第16号 令和7年5月21日(水曜日)
令和七年五月二十一日(水曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 井上 貴博君
理事 勝俣 孝明君 理事 加藤 鮎子君
理事 中谷 真一君 理事 城井 崇君
理事 神津たけし君 理事 森山 浩行君
理事 奥下 剛光君 理事 西岡 秀子君
石橋林太郎君 大西 洋平君
梶山 弘志君 加藤 竜祥君
金子 恭之君 工藤 彰三君
国定 勇人君 小寺 裕雄君
小森 卓郎君 島田 智明君
高見 康裕君 田所 嘉徳君
谷 公一君 土屋 品子君
西田 昭二君 三反園 訓君
阿久津幸彦君 阿部祐美子君
尾辻かな子君 小宮山泰子君
下条 みつ君 白石 洋一君
津村 啓介君 長友よしひろ君
伴野 豊君 松田 功君
馬淵 澄夫君 谷田川 元君
阿部 弘樹君 井上 英孝君
徳安 淳子君 鳩山紀一郎君
古川 元久君 赤羽 一嘉君
中川 康洋君 たがや 亮君
堀川あきこ君 福島 伸享君
…………………………………
国土交通大臣 中野 洋昌君
国土交通副大臣 古川 康君
防衛副大臣 本田 太郎君
国土交通大臣政務官 高見 康裕君
国土交通大臣政務官 吉井 章君
国土交通大臣政務官 国定 勇人君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 松田 哲也君
政府参考人
(外務省大臣官房審議官) 熊谷 直樹君
政府参考人
(国土交通省大臣官房長) 村田 茂樹君
政府参考人
(国土交通省航空局長) 平岡 成哲君
政府参考人
(国土交通省航空局交通管制部長) 石崎 憲寛君
政府参考人
(観光庁次長) 平嶋 隆司君
政府参考人
(運輸安全委員会事務局長) 藤原威一郎君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
国土交通委員会専門員 國廣 勇人君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
辞任 補欠選任
金子 恭之君 島田 智明君
谷田川 元君 阿部祐美子君
同日
辞任 補欠選任
島田 智明君 金子 恭之君
阿部祐美子君 谷田川 元君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
航空法等の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)
――――◇―――――
○井上委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、航空法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、国土交通省大臣官房長村田茂樹君外七名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 これより質疑に入ります。
質疑の申出がありますので、順次これを許します。小寺裕雄君。
○小寺委員 おはようございます。待ちに待った航空法の質問ということで、よろしくお願い申し上げます。
令和六年の一月二日の午後五時四十七分頃、羽田空港のC滑走路上において、新千歳空港発羽田行きの日本航空五一六便と、その前日に発災した能登半島地震による被災地への支援物資の輸送のために離陸準備中であった海上保安庁所属JA七二二A機が衝突し、日本航空機側乗員及び乗客三百七十九名のうち十七名が負傷を負い、海上保安庁機側乗組員六名のうち一名が負傷、五名が亡くなるという事故が発生いたしました。
前日の元旦に能登半島に甚大な被害をもたらした地震に対する恐怖によって、日本全体が沈痛な状況にある中で起きた事故でありました。また、事故を起こしたのが被災地へ支援物資を運ぶ飛行機であったことに、大変大きな衝撃を受けたところであります。ここに改めて、お亡くなりになった皆様とその御家族に対して、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
また、JAL機側では、僅かな時間の間に全員が、パニックを起こすことなく冷静に、無事に避難できたことで、世界中から日本の奇跡という称賛を浴びたことも記憶に新しいところであります。
羽田空港で起きた今回の事故の原因はどこにあったのか、なぜ事故が起きたのかといった点については、現在も運輸安全委員会で調査中ということでありますので、私からの今回の質問では控えさせていただきたいと思いますが、今回の事故の要因の一つが、海上保安庁機の滑走路への誤進入によって起きたということは、昨年末に公表された、その委員会の中間報告の中でも触れられており、いわゆるヒューマンエラーによって事故が起きたということは明らかであります。
そこで、過去の航空事故の現状について少し調べてみたところ、実は、航空機による事故は、私が想像しているよりもはるかに多いものでした。この十年を取っても、多い年では平成二十七年の二十七件、最も少ない年では令和三年の十一件ということで、平均すると毎年十件から二十件程度の航空事故というものは起きているわけであります。
ただし、航空事故といっても、航空機には、大型機から小型機まで、またヘリコプターやグライダーまで、大小様々ございますので、実際は事故の大半が、そうした大型機以外の事故が占めています。とはいえ、大型機に事故が全くないわけではありません。大型機の場合は、一旦事故が起きると多くの人命に関わります。
また、事故にはつながらなかったものの、日常的に機長が、航行中にほかの航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認められるような事態や、その他、事故が発生するおそれがあるという事態であります航空重大インシデントというものが、実は毎年相当数発生しています。過去十年を調べてみても、多い年で十七件、少ない年でも九件ありました。やはり毎年十件から二十件で推移しております。
そのうち、他の航空機が使用中の滑走路への進入や、航空管制官の指示又は意図に反して滑走路に進入して離陸、着陸をしようとする滑走路誤進入事案に限って調べてみると、多い年では七件も発生をしており、いわば大変危ない状況にあると言えるわけであります。
そこで、国土交通省では、今回の事故発生後間もなく、有識者及び関係団体から構成される羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会を設置されて、滑走路上における航空機等の衝突防止のために、安全、安心対策について、ハード、ソフト両面から検討をされ、令和六年六月には中間報告を取りまとめて公表されたものというふうに承知をしております。
そこで、今回の羽田空港における航空機衝突事故を踏まえて、安全対策の更なる強化が必要であるというふうに当然考えるわけでありますけれども、どのような安全対策を講じようと考えているのか、そしてまた、これまでの進捗状況はどうなっているのかといったことも、古川副大臣にお願いしたいと思います。
○古川副大臣 小寺裕雄議員の御質問にお答え申し上げます。
まず、今回の航空機事故を踏まえた安全対策について、どのような対策を講じようとしているのかというお尋ねでございますが、国土交通省におきましては、昨年の六月に公表されました羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の中間取りまとめに基づきまして、滑走路誤進入の多くの原因であるヒューマンエラーの防止、ヒューマンエラーが事故につながらないようにするための注意喚起システムの強化、最後の安全のとりでである管制官の体制強化などの五つの柱から成る、ハード、ソフト両面の安全、安心対策を推進しているところでございます。
また、これまでの進捗状況はどのようになっているのかというお尋ねでございますが、具体的には、これまで、昨年十月末から管制官に対する注意喚起システムのアラート機能の強化を図りました。また、パイロットなどへの注意喚起システムであります滑走路状態表示灯の導入の拡大に向けまして、昨年十月に羽田空港C滑走路において工事に着手をいたしたところでございます。また、今年度から、主要空港において、離着陸調整担当の管制官を新たに五十二名配置をするなどの取組を行ってまいりました。
国土交通省といたしましては、関係者と一丸となりまして、航空の安全、安心の確保に向け、引き続き着実に取り組んでまいります。
○小寺委員 ありがとうございます。
五つの柱ということで、今るる御説明をいただいたところでありますけれども、じゃ、今、五つの柱で、御説明いただいて、お取組を進めていただいている中で、そうした安全対策のうち、今回の法案で措置しようということになっている対策にはどのようなものがあるのか、お尋ねしたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
先ほど副大臣の方から答弁させていただきましたとおり、五つの柱から成る安全、安心対策のうち、滑走路誤進入に係る注意喚起システムの強化、管制業務の実施体制の強化など、予算や定員で措置できる内容については順次進めてまいったところでございます。
本法案におきましては、中間取りまとめにおいて提言された対策のうち、制度的手当てが必要となるもの、これにつきまして規定をしているところでございます。
具体的には、第一に、空港設置者が遵守すべき機能確保基準に、滑走路誤進入防止措置に関する事項を追加いたしまして、空港における航空機や車両の滑走路誤進入を防止するための安全対策の強化を図ることとするとともに、第二に、パイロットのヒューマンエラーの未然防止を図るため、パイロットに対し、頻繁に離着陸が行われる空港等において離着陸する場合などにあっては、事前にコミュニケーション能力やタスク管理能力を向上させるための訓練を修了しておくことを義務づけることとしているところでございます。
○小寺委員 ありがとうございました。
大きく分けると、滑走路上の安全をどう確保していくのかといったことと、今、後半お話しいただいた、いわゆるパイロットたちがヒューマンエラー、もちろん管制も含めてですけれども、起こさないようにしっかり訓練するということに分けられるのではないかというふうに承りました。
それでは、滑走路上の安全を確保するということは、私自身は滑走路への誤進入を防ぐということにあると思うわけですが、具体的にはどのような対策を施されるのでしょうか。お尋ねしたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
先ほど答弁させていただいたとおり、今般の法改正により、空港設置者が遵守すべき機能確保基準に、滑走路誤進入防止措置に関する事項を追加し、空港における航空機や車両の滑走路誤進入を防止するための安全対策の強化を図ることとしております。
具体的には、今後、この規定に基づきまして、空港設置者におきまして、主要空港における管制官や航空運送事業者等の関係者の密な連携の下、現場での安全対策を検討、実施、評価する役割を担う滑走路安全チームの設置、滑走路状態表示灯などの適切な運用の確保、滑走路進入車両に対する位置情報等送信機の搭載、国によるグランドハンドリング事業者に対する事故等の調査への協力といった滑走路の安全対策が講じられるよう、省令等において措置してまいりたいと考えております。
○小寺委員 ありがとうございます。
では、続けまして、もう一点、いわゆるヒューマンエラーを起こさないための訓練ということですけれども、いわゆるCRM訓練というんですか、クルー・リソース・マネジメント訓練というふうに言われておりますけれども、これは具体的にどういう訓練になるのか、お尋ねしたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
今般、パイロットに対して義務づけますCRM訓練でございますけれども、パイロットのヒューマンエラーの未然防止を図るため、パイロット間のコミュニケーション能力やタスク管理能力などを向上させるために有効な訓練となっております。
現在、エアラインに対しましては、既にCRM訓練を義務づけているところでございます。今般、法改正によりまして、エアライン以外のパイロットに対しても義務づけることとするものでございます。
CRM訓練の具体的な内容といたしましては、パイロットに、なぜヒューマンエラーが発生するのか、過去、実際に発生したヒューマンエラー事例にどのように対処すべきであったか、これを学んでいただき、その上で、ロールプレーイングにより実践的に、学んだことの定着を図るといったようなことを想定しているところでございます。
国土交通省といたしましては、こうした措置を通じてヒューマンエラーを防止し、先般のような事故を再発させないよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。
○小寺委員 ありがとうございました。
これで、この法案の概要、それから、取り組む五つの方針であったり、具体的な、ハード面、ソフト面、両面における、今回の法改正における安全性の向上のための取組がなされたところであります。
改めて中間報告を見てみると、事故は三つの要因が重なったことが原因であるというふうに書いてありました。
一つは、海保機が管制塔から、滑走路手前までの移動というふうに許可をされていたにもかかわらず、滑走路の中まで許可が出ていると勘違いして入ったことがあります。
二つ目は、管制塔側は、その手前で止まれと言ったのに、滑走路の中に入ったということを認識をしていなかったということ。
そして三つ目は、いわゆるJAL機側が、海保機が滑走路上に停止をしているということに気がつかなかった。
特に三つ目については、管制塔はJAL機に着陸許可を出していたということにもかかわらず、滑走路上に海保機が止まっているじゃないかということに気がつけば事故は防げたわけですけれども、結果的には、そうした幾つものミスが偶然重なったことによって事故は起きたわけであります。
冒頭にも、最終報告書が出ていませんので、軽々にいいかげんなことは申し上げられませんけれども、今、CRM訓練もしていただくわけですけれども、やはりどうしても、そうしたミスというのは起きるわけでありまして、私自身は、やはり技術の革新によって、それを補っていくべきではないのかなというふうなことを思っています。
本来は、ここからいろいろお話ししたいことがあったんですが、残念ながら質問時間が参りましたので、ここで終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○井上委員長 次に、伴野豊君。
○伴野委員 おはようございます。立憲民主党の伴野豊でございます。
本日も質問の機会をいただきまして、委員長さんを始め与野党理事、委員の皆様方、御理解いただいたことに深く感謝を申し上げたいと思います。
与えられた時間が二十五分と限られておりますので、早速始めさせていただきたいと思います。
幾つかお聞きしたいところでございますが、時間の制約上、先に私の方から申し上げてしまうことがあるかもしれませんが、その点で、もし私が述べたことで思い違いやあるいは理解違いがあれば、その都度、政府参考人の方も、あるいは大臣も、御指摘いただいた上で御回答いただければありがたいと思います。政治的判断が伴うものは大臣がお答えいただいて、事実関係につきましては政府参考人の方が、極力、端的に短くお答えいただくという条件でお願いしたいかと思います。
では、早速始めさせていただきたいと思います。
安全は輸送業務の最大の使命である、これは多分、我が国において輸送業務に携わっている方が、朝夕あるいは夜、勤務に就かれる点呼のときに唱和をされているところもありますし、あるいは入社された時点で社員教育の最初にたたき込む唱和言葉だと私は理解をしております。やはり、ヒューマンエラーを考えていくときに、当たり前のことなんですが、声に出して自分自身に言い聞かせるというのは本当に大事なことでございまして、多分、大臣も御理解されているところでございますけれども。
今回の法案に関わる事案の事故が発生したのは、御存じのとおり、二〇二四年一月一日に能登半島地震が起きまして、十六時十分だったと思いますが、改めて被災地の皆さん方にお見舞い申し上げたいと思いますが、日本中が本当に能登は大丈夫だろうかと心配しているさなかに、その翌日、先ほどもお話ございましたように、そこへ支援をするという任務を携える中で、少し機材の関係で時間が遅くなり、多分、一刻も早く駆けつけたいと思われていた一月二日の十七時四十七分に、東京国際空港C滑走路上で起きたわけでございます。
ちょうどそのとき、私もこの委員会の野党筆頭理事をやっておりまして、委員長が長坂委員長だったと思います。すぐ連絡を取らせていただいて、地震もさることながら、この航空機事故、もう本当に背筋が寒くなる思いを、第一報を聞いたときは思ったものですから、委員会として何ができるのか協議をしたことを昨日のように覚えております。
そうした中で、先ほども、まだ全部原因究明ができていない、中間報告の中で軽々に結論づけるわけにはいきませんが、この中間報告の中で、事故発生に関与した要因として三つ挙げられています。
一つが、まさに先ほどからあった、滑走路に進入してしまった。二つ目は、停止していたことを認識していなかった、これは管制の方ですけれどもね。それから三つ目が、着陸する飛行機も直前まで認識できていなかったというのが、これが三つの要因として、それぞれそれに一つ一つ対応していくために今回の法案は出されたと承知しております。
最終的には、一次的な要因、二次的な要因、いろいろ明らかになっていくかと思いますが、今の時点で、この中間取りまとめを受けられて、大臣もいろいろ知恵を出していただいて今回の安全対策ができているかと思いますが、改めて、今の大臣の思いと、それから事故を撲滅していく決意をまず述べていただけませんか。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
運輸安全委員会の経過報告について、委員からも中身を述べていただきました。昨年十二月に公表された運輸安全委員会の経過報告、三点、三つの項目が示された。
中身そのものは委員からも御指摘ありましたので、私からは繰り返しませんけれども、私自身も、この経過報告を受けまして、また、昨年十二月に、羽田空港、いつも使っておりますけれども、羽田空港の管制、また実際の状況も含めて改めて現場も視察もさせていただきました。航空の安全、安心の確保の重要性、今までも様々取組はしてきたところでありますが、またこうした事故が起きたということで、改めて痛感をしているところであります。
このような事故を二度と起こさないという決意の下で、関係者と一丸となって、空の安全、安心の確保に向けて、今、様々な取組を行う法律を提出をさせていただいているわけでありますが、引き続き、これは着実に取組を進めてまいりたいということを改めて決意をさせていただきます。
○伴野委員 是非、強い強い決意で、徹底的にヒヤリ・ハットも含めて潰していっていただきたいと思います。それでも出てしまうのがヒューマンエラーだと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
今回も、一部報道にありましたように、交信記録が公開された四分二十五秒の間でも、管制官の方は七機を対応している。これはもう本当に、人間の能力を超え出しているんじゃないかと想像するわけでございますけれども、今回も、そうした中で様々な対応をされて、管制官の人的体制の強化、拡充として、主要五空港における空港管制官の緊急増員、あるいは航空保安大学校の採用枠の拡充、さらには、離着陸調整担当の新設というのが今回も挙げられておりますし、認識をしておりますけれども、この対応等々は、ほぼ計画どおり進んでいるという解釈でよろしいですか。
○平岡政府参考人 先ほど委員の方から御指摘がございました、管制官の体制の強化であるとか、あるいは定員の増加、それから航空保安大学校の定員の引上げにつきましては、順次予定どおり進めさせていただいているところでございます。
それに加えまして、管制官の疲労管理システム、これを更に高度化していこうということで、検討会を開いて、その検討会から、先日、三月に中間取りまとめがなされたところでございます。
