第7号 令和7年4月9日(水曜日)
令和七年四月九日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 貴博君
理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君
理事 中谷 真一君 理事 城井 崇君
理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君
理事 奥下 剛光君 理事 西岡 秀子君
石橋林太郎君 岩田 和親君
大西 洋平君 梶山 弘志君
加藤 竜祥君 工藤 彰三君
国定 勇人君 栗原 渉君
小寺 裕雄君 小森 卓郎君
島田 智明君 高見 康裕君
田所 嘉徳君 谷 公一君
土屋 品子君 西田 昭二君
三反園 訓君 阿久津幸彦君
尾辻かな子君 小宮山泰子君
小山 千帆君 下条 みつ君
白石 洋一君 津村 啓介君
長友よしひろ君 伴野 豊君
松田 功君 馬淵 澄夫君
谷田川 元君 阿部 弘樹君
井上 英孝君 徳安 淳子君
臼木 秀剛君 鳩山紀一郎君
古川 元久君 赤羽 一嘉君
中川 康洋君 たがや 亮君
堀川あきこ君 福島 伸享君
…………………………………
国土交通大臣 中野 洋昌君
財務副大臣 横山 信一君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
経済産業副大臣 古賀友一郎君
国土交通大臣政務官 高見 康裕君
国土交通大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 貫名 功二君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 阿部 竜矢君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君
政府参考人
(財務省大臣官房審議官) 植松 利夫君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 尾田 進君
政府参考人
(資源エネルギー庁資源・燃料部長) 和久田 肇君
政府参考人
(国土交通省大臣官房上下水道審議官) 松原 誠君
政府参考人
(国土交通省国土政策局長) 黒田 昌義君
政府参考人
(国土交通省不動産・建設経済局長) 平田 研君
政府参考人
(国土交通省道路局長) 山本 巧君
政府参考人
(国土交通省住宅局長) 楠田 幹人君
政府参考人
(国土交通省鉄道局長) 五十嵐徹人君
政府参考人
(国土交通省物流・自動車局長) 鶴田 浩久君
政府参考人
(観光庁次長) 平嶋 隆司君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君
参考人
(独立行政法人都市再生機構理事) 村上 慶裕君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
―――――――――――――
委員の異動
四月九日
辞任 補欠選任
金子 恭之君 栗原 渉君
小宮山泰子君 小山 千帆君
鳩山紀一郎君 臼木 秀剛君
同日
辞任 補欠選任
栗原 渉君 岩田 和親君
小山 千帆君 小宮山泰子君
臼木 秀剛君 鳩山紀一郎君
同日
辞任 補欠選任
岩田 和親君 島田 智明君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 金子 恭之君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
国土交通行政の基本施策に関する件
――――◇―――――
○井上委員長 これより会議を開きます。
国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事村上慶裕君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房上下水道審議官松原誠君外十四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。城井崇君。
○城井委員 立憲民主党の城井崇です。今回も、中野大臣、よろしくお願いをいたします。
早速、質問に入ります。
日本空港ビルデング社の子会社による下請企業への不当な利益供与に関する記事について、今回も聞かざるを得ないという状況であります。大臣に伺ってまいりたいと思います。委員の皆様は資料を御覧ください。
二〇二五年四月三日付の読売新聞朝刊、日本空港ビルデング社の子会社による不当な利益供与に関する記事が掲載をされました。「羽田空港ビル子会社 二億円利益供与か 自民元幹事長長男側に 所得隠し 国税指摘後も 国交省調査要請へ」こうした見出しでございます。
羽田空港ターミナルビルを運営する日本空港ビルデング社の子会社が、ビル内で営む事業をめぐり、国税当局から業務実態がないと認定された東京都内のコンサルティング会社に対し、二〇二〇年までの約十年間で二億円近く利益供与していた疑いがあることが分かった、こうした話。子会社は一六年頃、それまでに支払った約一億円について所得隠しを指摘されたが、読売新聞が入手した資料によると、その後も別会社経由で一億円近くが渡っていたといったこと。本紙の指摘を受け、空港ビル社は、取引の実態などについての内部調査を開始した、国土交通省は空港ビル社側に調査と報告を求める、こうしたことでございました。
二〇二五年四月四日付の読売新聞朝刊には、続報の掲載ということでございました。日本空港ビルデング社の社長兼COO、最高執行責任者が、コンサルティング会社へ利益要求を求めていたことが分かったという内容でございます。
この日本空港ビルデング社は、空港法に基づいて、国土交通大臣が羽田空港の空港機能施設事業者に指定している会社であり、羽田空港内の国有地を使用する許可を得てターミナルビルなどを運用しています。適正な運営が行われているか、適法な運用が行われているか、国土交通省が一定の関与をすべき会社です。
そこで、国土交通大臣に伺います。
日本空港ビルデング社の横田信秋社長が二〇二一年七月、当時契約していたマッサージチェア販売会社の幹部と面会し、国税当局から業務実態がないと認定された東京都内のコンサルティング会社への利益供与を求めていたと二〇二五年四月四日の読売新聞で報じられました。事実でしょうか。大臣の認識を教えてください。
○中野国務大臣 城井委員にお答えを申し上げます。
委員の御指摘をされた報道というものがあったということは、当然承知をしております。
国土交通省といたしましても、今般の報道を受けまして、まずは日本空港ビルデング社に、事実関係の調査を含め、適切な対応を行うように、これを要請をしたところでございます。
本件について、日本空港ビルデング社において、現在、監査等委員会が主体となって、まさに調査を実施しているということで報告を受けております。まず、この調査をしっかり実施をしていただくということが重要であるというふうに考えております。
そして、国土交通省としては、その結果を踏まえ、必要に応じ、適切な対応というのは当然検討していきたいというふうに思っております。
○城井委員 もう一点、確認をいたします。
同日の読売新聞で、二〇二一年七月の面会での横田社長の主な発言として、幾らかやっぱり向こうにね、ちょっとゼロというわけにはいかないと話していた、言葉は悪いが、紹介料じゃないけれども、やっぱりある程度はしんしゃくしてもらえればという気はする、これまでのおつき合いというものがあり、それを切るわけにはいかないよ、分配が、ビッグウイングが幾ら、古賀さんのところが幾ら、こういう仕組みだったと思うんだよとの発言があったと、音声記録を基に詳細に報じられています。事実でしょうか。この点についても大臣の認識を確認します。
○中野国務大臣 これも、報道については当然承知をしておりますが、繰り返しになって少し恐縮なんですけれども、この事実関係も含めて、現在、日本空港ビルデング社における監査等委員会、ここが主体となって、まさに調査を実施をしているという報告を受けておりますので、しっかりと実施をし、その結果を報告をしていただきたいということで、要請をしているところでございます。
○城井委員 この日本空港ビルデング社の内部の調査は、いつまでに結果が出るんですか。どういう認識でしょうか。
○中野国務大臣 現在、日本空港ビルデング社、こうした第三者的な立場により、監査等委員会というところで調査が行われているということで認識をしております。
調査結果については、調査完了次第、速やかに公表する予定と報告を受けておりますが、現時点では、五月の上旬頃には調査を完了し、プレスリリースを行う予定であるという報告を受けているところでございます。
○城井委員 今、同社で内部の調査中、こういうことであります。五月の上旬にはということであります。
この日本空港ビルデング社は、国民の財産である国有地を活用して独占的に事業を行っている企業であります。社内においての事実確認、適切な説明を実施するよう要請ということが現在の国土交通省の姿勢でありますが、さて、これで十分かということであります。
今、大臣からも御言及がありましたように、日本空港ビルデング社では、内部調査の実施について、社外取締役のみで構成される監査等委員会が主体となって事実関係の調査を実施しており、結果は速やかに公表するということが社からも発表があったところでありますが、これでは不十分であります。
そもそも、内部調査では、法律にかなっているか、かなっていないかの判断や、事実関係について信頼できる結果が得られるとは言い難いというふうに考えます。本事案は、独立性の高い、説得力のある調査が求められます。社外取締役は、企業からは独立していません。企業から独立していない者による調査ではなく、企業から独立した委員で構成される第三者による調査が必要です。
大臣、この日本空港ビルデング社、社内調査ではなく、第三者に調査を行ってもらって、国土交通省に対して報告をしてもらうべきです。国土交通大臣から日本空港ビルデング社に対して、第三者による調査の実施と公表を指示していただけますか。大臣、いかがですか。
○中野国務大臣 委員も御指摘のとおり、本件調査におきましては、弁護士や学識経験者から成る社外取締役のみで構成される監査等委員会において実施をされている、そして、外部の法律事務所に調査の実務が依頼されているという報告を聞いております。
この監査等委員会というのは、会社法に基づいて設置をされるものでございます。本件のように社外取締役のみで構成をされる場合には、経営陣からの独立性が確保された形で調査が進められるものというふうに認識をしております。
いずれにしても、第三者の立場により調査が行われているという認識をしております。しっかりと調査をしていただき、調査結果については、完了後、速やかに公表するものというふうに承知をしております。
○城井委員 社内に設置された組織であるということを改めて申し上げておきたいと思いますが、委員長、この日本空港ビルデング社に対する第三者の調査の実施、その結果を衆議院国土交通委員会に御報告いただくことを求めたいと思いますが、お取り計らいをお願いできますか。
○井上委員長 理事会で協議いたします。
○城井委員 続きまして、日本空港ビルデング社の一〇〇%子会社ビッグウイングが、自民党元幹事長の長男が営むコンサルティング会社に、二〇一六年までの五年間、業務委託費としての約一億円を支払ったという報道でございました。実際の業務は下請業者がほぼ全て実施し、東京国税局から、経費として認められないとして所得隠しを指摘された後も、別会社経由で支払いが続き、総額で二億円近くが渡っていた、こうした状況であります。極めて悪質であります。さらに、これは氷山の一角の可能性があるんじゃないかということを疑わざるを得ない、残念な状況です。
日本空港ビルデング社の関係会社、グループ会社だけでも、同社ホームページで確認できるのは、ビッグウイングを含めた十九社、及び、ビッグウイングの関係会社で同様の利益供与事案があるのかないのか。これも、客観性、公正性を担保するためには第三者による調査が必要だ。この第三者による調査を実施し、公表すべきだと考えます。大臣の認識を伺います。
○中野国務大臣 日本空港ビルデング社より、本件調査におきましては、同社及びその関係会社が関与するほかの取引においても同様の事案が発生をしたか、調査をするという報告を受けております。
第三者性ということで様々御指摘いただいておりますが、監査等委員会、これは当然、社外取締役、独立をされている学識経験者の方、弁護士、法曹の経験の方、そして、こうした皆様が委員になって実施をされている、そういうものであるというふうに認識をしております。
まず、こうした事実関係の調査をここでしっかりしていただくということが重要だということを改めて申し上げさせていただきたいと思いますが、いずれにしても、そうした関連の関係会社が関与するほかの取引についても、しっかり調査をしていただくということでございます。
○城井委員 社外取締役の選任も、その企業自身がやっている話であります。第三者性の確保をするためは、そこも含めて独立をした形での調査が必要だということを申し上げたいと思います。
委員長、この日本空港ビルデング社の関係会社、グループ会社に対する第三者の調査の実施、その結果を、衆議院国土交通委員会に御報告いただくことを求めたいと思います。委員長のお取り計らいをお願いします。
○井上委員長 理事会で協議いたします。
○城井委員 続いて、日本空港ビルデング社の子会社による下請企業へのこの不当な利益供与要求は氷山の一角ではないかというのは、先ほど申したとおりであります。ほかにも不正な事案がないか、早急に把握すべきだという観点から、大臣に伺います。
日本空港ビルデング社のように、空港法第十五条第一項及び同法附則第五条一項により、空港機能施設事業を行う者として指定を受けている事業者、いわゆる空港機能施設事業者は、全国で何者ございますか。あわせて、全国の空港機能施設事業者の関係会社、グループ会社は何社あるか、大臣の認識を教えてください。
○中野国務大臣 空港法第十五条第一項及び同法附則第五条第一項に基づき、空港機能施設事業を行う者として指定をしている事業者の数につきましては、全国で三十二者を指定をしているところでございます。
指定に当たりましては、指定を申請する者が空港機能施設事業を行うことについて、適正かつ確実な計画を有すること、また、十分な経理的基礎及び技術的能力を有することなどを確認をしておりますが、委員御指摘の関係会社あるいはグループ会社の数ということにつきましては、指定に当たっての審査要件としていないことから、現在、その数については把握をしていないという状況でございます。
○城井委員 二つ目の、関係会社、グループ会社の把握は必要だと思います。今回、舞台になっているというところが重い部分だというふうに考えています。
もう一点、伺います。
今回のコンサルティング会社のように、全国の空港機能施設事業者や、またその関係会社、グループ会社と、事業に係る契約をして業務を請け負っている会社が何社あるか。ここも把握が必要だと考えますが、この認識は、何社かという認識はありますか、大臣。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
先ほども答弁させていただきましたが、空港機能施設事業を行うに当たりましては、その適正かつ確実な計画、あるいは十分な経理的基礎及び技術的能力についての確認をしているということで、委員御指摘の、そういう契約ということになりますと、指定を申請する者や、あるいは関係会社等にかかわる個別の取引の契約ということになりますので、これは現在、数は把握をしていないという状況でございます。
いずれにしても、日本空港ビルデング社において、今、そうしたことも含めて、事実関係も含め、調査を実施をしていただくということになっておりますので、この結果を踏まえて、適切な対応をして、検討していくということになろうかと思います。
○城井委員 事実を把握していただくという大臣答弁でありますが、これは国側が、国土交通省側が、政府側が、自主的、自発的、主体性を持って確認をすべき内容だというふうに考えます。
この日本空港ビルデング社のほかに、空港機能施設事業者に指定され、国有地を使用する許可を得てターミナルビルなどを運用している会社において、今回報道されたような不適切な事案があるのかないのかということ、国土交通省がまずこの点を把握をしているか。もし今の調査を待っているという状況であるならば、全ての空港機能施設事業者を対象に、国土交通省は実態把握のための調査をやるべきだというふうに考えます。
同様の利益供与事案がないのかも含め、国として調査、公表することを、大臣から国土交通省で指示をいただきたいと思いますが、大臣、お願いできますか。
○中野国務大臣 これは以前にも答弁差し上げたこともございますが、空港旅客ターミナル事業を実施をする事業者というのは高い公益性が求められるというのは、委員が御質問されているそういう趣旨は、まさにそうだと思っております。国民や利用者の信頼を損なわないようにその事業を実施をしていただく必要があるということは当然であるというふうに私も認識をしております。
いずれにしても、ただ、先ほどの日本空港ビルデング社におけることも踏まえまして、事実関係も含めて、今、監査等委員会が主体となって調査を実施ということでありますので、この事実関係というのは調査をしっかり踏まえていく必要があるんだろうというふうに思っております。当然、その結果を踏まえまして、必要に応じて、適切な対応というのはしっかりと私の方でも検討してまいりたい、このように考えております。
○城井委員 ここは国による主体的な調査も同時並行でやるべきだということは申し上げておきたいと思います。
委員長、日本空港ビルデング社以外の空港機能施設事業者に対する調査を実施し、その結果を、この衆議院国土交通委員会に御報告いただくことを求めたいと思いますが、お取り計らいをお願いします。
○井上委員長 理事会で協議いたします。
○城井委員 大臣、この件で、あと二つだけ確認をと思います。
空港法第十九条は、「国土交通大臣は、空港機能施設事業の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、指定空港機能施設事業者に対し、業務に関し監督上必要な命令をすることができる。」と定めています。国土交通省が日本空港ビルデング社に対して調査を実施した上で、必要な場合には、国土交通大臣が日本空港ビルデング社に対して空港法第十九条に基づく監督命令を行うべきだと考えます。
これまでの大臣の御答弁ですと、まずは内部調査を見てからということでございますが、そこで事案に対する問題点が見つかった場合には、当然この適用ということになると思いますが、この点についての大臣の考えを聞かせてください。
○中野国務大臣 空港法第十九条ということで、委員が御指摘の条文でございます。事実をしっかり踏まえて、また、調査を踏まえてということだと思っております。余り、現段階において、予断を持ってこうだということを申し上げることは適切ではないのではないかというふうにも思っております。
まず、この事実関係の調査というのをしっかりと実施をしていただくということ、その結果を踏まえて、必要に応じて、しっかりと適切な対応をしていくということに尽きるのではないかというふうに私としては思っております。
○城井委員 事の重大性によっては、法律に照らすと、ここまでが国土交通省の対応としては視野に入ってくるぞということをお示しをしている思いでございます。
もう一点、申し上げます。
空港法第二十一条は、「国土交通大臣は、指定空港機能施設事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、第十五条第一項の規定による指定を取り消すことができる。」と定めています。具体的には、「一 空港機能施設事業を適正に行うことができないと認められるとき。」「二 この法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反したとき。」「三 第十九条の規定による命令に違反したとき。」と定めています。
