衆議院

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第3号 令和元年11月12日(火曜日)

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令和元年十一月十二日(火曜日)

    午前十時四十分開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 穴見 陽一君 理事 勝俣 孝明君

   理事 武村 展英君 理事 永岡 桂子君

   理事 山際大志郎君 理事 青山 大人君

   理事 尾辻かな子君 理事 古屋 範子君

      畦元 将吾君    安藤  裕君

      伊藤信太郎君    小倉 將信君

      門山 宏哲君    神田  裕君

      小泉 龍司君    佐藤 明男君

      鈴木 隼人君    冨岡  勉君

      西田 昭二君    百武 公親君

      藤丸  敏君    堀内 詔子君

      三谷 英弘君    宮路 拓馬君

      吉川  赳君    石川 香織君

      大河原雅子君    岡本あき子君

      下条 みつ君    西岡 秀子君

      初鹿 明博君    日吉 雄太君

      堀越 啓仁君    山本和嘉子君

      浮島 智子君    畑野 君枝君

      串田 誠一君

    …………………………………

   国務大臣

   (消費者及び食品安全担当)            衛藤 晟一君

   内閣府副大臣       大塚  拓君

   内閣府大臣政務官     藤原  崇君

   政府参考人

   (内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官)        榎本健太郎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   青柳 一郎君

   政府参考人

   (内閣府食品安全委員会事務局長)         小川 良介君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小田部耕治君

   政府参考人

   (消費者庁次長)     高田  潔君

   政府参考人

   (消費者庁政策立案総括審議官)          橋本 次郎君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    小林  渉君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    坂田  進君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 山内 由光君

   政府参考人

   (国税庁長官官房審議官) 後藤 健二君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    重藤 哲郎君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官)  浅沼 一成君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           迫井 正深君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           奈尾 基弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森  和彦君

   政府参考人

   (厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長)           依田  泰君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房輸出促進審議官)       池山 成俊君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           神井 弘之君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            渡邉 政嘉君

   政府参考人

   (観光庁観光地域振興部長)            村田 茂樹君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 白石 隆夫君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 松澤  裕君

   衆議院調査局第一特別調査室長           大野雄一郎君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月十二日

 辞任         補欠選任

  百武 公親君     神田  裕君

  船田  元君     三谷 英弘君

  石川 香織君     岡本あき子君

  山本和嘉子君     日吉 雄太君

同日

 辞任         補欠選任

  神田  裕君     百武 公親君

  三谷 英弘君     船田  元君

  岡本あき子君     石川 香織君

  日吉 雄太君     山本和嘉子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 消費者の利益の擁護及び増進等に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房ギャンブル等依存症対策推進本部事務局内閣審議官榎本健太郎君、内閣府政策統括官青柳一郎君、内閣府食品安全委員会事務局長小川良介君、警察庁長官官房審議官小田部耕治君、消費者庁次長高田潔君、消費者庁政策立案総括審議官橋本次郎君、消費者庁審議官小林渉君、消費者庁審議官坂田進君、法務省大臣官房審議官山内由光君、国税庁長官官房審議官後藤健二君、国税庁課税部長重藤哲郎君、厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官浅沼一成君、厚生労働省大臣官房審議官迫井正深君、厚生労働省大臣官房審議官奈尾基弘君、厚生労働省大臣官房審議官森和彦君、厚生労働省子ども家庭局児童虐待防止等総合対策室長依田泰君、農林水産省大臣官房輸出促進審議官池山成俊君、農林水産省大臣官房審議官神井弘之君、中小企業庁経営支援部長渡邉政嘉君、観光庁観光地域振興部長村田茂樹君、環境省大臣官房審議官白石隆夫君、環境省大臣官房審議官松澤裕君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。武村展英君。

武村委員 おはようございます。自由民主党の武村展英です。

 きょうは、質問の時間を頂戴しまして、本当にありがとうございます。心から感謝を申し上げます。

 それでは、早速質問に移ります。

 まず、ジャパンライフやWILLといった、いわゆる悪質な販売預託商法についてお伺いをいたします。

 これまで、本委員会におきましても、ほかの委員から質疑がございました。消費者庁が二〇〇九年九月に発足をして以来、十年が経過をしましたが、こうした悪質な事案、被害者が後を絶たない現状がございます。私は、制度や人員に限界があるというふうに思っておりますが、そういった問題意識で御質問をさせていただきます。

