衆議院

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第13号 令和7年5月9日(金曜日)

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令和七年五月九日(金曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 宮崎 政久君

   理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君

   理事 山下 貴司君 理事 荒井  優君

   理事 山岡 達丸君 理事 山崎  誠君

   理事 斉木 武志君 理事 丹野みどり君

      岩田 和親君    大空 幸星君

      鬼木  誠君    国光あやの君

      小池 正昭君    坂本竜太郎君

      島田 智明君    鈴木 英敬君

      関  芳弘君    世耕 弘成君

      田畑 裕明君    西村 康稔君

      細野 豪志君    松本 洋平君

      宮内 秀樹君    向山  淳君

      東  克哉君    大島  敦君

      岡田 克也君    落合 貴之君

      小山 展弘君    鈴木 岳幸君

      田嶋  要君    福森和歌子君

      吉田はるみ君    東   徹君

      空本 誠喜君    村上 智信君

      岡野 純子君    森ようすけ君

      福重 隆浩君    山口 良治君

      佐原 若子君    辰巳孝太郎君

      吉良 州司君

    …………………………………

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   武藤 容治君

   内閣府副大臣       大串 正樹君

   環境副大臣        中田  宏君

   内閣府大臣政務官     竹内 真二君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   環境大臣政務官      五十嵐 清君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室長)

   (資源エネルギー庁次長) 畠山陽二郎君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          田尻 貴裕君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            川崎  暁君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)         西村 秀隆君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          藤木 俊光君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            伊吹 英明君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官)           茂木  正君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            伊藤 禎則君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局次長)           大野  達君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     田畑 裕明君

  坂本竜太郎君     大空 幸星君

  村上 智信君     空本 誠喜君

  平岩 征樹君     森ようすけ君

同日

 辞任         補欠選任

  大空 幸星君     坂本竜太郎君

  田畑 裕明君     国光あやの君

  空本 誠喜君     村上 智信君

  森ようすけ君     平岩 征樹君

同日

 辞任         補欠選任

  国光あやの君     鬼木  誠君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

宮崎委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房GX実行推進室長兼資源エネルギー庁次長畠山陽二郎君外十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。山崎誠君。

山崎(誠)委員 おはようございます。立憲民主党の山崎誠でございます。今日も大事な質疑の時間をいただきました。ありがとうございます。

 今日は、GX推進法そして資源法ということで、環境・気候変動、地球温暖化、気候危機と言われる時代に大事な法案ということで、是非深い議論ができればと思いますので、よろしくお願いします。

 中田副大臣には、実は、横浜市会議員を私がやっておったときに横浜市長でいらっしゃいまして、ちょうど資源循環の3Rとか、あるいはみどり税の話だとか、あるいは生物多様性だとか、本当にそういう議論をさせていただきました。今日は、その延長でお話ができればと思います。非常にうれしく思う次第であります。よろしくお願いします。

 まず、今回のこのGXの推進ですけれども、その前提として、この気候変動、地球温暖化、これをどういうふうに捉えるのか、これが原点なのでありますけれども、そこからまずお話をしたいと思っております。

 二〇二三年の第六次のIPCCの評価報告書には、次のようなくだりがあります。気候変動は人間の幸福と地球の健康に対する脅威であり、全ての人々にとって住みやすく持続可能な将来を確保するための機会の窓が急速に閉ざされようとしていると、非常な危機感を示しているわけであります。

 言うまでもないのでありますけれども、夏の暑さ、四十度を超えるような大変な暑さだとか、あるいは、最近は山火事も頻発しています。これもやはり気候変動、地球温暖化の影響ではないか。あるいは、台風や大雨、洪水、また、地域によっては干ばつ。こういうことが本当に顕在化をしているということでありまして、私、この気候危機と言われるものの認識、まずここをしっかりと持たなきゃいけないんじゃないかと思います。

 というのは、例えば、今、トランプさんになりました。トランプさんは、地球温暖化なんて、あれはうそだみたいなことを言って、世界をまた別な方向に引っ張っていこうとする。それに日本が呼応してしまって、米国がそういうことを言うんだったら、じゃ、少しペースを落としてもいいんじゃないかみたいなことを考えていいのかどうかなんですよ。

 私は、先ほど申し上げた危機感をベースにすると、やはり日本は最先端のリーダーとして、この気候危機、地球温暖化に向かっていかなきゃいけないと思うのでありますけれども、環境省の立場で中田副大臣からまず御所見をいただきたいと思います。

中田副大臣 おっしゃるとおりだというふうにまずは認識をいたしております。

 気候変動に対して、日本がしっかりと世界的な役割も果たしていかなければいけないし、日本自身が、そういう意味においては、目標達成ということ、目標を定めてしっかりと歩んでいくということが重要だというふうに思います。

 ただ、アメリカということだけではなくて、日本においては、やはり、環境もしっかり守りつつ、一方では経済もしっかり回していかなければいけない、このことを両方しっかり取り組んでいくということの中で達成していかなければいけないと考えています。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 もちろん経済は大事でありますから、経済が行き詰まる、今非常に厳しい状況でありますから、特にバランスを取るというのは私も賛成でありますけれども、でも、前提はやはり地球環境。これを壊してはやはり経済も成り立たなくなりますし、そもそも、我々の命、あるいは生態系全体の命の問題だということは、やはり私は肝に銘じるべきだと思います。

 その前提で、二月に政府は、NDC、排出削減に対する貢献ということで数字を出しています。二〇一九年比で、二〇三五年に六〇%削減という数字を閣議決定をしたわけでありますけれども、この数字については、私たちは、やはり深掘りが足りないんじゃないか、もう一歩、二歩深掘りをすべきではないかということで、ずっと主張をしております。

 少なくとも、IPCCの基準でいくと、やはり、二〇一九年比というところをベースにして、この六〇%削減という数字を描こうとすると、例えば六六%削減というような目標設定が私たちはどうしても必要なんだと思っております。この点、副大臣、どうですか。

中田副大臣 我が国は、二〇五〇年のネットゼロ実現に向けて、官民が予見可能性を持って取り組んでいくということが重要でありまして、排出削減と経済成長の同時実現に向けての取組を進めるために、たゆまぬ直線的な排出削減を進めるという、そうした経路として、二〇一三年度比で二〇三五年度は六〇%減、二〇四〇年度は七三%減という新たな目標を設定をいたしたわけであります。

 この目標、そして直線的な削減経路でありますけれども、今言及をいただいたIPCCが示す一・五度目標と整合的な経路の削減率の幅、この中にしっかり収まっているわけでありまして、一・五度目標と整合的で野心的な目標だというふうに認識をいたしております。

山崎(誠)委員 今、IPCCが示すバンドの中にしっかり入っているというお話だったんですけれども、どの位置にありますか。上の方にありますか、真ん中にありますか、下の方にありますか。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 IPCCの第六次の評価報告書が示しております二〇一九年比六〇%削減ですが、これは複数の削減経路の中央値を示したものでございます。その幅があるということで、正確には、科学的な不確実性に基づいて、四九%から七七%ということで幅を持って削減率が示されている。要するに、その中に日本のNDCも入っているということでございます。

山崎(誠)委員 どこに入っているかが問題なんですよ。どの辺りにつけているんですか。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 先ほどお話しした四九%から七七%の中に入っておりますが、その中でどこかということであれば、どちらか寄りということであれば、大きく四九の方に傾いている、そういうことではないかもしれませんが、しっかりその幅の中には入っております。

山崎(誠)委員 どっちなんですか。上なんですか。上中下でどこに入っているんですか。

堀上政府参考人 なかなか、その幅ということでありますので、上中下というようなことをお示しすることはちょっとできないということでございます。

山崎(誠)委員 これは、客観的に世界は日本の基準をどう見ているのか、目標をどう見ているのか、そこを踏み違えるとおかしなことになっちゃうんです。

 これははっきり言って下の方ですよ。ぎりぎりです、バンドの中の。そうじゃないですか。

堀上政府参考人 何度も繰り返しになりますが、幅の中に入っておりまして、その中でしっかりとお示しをさせていただいておるということでございます。(発言する者あり)

山崎(誠)委員 小泉筆頭からも許してくれというお話がありましたので、これ以上詰めるのはやめますけれども、ここは大事なところなんですよ。日本の目標は、十分にリーダーシップを発揮するという意味で高い水準には私はなっていないと。

 例えば、これは前からお話ししているように、JCLP、日本気候リーダーズ・パートナーシップという、二百二十九社ですか、入っている日本の企業グループ、これから要望が出ている。これは七五%削減しなきゃ駄目なんだと言っていますよ。企業の皆さんだから自分たちの活動を縛るようなことにはなるんだけれども、そういう方々が例えば七五%という数字を出されている。これは、皆さんはこれを達成しようという決意の下で表明されている話ですから、私は軽いものではないと思うんです。

 全て、では、七〇%でも難しいと思いますけれども、私は、このぐらいの目標設定をしていくという可能性もあったんだということはやはり感じていただきたいんですよ、環境省には。その上で、この後の議論も進めたいんです。

 というのは、要は、日本の今のNDCと言われるものの水準はぎりぎりなんだ、だから、何としてもこれは死守しなきゃいけない、これを超えるようなことがあってはいけないということをやはり前提に、この後の制度の運用も考えていただかなきゃいけないんだろうというふうに思うところであります。

 こればかりやっていると終わってしまいますので次に行きますけれども、その前提で、次に排出量の取引の制度について議論を深めたいと思います。

 まず、今お話ししたのと重なるのでありますけれども、資料一そして資料二ということでお示しをしました。

 これは、CDPという、環境情報開示システムの運営をしている非営利団体が取り扱っている企業の情報です。その中で、インターナルカーボンプライシング、日本の制度がまだ立ち上がらないので、ただ、企業の開示情報として、内部的な、インターナルなカーボンプライシングをとにかく導入して国際的な評価をちゃんと請け負うということで取組が進められていて、これは東証プライム市場上場企業千二百社も含まれているということでありますけれども、実に六三%の企業がこのインターナルカーボンプライシングを導入済み又は二年以内に導入予定ということで、非常にこの制度自体は、こういう企業群にとっては必須、必要不可欠なものだということであります。

 裏面を見ていただくと、では、このインターナルカーボンプライシングでどんな価格を設定しているかというと、中央値が一万円という数字を資料ではいただいております。この一万円というのは、現時点の国内の規制による炭素価格を大幅に上回る価格で既に設定をして運用している、これはまだ内部的なお話でありますけれども、行われているということであります。要するに、海外と比して遜色のないカーボンプライシングの価格を持っていないと評価されないというのが今の国際情勢、国際的な競争環境だということだというふうに思います。

 それで、こういう企業群からお話を聞いて皆さんがおっしゃっているのは、こういう世界の動きの中で事業をしていてこういう取組をしようとしている中で、今回の政府の取組は非常に歓迎なんです、是非これは政府として、国として、ちゃんとこのカーボンプライシングの制度を動かさなきゃいけない、ただ、これが、こういうレベル感で取り組もうとしていることに対して、言葉はちょっと適切でないかもしれない、足を引っ張るようなことがあっては困ると。後押しをしてくれるような、そういう制度にならなきゃ困るんだという声なんですよ。

 武藤大臣、この認識をまずお持ちかどうか。

武藤国務大臣 インターナルカーボンプライシングの企業について御紹介をいただきまして、ありがとうございます。おっしゃるとおり、既に一部のこういう、まあ大手の会社が多いとは思いますけれども、先進的な企業で、炭素価格を社内で自主的に設定をし、脱炭素投資の意思決定の際に活用しているものと認識をしているところです。

 本法案でありますけれども、委員がおっしゃられるように、足を引っ張るというものじゃなくて、排出量取引制度、これを導入されて、これまでGXに先駆的に取り組んできた企業、先生がおっしゃられるような企業ほど、排出量が同業他社よりも少なく、余った排出枠を市場により多く売却できるということが予測されるので、これまで自主的に進められてこられたGXの取組をむしろ制度的に後押しをする、このようなことができると考えているところであります。

 また、このカーボンプライシングの導入に加えて、GX経済移行債を活用した二十兆円規模の先行投資支援を行うことを通じて、企業のGXの取組を強力に後押ししてまいりたいというふうに思っております。

山崎(誠)委員 前向きな御答弁ありがとうございます。まさに、おっしゃっているように、後押しをしていくような、そういう制度設計、そして制度運用にならなきゃいけない。

 この後お話をしますけれども、この排出量の取引制度というのは、大手の企業、約六割をカバーするというお話でありますから、まさに、今先行的に取り組んでいる企業も当然入ってくるというふうに思うわけでありまして、そういう中で、この制度をどううまく動かすかということだと思います。

 私、一点は、この排出枠の無償割当て、これを各業界、企業に割り当てていくわけでありますけれども、その総和、総量、これをどういうふうにコントロールするか、決めていくかというのが極めて重要になると。言うまでもないと思います。もっと言うならば、CO2の削減効果という意味では、この枠を、総量を決めてしまえば、一定、減るのが読める、見える、そういう強い制度であります。

 なので、これはいろいろな意味でこの設定が非常に重要になるのでありますけれども、先ほどお話ししたNDCの議論、このNDCの議論とこの枠の総量をきちっと整合を取らなければ意味がないというふうに思います。それは認識ございますか、大臣。

武藤国務大臣 総量のNDCとの関連ということの御質問をいただきました。

 おっしゃるとおり、我が国のNDC、これは極めて野心的な目標であるというふうに私は承知をしているところであります。その実現に向けては、排出量取引制度のみならず、あらゆる対策、施策を総動員しながら、政府一丸となって取り組んでいく必要があります。

 排出量取引制度において、割当て総量をNDCと整合するように管理をすれば、排出枠の大幅な高騰が生じた際とか、このようなときに排出枠を追加的に割り当てることの対処ができず、国民生活や産業にも逆に大きな影響を与えてしまうんだろうという懸念を持つところであります。

 このため、排出枠の割当てについては、現時点での脱炭素技術の実装や投資の実施状況等を踏まえて定めた基準に基づいて行うこととさせていただいているところであります。

 このように、排出枠の割当てが直接NDCとひもづくわけではないんですけれども、制度の在り方について、事業者の脱炭素投資の実施状況ですとか技術の進展動向を踏まえながら、NDC達成にも貢献できるように、不断の見直しを行っていきたいというふうに思っているところです。

山崎(誠)委員 非常に難しい御答弁だったようにも思います。

 当然なんです。要するに、NDCの目標達成のためにこういう取組をするのだから、そのNDCの目標を達成できないような制度運営じゃ困るわけですよね。それはいろいろな理由があるかもしれません。理由があるかもしれないけれども、いずれにしても、このNDCの目標を決めた以上、それに沿ってこの制度が運用されて、目標に到達できるように誘導しなきゃいけない。それが経産省の皆さんの大事な役目であり、GX推進機構の役目でありということになってくると思うんですよ。

 もう一回確認させてください。NDCと言われるこの目標を達成するためにこの制度の運用を整合を取ってやっていくんだ、これは必要なことだということで、認識を確認させてください。

武藤国務大臣 確認だと思いますけれども、先ほど申したとおり、ひもづくわけではないとは思っています。

 ただ、現実、先ほども中田副大臣からもお話がありましたけれども、NDCも経済との両立ということが前提にあるということの中で、今の脱炭素投資の実施状況ですとか技術の進展状況、これをしっかりと後押ししながらこの目標の達成を目指していきたいというふうに思っているところだと思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 NDC、先ほど十分に野心的だというお話をされていましたけれども、先ほど確認したのは、ぎりぎりなんですよ、日本は。国際的な約束のぎりぎりのところなんですよ。はっきりお話しされないですけれども、ぎりぎりのところなので、これを何とか達成するために、これをリードするというのは、私は最低限やはりやっていかないといけないと。

 単年度で見るべきではないと思いますので、毎年毎年の積み重ねもあるでしょう、技術の進展もあるでしょう、企業活動の様子もあるでしょう、そういうのを見ながらではあっても、総量をどういうふうにNDCと整合を取っていくのかというのはやはり常に頭に置いてこの制度を運用していただかないと、この制度をやる意味がない。割当てで市場が盛り上がって、損だ得だ、そんなことを目的にしているわけじゃないですから、この制度というのは。そこは是非、ここで再度私からも確認をさせていただこうと思っております。

 それから、次の話題は、この割当ての妥当性をどういうふうに確保していくのか、そしてまた、オークション方式などへもこれは移行していくということでありますけれども、このオークションという方式への移行をどういうふうに進めていくのかという話であります。

 今もお話ししておりますけれども、排出枠の割当てというのは大変難しい作業だと思います。様々な業界があり、様々な製品があり、そういったものをどういうふうに評価をして、正しい排出枠というものを割り当てていくというのは非常に難しいと思います。ただ、絶対あってはいけないのは恣意的な操作なんですよ。今問題になっています、まだ解決できていません政治と金の問題、もっと言うと自民党と金の問題だと思うのでありますけれども、こういうことが解決できていない中で、この排出権というものが、この排出枠の割当てということが新たな利権のようなものになってはいけない。

 だから、割当てに例えば政治が関与するようなことが一切あってはいけないというふうに思うのであります。それがきちっと担保されないと、この制度自体が本当に崩れてしまう。だから、公正、公平、透明、こういった運営が求められると思いますけれども、この点、大臣、どういうふうに。参考人でもいいですよ。では、参考人からどうぞ。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、排出枠の割当て量の決定に当たっては、恣意的な運用とならないように、透明性の高い仕組みとすることが重要と考えてございます。

 割当てに当たりましては、例えば、業種ごとに製品生産量当たりの目指すべき排出量の水準を定め、各社の生産量にこれを乗じて割当て量を決める、これはベンチマーク方式と呼んでございますけれども、このように、客観的に確認可能な情報に基づいて算定を行った上で、算定結果についても第三者機関による認証を行う仕組みということを想定してございます。

 また、割当てを算定する際の前提となります割当て量の算定方法の詳細や具体的な水準などにつきましても、産業構造審議会の有識者の意見なんかを踏まえながら、議論の透明性、公平性を確保しながら決定していきたいというふうに考えているところでございます。

山崎(誠)委員 大臣もどうぞ。

武藤国務大臣 御指摘のとおりであります。排出枠は金銭的な価値を有しておりますから、その割当て量の決定に当たっては、恣意的な運用とならないように、今も事務方の方からお話がありましたけれども、しっかりと透明性の高い仕組みとすることは極めて重要だというふうに思っています。

 本法案においては、割当て量の決定に当たって、今お話がありましたけれども、公平かつ客観的な基準に基づく算定方法を定め、公表することとしております。また、認証機関等の第三者によるいわゆる認証の手続、これも法定化をし、そして、行政が恣意的に割当て量を決定することを排除するための措置を講じているところであります。

 本制度が透明性高く適切に執行され、そしてGX投資の実現に取り組む企業への後押しとなるよう、今後の詳細設計を進めてまいりたいというふうに思います。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。是非、ここは大事なポイントだと思いますので、改めて確認をさせていただきました。

 そして、次の点はオークション方式ということでありまして、オークション方式を取れば、この恣意的な操作の余地というのを排除することができるというふうに思います。

 現在の法律では、三三年に発電部門について段階的にオークションを導入するというふうになっております。オークション制度自体を更に広げていくことが私は重要なのではないかというふうに考えておりますが、その辺のお考えをまずお聞きをしたい。

 このオークションの結果生じる利益というのはGX債の償還財源にも当たりますよね。なので、そういう意味では、このオークションをどういうふうに充実させていくのかというのは、ある意味、非常に重要な方式の転換、発展だと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました有償オークションに関しましては、今御指摘ございましたとおり、無償割当てに係る種々の基準を定める必要がないという点では御指摘のとおりでございますけれども、その一方で、その導入に当たりましては、代替技術の導入可能性なども踏まえながら、また、国民生活や産業への影響も踏まえて対象業種等の制度設計を行うことが必要と考えてございます。有償オークションを導入することによってカーボンリーケージなどが進むことになれば、国内の産業基盤にも悪影響を与えるということになると考えてございます。

 その点におきまして、発電部門は排出量の四割を占め、脱炭素の重要性が高く、再エネなどの商用化された代替技術も有してございます。また、諸外国でも、まず発電部門において先行的に有償割当てを導入している一方で、産業部門においては無償割当てを行っている、そういうケースもあろうかと思ってございます。

 このため、我が国でも、まず発電部門を対象にすることが適切と判断をいたしまして、二年前に成立をいたしました現行のGX法においてそのように規定をしているところでございまして、現時点におきましては、それ以上に対象業種を拡大する計画は今のところはございません。

 ただし、繰り返しになりますけれども、この制度につきましては、御指摘のあったとおり、二〇三三年からの仕組みでございます。今回の法律の改正は、この有償オークションの詳細まではまだ定めていないというところでございますので、今後、また機会を改めてこの有償オークションについての詳細を検討してまいりたいと思ってございますので、その際に、海外の状況とか技術動向も踏まえながら、引き続き検討を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございました。

 おっしゃるとおりでありまして、三三年でありますから、無償割当ての制度もずっと動いていった中での先のお話であります。だから、そういう意味で、いろいろな可能性というのはまだ残っていると思いますし、広げていくべきではないかというふうにここは御提言をさせていただきたいと思います。

 次に、上限、下限価格の設定という考え方でありまして、この点についても確認をしたいと思います。

 この上限価格の設定がどうして必要なのか、そして、設定に当たって、どんな考えで、どんなタイミングで、どのような例えば期間などをもってこれを設定していくのか、そのお考えをお聞かせください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 GX投資を促進するためには、排出枠の価格についての予見性を確保することが重要と考えてございます。特に、短期的な排出枠価格の高騰がカーボンリーケージを起こすリスクがあり、国内の産業基盤への悪影響や、結果として世界全体としての排出削減につながらない可能性もあるため、それを確実に回避したいと考えてございます。こうした観点から、排出枠の価格高騰対策として、今回、排出枠の取引価格に上限を設けるというようなことをしてございます。

 この価格の決め方でございますけれども、GX投資を促進させるための指標となって機能させるためには、その炭素価格の水準が安定的に上昇していくことについて、予見性を確保するという形で示すことが重要と考えてございます。

 このため、今般の排出量取引制度におきましては、経済産業大臣が上下限価格を設定するとともに、この範囲内に炭素価格が収まるような措置を講じるということにしてございます。

 この上下限の価格につきましては、GX投資の観点に加えまして、国民生活、産業への影響、諸外国の上下限価格の水準や、現在行われています東京証券取引所でのカーボンクレジットの価格の推移を踏まえる必要がございまして、こうした観点から、産業構造審議会での透明なプロセスで議論していただいた上で、五年から十年の時間軸の間で定めていきたいというふうに考えているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 結構長いんですね、期間が。私は、その期間の設定というのが本当に、いろいろな技術進歩とかこの脱炭素の取組の進展と整合するのかなと、非常に心配になります。

 この上限価格というものを低く設定しますと、低過ぎると炭素価格も抑えられてしまって、結局この排出削減効果も阻害されるということになります。だから、ここは高過ぎても低過ぎてもまずいという、そこがポイントだと思うんです。それをうまく調整しながらいい水準に目安をつけるということ、これは非常に難しいし、かつ大事な作業だと思います。

 改めて、低過ぎるとやはりこの効果を失ってしまうという点について、コメントいただけますか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘ございましたとおり、まさに企業がGX投資を行うための指標となるものでございますので、そのインセンティブとなるためにも、低過ぎてもまずいということだと思いますし、また、高過ぎて、それによってカーボンリーケージなどが起きてしまってはこれもまずいと思いますので、まさに御指摘のような、微妙なさじ加減と申しますか、そういう判断が必要かと思ってございます。

 したがいまして、その点は、産業構造審議会での有識者の御意見なども踏まえながら、慎重に設定をしていきたいというふうに考えているところでございます。

山崎(誠)委員 ありがとうございます。

 カーボンリーケージという言葉がよく出てくるんですけれども、どういうことを想定していますか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 炭素価格が高くなることによって、日本で投資をすることによるメリットが感じられず、海外に生産基盤を移転してしまう、そういうケースを考えてございます。

山崎(誠)委員 もちろん、そういうケースは極端なケースではあると思うんです。ただ、海外に拠点を移すというのは大転換でありますから、メーカーなどにとっていえば。なので、それは私は、一定のいろいろな条件の中でそういう判断をされるんだと思いますよ。なので、カーボンリーケージ、カーボンリーケージとそればかりを言われるのは、ちょっともう少しそこは慎重に考えるべきじゃないかなというふうにも思うところであります。

 次に、クレジットの使用制限、外部クレジットについて、これもお聞きをしたいと思います。

 これは、GX二〇四〇ビジョンでJクレジットあるいはJCMといったカーボンクレジットを活用する方向というのが示されていて、これを今回の制度とも合体させるということと理解をしています。

 ただ、今回の法案の改正では、この外部クレジットを使用できる上限のようなものが設定されていない、この外部クレジットについては何も触れられていないというのが現状であります。御説明を聞くと、まだまだJクレジット、JCMというのは非常に規模が小さい、ボリュームが小さいので、全体の中では大きな影響ではないというお話もあって、また、中小企業だとか森林吸収みたいなものを取り込むという意味で、こういうものを取り入れるのが重要なんだというお話も聞きました。

 私は、それは非常に納得をしたのでありますけれども、今後どういうふうに展開をしていくかといったときには、例えば、質の悪いと言うとあれですけれども、安価なクレジットが海外から入ってくるようなときに、これをきちっと阻止したり、ちゃんとクレジットの価値とかも見極めて、良質なもの、そして意味のあるものは取り入れるけれども、それ以外は排除するみたいな、そうした取組がやはり必要だと思うんですよ。そうした歯止めを何とかかけていただきたいと思うんですけれども、そのお考えはいかがですか。

田尻政府参考人 お答えを申し上げます。

 カーボンクレジットは、多様な主体による脱炭素の努力をクレジットとして取引を行うことで、社会全体で費用対効果の高い取組を進める手法でございます。

 今回の排出量取引制度におきましては、この制度対象者のみならず、今御指摘もございました中小企業、例えば森林関係者等々の幅広い主体が脱炭素投資を行うためのインセンティブを高めるという観点から、排出実績の算定に当たりましては、JクレジットやJCMクレジットといったカーボンクレジットの活用を可能とする方針としてございます。

 一方で、諸外国の制度におきましては、カーボンクレジットの流入による排出枠の需給バランスへの影響を回避するという観点から、カーボンクレジットの活用を認めつつも、その量に一定の制限を設けている例も存在しているということを承知してございます。

 今委員から御指摘ございましたとおり、現状を考えますと、現状は、今御指摘のあったような、まだ量が多くないとか、そういうような状況ではございますけれども、先ほど申し上げたとおり、多様な主体に排出削減を推進する効果というプラスの面であったりとか、また一方で、排出枠の需給への影響というマイナス面、その両面を考慮いたしながら、今後、活用可能性の上限を設けるべきかどうかについて検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

山崎(誠)委員 是非他国の例も参考にされて、認めていないところもありますから、是非検討していただければと思います。

 それでは、次のテーマで、資源循環の強化という話についてお話を進めたいと思います。

 まず、再生プラスチックの活用が大きな目玉になるわけでありますけれども、その点で、廃プラスチックの再資源化、これが日本ではどういう状況なのか、環境省から御説明いただければと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 一般社団法人プラスチック資源利用協会のデータによりますと、二〇二三年における日本のプラスチックごみの総排出量は七百六十九万トンとなっております。このプラスチックごみの有効利用率でございますが、これは継続的に上昇しており、二〇二三年度には約八九%に達しているところでございます。