国土交通省が日本空港ビルデング社に対して調査、まずは内部調査の確認をしつつ、私どもからは、第三者の調査を含めて、国が主体的にやるべきだということを申し上げておりますが、その上で、必要な場合には、国土交通大臣が日本空港ビルデング社に対して、空港法第二十一条に基づく指定の取消しを行うということも当然視野に入れた上で、今回の調査結果について判断をいただくという、この認識でよろしいか、大臣、確認させてください。
○中野国務大臣 先ほどは十九条に基づく監督命令というお話でございました。当然、二十一条は、指定の取消しという条文があるというのは、委員の御指摘のとおりでございます。
これも少し、先ほどと同じような繰り返しになって恐縮ではございますが、余り予断を持って現段階で何かコメントをするということは適切ではないのではないかというふうには思っておりますが、いずれにしても、事実関係をしっかりと把握をするということだと思っております。当然、結果を踏まえて、必要に応じて適切な対応をしっかりやっていくというのは、それは当然のことであろうと思います。まずは、この調査の結果というのを、しっかりと把握をさせていただきたいと思っております。
○城井委員 今回の事案は、国有地を舞台にした利益供与という重大事案であるとともに、国税から指摘があったときに、それを逃れるかのようにして、更に不適切な状況を続けたという悪質な事案でもあります。ですので、厳しい対処というものを念頭に置いて取り組むべきだということは申し上げておきたいというふうに思います。
また、調査の内容を五月上旬にはということでありますので、その内容を確認した上で、改めての機会をいただければというふうに思いますので、よろしくお願いします。
続きまして、いわゆるSAFの導入に対する航空会社への支援について、大臣に伺います。
国産SAFの早期開発、実用化は、経済安全保障の確保という観点や、新規産業としての雇用創出、経済効果などからも極めて重要です。二〇二五年度には商用化が開始され、流通が本格化すると言われています。現場の皆さんからは、これまでに実証実験等を含めて蓄積したサプライチェーン構築に係るノウハウ、知見を最大限活用するとともに、空港での受入れに必要な施設整備の導入支援を一層強化していくべきだという御意見を伺っています。
二〇三〇年に設定され、法的にも義務化された、日本の空港で航空機に給油する燃料の一割をSAFとする供給目標量について、供給側の試算を積み上げれば需給適合が図られる見通しとされています。
そこで、大臣に伺います。
このSAFを生産する側を後押しする施策も必要ですが、SAFを導入する航空会社を後押しする支援の拡充も大変重要であります。SAFを生産する側を後押しする施策として、税制優遇措置、グリーンイノベーション基金及びGX経済移行債による拠出などが計画をされているわけでありますが、航空現場で懸念されているのは、SAFを導入することに伴うコストの増大です。輸入SAFを含め、既存燃料との価格差が縮小されなければ、航空会社の負担は増大していくというのが現場の受け止めであります。
SAFを生産する側のみならず、SAFを導入する航空会社を後押しする支援の拡充も積極的に検討すべきだと考えます。他国における情勢も踏まえまして、大臣の考えを聞かせてください。
○中野国務大臣 SAFの導入についての航空会社への支援ということでございます。
委員御指摘のように、二〇五〇年までのカーボンニュートラルに向けまして、CO2削減効果の高いSAFの導入というのは喫緊の課題であります。国土交通省では、御指摘のとおり、二〇三〇年の本邦航空会社による航空燃料使用量の一〇%をSAFに置き換える目標を掲げているところであります。
そして、SAFの製造に関しましては、初期投資が大きい設備等の導入を後押しするということで、これは資源エネルギー庁が、GX移行債を活用した設備投資補助や税額控除が措置されているということも、委員の御指摘のとおりでございます。
他国における情勢も踏まえということでございます。現状、欧米でも航空会社に対する政府からの直接的な財政支援は行われていないというふうに承知はしておりますが、国土交通省においても、国産SAFの原材料の多様化やSAFの環境価値の可視化などに取り組むとともに、海外における政策の動向や国産SAFの製造の状況というのは、引き続きしっかり注視をしてまいりたいと考えております。
○城井委員 SAFを導入する航空会社側の支援については検討いただけるんでしょうか。
○中野国務大臣 少し繰り返しになりますが、欧米でも航空会社に対する直接的な政府からの財政支援というのは行われていないと承知をしておりまして、これは幾つかの検討の論点があると伺っております。
例えば、財源をどうするのか、誰が負担するのかということ、あるいは、本邦航空会社のみならず、では、日本発着の外国の航空会社は対象にするのか、あるいは、国産SAFに加えて、海外からの輸入SAFも支援の対象とすべきか、導入に際して検討すべき課題があるということだと認識をしております。
いずれにしても、海外における政策の動向や国産SAFの製造状況等の状況は、しっかり注視をしてまいりたいというふうに考えております。
○城井委員 また本日の御答弁を踏まえまして、具体的な提案を申し上げてまいりたいと思います。
時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽でございます。
今日は、まずちょっと順番を変えまして、最初にバリアフリーについて質問、やり取りをしたいと思いますが、実は公明党は、この二十数年にわたりまして、日本のバリアフリーを進めなければいけないということで、二〇〇〇年に交通バリアフリー法の制定に努力をし、そして二〇〇六年に、交通バリアフリー法と、いわゆる建築物のハートビル法を合体させる形で、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進、いわゆるバリアフリー法を新たにした。
その中で進めてきたわけでありますが、駅ですとか公共施設のバリアフリー化というのは、もう目をみはるように進展をしてまいりましたが、よく障害者の団体の皆さんとお話をすると、やはり飲食店等々が、バリアフリー化、もう全然できていないと。ですから、障害者の皆さんが、どこで食事をしようかというと、何を食べたいかというよりも、どこに入れるか、トイレは問題ないかと、そうした観点で選ぶしかなくて、大変不自由だということを、これはかねてより指摘を受けておりました。
私も、そうしたことを努力をしてまいりましたが、なかなか、町場の居酒屋ですとか中華料理店というのは、居抜きで借りるし、資本もないような方たちが多い。まさに、中小企業というより、小規模事業者の方たちに対して、それをバリアフリー化の改修をしてからというと、大変それは、言うはやすくで行うは難しいということを、なかなかそこの義務化というのは踏ん切れなかったわけでございます。
二〇二〇年には法令を改正して、五百平米未満の小規模の、こうしたお店の、建築物のバリアフリー基準の新設をされましたけれども、これは努力規定ということもあって、現実には全然変わらなかった、変わっていないというのが現実だというふうに思っております。
他方で、敷地面積二千平米でしたっけ、大型の、大規模な商業ビルについては、これはもうバリアフリー化というのは義務化をされているということで、そうした大型商業施設に入るところというのは、そもそも資本力もあるということで、そうしたことの義務化に我々も賛成をして、これを進めていくべきだということでありますが、先日、党のバリアフリーのPTでお話を受けたら、新しい大型の商業施設の中のテナントは、相変わらずバリアフリーが全く改善されていないと。トイレに行ったりとか通路を入るのに段差はないけれども、お店にはなかなか入れないというのが現実だという話を聞いて、それで実は私、予算委員会の集中審議の場でこれを取り上げましたが、なかなか時間がなくて十分なやり取りができなかった中で、先日、参議院の決算委員会で、我が公明党の杉参議院議員がこの問題を取り上げて、大臣からの答弁ももらったところでございます。
この答弁を見ますと、そうしたことは大事だ、大変重要な課題であるという認識を示された後に、このテナントについてのバリアフリー設計のガイドラインを作っている、事業形態ごとの設計事例を提示しながら、またバリアフリーの改修の費用についても一部支援をしている、そうしたことで、引き続きガイドラインの周知徹底、そして支援制度の活用の働きかけなどを行いながら、バリアフリー化の取組を促進してまいりたい、こうした答弁があったわけであります。
この答弁をよく見ますと、やはりこのままだと、私は正直言って、飲食店とか、そうした町場のテナントのバリアフリー化というのは、恐らくなかなか進まないのではないかなと。私、小規模事業者に対してということを言うつもりはありませんけれども、基本的に大型商業施設に入るようなテナントについては、特に新規のところでは、これは義務化ということをやはり考えないと、最初に入ったときにそうしたバリアフリーの店舗にしないと、その後入るところにそうした御負担をかけるというのはなかなか難しいし、それをあえてやろうとしないということ、前に進まないのではないかというふうに、そう感じておるところでございます。
まず、局長も来られていますので、二〇二〇年の法令改正をしてもう五年たちましたけれども、現実には、我々の実感としては、そこは前に、改善が進んでいないということでありますが、こうした実態がどうなのか、またそれをどう分析しているのか、またどうしなければいけないのかということについて、住宅局長からの見解を示していただければと思います。
○楠田政府参考人 お答え申し上げます。
バリアフリー法におきましては、御指摘のとおり、二千平米以上の大型商業施設等を新設をする際に、その共用部分について、バリアフリー基準への適合が義務づけられているところでございます。これは、多数の者が共通して利用するというふうに考えられる廊下等から優先的にバリアフリー化を進めようという観点で措置をされたものというふうに考えております。
一方で、御指摘の、テナント店舗の専用部分につきましては、共用部分と違いまして、様々な事業形態が想定される、それによって求められるものも様々あるというようなこともございます。一律の基準を定めるということではなくて、建築設計標準に事業形態ごとの設計事例を示すといったことでありますとか、バリアフリー改修の費用への支援を行うといったようなことで、バリアフリー化の促進を図ってまいったということでございます。
ただ、御指摘のとおり、車椅子の使用者が利用しやすく、健常者と同様に飲食や買物などを楽しむことができますように、大型商業施設内においてテナント部分のバリアフリー化を進めるということは大変重要な課題であるというふうに考えておりまして、更に実効ある対策ということについて検討してまいりたいというふうに考えてございます。
○赤羽委員 これはやはり五年間、この法令改正後五年間を総括をして、なぜ進まなかったのかということと、やはり新規のときにやらないと、なかなかその後できないというのが現実だと思いますので、ここは、有識者のフォローアップ会議がありますが、我々のPTにでも、この有識者会議の座長を始め、皆さんも招いて、私たちの意見もちゃんと言わなければいけないと思います。
バリアフリーというのは、私の思いは、やはり共生社会をつくるということなので、国の品格そのものだという思いで、私も大臣時代にバリアフリー政策を進めてきました。相当踏み込まないと前に進まない。まあ、何というか、世の中の認識というものを改めるというのは、やはりある意味では、政治力というのは決断が必要だというふうに思います。
是非、やはり資本力がある、どこで線を引くかというのはいろいろ議論していただければいいんだけれども、一定の資本力があるところ、大型のテナントはやはりバリアフリー化をするというのは、私は当然の社会にするべきだ、それが私たち、今後の日本のあるべき姿、サステーナブルな社会を目指す日本の姿だ、こう思うわけであります。
ここは、大臣、ちょっと通告はしていないんだけれども、先日も答弁されているので、そうした思いに対して、やはり大臣の指導力というのはすごく大事だと思いますので、有識者会議の場でも、是非大臣にも出席をしていただいて、そうしたことをリードする必要があると私は思いますが、御見解があれば、よろしくお願いしたいと思います。
○中野国務大臣 委員からも、バリアフリー化の推進ということで、大変に前大臣のときも尽力をいただいたというその思いも、私も大変重く受け止めております。
当然、必要な取組はさせていただきますし、そうした会議への出席も含めて、どういう形で実効性のある対策というのが前に進められるのかということをしっかりとリードできるように、私もしっかりと尽力をしていきたい、このように思っております。
○赤羽委員 是非お願いしたいし、実効性のあるという答弁を先日も使っていて、役人というのはちょっとずるいところがあって、実効性のないものはやらないということの理由に使いたがる。役所出身の人たちは、そこは覚えがあるような、福島さんもそういう顔をしているけれども、そうしたことのないように、前に進めていただきたい。私は信頼していますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、観光について。
ちょっと、この前やり残したんですが、日本の観光立国を進める上で、各観光地の、何というかな、誇りというか、観光資源をやはりバリュアブルにしていくというのがすごく大事で、そうした意味で、今業界からは、ユネスコ無形文化遺産登録を目指そうということを、声が上がっております。
そうした中で、全国の知事会も、実は令和四年の十一月に、知事の会、四十四の道府県の知事が参加をしながら、また、今現在、温泉文化ユネスコ無形文化遺産登録の全国推進協議会というものもできましたし、実は議員連盟も、私も会長代行をさせていただく中で、議員連盟も活動をしているわけでありますが、これはなかなか、言うはやすくで、この文化遺産登録というのは、どうしても温泉文化そのものというのは、そのものはスキルもないし、これまでの登録されたものというのは、それなりのやはり伝統、芸術とか技法とかがある中で、温泉文化というのはなかなか前に進むのが難しいというのを私は率直に感じております。
例えば、一つのルートとしては、国の無形文化財登録を経て国内候補となる。このプロセスを踏むときに、これは実は知事会の皆さんが調査研究していただいているんですが、強いて言うならば、湯守、湯を守る湯守の技ということが伝統的技法として認め得るかなということなんですが、しかし、これを全国の温泉の共通の技にするというのは、それなりにまた大変な労苦がある。
もう一つは、国の無形民俗文化財登録。これは今、神楽とかがそうしているんですけれども、これは実は一温泉地ずつ登録をしていなければいけないということで、膨大な時間もかかってしまう、こうしたことがある。神楽はもう既に四十件、重要無形民俗文化財にそれぞれが指定されている。
そうしたことではなくて、文化財保護法以外の法的な保護措置というのが必要だということなので、温泉については環境省の温泉法、これは恐らく衛生的なものだと思いますが、そうしたことがあって、和食がユネスコ文化遺産登録をしたときも同じような、和食の場合は、国内の無形文化財、文化財という、なかなかそういう概念がなかったので、工夫をされて、食育基本法ですとか食育推進基本計画に基づく措置ということで、文化財保護法による登録という、そうした別のルートで行く。
温泉文化もそうしたことなのではないかということで、これはやはり環境省にも頑張ってもらわなきゃいけないんだけれども、では、環境省が主体的にこれを担ぐかというと、なかなかそうはならないと思うんです。やはり、温泉地、観光を所管している国交省、観光庁が旗を振りながら環境省と努力をして、そして初めて文化庁も日本の窓口としてチャレンジしてもらえる。そこにたどり着くための汗は、観光庁がまずやらなければいけないというふうに、私はそう思っております。
このことというのは、今私も、党の観光立国推進議員懇話会ということで各地を回りますと、最近はもう必ずこの要望が出てくるんですね。その意味では、温泉地、旅館、ホテルだけじゃなくて、観光地の皆さんの要望、期待は物すごく大きいし、私は逆にこのチャレンジの機会を使って、それぞれの各温泉地と、そこにまつわるというかな、伝承されてきている歴史ですとか故事とか、そうしたものをしっかりした文化に育てる、そうしたことが大事だと思うんです。
例えば地元の有馬温泉も、豊臣秀吉がよく使ったということは物すごくあるんですけれども、では、それの何か博物館がどこかにあるかというと、形としては何もないとか、逆に、歴史との絡みというのが何か残っているんですけれども、それが観光としてアピールされていないとか。
もう少し、この温泉文化というのは価値があって、かつ、地域の人だけではなくて、国内外の人にも親しまれているというようなことを、フィンランドではサウナがユネスコの無形文化遺産登録もされておりますので、こうしたことというのは相当努力しないと、なかなか登録はされないんじゃないかと。しかし、努力しがいがあるチャレンジだというふうに、私はそう思っております。
知事の皆さんも、群馬県の山本一太知事を先頭に、相当全国の知事が一生懸命やっていただいています。これは、温泉というのは、やはり地方創生にとっては大変な重要なキーファクターだというふうに認識をされている方がたくさんいらっしゃるし、それは私自身も非常に、観光というのは、地方創生につながる切り札の中で、温泉文化というのは確立するべきだというふうに思っております。
そうした意味で、これはまさにトップリーダーの必要があると思いますので、国交大臣の決意を伺わせていただいて、今日の質問を終わりにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘の温泉は、観光資源として大変魅力的なコンテンツであります。政府目標である、二〇三〇年訪日外国人旅行者数六千万人、旅行消費額十五兆円の達成、インバウンドの地方誘客の促進、こうした上で重要な観光資源でもありますし、また、当然、温泉地には、温泉だけでなく、温泉地として古来より栄えてきた文化、歴史、伝統芸能が息づいている。周囲の温泉に縁のある地域の資源も含めて観光に活用していくことは、大変重要だというふうに思っております。
今までも、こうした地域における体験コンテンツの造成、販売ですとか、DMOを中心とした取組等を推進をしてきたところでございますが、温泉文化のユネスコ無形文化遺産への登録、委員御指摘のとおり、保護措置ですとか、あるいは文化の定義ですとか、守りたい技術、対象の整理等、こうした課題があるということは私も承知をしております。
先ほども申し上げたとおり、温泉や温泉地に息づく文化、歴史等について、地方誘客を促進する上でも大変重要な観光資源でもございます。委員の御指摘を踏まえまして、ユネスコ無形文化遺産への登録に向けまして、これは当然、関係省庁、いろいろなところへの働きかけ等もございますけれども、こうしたことも含めて、国土交通省といたしましても、しっかりと取組を進めてまいりたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○赤羽委員 どうもありがとうございました。ちょっと環境省、来ていただいて、質問できず、大変失礼しました。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、田所嘉徳君。
○田所委員 自民党の田所嘉徳でございます。
この発言の機会をいただきましたことに感謝を申し上げまして、質問に入りたいというふうに思います。
まず、官公需の発注の適正化についてであります。
最近、特にコストカット経済からの脱却ということを強く強調されるようになっております。しかしながら、これは、これまでの経済原則、合理化を図って価格競争で勝ち抜くという市場原理とは全く違っているところもありまして、大きな転換であるというふうに思っております。