従来のやり方よりも、もっと勤務実態を正確に把握するような形で勤務管理、疲労管理をやっていこうということで、最終的には、現場職員の声も踏まえまして、疲労管理システムのプログラム改修などを行い、令和八年度にそうしたシステムの高度化というのをやるべく、今進めているところでございます。
○伴野委員 今、二問目でお聞きしようかというところまで入っていただきまして、ありがとうございます、進行に御協力いただきまして。
ただ、たしか、今おっしゃった航空管制官の疲労管理の導入というのは、二〇二〇年十一月までの導入と公表された時期があったと思いますが、是非前倒しでどんどん進めていただいて、さらには、たしか自発報告制度というのはパイロットの方にあったと思いますが、パイロットの方だけではなくて管制官の気づきというのも日頃から吸い上げていただくような、そういう仕組みも是非考えていただいた方が、いろいろな方のヒヤリ・ハットを集めていただいて、分析して対応する、こういうことを是非やっていただければありがたいかと思います。
それから、今先走って言っていただいた航空管制官の疲労管理の導入、これは、ちょっとのんびりしていないですかという感じがしますので、どんどんどんどん進めていっていただければありがたいかと思います。
それで、次に申し上げたいのは、今回のいわゆる滑走路誤進入というのは、平成十九年ぐらいに多発していて、そして平成二十年ぐらいにも何か報告書が出ていたやに記憶しているんですけれども、一部指摘には、そのときにもっとやることがあったんじゃないかという指摘もあったり、たらればになっちゃうんですが、今回CRMの義務化というのもあったんですが、そのときに全面義務化に踏み込んでいればというふうに思わざるを得ないところもありますけれども、そうした御指摘に対しては、まあ、それはどんどんやっていただいているんだと思いますが、あの時点でもっとやっておけばという御指摘に対してはどうお答えになりますか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
国土交通省では、平成十九年当時に滑走路誤進入事案が相次いだことを踏まえまして、航空局と航空事業者等による検討会議を設置し、平成二十年三月に対策を取りまとめました。
この取りまとめに基づき、これまでも、管制交信に係るマニュアルの作成など、パイロットと管制官のコミュニケーションのそごの防止、滑走路の誤進入をレーダーで監視し注意喚起表示を行う、管制官の視覚的な支援システムの整備、事故やトラブルにつながるリスクをPDCAサイクルで事前予防する安全管理システム、SMSと呼んでおります、これの推進などの対策を行い、誤進入事案の未然防止に取り組んできたところであります。
平成二十六年には、更に安全対策を強化するために、ICAO条約の附属書に基づき、共通のKPIの下に、航空局の安全部局が管制部局による安全管理システムの実施状況を監督する仕組みを導入したほか、有識者による常設の委員会の下で、事故やトラブルにつながる安全情報の収集、分析、評価などを行い、対策につなげる取組を推進してまいりました。
これらの対策は、いずれも一定の有効性があったものというふうに考えておりますけれども、今般の羽田での事故を含めて、滑走路誤進入事案の根絶に至っていないということも事実でございます。
国土交通省では、昨年六月に公表された羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の中間取りまとめを踏まえ、更なる安全、安心対策を着実に推進してまいりたいと考えております。
○伴野委員 鋭意取り組んでくださっているというのは分かりますが、私はやはり、最終的に最終チェックを人間がした段階で何かの動作とともに物理的な解除を外さない限りは進入できない、そういうシステムを日本が先んじて構築することが必要じゃないかと考えております。ICAOの関係もあると思いますが、是非とも、そこも考えていただければありがたいと思います。
そういった中で、これも一つの物理的な方法かもしれませんが、RWSL、滑走路状態表示灯ですけれども、これも増設するなりの検討をされていますが、滑走路を生かしながらやっていただくわけですから、多分、設置するにも限られた時間の中で数をこなしていかなきゃいけないということになって大変だと思います。この辺りの推進状況と、施工の在り方もいろいろ工夫されていいんじゃないかと思いますが、いかがですか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
RWSLの増設につきましては、事故の起きましたC滑走路から、まず昨年の十月から工事に着手をしているところでございます。その他の空港につきましても、今、順次設計を進めまして、準備ができたところから工事に入らせていただきたいというふうに考えております。
ただ一方で、システムの製造の部分が多少時間がかかってしまうということもございますし、委員が御指摘のとおり、羽田空港は二十四時間空港、あるいは、ほかの空港も、二十四時間運用している空港もございます。こうした空港では、工事の時間をどうやって確保するかというところも工夫が要るところでございます。
現場でも様々な工夫をしながら、着実に整備が進められるように努力していきたいというふうに思っております。
○伴野委員 人の連携という点では、滑走路安全チームというのも重要かと思いますが、ここに込める大臣の思い、語っていただけませんか。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
今回、法改正の中では、滑走路の安全に関係する関係者の役割や実施すべき取組等を総合的に取りまとめた滑走路の安全行動計画というのを国で策定をいたします。そして、関係者間の連携した取組の必要性が高い主要空港においては、委員が御指摘のまさに滑走路安全チームを設置をして、安全対策を推進をする。
私は、このチームにおきましてやはり様々な、現場で委員もいろいろなヒヤリ・ハットが起こるという御指摘もありました、こうした情報の収集、そして滑走路の誤進入防止のための具体的な方策の検討、そしてそれを評価し、また見直しをしていく。これがまさにこのチームにおいてなされる中で、それぞれの空港で効果的な安全対策が講じられていくことになると思いますし、また、各空港での安全対策、そして実施された対策、これは必要に応じて横展開をしていく。国土交通省が関係基準や滑走路の安全行動計画に反映をしていく。こういう、チームの中でまさに様々な対策をやっていただき、それを横展開をしていくという中で安全を確保していきたいと思います。
今後、運輸安全委員会の事故調査報告が公表されるという際には、また更にその内容も踏まえて必要な対策もしっかり講じてまいりたいというふうに思います。
○伴野委員 是非、徹底的にやっていただければありがたいかと思います。
では、質問の進行に御協力いただいていますので、次に行かせていただきたいと思いますけれども。
少し視点を変えて、今、構造物の老朽劣化ということを考えている中で、空港はどうなのかなと。多分、私もどちらかというと勘違いしていたところがあるんですが、空港の土木施設等々は、空港自体が新しく設置されたというところが多いので比較的新しいものが多いのかなと思って見ておりましたが、そうでもない。ちょっと、チコちゃんの何とかじゃないですけれども、まず、空港の構造物で、今最も古い構造物とされているものは何がありますか、政府参考人。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
委員御質問の空港で最も古い構造物につきましては、戦前に造られた空港もございまして、古い記録が残っていないという状況でございまして、一概に回答するのが難しい状況ではございます。
ただ、一般的に申し上げますと、空港の構造物の中では、滑走路、誘導路、エプロンなどの基本施設につきましては、一定期間経過後、健全度を確認の上、舗装の打ち替え等により更新を行ってきているところでございます。一方、地下構造物である排水施設、それから埋立地や盛土用地の護岸などにつきましては、修繕しながら長期間使用していることから、比較的古い構造物が残っているというふうに考えられます。
例えばでございますけれども、羽田空港では、施設台帳等で確認できる範囲におきまして、昭和三十四年に設置された空港北側に設置している護岸、それから昭和五十一年に設置されたN2誘導路に設置している排水施設というようなものがございます。
○伴野委員 お答えありがとうございます。
そうした目で国交省さんの社会資本整備政策課さんが作られた資料を見てみますと、やはり空港の土木施設というのも、点検すべき空港が八十空港ありまして、対策をしなきゃいけない空港は九空港あるという表がありました。
御案内のように、空港の土木施設というのは、滑走路、着陸帯、誘導路、エプロンというところで構成されているわけですが、この中で一番何かあって一番つらい状態になってしまうのは、私は滑走路だろうと思っています。
今、道路の陥没等々がいろいろ議論されているところでございますが、滑走路ですと、道路帯だったらいいというわけじゃありませんが、多分、ちょっとした変異で着陸される飛行機にとっては致命的なことになる可能性がある。
そういう目で見ますと、この滑走路の下に何か潜んでいないのかというような感じで見ますと、排水路なんかがあるんですよね。共同溝なんかはやはりちょっと考えていて、直角ではなくて並行に埋設されたりして多少考えてあるんです。だけれども、排水路というのがひょっとしたら致命的になるかもしれませんが、この辺りの対策というのはもう既に何かされているということでよろしいでしょうか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
空港につきましては、供用後五十年以上経過する空港の割合は、二〇二四年時点で約四八%でございますけれども、二〇四四年には約七九%となる見込みとなっているなど、委員御指摘のとおり、航空機の運航の安全を確保するため、空港インフラの老朽化対策は重要な課題というふうに認識しております。
空港インフラの老朽化対策につきましては、空港内の施設の維持管理指針に基づきまして、空港ごとに維持管理・更新計画を策定し、定期的な点検、診断や更新、改良を行うことで、施設の破損、故障等を未然に防ぐ予防保全型インフラメンテナンスを推進しているところでございます。
また、これまで防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に空港の老朽化対策を位置づけまして取組を実施してきておりますが、次期国土強靱化実施中期計画におきましても必要な施策を盛り込むべく、調整を進めてまいりたいというふうに考えております。
今後とも、引き続き、空港インフラの適切な維持管理、更新に必要な予算をしっかりと確保いたしまして、航空機の運航の安全に万全を期してまいりたいと考えております。
○伴野委員 また、関空なんかは施工当初から不等沈下があって、大変な維持管理をされていると承知しています。ですから、大丈夫だということも思いたいという気持ちもないわけじゃないですが、とことん、何か起きたら甚大な被害が起きるという点でチェックしていただいて、優先順位を決めて対応していただければありがたいかと思います。
残りあと五分になってしまいましたので、ちょっとまとめて質問してしまいます。
二〇三〇年訪日外国人六千万人ということで、私も観光立国推進基本法を作らせていただいたとき、二〇〇六年に議員立法をさせていただいたんですが、当時、与党の筆頭は山本公一先生でした。私が野党の筆頭をやっておりまして、筆頭業務の大変さ、そしてイロハを教えていただいたのを思い出しておりますけれども。
そうした中では、是非とも一つの目標を立てて頑張っていただきたいと思いますが、一つのキャパとして本当に大丈夫なのかというようなお話やら、そろそろ移動の在り方というのも、訪日外国人が六千万人になる社会がどうなるのか。先ほど大臣も、空港のところをお使いになって見ていらっしゃると。例えば、主要駅なんかも一回、一日立っていろというのはちょっと酷かもしれませんが、流動を見ていらっしゃるといろいろなヒントもというのと、あと、まさに駅の中にヒヤリ・ハットがあるというようなことが起きていると思います。
それが六千万人になるわけですからね。最近は、外国人の方の運転の逆行なんかもある。だから、いろいろなことを考えて、六千万人外国人がいらっしゃる社会がどうなるかということで、もう今から手を打っていかなきゃ、これは五年後、場合によっては早く達成されるかもしれませんので、こうしたところの対応もしっかりやっていただければありがたいと思います。
最後に、私も地元ネタを少しやらないとということでちょっとお伺いしたいんですが、中部国際空港、主要八空港の中で唯一一本、現行一本の状態だと承知しております。期成同盟会等々なんかはあって、早くいわゆる二本、双方使える滑走路、代替滑走路ではない滑走路を目指していたと思います。
ここへ来て、たしか滑走路も修繕の在り方を考えると十五年から二十五年の間ぐらいでやると、今回、中部国際空港は二十年ですから、ちょうどいい修繕ということで、今回、代替滑走路事業をやっていただいていると思うんですが、これを今後、地元の期待の将来計画、以前あった本格的二本運航というのを目指していくのに何がまだ不足していると大臣はお考えですか。教えてください。
○中野国務大臣 中部国際空港についてのお尋ねでございます。
今、代替滑走路事業をさせていただいております。これは、現滑走路の大規模補修時において継続的な運用を可能とする、あるいは完全二十四時間運用を実現する等を目的として実現をしておりまして、令和三年に御地元で、御指摘の代替滑走路整備後の第二段階として、将来構想として、空港の沖合での滑走路整備、将来構想の中にこれが記載をされているということは私も承知をしております。
この実現に向けましては、航空需要の回復と更なる増大を含めて、事業の必要性、費用対効果等についての十分な検討や関係者の合意形成が必要と考えておりますが、国土交通省としては、こうした将来的な考え方も含め、御地元から具体的な御意見もお伺いをしながら、航空需要の回復、増大に向けた利用促進の取組を後押しをするなど、御地元としっかり連携をしてまいりたいというふうに考えております。
○伴野委員 時間が来ておりますので、最後に、大臣も、お若いといえども相当激務が続いているんじゃないかと思います。お互い健康第一で頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○井上委員長 次に、津村啓介君。
○津村委員 羽田新ルートの現状と課題について伺ってまいります。その上で、今回の航空法改正の意味を皆さんとともに考えさせていただきたいと考えております。
今から五年前、二〇二〇年の三月二十九日から羽田新ルートの運用が開始されました。羽田空港のA滑走路、C滑走路への着陸ルートでございますが、当時、品川区、港区、渋谷区の自治体、議会などから様々な懸念について決議や意見書、要望書といったものが寄せられたという事実がございます。一つは落下物などの安全対策、二つ目には騒音対策、そしてその他として不動産価格への影響など、かなり多岐にわたる懸念が示されたわけであります。
ただ、当時は、五年前でございます、五年前の三月ですので、いわゆるコロナ禍の始まった時期に当たりまして、それから数年間、航空需要はかなり落ち込んだこともあって、新ルートの運用という意味では、ようやくこの数年、かなり本格的になってきたのかなと。そういった意味で、今こそこの新ルートの運用状況をしっかり再確認し、検証していきたい。折しも、来月、六月には四年ぶりの東京都議会議員選挙もございます。しっかりとファクトに基づいた建設的な議論が行われていくことを祈念するものであります。
最初にまず伺わせていただきますのは、落下物などの安全対策でございます。
羽田新ルートの運用開始以降の五年間、日本国内主要七空港の部品欠落の件数というものが毎年公表されておりまして、大体毎年九百件から千二百件。そのうち十グラム未満というのが七〇%から八〇%ということではありますが、一キログラム以上の落下物というか部品欠落件数というものが毎年七件から八件報告されています。五百グラム以上、二百グラム以上というものも数多く報告をされておりまして、空から二百グラムだったり一キロだったりという落下物が落ちてきたらどんなことになるのかと想像すると、大変恐ろしいことでありますけれども。
これは七空港合わせた数字しか公表されていません。羽田空港に限った数字は公表されていないということですが、七空港合わせたものがカウントできているわけですから、当然、羽田空港を切り出すことができると思います。この五年間の羽田空港に限った部品欠落件数を公開してください。
○中野国務大臣 津村委員にお答えを申し上げます。
国際定期便の就航数が多い主要七空港、御指摘いただきました、到着後の航空機の機体チェックの際に航空機の部品がなくなっていることが確認された場合に、外国航空会社を含む全ての運航者からその旨の報告を求めているところでございます。
到着後の機体チェック時に各空港において確認された部品欠落は、それが当該空港周辺で発生しているということを意味するものではありませんが、羽田空港におきましては、令和二年度は四百六十八個、令和三年度は五百三十個、令和四年度は四百十八個、令和五年度は五百八十個、令和六年度は上半期までで二百六十六個の報告がなされております。
この報告を踏まえまして、報告件数の定期的な公表や原因究明、再発防止、情報の共有等の取組を継続的に実施をするなど、官民が連携をして部品欠落による落下物防止対策を行っているところでございます。
国土交通省としては、引き続き、落下物対策総合パッケージの不断の見直しと強化を図るとともに、パッケージに盛り込まれた対策を関係者とともに着実かつ強力に実施をしてまいりたいと思います。
○津村委員 ありがとうございました。
初めて数字を伺ったんですけれども、七空港の合計が千個前後で推移している中で、五百とか六百とか、昨年の上半期だけで二百六十とか、非常に羽田空港の、落下と言っちゃいけませんね、部品欠落の件数が突出していることを今始めて承知したところでございます。
人口の過密度を考えるとゆゆしきことだと思いますので、是非対策を講じていただきたいというふうに指摘させていただきます。
その上で問いを進めますが、羽田の機能強化に当たって、騒音のテーマが大変大きくあるかと思います。
五年前の新ルート運用開始の段階で、着陸料体系を見直す、騒音が大きい飛行機と騒音が比較的少ない飛行機で着陸料に差をつけて、航空会社に早く低騒音機に移行することをインセンティブづけるという意味合いかと思いますが、この五年間で実際に低騒音機が増加しているのか、数字を教えてください。
○中野国務大臣 羽田空港の着陸料につきましては、御指摘のとおり、令和二年三月からの新飛行経路の運用開始に当たりまして、平成二十九年四月より航空機の重量と騒音の要素を組み合わせた料金体系に見直し、そしてさらに、令和二年一月より国際線の着陸料について高騒音機材の単価を引き上げているところでございます。
これらの取組によりまして、羽田空港に就航する低騒音機の割合は、新飛行経路運用開始前の一一%から、令和六年度上半期において約三四%と約三倍となっており、着実に低騒音機の導入が進んでおります。
また、大手国内航空会社においては、事業構造改革の一環として保有機材を見直し、高騒音機材でありますボーイングトリプルセブンを中心に退役をさせる計画を発表しているものと承知をしております。
国土交通省としては、引き続き、航空会社に対して低騒音機の使用を促進をすることで、経路下全体の騒音の低減を図ってまいりたいと思います。
○津村委員 ありがとうございます。
実は、羽田新ルートについて、昨年以降、国会での審議がほとんどなされておりませんで、委員の皆さんの関心が薄れているのではないかと私は危惧するものでございます。そういった意味で、是非皆さんにも関心を持っていただきたいんですが。
実は、院外といいますか、議連においては、今年の一月二十八日、超党派で各党の皆さんがお集まりになって、羽田低空飛行見直しのための議員連盟主催ということで、国交省へのヒアリングが実施をされております。固定化回避の技術的方策検討会の中身をヒアリングするというのが趣旨だったと思いますが、その中で、渋谷の空を守る会の須永代表という方が次のような御発言をされています。
