衆議院

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第8号 平成30年5月23日(水曜日)

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平成三十年五月二十三日(水曜日)

    午後五時五十一分開議

 出席委員

   委員長 櫻田 義孝君

   理事 穴見 陽一君 理事 伊藤信太郎君

   理事 勝俣 孝明君 理事 永岡 桂子君

   理事 堀内 詔子君 理事 大河原雅子君

   理事 柚木 道義君 理事 濱村  進君

      安藤 高夫君    岩田 和親君

      大西 宏幸君    木村 弥生君

      小泉 龍司君    小島 敏文君

      佐藤 明男君    杉田 水脈君

      鈴木 貴子君    鈴木 隼人君

      武村 展英君    中山 展宏君

      原田 憲治君    百武 公親君

      藤井比早之君    船田  元君

      松本 洋平君    宮路 拓馬君

      尾辻かな子君    篠原  豪君

      森山 浩行君    大西 健介君

      関 健一郎君    西岡 秀子君

      鰐淵 洋子君    広田  一君

      畑野 君枝君    森  夏枝君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            福井  照君

   内閣府副大臣       あかま二郎君

   内閣府大臣政務官     山下 雄平君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     川口 康裕君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          井内 正敏君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 筒井 健夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           下間 康行君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           山口 敏彦君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         伊藤  治君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十三日

 辞任         補欠選任

  鴨下 一郎君     安藤 高夫君

  鈴木 隼人君     大西 宏幸君

  黒岩 宇洋君     広田  一君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     鴨下 一郎君

  大西 宏幸君     杉田 水脈君

  広田  一君     黒岩 宇洋君

同日

 辞任         補欠選任

  杉田 水脈君     鈴木 隼人君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 消費者契約法の一部を改正する法律案(内閣提出第三一号)


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     ――――◇―――――

櫻田委員長 これより会議を開きます。

 この際、一言申し上げます。

 去る二十一日の委員会が、政府側の不適切な対応により、途中で取りやめになったことは、委員長として遺憾であります。

 政府として、これを重く受けとめて、十分な反省の上で、委員会の審議に臨んでいただきたいと思います。

 この際、福井国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。福井国務大臣。

福井国務大臣 五月二十一日の本委員会では、衆議院本会議における答弁を訂正するかのような私の誤った答弁及び消費者庁の不適切な対応により審議の混乱をもたらせたことにつきまして、まず、櫻田委員長始め与野党の理事、委員の皆様方に心からおわびを申し上げたいと存じます。

 二十一日の本委員会における黒岩委員の御質問に対する私の答弁におきまして、消費者契約法の一部を改正する法律案第四条第三項第三号及び第四号に言う社会生活上の経験が乏しいことの要件に関しまして、今月十一日の衆議院本会議における答弁を訂正するとの趣旨の答弁をいたしました。しかしながら、当該答弁は誤ったものであり、不適切でありました。

 そこで、当該答弁は撤回をさせていただきたく、お願いを申し上げます。

 私の答弁により円滑な委員会の運営に多大な支障を来しましたことはあってはならないことであり、深く反省し、重ねておわび申し上げます。今後、二度とこのようなことが起こらないよう、気を引き締めて、しっかりと職責を果たしてまいります。

 大変御迷惑をおかけして、申しわけございません。何とぞ御容赦いただき、御審議いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

     ――――◇―――――

櫻田委員長 内閣提出、消費者契約法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事伊藤治君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として消費者庁次長川口康裕君、消費者庁政策立案総括審議官井内正敏君、法務省大臣官房審議官筒井健夫君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君及び国土交通省大臣官房審議官山口敏彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。皆さん、夕刻遅い時間に本当にお疲れさまでございます。

 私も、まさかもう一度この消費者契約法で質問の出番が回ってくるとは思ってもみませんでした。

 そして今回、大臣、謝罪をされました。今回のこの行為は、二つ致命的な間違いというか、してはならないことがあります。

 一つは、委員会において、本会議答弁を削除するということをおっしゃったこと。そしてもう一つは、法文の解釈を、代表質問から委員会質問にかわるまでに変えてしまったこと。これは私は、許されるべきものでは全くない。これでは、本会議答弁、そして委員会の質疑、成り立ちませんよ。私たちは、本会議答弁を聞いて委員会で質疑しているわけです。しかし、勝手に本会議で答えたことと委員会で答えたことと解釈を変えられてしまったら、私たちは今まで何の質疑をしてきたんでしょうか。今までの質疑、全部パアになっているわけです。

 私、これ、本当に謝罪だけで許されるのか。ですので、ちょっと聞いていきたいと思います。

 まず、確認ですけれども、大臣、二十一日に、黒岩委員に対してこのように御発言をされております。

  申しわけございませんが、もとむら賢太郎議員に私の方からお答えをした五月十一日、衆議院の本会議の答弁につきまして、訂正をさせていただきたいと存じます。

  今議員お読み上げいただきました、もう一度私の方からもそこだけ申し上げさせていただきますと、「勧誘の態様に特殊性があり、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、一般的には、」というふうに、そのまま続けていたわけですけれども、「勧誘の態様に特殊性があり、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、」というのを削除させていただいて、その上で、最初から申し上げますと、「例えば、霊感商法等の悪徳事業者による消費者被害については、若年者であれば一般的には、」というふうに続けさせていただきたいと思います。「勧誘の態様に特殊性があり、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、」というところ、約三行ぐらいを削除させていただきたいと思います。

  最初からもう一度申し上げますと、「例えば、霊感商法等の悪徳事業者による消費者被害については、若年者であれば一般的には、本要件に該当するものと考えます。」

  「また、若年者でない場合でも民法により救済されることがあります。」これは追加をさせていただきたいと思います。

ということであります。

 つまり、本会議で広げた要件を、委員会では要件を狭めたわけですよね、霊感商法。今までは、霊感商法であれば、大丈夫ですよ、若年者でなくても本要件に該当すると言っていたものを、委員会では、若年者であればオーケーだけれども、若年者でない場合は民法により救済される、これ、全然違う答弁をされているわけですよ。

 これが原因で、私も、前々回の質問も大混乱になって、そして前回の質問でも指摘をさせていただいたわけです。

 勝手に代表質問の答弁から法文解釈を変えて、委員会の質疑時間中、修正答弁で答え続けたこと、これは立法府を欺く行為であり、私は怒りを感じております。一体、国会を何だと思っているんですか。国会を、立法府を、一行政府が解釈を勝手に変えて、ないがしろにしている。私、これは許されない行為だと思います。

 大臣、何を今謝罪されたんですか。何を不適切だと思われたんですか。お答えください。

福井国務大臣 一昨日の本委員会におきまして、私は、黒岩委員からの御質問に対しまして、内容が不適切な手持ち資料をほぼ読み上げる形で、今月十一日の衆議院本会議における答弁を訂正するという趣旨の答弁を行ったわけでございます。この点に関しまして、真摯におわびを申し上げる次第でございます。

 先ほど、この答弁は全て撤回をさせていただいたところでございますけれども、今後は、委員会における質疑に臨むに当たっては、消費者庁に対し十分な準備を行わせつつ、私自身も、答弁内容をしっかり確認して、万全を期してまいりたいと存じます。

 今委員御指摘の、委員会において本会議の答弁を訂正する、修正するといういわば試み、そして、法文の解釈を勝手に審議の途中で変えてしまうというふうに解釈される試みについて、全く許されざることというのはおっしゃるとおりだというふうに考えております。

 いずれにしても、先ほど、この答弁、先生がおっしゃいました、読んでいただきました答弁は全て撤回をさせていただきたいと思います。

尾辻委員 これが起こった経緯についてお聞きしたいんですけれども、皆様のお手元にも配付させていただきました。これは、消費者庁が、恐らく、もとむら委員に対して配った資料であると思われます。「大臣本会議答弁の修正について」ということで書いてあります。

 これは、何で答弁が変わったのかというところが、この経緯の二つ目に書いているわけですね。先日の衆議院消費者問題特別委員会の参考人質疑等を通じ、社会生活上の経験が乏しいという要件について、相談現場で無用な議論が生ずるおそれがあること等から、解釈を明確にするべきであるという趣旨の意見があったということです。

 これは、誰のどのような発言をもとに修正しようと思ったんですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、御指摘の資料でございますが、これは消費者庁の内部で作成したものでございますので、私の責任がございます。

 その上で、このペーパーの趣旨、きっかけでございますけれども、当委員会における参考人質疑がまずございました。その中で、河上参考人あるいは野々山参考人の方から、特に、社会生活上の経験に乏しいということについての要件を念頭に置いたものと思われる幾つかの御指摘がございました。これにつきまして、一般的に、拡張解釈、類推解釈は許されるし、あり得るけれども、委員会等での審議においては、それを安易に前提にして、それで御議論いただく、政府が答弁するというのは適切ではないのではないかという趣旨と受けとめをいたしまして、そういう問題がないかどうかということは、点検をするという作業をしたわけでございます。

 以上でございます。

尾辻委員 参考人質疑で、あのお二人の参考人は、「社会生活上の経験が乏しいことから」というのは削除した方がいいというような話であって、相談現場で無用な議論が生ずるおそれとおっしゃっていますか。

川口政府参考人 相談現場については、こういうふうな御指摘がございました。

 相談現場で一番問題となるのは、恐らく、新たな論点になるということであります、社会生活上の経験が乏しいことがあるかないかが、相談現場で解決するときに、事業者の方から、そういう反論というんですか、そういうものが出てきて、それが、今おっしゃるように、文理上だけでなく、非常に曖昧な広い要件になっていき、解釈が非常に広がっているもの、これが相談現場で議論になってしまう、そういう御指摘がございました。

 これは、特定の要件、ものに限った話ではないかと思います。裁判とは別に、相談現場ということもございますので、明確な解釈ができるものというものを一般的に求めたものというふうに理解をしております。

尾辻委員 いや、そこだけ切り取って、結局、解釈を変えているわけじゃないですか。

 参考人がおっしゃっていたのは、社会生活上の経験が乏しいという要件が、これによって救済される人が狭められてしまうよ、だから、やはりこれは削除した方がいいんじゃないのというのが、私は参考人の大意だったと思います。

 それで、三つ目の丸でいきますと、これを踏まえて、消費者庁においては、内閣法制局とも相談をしたということで、解釈の整理を行ったということになっております。

 参考人質疑は十五日の火曜日です。委員会質問は十七日の木曜日。ということは、十六日水曜日のわずか一日で、内閣法制局と相談をして、解釈変更をしたんですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず申し上げたいことは、解釈変更をしたということではございません。答弁が幾つかございますので、それについて分析をいたしまして、明確になっていないという点がないかということを整理をしたということでございます。これは、整理をしたというのは、内部の作業として整理をしたということでございますので、ペーパーについても、内部作業のペーパーでございます。

尾辻委員 じゃ、何で内部作業のペーパーがもとむら委員のもとに来るわけですか。答えていただいて、それと、だから、十六日に内閣法制局と相談したんですか。

川口政府参考人 日付につきましては、ちょっと今直ちに確認ができません。ペーパーを策定するという前に、参考人質疑の後、御相談をしつつ、私どもは、これまで御相談もしつつ策定をしておりますので、それとの整合性などございますので、まず相談をしたということでございます。

 ただ、いずれにせよ、このペーパーについては不適切なものでございますので、当委員会の一委員のところにお持ちしたということにつきましては不適切なことでございますので、大臣答弁の撤回とともに、事務方としても、このペーパーについては撤回をさせていただきたいというふうに思っております。

尾辻委員 時系列で言いますと、参考人質疑は五月十五日火曜日なわけです。委員会の質問が始まるのが十七日木曜日なわけですね。これはわずか二日なわけですよ。それも中一日。閣法で出された法案が、わずか一日で解釈が変わる、そして、参考人質疑で誰かが言ったからという理由。私たちは誰も知らなかったわけですよ、これ。こういうことは本当に許されるんですか。

 ちなみに、この変更は、お聞きしますけれども、あかま内閣府副大臣と山下大臣政務官もお知りだったんでしょうか、いつ知ったんですか。

あかま副大臣 私、この資料、また一連の経緯については存じ上げませんでした。

山下(雄)大臣政務官 私においても、事前には知らず、この委員会のやりとりの中で知ったわけでございます。

尾辻委員 いや、もうびっくりしたんですけれども。こんな一番大事な、代表質問でも、みんなが「社会生活上の経験が乏しいことから」という要件は大丈夫かといって、そして、その一番肝の部分の解釈変更をしたことを副大臣も政務官も知らない。

 では、一体誰と誰が知っていたんですか。お答えください。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、解釈変更をしたというつもりはございません。

 答弁の整理をして、できる限り明確にお答えすべく、十七日の御通告をいただきましたので、御通告に備え、答弁資料の準備をいたしました。その中で、できるだけ明確にお答えできるようにという努力をした過程において作成をしたというものでございます。答弁の変更をしたということではございませんので、内部の資料ということでございます。答弁自体は、別途、答弁資料ということで用意をして、御準備をしたということでございます。

尾辻委員 誰までこれを知っていたかという質問に答えていただいていないですが。

川口政府参考人 この資料自体は、私、作成したものを見ておりました。

 この資料は内部の資料でございますので、大臣、副大臣、政務官等に御説明する資料という意味では、答弁資料、御通告いただいたものについての答え方、そういうレベルで議論をいたしますので、このペーパー自体については内部資料ということで……(尾辻委員「一体誰が知っていたんですか」と呼ぶ)資料ということでは、私は見ておりました。

 ただ、これについて、政務への御説明というのはほとんどなかったということでございます。

尾辻委員 いや、本当にこれはこのまま消費者契約法の質疑をしていいんですか。こんな大事な答弁を副大臣も政務官も知らない。それで、私たちも誰も知らないまま、整理、言葉で言うと整理された。

 私、もうこれ以上何の質問をしていいかわからないんですけれども。きょう質問して答えていただいたことが、では、あしたになったら、整理して変わりましたということがあるわけですよね、本会議の答弁を変えているんですから。

 これは、誰もとめなかったんですか、こんなことはしちゃいけないって。

川口政府参考人 お答えいたします。

 答弁を変更したものではございませんで、これは、内部の資料として、作業として作成をしたものということでございます。答弁資料につきましては、個々の先生方の御答弁の、通告状況に合わせて……(発言する者あり)

櫻田委員長 御静粛にお願いします。

川口政府参考人 この資料は内部資料でございまして、先生方の当委員会での御審議につきましては、別途、答弁ぶりを検討し、御相談をして委員会に臨んだということでございます。当委員会でのその前段階の作業として内部で作成した資料ということでございます。

尾辻委員 私、二十一日も質問させていただいていますけれども、篠原委員に対しては、この新しい言い方で、霊感商法については引きこもりしか無理ですよというふうに明確にお答えいただいているんですよ。