そういう中にあって、賃金をコストとして捉えるのではなくて、これを投資として考えて、賃上げが牽引する景気の好循環をつくろうということでございまして、これについての考え方は様々あろうかと思いますが、これに向かって動いているということでありまして、しっかりと成功させるべく進めていかなければならないというふうに私は思っております。
そういう中にあって、民間企業は、春闘などにおきましても、五%のベースアップとか、一発回答が非常に大きくて、要望よりも回答の方が高かったなんというのもありまして、まさにその方向に進んでおりますし、公務員についても、これは人事院勧告で民間というものを非常に意識して、このベースアップを進めているわけであります。
公定価格につきましても、これはトリプル改定等で積極改定というようなことも皆さんも発言していたのかなというふうに思っております。
そこで、官公需が経済に与える影響は非常に大きいわけでありますので、ここでダンピングを防止して、一定の利益が得られて、賃上げやあるいは社会の経済活性化につながるようにするということが重要だろうというふうに思っております。
つきましては、官公庁の工事の発注において、賃上げ、物価高騰を価格に転嫁できるような適切な価格の設定をされる必要がありますけれども、これにつきまして、積算や、そういう予定価格をつくる中でどのように進められているのか、お尋ねをしたいと思います。国定政務官にお聞きしたいと思います。
○国定大臣政務官 お答え申し上げます。
公共工事におきましては、市場におけます資材等の取引価格など、実態を的確に反映した予定価格の設定や、物価上昇に対応した適切な契約変更が行われることが重要だということは、委員からの御指摘にもありましたとおりでございます。
とりわけ、地方公共団体に対しまして、資材単価の月ごとの改定や調査頻度の増加等による最新の実勢価格を適切に反映した適切な予定価格の設定や、物価上昇に対応した契約変更のためのスライド条項の適切な運用につきまして、総務省とも連携をして指導を行うとともに、会議等を通じまして周知徹底を行っているところでございます。
また、政府におきましては、近年の賃上げ傾向を適切に反映した公共工事設計労務単価を設定をしているところでございまして、地方公共団体に対しましても、最新の設計労務単価を予定価格に反映するよう働きかけているところでございます。
これらの取組を通じまして、地方公共団体も含めました公共工事におけます円滑な価格転嫁に向けた環境整備に努めてまいりたいと考えております。
○田所委員 かつて役所は一番技術を持っておりまして、これを民間に教えていたような状況であります。象徴的なのは、この国会議事堂も、大蔵省の管財課、渡辺福三、そしてその取り巻きの技術者が設計監理をしたというようなことがありますけれども、そういう中にあって、やはり技術の府であったものが、需要の増大とか外注、あるいは行政改革、そういったことによって外部委託で済ませる。専門技術者が少ないだけでなく、技術の蓄積もされないというようなことになっているわけであります。
私は、コンサルタント頼り、そして委託をするということにも合理性があるとしても、やはりそれを理解して、適切に活用して、発注等にも反映できなければならないと思っております。公正でダンピングを許さない、そして適切な発注をすべきという課題までついてきているわけでありますので、そういうことであって、今、技術者も、国も地方も非常に少なくなっておりますが、官公需を担う専門技術者の確保、能力向上、技術の蓄積についてどう考えているのか、お聞きしたいと思います。
○国定大臣政務官 公共工事の適切な発注のためには、発注を担う技術系職員の確保、育成を行うとともに、技術系職員を確保できない地方公共団体に対しては、国や都道府県から支援を行うことが大変重要だということは、委員と認識を共有をしているところでございます。
そのため、国土交通省直轄工事におきましては、地方整備局の河川国道事務所等に品質確保課等を設置をさせていただき、工事発注に係る技術審査業務に専属で当たる技術系職員を配置するとともに、配置した職員に対しましては、国土交通大学校などにおけます研修、ベテラン職員からの勉強会などを通じまして、人材の育成に取り組んでいるところでございます。
また、自治体、とりわけ市町村におきましては、技術系職員の不足等により、工事発注の適切な実施が困難になりつつあるものというふうに認識をしているところでございます。
こうした状況を受けまして、昨年六月に成立をさせていただきました改正品確法では、発注関係事務を行う職員の育成のため、国や都道府県が支援に努めるものとされており、国土交通省といたしましても、発注体制の確保に向けまして、ハンズオン支援として、都道府県と連携をさせていただき、市町村向けの勉強会を開くとともに、発注関係の資料作りを助ける専門家の派遣などを行っているところでございます。
これらの取組によりまして、必要な公共工事が適切に発注されるよう努めてまいりたいと考えております。
○田所委員 官公需は我が国経済に大きな影響があります。この適切な運用が大変重要だというふうに思っております。
しかしながら、その調達については、指名競争入札や一般競争入札、随意契約など様々ある。さらには、落札方法でも、低入札価格調査制度や最低制限価格の設定というもの、あるいは制限のないものまであって、様々であります。そして、地方自治体では、これらも一律ではなくてばらばらの制度であるというふうなことも非常に問題だなというふうに思っております。
さらに、低入札価格調査制度は、一定の基準価格以下であっても、調査によって契約締結が左右されてしまう、あるいは、しっかりとした基準に向けて落札できると思ったものが、役所の審査で失格となってしまったりすることがある。私は非常に、応札者の信頼を裏切るということでも問題もありますし、原則、全件、この基準以下は調査をするというようなこと、これは応札者あるいは役所にとっても非常に負担の大きいことであります。
そういったことを見ますと、非常にばらばらな制度で、迂遠なことをやっているということを感じるわけでありますけれども、様々、技術系職員の発注体制の課題がある中で、国土交通省としては、直轄の取組を含めてどんなふうにこれはコントロールして、ばらばらからしっかりと統一的な信頼性のある制度にしていくべきだと考えているのか、その点、お聞きしたいと思います。
○平田政府参考人 お答えいたします。
まず、低入札価格調査制度についてでございますけれども、会計法や地方自治法に規定された制度でございまして、国土交通省はこれら法令の直接の所管ではございませんけれども、その制度趣旨については、競争の利益を享受して廉価で優れた条件を提示した業者を一律に排除することなく、ダンピング受注を防止することにあると理解をしております。
また、地方自治法におきましては、低入札価格調査制度と最低制限価格制度の二つの制度を規定されておりまして、地方公共団体は、ダンピング対策として、どちらの制度を採用するか、発注の体制等を勘案して判断するものと承知をしております。
低入札価格調査制度の運用に当たりましては、公平性、透明性の確保が重要であるため、国土交通省の直轄工事におきましては、事前に低入札価格調査の基準を公表することで統一的な運用を図り、低入札価格調査制度の恣意性を排除しているところであります。
また、地方公共団体に対しましては、国交省の直轄工事の低入札価格調査基準を根拠とする、いわゆる中央公契連モデル、これを作成しまして、当該モデルに合わせて低入札価格調査基準又は最低制限価格を適切に設定するよう、働きかけを行っているところであります。
低入札価格調査を行うためには、契約の内容に適合した履行が確保されるかどうかについて調査を行う体制が整っていることが非常に大事でありますが、地方公共団体の体制は千差万別でございますので、各団体の事情に応じまして低入札調査制度あるいは最低制限価格制度といった適切なダンピング対策を講じていただくべきものと考えております。
今後とも、低入札価格調査制度が適切に運用されるよう努めてまいります。
○田所委員 国交省は、直轄の工事について発注の適正化を確保するというだけではなくて、地方自治体につきましても、その制度について要請、勧告、助言という権限を持っています。しかし、地方公共団体は、最低制限価格を設定しても、著しく低いものであったり、そもそも制限もないというものもある。そういう中で、指名競争をまだ多用したり、あるいは一般競争といっても、制限をつけて、非常に、自由な競争なのかなと思われるようなものもあります。
そういう中で、受注者が必ず、賃上げや、あるいは物価上昇分が転嫁されて健全な経営ができるようにすべきところを、ダンピングを許すようなものになってしまう。先ほど出ましたが、中央公契連モデルが示されていても、これに沿わない。一定の水準を保って、ダンピングにならないような、そういう更なる働きかけというものが必要だろうと思いますが、これについての意見を聞きたいと思います。
○国定大臣政務官 まさに委員御指摘のとおりでございまして、公共工事の発注者は、公共工事の品質を確保し、受注者が適正な利潤を確保できるよう、ダンピング対策を適切に実施していくことが重要でございます。
そのため、地方公共団体に対しましては、国土交通省直轄工事の低入札価格調査基準を根拠といたします、委員からも今御指摘いただきました、中央公契連モデルが見直されるたびに、当該モデルに合わせまして低入札価格調査基準や最低制限価格を適切に見直すよう、総務省と連名で要請をしているほか、様々な機会を通じまして周知徹底を行っているところでございます。
さらに、都道府県に比べまして取組が遅れております市町村に対しましては、ダンピング対策の取組状況等のいわゆる見える化を行うとともに、その結果を踏まえて個別に働きかけを行わさせていただきますなど、対応を強化をしているところでございます。
これらの取組を通じまして、今後とも、地方公共団体におきましてダンピング対策の更なる徹底が図られるよう取り組んでまいります。
○田所委員 自動運転について、最後に聞きたいというふうに思っております。
私は、これは大変な技術革新であって、ゲームチェンジャーとなる大きな変革を呼ぶものだろうというふうに思っております。そういう中にあって、一定の期間とか区間とか場所とかを区切れば、非常に、実証実験を行って、もう実用化できる、そういうところに来ているというふうに思っております。
そういう中で、新東名高速道路における自動運転トラックの実証実験などはそれを非常によく示しておりまして、これをしっかりと安全で合理的なものにするためには、やはり道路インフラにおけるITSといいますか、自動運転の支援に向けた環境整備というものが大変重要でありまして、これをどのように進めようとしているのか。
次に、併せてお聞きしたいんですが、各地方自治体においてもたくさんの取組が行われております。そういう中で、自動運転移動サービス導入に係る初期投資というものを国が支援をしておりまして、たくさんの自治体が高齢化やあるいはドライバー不足の中でこれに取り組んでいるわけでありますけれども、これにつきましても、私は、人々がよく自動運転を理解するということもありますし、非常に大きな意味があるというふうに思いますので、積極的に取り組んでもらいたいというふうに思っているわけであります。
この点についてお聞きして、終わりたいと思います。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
自動運転の実現に向けた道路インフラからの支援についてでございます。
○井上委員長 申合せの時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○山本政府参考人 はい。
自動運転車両は、車両に搭載されましたセンサーなどから周囲の状況などを把握しながら自律的に走っていくというのが基本でありますけれども、こうした車両のセンサーで把握しづらい例えば交差点でありますとかインターチェンジ、そういったところの合流については、道路インフラから支援を行うことで、より安全で円滑な走行が可能になるというふうに期待がされているところでございます。
こうしたことから、技術基準の策定だとかそういったことに向けまして、実証実験を実施をしておるというところでございます。一般道での見通しの悪い交差点などでの自動車あるいは歩行者などの情報を検知して、それを車に提供するというようなことでありますとか、委員がお話ありました新東名での自動運転トラックの実現に向けまして、インターチェンジの合流をするところでの情報提供、そういった実証実験を進めているところでございます。
車両の開発状況も踏まえながら、道路インフラからの支援に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○田所委員 しっかりお願いいたします。
以上で終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 この際、暫時休憩いたします。
午前九時五十七分休憩
――――◇―――――
午前十時二十一分開議
○井上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。白石洋一君。
○白石委員 立憲民主党の白石洋一です。
この春、山林火災、山火事が多発しました。岩手県大船渡市、そして岡山県岡山市、そして私の地元の愛媛県今治市、本当に、被害に遭われた方に大変お見舞い申し上げます。そして、多くの方々が応援に来てくださいました。本当に、二十四時間、昼夜を分かたず消火作業に当たられた方々に、心から感謝申し上げたいと思います。
そして、私、ずっと、今、鎮圧されたということで回っていて、振り返りの教訓として、これを改善してほしいということがありまして、この国会の場で申し述べたいことがあります。
それは、山火事で、火の手を二十四時間ライブで見ておきたいということなんですね。それは、その近隣の住民の方もそうですし、消防に当たられている消防団の方々もそうです。時々、報道のヘリが回っているんですけれども、それだけではよく分からない。
避難指示は大規模に早く出されています。でも、その避難指示を出された人々が実際に避難するスペースの、避難所でもないですし、ビジネスホテル、親戚のところに実際に行くのは、やはり火の手を見ながらになっているのが現実です。そのときに、できれば上空から映像ライブを二十四時間流してほしい。さもなくば、たくさんの固定カメラからその火の状況を伝えてほしい。そこを見れば必ず分かるというふうにしていただきたいという要望があります。そのことによって、自分や、あるいは自分の家族がいつのタイミングで逃げるのか。避難指示が出ても、会社に行って勤務している人もいるわけです。その人たちが常に情報を見て判断することができるし、消防団の人も、もっと的確に火の手のところに行くことができるということです。
これについて、内閣府防災、いかがでしょうか。
○貫名政府参考人 お答えさせていただきます。
国の防災基本計画におきましては、国及び地方公共団体は、必要に応じ、画像や映像情報による情報収集、また被害規模の把握を行うとともに、被災者に対しまして、災害の状況など、ニーズに応じた情報を積極的に伝達するということになっております。
委員御指摘のような映像の共有を含め、林野火災における延焼状況の映像を活用することは、避難や消火活動を始めとする災害応急対策を的確に行う上で有効な方法の一つだと考えております。
引き続き、関係機関、連携いたしまして、ヘリ、ドローン、高所監視カメラなど、様々な手段による映像情報も効果的に活用しながら、林野火災を含む各種災害対応に臨んでまいりたいと思います。
○白石委員 是非、次の山火事が起きたときは、お願いしたいなというふうに思います。
そして、次は道路情報。高速道路、国道、県道、市道、これらの道が頻繁に通行止めになって、それが解除になったりするということがあります。
SNSでそういった情報は出るんですけれども、それは、今そうなっているとは限らない。常にここもライブで、最新情報は、そこに行けば総合して、それら全ての道路情報について確認することができる、ほぼライブで、五分置きでも十分置きでもいいんですけれども、そのままになっていることはなく、常に、山火事の地域だけでいいから、二十四時間更新した情報が欲しい。
そうすると、無用な渋滞を起こさなくて済む。それは、避難、そこに住んでいる住民の方々や、あるいは助けに行っている外からの親戚の人、さらには消防活動をしている人にとってもその情報は大切なものであると思うんです。
そこで、私もずっとSNSを見て、そういった情報がなかなかなかったんですけれども、レクで聞いたら、JARTICというところがあって、そこはそれに近いものを出しているということなんですけれども、JARTIC、日本道路交通情報センター、今回の山火事、特に、サンプルとしては愛媛県今治市の山火事で、どういった情報を流していましたでしょうか。
○山本政府参考人 お答え申し上げます。
日本道路交通情報センター、JARTICでございますけれども、平常時、災害時を問わず、ホームページなどを通じまして、基本的に都道府県道以上を対象といたしまして、道路管理者や警察から提供された通行止めなどの情報を提供しております。
委員御指摘のこの今治市の林野火災では、例えば、三月二十六日十一時時点では、県道以上を対象に、高速道路一区間、直轄国道一区間、愛媛県道四区間、合わせて六区間の通行止めの情報を提供していたというところでございます。
○白石委員 県道以上じゃないといけない、つまり、市役所道は除外されているということですけれども、それで、更新頻度はどういったものだったんでしょうか。
○山本政府参考人 通行止めの道路交通情報は、おおむね五分ごとに更新をしております。
○白石委員 分かりました。
大臣、このJARTICを機能を拡充するなり、ほかのところでもいいんですけれども、是非市役所道まで広げて、そして、五分ごとの更新であればこれは十分です。もうその地域だけでいいので、消防隊や、あるいは住民の人は、もう二十四時間、長丁場でずっと外に出たり、外に出て活動したり、あるいは逃げたり戻ったりしていますので、山火事が発生したら、その地域について、市役所道もカバーした形で、更新頻度五分程度、これで十分だと思います、といった情報を公開で出していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
一般に、例えば、大規模災害が発生をしたときに道路の通行ができるかできないかということについて速やかに情報提供するというのは、大変重要な情報だというふうに考えております。
例えば、能登半島地震のときにどうしたかといいますと、応急復旧の活動に資するために、官民で収集した車両の走行履歴の情報などを活用いたしまして、幹線道路を中心として通行実績を公表しましたり、SNSを活用して現地の交通情報の提供などを実施をさせていただいたということはございます。
加えて、災害時は、限られた道路に交通が集中をして大規模な渋滞が発生するということもございますので、交通事業者等で構成をされる災害時交通マネジメント会議というのを開催をさせていただいて、関係の機関と連携して情報提供、こうした情報の共有、提供、こうしたことをさせていただいたということでございます。
委員御指摘の市町村道を含むリアルタイムの一元的な情報提供ということは、幾つか検討する点があると思っていまして、例えば、幹線道路以外の道路について情報提供することの効果がどうなのかということですとか、あるいは、市町村道を含む多くの道路の交通情報を一元的に取りまとめようとしますと、それだけ労力というかマンパワー等もかなりかかってくるというところもございますので、こうした点を踏まえて検討する必要があるのかなというふうには考えております。
いずれにしても、国土交通省としましては、災害時に、より効果的で、迅速で、リアルタイム、迅速な情報提供ということも求められておりますので、こうした交通情報の提供ということができるように、情報提供の在り方については検討してまいりたいというふうに考えております。