従来飛行ルートを変えるときに、戻すときに、従来ルートに戻すときに、飛行機をいっぱいため込まなきゃいけない、これは上空で着陸待ちをする待機というのかホールディングというのか、そのことを指していらっしゃるわけですけれども、先ほど千葉の騒音の話がありましたけれども、房総半島の上にぐるぐるぐるぐる飛行機を待機させているんです、六時とか七時のときに、これが非常に危険であるということを我々は知っていますというふうに御指摘をされています。
そして、時を合わせて、二〇二〇年の十一月、これはコロナ禍で飛行機需要がどんと落ちた後、少しずつ回復するかどうかという時期だと思うんですが、二〇二〇年の十一月に後方乱気流区分の見直しということが行われています。
これは、飛行機が待機しているときに、次の飛行機との間をある程度距離を置かないと、三マイルとか五マイルとか距離を置かないと、乱気流で後続機が危ないということなわけですけれども、これの基準が緩和というのか、一マイル短くてもいいという基準に変更をされています。これ自体は国際基準に沿うものですので、それの当否をここでは問いませんが、やはりホールディングが増えて危ないということと平仄の合ったルール変更だなという印象もございます。
新ルートの切替えによってホールディング、上空待機ということが誘発されているのではございませんか。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
委員御指摘のホールディングは、航空機同士の安全な間隔を確保するための手法の一つとして一般的に用いられているものと承知をしております。また、ホールディングは、委員の御指摘のとおり、国際標準に準拠をし、あらかじめ定められ公示された位置、高度、方式により行われるものでございまして、安全性に問題があるものではございません。
なお、ホールディングは、風向きの変化による滑走路の切替えや滑走路の一時的な閉鎖、一時的な交通量の偏りなど、様々な場面で指示するものでございまして、新飛行経路の運用に特有のものではございません。
○津村委員 皆様にお配りした配付資料の一ページ、ちょっと小さな字で数字がたくさん並んでいるので分かりにくい部分があるかもしれませんが、新ルートの運航時間というのは十五時から十九時で、そのうち十五時から十六時、十八時から十九時の間に切り替えるわけですね。着陸の角度を切り替えるわけですから、当然、非常に危険を伴うデリケートな管制を行わなければいけない時間帯ということでございますが、管制官の皆さんの御努力で、今のところ事故は起きていないと承知しているんですけれども。
この一番右のところに、その切替えがあった日となかった日でどれだけ離発着の件数が変化しているかということを載せていただいております。これを見る限り、切替えに当たって一便、二便くらいしか変わっていないように見えるので、この離発着の切替えが、ある意味スムーズにいっていることを示すものだと理解していいのかと考えているんですが、他方、たくさんの便が離発着している状況でありますので、遅延が発生している可能性はあるのではないか。これは離発着の回数だけからは検証できないことでございますので、是非しっかりと確認をしていきたいというふうに思っているんですが、国土交通省として、遅延の状況というのを把握をされているのか。
遅延率というのを毎月航空会社から取り寄せてウォッチをされていると思うんですけれども、これは二つの質問をちょっとを合わせたような、ごめんなさい、通告でいうと問いの四と問いの五を合わせたような質問になっておりますけれども、この新飛行ルートの運用を行っていることによって、時間帯によって、例えば十五時台や十八時台に遅延率が上がっているのではないかということを確認したいと思います。今現在は時間ごとの遅延率というのは航空会社から聴取していないと仄聞しているんですが、そこはしっかり聴取して、時間別の分析を進めていただきたいと思いますけれども、大臣の見解を伺います。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
委員の示された資料のところは、離発着回数の実績値というところだと思いますけれども、まず、切替えの時間帯というか、先ほど、ホールディングが多いんじゃないかという御指摘がございました。ホールディングの指示自体が離発着回数の減少を引き起こすものではない、一般的な手法ではないかというふうに考えているということは改めて答弁はさせていただきますけれども。
遅延の状況についての御指摘もございました。国土交通省においては、本邦航空運航事業者の国内線につきましては、出発の予定時刻、到着の予定時刻に遅れた便数の割合、これは月次で集計をして、定時運航率として公表している。時間帯ごとの遅延状況については把握をしていないというのは、御指摘のとおりでございます。
航空便の遅延の抑制というのは重要な課題であるというふうに思っておりますので、定時性の向上に向けては、各航空会社において折り返し時間に余裕が持てるようにするなど、ダイヤ編成上の工夫が進められているというところと、国においても羽田空港における管制運用上の工夫を行うというところで遅延の抑制に努めているというところでございます。
遅延の要因につきましては、これは離発着空港における悪天候の影響でございますとか、あるいは機材の不具合、全国のいずれかの空港で発生した遅延の、後続便へ玉突き的な波及をするなど様々なものがありまして、必ずしも特定の要因に限定をされるものではございません。
国土交通省としては、こうした国内線の毎月の遅延状況について要因を分析をしているところでございまして、引き続き、こうした情報を活用して全体の傾向を分析をしながら、航空会社等の関係者と連携をして、定時性の向上というところに向けて適切に対応してまいりたいと思います。
○津村委員 ありがとうございます。
おっしゃるとおり、その日その日の遅延の理由としては、他の空港での遅延発生が玉突きでとか、天候の変化とか、様々あると思いますけれども、全体のトレンドを見る手法としては、中長期の時系列でそれを追うことによって平均的な時間ごとの空の状況ということをウォッチできるのではないかというふうに思います。
今日は航空局長も登録いただいたようですので、かなりこれは技術的な話ですので、航空局長に伺いたいと思います。
これは、毎月、遅延率を各航空会社からいただいているわけですので、それには当然ファクトというか個票があるわけですから、そこを毎時、時間ごとに改めて伺うということは恐らく技術的には難しいことではないと思いますし、決して、実際に何時に着陸しているというのは衆人環視で見ているわけですから、会社ごとの何か企業秘密でも何でもないと思うんです。ただ、それを取りまとめる手間を航空会社さんが今やってくださっているということですので、それをいただくということだけのことだと思うんですけれども。
この毎時ごとの分析ということを是非始めていただきたいんですが、いかがですか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
先ほど大臣から答弁させていただいたとおり、航空便の遅延の要因につきましては様々なものがございまして、その要因を特定のものに限定するというのが非常に難しいということにはなってございます。
ただ、国土交通省といたしましても、引き続き、遅延状況については全体的な傾向を分析するとともに、航空会社の事務的な負担も勘案しつつ、必要に応じて航空会社等への追加的なヒアリングも行うことも含めまして、定時性の向上による利用者利便の確保に向けて適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○津村委員 大臣の御負担を考えて局長に伺ったんですが、大臣と同じことを言われても困ります。私も細かく言ったじゃないですか、毎時ごとの個票はあるはずなので、それを航空会社に確認をして、毎時ごとの遅れの発生率と。
それからもう一つ、是非要望させていただきたいんですが、そもそもの離発着の時刻設定が、空港ごとによって、そして時間ごとによって異なると思うんです。例えば、東京から那覇、那覇から東京の時間も、全てが同じ三時間になっているわけではなくて、長く設定されたり短く設定されたり様々あると思うんですが、私が申し上げたいのは、今局長がおっしゃった個別の事情、個社の事情、あるいはその日その日の特殊な要因を統計的に処理するために、長期の時系列で傾向、トレンドをつかんでいただきたい、そういう話をしたんです。していただけるかどうかをお答えください。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
先生おっしゃられるとおり、遅延対策というふうなことを考える上で、長期的なトレンドというのを行政当局としても把握するということは重要なことであるというふうに認識しております。
ですので、そのような形で長期的にトレンド観察ができるかどうかというのは検討させていただきたいというふうに思います。
○津村委員 誠実な御答弁、ありがとうございます。具体的にどういうやり方を進めていくのか、また事務方の方とも御相談させてください。
次の御質問に移ります。
配付資料の二ページ目を御覧いただきますと、私がかねてから取り組んでおります米軍ヘリの低空飛行の問題、これがまさに五年ほど前から、より深刻さを増しているというふうに思っています。
と申しますのも、二〇二〇年、まさにコロナの年、新ルートが運航開始した年は、元々は東京オリンピックを行うという年で、だからこそ新ルートのニーズがあったという面もあったんだと思いますが、いずれにしましても、首都圏の航空需要が高まっていた時期に、この新ルートを設定したことによって特別管制空域というものが新たに設けられて、最低飛行高度も考えると、いわば普通の飛行機、飛行機といいますかヘリコプターや、目視で飛ぶ小型機においては、新宿あたりから羽田空港を結ぶ線は飛行不可能な、相当ハードルの高い地域になってしまっている。そして、それにもかかわらず、米軍ヘリだけはかなり自由に飛んでいるという状況がございます。
技術的なことを確認していきますが、ヘリコプターが都心上空を飛行するに当たりまして、航空法における特別管制空域や最低安全高度の制限が存在するわけですけれども、こうした制限を受けることなく飛行可能な範囲というのは、新ルートの動線上、どの程度あるのか。例えば新宿付近から南側のエリアの飛行可能範囲について、A滑走路、C滑走路、進入経路直下の住所も示して、その高度幅について示していただきたいと思います。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
お尋ねのございました新宿付近につきまして、新宿駅付近から原宿駅付近にかけまして、高度四百五十メートルから高度千三百五十メートル未満の範囲で特別管制空域を指定をしております。
この特別管制空域と、航空法八十一条に規定する最低安全高度の制限を受けずに飛行が可能な範囲についてお答えを申し上げますと、A滑走路着陸経路下におきましては、渋谷区本町四丁目以南のエリアのうち、渋谷区代々木五丁目付近から渋谷区神南二丁目付近までの幅約一・一キロの地域において、高度三百メートルから四百五十メートルまでの幅の空域のみで制限なく飛行可能でございます。
C滑走路着陸経路下におきましては、新宿区西新宿一丁目以南のエリアのうち、渋谷区千駄ケ谷四丁目付近から渋谷区神宮前三丁目までの幅約一・一キロの地域において、高度約三百メートルから四百五十メートルまでの幅の空域のみで制限なく飛行可能ということでございます。
○津村委員 ありがとうございます。
ここで、交通管制部長をお呼びしているんですけれども、伺わせていただきます。
この米軍の低空飛行の話というのは、いわゆる横田空域の返還問題に直結することでございますし、日米合同委員会にも関わってくるものでございます。従来、横田空域の全面返還というものを平成二十年までは航空局長が目指すというふうにおっしゃってきたものを、昨年、谷田川委員が確認をしましたが、平成二十年以降は全面返還という言葉が使われず、当該空域を一元的に管制できるようにするという文言に差し替わっております。
そのこと自体は今は問いませんけれども、政府として、横田飛行場等が在日米軍の我が国安全保障上有する重要性を踏まえつつ、当該空域を一元的に管制できるよう、関係省庁で協力し、米軍との調整に努力していくとの立場とあるんですが、米軍との調整に努力というのは、どういう場において、どなたが行っていらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○石崎政府参考人 お答え申し上げます。
いわゆる横田空域の返還につきましては、特に航空管制等の技術的な検討につきまして、日米合同委員会の枠組みであります民間航空分科会において議論されるものとなります。
以上でございます。
○津村委員 その民間航空分科会の出席者が石崎部長というふうに承知しております。
石崎さんは、この調整に努力ということをされているんですか。
○石崎政府参考人 お答え申し上げます。
政府の一員といたしまして、当該空域を一元的に管制できますよう、関係省庁と協力して努力しているというところでございます。
○津村委員 努力されているということは、日米合同委員会の分科会で何らかの交渉をされているという理解でよろしいですか。何にも発言をせずに、交渉しているとは言えないと思うんですが。
○石崎政府参考人 お答え申し上げます。
民間航空分科会において、いつ、どのような事項について調整を行ったかということにつきましては、米側との協議の内容を明らかにすることにつながるため、ここではお答えを差し控えさせていただきます。
ただ、政府の一員として、当該空域が一元的に管制できるよう、関係省庁と協力して努力しているというところでございます。
○津村委員 努力しているとおっしゃいました。一度も発言をしたことがないということはないということですね。
○石崎政府参考人 発言の内容について、先ほどと同じでございますが、米側との協議内容ということになりますので、お答えは差し控えさせていただいておりますが、引き続き、政府の一員として、当該空域を一元的に管制できますよう、関係省庁と努力しているところでございます。
○津村委員 いずれ歴史が証明すると思います。
終わります。
○井上委員長 次に、谷田川元君。
○谷田川委員 立憲民主党の谷田川元です。どうぞよろしくお願いします。
今回の航空法の改正案は、去年の一月二日のJAL機と海上保安機の衝突事故、それを教訓として、いかに安全対策を行うかということで法案が改正されるんですが、これについては全く我々も賛成であります。
ただ、私は、事故が起きた要因の一つとして、羽田空港の超過密ダイヤにある、そういう指摘も多くの識者から出されているんですが、大臣はそういう御認識はありますか、お答えください。
○中野国務大臣 羽田空港のダイヤにつきましてのお尋ねがございました。
羽田空港につきましては、風向きに応じ四本の滑走路を効果的に使用しながら、これは国際基準にのっとりまして、航空機の十分な間隔と安全が確保できる範囲内の容量で運用をしております。
また、これまでも、増便に対応すべく管制官の増員等の体制強化を図ってきておりまして、管制官一人当たりの取扱機数は必ずしも増加をしていないということでございます。
事故の要因につきましては、運輸安全委員会において引き続き調査が進められているところでございますが、国土交通省としては、今後も引き続き、航空需要の動向や管制官の業務負担の状況、これはもちろん注視をしていくとともに、羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の中間取りまとめを踏まえまして、管制業務の実施体制の更なる強化を進めてまいりたいと思います。
○谷田川委員 そうすると、今の答弁は、羽田の過密ダイヤは全く事故の遠因にもならない、そういうお答えですか。確認の意味で。
○中野国務大臣 繰り返しになりますが、羽田空港のダイヤについては、国際基準にのっとり、航空機の十分な間隔と安全が確保できる範囲内の容量で運用をしておりますし、管制官一人当たりの取扱機数は必ずしも増加をしていないということ、事故の要因につきましては、運輸安全委員会において引き続き調査が進められているということだというふうに認識をしております。
○谷田川委員 全然お答えいただいていないんですが。
それでは、ちょっと聞きます。
今日は平岡局長も同席いただいているんだが、平岡局長は、事故が起こってから、本当にこの問題について真摯に取り組んでいらっしゃる。それは非常に敬意を表します。ただ、平岡局長、事故の直後の発言で、平岡さん御自身が、羽田は日本で一番忙しい空港、当日は容量いっぱいで使われていた、そう発言されていますよね。確認の意味で。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
恐らくそれは、記者会見、記者とのやり取りの場でそのような趣旨の発言は行ったというふうに記憶をしているところでございます。
○谷田川委員 それをおっしゃったということは、平岡局長自身は、やはり過密ダイヤが事故の遠因になるかもしれぬという意識があったから発言したんでしょう。そうじゃありませんか。
○平岡政府参考人 私が申し上げたのは、羽田は忙しい空港であるというのは、日本の国内で最も便数が多い空港であるという事実について述べさせていただいたというところでございます。
委員から、過密という言葉をお使いになられていますけれども、私どもとしては、羽田空港は混雑はしているけれども過密ではないというふうに考えております。
先ほど来、大臣の方から答弁させていただいているとおりでございまして、国際基準にのっとり、航空機の十分な間隔と安全が確保できる範囲内で容量を設定し、その容量の範囲内で運用しているということでございます。
○谷田川委員 いや、過密は、混雑でも結構ですよ、世界の国際機関が出している混雑空港、ナンバーワンがアメリカのアトランタ空港なんです。二番目がドバイの空港、三番目が羽田なんですよ。そう書いてありますよ。
それで、アトランタ空港とドバイ空港は、それぞれ、滑走路は着陸専用と離陸専用なんですよ。ところが、羽田のC滑走路は着陸と離陸を兼用しているから、だからああいう事故が起こるわけですよ。だから、過密、過密という言葉では駄目だね、混雑ね、やはり混雑が遠因という意識があったから、平岡局長がそういう発言をされたと私は受け止めますよ。まあ、それはいいや。認識の違いかもしれないけれども。
だけれども、事故が起きたんだから、やはりそういう混雑を緩和した方が事故は起こりにくい、そういう認識はありますね、大臣、どうですか。
○中野国務大臣 繰り返しになりますけれども、国際基準にのっとり、航空機の十分な間隔と安全が確保できる範囲内の容量で運用している空港だということは申し上げたとおりであります。
今回、航空機の事故の対策ということで、様々な対策を講じさせていただくというところでございますけれども、いずれにしても、この事故の対策というのは検討委員会で取りまとめをさせていただいたわけでございまして、しっかりとこれを踏まえた体制の強化を進めていきたいということでございます。
○谷田川委員 簡単な質問ですよ。一般国民が見ていますのでね。混雑が緩和された方が事故は起きにくいと思いませんか。イエスかノーかでお答えください。
○中野国務大臣 繰り返しになりますが、国際基準にのっとった容量の中での運用であります。その運用の中でしっかりと安全を確保していくということは当然必要だというふうに思います。
○谷田川委員 もう一回、ちょっと委員長。私は、イエスかノーかで答えてくださいと言ったんだから。皆さん、常識を聞いているんですよ、大臣の常識を聞いているわけ。一般国民が見ていますから。混雑が緩和されれば事故は起こりにくくなりますよね、そういう認識はありますかと聞いているんです。
○井上委員長 中野国土交通大臣、的確に答えてください。
○中野国務大臣 繰り返しになりますが、それぞれの空港でどれだけの容量で運用するかというのは、当然、様々な航空の需要等もございますので、それにのっとって決まっていくことということでございます。それに合わせてしっかりと必要な対策を取るということが当然だというふうに思っております。
○井上委員長 質問の趣旨にのっとって答弁をお願いします。
平岡航空局長。
