衆議院

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第2号 令和5年3月10日(金曜日)

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令和五年三月十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 木原  稔君

   理事 加藤 鮎子君 理事 津島  淳君

   理事 中根 一幸君 理事 長坂 康正君

   理事 伴野  豊君 理事 谷田川 元君

   理事 赤木 正幸君 理事 伊藤  渉君

      石川 昭政君    泉田 裕彦君

      小里 泰弘君    柿沢 未途君

      菅家 一郎君    工藤 彰三君

      小林 史明君    櫻田 義孝君

      瀬戸 隆一君    田中 英之君

      田中 良生君    谷川 とむ君

      冨樫 博之君    土井  亨君

      中川 郁子君    中村 裕之君

      西田 昭二君    根本 幸典君

      深澤 陽一君    古川  康君

      堀内 詔子君    宮崎 政久君

      武藤 容治君    枝野 幸男君

      小熊 慎司君    城井  崇君

      小宮山泰子君    神津たけし君

      下条 みつ君    末次 精一君

      一谷勇一郎君    前川 清成君

      山本 剛正君    北側 一雄君

      中川 康洋君    古川 元久君

      高橋千鶴子君    福島 伸享君

      たがや 亮君

    …………………………………

   国土交通大臣       斉藤 鉄夫君

   国土交通副大臣      豊田 俊郎君

   国土交通副大臣      石井 浩郎君

   国土交通大臣政務官    古川  康君

   国土交通大臣政務官    清水 真人君

   国土交通大臣政務官    西田 昭二君

   防衛大臣政務官      小野田紀美君

   政府参考人

   (内閣府地方創生推進事務局審議官)        内田 幸雄君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 松井 信憲君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 坂本  基君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   寺岡 光博君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房政策立案総括審議官)     大澤 一夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通・物流政策審議官)  鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房土地政策審議官)       井上  誠君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            瓦林 康人君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            木村  実君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        長橋 和久君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  丹羽 克彦君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  上原  淳君

   政府参考人

   (国土交通省自動車局長) 堀内丈太郎君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  久保田雅晴君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 小林  靖君

   政府参考人

   (国土交通省国際統括官) 平岡 成哲君

   政府参考人

   (観光庁次長)      秡川 直也君

   政府参考人

   (環境省大臣官房政策立案総括審議官)       角倉 一郎君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局次長) 安藤 敦史君

   国土交通委員会専門員   鈴木 鉄夫君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十日

 辞任         補欠選任

  小林 史明君     堀内 詔子君

  中川 郁子君     石川 昭政君

同日

 辞任         補欠選任

  石川 昭政君     瀬戸 隆一君

  堀内 詔子君     小林 史明君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     中川 郁子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

木原委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房政策立案総括審議官大澤一夫君、大臣官房公共交通・物流政策審議官鶴田浩久君、大臣官房土地政策審議官井上誠君、総合政策局長瓦林康人君、国土政策局長木村実君、不動産・建設経済局長長橋和久君、道路局長丹羽克彦君、住宅局長塩見英之君、鉄道局長上原淳君、自動車局長堀内丈太郎君、航空局長久保田雅晴君、政策統括官小林靖君、国際統括官平岡成哲君、観光庁次長秡川直也君、内閣府地方創生推進事務局審議官内田幸雄君、法務省大臣官房審議官松井信憲君、財務省大臣官房審議官坂本基君、主計局次長寺岡光博君、環境省大臣官房政策立案総括審議官角倉一郎君及び防衛省防衛政策局次長安藤敦史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木原委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

木原委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。津島淳君。

津島委員 おはようございます。自由民主党の津島淳でございます。

 本日は所信質疑、また今国会も立たせていただきました。委員長始め、また理事、そして委員の皆様、御理解に心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

 斉藤大臣始め、副大臣、政務官、そして政参人の皆様、今日はよろしくお願いいたします。

 では、早速、大臣所信に対する質疑ということで始めたいと思います。

 まずは、今後の観光政策と全国旅行割について取り上げたいと思います。

 大臣所信の冒頭に、観光需要回復への強い決意というのをお示しになった、私はそう受け止めております。これから、まず国内旅行、そしてインバウンド、これを車の両輪として、単に人数だけではなく、消費額といったことも念頭に置いて、そして、地方あるいは団体旅行、こうした全体を俯瞰した形で旅行需要を掘り起こしていくということは重要だと思います。

 現状どうなっているかというと、かなり需要回復、コロナ前に戻ってきたという感があります。これにはやはり全国旅行割が大きく貢献しているということは、これは率直に認めていいんだと思います。しかし、一部、団体旅行の戻りが遅い、そういうお声もいただいているところであります。需要回復に偏りがあるわけですね。

 これからいよいよ春の本格的な観光シーズンに入ってまいります。かねてから、観光に関しては、年間を通じて需要というものがなるべく一定であることが私は望ましいと。これは、観光に関わる人材確保、つまり安定した雇用というものにつなげる意味でもそこは重要だと思っています。

 ですから、旅行支援の在り方というのは、観光シーズンの在り方と、それからオフシーズンの在り方と、やはり考え方は違ってくるんだろうと思っています。しかし、まだまだコロナ禍で厳しい状況にある関連業界の状況もございますので、一定の支援というのは必要なんだろうと思います。

 一昨日、そういったことで、まず、全国旅行支援については年度が替わった四月以降も継続するということ、そして、団体旅行ということに力を入れていくなどということがメディアにも表明されたというふうに承知しております。

 改めて、この委員会で、大臣より、この全国旅行支援について、例えば、団体旅行に重点を置く形で新年度も続けていく、そういう考えを是非ここでお示しをいただきたいと思います。お願いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 皆様、おはようございます。今日もよろしくお願いいたします。

 委員御指摘のとおり、旅行需要は回復してきているものの、団体旅行の回復が個人旅行に比べて遅れておりまして、コロナ禍における団体旅行への影響は顕著であると承知しております。

 全国旅行支援につきましては、引き続き、措置された予算の範囲内で実施し、予算がなくなり次第終了することとしておりますが、一昨日、全国旅行支援を四月以降も実施、継続することが可能である旨、都道府県に対して周知いたしました。

 国土交通省としては、これまでの執行状況を踏まえれば、初夏頃まで実施が可能であると考えております。

 また、影響が顕著な団体旅行の需要を喚起するため、国から各都道府県にお配りした予算のうち、二割を団体旅行枠として設定し、団体旅行を支援しております。

 その上で、団体旅行のプロモーションの推進等に取り組むよう都道府県や業界団体に働きかけているほか、優れた換気性能など貸切りバスの感染症に対する安全性の周知にもしっかりと取り組んでいるところでございます。

 私自身も観光バスに乗って、ガイドさんの案内を受けながら国交省から東京駅まで、国会周辺をぐるっと回りながら行くという、応援のつもりでやったんですが、どの放送局も報道してくれなくて、私がやった程度ではほとんど意味がないというのは分かりましたけれども、しっかり私も頑張っていきたいと思っております。

 今後の全国旅行支援の実施に当たっては、関係者の様々な声を伺いながら、引き続き、都道府県とも連携して、団体旅行も含めた観光需要の回復に向け、適切に対応してまいります。

津島委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣がやはり先頭に立ってバスの安全性をPRするという、これは重要な意味があると思いますので、ここは与野党を問わず皆さん同じ思いであるという、そういう空気が今満ち満ちておる感じがしておりますので、是非大臣には頑張っていただいて、国民の安全、安心と、そして、多くの地方に足を延ばして、日本の魅力再発見、そういう流れをつくっていただきたいなと心から願うところでございます。ありがとうございます。

 では次に、子育て支援と住宅政策についてお尋ねをしたいと思います。

 世の中挙げて子育て支援ということが論じられていて、永田町、霞が関でも重要なテーマになっておるわけでありますし、これはやはり国の礎と言えるのは子供たち、私はその思いを強く持っております。

 子育て支援というと、とかく給付の在り方ということに目が行きがちですけれども、考えてみれば、子供が生まれ育つというのは、まず自分の家というものがあって、では、子育て世帯にどういう住宅が提供されるべきなんだろうか、そう考えたとき、やはり良質な住宅というのが、それぞれの所得階層でも、なるべく良質な住宅にお住まいいただけるということを進めるというのも立派な子育て支援なんだろうと私は確信をしております。

 ですから、子育て世帯にこそ良質な住宅ストックを、そして、できるだけそれは安価で、より長く使っていただける、そういう住宅政策で進めていただきたいなと思うんです。

 その住宅も、集合住宅がいいのか戸建てがいいのかといろいろ議論はありますが、できるならば、私は戸建ての方が子供が伸び伸び暮らしていける。集合住宅で、やはり周囲に迷惑をかけるので、第二子、第三子をためらってしまうという話をお聞きをします。ですから、できるだけ戸建て住宅にお住まいいただけるようにする。

 では、どうすればいいのか。一方で、空いている空き家が今問題になっている。空き家の活用ということもこれは一つの手なんだろうと思います。

 そういった住宅政策は一つ点をつくることで、でも、その部分最適を全体最適とするには、やはり子育て世帯を一つの町になるべくお住まいいただくことで一つのコミュニティーをつくるということが、その地域が子育てしやすいという定評を生み、より新たな人口の流入ということにつなげられる、私はそう考えております。

 そこで、お尋ねするんですが、まず、子育て世帯、若年世帯に良質な住宅が取得できるように支援をしていくことや空き家の活用を進めること、健やかに子育てできる住まいの環境を整備すること、子育てしやすいまちづくりという面的な取組を進めることは、これは少子化対策ですけれども、あらゆる世代に私は裨益をする、子育てしやすい町はあらゆる世代にとって住みよい町になる、そういう思いがありますが、今後の取組、いかがでしょうか。これは副大臣に是非お答えいただきたいと思います。

豊田副大臣 おはようございます。お答えをいたします。

 子育て世帯や若年世代は、一般に収入が低く、養育費等の支出が多いため、子育てに必要な広さや省エネ等の性能、利便性等が確保された住宅に住むことが困難な場合が少なくないものと認識をいたしております。また、子育てを行う親の孤立、遊び場の少なさなど、子育てに必要な住環境も十分に整っておりません。

 これを踏まえて、国土交通省では、住宅の取得を希望する方に対しては、良質な住宅を取得する際の補助や融資金利の引下げなどの支援を行ってまいります。

 また、賃貸ニーズに対しては、子供がいることを理由に入居を拒まない良質な賃貸住宅の供給を拡大するとともに、議員も今標榜しておりましたけれども、戸建て空き家の活用推進についても検討してまいりたいと思います。

 さらに、子育てしやすい住環境づくりとして、マンション内や近隣の親御さん同士が交流しやすい遊び場や公園などの整備にも取り組みます。

 今後とも、子育て世帯や若年世代の住まいに対する多様な希望がかなうよう取り組んでまいります。

 以上です。

津島委員 豊田副大臣、ありがとうございます。

 住宅のみならず、その周辺環境にも配慮したまちづくりを進めていくというお答えがございました。非常に大事な視点であろうと思っております。是非そういう観点で国がまずリードしていく、そして、地域においてまちづくりと子育て支援ということ、これはもう大事な視点であると、もう子供ファーストという視点で全国の自治体が取り組んでいただくように、国交省にはまず先頭を切って引っ張っていっていただきたいと思います。ありがとうございます。

 では次に、地域公共交通の活性化についてでございます。

 都市政策と公共交通政策という、これまた車の両輪で、これを一体として考えていく必要があると私はかねてからそう申し上げております。そして、ローカル鉄道のことが今問題になっておりますが、バス路線についても大変厳しい状況で、路線の縮小、そして廃止という流れがどうしても生じているのも事実であります。

 そこで、やはり利用者利便を図り、公共交通を再構築していくということで、今国会ではそれに関連する法案が出てくると承知をしております。

 ローカル鉄道のことが今本当に世の中で議論されて、様々な角度から取り上げられるようになったというのは、これは国民の間で問題意識が高まっているという意味で、非常にある意味評価ができることだと思います。

 地元でも、JR東日本津軽線というのがあるんですが、津軽半島、竜飛岬と、津軽海峡冬景色にも出てまいりますが、あの竜飛岬の最寄りの三厩というところが、いわゆる盲腸線という形で、ローカル線、そこの存廃が今地元でも、まず任意の協議会ということで、JR東日本から説明を聞くという形で始まってきております。が、なかなかに、議論がこの先どうなるかという、正直まだ見通せないところがあります。

 でも、このローカル線の問題というのは、その核心というのは、なぜ利用客が減ったのか、どうしたら乗っていただけるのだろうかということをみんなが虚心坦懐に考えるというところ、そこから始まるんだろうと思っています。

 元々、人口減というところにモータリゼーションが加わって利用客が減る、そうすると減便が起こる、不便になったので更に乗らなくなる。もう地方では公共交通を使うということが当たり前でないというのが、むしろ車利用が当たり前みたいな形になって、乗り方が分からないとかそういう方もいらっしゃる、そういう状況です。

 地域公共交通、とりわけ鉄道を考える上で、私は三つのポイントがあると思っていて、まずは、鉄道に対する人々の思いというのは、これは地域のシンボル的存在である。これは、言い換えるならば、地域の宝、あるいは鉄道で東京とつながっている一つの安心感であるとか、そういったエモーショナルな部分での鉄道に対する地域の思い、これはしっかりあるとやはり認識しなきゃいけないと思います。

 だけれども、一方で、事業者さんとすれば、事業性、つまり現行の運賃で維持できるかという事業の継続性、事業性ということですね。

 それから、三つ目は利便性です、これは利用者から見た場合の。利便性。本数、使いやすいダイヤか、そして運賃が適正なものか、それから所要時間、そういったもろもろの要素といったものを、三つ、やはり念頭に置いて、これから国が協議会というものを設置していくときには、まず今の三つのポイント、とりわけ、やはり地域にとって鉄道が大事な存在、宝であるという、そういう認識は持った上で、でも、いかにしたら乗っていただけるようにできるのか、どういうモードが利用者にとって便利なものなのか、そういった点を議論していく必要があると思うんです。

 そこで、こうした三つのポイントを含めて、国が地域における協議をリードすること、それから、利便性、持続可能性、生産性の高い地域公共交通ネットワークの再構築に向けて、法制度、予算等、あらゆる政策資源を投入して取り組んでいくべきと考えておりますが、是非その決意を副大臣にお尋ねをします。

豊田副大臣 お答えを申し上げます。

 地域公共交通の厳しい状況を踏まえ、地域の関係者が共につくる共創、すなわち、連帯、協働し、ローカル鉄道や地域の路線バスなど、全国で地域交通ネットワークのリデザインを進めることにより利便性、持続可能性、生産性を高めていく必要があります。

 このため、党において取りまとめいただいた議論も踏まえ、令和四年度補正予算及び令和五年度予算案において、社会資本整備総合交付金や財政投融資等の新たな枠組みを含め、総額千三百億円を計上するなど、地域公共交通のリデザインを図るための各種メニューを措置しております。

 さらに、地域公共交通の活性化再生法の改正案を今国会に提出したところでございますが、ローカル鉄道については、国としても積極的に関与しながら、沿線自治体や利用者を始めとする地域の思いをよく踏まえ、地域の御理解を得ながら丁寧に協議を進めてまいります。

 国土交通省といたしましては、予算、法律などあらゆる政策ツールを活用して、地域公共交通再構築元年とすべく全力で取り組んでまいります。

津島委員 ありがとうございます。

 法案が、来週には本会議での趣旨説明を皮切りに議論が始まっていくということでございますので、しっかり議論を尽くしていきたいし、やはり、あらゆる人たちが、それぞれの地域で、様々な手段で、でも移動がしやすい、そういう地域をつくっていくというのは大事なことだと私は思っておりますので、是非今後も議論を深めていきたいと思っております。

 では次に、この公共交通も関わるDXについてでございます。そのDXの取組、推進の強化というところをお尋ねしてまいります。

 いろいろ国土交通省関連で今課題になっている、例えば二〇二四年問題、それに絡んで物流の効率化を図る、そのためのDX。さらに、先ほどお話ししました空き家の問題でも、空き家の利活用を進めるためのデータベースを作り、そしてマッチングをする。これもDXですね。それから、建設業において、BIMであるとか様々なDXによって、設計から施工までやはり省力化、効率化につなげる。さらには、公共交通のデマンド交通、あるいは自動運転、様々なDXの取組ということを、国土交通省関連でもたくさん進めるべき課題があります。

 全体として、国土交通省のこのDX推進に対する今の取組状況とその決意というものをお伺いしたいと思います。これは政府参考人、お願いします。

大澤政府参考人 お答えいたします。

 DXの推進につきましては、データとデジタル技術を活用しまして、国民のニーズを基に行政サービスを変革していくこと、それから、業務そのものや組織も含めた国土交通省の文化、風土や働き方を変革していくことが重要であると認識してございます。

 このような認識の下で、まず、行政手続のデジタル化につきましては、部局横断的に使用できますオンラインのシステムとしまして、eMLITというふうに名づけておりますけれども、これを整備してまいりました。令和七年までには全ての手続につきまして原則としてオンライン化するということを目指して取り組んでございます。

 さらに、こうして蓄積されたデータの活用ということをしっかりと取り組みながら、インフラ、交通、先ほど議員の御指摘のあった国土交通の各分野におきましてDXを推進してまいる考えでございます。

 また、取組の推進に当たりましては、デジタル庁や関係の省庁としっかりと連携を取るとともに、データの利活用者や関係者の意見をしっかりと十分伺いながら、生産性の向上、サービスの高度化といったことにしっかりつながるよう、国交省として全体でしっかりと取り組んでまいる考えでございます。

津島委員 力強い決意があったわけでございます。まずは行政手続から、まずは隗より始めよということでございます。

 まず部局横断的にというのは大事な視点ですが、やはり省庁横断的、それから、いずれ地方自治体との接続ということも考えて、最初からそういうことを念頭に、ネットワーク化ということを是非念頭に進めていただければと思います。ありがとうございます。

 では次に、今年の雪、豪雪についてでございます。

 除排雪予算の支援についてということで、二月二十一日付にプレスリリースが出されまして、除雪予算の追加配分と更なる追加支援に向けたヒアリングを行いますよという告知がなされました。

 そのプレスリリースと相前後するように、私の地元、地元というか、厳密に言うと選挙区ではないんですが、青森県弘前市、津軽の中心地でございますが、二月十五日から十六日にかけて、十二時間でどれぐらい降ったか、四十一センチですね。膝を超えるぐらいの積雪が十二時間であった。それが解けないうちに、二十一日には二十九センチ降って、合わせて七十センチ。最大で、弘前市内、百二十センチという積雪深になったわけでございまして、これじゃとても除雪が追いつかない、そんな状況でございます。

 加えて、今、これは青森に限った話ではなくて、積雪寒冷地みんな共通の悩みだと思うんですが、凍結防止剤というこの資材も価格高騰しているんですね。そこがやはり除雪予算を食い潰しているという、そういう状況がございます。

 そして、この積雪寒冷地で今課題になっているのが、千島海溝の海溝型地震の避難想定が出ていて、まさにあした、三・一一、東日本大震災の発災した日。やはり、避難を容易にするためにも、適切に除排雪がなされていないと、この積雪寒冷地で命を守る行動というのが迅速に取れない、そういう課題もございます。

 是非、自治体の除雪予算不足に対応するきめ細やかな対応ということ、それから、この積雪寒冷地の道府県に対する支援についてのお考えを大臣からお述べいただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 この冬は、昨年十二月の大雪、それから、今年に入りまして、十年に一度クラスと言われる寒波の流入などによりまして大雪が降り、地方公共団体では多くの除雪費が必要となっております。

 このため、地方公共団体に対して、大雪となった昨年度と同様に、一月から降雪状況や除雪費の執行状況などの調査を行うとともに、例年三月に行っている除雪費の追加支援を二月に前倒しして、約百二十億円を配分したところでございます。

 さらに、委員御指摘のとおり、二月に入っても降雪が続いたことを踏まえ、臨時の特例措置などによる除雪費の更なる支援の検討に向けて、追加の聞き取り調査を行ったところでございます。

 私も、先日、上越越え、国道十七号の除雪ステーション、視察してまいりました。本当に両脇はすごい壁になる雪ですが、道路だけはきちんと芸術的な技術で除雪されておりまして、ただ、いろいろなお金の問題、それからそれを担う人材の問題、大変不足しているというような、地元の建設会社の皆さんから直接お話を伺ってきたところでございまして、この除雪に対して、国としてもしっかりこれから対応してまいりたいと思っております。

津島委員 ありがとうございます。

 大臣所信の中にもありましたけれども、今年は関東大震災の発災から百年、そして、あしたが東日本大震災発災から十二年ということであります。改めて、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された方々にお見舞い、まだ見つかっていない方もいらっしゃる、こういうことがあります、お見舞いを申し上げたいと思います。

 被災三県のみならず、列島、やはりあらゆる災害リスクというのに直面をしている、これが現実であります。地震、津波についての新想定ということも示されたということもありますので、やはり国土強靱化の取組をしっかりと進めていただく中で、それを実際に支える人材というもの、今ほど除排雪のマンパワーの、人材の話がございましたけれども、そういったことも含めて、人材確保ということもしっかり取り組んでいかなければいけない課題だろう、そういうように考えております。是非よろしくお願いします。

 時間の関係で、もしかしたらこれが最後の質問になるかもしれません。バリアフリーの推進についてお尋ねをします。

 視覚障害者の方がホームから転落をされて命を落とすという痛ましい事件がやはりまだ続いているんですね。コロナの行動制限が緩和されたことで、やはりいろいろな人が外に出るようになったということで、段差解消というニーズというのが再び顕在化していると思います。

 そこで、やはりホームドアの設置であるとかエレベーターの設置、そしてノンステップバスの導入支援ということをしっかりやっていく必要があります。これは、先ほど来も子育て支援ということを私は言っていますけれども、これは当然、子育て支援に、子供連れの方にもプラスになるのは明らかであります。

 一方で、こうしたバリアフリーに関する設備を整えても、利用する障害者の方だとか、子供連れの方、ベビーカーの方に心ない言動がなされる、そういう事例も散見をされます。車椅子でエレベーターを利用しようと思っていたら、どんどん健常者の方に抜かれてしまった、乗れない、そんな話があるわけですね。つまりは、誰のための設備なのかということに思いを致し、やはり一歩引く、譲る、そういう心のバリアフリーということも重要なんだと思います。

 そういったハードとソフト一体となった取組、このバリアフリー推進について、いかがでしょうか。政府参考人にお尋ねします。

瓦林政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道やバスなどの公共交通事業者は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要の減少などにより厳しい経営環境が続いてきたところでございますが、そのような状況下におきましても、国の支援の下で、施設や車両のバリアフリー化を積極的に進め、障害者や高齢者などの方々が公共交通サービスを安全、安心かつ円滑に利用できるようにしていくことが極めて重要な課題であるというふうに認識しております。

 このような考え方の下、国土交通省におきましては、コロナ禍における公共交通事業者の事業継続や運行維持、感染症防止対策を財政面で支援するとともに、厳しい経営状況下にあっても、鉄道駅のホームドア整備あるいはノンステップバスの導入などのバリアフリー化投資が停滞することのないよう、当初予算と補正予算をそれぞれ最大限確保しながら、これらについて事業者に対する補助を行っているところでございます。

 また、一昨年十二月には鉄道駅バリアフリー料金制度を新たに導入しまして、地方も含めて鉄道施設のバリアフリー化を更に加速させることといたしました。

 そして、委員御指摘の心のバリアフリーでございます。これは、このようなハード面の整備に加えまして、様々な心身の特性や考え方を持つ全ての人々が、相互に理解を深め、支え合うという考え方ですが、この心のバリアフリーの普及も重要でございまして、国土交通省におきましては、事業者と連携しながら、障害者や高齢者の方々の移動の困難さを体験するイベントや、バリアフリー施設の適正な利用を呼びかけるキャンペーンなどを進めております。

 また、子育て支援の観点につきましても、バリアフリー法では、移動円滑化を図るべき対象として妊産婦の方を位置づけておりまして、バリアフリー政策の推進によりまして、ベビーカー利用者なども含めた子育て世代の方々の安全、安心かつ円滑な移動の確保も可能となると考えております。

 国交省といたしまして、今後とも、公共交通機関につきまして、ハード、ソフト両面からのバリアフリー化を進めてまいります。

津島委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございます。

木原委員長 次に、中川康洋君。

中川(康)委員 おはようございます。公明党の中川康洋でございます。

 今日も質問の機会をいただきまして、委員長、また理事の皆様には、心より感謝を申し上げます。

 今日は、大臣所信ということで、この所信に従って何点か御質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、交通大臣会合について斉藤大臣にお伺いをいたします。

 大臣もさきの大臣所信の冒頭で触れられましたとおり、本年は、G7広島サミットの関係閣僚会合の一つとして、私の地元であります三重県志摩市において、六月十六日から三日間の日程で、G7三重・伊勢志摩交通大臣会合、これが開催をされます。大臣始め関係の皆様には、この誘致活動から今日に至るまで様々な御支援をいただきましたこと、地元の一人として深く感謝を申し上げます。

 現在、我が国は、交通及び観光の分野におきまして、例えば、高齢化の進展による、公共交通を始めとした持続可能な形での移動、輸送手段の確保や、さらには、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた交通部門における温室効果ガスの排出削減、また、三年余となるコロナ禍での観光施策の新たな推進など、G7加盟国を始め各国が共通の認識を持ちます今日的課題、これを抱えておりまして、大臣には、議長国として強いリーダーシップの下、これら課題の解決に向けた力強い議論、これを期待をしたいというふうに思います。

 そこで、まず大臣にお伺いしますが、今回の交通大臣会合では、目下の課題が山積する中、その解決及び目標の達成に向けて、具体的にどのような議論のテーマ、これが検討されているのか、お答えいただきたいと思いますし、また、大臣がイメージする交通大臣会合での期待される成果、これについても併せて御答弁を願いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 G7各国の交通部門では、温室効果ガスによる気候変動や高齢化の進行といった共通の社会的課題に直面しております。G7三重・伊勢志摩交通大臣会合では、こうした課題に対処するため、イノベーションを通じた、誰もがアクセス可能で持続可能な交通の確保などを主に議論したいと考えております。

 議長国として、今後の交通政策に関する議論をリードし、日本の技術革新や先進的な取組を世界に発信してまいりたいと考えております。

 あわせて、成果ということでございますが、こういうことである一定の合意を是非得たいと思っておりますし、そして、三重、伊勢志摩、その開催地を含む我が国の豊かな観光資源の魅力についても世界に発信して、コロナ禍で落ち込んだインバウンド需要拡大につなげてまいりたいと決意しております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 今地元も、大変に、受入れといいますか、三重県というのはおもてなしの国でございますので、そういった準備をさせていただいております。

 今回、議長国として、交通大臣会合、斉藤大臣を先頭に行っていただくということで、本当に成果が出るような形で、また加えて、私は個人的には、やはり三年余となるコロナで観光が落ち込んでおります、ここを本当に起爆剤にして観光の成果、今、津島委員も観光施策をおっしゃっていただきましたが、それをお出しいただきたいという思いを持っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 もう一点お伺いをしたいと思いますが、今、地元も大変に準備等盛り上がっているわけですけれども、この地元自治体との交流、連携についてお伺いをいたします。

 現在、三重県では、昨年十二月に官民挙げて、G7三重・伊勢志摩交通大臣会合推進協議会、これを設立をいたしまして、例えば、開催支援でありますとか開催機運の醸成、さらには、地元三重の魅力発信の三つの基本方針の下、様々な取組、これを進めさせていただいております。

