第16号 令和7年5月23日(金曜日)
令和七年五月二十三日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 宮崎 政久君
理事 鬼木 誠君 理事 新谷 正義君
理事 山下 貴司君 理事 荒井 優君
理事 山岡 達丸君 理事 山崎 誠君
理事 斉木 武志君 理事 岡野 純子君
岩田 和親君 江藤 拓君
大空 幸星君 小池 正昭君
坂本竜太郎君 島田 智明君
鈴木 英敬君 関 芳弘君
世耕 弘成君 西村 康稔君
細野 豪志君 松本 尚君
松本 洋平君 宮内 秀樹君
向山 淳君 簗 和生君
山本 大地君 東 克哉君
大島 敦君 岡田 克也君
落合 貴之君 小山 展弘君
鈴木 岳幸君 田嶋 要君
福森和歌子君 吉田はるみ君
東 徹君 村上 智信君
福田 玄君 福重 隆浩君
山口 良治君 佐原 若子君
辰巳孝太郎君 吉良 州司君
平岩 征樹君
…………………………………
経済産業大臣 武藤 容治君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 尾田 進君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 大隈 俊弥君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 河野 太志君
政府参考人
(経済産業省経済産業政策局長) 藤木 俊光君
政府参考人
(経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官) 江澤 正名君
政府参考人
(経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 新川 達也君
経済産業委員会専門員 花島 克臣君
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委員の異動
五月二十三日
辞任 補欠選任
江藤 拓君 簗 和生君
鈴木 英敬君 松本 尚君
細野 豪志君 山本 大地君
丹野みどり君 福田 玄君
同日
辞任 補欠選任
松本 尚君 鈴木 英敬君
簗 和生君 江藤 拓君
山本 大地君 大空 幸星君
福田 玄君 丹野みどり君
同日
辞任 補欠選任
大空 幸星君 細野 豪志君
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案(内閣提出第三三号)
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○宮崎委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として経済産業省大臣官房審議官河野太志君、経済産業省経済産業政策局長藤木俊光君、経済産業省商務情報政策局商務・サービス政策統括調整官江澤正名君、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長新川達也君、厚生労働省大臣官房審議官尾田進君及び厚生労働省大臣官房審議官大隈俊弥君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○宮崎委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
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○宮崎委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。山下貴司君。
○山下委員 自由民主党の山下貴司です。
本日は早期事業再生法案について質疑の時間をいただき、ありがとうございます。私は法律家議員でありますけれども、この法案は非常に重要な法案で、質疑の機会をいただくことを大変感謝しております。
本日は、なぜ早期事業再生法案が必要とされるのか、手続の内容はどのようなものなのか、どんなメリットがあるのか、大臣あるいは経産省など関係省庁の皆様から、国民の皆様にできるだけ分かりやすい質疑をお願いしたいと思いますので、大臣、よろしくお願いいたします。
まず、日本企業を取り巻く経営環境は大変厳しいものがあります。コロナ禍以降、日本企業全体の借入れなどの債務残高は七百兆円に達し、コロナ禍前に比べて百二十兆円以上も増加しています。コロナ対応のゼロゼロ融資の返済も始まり、その返済負担が重くのしかかっている企業も多いのが実態であります。
また、昨年の企業倒産件数は十一年ぶりに一万件を超え、リーマン・ショック後以来の高水準となりました。この背景には、原材料の価格高騰、人手不足、最近の円安や物価高、さらには金利上昇などがありますが、これにトランプ関税の影響も予測されるところであります。
こうした状況の中、過剰な債務が企業の事業再生を妨げ、倒産に至る企業が更に増えるおそれが指摘されています。倒産により企業の価値や技術、人材といった貴重な資源が散逸する前に、その倒産に至る前の段階で企業が迅速に再建策を実行できる制度基盤を整備し、早期の事業再生を可能にすることは、結果的に地域の雇用を守り、経済全体の新陳代謝を促進することにもつながります。早期事業再生法案はそのための法案だと承知しております。
それでは、質疑の前に、早期事業再生法案のポイントを私なりの理解でお話をさせていただきます。
配付資料一の比較チャートを御覧ください。
早期事業再生制度と他の制度を比較した場合の最大のポイントは、上から四番目にあります銀行など金融機関に対する借入金の金融債務について、債権者の四分の三の多数決で債務整理を行えるようにする点であります。そして、整理の対象は、銀行など金融機関からの借入金など、金融債務に限定されています。買掛金など取引先への支払い債務や、例えば会社の従業員などの給与債務などは整理の対象とはされていない、含まれていないということであります。
そして、手続は、経済産業大臣が指定する第三者機関である指定確認調査機関が全面的に関与し、裁判所が最後に認可することで法的な効力が発生します。裁判所の関与により、公平性や少数債権者の保護もしっかりと担保される仕組みになっております。
また、抵当権など物的担保がついた債権は整理の対象外ではありますが、裁判所は、申立てに基づき、一定の要件の下で、金融債権者の担保権の実行や強制執行を一時的に中止を命ずることができることになっています。
そして、新しい手続のポイントとして、裁判所は関与しますが、非訟事件ということで、原則非公開で行われることになります。
他の制度と比較してみると、事業再生ADRなどの私的整理では、非公開で、信用毀損あるいは風評被害なく手続が進められるわけでありますけれども、債権者の全員同意が必要であります。ですから、金融機関の一行でも、あるいは金融債権者の一人でも反対するとADRが成立しないことになりますが、この新制度では、要件を満たせば先ほど申し上げた四分の三以上の賛成で決まることになります。ですから、一部金融機関のみの反対で再建が頓挫するということは避けられるようになります。
また、非公開で進められ、公表は不要であるという点も重要であります。
民事再生のように、多数決で決まるものの、一方で、手続が官報公告ということで広く公にされることになると、多くの取引相手にも周知されて経営不安、信用不安が一気に広がってしまう、そして、せっかく再生を考えていたのができなくなってしまうという事例はよくあることでありますけれども、この制度では、裁判所での手続として法的な強制力は担保されるわけでありますけれども、非訟事件という手続上、金融債権を持つ対象債権者以外には公開や公表がされずに進めることができることになります。
ただ、注意しなければならないのは、これはもちろん上場企業などが対象になる場合もあるわけでありますけれども、こうした上場企業の場合には金融商品取引法などで適時開示のルールがあるので、その点は注意する必要があります。ただ、そうでない限りは関係者のみの周知でできることになります。
こうした本法案による新しい早期事業再生手続は、法的性質としては、倒産手続ではない、倒産前の手続で、利用中は会社は通常どおり営業を継続でき、経営権を維持しながら、最終的に裁判所が計画を認可することで強制力を持たせる、法的整理と私的整理の利点を生かしたハイブリッド型の再建手続と言えます。
その意味で非常に大きな意義を持つ制度であり、是非今国会での成立を期したいところでありますけれども、この具体的な手続についてこれから経産大臣そして経産省に幾つか質問いたします。
その前に、この手続の流れ、これは大まかに四段階ないし五段階と申していいと思います。まず、入口は申請、第三者機関での確認、調査、債権者集会の議決、最後に出口で裁判所の認可という特徴的な構造になっておりまして、不服がある場合には即時抗告もできるということであります。
この具体的な流れを図示した資料二を御覧いただきながら質問いたしますが、利用できるのは債務者本人からの申請によるということで、債権者側からの申立てはないということであります。
そして、手続の対象となるには企業が「経済的に窮境に陥るおそれ」があることが要件となっておりますが、この「経済的に窮境に陥るおそれのある事業者」とは具体的にはどのような事業者でありましょうか。
また、第三者機関が確認すべき事項として、「事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難となるおそれ」を確認せよとありますが、こうした要件の意義について御説明願いたいと思います。必要があれば民事再生法との比較などもしていただければと思います。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
本制度は、先生御指摘のように、倒産の前段階の事業者を対象とするものでございます。そのため、民事再生法では「経済的に窮境にある」状態というふうに規定されておりますが、この法律におきましては、「経済的に窮境に陥るおそれのある」状態という段階での手続ということになっております。
具体的には、直ちに資産売却まで行う必要はありませんけれども、何らか権利変更を行わなければ将来の一定時期までにキャッシュフローの悪化が進んで事業継続が困難となる状態、こういった状況を想定しているところでございます。
具体的に、法律におきましては、「事業の継続に支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することが困難となるおそれ」というふうに規定してございます。民事再生法の要件と比較いたしますと、民事再生法におきましては、「事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき」と書いてございまして、「著しい」という言葉をこの制度におきましては削除いたしまして、倒産状態の前段階であることを明らかにしているところでございます。
○山下委員 非常に抽象的な要件でありますので、いずれ法案成立の暁には、利用しやすいガイドラインとか予測可能性があるようなものをしっかり作っていただきたいと思います。
そうした対象債務者が第三者機関である指定確認調査機関に対して、まず自社の再生計画の骨子や権利の変更案、弁済計画の原案を提出する。そして、第一段階として、第三者機関はその申請内容を精査し、早期再生の必要性、簡単に言えば、この会社はほっておくと倒産してしまうかもしれないけれども、債務を減免すれば再建できそうだ、しかも債権者全体にとっても倒産させるよりは有利だなど、判断してこれを確認することになります。
そして、この確認が終わった後、原則六か月以内に、事業者は、債権者集会で決める権利変更決議案を、要は債務のカットや返済猶予の具体策を早期事業再生計画書とともに提出する。そして、第三者機関は、弁護士や会計士などの専門家である確認調査員に調査をさせて調査報告書を作成する。これが資料二の2と3のところでございますけれども、その上で、要件を全て満たすとなれば、確認済みとして4の対象債権者集会の段階に移るということであります。
では質問ですが、債権者集会の決議の対象となる権利変更という言葉の内容ですけれども、例えば、事業再生ADRでは、いわゆるリスケと言われる弁済期日の変更や支払い猶予、金利の減免、あるいは債務を返済不要の資本に転換するデット・エクイティー・スワップなど、そういったものが想定されているわけですけれども、本法案での権利変更というのは同様のものを想定しているのでしょうか。当局に伺います。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本制度における対象債権者の権利の変更につきましても、今御指摘がございました事業再生ADRと同様に、債務の減免、リスケジュールのみならず、いわゆるデット・エクイティー・スワップ、デット・デット・スワップといったものも含むことを想定してございます。
○山下委員 そうした変更案をやるわけでございますけれども、事業再生ADRとの比較で、事業再生ADRでは、三年内に債務の超過を解消するとか、あるいは三年内に経常黒字化するであるとか、そういったところを要件のようなこととして検討されると世上言われているのですけれども、早期事業再生手続の権利変更決議案あるいは早期事業再生案ではそうした要件はないのでしょうか。あるいは、そうしたことがしっかり考慮されることになっているのでしょうか。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本制度の早期事業再生計画には、手続終了後の財務状況や収益の見込みを記載しなければならないこととされております。
これらに関連しまして、債務超過の解消や経常黒字化の要件を設けるかにつきましては、早期事業再生計画の記載事項や第三者機関の当該計画に関する調査事項の詳細は省令で定めることとしてございまして、御指摘の事業再生ADRにおける規定も参考にしながら、有識者の皆様、金融機関等の関係者の御意見も聴取いたしながら、その具体的な中身については検討を進めてまいりたい、そういったふうに考えているところでございます。
○山下委員 今後詳細を詰めていくということですが、例えば、権利変更決議案は、債権者集会で認められ、裁判所の認可を得れば拘束力ができるわけですけれども、早期事業再生計画は将来の見通しでもあるので、これをどういうふうに守ってもらうか、見通しがどうかについての担保措置的なものについてはどういうふうにお考えでしょうか。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘がございました早期事業再生計画の実効性につきましては、本制度の早期事業再生計画、それから添付される資産及び負債の評定は事業再生の専門性を有する第三者機関の調査対象でございまして、この第三者機関がしっかり計画の適正性を調査することとしてございます。
また、この調査の結果は対象債権者に交付されることになっておりますが、専門的な知識に基づいて与信を行う金融機関等がこの調査結果を参考にして債権者集会での賛否を判断することを想定してございますので、このような形で重層的に早期事業再生計画の実現可能性を高めるような仕組みを準備しているところでございます。
○山下委員 プロである第三者機関の方がしっかり調査し、また、債権者としてもプロである金融機関が見ることで、実効性があるかどうかはきちんと判断がなされるだろうということでありますけれども、そうなると、第三者機関である指定確認調査機関が極めて重要になります。
これは、例えば事業再生に関する専門的知識や実務経験を有する弁護士や会計士などを確認調査員として選任するなど、専門的な基礎を有することが想定されているわけであります。事業再生ADRでは、既に事業再生実務家協会、JATPがあって活躍されているわけですけれども、新しい制度ではそうした機関としてどういった機関が想定されているでしょうか。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘を頂戴しましたとおり、本制度の第三者機関の指定につきましては、手続の監督等に関する業務を適確に実施するに足りる経理的及び技術的基礎を有すること、それから、手続の当事者と利害関係のある者が関与しない体制を整備していること、さらに、個別の手続の監督を行う者として、事業再生に関する専門的な知識ですとか実務経験を有するなどの一定の要件を満たす者を選任することができるといったようなことを指定の要件としておるところでございます。
今御指摘、御言及を頂戴いたしました例えば一般社団法人事業再生実務家協会でございますけれども、今我々の方で運用してございます事業再生ADRの創設以降、公正中立な第三者機関として債権者と債務者との間の調整を実施してきたものと認識してございます。同協会のような十分な専門性、公正中立性を備えた組織を第三者機関として想定してございます。
いずれにしても、法令に定める指定要件に該当するかどうか、しっかり厳正に審査をした上で指定の可否を判断していきたいと考えてございます。
○山下委員 大臣に伺いますが、非常に精緻に検討されている、これから具体的な中身は省令等でしっかり検討していただくことになりますが、非常に重要な法案だと思います。この早期事業再生法案への大臣の意気込みを伺えればと思います。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
