、これはこれからも続くんでしょうか。そして、なぜそうなったのかということについて米側から説明はあったんでしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、日米交渉の米国側の担当閣僚として、ベッセント財務長官及びグリア通商代表が指名されたと承知しておりまして、先般の赤澤大臣の協議にはラトニック商務長官も参加したと承知しております。
一連の関税措置には、ラトニック商務長官を含め様々な閣僚が引き続き関与してきたものと承知しておりますが、今後の米国側の協議体制について予断を持って申し上げることは差し控えさせていただきます。
加えまして、なぜラトニック商務長官が同席されたのかという具体的な理由については承知しておりません。
○岡田(克)委員 まず、大臣、相手が出てくるのなら大臣も出られるべきじゃないですか。
○武藤国務大臣 今事務方からもお話ありましたように、今、日米交渉の米国側の担当閣僚というのはベッセントだということでトランプ大統領から、というか、トランプ大統領と石破総理が電話会談したときの話で出てきたというふうに承知をしています。
そういう中で、赤澤大臣が今回行かれて、今の岡田委員のお話ですと、私も一緒に行ったらどうだというお話でございました。
今もお話しのように、経産省としてその情報が入っていなかったというのもあるかもしれませんけれども、私どもはなかなか、岡田先生も外務大臣経験者ですから国会の方の了解というものが大変大事なこともよく御承知だと思います。
私も、電話会談をしたり、ある意味でラトニックとはずっと続けていますので、今回、赤澤大臣が行ってベッセントと話して、グリアも一応認められて、ライトハイザーの補佐をやっておられた方ですからよく御存じの方というふうに思いますけれども、そこにラトニックが出てきたとかいう話は全く、正直言って、事後で、あれという感じで私自身は見ましたので。
今後、これは赤澤さんを中心に、我々としても政府としてまとまってやっていかなきゃいけない話ですので、引き続きサポート体制をしっかりしながら頑張っていきたいというふうに思っております。
○岡田(克)委員 一対三で交渉するというのは、まともな交渉にならないと思うんですね。
この閣僚交渉、事務方が発言する機会は限られていると思いますから、そうすると、赤澤さんはずっと協議しなきゃいけない。相手は入れ替わり立ち替わり、その間いろいろなことを考えて。しかも、たちが悪いのは、ベッセント財務長官とラトニック商務長官は考え方がかなり違う。そういう中で交渉させるのは、ちょっと赤澤さんにも気の毒だと思うし、非常に国益を損ねると私は思うんですよ。
やはり、まず、体制をどうするかということを日米できちっと話をして、一対一なら一対一。前回は、茂木さん、そしてライトハイザーさん、一対一だったんですね。一対一なら一対一、向こうがどうしても三人出すというなら、こちらも三人出す。そういう公平な協議ができる体制を整えないと、まあ一回目は何となくうまくいったという御認識かもしれませんが、これはとんでもないことになると思いますよ。
それを、なぜラトニック商務長官が加わったのかも分からないし、これからどうなるかも分からないだろうということは、私は日本政府としてあってはならない態度だと思いますが、いかがですか。
○武藤国務大臣 さっきも申し上げたとおり、石破総理とトランプ大統領の間の電話会談でこれが決まり、今回行かれて、今、一対三という形での閣議の懇談が、懇談というか協議が開かれたということです。
委員おっしゃられるとおり、一対三でそんな充実した話ができるかというのも、私も、外務副大臣もやりましたから、もっともな話だということはよく分かります。
そういう形で、向こうとの協議の中で今回出てきた課題というものを、今回決まったことはもう御承知だと思いますけれども、今月中にもう一度閣僚会議をやるという話がありました。その内容は私は分かりませんけれども、今回の関税対策として、またグループとして、官邸の中の会議に入りますので、そういうものの中ではそういうことも申し上げながら、じゃ、三対三がいいのかどうかというところもありますけれども、しっかりとそれは、我々としても、数で負けないように、中身の話だと思っていますので、是非またそういう意味でも、チームを始め、今後の協議に向けて連携体制をつくっていきたいというふうに思っています。
○岡田(克)委員 これは、ですから、次回の閣僚会議までに日米間でよく話をして、公平な交渉ができる体制を整えることがマストだというふうに私は思います。そのことをまず求めておきたいというふうに思います。
それから、閣僚レベルに加えて、事務レベルの協議も並行して行っていくということが確認されたと思いますが、事務の官房副長官をヘッドとする事務局が四月十一日にできた、その後、補強もしたということは承知していますが、日本側の事務レベルの首席交渉官は誰なんですか。
○桐山政府参考人 お答え申し上げます。
日本側の体制でございますけれども、まず、現状といたしましては、今般の協議で一致しましたとおり、次回の閣僚レベルの協議を今月中に実施すべく日程調整するとともに、閣僚レベルに加えて事務レベルの協議も継続していくということとしております。
その上で、協議の体制も含めまして、それ以上の今後の進め方につきましては、何が最も効果的なのかということを考えまして、鋭意検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○岡田(克)委員 非常に遅いと思うんですよね。次の閣僚会議までに事務方ですり合わせできるものはすり合わせしてこなきゃいけない。
為替については、財務長官と財務大臣でやる、別ルートでやるということは決まっているようですが、例えば安全保障の問題をどう扱うのか。石破総理の話を聞いていると、これは別だというふうに、そういうお気持ちのようですが、アメリカ側はどう考えているのか。そういうことを、次の閣僚会議で、それまで調整なく、いきなりぶつけ合うんですか。それはそうじゃないでしょう。その前にやはり事務方ですり合わせするという作業が必要なはずですよ。そのときに首席調整官も決まっていなくて、一体どういう形でやるんですか、これは。
○桐山政府参考人 お答え申し上げます。
事務レベルでも協議は続けてございますけれども、それ以上の詳しいことにつきましては、現時点では申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
○岡田(克)委員 前回のときは、梅本さんが首席調整官で、渋谷さんが全体の調整をやられたというふうに理解をしておりますが、やはり事務方の体制は大事ですよね。一つあるのは、恐らくアメリカ側も整っていないので、こちらもなかなか体制が決めにくいというのはあるかもしれませんが、それにしても、首席交渉官ぐらいは、ヘッドぐらいは決まっていないと、統一的な交渉にならないというふうに思います。
ここは、どうしてそうなっているのかがちょっと理解に苦しむんですが、大臣も重要なメンバーですから、総理とも御相談いただいて、早急に体制を整えていただきたいというふうに思うんですが、いかがですか。
○武藤国務大臣 官邸側の方の担当が誰かという話はお伝えしておきます。
経産省としては、誰とは言いませんけれども、もうヘッドというか担当は決まっていますので、通商局長なり、みんなそれぞれ夜中を徹して頑張っておりますので、そういう意味で、官邸のいわゆる司令塔というものがどうなるかというところの中で、岡田委員の意見もお話をしていきたいと思います。
○岡田(克)委員 事務局長は事務の官房副長官ということで決まっていますので、従来なら副長官補がなられるんだろうと思いますが、適任者もいると思いますが、なぜそれを早く決めないのか、私はちょっと不思議な感じがいたします。
次に、具体的な関税交渉についての基本的考え方について確認したいと思いますが、大体三つぐらいのカテゴリーがあるというふうに思うんですね。鉄、アルミ、自動車・自動車部品、それから相互関税。それに半導体というのが加わるのかもしれませんけれども。
鉄、アルミについては、基本的に、ずっと鉄については二五%かかってきたわけですね、従来から。アルミは一〇でした。今回アルミも二五になるという話と、それから、鉄について例外措置がいろいろ認められていたのが一旦チャラになっちゃうという状況かと思います。
日本政府は、二五がかかってきたときに、日米貿易協定を締結するときに、あえてこのことは取り上げずに、ある意味では是認してきたわけですね。それは、例外がいろいろ認められるからだ。日本の鉄でないと対応できない、例えば超ハイテンとか、そういうものはアメリカのメーカーも欲しい。そういう中で、例外をどんどんつくってきて、事実上差し障りの少ないようにしてきたというのが今までの歴史じゃないかと思うんですが、基本的に今後もそういう考え方でいくのかどうか。私はそちらの方が賢明だと思うんですが、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 鉄、アルミということに限りまして、今委員おっしゃられるように、ハイテンとか、要するにアメリカでは作れないものが日本から今出ているということで、数量的にも、全体の五%か、たしか六%か七%ぐらいだと思っております。
そういう中で、引き続きこれは赤澤さんを中心にこれからまとめていかなきゃいけませんけれども、内容については、交渉方針について予断を与えることはできませんので申し上げられませんけれども、基本的には、鉄、アルミ、これは、そういう形の中で向こうの物価がどんどん上がっていっちゃうだろうなということは考えておりますけれども、現実的には、というよりは、やはり相互関税ですとか自動車の方が相当ウェートが高いというのは今も当然予測しているところであります。
○岡田(克)委員 そこで、相互関税なんですが、これはある意味ではとんでもないやり方だというふうに思うんですね。WTOで相殺関税というのは認められていますが、これは、補助金に対して、それに対抗する措置として決められているのであって、そういうものとは全く次元の異なるもの。
全世界一律に、あるいは貿易赤字に応じて、それに上乗せしてかけるというのは、自由貿易という考え方からすると全く相入れないもので、日本政府としては、当然、その考え方そのものに、それは間違っているということを述べるべきだと思いますが、いかがですか。
○武藤国務大臣 そういう意味では、日本としても自由貿易を標榜しながら今までも来て、そしてアメリカも含めて世界が戦後の自由貿易を引き継いできたという歴史の中でいうと、当然、先生がおっしゃられるように、これは世界に対しての悪いメッセージになるということも私は申し上げてきましたし、そういう意味の中では委員のおっしゃるとおりだと思っています。
○岡田(克)委員 ただ、もうちょっと大きな観点から見ると、石破総理はお互いが利益があるというような言い方もされていますが、利益というと非常に短期的なものだというふうにも、交渉に当たってお互いの利益が増えるように考えるというよりは、もう少し大局的な観点に立って、やはり、日本にとっては強いアメリカが必要なんだと。それは、安全保障の面でもそうだし、それから世界の経済という意味でも、今の方向は間違っているけれども、製造業も含めて競争力を持った強いアメリカというのは日本にとって不可欠なんだ、そういう認識に立って、日本として支援するところは支援していく、譲歩するところは譲歩するというのが交渉の大きなフレームワークだと私は思うんですが、大臣の認識はいかがですか。
○武藤国務大臣 私が商務長官に会ったときはそのような話をずっとしていました。これは正直申し上げてアメリカにとってもプラスになりません、そういうものを申し上げながら、私は、商務長官とはそういう関係をしてきました。
今回は、要するに、赤澤大臣が行かれたときにも大統領が突然出てこられたような形になっていますけれども、そういうことですので、アメリカの今の政治の決め方というものの中ではなかなか、正直言って難しいところもあろうかと思うのが今の状況です。
これ以上は、赤澤大臣が中心になっていますので私の今の権限外になりますけれども、いわゆる通商関係ではそういうような話をずっとしてきています。
○岡田(克)委員 このままアメリカがどんどん衰退していくということになると、世界の構造が変わるわけですから、代わりにどこが出てくるかということは申し上げませんが、やはり、五年、十年、あるいはその先を見たときに、強いアメリカというものがないと日本としても困るということはきちんと伝えて、認識を共有化して、その上で日本としてできることをやっていくということだと思います。
総理とトランプ大統領の間で、自由で開かれたインド太平洋の実現ということも、最初に直接お会いになったときに確認されたと思いますが、そういう観点から見ると、今回の相互関税で、ベトナムが四六%、タイが三六%、インドネシアが三二%と。こんなことをしていたら、自由で開かれたインド太平洋の実現ではない、むしろそこにピンポイントで攻撃しているみたいな、そういう印象ですね。中国の習近平国家主席は東南アジアを回ったということで、非常に私は懸念するんです。
自由で開かれたインド太平洋がいかに重要かということをトランプ大統領が認識されているとすると、今やっていることはそれには全く真逆ですよということの認識も伝えないといけないと思うんですが、いかがですか。
○武藤国務大臣 ここも、商務長官とはそういう話も私はしてきました。なおかつ、国会でお許しいただいたようですけれども、ゴールデンウィークは、私としてはタイとマレーシアに行ってきます。
習近平が今回いろいろなところを、アジア歴訪をされていますので、先生おっしゃられるとおり、いわゆる日・インド太平洋、この貿易を守るという、通商というか平和を守るというところでは、まさにそういう意味でも、いわゆるエネルギー、通商関係としては一生懸命やっていきますけれども、じゃ、トランプ大統領にこの話を申せるかどうかというのは、直接お会いするのは総理か赤澤大臣ですから、そういう意味でいうと、次回の協議の中でそれを向こうのベッセントなりにお伝えしていくという形になるんだろうと思います。
私は私なりにそういうものを、また情報を、ASEANの国々に対して、押さえをしながら、そして、アメリカとの交渉の中にも、こういう形の話で、なるよということを、しっかり我々日本政府としてもアメリカ政府に物を申していかなきゃいけない一つの大きな要素だというふうに思っています。
○岡田(克)委員 それから、自動車関税ですが、私は、これは、相互関税とは切り離して、自動車関税の問題として議論した方がいいというふうに思うんですね。相殺関税と一緒になるということは、そこに、例えば、農産物の話であったり、あるいは、加えて安全保障の問題であったり、非関税障壁の話であったり、もちろん自動車に係る非関税障壁は別ですが、それらのものも含めて、非常に話が複雑になるので、そういう問題は相互関税の議論の中で一括して行うことにして、自動車は自動車として解決の道を議論すべきだというふうに私は思うわけです。
とはいえ、自動車の関税の影響は、今既にもう二五で発効していますから、非常に大きいものがあるということで、これを最優先に交渉すべきだというふうに私は思うんですが、大臣の認識はいかがですか。
○武藤国務大臣 自動車の関税について、さっきも申しましたとおり、これはまさに影響の大きいということが想定をされる。一方で、部品というものも、いよいよ五月の三日でしたかね、またかかるということですので、今は国内のサプライヤーとかいろいろなところの情報を聞きまくって、とにかく現実の直視をしようと思っているのが国内ですけれども、今先生おっしゃられるように、相互関税と自動車というのを分けて、自動車だけやったらどうかという話であります。
私も、この前、ずっとこういうあれを見てきたわけです。現実、相互関税も課されて、二四のうちまだ一〇という形が残っていましたけれども。残念ですけれども、なかなか、向こうの政府と赤澤大臣の協議の中においても、これは、切り離されるというよりは、逆に、今先生おっしゃられたように、安全保障の話ですとか、あるいは為替の話ですとか、何かそういうものがいろいろと。
ただ、私がやっていたときよりも、全体的な話として、一つ一つが何とかテーブルの、俎上に上がってきているようですので、そういうものもやはりしっかり協議をしながら、いろいろな選択肢がある中で、しっかりといわゆる日本の利益を、国益を守るというスタンスの中で、もちろん先生方にも御理解をいただきながら話を進めていかなきゃいけない話だと思いますけれども、そういう協議中の話だというふうに思っています。
○岡田(克)委員 そういうことをある程度整理するのが次回の閣僚級協議ではないかと思うんです。でも、いきなりぶっつけ本番でやったってどうなるか分かりませんから。やはり、そういう意味でも、事務方で詰めるものは詰めておかないといけない、そのためには首席交渉者が決まらないとできないんじゃないですかということを先ほど申し上げたところであります。
自動車の関税が首尾よく短期間で決着すればいいですが、かなり続く可能性がありますよね。これは日本だけじゃないですからね、二五%というのは。そのときに一体何が起こるだろうか。
リーマン・ショックのときを思い出すわけですが、リーマン・ショックのときも、日本は、金融は大丈夫だから余り関係ないだろう、そういう認識も最初あったと思いますが、結局、アメリカの消費がシュリンクして、車の輸出が滞って、結果として、自動車業界だけではないんですけれども、雇用の問題、派遣切りとか、それから外国人の方に飛行機まで出してお帰りいただくとか、そういうことが、非正規の雇い止めとか派遣村とかありましたよね。
最悪、そういうことにもなり得る話なので、私は早めの対応をしなきゃいけないんじゃないかと。あのとき、失業率は、リーマン・ショック直前は三・六だったのが二年後には五・七、二ポイント以上上がっているんですね。そのことを繰り返さないために、私は、例えば輸出が一時滞るのであれば、国内における自動車の需要をつくり出すと。そのためのエコカー減税とかグリーン化特例とか、いろいろな制度が今ありますが、それを思い切って拡大して、車の買換えを進めるというようなことももう今から考えなきゃいけないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○武藤国務大臣 委員御指摘のとおり、リーマン・ショック直後の二〇〇九年ですけれども、日系自動車メーカーの国内における生産台数、前年比約三百六十万台減少する、自動車産業がこういう大きな影響を受けたわけです。
今般の米国の関税措置は、国内産業に広く影響を及ぼす可能性があるものと承知をしています。経済産業省として、全国の相談窓口、先ほど申したとおり、プッシュ型で、今、相談を通じながら、影響の調査を進めてきているところであります。中間的な結果としては、直接的な影響はまだ多くはないけれども、将来の不安というものが非常に大きいということは、ここが、今、現時点でのポイントであります。
さらに、自動車分野からは、おっしゃられるように、値上げをした場合に売上げが減少するリスクですとか、あるいは減産等による雇用問題が生じることを懸念をする声をいただいているところであります。
いずれにしても、現場の声をしっかり踏まえて、実態に即した対策というものを用意するのは当然だと思います。頭の中は今いろいろと動いておりますので、また御指導いただければと思います。
○岡田(克)委員 最近までは駆け込みで造って輸出していたと思うんですね。それが恐らくぱたっと止まるという状態が、近々は起こるんじゃないか、あるいはもう起こっているかもしれないというふうに思うんですね。やはり、非常に裾野の広い産業ですし、働いている人は多いし、様々な働き方もあるし、私はタイミングを失することなく対応を考えていかなきゃいけないというふうに思います。
当時、医療や介護や農林分野で雇用を創出するというようなことが試みられたんですね。うまくいったとは私は余り思いませんが。ただ、これから、こういう分野というのは今完全な人手不足ですから、そういう意味では、自動車産業の稼働率が落ちて、そこで余った労働力が、きちっと、そういう人手が不足している分野で安定的に働けるような仕組みというものを工夫していくことも政府の大事な役割じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、新しい分野へ展開していくことを我々としても支援していきたいと思っています。
委員の御指摘であった医療とか介護そのものではございませんが、私、今月中に、いろいろなお話を聞く、自動車関係の企業のお話を聞く中で、例えば、半導体製造装置、医療機器、こういった分野に、既に、これまでの技術を生かして進出する、更にそれを拡大していきたいという思いを持った企業もございました。そういったところに対して伴走していきたいと思っております。
○岡田(克)委員 このトランプ関税、相互関税が果たして九十日後どうなっているかというのは誰も分からないと思うんです。ただ、トランプ大統領もあれだけずっと言ってきた話なので、例えば日本の二四がゼロになるとか、そういうことは非常に考えにくい。私は、全世界一〇というのは少なくとも残るだろうというふうに予想しているんですが、いずれにしても、そのことによって日本経済全体が大きな影響を受けるということだと思います。
今の日本政府の経済政策の重点は、物価高への対応ということです。これが、ただ、三か月後、夏以降どうなるんだろうかと考えたときに、もちろん物価高は引き続き続いているかもしれません。
しかし、物価高の要因である為替、円高傾向、それから国際商品市況、石油は既に下がり始めていると私は思っていますし、これから世界経済全体がシュリンクするという中で、それから、米中の中で、小麦とかトウモロコシだって値段が下がってしまう可能性があるということになると、夏以降の経済対策の中心は、物価もあるけれども、雇用がより大きくなるとか、あるいは経済の需要を増やす政策が大事になるとか、重点が変わってくる可能性があるというふうに思うんですが、大臣の認識はいかがですか。
○武藤国務大臣 半年後というか、秋以降というのかな、そんな感じはあるんですけれども、一体、今四月で、これから五月、六月、七月、そして九、十、今年何が起きるかというのは、正直言って、大分不確実性が増している中で、委員おっしゃられるように、雇用の問題とか、物価は、若干こっちは下がるけれどもまだこっちは上がっているという感じの中で、我々としては、とにかく所得を、物価を上回る賃金というものを今年は何とか頑張っていきたいといって、経産省が一番メインでやっているわけです。
そういう中で考えて、どうするかというところは、正直申し上げて、今のプッシュ型の調査、本当に、事務方も協力してもらって、いろいろな意見を今もらっています。ですから、先生方にもまた、いろいろな現場をよく回られている皆さんですから、そういうお声も国会の場を通じていただきながら、しっかりとした経済対策、これは雇用対策も含めて、しっかりとこれは組んでいかなきゃいけないということだろうと思います。
いずれにしましても、米国にしてみれば、何か、七月十日でしたっけ、アメリカ独立記念日もありますし、また、トランプさんは七月十九日にアメリカのナショナルデーに行きたいとか、万博に来てみたいとかいうこともあるし、いろいろな、こういうことで振られるので、正直言って何が起きるか分かりませんけれども、いずれにしても、しっかりと対応させていただくように頑張りたいと思います。
○岡田(克)委員 今、野党を中心に消費税の減税の問題が取り上げられています。我が党も間もなく結論を出すということです。今の国民が直面している状況を考えれば、そういう議論が出るのは私は当然だと思います。ただ、さっき言ったみたいに、経済の前提そのものががらりと変わる可能性もあるということになると、やはり、そこに柔軟性を持っておかないと。実際に実施されるのは一月一日とか四月一日とかいうことに、そのときにはもう全然経済の状況は変わっているということだってあり得ますので、そういう意味では、秋以降、もう一回判断ができるような柔軟性というのは重要なことだというふうに思っております。
私からは以上です。
○宮崎委員長 次に、田嶋要君。
○田嶋委員 おはようございます。立憲民主党の田嶋要です。
今日も、正直な大臣とお話をさせていただきたいと思っております。
今日は本を二冊持ってきているんですけれども、かざしちゃいけないということなので。
一冊が、「「技術大国・日本」の未来」といって、これは御存じですかね。西澤潤一先生、元東北大学の学長さんですよね。半導体の父と言われたそうで。私はこれを何度も読み返しているんですけれども、たまたまこの間読んだら、日本の科学技術は二十一世紀までもたないということで、半導体の凋落を見事に予言されている本でございます。歴史は繰り返すということで、やはり、こうした過去も振り返りながら、こうした方々のお声にも耳を傾ける時間も本当に要るなということを改めて思った次第でございます。
今日は、正直な大臣と少し、一般質疑でございますので、読み上げから入らせていただきたいと思います。
終戦後の混乱した中、高齢にもかかわらず日夜勤務に精励したため県民に慕われ、一九五八年まで知事を日本で最初に連続三期務め、県の発展に力を尽くした、この間、知事としての給料を辞退して模範を示し、常に健全な財政を維持した、退任時は八十八歳であるが、八十八歳の都道府県知事は歴代最高齢である。
こういうふうに読み上げさせていただきましたが、大臣、どなたのことかお分かりですか。
○武藤国務大臣 日本に複数いるかもしれません。ただ、それは、私の頭に浮かぶのは私のひいじいさんで。
○田嶋委員 改めて、本当に御立派な方だなということで。ウィキペディアですからね、余り当てにならないかもしれないけれども、ただ、大体のことはね。いや、本当にびっくりしました。武藤嘉門さん。酒造業もやっておられるし、なおかつ、電力会社と地方鉄道と地方新聞までやっておられた。埼玉の方の有名な、お札にもなった、その方をちょっと思い出したぐらいすごい方だなと。御立派な方なんでございますが、今日は、進次郎さんもいるのでちょっとやりにくいんですけれども、世襲の地盤の話をさせていただきたいというふうに思っておるんですね。
これは、中小企業ではよく承継しますよね、事業承継。日本の場合、言うまでもなく、百年超えの企業が世界の二、三割という話、よく聞きますね。二百年超えも三百年超えも、世界最古の金剛建設さんというのは何かすごい長いとよく聞きますけれども。
大臣、お尋ねしますけれども、企業で息子や娘が代々会社を継ぐという話と、政治の世界、国会議員が代々世襲をしていくという話は、同列に考えていいと思われますか。どうでしょうか。
○武藤国務大臣 先生が正直者と言われているので、正直に答えたいと思います。
同じように考えたことは僕は正直言って余りありません。政治は、特に最近の傾向として、地域の代表として選ばれる選挙を通じて勝ってくる人というのは、それぞれの所属の会派はありますけれども、やはりそこの、選挙という形を通じて出てこられる方なので、いわゆる事業の承継とはちょっと異質なものかな、全く世界が違うと思っています。
○田嶋委員 資料の紹介を忘れました。御覧ください、お手元。
一番、この間の週末、多くの方が御覧になったと思います。日本は、あと五十年間、転落の歴史だというようなことを書かれて、七五年、今から五十年後には大体一人当たりGDPが中国と並ぶという嫌な内容でございますが。
次のページの資料二は、世襲とされる自民党の衆議院議員の割合の推移という、与党の先生方からすると関心の高いグラフを作ってみましたので。下の方には、その中で大臣になる人の比率、それから、これは野田元総理も、我が党の代表も予算委員会で言っておりましたが、総裁に選ばれる比率というのをこの表にさせていただいたところでございます。
そして、三つ目以降は後ほど取り上げます。自動車関連の資料ということで、記述をさせていただきました。