 私は、今回の交通大臣会合の成功には、開催地であります地元自治体、具体的には三重県及び志摩市との交流、連携、これは大変に重要であるというふうに考えております。特に、開催地からも要望がございます、次代を担う若者や子供たちとの交流、さらには、今大臣にもおっしゃっていただきました県産食材を始めとした県産品、また、伝統工芸品などの積極活用、さらには、三重県の観光や県内企業の技術などの展示スペースの設定やデモンストレーションの活用、こういったものが大事かと思いますが、こういったところ、具体的に検討を進めていただきたいと思いますが、国交省としてのお考えをお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

平岡政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、地元自治体とG7各国との交流機会の創出や、開催に向けた地元自治体との連携は極めて重要であるというふうに考えております。

 例えば、既に、機運醸成の一環といたしまして、地元小中学生を対象とした出前授業の講師に国土交通省の職員を派遣するなど、次世代を担う若者や子供たちが参画する機会の創出に地元自治体と連携して取り組んでいるところであります。引き続き、更なる機会の創出を検討してまいりたいと考えております。

 また、会合におきましては、地元産の食材や伝統工芸品等の活用、三重県の観光や地域の魅力の発信、県ゆかりの企業等による先進的な取組の発信などの機会を設けてまいりたいというふうに考えております。

 今後とも、関係自治体と緊密に連携しつつ、会合の成功に向けて準備に万全を期してまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 この三重、伊勢志摩は、まさしく伊勢志摩サミットの開催地でもございまして、そのときに、子供たちとか地元の方々との交流、これがやはり地元の方々には非常にインパクトとして今も残っております。国際会議が開かれるということで、子供たちとか若者との交流をしていただくことによって本当に見識を広げていただきたいなと思いますし、やはり、世界に目を向ける機会、こういったものにもなると思いますので、今、小中学生に向けて、既に出前授業を行っていただいているという話がありましたけれども、そういった機会を是非おつくりをいただきたいなと思います。

 さらには、やはり県産食材、これは非常に、三重県は伊勢神宮もございますので、おもてなしの文化がございます。そういった意味においては、本当に様々なものを活用していただいて、我が国のよさ、こういったものを発信をしていただきたいなというふうに思っています。

 さらには、我が国は技術立国でございます。様々な課題を抱える中で、それをイノベーションでどう進めていくのかという意味においても、県内においても本当に高い技術が多くございますので、そういったことも、今後、三重県と連携を図っていただきながら活用していただきたいと思いますので、これは御要望として申し上げさせていただきたいと思います。

 それでは、続きまして、引き続き、観光についてもう一点お伺いをさせていただきたいと思います。

 新たな観光立国推進基本計画案についてお伺いをいたします。

 現在、政府は、観光立国の復活に向けまして、新たな観光立国推進基本計画の案を示すのとともに、今月中にもこの計画を閣議決定する方針というふうに伺っております。これは、今、第三次基本計画は二〇二〇年で終わっておりまして、今ここに非常に穴が空いております。早期の閣議決定を私も是非要望するものでございますが、我が国にとりまして観光は、コロナ禍を経ても、成長戦略の柱、さらには地域活性化の切り札であり、コロナによる変化やコロナ前からの課題を踏まえ、我が国の観光を持続可能な形で復活をさせ、さらには、本格的な回復につなげていくこと、これは私、大変重要な取組であるというふうに感じております。

 先日、私もこの新たな基本計画の案を見させていただきました。それで、これまでの計画は、どちらかというとその目標は、訪日外国人旅行者数など、いわゆる人数一辺倒のものでございましたが、今回の計画は、その特徴として、持続可能な観光地域づくり戦略、さらには、インバウンド回復戦略、また、国内交流拡大戦略等の三つの戦略の下、その目標や指標についても、例えば、持続可能な観光地域づくりに取り組む地域数、これを目標にしたりとか、また、旅行消費額の単価を目標数にしたりとか、さらには、訪日外国人旅行者一人当たりの地方での宿泊数、これをいかに増やしていくか、こういった、これまでの人数一辺倒ではない、幅広かつ新たな目標や指標の設定がされております。私、今回の基本計画案というのはこれが一つの特徴かなと感じております。

 そこで伺いますが、今回の指標などは、現場で奮闘する観光事業者が、コロナによる変化や、また、コロナ前からの課題も踏まえた質の向上を図るのとともに、地域の特性に合った取組を各々の立場で柔軟に進めることができる、大変配慮ある設定であるというふうに思っておりますが、今回の基本計画におけるこの新たな目標や指標については、どのような狙い、さらには、理由をもって設定されようとしているのか、この点、御答弁を願いたいと思います。

秡川政府参考人 新たな観光立国推進基本計画についてなんですけれども、御指摘いただきましたように、コロナによる旅行者の意識の変化ですとか、これまでの課題も踏まえまして、持続可能な観光であること、消費額を拡大すること、あと、地方誘客を促進すること、大きくこの三つをキーワードに、今、策定作業を進めているところでございます。

 二〇二五年に向けた目標につきましては、人数に依存しない目標を中心に設定して質の向上を目指すとか、あとは、今御指摘もいただきましたけれども、各地域が計画を立てていただくときの参考としやすいように、そういう配慮をするということなどに留意をして、今、設定作業をしているところでございます。

 今月末までの策定に向けて、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 第三次計画というのは二〇二〇年度で一旦切れておりまして、コロナ禍において、新たな基本計画というのが今はない状態なわけなんです。そこに対して、第四次となるというか、新たな基本計画を今お作りいただいているわけですけれども、これまでは、この部分も大事だったんですけれども、やはり目標数というところで、インバウンドを何千万という形で来ていたわけです。これもこれで大事なんですけれども、やはりコロナ禍からの脱却ということにおいては、それぞれの観光事業者に配慮した設定というのはすごく大事だと思うんです。

 そういった意味においては、今回の目標というのは、本当にそこに配慮した、本当にそれぞれの具体的な取組ができる、そういった内容を作っていただいていると思いますし、人数と、例えば宿泊数と、それから旅行消費額の単価、これを掛け合わせる形で、重層的な、そういった取組になっていくんじゃないか、こんなふうにも感じながら今回の基本計画を見させていただきました。

 二五年度までということでございますけれども、これによってインバウンドも本当に回復をしていってもらいたいというふうに思いますし、さらには、国内の旅行者数、これも本当に、今、津島委員からも、団体というところが今まだ課題として残っているという話がありましたけれども、ここも伸ばしていくこと、これは非常に大事かと思いますので、そういった取組、政府、さらには国交省、また観光庁、一丸となってお取組を進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思いますし、その起爆剤として、今回の交通大臣会合での、大臣を先頭とした議論、こういったものも期待をしたいというふうに思います。

 それでは、三点目に移りまして、交通事故被害者への支援の拡充についてお伺いをいたします。

 この点についても、今回は大臣所信の中で触れられておりますが、自動車やバイクを持つ人が加入を義務づけられております、車検時に支払うことが多い自賠責保険の保険料、この一部を財源に、交通事故被害者への支援を拡充する改正自動車損害賠償保障法、これが昨年の六月に成立をいたしまして、本年四月に施行される予定でございます。

 この自賠責保険料は、人身事故への保険金支払いに使う保険充当分や、ひき逃げなどの被害者救済に充てる賦課金で構成されておりますが、今回の法改正では、これらに加え、交通事故の被害者支援と事故防止対策に充てるための新たな賦課金、これが新設をされました。

 国交省では現在も、事故で後遺障害を負い、保険金だけでは生活できない被害者らを対象に、リハビリ支援でありますとか介護料支給などの被害者支援対策、これを行っておりますが、その財源は、これまで、自動車安全特別会計の積立金とその運用益で賄われてきております。

 しかし、御案内のとおり、交通事故による重度の後遺障害者は、毎年千二百人認定されております。また、本来はその財源でありますこの特別会計が、過去に繰り入れた国の一般会計からいまだ繰り戻されていない状況が続く中、家族会と被害者団体からは、将来の財源枯渇を心配する声が上がっておりました。

 ゆえに、今回、被害者支援対策が新たな賦課金の導入で恒久化されたこと、この意義というのは、私は大変大きいものがあるというふうに感じております。

 そこで、国交省に伺いますが、この被害者支援対策につきましては、新たな賦課金の新設により、今後、持続可能な制度に生まれ変わるのとともに、被害者でありますとか家族へのケアについてもこれまで以上に手厚くなるものというふうに考えますが、いかがでしょうか。これまでの取組に加え、今後新たにどのような内容が充実していくのか、御答弁を願います。

 また、いまだ国の一般会計から繰り戻されていない約六千億に及ぶ財源につきましては、今後も財務省と協議の上、確実に繰戻し、これを行っていくことが重要だと考えますが、この点についても御答弁ください。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、昨年六月に成立し、本年四月に施行される予定の改正自動車損害賠償保障法におきましては、これまで当分の間の事業として行われておりました事故被害者支援や事故防止対策が、安定的、継続的に実施できる仕組みに転換されました。

 改正法を踏まえまして、来年度予算案では、事故被害者支援などに係る予算を大幅に拡充し、これまで実現できていなかった施策を盛り込んだところでございます。

 具体的には、重度脊髄損傷者の方々に対応した療護施設の新設、あるいは、被害者や遺族団体の皆様への相談支援などの事業を新たに盛り込んでおります。

 国土交通省といたしましては、被害者やその御家族、御遺族の皆様の思いに寄り添い、事故被害者支援や事故防止をより一層充実し、被害者などの皆様方が安心して生活できる社会、事故のない社会の実現に取り組んでまいります。

 また、一般会計からの繰戻しにつきましては、今年度の第二次補正予算では約十二億円が繰り戻されたほか、令和五年度当初予算案では約六十億円の繰戻しが措置されております。

 国土交通省といたしましては、令和三年十二月の財務大臣との合意を踏まえ、今後も引き続き、財務省に対して、全額の繰戻しに向け、着実な繰戻しをしっかりと求めてまいります。

 以上であります。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 私も過去から被害者団体の方とのつながりというかおつき合いがございまして、一般会計から繰り戻されていない時代に、その頃からやはり被害者支援というのを大変に心配する声がございました。特に、そういったお子さんを持つ親御さんから、親亡き後の対応、対策がやはり大変心配だという声をずっと聞いておりました。

 そういった意味においては、一義的には、繰戻しをしっかりしてもらいたいということで過去にも提案してきたわけですけれども、今回、やはり枯渇というところの心配がある中で、被害者団体も入って協議会を立ち上げていただいて、そして、恒久的な財源措置をしていただいた、私はこれは非常に評価をするところでありますし、被害者団体の代表の方からも、一定程度、本当にこれで安心できたというか、本当に安堵の声を聞いております。

 事故というのはあってはならぬわけですけれども、やはりそういったところが起きる中で、そこをどう保障していくのか、これはやはり国の責任でもあるというふうにも思いますので、これは財務大臣との直接折衝の中で、今、繰戻しを、少しずつではありますけれども、行っていただいていますけれども、そういった取組を今後とも継続していただきたいなと思っています。

 実は、公明党といたしましても、先週の木曜日に、前大臣であります赤羽大臣を中心に、事故撲滅のためのプロジェクトチームというのを立ち上げさせていただきました。そして、そういった支援対策、これをどう充実させていくのかということで、我々、党内でも議論をして、そしてまた、国交省の方にも提案をさせていただきたいと思いますので、そういった提言内容等にも是非ともお答えをいただきたいということも、要望として申し上げさせていただきたいと思います。

 では、続きまして、私も、大雪対策について一点お伺いします。

 この点についても、大臣所信で述べられておるんですけれども、本年一月二十五日未明から二十六日にかけて、日本列島を襲いました最強寒波による大雪の影響によりまして、三重、滋賀両県境の新名神高速道路では、トラックなど多数の車両が立ち往生となりまして、その滞留区間は最大で三十四キロにも達しました。また、滞留解消に要した時間も丸一日を超える二十八時間もかかったということから、当時、報道などでも大変大きくこの事案は取り上げられました。

 近年、大雪の際の立ち往生対策をめぐっては、国や高速道路会社があらかじめ通行止めにする予防的な通行止め、これを進めておりますが、中日本高速道路は、新名神でこの予防的な通行止めを行っておりませんでした。ちなみに、新名神と並行して三重県、奈良県を結ぶ名阪国道、これは二十四日の午後七時から予防的通行止めを実施したために、滞留などの被害は出ておりません。

 大臣は、今回の所信の中で、これら自然災害などの事案に対して、今後は、災害発生時の国民生活への影響を最小限に抑えるため、引き続き、連携体制の確保や、事業者の指導監督、国民への適切な情報提供の推進に取り組んでまいりますというふうに述べていただいておりますが、このような事案は、一歩間違えばドライバーの命にも関わる問題でありまして、決して看過できるものではございません。

 そこで、改めて伺いますが、国交省は、今回の新名神高速道路での大規模な車両滞留を引き起こした原因、これをどのように分析しているのか、また、今後の再発の防止策について、どのような具体的な取組を行ったのか、お伺いをいたします。よろしくお願いいたします。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 一月二十四日からの大雪に伴いまして、三重県から滋賀県に向かう新名神高速道路におきまして、渋滞による滞留が発生し、その解消に長時間を要したところでございます。

 このような滞留が発生した背景といたしましては、高速道路会社が、この渋滞による滞留が一時的なものと判断をいたしまして、名古屋と大阪を結ぶ複数の高速道路について、通行止めの運用ルールの徹底が図られていなかったこと、二つ目として、関係機関への応援要請をしなかったことなどが原因だったというふうに認識をいたしております。

 このため、中日本高速道路会社及び西日本高速道路会社が、大雪時の当面の対応策、これを二月の八日に公表いたしまして、今後の降雪に備えまして、滞留が予見される場合は、徹底した出控え要請とともに、ちゅうちょなく通行止めを実施する、また、早い段階から関係機関に情報を共有し、早期の滞留解消に向け、応援を含めた体制の充実を図るなどの対応策を確実に実施していくというふうに聞いております。

 国土交通省といたしましては、当面の対応策を踏まえまして、高速道路会社あるいは関係機関との間でしっかり情報共有の上、大雪時の広域的な対応も含め、連携して取り組んでまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 分析していただいて、NEXCOさんと一緒にこの対応を、再発防止策を組んでいただいたということでございますが、こういった問題、実は、つい少し前も、関越道でも同じような事案が起きているんですね。ですから、やはり、その時々によって状況は違うかもしれないんですけれども、結局これを繰り返しているというイメージが出ております。

 今後、やはり、気候変動によって雪の降り方というのも本当にどんどんどんどん変わってくる可能性があります。そういった意味においては、私は、物流が滞るというところの課題はありますけれども、やはり予防的な通行止めということも早め早めにしていくということ、これは大事じゃないかなというふうに思っています。

 並行する名阪国道、名神、ここは、通行止めを行ったことによって、結果、予想以上に新名神に車両が来たということもありますけれども、今後、やはりそういった対応をしていく。

 特に、甲賀土山から亀山のインターというのは、もう本当にどうしようもないような動きのない状況の道路です、私もよく使いますが。そこに丸一日以上滞留したドライバーの方は、どういった不安があったのかというふうに思うと、こういった対応、今後、本当にこの繰り返しが起きないように、取組を進めていただきたいと思いますので、これは御要望申し上げます。

 そうしたら、続きまして、ちょっと地元案件を一つだけ、御無理願いたいと思います。

 紀伊半島における命の道であります道路ネットワークの整備推進についてお伺いをいたします。

 三重県の南部に位置します東紀州地域は、国土幹線軸から離れているという地理的な条件から交通体系の整備が遅れており、今後発生が危惧されます南海トラフ地震への備えとしても、高規格道路の整備による交通ネットワーク、この強化は大変に重要でございます。また、唯一の幹線国道である国道四十二号は、台風や豪雨等により度々通行止めが発生していることから、国土強靱化に向けた四十二号のダブルネットワーク化、これが地元では強く求められております。

 一方、この地域は、滞在型の複合施設でありますVISONでありますとか、熊野古道など、優れた観光資源や農林水産資源の活用による地域振興など、地方創生のポテンシャルの高い地域でありますことから、この道路ネットワークの強化により、更なる地域の発展、期待がされるところでございます。

 そこでお伺いをいたしますが、地方創生、さらには、国土強靱化に資するとともに、紀伊半島におけるミッシングリンクの解消、これを図るために、県民の命の道であります近畿自動車道紀勢線を整備推進すること、これは大変重要な取組であるというふうに私は感じておりますが、その点につきましての国交省の御見解を伺いたいと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 近畿自動車道紀勢線は、南海トラフ地震など、災害時のリダンダンシーの確保、また、救急医療の輸送の確保、観光振興の支援などのために重要な役割を担う道路であるというふうに認識をいたしております。

 全長三百三十五キロのうち、三重県内延長百キロにおきましては、約八割が開通済みでございまして、残る区間は、熊野道路、紀宝熊野道路、新宮紀宝道路として事業を進めているところでございます。

 具体的には、熊野道路につきましては、平成二十六年度より事業を行っておりまして、現在、改良工事、トンネル工事を進めております。また、紀宝熊野道路につきましては、平成三十一年度より事業を行っておりまして、現在、用地買収、道路設計を進めております。さらに、新宮紀宝道路につきましては、令和六年の秋頃の開通に向けまして、現在、工事の最盛期でございます。改良工事、橋梁工事を行っているところでございます。

 引き続き、地域の皆様の御協力を得ながら、一日も早い開通を目指して整備を進めてまいりたいと考えております。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 この地域、過疎地でもありますし、半島部でもございます。やはり、道路の持つ重要性というのは非常に大事なところがございます。

 私はいつも思い出すのですが、平成二十三年の紀伊半島大水害というのがございました。あのときに、やはり、県民の新たな命の道という話がありましたし、さらには、ミッシングリンクの解消というところが議論されたところでございます。

 そういった意味におきましては、本当に地元の方と連携を図りながら、着実な整備推進、これを図っていただいて、本当に国民の安心、安全につなげる、そういった施策であると思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 そうしましたら、残った時間、空き家対策について私もお伺いをいたします。

 この空き家対策につきましては、今国会におきまして改正案が提出されておりますが、平成二十六年に制定された現行法は、その緊急性に鑑みて、周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家、いわゆる特定空き家への対応を中心に制度的措置を定めていたため、現場ではその活用は限定的であった、こういった状況があると思います。当時この法律ができたことは非常に重要だったわけですけども、やはり、ちょっと使いづらい、こういった状況がございました。

 現に、私の地元であります三重県四日市市の担当課にお話を聞きますと、空き家を取り巻く現状や課題について、例えば、居住者の高齢化の進展により空き家の適切な管理が進まない状況や、権利関係が複雑であるなどの要因から、管理不全な空き家が年々増加している、また、現行法の壁により空き家の活用が遅々として進まないなど、問題は山積しているとの報告がございました。

 数字的に見ましても、国内の空き家数は、二〇一八年時点で八百四十九万戸に上り、このうち賃貸や売却用などを除いた居住目的のない空き家は三百四十九万戸と、この約二十年で一・九倍に増加をいたしております。このまま対策を強化しなければ、二〇三〇年には国内の空き家数は四百七十万戸に達すると推計をされております。

 このような状況の中、今回の改正案では、除却などの更なる促進に加え、周囲に悪影響を及ぼす前の有効活用や適切な管理を総合的に強化するとの考え方から、主に空き家の活用拡大と管理の確保、さらには特定空き家の除却という三つの柱で対応を強化していくとの方針が示されております。

 そこで、国交省に伺いますが、今回の改正は、既に多くの空き家を抱えております現場の自治体の期待に十分に応えるものになるのかどうか、また、真に実効性ある法律案になるのかどうか、そういったところ、国交省の見解と決意をお伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 現場の自治体の御期待に応える、そして、対策の実効性を高めるために、二点申し上げたいと思います。

 一点目は、今回の空き家法の改正の中で、市町村をサポートする体制づくりを行うということでございます。民間法人を市町村が指定をし、公的な立場から、所有者への啓発とか利活用に向けた働きかけ、こういうことを、市町村を支えるという立場から支援を行っていただくようにいたします。

 もう一点は、市区町村の問題意識を十分に踏まえて対策の中身や運用を考えていくということでございます。

 今回の空き家対策の強化に当たりまして、検討過程で、自治体で空き家問題に取り組んでこられた自治体の首長さんなどにも入っていただきましたし、また、自治体の協議会からの意見も伺っております。こういうものを丁寧に伺った上で、対策の強化を検討してまいりました。

 さらに、これからの運用段階におきましても、自治体の御意見を十分にお聞きして、ガイドラインなどに反映をさせ、対策の実効性が確保されるように努めてまいりたいと存じます。

中川(康)委員 ありがとうございました。

 これまでの空き家対策はやはり除却中心だったと思うんですが、これからはやはり活用と除却という両輪で進めていただきたいと思っております。

 今回の新たな法律、これから審議されるわけですけれども、これが、地元の期待に十分応えるもの、さらには、実効性ある法律になること、これを要望いたします。

 以上で公明党の質問を終わります。大変ありがとうございました。

木原委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日、このような機会をいただき、誠にありがとうございます。

 いまだに、日本の都市計画や地方自治は、経済成長と人口増を前提とした高度経済成長期の発想からさほど変化をしていません。低成長と人口減少、気候危機や自然災害の激甚化、経済の成熟化の時代にふさわしい、持続可能な都市計画、まちづくり、住宅政策へと転換しなければなりません。

 差別や不寛容の背景には社会の分断があり、同じ日本社会に生きる国民、市民として連帯感を醸成し、分断を克服し、孤立を感じずに済む共生社会をつくることを目標に、立憲民主党は、昨年、ビジョン22をまとめました。

 競争を神聖化する新自由主義的な考え方は、経済だけでなく、政治や教育といった分野にまで広がりましたが、失われた十年、失われた三十年とも言われるように、経済至上主義で、経済は低成長、財政悪化、人口減少したのが現実であります。経済成長は手段であって、政治の目的ではありません。

 自由な社会であるか、暮らしやすいまちづくりがなされているのか、環境や生物多様性は保全されているのか、ハザードマップなど、安心して暮らせるために必要な情報公開、情報共有ができるのかなど、経済至上主義ではなくても、脱成長でもなく、環境と経済を両立する経済政策へとシフトする必要がある、そして、定常社会を目指す時代に入っていると考えております。日本に暮らせてよかったと実感できる公助の整った社会、地域づくりを基盤とし、質問をさせていただきます。

 まず最初に、通告と順番を変えさせていただきますけれども、失われた三十年、十年とも言われ、経済の低迷の中に日本は置かれております。国土交通省は、設計労務単価の十一年連続しての引上げを行った。適切な決定と評価をしております。

 国土交通省では、道路整備を始めとした公共工事に伴う用地取得、その土地の登記といった業務が生じます。公共嘱託登記業務、権利及び表示は、司法書士法、土地家屋調査士法を始めとする関係法令、仕様書等にのっとり実施されているものですが、競争入札制度の下、低価格での受注が見受けられます。予定価格に対して大幅に価格が下回る入札での受注が増えている状況で、公共嘱託業務、権利及び表示についての品質確保への懸念も拭いにくくなっています。

 国土交通省関東地方整備局において、令和五年一月十八日付の通知、公共嘱託登記業務、権利及び表示における品質確保対策の試行についてが発せられています。関東地方整備局のみの取組が始まったところであり、これは大変よい取組だと考えております。

 そこで、地方整備局における公共嘱託登記の品質確保に対して、関東地方整備局での試行を含めた取組をほかの整備局にも拡大することが望ましいと考えますが、国土交通省の所見をお伺いいたします。

井上政府参考人 お答えします。

 国土交通省では、公共事業用地の取得に伴い必要となる登記申請、これを公共嘱託登記業務として外部発注する場合がありますけれども、当該業務では、御指摘がありましたように、低価格での入札が多く見受けられる状況であります。

 こうしたことから、委員御指摘のとおり、関東地方整備局においては、当該業務の品質確保を図るため、会計法規等に基づく低入札価格調査に加えまして、予定価格が一千万円以下の業務につきましても、低価格での入札があった場合には、履行確実性の審査、評価を行いまして、また、履行体制の強化等の実施を求める取組を令和五年度から試行する予定としてございます。

 国土交通省としましては、この試行の状況等を踏まえて、必要に応じて他の地方整備局等にも拡大することも含めまして、当該業務の品質確保に努めてまいりたいと考えております。

小宮山委員 ありがとうございます。是非結果をしっかりと出していただければと思います。

 そして、大切なことを聞くのを忘れておりました。西田政務官の公職選挙法事前運動の疑惑についての質問をさせていただきたいと思います。

 週刊誌、いわゆる文春砲で取り上げられておりました、西田政務官の公職選挙法疑惑の記事について、事実確認をさせていただきたいと思います。

 二月上旬に地元住民に対し送付した、本年三月に行われる県議会議員選挙に、ある地方議会議員の名前を出し、最適任者と認め公認し、強力に推薦いたしますなどと記した文書について、このような文書を送付したことは事実でしょうか。

西田大臣政務官 お答えいたします。

 事実でございます。

小宮山委員 それでは、週刊誌では一か所となっておりましたけれども、ほかの選挙区やほかの候補者について、同様の類似の送付は行っていないか。旧統一教会の自民党の調査、後出しじゃんけんが結構ありまして、それを考えると、まず、ちょっとこの辺りも、ほかのところに出していないか、いるのか、確認をさせていただきたいと思います。

西田大臣政務官 ほかにもございます。

 これらは、自由民主党石川県支部連合会における公認決定の事実を党支部から連絡した文書であり、選挙運動に係る文書ではございません。

小宮山委員 選挙を特定し、支援をお願いしますと記述しているのは、公職選挙法が禁じている告示前の事前運動に当たるとの指摘に当たらないと主張するなら、その理由、改めてお聞かせください。

西田大臣政務官 お答えいたします。

 公認決定の事実を連絡するための文書でありますので、対象の選挙と公認対象者の名前を記載しているものでございます。そのため、選挙運動に係る文書ではございません。

小宮山委員 大分苦しいかなと思いますけれども。

 石川県では、二〇一三年、同様の事前運動が発覚し、公職選挙法で金沢市議が書類送検され、罰金三十万円と公民権停止二年間の略式命令を受け、議員は辞職をされています。この当時、西田政務官は、衆議院議員秘書を経て、市議会議員、県議会議員になられたはずで、この市議会議員が辞職に至った事件を知らないわけはないと思います。

 選挙を特定した上での特定候補者への投票の呼びかけと有権者に捉えられる、ましてや、総理大臣や国土交通政務官という権威ある役職に就いている方の言葉、また、許認可や公共事業の決定に深く関わる政務は、公職選挙法だけでなく、景気の落ち込んだ地域経済では、推さなくては仕事が取れなくなるかもしれないといった心理的圧迫にもつながりかねない可能性があります。これによって、政治は汚いと嫌悪感を拡散するなど、倫理的にも問題が多く含まれた課題だと思っております。

 ここで反省を促しておきますし、また、この点に関しましては、二〇一三年の事例も考えますと、司法の方にしっかりと判断も、私自身は委ねるべきかと考えております。

 それでは、大臣所信に対する質疑に戻らせていただきます。

 さて、観光産業です。

 地方は本当に疲弊をしておりますので、新型コロナが収束に向かう中で、水際対策の緩和など、マスクの使用のルールの変更、個人の判断に委ねるという状況が多々出ております。そして、たとえコロナ禍を乗り切ったとしても、旅館業や仕出しさんや、観光産業の関係の事業者さんたちには多くの多くの課題が残っています。

