衆議院

メインへスキップ



第2号 令和7年3月14日(金曜日)

会議録本文へ
令和七年三月十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 井上 貴博君

   理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君

   理事 中谷 真一君 理事 城井  崇君

   理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君

   理事 奥下 剛光君 理事 西岡 秀子君

      石橋林太郎君    大西 洋平君

      梶山 弘志君    加藤 竜祥君

      金子 恭之君    工藤 彰三君

      国定 勇人君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    高見 康裕君

      田所 嘉徳君    谷  公一君

      津島  淳君    土田  慎君

      土屋 品子君    永岡 桂子君

      西田 昭二君    平井 卓也君

      三反園 訓君    若山 慎司君

      阿久津幸彦君    尾辻かな子君

      小宮山泰子君    下条 みつ君

      白石 洋一君    宗野  創君

      高松 智之君    津村 啓介君

      長友よしひろ君    伴野  豊君

      松田  功君    馬淵 澄夫君

      山岸 一生君    阿部 弘樹君

      井上 英孝君    徳安 淳子君

      鳩山紀一郎君    古川 元久君

      赤羽 一嘉君    中川 康洋君

      吉田 宣弘君    上村 英明君

      たがや 亮君    堀川あきこ君

      吉良 州司君    福島 伸享君

    …………………………………

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   国土交通副大臣      古川  康君

   国土交通副大臣      高橋 克法君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   国土交通大臣政務官    高見 康裕君

   国土交通大臣政務官    吉井  章君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  門前 浩司君

   政府参考人

   (内閣官房水循環政策本部事務局長)        齋藤 博之君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            柳瀬  護君

   政府参考人

   (文化庁審議官)     小林万里子君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           尾田  進君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通政策審議官)     池光  崇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            塩見 英之君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        平田  研君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  内田 欽也君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  山本  巧君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  五十嵐徹人君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  宮武 宜史君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  稲田 雅裕君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   政府参考人

   (観光庁次長)      平嶋 隆司君

   政府参考人

   (気象庁長官)      野村 竜一君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房施設監) 茂籠 勇人君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 井上 主勇君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  金子 恭之君     平井 卓也君

  小寺 裕雄君     津島  淳君

  小森 卓郎君     土田  慎君

  谷  公一君     若山 慎司君

  土屋 品子君     永岡 桂子君

  谷田川 元君     山岸 一生君

  中川 康洋君     吉田 宣弘君

  たがや 亮君     上村 英明君

  福島 伸享君     吉良 州司君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     小寺 裕雄君

  土田  慎君     小森 卓郎君

  永岡 桂子君     土屋 品子君

  平井 卓也君     金子 恭之君

  若山 慎司君     谷  公一君

  山岸 一生君     高松 智之君

  吉田 宣弘君     中川 康洋君

  上村 英明君     たがや 亮君

  吉良 州司君     福島 伸享君

同日

 辞任         補欠選任

  高松 智之君     宗野  創君

同日

 辞任         補欠選任

  宗野  創君     谷田川 元君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件

 半島振興法の一部を改正する法律案起草の件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房長村田茂樹君外二十三名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。

小宮山委員 立憲民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、大臣所信に対する質疑をさせていただきます。

 まず最初に、八潮市道路陥没事故への対応と老朽化インフラの災害について質問をしていきたいと思います。

 昨年四月から水道行政が国土交通省に移管され、上下水道一体での整備、管理が始まっています。昨年の能登半島地震のときには、移管される前ですけれども、国交省の職員の皆様、しっかりと前職の方々や地元とともに活動しているとも聞いております。国交省での移管されたその効果というのが出てくることを願ってやみません。

 また、昨年の夏には新たに水循環基本計画が、閣議決定が八月三十日にされております。おおむね五年ごとに見直すこととしていた水循環基本計画は、令和六年能登半島地震の発生、水道行政の移管、気候変動の影響の顕在化など、近年の水循環をめぐる情勢の変化等を踏まえて、約一年前倒しでの決定が行われております。

 今後、水道、下水道行政はどのように取り組んでいかれるのか、主管官庁である国土交通省には、全国からも注目と期待が寄せられているという状況です。

 本年一月二十八日には、埼玉県八潮市内にて、下水道管路の破損などに起因すると推測されます大規模な道路陥没事故が発生し、運転手さん共々トラックが転落し、一か月半たった現在も発見、救出に至っておりません。改めて、一刻も早いドライバーの救出がされることを願ってやみません。そして、これに伴い、実に百二十万人もの下水道流域住民の皆様に、下水道利用の相当程度の自粛を要請せざるを得なくなるなど、市民生活、事業活動に多大な影響を及ぼす事態が発生いたしました。

 今週十一日は東日本大震災発災から十四年、また、本年は阪神・淡路大震災から三十年を迎えた年で、災害大国とも言われる、また地震の活動期にも入ったと言われる日本、これは、津波や豪雨、豪雪、台風、火災、火山活動を始め、これまで経験したことがない様々な災害から、いつ起こるとも分からない将来の災害への対応を怠らないようにという、そういった戒めでもあると思っています。

 改めて、被災された皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げます。また、私たちは、皆様のことを胸に刻みつつ、忘れないことで、命を守る政治の責任を果たしていきたいと思います。

 昭和期、高度経済期に整備を進められてきた社会インフラの老朽化に起因する事故が発生しました。これは新たに老朽化インフラ災害と分類すべきものです。この老朽化インフラ災害防止への取組を強化したくても、財源や技術的課題など、地方自治体だけではままならないという現実が突きつけられたのも、今回の八潮市の道路陥没インフラ災害ではないでしょうか。

 立憲民主党では、国土交通部門の下に道路陥没事故対策のワーキングチームを設けております。先日は、水問題ジャーナリストでもある橋本淳司さんから、下水道整備が早い時期から進められてきた地域として、東の埼玉、西の大阪というお話を聞きました。早い時期から整備が進んだ地域であるからこそ、整備後四十年以上が経過し、老朽化した管路の多くがある地域、その代表格が埼玉であり、また、寝屋川流域での事業実績を基に先進的に拡大してきた大阪であるということが伝えられました。

 私の父も国会議員として下水道の有意性に注目し、整備推進に熱心に取り組んでいた議員でもあります。当時は、家庭で使う洗剤など、生活排水は、下水道が敷設できる都市部も、過疎や農村部など、そういったところでも同じように、水質や土壌を汚すのは同じだから、下水道整備が先進国として環境を守るためにも重要だと聞かされて育ちました。その関係で、父は「下水道読本」など二冊ほど書籍も作らせていただいております。

 しかし、時代は進み、合併浄化槽や環境に優しい洗剤など様々開発され、また技術も向上し、下水道の在り方も見直すことが可能となっています。娘の時代に入り、これらを見直すということは、次世代につなげるためにも、政治の責任だと思っております。

 このような理念の下、私自身も、埼玉県議会議員の頃から、老朽化インフラの長寿命化を、国会議員になってからも、この国土交通委員会を始め、審議の機会を捉えては訴え続けております。社会インフラについて、拡大ばかりの新設、延長から、改修、更新、更生、長寿命化へと軸足を移していく時期であると、改めて八潮市の事例で更に確信を深めているところであります。

 中野洋昌国土交通大臣は、二月十五日、埼玉県八潮市内の道路陥没事故現場視察とともに、埼玉県から道路陥没関連の要望を聞いていただいております。二月には、私も、その直後ですが、衆議院予算委員会での初めての省庁別審議の下に、一部質問させていただきました。大臣からも力強い答弁も頂戴いたしました。その後、二月二十日には大野埼玉県知事から、更に深掘りした項目を加えた形で、要望が政府、石破総理にも届けられております。

 まず、これら老朽化インフラ災害の現場となった埼玉からの政府、国土交通省への要望の内容について確認していきたいと思いますが、現場には実際今も近づけず、見ることができない。直接御覧になった大臣から、まずは、八潮市道路陥没の現場を訪問されての大臣の感想をお伺いいたします。

中野国務大臣 小宮山委員にお答え申し上げます。

 お父様も下水道の整備に大変尽力をされたということで、大変心から敬意を表する次第でございます。

 私も、二月十五日、現地に行ってまいりました。改めて、事故に巻き込まれた運転手の方の一日も早い救助を願うとともに、現地では、救助や復旧活動、本当に大変多くの方、従事をされていただいております。心から敬意を申し上げたいと思います。

 私も現場に行って、やはり市役所にも非常に近いところでもあります。大変、元々は交通量も多い交差点だとも聞いております。住宅も非常に近くて、やはり、あそこの上流で約百二十万人近い方、一時期、下水道の使用の自粛の要請も地元でされていたということもありまして、ああした大変多くの方に影響を与えるところで、こうした大規模な陥没事故が起きたということを、改めて重く受け止めているところであります。

 この救助や復旧に向けて、関係者の持てる力を結集をして、やはり総力を挙げて取り組んでいかないといけないというふうに、改めて思いを新たにしたところでもございます。

 引き続き、埼玉県、御地元を始め、関係機関と連携をいたしまして、一日も早い救助そして応急復旧に向けまして、全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

小宮山委員 ありがとうございます。

 現場の方からは、まだまだ様々な課題というのが明確になってきておりますので、その点も是非お聞きいただければと思います。

 大臣は、予算委員会の答弁の中で、必要な技術的、財政的支援を行い、強靱で持続可能な下水道システムの構築に全力で取り組みたい旨答弁していただいています。埼玉県に対しても、技術的な支援を継続し、財政的な支援についても検討する旨答えていただいています。

 埼玉県から政府に対して、災害救助法の適用に伴う避難所の設置のほか、法に基づく災害救助費負担金などの国による財政支援、影響を受けた事業者の支援に係る費用についての財政支援、今回の応急復旧及び本復旧に際し、関係地方自治体の負担も多大になることから、一般会計の負担が生じる場合は、地方交付税による財政措置など、地方公共団体及び住民負担の軽減が求められております。

 埼玉県からの財政支援要請に対する政府の対応について、国土交通省の所管に関して御答弁をお願いいたします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 国土交通省の所管に関してということで御質問をいただきました。

 確かに、要望書の中身を拝見しますと、他省庁の関連のところもかなりございますので、国交省の関連でということでお答え申し上げます。

 先日の予算委員会では、技術的又は財政的に、支援についてしっかり行ってまいりますということで答弁をさせていただきました。

 例えば、今やっている支援ということで御紹介させていただきますと、今、救助そして下水道の応急復旧、これについて、速やかに進むようにということで、専門家による技術的助言というのは現在行っているところであります。そして、陥没箇所の水位を低下をさせるということが必要でありますので、これは排水ポンプ車を配備をしております。こうしたことも国土交通省から支援を行わせていただいております。

 そして、復旧に向けてもしっかり支援をしてまいりたいと考えておりまして、埼玉県が今、復旧工法検討に関する有識者委員会を設置をされておられます。ここに国土交通省の職員も参加をさせていただいております。

 復旧工法等の技術的支援についてはしっかり行わせていただきたいと思いますし、財政的支援をどうしていくかということでございます。復旧工事の、これは内容等を踏まえつつということになってこようかと思いますが、御要望いただいている支援につきましても、しっかり支援できるように検討を進めてまいりたい、これを改めて答弁させていただきます。

小宮山委員 是非お願いいたします。恐らく、これから聞きます老朽化インフラに関しての様々な検討が進んでいる中でも、関わってくるところがあると推測しております。

 引き続いて、今後、老朽化した下水道への点検、改修、改築、長寿命化などの取組が重要になると考えますけれども、これらについて、国土交通省での対応はいかがになっているでしょうか。

松原政府参考人 お答えいたします。

 下水道施設の老朽化に対応するため、計画的な施設の更新や長寿命化を着実に実施するため、予防保全型メンテナンスへの転換を加速することが重要であると認識をしております。

 そのため、国土交通省では、点検、調査に関する技術の開発など技術的支援に取り組むとともに、地方公共団体に対し、下水道ストックマネジメント計画の策定を求めた上で、この計画に位置づけられた施設の点検、調査や、その結果に基づく計画的な改築更新などの重要な対策について、財政支援を行っているところです。

 また、今回の事故を踏まえ設置いたしました有識者委員会では、今後の施設の維持更新や再構築と、それらを支える制度の在り方などについて議論いただくこととしており、本年春頃に中間取りまとめ、本年夏頃に最終取りまとめを予定し、議論を進めているところでございます。

 この有識者委員会の議論の結果も踏まえ、強靱で持続可能な下水道の構築に向け、必要な対応についてしっかり検討、実施してまいります。

小宮山委員 引き続いてですけれども、昨年閣議決定の新たな水循環基本計画の中に、上下水道一体のウォーターPPP等による官民連携の推進についても盛り込まれております。

 今回、大野知事は、現在、国が推進しているウォーターPPPについては、インフラの長期にわたる更新にめどがつくまでは慎重に検討していただきたい、また、下水道に対する国の財政的支援については、ウォーターPPPを前提条件としない制度設計を再考いただきたい旨も要請が出ております。

 埼玉県の要請だけではなくて、政令指定都市に指定されておりますさいたま市における、下水道施設における官民連携事業の導入検討についてがあったり、また、同市議会でのウォーターPPPに関しての質疑、答弁からも、PPP制度の課題が指摘をされております。

 ウォーターPPPを推進する上での問題点は、PPPをすること自体が目的化してしまい、後に失敗を招きやすい状況に陥るのではないかという点があります。それぞれの地域の下水道、水道に関わる事業者、中小零細事業者など、技術が継承されないという疑念もあり、今回のような災害が起きた場合、いずれ、日常また災害時においても、対応ができなくなるということが推測されます。

 そこで、PPPで、現場からの懸念される事項三点について伺っていきたいと思います。

 一点目は、地元の中小事業者が受注が困難になるという懸念。そして二点目が、十年間の長期契約で、途中での解約、変更、修正が困難であるという点。三点目は、現在でも職員数が減少し、災害などで復旧対応ができなくなっているのは、能登半島地震で明確になっています。委託することで、自治体職員の技術力、専門的知見の低下を招きかねず、将来的に管路の状態の検証や適切な維持管理ができなくなることも推測できます。

 今回の八潮市の道路陥没事故から、国が推進しているウォーターPPPに関して疑念点、問題点があると私たちは考えています。大臣の御所見も伺います。

中野国務大臣 ウォーターPPPに関する懸念点、委員の方から様々御指摘をいただいたところでございます。私の方から概括的に答弁させていただきます。足らざるところで、もし補足があれば、また事務方にも答弁してもらおうと思います。

 まず、人口減少などに伴いまして、下水道事業を担う職員が減少等する中、ウォーターPPPという制度でございますが、これは、地方公共団体が最終的な責任を持つということは当然前提でございます。その上で、民間の人材、技術力の活用により、下水道施設の維持管理や更新を長期的な観点からは効果的に進められる等のメリットがあると考えておりまして、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であるという認識をしております。

 この導入におきましては、やはり、地域の下水道管理の実情に精通をしている地元の企業というのは、下水道の持続性向上の観点からも重要な存在だと思っておりまして、例えば上下水道分野の官民連携の先行事例におきましては、地元の事業の参画について、発注をするときに地域要件を設けるなどの工夫が行われておりまして、実際に多くの地元企業が先行事例において参画をしているという状況にございます。

 また、職員の技術継承も御指摘がありました。地方公共団体が責任を持って事業を適切に行うためには、官民連携ということにおいても、職員の技術継承をしっかりと行うという必要がございます。

 これも先行事例の例でございますが、地方公共団体と民間事業者などが双方の技術やノウハウの共有を図るための、例えば、研修を共同で行う取組をやっておったりですとか、あるいは、技術の継承に重要な一部の処理区を委託の範囲から除いて、これは地方公共団体が直接事業を行うなど、技術継承のための工夫を、こうした先行事例においてしていただいていると承知をしております。

 こうした地元の企業の参画事例、職員の技術継承の重要性とその事例等々、先進事例をガイドライン等で地方公共団体に周知をすることによりまして、官民連携の推進、持続可能な下水道の構築ということで、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。

小宮山委員 官民連携自体を否定するものではありませんけれども、PPP/PFIアクションプランにおいて、令和九年以降は、PPPに取り組んでいることが事業助成の要件とされており、各地方自治体からすれば、ほぼ義務化されていると捉えられている現状があります。

 今、大臣の話だと、効果的なというか、様々な事例を出していただいて、選択ができるように感じられる部分もあるんですが、この部分というのがしっかり告知もされていないし、変わっていないんじゃないでしょうか。

 災害に強い国づくり、地域づくり、地方創生を掲げるのであれば、ウォーターPPPへの取組に関しては、もっと慎重に、十分に利点と問題点を洗い出していき、懸念される点を払拭できるような仕組み、そして告知というものも必要なのではないかと思います。

 そのためには、まず、PPP採用ありき、PPPを活用していなければ補助事業の対象にならないなど、地方自治体への縛りを外すべきだと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

中野国務大臣 埼玉県からの御要望は承知をしております。

 委員御指摘のとおり、国土交通省におきまして、下水道事業を将来にわたって持続可能なものとするために、令和九年度以降、防災・安全交付金等を活用した下水道管の改築に当たりましては、ウォーターPPPの導入を決定済みであることを交付要件として、ウォーターPPPの導入促進を図っているところでございます。

 今般の事故後に設置をした有識者委員会における、今後、施設の維持更新、また再構築の在り方、まさに議論していただいておりますので、この議論も踏まえまして、地域の実情に即したウォーターPPPの推進が、下水道施設の更新の加速化や下水道事業の持続性の向上につながるようにということで、これはしっかり、埼玉県始め自治体の御意見等を伺いながら、引き続き、よりよい制度づくりというのは検討してまいりたいと思います。

小宮山委員 制度ありきではないんだと思います。何を目的にするか、そこに向かってどうするかというのが必要だと思いますので、是非、真摯に受け止め、また検討の中に、制度ありきではないようにしていただきたいと思います。

 先日、水循環基本法のフォローアップ委員会の皆様方とともに石川県内を訪問し、能登半島地震で被災した上下水道などの状況について視察をしてまいりました。水道の応急復旧を行った際に、早急な、ともかく早く住民のためにと復旧を目指したこともあり、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法、負担法ですね、に基づき公費で行う公共土木施設だけでなく、私有財産部分となる給水管部分も含めて公費で地域の自治体は実施をしたというふうに聞いています。

 後に水道の本復旧をする際には給水管をつなぎ替える工事が生じるんですけれども、この工事は私有財産部分であり、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法などの対象から外れております。

 三十年前、阪神・淡路大震災を契機に被災者生活再建支援法の成立へとつながり、全壊などした家屋の建て替え、すなわち私有財産となるところに公費助成の道は開かれていると考えています。そういう意味においては、水道の復旧の際の工事についても、公費負担についても、また改めて検討していただくことを要望しておきます。

 さて、昨今の激甚化する自然災害に際して、復旧復興の基本は原状復旧ではあるが、人口減少など、地域の状況は、下水道を布設した時代とは同じではありません。公共下水の目的でもある生活排水処理を健全に維持するためには、合併浄化槽への転換も積極的に自治体において整備されるよう、国土交通省においても対応を検討するべきだと思っています。

 この点に関しまして、省庁が替わります。水道と下水、また合併浄化槽は、元々は一つの省庁でやっていたと聞いて、それが分割された。改めて、この点に関して、下水道法改正も、接続義務を外すということも必要かとは思いますけれども、この点につきまして御見解をお聞かせください。

中野国務大臣 下水道から合併浄化槽への転換ということで御質問いただきました。

 確かに、担当省庁がちょっと違うというところはあるんですけれども、しかし、下水道や浄化槽等の汚水処理施設の整備に関しましては、これは地方公共団体が、委員もよく御承知のとおり、各処理方式、それぞれ特性もございますし、経済性もございますので、こうした点を総合的に勘案をして、地域の実情に応じて効率的かつ適正な整備の手法、区域などを定めた都道府県構想を策定をして、整備を進めてまいりました。

 また、能登半島地震からの復旧復興につきましては、例えば珠洲市におきましては、国の直轄調査によりまして、被災地の将来人口動態等を踏まえた汚水処理施設の復旧費用を、これを比較分析を行いまして、浄化槽への転換も含めて、自治体と連携をして今検討しているというところでございます。

 国土交通省としましても、最適な汚水処理方法を選択できるように、経済性を考慮して下水道から浄化槽に転換する場合は、令和七年度の予算案におきまして、下水道管等の撤去等に必要な費用を支援できるようにということもしているところでございます。

 今後も、やはり人口減少等を踏まえますと、持続可能な汚水処理事業ということが大事でございますので、状況の変化に応じた都道府県構想の不断の見直し、これを踏まえた適切な施設の整備がなされるように、地方公共団体や関係の省庁と連携をして、国交省としても取り組んでまいりたいと思います。

小宮山委員 ありがとうございました。

 是非、この点は、人口減少であったり、様々な国土の在り方というものが変わっていますので、制度改正というものはこれから更に進めていくべきだと考えております。

 さて、いつもより時間をいただいたので、ゆっくりやっておりましたら大分時間が過ぎておりますので、ここから、とんとんとんと観光政策について質問していきたいと思います。

 日本政府観光局が公表した二〇二四年、昨年ですね、訪日外国人数の推計値は、コロナ禍前も含めて過去最多を更新し、二〇二五年の予測は四千万人を超えるとされております。旅行消費額については、二〇二三年度ですけれども、訪日外国人旅行においては五・三兆円、国内旅行、海外旅行は除いていますが二十一・九兆円、大変大きな額の産業でもあります。

 観光は、訪れる方には新しい発見や驚き、知識や感動、安らぎや楽しみを与えてくれるものでもあります。町並みや施設、買物など経済的価値だけではなく、最近は、達成感や満足感の高い体験型の観光というものも大変広まっていると聞いています。

 観光立国推進基本法において、二十一世紀における我が国の重要な政策の柱として観光が明確に位置づけられて以来、行政機関において基本的な観光政策が推進され、地域の産業、経済を活性化するものと期待をされております。

 そこで、日本の観光産業にとって、日本の伝統文化の意義について、大臣の認識をお伺いいたします。

中野国務大臣 日本の伝統文化は、やはり古来より大切に受け継がれてきた、まさに我が国の宝であるというふうに私も考えております。

 特に、観光産業におきましては、二〇二四年の訪日外国人旅行者数、消費額が過去最高となるなど、インバウンドが今非常に好調となっておりますけれども、御指摘の、我が国の伝統文化につきましては、このインバウンドからの関心も非常に高いということで、政府目標である二〇三〇年訪日外国人旅行者数六千万人及び旅行消費額十五兆円の達成に向けて、非常に観光資源としても重要であるというふうな認識をしております。

小宮山委員 ちなみに、大臣、伝統文化というとどんなイメージがありますか。一番お好きなものとか、何かありますか。個人的なことで申し訳ない、お聞かせいただけますか。

中野国務大臣 好きなものというとあれなんですけれども、例えば、私の地元ですぐ思いつくものでいうと、例えば、私、能楽の議連とかもやっているんですけれども、地元で薪能とかもやっていまして、能ですとか、あるいは近松門左衛門とかも地元でゆかりがありますので、歌舞伎とか人形浄瑠璃とか、いろいろな伝統文化があろうかと思っております。

小宮山委員 大変うれしいです。私は観世流の方に入門しておりましたので、観世能楽堂において毎年、ワークショップで、英語での紹介だったりとか、能面を着ける体験とか、いろいろなことを、伝統文化の現場の方も、皆さん、多くの方に親しんでもらえるように頑張っているので、是非、機会がありましたら、東京でも行っていただければと思います。

 それでは、戻りますけれども、日本の観光産業にとって、日本の伝統文化がもたらす経済効果について伺います。そして、あわせまして、観光庁予算における文化関係予算としてどのようなものがあるのか。二点、お聞かせください。

平嶋政府参考人 まず、経済効果の方でございますけれども、従来より、伝統文化につきましては、有形の工芸品ですとか、無形の様々な、伝統ある食事等も含めて、観光の一つの要素となっていると思っております。

 例えば、無形の文化につきましては、食事については、旅館ですとか飲食店で、これは日帰りの方も含めて、楽しんでいただく、そういった経済効果が出て、それはさらに地域に波及効果も出ていると考えております。

 また、最近では、委員御指摘のとおり、事として楽しんでいただくということ以外に、さらに、例えば、お酒ですと酒蔵での説明、造っている過程、和紙とかですと作っている過程とか、お祭りも、途中で、そのお祭りの当日だけではなくて、ずっと手前の準備の段階から外の方に入っていただいて体験していただく、参加していただく、そういったところも始まっているところであります。

 こういった事消費も含めて、広がりが出てきているところと思います。実際の観光に出向かれる際の動機としては複合的なものがございますので、また、伝統文化も裾野が非常に広いところがございますので、なかなか定量的に申し上げるところは難しいと思いますが、先ほど申し上げたとおり、非常に大きな要素になっていると考えております。

 インバウンドでアンケートを取った際に、データとしてですけれども、日本に来る前に、訪日前に期待したこととしては、全体の順位の中でいいますと、歴史文化、伝統文化の体験というのが二六%ということで、六位に上がっているところでございます。

 こういった要素としての大きさというのはあると思いますし、各地の歴史、習慣に根差した多様な伝統文化というのが日本各地に存在していると思いますので、更にこれは波及していきたい、普及できるよう取り組んでいきたいと思います。

 また、二点目の予算の関係でございます。

 七年度の当初予算案におきましては、地域ならではの伝統的な食文化を体験するガストロノミーツーリズムの促進、それから、地域で受け継がれてきた日本固有の暮らしぶりや文化資源等の語り部となるローカルガイドの確保、育成、これはやはり伝えていく人材というのは非常に大事でございますので。それから、地域で遊休となっている伝統的な古民家の改修など伝統的、歴史的な資源を活用した歴史まちづくりの推進、世界遺産、文化財等における多言語解説、知っていただくための多言語解説の整備、日本文化の魅力創出、発信、文化財を活用した文化観光の推進による地方創生等の取組を行う予算を、全体として計上しているところでございます。

小宮山委員 日本文化というのは大変面白いもので、体験型というのがあります。

 体験型というと、実は、三月二十九日、今月の最後の土曜日になりますけれども、私の地元、小江戸川越、江戸の町並みと言われる、つくったのは明治ではありますけれども、ここで、多くの方は体験がしたい、江戸時代とか日本のいろいろなものを体験したいとして来られるわけですが、町並みを見るだけではなくて、来た方々が望むもの、それはやはり日本の江戸体験だろうということで、「小江戸川越 江戸の日」といって、店主の方たちとかがかつらまで着けて、また所作なども稽古をして観光客を迎えるというイベントをされています。私もたまに、かつらとかも着けて町の人でうろうろしていたりとかすることもありますけれども、ちょっと悪代官みたいなのが出たりとか、いろいろしていますが、観光というのはいろいろな発見ができる楽しいものであります。よろしければ、こちらも、大臣、是非お越しください。

 さて、文化庁の調査によりますと、重要無形文化財個定保持者、文化財の担い手は、約七〇%がもう六十歳以上ということであります。人々の生活に根づいて伝わる伝統行事など、なかなか、これら日本の伝統文化の維持や継承というのが難しくなっています。この点についての文化庁の見解。

 また、大臣には、日本の伝統文化と観光というのは、非常に難しく、今継続が厳しくなっております。十年後も日本の伝統文化は観光産業の資源として存在できるのか、その点に関しても簡潔にお聞かせいただければと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 伝統行事や伝統芸能を始めとします我が国古来の伝統文化は、国民の心を豊かにするものであり、人々の生活においてもこれを継承していくことは大変重要であると認識しております。

 そのため、文化庁におきましては、文化財保護法に基づきまして、重要無形文化財の指定及び指定等をされた伝統芸能等の伝承、公開活動に対する支援を行うことによりまして、その保存、継承を行っております。

