衆議院

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第4号 平成30年11月20日(火曜日)

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平成三十年十一月二十日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 穴見 陽一君 理事 石原 宏高君

   理事 田畑 裕明君 理事 平  将明君

   理事 武村 展英君 理事 大河原雅子君

   理事 関 健一郎君 理事 鰐淵 洋子君

      安藤 高夫君    伊藤信太郎君

      岩田 和親君    小倉 將信君

      小田原 潔君    鬼木  誠君

      神谷  昇君    木村 哲也君

      木村 弥生君    小泉 龍司君

      高村 正大君    佐藤 明男君

      杉田 水脈君    鈴木 隼人君

      中山 展宏君    百武 公親君

      藤井比早之君    藤丸  敏君

      船田  元君    堀内 詔子君

      松本 洋平君    三谷 英弘君

      宮路 拓馬君    八木 哲也君

      尾辻かな子君    初鹿 明博君

      堀越 啓仁君    山本和嘉子君

      大西 健介君    西岡 秀子君

      古屋 範子君  もとむら賢太郎君

      畑野 君枝君    浦野 靖人君

      森  夏枝君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            宮腰 光寛君

   内閣府副大臣       左藤  章君

   内閣府大臣政務官     安藤  裕君

   厚生労働大臣政務官    新谷 正義君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          高田  潔君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    橋本 次郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    小林  渉君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           下間 康行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  宮嵜 雅則君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉永 和生君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月二十日

 辞任         補欠選任

  伊藤信太郎君     高村 正大君

  岩田 和親君     鬼木  誠君

  小倉 將信君     安藤 高夫君

  小島 敏文君     杉田 水脈君

  鈴木 隼人君     神谷  昇君

  藤井比早之君     小田原 潔君

  黒岩 宇洋君     もとむら賢太郎君

  丸山 穂高君     森  夏枝君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤 高夫君     木村 哲也君

  小田原 潔君     三谷 英弘君

  鬼木  誠君     岩田 和親君

  神谷  昇君     鈴木 隼人君

  高村 正大君     伊藤信太郎君

  杉田 水脈君     八木 哲也君

  もとむら賢太郎君   黒岩 宇洋君

  森  夏枝君     浦野 靖人君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 哲也君     小倉 將信君

  三谷 英弘君     藤井比早之君

  八木 哲也君     小島 敏文君

  浦野 靖人君     丸山 穂高君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 食品表示法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


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     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、食品表示法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁政策立案総括審議官高田潔君、消費者庁審議官橋本次郎君、消費者庁審議官小林渉君、文部科学省大臣官房審議官下間康行君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官宮嵜雅則君及び厚生労働省大臣官房審議官吉永和生君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。穴見陽一君。

穴見委員 委員長、ありがとうございます。

 本日は、食品表示法の一部改正をする法律案の審議ということでございます。与党のトップバッターで質問に立たせていただきますので、私は基本的な質問を申し上げまして、この法案の全体像、また骨格というものが明らかとなるような質問を務めたいと思っております。

 まず、今回の食品表示法の改正の考え方についてお伺いします。

 食品に関する表示は、消費者が食品を摂取する際の安全性の確保に関し重要な役割を果たしております。特に、アレルゲンに関する表示は、アレルギー疾患を持つ当事者の方には生命身体にかかわる非常に重要なものでございます。

 今回の改正では、事業者が食品の安全性に関する食品表示基準に従った表示がされていない食品のリコールを行う場合に、行政機関への届出を義務づけ、その情報を公表することとしていますが、この改正によってどのような政策目的を実現するのでしょうか。特に、アレルゲン表示の欠落等を原因とするような食品の安全性にかかわるリコール情報が、この法律改正によってどのように取り扱われることになるのでしょうか。お伺いいたします。

宮腰国務大臣 お答えいたします。

 現状におきましては、食品リコール情報を国が確実に把握する仕組みがありません。そのため、表示不備のあるリコール対象食品の喫食を防止し、健康被害の発生を未然に防ぐため、事業者が行う表示不備を理由とした食品のリコール情報を国へ確実に届出する仕組みの構築が必要であることから、本法案を提出したところであります。これにより、食品リコール情報の消費者への一元的かつ速やかな情報提供を行うことが可能となります。

 例えば、委員御指摘のアレルゲンにつきましては、現在何らかのアレルギーを持っているお子さんも多いことから、このような方々にとりましても、今回の改正は健康危害の発生防止にも大きく寄与する重要なものであるというふうに考えております。

穴見委員 大臣、ありがとうございます。今回の食品表示法の改正の考え方についてはわかりました。

 次に、改正の前提となる食品のリコールの現状についてお伺いをいたします。

 従前から、事業者により、表示のミスがあった食品については自主的にリコールが行われているものと承知をしておりますが、これまで食品リコールが行われた事例としてはどのようなものがあるのでしょうか。また、アレルゲンの表示のような食品の安全性にかかわる表示ミスによって健康危害が生じた事例を、消費者庁としてどのように把握できているのでしょうか。お伺いします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 まず、表示ミスが原因で健康危害が生じた案件につきましては、網羅的ではございませんが、医療機関の協力のもと、消費者庁が三年ごとに実施している調査におきまして、アレルギーに関して、平成二十六年度に卵で四十六件、乳で四十五件が報告されております。また、平成二十九年度に厚生労働省と消費者庁が共同で実施した地方公共団体の条例等の規定に基づく自主回収報告に関する調査におきまして、平成二十八年度のアレルゲン、期限表示といった食品表示に関する自主回収報告の受理件数は五百四十九件となっております。

 この調査結果から自主回収のおおよその規模感を把握することはできますが、食品リコールが行われた事例において実際に健康危害が発生したか等の詳細な事例についてまでは十分把握できていないのが現状でございます。

 そのため、今般の改正により、食品リコール情報を一元的に把握し、健康危害の発生の有無についても確認できるようにしたいと考えているところでございます。

穴見委員 答弁ありがとうございました。

 ただいまの答弁で、一部の案件については把握されているようではありますが、特に、実際に食品の安全性に関する表示のミスによる自主回収の詳細が把握できていない現行の食品表示法下での現状を改善するためにも、法改正が必要であるということが明らかになったと思います。

 現在でも、一部の地方公共団体においては、条例等によって食品のリコール情報の報告を事業者に対して求めているところもあるようですが、やはり、このような健康危害に関する情報については、国が一元的かつ速やかに情報収集を行うべきものと考えます。

 次に、今回の改正により事業者に届出義務を課すこととなる食品リコール事案は、その改正の趣旨が消費者の健康危害の防止にあることから、食品の安全にかかわる表示義務違反があったものが対象となるとのことですが、具体的にはどのような事案が届出義務の対象となるんでしょうか。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 具体的には、アレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別などの、食品を摂取する際の安全性に重大な影響を及ぼす表示についての誤りがある食品を届出義務の対象とすることを想定しております。

穴見委員 実際に届出を行う事業者のためにも、届出義務の対象範囲を明確にする必要があると思います。

 一方、法律案の第十条の二の第一項では、消費者の生命又は身体に対する危害が発生するおそれがない場合として内閣府令で定めるときには届出義務の対象とはならないということが規定されています。この届出義務の対象とはならない、つまり、消費者の生命又は身体に対する危害が発生するおそれがない場合というのは、具体的にどのようなものが想定されているものなんでしょうか、お伺いします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 健康危害の発生のおそれがないとして届出義務の対象から除外するものとしましては、例えば、アレルゲンである小麦を使用していないにもかかわらず小麦と表示する場合、それから、常温保存できるにもかかわらず冷蔵を要する旨を表示する場合、それから、販売先が事業者に限られ、かつ、その販売先において誤食防止に関する周知が行われている場合などを想定しているところでございます。

 なお、具体的な内容につきましては、条例等により既に届出を求めている地方公共団体の運用状況も参考に、広く意見を募った上で、内閣府令に規定する具体的内容について検討することといたしております。

穴見委員 さまざまな方々にお伺いをすることによって決めたいということですから、現段階ではまだ具体的に示せるものというのは出てきていないという理解でよろしいんでしょうか。

橋本政府参考人 確定したものではございませんけれども、先ほど例として御紹介いたしましたように、アレルゲンである小麦を使用していないにもかかわらず小麦と表示するとか、ソバしか使っていないのにソバと小麦と表示した場合には、アレルギーのある人は必ず注意するものでございますので、それ自体で健康危害が生じないので、こういったものは入ってくるというふうに想定しているところでございます。

穴見委員 ありがとうございます。今後具体的な事例が示されたときにしっかりと見てまいりたいと思います。

 また、届出義務の対象範囲についてはある程度理解ができましたけれども、さらに、事業者が適切に届出を実施するためには、どのような事項についてどのように届出をすればよいかも明確にされている必要があると思います。

 法律案の第十条の二の第一項では、事業者は、内閣府令で定めるところにより、遅滞なく、回収に着手した旨及び回収の状況を届け出るとされております。この届出事項の内容及び届出手続を定めることとなる内閣府令の内容とはどのようなものになるのか、教えてください。

橋本政府参考人 御指摘の届出事項の内容及びその手続についてでございますけれども、回収に着手した旨とは、自主回収に着手した年月日、自主回収の理由、対象食品を特定できる商品名等、それからアレルゲンや期限表示の誤りにより想定される健康への影響などの情報を想定しているところでございます。

 また、回収の状況とは、自主回収に着手した後、対象食品の回収数量、回収終了日、健康への影響等を想定しているところでございます。また、回収対象が着手時よりも広がるなどの事情の変更があった場合の届出も想定しているところでございます。

 具体的な事項につきましては、事業者へ条例等により届出義務を設けている地方公共団体にも意見を募った上で、これも別途内閣府令により規定することとしているところでございます。

穴見委員 ありがとうございます。

 ただ、回収の状況等の報告ということで、また、速やかに遅滞なく報告をしなければならないという観点から考えたときに、リコールの必要を発見した段階で報告をする義務があるのか、ある程度リコールについての行動をとった後で報告をすればいいのかというようなところが少し曖昧なような気がいたしますので、そのあたり、もし明確なお考えがあればお示しいただきたいと思います。

橋本政府参考人 失礼いたしました。

 健康危害の発生を防止するためには、事業者が誤表示等に気づいた時点で食品の自主回収を行うことを決定し、直ちにその情報を食品の納入先に伝え、回収を開始するといった具体的な対応が重要であるとともに、行政への速やかな届出も重要であるというふうに考えているところでございます。

 そのため、事業者が回収に着手するとともに、遅滞なく当該情報を行政へ届け出ていただくように、事業者には普及啓発をしっかり行ってまいりたいと考えているところでございます。

 大変失礼しました。

穴見委員 ありがとうございます。

 通告より若干突っ込んだ質問で慌てさせてしまったようでありますけれども、私も実はこの対象になる事業者でもありまして、そのあたりを具体的に知りたいというところで、今の御答弁でいうと、そういう事案が起きたときには、リコールの実際の行動及び届出はほぼ同時ぐらいの想定をしている、できるだけ速やかに行政にも報告をさせたいというお考えということで理解をさせていただきました。

 そして、食品の表示ミスによる健康危害を防止するためには、先ほど答弁のあったような、アレルゲンや消費期限に関する表示ミスといった、食品の安全性に関する表示ミスを理由として行われる商品リコール情報について事業者から届出があった場合には、その情報を可及的速やかに消費者に対して提供する必要があると考えます。

 事業者が食品リコールを実施してから公表に至るまでには、どの程度の時間を要すると見込んでいらっしゃるでしょうか。特に、都道府県及び国がリコール情報の届出を受理した後には、その情報を速やかに公表できるようにすべきではないでしょうか。全国統一のシステムを活用したリコール情報の届出と公表について検討しているという点も踏まえて、答弁をお願いしたいと思います。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 事業者が食品リコールを実施して自主回収を行った場合、原則として事業者みずからシステムにリコール情報を入力することになり、入力された情報をオンラインで事業者の所在地を管轄する地方公共団体が確認し、消費者庁へ送付されます。その後、消費者庁が内容を確認した上で速やかに公表することとなります。

 この一連の手続はオンライン上で行われることから、基本的に、届出から公表まで速やかに至るものと考えています。

穴見委員 速やかという範囲がどの程度のスピード感なのかというのが若干気になるところではありますけれども、迅速に行われるものと期待したいと思います。

 また、食品の安全性にかかわる表示ミスを理由として行われる食品リコール情報を、システムを通じて国が一元的に集約し、公表を行うということでございますけれども、アレルゲンに関する表示ミス等は食品の安全性に関する情報であり、消費者にとって非常に重要な情報でもございます。積極的に消費者に対して発信していく必要があると思います。

 システムでリコール情報を一元化することも当然だと思いますが、一方、役所のウエブサイトに情報を掲載するだけでは、消費者がその情報を逐一確認することは難しく、表示ミスに関するリコール情報を見落とす心配もございます。確実に消費者へのリコール情報が伝わるんでしょうか。そのため、事業者から届出のあった食品リコール情報を広く消費者に発信する仕組みについてどのように整備を進めていかれるのか、お伺いしたいと思います。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 リコール情報については、消費者庁リコール情報サイトの掲示情報を絶えず更新することとあわせて、メールマガジンやSNSを活用した情報発信を行っております。メールマガジンやSNSの登録をすることによって、登録者に自動的に情報が配信されることでございます。少しでも多くの登録がなされるよう、リコール情報サイト及びメールマガジン等の情報発信ツールの存在をより広く周知する必要があると考えております。

 具体的には、アレルギー表示の欠落や誤表示に関する食品のリコール情報について、子育て中の家庭等、特に関心が高い消費者層に対して、さまざまな機会を活用し、メールマガジンやSNSの登録の呼びかけを行うことを取り組んでまいりたいと思っております。

穴見委員 現在、私もきょうスマホを使いながら質問させていただいておりますけれども、スマホ等を通じて多くの情報に触れているというのが現代人であろうかと思います。メールマガジンとかSNSの情報もあふれておりまして、その中で、新たな、また、めったに発生しない事案に関して、一般の消費者が登録をして情報をとるというのはよっぽど関心の高い方々だというふうに思いますけれども、それではなかなか国民に広く周知するというわけにはいかないんじゃないかな、その効果というものは非常に限定的になるんではないかという印象を持たざるを得ないんです。

 ちょっと通告にはありませんけれども、マスコミに対する公表、もちろん、ホームページ等で出ればその段階で公表ということではあるんでしょうけれども、うまくマスコミの情報伝達力を、また、今はネットニュース等もございます。そういうものでの情報伝達力というのは非常に大きなものがございます。こういったものを上手に活用して、本当に危機情報ですから、迅速に多くの消費者に届く必要があろうと思いますが、その件についてどのようにお考えか、御答弁いただければと思います。