 観光関連産業の裾野は広くて、大体九百万人の雇用にもつながっていると分析もされています。しかし、このような中において、たとえ新型コロナ禍を乗り切ったとしても、無利子の融資などの返済が求められてくるなど、厳しい状況に変わりはありません。コロナ禍での旅館の海外投資家への売却が進んでいるなどという、観光立国でありながら大変残念な話があちこちから聞こえてもまいります。

 観光立国の実現は、国内企業、地域の参加があってこそですが、日本政府として、国内観光産業の現時点の問題点、課題、そして、将来に向けた支援と結果の目標についてお聞かせください。

秡川政府参考人 今御指摘をいただきました観光産業、特に宿泊業なんですけれども、地域経済の牽引役であるとともに、それ自体が地域の個性を象徴する有力な観光資源だというふうに考えております。

 しかしながら、コロナ禍によりまして旅行需要が大幅に減少した結果、債務残高がコロナ前と比較して大幅に増大したり、大変大きな影響を受けております。また、収益性や生産性が低い、あと、人手不足などの構造的な課題も顕在化しております。

 観光庁としては、観光地、観光産業の再生、高付加価値化、観光DXの推進などの施策を総合的に講じることによりまして、観光産業が持続可能で魅力ある稼げる産業へと変革していけるよう、しっかり取り組んでまいります。

小宮山委員 観光による経済効果、八割は国内旅行でもあります。海外からの旅行者の大半を受け入れる航空旅客は、まだ低調にとどまっていると聞いています。

 大臣は、航空会社や空港会社等の経営基盤の強化を図ってまいりますとした上で、グラウンドハンドリングや保安検査の体制強化等による受入れ環境整備の推進について述べられております。

 現在、各地の空港では、グラウンドハンドリングや検査、保安に対する要員の確保が十分でなく、出入国に非常に時間がかかり、さらに、新型コロナ感染拡大防止のために、間隔を空けての対応が非常に難しいといった問題も起きていると聞いています。

 観光産業が、新型コロナ禍で、将来不安定な産業と認識され、人材確保においては、新規に従事することが避けられるといった傾向も報告がされております。即戦力となる経験者の復職も、望んでも離職者が戻ることがないのが現実で、保安検査の人材も、同様になかなか戻ってきてもらえません。また、新人では直ちに職務を行えないために、出入国手続の窓口の縮小といったことも起きています。

 グラウンドハンドリングや保安検査の体制強化等としての、どのような取組を進めていくのか、お伺いいたします。

久保田政府参考人 お答えいたします。

 グラウンドハンドリングや保安検査などの空港業務は航空機の離発着に不可欠な業務でございますが、厳しい労働環境やコロナ禍で脆弱な業界というイメージがちょっと定着したことなどによりまして、コロナ前と比較しますと人員が約二割減少するなど、人手不足に直面をしておるところでございます。

 この課題の解決には、地方自治体、空港関係事業者など、地域の関係者が総力を挙げて取り組むことが不可欠であると考えてございます。このため、国土交通省におきましては、空港ごとにワーキンググループを設置して、関係者、これは自治体を含めてですけれども、一丸となって人材確保、育成、そして効率的な運用に取り組むことを推進しておるところでございます。

 また、これらの取組を後押しするため、今年度の補正予算では、採用活動や人材育成の支援、業務効率化等の支援を実施しているところでございます。これによりまして、空港関係事業者による合同就職セミナーなどの新たな取組も個々の空港で進んでいるところでございます。

 さらに、先月から、空港業務全体を対象とした、我々としては初の有識者会議を設置いたしまして、空港関係者から実態をお伺いしながら、空港業務の持続的発展に向けた取組指針の検討を進めることとしております。

 引き続き、自治体関係者を含む関係者と密接に連携をしながら、空港におけます必要な人材の確保や生産性の向上に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えてございます。

小宮山委員 是非全力で取り組んでいただきたいと思いますし、また、多くの学生さんたち、学んでいる方たち、保安検査やグラウンドハンドリング、この仕事というのが、非常に有意義であり、将来性があるということが実感できるような、そんな支援の仕方もお考えいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、あした、三・一一は、東日本大震災から十二年を迎えます。また、トルコ、シリアでの大地震から約一か月が経過をいたしました。改めて、お亡くなりになった皆様に御冥福と、被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。

 また、先ほども指摘がございましたけれども、東日本大震災、またシリアも、大規模な自然災害のときには行方不明になった方々がずっといらっしゃいます。多くの御家族の方の御心痛を考えると、少しでもその方たちが癒やされること、そして見つかることを改めて願わずにはいられません。

 これらの大規模地震災害から私たちは様々なことを教えられ、学んでおります。私たちが忘れずにいることもお伝えしていきたいと思います。

 大臣所信で、国民の生命財産を守るため、災害への備えが必要と述べられました。また、安心して暮らせる住まいの確保も掲げられておりました。超高齢化、少子化社会、人口減少の社会を迎える中で、我が国の住宅・建築政策において、建物そのものに関しての課題は、大きくくくると、空き家問題、老朽化マンション対策、そして省エネ対策の三点に集約されると考えます。

 空き家問題については、一九七〇年代初頭には既に住宅総数が総世帯数を超えており、二〇一八年現在のデータで、空き家数は約八百四十九万戸、空き家率は一三%を超えており、老朽化により倒壊の危険性が高まるなど、社会問題となっています。これは、新築至上主義的な住宅政策により、中古住宅の資産価値が築後二十年でほぼゼロになるということも大きな要因になっていると考えます。

 旧耐震基準で建てられた築後四十年以上が経過したマンションは、全国で百万棟を超えております。このような老朽化マンションの建て替え、更新は余り進んでおりません。法務省、国土交通省等により、区分所有法改正、建て替え要件の緩和等が検討されていると聞きますが、建て替えには関係者の調整に多大な労力と時間がかかり、これまた即効性があるものではないと捉えております。

 老朽化マンションについて一刻も早く耐震性能を確保することは喫緊の課題でもあり、具体的な解決策をどのように考えていらっしゃるのか、大臣にお伺いいたします。

斉藤(鉄)国務大臣 いつ起きるか分からない大地震に備えて、多くの国民が居住するマンションの耐震性が確保されるよう、老朽化が進んだマンションにおきまして耐震改修や建て替えを進めることは、非常に重要な課題だと思っております。

 特に、区分所有形態という性質上、これらを実施する際に不可欠となる管理組合内の合意形成を後押しし、また、所有者負担の軽減を図る支援措置を講じていく必要があると考えております。

 具体的には、耐震改修を促進するため、地方公共団体が耐震性不足であることを確認したマンションを対象に、管理組合における決議要件を緩和する措置を講じているところです。

 また、耐震改修費を支援するため、合意形成などが困難であるマンションの特性を踏まえ、通常よりも高い、国、地方の合計で三分の一を補助しております。

 さらに、耐震性不足のマンションを建て替える場合の容積率を緩和し、建て替え事業の採算性向上を図る等の措置を講じております。

 引き続き、様々な施策を総動員して、全力でマンションの耐震性の確保に取り組んでまいりたいと決意しております。

小宮山委員 ありがとうございます。

 思い起こしますと十年以上前、私は、当選間もなくから、前田武志先生を始め多くの先輩議員とともにマンションの建て替え問題に着手いたしました。なかなか法務省の壁が厳しくて、その後も、空き家問題も含めまして、国交省の住宅局関係の皆様、本当に努力をされて今ここに来ているんだというふうに、改めて大臣の答弁を聞きながら感じておりますが、まだまだ、もう一歩先に進まなければならないということも事実だと思います。

 家庭でのヒートショック等による死亡者は年間約一万七千人で、住宅における安全確保というのは、大変大きなテーマとなっています。

 省エネ対策に関しては、昨年、令和四年五月に建築物省エネ法が改正され、新築の建物について、省エネ基準適合が、義務化が拡大されております。建築物、特に住宅の省エネ基準を欧米並みに引き上げるとともに、建築物の断熱改修を早急に進める必要があると思いますが、国土交通省の御見解をお聞かせください。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 ドイツなどの欧米諸国におきます建築物の省エネ基準では、全館暖房でありますとか長時間の暖房に伴いますエネルギー使用量が多いということなども背景に、我が国の現行の省エネ基準を上回るZEH水準におおむね相当する断熱性能を求めているというふうに承知をしてございます。

 我が国は、二〇三〇年度以降に新築される住宅に関しまして、このZEH水準の省エネ性能が確保されることを目指しまして、省エネ基準の段階的な引上げを遅くとも二〇三〇年度までに行うということが政府の方針となってございますので、その円滑な実施に努めてまいりたいと存じます。

 それから、既存建築物の断熱化についてのお尋ねをいただきました。

 エネルギー消費量を削減する観点だけでなくて、温熱環境の改善を通じたヒートショックの防止など、住まい手の健康の観点からも大変重要であるというふうに認識をしてございます。

 このため、断熱改修によってもたらされる様々な効果の普及啓発を行いながら、住宅所有者の後押しとなるような負担軽減策を関係省庁と連携しながら講じてまいりたいと存じます。

小宮山委員 省エネ推進というのは、あくまでエネルギーを使うことでもありますから、まずこの前提から脱却する必要があるかと思います。省エネ基準を諸外国並みに引き上げていくという方向も望ましいけれども、同時に、低エネルギー、ゼロエネルギーとして、エネルギーを用いないという住まい方も推進されるべきだと考えます。

 日本の伝統的構法の建築物から分かるのは、夏の高温多湿に対応するため、風通しをよくすることで、ゼロエネルギーかつ心地よく暮らせる住宅設計も行われてきております。高気密、高断熱での省エネ性能のよい住宅とともに、気候風土適応型の建築も施主が選択できるように、国土交通省には、地方自治体とともに両施策を推進されることをお願いいたします。

 マンションなどの老朽化ビルは、これまで、取壊しと建築を繰り返す、スクラップ・アンド・ビルドを行うしかありませんでした。しかし、この手法では、建築廃棄物や建て替えるための用地確保など、再建築以外の経費が多額となるため、実際には老朽化マンションの建て替えは進んでおりません。西欧諸国では、既存住宅の活用を重視しており、むしろ新築を原則認めていない地域も多いと聞きます。

 住宅・建築政策における課題への対応策として、取壊しと建築を繰り返すスクラップ・アンド・ビルドの現状から脱却して、既存ストックの活用にかじを切ることが求められています。政府として、新築重視から既存住宅活用へと大きく政策転換を行うことは検討されているのか、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 私も小宮山委員と同じ問題意識を持っております。

 日本は、住宅はいわゆるストックとしてなかなか財産化しないという問題がございます。今後の住宅政策においては、将来世代に継承できる良質な住宅ストックを形成し、これらの良質なストックが循環するシステムの構築など、既存住宅中心の施策体系へ転換を進めることが非常に重要だと思っております。

 住宅ストックの現状を見ますと、耐震性を満たさない住宅が約七百万戸あり、省エネ性能やバリアフリー性能が不十分な住宅等も多数あることから、これらの住宅の建て替えや改修による性能向上が必要です。

 また、既存住宅の流通を活性化し、空き家の発生を抑制するためにも、既存住宅の流通とリフォーム市場を二十兆円規模に拡大させる長期目標の達成に向け、ストックの性能向上と併せて、既存住宅に対する安心感を高める施策を一層強化してまいります。

 国土交通省としては、こうした施策を通じ、住宅ストックの質の向上に取り組むとともに、これらの住宅ストックが世代を超えて継承される市場環境の整備に取り組んでまいりたいと思います。

 既存住宅をまず性能をアップさせる、そして、それを長年使っていけるようにする、そういうふうに日本を変えていかなければいけないと思います。

小宮山委員 これまで、木材活用として、CLT、直交集成材などの新技術の推進にしても提唱してまいりましたが、既存ストックの活用に資する新たな手法の一つとしてリファイニング建築と呼ばれる改修技術がありますが、国土交通省での認識をお聞かせください。

塩見政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のリファイニング建築は、建築家でいらっしゃる青木茂先生がその名称や定義も含めて提唱されておられまして、既存建築物の柱やはりなどの構造躯体を有効利用しながら、大胆なデザインの転換や設備の一新を図る、しかも、耐震性能を現行基準のレベルまで向上させる、そういう改修手法として、事業化が図られていると承知しております。

 国土交通省の方でも、予算事業であります住宅・建築物省CO2先導事業というものがございます。この事業におきましてリファイニング建築の手法によります建築物の再生を補助したことがございまして、その実績を踏まえて申し上げますと、耐震性や居住性、省エネ性等の向上を図りながら、既存建築物の長寿命化を図ることができる、意義の多い改修手法の一つであると認識をしてございます。

小宮山委員 リファイニング建築は、一般的なリフォームやリノベーションとは異なりまして、一級建築士の資格を持った技術者が確認申請を行って、先ほど説明があったとおり、建築物の躯体を残しながら、新築同様に再生する手法であり、耐震性や省エネ性能を向上させる上で、新築、建て替えた場合と比べてCO2の排出量が約六分の一で済むとされるものであります。

 これに関しまして、リファイニング建築の考え方は政府のカーボンニュートラル政策に適した改修の手法と考えますが、大臣、どうお考えになりますか。

斉藤(鉄)国務大臣 カーボンニュートラルという観点からも、既存建築物を省エネ性能の高い建築物に改修することでCO2排出量を削減することは大変重要であり、御指摘のリファイニング建築は非常に有効な手法である、このように考えております。

 さらに、既存の構造躯体を有効利用する改修手法であるため、完全に解体して新築する工事と比較して、工事段階でのCO2排出量を大幅に削減できることからも、リファイニング建築はカーボンニュートラル政策に適している改修手法と考えられます。

 国土交通省としては、省エネ改修や耐震改修などに対する支援措置を活用しながら、リファイニング建築を始めとした既存建築物の性能向上を図り、その有効活用を図る取組を推進してまいりたいと考えております。

小宮山委員 災害大国である日本でもあります。早く百万戸ある老朽化マンションなどの建て替えが進むことで、より安全な地域、日本になると考えておりますので、これからもこのようないろいろな機会を捉えて進めていただくことを要請いたします。

 さて、住宅政策を考える中で、建築物、国交省では、よく、建てること、建築に関してのハードの面が取り上げられますが、建築物というのはやはり使ってこそ意味があります。ハード面と別で、居住や暮らす、ソフト面の充実があってこそ、建てることも、リファインすることも、そして、リノベーションすることにも大きな意義が生まれてくると考えています。

 住宅政策においては、建物そのものに対しての課題のほかに、G7を始め諸外国と比べて、住宅補助、家賃補助などの導入が行われていないという特徴が日本では見られます。

 立憲民主党では、住宅補助、家賃補助を制度として設けることで、生活する上での極めて重要な住まいの確保について取り組んでいくべきだという政策の提言をさせていただいています。

 住宅セーフティーネットの拡充又は適用拡大など、福祉の観点だけでなく、住宅補助、家賃補助制度の整備について、国土交通省としてどのようなお考えがあるか、施策があるか、お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 住まいは生活の基盤であり、住宅の確保に配慮が必要な方も含め、誰もが安心して暮らせる居住環境の整備に取り組んでおります。

 具体的には、住宅に困窮する低額所得者に対して、低廉な家賃で住まいを賃貸する公営住宅等の供給に加えて、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット登録住宅の確保、家賃低廉化等の支援を推進しているところでございます。

 引き続き、福祉政策を所管する厚生労働省や地方公共団体等と連携して、令和五年度から、セーフティーネット登録住宅に係る家賃低廉化補助の支援期間を一定の場合に延長するなど、住宅の確保に関する支援の充実に取り組んでまいりたいと思っております。

小宮山委員 是非、厚生労働省も含めまして、国交省も含めて、しっかりと住まいの安定の確保というものを進めていただければと思います。

 今国会、様々な重要な案件がこの国土交通委員会にはかかります。また、国土交通省の所管に関しても多くの課題があります。是非十分な審議を取られること、委員長を始め理事の皆様方には確保していただくことをお願いいたしまして、質問を終了いたします。

木原委員長 次に、谷田川元君。

谷田川委員 立憲民主党の谷田川元でございます。

 時間が二十分しかありませんので、早速質問に入らせていただきます。

 大臣は所信表明で、本年を地域公共交通再構築元年と非常に重い表現で述べられましたが、国鉄が分割・民営化されて三十六年が経過しようとしておりますけれども、分割・民営化されても、全国の鉄道ネットワークをできるだけ維持するという前提で国鉄改革が行われたと私は理解しておりますが、大臣も同じ認識でしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 国鉄再建監理委員会による国鉄改革に関する意見におきまして、基本的に鉄道は、旅客、貨物共にそれぞれのその特性を発揮し得る分野を中心として効率的に運営を行うべきものとございまして、大量輸送機関としての鉄道特性を発揮できる分野において、そのネットワークを維持、発達させてきたところでございます。

 他方、シビルミニマムとしての輸送サービスについては、この国鉄改革に関する意見、国鉄再建監理委員会の意見におきまして、基本的には輸送需要に応じた最も効率のよい交通機関により確保されるべきものとされておりました。

 国といたしましては、JR会社法に基づく大臣指針等に基づき、JR各社に対し、内部補助により可能な限り路線の維持に努めるよう指導してまいりました。

 ただし、国鉄改革から三十五年が経過し、人口減少やモータリゼーションの進展等、事業者の経営努力のみでは避けられない事情により、特にローカル線区の輸送人員が大幅に減少していることも事実でございます。

 そのため、こうした危機的状況にあるローカル線区については、事業者と自治体の連携、協働により、地域公共交通の機能の回復に取り組むことが急務と考え、これを国として積極的に促す観点から、新たな制度改正を提案させていただいているところでございます。

谷田川委員 いわゆる地活化法、この改正案がこの国会に提出されるということで、赤字ローカル線沿線の住民の皆さんは、これを契機に廃止が促進されるんじゃないか、そういう懸念を持っている方が多いんですよね。

 この間、私、JR西日本にお勤めの方とウェブで会話する機会がありまして、兵庫県のことがかなり話題になったんですよ。兵庫県は、既にJR西日本の赤字ローカル線を、利用促進策を検討する協議会がもう三回目が行われまして、そこで、JRの兵庫支社長がこういうことをおっしゃったんです。維持することだけが目的の議論に違和感と既視感を覚える、ノスタルジーではなく現実直視で、現状維持ではなく未来志向で議論してほしいと。

 かなり思い切った発言ですよね。聞き方によっては、もう努力したけれども無理だから、もう廃止しかないんだと聞こえるし、ただ、私としては、やはり鉄道ネットワークを維持するということが、これはやはり我々日本人の英知と努力でやってきたことだと思うんですよ。それが、国鉄民営化になって、今JR七社体制になっていますけれども、どうも当初の改革の目的というのが何か忘れられている気がしてならない。

 そんな気がして今日は取り上げるんですが、実は、私は一九八五年の入社なんですね、民間会社の。一九八五年に国鉄最後の人が入社されたんですね。その翌年は国鉄採用はなくて、そうすると、今のJRは、その国鉄時代に入った人というのは、もう経営トップの方だけが残っていて、今改めて、JRになった、国鉄分割・民営化になった、そのときの精神というのを分かっている人はごく一部しかいない。そうすると、三十何年前に約束したことはもうどうでもいいんだと、それでは困るんですよね。是非そのことを認識していただきたいんですよ。

 それで、実は、お手元に資料をお配りしたんですが、私はこの間、国鉄が分割・民営化されるに当たって、どういう経緯があったのかと時間を割いていろいろ文献を読んだんですが、何と自民党の運輸大臣をお務めになった小坂徳三郎さん、長野県の方であれば、信越化学のオーナー、選挙区は東京だったと記憶しておりますけれども、その方が、一九八五年十月二十二日に「日本人永久繁栄論」という本の中でこう述べているんですよ。

 傍線を振った部分だけ読みますので。国鉄の再建を考えるにも、数字を正しく捉えていかなければいけないと思い、資産の評価に手をつけてみたのだが、ここで意外なことに気がついた。固定資産の総額が、僅かに八兆九千億円だという。しかし、資産を時価で再評価してみると、約五十兆円に膨らんだ。国鉄の長期債務は、答申によると昭和六十二年で約三十七兆三千億円である。となると、評価の差額で累積債務が消していけるという理屈になる。どこか別なところから金を持ってきて、膨大な赤字を埋めなければならない、そのためには泣いて国民に負担を強いなければならないという議論は、そのスタートのところで間違いを犯していたのである、こう述べているんですね。

 私はびっくりしました。私は当時、国鉄改革のとき大学生だったので、中曽根総理の行革、いや、これは必要だな、もう国鉄が余りにも無駄なことをやっているな、私はそのキャンペーンに乗りまして、これは必要だ必要だと、恐らく国民の皆さんも非常に中曽根行革に対してはプッシュしたと思うんですね、賛成した方が多いと思うんですよね。あの中でこういう議論をしたら、ある方は、天動説の中で地動説を主張するようなものだと、そういう言い方をされている方もいました。

 それで、まず大臣にちょっと確認の意味で一点、今度の法律で再構築協議会がありますけれども、これは廃止ありきでつくるものじゃないということだけは、改めて確認させていただきたいと思うのですが。

    〔委員長退席、長坂委員長代理着席〕

斉藤(鉄)国務大臣 廃止ありき、存続ありきということではなく、しっかりと地元自治体、また事業者、そして国、現状をしっかり把握して、どういう形であれば持続可能で、地域の皆さんに最も便利な地域公共交通体系としていくことができるか、その話合いを始めましょうということでございます。

谷田川委員 大臣から明確に答弁いただきました。

 それで、先ほど小坂さんは、含み資産を含めて大体五十兆円というんだけれども、当時の国鉄の総裁をおやりになられた磯崎さんという総裁が、雑誌のインタビューで、分割・民営化の直前なんだけれども、土地だけで百兆円あるとおっしゃっているんですよね、資産が。

 それで、今現在、国交省に昨日の今日でもらったので簿価しか分からないけれども、少なくともJR北海道からJR貨物まで七社、昭和六十二年当時で、単体でも、固定資産ですけれども、土地等の固定資産、これは六兆四千六百十六億円あって、それで、令和三年度末、全部合わせると十九兆五千三百四十億円。これは簿価ですから、これは時価評価にすれば恐らく何十倍になると私は思うんですよ。

 ですから、少なくとも国鉄改革をやろうとしたときと比べて、資産から見れば、今のJRは、北海道と四国は別にして、まだ体力はあるんじゃないかなと私は率直に思います。是非、簿価じゃなくて、今、JR本州三社と九州はもう全て株を売っちゃって完全民営化されちゃったので、どこまでJRが情報を開示しているか分からないけれども、少なくとも資産の時価はどの程度なのかということを把握に努めてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

    〔長坂委員長代理退席、委員長着席〕

斉藤(鉄)国務大臣 この法案について議論していただく上では、いろいろなデータをしっかりときちんと共有して、同じ認識の下で、今の状況について同じ認識を持ってスタートさせていくことが必要だと思っておりますので、いろいろな資料を出して議論をしたいと思っております。

谷田川委員 どうもありがとうございます。

 それで、大臣、もう大臣は環境に熱心だというふうにお聞きしておりますので、やはりこれからはモーダルシフトが必要だと、やはりJR貨物のこれからの役割というのはますます大きいと思っているんですよ。

 それで、この間、実は我が党の研究会で鉄道研究家の地脇聖孝さんという方を呼んで、この方がすごくいいことをおっしゃった。これからの鉄道は三Kだ。汚い、きつい、危険じゃなくて、環境、観光、そして貨物だ、その三Kで活路を見出すべきだ、そういうことをおっしゃっていただきました。

 大臣もそういう思いをお持ちか、やはり貨物、モーダルシフトが必要だという認識をお持ちか、改めて問いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 この新しい三K、環境、観光、貨物は非常に重要なキーワードだと思います。

 特に貨物鉄道輸送は、CO2排出量が営業用トラックに比べて十分の一といった地球環境に優しい大量輸送機関であることに加え、貨物列車一編成で営業用トラック六十五台分の貨物を輸送することが可能であり、カーボンニュートラル実現やトラックドライバー不足に対応する観点からも、ますます大きな役割を担っていくことが期待されております。

 昨年、国土交通省において開催した地域モビリティ検討会では、貨物列車が現に走行している線区、災害時や有事において貨物列車が運行する蓋然性が高い線区においては、引き続き、鉄道の維持を図っていくことが強く期待されるということが提言されております。

 JRの上場各社に対しては、引き続き、JR会社法に基づく大臣指針により、内部補助による路線の適切な維持を求めるとともに、ローカル鉄道の再構築に関する新たな制度の運用に当たっても、こうした考え方を地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針に盛り込んでいきたいと考えております。

谷田川委員 ありがとうございました。

 済みません、では、時間がないので一つ飛ばしますので、次に、建設キャリアシステムについて質問いたします。

 大臣は所信で、建設キャリアアップシステムを普及、活用を進めるとお述べになりましたが、今、地方においては建設業の人材不足が深刻でございます。コンストラクションキャリアアップシステム、これ、頭文字を取ってCCUSと言うそうですが、CCUSの当初の目的は、建設技能者の資格、現場の就業歴等を業界横断的に登録、蓄積することによって、その適正な評価と改善を目指すことにありました。

 ところが、地方で働いている優秀な人材が、東京の大手企業に、お金を多く出すからと言われて引き抜かれているケースがあるそうです。こうした懸念に対して、国交省としても何らかの対策を考えるべきと思いますが、いかがでしょうか。

石井副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘の建設キャリアアップシステムにつきましては、平成三十一年四月から本格稼働しておりますが、業界からの声を踏まえまして、随時システム改修を行ってまいりました。

 セキュリティー対策を強化することで、個人情報の漏えい防止であるとか、技能者の悪質な引き抜きの防止につなげているところでございます。

 このため、現在、システムの導入によりまして、直接、技能者の引き抜きにつながるものとは考えてはおりません。

 また、委員御指摘の地方の建設業の人材流出につきましては、ほかの地域に行かれる方や、また、ほかの業界に行かれる方など様々な場合があると思っております。大切なことは、建設業をいわゆる新三Kと言われる、給料がよく、休暇が取れて、希望が持てる、そのような若者にとって魅力的な産業へ改善していくことではないかと考えております。

 そのため、国土交通省といたしましては、公共工事設計労務単価を十一年連続で引き上げまして、技能者の賃上げを推進したり、働き方改革の観点から、週休二日の実現に向けた工期の適正化などを推進しているところでございます。

 若者がそれぞれの地域で建設業という大変すばらしい誇りを持てる仕事に従事していただけるよう、環境づくりに全力で取り組んでまいりたいと考えております。

谷田川委員 どうぞよろしくお願いします。

 それでは、東京一極集中の是正の取組ついて申し上げたいと思うんですが、また東京一極集中は進んでしまっているんですね。コロナ禍で一旦東京転出が増えたんですが、それが、去年また増えてしまったということなんですね。

 私は昨年、大臣と東京一極集中の是正についてどうだという話をしたときに、大臣は、国土形成計画でしっかり位置づけるという話だったんだけれども、これまでの国土形成計画というのは、東京の都市機能の強化と、そして地方の創生、これ、両方を両立するような書き方なんだけれども、これでは中途半端に終わるんじゃないかと私は思っているんですよ。

 大臣は、今度の国土形成計画に当たって、何か垣根ごと壊したいんだという何か思いがあれば、一言言っていただければ。

斉藤(鉄)国務大臣 地方を元気にする若者が多く住んでいただくようにするということと、国際競争の中で東京の競争力を強化していかなければいけないということは矛盾しないと思います。

 両方やっていかなくてはならないし、逆に東京の、いわゆる国際競争の中で首都圏機能を拡充するということは、ある意味で地方を元気にしなければそれはできない、両方一緒にやらなければいけない、そういう両者の関係なんだと思います。

