衆議院

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第3号 平成30年11月15日(木曜日)

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平成三十年十一月十五日(木曜日)

    午後三時二十二分開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 穴見 陽一君 理事 石原 宏高君

   理事 田畑 裕明君 理事 平  将明君

   理事 武村 展英君 理事 大河原雅子君

   理事 関 健一郎君 理事 鰐淵 洋子君

      伊藤信太郎君    岩田 和親君

      小倉 將信君    木村 弥生君

      小泉 龍司君    小島 敏文君

      佐藤 明男君    鈴木 隼人君

      中山 展宏君    百武 公親君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      船田  元君    堀内 詔子君

      松本 洋平君    宮路 拓馬君

      尾辻かな子君    初鹿 明博君

      堀越 啓仁君    山本和嘉子君

      大西 健介君    西岡 秀子君

      古屋 範子君  もとむら賢太郎君

      畑野 君枝君    丸山 穂高君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            宮腰 光寛君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  中川  真君

   政府参考人

   (内閣府消費者委員会事務局長)          二之宮義人君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局審議官)            水口  純君

   政府参考人

   (金融庁総合政策局参事官)            佐藤 則夫君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     井内 正敏君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          高田  潔君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    小林  渉君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    高島 竜祐君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電気通信事業部長)     秋本 芳徳君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 山内 由光君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十五日

 辞任         補欠選任

  黒岩 宇洋君     もとむら賢太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  もとむら賢太郎君   黒岩 宇洋君

    ―――――――――――――

十一月十五日

 食品表示法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 食品表示法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官中川真君、内閣府消費者委員会事務局長二之宮義人君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、金融庁総合政策局審議官水口純君、金融庁総合政策局参事官佐藤則夫君、消費者庁次長井内正敏君、消費者庁政策立案総括審議官高田潔君、消費者庁審議官橋本次郎君、消費者庁審議官小林渉君、消費者庁審議官高島竜祐君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長秋本芳徳君、法務省大臣官房審議官山内由光君及び厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武村展英君。

武村委員 自由民主党の武村展英です。

 きょうは、質問のお時間を頂戴しましたこと、心から感謝申し上げます。

 それでは、早速質疑に移ります。

 まず、食品の安全性確保についてお伺いをしたいと思います。

 国内で生産をされ、流通をしている食品の安全確保はどのように担保をされているのか、お伺いをいたします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 国内で流通する食品の安全性確保についてでございますけれども、食品衛生法に基づきまして、各都道府県等におきまして食品取扱施設に営業許可を与えるほか、食品衛生監視指導計画を策定して、食品等事業者に対する監視指導を行っているところでございます。

 具体的には、食品取扱施設への立入検査、食品等事業者からの食品の一部を採取して行う収去検査等のほか、食品等事業者に対する自主的な衛生管理に係る指導などを行っているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、都道府県等と連携して、こうした取組によりまして、国内に流通する食品の安全性の確保を図っているところでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 それでは、輸入食品の安全確保はどのように担保をされているのか、お伺いをいたします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 輸入食品の安全性確保についてでございますけれども、食品衛生法に基づきまして、輸出国段階、輸入時の水際段階、国内流通段階の三段階で対策を講じているところでございます。

 まず、輸出国段階では、日本から輸出国に対しまして、二国間協議や検査技術協力等を通じまして、輸出国政府による輸出国内での安全対策の推進について働きかけているところでございます。

 また、輸入時の水際段階におきましては、輸入事業者に対しまして輸入の都度届出を義務づけているところでございまして、検疫所では、届出内容の審査や検査を行っているほか、輸入業者からの輸入前の事前相談を受け付けているところでございます。

 特に、検疫所での検査につきましては、我が国の安全基準に適合しない食品が輸入されないよう、サンプルをとって行いますモニタリング検査、モニタリング検査などの結果、食品衛生法違反の可能性が高いと判断された食品を対象に、全量をとめ置いて検査をする命令検査など、違反リスクに応じた検査を実施しているところでございます。

 国内流通段階におきましては、先ほど申しました都道府県等による収去検査などが行われているところでございまして、厚生労働省といたしましては、こうした取組を通じまして、輸入食品の安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

武村委員 ありがとうございました。

 国内で生産されたものも、輸入品であっても、それぞれ、安全性を担保するそういった施策が施されているわけでありますが、食品衛生法上の基準によってともに同じ基準で評価をされ、安全性を担保されるということであります。消費者の中では、輸入食品について不安だというふうに思われる方が多いんですけれども、輸入品であっても国内で生産されたものであっても同じ基準で評価をされている、そうしたことを確認させていただきました。

 それでは、その基準自体についてお伺いをしたいというふうに思います。

 日本の農産品の残留農薬基準、これは世界各国と比べて厳しいものであるのかどうか、例を挙げて御説明をお願いいたします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 残留農薬の基準の設定につきましては、農薬ごとに、毎日一生涯にわたって摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量、一日摂取許容量、ADIと申しておりますけれども、これを食品安全委員会が設定した上で、食品に残留する農薬の摂取量がこのADIを超えないような基準を設定しているところでございます。

 このADIの設定の考え方につきましては国際的に共通しているところでございますけれども、食品ごとの基準につきましては、各国がそれぞれの事情に基づいて定めているところでございます。

 例えば、日本と諸外国の気候風土や害虫の種類の違いなどにより、農薬の使用方法が異なること、あるいは検査する部位が異なることなどから、個別に比較した場合には残留基準が異なる場合がございます。

 例えば、殺虫剤でございますメタフルミゾンのトマトの基準値は、使用方法の違いによりまして、日本が五ppmであるのに対しまして、米国及びEUでは〇・六ppmであり、海外の基準の方が厳しくなってございます。

 一方、殺虫剤でありますクロラントラニリプロールのミカンの基準値は、検査方法の違いによりまして、日本が〇・二ppmであるのに対しまして、米国では一・四ppmでありまして、日本の基準値の方が厳しくなってございます。

 このため、食品ごとの残留農薬の基準につきましては、日本の基準が厳しい場合もあれば、諸外国又は国際基準の方が厳しい場合もございまして、どちらかが一概に厳しいとは言えない状況でございます。

武村委員 ありがとうございました。

 やはり、国によって食文化であるとか食料生産事情も異なり、摂取量もおのずと異なってくることになると思います。そういうことを考えますと、一概に日本が緩いとか厳しいとか、そういったものではないんだろうというふうに考えます。科学的根拠に基づいて、国際基準も参考にしながら、その国に応じた基準を科学的根拠に基づいて不断に見直していくことがこれから先も必要なんだというふうに思います。

 そもそも、基準値とは何だろうなという話があります。基準値というものは安全と危険の境目ではないと思うんですね。当然、バッファーもあります。そういうわけで、実際は、基準値を二倍、三倍超えても、影響が際立って大きくなるものではないというふうに思うんですね。そういったことにもこの基準値の扱いというのは留意した方がいいと思います。そういう意味では、消費者に対して、消費者自身のリテラシーを上げていく、こういったことも必要だというふうに思っています。

 そこで、消費者基本法における消費者の役割というものはどういうふうに規定されているのか、お伺いをいたします。また、これを踏まえますと、消費者のあり方というのはどのようなものなのか、消費者庁にお伺いをいたします。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者基本法におきましては、消費者政策推進に当たり、消費者の自立を支援することを基本とすべきことを基本理念として掲げております。また、消費者の役割については、「自ら進んで、その消費生活に関して、必要な知識を修得し、及び必要な情報を収集する等自主的かつ合理的に行動するよう努めなければならない。」との努力規定を設けております。

 そのため、国におきましては、消費者の生命身体に係る分野における事業者に対する規制や、高齢者などの社会的弱者に対する配慮は引き続き推進しながら、必要な情報の提供など、消費者の自立が図られるように努めてまいります。

武村委員 ありがとうございました。

 今、消費者の自立、自主的それから合理的な行動といったキーワードをおっしゃっていただきました。

 これからは、やはり、単に生産者は基準を守る、消費者は監視をする、そういっただけの関係ではあるべき市場経済というものは実現できないというふうに思います。やはり、消費者が科学的な思考ができるようになること、それから、必要な情報をみずから収集して、その情報の信頼性というものを正しく評価すること、それから、食品表示の意味を理解してみずから選択をしていく、そういった消費者像が将来のあるべき姿かなというふうに私は考えます。そういったことも、ぜひ、消費者庁の皆様、これから施策に反映していただけると幸いに存じます。

 それでは、次の質疑に移りたいと思います。

 遺伝子組み換え食品の表示義務について、手持ちの資料で一ページ目、二ページ目で用意をさせていただきました。これに基づいて質疑をさせていただきます。

 遺伝子組み換え食品は、食品衛生法の規定に基づきまして、厳正な科学的評価により、安全性について問題がないとされたもののみ流通が認められています。

 そこでお伺いをしたいんですが、安全性に問題はないというのはどういう意味なのか、正確に御説明をお願いします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のとおり、食品衛生法に基づく遺伝子組み換え食品の安全性審査におきましては、食品安全委員会におきまして専門家による科学的なリスク評価を実施し、厚生労働省において食品安全上の問題がないと公表したもののみを、国内での流通を認めているものでございます。

 食品安全委員会のリスク評価は、国際的に認められた考え方と同様のものとして実施されているところでございますけれども、具体的には、組み込まれた遺伝子からできるたんぱく質が人に有害ではないか、また、組み込まれた遺伝子が間接的に作用し、有害物質などをつくる可能性がないかなどにつきまして、科学的なデータをもとに安全性を総合的に判断していると承知しているところでございます。

 その結果、現時点の科学水準におきまして、遺伝子組み換え食品が既存の食品と同等の安全性を有していることを確認しているものが流通しているという状況でございます。

武村委員 ありがとうございました。

 今御答弁の中で、現時点での科学的水準において、こういった言葉を言っていただきました。これはなかなか難しい問題だと思うんですが、食品は、もともと膨大で多様なリスクがあるというふうに思います。いわば、食品は未知の科学の集合体であるというふうにも言えると思うんですね。長期の安全性については、基本的には確認されていないものが多いものと考えています。役所が使われる、安全性に問題がない、こういう言葉は、私は少し誤解を生むんじゃないかなというふうに思うんですね。例えば、現在の知見では直ちに問題があるとは考えられないとか、今のところ大きな問題は見られないとか、私は本来はそういう意味合いだと思うんですが、これは消費者リテラシーにもかかわるのかもしれません。

 安全である、こういった言葉はどういう意味があるのかというのは、やはり消費者の方も正しく知っていただく必要があるのではないかなというふうに私は考えますが、役所の皆様もそういったことにもぜひ問題意識を持っていただきたいというふうに思います。

 続きまして、遺伝子組み換え表示制度の改正の動向について御説明をお願いいたします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 遺伝子組み換え表示制度につきましては、昨年度開催いたしました遺伝子組換え表示制度に関する検討会の報告書を踏まえ、食品表示基準に規定されている遺伝子組み換えに関する任意表示の制度改正の手続を行っているところでございます。

 現行の任意表示は、分別生産流通管理を実施した非遺伝子組み換え農産物及びこれを原材料とする加工食品には、遺伝子組み換えでないものを分別、あるいは遺伝子組み換えでないなど、分別生産流通管理が行われた非遺伝子組み換え農産物である旨を任意で表示することができるというものでございます。

 これに対して、改正案は、消費者の誤認防止や消費者の選択の機会の拡大の観点から、まず、分別生産流通管理を実施して遺伝子組み換え農産物の混入を五%以下に抑えているものについては、適切に分別生産流通管理している旨、事実に即した表示ができることといたしまして、さらに、遺伝子組み換え農産物の混入がない原材料を使用している場合には、遺伝子組み換えでない旨の表示を認めることとするというものでございます。

 今後、内閣府消費者委員会食品表示部会にパブリックコメントの結果をお示しした上で本改正案を御議論いただき、より消費者の皆様の食品選択に資する制度となるよう、食品表示基準改正作業を進めてまいりたいと考えているところでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 続きまして、遺伝子組み換え表示制度において、正しい表示がなされているかどうかのチェックをどのように行っているのか、これについてお伺いをいたします。

小林政府参考人 遺伝子組み換え食品に関する表示につきましては、消費者が安心して商品選択を行えるよう、事業者への監視指導をしっかりと行うことが重要であると考えております。

 このため、遺伝子組み換え表示の監視指導につきましては、食品表示法に基づきまして、国及び都道府県等において、科学的検査及び立入検査により分別生産流通管理証明書や伝票類等の書類確認、これらによりまして行っているところでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 さらに続きまして、表示義務対象品目、それから表示義務対象原材料、これを今回の改正の中で拡大しないという方向だというふうにお聞きをしていますが、その理由についてお伺いをいたします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 遺伝子組換え表示制度に関する検討会の報告書におきまして、義務表示の対象となる品目の考え方につきましては、大量の原材料や加工食品を輸入している我が国の状況下においては、現行制度と同様に科学的検証と社会的検証を組み合わせることによって監視可能性を確保することが必要であり、このため、科学的検証が可能な組み換えDNA等が残存する品目に限定する現行制度を維持することが適当であるとされております。

 また、表示義務対象原材料につきましては、事業者の実行可能性のほか、表示の見やすさや優先度等を踏まえると、現行制度を維持することが適当であるとされております。

 これらを受けまして、消費者庁において、現行制度を維持するとの判断をしたところでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 この三つの質問をさせていただいたんですが、この改正が行われて、その後にどうなるかなんですが、改正された後であっても遺伝子組み換えの表示義務に例外が多く認められているということは変わらないというふうに思います。したがいまして、遺伝子組み換え表示がなされていなくても、実際、消費者の方々が手にされる商品には遺伝子組み換え作物が使用されている場合が数多く存在する状況であるということは引き続き変わらない状況なんだというふうに思います。

 もちろん、今おっしゃいました表示制度の信頼性の確保、それから表示の見やすさ、さらには優先度、こういった視点ももちろん重要ではありますが、消費者の選択に資する情報を積極的に開示していくこと、このことを不断に検討していくことも更に重要だというふうに考えます。これからもそういった視点もぜひ持っていただきますようにお願いを申し上げます。

 続きまして、ギャンブル依存症対策についてお伺いをいたします。

 前の国会でIR法が議論をされました。その中で、IRの導入によってギャンブル依存症が増加する、こうした議論が数多くされたんですが、私自身は大変違和感を持ちました。

 なぜかといいますと、国内に数カ所というIRよりも、むしろ、我々のより身近なところにある違法カジノが蔓延をしているんですね。もちろん、店舗型の違法カジノも摘発をしていくことは必要ですけれども、一番重要なのは、ネット上で違法カジノに対して簡単にアクセスができるということなんですね。

 全国に数カ所であれば、例えば地理的に遠い方々だと、そこまで行くのに大変な時間がかかるわけですが、自宅でネットで違法なカジノができるというのは、私、実際に若い方でやっているという人を聞いたことがあるんですね。もう既にそういう状況にある、その認識が私は一番重要だと思っています。

 そこで、オンライン上でのカジノ、それから店舗型の違法カジノ、この現状についてどう認識をされているか、お伺いをいたします。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 警察では、インターネットカジノ等の実態全般について把握しているわけではございませんが、刑事事件として取り上げるべきものがあれば厳正な取締りを実施しているところであり、昨年中、店舗に設置されたゲーム機等使用に係る賭博事犯を四十九件検挙しており、このうち、インターネットカジノに係る賭博事犯を十三件検挙しているところでございます。例えば、客がインターネットカジノのサイトにアクセスした上でバカラと称する賭博をして、賭博の結果に応じて店舗から現金の払戻しを受けるといったような事件を検挙したところでございます。

 警察といたしましては、インターネットカジノを含めまして、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、引き続き、法と証拠に基づいて厳正に対処してまいりたいと考えております。

武村委員 ありがとうございました。

 もちろん検挙は法と証拠に基づいてやっていただくことになると思うんですが、今、私が聞く限りは、相当蔓延していると思います。現状がどのようになっているのか、そうしたこともぜひ認識を深めていただきたいというふうにお願いをしたいと思います。

 続きまして、仮想通貨についてお伺いをいたします。

 これは私の考えなんですが、仮想通貨というものは本源的な価値がない、資産の裏づけがないということですね。それからまた、その価格というものが、将来キャッシュフローに基づくものではない、単に需給関係だけでプライシングがなされるものであるというふうに思います。まさに投機、ギャンブルそのものだというふうに考えますが、私は、この点、こうした仮想通貨についてもギャンブル依存症対策の対象にならなければならないんじゃないかなというふうに思います。

 この点、金融庁の御見解をお伺いいたします。

水口政府参考人 お答えいたします。

 仮想通貨は、必ずしも裏づけとなる資産がございませんため、その価格は仮想通貨のいわゆる需給関係等により決定されることになり、価格変動リスクや突然無価値になるリスクがあるというふうに認識しております。