 この八九%の内訳は、マテリアルリサイクルが約二二%、ケミカルリサイクルが約三%、熱回収が約六四%であり、熱回収を除いたリサイクル率は約二五%と近年横ばいで推移している、このように認識しているところでございます。

山崎(誠)委員 熱回収もリサイクルだということだとは思うんですけれども、二五%なんですよ、マテリアルとして回収できているのは。

 これは副大臣、どうですか。この数字というのはもっと上げるべきだと思うんですけれども。

中田副大臣 現在、今回御審議いただいている法案もありますし、既に成立した資源高度化法もありますし、そういう中において、プラスチック資源のマテリアル利用というのも十分にこれから促していきたいというふうに考えておりますが、それでも使い切れないものについて、あるいは、まだ整っていないものについては、やはり熱回収も有力な手段でありますから、そこら辺を含めて、トータルにしっかりとした循環資源型の社会をつくっていく、こういうふうにしてまいりたいと思います。

山崎(誠)委員 せっかく今この資源法で再生材の利用に関する計画だとか報告の義務づけをやっても、要はもとの資源がないというのが、私はやはり現場の声なんじゃないかと思います。

 そしてまた、再生プラスチックの活用の実態というのを見ると、実に、四分の一だけ国内で、四分の三は海外に出てしまっているんですね。だから、回収されて再生資材に回る廃プラスチックも少ないし、そこからできた再生材も四分の三は海外に出てしまうということなんです。

 本当に日本に残っている、循環の、まさにここでターゲットになっている物質というのは少ないんですよ。それが実態だと思うんですけれども、武藤大臣、どうですか。

武藤国務大臣 再生プラスチックのいわゆる国内循環をどう強化していくか。昔、日本ではよく、昔でもないですね、もったいないという発想が非常に国民の中にもあったんだと思いますけれども、そういう資源の循環という意味では、そういう意味でも日本には僕は合っているんだと思っています。

 ただ、今委員の御指摘のように、サーキュラーエコノミーを確立するためには、今、日本の中で、設計、製造事業者から成るいわゆる動脈産業という方々と、それから回収、リサイクル事業者から成るいわゆる静脈産業の連携というものが極めて重要になるんだろうと思います。

 再生材の国内循環の強化に向けて、動脈産業を所管する経済産業省といたしましては、今回の法改正により、製造事業者等への再生材の利用義務の強化、これによって国内需要の創出を図りたいというふうに思っています。

 そして、他方、静脈産業を所管する環境省においては、再生材の安定供給ですとか品質向上につながる技術開発や設備投資支援を実施しているところだと承知しています。

 今後とも、これはまさに両省で緊密に連携をしながら需給両面からの一体的な取組を推進し、国内の再生材循環システムの強化というものを進めてまいりたいというふうに思っております。

山崎(誠)委員 本当に今のおっしゃるところが私のポイントであります。環境省があって、経産省があって、その連携が取れて、全体の流れがきちっと整合されて全体最適、それで、ボトルネックとかがきちっと議論されて、取り除かれて大きな流れになるというのが今回のこの資源循環の強化のポイントだと思うんですね。なので、是非ここは、国の中もありますし、また地方自治体も絡みますので、やはりこの全体を統合していく強化をやっていただきたいと思います。

 最後ですけれども、横浜市長もやっていらっしゃいました、3Rでこの取組をずっとリードしてきた中田副大臣に、地方自治体も含めた取組の重要性に言及いただければと思います。

宮崎委員長 中田環境副大臣、簡潔にお願いします。

中田副大臣 はい。

 御指摘のとおりであります。プラスチックも含めて、経産省とそれから環境省がしっかりと連携を取っていかなければいけませんし、その上で、やはり廃棄物の発生というのは、これは地方ですから、その地方からの循環というのをしっかりできるように、今後しっかりリードしてまいりたいと考えております。

山崎(誠)委員 ありがとうございました。

 終わります。ありがとうございます。

宮崎委員長 次に、鬼木誠君。

鬼木委員 自由民主党の鬼木誠でございます。

 本日は、GX推進法について質問をさせていただきます。

 二〇一五年十二月、私は、パリで開催されましたCOP21に環境大臣政務官として参加をいたしました。日本からは、丸川珠代環境大臣、そして安倍晋三総理、アメリカからはオバマ大統領と、各国の首脳が集まり、地球温暖化対策について議論を交わしました。発展した先進国、そしてこれから発展しようとする途上国、また、産油国もあれば、温暖化の影響で水没しかけている島国、島嶼国もあり、様々な利害が対立する中で、脱炭素に向けた国際的な取組を妥結いたしました。

 CO2を減らすということは、安価な化石燃料の使用をやめて高コストのエネルギーに移行することにもつながり、産業の発展とどう両立させるかが課題となります。化石燃料を燃やすなという流れの中で、脱炭素の世界的潮流に逆らえばペナルティーを受ける、ばか正直に従えば産業の競争力を失いかねない、この難局をどうやって乗り越えるのかという答えとして日本がつくり上げた道筋が、GX投資による脱炭素エネルギーの創出、そしてGX投資をてこにした産業発展であると考えます。

 つまり、世界的な脱炭素の流れを奇貨として、GXの取組を日本の力に変えていこうというのがこの法案の意義だと思います。資源のない日本は、エネルギーを輸入に依存しながらも、世界に冠たる経済大国となりました。GX投資の技術革新により、日本が自前でエネルギーを確保できることになれば、どれだけすごい国になるだろうと私は期待をしております。エネルギーの自給というのは、私の政治家としての悲願でもあります。

 地球温暖化対策のため、日本の各産業界がカーボンニュートラルに向けた取組を進める上で、GX推進法は非常に重要な法案であると考えます。したがって、GX推進の総論は大いに賛成するところであります。それは、強靱な日本経済をつくるという目的に合致することが大前提となります。

 そこで、各論として、日本の産業競争力を損なわないという議論が必要になると考えております。

 まずは、脱炭素に対する世界の情勢の変化について述べたいと思います。

 世界の脱炭素を牽引してきたEUにおいては、欧州中央銀行の前総裁であり、前イタリア首相でもあるドラギ氏が、脱炭素一辺倒ではなく、産業競争力との両立の重要性を指摘するなど、意識の変革が起きつつあります。また、産業国ドイツでは、再エネの積極開発や脱原子力、また脱石炭を推進してきた結果、ウクライナ紛争の影響もあり、エネルギーコストが非常に高くなった、その影響によって産業競争力が低下し、国外への産業流出を招いてしまったということが指摘されております。

 このような世界情勢の中、今後検討される二〇二六年度開始の排出量取引制度の詳細ルールにおいては、国外への産業流出防止等にも十分配慮して制度設計されるべきではないかと考えますが、今日は大臣が参議院本会議に行かれていますので、是非、大串副大臣、御見解を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

大串副大臣 御指摘のとおり、排出量取引の導入に当たりましては、国内の産業空洞化を防ぐために、企業に対して過度な負担を課さない仕組みとすることが重要であるというふうに認識をしております。

 このため、本制度では、業種特性を考慮した上で企業ごとの排出割当て量を決定することを基本としております。また、産業空洞化を招くリスクが高い業種に対しては一定の場合に追加割当てを可能とするほか、排出枠には上限価格を設定することとしております。

 こうした制度の工夫に二十兆円規模の先行投資支援策を組み合わせることで、産業空洞化を招くのではなく、国内の産業基盤を強化する仕組みとしてまいります。

鬼木委員 こういう国際ルールにどうしても日本は適応していかなくちゃいけないし、対策していかなくちゃいけない。そういう中で、よくあることなんですけれども、ゴールが動く、ゴールポストの位置が変わる、そういうことがよくあるわけであります。トランプ大統領の影響もありまして、アメリカが脱脱炭素にかじを切っている風潮がございます。最近でも、日本の大手金融機関も相次いでネットゼロ・バンキング・アライアンスから脱退しているという報道もありました。

 こうした、今後どのような環境変化が待ち受けているか想定できかねるところもあることから、二〇三三年度以降の制度について、既に法定化されている部分についても、国際動向を注視しながら、必要に応じて柔軟に見直すことも考えるべきではないでしょうか。見解を伺いたいと思います。

大串副大臣 GXをめぐる国際的な動向につきましては、トランプ政権がパリ協定の離脱を表明するなど、足下の不透明感は残るものの、市場では製品やサプライチェーンのグリーン化が求められるなど、世界全体で脱炭素に向けて取り組んでいく必要性や方向性は変わらないものと認識をしております。実際、足下では三十六の国と地域で既に排出量取引制度が導入されている状況を踏まえても、我が国において制度の導入を進めていくことは待ったなしの状況であるというふうに考えております。

 他方で、御指摘のとおり、排出量取引制度は産業活動に対して影響を生じさせる可能性もあることから、他国の制度と比較して過度な仕組みとなっていないか、制度が効果を上げているか等について見極めていくことが重要であると考えております。

 したがいまして、制度導入後も、諸外国の状況を見極めながら、排出量の実績や見通し等を基礎に、排出削減の進展と排出量取引制度を含めたGX政策の進捗状況を常時確認してまいります。その結果を踏まえ、二〇三三年度以降の有償オークション制度の在り方も含めて、必要に応じて制度の在り方を不断に見直してまいりたいと考えております。

鬼木委員 おっしゃるとおり、やるべきだという方向は間違っていないと思います。そういう中で、国際的な動きも、動向を注視しながら、柔軟な対応をお願いしたいと思います。

 そうした中で、日本は、排出目標も修正していませんし、排出量削減も直線的にきちんとやっている。やはり真面目で正直なのが日本なんですが、他国は、目標を下方修正したり、排出量は実際増えていたりするわけですね。そうしたところにも実際注視をして、柔軟な対応をお願いしたいと思います。

 次に、二〇二六年度から始まるいわゆる第二フェーズにおいては、トランジション、脱炭素までの移行期間が短く、事業者の取り得る対策も限られていることから、化石燃料賦課金との二重負担回避を含め、事業者の負担が過度とならないよう十分配慮されるべきであると考えます。

 特に電力ですね。世界がDX化していく、DXはデジタルトランスフォーメーション、GXに対してDXはデジタル化でございますけれども、AIの発展やデータセンターも造らないといけない。そうしたときに、巨大な電力、全てが電力で動いていくし、その電力もクリーンでなければならないという時代になります。そしてそれに、電力というのは更に国民生活と産業の基盤として死活的な、重要なエネルギーになってまいります。

 その電力でございますが、電力会社ごとの電源のポートフォリオは大体決まっていて、第二フェーズの間に新規で完成する発電所というのはほとんどないわけですね。造るまでに、計画してからでき上がるまでに時間がかかる。となりますと、今の電源構成で排出量が基準を超えてしまうところがあるとすれば、超えるところ、超えないところというのはもう決まっていて、収支がマイナスになる発電事業者は負担ばかり抱えることになる。そういうことになるのかならないのかまだ分からないんですけれども、もし仮にそういう事業者が現れると、負担ばかりを抱える事業者が現れるんじゃないかということを心配しております。

 二〇三三年度以降、排出枠が有償化され、発電事業者に対しCO2排出量を大幅に減らすことを求めることになるため、第二フェーズでの負担を重くし過ぎると、第三フェーズに向けた脱炭素投資が滞ることを懸念しております。発電事業者が脱炭素に向けた投資を進めるためには、発電事業者に十分な体力があることや、投資回収できる予見可能性、金融機関からの融資が受けられるための国からの信用の裏打ち等が必要となります。

 第二フェーズでいたずらに発電事業者の体力をすり減らすのは本来の目的である脱炭素投資の推進とは真逆の結果を生むと思われますが、国は発電事業者の脱炭素投資をどう進めていくつもりか、お答えください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、GXは、排出削減を進めるとともに、それのみではなくて、それをきっかけとした経済成長あるいは産業競争力強化を高める取組でございます。

 今はまさにこのGXを進めるに当たってトランジション期に当たるということでございまして、その意味で、排出削減と御指摘の脱炭素投資を同時に進める必要がある、このように認識しております。このため、発電事業者を含めた二十兆円規模の先行投資支援と段階的なカーボンプライシングの導入を一体的に推進することとしてございます。

 その上で、御指摘のとおり、短期的な排出枠調達コストが過大になりますと、発電事業者の脱炭素投資を阻害するおそれも出てまいります。本制度におきまして、排出枠の割当て量を決定するに当たりましては、業種ごとに目指すべき水準を定めるベンチマーク方式などを基本といたしますけれども、割当て量の具体的な水準等の詳細については、特定の業種に過度な負担が課されることで事業規模を縮小したり、あるいは投資の原資が奪われたりすることのないよう、業種特性や脱炭素技術の導入状況なども十分に踏まえたものとする必要があると考えてございます。

 加えまして、まさに発電事業者の脱炭素投資、これが大事になってまいりますので、長期脱炭素電源オークションなどによる投資予見性の確保ですとか、あるいは脱炭素投資に向けたファイナンスを円滑化するための方策の検討などを通じまして総合的に進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

鬼木委員 続いて、本年二月に閣議決定された第七次エネルギー基本計画との関連性でありますが、新たなエネ基には「再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の高い電源を最大限活用する」との記載があります。

 先ほども紹介しましたが、日本は、NDC、各国が提出する、排出削減目標の基準年である二〇一三年度以降、順調に温室効果ガスを削減してきております。これは、例えば電力業界であれば、再エネの拡大や原子力の再稼働によるものが大きいことは明らかであります。

 一方で、今回の法改正で、第二フェーズの排出量取引を行う上での基準年が二〇二三年から二五年の三か年平均となっております。非化石電源の重要性を踏まえると、第二フェーズにおいても再エネや原子力といった非化石電源導入による過去の削減努力や今後の拡大へのインセンティブが確保される制度にすべきと考えます。二〇二三年以前に再エネ拡大や原子力再稼働を果たした事業者は既に累積的に炭素排出量を減らしているわけであり、褒められこそすれ、それによって罰されてはならないと考えます。

 第二フェーズの制度設計では、各産業における事業者間の公正な競争を阻害しないよう、基準年前の事業者の削減努力を念頭に置いて、公平性の観点から適切に評価される制度とすべきではないでしょうか。お答えください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、制度開始前から積極的に排出削減に取り組んできた事業者の努力につきまして適切に評価をすることが非常に重要だと思ってございます。

 このため、排出枠の割当てに当たりましては、業種別のベンチマークに基づいて割当て量を決定することを基本とする方針としたいと思ってございます。ベンチマークは、特定の排出に係る活動プロセスに着目しまして、業界内の一定水準以内に排出原単位を収めることを求めるものでございますけれども、既に実施した脱炭素投資など、過去に削減努力をした事業者はより有利な原単位を持つことになるという形で、制度上適切に反映されることとなります。

 さらに、技術的な理由でベンチマークを策定することが困難な業種には、年率削減方式、私どもはグランドファザリングと呼んでございますけれども、この方式を適用することとしておりまして、この場合におきましても、制度開始前の削減努力を考慮いたしまして一定の追加割当てを行うことといたします。

 このように、公平性の観点から、排出枠の割当てに当たりましては、過去の削減努力が適切に反映される制度としたいと考えてございます。

鬼木委員 様々な事業者がこの制度の対象者となりますので、例えば企業が中期経営計画を作るとすれば、無償の排出枠はどのくらいかとか、それを超えて排出したときの排出権購入単価は幾らか、非常に皆さん気にして、知りたいことだらけだと思います。そうした事業者への速やかな情報提供をお願いいたしまして、私からの質問を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、福重隆浩君。

福重委員 公明党の福重隆浩です。

 早速でございますが、時間が短いので、質問に入らせていただきます。

 本年一月、石破総理は、施政方針演説において、五本の柱から成る地方創生二・〇、令和の日本列島改造を掲げられました。その中の一つが新時代のインフラ整備であります。総理は、「再生可能エネルギーや原子力といった脱炭素電源、そして水素等の次世代燃料供給拠点を拡大するとともに、その供給網を効率的に整備していきます。」と述べられました。

 今回の改正は、排出量取引制度の法定化、資源循環の強化、化石燃料賦課金の徴収、GX分野への財政支援が柱であります。GX推進法においては、二六年度から導入予定のCO2排出量の削減分を売買する排出量取引制度を法定化することなどであり、資源法改正では、製造事業者に対し、再生材の使用量の目標設定や使用実績の報告を義務化することなどがポイントであります。

 GX推進法は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行及び推進、その戦略策定などをもって国民生活の向上、経済の発展に寄与することを目的としており、資源法改正においては、大量生産、大量消費、大量廃棄物の経済システムから、製品の省資源化、長寿命化、リユースのための対策を講じることにより、循環型経済システムの構築を目指すこととしております。

 脱炭素社会の実現に向けて、企業に行動変容を促す実効性の高い法改正、制度にしていかなければなりません。

 そこで、今回の法改正において、及び更なる脱炭素社会の構築に向けて、政府としての決意を内閣府副大臣にお伺いをいたします。

大串副大臣 脱炭素社会構築は、国際社会が一体となって取り組むべき人類共通の重要課題でございます。世界中でデータセンター等向けの脱炭素電力や製品、あるいはサプライチェーンのグリーン化が求められております。

 昨年末、我が国では、エネルギー安定供給、そして経済成長、脱炭素の同時実現を目指す方針をGX二〇四〇ビジョンとして取りまとめたところでもございます。同ビジョンを踏まえまして、今回の法案を提出をさせていただいたところであります。

 本法案に基づきますカーボンプライシング制度や再生材利用に係る措置と、そしてGX経済移行債を活用した投資支援を一体的に講じることで、委員御指摘のとおり、企業の行動変容、これを実現して脱炭素社会の構築を進めてまいりたいというふうに考えております。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 私は党の環境部会長を仰せつかっているんですが、やはり、若い人たちといろいろな懇談をすると、今の環境問題、環境政策に強い思い入れがございます。確かな地球、こういったすばらしい地球を未来にしっかりとつないでいくためにも、我々はしっかりとこういった問題に取り組んでいかなければならないと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 今回のGX推進法及び資源法改正は、一括法案として提出されております。二つの法律は政策の統一性などの観点から一括での審議と認識しており、その目的は脱炭素成長型経済構造への円滑な移行を推進することであります。

 他方で、現在も予断を許さない状況が続いている米国の関税問題ですが、自動車産業を始め多くの業界が注視しており、特に中小・小規模事業者の皆さんは、事業への影響について緊張感を持って見守っている状態でございます。

 このような状況下、今回の改正が審議されますが、私は中小・小規模事業者への配慮を決して忘れてはならないと思っております。近年の資機材の高騰を含む物価高について、資本力の弱い中小・小規模事業者の皆様は大変厳しい状況にあります。脱炭素社会の実現は世界的な潮流であり、大企業は当然のことでありますが、中小・小規模事業者もその責任の一端を担っていかなくてはなりません。

 GXに関する施策の検討、実施については、エネルギーの移行を始めとする産業構造の変化に伴う経済や社会、雇用への負のインパクトを最小化するため、政府は特に中小・小規模事業者への強力な目配りと移行の支援が不可欠であると思っております。

 つきましては、政府としての御見解及び具体的にどのような支援策を講じていかれるのか、その取組についてお伺いをいたします。

大串副大臣 GXの実現につきましては、日本全体の温室効果ガス排出量の約二割程度を占める中小・小規模事業者を含めた産業全体での取組が重要でございます。中小企業がGXに取り組むことは、省エネによるコスト削減や受注の拡大につながる可能性があるといったメリットもございます。

 このため、省エネ診断の支援や中小機構による排出削減計画等の策定支援、そして、省エネ設備への更新を支援する省エネ補助金、GXを含めた新事業への挑戦を支援する新事業進出補助金などの施策を講じているところであります。

 また、こうした支援策を確実に届けるために、地域の商工会議所や支援機関、金融機関などから中小企業への支援策の紹介など、プッシュ型でのサポート体制の構築にも取り組んでいるところでございます。

 こうした取組を通じて、中小企業に寄り添いながらGXの取組を後押ししてまいりたいと考えております。

福重委員 御答弁ありがとうございました。

 様々な支援策は政府は用意されるんですけれども、なかなか、中小零細事業者の経営者の皆様は忙しくて、そういった補助金にたどり着かないんですね。今、大串副大臣のお話のありましたプッシュ型、寄り添いながらというところが私は大事だというふうに思っておりますので、丁寧な対応をよろしくお願いいたします。

 次の質問に入ります。

 我が国は、二〇二〇年十月に、二〇五〇年カーボンニュートラルを目指すことを宣言いたしました。しかし、カーボンニュートラルの実現は並大抵の努力では実現できず、エネルギー、産業部門の構造転換、大胆な投資によるイノベーションの創出といった取組を大きく加速させることが必要であります。

 その施策の大きなポイントは、二酸化炭素の排出量取引制度であります。CO2の直接排出量が一定規模、十万トン以上の事業者、約三百から四百社程度が参加義務づけの対象となる予定でありますが、企業の負担の割合と公平性が課題となってくると思います。これまでCO2削減に積極的に取り組んできた企業ほど、追加の削減の余地が乏しくなることが懸念されます。負担が過小であれば効果が薄れ、逆に過大であれば企業業績に悪影響を及ぼし、ひいては海外への事業流出や国際競争力の低下を招きかねません。

 そこでお伺いをいたしますが、排出枠の公平性を担保するために、政府はどのような基準を設定されているのでしょうか。また、制度対象企業は、毎年度の決められた期限までに自社の排出実績に応じた排出枠の保有を義務づけられるとのことでございますが、これを守らない企業にはどのように対応していくのでしょうか。以上二点について御答弁をお願いいたします。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、排出量取引の導入においては、産業空洞化を防ぐため、公平性を確保しつつ、企業に対して対応不可能な過度な負担を課さない仕組みとすることが重要でございます。

 したがいまして、本制度におきましては、エネルギー多消費分野を中心に、業種特性を考慮した業種別のベンチマークを設定しまして、その基準に基づいて企業ごとの割当て量を決定することを基本といたします。これによりまして、特定の業種に過度な負担が偏ることがないような制度設計が可能になる、そう考えてございます。

 また、このベンチマークは、先ほど申し上げましたとおり、御指摘の過去の削減努力につきましても、頑張った事業者はより有利な原単位を有していることになるという形で、適切に反映されることとなると考えてございます。

 さらに、産業の国外移転リスク、それから研究開発投資の状況、生産量の増加などを勘案しまして、一定の要件を満たす場合には追加で割当てを行うなど、制度による過度な負担を回避するための措置を講じてまいります。

 こうした制度上の工夫と二十兆円規模の先行投資支援策を組み合わせることで、産業空洞化ではなく国内の産業基盤を強化する、そうした仕組みとしていきたいと思ってございます。

 それから、二点目の御質問でございますけれども、二〇二六年度から開始をいたします排出量取引制度につきましては、対象事業者に毎年度、二酸化炭素の排出量の実績に相当する排出枠を期限日までに保有していくことを義務づけてございます。

 その上で、GX投資による排出削減や不足した排出枠の調達を適切に行った事業者との公平性を確保するため、義務を履行しなかった事業者に対しましては、ペナルティーとして未償却相当負担金を徴収することにいたします。具体的には、保有していなかった排出枠の量に応じまして、経済産業大臣が定めます排出枠の上限価格に一・一を乗じた額を徴収することといたします。

 こうした規定を置くことで、排出枠が不足する事業者、それから余剰が生じる事業者の間で生じるべき取引が行われ、適正な炭素価格が形成されることを通じまして、排出量取引制度やGX投資の実効性が高まる、そう考えてございます。

福重委員 ペナルティーを科せられるということでございますけれども、やはり、ペナルティーを科せられることによって本当に苦しまれることがないように、事前の周知徹底、そういったものを事業者にしっかりと行っていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 次の質問に入ります。

 昨年の十二月、公明党による次世代型太陽光電池導入支援等の提言を踏まえ、本年二月には第七次エネルギー基本計画が閣議決定され、再生可能エネルギー導入加速など、我が党の主張が多く反映をされました。

 政府は、二〇五〇年カーボンニュートラルと経済成長、産業競争力強化を共に実現していくため、カーボンプライシングとGX経済移行債による投資促進策を組み合わせた成長型カーボンプライシング構想により、脱炭素と経済成長の両立を図っております。

 その一環として、排出量取引制度を二〇二六年度から本格的稼働させ、二〇二八年度からの化石燃料賦課金の導入に当たっては、化石燃料の輸入事業者等に支払いの義務が生じますが、転嫁を通じて社会全体で、化石燃料の使用に伴うコストの負担をすると経済産業省の資料では示されております。

 社会全体ということは結果的に国民負担となりますが、物価高騰の中、国民の皆様は大変に御苦労をされております。この物価高の中、国民の皆様へ賦課金を御負担いただかねばならない理由、また、御負担いただくことになった場合、国民の皆様への丁寧な説明が必要と考えますが、賦課金に対する政府の御見解についてお伺いをいたします。

龍崎政府参考人 化石燃料賦課金は、GX経済移行債の償還財源として、既に実施中の二十兆円規模の先行投資支援を行う前提といたしまして、現行のGX推進法でその導入が位置づけられたものでございます。こうした支援を通じたGX投資の促進は、将来に向けた我が国の競争力の確保と強化を実現し、雇用や所得の維持拡大を図っていく上で不可欠な措置、そういうものだと考えてございます。

 加えて、化石燃料賦課金は、化石燃料の輸入時点で賦課するものでございます。化石燃料使用に伴うコストを社会全体で広く負担することとなり、広範な対象にGXに向けて緩やかに行動変容を促すことが可能でございます。

 その上で、導入に当たりましては、直ちに導入するのではなく、導入時期をあらかじめ示した上で、石油石炭税、それから再エネ賦課金といったエネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させる範囲内で当初低い負担から徐々に導入することで、国民の負担が過度とならないように留意してまいります。

 こうした制度趣旨や内容につきましては、国民の皆様に御理解をいただきながら、事業者や国民が円滑に制度対応を行うことができるよう、二〇二八年度の導入時期までの間に事業者や国民の皆様への周知の在り方を検討するなど、丁寧な説明に努めていきたいと思ってございます。

福重委員 ありがとうございました。

 二〇二八年に導入に向けてということでございましたけれども、本当に丁寧な周知徹底をお願いしたいと思います。

 本当に、今、この物価高の中で、我々政府・与党としても、エネルギー問題に関しましては、電力の補助だとか、そういったことを今しっかりと対応してきているわけでございますけれども、またこういったものが先にあるということになりますと国民の皆様の不安というものも残りますので、そういったことのないように、国民の理解をいただいて、そして、国民みんなでこういった環境を守っていくというような制度で、国民の皆さんも本当に後押しできるような、そういうような制度にしていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。

 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。

宮崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十時十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。大島敦君。

大島委員 ありがとうございます。大島です。よろしくお願いします。

 冒頭は、地熱発電。これまで質疑の一番最後の方に何問か質問させていただいておりまして、先日は我が党の小山先生からも地熱について発言がございました。これまでとダブる点もありますけれども、一通り質問させてください。

 まずは、日本における地熱のポテンシャルは高いと思います。クローズドループ、これは小山先生も質問されておりました。日本は世界第三位のポテンシャルがあると考えておりまして、そのことについてまずは御質問させていただくとともに、政府は次世代型地熱発電についてどのような見解を持っているのか、政府参考人からの答弁をお願いします。