冒頭に委員がおっしゃられましたように、日本企業の債務残高はコロナ禍前に比べて急増しておる状態で、二〇二四年の倒産件数も十一年ぶりに年間一万件を超えた状況であります。
本制度は、私もいろいろと役所からレクを受けましたけれども、さすが法曹界御出身の先生でありまして、先生の御意見を聞いてなおさらよく分かったような、大変ありがたいと思っています。
いずれにしましても、この制度は、こうした経済社会情勢の動向を受けて、倒産状態に至るおそれがある段階の事業者が早期での事業再生に取り組むことができる制度を整備していくものです。
この制度ができれば、既存の法的整理手続と私的整理手続の双方のメリットが発揮できるようになる、まさに委員がおっしゃられるようにハイブリッドの形がこれで構築できるということだろうと思います。事業再生に向けた新たな選択肢を創設することで、日本経済の活性化にしっかりとつなげていきたいと考えております。
○山下委員 非常に懇切な御説明をありがとうございました。
この件に関しては、直接の整理対象ではないですけれども、やはり労働者の思いというのもあると思いますので、そうしたことの不安解消も是非御検討いただければと思います。
それでは、残された時間で、日本の基幹産業であるコンテンツ産業について伺いたいと思います。
コンテンツ産業、これは産業規模が国内で十三兆から十四兆ということで、もはや日本の基幹産業と言ってもおかしくない。そして、アニメのみならず映画も非常に注目されておって、今、例えば黒澤明の時代のみならず、日本で映画を作りたいと。アメリカでは「SHOGUN 将軍」が非常に評価を得ました。日本でロケをしたいという大きなニーズがあるということなんです。
この日本のロケというのが実は難しくて、資料四を見ていただきたいのですけれども、これは、日本でのロケが検討されながらロケ誘致ができなかった作品であります。「ミッション・インポッシブル」であるとか、あるいは「SHOGUN 将軍」もそうです。トム・クルーズはミッションを遂行するのが仕事ですが、日本で映画を撮るというミッションはインポッシブルだったということでございます。これが言いたかったわけではないのですが、これで逃した収益は何百億円になる。
現在、日本映画製作者協会が、日本での海外のロケの誘致、また、国内でのロケも、警察の協力などをいただいて、あるいは地方創生もいただいて是非やらせていただきたい、それでインバウンドであるとかロケツーリズムとか、もっともっと経済効果があるんじゃないか、そういう要望をしているんですが、それに対して是非大臣の前向きな御答弁をよろしくお願いします。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
この辺のことも、私どもの岐阜県でも、先生のところもそうかもしれませんけれども、いわゆる関ケ原があるものですから、ロケがあったり、そういう意味でも地方創生にも資するものでもありまして、先生の思いというのは大変ありがたいと思っております。
映像作品のロケ誘致につきましては、聖地化によるインバウンドの需要喚起等の地域活性化ですとか、国内映像産業における人材育成の観点からも重要であります。経済産業省においては、二〇二三年度から海外作品へのロケ誘致に関するインセンティブ制度を開始しまして、既に誘致の実績が出始めているところであります。
他方で、ロケ誘致に積極的な諸外国と比較すると日本のインセンティブの規模はまだ不十分ではないかという御指摘があることや、複数年度申請など、支援期間等についても海外の制作会社から柔軟な対応が求められている状況にあると承知しているところです。
ロケ誘致は、映像産業だけではなく、先ほど申したとおり、地域活性化等、高い経済波及効果があるものでありますので、海外大型作品の誘致の実現を目指しながら、適切な支援の在り方を前向きに検討してまいりたいと思っております。
○山下委員 ありがとうございます。終わります。
○宮崎委員長 次に、東克哉君。
○東(克)委員 おはようございます。立憲民主党、広島三区の東克哉と申します。本日も質問の機会をいただきまして誠にありがとうございます。
私は四月十一日に経済産業委員会の質疑におきまして早期事業再生法案の目的についてお尋ねをさせていただきましたが、この法案の目的について改めてお尋ねさせていただきたいと思っております。
実際に、私が中小企業、特に高齢者のデイサービスをしていたんですが、それを閉鎖した経験がありまして、そのときに非常に苦しかった思い出をこの法案を読みながら思い起こしました。
そのときに、商工会議所のOBの方とお話しさせてもらったときに、大先輩だったので、東君、優先順位を絶対に間違えたらいけないぞと言われまして、そのときは資金繰り等が本当に苦しかったんですけれども、どういうことですかと聞いたら、残ったお金をどうやって使うかの優先順位が分からなくなるから、まずは社員の給料は絶対に確保しなさい、その次に、社員が次に働ける場所を必ず確保しなさい、その後にいろんな支払いを済ませて、最後に債権だと言われたんです。
私は幸いそのような先輩がおられたので、お金の優先順位を間違えずに今日に至り、今回初当選させていただいたときも、そのとき一緒に働いてくれた社員がおめでとうございますと言ってくれて、そういう関係が続けられていると思っております。
社員の給料、働く人たちの給料と次の雇用をしっかり確保しなければならない、最後に債権に対する手続だということを、今回の法律を見ながら改めて自分の体験談として思い出させていただきました。
社員とか働く者についてはこの後の鈴木議員にお尋ねをお願いすることとして、この早期事業再生法案ですけれども、私のような売上げが一億円に満たないようなちっちゃい企業であったり、様々な企業を想定しているとは思うんですけれども、具体的にどのような企業がこの制度を活用することを考えているのか、大臣のお考えをお聞かせください。
○武藤国務大臣 この法案は、先ほども山下委員の御質問にもありましたが、繰り返しになりますけれども、日本企業の今の債務残高がコロナ禍前に比べて急増しているわけです。二〇二四年の倒産件数も十一年ぶりに年間一万件を超えてきているという状況であります。
この制度によって、こうした経済社会情勢の動向を受けて、経済的に窮境に陥るおそれのある事業者が早期での事業再生に取り組んで、事業価値の毀損ですとか、技術、人材の散逸を回避できる制度を整備していくことによりまして、日本経済を活性化することを目的としたものであります。
利用が想定されるのは、主として金融債権者の多い大企業あるいは中堅企業となることを想定しているところです。
○東(克)委員 ありがとうございます。
大企業や中堅企業、恐らくその辺りの規模の事業者さんがこれを使われるんだと思うんですが、実際にこの制度を使う企業側の立場から見て、早期事業再生法は、経済的に窮地に陥るおそれがある、おそれがあるというのがポイントだと私も感じております。その段階の事業者がこの制度を利用すると想定されているんですけれども、先ほどの山下委員からの話にもありましたように、これまであったADRと早期事業再生法の双方の制度を利用することを経営者だったら検討すると思います。
経営者側から見て、企業側から見て、それぞれどのような利点があると認識しているのか、経済産業省の考えを聞かせてください。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
事業再生ADRでは債権者全員の同意が必要である、その一方で、本制度では債権額の四分の三以上の金融債権者の同意と裁判所の認可で権利関係の調整が可能になるということでございます。このため、例えば、手続を開始する段階で全員の同意の見込みが立たない、なかなか難しいんじゃないかというようなケースとか、あるいは、ADRのプロセスに入ったけれども、なかなか話がまとまらないんじゃないかといったようなケースにおいて本制度が利用されることを見込んでいるところでございます。
もちろん、一方で、ADRの方は、全員同意が取れるのであれば金融債権以外の債権も柔軟に対象にできるというメリットもありまして、それぞれのメリットを勘案しながら活用を考えていただくことが必要だと思っております。
○東(克)委員 ありがとうございます。全員一致がまず前提で進めていって、もし難しければ四分の三の方に進められると認識させていただきました。
となると、これは金融機関側の理解が相当必要だと思うんですが、こうした制度を理解するために金融機関の協力が不可欠で、産業構造審議会の事業再構築小委員会において、金融機関側、全銀協からは、多数決によって債権者の権利変更を強制するような新たな私的整理手続を創設する上では、多数決によることの正当性が十分に認められて、手続面で公平性が担保されるような厳格な制度設計をお願いしたい、こういった意見が表明されていると認識しております。
早期事業再生法によるこの制度を活用するに当たって、企業側からのアプローチだけではなくて、恐らく金融機関側の理解があってこそこの制度の活用が進むと考えられるんですが、こうした意見を踏まえて、先ほどは経営者側でしたけれども、金融機関側がこの制度を活用する動機づけについてどのように検討されているのか、経済産業省の考えを教えてください。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
金融機関側に立った見方ということでございますけれども、先ほど御指摘がございましたが、本制度で多数決により金融債務の整理を行うことの正当性ですとか公平性というところが一つの論点と認識してございますけれども、これにつきましては、減免等の対象を与信の専門家である金融機関等が有する金融債権に限定していること、それから、第三者機関と裁判所が関与して多数決の濫用の弊害をしっかり防止していく仕組みを持った手続としておりますので、これによって制度的な担保がなされていると考えてございます。
そうしたことを考えました上で、金融機関の側が、本制度だけではなく事業再生全体でございますけれども、事業再生全体の手続の活用を検討する場合は、事案によって事情が異なりますので一概に申し上げることは困難でございますけれども、一般論として申し上げれば、事業再生において実現が期待される価値の大きさが重要な要素になると考えてございます。
そういった中で、さらに、今回の制度を使う場合というのは、先ほどの答弁にもございましたけれども、金融機関サイドに立っても、手続開始の段階から全員同意の見込みが立たないとか、事業再生ADRのプロセスの途中で議論が進まなくなってしまった場合に利用が検討されるのではないかと想定しているところでございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
実現できる価値は早期事業再生ですので、そこを進められるように金融機関等も支援していかなければならないと思います。
先ほどの答弁でもありましたように、この制度を利用していく際に第三者機関がどれぐらい関与していくかというのが大事だと私も認識しています。第三者機関による確認が行われることでこの事業再生法はスタートすると理解しているんですけれども、この第三者機関において具体的にどのような権限が付与されるのか、教えていただけますでしょうか。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本制度では、手続の公平性、透明性を担保するため、専門性、公正中立性を備えた第三者機関が手続に関与することとしてございます。
具体的に申し上げますと、例えば、事業者からの申請があった際に、債務調整の必要性ですとか対象債権者集会の決議成立の見込みなどをしっかり確認していくこと、それから、対象債権者に対する、手続が終了するまでの間、債権の回収等をしないことを要請することですとか、権利変更議案、早期事業再生計画、確認事業者の資産等に関する価額の評定の内容をしっかり調査することなどをやる組織と想定しているところでございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
債権回収をしないように要請するとか企業価値の評定、特に、資金繰りが厳しくなっている企業だと思いますので、一旦債権回収が止まるということは、精神的なゆとりも身をもって私も感じておりますから、そのことは是非進められるようにと思います。
金融機関側、全銀協からは、第三者機関は事業再生ADRにおける手続実施者を大きく上回る関与、役割が必要との意見が表明されていると認識しております。例えば、何がしかの伴走的な支援を第三者機関が実施するなどのサポートがあってもよいと思いますし、同様に、金融機関においても伴走的な支援が行われることで事業再生の実効性が高まると考えられます。
私の経験で、いつ返してくれますかと言ってくるだけの金融機関もあれば、どうやって返しましょうかと相談に乗ってくれる金融機関も実際にありました。人によって、担当者によってこんなに違うんだな、追い込んでくる人もいれば、伴走してくれる金融機関もいればというふうに強く痛感しています。
こうした意見や考え方を踏まえてガイドラインが作成されていくと認識しているんですけれども、ガイドラインについての経済産業省の現時点での考え等があれば教えてください。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案におきましては、多数決により金融債務の整理を行う手続を定めてございまして、その手続の正当性の重要な要素といたしまして、公平中立な立場から手続を監督する第三者機関の役割があると認識してございます。このため、公平中立ということでございますので、これまでの議論におきましては、第三者機関そのものが事業再生に向けた伴走支援まで行うことは今の時点で想定してございません。
他方で、御指摘がありましたとおり、事業再生に向けた取組に当たりましては、金融機関を始めとした関係者の理解と協力は不可欠だと認識してございます。その中でも、特に、金融機関が早期の経営改善支援ですとか事業再生支援といった事業者支援を着実に行えるよう、本制度におきましては、この第三者機関の公平中立な立場からの調査、報告等の仕組みを措置してございまして、これによって金融機関において事業再生に関する適切な判断ができるようなある種のサポートというか、仕組みを準備しているというたてつけになってございます。
関係者の理解と協力を得ながら円滑に事業再生を進めていけるよう、第三者機関の役割につきましては引き続き検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
基本的に第三者委員会が伴走的な支援をすることは想定していないという答弁をいただきましたので、やはり金融機関がキーになってくるんだと思います。そうなると、経営者が恐らく各行の担当者に、この人に相談しようということが明確に出てくると思いますので、そのような進め方で事業再生を使っていくんだと認識いたしました。
そして、これまであった事業再生ADRについて、手続申請から事業再生計画案の決議までおよそ六か月程度が目安になっていると理解しているんですが、この早期事業再生法案についてはどれぐらいの期間を見込んでいるのかということと、それを実際にガイドラインに明記をされるのか。
若しくは、申請企業側にどの程度の費用負担が必要になってくると認識しているのか。実際に資金繰りが厳しいのでそういうことをしなければならないという、早期事業再生に踏み切れるような費用感であってほしいと思いますし、費用負担が過大ではないかという声も漏れ伝わってきますので、期間のことと費用のことについて経済産業省の現在の考えをお聞かせください。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、本制度の利用にかかる期間でございますけれども、持ち込まれる案件の債権者の数ですとか債権額その他の性質もございますので、一概にこうだと申し上げることは困難だと考えてございます。
他方で、今御言及もありましたけれども、事業再生ADRにおきましては、個別の事案の事情による差はありますものの、手続の利用申請から決議案の成立までおおむね六か月前後の期間を要すると想定されてございまして、これは単純に比較ができるものではございませんけれども、今後の制度の運用を考えていく際、本制度の利用にかかる期間の一つの参考にはなるものだと考えてございます。
いずれにいたしましても、本制度は早期での事業再生のための手続でございますので、迅速な処理に向けて具体的な運用方法を今後しっかり検討してまいりたいと思います。
それから、先ほども御指摘がありました事業者が本制度を利用する際に第三者機関に支払う料金、費用でございますけれども、その額や算定方法などが著しく不当なものにならないよう、この法案においては、第三者機関は業務規程におきまして料金の額、算定方法等を定めまして、経済産業大臣の認可を受ける必要があるということになってございます。
具体的な料金の額につきましては現時点では未定でございますけれども、申請する各機関が本事業を継続していくために必要な経費を過度に上回らないよう、認可の際には厳正に確認していくことを考えてございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。過度な負担が強いられることのないようにガイドライン等で整備していただきたいと思います。