橋本政府参考人 御指摘のとおり、せっかくこういった制度をつくった場合には、必要な情報が必要な人に届くということが非常に大事だと思っております。

 このため、いろいろな手段を用いてお伝えするようにしたいと考えておりまして、重大な案件では、例えば、プレスリリースをしてマスコミの方で広く報道していただくとか、それから、特に今回のことで重要だと思われますのは、多分アレルギー表示が一番影響が大きいと思いますので、アレルギーを持ったお子さんの親御さんは非常にアレルギー問題に関しては関心が高いと思われますので、そういった方々も念頭に置きながら、あらかじめ、こういった情報があるということを周知していきたいというふうに考えているところでございます。

穴見委員 ありがとうございます。ぜひしっかりと努力をしていただきたいと思います。

 また、食品リコール情報の届出制度を適切に運用するためには、届出者である事業者と実際に監視指導を行う地方公共団体の役割が非常に重要であるわけであります。この両者が本改正で導入される食品リコール情報の届出制度について十分理解していない場合、食品の安全性に関するリコール情報の正確かつ迅速な伝達に支障が生じることとなります。

 このような事業者及び地方公共団体には、制度の内容及び届出制度の仕組みについて十分理解していただき、改正法の施行までに十分な準備を行っていただく必要があると考えます。事業者及び地方公共団体に対する周知をどのように図っていくのかをお教えいただきたいと思います。

左藤副大臣 お答え申し上げます。

 地方公共団体に対しては、リコール情報の届出や公表を効率的に行う観点から、厚生労働省とともに連携し、システムを利用する上でのわかりやすいQアンドAを作成するとともに、説明会を実施する等、丁寧な対応に努めてまいりたいと思っております。

 また、事業者に対しては、消費者庁として説明会を実施することに加え、地方公共団体にも協力を依頼して、事業者向けの講習会やリーフレットの配布等を利用して周知を図っていく予定でございます。

穴見委員 今回のリコールの受理体制であるとか、又は発信体制であるとか、地方公共団体にとっては大変責任の重い仕事になろうかと思います。

 そういう中で、先日もこの消費者特の質問の中で指摘がされておりましたけれども、地方公共団体の中で消費者問題に関する専門部局を置いていないところが大多数であるというような御指摘もございました。

 今回、このような非常に重要な役割を地方公共団体が果たさなければならないという事態になったわけで、まあ、そういうことになっていこうと思いますので、その際には、また、これまでの消費者行政も含め、各地方公共団体の中で専門部局の設置に向けて、消費者庁からも強い働きかけをされるべきではないかなというふうに御提案を申し上げます。

 それと、行政庁に届出を出すということは、事業者にとっては少なからぬ負担となる部分もございます。この届出に過度な負担がかかると、事業者が届出をしないというおそれもございます。特に、中小零細事業者にとっては、従業員も少なく、手続に多くの労力を割くことはできません。また、リコールを実施する旨を広告等により周知するにも多くの経費がかかります。

 今般の法改正により、事業者が過度な負担を負うことなく届出を行うためにどのような対応を行う予定でしょうか、お教えください。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品リコール情報の届出につきましては、新たにシステムを構築する際に、事業者にとって使いやすく、負担の少ないシステムの実現に努めてまいりたいというふうに考えております。

 さらに、届出方法や事業者に対して届出を求める情報については、中小零細企業を含む事業者に対して負担とならないよう、わかりやすいQアンドA集を作成するなど、必要な事業者への配慮を行った上で、実効性のある運用となるよう検討を進めてまいりたいと考えております。

 それから、御指摘のとおり、広告を出すなどコストもかかるわけですけれども、自主回収の届出を行ったときのそういったコストについてですが、行政機関がシステムを整備して公表の一端を担うということで、むしろ、中小規模を含む事業者の公表に係るコストの軽減につながる場合もあるというふうに考えているところでございます。

穴見委員 私は、コストについても申し上げましたけれども、事業者がリコールの届出を行う、若しくはリコールそのものを行っていくことの大きな妨げとなっているのは、コストもそうですけれども、社会的な制裁というか風評というものも、内心のおそれとして届出をちゅうちょする、そういう原因にもなろうかと思います。

 ただ、こういったリコール届出をちゅうちょすることによって、その後、もしそういったことが実際の食品事件とかそういうことになったときの負わされる責任とか、又は社会的な信頼の失墜ということと比べれば、できるだけ早い段階でリコールをしていくということがその企業の存続についても非常に有益なことなんだということ、こういう認識そのものが中小零細の企業には非常に欠落しているのではないかな。むしろ、リコール情報を出すことによる事業の縮小、若しくは売上げの低下、こういったことを恐れてリコール情報を出さないという可能性も十分に考えられるわけでございます。

 そういう意味では、本制度の趣旨を周知していく上で、そういった、もしリコールをしなかったときに事故が起きたとき、より大きなリスクが発生をして、リコールをするということがそれを逆にヘッジしていくことになるんだということを、事例を含めてしっかりと事業者側に説明をしていただく。そういうことで周知を図っていかないと、事業者側がリコール届出をするというのは経営判断としても大変大きな決断の要る行動だと思いますので、そういうものがしっかり促されるような周知に努めていただきたいと思います。

 以上で質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

土屋委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 おはようございます。公明党の古屋範子でございます。

 質問時間が十五分しかありませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 本改正案におきまして、食品の安全性に重要な影響を及ぼす事項の表示の欠落、また誤表示をした食品を自主的に回収した場合についての届出が義務づけられることとなりました。これでようやく食品衛生法と一体的に自主回収情報が提供されることとなってまいります。

 まず、衛生法と表示法一体の自主回収情報を提供することでどのような効果を見込んでいるのか、これについてお伺いをいたします。

 さらに、特にアレルゲンなどの記載漏れは、アナフィラキシーショックを起こすなど、消費者の生命また身体に危害が発生することに直接つながることが多々あるものと認識をいたしております。食品の回収は迅速に、また徹底して行わなければならないと思います。

 今回の改正案では、回収に着手してから、その後に届出をすることとしておりますが、これでは、その間、健康被害が拡大をしてしまうのではないかと危惧をされます。着手をしてからではなく、記載漏れ、誤表示等がわかった時点で直ちに届出をすべきではないかと思います。この件についてお考えをお伺いをいたします。

左藤副大臣 お答え申し上げたいと思います。

 食品リコール情報の届出については、異物混入といった、食品が通常有すべき安全性を欠くことによりリコールを行う場合は、食品衛生法に基づきやります。

 そして、一方、食品が通常有する安全性が担保されているものの、アレルギーの表示欠落等、健康被害が生じるおそれがある不適正な表示によりリコールを行う場合は、食品表示法に基づきそれぞれ行うこととなっております。

 これらの二つの法律に基づくリコール情報を共通のシステムで一元的に把握することにより、消費者に食品リコール情報を迅速に提供することができるわけです。

 さらに、その情報によりリコール対象食品の喫食を避けることで、健康被害の発生防止が期待できることとなります。

 このため、二つの法律により届出制度の円滑かつそごのない運用を図るとともに、公表するリコール情報を消費者の方々に有効に活用していただけるよう、本法案の内容について周知を図ってまいりたいと考えております。

 それから、被害の問題でございますけれども、委員御指摘のように、健康被害の発生を防止するためには、事業者が誤表示等に気づいた時点で食品の自主回収を行うことを決定し、直ちにその情報を食品の納入先に伝え、回収を開始するといった具体的な対応が重要と考えております。それとともに、行政への速やかな届出が重要であると思っております。

 そのため、事業者が回収に着手するとともに、遅滞なく当該情報を行政に届出いただくよう、行政への普及啓発をしっかり行ってまいりたいと思っております。

古屋(範)委員 消費者の健康被害につながってしまうようなアレルゲンの誤表示は今までもあったと伺っております。今回の改正案によりまして、よりこれが安全対策の強化につながっていくものであると認識をいたしております。早期の成立を期していきたいと思っております。

 私は議員になって既に十五年になるんですが、議員になる前に、神奈川でアレルギーに関する約十四万人ほどのアンケート調査を行いまして、その結果を持って国会に参りました。その後も、こうした表示も含め、学校や保育園におけるアレルギー疾患のお子さんへの対策ですとか治療研究の推進など、ずっとアレルギー疾患対策に取り組んでまいりました。

 特に、二〇〇八年には議員立法に着手をいたしまして、二〇一四年、アレルギー対策基本法が全会一致で可決するまで、強力に反対する党もありまして、いろいろと苦労いたしましたけれども、成立まで諦めずに取り組み、基本法が成立をいたしました。

 この基本法を受けまして、昨年、アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針が策定をされました。各都道府県では、どの地域に住んでいても適切なアレルギー疾患に対する医療が受けられるよう、今、環境整備に取り組んでいただけることとなっております。

 医者に行っても治らない、こういうお声をいまだに伺うところでございます。どの地域に住んでいても適切なアレルギー疾患医療が受けられるためには、各都道府県でアレルギー疾患拠点病院が選定をされ、指定をされていくことが重要であると考えております。

 本年度予算におきまして、アレルギー疾患都道府県拠点病院モデル事業が行われております。この拠点病院の指定状況をまずお伺いをいたします。

 この成果を踏まえまして、追加的な体制整備が重要であります。そのために、来年度予算におきましてもさらなる財政支援が不可欠であります。全国の拠点病院の体制整備ができる予算の拡充また確保を確実に行っていただきたいと思います。この点について厚労省にお伺いをしてまいります。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 都道府県アレルギー疾患医療拠点病院につきましては、昨年七月より整備をお願いしているところでございますけれども、現時点までに、全国で十七府県におきまして既に指定されているところでございます。今後とも順次指定が行われる見込みでございます。

 また、アレルギー疾患対策を推進するための予算の関係でございますけれども、厚生労働省といたしましては、平成三十一年度概算要求におきまして、医療提供体制の整備、情報発信、研究等につきまして、平成三十年度予算が六億八千万円ほどでございましたけれども、三億八千万円ほど増加いたしまして、十億六千万円の予算の要求をいたしているところでございます。

 引き続き、必要な予算の確保を図り、アレルギー疾患対策の充実に努めてまいりたいと考えてございます。

古屋(範)委員 国民の三人に一人、あるいは二人に一人が何らかのアレルギー疾患があるとも言われております。その医療提供体制を整備していくために、やはり、まずは拠点病院を整備していくことが重要であります。まだまだ整備をしていない都道府県がございますので、しっかり推進をしていただきたいと思っております。

 厚生労働省の免疫アレルギー疾患研究戦略検討会がこの九月、報告書を取りまとめ、国として初めて免疫アレルギー疾患研究十か年戦略が策定されることとなりました。アレルギーの原因となる物質の特定や症状を抑える医薬品の開発は進んではいるんですが、多くの疾患で完全な治癒を目指す根治治療というのはまだ確立をされておりません。この課題に政府が本腰を入れて取り組む意義というのは非常に大きいものがあると思っております。

 やはり、アレルギー疾患があり学校に通うことが難しかったり、あるいは就業していく上でもそれがいろいろなマイナスとなってまいります。アレルギー疾患患者がライフステージに応じて安心して生活できる社会の構築を目指して、予防的、先制的医療の実現、世界に先駆けた医薬品の開発が進むことが期待をされております。

 基礎研究の充実を目的とした十か年戦略の策定によりまして、包括的な対策を進める上で必要な診療と研究の両輪がそろうこととなります。こうした治療法の開発に向けた研究は当然といたしまして、一人の患者を継続的に診ることができる医師の育成、医療機関の整備についても更に検討を進めていただきたいと思います。

 この十か年戦略のポイント、着実な戦略の実行についてお伺いをいたします。

吉永政府参考人 お答え申し上げます。

 免疫アレルギー疾患研究十か年戦略についてでございますけれども、先ほど委員から御指摘もございましたが、平成二十七年十二月に施行されましたアレルギー疾患対策基本法や、平成二十九年三月に告示されましたアレルギー疾患対策推進に関する基本的な指針に基づきまして策定することとしているものでございます。

 厚生労働省におきましては、本年七月から免疫アレルギー疾患研究戦略検討会を開催いたしまして、現在、報告書の最終取りまとめに向けて関係者が調整を行っているところでございます。

 本年九月二十五日に開催されました第三回の免疫アレルギー疾患研究戦略検討会におきましては、今後、免疫アレルギー疾患研究につきまして推進すべき柱といたしまして、免疫アレルギーの本態解明に関する基盤的な研究、免疫アレルギー研究の効果的な推進と社会構築に関する横断的な研究、ライフステージ等免疫アレルギー疾患の特性に注目した重点研究の三つを戦略的に行うこととされたものでございます。

 厚生労働省といたしましては、今後取りまとめられる報告書を踏まえまして、免疫アレルギー疾患研究十か年戦略を速やかに策定し、発症予防や重症化予防、生活の質の維持向上を図る取組を進めるなど、アレルギー疾患対策を強化してまいりたいと考えているところでございます。

古屋(範)委員 この十か年戦略がしっかりと策定をされ、着実に実行されていくよう求めていきたいと思います。

 アレルギー疾患を持つお子さんを持つ母親、保護者は大変苦労しております。食品を見ても、穴のあくほどその表示を見ながら、アレルゲン物質があるかないか、それとずっとつき合いながら子育てをしております。やはり学校での生活というものが非常に心配をされるところだと思っております。

 私も、十年前になるんですが、強く主張いたしまして、学校でのアレルギーガイドラインというものがつくられました。非常によい内容でありまして、学校生活に即して、また、いざという危機があったときとか、プールに入るとき、林間学校に行ったとき、そのような学校生活の場面に即してこのガイドラインがつくられました。しかし、これは校長、副校長、養護教諭だけではなくて担任の教諭にも徹底をしてほしいんですが、そこのところはまだ課題があるというふうに思っております。

 このガイドラインがまだまだ活用されていない、十分に徹底をされていないという状況もございます。管理指導表も医師の診断が伴っていないというものがあり、学校現場ではいろいろと混乱もあるところでございます。

 これを改定するということを伺いました。今回の改定を機にさらなる周知をしていただいて、全国全ての学校で活用されるよう文科省としても頑張っていただきたいんですが、文科省のお考えを伺います。

下間政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘の学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインにつきましては、平成二十年に公益財団法人日本学校保健会において作成したものでございます。これを各教育委員会、学校等に配付をいたしまして、アレルギー疾患に対する取組に活用されているところでございます。

 文部科学省といたしましては、アレルギー疾患を持つ児童生徒が学校生活を安心して送ることができるよう、学校におけるアレルギー疾患に対してはこのガイドラインに基づく適切な対応を行うよう、各種会議や講習会などを通じて周知徹底に努めてきたところでございます。

 現行のガイドラインが発行されて十年が経過しておりまして、その間、アレルギー疾患対策基本法の制定や新たな医学的知見の集積があったことを踏まえまして、現在、三十一年度中の完成を目指して日本学校保健会において改定作業を行っているところでございます。

 速やかに改定作業を進め、完成後は、各教育委員会及び学校等に配付いたしますとともに、御指摘のとおり、本冊子の内容が各学校において着実に理解されるよう、あらゆる機会を通じて普及啓発を図ってまいりたいと考えております。

古屋(範)委員 もう十年もたちましたので、いろいろと変化もあると思います。しっかりと改定を行っていただき、また、教育現場への普及徹底をよろしくお願いを申し上げます。