 まず、ジャパンライフやWILLといった、いわゆる悪質な販売預託商法の特徴についてお伺いをいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる販売預託商法とは、物品等を販売すると同時に、当該物品等を預かり、第三者に貸し出す事業等を通じて生じた利益を消費者に還元するなどとうたって消費者を誘引し、契約を締結させるような取引方法でございます。これによって大きな消費者被害が発生することについては、極めて問題であると考えております。

 こういった悪質な販売預託商法の特徴といたしましては、消費者から商品を預かって、商品を運用していると称しながら実際には運用していないなど、消費者への虚偽の説明や勧誘を通じて、高額な物品等を購入させたり高額な負担を消費者にさせて悪質事業者が不当な利益を得る取引であることにあると考えております。

武村委員 ありがとうございます。

 今の中で、債権の裏づけとなる資産がない、この点がやはり消費者被害を回復できない大きな特徴なのかなというふうに指摘をしたいというふうに思います。

 続きまして、こうしたいわゆる悪徳な販売預託商法に対する法規制の現状についてお伺いをいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる悪質な販売預託商法に対しましては、預託法や特定商取引法に違反する事実が認められた場合には、消費者庁において、法と証拠に基づき厳正に対処しております。

 例えば、特定商取引法におきましては、勧誘時の不実告知や重要事実の不告知は連鎖販売取引や訪問販売等の取引類型における禁止事項とされておりまして、業務停止命令等の行政処分や刑事罰の対象となり得るものでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 今、預託法と特定商取引法という二つの法律を列挙していただきました。

 まず、こうした悪質な販売預託商法につきまして、預託法の適用それから執行を行う場合の限界についてお答えをいただきたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 預託法では指定商品制をとっておりまして、政令で定める物品以外を販売し預かっている場合には適用されないという限界がある、そのような指摘を受けることがございます。

 これに対しましては、機動的に政令に商品を追加するなど対処しておりまして、例えばジャパンライフの行政処分につながっているところでございます。

 また、消費者庁といたしましては、消費者被害を防ぐ観点から可能な限り迅速な対応に努めておりますが、事実認定を行った上で行政処分を行うに当たりましては、一定の時間を要するという側面はございます。

武村委員 ありがとうございました。

 預託法における指定商品制ということで、これにつきましては指定商品を追加するということで御対応いただいたということでありますが、やはり行政処分を行うまでの一定の時間を要する、こうした限界があるということであります。

 続きまして、今度は特定商取引法、これにつきましての適用又は執行を行う場合の限界についてお答えください。

小林政府参考人 お答えします。

 特定商取引法に違反する事実が認められ、行政処分を行うに当たりましては、法と証拠に基づき厳格に事実認定を行っているところでございます。

 消費者庁としましては、消費者被害を防ぐ観点から可能な限り迅速な対応に努めておりますが、事実認定を行った上で行政処分を行うということに当たりましては、一定の時間を要するという側面はございます。

 消費者庁としましては、執行能力の向上を図っているところでございまして、引き続き迅速かつ適切に対応してまいります。

武村委員 ありがとうございました。

 特定商取引法におきましても、適用、執行については行政処分を行うまでの一定の時間を要するということで、同じように、この間に、こうした時間が経過をしている間にも被害者の方がどんどんふえていく、そういう状況にあるのではないかなというふうに思います。

 さて、消費者庁及び消費者委員会設置法、この中では、附則の中で、こうした被害者救済のための制度を検討せよという、そうした規定があります。この検討状況につきましてお伺いをいたします。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員から御指摘のありました附則に基づきまして、消費者被害のための制度について検討し、必要な措置を講じてきております。

 平成二十五年十二月には、内閣総理大臣の認定を受けた特定適格消費者団体が相当多数の消費者に生じた財産的被害の集団的な回復を可能とすることを内容とする消費者裁判手続特例法が成立いたしまして、平成二十八年十月から施行されております。施行後、四事業者に対し、訴えが提起されているところでございます。この制度におきましては、加害事業者の財産の隠匿又は散逸の防止策として仮差押えをすることも可能となっております。

 また、平成二十九年十月には、仮差押えを実効的に行うことができるようにするため、国民生活センター法等を改正いたしまして、特定適格消費者団体にかわって独立行政法人国民生活センターが仮差押えに必要となる立担保を行うことを可能とする制度を整備したところでございます。

 なお、ジャパンライフのような事例につきましては、本制度上の仮差押えをすることによって一定の被害の回復を図ることができることもあると考えられますが、既に倒産してしまった事業者との関係では、破産手続等の倒産処理手続において処理されると承知しております。