 その前の代表質問のときは、例えば、濱村委員に対しても、ちゃんと、勧誘の態様に特殊性があり、積み重ねてきた社会生活上の経験による対応が困難な事例では、高齢者でも、本要件に該当し、救済され得るものでございますということで、答弁が変わっているんです。答弁が変わっているんですよ。

 だから、今、内部資料だ、内部資料だと言われても、これは私は納得できないわけです。

 ちょっと済みません、一度理事会で協議をいただきたいんですよ。これ、質疑を継続できません。本会議と一般質問で解釈が変わって、それで、誰も知らないままにここまで来ているんですよ。みんな質問しているのに、この質問が全部パアになっているんですよ。ちょっと理事会で協議をいただけませんか。

櫻田委員長 いや、筆頭間で協議してください。運営については筆頭間で。(尾辻委員「速記をとめていただけませんか」と呼ぶ)

 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

櫻田委員長 速記を起こしてください。

 川口次長。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど大臣が御答弁申し上げて、答弁の撤回をさせていただいたわけでございます。それと一緒にこの資料についても撤回させていただいたという理解でございます。

尾辻委員 私たち委員に対して、解釈を本会議と委員会で変えましたよね。こんなことをしたら、これ、委員会、成り立ちませんよ。そのことについてどう思うか。私は、もうこれ以上質問を続けられませんよ、信頼関係が壊れているんですから。きょう質問したことを答えられても、またあした、整理しましたと言われたら、どうするんですか。これをどうやって担保するんですか。

川口政府参考人 申しわけございません。

 このペーパーの中にあることと、それから実際にきょういろいろ御質問があるわけですが、御質問はいろいろな角度からされるわけでございます。本会議答弁だけではわからないということで、趣旨を更に御質問があるわけでございまして、それに私ども、大臣、場合によっては参考人、政府参考人が補足的に御説明をするわけでございますが、その答弁自体をお聞きいただいて御判断いただければというふうに思います。

 いずれにせよ、このペーパーは内部のペーパーでございまして、これは撤回されているというふうに理解をしているところでございます。

尾辻委員 ということで、私は、質問を全部やり直さなければいけないわけです、前回聞いたことが、答弁、変わってしまったわけですから。

 だから、今から全部聞きますよ、私。仕方がありません。

 ですから、まず霊感商法を聞きますけれども、霊感商法は、これは若年者以外にも、このように、勧誘の態様に特殊性があり、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、これは一般的な経験ということではないわけですから、救済することができる、取消権がある、これでよろしいですか。

福井国務大臣 社会生活上の経験が乏しいという要件は、もう一度整理をさせていただきますと、当該消費者における社会生活上の経験の積み重ねが、一般に、消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことを意味するものでございます。

 そして、前回も委員の御質問にございましたように、高齢者の消費者であっても、就労経験等がなく、外出することもめったにない、他者との交流がほとんどないなど、社会生活上の経験が乏しいと認められる場合については本要件に該当し得る。

 これに限らず、ほかにもあると思いますけれども、いずれにしても、高齢者を年齢によって排除するものではないということでございます。

尾辻委員 大臣、これ、前回と答えが変わっていないんですよ。ここの答弁が変わったら、その答弁も変わるはずなんですよ。だから、外出や他者との交流がほとんどないという条件付の高齢者、これは撤回しなきゃいけないんですよ、この答弁によると。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 社会生活上の経験が乏しいということにつきましては、年齢上の、年齢による制限がないということでございます。その結果、全てが当たるということ、高齢者も当たり得るということでございまして、当たり得る例として申し上げ、大臣が今御答弁しているわけですので、これは当たりますかということであれば、当たり得ますということです。ただ、それ以外にあるか、それ以外はありませんということになりますと、極めて限定的ということですが、それ以外にもあり得るということで大臣から今申し上げたということだと思います。

 そういうことで、その趣旨で御説明しておりますので、これだけに限定されているということではないということで御説明をしたということでございます。

尾辻委員 確認します。

 ですから、霊感商法については若年者以外も救われるか救われないか、お答えください。

川口政府参考人 霊感商法について、若年者以外の場合についても、社会生活上の経験が乏しいことから、過度に不安を持ち、あと、こう要件がございます、これを満たす場合には、救われ、取消しができるというふうに理解しております。

尾辻委員 最初からそうお答えください。

 次に、デート商法。私、五月十七日に聞きましたけれども、どのような要件を満たしたら「社会生活上の経験が乏しいことから」ということになるのかということで政府答弁を求めたところ、総合的に判断するが、この場合は、特に結婚等の人間関係形成に係る経験を考慮すると答弁されました。つまり、総合的に判断する。すなわち、勧誘の態様などとの関係により、個々の事案ごと、救済されるべきものは救済される。

 つまり、デート商法、私が聞いたときは、二十代だけだよ、三十代からこっちの残りの半分は救われないということでありましたけれども、これは個々に判断するというふうに答弁を変えるということでよろしいですか。

福井国務大臣 社会生活上の経験とは、デート商法の場合、社会生活上の出来事を実際に見たり、聞いたり、行ったりすることで積み重ねられる経験全般をいうものと考えてございます。

 したがって、個別の経験の有無をもとに判断するものではなくて、過去にデート商法の被害を受けたことがなかったとか、そのような商法の被害に遭った等の経験は、社会生活上の経験が乏しいか否かの判断において考慮されるものではないという、前回と同じでございます。(尾辻委員「前回と同じ」と呼ぶ)前回と同じ。(尾辻委員「えっ。もう、また大混乱ですよ。もう議論にならないですよ」と呼ぶ)

川口政府参考人 整理させていただきます。申しわけございません。

 まず、確認させていただきます。社会生活上の経験が乏しいという要件は年齢によって定めるものではないということが基本でございます。この要件は、一般的に、当該消費者における社会生活上の経験の積み重ねが、一般に、消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないということを意味する、これは一般的に当てはまるわけでございます。

 したがいまして、これは総じて経験の積み重ねが少ない方には、若者が多いわけですが、若年者には適用には支障がございません。ただ、御質問の若年者でない場合であっても、社会生活上の経験の積み重ねにおいてこれと同視すべきものは本件に該当し得るということでございます。いずれにせよ、これは年齢によって定まるものではないという解釈でございます。

 いろいろ個別事例で御指摘がございますが、多くの場合、個別事例といいましても、その先に、いろいろ個別事例がございますので、個別事情がございます。なかなかお答えしにくい、ただ、これは入りますということは例として申し上げているわけでございます。それ以外はないということではございません。そういう趣旨はこれからも明らかにしていきたいというふうに思っております。

尾辻委員 それで、前回、私、ジャパンライフの例をとって、ひとり暮らしの高齢者に親切に近づいてくる、病院に一緒に連れていく、こういうことで、これは親切にしてもらったということで好意をこうして持ってしまう。そこから、返報性ですね、せっかく親切にしてくれたからということで巧みにいろいろなものを買わされるということがありましたけれども、今回の第四条第三項第四号で、取消権、ここには含まれてくるんでしょうか、今後。この解釈が変わりましたから。

川口政府参考人 御質問いただきましたジャパンライフの事例、いろいろな個別ケースがございます。私どももお聞きしております。ですから、ケース・バイ・ケースということでございますが、四号で読み得る場合があろうかというふうに思います。

尾辻委員 今回、やはり、「社会生活上の経験が乏しいことから」ということが入った、そしてこの解釈が本会議と委員会で変わってしまったがゆえに、私ももう一度同じことを聞かなければいけなくなったわけですね。

 私、ちょっとこれ、やはりもう一回整理していただいて、これは審議をやり直した方がいいと思うんですよ。こんなぐちゃぐちゃのままで本当にいいんですか。これ、聞いている消費者の方や、そして消費者団体の方や日弁連の方々、この答えでわかるんですかね。一体、どれが本当の答えなのか。もう私、全然わからなくなっているんですけれども。

櫻田委員長 川口次長、簡潔にお願いします、時間が経過しておりますので。

川口政府参考人 まとめて御説明します。

 この社会生活上の経験が乏しいという要件は、当該消費者における社会生活上の経験の積み重ねが、一般に、消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないということを意味するものでございます。

 したがいまして、総じて社会生活上の経験の積み重ねが少ない若年者への適用には支障がなく、また、消費者が若年者でない場合であっても、社会生活上の経験の積み重ねにおいてこれと同視すべきものは本要件に該当し得る、こういう解釈でございます。

 個別の御質問があれば、これに沿って判断をしていくということで御説明をしていきたいと思っております。

櫻田委員長 尾辻かな子君、簡潔にお願いします。

尾辻委員 はい。

 聞いてきましたけれども、やはり私、今回のことは許せないと思うんですよ。特に私は四十分、四十分で一時間二十分も質問してきて、それが本会議答弁と解釈が変わったことで全くチャラになってしまった。こんなことが許されることはないと思いますよ。私はもう一度審議をやり直すということを強くお願い申し上げ、私の質問としたいと思います。

 ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党、西岡秀子でございます。

 本会議で大臣に質疑をさせていただきましたけれども、委員会では初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 先ほどから尾辻委員の方からもお話があっております、二十一日、黒岩委員に対しまして大臣が、本会議での答弁を修正しますということを申されました。

 先ほど、この私たちが今手元に持っております「大臣本会議答弁の修正について」という文書は撤回をされたということでございますけれども、大臣も副大臣も政務官も御存じのない内容ということで、本当にこういう大事な文書が、大臣、副大臣、政務官も御承知のないままに内部文書ということでつくられて、それが大臣の手に渡ってこの委員会でそれがそのまま読み上げられたということは、私は、大変遺憾で、問題であるというふうに思います。

 大臣がこの文書を手にとられて読まれたときに、その渡された方に何もお聞きにならなかったんでしょうか。

福井国務大臣 今おっしゃいましたように、一昨日の本委員会におきまして、私は、黒岩委員からの御質問に対しまして、この今お示しの内容が不適切な手持ち資料をほぼ読み上げる形、この修正案という四角の中の文字をほぼ読み上げる形で、今月十一日の衆議院本会議における答弁を訂正するという趣旨の答弁を行いました。

 この点に関しまして、先ほど、全て撤回をさせていただいたところでございます。したがいまして、全て撤回させていただきましたので、もとむら賢太郎先生への本会議での答弁は、左の方の答弁で、まさに今そのまま残っているわけでございます。

 まさにおっしゃるように、不徳のいたすところで、その場で渡されましたこの、答弁書にはなかったんですけれども、後ろから渡されましたので、そのまま修正案ということで読ませていただきましたので、まことに申しわけなく存じております。

西岡委員 一省庁の大臣にとって、本会議での答弁を修正するということは、私は大変重いことだと思います。

 私は、昨年当選した一年生新人議員でございますけれども、私でも、これを渡されたときに、初めて見たら、どういうことだということをまず渡された方に聞くと思います。

 これを大臣がそのまま読み上げられたということは、内部文書ということでもう撤回をされたということで、もうお答えはないというふうに思いますけれども、本会議答弁を修正をするということを準備をされていたのではないんでしょうか。そういうことではないんでしょうか。

 ここにはっきり「本会議答弁の修正について」という題目がございますので、内部的なその解釈についての説明ということでございましたけれども、それでしたらこういう題名はつかないというふうに思いますけれども、それについてお答えをいただきたいと思います。

福井国務大臣 まことに経験不足ですけれども、本会議での議事録の修正とか、あるいはその答弁の修正におきましては、議院運営委員会におきまして全会派の御審議をいただいた上でのことでないと修正も修文もできないわけでございますので、月曜日の黒岩先生の御質問の時間まで、そのような準備はもちろん消費者庁としてもしておりませんでしたし、私もそういう事務を命令したことも、かかったこともございません。

 いずれにしても、黒岩先生から、黒岩先生のお手元にこの紙が渡って、この紙の趣旨を通告なく御質問されたものですから、本当に申しわけないんですけれども、後ろからフィードされたこの紙をそのまま読んでしまったという私の、本当に申しわけなく思っております、力不足、経験不足、まことに申しわけなく思っております。

西岡委員 撤回をされたということでございますけれども、ここまでの文書がつくられるということは本会議の修正も考えていたというふうに普通考えると思いますけれども、大臣、本会議の答弁の修正について内部的に検討がされていたということはございませんでしょうか。そうしないとこういう文書がつくられることがないというふうに思います。御答弁お願いいたします。

福井国務大臣 もちろん、本会議の答弁修正についての事務的な手続に着手したことも、予定したこともございません。

 もう一度、先ほどから、政府参考人から御答弁させていただきましたように、この黒岩議員にお渡しした資料は、いろいろ答弁の整理を行っている検討過程におきまして作成された手持ち資料でございます。対外的に説明をする際に使用するにはまことに不適切なものである上、内容的にも不適切な部分があったことは事実でございます。あくまでも内部的に答弁ぶりの検討、整理を行ったものでございますので、その点、御理解をいただきたいと思います。

西岡委員 何度お尋ねしても同じような答弁が返ってくるかと思いますけれども、「本会議答弁の修正」と書いてありますので、普通に考えると、本会議答弁を修正するという方向で検討が内部でなされていたというふうに思われても仕方がないような私は文書であるというふうに思います。

 今のこの委員会で議論される本当に大前提となることだと思いますし、先ほど尾辻委員からもございました、解釈が途中で変更されている、本会議での答弁と委員会での答弁が本当に整合性が合わないものになっているという中でいろいろな質疑をしていくということは、本当に大変な、難しいことだと思いますし、月曜からの経緯を私も見ておりまして、本当に何が本当なのかがわからないような状況になっております。

 本当にこのことは大変私は問題だというふうに思いますし、この文書を撤回されたと言っても、この本会議での答弁の修正というのが内部で私は検討されていたのではないかというふうに思わざるを得ないということを申し上げたいと思います。

 今、消費者特別委員会におきまして、消費者被害を防止するために一日も早くこの消費者契約法の一部を改正する法律案をよりよい形で審議をしていくということは、本当に私たちに課せられた大きな役目だと思っております。そのような中で、月曜日からのこの一連の出来事、大変私は残念に思っておりますし、これは本当に重大なことだということを申し上げさせていただきまして、具体的に質疑に入らせていただきたいと思います。

 先ほどから問題となっております、取り消し得る不当な勧誘行為の追加の事例について質問をいたします。

 今回のことでも、大変問題になっておりますこの法律案第四条三項三号、四号、こちらに「当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、」という文言が、今まで報告書でも触れられていなかったものが、急にこの言葉が入ってきております。

 改めて、なぜ今まで報告書の俎上にも上がっていなかったこの言葉が入ってきたということでしょうか。再度説明をお願いいたします。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 昨年八月の内閣府消費者委員会の答申におきまして、不安をあおる告知と人間関係の濫用の二つの類型について、取り消し得る不当な勧誘行為として、速やかに法改正を行うべき事項とされました。

 これを踏まえまして、消費者庁としては、法制的な見地から、できる限り客観的な要件をもって明確に定めることなど、さらなる検討を行いました。その結果が今回の法文になったわけでございます。