谷田川委員 そのとおりなんだけれども、やはり東京一極集中が進むということは、災害リスクが高まるということは是非認識いただきたいんですよね。関東大震災が起きて今年でちょうど百年、東日本大震災が起きてちょうど十二年、過密都市になればなるほど災害リスクは高まるんですよ。そのためにも、やはり東京一極集中の是正というのは本気で取り組んでいただきたいということを要望したいと思います。

 最後に質問しますが、実は、建設業界の方と話す中で、万が一震災が起きたときに、たまたま十二年前の東日本大震災のときには建設機械が津波の被害を受けなくてよかったんだけれども、しかし、南海トラフ地震のような、あれだけ、もう私の地元、千葉から九州の方まで被害があって津波が起きた場合、建設機械が低地にあったら、被害を受けて、浸水を受けて使い物にならなくなる。そうすると、幾ら早く復旧しようと思っても、機械がないのでお手上げだ。だから、高台の方にそういった建設機械をプールするような、そういう施策が必要じゃないかという指摘をいただいたんですが、それについて国交省としてどのような見解をお持ちか、お答えいただきたいと思います。

石井副大臣 委員御指摘のとおり、災害発生後、直ちに建設機械を稼働できる体制を平時から構築しておくことが重要であると考えております。

 災害が発生した際には、国や地方公共団体があらかじめ協定を締結している地域の建設会社に依頼して、それぞれ復旧作業に当たっていただくという方法が一般的でございます。ここで使用される建設機械につきましては、建設会社が自ら保有している場合と、レンタル会社から調達する場合がございます。

 国土交通省の場合は、高台に保管されている建設機械も含めて、直ちに稼働できるものを広い範囲から確実に調達できる体制を構築する観点から、日本建設業連合会や日本建設機械レンタル協会との間で、災害発生時における建設機械の調達に関する協定を結んでいるところでございます。

 このため、国土交通省といたしましては、これらの協定を最大限活用いたしまして、被災地域内及びその周辺から、まずは迅速に建設機械を調達することで、速やかな復旧作業が進められるよう万全を期してまいりたいと考えております。

谷田川委員 ひとつよろしくお願いします。

 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 立憲民主党の小熊慎司です。

 これまでも同様の質疑がありました、全国旅行支援についてお伺いをいたします。

 先ほどの津島さんの質疑の中でも、年度内でなく初夏まで続くということですが、これは都道府県ごとに割り振っていますので凸凹もありますし、その都道府県の状況によっては早めに消化してしまうというのも出てくると思います。

 そもそも、前にもちょっと質疑したんですけれども、このコロナ禍において旅行業界の支援というのは必要だったというふうに趣旨は理解をしていますが、仕組みについてやはり問題がありましたし、今年に入って、改善もすると言っていたんですけれども、大幅な改善、してよかったという声は現場からはちょっと聞こえてきていなかったなというふうに思います。

 例えば、予約するときの混乱が生じていたり、また、都道府県ごとに任せちゃったので、多様な対応ができるようにということで都道府県ごとにきめ細やかな対応を任せたというのはありますけれども、やはり予約するときに、県ごとに違っていたので、制度上、理解がしにくかったり、分かりにくかったというのは、行政の方でも、利用者の方でも生じたことは事実だというふうに思いますし、また、クーポンの発行作業を宿泊施設に任せたことによって、今、人手不足の中で、余計な業務が増えてしまったということもありました。そういうことによって、スムーズなチェックインができなかったりということも生じたというのが現状であります。

 一応もう動いてはいるんですけれども、初夏までは続くということですから、改善できることは日々改善していった方がいいと思うんですが、こうした問題点については、もう動いているから何もしないのか、できるものは改善するのか、ちょっとお伺いをいたします。

秡川政府参考人 全国旅行支援なんですけれども、昨年の十月、その前はGoToもやっていました。それで、節目ごとに、いろいろ現場からの声をいただいたり、あるチャレンジをしてみたら、やはりそれは駄目だったので、こうやってくれというのを取り入れながら現在に至っているという感じがあります。

 例えば、今年の年明け以降の実施については、またこれも現場の声をいただきましたので、ワクチンとか陰性結果の確認、そういうもののルールを統一してチェックイン時の作業負担を軽くするとか、あるいは、先ほど御指摘いただいたクーポンなんですけれども、紙ベースだと押印とか有効期限の記入が大変だということなので、電子クーポンを原則とするということでやらせていただいています。

 引き続き、都道府県とも連携しながら、円滑な実施に取り組んでまいりますし、改善できることがあったらしていくという感じでやっていきたいと思います。

小熊委員 是非しっかりやって、現場の混乱がなく、また利用者が利用しやすいようにしていただきたいと思いますし、ただ、これは都道府県ごとに凸凹があって、聞くところによると、さっき大臣は初夏と言いましたけれども、東京や大阪は多分四月ぐらいで終わっちゃうぐらいの感じだなというのをちょっと把握はしているんですけれども。

 大臣所信の中でも、観光立国の復活ということに言及をされています。新型コロナも五類に引き下げられるということにもなってきますが、アフターコロナにおいて、これはコロナ禍だったから旅行支援しなきゃいけないということでできた政策だったと思いますけれども、コロナ収束後、観光立国に向けてどう支援というのはしていくのか、方向性をお伺いしたいと思います。

秡川政府参考人 旅行支援については、できるだけその財源の範囲内で長くやっていくのがいいのではないかということなので、五類に移行した後においても引き続き支援を継続していきたいというふうに考えています。

 それから、こういう需要喚起策のほかにも、観光地とか宿の再生とか高付加価値化によって価値を上げていくとか、あと、自然や文化の保全と観光の両立といった持続可能な観光地づくりを進める、あるいは、全国各地で特別な体験を提供したり、観光消費の旺盛な高付加価値なインバウンドのお客さんを誘致するといった、インバウンドの回復などにも取り組んでいきたいと考えております。

 観光庁としては、コロナ収束後も見据えて、このような取組を総合的に推進して観光立国の復活につなげていきたいというふうに考えております。

小熊委員 さらに、大臣所信にもありましたけれども、インバウンド回復戦略をやっていくんだということで、回復ですから、コロナ前が三千万人を超えて、消費効果が四・八兆円ぐらいあったわけです。今回、大臣所信も、外国旅行者の国内需要が五兆円を目指すということは、大体コロナ前に戻すことかな。

 ただ、コロナ前は、御承知のとおり、四千万人を目指す、六千万人を目指すと言っていたと思うんですね。当面はコロナ前に戻していって、観光でも立国と言っているわけですから、これはもっと高い数値を本当は言わなきゃいけなかったんじゃないか。

 短期的には戻すでいいんですけれども、要するに、長期目標があるから、今、どう一歩を進めていけばいいのか、アフターコロナでスタートダッシュをどうしていけばいいのかということができてくると思うので、もうちょっと高めのビジョンが必要だった、数値目標が必要だったと思うんですが、これは、五兆円というのは当面ということの理解でよろしいですか。更にその先にはもっと発展的な目標値が出てくるんですか。どうでしょうか。

秡川政府参考人 今御指摘いただきました五兆円なんですけれども、今、新しい政府の観光の計画を策定途中なんですね。これは二〇二三年から三か年で、二四、二五ということなんですけれども、その五兆円自体は、二五の最終年というよりは、できるだけ早くということなので、最終年を待たずに達成するように、目標にしようということで、総理からも、目標として設定して、言っていただいているということになっています。

 なので、期間内の目標としては、もうちょっと高いところに行くことを目標としつつ、今策定作業をしているというところでございます。

小熊委員 ここはなるべく中長期的な目標が必要だというのは、現場でもいろいろな整備とか設備の更新とか、あと、今問題になっている労働者不足というのもありますので、やはり本来的な観光立国は六千万人ですから、と考えたら、もう十兆円を目指すんだぐらいのことで、今から準備を始めたって数年たちますからね、当面の三か年ではなくて、やはり十年後、二十年後を目指して大きな目標をもう一度再構築すべきだというふうに思いますので、是非、今後の観光立国推進基本計画の中にはそうしたものを織り込んでいただきたいというふうに思います。

 次に移りますけれども、一方で、コロナでしたから、これは経験のないことですから、いろいろなことが起きましたし、初めての体験というか、あったわけですけれども、ただ、やはり、旅行支援にしても、GoToの余りがあって今そこにやっているとか、秋の旅行支援のやつがまた続いているとかということで、予算執行上、しっかり狙ったとおりに執行されていない。

 それは、その制度上、混乱も現場であったから使いづらかったというのもあると思うんですけれども、これは、財政規律上、年度をまたいでしまうというのは余りよろしくないんじゃないかな。見込みがやはり違ったんじゃないかな。制度上もあるし、見立てもあるし。予算が年度をまたいでしまうということに関して、ちょっと見解を求めたいと思います。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、予算につきましては、これを適正に管理するために、各年度の歳出は、当該年度の歳入をもって支弁し、その年度内で完結させるという会計年度独立の原則が取られております。

 他方、国の事務事業の内容は非常に様々でございまして、また、御指摘のように、状況も様々に変化するものでございますから、この原則どおりに処理をしてしまいますと、かえって予算執行が非効率になるという場合もございますので、例外として、一定の要件の下で、いわゆる繰越しの制度、これが設けられてございます。

 具体的には、あらかじめ国会の議決を経て、翌年度に繰り越して使用する明許繰越し、加えて、執行の過程において避け難い事故が起きたために、年度内に支出が終わらなかった経費を繰り越して使用する事故繰越し、この二つの制度がございまして、明許繰越しをした経費が更に事故繰越しをするということで、三か年にわたって執行される場合もあるということでございます。

 そうした繰越しに関する手続などにつきましても、状況に応じてということだと思いますけれども、できるだけ手続なども簡素化して、柔軟な執行もできるようにこれまで工夫がなされてきたということでございますし、旅行支援についても、こうした状況を踏まえて、そうした制度の中で適切に執行されていくんだろう、このように考えてございます。

小熊委員 柔軟に対応しなきゃいけないということですけれども。

 次は質問じゃなくて指摘にとどめますが、これは都道府県ごとによって割り振りましたし、多分、だから、それは使い切れば終わりになるので、県をまたいでする旅行者からすれば、終わりの方は、こっちの県では使えたけれどもこっちは使えなかったみたいなことが多分起きてくるんですね。

 今後、旅行支援に関しては、それは、きめ細やかなメニューという意味では、都道府県ごと、地域ごとに任せてもいいんですけれども、そうした大枠というのはやはり国がちゃんと責任を持ってやっていかないと、利用者側も、それを担うサービスを提供する側も混乱が生じるということになりかねません。

 大臣、これは想像できますよね。最後の方は、こっちの県では、広島ではオーケー、こっちは駄目みたいなものが出るわけですよ。これは多分クレームが出てきますから、しっかり対応できるように今のうちから準備をしていただきたいというふうに思います。

 次に移ります。財務省の方はもういいです。ドローンについてお聞きをいたします。

 いろいろな制度変化、私もライセンスというか、持っている一人で、免許にチャレンジするかどうかは、かなり難しいし、合格率も半分を切っているというので、相当準備しなきゃいけないなと思っていますが、非常にいいツールだと思うので、私も頑張っていきたいなというふうに思っています。

 ただ、いろいろ問題が生じていまして、正式に言うと、無人航空機操縦者技能証明書というのを、これを普及させるために、民間の方が登録講習機関として申請及び登録をしています。

 現時点でどの程度の講習機関が認定されているのか伺うのと併せて、年度内にどの程度の登録機関の数があるのか、見込みをお伺いいたします。

久保田政府参考人 お答えいたします。

 無人航空機の操縦者につきましては、国によります技能証明制度が昨年十二月五日からスタートしておるところでございます。

 この制度におきましては、国の登録を受けた講習機関の講習を受けた場合には、技能証明の取得に必要な実地試験が免除されることから、現在、全国各地の講習機関から登録申請が行われつつあるところでございます。

 実際登録されている講習機関数としましては、昨日、三月九日時点で百五十九でございます。今年度内、三月末までに二百程度になるものと見込んでおるところでございます。

小熊委員 これは多分、国際的にもドローンの利用者というのは増えているんですけれども、日本においては、やはり人口減少もあって、そろそろ利用者も頭打ちになってきているのかなと思っています。これからまたもっと増やさなきゃいけないと思いますけれども。

 登録機関をいっぱいつくり過ぎると、奪い合いになって、開店休業みたいになったり、やってはみても集まらなくて駄目だったみたいなのが出てくるので、一定程度、やはり適正規模というか、これは推測して登録を進めていかなきゃいけないというふうに思うんですけれども、多過ぎやしないかとかそういったことについては、予測というか、対応はどうしていきますか。

久保田政府参考人 お答えいたします。

 全国各地におけます無人航空機操縦者技能証明を取得したいというニーズに対応するためには、各地に登録講習機関が存在するということは重要であると考えてございます。

 その一方で、登録講習機関におけます講習の品質を確保する、こんなことも重要でございますので、受講者の多寡にかかわらず、我々としましては、登録講習機関に対しまして事業年度ごとの監査の受検というものを義務づけているところでございます。この監査を通じまして、適正な質を確保していくということを我々の責務として考えておるところでございます。

 十二月以前の制度におきまして、このいわゆるスクール、全国で大体千五百ぐらいございます。大体、自動車教習所でありますとか、そんなものを兼務されているところがございますので、それぞれの方の判断ということになってくるのかなというふうに思っておるところでございます。

小熊委員 あと、国交省の仕組みとして、ちょっと問題点を指摘したいと思います。

 私も、持っているドローンの登録をしたときに、ポータルサイトでやろうと思ったら、もうめちゃくちゃ面倒くさくて、DXを進めている政府、これでいいのというぐらい、はっきり言えば、補助する人がいないと、知っている人がいないと、あれは登録できないです。

 なおかつ、今回の操縦者技能証明書の登録にしても、これはいろいろ業界から聞くと、問合せをしても対応が遅い。問合せも、ホームページを見ると、メールがないんですね。問合せ先が電話しかないんですよ。電話すると、ほとんど不通だというんです。こういうリアルな対応もよくないし、いろいろな意味で、デジタル申請の部分も、はっきり言えば、多少の改善余地じゃなくて、大幅な改善の余地があります。

 これは、大臣、一回見てみてください。自分がドローンを持っていて、機体を登録しようと思ったら、できないですよ、説明を読んでも。全然駄目、これ。これだったら、まだ書類でやった方がいいのかなというぐらいで。これからの技術で、これからの需要があるこのドローンで、これを推進しましょうといったって、つまらないところで止まっちゃいますよ。

 こうした申請の仕組み、あらゆるところの、もうめちゃくちゃ改善の余地がありますから、これは点検してください。どうですか。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘、真摯に受け止めたいというふうに思います。

 現状を申しますと、無人航空機の仕組み、昨年六月から機体の登録制度をスタート、昨年の十二月から機体の認証制度や操縦者の技能証明制度等が開始されたところでございます。

 このような新たな仕組みになっていますので、そういったお問合せに対応するために、今、無人航空機ヘルプデスクを設けておりますが、相当多数のお問合せをいただいておるところでございまして、かなり御不便をおかけしていると我々も認識をしておるところでございます。

 このために、今、航空局のホームページで、よくある質問については内容を順次充実しているということに加えて、このヘルプデスクの人員も四月一日から相当強化して対応していこうというふうに思っています。また、飛行の許可、承認、これも申請件数がかなり増加傾向にまだまだございます。申請や審査等を行うシステムの性能向上、これはワンストップでできる限りやろうとしておりますが、そういったものを通じて、我々航空局の職員の審査作業の効率化も努めてまいりたい。

 いずれにしましても、まだまだ不十分、十分に対応できていないという声も承知しておりますので、航空局といたしましては、引き続きの対応の充実を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

小熊委員 メールでも受け付けられるようにしておいてください、電話だけだとやはり駄目だから。

 次に移りますけれども、新たな制度の中で、メーカー側の型式、機体認証というのが必要になってきますが、これは世界的に見ると日本ぐらいしかちょっとなくて、メーカー側の負担にもなってしまう。

 ただ、国交省も、今一番普及しているのが、残念ながらと言うと失礼になっちゃうけれども、中国のDJIです。機体登録、私もDJIなんですけれども、登録は五六%というふうにお示しをいただいたんですが、ラジコン機とかその他というのを抜かすと、いわゆる可動翼だけに限定すると、DJIだけで九三%も占めるんですね。だけれども、今回のこのいろいろな認証制度においてメーカー側が機体認証しなきゃいけないんだけれども、それに応じているのは国内メーカーの一社だけです、今のところ。

 では、免許は取ったけれども、使える機体がない。免許制度は何なのみたいになっちゃうんですね。ですから、この辺の課題や機体認証のメーカーに対する取組というのは改善の余地があるんですよ。

 免許を取って、それを使える人が増えたのに、自分の持っている機体が違うものだから使えないということが生じるんですよね、せっかく免許制度をつくったのに。ここをどうやって改善していくのか、お聞きします。

久保田政府参考人 お答えをいたします。

 昨年十二月のこの新制度開始以前は、多くの無人航空機の飛行につきましては、飛行ごとの許可、承認が必要となっておりまして、その効率化、そして申請者の負担軽減というものが課題でございました。

 このため、新制度におきましては、ちょっと細かくなるんですが、二等無人航空機操縦士の資格を持っている人が第二種機体認証を受けた無人航空機を飛行させる場合には、原則として飛行ごとの許可、承認を不要としたところでございます。

 委員御指摘のこの第二種機体認証ですけれども、昨年十二月に型式認証制度が開始されて以降、現時点におきまして、第二種型式申請の申請はございませんが、複数の機体メーカーと型式申請の申請に向けた事前の調整を既に開始しております。ちょっと秘密条約等々で具体の名前は明かせませんけれども、そのような形をやっておるところでございます。

 私どもとしましては、この第二種機体認証の取得を促進していくことによって、ドローンの更なる利便性の向上、利活用の拡大に向けた取組を進めてまいりたいと考えてございます。

小熊委員 これは必要な分野でありますし、日本はもう何周も遅れているんですね、開発にしても、利用の促進に関しても。国によっては有人のドローン、中国とアメリカが今トップレベルだと私は認識していますけれども、我々が、一人が空を飛ぶ時代が来ますから、これはやはり先取りしていかなきゃいけないし、今の制度もしっかり改善をして促進をしていただく、ドローン活用の促進に寄与していただきたいと思います。

 時間がないので最後に移りますけれども、分散型国家づくりについて、いろいろ質問を用意したんですが、一点だけに絞ります。

 私の地元でも、会津美里町というところで、TORCHという一般社団法人が役場と連携して空き家バンクの登録も上げているし、これはやはりしっかり、空き家バンクに登録してくれる人の理解も必要だし、来てもらう方の間に立たなきゃいけないということで、努力しなければ、ただ空き家が空いているから使う人いませんかと上げたってこれは成功しないし、利用しても、やはり地域に溶け込めなくて戻ってしまう人もいますから、やはりこういうコーディネーター役の人をしっかりやっていかなきゃいけない。

 あと、いろいろな法律が変わって、相続土地国庫帰属制度が来月からスタートもして、いわゆる所有権の問題もいろいろ空き家の整理とか活用に関してはあったんですけれども、自治体が寄附を受けるということは抑制されていますが、自治体が多少関わりながら、そういう一般社団法人に担い手となってもらって寄附を受けるとかという制度改正も必要だというふうに思っています。

 そこはちょっと時間がないので聞きませんけれども、いわゆるこの空き家の利活用という中でいろいろ国もやっていますけれども、移住、これはデジタル田園都市国家構想の交付金でやっていますけれども、地方創生移住支援事業、これの対象者が、二十三区在住か、二十三区に通っている人だけなんですよね。我々地方の人間からすれば、二十三区外でも、東京に行っちゃっている人は都市生活者ですから、そういう人を地方に戻したいというのはあるわけですよ。

 何で二十三区だけに限定したのか、合理的理由をお伺いします。

内田政府参考人 お答え申し上げます。

 この事業は、先生御指摘のとおり、東京圏への一極集中の是正と地方の担い手不足の解消を目的とした事業でございます。

 東京圏の中でも、特に転入超過が続き、人口が集中してきた東京二十三区に着目をしまして、地方公共団体の首長を始め幅広い有識者の御意見も頂戴しながら、移住元の要件につきましては、先生御指摘のとおり、東京二十三区内に在住、又は東京圏に在住かつ東京二十三区内への通勤に限ることとしたものでございます。

小熊委員 時間が来ましたので終わりますけれども、大臣、さっき、東京、首都圏も機能をきちっと充実しなきゃいけないと言ったけれども、やはり二〇〇八年をピークに日本の人口は下がっていますけれども、地方は、地方の中核的な都市、中心的な都市以外は、昭和三十年代にピークを迎えて、もうだだ下がりなんですよ。先輩たちもしっかり努力をしてきても、これが止まっていなかった。東京もアクセルを踏んでいたら、地方がアクセルを踏んだって勝てないです。

 本当の分散型国家というのは、これは、東京、首都圏の充実を図りながらも、やはり人口そのものは地方に移していかなきゃいけない、それが現実的ですよ。それが嫌だったら、もう移民を入れるしかないわけです。両方やるということは、東京を維持するということは、地方はますます疲弊するということになります。ちょっとそこはもう一回見直して、考え直していただきたい。

 この件については、また後日議論したいと思います。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、末次精一君。

末次委員 立憲民主党、末次精一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 本年は、関東大震災から百年の節目の年になります。また、明日は、三月十一日は、東日本大震災から十二年でございます。

 大臣も所信で述べられていたとおり、近年、一層激甚化、頻発化する災害への備えというものは、地方行政にとりましても最重要課題となっております。

 そこで、私は、昨年、当局にお取り計らいいただき、私の地元である長崎県内の県北を中心とする十三の自治体を対象に、住宅防災に関する意見交換会を開催いたしました。

 当日は、これからの住宅防災の向上、発展を図るために、各自治体の担当責任者と所轄官庁の担当者の方と多くの意見を交えたわけでありますけれども、結果、自治体が住宅防災に取り組むに当たっての課題は、十三自治体中八の自治体が、自治体のマンパワー、財源の確保と答えました。

 特に、自治体のマンパワー不足は深刻でございまして、私の選挙区の自治体でも、国土交通行政に係るありとあらゆる担当を一人で、一つの課、一人の課長が担っている現状もございます。

 政府におかれましては、取り組んでいただきたい施策を考えていただくということも重要でありますけれども、実際に、その施策に取り組む環境を整備するということも同時に必要ではないかと切実に思うところでございます。

 また、自治体のマンパワー、財源の確保の次に課題として挙げられたのが、十三自治体中六の自治体が答えた消費者の認識、周知と、管理、相続も含めた空き家対策でございます。

 実際、私は、地元でこの問題に特に頑張っておられる不動産業者にヒアリングを行いましたけれども、各自治体の取組は、ほとんど消費者に認知、周知されていないということでございました。

 また、別の機会で、関西のとある自治体担当者に、なぜ認識、周知されていないのかと尋ねたことがございました。驚くことに、その回答は、認知、周知されていないのではなくて、認知、周知していないと。なぜなら、自治体に問合せが集中してしまっても、それをさばくだけの人がいない。予算に限りがある一方、苦情につながるということで不用意にお断りもできない、そういうものでございました。これを是とするわけではございませんけれども、これが自治体の現状であるということであります。

 では、課題の解決のために民間の協業もいよいよ積極的に進めていかなければならないと思うわけでございますが、この協業にも、自治体と民間業者のそれぞれの立場で思う、様々な課題が立ち上がっております。だからこそ、現場の声が大切と思うわけでありますけれども。

 こうした前提を踏まえまして、大臣の所信にありました重点的に取り組む三本柱より、国民の安全、安心の確保、そのうちの防災・減災、国土強靱化と密接な関係にあると認識のある空き家対策より二点、活力ある地方づくりと分散型の国づくりの中の安心して暮らせる住まいの確保より一点、計三点、質問させていただきます。

 先月、空き家対策小委員会で取りまとめられました内容を拝見しましても、全体を通じて、実行に当たっての具体的なイメージに極めて欠ける印象を持っております。実際に取り組む現場と認識の相違があるようにも思えます。

 一つ目の質問は、今後の空き家対策のうち、活用、推進に当たって各自治体の関係部署が連携して取り組んでいくということについてでございます。連携すべきか、すべきでないかという問いには誰もが連携すべきと答えると思いますが、実際、多くの自治体では、この連携に課題が多く、協業する民間事業者にも影響が及んでおります。

 そこで、お伺いします。

 このような現状について、政府の見解をお聞かせいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家の活用を進めてまいります上で、所有者の御判断と行動を促すということも一つ重要な課題でございますけれども、こういう空き家を供給する側の課題に加えまして、空き家の需要を掘り起こすということも重要な課題だと思っております。

 空き家の需要ということでございますと、移住や定住のために活用する、観光振興のために活用する、福祉の増進のために活用する、コミュニティー維持のため、さらには、町おこしのために活用する、様々な需要が考えられるところでございますけれども、その積極的な掘り起こしを進めてまいりますためには、自治体の中で、様々な関係部局がございます、空き家担当部局と、福祉や産業振興、まちづくりなどなど、ほかの担当部局としっかり連携していくということは必要不可欠でございます。

 しかしながら、現状を見ますと、空き家担当部局以外の部局におかれては、必ずしも空き家を活用することが非常に重要な選択肢であるという認識がまだ十分ないということも受け取れます。この結果、自治体の中での連携が非常に限定的なものにとどまり、こうした課題への対応が重要であるというふうに思います。

 このため、国のレベルにおきまして、関係省庁間で連携をいたしまして、空き家の活用の有効性についての認識が広まるように取り組みますとともに、これを参考にしていただいて、自治体の中での関係部局間の連携が更に強化されますように、空き家を活用することの重要性、有効性の認識が広まりますように、自治体への働きかけを検討してまいりたいというふうに存じます。

末次委員 ありがとうございます。

 連携を強化するということでございましたけれども、ちょっと、一つ、二つ事例を挙げて、更に深めさせていただきたいと思います。

 一つ、例えば、屋根も崩れ、見るからに危険空き家であると、自治体の空き家担当者も事業者も判断した住宅がありました。取り壊すことが決定して、関係者で最後の現地調査をしたところ、見るからにこれは特定空き家だろうということで中に入っていったら、中に人がいた、何か御飯を食べていたというんですね。えっという感じで、まあ、いらしたということです。ただ、これは笑い話みたいな話ですけれども、仮に重機が入っていたら、とてもそういう笑い話じゃなくて、大惨事につながるような話でもあります。

 では、なぜこんなこと、あってはならないようなことが起きたか。これはまさに、自治体の関係部署が連携されていなかったということだったわけです。どういうことかというと、見た目は危険空き家であっても、居住者がいらしたということは、そこに納税実績があったわけでございますね。つまり、納税担当と空き家担当で情報連携されていれば起こりようがなかったということであります。

 ところが、その後、ほかの自治体でも同様の課題が当たり前ということが分かりました。個人情報保護の観点から、納税担当が同じ自治体内のほかの部署である空き家担当に納税情報を共有できていないということでありますね。これが、個人情報保護法の関係なのか、その自治体の穴なのか、それは分かりませんけれども、しかし、こうした自治体と協業する事業者からも、外部共有できないことは理解できるけれども、同じ自治体内で情報が共有できないとはどういうことか、そういった疑問も噴出しております。連携は、人の連携では意味がないと思います。むしろ、重要な連携は情報の共有でございます。

 そこで、お伺いします。

 今申し上げたことについて、法の解釈の緩和まで、必要なことも含め、先ほども御答弁はいただきましたけれども、現実的な議論がなされているか、施策が検討されているかということをお伺いしたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 固定資産税等の課税情報の扱いにつきましては、私の所管を少し超えるところもあるかもしれませんけれども、税関係の法律の中で一定の情報管理についての規定があるものというふうに承知をしてございます。