そして、この早期事業再生の制度について、この法案成立後になるかと思いますが、ガイドラインで今お尋ねしたような期間、費用が様々決まっていくことは理解しているんですけれども、私の場合はたまたま商工会議所のOBの方と相談して前に進むことができましたが、これを企業側にどうやって周知しようとしているのか、若しくは窓口をつくろうとしているのか、もし現時点での考えがあれば教えてください。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
本制度の活用を促し、広く使っていただくという観点から、周知広報は大変重要だと思ってございます。
一つは、経済団体等を通じて企業に周知していくということもございますし、企業に対して様々な立場からアドバイスをするような立場の方々、弁護士さんでありますとか先ほど御質問にもございました金融機関も大変重要なルートではないかと思ってございます。
私どもとしては、関係省庁とも協力しながら、様々なルートを通じてこの制度の周知広報に努めてまいりたいと考えてございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
資金繰りで窮するところは、こういう情報を欲しがっている方もおられれば、そこまでたどり着かない方もおられますので、こういうことがあることを知っていただくことは大事だと思いますので、是非私も一宣伝員として動いていきたいと思います。
事業再生ADRについては、債務免除を受けた際に、税制上の優遇措置、そして、必要な経費を見込んだつなぎ融資の円滑化のための支援を受けられる、そのようなことがあると理解しているんですが、早期事業再生法についても、このような税制上の優遇措置、つなぎ融資などはあるんでしょうか。教えてください。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本制度に基づきまして債権放棄を含む権利変更を行うことになった場合などの税務上の取扱いにつきましては、御指摘がございました事業再生ADRなどにおける取扱いも参考にしながら、今後しっかり明確化を図っていきたいと考えてございます。
また、本制度におきまして、第三者機関が制度の利用中のつなぎ融資を確認した場合には、事業再生ADRと同じく、仮に事業者がその後破産処理の手続に移行した際には、裁判所は、当該確認の事実を考慮して、このつなぎ融資の優先弁済の可否を判断する規定、こういったものなどを設けているところでございます。
○東(克)委員 ありがとうございます。
つなぎ融資があるかないかは事業再生においては大事なことだと思いますので、このことも是非進めていただきたいと思います。ガイドラインができましたら私も是非読ませていただきたいと思います。
今回、ガイドラインや制度をつくっていく中で、事業再構築小委員会が少なからず関与していると思っておりますが、この事業再構築小委員会の委員構成において企業再生実務に大変実績のある方が多く参加されていると認識しているんですが、企業経営、特に事業者側の視点の担保という観点から、経営者の経歴をお持ちの方がもう少し入ってもいいのかなと思っております。加えて、この小委員会の報告書には、事業再生に当たっては、従業員の協力も必要であることにも留意が必要であると記載されているんですが、労働団体の参画が実際のところありません。
大臣にお伺いしたいんですけれども、この事業再構築小委員会だけではなくて、今後様々に行われる審議会等の委員構成について、それぞれの立場から意見を取り入れる必要があると思うんですが、常に委員構成のバランスには配慮していただきたいと思っていますが、経済産業大臣のお考えをお聞かせください。
○武藤国務大臣 本制度の検討が行われました事業再構築小委員会ですけれども、事業再生の知見ですとか実務経験が不可欠であったことから、法学者ですとか事業再生の実務家、そして企業経営に関わる方に委員として参加していただいたところです。
また、オブザーバーとしては、全国銀行協会等の金融機関の団体ですとか日本商工会議所に参画いただきました。さらに、小委員会以外の場でも、労働者側の視点を取り込むべく日本労働組合総連合会と意見交換を行うなど、様々なステークホルダーと議論を重ねてきたところであります。
この小委員会に限らず、経済産業省では、審議会の設置につきましては、趣旨、目的に照らしながら、委員により代表される意見、学識、経験等が公正かつ均衡の取れた構成になるように、ルールにのっとって委員の選任を進めさせていただいているところです。
○東(克)委員 時間が参りましたので、これで質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、鈴木岳幸君。
○鈴木(岳)委員 立憲民主党の鈴木岳幸でございます。
それでは、質問に入らせていただきます。
今回の早期事業再生法案は、債務を抱える会社にとりましては、会社更生法などの法的整理と私的整理の間を取るような債務整理手続を行うための法案だと考えております。円滑に事業再生を行うために金融債務のみに限定して行うということでして、そこを円滑に早期に権利関係を調整する制度ということでございますけれども、金融債権を持つ銀行などの金融機関も、もちろん営業を行う事業者でありますから、利益を追求しなければならない立場であるということが言えます。そうすると、この早期事業再生法案の手続に着手しようとする借金を抱えた会社の事業の継続性とか再生力について様々な注文をつけてくることが予想されます。当然のことだと思います。
例えば、事業再生計画を作る中で、ちゃんと会社の財務体質を改善するために、例えばリストラを行ってくださいとか人的にも物的にもコストカットをうまくやってくださいとか、そういう注文をつけてくることは当然考えられることかと思います。
今回の法案の概要では、事業価値の毀損や技術、人材の散逸を回避できる制度基盤を整備し、経済の新陳代謝機能を強化しておくことが重要とされておりますけれども、経営側と債権者にとりましては今回の制度は大変役立つものであると感じるのでありますが、ここだけ見ると、雇用されている労働者の立場がどれほど守られているかということに言及がありませんので、労働者にとっては大変危うくなる可能性があります。
そこで、今回、私は、この法案に関しまして労働者の雇用の確保、権利擁護という観点から質問させていただきます。
会社はもちろん株主のものであって、そして経営者のものでありますが、同時に労働者のもの、従業員のものでもありますから、この権利の擁護は非常に重要なものと感じております。
ただ、借金を抱えた会社にとりまして、早期に事業を再生させるためにはコストカットが非常に重要になってくるのは誰しもが理解するところでございます。ただ、そのために安易に人員整理とか労働条件の切下げが行われることになってしまうと、この法案の概要の方にも書いてあった技術、人員の流出にそのまま直結してしまうことになるので、これは本末転倒になるかと思います。事業再生の際にも、労使の協議があってこそ事業継続の道筋が見えてくるものと感じております。
そこでお聞きしますが、例えば、今までに行われてきた事業再生ADRの案件に関しまして、手続実施者が事業再生の対象企業の労使の協議がしっかりと行われていたかどうかということについてどのように確認しているかという点についてお伺いをさせていただきます。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
事業再生ADRにおきましては、運用上ではございますけれども、第三者たる手続実施者が、再生計画の履行可能性を確保する観点から必要な調査を行い、債権者に対して意見を述べることとしてございます。
そのため、手続実施者が、履行可能性の観点から、例えば労使協議が必要とされている場合であってその対応について疑義があるようなケース、そういった場合につきましては、必要に応じて調査し、意見することができるようにしているところでございます。
○鈴木(岳)委員 手続実施者が必要に応じて調査、意見を行うということで、一定程度の労働者の権利は擁護されているということかと思います。
事業再生を円滑に行うときには、どうしても債権とか債務というところに目が行きがちではありますが、様々な法制度の中で、やはり雇用と労働を守りながら事業再生を行うことがその後の事業の継続性に直結するものだと思っておりますので、まず大臣にお聞きしたいと思いますが、様々な事業再生を行う上で雇用とか労働面に関しましてはどのような取組が必要とお考えかという点についてお聞きします。
○武藤国務大臣 先ほども、東先生でしたかね、苦労した経験がおありですけれども、私も以前にMアンドAをやった経験もあるので、そういう意味でいうと、まず頭に浮かぶのは雇用確保、どうやって守るかですよ。
したがって、事業再生においては、ここに書いてありますけれども、当該企業で働く従業員の理解と協力を得ることが最も重要なことで、気を遣わなきゃいけないところです。
このため、雇用や賃金といった労働条件の不利な変更が見込まれる場合、事業者が労働組合等の関係者の意見を丁寧に伺いながら、従業員の協力も得ていくことを促す取組が間違いなく必要と考えているところであります。
○鈴木(岳)委員 大臣は経営もされていたということでして、従業員の立場というのもよくお分かりかと思います。
冒頭、事業再生に関わる雇用、労働面の懸念とかあるべき姿というものをお尋ねしました。
では、本法案についての質疑に入らせていただきます。
今回の法案で、債務について一部免除や期間の猶予、繰延べなどの権利変更が行われる場合に、労働者の雇用や労働条件などの変更が生じることは様々な事業再生の面について多々出てくると思いますが、今回のこの制度の適用に伴って提出される早期事業再生計画の中では、労働者の雇用や労働条件に変更が生じる場合についてまだ余り詳しくは言及されていないと思いますが、この場合に労働者の権利保護をどのように行うかという点についてお尋ねをいたします。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案におきましては、金融機関等の有する金融債権に限定して減免等を行う手続を定めてございます。したがいまして、未払い賃金ですとか退職金等の労働債権は減免等の対象とはしておりません。そのため、仮に労働条件の変更等に伴い調整が必要とされる場合には、労働法制一般のルールにのっとってしっかりとした対応がなされることになると理解してございます。
このため、本法案においては、従業員が事業者に意見を述べる機会等を特段設けているということではございません。
他方で、先ほど大臣からの答弁にもございましたが、当該企業で働く従業員の理解と協力を得ることは、事業再生の成否を決する上では極めて重要な観点だと認識してございます。
このため、早期事業再生計画におきまして会社分割や事業譲渡等によって雇用や賃金の減少が見込まれる事案につきましては、関連する労働法制にのっとった手続に加えまして、本制度上でも運用面で適切に対応してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(岳)委員 労働者の方にも一定程度以上に気を遣っていただくというような御趣旨かと思います。
ただ、様々な事業再生の手法がこれまであったかと思いますが、そういった事業再生を行う上では、人員整理や労働条件の引下げが頻発している実態がある。これは今回の法案の概要の方にも書かれていたかと思うんです。そうすると、やはり労働者を守るための法整備というのはきちんと整えていかなければならないと思っております。
政府は本制度において労働者保護のための方策を具体的に検討していくとされておりますけれども、今回のこの法制度を進める上で、早期事業再生計画の内容を労働者や労働組合などがどのタイミングでどのように把握することができるかという点についてお尋ねをいたします。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本制度を通じた事業再生を進めていく上で、雇用や賃金といった労働条件の不利な変更があらかじめ見込まれている場合には、関連する労働法制にのっとった手続に加えまして、先ほど申し上げましたけれども、本制度においても運用上の工夫を行う必要があると考えております。
そこで、早期事業再生計画におきまして会社分割や事業譲渡等によって雇用や賃金の減少が見込まれる事案につきましては、労働組合等がその後の労使協議に向けた準備が行えるような環境を、保秘の観点も踏まえながらしっかりと整えていくことが大切であると認識してございます。
そして、お尋ねの労働組合等が情報を得ることができるタイミングでございますけれども、早期事業再生計画が外部に出されることになる第三者機関へ早期事業再生計画が提出される時点、ここが一つの重要なタイミングであると認識してございますので、そこら辺を踏まえながら今後具体的な運用についてしっかり検討していきたいと考えてございます。
○鈴木(岳)委員 早期事業再生計画が提出される時点だと、ほぼ策定が決まってしまったというところになるので、労働者側の意見が余り反映されないんじゃないかという気がいたします。労働者にとりましても、事業再生というのは御自身の生活に関わることでありますから、なるべく早期に情報が得られるような運営を是非求めたいと思います。
それで、この早期事業再生計画を策定する際には、労働組合等との協議を行わなければならないような旨を明記した方がいいんじゃないかと私は思うんですね。そして、その内容が雇用や労働条件に変更が生じる場合には、決定前に労働者の過半数、労働組合等との合意というものが必要になってくるんじゃないかと思うんですが、その点に関してはいかがお考えでしょうか。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本制度におきましては、労働債権は権利変更の対象ではなく、労働組合等も手続の直接的な当事者とならないため、この法律におきまして労働組合等への協議等の規定は設けてございません。
また、労働条件の変更に際しましては、本法律とは別途労働法制上の手続を遵守する必要がございますので、本制度においては労働組合等の事前の合意までは必要ないと考えているところでございます。
他方で、繰り返しにはなりますが、事業再生に当たりましては、従業員にも雇用や給与等について影響が生ずる事案も存在しますので、これらの事案においてはしっかり従業者の皆様の協力を得ることは必要であると認識しております。
そこで、本制度の運用上の工夫といたしまして、早期事業再生計画において会社分割や事業譲渡等によって雇用や賃金の減少が見込まれる事案につきましては、従業員の協力が得られるよう、制度を利用する事業者と従業員の間で円滑な協議が適切に行われるような制度の運用をしっかり検討していきたいと考えてございます。
○鈴木(岳)委員 経営側と労働側との協議が行われるような運用を考えていると今おっしゃっていただきました。これは非常に重要なことだと思いますので、是非とも進めていただきたいところでありますけれども、せめて、労働条件に変更が生じる際には、提出時よりも大分前に労働者が知るような方法を是非定めていただきたいと思います。
もちろん、この事業再生というものは、今おっしゃっていただいたように、従業員の協力は必要不可欠となってまいります。ですので、一つ思うことは、経営者と労働組合等との協議が実際に行われたかどうかということを制度的に担保していただきたい。そのために、今回のこの早期事業再生計画においては運用上で経営側と労働側の協議を行うようにしていきたいということでありましたけれども、この早期事業再生計画の中に労働組合との協議結果を記載することを義務化することも考えるべきかと思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
繰り返しになり大変恐縮でございますが、本制度におきましては、労働債権が権利変更の対象ではなく、労働組合等も手続の直接的な当事者とならないため、労働組合との協議等の規定を設けてはございません。
他方で、特に、早期事業再生計画において会社分割や事業譲渡等によって雇用や賃金の減少が見込まれる事案につきましては、先ほどからお話があります事業者と従業員との間の協議の状況につきまして再生計画内に記載されることが担保される形の運用上の工夫を検討してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(岳)委員 何度も繰り返しのような質問になってしまって恐縮ではありますけれども、運用の中で協議することが担保されるということですので、そこは今後に期待したいと思いますが、できれば省令とか規則とかを定めてちゃんと行われるということが、義務化という言葉がもしかしたら重いのかもしれませんけれども、必ず行われるということを担保するとおっしゃっていただいたので、そこはこれからしっかりとチェックさせていただきたいと思いますので、運用面の確認をしっかりとお願いいたします。
指定確認調査機関というところが今回の制度の手続、運用を行っていくことになるかと思うんですけれども、この指定確認調査機関、指定は事案ごとに経済産業大臣が行うこととなっております。そうすると、この指定確認調査機関が選任した確認調査員が様々な内容の調査に当たってくるかと思うんですけれども、この確認調査員、恐らく、先ほどお話がありましたけれども、弁護士さんとか公認会計士さんとか税理士さんとかが行うことになるかと思うんですが、このような方々の資格というか要件というか、あると思うんですが、この方たちの適格性を担保するためにはどのような対策を講じていくのでしょうか。
