衆議院

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第3号 令和7年3月19日(水曜日)

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令和七年三月十九日(水曜日)

    午前九時四十五分開議

 出席委員

   委員長 井上 貴博君

   理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君

   理事 中谷 真一君 理事 城井  崇君

   理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君

   理事 徳安 淳子君 理事 西岡 秀子君

      石橋林太郎君    梶山 弘志君

      加藤 竜祥君    金子 恭之君

      工藤 彰三君    国定 勇人君

      小寺 裕雄君    小森 卓郎君

      高見 康裕君    田所 嘉徳君

      谷  公一君    土屋 品子君

      広瀬  建君    深澤 陽一君

      三反園 訓君    阿久津幸彦君

      尾辻かな子君    小宮山泰子君

      下条 みつ君    白石 洋一君

      津村 啓介君   長友よしひろ君

      伴野  豊君    松田  功君

      馬淵 澄夫君    谷田川 元君

      山田 勝彦君    阿部 弘樹君

      井上 英孝君    中司  宏君

      鳩山紀一郎君    古川 元久君

      赤羽 一嘉君    中川 康洋君

      たがや 亮君    堀川あきこ君

      福島 伸享君

    …………………………………

   国土交通大臣       中野 洋昌君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   国土交通副大臣      高橋 克法君

   内閣府大臣政務官     友納 理緒君

   国土交通大臣政務官    高見 康裕君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  南部晋太郎君

   政府参考人

   (内閣府総合海洋政策推進事務局次長)       藤田 昌邦君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 須藤 明裕君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  真弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮本 直樹君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房新事業・食品産業部長)    小林 大樹君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官官房資源エネルギー政策統括調整官)         山田  仁君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 村田 茂樹君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房公共交通政策審議官)     池光  崇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            黒田 昌義君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局長)        平田  研君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  山本  巧君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  楠田 幹人君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  五十嵐徹人君

   政府参考人

   (国土交通省物流・自動車局長)          鶴田 浩久君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  平岡 成哲君

   参考人

   (成田国際空港株式会社代表取締役社長)      田村明比古君

   国土交通委員会専門員   國廣 勇人君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十九日

 辞任         補欠選任

  大西 洋平君     広瀬  建君

  西田 昭二君     深澤 陽一君

  長友よしひろ君    山田 勝彦君

  奥下 剛光君     中司  宏君

同日

 辞任         補欠選任

  広瀬  建君     大西 洋平君

  深澤 陽一君     西田 昭二君

  山田 勝彦君     長友よしひろ君

  中司  宏君     奥下 剛光君

同日

 理事奥下剛光君同日委員辞任につき、その補欠として徳安淳子君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

三月十八日

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 道路法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一二号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

井上委員長 これより会議を開きます。

 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に徳安淳子君を指名いたします。

     ――――◇―――――

井上委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として成田国際空港株式会社代表取締役社長田村明比古君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房長村田茂樹君外十六名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。尾辻かな子君。

尾辻委員 おはようございます。立憲民主党の尾辻かな子です。

 外はすごい雪になっております。様々な公共交通機関を含め、道路等、しっかりとこの雪でも対応していただけるように、まずは申し上げておきたいというふうに思います。

 そして、一般質問の機会をいただきました。先輩、同僚議員の皆様には感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、限られた時間でありますので、早速質問に入りたいと思います。

 ちょっと今日は質問の順番を変えまして、他の省庁の方も来ていただいていますので、先に、犯罪被害者給付金のことについて、まず最初、お聞きしていきたいというふうに思います。

 犯罪被害者給付金不支給裁定取消し事件の最高裁判決を受けた取組についてお伺いをしてまいります。

 昨年の最高裁判決では、当該給付金に係る法律の「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」という規定に、犯罪被害者と同性の者も含まれ得るという判断をいたしました。この判決を受け、同種の規定を含む法令を所管する各省庁において、個々の法令が同性パートナーに適用されるかどうかの検討が行われ、国交省が所管する法律の、住居に関する法律を中心に、同性パートナーを事実婚同様と明確化した判断が既に出ております。これについては国交省の判断を高く評価をしたいというふうに考えております。

 今後、こうして明確化したものをどのように周知をされていくのか、お聞かせください。

楠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、本年一月二十一日の三原大臣の定例記者会見におきまして、「事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」と同一又は類似の文言を含む規定の対象に同性パートナーが含まれ得る法令として、国土交通省の関係では、公営住宅法など五本の法令が公表されたところでございます。

 国土交通省といたしましては、昨年三月の最高裁判決を踏まえまして、これら五本の法令について、「事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」と同一又は類似の文言を含む規定の対象に同性パートナーが含まれ得るというふうに整理をいたしたところでございまして、今後、地方公共団体など関係者に対しまして、今月中に通知を発出いたしますとともに、公営住宅関係の説明会の中で説明を行うなどによりまして、しっかりと周知に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

尾辻委員 これを、しっかりと自治体などにも周知をお願いしていきたいというふうに思います。

 それで、同性パートナーであることという確認をどのようにしていくのか。これはほかの省庁でも今かなり課題となっております。国交省としてはどう考えているのか、お聞かせください。

楠田政府参考人 お答え申し上げます。

 「事実上婚姻関係と同様の事情」にある同性パートナーか否かの確認につきましては、各法令に基づきまして制度の運用を行っております地方公共団体の方で、個別具体的に確認、判断が行われるべきものというふうに考えております。

 なお、例えば、公営住宅の入居者資格の同居親族要件を設けております地方公共団体におきまして、同性パートナーを同居親族として認める場合、その確認につきましては、条例に基づくパートナーシップ宣誓の受理証明書でありますとか、本人の申述書等によって行われているというふうに承知をいたしておりまして、今回につきましても、同様のやり方で確認が行われるということも考えられるというふうに考えております。

尾辻委員 ありがとうございます。

 一方で、約百三十の法令については更なる検討が必要ということで、まだ結論が出ておりません。特に多くの法令を担当しているのが厚生労働省になるわけですけれども、現在の厚生労働省の検討の進捗についてお伺いしたいと思います。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 厚生労働省所管の法律にも、主に社会保障制度において事実婚関係を対象とする規定がございます。

 まず、民法上、同性間の婚姻は認められておらず、もろもろの権利義務規定に関する判例等が確立していないこと、また、判断基準等が不明確な中で同性同士の関係が事実婚関係に該当するか否かを事実認定することが実務上困難であることを踏まえますと、現時点で同性同士の関係が事実婚関係に含まれ得るとすることは難しいと考えております。

 引き続き、同性パートナーに関する判例の積み重ねや法的な動きを注視し、その状況を踏まえた上でしっかりと検討を進めてまいります。

尾辻委員 厚労省さんが今どうやってやっていこうかという課題の中には、同性パートナーの認定という部分があったと思いますが、国交省の方は既にそれを進めるということでやっておりますので、そういったところもしっかり参考にしていただいて、更に検討を進めていただきたいというふうに思います。

 そして、指摘をしておきますけれども、今回、国交省が認めた高齢者住まい法、サービスつき高齢者住宅などを所管しているところですが、これは厚労省との共管でありまして、ですから、厚労省が持っている法律の中で、既に同性パートナーを事実婚と同様というふうに認めているということでありますので、しっかりと検討の加速化をお願いしたいと思います。うなずいていただきました。

 そして次、内閣官房の方にお伺いしたいと思います。

 一月に各府省庁に対して、内閣官房副長官補より検討の迅速化を指示ということで、格上げされて指示をされました。ところが、これは昨年の場合と違いまして、期限を区切られていないんですね。各府省庁にとっては、検討してくださいということだけでは、なかなか答えは返ってこないんじゃないかと思うわけです。まず、やはり期限をしっかりと切って、各省庁からの検討状況を取りまとめるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

友納大臣政務官 御質問にお答えいたします。

 各法令における同性パートナーの取扱いにつきましては、各法令が定める個別の制度の在り方に帰着するものであり、各法令の所管府省庁が責任を持って、各制度の趣旨、目的や仕組み等を踏まえた上で、それぞれの規定ごとに検討を行う必要があります。

 昨年末時点で更なる検討を要するとされた法令につきましては、個別の制度に係る解釈、運用に関する様々な課題があると承知しております。その一方で、法令が適用されるか否かの予測可能性を確保する観点からは、各法令における同性パートナーの取扱いについて早期に結論を得ることが望ましいと考えております。このため、本年一月二十日、内閣官房から各府省庁に対して、今後の検討の迅速化を指示したところでございます。

 現在は、各所管府省庁において把握している課題に応じ、それぞれ、できる限り速やかに必要な検討を進めるよう取り組んでいるところと承知しており、今後、内閣官房におきましては適切にフォローアップを行ってまいります。

尾辻委員 私のお願いとしては、是非期限を区切って取りまとめをしていただきたい。期限を区切ることを今お答えいただかなくても、期限を区切ることへの検討ぐらいはしていただけないかと思うんですが、いかがでしょうか。

友納大臣政務官 御質問にお答えいたします。

 各府省庁におきましては、先ほど申し上げましたとおり、これまでの検討を通して、個別の制度の解釈、運用に係る様々な課題を把握した上で、それぞれの課題に応じて、それぞれ必要な検討を進めているところと承知しております。

 そのため、一律の検討期限を設けることはしておりませんが、内閣官房におきましても、各府省庁における検討の状況について、適切にフォローアップを行ってまいります。

尾辻委員 ちょっと、同じ答弁になって非常に残念です。

 期限を区切らないと答えが出てこない、それが更なる検討という答えでもあるかと思いますので、前回は約半年で、検討で区切りました。ですので、今回もしっかりと、最高裁の判決の趣旨を踏まえた検討について、是非とも区切ることへの検討をお願いしたいということで、是非お願いをしておきたいと思います。