 したがいまして、税に関する情報を外部に提供する、あるいは、目的外で利用するということには一定の限界もあるものというふうに存じますけれども、現行の空き家法の中でも、空き家対策の法律の施行のために、必要な限度で、固定資産税の課税に関する税務部局が持っている情報を活用するということについては、空き家法で一定の位置づけがされていることをもって活用可能というふうになっております。

 こういう税法上の制約と空き家法の要請と、両方をにらみながら、現在、自治体の方で運用を努めておられるということかと存じます。

 引き続き、税情報の有効活用についても、関係部局とよく相談をしながら、空き家対策がより円滑に進むように、今後とも検討してまいりたいと存じます。

末次委員 罹災証明で何か使えるように改正していくということも聞いておりますが、それは関係副大臣の方、御答弁、もしあれば。なければあれですけれども、よろしいですか。分かりました。

 それでは二点目に行きます。

 この度の空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案に盛り込まれている種々の規制に対する合理化や緩和化についてでございます。

 合理化するというだけでは非常に曖昧な表現ですけれども、そもそも、合理化が適用される区域も、合理化に当たって作成する指針等も、全て自治体に委ねられているというところを拝見するに、既に申し上げた様々な課題を抱える自治体が、更にどこまでの負担が可能かという疑問を持たざるを得ません。

 確かに、空き家を始め不動産は、事業者にとっては、規模の経済が利かずに、地域の特性をまともに反映するというものであるために、最終的には全国一律の指針や基準というものは作りようがなく、各自治体で判断しなければならない特性も持っております。

 全国版空き家バンクも、自治体ごとに存在する空き家バンクの情報を集約することが第一義の目的であるため、それをもって全国的な指針や基準がしかれるものではないと私は思います。

 しかしながら、さきに御紹介しましたように、リフォームや解体に係る補助金ですら苦情につながる、お断りができないゆえ周知しないという自治体の実情を考えると、区域の指定や指針等の作成に当たっては、どこまで国が関与し、あるいはフォローするかといったことを明確にする必要があると考えております。特に、空き家所有者に対してこれまで以上の責務を求め、また、特例を解除するといった、結果的には国民に対する締めつけを行う内容であるため、なおのこと、丁寧かつ現場の実態に沿った組立てを行っていただきたいと思いますが、るる申し上げましたように、一方的に各自治体任せの検討になっていないかと思うわけであります。

 そこでお伺いいたします。

 空き家対策の必要性は私も十分に認識しているからこそでありますが、政府の具体的な懸念と、それに対する対応策について、お答えいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 空き家対策の事務は市区町村が中心になって推進をしていただいているものでございます。市区町村におけるマンパワーの問題、あるいはノウハウ不足の問題等がたくさんあることは承知しておりますので、今後の空き家対策の推進に当たりましては、そうした市区町村をサポートするための様々な体制づくりを検討していくことが重要だと思います。

 二つ申し上げたいというふうに存じます。

 まず一つでございますが、今先生からお話がございました規制の合理化を行います空家等活用促進区域に関することでございます。

 この区域の設定でありますとか、この区域内で規制の合理化を行う基準、こういうものを活用指針で定めていただくことを法律では規定をしてございます。

 こういった区域指定でありますとか活用指針を定めていただくに当たりまして、そういった事務が円滑に行われますように、国の方から、各種のガイドラインを作成をし、周知をしてまいりたいというふうに存じます。

 例えば、空き家を重点的に活用することがふさわしい区域としてどういう区域があるのか。これは、即地的に国がここですと申し上げることはもちろんできませんけれども、具体的なイメージが湧くような例示を是非させていただきたいというふうに思います。

 また、規制を合理化するための要件、これを活用指針に定めていただくわけでございますけれども、参考となります具体的な要件の事例、こういうものも国の方からお示しをし、自治体の方の御判断ができるだけスムーズになるように努めてまいりたいというふうに思います。

 それからもう一点は、マンパワーとノウハウ、この二つの問題の解決に寄与する方策でございますけれども、今回の法案の中では、市区町村が民間の法人を指定するという仕組みを盛り込ませていただいてございます。

 空き家対策に経験、実績がある、そういう民間法人を指定をし、この民間法人が様々な活動をするその一つとして、活用促進区域を設定する、活用指針をどのように定めるか、こういうことについて具体的な提案を自治体に対してしていただけるような、そういう仕組みを設けてございます。

 したがいまして、市区町村からしますと、ノウハウのある民間法人を指定し、そこから具体的な御提案を受けるという形で、マンパワーの問題、ノウハウの問題を補っていただくということが有効になってくるのではないかというふうに思ってございます。

 こういった取組によりまして、自治体の様々な負担軽減を図りながら制度の実効性を確保してまいりたいというふうに存じます。

末次委員 ありがとうございます。

 続きまして、三点目は、空き家の活用促進の一つの糸口にも通じる住宅セーフティーネットについてでございます。

 今後、ウィズコロナへの取組を進める中にあって、高齢者、障害者、子育て世帯等の住宅の確保に配慮が必要な方は今後ますます増加する見込みであり、住宅セーフティーネットの在り方のブラッシュアップが必要になると考えております。

 これらも、本来、自治体ごとに御尽力されていることと存じますけれども、自治体単体ではもはや十分に取り組むことが難しいという現状の中で、住宅確保要配慮者居住支援法人など、民間事業者が各自治体をサポートしてくださっております。

 ところが、この居住支援法人も、国や各自治体からの補助金がなくなれば、二、三年で大半の運営状況が悪化し、存続できなくなるであろうと業界内では非常に危惧されております。

 行政と民間の協業を進めるに当たって、特に要配慮者に対する支援など、単体ではすぐに事業として成立しづらい分野をほかの事業と同じように早急な自立を求めることは、事業者にとって非常に酷であり、それは結局、誰も取り組めなくなってしまいます。

 また、各自治体のマンパワー不足、財源不足、知識、情報不足を補う協業事業者に対する支援について、国として責任を持って継続していくことが必要と考えますが、そのための施策の検討、予算確保は行われているのか、お答えいただきたいと思います。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のセーフティーネット登録住宅制度でございます。

 法律に基づき、入居に当たって要配慮者の入居を拒まない住宅の登録をしていただく仕組みと併せて、そういう要配慮者に対する様々な支援を行う支援法人、あるいは、その支援法人などで構成される協議会の仕組みなども併せて法律の中で規定をされているところでございます。

 この居住支援活動をされておられる法人の方々に対しましては、国土交通省からも予算的な支援をさせていただいておりまして、令和五年度予算においても、予算を更に増額をして確保しているところでございます。

 また、各法人への補助金の交付の仕方につきましても、非常に積極的に有効な活動をしておられる法人に対してより手厚い補助金が交付されるような、そういう工夫もさせていただいたり、また、現場からいろいろお聞きしているニーズにできるだけ応えるようにするという一環で、例えば、緊急連絡先がないとなかなか入居できないというお話も承りまして、そういう緊急連絡先を引き受けるような居住支援法人をより多くするために補助金の上限を引き上げさせていただいたりとか、現場の声をできるだけ伺って、この法人の活動がより円滑になるように制度の改正などに努めているところでございますので、引き続き、現場の声をよく聞いて、制度の見直しなどを検討してまいりたいというふうに存じます。

末次委員 ありがとうございます。

 ただ、ちょっと私がヒアリングした内容によりますと、ある自治体からの要請を受けて、居住支援法人が、市営住宅の建て替えに際して最後まで拒んでいた高齢者と障害者二世帯の退去の仲立ちとなった際も、無報酬で行ったと聞いております。

 また、自治体の担当者が替わると、それ以前に自治体側から要請された仕事や予定された提携など、全て白紙に戻ってしまう、なかったことになるということも大変多く聞いております。

 さらには、勉強会等の開催費用も、開催を終えてから、予算が下りなかったという理由で未払い、全額分を民間負担ということも珍しくないということであります。

 大臣におかれましては、国が各自治体に対し連携の正しい在り方を指導する、連携関係そのものの見直しを行うといったことについても同時に取り組まなければ、幾ら絵に描いても実行に至らないということを強く問題提起したいと思います。

 時間がないわけでありますが、ちょっと、西九州新幹線ルートについてお伺いいたします。

 幅広い協議ということで佐賀県と行っているわけでありますが、なかなか進展は見られず、これは、私は個人的に、このまま硬直状態が続くと、もういいやと、もうむしろ四国とかそっちを先に進めましょうということで、対面リレー方式が定着してしまうような、そういった心配もしております。

 そこで、そもそもこれは、佐賀県の県議会でも、知事は、大きな視点での国土交通省の考え方を示すよう改めて求めているということでありますけれども、大臣にもお伺いしたいんですが、ちょっと時間がないので、ここはあえて古川政務官、佐賀県の知事をされていたわけであります、建設当時。今はこの政府の方に立場としておられる。その政務官、今、このように硬直している状態を見て、解決に向けてどのようなお考えを、所感も含めて、持っておられるかということをお伺いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

古川大臣政務官 お答え申し上げます。

 昨年九月二十三日に開業いたしました西九州新幹線、その開業に至るまで多くの皆様方の御理解、御支援を賜ったわけでございますが、今、多くのお客様、乗客の皆様方でにぎわっている様子を拝見すると、ああ、よかったと正直にそう思うところでございます。

 一方で、本来であれば、昨年の九月二十三日時点においては、私が着工同意を佐賀県知事としていたしましたときには、今回のような開業ではなく、フリーゲージを使って新大阪まで直通するという前提でございました。その前提ではなく、今回リレー方式という形の開業になったということについては、その意味においては残念に思うところでございます。

 今後の西九州ルートの整備に関して思うことは、大きく二つございます。現在のリレー方式による開業という、いわば部分的な開業においても多くのお客様に来ていただいているということを思えば、元々西九州ルートが目指していた関西と西九州地域との直通というものを、やはり是非目指さなければならないということが一つであります。

 もう一点が、本来であればフリーゲージで整備されるはずだったということを前提に佐賀県が着工同意をした、しかしながら、そのことが、開発を断念せざるを得なくなった、こうした大きな変化があるということも、是非、これはこれで大きな要素として理解しなければいけないと思っているところでございます。

 私ども国土交通省といたしましては、佐賀県との間、これまでも粘り強いお話をさせていただいているつもりでございます。今後とも、この西九州ルートを、関西と直通させるということがいかに大事かということをしっかりと心に置きながら、それをできるだけ早く解決していくためにはどのようにしていけばいいのかということを、引き続き粘り強く佐賀県側と話をしてまいらなければならないと思っているところでございます。

 以上であります。

末次委員 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会、赤木正幸です。

 貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 私は、以前に再エネ業界で太陽光ビジネスを行ったりとか不動産業界で不動産取引とか開発に関与していたこともあって、今でも結構現場の方たちからいろいろな課題や要望を受ける立場にあります。こういった経緯もあって、本日の質疑では、GXとか都市開発に関連した質問をさせていただこうと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 まず、GXに関連して、太陽光発電設備の設置場所として、屋根の上の活用可能性について、課題について質問させていただきます。

 太陽光発電なんですけれども、国内に土地はたくさんあるように思えて、意外に設置可能な場所が限られてきたなというふうに私も感じております。例えば、山林なんかで、かなり無理な設置によって崩落したりとか、自然環境破壊の問題なんかもありますが、土地置きが今までのようなペースで増えていくというのは少し難しい状況かと考えております。

 それで、国土という意味では、屋根の上もある意味国土ですので、この屋根の上を活用できないかという議論が当然ありまして、太陽光発電設備の設置場所として屋根上の活用をどのように考えられているか、国土交通大臣より御見解をいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 非常に重要な御提言かと思います。

 国土交通省では、GXの実現に向けて、委員御指摘の太陽光発電設備の設置場所については、道路空間、それから空港、鉄道施設等への導入のほか、建築物の屋根を活用していくことも重要である、このように考えております。

 具体的には、太陽光発電設備について、国土交通省環境行動計画などに基づきまして、公的賃貸住宅や官庁施設への導入を推進するとともに、政府全体としても、第六次エネルギー基本計画などにおいて、二〇三〇年に新築戸建て住宅の約六割に設置する目標を掲げ、対策の強化に取り組んでおります。

 引き続き、関係省庁ともよく連携しながら、建築物の屋根上の太陽光発電設備の設置促進にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに取り組んでいただけるということなんですが、ちなみに、この太陽光発電の設置場所として、屋根上のポテンシャルをどの程度に試算されているかという部分について、設置要領とか、もし可能であればCO2削減量みたいな形で御回答いただければと思います。

角倉政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省では、昨年四月に取りまとめました我が国の再生可能エネルギー導入ポテンシャルにおきまして、屋根置きの太陽光発電の導入ポテンシャルを公表しております。この試算は、一定の条件の下で基礎データとなる情報を整理したものでございまして、屋根置き太陽光発電の年間発電量のポテンシャルが日本全体で六千億キロワットアワー程度あると推計しております。

 なお、この推計でございますけれども、設置場所の耐荷重等について考慮していないことや、再エネ導入に不可欠な系統の空き容量について考慮していないこと、再エネ導入に係るコストにも配慮が必要であることなどといった課題が存在するため、実際の事業実施や政策立案に当たっては更に考慮すべき要素があるものと考えております。

 また、御質問がありましたCO2削減量のポテンシャルに関してでございますけれども、これにつきましては、昨年四月に取りまとめたポテンシャルの中では試算をしておりませんけれども、家庭の屋根に太陽光発電を設置した場合に、一定の条件の下で試算した場合のCO2削減量でございますけれども、一世帯当たりということでありますれば、約九百二十キログラム程度となるのではないかと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 年間六千億キロワットアワーというと、もう正直ちょっとどれぐらいの量か分からないんですけれども、恐らく多分六百ギガぐらいの発電設備に該当するのかなというふうに私の方でも考えているんです。

 いずれにしても、かなりポテンシャルがあって、なおかつ個人用の住宅の上でも、ちりも積もればということで、CO2の削減に貢献すると考えております。

 屋根上の太陽光発電に関しては、東京都さんがかなり思い切った取組を進められていると思いますが、政府として、東京都のように、屋根上の発電設備の設置を義務化を行うような方針はあるのか、若しくは、東京都と連携を取るような何か御予定があるかということを、大臣より御見解いただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 建築物への太陽光発電設備の設置につきましては、一昨年に、国交省、経産省、環境省が連携して設置いたしました有識者会議から提言をいただいております。そこでは、設置義務化に対する課題の指摘もあるが、導入拡大の必要性については共通認識であり、将来における太陽光発電設備の設置義務化も選択肢の一つとしてあらゆる手段を検討し、その設置促進のための取組を進める、このようにされたところでございます。

 三省におきましては、この提言も踏まえまして、設置促進に取り組んでいくこととしております。国土交通省においては、昨年六月の改正建築物省エネ法によりまして、市町村が地域の実情に応じて建築物への再エネ設備の設置を促進する区域を創設したところです。

 あわせて、建築物の賃貸や売買の際の広告に省エネ性能を表示する制度を充実させる中で、再エネ設備の情報についても表示する方向で検討を進めております。

 これらの検討、実施に当たりましては、東京都を始め自治体の皆様との連携が不可欠でございます。相互に意見や情報を交換しながら、太陽光発電設備などの設置が一層促進される環境整備に努めてまいりたいと思います。

赤木委員 ありがとうございます。

 義務化はいろいろな意味で難しいにしても、積極的に進められるということを聞いて安心いたしました。

 今日は、ある意味、ちょっとメインの話になるんですが、実は、屋根上に太陽光を設置するとき、かなり悩ましい課題があります。

 お配りしている資料の一枚目を御参照いただきたいのですが、実は、屋根のみを対象とした賃借権の登記制度が存在しないんですね。これは何を意味しているかというと、第三者に対して、屋根を借りているということを主張できなくなる可能性があるということです。これは、建物の所有者と、ある意味、パネルの所有者が異なる場合にこれがかなり問題になるんですが、こういったケースというのは結構多いんですね。

 例えば、物流施設の倉庫の上に発電事業者が発電パネルを設置して、所有者はまた別の人がいるということが結構あります。個人の住宅に関しても、ある程度の数をばあっとたくさん事業者が張って個人さんから借りるみたいなことを企画されているような会社もありますので、こういった所有者が異なるということは結構起こり得る事象だと考えています。

 こういった場合に何が起こるかということですが、資料にちょっとごちゃごちゃとかなりややこしい図を描いているんですが、所有者が第三者に建物を譲渡したときに、設備所有者、パネルを所有している人たちは登記を打っていないので、賃借権を主張できなくなる可能性があります。これによって、簡単に言うと、屋根上のパネルを外せと言われてしまうとちょっとあらがえない世界があります。

 もちろん、屋根を借りている方たちが売却を止めるという方法もないですし、一方で、二十年間とか三十年間というかなり長い期間でこの太陽光事業というのは皆さん行われるので、その間の法的な安定性を欠く状態で、リスクの大きさが測れなくて一歩踏み出せないという方がかなり多い状況というふうに私も聞いております。

 ここで質問となるんですけれども、この屋根上の賃貸借の対抗要件問題について、政府としてどのように把握されているかを御見解いただけますでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 不動産登記は、一筆の土地又は一棟の建物を対象として権利の設定等を行った場合にこれを登記簿により公示する制度であり、建物の一部を対象として登記をすることはできません。

 この理由は、仮に建物の一部にのみ独立して賃借権等の登記ができることとすると、建物所有権や既に設定された抵当権等との関係で、公示される権利関係の内容が不明確となるためでございます。

 したがって、御指摘のような一棟の建物の一部である屋根部分を対象とした不動産登記をすることはできないものと理解をしております。

赤木委員 そうですね、今まさにおっしゃられたとおりに、現行法であれば、そういったことをするというのはかなり難しいというのは私の方も認識はしているんですが、一方で、この屋根上の太陽光というのは、GXという側面からもかなり有効なポテンシャルを持っていると政府としても考えられているのであれば、やはり何かしらの対策を講じるべきではないかというふうに私個人は考えております。

 ここで追加の質問になるんですが、こうやって屋根上の太陽光の普及のために、こういった屋根賃貸借の対抗要件問題について、何かしらの解決を図ろうとする動き若しくは方針があるかについて御見解をお願いできますでしょうか。

豊田副大臣 お答えをいたします。

 国土交通省として、屋根を賃借した太陽光発電設備を設置する場合、その賃借権が対抗要件を備えることができないことは承知をしております。屋根を活用した太陽光発電設備の普及を進めるに当たり、重要な論点だとは考えております。

 まずは、屋根を賃借して太陽光発電設備を設置しようとする事業者が不測の損害を被ることのないよう、こうした事業者が屋根を賃借する場合の留意事項等を関係省庁で連携して整理をし、関係者への周知を進めることについて検討を進めていきたいと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 そうですね、やはり登記制度を変えるとなると、かなり大がかりな制度変更とか調整が必要だと思います。

 周知を進めていただけるということですが、やはりスピード感もかなり重要な局面だと考えていますので、例えば、屋根を借りた発電事業者が太陽光発電設備を設置する行為をもって、つまり占有することによって、太陽光に関しては対抗要件を認めるというような、それは新法となるのかどうか分からないんですが、そういったアイデアというのは結構現場の方たちというのは実情に応じて持たれていますので、是非継続的に御検討いただければと考えております。よろしくお願いいたします。

 次に、GX若しくは不良ストックの問題に関して、都市部の中小ビルストックに関する質疑に移らせていただきます。

 こちらも配付させていただいている資料の二枚目と三枚目が該当する資料になるんですが、少し見ていただけると、これは都市部の中小ビルがかなり高齢化してきているよということを示す調査結果になっています。

 これは各委員の皆様にとっては余り目にすることのないデータかなと思いますが、かなり偏りがあります。バブル時期に建てられた中小ビルがすごい量がたまっていっているというような内容です。

 東京都で、二十三区においては、棟数ベースだと、何と中小ビルが九二%を占めていて、なおかつ、そのうちの八三%が築二十年以上ということになります。

 この中小ビルなんですけれども、少し補足させていただくと、延べ床で三百から五千坪ぐらい、ちょっとイメージが湧かないと思うんですが、小学校の頃にあったプールが、大体五、六レーンぐらいの二十五メートルプール、あれが大体百坪ぐらいですね。あれぐらいの大きさのビルが、十階建てとか十五階建てぐらいのビルというのがまさにこの中小になるので、結構、皆さんが思い描くより、そこそこ大きいビルではあるんですけれども、中小ビルになっています。

 これらがバブル時期にかなり建てられているので、築二十五年とか三十五年ぐらいのものが多くて、なおかつ、これは平成四年の省エネ基準以前のものであったりとか、平成十二年のいわゆる定期賃貸借が始まる前のビルだったりするので、エネルギー効率の問題とか権利調整の問題にかなり難易度を高める影響があると考えております。

 資料二は二十三区のデータなんですが、資料三は大阪市になっていまして、ほぼほぼ同じような傾向を持っているということを御確認いただければと思います。

 ここで質問となりますが、こういった都市部の中小ビルストックが高齢化していって、なおかつ偏りがあることについて、どのように把握されているかを国土交通大臣より御見解をいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今委員から御指摘のありましたように、都市部の老朽化した中小ビルストックは、都市の低炭素化や国際競争力の強化等の面から、適切に更新されることが望ましい、このように認識しております。

赤木委員 そうですね、個別のビルの問題とはいえ、都市全体に影響を与える問題として捉えていただければと望んでおります。

 これを踏まえた質問となるんですが、この中小ビルストック問題から派生すると懸念されるような問題として、今おっしゃられたようなこともそうですし、防災の問題とかエネルギー効率の問題、場合によっては、陳腐化することによって都市がスラム化してしまうということも究極的にはあり得ると考えておりますが、今後の対応策に関して国土交通大臣より御見解をいただけますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 今、赤木委員お示しになりましたように、老朽化、偏りがございます。

 老朽化したオフィスビルの建て替えについては、基本的にビル所有者の判断によることとなりますが、建て替えを進めるためには、事業の採算性を確保することが重要です。

 建て替え後のオフィスビルの競争力を高め、事業の採算性を向上させるためには、隣接するオフィスビル等と共同で建て替えを進めることが有効です。

 そのため、隣接する敷地と共同化し、土地の高度利用と都市機能の更新を図る市街地再開発事業などを活用することが考えられます。

 また、耐震、環境性能が不足している老朽化したビルなどについて、耐震性、省エネに優れた物件への改修、建て替えを促進する事業を行っております。

 国土交通省としては、これらの事業が円滑に実施されるよう、引き続き必要な支援を行ってまいりたいと思っております。

赤木委員 そうですね、まさに、周辺も巻き込んで建て替えるとか、都市全体をリニューアルするというのはすごく重要な施策だと考えております。

 ただ一方、建て替えのときに、ビジネスの現場では非常にこれまた悩ましい課題があります。これは何かというと、ビルの所有者とそのビルを借りているテナントさんとの関係になるんですね。

 資料にも示していますけれども、結構、築古の中小ビルというのは、平成十二年以前のものなので、いわゆる普通賃貸借のテナントが多くて、これは退去のルールが定められていなくて、明確化されていないんです。

 これは何が起こるかというと、例えば、ビルを建て替えようとするときに、テナントさんに出ていっていただく上でどれだけのコストがかかるか、どれだけの時間がかかるかというのが正直読みづらいというか、読めないようなものになっております。ですので、なかなか、一歩進んで、ビルを購入して建て替えるとか、テナントさんに出ていっていただいて大規模改修するというのが非常に難しく、悩ましい状況が起きています。

 ここで質問になるんですけれども、この中小築古ビルを建て替え困難にしている一因でもある普通賃貸借において、退去ルールが不明確というか、なかなか定めづらいということについて、どのように政府として把握されていますでしょうか。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 借地借家法第二十八条は、建物の賃貸借契約の更新拒絶等は、「建物の賃貸人及び賃借人が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」と規定し、様々な正当事由の考慮要素を列挙しているところです。

 このように、借地借家法は、建物の賃貸借について更新拒絶等をするための正当事由の有無に関する判断の予測可能性を確保するため、その考慮要素を具体化しているところでして、御指摘の観点から法改正を行うことについては慎重な検討が必要でございます。

 また、個別事案における正当事由の有無は、裁判所において、その事案における具体的な事情を総合的に考慮して判断されるべきものであるため、御指摘のような一般的なガイドライン等を策定することも困難であると考えているところでございます。

赤木委員 そうですね、まさに、正当事由という言葉の幅というか範囲がなかなか現場でも分からなくて、裁判になってしまうとまた時間もかかるということがあって、かなり中小ビルを活用するところのちゅうちょしてしまう原因でもありますので、難しいとはいいながらも、何かしら正当事由のルールを明確化するなり、細かく定めていただけるような方向で御検討を是非よろしくお願いしたいと考えております。業界としても、これによって町がどれだけ活性化していくかとか、陳腐化しないような町にできるかというのに、かなりここは重要な論点でありますので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、建て替えではなくて、ビルの空きフロアを活用する際の問題に関しての質問になります。

 例えば、建てられた三十年前に比べると、やはりエリアの属性がかなり変わっていたりします。例えば、昔建てたときはオフィスエリアだったのが、今はホテルエリアになっていて、インバウンド需要のためにオフィスをホテルに用途変更して使いたいとか、そういった工夫なんかも当然考えられるんですが、こういった空きフロアを活用するために用途変更が必要になるんですが、これまたなかなかそう簡単にはできなかったりするんですが、柔軟な用途変更を推進するような施策について御回答いただけますでしょうか。

豊田副大臣 委員御指摘のように、小規模な既存建物の用途変更が多く行われていることは認識をいたしております。

 用途変更に当たっては、建築確認の手続や現行の建築基準に適合させる工事を必要とするケースがあり、これに伴う負担を軽減する観点から、用途変更の円滑化のための施策を講じているところでございます。

 具体的に申し上げますと、用途変更の手続を要しない範囲を拡大し、変更部分の面積が百平方メートル以下の場合から二百平方メートル以下の場合に見直すとともに、現行の建築基準に適合させるための工事を段階的に行うことを可能とする仕組みを、令和元年でございますけれども、六月から導入しているところでございます。

 また、用途変更に当たっては、省エネやバリアフリーといった性能向上を伴うことも多いことから、省エネ改修、バリアフリー改修に対する補助を行うことで用途変更が推進されるよう努めているところでございます。

 こうした取組により、引き続き、既存建築ストックの有効活用に積極的に取り組んでまいります。

赤木委員 ありがとうございます。

 まさに、そうですね、スクラップ・アンド・ビルドだけが解決方法ではないと思いますので、そういったGXに貢献するような形の空きフロアの活用というところも、業界の人たちもより柔軟に行っていけるように、今後とも継続していただければと思います。

 最後の質問となりますが、中小ビルのこれまた売買を活性化することによって、オーナーが替わることで、やはり三十年前に建てたオーナーとは違う、いろいろなノウハウを持った方がそのビルを保有して、課題を解決できる可能性が高まるということがあります。まさに売買を活性化させるという意味で、ビルの流動性を高める方法として、例えば証券化のようなものがあるとは思うんですが、中小築古ビルは、規模の問題とかスペックの問題で、なかなかこういった流動化とか証券化になじみづらいというふうに以前思われていたんですが、中小築古ビルの流動性を高める方策について御見解をいただけますでしょうか。

石井副大臣 お答えいたします。

 不動産市場の活性化を図るためには、資産規模の大きい不動産だけではなく、中小規模の築古物件についても証券化を進めることで、優良な不動産ストックを形成していく必要があると考えております。