西岡委員 私は、この文言は、いろいろ今まで大臣も答弁をされておりますけれども、やはりこれは若年者の消費者の被害の防止というものを念頭に置いた文言ではないかというふうに思いますけれども、この文言はそのような趣旨でこの条文に書き加えられたものではないかと思います。大臣、それについてお答えをお願いいたします。

川口政府参考人 若干先ほどの大臣への質問に戻らせていただきますけれども、まず、より詳しく見ますと、消費者契約法の専門調査会の報告書でございますが、この報告書は、「措置すべき内容等について現時点での方向性を取りまとめたもの」とされておりますし、また、この「おわりに」というところについては、この措置すべき内容を含むとされた論点につきまして、「消費者と事業者の双方から幅広く意見を聞く機会を設けるとともに、政府内における法制的な見地から更なる検討を行い、その実現に向けて必要な措置を採ること」ということでございます。

 この法制的な見地からのさらなる検討、一般的にこう書いてありますし、個々の論点にもいろいろ宿題はございます。そうしたものを真摯にこなしていくというのが消費者庁の役目ということでございます。

 ちなみに、取消しと無効がございますが、取消しということになりますと、日本の法律に取消しというものを書くためには、その要件はどういうものでなくてはいけないかということを点検をいたします。これは民法に詐欺、強迫というのがございます。それから、消費者契約法にも取消しがございます。これは、消費者と事業者の情報量、交渉力の格差に着目いたしまして、消費者に自己責任を求めることが適切でない場合のうち、契約締結過程に関して、消費者が契約の効力を一方的に否定することができる場合を法律によって定めたものでございます。

 また、困惑ということで書こうということで努力をいたしました。困惑には、消費者契約法で不退去、退去妨害等の類型が掲げられておりまして、これについては、契約の成立についての合意の瑕疵があり、それが重大で決定的であるため、民法九十六条の強迫に当たらなくても、消費者契約で定める、消費者が一旦成立した契約の効力否定を主張し得るということにするということでございます。

 そういうものに値するものとして要件を精査したというのが、主として政府内における法制的な見地からのさらなる検討、消費者庁で行った作業でございます。そういう中で、先ほどのような要件、そこだけではございませんけれども、条文化して作業したということでございます。

 先ほど来答弁しておりますように、本要件につきまして、若年者が当たるということについては支障がないわけでございまして、若年者でない場合であっても、社会生活上の経験の積み重ねにおいてこれと同視すべきものはあり得る、年齢によっては制限されていないということでございますが、やはり「社会生活上の経験が乏しいことから」ということが必要だというふうに判断をするに至ったということでございます。

西岡委員 今るる御説明がございましたけれども、この社会生活上の経験が乏しいという文言が、年齢的には関係がないという御説明でございますけれども、やはり若年者以外の方に制限的に、規制的に働くという危惧が私はあるというふうに思います。

 この社会生活上の経験が乏しいという文言をこの法文から取るということは考えていらっしゃらないんでしょうか。お答えをお願いいたします。

川口政府参考人 私どもとしては、社会生活上の経験が乏しいことから、願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら不安をあおりということが取消しというものにするためには適切というふうに考えて提出をさせていただいておりますし、現時点でもそのように考えております。

西岡委員 これもずっと議論になっておりますけれども、この社会生活上の経験が乏しいということを、この文言に該当するかどうかということを検証しなくてはいけないということが起こってきたときに、この検証というものが、この要件に当てはまるかどうかということは大変難しいことだと思っております。

 どのようにこのことを検証し、判断をされるのか。大変私、このことは難しいことだと思いますし、ここについてどのように考えていらっしゃるか、大臣にお尋ねいたします。

川口政府参考人 申しわけございません、私から答弁させていただきます。

 この条文でございますが、事業者が不当な勧誘をした場合について、一定の場合について取消しを新たに認める、不実告知あるいは断定的判断といった、これまで消費者契約法にあるもの以外の場合であっても取消しができるようにするということでございます。

 その場合に、社会生活上の経験に乏しいことから、願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおって契約をさせたというのは、これは不当性が高いだろうということでございますので、この検証ということでございますが、客観的に裁判においては社会生活上の経験が乏しいということが確認される必要がございますが、このことを知りながら不安をあおったという事業者については不当性が高いということでございますので、そういう点で、一つ一つ事業者が社会生活上の経験が乏しいか乏しくないかを個々の契約のたびに確認する必要はないというふうに考えているところでございます。

西岡委員 この文言を外すということはどうしても今までの答弁上難しいということでございますけれども、もしこの言葉を外したとしても、取消しとなる対象が限定をされているので、私は、濫用される危険性というものはないのではないかというふうに思います。

 もし外すのが難しいということであれば、先般の参考人質疑において、河上参考人の方から、その文言を外さないのであれば、現実的な対応として、社会生活上の経験が乏しいという文言のかわりに、社会生活上の経験の乏しさ又は判断力の不足若しくは低下によりという言葉を補完することが望ましいのではないかという御意見をいただきましたけれども、このことについての御見解を大臣にお尋ねいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者被害は多数ございます。私ども、消費者委員会の検討を経まして、明確にできたもの、さまざまな皆様が、コンセンサスが得られたものをベースといたしまして、先ほど申し上げましたような法制的な検討を経て成案を出しておるわけでございますが、これだけで全ての今問題になっている消費者契約上のトラブルが解決されるというふうには考えておりません。

 今後、更に検討いたしまして、明確な要件、しかも取消しということにつなげられるようなものができました暁には、更に提出をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。

西岡委員 この文言が入ることによって救済されない方が出るということは、やはり許されないことだというふうに思います。また、一方で、消費者に関する法律は、消費者にわかりやすいものでないと私はいけないというふうに思っておりますので、この文言を削除していただくか、先ほど申し上げた、参考人からの御提案にあるような文言にしていただくことがよりよいものになるというふうに私自身は考えております。

 次に、このことで限られた取消権、この二つの類型が規定されておりますけれども、この二つの類型以外の類型についてはどのように対応されていくのでしょうか。

福井国務大臣 今先生おっしゃいましたこの二類型に当たらない消費者被害である場合、その消費者被害であっても、例えば現行の消費者契約法に適用のあるケース、不実告知あるいは不退去あるいは退去妨害あるいは過量契約や、民法等ほかの法律によって救済される場合等もございます。

 ただし、より消費者の被害の救済を図る上では、いわゆるつけ込み型勧誘による被害事例に関する昨年八月の内閣府消費者委員会の答申の付言は重要な課題であると考えておりまして、被害事例、裁判例などの分析を進めまして、引き続き検討してまいりたいというふうに思っております。

西岡委員 私は、根本的なところで、若年者であったり高齢者であったり、また、ハンディキャップを持っている方などの判断力の不足を悪用して契約をさせられた場合の取消権というものをもっと包括的に認めていくべきではないかと考えておりますけれども、このことについての大臣の見解をお尋ねいたします。

川口政府参考人 消費者法にかかわる者、いろいろ立場がございますが、皆、先生がおっしゃっているように考えているというふうに、思いは、目指すべきはそういうものだと思っていると思います。

 問題は、消費者契約法というツールを使う場合に、あらゆる消費者契約、これはもうさまざまな商品、サービスがございます。さらには、勧誘も訪問販売も通信販売も店舗販売もございます。あらゆるものに当てはまるというルール、これを、日々行われる契約、たくさんございます。紛争になる前に、日々契約が行われます、事業者の皆様は消費者契約法に当たらないように工夫して契約をいたします、そういうものに支障を及ぼさないような明確性、しかも、あらゆる消費者契約に当てはめてもおかしくないというルールをつくるというのは非常に難しいものがございまして、消費者委員会のお知恵もいただきながら、我々自身も、消費者庁自身も日々検討しているところでございます。

 場合によっては、特定商取引法ですとか、もっと対象の少ないものであればこれをつくれるということもございますし、民事ルールだけではなくて、行政法規の中に入れるのがより適切な場合がございます。

 より適切な場合について常にさまざまな可能性を検討しております中で、今回は、消費者契約法に入れるものが適切なもの、これがそろいましたので御提案をさせていただいているという趣旨で御理解いただければ幸いでございます。

西岡委員 今回の文言の削除又は先ほど申し上げた文言に書きかえていただくということが一番消費者の利益に資するというふうに私自身は思っております。

 時間がございませんので、次に、若年者の消費者被害の拡大への懸念について御質問をさせていただきます。

 民法の成人年齢引下げに伴いまして、若年者の消費者被害拡大が大変懸念をされております。現在の未成年者取消権は悪質業者に対しての大きな抑止力として働いているというふうに思いますけれども、成人年齢が二十から十八歳へ引き下げられた場合に、引下げによってこの十八歳、十九歳が悪質業者のターゲットになるということが大変懸念をされております。

 本日、ちょっと資料を配らせていただいておりますけれども、現在、二十になってからの消費者被害というものは、十八歳、十九歳に比べまして一・七倍と、成人を迎えたら大変消費者被害の相談というものが急増をいたしております。その意味で考えますと、今、二十の成人がターゲットになっている悪質業者のターゲットが十八歳、十九歳に移行していくということを私は大変懸念をしております。

 十八歳、十九歳と一口に言いましても、経済的に自立している方と自立していない方、大きな経済上の格差、また、消費者契約に対する認識の格差というものが存在をいたします。十八歳においては、八割が学生、二割が給与所得者というデータがございます。二十の成人の方は、学生と社会人の割合がほぼ半数というデータがございます。特に、十八歳は実際まだ高校生ということが私は大変懸念をしているところでございまして、高校などの学校の現場で消費者の被害が拡大するおそれがあるというふうに思います。

 この資料を見ていただいてもわかりますように、契約当事者における契約の購入金額又は既に支払った平均金額は、十八歳、十九歳と比べて、二十歳―二十二歳においては大変高額となっております。

 今回の引下げによりまして、この高額な消費者契約のリスクが十八歳、十九歳の方にシフトをして、特にマルチ商法などにかかわるリスクが、男性においては、成人になると十八歳、十九歳の五倍という割合で増加をしております。このことが十八歳、十九歳にシフトしていく、このことが私は大変心配でございます。それに伴って、高額な契約金額を支払うためにローンを組まされたりサラ金などから多額の負債を負ってしまうというリスクを私は大変懸念をしております。

 この状況が十八歳、十九歳の方に現実のものとなるということが想定をされますけれども、この若年成人者のリスクの増大について、大臣の認識をお尋ねいたします。

福井国務大臣 若年者の消費者被害は、今先生るるおっしゃいましたように、詐欺的なもの、架空請求とか無料商法など、そしてクーリングオフが有効なもの、そして現行の消費者契約法の適用のあるものなど、多岐にわたっております。

 今回の改正案は、まさに先生御指摘のように、消費生活相談の専門家等を構成員とする消費者委員会の専門調査会の提言を踏まえて策定されたものでございます。既存の法制度等で対応が十分でない部分を補って、若年者の消費者被害の拡大防止に資するものと考えてございます。

 また、更に言いますと、若年者の被害の発生、拡大を防止するためには、今お願いしております法制度の見直しのみならず、消費者教育の充実、被害事例の傾向や特徴を紹介するとともに、消費者が活用できる被害救済手段、被害に遭った場合の対応などを周知啓発することが大変重要というふうに考えておりまして、こうした取組にも万全を期してまいりたいと思います。

 なお、成年年齢の引下げによりまして、十八歳、十九歳の者の被害が拡大するおそれがあるとの指摘がもちろんございまして、そのための今御答弁でございました。

 消費者庁としては、更に加えまして、二十歳代の若年者に多く見られる相談の情報等を分析して、その結果等を踏まえて本法案を作成したものでありますので、御理解いただきたいというふうに思います。

西岡委員 今回、不安をあおる告知、そしていわゆるデート商法、恋愛感情の濫用、人間関係の濫用が規定されておりますけれども、今回の改正案では、私は、保護される部分が大変限定的で、十八歳、十九歳を直接保護できる規定も必要ではないかと考えております。

 若年成人者の保護規定の充実がぜひ必要である、法的にももっと必要であると考えておりますけれども、このことについて大臣の所見をお尋ねいたします。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣から御答弁申し上げましたように、私ども、まず消費者教育が非常に重要だと思っております。本委員会の御審議の結果、新たに消費者契約が取り消される場合ができたとしても、それを行使する消費者、これが知らなければ行使されないわけでございます。消費者はどういう場合に取消権を持っているのかということを、若年者だけでなく消費者一般がもっと知る必要があるということでございまして、そのためにも、消費者教育を充実していくということが大事。

 私ども、「社会への扉」という資料をつくりましたので、これを全都道府県の全高校で行われるということを、二年後、三十二年度には全高校で行われるということを目指して働きかけを行っているわけでございます。

 そのほかに、御指摘の点を踏まえれば、消費者契約法のみならず、例えば特定商取引法などの主務省令、内閣府令というのがございます。現在、訪問販売及び連鎖販売におきましては、老人又は未成年者のみを例示して、それらの者の判断力の不足に乗じて契約を締結される場合を行政処分の対象としているということがございます。

 これは法律ではございませんので、本委員会での御審議、あるいは他委員会での御審議等を踏まえまして、これらについても適切に対応していくことを検討していきたいと思っております。

西岡委員 今回、不安をあおる告知、恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用、この二つの規定がされておりますけれども、これでは、先ほど申し上げました十八歳、十九歳の方々の、またもちろん若年者全てでございますけれども、被害を防止するということにはまだまだ不十分な内容であるというふうに私は思っております。未成年者取消権というものが大変大きな抑止力として働いていたということがございますので、もっと今回の民法の成人年齢引下げに対応した若年者を救済するための充実した法制度を確立していく必要があると私は思っております。

 もう一点、恋愛感情に乗じた人間関係の濫用という類型がございますけれども、恋愛感情等に乗じたと、等という文字はございますけれども、恋愛感情というものを切り口としているところが、大変判断が難しくなっている側面があるというふうに私は思っております。

 これは、恋愛感情や疑似恋愛という切り口では、断り切れない人間関係を規定するということには大変疑問があって、上下関係や友人関係など、ほかにも断り切れない人間関係は多々あるということを先般の参考人質疑でも参考人の方が述べられております。この恋愛感情等という、まあ、等という中に含まれているのかもしれませんけれども、この恋愛感情というものを中心に切り口にしているということについて、大臣にお尋ねをいたします。

福井国務大臣 好意の感情でございます。好意の感情とは、他者に対する親密な感情をいいます。代表的なものは恋愛感情でありますけれども、それ以外の好意の感情であっても、よい印象や好感を超えて恋愛感情と同程度に親密な感情であれば、本規定の対象となり得ると考えております。

 本号における好意の感情というためには、相当程度に親密である必要があり、単なる友情といった感情は含まれません。大人数の相手に対して同じように抱ける程度の好意では不十分であり、勧誘者に対する恋愛感情に比すべき特別な好意が必要となるということでございます。