○平岡政府参考人 谷田川議員からは、事故の原因について言及されていますけれども、事故の原因そのものは複合的な要因によって発生いたします。ですので、例えば、当然、交通量とか、あるいはヒューマンエラーがある、なし、起こりやすいとか、そういう様々な状況が複合的に重なって事故というのは発生するという認識でございますので、一概に混雑しているから危険だというふうには私どもとして考えているものではございません。
○谷田川委員 そんなこと聞いていませんよ。一般常識として、混雑が緩和されれば事故は起こりにくくなりますよねと、一般常識を聞いているんでしょう。何でそれを、はいと答えてくれないんですか。何かおかしいんだよ。
○中野国務大臣 済みません。ですので、様々な要因が複合的に絡んでいるということは、先ほど航空局長から答弁をさせていただいたとおりでございますので、一概にこうだからこうということではないというふうに思います。(谷田川委員「一般論を聞いているんだよ」と呼ぶ)一般論としてもそういうことだというふうに思います。
○谷田川委員 何遍も聞いても仕方ないと思いますよ。でも、一般国民は、何でそんな簡単な理屈を大臣は分かってくれないのと思いますよ。
それで、私はあえて指摘するんだけれども、元JAL機長だった杉江弘さんという方が、羽田空港という過密空港において、運用効率を高めるという宿命がある中で今回の事故が起きた、東京オリンピックも終わったんだから、この際、羽田の便を成田に戻すべきだ、そういう指摘があるんですが、大臣、この指摘についてはどう思われますか。
○中野国務大臣 先ほどの、離発着可能な滑走路ではないかという御指摘もありましたので、それも含めて御答弁させていただきますと、離発着を一つの滑走路で行う場合に従うべき基準というのも国際基準で定められておりまして、羽田空港においては、こうした手順に従うことを前提に、様々な環境上の配慮も行いながら、需要を踏まえた発着回数とするため、離発着可能な滑走路として運用している。
それは、羽田空港以外の空港でも離発着可能な滑走路として運用しているということは、事実としては御指摘をさせていただきたいというふうに思います。
他方で、羽田空港は、その発着回数というのは容量の限界に達しつつありますので、今後伸び行く首都圏の航空需要については、成田空港において対応していく必要があるというふうに考えております。
そのため、今、既存のB滑走路の延伸ですとかC滑走路の新設でございますとか、あるいは夜間飛行制限の緩和や、年間発着回数を五十万回に拡大する等の成田空港の更なる機能強化というのをまさに進めているところでございます。
いずれにしても、今、今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会も立ち上げておりますので、こうした施設面での機能強化方策等も含めて、しっかり関係者の意見も丁寧に伺いながら進めてまいりたいというふうに思っております。
○谷田川委員 私は地元が千葉県なので、成田も地元なので、過去の経緯をいろいろ御説明したいと思うんだけれども、私が二〇〇九年初当選したときに民主党政権が誕生しまして、当時の前原国交大臣が、国内線は羽田、国際線は成田、いわゆる内際分離の原則を取っ払ったんですよね。
私は地元が成田なので、成田空港の関係者を始め地元の皆さんから、何だ、民主党政権は成田を見捨てるのか、そういう批判が浴びせられました。私はすぐ前原大臣に、大臣、ちょっとこれは非常に問題があるよということを問いかけたら、前原大臣は、いや、これから首都圏の航空需要はどんどんどんどん伸びていく、だから、羽田の、国際線を引き剥がして、それを羽田につけ替えることじゃないんだと。航空需要はどんどん伸びていくから羽田の国際線を飛ばすんだ、だから成田と羽田はウィン・ウィンの関係だ、そういうことをおっしゃっていただいたんですよ。それで、その後、成田空港にもLCCの専用ターミナルを造ってもらうとか、成田空港の機能強化について御尽力いただきましたよ。
ところが、残念ながら、また自民党政権になって、羽田空港の方にシフトされてしまったんですよ、国際線が、非常に。これはもう三、四年前に私が指摘した事実なんですけれども、残念ながら、前原大臣の約束は守られなかった。
だから、前原大臣が、国際線は、成田便を引き剥がして羽田につけ替えることはしない、そういう約束と私は思っているんだけれども、そういう認識は、大臣、ありますか。
○中野国務大臣 前原元国土交通大臣が、羽田の再国際化に当たりまして、成田から羽田に便を移すということではなく、羽田、成田合わせてプラスサムで物事を考えていくんだということを発言をされたということは承知をしております。
我が国の国際競争力強化や訪日外国人受入れ等の観点からは、成田空港と羽田空港の機能強化を共に進めることが重要だと認識をしております。
特に、成田空港につきましては、国際線の基幹空港として、豊富な航空ネットワークを生かした国際線の乗り継ぎ需要の取組や、国際、国内のLCC需要、あるいは貨物の需要にも的確に対応して、国際航空ネットワークの強化を図る重要な役割を担っているというふうに考えております。
先ほど来答弁を申し上げた、更なる機能強化を進めているということ、そして、その中で、滑走路整備などのほか、旅客ターミナルや貨物施設、都心、さらには羽田空港との鉄道アクセスなどが課題でございますので、しっかり強化方策について議論をしているところでございます。
○谷田川委員 過去において、先ほどの繰り返しになるけれども、成田の国際線を引き剥がして羽田に持っていった、そういう事実は、大臣、御存じですよね、そういう事実はありますよね。
○中野国務大臣 済みません、ちょっと質問が正確に聞き取れていなかったかもしれませんが。
前原元国土交通大臣が、羽田、成田合わせてプラスサムで考えていくということは承知をしております。当然、首都圏全体での年間発着回数は世界最高水準の約百万回とすることで、しっかり目指して取り組んでいこうというふうに今考えておるところでございます。
○谷田川委員 例えば、象徴的な話をしましょう。全日空の一便というのは、ANA〇〇一、これはワシントン便なんですよ。私が若い頃、ワシントンに行くときは直行便で行かせてもらった。ところが、途中で羽田―ワシントン便になっちゃっている。ところが、コロナ禍のとき、成田空港の海外ネットワークが優れているというので、全日空の経営判断でワシントン便をまた羽田から成田に移し替えたんですよ。つまり、乗り継ぎ便の利用客を取り込もうと。ところが、コロナが終わってから、また成田から引き剥がされて羽田―ワシントン便になったんですよ。だから、これは前原大臣が言っていることと違うじゃないですか。
だから、私は、できるだけ、今回の事故もあったんだから、羽田空港の混雑を緩和するためにも、極力、国際線は、今まで成田から飛んでいたのに羽田に行って、それをまた成田に再度シフトすべきではないか、そういうことを是非理解していただきたいんです。大臣、いかがですか。
○中野国務大臣 過去の経緯で申し上げますと、羽田空港のD滑走路建設の際ですとか、あるいは二〇二〇年の新飛行経路導入に伴う国際便増便の際には、地元の千葉県の皆様には丁寧に御説明をした上で、千葉県様も参加をしていただいております協議会において、こうした運用については確認をさせていただいているところではございます。
その上で、現在、千葉県から成田空港の国際線ネットワークの充実強化についても要望をいただいているというところでございますので、これは引き続き、周辺の市町とも連携をさせていただきまして、C滑走路の新設を含めまして、成田空港の国際競争力の強化ですとか、あるいは国際航空ネットワークの発展ということはしっかりと取り組んでまいりたいというふうに思います。
○谷田川委員 成田の一番のメリットは、日本の国内で国際線のネットワークがナンバーワンなんですよ、羽田と比べても。だから、この国際線ネットワークを毀損するようなルート設定は、是非慎重に判断してもらいたい。つまり、航空局からもらった資料なんだけれども、この間の羽田空港の事故が起きた後、北京便、成田便が週三便あったにもかかわらず、ゼロになっちゃったんですよ。それで、その分を、羽田を増やしちゃっているんですよ。
だから、この辺、成田の国際線を、就航都市がゼロ便になるというようなことだけは、是非慎重に判断していただきたい。羽田空港の安全性の確保の観点からも、できるだけ成田から飛ばしてくださいということは正当だと私は思いますよ。
ちょっと時間がないので、次の質問に行きます。横田空域についてです。
先ほど津村議員も質問していましたけれども、私は、この問題、今から三年ぐらい前から、当時の斉藤国土交通大臣と何度もやり取りさせていただきました。それで、大臣はまだ就任されてから半年ぐらいでありますけれども、この間、先ほど、一元的管理を目指して努力する、そういうことについて問いがありましたけれども、中野大臣は、この横田空域の一元的管制について努力するということ、大臣御自身は何をやったか。していないならしていないで、はっきり正直に答えていただきたいと思います。
○中野国務大臣 委員御指摘のとおり、国土交通大臣に就任をしてから約六か月が経過をしたということでございます。この間、私自身から何か、横田空域を一元的に管制する観点から私自身が何か直接やったということはございませんけれども、横田空域の返還につきましては、先ほども部長も答弁したとおり、我が国の空域を一元的に管制をする観点から、関係省庁と協力をして米軍との調整を行うという方針は変わりはないということは改めて申し上げたいというふうに思います。
○谷田川委員 去年も、ちょうど一年前の国交委員会で当時の斉藤大臣に指摘させていただいたんだけれども、自民党の衆議院議員をお務めになった三ッ矢憲生先生、元運輸官僚であられます、その方が、去年の「月刊日本」の雑誌に、日本の空までアメリカに占領されているという題で文章を書かれたんですよ。
昨日、私、大臣、二、三ページなので是非目を通してくださいと申し上げた。目を通していただけましたよね、大臣。
○中野国務大臣 「月刊日本」の令和六年三月号、三ッ矢先生の文章ということで、済みません、全部完全に一言一句というところまでは見られていないと思いますが、三ッ矢先生のおっしゃりたいということは、私自身も読んで、それは受け止めたつもりでございます。
○谷田川委員 それでは、これは本質だと思うので、これは私は是非、恐らく多くのここにいる国会議員の皆さん、認識を共有されると思うんだけれども、三ッ矢先生はこう述べているんですよ。日本の空であるにもかかわらず米軍の指示に従わなければならないということは、アメリカに空を占領されていることであり、日本の主権が侵害されていることですと。私は全くこれに共鳴するんだけれども、大臣はどうですか。
○中野国務大臣 先ほど来申し上げていますとおり、我が国の空域を一元的に管制をできるように、そのように努力していきたいというのは改めて申し上げたいというふうに思います。
○谷田川委員 アメリカに空を占領されている、そういう認識はないんですか。
○中野国務大臣 当該空域を一元的に管制をできるように、関係省庁と今協力をして努力をしてまいりたいということでございます。
○谷田川委員 関係省庁と協力してとよく言うんだけれども、昨日レクで担当者に来てもらったんですよ。正直に言ってくれと。関係省庁というのは外務省と防衛省ですよ。では、国交省の方から横田空域に関して外務省や防衛省に何とか少しでも返還できるように頑張りましょうと声をかけたことはありますかと聞いたら、ないと正直にお答えになった。私は、仕方ないと思っている、それは。
今の総理大臣は、自民党総裁選のさなか、日米地位協定の見直しを図る、そうおっしゃったにもかかわらずトーンダウンして、結局、何か自分が発言したかどうかもあやふやなようなことをおっしゃるようになっちゃったから。だから、政府として、今、日米地位協定の見直しは優先課題でないというのは、残念ながらそうなってしまっている。
だけれども、大臣、やはり横田空域の返還というのは、第一義的には役所の中では私は国交省だと思うんですよ。国交省はもうちょっと主導的な役割を果たすべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 私自身も、本件課題の重要性というのは十分認識をしているつもりでございます。
引き続き、横田飛行場、在日米軍や我が国の安全保障上有する重要性をやはり踏まえないといけないとは思っております。そういう意味で、関係省庁と協力してというふうに申し上げておりますけれども、当該空域を一元的に管制できるよう、当然、国土交通省としてしっかり努力をしていきたいというふうに思います。
○谷田川委員 では、しっかり取り組んでいきたいとおっしゃったのであれば、是非、国交省内に、この横田空域の返還に関する英知を結集するためのワーキングチームを設けていただけませんか。それを是非ここで約束してくださいよ。
○中野国務大臣 具体的な進め方とか、どういう形でこういう一元的な管制をしっかりと行っていくかということにつきましては、これは当然、相手があることでもございますし、関係省庁もあることでございます。この場で今こうするということで申し上げることは差し控えさせていただければと思います。
○谷田川委員 この三ッ矢先生のインタビュー記事の中では、交渉次第ではアメリカから横田空域を取り戻せるということですかと言ったら、そう思いますとはっきりおっしゃっているんですよ。是非、三ッ矢先生の意見を聞くべきだと思うんですが、大臣、そう思いませんか。
○中野国務大臣 記事の内容は私も承知をしております。三ッ矢先生がこの問題に長年取り組まれてきたということかというふうに思います。
先ほど委員が御指摘があったような様々な三ッ矢先生のお話というのも、やはり、こうした長年の御経験ならではの見識ではないかというふうに受け止めさせていただきました。
○谷田川委員 我が党で、日米合同委員会についてしっかり勉強しようというのを、これからそういう議員の会合を開く予定でおります。
是非、やはりこれは日本の主権なんですよね、それが侵害されているという意識を持ってもらって、相手がこうだというのは、もちろんそうですよ。だけれども、粘り強く一歩ずつやらないと何ら打開が図れませんよ。是非、諦めずに、一歩一歩何とかしようともがいていただきたい、そのことをお願いして、私の質問を終わります。
○井上委員長 次に、阿部弘樹君。
○阿部(弘)委員 日本維新の会の阿部弘樹でございます。
今日は、朝、びっくりしたニュースが入ってきたんですよ。大臣の同僚の農水大臣、辞表を出されまして、昨夜、昨日は野党国対委員長会議で不信任案提出も辞さないということで、急遽にわかに事が動いたわけでございます。お米は買ったこともないし、家には余るほどお米があるということで、とても国民には納得できるような発言ではないと。
質問に入る前に、大臣、お米を買ったことはありますか。
○中野国務大臣 はい、買ったことは当然ございます。
○阿部(弘)委員 では、国交大臣は農政とは直接関係ないですけれども、お米をもらったりすることはあるんですか。
○中野国務大臣 私の周りは余りお米を、工業地域でもありますし、余り農家の方のいらっしゃらない地域でもございますので、余り私自身、お米をもらったという記憶はないところでございます。
○阿部(弘)委員 国交委員会ですのでこれぐらいでやめて、でも、国民は、お米が昨年の二倍になって、そしてガソリン価格が非常に高止まり、物価高、非常に困っていらっしゃるんですよ。
そういった中で、私はさきの委員会で、ちょっと間違っていましたけれども、空港の駐車場、予約が取れないということで、成田と言いましたが、実は、NHKで報道があったのは、これは羽田のことでございました。羽田空港、事前予約ができる駐車場をめぐり、去年の大型連休以降、すぐに満車になって予約が取れないなどという苦情が相次いで寄せられているということが分かりました。
予約を代行するとうたうサイトが複数見つかりまして、駐車場の運営事業者は、代行業者が予約枠を買い占めて高額で転売しているということで、ある方は、予約代行業者が五千円だということで申し込んだが、繁忙期なので一万八千円になったと言われ、請求が高額なのでキャンセルしようとしたが、既に払った一部の代行手数料は返金されないと言われたと。
いやいやいや、マッサージチェアだけじゃないんですね、空港を取り巻くいろいろなトラブルは。まさにいろいろな方々が、この空港という非常に人が行き来するところで、ビジネスチャンスがあると思っていろいろなことをやっている。コンサートのチケットや野球のチケットを高額転売したら、これは犯罪ですよ、犯罪。ましてや、こういう、お米が高くなって、ガソリン価格が高くなっているこの時世に、こんなことを許しちゃいけないと思いませんか。これは、担当は局長かな。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
羽田空港の駐車場におきましては、マイカーで来られる方々の利便性向上を図るため、各事業者において事前予約枠を設定しているところでございますけれども、各事業者よりこの枠の買占めや転売が行われているとの報告を受けているところでございます。
公共性の高い空港におきましては、公正なルールの下、一人でも多くの方に利用していただくことが重要であるというふうに考えております。各事業者において、駐車場の利用規約に転売禁止を盛り込むほか、予約システムの改修等の対策を六月一日から実施するということで、今進められているということで聞いております。
また、駐車場が混雑している状況を踏まえまして、学識経験者等により構成する羽田空港の機能・施設等に関する検討会におきまして、その対策として、駐車場料金の見直しによる長時間利用の抑制などの取組方針が示されたところです。この結果を踏まえまして、現在、各事業者において駐車場料金の見直し等の検討を進めているところでございます。
国土交通省といたしましては、これらの対策の効果を注視しつつ、空港利用者の利便性の確保に引き続き努めてまいりたいというふうに考えております。
○阿部(弘)委員 駐車場の運営業者は一社だけじゃないでしょう、複数あるでしょう。だから、一社だけを規制しても、もう一社の方でこういう悪事を、悪事ですよね、転売でもうけるなんて、こういうことが続いちゃいかぬじゃないですか。複数の業者についても指導していくんですか。
〔委員長退席、中谷(真)委員長代理着席〕
○平岡政府参考人 先ほど申し上げた対策につきましては、各事業者ということでございますので、一社ではなく、羽田空港で駐車場業を営んでいる事業者についてということでございます。
○阿部(弘)委員 こういう予約を予約業者が買い占めてしまって、だから止められないんですよ。二時間ぐらい外で待たなきゃいけない。そうしたら、飛行機がびゅうんと飛んでいっちゃうから。これは空港駐車場じゃないですよ。何か江戸時代の悪徳業者が庶民を苦しめるような。
空港施設ですから、是非とも六月一日から、空港に自家用車で行く人がいたら、少しは時間を待つこともあるでしょうけれども、スムーズに、そして適正な料金で止められるように図ってくださいよ。局長、ちゃんとやってくださいよ。
○平岡政府参考人 しっかり対策を進めてまいりたいと思います。
○阿部(弘)委員 羽田空港の運営会社の会長も社長も責任を取ってお辞めになった。次の人がまた辞めるようなことにならぬように、是非ともお願いします。
次は、航空法の議論についてちょっとしたいと思います。
背景は、令和六年一月二日、羽田空港における航空機衝突事故。それと、同月一日に発生した能登半島地震による能登空港が被災したことなどの、空港運用に影響を与える自然災害が多く発生している状況など、主にこの二つです。様々書いてありますよ。
いろいろな航空法の改正、特に柱となる部分について、局長、御説明いただけますか。
○平岡政府参考人 お答えいたします。
羽田空港における航空機衝突事故につきましては、令和六年六月、検討委員会の中間取りまとめにおいて、幅広く更なる安全、安心対策の御提言をいただき、管制業務の実施体制の強化など予算や定員で措置できる内容については速やかに実行してまいりました。
本法案では、提言された対策のうち、制度的手当てが必要となるもの、具体的には、空港における滑走路の安全対策の強化、パイロットへのヒューマンエラーの防止のための訓練の義務づけなどの措置を講ずることとしております。