 これは、いわゆる極めた方々への対応でございますが、それに加えまして、より広く裾野を広げていくために、伝統文化親子教室の開催支援等を通じまして、子供たちが伝統文化等を計画的、継続的に体験、習得する機会の確保を図っておるほか、地域におきます伝統行事や民俗芸能等の継承や普及のため、重要な用具修理を始めとしました取組、普及啓発を行う取組などに対して支援を行っているところでございます。

中野国務大臣 委員の御指摘、大変重要だと思います。

 ちょっと簡潔にということで、私はやはり、地域資源を観光で利用するとともに、地域資源をしっかり保全をしていくという、この両立する好循環が非常に大事だと思っております。

 観光庁でも、こうした伝統文化、伝統芸能、文化に実演の場を提供する、これは文化の継承にもつながります。それを観光の体験コンテンツという形にすることで、売上げの一部をこうした文化資源の保全に要する費用にも還元をするということで、こうした取組の支援もまさにしているところであります。

 こうした優良事例を今いろいろな形で支援しておりますので、これを横展開もしまして、観光振興を通じて、地域資源の保全や後継者不足などの地域課題の解決にもしっかり貢献をしていきたいというふうに、このように考えております。

小宮山委員 日本の文化予算というのは大変小さくなっていると思います。昨年の、文化庁の方から出ている資料によりますと、フランスでは六千六百七十六億円、イギリスでも二千二百四十六億円、ドイツは三千六百七十七億円、韓国が四千九百五十億円、それに比べて日本は一千百十七億円と非常に少ない。

 ちょっと質問する時間がなくなってしまって申し訳ないんですけれども、私は、文化というのは日常から醸成しなければならない、舞台を見に行く、若しくは能楽なども実際に自分でやる、茶道なども自分でする、掛け軸を床の間にかけて季節や様々なことを感じる、これができていないのが今、日本で、だからこそ様々な担い手が減っているんだと思います。これは私どももしっかりと推進して、増やしていくために頑張っていきたいと思っております。

 さて、最後になりますけれども、本年十一月に行われます東京二〇二五デフリンピックは、大会が始まってから百周年の記念すべき大会であります。公共交通機関のアクセシビリティー、聴覚障害者が利用しやすい交通手段の整備が重要かと思っています。この点に関しまして、政府の対応についてお聞かせください。

中野国務大臣 東京二〇二五デフリンピックにつきまして、私も全日本ろうあ連盟からの要請を本年二月に直接お伺いをしたところでございます。

 具体的な政府の取組ということで、本年秋の開催が近づきますと、聴覚障害者の移動機会が増加をするものと見込まれますので、公共交通事業者において案内設備の充実等を進めております。

 例えば都営地下鉄、駅員の話の内容がディスプレーに文字表示されるシステムを、競技会場近くの駅等に導入をしております。聴覚障害者等の円滑な案内に役立てることとしております。東京メトロでは、駅構内のアナウンスの音声をスマートフォンに文字表示するシステムを全駅で導入をする予定でございます。

 国交省では、これまでも、聴覚障害者の円滑な移動に資する機器については、バリアフリーガイドラインへの掲載や会議での紹介などを通じて導入を促進をしてまいりましたが、加えまして、本年秋のデフリンピック開催を踏まえた更なる対応といたしまして、例えば、公共交通の事業者がホームページで公開をする駅の構内図などに視覚的な案内システムの設置箇所や利用方法を掲載できないか、これは国からの呼びかけということで検討をしてまいりたいと思います。

小宮山委員 東京パラリンピックでバリアフリーなどのレガシーが十分に確認ができませんでした。是非、この東京で行われるデフリンピックで国土交通省もいいレガシーを残していただけることを心から期待しまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、城井崇君。

城井委員 立憲民主党の城井崇です。

 中野国土交通大臣には初めての質疑になります。よろしくお願いいたします。

 まず、公共事業の契約変更に伴う第三者チェックの導入について伺います。

 委員の皆様、資料一枚目を御覧ください。

 昨年四月二十四日の衆議院国土交通委員会におきまして、私から斉藤前国土交通大臣に提案をいたしまして、答弁いただいたものが実現の運びとなりました。国土交通省を始め関係者の皆さんの御努力に敬意を表し、御礼を申し上げたいと思います。

 発注者と受注者以外のチェックが実現することは画期的です。これまでの契約変更の傾向に照らして、どのような効果が見込まれるかについて、大臣の認識を聞かせてください。

中野国務大臣 城井委員にお答えを申し上げます。

 城井委員からも御指摘をいただいておりました、着工後の契約変更をするときに第三者の視点でチェックをするという仕組みについて、指摘、御要望というか、こういうことをやるべきだということをいただいておりました。

 公共事業の実施に当たりましては、事業の着手後に行われる地元との協議の結果や関係機関との調整結果などによりまして、契約内容の変更というのは生じることはございます。

 国土交通省の直轄工事では、契約変更の場合には、今までは変更理由などの確認を発注者、受注者間で行ってきたなど、こうした取組を行ってきたところでございますが、契約変更手続の更なる透明性確保も求められているということで、委員からも御指摘があったというふうに承知をしております。

 このため、令和七年度より、各地方整備局等の本局の発注工事におきまして、工事の区分が追加をされるなど一定の契約変更をする場合には、契約変更前に受発注者以外の第三者が適正性をチェックをする、その意見を反映、公表する新たな仕組みを導入をすることといたしました。

 これは、これから導入をしていくということでございますので、今後の効果ということにつきましては、やはり、これにより、契約変更の適正性、そして更なる透明性の向上が図られるものと期待をしております。しっかりとこの仕組みを運用してまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。

城井委員 工事方法や、また資材価格の高騰など、契約変更の理由は出てくるんだろうというふうに思っています。ただ一方で、かなり多額の金額に上る変更も、これまでもメディアからも指摘もありましたし、国会からも指摘を申し上げてきたところでありますので、是非、国民から預かる大切な税金の使い道でありますので、第三者のチェックも活用しながら適正に行っていただくことを、改めてお願いしておきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 続きまして、公共工事の設計労務単価について伺います。

 資料二枚目を御覧ください。

 令和七年三月から適用となりました国土交通省発表の最新の公共工事設計労務単価によりますと、軽作業員と交通誘導警備員A、Bの単価を比較した場合、軽作業員は一万八千百三十七円、交通誘導警備員Aは一万七千九百三十一円、交通誘導警備員Bは一万五千七百五十二円と、軽作業員の単価が高い状況です。この傾向は長く続いています。

 一方、交通誘導に当たる警備員は、命と安全を直接扱う大切な仕事です。一級検定といって、高速道路で業務可能な場合、そして、二級検定といって、検定道路で業務可能、福岡県内だと約百二十件あるというふうに聞きましたが、この検定に合格した職員が警備に当たることとなっており、また、定期的な年二回の研修も行っているというのが現場からの聞き取りでございました。

 資格を要しない軽作業員に比べまして、交通誘導警備員はもっと評価をされるべきではないか。国として評価を上げる取組が必要だと考えますが、大臣、見解をお願いします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員御指摘の交通誘導警備員でございますけれども、これは、重機や大型トラック等の出入りなど、様々なリスクのある工事現場におきまして、安全で円滑な施工を確保するために重要な役割を担っていると認識しております。まさに委員御指摘のとおりかと思います。その担い手確保は、今後も適正な施工を持続的に確保する上で大変重要な課題であると思います。

 これまでも、国土交通省では、交通誘導警備員を雇用する警備業者と取引を行う建設業者に対しまして、取引内容の改善の徹底というのを働きかけてきたところでございます。こうした関係者による処遇改善の取組を反映をいたしまして、交通誘導警備員の公共工事設計労務単価、近年、もちろん軽作業員も上がってはいるんですけれども、軽作業員を含む大半の職種よりも、実はこの交通誘導警備員、高い伸びとなってきたところでございまして、単価の差についても縮小してきたというところでございます。

 本年三月から適用する公共工事設計労務単価につきましては、最新の賃金上昇の情勢等も踏まえまして、委員御指摘のとおり、交通誘導警備員Aでは、前年度比プラス五・七%ということでございます。この設計労務単価の引上げが各警備業者の賃上げに結びつき、次なる単価の引上げにつながるという好循環を実現をすることが重要であると考えております。

 国土交通省としては、今後とも建設業者の団体に対しまして、警備業者との取引において対価の決定の方法の改善などの配慮を徹底するように繰り返し働きかけまして、交通誘導警備員の処遇の改善に向けて、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

城井委員 今、大臣から、交通誘導警備員については五・七%の伸びということだったんですが、同じ表で、軽作業員はプラス六・八%の伸びという状況なわけです。差が縮小してきた、こういうお話でありますけれども、大臣から紹介のあった業界の取組とともに、公共工事の設計労務単価を着実に引き上げていること自体は評価をしたいというふうに思っているんですが、ただ一方で、大臣も言及のあった、工事現場のリスクの中での担い手の確保を図っていこうと思いますと、やはり命を守る交通誘導警備員の更なる処遇改善、ここは更に具体化していただく必要があるというふうに思います。この点は是非御努力をお願いしたいということを要望しておきたいと思います。

 次に参ります。

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づいた持続可能な交通体系の構築に向けた取組について伺います。

 具体的には、持続可能な地域モビリティー実現に向けた実効ある議論を推進することが必要だということを、この場では申し上げたいと思います。人口減少、少子高齢化が進む中で、地域で暮らす人々の選択肢がなくなる前に、地域にとってふさわしい交通手段を選ぶことができるように道筋をつける必要があると考えています。

 二〇二三年十月には、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が改正をされました。国土交通省は、今般の法改正により創設、拡充された枠組みを含め、あらゆる政策ツールを最大限活用し、利便性、生産性、持続可能性の高い地域公共交通へのリデザインを加速化してまいります、こういう説明でございました。

 しかし、大臣、実際に聞こえてくる声はこうです。各地域で起こっているのは、路線の存廃議論につながることを危惧した消極的な反応や、また改正法の趣旨に逆行するような取組だ、こういう心配する声が実際にあります。

 そこで、国土交通大臣に伺います。

 この二〇二三年十月に改正された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律は、鉄道とりわけJRが路線を廃止しやすくするためのものではないということ、持続可能な公共交通の在り方を地域のあらゆる関係者が議論し、選択し、実現していくためのものだというふうに私は理解をするわけですが、この理解でよいかという点を大臣に確認したいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 令和五年の地域交通法の改正について、地元でいろいろな御心配の声ということで御質問いただいたと思っております。

 地域公共交通が厳しい状況に置かれているということを踏まえまして、これは、各地域で公共交通の在り方を、まさに地域が主体的に考えていただいて、創意工夫を凝らした取組を進めることを国が支援をするという中で、利便性、持続可能性の高い地域公共交通を実現していこう、こういうことを目的としていたところでございます。

 とりわけ、大量輸送機関としての鉄道特性を十分に発揮できていないローカル鉄道につきましては、関係者の要請に基づきまして、地域公共交通の在り方について議論をするための再構築協議会、これを国が設置できる制度というものを創設をしたところでございます。

 委員から先ほど、これはJRが路線を廃止しやすくするためのものなんじゃないか、そういう御懸念のお声もいただきました。

 この再構築協議会におきましては、対象の路線については、当然、廃止ありき、あるいは存続ありきといった特定の前提を置かずに、ファクトやデータの収集、実証事業による対策案の検証等を通じて、そして地域の意見もよく聞いた上で、関係者の合意形成を図るということとしております。

 こうした制度も活用しながら、地域の多様な関係者による議論を促して、地域にとって最適で持続性の高い地域公共交通機関が実現されるようにということで考えておりますので、そういう意味では、委員御指摘の、持続可能な公共交通の在り方を地域のあらゆる関係者が議論し、選択、実現をする、まさにそうした公共交通が実現をされるように取り組んでいきたいというふうに考えております。

城井委員 今、大臣の御答弁の中でも、再構築協議会について触れていただきました。関係主体の議論ということでありますが、そこで当事者が集まりますと、なかなか議論自体をスタートすること、そしてまとめていくこと、各地域での苦労は重なっているようであります。

 そこでお伺いするんですが、法改正の趣旨にのっとりまして、関係主体による議論が円滑に進められるように、国が適切な指導や政策推進を積極的に行うべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 委員御指摘のとおり、地域にとって最適な地域公共交通の実現を図る上では、やはり、地域の関係者においてしっかりと議論をして、将来の在り方ですとか、それぞれの役割分担等を整理をするということは必要でございます。

 他方、ローカル鉄道の再構築などを進める際に、地域と事業者との間での調整に委ねるだけでは議論がなかなか進まないこともあるというのは、まさに委員の御指摘のとおりで、令和五年の地域交通法改正で、自治体又は鉄道事業者からの要請を受け、先ほどの、国が再構築協議会を設置をすることができるという仕組みとしております。

 現在、この仕組みを活用いたしまして、JR西日本の芸備線につきまして、中国運輸局が中心となって再構築協議会を設置をいたしまして、地域の関係者とともにその在り方の議論を、まさに進めているところでございます。

 また、こうした制度面のみならず、予算面でもしっかり支援をするということで、ローカル鉄道を上下分離し、下物を保有する自治体が施設整備等をする場合には社会資本整備総合交付金による支援というものも可能としたというのが、地域交通法の改正の中での議論でございます。

 こうした新しい制度面、予算面での支援を最大限に活用するとともに、地域に対して適切な助言を行うことで、各地域における利便性、持続可能性の高い地域公共交通が実現をするように、これは国としても積極的に取り組んでまいりたいというふうに思います。

城井委員 今、国としても積極的に取り組むという大事な答弁をいただけたと思います。

 今の議論に当たりましては、鉄道からバス等へのいわゆるモード転換、あるいは今ほど言及のありました上下分離方式を始めとする公有民営方式の導入等を含めた検討を行って、真に持続可能な交通体系を構築するための取組が必要だと考えます。この点、国土交通大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

中野国務大臣 様々な方式の導入ということで、委員から御指摘いただきました。

 地域において利便性や持続可能性の高い地域公共交通を実現するために、国、地域、交通事業者等の関係者が連携をして、それぞれの知見も活用しながら、考え得る選択肢について様々な視点から検討して、どういう形の地域公共交通とするかを選択をするということは非常に重要かと思います。

 ローカル鉄道の再構築に当たりましても、例えば、上下分離や三セク化による鉄道の維持ということもありますし、BRTやバスといった他の交通モードへの転換といった多様な方法が考えられます。

 近年の例でいいますと、近江鉄道では、令和六年には上下分離が行われました。また、JRの城端線、氷見線では、三セクである、あいの風とやま鉄道への事業譲渡が予定をされております。JR日田彦山線では、令和五年にBRTへの転換が行われております。多様な手法によりまして、ローカル鉄道の再構築というのが進められているところでございます。

 国としては、やはりこうした地域における検討が円滑に進むように、それぞれの地域の実情も踏まえまして、他の地域の取組の事例の紹介や必要な助言を行うとともに、当然、必要なデータの収集や実証事業による対策案の検証等、調査事業等に対してはきめ細かい支援を行っているところでもございますし、先ほど来お話ありました、自治体が主体的にインフラ整備をするときは社会資本整備総合交付金で支援をするという制度もございます。これは近江鉄道を始めとして、九つのローカル鉄道に対して支援も行ってまいりました。

 こうした支援を通じて、ローカル鉄道の再構築を着実に進めているところでございますが、こうした様々な取組で、利便性や持続可能性の高い地域公共交通の実現を図ってまいりたいと思います。

城井委員 大臣から今ほど御答弁がありました中身は、知恵を出し、汗をかき、お金を出す、それぞれに大事な場面だと思いますが、やはり国からの積極的な関与が必要な場面が増えている、再構築協議会あるいはその設置前の自治体等でも議論が多いというふうに思いますので、是非積極的なお取組をお願いしたいというふうに思います。

 次に参ります。

 石炭荷役を中心にした港湾への脱炭素化の影響について伺いたいと思います。

 石炭火力発電施設の休止、廃止に伴って、港湾労働者が雇用や職域を失ってしまう可能性が高くなっています。日本各地でも、幾つかの港では、石炭の取扱いがほぼうちの港の仕事だというところが多い状況です。石川県の七尾港なんかは、その例だと思っています。

 石炭荷役に関わる港湾労働者の、化石燃料関連産業から低炭素産業への円滑な労働移動を支援するため、政府が公正な移行を支援する必要があると考えています。政府は、閣議決定におきましても、この公正な移行の必要性を説明しています。二〇二三年二月に閣議決定された、GX実現に向けた基本方針、今後十年間を見据えたロードマップにおきまして、政府が公正な移行を行うことにより、化石燃料関連産業から低炭素産業への円滑な労働移動を支援することを明確にしています。

 国会においても、附帯決議におきまして、公正な移行の必要性が決議されています。第二百十一回国会で成立した脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律案に対する附帯決議の第五項におきまして、「GXの推進に当たっては、持続可能な開発目標が掲げる「誰一人取り残さない」社会の実現の重要性に鑑み、GX推進戦略等において「公正な移行」の重要性を明示するとともに、その具現化のため、円滑な労働移動や新たな雇用の創出等に対する十分な支援を行い、労働者や地域経済社会への悪影響を可能な限り軽減すること。」と決議しているところであります。

 そこで、国土交通大臣に伺います。

 大臣所管の港湾運送事業を健全に運営する観点から、この石炭火力発電施設の廃止によって影響を受ける港湾事業者、港湾労働者に対しまして、救済や補償などの対策を念頭に、化石燃料関連産業から低炭素産業への円滑な労働移動を支援するためにも、政府による公正な移行を行うため、支援すべきだと考えます。大臣が担当するところばかりじゃないというふうに思います。ただ、これは政府全体の取組が必要です。ですので、大臣から是非政府全体に働きかけて、実現を図っていただきたいと思いますが、お願いできますか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 閣議決定にもございますとおり、委員御指摘の公正な移行という観点は、非常に重要な観点であるというふうに私も認識をしております。

 石炭火力発電所、この段階的な休廃止につきましては、港湾運送事業者に対して、特に石炭荷役などへの影響等については調査を行ったところでございます。その結果、港湾運送事業及び港湾労働者への影響を懸念するという声が寄せられたところでございます。

 この調査結果を踏まえまして、昨年の九月に、国土交通省がまさに主導いたしまして、厚生労働省、資源エネルギー庁、港運の労使、発電事業関係団体も参加をいたします連絡対策会議というのを設置したところでございます。関係者で、まさに対応策の検討を開始したというところでございます。今後、この会議の場において、必要な対応策等につきましては、関係者とともにしっかり議論してまいりたいというふうに考えております。

城井委員 電力会社からすると、発電施設そのものではないものですから、なかなか手が伸びない。でも、港湾事業者からいたしますと、今まで扱っていた商品が全く扱えなくなる、でも代替手段がない。そういう形で、国からの支援が届かないと、当港が取り残されてしまうということになってしまいます。国の調査でも、懸念の声を確認いただいたということでした。

 連絡対策会議が始まったということであります。この連絡対策会議について、御参画をいただきながら、是非、積極的な支援をお願いしたいと思いますが、この点、お願いできますか。

中野国務大臣 対応策の検討ということで、しっかりと支援をということであります。

 これまでの議論の中では、関係省庁から、いろいろな現状の説明も伺ってまいりました。関係者からの御意見、御要望等を伺い、それらに基づいて意見交換を実施してまいりました。これは現在、これらを踏まえまして、各関係省庁におきまして、まさにこの対応策を検討しているということでございます。必要な対応策をしっかりと、ここを進めてまいりたいというふうに、改めて答弁させていただきます。

城井委員 また改めて、現場からのお声も委員会などを通じてお伝えをしながら、是非、一番よい形で、居場所がなくなる方々、出番がなくなる方々を、しっかり支えていく手だてを増やすようにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 続きまして、カボタージュ規制の堅持について大臣に伺いたいと思います。

 カボタージュ規制は、国内における貨物、旅客輸送を自国籍船に限定するものと船舶法第三条で規定しており、国家安全保障、生活物資の安定輸送、自国船員の海技伝承、国内海運産業保護などの観点から、極めて重要な政策です。

 国際的にも主流となっている海運政策でございまして、我が国の経済と国民生活の安定、そして国内海運産業の秩序を守る政策でもあります。政府はカボタージュ規制を遵守する立場にあるというふうに考えています。

 しかし、このカボタージュ規制が堅持されるのかという、心配する御意見が聞こえてきています。

 例えば、北海道と札幌市がGXへの取組を進めるに当たり、二〇二四年一月にGX金融・資産運用特区を申請し、洋上風力発電の設置、保守に関わる日本籍作業船の不足を理由に、外国籍船の活用と外国人船員に関する規制緩和を要望したことが、その心配の原因であるというふうに聞いています。

 カボタージュ規制が緩和されることになりますと、国内海運産業の安定的な海上輸送体制が崩壊してしまう可能性があるという御意見があり、また、我が国の国内における自国の管轄権が及ばない外国籍船の航行は、密輸や密入国、出国等の犯罪の温床となるのではないかという指摘もあるわけであります。さらには、日本の海域特性や海上交通ルールを熟知しないことによる海難事故等の安全上の問題が生じるのではないかという懸念の声もあります。

 そこで、大臣に伺います。海で働く現場の意見を踏まえまして、カボタージュ規制は堅持すべきだと考えますが、大臣、お答えいただけますか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 カボタージュ規制についての御指摘でございます。

 ちょっと、改めてですが、このカボタージュ規制というのは、国家主権、安全保障の観点から、自国内の貨物又は旅客の輸送は自国の管轄権の及ぶ自国籍船に委ねるという国際的な慣行として確立した制度でございます。我が国におきましても、船舶法に基づきまして、外国籍船による国内輸送は原則として禁止されております。

 御指摘のとおり、令和五年四月、海洋基本計画が閣議決定をされておりまして、ここにも、安定的な国内海上輸送を確保するために、国際的な慣行であるカボタージュ規制を維持するという旨は、しっかり明記をしているところでございます。

 御指摘の、規制改革のところの御心配かと思いますけれども、洋上風力発電設備の設置、保守に係る外国籍船の利用というところで、北海道、札幌市の提案も踏まえまして、昨年六月の規制改革実施計画におきまして措置内容を閣議決定をしたところでありますが、これはあくまでもカボタージュ規制の維持を前提としております。船舶法第三条ただし書には、元々これに基づいた沿岸輸送の特許の手続というのがございまして、この手続を明確化をあくまでするものだというふうに考えております。

 カボタージュ規制につきましては、堅持せよという御指摘でございますが、これはしっかりと今後とも堅持をしてまいる所存でございます。

城井委員 カボタージュ規制は堅持、国家主権、安全保障に基づくものだということで、しっかり御答弁を確認させていただきました。引き続き、カボタージュ規制の堅持をしながら、我が国の国家主権、安全保障をしっかり進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 続きまして、北部九州の空港間連携について伺います。

 福岡空港の増設滑走路が供用となります。大臣にも供用式に臨席いただきました。ありがとうございました。この増設滑走路の効果をどのように見積もるか。当日、供用式でも現状の説明がございました。増設滑走路は、当面、国際線のみの運用という説明でした。混雑緩和が元々懸念されるわけですが、この混雑緩和の効果が限定的ではないかと思いますが、大臣、この点、いかがでしょうか。

中野国務大臣 福岡空港の増設滑走路についての御質問でございます。

 私も、式典等、参加させていただきました。今月の二十日に供用が開始をされます。一時間当たりの発着回数というのは三十八回から四十回ということでございまして、これによりまして、年間の滑走路処理能力につきましては、十七・六万回から十八・八万回に増加をすることとなります。

 この処理能力を最大限生かすということは、増加するインバウンド需要に適切に対応する観点からも極めて重要であるというふうに考えておりますが、この処理能力を向上させるためには、進入方式の高度化ということも必要となってまいります。

 これにつきましては、今後の需要の動向を踏まえるとともに、また地元の御理解、御協力も必要不可欠であることでございますので、地元のお考えも伺いながら取り組んでいきたいというふうに考えております。

城井委員 あわせて、北九州空港の滑走路延伸についても確認をさせてください。

 地元自治体からは早期供用の要望が強い状況ですが、この進捗状況、供用予定、そして完成時の効果についての国の見積りを、大臣から具体的にお示しいただけますか。

中野国務大臣 今度は北九州空港につきまして、これも私も現地も見させていただきました。

 北九州空港は、今、滑走路の延長事業をまさにしておりまして、令和五年十二月に現地工事に着手をしたところでございます。現在は滑走路延長部分の用地の造成等を進めているところでございます。

 委員もよく御承知のとおり、北九州空港は二十四時間運用の空港でございまして、昼間の時間帯のみならず、深夜、早朝の時間帯も旅客や貨物の定期便は就航しておりますので、施工時間が一日四時間ということで大変限られております。その中で施工の工夫を行いまして、令和九年八月末の供用開始を目指しまして、今着実に整備を進めているところでございます。

 滑走路が三千メートルに延長されますと、北米、欧州を結ぶ貨物定期便の就航が可能となりまして、輸送費用の低減等により、地域の製造業の産業競争力の強化にも資するものと期待をしております。

 引き続き、必要な予算確保に努めるとともに、事業が着実に進むように全力で取り組んでまいります。

城井委員 北九州空港について、もう一点、アクセス向上について伺いたいと思います。

 本年四月一日から、北九州空港の最寄り駅でありますJR朽網駅に特急が停車するようになります。これにより、混雑する福岡空港の代替利用も見越した広域の利用促進が図られるようになりまして、福岡都市圏、また大分県北部の方々にも利用いただきやすくなります。訪日観光客に人気の博多、別府、大分といったエリアには、北九州空港からのアクセスが格段によくなるものと思われます。需要を奪い合うということではなく、送客の役割を担って、全体で航空事業を底上げしていけると考えます。

 そうした連携に向けまして、地元自治体や関係企業は今大いに頑張っている一方で、課題もたくさんあります。この北九州空港のアクセス向上に関わる現状認識と課題、そして、併せて、支援を充実すべきだというふうに考えますが、二問一括で大臣に伺います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 北九州空港のアクセス、現状認識、課題、今後もしっかり支援すべきではないかという三点、いただきました。

 北九州空港は、高速道路のインターチェンジに隣接をしていることに加えまして、二十四時間空港として、深夜、早朝に離発着する航空便もございますので、ポテンシャルを有する空港であると認識をしておりますが、御指摘のとおり、公共交通機関による空港アクセスについては、利用者から改善の要望があるということは伺っておるところでございます。

 北九州市におきましては、北九州空港のポテンシャルを更に高めるために、昨年の二月に、北九州空港大作戦の取組の柱の一つとして、空港アクセス強化施策パッケージが取りまとめられたと承知をしております。これに基づきまして、既に、エアポートバスへのタッチ決済の導入、空港の最寄り駅となるJR朽網駅、特急列車の停車については御指摘をいただきました。それに接続するエアポートバスの増便、これは本年の四月から実現をしております。各種の取組は進められつつあるというふうに承知をしております。

 国土交通省としまして、更なる北九州空港へのアクセス向上が実現をするように、これは北九州市から、しっかりよくお話を伺いたいというふうに思っております。あわせて、やはり空港利用者の増加を図ることも大事でありますので、航空便の就航の促進、空港の受入れ環境整備等も含めて、引き続き取り組んでまいりたいと思います。

