衆議院

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第14号 令和7年5月14日(水曜日)

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令和七年五月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 宮崎 政久君

   理事 小泉進次郎君 理事 新谷 正義君

   理事 山下 貴司君 理事 荒井  優君

   理事 山岡 達丸君 理事 山崎  誠君

   理事 斉木 武志君 理事 岡野 純子君

      岩田 和親君    鬼木  誠君

      勝目  康君    小池 正昭君

      坂本竜太郎君    塩崎 彰久君

      島田 智明君    鈴木 英敬君

      関  芳弘君    世耕 弘成君

      西村 康稔君    平沼正二郎君

      星野 剛士君    細野 豪志君

      松本 洋平君    宮内 秀樹君

      向山  淳君    東  克哉君

      大島  敦君    岡田 克也君

      落合 貴之君    小山 展弘君

      鈴木 岳幸君    田嶋  要君

      福森和歌子君    吉田はるみ君

      東   徹君    村上 智信君

      臼木 秀剛君    平岩 征樹君

      福田  玄君    福重 隆浩君

      山口 良治君    佐原 若子君

      辰巳孝太郎君    吉良 州司君

    …………………………………

   国務大臣

   (GX実行推進担当)   武藤 容治君

   環境副大臣        中田  宏君

   文部科学大臣政務官    赤松  健君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室長)

   (資源エネルギー庁次長) 畠山陽二郎君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          田尻 貴裕君

   政府参考人

   (内閣官房GX実行推進室次長)          龍崎 孝嗣君

   政府参考人

   (財務省主税局国際租税総括官)          細田 修一君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       今村 聡子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房長) 片岡宏一郎君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小見山康二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           辻阪 高子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           田中 一成君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          野原  諭君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局首席国際博覧会統括調整官)           茂木  正君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            伊藤 禎則君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        和久田 肇君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      久米  孝君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            長崎 敏志君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 堀上  勝君

   政府参考人

   (環境省環境再生・資源循環局次長)        角倉 一郎君

   経済産業委員会専門員   花島 克臣君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     勝目  康君

  鈴木 英敬君     平沼正二郎君

  宮内 秀樹君     星野 剛士君

  丹野みどり君     福田  玄君

  平岩 征樹君     臼木 秀剛君

同日

 辞任         補欠選任

  勝目  康君     岩田 和親君

  平沼正二郎君     塩崎 彰久君

  星野 剛士君     宮内 秀樹君

  臼木 秀剛君     平岩 征樹君

  福田  玄君     丹野みどり君

同日

 辞任         補欠選任

  塩崎 彰久君     鈴木 英敬君

同日

 理事丹野みどり君同日理事辞任につき、その補欠として岡野純子君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の辞任及び補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)


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     ――――◇―――――

宮崎委員長 これより会議を開きます。

 理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事丹野みどり君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、委員長は、理事に岡野純子君を指名いたします。

     ――――◇―――――

宮崎委員長 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、内閣官房GX実行推進室長兼資源エネルギー庁次長畠山陽二郎君外十七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。田嶋要君。

田嶋委員 おはようございます。立憲民主党・無所属の田嶋要でございます。

 ゴールデンウィーク明けの最初の質問でございます。よろしくお願いします。

 まず今日は、国産EV電池についてお尋ねしたいと思うんですけれども、せんだっての週末に少し残念なニュースが流れて、今日も流れていますけれども、この日本経済新聞の記事だと、国産EV電池が瀬戸際だということで、日産が断念しました、トヨタが延期をしましたということでございます。

 大臣、これは私、先々月、三月の二十六日に質問させていただいたときも、二〇三〇年までという話で、百五十ギガワットアワーというような数字が大臣からも言われておりまして、そのうち、着実に進んでいて、設備投資等の支援を通じて百二十ギガワットアワーの規模の計画が進行中です、今後順次稼働していく見込みですというふうに私に御答弁いただいたのが三月二十六日でございます。

 私は当時から、本当に大丈夫かということを何度も申し上げておるわけでございますが、このニュースが流れまして、やはりそうなのかという感じもするんですが、どういうような状況になっているかということをまず事務方から御答弁いただきたいと思います。

野原政府参考人 日産自動車による年間五ギガワットアワーの蓄電池の供給確保計画につきまして、日産が業績回復のための選択肢を検討する中で、北九州市でLFP電池の新工場を建設する計画だったわけですけれども、この計画を断念したということでございまして、計画の実施が困難になったことから、五月九日に認定を取り消したところでございます。

 これまで、経済安保法の設備投資支援などを通じまして年間百二十ギガワットアワー規模の国内生産能力を整備する計画が進行中というふうに答弁してまいりましたけれども、今回の取消しによりまして五ギガワットアワー減るということで、年間百十五ギガワットアワー規模の計画が進行中ということになります。

 足下の二十ギガワットアワーから二〇三〇年に百五十ギガワットアワーに向けてあと三十ギガワットアワーだったところが三十五ギガワットアワーになるということでございまして、あと五年でございますが、実際、リードタイムが新工場を建てると四年ぐらいかかりますので、来年、二〇二六年中ぐらいにあと残り三十五行けるかどうかということで、目標達成が見えてくるかどうかということになってまいります。

 ちょっといろいろ環境が悪いところが、EV市場の低迷であるとか今の関税の話とかいろいろありますので、そういう中で投資の前提のところが少し不透明になっておりますので、そういう状況を踏まえながら、追加のこの三十五というのをどうやって実現していくかということになります。

田嶋委員 配付資料の説明をちょっと忘れました。

 今日、お手元の一番、今政府からありましたけれども、認定取消しの政府の補助金ですかの情報と、その下には、エネルギー基本計画ではどういうふうにうたっているかということでございます。次の資料が、いわゆる発行するGXの債券の返済に関わる数字のグラフでございます、二枚ですね。そして、その次のページ、四の資料は、日本のブランド力の問題、後半でございますが。そして、五がリサイクル。そして最後に、消費者側から見た、カトラリー等の現在の状況でございます。

 今御答弁ございましたけれども、そうすると、大臣が三月二十六日、私に対しては、規模の計画が進行中、今後順次稼働していく見込みというのは、かなり甘い見通しなのかなということを感じるわけで、私は何かだんだんだんだん生産能力が着実に上がっていくのかなと思って、よくよく見たら、この新聞じゃ、まだ別に、自治体と協定を結んだだけで、工場の、何というか、第一歩もないような状況ですね。だから、全体として、国の見通しというのがかなり、安全サイドではなくて、甘い見通しに立っているのではないのかなという点が一点。

 それから、大臣にお尋ねしますが、元々、この反省文を、前回御紹介した蓄電池の失敗をしたという反省文を書かれたときに、なぜこういうふうに失敗したかということを書いていて、前回も読み上げましたが、このままでは全固体電池の実用に至る前に、日本企業は疲弊し、市場から撤退する可能性と。まさにそれが何かリアルになってきているような感じが私はするんですね。

 そして、今後の方向性の一番に、民間のみに委ねず、大規模投資への支援を行い、国内製造基盤を確立すると書いてあるんですが、これは、民間のみに委ねないというのは分かるんですけれども、民間がやめますと言ったら、これはもう諦めるんですかね。どういう考えなんですか。

 要するに、やはり、民間主導で、民間がやるときには一生懸命補助金を出しますよと。だけれども、民間がこうやって経営が苦しいからといって断念する、経営が変わって断念するとなると、ああそうですかということで補助金を出さないということで終わりになるんだったら、これは国としての、国家政策としての見通しがそんなに簡単に実現するとは思えない。まさに民間次第という感じになるんですが。

 そこで、私はラピダスのことを思い出すんですね。ラピダスは、これまでと違うのは、民間が何もいない、はなから政府として一兆円以上の金を出して、委託金という形で、補助金じゃなくて委託金という形で、まさに国家プロジェクトとしてやっているわけじゃないですか。

 電池は、そういう一回失敗をした後のこの意気込みは、そういうことも含めて、これまでのような中途半端な支援では駄目だということを言っているのかなと私は思ったんですね。

 私は、非常に今大事な局面にこの電池産業も来ているような気がしますが、どういうお考えなんでしょうか、政府は。大臣、御答弁ください。

武藤国務大臣 委員の御指摘はある意味でごもっともだというふうに思います。

 蓄電池産業の競争力を取り戻すためには、前回もお話を申し上げましたとおり、これは、民間のみに委ねず、政府も液系リチウムイオン電池の製造基盤を強化するための大規模投資というものへの支援を行い、国内製造基盤を確立するという話の方向性という形でお話ししたところです。

 これは、経済安全保障推進法というものに基づいて一・八兆円もの供給計画を認定しながら、最大約六千三百億円の助成を決定するなど、こういう形で大規模な支援をやってきているところであります。

 日産さんの今回の問題というものは、計画を、こういう形で、業績回復のためにあらゆる選択肢を検討する中で、投資効果についても慎重に検討を重ねた結果、断念をせざるを得なかったのかなということで思いますし、私どももその意味で認定を取り消したわけでありますけれども。

 本当に、半導体もそうでしょうし、私ども、蓄電池という意味でも、これからの電力という意味の大きな支えとなるというところで、これをしっかりとこれからも、言ったように、政府も一緒になってという形で後押しをしているところでありますけれども、蓄電池の製造基盤の強化ということはもう極めて経済安全保障上からいっても大事なことでありますので、引き続いて、あらゆる政策を総動員しながら、蓄電池産業の強化に全力で取り組んでいかなくてはいけないんだろうというところであります。

 今回の計画は残念ですけれども、今事務方からもお話がありましたように、世界の状況、特にまた関税の問題もあるし、非常に不透明感がある中で、しっかりと民間とも共有をしながら、しっかりと日本の政策というものを進めていきたいというふうに思っているところです。

田嶋委員 そういう答弁だと、別に何の、何というか、ああなるほどというのはないんですよ、通り一遍で。私が聞いているのは、民間がいろいろな事情で投資を先送りしたり工場を造るのを断念したりというときに、ああそうですかで終わっていたら、これまでの繰り返しじゃないんですかという問題意識なんですよ。だって、国内製造基盤を確立するんでしょう。安全保障の問題でしょう。民間がどうこうじゃなくて、ラピダスでやったように、国が先に一兆円ということだってあり得るんじゃないんですか。それとも、半導体は大事だけれども電池はそれほど大事じゃないということですか。どういう考えに立っているかということですよ。

 それからもう一つは、じゃ、車は、電気自動車をいっぱい造ろうとしても、電池が全然国内でなかったら、やはり中国から買うことになるんですかということも教えてください。

野原政府参考人 百五十ギガワットアワーというのは、人口比で見ましてアメリカあるいは中国とかと大体同じぐらい、日本の人口からするとこれぐらいの生産能力は持たなきゃいけないということで百五十という数字を議論して、官民で共同でつくった目標でございます。

 ラピダスとの違いなんですが、ラピダスは、御案内のとおり、量産技術確立のための研究開発段階を国からの研究開発委託として支援をしている。液系のリチウムイオン電池については、もう既に量産技術はありまして、量産段階のテクノロジーの量産投資ということなので、そこは、民間が投資するのを政府としては法律に基づいて設備投資の一部補助をしている、そういう整理になっておりますので、そういう意味で、量産投資の部分について、百五十ギガワットアワーに行くために委託を考えるということの話だと今のメニューとしてはないわけでございまして、そういう新しい政策が必要なのかどうかというふうな議論ということだというふうに認識をしております。

田嶋委員 なるほど、その点は、違いは理解いたしましたけれども、しかし、企業経営、特に、外国人の方が経営者に新たになって、それで非常に短期的に、工場は幾つ畳むとかやっていますけれども、そういうことと、国家がもう少し中長期で考えるべき国家戦略と安全保障の問題は必ずしもタイムラインは一致しないと思うんですよ。だから、目先、企業がそういう判断をしても、そういうときこそ国が踏ん張って支え続ける、あるいは先行してでもお金を出していくみたいなことを考えないと、結局これはもう一回この反省文を出すことになるんじゃないかな。状況は何も変わっていないですよ。悪くなっている、私はそう思っていますよ。全固体電池までたどり着けないんじゃないですか、今のままいくと。そういう気がしてなりません。

 そのことに警鐘を鳴らしておきたいのと、あと、やはり、前回申し上げました、半導体のときの構えに比べて、やはり自動車はもうちょっと危機感を持った方がいいんじゃないですか、屋台骨ですから。これが崩れたら、今回、削減二万人とか言っていますけれども、五百万人以上の雇用がある産業ですから、これは本当に怖いですよ、しっかりしないと。だから、半導体は大事ですけれども、是非同じように、役所側も危機感を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。

 引き続き、正確な情報をアップデートしていただくようにお願いします。何か、余り聞いていなかったみたいな話ではないということは理解しましたので、まだはっきりしていなかったので前回御説明はいただくことができなかったということで、経産省にはこの会社の状況は情報は入っていたということなので、全然聞いていなかったということではないと理解いたしておりますけれども、しっかりと最新情報を入手して、正しい御判断をお願いしたいと思います。

 次に、法案の関連でございますけれども、GXの方に入ってまいります。

 まず最初に、GX移行債の償還の財源について、資料でお配りをした二枚目と三枚目の資料も御覧をいただきたいわけでございますが、これは、法律の中に計算式まで組み込んで、なかなか分かりにくい、私にはなかなか難しい話でございますけれども。

 これは、要するに、経産省独自の債券を発行する。どういう理屈かというと、国民負担が二つの部分で下がってくるからということで、資料の二の石石税と再エネ賦課金が下がるその緑のところの隙間の足し算で、この二つの足し算を上回らないまでの国民の新たな負担を求めていくという形で移行債の返済財源にしていくということでございますが、問題は、本当にきちんと必要な返済財源を上回るような資金が捻出できるのかどうかということだと思うんですが、この関係性に関してのスキームの説明と、それから、大丈夫だ、返済財源は十分にあるのだということを、定性的ではなくて定量的に示していただきたいと思います。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 資料の二と三にお示しをいただきましたけれども、私どもの今回のスキームは、これは二年前の法律で定めたものでございますけれども、今御指摘ございました、再エネの賦課金と石油石炭税のピークからの減る分を活用して経済移行債を発行して、それでこの減る分を償還財源にするというものでございます。したがいまして、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で導入をするというようなことでのスキームで考えてございます。

 その一方で、この化石燃料賦課金と特定事業者の負担金の歳入につきましては、事業者がどのような排出経路をたどるかというようなことであるとか、有償オークションの割合をどうするかということにも依存するところもございますので、なかなか現時点で個別に正確に見込むということは難しいと考えてございますけれども、私ども、再エネ賦課金制度や石油石炭税の現状を踏まえると、償還のための必要な財源が確保できるというふうに考えてございまして、法律上も、この償還可能性を勘案して、負担金と賦課金の単価を決定しなければならないというふうなことが明記をしているというようなところでございます。

 したがいまして、この規定に基づきまして、しっかりと償還可能性を勘案しながら、負担金と賦課金の単価を決定していきたいというふうに考えているところでございます。

田嶋委員 多分大丈夫ですということですか。多分これでいけるんじゃないかというような感じで始めるということでいいんですか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の試算がございます三のエネ研のレポート、これも一定の仮定は置いているところでございますけれども、石油石炭税のマイナス分と再エネ賦課金のマイナス分を基にして、一定の仮定を置きながらも、歳入として総額二十兆円を確保するというものの試算をしているところでございます。

 もちろん、この試算自身も一定の仮定を置いた部分があるということではございますけれども、私どもとしては、こういうものを参考にしながら、今後制度をしっかり決めていきたいというふうに考えているところでございます。

田嶋委員 これは、あくまでいただいた外部の試算でございますので、政府としてどう考えているかということを、やはり、定性的ではなくて定量的な数字を入れて、仮定、シナリオを置いて、お示しをいただきたいと思います。

 引き続き、これから巨額の債券を発行して、それがきちんと返済ができるのかどうかということを、やはり私たちに示していただきたいと思いますので、委員長、そこをお取り計らいをお願いしたいと思います。

宮崎委員長 資料を出せますか、そうしたら。

 じゃ、理事会で協議をさせていただきます。

田嶋委員 次の質問をさせていただきます。

 これも束ねで両法出てきまして、GXということの中身ですけれども、今回、このタイミングでこういう改正をしたいということですが、政府からは、経産省はこれまで非常に後ろ向きだったということの答弁も私はいただいておるわけでございますが、このタイミングで、こういう、いわゆる排出量取引制度というものを導入するということに関して、大臣はどのようにお受け止めになっていますか。

武藤国務大臣 今のお話、過去、経済産業省が、カーボンプライシングのような制度的措置は経済成長を阻害するというおそれがあったことから、その導入に慎重な立場であったことは、これはゆがめない事実だというふうに思います。

 このため、温室効果ガスの公表制度ですとか、省エネルギー対策への支援措置とか、産業界の自主的な取組などを基礎とした施策を進めてきた、いわゆるソフト的な事業という形だと思います。

 一方で、二〇二〇年頃、これが節目かなと思いますけれども、国としての脱炭素の取組が産業競争力に直結するものとの認識が国際的な潮流となってきた背景もあり、各国でカーボンニュートラル実現に向けた大規模な投資競争が行われるようになってきたというわけだと思います。

 我が国も、二〇五〇年カーボンニュートラルを国際公約としておりまして、GXを経済成長の原動力とするために官民協力で百五十兆円を超えるGX投資を実現する方針を示してきたところだと思います。

 こうした中で、事業者のGX投資を促し、排出削減と競争力強化の同時実現を目指すための施策として、二十兆円規模の先行投資支援を先行的に講じながら、それと一体的にカーボンプライシングを段階的に導入するというような、世界でも例のない仕組みとして、いわゆる成長志向型カーボンプライシングを導入するに至って、今日に至っていると思います。(田嶋委員「大臣」と呼ぶ)はい、終わります。

 国際的な潮流を踏まえた適切なタイミングということだと思いますが、先行して導入をする諸外国における経験や課題も十分に反映をしながらやっていかなきゃいけないということだというふうに思っております。

田嶋委員 二〇一〇年が節目だったとおっしゃいました。その二〇一〇年に……(発言する者あり)二〇二〇年ね、二〇年。その二〇年の十年前に東京都が導入したんでしたよね。二〇一〇年でしたよね、東京都は。その翌年に埼玉県が導入して、私は当時から、政府として早く始めるべきだということをずっと言っておりました。小池さんですよね、環境大臣をやられた方が東京都知事になられて、さっと始められたのが二〇一〇年ですよ。私はあの頃にやるべきだったと思っていますね。

 なぜそういう決断ができないのか。これは、この国の政府のあらゆる分野に通底する大きな課題だと私は思う。考え過ぎ、議論ばっかり、決断できない、先進国でいつも最下位、こういうことが繰り返されているじゃないですか。だから、カーボンリーケージの問題がある、だから全体のNDCとはリンクしない、いいですよ。それは、自主的にすごく行動力を起こしてくれる企業もたくさんあるし、期待しましょう。だけれども、早く始めて、軌道修正して、いろいろ失敗をして直していく、そういうアプローチが日本人というのは余り得意じゃないというか、やりたがらないところがありますよね。企業ベンチャーなんかでもよくそういう話を聞きますけれども、完璧に、失敗するとやり直せないみたいなね。

 そこをやはり是非、霞が関は、繰り返してもらっていると、半導体も電池も太陽光も、全部同じ問題だと私は思います。遅過ぎたと思います。小池さんがせっかく頑張って一〇年からやっていただいたのに、遅いと思いませんか、本当に。これだけ、これから傾斜がきつい坂道を上っていくことになりますよ、スタートが遅いんだから。そう私は思いますけれども、大臣、反省してください。

武藤国務大臣 遅過ぎたということには、いろいろ背景があるんだと思います。

 今の日本の政府の在り方について私がコメントする立場にはありませんけれども、この大臣の職になる前はいろいろと、もっとスピードアップした方がいい、いろいろ決定するところがあるんだろうと。なおかつ、世界の潮流というものが今日本を大きく動かしていると思って、この数年間、我々の政権も一生懸命それなりに、野党の先生方にも御指導いただきながらここまで来ているんだと思います。

 今は節目だというふうに私も正直認識しておりますので、しっかり今の御教示をいただきながら、また頑張ります。

田嶋委員 大臣なんですから、政府の在り方に関してコメントしていただいて結構ですよ。御自身が変えなかったら、誰が変えるんですか。みんなが変えていかないと。我々も、やはり同じ日本人として、どうもその弱点があるということは認めた方がいいと思います。考え過ぎ、遅過ぎる、やることが。それで、結果的に、やはり競争力、資料の四番にありますね、競争力はどんどんどんどん下がってきているということですよ。

 ちょっと残念ですけれども、時間がありませんので一問飛ばさせていただきますが、是非、中小企業も大事ですから、前回の委員会でJクレジットの話が出ましたね。これは、Jクレジットは今回の取引に入れていくという話ですよね。入れていくのはなぜかといったら、ヨーロッパみたいにインパクトがちっちゃいからだと。要は、ちゃんとやっていないということですよ、それも。

 Jクレジットをもっと本気でやっていただきたいということで、これは提案だけですが、Jクレジットの中に、中小企業診断士とかエネルギー管理士のような方々を、もっと役割を生かして、もっと大きなものにしていってくださいよ。私は、地元で歩いていて、クリーニング屋さんなんか、後ろでエネルギーをすごい使っているのがよく分かりますから。ああいうところにもっとエネルギー管理士とか診断士を生かして、彼らの食いぶちもつくって、そして、でっかい企業は取引で三百、四百、でもそこだけじゃないからね。全体の国民運動にしていっていただきたいと思います。

 それで、ちょっと飛ばしますけれども、見ていただくと、競争力はがた落ちだけれども、国際ブランド力は日本が世界一なんですよ、今。知っていますか。これは、私、予想どおりなんですよ。日本はそういう国なんです。だから、私は、是非その強みをこれからも生かしていただきたいと思うんですが、しかし、残念ながら、日本のブランドをちょっとイメージダウンさせている要素が今回の法案に関わる分野であるんですね。

 試しにやってみました、私も、チャットGPTで。どういう回答か。環境エネルギー分野で、海外からインバウンド四千万人が入ってきて、日本にがっかりしたことは何かと聞いてみたら、一番、プラスチック包装の多さ、二番、リサイクル制度の複雑さと実態とのギャップ、三番、再エネ導入の遅れ、四番、EVの少なさ。見事に我々の予想どおりですよ。

 一番がプラスチックの問題なんですね。一人当たりのプラスチック消費量は、日本はアメリカに次いで世界二番目ですから。私は、それは恥ずかしいことだと思っています。これは、やはりプラスチックは優れたものでもあるよ、発明品ではあるけれども、しかし、やはり世界の大きな潮流という意味では、気候変動問題の一部ですよ。これをもう少し考えていただきたい。

 ちなみにということで、資料の次の六ページを御覧いただきたいと思うんですが、カトラリーというのは皆さんお分かりかと思いますよ、カトラリーとか。

 要は、私は、お隣にいる小泉さんが環境大臣のときにレジ袋の有料化をやりましたね。いろいろ戦いましたよね。いろいろ戦われたけれども、私は、やって大正解だと思っているんですよ。全体量としての削減量は取るに足らないよね、一%もない。でも、そんなことは関係ないです、大事なのは国民運動だから。先ほども申し上げた、国民運動は、大企業に話をすれば大きく削減できるかもしれないけれども、難しいのは最後のところじゃないですか、すごい時間がかかる。その国民運動のところに働きかけるという意味では、アイコン的な役割があったのがレジ袋の有料化ですよ。これで劇的に下がりましたよね、消費量も。次のアイコンを是非始めていただきたいと私は思うんですね。

 それがこの資料の六ですけれども、カトラリー、マドラー、ストローといろいろありますけれども、大臣も、この間も海外へ行かれたでしょう。ヨーロッパとかに行って、国の玄関である空港に着くと、私は、ああなるほどなと。去年の夏、ドイツ、フランス、それからオランダ、イギリス、全部自費で行ってきました。どこに行っても、プラスチックのカトラリーは一つもない。見てみたら、EUは禁止しているんですよ。イギリスも禁止しているんですよ。カナダも禁止しているんですよ。オーストラリアも禁止しているんですよ。何を日本は今までぐだぐだやっているのということなんですよ。

 そういうことをもっと決断して、もちろん製造メーカーに対する配慮は大事ですよ。だって、レジ袋有料化のときだって人員削減は少し行われていますから。だから、それを全く無視していいとかいうことじゃない。だけれども、もう少しそこは、先進国として、日本のブランドを毀損しないような、海外から来てがっかりしたと言われている一番がプラスチック包装の多さですから。

 いまだに、ホテルに入れば、部屋にプラスチックの歯ブラシを置いていますよ。残念ですよ。変わらないもの、日本は。それから、空港などなどでのカトラリー。それから、私も毎週末やっていますけれども、カラーのトレー、スーパーの。ホワイトトレーはリサイクルしてもらえるけれども、カラートレーはうちのスーパーは受け付けてくれませんよ。私がいつも運んでいますから、週末。

 そういうことを消費者目線から変えてほしいと思ったって、消費者にはそういう力はないですよ。皆さん方が決断してくれれば、どんどん変わっていくんだから。是非その部分を決断していただきたいと思いますが、いかがですか、大臣。

武藤国務大臣 第二弾の象徴的プロジェクトということの御質問だと思います。

 カトラリー、アメニティー、まさにワンウェープラスチックの利用の低減を図ることは、環境負荷の低減の観点から誠に重要であるという認識であります。

 このため、プラスチック資源循環促進法に基づきまして、二〇二一年だと思いますけれども、小売、サービス事業者に対して、ワンウェープラスチック製品について、有料化ですとか提供の工夫とか、繰り返し使用可能な製品への切替えなどによる使用の合理化を求めてきているところだと思います。

 法施行前と比較して減少するなど一定の効果は出ていますけれども、更なる削減、そしてまた新たな第二弾ということになって考えますと、有料化等による事業者の取組だけではなく、おっしゃられるように消費者の理解、ここがまさに重要なことだと思います、行動変容を促すアプローチも必要だと思います。こうした観点からも、環境配慮設計のトップランナー認定制度の活用ですとか、プラスチック資源循環の意義や重要性について、いわゆる啓発活動をこれからも消費者に向けて頑張っていきたいと思います。

田嶋委員 やるのかやらないのか、よく分からない答弁ですけれども、私がさっき言ったように、普通に海外に行って、すごいな、やはりヨーロッパはと思ったんですよ。そういうふうにしましょうよ。日本にはブランド力があるんだから。これは私は自信を持った方がいいと思いますよ。だけれども、そのブランド力を毀損しないようにしてほしい。

 最後に、余り時間がないですけれども、もう一つだけ。

 マクドナルドのハンバーガーは昔は全部ケースに入っていたのを、同世代、ちょっと先輩ですけれども、知っていますよね。だけれども、それを知らない人、いっぱいいますよね。知らないでしょう、若い人。マクドナルドのハンバーガーは、今でこそ紙に包まれているけれども、昔は全部ケースでしたから。知っていたよね。知らないか。(発言する者あり)ぎりぎり分かる。そういうことなんですよ。やはり、みんな変えていっている。それは、やはり僕は当時をよく覚えている。ああ、マクドナルドもすごい会社だなと当時思っていますよ。そういうことが目に見えるようにやってほしいと思います。