 また、平成二十六年十一月に成立いたしました改正景品表示法によりまして、景品表示法に違反する不当表示を行った事業者に対して経済的不利益を課す課徴金制度や、事業者が自発的に返金をした場合に課徴金額を減額する等の制度が導入され、平成二十八年四月から施行されております。

武村委員 ありがとうございました。

 今の御指摘の中で、消費者裁判手続特例法、これが成立をし、もう既に施行されている、既に四事業者に対して訴えが提起をされているということでした。これは一歩前進であるというふうに思います。しかしながら、ジャパンライフのように既に倒産をしている、そうした事業者の関係ではこうした制度は使えないということであります。

 さて、消費者委員会の建議の中で、犯罪収益の没収を制度化すべきということが書かれております。こうした御提言につきましてどのようにお考えをなさっているのか、お伺いをいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 いわゆる悪質な販売預託商法は消費者被害が大きくなりやすい悪質な取引法でございまして、消費者庁としても、実効的な法制度や法執行のあり方を常に検討しなければならないという問題意識を有しております。

 そのような問題意識から、例えば罰則強化という観点からは、平成二十八年の特定商取引法改正におきまして、不実告知等に対する法人への罰金を三百万円以下から一億円以下に引き上げたり、また、被害救済を図るために消費者裁判手続特例法が成立、施行されているところでございます。

 今後も、消費者被害の拡大等を防止するために、実効的な法制度や法執行のあり方を検討してまいります。

武村委員 ありがとうございました。

 消費者庁としても、実効的な法制度や法執行のあり方を常に検討しなければならない、そういう問題意識は持っていただいているということでありまして、それは我々委員と認識を同じにするところなんだというふうに思います。

 これまで事後規制について、まあ現状も事後規制なんですが、事後規制についていろいろとお伺いをいたしましたが、私は、やはりこの被害者というものを、特にお年寄りであるとか判断能力がなかなかついていかない方々に対しては、ある程度の事前規制もやむを得ないのかなという問題意識を持っております。

 そこで、お伺いをいたします。参入規制等の事前規制を行うことについての見解をお伺いをいたします。

小林政府参考人 お答えいたします。

 消費者委員会が八月三十日に公表された「いわゆる「販売預託商法」に関する消費者問題についての建議」と、同時に公表されました消費者委員会の意見では、販売預託商法を行う事業者への参入規制の導入の検討を行うこととされております。

 参入規制を導入した場合、いわゆる販売預託商法を行う事業者の実態をある程度把握することができるという指摘がある一方で、違反者に対する制裁は行政処分が中心となり、現行法令に基づく行政処分と変わらないこと、あるいは、悪質な販売預託商法を行うような事業者は、届出によりまして、消費者庁届出済みなどと名乗り、広告宣伝を行うことで、逆に消費者被害を増長させてしまう懸念も大きいことなどが考えられるところでございます。

 さらに、仮に参入規制を導入するという場合におきましては、規制のために膨大な行政コストがかかる中で、費用対効果を十二分に考慮する必要があるということでございまして、いずれにせよ、慎重な検討が必要であると考えているところでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 参入規制を導入する場合のメリット、デメリットについてお答えをいただきました。

 しかしながら、物事は実態把握をしなければ何も始まりません。そういう意味では、少なくとも届出制にしない限りは、被害が出て初めてそういった事業者がいるということをつかむだけでは、私は不十分であるというふうに思います。

 それから、デメリットのところで、規制のために膨大なコストが必要であるということをお答えいただきました。事後の規制から事前の規制を導入するということはまさに大きな制度の転換であって、これは政治判断だというふうに思います。膨大なコストがかかるというのであれば、そのコストを示していただいて、その上で政治判断を政務の方々や我々立法府で行うというのが筋であるというふうに思います。これは消費者委員会から提言がなされているということですので、それに対して膨大なコストがかかるというふうにおっしゃるのであれば、今後、やはりコストを明確に示していただきたいというふうに思います。

 それから、全国の相談窓口体制の強化についてお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 これは大臣からぜひお答えをいただきたいというふうに思いますが、滋賀県野洲市では、さまざまな先進的な取組を行っておられまして、成果も上げておられるというふうに聞いております。こうした滋賀県野洲市の事例と成果、それから全国の相談窓口体制の強化について、御見解をお伺いいたします。

衛藤国務大臣 滋賀県野洲市においては、消費者安全法で定められている消費者庁からの情報提供の規定も活用し、消費生活上特に配慮を要する消費者の情報を整理したり、見守りリストを作成し、実効的な見守り活動が行われています。