山田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本国内に、先生御指摘ございましたが、世界第三位の約二千三百四十七万キロワットの地熱資源があるとされておりまして、これらを活用した地熱発電の開発を進めてきたところでございます。

 今御指摘ございました、高温の岩盤に水を循環させて熱を取り出すクローズドループなどの次世代型地熱技術が実用化できれば、日本の地熱ポテンシャルは現状の四倍以上に拡大する可能性があるとされております。

 また、様々技術がございます。高電圧パルスによる衝撃波を活用した掘削やビーム掘削など、次世代型地熱発電に資する可能性がある技術が多く出てきておりまして、こうした技術を活用いたしまして次世代型地熱発電の開発が促進されることを期待しておるところでございまして、様々、現在、こういった技術も含めまして、この次世代型地熱技術の実用化に向けて、関係者間で議論を進めていきたいと考えております。

大島委員 ただいまの政府参考人の答弁の中で、二千三百万キロワットぐらいの、発電する地熱の熱源があるというお話でしたので、原子力発電所一つが百万キロワットだとすると二十三基分というカウントになるんですけれども、それでいいかどうか。

 先ほどの、新しい次世代型地熱発電技術だと四倍ぐらい増えるというのは、増えた上で二千三百万キロワットなのかどうかについて御答弁をお願いします。

山田政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、地熱の資源量のことにつきまして二千三百四十七万キロワットと申し上げました。実際にこれが、発電の設備容量といたしまして、現在は六十一万キロワットということでございまして、設備容量という考え方に基づきまして申し上げますと、原子力発電所の一基当たり百万、百三十五万キロワットといった数字がございますけれども、数字の比較という意味では、先生のこういうような計算、試算という形もあろうかと思いますけれども、こういった様々な開発に対する取組というのを進めていく必要がある、このように思っているという点と、実際に技術を様々とこれから実用化させていくために取組が必要になっているということかと思います。

大島委員 私、アイパルスという会社の技術について説明を受けたことがありまして、これまでの考え方とは格段と違う。掘削も、岩盤の花崗岩とか硬いところも掘れる技術だと伺っていまして、是非掘ってみたいと考えるんですよ。

 やはり掘ってみないことには分からないので、そうすると、国は最先端の地熱掘削技術への支援をすべきであると考えておりまして、例えば、まずは次世代地熱であるクローズドループに一千億円ぐらい支援しながら掘削することが必要だと思っていまして、まずは国が率先して資金をつけて次世代型地熱を進めるということについて大臣の決意を伺いたいと考えております。よろしくお願いします。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 今事務方の方からも説明いただきましたけれども、電源構成に占める地熱の発電比率は二〇二三年度時点で約〇・三%でありました。二〇四〇年度の見通し、ここを一から二%という数字を出していただいているんですけれども、開発は加速化させていく必要があると思っています、間違いなく。

 このクローズドループ、次世代型地熱発電については、第七次エネルギー基本計画を踏まえて、事業者や金融機関、研究者等による次世代型地熱技術の官民協議会を立ち上げていただいたところであります。

 本当に、私どもも、地熱については大変興味深く、関心を持って、そして期待感を持って今見ているんですけれども、四月の十四日にやっと、地熱の事業者や金融機関、そして有識者、関係省庁が一堂に会した第一回目の次世代型地熱推進官民協議会を開催をし、二〇三〇年代早期の実用化と国内での導入拡大に向けて、解決すべき課題と実施すべき取組について積極的に議論がされたというふうに承知をしています。

 今後、協議会を通じて具体的な目標ですとか計画等を官民一体となって策定した上で、国内での実証支援に必要な予算を確保してまいりたいと思っております。

 委員がおっしゃられる一千億円、また御支援いただければと思っておりますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。

大島委員 私も超党派の地熱議連のメンバーでして、これまでは、地熱と聞くと、なかなか発電量が確保できなかった。やはり、温泉業者等を含めて、地域との合意形成が非常に大変だったということをずっと考えておりまして、ただ、クローズドループですと負荷がそんなに高くないので、掘りやすいのかなと思っています。

 もう一つは、熱源があるところが北海道と東北の方だったかと承知しているので、昨今言われている、北海道に半導体工場を持ってくると電力が足りないということに対してもプラスに働いていくと思うので、是非政府としても予算をつけて、まずは掘ってみることをお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 では、続きまして、今回の法案につきまして質問をさせてください。

 我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラルと経済成長の両立を目指し、グリーントランスフォーメーションを推進しております。政府提出のGX推進法等改正案では、排出量取引制度の法定化、化石燃料賦課金の徴収要件の具体化、サーキュラーエコノミー実現に向けた制度基盤の整備などが盛り込まれております。

 私は、産業構造を脱炭素型へ転換しつつ成長を図るGXの方向性にはおおむね賛同いたします。しかし、これらの施策は、国民、事業者に一定の負担を課す側面も否定できません。世界経済の先行きが不透明な現状を踏まえれば、少なくとも国際情勢が安定するまでは制度の運用強度を抑制するか段階的に導入すべきと考えております。

 電力業界では、総括原価方式による安定運営が本来望ましいところ、電力自由化による競争激化で投資の予見性が低下しております。その結果、二十五年間続いた、カタール産LNG、年間五百五十万トンの長期契約は、二〇二一年をもって打切りとなりました。LNGは移行期の重要エネルギーであり、カタールは現在、中国企業との長期契約を結んでおります。この事例は、我が国のエネルギー安全保障を損なう可能性を示しております。

 機関投資家のESGの要請を背景に、日本の大手商社はオーストラリアの炭鉱の売却を完了しておりまして、この点においても、石炭は確かにCO2高排出燃料ですが、島国である日本にとっては依然としてエネルギー安全保障上のバックアップ燃料だと考えておりまして、流行に左右されず、長期的な視野でバランスよく資源権益を確保する必要があります。そのためにも、政府は民間投資の予見可能性を高める明確な方針を示すべきだと考えております。何が起きるか分からないものですから、権益としては、量の多い少ないはあっても、押さえておいた方が無難だと考えております。

 例えば、ダイレクト・エア・キャプチャー、DAC等のCO2直接回収技術は、今後五年から十年で商用化が加速する可能性が指摘されています。また、最近書店で平積みされている「量子超越」の中では、量子コンピューターが人工光合成やエネルギー革命への貢献をするとして、太陽光を利用した水素エネルギーの生成や有機化合物合成など、クリーンエネルギー社会を支える基盤技術の高度化につながる可能性が指摘されています。

 技術革新が進めば、現在の脱炭素施策の一部は見直しを迫られるかもしれません。したがって、政策は技術動向に応じた機動的な見直しを前提とすべきと考えております。

 激動する国際情勢下でも国民生活を守る鍵は、国内産業の基盤を維持し、投資環境を安定させることです。今回のGX推進法等改正案がその取組を阻害することのないよう、以下の点に十分に御留意をいただきたく存じます。

 一つとして、国民、事業者の負担を踏まえた段階的な導入と運用強度の調整、エネルギー安全保障を念頭に置いた資源権益確保の支援、投資予見性を高める明確で一貫した政策シグナルの発信、技術革新を織り込んだ制度の定期的なレビュー、以上の問題意識の下、本日は数点御質問をさせていただきます。

 カーボンプライシングは必然的に化石燃料の相対価格を引き上げる施策であるため、サプライチェーンを通じた価格転嫁によって、最終的にはその実施に伴うコストを広く国民が負担することになります。そのため、成長志向型カーボンプライシング構想を実現するためには、GXを通じて国民が享受する利益と実施に伴い必要となる追加的な金銭負担について広く国民の理解を得ることが不可欠であり、政府が率先して国民の理解醸成を図る必要があります。

 政府はカーボンプライシングを実施する意義や必要性についてどのように国民に説明していくのか、伺います。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 まさに日本が地勢的制約を持っている中で、今のエネルギーに関して、安定供給を始めとして、GX法を、二年前かな、三年前ですね、お作りいただいて、今回またこの中身を詰めていくことになりました。

 まさに、先生おっしゃられるとおりだと思います、二十兆円規模のGX先行投資支援と併せて段階的にカーボンプライスを導入することで、企業の脱炭素投資が促されるだけでなく、エネルギー安定供給や産業競争力の強化など、広く国民に恩恵が及ぶものとなると思っております。

 また、カーボンプライシングの導入に当たっては、石油石炭税、再エネ賦課金といったエネルギーに係る負担が中長期的に減少していく範囲内で導入していくことで、事業者あるいはまた国民の負担が過度にならないように配慮をしていかなければならないというものは当然のことかというふうに思います。

 国民の、このような丁寧な説明ですとか理解醸成、これが必要であることはもう先生おっしゃられるとおりで、これまでのところ、GX二〇四〇ビジョンの策定に当たって、対話型の説明会また意見交換会を全国十か所で開催をし、国民の方々に直接御説明をさせていただいたところです。

 今後も、引き続きまして、様々な広報手段や説明の機会を活用しながら理解の浸透を図っていきたいというふうに思っております。

大島委員 なかなか難しい局面だと思っておりまして。

 平時であれば、今回の法案については危惧の度合いはそれほど高くはないと思います。ただ、今回、米国の対応があり、日本の製造業が今後どうなるのか。産業の大きな組替えも必要かもしれないので、時間を稼ぐことも必要かなと思っています。サプライチェーンを維持するために、代わる産業がなかなか育っていないものですから、そういうことも踏まえて、丁寧な対応を求めたいと考えております。

 成長志向型カーボンプライシング構想の実現のためには、その実施に伴うコストを、特定の産業だけでなく、便益を享受する社会全体で負担する必要があり、政府が率先してカーボンニュートラルな製品やサービスの需要を創造する必要があると考えます。そのための取組として、例えば、公共調達以外にも、様々な層に対する消費者教育の実施、カーボンニュートラルに対応した製品であることを消費者に分かりやすく示す表示や仕組みの構築、省エネ商品や暖房効率の高い設備導入を促すための支援などが必要ではないでしょうか。

 政府はカーボンニュートラルな製品やサービスの需要を創出するために具体的にどのような施策を講じるつもりなのか、伺います。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年のネットゼロの実現に向けまして企業が脱炭素投資を継続的に行うためには、脱炭素投資によって生み出された製品の環境価値が社会に受け入れられてコストがバリューチェーンの各段階で適切に価格転嫁される、それとともに、需要につながっていく市場環境を政府が積極的に整備していくことが必要と認識しております。

 このため、環境省では、公共調達の推進に加えまして、関係省庁と連携し、製品のカーボンフットプリントあるいは削減実績量といった環境価値の見える化を進めるとともに、国民運動、デコ活を通じまして、消費者の行動変容、あるいは、断熱窓への改修、そういった脱炭素化のための設備導入の支援を行っております。それにより脱炭素製品の需要創出を進めているところです。

 今後更に、脱炭素製品を消費者により分かりやすく訴求する表示の在り方を始めとする需要創出策の検討を深めて、脱炭素に貢献する企業、製品が積極的に選択される社会を目指して取り組んでまいりたいと考えております。

大島委員 カーボンプライシングの実施は、製造プロセスにおいて炭素排出を避けられない多排出産業や現時点で代替手段の技術的、経済的実現が困難な産業において、国内外の工場の生産量見直しや工場全体の国外転出などを招くおそれがあります。加えて、カーボンプライシングによる経済的負担が民間事業者の脱炭素化に向けた研究開発や設備投資の原資を奪う可能性もあり、さらに、このようなカーボンプライシングの影響は産業や企業ごとに異なるため、個別事情への配慮も必要です。

 そのため、カーボンプライシングの実施に当たっては、産業ごとの脱炭素技術の確立状況や経済情勢、脱炭素化に向けた代替手段の有無などを考慮し、適切な時間軸を設定することが必要になると考えます。

 政府は、本改正案における排出量取引制度や化石燃料賦課金の実施に当たり、カーボンリーケージにどのように対応していくのか、伺います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 成長志向型カーボンプライシング構想は、足下からの二十兆円規模の大胆な先行投資支援と制度を組み合わせるものでございまして、我が国企業のGX投資の前倒しを促し、産業競争力強化と排出削減の同時実現を目指すものでございます。そして、既に、先生御指摘の多排出産業なども含めて、予算措置を通じて企業のGX投資を強力に支援をしているところでございます。

 化石燃料賦課金と発電事業への排出枠の有償オークションといったカーボンプライシングは、エネルギーに係る中長期的な負担の範囲内で導入していくことが、二年前に国会で審議、成立いただいたGX推進法に明記されております。

 御指摘の化石燃料賦課金について、代替技術の有無や国際競争力への影響等も勘案し、減免について石油石炭税と同一の扱いを講ずるべく、詳細設計の検討を進めてまいります。

 さらに、今回導入いたします排出量取引制度につきましては、特定の業種に過度な負担が課されることで事業規模の縮小や投資の原資が奪われることがないよう、割当て量の決定に当たっては、業種ごとに目指すべき水準を定めるベンチマーク方式による割当てを行うことを基本としていきたいと考えております。

 これによりまして、業種特性による排出削減の難易度や削減を実施するための代替技術があるかも考慮した上で、排出枠の割当て量が決定されることになります。

 また、産業競争力、国内雇用の維持強化ですとか世界全体での排出削減の実現の観点からは、カーボンリーケージの回避や、中長期的な革新技術への投資に対するインセンティブが確保されるような制度設計も重要だと考えております。

 このため、産業や個社ごとの事情を考慮することとしており、主たる事業がカーボンリーケージが懸念される業種に該当するような事業者やGX分野の研究開発投資に積極的に取り組む事業者に対して一定の範囲内で割当て量を調整することで、過度な負担を回避するための措置を講じていきたいと考えております。

 二十兆円規模の先行投資支援とともに、このような制度面での工夫も講じ、産業競争力のことをしっかりと考えながら制度設計を進めてまいりたいと考えております。

大島委員 カーボンプライシングを円滑に実施するためには、そのコストを、特定の企業や産業に偏らせず、便益を享受する社会全体で負担する必要があります。とりわけ、取引上の立場が弱い中小・小規模企業に負担が集中しないよう、サプライチェーンを通じて適切な価格転嫁を実施することが求められます。

 カーボンプライシングの実施に伴うコストを適切に価格転嫁するための具体的な取組方針について、伺います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 社会全体でGXを加速していくためには、GX投資を単なるコストとして捉えるのではなく、脱炭素型の製造プロセスによって生み出された製品が高く評価される市場を創出する必要があると考えております。

 このため、GX投資により生み出された製品、サービスの価値の見える化ですとか、GX製品の積極的な調達を奨励、評価する枠組みを整備することで、削減価値に対するプレミアムが支払われるようなGX市場創造の取組を進めてまいります。

 その上で、とりわけ中小零細企業については、原材料費のコスト上昇分の転嫁を拒むなど、中小企業に炭素価格に関する負担が不当に押しつけられることがないよう留意する必要がある、このように考えております。

 このため、こうした行為が存在していないか政府において厳格に確認するとともに、取引上優位な立場を利用して中小企業に不当な負担を押しつけるような取引に対しては、必要に応じて関係省庁とも連携し、政府が一体となって是正に取り組んでまいります。

大島委員 我が国には、化石燃料等へのエネルギー課税や再生エネルギー固定価格買取り制度、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法、温対法などの規制など、本改正案を通して導入するカーボンプライシング制度と効果や目的が重複する既存制度が存在しています。

 政府は、既存制度と本改正案による排出量取引制度との関係をどのように整理し、政策全体として整合性を確保するために具体的にどのように調整を図る方針なのか、伺います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の既存制度との関係を申し上げますと、燃料課税は燃料使用量に応じて一律の負担を課すものである一方、本法案による排出量取引制度は全量無償割当てでございまして、炭素排出がある場合に直ちに一律の負担を課すのではなく、事業者の削減努力が一定水準に達しないときに、その削減努力の未達分について経済的負担を求めるものでございまして、性質を異にするものであると考えております。

 また、再エネの固定価格買取り制度、FIT制度は再生可能エネルギーの導入拡大、高度化法につきましてはエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効利用の促進を目的としておりまして、排出源における削減対策の実施を促す排出量取引制度とは制度目的や手段が異なるというふうに考えております。

 省エネ法や温対法につきましても、これらによる報告等の制度の対象事業者は約一万二千者に上り、こうした広範な事業者に対して、経済的、社会的環境に応じたエネルギーの有効な利用の確保に資するため、エネルギー使用に関する報告を、そして、排出削減を促す観点から、排出実績の算定、公表等を求めているものでございます。このため、排出量取引制度とは制度目的や手段が必ずしも同一ではない、このように考えております。

 他方で、こうした法の目的や手段にかかわらず、実務的な観点から申しますと、省エネ法や温対法と本制度との間には報告事項に一定の重複が生じる可能性がございます。したがって、本制度の導入に当たりましては、対象事業者の事務負担を軽減するため、システム上の工夫によりまして、制度間で入力情報の連携を可能とすることなどにより、手続を簡素化するための検討なども進めてまいりたい、このように考えております。

大島委員 本改正案の排出量取引制度の実施に伴い、対象業者が規制対象から逃れたり、あるいは、制度に伴う負担を軽減するために、規模の大きい排出源、排出活動を、適切な対価を伴わず、取引、協力関係にある中小企業等へ移転する事態が生じる可能性もあると考えます。

 政府は、中小企業に対して排出量取引制度の実施に伴う負担を不当に押しつける行為を排除するため、具体的にどのような取組を実施していくのか、伺います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 排出量取引制度の導入に当たりましては、中小企業に炭素価格に関する負担が不当に押しつけられることがないよう留意する必要があると考えております。現時点でどのような不当な押しつけがあり得るのか、具体的、網羅的に想定することは困難でございますけれども、例えば、先生御指摘のような、大企業が適切な対価を払わずに排出源となる設備を取引先の中小企業に移転するケースも想定し得ると考えております。

 このため、こうした行為が存在していないか政府において厳格に確認するとともに、取引上優位な立場を利用して中小企業に不当な負担を押しつけるような取引に対しては、必要に応じて関係省庁とも連携し、政府が一体となって是正に取り組んでまいります。その上で、具体的な対応については、個別の事案ごとに判断をしてまいります。

大島委員 本改正案では、GX推進機構に排出量取引市場の運営を担わせることとしています。しかしながら、GX推進機構にはマーケット運営のノウハウが乏しいため、実際には、既にカーボンクレジット市場の運営実績がある東京証券取引所にマーケット運営業務を委託すると見込まれています。その際、マーケットを運営する上で中核的な役割を伴う排出枠の取引システムについては、経済安全保障の観点から、海外ベンダーではなく国内ベンダーに任せることが重要と考えます。

 GX推進機構による業務の委託は経済産業省の認可事項とされていますが、政府としては、排出量の売買システムをどのような企業が担うことがふさわしいと考え、具体的にどのような要件を満たす必要があると認識しているのか、また、これらのシステムを導入する際の費用はどの程度かかると想定しているのか、伺います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案では、排出枠取引市場を公正かつ安定的に運営する観点から、GX推進機構が、その業務方法について経済産業大臣による認可を得た上で、市場の設置、運営を担うこととしてございます。

 具体的には、機構は、市場参加者の要件や、取引や決済の方法、公正な取引を確保するための措置等を記載した業務方法書を作成し、認可を受けることが求められますけれども、記載すべき事項の詳細は、今後、経済産業省令において定めることとなるところでございます。その上で、市場の運営に係る業務の一部を民間に委託することにつきましても、経済産業大臣の認可を受ければ可能となります。

 実際の市場の運営体制や必要なシステム等についても、その費用も含めて、企業間での排出枠の取引が開始される二〇二七年度までに機構において検討されることとなりますが、政府としても、これまで取り組んできたカーボンクレジット市場の経験も踏まえながら、円滑に運営できるよう連携してまいりたいと考えております。

 なお、二〇二二年九月から二〇二三年一月末までの東京証券取引所で実施したカーボンクレジット取引市場の実証事業では、取引所自体が、システム開発のノウハウを持つ国内のベンダーと共同で、取引を行うためのシステムを開発、稼働していたということでございます。

大島委員 ありがとうございました。

 私は、マーケットに任せれば全てがうまくいくとは思っていない立場でして、上下水道、あるいは安定的な電力の供給、あるいは投資の予見性等はしっかり今後も制度として見直した方がいいと思います。

 ここで質問を終わります。ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、鈴木岳幸君。

鈴木(岳)委員 立憲民主党の鈴木岳幸です。

 それでは、今回のGX推進法改正案についての質疑をさせていただきます。

 今回の法案では、脱炭素に向けた取組といたしましてカーボンプライシングを施行していくとしておりまして、国による先行投資支援とカーボンプライシングがGXを進める両輪であるとしておられます。

 そこで、特にカーボンプライシング、排出量の取引ということについて、関連する項目を質問させていただきます。

 まず、Jクレジットについてお尋ねをしたいと思います。

 このJクレジット制度自体というものは既に何年も前から始まっていて、法律に基づかない制度として、実施要綱によって、経産省、環境省、農水省が運営を行うこととなっておりまして、実際に排出量取引が東証のカーボンクレジット市場にて行われております。このJクレジットというのが、今後このGX推進法によりましてどのような影響を受けることになるのでしょうか。法律の関わりを実際に受けることになってくるのかどうか。また、現在、経産省、環境省、農水省、それぞれの方々はどのようにこのJクレジットを管理、運営、関与をしているのかという点について、お尋ねをいたします。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 Jクレジット制度につきましては、中小企業や地方自治体などを含む多様な主体による炭素削減や吸収の活動をクレジット化して取引を行うことで、排出削減と投資促進の好循環を促し、社会全体で費用対効果の高い取組を進めることができるものというふうに認識をしてございます。

 今回、法改正によって導入されます排出量取引制度におきまして、Jクレジットを活用可能とするということを予定してございまして、そのことによりJクレジットの需要が高まることによって、クレジットを創出する側のインセンティブにもつながるというふうに考えているところでございます。

 また、委員の御指摘のとおり、Jクレジット制度につきましては、経済産業省、環境省、農林水産省が制度管理者として、外部有識者で構成される委員会の運営や規定の見直しを行うなど、共同で制度を管理をしているところでございますが、個別のプロジェクトの測る方法論などにつきまして、例えば、経済産業省はエネルギー関係であったり、環境省は廃棄物関係であったり、農林水産省は農業、農林関係であったりとか、それぞれ専門の知見を持つ分野において中心的に主導して、いずれにしろ三省で協力しながら進めていく、そういうような関与の仕方でございます。

鈴木(岳)委員 Jクレジットが三省で運営、関与を行っていて、今までちゃんと運営ができているということはよく分かっております。今回の法律案に関しても、このJクレジットを外部クレジットとして活用していくということのようでございます。

 今回の法律案、改正案は、大企業の排出権取引に関するものであるかと思います。そして、Jクレジットは、今おっしゃられましたように、主に中小企業の排出枠に関して取引を行っていくというものでございますけれども、このカーボンプライシングというもの自体は、大企業も中小企業も、規模にかかわらず全ての事業者さんがやっていただかなければならないものであるかと感じておりますけれども、この点に関しては、政府の見解は、どのように思っておられますでしょうか。お願いします。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 日本全体の温室効果ガス排出量の約二割程度を中小企業が占めてございまして、産業全体で排出削減を行っていく上で、中小企業の取組も欠かせないというふうに考えてございます。

 今回の排出量取引制度では、排出量が十万トン以上ということでございますので、直接中小企業は、余り多くは該当しないと思ってございますけれども、実際、対象外であったとしても、こういう企業間の今後の関係の中において、サプライチェーン全体の中で排出削減を目指す大企業が、取引先の中小企業に対して、排出量の見える化であったりとか削減を要請する動きなども拡大しつつございまして、中小企業も排出削減の対応が求められているというふうに承知をしてございます。

 このような状況の中で、排出削減に取り組む中小企業が増えていくということが期待されるところでございますが、Jクレジット制度には、中小企業の脱炭素の取組の成果をクレジット化して取引できるというような利点がございますので、中小企業の脱炭素の取引促進につながる可能性があるというようなものとして認識をしているところでございます。

鈴木(岳)委員 今回の法律で大企業の枠を決めれば、その余波が中小企業にも行って、Jクレジット制度が広がっていくということにもつながるというような御答弁かと思います。

 Jクレジットというもの自体はもう何年も前から制度化されて行われているものでございますけれども、私、去年まで静岡の藤枝市というところで市議会議員をやっていましたので何となく分かるんですけれども、数年前ぐらいにこのJクレジット制度が、中小企業の資金的な面で物すごくメリットがあるんじゃないかと、にわかにちょっとだけ盛り上がって、ざわついたようなことがあったかと記憶しております。

 ところが、実際、今になってみて、当時のちょっとした盛り上がりが徐々に徐々に下火になってきているような、そんな印象を私自体は受けております。これはなぜかというと、Jクレジットが、物すごく手続が面倒くさくて、いいものであるというのは分かるけれども利用開始に踏み切れないと、多くの中小企業、事業の経営者さんが思っていらっしゃるようです。

 これが利用開始の障壁となっているように感じているんですけれども、その点はどのようにお考えでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 Jクレジット制度につきましては、しっかりとした方法論で計測をしてもらったりというようなこともございますので、やはり一定程度の手続は必要かと思ってございますが、委員御指摘のあったとおり、申請書類の作成に係る負担であったりとか、削減プロジェクトの開始から実際のJクレジットの創出までに一定の時間がかかるということを承知をしてございます。

 このようなことから、中小企業の方々の負担の軽減のために、政府において、計画書などの作成の支援を行っているところでございます。

 加えまして、Jクレジットに関する知見の提供、相談、手続支援などを行うJクレジットプロバイダーというものを認定をいたしまして、こうしたプロバイダーが中小企業のJクレジット創出を支援をしているというところでございます。

 こうした支援を通じまして、中小企業によるJクレジットの創出の促進につなげてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

鈴木(岳)委員 排出量の削減というのは、やはり会社規模にかかわらず全ての事業者さんにお願いしていかなければならないかと思いますので、特に中小企業さんは、仕事がとても忙しくて、そこまで手も回らないという方もたくさんいらっしゃるかと思います。そういった方々はどこから聞くかというと、大概が、商工会議所や商工会とか、税理士さんとか、そういう方からしか情報が入ってこないということもあると思いますので、そのような方々とうまく連携して、手続の簡素化というのを進めていただければと思います。

 ちょっとお聞きしたところによりますと、これをやってみようかなと思ってから適用になるまで大体半年、そこから実際の排出というのが始まってくるまで一年、二年。そう考えると、それだけの長いスパン、本当にもうかるかもうからないか、資金的にプラスになるかならないか分からないところに労力を割いていくというのが、やはり中小企業の経営者さんにとっては大きな負担となることでありますので、その点の負担軽減というところを是非今後も進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 この手続というところにも関わってくることなんですけれども、排出量、削減量というのが、正確な算定をするというのが非常に困難な部分であるかと思います。実際に現場を見て、どの機械がどのぐらいの排出をして、どの状況になったらこれだけ増える、減るというのを計算していく、これはすごい手間だと思うんですけれども、この算定に関しての質と信頼性の担保というのが今どのように行われているか。そして、新たな技術とか新たな製品というのが出てきた場合には、算定の根拠が、まだ新しいものであれば、これから考えなければいけないとか、明確になっていない部分もあるかと思うんですけれども、そういった対処方法はどのようにお考えでしょうか。お伺いをいたします。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘のあったとおり、Jクレジットや排出量取引制度において、削減量や排出量が金銭的価値として評価をされるということでございますので、その正確な算定が重要であるというふうに認識をしてございます。