今、中小企業とはちょっと違うということなのでありますけれども、大臣、資料の二を御覧いただいて、上のグラフでございますが、これはなぜ二〇〇九年の選挙で跳ね上がっているかというのを、大臣、分かりますか。
○武藤国務大臣 済みません、最近目が悪いもので、眼鏡をかけてもこれはよくちょっと意味が分からないんですけれども、先生、教えていただければと思います。
○田嶋委員 私が解説するほどのことはないんですけれども、これは私たちが前回政権を頂戴したときの総選挙でございますが、自民党さんに大変な逆風が吹くと、自民党さんの国会議員の中の世襲比率が跳ね上がる。
要するに、自民党の中でも世襲の方と世襲でない方がいて、やはり世襲の方はまず選挙に落ちないんですよ。あ、大臣は一回落ちていますよね、そうそう、それもあったんですけれども、ごめんなさい。例外はあるにしても、確率論として、いい地盤がある方はなかなか選挙には強いということがこうやって実証的にも示されておりまして。下の表も、お分かりのとおり、これは与党の先生方の方が詳しいと思いますよ、閣僚になる確率は国会議員になる確率より二〇ポイント以上高いんですよ。そして、総理大臣になる確率は更に高い、こういう状況にあるんですね。
これは、与党も野党も今まで苦労して、何とか世襲制限しようということをやってきたじゃないですか、何度も。だけれども、ちょっとすると熱気はどこかに消えちゃって、やめになっちゃう。
私が勇気を持ってあえてこういう場で取り上げさせていただくのは、与野党合意の上に、今、政治資金の問題、いろいろやっております、議論。今は企業・団体献金の問題だし、あるいは旧文通費の問題も大体けりがつきそうな、決着しそうな感じでございますが、私ども、実は法案も提出しておりまして、いわゆる政治資金の承継というか、息子や娘への世襲というのはできないようにしようという中身の法案を出しているんですね。大臣、そのことを御存じだと思いますけれども。
そうしたことは、恐らく、その立派なひいおじいさん、それからおじいさん、それから立派なお父さん、それから当然のように大臣が当時新人として地盤を引き継いだときに、こんなお金を非課税で俺は引き継いでいいんだろうか、そういう疑問は当時持たれたんでしょうか。
○武藤国務大臣 田嶋先生がおっしゃられるように、私はこの二〇〇九年のとき落選になりましたので、その経緯を見たときに、私が二〇〇五年初当選したとき、だから、こういうお金があるのかというのは、正直言って知らなかったです。要するに、父は自分の政治資金団体をそのまま持っていたんですよ。何のためにそれをやっているのかよく分からなかったんですけれども、全くそういう意味で私とは触れていない。ですから、よく世襲議員の相続とか言われていますけれども、私は全くそういう意味では関係ないんですよ。
これは、余り言わない方がいいでしょうね、政治家を三代やると身上を潰すというのはそのとおりなんです。それが、やはり難しさがあったんでしょうね、昔は。政治に金を使い過ぎるというところが確かにあったんだと思います。
ただ、ここ数年というか、政権交代があったり、又は様々な形で今政治は大分変わっていますよ、正直申し上げて。先生方が今やっていらっしゃる政治資金の規正法の改正ですとか様々な改革、これは小泉先生もずっと自民党の方で政治改革をやってこられたので、そういう意味では大分変わってきているんだろうと正直思います。
ただ、これから先、政治活動をどうするという議論も、これはまた別の意味で必要だと思うし、是非、国会の方でそういうものを進めていただきたいというふうに思います。
○田嶋委員 折に触れて、予算委員会でも我が党の野田代表は二度取り上げておりますね。そういうことで、多くの方が関心を持っているんですけれども、やはり、裏金問題とかいろいろなそういうことの中で、後回し、後回しになるんですね。後回しになるのもやはり分からぬではない。
大臣は、そもそも、なぜ今の選挙区から出ることにしたんですか。
○武藤国務大臣 そこはやはり世襲かもしれませんね。世襲ですよね、そこは。
だから、私は東京に育っています。生まれは岐阜市なんですけれども、育ったのは東京。約三十年ですよ。それから、岐阜へ戻れ、田舎へ戻れと言うので。私は兄がいましたので、兄が多分お酒の方は継いでいましたので、そういう意味では、僕はいいのかな、次男坊ですから東京で好き勝手させてもらおうと思ったんですけれども、そういう形で向こうに戻されちゃった。もういいかげんにもう一つの会社をやらなきゃ困るからということで、戻っちゃったんです。
そこから、四十九から五十直前でしたから、政治に出てくるのは。それまでは、いろいろな、いわゆる企業活動というものを地元でずっとやっていました。そういう形で出てきたということだろうと思います。
○田嶋委員 本当に正直な御答弁、ありがとうございます。こういうことを、やはり、折に触れて表でしっかり言葉にして、みんなで考えていかないといけないときに来ているんだろうと私は思います。
大臣のように、御性格も、人格識見もある、私は、そういう方々が世襲の方に大勢いらっしゃるのはそのとおりだと思うんですよ。でも、それは世襲でなくても同じ話。問題は、国会議員としての能力や資質の問題ではなくて、その手前の、国会議員を選ぶときの選挙制度の中で、もう何とも言えない、乗り越え難い大きな差があるということは、やはりこれは認めざるを得ないと私は思うんです。
三代やって潰すという話も聞いたことがありますよ。立派な気持ちで、世のため人のためということでね。だけれども、やはり、私自身も身をもってそれは二十年間体験しておるわけでございますが、どう考えても圧倒的に有利。
私は、今、立憲民主党も出している法案で、お金の問題、すなわち、地盤、かばん、看板と言われておる中でのかばんの問題を法律で対処をしようとしております。そのかばん、すなわちお金を、大臣はやられなかったということですが、息子や娘が当然のように自分の選挙資金として手に入るようなことができないような今法案の中身なんですが、私はそれだけでは足らないと思っているんですよ。なぜならば、かばん以上に大きなのは地盤だから。
私、野田さんの質問の中でびっくりしたことがありまして、与党の皆さんも多分聞かれたことがあると思うんですよ、予算委員会、テレビ入りでしたから。自民党の中では、世襲の方々が大勢いる会合に世襲でない方がいらっしゃると、野良のように扱われている。(発言する者あり)まあまあ。(発言する者あり)全くない。いやいや、訂正じゃない。だって、それは議事録に書いてあるから。(発言する者あり)いやいや、それは否定できない。いや、そんなことはない。それは失礼だというか、私もそう思いますよ、私は衝撃を受けましたから。だから、そういう言葉があるかないか分かりませんが、そういう、議事録には残っています。
だから、言いたいのは、自民党の中でもやはりなかなかこれは、物を言えば唇寒し、何となく壁があるのではないか。そして、立派な方が大勢いるし、選挙でお世話になっている方もたくさんいるから世襲の問題は取り上げにくいと考えている人、多いんじゃないですか。違いますか。(発言する者あり)ないんだったら、小泉さんも是非一緒にやりましょう。
私が提案したいのは、前向きに、今世襲でやっていらっしゃる方を非難する気持ちは全くありません、私が申し上げたいのは、これからの日本の未来のために、もうそろそろやめていくことをみんな自発的に考えるべきじゃないか。立法は難しい可能性があるという話は聞いています、憲法との関係で。だけれども、それも追求すべきです。地盤をですよ、かばんじゃなくて地盤の立法も私は考えるべきだというふうに思っていますよ。(発言する者あり)
という説明が必ず来るんですよ、選ぶのは国民だと。だけれども、世襲の方がお父さんの地盤で出てきたら、普通はほかの人は萎えますよ。(発言する者あり)そんなことないよじゃないですよ、それは事実ですよ。いや、勝ち目はなかなかないでしょう。だからこのグラフのデータになっているんじゃないですか。逆風が吹き荒れた二〇〇九年だって、大臣は別としても、ほとんどの人が勝っているからこういうふうになっているわけだから。
だから、私たちも、どうやったら世襲を減らせるかの議論は過去に何度もしてきました。だけれども、与党さんもこれまでいろいろやってきているんですよ。是非そのことをみんなで共通のこととして。世界で世襲が多い国々は、日本以外ではフィリピンとタイとアイスランドですからね。これは先進国で余り普通じゃない。
だから、大臣が、子供さんに、息子さんに、お孫さんに、これから是非、私たちみんな、共通認識として、何だかんだこういうことを取り上げたくないから、だからもうみんな、親とは関係のないところで、親から地盤を譲ってもらうようなことは金輪際ない、そんな日本に私はしていきたいというふうに思っておるんです。
大臣御本人のことはいいんですよ、これからのことを、与党、野党共に胸襟を開いて制度をつくっていきたいというふうに思いますが、大臣、いかがですか。
○武藤国務大臣 何となく、通告の話と全く違う世界に入ってきているので。
ありがとうございます。
ある意味で、ちょっと申し上げておくと、私自身は、嘉門さんというひいじいさんがいました。要するに、嘉門さんは何で無報酬でやったかといったら、やはり、戦後の初めての民選知事になったわけですから、まず県政のいわゆる財政、これをとにかく、赤字にさせては県民に申し訳ないという気持ちで。そしてもう一つ、選挙に出たのは、当時、大体東京から役人が来ていました。東京のやつに任せられるか、この戦後の状況をといって、七十七から立ち上がったんです。ですから、そこはまさに、政治というのは奉仕の精神でやるんだというのがうちの家訓なんです。
ですから、そういう意味でいうと、先生の意味も分かりますけれども、私自身は、そんなことは余りそう関係ないんじゃないかと。皆さん地元でそれぞれ選ばれて、勝ってこられる先生方ばっかしです、野党も自民党の方もみんな。
ですから、そういう意味の中で、しっかり皆さんが地域の代表として、だから、是非、国の将来ということを考えて、皆さんがそういう気持ちでやって、それぞれがそれぞれの立場でやっていくのがいいんじゃないかなと思います。
○田嶋委員 そういうような御立派な答弁で今までずっと先送りされてきているんですよ。だって、九五%ぐらいはおっしゃるとおりだもの。そのとおりの面もたくさんありますよ。だけれども、当事者として言わせていただければ、乗り越え難い差があるんですよ、それは。
石破さんがどういうことをおっしゃっているか、本はかざしませんからね、ちょっと読みますよ。例えば、三親等以内などの近い親族と同じ選挙、同じ選挙区からの出馬の一定の期間制限をするというのも一案ではないでしょうか、石破さん、こうやっておっしゃっているんですよね。これは総理になる前ですから、なった後、言うことは変わるかもしれませんけれども。それから、自分たちが世襲だからこそ、その弊害を認め、もっと実力のある、ふさわしい人材に政治への門戸を開きたい、これは石破さんがおっしゃっているんですよ、本の中で。
石破さんも世襲といえば世襲ですよね。だから、やはりみんな問題意識を持っているんですって。それを、いやいやいや、有権者が選ぶんだからいいじゃないのと片づけるのはもうやめた方がいいと僕は思いますよ。
私ぐらいしかこういうところでこれを聞くことはできないと思うので、ちょっと私も、失礼ながら勇気を持ってということで。前回、齋藤健大臣にも同じことを聞いたとき、言いたいことはいろいろあるけれども、この場ではやめておくとおっしゃいましたから。やはりいろいろみんな持っているんですよ。これは是非お願いしますよ。ちょっと、時間を大分使いましたけれども、是非そのことをお願い申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
自動車の関係でございます。
今、岡田委員からもるるございましたけれども、アメリカとの関係でいろいろ厳しい状況で、国内対応とか、いろいろこれからやっていただくということは当然だというふうに思っているんですけれども、先ほども東南アジアの話が出ました。やはり、かなり、アメリカとのいろいろな問題が長期化すると、東南アジアのようなところのことをすごく考えなきゃいけないというふうに私は思います。日本から物理的にも近いところでございます。
データをいただきたいんですけれども、どのぐらいの日本の車が北米あるいは東南アジアで販売されているか、そして、市場のサイズに対してのマーケットシェアという意味ではどのように比較されるかを御答弁いただきたいと思います。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
まず、アメリカにおける自動車新車販売台数、これと比較しますと、二〇二三年に約一千六百万台。このうち、日系自動車メーカーは約三割のシェアでございます。
一方、先生の御指摘のASEAN、東南アジアにおける自動車新車販売台数の市場規模は、二〇二三年で約三百五十万台。このうち、日系自動車メーカーは約七割のシェアを占めております。
○田嶋委員 資料の三にその数字が出ておりまして、申し上げたいのは、確かに北米マーケットは巨大でありますけれども、日系の、日本の車がどれだけのシェアを、トランプさんも非常にそのことに神経質ですね、日本ではアメリカの車が走っていないと。逆に、日本の車がどのぐらい走っているかを見ると、北米では三分の一、ASEANは六割、七割が日本のメーカーの車であるということですね。
しかし、じゃ、次の資料を御覧ください。四の資料でございますが、前回も配付をした資料でございますけれども、ブルームバーグの資料を見ると、東南アジアのそれぞれの国で、この五年間でどのぐらい日本の車が、市場シェアが奪われたかということを表しているんですね。
私は、北米マーケットにトランプの気持ちが向いているのは致し方ないことだと思うんですが、より根源的に大変懸念をしている、特にこの五年間ぐらい心配しているのは、半導体も心配、電池も心配、全部心配なんですが、やはり日本の屋台骨である、雇用を国内に五百万以上抱える自動車産業が東南アジアでこれだけ競争力を失いつつあるということに強い危機感を覚えるわけでありますが、大臣、その点に関してはどのようにお受け止めでございますか。
○武藤国務大臣 御指摘のとおり、日系自動車メーカー、今事務方からも御説明ありましたように、今先生おっしゃられるように、大分食われてきているというのが現状だろうと思います。
私も、この前、AZECに行ったときも、特に今タイ関係を聞いているんですけれども、やはり、これは向こうの、中国の固有名を言っちゃいけないんでしょうから、中国製メーカーの某社が、EVですよね、それを今どんどん入れている。これは、関税は無関税でやっているから、特別措置だという話で聞いたんですけれども、でも、そういう形でどんどん入っている状況の中で、日本の危機感というのはごもっともな話だと思います。
我々としては、ASEANというものが、自動車の生産をやっていますし、また輸出拠点でありますので、ASEANとの連携強化の戦略、これは、次世代自動車産業マスタープランというのを、現在、ERIAが中心となって策定してきているところであります。
特にタイですけれども、さっき申し上げましたけれども、ちょっとタイに今回は行きますけれども、エネルギーの産業対話を開催する予定であります。こういう形の中で、両国の自動車産業の発展に向けた協力の方向性について議論を行いながら、タイ市場での日系メーカーのプレゼンスの強化をやっていきたいというふうに思っています。
ASEANについては、日系メーカーが高いシェアを維持できるように、日・ASEANで共に築き上げてきたサプライチェーンというものがありますから、こういうハイブリッドからEVまでの多様な選択肢というものを用意しながら、各国のニーズに多様に応えていくということが必要なんだろうというふうに思っています。
○田嶋委員 この五年間のグラフを見ていると、ちょっと激しく落ち込んできて、これが続いていくとどうなるんだろうという。半導体が、昔は五割、今八%とか、そういう話と何かダブるわけでございます。
昨日かおとといの日経の一面でも、中国の軽が日本に参入というニュースも流れておりましたけれども、これは、要するに、売る商品が、EVが遅れていることがこういう事態を招いてしまっているんじゃないかなということではないんですかね。これから巻き返すということで、十分勝算があるというふうに大臣も受け止められておるんですか。
私は、この東南アジアマーケットというのは、本当に大きな部分があると思うんですね。ここがまさに草刈り場のような状況になっていて、特にタイ、行っていただくというふうに聞きましたが、私どもも視察をしたことがありますが、タイは圧倒的に日本の車の人気があっても、こういうような状況があと五年続いたらどうなるのかなと。
ああ、いますよね、局長。半導体の意気込みに比べて、この自動車産業という日本の屋台骨に対する意気込みが、私はちょっと弱い感じがするんですよ。私の部屋に局長を含めいろいろ、立派な答弁ばかりでした、皆さん。説明が非常によかった。ところが、この自動車は、私はちょっと心もとない。これは、経産省の構えがちょっと弱いんじゃないかなと思って。
日本の屋台骨は、今のところ、半導体よりもむしろ自動車産業ですよね。五百数十万人。マツダさんかどこかが、もう既に雇用削減のニュースが昨日ぐらいに流れていましたけれども。これからぼろぼろこういうことが起き始めたら、配付資料の五番目につけましたけれども、日の丸半導体凋落の主要因、私はここに赤い、字に塗らせていただいた、ここがこれからどんどん入れ替わっていく。日の丸自動車凋落、教習所じゃないですよ、日の丸電気自動車凋落、日の丸電池の凋落、そういうことになってもらっては本当に困るわけで、恐ろしいなというふうに思います。
今、ちょっと平時の構えのまま自動車に関しては取り組んでいるような気がしてなりませんが、危機感が十分ないんじゃないですか。どうですか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
事務方の危機感として、半導体に比べて私の危機感が少ないのかもしれませんけれども、まさに自動車産業の振興に当たっては、我が国、多様な選択肢、マルチパスウェーというのを基本方針としております。
これは、まだ世界ではハイブリッド車は多く売れておりますので、そこでしっかり稼いで、新しい分野、例えば、EV、水素、合成燃料、バイオ燃料、そういったものに投資していくということが重要だと考えております。
加えて、先生の御指摘のタイ、大臣からありましたように行きますけれども、そこでは、これまで六十年余り築いてきたサプライチェーンがございますので、我々、例えば、自動車産業が築いてきたサプライチェーンの脱炭素、人材育成、さらにはデジタル、そういった分野で協力できないか、大臣と議論していただく予定です。
○田嶋委員 半導体は巨額の投資だし、前例がないということで、役所も相当な緊張感を持って、十分、何を聞かれても明快に答えられるような、私はそういう印象を持ちましたよ。局長、ありがとうございます。だけれども、自動車は、屋台骨の割には弱いと思います。もっと強化してください、本当に。私はもう本当に遅いんじゃないかというぐらい。
それで、EVと内燃機関、両市場で勝つというスローガンでしょう。だけれども、車を買いに行って両方一台ずつ買う人というのは余りいないんですよ。どっちにしようかというときに、EVを選んじゃったら内燃機関は売れないわけだから、私は、EV戦略を間違えていることが内燃機関のこの沈み方に直結しているんじゃないかなと、東南アジアの。そういう気がしてならないんですよね。だから、スローガンを掲げるのはいいけれども、現実と相当乖離しているんじゃないのかなと。
そして、蓄電池の問題、先々週聞きましたけれども。
二〇三〇年までに百五十ギガワットアワー、そのうち百二十は用意ができたと言っていますけれども、ということは、今は、全然増えていないどころか、シェアはどんどん落ちていますよね、この間確認させていただいた。今、マーケットシェアは七%か八%ですよ、車載型の電池の。中国のものを買い続けているんですか。いや、本当にちょっと私は心配ですよ。
時間がありませんので、最後にチャデモを伺いたいと思います。
チャデモが非関税障壁だと言われ始めておりますけれども、チャデモの何が非関税障壁なのかという点と、いろいろ調べておりますと、チャオジというのがあるんですね。何か音からして中国語みたいですけれども、チャオジ、これは何のことですか。チャデモ三・〇だと聞きましたけれども、どうも、中国と日本の互換性のある標準化が次のバージョンとして用意されているという話を聞くんですね。これはちょっとアメリカは穏やかじゃないんじゃないのかなという感じもするわけでございますけれども、チャデモがなぜ非関税障壁と言われ始めているのか、そしてチャオジとは何ですかということを御答弁ください。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のあったチャオジ、これはチャデモ三・〇とも言われていますけれども、これは日本のチャデモ協議会と中国の電力企業連合会の間の合意に基づく次世代の規格であると承知しております。
先ほど御指摘のあった、なぜ非関税障壁かと言われていることですけれども、世界では国際的に一つの充電規格に集約する動きがまだございませんで、これは日本のみならず、各国の市場ではそれぞれ異なる充電規格が主流になっている状況です。
こうした中で、仮に我が国の充電規格について非関税障壁との議論がございますれば、アメリカ側の問題意識も把握しまして、こちらの考えも説明するなど、よく対話していく必要があるものと考えております。
○田嶋委員 ただでさえ今のチャデモが非関税障壁と言われ始めているのに、次のバージョンのチャデモは中国と標準化しているというのは神経を逆なでするような感じもする。私の理解が浅いのかもしれませんけれども、ちょっとそこはよく考えないといけないのではないかなというふうに思います。
日本でもテスラはそんなに売上げが落ちていないということも聞いていますけれども、非関税障壁なんてないというのが基本姿勢だとは思いますが、是非、誤解のないように、いわゆる充電に関する標準化の問題は大事だというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げまして、質問とさせていただきます。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、鈴木岳幸君。
○鈴木(岳)委員 立憲民主党の鈴木岳幸でございます。
今回は、大臣が先月所信を表明していただいた中から、スタートアップ支援について、それと、それらに関連する企業への支援についてということについて質問をさせていただきます。
大臣が先月所信を述べられました中で、スタートアップ育成五か年計画を強化して、グローバルに活躍するスタートアップ創出のための環境整備等を進めるとおっしゃっておられました。また、先端領域におけるイノベーションの促進、バイオ、量子、次世代航空機、宇宙等への支援にも取り組むとのことでございました。
大臣がおっしゃられましたスタートアップ育成五か年計画によるスタートアップ創出のための環境整備というのが実際どのように行われているのか、また、先端領域、バイオ、量子、次世代航空機、宇宙等への支援というものも、これが、現状、どのように支援が行われて、どのような見込みが立てられているかという点について、まずお伺いをいたします。
○武藤国務大臣 足りない部分があれば、また事務方の方から補足します。
二〇二二年にスタートアップ育成五か年計画を策定をいたしまして、経済産業省においてもこれに基づく支援を進めてまいりました。その結果、スタートアップの数ですけれども、それ以前から一・五倍に増加をしてきているところです。
現在は、スタートアップを大きく育成していく観点から、グローバル化の強化、また先端科学技術領域での支援の充実ですとか、大企業との連携の促進等に特に力を注いできているところです。
また、先生おっしゃられるような先端技術分野への支援につきましては、産業化を見据えた研究開発から拠点整備、また人材育成やスタートアップ育成、ルール形成など、一気通貫した取組が重要だというふうに承知しています。
量子コンピューター、例えばこれは、世界最高水準の研究開発拠点の整備とか、グローバル企業やスタートアップとの連携、研究開発支援や地域の中小企業を含めたサプライチェーンの強化、また量子人材の育成、国際標準化などを進めてまいっております。
今後とも、産業化を見据えた戦略的な取組を加速し、将来の稼げる産業をつくり出してまいりたいと思っております。
○鈴木(岳)委員 スタートアップ支援を行っていただいて、多くの企業が立ち上がっていく、大変すばらしいことだと思っております。また、この先端領域というところにも支援をしていただいて、大変未来に希望が持てることかと思います。
ただ、先端領域とかバイオとか量子とか、夢が持てる物すごい事業ではあると思うんですが、恐らくこれもほとんどが大企業的なところになっていくんじゃないかと。ラピダスもそうですけれども、何十兆円も入っていくとなれば、中小企業というよりかは大企業だと。
私は、このスタートアップ支援とかベンチャー支援とかというのは、規模の大小にかかわらず、特に中小企業が頑張っていただいた方が、日本の将来の産業の裾野が広がるんじゃないかと考えます。
そこで、やはり、規模の大小にかかわらずに、多種多様の職種、業種への支援というのが非常に重要になってくるかと思うんですが、こういった多岐にわたる産業への産業創出とか支援の実績とか見込みというのはいかがなものかという点についてお伺いさせていただきます。
○菊川政府参考人 今委員の方から御指摘ありましたとおり、多様な業種そして幅広い産業分野、こういったところでのスタートアップの創出、これは極めて重要だというふうに思っております。
例えばですけれども、新たな事業を行うスタートアップ等に対しまして、中小機構に相談窓口を設置をいたしまして、事業計画の策定などをアドバイス、提供しております。
また、日本政策金融公庫、ここがスタートアップへの融資、これも支援をしておりまして、まさに昨日、政策金融公庫のスタートアップの部隊が我々と意見交換をやったところでありまして、非常に、例えば融資の件数でいえば、公庫なんかは令和六年度で百八十九件の融資を実現していただいております。
また、多様なスタートアップの成長を支えていく観点から、経産省、J―Startupということで認定しておりますけれども、そういった人材育成、そしてネットワークの構築、また、中小機構等において設置していますファンド、こういったところへの資金供給の強化、こういったところについての事業環境の整備を進めているところでございます。
○鈴木(岳)委員 中小零細企業の方にも様々な支援は進めていると。中小機構は全国にも支店等もありますからうまくやっていただいているとは思うんですけれども、やはり、地方発のベンチャー、地方発のスタートアップというのは、中小企業が発展していく上ではこれからもどうしても欠かせないものになるかと思います。
スタートアップというと、新しい取組を行うということですから画期的な技術があるというのももちろんですけれども、今までやってきたもののちょっと違った視点からやるというのもスタートアップとか地方発ベンチャーというのに含まれると私は考えるんですね。ですから、地方の中小企業が発展していくためには、小さなアイデアを仕事につなげている方々、こういった方々に支援を是非広げていただきたいと思っています。
例えば、新規開業を行ったり、起業者の方に、新たな取組を行う方に様々な支援を行うということが、これが地方の発展の礎になると思いますので、地方発のスタートアップを是非もっと支援をしていただきたいということをお願いしたいんですが、そのためには今後どのような新たな施策を必要と考えていらっしゃるか、その点についてお聞きしたいと思います。
○菊川政府参考人 今まさに委員御指摘にありましたとおり、新しい技術そして新しいアイデア、先端の技術でなくても、新しい技術、アイデア、こういったところを社会課題に対してスピード感を持って解決していく、こういった取組につきましては、これは、地域の活性化、非常にもたらす存在だというふうに認識をしております。そのためには、やはり、政府、自治体、ここが連携いたしまして施策を実施する必要があると考えております。