 以上が、犯罪被害者給付金のことについてになります。副大臣、政務官、お忙しい中、ありがとうございます。御退席いただいて結構でございます。

井上委員長 御退席していただいて結構です。

尾辻委員 それでは、引き続きまして、不動産特定共同事業法についてお伺いをしてまいりたいと思います。

 先日、予算委員会の分科会の方でも、るる議論をさせていただきました。詳しくは、お手元、配付資料をお配りをさせていただいております。

 そして、今日も、お忙しい中ではございますけれども、成田国際空港株式会社より田村代表取締役社長にお越しをいただきました。お忙しい中、本当にありがとうございます。

 それでは、田村社長の方にお聞かせをいただきたいと思います。成田市小菅地区においての成田国際空港株式会社が所有する土地の賃貸借契約のことについてであります。

 まず、確認をさせていただきたいと思います。この小菅地区の地区計画決定については、都市計画法第十六条三項による申出制度を利用した地区計画であるということでよろしいでしょうか。

田村参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりと承知をいたしております。

尾辻委員 この申出制度というのは、事業地籍の三分の二以上の所有者の同意を得るということになっております。としますと、この事業の四割の土地を持つ成田国際空港株式会社として、申出制度による地区計画決定をする際、地権者として同意をされたということでよろしいでしょうか。

田村参考人 お答え申し上げます。

 地区決定の申出は、賃借人が行政との事前相談を重ねてきた中で、今後の手続に必要なものとして同意の依頼がございました。当社は、他の土地所有者との協議状況等を確認し、成田市や土地所有者が本計画に前向きであったことから、同意をいたしたものでございます。

尾辻委員 土地の賃貸借契約に至る前に、成田市の地区計画決定前に、申出段階のところで成田国際空港株式会社として同意をしていたという、この事実は非常に重いと思います。

 ちなみに、この同意はいつされたものでしょうか。

井上委員長 どなたがお答えになられますか。

 止めてください。

    〔速記中止〕

井上委員長 速記を起こしてください。

 よろしいですか。田村代表取締役社長。

田村参考人 失礼いたしました。お答えいたします。

 平成二十九年十二月六日でございます。

尾辻委員 結局、この開発は、端緒の段階から、やはり成田国際空港株式会社は事業者と二人三脚でこの事業をやってきたんだというふうに受け止められても仕方がない状況ではないかというふうに思います。

 これは、先日の分科会では、いや、違うんです、自分たちが土地を貸したのは、成田市が地区計画決定をして、そして千葉県が農地転用の許可もしたから自分たちは土地を貸したという話だったわけですが、これは、地区計画前に事業へのゴーサインを出したような状況ではないのかというふうに思われますが、田村社長、いかがでしょうか。

田村参考人 お答えいたします。

 先ほど申し上げましたように、地区計画の申出というのは、賃借人が行政との事前相談を重ねてきた中で、今後の手続に必要なものとして同意の依頼がございました。当社は、他の土地所有者との協議状況等を確認し、成田市や土地所有者が本計画に前向きであったことから、同意をいたしたものでございます。

 なお、この同意は、土地賃貸借契約の締結について意思決定したものではございません。

尾辻委員 地区計画申出段階といいますと、事業地全五百八十五筆のうち、事業者側が所有していた土地というのは四筆なんです。ですから、先ほどから申し上げているとおり、地区計画決定に向けて、成田国際空港株式会社の同意というのは重要な役割を果たしたと言えると思います。

 次に、前回の質疑の際、不動産特定共同事業法のスキームを使った事業であることは承知をされていないという田村社長の御答弁があったかと思います。ここについて再度御質問させていただきたいと思います。

 というのが、この都市計画決定と一緒に、実は農地法の方でも転用許可というのをされているわけですけれども、事業者が千葉県に提出する書類には、不動産特定共同事業法に基づくこと、資金計画などが許可申請書にはしっかりと書かれております。不動産特定共同事業法に基づく開発というか事業であることは、経営会議で土地の賃貸借の決定時には承知されていることではないんでしょうか。

田村参考人 経営会議では、造成工事を目的とした土地賃貸借契約の締結につきまして審議を行い、その際は、造成工事の資金計画について確認をいたしたところでございます。

 委員御指摘の農地転用許可申請におきましては、賃借人が不動産特定共同事業による資金調達をうかがわせる書類を千葉県に提出したことは承知いたしておりますが、これは造成工事の資金に充てるものではないと承知をしておりました。

尾辻委員 造成工事の方は違うんだから、不動産特定共同事業法だということは切り離して判断したというお答えだと思います。

 じゃ、逆に、造成工事自身がきちっと資金担保されていたのかという実は問題もございます。

 事業者のホームページを見ますと、これは恐らく香港だと思うんですが、香港の会社からの出資を受けるということを、事業者のホームページで百十二億円受けるんだということを発表されておられますが、成田国際空港株式会社との賃貸借契約前に、その増資が半分の五十四億円にとどまるといったことも事業者のホームページでは公表されておられるわけです。

 そういう資金状態にあったところで賃貸借契約を造成工事で結んだ成田国際空港株式会社の経営会議の判断はどうであったのかと、やはり疑念を抱かざるを得ないと思います。

 さらに、先ほどから出ております農地転用のところでございますけれども、農地法五条の許可申請と賃借権設定というのは、平成三十年、二〇一八年八月に、譲受人が共生バンク、これは譲渡し人と読むのでしょうか、成田国際空港株式会社の夏目前社長の名前で千葉県に提出を実はもうされております。この書類は、建築まで含めた計画になっているわけです。

 先ほど、賃貸借契約は造成工事だけだというお話がありましたけれども、千葉県に出されている書類は、建築計画も含めて成田国際空港株式会社として同意をされているわけなんです。ですので、ちょっと私、社長の答弁はつじつまが合っていないなというふうに感じるわけです。

 そして、さらに申し上げますと、これは誰が聞いても、自分たちは造成工事の土地だけ貸したんだ、建築工事については知らないという、その会社の判断が、普通あり得ないだろうということを思うわけです。建築されて初めて事業というのは成り立つわけですから、自分たちはそこの実現可能性は全く見ないまま経営会議で判断したというのであれば、これは会社としての背任行為にでも当たるのではないかということは指摘をしておきたいというふうに思います。

 では、現在、新聞報道にもあるとおり、四年八か月の遅れが出ております。成田国際空港株式会社としては、一度、契約の延長もされているという状況でありますけれども、では、現在の工事の進捗状況について、先日の質問では、事業者に質問を投げかけているところだということで聞いておりますが、現在の進捗状況を把握されたでしょうか。

田村参考人 お答えいたします。

 造成工事の進捗につきましては、賃借人より、土工事については約八〇%完了し、雨水排水工事等の残りの工事については未了又は未着手の状態であるとの回答を受けております。

尾辻委員 済みません、土工事というのは土木工事ということでよろしいでしょうか。確認でございます。

田村参考人 斜面を切り崩して平らにしていく、そういう土の工事ということでございます。

尾辻委員 じゃ、この土木工事については約八〇%完了しましたということですが、これは建築工事を含めて、全体の工事の経過からいくと何%に当たることになりますか。

田村参考人 ちょっと、何%かというのは分かりかねます。全体の中では、ごく一部であろうかというふうに考えております。

尾辻委員 ちなみに、昨年からどれだけ、この工事の進捗、工事が進んだかというのはお分かりになりますか。

田村参考人 申し訳ございませんが、ちょっと数字では把握をいたしておりません。

尾辻委員 成田市に事業者が出している、成田市かな、千葉県かもしれない、千葉県の方かな、に事業者が出している進捗状況、私、手元にございますが、昨年、二〇二四年一月三十一日時点での土木工事の進捗度は六九%、これは全体工事計画に対する進捗度で言うと二%であります。

 そして、先ほど田村社長から、今の進捗状況はということで聞いたところ、八〇%ということですから、一年ちょっと過ぎても一〇%しか進んでいないわけです。そして、私もちょっと自分で手計算してみました。じゃ、全体工事計画に対する進捗度はというと、これは六九%から八〇%になったという数字をそのまま当てはめたら、約二・三%ということになります。

 このペースでいくと、土木工事が終わるのにあと二年、それでも、全体の工事計画に対する進捗度は、これは私も手計算ですると三%弱にしかならない。田村社長が先ほど言ったごく僅かというのはそのとおりでありまして、これで適正な進捗管理がなされていると言えるのか、これも疑問を感じるところであります。

 じゃ、どうして工事がこれだけ遅れているのかということについて、理由を私も前回問うたところ、これも質問しているということでしたので、その理由は把握できたでしょうか。

田村参考人 お答えいたします。

 賃借人より、新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ軍事侵攻に起因するエネルギー資源、食料、建設資材の価格高騰など、インフレ圧力の高まりや急激な為替変動等の経済情勢への対応で、計画の見直しを実施したこと等によるものとの回答を受けております。

尾辻委員 そのお答えで、土木工事が一〇%しか一年以上たって進んでいない、全体進捗状況が二%、二・三%ぐらいですね、という理由に本当になっているんでしょうか。

 いわゆる会社として、それも成田空港株式会社というのは一〇〇%株を国が持っている、そういう会社でございまして、いや、にわかにそれで、ああ、分かりました、そうですね、新型コロナウイルスやロシアのウクライナ軍事侵攻があった、それで円安だ、だから駄目なんだと。いや、ちょっと私は正直、意味が分からないなというところでございます。

 ちなみに、本当にこの土木工事は終わるんでしょうか。

田村参考人 現在、精査をしているところでございます。

尾辻委員 ということで、三月三十一日で賃貸借契約の再延長の話が出てくるわけです。もうあと十日ばかりとなっておりますが、これは誰がどのように決められるんでしょうか。

田村参考人 当社におきまして、賃借人が取得している必要な法令許可が現時点で継続されるかどうか、それから、造成工事の継続能力等があるか等を勘案した上で、経営会議で判断をすることとなります。

尾辻委員 その決定というのは、三月三十一日まであと僅かですけれども、いつの時点でされることになるんでしょうか。

田村参考人 御質問のとおり、当該契約の期限が三月三十一日でございますので、それまでに判断することと考えております。

尾辻委員 こちらの事業は、報道等によると、約六万人の方々が投資をされて、成田のこの事業で一千五百億円、ほかの事業も合わせると約二千億円の出資金が集まっているということです。