 最後に一問だけ。財源をどうするかということを提案したいと思います。

 日本という国は、圧倒的なブランド力がある。私は、日本人がどこに住んでいてもディズニーランドに行きたいと思うように、世界中にとって、日本という国は国全体がディズニーランドなんですよ。だから、入場料を取ってください。

 オーストラリアでしたっけ、三千円、これは入国のときですね。ニュージーランドでした。ごめんなさい、間違えました。ほかの国では、オーストラリアかどこかは八千円ぐらい、七千円ぐらい取っていると思いますが。

 今、観光庁、来ていただいていますね、最後に答弁をお願いしますね。私は、日本に来る外国人は、一人七千円、八千円ぐらいの、自然環境を守る、日本のブランド力を守るために、そうした入国のお金をいただくべきだと思っております。いかがですか。どういう状況ですか、今。

長崎政府参考人 今、委員から、観光税につきましての御提案、御意見がございました。

 我が国におきましては、今現在、出国観光税という形で徴収しておりますけれども、これは、外国人及び日本人につきましてもいただいているところでございます。

 これにつきましては、我が国が各国と締結している租税条約というのがございまして、そちらにおきましては、一般的に、自国と相手国の国民を差別できないという条項が入っております。

 このため、現在におきましては、訪日外国人及び日本人の出国者からいただいているところでございますけれども、いずれにいたしましても、様々な御意見というのがあることは承知しておりまして、観光庁といたしましても、引き続き、日本のブランド価値の維持向上に努めつつ、必要な財源についての検討というのは政府全体の中で検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

田嶋委員 ちょっと知らないことをおっしゃったのでもう一回調べますけれども、インバウンドからちゃんともらうべきだと思いますよ。そういうふうにほかの国はやっていますよね。

 この日本の、やはりいいものには値段がするんですから。やはり、世界が憧れて、日本に四千万、これがやがては六千万入ってくる、是非、そこからしっかりと、これは応能負担でもあると思いますよ、来るのはお金持ちばかりだから、そういう方々からやはり少しはいただいて、この日本の世界最高のブランド力を維持する、そういうことにしっかり財源を向けてほしい。私も応援していきたいと思います。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、山岡達丸君。

山岡委員 山岡達丸でございます。

 今日はありがとうございます。質問の機会をいただきました。

 本日は、GX推進法と資源利用促進法、これらの一部を改正する法律案ということであります。今回の法改正は、資源循環、サーキュラーエコノミー、そうした経済を目指すその施策も盛り込まれています。

 まず大臣に伺いますけれども、資源循環というのは、なかなか経産省の政策としてはこれまではなじみが少なかったような印象の中で、経済政策としてこのことを位置づける、その背景について大臣から御答弁をいただきたいと思います。

武藤国務大臣 大きな流れとしては、世界的な資源需要の増大と地政学的なリスクの高まりといった資源制約の観点から、資源の効率的また循環的な利用と付加価値の最大化を図るというサーキュラーエコノミーへの移行が近年喫緊の課題となっていると認識をしているところです。

 この背景ですが、以下の三点について重要性の高まりがあると思います。

 一つは、世界的なマテリアルの需給逼迫に加えて、多くの資源の供給が特定国に集中しているという現実、この地政学的な緊張の高まりから調達リスクが年々増加していること。二つ目に、GX実現が求められる中で、資源利用に伴い生じる二酸化炭素の削減、ここが再生材の利用促進が大きく寄与しなくてはいけないということだろうと思います。三つ目に、欧州を典型として、海外では再生材の利用を求める規制の導入が進んでおります。再生資源を確保できなければ、世界の市場や国際的なサプライチェーンから排除されるおそれがあるということであります。

 こうした背景を踏まえて、サーキュラーエコノミー政策というのは資源制約、環境制約、経済活動の観点から極めて重要であり、政府一丸となって取り組むということを強化しているところであります。

山岡委員 今御答弁ありました。昭和から平成にかけては、我々、いろいろ習う中では、大量生産、大量消費、大量廃棄というような考え方でありましたけれども、今の世界的な流れでいえば、まさにそうした生産体制を維持することそのものが、資源の逼迫が見込まれる中でリスクのある体制であること、様々市場からもはじかれる可能性もある、そうしたお話をいただいた中で、経済産業政策にこれを明確に法律で位置づけていく中での改正だということだということを理解しているところであります。

 こうした政府の流れに対して、私の北海道の活動エリアに室蘭という町がありますが、この町は鉄の町とも呼ばれて、港もすごい良港だと言われていますけれども、重い船が入る中で鉄鋼業が盛んであります。以前は、石油製造とか、あるいは石油化学の大手メーカーも様々事業も行っていたり、いわゆるエネルギー多消費型の産業が集積している、いわゆる物づくりの地域でありますけれども、そうした地域では、例えば、一九九〇年代頃から環境産業都市というような方向を目指すということを掲げて、また資源循環等も含めて、この環境負荷の低減に独自に様々取り組んできたということを今この場でもお示しをさせていただきたいと思います。

 特に、この地域にある室蘭工業大学というところと地域の事業者がよく連携しながら、先行的な研究を行ってきているというところであります。

 今回、大きく法案の規定に関わる、サーキュラーエコノミー政策の中での、いわゆる再生材の利用義務化という部分が規定されているわけでありますけれども、この再生材というのは、私も経産省の方にいろいろ確認しましたら、今現時点で想定されているのはプラスチックだと。プラスチックの再利用であったりとか、そうしたことを義務化していくということを今回法律に規定するという中身になっているわけであります。

 廃プラスチックというのは、再利用が今日本国内でも進んでいますけれども、利用すればするほど、同じのを使い続けるわけですから、質が落ちていく。この室蘭工業大学では、この廃プラスチックを、再利用も大事なんですけれども、化学的に分解をして、元々の原料に戻してから再合成をして、新品に近い形で生まれ変わらさせて、再びプラスチックとして資源にするという研究を、民間の化学メーカー、住友化学さんですけれども、との連携の中で様々な研究を進めているということを、今日、皆様にお示しの資料の一番で、新聞記事にもなっておりますけれども、そのことをまたお示しさせていただきながら伺いたいと思うんです。

 経産省に伺いたいと思いますけれども、今こうしてお示しさせていただいております室蘭工業大学と民間企業、住友化学ですけれども、この廃プラのケミカルリサイクル、マテリアルリサイクルじゃなくて、化学的なレベルでリサイクルするケミカルリサイクルの研究は、今回の法案のサーキュラーエコノミー政策の推進においてどんな位置づけで、どんな意義があるものか、答弁いただければと思います。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 再生材を製造、利用する事業者にとりまして、より高品質で純度の高い再生材はコスト高になるという課題があると認識しておりまして、今回、御指摘いただきましたように、利用側の事業者に求める利用計画の策定によって需要を拡大し、経済合理性を出していく、これと同時に、供給側の品質向上などに向けた取組を加速することが不可欠でございます。

 こうした観点から、GI基金それからGX経済移行債を活用しまして、再生材の品質向上やコスト低減につながる技術開発や実証、その後の実装の設備投資に対する支援などを実施してきてございます。

 御指摘のケミカルリサイクルでございますけれども、廃プラスチックを化学的に分解して原料に戻すことで、新品のプラスチックと同等か、それに近い品質の再生プラスチックを製造することが可能でございまして、再生材の利用を拡大していく上で非常に重要かつ有望な技術として期待をしてございます。

 委員御地元の北海道でも、室蘭工業大学が触媒を開発しながら、化学メーカーとともに、廃プラスチックから高品質の基礎化学品原料を高効率かつ低コストで製造する革新的な技術開発を進めてきてございます。

 こうした取組によりまして、再生材の利用拡大とコスト低減の好循環、これを生み出しまして、国内での資源循環の推進をきっちりと図っていきたい、そう考えてございます。

山岡委員 私が質問させていただいたのは、今回の法律においてどのような意義があって、どのような位置づけになるものですかというお話をいただいたわけでありますが、今そこまでの御答弁ではなかったんですけれども、ただ、今うなずきもいただいていますけれども、今回の法案の先にはこうした研究の成功が欠かせないわけですよね。

 その上で、この室工の研究には、資源の効率的な回収など、化学的な研究のみならず、地域との連携の中の回収等も含めて様々進めていく計画、もっと効率的な回収とか、この地域は自主的にも廃プラのいわゆる回収等もやった経験もあったりして、様々周辺の地域と連携しながら非常に法案においても重要な位置づけだと思っております。

 室工は、こうした物づくり地域にあるということで、地元の鉄鋼業を含めた様々な企業と連携の中で、例えば、製造過程にある副産物とかを更に有効活用するという研究であったり、あるいは、鉄源を手に入れるということで、船そのものをシップリサイクルといって解体して、そこから優良な鉄源を確保する。研究した時代は、まだなかなかそういう時代じゃなかったんです、二〇一〇年頃なんですけれども。ただ、今まさに、優良な鉄源の確保というのが時代に非常に求められる中で、先行してやってきている。こういう土台があるのは、まさに物づくり地域として、生き残りも懸けて、先を様々見ながら、地域の大学と連携しながら研究を進めてきているというところだと思うんです。

 大臣に伺うんですけれども、工業地帯というのは、一般に環境負荷の大きい地域であるかのような印象はあるんだと思うんですけれども、しかし、実際は、こういう努力をしてきている、先んじて様々研究している。生き残りを懸けた取組でもあると思っています。大臣は、この室蘭のような地域をどう評価されて、そして、こうした地域に、この場で申し上げますが、脚光を当てていただきたいと思いますし、本政策の推進の中で地域の取組も大いに支援をしていただきたいという思いでありますが、御見解を伺いたいと思います。

武藤国務大臣 委員御指摘のとおり、サーキュラーエコノミーへの移行というものは、人口規模ですとか産業構造、地域ごとの特性を生かした循環モデルの構築が効果的だというふうに思います。都市部と地方では発生する廃棄物の種類とか量も違いますし、また製造業が集積する地域では企業間連携による資源循環、これが可能となるというところもあり、地域の実情に応じた取組が求められるところだと思います。

 室蘭工業大学の参画する技術開発事業を始めとした、私からするとある意味で羨ましいところもありますけれども、資源循環の取組、これは地域経済の活性化と環境負荷低減の両立が期待をされるものでありますから、経済産業省としても、こうした地域の取組を支援をさせていただきながら、地域循環モデルの構築に向けて、産官学連携のパートナーシップを是非活用した議論を進めていきたいと思います。

 引き続き、地域の特性に応じた資源循環の促進に取り組むことで、サーキューラーエコノミーの実現を着実に進めてまいりますので、室蘭も頑張っていただけます、よろしくお願いします。

山岡委員 大臣から室蘭も頑張ってほしいという心強いお話もいただきましたが、室蘭は、資源循環にも取り組んできているわけでありますけれども、有毒物を含む製品の無害化ということにもこれまでも取り組んできているというところであります。

 今日、環境省から中田副大臣がお越しいただいて、先日も室蘭に足を運んでいただいて、ありがとうございます。

 様々、いわゆる高濃度のPCB含有製品、古い変圧器とかコンデンサーであったり、蛍光灯の安定器などに使われているものが、古くなって分解処理するに当たって、無毒化しながらやっていかなきゃいけない。国の大きなミッションに協力してきた地域でもあって、当初は、大阪とか北九州とか豊田とか複数箇所で行われていたんですけれども、ほかの地域で対応し切れなかった部分も含めて最後の最後まで国に協力している、そうした室蘭という地域でもあるんですが。

 この中で、この後継事業についても、様々環境省といろいろ御協議も今地元でいただいているわけでありますけれども、せっかく中田副大臣が室蘭にも足を運んでいただいて、そして環境省の政策も進めておられる中で、室蘭のこうしたPCBの無毒化の処理の功績をどう考えて、さらに、今後の後継事業も含めて産業展望、どんな期待が持てて、どんな可能性があると考えられるか、副大臣から御答弁いただけますか。

中田副大臣 御答弁申し上げます。

 御指摘のとおり、二月に室蘭に行ってまいりました。平成二十年にPCBの廃棄物処理施設の操業を開始をしていただいたわけですけれども、東北、北関東、北陸、十五県のPCBの廃棄物を受け入れてきてもらいました。そして、南関東四都県の安定器などの受入れと、処理期限については延期もしていただきました。

 さらに、昨年度は、新たに北九州、大阪、豊田事業エリアの二十七府県のPCB廃棄物も受け入れていただいてきたわけでありまして、高濃度PCB廃棄物の着実な処理に向けて、多くの御決断をこれまでいただいてきました。

 その意味において、二月に青山市長とも面会をしましたけれども、これまで室蘭市の処理施設において、変圧器やコンデンサーなど約七万三千台、安定器約二万トン、こうした大きな量の処理を実施をしてきてもらいまして、高濃度PCBの廃棄物の処理に多大な貢献をしてきてもらったこと、大変感謝をいたしてまいりました。

 その際にも、室蘭市と約束をいたしたとおり、来年の、令和八年の三月末で高濃度PCB廃棄物の処理事業は終了いたしまして、その後は、地元企業にも御協力をいただきながら、処理施設を安全にまず解体と撤去をするということになります。

 その上で、室蘭市には、我が国の重要施設である資源循環の高度化に資する地元企業や港湾設備など、先生御指摘のとおり、インフラが多々立地をいたしておりますので、環境省としては、本年三月から、室蘭市及び室蘭商工会議所などの関係者との連携強化等を目的とした室蘭市高濃度PCB処理事業経済連携会議を開催することといたしました。既にスタートをいたしております。

 この会議を通じて室蘭市の御意見もよく伺いながら、関係省庁とも連携をして、地元企業やインフラの活用を含めた地域の振興ということにつながる施策ということについて検討してまいりたいと思いますので、しっかり進めてまいりたいと思います。

山岡委員 様々、今お話しいただきましたが、今回、政府が資源循環を政策に位置づけるわけでありますが、室蘭もそうですが、物づくり地域の独自の取組に政府がいよいよ追いついてきているというぐらいの気持ちを持って地域では取り組みますので、是非いろいろ支援もいただきたいということをまたこの場でも求めさせていただきたいと思います。

 副大臣、ここまでで、もしよろしければ。ありがとうございます。

宮崎委員長 中田副大臣は御退席していただいて結構でございます。

山岡委員 次に、本法案のもう一つの大きな柱の産業の脱炭素化、特に二酸化炭素の排出量取引の本格導入のことについて、私の懸念を確認していきたいと思います。

 私は、端的に言えば、この制度の導入は、様々な論点、切り口があると思いますが、事、電力の世界においては、会社間の格差をより拡大させる、それがひいては電力料金格差につながる、そういう可能性があるんじゃないかということを、ここで大臣の考えを伺いたいと思っておりますが。

 具体的には、地域の電力は大手電力が支えているわけですけれども、火力発電所を持つか持たないか、あるいはその総量によって毎年追加の賦課金がかかる。二〇三三年の有償枠になれば、更にその差が広がる。

 具体的に言えば、中部電力や東京電力はほとんど関係はしないだろうと言われていますけれども、北陸とか中国とか四国とか北海道電力とかは、その構成の中身から厳しい影響を受けるだろうということが現時点では予測されるわけです。

 電力は、地域の電力の安定供給ですし、電源構成は歴史的な経過もありますから、簡単に置き換わるものじゃないわけであります、短い時間軸で。これは資料二にもお伝えしていますけれども、今回、政府は施策を置いておりますが、この中に脱炭素に向けた投資に対しての配慮のことは規定が入っていないということがこの勘案事項の中にあるわけであります。

 格差が広がる、それが脱炭素化の設備投資の原資まで奪ってしまう。ひいては、価格転嫁ですから、地域に偏った、地域住民の電力料金の負担の格差につながるんじゃないか。

 この懸念に対して大臣がどうお答えいただけるか、ちょっと御答弁いただきたいと思います。

武藤国務大臣 発電部門において、排出量取引や化石燃料賦課金といったカーボンプライシングが導入された場合、これはもう御指摘のとおりで、石炭やLNGといった火力発電の燃料種の違いですとか、再エネなどの非化石電源の導入状況など、電源構成によって負担の差が生じ得ることは御指摘のとおりです。

 まず、化石燃料賦課金や発電事業者向け有償オークション、これは、足下から導入するのではなく、準備期間を設けた上で、エネルギーに係る負担が減少していく範囲内で徐々に導入していくことになります。こうすることで、発電事業者の負担が過度にならないようにまず工夫をしているところであります。

 加えて、今回の法案の排出量取引でも、発電事業者がLNG火力発電所を増設した場合には、事業者の脱炭素化の努力を阻害しないよう、無償割当てを追加するなどの負担にならない工夫もしていく予定であります。

 さらに、今後、業種特性を考慮したベンチマークを検討する際には、脱炭素投資と安定供給のバランスを確保するために発電部門で固有に考慮すべき事情があるかについても、産業構造審議会というところにおいて丁寧に検討を進めてまいります。

 こうした制度上の様々な工夫あるいは制度外の措置も活用しながら、電源の脱炭素化に向けた投資を後押ししてまいりたいと思います。

 不公平ということができるだけないように考えていきたいと思います。

山岡委員 これは是非お願いします。

 企業間の競争といっても、電力はそのまま地域住民の電力料金ですから、そこに負担が行ってしまうわけですよ。今回の制度は、その負担は、いわゆる再エネ賦課金の、二〇三三年頃ですか、一番ピークになる頃を超えない範囲だと言っているんですけれども、再エネ賦課金は全国でシェアしているんですよ。ところが、今回の制度をそのまま入れると、何というんでしょうか、二酸化炭素の量によって地域に、地域住民に負担が行くという話になってしまう。

 火発は、確かに風当たりは厳しいわけでありますけれども、でも非常に日本にとって大きなボリュームを、今七割、二〇四〇年のエネ基でも三〇から四〇%必要だと。だからこそ脱炭素化を進めていくわけで、そのコストをきちんと見てあげないといけないと思うんですね。

 自由化ですから、民間企業の判断で、じゃ、もう火発やめますとできるわけですよ。それは自由化だから尊重しなきゃいけないんですけれども、でも、国の考えはその立場に立てないですよね。電力の総量がなくなったら、国民生活、経済にも影響を与えるわけです。

 その中で、資料三と四に、この間の自由化に伴う火発の減少ということの中、新規投資がほとんどできていないという話がありますが、二〇二一年、二二年頃から、様々な自由化の結果、この日本国内に電力が足りないという中で、経産省の資料にも、自由化が行き過ぎて火力がなくなっているという言葉が平然と躍るようになるわけであります。

 キロワット公募とかキロワットアワー公募とか、あるいは、火発には退出前には届出するという法改正という自由化に逆進するような制度とか、新規投資は容量市場で全て解決できるといいながら停滞している中で、容量市場の枠組みを維持しながら、いわゆる長期脱炭素電源オークションとか、あるいは枠外に予備電源の制度とか、この数年、立て続けに電力の安定供給のための制度をつくり続けているわけであります。

 私は、そういう見直しは安定供給のために必要だと思うんですけれども、ただ、自由化の制度設計に不備があって、当時の審議会の資料を読んでも、乗り乗りで、行け行けでやっているような自由化の議論で、当時から懸念は示されていましたけれども、今に至っていると思うんですね。一般にはトライ・アンド・エラーはいいんですが、事、電源に関しては、今回のような状況になっていく中で、この新たな制度も今後の日本の電力の供給力が損なわれるようなことにつながってはいけないということを強く懸念するわけであります。

 大臣、このことについても御見解を示してください。

武藤国務大臣 もしあれだったら、後で事務方の方からちょっと補足をします。

 DXやGXの進展に伴う電力需要の増加が見込まれる中で、足下の電力需要の増加に対しては、電源の脱炭素化を進めつつも、あらゆる電源を確保しながら安定供給を確保していくということになるんだろうと思います。

 火力発電は、再エネの更なる導入拡大が進む中で、当面は再エネの変動性というものを補う調整力として重要な役割を担います。

 この中で、排出量取引制度が導入される中でも、必要な火力発電を確保するため、長期脱炭素電源オークションにおいて、将来的な脱炭素化を前提としつつ、LNG火力の新設、リプレースを対象に含めることで、事業者の投資予見性を確保し、新規投資を促進することとしているところです。

 これにより、火力の脱炭素化に向けた取組を後押ししながら、発電部門からの排出削減と電力の安定供給の確保の両立を図っていかなければいけないという認識であります。

 委員の御指摘もいろいろもっともですから、もしあれでしたら、事務方の方からも御説明させますけれども。

山岡委員 時間の関係もありますので、是非、制度によって電力の安定供給が損なわれるということは、これは本当に国全体の問題になりますから、そのことはよく念頭に置いていただければと思います。

 最後、資料五ですが、制度による結果、電力料金に大きく跳ね返ったというのが、二〇二一年のLNGの一時的な不足の中で、スポット市場が二百五十円まで上がってしまったということであります。

 七百もある小売の電力事業者が、スポット市場だけに、短期の市場だけに頼ってほとんど独自の電源を持たない、あるいは長期契約もしていない中で自由化を走らせて、こんな状況になって、供給力確保義務というのが明確にうたわれている中で、小売は全然整っていなかったわけです。私は、小売事業者は独自の電源か、あるいは長期契約の中で電源の確保が必要だ、そうじゃないと要件として認めるべきじゃないということを申し上げました。

 あれから四年たちましたけれども、この制度の見直しについてどう考えておられるか、最後、御答弁いただけますか。

久米政府参考人 お答え申し上げます。

 小売電気事業者の供給能力確保義務についてのお尋ねだと思います。

 二〇一六年の小売全面自由化以降、卸電力取引所の取引量が大きく増加したこと等に伴いまして、小売電気事業者間の競争の中で、各事業者の創意工夫により、需要家ニーズ等に応じて様々な価値やサービスを提供することが可能となったというふうに認識しております。

 その一方で、市場環境が厳しい局面において、小売電気事業者の退出等によりまして需要家に一定の負担や混乱を生じさせ、今委員からも御指摘いただきましたような電気料金の急激な変動、これに対する社会的な許容性が十分にある状況とは言い難いということも明らかになったというふうに考えてございます。

 そうした中で、大手の新電力におきましても、今委員から御指摘いただきましたような観点で、長期的な契約による供給力の確保を進める意向も示されてきているというふうにも承知しております。

 こうした状況も踏まえて、今年二月に閣議決定した第七次エネルギー基本計画や、今年三月に審議会で取りまとめさせていただいた電力システム改革の検証に係る報告書においては、小売電気事業者が料金水準や料金メニューを自由に設定し、これを需要家が選択することができる環境を前提とした上で、安定供給の確保や電気料金の変動幅の抑制の観点から、海外事例も参考に、供給力をスポット市場等において短期的に調達することのリスク、あるいは、燃料確保、電源投資への影響も踏まえた小売電気事業者の量的な供給力確保の在り方、その遵守を促す仕組みについて検討を行う旨を明確にさせていただきました。

 具体的な制度の在り方については、今後、審議会等においてしっかりと議論を深めてまいります。

山岡委員 事象から四年たって、ようやくその方向性を明確にした。あと数年はかかる、一、二年はかかるのかもしれませんが、制度の結果、自由化の結果は五年から十年後に表れますが、それを見直すのにも五年から十年ぐらいはかかる。

 だからこそ、今回の制度も、最初の段階から、制度をきちんと、誤らず、安定供給をしっかり確保する制度にしていただきたいということを申し上げて、質問を終わらさせていただきたいと思います。

宮崎委員長 次に、荒井優君。

荒井委員 立憲民主党の荒井優でございます。

 札幌からやってまいりましたが、札幌、北海道に住んでいると、やはり、毎年雪が、特に子供の頃に比べれば降雪量というのが減ってきているというのを何か実感としても体感しているわけです。やはり地球の温暖化というのが、何となく肌身で感じるのは、雪国にいると、少しずつ子供の頃との比較で感じている。その意味でも、脱炭素化を目指すということは、これは世界共通の課題なんだというのは十二分に理解しているところです。

 今回の法案はGX推進法というふうに略されますが、正しい名前としては、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律の一部を改正する法律案、もう一つは、資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案、この二つになっていますが、まさに脱炭素を、それで成長型の経済に変えていく、経済構造を変えていくということが非常に重要なんだろうというふうにタイトルからも読み取れるわけです。

 一方、この法案の審議もそうですし、いろいろと経産省の皆さんからもレクを受けてはきましたけれども、成長型の脱炭素の経済構造に移管していくという中で、やはり余りにも議論が産業側にこだわり過ぎているんじゃないかということをずっと感じているわけです。

 先ほど田嶋要先生も国民運動が必要だよねということをおっしゃっていました。小泉先生が大臣のときのレジ袋の件もまさにそうだというふうに思いますが、生活者、国民一人一人が実感する、そういう感覚を持って進めていくことがやはり必要なのではないかと思います。サプライサイドだけがどんどん進んでいっても、結局、購入する人たちがいて成り立つわけですから。

 以前ここでもお話しさせていただきましたが、五年前、車を買おうと思ったときに、EV車を買ってみたいなというふうに思ったわけですが、その気持ちは、やはり、ガソリン車でどんどんCO2を排出するよりも、多少高くても、EVによって地球環境への負荷を低くすることが、それがいいんじゃないか、それが少し格好いいなというふうにも思って購入を検討したんですが、なかなか札幌で、そのEV車、もちろん金額が高いのもあります、冬道だと難しい、いろいろな話もありましたが、インフラも整っていない、いろいろな状況もあってその当時は諦め、ただ、五年後、まさに今年あたりですが、車を買い換えるときには日本でももっとEVがたくさん普及しているだろうから、そういう形で五年後にはEVにも乗れるかななんとも思いましたが、でも、五年たった今も、ほとんどEVの環境は整っていないですし、日本でのEVの推進というのは進んでいない、そんな状況があるんですね。逆に国民のマインドセットは少しずつ向いているのに、それがうまくかみ合っていない、そんなのが今の日本の状況なんじゃないかというふうに思っています。

 その意味で、経産省にまず伺いたいんですが、この法案は成長型のGX経済構造への移行というのを掲げていますが、制度設計が余りにも産業、技術、エネルギー、特に大企業に偏っているんじゃないかというふうに思っています。家計とか住宅とか移動とか買物といった普通の生活者の日常の中に、GX、つまり脱炭素というものの実感というものを、経産省としてはどういうふうにこれを思いを込めてきているのか、そこを伺わせてください。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、GX推進に伴う実感、これが生活者を含めて社会全体に広く行き渡るように政策を進めていくことが大変重要だと思ってございます。

 このため、GX投資促進策を講じていく上での分野別の投資戦略におきましても、暮らし関連分野のGXを重点分野の一つとして掲げてございまして、断熱窓への改修、高効率給湯器の導入、お話ありましたEV、こうしたものなどへの購入に対する支援、それから、省エネ性能の高い住宅の購入、リフォームなどに対する支援といった施策を講じてございます。

 暮らしに関する部分を含めまして、GXを実感いただけるように十分配慮しながら取組は進めていかなければいけない、こう思ってございますし、それに当たりましては、効果的な広報とか、あらゆる機会を捉えた説明会とか、こうしたものも含めて取り組みながらやっていきたい、こう思ってございます。