例えばでございますけれども、内閣府等と連携いたしまして、スタートアップ支援に取り組むこういった地域に対して集中的に政策を投入していこうというスタートアップエコシステム拠点都市、こういうようなものもございます。また、金融庁と連携をいたしまして、産官学金共同でインパクトコンソーシアム、これは、社会課題を解決していく取組を行うスタートアップ、こういったものを支援しようという取組でございます。
また、新しい地方経済・生活環境創生交付金、こういったものがございますが、これによって、自治体自ら、スタートアップ育成のために自治体が行う調達でありましたり実証、こういったところに対して、スタートアップが新しいアイデア、技術を持ち込んで取り組めるような課題、こういったところを各省庁連携をして取り組んでございます。
そうした、今委員御指摘があったような地域発のスタートアップ、こういった育成について進めてまいりたいと思います。
○鈴木(岳)委員 これから更にお力を入れてくださるということで、その点は大いに期待したいところではあります。
ただ、地方でも、様々なアイデアがあってもそれがなかなか売上げに結びつかないという実態が多々あるかと思います。
例えば、私の地元の静岡県、お茶が有名だというのは皆さん御存じかと思いますが、お茶が、非常に今、茶業としては低迷している現実があります。私の地元では、十数年前から、こういう状況を変えていくために新たな取組を行うとして、緑茶だけじゃなくて紅茶に手を広げてやっていらっしゃるという方もいらっしゃいます。この紅茶も大変質がよくて、海外でのコンテストでもそれなりの評価をいただいているところもあると聞いておりますが、日本発の紅茶、いろいろなところでできていますけれども、実は、輸出が余り芳しくない。持っていけば評価はされるんですが、その持っていくすべが分からない。個人経営の方がほとんどですから、やはり限界があると思います。
そうすると、様々に、売上げを伸ばしていくためには、この支援というのは非常に重要となってくるかと思うんですが、まず、そういった中小零細の方々にとって、窓口というか、支援を教えていただく取っかかりになるのは、やはり、地方自治体、市町村とか都道府県とか、あるいは商工会議所とか。そういった自治体との連携とか地域の研究機関とか、そういった方々と協働体制をどのように組んでいるかという点についてお聞かせいただけますでしょうか。
○菊川政府参考人 今委員御指摘があった自治体、そして日本各地にあります大学でありますとか研究機関、こういったところとの、一緒にやっていくことは非常に重要だと思っております。
先ほども少し公共調達ということのお話も申し上げましたけれども、地方自治体に、そういったスタートアップ、若しくは、今委員が御指摘であったような、新しい商品、製品があったものを試してもらうような自治体での調達でありましたり実証、ここについての官民連携を促しております。
また、今御指摘があったような食品関係も、非常に高度な研究が必要な場合には、地域の研究機関、例えば、各地域には公設試験場というのがございますけれども、公設試験場と大学、そして我々、国立研究所であります産業技術総合研究所、こういったところが組むようなケースがございます。既に、金沢でありますとか、あと、長岡でありますとか滋賀、こういった三地域が先行して、ブリッジ・イノベーション・ラボラトリと申しますけれども、いわゆる地域の大学と自治体とスタートアップと連携して、その地域の特色を生かした研究開発を推進しているところでございます。
今のところまだ三地域でございますが、こういったところの先行取組を含めまして、更に拡充、推進をしていきたいというふうに考えております。
○鈴木(岳)委員 これから広げていただけるということで、大変希望が持てる点かと思います。地方の零細企業の中にも、いいものをたくさんつくっている方、いらっしゃいます。そういった方々が国内だけではなくて海外に売上げを伸ばすことができれば大変将来も有望になってくる、そうすれば後継者もおのずとついてくるということかと思います。
例えば、また地元の話で恐縮ですけれども、私の地元は、お茶もそうなんですけれども、シイタケも非常に有名なところでございまして、干しシイタケというのが海外でも非常に需要が高まっている。特に中華料理を行う上でのだしとしては欠かせないものであるそうなんです。私の地元の藤枝市は台湾の台南市と友好的な関係がありまして、そこでお互いの物産展をやったりするんですけれども、藤枝の干しシイタケ、静岡県の干しシイタケを持っていくと飛ぶように売れるんですね。品質が大変高いんですが、数がたくさんあるわけでもありませんし、販路拡大というのも個人企業ではなかなか難しい。そうすると何が起こるかというと、中国産の干しシイタケを日本産と偽って売る業者が出てくるんだそうです。そうすると、余り質がよくないので、回り回って静岡産の干しシイタケの評判も落ちてくるということが実際にあったようです。
こういうことがあるとすると、やはり、間に立つ方がちゃんと数を確保して販路を持っていればこのようなことにはならなかったんじゃないかなということも感じますので、中小零細の方々が売上げが伸ばせるような支援というのを是非お願いしたいところであります。
そこで、このグローバル市場を見据えて事業を展開していく新規の方々、ジェトロなどが中心となって海外展開の支援を行われているというのは聞いておりますけれども、既存の支援のスキームというのがどれほどの体制を今構築できているのかという点についてお伺いをしたいと思います。
○菊川政府参考人 まさに、グローバル市場、どういうふうに通っていくか、また、そこでの、今のような、せっかく作った新商品がきちっと評価をされる、そういった取組をサポートする体制が非常に重要だと考えております。
後ほど中小企業庁からも別途あるかもしれませんけれども、まず、スタートアップのところで申し上げれば、グローバル市場への展開は必要不可欠でございまして、ジェトロ、ここが連携をいたしまして、今、世界の三十都市でスタートアップの海外展開支援の相談窓口を設置をしておりますし、また、シリコンバレーにおきましては、日本のスタートアップが入居できる支援拠点なんかを設置をさせていただいております。
また、そういった新規に取り組む方々の、起業家、こういった方を、実際、海外でいろいろと勉強してきていただこうということで海外派遣プログラムを行っておりまして、そういったことで、現地のまさにそのネットワークに入っていただくということをやっております。今のところ、おととし、二〇二三年であれば十か国に四百名ほど送っていますし、去年も、同じように四百名程度、十か国に送っております。
これは、もちろん先進国だけではなくて、これから成長が非常に高まる、残念ながら台湾のケースはまだ我々は持っておりませんけれども、インドでありますとかシンガポール、インドネシア、ブラジル、こういったところにも派遣する形で、その地域地域でうまく販路を開拓できるような支援を行っているところでございます。
○鈴木(岳)委員 今、地方の方々にとっては、いいものを作ってもなかなか売れないということがありますので、海外の市場というのは大変大きな魅力に映っているところであります。
明治時代の話で恐縮なんですけれども、日本の主要輸出産品というのは生糸とお茶でしたよね。静岡は、その頃からもうお茶の輸出が物すごく伸びて、蔵がたくさん、ぼんぼん建つようなところがありました。それが徐々に徐々に衰退していってしまった。
海外でも緑茶や紅茶が作られるようになって、だんだん日本のお茶が売れなくなったというのもありますけれども、私が聞いた話では、当時、地元静岡のお茶が物すごく売れていたのは、やはり品質が高かったんですね。ところが、余りたくさん売れ過ぎると、特級というか一級品が、数が足りなくなっちゃうので、そこに混ぜ物をしたりして、二級品も混ぜたりして、それで海外での評価が徐々に落ちてしまったということがあったと聞いております。これも、ちゃんと品質管理をして、ちゃんと間に立つ人間がしっかりやっていれば防げたんじゃないかなとも感じております。
今の状況を考えると、日本が海外での展開がうまくいかなくなってきている間に、どこかの人がその間に割り込んでその売上げを取ってしまうということかなと感じておりますので、これはやはりある程度の力を持った、つまり、簡単に言えば政府が、この間に立つ役割をもっと強化していただきたいということを感じております。
もちろんジェトロ中心にやってくださっている部分もあるかと思うんですが、地方の中小企業などが海外展開をしていく上で、問題点というのがどの辺りにあるのか、既に取組がどれほど行われているかという点についてお聞かせいただけますでしょうか。
○岡田政府参考人 お答えさせていただきます。
中小企業、小規模事業者が海外展開に取り組むことは重要でありますけれども、そのためには、地方の中小企業、小規模事業者と密接な関わりがある商工会、商工会議所などの支援機関の果たす役割が大きいということは、先ほど委員からも御指摘いただいたとおりかと思っております。
そこで、令和四年十二月より開始いたしました新規輸出一万者支援プログラムでは、全国の商工会議所、商工会などの協力を得まして、輸出の可能性を秘めた事業者をまずは掘り起こしまして、プログラムに登録していただいた後、個別のカウンセリングで個々の事業者さんの抱える課題とか準備状況に応じた最適な支援策を提案しております。ジェトロ、中小機構を始めとした支援機関が連携して、輸出の準備から実際の輸出に至るところまで一気通貫で支援を行っているところでございます。
これまで二万者を超える事業者に登録をしていただいておりまして、実際、三千者を超える事業者が輸出を実現しているところでございます。
引き続き、地域の支援機関などとの協力をより一層強化いたしまして、中小企業、小規模事業者の海外展開を支援してまいりたいと考えております。
○鈴木(岳)委員 これから更に支援の強化と、行っていただけるということで、そこには大いに期待を寄せたいところでございます。
今回、スタートアップ支援についてと、そしてそれに関連する企業への支援ということについて取り上げさせていただきましたけれども、特に地方の中小企業というのは、人口減少もあって、売上げが、非常に苦労している点が多々あります。こういった点を変えていくためには、まず、スタートアップ企業、地方発のベンチャー、新規開業の方々が、海外展開を目指して売上げを伸ばしていくということが非常に重要でありますが、それと同時に、地方にある中小零細企業も同時に海外進出を一緒にやっていただければかなり地方の経済も潤ってくるのではないかと感じておりますので、ただ、やってもなかなかできないということがありますので、国の関与をもっと強化して、支援を強めていただきたいというのが今回の質問の趣旨でございます。
ですので、今回、今後、海外進出支援のために、今、ジェトロ等を中心にできている部分もあるかとは思うんですが、更に国の関与を強めて、強化、支援を強めていただくということについて、大臣の意気込みというか見解をお伺いできればと思いますので、お願いします。
○武藤国務大臣 委員の御出身の藤枝もそうですし、私の岐阜もそうですけれども、各地の魅力的な商品ですとか優れた技術を、中小企業、小規模事業者が海外に販路を拡大して、稼ぐ力を持っていただくことがまさに地方創生にもつながりますし、是非、そういう意味では後押しをさせていただきたいというふうに思っています。
今の新規輸出一万者支援プログラムなんですけれども、これは二年半たっているんだよね。ですから、そういう意味でいうと、さっき件数の報告がありましたけれども、まだまだ正直言って不足しているんじゃないのかなと。
特に地域でもうちょっと見た方がいいと思います。スタートアップもそうですけれども、やはり、いわゆる都会の方へ集中しているというふうになると思いますので、こういう意味での地方創生という立場からいっても、地方はもっともっと元気を出していく、それが必要であるというふうに思いますので、しっかりこれからも支援をさせていただきたいというふうに思っています。
○鈴木(岳)委員 今後の取組に大いに期待をいたしております。同じ地方出身者同士でございますので、また改めて様々な御提案をさせていただきたいと思いますが、是非、取組、頑張っていただきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。ありがとうございます。
○宮崎委員長 次に、荒井優君。
○荒井委員 立憲民主党の荒井でございます。
孫子の兵法で、彼を知り己を知れば百戦危うからずというのがありますが、今日もお話がずっとありました日米交渉において、僕もこの席にいる者としてやはり彼を知らなければいけないという思いがありましたので、トランプ大統領の自伝を読んでみました。
「トランプ自伝」というふうに販売され、四十一歳のときにトランプさんが書かれた、まだ不動産王のときの本ですが、でも、内容は、割と自慢話がたくさん書いてあって、どんなふうに一日過ごしているか、あと、取引とはどんなふうにやるものなんだみたいなことが、これはAIに翻訳させて要約だけ読んでもいいような本に思っています。
でも、この「トランプ自伝」のちょっといいところは、実は、原題は、アメリカでの販売されているタイトルは「ジ・アート・オブ・ザ・ディール」なんですね。まさに、トランプさんがずっと今言っているディールなんだというのは、つまり、トランプさんは、四十一歳のときに既に、ディールの技法、ディールのアートということに関しては自分は世界一なんだということを常に言っている人なんだな、そんなふうにも思いました。
でも、実はトランプ大統領の本よりももっとすごい本が一個ありまして、バンス副大統領の「ヒルビリー・エレジー」という本があります。バンスさんは今四十歳の副大統領ですが、彼が三十一歳のときに、九年前に書いた本なんですが、これは映画にもなっているんですけれども、僕はこの「ヒルビリー・エレジー」という本を読んで、正直、泣きました。これは物すごい名文だというふうに思います。ですから、映画ではなく、是非、本で読んでいただきたいと思います。
経産委員会の中で一つ御報告すると、おじいさんはアームコというアメリカでも大変有名な製鉄会社に勤めていたんですね。ところが、その製鉄がどんどん売れなくなってきて、そして川崎製鉄に買収されるんです。今はAKスチールという会社になっています。みんな、おじいさんたち、その代の人たちは、日本と戦争して苦しんだけれども、その自慢の会社が結局川崎に、日本の会社に助けられたという非常に複雑な思いをやりながら、ところが、最後に川崎製鉄は撤退するんですね。それで、だまされた、結局やはり外資というのは駄目なんだ、そんな残念な思いも書かれているわけです。結果的に、このAKスチールはクリーブランド・クリフスというアメリカの会社によってまた再生される、そんなこともちょっと書いてあります。
でも、一番すごいのはこのバンス副大統領の家族の歴史。オハイオ州とケンタッキー州あたりのいわゆるラストベルトの話なんですが、やはり、こんなことがアメリカであるのかというのを、僕も知らなかったアメリカの風景がたくさんありました。おじいさん、おばあさん、もう大変な人たちです。是非、本を読んでいただけたらと思います。お母さんも大変な人です。
でも、日本に住む我々からすると、こんなファミリーの話、地域の話なんて、本当に映画以外で存在するのかというふうに思うけれども、でも、バンス少年はそういう家族のことをやはり見捨てられないわけですね。そして、何とか更生してあげたい、何とか救ってあげたい、この地域そのものをもう一回やはり豊かにしてあげたいという思いを持っているわけです。
恐らく大臣も、御実家の酒蔵の会社の話、細かくは存じ上げませんが、でも、今、多分、酒蔵の会社はやられていないんだというふうにウィキペディアでは拝見しましたが、そうやって、その地域や家族や会社が潰れたりしていく中で、潰していったりする中で、やはりその地域の誇りを何とか取り戻したいという思いを小さいときからずっと持っていながら、たまたま、バンスさんは、イエール大学のロースクールに入って、副大統領という立場に今ありますけれども、ある種の、アメリカのまさに取り残された人たちのことがこの本に書かれているような気がしますので、是非、彼を知り、その交渉をより充実したものにしてほしいというふうに思っております。
今日は、トランプ政権の通商交渉と関係する、日本の消費税の還付制度について伺って、食料品の消費税ゼロ%が実現することで、農業分野の波及効果について明らかにしていきたいと思っています。
まず、経産省に伺います。
トランプ大統領は、日本の輸出企業が国内で支払った消費税の還付を受けており、アメリカの企業にとってこれはアンフェアでディスクリミネートリーだ、不公平で差別的だというふうに主張してきているわけです。これは、アメリカには消費税、いわゆるVATの制度がなくて、制度の非対称性がこの日米交渉の中でも争点となってくるんだというふうに思います。
ただ、消費税の輸出還付制度は、WTOの協定上でも合法とされていて、イギリスやカナダ、オーストラリアなどの国でも採用されている国際標準だとも伺っております。
これらの点を踏まえて、経産省としては、どのようにこの輸出還付金の制度の正当性を説明していくのか、伺えますでしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、輸出企業が仕入れ時に支払った消費税の還付、これにつきましては、国産品と輸入品の間で付加価値税の負担に差を設けない観点から、国際的に共通した取扱いとして行われているものであり、WTO補助金協定におきましても輸出補助金に当たらないとされております。
御指摘の点に限らず、今後、米国と意思疎通する中で、米国側の問題意識を把握し、こちらの考え方も説明するなど、よく対話する必要があると考えております。
○荒井委員 では、続いて、今、この輸出還付金が年額幾らになっているのか、お答えいただけますでしょうか。
○土田大臣政務官 まず最初に、令和五年度決算における国分の消費税全体の、輸出還付金ではなくて消費税全体の還付金額は八・九兆円となっております。
そういうふうに申し上げた理由でございますけれども、消費税の還付については、法令上、輸出取引を行っているか、国内で事業を行っているかにかかわらず、売上げに関して受け取る消費税額から仕入れ時に支払った消費税額を差し引いた結果がマイナスになれば還付することとなっております。輸出取引を行った場合のほか、大規模な設備投資などを行った場合に還付を受けることがございます。
そうした中で、輸出を原因とする還付を切り出して計算し、また申告することを納税者には求めていないものですから、輸出免税に係る還付金額を切り分けて把握、公表することができない状態になっております。
○荒井委員 ありがとうございます。
そうなんです。この輸出還付金八・九兆円は、これは輸出企業に返ってくるという形ですね。例えばトヨタとか、自動車の産業にもこうして返ってきているわけです。
例えば、今、我々の党内でもいろいろな議論をしていますが、食料品をゼロ税率にした場合に、農家が肥料や飼料などの仕入れで支払った消費税は全額還付対象になるというふうに考えます。これは農家にとって実質的に農業版の輸出還付、別に輸出するわけじゃありませんが、ゼロ税率になれば、輸出還付とも言えるような仕組みになって、戻ってくるんだというふうに思います。
そこで、国税庁に伺います。農家の仕入れ消費税の全額というのは幾らなのか、把握されているのか、教えてもらえますか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
消費税の申告内容から、個々の事業者の事業実態に応じた、仕入れに係る消費税額を集計することは困難でございまして、農家が仕入れの際に支払った消費税額は把握しておりません。
○荒井委員 続いて、農水省に伺います。
もしも食料品の消費税にゼロ税率が導入された場合、農家への農業所得へのインパクト、特に、仕入れ税額控除を通じた、このお金が戻ってくることによって経営が安定化すると思うんですが、そういうことについてどのように評価されていますでしょうか。
○滝波副大臣 お答えいたします。
仕入れ税額控除を通じた経営安定化の評価についてのお尋ねですが、政府として、食料品に対する税率を含め、消費税率を引き下げることを前提とした検討を行っておらず、お尋ねについてお答えすることは困難でございます。
一般論としましてですが、消費税の仕入れ税額控除については、複数段階の取引を経るプロセスにおいて課税が重複しないようにするための仕組みであるというふうに認識してございまして、農業者を支援する手段とは考えていないところであります。
農林水産省としましては、農業経営の安定については、個々の農業者が、事業活動を通じて収益を確保し、所得の向上を図ることが重要であると考えておりまして、生産性の向上や付加価値の向上への取組に対する支援を行い、所得向上を支援、実現してまいりたいと考えております。
○荒井委員 日米通商交渉の中でも、日本の消費税制度をしっかりとアメリカに理解してもらうことは大事だと思います。また一方、そういう中で、僕も消費税のことを勉強する中で、国内では、食料品の消費税をゼロにすることで農家の支援にもつながっていく、副次的な効果があるということは非常に重要だというふうに思っています。
そこで、最後に経産大臣に伺いますが、食料品の消費税をゼロにすること、農業を支援すること、そして通商戦略上も、この三つを一体として捉えた政策の構築を政府は研究する必要があるんじゃないかと思いますが、経産大臣としていかがでしょうか。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
消費税制度とか農業支援の在り方について、私からは、ちょっと所管外ですので、お答えする立場にないのでコメントは差し控えますけれども、いずれにしましても、米国の関税措置に対する交渉の方針につきましては、先ほど来ずっとお話ししているとおり、赤澤大臣を中心に、関係省庁と連携しながら政府一丸でやってまいります。
委員の問題意識も分かるところですので、しっかり国内産業や地域への影響の精査を行いながら、必要な対策に万全を期していくことになるんだろうと思います。
○荒井委員 ありがとうございます。
石破大臣は大変本読みとしても有名ですので、きっと両方の本を読まれていると思いますが、機会がありましたら是非お薦めいただければと思います。
続いて、地元の話について、ちょっと早口で今日は申し訳ありませんが、北海道札幌市のノースサファリサッポロという民間の動物園的な施設をめぐる補助金の交付について、事業再構築補助金の審査、モニタリングの観点、そして制度の信頼性についてお尋ねいたします。
お二人、もう大丈夫ですので。済みませんでした。
○宮崎委員長 それでは、滝波農林水産副大臣、土田財務大臣政務官は御退席いただいて結構です。
○荒井委員 ありがとうございました。
まず、事実の確認から入りますが、このノースサファリサッポロを運営する有限会社サクセス観光に対して、事業再構築補助金が交付されていたという報道があります。
そこで伺いますが、中小機構として、サクセス観光に、どの年度、どの公募回で、幾らの補助金を交付したのか、事実関係を教えてください。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が事業実施主体といたしまして令和三年度に実施した事業再構築補助金の第三回公募におきまして、御指摘のありました有限会社サクセス観光が採択されております。
事業計画名は動物園のワーケーション空間貸出事業になっておりまして、交付決定額は六千万円となっております。
○荒井委員 そうなんです。コロナのときに、私営の、私立の、動物園のようなものを運営していた会社に対して、ワーケーション施設を造るということで六千万円出していたわけです。
ところが、この事業者は、市街化調整区域内に無許可で百五十棟以上の建物を設置して、都市計画法、建築基準法などに反する状態で営業を続けてきた事業者だということも分かってきていて、今、札幌では大変報道されていたりもいたします。にもかかわらず国の補助金が交付されていたということが一つの課題に上がっているわけですが、そこで伺います。
補助金審査の際に、こういった建築確認済証の提出や土地利用の適法性について確認は行っていなかったんでしょうか。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
本案件の審査当時におきましては、採択や交付審査の段階で、全ての申請案件に関しまして関連法令への適合性等を網羅的に確認したわけではございません。
交付決定後に法令違反等が判明した場合には、交付決定の全部又は一部の取消し等の措置を講じることができることとなってございます。
○荒井委員 まさに、この事業再構築補助金は、コロナ禍でしたから、とにかくたくさん申請をしてもらって、実行して、いろいろ課題があれば後から一つ一つチェックして確認していくということだというふうにも理解はしております。
その上で伺いますが、こういった違法状態を認識できなかったという点で、モニタリング機能がただ実効性を欠いていたんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、第三回公募時には、コロナの環境下もありまして、迅速に交付するという社会的な要請があったのは事実でございます。
その後、第五回公募以降は、行政書士などの専門家も活用いたしまして補助事業の実施に当たって遵守すべき法令を抽出いたしまして、審査に活用することとしております。さらに、第七回公募以降におきましては、法令遵守に関する宣誓の提出を求めるなど、段階的に審査プロセスの改善を図ってきております。
今後もこうした丁寧な対応を行っていくことが重要と考えてございます。
○荒井委員 ちょっと一つ飛ばしますが、札幌市など地方自治体との情報共有や通報の体制というのは、そもそも整っていたんでしょうか。
○岡田政府参考人 事業再構築補助金に関しまして、中企庁あるいは中小企業基盤機構におきまして違法行為等に関する情報に接した場合には、地方自治体等に対しまして事実関係や状況の確認を行っております。また、逆に、地方自治体におきまして違法行為等の事実を確認した場合には情報提供を受けるなど、必要に応じて連携を図っているところでございます。
○荒井委員 そもそも、構造的な問題として、都市計画法に違反した施設が飲食業や宿泊業の営業許可などを取れること、さらに補助金まで交付できるような仕組みになっていること自体に問題があると思っています。地方行政、この場合は札幌市役所ですけれども、大変困惑しながら今のこの現状に対応しているというふうにも聞いています。
こういうことも含めて、これは、縦割り行政の綻びみたいなものがあって、制度の信頼性を根本から揺るがす問題だと思いますけれども、所管官庁としてどのように考えていますか。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘いただいたとおり、法令に違反した事業者に対しまして不適切に補助金が交付されるということは防止しなければならないというふうに考えております。
先ほども申し上げましたけれども、法令遵守に関する宣誓の取得とか、行政書士等の専門家を利用した審査の精緻化を図るなどの対応を取っておりますけれども、加えて、不適切な事態が判明した場合には、交付決定を取り消すなど、補助金の変更を求める等、速やかな対応をすることが重要と考えております。
御指摘のとおり、関連する行政機関あるいは地方自治体の方としっかりと連携をして、こういうことにならないように対応を取っていく必要があると思っております。
○荒井委員 最後に大臣にお伺いしたいと思います。