○白石委員 大臣、やはり市役所道が大事なんですよ。やはり網目になっていますからね。そこも結構通行止めになっております。
マンパワーのことをおっしゃいましたけれども、渋滞に巻き込まれて、そこで費やす無駄な時間、それは避難だけじゃない、消防団の方々、消防隊の方々も、サイレンを鳴らして行ってもなかなかそこを通り抜けないわけです。そのロスのことを考えたら、情報交換している場所がある、そこですぐ打ち込んで、JARTICの方に依頼して、市役所道についても、そこは、このエリアについては発信してください、こういうふうにすることによって、より的確に避難と消火活動ができるんだと思います。
ここはポイントだと思いますので、どこがやってもいいですよ、警察の協力もないといけないし、市役所の道路課の協力もないといけない。でも、やはり旗を振って、大臣、ここは振り返りの教訓として進めていただきたいんです。大臣、もう一回お願いします。
○中野国務大臣 先ほども申し上げたとおり、例えば、災害の規模ですとか状況によって、どういう情報提供をさせていただくかというのは、様々、当然、現地の状況を踏まえて、いろいろな情報を提供しているんだというふうには思っておりますけれども。
例えば、先ほど申し上げた災害時の交通マネジメント会議等は、やはり、そうしたいろいろな関係者の方で構成をしていただいて、地元のいろいろな機関と連携をした情報提供等を行ったりということもしてまいっておりますので、効果的で、迅速で、交通情報提供というのがどういうふうにしていけるのかというのは、当然、いろいろな災害の状況も踏まえながら検討してまいりたいと思いますし、それぞれの地域の関係機関等との連携というのも当然させていただきたいということは改めて申し上げたいというふうに思います。
○白石委員 公務の人だけじゃなくて、一般の方、住民の方や、あるいは消防団の方も、夜中作業しているときに自分のスマホで確認できる、こういった情報の提供の仕方を是非お願いしたいと思います。
次に、二〇二四運送業者働き方改革なんですけれども、今回は、地方の長距離トラック運転手の観点から質問させていただきます。
運送業の、特に、この二〇二四規制の中でも、四三〇休憩の規制があります。四時間三十分のうち、三十分以上の休憩を取ってくださいということなんですけれども、四国の長距離トラック運転手にとって、これが、中途半端な休憩を取って拘束時間が長くなっており、また、中途半端に休まされるので余計疲れが取れない、自由度を持たせてくれた方がいい、一日の運転時間や拘束時間の諸規制は既にあるので、この四三〇休憩規制は見直してほしいという意見があります。つまり、この規制は、都市部の運送業者の方々も、そして地方の長距離トラック運転手の方々も同じ規制だというところがひっかかっているというふうに私は見ております。
なので、この二〇二四規制の見直し、これは三年をめどに行うということなんですけれども、今一年たちましたが、その三年、あと二年を待つのではなくて、もう今から見直しの検討を始め、そして、そのときには、特に長距離トラックで、地方の声、恐らく四国だけではない、北海道や九州ではまた別の見方があるのかもしれません。そういった方々、実際に運転している方々、その運転している人を雇っている会社だけではなくて、実際に運転しているトラック運転手の御意見をじっくり聞きながら見直ししていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のいわゆる四三〇休憩を含む改善基準告示につきましては、昨年の四月からの自動車運転者に対する時間外労働の上限時間、年九百六十時間の適用開始に合わせて見直しを行いました。この見直しに当たっては、トラック運送事業の関係労使を構成員に含む労働政策審議会で御議論いただいたところでございます。
この審議会におきましては、現場のドライバーや事業者の皆様の意見をよくお聞きするなど、現場の実情を踏まえた上で検討を行わせていただきました。このため、運送事業者の皆様には、まずはこの告示を遵守していただき、労働条件の改善に努めていただきたいと考えております。
なお、改善基準告示の改正に当たって取りまとめられた報告書には、今委員からも御指摘がございました、適用後三年をめどに、実態調査の設計等を含め、見直しに向けた検討を開始することが適当とされております。これを踏まえまして、改正後の告示の運用状況やトラック運転者の勤務実態等を丁寧に把握しつつ、委員御指摘の連続運転時間の規制も含めまして、今後の対応を検討させていただきたいと思います。
○白石委員 是非早めに着手していただきたいと思います。
そして、次の質問は、休めと言われるけれども、休む場所がないということなんですね。トラックドライバー長距離運転手の休憩駐車場不足が深刻化しており、現場の実情にこの規制がついてきていないということで、働き方改革といっても、より現場は疲弊して、離職をするといった危機に直面しているということであります。
そこで質問です。高速道路の休憩所、サービスエリア、パーキングエリアにおける大型車の止めるところ、大型升の拡充方針は、国交大臣、どのようなものになっていますでしょうか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘の高速道路における休憩環境の整備ということは、大型車ドライバーの労働環境改善の観点などから、私もそれは大変重要であるというふうに考えております。その上で、特に平日の深夜などにおきましては、長時間駐車をする車両の影響などもありまして、大型車の駐車升が不足をすると言われるような休憩施設もあるということが課題であるということも認識をしております。
これまで、高速道路の休憩施設におきましては、大型車駐車升を、平成二十九年度末時点では約二万七千台でございました、これを令和五年度末までに約三千七百台を拡充したところであります。昨年度も約四百八十台拡充をさせていただいたところでございます。
引き続き、この大型駐車升の拡充というのは取り組んでまいるとともに、加えて、駐車場の例えば立体構造化の整備に向けた検討ですとか、あるいは、六十分以内の短時間利用に限定をした大型車駐車升を整備するなどの取組を鋭意進めていくこととしております。
国土交通省としましては、特に大型車ドライバーを含めました利用者の御意見もしっかりと伺いながら、確実な休憩機会の確保に向けまして、高速道路会社と連携をしてしっかり取り組んでまいりたい、このように考えております。
○白石委員 大臣、SA、PAを拡充する、これはもう是非進めていただきたいんですけれども、私の提案は、インターチェンジを降りて、コンビニもあるわけですから、あるいは空き地もあるかもしれない、そういったところで休めるようにするということを選択肢としてもっと増やすべきだというふうに思うんですね。
高速道路のインターチェンジの一時退出、つまり、インターチェンジを通るだけで払わないといけないターミナルチャージ百五十円を免除する、そういった制度がありますけれども、この制度の条件を緩和して、そして、その数を増やして、そして、SA、PAがなければ下に降りて休めるというふうにしていただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。
○中野国務大臣 高速道路から道の駅への一時退出を可能とする社会実験を行っております。これについて、高速道路の休憩施設の不足を解消して、良好な運転環境の実現を図ろうということで、休憩施設間隔がおおむね二十五キロ以上、インターチェンジからの距離が二キロ以内の道の駅二十八か所を対象として、今実施をさせていただいているところであります。
この社会実験の対象となる道の駅に、ETC二・〇の車載器を搭載している車両で一時退出をして二時間以内に再進入した場合は、高速道路を降りないで利用した料金のままという形にさせていただいております。
今、社会実験をやっておりまして、休憩機会の増加などの効果がある一方で、他方でちょっと、課題としては、休憩以外の目的で一時退出をする方もいらっしゃるという、こうした課題も確認をされておりまして、引き続き、社会実験を通して効果や課題の把握に努めてまいりたいと思いますし、また、高速道路の休憩施設以外の休憩環境ということで、例えば、今撤去されている本線料金所の跡地を活用した大型車の駐車升の整備に向けた検討でございますとか、あと、ダブル連結トラックを対象として高速道路外の駐車場の運用なども進めているところでございますので、いずれにしても、大型車ドライバーを含めた利用者の皆様の御意見はしっかりと伺いながら、確実な休憩機会の確保に取り組んでまいりたいと思っております。
○白石委員 大臣、その条件で言っている、SA、PAがそのインターチェンジの周囲に、ある一定の距離にないというのを条件に挙げられていますけれども、このターミナルチャージ免除ですね。今私が申し上げているように、SA、PAがあっても使えないということですから。ですから、そこの条件はもうなくてもいいと思いますよ。それで、また見直して、もっと全国的に数を増やしていただきたいと思います。
そして、次の質問です。二項道路について。
建築基準法四十二条第二項、いわゆる二項道路なんですけれども、四メーター確保するための制度なんですけれども、一つ目は、セットバックします、セットバックして四メーター確保しました、ただ、自分の所有地は市役所に寄附しないで自分の所有のままでいて、そこに構造物を設置する、ブロックを置いて、コンクリートで固めたりする、ひどい場合ですけれども。これについて、あるいはまた、そこまでいかなくても物を置いているという場合でも、市役所に行ってこれは何とかしてほしいと言っても、何もできないということになっている。
ここはやはり、二項道路の実効性、四メーターを確保して通行ができるようにするという趣旨からして、そのような支障物を置いている場合は行政代執行も含めてその実効性を高めるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 委員御指摘のいわゆる二項道路につきましては、その沿道の建築物の建て替えなどの機会を捉えてセットバックを進めていくことによりまして、緊急車両の通行などに支障が生じないようにするということが重要であると考えております。
このため、セットバックした道路の部分につきましては、建築基準法に基づいては、建築物の建築や擁壁の造築等を禁止をするということになっております。委員御指摘の建築基準法の適用対象ではない構造物につきましては、一部の地方公共団体においては、任意に条例を制定をして設置を規制をしているというところでございます。
例えば、杉並区の例でございますと、条例で支障物件の除却の勧告や命令等を行えるような措置もしているところでございまして、こうした取組事例を地方公共団体向けのガイドラインの中で紹介をし、横展開を進めていくということで、セットバック後の道路空間の確保というものを徹底をしてまいりたいと考えております。
○白石委員 杉並区でそういった、区が命令、勧告できると。都市部でもそうだ、私のような田舎でもやはりこういう問題がある。これは、大臣、全国的にそういった制度にすべきだというふうに思います。条例、横展開を待つのではなく、是非、国の制度として、強制力を持った、二項道路の実効性を高めるようにしていただきたいと思います。
そして、次に、二項道路だけれどもまだセットバックしていない、そういった建物は、建築確認がないからそういう状況になっているんですね。建築確認するような建築物ができていない。でも、中古住宅として所有者が替わっても同じままであるということなんですね。これはおかしいんじゃないか。中古住宅の出入口がその二項道路ではなくて、そして、隣の家がその二項道路に接していて、そこの二項道路を使っている場合があると思うんです。でも、中古住宅を購入した人は、自分はそこの二項道路を出入口に使っていないから痛くもかゆくもないという状況があるわけですね。
そこで、私のお願いなんですけれども、二項道路の実効性を高めるために、中古住宅の売買のときには二項道路のセットバックをするようにするとか、あるいは、そこまでいかなくても、時差が多少できてもいいから、二項道路のセットバックを促すような制度を考えていただきたいんですけれども、大臣、いかがですか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
狭隘道路の拡幅を進めていくということで、委員御指摘のとおり、様々な機会を捉えて、地権者の方にセットバックが必要であるということを理解をしていただくということと、セットバックの実施を働きかけていくということが重要であるというふうに考えております。
地方公共団体において、重点的に拡幅整備をすべき地域や路線を指定をして、整備方針を策定をしたり、あるいは専門家を派遣して地権者の皆さんにセットバックを働きかけていく、こうした取組に対して現在支援を行っている、こういう状況でございます。
委員御指摘の不動産業界におきましても、宅地建物取引に係る重要事項説明の際に、前面道路が二項道路であるかどうか等については、説明をする取組というのは自主的に行っていただいているというものと承知をしております。
こうした取組を通じましてセットバックがより円滑に進められるように、引き続き、地方公共団体や関係の業界と連携をいたしまして、様々な機会を捉えましてセットバックの働きかけなどが促進できるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○白石委員 そういう説得に応じない人がたくさんいるから困っているので。
中古住宅の売買という機会、一生の買物をするときに、何百万、何千万を使って買おうとしている、その機会を捉えて、この際、セットバック、元々義務なんだから、ちゃんと履行してくださいということが言えるチャンスだと思うんですね。そこを捉えた制度を是非考えていただきたいと思います。
そして、セットバックするということは、やはり、自分の屋敷の一部を使えないようにする、屋敷としては使えないようにするわけですから、痛みを伴うわけです。そういうときに、市に道路用地として寄附した場合は、登録免許税ぐらいは免除をしてあげたらいいんじゃないかと思いますけれども、今はそうなっていないんですね。
これは、所管は財務省でしょうけれども、国土を所管する国交省、国交大臣として、財務省に税制改正を働きかけていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 所有地を市に道路用地として寄附する場合ということで御指摘をいただいたと思っております。
二項道路などの狭隘道路の沿道におきましては、建て替えに伴いまして建物をセットバックをするという場合に、土地の所有者が道路の部分の土地を分筆をして自治体に寄附をする、こういうケースだと承知をしております。
この場合、分筆のための例えば調査や測量、あるいは登記に要する費用などについては、土地の所有者の負担ということに今なっております。このため、現在、土地所有者が負担する費用、この大半を占めるのは、調査、測量費がかなり占めているということでございまして、これに要する費用を助成をするという地方公共団体に対して支援を行っているところでございます。
引き続き、地方公共団体に対しましては、こうした支援制度、積極的に活用を働きかけていただくなど、狭隘道路の解消ということで取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○白石委員 地方公共団体頼みということですけれども、それはやるところもあればやらないところもある。でも、狭隘道路の問題は全国的な問題ですから、制度として、道路として寄附する場合は登録税免除、これをお願いしたいと思います。
最後に、相続土地国庫帰属制度なんですけれども、これは名前はよくて飛びついて検討するんですけれども結局使えないという声があります。そして、実際、今まで二年たってどれだけ件数があったかというと、一千四百三十件、私のところ、愛媛県、一%の人口ですから、大体二年間で十四件、二十市町ありますから、一つの市で一件あるかどうか、これぐらい数が少ないわけです。でも、もう使わない土地、もう国庫に帰属して、国庫で、国で管理してほしい、こういったニーズは非常に高いと思います。
そこで、なぜこれが普及しないかというと、いろいろな条件づけをされているわけですね。この条件づけを緩和していただきたいんですけれども、いかがでしょうか。単に緩和して、それで管理を国でというだけじゃなくて、これはやはり、どういう状況になっているかというと、田舎では年老いた両親がいて、でも金銭的な財産はもうゼロに近い、あるのは土地建物だけ。ですから、その子供たちが相続放棄したら、結局は国庫帰属になるわけですね。国に所有権が移るわけです。
こういった状況がある中で、この相続土地国庫帰属制度の条件が厳しければ、そっちの方にどんどんいって管理ができなくなってくるということを危惧します。もう最後の答弁になります。お願いします。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
相続土地国庫帰属制度におきましては、過度な管理コストの国への転嫁やモラルハザードを防止するため、相続等により取得した土地について、一定の要件を満たす場合に限って制度を利用できることとされております。
具体的には、建物の存する土地など、通常の管理又は処分をするに当たり過分な費用又は労力を要する土地として法令で定められたものは、制度を利用することができないこととされております。
この要件を緩和することにつきましては、ただいま述べました趣旨に照らしまして慎重な検討を要するものと考えられるところでありますけれども、法務省としては、まずは法務局における事前相談や申請の手引等によって利用者にしっかりと情報提供を行うよう努めつつ、必要に応じて関係省庁等とも連携をいたしまして、今後の運用状況、これをよくよく見てまいりたいと考えております。
○白石委員 よろしくお願いします。
終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、長友よしひろ君。
○長友(よ)委員 立憲民主党、神奈川十四区、相模原市、愛川町、清川村、長友よしひろです。
また質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。
本日は、二つ、行わさせていただきます。
私は、以前も申し上げたと思うんですが、基本的に、国交省の施策推進を後押ししたい、応援したいという立場であります。ただ、いろいろ申し上げる中で、予算の関係、財源だとか、あるいは施策全体のバランスだとか、もしかしたら財務当局というところもあるのかもしれませんが、そういうところでいろいろ御労苦をされているということは重々承知の上で行わさせていただきますので、どうぞ前向きな御答弁をいただければと思います。
まず一つ目なんですが、順番を入れ替えまして、過日でも取り上げさせていただいた水道管路の耐震化を促進するということにつきまして、簡易水道に限定して、ちょっと前回できなかったことを行いたいと思いますが、耐震化の進捗、適合率が簡易水道の方が遅れているということは前回もやり取りの中でありました。
そこで、簡易水道の耐震化促進のために、特定簡易水道も補助の対象にするべきだという質問です。最初にそれを求めちゃおうと思いますが、なぜ補助の対象になっていないのか、伺います。
○松原政府参考人 お答えいたします。
御指摘の特定簡易水道事業につきましては、統合が困難でないにもかかわらず統合していない簡易水道事業ということでございまして、簡易水道事業の統合は、経営基盤の強化を図る観点から平成十九年度以降取り組んできておりまして、統合が現在達成されていないということで、令和二年度以降、国庫補助の対象としていないところでございます。
なお、特定簡易水道事業に該当する簡易水道事業であっても、今後統合することにより特定簡易水道事業でなくなれば、国庫補助の対象となるところでございます。