 また、仮想通貨が決済手段としての機能を事実として有することがあることに鑑みまして、資金決済法上、仮想通貨交換業者に対して一定の規制を設けまして、仮想通貨は法定通貨でないこと、その他、リスクにつきまして利用者に説明、情報提供することを義務づけておるところでございます。

 もっとも、現状では投機の対象としても取引されている実態がございますことから、金融庁では、仮想通貨のリスクにつきまして繰り返し利用者向けに注意喚起を行ってきたところでございます。

 あわせて、資金決済法上の当局の認定を受けました自主規制団体におきまして、例えば、仮想通貨交換業者があらかじめ利用者との取引限度額等を定めること、射幸心、競争心をあおる目的の広告を行わないこと、また、証拠金取引における適切な証拠金率を定めることといった内容の自主規制規則を策定しまして、利用者保護に現在取り組んでいるものというふうに承知してございます。

 さらに、金融庁におきましても、仮想通貨交換業等に関する研究会というのを設置いたしまして、仮想通貨交換業をめぐる諸問題について制度的な対応を検討しているところでございまして、投機を助長するような広告、勧誘、又は仮想通貨証拠金取引への対応のあり方についても今後検討を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

武村委員 ありがとうございました。

 ぜひ投機を助長することのないような対策をとっていただきたいと思いますし、引き続いてリスクについての注意喚起、情報提供を積極的に行っていただきたいというふうに思います。

 そして、ギャンブル依存症対策全般についてお伺いをしたいと思いますが、現状と今後の対策について御説明をいただきたいと存じます。

中川政府参考人 お答え申し上げます。

 ギャンブル依存症対策についての現状と今後のことについてのお尋ねがございました。

 ギャンブル等依存症対策につきましては、政府におきましては、一昨年の十二月に関係閣僚会議を設置いたしまして、例えば、昨年八月にはギャンブル等依存症対策の強化策を取りまとめまして、具体的には、インターネット投票などにおける本人や家族からの申告によるアクセスへの制限、あるいはパチンコの出玉規制などの射幸性の抑制、さらには全国における治療や相談拠点の整備、そして学校教育や消費者教育といった場での指導、啓発などの対策を、実行可能な政策から順次行ってまいっているところでございます。

 さらに、さきの通常国会で成立いたしました議員立法によりますギャンブル等依存症対策基本法が十月五日に施行されまして、内閣にギャンブル等依存症対策推進本部が設置されるなど、対策の推進に関する法的な枠組みも整備されたところでございます。これに基づきまして、十月十九日には推進本部の第一回会合が開催されまして、今後、本部におきましてギャンブル等依存症対策推進基本計画の策定に向けた検討を進め、対策を総合的かつ計画的に推進していくこととしてございます。

 政府といたしましては、ギャンブル等依存症により不幸な状況に陥る人をなくし、健全な社会を構築するため、全力で取り組んでまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。

武村委員 ありがとうございます。

 現在、実行可能なものを順次やっていただいているということ、そしてまた法的枠組みが整備されたということで、これから計画的に実行していただけるということであります。これは、IRができるできないにかかわらず、本来は重要であったものだというふうに思いますし、先ほど申し上げましたオンライン上でのカジノ、店舗型の違法カジノ、こうしたものについてもギャンブル依存症対策というものは必要だというふうに思いますので、ぜひとも全力を挙げて取り組んでいただきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 ネット上での部落差別事案についてお伺いをしたいというふうに思います。

 ネット上の差別事案というものが増加している、こういったことを背景に、部落差別解消推進法が議員立法で成立をしています。もう施行もされていますが、これにつきまして、ネット上での差別事案の実態はどのようになっているのか、御説明をいただきたいと存じます。

山内政府参考人 お答えします。

 委員御指摘の部落差別解消の推進に関する法律は、平成二十八年の十二月に施行されまして、二年が経過しようとしておりますが、いまだになお、インターネット上で不当な差別的取扱いを助長、誘発する目的で、特定の地域について、かつてそこが同和地区であったと指摘する、そういったことの情報を流通させるような事案が発生しているものと認識しています。

 法務省の人権擁護機関におきましては、このような部落差別を含むインターネット上の人権侵害に関する被害の申告を受けたときには速やかに調査を開始して、その結果、人権侵害に当たると認められるときには、その当該情報の削除をプロバイダーなどに要請するなどの措置を講じております。

 今申し上げたような事案について認知した場合も、その情報の削除をプロバイダーなどに要請するなどして適切な対応に努めているところでございますが、こういった事案、こういったプロバイダーなどに削除要請した件数としましては、平成二十七年としましては二十九件、平成二十八年は十七件で、平成二十九年は二十七件でございます。

武村委員 ありがとうございました。

 今おっしゃっていただいた人権侵害について、資料を配付させていただきました。四ページ目でごらんをいただきたいというふうに思います。

 このネット上での差別事案なんですが、地域によっては、自治体や民間団体で構成する団体がネット上の差別事案について監視、削除依頼を行っている事例をお聞きをしております。また、ネット事業者自身が利用規約に差別禁止規定を設けている、こうした事例もあるというふうに聞いています。こうした取組を私はぜひ推進すべきというふうに考えますが、御見解をお願いいたします。

秋本政府参考人 お答え申し上げます。

 情報通信を所管する総務省といたしましては、差別を助長、誘発する情報を含めまして、インターネット上の違法・有害情報への対応につきましては、各通信事業者におかれまして、表現の自由に配慮しつつ、委員御指摘のとおり、利用規約、すなわち約款等に基づき、契約している利用者との間で適切な対応をおとりいただくことが基本であると考えております。

 ただ、個々の通信事業者のお取組に全てを任せるのではなく、通信関連の業界団体におきまして、違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項を平成十八年十一月に策定し、この十二年間で何度となく改定を重ねてきております。この策定、改定作業に私ども総務省もオブザーバーとして参加する形で支援をしているところでございます。

 平成二十八年十二月に部落差別の解消の推進に関する法律が公布、施行された際にも、このモデル条項の解説の改定作業を法務省とともに支援いたしました。

 こうした業界団体のモデル条項を踏まえまして、各通信事業者において、約款等に基づき適切な対応をとるよう促しているところでございます。

 総務省といたしましては、関係事業者や法務省と協力しつつ、今後もインターネット上の差別情報に対しまして適切に対応してまいりたいと考えております。

武村委員 ありがとうございました。

 業界団体でおつくりになっているモデル条項、改定作業も含めて、バックアップをぜひ積極的にやっていただきたいというふうに思います。

 それでは、続きまして、消費者からの情報、相談の受け付け体制についてお伺いをしたいと思います。

 まず、宮腰大臣にお伺いをいたします。

 身近な消費生活相談窓口に全国共通の番号でアクセスすることができる情報ホットライン一八八、「いやや」と読むようですが、この一八八(いやや)の認知度の現状と、その向上のための施策についてお伺いをいたします。

宮腰国務大臣 消費者ホットラインの認知度は、本年六月に公表された調査では、一八八(いやや)の番号を知っている方は六・六%、名前、番号、内容の全てを知っている方は四・三%となっておりまして、残念ながら認知度は低い状況です。

 認知度向上のため、従来のチラシ等を使った広報のほか、新たな取組として、消費者ホットライン一八八イメージキャラクター、イヤヤンを作成いたしまして、少しでも消費者の皆様に興味を持ってもらえるよう普及啓発を行っており、さらに、デジタル媒体を利用した広報等も検討しております。

 本日、私を含めて、副大臣、政務官もイヤヤンバッジをつけておりますが、私自身、さまざまな機会を捉えてこれをPRしたいというふうに考えております。

 また、消費者庁職員も広告となるよう、普及啓発に努めていきたいというふうに考えております。

武村委員 ありがとうございました。

 もちろん、これは消費者庁任せにするのではなくて、我々、消費者問題特別委員会の委員自身も発信をしていかなければならないということであります。こうしたことは行政も立法もともに頑張っていかなければならないというふうに、自分自身にも肝に銘じたいと存じます。

 続きまして、安藤政務官にお伺いをいたします。

 消費者からの情報、相談の受け付け体制、資料で配らせていただいています。これは白書についておりました。ページ番号六ページ、七ページ。多種多様な窓口があります。消費者からすれば、消費者がどの窓口にアクセスしたらよいか、もっとわかりやすく周知する必要があるのではないかというふうに思いますが、御見解をお伺いいたします。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 消費者トラブルに遭った際には、消費生活センターに確実につなぐことが重要であることから、まずは、消費者ホットライン一八八(いやや)の周知を図り、一八八(いやや)の利用の普及をすることが重要と考えており、消費者庁ホームページへの掲載やチラシの配布を始め、政府広報や消費者庁ツイッター、首相官邸LINE等、さまざまなツールを用い、普及啓発を行っているところです。

 一八八(いやや)でつながる消費生活相談窓口では、その相談内容によって他の相談先を紹介しています。しかしながら、他の消費者相談窓口の周知啓発についても重要であることから、今後、その方法等を検討してまいりたいと考えています。

武村委員 ありがとうございました。引き続きのお取組をお願いしたいと存じます。

 続きまして、消費者安全確保地域協議会についてお伺いをいたします。

 左藤副大臣にお伺いしたいと存じますが、いわゆる高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会につきまして、制度の概要、現状、そして今後の取組についてお答えください。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 今お話ありました消費者安全確保地域協議会についてでございますが、今おっしゃったように、高齢者や障害者等の消費者被害は深刻でございまして、この被害の防止や早期発見、救済は緊急の課題と思っております。

 こうした中、平成二十六年に改正した消費者安全法では、高齢者、障害者、認知症等により判断力が不十分になった人などの消費者被害を防ぐため、地方公共団体及び地域の関係者が連携した消費者安全確保地域協議会を設置できることとして、平成二十八年四月一日から施行されております。

 この消費者安全確保地域協議会は、協議会の構成員で地域で生じている消費者被害に関する情報を共有するほか、個人情報保護法の例外規定が設けられておりまして、見守り活動に必要な個人情報を協議会の構成員間で共有することが可能になっております。

 消費者庁では、地方消費者行政強化作戦において、人口五万以上の全市町に協議会を設置することを目指しておるところでございますが、平成三十年十月末において、人口五万以上の市町は一六%の設置になっているわけでございます。

 今後も、先進事例の提供や地方公共団体への説明等を積極的に行って、消費者安全確保地域協議会が各地で設置されるよう取り組んでいきたいと思っております。

武村委員 ありがとうございました。

 今、先進事例というお話がありました。私の地元で滋賀県野洲市という自治体がございますが、悪質商法名簿を見守りに活用するなど、画期的な取組がなされています。配付しました資料八ページ、九ページをごらんいただきたいと存じます。

 私は、こうした取組を全国に普及をしていただくように発信をしていただきたいというふうに思いますが、この点につきまして、左藤副大臣にお伺いをいたします。

左藤副大臣 今先生から提供された資料でございますけれども、野洲市、先生の御地元でございますが、見守り隊というのがあって、見守りリストというのをしっかりつくって見守り活動が行われております。

 実効的な見守り活動の背景には、生活困窮者の支援の過程において積み重ねてきた庁内連携を主軸として、消費者部局と福祉部局が連携して協議会を構築し、見守り等の活動を実施していることが挙げられております。

 具体的にどうだというと、これはすばらしい話でございますが、野洲市では、民生委員と連携して見守り活動を行っており、架空請求はがきにだまされ、相手方と連携をとってしまった後で高齢者から民生委員に相談が入った際に、民生委員が消費者生活センターへ相談をつなぎ、未遂で被害をとめることができたという取組の成果も上がっております。

 そのほか、野洲市では、独自に制定した野洲市くらし支えあい条例を根拠に、原野商法等の現在社会問題になっている悪質商法に対する注意喚起を行うなど、高齢者の消費者被害の防止に積極的に取り組んでいると聞いております。

 こういう野洲市の先進的な取組は、全国の自治体での取組を促す際に大変参考になると思っております。野洲市を始め全国の先進事例について、消費者庁で取りまとめた事例集を通じた発信のほか、各地で行われる説明会でも紹介をしてまいりたいと思っております。

 これからも、より一層各地域で地域協議会の設置が促進されるよう取り組んでまいりたいと思っております。

武村委員 これで質問を終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、鰐淵洋子君。

鰐淵委員 公明党の鰐淵洋子でございます。

 宮腰大臣、きょうは初めて大臣に質問させていただきますが、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。

 早速質問に入らせていただきますが、宮腰大臣は、就任後すぐに徳島県を訪問されまして現場の取組状況を視察され、国民生活センターにおいて消費生活相談員と懇談されたとのことでした。消費者問題の最前線で懸命に取り組んでくださっている方々と直接会われまして現状をごらんになられたということは、今後消費者行政に生かされるということで、大変にすばらしいことであると思っております。

 今、消費者を取り巻く環境は多様化また複雑化しておりますので、消費者庁も、その流れ、また変化をしっかりとつかみ取って、その先を見据えた対応が、また、消費者のそういった被害を出さないという、そういった姿勢が更に重要になってくるかと思います。

 いずれにしましても、さまざま、消費者行政におきまして課題が山積しておりますが、改めて、消費者行政の充実強化に取り組んでいく宮腰大臣の御決意をお伺いをしたいと思います。

宮腰国務大臣 所信的挨拶でも申し述べましたが、私といたしましては、消費者問題の最前線で取り組まれている方々の状況をしっかり把握し、消費者の視点に立って施策を推進することが重要であると考えております。

 この観点から、先月の担当大臣の拝命以降、徳島県に開設された消費者行政新未来創造オフィスにおいて、先進的な活動に取り組む大学の教授等との意見交換、また、このときに、今ほど武村委員の方からお話があった見守りネットワーク、徳島県の板野町の、人口は小さいのでありますけれども、見守りネットワークの関係者の方々とも意見交換をやってまいりまして、具体的に苦労をしておいでになるお話も伺ってまいりました。

 また、国民生活センターにおいて相談業務に取り組む職員の皆さん方との意見交換などを行いまして、現場の声をできる限り把握するような機会を設けさせていただきました。

 今後とも、このような視点は常に重視しつつ、消費者生活の現場である地方の消費者行政の充実強化、若年者への消費者教育の充実といった将来を見据えた取組、食品表示法の一部を改正する法律案の速やかな成立に向けた対応、あるいは、消費者行政に関係する、特に現場が関係する関係省庁との連携というものもこれから進めていきたいと思っておりますし、当面の重要政策に担当大臣としてしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 今大臣の方からもおっしゃっていただきましたが、やはり、今現場でどういった問題が起きているのか、そういったことをしっかりと掌握する上では、まず現場に行っていただくこと、これが一番重要かと思っております。そういった意味で、さまざま兼務されておりまして大変にお忙しいと思いますが、ぜひとも引き続き現場の声を聞いていただきながら、また私たち自身も、しっかりと、消費者の皆様により近い、そういった声を伺いながら対応に臨んでいきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 次の質問に入らせていただきますが、先日、大変に痛ましい事故がございまして、十一月七日のことでございましたが、都内のマンションの七階から四歳の男の子が転落をいたしまして、とうとい命を失ったという、そういった事故がございました。

 こういった事故はこれまでもさまざま報道されていることもありましたけれども、改めて、こういった御家族の方のことを思いますと心も痛みますし、こういった事故が起こらないように、特に幼いお子さんの事故ですね、こういったことが起こらないように、そういった対策をしっかりと講じていかなければいけないと思っております。

 この事故におきましては、男の子が住んでいる七階の外廊下に一メートルほどの柵があって、その近くには約十センチぐらいの踏み台が残されていたということで、まだ詳しいことはわかっておりませんが、この踏み台に乗ってしまって転落したのではないかという、そういった報道でございました。

 これまで、こういった幼いお子さんが転落したような事故がどれぐらいあるかということで、これは東京消防庁のホームページからちょっと調べさせていただいたんですが、これは東京消防庁管内での件数でございます。平成二十五年から二十九年までの五年間でございますが、五歳以下のお子さん百五名の方が、住宅等の窓やベランダから墜落をいたしまして、医療機関に救急搬送されたということでございました。この百五人の中での年齢別に見ますと、四歳児が二十八人、次に二歳児の方が二十三人、そして一歳児が二十二人と続いております。

 四歳児の方の身長といいますのは、厚生労働省の平成二十二年乳幼児身体発育調査報告書によりますと、男子で大体百二センチ、女子で百センチということでございます。

 建築基準法では、ベランダ、柵の高さは百十センチ以上ということになっておりますので、もし身長百センチの男の子がいらっしゃって、また、その柵の近くに、ベランダに例えば十センチ、二十センチ、三十センチのこういった踏み台がありますと、それに乗ってしまうと、顔が外に出まして、下をのぞき込むことができるという、そういったことになってしまいます。

 また、踏み台がなかったとしても、例えば、エアコンの室外機とか、またプランターですね、植木鉢とか、そういったものがベランダにありますと、そこに乗っかって、ひっかかって、ベランダの方に飛びつくというような、そういったことをされるお子さんもいるかもしれません。