 実効的な見守り活動が行われている背景には、生活困窮者支援の過程において積み重ねてきた担当間の連携を主軸として、消費者部局と福祉部局等が連携して協議会を構築し、見守り等の活動を実施していること等が挙げられます。

 具体的に、野洲市では、民生委員等と連携した見守り活動を行っており、架空請求はがきにだまされ、相手方と連絡をとってしまった後で高齢者から民生委員に相談があった際に、民生委員が消費生活センターへの相談をつなげ、未遂で被害をとめることができたという取組の成果も上がっています。

 また、野洲市では、同規模のほかの自治体よりも多い、年間千件を超える相談件数を受け付けたりしており、被害救済金額は平成二十二年度以降の九年間で四億円を超えるなど、消費生活センターが地域で大きな役割を果たしていると聞いています。

 こうした野洲市の取組は、全国の自治体での取組を促す際に大変参考となるものであることから、さまざまな機会を通じて紹介し、全国の相談窓口体制の強化につなげてまいりたいと思っています。

 このような見守り活動について、今、我々も大いに検討しているところでございます。

武村委員 衛藤大臣、ありがとうございました。ぜひ、こうしたいい事例を全国に展開をしていただきたいというふうに思います。

 続きまして、話題はかわりますが、部落差別についてお伺いをいたします。

 部落差別解消推進法、議員立法で、平成二十八年十二月九日に施行をされています。もう既に三年近くが経過するわけでありますが、悪質なネット上での事案が後を絶ちません。

 法務省では、人権擁護機関からプロバイダーなどに対する削除要請という取組をしているところでございます。また、昨年十二月に発出した通知に基づいて、部落差別の特殊性を踏まえた新たな運用を開始をしておられます。他方で、海外サイトに対する対応が大変難しいということも聞いております。

 このようなサイトへの削除要請の運用における隘路と、それに対する取組はどのようなものなのか、お伺いをいたします。

山内政府参考人 お答えいたします。

 法務省の人権擁護機関では、関係行政機関からの通報などによって、インターネット上に特定の地域を同和地区であると指摘するなどの情報を認知した場合には、その情報の削除をプロバイダーなどに要請するなどしておりまして、このような取組を更に推進するために、委員御指摘のとおり、昨年十二月に発出した通知によりまして、部落差別の特殊性を踏まえて、立件、処理の考え方を整理いたしまして、適切な対応に努めているところでありますが、まさに委員御指摘のとおり、海外サイトを使ってインターネット上に掲載されているものの削除を求めるに当たりましては、さまざまな隘路がございます。

 具体的に申しますと、例えば、そのサイトが海外サイトである場合に、複数の海外事業者が関与している場合がございます。その場合に、どの海外事業者が削除権限を有するのか、その特定がなかなか難しいということもあります。あるいは、海外事業者とのコミュニケーション、これの言語の問題もございます。また、海外事業者にそもそも部落差別の問題を御理解していただくということがなかなか難しい、困難であるということの事情もございます。法務省も人権擁護機関も苦労しているのが現状でございます。

 もともと、法務局の削除要請につきましては強制力のない任意の措置でございまして、このような隘路を解消するためには、プロバイダーなどの御理解を得ることが重要であることから、総務省とともに実務者検討会を開催いたしまして、海外事業者も含めまして通信関連事業者との意見交換を行っているところでございます。

 もとより、海外サイトの利用が隠れみのになってはいけないということは当然のことでございますが、海外サイトを利用したものの削除についてはどのような方策が有効であるか、関係省庁、関係機関、団体とも協議をするなどして、引き続き検討してまいりたいと思います。

武村委員 海外サイトにつきましては、今おっしゃいましたように、大変難しい課題がたくさんございますが、ぜひとも引き続きお取組をいただきたいというふうに思います。

 続きまして、最後の質問になろうかと思いますが、探偵業法についてお聞きをしたいというふうに思います。

 警察庁さんに対してお聞きをしますが、二問、事前通告をしていますが、時間がありませんので、問い二の方についてお伺いをしたいというふうに思います。

 探偵業法につきましては、平成十八年五月、議員立法で、内閣委員会において成立をしているところであります。

 こうした探偵業法の中で立入検査ということが規定をされていまして、各都道府県警において立入検査がなされているところでございます。しかしながら、立入検査をした際に所在不明となっている業者も多数あるというふうに聞いておりまして、届出制の中で、こうした業者は、廃業を命じる必要があると思われる業者も多々ありますが、探偵業者の適正な監督のためには、警察庁として実態をまず把握する必要があるというふうに考えます。この点について御見解をお伺いいたします。