私が今まで取り上げてきたように、経営側と株主側と債権者との間に立つだけだとお金の計算だけになってしまいますから、それだけじゃなくて、ちゃんと労働者の立場も理解してほしいという面からこの質問をさせていただきますが、確認調査員の適格性の担保についてどのように行うか、御答弁をお願いします。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
制度上、確認調査員の適格性を担保する観点から、第三者機関は、確認調査員として、事業再生に関する専門的知識、それから実務経験を有する者を事案ごとに選任しなければならないこととされてございます。
このため、一般的に申し上げれば、これらの者は、事業再生に関する実務経験を通じて、例えば関連する労働法制の知見なども有している方が多いのではないかと考えているところでございます。
○鈴木(岳)委員 一般的には労働法制等も熟知されている方なんじゃないかとおっしゃっていただきましたけれども、例えば、事業再生ADRの手続実施者、これが今回でいうと確認調査員と同じような役割を担う方かと思うんですけれども、このADRの手続実施者になれる要件が割と甘いものがあるんじゃないかと私は感じております。
企業再生の経験者であれば大体なれてしまうというふうに感じておりますけれども、今回の早期事業再生の手続は、全員の債権者の合意がなくてもできるという面では企業側からすると非常に着手しやすいということも予想されますので、そうすると、調査員の要件はADRよりもより厳しく定めることが必要かなと感じております。ですので、労働法制も含めた様々な知見に関しまして熟知されている方を是非選ぶような方策もお考えいただきたいと思っております。
この確認調査員が、今までも申し上げましたように、経営者側と債権者、銀行さんだけを見てしまうと、労働者の権利が危うくなる可能性がある。ここを非常に懸念するところでありますので、調査員の方には、債務処理とか事業再生とか金融関連の法制だけじゃなくて、労働法制も含めた見識はやはりどうしても重要視していただきたいと思うんですけれども、調査員に対する研修などを行ったりして適格性を更に高めたり担保する体制構築をどのように行う予定かという点についてお尋ねいたします。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる第三者機関が選任する確認調査員につきましては、繰り返しになりますけれども、事業再生に関する専門的知識及び実務経験を有する者であることを求めていることから、弁護士等の有資格者を基本的には想定しているところでございます。
その上で、御指摘もございますとおり、個々人によっては、様々なバックグラウンド、経験も違うということもございますので、労働法制に関する知見の程度も異なることも考えられるところでございますので、事業再生の円滑な遂行を徹底する観点からも、第三者機関に対しまして確認調査員に対する労働法制の研修体制の整備ですとか研修の実施を求めるなど、必要な環境の整備を検討してまいりたいと考えてございます。
○鈴木(岳)委員 今、参考人の方からは、必要な研修等の体制はつくっていくということを明言していただきましたので、その点はこれからもしっかりと確認してまいりたいと思います。
今回の法案は、債権の権利変更決議の法的効果が金融債務に限定されるということになっております。仮に、早期事業再生計画の中で人員整理や買掛金の支払い圧縮とかそういったことに言及があったとしても、今回の法律の根幹では金融債権以外には法的効果が及ばないということでありますので、例えば、早期事業再生計画を盾に取って、取引業者にちょっと支払いを減らしてよとか、あるいは、労働者に今度のボーナスを減らしてよとか給料を減らしてよとか、こういった交渉が始まったとしても、そこに法的効果がないということであると、それらの交渉に応じる義務はないと考えてよろしいのでしょうか。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘がありましたように、減免の対象となりますのは金融債権に限定されております。そのため、取引債権、労働債権は減免等の対象ではございません。
また、再生計画は金融債権の減免を判断する際に交付される参考資料でございますので、再生計画自体を決議するものではございません。したがって、この計画に仮に人員整理あるいは買掛金の支払い圧縮といったようなことが書かれていたとしても、そのことによって何らかの法的効力が発生するものではなく、また、そのことをもって交渉に応じなければならない義務が発生するものではない、こういうことでございます。
○鈴木(岳)委員 法的効力を持つものではないので、金融債権以外には効果は及ばないという御答弁をいただきました。
ただ、銀行側にとってみても、回収する、支払いをいただくというのは仕事になりますから、早期事業再生計画の中でも、その対象となる企業がちゃんとこれからも事業を継続していくかということは非常に重要なことかと思います。
そうすると、例えば、早期事業再生計画の中で、銀行さんが今後のリストラ実施を行うことを条件として債務の返済期限の猶予に応じるとか、そういう可能性は当然出てくるかと思うんですけれども、そうなった場合でも、例えば、早期事業再生計画の中でリストラをやってください、それであれば債務の減免に応じますと書かれていた場合であっても、そのリストラを行わないでいいというふうなことが言えるのか。リストラを行わなければならないというふうになってしまうのか。そういったところにまで法的な効力がどこまで及ぶのかというところまで考えられているのでしょうか。お伺いをいたします。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
本制度は金融債権の権利変更の手続を整備するものでありまして、その際、労働債権等は対象となりません。したがって、債権者集会における決議でありますとか裁判所の認可の法的な効力はあくまでも金融債権でございまして、仮に早期事業再生計画の中でリストラというようなことが書かれていたとしても、その部分について何ら法的効力を持つものではございません。
仮に労働条件が変更される場合は、別途、関係する労働法制等を遵守した手続が取られることが必要であると考えてございます。
○鈴木(岳)委員 今の御答弁でいきますと、早期事業再生計画の中にリストラを行うことを条件として銀行が債務の免除とか返済繰延べに応じたとしても、それは法的にはリストラをしなきゃいけないということではないという御答弁をいただきました。
ただ、銀行も仕事ですから、ちゃんと事業を継続してお金をいつかは返してくださいねということが建前になってくるわけです。そうすると、早期事業再生計画の中に書かれた事業再建の計画を経営者は実行しなければならない。そこにリストラをやらなければならない、リストラをやってくださいと書かれているとしたら、経営者も真面目に会社を立て直すためには、やはり人的、物的なリストラを行っていかなければならないという意識が生じてくるのは当然のことかと思います。
そうすると、経営側が不本意ながらもリストラを断行しなければならないということも考えられますが、そのような場合に労働者とか労働組合等はどのような場所にどのように相談していけばいいのかという点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○大隈政府参考人 お答え申し上げます。
厚生労働省におきましては、各都道府県労働局、全国の労働基準監督署内などの三百七十九か所に総合労働相談コーナーを設置いたしまして、解雇や労働条件の引下げといったあらゆる分野の労働問題を対象として相談を受け付けております。
総合労働相談コーナーにおきましては、労働関係法令等の情報提供や関係機関への取次ぎを行っておりますほか、個別労働紛争の解決援助の申出があった場合には助言、指導やあっせんといった紛争解決のための支援を行っているところでございます。
○鈴木(岳)委員 今厚労省さんからお話がありましたけれども、そのような事業再生計画の中でリストラ等が行われたとしても、一般的なリストラと同じように労働紛争の解決の場所で受け付けるということですよね。これは当然のことかと思います。ですから、どのような場合であってもリストラは簡単にできるようなものじゃないということ、日本はちゃんと正社員は守られる立場になっていますから、それにちゃんとのっとってくださいということを強く厚労省さんからもお知らせをして多くの方に知れ渡るようにしていただきたいということを改めて申し上げたいと思います。
今回の早期事業再生法ですけれども、多くの経営者にとっては大変ありがたい手続になるんじゃないかと感じておりますが、今まで行われていた事業再生ADRの方だと、債務者たる企業が不適切な会計処理があったとしても再生手続を進めた事例があるということを聞いています。
例えば、会計上に粉飾があった、それが再生手続を行う中で明らかになった。そうすると、前提条件として、今ある財務諸表等が間違っている可能性があるわけですよね。
例えば、借金が一億円あって、その借金をちょっと繰延べすれば財務体質が改善するから、一年後ぐらいにはきっと経営体制はよくなっているよねという思いで続けていたけれども、実は借金がもっとあったとか、売上げが書いてある内容よりも全然低かったとか、こんなことがあったら、銀行側もふざけんなという話になりますし、間に立つ人間もこんなんじゃ再生できないよということになるかもしれません。
でも、実際には、どこまでひどい案件かということは把握しておりませんが、事業再生ADRの中では、不適切な会計処理、粉飾等があったとしても、事業の継続性とか従業員を、雇用を守らなければいけないという観点もあって、事業再生を継続したという事案があるように聞いております。
このことも含めると、今回の早期事業再生計画も、多少不適切なことがあったとしても、一度着手したら、会社の継続性というものを考えたら、簡単に御破算にしてしまうことなく、ある程度進めていただきたいというのが多くの事業関係者とかステークホルダーとか従業員の願いかと思うんですが、多少の問題があっても一度着手すればこの制度によって進めていくことができるかどうかについてお尋ねをいたします。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、本法律上の制度のたてつけでございますけれども、まず、確認事業者が偽りその他不正の手段によって、手続開始時点の確認ですとか、又は早期事業再生計画等の調査を受けたことが判明したときは、確認の取消し事由に該当することが条文上明記されているところでございます。
また、最終的に出てくる裁判所でございますが、裁判所が、様々いろいろな場合はあるとは思いますけれども、不正の方法による決議の成立がなされているかどうかというところをしっかりと審査するという形になっております。
いわゆる確認のプロセスに加えて、裁判所もしっかりとチェックをするという二重、三重の制度的な担保措置を設けているという構造になってございます。
したがいまして、今御指摘がございましたけれども、悪質な粉飾決算等を行った事業者がどうなるかということにつきましては、不正な方法、不正な手段といった辺りに該当するかどうかというところの判断になってくるわけですけれども、これは行政庁というよりは、個々に裁判所等で判断されてくることになると思いますが、その利用が悪質な粉飾等の場合について言えば、利用の継続は当然排除され得ると考えられます。
ただ、他方で、その程度は、粉飾の程度も含めて、悪質の程度その他いろいろな状況は個々の事案に応じてかなり異なることが考えられますので、個別の事案ごとに、先ほどの確認であれば第三者機関でございますし、最終的な審査であれば裁判所になると思いますけれども、そういった関係者が利用の継続の可否を区々に判断していくことになろうかと考えてございます。
○鈴木(岳)委員 その悪質さでございますけれども、過去の事業再生ADRの際に不適切な会計処理があったということは、どのような性質のものであったか把握されているんでしょうか。悪質性が高かったのか低かったのか。私はそういう事例があったことは知っているんですが、どのような内容かは知らないものですから、もし分かればおっしゃっていただければ。触りだけでも構いませんので。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
個別の事案がどういった事案なのかという詳細につきましては、我々も十二分に把握し切れていないところでございます。
ですけれども、粉飾決算にも様々なレベルがあると思っておりまして、非常に深刻な明らかに意図的な粉飾というケースもあれば、ある意味軽微な過失程度のものもあると認識していまして、詳細は把握してございませんけれども、事業再生ADRにおいてはかなり幅がある事案が見られたというふうに聞いておりまして、その結果、そのまま継続したケースもあれば、途中で継続することは難しかったというケースまで、幅のある中で実際の運用がなされている、結果になっていると認識しているところでございます。
○鈴木(岳)委員 さすがに粉飾決算は、明らかに意図的に売上げもごまかして、経費もごまかしてということであれば、それは事業継続性にそもそも疑問符がつくということでありますから、手続が進められないのは当然かと思います。
私が今回この法案で対象とされると思っている企業は、ちゃんと仕事も真面目にやっていて、売上げもちゃんと立っていて、事業の継続性が高いけれども、借金があるので経営上うまくいかない、こういう会社こそが、ちょっとだけ手助けをしてあげることによって事業が継続して雇用も守られるというところが対象になってくるかと思っておりますので、悪質性が高いところは当然排除されるべきというのは衆目の一致するところかと思っております。
今回のこの法案が適用されるには、ちゃんと会社が存続して売上げも継続して立てられるということが第一だと思っておるんですけれども、事業再生というものは、今回の制度に限らず、再生を行う際には人員整理が行われることが多々あるということは今回の政府の法案の概要の方にも書かれておりましたので、皆さん分かっていることかと思うんですけれども、例えば、人員整理とかリストラだとか労働条件の切下げとかが様々行われる際にも、例えば、解雇の四要件とか整理解雇法理とか労働条件の不利益の変更が生じる場合には労働契約法の第十条がちゃんと適用されるかとか、労働関係法規がしっかりと適用されて労働者の権利がしっかりと守られるということをまず改めて確認をしたいんですけれども、いかがでしょうか。
○尾田政府参考人 お答えいたします。
まず、解雇につきましては、労働契約法第十六条におきまして「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」とされているところでございます。
その上で、整理解雇につきましては、その有効性が裁判で争われる場合に、人員削減の必要性、解雇回避努力義務の履行、被解雇者選定基準の合理性、解雇手続の妥当性、この四つの事項を考慮して判断されているものと承知しております。
また、労働条件の変更につきまして、これを就業規則により行う場合は、原則として、使用者が労働者と合意することなく、就業規則を変更し、労働条件を不利益に変更することはできないとされておりますが、労働契約法の第十条の規定によりまして、変更後の就業規則が労働者に周知され、また、就業規則の変更が合理的なものである場合には、労働条件の不利益変更が認められるとされております。
これらの規定や裁判例における判断枠組みは、御指摘の事業再生の場面においても基本的に適用されるものと考えております。
○鈴木(岳)委員 何度も繰り返しのようになってしまいますが、たとえ事業再生計画の中でリストラが書かれるようになったとしても、そのリストラは簡単には断行できないということ、そして、どうしても行わなければならない場合には、労働関係法規、解雇の四要件等もしっかりと適用されるので、簡単にやってはいけないよということ、これを確認させていただきました。
もちろん、当然といえば当然のことなのでありますけれども、どうしても経営者側から見ると事業再生の方ばかりに目が行ってしまって、労働者の権利ということに目が行かなくなってしまう可能性もあるということは強く御認識いただいて、労働者の雇用と権利の保護の方に是非力を入れていただきたい。経産省の皆さんからすると、労働関係法規には疎い方もいらっしゃる可能性もあると思いまして今回取り上げさせていただきましたので、そこは是非ちゃんと手をつけていただきたいということをお願いしたいと思います。
今回のこの法案による制度の適用の際にも当然に労働関係法規の遵守というものは強く求められるということを確認させていただきました。
それで、今回のこの法案の制度を行っていく実施主体となる方々が、まず指定調査機関、そして確認調査員、そして確認事業者、これは経営者ですよね、そして債権者、これは銀行さんとかになるかと思います、この方々に労働関係法規もちゃんと遵守してもらうことを、先ほど申し上げましたように軽視してしまうというか考えが及ばなくなってしまう可能性もありますので、ちゃんと守っていただくということを広く周知していく、その方策はどのように取られていくかという点についてお伺いをしたいと思います。