 今回の食品表示法の改正案、これを行うことによりまして、衛生法と一体で、より消費者の健康が守られるという改正案だと思っております。早期成立を求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

土屋委員長 古屋先生、ちょっとお待ちください。古屋先生、ちょっと申しわけない。副大臣から。

左藤副大臣 ごめんなさい。先ほど、答弁でちょっと言い間違いをしております。

 回収に着手するとともに、当該情報を行政へ届出いただくと、行政と私言ってしまいましたが、ごめんなさい、事業者への普及啓発をしっかりと行っていきたいということでございますので、訂正をさせていただきます。

 ありがとうございます。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、西岡秀子君。

西岡委員 国民民主党、長崎一区選出、西岡秀子でございます。

 本日は、質問の機会をいただきましたことを心より感謝を申し上げます。

 本日は、宮腰大臣に初めての質問をさせていただきます。

 大臣におかれましては、このたびの御就任、まことにおめでとうございます。

 大臣所信の中で、大臣は、消費者行政の現場である地方の消費者行政の強化拡大、充実というものをうたわれております。また、どこに住んでいても、年齢、性別、そして障害の有無にかかわらず、全ての方が消費者として守られるということをおっしゃっております。この思いでぜひ消費者大臣として取り組んでいただきますよう、心から御期待を申し上げます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 今回の食品表示法の改正の前提となります食品表示法について、まずちょっとお尋ねをさせていただきたいと思います。

 消費者庁は、平成二十一年九月一日に発足をいたしました。ちょうど来年、十年目という大変大きな節目を迎えられるというふうに存じておりますけれども、この消費者庁ができましたのは、縦割り行政の中で、真に消費者の立場に立った消費者行政が一元的に包括的に推進をされ、消費者が主役となる安心、安全な生活が保障されるということをもとに、そのかじ取り役としての大きな使命のもとに発足したというふうに理解をいたしております。

 その意味で、食品表示法というのは、従来三つの法律にまたがっておりました表示という面で、一元的な食品表示の管理の法律を定めたものと理解をいたしております。まさに、この消費者庁が発足をした意義を具現化する法律ではないかと思っております。

 この食品表示法が成立をいたしまして、今この状況の中で、一元化したことによって、その効果ですとか、また、こういう面で大変いい状況が生まれてきているというような経過、そして、今検証されているということがありましたら、教えていただきたいと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品の表示につきましては、御指摘のとおり、従前、食品衛生法、それから農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、そして健康増進法の三法がありましたが、目的の異なる三法それぞれに表示のルールが定められていたため、制度が複雑でわかりにくいとの指摘を受けておりました。

 こうしたことを踏まえ、食品の表示に関する規定を統合した包括的かつ一元的な食品表示制度として、平成二十五年に食品表示法が制定され、平成二十七年四月に施行されました。その意味で、制度が複雑でわかりにくいという指摘に対して、法律を統一してわかりやすくしたということが言えると思います。

 それから、食品表示法におきましては、食品に関する表示が、食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関して重要な役割を果たしているということに鑑み、食品の表示の基準の策定その他の必要な事項を定めているところでございます。

 そして、食品表示については、消費者委員会やそのもとに置かれた食品表示部会でも検証や御議論をいただいているところでございまして、例えば、ことしの八月から、消費者委員会食品表示部会において食品表示の全体像について議論が開始されたというところでございます。

 消費者庁としては、それらの結果も踏まえた上で、今後、食品表示のあり方について必要な検討を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 食品表示法が成立をしましてから、また、本当に目まぐるしい状況で今、日本の社会状況が変化をして、情報社会の進展、社会構造の変化に伴いまして、私たち消費者を取り巻く環境も大きく変化をいたしてきております。

 近年の食品表示に係る問題点ですとか課題というものがございましたら、ぜひ教えていただきたいと思っております。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 当面の食品表示に係る問題点や課題といたしましては、まず、昨年十二月二十日に消費者委員会が取りまとめた食品衛生規制等の見直しに関する意見というものがございまして、この意見にありますとおり、食品リコール情報の把握というものがあると考えております。

 そのほかに、現在、食品表示については、消費者委員会の食品表示部会で議論されているところでございますけれども、もっと文字を大きくできないかとか、それから、インターネットでの情報提供ができないかといったさまざまな意見が出されていると承知しております。

 今後は、食品表示部会での議論も踏まえまして、食品表示のあり方についていろいろ検討していきたいと考えているところでございます。

西岡委員 今おっしゃられたように、文字の大きさというのが、今大変高齢化社会になっておりまして、ただ、その表示をする面積の関係も含めて大変難しい状況があると思いますので、例えばQRコードですとか、そういう中で消費者にやはりたくさんの情報を提供するということは大切なことであるというふうに思いますけれども、現実的に物理的に難しい面もあると思いますので、今後、さまざまな検討をしていただくことをお願い申し上げたいと思います。

 先ほどから質問の中でもあっておりますので、一部重複いたしますけれども、今回の食品表示法の改正案の意義、そしてこれから期待されることについて、簡単にお伺いをしたいと思います。

宮腰国務大臣 お答えいたします。

 さきの通常国会で食品衛生法改正案が成立をいたしまして、その際に、食品衛生法に違反した場合のリコール情報届出制度が創設をされました。また、その際の附帯決議におきまして、食品表示法における措置についても早急に検討を行うこととされたところであります。

 こうした国会の御要請を真摯に受けとめ、政府において検討を進めた結果、今般、事業者が行う安全性に関する表示の不備を理由とした食品の自主回収に関する情報を国へ確実に届出する仕組みを構築するため、本法案を提出したところであります。

 これによりまして、食品衛生法上の制度とあわせ、食品リコール情報の消費者への一元的かつ速やかな情報提供を行い、表示不備のあるリコール対象食品の喫食を防止し、健康危害の発生を防止することが可能となるというふうに考えております。

西岡委員 大臣、ありがとうございます。

 今大臣のお話の中でもございました、今回の改正は、食品衛生法の改正と一体となった改正であると理解をいたしております。

 この食品衛生法改正による食品のリコール情報報告義務制度について、今、厚労省として、その具体的な制度設計に取り組まれているというふうに思っております。消費者にとっては、食品衛生法違反なのかとか食品表示法違反なのかということは、消費者の立場からすると全く問題ではなくて、いかに迅速に消費者にその状況を知らせ、健康被害を未然に防ぐかということが大変重要なことであると思っております。その意味でも、厚労省との連携ですとか、これからの一体的な取組が重要となるというふうに思っております。

 この食品衛生法の改正については、さきの六月に公布をされました。今、厚労省の方でどのような取組状況で進んでいるかということについてお尋ねをしたいと思います。

宮嵜政府参考人 お答え申し上げます。

 さきの通常国会で成立、公布されました食品衛生法等の一部を改正する法律では、広域的な食中毒対策の強化とか、HACCPに沿った衛生管理の制度化、それから、食品リコール情報の報告制度の創設などを内容としておりまして、公布の日から、改正事項によって異なりますが、一年から三年以内に施行するということとしております。

 現在、施行に向けまして、厚生労働省の検討会等において、関係者の意見を聞きながら、政省令等の内容について議論を行っているところでございます。また、本年十一月下旬から十二月中旬にかけましては、全国七ブロックにおいて説明会を開催し、自治体、事業者及び消費者などから広く御意見を募ることとしております。

 特に、食品衛生法違反の食品等に係るリコール報告の創設につきましては、公布から三年以内に施行するということとしておりまして、現在、検討会におきまして、関連する省令等の素案の検討、それから、届出に使用される電子申請システムの開発などを進めているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 今お話がありましたように、食品表示法の改正案につきましても、三年間という、一応三年以内という期限を設定されております。この三年間というのは、私が思うに、やはり、システムを構築するですとか、さまざまな関係の皆さんの御意見を聞く、その中で、厚労省とも一体的な取組をしていくという三年間であるというふうに思いますけれども、この三年間の間にもさまざまな消費者被害ですとか、特にアレルゲンについては、先ほど古屋先生からも大変重要なお話がございましたけれども、子供たちの健康に大きな影響を与えることでございます。

 この報告制度について、この三年間の間に独自に消費者庁として取り組まれる、そのような取組があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。

橋本政府参考人 御指摘のとおり、システムの構築までは一定の期間を必要としておりますけれども、確かに、アレルギーによる自主回収の情報とか、アレルギーを持っている方にとっては非常に重要な情報となりますので、システムが構築できる前でも、地方公共団体に御協力をお願いしつつ、できる限り情報を提供するなど、取組の検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

西岡委員 ぜひ、三年以内で施行される前に、そのような取組を、地方公共団体とも十分御議論いただいた中で、実現をしていただきたいというふうに思っております。

 これはちょっと通告はさせていただいておりますけれども、具体的な事例はなかなか難しいということでございましたけれども、海外における食品リコール報告制度というものについて、もし若干教えていただけることがあれば、お願い申し上げます。

橋本政府参考人 今般の法改正につきましては、米国やEUの制度を参考にいたしておりまして、基本的には同じ仕組みというふうに考えているところでございます。米国やEUにおきましては、食品のリコール情報につきまして、表示の誤りに係るものも含め、食品による健康危害の発生の防止の観点から、消費者に提供されるべきものとされておりまして、リコール情報の収集や情報提供に関して政府が対応しているというふうに承知しているところでございます。

西岡委員 今、この改正案を見ていったときには、危険性のあるものについて報告義務が課されておりますけれども、業者が自主回収をする中で、危険とまでは言えなくても、さまざまな問題がある自主回収事例があるというふうに思いますけれども、その基準と申しますか、この報告義務を課す課さないというような、例えばガイドラインですとか、そういう基準というものについて今後方針というものがあれば、お尋ねをさせていただきたいと思います。

橋本政府参考人 まず、食品関連事業者が行う自主回収でございますけれども、食品表示法に関連していいますと、表示不備がある食品について自主的に当該食品を回収するという場合を指しておりますが、現状では、食品関連事業者等により行われている自主回収は、食品表示法に違反した場合や、当該事業者等の自主基準に満たない場合などにおいても、当該事業者等の自主的な判断に基づいて実施されているという実態があると承知しております。

 それで、報告義務を課す範囲につきましては、安全に影響があるものということでございまして、それで、一部のものについては政令で除外するということにしておりますが、例えば表示のミスでいいますと、除くものとしては、先ほどもちょっと御説明しましたけれども、小麦しか使っていないのに小麦とソバと書いたとか、そういったものについては、小麦のアレルギーの人は十分注意できますので、そういったものは義務まで課すものではないということで除外するとか、そういった具体的なものについては、今後いろいろな意見を承りながら検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

西岡委員 今おっしゃいましたように、さまざまな専門的な知見も含めまして、ぜひ幅広く、健康被害が未然に防げるということに視点を置いた中での制度設計にしていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、第十条の二の第一項についてお尋ねをしたいというふうに思います。

 ここでは、食品関連事業者等は、第六条第八項の内閣府令で定める事項について食品表示基準に従った表示がなされていない食品の販売をした場合において、当該食品を回収するときは、遅滞なく、回収に着手した旨及び回収の状況を内閣総理大臣に届け出なければいけないとするというふうに規定をされております。

 先ほども穴見委員の方から御指摘がありましたけれども、遅滞なくという言葉がここで使われておりますけれども、消費者の生命にかかわる危害が発生する可能性が高いという状況を考えますと、一刻も早い対応というものを、その食品を購入した消費者に伝えるということが大変必要であると思っております。

 例えば、この言葉にかわって、直ちにとか速やかにという文言が私は適当ではないかというふうに考えますけれども、この文言にしたことについて御説明をいただきたいことと、このような、すぐにというか速やかにというような文言ということではいけないのかどうかということについてお尋ねをいたします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 その前に、先ほど、除外するのを政令と申しましたけれども、内閣府令でございましたので、済みません、訂正させていただきます。

 今回、安全衛生に関する表示不備のある食品は、健康危害が発生するおそれがありますことから、事業者が自主回収を実施した旨については早期に届出いただく必要がある一方、健康危害の発生を防ぐための正確な情報を事業者が実行可能な期間で整理することにも配慮する必要があるため、条文上は、遅滞なく届出をさせることとするのが適当と考えております。

 他方、健康危害の発生を防止するためには、事業者が誤表示に気づいた時点で食品の自主回収を行うことを決定して、直ちにその情報を食品の納入先に伝え、回収を開始するといった具体的な対応が重要であるとともに、行政への一報も含めまして、速やかな届出も重要であるというふうに考えておりますので、事業者が回収するとともに、遅滞なく当該情報を行政へ届け出ていただくように、事業者への普及啓発をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。

西岡委員 次に、ちょっとお尋ねしようと思っておりましたけれども、着手した旨の届出という文言になっておりますので、ここについても、その事案が判明した時点での届出ということでも、私はそのスピードを考えるといいのではないかというふうに思いますけれども、この自主回収の事案が判明した時点ですぐ届出をするということについては、先ほどおっしゃったような正確な情報把握という意味でこういう文言になっているんでしょうか。重ねてお尋ねをいたします。

橋本政府参考人 現実は、健康危害の防止のためには、事業者が納入先等に表示の不備による健康危害のおそれがあるということを伝えるなど、当該食品の流通をとめるといった具体的な行為を迅速に行うことが有効であるということはもうおっしゃるとおりだと思います。

 それで、この法案の届出は、実効性を担保するなどのため罰則の対象としているということでございまして、罰則の適用に当たっては、自主回収に着手した旨の届出を故意にしない、あるいは虚偽の届出をした場合を対象としておりますが、これは、実態上、リコールの意思決定から回収の着手までの時間は極めて短いと考えられること、また、自主回収の着手前の意思決定の段階で届出を求めた場合、外形的に明らかでない段階で罰則の対象となるため、罰則の適用要件が曖昧となってしまうというおそれも生じてしまうことから、自主回収に着手した上で届出を遅滞なくしていただくことが適切であるというふうに考えているところでございます。

 なお、さきの通常国会で成立いたしました改正食品衛生法におきましても、着手した旨の届出を義務づけているところでございます。

西岡委員 次に、時間が余りありませんので、地方自治体の負担についてお尋ねをいたしたいと思います。

 既に、地方自治体行政機関等においては、条例等で自主的に食品の回収を行う旨の届出を規定している自治体が多くございます。今回の法改正によって条例の改廃等の必要性が発生をしたり、又は、実際は、政令で委任を受けた都道府県知事等への報告が届出となることによって地方の業務量が増加するということも大変懸念をされております。また、新しい法改正によって地方自治体に財政負担が生じる可能性というのはないのかどうかということについても心配をいたしておりますけれども、地方自治体の今回の改正による負担についてお尋ねをいたします。

橋本政府参考人 地方自治体の負担についてでございますけれども、現在、地方自治体自身で報告を求めているところも相当数ございますので、それに対して、確かに新しいところについては新規にということでふえることになりますけれども、現在の地方自治体の届出事務は基本的には紙ベースの報告ということになっているところ、今回はシステムを導入するということで、そういった面の軽減はあるのではないかなというふうに考えております。