 また、そのほか、最近ベランダが広くなっておりますので、椅子とかテーブルを置かれている家庭もいらっしゃるようで、そこにまた飛び乗って、またベランダの方にという、そういったことも転落の事故につながるということであろうかと思っております。

 そのほか、転落事故の原因といたしまして、これは私も以前ニュースで知ったことなんですけれども、高所恐怖症の反対の高所平気症、そういったお子さんがふえているという、そういった指摘がございます。

 これは、福島学院大学の織田教授のお話ではあるんですけれども、昭和六十年ごろから、高層マンションがふえている中で、そこで生活するお子さんが、高いところが怖くないという、そういったお子さんがふえているということでございます。

 子供が高い場所を危険であると判断する感覚というのは、四歳ごろまでに大人の八割ほどのレベルまで発達するということで、ですので、この四歳、幼いときに高層マンションで生活をしてしまうと、高さの認識ができない、地面がどこにあるかわかりませんので高さの認識ができない、ですから高いところが怖くない、そういう状態になってしまうという、そういった指摘がございます。

 ですから、ベランダに出て、何かあれば平気で下をのぞき込んでしまう。飛びおりるというか、外におりようかな、そういった発想になってしまうという、そういった懸念がございます。

 先ほども申し上げましたが、こういった転落事故防止を進めていく上で、ベランダに物を置かないという、こういったことをしっかりと進めていくことも大事ですし、今申し上げたような、今後、こういった課題というか問題というか、時代の流れの中で、こういったことも指摘されている中で、しっかりといろいろな角度から子供たちの転落防止を進めていく取組をしていかなければいけないと思っておりますが、消費者庁の今後の取組、また認識をお伺いをしたいと思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 子供の転落防止に関する施策ということでございます。

 窓やベランダから子供が転落する事故につきましては、消費者庁といたしましては、本年の三月に消費者向けの注意喚起を行ったところでございます。

 その注意喚起の中におきましては、窓やベランダからの転落事故の防止のために、出入り口を施錠すること、補助になる鍵やストッパーをお子さんの手の届かない位置に取り付けること、窓やベランダのそばに子供の足がかりになるようなものを置かないことなど、そういった保護者への注意のポイントを示したところでございます。

 また、業界団体におけるそういった子供の転落事故に配慮した製品についてもその中で紹介をしておりまして、手すりのレールに対して注意喚起シールを張るでありますとか、子供が届かない高さに取り付けた窓サッシの鍵でありますとか、子供の足がかりにならないような工夫をした手すり、そういった製品も出てきているところでございます。

 大変重要な問題だと思いますので、引き続き、関係府省庁や関係事業者と連携して、事故防止に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 済みません、ちょっと繰り返しになりますけれども、具体的に事故防止のための取組はあるわけで、その中で、今私が紹介させていただいたような高所平気症とか、また、新たな環境の変化の中でこういった課題を更にどうしたらいいのかという、そういったことも進めていかなければいけないと思いますが、その点についてしっかりと、転落防止以外のことにもかかわると思うんですけれども、こういった新たな課題、環境の変化の中での消費者庁の取組をもう一度ちょっと確認をさせていただきたいと思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 転落事故に限らないということでございましたので、もう少し広げて、子供の事故防止に向けた取組ということでお答えをさせていただければと思います。

 子供を事故から守るためには、保護者の方々、あるいは身近な関係者の方々が事故のリスクを認識するということがまず大変重要だと考えております。

 私ども消費者庁では、平成二十一年からずっと続けて、「子どもを事故から守る!プロジェクト」というのを推進をいたしまして、啓発活動を行ってきているところでございます。

 具体的には、ゼロ歳から六歳の子供に起こりやすい事故、その予防法及び対処法、こういったポイントについてまとめた子供の事故防止ハンドブックというようなものも作成をいたしまして、ウエブサイト上からダウンロードできるようにしておりますし、また、地方公共団体を通じてそのハンドブックの配布も行ってきております。

 さまざまなイベントの場でもそのパンフレットを活用して配布をしてきておりますし、そのほか、子ども安全メールというメールも毎週発出をしております。消費者庁の公式ツイッターでも、子供を事故から守るという情報を発信をしているところでございます。消費者白書におきましても、子供の事故防止を特集テーマとして取り上げたりもしてきているところでございます。

 なお、子供の事故防止に関する取組は、関係府省庁及び地方公共団体と連携をして行っているところでございまして、例えば、年一回、子どもの事故防止週間というものを設けて集中的な啓発活動も行っているところであります。こういった取組を通じて、引き続き子供の事故防止を図ってまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございました。

 これまでの取組はわかっておるといいますか、あると思うんですね。

 私もこれから紹介させていただこうと思っていたんですが、「子どもを事故から守る!!事故防止ハンドブック」ということで、委員の皆様にもお配りをさせていただいているかと思いますが、具体的に、子供たちを守るためにこういうことに気をつけましょうとか、今私も紹介させていただいたベランダからの転落については、八ページに載っております。こういう形で具体的に提示もしていただいておりまして、大事なことであると思っております。

 その上で、ちょっと繰り返しになるんですが、いろいろ環境の変化、時代の流れの中で、また新たな課題、先ほど申し上げました高所平気症とか、そういったことがある中で、そういうことも踏まえた情報提供もそうですし、先々を見た消費者庁の取組が重要であると思っておりますので、それについてしっかりと取り組んでいただきたいということでさっき質問させていただいたんですが、その点、よろしいでしょうか。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 先生おっしゃるとおり、いろいろな事故の様態も時代に応じてだんだん変化をしてまいりますし、また、それに対する科学的な知見というのもだんだん進んでいくというふうに認識をしております。

 そのためにも、消費者庁は、消費者庁単独でなく、関係府省庁、十の府省庁と連携をして、毎年毎年、バージョンアップをした子供の事故を防ぐための注意喚起というのを行ってきておりますし、今御指摘のとおり、同じことをただ繰り返すということではなく、時代の進展、科学的な知見の進展に応じて、今後とも、いわばバージョンアップをしながらこの活動を続けていきたいというふうに思っております。

鰐淵委員 ありがとうございました。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 そうなんですけれども、その上で、やはり、つくっていただいたこのハンドブック、私も拝見をさせていただいて、具体的に注意のポイント等書かれておりまして、特に、幼いお子さんを抱える家族の皆さん、こういったことを知っていると、子供たちの命、また、けがをさせないとか、そういったことに役立つと思いますので、先ほども、いろいろ周知徹底、普及活動していただいているとおっしゃっておりましたが、引き続きしっかりとやっていただきたいと思います。

 特に、子育て中のお母様方は、なかなかこれに触れる機会も、忙しいですのでなかったり、あったとしても読む時間がないとか、実際にはそういう環境に置かれているかと思いますので、そういった意味でも、いろいろな媒体を使っていただいて、いろいろ工夫をしていただいて、特に幼いお子さんがいらっしゃるお母様方だったり家族の皆様に伝わるようなまた取組を引き続きお願いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次の質問に入らせていただきますが、子供の事故につながるんですけれども、例えば、そのほか、家具の転倒とか、いろいろな子供たちの事故、本当に、大人では考えられないような行動を突然子供はとったりしますので、例えば、家具も、引き出しをあけてよじ登って、また、それが倒れてきて下敷きになってけがをするとか、そういったこともあるわけでございます。

 そういった中で、そういった事故を防ぐということで、例えば、こういった家具を買ったときに、また電化製品を買ったときに、一言、販売してくださった方、また企業側、メーカー側、そういった方々が、転倒防止のために例えば突っかい棒をつけるとか、あと、引き出しがあかないように、それを押さえるためのものがありますので、そういうものをつけるとか、あとテレビ、薄型のテレビが今多く出ていますので、そういった薄型のテレビを買う際には、転倒防止のシートがあります、そういったものを勧めるとか。

 そういった企業とか販売側のぜひとも御協力を、事故防止という観点と、また、災害、地震のときに、やはり転倒のおそれもあります。おそれがあるというか実際に倒れてけがをされている方もいらっしゃる中で、そういった企業や販売の方、そういった方の御協力、一言声をかけていただくという、そういったことが事故防止また防災にもつながると思いますが、ぜひともこれを進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

高島政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘のとおり、販売時に事業者側から消費者の側に情報提供するということは大変大事なことだというふうに思います。

 今おっしゃられた中で、家具やテレビの転倒事故のお話がございました。これにつきましては、ちょうど昨年の十一月に私ども消費者庁から、これも、家具の転倒による事故防止に取り組むように業界の方に要請をしたところでございます。

 具体的な中身としては、今まさにおっしゃられたとおりですけれども、家具などを固定して使用すること、引き出しにストッパーをつけることなどなど、消費者向けにも注意喚起をいたしましたが、同時に、事業者団体に向けても、その周知方、事故の防止に取り組むようにということで要請を行ったところでございます。

 引き続き、消費者への事故の発生、拡大の防止のために必要な情報が行き届きますように努力してまいりたいと考えております。

鰐淵委員 ありがとうございます。

 ぜひ、これはまた経産省だったり、また各団体の皆さんとの連携も必要になってくるかと思いますが、引き続き、しっかりと連携をとっていただいて、消費者の皆さん、国民の皆さんを守るという観点で取り組んでいただきたいと思っております。

 子供たちの事故防止という観点と、あと防災ということも今一言申し上げましたが、本当に、皆様御存じのとおり、ことしに入りまして自然災害が頻発している中で、特に大きな地震も二つございました。

 私、大阪でございますが、大阪の方でも大きな地震がありまして、ほとんど、けがをされた方は、家の中で、家具、本棚、そういったものの下敷きになったという方が多数いらっしゃいました。

 そういった意味で、今後、消費者庁を含めて、国のいろいろ政治課題の中の一つの大きな課題といたしまして、防災、減災ということをしっかりと柱として取り組んでいくことが重要ではないかと思っております。

 事故の防止、そういったことを防ぐとともに、いつどこで災害が起こるかわからないという中で、消費者庁におかれましても、ぜひとも防災、減災、これを一つの大きな柱といたしまして、この観点から、消費者を守る、また国民を守る取組をしっかりと進めていただきたいと思っております。

 この点につきまして、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

宮腰国務大臣 先ほど委員の方から、子供の不慮の事故のお話もありました。子供さんを含めて、防災、減災、消費者行政の立場からどう取り組んでいくかということについては、これから大きな課題ではないかというふうに思っております。

 今ほども、電気製品の転倒の問題ですとか、それから、子供の、フェンスの高さの問題等々についてお話がありました。

 今ほど委員の方からハンドブックの紹介もいただいたところでありますけれども、ぜひそういう普及を図っていきたいというふうに考えております。

 ハンドブックは、昨年作成をいたしまして、今十七万部発行しておりますけれども、これの普及を始めとして、親子参加型のイベント等を、災害の防止あるいは被害の防止という観点から、啓発という観点で取り組んでいきたいなというふうに思っております。

 政府としては、さまざまな状況に応じたきめ細かな情報提供を行うことなどを通じて、事故等により不幸な状況に陥る方が一人でも減少するよう、特に、家庭内での安全、安心の確保を始めとして、消費者の観点から防災、減災という考え方で取り組んでいきたいというふうに考えております。

鰐淵委員 以上で終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主党・市民クラブの尾辻かな子です。

 まずは、宮腰大臣、左藤副大臣、そして安藤政務官、就任おめでとうございます。特に左藤副大臣は、私も選挙区が一緒ということで、消費者のこの特別委員会でもどうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それでは、私、二十分ですので、質問に移らせていただきたいと思います。

 宮腰大臣は、所信で、消費者政策の現場である地方の消費者行政の充実強化にも取り組むということでおっしゃいました。この充実強化が本当に予算に裏づけられているのかということについて、順次お伺いをしていきたいと思います。

 皆様のお手元に、今資料をお配りをさせていただいております。

 地方消費者行政強化交付金、このことについてきょうはお話を伺っていきたいと思います。

 この地方消費者行政強化交付金というのは今年度から新たに設立をされた名前でして、それまでは、ここの一ページにあります、下にあります、旧地方消費者行政推進交付金、このように呼ばれていたものがありまして、この推進交付金と呼ばれるものは、もともとは基金から始まっております。それが単年度交付金になり、そしてついに、この交付金を活用した新規事業の開始は、平成二十九年、つまり昨年度までということになっております。

 そのため、今年度からは、このような形で、国の重点施策に積極的に取り組む地方自治体を支援する仕組みである、この上の方ですね、地方消費者行政強化事業に取り組む強化交付金というのとともに、この中に従来の相談体制整備に使える推進交付金を含める、そういう形で、この右の方で赤字を引っ張っておりますけれども、二十四億円というのが措置をされています。

 また、来年度は、予算の概算要求では四十億要求されているということですけれども、今年度のこの二十四億円ですけれども、これは、今まで当初予算として措置をされてきた三十億円から見ると、非常に下回っている金額になっております。

 まず、この二十四億円の内訳ですけれども、この旧の推進交付金とこの強化交付金の配分の割合は何億と何億に分かれているのか、お答えいただきたいと思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年度、今委員からお話のありましたとおり、二十四億円が措置されておりますけれども、四月当初は、その内訳といたしましては、推進事業に十六億円、強化交付金を八億円ということで配分をいたしました。しかし、その後、自治体からのいろいろな要望も踏まえまして、五億円を推進事業の方に移行をいたしまして、現時点では、推進事業二十一億円、強化事業三億円、こういう配分になってございます。

尾辻委員 十六対八という当初のものから、二十一対三に今変わっていったということなんですけれども、この最初の十六億円というのが本当に見積りが正しかったのかということについてお聞きしたいと思うんですけれども、もともと、この推進交付金ですけれども、平成二十六年度からはずっと三十億円で移行してきたものであります。ですから、今年度は、三十億円がいきなり十六億円になったわけですから、人件費とか研修など、相談体制整備のために使える経費が六割、今回、今年度は減額をされた状態で始まったということなんです。

 昨年度は、最終年度ということもありまして、駆け込みで、相談員増員とか消費生活センターを整備したところもあったということですけれども、これは次、私の資料でいうと二ページめくっていただきましたら、今後の地方消費者行政に係る財政支援のスキームというのがあるかと思います。

 これは、これから七年から十一年間、財政支援をするというスキームになっていて、自主財源というのは、最長でいくと平成三十九年まで自主財源化というのはないというスキームなんですね。

 今回、最初十六億円だったわけですよね。この十六億円、本当にこのスキームを踏まえて十六億円というのを出したのか。一体、地方行政が、自治体がどれぐらい必要なのかということについて、いつ、どのようにしてこれは概算を把握して調査をされたのかということについてお伺いしたいと思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 平成三十年度予算の必要額というお話でございます。

 平成三十年度の地方消費者行政強化交付金の必要額は、その要求をいたします前の平成二十九年の六月の時点におきまして、一つ一つの個別の事業の活用期間を各都道府県に聞き取りをいたしました。その聞き取りによって把握をして、必要分として算出をしたものでございます。

尾辻委員 確認ですけれども、概算要求前にちゃんと自治体に聞いたということでよろしいですか。

高島政府参考人 お答えいたします。

 概算要求をする前の六月の時点で各都道府県に聞き取りをいたしております。

尾辻委員 それは幾らだったんでしょうか。

高島政府参考人 お答えいたします。

 要望を合計いたしますと、約四十億円ということでございました。

尾辻委員 それが最終的に今回の予算十六億ということになっているわけですから、これは本当に自治体の声が届いた予算になっているのか、非常に疑問が残ります。

 ちなみに、今回の、強化の方ですね、強化交付金、今年度、これまでに何次募集まで行って、どれぐらい応募があって活用されたのかということについてお伺いしたいと思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 今年度の強化交付金でございますけれども、これまでの時点で三回募集を行いました。そして、強化事業費として一・八億円、推進事業費として十八・八億円、既に交付をいたしております。

 今年度、まだ時間がございますので、引き続いて強化事業として募集を行っていく予定にいたしております。

尾辻委員 最初八億を見込んだものが、現在、三回募集して一・八億ということですから、もともとのこの事業の立て方、これが本当に地方の、自治体の実情に合っているものなのかということも、これはちょっと今疑問があるんじゃないかなというふうに思います。

 今、自治体を見てみますと、皆さんのお手元の資料でいきますと八ページの左側になるんですが、平成三十年度の消費者行政基金、交付金ということで、ここに書いてある、消費者行政の現況のところから引っ張ってきた資料なんですけれども、そこで見ると、平成三十年消費者行政基金、交付金予算は、広義だと四十二億円必要だということで、四十二億円だということで言っているわけですね。広義で四十二億。七ページの狭義だと三十八億ということであります。ですから、これはやはり足りていないんじゃないかと思うわけです。