 豊田商事事件が二千億ということを勘案すれば、同規模の出資を集めている事案だということであり、今日の質疑で、その事業のきっかけというのは、成田国際空港株式会社が事業者と、いわば二人三脚のような形でつくっているのではないかということが、私は明らかになったかと思います。

 そして、不動産特定共同事業法は国交省が監督庁である、そして、先ほどからも何度も申し上げております成田国際空港株式会社の株主、ほぼ国交大臣が持っておられるわけですから、ここの責任は非常に強いんだということを、改めて指摘をしておきたいと思います。

 あと、事業のことについて一般的な質問をしていきたいと思います。

 ある不特法事業の出資者の皆さんからの声として寄せられているのが、解約を申し込んでから解約申込書が届くまでに数か月以上かかっているということで、結局、半年ぐらい前に解約申込みをしても申込書が届かない、だから解約できないというような状況があると。先日の質疑では、国民生活センターから六十一件、これは年はかなりまたいでおりますけれども、そういった相談、報告があったということも報告されています。

 不特法を所管する国交省として、このような事態をどのように受け止めているのか、お聞かせください。

平田政府参考人 お答えいたします。

 不動産特定共同事業法におきましては、事業者は投資家に対して、契約前書面において契約の解除に関する事項などを説明することとされておりまして、実際に解約に至る際には、事業者はこの内容に沿って、誠実に契約解除の手続を進めることが必要となっております。

 仮に事業者の対応に問題がある場合につきましては、監督官庁により必要な指導監督が行われることとなります。その際、国としても、監督官庁が都道府県である場合には、必要な助言等を行うことになるものと承知をしております。

尾辻委員 今ありましたとおり、不動産特定共同事業法というのは、国も管理監督していますけれども、都道府県も管理監督しているわけなんですね。

 私も、大阪府の不動産特定共同事業法を担当している担当者にちょっと聞き取りをしてまいりました。そうすると、例えば不動産商品があるのは先ほどの成田であったり福岡であったり、でも、大阪府の職員がそういったところに出張することは、ちょっとやはり困難だというようなお答えが来ております。

 そして、大阪府で許可されている事業者の商品は、北海道もあれば韓国の不動産もあるんですね。神奈川県で許可される事業者の商品は、アメリカとかモンゴルとかに、海外に存在しているものも不特法の商品になっているわけです。

 これは、自治事務として都道府県ができる業務の範囲を超えているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

平田政府参考人 お答えいたします。

 不動産特定共同事業では、契約の締結の際に、事業者から投資家に対して、対象となる不動産について重要事項説明等を行うことを求めるなど、不動産の仲介等に近い業務を行わせることから、その許可に当たりましては、宅地建物取引業法と同様に、複数の都道府県に事務所を設置する事業者は国の、一の都道府県内のみ事務所を設置する事業者については都道府県知事の許可に係らしめているところです。

 一の都道府県内のみ事務所を設置し、都道府県知事の許可を受けた事業者につきましては、監督についても当該都道府県において行うこととしておりますが、実際の監督に際しましては、例えば、不適切な広告が行われていないか、投資家に対してどのような説明を行っているかなどについて、不動産特定共同事業者から書面で報告書の提出を求めたり、事業者の事務所において聴取を行うことなどが一般的であるため、事務所が所在する都道府県において監督を行うことは合理性があるものと考えております。

 なお、国土交通省といたしましても、都道府県における適切な制度の運用が確保されるよう、金融庁とともに、監督に当たっての留意事項を定めて都道府県に通知しているほか、都道府県に対し、金融庁とともに個別に助言なども行っているところであり、引き続き、制度が適切に運用されるよう努めてまいります。

尾辻委員 いや、先ほどお答えにあったように、宅建をやっている方々が、金融商品のような不動産事業をやっているわけですよ。でも、現場からは、もうちょっとこれは無理だという声が聞こえてきていますので、これはやはりきちっと見直しをするべきだと思います。

 そして、その中で、やはり自治体の職員から聞くのは、この不特法というのは、第一号事業と特例事業に分かれている。第一号事業の中に一号事業者、二号事業者があるわけですけれども、ここについては、もう正直、特例事業ぐらいは都道府県で見るけれども、第一号事業については正直国が見てほしい、そういう声が聞こえてきております。これはちょっと、やはり仕組みをもう一度検討いただく必要があると思いますが、いかがですか。

平田政府参考人 お答えいたします。

 繰り返しになってしまいますけれども、不動産特定共同事業につきましては、先ほど申し上げたような事業の性格などございまして、監督につきましても、許可を与えた都道府県又は大臣において行うこととしております。監督の際には、都道府県特定共同事業者に対して、書面で報告を求めることや、事務所で聴取を行うことが一般的であるため、制度として合理性があるものと認識しております。

 なお、都道府県に対しましては、金融庁とともに、監督上の指針の通知等を行っていることに加え、法令の運用に当たって疑問があるような場合には、国に対して相談してもらえるように、日頃から都道府県との連携強化に努めることとしておりまして、金融庁とともに、都道府県が行う事務をしっかり支援してまいりたいと考えております。

尾辻委員 ちょっと、同じですので。

 それでは、これは問題が多々あるなと思います。その中でも私がやはり一番気になっているのは、不特法では、分別管理ということで、ポンジ・スキームにならないようにということを規制されているということです。ただ、例えば、日弁連さんが二〇二一年に求めている、ポンジ・スキーム事案についての被害回復を求める意見書の中には、不動産特定共同事業法ということも実は出てくるんですね。

 それで、大臣に改めてお伺いいたしますけれども、いわゆるポンジ・スキームというのは自転車操業です。つまり、出資を集めて、その出資を配当に渡していくというのを永遠に続けるけれども、どこかでそれは破綻し、破綻したときに多くの方が出資金を失う、そして取り戻せない、そういう大きな被害になるわけですが、現在の不特法が本当にポンジ・スキームを規制できているとお考えになっておられますか。

中野国務大臣 尾辻委員にお答え申し上げます。

 委員御指摘の不動産特定共同事業につきまして、これは、特定の不動産ごとに投資を募り、運用を行うものであるということでありますので、商品ごとに収支を区別をする、商品間の資金流用を防ぐという目的から、契約に係る財産については、自己の財産や他の契約に係る財産と分別して管理しなければならない、これは分別管理を求めているということであります。

 こうした規制に加えまして、不動産特定共同事業におきましては、投資をしようとしている商品がどのような商品であるかについては事業者から投資家に説明をさせるという義務がございまして、この義務を通じまして投資家の保護を図るということが基本になるかと認識をしております。

 不動産特定共同事業法において、契約を締結する際に、例えば、対象不動産の価格やその算定方法、利害関係取引の有無あるいはその内容、損失の発生要因などについて、投資家に説明をするということを事業者に義務づけるということでありまして、違反があった場合には監督処分の対象とする、こういうスキームでございますので、不動産特定共同事業の商品というのは、あくまで投資商品でありますので、自己責任が原則ということになろうかと思います。

 投資家においては、こうした事業者から開示をされる情報を十分に確認をしていただいた上で、例えば商品に不明な点がある場合には投資を見合わせるなど、慎重に判断をしていただくことが非常に重要なのではないかというふうに考えております。

尾辻委員 ちょっと驚きました。事業を許可しているのは国交省じゃないですか。金商法と比べても、不特法はやはり緩いんですよ。インターネットに公表されている情報も余りありませんし、そして善管注意義務などもございません。

 これは日弁連がずっと言ってきたことでもあります。ですので、自己責任だというのなら、国交省はもっと、これは自己責任だということを大きく言っていただきたいと思うんですよ。だって、日弁連だって、不特法の見直しのときに、不動産特定共同事業契約は一般の投資者にとって投資案件としての難易度は相当程度高いと言っている。でも、これをクラウドファンディング化するのをオーケーにしたのは一体どこの誰なんですか。そうやって一般投資家が投資をやりやすいようにしておきながら、いや、そんな、自己責任ですというのは、ちょっと、今非常に驚いた状況であります。

 今、複数の事業者で、償還延期といいまして、満期が来ても元本が返ってこない、こういった事業が散見されるんです。大臣、不特法を、やはり、せめて金商法並みに規制をかけるということを、これはもう今検討していただく必要があると思いますが、いかがですか。

中野国務大臣 不動産特定共同事業法につきましては、個別の不動産を対象とする金融商品であるということでございまして、この二つの性格に対応した規制を設けているところであります。

 まず、個別の不動産を対象とするという面からは、宅地建物取引業法と同様に、その価格や用途など、対象不動産の詳細についての説明義務などを設けております。

 金融商品という面からは、金融商品取引法などと同様に、投資家に対し、契約に際しての運用上のリスク、リターンに関する情報、また、運用情報の情報提供などを義務づける仕組みを設けておりまして、これらによって投資家保護を図っているところでございます。

 不動産特定共同事業の商品は、投資商品である以上は、御指摘の償還延期のような場合も含めて、一定のリスクが生じることはあり得るということでございまして、これは金融商品取引法の規制下にある商品とは変わりはないものというふうに承知はしております。

 国土交通省としては、他の金融商品と同様に、投資家が、事業者から開示される情報を十分に確認の上、投資判断を行える環境を確保することは重要であるというふうに考えております。契約前における対象不動産に関する説明義務や不適切な勧誘行為の禁止など、金融庁とともに、法の適切な運用を通じまして、投資家の保護をしっかり図ってまいりたいというふうに思っております。

尾辻委員 時間が来たので、終わりたいと思います。他の質問を通告していたのに、申し訳ありません、これはまたやっていきたいと思います。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、山田勝彦君。

山田(勝)委員 立憲民主党の山田勝彦です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今年は、十年に一度の、半島振興法が生まれ変わる年です。私は、立憲民主党半島振興ワーキングチームの事務局長として、森山浩行座長とともに与野党協議に臨み、何度も議論を重ね、党派を超えて、半島振興法の改正案、議員立法をすることができました。そして、昨日、衆議院本会議で可決されています。