城井委員 もう一点、北九州空港の貨物の受入れ体制強化についても伺います。

 九州で唯一、貨物専用機が就航する北九州空港では、JR九州とUPSが連携して、新幹線を使って生鮮貨物を海外へ輸出するサービスも始まっています。

 こうした貨物の受入れ体制強化についても、国による引き続きの支援を行うべきだと考えますが、大臣、応援いただけますか。

中野国務大臣 貨物の受入れ体制について御指摘いただきました。

 委員御指摘のとおり、北九州空港、そして九州内の様々な空港、適切な役割分担を図った上で、それぞれの特徴を生かして成長していくということは非常に重要でございます。

 地方公共団体や空港の運営会社とも連携をいたしまして、各空港、その特徴を生かした物流ネットワークの核となりますように、深夜、早朝にもやはり貨物定期便が就航する北九州空港におきましては貨物機専用エプロン、これの増設、運用ということを取り組んでおります。

 また、例えば、大規模半導体工場が進出をし、産業集積が進む熊本空港においては、貨物の上屋の整備、また、旅客定期便が今空きスペースがございますので、これを活用した航空貨物の需要等を喚起するための実証運航支援などにも、併せて取り組んでいるところでございます。

 しっかりと、こうした貨物の受入れ体制の強化、こうしたものも通じまして、各空港それぞれの特徴を生かして発展できるように、しっかり支援をしてまいりたいというふうに思います。

城井委員 是非、地元自治体の意見もしっかり聞いていただきながら、支援を更に充実させていただくことをお願いしたいと思います。

 最後に、物流分野におけるドライバー不足の解消のための待遇改善について伺います。

 第二百十三回国会で成立した、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部改正案、この附帯決議の進捗状況について大臣の認識を確認します。

 通告を一問飛ばさせていただいて、この附帯決議の中にあります、トラックドライバーの賃金引上げの原資となる適正な運賃収受の実現のための支援策を講じることとありますが、大臣、具体的にどのような取組を行い、いつまでに実現する見通しか、お答えいただけますか。

中野国務大臣 答弁申し上げます。

 適正運賃収受、非常に重要であるというふうに認識をしております。

 この適正運賃の収受につきましては、標準的運賃というものを設定し、適用開始をしたところでございますので、この標準的運賃の周知、浸透を図っていく。そして、荷主等の悪質な行為に対しましては、トラック・物流Gメンによる是正指導というものも行ってまいりたいというふうに思っております。

 また、本日、第六回、我が国の革新に関する関係閣僚会議が開催をされまして、この中で総理の指示がございました。これは、本年四月から施行される改正物流法や、今週閣議決定をされました下請法の改正法案もございます。これを契機に、荷主等に対する一層の価格転嫁と取引の適正化を推進してまいりたいと思います。

 さらに、適正運賃収受に加えまして、附帯決議には、ちょっと追加で、トラックドライバーの人材の確保及び育成のための支援もということでございまして、これは令和六年度の補正予算に、中型、大型免許の取得費用、フォークリフトの運転講習費用、あるいは研修や教育訓練等の人材採用、人材育成に向けた取組に対する支援などを盛り込んでいるところでございます。

 引き続き、トラック運送事業に係る取引の適正化、ドライバーの処遇改善に取り組んでまいりたいと思います。

城井委員 この附帯決議の実施状況については、また次の機会に質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 終わります。

井上委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行です。

 今日は大臣所信への質疑ということでございますが、質疑に入る前に一言苦言申し上げたいというふうに思います。

 この委員会、たくさんの委員会が開かれておりますので、どうしても、出たり入ったり、委員の中でということはあるわけなんですけれども、与党の皆さんの中には、後ろに政務官お二人もいらっしゃるということで、数としては努力をされているというふうには思いますが、我々の方も山岸委員が座っております。事前に差し替えをするというような努力をして、しっかり席を埋めた上で委員会を開催をするのだという部分、これについては意識をしっかりしていただきたいというふうに思い、与党席、特にですね。私は、一期生のときに与党で当選をいたしたもので、委員会を開催をするその責任は与党にあるのだというふうに教えられました。野党がいるから何とか開けるのだというようなことではなく、与党の皆さん、しっかりと意識をしていただきたいと申し上げて、質問を始めさせていただきたいと思います。

 まず、日本版ライドシェアについてですけれども、約一年前、公共の福祉を確保するためにやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定してという道路運送法七十八条三の条文に基づいて、例外的に自家用車の活用を認めたもので、タクシー会社の管理の下、タクシーの不足する地域、曜日、時間帯に限って運行が認められるという制度ということですけれども、この七十八条の三、やむを得ない場合ということの意味を教えてください。

鶴田政府参考人 お答え申し上げます。

 道路運送法では、原則として自家用車による有償運送が禁止されておりますけれども、先ほど御指摘のありました規定によりまして、これを例外的に許可することができるというふうになっております。

 この規定の、公共の福祉を確保するためやむを得ない場合につきましては、例えば、地域交通の担い手不足といった喫緊の課題への対応も該当すると考えておりまして、タクシー不足を補完する日本版ライドシェアは、この考え方の下に創設された制度となっております。

森山(浩)委員 やむを得ない場合において地域、曜日、時間帯を限って運行が認められるという中においては、今回、万博ライドシェアということで、全ての曜日で、二十四時間、大阪府内全域でということで運行を認めたということで、更に上の緩和をしているわけですけれども、この万博ライドシェアは、万博を終了した後の取扱いについては決まっていますか、大臣。

中野国務大臣 森山委員にお答えを申し上げます。

 日本版ライドシェアの万博終了後の取扱いについての御質問でございます。

 これは、大阪・関西万博期間中における来場者などの移動需要の増加に対応するためということでございまして、大阪府市、大阪タクシー協会とこうした点で協議を重ねまして、制度としては、昨年の十二月に確認されたところは、タクシー及び日本版ライドシェアについては、大阪府域全域で運行可能とする、万博期間中、日本版ライドシェアを二十四時間稼働可能な状態とする、定期的に需給状況のモニタリングを行いまして、必要台数等については検討をする、こうしたことを確認をしたところでございます。

 万博終了後の取扱いでございますが、今回の措置は、万博期間中におけるタクシーの供給不足に備えるために実施をするものでございますので、万博終了時までの措置となっております。万博終了後は通常の運用に戻ることになりますが、いずれにしましても、これは各地域の実情に応じて、移動の足を確保するということは重要でございますので、地域の実情に応じて、関係者が連携をして移動の足が確保できるように万全を期してまいりたいと思います。

森山(浩)委員 万博のライドシェアについては、万博の終了と同時に終了するということなんですが、大阪府においてはライドシェアを強力に推進をしてこられておりますので、大阪府が二十四時間走らせたいと言ってくるのは当然のことだと思いますが、大阪府においては、万博には累計二千八百二十万人が来場し、毎日五万二千人がタクシーを使うから、日本版ライドシェアの無制限運行が必要ということで説明をされてきました。

 一方で、大阪タクシー協会は、府内のタクシー利用者が一日十五万人増えても、実車率は五四%程度だからタクシーだけで十分だと言っていて、更に需要が増えたときには、大阪市域の外のタクシーを大阪市内に集めるという対策も取っているのだと。また、大阪のタクシー一台当たりの売上げは、前年比でマイナスやほぼ同額、配車アプリのマッチング率もほぼ全ての曜日と時間帯で九〇%を超えており、新大阪駅の乗り場にもタクシーがあふれている状態ということであります。

 さらには、既に昨年の十二月から今年一月にかけて、大阪・光の饗宴というイルミネーションのイベント、これでも無制限の日本版ライドシェアの運行を認めているという状況にあります。自治体側から要望があれば、国交省は無条件で無制限運行を認めるということなのでしょうか。これは、公共の福祉を確保するためにやむを得ない場合の範疇を超えているのかということの認識も含めてお答えください。

中野国務大臣 無条件で無制限に運行することを認めているのかという御質問でございます。

 日本版ライドシェアは、タクシーを補完するということを目的としております。タクシーが不足をする地域、時期、時間帯におきまして、その不足分を地域の自家用車や一般ドライバーで補う制度でございます。

 実施する曜日、時間帯などにつきましては、委員御指摘のとおり、地域の実情に応じて自治体などが設定し、申し出ることができるということとなっております。

 例えばで言いますと、昨年の秋には、観光客の需要が急増する京都におきまして、地元の自治体とタクシー事業者が連携をしまして、日本版ライドシェアの運行時間帯を拡充をするという取組が行われております。この事例も含めまして、申出があった場合には、タクシーの事業者にも不足の状況を確認をいたしまして、国土交通省において精査をした上で運行を認めるとしているところでございます。

 また、日本版ライドシェア導入後にも、状況を継続して把握をし、実施する曜日、時間帯や配分車両数を調整することによりまして、当該地域でタクシーサービスが過不足なく提供されるように、これは適切に運用してまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 国土交通省で精査をしてということでありますから、あとは精査のレベルの問題ということになってくるのかなというふうに思います。自治体からは、やりたいよというような話がある、万博は一遍にどれだけ来るか分からないので、必要だと判断をしたと。光の饗宴はどうだったのかな、あるいは京都はどうだったのか、こういうこともしっかりとチェックをしていただいて、今後、どのようなレベルで認めていくのかということをしっかり精査をいただきたいと思います。

 また、これは許可が二年間ということになっておりまして、折り返し点が目の前に来ています。その後の日本版ライドシェアの扱いについては、このまま継続をするのか、新しい制度を入れなきゃいけないのか、あるいは不要だからやめるのか、いろいろなパターンがあるのだと思いますけれども、このパターンについて事前に、こういうレベルだったらこうするよというような基準を示していただくなどということも大事だと思っておりますので、是非御検討いただきますようにお願いをいたします。

 続きまして、道路の路面標示についてです。

 我々、車を運転しておりますと、止まれの線が摩耗して見えなくなっているというような事例、これは危ないなというようなことになります。

 私のところ、本当に最近摩耗しているよねというような、事務所の人間などとも話をしていると、いや、それは代議士、堺ですよ、あるいは大阪府内ですよ、だって和歌山に行ったらちゃんとできているじゃないですかというような話題になったりもします。この前、東京に出てきて見ていると、東京も割としっかりと線が引いてあるというようなことで、地域差が生じているというような部分があるのではないかなと思っております。

 横断歩道は消える。止まれの線は消える。あるいは、止まれだけじゃなくて、止まれがありますよ、横断歩道がありますよというようなダイヤマーク。あるいは、道路の真ん中、中央線というのがあります。中央線がなかったら、最近、八十歳を超えたドライバーなんかも増えてきて、端っこよりも真ん中に寄って、正面衝突、危ないよなんというようなお訴えもよく聞くんですけれども、この路面標示の摩耗対策について、道路管理者である国交省や自治体、あるいは規制当局である警察の役割分担、それから、その優先順位についてお答えください。

    〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕

山本政府参考人 お答え申し上げます。

 道路管理者が設置をいたします路面標示につきましては、道路法等の規定に基づきまして、交通の安全と円滑を図るために区画線の設置を行っております。

 具体的に申し上げますと、中央分離帯を設けない道路で往復の分離を明示するために設置をいたします車道の中央線、あるいは車道と路肩との境界を明示するために設置をいたします車道外側線などがございます。

 こうした区画線についての維持修繕の優先順位の考え方でございますけれども、特に地方公共団体が管理をする道路においては、視認性、これは見えやすいか見えにくいかというようなことでございますけれども、そういったことでありますとか、交通の状況、交通量が多いのか少ないのか、路線の重要性、緊急輸送道路になっているのかなっていないのか、そういった現場の条件に応じて、それぞれの道路管理者において個別に判断がされているというふうに認識をしております。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 横断歩道や一時停止といった交通規制は都道府県公安委員会が行っており、その道路標示の設置は警察が行っております。例えば、横断歩道や追越しのための右側部分はみ出し通行禁止を表示するいわゆるイエローラインがこれに当たります。

 道路標示の維持管理につきましては、警察庁では、道路標示の効率的な維持管理のため、優先順位を付して適切に更新するよう都道府県警察に指示をしておりまして、各都道府県警察において、道路標示の計画的な点検と更新に努めているものと承知しているところでございます。

森山(浩)委員 警察も、国土交通省あるいは道路管理者も、それぞれで優先順位をつけて頑張っていますよというお話なんですけれども、現場に行きますとなかなか難しい。

 この交差点、横断歩道が消えかけている、止まれの線も消えかけている、中央線も何か消えかけているというような状況にあるので、何とかしてほしいというような形で地元から、あるいは学校のPTAから、これは通学路なんですよというようなことも含めて御要望があるというようなことで、じゃ、私は警察の関係をよく知っているからといって警察に地元の方が行かれると、いや、我々は準備しているんですけれども、道路管理者の方がちょっと待ってくれと言って、ここは優先順位が低いそうで、一気にこれを描き上げることはできないんですよ、じゃ、ちょっと区役所に行くよと。区役所に行くと、いや、我々はここをやろうと思っているんだけれども、警察の方が今年の予算はもう使い切ったと言ってしまっているんだよというようなことで、それぞれの優先順位がずれることによって、一気に終わるべき交差点であるとかあるいは摩耗した部分であるとかというのがなかなか前に進まないというような事例をよく見かけるというか、我々は本当にその陳情が多いんです。両方に言ってくれと言われる。両方に言ったら両方お手上げだったりするんですけれども。

 これは、一つは予算が足りないのかなというような思いもあります。あるいは、連携して、年の初めに、この地域においてはこの交差点あるいはこの道からやろうかというようなことをお話合いをすると、もうちょっと早くいくのかなというような気もいたします。

 大阪府警であり、市町村の市役所や区役所というようなこともあって、なかなか横横の連携が取りにくいのかなというような思いもしますけれども、警察、規制当局との連携について、道路管理者、まあ御本人というか、国土交通省も国道を持っておられる、また、自治体においても、じゃ、警察と話合いをするよというようなときに、アドバイスとかあるいは間に入るよとかいうことも含めて、国交省あるいは大臣としてできることはありませんか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 予算的なところや連携のところということで、大きくは二つ御指摘をいただいたと受け止めております。

 委員御指摘のとおり、路面標示は、先ほどそれぞれ答弁しましたが、警察が管理をする横断歩道など道路標示がまずあり、道路管理者が管理する車道の中央線などの区画線もございます。これが一体となって、安全で円滑な道路交通の確保を担う重要な施設であるというふうに認識をしております。

 まさに縦割りというか、委員の御指摘のとおり、道路管理者と警察で更新時期がそれぞれ違うから要望しても合わないといった、まさにそれぞれの更新時期を合わせていないなどの課題もあるというふうに私も認識をしております。

 こうした状況を踏まえまして、例えば今、先進的な地域では、地方整備局と県と警察で路面標示に関する調整会議というものを設置をさせていただいて、国、県、市町と警察による路面標示の同時施工を行うという取組ですとか、あるいは、これは技術的に、AIを活用した劣化の検知システムや耐久性の高い塗料などの技術開発に取り組むなどの工夫をしている事例もございます。こうした取組を、今後、全国にやはり周知、展開をしていきたいというのを一つ考えております。

 確かに、財政支援も、単純な区画線の更新作業などは国からの財政支援の対象にはなっていないんですけれども、地方公共団体に向けては、例えば区画線を反射率の高い、いいものに更新をするような場合ですとか、あるいは交通安全対策として新たに設置をするような場合においては、国からも交付金で支援を行っているということもございます。

 こうした連携の取組、また支援ということで、国土交通省としましては、安全で円滑な道路交通の確保というのは非常に大事でございますので、警察や地方公共団体と連携した取組というのは強化をしっかりしてまいりたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。

    〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 地整局を使った形での会議を開くというのを全国で展開をしていただくということを始めとして、連携を頑張っていただくという御答弁でございました。

 特に、これから、自動運転などの実験も始まっているという中においては、線がなかったら、ここで止まるということもできない、見えないというようなことというのが、更に安全性を高めないといけない、危険性が高まるということにもつながっていくかと思いますので、こちらは努力をいただきたいというふうに思います。

 その中で、今出てきました地方整備局の問題でございます。

 上下水道の問題について、昨年の大臣所信の質疑の中で、意思疎通、連携、コミュニケーションというような言葉で水道の移管の後の地方整備局との連携について意思表明をされていますけれども、間もなくこれは一年になります。国交省移管から一年になるという中で、具体的にこんな形で役に立つよということ、あるいは、明確なこういう役割を付与していくよというようなことで、お決まりになったことはありますか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 水道行政、国交省に移管をして約一年という中で、地方整備局の成果は具体的に何なのか、こういう御質問をいただきました。

 国土交通省では、水道行政の移管を受けまして、これまで培ってまいりました、我々、インフラに関する知見があると考えております。特に、地方整備局などは現場力、技術力というのがございますので、これを活用した強靱で持続可能な水道システムの構築を進めてまいりたい、こう考えております。

 では、具体的には何をやっているのかということでありますが、地方整備局等においては、これは当然、平時における意思疎通や災害時における連携の強化、これを目指しまして、水道事業者や関係団体との意見交換を実施をするなど、きめ細かなコミュニケーションをしっかり図っているというのが現状でございます。

 例えばの事例で、地方整備局では、中国地方の水道事業等に関する意見交換会というものを、これは定期的に開催をしております。地震への平時からの備え等について、管内の都道府県の担当部局あるいは水道事業者と意見交換を定期的に実施をして、災害に平時から連携して備えるという取組をしております。

 また、災害対応ということでは、今月十日に北海道の下川町で断水事故が発生をいたしました。このときには、北海道開発局から町にリエゾンや給水車、これをプッシュ型で今回派遣をさせていただきまして、また、復旧工事のための照明車も派遣をさせていただいて、早期復旧に向けた支援というのを、まさに連携をして取り組ませていただいております。

 今後とも、水道行政の移管の効果というのが着実に発揮をされるように、特にこれは地方整備局等と水道事業者等の関係強化ということが大事だと思いますので、引き続きしっかり取り組んでまいりたいと思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 まずは人材、そして知見、そしていわゆる設備、装備みたいなこと、これを含めて地方整備局が使えるんだよということを都道府県や市町村にしっかり周知をいただくとともに、日常的な関係を深めていただきたいと思います。

 一方で、水道料金、下水道も一緒に徴収することも多いんですけれども、これは今、ここ数年だけでも、町名、市名までは言いませんが、北海道、岡山、滋賀、青森、神奈川などなど、市長選挙、町長選挙の公約で、水道料金を下げますというような公約がはやっています。

 というのは、税金、地方税を下げますと言うと、これは総務省から、ああ、それだったら交付金は要りませんねということで、直仕返しがある。でも、水道料金の場合は、更新のスピードを遅くすれば、私がやっている八年、十二年の間は水道料金を下げたって大丈夫ですよというのが今の仕組みになっています。

 これについては、今回の下水道の陥没事故等の事例もあります。更新を遅くするということは大きな災害につながるということも含めて、これは大きな課題、問題だと思いますけれども、大臣、どう思われますか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 私も、上下水道事業というのは、独立採算が原則でございますので、将来にわたって安定的かつ持続的に運営ができる、健全な経営が確保されるということは非常に重要だというふうに考えております。

 このため、水道料金、そして下水道の使用料につきましては、それぞれの事業の主体におきまして、あくまで適正な原価に基づいてやはり設定をすべきものであるというふうに認識をしております。

 このため、国土交通省としましては、適切な水道料金及び下水道の使用料の設定を促すとともに、これは併せて経営の統合など、広域連携ですとか官民連携、あるいはデジタル技術の活用などによって、経営基盤の強化というものも併せてしっかり進めてまいりまして、持続可能な上下水道の構築はこうした取組の中でしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 これについては、ちょっとどうやったら防げるのか、こういう公約を出すということについては、やはり市民の方から、いや、そんな無責任なことを言っちゃいかぬよというようなところにつながっていくような世論喚起も必要だと思いますけれども、今、こういう事故が起こる、あるいは管路が大変だというようになっているときがチャンスだと思いますので、制度も含めて御検討いただければと思います。

 さて、下水道のウォーターPPPのガイドライン案基礎編というのがリリースをされています。いろいろな意見を聞きながらブラッシュアップをしていくのだというような状況になっているわけなんですけれども、導入検討の進め方というのがその中にありまして、PPPを導入するに当たって何を気にするのか、客観的な情報に基づく説明をするべきなのだというような記述であります。

 客観的な情報の例としては、導入可能性調査、マーケットサウンディングの結果や経過、外部有識者に対し、結論ありきではなく、必要な情報を十分に説明した上で出された意見、バリュー・フォー・マネーの結果というようなことで、いわゆる経営的に成り立つのかというようなことについては、客観的な情報、これはウォーターPPPをやるというときには参考にしなさいよと書いてある。

 それに対して、客観的な情報には該当しない例ということで、管理者が既に公表している計画、ストマネ計画、経営戦略等と書いていますが、いわゆる総合計画なんかも入るのかもしれません。あるいは、首長、議会、議員等の意向と書いてあります。これは、自治体が経営をするということですから、議会の意向を無視していいんだよというふうには見えないでしょうか。あるいは、職員の雇用を守る、削減を回避するといった事情、国費の要望額に対して内示額が少なかったといった事情という四項目が書いてあったものが、二月二十五日の一・三版で消えています。

 これについては、それはそうだよなという気はするわけなんですけれども、首長や議会、議員の動向、これは自治体が上下水道事業を経営するに当たって一番大事な意向であると思いますし、導入をすることに、職員の削減を回避すること、これも人が足りなくて更新がままならないといったような事情にも配慮しなきゃということでありますが、こういったものを一旦書いちゃった、そしてこれを撤回した、この理由についてお聞かせください。

松原政府参考人 お答えいたします。

 今ほど委員御指摘の、下水道のウォーターPPPのガイドラインでございます。導入検討に際しての留意点やポイントについて示したものでございますが、今ほど御説明がございましたけれども、ウォーターPPPの対象施設や業務範囲を限定する場合には、下水道管理者が客観的な情報に基づいてその理由を説明できる必要があるとしております。

 国土交通省が昨年十月二十九日に公表いたしました、先ほど御指摘のあった基礎編でございますけれども、この客観的な情報に該当しない例として、先ほど委員から御指摘がございましたような、首長、議会、議員等の意向など四項目を記載をしておりましたが、こちらにつきましては、記載の表現が誤解を招きかねないものと判断される場合があると内部で検討いたしまして、最新の本年二月二十五日に公表したガイドラインにおいて、この部分を削除させていただきました。

 しっかりとウォーターPPPを進めるためにも適切なガイドラインであるべきだというふうに考えておりますので、引き続きしっかりと内容を精査しながら、よりよいものにしてまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 いろいろな意見があって、それを聞いた上で内部で削除をしたということは評価をしたいと思いますけれども、最初にこれが出ちゃうと、自治体としてはこれに従わなきゃいけないのだというような非常に強い意識を受けてしまいますので、出すときには非常に気をつけた上で出していただきたいというふうに思います。自治というのは大事なんだというのは基本だと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 災害時地下水ガイドライン、この三月に発表をされております。災害時地下水利用ガイドラインということで、まだこれは案ということになっていますが、先ほど小宮山委員の方からもありました。

 いろいろな現場で、災害のときに地下水を使うよというようなことは増えてきています。あるいは、じゃ、ふだんから探しておこうよということもあります。しかし、これは寛容というような視点をもうちょっと入れなきゃいけないかなとか、あるいは、ふだんの部分についてもしっかり入れようねというようなこともあるのと、これまでも事例集というのは出していただいていますけれども、なかなか現場まで届いていないというか、意識をされていないというような現状もあったかと思います。

 今回、ガイドラインというような形で、またこれはしっかり見ろよというメッセージになっていると思いますけれども、ガイドラインを出している。これは事例集の中身を見てもらうためにも重要だと思いますけれども、事例集をしっかりと盛り込んでいくべきだと思いますけれども、大臣、いかがですか。

齋藤政府参考人 お答えいたします。

 令和六年能登半島地震の被災地において生活用水の確保が課題となる中、地下水等の代替水源が活用されたことを踏まえまして、自治体における災害用井戸の取組を促進することを目的といたしまして、災害時地下水利用ガイドラインを策定することとしております。

 本ガイドラインは、主にこれから災害用井戸や湧水の活用に向けた取組を始めようとしている自治体の参考となるよう、災害用井戸、湧水の登録制度の導入に当たっての手順等をまとめるものでございます。

 委員御指摘のとおり、災害用井戸の取組は地域の特性や事情等に応じて進めていくものであり、本ガイドラインでも、地域の実情、実態に応じた取組を進めていくことが重要で、自治体の取組を制限するものではない旨を記載することとしております。

 また、本ガイドラインには自治体の参考となる事例を盛り込むこととしておりますが、公表後も、引き続き取組事例等の情報収集を行い、ガイドラインへの反映、充実を図ることなどにより、自治体の災害用井戸の取組を促進してまいります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 水循環本部と連携をして、大臣、是非これは各自治体で意識をして取り組んでいただくようにお願いをしたいと思います。また、何でもかんでも上から言われるなあというようなことにならないように、地域の実情に応じてということもしっかりテイクノートしていただければと思います。

 八潮市の道路陥没事故について、これも小宮山委員からもう既にありましたが、大野知事からの中で、リダンダンシーをしっかりするべきだ、あるいは、財政的支援はウォーターPPPを前提としない制度設計をするべきだというような提案が来ています。これについてはいかがですか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 二月の十五日に埼玉県八潮市の道路陥没事故の現場を訪問した際に、大野埼玉県知事からは、委員の御指摘の事項も含めて、御要望を私も直接いただいたところでございます。

 まず一つは、リダンダンシーの確保ということで、国土交通省としましても、特に下水道システムの急所とも言える大規模な下水道管等につきましては、リダンダンシーを確保することも重要であるというふうに認識をしております。今、有識者委員会を設置しておりますので、御議論いただくこととしております。

 六月をめどに、今、国土強靱化実施中期計画、策定が進められておりますけれども、この中に、有識者委員会での議論も踏まえまして、強靱で持続可能な下水道システムの構築に必要な施策というのを盛り込んでいこうということで調整をしているところでございます。

 もう一点の、ウォーターPPPは、先ほど小宮山委員にもお答えしたんですけれども、国土交通省においては、下水道を将来にわたって持続可能なものとするために、令和九年度以降、防災・安全交付金等を活用した下水道管の改築に当たりましては、ウォーターPPPの導入を決定済みであるということを交付要件としているところでございます。

 これにつきましては、有識者委員会における今後の施設の維持更新や再構築の在り方等の議論も踏まえまして、地域の実情に即したウォーターPPPの推進が、下水道施設の更新の加速化や下水道事業の持続性の向上につながるように、自治体の御意見等もしっかりと伺いながら、引き続き、よりよい制度づくりの検討をしっかりしてまいりたいというふうに思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 全体を通して、水というのはそれぞれの地域によって違うのだということを前提とするということ、また、流域下水道、これについては非常に大きな施設となりまして、四・七五メートルもの管が今回破裂をしたということで、これはもう自治体では手に負えない。

 そういったものを考えると、流域下水道以外の選択肢づくりといったことも大事だと思いますが、大臣、いかがですか。

中野国務大臣 歴史的には、流域下水道というのは、都市化がいろいろなところで進みまして、市街地が続いていく地域においては、市町村がそれぞれ別々に処理場を有する公共下水道を設置するよりも効率的に整備、管理することができるだろう、速やかな普及率の向上で生活環境が改善するだろう、こういうものでございます。

 いずれにしましても、今、本格的な人口減少時代を迎え、進展する老朽化への対応、大規模災害への対応などが求められている中で、これは先ほど答弁申し上げましたけれども、リダンダンシーの確保も含めて、強靱で持続可能な下水道システムの構築という観点から、今、有識者委員会におきまして、大規模な下水道の施設管理の在り方についても御議論いただいているところでありますので、その結果も踏まえまして、必要な対策を検討、実施をしてまいりたいと思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 四・五メートルの管が一本だったら、三メートルの管を二本にするとか、いろいろなやり方があるかと思います。