 令和三年度におきましては、REIT及び不動産特定共同事業を通じまして証券化された物件のうち、築二十年以上の物件の割合は約三割となっておりまして、築古物件でも証券化が行われているところでございます。

 特に、不動産特定共同事業におきましては、中小規模の物件の開発、改修に適しているとされております。

 平成二十九年の法改正におきまして、小規模不動産特定共同事業を創設したり、クラウドファンディングに対応した環境を整備するといった措置を講じることで、事業の活用が更に促進されているところでございます。

 実際に、令和三年度における不動産特定共同事業の実績は、平成二十九年度と比べて四倍まで増加しているところでございます。

 国土交通省といたしましては、政府全体の目標として、二〇三〇年頃までにREITなどの資産総額を約四十兆円にすることを目指す中で、中小の築古物件の証券化もしっかりと推進してまいりたいと考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 私も、まさに元々そういった不動産の証券化の世界にいた人間ですので、すごくここ数年は、不動産特定事業法を含めて、クラウドファンディングと絡めて、かなり積極的に進められていると、すごくありがたいなと思っていますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 私の持ち時間も来たようですので、本日の質疑を終了させていただきます。ありがとうございました。

木原委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

木原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。前川清成君。

前川委員 日本維新の会の前川清成と申します。

 私、衆議院に来る前に参議院に十二年おったんですが、その当時も含めて、国土交通委員会で質問に立たせていただくのは初めてでございますので、どうぞよろしく御指導いただきたいと思います。

 まず最初に、大臣の所信ではお述べになっていないんですが、以前から気にかかっていた点がありますので、お尋ねをしたいと思います。

 この分館前の歩道もそうですが、最近、道路、単なるアスファルトを引いてあるだけではなくて、ブロックが引いてあったり、タイルが引いてあったり、あるいは石板が引いてあって、きれいにしてあるところがたくさんあります。大臣が赤坂宿舎にお住まいになっているかどうか知りませんが、赤坂宿舎前もそうですし、赤坂宿舎から議員会館の方へやってまいりますと、官邸の西側の道もそんなふうにきれいに舗装してあります。

 ところが、一旦そういうタイルなりブロックなりで舗装した道路、工事で掘り返しますと、掘り返した後は単にアスファルトが埋めてある、そういうところが大変目につきます。赤坂宿舎前の道路もそうですし、官邸の西側の山王パークタワービルの前の歩道も現在そういう状態になっています。

 それで、お聞きしたいんですけれども、業者が工事のために道路を掘り返したならば、原状回復義務、これを負っていると思いますけれども、その原状回復義務はアスファルトで足りるというふうな扱いになっているのでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 道路法上、道路を掘削して、占用物件、これはガス管とかそういうものですけれども、占用物件を設置する際には、占用許可申請において、工事実施方法や道路の復旧方法を記載した申請書を道路管理者に提出しなければならないこととなっています。

 道路の復旧方法は、原則として道路を元の状態に復旧することが求められますが、その後、他の主体が掘削工事を行い、本舗装を行うことが見込まれる場合などには、仮舗装として、アスファルトによる補修を認めることがあります。

前川委員 今大臣におっしゃっていただいたように、今掘り返したけれども、また近いうちに掘り返す、だったら元どおりきれいにするのはもったいないので、取りあえずアスファルトにしておこうというのはよく分かりますし、合理的だと思うんですが、その仮舗装、これはどれぐらいの期間までとかいう制限はあるんでしょうか。

 といいますのも、赤坂宿舎前はもう随分前からアスファルトのままのような気がしますし、一々気に留めておりませんでしたけれども、奈良に帰ってもそういう場所を時々目にするものですから、仮舗装ということでずっと続いたら、せっかく道路をきれいにしたのにもったいないなと思うものですから、その期間について御答弁いただけたらと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 仮復旧の期間については、他の主体が掘削工事を行う場合など、道路管理者が個別具体的に判断する必要があることから、一概には申し上げられません。

 いずれにせよ、道路管理者において適切に管理することが重要と考えております。

前川委員 大臣の最初の御答弁にありましたけれども、道路を掘り返す際には、復旧方法を道路管理者に提出をして、その上で許可を受ける、こういうことですけれども、もしもその掘り返した業者が道路法に基づく復旧方法の届出、これを履行しなかった場合、守らなかった場合、そのときはどのような法律的な枠組みになっているのでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 道路占用許可申請の際に提出された道路の復旧方法に反している場合については、まずは道路管理者により是正の指導を行うこととなります。

 この指導に理由もなく従わないなど悪質な場合にあっては、道路管理者の判断により、道路占用許可を取り消し、原状回復を命じることができることとされております。

前川委員 ごめんなさい、大臣、私がお聞きしたかったのは、指導を守らなかったとき、原状回復の命令に従わなかったとき、そこから先どうなるのか、何か強制するような手続があるのか、あるいは、一旦、道路管理者の方で代わりに原状復帰をして、その費用を請求するとか、そういう仕組みがあるのかをお尋ねしたかったんですが。

斉藤(鉄)国務大臣 原状回復を命じたにもかかわらず従わない場合にあっては、道路管理者により原状回復がなされ、それに要した費用については、原因者負担金として請求することができます。

 また、設置された物件が残置している場合にあっては、許可に基づかずに道路に物を設置していることとなるため、不法占用として刑事罰の対象となる可能性がございます。

前川委員 ありがとうございました。

 日本中の全ての道路を国が管理しておられるわけじゃなくて、県道は県であって、市道はそれぞれの市町村かと思いますので、国交省で全部目が行き届かないということは分かると思いますが、せっかくアスファルトを引くよりも高いお金をかけて道路をきれいにされるわけですから、その点、引き続き御留意をいただけたらと思います。

 その上で、午前中も何人もの委員の方から質疑がありました、地域公共交通についてお尋ねをさせていただこうと思います。

 大臣所信の十一ページに、地域交通機関は、利用者が減少しているので再構築を進める、リデザインというふうに述べておられまして、この国会にも法案が提出されます。

 ただ、ここで言う地域交通の地域、これはどのようなエリアを想定しておられるのか、射程に置いておられるのか。人口がどんどん減っていく過疎地、そういったところを想定しておられるのか、いや、そうではない場所、人口は減っているけれども僅かだという場所とか都市近郊、そんなところも射程に置いておられるのか、まずは教えていただきたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 地域公共交通は、国民生活を支える不可欠な基盤であり、都市部や過疎地を問わず、様々な地域でしっかりとリデザインの取組を進める必要があると考えております。

 大臣所信においては、このような考え方の下、ローカル鉄道はもちろん、地域の路線バス等も含めて、全国で利便性、持続可能性、生産性の高い地域公共交通ネットワークへのリデザイン、再構築を進めていく必要がある、このように述べさせていただいたところでございます。リデザインの対象を特定の地域に限定したものではございません。

前川委員 今大臣の方から地域の路線バスということにも言及をしていただきましたけれども、この地域の路線バス、これも今深刻な問題を抱えているのではないかなと私は考えております。

 大阪の都心から近鉄電車や地下鉄に乗って二十分、三十分という距離で、生駒市あるいは奈良市というところがあります。そこは、高度経済成長期に山を切り開いてニュータウンが建設されました。そのニュータウンにお越しになった方というのは、ニュータウンからバスに乗って駅まで出て、電車に乗り換えて、大阪で勤務しておられました。

 ですから、バスというのが重要な交通手段であったわけですけれども、開発から何十年かが過ぎて、住民の方々が高齢化されて、リタイアされて、通勤されなくなった。結果として、バスの利用客数が減ってしまった。その結果、減便、あるいはバス路線が廃止されています。しかし、バス路線がなくなりますと、住民の方々、通勤される方は少なくなったかもしれませんが、やはりいらっしゃいます。と同時に、リタイアされた方でも、買物に行く足、あるいは病院に行く足がなくて困ってしまう。

 ですから、都市近郊であったとしても、人口減少が顕著でないエリアであっても、路線バスを含めて、公共交通機関の維持というのが大切な課題ではないのかな、こういうふうに考えておりますが、とりわけ、かつてのニュータウン、このバス路線の問題について国土交通省としてどのように取り組んでいかれるのか、教えていただけたらと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 バスは、通勤、通学、通院といった日常生活を支える不可欠なサービスであり、非常に重要なものと認識しております。

 委員御指摘のかつてのニュータウンのバス路線を含め、地域の公共交通については、運行ルート、便数、車両の大きさなど、地域にとってどのような公共交通のサービスが必要であるかを地域において御検討いただき、適切に維持を進めていただくことが重要である、このように考えております。

前川委員 少しちょっと具体的にお尋ねをさせていただきたいと思うんですが、生駒市にあすか野というかつてのニュータウンがあります。約五十年前に開発された住宅地です。生駒駅に行こうと思いますと、途中、峠を越えなければなりませんので、歩いてはほぼ行けません。バスなら約二十分。バス路線があるということを前提に開発された住宅地です。現在、千九百世帯、四千人の方々が暮らしておられるんです。

 ところが、先ほど申し上げたように、町自体が高齢化してきて、バスの利用客数が減ってしまった。このため、ここは奈良交通というバス会社の路線だったんですけれども、奈良交通は、そのバス路線を廃止したい、こういうふうに言い出しました。奈良交通も民間企業ですので、赤字路線を維持しておくというのは経営的に厳しいだろう、そこは理解はするところです。

 そこで、地元の自治体の生駒市としましては、コロナ対策か何かで国から交付金をいただいた、その交付金を使って、一年で八千七百八十万円、これを奈良交通に支払って、取りあえず一年間はバス路線が存続することになりました。でも、これからもずっと交付金をいただけるわけではありません。地方の市町村がバス路線を維持するために毎年一億円以上負担し続けるということは大変厳しいと思います。

 そこで、財政的な面も含めて、国土交通省として、地方のバス路線を維持するための政策、これを御検討いただいているのかどうか、御答弁いただけたらと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 まさに今回提案いたしました法案は、そういう危機にある地域公共交通をいかに守っていくか、住民の皆さんにとって利便性の高いものにしていくか、持続可能なものにしていくかということを、地域と事業者と、そしてそこに国も入って、しっかり話し合おうというものでございます。

 地域にとって必要な公共交通を実現するために、地域公共交通活性化再生法では、自治体とバス事業者、利用者などが入った法定協議会において、地域公共交通の在り方について協議をいただくことにしております。

 国は、協議会に構成員として参加するなど、地域の交通の在り方に対して必要な助言を行ってまいります。

 また、御質問にございました財政的な支援ということでございますが、例えば、来年度からは、これまで、ある意味で、インフラ、公共工事関係にしか使えなかった社会資本整備総合交付金、これも地域の公共交通に使えるというような形にしたところでございまして、今後、どうあるべきかについてまたしっかりと議論させていただきたい、このように思います。

前川委員 午前中、豊田副大臣が、地域公共交通のリデザインのために千五百億円の予算を確保した、こういうふうに御答弁されていたと思うんですけれども、今大臣がお答えいただいた財政的な支援というのは、この午前中、豊田副大臣がおっしゃった一千五百億円、このことをおっしゃっているんでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 それも含めまして、また、地域一括、ちょっと具体的な正確な名前は忘れましたけれども、エリア一括協定運行事業など、こういう支援も入った千五百億円でございます。

前川委員 ありがとうございます。大臣、済みません、ちょっとお気遣いいただいて。

 そのエリア一括協定運行事業、そのための予算が一千五百億円ということではないんですか。済みません、もしお答えいただけるのであれば。

斉藤(鉄)国務大臣 令和五年度予算案では、新たに、先ほど申し上げました社会資本整備総合交付金に公共交通に関する基幹事業を追加したほか、複数年にわたる長期安定的な支援を可能とするエリア一括協定運行事業に対する支援を盛り込むなど、バスを含む地域公共交通に対する支援を強化しております。

 こうした支援策を通じて、バス路線の維持、確保に努めてまいりたいと思います。

前川委員 バス路線のことはこれで終わりにしようと思うんですが、実は、質問通告の際に、エリア一括協定運行事業で国から財政的な支援があるのは、複数の市町村をまたがるバス路線に限られますというふうなお話を伺いました。ですから、例えば奈良市内だけとか生駒市内だけのバス路線については国は財政的な支援をしない、こういうことなんですけれども、複数の市町村を通過するかどうかと、住民にとって本当に必要なバス路線かどうかというのは、議論のレベルが違うのではないのかなと。

 もちろん、複数の市町村を通るということは関係人口が多いということで必要性が高いという推定が働くのかもしれませんが、一つの市町村の中でも、先ほど申し上げたように、駅から遠い、山を切り開いて開発したニュータウンがオールドタウンになってしまった、バス路線がなかったらもうどうしようも、にっちもさっちもいかないんだというところであれば、仮に一つの市町村内のバス路線であったとしても、国は財政的な支援を御検討いただいてもいいのではないかなと思っているんです。

 これは法案が成立する前で、まだ仮定的なお話を国交省の官僚の方はおっしゃったのかもしれませんが、もし、この点で大臣のお考えとかがありましたら、お聞かせをいただけたらと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 エリア一括協定運行事業でございますが、複数にわたるところでなければ適用しないということではありません。一つの自治体においてもこの事業は行われます。

前川委員 ありがとうございます。財政的な支援も含めてということで理解してよろしいですね。

 それでは次に、所信でもお述べになっておられる空き家対策について、午前中も複数の委員の方がこの問題を取り上げておられました。法案も提出されるというふうに聞いております。

 この空き家対策について少しお話をさせていただきたいんですが、今、合計特殊出生率が一・三前後を行ったり来たりしています。ざっくり言えば、一組の夫婦に生まれてくる子供は一人ということになります。したがって、これから将来的には一人っ子同士の結婚というのが当たり前になってくる。夫婦で考えると、夫も妻も一人っ子。

 そうなりますと、全ての御家庭が持家に暮らしておられるとは言いませんけれども、分かりやすく単純化して言えば、夫も、夫のお父さん、お母さんから自宅を相続する。妻も、妻のお父さん、お母さんから自宅を相続する。そうしたら、御夫婦で二軒の家を相続することになる。しかし、住むのに二軒の家も要らない。さらには、高齢化という問題もありますので、その御夫婦のお父さん、お母さんがお亡くなりになるときには、御夫婦もそこそこのお年になっておられて、御自身で自宅を取得しておられる。そうなれば、一組の御夫婦が三軒家を持っていることになる。

 したがって、私は、国交省がおっしゃっている以上のペースで、もっと加速度的に空き家というのが増えていくのではないのかなと思っています。

 しかし、その一方で、毎年、集合住宅も含めれば、八十万戸新しい住宅が建設されています。しかも、古い住宅を壊して、その土地の上に新しい住宅が建築されたならば、それは空き家は増えませんが、従来の住宅地はほったらかしにして、山を切り開いて、あるいは田んぼを潰して、新しい住宅地、分譲地が開発されて、そこに新しい家が建つ。ですから、従来の中心市街地や高度経済成長期に開発されたニュータウンは空き家が目立つ。空き家が目立つから、人口も減って、バス路線もなくなってしまう。

 この国会で、空き家対策として、管理を厳格にしていこうとか、あるいは固定資産税を上げようとか、そういう方向が示されると聞いておりますけれども、それだけで足りるんだろうかと。空き家の管理とか利活用とか、それだけではなくて、これから人口減少が続くんだから、新しく分譲地をどんどん造っていく、山を壊して、田んぼを潰して新しい住宅地を開発していく、販売する、そのこと自体もこれからは抑制していくことを考えなければならないのではないか。

 ですから、人口が増えていく時代にどんどん広がっていった市街地をもっともっと縮小していく、いわゆるコンパクトシティー、これをもっと徹底しなければ、空き家対策、これは大変なことになってしまうのではないかなと考えておるんですが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 人口減少、少子高齢化が進む中、地域の活力を維持し、生活に必要なサービスを確保するためには、住宅地の適切な立地を図ることが重要であります。

 こうした観点から、立地適正化計画の策定を通じて、人々の居住や医療、福祉、商業などの都市機能を幾つかの拠点に誘導し、それぞれの拠点を公共交通ネットワークで結ぶことにより持続可能なまちづくりを進める、コンパクト・プラス・ネットワークの取組を推進しているところでございます。

 国土交通省としては、こうした取組を通じて、人口減少社会に対応したまちづくりを推進してまいりたいと考えております。

前川委員 御案内のとおり、都市計画法という法律がありまして、市街化調整区域であったとしても、一定の要件を満たしたならば、知事や政令市の市長は開発許可を与えなければならない、こういうたてつけになっています。

 ですから、私は、だから、こういう仕組みがあるので、いつまでも山を切り開いて分譲地が開発されるのかな、こういうふうに考えていたんですが、質問通告の際に、国交省の親切な官僚の方が、私の地元の、かつてのニュータウンをいろいろ調べていただきまして、いや、前川さん、違いますよ、奈良市のここ、ここ、生駒市のここ、ここ、これは市街化調整区域じゃなくて、既に市街化区域だったんです、市街化区域だったところに住宅が造られたんですよ、こういうふうに言われました。

 ですから、同じことの繰り返しになるかもしれませんが、人口が増えていく時代は、市街化調整区域を市街化区域に編入していく、このことが必要かもしれませんが、これからは逆に、市街化区域だけれども、逆に市街化調整区域に編入していく、そういう線引きも検討していかなければならないのかなというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 これもまた先ほどの答弁と同じ答弁となりますけれども、コンパクト・プラス・ネットワークの取組という考え方の下で、これからの私たちの都市の在り方、住宅の在り方ということを考えていかなくてはいけないのではないか、そういう意味では、同じ共通した問題意識を持っている、このように認識しております。

前川委員 時間が参りましたので、これで終わります。ありがとうございました。

木原委員長 次に、古川元久君。

古川(元)委員 国民民主党の古川元久です。

 明日は三月十一日、あの東日本大震災からちょうど十二年目を迎えます。改めて、震災で犠牲になられた皆様方に心から哀悼の意を表したいと思います。

 先日、南海トラフ巨大地震を扱ったNHKスペシャルが放送されていましたが、このような大地震が、これはいつ何どき起きてもおかしくない状況に我が国はあると思います。こうした危機は地震だけではありません。水害などほかの天災や、そしてウクライナ戦争のようなこうした戦争、そして、ようやく今、こうやってマスクを外して質問できるのも久しぶりですけれども、新型コロナウイルスのような感染症など、私たちの暮らしは、こうした様々な危機に直面する可能性、こうしたものは以前に比べて格段に高まっております。

 こうした危機に備えて、人々の安全、安心な生活を支える国土形成、社会構築を行うとともに、競争力低下が著しい、これまで日本経済を牽引してきた基幹産業に代わる、新たな基幹産業となるような次世代産業を生み出していくという観点に立って、医療と防災を人々の安全、安心を守る取組として一体的に捉え、これを、医療、防災産業という新たな産業領域として確立していくことを目指すプラットフォームの役割を果たすものとして、二〇二一年の四月に医療・防災産業創生協議会という民間団体が設立されました。

 そして、同じ年の七月に、こうした民間の動きを政治的に側面支援していくことを目的として、超党派の医療・防災産業創生推進議員連盟を発足させ、会長は現在の齋藤健法務大臣でありますけれども、斉藤大臣にも副会長を務めていただいております。私は幹事長を務めさせていただいております。

 今日は、この議連の幹事長として大臣に御質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、大臣、こうした民間における、医療、防災産業、これを基幹産業として成長させていこう、このことによって国民の安全、安心な生活を支える、そうしたことを進めていこう、こうした取組に対する大臣の所感をまずお伺いしたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 医療・防災産業創生協議会は、災害の頻発、激甚化やコロナ禍などの危機が相次ぐ中で、国土のレジリエンス強化や新たな産業領域としての医療、防災産業の創生を目指す民間機関で構成される協議会でございます。

 この協議会の取組は、安全、安心で持続可能な社会を構築する上で、また、大地震など有事における国際貢献の観点からも、時機を得た重要な取組であると考えております。

 また、医療、防災産業をこれからの日本の基幹産業にしていく、日本の経済を支えていく、そういう柱にしていくという考え方も非常に理解できるものでございます。

 私自身、協議会の取組に賛同する超党派の議員連盟、医療・防災産業創生推進議員連盟に参加させていただいております。

 国土のレジリエンス強化と次世代産業の創生に向けては、関係省庁が一丸となって取り組むことが重要と考えており、国土交通省としても最大限の協力を行ってまいりたい、このように思っております。

古川(元)委員 ありがとうございます。

 医療、防災産業といっても、なかなかこれは具体的なイメージが分かりにくい。これを基幹産業にすると言われても、どうするんだ、そういうイメージが湧かないところがありますので、新たな産業領域としての医療、防災産業の姿を分かりやすく示すために、まずは、平常時の地域のにぎわいと災害時に求められる機能を兼ね備えた可動式の高機能、高付加価値コンテナを防災道の駅などに配備する事業を、これをシンボリックプロジェクトとして行うこととして、具体的には、防災道の駅、猪苗代、福島県の、ここを実証プロジェクト第一号に位置づけて、国土交通省も参加する形で、猪苗代町と福島県の三者で設置した道の駅「猪苗代」地域創生推進協議会の協力の下、民間主導による可動式コンテナの実証デモが、もう今年六月には開催されるところまで話が進んでおります。

 この具体的なプロジェクトについて、今、大臣、大きな話として、国も協力するという話がありましたが、このプロジェクトに国も全面的に協力していただける、そのように受け止めていてよろしいでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 高機能な可動式コンテナは、トイレ、物販、宿泊施設など、多様な活用が可能と認識しておりまして、平時の地域活性化、これは観光にも大きく使えるということが今証明されつつございます。この平時の地域活性化や災害時の防災拠点機能を発揮する道の駅と親和性が高い施設でございます。

 現在、道の駅、猪苗代では、猪苗代町が設置した道の駅「猪苗代」地域創生推進協議会において、国土交通省も参加させていただいて、高機能な可動式コンテナの設置、活用の検討を進めているところでございます。

 この高機能な可動式コンテナの種類や用途は多様であることから、この協議会において、まず、令和五年六月に複数のタイプで実証デモを行って、活用用途に応じたコンテナの有用性、機動性、経済性などを確認し、平常時、災害時の具体の活用方策の検討を進めていく予定でございます。

 国土交通省としても、道の駅、猪苗代における高機能な可動式コンテナの設置、活用方法の具体的に向けて、積極的にしっかりと協力していきたいと思っております。

古川(元)委員 是非そこは全面的に御協力をお願いしたいと思います。

 既に国交省の方では、今日、資料としてお配りさせていただいておりますが、「道の駅における可動式コンテナの設置について」ということで、この猪苗代のことについて書かれている資料が国交省から出されておりまして、そこの中に、この「道の駅「猪苗代」における取組に、国としても必要な協力を実施し、その知見を全国に展開。」とあります。

 ここにあります「必要な協力」として、具体的にどういう協力をすることを考えておられるのか、教えていただけますでしょうか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省といたしましては、猪苗代町が設置いたしました道の駅「猪苗代」地域創生推進協議会、これに参画いたしまして、高機能な可動式のコンテナの設置、検討を進めてきたところでございます。

 令和五年度につきましては、協議会において、この高機能可動式コンテナの実証デモを行う予定としておりまして、国といたしましても、現地での検討に積極的に参加をしてまいりたいと考えております。

 また、活用用途に応じたコンテナの有用性、機動性、経済性、また、コンテナの運用、また管理の在り方や、関係法令の整備など、全国への展開を見据えて、必要となる知見の整理、これを実施していきたいと考えております。

古川(元)委員 もうちょっと、では、具体的に何をするのか。協力するということは、参加していますと口だけではやはり協力にならないので、ちゃんとお金を出してくれたりとか、いろいろな規制があればちゃんとそういう規制を緩和するとか、ちゃんとそういう具体的な取組はしていただけるんですよね、そこは確認ですが。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 今のところはソフト的な協力ということになっておりますが、これから実際の事業が行われるに当たって、当然、国費による支援等を考えてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 これは別の、もう一枚の資料に、「「防災道の駅」について」という資料の中では、広域的な防災拠点機能を持つ道の駅について、重点的な支援を最大五年行う、ハード面では、防災機能の整備、強化を交付金で重点支援するとあります。

 ですから、こうした交付金による重点支援、これも、この猪苗代のプロジェクトを推進するに当たっては、ちゃんとそうした支援が行われるというふうに考えてよろしいですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、広域的な防災拠点としての役割が期待される防災道の駅の機能強化に対して、社会資本整備総合交付金により重点支援を行うこととしております。

 具体的には、通常国費率が五〇%のところ、五五%にかさ上げをいたしまして、あとは、例年、全国から予算枠を上回る要望をいただいている中、防災道の駅の機能強化に係る事業に対しましては優先的に配分を行っているところでございます。

 この防災道の駅、猪苗代につきましても、今後、防災機能強化が見込まれるコンテナの活用に関する事業計画が提出された場合は、重点的に支援をしてまいりたいと考えております。

古川(元)委員 これは重点的というので、今、局長の話だと五五%、五%上乗せだけですかね。もうちょっとこれは何とかならないんですかね。よくこういう交付金をやっても、いや、国はやっていますと言っても、やはり地方の負担が余りに多いと、結局、なかなか使いたくても使えない。国は、やったふり、いやいや、ちゃんとつけているんですと言うんですけれども、しかし、地方の方からすると、その負担ができないと結局使えないということになって、ちょっと五五%というのは余りに低過ぎるんじゃないかなと。

 これは大臣、大臣の一声で、もうちょっとやはりこの負担割合は上げるべきじゃないかと思いますが、いかがですか、大臣。

斉藤(鉄)国務大臣 今の防災に関する支援のルールについてはこういう形になっておりますが、新しい考え方による今回の試みについて、どういうことができるか、ちょっとしっかりまた検討させていただきたいと思います。

古川(元)委員 余り検討という言葉を使われると、岸田総理と同じだと言われますからね。

 やはり、新しいことをやろうと思ったら、五%程度の優遇では重点的にやっていますというふうには余り思えないと思うんですね。最低でも一〇%や二〇%ぐらいは優遇して、使いやすいという交付金にしないと、実際には使われないんじゃないかと思いますから、是非、検討するだけじゃなくて、しっかり形として目に見える形にしていただきたいということをお願いしたいと思います。

 次に、ちょっとお伺いしたいと思いますが、災害時に備えてコンテナ型やトレーラーハウス型の施設を一定以上の期間留め置くと、これは、継続的に使用する物件等として、随時かつ任意に移動できないと判断され、これが建築基準法第二条第一号に規定する建築物に該当することになるので、基礎に緊結することが求められることになりますが、こうなりますと、建築物として基準を満たすように、基礎と緊結するように改変するということになりますと、せっかくの可動式のトレーラー、コンテナ、その可動性が大きく損なわれて、災害時、いざ動かそうというときに簡単に動かせない、そういう機動性が低下し、当初期待された効果が発揮できなくなるのではないかと思います。

 したがいまして、今回の考えているプロジェクトのような、防災目的に使用されるコンテナ型やトレーラーハウス型の施設については、建築基準法第八十七条の三第二項に規定する公益的建築物として位置づけるとともに、基礎への緊結を要しないこととするなど、そういう規制緩和といいますか優遇措置を取るべきだというふうに考えておりますが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の防災目的に使用されるコンテナ型、トレーラーハウス型の施設につきましては、これまでも災害時に仮設建築物として活用されるなど、有用なものであるというふうに認識をしてございます。

 これらの施設が建築基準法の適用を受ける建築物に該当するか否かにつきましては、それぞれの特定行政庁が判断をすることになりますけれども、一般論では、随時かつ任意に移動できる形態のものは、建築物に該当しないものとして扱うことにしてございます。