 Jクレジット制度におきましては、クレジット創出において算出の根拠となる方法論の策定であったりとか、事業者からの方法論に基づく削減量の申請、認証というものを経ましてクレジットが創出をされるということになってございます。

 方法論につきましては、各分野の温室効果ガス排出算定などの知見を持つ有識者による第三者委員会の確認を経て策定をしてございまして、新たな技術などに基づく申請があった場合には、我が国の温室効果ガスの排出量及び吸収量の標準的な算定方法などを参照しつつ、方法論の追加や改定などを行っているというのが現状でございます。

 また、事業者の申請内容につきましても、第三者機関の事前検証を受けた上で、有識者から成る第三者委員会の認証を得るということにしてございまして、委員御指摘のような質と信頼性の確保というものを考えていきたいというふうに思っているところでございます。

 その上で、本法案で導入いたします排出量取引制度についても一言申し上げさせていただきますと、事業者の排出枠の割当て及び償却に際しましては、事業者が行った排出量の算定が適正に行われているかについて、認証機関などの第三者による確認を受けるということを義務づけているところでございます。

 同制度における算定及び確認の具体的な制度設計は今後整備をしていくことになりますが、新たな技術や素材、材料の取扱いにつきましても、技術的な成熟度などを踏まえまして適切に判断してまいりたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(岳)委員 この算定というものがお金に直結するところでありますので、ここは慎重の上にも慎重を期して正確さを追求していただきたいということをお願いをさせていただきたいと思います。

 今ちょっとるるお話し申し上げましたように、このカーボンプライシングの導入、排出枠、排出量の削減というのが今後はどの事業者さんにとっても経営に資する、資金的なメリットにもつながるということが今回の法案の肝かと私考えております。そうしますと、あらゆる事業者さんに対して、カーボンプライシング、排出量の削減というものを導入することによって経営がよくなっていくということを分かっていただくのが重要かと感じております。

 特に、中小企業の皆さんがJクレジットを創出していくということで経営に対して非常にメリットがあるということを訴えて需要を喚起していく、創出枠を広げていただくということが非常に重要となってくるかと思いますが、これは法律の理念に関わること、今後の排出枠、削減の根幹に関わるということでございますので、大臣にお聞きしたいと思いますけれども、中小企業の皆さんにクレジットの創出を喚起するような環境整備とかというのはどのように行っていくかという点についてお伺いをしたいと思います。

武藤国務大臣 Jクレジット制度は、多様な主体による炭素削減や吸収の活動を国が認証した上で金銭価値化して取引を行うものです。クレジット創出件数の約三割は中小企業等であり、中小企業による活用も進んでいるところです。

 今般の排出量取引制度におきましては、Jクレジットを活用可能とすることで中小企業のJクレジット創出意欲が高まると考えているところです。

 この機会を逃すことなく、説明会の開催等により中小企業のJクレジット制度活用のメリットを普及啓発するとともに、Jクレジットの審査費用の支援等も通じて、更なるJクレジットの創出及び排出削減等につなげていきたいというふうに考えているところです。

鈴木(岳)委員 是非その点は強く推進していただきたいと思います。

 今回の法律案、改正案の中では、総枠では一億トン以上の総枠を設けるということだったかと思いますけれども、Jクレジット自体はその総枠に対してまだ一%未満だということだそうですね。大企業が中心である今回の法案に対してJクレジット制度の方が一%未満ということは、仮にそれを外部クレジットとして利用しようとしても、その枠自体が少な過ぎて利用もできないということになってしまってはちょっと本末転倒かなとも思います。

 海外の事例では、外部クレジットが入り過ぎたことによって価格が下がってしまって制度がもたなくなってしまうということもあるようではありますけれども、それはもうちょっとJクレジットの枠が大きくなってから考えるべきことかと思いますので、中小企業の皆さんには経営的なメリットがあるんだということを強くPRしていただいて、そして、何より手続の簡素化によって参加企業を増やしていただくということをお願いをさせていただきたいと思います。

 そして、また次の質問に行きますけれども、今後、二十兆円もの先行投資支援を行って、百五十兆円もの官民GX投資を実現するということが目標になっているとおっしゃっておられますけれども、このGX投資というのを受けやすい業種とそうではない業種があるんじゃないかということを感じております。

 例えば運送業の皆さんだったら、ディーゼルエンジンとかガソリンエンジンを電気自動車に替えれば大きく排出量が減るから、この投資というものは車への投資ということで分かりやすく見られますよね。他方、例えば金融業の方とか、投資業の方とか、広告業の方とか、余り最初からCO2排出をしていらっしゃらないという業種もあるわけですから、そうすると、業種間によって不公平感というのが出てくる可能性もありますけれども、多くの業種の方に投資を進めていただくための施策、不公平感を感じさせない施策というのはどのようにお考えでしょうか。お伺いいたします。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、GXの実現のためには広く社会全体で取り組むことが必要というふうに考えてございます。その上で、政府によるGX経済移行債を活用した先行投資支援につきましては、やはり産業競争力の強化と排出削減のいずれにも資する分野や事業であり、さらに、民間企業のみでは投資判断が真に困難な事業であるなど、優先順位をつけて実施していくこととしてございます。

 具体的には、我が国のCO2排出量の約二〇%を占める鉄鋼や化学などの排出削減が困難な産業に対する脱炭素型の製造プロセスへの転換の支援であったりとか、約一五%を占める家庭部門に対する二重窓の導入支援など、分野別の投資戦略に基づきまして、めり張りをつけた投資促進策を講じているというところでございます。

 なお、本年二月に決定したGX二〇四〇ビジョンにおきましては、投資支援策の在り方については、技術開発の動向などを踏まえて、必要に応じて見直しなどを行っていくということも明記をしているところでございまして、こうした点も踏まえまして、引き続きGX実現に向けて効果の高い事業者のGX投資を後押しをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(岳)委員 確かにそうですね。投資業の方とか金融業の方というのは余りCO2を出していないので、自分たちでできてしまうという面もあるから、たくさん排出している方に支援を行って投資していくことによって総枠を減らしていく、これは効果があるところに集中投資をするということですから、確かにそのとおりかと思います。その点は私も賛成するところではございますので、効果が高く、CO2削減を効率的に行うということをこれからもお願いをしてまいりたいと思っております。

 それでは、ちょっと時間もありませんが、最後に再生材利用ということについて一点だけお聞きしたいと思います。

 今回の法案でも、再生材利用を進めていくということを明記されておられますけれども、再生材利用とかを積極的に導入しているところ、特化しているところ、環境配慮がなされているという企業とそうでない企業というのがあるかと思います。同じ業種、同じ業態であっても、そういう配慮をしている企業としていない企業というのがあるかと思いますけれども、こういった環境に配慮されている企業を優遇していくような措置というものは講ずることができるかどうか、その点について、現状の取組と今後の課題についてお聞きしたいと思います。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員から御指摘のあったとおり、環境配慮に積極的な企業を適切に評価をし、その取組を後押ししていくということは重要と認識してございます。特に、再生材を利用したり、解体、分別しやすい設計や製品の長寿命化につながるような設計を行うなど、環境負荷低減に取り組む企業が市場で評価をされる仕組みというものが重要かと思ってございます。

 その一方、現行制度では、特に優れた製品設計を評価をし、市場での差別化を図る仕組みというものが存在をしてございません。

 このため、再生材の利用や解体のしやすさ、長寿命化など、ライフサイクル全体での環境負荷低減に資する優れた製品設計を評価をし、認定する制度を本改正案で創設するということとしてございます。

 認定を受けたことを製品に表示をすることで、消費者が環境に配慮された製品を選択することを促すという効果も期待をしているところでございます。

 また、認定製品につきましては、国などによる調達での配慮などを行うとともに、環境配慮設計の実現に必要な技術開発支援も実施をしていく予定でございます。これによりまして、企業に対する環境配慮設計への投資インセンティブを高め、環境配慮に積極的な企業が適切に評価をされる社会の実現を目指してまいりたいというふうに考えているところでございます。

鈴木(岳)委員 今回の質問はGX推進法改正案についてでございますけれども、排出枠の件も再生材利用の件も、真面目に協力してCO2削減に取り組んでいる企業さんにはやはり得があるようにということを、これから更に進めていただくことをお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、東克哉君。

東(克)委員 立憲民主党、広島三区の東克哉と申します。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 この度のGX推進法の改正について、地元の企業さんにしっかりと意見を聞いてきました。その方々の声を本当に届けたいと思ってこの場に立たせておられますので、質問が偏ってくるかもしれませんけれども、ある程度御了承ください。

 今般のGX推進法の改正案について、本当に、話を聞いた中で、不明な点、これからどうなるんだろうかという不安な点をたくさん聞いてきましたので、少しでもそれが解消されるように御答弁いただければというふうに思います。

 まずは、排出量取引の法定化、現時点での企業の線引き、その負担とサポートについてお伺いをさせていただきます。

 この法律案においては、二〇二六年度からCO2の排出量取引を法定化することが定められていると認識しております。法定化時点で対象となる排出事業者の線引きについては、やはり企業側からすれば、新たな事務負担が増える、新たな事務負担が増加になるということにもなり、そして、やらないところはそれが増えないと、不公平感が出るようになる、それが出ないように線引きはしないといけないなということを考えております。

 そして、排出量の割当てについても同様に、排出量の割当て量が妥当だと思ってもらえるような、公平感や透明性が担保できることが明確に理解される、納得はできなくても、まあ仕方ないなというふうに理解される環境整備が必要だとも認識をしております。

 排出枠について、これから、今般の改定案による新たな取組に対して、事業者が受ける、これからやらないといけない申請とか手続、これらにおいての負担増、どうやって進めたらいいのかということをどのように国が、政府がサポートしていくのかということを、今様々な対策が考えられているとは思うんですけれども、現時点での考えられている対策等があれば教えていただけますでしょうか。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 排出量取引制度につきまして、事業者の事務負担や行政の執行可能性なども踏まえまして、排出量が一定規模以上の事業者に絞って制度対象とするための一定の基準が必要でございます。各国の排出量取引制度でもこうした裾切り基準が設けられているところでございます。

 本法案による制度は、二酸化炭素の直接排出量が十万トン以上の事業者を対象とする方針でありまして、これは諸外国と同等の水準でございまして、公平、透明な基準としての一つの考え方だと思ってございます。

 また、排出枠の割当てにつきましては、排出削減の難易度の違いなど、業種特性を十分に考慮しまして、業種別にベンチマークを設定しまして、その基準に従って企業ごとの排出量を決定することを基本としてございます。

 さらに、こうした基準の策定に際しましては、本法案では産業構造審議会の意見を聞いた上で決定することとしておりまして、議論の透明性の確保にも十分に留意しながら検討を進めてまいりたいと思います。

 その上で、御指摘ございましたけれども、排出量取引制度の導入に当たりましては、対象企業の事務負担、これが軽減されますよう、ガイドラインの整備、事業者への説明会の開催などを通じまして事業者に迅速かつ分かりやすく周知するとともに、手続の簡素化につきましても不断に検討してまいりたいと思ってございます。

東(克)委員 ありがとうございます。

 先ほど答弁いただきましたガイドラインと説明会は、二六年の四月からということはもう一年切っておりますので、できるだけ、概略だけでも分かりましたら早期に発表していただければというふうに思います。少しでも本当に事業者の皆様の負担が少なくなるように取組をお願いいたします。

 続いて、排出量取引の法定化に当たって、事務負担等の増加のサポート、先ほどおっしゃっていただきましたガイドライン若しくは説明会のみならず、続いて、CO2の排出の回避、削減に取り組んでいかなければならないということです。

 これも私がお話を聞いた事業者は本当に頭を悩ませておりまして、実際に、技術が向上途中で固まっていないのに制度だけが先に進んでしまって足下から揺るがされることがないように、本当にお願いしたいというふうに言われていました。

 そして、こうした脱炭素の取組において、二〇三三年度、発電部門について段階的にオークション導入がされていく。それまでの間、この移行期間、トランジションの間、どうやって移行していくのかということ。そして、やはり、先ほど申し上げましたCO2の削減、吸収等の技術的な向上の、排出量軽減に必要な研究開発費の投資、設備投資への支援が本当に今以上に必要になってくるというふうに認識をしておりますし、そう言われておりました。

 こうした研究開発への投資、そして設備投資、これは送配電も含めた設備投資のこと、さらにはファイナンスに関する支援、特に補助金が関わってこないところには本当に自前で資金調達していかないといけないということをやはり切実に言われていましたので、ファイナンスに関する支援について、今、現時点で検討されていることがありましたら教えてください。

龍崎政府参考人 発電部門への支援についてのお尋ねがございましたけれども、御指摘のとおり、発電部門の排出量削減のためには、再エネや原子力といった脱炭素電源の導入拡大に加えまして、火力発電から排出されるCO2の分離・回収の技術開発、それからその社会実装も必要になると認識してございます。

 このため、現在、GI基金を活用しまして、例えば、CO2が薄くて技術的に難しいとされるガス火力発電所に向けたCO2の分離・回収技術の研究開発を、二〇三〇年の社会実装を目指して支援してございます。

 さらに、二〇五〇年のカーボンニュートラルの達成のためには、大気中のCO2を回収する、いわゆるDACとか、バイオ炭に代表されるCO2の除去技術も必要になると認識してございます。これにつきましては、GI基金とかムーンショット型研究開発事業により、これらの技術の開発を後押しをしてございます。

 また、発電部門の脱炭素化を進める上では大規模な投資が必要でございまして、投資回収の予見可能性を高めるために、長期脱炭素電源オークションの仕組みを整備しまして、脱炭素電源への投資促進を進めてございます。

 加えて、御指摘ございましたが、送配電網の整備も重要でございます。このため、託送料金制度における費用の回収の在り方、それから公的な信用補完の活用や政府の信用力を活用した融資など、送配電分野における資金調達を円滑化する仕組みなども検討してまいりたいと思ってございます。

 こうした支援を通しまして、発電部門の脱炭素化に向けた取組を後押ししてまいりたいと思います。

東(克)委員 ありがとうございます。

 是非検討していただいて、少しでも前に進めていただきまして、お話を聞いた発電事業の皆様の不安を少しでも改善していただければなというふうに思います。

 二〇二六年の四月から本格的にスタートすることになり、これは様々なことが、本当にいろいろなところからいろいろなことが言われるようになると思うんですけれども、私が何度も言われたのが、関連団体の意見をしっかり聞いてほしいと。

 いろいろな意見を聞く場をしっかりつくってもらって、そして、最終的にはやはり政治判断でどこかで線を引かないといけないということは分かっているんですけれども、それまでの移行期の間に様々な課題を吸い上げる体制を是非つくってほしいということを痛切に言われておりましたので、これは要望としてお伝えさせていただきます。また、来年の四月に実際にスタートして、現場の方の声を聞いて、この委員会の場で質問させていただければと思いますので、できるだけいろいろな意見を吸い上げられるような体制づくりをよろしくお願いいたします。

 続いて、排出量の取引の適切な実施についてお尋ねさせていただきたいと思います。

 この改定案が成立しますと、GX推進機構が今後排出枠の取引市場を運営していくことになると理解をしております。市場に対する監視体制、そして整備、排出枠取引の公正性の担保が重要となると認識していますが、不正取引などの防止に対する対策についてお考えがありましたらお願いいたします。

龍崎政府参考人 排出枠を公正かつ健全に取引できる環境を整備することは、取引の安定性や炭素価格の公示機能の確保に不可欠でございまして、企業のGX投資を促すための制度の基盤として極めて重要だと考えてございます。このため、排出枠の取引市場は公的な機関が公正に運営をすることが必要でございまして、本法案においてGX推進機構が運営することとしてございます。

 その上で、機構は、公正な売買取引を確保するために必要な措置事項等を含む取引市場の運営方針を定めた業務方法書について経産大臣の認可を要することとしてございます。したがいまして、実際にGX機構が取引市場を開設する際、それからその後の運営状況について、公正な取引環境を整備、維持しているか、政府としては適切に確認をしてまいりたいと思います。

 また、適正な価格形成のために、本法案では、価格が急騰や急落する場合の対策として、上下限価格を設定するとともに、制度対象者以外の事業者の取引市場への参加について一定の基準を設け限定することで投機的な取引が行われることを防ぐ仕組みとしているところでございます。

 こうした取組で、公正かつ健全な取引環境を確保してまいりたいと考えてございます。

東(克)委員 ありがとうございます。

 これも本当に、始まったら様々なことが起こるかと思いますので、是非、その都度その都度、修正、改善していただければというふうに思います。

 この取引についてなんですけれども、やはり枠の取引なので、その取引のイメージ、株式市場のようにどんどんどんどん日々取引するイメージなのか、若しくはある程度タームが長くて取引をするイメージなのか、もしイメージがあれば教えていただきたいことと、先ほど、枠の割当てについて、業種ごとでいろいろなことを考えてベンチマーク方式でやるというふうに言われましたが、これも、私が聞いた企業のところでは、業種は同じでも地域によって差があるんだというふうに言われました。電力でいうと、原子力が多いところもあれば、原子力が少ないところ、全くないというところもあります。もちろんそれで排出量が変わってきますので、その排出量の枠に対して地域ごとの調整がなされていることが検討されているのかどうかということと、そして、排出枠の償却が義務として課せられる場合、企業へどの程度金額や負担を想定しているのか。地域枠がもし進んでいることがあれば教えていただきたいことと、どの程度での金額負担を想定しているのかということがあれば教えてください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、頻度でございますけれども、排出枠取引市場の開場期間等の具体的な設計につきましては、市場の運営を担うことになりますGX推進機構とも連携をしながら今後検討してまいりたいと思っておりますが、検討に当たりましては、東京証券取引所におけるカーボンクレジット市場での取引の状況、それから諸外国における市場設計なども参考にしながら、市場の価格公示機能や市場参加者の利便性を高めるような、そうした市場設計を目指していきたいと思ってございます。

 それから、負担についてですけれども、本制度は、業種特性を考慮した基準に従いまして、排出枠を無償で割り当てる仕組みでございます。もちろん、基準を超えて排出を行う事業者は市場を通じてその差分を調達することになりますけれども、逆に、先行的に脱炭素投資を進めてきた事業者は、余剰の排出枠を売却し、収益を得ることも可能でございまして、必ず調達費用が生じる、そういうものではございません。

 その上で、仮に排出枠を調達しなければいけない事業者につきましても、そのための費用が過大になって産業競争力への影響が生じることは回避をする必要があるということでございますので、製造拠点の国外移転リスクとか工場の新設、事業規模の拡大の状況等を勘案して割当て量を調整いたしますし、それから、排出枠の取引価格に上限を設けまして、価格高騰を抑制する仕組みとしたいと思ってございます。(東(克)委員「地域ごとはありますか」と呼ぶ)

 お尋ねの発電部門の地域差でございますけれども、排出枠の割当ての制度設計に当たりましては、もちろん業種間の公平性もございますし、あとは、業種内での公平性、これも担保する必要が制度としてはあるかと思ってございます。したがいまして、原則としては、同一の事業を行う事業者に対しましては、共通の物差し、考え方に基づいて割当て量を決定することが適切であると考えております。これは基本でございます。

 その上で、発電部門、委員御指摘のとおり、固有の事情とか各社の実態も踏まえまして、どのような基準に従って割当てを行うことが適切であるかにつきましては、今後、産業構造審議会におきまして、専門的知見を持つ有識者の意見なども踏まえながら丁寧に検討を進めてまいりたいと思ってございます。

東(克)委員 ありがとうございます。

 本当に、大変な作業になるかと思いますので、是非様々なお知恵と、体調に気をつけて、仕事をし過ぎないように頑張って、でも、私が聞いた会社は、やらないといけないということは分かっているんだけれども、やはりどういうやり方でやるのかは本当にプロセスを見ながら進めてほしいということを言われておりましたので、是非、難しい仕事だと思いますが、していただければなというふうに思います。

 ちょっと時間が迫ってきています。排出量取引については以上とさせていただきまして、次に、再生材のことについてお伺いさせていただきたいと思います。

 再生材の利用の義務化についてお伺いさせていただきます。

 今般の法改定では、政令において定められる特定の再生資源、製品について、具体的にはプラスチック製品が想定されているというふうに理解をしておりますが、今後、その他の資源、製品に拡大していく、プラスチック以外に拡大していく可能性があるのか、その場合も、再生資源、製品について、立法の措置ではなくて政令において定めることになっているのか、その辺りについて現状を教えていただければと思います。

龍崎政府参考人 御認識のとおり、対象として指定する必要性が生じた再生資源及び製品につきましては、速やかに政令で指定していく予定としてございます。現時点では、再生資源としてまずはプラスチックを対象としまして、続いてレアメタルにつきましても検討していくことを想定してございます。

 それから、対象とする再生資源、これは、技術的には利用できる状態にあるものの品質やコストなどの問題から市場原理だけでは十分にその利用が行われていないことや、再生資源にすることでライフサイクル全体の排出削減効果が大きいことなどを総合的に勘案して検討していきたい、こう思ってございます。

東(克)委員 ありがとうございます。

 政令、これもまた動き出したときにいろいろなところからいろいろなことを言われると思うんですけれども、本当に、様々な意見が吸い上がるような窓口等の対応も是非ともお願いできればというふうに思います。

 こうした再生資源の利用の義務化について、脱炭素への取組である一方、国際競争の枠組みの中でいずれ求められるであろう脱炭素の基準に対応するための取組であるということも理解をしています。

 例えば自動車産業においては、ヨーロッパ、欧州発のEV車シフトがあり、直近ではこれがハイブリッド車へ回帰が起こっている、航空燃料については、SAFの導入目標が掲げられ、国内の航空産業において非常に熱心に取り組んでいただいているということも認識しております。最近では、炭素繊維を利用したプラスチック、これらなどに新たな規制が検討されるのではないかというふうな欧州発のニュースが流れておりました。

 どうしてもこういう制度が欧州若しくは米国、外国先導で走っていってしまうので、それに追いつかないといけないというのが我が国の現状であるということも認識しています。

 そこで、こうした再生材の利用において、一層の研究開発、リサイクル技術の向上支援や、国際競争の中で日本が海外で活躍していくためには、やはりこれから様々な支援に取り組んでいかないといけないという思いがあると思いますし、その支援に対する意気込みを最後に大臣にお伺いできればと思います。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 再生資源の利用促進によって天然資源投入量が削減されることは、製造プロセスにおけるエネルギーの消費量ですとか二酸化炭素の排出削減にも直接的に寄与するものだと思います。御指摘のように、自動車等の様々な産業分野において環境要請が高まる中で、サーキュラーエコノミーへの移行支援は我が国産業の国際競争力強化の視点からも重要だというふうに思います。

 また、再生資源の利用等には技術的課題も多いので、需要面では再生資源を使いこなすための技術の高度化、また供給面では、再生材の安定供給や品質の向上につながる技術開発とか設備投資を促すための産官学連携による自律型資源循環システム強靱化促進事業による予算的支援を進めているところでもあります。こうした需給両面での取組によって、早期に国内で再生資源が循環する仕組みを構築してまいりたいと思っております。

東(克)委員 時間が来ましたので。

 様々なことがこれからあると思いますが、これからもよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、福森和歌子君。

福森委員 立憲民主党の福森和歌子です。本日もよろしくお願いいたします。

 前の先生方の質疑と重なる部分があり、重ねてお聞きする質問、あるいは予定した質問をスキップすることもあるかと思いますけれども、何とぞ御容赦ください。

 それでは、まず、グリーントランスフォーメーション全体についてお聞きしてまいりたいと思います。

 日本経済新聞が、今年、二〇二五年二月二十八から三月十九日に実施いたしました社長百人アンケート調査によると、二月に閣議決定した国全体の温暖化ガス削減計画において二〇三五年度に二〇一三年度比六〇%減という中間目標が定められたことに対し、四五・八%もの方が実現は難しいと回答しておられます。その理由は、削減に必要な新技術の開発が間に合わない、七七・六%、再エネが十分に導入し切れない、七七・六%、規制の整備が間に合わず新技術などが導入できない、四六・九%、資金不足で新技術の導入が間に合わない、四四・九%等となっております。

 また、GXに関連する施策の実施に当たっては、エネルギーの移行と産業構造の変化を伴う、そのために経済や企業経営、雇用等への負の影響も考えられ、特に中小企業に対しては国による移行支援が必要になると思われます。これらの企業課題に対し、国としてどのような支援策、フォロー策を考えていらっしゃいますでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 次期温室効果ガス削減目標につきましては、二〇三五年六〇%、二〇四〇年度七三%削減を目指す方針を示しておりますけれども、今御指摘のアンケートにおきまして産業界の方から指摘があるように、目標達成はなかなか容易ではないというふうに認識をしてございます。

 目標達成に向けましては、エネルギーの脱炭素化や脱炭素型の製造プロセスへの転換などの課題に官民挙げて取り組んでいくことが必要だというふうに認識してございます。そのため、例えば、ペロブスカイトの太陽電池であったりとか浮体式の洋上風力などの再生可能エネルギーの導入支援、さらには、鉄、化学など排出削減が困難な分野における革新的な排出削減技術の開発、社会実装の実現に向けて、GX経済移行債を活用して支援をしてまいりたいというふうに考えてございます。

 また、我が国のサプライチェーンに重要な役割を果たしております中小企業のGXに向けた取組も重要と認識してございます。そのため、専門家が省エネのアドバイスを行う省エネ診断の支援であったりとか、省エネ設備への更新を支援する省エネ補助金、さらにはGXを含めた中小企業の新たな事業への挑戦を支援する新事業進出補助金などの支援策を講じているところでございます。

 こうした支援策と現在御審議をいただいておりますカーボンプライシングとを併せまして、排出削減目標の達成に向けて、様々な政策を総動員して取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

福森委員 今おっしゃっていただいたとおり、大企業は大企業で再エネですとか新しい技術、中小企業も、置いていかないといいますか、より一層の省エネをということで、国が目標を定めることは大事ですけれども、定めっ放しにならずに、企業がついてこれるようにという支援策を是非お願いしたいと思います。

 続きまして、GXというのは全ての産業において主要経営課題の一つであり、GX人材もますます必要になってくるかと思います。

 GX人材については、領域が実に多岐にわたり、産業や個別の企業によってもニーズが異なりますし、その領域においても未開拓の部分がまだまだあって、全体的に不十分であると思います。実際、どの企業でも、GXについて、総論はいいね、賛成だ、こう言いますけれども、具体的にはとお聞きすると、経営視点でも技術視点でも、どうすればいいか悩む部分があるということもお聞きします。また、行政やGX推進機構等でも、GXに関わる専門人材の確保と育成が急務なのではないでしょうか。GXに関わる専門人材の確保や育成に関する取組についてもお聞かせください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、日本全体でGXを推進する上では、それを支える人材を確保するための取組を官民で進めていくことが重要と認識してございます。

 そのためには、まず、どのような人材の確保、育成が求められているかというものを把握することが、特に黎明期でありますGXの分野では重要と認識してございます。

 そのため、当省では、幅広い業種、規模の企業でGX推進を担う人材の確保、育成に関する事例を収集し、GXを進める企業が参照できるように、本年四月に事例集として公表したところでございます。

 あわせて、GX人材の一層の活躍に向けて、GXに関するスキルレベルを具体化をし、そういったスキルを持つ人材が適切な場所で活躍できるような労働市場の創造や産学官による人的投資の推進が重要と考えてございます。