この事業再構築補助金の交付決定取消し、先ほど来から御説明がありますが、幾つかの要件があります。例えば、公序良俗に反する事業であったり、申請時に虚偽の内容を含む事業などがある場合には交付決定取消し。それはつまり、税金も、補助金も戻してもらうということだと思いますが、今回の案件で、交付取消し、返還を求めることが僕は望ましいと思いますが、大臣としていかがお考えでしょうか。
○武藤国務大臣 本事案につきまして、現在、事業実施主体である中小機構において、事実関係の確認等を行っているところと今承知しているところです。委員の思いもごもっともな話だと思います。我々としても、交付規程に基づいて適切かつ厳正な対応が取られるものと認識しているところです。
今後とも、適切な対応が取られるよう、指導監督してまいりたいというふうに思っています。
○荒井委員 この案件というのは、単なる一企業の問題ではなくて、やはり、違法状態にある事業者に国の補助金が交付されたという事実、この補助金の行政制度全体の信頼性を損ないかねないと思っています。
ただ、この補助金そのものは、本当にコロナ禍にこれによって助かったという事業者が多いのも事実ですので、だからこそ、こういった適切じゃなかった場合には速やかに取消しをするということをしっかりやっていくことが求められていると思います。それこそ適法で健全な事業者をしっかり守ることにもつながると思いますので、どうぞその辺、経産省として、中小企業庁としても速やかに進めていただくことを強く申し上げて、私の質問は終わりたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、落合貴之君。
○落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。
前回の一般質疑で取り上げ切れなかった問題から始めさせていただきます。
デジタル産業の振興等についてなんですが、欧州は、デジタル主権という言葉も使いまして、デジタル自給率の向上、デジタルプラットフォーマーの国産化等を図っています。私も、こういったことを我が国もやっていくべきだということを特に数年前から言ってまいりましたが、最近になりまして、トランプ大統領は、欧州に対して、米国のデジタル企業に対して課税をしたり規制を強めようとしていることも非関税障壁だというふうな関心を示しています。
この状況の中でも、しかし、我々も国内のデジタル産業の育成は重要な問題であると思います。この分野の我が国の方針は、初めは、規制をいきなりかけるんじゃなくて、ちょっとずつちょっとずつ実態に合わせて判断しながら、段階的に適切な規制をかけていこうというような方針であったと思いますが、トランプ政権の誕生によってこの姿勢は変えることもあり得るのか、お聞かせをいただければと思います。
○武藤国務大臣 今回、米国の通商代表部からデジタルプラットフォーム規制が非関税障壁に該当すると指摘されているということは承知をしているところであります。
私ども、プラットフォーム取引透明化法というものが、デジタルプラットフォームの、透明性、公正性の向上のための自主的取組の必要性が高いものを、国内外問わず、一定の基準の下で、規制対象事業者として指定しているところであると思います。
このため、米国企業に限らず我が国の企業も規制対象になっているところでもあり、米国とは必要な意思疎通を図りながら、こうした点を説明してまいりたいと思っております。
○落合委員 透明化法はまず第一歩であるというようなニュアンスを、当時、その法案が通ったときに感じました。
この第一歩でもう終わりなのか、今後も新たな規制を検討していくのか、そこら辺の姿勢について伺えればなというふうに思います。
○武藤国務大臣 同法の運用につきましてですけれども、規制対象事業者からの御意見もまた伺いながら、引き続き、取引環境の透明性、公明性の向上に向けた自主的な取組を促す方向で進めていくと思います。
○落合委員 海外の巨大プラットフォーマーが出てきたことで、多様な日本の中小企業が、優越的地位の問題等が指摘されて、利益が奪われちゃっているんじゃないかということが、この十年ぐらいで多数指摘がされてまいりました。
それから、今、コロナ以降、倒産がかなり多いのは運輸業界。運輸業界の経営状況を変えてしまったのもデジタルプラットフォーマー。件数は爆発的に増えたけれども、利益率は下がってしまった。それで、人手不足の時代の中でやっていけなくなってきたということがあると思います。
我が国の経済の健全性を保っていくためには、やはり新しい分野への適切な規制ということを常に考えていくことは重要であるというふうに思いますので、その点、大臣と共有できればなというふうに思います。
こういった規制というのは、国内企業にも国外企業にも平等に規制をしていくというのが基本であるわけなんですけれども、欧州が目指しているように、国産のプラットフォーマー、これを振興していくべきであるというふうに大臣はお考えになるか、そこまでは思っていないか、いかがでしょうか。
○武藤国務大臣 国産プラットフォーマーのこれからの国内での重要性という御質問だと思いますけれども、今、日本が抱えているデジタル赤字の抑制のみならず、産業競争力の強化ですとか、いわゆる経済安全保障の観点からも、国内事業者、競争力のある生成AIもそうですし、それを含んだ形で開発することは極めて重要なこれからの動向になると思います。
この生成AIに限って言うと、この開発と、開発されたAIの利用、これを一体的に行う必要性が高まる中で、個々の組織で蓄積されているデータ、新たに収集するデータを活用して、各分野で専門性が高いAIを開発することが求められていると思います。
いずれにしましても、こういうプラットフォームの関係でAIというものが出て、まさにこのプラットフォームを、どうこれから進展していくのだ、これは大変に大きな、重要な関心事であると思います。
○落合委員 AIの点も大変重要だと思います。
それ以前に、プラットフォーム自体が一般化することによって、ちょっと前までは、広告を出すときに、例えば、新聞にお金を払ったり、テレビ局にお金を払ったり、広告会社が間に入りますけれども、これは日本の企業に払っていたわけですけれども、デジタル上に広告を出す場合、多くが海外に流れていくわけです。それから、買物をするときに手数料が取られていくわけですけれども、デジタル上で買物をすることで、その手数料も海外に行くわけです。
したがって、一定のプラットフォーム企業が国内に存在しなければ、あらゆる商業の、商売の仲介によって、どんどんどんどん富が国外に流出をしていくということでございますので、やはり国産のプラットフォーマーをある程度振興していくということは重要なポイントだと思います。
それに加えまして、大臣が後半答弁くださいましたAIですが、前回、クラウドについて今まで取り上げてきましたけれども、大臣も同じ認識ですねという確認をさせていただきましたが、クラウドが、国内事業者がほとんどない。一方で、我々、スマホを使うにも、どんな業務をやるにも、情報の倉庫みたいなものですので、デジタル化が進めば進むほどクラウド事業者にお金が入っていく。それも国外に全部流出していったわけです。これからは、恐らく、例えば手紙を書くときに何と書こうかなとか、そういうのも含めて、AIに聞きながら、我々は生活をし、仕事をしていくということになっていくと思います。
AIの国産化は重要なことである。全ての分野のAIで中国やアメリカに勝っていくことはできないと思いますけれども、AIの中でもこの部分は日本は強いんだというようなところからどんどん振興をしていく必要があると思います。
ちなみに、これは、やはりデジタル赤字が物すごく拡大しているということにプラスして、じゃ、どこで黒字を稼ぐのかというふうなのを見てみても、貿易収支、三十年前は日本が物すごく黒字だったわけですけれども、今、四年連続で赤字になっています。旅行収支は大きな黒字なんですけれども、よく見てみると、これは、国内に来てくれる外国人が増えたというのもあるんですけれども、国外に旅行に行く日本人がコロナ前と比べると全然いないんですよね。これは、外に出ていくお金が減ったので、旅行収支が大きく黒字になっているという部分もあるというふうに思います。
それを考えると、この収支のバランス、特に、食料もエネルギーも輸入をしているわけですので、適正に赤字を、一つの分野で赤字が大きくならないようにしていくということは重要なことであるというふうに思います。今、AIの分野、それからデジタルプラットフォーマーの分野も、余り日本は得意な分野ではありませんが、国民生活でも仕事の上でも重要な分野ですので、やはりこれは経産省が音頭を取っていくべきであるというふうに考えます。
では、次に、総論について取り上げていきたいというふうに思います。
資料の一を御覧いただければと思います。
これは、経産省の昔からの資料も見てみると、生産性を上げないと賃金が上がらないので、生産性を上げるための支援をしていきますということを、どんなものにも基本的な方針として書いてあります。それは、選挙の際も、自民党の政策にもそういった哲学が入っているわけです。
生産性の向上についてはグラフにしていませんが、なぜしていないかというと、ずっと生産性は上がっているんです。しかし、物価上昇よりも賃金の上昇率の方が低いことが特にアベノミクス以降ずっと続いてしまっていることで、生産性が上がっても実質賃金は下がり続けるということが続いてしまっているわけです。
実質賃金が下がるとどうなるかというと、相対的に去年よりも今年の方が使えるお金がなくなってくるわけですから、アベノミクスが始まって以降、GDPの半分以上を占める世帯消費が一五ポイントぐらい下がってしまっている。これは健全な状況ではないと思います。
今まで言ってきた、生産性を上げれば賃金が上がって、好循環の起点は生産性を上げることだということで、生産性は上がっているんですが、その起点の次の段階、賃金を上げるということができていないことがやはり日本経済の足を引っ張っているわけですので、これも経産省は意識をして政策を打っていくべきだというふうに思います。
生産性が上がっても物価以上に賃金が上がらない。これは何が原因だというふうにお考えになっていますでしょうか。
○武藤国務大臣 これも、予算委員会等々で、落合先生もそうですけれども、いつもいろいろ御議論があって、ここ数年、アベノミクス等々、いろいろありました。その中で、デフレからの脱却を掲げてずっと議論をしながら、ここ一年、二年、三年ですか、いわゆる賃金というものが、ちょっと急激に勾配が高くなって、上がってきているというのも、これもファクトだと思います。ただ、大企業中心で、なかなかこれは中小企業に行っていないよねというところがやはりある。そういう中で、春季労使交渉も、今年も高い水準で賃上げが続いている、昨年に続いての状況ですけれども。
やっとこれは潮目が変わってきているのかな、そういうものを感じながらも、残念ですけれども、今回、またトランプ氏の関税政策が出てきた。ですから、本当に中小企業へちゃんと賃金が大手企業から回るようにということになると、価格転嫁をとにかくしっかりやっていこうという中で今の話ですから、これまでの流れを引き続き何とか死守をしながら、そして、地方で何がこれから起きていくのかというのを情報収集しながら、政策的にはこれを多層的に積み重ねながらやっていかなきゃいけないんだろうというふうに今思っているところであります。
いわゆる企業の賃上げの原資というものを確保するということは、これは、大手、そして中小、小規模という形の中で、まさに施策を総動員する、賃上げの環境整備にこれからも万全を期していかなきゃいけません。
せめて賃金を上げてくださいということは、私どもも、これまでも申し上げてきたとおり、各団体のトップに申し上げたり、各地方という形の中でお願いをしてきているところであります。引き続き、しっかり底上げを目指す意味で対策をしていきたいというふうに思っています。
○落合委員 岸田総理の頃から潮目が変わってきたというふうに言っていたわけですが、確かに潮目は変わってきていると思うんです。
今のグラフの二〇二一年と二〇二二年を比べて何が変わったかというと、物価上昇率が物すごく上がったわけです。その前までに物価が上がったというのは、二〇一三年から一四年にかけてと、それから二〇一八年から一九年にかけてちょっとだけ物価が上がっています。これは消費税を上げた年なんです。消費税を上げると消費税分だけ物価が上がります。ですから、今まではやはりずっと物価上昇率はフラットで、消費税を上げたときだけ物価が上がっていました。
潮目が変わったのは、コロナそれからウクライナの有事であるというふうに思います。物価が急上昇すれば、同じ仕事量をしていれば単価が上がりますので、売上げが上がります。となると名目賃金は上げやすくなります。実際に、物価が上がったことで名目賃金はちょっと上がっているんですが、実質賃金の下がる角度は、潮目が変わったと言っているときから急激に実質賃金が下がっているんです。これは、いい方向に潮目が変わっていなくて、物価に賃金が追いつかないという状況がより加速をしています。
したがって、このままの二年間の政策を続けても、私は好転することはないと思います。大臣、これはどう思いますか。
○武藤国務大臣 ある意味では、時系列的に見ていると、あとは為替の問題があったり、あるいは、今おっしゃったように、ウクライナの侵略から原油の、燃料費が変わってきている、随分上昇している傾向にあったということだろうと思います。そういう様々なことが重なり合いながら来ています。
あとは、去年ぐらいからですけれども、石破政権の地方創生絡みの中で、地方を元気にさせようということの中で、それは大企業から中小企業への価格転嫁も含めながら、地方へお金を回さなきゃいけないということもあり、人口減少を止める、地方を元気にさせるという意味でも、新しいやり方をちょっと考えなきゃいけないよねというので幾つかやってきていると思います。
今回、また関税の問題が出てきましたので、それぞれが、世界の国際情勢の変化の中で我々の思うとおりにはいかないようなところも確かにありますし、また、そこの中で、新しい技術は、先ほど来申しているとおり、生成AIだったり、いろいろな意味でイノベーションが起きるパラダイムの中で、我々としては、とにかく原資ができるような形での、新しい世界に向けて強力に後押ししなきゃいけないんだろうというふうに思っているところです。
○落合委員 アベノミクスの下でも史上最高の収益が上がったということは確かだと思います。しかし、これに対して、そのお金が好循環に回っていないというのは、事業者側の政策をつかさどっている経産省の政策にとってやはり重要なポイントであると思います。
資料二を見ていただければというふうに思います、裏面ですね。
日本型経営を変えて、世界に通用する日本企業をつくっていくんだ、日本経済をつくっていくんだということで、日本型経営を変えていくという政策が行われてきました。これに旗を振ってきた中心が経産省であるわけでございます。
この日本型経営の見直しとは何なのかというと、やはり、利益が上がるようにする、特に短期的な利益が上がるようにするということで、四半期決算なども導入がされました。
この方針を更にはっきりとさせたのが、二〇一四年に、ROE経営という指標を経産省を中心に打ち出しまして、一株当たりの利益率を上げるんだということを大きく打ち出しました。これは資料を見ていただければ、二〇一四年からやはり株主配当はめちゃくちゃ上がっています。利益も順調に、リーマン・ショックのとき以外はほぼ右肩上がりで、リーマン・ショックとコロナのときだけ少し下がっていますけれども、それでも横ばいではなく、ずっと上がってきているわけです。
この四半世紀で、二十五年前を一〇〇とすると、利益は四倍になりました、株主配当は八倍になりました。ある意味、経産省がやろうとしていたことは成功しているというふうに思います。
しかし、問題なのは、よく見てみると、売上げが、四半世紀で一〇九、一割も増えていないのに、何で利益が四倍以上になったんですか。生産性が上がったというのもあるでしょうけれども、よく見てみると、大事な指標が全然上がっていない、むしろ下がってしまっているわけです。例えば、企業の成長に一番重要な設備投資、これは二十五年前と比べて十数ポイント下がってしまっています。それから、従業員の平均給与も、高額の給与をもらう人たちも増えてきているのにもかかわらず、ほぼ横ばい、売上げよりも上がっていないわけでございます。
これは、短期的に利益を出すことというのは成功しましたが、その代わりに、会社にとって一番重要な人材への投資や将来への設備投資を削って達成してきた。何で日本企業の国際競争力が下がっているんだといえば、まさにこれが原因であると思います。これは、残念ながら経産省がこういった経営を推奨してきたわけです。成功した面もありましたが、一番重要なところが間違ってしまっている。これは軌道修正していくべきだと思います。
大臣に伺いたいのが、二十五年間の経産省のこの政策は間違っていた部分もありますというふうに認識しているかどうか、それから、どう修正していこうというふうに考えているか、伺えればと思います。
○武藤国務大臣 いわゆるROE経営というんでしょうか、こういう形で資本効率の向上を意識した経営を経産省としてはやってきたということだろうと思います。投資家を引きつけ、企業が将来の投資や賃上げの原資を確保する政策を推進することで、資本効率が高い上場企業の比率が増加したというのも、これも一つの事実かもしれません。
他方で、この十年間、国内の大企業の設備投資や人件費の伸びは、今委員がおっしゃられるように、利益や株主還元の伸びと比べて緩やかであったというのか、これはずっと低いままという形だろうと思います。この事実を重く受け止めて、資本効率の向上による原資の確保だけでなく、実際に国内投資を促すための政策を進めることも重要である、こういう政策的な変換、認識をしながら変更してきているところがあるわけです。
また、こういう問題意識の中で、DXだったりGXというものの戦略分野における国内投資を促進するためにも、政府も前に出て、大規模、長期、計画的に産業政策に取り組む、いわゆる経済産業政策の新機軸というものも展開してきているところであります。国内投資、また賃上げの好転など、成果も生まれつつあるものと認識をしているところであります。
いわゆる反省というものの中でというか、いつもずっと考えながら、そして世の中の国際情勢も踏まえながら、様々な、先ほど岡田委員からも御指摘いただきましたけれども、柔軟性を持って、しっかりとした政策を打っていかなきゃいけないんだろうというふうに思っています。
○落合委員 先ほどの、潮目が変わるという議論でいうと、恐らく、内部留保の伸びが止まって、この設備投資ががあんと上がっていくというような状況になれば、潮目が変わったと言えると思います。残念ながら、設備投資の伸び率は最近はデジタル分野を中心に高いんですけれども、内部留保は積み上がり続けています。やはり、潮目は残念ながら変わっていないというふうに考えて政策を打っていかなければならないというふうに思います。
この日本型経営を変えるという点で象徴的だったのがカルロス・ゴーンさんだったと思います。私がちょうど学生の頃にゴーンさんが日産に来て、私は後輩ですけれども、大学にカルロス・ゴーンさんが講演に来ました。千人ぐらいの教室が全部びっしり埋まって、立ち見も出るぐらいでありました。あの方がその後どうしたかというと、辣腕を振るってリストラをして黒字化しました。ただ、がっぽり持って国外に逃亡してしまい、今、その会社で、この二十年間、ヒット商品がありますか、競争力はどうなりましたかと。残念ながら、黒字にはなったけれども、競争力は上がったのかなというような状況であるというふうに思います。短期で利益だけを上げるということばかりに力を入れ過ぎてきた産業政策は、やはり見直していかなければならないというふうに思います。
短期利益の追求というのは、ある意味、株主に気を遣って、株主重視でいきましょうというようなことで、金融業というのが特に九〇年代後半から伸びてきました。特にMアンドAがその分野で、私も、二〇〇〇年代前半に金融機関で働いていましたので、MアンドAにも関わってきましたが、私は、財務上の価値というのは会社そのものの価値ではないという思いをそのときの経験で強くしたわけです。
最近は、事業承継にもMアンドAの手法を使おうということで、大企業だけでなく中小企業にもそれを使ってきているわけですが、昨年秋の衆議院選挙の直後に、MアンドA仲介による事業承継でトラブルが多発していることを受け、中小企業庁が十五社を処分というようなニュースが流れています。これはどういったことなのか、中小企業庁に伺えればと思います。
○山本政府参考人 お答えいたします。
MアンドA仲介事業者、ファイナンシャルアドバイザー等を通じて複数のMアンドAを実施した買手企業が、買収の際に、売手企業の前経営者が金融機関に提供していた保証を買手企業に移行するといった契約を行ったものの、実際には契約に反して移行しておりませんでした。
その後、売手企業から保証を残したまま現預金を流出させており、結果として売手企業の従業員給与や取引先への支払い等の遅延、未払いが発生したというような事例がございます。
この当該買手事業者の仲介に携わったMアンドAの仲介事業者に対して、私ども、指導、注意を行ったというのが御指摘の事案でございます。
○落合委員 これも、この数年、MアンドAを中小企業に活用していこうという旗を振っているのが経産省です。
私も、法改正において、経産省が、MアンドAにおいて、今までは雇用を維持しなきゃいけないという雇用要件もあったのにそれを外したりですとか、これは危険じゃないですかと、逆に日本の産業の空洞化にもつながっちゃうんじゃないですかというようなことを申し上げてきました。外国企業に技術だけ取られるというのもあり得るんじゃないですかと。
やはり、私は、このMアンドAというのは魔法のつえではない、慎重にこれは見ていくべきだと思います。この分野、前のめり過ぎであり、だからこそこういった問題が起きていると思います。
最後に、大臣、この分野について所感を伺えればと思います。
○武藤国務大臣 MアンドAの経験者として申し上げますけれども、そんなようなことで、まず一つは、不適切な行為が行われちゃいけない、これが一つ。
経産省として、今委員の御指摘のとおり、MアンドAという形が、いわゆる事業承継を残して雇用を守る、そして仕事として大事な産業を守っていくという、これが経産省のスタンスで、これがMアンドAの形で、いわゆるマッチングをどうやっていくか。ところが、その仲介するやつに変なやつがいるということで、これはちゃんとしっかり対応させていかなきゃいけません。
一方で、今の経済安全保障という形でいうと、外資というところをどう考えていくのかという点がありますので、これはもうしっかりそういう意味も含めて包括的に考えていかなきゃいけない話だと思っています。
○落合委員 時間が参りました。
私、以前、二点、ほかの大臣のときに指摘しまして、雇用要件を外したこと、それから、海外に、海外企業に買ってもらうために、どんどん外国語での情報発信などもそのときにやっていたこと、これは危険であるということを申し上げてきました。そこにも気を遣っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、東徹君。
○東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。
今日は、珍しく万博の質問はやめまして、物価高対策に集中をさせていただきたいと思います。
物価高対策の中でも、いよいよ、我々はガソリンの暫定税率を廃止すべきだというふうに言っていましたけれども、やはり政府・与党は補助金でやるんだなということが、昨日ですか、石破総理の会見で明らかになりました。ガソリンの方は五月二十二日から一リットル当たり十円引き下げるというふうな表明で、それに合わせて、また電気・ガス料金の補助も七月から再開するというふうなことであります。
先ほどから、物価高が、どんどんと上がっていっている、名目賃金よりもというふうなことでありますけれども、確かにガソリンも電気代も上がっておりまして、特に電気代についてなんですけれども、これは今、若干円高には振れてきておりますけれども、これまで円安とかの影響もあって電気代が上がってきております。
今日、資料としておつけさせていただいております東京電力における平均世帯の電気料金ですけれども、二年前が、二〇二三年五月が六千八百九円であったのに対して、今年五月は月九千三十一円ということで、約三三%、二千二百二十二円上がっているわけです。
これに対しての名目賃金ですけれども、二〇二三年一月と二〇二五年一月を比べますと、約五・六%の伸びにとどまっておるということで、物価高に対して、電気料金の上がり幅に対して賃金の伸びが追いついていないということがよく分かります。
政府・与党として、今年の七月から八月にかけて電気料金の補助も念頭にやるということでありますが、これまで電気代の支援策として補助をどれぐらいやってきたのか、まずお伺いしたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
これまで、電気、ガスの料金支援につきまして約四・三兆円の予算が措置されてきておりまして、令和七年三月使用分の支援まででおおむね全額執行予定となってございます。
○東(徹)委員 令和七年までで電気、ガスの補助金額四・三兆円、これはいつからということと、そしてもう一つは、電気とガス、これは分けられるのかどうか、これについてもちょっとお聞かせいただいてもいいですか、分かれば。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
電気・ガス料金支援が始まりましたのが二〇二三年一月でございまして、これから二〇二五年三月までの数字でございます。
それから、電気、ガスを分けられるかという点についてですけれども、数字としては分けることはできますけれども、ちょっと今手元に数字がございませんので、大変申し訳ございません。
○東(徹)委員 電気、ガスの補助金、二年間で四・三兆円を費やしてきましたよということです。
今年の夏の電気代の支援についてですけれども、補正予算は組まないということですから、七千億円ほど残っている予備費、それを使って対応していくということであります。
事前に経産省に伺いますと、電気代、ガス代、一か月に一キロワットアワー当たり一円下げることをした場合、五百億円の予算がかかるというふうに聞いております。この夏の支援としてどの程度の規模を考えておるのか、まずお伺いさせていただきたいと思います。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
与党から、酷暑期に向けて、今後の価格や需要動向を見極めた上で、国民の実情に寄り添って対応していくという御提言をいただいたことを踏まえ、夏期において最も電力使用量の多い七月から九月の間、負担軽減支援を行うということを昨日総理から発表いただいたところは委員から御紹介があったとおりでございます。
支援の規模を含む電気・ガス料金支援の具体的な内容につきましては、今後の燃料価格や電気・ガス料金の動向などを見極めた上で、五月中に決定するということになってございます。
○東(徹)委員 当初、六月から八月と言っていましたが、七月から九月になったということですね。
今検討作業に入っておられるということでありますけれども、ガソリンも、我々としては、補助金というのは非常に分かりづらい、不透明感があるということで言ってきました。電気代についても、これはまた非常に、出口があるのかなというふうに思っておりまして、これからも続けないといけないんじゃないのというふうな観点からちょっと質問をさせていただきたいと思います。
電気代が上がっていく要因の一つに再エネ賦課金というのがあります。この再エネ賦課金ですけれども、制度が始まった二〇一二年ですけれども、一キロワットアワー当たり〇・二二円だったんですね。ところが、今年の五月以降は、三・九八円ということで、十八倍に膨らんできております。その結果、月に三百キロワットアワーを使う標準家庭でありますと、二〇一二年だと、月額六十六円、年額七百九十二円だったものが、今は、月額千百九十四円、年額一万四千三百二十八円に上がってきておって、国民の負担が増えてきておるということです。