荒井委員 ありがとうございます。

 まさにそのとおりなんだというふうに思っています。

 特に、あと、経済産業省、この所管する省庁としてのリーダーとしての大臣が、まさに、生活者、一国民、特に、例えば子供たちかもしれません、そういう子供たちとか、そういった一般の人たちに分かりやすく脱炭素のことを説明していくことが重要になるかと思うんですが、まさに、経済構造の転換というのは、これは生活そのもの、生活構造そのものの転換なんだということも含めて伝えていくということが大臣にも求められていくんじゃないかというふうに思いますが、そういった視点でこの法案について語っていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 経済成長と脱炭素の両立、これを目指すGXの実現というのが大きな課題であります。産業界の取組のみならず、大体、経済産業省というのは産業振興がメインですからこういう形でとらわれますけれども、脱炭素に資する製品に対する需要の拡大等を通じながら社会全体で取組を推進していく、これを進めていくことが大変必要になります。

 GX推進法においても、GX経済構造への移行を通じたまさに委員おっしゃられるような国民生活の向上及び国民経済の健全な発展、これを目的として位置づけているわけであります。

 本法案で措置している取組の周知等をしっかり進めることに加えて、今も事務方からありましたけれども、暮らしの分野のGX推進に向けた施策、ここは国民生活に直結したGX製品の普及拡大を支援するものであります。こうした取組を推進することで、GXの取組が、生活者を含めて、国民も含めた社会全体で広く認識をされるよう、取組を進めてまいりたいというふうに思っております。

荒井委員 ありがとうございます。

 まさに大臣が様々なところでそういった御発言等をされていかれると思いますので、まさに、今やっているGXというのは、経済構造の転換、それは生活構造、在り方そのものを変えていく、私たちのマインドセットそのものを脱炭素化していくということがこれからの我々の生活、また今後の子孫にとっても大事なんだということを伝えていくことが非常に重要なんだというふうに思います。

 例えばiPhoneを作っているアップルとかは、もう既に、二〇五〇年比では、六〇%温室効果ガスの排出量を減らしているみたいなことを上手に語っているわけですよね。やはりそういうことをどんどん伝えていくということが消費者の、若しくは生活者のそういった気持ちも喚起させていくというふうに思いますので、是非伝えていっていただきたいと思います。

 ちなみに、環境省が先月、二三年度の日本の温室効果ガスの排出量について報告をされていました。二〇一三年比で二七・一%ということで言っていたかというふうに思います。日本は、そういう意味では二〇五〇年にはもちろんネットゼロを目指しているわけですが、その途中過程としての二〇二三年はこの十年間で二七・一%も減らしてきた。これは官民挙げての努力はあると思いますが、まさにここから一層進むためには本当にみんなで気持ちのマインドセットから変わっていく必要があると思いますので、是非この法案も一つの契機にして、一人一人そういった気持ちを持っていきたいというふうに思っております。

 その意味で、先ほど冒頭に雪の話をしましたが、もう一つ、最近見なくなったものの一つにSDGsのバッジがあるというふうに思っているんです。多くの皆さんがスーツにSDGsバッジというのをつけていることが多かったかというふうに思いますが、最近つける人も減ってきたのではないかというふうに思うわけですが、でも、別になくなったことが決して悪いということだけではないと思います。もちろん、人口に膾炙してきたということで、SDGsのことをみんなが理解してきたので、これ以上そういったことを啓蒙していく必要も、ある程度その必要性が減ってきたという言い方もできるかと思いますが。

 でも、このSDGsという考え方、そして発想、取組は非常に重要だし、まさにGXの根幹の部分、ベースになっているのがSDGsだというふうに思っています。一つの手段としてのGX、脱炭素があるんだというふうに思っていますが、少し前段の話とも重なるかもしれませんが、GXはただ経済技術論に偏るところがあって、本来の目的であるSDGsを達成するための一つなんだということをもっと伝えていったらいいんじゃないかというふうに思います。

 例えば、とりわけ暮らしとか教育、人間のウェルビーイングみたいなものをSDGsでは伝えていて、目標十三の気候変動、目標十一の住まいと都市、目標四の教育との接続が、もっとGXにはしっかり主張していくべきだというふうに思っているんですが、現状、GXの投資評価や制度設計においてSDGsの観点を、これがあるのかどうか、まず教えてください。

武藤国務大臣 私もいつもSDGsのバッジをつけていましたけれども、最近ミャクミャクのバッジがあるので、幾つもバッジがあるとちょっとあれですので、ボーイスカウトみたいになっちゃうので、今はやめています。

 GX政策にはSDGsの観点が様々含まれておりまして、投資家向けのGX経済移行債の使途の説明資料においても、気候変動関連の目標十三や町づくり関連の目標十一など、代表的なSDGs分類に該当することをお示ししているところです。

 また、委員おっしゃるとおりですけれども、教育に関する目標四についても、GXを含めたエネルギーの理解を深めるため、副教材や各種コンテンツを提供するなど、将来を担う子供たちに学校教育の現場でGXやエネルギーに関する基礎的な知識を学習する機会を設けているところであります。

 引き続き、委員の御指導もまたいただきながら、SDGsの観点を含めたGXの取組を進めてまいりたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 ちょうど僕が高校の校長になった二〇一六年ぐらいのときに、学校現場でもSDGsの教育というもの、これは文科省が一生懸命推進してきて、たくさん取組が始まるようになったと思います。ですから、今から約九年、十年ぐらい前からだと思うんですが、SDGsという取組が非常にいいなというふうに思ったのは、それまで学校では、もちろん教科という、国語や英語や数学、理科といった教科ごとにあったものが、SDGsによって横串に語りやすくなったというふうに思いますし、また、学校外の人たちが先生としてやってきて、自分たちのやっている取組は横串のSDGsとしてこう語れるんだというのを生徒たちに、若者たちに非常に分かりやすく説明をしていく。子供たち、学校の先生たちにとっても、なるほど、つまり理科や社会のこういった学びというものがどういうふうに社会の課題に結びつくのかということが非常に解像度が高く分かるようになったというふうに感じています。

 その意味で、このSDGsというものを、今、少しずつ語られなくなっているかもしれませんが、二〇三〇年をSDGsの一つの達成年度としていますので、同じように、やはりもう一度、GXを語るときに、根幹としてSDGsを念頭に進めていく必要があると思います。あわせて、大臣、ミャクミャクの、これもいつか外れるかと思いますので、是非またSDGsのバッジも時にはつけていただきたいというふうに思っております。

 そして、EVの話に少し戻りたいというふうに思うんですが、日本では、この委員会でも語られていますように、なかなか進んでいないわけですね。その一方、EVがどんどん普及している国もあるわけです。もちろん中国はEVの生産国としても有名なわけですが、進んでいるんですが、中国だけではないわけですね。

 例えば北欧のノルウェーでは、EVが大変進んでいるわけです。ノルウェーというのは人口五百万人ですから、非常に小さな人口規模の国かもしれません。ちなみに、北海道がちょうど人口約五百万人ですので、ほぼ北海道と同じような人口規模の地域で、このノルウェーでは新車の販売台数のうち七割がEVだというふうに伺っております。僕からすると、北海道ではなかなか五年たってもEVが走る環境が整ってこなくて、EVを造る国産メーカーだってあるにもかかわらず、なかなかそれを乗れる環境に、まあ僕が選んでいないだけなのかもしれませんが、ありません。でも一方では、ノルウェーでは多くの国民が新車にまさにEVを選んでいる。

 どうして同じ雪国でこんなに我彼の差があるのかというふうに思っているんですが、経産省としてここをどのように分析しているのか、是非、道民の立場からお伺いしたいと思います。

田中政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、ノルウェーは新車販売の約七割をEVが占めていると承知しております。

 この背景といたしましては、例えばノルウェーにおきましては、EVのもととなる電気、水力発電、これが九割を超えておりまして、そのこともあり、概して電気料金水準が低く抑えられているということや、寒冷地ならではの住宅での充電環境がある、そういうことも認識しております。その上で、ノルウェーの政策としては、税制優遇、有料道路利用料や駐車場料金の減免、こういった措置が講じられてきたものと承知しております。

 自動車分野のカーボンニュートラルの実現に向けましては、各国それぞれの状況を踏まえて、多様な道筋で実現していくことが重要と考えておりますが、御指摘のノルウェーを含めた世界各国の状況も見ながら、日本の実情を踏まえて取組を進めてまいりたいと考えております。

荒井委員 ありがとうございます。

 僕も自分で少しノルウェーのことについて調べてみると、まさに今おっしゃっていただいた、EVだと駐車場代が無料になるですとか、高速道路代も無料になっていくとか、そういうインセンティブが設計されているんだ、若しくは普通のガソリン車だと税金が高くなるみたいなことも設計されているというふうに伺いました。

 こういったインセンティブのつくり方、だから、僕自身もこの仕事になってみて、改めて、これは政治家や役所が勝手に決められることではなくて、やはり国民の理解や国民の信任があってこそこういったインセンティブ等は特に設計ができると思いますので、まさにこれは、ノルウェーの人たちが、そういうことを是非進めていきたい、そういう制度設計をしてほしいというふうにある種政府や政治家に託しているんだ、逆に、国民があってこそまさにEVが普及しているんだなというふうに、特に教育の分野にいた僕にとっては思うわけです。

 その意味で、ノルウェー自体の、例えば教育の在り方みたいなものが一つ日本と大きく違うところがあるんじゃないかというふうに調べてみて、今日も文科省にもお越しいただいているわけですけれども、特にノルウェーに関しては、学校の現場から環境教育というものを非常に進めているということが知られています。幼少期から、自然とともに生きる教育、エコスクールとかアウトドア学習みたいなものが制度化されて、日常化しているからこそ、大人になってから環境的に正しい選択というものをしていこうという、そういう国民性が身についているんじゃないかというふうに思います。

 その意味でも、今日ずっと国民運動みたいなお話をしてきましたが、やはり、教育の現場で子供たち、若い人たちがしっかりと環境について身につけていく、そういうことがすごく重要だというふうに思いますが、今の現時点での文科省としての取組はいかがなのか、教えてください。

赤松大臣政務官 お答えいたします。

 子供たちが環境問題を自分事として感じて環境を守る行動を取れるようにするためには、知識を教えるだけではなく、身近な地域の環境を題材にしたり、地域の企業、人材の協力も得ながら体験的に学んでいくことが重要と考えております。

 このため、文部科学省では、地域の身近な環境問題から学びを進める、分かりやすい実践事例を集めた指導資料を提供しているほか、環境省が開催している、環境教育推進のリーダーとなる教職員や民間企業の環境教育担当者等を養成するための研修を積極的に行っております。

 こういったことで、引き続き、関係省庁や産業界と緊密に連携して、環境教育の一層の充実に努めてまいります。

荒井委員 赤松政務官、ありがとうございます。

 まさに文科省としてもそういった取組を進めているというふうに思うんですが、学校現場、文科省から見ると、この環境教育というのは、まさに環境省と一緒にやっていく、非常に環境に振った形の教育というふうになりがちだというふうに思うんですが、ただ、今この経産委員会で経産省とともに議論しているのは、産業の構造そのものをこれからより脱炭素、別に環境ということだけではないですね、そっち側に世の中の経済構造を変えていくんだという話を今しているわけです。

 目指すべきの頂上は何も変わらないというふうに思うんですが、ともすると環境と経済というのは二項対立しそうな感じに見えるものですが、でも、学校現場にいるときから、それは何も、同じことを目指しているんだということを、例えば地域のビジネス界の人たち、例えば商工会ですとか経団連とかそういった人たち、若しくは、特に最近は、商工会議所の青年部であったりJCの人たちとか、またロータリーやライオンズクラブ、そういった人たちも学校に出前授業等々をする機会がたくさんあるというふうに思うんですが、僕としてはまさにこういう構造転換みたいなものを経産省も文科省とともに進めていく必要があるんじゃないかというふうに思いますが、是非、経済大臣としてのお考えを教えていただければと思います。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 GX推進を日本全体でやっていこうということで、脱炭素に取り組む企業への投資支援策のみならず、GXに資する製品が適切に評価、選択されるいわゆる市場というものを創出していかなくてはいけないんだろうと思います。

 その上で、経産省として、脱炭素に資する製品のGX価値を見える化をし、適正な対価での調達を推進するべく、削減の貢献量ですとか削減実績量といった製品の脱炭素価値を示すための指標の活用拡大に向けたガイドラインというものを作成をするなど、また、GX製品、サービスの社会実装に積極的に取り組む、サプライチェーン全体でのGXを推進する企業によるGX率先実行宣言といった取組を推進しているところであります。

 引き続き、関係省庁とも連携をしながら、GX製品の市場創出を進めながら、日本全体のGXを推進してまいりたいと思います。

 まさに国民運動という形での、また委員の御指導をよろしくお願いしたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 経産大臣からも関係省庁と連携してということをお話しいただきましたが、文科省としていかがでしょうか。こういったビジネス界とも協力していきながら、環境教育というものを新しい形で進めていく必要があるかと思いますが、お答えいただけますか。

赤松大臣政務官 お答えいたします。

 先ほど申し上げたとおり、文科省で取り組んでいるところでございますけれども、繰り返しになりますけれども、引き続き、関係省庁や産業界と緊密に連携して、環境教育の一層の充実に努めてまいりたいと思います。

荒井委員 ありがとうございます。

 赤松さん、もう大丈夫ですので。

宮崎委員長 それでは、赤松政務官は退席をしていただいて結構です。

荒井委員 最後に、ちょっと少し違った視点で、先ほど来、EVとか脱炭素の話を産業目線で少し僕からも話をしていたんですが、でも、脱炭素の例えば移動ということを考えると、この前ふと思ったのは、いや、ちょっと待てよ、別に自動車に乗ることだけが、EV化することだけが脱炭素ではなくて、例えば移動手段を自転車に変えることだって、これは立派な脱炭素なんじゃないかというふうに思ったわけですね。

 ゼロエミッションの交通であり、健康、そしてエネルギー削減、全てが入っているわけですが、例えばこういった自転車を推奨することみたいなことはこのGXの法案というものには射程に入っているのかどうか、最後に教えていただけますか。

龍崎政府参考人 GX推進法は、脱炭素と排出削減を両立させる事業者の投資や取組を促進する目的の法律でございまして、法律上、特定の技術等が明示されているものではございませんけれども、例えば、本法律に基づくGX経済移行債による投資促進策の対象は専門家が議論して決めますけれども、産業競争力強化、経済成長及び排出削減などの観点から決定されることになってございます。

 自転車でございますけれども、走行時にエネルギー利用に伴う排出を伴わない移動手段であるほか、委員御指摘のとおり様々な価値を持つものだと認識してございまして、産業競争力の強化や経済成長に貢献する度合いが大きなケースがあれば支援も視野に入ってくると思われますけれども、現時点では、投資促進策の対象として議論がなされているものとは承知はしてございません。

荒井委員 大臣の選挙区内にもすてきなサイクリングロードがたくさんあるというふうに伺っております。大事なこういった交渉の前には、是非自転車に乗って、少しいろいろとイメージを膨らませてから行かれるといいと思います。それもまた一つのGXだと思いますので、どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、岡田克也君。

岡田(克)委員 立憲民主党の岡田克也です。

 まず、大臣にお聞きします。

 地球温暖化対策税は、民主党政権時代、二〇一二年に導入されて、あらかじめ定められたスケジュールに従って税率を上げて、二〇一六年に現在の税率になりました。CO2排出一トン当たり二百八十九円ということであります。

 大臣は、この温対税をどう評価しておられますか。

武藤国務大臣 カーボンプライシングでありますけれども、これは、地球温対税を二〇一二年、民主党政権さんのときに入れられた背景は承知をしています。このカーボンプライシングは、事業者に過度な負担を課すれば産業の国外流出等の悪影響も懸念されるところで、その導入により経済成長を阻害しないか、慎重に検討を加えてきたところであります。

 温対税につきましては、まさにこうした中で、経済成長を阻害しない他の措置を優先すべきと判断をし、温室効果ガスの公表制度、省エネルギー対策への支援措置、産業界の自主的な取組などを基礎とした施策を実施してきたところです。こうした施策により、二〇一三年度以降は着実に排出削減を進めてきたという認識であります。

岡田(克)委員 確かに産業によっては負担が増えることで国際競争力を失うとかという問題もありますが、同時に、そういったことで、カーボンプライシング、そのことによって、省エネルギーあるいは再生可能エネルギーの導入、その関連の設備投資も進み、それが経済成長につながる、当然そういう考え方もあるわけですね。

 そういう考え方に基づいて温対税が入った。だけれども、順次税率を上げてきたんだけれども、二〇一六年以降は、私は、温対税を更に上げていく、そういう選択肢があったと思うんですね、しかし、それが止まってしまった。

 それから、排出権取引は、実はEU共通の取引市場が発足したのは二〇〇五年。我々民主党政権のときに排出権取引も入れたかったんですが、具体的な制度設計をするには時間がなかったので先送りせざるを得なかったんですが、ヨーロッパは更にずっと先を行っていたわけですね。民主党政権のときにできたのは、温対税とそれから固定価格買取り制度。三つのうちの二つはやったつもりなんですが、排出権取引はできなかった。

 ようやく最近になって、排出権取引について具体的に動き出したとか、それから、温対税ではなくて違う仕組みですが、事実上カーボンプライシングの制度が入ったというのは、私は遅過ぎるというふうに思うんですね。自民党政権の中でも、菅政権が発足して、小泉さんが環境大臣になられたんだけれども、その辺で少しかじを私は切ったと思っていますが、それまでの、民主党政権の以前も含めて、地球温暖化対策についての遅れというものが私は日本の現状を招いている。

 例えば、太陽光発電だって、世界のワン、ツー、スリーは日本メーカーだったんですね。ところが、需要が急に拡大したときに日本の国内市場がなかったものだから、いつの間にかドイツに抜かれ、そして今はもう中国に完全に席巻されてしまっているということだと思うんです。風力発電だって、三菱重工が取り組んでいましたよね。だけれども、日本に市場がないものだから断念してしまった。そういうていたらくを招いたことについての責任、どう考えておられますか。

武藤国務大臣 今までのエネルギー政策ですとか今の気候温暖化、いわゆる環境と産業振興、いわゆる経済産業省の立場で、いろいろと政府として統一をしてこなかったというところは、確かにさっきの田嶋先生の御指摘もあるところなんだと思います。

 そういう中で、今、世界の潮流の中で、DXがあり、またGXがありという形の中で、大きな政策転換、これがまさに、おっしゃっていただいたように、二〇二〇年、菅政権のときにカーボンニュートラルゼロということで、ちょっと変わってきた、節目が変わったということだろうと思います。

 遅過ぎたという田嶋先生からもお叱りを受けましたけれども、ある意味で、日本の政策の転換期に当たって、環境省といつまでもけんかしているんじゃないよというのが、正直、政策の中の中心でもあり、我が党の中でもいろいろな議論がありましたけれども、ここはしっかり先へ進めるべきだ。ただ、そこの中でもやはり慎重論というのが確かにあるのは事実です。

 とにかく、このGXもそうですし、半導体のときもそうだったんですけれども、国民が理解をしていただけるように我々としてはしっかり公表というかあるいは示していくということも大事だろうし、そういう意味の中で、私は今回、少数与党という形の中でやらせていただきながら、皆さんの意見を拝聴しながら、間違いのない方向に進めていかなきゃいけない、しかも加速感を持ってやっていかなきゃいけないんだろうと思います。

 是非、岡田委員のまた御指摘もいただきながら、先に進めていきたいというふうに思っています。

岡田(克)委員 私は、やはり、地球温暖化対策に対する取組の決定的な遅れ、これは相当政府あるいは経産省の罪は深いというふうに思いますよ。今頃になって慌てていても、産業の方は消えてしまっているということだと思います。

 今回、石油石炭税の減収分を埋め合わせる形で化石燃料賦課金というものを入れるということですが、私よく分からないんですが、埋め合わせる形でといったって、何でそんなことをする必要があるのか。特に個々の企業から見たら予見可能性というのが非常に失われる。むしろ石油石炭税を段階的に増税していく、そういうスケジュールを示した方が、賦課金というのは幾らになるかよく分からないということになりますから、企業にとっては投資の予見可能性を失わせることになりかねない。こういう複雑な制度になぜしなきゃいけないんですか。もう既に決まってはいることですけれども、法律で。

武藤国務大臣 ちょっとテクニック的にメカニックなところもあるので、もし私のあれで説明不足でしたらまた事務方の方から補足させていただきますが、化石燃料賦課金を含むカーボンプライシングは、石油石炭税とか再エネ賦課金といったエネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で導入することを二年前に成立した現行GX推進法で皆様方に御審議をいただき、ここに明記をされているところであります。

 こうした負担への配慮に加えて、GX投資促進のためには、委員から御指摘いただいたような事業者にとって予見性の確保、これがまさに重要な視点だと思っています。この点、化石燃料の使用量減少に伴う石油石炭税の減収額が拡大することから、徐々に化石燃料賦課金の単価は上昇していく見込みであるというふうに思います。

 毎年の石油石炭税の減収の範囲の中で機動的に化石燃料賦課金単価を上げていくので、将来にわたっての具体的な賦課金単価をあらかじめお示しすることはできませんけれども、中長期的に単価水準が安定的に徐々に増加していく点は予見可能であることから、企業のGX投資の意思決定を促進するには十分可能であろうというふうに思っているところだと思っています。

岡田(克)委員 ですから、何で減収の範囲という考え方に立つのかと聞いているわけですね。むしろ石油石炭税を今までやったように定期的に上げていくということを示せば、それが一番予見可能性が高まるというふうに私は思うんですね。非常に分かりにくい制度だと思います。

 そもそも、この化石燃料賦課金というのは、これは税なんですか、何なんでしょうか。税なら、憲法上、憲法八十四条で租税法律主義というのがあって、法律の定めがなければ税率などは変えられないということになっているんですが、今回の賦課金は政令でその額を定めることになっていますよね。本来、実態は税であるものをこういう形で恣意的にというか政府の判断で税率を変えられるというのは、私は租税法律主義を逸脱するものだというふうに思いますが、いかがですか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の化石燃料賦課金、これはまさに、今大臣から申し上げましたように、エネルギーに係る負担の総額を中長期的に減少させていく中で導入する。このため、これは税ではなくて賦課金として措置することとしております。賦課金として措置することで、毎年、既存のエネルギーに係る負担額の最新状況を踏まえて、適切に単価を定める制度設計にしてございます。その意味では、予見性の確保と負担の水準というもののバランスを考えた、そういう仕組みとしているわけでございます。

 こうした制度の基本的な考え方を前提としつつ、委員御指摘の租税法律主義の趣旨を踏まえて対象者の予見性を確保することが重要だと考えておりまして、化石燃料賦課金の対象物や単価の設定に当たっての考え方、単価の上下限、こうした必要事項を可能な限り法律に明記する形で二年前に国会で御審議をいただいたものでございます。

 その上で、政令で決定する具体的な負担水準につきましても、法律に定める単価の上下限の範囲内で適切に定め、行政手続法に基づきパブリックコメントを実施するなど、恣意的な運用を排除して、透明性の確保に努めてまいる所存でございます。

岡田(克)委員 租税法律主義というのは、国会の決定なくして勝手に負担を増やしてはならないというのが基本的考え方で。いろいろ仕組みは書いてはありますけれども、具体的にどうなるかというのは政令で決めるわけですから、国会は関係ないんですね。そういうやり方が適切だとは私は全く思えないということは申し上げておきたいと思います。

 それから、先ほど田嶋さんとの質疑の中で答弁いただきましたので省きますけれども、本当に二十兆円返せるのかということも、先ほどの答弁を聞いていてもよく分からなかった、非常に不安の残るところであります。

 さて、次に、石油石炭税についてお聞きしたいと思います。

 例えば、石油天然ガス田の探鉱、資産買収等で今年度予算でも五百六十三億円計上されているというふうに思うんですね。

 ただ、資産買収はともかくとして、探鉱の方は時間がかかるわけですね。石油があるかどうかを試掘をして確認して、そして、あれば生産する、そのための、探鉱のための予算ですから。そうすると、二〇五〇年には、完全になくなるかどうか分かりませんが、我が国に対する原油の輸入というのはゼロに近くなってくるということであると、二〇五〇年というのは二十五年後ですから、探鉱のために十年とか十五年はかかりますよね、そうすると、これから十年ぐらいかけてこの予算というのはフェードアウトしていくというのが本来の考え方だと思うんですが、いかがですか。これは事務方で結構です。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、化石燃料が我が国のエネルギー供給の大宗を担っている状況を踏まえますと、GXを推進する中におきましても、エネルギーの安定供給を確保しつつ、現実的なトランジションを進める必要があるというふうに考えてございます。

 まず、石油でございますけれども、これは、現在、一次エネルギーの約四割を占めておりまして、幅広い用途を持つことに加えまして、平時のみならず緊急時のエネルギー供給に貢献するため、国民生活、経済活動に不可欠と考えてございます。

 それから、天然ガスでございますけれども、化石燃料の中で温室効果ガスの排出が最も少なく、再生可能エネルギーの調整電源として中心的な役割を果たし、カーボンニュートラルの実現後も重要なエネルギー源であると考えてございます。

 中長期的な石油や天然ガスの需要量につきましては、今後のカーボンニュートラル燃料の価格の動向であるとかあるいは新産業による電力需要の拡大等に大きく影響を受けますが、このような環境下におきましても、我が国の民間企業がエネルギーの安定供給に必要な石油、天然ガスに関する権益を維持、獲得し、資源開発を推進することは重要であると考えてございます。

 このため、脱炭素技術の進展状況などを精査しながら、民間のみでは負担することが困難なリスクをJOGMECが補完することで、エネルギーの安定供給と脱炭素の両立を図ってまいりたいと考えてございます。

岡田(克)委員 何も答えていないんですね。

 ですから、カーボンニュートラルは国として決めているわけでしょう。私は、それがぴたっと二〇五〇年に本当にゼロになるかどうかというのは、それはアローアンスはある程度見てもいいと思いますが、基本的な流れとしてそういうふうにするときに、新たに石油があるかどうかを試しましょう、そういう探鉱予算までこれから十五年も二十年も計上していくんですか。だって、探鉱して、それから現実にそれが出るかどうかは分かるまでにやはり時間がかかるじゃないですか。二〇五〇年ゼロに向かってやっていくということであれば、少なくとも探鉱予算についてはそんなに多額の予算を計上し続けるというのは明らかにおかしいんじゃないですか。無駄遣いじゃないですか。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもとしても、二〇五〇年の石油、ガス需要については様々な機関の分析なども踏まえて検討しているところでございますけれども、二〇五〇年の石油の需要につきましては、相当、様々な機関が様々な幅を持った見通しを出しているところでございます。まだまだ続くというところも、そういう見通しを出している機関もございます。

 そういった中で、委員御指摘のとおり、開発については相当リードタイムがかかるということでございまして、需要が、必要なときに、そのときにすぐに開発をして石油を掘削するということはなかなか難しいという意味では、長い目でしっかりと、長期的な需要の不確実性なんかも踏まえながら、探鉱開発をしっかりと支援をしてエネルギーの安定供給を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

岡田(克)委員 国家備蓄についても、今年度で四百六十八億円が計上されていると思いますが、石油の消費量が減れば当然必要な備蓄量も減っていくわけですね。これから二〇五〇年に向けて国家備蓄基地というのもある程度整理していかなきゃいけないというふうに思うんですが、その具体的スケジュールは作っておられますか。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、我が国は、石油を海外からの輸入に依存していることから、地政学リスク等による我が国への原油輸入の途絶、それから国内の災害時の石油供給の不足といった事態に備える必要があると考えてございます。