 各党一致した思いは、能登半島地震を教訓に、三方を海に囲まれている地理的特性を踏まえた半島防災の強化です。

 能登半島地震では、主要道路が寸断され、集落が孤立化し、救助活動や救援物資の輸送、ライフラインの供給が困難になりました。私も、党の青年局の仲間と現地へ災害ボランティアへ行きましたが、想像以上に厳しい状況で、現場で改めて、半島はリスクの高い地域であり、半島防災の必要性を強く感じました。そして、命を守る道路整備が何よりも重要です。

 そこで、改正案第一条の「目的」に、半島防災の推進、一条の二の「基本理念」では、半島防災のための施策が国土強靱化の理念を踏まえ着実に実施されることが明記され、一条の三の「国及び都道府県の責務」の中で、国は、基本理念にのっとり、必要な施策を総合的かつ積極的に策定し及び実施する責務を有する、ここまで法案に書き込まれました。さらに、十五条の四では、改正前の「防災対策の推進」から、「半島防災の推進及び実効性の確保」と改められました。これらは私たち立法府の強い意思です。

 大臣に伺います。

 政府は、能登半島地震の経験も踏まえ、全国各地の半島防災に資する道路整備をどのように加速させていくのでしょうか。その大臣の決意を全国の半島地域の方々へお願いいたします。

中野国務大臣 山田委員にお答えを申し上げます。

 半島振興法につきましては、今年度末に期限を迎えるため、与野党合同で改正に向けたワーキングチームが設置をされまして、議員立法での延長に向けた議論が行われ、三月十八日には衆議院にて可決、そして今後、参議院での審議が行われるものと認識をしております。

 委員から御指摘のありました半島部の道路でございます。能登半島地震において、地形的な制約があり道路ネットワークが限られる中で、高規格道路から市町村道に至る道路網が被災をいたしました。発災後から当面の間、多数の孤立集落が発生をするとともに、ライフラインの復旧などが円滑に進まない要因の一つになったというふうに考えております。

 この能登半島地震の経験や、改正に向けてまさに今議論が進められております半島振興法の趣旨も踏まえまして、災害に対して脆弱な国土条件の下で安全、安心な国土利用を図るという観点から、高規格道路の未整備区間の解消など、災害に強い道路ネットワークの構築が重要であるというふうに考えている次第でございます。

 国土交通省としまして、災害に強い半島地域の実現に向けて、強靱な道路ネットワークの整備がより一層推進されるように、必要な予算の確保に努めてまいりたいと思います。

山田(勝)委員 私の地元長崎県にも島原半島、西彼杵半島、北松浦半島があり、地域住民の皆様から、島原道路、富津防災道路、西彼杵道路に対して、一日でも早く完成してほしいという強い要望を日頃受けています。今大臣が言われたように、予算の確保が何よりも重要です。

 そして、調べてみたんですけれども、長崎県に限らず全国各地のこのような道路予算に対して、国からは毎年大体六割から七割程度の予算しかついていないのが現状です。

 この「基本理念」にも定めてあります国土強靱化、リスクを評価し、限られた財源をリスクの高いところに優先的に配分するという考え方で進められています。

 より満額に近い予算がつくことで、確実に道路整備は加速化されていきます。地震大国である我が国において、災害に強い地域づくり、地域住民の命を守るような公共性の高い道路に関しては、国債を発行してでも思い切った公共投資をすべきだと考えております。

 是非、大臣、先ほど言っていただきました整備のスピードアップを図っていただくよう強く求めまして、次のテーマに移ります。

 医療の確保についてです。人口減少が急激に進む半島地域において深刻な課題です。

 先月、ニュースにもなりましたが、島原半島で最大規模の産科、島原マタニティ病院が少子化により閉院することになりました。今月末で出産対応が中止となり、地域では動揺する声、不安の声が広がっています。地域医療の存続が求められています。

 そこで、本改正案で新たに十三条の五の二を設け、医療機関のない無医地区だけではなく、半島振興対策地域で医療の提供に支障が生じている場合、無医地区以外でも医師や看護師の確保など医療の充実が図られるようになりました。

 少子高齢化が進む全国の半島地域の医療を守るため、国はどのような対策を行うのでしょうか。

森政府参考人 医療の確保に関するお尋ねでございます。

 委員御指摘のとおり、今回の法案におきましては、いわゆる無医地区以外の地区においても、医療の提供に支障が生じている場合についての配慮義務規定が設けられたところでございます。

 現在、医療提供体制の支援におきましては、例えば、各都道府県において、無医地区ではない地区であっても、それに準じた医療の確保が必要な地区については準無医地区として位置づけさせていただいておりまして、その位置づけをした場合には、僻地医療に関する国の財政支援を無医地区と同様に受けられるようにしているところでございます。

 厚労省としては、こうした支援を引き続き行いつつ、各都道府県等に対しても、今般の改正法案の趣旨や内容、それから医療計画に基づく僻地医療に関する国の支援策などを丁寧に周知したり支援しながら、半島地域における必要な医療の確保をきちっと図ってまいりたいというふうに考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 大変重要な情報だと思っております。準無医地区であっても、僻地診療所の指定を受けることによって、国からの僻地診療所への運営費、この支援する制度、対象になっていきます。これまで、法律上、無医地区に限定されていましたが、実は、今答えていただいたように、支援対象は準無医地区でもあるということで、周知徹底、言っていただきました。この情報を知らない半島地域、まだ全国にたくさんあるかと思いますので、是非、この制度、積極的に活用いただけるよう、改めて周知をお願いしたいと思っております。

 そして、地域を回って病院関係者の方々から話を伺うと、地域住民の方々へ医療を提供し続けていきたいという思いがあっても、地方、特に半島地域、人手不足、医療スタッフ、看護師が特に不足しているという切実な声をよく聞いております。

 島の病院に関しては、医師などに対して離島手当などがあります。半島地域の深刻な人手不足を解消するために、国の僻地保健医療対策予算を活用し、医師や看護師などの医療スタッフに、例えば半島手当などを支給することは可能でしょうか。

森政府参考人 医療従事者に対する手当等に関するお尋ねでございます。

 委員御指摘のとおり、半島地域を含めて、医療従事者を確保していくのは非常に難しい状況にあり、重要な課題だというふうに考えているところでございます。

 厚生労働省としては、先ほど申し上げた準無医地区を含めた僻地医療の確保の観点から、看護師の人件費を含めた僻地診療所に対する運営費の支援を行っているところでございます。あわせて、地域医療介護総合確保基金という支援の仕方がございまして、こちらについては、僻地医療で働いている方も含めて、医療従事者を確保するための取組の支援を行っているところでございます。

 こうした支援を活用しながら、半島地域における医師や看護師の確保が進むよう、引き続き、都道府県と緊密に連携して対応してまいりたいというふうに考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。人材確保のための基金もあるという御答弁をいただきました。

 まさに、人への投資、このことが何よりも大切だと思っております。この法案にも、医師や看護師の確保、明確に書き込まれております。是非、実行されることを強く望みます。

 次に、交通の確保についてです。

 十二条の二で、半島振興対策地域における住民の社会生活の確保や利便性の向上などの記載に加え、今回、新たに、物資の流通の確保などを図るため、交通施設の整備及び保全並びに鉄道を始めとするという文言が書き込まれました。

 地域公共交通の活性化や再生などは、うたわれております。全国の半島の鉄道は、人口減少により経営が大変厳しい状況、赤字かもしれませんが、地元の人たちの心を支えている半島の鉄道を守っていく、その決意で立法されています。

 長崎県でも、諫早市と島原市を結ぶ島原鉄道の存続についてニュースになっています。県や地元自治体による検討部会で、自治体が路線や駅を保有し、鉄道会社が運営、運行を担う上下分離方式で鉄道を存続する案と、鉄道を廃止し、バスに転換する案を軸に検討が進められています。地元の皆様から鉄道の存続を求める声が強く上がっています。バスの運転手も不足している現状から、上下分離方式が現実的な案ですが、人口減で自治体も予算が限られています。財政負担が重く、いまだ結論が出ていません。

 半島の鉄道を守るため、国からどのような支援がなされるのでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 全国各地のローカル鉄道、今、地域において通勤や通学など日常利用あるいは観光客の移動手段、こうした役割を担っておりますけれども、沿線地域の人口減少などによりまして長期的な需要減というものに直面をしているという状況がございます。委員御指摘の島原鉄道、これも例外ではない、そういう状況ではございます。

 島原鉄道につきましては、御指摘の、長崎県が設置をしました島原鉄道活性化検討部会におきまして、島原鉄道の上下分離も選択肢の一つということで、沿線地域において持続可能な公共交通の確保、維持に係る今後の方向性の検討というものについては、今現在、進められているものというふうに承知をしております。

 上下分離方式の御指摘がございました。国の支援ということも委員からは指摘がございました。

 国におきまして、上下分離を含めてローカル鉄道の再構築に取り組む自治体を支援するために、一昨年の令和五年でございますけれども、地域交通法を改正いたしました。そして、社会資本整備総合交付金が活用できるようにするなど、予算措置を拡充してきたところでもございます。地域の実情に応じた、こうした予算等も活用して、適切な対応をしっかり図ってまいりたいというふうに考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 全国のローカル鉄道が存続されるよう、引き続き、国からの支援を強くお願いいたします。

 このように、半島地域の交通であったり医療が危機的状況になっているのは、共通して原因が人口減少です。そして、人口減の一番の理由は、農林漁業者の後継者がいなくなってしまったことです。一次産業の再生なくして半島地域の再生はあり得ません。半島は山がちで平地が少ない条件不利地ばかりです。

 このような条件不利を是正するための法律が半島振興法です。十三条の二、農林水産業の振興で、新たに競争力の強化が明記されました。

 物流の二〇二四問題、物価高で全国的に輸送費が高騰し続けています。半島地域の農産物を大消費地の都市部へ運ぶ上で、その距離も長く、相当なコストアップになっています。都市近郊の農業との公平な競争が困難になってきており、半島地域の農林水産業の競争力の強化のためには、農畜水産物の輸送費を支援し、物流の地理的ハンデを克服していく必要があると考えます。