○長友(よ)委員 つまり、統合されていないから補助の対象になっていないんだ、こういうことですよね。
統合というのはどういうことかといえば、同一の自治体内での統合、一定の要件を除いた場合、離島だとか幾つか要件はありますが、それを除いた場合に、同一の自治体の中では簡易水道を統合してよと。した場合は補助しますよ、統合しないんだったら補助しませんよ、こういうことなんですけれども、どうして一つにしなければならないんですか。
○松原政府参考人 お答えいたします。
簡易水道事業につきましては、小規模な事業でございますので、職員数が少なく、基本的には経営基盤が脆弱であるということでございますので、その統合を推進することにより、経営基盤の強化を図りたいということでございます。
事業の統合による効果といたしましては、例えば、会計の一元化による予算事務の削減であったり、薬品や資材などの一括購入、共同管理、遠隔監視システムの導入による監視体制の効率化、さらには、上水道事業と統合する場合におきましては、維持管理水準の統一による管理の効率化、高度化などが図れるということでございまして、業務の効率化、事業運営コストの縮減などが期待されるところでございます。
○長友(よ)委員 確かにそういう効果というのはあると思いますし、そういう効果を出して今運営されているところもあるというのは承知をいたしております。しかし、今御答弁いただいたことが全ての特定簡易水道に適合するかというと、一部の要件は入るかもしれませんけれども、全てじゃないと私は思うんですね。
その前提で、先般申し上げましたが、能登の件を含めまして、災害に強い分散化というものを検討する、そのことが進み始めました。分散化をするということは、その後どういう結果が出てくるかは分かりませんし、それを採用するかどうかは分かりませんけれども、分散化ということは、今申し上げた小規模ということで運営をしていくという結果になるかもしれない。つまり、そういう可能性もあるようなことを今進めているわけですね。それと地域の独自性あるいは地方創生という観点、つまり、それぞれの地域にはそれぞれの地域の事情があって、特性が存在しているわけですね。それとの整合性というのは一体どう捉えているのかという疑問が残ります。
加えて申し上げるならば、それは基盤強化になる、全てがなるというふうに考えられているのかもしれませんけれども、では、統合しなくて補助をしない、これは簡易水道全体の適合率が上がらないということじゃないですか。
この間も副大臣に御答弁いただきましたけれども、耐震化を強力に推進していくんだという力強いお話をいただきました。では、なぜ特定だけ補助しないんですか、助成しないんですか。特定はそのまま、小規模だから、統合していないから見捨てるんですか。大臣、いかがですか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
耐震化についての御指摘もございました。
簡易水道事業を取り巻く状況というのは、先ほど上下水道審議官の方から答弁させていただいたとおりでございます。基本的に経営基盤が脆弱で、やはりその強化を図ることが必要だという現状の認識でございます。
耐震化に関しましても、令和六年能登半島地震は水道施設の大きな被害が出ましたので、当然、簡易水道においても耐震化を図らなければならない。それをする上で、持続可能な事業経営ということを図るためにも、やはり、統合による経営基盤の強化というのは進めていくのは重要であるというふうにも考えております。
先ほど委員の御指摘の、分散化の議論もございました。今、実証等をやっておるところでございますが、特定簡易水道事業は、統合が困難でないにもかかわらず統合していない簡易水道事業ということでございますが、ここで言う統合というのは、必ずしも管路によって接続をするのを求めているわけではなくて、事業単位を一つにするということを意味しております。そういう意味では、統合を進めた場合でも、委員の御指摘のような、地域の固有の水源を維持させていただいたりですとか、地域の独自性に配慮した形態を取るということも可能なのではないかということも考えております。
いずれにしても、現在、特定簡易水道事業に該当する簡易水道事業であっても、今後統合して特定簡易水道事業でなくなった場合には、国庫補助で支援をしていくということでございますので、国土交通省としては、引き続き、事業の統合を促すということと、簡易水道事業の耐震化ということは進めてまいりたいというふうには考えております。
○長友(よ)委員 制度を進めてきた前提がありますから、今こういうふうに言っても、はいそうですかといかないのは重々承知の上で申し上げています。がしかし、実際、統合することによって補助を実施したことによって、それを選択された事業体というのは幾つもありますが、逆に、それができない事業体あるいはそれをしなかった事業体というのは、それはそれで一定程度あるわけです。まだ二千ぐらいあるんですか、だったと思いますけれども、そうした地域の事情が存在しているわけですね。そこを踏まえて、次に向けて是非考えていただきたいと思います。
ちょっと極論な話ですけれども、では、統合するんだったら、例えば、別に離島同士だって統合したっていいじゃんか、経営基盤強化だったら、そういう議論になりかねないわけでありまして、統合しないから補助を出さないというのは理論的に私は違うんじゃないかと。何が課題なのかということは、耐震化を促進するというのが第一ですから、今後、是非検討していただきたいということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
次は、物流における燃料費の高騰対策についてであります。
国民生活が物価高で疲弊していることは御承知のとおりであります。出口が見えないといいますか、いつまでなんだろうということを多くの方々は不安に思っているし、あるいは、不安を通り越して、もう本当に今、今日困っているんだという方もいらっしゃる中です。政府はいろいろな対策を講じています。そのことによって助かった方、そのことによって一息ついた方、いろいろいらっしゃるとは思いますが、改めて、その中で、物流というものの燃料費に焦点を当てて伺いたいと思います。
なぜかといえば、これは言うまでもなくて、ほぼ全ての国民の生活に直結しているわけです、物流は。それこそ、全く物を買わない、電気、ガス、水道を利用しない、こういう生活をされていらっしゃる方、あるいは外国の方とか、一部の方はそうではないかもしれませんが、通常、生活する上では物流というものに頼らざるを得ないわけですね。物を買った時点でそれは物流が関与しているわけです。なので、この燃料費高騰によって、影響は極めて大きいわけです。
言うまでもなく、物流は、物が産地や工場から消費者、企業や一般消費者の元に届くまでを担い、物を届けることを通して人と人をつなぐ、生活を支える必要不可欠な社会基盤です。その燃料費、ガソリンと軽油、総称して申し上げていますが、に対する支援拡充を求めて、国内貨物輸送の九割を担っていただいているトラック事業について伺いたいと思います。
それで、運送コストは適正な価格転嫁が前提でありまして、運送事業者の燃料費高騰につきましては、これは、そこをやってからではあるんですけれども、やはり、出し手と受取手、つまり発荷主、着荷主という中で、事業者の方が、その間を取り持っている方がその負担を背負ってしまっているケースが物すごくあるわけです。
では、適正な価格転嫁というのは何なんだという話になってくるんですけれども、今度は、着荷主、つまり国民の、消費者の皆さん方に負担を強いることになる、こういう状況なわけでありますので、その間の燃料費の高騰を、是非、支援拡充をしていただきたいということなんです。
そこで、これまでもこの支援策を執り行ってまいりました。具体的にどのように講じてこられたのか伺いたいと思います。
○鶴田政府参考人 トラック運送業におきましては、燃料費を始めとする輸送コストを踏まえた適正な運賃を収受できる環境の整備が重要でございます。
このため、トラック運送業界だけでなく、荷主団体、関係省庁、有識者等も参加した検討会での議論を経まして、燃料サーチャージ制度を盛り込んだ新たな標準的運賃を昨年三月に告示しました。
また、今月施行されました改正物流法によりまして、荷主との契約内容の書面化等の規制が導入されたことを受けまして、契約書の様式例を作成、周知し、その中で燃料サーチャージの欄も設けたところでございます。今後、これを荷主との運賃交渉に活用するように促すとともに、トラック・物流Gメンによる荷主等の是正指導にも生かしてまいります。
また、燃料費高騰への直接な支援につきましては、政府として、燃料油価格の激変緩和事業を行っているほか、地方自治体において、重点支援地方交付金等を活用してトラック事業者に対する支援を行っているものと承知しております。
○長友(よ)委員 先日、六月から実施する価格抑制の補助金について、報道で、値下げ幅を一リットル当たり十円とする案、これはガソリン全体の話、ガソリンリッター当たり、ちょっと省略しますけれども、レギュラーガソリンリッター当たりですね、を軸に検討しているということでありました。これはどういうことでございましょうか。
○古賀副大臣 お答え申し上げます。
四月四日の自民党、公明党、国民民主党の三党の幹事長会談におきまして、ガソリンの暫定税率につきましては、税制改正での実施に法改正が必要であるために、速やかに実施することは難しいということ、それから、補正予算ということでなくて、ガソリン補助金を活用して定額で引き下げる方向で検討をするということ、そして、具体的な方策については引き続き検討する、こういったお話があった、このように承知をいたしております。
具体的な検討につきましては、引き続き、この三党協議の中で行われていくものと承知をしておりまして、政府といたしましては、その協議の状況を注視してまいりたい、このように考えております。
○長友(よ)委員 政府は全く関与していない、関係がないということでしょうか。
○古賀副大臣 今現在、その三党の中で協議がなされているという状況でございますので、我々としては、その状況を注視していくということに尽きる、こう思っております。
○長友(よ)委員 政府としてのこれの見解について求めたいと思います。
○古賀副大臣 今申し上げたとおり、三党の中で今真摯な協議が行われている、このように認識しておりますので、その動向を見ていく、こういうことでございます。
○長友(よ)委員 つまり、政府としては、この十円については、いいも悪いも、何も考え方もない、取りあえず見て、注視しているだけだ、こういうふうに受け止めました。全く主体性がないんだということが明らかになりました。
その上で伺いたいと思いますが、価格は変動するものです。当たり前です。それは、生産量、あるいは為替、市場、いろいろな事由がありますけれども。資料でもお配りしていますが、現状、どの程度の価格が望ましいと政府は考えられているのでしょうか。
○古賀副大臣 ガソリンを含めた燃料油の価格につきましては、需給関係などを踏まえまして市場で決まっていくもの、このように承知しているところでございますけれども、その上で、この原油価格の急騰が国民生活や経済活動に及ぼす影響を緩和するために激変緩和事業というものを実施しているところでございまして、今後とも、この原油価格の動向等を丁寧に見定めながら適切に対処してまいりたい、このように思っております。
また、これと併せまして、低所得者向けの給付金、それから地方の実情に応じて支援できます重点支援地方交付金を講じることで、現下の物価高に対処してまいりたい、このように考えております。
○長友(よ)委員 我々は、暫定税率、当分の間税率ですが、これの廃止を求めています。
質問しようと思ったんですが、ちょっと時間の関係でやめますが、百八十五円という数字、これは昨年暮れの閣議で決定されて出てきた数字なんですけれども、そもそもこの百八十五円の根拠が何なのかがよく分からない。そんなのは国民の皆さんは知らないですよ。リッター当たりレギュラーガソリンが百八十五円、それでいいんだというのが今の現状の政府の見解なわけですよ。だって、そうしているわけですから。
今度、百八十五円が、仮に十円下げと、十円なのか十二円なのか何円なのか知りませんけれども、ということになった場合は、このお配りしている価格表を見れば分かるとおりで、一番高いところでは二百十数円のときがあったわけですよね。確かに今は百九十円余りですから、それは十円引けば百八十五円よりかは安くなるかもしれないけれども、直近だって二百円超えのときはあったわけですから、更に高くなるわけじゃないですか。
それを容認するような話になることを、政府が、今注視しているだけで何も考えていません、見解はありませんということ自体が、そもそも大きな、視点を見誤っているんじゃないかというふうに強く指摘をしていきたいと思います。百八十五円のことについても、そもそもこれでいいのかということから本来は入るべきだと思います。
そこで次に、時間がないので申し上げたいんですけれども、平成五年の補正から、物価高騰対策重点支援の交付金で物流が追加されているわけですね。これは地方が物流に対して支援をいろいろなことをやっているんですけれども、地方自治体はどの程度活用されているか、分かる範囲で結構です、お答えいただきたいと思います。
○鶴田政府参考人 重点支援交付金でございますが、令和六年度実績として、現時点で把握している限りで申しますと、十六の道府県で燃料費高騰等を踏まえたトラック事業者への支援に活用されております。
○長友(よ)委員 当たり前ですけれども、地方創生に関すること、地域の独自性、地域の必要性ということから選択をされているわけなんですけれども、承知のとおり、物流というのは近くだけじゃなくて長距離だってあるわけですよね。これは、地方に判断を任せますと、新たに政府が、国交省が主張して、この補助メニューが入ったわけですから、それはそれで、少しでも負担を軽減させるという意味では非常に大事なことだと思います。そのことは評価をしたいと思うんですけれども、やはり、全国一律で物流事業者、トラックの方々の燃料費のコストを下げる、それは結果的に消費者、国民の皆様方の負担を軽減するということにつながるわけですから、是非、国交省として、大臣、そういう取組をやっていただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
燃料費高騰対策ということで、先ほど来、経産省、あるいは重点支援地方交付金の御紹介もさせていただいております。政府として、こうした燃料油価格の激変緩和事業による支援、あるいは地方自治体に対する重点支援地方交付金を活用したトラック事業者への支援の働きかけ、こういうことは様々行っているところであります。
その上で、国土交通省として、トラック運送業においては、やはり、燃料価格を始めとする輸送コストの上昇分を適切に運賃・料金に転嫁する、適正な運賃の収受というのが非常に大事であろうというふうにも考えておりまして、この環境整備というものを様々行ってきたところでございます。
例えば、昨年の燃料サーチャージ制度を盛り込んだ新たな標準的運賃の告示でございますとか、本年四月は改正物流法の施行もさせていただきました。そして、先月には下請法の改正案というのも閣議決定をさせていただきました。荷主に対する一層の価格転嫁、そして取引の適正化、さらには、やはり、荷待ち時間の削減等々も含め、物流そのものの効率化というものもしっかり推進をしていかないといけないというふうに思っております。
トラックの運送事業者が燃料費の高騰に対応できるよう、取引の適正化等も含め、しっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○長友(よ)委員 大臣のリーダーシップ、今後検討していただくことを期待して、終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、奥下剛光君。
○奥下委員 日本維新の会の奥下でございます。限られた時間ではございますので、早速質疑に入りたいと思います。
昨日ちょっと地・こ・デジでできなかった国交系の質疑から先にさせていただきたいと思います。
水道事業は我々の生活に欠かせないインフラの一つでありますけれども、最近では、老朽化による水道管の破損事故が全国各地で相次いでおります。水道管の劣化には、管の材質であったり土壌の性質、交通量の多さなど様々な要因が関係しておりますが、管によっては法定耐用年数を超えても使用できるものも多くあり、その劣化度合いを考慮せずに、単に古い順に更新を進めることは、まだ使用可能な水道管の取替え費用をかけることになり、自治体の財政面での負担も大きくなってきます。
これを、水道管の劣化状態をAIによって診断するオンラインツールを使うことによって、技術系職員のこれまでの漏水経験から、劣化しやすい水道管のおおよその見当であったり、言語化することが難しい暗黙知、経験値と膨大な環境データを組み合わせることによって漏水、破損が抑制できれば、修繕費や職員の負担軽減につながるわけですけれども、三月にも上下水道DX技術カタログを出されたことも承知しておりますが、国交省は今後これをどんどん普及していくべきだと考えますが、国交省の見解を教えてください。
○松原政府参考人 お答えいたします。
水道施設につきましては、老朽化や、管理に精通した熟練職員の減少が進む中、DX技術を活用し、メンテナンスの精度や効率の向上を図っていくことが重要でございます。
具体的には、委員御指摘のように、AIにより水道管の劣化状態を診断する技術や人工衛星を使った漏水リスクの評価技術などが実用化されてきておりまして、このような技術の普及促進を図る必要があると考えております。
そのため、国土交通省では、委員御指摘ございましたけれども、これらのDX技術を分かりやすい技術カタログとして取りまとめて、三月に公表したところでございます。今後、水道事業者等に対しまして、様々な機会を捉えてその実装を働きかけてまいります。
また、今後、有識者の意見も伺いながら、水道事業者等がDX技術を導入する際に参考となる手順等を示した手引についても策定をする予定でございます。
さらに、今年度より、市町村の区域を超えて広域的に実施するデジタル技術を活用した水道施設の点検、調査につきましても、財政支援の対象に追加をしたところでございます。
国土交通省といたしましては、広域連携や官民連携の推進などと併せまして、水道分野におけるDX技術の活用を強力に推進し、強靱で持続可能な水道の構築に努めてまいります。
○奥下委員 兵庫県の朝来市なんかは何年も前からこれを導入して、本当に、新しく入った職員が経験豊かな職員と同等の仕事ができるというふうに、すごく成功事例も各地方自治で出ていますので、是非これはどんどん進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次の質問に移ります。
平成元年から導入された消費税は、土地については非課税であります。建物、特に、新築マンション、戸建て、売主が課税事業者の場合の既存のマンション、戸建てについては、取引価格で課税され、不動産取得税、登録免許税を、新築時、登録時ですね、更に課せられており、重い税負担となっております。G7先進国において、各国いずれかは非課税若しくは軽減税率が適用されています。世界第三位の経済大国である我が国にとって、欧米並みの環境整備を行う必要があるんじゃないかと考えております。
ウィズコロナで増加するテレワークを支援して、在宅勤務時のよりよい環境整備、社会問題である空き家問題を解決するためにも、住宅取得、建築、リフォームの消費税を下げていくべきだと考えますが、大臣の御見解を教えてください。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