 このため、本年二月に閣議決定をされた第七次エネルギー基本計画におきましても、引き続き石油備蓄の役割は重要であり、石油備蓄水準を維持することとされております。

 今後のスケジュール、御質問のスケジュールでございますけれども、需要の動向など様々な考慮事項がございまして、予断を持ってお答えすることはできませんけれども、備蓄量につきましては、エネルギーセキュリティーの観点から、絶えず見直しを行ってまいりたいと考えてございます。

岡田(克)委員 ですから、備蓄水準というのは、従来、何日と計っていたわけですね、何日間耐えられると。だから、消費量が減れば当然日数は増えちゃうわけですよ。それをずっとやっていくんですかと。やはり、二〇五〇年に向けて、国家備蓄基地も全国にありますけれども、こういうものもどこを残してどこをやめるかとか、そういう長期スケジュールを作るべき時期に来ているんじゃないかというふうに申し上げているわけです。結局、既得権で、今までやってきたから予算は減らせませんよというんじゃ話にならないというふうに思うんですね。

 もう一つ聞いておきますが、石油の国家備蓄の平均購入単価、価格というのはどうなっていますか。もしそれを全部、今、市場価格で売り出せば、どのぐらいの含み益というのが出るんでしょうか。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国家備蓄石油の平均購入単価は、令和六年三月末時点におきまして、国家備蓄原油の簿価を数量で割りますと、リッター当たり約二十八円でございます。

 また、国家備蓄石油の時価と簿価の差は、令和六年三月末時点では約二兆二千億円のプラスになってございます。

 ただし、これまで、原油価格等の影響を相当受けるということで、過去を見ますとマイナスを計上している年もございます。時価につきましては、国際的な情勢に伴う油価や為替の影響を受けて変動し得るものであることに留意が必要というふうに考えてございます。

岡田(克)委員 ですから、含み益が二兆円以上あるという御答弁だったと思いますが、これだってGX債の償還に私は充てるべきじゃないかというふうに思うんですね。すぐに売れと言っているんじゃないですよ。二〇五〇年に向けて段階的に縮小していく中でやはり利益が、含み益が顕在化するわけですから、そういうものも含めて考えていくべきじゃないかというふうに思うんですが、大臣、いかがですか。

武藤国務大臣 今も答弁させていただきましたけれども、石油、天然ガス、これが我が国のエネルギー供給の大宗を担う状況がまだ当面は継続するものだというふうに思っております。現実的なトランジションを進めなきゃいけない。

 そしてまた、日本の地政的な今の状況、そして今の国際情勢、様々こういうところも判断をしながら、上流権益の確保支援や石油備蓄の水準維持、必要な措置も講じつつも、脱炭素技術の進展状況等も踏まえながら、関係予算を不断に精査をしながら、バランスをしっかり取っていかなきゃいけないんだろうと思っているところです。

 本当に難しいかと思いますけれども、二〇五〇年カーボンニュートラルということで、まだ十五年ございますけれども、今の情勢をしっかり、我々としては、基本的に、再資源もそうですけれども、利用というものも含めて、資源の少ない国としては、やはりそこも含めて日本の安定的なものを図っていかなきゃいけないんだろうと思っていますので、また委員の御指摘、御指導をいただければというふうに思います。

岡田(克)委員 私も、すぐにやれと言っているわけじゃないんですね。ただ、二十五年先には、国として、ゼロ、カーボンニュートラルを目指しているのであれば、もちろん、それが本当にできるかどうか分かりませんし、場合によっては地中にCO2をためるとか、そういうことであれば輸入はその分は続くわけですけれども、そろそろ、そういうものをにらんで、全体的な撤退戦略といいますか、そういうものをきちんと作ってやっていくべきじゃないか、柔軟性は持ちつつ、ということを申し上げているところであります。

 次に、全然話は変わりますが、日米交渉についてちょっと大臣にお聞きしたいんです。

 この前、商務長官とお会いになる前に、当然、いろいろな準備はしておられたと思いますが、安倍総理とトランプ大統領の会談、日米貿易協定を決めたときの会談、その議事録は、事前に勉強していかれましたよね。いかがですか。

武藤国務大臣 勉強させていただいて、見ています。

岡田(克)委員 その議事録にどう書いてあったかというのは我々は分からないんですけれども、本来であれば、今回の自動車関税については、これは明らかな約束違反ですから、安倍総理の言うことを前提とすれば。

 本当にきちっと議論して約束できているのかどうかというのは、私は国会として確認する必要があると思うんですね。予算委員会でそのことを協議してもらっていますけれども、政府の方は出せませんというのが取りあえずのお答えのようですが、私は、外に出ない形の秘密会とか、いろいろなやり方はできますから、国会議員なら漏らしちゃうとか、役所の人なら漏らさないとか、そんな話はないと思いますので、きちんと秘密性を担保した上で、その議事録を国会として精査すべきだと思うんですが、大臣、いかがですか。

武藤国務大臣 委員の御指摘は承知しているところであります。

 これは多分、予算委員会の方の理事会で検討されていると思いますので、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。

岡田(克)委員 是非、これは国会の問題ですので、与党、野党の問題ではありませんので、そのことは申し上げておきたいと思います。

 最後に、日米協議の中で、交渉範囲というのが食い違っていますよね。関税について、どうも米国側は、相互関税の上乗せ分、一四%部分が交渉の対象、日本側は、相互関税全体と、自動車関税もあれば鉄もある、関税全体だと。ここの食い違いがある中で中身の議論に入っているというのは、私は非常に危ないなというふうに思うんですね。例えば、非関税障壁の話であったり農業の話であったり、そういう議論もしておられるようです、国会のやり取りを聞くと、赤澤さんの。土俵が決まらないのに中身の話をする、そういうやり方をどうして取られるんですか。

武藤国務大臣 基本的には、赤澤大臣が石破総理からの御指名を受けて、トランプ大統領からベッセントが指名を受けての、両者間、それが決まっていますので、経産省はもちろんですけれども、そういう、私は、国内の関税、国内の今の状況も含めて、しっかりサポートしていかなきゃいけない立場であります。

 ですから、そういう意味で、今回、今委員の御指摘のあった相互関税でも、向こうは一〇%は残して一四%について議論しているとか、日本は、自動車関税についての撤廃を求めているとか、あるいは鉄やアルミも含めて総合判断をしなきゃ駄目だとか、いろいろ議論はされております。

 一応、今月の中旬以降にまた第三回目の閣僚会談をやるということで今進められていると承知をしていますが、内容については、今、我々の方もサポートしながら、しっかりとした形でこれがまとまるように、政府一丸となって最優先かつ全力で取り組んでいかなきゃいけない課題だというふうに認識をしているところであります。

岡田(克)委員 この前御指摘申し上げた交渉者の数が一対三になっている話とか、今申し上げたように交渉の範囲が定まらないのに中身を議論しているとか、私は、非常におかしなことをやっていて、これで本当に大丈夫かというふうに思っているということは申し上げておきたいと思います。

 それから、時間も参りますので、最後。

 トヨタ自動車が決算発表の中で、国内生産台数は十一・四万台増加させる、三百三十五万台とするというふうに発表されました。私は、それは本当によかったし、企業として立派な態度だというふうに思うんですが、でも、他の、例えば日産は世界全体で二万人減らすということになっていますし、ほかのメーカーも減益予想を出しておられて、これから非常に国内生産のレベルが下がる可能性があって、この前も申し上げましたが、そのための対策というのは、これは機を逃さずにやっていかないと雇用問題が相当深刻になる可能性があるというふうに思っております。一言ありましたらおっしゃってください。

武藤国務大臣 千か所の相談窓口をつくった云々かんぬんは今までも御答弁させていただいたとおりです。なおかつ、情報についてはプッシュ型でこれからも情報収集してまいりますし、今いろいろと今度の経済対策の話も出てきておるようでありますので、しっかり、そういう形の中で、我々としては、特に賃上げというものに非常にこだわりながら、これからもしっかり頑張っていきたいというふうに思っているところです。

岡田(克)委員 時機を失しないように、しっかりやっていただきたいと思います。

 終わります。

宮崎委員長 次に、村上智信君。

村上(智)委員 日本維新の会の村上智信でございます。

 早速質問いたします。

 大阪・関西万博が始まって約一か月たちましたけれども、万博についての今の評価と今後の意気込みを教えてください。大臣、お願いします。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 大阪・関西万博の開催から約一か月が経過をしたところです。チケットの販売枚数、これは販売見込みも含めておよそ一千三百万枚、来場者数も三百万人を突破するなど、おかげさまで多くの皆様に会場にお越しをいただき、感謝を申し上げたいというところであります。

 SNS、これも私もよく見ていますけれども、この反応も含めて、万博の中身についても好意的な評価をいただいているものと承知をしているところであります。

 開幕後に明らかになった課題につきましても、順次改善を進めています。具体的には、スマートフォンの通信環境の改善ですとか、会場内トイレの案内の拡充ですとか、予約なしで楽しめるパビリオンマップの公開、あるいは来場者数を増加させるための朝の入場予約枠の拡大をやったり、夜間券の入場時間前倒しなどの取組を進めてきているところであります。

 万博の魅力を発信しつつ、運営面の課題も継続的に改善することで、来場者の満足度を高めていただきながら、一人でも多くの方に万博会場にお越しいただけるように今後とも引き続き取り組んでまいります。

村上(智)委員 私も先月十二日から開会いたしましたこの大阪・関西万博、大変期待をしております。

 私も開会式に参加をさせていただきました。その際には、経済産業省の方、本省から多分行かれたんじゃないかと思われる方もお出迎えいただきまして、誠にありがとうございました。また、国際イベントらしい開会式、歌あり踊りあり太鼓あり、大変日本らしいすばらしいイベントでした。自分の一生の記憶に残るぐらいのイベントだったというふうに思います。

 このような大変すばらしいイベント、本当によかったんですけれども、一つ申し上げれば、開会式に参加している方が国会議員ばかりで、一般の方が少なかったかなというふうに思いまして、せっかくの機会なので一般の方ももし入れたらよかったなというふうに私は思いました。

 この大阪・関西万博、是非成功に導いていただきたいというふうに思います。そのために、私も多くの方にこのよさを今宣伝しているところです。しかし、私が宣伝する前にも、私の息子から、万博に行ってみたいんだというふうに言われました。大学生で特にこういうことに関心を持っていないような感じでしたけれども、ああ、そういうふうに言ってくれて、行きたいんだなというふうにうれしかったんですけれども、もしかしたら、もう一般の方もかなりこの万博に興味を持ち始めて、そして行きたいという方が増えているのかもしれません。

 先ほど大臣の御答弁にもありましたけれども、入場者数が三百万人を突破したということで、単純に、あと五か月この調子でいきますと、入場者数は千八百万人ほどということなんですけれども、まだこれだけだったら愛知万博を抜かないんですけれども、しかし、この万博、今回の万博が成功したと言われるためにも、是非、愛知万博の入場者数を抜くように頑張っていただきたいなというふうに思います。

 先ほど大臣からは、様々な取組を増やしていて、また、多くの方が入場いただけるように努力されているという話を聞きました。愛知万博も後半に来場者数が増えたというふうに聞いておりますので、大阪・関西万博も、是非、これからまた更にもう一段ギアを上げていただいて、頑張っていただけたらと思います。

 さて、GX法案について、質問に移ります。

 まず、排出枠取引制度についてお聞きしたいんですけれども、他国で導入の実績があるとはいえ、日本にとっては全く新しい制度になりますので、その効果や影響について議論をさせていただきたいと思います。

 排出枠の取引制度、私から言うまでもありませんけれども、日本で二酸化炭素を多く出している企業、三百から四百社、この企業に対して枠を与える、どれぐらい二酸化炭素を出していいという枠を与えて、一年後に、その枠に対して多く出したか少なく出したか、そして、多く出した企業は少なかった企業から枠を買ってこないといけない、こういうふうな制度になるということですけれども。

 排出枠より多く排出する企業は、今言った排出枠を買うという以外にも、省エネ設備投資をするというふうな選択肢もあります。当然のことながら、日本にとって望ましいのは、省エネ設備投資をしてもらって、日本全体として二酸化炭素の排出量が減ることになるんですけれども、しかし、排出枠を買うのか、あるいは省エネ設備投資をするのか、この対応というのは、業種によって違うんじゃないかというふうに思うんですね。

 そこで、質問いたします。

 原価に占める化石燃料コストの割合が少ない業種では、省エネ設備投資が進みにくく、業種ごとに対応に差があると予想されますが、それでよいのでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘がありましたとおり、今回の排出量取引制度におきましては、この排出枠のまさに取引を行うということで、先行してGX投資を行い排出削減を実施してきた事業者は、その余剰の排出枠を売却することで金銭的なインセンティブを得られるということに加えて、業種の異なる幅広い事業者による取引を通じまして、脱炭素による経済価値としての炭素価格が形成、公示されることで、事業者の投資判断の際の指標として機能するということを期待しているものでございます。

 このような排出量取引制度の導入は、業種を問わず、事業者の脱炭素投資を促進する効果があるというふうに考えてございます。

 その上で、今御指摘のございましたように、排出削減のためのコストや技術的な難易度というものはやはり業種によって異なるということを認識しているところでございまして、こうした異なる業種の事業者間でひとしく脱炭素投資のインセンティブを働かせるという観点から、制度対象者が目指すべき排出量の水準を定めるに当たりましては、業種特性を十分に考慮して、業種の間で達成の困難度が公平になるような仕組みとするような形で工夫をしていきたいというふうに考えているところでございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 業種ごとの困難度を勘案するという話ですけれども、この制度をぱっと聞くと、市場原理が働くので、例えば、Aという業者、Bという業者、それぞれ排出枠を買わないといけない場合に、百買う、こちらも百買う、そうしたらそれに見合うような設備投資をするんじゃないか、そういうふうに思いがちなんですけれども、そういう面も確かにあると思います。しかし、やはり、全体の製造コストに占める化石燃料の割合、これが低いと、その企業にとっては、コストカットということでいえば、コスト的に多い部分、人件費が多いならオートメーション化を進めようとか、多分そっちの方で投資をしていこうという発想になるはずなんですね。

 そう考えると、市場原理に任せて排出枠を取引すれば自動的に進むというふうに考えずに、かなりきめの細かい考え方をしていかないといけない、対応をしていかないと省エネは進まないのかなというふうに思います。

 多分、そういうふうに全体のコストに占める二酸化炭素の割合が少ない、そういう業種にとっては、これまで余りそういう省エネ技術、省エネを進める技術というのは開発してこなかったかもしれませんから、そういうふうな技術開発を応援する。そういうふうなことを思うと、その業種に所属する企業を連携させて、そして技術開発を進めようと思うと、これは排出枠取引だけでは進みませんので、政府が音頭を取って、そういう会社を集めるとかして技術開発を進める、そういうふうなことが大事になっていくのかなというふうに思います。

 そう考えたときに、既に経済産業省においては省エネ技術の研究開発の助成制度を持っておりますので、その運用に当たっては、よくよく効果が出るように考えていただけたらなというふうに思います。

 さて、次の質問に移ります。

 これまでは、業種ごとの違いによって、業種が違えばやることが違うという話をしましたけれども、次の質問では、同じ業種の中で複数の会社がある場合の話ですね。

 排出枠の割当てにおいてベンチマーク方式というものがありまして、この方式では、その業種に所属する企業、それぞれの生産原単位を調べて、そして上位何%かのところで排出枠を設定するという話を伺っております。このベンチマーク方式で排出枠を定めた場合、その定め方からお分かりのとおり、その業種の一定割合は達成できないということになります。

 しかし、達成できない企業と達成できる企業を比べた場合に、達成できない企業と達成できる企業、もう、手頃な価格で入れられる省エネ設備という意味では、同じものを入れている場合もありますよね。

 その生産設備そのものの大きさとかによっても、化石燃料を使う割合というのは変わってきますので、そう考えていくと、大変大きな金額をかけなければ、そもそも生産設備全体の入替えとかできませんので、簡単な設備投資じゃないわけなんですけれども、そうすると、質問いたしますけれども、排出枠より多く排出する企業にとって達成のための省エネルギー投資が高額過ぎる場合があると思いますけれども、そういう場合は枠を買い続けるしかないと思われます。それでは省エネは進まないんですけれども、それでよいのでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになるかもしれませんけれども、そもそも前提として、排出量取引制度自身は、社会全体で費用効率的に排出削減を進めるという手法でありまして、まさに御指摘のあった、CO2削減のためのコストが大きい者が自ら削減投資をせず、そのコストの小さい他者の枠を購入するということで社会全体で排出削減に貢献するということを、制度の中で今それを認めているというものでございます。

 その上でなんですが、やはり最近の国際的な状況の流れの中では、まさに脱炭素の投資が競争力に直結するという認識も広がってきているかと存じます。このような中で、まさに製鉄業のような、非常に追加コストの高い業種につきましても、例えば高炉、たくさんCO2を排出する高炉から大型の電炉に転換をする投資をするということも見られますように、やはり昨今では、限界削減費用が大きくても大規模な生産プロセス転換に踏み切るという事例が出てきているところでございます。

 このような事業者のGX投資を二十兆円の規模の先行投資で支援をすることによって、GXの投資を促進する枠組みというものを生み出していきたいということを考えてございます。

 さらに、今回の排出量取引制度におきましては、これも以前から申し上げているとおり、経済産業大臣が上下限価格を設定することで、炭素価格の水準が安定的に上昇するということについて予見可能性を確保する形で示しているというものでございます。

 その上、各企業におきましては、この価格の推移を踏まえながら、自らの脱炭素投資の難易度やコストなどを踏まえまして、排出枠の調達より自ら排出を削減した方が合理的となるタイミングを見定めることによって、GXに向けた投資に向けた判断が適切になされるということを期待しているものがあると考えてございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 今、鉄鋼業界では高炉から電炉に変わっている、これは大きな生産設備の変換なんだ、それぐらいの設備投資をしているという話をお聞きしましたけれども、この話が二酸化炭素を減らしたいという趣旨だけでやっているんだったら確かにそうかもしれませんけれども、私が想像するに、今鉄の生産がどんどん減っておりますので、そうすると、連続で生産し続けないといけない高炉、これよりも生産調整がしやすい電炉に変わった、こういうふうに経営判断をしたのかなというふうに私は想像いたしますけれども。

 省エネが進まないにもかかわらず、お金の移動だけがあるような制度になれば、これは意味がないなと私は考えておりました。しかし、排出枠の値段が上がっていけば、それこそ著しく上がれば、生産設備を丸ごと替えるということは起こり得るかもしれません。鉄鋼業界は私はちょっと違うと思いますけれども、やはりそういうふうなことは起こり得るんじゃないかとは思います。

 ただし、企業にとって、生産設備を丸ごと替えるというのは非常に高額になるものですから、それを今回の排出枠の取引制度を導入することによって無理にやらせるというのは、これはさすがにどうかなというふうに思います。大きな設備投資というのは、やはりその会社の経営に大きな影響を与えます。場合によっては、そこの投資で失敗して倒産することもあり得るわけですから、このようなことは、政策的に誘導するというのは、それはやり過ぎじゃないかというふうに思います。

 日本の化学コンビナートは、よく御承知のことでしょうけれども、サイズ的に小さいものですから、海外の大きいコンビナートと価格的に勝負しても勝てない。だけれども、それを作り替えるかというと、そのコスト、作り替えるための借入れ、それによるリスク、それを考えてなかなかそうしなかったという歴史がありますので、このような大規模な設備投資、これは経営者がより適切な段階で、適切なときにやるべきだと思いますので、それを政策的に誘導するというのはなかなか難しい、困難なことだと私は思います。

 是非、排出枠の値段が著しく上がらないような、そのような運用を考えていただきたいというふうに思います。

 さて、次の質問に移ります。

 排出枠の決め方は業種ごとに定めるんですけれども、そして、生産原単位を考えづらい業種については、総量で枠を決める方式、グランドファザリングという方式にするというふうに伺っております。これに関して質問をいたします。

 グランドファザリングにより排出枠を定めた場合、努力をして売上げを増やしたら排出枠を買わなければならず、売上げを減らしたら排出枠を売れるということでしたら、企業努力を減退させる制度になると思いますが、いかがでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 排出枠の割当て量を決定するに当たりましては、事業者に過度な負担が課されることで事業規模を縮小したり投資の原資が奪われたりすることのないよう、事業者が設備を新設したり生産量等を増加させる形で事業規模を拡大させた場合には、一定の追加割当てを行いたいというふうに考えているところでございます。

 委員御指摘のグランドファザリングの適用プロセスであっても、事業所ごとのエネルギーの使用量など、事業規模と牽連性の高い指標に着目をしながら、これが一定以上増加した場合には、ベンチマークを適用するプロセスと同様に、割当て量の調整を行うということを想定しているところでございます。

 なお、この事業が、事業の縮小に不当にインセンティブを与える仕組みとならないように、前述の、先ほど申し上げた事業規模拡大の場合と平仄を取る観点から、工場の閉鎖などにより事業規模の縮小が一定程度生じる場合には、これは逆に、これを基礎に排出枠の割当て量を調整するという仕組みも併せて講じたいと考えてございます。

 このような仕組みを通じまして、企業の努力を適切に評価をし、企業の競争力向上と国内投資の促進を実現してまいります。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 御回答によれば、売上げを増やしたら枠を追加してもらえる、そして工場の閉鎖とかあるような場合には減らすこともあるということで、機動的に対応するということで、企業の努力をちゃんと反映する、あるいは企業が衰退するということはちゃんと見越すということが分かりました。閉鎖する方にとっては、それをうまく利用してもうけようとするかもしれませんので、そういうふうなところをちゃんと手当てをしていくというのも大切だというふうには思います。

 さて、次の質問に移ります。

 排出枠より多く排出した企業がほかの企業から排出枠を買う際に参考となるように、政府は参考上限取引価格というものを定めまして、そしてその一・一倍の価格で政府が企業に枠を売ることもできるということに定めるということですけれども、これに関連して質問いたします。

 国が排出枠を売る場合の参考上限取引価格は幾らを考えているのでしょうか。この価格は何を根拠に決めるのでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 排出枠取引を通じて形成される炭素価格につきまして、GX投資を促進するための指標として機能させるためには、その炭素価格の水準が安定的に上昇していくことについて予見性を確保する形で示すことが重要と考えております。

 そのため、排出量取引制度におきましては、経済産業大臣が上下限の価格を設定するとともに、この範囲内に炭素価格が収まるような措置を講ずるということとしてございます。

 その上で、この上限価格につきましては、GX投資促進の観点に加え、国民生活、産業への影響、また諸外国の上限価格の水準や、現在も行われております東京証券取引所でのカーボンクレジットの価格の推移を踏まえまして、産業構造審議会の専門家による透明なプロセスで議論をしていただいた上で定めてまいりたいというふうに考えているものでございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 様々なことを勘案して総合的に決めるというふうな話だと思いますけれども、この価格を決めるのに当たって、しかし、審議会で審議するとか、いろいろなことを勘案するといっても、印象的には、参考にしさえすれば幾らでも高くできるような、そんなふうな印象にも聞こえてくるわけなんです。

 関連することですので、続けて質問いたします。

 税金の税率は、国民生活にも産業活動にも大きな影響があるので、法律で定めて、国会がチェックすることになっています。他方で、このように、今回の法案におきましては、参考上限価格を告示で定めることになっておりますけれども、これは問題ないのでしょうか。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども答弁させていただきましたとおり、上限価格につきましては、GX投資の促進の観点に加え、国民生活、産業への影響、諸外国の上限価格の水準や東京証券取引所でのカーボンクレジットの価格の推移を踏まえて定めてまいります。

 こうした技術的な事項は、最新の情報に基づいて専門的知見から決定されるべきものでございますため、その詳細について下位法令で定めるということは妥当であるというふうに考えてございます。

 その上で、具体的な上限価格の額を定めるに当たりましては、御指摘もございましたとおり、やはり恣意性を排除しなくてはならないと考えてございますので、透明なプロセス、議論が必要だというふうに考えてございます。本法律案におきましては、繰り返しですけれども、専門的、実務的知見を有する有識者から構成される産業構造審議会の意見を聞くことを明示をしているというところでございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。

 排出枠取引制度を運用していきますと、枠をどれぐらい出すかとか、あるいは参考上限価格をどれぐらいにするかということによって大きく産業界が影響を受けることになるわけです。枠を絞って、そして参考上限取引価格、これを非常に高く上げてしまうと、多くの企業で経営ができないんじゃないかというところまで追い詰めることができるわけなんです。

 このような強い影響があるということ、税金の税率もそうですけれども、影響があるからこそ、国会で、法律の中でちゃんと定めていくというふうになっているにもかかわらず、今回は告示だというふうに聞いております。このような大変強い権限を経済産業省が握ってしまって、国会のチェックが働かないということについては違和感を感じざるを得ません。

 さて、最後の質問に移ります。

 排出枠を超えて排出し、排出枠を買わなかった企業はどうなるのでしょうか。罰則があるのでしょうか。教えてください。

田尻政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員が御指摘になった状況は、本排出量取引制度におきましては、経済産業大臣が行う排出枠の償却期限、これは法律上には、当該排出に係る年度の翌年度の一月末としてございますけれども、この期限におきまして事業者が保有をしている排出枠が、事業者が報告をする排出実績量よりも過小であった場合というものに生じるというふうに考えてございます。

 そのような場合には、やはり排出枠の不足分を事前に調達した事業者との公平性を確保する必要があると考えてございまして、制度の実効性を担保するという観点から、法律の第四十一条に規定してございますけれども、未償却相当負担金というものの納付義務を課しているものでございます。

 ある種、こうしたものは、排出枠を不足する事業者が不足分を調達しない場合のペナルティーというふうに認識をしていただければと思いますが、これは各国で、排出量取引制度を行っているほかの制度でも同様に存在をしているものでございまして、やはり、こうした観点で、実効性を確保した排出量取引制度とするためにも不可欠な措置ではないかというふうに考えているものでございます。

村上(智)委員 ありがとうございました。まさに税金と同じように取立てがあるということが分かりました。

 この法律案は、産業や経済への影響が心配されます。それこそ、運用の仕方によって産業が衰退し経済が縮小するんじゃないか、そういう危険性があります。このことをお伝えしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 次に、斉木武志君。

斉木委員 斉木武志でございます。

 本日は、ガソリンと電力料金に関して伺っていきたいなというふうに思っております。

 これは、下がらないねという声が非常に強いですね。ガソリンの元売に対して八兆二千億円、そして電力、ガス会社に対して四兆三千億円、十二兆五千億円、値下げの原資としてお渡しをしている。なのに、逆に、電気代は規制料金を一斉に値上げをしたし、ガソリンもなかなか値下がりをしてこない。エネルギー価格、補助金を渡しているのに何で下がらないんだという声は、非常に、一般消費者そして企業からも今強くなっているなと感じております。