西岡委員 まだ質問したいことがたくさんございましたけれども、時間となりました。

 月曜日からの消費者特別委員会におけるいろいろなこと、大変私は問題があるというふうに思っておりますけれども、やはり、消費者の皆さんの思いに応えるこの消費者契約法の一部改正案、大変皆さんの思いに資する、よりよい法律として成立をさせていかなければいけないということを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございます。

櫻田委員長 次に、関健一郎君。

関(健)委員 国民民主党の関健一郎でございます。

 委員長また与野党の理事の皆様におかれましては、質問の機会をいただきましたことに心より感謝を申し上げます。

 それでは、早速質問に移らせていただきます。

 冒頭、大臣にお尋ねします。本会議答弁の修正についてお尋ねします。

 まず、そもそも、なぜこういう修正が行われたのか、お尋ねします。

福井国務大臣 一昨日の本委員会におきまして、私は、黒岩委員からの御質問に対しまして、内容そのものが不適切な手持ち資料をほぼ読み上げる形で、今月十一日の衆議院本会議における答弁を訂正するという趣旨の答弁を行ったわけでございます。この点に関しまして、真摯におわびを申し上げさせていただきたいと存じます。

 先ほど、冒頭に、この答弁は全て撤回をさせていただいたところでございますので、十一日の衆議院本会議における私のもとむら先生への答弁は、そのまま今でも生きているということでございます。

関(健)委員 では、先ほどの御答弁の中で、紙をもらったからそのまま読んでしまったという御発言がありましたけれども、その理解でよろしいでしょうか。

福井国務大臣 先ほど申し上げましたように、そのとおりでございますので、まことに不適切でございまして、不徳のいたすところと反省をさせていただいているところで、先ほど全て撤回をさせていただきました。

関(健)委員 紙をもらったから読んでしまいましたというのは、たとえそうであっても僕は言うべきじゃないと思うんですよね。

 「社会生活上の経験が乏しいことから」という言葉についてこれだけ議論になっていて、でも、紙をもらったから読みましたって、たとえそうであっても絶対言っちゃいけないことだと思うんです。大臣ですから。私、最高責任者に質問させていただく、大変光栄なことですけれども、紙を渡されたから読みましたっていったら、これは本当に元も子もないというか、そこはたとえそうであっても、ぜひそういうことは言わないでいただきたいと思います。

 やはり、私はNHKの記者として霞が関を取材させていただいていました。本当に優秀な方々がたくさんいらっしゃることを、何度も取材させていただきましたし、給料よりも国のためを思って働いている方々をたくさん見てきました。日本最高の頭脳集団の皆さんです。だからこそ、こんなことに時間と脳みそを費やさせちゃだめなんですよ。

 社会生活上の経験が乏しいということがそもそもおかしいからこの議論になっているわけですよ。この条項を取っ払うと大臣が一言言っていただければ、この後、さらに、どうすれば消費者の皆さんが被害に遭わないか、十八歳、十九歳の人たちが被害に遭わないか、お年寄りの皆さんが被害に遭わないか、そこにその優秀な頭脳集団の皆さんの頭脳が行くわけですよ。

 この社会生活上の経験が乏しいというところの知的アクロバットというか、いつまでもこれをやっていて、大臣がこれをやめますと言ったら更に次の話に進むと思いますが、御所見を伺います。

福井国務大臣 社会生活上の経験が乏しいという要件につきましては、冒頭より御議論になっているわけでございます。

 総じて社会生活上の経験の積み重ねが少ない若年者への適用には支障はございません。これも政府参考人から御答弁させていただいた、そのままでございますけれども、また、若年者でない場合であっても、就労経験等がなく、外出することもめったになく、そして他者との交流がほとんどないなど、社会生活上の経験が乏しいと認められる者については本要件に該当し得るものと考えられております。

 そして、これは例示でありますけれども、ほかの例も排除しないということも、先ほどから政府参考人からお答えしているところでございます。

関(健)委員 全ての諸先輩方のやりとりを聞いても、結局、「社会生活上の経験が乏しいことから」というところですさまじい論争になるわけです。

 現場の弁護士の方とかに話を聞くと、ここで絶対もめるんだろう、社会生活上の経験が乏しい、では、何をもって乏しいというのという議論で、必ずそこでもめるんだろうという懸念は既に上がっているわけです。

 ですから、この文言をなくすことについて真摯に御検討いただければと思います。

 そして、具体的な質問に移らせていただきます。

 冒頭申し上げますけれども、成人年齢が二十歳から十八歳に引き下げられるというこの改正案に関連して、今まで未成年として守られていた皆さんが、法律改正によってセーフティーネットがなくなってしまう懸念がある。悪徳業者にだまされたり、不当な契約を結ばされたりしないようにすることが大きな柱だと思います。要は、消費者の利益にかなうことが肝要だ。

 もう一回議論を整理させていただきますと、事業者にとっては、予見可能性を確保して事業の萎縮を防ぐこと、これが大事なんだと思います。その一方で、消費者にとっては、若者だけでなく、お年寄り、又はそのとき特有の状況によって不当な契約等をさせられないような枠組み、仕組みをつくることが大事なんだと思います。

 皆さんもよく御存じだと思いますけれども、今、二十歳になる四月、家にいろいろなダイレクトメールとかパンフレットとかが届くんですね。これはどういうわけか知りませんけれども、多分、小中高の名簿をそういう業者はゲットしているんだと思います。

 間違いなく、十八歳になったら、その家に届きます。小学校、中学校、高校の卒業アルバムをゲットしたそういう業者が間違いなく送るわけです。就職のためのサイト、何とかナビとかいうのもありますけれども、なぜか就職の時期の大学三年生になると必ずそこに届く、こういうふうになっているわけです。これ買いませんか、あれ買いませんかというのがじゃんじゃん来るというのはもう皆さんよく御存じだと思います。

 そういう業者も、保護から出たばかりの年齢層を確実に狙ってきますので、そこでまずお伺いします。

 十八歳、十九歳の法律的に保護がされなくなる年齢層の方々に対して、この経験不足につけ込んだ不必要な契約というのは取り消すことができるんでしょうか、伺います。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正案では、意思表示を取り消すことができる不当な勧誘行為の類型といたしまして、従来の不実告知あるいは断定的判断などに加えまして、社会生活上の経験が乏しいことから、消費者が抱いている過大な不安をあおったり、消費者が勧誘を行う者に対して恋愛感情を抱いていることなどに乗じて一定の内容を告げることを追加するという御提案をさせていただいているところでございます。

 当該規定につきましては、十八歳、十九歳の若年者に対しての適用についてでございますが、そのいずれの類型の取消権についても、消費者が社会生活上の経験が乏しいことからということで不安をあおる、過大な不安をあおるということに該当するというものと考えております。

 社会生活上の経験が乏しいとは、消費者の社会生活上の経験の積み重ねが、一般に、消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことをいうということを申し上げております。十八歳、十九歳の若年者は一般的に本要件に該当するというふうに考えているところでございます。

 といたしますと、その他の要件を満たした場合には、取消権を行使して当該契約を取り消すことができるということになるということでございます。

関(健)委員 社会生活上の経験が乏しいという言葉について質問させていただきます。

 これはちょっと辞書で調べてみたんですけれども、生活空間を共有したり、相互に結びついたり、影響を与え合ったりしている人々のまとまりの一員として行う生活の経験が余りないことなんだそうです。わかりやすく言ったつもりですけれども、さっぱりわかりませんけれども、これは定義、その中で、つまり、社会生活上の経験が乏しいというのは、これはどういうことを意味するんでしょうか、例えば。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 法律の解釈に当たりましても、法律以外の場でどのように理解されているかということを参照しながら解釈していく、これは極めて重要だというふうに思っております。

 ただ、これは消費者契約法の中で規定しておりますので、私どもとしては、一般的に御説明していく際には、当該消費者における社会生活上の経験の積み重ねが、一般に、消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないということを意味しているということで繰り返し御説明していきながら、具体の場合、例はお示しできるわけでございます。できますけれども、こういう中で、裁判までいくものもあろうかと思います。

 それで、裁判の中で確定したものというものが整理されて出てきます。それを私ども整理をしていきます。整理をいたしまして、それをまたコンメンタールなどに反映をしていくということで努力をしていく。ぎりぎりいきますと、そういうものが蓄積し、最高裁判例ということになりますと、消費者契約法の条文修正にまでなるものもございます。

 ですから、最初は一般的概念を御説明しつつ、具体的な場面については、私ども、ここで例として申し上げたことだけがそれに当たりますという限定的な解釈がなされないよう、消費生活相談の現場、あるいは裁判実務でお使いになるコンメンタールなどでも工夫していきたいというふうに思っております。

関(健)委員 今お答えの中でありましたけれども、よくわかります、明示してしまうと、それがひとり歩きするので言いたくないということですよね。それはそうなんですけれども、ただ、これだけ曖昧な言葉が冒頭に来る以上、では、どうすれば乏しいんですかということになると思うんです。

 十五歳から社会に出て、がんがん毎日働いて、自分で給料を取って、結婚して、この人は社会生活上の経験は乏しくないですよ。でも、そうすると、この人は、十八歳の人はもう助けられないんですかね。つまり、どうすれば乏しいというふうに判別されるのか、教えてください。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 社会生活上の経験の積み重ねということを考えますと、みずからが広い経験、豊富な経験をお持ちの方というのは若者の中にもいらっしゃるわけですけれども、やはり見たり聞いたりということで経験も積み重なるという部分がございます。

 そうしますと、若年者、十六、十七、十八、十九ということになりますと、やはり限界があるというふうに思っておりまして、その点につきましては、十八、十九、これもまた具体的な場合まで断定するのはなかなか難しいかもしれませんが、十八、十九については一般的には社会生活上の経験が乏しいというふうに判断できるのではないかというふうに現時点では考えております。

 もちろん、民事ルールでございますので、裁判実務の中でいろいろな我々の想定していないケースが出てくるということはあり得るわけでございますが、現時点では、十八、十九については社会生活上の経験が乏しいということになるものというふうに考えておるわけでございます。

関(健)委員 まさにこれは主観的な判断なんですよね。十八歳の、中学を卒業して、一生懸命働いて、世帯も持って、この人は明らかに社会生活上の経験は乏しくないです、乏しいと多分言われたくないと思います。つまり、極めて主観的な判断だということなんですね。ですから、ますますこの言葉の曖昧性が浮き彫りになっているわけです。

 第四条の三の三についてお尋ねをさせていただきます。

 これは、社会生活上の経験がもし豊かであれば、三号の条文どおりの旨を告げた場合は取り消すことができないんでしょうか。つまり、社会生活上の経験が乏しい人がこの文言となっていますけれども、社会生活上の経験が豊かな人は取り消せないんでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 この三号でございますが、社会生活上の経験が乏しいことから、掲げた願望の実現に過大な不安を抱いているということが必要で、これを知りながらということで契約に至った場合は取り消すということでございます。

 ですから、そうでない、今御質問のような場合は、事業者の不当性が、そうでない場合、社会生活上の経験が乏しい場合に比べますと不当性が異なるという判断をして要件を定めているところでございます。

 したがいまして、取り消せない、要件に当てはまらないということで取り消せないということになるということでございます。

関(健)委員 つまり、社会生活上の経験が豊かなのでこれは取り消すことができないというふうになるわけですね。

 そうしたら、恐らく、僕が悪徳業者だったら、あなたは社会生活上の経験は豊かでしょうというふうに、そこをあらかじめ言質をとったりしていろいろなものを買わせると思いますけれども、極めてこの生活上の経験という言葉が曖昧だということを引き続き指摘をさせていただきます。

 私は警察本部を五年間取材していまして、その中で具体的にこういう被害があったのでちょっと御紹介させていただきます。

 これは、三十代中盤でリストラに遭っちゃいました、家族を養うために何でもいいから定職につきたいということを思っていた男性です。その男性は、何社か落ちたので、自分には面接能力がないんだ、面接セミナーを受けようといって、十万円のセミナーを申し込んだんですね。就職の内定に過度な不安を抱いて、その不安をあおられ、絶対に必要ですねと言われて申し込んだわけです。面接へ行った結果、声は大きくはきはき、にこにこして、きれいなスーツを着て、きれいな靴を履いていきなさい、それだけ言われたそうです。

 だから、これは恐らく不当なあれなんだなと思うんですけれども、十万払わなくてもわかった内容で、本人自体はだまされたと言っていましたけれども、この人は社会生活上の経験が乏しい人なんでしょうか。つまり、取消しをすることができるんでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 個別の事案は今御指摘の内容以外にもさまざまあるわけでございますので、司法の場においてはそれらを総合的に判断されるというふうに理解しておりますけれども、私どもの一般論としては、本要件は年齢によって定まるものではなく、消費者が若年者でない場合であっても、社会生活上の経験の積み重ねにおいて、これと同視すべきものは本要件に該当し得るという考え方でございます。

 その上で、例えば、特に若者、十八、十九でない場合などについては、こういう場合が当てはまりますというようなことを幾つか御紹介していきながら、裁判例の積み重ねの中で拡大していくわけでございます。

 先ほど国語的な意味ということでおっしゃった点とそう違いない例でございます。それは大臣が御答弁している例でございますけれども、就労経験等がなく、外出することもめったになく、他者との交流がほとんどないというような場合においては、いろいろ個別事情はございますが、個別事情のいかんにかかわらず、こういう場合には社会生活上の経験が乏しいと認められる可能性が高くなるということかと思います。

 ただ、何度も御説明しているんですが、これだけかということについて、これだけですという説明はしないということでございます。これだけではございません。ほかにもいろいろな例があり得る。

 ただ、立法の過程におきまして、全てを網羅的に、我々努力はしていますが、全てを網羅的に、しかも、あらゆる消費者契約において黒白を決めるというものではないという意味においては、先般の参考人の御発言の中にもそういう趣旨があったと思っておりまして、私ども御指導いただいている先生方でございます、そういう趣旨については重く受けとめておるところでございます。

関(健)委員 個別具体について、ひとり歩きしてしまうというのは、まさにそのとおりだと思いますので、これ以上は聞きませんけれども、その人は三十中盤だから、社会生活上の経験も豊かだと認識されるんだと思います、常識的には。ただ、この人はバブルのときにぱっと就職して、朝から晩まで工場にいて、そういう就職面接とか就職何とかとかをしたことなかったわけです。社会生活上の経験が乏しいと僕は思うんです。

 こういう個別具体のケースがあまた発生してしまうということは、まさにこの「社会生活上の経験が乏しい」という文言が全ての元凶なんです。だから、また複雑性が増すということだけ指摘して、次の質問に移らせていただきます。

 今まで社会生活上の経験というのが、その主語についてお話をさせていただきました。何歳なのかとか、お年寄りなのか、当時の精神状態が何なのか。

 これ、現場の弁護士の方々に話を聞くと、対象が何かも大事ですと。例えば、お年寄りのおじいちゃん、おばあちゃんに、これはちょっとかわりますけれども、例えば金融商品を売りつける。その金融商品という対象に関しては社会生活上の経験が乏しいわけです。消しゴムを売るのか、訪問販売の布団を売るのか、その対象によっても何かということが違うわけです。