 それから、地方自治体の業務量の増加、そういったものも勘案しながら、どういった支援が考えられるかはちょっと検討してみたいというふうに考えております。

西岡委員 済みません、財政負担についてどのように考えていらっしゃるかということについてもお聞きをしたいと思います。

橋本政府参考人 先ほど少し触れましたけれども、現在、条例に基づく届出制度は、書面、紙ベースのもので地方公共団体に直接あるいは郵送で提出されているなどの対応をされていることが多いということで、こういったところでは、本制度の導入後については、システムを利用することによって、この面では一定の事務負担の軽減効果も期待できるのではないかというふうに考えているところでございます。

西岡委員 十分に地方自治体の意向についてよくお話を聞いていただいた中で取り組んでいただきたいというふうに思っております。

 今のお話では、新しい財政負担は発生をしないという理解でよろしいでしょうか。逆に、今の紙ベースの報告よりも効率化をしていくという理解でよろしいでしょうか。

橋本政府参考人 現在報告制度を持っているところについては一定の事務の軽減は図られるのではないかと思いますが、全体的に事務の負担が減るかどうかというのは、実際の届出件数とか事務の状況もきちんと見たいというふうに考えているところでございます。

西岡委員 それでは、集めました情報をどのような形で消費者、国民に知らせていくかということについてお尋ねをしたいというふうに思っております。

 消費者団体からは、この情報提供については、情報の一元化に当たって、情報を網羅した上で危険度をランク分けするなど、リスクに応じて重要度を消費者が確認できるシステムにしてほしいという旨の要望が出されていると聞いております。

 先ほども申し上げましたけれども、消費者にとっては、食品衛生法か表示法かという法律は関係なく、食品リコール情報全体がわかりやすい形で提示をされることが必要であるというふうに思っておりますけれども、このことについてお尋ねをいたします。

橋本政府参考人 食品の自主回収情報はやはり一元的に見られるということが非常に重要でございますので、そこは、厚生労働省が構築中の食品のリコール情報を一元化するシステムの運用をきちんと連携を図りながらやっていきたいと思います。

 それから、先生御指摘の自主回収情報の危険性ごとの分類、整理についてでございますけれども、消費者にとってのわかりやすい公表方法を検討する際に、あわせて検討することとしたいと考えているところでございます。

西岡委員 情報提供については、インターネットですとかSNSを活用されるというふうに思いますけれども、このような、インターネットですとかそういう環境になかなかアクセスすることが難しい高齢者の皆さんを含め、この情報を幅広く国民の皆さんに、消費者の皆さんにお届けするために、このためにどのようなことを考えられているのかということについてお尋ねをしたいと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品の自主回収情報は、先ほど申しましたとおり、厚生労働省が構築中の食品のリコール情報を一元化するシステムによるという公表がございますけれども、それだけにとどまらず、特に健康危害の発生につながる情報に関して、消費者庁としては積極的に周知するということが重要と考えております。

 具体的には、御指摘のとおり、SNSを使うとか、それからプレスリリースを活用した注意喚起とか、それから、消費者庁リコール情報サイトに厚生労働省のシステムに掲載される情報のリンクを掲載するといったことを行うほか、アレルギー表示の欠落や誤表示に関する回収情報について、子育て中の家庭等の関心が高い消費者層に対して、メールマガジン、それからSNSの登録の呼びかけ等に取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

 そして、議員御指摘のとおり、情報へのアクセスが難しい高齢者等への情報発信も重要であると考えておりますので、地方公共団体の消費者関連部局への周知とか、地域の広報誌による掲載依頼などの働きかけを行うなど、検討してまいりたいと考えているところでございます。

西岡委員 ぜひ、そのような方への情報を周知徹底する方策について十分御検討いただきたいというふうに思っております。

 次に、今、訪日外国人ですとか在日外国人の方が大変日本に多くいらっしゃいます。訪日外国人の方については、ことしの九月現在で二千三百四十六万八千五百人。これは、去年の年間ベースを既に上回っている数字でございます。そして、訪日外国人の消費動向については四兆円を突破したということで、前年比一七・八%増となっております。また、在留外国人の方についても、前年比十七万人も増加をしているという状況がございます。

 この外国人の皆さんに向けた食品表示のあり方というのが大変重要になってくるというふうに原則的に思いますけれども、今回の回収情報というものを、このような方々に、外国人の方にも周知をしていくというのが大変重要であるというふうに思いますけれども、このことについてぜひお話を伺いたいというふうに思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品の表示制度は、各国におきまして、国際規格であるコーデックス規格に準拠しつつも、その国の生産、流通、消費事情等も踏まえて規定されているというところでございます。

 一方、御指摘のとおり、外国人観光客も年々増加している中、二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックの開催が予定され、さらなる増加が見込まれるところでございます。

 そのため、消費者庁としては、これら外国人観光客に向けた対応として、特にアレルゲンなど安全性に関する表示事項について解説した英文のパンフレット等を作成して、こういった方々が情報にアクセスしやすくなるようなことを検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

西岡委員 ありがとうございます。

 ぜひ、さまざまな御検討をいただきたいというふうに思っております。

 最後になりますけれども、この食品表示について、子供たちへの消費者教育の中で、食品表示というものをぜひ子供たちに幼少期から知らせていくということが私は大変重要なことであるというふうに思います。食品表示の見方ですとか、こういう重要な情報が書かれているということを消費者教育の中でぜひ取り組んでいただきたいというふうな思いがございますけれども、このことについて最後にお話をいただければと思います。

安藤大臣政務官 お答えいたします。

 食品表示に関する制度の内容について、子供を持つ親を含め、わかりやすい形式で消費者の理解増進を図っていくことは、消費者の自主的かつ合理的な食品の選択の機会を確保する上で重要なことであると考えており、平成二十七年三月に閣議決定された消費者基本計画においても明記されているところです。

 これまでも、消費者庁としては、新たな食品表示制度に係る全国説明会の開催や、普及啓発用資料の作成を行い当庁ウエブサイトに掲載するなどの取組を行ってきたところです。

 現在、消費者と接する機会が多く、食品に関する幅広い知識を有している管理栄養士や消費生活相談員の方々などに食品表示制度について理解を深めてもらうことにより、その方々を通じて消費者に食品表示制度が浸透するよう、普及啓発に取り組んでいるところです。

 引き続き、こうした取組を通じて、子供たちを含め、食品表示への理解促進を図っていきたいと考えております。

西岡委員 ありがとうございます。

 今回の改正によって、リコール情報提供については、さまざまな関係、地方も含めまして、十分な現場の声を聞いた中での制度設計をぜひお願いをしたいというふうに思っております。

 これで質疑を終わらせていただきます。ありがとうございます。

土屋委員長 次に、山本和嘉子君。

山本(和)委員 立憲民主党・市民クラブの山本和嘉子でございます。

 このたび、消費者問題における特別委員会におきまして初めての質問をさせていただきたいと思います。

 きょうは、法律案のこと、また食品表示に関すること、安心、安全についていろいろとお聞きをしたいと思います。

 法案質問に関しましては、若干ほかの委員の方と重複するかもしれませんが、その点をお許しいただければと思います。

 食品表示法の一部を改正する法律案に関して、まずお伺いをいたします。

 本改正案は、新たに十条の二を新設し、食品回収情報の行政機関への届出と行政機関による公表を義務づけるものとお聞きをしております。その対象は、六条の八項の内閣府令で定める事項としています。

 十条の二項では、生命や身体に危険を及ぼすおそれがない場合を除くとしていますけれども、この除くという意味、要は、適用除外というものが一体どういうものを指しているのか、そういったことがちょっと詳しくよくわからないものですから、どこまでが届出や回収の義務となって、どこからが除外なのか、例などを挙げて御説明をいただければと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 今般の改正では、御指摘のとおり、アレルゲン、消費期限といった食品の安全性に重大な影響を及ぼす表示や誤表示がある食品について事業者等が自主回収を行った場合に、行政への届出を義務づけるものでございます。

 国としても、こうした事案が発生しないように、食品の安全性の確保に取り組んでまいりたいと考えておりますが、法令上、食品製造事業者等が食品の安全性の確保の責務を有することから、当該食品の取扱いについては、個々の事情を勘案しつつ、一義的に当該事業者が回収を判断することとなります。

 そして、届出義務の対象外についてでございますけれども、例として今想定しておりますのは、誤表示はあるものの健康被害の発生のおそれがないものとして、アレルゲンである小麦を使用していないにもかかわらず小麦と表示する場合とか、常温保存できるにもかかわらず冷蔵を要する旨を表示する場合などを想定しているところでございます。

山本(和)委員 確認なんですけれども、今のところ、適用除外に関しましては、安全性に関しての問題はないという認識でよろしいんでしょうか。

橋本政府参考人 誤表示はあるものの健康危害発生のおそれがないというものを想定しているところでございます。

山本(和)委員 今回の法令の課題の一つは、生命や身体に危険を及ぼすおそれがない場合を除くという基準、回収や報告の義務が事業者だけに期待されているということのために、回収をするしないの判断は事業者任せにしている部分があると思います。

 事業者が判断しやすいように、あるいは消費者からも注意喚起しやすいような判断の仕方について、先ほど、QアンドAでありますとかガイドライン又は説明会というふうなこともおっしゃっておられました。施行までの期間、それらはどれぐらいの頻度で行われるのか、また、どういったそういう判断に関する参考例なんかが想定されるのか、ちょっとその辺、詳しく教えていただけますでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 こういった中身についてはきちんと地方公共団体及び事業者に周知を図ってまいりたいと考えておりますので、その回数等々につきましては、今後、十分に検討して、きちんと周知ができる十分な回数を実施していきたいというふうに考えているところでございます。

山本(和)委員 ということは、まだ参考例とかそういうことは想定とかはされていないということでよろしいですか。

橋本政府参考人 特に具体的な回数等は決めているところではございませんので、必要な回数、きちんとやりたいというふうに考えているところでございます。

山本(和)委員 六条の八の内閣府令で定める事項について、食品基準に従った表示がされていない食品を販売した場合において、該当する食品を回収するときは、先ほどから皆さん質問されていますけれども、遅滞なく、回収に着手した旨及び回収の状況を内閣総理大臣に届け出るべきというふうになっております。

 この遅滞なくというのは、どのくらいの日数、時間を想定されているのか、そのあたり、教えてください。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 遅滞なくというのは、具体的に期間が定められているものではございませんのですけれども、事業者が販売先や数量等の把握に必要な時間とか、届出、入力に必要な時間とか、そういったケースごとに事情を勘案して判断されるというふうに考えております。

山本(和)委員 やはり速やかに届け出るということが必要なのではないかなと思うんですけれども、今おっしゃった個別の事案ということであれば、例えば、アレルギーなど命にかかわるような重要な情報、アレルギーなどはそういう重要な情報だと思うんですけれども、それが回収という状況に至るまで明るみに出ないことになってしまわないかというのは懸念だと思います。

 例えば、自主回収を決める前に、事業者が保健所に相談したり調査を行っている間、回収することが確定しなくても、注意喚起を促すようなそういう仕組みが必要ではないかなとも思います。

 そこで、食品表示法について、これまで指導、指示、命令、それぞれどれぐらいあるのか、教えていただけますでしょうか。

小林政府参考人 お答えいたします。

 平成二十九年度の食品表示法違反に係る執行実績といたしましては、国においては、指示を十一件、指導を二百三十一件行っております。また、地方公共団体もこの執行を行っておりまして、平成二十九年度におきましては、命令を二件、指示を十件行っているほか、指導につきましては、夏期及び年末の一斉取締り期間において合計四千三百六十六件の指導を行っているというところでございます。

 今後とも、国と地方公共団体が連携して、食品表示法違反の監視指導に積極的に取り組んでまいります。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 今数字をお聞きいたしましたけれども、地方公共団体も含めて、指導というものがほとんどの件数なのかなとも思います。この中には、自主回収しているケース、していないケースもあると思います。指導については具体的な内容も把握できていないのかなとも思うんですけれども、今回の法案が成立することによって、回収について全体の数及び事例が全て把握できるという理解でよろしいんでしょうか。

橋本政府参考人 今回の法律によって、自主回収した場合の届出が義務づけられますので、全体について把握できるというふうに考えているところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 時間とお金をかけてシステムをおつくりになるということも聞いておりますので、問題が確認された場合、速やかに消費者の安全性が確保できるよう、そのあたり、運用面も御検討いただきたいと思っています。

 続きまして、現在、消費者委員会食品表示部会におきまして、食品表示の文字を大きくするために絞るべき情報とその提供方法などを議論されているというふうに聞いております。確かに表示を見やすくすることは重要だと思いますけれども、一方で、現状の日本の食品表示が十分かといえば、むしろ、消費者にとって本当に必要な情報が不足しているのではないかなという懸念もあります。それは諸外国の食品表示と比べても明らかだと思います。

 お配りした資料がございますけれども、これは、同じドレッシングの表示、韓国と日本の比較をお示ししております。その原材料、おめくりいただいてごらんいただければと思うんですが、日本では食用植物油脂となっていて原材料はわかりませんけれども、韓国では菜種油と記されています。また、日本では醸造酢となっておりますが、お酢かなと思ったら、韓国の表示では、酒精、すなわちエチルアルコールが添加されているということがわかります。日本ではアミノ酸液となっていて、何だか体によさそうな表記でありますが、韓国では、L―グルタミン酸ナトリウム、5―リボヌクレオチド2ナトリウムと具体名が書いてございます。必ずしも体によいものではないのかなというのもわかりますけれども、日本では単に増粘多糖類となっていますが、韓国では、タマリンドガム、キサンタンガムと複数の物質であるということも見ていただいてわかると思います。増粘多糖類には、アラビアガムのようにアレルゲンとなる物質もあるために、本来は具体名の表記が望まれます。果糖ブドウ糖液は、どちらの国も同様に表示されています。ブドウ糖と名前に入っているので果物由来のように思われがちですが、多くは、遺伝子組み換えトウモロコシなどのでん粉を酵素や酸で分解してつくったシロップであるということでございます。

 韓国の表示は、消費者がその内容を調べようと思えば調べられる程度には表示がされていることがわかります。日本の表示は、何が入っているのかが特定できません。先ほど西岡秀子議員からも指摘がありましたけれども、消費者が商品を選ぶために必要な情報を表示する必要があると思います。

 この点について、消費者庁の御見解を伺いたいと思います。消費者は、アレルゲンだけでなくて、どんな物質が入っているかも知りたいと思っていると思いますので、お願いします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品表示法に基づく食品表示基準は、食品の表示に関する国際標準となります包装食品の表示に関するコーデックス一般規格に準拠して規定されているものでございます。

 各国、コーデックス一般規格に準拠しておりますけれども、その具体的な応用につきましては、各国それぞれの事情によって定めているというところでございます。

 そして、例えばアレルゲンの表示に関して言いますと、日本では、特定原材料である小麦を原材料で使用した場合、小麦が含まれることを確認できるように表示することとしている。それから、例えばソバが入っていれば、ソバと表示する。他方、ヨーロッパなどでは、ソバはアレルギーの表示の対象となっていない。各国それぞれの事情によっているものでございます。