 また、国土強靱化というのが終わってくるわけですけれども、国土強靱化の計画が補正予算で行われているということで、越年をしてしまう、年度が替わってしまうことで、また財務省に言わなきゃいけないのだ、こういうような話も現場から出てきます。あっという間に二年になっちゃうよとなってくると、事故になってしまいますので、その辺りも、次の制度設計については財務省ともしっかりとお話しをいただきますようにお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

井上委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。よろしくお願いします。

 まず冒頭、今回、少数会派にも御配慮いただいた運営を行っておりますこと、心から感謝を申し上げたいと思います。与党、野党、各理事の皆様方に感謝を申し上げ、委員長にも感謝したいと思います。

 さて、三月六日に上野―大宮間で走行中の東北新幹線「はやぶさ」「こまち」が、走行中に連結が外れるというインシデントが発生しました。ここ数日の間、東日本中の新幹線が大混乱になって、ようやく今日、連結して走るのが再開されたということであります。

 これは、昨年九月十九日に、仙台―古川間で同じような、高速で走っている間に外れるという事件がありまして、二回目であります。

 資料がありますけれども、これは昨年の三月十三日の国土交通委員会で出した資料なんですけれども、その一番下の赤い字で書いてあることだけが、この一回目の列車分離の事故で、それまでも、これだけ多くのトラブルが相次いでいるということで、そのときに、こういう話をしました。破れ窓理論というのがあって、窓が一枚破れていると、その町の治安は著しく悪化していって、凶悪事件が起こる、こういう理論があります。これは、破れ窓以上の事故が相次いでいて、単なる保安体制の不備とかじゃない、全社的な会社の体質、雰囲気、そうしたものが、こうした事故を起こさせているんじゃないかと私は指摘をさせていただきました。

 大臣、今回の事件を御覧になって、インシデントを御覧になって、その根本原因、JR東日本でこれだけトラブルが起きる根本原因はどこにあると考えているか、まずお答えいただければと思います。

中野国務大臣 委員の資料も拝見をさせていただきまして、昨年の質疑も私も拝見もさせていただきました。御指摘も踏まえて、ちょっと御答弁もさせていただきたいと思っております。

 改めて、やはり、輸送の安全確保というのは、鉄道事業者にとって一番大事な使命であるというふうに思っておりますけれども、大変遺憾なことに、令和六年も、鉄道の安全輸送を脅かす事案、この資料にも出していただいております、様々ございました。JR東日本では、東北新幹線については、郡山駅構内でもオーバーランということもございましたし、また、仙台駅―古川駅間における列車の分離、これは前のやつですね、も発生をしたところでございます。

 破れ窓理論ということも御指摘をいただきました。やはり、JR東日本に関して言えば、こうした事案につきまして、一つ一つ早急かつ確実に再発防止策を講じさせるというふうに、これが必要だと考えております。

 令和六年三月十三日の、委員から、JR東日本の安全に関する取組姿勢に対して、大変御懸念が示されているところであります。先ほど述べた一つ一つのトラブルについて、国土交通省として、迅速かつ的確に対処していくということが、大きな安全上のトラブルを防ぐ重要な取組であるのかなというふうにも認識をしております。

 JR東日本には、公共交通機関としての自覚を持って、安全、安定輸送の確保にしっかり万全を期していただきたいというふうに考えているということを、併せて申し上げます。

福島委員 私は、ちょっと認識が甘いんじゃないかと思っているんです。会社の構造的な問題を見なければならない。

 これは労働組合、今、JR東日本は労使関係が混乱しておりますけれども、労組も危惧しておりまして、昨日も院内で国会議員や地方議員も交えてJR東日本の安全問題に関する集会が開かれ、大変熱気のある場になりました。現場で起きている様々な安全軽視の事例について報告がありました。

 今回の事故を受けて、労組側も三月十日に申入れを行っております。資料二であります。だあっと書いてありますが、この下線を引いているところを読んでいただきたいんですけれども、原因究明を行うのはもちろんのこと、個別個別の事案だけじゃなくて、短期的に「相次いで事故・事象が発生しているその背景に何が潜んでいるのか、組織的な観点から背後要因を究明することが求められます。」と書いてあります。

 その次の資料三でありますけれども、これは、まさに事故を起こした新幹線の職場に会社側が貼ってある紙です。そこの、これも線を引いているところを見ていただきたいなと思うんですけれども、年末年始ということで年末に貼られていたやつですけれども、「利益の最大化に向けて構造改革に取り組むとともに、増収・コストダウンを続け、「稼ぐ」ことにこだわっていきましょう。」

 会社が稼ぐのは当然です。経営者の責任でもあります。しかし、運転士とかそういうところに、稼ぐことにこだわっていきましょう、こうしたことを掲げるというのは、私はまさにこれ、安全軽視の文化がJR東日本にはあるんじゃないかと。

 最近のJRの経営方針の「変革二〇二七」では、「鉄道を中心とした輸送サービスを質的に変革し、」「生活サービス事業及びIT・Suica事業に経営資源を重点的に振り向け、新たな「成長エンジン」としていく。」としています。つまり、鉄道の投資を減らして、不動産とか駅中とか高輪ゲートウェイとかSuicaに経営資源を重点化すると。こうした経営方針そのもの、経営体質そのものが、安全を守るための投資をおろそかにして安全軽視の風潮をもたらし、相次ぐ事故を起こしているんじゃないかと思うんです。公共事業者として、期待するじゃ駄目なんですね。

 私は、昨年の委員会でも、そうであるがゆえに、鉄道事業法第五十六条の立入検査規定に基づく鉄道事業監査規則第七条二項に定める特別監査、保安検査とかそういう定例のじゃなくて、これはJR東日本の経営問題なんだという観点からの特別監査を行うべしと斉藤国土交通大臣に訴えましたけれども、斉藤国土交通大臣は、毎年定期的に保安監査を行っているから大丈夫なんだ、そういう観点なんですね。

 保安監査は技術的な観点です。先ほど大臣がおっしゃったのも技術的な問題です。でも、そうであっても、今、事故が起き続けているんですよ。この経営体質そのものを監査するための鉄道事業等監査規則第七条二項に基づく特別監査、これを行うべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 これはかつてなんですけれども、JR西では福知山線の事故もありました。あのときも、安全文化というのが本当に会社に根づいているのかというところを、しっかりとこれを根づかせないといけないんだ、そうした議論があったかと思います。そういう意味では、会社の安全管理体制そのものがどうなのかという委員の問題意識というのは、私もそこは共有するものでございます。

 他方で、特別保安監査につきましては、例えば、深刻な死傷事故ですとか、輪軸組立て時におけるデータ改ざん等の、こうした安全確保の仕組みを根底から覆す事案が判明したときに実施をしてきたということもございまして、個々の、昨年来のJR東日本の事案については、これらに該当することはないのではないかというのが一つでございます。

 今までの答弁でも、定期的に保安監査を行いますというふうなこともあったかと思います。これは、必要に応じて、定期監査に加えて、随時の監査というのも行っておりますし、このときに、技術基準などの関係法令への不適合が確認をされた場合には、やはりその背後の要因、会社の安全管理体制そのものがどうなのかというところについてもしっかり確認を行う、事業者に対しては、それらの要因も含めて原因を究明をした上で、再発防止策を講じるように、改善指導を実施をするということも行っております。

 そしてもう一つ、運輸安全マネジメント制度というのがございます。事業者が実施をする安全に関する取組の評価、取組の見直し、これは、まさにJR東日本の経営トップに対して、経営陣が、やはりこういう安全文化というのを最優先でしっかりやっているのかということを、まさにそれを構築し、改善をするための、JR東日本の経営トップに対する直接の評価、助言というのが、この運輸安全マネジメント制度というものを活用して行っているところでもございます。

 こうした取組を通じまして、やはりJR東日本には、会社の安全管理体制に対しまして、しっかり指導助言を実施をしてまいりたいというふうに考えております。

福島委員 随分甘い認識だと私は思いますよ。

 前回、私、三月十三日のときに、こう言ったんですよ。私は、極めて近い将来、事故が起きる可能性はかなり高いと思っていますよ、そうなったときにまた慌てないように、是非今から、JR東日本の業務の運行体制というものをしっかり見て、今までの監査のやり方じゃ見えなかったところに原因はあるんですよと。

 分かっていれば起きないんですよ。今回だって二回目じゃないですか、列車が分離されるというのは。そういう思いで、是非見なければならないんです。

 これまで国交省は、知床での遊覧船事故、羽田空港での航空機衝突、起きてから、後になって急に法律改正するんですよ。起こす前にやらなきゃならないんですよ。起こす前にやらなきゃならないんです。

 大臣、大臣として、政治家として、特別監査を行わなくて、本質的な原因究明を怠ったため、仮にJR東日本で重大な事故が起きた場合、責任を取って議員辞職をする覚悟はございますか。是非お答えください。

中野国務大臣 改めてになりますが、特別保安監査は、特別保安監査として、どういう事態が起きたときに実施をするという仕組みは、先ほど、考え方については説明をさせていただいたところでございます。

 もちろん、輸送の安全確保をしっかりと行うというのは、鉄道事業者にとって最も重要な使命であります。そのために、国土交通省は様々な制度がございます。私が先ほど申し上げた運輸安全マネジメントの制度というのは、まさに安全文化を会社に根づかせるために、こういう取組をしようということで導入された制度でもございます。

 こうした様々な制度の中で、会社の安全管理体制、委員、JR東日本の、大変いろいろな御懸念のお声もいただいておりますけれども、しっかりと指導助言を、これを通じてやってまいりたい、そして、JR東日本も含めて、輸送の安全確保というのをしっかりと守っていけるように取り組んでまいりたいというのを、改めて答弁させていただきます。

福島委員 その何とかマネジメント制度が機能していないから起こるんだから、大臣、しっかりと、大きな責任を持っているということを自覚いただければと思います。

 次に、中速新幹線という明るい話に行きたいと思うんですけれども、在来線を高速で走らせるというのは今技術的に可能になっています、百六十キロから二百キロ。

 中川先生、起きていますか。三重まで結構、名古屋から時間がかかるじゃないですか。それを二百キロでばあっと走らせたら、やはり、先生は地元にもっと帰りやすくなるんじゃないかと思うんですね。そして、夢のある技術であります。

 これは、石破総理もホームページでそれを言っておりまして、石破内閣が掲げる令和の列島改造にうってつけなんですね。なぜこれができないかというと、今、その前に整備新幹線があって、その後、昭和四十八年に作られた、全国新幹線鉄道整備法第四条に基づく計画に基づいた基本計画路線というのがあって、まずそれをやってからじゃないとやろうとしないから、なかなか進まないんですね。

 そこで、事務方にお聞きしますけれども、これまで計画を解消したペース、全体の計画のうち、これまでの年数で割れば、毎年どのぐらい距離を造っていったというのが分かりますから、そのペースでいけば、今の基本計画路線が全部造り終わるのはどのぐらいになるか、機械的に計算したデータを教えてください。

井上委員長 質疑の途中ですけれども、少しお時間、まず、速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井上委員長 それでは、速記を起こしてください。

 大臣が参議院本会議に出席をされなければいけませんので、福島先生の質疑は午後に変更させていただいて、十二時二十分からに変更させていただいて、大臣は参議院本会議に行っていただいて結構です。よろしくお願いします。

 では、福島先生、十二時二十分から、大変申し訳ありませんけれども、よろしくお願いします。

 次に、小森卓郎君。

小森委員 ありがとうございます。自由民主党の小森卓郎です。

 昨年の三月にも、大臣の所信に対する質疑で能登半島地震関連の質問をさせていただきました。今年も大臣所信に対する質疑をさせていただけること、皆様に感謝を申し上げたいと思います。

 今日は、古川副大臣に来ていただいて、答弁をしていただきます。感謝申し上げるとともに、早速質疑に入らせていただきます。

 さて、今年は、昭和百年、戦後八十周年など、何とか周年が数多くある年であり、この委員会にいらっしゃる方々でも、会合の御挨拶などで言及される方もおられるのではないかと思います。

 実は、当国土交通委員会に関わる何周年というのもございます。気象業務百五十周年ということで、明治八年六月一日に東京気象台が業務を開始してから百五十周年になるところであります。

 現在の気象庁の庁舎は虎ノ門にあります。それまでの大手町の庁舎から令和二年に移転したものでありまして、私は、一週間前、先輩や同僚議員とともに新しい庁舎を訪問させていただきました。

 気象庁は、御存じのとおり、台風や線状降水帯、地震、津波、火山など、国民生活にとって重要な情報を二十四時間三百六十五日体制で収集、分析、提供しております。災害の際にも業務が続けられなければならないことから、免震構造を取り入れるなど、災害に強い庁舎になっております。

 災害発生時には、政府中枢や自治体、メディアなど、多方面への情報提供を迅速に行うことが求められる仕事であり、現場の皆さんの強い責任感にも触れることができました。受け入れてくださった皆様方に改めて感謝を申し上げたいと思います。

 この百五十周年を迎える機会に、国土交通省を代表して、副大臣から、気象業務の重要性についてお言葉をいただきたいと思います。また、昨年九月には、石川県の輪島市などで線状降水帯による大きな被害が生じましたが、線状降水帯の予測精度の向上は、多くの皆さんの願いでもあります。業務の更なる改善に向けた意欲も併せてお聞かせください。

古川副大臣 お答え申し上げます。

 委員から御指摘がございましたように、本年は、気象庁の前身であります東京気象台が明治八年に気象業務を開始して以来、百五十年を迎える年となります。その記念する年に、先日、お忙しい中、御視察を賜りまして、誠にありがとうございました。

 気象庁におきましては、この百五十年の長きにわたりまして、国民の生命や財産を守り、交通安全や産業の振興に寄与すべく、先ほどお話しいただきましたように、二十四時間三百六十五日、自然現象を監視し、情報の発信を行ってまいりました。

 近年、自然災害は、激甚化、頻発化してきております。線状降水帯という、かつては専門用語であったものは、皆さんが御存じの言葉に変わりつつあります。

 こうした状況の中、気象庁におきましては、観測、予測能力の向上が喫緊の課題であり、まさに国民の関心事であると認識をしているところでございます。

 こうした期待に応えるために、気象庁では、世界最先端の観測機器を搭載した次期静止気象衛星「ひまわり」の整備など、最新の技術の導入を進めております。国土交通省といたしましても、これらの取組をしっかりと進めてまいります。

小森委員 今、新しい気象衛星のお話もありました。大気の状態を三次元で観測できるということで、予測精度の向上にも役立つものというふうにお聞きしております。

 これまでも、気象衛星、そしてまたスーパーコンピューターの活用など、時代とともに充実されておりますけれども、今後も是非ともしっかりと充実していただきたいというふうに思います。

 そしてもう一つ、この百五十周年の機会を生かした関連の行事などで、この業務の重要性が国民の皆様にしっかりと伝わりますように発信することを期待しております。

 次の話に移ります。

 北海道新幹線についてお尋ねをします。

 昨日の国土交通省の有識者会議におきまして、札幌延伸の開業時期が令和二十年度末へと、これまでより八年後ろ倒しになる内容の報告書案が示されたとメディア各社が報じているところであります。これは、沿線自治体のまちづくりにも大きな影響を与えます。

 鉄道局に、こうした変更がなぜ起きてしまったのか、そしてまた、正確に見通しを立てる観点からは何が不足していたのかについて、事後的な質問になりますけれども、反省も含めてお答えをいただきたいと思います。

五十嵐政府参考人 お答えいたします。

 北海道新幹線新函館北斗―札幌間につきましては、昨年五月に、建設主体であります鉄道・運輸機構から、二〇三〇年度末の完成、開業は極めて困難であると判断した旨の報告がなされまして、当時の斉藤大臣の御指示も受けまして、有識者会議を開催しながら、開業時期が遅れることの合理性や、何か打つ手がないのかという事柄について科学的、技術的に検討しておりました。

 今朝の報道でもいろいろ出ておりますが、昨日行われました有識者会議におきましては、報告書の内容について御議論いただきまして、最終的に座長一任という形になっております。したがいまして、現在、最終的な報告の中身につきましては座長において最終調整をしていただいているところでございます。

 こうした状況でございますので、今日このタイミングで北海道新幹線の開業時期に関わる具体的なお答えは、せっかくの御質問でございますけれども、具体的なものとして、あるいはこの報告書の内容としてはお答えを差し控えようと思っておりまして……(小森委員「時期について聞いていないです」と呼ぶ)済みません、これから申し述べますので。

 ただ、これまで発生した工程の遅れについて、可能な範囲で申し上げますと、予期せぬ巨大で堅固な岩塊が出現したこと、想定を上回る地質不良の継続があったこと、発生土の受入れ地の確保が難航したこと、こういったことなどによって複数の工区において工程に遅れが生じている、そういう状況によるものと考えております。

 以上でございます。

小森委員 ありがとうございます。

 時期について質問したわけではありません。ただ、こうした状況について事前に分かることができたのかどうかについてお聞きをしたかったんですけれども。

 いずれにしても、こうした後ろ倒しが将来再発しないように願っております。他方で、後ろ倒しのリスクを恐れる余り、過度に保守的に今後見積りをするようにもなってもらいたくはないというふうにも思っております。

 さて、北海道新幹線だけではなく、懸念されるのは北陸新幹線の敦賀以西延伸の行方であります。

 政府・与党が敦賀以西のルートを現在の小浜・京都ルートの南回りルートと定めたのは平成二十九年三月です。それから八年がたちましたが、いまだ着工に至りません。令和二年には、与党PTが敦賀―新大阪間の五年度当初着工を決議し、時の国土交通大臣が重く受け止めるとしました。しかしながら、この五年度着工は実現しませんでした。その後の六年度予算、さらに七年度予算でも着工に至りませんでした。それに加えまして、昨年十二月には、沿線となる京都市は四つの懸念として、地下水や建設発生土、交通渋滞、財政負担を挙げました。ルール決定から八年が経過しても、これらの懸念が生じているところであります。

 今後、懸念を克服して地元自治体が賛成できるものなのか。京都以外からも様々な立場から不安や不満の声が表面化し、ほかのルートを推す声も上がっている状況であります。

 小浜・京都ルートに対するこうした不安や不満の声が上がる背景に何があると認識されておられますか。背景をお聞きしております。

五十嵐政府参考人 お答えいたします。

 北陸新幹線敦賀―新大阪間につきましては、平成二十八年度末の与党におけるルート決定後、鉄運機構において環境影響評価手続を進め、また、施工上の課題を解決するための北陸新幹線事業推進調査も行いながら、昨年、令和六年の八月に、詳細な駅位置、ルートの案、新たな事業費、工期などについて、与党の北陸新幹線建設推進プロジェクトチームの北陸新幹線敦賀・新大阪間整備委員会にお示しをさせていただきました。その後、お示しをした内容につきまして、今御紹介いたしました与党の整備委員会において、京都府や京都市などを始めとした沿線自治体などからヒアリングを行われるなど、様々な場で御議論いただきました。

 こうした状況を踏まえまして、昨年、令和六年十二月には、与党整備委員会から、地元関係者等の懸念や不安を払拭するため最善を尽くすことが重要であることなどを内容とする中間報告がなされたということでございます。

 背景という御質問でございますけれども、確定的なことは、御意見を言われた方の内心まで踏み入ってお聞きができておりませんので申し上げられませんけれども、委員から先ほど御紹介がありました経緯を踏まえますと、当時、ルートが決まったときの工期と事業費がございますけれども、それと、昨年、令和六年八月にお示しをした工期及び事業費というものが数字が違うものになってございます。それが一つの背景といいますか、これまで積み重ねた事柄との違いという点であるのではないかと推測をするところでございます。

 いずれにいたしましても、先ほど御紹介いたしました与党の中間報告においては、地元に丁寧に御説明をするようにという御指示をいただいておりますので、国土交通省といたしましては、今後、御地元への説明会の実施について、地元の自治体と調整して予定をしているところでございますし、引き続き、沿線自治体などの御理解を得られるよう、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取組を進めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

小森委員 推測もいただいて、どうもありがとうございます。

 ルート決定後八年たっても着工できていないという進捗の遅さというのが、皆様の不満や不信の最大の根源ではないかと私は推測をしておりまして、早急に議論を進めていただきたい。その必要性というのは明らかかなというふうに感じているところであります。

 今、局長の方から御答弁ありましたけれども、昨年八月に、小浜・京都ルートについての新たな見通しが示されまして、工事期間ですとか経費について新しい数字が出たところであります。

 元々、BバイCが小浜・京都ルートというのは一・一でありましたので、経費が約二倍かかるといったような見通しであるのなら、小浜・京都ルートのBバイCは一を切るのではないかといった疑念が生じているところであります。私は、これは正当な懸念であると思っておりまして、放置することなく、早期に情報提供をすることが必要であるというふうに考えるものであります。

 副大臣にお聞きします。

 今後、BバイCも含めてできるだけ多くのデータを示して、できるのならできる、できないのならできないと決着をつけるというのが必要だと思います。答弁をお願いします。

古川副大臣 先ほど局長からも御答弁申し上げましたが、様々な調査を経て、昨年八月に、詳細な駅位置、ルートの案、新たな事業費、そして工期などについてお示しをいたしました。

 その後、特に京都を始めといたしました沿線の自治体から、地下水への影響や発生土の処理などについての御懸念をいただいておりますが、これまで鉄道・運輸機構において、環境影響評価のための現地調査や予測の評価、従来であれば認可後に行っていた調査を先行的に実施し、地下水への影響について有識者との議論なども行っております。

 今後、そうした議論、調査も踏まえた様々な情報をお示しして、説明会も実施しながら、御地元の御理解を得られることができるようにしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

 なお、BバイCにつきましては、与党の中間報告におきましても、費用対効果の在り方などについて検討を速やかに行うとされております。敦賀―新大阪間が整備されることにより、東京―大阪間の全線開業が実現する、こうした意義もよく踏まえながら、具体的な検討を進めているところでございます。

 いずれにいたしましても、国土交通省といたしましては、一日も早い全線開業に向けて、沿線自治体の皆様方の御理解を得られるよう、鉄道・運輸機構とともに丁寧かつ着実に取り組んでまいります。

小森委員 ありがとうございます。

 今、副大臣からも、そして局長からも、京都での説明会について言及がありましたけれども、その際、できるだけ多く具体的なデータを提供して、議論を深めて、早期に結論を出していただきたいというふうに思っております。

 おっしゃったとおり、東京―大阪間を東海道新幹線だけでなく北回りでもつなぐ。日本の高速鉄道ネットワーク政策において、これ以上重要な課題はないと私は確信するものでございます。もし、仮に必要であるのなら、これまでの整備新幹線の方式を部分的に修正してでも、この大きな意義のあるネットワークを完成させなければならないと思っております。

 副大臣に確認します。

 北陸新幹線を大阪まで直通で結ぶ重要性に関する国土交通省の認識をお願いいたします。

古川副大臣 新幹線は、ネットワークとしてつながることにより、地域相互の交流を促進し、我が国の産業の発展や観光立国の推進、そして地方創生に大きく貢献する、まさに我が国の社会経済を支えてきた基幹的な輸送機関であると考えております。

 特に、北陸新幹線につきましては、新幹線の本来的な効果として、敦賀―新大阪間が整備されることにより、京都と小浜が約二十分、関西と北陸がおおむね一時間から一時間半、関西と信州がおおむね二時間半となるなど、関西と北陸などとの移動時間が大幅に短縮し、観光やビジネスなど地域の活性化に大きく資すると考えております。

 また、こうした時間短縮効果のみならず、我が国の大動脈である東京―大阪間について、複数の新幹線ネットワーク、特に太平洋側と日本海側の二面活用が図られ、災害や輸送障害時におけるリダンダンシーの確保、国土強靱化にも大きく寄与するものと考えております。

 こうした観点も踏まえ、国土交通省としては、一日も早い全線開業に向けて、沿線自治体の皆様の御理解を得られるよう、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。

小森委員 実現しなければならないことは何かといえば、それは北陸地域から大阪まで乗換えを要せずに新幹線がつながることであります。そしてまた、起こしてはならないことは何かといえば、それは敦賀で線路が止まることでありまして、皆で知恵を出し合いながら、敦賀以西の早期着工を実現していかなければならないというふうに考えているところでございまして、そしてまた、今の状況が今後もずるずると続くことがないようにお願いをしたいというふうに思っているところであります。

 最後に、この後、西田代議士の方から能登半島地震について御質問があります。私も、昨年のこの場で様々なお願いをさせていただきました。今日も議論のあった上下水道の早期復旧、港湾や道路の復旧時期、液状化対策等々、様々なことに取り組んでいただき、誠にありがとうございました。

 今国会では、道路法や港湾法の改正法案、そしてまた、災害対策基本法案等の改正案も国会に提出されているところでございます。私たちが求めたことをいろいろと反映していただいていることに対しまして感謝の念を表明しますとともに、これらの法案を一日も早く可決、成立させまして、今後の災害対応が充実していくことを願い、そしてまた誓うものでございます。

 私からの質疑は以上とさせていただきます。どうもありがとうございました。

井上委員長 次に、西田昭二君。

西田(昭)委員 自由民主党、能登半島出身の西田でございます。

 今日は、国土交通委員会で質疑の機会をいただきましたことに改めて感謝を申し上げるところでございます。

 また、これまで、会派を超えまして多くの場で能登半島地震の復旧復興に対して質疑をいただきましたこと、被災者の一人として改めて御礼を申し上げるところでございます。

 今日は、能登半島地震を中心とした質問をさせていただきたいと思っております。

 昨年の元旦に発生をいたしました能登半島地震、あれから一年二か月が経過をいたしたところでございます。また、相次ぐ豪雨、そしてまた豪雪、また先日からの林野火災、相次ぐ災害によってお亡くなりになられた方々に改めて哀悼の意を申し上げますとともに、被災された全ての皆様方にお見舞いを申し上げるところでございます。

 今日まで、国からの全面的な支援はもちろんのこと、全国の皆様方からの温かい御支援、御協力によって復旧復興の歩みを進めてきたところでございましたけれども、昨年の九月の豪雨災害によって更なる甚大な被害が発生をいたしました。地震によって辛うじて持ちこたえていた家々や各施設が土砂災害や流木によって押し流されて、また貴い命も失われたわけでございます。その悲しみも癒える間もなく、二重被害、そういう状況の中で、多くの方々が将来のことに大変不安を持って暮らしていらっしゃるのが現状でございます。

 中野大臣におかれましては、就任直後から現地に訪れていただき、そしてまた、前斉藤大臣も本当に何度も何度も被災地を訪れていただき、被災地の状況をつぶさに把握をし、そしてまた、時には陣頭指揮を行っていただいたわけでございます。また、国土交通省におかれましては、この能登半島復旧復興の大きな柱として、大変なる御尽力をいただいているわけでございます。

 これからも引き続き、能登半島の復旧復興について、国土交通省の決意をまずはお伺いをさせていただきたいと思います。

古川副大臣 まず冒頭、能登半島地震と昨年九月の豪雨で亡くなられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、今なお不自由な生活を強いられている被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 私も、副大臣就任後に被災地を訪問させていただいて深刻な被災状況を目の当たりにし、まさに圧倒される思いでございました。被害の甚大さ、早期の復旧復興の必要性を痛感した次第でございました。

 国土交通省としてなすべきは、度重なる災害によって心が折れかかっている多くの被災者に寄り添って、未来への明るい展望を描いていただけるよう、暮らしとなりわいの再生に向け、復旧復興を最大限加速化していくことであると考えております。

 これまで、被災者の方々が将来を見通せるよう、できるだけスケジュールをお示ししつつ、復旧復興に取り組んでまいりました。例えば、幹線道路は、昨年のうちに、全ての集落等へのアクセスを再度確保し、国道二百四十九号沿岸部の輪島市門前町から珠洲市の間の通行についても確保をいたしました。港湾は、輪島の底引き漁などが再開できるよう機能を確保したほか、今後も和倉温泉の再建などに貢献してまいります。住まいについては、災害公営住宅の整備や、低利融資による自力再建の後押しなどを進めてまいります。