○藤木政府参考人 お答え申し上げます。
まさに先生御指摘のように、仮に事業再生に伴って労働条件が変更される場合については、しっかりと関係する労働関係法規を遵守する必要があることについて関係者が広く認識を持ってこの制度運用に当たることが大切だと考えてございます。
その中で、指定調査機関あるいは確認調査員、この制度を運用する側の者につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、こうした再生実務等々に十分知見を持つ者を指定することを前提としておりますので、こうした労働法制に関する理解も十分あろうかと思いますが、改めまして、例えば、先ほどこれも御答弁申し上げましたが、労働法制の研修等々の中で、この法律の運用に当たってそうした労働関係法規の遵守が求められる、こういったことについても周知してまいりたいと思います。
それから、確認事業者というのは経営者でございますので、こういった方々にもそうした認識を持っていただく必要があると思ってございます。先ほど別の質問にもお答え申し上げましたが、経済団体等を通じて様々な経営者の皆さんに本制度を周知する中にありましては、こうした労働関係の留意事項についてもしっかり周知してまいりたいと思いますし、また、経営者直接ではなくて、経営者にアドバイスする立場の方々、弁護士さんであったり会計士さんであったり、あるいは金融機関もあるわけでございますが、こういった団体、関係者を通じて周知する際にも、こうした労働関係の法規の遵守につきましてしっかりと広報していきたいと思います。
具体的には、例えば、制度利用の手引とか、あるいはQアンドAというようなものも作成いたしましてしっかりやっていきたいと思いますし、先生御指摘ではございますが、まさに従業員の協力なくして事業再生は成り立たないというのは私ども経産省におきましても強く認識しているところでございまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○鈴木(岳)委員 もちろん労使が一体とならなければ事業再生はままならないと思っておりますので、その点は強く推し進めていただきたいと思っております。
今回のこの制度は、これだけ債務残高が大きくなっている中では、経営者にとっては全員の債権者の合意がなくてもできるという点では非常にありがたいものではないかと感じますし、これに銀行さんが応じてくれれば経営状況が恐らく大分改善していく企業が増えてくるんじゃないかと思いますので、働く者にとっても非常にメリットが大きいと感じます。
ですので、今回の質問で申し上げましたとおり、事業再生計画を策定するに当たっては、労働側との事前の協議というものも、もちろん秘密保持という観点もあるかとは思いますが、できるだけ情報を早く共有して労働組合さんにも合意が得られるような方策を是非求めたいと思います。そして、その上で、事業が円滑に再生できるように期待を込めたいと思っておりますので、できましたら、先ほども言いましたけれども、労働者側への情報開示という方法について省令とか規則とかでちゃんと明文化して定めていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
この法案は多くの経営者の方が期待していると思いますので、円滑に進められることを御期待申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、斉木武志君。
○斉木委員 斉木武志でございます。
本日、早期事業再生法の審議でございますけれども、まず冒頭、一万件を超えてきているという倒産件数、私も地元で、やはりエネルギー価格の高騰は非常に痛いよというのを聞いております。
福井県は繊維産業が盛んなんですけれども、繊維産業というのは電力を大量に消費する。要するに、縫製であるとか撚糸であるとか、電力で機械を動かしていますので、電気代、北陸電力さんが四〇%値上げしました。それがもろに企業経営に利いていて、廃業しているところも出てきております。
加えて、ガソリン、電気、このエネルギーコストの上昇というのが、私はやはり企業の経営コストの大きな上昇につながっているというふうに思っておりますので、これ以上の倒産件数の増加を防ぐために、まず、本当に、エネルギー価格の引下げ、昨日から十円ターゲットの新しいガソリン補助金の支給も始まりましたけれども、どのように実現をしていくのかというところを、まず冒頭、前回に引き続いてお伺いさせていただければというふうに思います。
私、経済産業省さんに数字を調べていただきました。大臣の手元にも行っていると思うんですけれども、ガソリン元売三社の純利益と大手電力十社の純利益。これが、ガソリン補助金八・二兆円、そして電気・ガス補助金四・三兆円、この支給が始まってからどのように変化したのかということを、経済産業省さんにオーダーして調べていただきました。
その結果が非常に驚くべきものでありました。まず、昨日始まったこのガソリン補助金、十円ターゲットでまたリニューアルしましたけれども、制度が始まったのは二〇二二年の一月です。ちょうどその頃、ロシア・ウクライナ戦争が起きました。これを受けて、激変緩和措置ということでこのガソリン補助金が始まったわけですけれども、二〇二二年三月、制度開始以降、その直後の決算発表で、各社、史上最高益を発表しているんですね。例えば、ENEOSさんは、前年の二〇二一年三月が千百四十億円だった利益が、四・七倍、五千三百七十一億円。そして、出光さんは、三百四十九億円だった利益が八倍の二千七百九十四億円。そして、コスモさんは、八百五十九億円だった利益が一・六倍の一千三百八十九億円。各社、史上最高益、会社が始まってからの最高のジャンプアップを果たしました。
やはり、この八・二兆円は、私たちの税金を経産省さんにお渡しをして、それを博報堂さんを通じて元売三十三社に配っていただいている。ですので、八百八十億円消えているという指摘も今財務省主計局から出ていることは前回申し上げました。そして、中抜きされているんじゃないのかという疑念が出ている中で、各社八倍のジャンプアップ増益なんて私は決算発表で見たことはないんですが、このガソリン補助金を始めた途端に、各社、史上最高益を、八倍の利益を上げているというのをどうお考えになりますか。補助金が各社の利益押し上げにつながっているという疑念を呼びませんか。
○武藤国務大臣 今の、まず、最大の収益を上げたその二〇二二年度、二一年度ですか……(斉木委員「二〇二二年三月」と呼ぶ)二二年三月ということで、ウクライナに侵攻が始まる直前だったと……(斉木委員「いやいや、直後ですよ、二月ですから」と呼ぶ)ちょっと待ってください。
いずれにしましても、今日は委員から御指摘をいろいろいただいておる中で、まず、乖離の問題も御指摘されましたけれども、八百八十億の乖離があるということであると思いますが、財務省の予算執行調査、これは、令和四年三月から同年七月までの五か月間について、補助額と小売価格への反映分との乖離が百十億円と指摘をされているところであります。
また、会計検査院でもありましたけれども、令和四年度の決算検査報告というものがありまして、ここは、令和四年二月から令和五年三月までの十四か月について、乖離が百一億円と指摘をされたところであります。
したがって、八百八十億円というのは、ちょっと数字がよく分からないんですけれども、多分単純計算をされているんだろうというふうに思うところです。
さっきの最大の収益というところですけれども、ここは、二〇二一年度に過去最高の純利益を三社は上げました。これは、石油元売会社は、原油あるいはまた石油製品の在庫というものを期末の時点で時価評価をしています。その増減を損益に計上しているところでありまして、二〇二二年三月時点では、ロシアのウクライナ侵略によって原油価格が高騰していたために、在庫の評価益、いわゆる評価額ですけれども、評価益によって純利益がかさ上げされていることが最大の要因であるというふうに思っています。
また、議員御指摘の補助制度の関係もありますけれども、ここもこれまでも、前回もたしか答弁させていただいたと思いますが、元売が卸価格を引き下げたことを確認できた場合のみこの補助制度は補助金を支払うという事後精算の形を取っておりますので、利益に影響するものではないんだということだろうと思います。
以上です。
○斉木委員 大臣、また前回の質疑前の認識に戻ってしまったんですけれども。
まず、卸売価格の引下げが確認できた場合のみ、博報堂さんがチェックした場合のみ渡していますという答弁なんですが、卸売価格というのは操作できるじゃないですか。私、前回申し上げましたよね、なぜ彼らの卸売価格しか調べないんですか。この三社が輸入をしている原油の、まさに素材価格である輸入価格そのものは一切経産省さんは触っていないですね。利益というのは操作できるじゃないですか。せっかくお上が八兆円もくれるんだから、じゃ、ちょっと人件費を厚めにしておこうとか、じゃ、ちょっと利益を上乗せしておこうとか、そういう操作ができるのが、彼らがどれだけの利益をその卸単価から上げるか計算した結果の値が卸価格じゃないですか。違いますか。
○武藤国務大臣 当時、私も、まだ大臣職じゃなくて、自民党の中のエネルギー関係の担当でありましたけれども、これは、委員がおっしゃられるように、補助を出して、この収益は一体何だというのが当時の皆さんの意見でありました。
いろいろとここも状況を確認させていただいたんですけれども、これも前から答弁が多分出ていると思いますけれども、この激変緩和事業というのは、元売が卸価格を引き下げた分の費用を補助の対象としてきたわけで、このため、補助金の支払いに当たっては、いわゆるSSさん、ユーザーサイドとの問題があります。元売から各SSに対する請求書の明細、様々、これは相当あると思いますけれども、その証拠書類というものを元売から提出をさせて、その内容を確認させていただいているところなんです。
したがって、先生がおっしゃられるように、仕入価格を確認するということ、これは仕入れに関する契約書類などの根拠書類を確認する必要があるわけですけれども、これは、各社、今、元売は三社ということに日本はなりますけれども、各社のコスト競争力の源となる、いわゆる企業営業秘密ということになりますので、これを確認することは極めて難しい話だと正直私は思っています。
一方で、これは全国平均で見た卸売価格と貿易統計における原油の調達価格の相関関係について確認をしてきましたけれども、現実、補助事業の開始前と開始後で大きな差は見られておりません。このため、各社の仕入れの原油価格を個別に確認せずとも、元売が不当に価格を引き上げていないということはある意味で確認ができていることだろうというふうに判断をしているところです。
また、昨日から新たに開始しました、定額の引下げ措置に今回はなりましたけれども、元売各社の卸価格にかかわらず一定額を支給する、これを支援することとしておりますので、制度上も、元売が補助金を目的として卸価格を引き上げるという懸念は生じなくなっているものと理解をしているところです。
いずれにしましても、国民の税金をこういう形で還元しているわけですので、そもそも、企業の収益を、もうけさせるために税金を使うなんということはあり得ないというふうに私は思っているところです。
○斉木委員 ちょっと理屈としては成り立っていないですね。
申し上げたように、卸売価格は経営の肝ですよ、まさに。利益をどれだけ上げるか、どれだけの利益を上乗せして各SSに卸すかという、まさに、ENEOS、出光、コスモさんの利益の根幹を左右する部分です。
ですので、そこのところを、利益を乗っけた値を幾ら調べたって、それは、最初から利益を、じゃ、八兆円が始まるから、そのランニング期間に卸売価格を高く設定をしておけば、国際原油市場の油価に合わせて変動させますとおっしゃいますけれども、最初から乗っけておけば、そのままずっと三年半維持されているわけじゃないですか。やはり、そういうところが、始まった途端、一年間で八倍の増益ということにつながっているんじゃないのかというのは、納税者から疑いの目が持たれるわけです。だから、利益も乗っけて、要するに、利益計算をした後の値を幾ら調べたって何の証拠にもならない。
だから、今、国民の側には、電力料金の補助金が欲しかったら電力の領収書を出しなさいよと中小企業に求めているわけじゃないですか。岐阜でも行われていると大臣はお認めになりましたよね。だから、そういった証拠書類はまさに生伝票ですよ。この三社がサウジアラビアやドバイから買い付けを行っている原油の価格、これがこの一週間でこれだけ上がっているから、じゃ、これだけのものをお渡ししましょうというふうに、そこで計算しないと、彼らが鉛筆をなめて利益計算をした後の値に基づいて幾らやったって、それは彼らの利益を補助金でてこ入れしているというふうに言われてしまいますよ。そこのところが理解が及んでいないんじゃないのかというふうに思うんです。
実は、仕入価格を明らかにしていないということは、電力料金に関しても全く同じなんですね。
大手電力十社の利益はもっとすごいことになっております。電気・ガス補助金は四・三兆円、これまでに補助金が支給されてまいりました。支給開始が決まったのは二〇二三年の一月です。その後、燃油高騰が激しいので、各社、電力の値上げを許可してくださいと規制料金の値上げを経産大臣に申請をされて、経産大臣が認可して、値上げが行われたのが二〇二三年の六月です。
じゃ、この前後でどういうふうに大手電力十社の、規制料金ですので、純利益が推移をしているのか。これも経産省に数字を出していただきました。有価証券報告書から拾っていただきました。
二〇二三年三月に比べて二〇二四年三月期の決算報告がどうなっているかということなんですが、驚いたのは、規制料金値上げの前は十社中八社が赤字でした。それが全て黒字化しております。
具体的に言いますと、北海道電力は二百二十一億円の赤字から六百六十二億円の黒字、東北電力は千二百七十五億円の赤字から三千五百三十六億円プラスして二千二百六十一億円の黒字、東京電力は千二百三十六億円の赤字から三千九百十四億円積み増して二千六百七十八億円の黒字、中部電力は三百八十二億円から四千三十一億円の黒字、そして北陸電力は八百八十四億円の赤字から五百六十八億円の黒字、関西電力は百七十六億円の黒字が二十五倍増の四千四百十八億円、そして中国電力は千五百五十三億円の赤字から千三百三十五億円の黒字、四国電力は二百二十八億円の赤字が六百五億円の黒字、九州電力は五百六十四億円の赤字が千六百六十四億円の黒字、沖縄電力は四百五十四億円の赤字が二十三億円の黒字となっております。
やはり、二十五倍増というのは私も見たことがないんですね。こういった電力補助金を突っ込んで、そして、更に規制料金の値上げも認めて、私が住んでいる北陸電力地域では四〇%の値上げに今苦しんでおります。
その積算根拠を公開していないんですね、経済産業省さん。電力・ガス取引監視委員会の事務局長にも今日来ていただきました、電取で規制料金に関しては査定しますので。
そのときに、じゃ、北陸電力さんがマレーシアとかからまさに幾らで天然ガス、LNGを買い付けをしているのか。そのトン単価は非公表ですし、内部ではオンラインで、ユーチューブで公開で審査を行っていますと電取さんはおっしゃいますけれども。ウクライナ戦争前に比べて、規制料金の値上げを北陸電力さんも申請されましたね、じゃ、そのときにトン単価が幾ら、何・何倍になっているのか。肝腎のまさに仕入価格。やはり仕入価格を調べなければ、幾ら規制料金で報告徴収していますといったって、人件費や経常利益だって、彼らが幾らでもここは操作できるところです。そこのところを幾ら審査したって、やはりこれは利益を保護することになってしまう。
だから、火力発電というのは九割は化石燃料費ですよ。原油と石炭とLNG、この燃料費が九割のコスト構造になっています。だからこそ、彼らの仕入れ額がどれだけ上がったか、その分だけ、じゃ、補助金をお渡ししましょうというのがロジックじゃないですか。
じゃ、なぜ、報告徴収で集めておきながら公開しないんですか。
○武藤国務大臣 本当に、先ほども申し上げましたけれども、全部、全て原価を出せということを言っても、我々は市場統制ではありませんので、そこは、現実、今の自由主義社会においては、正直言って非常にあり得ない話だと私は思っています。
ただ、今委員おっしゃられるように、我々は、とにかく国民の生活への負担というものを何とか解決しなきゃいけないというその思いの中で、公正に国民の税金を使わせていただいてきたわけですから、そこについては、今、明細などの証拠書類を、これはもう相当多くの数であります、ですから、どうやってチェックしているんだといって私も確認したぐらいですけれども、本当にえらい勢いで、こういう労力をかけながらこの制度を今維持してきているというのが現実で。
一方では、電力の話も今おっしゃられましたけれども、ここも、燃料とはちょっと別の話で、東京、沖縄を除く大手電力八社、これは、二〇二三年度の決算、これも過去最高益になったことは事実ですよ。我々も、何だ、補助を出しておいて何で最高益になるんだ、これはおかしいじゃないかということで、いろいろこれはこれまでも調べたというか確認をしてきましたけれども、大きな要因としては、足下の燃料価格の変動、この非常に難しい燃料費調整制度という仕組み自身、これが要するに、私も事務方に言いましたけれども、もっと国民に分かりやすくちゃんと説明しろということを申し上げました。これは、三か月以降に反映するんですね、タイムラグがある。