 これは、本当にどうやって、四十二億とか、狭義であれば三十八億、復興特別会計四・五億分加えて、基金の残りを加えて、本当にこの相談体制整備に使える推進交付金の継続分、これは確保できているんでしょうか。お答えください。

高島政府参考人 お答えを申し上げます。

 私どもの現況調査の数字を今御指摘をいただきました。

 現況調査におきましては、私ども消費者庁から、予算額の内示後の地方公共団体の予算額というものを調査して、平成二十九年度の補正予算の繰越分、それも含めたその額が計上されております。

 申し上げますと、平成三十年の四月時点で交付した平成三十年度当初予算が今お話に出ておりましたとおり二十四億円で、平成二十九年度、一つ前の二十九年度の補正予算の十二億円、それから、今先生からもお話のありました復興特別会計の四・八億円、それから、さらに、地方消費者行政活性化基金、かつての基金の使用額、これを合わせれば、全て足し合わせますと四十四・八億円ということになりまして、現況調査の結果とはおおむね一致をしているところでございまして、今おっしゃられた現況調査の数字と今足し合わせた額はほぼ一致をしておるので、一致をしているというふうに御説明するところでございます。

尾辻委員 何とかかき集めて、足し合わせたらどうにかなるというお話だったかと思います。

 もう少し細かく、この現況調査の中の八ページ、皆さんにお配りしている広義の自治体全体の消費者行政予算ということで見ていきたいんですけれども、赤線を引っ張らせていただいております、全自治体ということで、平成三十年度で見ると、基金及び交付金は約四十二億なんですね。前年度から見るとマイナス十八億になっているわけです。それにあわせて自主財源がどうなっているかというと、これは十二億ということになっていますけれども、これでは全くとしてお金が足りて、済みません、間違えました、百二十八億ということになっておりまして、八億はふえていますけれども、マイナス十八億円という部分を、八億円の自主財源プラスにしかなっていません。

 ですから、マイナス十億円分が、これはやはり交付金、基金で足りていない部分が出ているということで、今現状、地方自治体は自主財源が追いついていない現状であるというこの認識は正しいでしょうか。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘がございましたとおり、平成二十九年度の地方消費者行政予算は、地方の自主財源とそれから国からの交付金、これを合わせまして、合計が約百七十九億円でございます。それに対しまして平成三十年度の地方消費者行政予算は、自主財源と国からの交付金とを合わせて合計約百七十億円となってございますので、ちょっと四捨五入の関係で多少狂いますけれども、約九億円減額ということに確かになってございます。

 今御指摘のありました地方公共団体の自主財源ということでございますけれども、地方公共団体の自主財源による消費者行政予算の確保というのは十分には進んでおらず、消費者行政を地方の事務として根づかせることにはまだ課題が残っているというふうに私どもとしても認識をしております。

 このため、消費者庁としては、都道府県の知事でありますとか、さまざまな地方公共団体に出向きまして、自主財源に裏づけられた消費者行政の予算の確保というものを促しているところでございます。

尾辻委員 自主財源に根差したというふうに言っていますけれども、消費者庁、本当にこれは地方任せでいいんですかということなんですね。最初に大臣もおっしゃったように、消費者行政の充実強化にちゃんと取り組むということをおっしゃっているわけです。

 今この強化事業のメニューを見ている限りでいくと、これは地方現場のニーズに本当に合っているのか。先ほど聞いたように、三回も募集して一・八億しか応募がなかった。それでいて、もともとのこの推進交付金はこれだけ減らしているということをどのように受けとめていくのかということです。

 今、全国の地方自治体からは意見書がかなりたくさん上がってきております。私の地元の大阪府や大阪市でも意見書が上がってきておりまして、前の通常国会でいきますと五十八件、都道府県で十四都道府県、四十四市町村から、この今の予算ではもう行政は成り立たない、地方の消費者行政は成り立たない、少なくとも平成二十九年度の水準に戻してもらわないと困るんだ。今国会に入っても、三都道府県、十二市町村から意見書が出ております。

 消費者がどこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられる体制整備というのは、これは消費者庁がやらなくてはいけない話ではないんでしょうか。

 では、現実的に、今、消費者行政、地方自治体でどうなっているのかということで指摘をさせていただきます。

 配付資料の七ページの左を見ていただきたいんですけれども、消費者庁の皆さんは、地方消費者行政強化作戦で全地方自治体に相談窓口を設置されたとおっしゃっておりますけれども、赤線を引っ張っております、全国に八百五十五カ所まで消費者センターを増設されたとおっしゃっています、しかし、現況調査によれば、いまだに、相談員がいない、箱だけの地方自治体が四割を占めているというこの現状があります。

 さらに、四ページ目から六ページ目をごらんいただきたいんですけれども、この現況調査でも、地方自治体では消費者行政担当の課や係が今減ってきているんですね。地方消費者行政職員が減少している。その上、全国の消費者行政を担当している事務職員のうち、約七割が他の業務との兼務者、七割がほかの業務と一緒にやっているんです。さらに、この現況調査を見てみたら、市区町村では、兼務職員における消費者行政の業務のウエートはわずか一〇%。わずか一〇%しか消費者行政、兼務の職員はやっていないということなんですね。

 つまり、今自治体で何が起こっているかというと、どんどんどんどん交付金を減らされて、もうやれないですということになって、課も職員も減らしていって、兼務職員で何とか対応している。その兼務職員も、わずか一〇%しか消費者行政をやっていない。

 これでどうやって、先ほどおっしゃった、知事とか首長がこの消費者行政をやっていこうということになるんでしょうか。とりにも行けないですよ、こんなことでは。そして、とりに行って、一〇%しかやっていない職員が、いや、大事なんです、消費者行政は大事なんです、予算を下さいと言って、どうやってこれは説得力があるんですかということです。ですから、この最低限の保障は、本来国がすべきだと思います。

 これはちょっと大臣にお伺いしたいんですけれども、今回、これだけ減らされました。自治体でどれだけ影響が出ているのか、私はこれは調べるべきだと思うんですけれども、大臣、ちょっと調べていただけないでしょうか。ちょっとこれは通告にはありませんけれども、お聞きしたいと思います。

宮腰国務大臣 御指摘の、消費生活相談体制の整備に関しましては、消費者安全法におきまして、地方における消費生活相談やあっせん事務等は地方公共団体の事務として位置づけられておりまして、原則的に地方公共団体の責任において実施すべきものであるというふうに考えております。

 国といたしましては、消費者庁創設以来、地方交付税措置が増額をされてまいりました。平成二十年度九十億円、二十一年度百八十四億円、二十四年度が二百七十七億円というように、ほぼ、自治事務ということで、それに要する費用を地方交付税の増額で措置をしてまいりました。

 一方、地方の自主財源はおおむね横ばいでありまして、残念ながら、地方交付税措置に対して、交付金を除く地方の自主財源は今のところ五〇%を下回っている状態ということに、そういう状況になっております。

 国といたしましては、知事等に対して、消費者行政に必要な自主財源の確保をしっかりやってくださいということを強く働きかけることも重要であると考えておりまして、そのほかにも、地方消費者行政強化事業、これにつきましては、若年者への消費者教育、消費税率引上げへの対応、訪日、在日外国人、国として取り組まなければならない新たな課題に関して、地方においてもぜひしっかり取り組んでくださいという趣旨でこの制度を設けたものでありまして、こうした課題への対応は、消費生活の現場である地方にも裨益をするというものではないかと考えております。

尾辻委員 大臣、お答えになっていないんですけれども、この交付の基金が、推進交付金が減らされたことで地方自治体に影響が出ていますよ、この影響を調べていただけませんかということなので、イエスかノーでお答えください。

宮腰国務大臣 尾辻先生のお話しになった調査に関しては、状況も見ながら検討してまいりたいというふうに思っております。

尾辻委員 今これだけ二十四億まで減らしたら、もう正直できないですよ、自治体。これは消費者庁が現場のやる気を失わせているということになっているわけです。これだけ意見書も出ているわけですから、これは本当に危機感を持っていただかないと、地方消費者行政できませんよ。徳島以外に現場ないんですから。

 ですから、来年度の予算そして補正予算、しっかりと交付金を増額するように、これは強く要望をしておきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、堀越啓仁君。

堀越委員 立憲民主党・市民クラブの堀越啓仁と申します。

 本日は、諸先輩方から多大なる御配慮をいただきまして、消費者問題特別委員会で初めての質問に立たせていただくことになりました。改めて深く感謝申し上げたいと思います。

 私は、昨年の初当選以来、特別国会、通常国会、今回のこの臨時国会において、常任委員会では環境委員会に属させていただいておりました。また、それに加えまして、今国会から農林水産委員会にも属させていただいております。自称自然系国会議員を目指している私でございますので、農林水産委員会そして環境にも関する消費問題についても取り組んでまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、大臣所信挨拶に対する質疑ということでございまして、宮腰担当大臣の消費者問題に挑む姿勢について、まずお伺いをさせていただければと思います。

 大臣も御承知のとおり、三月の十五日は世界消費者権利の日となっておりまして、その由来となっておりますのが、一九六二年三月の十五日に、当時のアメリカ合衆国ジョン・F・ケネディ大統領が連邦議会に送った消費者の利益の保護に関する特別教書において、消費者には四つの権利、すなわち、安全を求める権利、知らされる権利、選ぶ権利、意見を聞いてもらう権利の四つがあると公式に宣言されたことは余りに有名でございます。

 その後、救済される権利や消費者教育への権利が追加されておりますが、日本においても、二〇〇四年に改正された消費者基本法においてこれらの権利が包括的に盛り込まれました。

 そして、二〇〇九年九月に発足した消費者庁は、消費者基本法第二条の消費者の権利の尊重及びその自立の支援、その他の基本理念にのっとり、消費者のための施策を実施していくこととしております。

 そこで、消費者政策の推進に当たり、消費者の権利の尊重という崇高な基本理念をどのように認識されておられるのか、大臣の御見解をまず伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

宮腰国務大臣 消費者が安全、安心な消費生活を営むことができるようにするためには、個々の消費者の安全が確保されること、必要な情報を知ることができること、適切な選択を行えること、被害の救済が受けられることなどが重要でありまして、今ほど堀越委員の方から、これまでの、一九六二年三月十五日、ケネディ大統領が連邦議会の特別教書においてこの四つの権利を消費者の権利として提示をし、そういう歴史を踏まえた御質問がありました。この四つの考え方、国際的にもこうした考え方がスタンダードなものであると認識されていると承知をいたしております。

 我が国でも、平成十六年に、今ほどもお話がありました改正消費者基本法におきまして、これらを消費者の権利として明確に法律に位置づけるとともに、消費者政策を推進する上での基本理念として定めているというふうに考えております。

 消費者基本法に規定されております消費者の権利の尊重などの基本理念の実現が図られることを大前提として、担当大臣としては、所信的挨拶で申し上げました当面の重要施策、具体的には、取引、表示、安全の、消費者政策の各分野で推進を図ってまいりたいというふうに考えております。

堀越委員 ありがとうございました。

 大臣、消費者の権利を尊重していくために全力で取り組んでいただけるものと私も期待をさせていただいているところでございますが、もう委員の皆さんも含め承知おきをしていただいていることだと思いますが、消費者をめぐる問題というのは本当に多岐にわたり、そして多様になり、更に巧妙化している、そういうところもあると思いますので、何とぞ、消費者行政の司令塔として、かじ取りを大臣の方にお願いしたいと思います。

 また、消費者被害の問題というのは、やはり泣き寝入りをしてしまうという状況になってしまう、これがある意味では手口の効果と言われても仕方ないわけですが、そういったところもありますので、ぜひ私も尽力をさせていただきたいというふうに思っております。

 また、消費者の権利ということの観点からいえば、先ほど武村委員の質問にもありましたけれども、残留農薬の問題や、あるいは遺伝子組み換え、あるいは添加物、こういったものに関しても、やはり安全を求める権利、更に言えば、知らされる権利、こういったところに関しても、これが大前提になると思いますので、ぜひ消費者の権利が守られるようお願いを申し上げたいと思います。

 そして、そうした消費者に対して重要な権利を守る法令違反の監視や処分の適用について、次にお伺いをさせていただきたいと思います。

 一九六八年五月に消費者保護基本法が成立し、我が国の消費者施策が本格化してからことしで五十年になります。この間の消費者施策を私なりに振り返ってみますと、まず、規制、処分等行政による保護が求められ、次に、裁判において消費者が行使できる権利を付与するための民事ルールが整備されました。こうした流れが、民事ルールによる解決が図られるようになりましたけれども、契約の取消し、無効、解除が認められれば、消費者が代金を取り戻すかわりに、事業者はもうけを吐き出すということになります。つまりは、どちらかが勝てばどちらかが負けるという形になっております。

 しかし、市場全体で見ますと、集団としての消費者と集団としての事業者がともに利益を得られるケースも十分考えられるというふうに思います。劣悪な事業者を厳しく取り締まって、そして残った優良事業者が利益を得るとともに、消費者もまた、消費者の権利を尊重する事業者と取引することによって利益を得られる。

 消費者庁の設置を決めた二〇〇八年の閣議決定、消費者行政推進基本計画においても、今や、安全、安心な市場、良質な市場の実現こそが新たな公共的目標として位置づけられるべきものとなった、それは競争の質を高め、消費者、事業者双方にとって長期的な利益をもたらす唯一の道であると宣言しております。

 これらの考えに沿って、安心、安全な市場、良質な市場を実現するためには、消費者志向の優良事業者を消費者が適切に評価、選択できるよう、消費者行政がより実効性を持つことが重要になると考えております。そのためにも、法令違反の監視と違法行為に対する処分を適切に行うことが事業者にモラルハザードを生じさせないことにつながると考えておりますが、政府の見解を伺いたいと思います。

小林政府参考人 財産分野におけます消費者被害を防止するために、消費者庁は、特定商取引法、景品表示法、消費者安全法等の所管法令を厳正かつ適切に執行しております。

 具体的な執行の状況といたしましては、平成二十九年度でございますけれども、特定商取引法について、国として三十二件の行政処分を行い、景品表示法について、五十件の措置命令及び十九件の課徴金納付命令を行い、さらに、消費者安全法について、十件の消費者に対する注意喚起、これを行っておるところでございます。

 引き続き、消費者取引の適正化を通じまして、ただいま御指摘のとおり、市場全体の健全化を図るため、法と証拠に基づき、所管法令を厳正かつ適正に執行してまいります。

堀越委員 ありがとうございます。

 悪貨は良貨を駆逐してしまいます。どれだけいいことをしているところがあっても、悪いところが出てしまうと、当然、その悪い部分が目立っていってしまいますので、ぜひ消費者問題を引き起こすこの劣悪な違法事業者には厳正、適切な処分をこれからもお願いをしたいと思います。

 そこで、まさしく法令違反に対する監視に重要な適格消費者団体、これについてお伺いをさせていただきたいと思います。

 本来、法令違反の監視というのは所管庁や消費者庁の役割ではあると思いますが、全てをカバーすることはやはり困難であろうというふうに思っております。

 こういったことは消費者の立場からも理解されているところだと思いますが、近年、消費者行政を補完する監視主体である消費者団体が活躍できる土壌がようやく広がってきております。

 その一例である、二〇〇六年の消費者契約法改正によって導入された適格消費者団体による差止め訴訟制度は、その後、特定商取引法や景品表示法、それから食品表示法に導入されております。

 この制度は、従来、行政が独占していた事業者の監視と規制の権限の一部を民間の消費者団体に委ねたものであり、市場の主役である消費者自身が事業者と対話しながら、安全、安心な市場、良質な市場をつくっていくというものであります。

 ことしの二月、私の地元でございます群馬県の桐生市に事務所がある消費者支援群馬ひまわりの会が、群馬県で初めての適格消費者団体に認定をされました。私も、認定された際の記念式典にお伺いして、御挨拶させていただいたんですけれども、この群馬ひまわりの会は、一九八二年の発足以降、多くの活動実績を積み上げられてこられました。このことに対して改めて深く敬意を表すとともに、消費者被害の拡大防止のために、私自身もしっかりとかかわっていきたいという決意を新たにさせていただいたところでございます。

 このように、現代社会において重要性を増している適格消費者団体でございますけれども、公益的な活動を進める上での最大の問題というのは資金難でございます。

 先ほど尾辻かな子委員の方からもありましたが、大変限られた財源の中で難しい点もあるかとは思いますが、こうした点、当然、この適格消費者団体も同じように直面している問題であります。

 行政からの公的支援も十分でなく、積極的に活動すればするほど、財政面、本当に行き詰まり、少ない会費収入と寄附でやりくりし、弁護士の方々は、ほとんどボランティアに支えられながら活動しているのが現状であります。

 今後、この適格消費者団体が果たす役割の重要性に鑑みて、特に財政面を中心とした支援の一層の充実が必要と考えておりますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 適格消費者団体は、本年二月、委員御指摘の消費者支援群馬ひまわりの会が認定されるなど、これまで全国の各地域に十九団体が認定されているところでございます。