 そのために、民間企業七百社以上が参加をいたしますGXリーグ内のワーキンググループが策定をいたしましたGXスキル標準であったりとか、産業分野別に進んでいるこれまでの人材育成の取組も踏まえながら、今後、取組の拡充に向けて更に施策を検討していきたいというふうに考えてございます。

福森委員 まさに今の事例とか労働市場のことを始め、国がリードしていっていただければと思います。

 地方自治体へのアンケート調査でも、経験とか専門性が不足しているのが課題だというお答えがありましたので、是非、地方自治体への支援もお願いしたいと思います。

 続きまして、政府は、二〇五〇年のカーボンニュートラルと経済成長、産業競争力強化を併せて実現するために、カーボンプライシングとGX経済移行債による投資促進策を組み合わせた成長志向型カーボンプライシング構想をまさに立案し、実現を目指しているということです。その一環として、排出量取引制度を二〇二六年度から本格稼働、二〇二八年度からは化石燃料賦課金を導入するということで、本改正案は具体化に向けた措置を講じていると思います。

 カーボンプライシング構想については、実は、二〇〇〇年代から議論が交わされてきては、法制定、施行には至らずに終わっていた。一般市民である人たちから見ると、長らく議論されてきたものがここ数年で急に決まってきたなという感もあるかと思います。ただ、これまでの議論は必要であったことであろうし、これまで検討してきたからこそ、あるいは他国の動向から学ぶこともできるからこそ、よりよい制度にしていかなくてはいけないと思っています。

 これまでの経緯や議論の成果、それを踏まえてのこの度の考え方、御決意を改めてお知らせください。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 これまで、経済成長を阻害しない形での排出削減策として、温室効果ガスの公表制度ですとか省エネルギー対策への支援措置、また、産業界の自主的な取組などを基礎とした施策を進めてきたところです。

 一方で、二〇二〇年頃からは、各国でカーボンニュートラルの実現に向けた大規模な投資競争が行われるようになりました。我が国も、GXを経済成長の原動力とするために、官民協調で百五十兆円を超えるGX投資を実現する方針を示したところであります。

 こうした中で、事業者のGX投資を喚起するために、二〇二三年に現行GX推進法が国会での御審議を経て成立をしたところであります。先ほども、大島委員のときに二〇二二年と言ったかもしれませんけれども、ちょっと訂正をさせていただければと思います。このGX推進法では、カーボンプライシングを、GX経済移行債を活用した二十兆円規模の先行投資支援の裏づけとなる財源を確保すると同時に、炭素価格が徐々に引き上がる予見性を示すことで、企業の先行投資の更なるインセンティブを創出する手段として位置づけられております。

 このように、カーボンプライシングを先行投資支援と一体とすることで、企業のGX投資を引き出し、経済成長を阻害することなく、排出削減と競争力強化の同時実現を目指す制度としているところであります。

福森委員 ありがとうございます。

 経済成長と排出削減、両輪ということで、時にどちらかを判断しなくてはいけないこともあるかと思いますけれども、国としてよいように御判断していっていただければと思います。ありがとうございます。

 それで、続きましてですけれども、GXについては、国民も反対しないのではないかと思います。

 GXそのものではありませんが、朝日新聞が二〇二四年一月に実施したSDGs認知度調査では、五二・八%の方がSDGsに関心があるとしています。

 また、電通が二〇二四年九月に行ったカーボンニュートラルに関する生活者調査では、カーボンニュートラルという言葉の認知率は六二・一%、カーボンニュートラルの実現に向けた取組の必要性については、七六%が必要又はどちらかといえば必要と回答しています。

 しかしながら、朝日新聞の調査によれば、SDGsについて、商品の購入あるいは利用の際に考慮したいかと聞きますと、三五・四%と高いとは言えない、また、価格が高くても購入、利用したい、あるいは、価格がやや高い程度なら購入、利用したいとする率は二四・四%と低い状況。

 今のままですと、認知度は上がっても、物価高とも相まって行動につながらないということが懸念されます。一層の啓蒙、理解浸透が必要と思われます。どのような施策を行っていく予定か。あわせて、カーボンニュートラルに対応した企業、商品であることが消費者に伝わらないと行動も起こしづらいと思っておりますけれども、そういった仕組みあるいは需要創出策ということも必要と思いますが、どういった対策を考えておられますでしょうか。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 二〇五〇年ネットゼロの実現に向けましては、生産段階でのGX投資を進めるとともに、委員御指摘のとおりですが、脱炭素投資によって生み出された製品の環境価値に対する理解が消費者に浸透して、実際の購入などの行動変容につながっていくことが必要と認識しております。

 このため、環境省では、国民運動、デコ活におきまして、二千三百以上の企業、自治体、団体などが参画する官民連携協議会、デコ活応援団を組織して、脱炭素製品の選択等を消費者に効果的に訴求するためのプロジェクトの創出に取り組んでいるところです。

 また、関係省庁と連携し、製品のカーボンフットプリントや削減実績量といった環境価値の見える化、あるいは脱炭素化のための設備導入支援、そういったことによりまして脱炭素製品の需要創出を進めているところでございます。

 今後更に、脱炭素製品を消費者により分かりやすく訴求する表示の在り方を始めとする需要創出策の検討を深めて、脱炭素に貢献する企業、製品が積極的に選択される社会を目指して取り組んでまいります。

福森委員 今おっしゃっていただいたとおり、行動変容というのがすごく大事なことだと思いますので、一層の施策強化をお願いしたいと思います。

 次に、成長志向型カーボンプライシング構想についてお聞きしたいと思いますけれども、既存の制度との整合性についてはさきに大島委員がお尋ねになられましたのでスキップをさせていただいて、地方自治体との関係性についてお聞きしたいと思います。

 東京都と埼玉県では、条例に基づいて独自の排出量取引制度が運用されております。国の排出量取引制度は、既存の地方自治体の制度と整合性のある制度設計をすべきだと思いますが、どのような対応を考えていらっしゃいますか。

 燃料の使用によるエネルギー起源CO2排出は、東京都と埼玉県の排出量取引制度の規制対象とされていて、本改正案による排出量取引制度においても直接排出として対象になるので、制度間の重複は解消されていないのではないかなと思ったのですが、いかがでしょうか。お答えください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 東京都や埼玉県の自治体で、独自に排出量取引制度を導入しているものというふうに承知しております。こうした取組は、自治体主導での排出削減の取組を推進するという観点から重要な意義があるものと認識をしてございます。

 その上で、今般導入する排出量取引制度の中で、制度対象者に適用される炭素価格は、産業競争力の強化と脱炭素の実現という国全体の目的の下で一律の考え方に基づき定められるべきものでございまして、地域差が生じたり、自治体と国の両制度で事業者に二重負担が生じるような事態は回避する必要があるというふうに考えてございます。

 その際、憲法第九十四条におきまして、地方公共団体の条例の制定は法律の範囲内というふうになっているということから、仮に今般導入をする排出量取引制度と自治体制度に重複がある場合には、その重複が解消されるように自治体側で措置を行うことが必要になるというふうに考えてございます。

 こうした観点から、国と自治体制度の関係を明確にするため、本法律案では、国の制度の直接的な対象とならない間接排出に関する措置であったりとか、国の制度対象も含めた事業者に対して、排出量の報告に関する義務を条例に基づき事業者に課すということについては妨げないという旨を規定をしているところでございます。

 当該規定に基づきまして、国、自治体の役割分担が整理をされ、それぞれでGXの取組が進むよう、関係する自治体とは制度の検討段階から対話を行っているところでございまして、引き続き丁寧に対話を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

福森委員 まさに自治体との調整と、それから、実際に企業はどうしたらいいの、二重じゃないのと思ってしまわないように、そこの啓蒙も併せてお願いできればと思います。

 本改正案では、事業活動に伴うCO2排出量が政令で定める量以上である事業者に届出義務を課しています。当該事業者が脱炭素成長型投資事業者として排出取引制度の対象事業者となります。

 GX二〇四〇ビジョンでは、EUや韓国の排出量取引制度と同規模の排出を行う事業者を捕捉する観点から、直接排出量十万トン以上を対象事業者とする方針が示されてはいますが、直接排出量十万トン以上を裾切り基準とした理由といいますか、その合理性というものをお知らせいただければと思います。

 また、脱炭素化の技術が既に確立された分野とそうでない分野とでは温室効果ガスの限界削減費用に大きな乖離があるということで、対象事業者と対象外事業者との間にそうした乖離を背景とした不合理な負担差が生じないような配慮も必要かと思います。そういったところ、異業種あるいは同業種内での公平性をどのように確保していらっしゃるかも併せてお知らせください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 排出量取引制度におきましては、事業者の事務手続や行政コストも踏まえまして、排出量が一定規模以上の事業者に絞って制度対象とするための一定の基準が必要であると考えてございまして、各国の排出量取引制度でもこうした裾切り基準が設けられているところでございます。

 直接排出量、今御指摘のありました十万トン以上の裾切りというのを想定をしてございますけれども、この基準につきましては、他国でも対象となっているような大規模排出源をしっかりカバーをし、その対象事業者の排出量が国全体に占める割合というものも他国と遜色のないレベルというようなものとして考えているところでございます。ただ、その一方で、同一の業種内においても、直接排出量の差で制度の対象となる事業者とならない事業者が出てくるという可能性があることは認識してございます。

 このため、本制度の対象外となる企業につきましては、むしろGXの投資の結果生み出されるGX製品やサービスの調達を率先して行っていただきたいということで、サプライチェーンでの排出削減を通じたGX市場創造の取組を奨励していきたいというふうに考えてございまして、民間企業が入っておりますGXリーグの見直しというものを進めていきたいということを考えてございます。こうした取組を通じて、制度対象外の企業のGXについても積極的な取組を促してまいりたいというふうに考えてございます。

 また、同業種内又は異業種間での公平性についての御質問がございました。

 先ほど来申し上げてございます、今回、割当ての基準でありますベンチマーク方式、これにつきましては業種別につくるということを考えてございまして、これによって同一業種内での制度対象間の公平性を確保していきたいというふうに思ってございます。

 また、異業種間につきましては、このベンチマークの水準をどうするかということに依存するかと思いますので、この具体的な水準を決定する際には、異なる業種間で達成の難度が公平になるように検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

福森委員 その水準の設定というのは難しいことだと思いますけれども、どうかよろしくお願いしたいと思うのと、やはり国の削減目標との整合性というものも非常に重要であると思いますので、走らせてチェックしていっていただければと思います。

 次に、本改正案では、排出枠の価格高騰対策として、一定期間以上継続して脱炭素成長型投資事業者排出枠の取引を行うことが困難であり、又は困難となるおそれがある場合として政令で定める場合に、脱炭素成長型投資事業者が排出枠の量に参考上限取引価格を乗じて得た額を支払うことで償却したものとみなす措置が導入されています。

 当措置が発動される具体的な要件はどのようなものでしょうか。また、こうした償却とみなす措置というのは会計上問題がないのか、減価償却というのはよく行われますけれども、そういったこと、税法上問題がないのかということも併せてお知らせください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の措置は、排出枠市場において排出枠の需要が供給量を大きく上回っているなどの事情によりまして経済産業大臣が定める参考上限取引価格を超えて市場価格が推移をし、事業者が排出枠を調達することが困難となるような状況に至ったと経済産業大臣が判断した場合に発動するものでございます。

 このような場合におきましては、参考上限価格に不足する排出枠の量を乗じた額を支払うことで、当該事業者は排出枠の調達、償却をしたとみなすという措置を講ずるということを予定してございます。

 この措置によりまして、市場価格が参考上限取引価格以内に収まるよう取引されるということが想定されまして、排出枠の価格を安定化させることにより、事業者の脱炭素投資の予見可能性の確保や国民経済への悪影響を防ぐことができるというふうに考えているところでございます。

 なお、御指摘の会計上の論点につきましては、本措置が発動される場合も含めて、排出枠の会計上の取扱いにつきましては関係者と協議を開始をしているところでございます。制度開始前に合わせ、速やかに検討を進めていきたいというふうに考えているところでございます。

福森委員 価格高騰対策というのは必要だと思いますけれども、結構、企業にとっては会計というのは常に、同時進行でやっていかなきゃいけないし、報告しなきゃいけないし、税金も関わってくるしということなので、その辺の御調整は早めにお願いできたらと思います。

 そして、本改正案では、GX推進機構が作成する業務方法書において、排出枠の売買取引を行うことができる者に関する事項を記載しなければならないとしています。

 GX二〇四〇ビジョンでは、制度対象者以外の事業者についても、取引に関する経験を有すること等を要件として一定の範囲で取引所への参加を認める方針が示されておりますが、なぜ制度対象者以外の事業者を参加可能とするのでしょうか。市場参加者としてどのような事業者を想定し、どのような要件を課すのか、また、そうするということでメリットもあると思うので、そういったところをお示しいただければと思います。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 排出量取引制度においては、排出枠の取引を円滑に実行させることで炭素価格を形成、公示させるために、活発かつ適正に取引を行うために取引市場を整備することが重要だと考えてございます。

 このため、対象事業者以外にも排出枠の取引を仲介し、流動性を高める事業者も一定程度市場参画を認めることで、市場の取引を活性化させるということの効果につながるというふうに考えているところでございます。

 これによりまして、他国の制度において市場参加者を制度対象者に限定したことで発生したような、取引頻度が低迷したりであるとか、特定の期間に取引が集中したりとか、そういうことによる価格の高騰という事態が避けることができるというふうに考えているところでございます。

 その上で、取引の活性化とともに、投機的な取引を防ぎ、取引秩序の維持の両立を図るという観点から、具体的な市場参加者の要件といたしましては、制度対象者からの依頼を受けて取引をするものであったりとか、排出枠に類するクレジットなどの商品の市場取引について一定の経験を有するものということを考えてございまして、具体的には金融機関や商社といった事業者を想定しているところでございます。

 今後、投機目的の取引などが起こらぬよう配慮をしながら、業務方法書によって具体的な市場参加者の要件や取引秩序維持の観点から参加者に求められる規律をしっかり定めていきたいというふうに考えているところでございます。

福森委員 まさに私も、投機的になり過ぎると本来の目的とずれてしまう、それが一番怖いなと思っておりましたので、どうかその点、よろしくお願いしたいと思います。

 ちょっと質問を残しますけれども、時間となりましたので、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、東徹君。

東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。

 ゴールデンウィークも終わりましたので、武藤大臣には、まず、大阪・関西万博のことを一問だけ、ちょっとお聞きしておきたいなというふうに思っております。

 私も、ゴールデンウィーク中、一日だけですけれども行きました。ちょうど五月五日のこどもの日だったんですけれども、そんな、むちゃくちゃ混んでいるというイメージはなかったです。

 早いもので、もう少ししたら一か月たとうとしているんですけれども、四月十三日に開幕してから五月六日までに総来場者数というのが二百四十六万人ということで、関係者を除いても二百五万人ということで、非常に多くの方が足を運んでいただいておりますし、多くの方が楽しまれております。

 今回の万博、来場者が二千八百二十万人で、チケット販売では二千三百万枚を目標としていたということと、損益分岐点とされるチケットの販売枚数が一千八百万枚というふうに言われております。現在のところではありますが、来場者とかチケットの販売枚数、想定どおり来ているのかどうか、まずお聞かせいただきたいと思います。

武藤国務大臣 委員、お疲れさまでございました。五日ですか、おめでとうございます。

 委員おっしゃられるように、万博開催からもう一か月に間もなくなると思っております。チケットの販売枚数の御質問でございますが、販売見込みも含めおよそ千三百万枚、開幕後の来場者数もゴールデンウィーク期間中に二百万人を突破するなど、大変多くの皆様に御来場をいただいているというところだと思っております。

 他方で、想定される来場者二千八百二十万人、これを受け入れていくためには更なる取組が必要になるんだというふうに承知をしているところです。

 この更なる来場者の受入れに向けて、五月七日からは、入場ゲートの来場予約枠の拡大ですとか、ゲートに余裕がある夜間チケット、この入場時間一時間前倒しなど、来場者拡大に向けた対応を行っているところであります。混雑が見込まれる会期後半ではなく、五月、六月での来場を促してまいりたいと思っております。

 引き続きメディアやSNSを通じた万博の魅力発信を継続しつつ、運営面の課題の改善を通じて来場者の満足度を高めていくことで、一人でも多くの方に万博会場にお越しいただけるように取り組んでいきたいというふうに思っております。

東(徹)委員 是非、これからも更に来場者数が増える努力をし続けていっていただきたいと思います。

 これは要望になりますが、お土産物売場がむちゃくちゃ並んでいまして、お土産物を売っているところの施設の外にたくさんの方が並んでいて、中に入るのにちょっと時間がかかる、中に入ってからもレジでまたすごい列があって待たなきゃいけないというふうなことで、お土産物を買っていただけるのは非常にありがたいことだと思いますので、もうちょっとほかにも分散して、空いているスペースとか、そういったところにもお土産物売場を増やしていただければいいんじゃないのかなというふうに思っておりまして、是非そういった工夫もしていただければというふうに思います。

 ということで、今日から、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案の質疑ということであります。

 これから日本は経済成長とそれから脱炭素化社会の両方を目指していくということでありますが、その脱炭素化社会を目指していくということについては、方向性としては当然大事だし、それによって経済も成長していけばいいというふうに思うわけです。

 その脱炭素化なんですけれども、経済産業省の所管している独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、JOGMECとよく言いますけれども、前の石油公団です、このJOGMECですけれども、いろいろ事業をやっているんですけれども、その中のメインの一つだと私は思っているんですが、石油とか天然ガスの探鉱開発事業をJOGMECがやっているわけです。

 このJOGMECですけれども、令和七年度でいえば、運営費として年間五百億円、そしてそれ以外にも、この事業に関する出資金として国から年間五百億円を受け取って石油等の探鉱事業を行っておるということで、これまで六十一事業を実施してきたんですけれども、その大半は事業終結と書いてあるんです。事業終結というのはどういう意味ですかと聞いたら、失敗したということらしいんですね。そういった状況に終わっているということです。

 石油とか天然ガスの探鉱から開発段階へ進んで生産に至るまでというのは失敗のリスクというのは非常にありますし、うまくいくとしても結果が出るまでなかなか時間、年限がかかるものだというふうに思います。

 民間企業が権益確保のために様々な海外プロジェクトに参加していくのは重要だと思いますし、国として支援していけばいいというふうに思いますけれども、一方、この法律は、脱炭素化社会を目指していくという法律をこれから作って脱炭素化社会を目指していこうというのに、JOGMECはこういった石油開発をやっていこうと。逆じゃないのか、真逆のことをやっているんじゃないのかというふうに思いますし、これまでも失敗が数々多くあったということです。これからもこのJOGMEC、多額の税金を使ってこういった探鉱事業を続けていくんですかというふうに思うんですが、いかがですか。

武藤国務大臣 JOGMECの件で御質問いただきました。

 化石燃料が我が国のエネルギー供給の大宗を担っている状況を踏まえれば、GXを推進する中においても、エネルギーの安定供給を確保しつつ、現実的なトランジションを進める必要があるんだというふうに承知をしているところです。

 石油は、一次エネルギーの約四割を占めておりますので、幅広い用途を持つことに加え、平時のみならず緊急時のエネルギー供給に貢献するため、国民生活、経済活動にも不可欠なものであるというふうに承知しています。

 また、天然ガスでありますけれども、化石燃料の中で温室効果ガスの排出が最も少なく、再生可能エネルギーの調整電源として中心的な役割を果たし、カーボンニュートラルの実現後も重要なエネルギー源であると思うところであります。

 このため、我が国として、石油や天然ガスに関する権益を維持、獲得していくことが重要であり、我が国の民間企業が資源開発を推進していくに当たって、民間のみでは負担することが困難なリスクをJOGMECが補完することでエネルギーの安定供給の確保を図っていくということだというふうに認識をしているところであります。

 先生がおっしゃられるとおり、大変難しい、当たるか当たらないかというところもありますけれども、十分な埋蔵量が見つからなかった等々で事業終結という形になっています。

 ただ、私もいろいろ海外と会っていると、是非JOGMECさんにもっと協力してほしいというところもあって、そういう意味でも、必要なバランスを取りながら、リアルに求めて、これも続けていかなきゃいけない話だというふうに認識しているところであります。

東(徹)委員 これから化石燃料から脱出していこうという時代に入ってきているわけですから、いつまでもそこに頼る、化石燃料に頼るということはやはり違うなというふうに思うわけですね。ですから、是非とも、やはりそういった方向性をしっかりと持って検討していってもらいたいと思いますし、いつまでもやるというのは違うなというふうに思います。

 続いて、脱炭素化社会ともう一つは経済成長を目指していくということでありますけれども、残念ながら、今日本の経済は本当に厳しいなというふうに思いますね。手取りを上げなきゃいけないということで、各党今一生懸命に、何か減税ラッシュとか減税ドミノとかと言われていますけれども。そうだと思うんですね、なかなかやはり賃金が上がらないんですよ、特に実質賃金ですね。

 今日の報道でも出ておりましたが、実質賃金ですけれども、またマイナスという状況だということですね。これは毎月勤労統計がずっと出しておりますけれども、今回、統計の取り方を変えてもマイナス一・五、従来の統計の取り方だったらマイナス二・一です。令和六年の数字を見ても、マイナス二・一です、この三月ですけれども。ですから、そう思えば、昨年、一昨年から比べるとマイナス四・〇とか、そんな数字になってくるわけですね。だから、非常に、賃金が少しずつ上がっても、物価高の方がやはり上回っておって、物価高に追いつかないという状況がずっと続いているという状況があるということです。

 それと、もう一つは、日銀もGDPの成長を下方修正をしております。これはトランプ関税とか、そういったものによるものでありますけれども、日銀の今年度、実質GDP成長率は、二五年度が〇・五%、それから二六年度が〇・七%、前回一月に示したリポートの見通しでは、二五年度が一・一、二六年度が一・〇ですから、下方修正していっているというような状況で、経済が成長していない。

 ずっとこれは言われていますけれども、失われた三十年がこのままいくと失われた四十年にどんどんと近づいていっているんじゃないですかというような状況にある中で、今回のGX法ですけれども、二〇二三年に成立した脱炭素型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律、これは日本維新の会も賛成をしてやっております。

 ただ、今の経済状況ですけれども、先ほど申したように、物価高に追いつかない、実質賃金はマイナス、そしてトランプ関税の影響もあってGDPは下方修正ということです。

 その中で、来年度から始める排出量取引制度、カーボンプライシングですけれども、企業に更に負担を増やしていくことになるわけですけれども、これは経済成長にとってマイナスではないのかというふうに思いますが、いかがですか。

武藤国務大臣 まさに委員御指摘のとおり、今年、何とか物価を上回る実質賃金という形で、今までの先生方の御協力も得ながら、ここまで来ているんだと思います。

 その中で、今回、トランプ関税ということで、不透明なことがまた起きているという状況の中でこのGX法案でありますので、本質的には、我が国は、今までもこれは議論させていただいたとおり、ちょうど二年前に国会で御審議をいただきました。排出削減と経済成長の両立のためのGX政策を実行していく、こういう形になるんだというふうで成立したものと思っています。

 とりわけこのカーボンプライシングですけれども、二十兆円規模の先行投資の原資を得るための制度であって、現行GX推進法で制度の大枠と実施時期を明記しているところであります。

 大事なのは、国として、この着実な実施に向けていわゆる長期安定的にコミットをしている中で、既に事業者が多くの投資計画を具体化してきているところでもあります。こういう中で、制度の実施時期を遅らせるという検討が、ここが先行的に投資に動いている事業者の投資行動にも影響を及ぼすものと思っているところであります。こういう形の国内の投資意欲をそぐことにもなりかねないだろうと。

 したがって、適用開始の延期というものについて、先生おっしゃられるような、御指摘の延期をしたらどうかということはちょっと非常に難しいところだというふうに考えているところであります。

東(徹)委員 非常に、今の経済状況からいくと厳しいなというふうに思っておりまして、延期することも視野に入れて考えることも大事なのかなという思いで質問をさせていただいております。

 さらに、その中で、もう一つ気になるのがやはり化石燃料賦課金なんですね。FITの、再生のための賦課金もそうですし、またさらに化石燃料賦課金ということで、これが出てくるわけですね。

 前にも質問をさせていただきましたが、今やはり電気代というのはどんどん高くなってきているわけです。電気・ガス代が高くなってきているということで、この二〇二三年からですか、電気・ガス料金の支援というのが始まって、約四・三兆円ものお金を、補助金をつぎ込んで電気・ガス料金を下げているのが今の現状ですよね。

 そして、もっと言えば、この七月からもまた補助金を入れて下げようかということをやっているような状況にもかかわらず、また今度、化石燃料賦課金というのが導入されるということなんですね。

 令和十年度から徴収開始するということですけれども、政府として補助金まで出そうという中で、電気・ガス料金をまず下げることからやはりやっていかないといけないんじゃないですかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 電気、ガスにつきましては、七月ですかね、また予定をするところでありますけれども。

 まさに化石燃料賦課金を含めてカーボンプライシングというものは、二十兆円規模の先行投資支援の原資であります。将来にわたる企業の競争力向上と国内投資の促進を実現していくために欠かせない仕組みとして着実に実行していきたい、こういうような必要があると思っております。

 その上で、カーボンプライシングの導入に当たっては、石油石炭税、再エネ賦課金といったエネルギーに係る負担が中長期的に減少していく範囲内で導入していくということで、事業者や国民の負担が過度にならないように配慮をさせていただいたところであります。まさにゆっくりと導入をしていくというのがおととしのお話にもありました。

 化石燃料賦課金についても、直ちに導入するのではなくて、二〇二八年かなと思いますが、GXに集中的に取り組む期間を設けた上で、当初、低い水準で導入をします。また、本改正案においても必要な減免措置等も講じているところであります。

 政策の予見可能性を高めつつ、国内のGX投資を強力に引き出すためにも、二〇二八年度からの円滑な制度開始に向けて現時点で措置を講じる必要があると考えているところであります。

東(徹)委員 先ほどから言っていますように、今、企業は賃金を一生懸命増やしてくださいということで我々も言っているし、政府としても言っているさなかじゃないですか。でも、なかなか賃金が上がっていかないですよ。物価高に追いつかないんですよね。そんな状況の中でこういったまた更なる負担が出てくるわけで、これは本来なら、企業の負担を増やすんだったら、税収中立の観点から、社会保障改革によって企業の社会保険料負担を減らすとか、企業の負担軽減策、こういったものも同時にやっていくべきではないのかと思いますが、いかがですか。

武藤国務大臣 続けて申し上げます。

 カーボンプライシングによる歳入なんですけれども、二十兆円規模の先行投資支援の財源となるGX経済移行債の償還に充てることが、二年前に成立した現行GX推進法にも規定されているところであります。

 GX推進法の成立後、政府として十六分野で分野別投資戦略を取りまとめて、これまでに予算措置した約五兆円を含めて、既に約十四兆の支援規模の見通しを示しているところであります。実際に、これらの投資支援策の下で事業者の方も国内投資の具体化を進めてきているところでもあります。

 こうした状況を踏まえれば、カーボンプライシングによる歳入を社会保険料の減額に伴う補填などの他の用途に充てることは極めて困難だというふうに承知をしているところです。