 その中で、私、非常に気になる指摘があるなと思っているんです。補助金が消えているんじゃないかという、霞が関の中からの指摘です。

 これは、財務省が、令和四年度予算執行調査、要するに、適正に予算が執行されているかどうかを調査した数字を公表いたしました。五か月間のガソリンの販売実績量を抜き出して、それを基に価格の抑制効果というのを推計したところ、実際の抑制額は、実際にガソリン会社、元売にお渡しをしている補助金の交付額を百十億円下回る、要するに、どこかで消えているということを指摘している。そして、同様の指摘は会計検査院も行っておりまして、百一億円、やはり同様に下回っている。財務省主計局も会計検査院も、実際にガソリン会社にお渡しをした八兆二千億円が適正に執行されていないという指摘をしているんですね。

 これは非常にゆゆしき問題だなと私は思いまして、実際にこの調査を行った財務省の主計局をお呼びをして、詳細をお聞きいたしました。これは令和四年三月から七月にかけての五か月間の数字を抜き出して行ったものであるので、このガソリン補助金はいまだに続いておりますから、これは、延べにすると、百十億円ではなくて、八倍の八百八十億円、値下げに使われていないんじゃないかと推計できるというふうに主計局の方もおっしゃっていた。

 これは非常に、渡した補助金が値下げに使われずに、どこかで八百八十億円消えてしまっているというのは、それじゃガソリン下がりませんよねということになってしまうんですが、武藤大臣、受け止めはいかがですか。

武藤国務大臣 委員御指摘の、財務省や会計検査院の指摘は承知をしているところです。それらは、あくまで一定の期間を区切った上で、補助額と小売価格への反映分との乖離を計算したもので、ガソリンスタンドに残っている在庫等の影響ですとか、補助の効果が小売価格に反映されるまでには一定の時間がかかるものであります。このため、期間を区切った上で算定すれば、両者には必然的に乖離が生じるもので、しかしですけれども、このことをもって、補助が小売価格に適切に反映されていないということではないというふうに認識をしておるところであります。

 経産省は、補助の効果を確実に小売価格に反映するため、元売が卸価格を引き下げたことを確認できた場合のみ補助金を支払うという事後精算の仕組みとするとともに、ガソリンスタンドに対する全数調査や個別訪問などを通じながら、小売価格への適切な反映を促してきているところであります。

 こうした取組によりまして、補助が適切に小売価格に反映されているものだと認識をしているところであります。

斉木委員 余りに性善説に立ち過ぎだなというふうに思っております。

 渡している会社というのは、主に三社ですね。ENEOS、コスモ石油、そして出光、この三社が、石油の元売では三メガ巨頭ですね。これが大宗を占めている。私がやはり問題だなと思うのは、その卸売価格、要するに、ENEOSさんやコスモさんや出光さんが各スタンドに卸す卸売価格の自己申告に基づいてその八兆二千億円をお渡ししているというところなんですよ。

 私は、やはり領収書を出させるべきだと思うんですね。何かというと、ドバイとか、要するに中東等から石油は買っておりますので、中東から彼らが石油を買い付けてきている本当の領収書、金額、これがウクライナ戦争前に比べてこれだけ値上がりをしているからこれだけ払いますというエビデンス、証拠がなければ、言い値だったら鉛筆をなめられるじゃないですか。だから、そこの、やはり証拠書類というものを経済産業省が徴収し、それを国民に公表して、だから八兆円お渡しする必要があるんです、国民生活を守るためにはと、こういったロジックが必要だと思うんですが、いかがですか。

武藤国務大臣 この激変緩和事業、これはもう毎週、さっきの繰り返しにちょっとなりますけれども、国際的な原油価格の変動を勘案しながら補助額を設定してきたところであります。

 その上で、本事業では、元売の卸価格というものを確認して、その卸価格から補助金分を下げたことを確認できた場合のみ支払うという事後精算の仕組みであります。

 補助の効果ということでは、補助がなかった場合に想定される小売価格と補助後の小売価格の推移を公表しているところでもあり、これらの点を含めて、国民の皆さんには補助の効果というものを実感していただけるよう、分かりやすい説明を引き続き心がけてまいりたいと思います。

 なかなか、委員おっしゃられるように、幾らで入れたというところは難しいでしょうし、今の領収書等、やはり、これは私としても、経産省にも、分かりやすく、変に疑念を抱かないように、しっかりやるように申し入れてきているところです。

斉木委員 大臣、残念ながら、ちょっと理解が及んでいないと思うんですよ。

 卸売価格というのは、彼らの自己申告じゃないですか。原油というのは、生の状態で輸入をして、それをこの三社が精製をして配っているわけですね。ということは、もう卸売価格には彼らの利益も乗っかっているし、彼らがもし仮にそこで鉛筆をなめているとしたら、その余剰分も乗っかってしまうわけですよ。だから、生の、海外から持ってきたその生の数字を出させるべきじゃないかと申し上げているんですが、いかがですか。

武藤国務大臣 なかなか現実的には、競争原理というところがあるので、そこは、委員の御指摘は分かりますけれども、ちょっと難しい話かと思います。

斉木委員 そこが、やはり国民から、というか、会計検査院からも財務省主計局からも、八百八十億円消えていますよという指摘がなされているわけですよ。そこは推進官庁として重く受け止めるべきだと思います。

 同じことは電力料金に関しても行われております。

 電力料金に関しては、四兆三千億円ですね、ガス会社と合わせて。各電力小売にお渡しをするという形でこの四兆三千億円が配られておりますけれども、これもやはり彼らの言い値になっています。

 二〇二三年六月でしたか、規制料金を一斉に値上げしましたね。私は北陸、福井県に住んでいるので、北陸電力は四三%、結果的には四〇%値上げをしました。四割というのは物すごい金額ですよ。家庭からも企業からも、これじゃやっていけないというブーイングが一斉に起きた。四兆三千億をもらっておきながら、何で規制料金を四割も値上げするんだ、それを経産省が認めるんだという非難の声がいまだに続いています。

 それに、火に油を注いでいるのが、その北陸電力を始めとした電力会社が、各社、過去最高益をその値上げによって達成したということです。誰の金で達成したんだ、値上げをしておいて最高益というのはいかがなものかということなんですね。そのお怒りは当然だと思いますが、それが、やはり四兆三千億をもらっておきながら値上げをしているし、それで、その化石燃料代は非公表じゃないですか。

 火力発電、今、日本の八割は火力発電ですけれども、火力発電の九割は燃料費です、コストの大宗は。ですので、これがウクライナ戦争前に比べてこれだけ値上がりをしたからこれだけ上げさせていただきますという、まさに、北陸電力や関西電力やJERAが海外から買い付けをしている石炭、天然ガス、石油、この生の領収書、契約書、この原本を、やはり、電取の、経産省の中で、審議会で、開示してもらっていますから、チェックしました、トップランナー制度で認めましたではなくて、実際にこれだけ鉛筆を、電事連さんであるとか加盟各社が鉛筆をなめられないように、鉛筆をなめられると、やはり皆さん、国民は思うじゃないですか。

 やはり、四兆三千億をもらっています。ただし、それは、電力会社が全ての、化石燃料輸入料、彼らのオペレーションコスト、そして利益、プロフィット、これを乗っけた数字で経産省に申請するわけですよね、規制料金という形で。だったら、まずは、九割は化石燃料費が占めているわけですから、その生の領収書を出させないと、四兆三千億円を渡す、規制料金の値上げを四〇%も認める理由としては弱いと思うんですが、いかがですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇二三年の規制料金の改定におきましては、燃料費については、各事業者の燃料調達の契約の内容を確認するとともに、各事業者に対して電気事業法に基づく報告徴収を行い、各事業者の調達価格の実績値を基にトップランナー査定を行うなど、厳格な査定を行っております。

 御指摘のように、電気料金の適正性について国民に御理解いただくことは重要であり、料金審査は公開の審議会で行うとともに、燃料費に関する各事業者の申請額や査定額、認可額等に関する資料は公開しておりまして、審査の透明性を最大限確保しているところでございます。

 他方、御指摘の各事業者の実際の調達価格といったエビデンスにつきましては、各事業者の経営上の秘密情報であることや、仮に公表した場合には、自由化されている発電事業者や小売事業者における競争に影響を及ぼすおそれがあるため、公表は困難であるものと理解をしております。

斉木委員 それでは透明性を確保したことにならないんですよ。

 事務局長、だから、黒塗りでいいじゃないですか。例えば、北陸電力さんが伊藤忠から買っているのか、それとも自分で買い付けをしているのか、それとも他の商社から買っているのか、幾らで買っているのか、これがまさに競争の秘匿情報だと思います。ですので、どの商社から買っているかも黒塗りでいいですし、金額のみ、例えば石炭であったら、トン五千円で買っているのか四千九百九十五円なのか、その数字を出させればいいじゃないですか。

 そうすれば、その数字がウクライナ戦争前と比べてこれだけ上がっているからという比較ができるし、それを会合の場で、公開とおっしゃいましたけれども、資料は出していませんよね、生の契約書。多分年単位で契約していると思いますが、その生の契約書を公開していますか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、生の契約書につきましては、私ども事務局の方で必要に応じて確認をさせていただいておりますし、契約の内容についても確認をさせていただいておりますが、審議会の資料として、個別の情報については公表しているものではございません。

 黒塗りの点につきましては、仮に黒塗りを行ったとしても一定の推定ができるという意味では競争上の影響を排除することはできないので、なかなか難しい課題であると認識をしております。

斉木委員 事業者名も黒塗り、産炭地も黒塗り、オーストラリアかアメリカか分からないようにしていいですよ、黒塗りでいいですと言っているんですよ、トン単価だけ、石油であればリッター単価だけ出せばいいですと。それだったら分からないじゃないですか。どの国から買っているかも黒塗りでいいですよ。どの商社を使っているかも黒塗りでいいですよ。単価だけ出してもらえれば、数字は比較できる。それすらできないというのであれば、やはりそこで鉛筆をなめる余地が生まれるんじゃないのかということが、国民からは疑念が持たれるわけです。だから、そこのところを、八百八十億円消えているという、この財務省主計局の指摘は結構重いと思いますよ。

 では、お尋ねしますけれども、暫定税率廃止でやった方がいいんじゃないですか。鉛筆をなめられないじゃないですか。やはり、これは彼らの自己申告に基づいて、電気料金に関しては電取委で査定しています、でも数字、生の契約書は非公表です、ガソリンに関しては元売が幾らで買っているか調べていません、こんなことでは鉛筆なめ放題ですよ。ですから、出荷段階で暫定税率一六%、これを値引くことによって下げた方が、今たしか十円のターゲット価格を設定していますけれども、暫定税率を差っ引いた方がよっぽど下がりますよね。暫定税率でやったらいかがですか。まず、武藤大臣、見解はいかがでしょう。

武藤国務大臣 電気、ガスじゃなくて燃料の方ということでの暫定税率の廃止のお尋ねだというふうに承知をしています。

 これは今までも国会の中で何回も答弁をさせていただいていますけれども、御指摘の暫定税率の廃止については、これは法改正が必要なものでありますので速やかな実施が難しいというのが我々の考え方であります。

 一方で、足下の物価高の下で苦しい生活を国民が送っているこの現状に一刻も早く対応する必要がある、こういう中ですぐ使える基金を活用して速やかな負担軽減を図ることといたしました。

 暫定税率の扱いにつきましては、現在、安定的な財源確保などの諸課題の解決策ですとか、具体的な実施方法等について政党間で真摯な議論をされておられると承知をしているところです。政府としては、この協議の結果を踏まえた上で適切に対応してまいりたいと思っております。

斉木委員 大臣、中小企業の応援担当大臣ですよね、経済産業大臣。地方の中小企業は納得しないと思います、今の答弁は。

 今政府が何をやっているか、この電力料金、ガソリン料金の高騰に関して。こうして十二兆五千億円、元売にお渡しするのと同時並行で、電力、ガス価格高騰対策事業という交付金を四十七都道府県にお渡しをして、例えばそういった特別高圧とか、漏れている方たちに対して、例えば福井県であれば対前年比で三〇%上がった企業は三十万円とかお渡しをしているんです、各四十七都道府県に申請をしていただいて。挙証責任を求められているんですよ、中小企業は。電気代を出しなさいと、対前年比で三〇%上がった証拠を。三十万をもらうためにそうしているんですよ。三十万をもらうために挙証責任を地方の中小企業はみんな求められている。

 でも、北陸電力さんは、一体幾らで石炭を輸入しているのか、石油を輸入しているのか開示しないまま、四〇%の値上げをしているんですよ。この差、これはとてもじゃないけれども、鉛筆をなめているというふうに、だから八百八十億円も消えているんだと言われても仕方ないんじゃないですか、いかがですか。

武藤国務大臣 今の特高については、これは重要地方創生交付金という形の中で対応はされていると思います。

 私もこの前ちょっと聞いてみたんですけれども、岐阜県も含めて全国ほとんど多くの県で対応されておられます。これは知事の裁量、いや、県の裁量と言った方がいいでしょうか、そういう形でそれぞれ対応はされている。

 普通の電力、いわゆる低圧、高圧の問題につきましては、七月から九月ということでまた改めて始めるということで、今月中に一応まとめるという形で受けておりますので、また、委員御指摘のとおり、いろいろそういうところの変な疑念を抱かないように、しっかりと対応しなきゃいけないという思いでいます。

斉木委員 疑念を晴らすんだったら同じことを求めればいいじゃないですか。中小企業に領収書を出させておきながら、何で電力会社には領収書を出させないんですか。

武藤国務大臣 それは企業的な活動というところに触れていくという形の中で、そこは残念ですけれども、対応ができない話なのかなというふうに思っております。

斉木委員 四兆三千億ですよ、ガソリン、電力会社がもらっている金額。しかも、そのもらっているさなか、二〇二三年六月に規制料金を四〇%上げたわけですよ。弱過ぎますよ、そのエビデンスとしては。

 値上げの論拠を、ウクライナ戦争前と比べてリッター単価がこれだけ上がったから値上げ、税金を突っ込みますでしょう。税金は我々国民のお金ですよ。国民が納税して経産省にお渡しをしているんだから、適正執行しなさいよと。八百八十億円消えていると身内から指摘しているのに、領収書一枚開示できないんですか。

新川政府参考人 お答え申し上げます。

 電気料金の査定を行った際には、先ほど申し上げましたように、個別の契約書、その内容、それからその原本の確認、それから実際に調達している価格について報告徴収によって実績を集めて、それを確認をした上で査定を行っているところでございます。

斉木委員 だから、では黒塗りでいいから、その契約書を出すべきじゃないですか。

 これが円滑に執行されていると主計局も会計検査院も認めているんだったら、まだいいですよ。八百八十億円消えている可能性がある、確実に百一億円は、百十億円は消えているという指摘は出ているわけですよ。それに対応せずに、いつまでも領収書を示さない。全部黒塗りでいいと申し上げているんですから、やはり、これを対応しないということは後ろ暗いところがあるというふうに疑われるじゃないですか。だから、ここのところを真摯にやはり向き合っていただく必要がある。

 七、八、九は始めるわけですね、これから。また中抜きされるのか、こういう疑念をやはり抱かないためには、領収書をしっかり公開する。電力料金は、四〇%値上げもしたわけです。そのエビデンスを示すことをやはり必須の条項として行うことを強く申し入れまして、今日は質疑を一旦終わります。

 ありがとうございます。

宮崎委員長 次に、岡野純子君。

岡野委員 こんにちは。国民民主党の岡野純子でございます。

 質疑の時間をいただきまして、ありがとうございます。午前中の最後の質疑者ということで、お疲れのところ、おつき合い、どうぞよろしくお願いいたします。

 私、本日、大臣に答弁をお願いをしておりませんので、もしお忙しければ離席いただいても結構です。

 今回、この法案について質疑をするに当たりまして、対象になります排出量十万トン以上の企業の皆さんとこれまで様々に意見交換をしてまいりました。本日は、その中で交わされた意見についてお聞きしたいのと、あと二つ目としまして、これは日本だけでの課題ではありませんので、今後、国際経済の中で産業競争力を弱めることなく推進していく、そのためにはどういった手法があるのかという点と、そして最後、これは前者からも様々にありましたが、広く社会全体で負担していくための機運の醸成、この三つの視点から伺ってまいりたいと思います。

 まずは、各種製造業への影響について伺います。

 この間、影響する業界、電力、製鉄、化学、製紙などなど、様々な業界の皆様とこの件でお話をする中で、業界ごとに課題や懸念点というのが様々だということが分かりました。

 これは、今日、質疑も二日目の終盤ですので、前者の発言と重複をするところではございますし、まさに先ほど山岡さんもおっしゃったことですが、例えば電気業でありますと、原子力や再エネの導入比率で地域や会社によって異なりますから、排出係数の一律化というものが非常に不公平感を生むおそれがあるという課題があります。また、脱炭素化へのトランジション期も業種によっては大きく異なります。とりわけ製鉄業界では、排出量をリニアに進めていくというのは非常に難しいという声を聞きました。製紙業やセメント業のように、燃料転換が技術的に難しいなど、限界削減割合というものも業界によって違いが大きいということもおっしゃっておりました。あと、これもこれまで出ておりますけれども、過去の削減努力をどのように評価するのか、リーケージリスク、国内でいけるのか、簡単に海外に行けるのか、そういった差もございます。また、新しい技術をつくっていくための研究開発投資の金額というのも大きく違っておりますし、活動量の今後の変動、事業所を新設するのか廃止する方向なのか、生産量が増えていくのか減っていくのかなどの様々な懸念事項があるなということを感じました。

 総論的な聞き方になるんですけれども、各業界とヒアリングすればするほど、公平性、公正性というものが非常に難しいなというふうに感じた次第です。どれだけその業界事情を経産省の皆さんが正確に理解をされた上で、不公平感のない、自分のところが貧乏くじを引いたと思わせないような割当ての制度設計にするかという点が非常に難しくて、かつ、とても大事な点だろうなというふうに考えております。

 もうここのところが今日の最初の質問にして最も聞きたいところなんですけれども、こちら、国民民主党としても、いろいろな業界の方と丁寧にヒアリングをしてまいりました。恐らく、業界の皆様から我々は託されたという思いで今この場に立っておりますし、きっとお声を寄せてくださった方は今日インターネットの向こう側で固唾をのんで見てくださっていると思いますので、レクのときには、経産省の皆さんも業界のことをしっかりと聞いているんだ、そして、どこかにしわ寄せが行くような、そういうことにはならないような制度設計をしていくんだという思いを答弁に是非込めていただきたいということを事前にお伺いもしておりますので、これまで様々に業界の声を聞いていて、どういった点に課題や難しさがあって、そしてそのそれぞれをどのようにクリアしていこうと考えていらっしゃるのか、総括的に伺いたいと思います。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本制度の導入に当たりましては、特定の業種、事業者に負担が偏ることのない、公平性と実効性を担保した制度となるよう、産業の実態などを踏まえた丁寧な検討が必要であると考えてございます。

 このため、昨年度内閣官房に設置しましたGX実現に向けたカーボンプライシング専門ワーキングチーム、これにおきまして、多排出産業を中心に産業界等からの集中的なヒアリングを行ってきたほか、私ども、個別に各業種とも累次の議論を積み重ねて、実態や課題を聴取してきてございます。

 ワーキングのヒアリングにおきましては、特に排出枠の割当ての考え方につきまして、代替技術が確立されていない業種におけますトランジションの重要性、過去からの削減努力の評価や生産拠点の国外移転リスクへの配慮、制度の導入によってイノベーションの原資を損なわないための配慮、それから、生産活動が抑制されることがないような制度上の工夫の必要性などにつきまして多くの意見がございました。

 こうした意見も踏まえまして、累次申し上げていますように、本制度では、業種特性を考慮したベンチマークによる割当てを基礎としながら、制度開始前の排出削減実績やカーボンリーケージのリスク、GX分野の研究開発投資の実施状況、それから事業所ごとの生産規模の増減等を勘案をして割当て量を調整することとしてございます。

 これらの措置の詳細につきましては今後検討していくことになりますけれども、その際には、各業種の特性や実態を踏まえつつも、他方で、おっしゃられていたように、いかに制度としての透明性、公平性を確保していくかが課題でございます。

 このため、こうした詳細、具体の決定に当たりましては、専門的、技術的知見を有します有識者から構成される産業構造審議会におきまして、透明性ある形で丁寧に議論を行う中で案を固めてまいりたい、こう思ってございます。

岡野委員 どうもありがとうございました。

 この間、話を聞いていて、今回のこの法案に対して、これは我々議員側もそうですけれども、GXそのものが反対だなんていう人は、今、時代の潮流からいってもいらっしゃらないと肌感としてはあるんですけれども、ただ、その中で、いいね、前向きにやっていこうというような気持ちのある人が果たしているかというと、それも、いろいろな業界の方、皆さん、やらなきゃしゃあない、時代の要請でやるしかないからという、前向きだけれども後ろ向きみたいなところをちょっと感じておりまして、ですので、今、透明性という言葉を十回近くお使いいただいたので、その点は安心をしたんですけれども、決して勘案事項がブラックボックスにならないように、その点は強くお願いをしたいなというふうに思います。

 では次に、大切なのはライフサイクル全体での評価だと思っております。今後、各国が出す温室効果ガスの総量を減らしていくということがこの話の本懐でありまして、製造過程における部分だけを減らす、スコープ1を対象にしているこの法案というのはその手段の一つということでありますけれども、製品を生み出すときだけじゃなくて、作り上げられた製品そのものの環境性能を高めていくということも非常に肝要なわけであります。

 消費者の手に渡ったときに排出削減に寄与する製品、スコープ3を製造するためのインセンティブについてお聞きをしたいと思っているんですが、今日は資料を配付させていただきまして、済みません、紙をけちって、資料の二がグラフが二つあったものですから、資料一、裏を向けたら資料の二があって、また元に戻って資料の三というけちな作りになっておりまして、しかも、プリントしたものを見て、文字が潰れてとても読みにくくて恐縮なんですけれども、ですので、説明をしながら、御覧いただきたいんですが。

 この資料の一のところが、自社製品を作るときの、左側の緑色の部分が作るときの排出量、最後、薄い右側のクリーム色のところが結果的な全体の排出量というところですけれども、上から順番に、イノベーション商品を作っていく場合の置換の話なんですけれども、つまりは、将来的に総量でいくと減らすことができたとしても、最初の製造過程、今回の法案の対象となるところではともすれば排出量が増える可能性も当然あり得る、ただ、全体でいくとゴールには近づいているというようなこともあるわけであります。

 例えば、環境配慮型の自動車とか省エネ家電とか、そういうものが代表選手だと思いますが、部素材でもバイオマス素材やSAFや合成燃料や、あと、商品そのものを長寿命化させるとか軽量化するということも環境には寄与するわけです。そういったものを作る企業が社会にもたらす影響というものをちゃんと評価していくようにしていかなければならないわけですけれども、そういったものを作っていく際に、スコープ1や2において排出量が増加することへの配慮について伺いたいと思います。

龍崎政府参考人 御指摘のとおり、カーボンニュートラル社会の実現に向けまして、ライフサイクル全体の排出削減に寄与する製品、サービスが適切に評価、選択される、そのような市場を創出することは非常に重要だと思ってございます。

 製品のライフサイクル全体の排出量を表す指標としてはカーボンフットプリントが使われてございまして、経済産業省では、CFP、カーボンフットプリントの基本的な考え方それから算定方法などを示したガイドラインの公表とか、製品別算定ルールの策定支援を行うなど、CFP算定環境の整備を行ってきてございます。また、政府の公共調達についても、グリーン購入法でCFPを算定した特定の製品を重点的に調達すべき品目として位置づけまして、初期需要の創出を促してございます。

 それから、委員御指摘のようなケース、例えば先進的な省エネエアコンみたいなものですけれども、製品が消費者に渡って利用される段階で従来のものより排出削減に寄与する一方で、市場でその製品が支持されて売れるがゆえに、結果、増産のためにメーカーの製造段階での排出量が増加してしまうようなケースも考えなきゃいけないということで、こうしたケースに対応するために、経済産業省では、国内の産業界やWBCSDと連携をしまして、こうした社会への貢献を評価する、これは削減貢献量と言ってございますけれども、これのグローバルスタンダード化を後押ししてきてございます。世界的な経済団体でありますWBCSDのガイダンスとして位置づけられたことによりまして、削減貢献量というのは世界的にも普及しつつあるということで、こうしたCFPでは必ずしも評価し切れなかった切り口からのアプローチを含めて、市場創造を積極的に推進してございます。

 ライフサイクル全体での環境価値を有する製品が適切に評価されまして、マーケットで選好されていくように、引き続き環境の整備にしっかりと取り組んでまいりたい、こう思ってございます。

岡野委員 ありがとうございます。

 適切に評価されるようにということで、その企業や商品の印象を上げていくということの発信のサポートをしていくというところもありますし、公共調達ということで、金銭的なインセンティブという話もあったのかと思います。

 いずれにしても、この制度によって商品開発への意欲をそぐことがないようにというところを懸念して、このことを聞かせていただきました。

 では次に、三三年から有償オークションが開始されましたら、電力会社については化石燃料賦課金と二重の負担が発生することになります。この法案三十二条二項で、適切な調整を行うとしておりますが、具体的な措置の方向性を伺います。

龍崎政府参考人 カーボンプライシングの導入に当たりましては、同一の炭素排出に対して二重の負担を課すことにならないような制度設計が必要だと考えてございます。

 御指摘のとおり、有償オークションが導入されます二〇三三年以降は、同一の炭素排出に対する負担が重複しないように、化石燃料賦課金との間で必要な調整を行う措置を導入する予定でございます。

 具体的な措置の方法でございますけれども、今後、二〇三三年に向けて有償オークションの実施の詳細設計を検討していく中で、手続の執行可能性の観点も踏まえまして併せて決定をしていきたい、こう思ってございます。

岡野委員 その措置の内容というのは今後検討だけれども、重複排除は行っていくということで確認ができました。

 若干の関連ですけれども、既存エネルギーの関係諸税、揮発油税、石石税、温対税ですとか、制度、省エネ法、温対法、高度化法、FIT制度などによる負担が事業者に、負担と言っていいのか、発生しているわけですが、カーボンプライシングという新たな負担がまた生まれる、この関係性についてどのように捉えているのか。趣旨が重複する制度について、在り方はどうあるべきかというところを伺いたいと思います。

龍崎政府参考人 まず、カーボンプライシングでございますけれども、これは、二十兆円規模の先行投資支援の原資となるだけではなくて、炭素価格の予見性を示すことで企業のGX投資を更に後押しをする、こういう役割を担うものであります。御指摘のような既存制度とは、措置の目的や性質、手法などが異なっていると考えてございます。

 例えばなんですけれども、燃料課税につきましては、燃料使用の量に応じて一律に負担を求めるものである一方、化石燃料賦課金は、これは化石燃料に由来するCO2の量に応じて賦課金として課すものでございます。

 また、本法案の排出量取引は、全量無償割当てでありまして、炭素排出に対して一律の負担を課すものではないということで、事業者の削減努力が一定水準に達しないときに、その未達分について経済的負担を求めるものであるという意味でも、性質が異なると考えてございます。

 それから、省エネ法や温対法につきましては、これは一万二千者にも上る広範な事業者に対して、省エネ法はエネルギーの有効な利用の確保に資するためにエネルギー使用に関する報告を、それから温対法は排出削減を促す観点から排出実績の算定、公表などを、それぞれ求めるものでございます。