 半島振興法には、地域特産物の流通や消費の増進に適切な配慮と記載があります。国からどういう支援があるのでしょうか。

小林政府参考人 お答え申し上げます。

 消費地から遠い産地にとりましては、流通の合理化は非常に大きな課題であると認識しております。このため、農林水産省では、産地での共同出荷施設の整備によりまして、荷の大型化などを通じまして輸送コストを抑制するでありますとか、標準仕様パレットの導入によりまして荷役の縮減を行うといった物流効率化の取組を、関係者が一体となって取り組むということを支援しておりまして、これに必要な設備、機器等の導入を支援しているところでございます。

 これらを通じまして、遠隔の産地ほど輸送費負担が大きくなっている実情にも対応しまして、物流効率化の取組を進めてまいりたいと考えております。

山田(勝)委員 是非、物流のハンデを克服できるような支援策を、引き続き強く求めてまいります。

 次に、再生可能エネルギーの利用の推進についてです。

 十四条の四で、新たに設けました、地域の資源を生かした再生可能エネルギーの利用が地域経済の発展に寄与すること、地域の実情に応じた再生可能エネルギーの利用を推進すると明記されました。半島の豊かな自然環境は半島のために使われるべきだという思いで立法されています。

 半島地域で再生可能エネルギーの地産地消を進めるため、特別な地方債の発行など、優遇策はあるのでしょうか。

須藤政府参考人 お答えいたします。

 御質問の半島地域における再生可能エネルギー施設の整備について、過疎法で規定されている過疎地域に該当する市町村においては、過疎対策事業債の活用が可能でございます。過疎対策事業債は、財政力が弱い過疎地域の市町村が過疎地域の持続的発展に関する施策に取り組んでいけるよう、過疎法により特別に発行が認められた地方債でございます。

 過疎対策事業債においては、太陽光、バイオマスを熱源とする熱その他の再生可能エネルギーを利用するための一定の施設のうち公用又は公共用に供するものや、地場産業の振興に資する再生可能エネルギー生産施設で、売電を主たる目的とし、料金収入等による独立採算が困難と見込まれるものなどを対象としているところでございます。

 今後とも、こうした財政措置を有効に活用いただきたいと考えております。

山田(勝)委員 ありがとうございます。

 百九十四の半島地域に対して、うち過疎法、今説明いただいたこの事業債が使える市町村が百五十六市町村、八〇%を超えているということなので、是非積極的に活用いただきたいと思っております。

 時間が参りました。今回の法改正によって、全国の半島地域に政治の光が当たることを強く願いまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、井上英孝君。

井上(英)委員 委員長と同じ名前なので、よろしくお願いいたします。(発言する者あり)少し緊張の緩和があったのではないかなというふうに思いますけれども。

 それでは、短い時間ですので、質疑に早速入らせていただきたいと思います。質疑をできることを、本当に関係者の皆さん方に御礼を申し上げたいというふうに思います。

 今日は、鉄道局長、来ているのかな、五十嵐さん、お願いします。それとまた大臣、よろしくお願いします。私からは、北陸新幹線についての議論をさせていただきたいなというふうに思っています。

 先日、福島委員も中速新幹線の話をされていましたけれども、整備新幹線をどんどんやるというのは我々も賛成ですし、当時、福島委員も賛成だというふうにおっしゃっておられたとは思いますけれども。

 やはり、西九州新幹線においても、武雄からまだつながっていないというようなこともあります。やはり、つながらなければ、経済効果というのは、半減とまでは言わないですけれども、かけた費用、コストに対して利益というのが薄くなってくるというのは当然のことだと思います。計画されているものをきっちりとつなげることによって、一〇〇、またそれ以上の、一一〇、一二〇というような効果が生まれていくのではないかというふうに思っています。

 そういう意味で、先ほども言いました、西九州新幹線も是非進捗を上げていってもらいたいと思いますし、北陸新幹線は、今現在、福井ですね、去年の三月にたしか金沢から福井に延伸をして、今現状、敦賀で止まっているという状況になっています。実際、これも大阪の方まで、京都を通るのか、そのルートの議論も後ほど触れますけれども、最終的には大阪という計画になっていますので、やはり、これをつなげることによって様々な相乗効果を生むように是非していただきたいな、一日も早く是非それを実現させていただきたいなという思いで質疑をさせていただきたいなというふうに思います。

 北陸新幹線の大阪延伸というのが、大阪を始めとした、沿線も含めた発展に不可欠であるという前提の下、国交省に対して、延伸実現に向けた具体的な取組等を質問させていただきます。

 国交省の試算によれば、北陸新幹線を敦賀から新大阪に延伸する場合、建設費は三・四から三・九兆円、そして、この期間中の物価上昇を考慮すると、建設費は五兆円を超えていくんじゃないかと。平成二十八年当時の見積りでは、二・一兆円でできるという見込みでありました。ですから、建設費は約二倍弱、それからまた、その期間の物価上昇を考慮していくと、二・四倍、二・五倍というような議論に今なっています。

 二・四とか二・五というと、すごく小さいように思うかも分かりませんけれども、予定のお金よりも倍以上かかるわけですから、やはりこの辺はナーバスに私は考えていかないと駄目かなというふうには思っています。

 大幅に増額する要因というのを改めてお聞きしたいのと、また、大幅に増加した建設費の負担に対応するために、国における財源確保策や地方自治体の負担軽減策の検討について、併せて、局長、お答えいただけますでしょうか。

五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。

 北陸新幹線敦賀―新大阪間の小浜・京都ルートの概算事業費につきましては、委員御指摘がありましたとおり、平成二十八年度に、平成二十八年四月価格ということで約二・一兆円とお示ししており、その後、様々な調査検討を経て、昨年、令和六年八月に、新たな事業費、工期についてお示しをいたしました。

 現在お示しをしている詳細な駅位置、ルートの二案につきましては、いわゆる南北案と呼んでおりますものについては、令和五年四月価格でおおむね三・九兆円、将来の物価上昇を見込んだ場合はおおむね五・二兆円、それから、いわゆる桂川案と呼んでいるものにつきましては、令和五年四月価格でおおむね三・四兆円、将来の物価上昇を見込んだ場合はおおむね四・八兆円という形でお示しをしているところでございます。

 この事業費につきましては、昨今の建設物価の上昇、設計標準の改定に伴う構造物の耐震強化のための設計変更、発生土に関する沿線自治体の条例改正による規制強化、時間外労働の上限規制の法定化に伴う労務費等の増加、それから、北陸新幹線事業推進調査等を活用した施工上の課題への対応に係る事業費の精査などを反映したことにより、平成二十八年度に試算としてお示しした金額よりも増加をしているところでございます。

 これらは、令和五年度から行っております北陸新幹線事業推進調査も活用して、ルートに応じた具体的な工事課題や条件も含め、改めて試算を行ったものになります。

 また、整備新幹線の着工に当たっての財源確保につきましては、法令上、貸付料等を除いた額について、国と地方で二対一の割合で負担することとされていることも踏まえまして、具体的には、いわゆる着工五条件の議論の中で今後検討されていくことになります。

 北陸新幹線敦賀―新大阪間につきましても、昨年十二月の与党の整備検討委員会におきまして、安定的な財源の確保、費用対効果の在り方等について検討を速やかに行う必要があることなどを内容とする中間報告がなされておりますので、今後、与党の御議論なども踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

 以上でございます。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 様々な条件が変わっていくという中で、建設費も上がっていっているというような御答弁でもありましたし、当然、建設費が増えていくと、地方の応能負担というか、やはり負担というのが上がっていくというふうに考えられると思いますので、その辺は知恵を出してもらうということをしっかりと考えていかないと駄目かなというふうに思います。

 先ほど言われたように、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームでは、昨年の六月、北陸新幹線の大阪延伸というのは小浜・京都ルートを前提というふうに確認をされたというふうにお聞きをしています。しかし、先ほど申し上げましたように、建設費の大幅な増加と、それから工期、工事期間が、当初は十五年というふうにも言われておりましたけれども、四半世紀、つまり、二十五年を超えるということに、先般公表されています。

 昨年末に具体的なルートの選定を結局は見送って、二〇二五年度中、要は今年度中の着工というのは事実上困難になったというふうに考えています。

 このような状況を受けて、我が党や北陸の自治体の多くが米原ルートの再考というのを求めているという声もよく聞きます。この再考というのは本当にあり得ないのかどうか。また、米原ルートの実現を困難にしている課題というのは一体何なのか、本当に解決できない課題なのかというふうに思います。

 先ほど答弁で局長も触れていただいたように、着工五条件というのがあります、を複合的に勘案したときに、小浜・京都ルートというのと米原ルート、本当にどちらがいいのかというのを、鉄道局長、お答えいただけたらと思います。

五十嵐政府参考人 お答えいたします。

 敦賀―新大阪間のルートにつきましては、平成二十八年度に、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームにおきまして、米原ルートを含めた三案のうち、関係自治体等からのヒアリングを経て、速達性、利便性等を総合的に勘案し、小浜・京都ルートとすることが決定されたものとなります。

 また、昨年、令和六年六月の与党整備委員会でも議論がなされており、平成二十八年度に確認されていることとして、米原ルートにつきましては、東海道新幹線の容量が引き続き逼迫していること、運行管理システムが異なること、脱線逸脱防止対策の方式が異なることなど、東海道新幹線への乗り入れに当たっては課題が様々にあることとしております。

 加えて、同委員会、令和六年六月では、そもそも沿線自治体等の関係者の合意が得られるかなどについて改めて議論がなされ、小浜・京都ルートにより進めていくことが確認をされているところでございます。

 その後、先ほども答弁いたしましたけれども、昨年十二月の与党整備委員会における中間報告におきましても、米原ルートについては、国土強靱化に係るリダンダンシー、原子力基本法における国の立地地域振興に係る責務の観点からも福井県の同意が得られないことが確認された旨が示されています。