 特定行政庁において、随時かつ任意に移動できる形態でないと判断する場合は、委員御指摘のとおり、建築物として扱うことになりまして、一定の基礎を設け、柱と基礎を緊結するなど、建築基準に適合する必要があるところでございます。

 このルールは、建築物に作用いたします荷重や外力によりまして、建築物にゆがみなどが生じ、倒壊などに至らないようにする趣旨から設けているものでございます。その上で申し上げますと、一方で、一定のコンテナにつきましては、強固であって、ゆがみが生じにくいという御意見もいただいているところでございます。

 このため、例えば、小規模な平家のコンテナなど、一定の条件を満たす建築物については、基礎への緊結等の建築基準を緩和することが可能かについて、国土交通省の方で検討を進めてまいりたいと存じます。

古川(元)委員 これもまた検討、検討という話になっているんですが、まさに、こういう可動式で、だからこそこれは意味があるのであって、今から検討していくということになると、いつになってまた結論が出るのか。もう少し、防災目的で使うようなこうした可動式のコンテナ型やトレーラーハウスというのは、これはもっとやはり柔軟に考えるべきではないかな。

 今、検討すると言っても、では、いつ頃までにその結論が出るんですか、局長。

塩見政府参考人 今申し上げました検討につきましては、これからいろいろな材料を集めて、技術的に検討をしてまいりますので、ちょっと現時点で具体的なめどがあるわけではございませんけれども、しっかり、技術的に問題のない形で結論が出るような検討をしてまいりたいと思います。

古川(元)委員 これは大臣、何か私はだんだん心配になってきましたよ。最初は全面的に応援しますと言いながら、お金も、交付金も、優遇するのは五%程度だし、トレーラーは可動式であるから意味があるのに、何かこれが本当に、可動式、これを建築物とみなされてしまったら、そうしたら緊結しなきゃいけないというふうになったら、なかなか簡単に動かない。

 ここまで、これは実証でもやろうというところまで来ているわけでありまして、そういう段階にあるのにかかわらずまだこのレベルで、これはちょっと国としての協力の姿勢、度合いが、お言葉の割に実態が伴っていないと思いますが、いかがですか、大臣、聞いていて、今の。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほどの住宅局長からも答弁させていただきましたが、あの答弁を聞いていただければ、方向性は大体分かっていただけるかと思います。

 ただ、まだ決定しておりませんのでああいう言い方になりますが、方向性は御理解いただきたい、このように思います。

古川(元)委員 じゃ、方向性というのは、要するにそこは、こういう可動式であることにこれは意味があるわけですね、可動式コンテナですから。

 だから、こういうものについては、一定期間留め置くということになっても、建築物というふうに、公益的で建築物として位置づけて、基礎への緊結を要しない、そういうふうにするなど、要は、ちゃんと可動式で動けるような方向に検討していく、そういう方向だというふうに理解してよろしいですね、そうしたら。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 私の説明が分かりにくい点がございまして、申し訳ございません。

 私が先ほど申し上げましたのは、随時かつ任意に移動できる形態でない、したがって、建築物として扱うという場合におきましても、強固でゆがみが生じにくい一定のコンテナにつきましては、基礎への緊結等の建築基準を緩和することができないかということの検討をするということでございます。

古川(元)委員 是非これは早く結論を出していただいて、こういう形なら大丈夫ですよ、そういうメッセージを早く出していただくことをお願いしたいと思います。

 じゃ、ちょっともう一回、こちらの「道の駅における可動式コンテナの設置について」というところの資料のところにちょっと戻って御質問しますが、国として必要な協力を実施、この猪苗代において、取組について行って、その知見を全国に展開と、そこまで、最初に大臣もちらっとおっしゃいました。

 具体的には、今後どのようなタイムスケジュールで、どのような形で全国に展開する、そうしたことを考えておられますか、これは。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年度につきましては、先ほど申し上げました道の駅、猪苗代における実証デモを行う予定でございまして、このデモを踏まえまして、全国への展開を見据えて、必要な知見、ガイドライン的なもの、こういったものを整理をしていきたいというふうに思っております。

 あわせて、まだこの可動式コンテナについて御存じない道の駅も多数あろうかと思いますので、そういったものを御紹介しながら、全国の道の駅における、高機能で可動式のコンテナのニーズ把握をまずしていきたいというふうに思っております。

 それで、令和六年度以降でございますけれども、全国の道の駅に対しまして、道の駅、猪苗代における実証デモの結果を踏まえた知見を周知をしてまいりまして、令和五年度に行う全国の道の駅からの把握したニーズを踏まえまして、やりたいというところがもし出てくれば、必要な助言、また調整を行うなど、全国的な展開に向けた取組を行っていきたいと考えております。

古川(元)委員 今の局長のお話だと、まずは、これは、この協議会の方でも、防災道の駅三十九か所、ここをまずはと思っていますが、考えているようなんですけれども、それだけじゃなくて、そのほかの道の駅、ここにも広げていこうというふうに考えているんですが、こういうところにコンテナを設置するということを考えているんですが、じゃ、局長の今の御答弁だと、そういう防災道の駅以外の道の駅も将来的に広げていく、そうした場所というふうに考えている、そこは頭の中に入っているというふうに認識してよろしいですか。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは防災道の駅がメインになってくると思いますけれども、今後のニーズ、自治体から、造られているのは自治体だと思いますので、そういった中で、ここでもやってみたいということがあれば、またそこは助言をしながら調整をしていきたいというふうに思っております。

古川(元)委員 では、もう一歩進んで、こういう道の駅じゃないところでも、ほかの公共施設でこういう可動式のコンテナを置くような場所であって、こういうのがあれば、市町村が、じゃ、そういうものを使いたいという要望等があれば、そういうところも含めて可動式コンテナというものを活用していく、そういうことは、国交省として、これはちょっと道路局だけというよりも、そっちになると国交省全体かもしれませんね。ですから、大臣にお伺いした方がいいかもしれませんけれども。そういう、道の駅だけじゃなくてほかの公共施設なんかでも、こういう可動式コンテナ、防災の観点からも。

 また、元々このコンテナというのは、防災のときだけ、そのときだけ使うためにずっと置いておくだけじゃなくて、平時には、地域のにぎわいのために、移動させたりとかその場で使ったりとか、そういうことがやれるように、そういう発想なんですけれども、ですから、これを、まずは今、防災道の駅ですけれども、今局長からお話があったように、ほかの道の駅でも要望があればというお話がありました。

 道の駅以外の公共的な施設とか、そういうところでも、じゃ、こういう可動式コンテナを置いて、又は活用したい、そういう声が上がれば、そこは国としても支援をしていくことを考えていただけるのかどうか、その点について御答弁いただければと思います。

丹羽政府参考人 お答え申し上げます。

 医療・防災産業創生協議会においても、道の駅以外の様々な場所での活用について、複数の自治体と調整を進めているというふうに伺っております。

 例えば、和歌山県であると南海トラフ地震対応とか、青森県だと原子力災害対応等、そういったいろいろ要望があるというふうに伺っております。

 幅広いフィールドで活用していくためには、国土交通省だけでなく、関係省庁が一丸となって取り組むことが重要だというふうに思っております。

 国土交通省といたしましては、まず、道の駅の猪苗代における可動式コンテナ、この設置、活用に向けて積極的に協力していくとともに、他の道の駅、また、道の駅以外の活用についても関係省庁と相談をしながら取り組んでいきたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)国務大臣 今、道路局長から答弁したことと同じ趣旨になりますけれども、防災道の駅、そして道の駅、そして、今回、この試みは、先ほど申し上げましたけれども、医療、防災ということのみならず、平時の使い方として非常に、地域の活性化、振興、観光に結びつくということが今いろいろなところで言われておりますし、提案もされております。

 そういう形で、道の駅以外でも使われていくように関係省庁とよく連携をしながら進めていきたいと思っておりますが、まずはこの猪苗代のプロジェクトを成功させて、それを横展開していくことが大事だ、このように思っています。

古川(元)委員 この高機能コンテナ、可動式のコンテナの活用というのは、防災のためだけじゃなくて、今大臣からもお話があったような平時の活用とか、それだけじゃなくて、これは海外にも展開していくこと、コンテナであれば海外に持っていくのも、飛行機でもあるいは船でも、持っていきやすいですね。

 今まさに、この前のトルコ・シリア大地震なんかもありました。ああいうところなんかも、今、それこそ日本の医療救助隊とか行っていますけれども、やはり医療コンテナみたいなもの、例えば、コンテナの中に診療室もちゃんとあるとか、そういうコンテナがあったら、そのまま持っていけば、向こうで直ちに診療もできるし治療もできる、場合によっては手術もできる、それくらいの高機能コンテナというのは、もう今だったらできるんだと思います。

 この取組は医師会とか歯科医師会なんかも協力をしてやっていこうという形で参加もしていますから、まさに、日本の対外的な人道支援とかいうときにもこういうコンテナは役に立ちますし、またこれを、まさに基幹産業というのは、考えているというのは、まず、こういうものを日本が海外に展開をしていく、産業的にもですよ。ですから、それぞれの国が自らの国で防災のために、あるいは、なかなか発展途上国なんかだとそういう最新施設とかなんかが整備できないところでも、このコンテナで持っていけば、そういう最新の医療施設とかそういうものを持っていけるという意味では、いろいろな可能性が高いんだと思います。

 そういうところまで視野に入れた取組でございますので、是非斉藤大臣も、副会長でいらっしゃいます、閣内にいらっしゃるうちに、とにかく政府全体の取組にしていただいて、全面的にバックアップをしていただきたいと思いますので、最後に大臣の意気込みをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 今回、何回か答弁させていただきましたが、その一つ一つに意気込みがこもっていたと思いますけれども、しっかり取り組んでまいります。

古川(元)委員 期待しています。頑張ってください。

 ありがとうございました。

木原委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 七日の所信表明で大臣は、地域公共交通のリデザインという文脈でお話をされました。今国会、国交委員会としては、ローカル鉄道をどうするかが一番の目玉だと思っておりましたけれども、何かさらりとし過ぎているなという気がいたしました。

 昨年七月の検討会報告とJR各社の赤字ローカル線の公表以来、日本共産党として政策提言も発表し、衆参の国会議員団が各地を歩いてきました。私の地元東北では、JR東日本が開示した利用者が少ないローカル線、三十五路線六十六区間のうち六割以上、二十二路線四十四区間を占めております。各地の悲鳴のような声を聞いてきたわけですが、私たちの思いは、提言のタイトル「全国の鉄道網を維持・活性化し、未来に引き継ぐために」この言葉に込められております。

 提出された法案の説明には、人口減少やマイカーへの転移、都市構造やライフスタイルの変化など、ローカル鉄道を取り巻く環境は大きく変化との認識が示されております。

 確かに少子化は、今、十年も進行が早いと言われております。例えば、小学校に通う児童は、平成元年から三十年度までに三百十八万人強、三割減っております。学校は五千二百七十二校も統廃合され、二割減っております。

 一方、高速道路網の整備では、これは資料を二枚目につけておきましたけれども、昭和六十二年度三千九百十キロから令和元年度九千五十キロと二・三倍、高速乗り合いバスは二百四十九本から五千百三十二本と、何と二十倍にもなりました。

 こうした中で、鉄道の利用が減り、赤字が増えたとかいっても、それは、当然のことながら、独り鉄道の責任ではないと思います。そのことをまず確認したいのと、鉄道の問題を通して地域の再生そのものが課題となるべきだと思いますが、認識を伺いたいと思います。

斉藤(鉄)国務大臣 高橋委員御指摘のとおり、ローカル鉄道の利用者の大幅な減少については、人口減少や少子化、マイカー利用を前提とした都市構造やライフスタイルへの変化など、鉄道事業者の経営努力のみでは避けられない事情が背景にあると考えております。

 そのため、鉄道事業者任せにすることなく、自治体が主体的に関わりながら、どのような地域の将来像を実現していこうとしているのか、その中でどのような地域公共交通が必要なのか、こういうビジョンを持った上で、地域公共交通の機能の回復に共に取り組んでいくことが急務となっていると承知しております。

 今般の制度改正は、そうした事業者と自治体の連携、協働を国として積極的に促していく観点から提案させていただいているものでございます。

高橋(千)委員 一つだけ、もう一回伺いますが、今、大臣の言葉に国という言葉が出てこなかったと思うんですよね。やはり、自然発生的に道路を造ったわけじゃないし、人が黙って減ったわけじゃないし、東京一極集中ということが進んできた中で、やはり政治そのものも見直しをしなければならないと思っているわけなんです。それに対して、やはり、地域の協働という言葉はいいんですけれども、国の言葉が全然出てこないよねとちょっと今思ったんですが、大臣、どのように考えていらっしゃるんですか。

斉藤(鉄)国務大臣 先ほどいろいろ社会の変化を申し上げました、いろいろな側面から。そういう中には、国の政策ということもその変化の中には入っている、このように思います。

高橋(千)委員 取りあえず、ここはそれを一つ押さえておきたいと思います。自然発生的に何か廃れていったという話ではないわけですから、そこをしっかりと見たいと思うんですね。

 まず、JR北海道が、当社単独では維持困難な線区を発表したのは二〇一六年の十一月です。先月北海道に行って、JR北海道や道庁、あるいは廃線になった線区の首長さんらと話をしてきましたが、まさに、この二〇一六年に発表して以来の北海道の取組というのは、今回の法案の先取りとも言えるなと思ったわけです。

 資料の三を見てください。これは当時の資料です。その中で、単独では維持することが困難な線区、いわゆる赤色線区と言われたところだけ取り出しております。輸送密度が二百人未満、札沼線、根室線、留萌線の三つの線区、計百七十九・四キロメートル、これに対して、御利用が極めて少なく、一列車当たりの平均乗客人員が十人前後ですと書いています。

 そして、鉄道よりも、右の側の赤い字ですけれども、ほかの交通手段の方が適しておりと、はっきり書いちゃっているんですね。利便性、効率性の向上も期待できると考えられるほか、運営赤字とは別に老朽土木構造物の維持更新費用として今後二十年間で五十八億円程度が必要となりますと明記をし、維持可能な交通体系とするために、バス等への転換について地域の皆様と御相談を開始したいと考えておりますということで、バス転換という言葉も会社の方から出して、御相談をしたい、こういうことをやってきたと。

 資料はつけておりませんが、イエローの線区は二百人以上二千人未満の八線区、既に地域で話合いを始めていたのが、日高線など二つの線区が明示されております。JR北海道が単独で維持可能とされたのは、札幌圏に近い八線区、五百八十五・九キロにすぎません。

 国としては、こうしたJR北海道の方針にどのように関わったのか、また、この十三の線区は今どうなったのか、お願いします、簡潔に。

上原政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年七月に発出いたしましたJR北海道に対する監督命令におきまして、鉄道よりも他の交通手段が適しており、利便性、効率性の向上も期待できる線区においては、地域の足となる新たなサービスを進めることという形で、JR北海道に対して命令を出しております。

 これまでに、輸送密度二百人未満のいわゆる赤線区のうち、石勝線、新夕張―夕張間、札沼線、北海道医療大学―新十津川間、日高線、鵡川―様似間につきましては、地域との合意に基づきまして、バスを中心とした新たな交通体系に移行いたしました。

 このうち、例えば、日高線におきましては、新たな交通体系に移行後、これは令和三年四月の移行後のアンケート調査におきまして、通学や通院に実際に利用している方から、その多くからは、運行頻度やアクセスなどについて利便性が向上したとの評価が得られ、九六%の方が今後とも利用していきたいと回答されているところでございます。

 留萌線、留萌―深川間につきましても、既に、バスを中心とした新たな交通体系へ転換することをJR北海道と沿線自治体が合意をいたしております。

 また、根室線、富良野―新得間につきましては、令和五年三月六日に関係市町村長会議が開催されまして、JR北海道より新しい交通体系案が提案され、現在、沿線四市町村において検討されているものと承知いたしております。

 一方で、先ほど述べました監督命令におきましては、利用が少なく鉄道を持続的に維持する仕組みの構築が必要な線区につきましては、地域と一体となって利用促進やコスト削減の取組を行い、持続的な鉄道網の確立に向け、あるべき交通体系について徹底的に検討を行うこととしておりまして、いわゆる黄色線区につきましては、こうした考え方を踏まえた関係者間の取組が行われているところでございます。

 こうした取組に対しまして、国土交通省といたしましては、令和三年三月に本委員会で御審議いただき、可決、成立させていただいた旧国鉄債務等処理法に基づきまして、観光列車の導入などの支援を講じております。また、新たな観光需要の取り込みなどにより、鉄道利用の活性化を現在図っているところでございます。

高橋(千)委員 今、監督命令の話をされましたけれども、ちょうど出たときに、そのときもJR北海道に行って説明を聞いてきたところでありますけれども、ちょっと改めて今の答弁を聞いていて、問いを少し変えたいなと思いました。

 というのは、今回の法案では、地方公共団体又は事業者が再構築協議会の組織を国に要請することができるとしています。資料の一枚目にそのポンチ絵をつけておりますが、事実上は、今の北海道のように、JR側が具体路線区を指定してきているわけですよね、ここが、ここがと。それに対して、当初の新聞報道は、今回の法案は国が乗り出すんだとか、存廃協議を国主導というような見出しが躍りました。だけれども、条文を見ると、何か、協議のテーブルを用意するだけという気がするわけなんです。

 それで、私は、国がローカル鉄道の廃止を主導することはあってはなりませんというふうに通告をしました。けれども、まあ、やってきましたよということなのかなと、逆に言うと。さっきの監督命令は、これこれはほかの交通手段にした方がよいと国自身が言ってきましたと答弁されたわけですから、そのようにこれからもしていくということなんでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたとおり、輸送需要に応じて最も適切な、利便性が高い、あるいは持続可能性の高い交通体系が選ばれることというのは、これは国鉄改革時からも同じ主張をしておりまして、このJR北海道の件につきましても、輸送需要二百人未満の線区につきましては、他に代替の交通機関として利便性が上がるということであれば、地域の合意を経ながら転換を図っていくべきものだというふうに考えておりました。

高橋(千)委員 利便性が上がるのであればというそれ自体の努力をするべきじゃないか、もう諦めちゃっているんですかということが言いたいんです。

 それで、私が回った自治体でも、先ほど報告がありましたように、通学、通院にとても便利になったという声があったと。確かにそうなんですよね。駅とは違って、停留所が高校の前まで来てくれる、便数も増えた、部活を慌てて終わらなくてもいいようになったとか、そういう声をたくさん聞きました。

 しかし、それは、かつて、もっと鉄道だって便数が多くて便利だったんじゃないのと聞くと、そのとおりですと言うわけですよね。どんどん不便になって、便数を減らされて、それで乗換えも、つなぎの時間が悪くてうんと待たなきゃいけない、そういうプロセスがあってここに至ったということなんですよ。なので、だけれども、そこをまず、分かっていると思いますが、指摘をさせていただきたいと思います。

 同時に、既に鉄道が廃止され、バス転換された沿線自治体からは、バス自体が空気を運んでいる、運転手のなり手がいなくて困っているという声が口々に聞かれました。二〇二〇年四月にJR札沼線、新十津川―北海道医療大学間が廃止された浦臼町では、昨年九月、つまりバス転換してから僅か二年半で中央バス滝川浦臼線が廃止になりました。

 資料の四枚目を見てください。

 そのために、代替の町営バス、これは町の来年度予算案で、バス購入費一千六百万円と運行経費九百四十万円、その他、乗り合いタクシーや路線バスへの運行負担金など、合わせて七千四百二十三万円余を負担しています。それに対して、国の補助というのは、フィーダー系補助金がありますけれども、二百十五万五千円ですから、丸一つ足りないなと思いますよね。

 特交があります、残りは持ち出しですということで、やはり、それプラス、JRから、鉄道廃止に当たって、二十年間分として一億一千万円の渡し切りの支援があったのです、渡し切りです。

 大臣に率直に伺います。

 何かバス転換すればうまくいくなんということは到底言えないのではないかと思うんです。まして、バス会社が撤退する、お金を出されても運転手がいないから無理です、そういう話まで出ています。どこまで認識されておりますか。

斉藤(鉄)国務大臣 高橋委員、済みません、その前の質問に対して、私の立場からちょっと一言だけ申し上げさせていただきますと、今回、この再構築協議会、関係者の協議が調うということが前提とされており、地域の了解なく鉄道の廃止の方針が決定されることはありませんということと、いずれにせよ、国としては、廃止ありき、存続ありきという前提を置かずに、沿線自治体や利用者を始めとする地域の声をよく聞いて協議を進めてまいります。そして、関係者の合意形成に向けて、しっかりと取り組んでいきたい。先ほどの質問に対して、私の立場からちょっと補足をさせていただきました。

 その上で、バス転換についてのいろいろな御質問がございました。

 協議の場におきまして、バスに転換する選択肢が検討される場合には、その運行ルートや費用負担と並んで、担い手となるバス事業者の経営状況、車両や運転手の確保の見込み等を確認する必要があると考えております。

 今回の法改正では、バスを中心に、エリア内交通ネットワークの利便性向上と効率化を図るため、複数年にわたる長期安定的な支援を可能とするエリア一括協定運行事業の創設を盛り込んでおります。

 また、地域の公共交通を維持、確保するための財政支援に加え、令和五年度予算案では、新たに社会資本整備総合交付金に公共交通に関する基幹事業を追加するなど、実効性ある支援策を講ずることとしています。つまり、国もしっかり支援していくということでございます。

 国土交通省としては、こうした支援策を通じて、受皿としての地域公共交通の維持、確保に努めてまいりたいと思っております。

高橋(千)委員 さっき私はお話の中で言ったんですけれども、丸が一つ足りないよという話と、お金を出されてもやれませんと、そのくらい、バス会社が断るくらい深刻な事態なんだということを認識してくださいと言いました。

 それから、前の質問の答弁、補足されたんですが、関係者の協議が調うのが前提だというのは当たり前のことで、存じております。廃止ありきでないということも存じております。もちろん、鉄道事業法が規制緩和になって、廃止は届出制で済むことになっておりますが、それであっても、ちゃんと地域に説明しなさいということは約束されているわけですから、それはJRはやってきているんですよ。ただ、じわじわと、赤字ですよということを自治体に何度も何度も通って迫られたというお話も、ある町長さんから聞きました。

 だけれども、そういう背景の中で、さっきの局長の答弁は、やはり、輸送密度が低いところはほかの手段の方がよいと思うと国が言っちゃうから駄目なんですよ。ありきじゃないと幾ら言ったって、国がそう言ったらこの先見込みがないなと思っちゃう、だから問題なんだということを指摘をしています。

 そこで、バスの運転手がいないということは検討会の中でも繰り返し指摘をされてきたはずです。全国の一般路線バスの廃止状況は、この十年間で何キロ、乗り合いバス許可キロ数のうちどの程度になるのかお答えください。それから、そのうちJR子会社などはどのくらいあるのか。お願いします。

堀内政府参考人 お答えいたします。

 全国の一般路線バスで廃止されました路線につきましては、平成二十四年度から令和三年度までの十年間で合計一万二千七百七十キロとなっております。これは、全国の乗り合いバス路線の約二%となっております。

 また、JR子会社であるバス事業者の一般路線バスで廃止された路線につきましては、令和元年度から令和三年度までの三年間で合計六十五キロとなっているところでございます。

高橋(千)委員 資料をつけさせていただきました。今、平成二十四年から一万二千七百七十とお答えいただきました。数字が合っているのでちょっとほっとしましたけれども、最初は三年分しか数字をいただけなかったものですから。ただ、国交省はちゃんとホームページに書いてありますのでね、この数字は。このくらいバスが減っているということは、重く見る必要があるのではないかと思います。

 さっき国交省が示された三年間で見ただけでも、四千五百キロメートルなんですよね、これは下の三年間を足していただければ。分割・民営化のときに、やはり、三千百五十七キロが特定地方交通線と指定をされて、そのうちバス転換したのが千八百四十六キロだったわけ。そのときのバス転換されたキロ数と比べても、いかに全国でバスがなくなっているかということは、非常に深刻な事態ではないか、このように思うんですね。

 そもそもバスの運転手のなり手がいないとさっき紹介しましたけれども、というのは、大型二種免許保有者が、やはりそもそも、もう減ってきているよということがあると思うんですね。

 それで、免許保有者とその交付枚数というのがどうなっているのか、これも十年間の比較でお答えください。

堀内政府参考人 お答え申し上げます。

 警察庁の運転免許統計によりますと、大型二種の免許保有者数は、平成二十四年に約百三万人であったところ、令和四年は約八十万人と、約二十二万人減少しております。

 また、大型二種免許の一年間の新規取得者数は、平成二十四年に約一万三千人であったところ、令和四年は約六千人となり、約七千人減少しております。

高橋(千)委員 ありがとうございます。

 これは比較した年度がうちの部屋で作った資料とちょっとずれていたかもしれませんが、大体、数値としては、資料の六枚目にあるんですけれども、例えば、二種免許の交付枚数が、二〇〇一年、一万七千百九十二から、二〇二一年、六千五百六十二というように、半分くらいに減っているわけですよね。だから、実働数が減っていて、実働数というか動ける人が減っていて、かつ高齢化が進んでいるということは、誰もが分かっていることだと思うんですね。

 やはりそうした中で、働き方改革もしなくちゃいけないわけだし、本当に安心の仕事にしていかなきゃいけない。それは、この統計を取っているのは警察庁ですけれども、やはり、なり手をきちっと、安心の環境をつくっていくというのは国交省の仕事でありますので、しっかりとお願いしたいと思います。それを質問にすると次ができなくなるので、要望だけにしたいと思います。

 それで、次の資料をちょっと見ていただきたいんですけれども、これは、JR北海道が、「留萌本線 鉄道事業廃止に係る合意内容」というものです。これが一番直近のものですので。

 それで、三年後に廃止をする予定というのが書いてあるんですけれども、代替交通支援ということで、鉄道廃止から最大十八年間分、あくまでも、十八年間というのは、毎年支援しますよという意味ではなくて、十八年間分という意味です。それから、まちづくり支援として七千万円というように位置づけているわけです。

 それで、なぜ十八年間ですかと聞いたら、大体、赤ちゃんが高校を卒業するまでの期間という考え方だと言っておりました。ただ、さっき話したように、札沼線の場合は十八年じゃなくて二十年間だったわけなので、だんだん割り引いてくるのかなというのがちょっと心配になったところなんですね。

 問題は渡し切りで、つまり、お金を出します、あとは自治体にお任せというのは、やはりうまくないと思うんですよね。今回の法案で、事業者と自治体が協議し合って再構築していくとうたっているわけです。圧倒的に自治体の手持ちカードがなさ過ぎます。自治体にしてみると、維持してほしいけれども、それは、上下分離で自治体が全部インフラを持ちなさいよとか、あるいは、うんとお金を出しなさいよということになっちゃう。自治体には有利なカードがないわけです。

 そういうことをまず認識されているのかということと、何が今回は違いますか、ちゃんと自治体だって有利なところがありますよと、あるんだったら是非お答えいただきたい。

斉藤(鉄)国務大臣 国におきましては、JR北海道に対し、赤線区の廃止に際しては、沿線自治体の御了解を得るべく誠意を持って協議に臨むとともに、廃止後においても、地域の振興に引き続き貢献するよう指導してきているところでございます。

 今般の新制度の運用に当たっても、JR各社には同様の指導をするとともに、必要な場合には、国としても協議に積極的に関与してまいります。さらに、地方自治体が負担してインフラ整備に取り組む場合には、社会資本整備総合交付金による支援の仕組みや地方交付税措置も設けることで、自治体側の対応策の幅も増やすこととしております。