 カーボンプライシングについては、先ほど申したとおり、エネルギーに係る負担が中長期的に減少していく範囲内で導入していくことで、事業者や国民の負担が過度にならないように配慮しつつ、我が国の経済成長につながる制度としてまいりたいと思っているところであります。

東(徹)委員 また、化石燃料賦課金についてなんですけれども、この化石燃料賦課金なんですけれども、賦課金の下限額を定めるというふうな条文があるんですね。

 済みません、ちょっと飛びますが、何か時間がなくなってきまして、もう空本さんが横にいてるので。

 最後に、賦課金というのは、私は、これは本当に新たな税金のようなものだというふうに思っています。化石燃料賦課金、新たな負担になって、また電気代が更に高くなって、更に補助金をまた出さなきゃいけなくなるような、そんなあべこべなことをやっていることにまたなってしまうんじゃないのかというふうに思うわけでありまして、是非、電気料金を引き下げることをしっかりとやるべきだということを言わせていただいて、空本さんに替わりたいと思います。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、空本誠喜君。

空本委員 日本維新の会の空本です。

 今日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。御礼申し上げます。早速ですが、ちょっと質問項目が多いので、簡単に、どんどん進めていきたいと思います。

 お手元に配付資料がございます。それをまず見ていただきたいと。

 A3のものがございます。A3のものは両面でございまして、これは経済産業省さんからいただきました。カーボンプライシング、排出枠の取引、これを行う設定を考えている約四百程度の企業、製鉄から自動車、そして鉄道、さらには航空会社、様々な企業が入っております。それの一覧でございます。

 そして、A4の紙でございますが、質問項目を一枚目に全部つけておりまして、それを見ながら見ていただきたいと思いますが。その次に挟んでおりますものが、太陽光、ソーラーパネル、これにおきます出力制限、こういった、今、太陽光がどんどん発電すると、太陽光を抑えなきゃいけないよ、逆にその出力を低減させなきゃいけない、系統に流さないように抑えなきゃいけないというものでございます。それと、その下に、再エネ、太陽光パネルをどういうふうに導入すればいいか。そのためには系統蓄電とか家庭の蓄電が必要になります。その蓄電というのはどのぐらいの容量を持たさなきゃいけないかというのを試算したもの若しくは現状のものをお示ししております。

 もう一点、裏に行きますけれども、CO2排出の二〇五〇年ゼロ、削減の効果ということで、日本がどれだけCO2を削減すれば、例えば一・五度目標に対してしっかりCO2削減をできるかどうかということ。まず、ここだけ説明しておきますと、例えば、IPCC、ここが試算している状況では、一兆トンの排出によっては〇・五度しか下がらない。ならば、日本が二〇五〇年まで一生懸命頑張って頑張って頑張っても、〇・〇〇六二五度しか効果がございません。

 それよりもやるべきは、中国、インド、さらにはアメリカ、ロシア、こういったCO2排出国の低減でございます。そういった中で、どういうふうにCO2削減をするか。本当に日本がやらなきゃいけないのは、CO2削減を世界的にリードすることなんです。そのためには、中国、インドを中心に、アメリカにもロシアにもお願いしてCO2を削減する。

 そのためには、一番いいのは、我が国はすばらしい石炭ガス化燃料電池複合発電とか超超臨界圧の石炭火力とかというのを持っていまして、これは、今、中国、インドは石炭をどんどん燃やそうとしているんです。CO2削減のためにも頑張って再エネを入れようとしているけれども、それと同時に石炭火力もどんどん燃やそうとしている。そして、太陽光パネルを作っている、ウイグル自治区で作っている。これは現状でございます。

 そういった中で、じゃ、どう我が国がリードしていくか、世界を引っ張っていくか、それをちょっと議論させていただきたいと思っています。

 まずは、トランプ政権においては今脱脱炭素の方向にありまして、トランプ政権の化石燃料推進を踏まえて、国内の金融機関、ネットゼロ・バンキング・アライアンスというものがアメリカ主導でつくられましたけれども、これからどんどん金融機関が離脱しています。残るは一グループだけでございます。

 そういった中で、我が国の、石炭でもCO2排出を抑制しているUSC、IGFC、こういった展開に投資することというのが、逆に世界のCO2削減、これを牽引することであると思うんですが、金融庁さん、そういう金融機関に対してどう働きかけていかれますか。どうぞ。

川崎政府参考人 お答え申し上げます。

 NZBAの脱退の話は、先生御指摘のとおりでございます。各金融機関が具体的にどのような事業に投融資を行うかにつきましては、これは個々の金融機関の経営判断に属する事柄でありますので、金融庁としてはコメントをすることは控えさせていただきますけれども、その上で申し上げますと、NZBAから脱退されたいずれの我が国金融機関におきましても、引き続き、二〇五〇年までに投融資ポートフォリオの温室効果ガス排出をネットゼロにするというこのコミットメントを維持するとともに、アジア等における脱炭素に向けた移行金融を通じた支援を行うなど、国際的な取組に貢献をしていく方針でありまして、引き続きこうした方針の下で脱炭素に向けた取組を進めていくものだということで承知をしております。

 政府といたしましては、GXを通じた脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の三つを同時に実現していくということを目指しておりまして、金融庁としても、金融機関による企業の気候変動対応への支援や対話をしっかりと後押しをしてまいりたい、こういうふうに考えてございます。

空本委員 金融庁として、逆にCO2削減を、本当に低減させるためには、我が国の石炭火力、こういったものをしっかり海外に、中国とかインドにもう取られてもいいですから、そういう技術を供与することによってCO2削減をリードする、そういった中で金融庁さんも正しい指導を行っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、経済産業省として、ESG投資にかかわらず、こういった新たな、もうエネ庁さん、資源エネルギー庁さんとそしてNEDOさん、さらには電力会社が一生懸命開発してきて、IGFCだったらCO2を九〇%削減できるというように電源開発さんなどはおっしゃっています、そういったすばらしいものがあるんですが、それはやはり、金融庁にしっかり、もっともっと金融機関に働きかけするようにというふうにおっしゃっていただくことはできませんか、大臣。

武藤国務大臣 空本委員の気持ちはよく分かります。その上で、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電への政府による新規の国際的な直接支援は二〇二一年末で終了することをG7で合意をしているところであります。

 その上で、御指摘の発電技術でありますけれども、高い発電効率と環境性能を誇り、二酸化炭素の排出量を削減することができる火力発電システム、いわゆるUSCですとかIGFCとかいうものでありますけれども、必要に応じてCCUSの脱炭素技術と組み合わせることで、脱炭素化にも寄与するものと考えているところです。

 このような状況を踏まえて、当省としては、金融庁を含む関係省庁とも連携をしつつ、新興国のニーズや事情を踏まえて、あらゆるエネルギー源、技術を活用しました、現実的な二酸化炭素排出削減に向けて、資金面、技術面、人材育成面から積極的に支援をしてまいりたいと思っております。

空本委員 私は、ベストミックスが一番エネルギー源としていいと考えております。そういった中で、原子力も安全なものを推進する、そして火力もしっかり押さえながら、再生可能エネルギーも三割プラスアルファやっていいと私は思っています。

 しかしながら、再生可能エネルギーの出力制限といいますか抑制をしなければ、五月の連休なんかは九州電力なんかで、もう系統に来たら周波数、スペインの大停電を見てください、あれは要は需要と供給が逆だったんですけれども、周波数というのは変動します。それによって、大停電、ブラックアウト、北海道でも起こりました。こういったものを起こさないためにも、安定した電力品質を提供しなければならないということでございます。

 需給のバランス、そのためには火力が絶対なくてはならないんですね。でも、再エネを導入拡大するということも大事であります。そのときに、再エネを導入拡大するには、系統蓄電か若しくは併設蓄電。そして、今、東京都や川崎市などは、ある程度の大きさの家とか住宅とかにはソーラーパネルをつけなきゃいけない。そうなると、そういう系統蓄電、こういったものをしっかり入れなきゃいけない。今、国の方は、二〇三〇年百ギガワット、二〇五〇年三百ギガワットの太陽光、再エネを入れようとしているけれども、どうやって蓄電設備を入れていくのか。リチウムイオンバッテリー、本当に日本でそんなの用意できるの、逆に、今全て中国に依存していますよねと。

 元々は日本の技術だったんです。ソーラーパネルだって、そして蓄電技術だって、リチウムイオンバッテリーだって、日本の技術。全部、中国に取られてしまった。そういった資源調達。これはさすがに厳しい。チリとかオーストラリアからリチウムを取ってくる。さらには、部素材の加工、精錬。こういったものを日本で今やるのは、すぐにはできませんけれども、もう一度精錬技術から、住金さんとかいろいろな金属会社がございます、精錬技術はすぐできるんですよね。そういったものを含めて国内でどう補っていけるのか、まず経済産業省から御説明お願いします。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員から御指摘いただきましたとおり、再生可能エネルギーの主力電源化を進めていく中にありまして、電力の安定供給に向けた調整力の確保、これは大変重要な課題だと認識してございます。

 調整力につきましては、御指摘の蓄電池だけではなくて、揚水発電あるいは脱炭素火力など、あらゆる電源によって確保することになると承知をしております。その上で、政府としまして、蓄電池メーカー等の事業の予見性を高めるために、GX実行会議の下に設置をいたしましたGX実現に向けた専門家ワーキンググループにおきまして、蓄電池の導入見通しというものを示しておりまして、系統用蓄電池、家庭、業務産業用蓄電池を合わせますと、二〇三〇年に最大約四十八ギガワットアワーと、足下の導入実績から大幅な増加を見込んでいるところでございます。

 この導入見通しも踏まえまして、経産省として、系統用、再エネ併設用、また家庭、業務産業用の蓄電池の導入支援補助金、また脱炭素電源への新規投資を促進するための制度であります長期脱炭素電源オークションの対象電源とするなどの措置を講じております。

 こうした支援措置、また先ほど御指摘がありました資源外交など、総合的に取組をすることを通じまして、引き続き蓄電池の更なる導入をしっかりと後押ししてまいりたいと存じます。

空本委員 ならば、大臣、国内でそれだけ、四十八ギガワットの蓄電池、系統蓄電を作るということなんですね。日本で作れるか、いや、今の現状は作れません。全部、中国におんぶにだっこ。いや、中国が出さないと言ったら、再エネの導入目標も全部潰れてしまうわけですよ。大臣、どうされますか。

武藤国務大臣 委員とはもう、いわゆる国内調達というのが、ある意味で、これからの将来ということを考えれば、当然まず考えていかなきゃいけない話だと思っております。

 その上で、蓄電池につきましては、その部素材の供給元の一部が特定の国に大きく依存しており、国内サプライチェーンを強靱化することが重要であります。

 このため、今の蓄電池産業戦略において、二〇三〇年までに国内における蓄電池の年間製造能力百五十ギガワットアワーの確立を目標として掲げて、国内における蓄電池、部素材、製造装置の設備投資等を促進しているところであります。

 また、既存のシリコン型ソーラーパネルでありますけれども、これも原材料の安定調達の課題があり、また、技術が汎用化し中国による大規模投資の影響で大幅に価格が低減する中で、我々は、産業としての競争力を失い、そして海外に大きく依存している状況であります。同志国とも連携をしながら、これは中国以外でありますけれども、多様な供給先の確保など、安定的なサプライチェーンの構築に取り組んでまいります。

 原材料のヨウ素を国内で安定的に調達できる、いわゆるペロブスカイト太陽電池につきましては、日本の技術力を生かしつつ、世界に引けを取らない規模とスピードで生産体制の整備やサプライチェーンの強化に取り組んでまいりたいと思っております。

空本委員 大変力強いお言葉、国内のサプライチェーンをつくり込むというふうなお話で、本当によろしくお願いします。本当にお願いします。

 そこで、カーボンプライシングを導入するということなんですが、私自身は、本格導入すると、これは、国内の製造業の空洞化が必ず起きる。そして、石油石炭若しくはその税、再エネ賦課金、こういったものを恒久減税化することによって、電気料金、先ほど同僚議員の方からございましたけれども、エネルギー価格が高止まりをずっとしていく。そして、国内の製造拠点が全て海外に行ってしまう、空洞化が更なるものが起きてしまう。こういった危機感を私は持っておりますといいますか、絶対そうなります。

 そうならないように、経済産業省さん、エネ庁さん、いろいろ考えていただいている。この質問に当たっても、本当に、複数回いろいろ議論して、今いろいろなことを考えてくださった。これは本当に、逆に前進だと思います。本当に御苦労されていると思いますので、それは本当に感謝を申し上げます。

 ただし、本当に経産省の裁量でその産業がどうなるか分からないという、この法律だけでは危険であります。そういった中で、じゃ、このカーボンプライシングを導入したら、国内の航空運賃とか鉄道運賃とかバス料金、どう跳ね上がるのか、国交省からお答えください。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 大変恐縮でございます、航空、鉄道、バスの運賃につきましては、燃料費や人件費、設備投資や将来需要の動向等の様々な要素を踏まえて、個別の事業者において定められるものでございます。

 現段階においての見通しでございますけれども、これは大変恐縮でございます、予断を持ってお答えすることは今は困難であるというふうに考えているところでございます。

空本委員 ただし、絶対燃料代は上がりますよね。そうしたら、バス会社、地方のバス会社は潰れちゃいますよ。潰さないようにできるかどうか、そこが一番大事なんですよ。

 そして、製鉄、非鉄金属、化学、セメント、製紙・パルプ、自動車、こういった産業が今回の対象企業でございます。ここの製品価格、昔、製鉄、鉄鉱石を例えば二〇二〇年頃であれば一トン二千円で買ってきたんですよ。そして、鉄板にしたら五万、十万だったんですよ。それが車に化けたら百万、二百万なんですよ。これで、付加価値で日本は繁栄してきたわけですよ。

 今度は、カーボンプライシングに行くと、そこの価値に対してまた乗っけていかなきゃいけない、価格に。そうすると、こういう製鉄、まずは鉄なんというのは価格高騰するに決まっているじゃないですか。どのぐらい高騰しますか、鉄とか様々な産業において。

伊吹政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、プライスの方は、先ほどの国交省さんからの答弁と同じで、基本的にはやはり、原材料費、人件費、それから製品の需給、こういう基本的なことに加えて、カーボンプライシング、御質問の点含めてGXの進展による化石燃料の調達コスト、これがどういうふうになるか、それから、特に御質問があった鉄とか化学、それからセメント、あとパルプですかね、そういった大体四つぐらい非常にCO2をたくさん出している産業があるんですが、この人たちは製造プロセスをこれから大きく転換をしていかなきゃいけないので、ここのコストがどうなるかということをよく見ていく必要があると思いますので、現段階では予断を持ってお答えすることはちょっと難しいかなというふうに考えてございます。

空本委員 後でまた話をしますが、じゃ、電気料金とかガソリンとか軽油、灯油、燃油、こういったものがどれだけ上がっていくのか、エネ庁さんからお答えください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論として、将来の電気料金につきましては、新たな技術の開発導入の状況、カーボンプライシングも含めたGXの進展による化石燃料の調達コスト等の低減状況、それから燃料価格の変動、あるいは人件費や資材等のコスト変動といった様々なコストの増減による影響を受けることに加えまして、需要家が負担する料金の水準は事業者が設定するものであるため、予断を持ってお答えすることは困難でございます。

 ガソリン等の燃料油の価格につきましても同様に、国際的な原油価格あるいは為替動向など複合的な影響により決まるものであるため、予断を持ってお答えすることはやはり難しいと言わざるを得ないと思っております。

空本委員 その辺をしっかり計算した上でこの仕組みをつくっていった方がいいんですよね。まずは全然分からないじゃないですか、国民負担ですよ、全部。国民に全て、このツケが全部回っていくんですね。ここを考えなきゃいけないんですよね。

 そうならないようなカーボンプライシングをやるんだったら、今、例えば金銭トレードだけはやめておこう、だけれども、実際のトレードじゃなくて、まずは、数量の計測をしながら、これで適正だよ、あっ、これなら国民負担もないね、ちょっとだけ我慢してねというぐらいにできるかもしれません。そういった猶予期間を設けるということが一番大事だと思いますけれども、まあ、まだ質問がございますので。

 では、カーボンプライシング本格導入に当たって、国内の製造業、更なる空洞化は起きないでしょうか。経済産業局長、そして製造産業局長、それぞれお答えください。

藤木政府参考人 日本にとって必要な産業が必要な形で国内に立地していく、これは非常に重要なことでございまして、そのために、必要な予算、税制、あらゆる政策手段を取って全力を尽くしていく、そのための産業政策を展開していくということが極めて重要だと思っています。

 GX推進というのは、まさに国内投資を促進して日本の国際競争力、産業競争力を高めていくという中で極めて重要な柱となる政策だと思っておりまして、御指摘のカーボンプライシング、成長志向型のカーボンプライシングというものについても、そのGX政策の一環であるというふうに理解しているところでございます。

伊吹政府参考人 お答え申し上げます。

 経産局長からお答えしたこととかぶりますが、基本的に、やはり我々は、脱炭素とそれから国内競争力、これを両立をさせなきゃいけないということで政策全体を考えていまして、それがカーボンプライシング構想、これを段階的に入れていくということと二十兆円の先行投資をして民間の投資を促していくということをセットでやっていくということでございます。

 こういう二十兆円の先行投資の中には、設備投資を応援したりとか、それから需要をつくっていくとか、様々な支援策を入れてございますので、そういったものを組み合わせて、カーボンプライシングの本格導入によって国内製造産業の空洞化が起こらないようにしっかりと取り組んでいくということでございます。

空本委員 再エネ賦課金とか、いろいろ先ほど来ありますけれども、電気料金の負担とか物価高騰、国民生活の負担、こういったものはどういうふうに回避するのか、内閣官房としてお考えなのか、まずお答えください。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンプライシングとしての化石燃料賦課金や特定事業者負担金は、エネルギーに係る負担の総額が中長期的に減少させていく中で導入していくことが現行のGX推進法にも明記されておりまして、エネルギーに係る負担の総額を全体として増加させるものではないというふうに認識しております。

 二〇三三年度から開始する特定事業者負担金の総額も、こうした考え方を前提に、再エネ賦課金の総額が減少していく範囲内で、中長期的なエネルギーに係る負担の抑制やGX経済移行債の償還の確実性の観点を勘案して決定するもので、再エネ賦課金の総額の減少分を機械的にそのまま償還に充てることとはしていないということだというふうに考えております。

 その上で、電気料金につきましては、先ほど申し上げたように、予断を持ってお答えすることは困難だということで考えております。

竹内大臣政務官 お答え申し上げます。

 カーボンプライシングにつきましては、二十兆円規模の先行投資支援の原資となっておりまして、企業の競争力向上と国内投資の促進を実現していくために欠かせない仕組みであります。

 既に措置をいたしました約五兆円の予算を含めて、多排出産業のエネルギー、製造プロセス転換や次世代再エネの国内サプライチェーン構築に向けた設備投資支援、省エネ投資支援など、これまでに約十四兆円の支援規模の見通しを示しております。

 さらに、残り約六兆円がGX分野に投資されることを前提として、民間企業の投資が始まっております。二十兆円規模の先行投資支援を着実に実行することは、事業者の投資予見性を高める観点から、GX実現に不可欠であります。

 その上で、こうした支援措置の財源でもありますカーボンプライシングにつきましては、エネルギーに係る中長期的な負担を減少させていく範囲内で導入していくものと考えております。事業者、そして国民の皆様の負担が過度にならないように配慮しつつ、支援措置と一体的に実施していくことで我が国の経済成長につながる制度としてまいります。

 以上です。

空本委員 過度にならないということは、負担を増やすんですよということですね。過度にならないということは、負担を国民に強いるということで間違いないということだと思います。

 先に、財務省から、特別会計の在り方についてお聞きしたいと思います。

 経産省は、特許特会とエネ特会があります。これは、ちょっと見方が違っていて、やはり産業競争力、そういったものは、新たな、例えば産業革新特別会計、特許会計も入れて、新しくした方がいいんじゃないかと思うんですが、そういうふうな仕組みの会計の在り方を変えてはいかがでしょうか。

東大臣政務官 お答えをいたします。

 経済産業省の所管の特別会計でありますけれども、エネルギー対策特別会計はエネルギー需給構造高度化対策、そして電源立地も含めて電源利用対策等に関わる経理を明確化するためでありまして、そして、特許特別会計は、工業所有権に関わる制度利用者の受益と負担の関係を明確にするため、それぞれ設置をされているところでございます。

 現状の枠組みは、各特別会計の目的に沿って一般の歳入歳出と区分した経理が行われておりますけれども、各特別会計を通じて実施している政策の透明性を確保する観点、そういった角度からも適切なものであるというふうに考えております。

 以上です。

空本委員 最後に質問させていただきます。

 やはり、CO2排出国といえば、中国、米国、インド、ロシア、そして次に日本が来るんですが、重厚産業を持っている国、若しくは原子力を止めた国がCO2排出が多いんです。ならば、原子力を適度にやること、さらには、鉄鉱石という、その製鉄をやめちゃったら日本の産業は成り立たないと思いますのでやめられない、けれどもCO2削減を頑張る。

 それも大事なんですけれども、やはり、先ほども言いましたけれども、再エネをどんどん入れるんだったらば、系統蓄電、もう一度、サプライチェーン、蓄電池のサプライチェーン、太陽光のサプライチェーン、ソーラーパネルですね、これを日本に取り戻していくその決意、もう一度大臣からお願いいたします。

宮崎委員長 武藤国務大臣、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

武藤国務大臣 簡潔にします。

 委員御指摘のとおりであります。蓄電池あるいは太陽電池の強固なサプライチェーンを国内に構築すること、これはもう極めて重要だと認識をしているところです。

 JOGMECの話とか、いろいろ日本企業の権益確保を進めているところでもありますが、いずれにしましても、ペロブスカイト太陽電池を始めとして、いろいろな世の中のイノベーションの中で、このパラダイムシフトの中で、我々としては、しっかりとしたサプライチェーンを改めて構築しながら、そして、今回は、GX経済移行債を活用しながら、国内にこれらの物資に関するサプライチェーンを形成する観点からも、蓄電池並びにまたその部素材等の製造ですとか、ペロブスカイト太陽電池の製造に必要となる設備投資、技術開発支援を行って、引き続き、こうした重要技術の国内サプライチェーン形成に向けた支援を行ってまいりたいと思っております。

空本委員 とにかく頑張ってください。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、森ようすけ君。

森(よ)委員 国民民主党の森ようすけでございます。

 本日は、質疑の機会をいただき、ありがとうございます。

 私、元々環境省の役人出身でございまして、実はこのGX法の中身でございますカーボンプライシングの担当をしておりまして、ちょうど今から五年くらい前なんですけれども、そのときは、排出量取引にするのか炭素税にするのか、そもそもCPを導入するのかも含めて、可能性について検討していたフェーズだったんですけれども、そうしたこともあって、本日質問させていただいております。

 このカーボンプライシングというのは、緩い制度になれば実効性がなくなりますし、GXへの移行がスムーズにいかない骨抜きな制度になってしまいます。逆に、厳し過ぎる制度になりますと、これまで皆さんが質疑されていますとおり、産業や経済への影響、ひいては国民生活に大きな影響がありますので、このあんばいというのが非常に難しい重要な制度であるというふうに考えております。

 今日は、厳しい排出量取引制度をやらないといけないというふうに聞こえるような質問をするんですけれども、そうした考え方の質問ではなくて、国の温室効果ガスの排出量の削減目標、これは厳しい水準を置いているわけですから、それと整合した制度にしないといけないのではないかというような観点でございます。マクロで厳しい目標を置いている一方で、ミクロの世界の排出量取引制度でそれと整合する割当てができないのであれば、マクロの目標のNDCの方も見直さないといけないというような観点でございますので、産業界の方々にとっては少し厳しく聞こえる質問かもしれないんですけれども、最初にそれを説明させていただいた上で、質問に移りたいと思います。

 まず、このカーボンプライシングというのは、炭素の排出に価格づけをする政策ですけれども、様々類型がございます。排出枠を割り当てて排出の量を政府が決めることで、市場価格に任せて価格を決める排出量取引であったり、炭素税という形で、炭素の排出、価格について政府が税金、金額を決めて、排出される量については企業の行動によって決まる炭素税、そして、自主的なカーボンプライシングということで、JクレジットでしたりJCMなどのクレジットの取引、主にこうした類型がございます。

 排出量取引と炭素税はそれぞれ一長一短がございますが、その政策効果については基本的に共通するものがあると思います。主に三つ効果があるというふうに言われていて、財源効果と価格効果、あとアナウンスメント効果、こうした三つの効果があると言われております。

 財源効果については、有償割当てでの排出量取引、あと、炭素賦課金で政府が得る収入を脱炭素投資に使っていく、GXに使っていく、これが財源効果です。価格効果というのは、脱炭素ではない製品の値段、サービスが上がってくることによって、自然に市場原理を使って脱炭素の方に移っていく、これが価格効果だと思います。アナウンスメント効果というのは、将来的に炭素価格の上昇が予見されることで、制度が厳しくなる前において企業、国民が行動変容していく。主にこの三つの効果があると制度論的には言われているところでございます。

 そこで、まず大臣にお伺いしますけれども、今回の法案で導入しようとしているカーボンプライシングについて、どういった効果を主に想定されていますでしょうか。お願いいたします。

武藤国務大臣 森委員におかれましては、制度策定のときには御苦労さまでございました。

 我が国が導入するカーボンプライシングでありますけれども、二十兆円規模の先行投資支援と一体的な制度としているところです。

 足下では、二十兆円規模のGX経済移行債を活用しながら、ペロブスカイトなど、我が国の産業競争力の核となる技術の開発と国内投資の活性化を推進しているところであります。

 このカーボンプライシングでありますけれども、こうしたGX投資支援を可能にする財源を確保する役割を担うと同時に、中長期の時間軸で炭素価格が徐々に引き上がっていく予見性を示すことで、企業の先行投資の更なるインセンティブを創出する効果を見込んでいるところであります。

 このような設計とすることで、事業者による大胆な脱炭素投資を引き出し、経済成長と排出削減の同時実現を目指しているところでありますけれども、実際にこうした効果を発揮できるよう、制度を運用してまいりたいと思っております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 短期的には財源効果で、中長期的には価格効果も含めて様々な効果があるというような答弁だったと思います。

 この効果がしっかりと実現する制度にするためには、特に重要なのは、排出量取引については排出枠の決め方、枠をどういうふうに決めていくのか、そして、炭素賦課金については価格の水準をどうしていくのか、こうしたことが重要だと思います。

 そして、共通することは、大臣御答弁いただきましたけれども、予見性、将来の規制水準であったり価格の水準がどういったふうになっていくのか、どういった制度になっていくのか、こうしたことがはっきり見えることが重要でございます。予見性の高い制度であることで企業は脱炭素に向けた投資、こういうことが計画立てて実行できるわけですから、しっかりと先が見える制度にすることが重要であると考えております。

 そこで、まず、今回の制度での炭素価格について、どの程度の金額を想定しているのかについてお伺いしていきたいと思います。

 今回の制度の主たる目的は、答弁いただいたとおり、脱炭素投資の財源確保だと足下は認識しております。

 十年間で百五十兆円の官民投資、そして、そのうち二十兆の先行投資のためのGX経済移行債、こうしたものが発行されて、その償還のための財源としてこのカーボンプライシングの収入を想定しているわけでございます。二十兆を、大体二〇五〇年までの二十年間、二〇三〇年くらいから始まりますから、二十年間で回収していく、そういうような想定だと思います。そして、国全体の排出量については、NDCに基づいて、二〇三〇年に四六%、二〇三五年に六〇%、二〇四〇年度に七三%減、そして二〇五〇年にネットゼロにするというような経路の目標が想定されております。