また、能登半島地震による能登空港の被災を通じまして、空港管理者が被災自治体等である場合には、応急の災害復旧工事等が十分に実施できないことがあり得るという課題が明らかとなったことなどを踏まえまして、本法案におきましては、地方管理空港等の工事代行、権限代行制度を創設することといたしております。
これらの措置を通じまして、航空の安全、安心の確保と、地方管理空港等の災害からの早期復旧や機能維持を図ってまいりたいというふうに考えております。
○阿部(弘)委員 主に空港の離発着の安全管理についてでございますね。ちゃんと通告したことしか聞きませんから、そんなにびくびくされなくて結構ですから。
九州のことをいつも、私は九州選出ですから聞きますが、米軍機の民間空港の利用についてお尋ねいたします。
一昨年に比べて、昨年は熊本空港での離発着の回数が八十八回と突出してまいりました。奄美の空港についても同様です。従前は福岡空港が一番でしたが、六十回台ということで、発着回数は少なくなってきている。これは主に、米軍機の訓練のためではないかというふうに新聞では報道されています。
日米地位協定五条は、もちろん日本の空港を米軍機が使用することについてはうたってあるわけでございますが、この航空法の適用を受けるんですか、外務省。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
米軍につきましては、日米地位協定の実施に伴う航空法の特例法、これによりまして、民間航空機の円滑な航空交通を確保することを目的とした規定を除いて適用が除外されているところでございます。
○阿部(弘)委員 九十七条ですかね、九十八条の、二項もあると思いますが、管制はもちろん受けなければ安全に離発着できませんけれども、あるいは、空路、どこに飛んでいくというような報告はもちろんあると思いますが、基本的には航空法の適用を受けない。
では、熊本や奄美、これは滑走路安全チームの主要空港として、滑走路安全チームの設置はなされますか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
滑走路安全チームにつきましては、今回の法律の規定を基といたしまして、主要空港において設置を義務づけるという形にしたいというふうに思っております。
その他の空港につきましても、滑走路安全チームにつきましては非常に有益な活動であるというふうに考えておりますので、推奨をしてまいりたいというふうに考えております。
○阿部(弘)委員 自衛隊機や海上保安庁の飛行機、これは政府内、国内の空港であるし、また、国際や、あるいは日本の航空機については、もちろん今回の航空法の議論についても周知徹底が図られると思いますが、米軍機に関しては、航空法の適用除外でありますから、なかなか、例えば、操縦士さんと副操縦士さんとの連携を図ってくださいよなんということを言える立場ではないと。
もちろん、お知らせはどういう形かであれ、こういうふうに法改正がされましたよということは、外務省あるいは国交省から連絡は行くんですか。
○平岡政府参考人 お答えを申します。
今回の法律改正の内容につきましては、私どもの方から米軍の方に説明をさせていただいているところでございます。
○阿部(弘)委員 事あるごとに、私もてっきり、地位協定の五条を読んだら、国内法を遵守するというふうに書いてありましたから、てっきりそれを航空法の話と合点してしまって、早とちりして、そうなのかなと思ったら、除外されるということでございます。
何を言いたいかというと、九州はいろいろな有事が想定されるわけなんですよ。それが半島有事であったり台湾有事であったりするかは私は一概には言えませんが、少なくとも、米軍機の発着回数が増えている。それが、福岡が一番だったのが、だんだん南の方に下ってきている。そうすると、その連携がより一層重要になってくるわけなんですよ。
航空局長、事前に言っていましたので、レーガン・ワシントン・ナショナル空港近くでヘリコプターと民間機が衝突した事件、これについて説明していただけますか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
現地時間一月二十九日の夜、米国ワシントン近郊のロナルド・レーガン・ナショナル空港付近におきまして、同空港に進入中のアメリカン航空の子会社が運航する飛行機と、訓練飛行中の米軍のヘリコプターが衝突し墜落する事故が発生しました。米国の事故調査当局が現在原因を調査中であるということを承知しておるところでございます。
○阿部(弘)委員 訓練機と民間機の事故であります。日本の場合に、こういう米軍機と民間航空機の大きな事故というのは事例が余り見られないので、アメリカのこういう航空機事故について御説明いただいたわけでございます。
こういう、より一層連携を図っていく、これから、有事の危険度といいますか、想定もされる中で、どういう態度で連携を図っていくのか。もちろん、事故が起きないことが大切でございますし、訓練をこれからも重ねていくわけでございますから、大臣に、今回の法改正と、それと米軍機の連携についてちょっとお話をいただきたいと思います。
○中野国務大臣 今回の法改正と米軍機等との連携ということで御質問をいただきました。
今回の法改正というのは、羽田空港における航空機の衝突事故を踏まえて、制度的な手当てが必要となるような、滑走路の安全対策の強化ですとか、パイロットへのヒューマンエラーの防止のための訓練の義務づけ等の措置を講ずるということでございます。
そして、委員御指摘のとおり、まさに民間空港についても、これは民間航空機の話でございますが、米軍機、そして自衛隊機も使用することがあることから、関係省庁と連携をして安全性を高めていくということは極めて重要であるというのは、まさに委員の御指摘のとおりかというふうに思います。
その上で、防衛省の関係でいきますと、例えば、羽田空港の航空機衝突事故を受けた対策の検討に当たりまして、当初から防衛省に参画をいただいております。
そして、新千歳空港では、防衛省が管制を行っているという空港でありますが、これは、事故後の昨年の二月に、管制の運用と航空機の運航、それぞれの特性や留意点についてお互いの理解を図るために、管制官とパイロットの交信に関する緊急会議も実施をしていただきました。今回、新たに組織することとした滑走路安全チームにも、防衛省、御対応いただいております。
米軍に関しましては、先ほど局長からも答弁ありましたとおり、今般の航空法の改正内容につきましては、既に私どもの方から、こういう対策を取りますということで説明をさせていただいております。それぞれの空港でまた各種対策というのを取ってまいりますので、これについては、今後とも、航空路誌というものがございます、こうしたもの等を通じまして、米軍を含めた関係者に対して広く周知をしてまいりたいと思います。
今後とも、国土交通省として、必要に応じて関係者と連携をしながら、民間空港における安全の確保に努めてまいりたいというふうに思います。
○阿部(弘)委員 聞くのをちょっと忘れていましたので、ロナルド・レーガン空港、アメリカのヘリコプターと民間機の衝突、これの原因は、管制官が二人で行うところを一人で行っていたという、管制官不足というところが原因だったということです。
日本も管制官の定足数を割って今運航しているということもお聞きしておりますが、空港の安全には支障はないんでしょうか。局長、ちょっとお答えください。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
管制官につきましては、できるだけ一人当たりの取扱量が多くならないように、適時適切に増員等の措置を図らせていただいているところでございます。
また、欠員につきましても、航空保安大学校の定員の増加、それから、中途で管制官をまた採用する、自衛隊での管制官をまた中途採用するといったような取組も行っておりますので、今後減少するというふうに思っております。
今後とも、航空量の増大等をしっかりと見ながら、適切に管制官の体制強化というのを図ってまいりたいというふうに考えております。
○阿部(弘)委員 先日、博多どんたくというお祭りがありまして、海上自衛隊の艦艇に乗りましたよ。そうしたら、海上自衛隊の若い新しく入る人が非常に不足している、どこもやはり人手不足が大変なところだと。特に、職責が重たい仕事ほど非常になり手が少なくなってきているということでございますから、是非とも大臣、海上保安庁も航空管制官もその他の業務も非常に職責は重いわけですから、是非とも若い人がどんどん入るように御努力いただきたいと思います。
ちょっと通告はないけれども、お願いします。
○中野国務大臣 ありがとうございます。
海上保安官も、私も海上保安大学校ですとか海上保安学校、ああいった養成をしているところも直接訪問もさせていただいたり、また学生といろいろなお話もさせていただいたりということもございましたけれども、やはり、こうした大変重要な、海上保安庁であれば海の安全でございますし、航空の管制官であれば空の安全を守る大変に重要な職責の人たちだというふうに思っております。
いろいろな管制の現場を見ましても、やはり、管制官の皆さんが本当にしっかりと働いていただくということが空の安全を守る非常に重要な要素だということも改めて感じております。やはり、どこも定員確保も含めてかなり苦労しているというのは、私も現場から伺っております。
様々な、職場環境も含めて、やはり働きがいのある、そして働きやすい、こういう職場にしていくということも含めて、若い人たちがこうした仕事にしっかりと取り組んでいただけるような、そういう職場というのをつくってまいりたいというふうに改めて感じましたので、しっかりと頑張ってまいりたいと思います。
○阿部(弘)委員 本当に、これから空の安全というのはますます重要性が増してきますので、是非ともよろしくお願いいたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○中谷(真)委員長代理 次に、鳩山紀一郎君。
○鳩山(紀)委員 おはようございます。国民民主党・無所属クラブの鳩山紀一郎です。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
まず、質問に先立ち、昨年羽田空港において発生いたしました海上保安庁機と日本航空機の衝突事故で殉職なされました保安官の皆様に、改めて心より哀悼の意を表したいと思います。
それでは、質問に入らせていただきます。
本年三月二十五日になりますが、高知空港に米軍の戦闘機が緊急着陸し、その後、四十二日間にわたり長期で駐機が続いたということがございました。この事案は、高知県民に大きな不安を与えるものとなりました。
お手元に今資料をお配りしておりますが、その資料一を御覧いただければと思います。
報道によりますと、浜田高知県知事は、米軍側からの情報提供の不十分さを問題視されております。
そこで、まず防衛副大臣にお伺いいたしますが、本件に関して米軍側からの情報提供が不十分であったということに対する政府の認識と、今後同様の事案が発生した際の対応の在り方について御所見を伺いたいと思います。
○本田副大臣 お答えいたします。
三月二十五日に、米海兵隊岩国基地所属のF35B一機が高知龍馬空港に予防着陸をいたしました。当該機体は、五月五日に同空港を離陸し、安全に岩国基地に帰還したと承知をしております。
防衛省といたしましては、本件を受けまして、当日から中国四国防衛局の職員を現地に継続的に派遣をし、現場における情報収集や連絡調整を実施するとともに、事案発生直後の状況の説明も含め、関係自治体に対し、必要な情報提供を行ってきたところであります。
今般の予防着陸に関し、日米の関係当局間においては様々なレベルでやり取りを行ってきたところですが、米軍の運用の詳細に関する情報については、お伝えできない場合があることを御理解いただきたいと存じます。
いずれにせよ、米軍機の運用に当たっては、地域の皆様に不安を与えないようにすることが重要でありまして、引き続き、適切な情報提供を行うとともに、米側と緊密に連携して安全の確保に努めてまいります。
〔中谷(真)委員長代理退席、委員長着席〕
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
今回の件では、高知県が中国四国防衛局を通じて米軍に情報提供と説明を求める要請書を提出したということは記事にも書いてあるところで、私も承知をしております。
こうした地方自治体からの要請が確実に米軍側に伝達されるということが極めて重要だと思っておりまして、改めてお伺いしたいと思うんですが、今後、米軍に対してこのような要請がなされた場合、政府として米軍側に対して適切な対応を要請するというお考えがあるかどうかについて、防衛副大臣、御見解をお聞かせください。
○本田副大臣 お答えいたします。
繰り返しにはなる部分もございますが、防衛省としては、今回の予防着陸を受けまして、当日から中国四国防衛局の職員を現地に継続的に派遣し、現場における情報収集や連絡調整を実施し、事案発生直後の状況説明、また機体整備のための支援機の飛来情報など、米側から得られた情報及び目視による情報などについて、関係自治体に対し情報提供を行ってまいりました。
ただ、先ほど申し上げたように、米軍の運用に関する事項若しくはそれが推察できるような事項につきましては、情報提供できないという点もある旨については御理解をいただきたいと存じます。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
情報提供に関して、運用に関してはなかなか難しい部分もあるということでございます。
日本の安全保障が日米同盟に依存しているという現状についてはもちろん理解はしておりますが、同時に、言うべきことはしっかりと伝える、そういう健全な関係性を築くということも極めて重要だと思っておりますので、引き続き適切な対応をお願い申し上げます。どうもありがとうございます。
続きまして、滑走路における安全確保についてお伺いをいたします。
今回の法改正では、空港の滑走路安全監視機能の強化が図られているというふうに承知をしております。滑走路の安全性向上というのは、昨年のような重大事故の発生防止のためにも、喫緊の課題であると認識をしております。
例えば羽田空港では、現在、滑走路の離着陸の間隔というのは、それは航空機の大きさにもよるんですが、約二分であるということですが、これを例えば二分半にいたしますと、ヒューマンエラーのリスクというのは低減できます。いわゆる余裕を持った滑走路運用にするということでございます。ただ、この場合、滑走路の処理能力が約二〇%ほど低下いたしますので、増加するインバウンドの対応などには支障を来すということになる可能性があります。
そこで、滑走路占有監視支援機能におけるアラート機能の向上によってヒューマンエラーを防ごうとしているわけでありますけれども、こちら、資料の二にお示しをしておりますけれども、アラートにおける見逃しであるとか空振りというものが増えてしまいますと、機能そのものの信頼性が損なわれかねないという問題がございます。
そこで、国土交通省にお伺いいたしますが、アラート機能に関して、見逃しや空振りを最小化して実効性を確保するために、技術的、運用的にどんな工夫が講じられているのか、御説明いただければと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
滑走路占有監視支援機能のアラート機能は、航空機等の位置情報について、国際基準以上の精度を有していますけれども、誤差を考慮いたしまして、一定の安全バッファーを設けているところでございます。
昨年十月の注意喚起音の追加によるアラート機能の強化に当たりましては、位置情報の精度及び管制運用への影響を考慮の上、空港ごとにあらかじめきめ細かく検知条件の調整を行いました。また、管制官の専門研修におきましては、技能向上や習熟のため、滑走路占有監視支援機能のアラート機能についても、座学及び演習、模擬訓練に組み込まれているところでございます。さらに、アラート発生時の管制官の対応につきまして、業務処理要領を改正して周知徹底を行っているところでございます。
今後とも、現場の意見をよく聞きながら、必要に応じて検知条件の調整などを行い、滑走路占有監視支援機能の信頼性と有効性を高めてまいります。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
システムの精度自体の向上ということについては明言がなかったようにも感じますが、今おっしゃっていた空港ごとへの調整というところがその該当の一部になるのかなというふうにも理解いたします。
ちょっと通告はしていないんですけれども、空港ごとの調整というところで、もし、具体的にどのようなものがあるのかということを御例示が可能であれば、お願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
非常に技術的でございますけれども、滑走路占有監視支援機能のシステムにつきましては、マルチラテレーションというレーダーとセットになっているということでございます。レーダーで航空機を捕捉して、それを、滑走路の近くにまで飛んできたときには管制官の卓上のシステムとして警報を出していく、こういうシステムになっておりますので、これが具体的にどの距離に近づいたときにそれを出すのかというのは、例えば空港ごとに滑走路の配置とかも異なっていますので、どの程度の危険性が高まったところで警告音を鳴らしていくのかというのを、微妙にこれを調整しながらやっております。
余り早く鳴らし過ぎますとオオカミ少年になってしまいますし、遅過ぎてもいけませんので、その辺を微妙に調整をやらせていただいているということですし、その調整に当たっては、現場の管制官が一番よく分かっていますので、その意見を聞きながらやらせていただいているということです。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
引き続き、滑走路の安全性を高める取組に関しては着実に取り組んでいただきたいというふうに考えております。ありがとうございます。
次に、グランドハンドリング事業者の安全監督体制の強化についてお伺いしたいと思います。
今回の改正案では、滑走路の安全確保の一環としてこの点が掲げられております。しかし、航空連合の方々にお話を伺ったんですが、全国に約四百社ほどグランドハンドリング事業者というのはございまして、この方たちが新たな制度によって過度な事務負担が生じてくるのではないかというところに懸念を持たれているということでございます。
国土交通省として、この点についてどのように考えておられますか。御所見をお伺いしたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
今回、対策検討委員会の中間取りまとめを踏まえまして、グランドハンドリング事業の安全性を高めるため、今回の法改正を受けて、今後、省令等を改正いたしまして、グランドハンドリング事業者に対する安全監督体制の強化を行いたいというふうに考えております。
具体的には、空港内における安全確保について一義的に責任を有する空港設置者の協力を得まして、グランドハンドリング事業者の事業実態を把握するため、グランドハンドリング事業者から国がオンラインで直接情報提供を受ける仕組みや、空港設置者による管理に加えまして、重大な事案等が起こった際などに、国がグランドハンドリング事業者に直接調査などを行える仕組みなどを構築することを検討しているところでございます。
当該仕組みの構築に当たりましては、先ほど申しましたとおり、オンラインを活用するなど負担軽減を図っているところでございますけれども、引き続き、業界団体の御意見などをよく聞きながら、過度な事務負担とならないよう運用を検討してまいりたいというふうに考えております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
まずは、実態を把握しながら、現場の意見も聞きながらということだと思います。現場の実情に即した制度設計が必要と私も考えておるところでございます。
グランドハンドリング事業者には、多重の下請構造でありますとか、人手不足、低賃金、過重労働といったものが常態化しておりますし、フライトがキャンセルした際に、外国の航空会社による違約金の踏み倒しなども問題視されているというふうに聞いております。