消費税そのものは我が省の所管ではないということは是非御理解をいただければと思いますけれども、政府の基本姿勢としては、消費税については、急速な高齢化等に伴い、社会保障給付額が大きく増加をする中で、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置づけられており、その廃止や引下げは適当ではないというのが政府の基本姿勢であるということは御紹介はさせていただきたいと思います。
その上で、足下では、確かに住宅価格が引き続き上昇いたしまして、実質賃金はまだそれほど上がっていないということで、住宅取得を取り巻く環境というのはますます厳しくなってきているのではないかというふうに思います。
委員の御指摘のとおり、住まいというのは生活の基盤でございます。今後も、やはり、住宅の価格ですとか、あるいは金利等の動向などをしっかり注視しつつ、住宅の取得ですとかリフォーム等に係る様々な税、今、軽減措置を講じているところもございます。こうしたことも含めて、住宅取得者の負担の軽減というのはしっかり取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○奥下委員 ありがとうございます。
今お話にも出ましたけれども、例えば住宅ローン減税ですね、これは、昨年から、子育て世帯であったり若者夫婦世帯に対する控除が拡充されたのは存じていますが、ただ、省エネ基準を満たさない住宅や中古住宅に関しては優遇はなかったり、耐震基準の要件であったり、床面積の要件であったり、現場からは、もうちょっと緩和しないと難しいんじゃないかという声があるということはお伝えしておきたいと思います。
次に、印紙税についてお尋ねします。
昭和四十五年の全文改正により印紙税法として生まれ変わり、今日に至るわけですが、インターネット等の普及によって、カード決済、電子マネー、電子決済等の商品取引が定着してきている中、電子文書などは非課税とされております。文書のみを対象とする印紙税は課税の公平性に欠けているんじゃないかという声がありますが、是非、これは廃止する方向で考えてはどうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○植松政府参考人 お答えいたします。
今お尋ねの印紙税につきましては、各種の経済取引に伴い作成されます広範な文書に対しまして、その背後にある経済的利益に負担能力、すなわち担税力を見出しまして、これを課税根拠として御負担いただいているものでございます。
印紙税の在り方につきましては、厳しい財政状況の下で貴重な財源でありますこと、税体系におきまして所得税等の基幹税目を補完する役割を果たしておりますこと、さらには、デジタル化等の時代の変化への対応等も踏まえまして、中長期的な観点に立って検討していく必要があると考えているところでございます。
○奥下委員 印紙税を廃止すると二千五百億ぐらい減税になるということで聞いておりますが、先ほど申し上げたように、登録免許税であったり、固定資産税はもちろん、不動産取得税等、土地を買うときにはいろいろな税金がかかってくるので、是非、全体の中でちょっとバランスを考えていっていただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、外国人税制についてお尋ねします。
まず、現在の税制では日本人と外国人の税率が同じであり、外国人の投資による過度な価格高騰を防ぐためにも、せめて永住権や在留資格を持たない外国人に対しては、不動産の取得、保有する際の外国人税制を新たに創設すべきだと考えますが、財務省の見解を教えてください。
○横山副大臣 お答えいたします。
税制については、各国と締結している租税条約において、自国と相手国の国民を差別できない条項、いわゆる無差別条項が基本的に含まれていることを踏まえ、国籍によらず、負担能力のある方に負担していただくという考え方を取っております。
不動産の投機的な取引は、日本人によるものであれ外国人によるものであれ、好ましくないことは事実でありますが、御指摘のような外国人の不動産取得、保有にのみ課税するような税制を導入することについては、我が国が締結している租税条約に含まれる無差別条項や、土地の所有、利用に関連する税制以外の政策の動向などを踏まえた慎重な検討が必要であると考えております。
○奥下委員 オーナーが中国人になると家賃が高くなる傾向があるというふうに、現場の声もあります。租税条約も存じ上げておりますが、例えば、バブル期に日本の不動産会社が海外に当然買いに行ったときに、外国人の税率を二倍、三倍、四倍とずっと上げられた。最後には、外国人は不動産を取得できないと法律を変えられて、それで撤退してきたという前例もありますので、今、外国人土地取得に関してはいろいろ言われておりますが、我々側が覚悟を持ってこういったことをやっていけば、海外では自国を守るためには当たり前である、日本はやらないのかというような御意見もあるので、きちんとそこは今後考えていくべきだと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、空き家対策についてお尋ねします。
所有者不明の土地の主な原因である相続登記の未了についてなんですけれども、令和六年四月一日から相続登記が義務化されたことは承知しておりますが、この一年でどれだけ進んだのか。また、登記時に申請者に登録免許税の負担が課せられていることが相続の進まない原因だという声が現場から上がっておりますが、この辺りの見解を教えてください。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
令和三年の不動産登記法改正によりまして、令和六年四月一日から相続登記が義務化されております。
相続登記の件数は、改正法成立前の令和二年度は約百十四万件でありましたが、その後、順調に増加し、令和五年度は約百五十万件を超えるに至っております。令和六年度の統計は現在集計中でございますが、昨年十二月末までの九か月間で約百二十万件となっており、前年度同期比で約九%増加しており、相続登記の義務化の効果は着実に上がっているものと考えております。
また、相続登記の際の登録免許税の税率は不動産価格の千分の四でございますが、所有者不明土地問題の解消のため、相続登記未了の土地に対する相続登記を促進するべく、相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の相続登記及び不動産の価格が百万円以下の土地に係る相続登記につきまして、登録免許税の免税措置が講じられております。
令和七年度税制改正においては、これらの措置の適用期限が令和九年三月三十一日まで延長されております。この免税措置の令和五年度の適用件数は合計で約三十五万七千件であり、多くの方に利用していただいているところでございます。
今後も、相続登記の義務を適切に履行していただけるよう、引き続き関係機関と連携し、ただいま申し上げました免税措置も含め、国民各層に行き渡る丁寧な周知、広報に努めてまいりたいと考えております。
○奥下委員 ありがとうございます。
次の質問に行きます。
隣接地に空き家がある場合、その土地を購入することで土地の価格が上がることを見込んで、空き家に隣接する土地の所有者が該当土地を購入する場合が多いわけですけれども、こういった場合、該当土地の所有者から不動産の鑑定基準より高値で売却価格を設定されることが多いわけですが、流通の促進を図るためにどういった取組をしているのか、今後、隣接空き地対策として購入時の税金の減税とかを検討していくべきだと思いますけれども、御見解を教えてください。
○楠田政府参考人 お答えを申し上げます。
空き家対策を進めるためには、使用予定のない空き家をできるだけ早く市場に出してもらい、使用希望者とのマッチングを図ることにより、空き家の流通、利活用を進めていくことが重要だと考えております。
このため、相続で空き家となった家屋等を早期に譲渡した場合に譲渡所得から最大三千万円を控除するとともに、空き家法に基づき勧告を受けた特定空き家等について、その敷地にかかる固定資産税の住宅用地特例を解除するなどの税制措置を講じることにより、空き家の早期流通を促しているところでございます。
また、令和五年の空き家法の改正で創設をした空家等管理活用支援法人が、自治体と連携をして、空き家の活用等を行おうとする者に対する情報提供や相談対応などを実施しているところでございます。
さらに、昨年の六月に不動産業による空き家対策推進プログラムを策定をいたしまして、宅建業者の協力を得て、空き家所有者への相談体制を強化をいたしまして、流通に適した空き家の掘り起こしやマッチングを進めるなど、地域の実情に応じた空き家の利活用を促進しているところでございます。
委員御指摘のとおり、空き家の活用を進める上で、空き家に隣接する土地の所有者に空き家を活用してもらうということは極めて重要な手法だというふうに考えておりまして、国土交通省におきましても、これまで、山形県の鶴岡市や上山市のランドバンクなどの取組を支援してきたところでございます。
今後は、これらの優良事例の紹介や横展開に更に力を入れるなど、様々な政策ツールを活用しながら、空き家の利活用を促進してまいりたいと存じます。
○奥下委員 以前、低未利用地の権利設定等の促進計画の特例措置があったのを存じ上げておりますが、こういった、今利用者が少ないからということで何かなくなったというふうにも聞いておりますので。けれども、現場に聞いたら、そんなのあったのという声もあるものですから、これはもう一回ちょっと検討とかしていっていただいて、周知していただけたらなというふうに思いますので、よろしくお願いします。
次に、デュアルライフについてお尋ねします。
自然災害への対策、感染症流行時の在宅勤務環境整備、子育て、Uターン、Iターンなど居住ニーズが多様化する中、中長期で定期的、反復的に滞在する拠点を主とする居住地以外にも居住地を求めることへの関心が高まってきているわけですが、第二拠点として、地方の空き家、空室対策のみならず、当該地域の人たち、産業的な活性にもつなげることができると考えます。
こういった二拠点の地域の居住を促進するためにも、住宅取得税の税制であったり、若しくは、時限的でもいいので固定資産税の優遇を検討していくべきだと考えますが、見解はいかがでしょうか。
○黒田政府参考人 お答えいたします。
二地域居住につきましては、個人の多様な暮らし方や働き方のニーズに応えるとともに、委員御指摘のとおり、関係人口の拡大や地域経済の活性化、これにも寄与するというふうに考えております。
その促進に向けまして、住まい、なりわい、コミュニティーの環境整備を図るための関連法、これが昨年の国会で成立したところでございます。このうち、住まいにつきましては、二地域居住者、促進策の主たるターゲット層であります若者、子育て世帯、こうした方々は、専ら取得というよりも空き家を賃貸するニーズが非常に多いということで、そのためのお試し住宅であるとかシェアハウス、これの整備に対する補助を行うことで負担軽減策を行っているところでございます。
二地域居住者に特化した住宅取得のための税制上の特例措置、これは直接はございませんけれども、この空き家の改修への支援と併せまして、負担軽減策といたしましては、官民でいろいろな知恵を出し合うプラットフォーム、これが設けられまして、具体的な対応策について検討がされておりますとともに、モデル的な取組、これも予算で私ども支援をさせていただきながら、この二地域居住が広く浸透するように努めてまいりたいというふうに考えております。
○奥下委員 若者の賃貸に対して優遇措置は承知しておりますが、今SNS等でデュアルライフを促すような広告等があって、私の周りでも、賃貸から先に、やはり買っていこうということを検討している人たちも増えている中で、そういったお声があるということはお伝えしておきたいと思います。
次に移ります。
大阪府の私の選挙区の吹田市と、お隣の豊中市にまたがる千里ニュータウンというところがあるんですけれども、そこで老朽化に伴う建て替えでよみがえった公的賃貸住宅が一万戸となっております。URは、二〇三〇年までに更なる増設をされる予定だと聞いておりますが、建て替えで余った土地に民間マンションが次々と建って、人口回復にもつながっています。年間二万人が入れ替わりをするようなところではあるんですけれども、特に、南千里地域のURの建て替え工事により、若者、留学生など、町の活性化につながっています。
今後もこの地域において再生事業を進めるというふうに聞いておりますが、このニュータウンで圧倒的に足りないものがあります。それが飲食店なんですね。URの敷地内では、週末、キッチンカーとかが出てすごくにぎわっております。例えば、URの一階部分だけでもそういった飲食店に貸し出したりすることが可能なのか。また、UR内には、やはり似たような公園が多いんですよね。ですから、こういったことを、特定のスポーツ、例えば高齢者が多い棟はグラウンドゴルフをやったりとか、そういったことに変えていけないかというお声がありますが、いかがでしょうか。
○村上参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、URの賃貸住宅の団地再生におきまして、地域のニーズに応じて飲食等の生活利便に資する機能を導入していくことは重要であるというふうに認識してございます。
近年、建て替えを行いましたUR団地におきましても、建て替えにより生じた団地内の敷地に、民間事業者の方々に、地域のニーズに応じた飲食等の生活利便に資する導入等を行っており、団地ですとか地域の活性化に努めているところでございます。
また、団地内におきましては、テニスコートなど一部特定のスポーツに対応したものも設けてございますけれども、お住まいの方々の多様なニーズに対応するということで広場の整備を進めさせていただいているところでございます。
千里ニュータウンにおけるまちづくりの方針におきましても、多様な都市機能を生み出す複合的土地利用というものが掲げられてございますので、団地再生に当たりましては、こうした方針に沿いまして、引き続き、地域のニーズの把握に努めながら、地元の地方公共団体の皆様方とも連携、調整を図りながら、御指摘の生活利便施設などの導入に努めてまいりたいというふうに考えてございます。
○奥下委員 僕も昨年末までこの地域に住んでいて、すごく同じようなことを感じていました。ここは、URだけじゃなくて大阪府営団地であったり市営団地もあります。そうした中、府営もどんどん居住者が減ってきている中で、URがどんどん建てていただいているのもあるので、府営が同じものを造っても人が入るかどうかという心配もありますし、仕方ないだろうという声の中、豊中市にロマンチック街道というような飲食店が立ち並ぶようなところがあるんですけれども、府営の駐車場側、これをそういった飲食店にしてはどうかというような話も過去にもあって、これを検討していこうというような話にもなっております。
ですから、相乗効果を生み出すような形で、南千里エリアはある程度建ってしまったのであれですけれども、新たに、駅向こうとかはこれからまだまだやっていく段階でございますので、そういった相乗効果を生めるような仕組みを取り組んでいきたいと思いますので、また御協力のほどよろしくお願いいたします。
次に移ります。
道路標示をトリックアートにすることにより、スピードの抑止や停止への意識向上、注意喚起につながるというふうに考えております。道交法上、問題ないのか。ないのであれば、是非、実験的にやってみたいと思うんですけれども、見解はいかがでしょうか。
○阿部政府参考人 お答えいたします。
横断歩道を始めとする道路標示の種類、様式、設置場所等につきましては、標識標示令等の関係規則において定められております。しかしながら、これら以外のいわゆる法定外の表示を、交通規制の実効性等を高めることを目的に行うこともございます。その場合には、法定外の表示の意味を一見して理解できることや、運転者に過剰な刺激を与えないことなどについて留意することとしております。
御質問のトリックアートを利用した路面表示につきまして、横断歩道の白線の周辺に法定外の表示をして、横断歩道自体を立体的に見えるようにする取組を行っている例が複数ございます。
今後とも、交通規制の実効性等を高める観点から、法定外の表示につきまして、各都道府県警察が適切に対応するよう、警察庁としましても指導に努めてまいりたいと考えております。
○奥下委員 ありがとうございます。
何か京都の亀岡市の方でもやっているというのを聞きましたので、一度見に行きたいと思います。子供たちの通学路とか学校前はこういったことをしてほしいという声があるので、また検討していきたいと思います。
時間なので終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、臼木秀剛君。
○臼木委員 ありがとうございます。国民民主党の臼木秀剛と申します。
本日は、委員長を始め国土交通に所属されている委員の皆様方に、質問の機会を賜りまして感謝を申し上げます。
今日は、主にモーダルシフトの推進について御質問させていただきたいんですけれども、その前にちょっと一点、私は比例北海道選出の議員でありまして、北海道新幹線のことについて御質問させていただきたいと思います。
先日、先月の十四日に北海道新幹線の整備に関する有識者会議において、北海道新幹線の札幌延伸が二〇三八年度以降になる見通しが国に報告をされました。資料の一ページにもおつけをしている中、特に二島貨物に関する政策が今後数年間大きい岐路を迎えるわけですけれども、こういったJR北海道の経営であったり、並行在来線の議論も含めて、北海道新幹線の札幌延伸、これがどのような影響を与え得るのかということにつきまして、政府参考人で結構ですので、御答弁をいただけますでしょうか。
〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
JR北海道におきましては、国鉄債務等処理法に基づく支援措置の活用を念頭に、北海道新幹線札幌延伸開業も契機として、二〇三一年度、令和十三年度に経営自立することを目標に掲げました長期経営ビジョンを二〇一九年、平成三十一年四月に策定をし、経営改善の取組を進めており、国としても必要な支援を行ってまいりました。
他方、委員から御指摘もございましたけれども、北海道新幹線札幌延伸につきましては、有識者会議におきまして、完成、開業は現段階ではおおむね二〇三八年度末頃の見込みだが、相当程度の不確実性が残るため、トンネル貫通に一定のめどが立った時点で改めて全体工程を精査して開業時期を定める必要があるなどとする報告書が取りまとめられ、三月の十四日に公表されたところでございます。
JR北海道の経営自立に向けましては、まずはJR北海道において、先ほど答弁で御紹介いたしましたが、現在の中期経営計画に基づき、二〇二六年度、令和八年度までの間に経営改善に向けた取組を一層深度化及び加速化していただくことが何より重要であるというふうに考えております。
国土交通省といたしましては、北海道新幹線札幌延伸事業の進捗状況を含めたJR北海道の経営改善の状況などを踏まえ、JR北海道の経営自立に向けた必要な支援の在り方について、今後検討していくことになるものと考えております。
また、北海道新幹線札幌延伸に伴いまして、沿線自治体の同意を得てJR北海道から経営分離することとされております函館本線函館―小樽間につきましては、函館―長万部間のいわゆる海線及び長万部―小樽間のいわゆる山線のそれぞれで、北海道庁が中心となった地元協議会が設けられ、旅客輸送の在り方の議論が進められているものと承知をしておるところでございます。
このうち、山線につきましては、地元協議会におきましてバス転換をすることが確認されたものと承知しており、引き続き、協議会の事務局である北海道庁が主導し、地域の関係者と丁寧な議論を重ねていただくことが重要であると考えております。
また、海線につきましては、鉄道物流に関して全国的な観点からの議論が必要であることから、地元での旅客輸送の議論と並行して、国土交通省と北海道庁が連携して有識者検討会議を設置し、鉄道物流の在り方に関する諸課題の解決に向けた議論を進めております。