国民の負担が増えてきているのをいいんだというふうになかなか考えられないからこそ、今回も電気代も補助金を出して下げるということをやろうとされているんだというふうに思います。これは経産省が想定したとおりになってきているのかどうか。まず、こういった想定をしていたのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○武藤国務大臣 賦課金の水準の想定につきまして、二〇一二年の制度の導入時点では、FIT制度によって再エネがどの程度増えるか予測が困難だったということ、これは、定量的な将来見通しは持っていなかったものと承知をしているところです。
現在の賦課金の水準については、二〇一二年のFIT制度開始後三年間、集中的に再エネ電気の導入拡大を図ることを目的といたしまして、再エネ発電事業者の利潤に特に配慮する措置が大きく影響しているものと承知をしているところです。これは、当時の与野党三党、民主党さん、自民党、公明党の合意に基づいて、国会修正の上で導入された規定に基づいて行ったものであると思っています。
いずれにしましても、政府としては、これまでも買取り価格の引下げや入札制の導入等を進めることで、再エネ賦課金が国民に過度な負担とならないように取り組んできているところでもありますが、今後もこうした抑制的な取組を継続してまいりたいというふうには思っております。
○東(徹)委員 当初は再エネを導入していこうということで、拡大していくために、太陽光だったら買取り価格四十円とかやっておられたということだと思います。
ただ、抑制していかないといけないというふうに今大臣言われましたけれども、本当に抑制することができるんですかというふうに思うわけです。
制度当初はなかった新しい技術として、太陽光でいうとペロブスカイト、これが今出てきて、大阪・関西万博にもペロブスカイトの太陽光発電が設置されております。また、地熱でいうと、クローズドループという、超臨界地熱というのが、次世代の発電方法というのがまた出てくるんだろうと思います。
技術としてはどれも非常に重要で、私は、本当にこれが日本の技術として、また世界に売っていくことができればこれもいいなというふうには思っておりますし、また、ペロブスカイトなんかはどこにでも設置することが可能になっていけば、それはそれで発電量が増えていくということでありますが、ただ、コストのかかる話です。買取り価格が高額になればなるほど国民の負担が増えていくわけです。
先ほどの三つの新しい技術のうちペロブスカイトについてでありますけれども、経産省としてペロブスカイトの買取り金額はどれぐらいを考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
FIT制度の買取り価格につきましては、再エネ発電設備の区分ごとに定めることとしておりますが、ペロブスカイトはまだ量産化がこれからということでございまして、現時点においてペロブスカイト太陽電池を用いて発電した場合の買取り価格は定めてございません。具体的な価格の予定をお答えすることは難しいところでございます。
その上で、本年二月、FIT、FIP価格等を審議する調達価格等算定委員会におきまして、ペロブスカイトについて、国民負担の抑制と適切な自家消費を促す観点から、発電コストが電気料金水準未満になる時点を目安に、新区分による支援を開始する方向で検討を継続するという意見が取りまとめられたと承知してございます。
こうした中で、委員御指摘のとおり、コストの低減というものが何よりも重要でございまして、グリーンイノベーション基金等を活用した研究開発を通じましてペロブスカイトの量産技術の確立に取り組むとともに、コスト低減の進展に応じ、引き続きペロブスカイトの扱いについて検討してまいりたいと存じます。
○東(徹)委員 ちょっと今の質問に関連してですけれども、新区分というのはどういう区分なのかもう少し詳しく説明いただきたいのと、それから、早く価格を僕は決めるべきだと思いますが、いつ頃決める予定になっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 お尋ねの区分でございますけれども、例えば、元々陸上風力という区分がございまして、それに後から洋上風力という新しい区分を設けたという経緯もございます。
現時点では、太陽光は、いわゆるシリコンの、従来型の区分というものを設けているわけでございますけれども、恐らく、それに追加する形で、ペロブスカイトというような形で次世代の太陽電池の区分を創設することになるのではないかというふうに認識してございます。
時期というのは、先ほどの審議会の答申を申し上げたとおり、特にまだ時期としては決めてございませんけれども、昨年、官民協議会という形で、この次世代太陽電池、ペロブスカイトについて、様々な今後の振興策について議論したところでございます。
この中で、二〇四〇年までに、最終的なコストの目標としまして、発電コストを十円から十四円・パー・キロワットアワー以下を目指すといったようなことを官民で合意してございまして、こういったことも念頭に置きながら今後の扱いについて検討してまいりたいと存じます。
○東(徹)委員 この後、GX法案と言われる法案についてもこれから議論が始まっていくことになると思いますが、この再エネ賦課金ですけれども、経済産業省の説明によると、いつも説明していただくのは、二〇三二年頃になるとピークを迎えます、そして、このとき四十円だったものがだんだんと終了していくので、その後減少に転じる可能性が高いというふうなことを言われますね。
高かった太陽光の買取り、一キロワットアワー当たり三十二円から四十円というものだったわけですけれども、ところが、今年の買取り価格を見ますと、浮体式の洋上風力は買取り価格三十六円ですよ、三十六円。非常に高い価格で洋上風力の浮体式なんかは買い取っていく。そして、これは規模にもよりますけれども、地熱発電、これも四十円です、四十円。高かった太陽光は終わっていく。二〇三二年ですから、まだこれは七年後ですけれども、七年後に終わっていくかもしれませんけれども、既に今こういう高い買取り価格で設定されているわけですね。太陽光の高かったときと同じ水準なわけですね。
また、太陽光でも、ペロブスカイトが普及していけば、恐らく今の九円とか十円ではないと思いますね。ですから、こういった技術が普及していくと、また太陽光の買取り価格も高止まりしていく可能性があると思うわけですね。
こういった状況を考えると、経産省の言うように再エネ賦課金は下がっていかないのではないか、逆に上がるんじゃないかと思ったりもするわけですけれども、これは本当に下がるんですか、いつからどれぐらい下がるんですかということをまずお伺いしたいと思います。
○伊藤政府参考人 お答え申し上げます。
まさに委員御指摘いただきましたとおり、将来の再エネ賦課金の水準を正確に見通すということは大変困難でございますけれども、大きな方向性というのは実は大体見えてございまして、申し上げれば、二〇一二年の制度の開始後は、先ほど大臣も御答弁いただきましたとおり、三年間にFIT認定を受けた太陽光発電事業は、非常に高い価格、三十二円から四十円・パー・キロワットアワーということで再エネの買取りが行われておりまして、その負担額が今の再エネ全体の約五割から六割を占めるということで、やはり最初の制度当初の負担が大分大きくなっているということでございます。
現在の賦課金の水準にも大きく影響しているということでございまして、それらの事業につきまして、二十年間の法定の買取り期間が終了する二〇三二年以降は、ほぼ、見えている蓋然性としまして、減少に転じる可能性が高いと見込んでいるところでございます。
なお、減少に転じるまでの間も、賦課金が国民に過度な負担とならないよう、しっかりと制度を運用してまいりたいと存じます。
○東(徹)委員 既に国民の負担になってきているわけです。
その中で、先ほども申し上げたように、浮体式の洋上風力だと三十六円の買取り、地熱だと四十円という中、そして、ペロブスカイトは、まだこれは分からないですけれども、恐らく高いだろうというふうなわけですよね。
じゃ、太陽光、ペロブスカイトじゃなくて、また中国の太陽光パネルをどんどんどんどん増やしていくんですかというふうになってしまうわけですけれども、そうなってほしくないと私も思いますし、ペロブスカイトが非常に安い買取り価格になればいいと思います。
ただ、二〇四〇年の資源エネルギー庁が出している再エネの電源構成を見ると、太陽光は約三割なんですね。今現在一割ですから、それが三割になるということは三倍ですよ。三倍に太陽光の発電が増えていくわけですね。風力も、今一・一%ですから、これが四倍から八倍に増えていくということが想定されているわけです。
再エネ、どんどん拡大していってもらいたいと思いますけれども、こういう状況を見ると、ただただ国民の負担が増えていくことになるのではないのかというふうに思うわけです。
再エネ賦課金についてですけれども、国民負担を下げるという観点から停止するという議論も一方あります。これに対して、昨年ですけれども、武藤大臣が、再エネ賦課金を停止しても、再生可能エネルギーの導入拡大に必要な経費として国民負担が発生すると記者会見でおっしゃっておられましたけれども、この再エネ賦課金とは別の国民負担金とはどういうもので、どのくらいかかるというふうに考えているのか、お伺いしたいと思います。
○武藤国務大臣 御指摘の記者会見での私の発言ですけれども、再エネ賦課金の徴収を停止したとしても、再エネの導入拡大に必要な費用として、賦課金でいただいている三兆円規模を何らかの形で御負担をいただかなきゃいけない必要があるという認識を申し上げたところであります。あくまでも仮定の話ですけれども、負担の内容等について具体的な想定を持っているものではありません。
政府としては、再エネ賦課金が国民に過度な負担とならないよう、これまで申し上げているとおり、FIT制度を適切に運用しながら、再エネの最大限の導入を図っていかなきゃいけないということだろうというふうに思います。
○東(徹)委員 時間が余りなくなってきましたので、電気料金のところで終えたいというふうに思いますけれども、電気代がやはりどんどんと今上がってきています。再エネ賦課金も間違いなくこの後も上がりますよ、もちろんですけれども。二〇三二年までにあとまだ七年かかりますから。じゃ、毎年毎年こうやって補助金を出していくんですかということにもなっていくわけですよね。
今、再エネ賦課金ですけれども、令和七年度で三兆円ですから、僕らも、この三兆円の財源、じゃ、どうするんだということになってくると思いますので。そう簡単に、賦課金をやめて、じゃ、これを税金でもってやっていくんだということに、なかなかそうした方がいいというふうには言いにくいものだと思いますけれども、ただ、やはり電気料金を抑制していくことというのは非常に大事だと思います。
どうやって抑制していくのか、これは私、通告をしておりませんけれども、最後、大臣、何か思いがありましたらお聞かせいただければありがたいなと思います。
○武藤国務大臣 七期のエネ基を作るときにも、いわゆる安定供給と、いかに電気料金というものを抑制していかなきゃいけないのかと。
だから、おっしゃられるように、当分は上がっていっちゃうわけですよ。それでは企業の、今皆さん頑張っていらっしゃる、いわゆる価格転嫁をしようというところにもこれは影響してくる話ですので、そういう意味の中で、短期的ではないので、中長期的にしっかりと、この七期エネ基計画を、いわゆる抑制をしながらというところがまさに知恵の出しどころ。
そして、原発も、いろいろこれも御意見があると思います。ただ、やはり、安全に稼働できるところは、できるだけ早く、速やかにこれも稼働してもらわなきゃいけない。ただ、一方で、安全確保をするとともに、最終処分場とか、まだまだ残している課題がありますので、ここら辺の国民理解も得ながら、これは再生エネルギーも原子力も両方を共存という形でやっていかなきゃいけません。一方で、今の、先生おっしゃられるように、地熱だったり水力だったり、これもいろいろ新しい試みがある中で、総体的にこれもエネルギーの電力として確保しておかなきゃいけない。様々なところにバランスを持ちながら、そして、国民の理解というものの中で進めていかなきゃいけない話だと思っています。
○東(徹)委員 本当に、ここは電気料金も抑制していかないといけないんです。僕はこの間の半導体のときにも申し上げたんですけれども、半導体の関わるJEITA、電子情報技術産業協会も言っているんですけれども、アメリカとか韓国とか台湾は電気料金が安いんですよ。だから、そういったところにどんどんと生産が行かないように、そしてまた、半導体を生産するとなったときにも電気料金というのは影響してきますから、やはりこれは非常に大事な問題だというふうに思います。電気料金が上がっていかないような抑制策をしっかりと我々も検討していきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、斉木武志君。
○斉木委員 斉木武志でございます。
今日は、米の価格に関して前回お聞きをいたしました。その続きで、深掘りをしていきたいと思います。
私は福井県を選挙区としておりますので、米どころでもございます。いちほまれであるとかコシヒカリであるとか様々な米を生産している。生産者の方は、米価は高くあってほしい。でも、消費者は、今の、昨年の二倍という異常な米価格の高騰に苦しんでいる。我が家も押し麦を交ぜて何とかしのいでいる。安いんですよ、押し麦は、繊維質もあって。そういった、健康と価格をどうやってやりくりするかと全国の家庭で今苦しんでいますので、どうやって、生産者と消費者が納得するような米価格の形成というもの、それには私は食品消費税というものが鍵になるのではないのか、こういった視点で御質問をしたいと思っております。
今ちょっと触れましたけれども、米価格というのは、大臣も総務省の統計を御覧になったかとは思うんですが、ウナギ登りですね。対前年同月比で九七・六%という、要するにダブル、まさに二倍になっています。昨年三月、コシヒカリ以外の五キロ当たり単価は消費税込みで二千三百六円、これが今年三月は消費税込みで四千五百五十七円ですので、まさに二倍です。日本人の主食ですので、毎日食べるものが二倍になる、これは、家計は非常に苦しいというのは、今の世論もむべなるかなという状況です。
一方で、私はこの前、農水大臣と農水省はちょっと当てにならないということを申し上げました。要するに、今行っている備蓄米の放出、これはあくまで、価格を下げることを目的としているのではありません、供給制約、流通の目詰まりを解消するのが目的ですと何度も農水大臣も国会で答弁をなさっているし、農水省の官僚の方もレクで必ず、これは価格を抑制するものではありませんということを繰り返しおっしゃる。じゃ、誰が日本の米価格に歯止めをかけるんだ、いないじゃないかという不満が今消費者の中に起きてきていると思います。
まず、農水省の方、来ていただきましたので、冒頭伺いたいと思います。
まず、今行っている備蓄米の放出の目的は、価格の抑制なのか、それとも目詰まりの解消なのか。何を目的として行っているんでしょうか。
○山口政府参考人 お答えいたします。
価格につきましては、あらゆるものについて需要と供給のバランスで決まるところだと考えてございますけれども、今回の米の問題につきましては、昨年の九月以降、これまでにない集荷競争が現地で発生しているということでございまして、米の生産量が前の年よりも多いという状況にもかかわらず、集荷の大宗を担っている大手集荷業者の集荷量が、昨年の十二月段階で前年と比べて二十一万トン減っているという事実がございました。
このため、いわゆる実需者の方が、大手集荷業者から供給が少なくなるということが見込まれた結果、例年とは異なる調達ルートからも補完的に比較的高値で仕入れざるを得ないという状況が発生していると考えてございます。こうした大手集荷業者の集荷不足に起因する流通の目詰まりの結果、スーパーなど小売店での価格の高騰につながっていると考えてございます。
こうした目詰まりを解消しまして米の流通の円滑化を図るという目的で政府備蓄米の売渡しを行っているところでございまして、三月に二十一万トンの入札を行いました。また、本日から第三回の十万トンの入札を実施しております。
さらに、この夏の端境期までの間、毎月売渡しを行うということにしてございますが、こうした措置で米が安定的に供給をされるということで、結果的には上昇した価格も落ち着いていくのではないかと期待しているところでございます。
○斉木委員 備蓄米の入札を行っているということなんですが、その応札をしているのが全中さんと各県の農協さんであって、県で流通する上限まで各県の農協さんが全部札を入れて買い占めてしまう。そして、流通には〇・数万トンしかまだ回っていないというふうな数字が今出てきております。
ですので、二十一万トンを競売にかけました、備蓄米を放出しますとおっしゃっているけれども、〇・数万トンしか出回っていないというのが実態。高額で、全中さんと各県の農協さんが全部、一粒残らず買い占めてしまう。回ってこないじゃないか、消費者のところに。
スーパーを回っている東京の消費者の方が、どこに備蓄米の五キロの袋が並んでいるんだ、全くないじゃないかと。スーパーの方も、出回っていませんとおっしゃっている。これじゃ価格形成の意味を成さないと思うんですね。
分かります。私も申し上げたように生産県ですので、米価格は高くあってほしい、私たちの収益を守ってほしいという米農家の声は、私も絶対守りたいと思います。ただし、二倍の価格じゃ買えません、消費者は。ここをどうやって政治は、利益衡量ですから、生産者の利益と消費者の利益をどうやって両立させるかが今求められている政策課題だと私は思います。
その解としては、おっしゃっているように、農水省さんはレクでも、価格を抑制する意図はないというふうにはっきりおっしゃっているわけですから、もうここは、総務省の価格小売統計に出ている消費税込み、八%込みをオミットする、ここをなくすしかないじゃないですか。
消費税がカットされても農家の収益は減りません。というか、増えます。店頭価格が八%安くなれば、我々は、私も押し麦じゃなくて白米を食べられるようになりますので、その分、白米の消費量は増えます。農家は喜びます。一方で、消費者も、八%分の価格がカットされたら、今四千円台の米も三千円台まで落ちていく、これもやっと白米が食べられるようになる。こういった、まさに中間でかかっているタクセーション、課税の部分で泣いてもらうしかないと思うんですよ。
今日は財務省にも来ていただきましたけれども、今の議論をお聞きいただいて、生産者の懐を守ることと消費者の懐を守ることを両立するとしたら、まさに中間で乗っけている八%の消費税、ここをカットするしかないと思うんですけれども、ここに対する御見解はいかがですか。
○田原政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の消費税でございますが、急速な高齢化等に伴いまして社会保障給付費が大きく増加する中におきまして、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられております。
こうしたことから、食料品を含め、その税率を引き下げることは適当ではないと考えております。
○斉木委員 やらないというお答えですけれども。
では、五キロの袋が今四千五百五十七円になってきました、消費者が本当にお米を買えるようにする手というのは、農水省さん、ほかにあるんですか。例えばお米券を配るとか、何か代替案はあるんですか。
○山口政府参考人 お答えいたします。
先ほどの御指摘の流通の状況でございますが、私どもが三月の十七日から三十日までの間の状況報告を受けておりまして、それを公表したものかと思います。
こちらにつきましては、まだ私どもから引渡しが始まって流通にかかる段階、しかも、これが、十五万トンプラス七万トンの二十一万トンの分量について契約を結んで、これからトラックを走らせるという状況でございますので、まだまだはしりの段階でございました。
四月については五、六万トンの流通の計画があると聞いておりますし、また、通常、集荷業者は卸売業者に対して毎月十五万トン程度販売をしております。ここに先ほどの五、六万トンがオンされるという状況でございますので、流通につきましては、今後、備蓄米について一般的に流通してくると思ってございます。
また、価格につきましても、私どもがスーパー等で見ておるものにつきましては、例えば三千円台の前半ぐらいで販売されているというような事例もございますので、そういったものでの価格の低下の効果というのはあるかと考えてございます。
○斉木委員 いやいや、特売をよく探されたと思いますけれども。そういう値段があるからと、総務省の価格小売統計の四千五百五十七円を無視しちゃいけないと思いますよ。現実から目を背けちゃいけないと思います。お米券とか、お答えになっていないじゃないですか。
これから流通されるものとおっしゃいますけれども、私は逆に危惧を持っているんですよ。今回の、今も行っている入札も全て買戻し条件付売渡しですよね。二十一万トン出しました、でも、いずれかは、この備蓄米は政府がもう一回買い戻します、市場から吸収しますとおっしゃっているじゃないですか。そうしたら流通量は減るじゃないですか。流通量が減ったら価格は上がりますよね。違いますか。
○山口政府参考人 私ども、今回の売渡しに際しまして買戻しという条件はつけてございますけれども、こちらにつきましては、原則一年と言いつつも、これは需給の状況を見て買戻しをするということはこれまでも国会でも答弁をさせていただいておりますし、業界にも説明をしているところでございます。
したがいまして、例えば今のような価格の状況のときに買戻しをするということはないものというふうに考えてございます。
○斉木委員 それは当然ですよ。二倍ですから、対前年比で。二倍のものを今買い戻したら三倍、四倍になっちゃいますので。それは当たり前です。そんなあおりはしてほしくないです。
ただ、皆さん、市場関係者は分かっているわけじゃないですか。政府は、二十一万トン、今回十万トン、三十一万トンを出すけれども、これは全部、将来、農林水産省が吸収するんだ、市場から。そうしたら、株価だってそうじゃないですか。将来減少します、株式をまた吸収しますと言ったら高くなりますよ。まさにこれが需要と供給じゃないですか。
価格形成に対して、そういった買戻し条件付ということが、米市場関係者がどうせ将来政府が吸収してくれるんだから、高くなるから、投機をあおるようなインセンティブになりませんか。
○山口政府参考人 お答えいたします。
需給の面で申しますと、米は一年一作ということで、毎年秋に収穫が行われます。そちらで、この七年産の作付の状況というのを、我々も意向の調査等行ってございます。
一月末の段階では、主食用米については二・三万ヘクタール増加するというような意向が示されておりまして、また、産地から各種聞き取りを行っております中では、更に増えていくというような傾向が今見られるところでございますので、一方でそういった供給の増という面もあるということを私どもとしては承知しているところでございます。
○斉木委員 やはりお答えにならないですね。お米券とか何か違うプランがあるんですか、お答えにならない。買戻し条件付が逆に価格高騰をあおるんじゃないか、お答えにならない。これだと、本当に、消費者としては、政府は当てにならないねという声に、ノープランだねと。
私が冒頭申し上げたように、農家の利益は守らなきゃいけない。でも、農家の利益も消費者の利益も守らなきゃいけない。これが政治じゃないですか。全く今消費者が置き去りになっているんですよ。
だから、まさに消費税込みの価格じゃないですか、この総務省の統計だって。書いてありますよ、五キロ、包装、消費税込み。この消費税込みの部分をゼロにする。そうすれば八%強制値下げですから。これしかないなというのを、私も今確信を深めたといいますか、論拠を得たなというふうに思っております。
そして、政府の方も、例えば三万円―五万円の現金給付をしたらどうか、参議院選挙も近いしみたいな声も聞こえておりました。今の物価高騰対策として、減税がいいのか現金給付がいいのか。
武藤大臣、我々は景気をよくする必要があるじゃないですか、経済産業委員会ですから。消費も刺激していかなければいけない。消費者には、なるべくお金を使っていただいて、食品も物も買っていただきたい。そういう状況をつくるのが我々の使命です。
そういうことからいいますと、実は政府も、消費減税の方が効果は高いということを、レポートを出しているんです。
これは令和五年八月の内閣府のレポートなんですが、これは何を扱ったかといいますと、コロナの十万円給付金がどれだけ、「特別定額給付金が家計消費に与えた影響」というレポートを出しておりまして、これを見ますと、十万円のうち何%が消費に回ったかという数字は二二%であったということを、家計簿アプリデータを追跡することによって、内閣府、政府が政策効果を検証しております。残りの七八%分は超過貯蓄として蓄積されたと考えられる。要するに、消費者の手元に、貯金に回ってしまったということなんですよ。
要するに、消費減税というものは消費しなきゃメリットがないじゃないですか。所得税の定額減税は、三万円、五万円引かれて入ってくるし、貯蓄できます。消費しなくてもメリットがある。そして、コロナの十万円給付金、今回政府が考えていた三万円から五万円の現金給付、これももらって貯蓄しておけばメリットが受けられる。要するに、受け取ればいいだけです、現金を。でも、消費減税というのは使わなかったら何にもメリットがないんですよ。
だからこそ、消費減税というものが消費刺激効果もある、経済を活性化させたいのであれば、消費することを奨励する食品消費減税をまず打っていくこと、この方が私は効果が高いと思うんですが、まず、財務省の見解はいかがですか。
○田原政府参考人 お答えいたします。
繰り返しになって恐縮でございますが、我が国の消費税は社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられておりまして、食料品を含め、その税率を引き下げることは適当でないと考えております。
その上で、一般論として申し上げさせていただきますと、食料品等の生活必需品、こちらは需要の価格弾力性が低いと考えられます。食料品に対する消費税率を変更することによる経済への影響につきましては、そうした点も踏まえる必要があると考えております。
○斉木委員 財務省の官僚の方なので、減税による景気刺激効果は否定するしかないという答弁でしたけれども、経済担当大臣として、武藤大臣、いかがですか。ミニストリー・オブ・エコノミー・トレード・アンド・インダストリーの、METIの長官じゃないですか。エコノミーですよ、まさに経済の担当大臣ですよね、武藤大臣。
だったらお答えいただきたいんですけれども、今、石破内閣でも検討されていた三万円から五万円の給付、そして、コロナのときには二二%しか給付は消費に回らなかった、政府が認めているんです、七八%は貯蓄されたんです。そういった配り方がいいのか、それとも、経済担当大臣として、消費を刺激するような食品消費減税という形がいいのか。減税か給付、どちらが経済を刺激すると思いますか。
○武藤国務大臣 今財務省の方からお答えありましたから、政府の考え方は私も承知をしているところであります。
食料、軽減、御党が今提案をしているのは承知していますけれども、私としては、委員からすると経済産業という立場でお答えをいただきたいんだと思いますけれども、正直申し上げて、今消費税の減税というよりは、我々としては、いわゆる新しい成長の資源としての経済の好循環というものを目指したいということで今全力を挙げてやっているわけですから、そういう意味でも、所管外のことについてもお答えを差し控えた方がいいのかなというふうに思います。