だから、この制度の下では、燃料価格の下落局面で、料金が低下する前に燃料コストの低下が進むから事業者に黒字が生じてしまうという傾向になっちゃうんですよ。逆に、燃料価格の上昇局面においては事業者に赤字が生じる傾向にある。
こういうものが、大手電力各社が大幅な黒字になった二〇二三年度、これは、燃料費がウクライナ危機で高騰した水準から大きく今度は低下をしていく局面でありました。事業者に利益が生じやすい状況になってしまったということです。逆に、二〇二二年度、ここは、ウクライナ危機が起こり、燃料価格が急騰する局面であった。今度は大手電力の大幅な赤字決算になったわけです。
二三年六月、七社の規制料金の値上げを許可させていただきました。これは事実であります。許可に際しては、前例にとらわれない、極めて厳格な審査を行いました。これは後でまた聞いていただければいいと思います。必要最小限の改定だったと考えていますが、社によっては申請時の値上げ幅の半分まで圧縮したところです。
また、電気・ガス料金補助、この問題につきましても、電力会社の電気料金から使用量に応じた値引きを行うことに対して必要な資金を補助するものであって、これは収益につながるものではないということです。
したがって、規制料金の改定や補助金の支給によって大手電力が過大にもうけているという御指摘は全く当たらないというふうに承知しているところです。
○斉木委員 大臣、許可したわけですよね、規制料金の値上げを。自由競争じゃないじゃないですか。
電力規制料金というのは、まさに、経産大臣が認可をした、いわゆる官が定めた料金じゃないですか。違いますか。
○武藤国務大臣 自由市場競争を圧迫するものではありません。これは今のこういうルールの形の中で認めたということですから。
○斉木委員 日本の電力コストを下げたいのであれば、まさに規制料金はベンチマークですよ。各新電力だって、それでも少しでも安くして顧客を大手十社から奪い取ろうとするじゃないですか。日経平均二二五やS&P五〇〇、まさにこれが、日本の電力料金のベンチマークになっているのは経産大臣が認可する規制料金なんです。そこから少しでも下に行こうとして民間の競争を促していく、そういう制度じゃないですか。違いますか。
○武藤国務大臣 本当に電気料金というのは難しいなと正直思います。
ここには自由料金と規制料金があって、規制料金については、電気事業法に基づき、経産大臣が審査の上で認可することになっている。電気事業法上、規制料金に対しては、料金が著しく不適当と認められる場合に変更の命令を発動しますけれども、現時点においてはそのような状況になっているとは思いません。
GX等々の推進に必要な設備投資、またこれが、いろいろ別の問題等が今出てきているのは御承知のとおりです。そういう中で、一方的に電気料金の抑制を要請すればいいということにはつながっていかないと思っています。
○斉木委員 先に読んでいただきましたけれども、私、まさに、その値下げの命令をしたらどうかということを御提案したかったんですよ。
電気事業法において、二〇二三年六月に、北陸電力さんでいえば、私の地元では四〇%の値上げをした。そして倒産件数が増えた。やはり、本日の案件である倒産をいかに減らしていくのかということからいえば、電力料金というのは安くなければいけない。
各社、二十五倍の増益とか、そして、一気に四千億円の増益、東京電力さん、やはりこういうことは、東京電力さんも規制料金を上げていますので、これはちょっと、国民から見て、誰の金であなたたちは過去最高益を達成しているんですか、四割上げた私たちの規制料金でしょうと。だったら、これだけ規制料金を上げて、しかも四・三兆円の電気・ガス補助金を突っ込んで支援をして、なぜ経産大臣は、ちょっと上げ過ぎたから下げてくれと要請をしたり、命令をしたり、電気事業法に基づいて、まさに命令権を持っているじゃないですか。
各社、史上最高益で、しかも、北陸電力さんでいうと、二〇二四年三月、五百六十八億円だった黒字が、二〇二五年三月、直近ですと、六百五十一億円、更に過去最高益を更新しているんですよ。補助金が始まった、規制料金を上げた、各社、史上最高益です、そしてこの三月にはもっと、更に積み増しました。こんな状況で七月からまた補助金を上げるんですか。おかしくありませんか。いかがですか。
○武藤国務大臣 おかしいとおっしゃられるんですけれども、福井も、私の岐阜県でもそうですけれども、中小企業とか事業者の方々はもちろんです、家計もそうですけれども、今、電気代が事業の負担になっているのは御承知のとおりです。
我々は今、物価を上回る賃金を、先生方もおっしゃられていますけれども、何とか実現をさせていきたい。また、関税問題がいろいろ出てきた。大変世の中が揺らいでいる中で、この電力代というものができるだけ企業の負担にならないように、私自身も、それは方向としては正解だというふうに思っています。そして、今、この場を乗り切って、しっかりと企業の御発展につなげていただかなきゃいけません。そして、従業員の方にも賃金を回していただかなきゃいけない。そういう中の電気料金の規制ということになります。
委員おっしゃられるように、いろんな方法があるのかもしれません。しかし、今現実に、この時点で、この夏場対策として、今回我々は各党のいろいろな御意見もあってこういう形にさせていただきました。
そういう形の中で、電気料金の補助については、そもそも、電気会社の電気料金から使用量に応じた値引きを行う、必要な資金を補助するもので、これは収益にはつながっていないわけですから。
ここは、正直申し上げて、二〇二三年六月、七社の規制料金の値上げも認可したのも事実ですけれども、繰り返しになるけれども、認可に際しては、前例にとらわれない、極めて厳格な審査も行ってきているところですから、是非御理解をいただきたいというふうに思っているところです。
○斉木委員 いや、御理解してくれと言うのであれば、電取さんが集めている、まさに、液化天然ガスと石油と石炭の輸入単価が、生価格がどれだけ上がったかを公表していただければいいんじゃないですか。そうすれば国民は納得すると思いますけれども。
○新川政府参考人 お答え申し上げます。
電気料金の審査、規制料金の審査におきまして、御指摘のように、各社、申請を行った会社がどのように燃料を調達しているのかについては私どもの方で確認をさせていただいておりますし、契約の内容を、必要に応じて契約書本体についても確認をしております。
しかしながら、そういった情報を公表するということでございますと、競争上の影響が生じる可能性があると考えておりますので、公表は困難と考えております。
他方、委員御指摘の燃料費の審査に関しては、前回、先生に御指摘をいただきましてから、国民の皆様の規制料金に対する理解を得られるように、電力・ガス取引監視等委員会のウェブサイトにおける解説を充実させる修正を行ったところでございます。どのような説明をしていけば更に国民の御理解をいただけるのか、引き続き改善してまいりたいと考えております。
○斉木委員 ウェブサイトの改修は、幾らびほう策を施しても、肝腎の水際価格、LNGと石炭のトン単価、原油のリットル単価、これが載らない限りは何の意味もない、お化粧直し。ですので、やはりそれはちょっと意味がない。
武藤大臣、僕は今の政権を心配しているんですよ。これは米の問題と酷似していませんか。米は、要するに、農林水産省は、まさに米業界というのは所管業界じゃないですか、所管業界を守ろうとして消費者を置き去りにしてしまった。だから米価がこれだけ高止まっていて、その中で農水大臣が失言、本音を言ってしまって失脚をして、今非常に、大臣が交代するという事態になりました。要するに、その所管業界を所管省庁は守ろうとしているねと。
だから、経産省さんはまさに電気料金の規制、認可権を持っているわけですよ。そして、ガソリンスタンドも所管業界ですね。だから、所管業界ばかり守って八・二兆円のガソリン補助金と四・三兆円の電気・ガス補助金をお渡しをして、各社、最高益なのに、値下げ命令どころか値下げ要請もしない、規制料金、まさに官製相場なのに。こういうふうに映っているわけですよ。
だから、今、業界で何と言われていると思っていますか、この補助金が。ぬれ手でアワとか、打ち出の小づち、大きな声では言えませんけれどもというふうに言っているんですよ、皆さん。だから、各社、二十五倍の最高益とか、八倍の純利益、過去最高とかで、要するに爆益を手にしているわけです。
これは余りにも、第二の米というか、経産省自体がまさにこういった所管業界を守ることばかりに血眼になっていて、肝腎の、ガソリンユーザーであり、電力ユーザーである中小企業や国民の声が置き去りになっていて、各社が過去最高益なのに、ガソリン補助金を十円ターゲットで再開をし、しかも七月からは電力補助金も再開する、千円ですか。
これはこのままやると第二の米として、経産省自体、この補助金が国民の負担軽減になっていない。だから財務省主計局は言っているじゃないですか、三年半で、みなしで見れば八百八十億円、これは効果が、利いていないというふうに、会計検査院も指摘しているわけですよ。
そんな中で更にまた補助金を最高益の企業に突っ込んでいくという、これは了解を得られると思いますか。私は心配して申し上げているんですけれども、いかがですか、所管大臣として。
○武藤国務大臣 八百八十億円じゃなくて、さっきのは百一億円とか百十億円のレベルだと思います。
そして、あくまで国民負担、我々は何とかこれを皆さんとともにできるだけ実現をしながら、経済というものを守っていきたい、それが私どもなんです。ですから、委員がおっしゃられたように、所管をかばっているとかいう気持ちは毛頭ございません。経産省の方も、本当に夜遅くまでになって国民の負担を、どうやってこれを解決していくのかというので精いっぱい汗をかいております。
それを是非御理解をいただいた上で、そして、今おっしゃられたように、今後の話、夏の対応も今回させていただきますけれども、とにかく日本が乗り切る形で、今は、国民とともに、我々は一緒に頑張っていきたいというその思いだけですので、是非御理解をいただきたいと思います。
○斉木委員 じゃ、まとめます。
やはり、だったら暫定税率ですよ。中抜きできないじゃないですか。二十五円という値下げ幅も実現できるし、こういった明示的な、補助金よりも減税の方が分かりやすいし、よっぽど国民からは理解が得られるということを申し上げまして、終わります。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、岡野純子君。
○岡野委員 皆様、おはようございます。国民民主党、岡野純子と申します。
本日もまた質疑の機会を賜りまして、誠にありがとうございます。
本日は、早期事業再生法案について伺ってまいります。その中でも、とりわけ労働者保護について伺ってまいりたいと思っておりまして、前者、鈴木先生と質問が大きく重なるところもございますが、それだけこの問題は重要で、このバッターボックスに立つ議員の多くが質疑をしたいと思うようなテーマということで、重ねてお伝えするためにも、私からも質問の言い方を変えながらお尋ねができればと考えております。
私がこのことを聞こうと思いましたのも、私は千葉県浦安市の日の出というところに住んでいるんですが、浦安というのは、羽田にも成田にもアクセスがよくて、航空会社の方がとてもたくさんお住まいになっていまして、とりわけ私が住んでいる日の出地区というのは、JALの、今も一部あるんですが、巨大な社宅がかつてありまして、そうなりますと、私の子供たちの幼稚園、小学校のママ友たち、地域の知り合いの御夫婦のどちらかがJALにお勤めというケースが非常に多かったものですから、ですので、かつてのJALの事業再生の際も非常にリアルな声をこれまで聞いてまいりました。
会社更生法と今般の早期事業再生法案を同列に語るというのはまた違うかもしれませんけれども、どちらの場合も、経営が悪化した企業を法的に再建するための手続という点では重複をしておりますので、今回の法案が金融債務に限定した制度であるということですが、としましても、労働者保護の視点を持つべきではないかということを考えまして、質問をさせていただきます。
過去の事業再生手続におきまして、早期退職、整理解雇、給与、賞与、退職金や年金の減額など、どうしてもこういったときには事業者へのしわ寄せの例が散見されます。本法案でも、同様の問題が生じる可能性があることを懸念をいたしております。
非常に使い勝手のよい、大筋、どの立場の方からもいい法律だというふうな評判のものだからこそ、これから多く利用されることが想定されますし、これに合わせて、元々の私的整理、事業再生ADRの利用も増えるのではないかというような見立てもある。そんな中だからこそ、労働者保護についてしっかりと考えておく必要があると思います。
そんな中、具体的な方策について検討はなされているのか、まずは大臣に伺いたいと思います。
○武藤国務大臣 ありがとうございます。
本法案は、金融機関等の有する金融債権に限定して減免等を行う手続を定めてきているところです。未払い賃金や退職金等の労働債権というものは減免等の対象にはなっていない、これは、今日、ずっとこれまでも答弁させていただいたところであります。このため、本制度の申請時などに従業員が関与する手続が、法律上は特段設けられておりません。
他方で、当該企業で働く従業員の御理解、そして協力を得ることということは、事業再生の成否をまさに決する上で大変重要な観点であります。このため、雇用や賃金といった労働条件の不利な変更があらかじめ見込まれる場合、関連する労働法制にのっとった手続に加え、本制度上でも運用面で適切に対応してまいりたいと思っております。具体的には、労働組合等に通知等を行うことを省令で規定することを想定しているところであります。
以上です。
○岡野委員 ありがとうございます。
まず一つは、やはり労働債権は入らないということを大臣に改めて明言いただけたのはいいと思いますし、通知を省令で定めるというところも確認ができまして大変によかったです。
先ほどから様々な御答弁の中で、当事者ではないのでと、労働者のことを指してそのような言葉があって、確かに今回、この法案のたてつけの中では労働債権が含まれないから当事者ではないというのは当然理解はできるんですけれども、そのもっと大枠の、A社というのを立て直すという意味では当事者どころかメインキャストなわけですから、その人たちが置き去りにならないようにというところを大きく考えているわけであります。
では、細かなところを伺ってまいりますが、前者からもありましたが、労働者側との事前協議の在り方について、今、先ほど通知を省令でというところもありましたけれども、先ほどの答弁を受けて改めてお聞きしたいと思うんですけれども、確認事業者が使用者の雇用ですとか労働条件の変更等を実施する可能性がある場合は、どういったタイミングで情報提供がなされるのかというところですが、先ほど第三者に通知のタイミングでというような例が示されまして、それはちょっと手遅れではないかなというふうに、まだ変更が可能な、早期事業再生計画の策定時にコミットしていけるようなタイミングで情報提供ですとか協議に加わる、そういった仕組みづくりが必要ではないかなというふうに考えます。
これを申し上げますのも、何も労働者側ばかりに立った意見として言うわけではなくて、過去の事業再生の手続の事案を見ていますと、事業再生の後に労使関係が緊張状態に陥ってしまっている例というのがたくさん見られるからです。
例えば、経営陣と労働組合の間で対立が激化するですとか、解雇の妥当性をめぐる訴訟が提起されるとかそういう、後々火種が残っていくケースが見られるからこそ、早い段階で意見を組み込むというのは、何も労働者側だけではなくて、双方にとって結果的にいい落着点が見出せるのではないかなという考えから申し上げております。
無論、先ほどから答弁にあるように、秘密保持が肝要な案件ですし、というか秘匿性こそがこの法案のよいところでもありますし、何でもかんでもつまびらかにできるものではないとは思います。ただ、本来、会社と労働者というのは決して利益相反の関係ではありませんので、労働者側の意見を組み込むルール作り、これは会社側にとっても利益と考えますが、そういったものが行えないか、改めて伺います。
○藤木政府参考人 今御指摘いただきましたように、まさに法律上のたてつけとしては金融債権の調整ということでございますので、この法律的な直接の当事者ではないということでございますが、一方で、実務上の問題といたしまして、事業再生というのを達成していく上で、労働者、従業員の協力ということをいかに得ていくかということは大変重要なポイントだというふうに認識してございます。
その上で、例えば、もちろんこの早期事業再生計画の中には単に金融債権の調整だけで終わるものもあろうと思いますが、一方で、こういうものの中に、会社分割でございますとか、事業譲渡でございますとか、そういった雇用や賃金の減少というようなことが含まれるケースもあり得るというふうに思ってございます。そういう場合においては、しかるべく従業員の方々の御協力を得るためにも、しかるべき段階で御通知を申し上げ、そして必要な協議がなされるということが、円滑に進むということが大切だと思っております。