小田部政府参考人 お答えいたします。

 探偵業につきましては、探偵業法に基づきまして、都道府県警察において、探偵業の業務の実態を把握し、業務の適正化を図るため、必要に応じて立入検査を実施しているところでございます。

 御指摘の所在不明の業者につきましては、都道府県公安委員会に届け出ることなく、届出書に記載された営業所の所在地以外で営業を営んでいたり探偵業を廃止していたりする変更届出義務違反等の可能性があるため、立入検査等におきましてこうした業者を認知した場合には、その所在確認のため所要の調査等を行い、行政指導を行うほか、必要に応じて行政処分や検挙措置を講じているところでございます。

 警察庁といたしましても、探偵業者の適正な監督を実施するため、探偵業者に対する法令遵守等に関する指導とともに、立入検査等により業務実態を把握することは重要であると認識しているところでございまして、今後とも、各都道府県警察において探偵業の適切な実態把握により適正な指導監督が行われるよう、指導を徹底してまいりたいと思っています。

武村委員 ありがとうございました。

 今、私は、警察庁に対して実態把握をお願いしますというふうに申し上げましたけれども、今の答弁は、都道府県警察において適正な指導監督が行われるよう、指導を徹底してまいりたいというお答えでした。私は、ぜひ、まずは実態把握をしていただく、そして問題意識を持っていただく、このことについてお願いをしまして、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、佐藤明男君。

佐藤(明)委員 自由民主党の佐藤明男でございます。

 質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。

 それでは、早速質問させていただきます。

 元号も令和となり、新しい日本を迎えるに当たって、国民生活に直結する消費者行政は一層重要性が増してくると思います。新しい時代をどうつくるかに焦点を当てて質問をさせていただきます。

 初めに、公益通報者保護制度についてお伺いをさせていただきます。

 御承知のとおり、公益通報者保護法は、国民の生活、体、身体、財産その他の利益を保護するため、法令の規定の遵守を図るために、平成十八年に施行をされました。

 しかしながら、法施行後においても、内部通報がしづらいとか、通報者も十分守ってもらえていないという声がたくさん上がっております。消費者の安全、安心を損なう企業の不祥事も多く発生をしているため、今後、企業の自浄作用を十分に発揮するとともに、法令違反を早期に是正する観点から、制度の実効性を高めることが求められております。

 公益通報者保護制度の見直しにつきましては、昨年十二月に消費者委員会から答申が出されるなど、政府においても法改正に向けた検討が進められていると聞いております。

 そこで、保護の対象についてまずお伺いをいたします。

 現行法においては、保護の対象となる者は労働者に限定をされている。答申では、役員などにも範囲を広げることが盛り込まれていると聞いております。

 実効性を上げるためには範囲を広げるということは有効でありますが、一方、企業の中で役員は、その中に籍を置いて労働する側面もありますが、一方で経営管理の責任を負う立場でもあります。万が一、役員などが通報したことによって企業の不法行為等が明らかになった場合に、株主等から訴えられるという立場になる可能性もございます。

 現在、通報者である労働者は、企業に不利益が生じた際にも裁判などで賠償責任を負うことがないと伺いましたが、役員までに広げた場合には賠償責任というのはどういうことになるのかということでございます。

 さらに、答申では、退職者さらに取引先などにも触れられているようでありますが、そのことについて現在のお考えを教えていただければありがたいです。よろしくお願いします。

衛藤国務大臣 被害の拡大防止の観点からも、公益通報者保護法の実効性を確保していくことは大変重要でございます。

 そして、今お話がありましたように、昨年十二月の消費者委員会の答申においては、公益通報者の範囲について、保護の対象者とする範囲を合理的なものにすることや、法制的な観点からの整理を行うことなどが提言されております。先生御指摘のとおりでございます。

 消費者庁といたしましては、このような答申や関係者の意見等を踏まえつつ、実効性ある公益通報者保護制度の実現に向けて検討を進めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

佐藤(明)委員 ありがとうございます。

 制度の実効性を高めるというのがポイントだと思いますので、そのためには、社内のみならず、社外からの不利益な扱いもしっかりと守るという担保が必要だと思っておりますので、よろしくお願いします。

 次に、外部通報の保護要件として、通報対象事案の発生について信ずるに足る相当の理由、真実相当性などの緩和も答申で挙げられておりますが、その際、企業活動に支障を与えるような悪意の通報がふえてくるということも考えられます。