○斉木委員 所管外とおっしゃいますけれども、じゃ、誰に聞いたらいいのかなと。
逆に教えていただきたいなと思います。石破総理大臣以外に、減税か給付か、どちらが景気刺激効果があるか。大臣、この御質問はどなたに聞けばよろしいですか、石破内閣で。お答えいただけますか。
○武藤国務大臣 想定すると、経済再生担当大臣だというふうに思います。
○斉木委員 トランプさんも消費税も、全部赤澤さんというような。私、今ちょっとがくっときましたね。経済産業大臣じゃないですか。英訳すれば、ミニストリー・オブ・エコノミー・トレード・アンド・インダストリーですよ。エコノミーの担当大臣じゃないですか。
まさにこれは物価高騰対策の肝だと思うんですよ。物価高騰を抑えつつ、なおかつ消費者に財布のひもを緩めていただいて使っていただく。これがまさにおっしゃっている経済の好循環じゃないですか。消費されなきゃ好循環なんて起きないんですよ。
だから、おっしゃるとおりと言うならそういうのをおっしゃっていただきたいんですけれども、じゃ、もう一度、更問いしますけれども、そういった消費を促すような政策、今冷え切っている日本のマーケットに必要だと思いませんか。
○武藤国務大臣 ですから、価格転嫁を大企業に促したり、とにかく、いずれにしても賃金を、地方、中小企業も含めてこれを出していかなきゃいけないということが大変大事だというふうに思っています。
だから、そういうふうにしておきます。私の所管ではそう思っています。
○斉木委員 るる、今日も冒頭からいろいろ御議論させていただきましたけれども、いまだに出てこないですね。
米価対策、誰が価格を上昇、今ウナギ登りですよ、総務省のグラフを見ても。こんなグラフは見たことがありません。滝登りとかウナギ登りとしか言いようがないんですけれども、昨年の対前年比で二倍になるという異常な価格高騰、これじゃ、やはり主食は食べられませんよ。
エンゲル係数もどんどん高くなっているじゃないですか。ということは、家計に余裕がないから消費する余裕がない。家計の負担は減らさなきゃ財布のひもは緩まないし、消費は伸びません。だから、ここのところを刺激するのであれば、私はひとしく減税をした方がいいんじゃないのかなと。食品消費減税というのは、実は格差解消にもつながっているんですね。低所得の方の世帯ほどエンゲル係数が高い、家計に占める食品消費支出は高いというデータがございます。
ですので、国民一律に十万円をまくなんというのは、緊急時は許されても、はっきり言って、これは高所得者ももらうのかという批判も起きるじゃないですか。やはり、低所得の方だって高所得の方だって、生きるためには食べなきゃいけない。低所得の方ほど家計に占める食費の割合というのは高いんです。そこが減税されるということは、まさに格差是正、税の再分配機能、消費者、より低所得の方が恩恵を受けるようにという目くばせもできるわけですよ。
こういったバランスの取れた政策、そして消費刺激策、こういうものを今政府として打ち出すことが支持率の上昇にもつながると思うんですけれども、今日、冒頭からお伺い、農水省の方も財務省の方も来ていただきましたけれども、刺激しようとかお米券を配るんですかとか聞いても全くお答えにならない。要するにノープランなんですね。
これだと、本当に、誰が今ウナギ登りになっている米価格に歯止めをかけてくれるのか。今日も、歯止め役がいないというのが、しかも、農水省は、出したものは全部買い戻すと言っていますから、これは非常に、ストッパーがいないなと。
ストッパーがいないのであれば、中間コミッションであるタクセーション、消費税課税八%、ここの部分をまず差っ引くことによって強制的に三千円台の五キロ価格というのを実現するしかないのではないか、こういった所感を持ちました。
そして、今後も是非、食品消費減税に関しては党としても申入れをしておりますので、石破総理も検討されているんですかね。何か、マスコミだと、参院選前には、ちょっと色気を見せているというようなことを、参議院の自民党の方には官邸で答えたやに報道されておりますけれども、今検討されていますか、石破内閣では。どうですか、大臣。お聞きになったことはありますか。
○宮崎委員長 武藤経済産業大臣、申合せの時間が過ぎていますので。
○武藤国務大臣 私は聞いていません。
○宮崎委員長 斉木君、まとめてください。
○斉木委員 分かりました。
今後、是非、支持率向上のためにも私はやった方がいいということを御提案申し上げて、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時十二分休憩
――――◇―――――
午後一時一分開議
○宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。岡野純子君。
○岡野委員 国民民主党の岡野純子でございます。
本日も質問の機会をありがとうございます。
本日は、女性特有の健康課題とその経済損失について伺ってまいりたいと思います。
今日、これをテーマにするに至りました経緯として、まずは、私が政治の世界に入ることになったきっかけを、お耳汚しですが、お聞きいただきたいんです。
私は今高校二年生の娘がおりますが、彼女が一歳だったときに、私のママ友、同じ境遇のママ友が離婚をしまして、すると、そのときに携わっていた会社のプロジェクトから降ろされたと私の前で泣いておりました。
いわく、私は選挙区は浦安なんですけれども、埋め立てた町ですので、選挙区の八五%が核家族という状況で、子供に何かあったときに大事な仕事に穴を空ける人材は必要ないというふうに上司に言われたと言って泣いておりまして、確かに、核家族ですから、一義的に親が見る、何かあったときには祖父母が見るということができなくて、病気の子供を友達に預けるわけにもいかないし、確かに上司の言うとおりなんだよねというふうに泣いている友人を見て、私は、共に泣いてあげるという選択肢もあったのかもしれませんけれども、だったら、次のセーフティーネットは、行政が見るべきなんじゃないかと思って調べました。当時、浦安市には病児保育というものがなかったので、じゃ、私にできるかどうか分からないけれども、一緒には泣かないで、半年後に市議選があるから、それに出て市議会議員になって、できるか分からないけれども病児保育をつくるよということを言って手を挙げたというのが私が初めて出馬をした経緯でありました。
その後、年に一回、市議会の現場でそのことを訴えておりまして、すると、最初は、子供が病気なのに、それを置いて働きに行けることを推進するなんて、おまえの血は何色だというようなことを言わんがばかりの、蹴られ、笑われという感じだったんですけれども。いや、そうじゃないんだということを伝えるために、アンケートを取ってみたりとか、当事者のお母さんを連れて市長室に直談判に行ったりとか、そういうことを繰り返して。
年に一回やって、四年目、四たび伺いますと言って聞いたときに、当時、市長は七十歳の男性だったんですけれども、私はこれまで病気の子供は一義的には親が面倒を見るべきだと思っていました、まで言われて、またかと思ったら、ですが、という答弁になりまして、この間、当事者の声を聞いていて自分の価値観が大きく変わって、これも行政の責務だということで、順天堂大学病院というのがあるんですけれども、そこの中につくります、そういう答弁が出まして。本当に膝から崩れ落ちるような思いをしたというか、ここにいらっしゃる先生方は皆さんそうですが、自分がこうだと思ったものが、社会の課題が解決していくというのは、この仕事の一番大きな醍醐味を感じる瞬間ですから、本当にやりがいを感じた経験であります。
そのときに思ったのが、当事者の声、すなわち、市長はそういう困っている声が行政課題とは思っていなかったというところを変えることができたということでしたから。つまりは、女性支援は、別に女性じゃないとできないわけではなくて、想像力とリサーチ力を発揮すれば誰でもできるのかもしれませんけれども、自分が当事者であったりとか、目の前で泣いた人を見たりとか、その渦中にいる人間というのは、言葉に力が生まれたり、政策に血が通うといいますか、やることのモチベーションの維持にもつながると思います。ですので、私が女性議員としてこの世界にいる限りは、私に近い属性の人の声を伝えていくのは私の責務なのかなというような思いで、これまでもそのように政治に取り組んできた次第であります。
当時は、病児保育、産前産後に関心があったんですが、それから月日が流れまして、私は今は更年期に興味があるんです。それで、今日は、女性特有の健康課題が経済的にも損失を与えているということで、このことを時間いっぱい聞いてまいりたいなと考えております。
まず、経済産業省から、女性特有の健康課題、すなわち、生理痛とか更年期障害、不妊治療などによる労働生産性の低下、欠勤、退職、キャリア中断、こういったものが含まれているんですが、それらの経済損失の試算が行われました。これが私が思っていた想像をはるかに上回る金額でしたので、まずは、ずばりその金額を御答弁いただきたいと思います。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
女性特有の健康課題は職場における業務効率や就業継続に大きな影響を与え得ることから、性差に配慮した健康経営の取組を促進することは大変重要だと考えております。
そこで、昨年二月に、女性特有の健康課題に起因する労働損失等の経済損失額を試算したところ、年間三・四兆円に上ると算出されました。中でも、離職につながりやすい更年期症状における経済損失額は年間一・九兆円ということでありまして、全体の半分以上を占めております。
○岡野委員 ありがとうございます。
三・四兆です。更年期障害で一・九兆円。よく漫画やドラマで、いらいらしている女性に男性が、お、更年期かと言うシーンがあったりしますけれども、そんな茶化している場合じゃない、一・九兆円の経済損失を我が国に与えている、そういう内容でありまして、これはしっかりと対策と支援をやっていくべきだと思わされる答弁でありました。
今、少子高齢化と労働力人口の減少が進む中で、女性が働きやすい環境整備というのは日本の経済成長に直結する課題だと私は思っています。
御承知のとおり、日本のWEFのジェンダーギャップ指数が低いことは度々伝えられておりますけれども、直近では百四十六か国中百十八位。教育と健康の分野では高いポイントをちゃんと維持できているんですけれども、政治と経済の分野で押し下げているという現状があり、とりわけ経済は百二十位と最も低く、これは経済面だけではなくて国際的な評価ですとか信頼を向上させるためにも支えていくべき内容かなというふうに感じております。
では、この三・四兆円という試算ですけれども、具体的な算出方法を挙げていただきたいと思います。
○南政府参考人 お答え申し上げます。
算出方法につきましては、規模が大きく、経済損失が短期で発生するため、職場の対応で改善が見込める項目として、月経随伴症、更年期症状、婦人科がん、不妊治療の四項目を抽出しました。
そして、それぞれ四項目について、何らかの症状があるにもかかわらず対策を取っていない層の人数、欠勤やパフォーマンスが低下する従業員の割合や離職率、こういったものと平均賃金を掛け合わせて算出したものであります。
こうした経済損失を縮減すべく、経済産業省としては、職域における性差に配慮した取組に対する支援をより一層推進することで、各企業が健康経営の質を高め、従業員の健康により戦略的に投資することを促し、社会全体の活力向上につなげてまいりたいと思っております。
○岡野委員 活力向上につなげていきたいというふうな御答弁でしたが、では、どういう支援ができるのかというところで、これは、悩んでいらっしゃる当事者に向けてと、それを支える企業に向けて、それぞれの支援が考えられると思います。
まずは当事者向けの支援の在り方から考えていきたいと思います。
調査によりますと、当事者が求めている声として挙げられるのは、まずは職場での理解、それから、女性の健康課題を理由にした休暇の使いやすさ、そして、休んだときの収入保障、ほかにもありましたが、これらが多かったのかなというふうに感じております。
これら全て行政が何とかするものかというと、そうではなく、雇用関係の中で整えていくような話も多いんだろうとは思うんですが、ただ、行政としてできる支援があるなら積極的にと思いますが、今挙げたような当事者の声に対してでき得る支援はどういうものがあるか、伺います。
○大隈政府参考人 お答えいたします。
厚生労働省におきましては、企業や働く女性等に対しまして、母性健康管理や女性の健康課題に関する情報を提供する、働く女性の心とからだの応援サイトなどによりまして情報提供を行い、好事例の横展開を図ることで、委員御指摘のような課題に対応する取組を促進しているところでございます。
例えば、月経や更年期、健診や不妊治療など女性の健康課題に関して多目的に使える休暇制度を設けることによって休暇を取得しやすい環境をつくっている事例、また、生理休暇や更年期症状による体調不良のための休暇を有給としている事例、男性社員を含めた全社員を対象に女性の健康課題に関する研修を実施することで、職場における理解を促進している事例などを情報提供しているところでございます。
引き続き、女性の健康課題についての取組を後押しすることで、誰もが安心して働くことのできる職場環境づくりを進めてまいります。
○岡野委員 私の伝え方がまずかったのかもしれませんが、企業向けにできることと当事者向けにできることがあると思いますが、今の内容は企業に対してされることかなと感じたんですけれども、当事者に向けてということへの御答弁でその内容でしたか。
○大隈政府参考人 お答えいたします。
今、最初にお答えしました働く女性の心とからだの応援サイトなどは、働く女性本人に対しても訴求するものですので、企業、当事者御本人、それぞれに対して情報提供を行うという形でございます。
○岡野委員 ありがとうございます。
個人というより企業が変わることの方が手っ取り早いとは思いますけれども、分かりました。
では、企業に対してどういったことができるのかということを伺っていきます。
調査によりますと、働く女性の七割が、勤務先が女性の健康や体に関する十分な支援をしていないと感じているとのことです。また、会社の方も、調査の結果、三割が、やる気はあっても、何をしていいのか分からないと回答しているとのことであります。
そういった、やる気はあるんだけれども、何からやればいいのか分からないという企業に、取り組むべき対策を伝えていくのは大切な役割だと考えますが、この点、どのように働きかけていらっしゃるのか、伺います。
○大隈政府参考人 お答えいたします。
企業における取組につきましては、一つには、先ほども御答弁申し上げたとおり、働く女性の心とからだの応援サイトなどにおいて、企業の好事例の横展開を図っているところでございます。
これに加えまして、今通常国会に提出しております女性活躍推進法の改正法案におきまして、女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の健康上の特性に留意して行われなければならない旨を法の基本原則として規定することとしております。
また、昨年十二月の労働政策審議会の建議におきましては、事業主行動計画策定指針を改正し、企業が女性活躍推進法に基づき一般事業主行動計画を策定する際に女性の健康支援に資する取組を盛り込むことを促すことが適当とされております。
仮に改正法案が成立いたしましたら、この審議会の建議の内容を踏まえまして、女性の健康課題に係る取組例を示すなど、事業主行動計画策定指針の改正について検討を進めてまいりたいと考えております。
○岡野委員 ありがとうございます。
行動計画の策定指針にそういった内容を盛り込んでいく方針だということです。どういったことを盛り込んでいくのか、ここでピントがずれていると元も子もありませんので、是非ともちゃんと実のある内容となるように、細かく具体的に例を挙げてお伝えいただければなというふうに感じました。ありがとうございます。
では、日本のフェムテックの分野において先進事例はどういったものがあるのかという話に進んでまいります。
経済産業省は、令和三年から、フェムテック振興施策としてフェムテック等サポートサービス実証事業を行っていらっしゃいます。資料を拝見いたしますと、これまで約七十の企業ですとか自治体等の団体が活用したとあります。恐らく、中には目からうろこな取組もあるのかと思いますので、目立ったものを御紹介いただければと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のフェムテック等サポートサービス実証事業でございますけれども、事業開始以降、四年間で合計七十件の事業を採択しているところでございます。
そのうちの先進的な事例といたしましては、企業や自治体等におきまして、生理痛につきまして、疑似的に生理痛を体験し、理解や共感を深める機会を提供する、そういうような取組ですとか、また、別の事例では、SNSのメッセージ機能を使って、男女共に妊活、不妊治療の悩みを専門家に気軽に相談できるサポートサービスの提供等に取り組んでいるところでございます。
引き続き、こうした好事例の周知を通じて、企業等における女性の健康課題解決の取組を促してまいりたいというふうに考えてございます。
○岡野委員 ありがとうございます。
この質問をするに当たっての問取りのときに、どんなのがあるんですかと聞いたときに、生理痛の痛みを男性に疑似的に味わわせるというのがあるんだという話を聞いて、似たようなのでいうと、産前のお父さん、お母さんが行く自治体の講習で赤ちゃんの重さのベストを背負わすみたいなものがよくあって、大体八キロぐらいのベストを背負う。でも、一瞬なので、男性からすれば、大したことないなみたいなことになることが多くて、女性の体でこれが十か月なんだと考えたら、かえって、体験することで、何だそんなものかとなるような気もして、私がベストを背負うというのは若干懐疑的だという話をしたら、いや、生理痛の疑似的痛みはかなり痛いらしいですという話も聞きました。それでも、続く人はそれが一週間続くということで、なるべくでも共感をしていただけるツールとしてはいいのかなというふうに感じました。日本でのそういった状況を伺いました。
では、海外ではどういった状況なのかというところを見てみますと、近年この分野はさすがに様々取組が進んでおりまして、女性の健康投資イコール労働力の維持、生産性向上と明言している国も多く見られました。とりわけアメリカが非常に顕著でして、フェムテック市場にビジネスチャンスを見出しておりまして、スタートアップ企業も極めて活発に増えてきています。
多くの一般企業が、不妊治療の支援とか卵子、卵巣の凍結費用の補助とか、そういったフェムテック福利厚生というものを導入していて、フェムテック市場は二〇三〇年までに五兆円規模に成長するというふうに予想されています。
この話、冒頭は、健康課題によって経済損失だというふうな話からスタートしていますけれども、ここを逆に新たな経済成長の柱としているという、ピンチをチャンスにというような視点を持って戦略的に取り組んでいる、そういう例も海外ではよく見られますので、日本もそれに倣って、そういった企業の後押しはしっかり進めてもらえたらなというふうに感じました。
また、それとはまた違った視点なんですが、北欧諸国から学べることは、国全体の社会文化も随分学べるものがあるなと思いました。つまりは、今私が例に挙げている生理痛とか更年期障害というのを病気ではなくて自然な健康課題なんだと捉える、そういった教育を幼児期のうちから行って価値観を培う、そういう社会、文化がそもそもあって、だからこそ職場で理解も配慮も並行してやっていくことが備わっていて、その結果、女性の労働継続率が高くて、男女の賃金格差が低いというような、そういう例もあります。御承知のとおり、北欧諸国は軒並みジェンダーギャップ指数が高くて、上位の常連国ということも御承知のとおりだと思います。
そこで伺いたいのが、日本において、今日これが一番難しいと思っているんですけれども、こういった課題への理解醸成は、とても重要だけれども難しいことだなというふうに感じているところです。
今日、この質問の冒頭で、私は十五年前に娘が一歳のときに地方議員デビューしましたという話をしたんですけれども、その頃に私が取り上げたテーマの一個で、公共施設への授乳室の設置というものを取り上げたことがあります。
というのも、当時、十五年前は、まだ公共施設に授乳室が全然なくて、でも、行政は、産後うつを防ぐために赤ちゃんを連れて外に出ましょうねみたいなチラシを配るわけです。そういうチラシを配るんだけれども、出た先に授乳室がない。言っていることとやっていることに矛盾があるんじゃないかというようなことを伝えたわけなんです。
私がそれを市議会の現場で訴えるときに、当時私は一歳の赤ちゃんと四六時中ずっと一緒におりましたから、赤ちゃんに授乳の話をするときに、語りかけるのに授乳なんという言葉は使わないですね。おっぱいの時間ですよ、おっぱいを飲みましょうねというふうに言っていたので、当時の私は、そのおっぱいという言葉に当然性的な意味合いは一切持たないまま、その言葉を自然と使ったんです。そうすると、市議会の議場でそんな言葉が使われたことはなかったので、市議会が当局側も議員側も色めき立って、おじ様議員が喜んじゃって、ざわざわしたんです。
私はそんな展開になるとは思っていなかったので、とても恥ずかしいなと思ったんですけれども、でも、こんな単語一つごときでざわざわしているようでは日本はいかぬなというふうにも同時に思いまして、恥ずかしかったですけれども、でも、そんなことを言っていては何も変わらないからと思って、結局、恥ずかしがらずに訴え続けることで、結果、今、浦安市の公共施設は全てのところに授乳室があるわけですから、こうやってやっていくのが自分の仕事だなと感じておりますので、今日、私も生理、生理と言うのは若干抵抗があります。ただ、これを言うことは必要なのかなと思っている次第です。
御承知のとおり、かつて、生理、月経というものは忌み嫌われるものでありまして、忌み小屋という言葉を御存じでしょうか。かつては、生理中の女性はその小屋に隔離されたような時代も、平安時代から、地域によっては割と近代までそれが続いています。そういった歴史が日本にはあります。
明治政府が、今より産穢はばかり及ばず候事という法令を発布しておりまして、つまりは、それまで月経禁忌の扱いだった、一緒に過ごさない、隔離する、あるいは台所に入れないということをしてはいけない、汚れの扱いを公に廃しようとしたのがまだ明治の頃の話でありまして。そう考えると、いまだに、そういう話は女性の秘密のものにしておいてくれというか、恥ずかしいし、どう触れていいか分からないから女だけで解決してくれというような文化が残っているのは仕方がないのかな、私の父や夫はまさにそういうタイプですので、まだまだそういう感覚が残っているのも仕方がないかなと思っているんですけれども、そうはいっても、社会の半数を占めるのは男性ですから、男性の理解と協力を得られないと変わっていかないだろうなとも思っています。
一方で、理解したくても、多くの男性は、理解するための情報を得られていない、得る機会が乏しいということも考えられます。ジェンダーギャップ指数十四年間世界一のアイスランドを参考にしてみますと、学校教育の中において月経ですとか女性の体に関する知識を正しく教える性教育カリキュラムが整備されておりまして、偏見ですとかタブー視、そういったものを避ける教育環境が育まれております。日本も、かつて保健体育の授業を男女隔てていた時代よりはもちろん前進しているんですけれども、更に加速度的に教育における理解促進を進めるべきだと考えます。まずは、その点を文科省に。
それからもう一点は、調査の中では、四割の女性が、職場の誰でもが更年期症状や対処法について理解できる研修を望んでいる一方で、今の価値観の中で、職場の人には知られたくない、自分一人の問題にしておきたいという女性も一割いるというのが現状であります。
この恥ずかしい、隠すべきだというような感情にも十分配慮をしながら企業研修も一方では進めていくべきと考えますが、この点の考えは厚労省に伺いたいと思います。
○日向政府参考人 学校教育についてお答えいたします。
学校教育におきましては、全ての児童生徒が月経、射精、妊娠、出産など男女の体の変化や健康課題について学ぶことは、互いの身体面、精神面の違いを理解し、尊重する上で重要であると考えています。
各学校においては、男女共に、学習指導要領に基づき、児童生徒の発達段階を踏まえ、女性の健康課題に関する内容について指導が行われているところであり、文部科学省としては、各学校における指導の充実が図られるよう、引き続き取り組んでまいります。
○大隈政府参考人 お答えいたします。
企業での理解促進についてですけれども、委員御指摘のとおり、企業での研修などを通じまして職場における女性の健康課題への理解を促進していくことは重要であると考えております。
このため、働く女性の心とからだの応援サイトにおきまして、女性の健康課題に関する事業主向けの研修用の教材や動画の配信を行うなどの支援を行っております。また、企業の取組の好事例として、男性社員を含めた全社員を対象に女性の健康課題に関する研修を実施することで、職場における理解を促進している事例なども紹介しているところでございます。
それぞれの職場での労働者の意向なども踏まえつつ取り組むことが必要だと思いますが、引き続き職場における理解促進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
○岡野委員 今、最後におっしゃったように、それぞれの職場での状況を見ながらというところが大切で、ごりごり押していくわけではなくて、徐々に徐々に、気長にやっていくことが必要かなというふうに感じました。ありがとうございます。
では、今日の最後の質問としまして、薬の話をしたいと思います。ミレーナという薬の取扱いについてです。
これは余り聞き慣れないものだと思いますので若干説明いたしますと、これは、三センチくらいの、T字の柔らかいプラスチックでできた器具でありまして、それを子宮の中に装着いたします。入れっ放しです。そこからレボノルゲストレルという名前の女性ホルモンがずっと常時出るというもので、有効期限は五年間ありまして、その間、避妊の効果が一〇〇%近く、九九・九八%ぐらいだったと思うんですけれども、というもので、元々避妊目的で作られたものであります。ちなみに、様々ある避妊器具の中では最も精度が高いものとされています。
そういった目的で、二〇〇七年から日本では自由診療が始まっているんですけれども、目的が避妊だったとはいえ、日常生活に支障を来すほどの痛みがある月経困難症ですとか、経血過多、血の量が異常に多い過多月経にも大きく効果があるということで、そうした症状の患者さんにのみ限定的に二〇一四年から保険適用されているというのが今の日本の現状であります。
実は私もこれを装着しておりまして、恥ずかしがらずに言いますけれども、私はこれを使ったことで人生が変わりました。というのが、私も月に一日ぐらいは何も仕事も手につかないような、使い物にならない日が一日あるような感じだったんですけれども、それが、三十日どこを切り取ってもいつも調子がいいというのは本当に夢のようなことでありまして、男性の皆さんにも是非想像してもらいたいんですけれども、本当に、いつ来るのか、自分の大事な仕事が、大事なイベントがそこに当たったらどうしよう、そういうちょっとした悩みもなくなって、いつも同じ体調というのはこんなに幸せなのかというふうに感じているところであります。
今は、それが限界を超えている人、十段階あったら十を超えたら初めて保険適用という状況ですけれども、そうではなくて、大半の女性は、痛みの幅というのはグラデーションがありますけれども、多くの方が感じている、定期的に来る生理による痛みを強いられているわけですから、それは、限界を超えて初めて保険適用なんじゃなくて、広く生理痛というもの一般に保険適用されて、望む人であればいかなる痛みの程度であっても平時と同じ生活ができるようにするべきではないか。これは議論の余地があるのではないかなというふうに私は思っています。