 これらを始め、今後も、被災者の方々が暮らしとなりわいを一日も早く再建できるよう、省を挙げて取り組んでまいります。

西田(昭)委員 古川副大臣から、本当に、これまでの取組についてるる御説明をいただいたわけでございます。引き続き、省内を挙げて御尽力を賜れればと思っております。

 被災された方々が安心して暮らしていくためには、まず最初に必要となる住まいの再建についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 その前に、公費解体の申請件数については、当初の見込みは三万二千件でございました。それよりかなり増えまして、三万九千件に増えて、その半数近くが解体をされました。当初は、なかなか解体が進まない、災害の風景が変わらない、そういうことを多く言われたときもありましたけれども、今はすっかりと解体が進み、状況が一変したような様相でございます。

 住まいの再建では、応急仮設住宅と恒久的な住まいの再建がございます。応急仮設住宅については、昨年の十二月までに六千八百八十二戸が建設をされました。そしてまた、豪雨災害の被災者の方々に向けた、新たに必要になった仮設住宅二百八十六戸についても、今年の三月末までに完成予定と伺っているところでございます。

 応急仮設住宅でも、恒久的に使用も可能な住宅一千六百三戸が六市町で供給され、災害公営住宅の被災者のニーズ調査に基づいて、十市町で災害公営住宅が整備されることでございますけれども、現在の進捗状況をお伺いをさせていただきたいと思いますし、また、あわせて、住まいの自力再建を目指す方々に対する支援や空き家の活用、そしてまた、移住促進対策などの取組についてお聞かせをいただきたいと思います。

楠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 被災地の復興と被災者の生活再建に向けましては、恒久的な住まいの確保が大変重要な課題であるというふうに認識をいたしております。

 災害公営住宅につきましては、現時点で十の市町に約三千戸の整備が必要というふうに見込まれておりまして、国土交通省において、令和六年度補正予算で当面必要な予算を確保いたしました。

 今後は、年度内に輪島市や珠洲市の中心市街地など先行地区での測量、設計に大半の市町で着手をし、来年度中には過半の市町で先行地区の建設工事に着手をすることが見込まれているところでございます。

 引き続き、被災者に寄り添い、できるだけ具体的な見通しを明らかにしながら、整備を進めてまいりたいというふうに思います。

 また、住まいの自立再建につきましても、住宅支援機構において災害復興住宅融資を提供しておりますほか、自力再建の具体的なイメージを提供する、いしかわ型復興住宅モデルプラン集の作成、そして、被災者が相談できる窓口の設置、さらには、相談会の開催などを支援をしているところでございます。

 さらに、御指摘の空き家の活用などにつきましても、今後、被災自治体の御要望を承りながら、補助事業の活用も含めて、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

 引き続き、被災自治体の御意向を丁寧にお伺いをしながら、被災者の恒久的な住まいの確保が図られますよう、全力で支援に取り組んでまいります。

西田(昭)委員 ありがとうございます。

 被災地での新築住宅の坪単価、これは、被災前から比べると二倍から三倍に高騰している状況でございます。特に、奥能登地区においては、坪単価が百七十万円、本当に日本一高い住宅事情になっているのが現状でございます。なかなかすぐに、家を建てたい、そしてまた人手不足であったり業者の不足であったり、本当に厳しい状況でございます。

 また、被災直後から、能登からほかの地域へ避難している方々は、新聞報道で七千人も超えるとのことが報道されておりました。一人でも多くの方々に能登に戻ってきていただく、そしてまた、復旧復興が進み、少しでも生活再建できるように、恒久的な住宅の確保、しっかりとした対策は大変重要な課題でありますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 次に、道路関係についてお伺いをさせていただきます。

 先ほども古川副大臣からのお話もありました、能登の主要幹線道路である国道二百四十九号線や、金沢―能登間をつなぐ大動脈であるのと里山海道、また、県道以上の幹線道路が、道路の寸断や土砂災害、そしてまた落石や盛土の崩落等、そういった影響により八十七か所、九月の豪雨災害により四十八か所の通行止めが発生をいたしました。国の砂防事業と連携、そしてまた権限代行による復旧も進めていただいて、昨年末から十九か所までに減少したことと承知をしているところでございます。

 これらの道路の復旧状況と今後の目標時期、そしてまた本復旧に向けたスケジュールについてお伺いをさせていただきたいと思います。

山本政府参考人 お答えを申し上げます。

 能登半島の幹線道路についての現在のまず復旧状況でございますけれども、令和六年末までに、国道二百四十九号沿岸部並びにのと里山海道を含みます能越自動車道の通行が確保されております。また、あわせまして、全ての集落等へのアクセスが確保されたところでございます。

 本格復旧に向けての今後の予定でございますが、まず、国道二百四十九号の沿岸部につきましては、今月中に、大規模な被災箇所が五か所ございますけれども、この五か所について本格復旧の方針を決定をさせていただきまして、早期の本格復旧に向けまして速やかに詳細設計に着手をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、能越自動車道につきましては、こちらについては急カーブ、段差などがまだ残っておりますけれども、この改良に向けて、今、本格復旧工事を実施をしているところでございます。

 あと、あわせまして、石川県さんで復旧を進めておられる箇所がございます。こちらについては、今月中に県道二か所の通行止めを新たに解除する予定であると石川県さんから聞いております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、石川県とも連携をしまして、幹線道路の本格復旧を進めてまいりたいと考えております。

西田(昭)委員 ありがとうございます。

 住まいの再建、観光産業を含むなりわいの再生、物資の輸送や住民の皆さん方の生活の再建に本当に大きな役割を果たす道路の復旧復興に今後とも全力を挙げて取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

 次に、港湾について伺いたいと思います。

 能登半島地震からの早期の復旧に向けて、被災した港や湾では大規模災害復興法に規定する国の権限代行が実施され、甚大な被害を受けた能登地域では、応急復旧を終え、これから本格復旧工事が始まる予定でございますが、膨大な災害復旧工事の発注が見込まれ、人材や資材の不足、費用の高騰等を要因に時間を要することが懸念をされているところでございます。特に、輪島港では、これまで経験のしたことのない海底の地盤隆起、港湾施設の損壊により、機能が著しく低下している現状にあります。

 発災以降十四か月が経過した今なお、能登の復興は道半ばであり、漁業者は制限のある中で操業を続けており、復旧復興が長引くことでの能登の漁業が衰退することが大変危惧されているところでございます。

 また、旅客船飛鳥やにっぽん丸等のクルーズ船も入港しておりました七尾港や輪島港の大水深岸壁の被害も甚大でございます。

 各港湾施設の復旧も急務であります。

 石川県最大の温泉地である和倉温泉の護岸の復旧工事は昨年暮れに着手をいたしましたが、一日も早い完成が和倉温泉や能登の復興につながるものと思っております。

 早期に復旧復興を実現するために、国として今後どのように取り組んでいくのか、改めてお伺いをさせていただきます。

稲田政府参考人 能登半島地震で被災をしました七尾港、輪島港を始めとする能登半島七港の港湾施設につきましては、発災前に利用可能な岸壁延長が約三・七キロメートルございましたが、地震によって約一・五キロメートルということで、大体四割に減少をしていたところでございます。

 発災後、国土交通省が応急復旧及び復旧工事を代行して、和倉港及び輪島港につきましては令和八年度中の可能な限り早期の完成、それ以外の港につきましては令和七年度末までの完成を目指す方針で工事を進めているところでございます。

 これによりまして、副大臣から御紹介ありましたとおり、漁業の拠点である輪島港におきましては、昨年七月から段階的に漁業の再開がなされております。そして、重要港湾の七尾港におきましては、昨年の九月にクルーズ船にっぽん丸が寄港をいたしました。

 また、和倉温泉の護岸の整備につきましては、来週三月十九日から海上部分の工事の開始を予定しておりまして、工事を本格化するなど、各港におきまして港湾の復旧を加速化してございます。

 港湾施設の早期復旧、なりわいの再建に向けまして、地元関係者の皆様とも緊密に連携しながら、鋭意取り組んでまいりたいと考えております。

西田(昭)委員 引き続きよろしくお願い申し上げます。

 最後に、観光産業の復興について伺いたいと思います。

 観光業は、能登の復興に欠くことのできない大切な産業でございます。震災による被害を乗り越え、再び多くの方々に北陸を訪れていただくためには、官民一体となった支援と地域の皆様の努力が不可欠でございます。

 国は、被災地の復旧復興に向け、財政的な支援、観光振興策の強化、インフラ復旧の加速化などに取り組んでいただいているところでございますが、実際、観光事業者の皆さんには、観光客が五年後、十年後に本当に戻ってくるのか、大きな投資を行うことに対する不安が大きいと思います。

 地元の和倉温泉では、具体的な復興プランを作成し取組を始めているところでございますけれども、長期的な見通しを示す情報提供や複数年度にわたる支援が受けられる仕組み、中長期的な支援が必要だという要望も地元の観光事業者の方々から聞いているところでございます。

 能登の観光の再生についての政府の取組について、お伺いをさせていただきます。

平嶋政府参考人 能登地域には、地域経済を支える大事な産業の一つとして観光業がございます。今般の災害によりまして、和倉温泉、また輪島の朝市など、多くの観光地で甚大な被害を受けられたものと承知しております。

 中長期の見通しを示すものといたしまして、石川県において、石川県創造的復興プランを策定されておられると思います。その中では、観光につきましても、短期のものに加えまして中長期の取組が位置づけられております。

 能登地域の各地においても観光に関する復旧復興計画等を策定していくという意向があるとお伺いしておりまして、観光庁におきましては、観光業の再生に向けて、観光地が復旧計画を策定するための支援のほか、復旧後の誘客促進を図るためのコンテンツ造成、またプロモーション、こうしたものの支援を実施していくところでございます。

 引き続きまして、被災地の声を常にお聞きしながら、また、県の中長期の取組ともしっかり連携しながら、被災地の観光復興に向けた支援にしっかり取り組んでまいりたいと思います。

西田(昭)委員 能登の観光が完全復活するまで、引き続き継続的に支援をお願いしたいと思います。

 本当に、国土交通省は、被災された住まいの再建、そしてまた、なりわいの再生、それに絶対的に必要なインフラ整備を担っていただいているところでございます。地元の様々な皆さん方の意見を聞いていただき、能登半島が本当に復旧復興が進むように、これからも全力で御支援のほどをよろしくお願い申し上げ、質問を終わりとさせていただきます。

 ありがとうございました。

井上委員長 午後零時二十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後零時二十分開議

井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。

 この際、福島伸享君の残余の質疑を行います。福島伸享君。

 福島先生、御配慮いただきまして、ありがとうございます。

福島委員 ちょっと水を差されてしまいましたけれども、在来線を百六十キロから二百キロで走る、石破総理もお勧めの中速鉄道の議論をしておりました。

 先ほどの質問の続きですけれども、仮に、整備新幹線、基本計画路線をこのまま続けたら、いつぐらいに今の基本計画路線が完成するのか、その点について答弁をお願いいたします。

五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。

 先生、レクのときからいろいろ御示唆をいただいておりまして、御趣旨はよく理解しておるんですけれども、私も鉄道局長でございますので、お叱りを覚悟でこの答弁を申し上げます。

 基本計画路線につきましては、全国から御要望いただいて……(福島委員「いいです、時間が短いので結構です。委員長、止めてください。やめてください。結構です」と呼ぶ)

福島委員 ちゃんと私は仮定条件も全部言って、機械的に試算してくれと言ったんですけれども、試算すると恐らく不都合なものしか出ないから、思いは分かるんだけれども、鉄道局長としては、そういうのは出せないという答弁なんだと思います。

 でも、これは、本当に真面目にやったら、皆さん生きているうちに誰も完成を見ることができないんです、整備新幹線の次の基本計画路線というのは。だからこそ、中速鉄道は必要だと。石破さんも、そう思っているんです。

 そこで、二月二十六日、二・二六の予算委員会で私が石破総理にこのことを聞いたところ、本当に滑らかな答弁ですよ。今日は、お金を渡しちゃって、しゅんとしているかもしれないけれども、鉄道分野だから滑らかに答弁して、中速新幹線というものは政府の中で真剣に検討していかなければなりませんと。いきなり、専門的な分野で、六百メートル条項をどうするのか、踏切の数をどれだけ減らすか、線形をどれだけ変えるかみたいな専門的な話までして、張り切って答弁されたんですね。

 何で私は整備新幹線のことを聞いたかといったら、これはやはり政治リスクなんですよ。どうしても、地元の皆さん方は、整備新幹線、頑張ろう、基本計画路線、次は頑張ろうとやると、それに応えてエイエイオーとやらざるを得ない。そういう声が政治家から上がると、国土交通省もなかなかその路線を変えることができづらい、そういうことなんですね。

 私、それができるのは、中野大臣、最初の臨時国会での所信の質疑のときに、なぜ公明党大臣が続くのかという議論をしましたよね。やはり、しがらみがないからこそ、できるものというのはあると思うんですよ。

 この基本計画路線ができたのは昭和四十八年、田中角栄内閣ですよ、昭和の列島改造。今は令和の列島改造なんですよ。もうこのまま新幹線路線を続けていくときじゃないんですね。その決断ができるのは、公明党の政治家である中野大臣なんじゃないかなというふうに私は思っております。

 恐らく、霞が関は路線を変更する準備をしているんです。昨年の骨太の方針二〇二四、その中で、これは霞が関文学なんですけれども、こうした言葉があるんですね。「基本計画路線及び幹線鉄道ネットワークの地域の実情に応じた諸課題について方向性も含め調査検討を行う。」基本計画路線、新幹線だけじゃないんですよ、「及び幹線鉄道ネットワーク」という、新幹線以外の道に道を開いているんです。しかも、それについて、「方向性も含め調査検討を行う。」方向性を出そうということも示唆しているんですね。

 私は、これをもう少し深掘りしていただけないかと思っているんです。今年の骨太の方針を作る作業というのは、もうそろそろ始まるでしょう。例えば、私の案では、基本計画路線と幹線鉄道ネットワークの高速化、つまり中速新幹線ですね、これについて財政面、技術面等からの実現性を地域の実情に応じて比較検討を行い、その方向性について定めるとかね。

 私、霞が関にいたから、霞が関文学は得意なんですけれども、そうしたことを例えば書き入れてやって、一歩前に、政治の決断で、政治のしがらみで動かないからこそ、政治の決断で一歩進めるということが必要だと思うんですけれども、大臣、御見解をお聞かせください。

中野国務大臣 福島委員から大変骨太な御提案をいただいたところでございます。

 整備新幹線、基本計画路線等の御質問であります。

 まず、今、北海道、北陸、九州の各新幹線につきましては、これは今整備をまさにしておりますので、確実な整備にめどを立てるというのが最優先の課題であるということはまず前提として申し上げさせていただきまして、これまで、全国各地において在来線の高速化等を推進をしてきたところでございます。基本計画路線の整備や在来線の高速化を含む、幹線鉄道ネットワークの高機能化ということでありますけれども、これは様々な御要望をいただいておりますので、この調査も行ってきたところでございます。

 委員からは、骨太の方針のことも言っていただきました。本年の骨太の方針につきまして、ちょっと現段階で具体にお答えする状況ではまだございませんけれども、今後の幹線鉄道ネットワークの高機能化というのをどのようにしていくのかということにつきましては、これは様々な観点はあるかと思います。利用の状況や地域の実情もございますし、また、鉄道事業者の意向もあろうかと思います。

 これは、長期的な視点に立って、引き続き検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

福島委員 見事な官僚答弁、ありがとうございます。

 官僚答弁するなら、国会議員が大臣なんてやる必要は私はないと思いますよ。ずっと国土交通省の大臣は、ほとんど公明党さんだと言ってきましたよね。私は、大きな政治決断をするために大臣がいると思うんですよ。本来は与党第一党から出せばいいんです。今、自民党の中に、国土交通大臣経験者も建設大臣経験者も運輸大臣経験者も、誰もいないんですよ。でも、国土政策という大きなことをやるには、私は、自民党だけじゃなくて、野党も含めた政治的な動きが必要だと思うんですね。

 だから、皆さん方の地元でも、例えば城井先生のところだって、日豊本線を高速化して、大分から小倉まで一時間を切るようになったら、条件が全く変わるんですよ。私の地元だって、高速化を進めれば、常磐線をそのまま高速で走らせて、水戸から東京まで四十五分、それで行けるようになれば、今、みんな大学に進学したら、うちの息子も今度大学に合格して、ありがたいことに宿舎があるから、そこに一緒に住みますけれども、大体、みんなそれで大学で東京に出ていったら戻ってこなくて、住んでいるのはおじいちゃん、おばあちゃんだけになって、その方たちが亡くなったらどんどん空き家になっているというのが、全国各地で起きているわけじゃないですか。それを、新幹線を造っていって、二十五世紀、二一〇〇年、二二〇〇年、そんなことをやったら、誰も地方にいなくなってしまいますよ。

 だから、私は、こうしたことは我々議員の側でもしっかり検討しなきゃならない。今、国会改革の議論をしておりますけれども、自由討議というものを、例えば、大臣に答弁いただかなくて、議員同士でする場などで機運を盛り上げていって、議員連盟なども立ち上げて、整備新幹線、今やっているところは、北海道は遅れているけれども、ちゃんとやり遂げることが必要でしょう。でも、次について、長期的な課題なんというお役所答弁じゃなくて、是非、我々の世代の責任として、新たな鉄道ネットワークの構築に向けた方向性を出していくということを是非求めまして、私の質問とさせていただきます。お願いいたします。

 どうもありがとうございました。

井上委員長 次に、阿部弘樹君。

阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹です。

 まず最初に、今朝、新聞を見ましたら、自民党の議員に石破総理が十万円ずつ商品券を配っていた。石破総理といえば、金権政治で失脚した田中角栄さんの弟子。その金権政治の象徴的な十万円の商品券。大臣、閣議で苦言を言われたらどうですか、こういう金権政治をやめろと。どういう御意見を持ってありますか。お聞かせください。

中野国務大臣 委員から御指摘いただきました。

 国土交通大臣ということでこの場に立っておりますので、こうした事柄につきましては答弁を控えさせていただければと思います。

阿部(弘)委員 何を言っているんですか。一蓮託生ですよ。同じ穴のムジナと見られますよ。苦言を言ってくださいよ。

 でも、質問に移りますね。

 次に、僕は大臣の横に座っているから、よく見えるんですよ。あなた、小宮山代議士の質問のときに携帯電話を見ていたじゃないですか。カメラに映っていますよ。何を見ていたんだ。大体、見ちゃいけないでしょう、代議士の質問のときに、左ポケットに携帯電話を戻して。どうですか。

中野国務大臣 済みません。大変失礼をいたしました。

 様々な答弁のこともございましたので、ちょっと私の携帯にもいろいろな、何というんでしょう、ちょっと資料、資料というか、ちょっと確認をさせていただいていたことは、大変恐縮でございます。おわび申し上げます。

阿部(弘)委員 まあ、私もこの委員会は初めてですけれども、大臣が携帯を御覧になってあるなんて初めてですから。変えられた方がいいですね、秘書官からメモをいただくとか。

 では、質問に移ります。

 先日は福岡空港の滑走路増設の供用式に、大臣、出席いただきましてありがとうございます。私も一緒にテープカットをさせていただきました。

 でも、米軍関係者や自衛隊関係者は全くお呼びになっていない。あの空港というのは、戦前、陸軍が土地を供出させて造った陸軍の空港ですよ。戦後は敗戦に伴って米軍の基地になった。そして今は、昭和四十七年ですか、国の空港と、民間空港となったわけですが、その経緯いかんについてはいかがですか。

平岡政府参考人 お答えをいたします。

 福岡空港の沿革についての御質問であるというふうに認識しております。

 福岡空港につきましては、委員御指摘のとおり、第二次世界大戦中に陸軍の席田飛行場として整備され、終戦後、米軍に接収され、板付基地となった後、昭和二十六年に国内線が開設され、民間航空の利用が開始されたと承知しております。

 その後、昭和四十七年に米軍から全面返還され、国管理の空港となった後は、増大する航空需要に対応するため、国際線ターミナル地区や平行誘導路の整備など、空港の機能強化を行ってきたところです。

 平成二十八年には、更なる航空需要への対応を図るため滑走路の増設事業に着手し、その後、平成三十一年の民間運営委託の開始を経て、今月二十日より、二本目の滑走路の供用を開始する運びとなっているところであります。

阿部(弘)委員 説明に誤りがありますね。米軍から全面返還ですか。あそこには米軍基地はないんですか。

平岡政府参考人 お答えいたします。

 米軍の施設はございます。

阿部(弘)委員 もう一つ説明が不足していること。あそこは自衛隊の航空基地じゃないんですか。春日の航空基地でしょう。

平岡政府参考人 自衛隊の施設も併設されているところでございます。

茂籠政府参考人 福岡空港には航空自衛隊春日基地というのがございまして、そちらには西部航空方面隊司令部の支援飛行隊が所在しておりまして、それらが使用する庁舎等、格納庫、駐機場が所在しているところでございます。

阿部(弘)委員 いや別に、説明が誤りじゃなかったら僕は余り言わないんですよ。つまり、全面移管だったかどうかは分かりませんが、少なくとも、日米地位協定の五条の使用だったのかどうかというのははっきり私たち国民には知らされていないですよ。

 今日は外務省は来ていないですね。日米地位協定は、飛行場の使用、港湾の使用は、米軍が、民間であれ、軍の飛行機であれ、艦艇であれ、使用できると書いてあるんですよ。だから、佐世保の米軍基地から定期的に一日二便ぐらいバスが来て、いろいろな利用はされてあるんでしょう。ただ、最近びっくりしたのは、オスプレイが飛んできている。そのことは御存じですか、大臣。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 オスプレイにつきましては、昨年の十一月にCMV22オスプレイが、日米韓共同訓練フリーダム・エッジに参加中の米空母ジョージ・ワシントンで実施される米国主催のイベントに参加者を輸送するために、福岡空港を利用したものと承知をしております。

阿部(弘)委員 実際は、輸送機が離発着するというところなんですね。

 福岡空港という名称だけではなくて、ほかの、板付空港であったり、席田空港というのはちょっと読みにくい、発音がしにくいという話も聞き及んでおります。少なくとも、日米地位協定では、日本中の飛行場、米軍の使用が可能というふうに書いてあるわけでございます。

 では、お尋ねしますが、有事の際は、事態対処法、それで、特定公共施設利用法、事態本部が福岡空港などを指定するわけなんですが、現在はどういう状況ですか。

門前政府参考人 お答えいたします。

 武力攻撃事態等におきましては、委員御指摘のとおり、特定公共施設利用法を適用し、同法に基づき、福岡空港を含む全国の空港等のうち必要な空港の利用調整を行うこととなります。

 具体的には、空港等におきまして、住民の避難などの国民保護のための措置や、自衛隊や米軍による武力攻撃を排除するための行動などの対処措置等が同時に行われ、このための空港等の利用調整が必要な場合には、事態対策本部長たる内閣総理大臣が、必要な情報を集約した上で、その時々の状況を総合的に勘案し、その利用を総合調整することにより、それぞれの措置の的確かつ迅速な実施を確保することとしております。

 こうした対処措置等のために福岡空港の利用調整が必要か否かを含めまして、優先すべき対処措置等の内容は、あくまで事態の個別具体的な状況に即して判断することとなるものでございます。

阿部(弘)委員 日米地位協定第五条というのは、諸法律を余り詳しく定めていないものですから、なかなか使い勝手が悪い。ですから、大臣は所管じゃないかもしれませんが、少なくとも空港を所管する大臣でありますから、いずれいろいろな事態が考えられますが、今内閣府では、石垣島に関しては福岡空港を訓練想定として想定してありますが、どんな訓練を想定してありますか。

門前政府参考人 お答えいたします。

 特定の有事を想定したものではございませんけれども、国、沖縄県先島諸島の五市町村等が協力し、武力攻撃予測事態に至った場合を想定した住民避難の検討、訓練を実施しており、本年も一月三十日に訓練を実施したところでございます。

 また、この検討、訓練に関しましては、避難先として想定をしております九州、山口各県の地方団体とも緊密に連携し、今年度から避難住民の受入れに係る検討に取り組んでおります。

 その際、沖縄県の離島から九州、山口各県へ避難の際に用いる受入れ空港といたしまして、空港の平素の利用人数や受入れ県が複数に広がる場合の移動を考量し、九州新幹線の始点の最寄り空港であります福岡空港、鹿児島空港を活用することとして訓練をしているものでございます。

阿部(弘)委員 宮古島市の関連の避難は鹿児島空港、あるいは鹿児島港などを想定してありますが、石垣周辺の与那国や竹富町も含めて、福岡空港を想定してあると。

 福岡空港というのは、特に九州では離発着回数が一番大きな空港でございますから、そういう有事の際の利用というのは非常に重要になってきますから、是非とも、大臣、日米地位協定第五条、まだまだいろいろな法律を整備しなければ使い勝手が悪い。

 福岡は、例えば朝鮮戦争のときには、雁ノ巣の米軍基地や福岡空港、そして遠賀基地も含めて、様々な飛行機が離発着し、そして多くの方々が避難してきた地域でございます。是非ともそういう有事に備えた備えを行っていただきたいと思いますが、御意見はいかがでございますか。

中野国務大臣 福岡空港は、年間約二千五百万人が利用する、我が国の航空輸送網の拠点となる空港でございます。大変に重要な役割を担っている空港でございますが、あわせて、先ほど政府参考人からも答弁があったとおりでございますが、武力攻撃予測事態に至った場合を想定して実施されている検討、訓練においても、これは沖縄県の離島からの避難者の受入れ先の空港ということで一定の役割を担うということが想定をされているところでございます。

 国土交通省としましては、こうした福岡空港、大変重要な役割を担っているということを踏まえまして、今後とも適切な空港管理に取り組んでまいりたいと思います。

阿部(弘)委員 福岡空港に限らず、全国の空港、非常に大切でございますから、是非ともよろしくお願いします。

 次の質問に移ります。

 船舶の安全についてなんですが、知床遊覧船の事故、遺族の方々が訴訟を起こされまして、それがいよいよ開始しておるところでございます。遺族の方の訴訟、それと乗組員の方の訴訟と、二つの訴訟があるというふうに考えております。

 では、この令和四年の四月、遊覧船事故が起きてから、政府、国土交通省は、どういう法改正や再発防止のための取組を行ってきたんでしょうか。

宮武政府参考人 お答え申し上げます。

 令和四年四月に、北海道知床において小型旅客船が沈没し、乗客乗員計二十六名が死亡、行方不明となる重大な事故が発生いたしました。

 このような痛ましい事故が二度と起こることがないよう、国土交通省では、旅客船の総合的な安全・安心対策を取りまとめ、再発防止策の確実な実施、遵守の徹底に取り組んでおるところでございます。

 その対策の一環といたしまして、令和五年五月に海上運送法が改正されまして、事業者の安全管理体制の強化、船員の資質向上に係る制度の導入、行政処分、罰則の強化など、制度の見直しが行われております。

 例えば、罰則の強化につきましては、安全確保命令違反に対しまして、改正前は百万円以下の罰金となっておりましたところ、一年以下の懲役若しくは百五十万円以下の罰金又はその両方を併科とされたことに加えまして、新たに法人に一億円以下の罰金が導入されております。

阿部(弘)委員 船舶安全法と海上運送法、これが皆さん方の所管する法律だというふうに感じておりますが、令和五年の五月に法改正して、まさに取り組んでいる真っ最中に、令和五年六月、JR九州高速船、福岡―釜山間の高速船航路において不正が露見しました。どういう不正だったんですか。