 これらと、それから、排出量が多い特定の事業者を対象としていて、市場メカニズムを活用した本法案におけます排出量取引制度との間では、制度目的や手段が必ずしも同一ではない、こう考えてございます。

 他方、るる申し上げましたけれども、こうした法の目的や手段にかかわらず、事業者の事務的な負担が増えることは当然可能な限り回避すべきだ、こう認識してございます。本制度の導入に当たりましては、システム上の工夫、連携などによりまして手続を簡素化するなど、必要な検討を進めてまいりたい、こう思ってございます。

岡野委員 ありがとうございます。

 確かに、そういう答弁を聞くと目的や性質は違うのかなというふうに感じましたけれども、この質問をしたのも、この間、GXの法案のことを見ていると、電力業界は本当に大変だなという思いが募ってこの質疑につながったわけなんです。

 本当に今、御案内のとおり、原材料費は高騰しておりまして、トランプ政権の下でエネルギー情勢が非常に不安定化していて、一方で、DXを推進する社会になってデータセンターも造る、半導体も作るから電力需要は増しますよと言われて、けれどもその電力はクリーンエネルギーでよろしくねと言われて、じゃ再エネができるかといったら洋上風力始めなかなか課題がたくさんあって、原子力の再稼働も容易ではない。日本の電力の安定供給というのが二重三重どころではない課題があるなというふうに感じております。

 そんな中、GXをやっていくのに、電力にまた新しい課題。DXで増えるというのは、決してDXとGXは相反するものではなくて、GXを進める今後は道具になっていくものだと思います。エネルギー使用の最適化とか、物流の効率化とか、生産工程の見える化というので、今後そういった道具に使っていくものではありますけれども、反面、消費電力が増大するというところで、一見、一部矛盾する関係性というものを感じると、このエネルギー需給においてこんなにたくさんの課題に直面している日本において、電力の話なんですが、何とかベストミックスを成立させようとされている現状の日本における発電の在り方というものを、これまでも議論に上がっていますが、改めて伺いたいなと思います。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 DXやGXの進展に伴う電力需要の増加がおっしゃるように見込まれます。この足下の電力需要に対しましては、あらゆる電源を活用して安定供給を確保していく必要がある、このように考えております。

 必要な供給力の確保に向けましては、電力需給の見通しを適切に把握することが重要でありまして、毎年度、電力事業者が提出する供給計画を確認し、必要な供給力を適切に確保していく方針でございます。

 その上で、御指摘のように、今後は脱炭素電源を十分確保できるかどうかが国力を左右するような状況になるというふうに思っておりまして、安定供給とそれから電源の脱炭素化、この両方を同時実現するということに向けて取り組んでいく必要がある、このように認識をしております。

 具体的には、特定の電源や燃料源に過度に依存しないバランスの取れた電源構成を目指す、そういう考え方の下で、再生可能エネルギーにつきましては、地域との共生と国民負担の抑制を図りつつ、主力電源として最大限導入していくとともに、原子力につきましては、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の御理解を得ながら再稼働を進めていく方針でございます。また、火力発電につきましては、引き続き、供給力あるいは再エネの変動を担う調整力として重要な役割も担うため、発電容量を維持するとともに、火力の脱炭素化を進めていく方針でございます。

 さらに、発電事業者の脱炭素投資の促進、これを図らなければいけませんので、長期脱炭素電源オークションなどによる投資予見性の確保ですとか、あるいは、脱炭素投資に向けたファイナンス、これが円滑化をされるような方策、こうしたことも検討することで必要な施策を総合的に進めてまいりたい、このように考えております。

岡野委員 ありがとうございます。

 まさに今おっしゃった電力の安定供給と脱炭素、この二つを両輪で進めていくことが国力を左右する、そういった状況の中で、本当に電力、発電に携わる方はもがきながらやっていらっしゃるなというふうに現場を見れば見るほど私は感じている次第でありまして、前者からGXの推進法は原発再稼働の手段なのではないかというような趣旨の御発言がありましたが、決してそんなものではありませんし、これは悪魔の言い訳でも何でもない、当然私はそのように考えております。原子力発電に携わる方で、誰かを不幸にしようと思ってやっている方は誰一人いらっしゃいません。誇りと使命感を持って、この厳しい状況の中で国民のインフラである電力を安定供給しよう、そういう人たちに対して悪魔という言葉は余りに過ぎた表現だなというふうに考えておりますし、また、そういった努力を阻む制度にならないように注視をしていきたいなというふうに考えている次第です。

 では、カーボンプライシングのコスト、こちらを特定の企業や産業に偏ることなく社会全体で負担していく必要があるものの、今後、原材料の価格が高騰することが予想される中で、一つ心配なのは、その負担が中小にしわ寄せとして来ないかという点であります。今回、我々、下請法も議論をしてきたわけですけれども、これがまた新たな価格転嫁を拒む要因にならないのか、その可能性を考えたときに、中小企業に不当な負担を押しつけることがないようにどういった取組が考えられるのか、伺います。

龍崎政府参考人 排出量取引制度の導入に当たりましては、中小企業に炭素価格に関する負担が不当に押しつけられることがないよう、当然留意をしていく必要がございます。

 現時点でどのような不当な押しつけがあり得るのか、具体的、網羅的に想定することは困難ではありますけれども、例えば、委員御指摘のような、大企業がコスト負担を中小企業に要請をして価格転嫁を拒むようなケースとか、それから、適切な対価を払わずに排出源となる設備を取引先の中小企業に移転する、こうしたケースも想定はし得るということでございます。

 このため、こうした行為が存在することがないよう、政府においては厳格に確認を行うとともに、取引上優位な立場を利用しまして中小企業に不当な負担を押しつけるような取引に対しては、必要に応じて関係省庁とも連携をしまして、政府が一体となって是正にしっかり取り組んでいきたいと思ってございます。

 その上で、ちょっと全て網羅的に事前に想定できませんが、具体的な対応につきましては、個別の事案ごとにしっかりと判断をしまして、しっかりと対応していきたい、こう思ってございます。

岡野委員 ありがとうございます。

 最初、私、これは、そういうことを考えて事前にガイドラインなどをみたいな話を言っていたんですけれども、レクの中で、ここから何が起こるか分からないですからねというのをお聞きして、そうだなと思ったわけなんですけれども、ただ、我々、下請法の議論をする中で、本当に不当に苦しめられてきた中小企業の皆さんの声も実際に見聞きしたわけですから、こういうことが起こったからではなくて、備えよ常にじゃないですけれども、先々まで想定をして対処していかなければならないなと思いまして、こうした質問をいたしました。

 では次に、他国とのルールメイキングについて伺います。

 これも前者からもありましたけれども、EUにおけますCBAMですけれども、本法案の排出量取引、炭素賦課金は炭素価格として認められるのか。これはEUとの今後の交渉次第であると認識しておりますけれども、事業者負担が発生するのであれば、炭素価格として認められるように交渉するべきと考えますが、いかがでしょうか。

龍崎政府参考人 EUは、EU域外からの鉄やアルミなど六つの分野の対象製品を輸入する際に、製造過程におけます炭素排出量に応じて課金するEU―CBAMの導入を決定しておりまして、移行期間を経まして、二〇二六年一月から本格的に実施される予定と認識をしてございます。

 EU域外で義務的に支払われた炭素価格につきましては、輸入品に課される負担額から控除可能とされてございまして、制度の詳細については今後EUから公表される見込みでございます。

 本法律案に基づく化石燃料賦課金や排出量取引で支払われます炭素価格についても、EU―CBAMにおいて適切に扱われますよう、引き続き当局との議論をしっかりと行っていきたい、こう思ってございます。

岡野委員 可能ということで御答弁いただきました。ありがとうございます。

 では、本法案のカーボンプライシングの炭素価格水準、これがどうなるか不透明ではありますけれども、カーボンリーケージ対策として、国内において炭素国境調整措置を導入するという方向性も考えられるのかなと思いますが、そちらの検討状況はいかがでしょうか。

龍崎政府参考人 EUでは、カーボンプライシングの実施に伴う域内産業の域外移転、いわゆるカーボンリーケージや、脱炭素の取組が十分でない国からの安価な輸入品の浸透への対応としましてCBAMの投入が決定された、こう承知をしてございます。

 一般論になってしまいますけれども、CBAMはカーボンリーケージリスクへの対応手段の一つでありますけれども、執行コストの問題、貿易障壁となり得ること、それから、海外から原材料を輸入して国内で生産した製品をまた輸出するときの輸出競争力の維持には必ずしもつながらないんじゃないか、こういった課題があり、またその一方で、こうした措置を講じないと国内での販売を大きく落とすような国産の原材料や製品が存在するのか、こういったことも併せて考えていく必要があると思ってございます。

 本制度におきましては、業種特性を考慮したベンチマークを基礎としまして、排出枠を無償で割り当てることに加えまして、製造拠点の国外移転リスクなどを勘案をして割当て量の調整を行うことなどによりましてカーボンリーケージリスクを低減する方針でございまして、現時点では炭素国境調整措置の導入は予定はしてございません。

岡野委員 御答弁で納得をいたしました。確かにそうだなと思いました。

 では、次のルールメイキングの話でありますけれども、せっかくの取組でありますから、ピンチをチャンスにではないですけれども、これをもって何か反転攻勢に使えないかな、経済成長の契機とできないかなというふうに、これをもって外貨を稼いでいくというのが最大の勝ち筋なのかなというふうに考えるわけなんですが、今のこのお話というのは、やはり、脱炭素マーケットがEU主体となっているわけですけれども、ここから脱して、どれだけ国際的なルールメイキングに日本が携わっていけるかというところが肝要かなというふうに考えるわけです。

 ですので、日本に優位性がある技術が有利になるようなルール作りを先導できれば、ちょっととっぴなあれですけれども、例えば、自動車には水素還元製鉄しか使っちゃ駄目とか、ちょっとそれは難しくても、何かそういうことがあればそこの技術に優位性がある日本が他国よりも早く社会実装ができて頭一個抜けるのかなというふうに思ったりするんですが、そういった、世界において日本が牽引していくようなルール作りについての考えを伺います。

龍崎政府参考人 我が国といたしましても、GX推進を日本企業の競争力強化につなげていくための国際的なルール形成には積極的、能動的に取り組んでいく必要がある、こう認識してございます。

 例えばですけれども、経済産業省では、先ほども少し申し上げましたけれども、企業の社会全体への排出削減への貢献を見える化するための指標であります削減貢献量、これにつきまして、日本発のグローバルスタンダード化に取り組んできてございます。

 また、これに続くものとしまして、CFPのような絶対評価だけでなく、削減実績量といった、相対的な削減分を切り出して可視化することで市場で評価が得られるようにする指標につきましても、国際的な普及を進めてきているところでございます。例えば、鉄鋼を始めとするハード・トゥー・アベート産業がこうした指標を活用することによりまして、グリーンスチールなどの製品、サービスが市場において高く評価され、消費者を含む需要家から適正な対価を得られることで、いち早く実装ができるようになることが期待されます。

 こうした日本発のルールですけれども、これは、我が国と産業構造とか電源構成の似通ったアジアなどに展開をし、確固たるものにしていくことも重要だということであります。我が国が提唱しましたAZECでは、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量の見える化など、脱炭素化の活動を促進するルール形成を進めることで合意しておりまして、こうした枠組みも使いながら、我が国の優れた技術それから企業の取組が正当に評価されて、市場を獲得していけるようなルール形成、そうしたものを着実に進めていきたい、こう思ってございます。

岡野委員 力強い御答弁をありがとうございました。

 AZECの中でというところでありましたが、AZECの参加国の中でも、例えば中国、インド、ベトナム、再エネに向けて非常に活発なところもありますので、その中でどれだけリーダーシップを取っていけるのかというところに期待をしたいと思います。

 時間が近いので最後の質問ですが、では、社会全体でコストを負担するために国民にどのように理解醸成を図っていくかという、これまでも何度も出ている議論であります。

 先ほども田嶋先生から国民運動にしていくべきだというような話がありまして、そのとおりだなというふうに感じています。やはり、高いけれどもおいしい軟らかいお肉とか、目に見える価値には人はお金を払いますし、目に見えなくても、高いけれども無農薬の有機野菜とかだったら健康によさそうだと思って買いますが、高いけれども環境にいいというのがなかなか購買意欲にはつながらないのかなと。これは製鉄業の方とお話をしていて、製鉄が最も購買意欲につながらない分野だろうと現場の方もおっしゃっていて、高いけれども環境にいい鉄なんというのは見た目では全く分からないので、我々としてはアプローチするのが難しいんだという声も聞きました。

 資料の二なんですけれども、ちょっと潰れてほとんど見えませんが、これは連合調べです。温室効果ガス効果があっても高ければとても買わない理由というのは、金銭的な余裕がないからというのが圧倒的に高いというグラフが左側。右側は、どれぐらい高くなるんだったら環境に寄与する商品を買いますかというので、一〇%以上高くてもいいよというのが左側で、一番多いのが、全ての項目で五〇%以上、支出は到底受け入れられないというのが圧倒的に多いということで、この表を見ておりますと、高いけれども環境にいいというものを買うマインドにはまだまだ日本の中ではなっていないのかなというところであります。

 この間、行動経済学の本を読みまして、人は、消費行動には、今、ここ、私の三つで動くというふうに書いてありました。今すぐ利益があって、自分の近いところで、自分自身に利益があるものに消費行動。環境というのは、今ではなくて将来、ここではなくて遠いどこか、自分ではなくて遠くの誰かか死んだ後の子供や孫世代というところで、消費行動の真逆のところにアプローチをしていかなければならないのがこの環境というものだというふうにありました。

 ちょっと一つ意外だったのが、資料三、また反対側のページに戻るんですけれども、私は、環境にいいものを買うというのは若者の中では浸透している感覚なのかなと思ったら、調べによりますと案外逆で、済みません、グラフが潰れて見えにくいんですが、この濃い色というのが環境、献身重視タイプ、環境のために高くても買いましょう、その下が実利、快適さ追求タイプ、自分に利益があるんだったらというところでありまして、若い人ほど環境のために損をしたくない、年配の人ほど環境のためにちょっと一肌脱ごうかという気持ちが強いというようなものが出ていました。我々の時代よりも環境教育も進んでいるのですっかり一般的に常識になっているかと思ったら、案外若い子の中で環境にいいから高くても買うという価値観にはまだまだなっていないんだなということが知ることができたわけです。

 ですので、これは、消費者にとって、自分に利益があると思わせるか、あるいはほかの人に対して自分の印象、それも利益ですけれども、よく見せることができるとか、そういうところにアプローチが必要なんだなと思っておりまして、先日、ラベルレスのペットボトルの広告を見たときに、環境のことを一切書いていないんですよね。剥がす手間が省けます、捨てるときに便利ですしか書いていない。環境にいいとかごみが削減なんてことは一切触れていなくて、あなたへの利便性というところだけを書いていて、それもこれに類似する話なのかなというふうに感じました。ちょっと……

宮崎委員長 岡野君、時間が経過していますから、まとめてください。

岡野委員 していますね。済みません。失礼いたしました。語り過ぎてしまいました。

 それで、これをどのように進めていくのかということで、今まで様々御答弁の中にもありました、デコ活を始めとする取組もありましたけれども、もっといろいろと、変化球も含めて様々な取組が必要じゃないかと思いますが、その点への取組や認識をお伺いします。

宮崎委員長 それでは、龍崎実行推進室次長、簡潔に。

龍崎政府参考人 国民理解醸成に関するお尋ねでございますけれども、我が国のGX実現のために、先行投資支援策を講じて、百五十兆円を超えるGX投資を官民協調で実施していきます。これにより、化石燃料への依存度低減、産業競争力の強化が実現されていけば、事業者だけでなく、将来の雇用や所得の維持拡大を含め、広く国民に恩恵が及ぶことになるということでございます。

 それから、カーボンプライシングの導入に当たりましては、エネルギーに係る負担が中長期的に減少する範囲内で導入していくことで事業者、国民の負担が過度にならないように配慮していくということでございますが、こうした考え方につきましては、これまでのところ、GX二〇四〇ビジョンの策定に当たりまして全国的にも説明会を開催をしまして、国民の方々に直接御説明をさせていただいてございます。

 今後も丁寧な説明、理解醸成が必要であることはもう御指摘のとおりでございますので、効果的な広報手段を検討して、様々な説明の機会を活用しながら、更なる理解の浸透を図ってまいりたいと思ってございます。

宮崎委員長 岡野君、もう終わりにしてください。

岡野委員 時間超過、失礼いたしました。

 終わります。

宮崎委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

宮崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。佐原若子君。

佐原委員 れいわ新選組、佐原若子です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今日はお昼に「賛否両論」というお弁当をいただきまして、まさしく、GX法案、賛否両論と思いまして、これは何か示唆的だなと思いまして、ありがとうございます。おいしかったです。

 今年、私は、ゴールデンウィークに弘前に帰ってまいりました。そして、本当に豪雪で、リンゴの木の枝が長いんですけれども、雪の重みで、幹が生木が裂けるようにわっとなって割れているとか、惨たんたる状態なんですよ。今年はリンゴの収量は最悪になるだろうというふうに言われています。

 その豪雪というのは、農水委のときも言ったんですけれども、海の海水温が上がっているというのが一つの問題なんだそうです、蒸気として上がっていって。

 武藤大臣、お風呂の温度は何度ぐらいでお入りに。

武藤国務大臣 適温ですね。体温よりちょっと若干高めの方がよろしいかと思います。(佐原委員「ああ、なるほど、四十二、三度」と呼ぶ)いや、そこまで行かないです。

佐原委員 ぬるめがお好きとお見受けいたしましたが。

 これは雑談ではなくて、本当は。

 百万キロワットの原発を動かすときに、二百万キロワットのエネルギーを海に捨てているんですね。一秒間に七十トンの海水を七度C上昇させて海に排出しているんですよ。

 なので、これは通告なしなんですけれども、済みません、雑談です。

 それで、そのことで、大臣の適温に七度C上げたらどうでしょうか。かなりな衝撃ではないでしょうか。ヒートショックとか、そういうこともあるしと思いますね。肉体に対しても、七度C上げるということは大変なことだと思うんですよ。

 日本近海は海産物の宝庫であります。日本海の温度上昇は非常に高いということが言われています。そして、その温められた海水に溶け込んだ二酸化炭素がそこからお空に向かっていくわけですね。なので、いつも申し訳ないんですけれども、原発からCO2が出ないというのは、発電時はということで、そのほかのときにはそれなりのCO2を出すということの御認識をいただきたいなと思いまして、こんなお話をいたしました。ずるいですよね、済みません。

 では、GX推進機構についてお尋ねいたします。

 GX推進機構が創設された翌月、二〇二四年八月九日公表されたGX推進機構に関する日本総研の分析では、経産大臣あるいは理事長の許認可で業務は遂行されるが、資金の使途、検証の不十分さ、ガバナンスへの疑問など問題は多いという指摘がなされています。ここで問題として挙げられた資金の使途、検証体制と過程、方法、ガバナンス対策について御説明をいただけますでしょうか。お願いいたします。

武藤国務大臣 御質問いただきました。

 リンゴが今年よく実るように祈っておりますので。

 御指摘のレポートでありますけれども、昨年の七月にGX推進機構が業務を開始しました直後に出されたものであります。その後、機構のガバナンス体制について、レポートで御指摘を受けた点も含めて着実に整ってきているものと認識をしているところであります。

 GX推進機構の資金の使途の明確化については、昨年の八月にGX推進機構が金融支援業務を行う際に従うべき基準というものを定めました。政府方針に整合すること、民間が取り切れないリスクを補完するものであること等を規定したところであります。また、本基準に従いまして支援が行われているか、毎年、活動報告というものを公表していくことになります。

 外部検証を含めたガバナンスの強化につきましては、四半期に一回、外部有識者が過半数を占める運営委員会を開催をし、そして機構の運営を監督しているところであります。

 中長期的な損失の回避につきましては、支援案件について、一定規模以下のものを除き、経済産業大臣のチェックを都度受けることが法律上定められておりますけれども、それに加えて、政府として、支援基準の遵守状況等について随時監査を行うこととしているところです。

 こうした取組を通じながら、GX推進機構のガバナンス、また透明性を確保してまいりたいというふうに思っております。

佐原委員 ありがとうございました。分かりました。

 次に、二〇二六年に開始予定の排出量取引における排出量の割当ては、基本的にベンチマーク方式、そして、ベンチマークの設定が難しい分野の事業者に対してはグランドファザリング方式を適用するとしています。グランドファザリング方式は実績ベースなので、実際、無制限ということになりませんか。お伺いいたします。

龍崎政府参考人 お答え申し上げます。

 グランドファザリング方式は、基準となる年度の排出量に一定の削減率を乗じて割当て量を決定するものであります。企業の排出実績を算定の基礎といたしますけれども、削減率を乗じることで年々削減を求めていくものでありまして、諸外国でも排出削減の一つの手法として用いられておりまして、割当てが無制限になるとか削減が進まないということではないと思ってございます。

 加えて、この基準となる排出量については、制度開始直前の三か年度の平均値を用いることを想定してございまして、基準となる排出量を企業が恣意的に過大なもの、有利なものに操作することはできない、困難であるということから、その意味でも無制限の割当てが生じるものではございません。

 その上でですけれども、具体的な削減率につきましては、産業構造審議会の意見も聞いて決定することとしておりまして、ここには、環境経済学とか産業政策、それから金融分野などの技術的、専門的な知見も議論に反映させていきたいと思ってございます。

 我が国の排出削減、それから経済成長の両立に実効的な制度となるように、今後、制度設計の詳細についてしっかりと検討を深めていきたいと思ってございます。

佐原委員 ありがとうございました。

 次に、分野ごとのベンチマーク式の場合、各分野からロビー活動はありませんか。

龍崎政府参考人 ベンチマーク方式でございますけれども、業種ごとに各社の排出原単位を比較しまして目指すべき水準を定めることで、同一業種内で業種特性に応じた取組を促すものでございます。

 まず、事業所管省庁におきまして、ベンチマーク対象となる事業活動を特定いたしますけれども、その上で、ベンチマークの水準、つまり、制度開始から何年目には、各業界内の上位何%の排出原単位の水準で各社に割り当てる、こういったことにつきましては、これは、業種を超えて、各業種共通のものとして設定することとしてございます。

 つまり、業種により、取り組むべき技術的課題、解決できるまでの時間軸、それから置かれた競争環境などの業種特性、これは異なりますので、各社をまずは同一業種内で相対的に位置づけますけれども、その上で、達成すべき水準につきましては、異なる業種間でもその難度が公平になるように検討していきたい、こう思ってございます。

 さらに、こうした水準の決定は、先ほども御説明したとおり、恣意性を排除し透明性を確保して行う必要があること、また、各業種の特性を客観的に確認しつつ、脱炭素技術の導入状況、足下の競争力に与える影響など、これらにつきましては総合的、横断的に勘案して決定する必要があることなどから、産業構造審議会で専門的知見を持つ有識者の意見を丁寧に聞いた上で決定をしていきたいと思ってございます。

 こうした取組を通じまして、産業界とは丁寧に議論をしつつも、特定の業種や事業者の働きかけ、ロビー活動などで制度の実施が影響を受けることがないよう、公平性、透明性を担保した形で進めてまいりたいと思ってございます。

佐原委員 ありがとうございました。

 透明性を確保するということで、よろしくお願いいたします。

 次に、どの分野がグランドファザリング方式か、明確になっていますか。

龍崎政府参考人 排出枠の割当てにつきましては、業種別のベンチマークに基づいて割当て量を決定することを基本としてございますけれども、ベンチマークの対象事業活動は、当該事業を所管する省庁において指定していくことが先ほども申し上げたとおり法律上規定されておりまして、基本的に、事業者への影響が大きく、業種特性を考慮する必要性の高い、排出量の多い業種などを中心に採用する方針でございます。

 このベンチマークの策定に当たりましては、先ほども御説明したとおり、複数社の生産プロセスを客観的、相対的に比較した上で目指すべき水準を決定することが必要でございますので、例えばですけれども、ある業種に属する事業者数が限定的であるような場合、それから、ある社が同一設備で他業種の製品を同時に生産している場合、こうした場合におきましては、業種内の各社の生産プロセスを公平に比較することが難しいということになりますので、ベンチマークの策定が技術的に困難になります。したがいまして、こうしたケースではグランドファザリング方式を採用することが想定されるということでございます。

 その上で、これらの方式の詳細設計及びどの業種を対象にするかにつきましては、今後、所管省庁において有識者や産業界とも丁寧に議論した上で産業構造審議会の意見も聞きつつ決定をしてまいりたい、こう思ってございます。

佐原委員 ありがとうございました。

 前回の審議で、大企業の脱炭素の取組が中小企業にも波及することを想定しているという議論があったと記憶しております。

 先ほど田嶋先生もおっしゃっていたクリーニング屋さんの排熱とかそういったことに対して、日本の企業は九七%以上が中小零細企業です。そういった人たちが、中小企業が排出削減に取り組むためには、負担も増えることになります。中小企業への省エネ支援も必要と考えますが、中小企業に対する省エネの財政支援はありますか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘いただきましたとおり、省エネは、エネルギー危機に強い経済社会構造への転換を進めていくため重要な取組でございまして、GXの実現に向けて、特に中小企業にとりましては、その第一歩の取組は省エネであると認識してございます。

 そのため、政府としまして、中小企業も含めた企業向けの省エネ支援を強力に進めているところでございます。

 具体的には、令和六年度補正、令和七年度当初予算におきまして、事業者の省エネ設備への更新や中小企業に専門家が助言する省エネ診断への支援に、新規採択分の予算として約六百四十億円を計上しているところでございます。

 特に今回の支援策に当たりまして、省エネ設備への更新支援において、中小企業向けに求める省エネ率の要件を見直すなど、中小企業にとっての使い勝手を改善させていただいているほか、省エネ診断の支援におきまして、測定機器によって設備、プロセスごとのエネルギー使用状況を見える化し省エネの提案を行う、いわゆるIT診断の支援メニューを追加したところでございます。また、支援策を通じた省エネの好事例の横展開を図っていただけるよう事例集を作成しまして、広く公表、周知を行っているところでございます。

 こうした取組もしっかり活用しながら、中小企業を始めとする事業者の徹底した省エネを促進してまいりたいと存じます。

佐原委員 ありがとうございました。

 省エネを重要視しているという点が分かりました。

 企業への支援のほか、住宅やそのほかの様々な支援を考えていらっしゃいますか。

伊藤政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる中小企業向けの支援以外に、徹底した省エネを進めるため、国土交通省また環境省とも連携をいたしまして、住宅の省エネ支援を強力に進めているところでございます。

 具体的には、令和六年度補正、令和七年度当初予算におきまして、ゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEH水準の省エネ性能を有する住宅の新築への支援を行うとともに、高効率給湯器の導入、また断熱窓への改修等の支援を行っているところでございます。また加えて、今回から、ZEH水準を大きく上回る省エネ性能を有する住宅への支援も新たに措置をいたしました。

 これら支援策の合計の予算規模といたしまして、前年の令和五年度補正、令和六年度当初におきましては約四千六百億円、今回の令和六年度補正、令和七年度当初におきましては約四千五百億円の予算を計上しているところでございまして、同規模の支援をしっかり継続しているところでございます。