 団体の財政面に対する支援につきましては、昨年の独立行政法人国民生活センター法改正時の附帯決議を踏まえまして、昨年、適格消費者団体等に対して寄附をしやすくするよう内閣府令を改正したほか、今年度から新たに消費者被害の実態調査に係る予算を計上し、適格消費者団体が当該実態調査業務を実施しております。

 今後とも、適格消費者団体の活動をしっかり支えていきたいと考えております。

堀越委員 ありがとうございます。

 まだまだそういった意味では公的な予算というのは非常に少ないと思います。適格消費者団体の皆さんは、本当にボランティア、手弁当でやっておられる方々が非常に多く、ある意味では、本当に消費者の皆さんと距離が近いところで苦悩を訴えられる、そういった立場にもあるわけですので、ぜひそこに対する財源的なサポートをよろしくお願い申し上げます。

 ちょっと時間も押してしまいましたので急いでいきたいと思いますが、続いて、まず食品ロス削減の取組について伺いたいと思います。

 私自身が、議員に当選させていただく前に、フードドライブという活動を続けておりました。今現在も、フードドライブという活動を通じて、生活困窮者の方の支援あるいは食品ロスの削減に取り組んでいたわけでございます。

 このフードドライブの活動、私の団体はたべリンクという団体名なんですけれども、もったいないというものをありがとうに変えていこう、しっかりつなげていく、そういう意味が込められているわけですが、このフードドライブという活動そのものが、やはり国民の皆さんにはまだまだなじみがない言葉であるというふうに思っております。廃棄される食品を学校や職場などさまざまな機関や団体を拠点として集め、そして、集まった食品をフードバンク団体や福祉施設等に寄附する活動です。

 私、堀越啓仁は、実は寺の出身でございまして、天台宗の僧侶でもあるんですが、昨今は、お寺でいただくお供物などを皆さんにお配りをしようじゃないかというお寺おやつというのが最近はやってきているんですが、このフードドライブという活動、これからも食品ロスを削減していくためにも、皆さんにもしっかり浸透していくことが私は求められていると思います。

 そういった点においては、また別の視点でいえば、食料廃棄量の問題にも直結すると思います。

 国内の事業系及び家庭系の食品ロスの発生状況の調査によると、年間の食品廃棄物量は約二千八百四十二万トン、そのうち食品ロスの量、これは約六百四十六万トンと推計されております。国民一人当たりに例えますと、毎日お茶わん一杯分が廃棄されている、食べられるのに捨てられてしまう、そういう数字の上になります。

 食品ロスについては、ことし六月に改定された環境省の第四次循環型社会形成推進基本計画において、持続可能な開発目標、SDGsを踏まえ、家庭系食品ロスの量は、二〇三〇年度を目標年次として、数値目標を二〇〇〇年度の半減、そして、事業系食品ロス量の数値目標は、今後、農水省の食品リサイクル法の基本方針において設定することが盛り込まれております。

 政府として食品ロスの削減について初めて数値目標を設定したことは、食品ロスの削減に向けて政府一丸となって取り組むというところは、心から期待をさせていただいておりますし、進めていかなければいけないことだというふうに思っております。

 そこで、食品ロス削減の関係省庁の連絡会議で事務局を務める消費者庁として、食品ロスの現状に対する見解及び削減に向けた取組について伺いたいと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品ロスの削減に向けましては、消費者基本法に基づく消費者基本計画におきまして、食品ロス削減の国民運動を推進することとしておりまして、関係省庁のさまざまな取組について、消費者基本計画の工程表において進捗管理を行っているところでございます。

 先生御指摘のとおり、消費者庁は、食品ロス削減に関する関係省庁連絡会議の事務局を担っておりますとともに、消費者に対する普及啓発も実施しているところでございます。

 この普及啓発の一環としまして、徳島県で実施した家庭における食品ロス削減の取組についての実証事業では、家庭で食品ロスの計量を行うことで約二割、それから、計量に加えて削減の取組を行うことで約四割の食品ロス量が削減したという結果が得られているところでございます。

 今後は、こうした結果も活用しまして、関係省庁、地方公共団体、消費者団体等と連携しつつ、消費者に対して積極的に働きかけを行い、食品ロスの削減に向けた取組を推進してまいりたいと考えているところでございます。

堀越委員 ありがとうございます。

 日本は、食料自給率、今非常に低くなってきてしまっております。それを輸入によって支えているわけでございますが、輸入によって仕入れてきて、それを、世界が求めている食糧援助量の二倍以上もの食料を日本は捨ててしまっている。これは、倫理的に見ても人道的に見ても看過できるものではないというふうに思っておりますので、消費者庁としてもぜひ食品ロスの削減については全力で取り組んでいただければと思いますし、これは、やはり官民ともに取り組んでいかなければいけないことでありますので、行政あるいは政治主導だけでは変えられないところもあります。そういった意味では、ぜひ、消費者特に属している委員の皆様においても、支援をしていただいている支援者の皆さんに食品ロスをしっかりとお伝えをいただければというふうに思っております。

 そして、済みません、最後の質問になってしまうと思います。通告を一つ飛ばさせていただくというか、一番最後の質問はちょっとできなくなってしまいます。申しわけございません。成年年齢の引下げに向けた若年者の消費者教育の取組について伺いたいと思います。

 さきの通常国会において、約百四十年ぶりの見直しとなりました、成年年齢を二十歳から十八歳に引き下げるための民法の一部を改正する法律案、これが成立をしました。総理は、成年年齢を十八歳に引き下げる中で、消費者契約法を改正し、そして、若者などを狙った悪質商法の被害を防ぐと述べられておりました。それを受けた形で、消費者契約法改正法案が政府から提出され、成立をいたしました。

 この委員会で、さきの尾辻先生を始め諸先輩方の激しい議論が繰り広げられていたことは記憶に新しいわけでございますけれども、その消費者契約法では、若年者についてはごく限られた類型で消費者被害に対応するための取消権の創設等がなされましたが、十八歳、十九歳の若者を悪徳事業者から守る防波堤とも言われた未成年者取消権にかわる措置としては、僣越ながら不十分な内容であるというふうに思います。しかし、消費者庁はさらなる法改正は予定しておらず、消費者教育でカバーすると答弁をされております。

 そこで、消費者庁が消費者教育でカバーできるとする根拠を確認するとともに、政府は、ことし二月、関係省庁で若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムを決定し、今後、これに沿って進めていくということですが、その内容は未成年者取消権にかわる措置として十分なものであると言えるのかどうか、そのことに対しての説明をまず求めたいと思います。

 そして、アクションプログラムで決定された事項のうち、既に何が始まっていて、残された期間でどのようなスケジュール感で動いていくのか、二〇二二年の成年年齢の引下げの施行までに対応が間に合うのかどうか、重ねてお伺いしたいと思います。

高島政府参考人 お答えいたします。

 まず、成年年齢引下げの後に若年者が消費者被害に遭わず自立した消費生活を送るためには、消費者教育が必要であるということを考えております。

 そのため、私どもといたしましては、関係省庁で連携をして、ことしの二月に、今委員からもお話のありましたとおり、若年者への消費者教育の推進に関するアクションプログラムを決定をしたところでございまして、これによりまして、実践的な消費者教育を充実させることができるというふうに考えておりますし、全国の若年者に対し、社会で主体的に判断し、責任を持って行動する力を身につける機会を提供することができるというふうに考えております。

 アクションプログラムの中身と申しますか、スケジュールの関係のお尋ねがあったかと思います。

 まず、特に大事な、全国の高等学校などにおける実践的な消費者教育の実現ということでございます。

 これにつきましては、私ども消費者庁から全ての都道府県に出向きまして、二〇二〇年度までに全ての県で、「社会への扉」という私どもで作成をいたしました教材がございますけれども、それを活用した授業をそれぞれの都道府県で県内全ての高校でやっていただくということを推進をしているところでございます。

 二〇二〇年度までということでございますが、今年度、二〇一八年度につきましても、もう既に複数の県からは全県的に実施することを決定していただいている状況でございまして、これも着々と、二〇二〇年度までには全てで行われるように進めてまいりたいと思いますし、このほか、プログラムに載っているさまざまな措置も着実に進めてまいりたいと考えております。

堀越委員 済みません、質問時間が終わったんですが、一言だけ。

 教育というのは非常に重要だと思いますし、皆さんへの普及啓発は非常に重要だと思いますが、やはり消費者契約法の厳格化は更に必要なのではないかなと私は思っています。

 きょうも私、バッジをつけさせていただいています、イヤヤンちゃん。委員の皆さんもぜひこれをつけていただきたいと思うんですが、教育は本当に必要だと思います。「社会への扉」を見させていただきましたけれども、本当にいいテキストだと私は思いますので、ぜひこれを広めていくとともに、消費者契約法の厳格化も更にまた求めてまいりたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、大西健介君。

大西(健)委員 国民民主党の大西健介でございます。

 宮腰大臣、御就任おめでとうございます。よろしくお願い申し上げます。

 さて、磁気治療器の預託商法等を展開していて破産をしたジャパンライフですけれども、先週、警視庁が特商法違反、また詐欺罪の立件も視野に入れて捜査を開始する方針を固めたというニュースが流れました。ちょっと遅過ぎるなという思いはしますけれども、やっと捜査に着手をするということであります。

 また、先日、十二日の日ですけれども、初の債権者集会が開かれました。ただ、残念ながら、この中では、被害者への被害の救済というのはなかなか厳しい状態である、そういう見通しも示されました。

 私、この問題を初めてこの委員会で取り上げさせていただいたのが平成二十九年の三月です。ことしの一月のテレビ入りの予算委員会でも、この問題を取り上げました。それは、国会中継を見ている高齢者の中で、一人でも気づいて目を覚ましてくれる人がいればいいなという思いで、テレビ入りの中でこの問題を取り上げさせていただいたんですが、そういう思いからすると、やはり、捜査も遅過ぎるし、ここまで被害が拡大する前に、また、財産が散逸してしまって資産の回収が困難になる前に何とかできなかったのかなというふうに思うと、非常にじくじたる思いがいたします。

 我々が今やらなきゃいけないことは、被害者の救済と同時に、やはり第二のジャパンライフ事件を起こさない、そのために何ができるかということを考えるべきだというふうに思いますので、きょうはそういう観点から御質問をさせていただきたいと思います。

 皆さんのお手元に新聞記事、資料をお配りしていますけれども、この中を見ると、さきの債権者集会の中で破産管財人がこのように言われています。マーカーをしておきましたけれども、「配当には新規契約者の入金を充てており、」「自転車操業の状態だった」というふうに言っておられます。

 この認識というのは、自転車操業だった、こういう認識は、消費者庁、同じということでよろしいでしょうか。

宮腰国務大臣 消費者庁は、ジャパンライフのレンタルオーナー商法につきまして、同社が顧客から預かったことになっている商品を実際には十分に保有していなかったことを認定して行政処分を行っております。

 このような実態のもとで、同社が商品を販売して売上げを得て、かつレンタル料を支払っていたことからすると、ある顧客からの売上げを別の顧客への配当に充てる、いわゆる自転車操業状態であったと認識しております。

大西(健)委員 今、明確に、自転車操業だったと消費者庁も認識をしている、そしてまた、処分の段階で、実際にレンタルしているはずの商品がなかったことに気づいていたということも御答弁いただきました。

 今の新聞記事の裏面に、これは私が予算委員会で使用したものですけれども、時系列の流れを書いておきましたけれども、ここを見ていただくと、消費者庁は、二〇一五年の九月十日、立入検査を行っています。このときに、経理担当者から事情聴取を行ったり、必要な書類というのを提出させて、かなりの資料を消費者庁は持って帰っているはずであります。

 また、同年十月の下旬には、埼玉工場にも立入検査をして、本来あるべきはずの商品が十分な数がないことも消費者庁はこの時点で気づいていたというふうに思われます。

 つまり、いろいろな財務関係のデータだとか資料をこの立入検査のときに全部持っていった、あるいは、工場の中へ立入りして、商品がないことも気づいていたということでいうと、私は、まさにこの二〇一五年の九月、十月、大体これぐらいのころには、既に消費者庁は、これは、販売し、レンタルしている目的で預かっているはずの商品の数と、そして、実際にレンタルしている数が見合っていない、あるはずの商品が、その数、十分ない、こういうことに気づいていたんじゃないか。

 つまり、これは現物まがいものの商法の疑いがある、そこまで認定できるかどうかはあれとしても、疑いがある。先ほど大臣が言われたように、新規の契約者のお金を配当に回しているだけで、実際にレンタルなんかしていないんじゃないかということを既にこの時点に消費者庁は気づいていたんじゃないんですか。

宮腰国務大臣 消費者庁が平成二十七年九月に実施した同社への立入検査までには、消費者庁はその可能性については認識していたのではないかと承知しております。

大西(健)委員 今、可能性とまで言っていただきました。確かに、行政処分するにはそれなりの証拠が必要です。

 ただ、今言っていただいたように、その時点で、これはもしかしたら、レンタルなんかしていなくて、新規の契約のお金をそのまま配当に回しているだけじゃないかという可能性に気づいていたんですよ、消費者庁。それは二〇一五年の九月ですよ。でも、破綻したのは二〇一七年の十二月末ですから、ここまで被害を何で拡大させたんですか。ここまでにどれだけ多くの人が新たに被害に遭ったというふうに思うと、私は、これは消費者庁の罪は重いと思いますよ。四回も処分しているんです、四回も。

 結果ですけれども、二〇一五年の七月に、今言われたように、これはもしかしたら自転車操業じゃないかと気づいていたのに、二〇一七年の年末まで、結局、ずっと事業を続けて、新たにだまされた人がいるんですよ。被害が拡大したんですよ。あるいは、その間に資産をもしかしたら隠したり、いろいろな処分をしたりして、今、破産管財人が救済しようと思っても、もう資産がないんですよ。

 何でもっと早くそこで、可能性と今おっしゃったけれども、可能性に気づいていたんだったら、何でこんなに時間がかかってしまったんですか。そのことは、大臣、結果ですけれども、やはり最初にその可能性に気づいて、こんなに長くかかってしまったことは申しわけなかったというふうには言っていただけませんか。

宮腰国務大臣 消費者被害の防止のためには、法違反行為に対しては一刻も早く対処することが基本でありますが、その一方で、事業者の意に反して業務停止命令等の不利益処分を行うに当たっては、法と証拠に基づいて、法違反行為の有無を慎重に検討する必要があります。

 特に本件は、消費者庁として初の預託法違反事案であり、商品の保有状況や会社計算書類の信憑性等について、同法に基づき判断した前例がなかったこと、また、預託等取引、訪問販売及び連鎖販売取引が複雑に絡み合った事案であることから、特に調査が必要であったわけであります。

 したがって、消費者庁としては、可能な限り迅速な行政処分を行ったものと承知いたしております。

大西(健)委員 失礼ながら、やはり可能な限り迅速とは言えないですよ。四度も行政処分をやって、被害をここまで拡大させた罪は万死に値すると私は思います。

 それは、おっしゃるように、現行の法律にやはり穴があるんですよ。だから、消費者庁としては、現行法の中ではできることをやったと言うのかもしれませんけれども、最初に言ったように、二度と第二のジャパンライフを生まないために、法律を変えなきゃいけないと私は思っています。

 債権者集会では、実はこういう発言が破産管財人からありました。それは、弁護団から、消費者庁は、さっき言ったように、立入検査とか行政処分のときにジャパンライフから資料を持っていっているだろうと。それは協力してくれているのかという質問があったときに、高松破産管財人がこのように言っています。消費者庁については、管財人就任直後に消費者庁に伺って、長官を含め、面談し、コンタクトをとっている、破産会社が提出した各種書類、破産会社に現在残っているか探しても見当たらないものがほとんどである、破産会社が消費者庁に提出した書類についてコピーをいただきたいとお願いしたが、かなわないというのが現状と。

 私、これは、今言ったように、法に不備があるから、消費者庁もその中でできることはやったと言うのかもしれませんけれども、せめて、せめてもの償いとして、今、その破産管財人に全面的に協力して、消費者庁が処分の過程とか立入調査で入手をした資料は、全て破産管財人に渡して、そして被害者救済に全面的に協力すべきじゃないですか。これは大臣、この場で約束してくださいよ。

宮腰国務大臣 立入検査で入手した資料につきましては、管財人からの具体的な要請があれば、消費者庁において、法令に従い、適切に対応するものと承知をいたしております。

大西(健)委員 いや、今大臣に言ったように、債権者集会では、協力を得られていないとおっしゃっているんですよ、長官にも会ったけれども。

 これは大臣から、協力するように言う、具体的なことまで私ここで詰めませんけれども、協力するようにと。破産管財人から資料の提出等について要請があったら協力する、これを約束してください。