 布団とかマッサージチェアとか英会話教材とか百科事典とかありますけれども、これも、その個別個別には、どうやって判断をされるんですか。

川口政府参考人 一つ一つもちろん対象は異なるわけでございますけれども、条文の解釈においては、「社会生活上の経験が乏しいことから、」「願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、」と続いておりまして、御指摘の論点のみならず、さまざまなところに、乏しいことから過大な不安を抱いていたのかというような点につきましても、これは、そういうものなのか、当該当事者の方は不安を抱いていたということかもしれませんが、一般的にそういうものなのかというようなことを考えていくときに、当該商品がいかなるものであったかというようなことは当然参照されるというふうに考えております。

 弁護士の皆様は、まさに裁判実務において、個別の事例をさまざまな御主張をされるということだと思いますので、個別の事案をこの当てはめの中でいろいろ御主張される、それで裁判官を説得されるということだと思いますので、当然そういうことはあろうかというふうに思っております。

関(健)委員 次の質問に移らせていただきます。

 この条項の中で「過大な不安を抱いていることを知りながら、」とありますよね。これは人の内面についてです。「過大な不安を抱いていることを知りながら、」三の三です。人の内面の話ですけれども、これは業者はどうやって知るんですか、この人は過大な不安を抱いているなと。その業者が内面を認識してやったということをどうやって認定するんですか。伺います。

川口政府参考人 まず、二点あろうかと思います。

 事業者はどのように知るのか、知り得るのかということでございます。

 さまざまな契約締結過程がございますが、比較的やりとりが多いものについては、消費者の言動というものを事業者が知る機会があるわけでございます。極端な話を申し上げますと、高額な住宅に関する契約ということであれば、もう何度も何度も半年ぐらい議論して、どうして住宅を建てたいのか、買いたいのかということもいろいろ議論されるわけでございます。

 そういうようなものから、一切そういうやりとりのないものもあるわけでございますけれども、本要件は、さまざまな場合に事業者が消費者の過大な不安を知り得た場合、それを知りながら、そこにつけ込んであえてというようなことで進めた場合のことを類型化したものということでございます。

 それから次に、「知りながら、」の論点、どうやって証明するかということでございますけれども、これは究極的には、裁判実務では本人尋問という中で本人が当時の状況を説明して、それを裁判官が認定するということがあるわけですけれども、それを補強するものといたしましては、この事業者はいつもこういうことをしているんだということがわかりますと、この場合もそういうことをしたという蓋然性が高いということになるわけでございます。

 そういうときに、消費生活相談があれば、消費生活相談でいろいろ事業者別のデータを消費生活センターは蓄積しておりますので、そういうものについては弁護士照会の中で提出をして、こんな相談はありませんというものから、多数ありますということもございますので、相談者の個人情報を外して提出するということになっております。そういうふうになりますと、蓋然性が高い、これだけで、何かだけで決定的な認定をされるということではございませんけれども、そういうものは裁判所で使える。

 それから、消費生活相談は、相談員の皆さんはPIO―NETを日々検索しておりますので、来たときに、その事業者で検索をしますと、どういう相談が来ているかわかるわけです。それを見ながら適切にアドバイスをする。ということは、この相談者が言っていることはどうも本当だな、また同じようなことをやっているんだということもわかりますので、そうすると、消費者契約法を使って取り消すという余地があるということでアドバイスをしていけるということになろうかと思います。

関(健)委員 その共有みたいな話は非常に重要だと思いますし、それはぜひ、より充実をさせていただくことをお願いいたします。

 大臣に最後、この四の三の三に関して質問させていただきますけれども、今質問をさせていただく中で明らかになったことは、これは極めて、どうとるかによっていろいろなことが変わって、現場の中でもかなり複雑なやりとりが行われることは容易に推察ができるわけですけれども、大前提として、十八歳、十九歳はもちろんだけれども、この「社会生活上の経験が乏しいことから」ということは年齢を限定することではないということを明確に御答弁いただけますでしょうか。

福井国務大臣 年齢で制限されることはないということでございます。

関(健)委員 ありがとうございます。

 それでは、四の三の四について質問させていただきます。これは恋愛感情ですね。

 ちょっと読みます。「社会生活上の経験が乏しいことから、当該消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、」ということなんですけれども、恋愛感情その他の好意を抱き、「その他の好意」というのはどういう好意ですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、「恋愛感情その他の好意の感情を抱き、」ということの読み方、私どもが意図したものでございますが、恋愛感情が例示でございます。要は、恋愛感情が代表的なものでございますが、好意の感情、その他のものも含む好意の感情を抱きということです。

 ただし、この好意の感情につきましては、他者に対する親密な感情をいうというものでございまして、代表的なものは恋愛感情ではございますが、それ以外の好意の感情であっても、この例示された恋愛感情と同程度に親密な感情であれば本規定の対象となり得るということでございまして、この辺も、これは条文で、先ほどは答弁でございますが、具体的なものが何が入るのかということについては、これは正直言いまして、相談現場では、その他のものでやっていくのはなかなか難しいわけでございます。

 ただ、相談員の皆様は大変勉強をされております。それを助けるという意味で、消費者庁、国民生活センターが、具体の下級審レベルでの判断というものが出ましたら、それを相談現場に伝えていくということで、参考にしていただくということで、そういうことで、その他の部分についてはだんだんと充実をしていくということでございます。

 私どもとしては、御質問があれば、これは入りませんとかとお答えをする場合がありますけれども、どういうことがあるかわかりませんので、最初から、あらかじめこれは入りませんと言うことは控えなくてはいけないと思いますが、今申し上げるのは、好意の感情というためには相当程度に親密である必要がある、恋愛感情と同程度に親密な感情であれば本規定の対象となり得るということでお答えさせていただければと思います。

関(健)委員 ちょっと時間がなくなってきちゃったので矢継ぎ早に次々と申し上げますけれども、では、社会生活上の経験が乏しいことが理由じゃなくて相手を好きになってしまった場合はどうするんですか。

 あとは、例えば、「誤信していることを知りながら、」とありますけれども、誤信していなかったらどうするんですか、つまり、お互い好きだという感情を抱いていたら。これは、社会生活上の経験が乏しいことから、誤信してというのが要件になっているわけです。お互い好きだったら、では、これは誤信じゃないじゃないですかとか、消費者の方が営業マンのことを好きになって、営業マンも私のことを好きに違いないと思い込んでいて、商品を買わせるということです。

 最後に、もうなくなるんですが、最後にまとめて言いますけれども、これは今現在、司法の場では、デート商法とかの訴訟ではもう全部この話になっているそうです。本当に好きだったからだましたわけじゃない、誤信させたわけじゃない、そこが争点になる。つまり、ここは必ず論点になってもめるわけです。

 その他の好意の感情というのは、恐らく先輩後輩であったり、おまえ親友だよなとか、ふるさとが一緒だとか、いろいろなことをいうわけですけれども、優秀な営業マンはみんなそういう感情を持たせることをするんじゃないですかね。保険だって、車だって、別にあなたには車を売りつけようとしているんじゃない、人生の友としているんだと営業活動に来るわけですね。これは、その他の好意を抱きになると思うんです。だって、保険とかだってたくさん月々払わなきゃいけないわけですから、信頼した人に払いたいと思うのは当たり前ですから。

 最後、大臣にお尋ねします。

 これは、今申し上げたとおり、誤信させるということもそうですけれども、たとえ悪徳商法じゃなくたって、そういう信頼関係とかをつくって商売はやると思うんです。私が営業マンだったら、そういう関係をつくりたいと思いますから。これは一個一個、個別に規制したりできるんでしょうか。

川口政府参考人 申しわけございません。私から答弁させていただきます。

 デート商法というものにつきましてさまざまな形態があるのは事実でございます、個別には。ただ、取消しができるまでに明確にするということがやはり求められております。

 先生御指摘のように、実際に営業マンがかなり好意の感情に訴えて、いい関係をつくって契約をさせるというのはさまざまな契約の場面で現実にあるわけでございまして、それ自体が全て不当かというと、必ずしも言えないわけでございます。

 残念ながら、私ども、取消しができる場合、少し明確にする過程で狭くなっているという御批判を浴びるわけでございますけれども、やはり、営業マンが本当に消費者に恋愛感情を持っていた場合、これは本条項では取消しはできないということでございます。

 それを偽装している場合、本当は恋愛感情を持っていないのに偽装して近づいて、それを消費者が誤信した場合、これは要件の対象になり得るということでございます。

関(健)委員 ありがとうございました。

 「社会生活上の経験が乏しい」という言葉がどれだけ曖昧で、現場に大きな負担を与える可能性があるかということを明らかにできたと思います。

 また、大臣におかれましては、以後、こういう混乱がないようにお願いを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

櫻田委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 この間、当委員会で消費者契約法改正案について審議をしてまいりました。

 ところが、前回の委員会で、五月二十一日、黒岩議員の質問に対して、福井照大臣は、改正案の四条三項三号、四号に書いてある「社会生活上の経験が乏しいこと」の要件に関して、五月十一日の本会議の答弁を訂正したいと驚くべき答弁をして、本法案審議の最終段階になって、条文の適用範囲を狭める方向での解釈変更を行おうとしたために、大問題になって、審議が中断したということです。

 本日、冒頭、福井大臣は、二十一日の答弁は誤ったものであり、不適切でありましたと述べて、黒岩議員への答弁を撤回されましたが、これは撤回の一言で済まされる問題ではありません。

 そもそも、法案の審議入りの本会議答弁で示した政府の条文解釈を、委員会審議の最終段階になって一方的に変更するなどということが行われるというのは前代未聞です。これまでの審議は一体何だったのかということになります。

 ですから、福井大臣は、二十一日の訂正発言について、国会審議を覆す重大な行為だったという認識に立って反省をするべきだと思いますが、いかがですか。

福井国務大臣 まことにおっしゃるとおりでございます。

 本会議答弁があって、そして先日の委員会審議があって、その前があって、おとといがあって、きょうがあるということでございますので、そういう意味で、もし本会議での答弁を撤回する、修正をするということをすれば、それはもうまことに国会に対する冒涜だというふうに感じております。

畑野委員 福井大臣が国会への冒涜だとおっしゃいました。本当にそうです。

 そういう点で、それでは、二十一日の答弁を撤回されたということについて伺います。

 そもそも、社会生活上の経験が乏しいことという要件は、政府が閣議決定した段階から、これでは適用範囲が若年者に限られるのではないか、高齢者や中高年は救済対象にならないのではないかという懸念が消費者団体や日弁連などから出されて、本委員会の審議の焦点になってまいりました。

 そこで、前回の委員会での答弁を撤回されたということは、確認ですけれども、黒岩議員が取り上げた、先ほども資料で配られました、「大臣本会議答弁の修正について」と題するペーパーに書かれていた考え方を撤回するということでよろしいですね。

福井国務大臣 おっしゃるとおりでございます。

 おととい、黒岩先生が、お手元にあっての御質問でございましたので、当日、私が、先生がお持ちの紙の右側の上の部分をそのとおり読み上げてしまったということにつきまして、先ほど全面的に撤回をさせていただきましたので、その紙については、先ほど政府参考人からも申し上げたとおり、全面的に、その紙についても撤回いたします。

畑野委員 大臣が御答弁されたように、このペーパーの右側のあるところを読んでしまったが、これも撤回だというふうに確認をいたしましたし、このペーパー全体の考え方も撤回されると確認をいたしました。

 このペーパー、経緯というのが下に書いてありまして、「内閣法制局とも相談し、解釈の整理を行い、」とか、「中高年の消費者を対象とした霊感商法について、本要件の適用範囲が狭まることとなった。」というふうに書かれております。また、その下には、「解釈の明確化により適用範囲が狭まる部分を概ねカバーするものとして修正案が立案された」というふうにも書かれているんです。これはペーパーの中にあるものです。これも撤回するということで、確認です。

福井国務大臣 はい。その紙に書いてあることを全て撤回をさせていただきましたけれども、経緯について、若干、政府参考人から……(畑野委員「いや、いいです。話がややこしくなるからいいです」と呼ぶ)よろしいですか。はい。

畑野委員 つまり、議会における与野党修正案の努力を今しているんですよ。これが出されるかどうかということも含めて、大臣の答弁にかかっているわけですよ。その与野党修正案を出そうかという、その立法解釈を勝手にねじ曲げるというペーパーをつくっていたんですよ。絶対に見過ごすことはできません。

 ですから、今大臣が御確認したように、ペーパーに書かれた考え方は、下の経緯も含めて撤回されたということで確認をいたしました。

 次に、それでは、二十一日の黒岩議員への答弁を撤回したということは、大臣が訂正しようとしていた十一日の本会議の答弁が生き返り、維持されるということになるわけです。

 まず、確認ですが、五月十一日のもとむら賢太郎議員への大臣答弁、きょうは資料をつけさせていただきました。ずっと載っております。霊感商法のところであります。

 大臣の答弁は、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、一般的には本要件に該当するものと考えますというふうに答弁されております。これは維持されますね。

福井国務大臣 はい、維持されます。

畑野委員 それでは、例えば、この資料のところに、一枚目にありますが、社会生活上の経験が乏しいことに対する質疑と福井大臣の答弁の一覧表を、一から二枚目の十一、掲げておりますが、五番目でありますが、

 これはどういう要件なのか。若年者だけが該当するのか、それとも高齢者も該当するのか、具体的な事例も交えて示されたい。

答弁が、

 社会生活上の経験が乏しいとは、社会生活上の経験の積み重ねが、契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことを意味するものでございます。総じて経験の積み重ねが少ない若年者は本要件に該当する場合が多くなりますけれども、高齢者であっても、契約の目的となるものや勧誘の態様との関係で、本要件に該当する場合があります。例えば、霊感商法のように、勧誘の態様に特殊性があり、積み重ねてきた社会生活上の経験による対応が困難な事案では、高齢者でも、本要件に該当し、救済され得るものでございます。

ということを含めて、これは一覧がありますけれども、この十一項目全部、社会生活上の経験が乏しいことに対する質問と大臣の御答弁ですが、これも全部生きるということで、維持されるということでよろしいですね。

福井国務大臣 はい、維持されます。

 維持されるという答弁をさせていただきまして、本当にありがとうございます。感謝申し上げたいと思います。

畑野委員 ここで、やっとおとといに戻るわけです。

 その戻る前に、なぜこれだけ社会生活上の経験の乏しいことということが問題になってきたのか。

 実は、理事会に、その経緯の文書を、私は委員長にお願いをして、大臣にも調べてくださいと。これが専門調査会で議論にならなかったと三人の参考人の方たち全員がおっしゃって、なぜかというので、委員長にお願いして、その経緯を出していただいたのが三枚目の資料なんです。理事会に提出をされたものです。