こういう実態を踏まえまして、例えば、勤務間インターバル制度の導入促進ですとか、あるいは、適正な人員配置、取引のルールの整備などが求められているところでございます。
こういった課題に対して、国としてどのように取り組まれるおつもりか、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、空港グランドハンドリングは、多重委託構造、あるいは厳しい労働環境にあるという御指摘がございます。令和五年六月の有識者会議におきましては、多重委託構造の見直し等により、業界において適正な企業間取引が行われることが重要であるという旨の取りまとめもなされたところでございます。
これを受けまして、国土交通省では、空港グランドハンドリングの分野における適正取引等推進のためのガイドラインの策定に向けまして、官民の有識者から構成されるワーキンググループ、これを先月設置をしたところでございます。
同月に開催をした第一回のワーキンググループでは、グランドハンドリング事業者や労働組合へのヒアリングを実施をしたところでございまして、第二回では、航空運送事業者にヒアリングを行う予定となっております。
国土交通省としまして、本ワーキンググループを通じまして、官民の有識者や業界の方々から実態もよく伺わせていただき、本年の秋頃にこのガイドラインの策定を目指しておりますので、委員御提案のいろいろな取組も含めて、しっかり議論を深めてまいりたいというふうに考えております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
是非、現場の声を丁寧に聞き取りながら、合理的な制度設計をしていただきたいというふうに考えております。
最後に質問させていただきますが、航空業界への財政支援についてお伺いしたいと思います。
これも航空連合の方々からいただいた御意見の中であるんですけれども、コロナ禍からの回復の支援ですとか、燃油高騰対策として講じられていた公租公課の減免措置というものが令和七年度に大幅縮小されるということによりまして、業界全体で最大で約六百八十億円のコスト増が見込まれているというふうに言われております。
このことは、特にインバウンドの恩恵を直接受けにくい国内専業の航空会社にとって大きな打撃となりまして、特に地方路線の維持が困難になるということが懸念をされております。
こうした影響も踏まえまして、航空機燃料に対する補助措置については、合理的な範囲でですが、継続あるいは拡充していくべきだというふうに考えますが、大臣の御決意を伺いたいと思います。
○中野国務大臣 委員御指摘の航空機燃料を含む燃料価格への支援につきましては、今月の二十二日から、いわゆるガソリン等の暫定税率の扱いについて議論を得て実施をするまでの間ということで、足下の物価高にも対応する観点から、現行の燃料油価格激変緩和対策事業を組み直して、定額の価格引下げ措置を実施をすることとされたところでございます。このうち、航空機燃料につきましては、一リットル当たり四円の定額補助が実施をされるということになっております。
国土交通省としましては、航空会社を始め、委員からも今、様々、業界の現状のお話もございました。関係者の意見を踏まえながら、航空機燃料税の軽減を含む各種支援策を講じているところでございます。引き続き、関係省庁と連携をいたしまして、適時適切にしっかり対応してまいりたいというふうに考えております。
○鳩山(紀)委員 ありがとうございます。
ガソリン税の暫定税率については廃止に向けた議論がなされておりますけれども、一方で航空機の燃料価格が高止まりするということがないように、適切な御検討をお願い申し上げて、以上で私の質問を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。
○井上委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。ありがとうございます。
今日も質問の機会をいただきまして、大変にありがとうございます。
今日は、航空法等の改正案ということでございます。私、今日は大臣に通告しているんですけれども、前半はありませんので、是非、中座はここでしていただければと思いますので、よろしくお願いをいたします。配慮の公明党でございますので。
最初に、羽田空港の航空機衝突事故に関連して、私も具体的に何点かお伺いをさせていただきます。
主要空港における滑走路安全チームの具体的取組について、何人かの御質問がありましたが、私も重要な点だと思いますので、質問させていただきます。
令和六年一月の羽田空港での航空機衝突事故を受けて設置をされました羽田空港航空機衝突事故対策委員会、これは同年六月に中間取りまとめを発表いたしております。この中間取りまとめでは、空港設置者が遵守すべき機能確保基準に滑走路誤進入防止装置に関する事項、これを追加をし、空港における航空機や車両の滑走路誤進入を防止する安全対策の強化を図ることが明記をされるのとともに、その具体的な取組の一つとして、主要空港における滑走路安全チームの設置、これが示されております。
そこで、まず初めに航空局長に伺いますが、滑走路の安全に関係する空港管理者や管制機関、また航空事業者、さらにはグラハン事業者などで構成されるこの滑走路安全チームは、その各々の連携の下、空港における滑走路の安全対策の強化に向け、具体的にどのような取組を行おうとしているのか、この点について具体的な内容をお聞かせください。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
滑走路の安全に関する取組は、各主体が単独で行うのではなく、現場における関係者が情報や認識を共有した上で、方策を議論しながら取り組まれることが重要であるというふうに考えております。
このため、空港管理者、管制機関、航空事業者、グランドハンドリング事業者等、滑走路の運用や管理に関わる関係者が一体となって連携しながら、より効果的に安全対策を講じていくための枠組みとして、まずは主要空港において滑走路安全チームを設置することといたしました。
具体的には、この滑走路安全チームにおきまして、現場のヒヤリ・ハットなどの安全情報の収集や、滑走路誤進入防止のための具体的な方策の検討に加え、その評価や見直しなども含めた議論がなされることにより、それぞれの空港で、より効果的な安全対策が講じられていくこととなります。
また、こうした各空港での安全対策の中で判明した課題や実施された対策につきましては、必要に応じ、関係基準等に反映するなど、関係者への必要な横展開を行ってまいりたいと考えております。
今般の法改正に基づく対策が、各空港において効果的に実行されるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
やはり、今回いろいろな内容が作用しての事故だったと思いますが、その中でもやはり、特にヒューマンエラーの防止、これをどうしていくのか、そういった意味においては、各々の連携が図られていく、これが大事だと思いますし、その内容において、今後の基準にも反映をしていきたい、こういったお話もいただいたところであります。そういったところにつなげていくような、そういったチームというか、議論というか、またそういった取組をしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
続きまして、管制官の人的体制の強化、拡充について、特に、今回新設をされました離着陸調整担当の管制官の具体的拡充及び効果についてお伺いをします。
今回の中間取りまとめでは、管制業務の実施体制の強化として、管制官の疲労を業務の困難性や複雑性に応じて把握、管理する運用の導入などと併せ、管制官の人的体制の強化、拡充、これが示されております。具体的には、これまでの、飛行場面担当、さらには空域担当、また滑走路担当のそれぞれの業務分担から、令和七年度より、主要空港において、新たに関係管制官との調整業務を専属で行う離着陸調整担当の管制官の配置がなされました。
そこで、国交省に、私、伺いますが、今年度より新設されたこの離着陸調整担当の管制官の具体的な拡充状況及びその効果について答弁を願いたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
国土交通省では、昨年六月に公表された対策検討委員会の中間取りまとめを踏まえまして、本年四月から、主要空港におきまして、関係管制官との調整業務を専属で行う離着陸調整担当を新たに五十二名配置しているところでございます。
離着陸調整担当の配置に当たりましては、各空港において管制業務の実態調査を行うとともに、現場管制官から意見聴取を行いました。その結果、この配置により、航空機の離着陸を担当する管制官が外部監視等に注力が可能となり、滑走路誤進入対策として有効であることを確認しているところでございます。
引き続き、管制官の人的体制の強化、拡充を含めまして、航空の安全、安心の確保に向けた取組を進めてまいります。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今回の中間取りまとめの、いち早く取り組んだ内容として、この調整担当ということで管制業務を専属で行うというところがなされた、ここは私、非常にポイントだと思っております。更に加えて、今、答弁の中では、令和七年度、新たに五十二名の増員というところで、それが主要空港に配置されているということであります。ここは是非続けていっていただいて、やはり、総合的な目で見る管制官の存在といいますか、そういったところはすごく大事だと思っています。
加えて、一部意見も出てきましたが、やはり、管制官をしっかりと育てていく、また増やしていくという意味においては、航空保安大学校での定員増、こういったところもしっかりとお取り組みをいただきたいということでございますので、そのことも要望をさせていただきながら、この内容を確認させていただきました。
続きまして、三点目でございますが、操縦者へのCRM訓練の義務づけ及びその効果についてお伺いします。
本改正案では、管制交信に係るヒューマンエラー防止のために、頻繁に離着陸が行われる航空交通管制圏に係る空港等において、離着陸を行う全てのパイロットに対して、パイロット間のコミュニケーション等に係る訓練、いわゆるCRM訓練の義務化が明記されておりますが、今回の改正では、これまで義務化をされていなかった自家用機の操縦者や、さらには消防、警察、海上保安庁の操縦者も新たにその対象となることが想定をされております。
そこで国交省にお伺いしますが、今回の改正案において、これまでの定期航空運送事業者の操縦士に加え、新たに自家用機などの操縦士もCRM訓練の対象に加えることの意義及びその効果についてお答えをいただきたい。また、全ての操縦士を対象としたCRM訓練はいつから開始をされるのか。また、新たに義務づけとなる対象者は何人と想定しているのか。さらには、全ての対象者がこの訓練を修了するにはどれだけの期間が必要と考えているのか。この点についても御答弁を願いたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
今般、パイロットに対して義務づけるCRM訓練とは、パイロットのヒューマンエラーの未然防止を図るため、パイロット間のコミュニケーション能力やタスク管理能力などを向上させるために有効な訓練でございます。
現在、CRM訓練は、エアラインのパイロットに対して実施が義務づけられております。今回の法改正により、CRM訓練の義務づけ対象をエアライン以外のパイロットにも拡大することにより、エアライン以外のパイロットについてもヒューマンエラーによる滑走路誤進入を防止するなど、航空の安全向上が図られるものと考えているところでございます。
CRM訓練につきましては、その運用に必要な実施規則などの制度を整えた上で、二〇二六年前半頃からの訓練開始を目指しているところでございます。
新たに義務づけの対象となるパイロット数でございますけれども、約四千人というふうに見込んでおりますところ、パイロットに対する十分な周知期間や準備期間を確保するため、CRM訓練の義務づけの開始は、この法律の公布後三年以内において政令で定める日というふうにしているところでございます。
国土交通省といたしましては、全てのパイロットが必要な訓練を円滑に受講できるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございました。
今回の航空機事故も、民間航空機といわゆる海上保安庁の航空機だったというところでございますので、これまでは民間エアラインの操縦士ということになっていましたが、今回、自家用機と、さらには、消防、警察、海保の操縦士も入れるということ、これは非常に意義があると思っています。
特に、また、自家用機の操縦士を入れるということで、対象者が四千人ということでございます。この訓練を受けないと基本的には離発着できないということにもなりますので、ここはしっかりと周知をしていただき、さらには準備をしていただき、遅滞のない取組を進めていただきたいと思いますので、そのことを要望させていただきたいと思います。
では、この三点等の質問をさせていただき、答弁をいただきながら、航空機の衝突事故の防止に向けた大臣の決意について、ここでお伺いをいたします。
今回の航空機事故では、海上保安庁の乗員五名の貴い命が失われました。私からも、改めて衷心よりお悔やみを申し上げます。
本改正案は、羽田空港での航空機衝突事故を受け、空港における滑走路の安全対策の強化や、まさしくCRM訓練の義務づけなど、様々な措置がなされておりますが、改めて、このような事故を二度と起こさないとの、また、その防止に向けた大臣の強い決意、ここをお聞かせをいただきたいと思いますので、中野大臣、よろしくお願いします。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
国土交通省では、航空機の衝突事故を受けまして、昨年の六月に公表された羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の中間取りまとめ、これをまとめましたので、これを踏まえて、今まで、滑走路の誤進入に係る注意喚起システムを強化をしてきたり、あるいは、管制業務の実施体制の強化などを今着実に推進をしてまいりました。
今回の改正法案は、この中間取りまとめで提言をされた対策のうち、空港における滑走路の安全対策の強化、先ほど来、安全チーム等の議論もずっとしてまいりました、あるいはパイロット、今御指摘のCRM訓練の義務づけ、こうしたものを講じるものでございます。これにより、更なる安全性の強化が図られるということでございます。
しかしながら、航空機の安全、安心の確保というのは極めて重要な課題でございますし、私も、国土交通省として、羽田空港における航空機衝突事故のような痛ましい事故を二度と起こしてはならない、こういう強い決意をしております。
こうした対策につきましては、関係者と一丸となりまして全力で取り組み、航空の安全、安心の確保を果たしてまいりたい、このように考えております。
○中川(康)委員 今後、大臣を先頭とした力強いお取組をよろしくお願いしたいと思います。
最後に、観点を変えまして、工事代行制度の創設におけるRESA対策についてお伺いをいたします。
本改正案では、今後の空港の老朽化や空港設置基準への不適合を回避するための対策として、平時における国交大臣による地方管理空港等の工事代行制度の創設が盛り込まれておりますが、その特定工事の具体例として挙げられるのが、いわゆる滑走路端安全区域、RESAの整備でございます。
このRESAの整備については、ICAOの勧告を踏まえた改正国内基準に基づき、地方管理空港を含む全ての空港で、令和八年度末までに着手をするということにされておりますが、例えば海に面した空港では、埋立てといった高度な技術を要するために、これまで未着手となっていた状況がありました。そのため、今回の制度創設は、そのような未着手の状態を早期に解消するためにも私は必要な措置であるというふうに考えております。
そこで、国交省に伺いますが、現在、全国で五十九ある地方管理空港等において、いまだこのRESA対策が未着手の空港は幾つあるのか、答弁を願いたいと思います。また、今回の国による工事代行制度の創設により、いまだ未着手の空港でのRESA対策は今後どのように進んでいくと想定するのか、この点についても御答弁願いたいと思います。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
五十九の地方管理空港等のうち、滑走路端安全区域、RESAの事業に着手できていない空港は、現在十五空港ございます。多くは離島空港が中心となっております。
今回新たに創設する平時における工事代行制度は、地方管理空港等を管理する空港管理者の技術職員が減少する中にあっても、適切に空港機能を維持するため、所定の要件を満たす工事を国が空港管理者に代わって実施することを可能とするものです。
委員御指摘のRESAにつきましても、空港管理者から要請があり、大規模な高盛土を伴う工事や海象条件の厳しい海域における海上工事のように、高度な技術を要するなどの要件を満たす場合には、本制度における工事の代行対象となり得るというふうに考えております。
国土交通省といたしましては、空港管理者の御要望もよくお聞きしながら、今回創設する本制度も活用いたしまして、RESAの整備を含め、将来にわたり空港機能が適切に確保されるよう、空港管理者を支援してまいりたいと考えております。
○中川(康)委員 ありがとうございます。
まさしく今答弁いただいた、まだ未着手のところはやはり離島空港が多いということでございます。ですから、技術的にも大変難しい、これは理解します。
しかし、離島空港を整備するということは、やはり離島振興にもつながることでありますし、離島の皆さんの生活や命に関わることでありますので、今回の代行制度、しっかりと周知をし、活用をしていただきまして、そして、離島の皆さんの生活に資する、そういった内容になりますことをお願いを申し上げ、質問を終わります。
大変にありがとうございました。
○井上委員長 次に、たがや亮君。
○たがや委員 委員長、冒頭、ありがとうございます。先ほど私の名前を間違えて呼んでいただいて、また一つ、私も少しは知れた感じになったのかなと思いましたけれども、れいわ新選組の中の未確認飛行物体、たがや亮と申します。
本日は、昨年一月二日に発生をした羽田空港での航空機衝突事故を受け、滑走路への誤進入を防ぐ措置などについて質問させていただきたいと思います。
まず、基本的なことなんですが、航空機事故が発生した場合、警察による刑事捜査が行われるために、再発防止につながる原因究明のための証言が得られないケースが多いと聞きました。航空機事故では、原因究明のための調査が刑事捜査に優先されるべきであり、事故の記録を刑事捜査や裁判証拠など事故調査以外の目的で使用してはならないという国際民間航空条約にも違反するとの意見もあります。
そして、一九七二年に警察庁と当時の運輸省で結んだ航空事故調査委員会設置法案に関する覚書を見直すべきではとの声がありますが、まずは警察庁の見解、そして国交大臣の見解をお願いをいたします。
○松田政府参考人 お答えいたします。
我が国では、航空機事故につきまして、業務上過失致死傷等の構成要件に該当し得るところ、警察としては、刑事訴訟法の規定により、犯罪があると思料するときは法と証拠に基づいて適切に捜査を遂げる必要があります。
運輸安全委員会による事故調査と警察による犯罪捜査は、それぞれが公益実現のための重要な作用であり、一方が他方に優先するという関係にあるものではないと考えております。両者が競合する場合に相互の調整が円滑に図られるよう、運輸安全委員会との間で覚書等を取り決めており、これらに基づき適切に活動を遂行すべきものと考えております。
○中野国務大臣 お答え申し上げます。
運輸安全委員会が行う事故調査は、事故等の防止と被害の軽減を目的とするものでございまして、刑事責任を追及することを目的とする犯罪捜査とは切り離されて行われているものでございます。
事故調査と犯罪捜査は、一方が他方に優先する関係にあるものではなく、国際民間航空条約においても、事故調査の刑事捜査への優先といった規定はございません。