 こうした与党の御議論も踏まえますと、国土交通省といたしましては、現時点で米原ルートについて改めて検討することは予定をしておりません。

 一方で、小浜・京都ルートについては、いわゆる着工五条件のうち、費用対効果や財源などに対する御懸念の声をいただいているところですが、これもまた、与党整備委員会の中間報告におきましても、今後必要となる着工五条件の確認に向けては、ルートに係る検討、地元関係者等の懸念や不安の払拭と並行して、安定的な財源の確保、費用対効果の在り方などについて検討を速やかに行う必要がある旨が示されております。

 国土交通省といたしましては、与党の御意見も踏まえ、一日も早い全線開業に向けて、沿線自治体の皆様の御理解を得られるよう、鉄道・運輸機構とともに、丁寧かつ着実に取り組んでまいります。

 以上でございます。

井上(英)委員 先ほど、米原ルートは現時点で考えていないということでありましたけれども、着工五条件を踏まえて考えたときに、様々な、もちろんベストというのはなかなか厳しいのかなというふうに正直思っています。ただ、マッチベターな方はどちらなのかということを考えたときには、我々としては、やはり米原ルートの方がよりベター、マッチベターなのではないかなというふうには思っています。

 先ほど言われたように、安定的な財源の確保、収支採算性、それから、費用を上回る投資効果、営業主体となるJRの同意、沿線自治体の同意、そういった五条件をしっかりと勘案をした上で、最終、言われたように、早期に実現できるように、是非しっかりと熟考いただけたらなというふうに思います。

 時間がちょっと迫ってきているので、少し飛ばしますけれども、小浜・京都ルートについては、やはり京都府民の方からも厳しい声があるというふうにもお聞きをしています。

 当然、地元の理解というのがやはり得られなければならないというふうに思いますし、そういった環境を是非しっかりとつくっていっていただきたいと思いますけれども、沿線自治体の馳浩石川県知事は、沿線の京都府で懸念が高まっていることから、解決のめどが立たないと判断された場合は、米原ルートを含めた検討を行い、一日も早い全線整備をすべきだというふうに述べられたとお聞きをしています。

 住民の声を真摯に聞いて、延伸ルートの決定に是非生かすべきだというふうに思います。そういった中で、パブコメなんかもして是非声を聞いていただきたいと思いますけれども、ここは答弁は求めませんので、是非お願いをしたいなというふうに思います。

 少し飛ばしますけれども、もう時間がありませんので、大臣にちょっとお聞きをしたいんです。やはり、ルート、様々な議論があって、しっかりと議論をすべきだと思いますけれども、改めて大臣の見解を、ルートに関してお伺いしたいと思います。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほど詳しい経緯については局長から答弁申し上げましたので、余り私から詳細な御説明は、少し手短にいこうと思いますが。

 昨年の八月に、詳細な駅位置、ルートの案、新たな事業費、工期についてお示しをしたという現状がございます。様々な調査も先行的に実施をしていたというのも、局長からも答弁を申し上げました。

 今後、京都府内、例えば三月二十五日、自治体向け説明会を始めとしまして、こうした議論や調査も踏まえた様々な情報をお示ししながら、御地元の御理解を得られるように、しっかりと取り組んでまいりたいというのが私の考えでございます。

 ルートについては、先ほど来鉄道局長が申し上げた、平成二十八年度には、与党において、米原ルートを含めた三案のうち、自治体のヒアリング等も踏まえて小浜・京都ルートと決定をした、昨年六月も、与党において、米原ルートは困難である旨、改めて確認をされたということで、現時点で再検討することは予定をしていないというのは局長も答弁したとおりでございます。

 いずれにしても、一日も早い全線開業というものに向けて、やはり沿線の自治体の皆様の御理解がしっかり得られるように、鉄道・運輸機構とともに丁寧かつ着実に取り組んでまいりたいというふうに思います。

井上(英)委員 ありがとうございます。

 先ほども言われたように、今の現時点でということだというふうには私も解釈はちゃんとしていますので、これから方針転換という大きなかじを切るのかも含めて、いずれにしても非常に経済波及効果の大きい大事な事業だというふうに思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

井上委員長 次に、西岡秀子君。

西岡(秀)委員 国民民主党・無所属クラブ、西岡秀子でございます。

 私、先ほど井上委員からも言及いただきましたけれども、西九州新幹線ルートについてお伺いをさせていただきます。

 その前に、前提として、大臣が先日の所信で述べられました中に、高規格道路、整備新幹線、リニア中央新幹線、港湾、空港等の整備により、国土形成計画に掲げるシームレスな拠点連結型国土の構築を進めると述べられました。その構想においては、いずれも大変重要だというふうに考えますけれども、整備新幹線のその中での位置づけ、重要性について、まず大臣から御見解をお伺いいたします。

中野国務大臣 西岡委員にお答え申し上げます。

 整備新幹線の位置づけ、重要性ということでございます。

 新幹線は地域相互の交流を促進をし、我が国の産業の発展や観光立国の推進など、地方創生に大きく貢献をするとともに、災害時における代替輸送ルートの確保など、国土強靱化の観点からも重要な役割を果たしていると考えております。

 こうした重要な意義がある新幹線につきましては、昭和三十九年に東海道新幹線が開業いたしました。それ以来、順次ネットワークが構築をされてきておりまして、現在は北海道、北陸、九州の各整備計画路線の確実な整備にめどを立てるということを最優先に取組を進めているところでございます。

 関係自治体や鉄道事業者などと連携協力をし、引き続き、我が国の社会経済を支える基幹的な輸送機関でございます新幹線ネットワークを丁寧かつ着実に構築をしてまいりたいと考えております。

西岡(秀)委員 今、大臣から、国土計画の中でも整備新幹線は大変重要であるという御答弁がございました。私も、この西九州新幹線、武雄―長崎駅の間、フル規格で二〇二二年に暫定開業いたしまして、大きな経済効果が今得られているというふうに思っております。

 この新幹線、ただ、未着工区間がございまして、新鳥栖―武雄温泉間についてはその整備方法についても議論が進んでおりません。この未整備区間につきましては、例えば佐賀ですとか長崎ですとか、西九州地域だけの問題ではなくて、日本国土全体の中での重要性というものについて考えた中で私も議論をしていきたいというふうに思っております。

 現在、新幹線とこの区間は対面乗換えの特急「リレーかもめ」という列車で運行されておりますけれども、この対面乗換えのリレー方式の固定化というのはそもそも前提ではございませんでした。ただ、佐賀県の御理解というのが当然大前提になるというふうに思っておりますけれども、早期に整備方針を決定し、前に進めるべきであるというふうに考えております。

 このことについての大臣の御見解、そして費用対効果からもフル規格で佐賀駅ルートが私は妥当であるというふうに考えますけれども、このことについての大臣の御見解をお伺いいたします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 西九州新幹線の未整備区間についての御質問でございます。

 九州新幹線の新鳥栖―武雄温泉間につきましては、フル規格で整備をされれば、西九州地方と関西、中国地方が新幹線ネットワークでつながるということで、観光、まちづくり、地方創生など、多くの面でより大きな効果が表れるというふうに考えております。

 御指摘のルートにつきましては、博多から長崎までの距離や所要時間が少なく投資効果が大きいこと、また、佐賀駅において既存の在来線やバスなどの二次交通も含めた結節点としての機能があることから、佐賀駅を通るルートが望ましいということはこれまで申し上げてきているところでございます。

 これまで、佐賀県との間で様々に協議を行ってきておりますが、この新幹線整備の必要性、重要性について御理解をいただけるように、引き続き議論を積み重ねてまいりたいと考えております。

西岡(秀)委員 昨年、長崎でシンポジウムが開催されたわけでございますけれども、そのときに、地域公共交通の専門家である波床大阪産業大学の教授の講演の中で、乗換え一回につき所要時間が二十七分延びることにつながり、九十二キロ遠回りするのに相当する心理的な抵抗を乗客に与えるという試算が紹介をされました。また、フル規格で山陽新幹線に直結することによって、佐賀県にとっても、佐賀市から大阪まで二時間台、それから、リニア中央新幹線が開業されれば東京まで四時間以内で行くことが可能となり、高度な産業立地の可能性もあるというメリットを述べられました。

 ただ、今、佐賀県から御理解をいただいていないというのが現状でございまして、昨年、長崎、佐賀、JR九州を入れた三者会談が行われ、また、佐賀県と国交省の担当者による協議が八月に行われたというふうに承知をいたしております。そこから協議が進展をしていないというのが現状だというふうに思っております。

 そもそも、この未着工区間、元々はフリーゲージトレインを導入するという計画であったものが、技術面の問題から国交省が断念をしたという経緯がございまして、これが未着工区間が長期化しているという現状を踏まえて、やはりもっと国が主体的にリーダーシップを持って、佐賀県の費用負担の軽減や在来線の問題も含めた、国が解決策を提示をして、そこから具体的な議論を進めることが早期開通へ向けた道筋だというふうに思いますし、フリーゲージトレインの経緯から、国にその責任があると考えておりますけれども、このことに対する大臣の御見解をお伺いいたします。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 先ほども私申し上げたとおり、九州新幹線、この新鳥栖―武雄間、フル規格で整備をされれば、観光やまちづくりなど、より大きな効果が表れるというふうに考えております。

 委員にも御指摘いただきました佐賀県と国の協議、これは令和二年から始まって、幅広い協議をこれまで八回にわたって実施をいたしました。その中で、佐賀県からは、フル規格で整備をした場合の在来線の取扱いや地方負担などについて御懸念が示されまして、こうした点については様々な議論を行ってきたところでございます。

 特に、費用負担につきましては、全国新幹線鉄道整備法に基づきまして、負担のルールが定められております。そして、在来線の問題については、JRとともに議論をする必要がございます。このことから、佐賀県、長崎県、JR、そして国の四者による協議の提案などもこれまで行ってきたところでございます。

 国土交通省としまして、いただいている御懸念も踏まえながら、引き続き、この新幹線整備の必要性や重要性につきまして、御地元の皆様にもやはり丁寧にしっかり説明をしていくということとともに、佐賀県との間でも議論を続けていくということなどを通じて、広く御理解をいただけるようにしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