 このCPによる必要な収入額と、あと今後の排出量の経路がある程度見えていますので、前提を置けば試算ができると思います。将来の価格水準というのがある程度見えてくるように思います。

 そこでお伺いしますが、導入しようとしているカーボンプライシングにおいて、炭素価格の水準はどの程度の金額を想定されていますでしょうか。お願いいたします。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 カーボンプライシングとして導入します化石燃料賦課金、それから排出量取引制度の価格水準につきましては、実際のところは、官民でのGX投資の進捗、世界経済などの国際的な動向、それから技術開発の動向などにも大きく左右されるということでございます。

 それから、委員もおっしゃっていただきましたけれども、我が国のカーボンプライシング制度は、足下の競争力などとの関係から、長期的なエネルギーに係る負担の総額が減少する範囲内で導入していくことに加えまして、二十兆円規模の先行投資支援の償還財源としての、財源効果としての位置づけもございます。

 こうした制度設計とかもろもろの不確実性がある中で、民間のシンクタンクは一定の仮定を置いて価格水準の分析を行ってございます。

 当該分析におきましては、制度対象者の排出削減経路、それから排出量取引制度におけるオークションの有償比率などにつきまして様々な仮定を置いた上で、例えばですけれども、二〇四〇年における排出量取引制度のオークション単価をトン当たり約七千から一万円、そう試算をしてございます。

 こうした分析も参考にしながら、政府としてもしっかりと検討を進めていきたいと思ってございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 民間の試算で、七千円から一万円が、二〇四〇年度あたりですか、そういった試算も今出していただきましたけれども、やはりこの炭素価格の水準というのは、見通しを立てるのは難しいところではあると思うんですけれども、予見性を高めるためにはできる範囲で見せていくというのが重要だと思いますので、政府においても、そうした先の価格をしっかりと出していくこと、こうしたことを前向きに是非とも御検討をいただければなと考えているところでございます。

 次に、排出量取引制度についてお伺いしていきたいと思います。

 先ほども話しましたけれども、排出量取引において最も大事なのは排出枠の割当ての仕方でございます。割当てが緩ければ排出枠の価格は安くなりますし、割当てが厳しければ排出枠の価格が高くなるわけでございます。制度が生きる制度になるかならないかは、割当ての方法によって大きく左右されます。

 この割当て方法の質問の前に、排出枠の上限価格、下限価格についてお伺いしたいと思います。

 価格の安定化措置として、予見可能性の向上と国民経済への過度な影響の防止のために価格の上下限を設定することとされております。過度に排出枠の値段が高騰、下落しないようにある程度のレンジを定めるということで、これは他国の排出量取引においても導入されている制度だと認識をしております。ただ、気になるのがこの上限価格、下限価格の水準でございます。

 そこで、まずお伺いいたしますが、この上下限価格それぞれの水準について、どのような基準で設けられるのでしょうか。お願いいたします。

龍崎政府参考人 排出枠取引を通じて形成されます炭素価格につきましては、GX投資を促進するための指標として機能させる上では、その炭素価格の水準が安定的に上昇していくことについて、御指摘いただいたように、予見可能性を確保する形で示すことが重要でございます。

 このため、排出量取引制度におきましては、経産大臣が、上下限価格を設定するとともに、この範囲内に炭素価格が収まるよう担保措置を講じることとしてございます。

 この上下限価格につきましては、GX投資の促進の観点に加えまして、国民生活、産業への影響、諸外国の上下限価格の水準、それから東京証券取引所でのカーボンクレジットの価格推移なども踏まえる必要がございまして、こうした観点から、産業構造審議会の透明なプロセスで御議論いただいた上で、五から十年の時間軸で定めていきたい、こう思ってございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 特に私が気になっているのは、下限価格の水準についてでございます。この排出枠の設定方法については、後でお伺いするんですけれども、基本的には、産業、国民に過度な負担が発生しないように、排出枠というのは最初は緩めに設定されるものと認識をしております。緩めに設定をすると炭素価格は低くなることが予測されますので、ある程度の下限価格の水準というのをつくっておく必要があるというふうに考えているところです。

 また、この炭素価格が下がり過ぎてしまうと、脱炭素の投資でしたり排出削減の対策を行うインセンティブが生じないので、排出枠を買って済ませてしまおうというふうに考える事業者が多くなってしまうと懸念をしております。

 そこで、この下限価格の水準として一つの参考になるのは、既存のクレジット制度であるJクレジット制度の取引価格だと思います。Jクレジットは、様々方法論がございますが、大きく分けて省エネ由来と再エネ由来と森林由来と三つございます。それぞれのクレジットについて、足下での取引価格の水準、こうしたものを教えていただけますでしょうか。お願いいたします。

龍崎政府参考人 Jクレジットの価格でございますけれども、市場開設をしました二〇二三年十月以降から今年の四月末までの取引平均価格でございます。CO2一トン当たり、省エネタイプが二千六十円、それから再エネが四千二百十一円、森林が五千九百円、これが取引平均価格ということでございます。

 なお、先月だけを取り出しますと、取引平均価格、CO2一トン当たりですが、省エネが四千三十三円、再エネが五千七百七十七円、それから森林が六千四百円、こうなって……(森(よ)委員「再エネは幾らですか」と呼ぶ)再エネは五千七百七十七円でございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 平均価格と比べて足下が上がってきているというふうな数字を示していただきました。今、規制的なカーボンプライシングが日本において導入されていない中で、このJクレジット、クレジット取引が非常に活発化しているような証拠だと思います。

 排出量取引制度を導入した際にも、こうした自主的なクレジット取引に悪影響を出すというのはよくないことだと思います。そうした観点からも、下限価格として、Jクレジットの価格水準を参考の一つにすべきだと思います。その金額を下回るような取引価格が当たり前になってしまうと、活発になっているクレジット取引の足を引っ張ることになるというふうに感じております。

 再エネ由来と森林由来の金額、五千円後半から六千円というような金額をいただきましたが、さすがにこれは下限価格として高過ぎると思いますが、例えば、少なくとも、再エネの平均価格である、二千円でしたり足下の四千円近い金額、こうしたところは最低限の一つの基準になってくると思います。

 そこでお伺いしますが、この下限価格について、具体的な価格水準、今分かる範囲で教えていただけますでしょうか。

龍崎政府参考人 下限価格は、GX投資に係る制度上のインセンティブを確保する観点から、企業の行動変容につながるような価格水準に設定する必要がございます。

 その決定の際には、もちろん考慮事項の一つとしてJクレジットの取引価格を参照することを想定してございますけれども、その一方で、国民生活、産業への影響、諸外国の価格水準なども踏まえながら決めていく必要がございますので、産業構造審議会での議論を経まして適切な下限価格の水準を検討してまいりたい、こう思ってございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 答弁いただいたとおり、国民生活でしたり産業への影響、こうしたものも配慮しつつGX投資を損なわないような、そうした水準について是非前向きに御検討をお願いできればと思います。

 次に、排出枠の割当てについてお伺いいたします。

 下限価格についてお伺いしましたが、排出枠が適正な水準で割り振りされるのであれば炭素価格が安くなり過ぎることもないので、ここの部分が排出量取引の肝になってまいります。

 まず、個社ごとの排出枠の前に、排出枠の総枠制限についてお伺いいたします。

 温対計画とNDCに基づいて、さっき話しましたけれども、二〇三〇年度の四六パー削減、二〇三五年の六〇パー削減、二〇四〇年の七三%減、こうしたような国全体の目標が設定されております。

 排出量取引と炭素税、炭素賦課金の違いで最も大きな点は、排出量取引はキャップを設けることができるので、価格の水準の見通しは立たないんですけれども、削減量についてはある程度担保ができる、これが排出量取引の長所というか、大きな点だと思っております。

 武藤大臣にお伺いいたします。

 この削減目標と整合した排出量取引制度とするためには総枠制限を設けるべきだと考えますが、今回はなぜ設けていないのでしょうか。お願いいたします。

武藤国務大臣 排出量取引制度の導入に当たりまして、企業のGX投資を促進をし、脱炭素と経済成長が両立する環境を整えていくためのもの、これはこれまでもずっとお話を申し上げてきました。

 中長期的に炭素価格を徐々に引き上げる必要はありますけれども、短期的な炭素価格の高騰が国民生活や産業に大きな影響を与える懸念がある、これを回避する必要があるというところです。

 そして、排出枠の総量を厳格に今度は管理した場合、排出枠の需給の状況次第で炭素価格の大幅な高騰が生じ得る。一方で、排出枠を追加的に割り当てることができないため、高騰を確実に鎮静することができない。非常に難しい議論だと思います、正直申し上げて。

 このため、今回の法案では、排出枠の総量を制限することはしていないということです。むしろ、炭素価格に上限を設けることで高騰を防止することとしているところであります。

 なお、排出枠の厳格な総量制限を設けた韓国の話をさせていただきますと、政府が決定した割当て量に対して異議申立てや訴訟が多発をし、事業者の割当て量がなかなか定まらず、事業活動への影響が生じたということも承知をしているところでもあります。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 説明はすごい理解できるんですけれども、聞いていると、じゃ、削減目標を実現できないのが分かっているんじゃないのというふうに何か聞こえがちなんですね。というのは、やはりマクロの目標は基本的に積み上げになっているので、積み上げのところが難しくて価格が上がっていると言っていると、これはマクロの世界も実現できないんじゃないのと言っているようなものだと個人的には思うんですけれども、そこはちょっとまた後で質問させていただきたいと思います。

 次は、割当て方法についてお伺いいたします。

 この割当て方法には、ベンチマークとグランドファザリング、二つの考え方がございます。エネルギーの多消費産業についてはベンチマークを中心に、そして、ベンチマークの設定が困難な業種についてはグランドファザリングにすると考え方が示されております。

 そこで、まずお伺いしますが、どちらを適用するのかについて、具体的な基準を教えていただけますでしょうか。あと、技術的にベンチマークを選択するのが困難な業種というのは、具体的にどのように難しいと考えているのでしょうか。お願いいたします。

龍崎政府参考人 まず、ベンチマーク方式でございますけれども、業種ごとに各社の排出原単位を比較しまして目指すべき水準を定めて、当該水準に基準活動量を乗じて割当て量を決定いたします。それから、グランドファザリング方式は、基準となる年度の排出量に一定の削減率を乗じて割当て量を決定するということでございます。

 前者、ベンチマーク方式の対象となる事業活動は、当該事業を所管する省庁において指定していくことが今回法律上規定されてございますけれども、基本的に排出に係ります業種ごとの特性それから過去の排出削減努力を考慮することがベンチマーク方式は可能でございまして、したがいまして、事業者への影響が大きく、それから業種特性を考慮する必要性の高い、排出量の多い業種などを中心に採用する方針だということでございます。

 それから、このベンチマークの策定に当たりましては、複数社の生産プロセスを客観的に比較した上で目指すべき水準を決定することが必要になりますので、例えばですけれども、ある業種に属する事業者数が限定的である場合とか、それから、ある社が同じ設備でほかの業種の製品も同時に生産しているような場合、こうした場合におきましては、業種内の各社の生産プロセスを公平に比較することが難しく、ベンチマークの策定が技術的に困難である場合というのもございますので、こうした場合はグランドファザリング方式を採用することが想定されてまいります。

 その上でですけれども、これらの方式の詳細設計及びどの業種を対象にするか、こうしたことにつきましては、今後、所管省庁において有識者、産業界とも丁寧に議論した上で、産業構造審議会の意見も聞きつつ決定してまいりたい、こう思ってございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 業種ごとの割当ての決め方についてはこれからの議論である一方で、多排出の産業については原則的にベンチマークを基準にするというような答弁をいただきました。

 ただ、そうした中で、このベンチマークを基準にする中でどれだけの強度に設定していくのか、これが大変重要なところだと思います。同じ業種の中で個社ごとの生産量当たりの原単位を比較して、同業種の中で上位何%にするのか、この水準が大変重要だと思います。この上位何%というところに置くのかによって厳しさが変わってくるわけでございます。

 この水準について、具体的に上位何%程度の水準を想定されているのか、また、排出削減や脱炭素技術の実装も踏まえて段階的に見直しがされていくものなのでしょうか。お願いいたします。

龍崎政府参考人 委員御指摘のとおり、強度をどうするかというのが肝でございまして、これを効果的に設定するには、業種特性、それから脱炭素技術の導入状況などをよくよく総合的に勘案していく必要があるということでございます。

 こうした技術的事項というのは、専門的知見を持つ有識者の意見なども踏まえまして丁寧に聞いて定める必要があるということで、現時点での具体的な水準というのは検討中ということでございます。今後、議論の透明性を確保しつつ検討を進めまして、産業構造審議会の意見を聞いた上で決定をしていきたい、こう思ってございます。

 それから、ベンチマークの水準につきましては、御指摘のとおり、業種における脱炭素化の進展状況などを踏まえて定期的に見直していく、こうした方針でございます。これによりまして、事業者に割り当てられる排出枠の量を中長期的に減少させ、事業者がGX投資を行うインセンティブを必要に応じて強化をしていくということだと思ってございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 御答弁の中でも見通しをしっかり立てていくということもありましたので、まず、今年度中の産構審の議論もそうですし、それより先のところについてもある程度示していくということが重要だと考えております。

 そこで、少し業界を絞ってお伺いしたいと思います。

 電力業界、発電事業者に対する割当てについてですが、発電事業者に対する割当ては、まだ決まっていないと思いますが、基本的にはベンチマークになると思います。

 発電事業者の排出原単位は、排出係数になると理解をしております。電源構成については、エネルギーミックスで二〇三〇年の数値が示されており、それに基づくと、排出係数は一キロワットアワー当たり〇・二五キログラムCO2になると思います。

 電力業界についてはほかの業種と違ってかなり明示的に排出原単位の二〇三〇年目標が示されているわけですが、二〇三〇年の電力業界のベンチマークの水準は排出係数〇・二五と整合的な水準になると想定されているのでしょうか。お願いいたします。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の〇・二五キログラムCO2、キロワットアワー当たり、これは係数ですけれども、これは、地球温暖化対策計画におきまして、二〇三〇年度温室効果ガス削減目標とも整合した排出係数として示されているものでございます。日本の排出削減目標は極めて野心的なものだと考えておりまして、その実現に向けては、排出量取引制度のみならず、あらゆる対策、政策を総動員しながら取り組む必要があると考えてございます。

 本制度におきまして、排出枠の割当て量を決定するに当たっては、業種ごとに目指すべき水準を定める、先ほど来ございますベンチマーク方式を基本といたしますけれども、割当て量の具体的な水準等の詳細につきましては、特定の業種に過度な負担が課されることで事業規模を縮小したり投資の原資が奪われたりすることがないよう、業種特性や脱炭素技術の導入状況などを十分に踏まえたものとする必要があると考えておりまして、こうした観点を踏まえて今後詳細を検討してまいります。

 そうした中で、仮にこの〇・二五という排出係数と明確にひもづく形で割当て量を決定する仕組みとした場合には、上記のような事情を必ずしも考慮できない硬直的な仕組みとなり、事業者の負担が過度になることで脱炭素投資の機運を阻害してしまうことも懸念されるわけでございます。

 したがって、〇・二五という排出係数と直接ひもづく制度設計とすることは考えておりませんけれども、政府目標の達成に向けて、発電部門におきましては、徹底した省エネ、再エネや原子力などの脱炭素電源の最大限活用を進めつつ、火力発電につきましても、非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めるとともに、水素、アンモニアやCCUS等を活用した脱炭素化も進めていきたい、このように考えております。

 このように、あらゆる対策、施策を総動員しながら、電力部門の脱炭素化に向けて取り組んでまいりたい、このように考えております。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 やはりここの部分が頭の整理がなかなか私はできなくて、電力会社というのは、基本的に旧一電がほとんど、発電事業者が多いので、そこと基本的にエネミの目標が合っていないというのはすごいいびつな感じがして、なかなか頭の整理ができていないんですけれども、閣議決定文書で削減目標が定められていて、国際的な約束にもなっているわけです。それであれば、担保する制度である、産業部門の大きな大きな制度の一つである排出量取引制度において同じ水準の目標が設定されていないのはなかなか整合的じゃないなと思うのが個人的なところでございます。

 ただ、御答弁いただいたとおり、配慮というのはもちろん必要です。事業者ごとに置かれている状況は異なりますので、そうしたことへの配慮ということで、例えば発電事業者においては、原子力の稼働状況であったり、火力発電のうちLNGの割合、こうしたふうに電力会社ごとに置かれている状況が異なって、排出係数は大きく左右されると思います。特に原子力発電が動いているか動いていないか、これはかなり電力会社の排出係数にとっては大きな差が出てくると思います。これは事業者の努力だけではどうしようもない部分があると思っておりまして、原子力発電を動かしたいからといって動かせるわけではないので、事業者の努力だけでは。なので、なかなか、配慮ということで、あと、沖縄電力みたいな、地理的にどうしても排出係数が高いところもありますので、配慮はやはり一定程度必要だというのは十分理解ができるところです。

 こうしたように、例として発電事業者のことを話しましたが、ベンチマークの設定でしたり排出量の割当てに当たって、同じ業界の中でも置かれている状況が異なりますので、事業者ごとの配慮を適切に行う必要があると考えております。こうした配慮を行う考えがあるのか、そして、配慮をするのであれば、具体的にどういったことを想定しているのか、お伺いいたします。

龍崎政府参考人 先ほど来出てきております多排出を中心にベンチマークということでございますけれども、排出枠の割当ての制度設計に当たりましては、同時にやはり業種間それから事業者間の公平性を、これは制度ですので、担保していく必要があると思ってございます。

 したがいまして、原則としましては、同一事業を行う事業者につきましては、共通の考え方に基づいて割当て量を決定することが適切だということになると思います。

 その上で、発電部門のお話がございました。ここは、固有の事情それから各社の実態を踏まえて、どうした割当てが適切かというのは、そういうのを含めて産業構造審議会で今後丁寧に検討を進めてまいりたいと思います。

 それから、おっしゃった沖縄電力でございますけれども、こちらは、域内の離島に対して安定的に電力を供給する必要がありますけれども、その離島というのは、電力需要が小さいとか、それから地理的、地形的な制約なども存在することで脱炭素電源の立地が難しいなど、特殊な事情もあるものと認識してございます。こうしたものも含めよく議論した上で、しかし制度としての公平性をどう担保するか、こういうことではないかと思ってございます。

    〔委員長退席、山下委員長代理着席〕

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 非常に難しい綱渡りがこの排出量取引、カーボンプライシングだと思いますので、排出削減について、その努力を阻害しない形でしっかり事業者の成長も配慮するという難しいところであると思いますので、そうしたところ、産構審も含めて、是非御検討をお願いしたいと思います。

 まず、そもそも論としてちょっとお伺いしたいんですけれども、温対計画の二〇三〇年度の目標、これは、産業部門は二〇一三年度比で三八%削減というような目標を目安として温対計画では掲げられております。この二〇三〇の産業部門の目標というのは積み上げの目標ということでよろしいのでしょうか。また、各業界の自主行動計画において二〇三〇年度の目標も掲げられていますが、こうした業界ごとの目標が達成される前提で産業部門の目標というのは据えられているのでしょうか。お願いいたします。

堀上政府参考人 お答えいたします。

 地球温暖化対策計画の二〇三〇年度目標につきまして、我が国全体の削減目標に加えて、委員御指摘のありました産業部門などの部門別の排出量の目安も示しているところでございます。この目標やその目安を達成するための施策の一つとして、二〇三〇年度の目標水準を含む自主行動計画の着実な実施と評価・検証を位置づけております。

 事業者による自主的取組を進めながら、目標達成の蓋然性向上等の観点から政府が適切に評価、検証を行うこととしておりまして、関係省庁、産業界が連携しながら推進していくということになっておりまして、政府として、地球温暖化対策計画全体のフォローアップ、この中で進捗状況の管理をしっかり進めていきたいというふうに考えてございます。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 基本的には業界の目標が達成される、ありきというか、前提で二〇三〇年度の目標はあるんですけれども、総合的に捉えているので必ずしも一対一で対応するわけではないというふうに私は理解させていただいております。

 武藤大臣にちょっと質問を飛んでお伺いしたいんですけれども、先ほどまでこういうふうに質問させていただいたとおり、NDC、温対計画の削減目標と排出量取引というのは一致しているようで一致していない、積み上げではなく、いろいろ配慮した上で、目標とはまた別に排出量取引の枠が割り当てられているような仕組みで動こうとしていると思います。

 それと、あと、少し先を見て、二〇三五年とか二〇四〇、二〇五〇を見据えたときに、これは温対計画では直線的な削減経路が取られていますけれども、恐らく、排出量取引においては、直線的な厳しい経路というよりかは、リニアではなくて曲線的に、より二〇四〇とか二〇五〇年に近づいていくにつれて厳しくなっていくというような割当てを検討されているのではないかなというふうに認識をしているわけでございます。

 そうした中で武藤大臣にお伺いするんですけれども、二〇三〇の目標もそうですし、二〇五〇の目標もそうなんですけれども、NDCの目標と排出量取引の枠の割当てが整合していないことについてどのように考えていますでしょうか。お願いいたします。

武藤国務大臣 排出枠の割当てにつきましては、現時点での脱炭素技術の実装ですとか投資の実施状況等を踏まえて定めた基準に基づいて行うこととしております。

 他方で、我が国のNDCですけれども、これまでも議論がありましたけれども、極めて野心的な目標であります。その実現に向けては、排出量取引制度のみならず、あらゆる対策、施策を総動員しながら、政府一丸となって取り組む必要があると思っています。

 例えば、GX経済移行債を活用した二十兆円規模の投資支援策でありますし、制度対象外の企業も含めて取り組んでいる省エネルギー対策等の施策なども着実に実施していかなければなりません。

 本法案に基づく排出枠の割当てがいわゆるNDCと直接ひもづくわけではありませんけれども、制度の在り方についても、事業者の脱炭素投資の実施状況や技術の進展動向を踏まえて、NDC達成にも貢献できるように、これは不断の見直しを実施していくことだというふうに思っているところであります。

森(よ)委員 御答弁いただき、ありがとうございます。

 今日、五十嵐政務官も来ていますので、一問だけ質問させていただければと思います。三つ通告していたんですけれども、二つ目の質問に行きたいと思います。

 武藤大臣からも答弁いただきましたが、必ずしもひもづいているわけではないというのは理解させていただきました。一方で、産業部門の中で大きな政策の一つがこの排出量取引だというふうに考えております。そして、NDCの目標達成と二〇五〇年ネットゼロの一元的な責任は、主たる責任は環境省が担っているというふうに考えております。

 そうした中で、気候変動対策を主に担当している環境省として、NDCの目標達成が見通せないような状況になった場合に、気候変動対策全体の見直しはもちろんなんですけれども、この排出量取引制度、カーボンプライシングについて、見直しも含めて関与していく姿勢はあるのかどうか、その点についてお伺いいたします。

    〔山下委員長代理退席、委員長着席〕

宮崎委員長 五十嵐環境大臣政務官、時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

五十嵐大臣政務官 お答え申し上げます。

 我が国では、二〇五〇年ネットゼロ実現に向けまして、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度比四六%、さらに、五〇%の高みに向けて挑戦を続けていく目標に加えまして、二〇三五年度六〇%削減、二〇四〇年度七三%削減を目指すNDCを国連に提出したところであります。

 いずれの目標についても、その実現は容易なものではありません。地球温暖化対策計画の継続的なフォローアップ等を通じまして、関係省庁連携の下で、施策の着実な実施や柔軟な見直し、強化を図っていくこととしております。

 今回のカーボンプライシングにつきましても、我が国のNDC実現に寄与するものでありまして、GX二〇四〇ビジョンにおいて、NDCの実現に向けた対象事業者の排出削減の進展の状況や、ほかのGX政策等との関係について常時確認をし、そして不断の見直しを実施していくこととしております。

 環境省といたしましては、気候変動対策を取りまとめる立場から、地球温暖化対策計画の進捗点検、フォローアップを行うこととして、引き続き、経済産業省を始めとする関係省庁と連携をして、NDCの実現にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

森(よ)委員 御答弁ありがとうございます。

 是非、環境省、主導的に頑張っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、佐原若子君。

佐原委員 本日は質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。れいわ新選組、佐原若子です。よろしくお願いいたします。

 日本の制度では、排出枠取引においてカーボンクレジットが利用可能となっています。EUでは、国内外共に不可とされています。カーボンクレジットの利用は、脱炭素推進への影響はどのようにお考えですか。想定される影響とその理由を御説明いただけますでしょうか。

武藤国務大臣 カーボンクレジットについての御質問をいただきました。

 多様な主体による脱炭素の努力をクレジットとして取引を行うことで、社会全体で費用対効果の高い取組を進める手法であります。

 我が国では、政府が運営する制度として、中小企業、自治体、個人など様々な主体による排出削減量、吸収量を認証するJクレジット制度、また、我が国の脱炭素技術等の導入により実現された途上国等の排出削減、吸収への貢献を定量的に評価をする二国間クレジット制度、これはいわゆるJCMとよく言われています、が存在しているところです。

 例えば、Jクレジット制度では、これまで累積で既に約一千百万トンが認証されておりまして、脱炭素に寄与している実績がございます。

 そして、排出量取引制度においても、これらのカーボンクレジットを活用可能とすることで、カーボンクレジットへの需要が高まり、その活用を通じた排出削減が促進をされ、社会全体での脱炭素の取組が更に加速するものと考えているところであります。

佐原委員 大臣、ありがとうございました。

 では次に、排出枠取引において、排出枠価格が下落したときには、GX機構、つまり政府が買い支えするとしています。この仕組みは、脱炭素の推進にどのような影響があるとお考えでしょうか。想定される影響と理由を御説明ください。

武藤国務大臣 排出量取引制度では、事業者間で市場を通じて排出枠の取引が行われることにより、炭素の排出に値づけがされます。そして、この炭素価格の水準が安定的に上昇していく見通しを示すことで、炭素価格が投資判断の際の指標として機能をして、社会全体のGX投資が促進されるものと考えているところです。

 こうした観点から、炭素価格の水準の将来的な見通しを示すため、上下限価格を経済産業大臣が認定することとしているところであります。

 御指摘の買い支えでありますけれども、この下限価格を担保するために必要な措置であります。下限価格があることで、先行してGX投資を行い、排出量を削減した企業が、排出枠の余剰を売却した際に得られる収益の最低水準が明らかになるということだと思います。これにより、GX投資の収益の予見性が得られるため、投資が促される効果があると考えているところであります。

佐原委員 分かりました。ありがとうございます。

 ただ、先ほどJクレジットの手続が煩雑だとおっしゃった議員がいらっしゃいますので、このことはよろしくお願いいたします。私もそう思います。

 次に、炭素の排出は公害と同様に考えるべきものと思います。大量の炭素を排出した事業者が、防止策だけではなく、事後の問題にも責任を負うべきものです。排出枠取引、化石燃料賦課金が価格転嫁され、消費者に負担がかかる可能性は想定されていらっしゃるんでしょうか。また、このコストが価格転嫁されることについてはどのようにお考えになりますか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 GX政策は、エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現を目指し、中長期の産業構造転換を見据えて実施するものでございます。したがいまして、事業者の責任を問うという姿勢ではなく、GX投資を促し、実際の排出削減行動にいかにつなげていくかという視点が重要かと考えてございます。