十を超えるんじゃなくて、七とか八とか九とか、それぐらいの痛みの人もちゃんと保険の対象にしてあげたいというところなんですが、薬事承認を行う際の判断基準としては、それが果たして医療で賄うべき範疇のものなのかどうかということと、コストとベネフィットのバランスはどうなのかというところが課題になると思うんですけれども、医療の力をもってしないとどうしようもないのであれば、多くの女性が抱えているこの課題を医療の力をもって変えてあげるというのは、これはそこへの是非というものは考えられると思います。
また、コスト面でいうと、生理で離職とか欠勤とか、そういう人が、先ほどの調査でいうとその部分が減るわけですから、就労継続にもつながります。また、生理痛の服薬も不要になりますから、そういった意味では、今の錠剤の方の薬の医療費抑制ということも考えると、コストの面でも十分に意味があるんじゃないかというふうに感じているところです。
これは、今、現行ルールのままだったら不正になってしまうようなことも実は一般的には行われていて、つまりは、痛みですとか月経量というのは自己申告ですから、言った者勝ちなところがあります。ですから、自分の中では痛みは十段階でいったら七だなと思っていても、先生にもう限界を超えているんですと言えば、医者はそこで診断するわけですね。
そうやって、結局は、自分はすごく深刻な痛みなんですということを語って、医師の診断を得て保険適用で処置をしてもらうというような、今のルールの中では不正とされる状況が、ミレーナの処置を望む女性の中では実は一般的な話になっているんですけれども、私は、それが駄目だというんじゃなくて、そんな後ろ暗さを何で感じさせなきゃいけないのかなというふうに思っていて、限界を超えるまでは我慢しろという考えの方を変えるべきなんじゃないかな、七でも八でも九でも痛みを取ってあげられるよ、日本の医療の力でというような、そういう方向に持っていけないのかなというふうに感じております。
限界の手前の痛みというか、そこに寄り添ってこそ女性活躍支援ではないか。女活法の話もさっき出ていましたけれども、女活法の一番の目的は、女性が能力を十分に発揮できる社会を目指すというところだと思うんです。であれば、体の痛みを取る、能力を発揮してもらう、そういう方向に持っていけないかなということで、保険適用の前段として、薬事承認の在り方として、痛みとか困難という言葉が指す範囲を生理痛全般にまで拡大して女性のQOLを大きく高めてはどうかと考えますが、ここへのお考えを伺います。
○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
子宮内に黄体ホルモンを持続的に放出する効果を期待しているミレーナという医薬品でございますけれども、委員御指摘のように、避妊、過多月経、月経困難症を、効能、効果として承認をされています。
産婦人科診療ガイドラインにおいて、月経困難症というのは、月経期間中に月経に随伴して起こる病的症状とされておりまして、日常生活に支障を来す場合など、医学的に介入が必要な場合の月経痛が本剤の適用対象ということになっております。
一般論で申し上げると、これは医薬品ですので、一定のリスクというものがございます。御指摘のような症状の軽い生理痛に係る効能、効果の追加を行うに当たりましては、本剤の使用におけるベネフィットが副作用等のリスクを上回るかどうかについて、薬事承認申請がされて、科学的データに基づく審査をする必要があるというふうに考えております。
御指摘のようなニーズがあるということでございますので、今後、製造販売企業から本剤に係る効能追加の承認申請がなされた場合には、提出されたデータを踏まえて適切に承認の審査を行ってまいりたいと考えております。
○岡野委員 ありがとうございます。
メーカーの方から申請があればということでしたけれども、まだまだこの薬の存在もそんなに広く知られているものではありませんので。
でも、今御答弁の中で軽い生理痛に広げるのかというような、軽いというところで反応してしまうわけなんですけれども、限界を超える手前は軽いといってもしんどいものなので、私は、これがもし保険適用になったら、それが社会へのメッセージとして、そういう手法もあるんだな、自分のQOLは自分でコントロールできるんだなということを知らせることもできるのかなと思いますので、これは今日の質問一回でどうこうという話ではないと思っておりましたので、今後も繰り返し必要性をお伝えしていきたいなというふうに思っております。
少し時間を残しましたけれども、冒頭申し上げましたとおり、私は女性議員の責務として度々こういったテーマを今後も取り上げてまいりますので、引き続きのおつき合いをどうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。御答弁ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、山口良治君。
○山口(良)委員 公明党の山口良治でございます。
本日も質問の機会をいただき、大変にありがとうございます。
昨日、産業構造審議会新機軸部会におきまして、成長投資が導く二〇四〇年の産業構造というビジョンがまとまったと承知をしております。まず冒頭に、このビジョンについて質問をさせていただきます。
二〇四〇年までに国内投資を官民合わせて二百兆円まで引き上げることで、名目GDP、現状の一・六倍、約九百七十五兆円規模まで拡大をできる、またしていくという見通しが示されました。生産性や付加価値の向上、省力化やDXの加速を通じて、人口減少下であっても、産業構造の転換を行い、経済成長を実現をしていければ、当然これは賃上げにもしっかりとつながっていきます。中長期の成長戦略、大胆な構想であり、私自身も大いに期待をしているところでございます。
一方、足下では、中小企業を中心に、人手不足、コスト高、資金調達の難しさに加えて、今回のトランプ関税によって先行きへの不安が広がる中で、投資意欲があってもなかなか一歩を踏み出せない、そういった事業者も少なくないかというふうに思います。
企業が投資判断を行う上で、これまでも示してこられたと思いますが、改めて、国としてこの分野に力を入れていくんだという政策の明確な方向性を示し、予見可能性を高めていただいた上で、投資を後押ししていく税制、金融、規制緩和など、パッケージ支援が不可欠であります。
そこで、今回のビジョンに示されました国内投資二百兆円というこの野心的な目標の実現に当たって、特に中小企業、地方の企業の皆様が取り残されることなく着実に設備投資に踏み出していくために、どのような分野に重点を置き、どのような投資促進を実現されていかれるお考えか、武藤大臣に伺います。
○武藤国務大臣 二〇四〇年度二百兆円という、まさに国内投資の野心的な官民目標の実現のためには、地方の中小企業等の取組も、政府も一歩前に出ながら後押しすることが重要であると思っております。
このため、経済産業省といたしまして、次の成長のエンジンはGXなどの社会課題解決分野だと捉え、大規模、長期、計画的に産業政策を強化しているところです。
例えば、GXにおきましては、十年間で二十兆円規模の先行投資支援と制度的措置を講じながら、百五十兆円を超える官民投資を目指しているところであります。
地方創生に資する投資も後押ししてまいります。半導体につきましては、二〇三〇年までに十兆円以上の公的支援を通じ、地域経済に波及する大型投資を後押ししてまいります。また、地方の中小企業等の人手不足対応や高付加価値化を進めるため、各業種の実態に即したいわゆる省力化投資ですとか成長投資を、一兆円を超える複数年支援によって推進していきたいと思っております。御党の御支援も引き続きいただきながら、しっかりと今後とも頑張っていきたいと思います。
積極的な産業政策を通じて、企業の予見可能性を高めること、これが極めて重要なことでもあって、国内投資を引き出していきたいと思っています。
○山口(良)委員 力強い御答弁、ありがとうございます。大臣におかれましては、是非とも、産業界、また個々の企業、投資家の皆さんが将来に希望を持って力強い投資へ踏み出せるよう、強いリーダーシップを何とぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、関連して、産業構造転換に向けて鍵を握る中小企業のDXについて今日は質問させていただきます。
中小機構の最新のDXについてのアンケート調査では、DXを検討している企業が四二%、前回と比較して一〇・八ポイント増加している一方で、取り組む予定がないと答えられた企業がいまだに三〇・九%存在をしております。特に地方の小規模事業者におきましては、IT人材の確保や初期投資の導入コスト、業務フローの見直しへの不安など、心理的な、また制度的なハードルがまだ依然として残っているというふうに思います。
公明党としましても、これまで一貫して中小企業の生産性向上への支援を政府に訴えてまいりました。特に、IT導入補助金また省力化投資補助金など予算の増額、また、より経営者の皆様が使いやすいようなカタログでの活用、企業への丁寧な周知など、事業者に寄り添った支援を進めてまいりました。
そこで、政府にお伺いいたします。
これらの補助金のこれまでの活用状況、また、この補助金を使った効果として、中小企業の皆様が、人手不足の解消、生産性向上、具体的にどのような成果につながっていると分析をされ、更なる投資拡大を図るに当たって今後どのような視点で中小企業のDX支援を進めていかれるか、お伺いをしたいと思います。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
IT導入補助金は、中小企業の生産性向上を目的に、業務の効率化やDXの推進、セキュリティー対策等に向けたITツールの導入を支援するものでありまして、令和元年度補正の予算措置以降、これまで累計二十万件以上の事業を支援しているところでございます。
支援の成果といたしましては、例えば、製造業を営む中小企業が、会計ソフトの導入で経理業務の負担を軽減して、生産性の向上につながったというような事例がございますけれども、こうした、売上げが向上したとか業務負担が軽減したといった様々な成果に関する具体的事例につきまして、IT導入補助金のホームページ上で公開をしているところでございます。
また、中小企業省力化投資補助金につきましては、これまでのカタログ注文型の支援に加えまして、今年一月から、新たに一般型として、事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイドの省力化投資への支援を開始しております。本年三月末までに合計二千二百三十五件の申請をいただくなど、支援の活用が進んでいるところでございます。
支援の成果といたしましては、例えば、カタログ注文型において、製造業の中小企業が倉庫に無人搬送車を導入いたしまして、部品の運搬業務に必要な人員が削減され、空いた人員で別の業務が可能になったというような事例も伺っております。
今後も、デジタル化や省力化のための投資の拡大に向けまして、中小企業に広くこれら補助金を活用していただけるよう、引き続き、支援を継続するとともに、運用の改善、広報活動の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
このIT導入補助金が始まってもう十年近くたちますけれども、しっかり浸透し、件数も増えてきているものの、最新のものづくり白書の中では、業務効率などの効果が大きく今出てきてはいるものの、ビジネスモデルの変革や新しい新製品の開発など、付加価値を高めていくというDXにはまだつながり切れていないという、まだその点、遅れているという調査結果も出てきております。
今部長がおっしゃられた省力化投資補助金の一般型、非常に大きな予算も取っての、使い勝手のいい、幅広いものに使える補助金となりますので、その周知、アピール、是非お願いしたいと思います。
続きまして、中小企業の現場の声をしっかりと聞いて応えていくための方法として、やはり、補助金だけではなく、事業者に寄り添ったきめ細かな、経営強化に向けたデジタル導入の伴走支援、これも重要だというふうに思います。業務効率化から、その先を見据えた新たな支援モデルの構築、これが必要だというふうに考えます。
これまで、日本の製造業におけるデジタル化は、まさに技術や財務会計など業務効率化を目的としたITツールの導入がメインでございましたが、これから、先ほど申し上げましたとおり、経営のデジタル化につながるような、付加価値向上、売上増に直結する、そうした支援を伴走型で取り組んでいくべきだと思います。
そこで、二点お伺いをいたします。
今後、中小企業のDX化を進めるためには、これまでのIT導入支援から一歩進んだ、導入、運用、経営改善、企業が自立できるまでの、先ほど大臣がおっしゃっていましたね、複数年にわたった支援が必要であると考えますが、この点、御見解をお伺いいたします。
また、地域の支援機関や自治体、大学、産業支援拠点との連携を強めていくだけではなく、民間のITコンサル、省力化ベンダーといった民間の力を活用しながら、中小企業の現場課題とのマッチング精度、これを高める必要があるというふうに思っております。地方は今、IT専門人材、非常に不足しております。地方の中小企業を支援していくために、人材の派遣強化、民間の活用、こうした面で、面的な伴走支援を積極的に行うべきと考えますが、政府の見解をお伺いいたします。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘いただいたとおり、中小企業のデジタル化を進める上では、単なるITツールの導入にとどまらず、ITツールの運用改善あるいは経営の改善につなげていくことが重要であると考えております。
このため、例えば、IT導入補助金におきましては、令和六年度補正予算から、ITツールの導入費用に加えまして、ITツールの利活用に関するノウハウの提供あるいは利用定着のためのコンサルティング費用というのも、導入後の活用支援として補助対象としているところでございます。
また、委員御指摘のとおり、デジタル化を進める上で、ITを活用できる人材が社内にいないという声もございますので、ITの専門家等が中小企業のデジタル化を伴走支援する取組というのも重要であると考えております。
このため、例えば、中小企業基盤機構におけるIT経営サポートセンターによる、IT技術の具体的な活用方法が分からない事業者への支援、あるいは、全国四十七都道府県に設置しておりますけれども、よろず支援拠点において、デジタル化やDXを含めた様々な経営課題への相談対応、あるいは、地域DXに取り組む地方公共団体を選定いたしました地域DX推進ラボや、地域金融機関等の地域の伴走役を通じた支援というのを進めております。
引き続き、こうした支援を進め、中小企業のデジタル化、DXに取り組んでまいりたいと考えております。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
私も、レクをいただきまして、経産省、中企庁の皆様の大変な御尽力で、DX推進の補助金メニュー、非常に豊富にそろってきているというふうに思いますが、様々な調査からは、導入のきっかけは、やはり、経営者の皆様の発意、自らの、積極的に先を見据えて導入しようという経営者の意識改革が大事であるということが調査結果からも出ております。経営者の皆様が自分事化していけるような支援、そのためにも啓発、支援をしっかりと行っていく。そのためには、より身近なところで、地方の自治体や支援機関が連携して一体で進めていくということも必要かというふうに思いますし、産業単位、また商店街やサプライチェーンなどの共同での連携した取組も進めていただきたいというふうに思います。
最後に、もう時間もちょっと迫ってまいりましたが、インボイスに関わる中小・小規模事業者への支援について一点お伺いしたいというふうに思います。
今回、インボイス導入を契機に、中小企業庁も、IT導入補助金のインボイス対応類型型を通してITツールの導入を進めていただきました。
IT導入補助金の採択、昨年は、五万百七十五件のうちインボイス対応型のものが三万三千四百三十八件と、全体の六六・六%を占めている。せっかくIT導入補助金を利用して会計ソフトを導入していただいたわけですから、私は、これを契機に、中小・小規模事業者の皆様が確実に労働生産性を向上させていく、経営強化にしっかりとつなげていくことが大事だというふうに思います。
そこで、お伺いいたします。
IT導入補助金、二〇二五年の事業ではIT活用の定着を促す導入後の活用支援も含まれていると承知しておりますが、インボイス対応型を利用された方々に今後どのような活用支援をしていくお考えか、お伺いいたしたいと思います。
○岡田政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘いただいたとおり、中小企業が、ITツールの導入だけにとどまらず、それを契機として、労働生産性を向上させて経営を強化していただきたいというふうに考えておりますので、IT導入補助金のインボイス類型における活用支援におきましては、ITベンダーから、例えばですけれども、ITツールの導入によって新たに得られたデータをいかに経営に生かしていくか、あるいは、ITツールの導入に伴って業務プロセス自体の変革を図る、こういったコンサルティングがなされていると伺っておりますので、こういった経費も見ることができるような形で支援をしていくということに改善をしております。
○山口(良)委員 ありがとうございます。
最後に一言だけ。
今部長がおっしゃられたように、しっかりと、導入したツールを次の売上分析、仕入れ経費の最適化支援、また資金繰りの予測改善支援、そうした経営の高度化につなげていく、どんな小さな企業でもしっかり経営改善に直結していけるような、そういう経営、財務状況の見える化が図られていけるよう御支援をお願いしたいというふうに思います。
大臣のお言葉をいただきたかったのですが、時間が参りましたので、ここで終わりにさせていただきます。
大変にありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、佐原若子君。
○佐原委員 れいわ新選組、佐原若子です。
今日は、質問の機会をありがとうございます。
まず、質問に先立ち、今、福島第一原発では、核燃料デブリの取り出しに多くの方が関わっています。政府は、この現状をしっかり把握し、現場で働く方々の命と生活の安全をしっかり守っていただきたいと思います。私たちが知らない現場で危険な任務に当たられている方々に心から敬意を表します。
では、質問させていただきます。
四月十一日の委員会で資源エネルギー庁から御説明をいただいた電気託送料金について、詳しくお尋ねします。
賠償負担金及び廃炉円滑化負担金については、託送料金を通じて広く需要家に負担を求める措置を講じているということでした。資源エネルギー庁のホームページの廃炉円滑化負担金の解説に、二〇一八年七月閣議決定のエネルギー基本計画で示されている原発依存度の低減というエネルギー政策の基本方針の下、円滑な廃炉を促すために、原子力発電所の廃炉に伴って一括して生じる費用を分割計上する費用として、電気料金の一部として需要家から受け取りますとあります。原発依存度の低減というエネルギー政策の下で負担金を消費者から受け取っているという認識で間違いありませんか。
昨年閣議決定されたエネルギー基本政策の内容は、二〇一八年のものとは変わっている点があります。消費者から今も負担金を受け取っているということは、昨年決定のエネルギー基本政策の内容と矛盾はないと認識してよろしいですか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま廃炉円滑化負担金について御質問いただいたということかと存じます。
廃炉円滑化負担金につきましては、ただいま御紹介いただきましたとおり、自由化の下で、設備の残存簿価など、廃炉に伴って一括して巨額な費用が生じることにより、事業者が廃炉の判断をちゅうちょしたり、円滑な廃炉の実施に支障を来すことがないようにするために措置されたものでございます。
自由化により競争が進展した環境下において、特段の手当てがなければ廃炉に伴って一括して巨額の費用が生じることになり、それを避ける観点から廃炉判断を先延ばしする可能性が高い、これによりまして円滑な廃炉の実施に支障を来す懸念があったと。
こうした懸念を踏まえまして、二〇一三年に、残存簿価の減損など、廃炉に伴って一括して生じる費用を分割して計上する廃炉会計制度を措置したところでございますけれども、この制度は、規制料金により費用が着実に回収されることを前提としたものでありましたので、自由化の進展に伴って、小売の規制料金が撤廃された後にはこの制度が成り立たなくなるというふうに考えられました。
一方で、自由化の下であっても廃炉費用を平準化させる必要があるということから、小売の規制料金が撤廃されることを見据え、二〇一七年に、廃炉に必要な費用を託送料金の仕組みを利用して回収する措置を講じたところでございます。
御指摘いただきましたとおり、この費用につきましては託送料金の中で回収をしていただいているということでございますけれども、自由化市場において廃炉を円滑に進めるという制度の趣旨については、この間変わったものではございません。
○佐原委員 また、賠償負担金は総額約二・四兆円、廃炉円滑化負担金は総額約五千億円ということですが、いろいろな工程が決してスムーズには進んでいない、あるいは見通し不明と言える状態ですが、この総額は今後増額することはありませんか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
賠償負担金につきましては、平成二十八年に閣議決定いたしました福島復興基本方針において、四十年間程度で約二・四兆円を回収するということを明記してございまして、これを変更することは想定してございません。
廃炉円滑化負担金の総額につきましては、先ほど御説明させていただきました制度の趣旨、すなわち、自由化の下で、設備の残存簿価など、廃炉に伴って一括して巨額な費用が生じることにより、事業者が廃炉の判断をちゅうちょしたり、円滑な廃炉の実施に支障を来すことのないようにするためという趣旨に照らしまして、制度上、増加する可能性はあるというふうに認識してございます。
○佐原委員 日本の原子力政策では、使用済燃料の全量再処理を基本方針としています。福島原発事故で溶解した核燃料や、研究炉、実験炉などの核燃料も含むのですか。含まれないのなら、それらは具体的にどう処理するのですか。現時点でのお考えを示してください。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
我が国におきましては、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減等の観点から、一貫して核燃料サイクルの推進を基本的方針としておりまして、本年二月に閣議決定されました第七次エネルギー基本計画におきましてもその旨を明記してございます。
この国の基本的方針の下で、各原子力事業者は、原子力発電所の使用済燃料について全量を再処理し、取り出されるプルトニウム等を有効利用することが基本的方針というふうに承知をしてございます。
お尋ねいただきました福島第一原子力発電所の使用済燃料等につきましてでございますけれども、これは、福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップにおきましてその取扱いを定めてありまして、具体的には、二〇三一年末までに一から六号機の使用済燃料プールからの取り出しを完了することとしてございます。取り出し後は、海水の影響や損傷等を踏まえた長期的な健全性の評価や処理に向けた検討を行い、この結果を踏まえて、将来の処理、保管方法を決定することとしてございます。
燃料デブリにつきましては、これも中長期ロードマップでもお示ししておりますとおり、福島第一原子力発電所の燃料デブリの性状分析をまず進めていく、その上で処理、処分方法を決定することとしてございます。
○清浦政府参考人 御質問のあったことに関しまして、文部科学省が所管する発電の用に供する原子炉としては、高速増殖原型炉「もんじゅ」と新型転換炉原型炉「ふげん」がございます。これらの使用済燃料については、原子力発電所の使用済燃料と同様に、全量を再処理する方針としております。
先生の御質問の中に研究炉についてもございました。発電用原子炉の使用済燃料については再処理の方針が取られているところですけれども、日本原子力研究開発機構は、発電用のみならず様々な目的を持った試験研究炉を保有しております。原子力機構が保有する使用済燃料の処理方法は、同機構におきまして、炉ごとに判断し、海外への再処理の委託又は引渡しなどを行うこととしております。
○佐原委員 日本の政策の中の全量再処理ということにこだわる余りに目的を見失っているような気がすることがございます。もう「もんじゅ」も廃炉が決まっているのではないでしょうか。この闇の中に進んでいくような全量再処理というのは、一般人としましては苦しいことではないかなとも思います。ワンススルーというのが世界的な潮流の中で、そのようなお考えに至ることはありませんか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
原子力政策を含めましてエネルギー政策の在り方につきましては、各国それぞれが置かれた状況に対応して適切な政策を取ってきているということだというふうに認識をしてございます。
その中で、我が国におきましては、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減等の観点から、一貫して核燃料サイクルの推進を基本的方針としておりまして、本年二月に閣議決定された第七次エネルギー基本計画においてもその旨を明記させていただいているところでございます。
こうした国の基本的方針の下で、各原子力事業者も、原子力発電所の使用済燃料について全量を再処理し、取り出されるプルトニウム等を有効利用することが基本的方針というふうに承知をしてございます。
○佐原委員 次に、使用済燃料の再処理技術は二〇三〇年代後半に技術確立とされています。今からだとあと十年から十五年ですが、確立できるのでしょうか。これまでの御答弁や各所での御報告を伺うと、確立に向けた努力はされていると思いますが、期限内に確立する保証はないように感じます。
四月十一日の御答弁で、再処理等拠出金の積立てにおいて、再処理工場が中止になった場合はどうするかについて、再処理工場が中止になった場合という仮定の質問には答えるのは困難ということでした。確立できる確たる保証がない段階で、確立できない可能性もあるのに、その場合はどうするかを示すことができないのは無責任だと思います。それとも、確立する保証ができる状態になったのでしょうか。あるいは、確立してもあるいはできなくても政府に責任はないというお考えでしょうか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
まず、再処理技術そのものについては、ただいま六ケ所の再処理工場、竣工に向けて最終段階でございますので、御質問の趣旨は、今、使用済みMOX燃料の再処理というものの技術開発を進めておるところでございますけれども、それがきちんと進むのかということだというふうに認識をいたした上で御答弁させていただきます。
使用済みMOX燃料につきましては、これまでの研究開発により技術的課題や解決策についての検討が進んできておりまして、国内外の研究施設、例えば、日本のJAEAの東海再処理工場、あるいはフランスのラ・アーグの再処理工場といったところで、既存の施設で試験的に再処理した実績もあることから、技術的には再処理は可能だというふうに考えてございます。