国土交通省といたしましては、北海道新幹線札幌延伸事業の進捗状況や旅客輸送に係る地元協議会での議論の動向を踏まえつつ、海線に係る有識者検討会議での議論を深め、必要な対応を検討してまいります。
以上でございます。
○臼木委員 非常に御丁寧な答弁をありがとうございました。
それでは、本題といいますか、元々質問させていただきたかったモーダルシフトについて御質問させていただきたいと思います。
大臣には二月十日の衆議院の予算委員会で答弁をいただきまして、ありがとうございました。モーダルシフトを、二〇二四年問題等も含めて、強力に推進していくべきだということについては私も大いに賛同するところではありますけれども、やはりまだまだ、課題も含めて、たくさん乗り越えなければいけない壁があると思っております。何点か確認をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まず、貨物鉄道が他のモードと比較して、資料の二ページにもつけておりますけれども、様々な優位性については、皆様も既に御認識をされているところだとは思います。環境特性、また、大量輸送、労働生産性が高い、中長距離輸送に適している、全国ネットワークがある、その他にも、危険品の輸送であったり、渋滞の影響を受けにくいといった様々な優位性があるわけですけれども、これらを、現状、生かすことができているのか、若しくは、生かすことができるような状況にあるのかということにやはり疑問を持たざるを得ません。
生かせていないとするならば、どこがボトルネックになっていると考えておられるのか、これも政府参考人で結構ですので、簡潔に御答弁をいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
委員から資料でも御示しがありましたとおり、貨物鉄道は、全国ネットワークを活用した大量輸送機関であり、労働生産性や環境性能に優れておりますことから、トラックドライバー不足への対応やカーボンニュートラル実現に貢献することが期待されているというふうに認識をしております。
こうした貨物鉄道の特性を生かしつつ、他のモードと連携してモーダルシフトを推進する観点から、トラックからの積替えが容易な大型コンテナの導入やそれに対応したコンテナホームの拡幅など輸送力の増強に取り組んでいるところでございます。
他方、激甚化、頻発化する自然災害を起因とした一時的な輸送障害の増加などによりまして、安定輸送の確保が課題となっておるところでございます。このため、これまで以上に荷主のニーズへの柔軟な対応や自然災害への対応能力の強化が求められる状況にあると考えております。
こうした状況を踏まえまして、国としては、災害時にトラックや船舶への代行輸送の拠点となる貨物駅における駐車場等の施設整備などについて支援を行っておるところでございます。
今後とも、こうした支援を通じて貨物鉄道が期待される役割を担い続けることができますよう、国としてもしっかりと取り組んでまいります。
以上でございます。
○臼木委員 ありがとうございます。
お話にもありましたとおり、災害対応をきちんとやっていかなきゃいけないということで、よく荷主の皆様方からも、貨物鉄道は災害に弱いんじゃないかというような御意見を持たれている方もおられるんですが、果たしてそうなのかということは、私は少し疑問を持っております。
大臣も予算委を含めて様々な場面で災害対応の強化が必要だと述べられているんですけれども、今、災害が起こった場合には、災害復旧支援制度があるとはいえ、作業はやはり基本的には旅客鉄道会社が担っております。財源や人材、採算性も含めて様々な制約があることから、結果として、道路等と比較すると災害に弱い。要は、民間の私企業として災害復旧に当たるということでありますから、どうしても、資本の投下の程度、同様の資本を投下したとしてもやはり時間がかかったりというようなことも様々あると思うんです。
例えば、道路等と同程度の資本投下をした場合に、本当に鉄道というのは災害に弱いのか、たまたま私企業がやっているから弱いのではないか、こういった疑問について国交省としてのお考えがあればお示しをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○五十嵐政府参考人 お答え申し上げます。
鉄道事業におきましても、貨物輸送も含めた安全、安定輸送の確保は最も重要な課題と認識をしておりまして、これは民間であろうが公営であろうが同じ認識だというふうに私ども理解をしております。
したがいまして、これまでも耐震対策でありますとか豪雨対策などの防災対策を国も支援をしながら推進をしているところでございまして、他の輸送モードと比較して一概に災害に弱いということはないのではないかというふうに考えておるところでございます。
一方で、近年、激甚化、多頻度化する豪雨被害によりまして、鉄道隣接斜面の崩壊による土砂流入被害なども毎年発生しているところでございまして、被災規模に応じて、災害復旧の補助対象の拡大や補助率のかさ上げなど支援の充実に努めるとともに、早期の復旧支援を行ってきたところでございます。
また、鉄道施設の豪雨対策の更なる推進を図るために、令和七年度予算から、これまでは対象としてこなかったJR東日本、JR東海、JR西日本の三社に対しましても、貨物列車が走行する線区などの一定の要件の下、財政支援を行うことといたしておりまして、貨物鉄道ネットワークも含めました豪雨対策を推進することとしているところでございます。
また、これらの対策には多額の費用を要する上、整備後の施設の維持管理にも費用等を要し、鉄軌道事業者の負担軽減が不可欠であるため、令和七年度の税制改正によりまして、鉄道の豪雨対策で取得した財産に対する特例措置が創設されたところでございます。
国土交通省といたしましては、引き続き、鉄道施設の防災対策の推進を図り、貨物鉄道も含めた鉄道の安全、安定輸送の確保に努めてまいります。
以上でございます。
○臼木委員 ありがとうございます。
まさに、今おっしゃっていただいたように、やはり鉄道の強靱化それから堅牢化ということはこれから進めていかなければいけませんが、多額の費用がかかるというのはまさにおっしゃるとおりだと思っています。
ただ、皆様方も、この国土交通委員会で御議論されていて、都度、皆様方からも御意見が出ていると思いますが、道路予算に比べてやはり鉄道予算というのは圧倒的に予算が少ないということであり、事後的な災害復旧であったり、そういった施設整備であったり、少し細かな予算のつき方をされているということだと思っています。
しかし、やはり私は、鉄道整備につきましても公共社会資本整備の一角をきちんと担っているはずですので、余りにも私企業の側面を強調し過ぎることによって、本来維持をしていく必要がある鉄道というものが維持をできないのではないかという危惧を持っております。
特に、不採算部門を削減していったり事業範囲を適正化していったりということも各会社では進めていっていますが、これが余りにも過度に進み過ぎると、本来必要であるところまで、先ほどお話をさせていただいた優位性を発揮できるようなところまで削られていく可能性があるのではないかと私は考えているんですが、大臣、このような考え方でこのまま進めていってよいのか。ここについて大臣のお考えをお聞きできますでしょうか。
〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
先ほど鉄道局長から答弁をさせていただきましたのは、そうした、国土交通省で、災害復旧支援の拡充でございますとか、あるいは事前防災に資する補助制度、これを累次拡充をしてまいりましたということを鉄道局長から答弁をさせていただきました。
災害復旧という点に関しますれば、この支援制度だけではなくて、例えば、道路や河川の災害復旧、事業間連携ということで速度を速めたりですとか、あるいは、鉄道・運輸機構が今、RAIL―FORCEということで、鉄道災害調査隊派遣などを通じて、被災した鉄道施設等の早期復旧などは図っているところでございます。
今、国土強靱化の議論もしておりまして、事前防災対策の推進は極めて重要でございます。五か年加速化対策等も含めて対応を図ってきたところでございますが、今、六月目途に国土強靱化実施中期計画を策定するところに向けて作業しております。現行の五か年加速化対策を上回る事業規模となる見込みでもございます。
こうした取組を通じ、貨物鉄道ネットワークの強化も含めまして、国土強靱化の取組というのは更に進めてまいりたいというふうに考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。
今お話があったとおり、私としては、予算づけも含めてそうなんですけれども、全体的な考え方として、やはり鉄道政策というものの在り方を見直す時期に来ているのではないかということを御指摘をさせていただきたいんです。
民営化自体がもう三十年以上前になりますけれども、それ自体、私は否定するつもりはありません。当時の社会状況を含めたり経済状況を含めれば一定程度必要であったということは理解はできるんですけれども、今、これだけ人口減少が進み、また地方の過疎化が進み、こういう状況で、やはり鉄道政策も見直しの時期にあるんだということを是非、御認識はいただいていると思いますので、強く御答弁をいただきたいと思ってはおります。
ちょっと時間も限られておりますので進みますが、令和五年十月の物流革新の緊急パッケージで、鉄道、コンテナ貨物、内航フェリー、ローロー船等の輸送量、輸送分担率を今後十年間で倍増という目標を掲げられているのは国土交通省です。既にもう一年半は経過しております。その中で、貨物鉄道を利用していくんだということを決めたわけですから、これであれば、今話をさせていただいたような鉄道政策の見直し、基本的なスキームを始めた抜本的な制度の見直しをやはり行っていかなくてはいけないと思います。
当然、会社側にも、組織の体制であったり企業風土の改善とか、こういう様々な自主的な取組はやっていただく必要はあるわけですけれども、特に、今回、北海道であったり貨物の話でいうと、都度、国の支援策で体力を維持しているような状況はこの間ずっと続いてきております。
このような状況であると、企業自体もそうなんですけれども、従業員、働く皆様方のスキルの低下、またモラルやモチベーションの低下、そして人材も確保や維持が困難になっていくという悪循環が続いていっており、本当に鉄道の安全運行そのものにも支障を来すことになりかねないということも指摘をされております。
人材や予算など、今後ますます限られていく資源を最大限生かすということが必要だと思いますので、各モードの果たす役割を整理し、その特性を最大限発揮をすることができるような交通体系のグランドデザイン、グランドマップを、国がもう一歩踏み込んで、リーダーシップを持って逆算的に進めていくべきだと考えておりますけれども、大臣、お考えはいかがでしょうか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
グランドデザインということで御指摘いただいたかと思っております。
モーダルシフトの取組につきまして、令和五年十月に策定をされました物流革新緊急パッケージにおきましては、トラックの輸送力不足に対応するということで、鉄道、コンテナ貨物やフェリー、ローロー船等の輸送量を今後十年程度で倍増させることを目指すとされたところであります。
さらに、二〇三〇年度に見込まれる三四%の輸送力不足というのがあります。これに対応するために、昨年十一月の経済対策では、従来の鉄道、内航海運に加えて、航空機、ダブル連結トラック等も活用した、新モーダルシフトということで呼んでおりますが、この取組を今進めているところであります。
委員の御指摘の貨物鉄道輸送の在り方につきましては、この陸海空のあらゆる輸送モードを総動員した新モーダルシフトの取組の中で貨物鉄道輸送がどのような役割を担うべきか、全体の物流政策としても議論を行うことが重要であると考えております。
先月開催をされました我が国の物流革新に関する関係閣僚会議において、総理からも、次期総合物流施策大綱につきまして策定の指示がございました。この検討の中で、トラックの輸送力不足への対応策として、しっかりと具体化というものを図ってまいりたいというふうに考えております。
○臼木委員 ありがとうございます。
もう少し力強い御答弁をいただきたかったなとは思うんですけれども、国土交通省の任務というものは、設置法の第三条にもあるとおり、国土の総合的かつ体系的な利用、開発及び保全、そのための社会資本の総合的な整備、これが国土交通省の任務だと私は理解をしておりますし、働く皆様方も同じ認識でおられるとは思います。
本当に、国土交通省ができてもう二十五年になるかと思いますけれども、社会状況の変化の中で、国土をどのように維持し……
○井上委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力をお願いします。
○臼木委員 そして活用していくか、これを皆様方と今後とも考えてまいりたいと思っておりますので、是非どうぞよろしくお願いいたします。
以上にて質問を終わります。ありがとうございました。
○井上委員長 次に、たがや亮君。
○たがや委員 れいわ新選組の自称たがや亮です。
福島委員からのたってのリクエストで自称とさせていただきましたが、騒ぎを起こさないよう気をつけたいと思います。
本日は、今国会で審議予定のマンションの管理・再生の円滑化等のための改正法案、いわゆるマンション法について伺いたいと思います。よろしくお願いをいたします。
まず初めに、今回、マンション法を改正する目的は何でしょうか。中野大臣、簡潔にお願いいたします。
○中野国務大臣 簡潔にということで。
今回のマンション法改正の目的につきましては、マンションは今、その総数が七百万戸を超えておりまして、我が国における重要な居住形態の一つとなっている一方で、建物と区分所有者の二つの老いが進行して、外壁の剥落等の危険や集会決議の困難化などの課題が顕在化をしているところであります。
こうした状況を踏まえまして、マンションの新築から再生までのライフサイクル全体を見通して、その管理、再生の円滑化等を図る必要がございます。
このような趣旨から、今般、マンション管理法やマンション建替え法、区分所有法などを一括して改正をすることとしたところでございます。
○たがや委員 大臣、ありがとうございます。
マンションの外壁やエレベーターなどの共用部分に欠陥が見つかって、マンションを建設した施工業者に損害賠償請求を起こす場合に、その請求権は誰に帰属するのか、教えてください。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘は、新築の分譲マンションの共用部分に当初から瑕疵があった場合におきまして、区分所有者が、その瑕疵があることを知らず分譲業者からマンションの一室を購入しまして、売買契約の契約の内容に不適合であるということで、分譲業者に対して損害賠償請求をする事案についてのお尋ねということと理解しております。
売買契約の内容に不適合であることによる損害賠償請求権、これは、売主である分譲業者と買主である区分所有者との間の契約関係により、買主である区分所有者が取得する債権でございます。
このように、共用部分の瑕疵に係る損害賠償請求権は、あくまで区分所有権とは別個の財産権でありまして、区分所有権が譲渡されたとしても、それに伴い当然に移転するというものではないことから、当初の購入者が別の者に区分所有権を譲渡した、譲渡された場合であっても、当初の購入者から別の者に区分所有権が譲渡されない限り、当初の購入者であります旧区分所有者に損害賠償請求権が帰属しているものと考えられるところでございます。
○たがや委員 ちょっとややこしいので整理させてもらいたいんですが、損害賠償請求権が発生する前の段階で、なおかつ請求権が現所有者に譲渡された場合は、現所有者に請求権があると考えていいんですかね。そこを教えていただけますか。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど言い間違いが少しありましたので、その点から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、この損害賠償請求権、これは契約に基づく請求権でございますので、区分所有権のほかに損害賠償請求権を譲渡ということをしない限り、やはり、元々の契約関係の当事者であるところの旧区分所有者、この方に帰属している、こういうことでございます。
○たがや委員 だから、譲渡した場合は大丈夫だということですよね。うなずくだけでいいです。はい、ありがとうございます。
今のマンション法では、物件を売却するなどして、区分所有者、すなわちマンション物件を所有する人が替わった場合、その区分所有者が損害賠償請求権を、管理者、すなわちマンションの管理組合の理事長さんが代理するには、元の所有者から現在の所有者に請求権が譲渡されている必要があるという理解でよろしいんですよね。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
現行の区分所有法におきまして、管理者は、共用部分について生じた損害賠償金等の請求及び受領につきまして、各区分所有者を代理し、規約又は集会の決議により、各区分所有者のために原告又は被告として訴訟追行することができることとされております。
他方で、裁判例には、共用部分について生じた損害賠償金の請求権の発生後に一部でも区分所有権が譲渡されますと、その譲渡をした区分所有者のみならず、他の区分所有者を含め、管理者において訴訟追行することが一切認められない旨判断したものがございます。
このような裁判例の判断を踏まえますと、共用部分について生じた損害賠償金の請求権の発生後に一部でも区分所有権が譲渡された場合におきまして、管理者が当該損害賠償金の請求権を代理等するためには、現区分所有者が旧区分所有者から、当該損害賠償金の請求権について、今御指摘いただいたように債権譲渡を受ける必要がある、このように判断される可能性があると考えられます。
もっとも、この管理者の権限につきましては、今般閣議決定されておりますマンション法、この改正法案について改正が提案をされているところでございます。
○たがや委員 ありがとうございます。
今回の法改正で、その請求権を譲渡しなくても、管理者が損害賠償請求の代理をできるようになったとのことなんですけれども、その理由は何でしょうか。教えてください。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
現行の区分所有法の管理者の権限についての規定をただいま申し上げたところでございます。また、それに関連した裁判例も申し上げたところでございます。
この裁判例の判断、これに対しましては、管理者による代理行使、訴訟追行を認めた趣旨、これが没却されているのではないか、こういった指摘がされているところでございます。
そこで、御指摘の閣議決定されましたマンション法の改正法案におきましては、区分所有者等の有する共用部分等について生じた損害賠償金等の請求権の行使の円滑化を図る観点から、管理者は、当該請求権を有する現区分所有者を代理等することができ、また、当該請求権を有する旧区分所有者、これも基本的に代理等することができるものといたしまして、区分所有権の譲渡がされた場合でも、当該請求権について、管理者による代理行使、訴訟追行が可能であること、これを明確にしているところでございます。
○たがや委員 ちょっと確認ですけれども、代理で損害賠償請求をするには、管理者が旧所有者の意思を確認する必要があるということでよろしいですかね。
○内野政府参考人 申し上げます。
管理者は、共用部分等に係る請求権に関しまして区分所有者を代理するに当たりまして、個々の区分所有者の意思を確認する必要はございません。
ただ、管理者は、規約又は集会の決議に基づき、共用部分等に係る請求権を有する者のために原告又は被告となった場合には、当該請求権を有する現区分所有者又は旧区分所有者に対して通知をしなければならないこととしております。