 議員御指摘のように、一律に排出者から消費者への転嫁を認めない場合には、脱炭素投資が単なるコストとして認識をされまして、事業者が投資にちゅうちょする結果、社会全体の排出削減は進まないという懸念があると考えてございます。

 事業者がGX投資を進めるためには、投資を通じて生み出した製品、サービスに対して消費者から適正な対価を得られることが必要かと思ってございます。つまり、対価の支払いを通じて、炭素のコストを、事業者だけではなく、消費者を含めた社会全体で分担する仕組みであることがGX投資を進めるためには必要というふうに考えているところでございます。

佐原委員 ありがとうございました。国民も一緒に負担するということですね。

 排出枠取引は、二〇三三年以降、発電事業者を対象に有償化するということですが、ほかの事業者への拡大の計画はあるのでしょうか。どのような分野へどの程度広げるのか、脱炭素の目標をどこに設定しているのか、そしてその目標達成までのプランをお示しください。

武藤国務大臣 排出削減目標のロードマップみたいなものということで御質問というふうに理解をしていますが。

 二〇五〇年カーボンニュートラル等の国際公約の実現に向け、GX二〇四〇ビジョン、いわゆる地球温暖化対策計画、またエネルギー基本計画、この三つに基づいて、二〇四〇年に向けた目標を設けた上で、政策を総動員して取り組むこととしてきているところであります。

 この中で、御指摘の排出量取引制度における有償割当てについてですけれども、二〇三三年度から発電事業者を対象に導入することとしています。

 有償割当ての導入に当たっては、代替技術の導入可能性等も踏まえつつ、国民生活や産業への影響を踏まえて制度設計を行うことが重要だというふうに思います。

 その中で、発電部門につきましては、排出量の四割を占め、脱炭素の重要性が高く、再エネなどの商用化された代替技術を有しています。また、諸外国でも先行的に有償割当てを導入しているところもございます。

 このため、我が国でも、発電部門をまず対象にすることが適切と判断しているところでありますけれども、現時点でそれ以上に対象業種を拡大する計画はございません。

佐原委員 ありがとうございました。

 次に、アメリカとの貿易に不透明感が増す中、EUとの貿易の重要性は増していると思います。EUでは、CBAM、カーボン・ボーダー・アジャストメントの導入によって、輸入商品に対して、EU域内と同様の炭素価格が課されます。

 日本の排出枠取引制度は、EUとの貿易において、日本の産業にとって有利に働くとお思いでしょうか、それとも不利に働くとお思いでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました、EU―CBAM制度でございますけれども、この中身でございますが、まず、EUが、EUの域外から鉄やアルミニウムなど六つの分野の対象製品を輸入する際に、製造過程における炭素排出量に応じて課金をするという仕組みでございます。EUは、このCBAMの仕組みの導入を決定をしてございまして、今、移行期間を経て、二〇二六年一月から本格的に実施される予定と認識をしているところでございます。

 日本企業への影響ということの御質問でございましたけれども、日本からEUに対して、例えば鉄とかアルミニウムというものについては、重量が重いということもございまして、それほど多くの輸出をしているものではございませんので、現時点で、仮にこの六つの分野だけであれば、それほどの大きな影響ではないかと思って想定してございますけれども、ただ、とはいいながらも、負担がかかるということは事実でございまして、一定程度の負担があるんじゃないかというふうには想定しているところでございます。

佐原委員 一定程度ということですね。

 次に、日本の排出枠取引の制度が脱炭素推進と日本の産業振興の両観点から有効に機能すると考えますか、あるいは難しいと考えますか。理由も併せてお聞かせください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 累次御説明させていただきましたとおり、この排出量取引制度につきましては、カーボンプライシング制度の一環ということで、二十兆円の経済移行債を元にした日本企業へのGXの投資の支援というものをカーボンプライシングの仕組みによって後から回収をする、その原資となっているというものでございますので、この両者を合わせました成長志向型のカーボンプライシング構想というところで日本の脱炭素と経済成長を両立させていくということを目指しているものでございます。

佐原委員 ありがとうございました。

 なかなか今難しい時代になって、例えば、この間、ドイツのソーラーパネルの会社、ワールド、何でしたっけ、が倒産いたしましたよね。そういうふうに、中国のいわゆる安売り攻勢に負けてしまうというようなこともあって、やはり、例えば先般ラピダスにはかなりの支援をするということだったんですけれども、これからは日本のそういった企業に対して支援をしていっていただきたいなとも思います。

 次に、資源法において、環境負荷に対し優れた製品設計に支援をする内容があります。この支援に至った理由、経緯を御説明ください。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 再生材の利用を促進するためには、リサイクルの高度化と併せて、解体、分別しやすい設計や製品の長寿命化につながる設計を推進していくことが不可欠であります。

 その一方、現行制度では、特に優れた製品設計を評価をし、市場での差別化を図る仕組みが存在していません。

 このため、解体のしやすさや長寿命化など、ライフサイクル全体での環境負荷低減に資する優れた製品設計を評価をし、認定する制度を創設することとしたところです。

 認定を受けたことを製品に表示することで、消費者が環境に配慮された製品を選択することを促す効果を期待しているところです。

 また、認定製品につきましては、国等による調達での配慮等を行うとともに、環境配慮設計の実現に必要な技術開発支援も実施してまいります。これにより、企業に対する環境配慮設計への投資インセンティブにつながるものと考えているところです。

佐原委員 ありがとうございました。

 私も、ジャパン・メイドの製品をどんどんどんどん皆さんが買っていただきたいなと思います。

 排出量取引は、経済産業省の各資料にもあるように、GX二〇四〇ビジョンの方針に沿って進めるとされています。GX二〇四〇ビジョンでは、原子力発電の活用も取組に掲げています。原発回帰を促す目的がありますか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇五〇年カーボンニュートラルを目指してGXを進めるといいますのは、これは、排出削減を行いながら同時に経済成長も達成をしていく、こういうことで取り組んでいるわけでございます。

 これからその鍵となりますのは、CO2を出さない脱炭素電源をいかに確保していくか、こういうことでございまして、これまで電力の需要が過去二十年間ぐらい減り続けてきたわけですけれども、これが反転して増えていく中で、そういうCO2を出さない脱炭素電源を増やしていく必要がある、このように考えております。

 その意味では、CO2を出さない電気の代表でありますのは再生可能エネルギーと原子力発電でございまして、先般、閣議決定させていただきましたエネルギー基本計画の中でも、こうした脱炭素電源、これにつきましては最大限活用していこうということにしているところでございます。

 したがって、特にGXについて、原子力のためにやっているということではございませんけれども、脱炭素電源の重要な一つとして原子力発電も活用をしていく、こういうことで考えているところでございます。

佐原委員 悪魔の言い訳というのがあるんですけれども、何でもかんでも、私の目から見ますと、経産省は原発推進の方に取り組んでいってしまうような気がいたしております。悪魔のささやきというんでしょうか。

 クリーンエネルギーに位置づけるというのも、実は本当は無理があるのではないかなと思うんですよね。CO2は発電時は出さないけれども、そこに至るのには、このGX法案によって、いわゆる稼働の年数とか、その中には休んでいた期間はカウントしないとか、でも経年劣化ということもありますし、そういったことも含めて、これはやはり、GX法案と、あるいは、いわゆるデータセンターというのでお墨つきを得て、したがって、これからまたどんどん原発回帰に行くのではないかなということを危惧しております。

 GX推進機構も含めGX政策そのものがまた経産大臣の采配で決められ、進められていく構造になっています。原発の長期稼働なども大臣次第と言えます。原発を更に推進し、原発をクリーンエネルギーにカウントしてしまうのは、日本政府が福島第一原発の事故後に取り組んだ政策との整合性がないのではないかなというふうに思います。一たび事故があれば、トランプ関税どころか、もっと大変なことになると思うんですね。

 私たちは、やはり今こそ、小水力発電とかあるいはペロブスカイトなどのようにジャパン・メイドの、そういった小国ならではの勝負で、それをまた海外に輸出するというような、そういった意味での取組が必要なのではないか、それが本当にGXにつながるのではないかなというふうに思うんです。

 この原発回帰だけは少し、少しというよりも大変私はがっかりしております。原発ということを繰り返していくことで、一体この国はどこに向かっていくんだろうなと思うんですよ。

 今、本当は、このGX法案を真に活用するためには、日本の産業力、技術力というものを、あるいは蓄電池も新しいのができました、省エネルギーの製品もたくさんできると思います、そういったことに支援をしていかなければ、また同じようなことが起きるのではないかなと思ってしまうんですね。

 ですから、日本という国が自然と共生をして生きてきた種類の人間であるということを考えたときに、本当は日本人に合わないんじゃないかなと思うんですね、そういう原発政策というのは。

 などといろいろ、いつも同じようなことを言って申し訳ないんですけれども、次回もこのことについてまた質問させていただきたいと思います。

 今日はお時間をいただきまして、お疲れのところ、本当にどうも、大臣、ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。

 今日はGXということなんですけれども、まず最初に、大阪・関西万博から質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 この間、我が党の機関紙、しんぶん赤旗が記者会見の場あるいはAD証の発行を含めて排除されてきた、そういう不当な問題というのを指摘をしてきたわけなんですけれども、今のところ、ワンデー、記者会見が週一遍だけ開かれるんですね、その日だけの通行証は認められているということなんですけれども。

 今日、資料にもお配りをいたしました。この間いろいろやってきているんですけれども、このメディア用のAD証の発行対象者ですよね、四つに分かれておりまして、一つ目が報道機関、二つ目がフリーランス、三つ目がインフルエンサー、四つ目がその他ということで、しんぶん赤旗はこの四つ目のカテゴリーに入るんだという説明がされてきたわけであります。

 そして、商業紙、フリーランス、インフルエンサーですけれども、こういうところはワンデーだけではなくて通期証が認められ得るということなんですが、しんぶん赤旗がこの通期証、ワンデーじゃなくて全ての期間の、これが認められないのは万博協会の裁量なんだという答弁が前回あったところでございます。

 何が裁量なのか、何でこんなことが裁量になっているのかということもやらせていただいたわけなんですけれども、先日、協会からしんぶん赤旗関西総局にメールが届きまして、今後、ワンデーあるいは通期証の発行のためには、赤旗の活動実績を示してほしいと。その活動実績というのが、二〇〇五年の愛知万博でAD証が発行されていたことが分かる記録、これを示していただければという条件が付されてきたわけなんですね。

 このメディア用のAD証の発行対象者、カテゴライズ四のその他の中には、愛知万博における実績が必要だということは書かれておりません。なぜ、規定にも書かれていない、されていないような条件をつけて、通期証の発行というのを認めるということになるのか、これは納得できる説明を是非していただきたいなというふうに思っております。経産省、どうですか。

茂木政府参考人 今御指摘があったメディアガイドラインでございますが、委員御提出の資料の中にもございますけれども、この中で、メディア用のAD証の発行対象者というのが五の一というところに書いてありまして、申請に当たりまして所定の証明書等を博覧会協会広報部に提出し、事前の承認を得ることを条件とするとなっておりますので、この所定の証明書等について何らかの活動実績をお示しいただきたい、そういう趣旨だというふうに考えております。

辰巳委員 私が聞いたのは、メールには愛知万博における活動実績と明記されているんですよ。我が党は愛知万博の実績はありますよ。私、愛知万博の記事を全部持ってきましたけれども、むちゃくちゃ取材して、AD証だって発行されているという認識はあるんですが、なぜ愛知万博というふうに限るのかが分からないんですよ。これはいかがですか。

茂木政府参考人 愛知万博ということで申し上げたというふうには聞いておりますけれども、いずれにせよ、これは、いずれのメディアにおきましても何らかの活動実績をお示しいただきたいという趣旨で申し上げているものというふうに承知しています。

 既に博覧会協会としんぶん赤旗さんの間では御相談をされていると聞いておりますので、そういった取材実績等をお示しいただく中で適切な判断がなされるものというふうに承知しております。

辰巳委員 つまり、私がなぜこれをあえて問うているかといいますと、我が党は、愛知万博の実績がありますよ。だけれども、例えば、我が党以外の政党機関紙、あるいは二〇〇五年の愛知万博以降に発刊されたメディア、それは当然愛知万博の実績なんてないわけですよ。愛知万博というふうに限定をされてしまうと、そういうメディアは排除されてしまうというふうに思うんですよね。

 今局長の方からあった説明でいうと、今回、赤旗とのやり取りで愛知万博ということになっていますけれども、もちろんそれ以外のメディア、その他の四番に属するようなメディアで、特に愛知万博にこだわってということではないと。そのメディアの活動実績、それは万博以外でも、これが示されれば、パーマネント、通期証を含めて認める方向ということでよろしいですか。

茂木政府参考人 メディアガイドラインにございますとおり、所定の証明書等をというふうになっておりますので、これは実質的な活動実績等をお示しいただいて、それに基づいて協会が判断するということでございます。(辰巳委員「万博以外でもいいということね」と呼ぶ)万博以外も含めてというふうに理解してよろしいかと思います。

辰巳委員 これは重要な答弁だと思います。

 同時に、もう一点だけ確認したいのは、やり取りのメールの中では、愛知万博のときのAD証のコピーを出してくれ、こういうふうにあるんですけれども、活動実績ということでいうと、もちろんありますよ。AD証、二十年前ですからね、二十年前のAD証をそのまま持っているという話にそれは全てならないわけで、AD証の発行のコピーでなくてもいいと。活動実績というのは、つまり、その中で当時発行されたことが分かる取材内容、記事ですよね、それが提出されれば、これはパーマネント、通期証も認めていく、そういう認識でよろしいか、確認したいと思います。

茂木政府参考人 御指摘の点につきましては、今、博覧会協会としんぶん赤旗さんで御相談をされているというふうに承知をしております。

 四月十日のしんぶん赤旗電子版を読みますと、その中では、赤旗は愛知万博にも万博協会からの記者証が発行されている旨を明確にお書きいただいているので、何かあるんじゃないかということでそういうお話をされているのではないかと推測をいたしますが、いずれにせよ、これは何らかの実績をお示しいただくという形でやっていくということだというふうに考えています。(辰巳委員「AD証のコピーに限らないね」と呼ぶ)AD証のコピーに限らずですね、はい。

辰巳委員 分かりました。

 もうこれは認めるということになりますね、通期証、赤旗。

茂木政府参考人 通期かワンデーかということにつきましては、これは、取材計画をお出しいただきまして、その取材計画に基づきまして判断をするということでございますので、そんなふうに御理解をいただければというふうに存じます。

辰巳委員 ワンデーというのは、通期計画において、大体一か月以内の取材をしますという人に対してはワンデーが発行される、それ以上になると通期証が発行されるというのがメディアガイドラインの趣旨だと思いますので、そういう取材計画、長期の取材計画となれば通期証が発行されるということが確認されましたので、早く発行していただきたいというふうに思っております。

 大臣、ようやくここまでたどり着きましたね。何回やりましたか、本当に。五回ぐらいですか、ようやくですよ。それは、赤旗は経産省の記者会見だって行っているんですよ。省庁の記者会見だって行っているんですから、ここで本当に不当に制限する、もちろん、赤旗だけじゃなくてフリーランスも含めて取材を不当に制限するということはあってはならないということを改めて言っておきたいというふうに思っております。

 続けて、その上で、ちょっと懸念が幾つか出てきておりますので、経産省に重ねて確認をしたいと思います。メタンガスの問題なんですけれども。

 四月六日、テストランのときに爆発濃度以上のメタンガスが検知をされて大騒ぎになったわけなんですけれども、始まって以降も、この五vol%、爆発濃度を超えた日があったのではないかというふうに思うんですけれども、これはイエスかノーかでお答えいただければと思います。

茂木政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、会場の中で、建物、それから園路、こちらについては、これまで博覧会協会が設定している基準値でございますが、一・五ボリューム%以上の濃度は計測されておりません。

 それから、屋外の地下ピット、マンホールというふうに委員もおっしゃっておりますが、これはグリーンワールドエリアというエリアにおきましては基準値以上の濃度を計測した箇所があったというふうに聞いております。そのうち、五ボリューム%以上が検出された箇所もあったというふうに聞いております。

 ただし、これらの箇所については、蓋を開放するということで速やかにゼロ%までなっていることを確認しておりまして、また、こういった箇所については、順次、グレーチング蓋という網々の蓋なんですが、こういう形に取り替えることによって常時換気ができるような形で措置をしております。博覧会協会において今後も継続的にモニタリングを行ってまいりたいというふうに考えています。

辰巳委員 網目格子状のグレーチングに替えているということなんですけれども、それは、五vol%、そもそも計測されることそのものが重大問題なんですよ。引火すれば爆発濃度ですからね。蓋を開ければゼロになる、それは当たり前なんです。蓋を閉めているところに五vol%以上になると引火してしまうということなんですよね。それ以降はグレーチングしているということですけれども、そもそも、そういうガスが出ているということが大問題ということでありますし、それともう一点の問題は、これ、どこの地点かというのをちょっと明らかにしてほしいんですよ、一・五vol以上にしろ、五vol%にしろ。これ、明らかにすることはできますでしょうか、どうですか。

茂木政府参考人 まず、どの場所でそういう数字が出たのかということは、私自身は詳細な場所はまだ承知をしておりません。

 それから、そういった情報をどう出していくのかということについては、これは個々の情報をこの場所でこうだというのを一つ一つ出し始めますと、逆に、ある意味そういったところにいたずらを誘発するとか、そういったことがありますので、情報の出し方についてはよく検討をさせていただきたいというふうに存じます。

 いずれにせよ、その日の計測結果が安全基準以下であれば、これは全体として安全に御来場いただける旨を朝夕公表させていただいております。

辰巳委員 一日三回とか、朝計測するといっても、朝測ったものが昼には上がっているわけですよ。そもそも危険なんですよね。

 元々は毎日公表すると言っていたんですよ、公表することを検討するということを去年の段階では言っていたわけですけれども、実際に二か月に一遍、毎日の計測というのは出していたわけなんですよね。それをぴたりとやめてしまったということになっているわけで、それは一体何のための計測なのかと言わなければならないと思います。本当に安全やというのであれば、全て隠さずにデータを公表して、協会が責任を持って、安全だ、そういうことを公表するべきだというふうに思っております。

 もう一点確認したいのは、喫煙所についてなんですね。

 今、喫煙所は、東ゲート、いわゆる会場の外なんですよね、これに設置をされておりますけれども、中に一旦入ってしまうと、そこまで行くのに非常に時間がかかるということで、会場内で喫煙しているということが多数目撃をされております。

 会場内というのは禁煙、これは大原則なんですよね。命、大事だという万博ですから禁煙なんですけれども、遠いものですから、ルールを破って中で喫煙する人が出てくるということで、万博協会は、先日の記者会見などでも、西ゲートの方に喫煙所を設けようじゃないかということを検討しているということを言っております。

 西ゲートというのは夢洲一区ですから、爆発事故が起きているところですから、メタンガスがシューシューシューシュー多量に出ているところですから、これは、こんなところに喫煙所を設ける、命吹っ飛ばす気かと私は思うんですよね。

 これは私はやるべきじゃないと思うんです。いかがですか。

茂木政府参考人 委員が御指摘になったような報道も含めて出ていること、私どもも承知をしております。

 喫煙所の設置については、今、博覧会協会で検討を行っています。具体的な場所は、まだ決まっておりません。会場内の喫煙対策の一環として、西ゲートに近い方ということで検討はしておりますけれども、具体的な場所はまだ決まっておりませんので、安全管理をしっかりした上で、そうした検討を進めていくものというふうに承知をしています。

辰巳委員 西ゲートというのは、夢洲一区なんですよ。

茂木政府参考人 西ゲートそのものは一区なんですけれども、西ゲートエリアということですので、もう少し広い範囲で、どういった場所に喫煙所が設置できるのかも含めて検討をしてまいるということでございます。

辰巳委員 そのエリアで、一区じゃないエリアでということなのかもしれませんけれども、これは、もちろんメタンガスというのは一区が一番出ているわけですけれども、あの会場全体にメタンガスというのは出ていますので、これはよくよく検討して、やめなければならないということを改めて言っておきたいというふうに思います。

 さて、GXの方に移りたいというふうに思います。万博関係の方は帰っていただいて、いいですか、いたいですか。(茂木政府参考人「大丈夫です」と呼ぶ)はい、ほんなら、いていただいて結構です。

 ようやくここまで来ました。

宮崎委員長 大丈夫ですか、じゃ、茂木さん、もう退席して結構です。(発言する者あり)

辰巳委員 私のことを好いてくれているんですね。また来週、やりますか。

 さて、まず、大臣に聞きたいと思います。

 気候変動への認識について確認をしていきたいと思うんです。

 今年に入って、日本に限っても、大規模な山林火災が起こっております。岩手県とか岡山、愛媛、宮崎県で相次いだわけですが、世界でも、一月のアメリカのロサンゼルス近郊の大規模な山火事も大きく報道されてまいりました。深刻な山火事が世界で頻発するのは、気候上昇で空気や地面が乾燥して、発火、延焼のリスクが高まったためだとも言われております。

 猛暑、熱波は労働者の健康を損ない、巨大化した台風や豪雨、豪雪による被害も各地に広がっております。

 世界気象機関によりますと、世界の平均気温は、産業革命前より一・五五度上昇したと。世界各国は気温上昇幅を産業革命前プラス一・五度Cに抑える努力を強めているが、今も気候危機は進みつつあるということなんですね。まさにこの対策強化は待ったなしの状況だと言わなければなりません。

 大臣、この気候上昇の幅を産業革命前から一・五度までに抑えるためにも、一刻も早い対策の強化、これが必要だ、そのためにも日本も手だてを尽くす、こういう立場に立つことが必要だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 気候変動も、まさに今委員おっしゃられるように、山火事も大変多く発生を世界中でしているところであります。国内で起きた、今回の秋田にしてもそうですけれども、まずもって心からお見舞いを申し上げなきゃいけないと思いますが、国際社会が一体となって取り組むべき人類共通の重要課題であります。一・五度目標、この実現に向けては、全ての国の取組が重要であります。

 我が国は、二〇五〇年カーボンニュートラル実現に加え、世界全体での一・五度目標と整合的な排出削減目標として、温室効果ガスを二〇四〇年度に七三%削減することを目指しているところであります。

 その実現に向け、エネルギー安定供給、そして経済成長、脱炭素の同時実現を目指す方針をGX二〇四〇ビジョンとして取りまとめております。着実にGXを推進して、世界全体での一・五度目標の達成に貢献していくところであります。

辰巳委員 大臣から整合的なという話はあったんですけれども、そうなのかということだと思うんですね。

 大切なことは、二〇五〇年のカーボンニュートラルというゴールだけではなくて、その途中経過、途中経路ですね、つまり二〇三〇年での排出削減目標を達成するということだと私は思うんです。

 国連環境計画排出ギャップレポート二〇二四によれば、各国の現状の削減目標では、今世紀末の気温上昇は何と最大で三・一度になるとされているわけなんです。IPCCの第六次の報告書によりますと、一・五度目標を達成するためには、世界全体の温室効果ガス排出量を二〇三五年までに二〇一九年比六〇%削減することが必要だとされております。先進国、排出大国を始め、各国が野心的な目標を持って対策を加速することが求められております。

 では、日本国内の対策はどうなのか。石破政権は今年二月に、地球温暖化対策計画、エネルギー基本計画、GX二〇四〇ビジョン脱炭素成長型経済構造移行推進戦略改訂を閣議決定をいたしました。国連気候変動条約事務局に提出された日本のNDC、これは国が決定する貢献ということですけれども、これは、温室効果ガス削減目標を、二〇三五年度に二〇一三年度比六〇%削減、二〇四〇年度に二〇一三年度比七三%削減としております。これは、二〇三〇年度目標でいえば、二〇一三年度比六〇%削減というのは、二〇一九年度比で五三%削減になるわけですね。

 これは、世界全体では二〇三五年までに二〇一九年比で六〇%削減することが求められているのだから、日本がこれよりも低い目標というのは、先進国として求められている責任を果たすということにはならないわけですよね。今日ただしたいのは、その不十分である目標さえも今回の法案で果たせるのかということなんです。

 経産省、確認しますけれども、今回の法案で排出削減にはどれだけの貢献を見込んでいるのか、これをお答えいただけますか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のございました二〇三〇年度目標ないしは二〇三五年の目標につきまして、その達成するに当たっては、本法案で措置をする排出量取引であったり化石燃料賦課金のみならず、今同時に実行してございます二十兆円規模の先行投資支援を含めたあらゆる政策及び業種の特性、国際動向等を踏まえまして、事業者が自らの判断として実施する取組によって実現をされるというものだと考えてございます。したがいまして、この排出量取引制度のみを抜き出して排出削減達成への効果を申し上げるというのは困難かと思ってございます。

 他方で、本法案では、排出量取引の実施に向けた措置等に加えて、対象事業者が野心的な削減目標を自主的にコミットいただくということを通じて排出削減を促進する観点から、移行計画というものの提出を義務づけているところでございます。

 今、具体的な数字を申し上げることが困難ではございますが、今後提出されるこの移行計画の内容を精査することで、対象事業者の削減に向けた取組の見通しを予見するということが可能であるということを考えてございます。

 委員御指摘のあった一・五度目標を目指して排出削減を行うという重要性は認識をしてございますので、本制度もこれに貢献できるようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

辰巳委員 ですから、ストレートなアンサーは来ないんですよ。本法案で排出量取引というのはどれぐらい削減するのか、これはきちっとした答弁が来ないわけなんですよね。

 野心的な移行計画をやってくれ、それは当然だと思うんですけれども、一定規模、十万トン以上の事業者に対して排出量取引制度に参加することを義務づけるということになるわけですけれども、これは国内の総排出量に占める割合というのは六割ぐらいになりますよね。今、うなずいていただいている。六割、これはかなり多いわけですよね。だから、ここの部分でどれだけ排出削減ができるのかというのが物すごく鍵になってくるのに、どれぐらい削減されるのかというのは言えないということになるわけですね。

 これはやはりそもそも、もちろん野心的な期待をするんだと言うんですけれども、私は、国全体の排出枠のキャップですよ、キャップをきちっと、総量規制ですよね、これを定めていないことが一番の問題じゃないかというふうに思うんですよね。

 これは経産省に確認しますけれども、これは総量キャップはありますか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案において、排出枠の総量を一定水準に規制するという規定は措置してございません。

辰巳委員 だから、そこのゴールがないんですよ。これは、ヨーロッパでは、やはり総量キャップをやって排出量というのを進めていこうというゴールを定めてやっていますから、そもそもこの法案でそこがないというのが私は大問題だというふうに思っております。

 内閣官房の下に置かれた有識者検討会議でも、様々な市民団体の方からキャップの設定というのを求められていたのに、これは結局見送られました。本法案では、各企業に割り当てる排出枠のキャップ、これは部門全体での規制がないわけなんですよね。積み上げ方式だということになっておりますので、肝の部分がないということ、この枠の設定を間違えれば、排出削減という制度本来の目的が果たせないということを改めて今日の質疑では指摘をして、次の、来週の質問で更に深掘りをしていきたいというふうに思います。

 以上です。

宮崎委員長 皆様、朝から一日御苦労さまでした。

 次回は、来る十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十二分散会


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