高橋(千)委員 そこまで言うんだったら、やはり丸一つ足りないんじゃないですか。

上原政府参考人 先ほど大臣が答弁させていただきました社会資本整備総合交付金は、今回の予算で、新たに地域公共交通を基幹事業として新設をしていただくことを今お願いしているものでございます。また、それに伴いまして、地方交付税措置につきましても、これまでの鉄道のいわゆる補助金に対する交付税措置に比べて、この社会資本整備総合交付金の交付税措置が非常に高くなるということで、こちらの方は、予算をお認めいただきまして、更に地方自治体の負担軽減に努めていきたいと考えております。

高橋(千)委員 ですから、新しい予算組みはつくっても、丸が足りないよと言っております。それから、運賃補助とかそうしたものには使えませんので、やはりまだまだ限界があるし、手持ちのカードができたというふうにはならないと指摘をしておきたいと思います。

 それで、交通経済学の宇都宮浄人関西大学教授は、「鉄道は社会資本であり、極めて公益性の高いインフラです。しかし、日本の鉄道は鉄道事業法によって法律上、民間企業が全てを独立採算で賄うのが原則。赤字は事業として失敗で、ときに無駄遣いなどと批判されます。このような考え方をするのは先進国では日本ぐらいです」と指摘しています。アエラの二〇二二年三月二十一日号。

 だけれども、国交省だって多分それは分かっていると思うんですね。元国交事務次官で運輸総合研究所会長の宿利正史氏は、読売の二〇二二年十月十五日付で、世界中で鉄道をインフラとして法律で位置づけていないのは日本くらいではないかと指摘しています。やはり分かっていると思うんですよね。

 なので、私たちの提言は、JR北海道などの三島会社はやはり今まで以上に国の支援が必要だということと、やはり本州の三社についてしっかり、黒字であるんだから存続すべきだ、その上で、道路などと同じように公共インフラとして鉄道は国が責任を持つべきだと。

 今提案されている再構築の中には上下分離というのもありますけれども、それは自治体にやらせようというものであって、そうではなく、国が全体として保有する形での上下分離を検討するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 鉄道の運営の形態につきましては、国によって、人口密度や都市構造、国と地方政府の関係等が異なることから、様々な形態が選択されております。

 御指摘の、国が保有する形態につきましては、我が国においても、全国的な高速鉄道ネットワークを形成する整備新幹線は、鉄道運輸機構が建設、保有し、JRが運営を行う上下分離方式が取られております。

 一方で、地域公共交通を担うローカル鉄道については、上下分離方式を採用する場合、鉄道施設を地方自治体等が保有する形態が一般的でございます。

 この場合においても、国からの安全対策を始めとする補助金について、補助率のかさ上げにより地方負担の軽減を図っておりますが、今般、社会資本整備総合交付金を活用するとともに、地方交付税措置を拡充するなど、地方負担の更なる軽減を図ってまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 時間が来たので、一言で終わります。

 今、大臣がおっしゃったように、整備新幹線においては既に、機構ではあるけれども、国が支援する、バックアップする形で上下分離をやっているわけですよ。ローカル鉄道を切り離すではなくて、既に、本当は、そういうスキームになっているわけですから、きちっとそこに向かっていくべきではないか、このように提案をいたしまして、質問を終わります。

木原委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日は三月十日で、私の住んでいる水戸の日でありまして、柿沢未途さんの日でもあるんですけれども、その前に、未明に東京大空襲が起きた日でもありまして、この国会、安保三文書の関連の審議が一番の山かと思いますけれども、私も予算委員会で立たせていただきましたけれども、いま一つ中身が薄いような思いがしております。

 大臣の所信表明でも、海上保安能力の強化とか経済安全保障には述べておりますが、そのこと以外で、先ほどの高橋さん、鉄道のことを言いましたけれども、また、やはり斉藤鉄ちゃん、鉄夫大臣に、鉄道の安全保障の位置づけについて今日は議論させていただきたいと思います。

 安保三文書の中で、国家安全保障戦略で、例えば、「自衛隊の弾薬・燃料等の輸送・保管について、関係省庁との連携を強化し、更なる円滑化のための措置を講ずる。」とか、そうしたことが国家防衛戦略で書かれております。

 資料を御覧になっていただきまして、よくテレビでも見ますけれども、ロシアとウクライナの戦争において、ロシアにとってもウクライナにとっても、ここの絵にあるように、鉄道による輸送が大変大きな位置づけを占めております。

 その裏、御覧になっていただきますと、日本は、伝統的に北海道に多くの弾薬とか装備を置いている一方、西南方面での安全保障の脅威にも対応しなきゃならないということで、いざというときに備えたときには、北海道にある様々な装備や人員を九州とかそっちの方の、沖縄の方面に移動する、そうしたことも必要となってくる、そうした地政学上の条件があります。

 そうした中で、まず防衛省、政務官にいらしていただいておりますけれども、国家安全保障上、有事の際の鉄道輸送をどう位置づけているかについてまず御答弁をお願いいたします。

小野田大臣政務官 有事に際しては、全国各地に配備されている部隊を必要な地域に迅速に機動展開できるようにしていくことが重要であり、こうした輸送に当たっては、自衛隊の輸送力だけでなく、民間輸送力を活用することが想定されます。

 そのうち、鉄道輸送でございますけれども、北海道から九州まで多種多様な装備品、補給品等の大量輸送が可能であり、自衛隊にとって重要な輸送手段の一つになると考えております。

 今般策定された国家防衛戦略においては、必要な部隊を迅速に機動展開するため、民間輸送力を最大限活用することとされているところでございまして、鉄道輸送の活用に関しても、国交省や鉄道会社と連携をしながら検討してまいりたいと思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 重要な輸送手段の一つということなんですけれども、では、果たして実際に現実的かというと、いろいろな問題があります。技術的な問題もあれば法律上の問題もございます。

 資料の三ページ目なんですけれども、自衛隊法の百一条二項に、防衛大臣は、自衛隊の任務遂行上特に必要と認める場合には、海上保安庁等に対して協力を求めることができる。この場合において、海上保安庁等は、特別の事情のない限り、応じなければならないとなっているんです。

 この海上保安庁等というのは何かというと、ここに、百一条に、旅客鉄道、日本貨物旅客鉄道に関する法律一条三項に規定する会社で、この会社というのは、JR北海道、JR四国、JR貨物、つまり、完全民営化していない三社だけです。それ以外の肝腎の東海とかJR東日本については、附則で、当分の間、新会社とするという経過措置で置かれているわけですから、永続的じゃないんですね。しかも、例えば、先ほどありましたけれども、新幹線に伴って第三セクター化した青い森鉄道、昔の東北本線などは対象外になってしまうという問題があります。

 ほかに事態対処法とか、ほかにも法律はつけておりますけれども、これは指定公共機関が担うこととされていますが、指定公共機関、全部のJR各社は入りますが、それ以外に入るのは一種鉄道事業者、つまり上下一体の会社だけでありまして、上下分離する場合は事態対処法等の対象になりません。

 そういう認識で、防衛省、よろしいでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 自衛隊が鉄道輸送を利用するに当たりましては、基本的に、各鉄道会社との民事上の契約に基づき輸送をしていただくことをまず考えているところでございます。

 その上で、先ほど先生からもお話がございましたが、自衛隊法第百一条第二項に基づきまして、自衛隊の任務遂行上特に必要がある場合には、JR各社に対し、有事、平時を問わず、通じて協力を求めることができるところでございます。

 一方、JR以外の鉄道事業者に対しましては、防衛出動時におきまして、自衛隊法第百三条二項に基づきまして業務従事命令を出すことができるところでございます。

 いずれにいたしましても、防衛省といたしましては、各種事態において自衛隊が人員や物資の輸送を円滑に行うためには、平素から鉄道会社を含む民間輸送力との連携を図ることが重要であると考えておりまして、国交省や鉄道会社と連携しながら検討してまいりたいと考えております。

福島委員 ありがとうございます。

 時間が短いので手短にお願いしたいんですけれども、JR以外の会社は防衛出動時なんですね。実際、防衛出動というのは攻撃された後です。その前の準備で武器や人員を輸送する場合には民事上の契約しかなくて、法的な位置づけがないんじゃないですか。イエス、ノーでお答えください。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 JR以外の鉄道事業者に関しましては、防衛出動時以外につきましては、先ほど申し上げましたように、民事上の契約ということに相なります。(福島委員「ありがとうございます。そうなんですね」と呼ぶ)

木原委員長 指してからでお願いします。

 福島君。

福島委員 済みません。

 そうなんですね。仮にこれを拒んだ場合は、何か鉄道事業法とか鉄道営業法上できる規定というのはあるんでしょうか。

上原政府参考人 お答えいたします。

 鉄道事業法上のこの位置づけといたしましては、防衛に関して何か特別の規定を置いているということはございません。

福島委員 そうなんですよ。昨年の七月の今後の鉄道物流の在り方に関する検討会では、防衛省からもヒアリングをして、ここの中には、自衛隊の物資輸送については、関係者による定期的な意見交換や輸送シミュレーションの実施、輸送実績の積み上げ、技術的課題の整理などにより、平時から備えを進めることが重要であると書いてあるんですけれども、これは技術的課題だけじゃなくて、法的な問題も私はきちんと整理しなきゃならないと思います。

 いざ有事になったときに、例えば既存のダイヤを移してでも優先的に運んでもらうとか、いろいろな私は法律上の論点があると思っておりまして、そうした法的な論点、検討すべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 有事の際の自衛隊員や装備品の輸送は重要であり、国土交通省としても、制度だけではなく、実体面でも防衛省及びJR各社や関係事業者と連携し、しっかり対応してまいりたいと考えます。

福島委員 是非、技術的な面も当然なんですけれども、制度的な面も検討していただければと思います。

 もう一つは、インフラ整備の在り方なんですけれども、昨年の十月二十八日の国土交通委員会の一般質疑でも、鉄道輸送のところで、東日本大震災のときに、日本海側を迂回して横浜から東北までガソリンを運んだということを紹介いたしました。

 これは地震の災害でありますけれども、有事の際も同じだと思うんですね。太平洋側が攻撃されたら日本海側を通らなきゃならないし、日本海側が攻撃されたら太平洋側を通らなきゃならないし、重要なところが攻撃されたら、それのバックアップになる線路が必要であろうし、あるいは、日本海側の方が緊張する海ですから、太平洋側から補給したものを、日本列島を横断して日本海側に届けなければならないというような、様々なルートが必要なんですが、特に多くの日本列島を横断する線は、先ほど高橋委員の質問でもあった、非常に存続が厳しいものになってしまっております。

 私は、先ほどもありましたけれども、民間だけの観点ではない、まさにこうしたようなのは外部経済なんですね。経済では成り立たないけれども大きな価値があるものでありますから、例えば、線路だけは国有にしてもいいと思うんですよ。

 陸羽東線、陸羽西線というのを地震のときに使おうと思ったら、勾配がきつくて使えなかったんですね。こうしたところは貨物列車が通るように基盤改良するなんというのは、JRに任せていてはできません。でも、日本海側と太平洋側をつなぐ重要なルートだとするのであれば、そこを上下分離して国有化するとか、今度、建設国債も安全保障に使えるようになるんだとしたら、建設国債を財源にしてやるとか。

 今、整備新幹線ばかりを国が議論しておりますが、有事をにらんだ、貨物輸送も含めた鉄道網の整備計画というのは、これは国が主導的に作って、そこには国費も投入していく必要があると思いますけれども、大臣、いかがお考えでございますでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 議員御指摘のとおり、鉄道は、全国ネットワークとして地域間交流など社会経済を支えるとともに、物流面でも、災害時の物資輸送を含め、重要な役割を担っています。

 昨年、国土交通省において開催した地域モビリティ検討会では、特急列車や貨物列車が現に走行している線区、災害時や有事において貨物列車が運行する蓋然性が高い線区については、引き続き、鉄道の維持を図っていくことが強く期待される、こういうふうに提言されております。

 ローカル鉄道の再構築に関する新たな制度の運用に当たっては、これらの考え方を地域公共交通活性化再生法に基づく基本方針に盛り込み、御指摘の国土政策、安全保障の観点を含めて対応していかなければならないと考えます。

福島委員 ありがとうございます。

 是非、今議論している国土形成計画の中でもそうした点を盛り込んでいただければと思います。

 次に、ちょっと毛色の違う建設キャリアアップシステム、いわゆるCCUSについてお聞きしたいと思います。

 というのは、大臣が所信で、今回、所管分野における担い手の確保や生産性の向上に向けて、技能労働者の処遇改善につなげるとともに、建設キャリアアップシステムの普及、活用等を進めてまいりますとおっしゃっています。

 今、三百九万の建設業技能者数のうち、百九万人がこのCCUSに登録して、二〇一九年四月から運用を開始して四年になります。私は建設職人基本法超党派フォローアップ推進会議で活動しておりまして、櫻田先生が幹事長でありますので、様々な御指導をいただいてこの議論をしてまいりました。

 私も、最初はよく分からない、何でこれが嫌われるのか分からなかったんですけれども、私の地元の仲間で、電気工事屋さんとか板金屋さん、塗装屋さん、造園屋さん、家族経営の大工さんとかいろいろな人がいるので、飲みながら生の声を聞いていたら、いい声は全くないんですよ。霞が関の政策としてこれほど評判の悪い政策はないなと思ったんですね、失礼ながら。一生懸命やっているのは分かるんですよ。

 そもそも、プロである自分たちが、よく分からない人たちに評価されることが不愉快という職人魂みたいなものも根っこにあるでしょう。でも、一番多いのが、いろいろコストがかかったり、面倒くさい割には、職人にとって、待遇改善や元請の交渉力の確保などにつながるなどのメリットがないというものなんですよ。

 結局、この制度、職人のためと言っていながら、元請は公共事業の発注のときに、これだけ職人を使うからと単価のつり上げに使っているんだけれども、その下請、孫請の職人には負担だけ増えて何のいいこともないじゃないか。結局、これは典型的な霞が関のお役人の机上の論理で、現場の実態が分かっていないんじゃないかなというような声が本当に続々出てきます。大臣、そうした声をきちんと御存じでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 建設キャリアアップシステムについて、いろいろな現場のお声があることは私もよく存じ上げております。また、業界団体からもお話を伺っているところでございます。

 しかし、一つ一つの現場で築き上げてきた自分の経験をキャリアとしてカウントし、そしてそれを待遇改善に結びつけていこうという試みは、私は間違っていないと思います。

 そして、現に、もうここ五年やってまいりまして、レベル四の評価を受けている技能者は、平均賃金が、レベル一から三の技能者の平均と比べて、昨年度は一三・九%高かったのですが、今年度は一四・七%高くなるなど、相対的にキャリアが待遇の改善に結びついてきているというデータも出つつございます。

 是非、温かい目で見ていただいて、育てていただきたいと思います。

福島委員 大臣は理系でいらっしゃいますので、統計的な考えもできると思いますし、私自身も調査統計部というところから役人のキャリアをスタートさせているので、そういう統計的な分析というのは私も比較的得意な方なんですけれども、今の数字、多分、事務方から渡されたんだろうけれども、私はそれは全然違うと思うんですよ。だって、一三・何かが一四・何かというのは、統計上有意な数字かも分からないし、ごくごく僅かであって、元々技能が高い人が賃金が上がるのは、今、技能労働者が需要が逼迫している中では当たり前なんですよ。

 だから、そういう答弁を渡されたことを、うのみにしちゃ駄目だと思うんです。我々政治家は、まず現場の声に虚心坦懐に傾けなければならない。役人では分からないことであっても、我々の方が多くの人に接するわけだから、分かることがあるんですね。その勘を持ってやったら、私はそう今思っているんです。みんなこれだけ言っているんだから、きっと現場ではメリットは本当に実感されていないんだなと思うんです。

 ただ、私は、だからといって、この仕組みを国土交通省が悪意を持ってやっているとは思わないんです。やはり、建設技能者の需給が逼迫して、しかも、多くが低賃金にあえいでいるという現状にあって、それを何とかしなきゃならないということと、あるいは、元請と下請の関係を透明化しなきゃならないとか、いろいろな思惑でやっているんでしょうけれども、えてして霞が関のやることというのは、机上の空論、政策としては美しいけれども意味を持たないということもあるんですね。

 ですから、だから駄目だと私は申し上げるつもりはありません。今みたいな大臣の分析をするんじゃなくて、詳細に分析した方がいいと思います。五年目に入ったわけでありますから、この間、本当に賃金が上がっているのか上がっていないのか、現場の取引慣行がどう変わったのか、下請や孫請にとって、親の元請に対してどのような交渉力の差があったのかというのは、実際、大臣が声を聞いていらっしゃってもいいと思うんですよ。

 それをきちんと聞いた上で、でも、それでも私は、建設の職人さんの処遇改善というのは必要だと思います。だから、これは建設キャリアアップシステムだけでは恐らくできないんですよ。様々な取引慣行の問題もあるでしょう。独占禁止法とか下請法の運用の問題もあるかもしれない。様々な政策を総合的に講じた上で建設技能者の処遇の改善を図っていく道をつくっていくのが、私は科学的な政策の立案の在り方だと思うんです。

 ですから、私が今日、大臣に是非お願いしたいのは、役所の都合のいい統計データを足し合わせるだけ、国土交通省はそもそも統計をまともに作れない役所ですから、これまで行政にも、そんな統計データを使った行政はやっていないように思うんですよ。だからこそ、きちんと科学的に数値でもって、具体的なファクトでもって、CCUSの効果がありなしを分析していただいて、もう一度、建設職人の待遇を改善するための、CCUSだけではない、総合的な政策を講じていただきたいと思うんですけれども、大臣の御見解はいかがでしょうか。

斉藤(鉄)国務大臣 このキャリアアップシステム、まだ五年ということで、統計的な有意な信頼性の高い結果を得るのにまだ数字が少ない、時間が短いというところは確かに委員おっしゃるとおりでございます。そのことも含めて、しかし、このキャリアアップシステムがこういうふうに効果があるんだということもしっかり検証しながら、次の政策を進めていかなくてはなりません。本当に、どういう評価方法がいいのかということについてもちょっと考えさせていただきたいと思います。

 そして、基本的には、このキャリアアップシステムがいわゆる技能者の処遇改善に結びついていくよう、専門工事業の団体も一生懸命取り組んでいただいております。普及啓発も含めて、しっかり定着するように頑張りたいと思います。

福島委員 ありがとうございます。

 今もCCUS評価制度懇談会というのがありますけれども、でも、やや、やはりまだ現場からも離れているように思うんです。是非、現場の直接の声、大臣も地元、広島でいろいろな方がいらっしゃると思いますから、その方の声も聞いていただきたいと思いますし、役所というのはどうしても無謬性で、自分たちのやったのが正しいと思いがちですから、それに陥ることなく、客観的なデータをもって、思いは一つ、目的は技能者の処遇を改善するということなわけですから、その政策をつくっていくための検討の場をつくっていただきますことをお願い申し上げまして、私からの質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

木原委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の竈門炭治郎、たがや亮と申します。

 今日は、国交省所管の事業者にまとわりつくインボイスという鬼を鬼滅のやいばで退治できるよう頑張ります。

 斉藤大臣、予算委員会、お疲れさまでした。大臣はやはりすばらしい方だと思いました。予算委員会の答弁の際、小走りで答弁に向かったり、マスクを素早く外してやや早口で答弁を短くするなど、大臣の中で最も質疑者に対して配慮のある方だと感服いたしました。その人柄を象徴するような今回の大臣所信を踏まえて、質問に入りたいと思います。

 大臣は、所信の中で、我が国が抱える様々な問題に対して、国民の皆様と丁寧かつ誠実に対話し、小さな声一つ一つをよく聞き、真摯に受け止めるとおっしゃっているので、本日は私の話も是非受け止めていただきたいと思います。

 大臣の重点的に取り組む最初の柱の中で、国土強靱化について、インフラの維持管理、更新を計画的に進めるということで、その一環として担い手の確保について言及されていました。この場合の担い手としては、会社に属していないいわゆる一人親方も含まれていると思いますが、インボイス導入が国交省所管の各業界にどのような影響を及ぼすのか、まずは大臣の認識を伺います。

 また、全国に一人親方と呼ばれる労務者は五、六十万人いるとのことですが、そのうち消費税の免税事業者は全体の何%でしょうか。お伺いします。

斉藤(鉄)国務大臣 まず、前段のインボイスの導入についての見解でございますが、インボイス制度の導入に当たり、国土交通省所管の業界においても、他の業界と同様、中小・小規模事業者への影響や懸念として、一つに、免税事業者のままでいた場合に取引から排除されるのではないか、二つ目に、課税事業者になったとしても価格転嫁ができない、又は新たな事務負担が生じるのではないか、三番目に、制度が複雑でよく分からないといった御心配の声があることは承知しております。

 国土交通省としましては、中小・小規模事業者が多い業界を所管していることを踏まえ、それぞれの事業者のインボイスへの対応が円滑に進むよう、引き続き、関係省庁と連携しながら取り組んでまいります。

 後段の、いわゆる免税事業者が占める割合でございますけれども、建設業の一人親方の中で免税事業者が占める割合について、国土交通省としては把握しておりません。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 大臣の認識、ありがとうございました。そして、数が認識できていないというのは、国交省だけじゃなくて、これは財務省の方に聞いても、数が分からない、把握できないということなんですね、インボイスに関して。

 ということは、どの事業者がどれくらい影響を受けるかというのが分からない状況でインボイスが導入されようとしております。そして、一人親方の多くが、二十五年以上のデフレにコロナまでやってきて、さらに、物価高騰による資材仕入れ額の激増、七月にも始まるコロナ融資の返済により、ただでさえ事業者が瀕死の状態です。

 そこで、建設業の実態を少し紹介したいと思います。

 ダイヤモンドオンラインに掲載された帝国データバンクの情報取材課長の記事によると、二〇二二年の建設業者の倒産は千二百四件を数え、前年を一二・九%上回り、二〇〇八年以来十四年ぶりの前年比増加。新型コロナウイルス感染拡大により設備投資を控える傾向が得意先に広がった上、有資格者の退職が相次いだことが影響し、倒産。資材価格の高騰も重なり、同業者との競争も激しく、価格転嫁もままならない中、事業の継続を断念。従業員の退職からマンパワー不足に陥り、受注対応力が低下。売上げも減少傾向をたどる中、コロナ関連融資の活用でしのいでいたものの、支え切れず倒産。人手不足倒産に占める従業員退職型の割合は四割を超え、業種別に見ると、人手不足倒産に占める割合が最も高いのは建設業で五〇%と半数を占めました。これが現状です。

 これに更に追い打ちをかけるのが、十月の一日に導入を予定しているインボイス制度です。これを引き金に、一人親方が相当数廃業を余儀なくされるとの見方が出ています。インボイス制度により、今まで免税事業者だった方が更なる不利益を被るおそれがあるからです。

 大臣は、公共工事設計労務単価を前年度五・二%引き上げるとのことですが、これを鑑みても、インボイス制度導入で一人親方に対する実質の増税となり、窮地に立たされます。つまり、インボイス制度の導入により、年間売上げ一千万円以下の一人親方はインボイス事業者となり、売上げの対価分の消費税を支払うか、若しくは免税事業者として残るかの二択になるのですが、前者の場合、一人親方は実質の収入減で廃業、後者の場合は、元請消費税相当の扱いについて転嫁を押しつけられるか、契約を打ち切られることが予想され、結局、一人親方は廃業の危機に瀕しています。

 そこで、お伺いします。インボイス制度に登録しても登録しなくても廃業せざるを得ない一人親方について、この状況を大臣はどう打開するのでしょうか。お聞かせください。

斉藤(鉄)国務大臣 建設業は社会資本整備の担い手、地域の守り手でございます。防災・減災、国土強靱化を確実に推進するために重要な役割を担っております。そのため、処遇改善や働き方改革を推進することで、若手の入職を促進し、将来の担い手の確保、育成を図ることが重要であると認識しております。

 インボイス制度の導入に当たりましては、一人親方や中小・小規模事業者の方々が不当な取扱いを受けないよう、関係省庁で連携しながら、事業者の取引環境を整備することが重要であると考えております。

 国土交通省といたしましては、自己の取引上の地位を不当に利用した行為などに十分留意すること、それから、建設業法違反が疑われる行為については、各地方整備局等に設置された駆け込みホットラインを活用することなどについて、建設業団体に対し周知しているところでございます。

 また、担い手の確保、育成に向けましては、処遇改善に向けた取組、例えば、賃金水準の引上げ、キャリアアップシステムの普及促進、また、働き方改革という意味では、週休二日制の実現などができるような工期の適正化、また、生産性を向上させるためのICT活用、インフラのDXなどに取り組んでおります。

 特に、賃金水準の引上げについては、先ほど言及いただきました、本年三月に適用される公共工事設計労務単価が前年度比プラス五・二%としたところでございます。

 今後、この流れが地方公共団体や民間の工事にも広がり、現場の技能労働者に行き渡ることで、更なる賃金水準の上昇につながる好循環が持続できるよう、官民一体となった取組の一層の推進に努めてまいりたいと思います。

たがや委員 大臣、ありがとうございます。

 様々な対応を考えられているようなんですが、大臣所信において、国土強靱化のために担い手の確保とおっしゃっていたので、その流れに逆行するおそれのあるインボイス導入は慎重に検討いただいて、制度の見直し、延期も含めた提案を国交省として積極的に政府に呼びかけていただけるようまず要望します。よろしくお願いします。

 次の質問に参ります。

 国交省の所管する事業者で、同様に、不動産売買では、転売については特例措置が施されているようですが、転売せずに事務所やレストラン、シェアハウス、民泊に利用する場合、新たに消費税の負担による不利益が発生しますが、大臣の御見解をお聞かせください。

 また、このような転売以外のケースに対して、新たな特例制度が必要と思いますが、政府は何か対応を考えているのでしょうか。お答えください。

斉藤(鉄)国務大臣 不動産業につきましては、宅地建物取引業者が、個人の方など、インボイス発行事業者でない者から建物を購入して転売するといった場合には、インボイスなしでも当該宅地建物取引業者は仕入れ税額控除の適用が受けられると承知しております。一定の制度的な措置が講じられていると考えております。

 国土交通省といたしましては、インボイスが導入された後も円滑な不動産取引が行われることは重要と考えておりまして、今後とも、業界団体等を通じて、現場の実態や意見等を丁寧にお聞きしてまいりたいと思います。

たがや委員 もう時間がないので終わりますけれども、転売することだけが特例措置を受けられるというのは、これは不思議なんですよね。しっかりと様々なものに対応していかないと、税の平等性と言っているので、そこはちょっとおかしな話になると思います。

 こんなケース、最後に一つだけ。レストラン、シェアハウスなどの目的で買い取る課税事業者が相当数予想される中で、個人から物件を購入する際、買手の課税事業者が、個人の売主に対して、会社法人格を取らせるケースが予想されます。どういうことかというと、スタートアップ企業は二年間消費税が猶予されるため、その制度を利用して、売主である個人に対して会社法人格をそのときだけ取らせるということです。そういうことをしていると、更に平等性も何もなくなってしまうと思うので、制度として欠陥だらけと言わざるを得ません。

 そもそも、インボイスの導入の大義は、税の公平性の担保、複数税率による適正な納税と言っていましたが、二月十日の私の内閣委員会の質疑で、財務省は、消費税は預かり税ではない、益税も存在しないと明確に答えたので、インボイス導入の大義はありません。国交省として、インボイスの大義を政府に改めて説明責任を果たしていただけるよう強く要望します。

 最後に、政治は生活である、国民の生活が第一、これを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

木原委員長 次回は、来る十五日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時五十九分散会


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