 加えまして、住宅以外の支援としまして、省エネの技術開発また社会実装に向けた支援策を講じているほか、運輸部門におけるトラック輸送の省エネ化推進事業などにも取り組んでいるところでございます。

 こうした取組も活用しながら、引き続き、各部門における徹底した省エネの取組をしっかりと推進してまいりたいと存じます。

佐原委員 ありがとうございました。

 いろいろな分野に省エネの政策を進めているということが分かりました。ありがとうございます。

 私は、議員になって初めてここで質問させていただいたときに、経産のホームページのミッション・ビジョン・バリューズというもののお話をさせていただきました。すばらしい信念に燃えている若者がいる、私は本当にうれしくなりました。

 かつて、二十年ほど前ですが、経産省の中堅の官僚たちが十九兆円の請求書というものを出したことがございました。それには、結局その当時十九兆円もかかっていた再処理事業、核燃料サイクル事業が無駄である、税金の無駄である、国民に税金を返せみたいな、そういうすばらしいレポートを出したんですね。私はずっと、もう四十年以上核燃の裁判に携わっているので、わあすごいな、こういう人たちもいるんだ、この人たちは侍だなと思ったんですよ。結局、自分のキャリアを懸けて、なげうって、こういう発表をしたんだよなと。でも、NHKも取り上げてはくれませんでしたね。だけれども、私は、そのミッション・バリューズを見たときに、本当は経産省の方々も、いろいろ心の底には思っていることがたくさんあると思うんですね。

 私は、先ほど議員の方が悪魔と呼ぶのは失礼だというふうにおっしゃっていたので、もしそのように捉えたのであれば、私の不徳の致すところでございまして、申し訳ございませんでした。決して悪魔は人間ではありませんから、悪魔のささやきは聞くことはできるかもしれませんが、悪魔ではありません。日々、日本のためを思って、みんな同じだと思うんですね、日本がこれから先どうやっていくのかということを考えて、いろいろ携わっているんだと思うんですよ。

 でも、今、分岐点にあると思うんですよ。原発を推進していって、それをGX法案の中に組み込んでいく未来を取るのか、あるいは、原発ではなくて、本当に再エネとそれから省エネ技術の推進に向かって、企業の、ジャパン・アズ・ナンバーワンを目指すのか、そういう時代の岐路に今立っていると思うんですよ。その分岐点において、私は、いろいろなお考えがある、頭脳明晰な若者たちの意見を聞きたいし、発表してほしいと思うんですよ。

 そういったときに、でも、前回の二十年前の霞が関の英雄六人は守られなかったと思うんですよ。そのとき、私たちは国民の負託を受けて議員になっているわけですから、そういうことがあったら守らなければいけないと思うんです。そういう態勢が私たちにはなかった。だから、今私たちはそういった態勢をもう一度考え直して、私たちが守っていかなければならない、私たちも議員の立場を懸けてやらなければならない。なぜなら、国民の未来のためだからです。この後に続く小さな子供たち、子供たちには今エネルギー政策を選ぶ資格は、権利もございません。なので、私たちがそれをしていかなければならないと思うんですね。

 ですから、ミッション・バリューズを私は見たときに、そうだよなと。私は、何というんですか、この人たちは侍だなと思ったんですよ。日本の中のすばらしいものを見つけていくんだ、それを糧にして前に進んでいくんだと。この日本を愛しているからこその言葉だし、ホームページに載っけた意気込みだったと思うんですね。

 ですから、私は、このGX法案に、GX自体に反対しているわけではないんですよ。すばらしいことだし、それは世界に向けても国民に対してもやっていかなければならないことだし、遅過ぎたぐらいのことだと思うんですね。

 だけれども、それにまた原発を入れていく、ねじ込んでいくという気が私はするんですよ。そこにやはり不安を覚えるんです。決して悪魔ではありません。そうなんですよ。ただ、本当にこの日本の国を考えたときにどっちの道に行くのか、そういって思うときに、この法案自体を通してしまうことの怖さを私はひしひしと感じているんです。その未来が予測できるから。バックエンドのことも解決していない。残されたものがいっぱいあります。

 だから、私たちは真摯に、本当にこの国の未来を考えて、議員の皆様も考えていただきたいんですよ。まず、まあ党のことは大事かもしれません、でも、個人として、どうしていきたいのか、この国はどうあるべきかということを考えたときに、今まだ甲状腺がんなどで苦しんでいる子供たちもいっぱいいらっしゃいます。それが認められなかったり医療的な支援も遅れていったり、そういうこともございます。私たちがしてしまったこと、そういったことを考えていくときに、やはり原発というのは避けるべきものではないのだろうかと思うんですよ。

 ですから、GX法案、すばらしい取組ですが、どうか、この原発ということから離れて、本当の意味で、再エネ、省エネといった技術革新、イノベーション、そういったものを考えてほしい。そうしたら、もっとこの国はすばらしい国になるんじゃないかなと思うんです。

 以上、たくさん思いのたけを話してしまって、質問ではございませんでしたが、また、通告にないお風呂の温度なんか聞いちゃったりしてごめんなさい。

 今日は本当にありがとうございました。

宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 日本共産党でございます。

 まず、本題に入る前に、大阪・関西万博について冒頭聞きたいと思います。皆さん、期待されておられるようなのでね。(発言する者あり)大丈夫ですか。そうですか。

 まず、大臣、この間何度も、我が党の機関紙であるしんぶん赤旗が、当初は記者証が発行されないというところから、過去の様々な事例ということで、あるいは実績、それも踏まえて検討ということで、ワンデーパスが発行されるということになり、ただ、そのワンデーというのも、それはおかしいじゃないか、排除じゃないかという議論もこの間何度かさせていただいた結果、実績あるいは取材の期間等を出していただければ検討しますということを、前回の当委員会で経産省の方から答弁をいただきました。

 ちょうど月曜日に、我が党の機関紙、赤旗の方からは、求められた資料は全て出したということになっております。

 大臣、通期証、AD証ですね、これを発行という流れでよろしいか、確認したいと思います。

武藤国務大臣 今日が水曜日ですね。事務方を通じて博覧会協会に確認したところ、同協会において、しんぶん赤旗に対し通期パスを出す方向で作業を進めているとの報告を受けているところであります。

辰巳委員 ようやくでございます。これで、心置きなく万博の表から裏まで取材ができるのかなというふうに思っておりますので、様々な問題があればきちっと報道するというのがジャーナリズムの使命だというふうに思っておりますので、引き続きこの点で奮闘をしていきたいというふうに思っております。

 それと、もう一点だけ。赤旗はということですけれども、当然フリーランスも含めてきちっと、規則にのっとった形ではありますけれども、取材、通期証を含めて発行していただきたいということも申し添えておきたいというふうに思います。

 さて、GX推進法について聞いていきたいと思うんですが、産業構造審議会の意見聴取規定についてまず確認をしたいと思うんですね。

 大臣は、排出枠の割当てに関する実施指針を定めて、その際に、事業所管大臣、環境大臣との協議とともに、産構審の意見聴取、これが定められているわけですね。産構審、実際にはその下に置かれる分科会や小委員会などで議論することになると思うんですけれども、このメンバーの選定について確認をしたいと思うんですね。

 この間、エネルギー基本計画の改定の際、審議会とかあるいは調査会、分科会、この委員の構成をめぐって、化石燃料や原子力を重視する一部の産業界、電力業界に偏った審議会ではないかなどとして、市民参加の機会がほとんどないんだと市民団体から様々な指摘がされてきました。あるいは、メンバーは原発推進派ばかりというような疑問を呈する報道もあったかと思います。

 大臣、この産構審のメンバー選定において、産業界や電力業界に偏らない構成にしていくことと、市民の参加、とりわけ、やはり気候危機の問題ですから若者の参加、これも含めて進めていくという考えはあるかどうかを確認したいと思います。

武藤国務大臣 今おっしゃっていただいたようなエネルギーの調査会の基本政策分科会では、いろいろな御意見があったということも承知をしているところです。

 その中で、今回、産構審のメンバーについてのお尋ねでございますけれども、今回の法案では、排出枠の割当ての具体的方法ですとか上下限価格、今日もいろいろ議論をいただいていますけれども、これを経済産業大臣が定める際に産業構造審議会の意見を聞くことを求めているところであります。

 これらの事項を議論するに当たりましては、諸外国における制度の導入事例等を参考としつつ、脱炭素化に向けた企業の投資行動にまさに与える影響ですとか産業、国民生活への影響等、これを見極めながら検討することが必要であって、このため、委員には極めて専門的で技術的な知見が求められることとなるという中で、例えば環境経済学ですとか産業政策、金融分野における専門的な知見を持つ有識者等を選出することが極めて重要であるというふうに認識をしているところであります。

 その上で、委員おっしゃられるように、これはさっきのエネルギーの分科会もそうだったんですけれども、パブリックコメントの実施による様々な意見の取り込みですとか、産構審の検討過程における様々な立場の団体へのヒアリングの実施などを行い、市民の方々とか若い世代の方はもちろんですけれども、幅広い人々の意見を参考にしながら制度の詳細を決定していくことになるんだろうというふうに思っております。

辰巳委員 大臣、それでは不十分なんです、それでは不十分なんですよ。パブコメ、ヒアリングではなくて、産構審のメンバーに若者あるいは市民の方を入れるということを、これは気候危機の問題なんですから、やはり若者、市民団体ですよ。それは、専門的な話もする、必要ですよ。だけれども、それだけでやられるんじゃなくて、この産構審のメンバーあるいは分科会のメンバーに市民、若者世代、これをやはり検討してください。もう一度答弁をお願いします。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しにはなってしまいますけれども、やはりこの議論においては専門的、技術的な知見がどうしても必要でございます。

 一方で、若い方々を含めた様々な意見、市民の方々の意見、こういったことを取り入れることもすごく大事だと思っておりまして、そういう意味で、その審議会の場にきちっとお呼びをして、それで、そこで意見交換をし、議論を重ねてきたというのが、エネルギー基本計画を作ったときのそういう経緯でございまして、その意味では、同様に、どれぐらいの頻度でやるのかとか、そういったことというのはいろいろあり得ると思いますけれども、しっかりと、若い方々を含めた広い方々の御意見を頂戴しながら検討を進めていきたい、このように考えております。

辰巳委員 まさに語るに落ちるとはこのことで、エネルギー基本計画の中身が、これはおかしいぞ、原発推進に偏っているぞということで、市民参加をしてくれということが意見として出ているわけですよ。エネルギー基本計画のやり方と同じように、ヒアリングはします、メンバーには入れませんという話を今されたわけで、それじゃ駄目だから今のこの提案をしているわけです。

 大臣、やはり政策決定の在り方、変えていきましょうよ。若者参加、これは審議会のメンバー、市民団体を含めて検討するということを答弁いただきたい。

武藤国務大臣 今のお話もございましたように、いわゆる専門的な知見というものが要る会合になるんだと思います。これは様々に官邸でもいろいろな有識者会議等々をやっていますけれども、ここに、今おっしゃられるように、一般の方々を広く応募しながら入れていただいて協議を進めるというのは、私は、国民の多様性というのは十分認める中で、正直言って、意思決定機関の一つとしてそれをやるのは大変厳しいものかというのが正直な気持ちであります。

 今後いろいろ検討しますけれども、是非、委員のおっしゃられるような、パブコメの中でそういう広く多くの方の御意見を賜るような形で調整をしていきたいなというふうに思っています。

辰巳委員 パブコメがどうこういうことではないですけれども、やはりメンバー、別に若者が専門的じゃないという話はちょっと違うと思うんですよ。それは、このことを専門にしている市民団体、その中で働いている若者は幾らでもいるわけですから。そういうことも含めて検討するということを少しおっしゃったので、これは是非検討をしていただきたいと思うんですね。

 次に、二〇二八年度から導入することとしている化石燃料賦課金の減額規定について確認をしていきたいと思います。

 まず、この化石燃料賦課金の目的を述べていただけますか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 今、化石燃料賦課金の目的とおっしゃいましたけれども、減額の目的でいらっしゃいますでしょうか。(辰巳委員「いや、そもそもの目的と、減額も言っていただいて結構です」と呼ぶ)失礼いたしました。

 化石燃料賦課金は、前回、二年前、このGX推進法案で、成長志向型カーボンプライシング、十年間二十兆円の政策支援によって官民でGX投資を百五十兆円引き出すということを支援と制度面でやるということでございまして、この支援をする一方で、これはGX経済移行債という財源つきの国債を発行してその財源といたしますので、二〇五〇年までにこれを返す、そういうことにいたしました。その返すためにカーボンプライシングを徐々に入れていくということにいたしまして、その一つが化石燃料賦課金でございます。

 これは、化石燃料の輸入事業者等にCO2の排出量に応じた形でかかる格好になってございまして、これを二〇二八年度から導入するということが法定をされておりまして、今回の法律案におきましては、その詳細規定を決めているところでございます。その中の一つに減額規定というものがございます。

 この化石燃料賦課金の導入に当たりましては、エネルギーに係る負担に伴う我が国経済への影響、特に国際競争を行う業種が製造拠点を海外移転させるリスクを踏まえる必要がある、このように考えております。

 また、代替技術がない分野に対して一律のカーボンプライシングを課しても、効果的な対策を取ることができず、技術開発への投資余力をそぐことや、仮に生産拠点を他国に移転するとなると、それはカーボンリーケージのことですけれども、そうしますと、世界全体での排出削減につながらないおそれもある、このように考えております。

 類似の制度であります、先ほど言及しました石油石炭税では、こうした視点を踏まえた上で減額の措置が講じられているところでございます。

 また、制度対象者の事務負担軽減ですとか、あるいは必要な事務を担う執行関係事業者の執行可能性の観点も踏まえつつ、化石燃料賦課金の減免につきましては、地球温暖化対策税の部分を含め、石油石炭税と同一の扱いを講ずべく、詳細な制度設計を更に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

辰巳委員 今ありましたように、石油石炭税の規定とそろえるという話なんですね。この石油石炭税というのは減額、減免もあるんですが、これは対象は法律で決まっておりますが、化石燃料のこの賦課金は、本法案では具体的な定めはなくて、政令委任というふうになっておりますので、私は、やはり経産省の裁量で甘くなっていく、この懸念が拭えないと思っております。

 そもそもなんですが、我が国の産業活動に与える影響というお話も少し出ましたけれども、そういうことを考慮していて、本当に、二〇三〇年までの国際公約、CO2の削減ですね、これと整合するだけの化石燃料の利用が減らせるのかということなんですよ。CO2削減のためには、私は、減免規定は要らぬのとちゃうかと思うんですけれども、いかがですか。

畠山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国は、経済成長と両立する形で排出削減に向けた取組を進めていくということにしたいと思っております。

 この点、先ほど申し上げましたように、代替技術が存在しないなどの事情がある場合に、その化石燃料の利用に化石燃料賦課金の負荷を課すことはカーボンリーケージを生じさせる懸念があることから、こうした政策目的を達成できないと思っております。なお、このような配慮は諸外国でも行われているものと承知しております。

 加えまして、こうした減免措置を講じたとしても、我が国における化石燃料利用に伴う二酸化炭素排出の大半は引き続き化石燃料賦課金の適用対象となることから、幅広い主体にGXに向けた行動変容を促すことができる制度である、このように考えております。

 また、こうした必要な減免措置を実施し、事業者に過度に負担を課さないよう配慮することで、むしろ、脱炭素のための大胆な投資を可能とし、排出削減を進めていくことが可能だ、このように考えているところでございます。

辰巳委員 いや、私は、結局、ありましたように、経済成長と脱炭素との両立、これがGXの基本になるわけなんですけれども、これの看板の下で、CO2の大量排出がやめられない一部の大企業への配慮ばかりが突出をして、気候危機対策が正面に据えられていかないんじゃないか、こう言わざるを得ないと思うんですね。

 持続可能な脱炭素社会実現を目指す企業グループで、リコーや住友信託銀行、武田薬品、大和ハウスなど二百二十九社が参加する日本気候リーダーズ・パートナーシップは、去年七月に出した提言でこう言っているんですね。一・五度目標に整合した目標設定を求めて、定めて、官民が中長期的な見通しを共有することで、企業は確信を持って取組を進めることができるんだと。本当に、経団連に加盟しているような企業ですら、ちゃんと目標を定めてやってくれという要望をしているんですよね。それでなければ世界で日本が戦えないよ、こういう提言もあるということ。

 二〇三〇年の目標達成のために、我が党は、制度設計の抜本的な見直しをここでも求めておきたいというふうに思います。

 さて、先ほど来、カーボンリーケージという話がありましたので、ちょっとこの点について確認をしたいと思うんですね。

 要するに、カーボンリーケージというのは、CO2をがばがば出している国に、企業が日本の国からそちらに移転をされては、結局、世界に必要なCO2の削減が全体としてはできない、こういう話なんですよね。であるならば、問われなければならないのは、アメリカからのLNGの輸入拡大だと私は思うんですね。

 アメリカのトランプ政権は、今年の一月、パリ協定の離脱を表明いたしました。翌月、二月に行われた日米首脳会談で、石破首相はこのことに対して何らの批判も行いませんでした。反対に、共同声明で、米国の低廉で信頼できるエネルギー及び天然資源を解き放ち、双方に利のある形で、アメリカから日本への液化天然ガス輸出を増加することにより、エネルギー安全保障を強化すると、アメリカからLNGを新たに購入する約束を行いました。

 大臣、パリ協定離脱という形で気候危機打開の国際的取組に背を向けたトランプ大統領に、LNG購入という形であからさまに協力する姿勢は、国際社会の厳しい批判を免れないと思うんですけれども、いかがですか。

武藤国務大臣 共同声明には、両国それぞれが認められた場合というのがたしかあった、LNGの関係だったと思いますけれども。

 今委員の御指摘の、このGXを推進する中で、LNGというのは、安定供給を確保しつつ、現実的なトランジションを進めることが極めて重要だというのが私どもの認識であります。LNGは、化石燃料の中で温室効果ガスの排出が最も少なく、再エネの調整電源の中心的な役割を果たしながら、カーボンニュートラル実現後も重要なエネルギー源と認識をしているところです。

 米国における環境関連の許認可等を適切に取得し、生産されたLNGを活用してトランジションを図っていくことは、日本の二〇五〇年カーボンニュートラル実現の道筋ですとかパリ協定の考え方を踏まえたものであって、国際的な理解を得られないとは考えていないところであります。

辰巳委員 ちょっとよく分からない答弁なんですけれどもね。LNGの多角化という話もちょっと出ましたけれども、それは多角化するんだと。今、日本のLNGの輸入元の第一はオーストラリア、豪州であります。

 経産省、ちょっと確認しますけれども、このオーストラリアと米国では、排出量取引を含めた環境規制はどちらが厳しいんですか。

和久田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、LNGに関連する環境規制でございますけれども、一概にその規制の強度を比較することは困難であり、各国政府や各地方政府がそれぞれの国や地域の環境特性を踏まえて、必要な規制を行っていると認識をしてございます。

 その上で、アメリカにおけるLNG生産設備の開発につきましては、これは、まず、連邦政府が定める国家環境政策法それから天然ガス法に基づきまして、エネルギー規制委員会から、建設、操業が周辺環境に与える影響や影響緩和可能な措置等について評価を受けまして、環境許認可を取得する必要があり、適切な環境審査の下で生産が行われていると認識をしてございます。

 一方、豪州でございますけれども、連邦政府及び州政府がそれぞれ定める環境規制がございます。それらに基づきまして、温室効果ガスの排出、それから生態系、先住民の海洋資産への影響等の観点で審査を受けた上で、環境許認可を取得する必要があると認識をしてございます。また、改正セーフガードメカニズム法がございまして、ガス田やLNG生産設備からの温室効果ガスの排出量の上限が厳しく設定をされまして、その上限も年次で低減するという排出量の規制制度が導入されていると承知をしてございます。

辰巳委員 はっきり、どちらが厳しいのかという答弁はなかったわけですけれどもね。そやけど、パリ協定を離脱したアメリカと今申し上げたような豪州、経産省は、豪州からLNGを一番輸入しているわけで、その下で、様々な政権が交代する中で、厳しくなっている、厳しくなっているということはもうずっと言うてはるわけですから、これはもうはっきりしていると思うんですよ。

 オーストラリアは、排出量取引制度も二〇二三年に改正されておりまして、CO2の排出上限、今少し紹介がありましたけれども、キャップも設定をされておるわけですね。どっちが厳しいのかというたら、それはオーストラリアに決まっているわけですよ。誰が考えてもそうなんですね。

 国内の法整備の下でちゃんとやりますというのは、それは当たり前の話であって、今、石破政権が約束しているのは、このアメリカからようさんLNGを購入しようじゃないかということだと思うんですよね。

 これは、やはり輸出拡大、トランプ関税が話題になって以降、結局、米側が求める日本の貿易黒字削減に向けてどのような具体策を打ち出すかが焦点なんだ、対米黒字の圧縮に直結するLNGの輸出拡大は日本にとって有効な交渉カードになり得るんだ、こういう報道もあるわけですよね。

 大臣、これは、やはり産業界からのコスト面の懸念、アメリカからのLNG、アラスカですよね、いろいろ産業界からも、これはコストが高くなるんちゃうかという懸念も出されております。もちろんCO2の削減にも逆行しかねない、米国からのLNGの輸入拡大を関税交渉のカードにするのはやめるべきやと思うんですけれども、いかがですか。

武藤国務大臣 米国LNGに対して今お話がございましたけれども、その具体的な検討内容とか、米国とこれから、どのような議論を行っているのかについては、今日もどなたかの委員の御質問に答えましたけれども、やはり外交上のやり取りですので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。引き続いて、あらゆる選択肢の中で、何が日本の国益に資するのか、何が最も効果的なのかを考えながら取り組んでいくんだろうと思っております。

 米国のLNG、これも、今おっしゃっていただいたように、アラスカだけじゃなくて、今、南側、いわゆるメキシコ湾と、旧姓、言っています、トランプ大統領はアメリカ湾と言い出していますけれども、そういう形の中で今、現在も開発が進んでいるものもありますし、日本のトランジションの中で、大変、このLNGの調整というものも考えながら、考慮していかなきゃいけないところかなというふうに思います。

辰巳委員 世界的なCO2削減に逆行するということは申し上げておきたいというふうに思います。

 もう一点、LNGの調達に関わって確認をしたいと思います。

 今日資料につけました、経産省が人材確保、学生向け採用のために作成をしたユーチューブ動画が本年三月六日に公開されました。

 これは私、見たんですけれども、十分ぐらいのドラマ仕立てのものなんですが、これは、LNGの調達をテーマに、法案を次期通常国会へと言いながら、経産省職員が法案を練り上げていくというドラマなんですね。そうすると、上司から、この法案は機構がやるべき範囲を超えている、民間のやることやと異論が出されてしまって、頓挫をしてしまうんですね、一旦は。しかし、その後、先輩から、改正する法律を変えたらどうか、経済安保の文脈で再チャレンジしたらどうかなどとアドバイスをもらって、法案提出することができたというストーリーなんですね。これが今資料につけていますけれども。

 確認しますけれども、この再現ドラマの内容、省内のやり取り、これは事実に基づいたものなのか、まずこれだけ確認します。

片岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、実際の政策を立案、実施していく過程におきましては、当省の中のみならず、国会議員の皆様方、様々な利害関係者の方々との議論、調整を重ねて進めていくものであることを認識してございます。

 その上で、議員御指摘の採用広報動画、これにつきましては、実際に取り組んだ当省職員へのインタビューなどに基づきまして、経済産業省の仕事の内容あるいは組織文化、これを分かりやすく経産省を目指す方々に御理解いただくために発信したものでございます。

辰巳委員 大体事実なんですよね。

 実際、二〇二二年の通常国会で提出、成立した経済安保推進法の附則でJOGMEC法の改正も盛り込まれて、再現ドラマで取り上げられている制度、戦略的余剰LNG、これが創設をされているんですよ。

 大臣、経済安保というものそのものの是非は取りあえずおいておいたとしてもですよ、経済安保という看板につけ替えたら、中身は一緒でも法案は通りますと。これはやはり、こういうものを学生向けの、新卒の採用のPR動画にする、私はちょっと軽過ぎるんちゃうかと思うんですよね。このドラマの中には、国会の話、一切出てきませんから、国会議員、一切出てきませんからね。経産省の中で看板をつけ替えたら法案が通りましたみたいな話になっているんですよ。

 ちょっとこれは新卒向けのPR動画としてはいかがなものかと思うんですけれども、どうですか。

武藤国務大臣 委員からいろいろ御指摘いただきまして、ありがとうございます。

 ちらっと私も昨日見させていただきました。ちらっと見させていただきました。

 これは採用のいわゆるPR動画ということで、ううんというところもありますけれども、当省の業務内容また組織文化を……(辰巳委員「文化ですか」と呼ぶ)ええ、分かりやすくお伝えするべく制作したものだと思っています。

 近年、経済安全保障分野、その重要性というのは確かに高まりが大変高うございまして、その業務実態を分かりやすく紹介しているところであります。

 不適切な内容とは、正直、昨日の段階では私は思っておりません。

辰巳委員 ちょっと文化というふうに聞いて、そうかと思ってしまいましたけれども、質問を終わりたいと思います。

 以上です。

宮崎委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 有志の会、吉良州司です。

 今日も、前回、前々回に続いて、トランプ関税対応、そして電力の安定供給者としての東京電力の再生、そして本題であるGX推進法と資源法を取り上げたいと思っています。

 その前に、後で通じる話なので、一回むちゃくちゃ脱線した話をさせていただきますと、今回の法案審議に当たっても、例えばカーボンニュートラル、これはある程度定着した言葉です。カーボンプライシング、トランジションファイナンス、それから、さっきも辰巳さんからもカーボンリーケージとか、横文字だらけなんですよ。

 私、実は社会人になってからの学び直しということをもう十四、五年前から言い続けていて、それは最近になってリスキリングとかなんとかとみんな言っていますけれども、大分の大事な住民をばかにするんじゃないけれども、支援者の中には、カーボンニュートラルっちゃ何ね、カーボンプライシングっちゃ何ね。横文字を使ったらもう全くちんぷんかんぷん。日本の特に高齢者は山のように多いんですよね。

 私、これがなぜ問題かといいますと、横文字を使うということはオリジナルじゃないということ。私も今、横文字を使ってしまいましたけれども。要は輸入品であり、ぱくりだということなんですよ。だから、どこか欧米で何か成功している、又は成功しそうだという制度があれば輸入してくる、ぱくってくるという典型なんですよ。

 私はよくこういう例を出すんですね。私がミカンの木からミカンが落ちたのを見て、おお、俺、今まで気づかなかったけれども、地球に引っ張る力があるんじゃないかということを私がある勉強ができる友達に聞いたとしますね。吉良、おまえ、ニュートンって知っているか、万有引力の法則って知っているかと聞かれて、いや、俺、聞いたことねえよと。だから、その人からばかにされるわけですね、えっ、ニュートンも知らねえのか、万有引力も知らねえのかと。けれども、ニュートンの万有引力も知らずに、リンゴじゃなくてミカンが落ちて地球に引っ張る力があるんじゃないかと思ったら、自分はニュートンの一部と同じ価値があるわけですよ。