 これについておっしゃっていただけますか。日付がないので、日付から含めて。お願いします。

川口政府参考人 検討の経緯でございます。

 平成二十九年八月四日、消費者契約法専門調査会報告書の取りまとめがございました。八月八日、消費者委員会答申……(畑野委員「ごめんなさい、その前のこちら、経緯について読み上げてください」と呼ぶ)経緯を読み上げるんですね。申しわけございません。読み上げさせていただきます。

  消費者委員会消費者契約法専門調査会では、経験の不足など「合理的な判断をすることができないような事情」につけ込む被害事例について検討が行われ、昨年八月の報告書において、事業者の不当性の高い行為の類型化が図られた。

  その際、「その規定の要件が不明確であれば、取引実務の混乱を招きかねず、その要件は、できる限り客観的な要件をもって明確に定める必要がある」とされた。

  なお、この報告書は、「措置すべき内容等についての現時点での方向性をとりまとめたもの」と位置づけられており、「おわりに」において、「措置すべき内容を含むとされた論点については、消費者と事業者の双方から幅広く意見を聞く機会を設けるとともに、政府内における法制的な見地から更なる検討を行い、その実現に向けて必要な措置を採ることが求められる。」とされた。

  消費者契約法の定める「取消し」は、民法第九十六条によって「取消し」が認められる場合(詐欺、強迫)とは別に、消費者と事業者との間に存在する構造的な情報の質及び量並びに交渉力の格差に着目し、消費者に自己責任を求めることが適切でない場合のうち、契約締結過程に関して、消費者が契約の効力を「一方的に否定する」ことができる場合を、法律によって定めたものである。

  このうち、本改正条項と同様「困惑」を要件とした取消事由(同法第四条第三項)としては、事業者の「不退去」及び「退去妨害」の二つの類型が掲げられているが、これは、消費者が事業者の不適切な勧誘行為に影響されて自らの欲求の実現に適合しない契約を締結した場合に、契約の成立についての合意の瑕疵があり、それが「重大で決定的」であるため、民法第九十六条の定める「強迫」に当たらなくても消費者は当該契約の効力否定を主張し得るとしたもの。

  政府内において、こうした観点から更なる検討を行った結果、類型的に消費者の「取消し」が認められるほど、契約の成立についての合意の瑕疵が、「重大で決定的」であるといえるためには、「社会生活上の経験が乏しいことから」、消費者が抱いている過大な不安をあおったり、又は、消費者が勧誘を行う者に対して恋愛感情を抱いていることなどに乗じて、一定の内容を告げる場合であることが必要であるとの判断に至ったため、これを要件化することとしたもの。

  なお、この要件は、与党審査の段階で追加されたものではない。

以上でございます。

畑野委員 この資料で、いただいたんですが、これはいつ付ですか。

川口政府参考人 申しわけございません。この文書を作成した日付につきましては、若干不明確でございますが、理事会に配付するために……(畑野委員「では、提出日。まあいいです、それで」と呼ぶ)提出日は、確認いたしますが、理事会の前日であったかというふうに思います。前日ないし前々日でございます。

畑野委員 それでは、二十一日の理事会に出すためにつくられたと。ですから、公表されたのは五月二十一日ということでよろしいですよね。公表というか理事会に出されたその日。

 それで、五つ目のパラグラフの中では、「社会生活上の経験が乏しいことから」というのは全然出てこないんですよ。それで、なぜか六パラグラフ目に、政府内において、こうした観点からさらなる検討を行った結果、「社会生活上の経験が乏しいことから」を入れましょうというふうになっているんです。

 これ、政府内においてというのは一体誰ですか。どういうふうに言ったんですか。ちょっとその経過を教えてください。誰に言われてそうなったんですかということです。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 政府内においてさまざまなやりとりをしています。消費者委員会の報告書が出ましたら、これを各省にも御説明し、内容について、現在こういう方向で検討しておりますということについて御意見を伺います。それから、消費者団体、事業者団体にも消費者庁からも説明をいたします。

 そういう中で、消費者庁において要件をだんだんと条文に近づけていくわけでございますが、この要件につきましては、そうした過程のもとで、消費者庁の判断で法文化したというものでございます。

畑野委員 よくわからない御答弁でした。また機会があれば伺いたいと思います。

 それで、今おっしゃっていただいた四枚目の「検討の経緯」という、そちらの方、先ほど御紹介され始めたので、そちらの方も言っていただけますか。もうちょっと詳しく伺いたいということで、検討の経緯の紙を出していただきました。四枚目の資料です。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 日付で申し上げますと、私どもは、平成二十九年八月四日、消費者契約法専門調査会報告書が取りまとめられた。大変重たい報告書でございます。

 その上で、消費者委員会の方は更に検討されて、八月八日、消費者委員会答申、その中には付言というものがございました。

 その上で、八月二十一日から九月十五日にかけまして、この消費者契約法専門調査会報告書に沿いまして、消費者庁におきましてパブリックコメントを実施いたしました。

 これらと並行いたしまして、ほぼ八月中旬から、消費者庁において、消費者契約法専門調査会の考え方、措置すべき内容を中心にいたしまして、法制化作業、残された宿題、これをしっかりこなすという作業を本格化させたわけでございます。

 平成三十年二月上旬ぐらいから与党審査がございまして、三月二日、これらを経まして閣議決定をし、国会に提出させていただいたということでございます。

畑野委員 今御説明があった、二〇一七年八月中旬、消費者庁において法制化作業から、二〇一八年二月上旬から下旬、与党審査、この間があいているんですよね。この経緯をさっき聞きたいと言ったんですけれども、一般論の話しかありませんでした。

 私、具体的に指摘しておきたいと思うんですけれども、その間に何があったか。明確なのは、安倍総理の施政方針演説がことし一月二十二日、あるんです。そこで何とおっしゃっているかというと、「成人年齢を十八歳に引き下げる中で、消費者契約法を改正し、若者などを狙った悪質商法の被害を防ぎます。」この一言ですよ。結局、十八歳、十九歳の未成年取消権がなくなることに対応するというんだけれども、そのために余りにも、この社会生活の経験が乏しいということを入れて今混乱になっているんですが、そういう経過だったと思うんですね。

 私、申し上げたいのは、成年年齢引下げと対応する消費者保護対策としては、今回、とても足りないと言わなければなりません。また、高齢者や障害者などを始め、本当に被害が深刻なんですよ。それをなくすために、専門調査会を始め、真剣な議論を積み重ねてきたわけですね。ところが、こういう総理大臣の施政方針演説や、あるいは福井大臣のこういう委員会のやり方、これは本当に私は批判したいと思うんです。

 少しでも前進させようというときに、何かよこしまなというか、そういうことから事態を混乱させる、国会を混乱させるということが、前代未聞のこういう事態になったということを私は厳しく指摘をしておきたいと思います。やはり、今後の法案のさらなる検討、改正も引き続き必要だということを申し上げておきたいと思います。

 それで、ここからやっと前回質問しようというものに入るんですが、時間があと二十分ですので、今後の課題について質問を進めます。

 まず、キャンセル料についてです。消費者契約法の第九条、消費者が支払う額の問題ですね。この第九条第一号の趣旨についてまず伺います。大臣。

福井国務大臣 お尋ねの第九条第一号の趣旨でございます。

 事業者が消費者契約の解除に伴い高額な損害賠償等を請求することを予定し、消費者に不当な金銭的負担を強いる場合がございます。

 そこで、消費者契約法第九条第一号におきましては、消費者契約において、事業者が契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金を定めた場合は、消費者が不当な負担を強いられることのないよう、消費者契約の解除に伴い事業者に生ずべき平均的な損害を超える損害賠償等を事業者は消費者に請求することができないこととしているものでございます。

畑野委員 それで、専門調査会報告書では、「第九条第一号の「平均的な損害の額」に関し、消費者が「事業の内容が類似する同種の事業者に生ずべき平均的な損害の額」を立証した場合には、その額が「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」と推定される旨の規定を設けることとする。」としていたんですが、こうしたことが検討された理由は何かということと、また、なぜ法案に盛り込まれなかったのか、この二点、伺います。

福井国務大臣 平均的な損害の額の立証責任につきましては、消費者委員会の平成二十八年一月の答申において、残された論点とされておりました。平成二十八年改正の際の附帯決議においても、引き続き検討を行うこととされておりましたので、専門調査会において検討が行われたわけでございます。

 しかし、平均的な損害の額の推定規定を設けるに当たり、消費者契約一般に通ずる事業の内容の類似性判断の基礎となる要因を見出すことが困難であったことなどから、更に精査が必要であったため、今回の改正事項とはしなかった、ならなかったということでございます。

畑野委員 法成立後三年以内の措置を講ずるとした二〇一六年の当委員会の附帯決議や、専門調査会で今後の課題とされたことも踏まえて、今後、法制化に向けてどのように検討していかれますか。

福井国務大臣 今後は、裁判例のさらなる調査、そして標準約款における損害賠償の額を予定する条項の作成方に関する業界ヒアリング等に取り組みまして、推定規定を設けることに関する検討を更に進めてまいりたいと思います。

畑野委員 資料の五枚目のところにつけましたが、国民生活センターの資料がありまして、「トラブルになってからでは遅い!結婚式トラブルへの備えとは 「キャンセル料」「打合せ不足」に関するトラブルが後を絶ちません」というのがあります。

 私、先日、神奈川県弁護士会の芳野直子会長、それから副会長を始め、お話を伺ってまいりましたら、やはり同じなんですよ。一番多いのは、キャンセル料問題でいうと、結婚式場、これは本当に多いというんです。翌日キャンセルしても多額のキャンセル料を取られるというケースがあるんですね。

 この国民生活センターの資料では、日本ブライダル文化振興協会に、申込金の有無や解約料、契約の成立時期など契約に際してのトラブルを防止するための必要な情報提供を行うなど、業界への周知徹底を求めているんです。

 これに対して、日本ブライダル文化振興協会、どのような対応ですか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十七年十一月、国民生活センターにおきまして、キャンセル料の問題など結婚式をめぐる消費者トラブルについて注意喚起をした後、日本ブライダル文化振興協会におきましては、事業者向けに、わかりやすい丁寧な説明を消費者に対して行うべきことなどをウエブサイトに明記しているということでございます。「各企業において契約の約款を定め、事前に書面を渡して十分な説明を行うなど、トラブル防止に向けた、消費者に分かりやすい丁寧な説明を行ってください。」ということを載せているところでございます。

畑野委員 約款の問題で、事前開示ということが専門調査会で検討課題とされました。消費者委員会の第二次答申は、この問題を喫緊の課題として付言しております。

 約款の事前開示については今後どのような検討を進めるのか、大臣、伺います。

福井国務大臣 参考人質疑におきましても、明文で事前開示の必要性を明らかにしておくことが望ましいという御議論もございました。

 この論点につきまして、専門調査会において検討が行われましたけれども、消費者が契約の締結に先立ち容易に知ることができる状態に置くことが事業者の抽象的な努力義務として求められること自体には一定のコンセンサスがあったわけでございますけれども、しかし、そのような状態を確保するために、具体的に事業者にどこまでの行為が求められるべきであるかという点につきまして意見が分かれたわけでございますので、改正事項として今回提案されるまでには至らなかったということでございます。

畑野委員 約款は、事前開示すれば、消費者の被害というのは大幅になくすことができるんじゃないかというふうに言われております。

 あわせて、開示される約款の内容が消費者目線に立ったものでなければ意味がないんですね。

 今、日本ブライダル文化振興協会のモデル約款について、資料のその次のところに載せましたけれども、六のところで、全国消費生活相談員協会の理事長さんが要望書というのを出しているんです。

 モデル約款の第一条で、申込者の申込書への署名及び所定の申込金の支払いをもって契約は成立いたしますとなっている。これに対して、要望書で、申込書ではその記載事項は一義的でないことや、形式も事業者によってまちまち、どんなサービスが提供されるかもわからないため、契約書への署名に改めるべきだというふうに指摘をしているんです。ほかにもさまざまな指摘を受けているんですね。

 それで、この間、モデル約款というのをインターネットで見たんですけれども、これ、いまだに第一条は申込書のままなんです。要望書を出したのは、もう随分古いんですね、二〇一二年十月十七日に協会としては出しているんですけれども、いまだに変わっていないんです。

 だから、そういう点では、平均的な損害額の立証責任の問題について伺ったんだけれども、あらかじめ平均的な損害の額を十分算定していれば、紛争が生じた場合でも、算定根拠を示した説明も容易になり、損害賠償の額の予定又は違約金をめぐるトラブルも回避できるものと考えると専門調査会でも意見が出されているんですね。

 ですから、この日本ブライダル文化振興協会のモデル約款については、キャンセル料の算定根拠自体にも問題点が指摘されている。

 適切な平均的な損害の額を明らかにさせる上でも、こういう業界団体への働きかけを一層強めることが必要じゃないかと思うんですが、その点、どうですか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 内閣府の消費者委員会の専門調査会でもやはり指摘されております。

 それと、更に今後検討していく中で、各業界団体などとも、実態等を、どうやって作成されているかとか聞きますので、その際に働きかけていきたいと考えております。

畑野委員 モデル約款は私もインターネットで見ましたけれども、やはり問題が多いですよね。きちっと対応していただきたい。そうはいっても、それぞれ出しているものをちゃんとよくつかんで、きちっと法改正に結びつけていただきたいということを申し上げておきます。

 次に、賃貸住宅契約の問題について伺います。

 消費者庁に確認しますが、賃貸住宅契約と消費者契約法との関係について伺います。

川口政府参考人 消費者契約法は、あらゆる取引分野における消費者と事業者との間で締結される契約をいいます。

 御指摘の賃貸住宅契約でございますが、細部を今拝見できませんが、事業者と事業者との契約でなければ、通常、消費者と事業者との間で締結されたものというふうに解釈できると思いますので、その場合は当然ながら消費者契約法が適用される消費者契約となります。

畑野委員 それでは、賃貸住宅契約において、契約更新時以前の契約内容の変更は可能かどうか伺います。

山口政府参考人 お答えいたします。

 民間賃貸住宅の賃貸借契約の内容につきましては、いわゆる契約自由の原則によりまして、貸し主と借り主との合意により決められるべきものと考えてございます。

 このため、両者の合意がなされれば、法令や公序良俗に反しない限り、契約の更新時以前におきましても契約内容を変更することは可能と考えております。

畑野委員 双方の合意だということで確認しました。

 そこで、国土交通省に伺いますが、ことし三月、賃貸住宅標準契約書を改定いたしました。これはどういう趣旨、経緯で行ったのかということですが、特に、きょう、資料のその次に賃貸住宅標準契約書というものをつけました。

 ここで、その次の八ページのところに別表第四というのがありまして、「修繕を自らの負担において行うことができる。」という項目が、以前、右側です、今回、新しい三月以降、左側と、変わっております。この点を中心に、別表四について御説明いただけますか。