タイミングの議論がございました。まさに、検討の段階で、どの段階でお話ができるかということでございます。これも、御質問の中で御指摘いただきました、当然、対外的な秘密の保持ということは大変重要なポイントなのでございますが、同時に、これは第三者機関の方に早期事業再生計画を提出するというタイミングがございます。このタイミングが、ある意味、計画がまとまって、会社の外の第三者機関に出されるというタイミングでございますから、それに先立つ形での通知ということが重要ではないかというふうに思っているところでございまして、今後、具体的な運用上の制度設計をしてまいりますので、その中で工夫してまいりたいと思っております。
○岡野委員 御答弁が先ほどとそんなにこの場で変わるものではないとは思ってはおりましたけれども。重複いたしますけれども、やはりこれを強権的に進めることというのが必ずしも会社のプラスになるとも限らないので、更生する会社の、確認事業者のケース・バイ・ケースというところもあるとは思いますけれども、労働者にとって、後から出されて、もう今更どうしようもできないというタイミングで出るというようなことが、だまし討ちのようなことがないような形を是非ともお取りいただきたいと思います。
では次に、こちらも前者からも指摘がございました、指定確認調査機関、そして確認調査員の要件について伺ってまいります。
本法によりまして、権利変更議案の決議要件が多数決となりまして、事業再生ADRと比較しますと緩和をするということとなります。早期事業再生計画や債務調整の必要性などを確認する指定確認調査機関や、手続を主導する手続事業者の存在というのが、そうなると極めて重要だなというふうに考えておりまして、仕組みが緩くなってしまう分、これまでの事業再生ADR以上に手続事業者の選任要件というのは厳しくあるべきではないかなというふうに考えております。
そこについて書かれているのは、この法案では五十二条ですが、今のところは、「人格が高潔で識見の高い者であって、事業再生に関する専門的知識及び実務経験を有する者」とされております。先ほども例えにありました事業再生ADRの方の要件を見てみますと、こちらも労働法制という意味では適格性は弱いのかなというふうに私も感じた次第です。
それ以上に更に厳しい要件を、今後、省令に要件を盛り込んでいかれると思いますので、そのときには労働法制の熟知というところをしっかりと盛り込んでいただきたいと思うんですが、その条件についてのお考えを伺います。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる第三者機関でございますけれども、法律上のたてつけといたしまして、十分な専門性それから公正中立性を備えた組織ということで、まず、手続の監督等に関する業務を適確に実施するに足る経理的及び技術的基礎を有すること、それから、個別の手続の監督を行う者を確認調査員として、事業再生に関する専門的知識及び実務経験を有するなど一定の要件を満たす者を選任することができるといった組織、こういったものが指定の要件となってございまして、そういう意味で、繰り返しになりますけれども、十分な専門性、公正中立性を備えた組織を指定することを想定してございます。
その際、確認調査員につきましては、やはり、一般的に申し上げれば、事業再生に関する実務経験を通じまして関連する労働法制の知見も有しておられる専門家の方々というのが当然選任されるということだとは理解をしているところではございますけれども、先ほどの御答弁でございましたけれども、個々人によっては労働法制に関する知見の程度というのはバックグラウンドに応じて異なってくるということも想定されますので、事業再生の円滑な遂行を徹底する観点からは、第三者機関に対して、ある種の運用といたしまして、確認調査員に対する労働法制の研修体制の整備ですとか研修の実施を求めていくなど、必要な環境の整備というのをしっかり検討していきたいと考えてございます。
○岡野委員 ありがとうございます。
確かに、事業再生の中身が、労働の話が関わらない、金融だけで終わる場合とか、様々あると思うんですけれども、先ほど、必要な研修を求めていくというようなところではありましたが、これは是非とも必須項目にしていただけたらなというふうなこと、こちらを要望させていただきたいなと思います。
では、労働者保護という点では最後の質問ですけれども、いま一度、労働協約や労働条件への影響について伺いたいと思います。
冒頭、大臣の御答弁の中で、この法律の中には労働債権は含まれないというような御発言をいただいたわけですけれども、その点を改めて確認させていただきたいんですが、そうはいってもというところなんですよね。
対象債権者集会で事業再生計画を示して、なかなか首を縦に振らない人を説得するようなものを作っていくわけでありまして、何とかこれを成立させるために、ここまでスリム化できます、こういうことをやりますということをいろいろと説得をして、こぎ着けていくような形を取られるわけです。そんな生易しいものではなくて、時には本当に必死でやってこられるようなことで、ようやくたどり着いたというときにです、ようやくこれが、だったらばというところで成立をした後に、そこは労働者と改めて元々の労使交渉をそこで適用すればいいというのは、なかなかそうはいかないのかなと。
だって裁判所が認めたからさとか、こうやってもう一旦決まったからというふうにごり押されるんじゃないかというところを、やはり労働者側としては、法的効力はないと幾ら言っても、そうはいっても、決議されてしまったものに対して、先ほど答弁で参考資料という言葉がありましたけれども、本当に参考資料程度のものになるのか、現場ではそれが必須のものとなってしまうのではないかという懸念というか、不安というか、そういったものが、今もう既にそういった声が上がっているように感じております。
やはり、事業再生のコストは最も弱い立場の労働者に集中するというのは事業再生においてよく聞かれることでありまして、権利変更決議というのが労働協約に効力を及ぼさないこと、これをいま一度明確化すべきというふうに感じておりますが、ここへの御認識を改めて伺います。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本法における手続が労働協約に法的な効力が及ばないということをどう明確化するかというお尋ねでございますけれども、これは繰り返しになりますけれども、本制度による対象債権者集会における決議、それから裁判所の認可のいわゆる法的な効力が及ぶ範囲というのは、あくまでも権利変更の対象となる金融債権という形になります。したがいまして、当該決議や認可のみによって、御指摘頂戴している労働者の皆様に不利益な処分が労働法制上おのずから可能になるということにはならないという認識でございますし、これは我々としても重要な論点だというふうに考えてございます。
他方で、御指摘のとおり、実態の運用というか実務の中で、幾ら制度がこうであっても、空気感というのか雰囲気も含めまして違った形で関係者の方々に認識が広まり、ある種、悪用とは言いませんけれども、元々の制度趣旨と違った形で運用されるということは当然避けなければならないという認識を持ってございますので、私が先ほど申し上げたこうした法律のたてつけに関する認識について、関係者の皆さんに、誤った形で本制度の活用がなされることがないように丁寧に、QアンドAですとか制度の様々な手引の作成などを通じまして、第三者機関ですとかそれ以外の制度を利用する事業者も含めましてステークホルダー、関係者の方々が様々いらっしゃいますので、幅広い関係者の方々への周知にしっかりと努めてまいりたいと考えてございます。
○岡野委員 ありがとうございます。
法的効力は、義務は生じないということを繰り返し言ってくださっておりますし、関係するステークホルダーにそのことをちゃんと周知をするというのは今できる最善のことなのかなというふうには思います。
そうはいっても、これも企業の生き残りを懸けた決死の状況というところで、たてつけというもの、決まりというものが、いつもいつも正しく皆さんが守ってくださるとは限らないというのが、修羅場というのはそういうものだと思いますので、先ほどいざとなったら労基があるというような話もありましたが、そこまで行くことがないように、そういう事案が少しでも少なく済むようにしっかりと監督をしていただきたいですし、運用面でそういったことが起こらないような、丁寧なたてつけにしていただきたいなというふうに感じております。
経営がV字回復して雇用が安定した例というのもたくさんございますので、元々の目的のところにあります事業の価値を毀損せず技術や人材の散逸を回避するという目的のためには、とにかく組織は人でもつと申しますから、この法案、金融限定のものとはいいますが、働く人を尊重する視点というのは常に持って進めていただきたいなとお願い申し上げます。
では、テーマは変わりまして、海外モデルとの比較を伺いたいと思います。
産業構造審議会の事業再構築小委員会の報告書を拝読いたしましたら、海外におけます倒産前事業再生制度の状況についても参考にされたとありました。例示としまして、ドイツ、フランス、イギリスの多数決原理に基づく倒産前手続が挙げられておりましたが、それらと比較をしまして、今回の法案作りに当たりまして、日本経済、社会に沿った内容にされた点もあるのかなというふうに思います。そういった独自性がありましたら教えていただきたいと思います。逆に、海外事例から取り入れた要素がありましたら、そちらも伺います。よろしくお願いします。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、本制度を検討する際に参考にした点でございますが、ヨーロッパでは、早期かつ予防的な事業再生を促進するという観点から、裁判所の関与を通じて反対債権者に対しても必要な手続保障を確保しながら、多数決に基づく権利変更を実現する制度が存在しているということでございまして、本制度を検討する際の一つの参考にしたところでございます。
他方で、本法案による新たな制度を我が国において導入するに当たりましては、幾つかの工夫をしておるところでございます。
具体的には、まず、法的に、いわゆるプロ債権者である金融機関等の有する金融債権に対象を限定してございます。それに加えまして、可決要件でございますけれども、こういった諸外国の例を見る中で、ある意味諸外国と同等以上に厳格に、議決権の総額につきましては四分の三以上という要件を採用しておるところでございます。
その上で、少額債権者の保護という観点も重要でございますので、議決に当たりまして、単独で四分の三以上の議決権を有する債権者がいる場合に限って債権者の過半数の同意も必要とするという、いわゆる頭数要件もこれに加えた形を取ってございまして、こういった点が本制度の特徴であるというふうに考えているところでございます。
○岡野委員 どうもありがとうございます。
済みません、時間が押してまいりまして、最後の質問に入りたいと思います。最後、少数債権者の権利保護について伺います。
多数決原理を導入いたしますと、少数債権者の意見が軽視されてしまうことの懸念があるかと思います。少額債権者に不利な形で進められる可能性を感じるわけなんですけれども、具体的には、それを避けるためにはどういった保護措置が講じられるのか、伺います。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、多数決による権利変更を可能とする制度を導入する中で、やはり少数債権者にしわ寄せがされないような配慮をするということは重要であると考えてございます。
したがいまして、具体的には、まず、本法案第十三条でございますけれども、権利変更議案による対象債権者の権利変更の内容につきましては、対象債権者の間では平等でなければならないという規定をいたしまして、全ての対象債権者が平等に扱われるということを原則としてございます。
それに加えまして、裁判所は、認可に当たりましては、権利変更の内容の法令違反ですとか決議の公平性を損ねる点がないか等を審査し、手続の公正性を担保してございます。
さらに、先ほど申し上げましたけれども、単独で四分の三以上の議決権を有する債権者がいる場合に限りまして債権者の過半数の同意を必要とする、いわゆる頭数要件を加えているということでございまして、こういったものを通じて少額債権者を保護するための措置も講ずることとしているところでございます。
○岡野委員 ありがとうございます。
先ほどの労働者保護もそうですけれども、やはりこういったときというのは弱い人ほど不利益を被ることが多いことだと思いますのでこういった点をお伺いをしたわけなんです。
私、中高大とプロテスタントの学校に通いまして、割と聖書をよく読んで育ったんですけれども、その例え話の中に迷える羊というものがありまして、これは、百匹の羊のうち一匹が迷子になったときに、羊飼いは残りの九十九匹をほっておいてでもその一匹を捜しに行くという、教育者のあるべき姿勢みたいなものを示したものでして。
この法案はそもそも百匹そろわなくてもいいというところがよいところではあるので、適切かどうか分かりませんけれども、使いやすさはそこにあるとはしても、この例え話は、大多数が同じ方向を向いたときこそ、少数派にこそ耳を傾けて献身的に接するべきだというような、そういう古来の、いにしえの教えもまたありますので、どうか、少額債権者にもしわ寄せが行くことがないように運用がなされますよう要望いたしまして、今日は質問を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、佐原若子君。
○佐原委員 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
れいわ新選組、佐原若子でございます。よろしくお願いいたします。
今回の早期事業再生法案について、これはすばらしい法案だなと思いました。何よりも、労働者を不利にはしないという、労働者を見捨てないというところで事業を再生するというところがいいなと思っております。
ただ、もっと早期にこれをするべきだったなと、十一年ぶりに一万件を超えた倒産などを考えますと、もう少し早くこういう法案ができていたらいいのになという思いをしております。
再生を図りたい企業にとってスケジュールは重要です。早期事業再生法案では、事業者の手続申請に当たり指定機関が確認をします。この確認にはどのくらいの時間を要しますか。また、この確認には公平性、透明性を確保できますか。お尋ねいたします。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の確認に要する期間でございますけれども、持ち込まれる案件の債権者の数ですとか債権額その他の性質にもよるため、一概に申し上げることは困難だというふうに思ってございます。
なお、私的整理手続の一つでございます事業再生ADRにおきましては、個別の事案の事情により当然差はあるものの、手続の利用申請から正式受理までおおむね一か月前後の期間を要するというふうに想定をされてございまして、今回の制度と単純に比較ができるものではないとは思ってございますが、本制度の確認に要する期間を考える上での一つの参考になるというふうには考えてございます。
御指摘ありましたとおり、本制度は早期での事業再生のための手続でございますので、迅速な処理に向けて具体的な運用の工夫を検討してまいりたいというふうに考えてございます。
また、公正性、透明性という御指摘でございますけれども、第三者機関の確認の際にはその業務を実施する確認調査員として手続の当事者と利害関係のない者が選任されるということ、それから、最終的に裁判所は確認の手続も含めて手続全体に法令上の瑕疵がないかを審査するということとしてございますので、こういったことを通じて確認の際の公正性を担保しております。
加えまして、確認する要件でございますが、これにつきましては、債務調整の必要性ですとか対象債権者一般の利益に適合する見込みなどを法律の条文上明確に定めてございますので、事業者や金融機関等に対する透明性を担保しているというふうに考えてございます。
○佐原委員 ありがとうございました。
透明性、公平性などが確保できるということで、安心いたしました。
では次に、先ほど鈴木先生、岡野先生などが御質問されたので重複される質問ではございますが、質問させていただきます。
事業の再生においても労働者の権利は保護されなければなりません。その観点から、裁判所の関与の在り方についてお尋ねします。
裁判所が手続の最終段階での認可、不認可に関与します。裁判所では、手続の経過を審査するのでしょうか。あるいは、事業再生計画における雇用、労働条件の状況についても審査されますか。お尋ねします。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本制度におきましては、裁判所が権利変更議案を認可する際には、手続的な瑕疵に加えまして、例えば債務の履行可能性なども審査をするということとなってございます。この際でありますけれども、裁判所は、早期事業再生計画ですとか第三者機関による調査の結果も踏まえてそういった認可をするということを想定してございます。したがいまして、裁判所が債務の履行可能性を判断する際には、早期事業再生計画の記載内容についても考慮され得るというものであると考えてございます。
○佐原委員 分かりました。ありがとうございます。
次に、この法案の検討を行ってきた事業再構築小委員会の報告書で、制度改正の背景意識として、「経済的に窮境に陥るおそれがある事業者が早期での事業再生に取り組める制度基盤を整備し、経済の新陳代謝機能を強化しておくことが重要」とあります。