 それから、あと、食品添加物の表示も、各国それぞれ定めているところでございますけれども、消費者基本計画におきまして、実態を踏まえた検討を行うということとされておりますので、消費者庁としては、有識者から成る検討会を立ち上げて、できる限り早い時期に、食品添加物の表示のあり方に関する検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 消費者にとりましては、アレルゲンだけでなくて、どういうものが入っているかということは知りたいとは思っていると思います。必要な情報を伝えるという視点に立って、そういう食品表示に関する議論を進めていただきたいと思います。

 食品表示法改正案において、内閣総理大臣へ届出対象となる表示義務違反は、アレルゲン、保存方法、消費期限の、食品を摂取する際の安全性に重要な影響を与える事項に限定されています。十条の二項の件ですけれども。

 この安全性というのは、国が最低限の基準を定めることは大事だと思うんですが、安全の定義は個人や家庭によって違うというふうにも思います。アレルギーやアトピー症状のある方の御家庭では、より厳しい基準にならざるを得ないと思います。

 食品表示法の目的は、安全性の確保だけでなくて、消費者の自主的、合理的な食品の選択の機会を確保することだとも思います。例えば、原産地でありますとか、有機農産物かどうか、遺伝子組み換え食品かどうか、そういった情報も大事だと思うんですが、にもかかわらず、今回は回収と報告の義務、国が定める安全性に重要な影響を及ぼす事項に限定した理由はどういったところにあるのでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 まず、食品の表示は、食品を摂取する際の安全性の確保という点と、自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保という点について、両方に関して重要な役割を果たしていると認識しております。

 一方で、食品を摂取する際の安全性の確保というものは、まさに国民の健康や身体の安全の確保に関するものであるという点におきまして、自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保と比べて、更により優先度の高い役割であるというふうに考えているところでございます。

 そしてまた、食品の自主回収でございますけれども、これは、本来事業者がみずからの経営判断において行うべきものというところでございますので、そのような事業者が主体的に行うべき食品の自主回収に対して、罰則を担保として届出義務を課すということについては、国民の健康や身体の安全の確保といった優先度の高い事項に限定して義務づけの対象とすることが適当と考えているところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 施行まであと三年ということでございますけれども、しっかりそのあたり、議論を深めていただければと思います。消費者の立場にも立っていただいて議論をしていただければとも思います。

 続きまして、日本での遺伝子組み換え食品の表示のあり方についてお聞きをしたいと思います。

 日本では、食品において、遺伝子組み換え由来の原材料五%以下のものについて、今、遺伝子組み換えでないというふうに任意で表示をすることになっております。

 一方で、遺伝子組み換え食品について、一部の対象食品については、五%以上含まれる場合は表示義務があります。EUでは、食品について、遺伝子組み換え農産物を〇・九%以上含む全てのものに対して表示及びトレーサビリティーを義務づけています。遺伝子組み換えでないと表示するには、混入が〇・九%以下でなければならないという状況だと思います。

 日本とEUには遺伝子組み換え食品に関しての考え方の違いがあると思いますけれども、一方で、政府は、遺伝子組み換え食品に関する表示制度を二〇二三年四月からスタートさせる方針というふうにも伺っています。表示義務の対象食品は据え置く一方で、混入率五%以下から不検出、つまり〇%に引き下げるということでございますけれども、この方針転換についてどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 遺伝子組み換え表示制度につきましては、昨年度開催いたしました遺伝子組換え表示制度に関する検討会の報告書を踏まえて、食品表示基準に規定されている遺伝子組み換えに関する任意表示の制度改正の手続を現在行っているというところでございます。

 御指摘のとおり、現行の任意表示につきましては、分別生産流通管理を実施した非遺伝子組み換え農産物及びこれを原材料とする加工食品には、遺伝子組み換えでないとか遺伝子組み換えでないものを分別など、分別生産流通管理が行われた非遺伝子組み換え農産物である旨を任意で表示することができるというものでございます。

 これに対しまして、改正案は、消費者の誤認防止や消費者の選択の機会の拡大の観点から、分別生産流通管理を実施して、遺伝子組み換え農産物の混入を五%以下に抑えているものについては、適切に分別生産流通管理をしている旨、事実に即した表示ができるということとして、さらに、遺伝子組み換え農産物の混入がない原材料を使用している場合には、遺伝子組み換えでない旨の表示を認めることとするという内容で進めております。

 現在、消費者委員会食品表示部会にパブリックコメントの結果をお示しした上で、この改正案を御議論いただいて、より消費者の皆様の食品選択に資する制度となるよう、食品表示基準の改正作業を進めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

山本(和)委員 ありがとうございます。

 二〇二三年四月からスタートさせるということなんですが、不検出、五%以下に引き下げるという、生産者にとっては厳しい条件かもしれませんけれども、消費者にとっては、より安全なものが確保できるのではないかという施策だと思うんですが、二〇二三年だとちょっと遅いんじゃないかという意見もあります。早くスタートできればいいのかなという御意見もお聞きしておりますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 時間になりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 おはようございます。立憲民主党の初鹿明博です。

 済みません、ちょっと風邪を引きまして、喉の調子が悪くてお聞き苦しいところもあると思いますが、お許しをいただきたいと思います。

 きょうは食品表示法の改正案の審議でございますけれども、ちょっとその前に、最近ちょっと気になることがありますので御確認をさせていただきたいということで、お手元に資料をお配りをさせていただいております。

 来年の秋に消費税を一〇%に引き上げ、その際に軽減税率を導入をするということを与党は方針としているわけですけれども、軽減税率を導入することになると、一〇%の商品と八%の商品がお店に並ぶようになるわけですけれども、この区別がなかなかわかりづらいものが国民、消費者にとってはあるんじゃないかという視点で、きょう写真を配らせていただいております。

 皆さんもコンビニに行くとよく見ますよね。政治家の方は、選挙のときなど、よく栄養ドリンクを飲むと思うので、こういう場面、展示をよく見るんだと思いますが、ここの中に八%になるものと一〇%になるものが実は混在をしているんです。

 大臣、ちなみに、上から四段目の列、ここの商品は、消費税が引き上がった場合、何%になるかわかりますか。

宮腰国務大臣 ちょっと、写真を見ただけではよくわからないんですが、一番右側はどういう……。ちょっと、これを見ただけでよく判断できません。済みません。

初鹿委員 大臣もそうなんですけれども、多分一般の人もそうだと思うんですよ。

 ちなみに、四段目は全部一〇%なんです。何でかというと、四段目にある商品は全部、医薬部外品になっておりまして、現在皆さん方が検討している線引きだと、医薬部外品は食品ではないから一〇%、清涼飲料水は八%という仕分をしています。

 これを見ていただいて、六段目を見ると、よく知っている黄色いオロナミンC、ありますね。これは八%なんです、清涼飲料水なんです。でも、その同じ段にアリナミンVというのがあるんですが、これは医薬部外品で一〇%なんです。こうやって混在をしていると、もう明らかに消費者は混乱すると思いませんか。じゃ、八%とか明示をするとどうなるかといったら、そうすると一〇%の商品は同じところに並んでいたら不利だと思いませんか。同じ値段で買おうかなと思ったときに、あっ、こっちの方が消費税が安いかなと。そういうことを考えると、非常にこれは展示の仕方は難しくなるんですけれども。

 ぜひ、大臣、こうやって混在をして八%、一〇%が消費者がぱっと見てわからないような展示の仕方はしないように、きちんと税率の差がちゃんと消費者がわかるような展示の仕方にするように業界等に要請をすることをお願いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 確かに、わかりづらい面があると思います。

 私、今の仕事を拝命する前までは、総理補佐官として、農林水産物、食品の輸出の担当をやっておりました。

 海外でも、例えば肥満の問題が大きな問題になっておりまして、いろんな意味で、例えば清涼飲料水とそれ以外のスポーツドリンク、税を切り分けるというような取組も実はあちこちで始まっておりまして、特に関税の場合は、清涼飲料水は五〇%だけれどもスポーツドリンクは一〇〇%かける、こういったようなこともあって、割と清涼飲料水とそれ以外のドリンク類について、医薬部外品について切り分けて課税をするという動きは、実は日本だけではなくて、ほかの国々でもそういう動きがあるわけであります。

 確かに、わかりづらいという部分はあるとは思いますけれども、わかりやすいように、ガイドラインを設けて、棚への配置の仕方などもそれぞれやはり工夫していただく必要もあるんだろうと思いますが、ぜひわかりやすい説明に心がけていきたいというふうに思っております。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。この清涼飲料水や医薬部外品の問題については、まだ指摘したいところがありますので、いずれこちらの場面で質問させていただきたいと思います。

 次、二枚めくっていただいて、新聞記事をつけさせていただいているんですが、ゲノム編集食品についての記事であります。

 この夏から、ゲノム編集の食品また作物についての議論が始まっているわけでありますが、このゲノム編集の食品をどう扱っていくのかということを私は非常に注目をしております。

 ゲノム編集というのはどういうものかというと、DNAを、遺伝子を遺伝子組み換えのように外部から入れるのではなくて、もともとある遺伝子の一部を切り取って、そしてくっつけていくというもので、技術を進めている側からすると、外から、外部から別のものを持ち込んでいるわけではないから遺伝子組み換えではないということと、あと、自然の中でもそうやって遺伝子が組み換わっていくこともあるから、自然のものと同等なんじゃないかということで、安全性などには問題がないんじゃないか、そういうようなことが言われておりまして、対応の仕方として、これを遺伝子組み換えの食品と同等の扱いをしないような方向も打ち出されてきているわけであります。

 作物については、こちらは環境省の所管ということで、カルタヘナ法に対してどういう対応をするかということで、今のところは規制の対象外とするような方向での議論が進んでいて、また、厚労省では、それこそ食品ということで、今まさに議論の最中だということでありますけれども、私は、やはり安全性がきちんと確認されているかどうかということもきちんと考えていかなければならなくて、外部から入れていないから、そして自然でも起こり得るから安全だと言われても、切り取っているわけで、それによってどういうことが生じるのかということをやはりきちんと確認をしていく必要はあるんだろうというように思っております。

 これは、欧州では、欧州の司法裁判所がこれは規制の対象にするべきだという判決をしているわけであります。一方、米国の方では、規制の対象外にするということなんでありますけれども、私は、やはり日本は、欧州に倣って、安全性がきちんと本当にはっきりするまでは規制をしていく必要があるんではないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。

新谷大臣政務官 お答えいたします。

 昨今、任意の場所を、遺伝子を切断することで変異を起こさせるゲノム編集技術を利用した食品の開発が委員御指摘のように進められようとしているところでございます。

 このゲノム編集技術を利用した食品には、遺伝子を切断するのみで外部から遺伝子を組み込まない形のものもございますが、それも含めて、食品安全の観点から、安全性審査など食品衛生法上の取扱いをどうするかについて、現在、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の調査会において検討しているところでございます。

 厚生労働省としましては、さまざまな関係者の御意見を伺いながら、引き続き検討を進めまして、パブリックコメントも行った上で、今年度末までに、ゲノム編集技術を利用して得られた食品等の食品衛生法上の取扱いを明確化する予定でございます。

初鹿委員 新谷政務官から今答弁がありましたけれども、まだ決まっていないということでありますので、ぜひ、さまざまな意見がありますので、そのさまざまな意見をきちんと聞いていただきたいんですね。

 こちらに意見書をつけておりますが、二枚目は、これはどちらかというとカルタヘナ法の方ですから環境省に出した意見書ですけれども、ここにも書いてあるとおり、新技術の安全性は確立していませんという指摘がされているわけであります。

 そして、もう二枚めくっていただいて、こちらは厚生労働大臣や今政務官からもお話がありました審議会の調査会のメンバー宛てに出された意見書ですけれども、こちらを見ても、やはり、このまま大丈夫だということで規制の対象外にすることに対して非常に懸念が示されております。

 特に、最後のところを見ていただきたいんですけれども、十分に消費者や農家からの意見を聞く機会を設けてくれ、そういう指摘もされております。昨日そういう意見を聞く機会を持ったということでありますが、それも踏まえて、やはり今後、パブリックコメントをとったり、呼んでのヒアリングだけではなくて、各地で説明会などを丁寧に行っていって、消費者の皆さん、また、それに携わるような方々にきちんと納得をしてもらう必要があるんではないかというふうに思います。それをまず努力をしていただきたいと思います。

 その上で、繰り返しになりますけれども、やはり遺伝子組み換えの食品と同じ扱いに最終的には結論づけていただきたいので、その点、政務官のお考えをお聞かせいただきたいのと、それと加えて、消費者がどう選ぶかということには表示の問題がかかわってくるわけです。やはり、表示がされていなければ、これがゲノム編集なのかどうかということはわからないわけであります。

 これだけ食に対する安全性などに消費者の関心が高まっているわけですから、幾ら技術的には安全だということを言われたとしても、そこに疑問を持つ方はたくさんいるわけで、そういう消費者の方が選べる判断材料を提供することがやはり消費者行政としては必要だと思いますので、表示についても遺伝子組み換えの食品と同じようにする必要があるのではないかと思いますが、こちらは大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。

新谷大臣政務官 お答えいたします。

 委員御指摘のように、昨日、薬事・食品衛生審議会の調査会が開かれておりまして、これは科学的な議論を行うため専門家で構成されているところでございますけれども、消費者団体四団体からゲノム編集技術を用いた食品に関する意見を聴取し、議論を行ってきたところでございます。

 いずれにしましても、食品衛生法上の遺伝子組み換え食品に関しましては、外部から遺伝子を組み込むものと定義をされておりまして、これは安全審査を義務づけられているところでございますが、一方、ゲノム編集技術を利用して得られた食品には、先ほど申し上げましたが、外部から遺伝子を組み込まないものと、そうでないものがあるところでございます。

 こういった違いも含めまして、先ほどもちょっとお答えしたとおりでございますけれども、厚生労働省の調査会においてしっかりと食品安全の観点からその取扱いについて議論をしているところでございまして、また、表示も含めて、今後さまざまな関係者の意見を聞きながら検討を進めてまいりたい、そのように考えております。

宮腰国務大臣 これまでの厚生労働省の説明のとおりでありますが、ゲノム編集技術を用いた食品については、現在、厚生労働省におきまして、食品衛生法上の安全性審査に関する整理が検討されているものというふうに承知をいたしております。

 消費者庁におきましては、流通の前提となる厚生労働省の検討状況を踏まえまして、ゲノム編集技術を用いた食品への表示について慎重に対応したいというふうに考えております。

初鹿委員 ぜひ、我が国も欧州を見習っていただきたいと思うんですよ。欧州は、予防原則にのっとって、安全だとわかるまでは、消費者がきちんと選択できるように、そのために表示もきちんとしていこうという考えですよね。一方、アメリカの方は、健康に影響があるとわかるまでは規制をしないという、どちらかというと事業者に立った考え方でいるわけでありまして、我が国としては、やはり消費者の権利というものに十分に配慮をして、消費者の立場に立った表示の仕方というものを考えていただきたいということをつけ加えさせていただきたいと思います。