宮腰国務大臣 具体的な情報開示要請の可否についてはお答えを差し控えますけれども、いずれにせよ、要請があれば、法令に従い、適切に対応するものと承知をいたしております。

大西(健)委員 ぜひ協力をしていただきたいと思います。具体的な要請はあると思いますので、ぜひ大臣から、協力するように、できる限りの協力をするようにと言っていただきたいと思います。

 ジャパンライフ問題で特徴的なのは、被害が顕在化したときにはもう手おくれなんです。というのは、大体、配当がある間はみんな苦情なんか言わないわけですね。それから、ジャパンライフの問題でいうと、疑問に思って解約とか返金を求めた場合は、ジャパンライフは、大体、解約とか返金に応じるんです。応じると、自分の金さえ返ってくれば、もうそれ以上、大体、みんな言わないんです。ですから、解約がいっぱい出てきて、自転車操業が回らなくなって初めて被害が顕在化する、でもそのときにはもう手おくれ。

 そういう意味では、被害申告を端緒にして行政権限を行使する、つまり行政処分等を行うというこれまでの従来の消費者庁の対応では、こういうジャパンライフのような商法には太刀打ちできないんじゃないかと私は思うんですけれども、この点、大臣、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 被害が顕在化する前に、継続的、定期的な、財務基盤や業務実態をモニタリングする仕組みが必要ではないかという御質問だと思います。(大西(健)委員「それは次の質問です」と呼ぶ)失礼しました。

 消費者庁といたしましては、被害者等からの申出や申告のみならず、さまざまな端緒情報を収集、分析をし、適切な手続に基づく調査を行って、必要な証拠を収集した上で行政処分を行っております。

 引き続き、さまざまな情報を注意深く分析し、厳正かつ適切な法執行を行うことにより、消費者被害の防止に努めてまいりたいというふうに考えております。

大西(健)委員 それが先ほどのこととかかわるんですけれども、消費者庁は、この現行の仕組みの中で自分たちがやれることはやってきたんだということだと思うんですよ。でも、今私が申し上げたのは、今までの消費者庁のやり方ではうまくいかないんじゃないか、つまり、被害が顕在化したときには自転車操業が回らなくなった段階なんですよ。そのときになって処分しますとかいっても、遅いんですよ。だから、もっと早い段階で何とかしなきゃいけない。

 だから、最初に言ったように、実は立入調査の時点でもう気づいていたんでしょう。さっき、可能性は気づいていたとおっしゃったじゃないですか。つまり、顧客が出した金銭、拠出した金銭で実際に商品が買われていない、商品はない、そして、レンタルしているはずで、レンタル料を払っている個数とレンタルに回っているものの数が合っていない。これはもう実は気づいているんですよ、二〇一五年時点で。ただ、今の仕組みではそこでは手が出せない、なかなか。本当は私はもっと出せたと思いますけれども。

 だから、先ほど大臣がちょっと先取りして言われましたけれども、私は、そういう意味では、先ほどの新聞記事にちょっと戻っていただきたいんですけれども、この新聞記事を見ると、一番最初のところに、破産管財人が、遅くとも平成二十年ごろから粉飾決算が続いていたと。もう十年前から粉飾決算なんですよ。それから、二十九年七月ごろから社会保険料の支払いが滞る状態だったと。もう二十九年の七月には社会保険料が滞っているんです。あるいは、今回、破産管財人が債権者集会をして、未払いの税金がある、こういうことになっているんですね。

 だから、税金の未払いが起きていたりとか、社会保険料の支払いが滞っていたりとか、粉飾決算があるとか、こういうことがわかっているともっと早く手が打てるんじゃないか、あるいは注意喚起等も行えるんじゃないか。

 そういう意味で、私は、被害が顕在化する前に、やはり財務基盤だとか業務実態を継続的に定期的にモニタリングする仕組みが必要なんじゃないか。そういうものがもしあれば、今はないんですけれども、被害が拡大する前に対応することができた可能性があるんじゃないか。

 何度も言いますけれども、先ほど言ったように、被害が顕在化してから処分したのではもう手おくれなんです。そうじゃなくて、これはちょっと怪しいなと思ったら、財務基盤とか運営状況を定期的にモニタリングして、これはもう少ししたらはじけるなという前に、やはり、注意喚起を消費者に呼びかけたり何らかの処分をする、こういう仕組みがないとこういうジャパンライフみたいなものは繰り返されるんじゃないか。

 最近、ケフィアという同じようなものもやはり破綻したんですよ。同じですよ、これは。こういうことがまた繰り返されますから。

 大臣、こういう、財政基盤だとか業務実態を継続的にモニタリングする仕組みが必要だと思いませんか、いかがですか。

宮腰国務大臣 現行法令のもとでも、法違反の疑いのある事業者に対しては、できるだけ早い段階から継続的な調査を行い、証拠を収集した上で行政処分を行っております。

 ジャパンライフにつきましても、消費者庁は、平成二十八年十二月の行政処分に続き、平成二十九年三月に、同社が顧客から預かったことになっている商品を十分に保有していなかったことなどの重大な違反を認定して、行政処分を行いました。

 その時点では、同社は顧客に対し、おおむね配当の支払いなどの債務を履行しておりまして、その意味では、被害はその時点では顕在化していなかった。しかし、行政処分は第二回目を行ったということであります。

 この新聞記事を拝見いたしましても、経営破綻する約五カ月前の二十九年七月ごろから社会保険料の支払いが滞るなど事実上の破綻状態であったと。これは二十九年三月の二回目の行政処分の後の話でありまして、その二回目の処分の時点では被害は顕在化していなかった。

 そのように、引き続き、悪質事業者に対しては可能な限り迅速かつ厳正に対処することにより、消費者被害の防止に努めてまいりたいと思っております。

 ケフィアの……(大西(健)委員「それはいいです」と呼ぶ)いいですか。

 以上です。

大西(健)委員 今の大臣の答弁、重要だと思うんですね。二回目の業務停止命令のときは、まだそういう支払いとかは滞っていないけれども業務停止命令をかけたんだと。

 ところが、そういう意味では、この時系列をもう一回見ていただきたいんですけれども、二〇一七年三月に二回目の業務停止命令をかけて、ここで業務がとまっていたらいいんですけれども、とまらずに、また三回目の業務停止命令を十一月にかけて、さらには四回目を十二月にかけている。一つの事業者に四回かけるなんて、これは異常なことなんですよ。こんなことはないんです、過去に。

 これは、悪いのはジャパンライフなんですけれども、何でこういうことが起きるかというと、ジャパンライフは、初めは預託取引とか訪問販売に関して業務停止命令を受けると、今度は契約形態を業務提供誘引販売契約です、うちはもう預託契約はやっていませんと。うちが今やっているのは業務提供誘引販売契約ですと言うんですよ。それが停止されると、今度は、それも今はやっていないんです、リース債権契約ですと、形態をころころころころ変えて、せっかく消費者庁がやった行政処分をかわしていくわけですよ。失礼な言い方ですけれども、消費者庁はもてあそばれているんです。四回も行政処分をかけているんですから。

 ですから、かけるたびに、業務停止できずに、業務が続いていって、被害が拡大したわけですよ。これが私は非常に大きな特徴だと思っていて、こういう契約類型別に行政処分を行うという現行の仕組みではジャパンライフをとめられないんですよ。

 ですから、一回の処分で全面的な業務停止を可能にするような制度がないといけないと私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 現行の特定商取引法等は、事業者に対して、訪問販売等の特定の取引類型について違反があった場合に、当該取引類型について業務停止を命じることができると規定をいたしております。

 一般論として、事業者がある取引類型について違反行為をした場合に、行政庁が、違反とは関係のない取引類型を含め、事業者の業務全体の停止まで命じることを認めるべきかどうかは、憲法上保障されている営業の自由との関係も含め、慎重な検討が必要であると思っております。

大西(健)委員 だから、これも、今の特商法ではジャパンライフはとめられないんです。ですから、何らかの法改正が必要なんです。

 今るる指摘してきたように、ジャパンライフ商法の前には残念ながら消費者庁は私は無力だったと思います。ですから、これは第二のジャパンライフ被害を生まないためにはどうしたらいいのか。

 日弁連が具体的な提案をされています。意見書を提出されています。

 ジャパンライフに見られるように、顧客が商品を購入し、同時に購入した商品を業者に預託しレンタルするという契約であっても、商品の引渡しとか所有権移転は著しく形骸化していて、実質的には、消費者が第三者へ商品をレンタルする事業に対し出資をして、そして、当該事業の収益から配当を受ける投資契約としての側面が強まっているんじゃないかと。そこで、日弁連は、金融商品取引法を改正して、金商法の仕組みの中でやろうと。ジャパンライフのような預託商法を購入物品拠出型集団投資スキームの一種として捉えて規制の対象としてはどうか、こういう提案をされています。

 本日、金融庁に来ていただいていますが、今言ったように、消費者庁の今の仕組み、特定商取引法ではこれは取り締まれないんですよ、ジャパンライフを。だから、金商法でやるべきじゃないか、こういう日弁連の意見書に対して、これはぜひ研究していただけないでしょうか。金融庁、いかがでしょうか。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のジャパンライフ社の件につきましては、当庁としまして必ずしも詳細は承知をしておらないところでございますが、ジャパンライフ社の顧客が磁気治療機器商品等を購入し、その商品を同社に預託した上で、同社が第三者に賃貸して得られた賃貸料が顧客に支払われるというスキームであると承知をしております。

 金融商品取引法は、いわゆる投資ファンド等の集団投資スキーム持分を有価証券とみなして規制を適用しておりますが、これは、金銭を出資、拠出して、事業から生ずる収益の配当等を受けるといった、金融商品としての性質を持つことによるものでございます。

 このため、物品を購入、預託するスキームについて、集団投資スキームとして金商法の規制対象にすることはなじまないのではないかと考えております。

大西(健)委員 残念ですね。せっかく日弁連が具体的な提案をしているのに。

 ただ、私が聞いているところでいうと、例えば競走馬、これは物品と言えるのかはあれかもしれませんけれども、競走馬というのは、物品拠出型の集団投資スキームということで、現行でもやられているということですから、私はこれは研究の余地があるんじゃないかと思いますから、再度、ぜひ研究をお願いしておきたいと思います。

 残った時間ですけれども、わずかですけれども、国民生活センターの徳島移転の問題、これをちょっと取り上げたいと思います。

 二〇一六年の一月ですけれども、当時の河野大臣と飯泉徳島県知事が会って、鶴の一声で消費者庁の徳島移転が決まった。そもそも、その時点では、国民生活センターの相模原事務所はその移転対象には含まれていなかったという経緯があるんです。

 この間、徳島で研修事業を試行してきました。でも、その結果は惨めなものです。三ページ目に表を載せておきましたけれども、研修会場の鳴門合同庁舎というのは非常に交通の便が悪い。だから、二〇一七年度から何と無料送迎タクシーまで出しているんですよ。無料送迎タクシーを出しているけれども、そして大体県外からの受講者はこの無料送迎タクシーを利用しているんですけれども、受講者は低迷している。これまでのところ、一回当たりの平均受講者数は二十三・七人、県外から来ている人は平均して十四人。これは、二〇一七年度から減っているんです。無料タクシーを出しても減っているんです。これは私、ちょっとどうなんだろうと。

 時間がないからまとめて聞きますけれども、この結果を見て、大臣、どう思われるのか。私は、この結果を見れば、これはもう失敗ということだと思います。ですから、これ以上無理に検証を続ける意味が本当にあるのか。どうせ地方でやるんだったら、例えば新幹線沿線の都市とかでやれば、これは利便性もいいし交通費も安くて済むということなんだと思うんですけれども。

 先ほど尾辻議員のお話にあったように、今自治体への交付金が減らされています。その関係で研修の費用とかも減らされているんです。例えば、こういう研修に出るための宿泊費、交通費も削られているんです。そういう中で、わざわざ遠い徳島に何で行かなきゃいけないんだ。相模原だったら、宿泊施設も附属しているんです。そこに泊まれば、全国から集まった皆さんと交流もできて、あなたのところ、こんな事例ないとか言って情報交換もできる。ところが、徳島に行くと、みんなビジネスホテルに分散して泊まっているんですよ。わざわざ何でこんなことをしなきゃいけないのか、金をかけてこんなことをするんだったら、そのお金はむしろ地方消費者行政の強化に回してほしい、これが皆さんの本音じゃないか。

 大臣、このあたりで勇気ある撤退を英断すべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 幾つかまとめて御質問いただきました。

 相模原の国民生活センター、私も以前視察をしてまいりまして、立派な施設であると。宿泊の部分も見てまいりました。

 一方で、徳島の研修でございますが、資料提供のとおり、平成三十年度にこれまで実施した七回の研修については、県内の受講者が約四割であるのに対し、県外からの受講者は約六割となっております。低迷しているかについては一概に評価できませんが、県外の受講者の数の増加に向けた努力は引き続き必要であるというふうに思っております。

 徳島県においては、私自身、国民生活センターの徳島オフィスも拝見をしてまいりました。その上で御答弁申し上げますと、消費者行政新未来創造オフィス、これは、消費者行政に関するさまざまな研究や実証を徳島をフィールドとして実施しており、国民生活センターが有する教育研修機能とこれらを一体的に実施することで、より高い効果が得られるのではないかというふうに考えております。

 現に、徳島における教育研修事業につきましては、受講生に対するアンケート調査でも、受講満足度において高い評価を得ているというふうにお聞きをいたしておりまして、いずれにいたしましても、徳島県と協力しながら、県外を含めて研修受講者の確保に努めてまいりたいと考えております。

大西(健)委員 これは、資料の最後のページ、今年度行われた徳島の研修実施状況、一番右の欄の定員充足率とか見ていただいても、三〇%台が四回、半分以上三〇%台ですよ、定員充足率。全然集まっていないんですよ。逆に、相模原の場合にはもっともっと皆さん受講されていますよ。先ほどの満足度なんかも、相模原の方が満足度は高いはずですよ。

 もう三年やってきて、結果はこのとおりなんです。無料タクシーまで出して、わざわざこんなことにお金を使うんだったら、さっきから言っているように、今交付金が減って地方消費者行政に使えるお金が減っているわけですから、そのお金を回してくださいよ。だから、こんなばかみたいなことを意地張ってやるべきじゃない。もうやめるべきじゃないですか。大臣、いかがですか。

宮腰国務大臣 徳島におきましては、先ほど申し上げたように、昨年の七月に消費者行政新未来創造オフィスができました。それからまだ一年余りでありまして、引き続き、徳島県における新未来創造オフィス、そのほかの国民生活センターの教育研修機能も含めて、検証していく必要があるというふうに考えております。

大西(健)委員 もう苦しいと思いますよ。

 時間が来ましたので終わりますけれども、この問題については、まさに相模原の国民生活センター事務所の地元である、もとむら委員がこの後じっくりやってくれるというふうに思いますので、私は、このあたりできょうの質問は終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

平委員長代理 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 無所属の会のもとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 今、大西委員からも数点指摘をしていただきました。消費者庁、国民生活センター、消費者委員会の徳島への移転について、私の地元であります国民生活センター相模原事務所の問題について、まず数点お伺いしてまいりたいと思います。

 大臣、相模原にも来られたことがあるというお話もいただきましたし、大臣所信でも徳島にも行かれたというお話がございますが、この国民生活センター相模原事務所の機能や果たす役割について大臣はどのように認識をし、評価されているのか、まずお伺いいたします。

宮腰国務大臣 国民生活センター相模原事務所は、一九八〇年以降、東京事務所で行っていた商品テスト事業、教育研修事業を実施いたしております。

 私自身、先ほども申し上げましたけれども、約十年前に同事務所を訪問したことがありますけれども、相模原事務所で実施している商品テストの種類の多さに実は驚いたことがあります。

 相模原事務所が実施している業務につきまして具体例を申し上げれば、昨年度では二百十一件の商品テストを行い、事故の未然防止等を図る必要があると考えられる場合には積極的に情報提供を行ったほか、金融、食品表示といった個別のテーマや、初めて消費生活相談を行う相談員の方向けといったきめ細かな研修を行うなど、消費者行政の推進に具体的な形で貢献する重要な業務を担っている機関であるというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、相模原事務所を含めた国民生活センターには、消費者行政の中核的実施機関という役割を最大限発揮していただきつつ、担当大臣の私のもと、全体として消費者行政を一層推進してまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 大臣からも、十年前でありますが、お越しいただいた際の御感想等々を含めて、重要な拠点であるということは、今御指摘をいただいたとおりでございます。

 私ども相模原市は、この国民生活センター相模原事務所については、旧米陸軍キャンプ淵野辺返還跡地の場所でありまして、当時、相模原、神奈川県はいろいろなものを誘致したいという思いもあったんですが、国からの強い要請もあって、市、県、国で最終的な協議を経て、この国民生活センター相模原事務所が設置をされたというふうに承知をしております。