西岡(秀)委員 今、大臣から四者会談というお話がございましたけれども、これは極めて重要だというふうに思っておりまして、三者会談は行われているんですけれども、国を入れた協議がその中で行われていないこと、これは是非実現をしていただきたいというふうに思っております。

 また、知事との面会を含めまして、今後、佐賀県と大臣が話合いを持つ予定があるのかどうかということも併せてお伺いをしたいというふうに思います。

中野国務大臣 令和元年に赤羽元国土交通大臣が山口佐賀県知事と面会をしたということをきっかけに幅広い協議が始まったということは承知をしております。これは、八回にわたって実施をするとともに、昨年五月、先ほども申し上げました、鉄道局長から佐賀県知事に対して四者での協議ということも打診をしたところでございます。

 私自身、佐賀県知事と面会する予定というのはないんですけれども、様々なレベルでしっかり議論をしていくことは私も重要であるというふうに考えておりまして、引き続き、佐賀県とこの議論というのを粘り強くしっかり積み重ねてまいりたいというふうに考えております。

西岡(秀)委員 先ほど私も質問の中で申し上げたんですけれども、やはり、国が具体的な解決策をお示しをしていただいて、そのことをもって議論をしていくということを進めていかないと、なかなか、今のままでは、未着工区間が長期化をするということを何よりも恐れておりますし、この部分が未着工であるということの、日本の経済、地域経済に与える影響というものも、損失というものも大変大きいものがあるというふうに思っております。

 先般も、この未着工区間による経済損失について国土交通省にお尋ねをした、以前の質問であったんですけれども、その試算はしておられないということだったんですけれども、この未整備区間というものをしっかりつなげていくことが、日本の発展、経済発展、また人口減少の中での東京一極集中是正、地方への様々な交流人口、関係人口にも資するということを思っておりますので、是非、早期に整備方法をしっかりお示しをいただいて、前に進めていただくことを心からお願いをして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

井上委員長 次に、たがや亮君。

たがや委員 れいわ新選組の良心と言われて少々戸惑っているたがや亮です。

 大臣、私が商売を始めたのは一九八八年、もうバブル真っただ中でして、その頃のタクシーの売上げが、平日で十万以上、週末二十万超えは当たり前。タクシーがつかまらず、通りに出て手を挙げてもつかまらない。だから、赤坂から六本木に行くのに一万円を見せて止めようとする、そうすると別の人が二万円を出す、タクシードライバーはそれを見ながら高い方に止まるという。それがチップになるわけですね。そういった時代でした。

 そんなおいしい時代と打って変わった今の時代のタクシー業界における日本版ライドシェアに関して、運用後の様々な確認を今日はしていきたいと思います。

 資料一を御覧ください。

 日本版ライドシェアの導入から一年が経過し、日本版ライドシェアの導入の成果を具体的にどのようなデータを基に評価をしているのか、お伺いします。

鶴田政府参考人 日本版ライドシェアの導入の成果につきましては、例えば、配車アプリ事業者の協力を得まして、利用者からの配車依頼の件数ですとか配車依頼へのタクシー運転者による承諾件数といったデータを入手しまして、タクシーや日本版ライドシェアの配車マッチング率、つまり、利用者からの申込みに対してどれだけの割合の車両が手配できたか、このマッチング率について把握をして検証してございます。

たがや委員 ありがとうございます。

 アプリだけのデータだと疑わしいという現場の声もありましたので、本当にタクシーの台数が足りないのか、仲よくなったドライバーさんにヒアリングをしました。

 委員の皆さんも御経験があるかもしれませんが、五十メートル前まで空車で、手を挙げたら、いきなり迎車、回送に変わってしまうなんということはあると思います。私も何度もあり、私服だとそういうことが多い印象です。ドライバーさんに尋ねたら、アプリを専門にするドライバーは、実際には空車なのに迎車、回送にしている偽装迎車、偽装回送が行われているというお話でした。高齢のおばあちゃんがタクシーを呼び止めようと手を挙げていても、何台ものタクシーが迎車で通り過ぎる。おばあちゃんを乗せたくても、自分もアプリで予約待機中で乗せられなかったというお話も聞きました。アプリで便利になった反面、こういった問題もあることを忘れてはならないんだなと思います。

 このような実質的な乗車拒否とも言えることが多く起きているんじゃないか。アプリ専門のドライバーの方は、偽装迎車や偽装回送。流し専門の方は、無線がうざったいから無線を切って、勘に頼った昔ながらの営業。長距離狙いの方は、高級ホテルや空港のタクシープールに長時間の待機。ライドシェア以前に、本当にタクシーの台数が足りないのかなというふうなことを考えると、こんな非効率な現状について、国交省は把握をしているでしょうか。

鶴田政府参考人 タクシーという貴重な輸送資源でございますので、これを効率を高めていくというのは御指摘のように大変重要だと思っております。

 一方で、今御指摘もありました、乗客を降ろしてすぐに迎車に変えるとか、そういった偽装迎車的な、実質的な乗車拒否が行われているといった動きがあるということは承知しておりません。

 タクシーは公共交通機関でございますので、流しですとか駅待ちといった、アプリ配車以外のニーズに対しても適切に対応する必要があると考えております。

 仮に不適切な事案が確認された場合には、しっかり指導してまいりたいと考えております。

たがや委員 ありがとうございます。まあ、あるとは言えないので、しようがないですよね。

 そもそも、日本版ライドシェアを導入した目的を改めて教えてほしいのと、正規ドライバーと日本版ライドシェアのドライバーの割合に上限はあるんでしょうか。

 また、配車アプリのマッチング率が上がれば、日本版ライドシェアの台数を減らすなどの調整もするのかということも、併せてお伺いをいたします。

鶴田政府参考人 そもそも、日本版ライドシェアはタクシーの不足を補完するという目的でございますので、一点目につきましては、日本版ライドシェアが導入できる車両数、これはタクシー事業者が保有する車両数の範囲内、これが上限になるということでございます。

 また、二点目の、タクシーが足りてくればということでございますが、これも、しっかり需給状況をモニタリングをして、タクシーサービスがその地域で過不足なく提供されるように、適切に運用してまいります。

たがや委員 ありがとうございます。

 日本版ライドシェアが活動できる地域や時間帯がもし拡大された場合、将来的にタクシードライバーが不安定な職種となり、逆に担い手不足の原因とならないよう、しっかりと対応をお願いをいたします。

 次の質問です。資料二を御覧ください。

 地方では、自治体やNPO法人の運営が主体となる公共ライドシェアが進められています。公共ライドシェアの安全管理や運営のチェックはどの機関がどのように行うのか、伺います。

 また、運営主体数が増えた場合に、運輸局の現状の体制で対応し切れるのか、併せてお答えをお願いします。

池光政府参考人 お答え申し上げます。

 公共ライドシェアの安全管理につきましては、法令に基づき、運行主体において運行管理や車両の整備管理を行うことを義務づけております。また、二年ごとの登録更新の際に、地方運輸局等において各運行主体の事故や法令違反の状況を確認した上で、悪質な場合には更新を取り消す対応や、無事故無違反の場合に更新期間を逆に三年間に延ばす、こういった対応を行っておるところであります。

 その上で、交通事故や酒気帯び運転など悪質な法令違反が起こった場合、こういった場合には、地方運輸局等におきまして、運行主体に対して監査を実施し、違反の程度によっては登録の取消し等の行政処分を行っております。

 公共ライドシェアについては、近年、導入が増加傾向にありますけれども、例えば、車両一台当たりの事故件数については、特に増加している状況にはないところであります。今後も増加が見込まれる公共ライドシェアにつきましては、引き続き、安全の確保に万全を期すべく、監査等の体制の見直し、強化について、しかるべく検討してまいります。

たがや委員 どこも人手不足だと思うんですけれども、公共ライドシェアのチェックは、事故や問題が起こってからでは、起こってから監査に入ると伺っていますが、知床遊覧船のように、事故が起こってからでは、運輸局のチェックが甘かったのではと責任問題にもなりかねませんので、しっかり管理監督又は監査に必要な人材の確保はマストでお願いをいたします。

 次に、地方にとっては将来的に重要度が増すと思われる公共ライドシェアへの財政支援について、持続可能な制度とするために、運営費の一部など、運営主体への恒久的な予算措置が必要と思いますが、いかがでしょうか。

 また、これも再確認ですが、フルスペックのライドシェアについて導入するお考えがあるか、大臣にお伺いします。

中野国務大臣 二点御指摘がございました。

 公共ライドシェアについてですけれども、これは、やはり、民間によるサービスの提供が困難な交通空白の地域においての活用ということで、運行主体が自治体ですとかNPO法人等の非営利ということでもございますので、国からの一般的な赤字補填はなじまないかなとも考えておりますけれども、持続可能なサービス提供の観点からは、費用を可能な限り抑えるとともに、収入を増やすという取組が必要と考えておりまして、国土交通省において、運送対価の目安の引上げや運送区域の設定の柔軟化など制度面での改善を行ってまいりました。

 そして、予算面でも、令和六年度補正予算におきまして、交通空白解消に向けた公共ライドシェアの導入への総合的な支援措置ということで新たに創設をしたところでございますので、こうしたあらゆるツールを活用して、公共ライドシェアが持続可能なものとなるようにしっかり取り組んでまいりたいというのが、公共ライドシェアでございます。

 フルスペックのライドシェアというのは、どのようなものであるにしても、有償で旅客を運送するサービスは、やはり、適切な運行管理、車両整備管理によるドライバー、車両の安全の確保、事故時を始めとした運送の責任、ドライバーの適切な労働条件の確保が大変重要だと考えておりますので、国土交通省としては、ただいま申し上げた点が確保をされることが必要であるというふうに考えております。