○たがや委員 ありがとうございます。
もう一点、登記簿に載っている住所に通知しても、送り先不明の場合は通知となされるのか。旧所有者を特定するのが困難な場合でも、施工業者の瑕疵による、損害賠償請求権の譲渡なしでも代理できるようにするのが本改正の肝腎な部分ですが、結局は旧所有者を特定する必要があるので、法改正しても、管理者が旧所有者を捜す負担が残ったままだと思いますが、法務省の考えを教えてください。
○内野政府参考人 申し上げます。
マンションの分譲業者から専有部分を買い受けた当初の区分所有者については、通常は、管理者におきまして、不動産の登記記録によりまして旧区分所有者を特定することができるものと考えられまして、管理者の代理権限に係る改正が全くもって実効性を欠くということにはならないものと考えております。
その上で、今お尋ねの趣旨、通知をしても届かないといったようなところ、旧区分所有者の所在が不明である場合に、その所在を特定しなきゃいけないのじゃないのかということを御指摘いただきました。
ただ、この場合は、いわゆる民法に定めのございます公示の方法ということで通知をすることは可能でございます。そういう意味でも、今般の改正案の提案、これが実効性を欠いているということにはならないものというふうに考えております。
○たがや委員 ありがとうございます。
仮に首尾よく旧所有者を特定できて、管理者が損害賠償請求を代理して損害賠償をかち取った場合、旧所有者は、自分の取り分をマンションの管理費に入れて修繕に使うのではなく、自分に支払うように主張できるのか、伺います。
また、区分所有者間の合意により定める管理規約において、管理者が回収した賠償金を元手に瑕疵の修繕に充当する旨を定めることは可能とありますが、現状でそのような規定になっていない場合はどうすれば救われるのか、お伺いをいたします。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、管理者が受領いたします損害賠償金、これも、現区分所有者又は旧区分所有者が受領すべき損害賠償金を代理で受領するものでございます。そのため、管理者は、受領した損害賠償金に係る損害賠償請求権を有していた旧区分所有者から返還を求められた場合、この場合にはこれを引き渡さなければならないというのは原則でございます。
もっとも、共用部分の管理に関する事項につきましては、集会の決議で決するか、又はあらかじめマンションの規約で定めておくことができると考えております。
したがいまして、共用部分の管理に関する事項として、共用部分に生じた損害賠償金について、各区分所有者又は旧区分所有者が個別に受領することを禁じ、その使途を建物の瑕疵の修補のために用いるものとする旨を集会の決議で決し、又は規約で定めておくこと、これが可能であると考えております。あらかじめこのような集会の決議又は規約の定めをしておくことで、管理者は、区分所有者又は旧区分所有者を代理して受領した損害賠償金を、決議又は規約の定めに基づきまして、旧区分所有者に渡さずに、建物の修補費に充てることが可能となると考えております。
法務省といたしましては、国土交通省との密接な連携を図りながら、管理規約のひな形として実務上広く普及しております標準管理規約を速やかに改定をいたしまして、これらの定めを含む管理規約の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
このような規約を定めていない場面の対応ということでありますけれども、損害賠償金の返金を求めるというのは、結局、規約によっての拘束ができるということを申し上げているところでございまして、一方で、これはやはり、ただ……(たがや委員「次のことは聞いてないです、先の質問です」と呼ぶ)済みません、申し訳ございません。
○たがや委員 それでは、万一ですけれども、管理規約が徹底できておらず、もし物件の複数の旧所有者がそういった主張をした場合、欠陥マンションを修繕することが事実上不可能になるのではないかと思います。現在、そのマンションに住んでもいない旧所有者が、自分の取り分である金銭を昔住んでいたマンションの修繕に使ってもいいと言ってくれる保証はないと思いますし、ましてや、マンションを投資目的で購入して売却した場合などはなおさらですし、昨今は外国人投資家も相当数、投資目的で購入しています。
このような事態は想定していたんでしょうか、お伺いをいたします。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、委員御指摘のとおり、マンションの実情、それぞれ状況は違うと思っておりますけれども、によりましては、各区分所有者、また旧区分所有者が協力的ではない事案もあり得るというふうな御指摘、これがあることは承知しております。
ただ、その一方で、それぞれのマンションの修補に係る実情でありましたり、区分所有者の方々の性格といったようなところ、これを一切捨象して、旧区分所有者の権利であります損害賠償金、これを一律に奪うような結果になることは、やはり財産権の保障の観点から困難ではないかと考えておるところでございます。
そこで、マンションの管理規約のことを申し上げましたけれども、こういったところにおいて損害賠償金を修繕費用に充当するように定めをする、こういったことで損害賠償金を修繕費用に充当することが可能になるということでありますので、法務省といたしましては、そのマンションの実情に応じた対応をしていただけるよう、国土交通省と密接な連携を図りながら、こういった定めができる管理規約の周知徹底、またその方法ということについて、しっかりとやって取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○たがや委員 ありがとうございます。
もう一点、今回の法改正では、特段の意思表示、つまり、管理者が代理するのを拒否する権限を旧所有者に与えています。この規定により、損害賠償請求が行いにくくなり、欠陥マンションの修繕をより一層困難にするおそれがあると思いますが、なぜこのような規定を盛り込んだのか、その理由を伺います。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、今般閣議決定されましたマンション法の改正法案におきましては、旧区分所有者が、別段の意思表示、これをした場合には、管理者は、旧区分所有者を代理し又は訴訟追行することはできないこととしております。
これは、旧区分所有者は、規約の変更や決議に参加できる立場にないということのため、管理者の代理権の制限、こういったことを提案することができない、また、集会の決議による管理者の解任や裁判所への解任請求、これもできないということになっております。このように、管理者の監督方法を持たない旧区分所有者について、法律により一律に管理者による代理や訴訟追行を強制すること、これは適切でないと考えられたものであります。
しかし、この点も、管理規約でありますれば、区分所有権を譲渡した場合においても、区分所有者が、共用部分に生じた損害賠償請求権の管理者による代理行使について、別段の意思表示をすることができないということは、これは可能であると考えております。
法務省といたしましては、やはり、この点も国土交通省と密接な関連を図りながら、先ほど申し上げたような標準管理規約、これを全て改定をいたしまして、そういった管理規約の周知徹底、これを図ってまいりたいと考えております。
○たがや委員 ありがとうございます。
これまで見てきた欠陥マンションの損害賠償請求で、損害賠償の一部が元所有者に支払われてしまったため修繕資金が足りなくなって修理ができなくなったケースで、その後に外壁タイルが落下して通行人にけがを負わせた場合、負傷者への責任を、施工業者からの賠償金を受け取った元区分所有者も負うのか、お伺いします。
また、そもそも、マンションを売却した際に、将来起こり得る損害賠償権も新しい所有者に自動的に譲渡する法改正を行えばいいだけだと思うんですが、なぜそのようにしなかったのか、お伺いをいたします。
○内野政府参考人 お答え申し上げます。
まず、具体的なケースで御説明することは、個別の事案でございますのでちょっと申し上げられないところでありますので、一般論として申し上げさせていただきます。
一般論として、マンションの外壁タイルが落下をいたしまして通行人にけがを負わせた場合におきまして、その時点でマンションを占有も所有もしていない旧区分所有者、これは、当該通行人に対して、民法第七百十七条第一項に基づいて、損害賠償責任を負うことはないものと考えられるところでございます。
また、一般論として、現区分所有者はマンションを占有又は所有していると解されますので、民法七百十七条第一項に基づいて、損害賠償責任を負う可能性、これはございます。ですが、現区分所有者は、御指摘の外壁タイルの落下による負傷者の損害の原因について建設業者に責任がある、こういう場合には、同条の第三項に基づきまして、建設業者に対して求償権、これを行使することができるものと考えているところでございます。
続いて、そもそも、損害賠償請求権、これが自動的に譲渡されるといったようなことの御提案といいますか、御指摘をいただきました。この点についてでございます。
まず、分譲業者から購入したマンションの共用部分に瑕疵があった場合、これは何度か御答弁させていただいておるところではありますが、これは契約内容に不適合であるということで、売買契約の契約不適合責任に基づきまして、分譲事業者に対して、その瑕疵を修補するために必要な費用相当額の損害賠償請求権、これを有しているところであります。
御指摘のような損害賠償請求権、これは売主である分譲業者と買主である区分所有者との間の契約関係で、買主が取得する損害賠償請求権でありまして……
○井上委員長 時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○内野政府参考人 区分所有権や共用部分に関する持分権とは別の債権でございます。
こういったところからいたしますと、区分所有者の意思にかかわらず、この処分や移転を一律に強制する特別の規律を設けることは、やはり財産権の保障等の観点から特に慎重な検討が必要であり、これを正当化することは困難であると考えられます。
仮にこういうことを設けますと、共用部分に瑕疵があった場合に、ひとまず管理組合において修繕を行うところも多いところ、修繕費用を負担した旧区分所有者から新区分所有者に対し当該損害賠償請求権が移転してしまって、修繕費用を負担した旧区分所有者が損害賠償金からの回収ができないという、著しく不合理な事態が生じかねないということでございます。
したがいまして、このような規律を設けることはしていないというところでございます。
○たがや委員 ありがとうございます。
時間が来たので、終わります。
○井上委員長 次に、堀川あきこ君。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
今日はトラック運転手の働き方について質問をしたいと思います。
政府は、いわゆる物流の二〇二四年問題への対応として、二〇二三年、物流革新政策パッケージ、物流革新緊急パッケージ、そして昨年の通常国会での物流効率化法などの改正、昨年四月一日に施行されました改正改善基準告示、そして標準的な運賃の平均八%の引上げ等に取り組んできたということです。これらの取組は、元々トラックドライバーの過労死をなくすというところに最大の目的があるというふうに認識をしています。
ところが、トラックドライバーの過労死は、二〇二三年度も全産業の中でトップであるということなんです。資料の一にお示しをしているんですけれども、赤枠で囲った部分です。道路貨物運送業は、左の表で脳・心臓疾患の労災の請求件数が百七十一件となっておりまして、そして右の表では支給決定件数が六十六件と、いずれもトップで、これは十五年間連続で一位というふうなことになっているわけです。
トラック運転手の働き方は果たして改善されているのか、大臣の認識を最初に伺いたいというふうに思います。取り組んでこられたことはもう重々承知しておりますので、働き方が変わっているのかどうか、認識を聞かせてください。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
働き方ということで、賃金、処遇等、働き方が改善されているのかどうかということでお答え申し上げます。
トラック運送業、委員もよく御承知のとおり、他の産業と比較して賃金が低い等、労働条件の改善というのは大変課題であります。その賃金の引上げの原資となる適正運賃を運送事業者が収受できる環境整備が重要でございます。
委員も御指摘の様々な取組を行ってきたところでございますが、トラックドライバーの賃金については、令和五年度の現金給与総額は前年度から横ばいでございます。現在、政府全体で賃上げ支援を強力に推進をするとともに、構造的な価格転嫁の実現に鋭意取り組んでおります。昨日、私からも直接、トラック業界に対して価格転嫁や賃上げについて要請を行ったところでございます。
労働時間ということも申し上げますと、令和五年度から令和六年度にかけて、トラックドライバーの労働時間は約二%減少をしておりますが、残念ながら、荷待ちの時間や荷役の時間の合計は、四年前と比較してほぼ横ばいというのが現状でございます。
この労働環境の改善には、荷主の理解と協力が不可欠だと考えております。引き続き、国土交通省として、標準的運賃の周知啓発や、トラック・物流Gメンによる荷主等への是正指導等に取り組むとともに、改正物流法は今月から施行となりましたので、これを活用して、荷主等による荷待ち時間の削減の取組等の運用をしっかり進めてまいりたいと考えております。
○堀川委員 トラックドライバーの過労死が減らないのは、その拘束時間の長さがまずあると思うんですけれども、その中でも、労働時間を休憩時間とみなすような不当な労働管理の実態もあるからだというふうに認識をしています。
最初に確認をしておきたいんですけれども、トラックドライバーが荷積みや荷降ろし前などに待機している時間、いわゆる荷待ち時間なんですけれども、このときドライバーは声がいつかかってもいいようにトラックに乗車したまま待機をしている状態です。労基法によりますと、休憩時間の定義は、労働者が休息のために労働から完全に解放されていることを保障されている時間というふうにありますので、当然この待機時間は休憩時間ではないというふうに考えますが、厚労省、いかがでしょうか。
○尾田政府参考人 お答えいたします。
労働基準法における労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たります。一方、休憩時間とは、委員が御説明いただいたとおり、単に作業に従事しない手待ち時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間のことをいいます。
トラック運転者が荷物の積卸しのために待機している時間は、指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されない状態にあることから、通常はいわゆる手待ち時間として労働時間に当たるものと考えられます。そのため、一般的には、荷物の積卸しのための待機時間を休憩時間とみなすことはできないものと考えられます。
○堀川委員 ありがとうございます。
ただ、ところが、実際にはこの荷待ち時間を休憩時間としてカウントをしている実態があるんですね。
ちょっと済みません、質問の順番を変えさせていただいて、先に、トラックの運行記録に使用されているデジタルタコグラフ、通称デジタコについてお聞きをしたいと思います。
資料の二を御覧いただきたいんですけれども、これはあるトラック事業者が記録をした従業員ドライバーの運転日報です。表の左の方、左端から二列目のところ、作業欄、少し見にくいんですけれども、そこを見ると、出庫、荷積み、入庫が一回ずつあって、それ以外の部分は赤線を引いているんですが、全て休憩になっているんですね。ただ、実際には、このドライバーさんはホタテの運搬のために網走の漁港に行って、そこで十分な漁獲量がなかったから荷待ちの時間が発生をしているんです。そのホタテを積んで、今度は紋別まで運んで、そこで荷降ろしの時間もある。そして、これも休憩にされているわけなんですね。
トラックの労働組合の方からお話を伺いますと、この事業者のデジタコは、十分以上停車をすると自動的に休憩時間になるように設定をされているということなんです。このドライバーの方なんですけれども、こうした不当な労働時間の管理の下で過労死されているわけなんです。
これは一例ですけれども、昨日、国交省の方からレクを受けたときに、こういうふうに労働時間を休憩時間にされているようなケースが、ドライバーさんから直接国交省にも相談として届いているということでした。
大臣もこうした不適切な労働管理が行われているということについて認識されているというふうに思うんですけれども、ただ、これはちゃんとした実態調査をされていないんですね。過労死を本気でなくそうと思ったら、こうした実態、しっかり把握するべきと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 デジタル式運行記録計、いわゆるデジタコは、運転者の運転時間、走行距離、速度といった運行に関する詳細な記録を行うことができます。運送事業者において、勤務時間の適切な把握や運転者への安全指導などに活用いただいているところでございます。
委員の御指摘の、デジタコを悪用した違反行為について御質問がございました。国土交通省としましては、運送事業者に対しまして監査を行っております。こうした監査などを通じまして、委員御指摘のような違反行為が明らかとなった場合には、厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
○堀川委員 これは監査ではなかなか見抜けないということも国交省はおっしゃっていました。一般的な対応ではなくならないから提案をさせていただいているんです。真摯に受け止めていただきたいと思います。
もう一つ、労働基準監督署の対応についてもただしたいと思います。
この運転日報のように、荷待ち時間を休憩時間にされているにもかかわらず、資料の右下を見ていただけたら分かるんですけれども、労働基準監督署の判こが押されていまして、この運転日報が受理されているんですね。あくまで一例なんですが、荷待ち時間を休憩時間にされていることを見逃していないかどうか、この労働基準監督署の点検の仕方、改善が必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
労働基準監督署の監督指導におきましては、デジタルタコグラフ等の客観的な資料を確認するほか、必要に応じまして事業主や労働者から聞き取りを行うなど、丁寧に拘束時間や労働時間などを確認いたしまして、法令違反が認められた場合は、その是正を指導しているところでございます。
仮に、労働時間等の記録が適切でない場合は、その適正な把握について指導するとともに、監督指導時に、虚偽の記録や書類を提出するなどの重大、悪質な事案に対しまして送検を行うなど、厳正に対応しておるところでございます。
厚生労働省としましては、こうした監督指導等を通じまして、トラック運転手の労働環境の改善に努めてまいりたいと思います。
○堀川委員 こちらも厳正な対処とおっしゃるんですけれども、一般的な対応ではこれを見抜けないことになっていると思うんです。しっかりした対応をお願いをしたいと思います。
トラックドライバーの働き方、一連の取組は、やはりまだまだ不十分だと言わざるを得ないと思います。働く人の尊厳と人間らしい働き方のために、引き続きこの問題を取り上げていくということを申し上げまして、質問を終わります。
○井上委員長 次回は、来る十一日金曜日午後零時十五分理事会、午後零時二十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時三十一分散会