私は、この新陳代謝という文言にぴぴっと感じまして、何かひっかかったんですね。何かしら新自由主義的な陰謀があるような気がいたしまして。ごめんなさい。私、この新陳代謝というもので、なかなかもうけが出ないような会社が取り潰されていくのは困るなと思いまして。この新陳代謝というのは、企業の新陳代謝、つまり淘汰を指すということではないですよね。お伺いします。
○武藤国務大臣 陰謀論者ではありませんので、御理解いただければと思います。
審議会の報告書で記載されているこの経済の新陳代謝機能の強化という文言なんですけれども、ここは、事業者の事業の再建を円滑化する制度基盤を整備することで、収益性の高い事業に入れ替えたり新たに挑戦していくという事業内容の新陳代謝を意味しているところでありますので、企業の倒産を促進するという意味での企業の新陳代謝という意味では全くございません。
○佐原委員 ありがとうございました。
その会社の中の不採算部門、そういうところを変えていくということですね。ありがとうございました。分かりました。
次に、多数決による私的整理については、これまで、二〇一四年、二〇二二年にも議論がされてきました。当時、成立に至らなかった理由は何でしょうか。そして、今回の法案はその課題を全てクリアしているのでしょうか。その課題について、現行の制度と本法案の違いも御教示いただきたいと思います。
○武藤国務大臣 御指摘のとおり、二〇一四年には、民間に設置をされた検討会において多数決による債務整理の制度について検討が行われました。しかし、反対する債権者の財産権の保障が導入に向けて克服しなければならない課題として示されたと承知をしているところです。
また、二〇二二年、今度は内閣官房の分科会というところでも同様の制度について議論がなされました。これを引き継ぐ形で、経産省の審議会において、導入に当たっての課題であるいわゆる反対する債権者の財産権の保障について、憲法学者も含んでいただきまして制度の議論を進めてきたところであります。
こうした議論の結果として、本制度でありますけれども、倒産前の段階で、減免等の対象を金融機関等が有する金融債権に限定するというふうにしたということと、第三者機関と裁判所が関与して多数決の濫用の弊害を防止する仕組みも有した手続としているところであります。
このような制度とすれば反対する債権者の有する債権を減免等しても憲法に反するものではないという、審議会においても整理をされたところだというふうに承知しています。
○佐原委員 分かりました。
次の質問、最後の質問に移りますが、実は通告しておりません。大臣、申し訳ありません。大阪万博についてでございます。辰巳先生のお株を取ってしまいまして、申し訳ございません。
賛否両論の中で、いろいろな問題がありながら大阪万博が開幕いたしました。開いてみると、二週間、毎日十万人超えという大盛況でございます。また、その中のコンテンツもなかなか秀逸で、評判がよいようでございます。
皆様、ほっと胸をなで下ろしているのではないかなというふうに推察いたしますが、でも、大臣、華やかに演出され、成功を収めているように思われますが、これに関わる中小零細の建設業者がどういう状況にあるか御存じですか。
海外のパビリオン建設を行い、その建設費の未払いが多発しています。二千万とか何千万とか、そんな建設費が全く支払われていないというようなところもございます。中小零細の建設業者さん、今、本当に大変な状況なんです。
大臣、佐原若子の心からのお願いです。国が責任を持ってこの方々を救済することをお約束いただけませんでしょうか。
○武藤国務大臣 地獄耳じゃありませんけれども、佐原先生のお気持ちは耳に入ってきておりまして、事業者から、海外パビリオンの建設費の未払いが生じている、これはネパールの話ももう出ちゃっていますけれども、声が上がっていることは認識をしています。
政府としては、参加国に対して、事実関係を確認するとともに、責任ある対応をしっかり取るように、これは当然ですけれども働きかけを行ってきているところです。
博覧会協会においても参加国に対して同様の働きかけを行っているものと聞いております。今後とも、博覧会協会とも連携をしながら対応させていただきたいというふうに思っています。
○佐原委員 うれしいお答えでしたが、なかなかその交渉がうまくいかなかった場合に、できるだけ国が積極的に支援をして、まず、この困窮しているところを救っていただきたいなというふうに思います。
是非ともそのような、万博の思いが、ああ、よかったなと皆様が思われるような万博であったらいいなということを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
本日はどうもありがとうございました。
○宮崎委員長 次に、辰巳孝太郎君。
○辰巳委員 日本共産党の辰巳孝太郎でございます。
万博はやりません。(発言する者あり)またやりますから。やらなあかんときが来ますから。
本法案は、経済的に窮境に、窮地に陥るおそれがある事業者が、早期での事業再生に取り組み、事業価値の毀損や技術、人材の散逸を回避するものとして、多数決による私的整理を可能とする新しい制度を設けるものであります。
まず、確認します。
この制度において、事業者は、早期事業再生計画を作成し、対象債権者集会に提出するとされており、この再生計画には収入及び支出の見込みや今後実施する事業活動について記載しなければならないとされております。そこで、確認します。この再生計画には人員削減や労働条件の引下げが含まれる、そういう想定がされるということになると思いますけれども、大臣、これはそういうことでよろしいですね。
○武藤国務大臣 早期事業再生計画について、人件費の切下げやまた雇用の削減等が含まれるか否か、これは一概に申し上げるわけにはいかないんですけれども、事案によっては記載されていることもあり得るものと認識しているところです。
○辰巳委員 普通に考えて想定されるということだと思うんですよね。
続いて確認しますけれども、この金融機関などの債権者は、再生計画の内容を認識した上で金融債務の猶予や免除といった権利変更に関する決議に参加をするということでよろしいですね。大臣、どうですか。
○武藤国務大臣 本制度では、対象債権者が債権の減免等に関する賛否を判断するために、再生計画を対象債権者集会が開催される前に対象債権者に交付することとしており、対象債権者はこれを認識した上で決議を行うこととなります。
○辰巳委員 だから金融債権のみが対象になるんだと。
再生計画というのは参考資料なんだというような答弁もあったと思います。参考資料程度なんだと言うんですけれども、再生計画の内容を問わずして、金融機関が、減免など、権利変更に応じるわけが当然ないわけですよね。この再生計画を前提にして決議するということであります。そこでやはり問題になるのがこの再生計画の中身ということになると思います。
しかし、この事業再生において、経営上ですよ、解雇の必要性が本来は存在しないにもかかわらず、解雇を強行した象徴的な事例、それがやはり二〇一〇年に経営破綻をした日本航空だと思うんですよね。
日本航空、JALは、会社更生法手続を行って、約千五百人の希望退職を募りましたけれども、パイロットあるいは客室乗務員の応募が少ないといって約百七十人の整理解雇というのを強行しました。解雇の必要性の基準とされる、いわゆる整理解雇の四要件、これをじゅうりんする横暴を許さないと立ち上がった労働者、労働組合によって裁判が闘われて、全国的な規模での支援の輪が広がりました。
この裁判の中で、二〇一一年九月三十日、口頭弁論に証人として出廷した稲盛和夫会長がこう言っているんですよ。会社の収益力からいけば、誰が考えても雇用を続けることは不可能ではないということは分かるんだ、こういう証言をしているんですよね。
現に、日本航空の二〇一〇年度の営業利益というのは、過去最高の一千八百八十四億円に達して、更生計画の当初の目標の二百五十億円の七倍以上にもなっていたんですよね。こういう事態がやはりあるからこそ、事業再生においては労働者保護の規定というのが極めて私は重要だというふうに思っているんです。
ここで、大臣に確認します。
本法案が定めるスキームにおいて、この再生計画に人員整理や労働条件の引下げが含まれている場合、労働者や労働組合は、どの段階で、どの方法で知ることができるのか、そして、条文でそういう規定があるのかどうかを確認したいと思います。
○武藤国務大臣 先ほど来答弁に出ておりますけれども、本法案ですが、金融機関等の有する金融債権に限定をして減免等を行う手続であって、未払い賃金や退職金等の労働債権というものは減免等の対象にはなっていないということであります。このため、本制度の申請時などに従業員が関与する手続というものは、法律上は特段設けられていないということになります。
他方で、当該企業に働く従業員の理解と協力を得ることは、事業再生の成否を決する上で大変重要な観点である。このため、雇用や賃金といった労働条件の不利な変更があらかじめ見込まれる場合、関連する労働法制にのっとった手続に加え、本制度上でも運用面で適切に対応してまいりたいと思っているところです。具体的には、先ほど申したとおり、労働組合等に通知等を行うことを省令で規定することを想定しているところであります。
○辰巳委員 今、労働組合に対して省令で通知すると。通知するのはどの段階ですか。経産省、どうですか。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
運用上の詳細なルールにつきましては、今後、検討を深めてまいりたいというふうに考えてございますので、現時点で決まったものがあるわけではございませんけれども、労働組合等が情報を得ることができるタイミングは、やはり、なるべく早く、早いタイミングという御議論もある中で、一つ考えられるのは、早期事業再生計画が外部に提出されることになる第三者機関への計画の提出という時点が検討するに当たって一つ重要なタイミングではないかというふうに考えるところでございます。
○辰巳委員 ということなんですね。つまり、第三者機関に提出される段階ということは、早期事業再生計画というのは、金融機関と経営者の間でもうできているわけですよね。そのできた後の段階で知る。そして、今回の法案の中には、きちっと労働者が関与できるという規定はないということなんです。後から決めていくという話ですよね。
これは、他方、海外はどうか。諸外国の事業再生の制度には労働者保護の規定がやはりあるんですね。
ドイツ、StaRUGというんですけれども、従業員代表の参加権に関する規定があります。フランス、迅速保護手続における、労働者債権が常に影響を受ける当事者から除外される規定があります。アメリカのチャプターイレブン、これは、労組に対する労働協約の修正案の提示や関連情報の提供が必要となる規定。それぞれあるわけですね。
要点を簡潔に紹介していただけますか、今のを。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
他国の類似制度でございます、今お話ございましたドイツのStaRUGですとか、フランスの迅速再生手続、これは訳によっては迅速保護手続と呼ばれることもあるというふうに承知してございますけれども、これらの制度におきましては、権利変更の対象債権は手続利用者が選択可能ということになってございますが、労働債権については権利変更の対象外であるというふうな形を取っていると承知しております。
あと、米国でございますが、これは、私的整理ではない、法的整理の枠組みになりますが、米国の倒産手続の一つであるチャプターイレブンにおきましては、労働債権も権利変更の対象となってございまして、労働協約について法律上の手続にのっとれば変更等が可能であるという制度となっていると承知してございます。
○辰巳委員 諸外国には、やはり、労働者を守る、労働者を保護する観点から様々な規定があるということだと思うんですね。
今回の出されている法案というのは、金融債権だけが対象なんだということで、労働者保護の観点というのがすっぽり抜け落ちているわけなんですね。私はこれは許されないと思うんですよ。
本法案の前提になっているのが経産省の事業再構築小委員会ですよね。そこで配られた資料には、海外における倒産前事業再生制度の概要として、先ほど少し紹介しましたけれども、ドイツやフランスなどの制度が紹介されているんですよね。ただ、これですけれども、労働者保護の規定については、この資料の中には一言も触れられていないんですよ。
経産省、何でわざわざこれは除外したんですか。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
本法案の立案に当たりまして、一部の主要国における類似制度については調査を行っているところではございますけれども、詳細や運用その他につきまして全てを把握しているわけではないということでございます。
そういった意味で、あえて外したということではございませんけれども、一般論として申し上げれば、法制度を立案するに当たって、各国の倒産法制、労働法制を含めまして様々検討を進めるわけでございますが、それぞれの国の経済社会の状況に合わせまして法体系というのは立法がなされているということと承知しておりますので、他国の制度をそのまま我が国に導入するということは必ずしも適切ではない場合もあるのではないかと思っております。
その点、この制度は、繰り返しになりますが、金融債権に限定をするということと、労働者の権利保護につきましては、それであるがゆえに、別途、関連する労働法制にのっとった手続でしっかりと担保をしていくという法律の構造を取っているということでございますので、労働者の保護という観点から不十分であるということが法制度のたてつけ上あるとは認識をしていないところでございます。
○辰巳委員 今日、朝からの質疑で、とにかく全員が質問したのがこの労働者の観点という話なんですよ。これをどうするんだという話をしているわけです。
その中で、海外では労働者の保護の規定がある、経産省の資料の中にその資料が全くないわけです。皆の関心事なのに、これがどうなるのかという議論がされているのに、わざわざ経産省が作っているものには抜かれているんですよね。これは、やはり準備していた法案に重大な欠陥があるということを知られたくなかったから抜いたんじゃないかと言われても私は仕方がないと思いますね。
内閣官房の新たな事業再構築のための私的整理法制検討分科会、今申し上げた経産省の事業再構築小委員会、この議論において、労働者、労働組合の代表は入っていたのか、また、検討分科会と小委員会で一度でも労働者保護の在り方について検討を求めたことがあるのか、お伺いしたいと思います。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、内閣官房におけます、多数決における債務整理の制度についての検討を行った新たな事業再構築のための私的整理法制分科会におきましては、法学者、それから事業再生の実務家、企業経営に関わる方等に委員として参加いただいたというふうに認識してございます。
また、御指摘ございましたが、分科会の議論を引き継ぎました経済産業省の事業再構築小委員会におきましても、制度のたてつけ等について法的な論点を中心に専門的な議論を行い、一定の結論を得る必要があったため、同様の委員構成としているところでございます。
その上で、小委員会で行われた議論の報告書を取りまとめるに当たりましては、パブリックコメントを三十日間実施し、その中で労働者の視点からの御懸念についても多くの意見を頂戴したところでございまして、こうした意見に加えまして、小委員会以外の場でも、労働者側の視点を取り込むべく様々なステークホルダーと更に意見交換を重ねてきたところでございますけれども、引き続き、制度の運用を検討するに当たっても、丁寧な議論を行ってまいりたいと考えてございます。
○辰巳委員 何かいろいろな意見を聞いたというんですけれども、それが反映されていないわけですよね。反映されていないからこれだけのいろいろな疑問や質問が出ているわけなんですよ。
パブコメだって、事業再編は、労働者の雇用や労働条件に大きな影響を及ぼす懸念があることや、再編後の円滑な事業運営には労働者、労働組合の理解と協力が不可欠やと書かれているにもかかわらず、法案の中には、そういう労働者保護の規定というのは全く抜かれているということなんですよね。
大臣、最後、やはり、最初からこうした声を法案に反映させる努力、これは私は必要やったと思いますよ。聞いた、聞いたと言うんやけれども、結局反映されていませんからね。これは、もっと参加をしてもろうて、議論する必要があるんじゃないでしょうか。
○武藤国務大臣 今日も皆様方からいろいろ質問があって、労働者を、どう権利を守るというところは大変大きな関心だというふうに、これはもう間違いなく承知をしているところであります。
先ほど来、今日も答弁にもありましたけれども、労働者の権利保護については、日本においては、別途、関連する労働法制がしっかりある中でこれは進めてきたものだというふうに考えております。
皆さんの御不安のないように、これからも引き続きしっかり続けさせていただきたいというふうに思っております。
○辰巳委員 非常に不安が残るので、次も質問させていただきます。
ありがとうございました。
○宮崎委員長 次回は、来る二十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四十六分散会