また、お尋ねの、国土交通省と警察庁との間で交わされている文書につきましては、事故が発生した際、運輸安全委員会の事故調査と警察の捜査がそれぞれ円滑に実施をされるよう、必要な調整を図るために取り交わされているものでございます。
なお、運輸安全委員会に確認をしたところ、これまで、警察による捜査の可能性があるため関係者から必要な協力が得られず、事故原因の究明に支障を来すようなことは特になかったというふうに聞いておるところでございます。
○たがや委員 ありがとうございます。
しかし、現役のパイロットからは、警察の捜査が入ると真の原因究明が遠のいてしまうという声が上がっています。やはり、罪に問われるんじゃないかということを気にして黙ってしまう、そういうことですので、痛ましい事故の再発防止には原因究明のための調査が何よりも必要だと思うので、国交省と警察庁で、あるべき連携の姿を検討をお願いしたいと思います。
今回の法案は、羽田空港衝突事故対策検討委員会で検討された事故対策が多く盛り込まれています。この検討委員会のメンバーは、定期航空協会と日本航空機操縦士協会が選ばれていますが、その理由は何か、お伺いをいたします。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の委員の選定につきましては、ヒューマンファクター、航空交通管理、システムなどのハード、ソフト両面にわたる専門的知見のほか、管制官や運航者側の知見など、多岐にわたる分野から選定をしております。
委員御指摘の定期航空協会と日本航空機操縦士協会には、エアラインパイロット、それから小型機パイロットとしての専門的知見をいただくために委員として選出したものでございます。
○たがや委員 ありがとうございます。
多岐にわたる分野から委員を選定しているということですが、パイロット、管制官、気象予報官、そして客室乗務員、整備士、グランドハンドリングなど民間航空のあらゆる職場で働く四十一団体、約一万人が集まる航空業界で最大の団体、航空安全推進連絡会議、いわゆるJFASの専門的知見をおかりして、これから質問させていただきたいと思いますが、航空路表示灯、ランウェーステータスライト、RWSL、これを日本以外で導入しているのはアメリカとフランス、トルコ、中国のみということです。海外の多くの国が導入をためらっているのは、設置に多額の費用がかかるため、費用対効果についての疑問があるとのことです。
そこで、RWSLの追加導入は本当に効果があるのか、国交省に見解をお伺いします。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
滑走路状態表示灯、RWSLにつきましては、平成二十年の滑走路誤進入防止対策検討会議の取りまとめにおける提言を踏まえまして、国内の五空港、新千歳、羽田、伊丹、福岡、那覇空港において導入したものでございます。
これら五空港では、導入後、滑走路誤進入に係る重大インシデントが九件発生をしておりますが、いずれも、RWSLが未整備の滑走路や誘導路で発生した事案や、着陸機による滑走路の誤認等であり、RWSLが作動したにもかかわらず発生した滑走路誤進入は確認されておりません。
今般、主要空港において導入を拡大するRWSLにつきましては、このように滑走路誤進入防止に有効であるという実績があることから、対策検討委員会の中間取りまとめの提言を踏まえまして、滑走路誤進入対策として可及的速やかに実施する必要があるものと考えております。
○たがや委員 RWSLは、効果がないとは言いませんけれども、効果と費用、そして設置期間等々を考慮したら、費用対効果は薄いんじゃないかというのが現場の声です。
このRWSLに対し、滑走路誤進入の対策としての滑走路警戒灯、ランウェーガードライト、いわゆるRGLについて伺いますが、現在、日本ではRGLは夜間や視界の悪いときだけに点灯されていますが、これを常時点灯することが有効であり、それが可能になるように規定を見直すべきとの意見がありますが、RGL、特に埋め込み式のRGLの有効性について、国交省の見解をお伺いをいたします。
○平岡政府参考人 滑走路警戒灯、RGLでございますけれども、これは、地上走行中の航空機に対して、滑走路に入る前の停止線の位置を黄色の明滅光で示すものでございまして、滑走路進入の可否を示すものではございません。また、羽田空港C滑走路におきましては、事故当時もRGLの運用を行っていたにもかかわらず、誤進入が発生したという事実がございます。
一方、滑走路状態表示灯、RWSLは、他の航空機等が滑走路を使用していることを示し、パイロット等に対して注意喚起を行うものでございます。
さらに、RGLは停止線に設置されているため、停止線通過後は視認できない。一方で、RWSLは航空機の進入方向に沿って設置をされているということでございますので、仮に停止線を通過した後でも視認をできるという特色がございます。
したがいまして、滑走路誤進入対策といたしましては、私どもといたしましては、RGLよりRWSLの方が有効というふうに考えております。
なお、RGLとRWSLの有効性の比較につきましては、第八回検討委員会において議論を行い、専門家から同様の意見が述べられているところでございます。
○たがや委員 ありがとうございます。
第七回の事故対策検討委員会では、RGLに関して全く言及がなかったんですね。その後、推進連絡会議がその七回の議論を受けていろいろと言及をしたんですけれども、それについて、今度は八回目でRGLを取り上げてきたということで、この八回目のやつを読ませていただきますが、今回、羽田空港C滑走路では、RGLは点灯していたにもかかわらず、誤進入が発生した、RGLは停止線の両外側に設置されているため停止線通過後は視認できない、滑走路誤進入対策としてはRGLよりもRWSLの方が有効と結論づけています。現場のパイロットたちは、全くそうは思っていないようなんです。
いわゆるRGLというのは、日本型のRGLと海外のRGLというのは使い方が違う、目的が違うらしくて、日本のRGLというのは角度がついている。要するに、遠くの飛行機に対してこっちだよ、こっちだよと呼び込むためのものになっていて、海外は、パイロットに対して正対をしている、しっかりと見えるようになっている。これが大きな違いだと。
だから、RWSLじゃなくても、RGLにおいても、そういう形を正対する形にすることで十分パイロットは対応できると。わざわざRGLを誘導用に遠くの飛行機に、左右の要するに後方、正面から見たら全く見えづらくなってしまうというような状態だから誤進入が起こるんじゃないかという意見もあるんです。
そこで提案なんですけれども、RGLを向きを変えるとかというのは特段の工事も必要なく、予算もかからない。既存のRGLをパイロットが視認しやすいように、正面、向きを変えて正対するような形にするというのはいかがでしょうか。お金もかかりませんし。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
委員御指摘のように、RGLに滑走路誤進入を防止する効果がないということを申し上げているわけではございません。特に、やはりRGLというのは停止線に設置されているということになりますので、そこを一旦気がつかずに通り過ぎてしまうと、それをもう見る機会がないという形になります。
一方で、RWSLというのはレーダーと連動しておりまして、到着機が来るということがまさに信号として示される。それが航空機の進行方向に対してずっと灯火で示されるということになりますので、動いている間にも途中で気がつく可能性があるということで、滑走路誤進入を防止する効果が高いということでございます。
それで、先ほど申しましたとおり、専門家もそのような御意見を頂戴いたしておりますし、この検討委員会におきましては、現役のパイロットも参加をした上での結論だというふうに御理解をいただければというふうに思います。
○たがや委員 でも、現場のパイロット数十人に、このRWSLで誤進入を防げるのかという議論になったらしいんですけれども、誰一人としてこれで防げるとは言わなかったらしいです。誰もそれを認めない。ただ、全く効果がないとは皆さん思っていないんだけれども、それじゃ無理だと。
結局、ヒューマンエラーが原因で誤進入を起こすということが最大の理由ですから、幾らそういうことを引いても、逆に、RWSLをそこに引いたとして、万が一、管制官の方でそれをつけ忘れたとか、今度そういうことの余計な心配も出てきますし、ヒューマンエラーというのは結局そういうことですから、一旦、費用もかからないのであれば、RGLの目的を、遠くの飛行機に誘導する、そんなものは必要ないとパイロットは言っているので、その使い方を変えて、さらにRWSLもやれば私はいいと思うんです。
RWSLはやはり時間がかかりますから、その時間がかかる間でもRGLで対応するということは十分に考えられると思いますが、大臣、所感でいいので、どうですかね、RGLをそういう形に変えていくという、使い方を変えるというのは、大臣、感想で結構です、もし答えられたらで、お願いします。
○中野国務大臣 もちろん、様々な現場の意見を聞いていくということは非常に大事だというふうには思います。
ただ、先ほど来、局長からも議論させていただきましたとおり、専門的な観点からの議論や、あるいは、そこにはパイロットの皆さんも入って議論をして一旦決めているということでもございますので、それはそれでやはり尊重して、しっかりそういう対策を取っていくことは必要かというふうには思っております。
○たがや委員 時間が来たから終わりますけれども、大臣、お金がかかることでもないので、数年かかるというRWSLの設置、その前にしっかりそういうことも考えていただければなと思います。
質問を終わります。ありがとうございます。
○井上委員長 次に、堀川あきこ君。
○堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。
本法案は、羽田空港での航空機衝突事故も受けての提案というふうになっています。様々な再発防止策が議論されているんですけれども、大きな背景として航空便の過密化があるというふうに考えています。この羽田と同じような事故を、ほかの空域でも起こしてはならないというふうに考えます。
関西空域で今年三月二十日から始まった新経路、運用見直しについて質問をしていきたいと思います。
関西空域では、関西経済連合会、知事、政令市の首長などが参加する関西三空港懇談会の要請を受ける形で、飛行ルートや発着回数の増加が決定をし、今年、二〇二五年三月二十日から実施をされています。この懇談会では、大阪・関西万博、IR、カジノですね、関西圏の経済発展のためというふうな議論がされております。
三月二十日からのこの見直しについて、万博の開催に間に合わせたというふうな理解でよろしいでしょうか。大臣、イエスかノーでお答えください。
○中野国務大臣 関西空港の新飛行経路は、二〇二五年の大阪・関西万博の成功を支えるとともに、増加する訪日外国人需要への対応など、その後の関西の持続的な成長を支えることなどを目的として、本年三月二十日から導入をされたものでございます。
○堀川委員 関西空域は、関西国際空港、神戸空港、伊丹空港、さらに自衛隊と共用の八尾空港が近距離にあり、元々狭い範囲に複数の空港が密集しているというふうな空域になっています。
今回の運用見直しの主な内容なんですけれども、関西国際空港が一時間当たりの最大発着回数を四十六回から六十回に増やしていくと。神戸空港は一日の最大発着回数を国内線で八十回から百二十回に増やし、国際線はこれまでなかったんですけれども、一日四十回まで解禁をされました。このため、淡路島上空を横切るコースというのが二ルートから七ルートに増えて、飛行機の高度がこれまでよりも低空が可能となるように緩和をされています。
資料一が関西国際空港の経路見直し案、これは南風のときの出発経路図なんですけれども、淡路島上空を横切るコースが三つ、東浦ルート、南あわじルート、南淡ルートとなっています。北風のときの出発経路もこれは同じコースというふうになっているわけです。これは、済みません、二つ目の質問を飛ばします。この見直し案が三月二十日から正式に採用されているということになっています。
それで、この三月二十日以降、実際にどれだけの機数が淡路島上空を通過しているかというのを資料二に示してあります。見直し後の四月の一か月で淡路島上空を通過した出発機と到着機の運航実績数をまとめたものです。
一か月の機数は、関空の合計が八千百九十八機、神戸空港の千三百四十機を含めると、一か月で九千五百三十八機が淡路島上空を通過しているということになります。これは単純に三十日で割りますと、一日平均三百十八機が通過をしているというふうなことになります。
これは元々、関西国際空港の建設を決定した際に、国の航空審議会の答申に明記をされた、沿岸部の住居地域への騒音影響を考慮して、努めて海上を飛行し、低高度で陸上上空を飛行しないという地元自治体との約束があったわけですよね。基本的にそれが守られてきました。しかし、今回、努めて海上を飛行するという約束が、実態とはかけ離れたものになっているというふうなことだと思います。
淡路島北部の岩屋地域、また南部の由良地域というところからは、淡路島上空の飛行が可能になり、かつ、飛行する高度が低くなったことによって、騒音がひどくなったというふうな声が届いています。
航空局からは、この飛行経路の見直しについて地元合意を取ったんだというふうにお聞きをしたんですけれども、実際、淡路島の住民の方は騒音被害を訴えられているということです。
これは大臣にお聞きしたいんですけれども、この住民の方の騒音被害の声、認識されていますでしょうか。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
関西空域の新飛行経路につきましては、導入前の昨年一月、淡路島市長会から、住民の皆様のお声として、淡路島の陸域の上空に五本の飛行経路が新設をされること、従来の飛行経路と比べて高度が引き下がることから、生活環境への影響や不安の声があるとの御意見があり、運用開始後も地方自治体等に対して住民の皆様からの問合せなどがあったというふうに私も承知をしております。
こうした御意見への対応として、新飛行経路の運用後の住民の生活環境への負担をできる限り軽減をするという観点から、地元自治体、関西エアポート、国などが参画をする府県ごとの関係者会議の設置など、新たな環境の監視体制が整えられたところでございます。
この府県ごとの関係者会議におきまして、継続的に新飛行経路の運用状況の把握や課題等の協議が行われることとなっておりまして、国土交通省としても、地元自治体等の関係者としっかりと意思疎通を図り、安全性の確保を前提として適切に対応してまいりたいと考えております。
○堀川委員 その際に、是非、当事者の地元住民の声がきちんと反映されるような運営をお願いをしたいというふうに思います。
それで、三月二十日以降の新たな運用で、空の安全を脅かす事態も起きているようです。関西空域での航空機同士の異常接近、衝突防止装置が作動した事例が一件あったというふうに事前の調査でお聞きしたんですけれども、これは事実でしょうか。確認です。
○平岡政府参考人 お答えを申します。
関西経路の見直しを行った本年三月二十日から五月十四日までの間でございますけれども、関西空域において、航空法第七十六条の二に基づく、航行中他の航空機との衝突又は接触のおそれがあったと認められる事態の機長からの報告はございません。
一方、同期間、同空港において航空機衝突防止装置の回避指示が作動したとして報告のあった事案は一件ございましたが、パイロット及び航空管制官による適切な対応が取られた結果、安全上の問題はなかったと認識しております。
済みません。ちょっと先ほど、同期間、同空港と申し上げましたけれども、同期間、同空域の間違いでございます。大変申し訳ございません。
○堀川委員 一件あったというふうなことだと思います。
衝突回避装置の作動というのは、衝突を回避する最後のとりでというふうに言われています。新たな運用が始まって一か月余りの間にこのことが発生したということは深刻だというふうに思うんですけれども、大臣の受け止めはいかがでしょうか。端的にお願いします。
○中野国務大臣 先ほど局長から答弁をさせたところでございます。そのような事実があったということは承知をしております。
その上で、本件につきましては、先ほどの答弁のとおり、パイロット及び航空管制官による適切な対応が取られた結果、安全上の問題はなかったと認識をしておりますが、今後、必要に応じ、再発防止に向けた取組を進めてまいりたいというふうに思います。
○堀川委員 まだまだ問題が起きているというふうなことを申し上げたいと思います。
資料三は、関西エアポートが公開をしている航跡の重ね合わせ図です。四月二十日の一時台の一時間の飛行航跡を示しています。青が出発機、赤が到着機、かなり多くの割合で出発機と到着機が大阪湾上空、関空と淡路島の間のエリアで交差しているのが分かるかと思います。
資料一にあるように、飛行ルートを増やしたことで、関空からの出発機は淡路島上空を横切る三つのコースが標準経路となりました。しかし、実際の運用では、資料三のように、青線で示した関空からの出発機のほとんどが東浦ルート付近に集中しているということが分かると思います。
資料四は、この四月二十日の航跡図を時間単位でお示しをしたものです。ほとんどの航跡が同じ傾向になっている。ちなみにこの日は曇りだったんですけれども、雨は降らなかったようです。
なぜこうなるのかということで現職の管制官にお話を聞きますと、出発機は離陸後に一定の高度、平均でおよそ一万六千フィートから一万八千フィートまで到達させた上で、神戸や東京の管制部に業務移管することになる。出発機が南あわじルートや南淡ルートの標準経路のとおりに飛ぶと、赤線の到着機がやってくるコースに向かっていくということになるわけです。発着枠の拡大によって、到着機はおよそ二分間隔でやってくる、その合間を縫って出発機の高度を上げるというのは、針の穴に糸を通すようなものだというふうにおっしゃっていました。
一方で、出発機も二分間隔で続いていきます。そうなると、出発機が滞留してしまい、管制官の能力を超える手持ちの機数になってしまう。飛行機が壁をつくっているという表現が管制官の間では使われるそうです。これは、少しでも早く到着機と交差を終えて出発機の高度を上げるために、管制官が南あわじルートや南淡ルートを避けて東浦ルートに誘導をし、結果、東浦コースに集中しているというふうなことがうかがえると思います。
東浦コースに集中していることについて、局長、どのように認識をされていますでしょうか。これも、済みません、端的にお願いします。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
御指摘の関西空港の出発機が東浦ルート付近を多く飛行していることにつきましては、安全性の確保を前提といたしまして、御地元からの要望である陸地上空の飛行高度の引上げを図るため、管制運用上の工夫により、管制官が誘導した結果であるというふうに認識しております。
○堀川委員 今おっしゃいましたけれども、標準経路を避けて東浦コースに誘導する場合、管制官が指示を出してレーダー誘導をしているということだと思います。
見直し前の運用では、関空の出発機というのは、標準経路の飛行で七海里くらいまで直進をして、その間、レーダー誘導は必要なくて、管制官は監視するというのが主な任務だったということです。新たな運用で、管制官は判断も増えるし、見る範囲も広がるし、通信量も増える、明らかに業務量が増えていると思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
管制官は、進路、高度、速度を指示することで航空機の安全な間隔を確保しており、進路を指定する手法としてレーダー誘導は標準的に行っていることでございます。そのため、レーダー誘導の実施が直ちに管制官の業務量の増加に結びつくとは考えておりません。
これまでも、航空需要の増大に伴いまして、管制官一人当たりの業務負担が過大とならないよう、適切な体制を確保すべく、増員を行ってきたところです。
引き続き、航空需要の動向や管制官の業務負担の状況等を踏まえ、管制官の人的体制の強化、拡充を含め、航空の安全、安心の確保に向けた取組を進めてまいります。
○堀川委員 国土交通労組からは、見直し前の計画の段階で、レーダー誘導ありきの経路は無理があると声が上がっていたと、これは航空局も把握しているはずです。真摯に受け止めていただきたいと思います。