 それでは早速、次の、法案の内容に入っていきますが、先ほど山本議員からも御指摘がありましたけれども、今回、回収した旨を届け出るということが義務づけられるということでありますけれども、回収をしてから届け出るので本当にいいのかというのは私もやはり疑問に思うわけですね。

 やはり、特に今回、安全性に問題があるものについてということで限定しているわけですから、そうであるならば、一日も早く消費者に知らせて、そして、もしそのアレルゲンの対象食品にアレルギーがある人がいるとしたら、それを早く知ってもらわないと、食べてしまって本当に何か重大な健康被害になる可能性もあるわけですから、一日も早くということを考えたら、回収したよと言う前に、回収をするという段階で届出の義務を課す必要があったのではないかと思いますが、こちらは、なぜ、回収をした、着手したことを届け出るということにしたのかを、理由を説明していただきたいと思います。

宮腰国務大臣 食品表示法におきまして、第六条の中の第八項に、内閣総理大臣は、食品関連事業者等が、アレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するものかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項として内閣府令で定めるものについて食品表示基準に従った表示がされていない食品の販売をし、又は販売をしようとする場合において、消費者の生命又は身体に対する危害の発生又は拡大の防止を図るため緊急の必要があると認めるときは、当該食品関連事業者等に対し、食品の回収その他必要な措置をとるべきことを命じ、又は期間を定めてその業務の全部若しくは一部を停止すべきことを命ずることができるということに、もう既に規定がなされております。

 重大な案件、緊急を要する案件については、この第六条第八項を使って、命令でもってとめる、あるいは回収を命ずることができるということになっております。

 今回のこの自主回収の件でありますけれども、健康危害の発生を防止するためには、事業者が誤表示に気づいた時点で食品の自主回収を行うことを決定をし、直ちにその情報を食品の納入先に伝え、回収を開始するといった具体的な対応が重要であるとともに、行政への一報も含め、速やかな届出も重要であると考えております。

 今回の改正法の対象となる事案については、社会的関心も高いことが想定されることから、回収に着手した際と回収することを決めた際では実質的に大きなタイムラグは生じないものと考えられますが、法律で担保する措置としては、他法令も参考に、着手した際を規定したところであります。

 いずれにいたしましても、事業者が回収に着手するとともに、遅滞なく当該情報を行政へ届けていただくように、事業者への普及啓発をしっかりと行ってまいりたいというふうに考えております。

初鹿委員 今、六条の八項で強制回収を命じることができる、そういう御説明でしたけれども、これが発動できるのは、実際に誰かが健康被害に遭ったときじゃないと、誤表示がある段階では、誤表示かどうかもわからないわけだし、強制回収はできないわけですよ。ですから、事業者が気づいた段階で、いち早く行政がそのことを把握をして情報発信をするということが大事なんだと思うんですね。

 まあ、事業者としてみれば、回収の仕組みをきちんとつくって、ちゃんと回収できる体制をとってから恐らく回収の発表をすると思うんですけれども、それだと、それまでの、一日二日とかそれぐらいかかって、その間に間違って食べてしまう、そういう方が出てきかねないわけですから、やはり私は、ここは本当に速やかに行政から消費者に対して発信ができるようにする必要があると思いますので、この点は運用の仕方で工夫をしていただきたいというふうに思います。

 先ほども山本議員からも指摘がありましたけれども、今回回収が義務づけられているのは安全性にかかわる部分だということですけれども、消費者からすると、安全性も重要なんですけれども、やはり、原産地の表示だとか、また成分だとか、遺伝子の組み換えの表示についてとか、そういうことも商品を買うかどうかの選択をする上で重要な情報だと思うんです。

 ここの部分が今回の届出義務の対象に入っていないということなわけですが、それだと十分に消費者の権利を守ることにはなっていないんじゃないか、そういうふうに思うわけですが、安全性にかかわる部分にのみ限った、その理由についてお聞かせください。

宮腰国務大臣 日々の生活を送る上で欠かすことのできない食品の安全性につきましては、国民の皆様の関心も非常に高く、政府としても、その安全性確保は重要な課題であるというふうに考えております。

 その上で申し上げれば、食品の自主回収は、本来、事業者がみずからの経営判断において行うべきものでありまして、そのような事業者が主体的に行うべき食品の自主回収に対し、法律上罰則を担保として届出義務を課すことにつきましては、国民の健康や身体の安全の確保といった優先度の高い事項に限定して義務づけの対象とすることが適当と考えております。

 なお、医薬品や自動車につきましても、自主回収を行う場合、法令に基づき、行政機関への報告を義務づけておりますけれども、これらについても、国民の健康や身体の安全の確保という観点から報告を義務づけられているものというふうに承知をいたしております。

    〔委員長退席、平委員長代理着席〕

初鹿委員 そうはいっても、やはり消費者の権利の中には、安全である権利と知らされる権利、選択できる権利、意見を反映させる権利とあって、この知らされる権利、選択できる権利ということからすれば、消費者がきちんと選択できるようにするためにこの表示というのは非常に重要になってくるので、確かに、これは事業者の自主回収ですから、事業者の判断ということに委ねられるのはわかるんですけれども、少し情報をきちんと政府というか行政の側が把握をするようにしていくことは私は重要かなと思いますので、この届出の対象に、今回は入っていないわけですけれども、将来的には加えていくことが必要かなというふうに思います。

 特に、消費者の立場からすると、裏を見て、表示を見て一番気になるところというのは何かといったら、成分と恐らく原産地なんじゃないかと思うんです。そこが間違っているということになったらやはり買うときの選択を誤ることになるので、そこは入れていただきたいと思うんですね。

 この原産地の表示なんですけれども、非常にわかりづらいです。今皆さんのお手元に資料をお配りをしておりますが、今回、去年から、又は表示とか大くくり表示というのが入れられたわけであります。(発言する者あり)

平委員長代理 足りているよ。

初鹿委員 はい、まだ大丈夫。定数、足りないようになったら、とめさせていただきますので。

 この表示のページを見ていただきたいんですけれども、又は表示、産地が二カ所ある場合は、カナダ又は例えばアメリカ、一方が日本だったらアメリカ又は日本というふうになるんですけれども、この又はという表示で国民の皆さんがちゃんと把握できているのか、私、非常に疑問なんですね。

 大臣、このカナダ又はアメリカという表示は具体的にどういうことを指しているのか、ちょっと説明していただけますか。

宮腰国務大臣 検討会を開いて、平成二十八年に設置をいたしまして、検討を進めてきたわけであります。検討会におきましてもさまざまな御意見がございましたが、原則として、全ての加工食品について、重量割合上位一位の原材料の原産地を表示の義務化をしたところであります。

 一方、我が国の食品流通の実態、そして事業者の実行可能性を踏まえ、対象原材料として複数の原産地のものを使用し、表示対象原材料に占める重量の割合が変動する可能性がある場合であって、国別重量順での表示が困難である場合には、根拠資料を保管するという条件のもと、過去の実績等を踏まえた又は表示あるいは大くくり表示を認めているということであります。

 今ほどお話があったカナダ又はアメリカという、この又は表示につきましては、過去実績又は計画に基づく表示である旨を表記をした上で、A国、B国又はその他と表示しても可能とするということにいたしたものであります。

 国別重量順表示を行った場合に産地切りかえのたびに容器包装の変更を生じると認められる場合も多いことから、このような又は表示というものを導入をしているということになっております。

初鹿委員 仕組みの説明をされたわけですが、具体的にどういうことかというのを聞いたんですよね。

 カナダ又はアメリカという場合、カナダだけでつくった場合もこれでいい、アメリカだけでつくった場合もいいし、カナダもアメリカも両方入っている場合も又は表示になるんですよね。同じ商品の中で、カナダだけでつくった場合もあるし、アメリカだけでもあるし、両方の場合もある。これが、輸入してくる材料の輸入の量によってそういう割合が、そういうことが生じてしまうときにはこの又は表示ができるということなんです。

 これが、三カ国を超えると大くくり表示になって、次、一ページめくっていただくと、輸入となるわけですね。輸入になると、じゃ、どこの国から入ってきたのかというのがわからなくなって、消費者からすると、どこの国から入ってきたのかというのが重要なのに、大くくりにされるとそれがわからないというのはいささか問題じゃないか。

 さらに、輸入又は国産となると、どういうことなのかさっぱりわからなくなってくる。だから、輸入又は国産だと、輸入だけの場合もある、国産だけの場合もある、輸入と国産の場合もある。そして、その輸入の中には、三カ国以上の、カナダ、アメリカ、例えばニュージーランドだとかオーストラリアとか、そういうのもあるということになるわけで、この大くくり表示というものもちょっとやり過ぎなんじゃないかと思いますが、その点についてどのように考えているのかということをお聞かせいただいて、最後の質問にさせていただきます。

平委員長代理 宮腰大臣、申合せの時間が参っておりますので、手短にお願いいたします。

宮腰国務大臣 はい。

 輸入又は国産という表示は、一年間の使用予定では、少なくとも、輸入が国産よりも先に表示されているということで、国産原料よりも輸入原料の方が多く使用される見込みであること、輸入原材料が少なくとも三カ国以上の国のものが使用されていること等がわかることにより、消費者の選択に寄与するというふうに考えております。

 消費者庁といたしましては、引き続き現行制度について丁寧に説明する考えでありますが、今後、経過措置期間終了から二年後をめどとして、表示に対する消費者ニーズの変化状況や事業者の状況等を確認し、制度導入の効果について検証を行い、必要に応じて幅広く見直しを行っていくこととしてまいりたいというふうに考えております。

初鹿委員 消費者の選択に寄与すると言いましたけれども、寄与していないと思いますよ。やはり、輸入だけだとどこの国かわからないわけですから、ちょっとそのことも踏まえて、二年間の検討があるということですから、しっかり検討していただきたいということをお願いして、質問を終わります。

平委員長代理 次に、森夏枝君。

森(夏)委員 日本維新の会の森夏枝です。

 消費者問題に関する特別委員会におきまして質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 健康に悪影響を及ぼすおそれがある食品について、食品関連事業者等が食品の自主回収をする場合に、これまで、その内容を通告するように条例又は要綱等で規定している地方公共団体もありましたが、さきの通常国会において、食品衛生法については改正が行われ、情報の一元化が図られることとなりました。しかし、食品衛生法以外にも、食品表示法で違反するケースが多く見られるようになり、この改正が行われることにより、一体的となって消費者に対する食の安全が図られていくことはとても重要だと認識をしております。

 食品表示は、消費者が食品を購入する際、食品を適切に選択したり安全に食べたりするために食品の内容を正しく理解する上で重要な情報源となっているわけですけれども、この表示基準について改めて確認をしてまいりたいと思います。

 表示内容は、これまでどのような基準に基づき定められてきたのでしょうか、お答えください。

    〔平委員長代理退席、委員長着席〕

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品の表示につきましては、従前、食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、そして健康増進法の三法がございましたが、目的の異なる三法それぞれに表示のルールが定められていたため、制度が複雑でわかりにくいとの御指摘を受けていました。このため、食品の表示に関する規定を統合して、包括的かつ一元的な食品表示制度とするため、平成二十五年に食品表示法を創設し、平成二十七年四月から施行しているところでございます。

 食品表示法のもとにおいては、具体的な表示ルールは内閣府令であります食品表示基準において規定されておりまして、具体的には、例えば加工食品については、保存の方法、消費期限又は賞味期限、原材料名、添加物、内容量、栄養成分、食品関連事業者等の名称等を表示するということになっているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 食に対する安全は最大限確保していかなければならないと考えております。これまでに日本に流通してこなかった食品が海外から輸入されたり、また、新たな食品加工の技術が加わったりしてくることも出てくると思います。その際、人体への悪影響が及ばないように食品表示にどのように盛り込んでいくのか、消費者庁で注視し、反映していっていただきたいと思います。

 本改正案において、食品関連事業者等が食品を自主的に回収するときには、遅滞なく、回収に着手した旨を内閣総理大臣に届けなければならないこととされております。アレルゲン、保存方法、消費期限の欠落や誤表示などは健康被害を引き起こすおそれがあり、食品回収には迅速性と徹底性が求められております。

 遅滞なくとはなっておりますけれども、仮に回収後一週間経過してから報告となった場合、健康被害が発生又は拡大することも考えられますが、遅滞とは法的にどのように規定されているのでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 まず、健康危害の発生を防止するためには、事業者が誤表示等に気づいた時点で食品の自主回収を行うことを決定し、直ちにその情報を食品の納入先に伝え、回収を開始するといった具体的な対応が重要であるとともに、行政への一報も含め、速やかな届出も重要であると考えているところでございます。

 安全性に関する不備のある食品は健康危害が発生するおそれがあることから、事業者が自主回収を実施した旨については早期に届出いただく必要がある一方、健康危害の発生を防ぐための正確な情報を事業者が実行可能な期間で整理することにも配慮する必要があるということのため、遅滞なく届出をさせるのが適当というふうに考えているところでございます。

 今回の改正による届出については、健康危害の発生を防ぐための正確な情報を事業者が実行可能な期間で整理することにも配慮した上で、案件に応じて個別に判断することとなるため遅滞なくとしたところであり、遅滞なくとは、具体的な日数は定義されているわけではありませんが、正当な又は合理的な遅滞については許容されると解されております。

 いずれにしましても、事業者が速やかに回収に着手するとともに、当該情報を行政へ届け出ていただくように、事業者への普及啓発はしっかりと行ってまいりたいと考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 遅滞なくと徹底していただきたいと思います。食品回収には迅速性が必要ですので、しっかりお願いしたいと思います。

 本改正法案において、内閣総理大臣への届出対象となる表示義務違反は、アレルゲン、保存方法、消費期限等の食品摂取の際に安全性に重要な影響を及ぼす事項に限定されております。食品表示法の目的は、安全性の確保だけでなく、消費者の自主的かつ合理的な食品の選択の機会を確保することになっております。

 消費者のニーズは多様化しています。例えば、スーパーでカボチャを買う場合、個人の嗜好で北海道産しか購入しないと決めている人もいらっしゃると思います。この場合、原産地の記載ミスは表示義務違反とはならず、自主回収の対象となり、この方の本来求めるカボチャとは違うものを購入して食べることになります。

 原産地、内容量、栄養成分、遺伝子組み換え表示といった、食品表示法に求められている消費者の自主的かつ合理的な選択の機会を確保するものが達成されていないことになってしまいますが、限定された理由についてお伺いしたいと思います。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品の表示は、食品を摂取する際の安全性の確保という点と自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保というものに関して重要な役割を果たしているところでございます。

 一方で、食品を摂取する際の安全性の確保は、国民の健康や身体の安全の確保に関するものであるという点におきまして、自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保と比べ、更により優先度の高い役割であるというふうに考えているところでございます。

 また、食品の自主回収でございますけれども、本来、事業者がみずからの経営判断において行うというべきものでございます。そのような事業者が主体的に行うべき食品の自主回収に対しまして、罰則を担保として届出義務を課すということについては、国民の健康や身体の安全の確保といった優先度の高い事項に限定して義務づけの対象とすることが適当というふうに考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 次の質問に移らせていただきます。