たがや委員 ありがとうございます。

 時間が来たので終わります。

井上委員長 次に、堀川あきこ君。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。

 阪神・淡路大震災から今年で三十年。この節目に、様々な検証が今行われています。

 神戸新聞が、阪神・淡路大震災の死者数六千四百二人のうち、女性の死者数は男性の死者数よりも九百六十七人多かった、この事実を基に、特集を組まれていました。

 亡くなられた方の中で、特に割合が高かったのが六十代以上、そのうち六割が女性でした。死因の七割が窒息、圧死。建物の倒壊などによって下敷きとなって命を奪われるというケースです。なぜ六十歳以上の高齢の女性が多かったのか、ちゃんとした分析は今のところされていないんですけれども、考えられる理由として、単身の高齢女性は相対的貧困率が高い層であって、社会的、経済的理由によって弱い家に住まざるを得なかったというふうなことが挙げられています。

 都市住宅学会の調査によりますと、この震災で約二十五万戸の建物が全半壊をして、戸建ての全半壊率が三八・五%だったのに対して、長屋は六三%、文化住宅などの共同低層住宅が五七・七%と、被害が大きかったのは、こうした耐震性を十分に備えていない民間の低賃貸住宅でした。

 兵庫県の復興誌を見てみますと、神戸市で生活保護受給者の死亡率が市民平均の五倍近かったことから、所得の違いから生じた住宅格差が生死を分けたというふうに指摘があります。

 災害は、平時の社会のもろい部分がどうしても露出をします。非正規率も高く、低年金の多い女性は住宅困窮者となる傾向が強いことを物語っていると思いますが、大臣のお考えをお聞かせください。

中野国務大臣 御指摘の非正規労働者や低年金の者ということでございました。関係省庁の調査によりますれば、非正規労働者のうちの女性の割合は約七割ということでありますし、六十五歳以上の老齢年金受給者のうち年間の公的年金額が七十五万円未満の者の割合も、男性が一割以下であるのに対し、女性は二割を超えている、こういう状況であるということでございます。

 いずれにしても、やはり、こうした非正規の労働者の方や低年金の女性の方を含めまして、住宅に困窮をする低額所得者の皆様が安心して暮らせる住まいを確保するということは、住宅政策上重要な課題であるというふうには認識をしております。

堀川委員 女性、特にシングルの女性は、結婚すれば住宅の確保ができたけれども、そうした生き方が既定路線とされていて、支援制度の枠から外れてきたというのが現状だと思います。

 現在、公営住宅も、家族向けのものが多くて、倍率も高くてなかなか入れない。民間の賃貸も、家賃が高くて大変苦しい実態があります。住宅の確保に不安を覚える、実際に困難を抱えているという女性が多数いるということが、この間あらゆる団体の調査から上がっています。ジェンダー視点に立った住宅政策を引き続き求めていきたいと思いますし、議論を続けたいというふうに思っています。

 今日は、住宅セーフティーネットの制度についてお聞きをしていきたいと思います。

 住宅セーフティーネット法では、住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤だとして、低額所得者や高齢者などを住宅確保要配慮者として、居住の安定について定めています。

 まずお聞きしたいんですが、この住宅確保要配慮者の数、国交省は把握しているでしょうか。

楠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の住宅セーフティーネット法におきましては、住宅確保要配慮者といたしまして、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯など、民間賃貸住宅市場におきまして自力で適正な住宅を確保するということが困難となり得る方々の属性を類型的に規定をしているところでございます。

 お尋ねの住宅確保要配慮者の具体的な人数等でございますけれども、例えば高齢者は三千五百九十三万人、生活保護を受給している低額所得世帯は百六十四万世帯などとなっておりますけれども、これら複数の属性に該当する方々もいらっしゃいますので、住宅確保要配慮者の総数をお示しするということは難しい状況でございます。

 また、今申し上げた数字につきましては、高齢者、低額所得者など住宅確保要配慮者の属性に該当する数字ということでございまして、実際に住宅に困窮をしている方々ということの数ではございません。こうした方々が住宅に困窮しているかどうかということにつきましては個々の状況によって異なりますので、住宅に困窮する世帯の数を統計的に把握することもなかなか難しいというのが実情でございます。

堀川委員 国として統計を持っていないという答弁だったというふうに思います。

 資料一に、国立国会図書館が出している表を引用しまして、要配慮者の数をお示しをしています。ちょっと時間の関係上、数字は飛ばさせていただきますけれども、これはあくまで目安であって、全ての方がセーフティーネットを希望されるとも限らないわけですが、一方で、公営住宅、セーフティーネット登録住宅というのが、それぞれ二百十二万戸、登録住宅が約九十万戸ということで、この大きな差を見ますと、安全と質が確保された住宅を十分に確保できていると言えるのか、疑問を抱かざるを得ません。

 時間の関係で次の質問に行きますけれども、この住宅セーフティーネット制度、様々な制度を持っていらっしゃいますけれども、要配慮者がこの制度を使って入居できた実績、国交省は把握されていますでしょうか。

楠田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のとおり、セーフティーネット登録住宅につきましては、この三年間で約七十万戸から約九十万戸に増えております。住宅確保要配慮者の居住の安定確保に一定の役割を果たしてきたというふうに考えております。

 一方で、お尋ねのございました住宅確保要配慮者の入居実績でございますけれども、セーフティーネット登録住宅自体が要配慮者であることを理由に入居を拒まない賃貸住宅でございまして、入居時にあえて要配慮者であるかどうかということを本人に確認するということは必ずしも適切とは言えないということでございますので、そのような確認は行っておりませんで、要配慮者が実際に入居した数を定量的に把握するということは難しいというのが実情でございます。

 引き続き、この登録住宅の拡大を図ることによりまして、住宅確保要配慮者の居住の安定確保にしっかり努めてまいりたいと考えております。

堀川委員 要配慮者の数もつかまない、そのセーフティーネットの活用について検証する仕組みが今国交省にはないということだと思います。

 今後、この要配慮者、単身高齢者世帯がどんどん増えていくということは国交省も認識されているというふうに思いますし、このセーフティーネット制度の活用というものが、ニーズが高まっていくということは認識をされていると思います。

 その中で、公営住宅がどんどん少なくなっている一方で、民間の賃貸物件を増やしていくというふうな方向しかないと思いますが、岩盤と言われていた家賃の高騰が今全国で起きています。しかし、家賃低廉化の補助制度はあるが、実績でいうと、令和五年度で補助制度を活用した自治体はたった二十七自治体というふうになっています。低廉な家賃の賃貸住宅を必要とする方は今後増えていく一方で、家賃の高騰が起きている。

 この家賃の低廉化の制度をどうやったら機能させることができるのか、暮らせる家賃をどう保証していくのか、国として検討が要ると思いますが、いかがでしょうか。

中野国務大臣 お答え申し上げます。

 低廉な家賃のセーフティーネット登録住宅の供給を促進をするということで、御指摘の大家さん向けの支援制度を創設しまして、これは家賃の低廉化に取り組む自治体に対して国が補助を行っております。

 自治体による本制度の活用を促進をするために、これまでに、例えば補助対象期間の延長など制度を拡充をしたり、あるいは首長への直接訪問による働きかけなど、継続的に行ってまいりました。

 現状、この三年間で新たに二十の自治体が制度を創設をいたしました。現時点では、横浜市、福岡市、京都市など、五十七の自治体で家賃低廉化制度が設けられているところでもございます。

 今後も、本年秋頃に施行予定の改正住宅セーフティーネット法の説明会など、あらゆる機会を捉えて、自治体に対して、この家賃低廉化制度を繰り返し周知をしてまいりたいと思いますし、民間賃貸住宅だけではなくて、URですとか公社の賃貸住宅での活用も含めて、是非積極的に活用していただけるよう働きかけてまいりたいというふうに思っております。

堀川委員 時間なのでもう終わりますけれども、家主の善意に頼るセーフティーネットのみでは限界が来ているというふうに思います。低廉な家賃がちゃんと保証される公営住宅を再構築をしつつ、国の責任による家賃補助制度をつくるべきということを求めまして、質問を終わります。

     ――――◇―――――

井上委員長 次に、内閣提出、道路法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣中野洋昌君。

    ―――――――――――――

 道路法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

中野国務大臣 ただいま議題となりました道路法等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。

 昨年一月に発生した令和六年能登半島地震においては、発災時における道路啓開の強化や平時からの防災活動拠点の整備、トイレコンテナ等の配備の充実の重要性が明らかになりました。また、橋、トンネル等の老朽化が進む中、持続可能なインフラ管理が課題となっているほか、気候変動に伴い自然災害が激甚化、頻発化する中、道路分野の脱炭素化の推進が急務となっております。

 このような趣旨から、この度、この法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明を申し上げます。

 第一に、令和六年能登半島地震を踏まえた災害対応の深化のため、二以上の道路管理者が協議会での協議を経て策定する道路啓開計画を法定化し、計画の記載事項として道路啓開の方法や訓練に関する事項等を定め、計画の実効性を高めるとともに、計画に基づいて災害時に道路を啓開する場合の手続を簡素化することとしております。また、地方公共団体が管理する自動車駐車場について、災害復旧等の拠点として活用するため、国土交通大臣が必要な管理を代行することができる制度を創設することとしております。加えて、被災地への出動が可能なトイレコンテナ等の平時からの配備を促進するため、その占用許可基準を緩和し、設置に対して無利子貸付制度を創設することとしております。

 第二に、市町村の技術職員が減少する中で、道路インフラの老朽化に対応し、効率的かつ効果的な道路管理を実現するため、二以上の市町村の区域にわたる道路の道路管理者間の協議により、道路の点検や修繕等を他の地方公共団体が代行することができる、連携協力道路の管理の特例制度を創設することとしております。

 第三に、道路管理者が協働して脱炭素化の推進を図るため、国土交通大臣が道路の脱炭素化に関する基本方針を策定することとし、道路管理者は当該方針に即して、道路の脱炭素化の目標等を定めた道路脱炭素化推進計画を策定できることとするとともに、計画に定められた脱炭素化に資する施設等の占用許可基準を緩和することとしております。

 第四に、道路の整備及び管理の効率的かつ効果的な実施や、防災機能の確保、脱炭素化の推進等を内容とする、道路網の整備に関する基本理念を創設することとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十一日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時三十六分散会


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