さらに、管制官の人員体制についてもお聞きしたいんですけれども、関西空港事務所の予算定員、実際に配置されている実員数、欠員数、どうなっているでしょうか。数だけお願いします。
○平岡政府参考人 令和七年四月一日現在ということでお答えさせていただきます。関西空港事務所航空管制官の定員は百五十五名でございます。
実員につきましては、育児休業や中途退職などにより日々刻々と変化しますが、先ほど申しました四月一日時点で取りますと百四十三名ということでございまして、欠員については十二名ということでございます。
○堀川委員 明らかに足りていないというふうなことだと思います。
最後に大臣にお聞きしたいんですけれども、三月二十日以降の飛行経路について、矛盾がいろいろ明らかになっていると思います。見直すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 お答えを申し上げます。
現在の飛行状況は、先ほど局長が答弁をしたとおり、安全性の確保を前提に、御地元からの要望であります陸地上空の飛行高度の引上げを図るため、管制運用上の工夫により、管制官が誘導をした結果であります。このレーダー誘導の実施が直ちに管制官の業務量の増加に結びつくものではないというのは、先ほども答弁させていただきました。
引き続き、航空需要の動向や管制官の業務負担の状況等を踏まえまして、管制官の人的体制の強化、拡充等に取り組んでいくこととしております。
こうしたことから、国土交通省としては、新飛行経路を再検討する必要があるというふうには考えていないということでございます。
○堀川委員 関西財界の要求、万博、カジノが先にありきで、空の安全対策というのが二の次にされているというふうに指摘をしたいと思います。羽田の重大事故の教訓が生かされていません。そういった姿勢を改めるべきだというふうなことを指摘させていただいて、質問を終わります。
○井上委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享でございます。
当初、羽田空港における古賀誠長男案件と今回の法改正の二本立てで考えていたんですけれども、次回の金曜日の一般質疑がそれも含めての時間になっているということなので、そちらは後の方にさせていただいて、まず航空法等の改正法案にいきたいと思いますけれども、ただ、この古賀誠長男案件、これも、空港行政が抱える構造的な問題が私は表れているんじゃないかと思いますので、本来、この法案の審議の前提として、しっかりとその構造的な問題を明らかにしなきゃならないと思っておりますので、恐らく野党第一党の皆さん方も、金曜日、質問されるんじゃないかと思いますので、それを受けて私も、補完する質疑を金曜日に行いたいと思っております。
昨年一月二日の羽田空港の事故、私、父が今、藤沢の老人ホームにいるものですから、お正月、会って帰るときに、すごい赤い消防車のランプがついていて、何だろうと思ってラジオを聞いたら、ちょうどその事故が報道されておりまして、偶然その現場を目撃いたしました。
昨年十二月二十五日の運輸安全委員会の航空事故調査の経過報告を読んでみると、いろいろな複合的な要因があるということですけれども、管制交信に関する聞き間違いとか思い違いといったヒューマンエラーのことが詳細に書かれておりまして、かつて、私、ヒューマンエラーでいうと、役所にいたときに、ジェー・シー・オーの事故というのが一九九九年、東海村でありまして、臨界事故、あれは、本来ちゃんとした機械を使って原子力の燃料を作るとされていたんですけれども、バケツとひしゃくを入れるという、全くマニュアルにないやり方をやって臨界事故を起こして、とてつもない被害を起こしてしまったという、その問題を非常に思い返して、やはりヒューマンエラーの問題というのは非常に難しい問題だなというふうに思っております。
今回の法改正では、航空法を改正して、第四十七条第二項の機能確保基準で定める事項の中に、第三号を新たに加えて、地上走行中の航空機又は車両の滑走路への誤進入を防止するための施設の維持管理及び改修に関する事項というのを加えて、その事項は四十七条第一項に基づく国土交通省令で定めることとしております。
これは、何を定めるか、全然これだと分からないんですけれども、具体的にどういう事項を省令として追加する予定なのか、まず、この点についての御答弁をお願いいたします。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
羽田空港における航空機衝突事故を受けまして、今般の法改正により、空港設置者が遵守すべき機能確保基準に滑走路誤進入防止措置に関する事項を追加し、空港における航空機や車両の滑走路誤進入を防止するための安全対策の強化を図ることといたしております。
具体的には、今後、この規定に基づきまして、空港設置者において、主要空港における管制機関や航空運送事業者等の関係者との密な連携の下、現場での安全対策を検討、実施、評価する役割を担う滑走路安全チームの設置、滑走路状態表示灯等の適切な運用の確保、滑走路進入車両に対する位置情報等送信機の搭載、国によるグランドハンドリング事業者に対する事故等の調査への協力といった滑走路の安全対策が講じられるよう省令等の措置を行うことを検討しているところでございます。
○福島委員 ありがとうございます。
先ほど鳩山委員の質問にもありましたけれども、大事なのは、私はやはりグランドハンドリングに関するものだと思っております。
先ほどの鳩山委員の質疑に対する答弁で、グランドハンドリング事業者の事業実態について国が情報提供を受けられるようにしたり、あるいは重大事故の発生時には国が直接調査や聞き取りが行えるような制度を入れるという答弁がありました。
私、これは本来は、でも、きちんと法律に位置づけなければならないんだと思うんですね。グランドハンドリング事業者って極めて安全に関わる者だと思う。例えば航空機の誘導などをする仕事というのは、まさに安全そのものであって、グランドハンドリング事業者って一言も出てこなくて、省令で規定するということになるのが本当にいいのかというふうに思うんですね。
まだ、四百社も事業者があって、事業実態が分からないという点もあるんだけれども、しかし、私は、安全に関わるようなグランドハンドリング事業者については、例えば法律上届出をさせる、届出をさせた上で、法律に基づく報告徴収をさせるといったような制度をつくるべきじゃないかな、今回の改正でそれを行うべきだったんじゃないかなと思うんですけれども、大臣、そうした方向にすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○中野国務大臣 福島委員の御指摘に対してお答えを申し上げます。
羽田空港航空機衝突事故対策検討委員会の中間取りまとめを踏まえまして、御指摘のとおり、グランドハンドリング事業の安全性を高めるために、事業者からの情報提供により事業実態を把握をするとともに、重大な事案が起こった際などに事業者への直接調査等が可能となる仕組みを構築をするということでございます。
航空法の考え方をちょっと説明させていただきますと、空港の設置者が国が省令で定める機能確保基準に従って空港を管理しなければならないという旨を規定をしておりまして、空港内における安全確保については一義的に空港の設置者が責任を有するというのが航空法の考え方でございます。
このため、今般の改正案におきましても、先ほど局長が答弁しました、国が機能確保基準に定めるべき事項としまして、滑走路誤進入防止措置に関する事項というのをまず追加をさせていただき、空港設置者に求める具体的な取組については、機能確保基準として省令で定めるということとしたところでございます。
グランドハンドリングに係る取組につきましても、事業者に対する監督の強化というのを空港設置者に義務づけることとしたところでございます。これにより、滑走路誤進入の防止対策に万全を期してまいりたいというのが今回の法律の考え方でございます。
○福島委員 そう言いながら、今回、新たに省令で国が直接報告徴収とかを求める規定を設けて、しかも、それは法律上に根拠がないことをやろうとしているんです。だから、私は、ちゃんと、それは届出とか直接許認可とか、そこまでする必要はないと思いますよ。法律上に基づく行為としてやらないと、省令に基づく行為で、しかも、グランドハンドリングが法律上何ら位置づけられていないというところが私はいけないと思うんですね。
国土交通行政って常にこうしたことを繰り返してきて、貸切りバスとか先日の遊覧船とか、事故が起きてからまた改めて規制強化、規制強化とやって、最初は何か省令か何かで適当にやっていってというのが余りにも多過ぎると思うんですよ。後手後手。
だから、私は、今回、事業実態が把握されたならば、数年後にはしっかりと見直しを行って、グランドハンドリング事業者、重い規制は要らないですよ。特に安全に関わる人たちに対しては、ちゃんと法律上位置づけて、それなりの規制を入れる、報告徴収とかは罰則つきで入れるとか、そうしたことをすべきだということを訴えたいと思いますので、大臣、是非その点、お考えいただければと思っております。
二点目、先ほど申し上げましたヒューマンエラー対策なんですけれども、航空法の改正案の第七十一条の五において、航空管制に係る空港等から離着陸を行える要件として、いわゆるCRM、クルー・リソース・マネジメントを修了することを条件とする規定を新たに設けました。
もう既に、航空法第百四条に基づいて、航空会社が定める運航規程に定める事項として航空機乗組員の訓練の方法というのが規定され、その中で、運航規程審査要領細則の中で、CRM訓練を行うべきことが定められております。
今回、そうした訓練を行うべきことが定められているのに、なぜ新たにこのようなCRM訓練を修了しなきゃ離着陸が行えないという規制を入れるのか、その点について答弁をお願いいたします。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
現在、我が国におきましては、国際標準に従いまして、航空運送事業者が国土交通大臣の認可を受けて定める運航規程を通じ、エアラインのパイロットに対しCRM訓練の実施を義務づけているところでございます。
今般の航空法改正によりまして、運航規程の適用を受けない、自家用等、エアライン以外のパイロットを対象といたしまして、定期的なCRM訓練の修了を義務づけることとしております。
エアラインのパイロットに対するCRM訓練に追加をして、今回、自家用等のエアライン以外のパイロットに対してCRM訓練の修了を義務づける、こういうことでございますので、両者相まって総合的に、誤進入防止ということで、航空の安全向上を図ってまいりたい、こういう趣旨でございます。
○福島委員 ありがとうございます。
エアライン以外を対象にするということでありますけれども、じゃ、ちょっと通告していないんですけれども、それには自衛隊機は入るんでしょうか。どうぞ。
○平岡政府参考人 自衛隊機及び自衛隊機の乗組員に関する基準については、自衛隊法の方で定めるという形になっておりまして、航空法の適用は外れております。しかしながら、自衛隊においてもCRM訓練を行っているということは確認させていただいております。
更に申し上げますと、今回の対策委員会での検討に当たりましては、最初から防衛省にも入っていただきまして、そこは相互連携をしながらしっかりとCRM訓練も自衛隊の方でやっていただく、こういうことで協調をしてまいりたいということでございます。
○福島委員 ありがとうございます。
ただ、これは訓練だけじゃ駄目なんですね。ジェー・シー・オーの事故の後も、原子力災害対策特別措置法というのを作って、原子力防災訓練というのをきちんと法律上位置づけたんです。ただ、訓練をやるとどうしてもおざなりになるから、その訓練を第三者が評価するというのを予算措置でつけたんですよ。実は、その予算措置は事業仕分の対象になっちゃいまして、私が仕分人として仕分しなきゃならないということが民主党政権のとき発生したんですけれども、ただ、やはりこれは、訓練だけではないその辺りの措置も、きちんといかに実効性のある訓練をさせるかということも目を置いていただければと思います。
最後に、今回の空港法の方の改正で、新たに、平時においても空港管理者からの要請に応じて高度な技術や機械力を要する工事を国が代行できる制度というのを創設しております。
これは結構なことだと思うんですけれども、一方、過度な国の依存、中央集権的に何でも何でも国がやって、それができる建設会社は中央にしかない、ゼネコンにしかないということは、私は、国土強靱化の観点から、レジリエンス上も問題があるんじゃないかという観点を持っております。
そこで、今回、高度の技術とか高度の機械力というのが法律上定められておりますけれども、具体的にどのようなものを言い、どのような基準を定めようとしているのか、その点についての御答弁をお願いいたします。
○平岡政府参考人 お答えをいたします。
高度の技術を要する工事でございますけれども、例えば大規模な高盛土を伴う工事や海象条件の厳しい海域における大規模な海上工事など、難易度が高い工事を想定しております。
高度の機械力を要する工事とは、例えば空港管理者が通常の空港工事において使用しないような、大型クレーンや大型クレーン船等を使用する進入灯橋梁の工事などを想定しているところでございます。
今後、具体的には通達等で定めてお示しをしたいというふうに考えております。
○福島委員 私は、それを作るときに是非大臣にお願いしたいのは、これの制度があるからといって、じゃ、何でも中央で集権的にやると、先ほど申し上げたように、防災の観点からもいろいろ問題があると思うんです。例えば、ブロックごとに拠点のある、ゼネコンじゃないサブコンあたりでそうした技術を持っていたり機械を持っている会社があるとか、複数に分散させることが私は大事なんだと思っております。
ですので、この基準を定めるときには、是非、特に地元の企業との協力が行われるとか、あるいはブロック単位でそうしたものが分散させてあるとか、そうした実際の建設業界の産業構造も踏まえた基準を作り、そうした体制をつくるべきだと思うんですけれども、大臣、御見解はいかがでしょうか。
○中野国務大臣 委員の御指摘、非常に大事な御指摘だというふうに思っております。
地域の建設業者は、空港インフラの整備のみならず、災害発生時には空港等の応急復旧を行うのはまさに地域の建設業者の皆様であります。地域の守り手として、国民の生命財産を守る重要な役割を果たすということが期待されておりますので、このため、平時より地元の建設業者の活躍の場を継続的に確保するということが重要であると思います。国の空港工事におきましては、近隣地域内に本支店等が所在することを競争参加資格とするなど、地域の建設業者の受注機会の確保に努めているところであります。
今般の代行制度の対象については、地方公共団体から要請があり、地方公共団体の実施体制や地域の実情を勘案し、設置基準の不適合を回避するための工事であるとともに、高度の技術や機械力を要する工事などとしており、対象とする工事自体は限定はしておりますが、いずれにしても、その実施に際しては、委員の御指摘の地域の建設業者の育成、活用についても配慮してまいりたいというふうに思います。
○福島委員 是非そのようにお願いします。
今回、通告を出して質問をしなかった、いわゆる古賀誠長男案件につきまして、資料も用意しておりますけれども、決してこれは、大臣の答弁のように、空港法第十五条第一項に規定する、空港の機能を確保するために必要な旅客の取扱いに関する事案でないとか言って、他人事のように言える問題ではないということを次回明らかにしたいと思いますので、次回よろしくお願い申し上げます。
以上です。
○井上委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
―――――――――――――
○井上委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。
内閣提出、航空法等の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
―――――――――――――
○井上委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、勝俣孝明君外三名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会及び国民民主党・無所属クラブの四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
提出者より趣旨の説明を求めます。津村啓介君。
○津村委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
趣旨の説明は、案文を朗読して代えさせていただきたいと存じます。
航空法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺漏なきを期すべきである。
一 令和六年一月の羽田空港航空機衝突事故により尊い人命が失われたことを重く受け止め、同様の事故を二度と発生させることのないよう、実効性のある再発防止策を講じること。
二 滑走路安全チームへの航空事業者やグランドハンドリング事業者等の現場職員の参画を確実に働きかけること。
三 グランドハンドリングに従事する者が安心して安全に働くための環境整備に向けて、勤務間インターバル制度の導入や、航空会社とグランドハンドリング事業者及びグランドハンドリング事業者間の適正取引を国として推進すること。また、適正取引等推進のためのガイドラインの策定に当たっては、特に外国航空会社と本邦グランドハンドリング事業者との契約の実態を正確に把握し、実効性の向上を図ること。
四 頻繁に離着陸が行われる空港等におけるパイロットに対するCRM訓練の修了の義務付けについては、ヒューマンエラーの未然防止のために実効性のある訓練内容とするとともに、訓練の内容、時間、料金等の具体的な内容を明確にし、パイロットに対し周知徹底を図ること。また、諸外国のCRM訓練の実情調査の結果を踏まえ、我が国のCRM訓練に必要なものは適切に取り入れること。
五 災害時における国による地方管理空港等の工事代行や権限代行について、空港管理者からの要請に対し、国自ら施行することが適当であることを客観的に判断するための基準を明確にするとともに、災害復旧工事や航空機のエプロンの利用調整等に迅速に対応できるよう、国の組織体制を構築すること。
六 地方管理空港の老朽化の進行に対し、地方公共団体の技術系職員不足により地方管理空港の維持管理が不十分となることがないよう、国による地方管理空港の工事の代行と併せ、技術系職員の確保・育成及び定着のための施策に努めること。また、デジタル技術の導入や自動化を促進し、業務の効率化に向けた環境整備を図ること。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○井上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○井上委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣中野洋昌君。
○中野国務大臣 航空法等の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことに深く感謝を申し上げます。
今後、本法の施行に当たりましては、審議における委員各位の御意見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
ここに、委員長を始め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表します。
誠にありがとうございました。
―――――――――――――
○井上委員長 お諮りいたします。
ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
〔報告書は附録に掲載〕
―――――――――――――
○井上委員長 次回は、来る二十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十八分散会