宮武政府参考人 JR九州高速船は、令和五年二月に船体損傷により船内に浸水が発生したにもかかわらず、国土交通省に報告をせず、かつ、修理後に必要な検査を受けずに運航していたことから、国土交通省は、令和五年六月、同社に対しまして、海上運送法に基づく安全確保命令を行いました。

 その後、昨年八月、同社に対しまして抜き打ちで監査を行った結果、昨年二月以降、再度船内に浸水が発生していたにもかかわらず、国土交通省に報告をせず、かつ、必要な検査を受けずに運航していたことが確認されました。

 このことから、国土交通省では、昨年九月、同社に対しまして、改めて海上運送法に基づき安全確保命令を行うとともに、初めての措置となります安全統括管理者及び運航管理者の解任命令を行いました。

 同社からは、この命令を踏まえた改善報告書が昨年十月に提出されましたけれども、本年二月、事業者判断により事業廃止届出書が提出されたところであります。

阿部(弘)委員 またまた説明を省いて。

 二回目の抜き打ち検査のときには、浸水の警報器を上に上げて、そして、浸水が起きても警報が鳴らないようにしていたんでしょう。そして、皆さん方が抜き打ちで来たときに、その警報装置を下まで下げて、何事もなかったようにあなた方の検査を受けたんでしょう。違いますか。

宮武政府参考人 説明が足らず、申し訳ありませんでした。

 御指摘のとおり、警報装置が作動しないように高さを変更しているという事案が確認されました。私ども、水深を計測するセンサーをいじるということは、検査を受けなければならない事案と考えております。そういう意味で、私、ちょっと言葉をはしょりましたけれども、必要な検査を受けずに運航していたということが、イコール、警報装置をいじっていたということと御説明させていただきました。おわび申し上げます。

阿部(弘)委員 JR九州高速船というのは、社長さんは元JR九州の役員の方ですね。

 この船の運航、あるいは検査の受け方を見ますと、人命を軽視している。先ほど福島先生の話にもありましたように、輸送が安全であるべき公共輸送でありながら、人命を軽視するという社風があるんじゃないでしょうか。その辺は、大臣、いかがですか。

中野国務大臣 JR九州高速船、事案の概要につきましては、先ほど局長から説明をさせていただいたとおりでございます。

 国土交通省としましては、知床遊覧船のような痛ましい事故が二度と起こることがないようにということで、海上運送法を改正をいたしまして、これに基づく対策ということで、旅客船の安全、安心対策にまさに取り組んでいるというところでございます。

 そんな中、JR九州の高速船におきまして、まさに安全への意識が欠如した事案が発生をしたということで、これは私も極めて遺憾であるというふうに思っております。

 輸送の安全確保は、交通事業者にとりまして最も基本的かつ重要な使命であります。具体的な様々な安全確保命令、措置等も、先ほど局長からも答弁させていただきましたけれども、関係職員が一丸となって、輸送の安全確保に向けて、強い決意を持って取組を進めてまいりたいと思っております。

阿部(弘)委員 福岡と釜山を結ぶ、みんながよく使う、非常に楽しみにしている船、そこの浸水計測器が不正が行われていた。これは、事故で人が死んだりはしていませんけれども、まさに未必の故意、殺人船ですよ。

 海上保安庁はこのことについてどういう受け止めをしてありますか。

 なければ、大臣、お答えください。

井上委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

井上委員長 速記を起こしてください。

 中野大臣。

中野国務大臣 海上保安庁ということで御指示がございましたので、刑事の手続の関係の御質問かというふうに思います。

 先ほど海事局の方からは、行政処分の関係は答弁をさせていただきました。刑事手続につきましては、個別の事案ごとに対処されるということでございまして、個別具体的な答弁というのは差し控えさせていただければということで御理解いただければと思います。

阿部(弘)委員 個別具体的なことは結構でございますが、ただ、これは行政処分で済むような話ではないですね。計測機器を上に上げて、浸水が分からないようにして、検査の立入りが来たらすっと下に下げる。死んじゃうじゃないですか、乗客は。そんなことを許しちゃいけないですよ、大臣。

 改めて、輸送の安全ということの責任者ですから、船も列車も同じでございますから、よろしくお願いします。御意見をお願いします。

中野国務大臣 船も列車もということでありましたので、JR九州高速船というのはJR九州グループでもございます。本件の事案が安全への意識が欠如していると言わざるを得ない極めて遺憾なものであるということは、再三、先ほども申し上げさせていただいたところでございます。

 国土交通省としまして、JR九州本社も含めて、やはりグループ全体のガバナンスを通じて、グループ会社の安全意識を高めて、安全管理体制をより確実なものにするということは重要かというふうに思っております。

 こうした観点から、JR九州高速船に対しましては、安全確保命令等の行政処分を行うとともに、JR九州に対しましても、JR九州高速船をしっかり指導して、再発防止に向けた対応を徹底するように求めるなど、輸送の安全確保に向けたJR九州に対しての指導についても行ってきたところでございます。

阿部(弘)委員 終わります。

井上委員長 次に、奥下剛光君。

奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。

 限られた時間でございますので、早速質問に入っていきたいと思います。

 大臣は、所信の冒頭に災害復興のことに触れられておりますが、現在、復興特別所得税の税収が幾らで、どういったことに充てられているのか、教えてください。

東大臣政務官 復興特別所得税収については、令和七年度予算において四千七百六十億円と見込んでいるところでございます。

奥下委員 中身もあれだったんですけれども、大体、仮設住宅の提供であったりとか、堤防、道路の復旧、放射線の汚染地の除染だと思います。過去には、報道にもありましたけれども、地方アイドルであるとか無人島への防波堤工事など、復興と関係ないところに、関係ない事業や自治体に流れていて、また、ゼネコンの支店の幹部らに裏金として渡っていたという報道もありました。

 二年ほど前ですかね、災害特で福岡の水害のあった地域に視察に行ったんですけれども、そういった農家の方々がおっしゃるには、十分な手当てをいただけていないであるとか、我々も復興税を納めているのに何で我々のところには充てられないんだと。一般の方からしたらそんな感覚なんだと思うんです。

 この復興特別税、二〇一三年から始まって三七年ということで、折り返しの年に当たってきていると思います。是非ここを、今まで使ったことを検証していって、費用対効果を含めてしていくべきだと思うんです。

 そうした中で、そういった国民の皆さん、災害に遭われた方のお声をすると、使い方の目的を変えていく必要があるんじゃないかと考えますが、いかがでしょうか。

東大臣政務官 復興特別所得税については、東日本大震災復興財源確保法におきまして、東日本大震災からの復興事業及び復興債の償還費用にその税収を充てることとされているところであります。また、同法に基づき、将来発生する復興特別所得税収を財源として見込んだ上で東日本大震災からの復興事業を実施しているところであり、現在、この財源をほかの経費に充てることは考えてはおりません。

 他方、政府としても、激甚化、頻発化する災害から国民の皆さんの命、暮らしを守ることは国の重大な責任であると認識しておりまして、引き続き、防災、減災、災害復旧の取組を推進してまいりたいと思います。

奥下委員 当然使えないのは分かっているんです。そういったのを変えていくのが我々の務めだと思っておりますし、実際そういったお声が上がっているわけですから、先ほど申し上げたように、三七年までの折り返し地点でもありますので、きちんと検証していっていただきたいというふうに思います。

 国交省としても早期再建に向けて取り組まれるということですが、こういった見直しを含めて、大臣の御見解をお聞かせください。

中野国務大臣 まさに復興特別所得税が時限措置の折り返しだということで、委員からも御指摘いただきました。

 東日本大震災の発災からまさに丸十四年ということでありまして、大規模自然災害のリスクが高まる中で、私も、震災の教訓を踏まえた安全、安心な国土づくりというものを着実に進めていかないといけないという思いを新たにしているところでございます。

 着任後、被災地を訪問をさせていただきましたけれども、これまでも、基幹インフラの復旧復興でありますとか復興まちづくりなどの復興事業につきましては全力で取り組んできた結果、地震や津波による被害からの復興、復興事業については総仕上げの段階に入っているかと思っております。

 他方で、福島の原子力災害の被災地域では、まだ復興再生は本格的に始まったばかりだという地域もあるわけでございまして、いまだ帰還ができない避難者の方もいらっしゃいます。不自由な生活を強いられている多くの方々がいらっしゃるということでありまして、やはり、除染に合わせたインフラの復旧を着実に進めていかないといけない、拠点となる市街地やインフラの整備、観光振興など、生活やなりわいの再建を推進をしていかないといけないというふうに思っておりますので、省を挙げて、福島県を始め、まさに地域と一体となって復興に取り組んでいきたい、こういう思いを持っております。

奥下委員 ありがとうございます。

 まさに、東日本が、もっと減らせとかそういうことじゃなくて、南海トラフを含めて高確率で起こると言われているのであるならば、こういったことをきちんと、今税制は二・一%ですけれども、全体にすることによって足りないという議論も当然出てくるかもしれないので、今、国会、国民の皆さんの手取りを増やすという議論をしている中でなかなか言いにくいことかもしれませんけれども、きちんと検証して今後考えていく必要があると思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 次に、所信でありました地方創生二・〇の推進についてお尋ねします。

 外国人旅行者向けの免税制度、これが昨年、見直されるということで、来年から導入予定みたいですけれども、消費額を八兆円から十五兆円に伸ばす、こういったことも大臣はおっしゃっておられました。消費税の還付方式を、来年度以降、民間事業に完全に委託されるということなんですけれども、これは、現金、カード、電子マネーとか、加えてポイントとか、いろいろな還付が可能になってくるかと思うんです。現場からもこういった声が実際上がっておりますが、先ほど申し上げたように、大臣の所信にあるように、消費額を八兆円から十五兆円を目指すに当たり、これは有効な手段だと私は考えるんですけれども、いかがでしょうか。

東大臣政務官 外国人旅行者向け免税制度については、免税購入品の国内転売等といった制度の不正利用を防止する観点から、令和八年十一月以降、出国時に税関で購入品の持ち出しを確認した場合にのみ消費税相当額を返金するリファンド方式に見直すこととしております。

 返金方法については、委員御指摘のとおり、政府としては、外国人旅行者の利便性や空港での混雑防止等の観点からは、クレジットカード、電子マネー、ポイント等のキャッシュレスによる返金が望ましいと考えておりまして、返金業務を行う事業者においても、こうした観点や、免税店や旅行者からのニーズも踏まえて、具体的な返金方法が検討されているところと承知をしております。

奥下委員 ありがとうございます。

 まさに、皆さんもお買物をしたらよくあるドラッグストアとかポイント二倍還元デーとか、こういったことをすることによって、大きな免税店では海外でも店舗を持たれたりしてそういったところで使えるであったりとか、越境ECサイト、こういったところでも消費を更に生んでいく。こういったことが八兆円から十五兆を目指す中で国内の消費というふうに考えられるんじゃないかなというふうに思いますので、こういったことに是非政府としても後押ししていただけたらなというふうに思っております。

 そうした中で、現場の中では、例えばドラッグストアなんか、今、皆さんもお買物をしたら、外国人の学生のバイトの方が多いですけれども、こういったところにカード情報とかを預けないと還付ができないというような、そういった形になっていくと思うので、こういったことに対する現場の不安の声というのも出ておりますので、観光庁を中心に説明会を行われていただいていると思いますけれども、まだ誤解されているところも結構あるみたいなので、是非、どんどん理解を深めていただくよう力を尽くしていただけたらと思います。よろしくお願いします。

 そして、このリファンド方式ですけれども、こういうふうにやってくると、当然、資金移動業の免許が必要になってくると思うんですが、現在このリファンド方式を取っている会社も調べたところございました。ここは、そうしてくると、現在、無免許でこういう金融移動業をしているということになる。私は違法性があるんじゃないかなというふうに考えておりますが、金融庁さん、いかがでしょうか。

柳瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 リファンド方式における消費税相当額の返金については、様々な方法があり得ると承知しているところではございます。例えば、クレジットカードを利用した返金等ございますが、その仕組みによっては、返金を実施する事業者において、為替取引を営むものとして資金移動業の登録が必要な場合もあるものと承知してございます。

 個別の企業への対応については回答を差し控えさせていただきますけれども、資金移動業の登録が必要な企業がある場合におきましては、当該企業に対して適切に我々として行政対応を行っていく所存でございます。

奥下委員 では、一応そういった企業があって、違法性があるかどうかは別として認識はされているという理解でよろしいですか。はい、分かりました。ありがとうございます。

 なかなか言いにくいとは思いますけれども、この新制度をやっていくに当たって、僕は、これは海外の会社ですけれども、当時これができたときはそういったルールも特別なかったということも含めて、このリファンド方式に移行するに当たってきちんと穴がないようにしていっていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 最後、大臣、今まで申し上げたような、民間に完全委託することによって、初めは僕も国中心で何でやらないのかなというふうに思っていたんですけれども、こういった民間に完全委託することによっていろいろな案が出てきており、大臣が目指す方向性、これの後押しになるんじゃないかと思いますが、大臣の御見解をお聞かせください。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 外国人旅行者向け免税制度について、様々な御意見、御提案もいただいたところであります。

 令和五年三月に閣議決定された観光立国推進基本計画におきましては、その利用促進等により、ショッピングツーリズムを推進するということで、この免税制度、観光立国の実現に資する制度と認識をしております。

 御指摘の令和七年度の税制改正におきまして、外国人旅行者向けの免税制度については、不正利用の排除等を目的としたリファンド方式への見直しと併せまして、本制度を引き続きインバウンド消費の拡大に向けた重要な政策ツールとして活用するため、消耗品の特殊包装ですとか、あとは上限額についても撤廃をする等の措置を講じることとされたところでございます。

 国土交通省としまして、改正後の免税制度もしっかり活用しながら、二〇三〇年訪日外国人旅行客数六千万人、消費額十五兆円ということで、目標の達成に向けてしっかり頑張ってまいりたいと思います。

奥下委員 ありがとうございます。

 今日で万博まで三十日ですね。本当は、この万博の時期に間に合って導入できたら更なる税収アップができたんじゃないかなというふうには思いますが、なかなか、今、現場の声を聞いていると、この制度に対する不安、誤解がいっぱいあります。きちんと対応していっていただいて、しっかり来年度に向けて導入していただいて、消費税のアップを図っていただけたらというふうに思います。

 ちょっと時間が余りましたのであれですけれども、先ほど阿部先輩が、石破さんの金券を配ったお話に触れられました。違法性があるかないか、これはなかなか立証は難しいですけれども、国民感情はそういったものじゃなくて、この時期にそんなことするのか、十万円で我々生活してんねんとか、そういった感情、多くの声、もう既に昨日の夜から僕も地元からも寄せられておりますので、是非、違法性がどうとかこうとかじゃなくて、本当に国民感情に寄り添った政治をしていただけたらというふうに思います。

 時間なので終わります。ありがとうございました。

井上委員長 次に、鳩山紀一郎君。

鳩山(紀)委員 国民民主党の鳩山紀一郎でございます。

 先般の中野大臣の所信表明に対する質問をさせていただきたいと思います。

 一月末に埼玉県の八潮市において大規模な道路陥没事故が発生いたしました。その原因について、まだはっきりとはしていないところではありますが、下水道管の損傷によるものだというふうに見られております。

 この事故を受けて、現在、各地で下水道管の緊急点検が行われているというふうに認識しておりますけれども、下水道の分野というのは、実は、かなり積極的に技術開発が行われてきた分野でございます。人手でやろうとすると、なかなか過酷な労働環境になってしまいますので、当然といえば当然なんですけれども。それで、この点検技術とか補修技術なんか、様々な技術が開発されてきたのがこの下水道という分野でございます。

 具体例といたしましては、スパイラル・パイプ・リニューアル工法、SPR工法と呼ばれるものがございますけれども、大臣御存じかとは思いますが、硬質塩化ビニールなどの樹脂製の帯をらせん状に巻いていくということをしながら、既設管の内側に継ぎ目のないもう一つ新しいパイプを造っていくというような、そういう補修技術なんですね。機械で自動的にやってくれるようなものもございます。大臣は見られないかもしれませんが、是非皆さん、こっそり検索もしていただければと思うところでございます。

 そんな、どちらかというと先進的な維持管理技術のある下水道で起きたと見られるのが今回の事故でありまして、ということは、足りないものは何なのかというと、技術じゃなくて、お金と人。それで、お金というのは人を雇うためにあると考えますと、要するに人ということなのかなと思っておるところです。

 前置きがちょっと長くなってしまいましたけれども、今、地方自治体において技術系の職員というのが圧倒的に不足をしているという状態がございます。七五%程度の市町村で技術系職員が五人以下なんだそうです。ゼロというところも自治体としてはございます。

 このことについて、大臣も当然、危機意識はお持ちだと思いますけれども、いかがでしょうか。そして、これに対して中長期的にどのような対応を取っていくべきとお考えでしょうか。

中野国務大臣 特に技術系の職員の不足ということで、私も大変重要な御指摘だと思っております。

 この対策ということで、少し何点か申し上げさせていただきますと、老朽化した公共インフラというのは加速度的に増加をしてまいりますので、維持管理、更新のための対策をしっかりやっていくということはますます重要になってくると思います。

 他方で、人材確保というのは、どの分野でも今人手不足ということもございまして、まずは限られた人材で何ができるかということで、一つは新技術の導入がございます。ロボットの活用等、作業の省力化を進めるということがございます。他方で、今、自治体職員が行ってきた業務の一部を民間事業者に委託をするという形もございます。技術職員が限られる中で、的確にどうやってインフラメンテナンスをしていくかということを、しっかりやっていかないといけないと思います。

 もう一つ、今国交省で取り組んでおりますのは、各自治体に所属する技術の職員、一つの自治体で一つのインフラを管理するというよりは、一つの群、一群として捉えていただいて、より広域の施設のメンテナンスに関わっていただく。地域全体として、老朽化対策の対応力の確保というところも併せて進めております。

 他方で、建設分野、特に自治体の技術職員を増やさなくてもいいのかということもありまして、これの増やす努力もしてまいりたいと思っております。例えば、学生等への出前講座、建設分野が暮らしや地域を支える、そういうやりがいのある仕事だという啓発でございますとか、あるいは、技術の資格をより若いうちに取得できるようなことも必要かと思っております。

 こうした見直しを行う中で、資格取得を促して、建設分野を志す若者の増加を目指すということや、あるいは、将来にわたって仕事が安定して、安定性ということも大事かと思います。国土強靱化実施中期計画においてしっかりとした事業規模を示すということも、担い手の確保の上では重要かというふうに考えております。

 様々な対策がございますが、総合的なこうした取組で、インフラメンテナンスを担う技術職員の確保ということを努めてまいりたいと思います。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。危機意識を共有できてよかったです。

 それで、おっしゃったような、技術職員を増やしていくための出前講座ですとか資格取得を若いうちにする、そういった工夫も重要だと思いますけれども、じゃ、それで果たして技術職員はちゃんと増えていくかというと、私は甚だ不安なところが多くございます。

 私は、例えばですけれども、政府が率先して、インフラ維持管理の仕事というのは社会的に必要なんだということをメッセージとして出して、民間連携、これは先ほどもやっていくとおっしゃっていましたが、民間とも連携しながら専門家を育成していくようなプログラムをきちんとつくって、そして、給料面でも技術系職員というのが十分魅力的な職業にしていくということが大事だと考えておりますが、いかがでしょうか。

中野国務大臣 確かに、処遇の改善、処遇の確保というのは非常にどの分野でも大事であります。なかなか私の方から自治体のところの処遇の改善についてコメントするのは難しいところではあるんですけれども、建設分野全体のやはり処遇の改善というのは、担い手確保の中で非常に重要であります。

 国土交通省の中でも、今、法律も様々、建設業法等を含めて改正をさせていただきまして、こうした建設分野の担い手確保ということは、しっかり全体として進めてまいりたいというふうに思っております。

鳩山(紀)委員 どうもありがとうございます。

 是非とも、関係各省への呼びかけなども含めて行っていただいて、様々なインフラの事故リスクというのを最小化できるような、そういった方向に取り組んでいっていただければと思っておるところでございます。介護ですとか医療といった人のケアリング分野も成長分野ですけれども、このインフラのケアリングというのも一種の成長分野ではないかなというふうに考えることもできると思っておる次第です。

 次の質問に移らせていただきます。次は、鉄道の維持管理に関してです。

 今、日本では、地方の不採算路線の維持管理というのが困難さを増しております。民間の鉄道会社としては廃線にしたくても、地域の要請で存続せざるを得ないケースですとか、あるいは、第三セクター方式にして、自治体と共同で経営するというケースなどもございます。もちろん、それによって成功している事例もありますけれども、多くは経営が非常に厳しい、そんな状態だと思っております。

 こうした状況に実はJR貨物も困っておりまして、JR貨物は自社での線路をほとんど持っていない、ほかのJR旅客の線路を間借りするような形で運行をして線路使用料を払っているわけですけれども、その使用料というのが、貨物列車の運行によって生じる追加的なコスト、これはアボイダブルコストといいますが、それだけを負担するというような仕組みを取っているので、したがいまして、JR旅客の方の経営が厳しいと肩身が狭い、そういうことになるわけでございます。

 こういったいろいろな状況を踏まえますと、地方における赤字の鉄道事業については、中長期的には、基本的に国有化していって、それでインフラの維持管理にかかるコストは国が責任を持って持つ、一方で、鉄道の運行、運営については競争入札で民間委託する、いわゆる上下分離だと思いますけれども、そういう方法が合理的な選択肢ではないかと考えますが、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 地方の不採算路線の維持管理をどうしていくかというのは一つの大きな課題かと思っております。特に、人口減少等によりまして長期的な需要減に直面をしているローカル鉄道の維持管理というのは、委員御指摘のとおり、鉄道事業者のみに委ねてこれが可能かというと、そこには限界があるというふうなことは御指摘のとおりかというふうに思います。

 では、どういう形で連携をして対応していくのかというところは、様々な御意見はあろうかと思います。やはり、国、鉄道事業者、自治体等が、路線や地域の実情に応じた適切な役割分担ということが必要ではないかというふうに考えております。

 ローカル鉄道の在り方というのは、地域における移動手段の確保であるとともに、地域振興、観光振興、こうした地域そのものと密接に関わるものでございますので、まずは地域が主体的に取り組むということが肝要ではないかという考えでございます。

 令和五年に地域交通法を改正をさせていただきました。地域の将来像に合わせて、ローカル鉄道の再構築に向けて、地域の関係者が合意形成をしていただく、国も積極的に関与をする、予算面でも力強い支援を行っていく、例えばこういう仕組みを整えたところでございますので、制度面、予算面の支援を通じまして、ここは地域が主体となったローカル鉄道の再構築の促進というところで、今、持続可能性の高い地域公共交通の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 地域交通法を改正しまして、国も積極的に関与できるということになったわけですから、是非、今後の地域公共交通並びに貨物も含めて、合理的な選択肢というのを模索できるように議論をさせていただきたいというふうに思っています。

 付言いたしますと、地域公共交通としては、必ずしも鉄路を維持することに固執する必要はないというふうに考えておるところでございます。

 最後に、ちょっと話題を変えて、観光政策についてなんですが、私の選挙区である東京都第二区には上野とか浅草などの歴史や伝統文化を世界に発信できる地域というのが多く存在しておりまして、平日、休日問わずに多くの観光客が来ております。

 政府は、去年はインバウンド三千六百万人、消費額は八兆円だったそうですが、これを二〇三〇年に六千万人、十五兆円にしていくという目標を掲げております。

 この目標が適切かどうかはさておき、持続可能な観光地域づくりというものを進めていくためには、きちんと地域がもうかるかどうかという視点が重要と考えておりますけれども、大臣、御意見はいかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 地域がきちんともうかるかどうかというところが大事ではないか、これはまさに委員おっしゃるとおりだというふうに思っておりまして、インバウンドは、確かに旅行者数も消費額も共に過去最高となって非常に好調ではあるんですけれども、じゃ、その効果がどこに裨益をしているのか。やはり全国津々浦々に裨益をさせるということが重要であると考えます。

 国土交通省では、今、DMO、観光地域づくり法人が観光地経営の中核となりまして、自治体や宿泊事業者や交通事業者を始め、様々、地域の多様な関係者と協働して、地域の稼ぐ力を引き出すことにつながる取組ということを支援をしていきたいというふうに思っております。

 様々、地域の魅力を生かして滞在をするコンテンツの造成もございますし、また、食材等の地産地消等々もあるかと思います。また、データをしっかり、地域の、どのように消費が寄与しているかという、収集、分析という、こういうアプローチもございます。

 様々な支援をしていくことで、持続可能な観光地域づくりを進めてまいりたいと思います。

鳩山(紀)委員 ありがとうございます。

 DMOも必要な取組だと思いますけれども、地方において無理やりに観光施策を進めようとすると、例えば、大手旅行代理店だとかコンサルですとか外国資本なんかが入り込んで、地域が、手数料を取られるだけで、忙しいんだけれどももうからないみたいな状況になりかねませんので、そのようなことはきちんと注意をしてやっていかないといけないと思っております。

 もう一点、観光バスに関する質問も用意しておりましたが、ちょっと時間の関係で、これで終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

井上委員長 次に、西岡秀子君。

西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 本日は、大臣所信に対する質問ということで、中野大臣に初めて質問させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 大臣所信をお聞きをいたしまして、改めて、国土交通省の果たす役割、また大臣の果たす役割、そして責任が大変重い、重要であるということを再確認をいたしました。その中で、中野大臣には是非リーダーシップを持ったお取組をしていただきますことを心から期待をして、質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、防災力強化について質問させていただきます。

 防災・減災、国土強靱化の取組は、我が国にとって喫緊の課題でございます。特に能登半島地震、豪雨災害の教訓を踏まえまして、本日、所信質疑の後に、委員会発議によりまして半島振興法改正案が起草される予定となっております。新たに半島防災の理念が盛り込まれるなど、必要な改正が新たに追加をされる内容となっております。半島の持つ地理的な要因から、風水害、土砂災害、地震、津波によって交通網が寸断し孤立する地域が発生するなど、救命救助、また緊急物資の搬入や復旧が困難を極めるなど、災害時の脆弱性がこの度改めて明確になりました。

 半島地域は、交通ネットワークが脆弱であることから、道路、航路、航空路線、鉄道の維持、確保のための支援強化、これが大変重要だというふうに思います。特に、道路につきましては、住民の生活や産業振興、地域活性化、また住民の命を守る緊急搬送の観点、また交流人口、関係人口を拡充するという意味でも大変重要でございまして、高規格道路も、これが全国で今課題となっておりますけれども、ミッシングリンクの早期解消ですとか、四車線化、ダブルネットワーク化が急務であると考えます。

 中野大臣も、能登半島の被災地に入られまして、現状を十分把握されていると考えておりますけれども、この教訓を今後の防災対策にどのように生かし、取り組んでいく方針であるかということについて、まずお伺いをしたいと思います。

中野国務大臣 西岡委員にお答えを申し上げます。

 能登半島地震の教訓を踏まえた、こうした対策を進めていきたいと思っております。

 半島につきましては、まさに議員立法であります半島振興法の延長に向けまして、今、与野党合同で改正に向けたワーキングチームが設置をされて、半島地域における地理的特性を踏まえました半島防災、委員からも御指摘ございました、こうした観点から議論が重ねられてきたと承知をしておりますし、西岡議員におかれては、このワーキングチームのメンバーとして積極的に議論を進めていただいたと伺っておりまして、改めて感謝を申し上げる次第でございます。

 令和六年能登半島地震及び豪雨につきましても、私も、昨年、着任後すぐに被災地を訪れましたけれども、防災面での課題を改めて認識をいたしました。その解消に向けた交通の確保の重要性というのも再認識をしておりました。与野党のワーキングチームでも、それらの重要性については議論をされたと伺っております。