 消費者の立場からすると、健康に悪影響を及ぼすことについては、食品衛生法と食品表示法の区分けにかかわらず、一元的に公表されるとわかりやすいかと思います。

 消費者庁においては、リコール情報サイトというものが開設されており、情報発信されておりますが、食品以外のものも掲載されております。

 他方、厚労省でも食品について別途サイトをつくって公表するということを考えていると聞いております。

 情報が二重になり、混乱することが懸念されますが、どのように運用されていくのでしょうか、お答えください。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 情報を一元的に公表するというのは非常に重要なことだと考えておりますので、厚生労働省で今構築しつつあるシステムで、こちらも同じところで公表する形をとりたいというふうに考えております。

 それから、消費者庁でリコールサイトを掲載しているというのは、まさに御指摘のとおりでございますので、そこを開いた人も厚生労働省で予定しているサイトにアクセスすることができるようにリンクを張るなど、そういったことを検討したいというふうに考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 厚労省とも連携をして、消費者が混乱することのないようにしっかりとお願いしたいと思います。

 消費者委員会が食品表示法の枠組みを検討しております。現在の食品表示法について、文字が小さい、表示事項が多過ぎて見にくいなどの意見が多くあり、消費者の不満がある結果となっております。その解消方法としては、情報量を絞り、文字を大きくする必要があると思います。もちろん、商品を購入する際に安全性を中心に外せない情報は多くありますが、例えば、必須情報はこれまでどおり容器包装に記載し、他の情報は購入する際、商品棚に表示すればよいとする方法は一つのやり方ではないでしょうか。

 また、現在はさまざまなツールがあります。携帯など、多くの方が持っていることを前提に、必須情報は容器包装に記載し、他の情報はQRコード等を掲載し、その中に入力しておくような方法もあるのではないでしょうか。

 今後の食品表示方法の新たな方法の検討について、どのように考えているのでしょうか、お伺いします。

橋本政府参考人 現在、食品表示法に基づく食品表示基準では、原則として食品の容器包装への表示を義務づけているところでございます。

 一方で、現在、食品表示につきましては、消費者委員会食品表示部会におきまして議論が行われておりまして、インターネットでの情報提供あるいはQRコードを活用した情報提供といったものについても議論が行われていると承知しているところでございます。

 今後、食品表示部会での議論も踏まえまして、食品表示のあり方について検討してまいりたいと考えているところでございます。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 文字が小さいなど、消費者の方々からの声をしっかり聞いて対応をしていただきたいと思っております。

 消費者庁に関連し、徳島県の取組についてお尋ねしたいと思います。

 徳島県は、全国展開を見据えたモデルプロジェクトを策定し、実施されております。若年者向けの消費者教育では、全ての徳島県の高校で教材を活用し授業を行ったり、消費者志向経営の推進やシェアリングエコノミーに関する実証実験等も進められております。

 これらを消費者庁としてどのように把握し、評価されているのか、お答えください。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者行政新未来創造オフィスのこれまでの成果について御説明いたします。

 委員からもお話がありましたように、若年者向け消費者教育におきましては、徳島県内の全ての高校等で、消費者庁が作成した消費者教育教材「社会への扉」を活用した授業が行われております。これは、全国については二〇二〇年度までにを目標としておりますけれども、徳島県では既に全ての高校で達成されておりまして、さらに、その活用事例集というのもつくっていただきまして、それを他の都道府県の参考になるようにしているところでございます。

 また、見守りネットワークがございまして、高齢者等の消費者被害の防止の取組である見守りネットワーク、消費者安全確保地域協議会の構築につきましては、徳島県は全国で初めて、人口五万人以上の全市町において、既にこのネットワークを設置していただいております。消費者庁の目標としては二〇一九年度末までとなっております。さらに、徳島県は、この五万人を超えて、既に、十一月十四日時点でございますが、合計十八の自治体で設置されております。

 また、委員御指摘ございました消費者志向経営につきましても、十一月十四日時点で、全国で消費者志向自主宣言を行っていただいている事業者は九十七社ございますけれども、そのうち四分の一を超える二十六社が徳島県内となっております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 前回の委員会質疑においても、移転については、ほかの委員よりも意見が述べられていたと思いますが、改めて確認させていただきたいと思います。

 平成二十九年七月に消費者行政新未来創造オフィスが開設され、現在、三十一年度をめどに、存続の見直し、結論を得る状況となっております。予算に反映していくことを考えますと、実際には、来年の夏ごろにはめどを立てていかなければならないというスケジュールになると思います。

 首都機能の移転は、一極集中のリスク回避のためにも、また地方の多様なあり方を創造するためにも、全体としては進めていかなければならないと考えております。そこで、確認させていただきたいと思います。現時点での大臣のお考えをお聞かせ願います。

宮腰国務大臣 今ほど委員御指摘のように、オフィスのあり方につきまして、まち・ひと・しごと創生本部決定では、二〇一九年度を目途に検証、見直しを行い、結論を得ることとされております。二〇一九年夏には二〇二〇年度の予算や組織に関する考え方を示す必要がありますので、その時点で検証、見直しの結果を反映した要求案をお示しできるように検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

森(夏)委員 ありがとうございます。

 全ての消費者のための改革となるよう、今後もよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、もとむら賢太郎君。

もとむら委員 もとむら賢太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは食品表示法の一部を改正する法律案についての質疑でございまして、まず、食品衛生法改正と同時ではなく、今国会での法案提出となったのはなぜなのか。それと、消費者庁は厚労省と共同で、届出から公表まで一体的に運用するシステムを構築するとしておりますが、法案の成立時期がずれ込むことでシステム構築の時期に影響がないのか。二点お伺いいたします。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 食品の表示に関するリコール情報の届出につきましては、食品衛生法における改正内容を踏まえつつ、食品表示法の体系の中で位置づけを検討する必要があったところでございます。このため、食品衛生法における届出制度が立法された後、法制的な検討を踏まえた上で、できる限り速やかに制度を構築すべきであると判断して、本国会に提出させていただいたところでございます。

 なお、制度の実施につきましては、食品表示法の施行期日を食品衛生法と合わせることによりまして、制度が円滑に運用されるよう努めてまいりたいと考えているところでございます。

もとむら委員 次に、大臣にお伺いしますが、自主回収の届出が義務化される表示の対象が第六条第八項の内閣府令で定められておりますが、専門家でもわかりにくいという声があります。食品メーカーや消費者にとってわかりやすい表示にするべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 法第六条第八項の内閣府令で定める事項に関する表示の違反とは、アレルゲン、消費期限等といった安全性に重大な影響を及ぼす表示についての欠落や誤表示を指しております。

 なお、これらの事項に関しまして、事業者に対して具体的にどういう届出を求めるかにつきましては今後内閣府令において定めることとしておりまして、その際にはわかりやすいQアンドAを作成するなど、システムを利用する者への配慮を行った上で、実効性のある運用となるよう検討を進めてまいります。

 わかりにくいというお話でありますが、現行の規定は、名称、保存方法、賞味期限といった比較的わかりやすいものから、食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼすものとして品目ごとの専門的な内容も含まれております。

 いずれにいたしましても、政府としては、食品の安全性確保を大前提に、食品安全に関する法令のわかりやすい説明に努めてまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 私も第六条第八項の内閣府令を読ませていただきましたが、二十七品目、非常にわかりづらいなというのが実感でありますが、大臣、今の答弁では、十分に御理解されているようでありますけれども、ここには食品添加物や遺伝子組み換え食品の表示が含まれていないということも指摘をしておきたいと思います。

 次に、本改正によって、これまで条例のあった地方公共団体は条例の改廃が必要となるわけでありまして、また、条例のない地方公共団体においては対応するための体制整備が必要となります。このように地方公共団体の負担がふえるのではないかという懸念がありますが、大臣、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 委員御指摘のように、事業者によります行政機関への食品のリコール情報届出制度は、現在、一部の地方公共団体が条例等により独自に実施しております。この場合、法律と条例等とで規制が重複するおそれが生じることから、食品のリコール情報の一元管理及び消費者へのわかりやすい情報提供の観点から、地方公共団体に対しまして条例等の改廃について丁寧にお願いをし、施行までの間に必要な手続の実施を求めていくことを考えております。

 なお、地方公共団体における十分な準備期間を確保する観点からも、今国会における法案成立をお願いをしている次第であります。

 地方公共団体職員の事務負担につきましては、リコールに関するシステムを構築して運用することにより軽減が図られると考えられるほか、これまで条例等に基づき行われた表示不備による食品リコール実施届出件数も鑑みて、さらなる軽減につき必要に応じ検討してまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 本法案によって条例は改廃することになるわけでありますし、また、改廃によって新たな体制整備が必要となる場合もありますが、法律よりも広い範囲を対象としている地方公共団体もありまして、範囲を狭める可能性があるということは一点指摘をしておきたいと思います。

 次に、自主回収についてでありますが、消費者への情報提供は重要であります。インターネットを利用できない消費者にも情報が伝わる必要があると思いますが、どのように情報提供を行うのか、お伺いいたします。

橋本政府参考人 食品の自主回収情報につきましては、厚生労働省が構築中の食品のリコール情報を一元化するシステムによる公表だけにとどまらず、特に健康危害の発生につながる情報に関して消費者庁として積極的に周知することが重要であると考えております。

 インターネットを利用できない消費者に対しては、事案に応じましてプレスリリースをすることによりマスメディアに対して情報発信を行うほか、地方自治体の消費者関連部局への周知や、地域の広報誌に掲載依頼等の働きかけを行うとか、メールマガジンの配信を行うなど、情報発信のあり方について検討してまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 今御説明ありましたが、食品リコール情報を届出するシステムを構築されて、食品関連事業者等が流通食品の食品表示法違反を探知し、自主回収に着手ということで、都道府県、政令で委任予定でありますけれども、などに届出をされて、国、消費者庁に報告、そして公表ということでありますが、今お話あったように、ネットを見れない例えば御高齢者の皆さんを始めまだまだいらっしゃると思いますので、そういった点で、知らなかったということで事故が起こらないように、周知徹底をお願いしてまいりたいと思います。

 次に、平成二十年に五十四年ぶりの学校給食法改正がありまして、学校のアレルギー疾患に対する取組のガイドラインが示されたわけでありますが、特に、この後に、平成二十四年十二月に調布市で、食物アレルギーにより児童が死亡されまして、原因は、おかわりをしたメニューの中にアレルギー食材が含まれていたということでありまして、大変痛ましい残念な事故でありました。

 その後も、ことしに入っても多くの事故が重なっておりますし、私どもの地元神奈川でも、平成二十二年度から二十六年度にかけて、県内の小学校二校、中学校三校を対象に行われた調査では、調査した五年間の合計で、小学校十六件、中学校七件のアレルギー事故が発生しているということでありまして、このガイドラインが出た後も事故が続いてございます。

 学校給食におけるアレルギー対応が重要な課題となっておりまして、私も市内の小学校などにお邪魔しますと、学校長を始め教員の皆さんからも、多くの子供たちがさまざまなアレルギーを持っているということで、気配り、心配りが非常に大事なんだという話を聞いておりますが、現在、政府としてはどのような取組を行っているのか、お伺いいたします。

下間政府参考人 お答えを申し上げます。

 ただいま議員からお話もございました点も含めまして、文部科学省では従来より、教育委員会、学校に対し、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインに基づいて、校長、学級担任、養護教諭、栄養教諭、学校医等の密接な連携によりまして、個々の児童生徒の状況に応じた対応を図るよう指導に努めてきたところでございます。

 特に、学校給食における食物アレルギー対応に関しましては、平成二十六年三月に、教職員等の研修あるいは学校における体制整備、地域における関係機関の連携など、具体的かつ適切な対応を求める通知を各都道府県教育委員会等に発出をいたしました。

 また、さらに、平成二十七年三月には、学校給食における食物アレルギー対応指針を策定をいたしまして、基本的な考え方や留意すべき事項等を示し、学校現場のより効果的な対応を支援するために、学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドラインの要約版や、校内研修会や職員会議で活用できる教職員研修用DVD教材の配付、エピペン練習用トレーナーの配付等を行ったところでございます。

 文部科学省といたしましては、引き続き、各学校における食物アレルギーに対して適切な対応がなされますよう、教育委員会の学校給食担当者や栄養教諭等が集まる会議において指導するなど、さまざまな機会を通じて教職員への周知徹底に努めてまいりたいと考えております。

もとむら委員 アレルゲンの誤表示があった場合、学校給食の現場には速やかに伝えていく必要があると考えておりますが、どのような情報提供を行っていくのか、お伺いいたします。

下間政府参考人 法律案におきましては、アレルギーの原因物質について誤表示があった場合などにおいて、食品関連事業者等が回収に着手した旨及び回収の状況を内閣総理大臣に届け出た場合、食品の表示に関するリコール情報の届出制度でございますが、内閣総理大臣がその旨を公表しなければならないこととされておりまして、この内閣総理大臣による公表の方法につきましては、目下、新たにシステムを構築し、ホームページで公表することを検討中であるというふうに聞いております。

 文部科学省におきましては、これらのことにつきまして、学校給食を実施する学校の設置者に対し、通知や会議の場を通じて周知を行うことを予定してございます。

 また、文部科学省として、重大な事故が懸念される届出事項を確認した場合には、即時、学校給食を実施する学校設置者に電子メールなどで注意喚起を行うことにより、学校給食における食物アレルギー事故の防止に十分努めてまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 けさも、平成二十四年十二月の調布市での食物アレルギーの児童の死亡事故に関しまして記事を読み返したところでありますが、本当に大切な命でありまして、学校現場も大変多様化しております。そういった中で、先生方のお仕事も複雑化しているわけでありますが、御家庭のお父さん、お母さんを含めて、やはりお子さん御自身も、恐らくアレルギーに関しては十分に注意を払っているところであります。

 しかし、そうはいっても、いまだにアレルギーに関する事故が非常に続いておりまして、私どもの地元神奈川の例をお話ししましたが、ことしに入っても、例えば、栃木県の食材の取り違えによって緊急搬送された事案があったり、新潟県燕市では、成分表の確認不足により四人の児童生徒にアレルギー症状が出たり、同じく五月には、埼玉県富士見市では、献立表の記載ミスにより四人の児童にアレルギー症状が出たということで、なかなか下がる方向にはないわけでありまして、大事な命でありますので、どうか文科省の強いリーダーシップを期待してまいりたいと思います。

 次に、新たな加工食品の原料原産地表示制度の概要について、ちょっと幾つか質問してまいりたいと思うんですが、まず大臣に、原産国表示について、輸入又は国産という表記があり得るが、世界じゅうのどこかがつくっているという意味でしかありません。これでは消費者が選ぶ際の参考にはならないと考えますが、大臣の見解をお伺いいたします。