 なので、霞が関の皆さんにお願いしたいことは、優秀な皆さんなので、ほかの国で今言った成功した、しそうだというものを輸入してきて、ぱくってきて、それを横文字を並べて説明するこの文化、今の話は文化じゃないですけれども、これをやめていただきたい。オリジナルであれば、日本語できちっと、日本語のネーミングはあるし、それによって説明できるはずですということをまず申し上げた上で、トランプ関税対応について話をしたいと思っています。

 まず、私が思うことは、実際、市場の反乱もあって、いわば株価の暴落、それから、米国債が売られて金利が上昇するとか、市場の反乱があって、当初九十日という猶予の話はなかったけれども、九十日の猶予にしたり、今、個別交渉で実際に関税を下げたり。まず、私が思うのは、浮草みたいなものだから、どんと泰然と構えておいてほしいという思いがあります。

 けれども、一方で、特に企業は、それもアメリカに製品なりサービスなりを輸出している、主に製品でしょうけれども、企業からしてみると、やはり大変なことになったと。ということで、今何を考えているか。この際、いっそのこと、米国に工場なり事業所なりを移転しようかと考えている人。それから、いや、こんなものは手のひらを返したように変わるからまだまだ様子見だ。それから三番目は、様子見はしながら、だけれども最悪に備えて新しい市場開拓だ。こう考えている企業は多くあるわけですね。

 私が米国の、現在、不確実性、非予見性、これを見たときに、今言った米国ほどの大きな市場はないですけれども、まとまれば大きな市場になる可能性がある、そういう中で、私は、TPP、このTPPを、やはりある意味、さっき言った、市場開拓だ、米国だけに頼るんじゃなくて、新たな市場開拓だと言っているそういう企業に対して、TPPを更に充実させることが、今言ったトランプ関税対応、また米国の非確実性、非予見性に対する一つの日本としての対応ではないかと思っているんですけれども、この脈絡でのTPPの今後について、大臣の見解を伺いたいと思います。

武藤国務大臣 世界の不確実性が高まる中で、ルールに基づく自由貿易体制を維持拡大していくということは、ますますこれは重要なことであると思っています。

 このような観点から、幅広い分野をカバーした高い水準の新たな共通ルールを維持し、世界に広めていく意義を有するいわゆるCPTPP、これを拡大、推進することは大変極めて重要だというふうに思います。

 この前EUとの会議もやりましたり、いろいろ、タイ、マレーシアもこの前行ってきましたけれども、入っていないところは、やはり、是非、そういうところも検討の気持ちを十分いろいろな協議の中で私どもも感じて、それぞれ意見共有をしていきましょうという話になっているところでありますので、委員おっしゃるのはもっともな上で、新規加入に当たっては、これはCPTPPの意義を共に実現するパートナーとしてふさわしいかどうかが重要ですけれども、そういう形でこれからも幅を広げるということは当然ですけれども必要なことだと思っております。

吉良委員 今大臣がおっしゃった中で、ふさわしいのかどうなのかという話がありました。

 そういう意味で、英国はふさわしいということで迎え入れることになりましたけれども、入りたいという意思表明をしている中に例えば中国があります。この中国をTPPに迎え入れるべきかどうなのか、これはある意味では今後の日本の経済外交において最大のテーマになると私は思っているんです。

 実は、こういう、私は民主党政権時代からずっとTPPの旗振り役をやってきておりまして、ただし、TPPをどう位置づけていたか、正直言いますと、中国が中心となっている上海協力機構、あれを、ユーラシア大陸のかなりの部分を、ロシアとかインドとかイランとか入っていますので、陸の帝国、ランドパワーと位置づけ、一方で、TPP加盟国は、自由な投資・貿易、ルールを重んじる海の帝国、シーパワーということで、実は私自身が分断的な考えを持っていたんです。中国に対抗する意味での、昔、世界史で同盟とか協商という言い方がありましたけれども、協商という位置づけで、同盟ではないんだけれども、経済的な同盟という位置づけで、TPPをシーパワーとして捉えて、また、中国に協力するランドパワーに対抗する、こういう位置づけであるべきだと私は思っていた時期があるんです。

 ただ、今、こうやって米国の不確実性が増す、そして日本企業も米国に必ずしも頼らなくてもいいマーケット開拓をしたい、進出したいというときに、私は中国を迎え入れることも一つの選択肢になるのではないかと思い始めるようになったんですね。

 ただ、じゃ、中国が、TPPで一番大事なのはルールですよね、これを守れる国なのか。今すぐかどうかは別にして、ただ、アメリカも日本も、それからG7含めて異口同音に言っているのは、中国に対して、責任ある大国として国際社会の中で責任ある行動を果たしてもらいたい、こう言っているわけで、そういう意味で、ある種、TPPを一つの踏み絵と言うとなんですけれども、試金石として中国も迎え入れるということを、私も決め切れていないので、正直言って、リスクも大きいですから。ただ、検討してもいいのではないかというふうに思っています。

 その際に、一つ思うのは、既存のTPP11、これに英国を加えるかどうかというのはありますけれども、そこを国連で言うところの常任理事国のようにしまして、ある意味では、既存のルールを作った人たちで、今後もTPPの在り方はそのメンバーで決めていくということで、ある意味、新たに加入させるところは、J2と言うとなんですけれども、意思決定には関わらせないというような形で迎え入れるということは検討してもいいのではないかと思っていますけれども、大臣、いかがでしょうか。

武藤国務大臣 大変示唆に富んだ御指導、ありがとうございます。

 中国の問題は、実は私も商務長官とも、向こうもお会いしているんですけれども、現実、CPTPPの話なんかもひょっとして出るんじゃないかという想定はしていました。その中で、あった場合も、なかなか日本の企業というのは、先生のところもそうだと思うんですけれども、うちの地元も随分、繊維を始めとして中国へ出たんですよね。ですから、大変そういう意味では、撤退をしてきた会社も随分多くいらっしゃいますし、現実、今も逮捕されていらっしゃるような方がいる。

 そういういわゆる企業の先見性といいますか、安全というものをどう企業家に与えるか、これは非常に大変大事な観点ですよと日本は思っていますよ、そういうものを言いながらも、ですから、なかなかそういうところが、向こうは、全然悪いと思っていないというか、これが当たり前だという常識を持ってこられるものですから、それはなかなか正直言って難しいですよねというのが、本当の性根レベルのところだと思います。

 ですから、こういうところで、中国が本当に開かれた形でいろいろ変わってきたら、それはそれなりに、CPTPPの皆さん方もそれなりにもちろん前向きな気持ちで受け入れるんでしょうと思いますけれども。

 あとは、電子商の問題だったり、スパイ防止法だったり、いろいろな形があるので、そういうところも御提議しながら、今はアメリカの問題が出ていますけれども、いずれにしても、日本としては世界にやはり幅広く共通した市場性を確保していかなきゃいけませんので、先生みたいな、そういうおっしゃる御意見も丁寧に拝聴しながら、また今後とも進めていかなきゃいけない話だろうなと思います。

吉良委員 今大臣おっしゃったように、中国に対する懸念、リスクというのは、それは山のようにあるのでね。私もさっき言った、元々は中国に対抗するTPPだと思っていたぐらいなので、その大臣の答弁はよく分かるんですけれども、それでも、アメリカがここまで予見性がない国になってしまった以上、やはり自分たち、日本自身が生きていくために、場合によってはアメリカに頼らず生きていく方法を考えなきゃいけない。そうなったときの一つの検討材料であるということを指摘した上で、次に行きたいと思います。

 くどいですが、二点目は、電力の安定供給者としての東電の再生。

 これは、過去二回の質疑の中で、なぜ私がそういうことを主張するのかということはもう既に申し上げておりますので。私が、廃炉とそれから補償について、東電を電力安定供給者としてそこに専念してもらうために、国がその責任を引き受けよという話をこれまでもさせてもらってきました。大臣の答弁も、理解を示してくれているような、だけれどもコミットは当然できないという、ちょっとあやふやだったので。今日は、それでもコミットまではできないと思っています。

 ただ、先ほども、岡野さんでしたか、電力システム改革についての問題提起がありましたけれども、やはり、福島原発事故の後、東電が廃炉と補償という、これは責任が東電はありますから、重荷をしょいながら、けれども、その重荷をしょっているときにシステム改革が起こり、自由化が起こり、特に小売の自由化は今の東電の収入を減らして、今回も一兆七千億円のまた交付国債による資金が必要というような状況になっています。

 なので、私は、東京電力を今言った電力安定供給者に専念させるべきと。先ほど山岡達丸さんの議論の中でも、二〇二二年の三月、六月に電力逼迫問題が起こった、それも東電管内の話です。ということから、廃炉そして補償について、国の責任においてというか、国が引き受けていく。最終的に、実務的にどうやるかは前も言いました、もう一回東電に請け負わせる、それはいいわけですけれども、責任、コストにおいて国が引き受ける、このことについて大臣の明確な答弁を求めたいと思います。

武藤国務大臣 これは今まで何回も委員会で委員から御質問いただいて、できるだけの答弁はさせていただいたつもりでありますけれども、また重ねてになるかのところもありますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 東京電力というものは、福島第一原子力発電所事故を起こした当事者であります。事故を起こした当事者として、東京電力は賠償、廃炉を貫徹する責任がございます。

 その上で、国の法的責任につきましては、国家賠償を求める請求が棄却をされる判決が二〇二二年の六月に最高裁判所において示されているところであります。

 また一方で、国がこれまで原子力政策を担ってきたことに伴う社会的責任につきましては、東京電力福島第一原子力発電所事故の反省の上に立って重く受け止めなければならない、これは当然のことで今まで来ているわけです。

 国として、事故の経験、反省と教訓を深く肝に銘じながら、福島の復興再生に全力で取り組むことが責務であると認識をしているところで、最後まで責任を持って対応していくという答弁を繰り返させていただいたところであります。

 今の補償と廃炉の問題についてですけれども、こういう前提の中で、東京電力が福島の責任を果たしつつ、今、自由化の下で競争と安定供給の達成を両立させるため、国も東京電力もそれぞれ必要な取組を実施していかなくてはいけないということだろうと思います。

 国としては、東京電力が廃炉に要する資金を計画的に積み立てるに当たり、規制料金下にある送配電事業の合理化分をその資金に充てることを可能とする制度を措置するなどの対応を行ってきたところであると承知しています。東京電力においても不断の経営改革に当然ですけれども取り組んでいただき、また、例えば東京電力と中部電力の発電・燃料部門を統合したJERAの成立など、これも一つの実行してきたことだと思います。

 福島責任と競争の両立が容易なことではないことはまさに委員とも全く認識を共有するところであります。足下ではGXなどに要する資金の確保が課題であると承知をしていますし、こうした課題に対して、政府としては脱炭素電源の投資というものを促す制度措置を行うこととしており、東京電力自身が不断の経営改革を行う中で、制度をうまく活用していただきながら対応をしていくことが重要だというふうに考えているところであります。

吉良委員 失礼ながら、額面どおりの答弁なので、そのラインを外れることはできないんだろう、そのことについてはよく理解をします。ただ、やはり政治の世界ですから、最高裁の判決がどうこうとあったとしても、政治として優先順位を明確にするというのはもっと大事なことで、それこそ、今回のGX推進法を含めて、これまでの議論でもあったように、やはり電力の安定供給というのは、今の特に経済産業に、また生活にとって一番大事なことでありますから。

 これは前回も言いましたが、私が質問した中で、防潮堤を何メートルにします、非常電源を地下に置きます、これは国が許可しているんですよ。事故が起こって大変なことになるというのであれば、防潮堤を二十メートルにしろ、地下じゃ駄目だと言っておけばよかったんですよ。それを、社会的責任はあるが法的責任はない、それで済ませることは私はできないと思います。

 国策民営と許認可、あの許認可は、許認可というか許可は非常に重要です。そこを鑑みて、かつ優先順位として何が大事かと考えたときに、東電を電力安定供給に専念させる、ここに思い切って踏み込んでください。今、答弁は繰り返しになると思うので、もうこれ以上は申しません。それをお願いをして。

 最後、GX法。

 ちょっと本題なのに時間がなくなってまいりましたが、私、最後のバッターなので、各論についてはもういい、議論は出尽くしていると質問に立つ前から思っていました。

 そこで、今日、たまたま岡野委員から、環境対策についてどう思うかというアンケート、意外や意外、若者は考えていないというような話もありました。

 私は、経済というのは民間中心であるべきとずっと言い続けている人間なんです。悪いけれども、傾斜配分方式だとか、国がどんどん引っ張っていくという時代は発展途上国を卒業したときで終わりです。

 何で民間が大事か。それは、お金を払ってでも、自分のポケットマネー、自腹を切ってでもこの製品が欲しい、このサービスが欲しい、その購買というか消費者の価値観にぴたりと合う製品を供給するから大事なんです。誰かがお金を払ってくれるから、誰かの負担でなんて幾らだってできます。

 そういう意味で、先ほどの岡野さんの指摘というのは非常に重要で、消費者が最後は、トランジションファイナンスも何も、あらゆることを含めて、最後は消費者の負担になっていくんです。それが一旦は債権という形になり、それが時間を経てローンのように毎年、毎月の負担は少なくなるというだけであって、私は、本来なら、このGX推進、資源法に関わる必要な財源について、極論すると、必要な財源を増税させてくださいと言うと一番分かりやすいと思っているんですよ。増税してでもさっき言ったポケットマネーでも製品を買いたいかどうか、国民に問うにはそれが一番いいんです。

 残念ながら、多くの国民というのは、これは申し訳ない言い方だけれども、国といった場合、対岸にいるんですよね。さっきも誰かが言っていたけれども、国というのは本来自分のことなんですよね。国がお金を出すべきだというのは国民が負担するということですから、あなたが出すんですよということなんだけれども、どうしても、国が出すというと、川向こうで、国が出してくれて、自分は懐が痛まないという感覚を持っている国民が余りにも多い。

 そういう中で、ちょっと、いろいろ私、自分の経験例を出したかったんですけれども、時間がなくなってきましたので、ざくっと言うと、例えばアメリカでも、古い話ではありますけれども、時間を超えて当てはまることというのはよくありますから。

 実は、日本のFIT法に当たるパルパ法というのが一九七九年、八〇年にできて、そのパルパ法のおかげで今世界中であるIPPという独立発電事業とかそれに伴う電力の民営化というのが起こってきているんですけれども、私自身が、古タイヤを使ったプロジェクトで、要は非化石燃料を使ったプロジェクトを優遇するというプロジェクトだったんですけれども、米国のコネティカット州でやっていましたが、全米でそのパルパ法による電力料金がむちゃくちゃ高くなったので、コネティカット州もそうですけれども、カリフォルニア州でも至るところで住民訴訟が起こって、こんな高い電気料金を払ってまでそういう非化石燃料の電源の電気が欲しいと思っていなかったということで訴訟が起こって、住民側が勝っているんですよね。私がやったプロジェクトの売電契約も、結局買い戻されることになりました。

 こういう具合に、国民に余裕がない中で、果たして、私は、このGX推進法が国民の負担だと分かったときに、先ほど来ずっと言っている国民の理解、協力、そして最後は負担、この順番で必要なのが本当にできるのかなと。

 この法案については、私自身は賛成します。というのは、志やよし、目的やよしだからです。ただ、さっき冒頭、横文字の話をしましたけれども、ヨーロッパで通用している、それが、私たち資源のない、電力系統も全くつながっていない、つながったとしてもロシア、中国、そういうところでそのとおりに当てはまるわけではない。

 だから、ゴールは私はあえて動かす必要はないとは思っていますけれども、この移行期間、これについては、最初の段階はより柔軟性を持たせた対応にすべきだと思う。もう時間が限られていますので、そのことをお願いをしますが、じゃ、お願いします、大臣。

武藤国務大臣 ありがとうございます。

 GXの取組につきましては、三十年間の日本の経済の停滞の打破にも資する好機であると思っています。まさに成長することがこれからの日本の発展につながる、そして国民の安全と安心を守っていく、この両立を図っていかなきゃいけないというところの中で、かつ、世界は脱炭素の動きもあるわけですが、そういうところの中で、バランスというのは極めて重要なことだと、やはり国民の御理解というのが根本的なところですから、是非そこをしっかりとこれからも丁寧にやりながら進めていきたいというふうに思っています。

吉良委員 環境問題の大家、スウェーデンの女性のグレタさん、言い方はアフリカの国には失礼ですけれども、サブサハラの国では絶対生まれてこない方ですね。要は、すごい豊かな国でやれること。今、日本がその豊かな国なのか、その国力があるのか、企業に体力があるのか、このことを心配しながら、目的やよしですから、最初の段階の運用をできるだけ柔軟にして、これがうまくいくように祈って、質問を終わります。

 ありがとうございました。

宮崎委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。佐原若子君。

佐原委員 ありがとうございます。

 GX推進法改正法案に、れいわ新選組は反対の立場から討論いたします。

 お疲れのところ、よろしくお願いいたします。

 本法案は、脱炭素社会の実現を掲げ、その実現手段を定めています。中でも排出量取引制度は、国際的な脱炭素の取組において有効な手段となり得るものであると考えています。国内へ向けて、世界に向けて、本気で成功させていくべきものと私は考えております。

 しかしながら、カーボンクレジットの利用、排出枠の政府による買い支えによる価格の低迷、二〇三三年有償化以降の対象業種限定による排出枠取組の停滞といった懸念が拭えません。世界規模の目標達成への実効性を伴い二〇五〇カーボンニュートラルを実現するために、具体的な試算を持ってロードマップが描ける仕組みとするべきです。

 そして、本法案は、原発の活用を明確に位置づけているGX二〇四〇ビジョンの方向性に沿って進められるとされています。

 福島第一原発事故によって、多くの命、暮らし、動物たちとのきずな、地域のコミュニティーが奪われました。事故はまだ収束していません。子供の甲状腺がん、原発さえなければといって首をつった酪農家。原発はクリーンエネルギーと位置づけられないと私は思います。人間の営みを根底から脅かす存在です。

 今、日本は岐路に立っています。原発推進のまま進んでしまうその未来でいいのか。脱炭素を口実に原発推進を正当化するこの構図に対し、断固として反対します。

 れいわ新選組は、脱原発と脱炭素を二本の柱とし、真に持続可能な社会を目指します。

 そのためには、省エネへの取組が不可欠です。先ほどの御答弁において、政府では、省エネにも支援について御説明いただきました。更に積極的な投資により省エネの取組を拡大させるべきです。住宅への支援のほか、例えば、中小企業の断熱や省エネ技術導入、設備更新への財政支援も強化すべきです。また、御答弁では、それらはするということをお約束していただきました。それによりエネルギーコストを大幅に削減することができます。

 生命の犠牲の上にある原発活用を前提にするのではなく、真に省エネと再エネの同時進行でエネルギーを賄うという道を日本は本気で追求するべきです。エネルギー政策の根本的な見直しを求めて、れいわ新選組の反対討論といたします。

 目的は重要なことです。しかし、原発にこだわるということで、私たちは賛成することはできません。

 以上、反対討論を終わります。

宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。

辰巳委員 私は、日本共産党を代表して、GX推進法及び資源法の改正案に反対の討論を行います。

 気候危機は切迫をし、一刻の猶予もない状況です。打開のためには、二〇三〇年までの排出削減が決定的に重要です。しかしながら、本法案は、パリ協定に基づく排出削減目標と整合性のない制度設計となっています。

 反対理由の第一は、本法案が、排出量規制の総量、キャップを定めていないことです。

 EU始め各国の排出量取引制度は、制度の要であるキャップを決め、削減目標達成のための制度設計が行われています。他方、本法案は、総量の排出削減目標が定められていない上に、各事業者の排出量上限についても様々な上乗せが認められるものとなっています。これでは、極めて不十分な我が国の排出削減目標でさえ達成できる裏づけがありません。

 第二は、想定される炭素価格が安価になり、必要な排出削減が起こらない可能性が高いことです。

 排出量取引制度や炭素税などに代表される諸外国のカーボンプライシングは、炭素に価格をつけ、排出者の行動を変容させる経済的手法であり、排出削減を推進することを目的としています。他方、本法案では、具体化される我が国の成長志向型カーボンプライシング構想は、原子力や石炭火力の延命策を含め、大企業などに二十兆円をばらまくGX経済移行債の償還財源とすることを主な目的としています。各国で取り組まれているカーボンプライシングとは、似て非なるものです。

 第三は、化石燃料賦課金の具体化に当たり、大企業、財界の要求に沿って減額規定を置いていることです。

 負担額は政令委任で経産省の裁量に委ねられることになり、最小限の負担で化石燃料を使い続けたい大企業、財界の要望に応えるものになりかねません。

 なお、資源法の改正については、資源循環の強化は必要なことですが、大量生産、大量消費を改めることなく、最も重要な資源採取の最小化について位置づけられていないため、積極的な評価はできません。

 気候危機打開のため、原発ゼロと石炭火発の期限を切った廃止を今すぐに決断し、徹底した省エネと再エネの普及に全力を挙げることを強く求め、反対討論とします。

宮崎委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮崎委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、新谷正義君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。山崎誠君。

山崎(誠)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律及び資源の有効な利用の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について十分配慮すべきである。

 一 我が国が国際的に約束した二〇五〇年カーボンニュートラル等の実現に向けては、産業部門・運輸部門をはじめとする社会全体において、本法で措置する排出量取引制度等の幅広い取組が進むよう、実効的な施策を総動員すること。その実施に当たっては、エネルギーの移行をはじめとする産業構造の転換に伴う経済・社会・雇用への負のインパクトを最小化するため、地域社会をはじめ産業界、労働界等関係当事者と積極的な社会対話を行い、広く意見を聴取し、その意見を十分に尊重するとともに、中小事業者や雇用への影響に配慮しつつ、公正な移行を実現するための取組を進めること。とりわけ中小事業者の雇用に対しては、政府による強力な目配りと中小事業者に対する移行支援を行うこと。

 二 成長志向型カーボンプライシングの実施に当たっては、制度の安定的な運営と確実な財源の確保を通じて、民間事業者の予見性を高めることに注力し、民間事業者による脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する投資が確実に推進されるよう、最大限取り組むこと。その際には、これまでの実施状況を確認し、技術の進捗等を考慮した中で、定期的に費用対効果等の評価分析を行い、必要に応じてその対象範囲等について、柔軟な見直しを行うこと。

 三 脱炭素社会への移行に係る必要なコストは、広く社会全体で公平・公正に負担することを前提に、石油石炭税や地球温暖化対策税等の税制、再生可能エネルギー発電促進賦課金その他関連する制度全体の適正化による負担の抑制に努めつつ、円滑かつ適正な価格転嫁等を通じて、特定の事業者に負担が偏重することのないよう配慮し、国民全体にその理解が広がるよう積極的に取組を進めること。

 四 脱炭素社会への移行に係るコスト負担に対する国民の理解の醸成に向けては、脱炭素に資する製品やサービスが広く受け入れられる市場を創造する観点から、公共調達に加え、様々な層に対する消費者教育の実施、カーボンニュートラルに対応した製品であることが消費者に分かりやすく伝わるような表示や仕組みの構築、原燃料の転換、ヒートポンプ技術など省エネルギーに資する商品や熱効率が高い設備の導入を促すための措置の検討等に率先して取り組むこと。

 五 排出量取引制度の実施に当たっては、脱炭素成長型投資事業者が、取引上優位な立場を利用し、取引関係にある事業者に対して不当な負担を押し付けることがないよう、政府が責任を持って対応すること。とりわけ中小事業者に対する負担の不当な押し付けが行われていないか、公正取引委員会及び中小企業庁において厳格に確認するとともに、こうした行為が存在する場合には厳正に対応すること。

 六 電力等のエネルギーの脱炭素化に当たっては、社会全体の電化やデジタル化の進展等の中で見込まれる電力需要の増加に対し、安定した供給力を確保するとともに、地域住民の理解と中長期的な国民負担の抑制を前提に、再生可能エネルギー等の脱炭素電源を最大限活用していくことや、省エネの普及拡大、蓄電システムの導入拡大等に取り組むこと。その際には、物価上昇等による影響に配慮しつつ、需要家に安定した価格水準で電力等のエネルギーを供給できる環境の整備に努めること。

 七 脱炭素成長型投資事業者排出枠の割当ての実施に関する指針を定めるに当たっては、各国の動向や、国内における代替技術の有無、カーボンリーケージの可能性等も踏まえ、足下の地域の産業基盤や雇用への悪影響がないよう配慮しつつ、日本企業による脱炭素分野での競争力の維持・強化及び国内における脱炭素技術の開発や実装が着実に進み、我が国の継続的な成長につながる制度とするため、適切な水準となるよう、手続の透明性、公平性、公正性を確保するとともに、学識経験者や有識者、産業界、労働界等から広く意見を聴きつつ、丁寧に検討を進めること。

 八 排出枠取引市場の取引価格が、実需を伴わない投機的取引によって経済実態から著しく乖離することがないよう、その動向を注意深く監視するとともに、取引価格の水準が、我が国の産業や国民生活、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行に資する投資活動に悪影響を及ぼすと認められる場合には、これを是正するために機動的かつ的確に対応すること。

 九 地方自治体が実施している排出量取引制度や既存のエネルギー関係諸税等との関係を適切に整理し、事業者の事務負担の軽減を図るとともに、その運用に際して実務上の問題が生じないよう、現場レベルの視点から制度の予見性と実効性の確保に努めること。加えて、エネルギー価格が高騰する状況下においては、過度な国民負担を抑制するため、必要に応じて制度の見直しを行うこと。

 十 脱炭素成長型投資事業者排出枠の割当量については、全体として、パリ協定の一・五度目標及び国が決定する貢献における温室効果ガス排出量の削減目標の達成に貢献しているか検証し、その結果を公表すること。また、当該検証の結果を踏まえて、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 十一 排出量取引制度におけるカーボンクレジットについては、中小事業者等の排出削減を促す効果を勘案するとともに、過度な流入による価格の不安定化や脱炭素成長型投資事業者の排出削減意欲の低下等を招かぬよう留意しつつ、適切に利用されるよう、必要に応じて適宜見直しを行うこと。また、対象となるカーボンクレジットの選定については、国際的に必要とされる環境十全性及び持続可能な開発への貢献が確保されたものとすること。

 十二 脱炭素成長型投資事業者排出枠及び化石燃料賦課金について、脱炭素成長型経済構造への移行の状況、事業活動に伴う二酸化炭素の排出量の削減の状況その他の制度の実施を定期的に評価すること。その際、脱炭素成長型投資事業者に留まらない幅広い事業者、労働者、気候変動や環境経済学等に関する学識経験者、将来世代及び市民団体の意見を聴取するほか、当該評価の結果を公表し、透明性を確保すること。また、その結果を踏まえて、必要があると認めるときは、所要の措置を講ずること。

 十三 廃プラスチックの化学的な分解や再合成、使用済み太陽光パネルやリチウムイオン電池等の高品質かつ安全性の高い再利用、レアメタル等の効率的な回収等の資源循環社会の推進に資する高度なリサイクル技術の国内における研究を推進し、一日も早い社会実装に向けて、最大限取り組むこと。

 十四 再生資源の利用義務化に当たっては、企業活動の実態に十分配慮しつつ、適切な制度設計を行うとともに、日本企業の競争力の維持・強化につながる仕組みとすること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び文案によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

宮崎委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

宮崎委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、武藤国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。武藤国務大臣。

武藤国務大臣 ただいま御決議のありました本法律案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

宮崎委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

宮崎委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時三十五分散会


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