 特に、御指摘の道路につきましては、能登半島地震の経験も踏まえまして、災害に対して脆弱な条件の下で安全、安心な国土利用を図るという観点から、例えば、高規格道路のミッシングリンクを解消する、あるいは暫定二車線区間の四車線化を図る、ダブルネットワーク化などを含めた災害に強い高規格道路ネットワークの構築をしていくということが重要であるというふうに考えております。

 国土交通省としましても、委員御指摘の点も踏まえまして、半島防災、そして地方創生の観点も含めまして、関係省庁と連携して総合的かつ積極的な半島振興施策に取り組んでまいります。

西岡(秀)委員 大臣、ありがとうございます。

 今、大臣の方からもございましたけれども、半島振興法改正案が成立しました暁には、是非、その内容につきまして実効性を持ったお取組、そして必要な施策については優先的、集中的なお取組ということも所信の中で述べられておりますけれども、しっかりと進めていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 また、これは質問ではございませんけれども、党内議論の中で出たことでございますけれども、今後の課題としては、半島振興法の対象地域についても議論をすべきではないかという意見、また、過疎法等の関係諸法律と一体となって総合的な議論も必要ではないかということが党内で議論があったということを付言をさせていただきたいと思います。

 次の質問に移ります。

 大臣所信の中で、防災・減災、国土強靱化五か年加速化対策後も、現行を上回る水準の事業規模で、今年六月を目途に実施中期計画を策定できるように取り組むと大臣は述べられております。この五か年加速化対策後の予算につきましては、様々議論が既に委員会でもあっておりますけれども、今後、発生が見込まれ、高い確率で予測をされております南海トラフ巨大地震等に対する対策強化ですとか、深刻な状況にあるインフラの老朽化対策、また災害時の人流、物流機能の確保や、様々喫緊の課題が山積をいたしておりまして、そして、その上に、現下の物価高騰ということもございますので、これらの必要な対策を、中長期にわたって必要な事業をしっかりと執行していくための十分なやはり予算確保というのが不可欠だというふうに思っております。

 現行を上回る規模と述べられておりますけれども、どれぐらいの予算規模を想定し今後取り組んでいかれるのか、大臣の決意も含めた御答弁をお願いしたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 委員から、現下の物価高騰も踏まえて、そして事業規模につきましても御指摘がありましたけれども、予算をしっかり、予算規模を確保してということも御指摘をいただきました。

 近年、激甚化、頻発化する自然災害、インフラ老朽化から国民の生命と財産を守るためには、中長期的かつ明確な見通しの下で、継続的、安定的に国土強靱化の取組を着実に進めていくということは非常に重要であります。

 六月めどに策定をします、委員御指摘の国土強靱化実施中期計画、施策の評価や資材価格の高騰等、これはしっかり勘案をさせていただきまして、今、おおむね十五兆円程度の事業規模で実施中の今の五か年加速化対策を上回る水準が適切だということは何度も申し上げさせていただきましたけれども、この考え方に立ちまして、道路や上下水道など生活に関するインフラの効率的、効果的な老朽化対策などを含め、必要な対策を盛り込むべく、これは関係省庁と連携をしながら今しっかり検討を進めておりますけれども、予算ということでありますので、やはりこれらの対策がしっかり着実に実施をできるように、必要十分な予算の確保ということも精いっぱい努めてまいりたいということも併せて答弁させていただきます。

西岡(秀)委員 十五兆円を上回るという大臣からの御答弁がございましたので、しっかり必要な予算を確保していただくことを改めてお願いを申し上げたいと思います。

 次に、造船業の振興につきまして質問をさせていただきます。

 これは申し上げるまでもありませんけれども、海運業、これは、我が国の物流を支え、貿易に占める海上貨物の割合は九割を占める大変重要な産業でございます。海運業を支えているのが造船業でございまして、造船業も極めて重要な産業というふうに認識をいたしております。

 大臣も所信で述べられておりますけれども、石破政権の柱である地方創生の観点からも、裾野の広い造船業の再生振興というのは、我が国の地域経済の活性化にとっても極めて重要だというふうに思っております。ただ一方、中国、韓国の国策とも言える資金の投入によりまして、我が国の造船業は、価格競争に大変見舞われている中で、大変厳しい状況があるということもございます。

 ただ一方で、現在、代替船、そして新燃料船の需要というのが伸びておりまして、コロナ禍では、二〇二〇年においては手持ち仕事量が一年という大変な状況もあったんですけれども、今三・六年というところまで回復をいたしております。

 その中で、国際海事機関においても、二〇五〇年までに温室効果ガス排出ゼロ等の合意がなされておりまして、海洋国家日本にとってその取組は大変重要です。また、本日も資料として配付をさせていただいておりますけれども、国土交通省としても、二〇三〇年をめどに、船舶産業の目指すべき目標として、次世代船舶の受注量におけるトップシェアを確保することというのが盛り込まれまして、今後のロードマップ実施体制が取りまとめられたと承知をいたしております。

 今後、国際競争力を高めて世界のリーダーとなるための課題認識、そして、事業者にとっては、今後の次世代燃料の将来、どういう割合になるのかということも含めて、予見可能性というのが大変困難であるということも、なかなか事業に大きな資金を投入できないことにもつながっているというふうに思いますので、トップシェアを確保するための予算確保、あわせて、人材不足が今大変各産業で言われる中で、人材の確保、育成、その中でも魅力ある産業としていくことも大変重要だと思っておりますけれども、今後の方針について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 造船業についての御質問をいただきました。

 造船業、まさに我が国の安定的な海上輸送を支えていただいております。また、地域の雇用、経済にも貢献をする大変重要な産業であるというのは私も認識をしております。そして、国際競争力を確保するということが喫緊の課題ということもございます。

 委員の御指摘の次世代燃料等々のお話がございました。昨年の七月に主要造船所の経営責任者を含む検討会におきまして、カーボンニュートラルの実現に必要となるゼロエミッション船等の次世代船舶、これについて二〇三〇年における受注シェアトップという目標を策定しました。委員御指摘のとおりでございます。

 予見可能性の確保ということで、事業者が予見性を持ってゼロエミッション船等の建造に取り組めるように、その将来需要の見通しを策定をしようということで、今官民でまさに検討を進めているところでございます。

 支援というところも必要でございます。ゼロエミッション船等の建造体制の構築を進めるべく、これは環境省と連携をいたしまして、GX経済移行債を活用した生産設備の投資への支援、これは本年度から実施をさせていただいております。

 人材育成ということで、将来にわたり高性能、高品質な船舶供給には、設計、そして現場の人材確保、育成が不可欠でありますので、デジタル技術を活用した次世代船舶の設計、建造技術の開発を通じた技術者の育成や、地域の工業高校等とも連携いたしまして、技能者の確保ということも推進をしてまいりたいと思います。

 こうした取組を着実に進めて、我が国造船業の発展に向けて、一層力を入れてまいりたいと考えております。

西岡(秀)委員 今、大臣から、様々お取組を進めていただいているということでございましたけれども、この新燃料船の分野というのは、我が国が技術も大変優位性を持った分野でございますので、中国、韓国の後塵を拝することがないよう、是非トップシェアを確保する体制の整備、予算確保、また、今も答弁いただきました人材確保、そして、産業がやはり魅力的なものでなければ、なかなか若い方も含めて従事をするというところにつながらないということもございますので、しっかり総合的なお取組を是非引き続き進めていただきますことをお願いを申し上げたいと思います。

 もう時間がほぼなくなっておりますけれども、最後の質問でございますけれども、交通空白区の解消、これは大変重要な、我が国の喫緊の課題だというふうに思っております。全国各地域でドライバー不足、これは路線バス、タクシーを含めて大変厳しい状況でございます。また、人材確保のためには、二種免許の取得の補助というものも大変重要だと思いますけれども、その制度が新設をされましたが、その助成額の一層の拡充を求めるお声を聞いております。

 このことについて、最後、御答弁をいただきまして、私の質問を終わらせていただきます。

井上委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いしたいと思います。

 一言だけ。

中野国務大臣 簡潔に、済みません。

 ドライバーの待遇改善と二種免取得の補助ということで、運転手の待遇改善に向けまして、バス、タクシー等では、やはり運賃改定を迅速化をしていくということが、運賃算定手法の見直しも行いまして、運賃改定を促した賃上げの促進に取り組んでまいりました。また、二種免許取得に要する費用等も含めて、今、人材確保等の支援を実施をしているところでございまして、令和六年度補正予算においても支援に係る予算を確保いたしました。

 引き続き、しっかり予算の確保に努めてまいりたいと思います。

西岡(秀)委員 ありがとうございました。

井上委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 今日は、限られた時間でございますけれども、国土交通省が所管をする、国民生活や我が国の経済活動、そして災害対応になくてはならない建設業並びにトラック運送事業について、少し質問、やり取りをしたいと思います。

 ちょっと順番を変えまして、まず、建設業についてでございます。

 建設業は、地域の守り手として、今頻発する激甚災害等々でも、二十四時間、昼夜を分かたず、地域を守るために大変支えていただいていると、本当に頭が下がる思いでございますが、押しなべて現場の人手不足が深刻で、かつ、昨年四月から働き方改革が実行されたということで、大変現状が厳しい中でございます。

 働き方改革も五年間の猶予がありましたけれども、去年の四月から、やがて一年になろうとしておりますが、先日、実は、群馬県を予算委員会の地方公聴会で訪れましたときに、群馬県の建設業協会、青柳会長とちょっと懇談をさせていただきました。群馬県の建設業協会として、全二百七十四社に時間外労働の在り方に関するアンケートを取ったと。実に九割近いところから回答が来た中で、様々な、今のままだと大変だ、時間外労働をせざるを得ない、これを守ることは本当に厳しいという話が出てまいりました。

 といいますのは、改めて言わずもがなでありますけれども、建設業というのは、一年間フルに現場に出られるという状況ではございません。例えば河川工事では、出水期であります六月から十月の五か月間は現場に入ってはいけないということになっておりますし、最近、豪雪地域、積雪地域では、十二月から二月の三か月程度も、実際は現場工事ができない。また、最近は猛暑でありますので、六月から九月の勤務時間も、その半分、三十度以上ということで、夜間に動かしたりとか、実質的に夏場は二か月間現場作業ができないというような話でございます。

 他方で、公共事業は随分工期も猶予というか余裕を持ってもらっておりますけれども、民間工事の場合は工期も非常にタイトだと。

 そうしたことの中で、一年間といいながら、実際に建設業の現場での仕事というのは、七か月から十か月でやりくりをしなければいけない。そこに、三六協定を結んでも、年間七百二十時間というのは本当に大変だということで、もう少し働き方に合わせた柔軟な時間の捉まえ方ということを要望する声が大変強いというアンケートが出ました。

 若い人をしっかり建設業の人材として育てるためには、週休二日というのも大事だし、そういうことを分かった上での、その中でも、しかし、より持続可能な建設業の在り方としてどうなのかという大変悲痛な内容のアンケートを私も読ませていただきました。

 恐らく、国交省にも届いていると思いますし、ほかの県の建設業の現場も押しなべてそうだと思いますけれども、今日は担当の不動産・建設経済局長にも来ていただいていますので、こうした実態について、建設業からのそうした声、実際にどうなのかということを御答弁いただきたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 建設業において、長時間労働を是正し、働き方改革を推進することは、担い手を確保していく上で重要な課題であると認識しております。

 他方で、建設業は、屋外での現場作業が必要であり、天候不順や猛暑など自然条件によって作業日程や作業効率が影響を受けやすいこと、そして、資材の現場搬入などサプライチェーンの影響を受けやすいこと、日給月給制など労働日数に応じた賃金支払い形態を取っている労働者の割合が高いことといった特性がございます。

 こうした特性を踏まえて、建設業の時間外労働上限規制につきましても、先ほど委員からも御紹介いただきましたけれども、建設業関係者からは、働けるときに働く柔軟な働き方ができるようにしてほしい、多様な働き方が認められるよう様々な検討をしてほしい、収入を多くするためもっと働けるようにしてほしいといった声があることは承知してございます。

 このため、余裕のある適正な工期の確保を徹底するとともに、現行法の下でも一定程度柔軟な働き方ができること、例えば、現場特性を踏まえた変形労働時間制を導入している建設業者の取組事例を紹介したり周知したりしているところでございます。

 今後とも、労働基準法を所管している厚生労働省に現場の声を伝えるとともに、私どもとしましても、業界の声をよく聞きながら、時間外労働上限規制適用後の実態をよく把握してまいりたいと考えております。

赤羽委員 今日は厚生労働省の審議官の方も来ていただいていますが、厚労省はそれを取り締まるというかチェックしなければいけない立場でありますけれども、私、これは、余り教条的にやりますと、現場では、土日は別の現場というかに出るような、そうした実態も出てき得るということを懸念していますので、是非、厚生労働省としても、各業界、建設業だけではないと思います、この後のトラック業もそうなんですけれども、状況をよく勘案して、本当の意味での働き方改革が前に進めるような視線でいていただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。

尾田政府参考人 お答えいたします。

 厚生労働省におきましても、建設業は屋外での作業が中心となることから、天候不順や積雪、猛暑といった自然的条件によりまして、作業日程等が大きく影響を受ける業種であるという特性があることは承知しております。

 先ほど委員も御指摘ございました働き方改革関連法におきまして、時間外労働について、年間七百二十時間まで、四十五時間を超えるのは六か月まで、そして月百時間未満などの上限規制を設けたところでございますけれども、建設業につきましては、五年間の猶予期間を設けて、昨年四月から適用しているところでございます。

 他方で、建設業に関しましては、災害の復旧復興に伴う業務について、特例的に月百時間未満といった上限を適用しないといったルールもございますし、また、季節によって業務量が大きく異なる場合には、繁忙期に一週間の所定労働時間を最大五十二時間まで延長することができる、一年単位の変形労働時間制といった制度も御活用が可能でございます。

 厚生労働省では、各都道府県に設置しております働き方改革推進支援センターにおきまして、こうした労働時間制度を活用した労務管理の御相談に対応しておりますとともに、働き方改革推進支援助成金、こういった助成金を設けまして、中小企業の皆様の労働時間短縮の取組を支援しているところでございます。

 今後とも、国土交通省を始めとした関係省庁と連携しながら、建設業で働く方々、事業主の皆様の声や実情をしっかりと踏まえつつ、建設業における労働環境の改善に向けまして、丁寧に助言や指導、御支援を行ってまいりたいと思っております。

赤羽委員 厚生労働省としても、それぞれの業界を所管する省庁と連携を取りながら、本当の意味での持続可能な働き方改革、是非お願いしたいと思います。

 次に、トラック運送事業について少しやり取りをしたいと思いますが、これも大変人手が不足している。このままですと、二〇三〇年では今運べている物量の三分の一が運べなくなる、大変な、危機的な状況でございます。

 振り返りますと、トラック事業というのは、実は、一九九〇年にいわゆる物流二法というものを制定して、この業界に入る参入規制を免許制から届出制にした。そして、あと、一九九六年、当時、規制緩和の大号令がかかったときでありますが、最低車両台数の基準も引き下げたり、営業区域も拡大した。そして、二〇〇三年には、営業区域制のそもそもの廃止と、それに伴って、運賃・料金の更なる緩和。

 このことを今振り返って、まず、そもそもの目的は何なのか、そして、振り返って、最初から言いますともう三十五年、規制緩和の中で、その実態としてはどういう評価ができているのか、自動車局長に御答弁いただきたいと思います。

鶴田政府参考人 まず、お尋ねがありましたうちの一点目、一九九〇年、平成二年当時の法改正の目的でございます。

 当時は、物流に対するニーズが高度化、多様化しており、これらの輸送ニーズに柔軟に対応することが求められていました。このため、貨物自動車運送事業につきまして、参入規制や運賃・料金規制について自由度を高めて、事業者が創意工夫を生かして事業活動を行えるように法改正が行われたものと承知をしております。

 これによりまして、事業者数が増加したことなどにより、競争が激しくなって事業運営が厳しくなった事業者もある一方で、新規参入が容易になって、営業の自由度が高まり、輸送サービスの水準の向上や多様化が図られたと承知しております。

 一方で、法改正が行われた一九九〇年当時には、貨物輸送量の長期的な減少ですとか、現在問題となっている構造的なドライバー不足は、必ずしも想定されていなかったと考えられます。

赤羽委員 確かに、当時の規制緩和というのは、参入規制を下げて、自由にして、競争が生まれて、サービスがよくなるというふうにやったんですけれども、残念ながら、日本の経済が、この三十年間、パイが大きくならなかったことによって、私は総じてマイナスの面が出てきてしまったんじゃないかと。

 価格が自由になったわけですけれども、今は、はっきり言って、運賃も、いわゆる適正な運賃かどうかというと、相当無理がある、やっていけない運賃ではないか。そういうことで、平成三十年に議員立法で、標準的な運賃、貨物運送事業法の改正を行って、令和二年の、この法改正で、標準的な運賃というものをつくった。そして、昨年の令和六年では、この標準的な運賃を具体的に見直しを行った。

 私は、やはり、例えば私の神戸から東京まで、当然、運ぶためのコストというのがあるわけですから、それに適正な利益が乗らないと、ドライバーの肝腎な賃上げができない。いわゆる業界として持続可能なトラック事業というのを支えるためには、やはりこれは標準的な運賃というのを、いろいろな議論もあると思いますけれども、コスト割れを認めるようなことというのはやはりちょっと異常だと思いますね。

 加えて、料金、運賃というのは、本当は運ぶだけなんだけれども、現実には、着荷主と運送事業者というのは契約書がないから、届けたところに、大手のスーパーなんかでは、ドライバーがそこで荷降ろしをしたり、荷役事業をするのは当たり前。しかし、それは、普通なら、これだけの先進国の日本で、契約書の中にそうした取決めがされるべきなのに、運賃という名でもう全部やらせている。やれないと、幾らでも代わりがいるんだからと。

 私に言わせると、ビジネスパートナーじゃなくて使用人、そういう扱い方をしてきたのがこれまでで、しかし、これからは、人手不足、ドライバー不足が深刻だし、全く逆な状況になってしまうかもしれない。運賃が十倍じゃないと物を運べなくなるみたいなこともあり得るんですから、これはやはり相当な覚悟を持ってやらなければいけない。

 そういう意味で、その危機感は恐らく国交省も持っていて、令和六年、昨年の法改正で随分、この標準的運賃についても相当具体的な書き込みが行われていたと思うんです。それはすごく大事なんだけれども、今標準的な運賃というのは見直しをしているんだけれども、今の捉え方は参考指標にすぎないので、ここはやはり、守らせる、まあ義務と言うと非常に難しい部分もあると思うけれども、やはり貸切りバスの運賃が、最低運賃、最低限の運賃みたいなことで、ある程度はやはり法的に縛っているわけですから、私はそうしたことも必要なのではないかと。そうじゃないと運送事業自体が成り立たなくなる、それは国民生活に大変なダメージが出る、そういう思いで、国交省も今懸命に取り組んでいると思うんですが、そうしたこと、業界からも声を聞いて、具体的にその方向性で取り組んでいるというふうに思いますが、局長からの御答弁をいただきたいと思います。

鶴田政府参考人 今御指摘ありました標準的運賃ですけれども、これは、平成三十年の議員立法で制度が導入されて、実際、具体の運賃が設定されたのが令和二年でございます。これは、トラック運送事業者が法令を遵守しながら持続的に運営を行っていく、その際の参考指標として示しているものでございます。

 これにつきましては、一昨年の十一月に、内閣官房とそれから公正取引委員会が連名で指針を発出しまして、これは労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針でございますが、ここで標準的運賃がトラック運賃の価格交渉で使用すべき根拠資料の例として明記をされるなど、よりどころの一つとして活用が始まったところでございます。

 こうした流れを一層加速していきたいということと、あわせまして、昨年八月からは検討会を開催しておりまして、多重取引構造が改善されない背景として、やはり安い値段で条件の悪い仕事を引き受ける事業者の存在というのも指摘されています。こうした状況を改善するためにどういう方策が講じられるかということで、今の御指摘も踏まえまして、関係者の意見もよくお聞きをして、引き続き、検討を深めてまいりたいと考えております。

赤羽委員 この平成三十年の議員立法というのは、議員立法になっていますけれども、実は、全日本トラック協会の坂本会長が旗を振って、まず自分たちの業界から襟を正してという大変すばらしい法律だったと思うんですね。それが実効性が持てるように、今懸命な努力をされていると思います。

 しっかりやっていただきたいんですが、一つだけ、私、具体的な注文があるんだけれども、トラック運送事業というのは安全に関わるのに、許可が下りると永久な許可制度というのはやはり少しおかしいと思いますね。やはり、有効期間、例えば五年なら五年間でこの許可を、更新制度を導入する。そのときに、本当に適正な運賃で取引がされているのかとか、トラックドライバーの賃上げがちゃんと保障されているのかとか、安全対策がなっているのか、そこをノーチェックでいくというのはやはりどうかと思うので、是非、トラック運送事業の許可更新制度導入に向けて、やはり国交省としてもしっかり応援をしてもらいたいと思いますが、御答弁いただきたいと思います。

鶴田政府参考人 今御指摘ありましたように、現在の貨物自動車運送事業法では、事業許可が、一旦許可が行われますと、法令違反によって国土交通大臣から許可を取り消されたような場合を除きまして、期限の定めがなくて有効でございます。

 御指摘の事業許可の更新制につきましては、ほかの運送分野で申しますと、平成二十八年の軽井沢スキーバス事故を踏まえて、安全な運行を担保するための総合的対策の一環としまして、貸切りバス事業について導入された制度などがございます。

 トラック運送事業につきまして、先ほど申し上げた検討会で、多重取引構造が改善されない背景として、遵法意識の低い事業者の存在があるという指摘もございます。こうした状況を改善するために、今御指摘のありました更新制をめぐる議論も含めまして、どのような方策を講じていけるか、関係者の御意見をよくお聞きをして、しっかり検討してまいりたいと思います。

赤羽委員 どうもありがとうございます。しっかり我々もフォローしていきたいと思います。

 最後の質問をしたいんですが、人手不足の対応としては、自動走行というのはやはり大きな課題だと思います。

 これも群馬県の、これはトラック協会の会長ですね、会社で大変広い物流センターを持っているので、その敷地内を、レベル4の自動運転のトラックを実際に走行されている、これは二〇二〇年から群馬大学とジョイントしてやっていると。

 ただ、この前、私も現場に行きましたけれども、大変すばらしいんですけれども、やはり一私企業がやるには余りにも大仕掛けになっていて、率直に言われると、本当に私も思ったんですけれども、これはそもそも国がやるべきことであって、国交省の事業として、会社の敷地を借りるというか、委託して実証実験をやるというのが本来だと思うんですね。やはり、民間企業のそういう危機感に対する必死な行動に対して、是非、国土交通省として、国として前面に立つ。できれば大臣にも、やはり百聞は一見にしかずなので、是非現場に見に行っていただきたい。

 国交大臣の決意と御見解を聞いて、質問を終わりにしたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 持続可能な物流の実現ということで、委員御指摘の自動運転の実用化は非常に重要だと思っております。

 例えば、物流革新の政策パッケージの中では、自動運転の実用化に向けた対応ということで、令和六年度の補正予算で、幹線輸送サービスの自動化を実証する取組に対する支援というのがございます。

 また、物流施設内の運搬作業の効率化にも自動運転トラックの導入は有効でございまして、御指摘の事案につきましても、物流施設における自動化機器導入実証事業ということがございますので、こうした取組は十分支援し得るというふうにも考えております。

 私も、またタイミングを見て様々な現場は是非見に行かせていただければと思っておりますし、また、国土交通省として、物流の効率化、持続可能な物流の実現、しっかりと支援してまいりたいと思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございました。

 終わります。

井上委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組で一番の安全地帯、たがや亮と申します。

 本日は、国土交通大臣の所信表明に対して質問させていただきたいと思います。

 今回の大臣所信では、新規の取組など、要所要所に横文字や片仮名言葉が多く、私の頭ではちょっと理解が追いつきませんでした。ここは日本の国会なので、本日は、是非、楽しい日本、あるいは美しい日本の言葉で御答弁をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 さて、大臣所信にある三本の柱や取組事項は抽象的で、省内各部署の事業をホチキスで留めただけのように見え、大臣の思いを余り感じられませんでした。国家百年の計といいます。この内容では、具体的に何をいつまでにやりたいのか分かりにくい。今後の質疑の際に、各部署にヒアリングした上で個別に質問事項を考えたいと思いますが、今日は、お話にあった三本の柱を立ち上げる際の土台となる、国土交通における日本の現状をどのように捉えているのか、まず中野大臣にお伺いします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 先日の私の所信の中で、三本の柱ということで、一つは国民の安全、安心、もう一つは持続的な経済成長の実現、三本目は地方創生二・〇ということで、三本の柱を申し上げました。

 その土台を説明をということでございますので、ちょっと一つずつお話しさせていただくと、やはり昨今、能登半島地震もございましたし、また豪雨災害も大変激甚化、頻発化ということで、災害も非常に激甚化、頻発化している。インフラの老朽化も大きな課題であります。

 こうした国民の安全の確保というのは非常に重要な分野になってきていると思っておりますし、また、大規模な事故もありますし、運輸分野の安全に関わるいろいろな不正の問題もございました。各運送事業者の様々な不正の問題ですとか、いろいろなことが最近続いてきたということもございまして、やはりもう一度、この安全、安心をしっかり確保していこうということを一つ柱とさせていただきました。

 もう一つの柱、持続的な経済成長というのは、今、政府全体で、まさにデフレからの脱却というのをしっかりと目指していこうということがある中で、国民経済が成長していく中で、やはり私は、インフラの果たす役割というのは非常に大きいというふうに思っております。そうした思いも込めまして、持続的な経済成長の実現というのが国土交通行政の大きな柱であろうと思っております。

 最後の地方創生は、やはり今、人口減少が非常に本格化をしておりまして、いろいろな地域の中で、この経済やこの暮らしが本当に将来持続可能なんだろうかというふうな御懸念が、様々な地域で、声が上がっております。やはり中長期的に活力ある地域づくりを目指したいということで、地方創生二・〇の推進を柱としたところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 るる御説明いただきましたけれども、国土強靱化、またその土台を実現するには人、物、金が必要不可欠だと思いますが、例えば、埼玉県八潮市の道路陥没事故に象徴されるインフラの老朽化に対して、人口減少下の日本においてどのように対処していくのか、伺います。

 また、地域インフラ群再生戦略マネジメントでインフラをまとめて面倒を見ようという考え方自体は否定はしないんですが、そもそも技術系職員が少ない中で、本当に可能なのでしょうか。全国の市区町村の二五%では、技術系職員が一人もおりません。五〇%の自治体では五人以下しかおりません。この現状でインフラをまとめて面倒を見ようといっても、所詮、人が足りないと思います。

 市区町村の技術系職員がそもそも不足している中、他の市区町村に出張し応援するにも無理があり、実効性がないと言わざるを得ませんが、大臣、いかがでしょうか。

 このようなインフラ老朽化対策に限らず、三本の柱を現実のものとするには、土台をしっかり構築する必要があります。土台の肝の一つである人材の確保について、大臣の考えをお伺いします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 土台の中で、特に人の確保、技術系の特に人材の確保ということで大きく御指摘いただいたと思っておりますので、お答えを申し上げます。

 委員からも、地域インフラ群再生戦略マネジメントについても触れていただきました。確かに非常に職員が限られる中で、本当にこれが可能なのかというふうな御指摘かと思います。