 そういった中で、大臣は徳島にも行かれたわけでありますが、これは二十七年度のデータかもしれませんが、徳島においては、消費生活専門相談員資格保有率は徳島県は全国で四十位であって、研修参加率は四十五位、二十七年度の相談員資格試験、消費生活アドバイザー試験合格者はゼロ、相談件数も、あっせん件数も、この国民生活センター相模原事務所と比べても非常に少ないということでありまして、こういう指摘をまずしたいと思います。

 次に、徳島における試行前から懸念された事項について。

 一年を経たわけでありますが、三年間、いろいろな試し期間があるということでございますが、アクセスの利便性、国会対応、商品テスト、メーカー対応など、さまざまな問題がありますが、一年を経て、どう大臣として捉えていらっしゃるか、お伺いいたします。

宮腰国務大臣 昨年七月に設置されましたオフィスは、来年度を目途に検証を行うということとされておりますので、全般的な評価については、現時点ではお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

 その上で申し上げれば、実証研究の拠点として設立されたオフィスが、徳島をフィールドにしてさまざまな効果的なプロジェクトを実施していると、徳島での取組を視察する中で感じた次第であります。

 一方、委員の御指摘の点も含めて、さまざまな御意見もございますので、交通・通信網、人的資源の整備状況、消費者行政の進化や地方創生への貢献等の実績の観点から、今後、検証、見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 もとの前任者でありますが、河野大臣が担当したころは、この移転に課題がないかといえば、課題は山積みですという国会で答弁をされておるわけでありますが、それでは、一つずつお聞きしますが、アクセスの利便性について。

 例えば、東京―徳島間は一日十一便、そして、増便されましたが、徳島―福岡便は二便ということでありまして、飛行機の便数も少ないですし、また、先ほど大西委員からも指摘があったかもしれませんが、相模原の事務所には宿泊施設がありまして、多くの相談員が集まって、夜なべしながら皆さんで、うちはこういうことに困っているよ、うちはこういうことをやっているよとさまざまな情報交換ができるんです。ここでは六つのビジネスホテルがあるようでありますが、料金も四千六百五十円から七千二百円と、相模原は三千八百三十円でありますから、料金的にも高いわけでありますし、情報交換がしづらいという話もあります。

 また、この参加研修、今年度は一回当たり平均二十三・七人、相模原は五十八・〇で、参加者の半分は徳島県となっておりまして、全国的に見てもプラスじゃないなというふうに思っています。

 そういった中で、また、四十一の都道府県の皆さんが、今回、この移転に関して、非常に遠くなったという実態もあるんですが、このアクセスの利便性について、大臣、どう捉えていらっしゃるでしょうか。

宮腰国務大臣 アクセスの利便性ということにつきましては、総合的な視点から検証を行っていく必要があるのではないかというふうに思っております。

 それは、やはり都市に近い方がアクセスはいい、これはほぼ自明の理です。しかし、それだけで判断をしていいのかどうか、それはやはり総合的な判断が必要になってくるのではないかなというふうに考えております。

もとむら委員 徳島駅を起点とした場合、東京駅起点に比べて所要時間が長くなる都道府県が四十一都道府県、短くなる県が六県ということでありまして、どう見ても、アクセスも非常に不便じゃないかなと思っております。

 次に、国会対応に関してお伺いいたしますが、国会対応については、大臣、例えばテレビ会議のシステムを使うことを河野大臣は当時主張されていて、国会にはテレビ会議のシステムがない、国会対応や法案説明等をテレビ会議で行おうとすれば、国会側でもシステムを導入せねばならず、やはり予算の肥大化につながらないかという指摘もあったわけでありますが、国会対応についてはどう捉えていらっしゃるでしょうか。

宮腰国務大臣 オフィス開設の根拠となりました平成二十八年九月のまち・ひと・しごと創生本部決定におきましては、消費者庁の移転に関する基本的な考え方として、これまで行ってきた迅速な対応を要する業務、対外調整プロセスが重要な業務、この中には国会対応も含まれております、危機管理ですとかは東京で行うと整理がされております。

もとむら委員 そもそも、今回試行の対象とされていないというふうに私は捉えているんですが、国会対応はこの一年間実施していませんよね、大臣。

宮腰国務大臣 質問の御趣旨がちょっとよくわからないんですが、徳島オフィスで国会対応をやっているかどうかというようなお話であれば、それは対応はしておらないということでございます。

もとむら委員 次に、商品テストについてお聞きしますが、今回、徳島県の協力のもと、実証フィールド、エコキュートなどの実験をやっているようでありますが、ただ、実際は県庁職員のお宅がほとんどでありまして、その商品そのものの性能テストは行っていないということを聞いておりますが、商品テストについてはいかがでしょうか。

宮腰国務大臣 国民生活センター相模原事務所にあるような商品テスト施設が徳島県内にないことは議員御指摘のとおりであります。他方で、さらなる消費者の安全な暮らしの確保のためには、徳島県を実証フィールドとした先駆的な商品テストを実施することも有用であると考えております。

 いずれにせよ、商品テストの業務に関しましても、今後、実績を踏まえて、検証、見直しを行ってまいります。

もとむら委員 この商品テストの実証フィールドは、例えばエコキュートなどを使っているというふうに伺っているんですが、これは徳島県民の皆さん、まあ、県庁職員も徳島県民のお一人ですけれども、県庁職員を対象にやっているというふうに伺っていますが、例えば徳島県の県庁職員じゃない方々にも実施をされているんでしょうか。

高田政府参考人 家庭の内訳についてのデータはございませんので、お答えはできません。

 今御指摘のような、どういう方かにつきましてデータがございませんので、ちょっとお答えすることは困難でございます。

もとむら委員 それでは、この商品テストに関しては、実証フィールドを行っていると言っていますが、どなたがやっているんでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 徳島県民の方々ではございますが、その内訳という部分に関してデータはございませんので、お答えはできませんということでございます。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

もとむら委員 次に、メーカーの対応についてお伺いしますが、消費者庁は時にはメーカーを指導しますが、業務停止などの対象となる業者の約七割が関東圏の業者だというふうに伺っています。特に、国民生活センターは業者を指導する権限がないということであったりすることも承知をしているわけでありますが、このメーカー対応についてはこの一年間どのようなことをしてきたのか、お伺いいたします。

高田政府参考人 お答えいたします。

 徳島オフィスは、先生御指摘のとおり、事業者を呼んでどうこうするという、要は相模原事務所ですとか東京・品川事務所でやっているような業務はしておりませんので、御指摘のような件はないと思います。

もとむら委員 三年間の中で一年間たっているわけで、今御答弁ありましたけれども、明らかに、徳島県民だけじゃなくて全国民にとってもプラスでなければならないということで、河野元大臣も、そして地方創生担当大臣だった石破大臣も同じようなことを言われていたわけでありますが、この消費者行政新未来創造オフィスで行ってきたプロジェクトは、まあ、否定するわけじゃありませんが、徳島県民だけじゃなく全国民にとってプラスでなければ意味がないわけでありまして、全国に広がっていると言いがたい状況だと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 昨年七月に徳島県に開設した消費者行政新未来創造オフィスでは、徳島県などの協力のもと、さまざまなモデル事業や調査研究を実施しております。

 私自身、徳島県を訪問した際、これらのプロジェクトの進捗について説明を受けましたが、例えば、若年向け消費者教育の分野では、徳島県内の全高校で消費者庁が作成した教材を活用して授業を実施していたことなども踏まえ、全国の高校でも同様に実施していただく取組もスタートいたしております。

 いずれにしましても、徳島県で得られた課題や検証結果等を踏まえて全国展開を図ることとされていることから、これらのプロジェクトが全国の消費者などに裨益するよう、引き続きしっかりとプロジェクトの実施に努めていく考えであります。

もとむら委員 同オフィスは昨年七月二十四日に設置され、一年三カ月弱を経過したところで、消費者教育や食品ロスの実証実験などを行ってきたわけでありまして、徳島県でなければならない内容とは思えないわけであります。協力してくれる環境で取り組むことは否定はしません、ただ、消費者庁も国民生活センターも国の機関であり、徳島県だけでなく全国が取組の成果を享受できなければならないということを指摘したいと思います。

 最後の質問にしますが、河野大臣も、そして石破大臣もお話をされているのは、例えば河野大臣は、消費者庁というのはやはり強くなければいけない、だから、私は所信の中で、牙をむくということを申し上げました、東京にいると強いけれども地方に行ったら強くなれない程度の強さじゃだめなんだ、徳島からでも消費者庁の牙は北海道でも沖縄でも届くぞ、それぐらい強い役所にしようというのが私の決意でありますと。それから、石破大臣は、いささかも今回の政府関係機関の地方移転において質が落ちてはいけないということも指摘をされておりますが、大臣、一年たって、現状、先ほど大西委員からも厳しい指摘がありましたが、私はどう見ても、相模原の事業所から見ても、質も含めて落ちているんじゃないかなと思っていますが、大臣、率直に、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 まち・ひと・しごと創生本部決定では、二〇一九年度を目途に検証、見直しを行い、結論を得ることとされておりまして、二〇一九年夏には二〇二〇年度の予算や組織に関する考え方を示す必要がありますので、その時点で、検証、見直しの結果を反映した要求案をお示しできるように検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

 その際、消費者委員会の意見も踏まえまして、消費者行政新未来創造オフィスの取組に関する成果と課題を総合的に勘案し、消費者行政の進化や地方創生にどの程度貢献したかの実績も踏まえる必要があるというふうに考えております。

 検証、見直しの結果につきましては、さまざまな可能性が考えられるところでありまして、不断の検討を行いますが、いずれにせよ、いかなる場合においても、消費者庁の機能が低下することはあってはならないというふうに考えております。

 なお、消費者行政新未来創造オフィスは消費者庁及び国民生活センターから構成されておりまして、消費者委員会については、検証、見直しの対象とはなっておりません。

もとむら委員 これで質問を終わりにします。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 宮腰光寛担当大臣は、消費者政策の現場である地方の消費者行政の充実強化にも取り組んでまいりますと発言されました。

 大臣に伺いますが、なぜ地方消費者行政の充実強化が必要だと考えられますか。

宮腰国務大臣 消費者行政の最前線は地域であります。

 消費者被害の防止や消費者問題の解決のためには、消費者に身近である地域における取組が果たす役割が大きいと考えます。その最前線とも言える消費生活センターの設置も全国で進んでまいりまして、本年度八百五十五カ所ということになります。いわゆる空白地帯を含めて、取組の強化が必要であります。

 私自身、徳島県に出張した際、センター職員の方々と意見交換を行いましたが、地域の方の協力を得つつ、さまざまな制約要因がありつつも努力されているお話をお聞きいたしまして、感銘を受けました。

 いずれにいたしましても、消費者担当大臣といたしましては、消費者がどこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられるよう、地方消費者行政強化交付金などにより、消費者政策の現場である地方の消費者行政の充実強化に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 御答弁されましたように、身近なところで大事な仕事をしていらっしゃるというのが、消費者政策の現場の状況、地方の皆さんだというふうに私も思います。

 しかし、実態はどうなっているか。先ほどの議論もございました。消費者庁が例年実施している地方消費者行政の現況調査の二〇一八年度の結果について、十一月五日付の日本消費経済新聞が分析をされているんです。そこでは、消費者行政を担当する課があるのはわずか十七都道府県、係もない市町村は八割というふうに言っております。

 消費者庁は、長年地方消費者行政を支えてきた地方消費者行政推進交付金を二〇一八年度までに打ち切りました。そして、地方自治体の自治事務として自主財源を確保して進めるように、新たな地方消費者行政強化交付金に制度を変更したということで、きょうは資料にも出させていただいております。

 これにつきましても、日本消費経済新聞は、二〇一八年度の全自治体の消費者行政予算は、交付金が十七・六億円の減額分に対して、自主財源は八・四億円しかふえていないというふうに報道しております。これは事実ですか。認識を伺います。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもの平成三十年度の地方消費者行政の現況調査の数字についてのお尋ねでございます。

 今、平成三十年度に消費者行政を担当する課はわずか十七都道府県というようなお話があったかと思いますけれども、専管の課を設置している都道府県が十六ということでございまして、都道府県で消費者行政をやっている課がないということではなくて、専管の課があるのが十六、そういう意味でございます。

 それから、係についてのお話がございましたけれども、専管の部署のない市区町村が全体の七八・三%ということでございまして、これも、消費者行政をやっている部署がないという意味ではなくて、それを専門に管轄する部署がないところということでございます。

 それから、予算のお話がございました。平成三十年度の地方の基金及び交付金の当初予算額は約四十一・六億円でございまして、平成二十九年度の最終予算、もろもろの、合計した最終予算は約五十九・二億円でございますので、前年比十七・六億円、約十七・六億円減っているというのは、そのとおりでございます。

 それからまた、地方の自主財源でございますけれども、平成三十年度の当初予算額は約百二十八・四億円、二十九年度の最終予算額は約百二十億円でございますので、差引き八・四億円の増となってございます。

畑野委員 専管でやることが大事だということは、かねがね言ってきたわけです。

 額については、お認めになりましたように、本当に大変な減額になっております。自主財源の確保も地方はままならないところも多くあって、これでは、大臣がせっかくおっしゃっていただいた地方消費者行政の拡充強化というふうには言えないのではないかと思います。

 全国消費者団体連絡会も、交付金の打切りを受けまして、全国の都道府県に緊急の調査を実施して、発表をされました。その結果を見ましても、交付金の打切りが地方消費者行政に影響を及ぼしているということがわかります。回答した四十五自治体のうち、三十八自治体で基金、交付金が削減をされ、額にして約六億三千万円、前年度比六七・二%。一方で、都道府県の自主財源を増額した自治体は三十二、額にして約二億九千万円、前年度比一〇八・四%。交付金の削減分が多くて、自主財源を増額してもカバーし切れないという状況になっております。

 地域では、大臣、相談体制だけは何とか確保しようということで、ほかを削って何とかやっている、他の職員も手薄にならざるを得ない、こういうことなんですね。

 伺いますけれども、都道府県の消費者担当職員数は昨年と比べてどうなっていますか。

高島政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県の消費者政策の担当職員数ということでございます。

 今御指摘の出ております私どもの調査によりますと、平成三十年度の消費生活相談員数は三千四百三十八名、昨年度の平成二十九年度は三千四百三十四名でございましたので、二十九年度と比べますと四人の増となってございます。また、地方の消費者行政担当の事務職員の数でございますけれども、これは今年度、平成三十年度は五千二百九人、平成二十九年度は五千二百五十五人となってございますので、二十九年度と比べますと四十六人の減少となってございます。

畑野委員 職員の減少を認識されていらっしゃるならば、これ以上体制が弱体化しないように手だてをとるように重ねて求めたいと思います。

 ことし神奈川県が消費者庁に対して出された要望を私は読ませていただきました。各県から大臣のところに出てきていると思うんですけれども、例えば神奈川県では、一、新たな交付金が創設されたところであるが、これまでの取組をより確実に消費者に根づかせるために、推進事業分については安定的に継続し、交付額を十分に確保する等、引き続き有効に活用できるようにすること、二、交付金の強化事業分については、地方に二分の一の負担が生じることから、補助対象メニューを早期に決定するとともに、地方自治体の意見を取り入れて補助対象メニューを拡大すること、三、交付金の措置状況について、都道府県へ早期に情報提供を行うことというふうに求めております。

 ある県に伺いましたら、強化事業、二分の一の補助のところは手を挙げなかったと。その県で、四つの市でわずか総額二十万円しか手が挙がっていないということなんです。

 結局、今まで十分の十の対応をしてきたわけですから、例えば、ある市では、振り込め詐欺に注意という啓発カレンダーをつくって相談者に渡すという活動を五、六年続けてきたんだけれども、制度が変わったものですから、これも出すということはできなくなっている、こういうことなんですね。

 神奈川県に伺いましたら、相談員を何とか確保したいと思って頑張ったんだけれども、消費者教育の予算のところを削らざるを得なかったと。例えば、出前講座とか、町内会、自治会の回覧板に挟む、そういうものもやめざるを得ないという話を伺ってきました。

 ですから、消費者基本法の第三条でも、ちゃんとやるというふうに国の責務を書いております。地方の自主財源に無理やり切りかえるというやり方は、私は、法の趣旨に反する、国としての恒久的な財源確保が必要じゃないかというふうに思っているんです。

 ちょっと、大臣に最後に聞く前に、その使い勝手が悪いという二分の一の補助の問題を含めて、どういうふうに消費者庁として対応するつもりですか。

高島政府参考人 お答えを申し上げます。

 二分の一の補助金を含め、使い勝手が悪いというお話でございますけれども、使い勝手の悪さというものが具体的にどのようなものであるかということを、私ども、いつも都道府県とはよくコミュニケーションしているつもりではございますけれども、更によく一層コミュニケーションして、解消を図ってまいりたいと思います。