宮腰国務大臣 委員御指摘の点を含めまして、加工食品に関する検討会において、我が国の食品流通の実態等を踏まえ議論が行われてまいりました。

 輸入又は国産という表示は、一年間の使用予定では、少なくとも、輸入が国産よりも先に表示されているということで、国産原料よりも輸入原料の方が多く使用される見込みであること、輸入原材料が、少なくとも三カ国以上の国のものが使用されていること等がわかることにより、消費者の選択に寄与するものと考えています。

 私も、以前、東京駅の新幹線のホームでおにぎりを二通り買いました。高い方のおにぎりと安い方のおにぎり。何と、高い方のおにぎりには、原材料、塩、米(国産)と書いてありました。安い方のおにぎりには、何と、塩、米、その後が全くありませんでした。これでは消費者は、国産であるかあるいは輸入物であるかは、現状の表示の方式では全く情報が手に入らないということでありまして、少なくとも、国産であるのか、はたまた輸入であるのか、これは最低限、やはり消費者の皆さんの選択に資するように、表示を義務づけるということにしたわけであります。

 消費者庁といたしましては、引き続き、現行制度につきまして丁寧に説明する考えでありますが、今後、経過措置期間終了から二年後を目途として、表示に対する消費者ニーズの変化状況や事業者の状況等を確認をし、制度導入の効果について検証を行い、必要に応じて幅広く見直しを行っていくこととしてまいりたいというふうに考えております。

もとむら委員 大事なのは、選びたい消費者が選べる表示をするということだというふうに私は思っておりますし、日本政策金融公庫がことし三月八日に発表した調査によれば、一八%の方が国産志向で、また国産食品は高いが安全、おいしいと考えているのに対し、輸入食品は安いが安全性に問題があるかもしれないと考えている。ただし、輸入食品の安全については問題があるとする回答は五半期連続で低下しており、イメージは上昇傾向にあるということであります。約七割が割高でも国産品を選ぶとしており、商品購入時に国産か気にかけるとしたのは約八割ということでありまして、こういった政策金融公庫の調査も参考にしていただければというふうに思います。

 最後の質問にいたしますが、原産国表示について、消費者にとっても食品メーカーにとってもわかりやすい表示制度とは言えないと思いますが、なぜこうした表示となったのか、お伺いいたします。

宮腰国務大臣 新たな制度の検討に当たりましては、平成二十八年一月から同年十一月までの全十回にわたりまして、農水省、消費者庁の共催による検討会で検討を行ったところであります。

 その検討会におきまして、原料原産地表示の方法は国別重量順表示を原則としつつ、産地切りかえにより容器包装の変更が必要となるなど国別重量順表示が難しい場合であっても、消費者にできる限り充実した産地情報を提供する制度とすべきであり、実行可能な代替的な表示を義務づける表示ルールを定めるべきであると取りまとめられ、新たな原料原産地制度に反映をしたところであります。

 先ほども申し上げましたように、経過措置期間終了から二年後を目途として、必要に応じ幅広く見直しを行っていくということとしてまいりたいと考えております。

もとむら委員 原則、国別重量順ということでありまして、A国、B国と表示、三国目以降はその他でも可能でありますし、仕入れ先が変わるなど原則表示が難しい場合、A国又はB国などと表示ができますし、三カ国以上の場合は大くくり表示でも可とされ、輸入、又は輸入、国産と表示しても可能ということでありまして、国内製造の表記も含めて、非常に、ほとんどの消費者がこれはわかりづらいんじゃないかなと思っております。私も小さな子供がいますので、非常に関心が高いところであります。

 二〇二二年四月以降、表示の問合せ、表示ミス、それによる食品廃棄の増加などの混乱が予想されますので、そういったことがないように、大臣の強いリーダーシップを期待して、質問を終わりにします。

 ありがとうございます。

土屋委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 食品表示法の一部改正案について、宮腰光寛大臣に伺います。

 そもそも、食品表示法とはどのような理念、目的のために制定されたのでしょうか。伺います。

宮腰国務大臣 食品の表示につきましては、食品衛生法、JAS法、健康増進法、この三法による食品一般を対象とした情報提供の制度の複雑さ、わかりにくさの解消を目指して、三法における食品の表示に関する規定を統合した食品表示法が平成二十七年の四月から施行されております。

 食品に関する表示が食品を摂取する際の安全性の確保及び自主的かつ合理的な食品の選択の機会の確保に関し重要な役割を果たしていることに鑑み、従前の三法における食品の表示に関する規定をこの食品表示法に移管し、国民の健康の保護並びに増進並びに食品の生産及び流通の円滑化並びに消費者の需要に即した食品の生産の振興に寄与することを目的とし、このことが食品表示法の目的条項たる第一条に記載をされております。

畑野委員 大臣から御答弁がありましたが、食品表示は、その食品が安全なものであること、消費者がみずから選択できるためには必要十分なわかりやすい情報が表示を通じて伝えられること、その両面を担保するためだと思っているんですが、そのための適正な基準を満たしていることが重要になるわけです。

 今回の法改正は、食品が自主回収された場合の国に対する情報提供を義務化し、その情報を開示するための改正ということなんですが、そもそも、今回の改正で届出の対象となる食品表示基準違反の表示というのはどのようなものですか。

宮腰国務大臣 今般の改正によりまして届出の対象となる事案は、食品の安全性にかかわる事項として食品表示法第六条第八項の内閣府令で定める事項に係る食品表示違反に伴う自主回収であります。

 具体的には、アレルゲン、消費期限、保存の方法などの表示についての欠落や誤表示が想定をされております。

畑野委員 そもそも、適正にチェックされていれば、自主回収しなければならない食品が市場に出回ることなどあり得ないわけです。私は、やはり事業者任せではならないと思います。

 そもそも、食品表示基準違反かどうか、これはどのようにチェックされるのですか。

宮腰国務大臣 食品表示法に基づく食品表示基準に違反する行為に対しましては、法律上、事業者に対して、必要な事項を指示し、食品の回収を命じるなどの措置ができることを定めておりまして、国におきましても、さまざまな端緒情報に基づきまして、厳正な法執行に努めているところであります。

 一方、法律上、国の権限は都道府県知事などに委任をされておりまして、国と地方公共団体が情報共有しつつ、迅速な解決に努めてきております。

 国といたしましては、食品表示の現場にできるだけ寄り添う形で、食品表示の適切化に努めたいと考えておりまして、違反の可能性がある行為につきましては、今後とも国と地方公共団体が連携して対処してまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 食品衛生法に基づく各都道府県や保健所設置市、特別区の食品衛生監視員が事業者への立入検査や収去検査を実施して、表示基準違反を取り締まっているということだと思うんですが、それでよろしいですか、大臣。

橋本政府参考人 食品衛生監視員が収去等を実施しております。

畑野委員 それで、その食品衛生監視員の体制について伺います。

 二〇〇八年と二〇一七年の、それぞれの年度の人数の変化なんですが、専従者についてだけ、どうなっているか、お答えいただけますか。

橋本政府参考人 衛生行政報告例によりますと、平成二十年度の食品衛生監視員の専従者は千三百三十九名。そして、平成二十九年度におきましては、専従者が千二百五十七名とされております。

畑野委員 お答えがありました。資料にも出させていただいております。

 宮腰大臣に伺いたいんですけれども、この専従者というのが大事なんですよね。きのうも、消費者庁や現場のお話を聞きますと、本当に忙しく頑張っていらっしゃるということなんです。

 この点については、消費者庁としても、各都道府県の専従者の体制強化への支援というのを図る必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

宮腰国務大臣 御指摘の食品衛生監視員は、食品衛生法に基づき都道府県知事等が任命しているものでありまして、消費者庁としても、食品の安全性確保という観点から重要な任務を担っているものと考えております。

 一方、各地方公共団体の食品衛生監視員につきましては、各地方公共団体の管轄する区域により抱える課題や実情が異なることから、その業務量に応じた適切な人員を、兼任か専任かも含めて検討した上で、各地方公共団体において配置しているものと承知をいたしております。

 消費者庁といたしましては、各地方公共団体の地域の実情に応じた計画的な取組を支援をしてまいりたいというふうに考えております。

畑野委員 食品衛生監視員の専従が減っているということは事実なわけですから、それはぜひ各都道府県の実態もつかんでいただいて、ふさわしい支援の強化を私としても求めておきたいと思います。専従者は八十二人も減っているということですので、これはぜひ改善をするべきだと思います。

 そこで伺いたいんですが、先ほど宮腰大臣がおにぎりを召し上がったというお話がありまして、資料におにぎりを載せております。実際のおにぎりはもっと小さいんですけれども、ちょっと拡大をしましたので、このように大きくなっております。

 食品表示についてです。おむすびということで、名称は「おにぎり」、その下に原材料名が書いてあります。その最後に、「(原材料の一部に小麦を含む)」というふうになっているんですね。

 アレルゲンの問題が言われておりますので、ちょっと先に消費者庁に伺いたいんですが、資料にも、もう一枚つけさせていただいておりますけれども、即時型食物アレルギーによる健康被害に関する実態調査結果というのが出されております。

 今度の法案で言っている届出ということなどについてなんですが、アレルゲンと言った場合には、それはどの材料になりますか、確認です。

橋本政府参考人 御提出いただいている資料でお示しいたしますと、今回の届出の義務の対象になりますのは、エビ、カニ、小麦、ソバ、卵、乳、落花生の七つでございます。

畑野委員 この間、千人の医師の協力のもとにおおむね三年ごとに実施している調査だと、何らかの食物を食べた後、六十分以内にアレルギー症状を呈した患者数という一覧が載っております。

 それで、そこはそれぞれ見ていただければいいんですが、二〇一一年から二〇一四年にかけて、これも相当ふえていますよね、それぞれ七品目についても。そして、二〇一七年については一月から六月の中間報告ということで、一年の半分ということですけれども、ですから、これも倍に計算をし直せば、本当にふえていくだろうということが想定されると思うんです。

 その資料にありますアレルゲン上位三品目についての変化があるんですが、ここが大事だと思っておりまして、表示ミスによる発症者数というのがございます。上位三品目についての経過を御説明いただけますか。

橋本政府参考人 この表の下の欄ですね、表示ミスによる発症者数というところでお示しさせていただいておりますけれども、卵における発症者が、平成二十三年度では十七名が、二十六年度では四十六名にふえております。それから、乳に関しましては、二十三年度が二十九、二十六年度は四十五とふえており、小麦の場合は、それぞれ十八から二十三というふうにふえているというところでございます。

畑野委員 確認をさせていただきました。

 このように、やはりアレルゲンによる発症者、表示ミスによってもこれだけ出ている。これは重大だというふうに思います。

 先ほどのおにぎりの原材料名に戻るんですが、その中に「調味料(アミノ酸等)」というのもあるんですね。これは一体何かなというふうに思うわけなんです。

 実は、食品添加物の表示について、その表示方法なんですが、複数の物質が使用されていても、物質名ではなく、用途を示す一括名だけをあらわすという一括名表示がなされております。

 この法律がつくられるときに、二〇一三年五月二十八日の当委員会で、我が党の穀田恵二議員が、一括名表示をやめて、物質名と使用目的を明記すべきではないかというふうに質問をしたことに対して、政府委員から、添加物表示のあり方を検討してまいりたいという答弁がありました。

 それから長い年月が、もう五年たっているんですが、どのような検討をされたのでしょうか、伺います。

橋本政府参考人 食品添加物の表示のあり方につきましては、平成二十七年三月に閣議決定されました現行の消費者基本計画におきまして、実態を踏まえた検討を行うことというのが明示されております。

 これらの検討を行うに当たりまして、消費者庁におきましては、平成二十九年度に食品添加物表示制度に係る実態調査事業というものを行いまして、まず、国内事業者の消費者に対する食品添加物の情報提供に関する取組の実態に関する調査、それから、海外の食品添加物表示制度に係る調査を実施したところでございます。

 消費者庁としましては、こうした調査事業の結果も踏まえつつ、国際整合性や事業者の実行可能性にも配慮した上で、消費者にとって見やすくわかりやすい添加物表示制度となるよう検討していくこととしているところでございます。

畑野委員 先ほど、アレルゲンの特定原材料七品目というのがあるんですけれども、それ以外にもいろいろなアレルゲンでやはり症状が出る方というのはいらっしゃるわけなんですよね。食品表示法成立から五年もたって、いろいろな情報を集めてやっているということなんですけれども、しかし、添加物によるアレルギーを持っている消費者にとっては、本当に切実な問題になっております。待たされているわけですね。

 先ほど御紹介された、ことし三月の調査報告書では、事業者や消費者からのこれまでの意見が掲載されておりまして、私も読ませていただきました。それを読むと、ある方は、「アミノ酸等表示について明確にする。さまざまな添加物にアレルギーを持つ消費者にとって、このようなあいまいな表示では選択の余地がない。例えば、モノソディウムグルタマート(グルタミン酸ナトリウム、MSG)を避けたい消費者にとって、このアミノ酸など表示は不適格すぎる。MSGは必須アミノ酸ではない。アミノ酸など表示を許していることは日本の恥である。この表示はただちに変えるべきである。」という意見も厳しく指摘されております。

 そこで、私、伺いたいんですが、宮腰大臣、これは早急に検討を進めて、消費者が表示の内容を詳しく知りたい場合についても事業者がきちんと説明するようにするべきではないか。海外ではそういうことも行われているというふうに伺っております。この点について、大臣、いかがでしょうか。

宮腰国務大臣 食品添加物表示につきましては、食品表示法の規定に基づく表示基準におきまして、原則として、使用した全ての食品添加物を物質名で食品の容器包装に表示することとしておりますが、消費者へのわかりやすい情報提供や限られた表示スペース等への配慮の観点から、簡略名の使用や一括名表示を用いた表示も可としております。

 事業者は、食品添加物を含む食品表示につきまして消費者から問合せがあれば、お客様相談窓口等において適宜応答を行うことが一般的と承知をいたしております。これに加え、事業者に添加物の応答義務まで課すことにつきましては、消費者庁において、平成二十九年度調査結果や海外の表示制度、消費者の利活用度及び事業者の実行可能性等を踏まえ、今後の添加物の表示のあり方を検討する際に参考とさせていただきたいというふうに考えております。

畑野委員 問い合わせても答えてくれないというところが多いというふうに聞いております。ですから、それは誠実に、健康問題ですから、きちっと回答するというふうにしていただきたいと思います。

 きょうは食品添加物の問題しか伺えませんでしたけれども、先ほどから議論になっている原料原産地の表示の問題、あるいは遺伝子組み換え食品の問題など、本当に命と健康にかかわる問題、消費者が本当に知りたいことを知ることができる、選択できるということを、大臣がこの法のもともとの趣旨についておっしゃっていらっしゃるわけですから、ぜひそれはしっかりやっていただきたいということを重ねて申し上げたいと思いますが、大臣、いかがですか。

宮腰国務大臣 今、消費者庁として、関係省庁とも関係のする問題がたくさんありますので、これについては、今の消費者基本計画、三十一年度末ということでありますが、その中で順次この検討を進めていきたいというふうに考えております。

畑野委員 しっかりとやっていただきたいということを重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

土屋委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    正午散会


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