山口政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省におきましては、民間賃貸住宅の賃貸借契約をめぐる紛争を防止し、借り主の居住の安定や貸し主の経営の合理化を図ってまいりますため、法令に基づき使用を義務づけているものではございませんが、賃貸借契約時の参考となりますよう、賃貸住宅標準契約書を作成し、公表しているところでございます。

 本標準契約書につきましては、主に、昨年民法改正法が成立して、連帯保証人につきまして、保証する極度額の設定が要件化されましたこと等を踏まえまして変更したところでございますが、あわせまして、ただいま御指摘をいただきました、法律、不動産、あるいは消費者関係の有識者等の御意見も踏まえまして、標準契約書の別表四に掲げております、契約期間中に借り主がみずからの負担で行うことができる修繕につきまして、畳表の取りかえ、裏返し、障子紙の張りかえ、ふすま紙の張りかえ、LED照明の取りかえといった事項を削除するなどの改定を行ったところでございます。

畑野委員 加えて、給水栓の取りかえ、排水栓の取りかえというのも加わっているということも確認をしました。

 それで、きょうは、UR、独立行政法人都市再生機構に来ていただきました。前回も来ていただいたのに、お帰りいただきまして、再度来ていただきましてありがとうございます。

 二〇一六年十二月十三日、法務委員会で私は、URの都市機構賃貸住宅賃貸借契約書の中で、今削除されたとも御紹介ありましたが、畳表、ふすま、あるいはさらに、URの場合は、洗面器の陶器、便器、台所の換気扇等々、八十一項目が借り主の負担で修繕すべきものだとされている問題を取り上げまして、大変なことだったんですよ。

 URは、その後、検討していくと前向きな御答弁をいただきました。その後の進捗状況はどうなっていますか。

伊藤参考人 お答えいたします。

 法務委員会の場でも御説明申し上げましたとおり、当機構の賃貸借契約書につきましては、これまでも必要に応じて随時見直しを行ってまいりました。

 現在、昨年六月に公布されました改正民法の内容、また、本年三月に改定されました国土交通省の賃貸住宅標準契約書、さらには社会一般の取引慣行等を踏まえまして、修繕負担区分の見直しについて検討を進めているところでございます。

畑野委員 これはいつごろまでに結論が出るのでしょうか。そのめどを、私の質問はもう一年半前ですから、早くしてほしい。高齢者の皆さん、年金暮らしの方もいらっしゃいます。

 それと、先ほど国交省からも確認の答弁をいただきましたけれども、契約更新時以前の契約内容の変更は可能かどうか、その二つ、お願いいたします。

伊藤参考人 お答えいたします。

 改正民法の施行日は平成三十二年四月、二〇二〇年四月というふうに定められてございますので、それまでの間に見直しの内容について成案を得ましたら、必要な措置をできるだけ速やかに講じてまいりたいと思っております。

 更新日以前の契約内容の変更については、審議官の答弁されたとおりでございます。

畑野委員 速やかにという御答弁でした。二年後と言わずに速やかに、皆さん待っておられますので、よいことですので、ぜひ進めていただきたいということを申し上げておきます。

 さて、最後になりますが、資料の中で、次に、「タレント・モデル契約のトラブルに注意!!」という消費者庁、国民生活センターのチラシが出されてまいりました。これは昨年の四月二十七日公表となっていますが、実はその後、資料の次のページに、消費者庁として、昨年の九月十五日に、「アダルトビデオ出演強要問題と消費者契約法の適用について」ということで出されております。

 この点について、この改正に当たって、どのようにこの問題についての対応ができるのかということとあわせて、その次の十一の資料に「消費生活センターについて知ろう!」というのを載せました。これは「社会への扉」の最後の方に載っているんですね。一八八(いやや)、電話をしよう、相談は無料で、全国八百カ所の消費生活センターが、土曜、日曜、祝日もつながりますと紹介をされて、これはいいですよね、漫画で書かれていて。若者が、先輩に食事に誘われて、ネットワークビジネスってもうかると言われて契約したんですけれども、そうしたら、センターの皆さんが相談に乗って、そして業者にも一緒に話合いをして、最後、四こま目は、お金が戻ってきた、先輩にも消費生活センターへの相談を勧めてみようというふうに言っているんです。

 国民の皆さんに、消費者の皆さんにわかりやすく、このアダルトビデオの強要問題の解決の問題、あるいはさまざまな消費者トラブルについて、しっかりと、漫画とか動画とか、そういう徹底をしていく必要があると思うんですけれども、この二点を聞いて質問を終わります。

川口政府参考人 まず、アダルトビデオ出演強要問題でございます。

 消費者契約法でも、例えば、声をかけられた女性が単発でアダルトビデオに出演する契約を締結するようなケースでは、消費者契約法の消費者契約に当たる可能性があるということでございます。なお、労働契約に当たる場合は適用除外とされております。

 消費者契約の消費者とは、事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く個人と、広く解釈されているということでございます。

 したがいまして、現在御審議いただいております今回の改正法の提案でございますが、例えば、事業者が、出演契約を締結する前に、出演契約の締結を目指して撮影の準備をしてしまい、出演をしないのであればその費用を支払うよう告げて勧誘したために、消費者が困惑し、契約を締結した場合には、提案させていただいております第四条第三項第六号の規定により、契約を取り消すことが可能になるときがあると考えております。

 また、アダルトビデオの、いただきましたこの資料につきましては、「タレント・モデル契約のトラブルに注意!!」ということは、全国の消費生活センターのみならず、全国二百二十の大学施設内での掲示を要請しております。いろいろな方に、若者のいるところに、お仕事をされている方には掲示、配布をお願いしているところでございます。

 それから、「社会への扉」でございます。平成三十二年度には、全都道府県におきまして、全ての高校において授業で取り上げていただくということをお願いをして、働きかけを行っているところでございます。

 これにつきまして、より多くの消費者に関心を持ってもらえるよう、いろいろな教材をつくっていく、そのこと自体は大変重要なことだと思っておりますが、私どもは、やはり学校の授業で、実際に家庭科の授業、社会科の授業、これは学習指導要領の中でこういうものを教えるということになっているわけです。

 ただ、どういうふうに上手に効果的に伝えられるかが難しいというところがありましたので、この教材のみならず、教師用の指導教材というものをつくりました。さらに、文科省の御努力におきまして、教師用の動画教材というものをつくりました。学校の先生はお忙しいので、教師の方であれば、動画を見ることで、我々の教師用教材を活用しながら授業をしていただけるかなと。

 ただ、子供たちについては、やはり授業でわかりやすく先生に教えていただくということを目指して働きかけをしていきたいということでございます。

畑野委員 時間が参りました。

 相談員をきちっと充実して配置する問題、あるいは本当に予算を増額するという問題、しっかりやっていただきたいということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。

櫻田委員長 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 少し質疑の順番を変えさせていただきます。

 私からも、「社会生活上の経験が乏しいことから」という要件の必要性について、改めてお伺いします。

 この要件の必要性については、既に他の委員からも何度も質問がありましたし、また、参考人の方々からも、社会生活上の経験が乏しいという要件が入ることで、若者が対象で、中高年者の被害救済を狭めることになるのではないかとの指摘がございました。

 前回、前々回、そして本日の委員会での質疑、それに対する答弁を聞いておりましても、聞けば聞くほど、社会生活上の経験が乏しいという要件が非常にわかりにくいものだと感じました。

 地元の一般の方々にも、この要件を聞いてどう思うか尋ねてみましたところ、皆さん、若者が対象と感じるようです。これが一般の感覚です。

 消費者契約法専門調査会で報告のなかったものが要件として追加されたというのは、やはり納得のいく説明が必要だと思いますし、しっかりと国民にわかりやすいものでなくてはならないと思います。

 何度も何度も同じトラブルに巻き込まれる方は果たして経験不足なのか、社会生活上の経験とはどういった経験のことなのか。この社会生活上の経験が乏しいという要件が、高齢者や障害者、若者以外の救済もできるのであるならば、年齢にかかわらず、中高年の消費者の救済も可能であるということを消費者、事業者にしっかりと周知することが必要であると考えます。

 繰り返しの質問になりますけれども、社会生活上の経験が乏しいの要件の必要性を改めてお伺いします。

    〔委員長退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

福井国務大臣 ありがとうございます。

 社会生活上の経験が乏しいという要件は年齢によって定まるものではございませんということは、もう一度、繰り返しになりますけれども、確認をさせていただきたいと存じます。

 そして、この要件は、当該消費者における社会生活上の経験の積み重ねが、一般に、消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないということを意味するものでございます。

 したがいまして、総じて社会生活上の経験の積み重ねが少ない若年者への適用には支障はございません。そしてまた、消費者が若年者でない場合であっても、社会生活上の経験の積み重ねにおいてこれと同視すべきものは本要件に該当し得るということで、整理をさせていただきたいと思います。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 冒頭、大臣からも発言の撤回、謝罪がありましたけれども、「大臣本会議答弁の修正について」という内部資料が作成されたこと、検討がなされたということは、政府も事務方も混乱している、それだけわかりにくい文言だと思います。

 本会議の大臣の御答弁の、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者であっても、一般的には本要件に該当するものと考えますとの答弁は、通常の社会生活上の経験を積んできた消費者というのは、若者だけでなく、中高年や障害者の方々も該当するということだろうと思います。

 何度も繰り返しの指摘になりますけれども、社会生活上の経験が乏しいという文言は大変わかりにくいです。高齢者や障害者を守ることができるものであるならば、やはりこの文言の必要性が理解できません。もう少しわかりやすい説明をお願いしたいと思います。

 社会生活上の経験が乏しいという要件であっても、年齢の制限がない、年齢で定めるものではないといった答弁もございましたが、高齢者も対象になるとのことです。私自身も混乱する大変理解に苦しむものですが、消費者や事業者に混乱を招かないよう、国民に対してこの要件をどのように説明、周知していくのか、お答えください。

福井国務大臣 もう一度、繰り返しになりますけれども、本要件は、年齢によって定まるものではなく、消費者が若年者でない場合であっても、社会生活上の経験の積み重ねにおいてこれと同視すべきものは本要件に該当し得るということでございます。

 例えば、通常の社会生活上の経験を多少積んでいるとしても、なお、社会生活上の経験が乏しいという要件に該当し得るものでございます。

 それ以外の事例についても本要件に該当する場合があると考えられますけれども、ここでそれぞれについて具体的にケース、ケースを述べるということについては差し控えさせていただきたいと思います。

川口政府参考人 補足させていただきます。

 国民への周知ということは大変重要でございます。本法が、裁判規範のみならず、紛争解決規範、行為規範として幅広く活用されていくということは極めて重要でございますので、まず、逐条解説、消費者契約法については逐条解説がございますので、これを速やかに改定をいたしまして、内容を盛り込んでいきたいということでございます。

 また、さらに、説明会の開催を消費者、消費者団体、消費生活相談員、事業者団体など、できるだけ多く行いまして、具体の事例、いろいろ、特に事業者の方は、当該業界においてはどういう部分に適用されるのかと御質問がございますので、そうしたものを学びながら御説明をしていきたいと思います。

 それから、消費生活相談員については、研修というのを国民生活センター等でやっております。

 そういう中で、新しい法律、特に消費者契約法については積極的に御説明をさせていただきたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 消費者や事業者が混乱を招かないよう、しっかりと対応していただきたいと思います。

 社会生活上の経験が乏しいという要件に関しては、まだまだ検討も必要だと思います。成人年齢引下げが実施されることになれば、十八歳、十九歳の消費者トラブルはふえるものと予想できます。しかし、現状で把握できている範囲でですが、若者の被害は減り、高齢者の被害がふえております。社会生活上の経験が乏しいという要件で、トラブルに巻き込まれてしまった社会生活上の経験が乏しい若者の救済はもちろんしていただきたいと考えておりますが、高齢者の方々の救済もしっかりとしていただけるよう、再度お願いをしておきたいと思います。

 続いて、社会生活上の経験が乏しいという文言は、誰がどこで提案をし、政府内でどのような検討がされ、どのタイミングで追加されることになったのか、お答えいただけますでしょうか。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者委員会での御検討がございました。私どもも、そこに参加をしたり傍聴したりしております。ただ、報告書がまとまりました、答申が出ました。その後、法制的な検討を本格化いたしました。

 法制的な検討は、具体の条文においてどのように書くべきかということ、また、我が国におきます取消しを効果にいたします法律はどのようなものがあるのか、そのものはどのように要件化されているか、どのぐらい重大なものを対象にしているのかなど、十分調べまして、それを消費者契約法という法律に書くということで、そういうものでどういうものが適切か、これは主として消費者庁内部で行っているものでございます。

 こういうものを、作業を繰り返す中で、今回、御指摘のような内容についても条文化することが適切ということを消費者庁内部で決定をいたしまして、これをまた各省にお諮りをしつつ、閣議決定をさせていただいて、国会に提出をさせていただいたということでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 検討された中で、わかりにくい、入れるべきではないとのお声はなかったのかと少し疑問は残ります。この社会生活上の経験が乏しいという文言に対しては、私は今でも、御説明をお聞きしても理解できておりません。ですが、次の質問に移りたいと思います。

 消費者教育については前回も質疑をさせていただきましたが、成人年齢引下げに対する教育現場の声、学校側の御意見をお聞きしてまいりましたので、再度伺います。

 都内の私立高校に成人年齢引下げについて少しお話をお聞きしたのですが、選挙の件では、国かどこかからか冊子か何か届いたような記憶はある。選挙の件とおっしゃっておりました。成人年齢引下げによる今後の学校のあり方や生徒への対応などについては、全く何も勉強もしていないし、今後どうしていくかも未定だと話されておりました。残念ながら、消費者庁の冊子「社会への扉」の存在すら知らないとのことでした。

 その学校は、校長先生が、消費者教育を学校として行うか、今後どうするか検討されているようですが、教育現場では、ただでさえ人が少ない状況の中で、学校側から消費者庁のホームページにアクセスし、消費者教育について学んだり、冊子の請求などできるのでしょうか。現場からしてみれば、国の本気度が伝わらないと厳しい声もいただきました。

 また、大学受験の仕組みも再来年度から変わる中、現場は法律が変わるたび振り回されているのが現状です。その都度時間をとられ、教員がどこの時間を割いて新しい取組の勉強をするのかというと、結局、貴重な放課後などの子供たちと接する時間になります。

 冊子を活用するなどして消費者教育をしていくというのは既に御答弁いただいておりますが、今後、教育現場への消費者教育をどうされていくのか、スケジュール感で何か具体的に決まっていることがあれば教えてください。文部科学省、お願いいたします。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 教育現場への周知啓発についてのお尋ねがございました。

 学校における消費者教育を充実させるためには、教師の指導力の向上を図りますとともに、現場にしっかりと周知徹底を図ることが重要であると認識してございます。

 文部科学省といたしましては、本年二月に四省庁の関係局長会議で決定をいたしました若年者への消費者教育に関するアクションプログラムなどを踏まえまして、二〇一八年度から二〇二〇年度の三年間の集中強化期間において、まず、平成十六年の消費者基本法の制定などを受けまして、平成二十一年の改訂の際に消費者教育に関する内容を充実した現行の学習指導要領の趣旨の徹底を図ることとしております。