 一つは、メニューが使いにくいというようなことがあるのかもしれませんが、よく御相談いただければ、十分工夫をして、どこかのメニューに当てはまるような工夫をしていただくということは恐らくできると思いますので、よく御相談をしていただきたいし、私どもからもよくコミュニケーションをとるようにさせていただきたいというふうに思います。

畑野委員 神奈川県議会で意見書が採択されたんですけれども、その中では、補助率をもっと上げてほしいという声も出ているんです。

 それで、もう時間がないからいいんですけれども、使い勝手が悪いというのは、やはり地方の負担ということがあると思うんですね。ですから、それはやはり根本問題として、ぜひ検討をしていく必要があるということを私は思います。

 先ほどの、大臣、実態についても調査することを検討したいというふうにおっしゃいました。ぜひつかんでいただきたいと思うんです、地方の御苦労を。そういう点で、私は、大臣、本当に財源確保をしっかりやっていただくということで、ぜひ決意を伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 平成三十一年度の地方消費者行政強化交付金の要求に当たりましては四十億円を要求したものでありますけれども、厳しい財政事情でありますが、地方消費者行政の充実強化のために必要な予算の確保にしっかりと努めてまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 これ、消費者啓発のパンフレット、リーフレットをつくっていらっしゃるんです。去年もつくってきたものに、ことしは紙のクリップをつけて駅前の商店街で配ったりして、そういう活動をしていらっしゃるということを私も神奈川県消費生活課と、かながわ中央消費生活センターに伺いまして、いただいて、なかなかいいんですよね。でも、これは予算がかかるんです。これは推進事業でつくっているものなんです。一八八(いやや)も載っておりますし、これは、買物が未来をつくる、未来を変えるということで、フェアトレードとか、資源、ペットボトルですとか、食品ロスの問題とか、本当に知恵を使って、いいものを使っているんですね。

 こういうものがもっともっと今後広がっていく必要があるのに、予算がなかなか限られているということで縮小してしまうということが、推進事業は打ち切られるわけですから、そういうことを本当に心配をしていらっしゃる。相談員についても、もっともっと支援をしたいという声があるんです、処遇改善を含めて。

 ですから、そういう点も、宮腰大臣、ぜひ調査もしていただいて、対応していただきたいと思うんですが、重ねてお願い申し上げます。

宮腰国務大臣 先ほども御答弁申し上げたのでありますけれども、調査をして、しっかりと検討してまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 ぜひよろしくお願いをいたします。

 以上で私の質問を終わります。

土屋委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 維新の会の丸山穂高でございます。

 私で最後でございます。大臣、よろしくお願いします。

 大臣になられての初めてのこの委員会での質疑ということで、ぜひ、大臣の熱い思い、基本的な部分も含めて伺いたいんですが、ずっと拝見していると、少し残念で、やはりお読みになられるところが多くて、きょうはテクニカルな話も多かったので、どうしてもお読みになるんですけれども、最後、紙を持たずに、同じ御答弁だったということもあるかもしれませんが、お話しされたように、この流れで、ぜひ、大臣はどうお考えなのか、まず、最初の質疑ですので、率直にお答えいただければと思うんですけれども。

 消費者庁、実は節目の年ですね。十年目に入るということですが、これまでいろいろな、今まで、成果もあるでしょうし、何より国民の皆さんから見て課題も幾つもあると思うんですけれども、ここら辺について、大臣として率直にどう捉えられているのか、ここからまず伺いたいんですけれども、お願いします。

宮腰国務大臣 二〇〇九年に消費者庁が設立をされまして、関係省庁から消費者に身近なさまざまな法令の執行等について移管を受けたほか、地方の消費者行政の体制強化に取り組むなど、消費者行政の司令塔としての役割を果たしてきているのではないかというふうに考えております。

 また、消費生活センターの設置数も、当時から見ると五百一カ所から八百五十五カ所にふえたということでありまして、地方の消費者行政の体制も充実をしてきたのではないかと思っております。

 一方で、最近よく言われる越境取引などの取引形態の複雑化、あるいは架空請求に関する相談件数の急増など、新しい課題と古くからの課題が同時に山積をしているというのも事実であります。消費者の安全、安心の確保、それから消費の活性化、さらには経済の好循環の実現にとっても大前提となる重要な課題であります。

 消費者担当大臣として、引き続き、諸課題に積極的に取り組むことで、消費者庁が消費者行政の司令塔としての機能をしっかりと果たすことができるよう取り組んでまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 大臣、諸課題に取り組んでいただきたいのはいただきたいんですけれども、私は、すごく難しいところもあると思っていまして、それは、大臣、実は、消費者庁だけの御担当じゃなくて、全部で八個、八つも御担当されていると思います。しかも、全部非常に重要な分野で、読み上げるだけでも、一億総活躍、内閣の目玉ですよね。そして行政改革、国家公務員制度改革、これは維新としてはしっかりやっていただきたいですし、昨今、財務省の改ざんからいろいろな問題が起きています、非常に大事な分野です。領土問題、きのうだって日ロの会談がありましたし、この消費者もそうです。少子化対策も大臣の御担当。さらには海洋政策、私、ずっとやってきましたけれども、国境離島の問題。これは、しっかりと外資の買収等を防いでいく、どうやって安全保障上守っていくか、非常に大事な観点。

 どれをとっても大臣は非常に大事なお役を務められているんですけれども、逆に、八つも、じゃ、果たしてそれぞれ、大臣、御任期、どれぐらいやられるかわかりません、その中で、これをやったんだ、これをやるんだ、これをやるんだという部分が非常に聞きたいところなんです。八つもあるがゆえに、絞らないとやはり難しいところがあると思うんですね。

 そうした中で、まず、消費者庁をつかさどっていらっしゃる、監督されて、一番トップでいらっしゃいます。この消費者行政において、大臣の在任中に特にこれをしっかりやりたいんだ、今少しお話があった越境取引や架空請求の、この部分でよろしいんですかね。大臣、一体、御任期のある中で、一番、特にこれをなし遂げたいんだというところはどこなのか、その思いも含めて、まず具体的なところをお伺いしたいんですけれども。

宮腰国務大臣 取り組むべき施策は数多くありますが、所信的挨拶で申し上げたのは、いずれも重要なものであります。あえて一つ申し上げるとすると、消費者庁と関係省庁の連携強化だというふうに考えております。

 例えば、消費者庁では、エシカル消費、倫理的消費の概念の普及等に努めておりますけれども、残念ながら、多くの方々に認知されているとは言いがたい状況であります。一方、消費者の消費行動は、各省庁の取り組む分野、例えば食品ロスの削減や有機農業の促進など、密接にかかわるものであります。

 例えば、生産者と流通と消費者をどう結びつけていくか。それなりに、例えば消費者が評価をするというところがあって初めて、生産者あるいは流通が成り立つということでありまして、これは生産者側の見方だけでは成り立たない消費であるということでありますので、そこをどう結びつけていくかということが大事ではないかというふうに思っております。

 したがいまして、消費者庁が関係省庁と一体的に取り組むことで相乗効果が期待されている、そういう部分をしっかりと後押しをしていきたいなというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、担当大臣として、山積する消費者行政の諸課題に全力で取り組みまして、消費者の安全、安心の確保に全力を尽くしてまいりたいというふうに考えております。

丸山委員 過去の大臣の議事録を読ませていただくと、どの大臣も、一体になって取り組む、省庁の連携をやっていきますとおっしゃっています。

 ただ、過去の大臣を見ますと、前大臣は福井照議員ですよね。その前は江崎鐵磨議員。何か見ていても、じゃ、この消費者行政で何をやられたかなというときに、総花的で、何かこれだというのが何となく見当たらないのが私としては残念ですね。

 例えば、その前の河野太郎大臣なんかは、御議論がいろいろありました徳島への移転の話、これは非常に汗をかいてやられていて、一つ、これを非常にやられていたなと、まあ目につくものです。現に今、外務大臣になられて、非常に水を得た魚のように活躍されていますけれども。

 大臣として、今後国政の中でやられていく中で、まずは初入閣においてやられることというのはみんな見ています。非常に大事なところだと思うんですが、今おっしゃった各省庁の連携というのは、一言で言うと非常に難しくて、誰でも皆さん言ってきたところなんですけれども、大臣、具体的に、じゃ、各省庁の連携のためにどういう動きをされるんですかね。これはどういう動きをされることを考えて今お話しされたのか、お答えいただけますでしょうか。

宮腰国務大臣 現場重視というお話をさせていただきました。

 現場の日々刻々動く状況、情報が関係省庁の間でなかなか共有されていない部分もあるのではないかというふうに見ております。でありますので、実務を担当する皆さんで、関係省庁の中でしっかりと情報共有ができるような体制をつくっていく必要があるのではないかなというふうに考えております。

丸山委員 具体的に、そういう会議体やそういう組織をつくられるという認識でしょうか。

宮腰国務大臣 そのつもりでおります。

丸山委員 しっかり見ていきますので、御任期の間にスピード感を持って進めていただきたいと思います。この委員会でも確認していきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

 この後に徳島のお話を通告に入れていたんですが、この前の段階で各議員から種々、るる質疑がありましたので、ここは同じ答えになると思いますので省略させていただいて、次の部分、時間がありませんので、進ませていただきます。

 お話しさせていただいたように、大臣の所掌、今国会でも来国会でも、今非常に重要な案件ばかり取り組まれていて、どの案件でも、一つこれをやったんだというものを宮腰大臣がお示しになられることが、非常にそれぞれの分野でも大事になってくる。国全体において非常に大事なことを所管されているんですけれども、特に今国民の皆さんが非常に重要視しているのは、やはりきのうの日ロ首脳会談の部分だと思います。少し消費者特と離れるのはわかっておりますが、しかし、お聞きしたいんです。

 これは、どのように総理とやりとりされているか。非常に、トップ会談になりまして、トップ会談になっているがゆえに、じゃ、大臣が何をやったんだというのが問われていきやすい分野だと思います。しかし、大臣のこれまでの御経歴や、汗をかかれてきたのを見ていますと、この分野、非常に熱心にやられてきたというのを拝見しました。

 そうした中で、思いがあると思うんですけれども、そのことについても含めて、今回の日ロ首脳会談と、御自身がここにどうコミットされていくのか、こういった部分も含めて、この点についてお答えいただけますか。

宮腰国務大臣 実は、この委員会では北方領土問題は所管外でありますけれども、委員長の御指名でありますから、答弁をさせていただきたいというふうに思っております。

 昨日、シンガポールで日ロ首脳会談が行われました。会談後、総理から記者団に対しまして、信頼の積み重ねの上に、領土問題を解決して平和条約を締結する、この戦後七十年以上残されてきた課題を次の世代に先送りすることなく、私とプーチン大統領との手で必ずや終止符を打つというその強い意思を大統領と完全に共有した、そして、一九五六年共同宣言を基礎として、平和条約交渉を加速させることでプーチン大統領と合意をしたというふうに、総理から記者団に対してお話がありました。

 その報告は受けておりますけれども、それ以上の詳細につきましては、現在まだ総理が帰国されておりませんので、実は伺っておりません。

 政府は、北方四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するとの基本方針のもと、粘り強く外交交渉に取り組んでおり、私も引き続き、外交交渉をしっかりと後押ししてまいりたいと考えております。

 北方領土問題、戦後七十三年たった今もまだ返還が実現していない。一万七千人余り、島から引き揚げておいでになった元島民の皆さん方も現在もう八十三歳、かつ、生存しておいでになる一世の方はもう四割を切っているという状況にあります。

 私も、元島民の皆さん方と地元でも日常的に接している、そういう地域に住んでおりますので、その元島民の一世の方々の思いをしっかり受けとめて、これからも引き続き返還運動、そのことによって政府の交渉を後押ししていくという気持ちで頑張ってまいりたいと思っております。

丸山委員 委員会外にもかかわらずお答えいただいたことに感謝申し上げまして、最後、熱い思いを語っていただいて、ありがとうございます。

 ただ、気になったのは、昔の明治時代ならまだしも、今この電子化の時代に、電話も、連絡もとれる方法がある中で、まだそういうやりとりがないというのは、非常に、聞いている方としては、大丈夫かなというところもありました。

 しっかり、担当大臣ですから、北方領土担当という名前がついているのは大臣だけなんですよ。なので、積極的に、ぜひ、総理のリーダーシップは必要ですが、同時に、補佐いただいて、これを前に進めていく、その覚悟で、行動も伴ってやっていただきたいというふうに思います。よろしくお願い申し上げます。

 時間がありませんので、今回、いろいろな話をこの消費者特でもやっていきたいんですけれども、ちょっと、きょう気になったのは、大臣、海洋政策もごらんになっているので、きょう、ちょうど本会議で漁業法の改正だったんですね。その中で、今問題になっているのは、今国会は、入管法の方で、漁業の方にも外国人材を入れていくという話があります。

 私は、この入管法の改正自体、非常に危惧していまして、そもそも、この消費者特じゃないんですが、別の部分で、今いる技能実習生が年間七千人逃亡している、そしてその中で、失踪している中で、それが見つかっていないのにまだ更に入れるのか、そういうところから非常に危惧はしているんです。

 一方で、じゃ、漁業にも入れるときに、実は三日ぐらい前に農水省の担当者に聞いたんです、どれぐらい入れようと思っているんですかと話を聞いたら、いや、実はまだ検討中でみたいな話をして、三日前です。それがこの本会議。きのうぐらいには恐らくもう数字が、報道も出ていましたけれども、漁業で初年度六百から八百、五年以内に七千から九千と急に出てきて、計画もなく出てきている感じをすごく感じます。農水省の官僚の方も法務省の官僚の方も、突然感の中でやっている感じがします。

 海洋政策というのはもっと長期的に見てやっていかなきゃいけない部分でもありますし、漁業も含めて、あらゆる点で非常に大事な点なので、今国会、ちょっと、短い会期もあって、急なものが多いなと思うところなので、ここもそうなんですが、もう一つ、消費者庁に関係するところは、やはり軽減税率です。これを最後に伺って、終わりたいんですけれども。

 軽減税率も非常にわかりにくいという話があります。消費者庁、同じ連名で、財務省やらと連名で、軽減税率の表記の事例というのを出されているんですけれども、外食と内食で五通りにも分けて具体例で示されているんですが、これを現場の皆さん、商売されている皆さんに言うと、全然わからぬ、わかりにくい、余計混乱するわというお声もあります。そうした中で、これについて、大臣は本当にこの資料でわかりやすくなったとお思いでしょうか。

 これに更に今政府がやろうとしているのは、クレジットカードで買ったら二%オフとか、余計わかりにくいような仕組みを、軽減税率、導入しようとしているんですが、大臣、これでわかりやすくなったとお思いですか。これをわかりやすくしていくために、大臣としてどのように取り組まれますか。最後にお答えいただきたいと思います。

宮腰国務大臣 来年十月から実施される消費税の軽減税率制度に関する事業者の皆様の不安に応えるため、御指摘のとおり、本年五月に、消費者庁を含む関係省庁でガイドラインを公表いたしました。消費者庁、財務省、経済産業省、中小企業庁の連名で公表をさせていただきました。

 このガイドラインでは、できるだけ多くの事業者の皆様にそのまま御活用いただけるよう、例えば税込みと税抜き表示を併用する場合など、幾つか場合分けした上で、さまざまな表示方法が可能であるということを明確化させていただきました。

 政府といたしましては、来年十月からの制度施行までの間、事業者の皆様の不安などにも丁寧に応える各省庁に設けられた相談窓口なども通じて、関係者の皆様に御理解いただけるよう、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。

丸山委員 時間が来たので終わります。

 軽減税率の表示の話、この委員会でもしっかりやっていきたいと思います。よろしくお願いします。

 以上です。

     ――――◇―――――

土屋委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、食品表示法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。宮腰国務大臣。

    ―――――――――――――

 食品表示法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

宮腰国務大臣 ただいま議題となりました食品表示法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。

 食品に関する表示は、消費者が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関し、重要な役割を果たしております。一方、現在、安全性にかかわる食品表示法違反となった食品について、食品関連事業者等が自主回収を行った場合に、これを行政機関が確実に把握する仕組みが食品表示法に設けられておりません。

 そこで、安全性にかかわる食品表示法違反事例について、消費者に適切な情報提供を行うことにより、健康危害を防止するとともに、行政機関による改善指導等を通じた食品表示法違反の防止を図るため、この法律案を提出した次第です。

 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、食品関連事業者等は、食品の安全性に関する食品表示基準に従った表示がされていない食品を自主回収するときは、回収に着手した旨及び回収の状況を内閣総理大臣に届け出なければならないこととしております。

 第二に、内閣総理大臣は、届出があったときは、その旨を公表しなければならないこととしております。

 なお、一部の附則規定を除き、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び概要であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同いただきますようお願い申し上げます。

土屋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時三十一分散会


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