 先ほど来答弁してまいりましたが、いろいろな取組を総合的にやっていく必要があろうかと思います。

 一つは、新しい技術の導入などで、そもそものメンテナンスの作業の省力化ということも必要でありましょうし、また、民間事業者への委託という中で、技術職員が大変限られていますが、的確にメンテナンスするということもあろうかと思います。群マネ、より広域の施設のメンテナンスを地域全体としてしっかり行っていくということもあろうかと思います。

 こうした取組を進める上で、やはり、さらに、人材の確保、そして増やしていかないといけないんじゃないかというふうな御指摘かと思っております。

 これも、自治体の技術職員、特に建設分野で増やしていくということで、様々な取組をやっていくしかないかと思っておりますが、先ほど来お話しさせていただいております、例えば、建設分野等、将来を担う学生への出前講座等の啓発を行っていくことであったり、あるいは、建設分野の技術資格をより若いうちに取得できるような制度の見直しも含めて、こうした取組を行うことでありましたり、あるいは、先ほど国土強靱化実施中期計画のお話もさせていただきました。いろいろな老朽化対策も盛り込んで、しっかりとした事業規模を将来にわたって行っていくということをお示しすることも大事かと思っております。

 しっかりと、インフラメンテナンスを担う技術職員の確保、総合的な対策を講じてまいりたいと思っております。

たがや委員 ありがとうございます。

 今大臣から、民間を活用したりして技術系職員を補っていくということもあったんですが、民間だと利益相反になったりとかというケースもなきにしもあらずだと思うので、今いろいろリフォーム詐欺とかありますけれども、公共インフラのリフォーム詐欺みたいなことがないように、しっかりと管理監督をお願いします。

 二つ目の肝として、建設関連資材、いわゆる物が高騰しており、公共事業における建設資材の確保、これが大丈夫なのか。一時、ウッドショックなど、国内に資材が入りにくい状況が生まれましたけれども、今後もそのような事態が起こらないとも言えないと思うので、その場合でも大臣所信に述べられている事業が速やかに遂行できるのか、お伺いをしたいと思います。

村田政府参考人 お答え申し上げます。

 近年、資材価格の高騰の影響等によりまして建設コストは上昇基調にございますが、国際的な原材料費の高騰やエネルギーコストの上昇などによるものでありまして、総じて見れば、公共工事におきまして何か特定の建設資材の供給が絶対的に不足し、確保できない状況にあるわけではなく、したがいまして、必要な予算が手当てされれば確保できるという状況にございます。

 このため、国土交通省におきましては、資材価格の高騰などを考慮した公共事業予算の確保に努めてきたところでございます。

 具体的には、昨年末に成立いたしました令和六年度補正予算では、一兆九千百二十六億円の公共事業予算を確保したところでございます。この額は、前年度の補正予算に比べましてプラスの八・三%となる千四百六十九億円の増額でございまして、令和五年度補正予算に続きまして、二年連続で前年度を上回る補正予算を確保したところでございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 それでは、最後の肝であるお金、すなわち予算の問題です。

 新年度予算案を見ても、公共事業関係費は、この十年以上、当初予算で見るとほぼ横ばいです。

 資料一を御覧ください。

 公共事業の関連費は横ばいの一方、二〇一五年と比べて、建設資材の価格は約一・四倍、労務費は約一・五倍に高騰しています。

 資料二を御覧ください。

 この間、公共事業関連の当初予算は五・三兆円でほぼ横ばい。費用が増えれば、実質的に予算減額と同じことだと思います。公共事業の積算基準も上がっているはずなので、必要な事業が先延ばしになっているのじゃないか、よもや老朽化対策の予算を削っていないとは思いますが、いかがでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、老朽化したインフラが加速度的に増加をしております。インフラの管理を適切に行っていく、更新を適切に行っていくということが非常に重要でございます。中長期的なトータルコストの縮減、あるいは予算の平準化、こういうことを図るために、予防保全型のメンテナンスというものに転換していくことを今重点的に進めております。

 具体的には、あらかじめ点検そして健全度の診断、こういう基準を定めた上で、実際に定期点検等を行って、必要な修繕の対策を行っております。対策が必要と判断された施設につきましては、おおむね次の回の点検時期までに必要な対策が取られているという状況でございます。

 予算についてでございますけれども、こういった老朽化対策を講じてきてまいりました結果、毎年度必要となります関係予算、これは増加をしておりまして、公共事業関係費におきます防災・減災、老朽化対策の予算ということで見ますと、令和三年度の当初予算では三・三兆円ということでございましたけれども、令和七年度の当初予算では三・五兆円ということで、増加をしております。

たがや委員 ありがとうございます。

 当初予算の増額というのをやはりどんどん財務省に求めていただきたいと思うんですけれども、八潮市のような事故が起こった場合、事故処理ににかかる経費は計り知れないと思いますので、大臣が所信表明で述べているとおり、予防保全の本格的な取組のためにも、予算増額を財務省に強烈に、大臣、リーダーシップを持って交渉すべきじゃないかと思うんですが、御見解を。

中野国務大臣 予防保全の本格的な取組のためにしっかり予算の増額をという御指摘でございます。

 老朽化したインフラが加速度的に増加をしていく中でございますので、インフラの適切な管理、更新、そして、中長期的にはトータルコストはしっかり縮減をして、予算を平準化をしていけるように、予防保全型、あらかじめしっかり点検をして、そして予防的に保全をしていく、こういうメンテナンスの転換に向けた対策を進めているというところは一つございます。

 一方で、やはり、予防保全をしっかり基本としてやっていった場合であっても、老朽化が進む中で、維持管理や更新に要する費用というのは現在よりも増えていくということが見込まれておりますし、そして、委員も御指摘のありました、資材の価格の高騰や労務費が上昇をして、維持管理、更新費は更に増大をしていく、こういうことも懸念をされるところでございます。

 こうした中でも、広く関係者が見通しを持って対策に取り組めるようにということで、これは当然、資材の価格や労務費の動向も考慮しつつ、必要かつ十分な公共事業の予算の確保に努めてまいりたいというふうに思っておりますし、また、本年六月めどに策定することとしている国土強靱化実施中期計画におきましては、現行の五か年加速化対策を上回る水準が適切である、こういう考え方でありますので、しっかり必要な対策を盛り込めるように、強力に調整を進めてまいりたいと改めて決意をさせていただきます。

たがや委員 大臣、力強い答弁をありがとうございます。やはり予算確保をしっかりと頑張っていただきたいと思います。

 大臣には、国土強靱化へ向けての思いのたけがあると信じたいのですが、今回の所信表明や予算はそれが伝わってきていないので、ここは大臣の本音で、国家百年の計、思いのたけ、所信表明で語り尽くせなかったことを是非語っていただければなと思いますが、大臣、いかがでしょうか。言いたいことを言ってください。

中野国務大臣 はい、言いたいことをしっかり。

 国土強靱化に関する思いということで、やはりこれから人口減少を迎える我が国の将来というのがあるわけであります。その中で、インフラももちろん、高度経済成長期に整備をしてきたわけでありますので、これがどんどん老朽化をしていく。人口は減少していく、インフラは老朽化していく。我が国の未来のために、じゃ、今のインフラ、あるいは地域や経済、こういうものをどうやって未来に受け継いでいくのかということがやはり大事だというふうに思っております。

 そして、その中で、三本の柱で申し上げた、命と暮らしを守る、経済を支える、地域の経済、なりわいを支えるということをやっていきたい、こういうのが私の思いでございますので、様々な、委員の皆様始め、また現場の声にもしっかり耳を傾けながら、職務に邁進をしてまいりたい、こういう決意でございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 やはり、地方創生二・〇とか、大都市部から地方にどんどん移転をこれから促していくということになっていくと、老朽化した地方の、どんどん人口減少している中で、果たして本当に下水道を含めて、そういったものを維持管理していけるのかというのは非常にこれから大きなテーマになって、それに見合うグランドデザインというのはどうなのかというのはそろそろ示していかなきゃいけないんじゃないのかなというふうに、私は地方の地盤なので、そういうふうに感じております。

 時間もないので、次の質問に参ります。

 ちょっとこれは確認になるんですが、横浜園芸博覧会についての法案質疑の際に、ホトケドジョウなどの希少生物の保全を含めて、環境アセスメントにのっとって、人や全ての生物に影響が出ないような対策を当時の斉藤大臣に要望し、しっかり対応するという答弁をいただきました。れいわ新選組は、環境アセスメントがしっかりと実施される前提で法案に賛成したという経緯があります。

 その後の国と横浜市の対応についてお伺いします。

中野国務大臣 委員と斉藤大臣とのやり取りは、私も確認させていただいております。

 グリーンエクスポ二〇二七の会場予定地を含む旧上瀬谷通信施設の事業につきましては、横浜市及び公益社団法人二〇二七年国際園芸博覧会協会において、環境アセスメントの手続を実施し、評価書を公表しております。

 旧上瀬谷通信施設は、旧日本海軍及び米軍が使用していた経緯もございまして、一部で土壌汚染対策法の特定有害物質である鉛などの基準超過値が確認されたと認識をしております。

 本博覧会予定地における土壌汚染対策については、横浜市において環境アセスメントや土壌汚染対策法に基づくガイドラインに沿って適切な対応が完了をしているものと承知をしております。

 また、環境影響評価書において、生物多様性の保全について積極的に取り組むことなどが示されておりまして、委員の御指摘のホトケドジョウに関しましては、生息地である和泉川の源流部周辺をコアエリアとして設定をいたしまして、ここは地形の改変を行わないということで保全を図ることなどが示されております。このため、同エリアで計画中の政府出展等については、源流部の保全に配慮をした計画としております。

 国土交通省といたしましては、引き続き、環境面の対策を含め、本博覧会開催に向け、万全の準備が行われるよう、横浜市等と連携して取り組んでまいります。

たがや委員 しっかり対応していただいているということで、ありがとうございます。本当に、ホトケドジョウですから、ドジョウを仏にするなということも前回も言わせていただいたんですが、しっかりと対応いただいて、ありがとうございます。

 もう時間もないので、ライドシェアの質問も考えていたんですが、ちょっとそれは飛ばさせていただいて、あと一分ぐらいですかね。一分ぐらいだとちょっと質問できないので、一分ぐらい余っていますが、これで質問を終わりにしたいと思います。前回二分ぐらいオーバーしたということで、反省も込めて、短く終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

井上委員長 次に、堀川あきこ君。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。

 国土交通大臣の大臣所信について質疑を行いたいと思います。

 埼玉県八潮市で起きました下水道管に起因する陥没事故は、全国に衝撃を与えました。まずは、トラックドライバーの方の一刻も早い救出に全力を挙げていただきたいというふうに思います。

 下水道管路を始めとしたインフラ設備の老朽化対策についてお聞きをしていきたいと思います。

 下水道法が二〇一五年に改正をされまして、その中で維持修繕基準というのが創設をされました。これが作られたのは、下水道管路の老朽化や腐食に起因した道路陥没が発生しているにもかかわらず、計画的な点検が十分に行われていなかった状況を踏まえて作られたというふうに聞いているんですけれども、下水道管路に起因する道路陥没をなくすことに目的の一つがあるというふうな理解でよろしいでしょうか。

中野国務大臣 二〇一五年の下水道法改正についての、特に維持修繕基準創設の目的の御質問をいただきました。

 二〇一五年、下水道法改正により、維持修繕基準が創設をされました。これは、社会資本全体の老朽化が見込まれる中で、インフラの適切な維持管理について社会的な要請が高まっていたこと、そしてもう一つは、下水道管路の腐食等に伴う道路陥没が発生をしていたことなど、こうした背景を踏まえまして、予防保全の考え方に基づいて、持続的な下水道事業確立に向けまして計画的な維持管理を推進をしようということが、この維持修繕基準創設の目的ということでございます。

    〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕

堀川委員 下水道管路に起因する道路陥没をなくすことも一つの目的だというふうに理解をします。

 そのために、全ての下水道施設を対象にして計画的な維持管理の実施を規定するとともに、下水の貯留その他の原因による腐食のおそれが大きい下水道管路については五年に一回以上の頻度で点検を義務づけていて、二〇一六年度から取り組んでおられるということで間違いないでしょうか。大臣、お願いします。

中野国務大臣 もし不足がありましたら、参考人の方で補足したいと思いますけれども。

 二〇一五年に改正をされました下水道法七条の三におきまして、下水道管理者は下水道を良好な状態に保つように維持をし、修繕をすべきという旨を定めたところでございます。

 維持修繕基準の、どういう形でということの御質問かと思いますが、下水道法施行令第五条の十二に規定する維持修繕基準では、一つは、全ての施設について、その構造や流入する下水の量などを勘案をして、適切な時期に適切な方法により点検を行う、これは全ての施設について行うんだということを規定をした上で、このうち、腐食するおそれの大きい箇所につきましては五年に一回以上の適切な頻度で点検をするということが、この具体的な中身であるということでございます。

松原政府参考人 済みません、補足いたします。

 施行につきましては、二〇一五年でございます。

堀川委員 こうした取組が効果を上げているのかという検証が必要だと思っているんです。

 資料一を御覧いただきたいと思います。

 これは、下水道管路に起因する道路陥没について、国交省がデータを取り始めた二〇〇六年度から直近の二〇二二年度までの数字をグラフで示しています。

 東日本大震災のあった二〇一〇年度、二〇一一年度、熊本地震や鳥取県中部地震のあった二〇一六年度は数字が飛び抜けているわけなんですけれども、それらを除けば、陥没の発生は減少傾向にはあるんですけれども、大きく減少しているわけではないんですね。加えて言いますと、二〇一五年の、社会資本メンテナンス元年以降も大きな減少にはなっていないということなんです。

 二〇二一年度と二〇二二年度の道路陥没件数の総数と、そのうち腐食のおそれの大きい箇所での陥没の件数、パーセンテージを教えてください。

松原政府参考人 お答えをいたします。

 二〇二一年度に発生しました下水道管路に起因する道路陥没件数の総数は二千六百七十九件、そのうち腐食のおそれが大きい箇所で発生した件数は十七件、割合として約〇・六%でございます。

 また、二〇二二年度に発生した下水道管路に起因する道路陥没件数の総数は二千六百二十五件、そのうち腐食のおそれが大きい箇所で発生した件数は十一件、割合で約〇・四%でございます。

堀川委員 道路陥没の詳細なデータを取り始めたのが二〇二一年度からということなので、詳細なことはこの二年分しか分からないんですけれども、今あったように、陥没を起こしているのは、圧倒的に、腐食のおそれが大きい箇所ではなくて、それ以外の箇所にあるということなんですよね。二〇二一年度以前もこの傾向に大きな変化はないというふうに思います。

 大臣、なぜこういう実態になっているのでしょうか。

    〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕

中野国務大臣 先ほど、下水道管路に起因する道路陥没件数の総数のうち、腐食のおそれが大きい箇所で発生した件数の割合は、二〇二一年度で約〇・六%、二〇二二年度で約〇・四%であった旨の答弁がございました。全国の下水道管路のうち、腐食のおそれの大きい箇所に当たる管路延長がどのくらいあるかということで考えますと、この延長の割合は全体の約〇・七%ということでございます。

 腐食のおそれが大きい箇所での陥没件数が少ない理由は何なのかということは、腐食のおそれが大きい箇所に当たる管路延長の割合自体も、管路延長が少ないということも理由なのではないかというふうに考えております。

堀川委員 先ほど言っていただいた二〇二一年度の二千六百七十九件、二〇二二年度の二千六百二十五件なんですけれども、規模が小さいものもいろいろあるんですが、深さ百センチの陥没もあるんですね。二〇一六年度から二〇二二年度までの、深さ百センチを超える陥没の数、人的、物的被害の数、その内容はどうなっているでしょうか。

松原政府参考人 お答えをいたします。

 二〇一六年度から二二年度までの七年間に発生した下水道管路に起因する道路陥没件数の総数約二万二千件のうち、深さ百センチを超える陥没は六百六件でございまして、割合は約二・八%でございます。

 なお、下水道管路に起因する道路陥没により、物損事故や人身事故に至った件数及びその内容については把握をできておりません。

堀川委員 被害の内容を把握されていないということなんですけれども、例えば二〇二二年六月八日、埼玉県の川島町では、直径一・五メートル、深さ三メートルの陥没が発生をしまして、八十代の男性が乗っていた自転車ごと落下するというふうな事故が起きています。二〇二〇年七月二日に名古屋市西区で発生をした陥没では、ごみ収集車の左の後輪が穴にはまるというふうな事故も起きています。

 大臣に初めに確認したように、下水道に起因する道路陥没をなくすことが下水道メンテナンスの目的の一つのはずです。人的、物的被害が起きていますし、こうした事故が起きていること、そして下水道管路が小さくても破損をしているということは、国民生活にそれだけ支障を来しているということだと思うんです。これは一件でも起きてはいけないことだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答えを申し上げます。

 全国の道路陥没の状況の御指摘かと思います。

 今回、国土交通省では、埼玉県八潮市における道路陥没事故を受けまして、有識者委員会というのを設置をしたところでございます。大規模な下水道の点検手法の見直しを始め、施設管理の在り方などについてまさに御議論をいただいているというところでございます。

 国土交通省としては、今回と同様の大規模な道路陥没を未然に防ぎ、国民の安全、安心が得られるように、委員会での議論も踏まえまして、必要な対策はしっかりと検討、実施をしてまいりたいというふうに考えております。

堀川委員 国交省は、二〇一五年以降、この維持修繕基準に基づいていろいろな点検をされてきて、腐食のおそれの大きい箇所については五年に一回以上のペースで点検をして、緊急度判定をして対応してこられた。これ自体は必要なことだったと思うんですけれども、ただ、実際の陥没の実態を見ると、この間の国交省の取組というのがちょっとやはりずれているんじゃないかなと思わざるを得ないんですね。

 八潮市の事故も受けていろいろな見直しがされるというふうに言われていますけれども、大規模な陥没となった八潮市のケースだけではなくて、規模の大小にかかわらず、全国の道路陥没の実態を踏まえた見直しが必要だと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

中野国務大臣 今までの法制度におきますと、特に腐食のおそれの大きい箇所について五年に一回以上のということでやってまいりました。あわせまして、全ての施設について、基本的には、やはり構造や流入する下水の量などを勘案をして、適切な時期に適切な方法により点検をしてくださいということも、併せてそれはお願いをしてきたところではあります。

 いずれにしても、今、有識者委員会での議論をしているところでもございますので、こうした議論も踏まえながらの対策ということで、しっかり検討、実施をしてまいりたいというふうに思います。

堀川委員 引き続き、このことは議論をしたいというふうに思います。

 下水道管路を含め、インフラの老朽化対策を進める上で、先ほど来からも指摘がありますとおり、地方自治体の技術系職員の確保というのが大きな課題になっています。この間、この技術系の職員が一貫して減少しているということは我が党も再三指摘をしていますが、この技術系職員が、先ほどたがや委員からもありましたとおり、一人もいない自治体もあるということです。

 全国の市町村で技術系職員が一人もいない市区町村は幾つで、全自治体の何%になるか、お答えをお願いします。

塩見政府参考人 お答えを申し上げます。

 市区町村におきます土木技師それから建築技師の職員の数につきましては、総務省の方で毎年まとめておられる地方公共団体定員管理調査というものがございます。こちらのデータによりますと、市区町村における技術職員の人数が一人もいないという市区町村は、二〇二三年四月時点で申しますと四百三十五団体、割合は、千七百四十一団体のうち四百三十五団体ということですので約二五%でございまして、さらに、もう一年新しい二〇二四年四月時点ということで申しますと四百四十団体、割合で申しますと約二五%という数字になってございます。

堀川委員 二〇二四年になると更に増えている、全国の四分の一の自治体でゼロになっているということだと思います。

 その数字を、資料二で、地図に落としてお示しをしています。改めて地図で見ますと、技術系職員ゼロの自治体が本当に全国に広範囲に広がっているということが分かると思います。

 この技術系職員がいない自治体は、インフラの点検、調査、維持管理、修繕等をできているんでしょうか。

塩見政府参考人 お答え申し上げます。

 インフラを管理する自治体、特に小規模な市町村におきましては、先生御指摘のとおり、技術系職員が一人もいないということなど、全体として人材の不足が生じております。

 こうした技術系職員がいない自治体でどのようにインフラ関係の業務を行っているかということでございますけれども、私どもの方でヒアリングをしてみましたところ、例えば、橋梁の補修などのように技術力を要する業務を行います場合には、県などの技術系職員の助言をもらいながら事務系の職員が実施しているという事例がございます。また、比較的技術力を要しない点検あるいは修繕等の業務発注の仕事、簡単な検査、それから巡回、こういったような仕事につきましては、事務系の職員が自ら行っているというようなお話がございます。

 また、別の自治体の例もお聞きしてみましたところ、事務系の職員が、先ほど県の技術系職員から助言をもらっていると申しましたけれども、県ではなくて、技術的な知見を持っている民間の団体等に助言の業務を委託をした上で、その助言の下にそういった仕事を実施しているというようなお話がございました。

 これら二つの事例は、いずれも事務系の職員が技術力のある方からアドバイスを受けて仕事をやっているというものでございますけれども、国土交通省としましては、アドバイスを受けてということよりは、むしろ技術的知見のある方が直接携わる形が望ましいと思っておりまして、先ほど来議論に出ておりますインフラ群のマネジメント、群マネというものを推進をしております。

 これは、間接的なアドバイスということではなくて、技術力のある技術職員がチームをつくりまして、このチームが主体となりまして、修繕の設計であるとか工法の検討であるとか、こういった技術力を要する仕事に当たってもらうことを期待するものでございます。

 こういった取組を更に推進してまいりたいと存じます。

堀川委員 今御答弁のあった、やはり事務職員ではなくて技術的職員が任務に当たるのが望ましいということは、重要な答弁だというふうに思います。群マネについてはまた議論をしたいというふうに思うんですけれども、やはり技術系職員が一人もいない市区町村は財政的にも厳しいところがほとんどで、いろいろ、群マネだったりとかデジタル化だったりとか言われますけれども、そうした方向で本当にいいのかということがあると思うんです。

 二〇一三年の新水道ビジョンには、こうした指摘があります。近年の地方公共団体の水道従事職員は減少傾向にあり、仮にこの傾向が続くとすれば、将来の発生が懸念される東海地震、東南海・南海地震、首都直下地震などによる大災害時、全国の水道事業者等が、自らの平常時の事業を継続しつつ、被災事業者に対して迅速かつ適切な支援を行うための人員を確保できるかどうか、非常に大きな懸念を抱かざるを得ませんというふうに記されています。

 実際に能登では、ここで懸念されていたことが起きているんですよね。人が確保できずに業務委託したんだけれども、それによって自治体職員のスキルや経験は蓄積されずに、災害時の対応が物すごく大変になっていると。そして、ほかの自治体から職員が派遣されるわけですけれども、その派遣元の事業体では通常業務をやる人員が不足するという事態になっています。

 先ほど来、鳩山委員、たがや委員の質問で、国交省としての対策をるる紹介されましたけれども、これで技術系職員は増加しているのでしょうか。大臣、お答えをお願いします。

塩見政府参考人 技術系職員が増えているのかという事実のお尋ねかと存じますが、私どもが把握している技術職員の人数でございますけれども、二〇〇五年当時でいいますと十万五千百八十七人ということでございました。その後、自治体の職員全体の減少の中で技術職員も減少し、おおむね二〇一五年頃にボトムを打ち、その後少し増加をしておりますけれども、今は、最新のデータでいいますと九万七百九人という状況にございます。

堀川委員 もう質疑時間が来ましたので終わりますけれども、この技術系職員の課題は大変に重い課題だというふうに思っております。引き続き議論をしていきたいと思います。

 以上です。

     ――――◇―――――

井上委員長 引き続き、国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 半島振興法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。

 本件につきましては、津島淳君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び有志の会の六会派共同提案により、お手元に配付してありますとおり、半島振興法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。津島淳君。

津島委員 自由民主党の津島淳であります。

 本起草案の趣旨及び内容につきまして、提出者を代表して御説明申し上げます。

 半島地域は、三方を海に囲まれ、幹線交通体系から遠く離れ、平地に恵まれず、水資源が乏しいなど国土資源の利用の面における制約から、産業基盤、交通基盤等の整備の面で他の地域に比較して低位にあります。こうしたことから、半島地域の振興を図るため、昭和六十年六月、半島振興法が衆議院建設委員長提案により時限立法として制定され、四度の改正を経て、現在四十年が経過しようとしております。

 この間、本法に基づき二十三の地域が半島振興対策実施地域に指定され、半島振興計画に基づく各種の施策が講じられてきたことにより、道路等の基盤整備が進展するなど、一定の成果を上げてまいりました。

 その一方で、半島地域は、全国平均を上回るペースで人口減少及び高齢化が進行しており、産業基盤及び生活環境の整備等における格差も依然として残っております。

 また、令和六年能登半島地震では、地震の揺れや津波による被害に加え、代替ルートが少ない山がちな半島の先という特性から甚大な被害が発生し、半島防災の重要性を痛感させる惨禍となりました。

 半島地域は、我が国及び国民の利益の保護及び増進に多様かつ重要な役割を担っており、その役割が十分に発揮されるよう、地理的及び自然的特性を生かした魅力の増進を図っていく必要があります。

 本起草案は、このような最近における半島地域の社会経済情勢に鑑み、引き続き半島地域の振興を図り、半島防災の推進及び地方創生に資するため、所要の改正を行おうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。

 第一に、目的規定において、半島地域が担っている重要な役割として自然環境及び良好な景観の保全並びに多様な再生可能エネルギーの導入及び活用を追加すること、また、地域における創意工夫を生かすこと並びに半島振興のための連携及び協力の対象として半島地域と継続的な関係を有する半島地域外の人材を含むことを明記し、半島振興法の目的として半島防災及び地方創生を追加することとしております。

 第二に、基本理念として、半島振興が、地方創生、地域の特性を生かした魅力の増進及び半島防災の三つの観点を踏まえて行われなければならないこととし、国及び都道府県の責務として、基本理念にのっとり施策を講ずべき旨を明らかにしております。

 第三に、新たに国が半島振興基本方針を定めることとするとともに、都道府県の半島振興計画についても作成の努力義務化及び記載事項の充実を図ることとしております。

 第四に、半島振興対策実施地域に係る国及び地方公共団体の配慮規定を拡充し、交通の確保、デジタル社会の形成に資する情報の流通の円滑化、医療の確保、障害福祉サービス等の確保、児童の福祉の増進、教育の充実、自然環境の保全及び再生、再生可能エネルギーの利用の推進、移住等の促進、半島防災の推進及び実効性の確保、感染症が発生した場合における生活に必要な物資の確保、小規模な集落への配慮等について規定することとしております。

 第五に、半島振興に係る体制の整備を図るため、地方公共団体等の半島振興に携わる関係者が協議会を組織することができることとするほか、半島振興基本方針及び半島振興計画に係る主務大臣として内閣総理大臣を追加することとしております。

 第六に、法律の有効期限を令和十七年三月三十一日まで十年間延長することとしております。

 以上が、本起草案の趣旨及び主な内容であります。

 何とぞ速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

    ―――――――――――――

 半島振興法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 この際、本起草案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。国土交通大臣中野洋昌君。

中野国務大臣 本法律案の御提出に当たられました議員各位の御努力に深く敬意を表するものです。

 政府といたしましては、半島地域の現状に鑑み、本法律案については特に異存はないところです。

 この法律案が御可決された暁には、関係省庁と連携を図りつつ、その適正な運用に努め、半島振興対策の一層の推進に努めてまいる所存です。

井上委員長 これより採決いたします。

 半島振興法の一部を改正する法律案起草の件につきましては、お手元に配付してあります草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

井上委員長 起立多数。よって、そのように決しました。

 なお、ただいま決定いたしました本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十三分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.