 また、お尋ねのございました消費者庁作成の高校生向け消費者教育教材「社会への扉」の全国での活用を促進することといたしておりまして、こうした取組を、消費者庁を始め関係省庁と連携して、三年間の集中強化期間の中で着実に実施していくことによりまして、学校における消費者教育の充実を図ることといたしております。

 このことにつきましては、本年三月、消費者庁との連名の通知によりまして、教育委員会等を通じ、学校に対して周知するとともに、消費者教育の一層の推進に努めていただくよう依頼したところでございます。

 また、全国の教育委員会関係者や校長等が集まる会議など、あらゆる機会を通じまして、「社会への扉」の積極的な活用を含む消費者教育の推進について周知を図っているところでございます。

 今後とも、消費者庁を始め関係省庁と緊密に連携を図りながら、学校における実践的な消費者教育の一層の充実に向けまして努力をしてまいりたいと考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 消費者庁からもお願いいたします。

川口政府参考人 これまでも消費者教育に熱心な学校はございました。また、学習指導要領には、消費者教育を行うべき家庭科、社会科などについて、小中高ございます。特に喫緊の課題は高校でございます。学習指導要領の内容につきまして授業する時間はあるということでございます。ただ、その授業の内容を効果的にするためにこの教材を活用いただきたいということでございます。

 ただいま御指摘いただいたように、文科省と一緒に連名で消費者庁においても通知を行っているわけでございますが、まだ教育の現場まで届いていないかもしれません。ただ、私どもは、県ごとに行政に、消費者行政担当部局だけではなく、文科省の御協力で教育委員会等の教育関係の部局にも通知をしているところでございます。

 今お願いしておりますのは、各県ごとに、教育関係の行政部局、それから消費者関係の行政部局、同席いただく会を県ごとにつくっていただきまして、そこに消費者庁を中心に説明に行って直接説明をして、具体的な懸念、あとは、消費者庁がどのように各県を支援できるのか。例えば、この教材について、学校の先生が集まっていただければ、私どもから内容について御説明する、先生方の研修の機会をつくることができるということ。

 それから、昨年度は、徳島県で六千九百人、全県全ての高校において、これは定時制も特別支援学校も含まれております、そういう授業をやっていただいておりますので、そのときの、具体的にどういう授業をしたのか、生徒の反応はどうか、どういうことで苦労があったのかなどにつきまして整理した資料を今つくっております。これを各県に行くときは説明をさせていただくということでございます。

 ちなみに、この教材を御活用いただける場合には、消費者庁に直接御連絡いただいてもお送りをしておりますが、各県ごとに全県で配付をしたいというお申込みは大変歓迎でございまして、その際はお送りしております。ただし、一方的に送りつけるということはしておりません。

 また、めどでございますが、今年度は八都道府県につきまして、県内全ての高校においてこの授業をしていただくということを目標にしております。二〇二〇年度には四十七都道府県全てにおいて授業でお使いいただくべく、働きかけを進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

    〔伊藤(信)委員長代理退席、委員長着席〕

森(夏)委員 ありがとうございます。

 しっかりと教育現場への対応をお願いしたいと思います。

 次に、事業者に向けた今後の情報収集の周知の取組について伺います。

 例えばですが、地域のブロックごとに学校関係者を集め、啓発活動をするのも一つの案だと思います。教育現場が混乱することが目に見えているようにも感じます。そして、最終的に一番苦しむのは、成人年齢になった十八歳の子供たちになるのではないでしょうか。

 「社会への扉」の冊子ですが、先日の大臣の御答弁にもございましたが、本当にわかりやすく読みやすい冊子だと思っております。早急に消費者庁の方からもアクションを起こし、教育現場への消費者教育冊子の全校配付をお願いしたいと思います。

 高校からでは遅い、中学生からの消費者教育も必要だとの声もございます。成人年齢引下げにより未来ある子供たちが消費者被害に巻き込まれないよう、消費者被害の拡大防止対策をしっかりとお願いいたします。

 これまで教育現場の問題に関して質疑をしてまいりましたので、次に、全体的な問題として、情報提供について伺います。

 やはりトラブルが多いのは、SNSなど、パソコンを使用できない、使用しない、情報収集をすることが困難な方が消費者トラブルに巻き込まれることが多いかと思います。

 情報収集ができ、トラブルに巻き込まれない方は、契約をする際にも納得いくまで説明を聞き、そして、大きな買物になると、何度も家族での話合いや事業者の打合せなども行うと思います。

 しかし、情報収集ができず、日中お一人になることの多い高齢消費者の方は、事業者の不十分な説明で理解をしていないまま契約をしてしまったり、断ることができず契約トラブルに巻き込まれてしまうケースも多いと伺っております。

 現行法第三条一項は、事業者からの情報が不足していたとしても、事業者には情報提供の法的な義務はありません。努力義務ですので、事業者の情報提供の実効性に結びついていないと思います。高齢者、若年者、障害者など、消費者に対しもっと配慮すべきだと思います。事業者の方々で、いろいろな御努力をされている事業者の方が大勢いらっしゃるのは理解をしております。シンポジウムの開催等で周知しているかと思いますが、配慮義務を明文化する文言を入れていただきたいと思います。

 今、事業者に対して、情報提供の努力の周知に向け、消費者庁としていろいろな取組をされていると思いますので、その点について教えてください。そしてまた、今後、事業者への周知に向けた新たな取組を考えられているものもあれば、あわせてお願いいたします。

あかま副大臣 お答えいたします。

 事業者の努力義務、消費者の配慮義務及び情報提供義務、これらについて事業者に対して今後どのような周知を図っていくのかという御質問だと思います。

 本法案の成立後には、改正消費者契約法の内容について、わかりやすい説明資料や事例集を作成した上で、事業者また事業者団体等の協力を得ながら説明会を開催するということなどを通して、積極的に周知徹底をしてまいりたいというふうに考えております。

 また、こうした取組などによって、事業者の努力義務規定に関する認識が高まること、これが必要でございます。そうしたことを踏まえながら、消費者被害の救済と円滑な事業活動の確保、この両立に資するように取り組んでまいりたい、このように考えております。

 以上です。

森(夏)委員 ありがとうございます。しっかりと取り組んでいただきたいと思っております。

 次の質問に入ります。

 高度情報通信社会の進展により、インターネットを活用したさまざまな取引が増加しております。現在は、若者や働き盛りの時間に限りのある方の多くが、便利なネットでの取引を多くの方が利用されていると思います。それに伴い、消費者にとっては、利便性が向上している一方で、さまざまなトラブルに遭遇するケースが頻繁に起こっていると感じております。

 ネット販売に関しても、約款などになかなかたどり着けないという意見をよく聞きます。こういった声に対して、何か改善策などは事業者に依頼をされているのでしょうか、お答えください。

川口政府参考人 お答え申し上げます。

 近年の情報化の進展に伴いまして、インターネット通販に関する消費生活相談の件数は、今、大体年間十万件程度というふうに把握しております。

 これにつきましては、私どもが所管しているさまざまな法律を、まずしっかり事業者に理解していただき、守っていただく必要がございますが、例えば、特定商取引法におきましては、代金の支払い時期や方法など、広告における重要事項の表示義務等を課しているところでございます。

 また、景品表示法においては、商品、役務について、実際よりも優良と思わせる表示の禁止等を規定しておりまして、違反行為に接した場合は、私ども、法と証拠に基づき厳正に対処する、具体的には行政処分をするということをしているところでございます。

 さらに、事業者や業界団体等におきまして、不適切な出品の削除、あるいは監視体制の強化、相談窓口の設置など、自主的な取組も行われているところでございまして、こうした自主的な取組を行っている団体と当庁で、いろいろなインターネット上で新たに発生しつつある課題、この相談を通じて承知しておりますので、そうしたものを共有しながら意見交換をするということで、インターネット消費者取引連絡会というものを定期的に開催をしております。関係行政機関、事業者団体、消費者団体等、幅広い関係者が集まって情報交換、意見交換等をしているところでございます。

 そのほか、消費者自身がトラブルに巻き込まれるのを未然に防止するため、さまざまな注意喚起を行っております。深刻なものについては強いメッセージを特に出しております。これは安全にかかわるものなどでございますけれども。

 消費者が気をつければ避けられるものについては、SNS等も活用しまして、注意喚起を今後ともしっかり努めてまいりたいと思っているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 特に若い方が利用していることが多いネット販売でありますので、しっかりと対応していただきたい、対策を講じていただきたいと思います。

 消費者が被害を受けたときに消費生活センターなどに相談することで、被害を受けた被害者個人が救済されるだけでなく、消費者被害に係る情報を社会で共有することで、問題の解決、第二の被害者を防ぐことにもつながると思います。一八八番、「いやや」のさらなる周知をお願いしたいと思っております。私もフェイスブック等で周知に努めております。一人でも多くの被害者を助けられればと思っております。

 また、未成年取消権についてですが、引下げに慎重な立場と推進する立場では見解が百八十度違うと思います。しかし、最終的には、十八歳、十九歳の子供たちを法的に守る上で、若年成年に向けた消費者被害対策の充実、未成年者取消権に匹敵する法制度を整備していただきたいと思います。

 また、再来年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、訪日される海外の方が、トラブルなくよい思い出のまま帰国していただき、日本に再び来ていただけるような社会になるよう、事業者にも、丁寧なわかりやすい情報提供、対応をお願いしたいと思います。

 最後に、消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現のため、今後とも、この消費者契約法については、必要に応じ、検討、議論をしていただきたいと思います。

 最後に、消費者を守るための消費者契約法となるよう、大臣に御決意をお願いできればと思います。

福井国務大臣 ありがとうございます。

 さまざまな、先生を始め皆さん方からの御指摘を重く受けとめさせていただきたいと思います。

 消費者を主役とする政府のかじ取り役として、消費者行政を一元化するために設立されました消費者庁の創設時の理念の初心にいつも立ち戻りまして、今後とも、誰一人取り残さない社会の実現に貢献していくように、手前どもも頑張っていきたいと思っております。

森(夏)委員 ありがとうございます。しっかりとお願いしたいと思います。

 以上で終わります。

櫻田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 この際、本案に対し、永岡桂子君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党及び日本維新の会の七派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。永岡桂子君。

    ―――――――――――――

 消費者契約法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

永岡委員 ただいま議題となりました消費者契約法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案は、事業者による消費者契約の勧誘に際し、消費者が困惑し、それによって意思表示をした場合には、その意思表示を取り消すことができる不当な勧誘行為の類型として、次に掲げる行為を追加するものであります。

 一、当該消費者が、加齢又は心身の故障によりその判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他の事項に関しその現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏づけとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、当該消費者契約を締結しなければその現在の生活の維持が困難となる旨を告げること。

 二、当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

櫻田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、消費者契約法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、永岡桂子君外六名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

櫻田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

櫻田委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、大河原雅子君外六名から、自由民主党、立憲民主党・市民クラブ、国民民主党・無所属クラブ、公明党、無所属の会、日本共産党及び日本維新の会の七派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大河原雅子君。

大河原委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。

    消費者契約法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。

 一 本法第四条第三項第三号及び第四号における、社会生活上の経験が乏しいことから、過大な不安を抱いていること等の要件の解釈については、契約の目的となるもの、勧誘の態様などの事情を総合的に考慮して、契約を締結するか否かに当たって適切な判断を行うための経験が乏しいことにより、消費者が過大な不安を抱くことなどをいうものとし、年齢にかかわらず当該経験に乏しい場合があることを明確にするとともに、法解釈について消費者、事業者及び消費生活センター等の関係機関に対し十分に周知すること。また、本法施行後三年を目途として、本規定の実効性について検証を行い、必要な措置を講ずること。

 二 法第九条第一号における「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額」の立証に必要な資料は主として事業者が保有しており、消費者にとって当該損害額の立証が困難となっている場合が多いと考えられることから、損害賠償額の予定又は違約金を定める条項の運用実態について把握を進めた上で、「平均的な損害の額」の意義、「解除に伴う」などの本号の他の要件についても必要に応じて検討を加えた上で、当該損害額を法律上推定する規定の創設等の立証責任の負担軽減に向け早急に検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。

 三 消費者が合理的な判断をすることができない事情を不当に利用して、事業者が消費者を勧誘し契約を締結させた場合における取消権の創設について、要件の明確化等の課題を踏まえつつ検討を行い、本法成立後二年以内に必要な措置を講ずること。

 四 本法第三条第一項第二号の事業者の情報提供における考慮要素については、考慮要素と提供すべき情報の内容との関係性を明らかにした上で、年齢、生活の状況及び財産の状況についても要素とするよう検討を行うとともに、消費者が事前に消費者契約の条項を容易に知ることができるようにするための契約条項の開示の在り方についても検討を行うこと。

 五 消費者契約の条項について解釈を尽くしてもなお複数の解釈の可能性が生じた場合には事業者に不利な解釈を採用するなど、消費者の利益擁護の観点から消費者契約の条項の解釈の在り方についての検討のほか、「消費者」概念の在り方(法第二条第一項)、断定的判断の提供(法第四条第一項第二号)、「第三者」による不当勧誘(法第五条第一項)、法定追認の特則、先行行為等の不利益事実の不告知(法第四条第二項)にかかる要件の在り方、威迫・執拗な勧誘等の困惑類型の追加、サルベージ条項等の不当条項の類型の追加など消費者委員会消費者契約法専門調査会報告書において今後の検討課題とされた事項につき、引き続き検討を行うこと。

 六 本法施行後五年を目途として、独立行政法人国民生活センターや地方公共団体との間でPIO―NETの活用による一層の連携を図ること等により、消費者の被害状況や社会経済情勢の変化を把握しつつ、消費者契約法の実効性をより一層高めるため、同法の見直しを含め必要な措置を講ずること。

 七 差止請求制度及び集団的消費者被害回復制度が実効的な制度として機能するよう、適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する財政支援の充実、PIO―NETに係る情報の開示の範囲の拡大、両制度の対象範囲を含めた制度の見直しその他必要な施策を行うこと。

 八 特定適格消費者団体による仮差押命令申立てにおける独立行政法人国民生活センターの立担保に係る手続等について消費者裁判手続特例法の趣旨を損なうことのない運用に努めること。

 九 地方消費者行政の体制の充実・強化のため、恒久的な財政支援策を検討するとともに、既存の財政支援の維持・拡充、消費者行政担当者及び消費生活相談員に対する研修の充実、消費生活相談員の処遇改善等による人材の確保その他適切な施策を実施すること。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

櫻田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

櫻田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、政府から発言を求められておりますので、これを許します。福井国務大臣。

福井国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重してまいりたいと存じます。

    ―――――――――――――

櫻田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

櫻田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

櫻田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後八時五十四分散会


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