その上で、第七次エネルギー基本計画では、使用済みMOX燃料の再処理につきまして、国際連携による実証研究を含め、二〇三〇年代後半を目途に技術を確立するべく研究開発を進めるということに加えまして、その成果を六ケ所再処理工場に適用する場合を想定し、許認可の取得や実運用の検討に必要なデータの充実化を進めるという方針を示していたというところでありまして、引き続きこの方針に沿って技術開発をしっかり進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○佐原委員 当面は六ケ所再処理工場でその技術を反映したいとしていますが、仮に六ケ所再処理工場で二〇四〇年以降に事業を開始したとして、使用済みMOX燃料の処理期間、量はどの程度を想定していらっしゃいますか。
○久米政府参考人 お答え申し上げます。
使用済みMOX燃料の再処理につきましては、先ほど御紹介させていただきましたとおり、六ケ所再処理工場に適用する場合を想定して、国際連携による実証研究を含め、二〇三〇年代後半を目途に技術を確立するべく研究開発を進めているという状況でございます。
その成果を踏まえて具体的な再処理施設の在り方を検討することとなることでありますので、現時点で使用済みMOX燃料を六ケ所再処理工場で再処理するという方針を決めたということはございません。
このように、技術開発を進めている段階でありますので、現時点で使用済みMOX燃料の再処理の期間や量について予断を持ってお答えすることが困難であるということは御理解いただけますと幸いでございます。
○佐原委員 本来一九九七年に完成するはずの六ケ所再処理工場は、いまだに完成していません。その間に、施設は既に老朽化しています。二〇四〇年であれば更に老朽化は進んでいます。半世紀近くたっていることになります。
放射線量が高くて人が立入検査できないレッドセルもあります。ロボットによる記録確認で済ませて問題ないのでしょうか。さらに、使用済みMOX燃料の処理という工程も加わり、施設の健全性が維持できるのか、再処理工場が既にこんなに遅れているのに、それを維持できる能力はあるのでしょうか。
○久米政府参考人 六ケ所再処理工場につきまして、老朽化しているのではないか、あるいは、それに伴って安全性について不安はないのかという御質問を頂戴いたしました。
一般論として申し上げますと、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めない限りは原子力施設の稼働が認められることはないというのが政府の方針でございます。
その上で、六ケ所再処理工場につきましても、その竣工に当たっては、原子炉等規制法に基づく使用前事業者検査におきまして、構造や強度、機能が十分かなど設備の健全性について日本原燃が確認を行い、その結果について原子力規制委員会の確認を受けるということになるというふうに承知をしております。
また、竣工後も、設備を健全な状態に保つべく、日本原燃が設備ごとに点検計画を定めて点検するとともに、計画的に補修や設備更新を行っていくものというふうに承知をしてございます。例えばガラス溶融炉につきましては、計画的な更新を行うこととし、一系列目の更新を二〇二八年度から二〇二九年度にかけて予定しているというふうに承知をしております。
さらに、安全性を確保した安定的な長期運転のため、中長期を見据え、効率的な機器取替え技術などメンテナンス技術の高度化や、取替え用部品の確保、サプライチェーン、技術の維持などについて官民でしっかり対応を進めてまいります。
○佐原委員 お言葉ではそのようには幾らでも言えると思うんですね。
でも、これは私の私見ですが、今まで、例えばアメリカの経済的な仮想敵国は日本だと言われていました。そして、いろいろな法律の中にそういった日本の経済を衰退させるような仕組みを入れ込んできたのではないかなと思うんです。各省庁それぞれにそういった問題があるのではないか。経産省は原発という問題もそうだし、例えば財務省だと、減税あるいは消費税の廃止というのを求めていますが、そういったことが、実はいわゆる日本の経済を衰退させる一つの装置であったのではないかなと思うんです。
ですから、私たちは、そこに余りに固着することなく、呪縛されることなく、本当に国民が必要なこと、国民のためになることを考えていかなくてはいけない。自主独立。そして、言いたいこともたまには言わなければいけない。もちろん仲よくしていかなければいけないとは思うんですよ。
私、ちょっと話は違うんですけれども、東南アジアを旅行したときに、現場で働く人は現地の人が多かったんですよね。だけれども、経営者は、華僑の方、中国人の方が多かったです。そして今、日本は、例えば土地が安くなって、中国の方が買っていったそうですね。そうしたら、ほっとした、これから生活が、どうしていいか分からないときに買ってくれてありがとう、そう思っている方がたくさんいらっしゃったそうなんですよ。こうやって日本という国がどんどんどんどん売られていく、そういうことが現実に行われているのではないかなと思うんです。
そういったときに、本当に必要な法律であるのか、施策であるのか、そういったことに立ち返って、自らが呪縛を取り除いて、本当に、これから大いなる和みの心、みんなで和する心、大和の心を持った日本という国を復活させていくためには、もう一度、誰のために、どこを向いて政治をしているのかというところに、もう一回考えていかなければならない時期に来たのではないかなと思うんですよ。本当に必要なのだろうか、再処理をすることが本当によいことなのだろうか、そういったことを。
時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。尻切れトンボになりましたけれども、皆様のお仕事、いつも大変なことをされているというのは存じております。失礼な質問もしましたが、この国のために本当に考えていっていただきたいと思います。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
前回の質問で大臣の答弁がありまして、その後、万博協会は、我が党の機関紙しんぶん赤旗に万博会場での取材許可証を発行するといたしました。余りにも当然の措置だというふうに思います。同時に、一部報道では、それは取材、撮影内容を事前に提示することを条件に許可証が認められるという報道もありました。
確認しますけれども、これは、取材、撮影内容を事前に万博協会に提示をして承認を受ける必要があるんでしょうか。いかがですか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
四月十八日金曜日の質疑を受けまして、どのような対応が可能であるか博覧会協会において検討を行った結果、しんぶん赤旗等へ記者会見に出席するための一時的な入場許可証を発行することとしたものと承知しています。
その申請に当たりまして、事前に提示する取材内容等は、例えば記者会見への出席ですとか会場内の取材といった記載でよく、その中身についての御指摘の事前検閲といったようなことを行うものではない旨、これは博覧会協会から報告を受けております。
○辰巳委員 当然ですよね。そんなことをせなあかんということであれば取材できませんので。
ただ、大臣は、私とのやり取りの中で、この間、赤旗が排除されてきた理由に、特定の政治、思想、宗教等の活動目的に利用されるおそれがあるとしていたんですけれども、それは撤回するということでよろしいんでしょうか。
○武藤国務大臣 しんぶん赤旗等の取材活動というものについて、博覧会協会のメディアガイドラインに定める、特定の政治、宗教、思想等の活動目的に利用されるおそれがある事項に当たらないものと整理したと博覧会協会から報告を受けています。
○辰巳委員 そういうことで、大臣の答弁を訂正されたということなのかなというふうに思うんですね。
同時に、ちょっと経産省に確認しますけれども、メディア用AD証の発行対象者として四つ分類されております。一つが報道機関、これは記者クラブなどに登録されているところ、二つ目がフリーランス、三つ目がソーシャルメディアクリエーター、インフルエンサー等、四つ目がその他ということになるんですが、赤旗はその他に分類される、そういう整理でよろしいですか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおりでございます。
○辰巳委員 四つ目のその他に該当するんだと。そして、特定の政治、宗教云々というのは、これはもう関係ないんだという話になったわけですね。
問題は、今日取り上げたいのは、しんぶん赤旗が、通期、パーマネントのパスではなくて、一時的な、ワンデー、デーパス。一日だけの、しかも、記者会見のとき、週一回記者会見をやるんですけれども、そのときだけのパスしか認められていないということであります。なぜなんでしょうか。いかがですか。
○茂木政府参考人 お答え申し上げます。
まず、博覧会協会のメディアガイドラインにおきまして、メディア用のAD証というものを発行しているわけですが、いわゆる報道機関として日本国内で有効な記者登録がなされている報道機関、報道関係者、こちらについては、先ほど御指摘があったような通期のパスが発行されています。
一方で、いわゆる政党機関紙、先ほど申し上げたように、類型の四と先ほど委員の御指摘がありましたが、その他に分類されているわけですが、政党機関紙は先ほど申し上げた報道機関の類型には該当しないとされていることから、政党機関紙といわゆる報道機関で取扱いが異なっているというものと承知をしております。
○辰巳委員 今申し上げた事項はメディアガイドラインのどこに書いてあるか、示していただけますか。
○茂木政府参考人 メディアガイドライン上は、先ほど申し上げたとおり、一が報道機関ということになっております。その次にフリーランスが書いてありまして、その次に……(辰巳委員「いや、つまり、四。どうぞ」と呼ぶ)四類型がございまして、最後の四の類型に、その他の類型に政党機関紙は該当するというふうに整理をしておりますので、これに基づいて博覧会協会が判断をしているというふうに理解しております。
○辰巳委員 ですから、四はなぜワンデーしか認められないのか。これはどこに書いてあるのかというのを聞いているんです。
○茂木政府参考人 これは、個別にどのようなメディアパスを出すかについては、博覧会協会が個別の対応について判断をする。これは同協会の裁量の範囲というふうに考えておりまして、経産省としてコメントする立場にはございません。
○辰巳委員 要するに、恣意的にしんぶん赤旗だけは通期を出さない、パーマネントを出さないと協会が勝手にやっているということじゃないですか。
先ほどの一から四の類型。例えば二つ目のフリーランス。私が聞きましたところ、フリーランスでも様々な、要するに博覧会協会の判断でパーマネントは出すんだと言っていますよね。あとは、十万人以上の、インフルエンサー、これだってそうですわね、出し得るという話なんです。なぜ、その他の四番、ここに赤旗が当てはまる、しんぶん赤旗だけがワンデーになるのか。これはまともな答弁ができないじゃないですか。万博協会が恣意的に決めている、こういう話ですよね。おかしいじゃないですか。
大臣、今聞いていただいて、万博協会が出しているメディアのガイドラインなんですよ。言っているような話は全く書いていないですよ。つまり、万博協会の裁量でそこは決められるから勝手にやりましょうと。メディアガイドラインには、赤旗を排除する、あるいは四類型のその他のところは排除できると書いていないんですよ。メディアの申請書には、一か月未満の取材の場合はワンデーで申請しなさい、一か月以上の取材になる場合にはパーマネント、通期で申請しなさい、このことしか書かれていないんです。つまり、ワンデーにするのか、それとも通期、パーマネントにするのかというのは、その記者あるいはその会社の取材計画によるということなんです。
一か月以上やるんやったらパーマネントを出す、これが万博のメディアのガイドラインなんですよ。それを逸脱しているのが今の万博協会なんです。余りにもおかしいじゃないですか。
大臣、今のやり取りを聞いていただいて、これは全く彼らのガイドラインにも沿っていないんです。恣意的にやっているんです。万博協会の、彼ら自身の規則にのっとってやらなあかんと監督しなければならないのは経産省の大臣なんですよ。大臣、これは万博にもきちっと、パーマネント、申請があれば認めるよう、差別的な取扱いをするなとちゃんと言っていただきたい。
○武藤国務大臣 この案件については、委員とはもう、これから、今日、三度目になりますかね、四度目かな。そういう形の中で、赤旗さんの扱いについてということで、今回出ていないのはおかしいじゃないかというところで、過去の例というものを見ながら、例えば東京オリパラですとか愛知万博ですとか、そのときは出していたじゃないかというお話の中で、博覧会協会の事務局へ確認をしろということで、させていただいたところであります。
そういう意味の中で、今回、今おっしゃられた、パーマネントからデーパスにしたという話の中で、博覧会協会が行った個別の対応については、我々の方から、じゃ、これを全部パーマネントにしろとかいう指示については、同協会の裁量の範囲だというふうに私どもでは考えているところでありまして、経済産業省としてコメントする立場にはないんだとそこは思っておるところであります。
○辰巳委員 大臣、今、過去の例とあったでしょう。じゃ、経産省、ソーシャルメディア、インフルエンサー、過去はやっていたんですか。愛知万博のときにインフルエンサーはやっていたんですか。やっていないでしょう。今回からですよ、インフルエンサーというのは。
四類型で、過去の事例がやっていたからということで認めるというんだったら、あるいは認めないというんだったら、インフルエンサーをどう説明するんですか。問題はそこじゃないんです。恣意的な、彼ら自身が作っているルールにも基づかないやり方をちゃんと正せと言っているだけの話なんです。
大臣、ここはちょっともう一回聞き取りをやっていただきたい。ゴールデンウィークが明けたら、また経産委員会がありますから、聞いていただけますか。確認してください。
○武藤国務大臣 委員にこれは申し上げておきたいんですけれども、博覧会協会のメディアガイドラインにおいて、AD証の扱い、これはいわゆる報道機関として日本国内で有効な記者登録がなされている報道関係者等を発行の対象としているというふうに承知をしていると聞いているところです。ですから、これはたしか四回目になりますかね、政党機関紙というのはこの類型には該当しないということにされていることから、政党機関紙といわゆる報道機関で取扱いが異なっているものと承っているところです。
ですから、いろいろ、差別じゃないかとかいうお話もあると思いますけれども、こういう、差別とは全く考えていないところであります。
○辰巳委員 ですから、大臣、じゃ、フリーランスやインフルエンサーはどうなのかという話になるでしょうということなんですよ。パーマネントを認めているんやから。赤旗だけ認めないんやから。大臣、うなずいていますよね、やはりおかしいなという顔をしているじゃないですか、大臣。そこを。
○武藤国務大臣 愛知万博というのは私の近場でありましたから、当時、フリーランスとか、そういう扱いがあったかというところがちょっと分からないので、そこは確認しておきます。
○辰巳委員 いや、これは何回やっても時間のあれなので、もう一回やりましょう、連休が明けたら。是非、経産省も。経産省がちゃんとやらないとこれは終わりませんからね。結局、恣意的なプロパガンダの記事だけは認める、こんな話になりかねないと思いますので、これはまたやりたいというふうに思います。
今日は、昨年八月に政府が作成したジョブ型人事指針についてただしてまいります。
まず、経産省に確認しますが、このジョブ型人事とは何なのか、指針は何のために作成されたのか。簡潔にお願いします。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
新しい資本主義実現会議における議論を踏まえまして、昨年八月に、経済産業省、内閣官房、厚生労働省が連名でジョブ型人事指針を公表したところでございます。
ジョブ型人事とはということで、職務の重要性に応じた報酬の設計、年齢ではなく能力に応じた人材の抜てき、グローバル水準に合わせた処遇等を通じて、企業の価値向上ですとか競争力強化に資するもの、こういうふうに考えてございます。
個々の企業の経営戦略や歴史など、その実態が千差万別であることを踏まえ、本指針では、二十社の導入企業の事例を整理をし、自社のスタイルに合った導入方法を各社に検討してもらう際の参考にしてもらうということを目的としたものでございます。
○辰巳委員 政府が旗を振るジョブ型人事、雇用の下で、看過できない問題が起こっております。
今日、資料にもおつけしましたけれども、医療機器販売会社のオリンパスの子会社であるオリンパスマーケティングでは、二〇二三年の四月、ジョブ型、この新人事が採用されました。当初、社員向けの説明では、基本給の基にある等級は新しい人事制度の下でも原則引き継がれていくとされていたんですね。
ところが、二〇二二年の十二月、四十歳以上の全従業員に対し希望退職制度の案内がされると同時に、四十から五十代の中堅社員が呼び出されて、新人事制度での等級の引下げを内示される事案が多数発生をいたしました。ある社員は、本来の等級から二つ降格をさせられ、標準基本給が約四割も引き下げられるということになったということであります。
希望退職にも応じなかったある職員は、顧客に医療機器の使い方などを説明するデータベースを構築するカスタマーインフォメーションセンターから、運搬などを主な業務とする単純作業、こういうところを担うエリアサポーターに配置転換をされました。
降格人事がされた場合、契約上の根拠が定められ、その際の評価基準が明確かつ合理的であることが必要とされております。ところが、このオリンパスの旧人事制度の就業規則には、きちんとした降格の規定が定められておらず、新しい人事制度の移行に伴う、降格される場合の基準や手続が何ら定められていない、こういうことであります。
大臣、ジョブ型人事が降格やリストラの手段として使われているということ、これは問題じゃないですか。
○武藤国務大臣 委員御指摘の報道については承知をしているところであります。ただ、現在係争中であるということで、個別企業の事例について見解を申し上げることは差し控えさせていただきますが、一般論として、ジョブ型人事の導入、これは、人材の適材適所の活躍等を通じた企業価値の向上ですとか競争力の強化を目的としたものと認識をしているところです。
そのため、直ちに不当な解雇や降格等につながるものではなくて、本来の目的に即した適切な運用が重要だというふうに考えているところであります。
○辰巳委員 と言うんですけれども、驚いたことに、政府が作成したこのジョブ型人事指針、かなり分厚いものがあるんですけれども、ここには、他企業へのジョブ型人事を広げるために、ほか十九社とともに、このオリンパスでの取組も紹介。大臣、この中に入っているんですよね。
これは自殺未遂まで追い込まれる事態となった方もおられると聞いております。そういう人事を政府が取り上げて他企業へ広げようとするなど、私は言語道断やというふうに思うんですね。指針を書き直すか、新しいものに作り替えるか、これは是非していただきたいと思うんです。
問題はオリンパスだけではありません。グーグルでも同様の問題が起こっております。
昨年十二月の十日、これはしんぶん赤旗でも報道されたんですけれども、ソーシャルコンサルタントという、営業担当の要請に応じて製品、サービスが顧客にどう役立つかなどの分析を行って、顧客提案をサポートする非常に大事な仕事に就いていた男性は、この所属チームで世界トップの対応件数をこなしていたということであります。
ところが、年間評価で、五段階の下から二番目の低評価をつけられて、一方的にPIPの対象とされました。PIPというのはパフォーマンス・インプルーブメント・プログラムの略なんですが、つまりパフォーマンスが芳しくない社員に対する業務改善指導プログラムというものであります。課題をこなせということで幾つか出された。課題、全部改善したということなんですね、達成したということなんですが、ところが、企業側は、ソートリーダーシップ、革新的なアイデアで主導する力が欠如していると、課題とされていないようなことまで持ち出す。あるいは、解雇の理由書には分析の深さ、課題ともされていないようなことまで持ち出して、退職に追い込むということがやられてきたわけですね。
このジョブ型人事指針の中にも、このPIPを導入している企業の取組が紹介をされております。つまり、政府自身がジョブ型雇用及びPIP導入の推進役となっている。しかし、現場で起こっていることは、まさにそういうものを手段として賃下げやリストラが行われているということなんですよね。大臣、PIPもリストラを進めるための手段となっている。これはやはりおかしいんじゃないでしょうか。いかがですか。
○武藤国務大臣 先ほどジョブ型の不当な降格ですとかリストラの話もありましたし、今、PIPというもののお話もありました。
いずれにしましても、ジョブ型人事というのは、我々としては、企業価値の向上や競争力の強化に資するものと考えて始めた施策だというふうに承知をしているところです。実際に、ジョブ型人事指針に掲載されている企業において、何社かあると聞いていますけれども、経営改革と併せてジョブ型人事を導入することによって、業績の向上や改善を図れている会社もあるというふうに承知をしているところです。
また、今のPIPですけれども、こちらの方も一般的には業績に課題を抱えている社員が対象となりますけれども、挽回のチャンスを与える側面もあるというふうに認識をしているところです。
いずれにしましても、本来の目的に即した適切な運用というものが重要でありまして、不当な解雇ですとか降格等の事案があれば労働法規に従って適切に対処すべきだと認識をしているところであります。
○辰巳委員 競争力と言うけれども、こんな理不尽なことがやられていたら競争力なんか上がらないと私は思うんですよ。
外資系企業であっても日本の法令が適用されるのは当然です。ところが、今起きているのは、外資系にせよ、あるいは物言う外資系ファンドが大株主になったオリンパスの子会社にせよ、法令を踏みにじる乱暴なやり方がされているということだと思うんですね。大臣、やはり、ジョブ型人事、PIP、戸惑いもなく推進する姿勢というのは私は改めるべきだというふうに思います。
現場の労働者とつながっている日本金属情報通信労組、JMITUは、企業側は、賃金は成果、業績で決めるんだといいながら物価高騰でも賃上げしないんだ、あるいは、このジョブ型雇用などで住宅手当も家族手当もなくなってしまうなどと、現場の実態を厳しく告発をしております。
ジョブ型人事あるいはこのPIPも含めて政府が推進すべきものではないということを申し上げて、私の質問を終わりながら、連休明けにはまた万博の問題を追及していきたいというふうに思います。
以上です。
――――◇―――――
○宮崎委員長 次に、内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
これより趣旨の説明を聴取いたします。武藤国務大臣。
―――――――――――――
脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○武藤国務大臣 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
今、二〇五〇年カーボンニュートラル等の国際公約と産業競争力の強化を通じた経済成長を同時に達成するグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXの実現に向けた投資競争が世界で加速しています。我が国でも、この成長分野への企業の投資を促進することが、コストカット型経済から高い付加価値を創出する経済へ移行し、賃上げと投資が牽引する成長型経済を実現していくためにも喫緊の課題となっています。
そのため、我が国では、二年前に成立した脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律において、十年間で二十兆円規模の大胆な先行投資支援を行うとともに、炭素排出に値づけを行う成長志向型カーボンプライシングの大枠を法定化しました。このGXに関する動きを更に加速するためには、投資のための支援措置に加えて制度的措置を講ずることで、事業者が行う脱炭素投資の収益性に関し、中長期の時間軸で予見性を高める必要があります。
また、特に、産業分野の中でも多くの二酸化炭素を排出する素材産業を中心に、再生資源の利用拡大等による資源循環の強化を通じて、製品のライフサイクル全体での排出削減を進めることが重要であり、このための制度的措置を講じていく必要があります。
本法律案は、こうした観点から、成長志向型カーボンプライシングの制度の具体化及び脱炭素化に資する資源循環強化に関する措置等を講ずるものであります。
次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
まず、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の一部改正です。
第一に、現在自主的に行われている排出量取引制度を法定化し、令和八年度から排出量の規模が一定規模以上の事業者に参加義務を課します。対象事業者に対しては、業種特性や産業の国外移転リスク等を考慮した実施指針に基づき排出枠の無償割当てを行い、その過不足を脱炭素成長型経済構造移行推進機構が設置する排出枠取引市場において取引を可能とすることや、排出枠の価格の安定化のために上下限価格を設定すること等を通じて、排出削減のための取組に向けたインセンティブを高めていく措置を講ずることとします。
第二に、令和十年度から適用を開始する化石燃料賦課金の円滑かつ確実な導入のため、納付手続の法定化や国内で使用しない燃料等を念頭に置いた減額等に関する規定等の技術的事項に関する措置を講ずることとします。
第三に、昨年措置した戦略分野国内生産促進税制のうち、GX分野の物資に係る税額控除に伴う一般会計の減収補填を脱炭素成長型経済構造移行債の発行収入をもって行うことを可能とする措置を講ずることとします。
次に、資源の有効な利用の促進に関する法律の一部改正です。
第一に、脱炭素化に資する資源循環を強化するため、再生資源の利用義務を課す製品を指定し、生産量が一定規模以上の製造事業者等に対し、当該製品における再生資源の利用に関する計画の提出及び定期報告を義務づける措置を講ずることとします。
第二に、再生資源の安定確保や製品の環境負荷低減を促進するため、解体、分別が容易な設計等、製品のライフサイクルの観点から特に優れた設計を認定する制度を創設する措置を講ずることとします。
第三に、事業者による自主回収、再資源化が義務づけられている製品の回収率を高めるため、高い回収目標等を掲げて認定を受けた事業者に対し、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の特例措置を講ずることとします。
第四に、シェアリング等による製品の効率的な利用を促す、いわゆるサーキュラーエコノミーコマースを促進していくため、資源の有効利用等の観点から、サーキュラーエコノミーコマースを行う事業者が従うべき基準を設定する措置を講ずることとします。
以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。
何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
○宮崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る五月九日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十四分散会