 現在、厚生労働部門でも年間で三千件を超える通報があると聞いております。真実相当性をどのように担保していくのか、考えをお聞きしたいと思います。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 現行法制上、二号通報は、一号通報に比べまして、真実相当性の要件が加えられております。これは、公益通報によって労務提供先等の正当な利益が不当に害されないようにするため、事業者外部への公益通報につきましては、単なる臆測や伝聞等ではなく、信じたことについての相当の資料や根拠が必要との考え方によるものでございます。

 消費者委員会の答申におきましては、真実相当性の要件をほかの要件に置きかえるか、又は一定の事由に該当する場合には真実相当性を不要とすることとし、その具体的な緩和の方法は法制的、法技術的な観点から整理を行うべきと提言されております。

 消費者庁といたしましては、そうした提言や関係者の御意見なども踏まえつつ、検討を深めてまいりたいと考えております。

佐藤(明)委員 ありがとうございました。

 精度を高めながら企業活動を妨げない、バランスを保ちながら実効性を高めるという、なかなか難しいとは思うんですが、このことについて、我が自民党内に、公益通報者保護制度に関するプロジェクトチームが立ち上がりました。

 大臣からも、この制度改正について、御意見があれば一言お願いをしたいと思います。

衛藤国務大臣 消費者委員会でも指摘されておりますように、これは前向きに我々としても検討をさせていただきたい。自民党の取りまとめの意見も十分お聞きさせていただきながら、前向きに検討させていただきたいというように思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

佐藤(明)委員 大臣、ありがとうございました。

 次に、東京オリンピック・パラリンピック、インバウンド対策について質問をさせていただきます。

 二〇一八年、訪日外国人の数は三千百十九万、初めて三千万人を突破しました。過去最高となっております。東京オリンピック・パラリンピック、来年更に増加が見込まれてくると思います。

 訪日する観光客は、文化、宗教、生活習慣など、さまざま異なる地域から来ております。それに起因するトラブルも多数起きてくるというふうに聞き及んでおります。

 例えば、小さい話でありますけれども、居酒屋などの飲食店に行けば、飲物を頼めばお通しが出ます。これが最初の料理という感覚ではあるんですが、外国人はこれをサービスと受け取るケースがかなりあって、何も頼んでいないのに代金を請求されているというようなトラブルもあちこちあるということを聞いております。

 日本では、例えば、不備のない買物を、不備のない限り、購入したものについては、商品の返品はない。ただ、外国では、一旦購入しましたけれども、やはりちょっと気に入らないとか、プレゼント用に購入したが、プレゼントした相手が気に入らないというようなことがあって返品をしたいという相談を、ほかの国ではその店が受けて、その理由で返品をしている、そういった事例も多数あるそうでございます。

 外国人の消費者トラブルを未然に防ぐこともおもてなしの心として大切だと思いますが、消費者庁としてどのような対策を考えているか、お聞かせください。

坂田政府参考人 お答えいたします。

 訪日外国人旅行者数は、近年、急速に増加しておりまして、さらに政府として、二〇二〇年に四千万人、二〇三〇年に六千万人とする目標を掲げている中にあって、外国人の消費者被害の発生を防止することは大変重要な課題であると認識しております。

 このため、消費者庁といたしましては、地方消費者行政強化交付金等の活用による消費生活相談体制の充実強化に向けた地方公共団体の取組を支援してきたところでございます。また、国民生活センターが二〇一八年十二月に開設いたしました訪日外国人向けの電話相談窓口、訪日観光客消費者ホットラインについて、観光庁等との連携のもと、その普及に努めております。

 今後とも観光庁等の関係省庁や地方公共団体との連携のもと、外国人の消費者被害の発生防止に向けてしっかりと取り組んでまいります。

佐藤(明)委員 ありがとうございます。

 もう一つあるんですが、戒律によりハラールしか食べられないイスラム教徒、ムスリムの方も日本に多く来られております。

 先日、ムスリム世界連盟日本代表部の方に話を伺ったところ、年間で八十数件、忌避とされるハラムを食べさせられた、訴訟を起こしてもらいたいというようなクレームがあったそうでございます。この件についてちょっと観光庁の方にそれをお話をしたところ、政府、観光庁としては対応はしない、オリンピック村にはハラールの食材は用意されているでしょうというようなお話がありました。

 しかし、オリンピックで来日するのは選手だけではありません。十八億人と言われるイスラム教徒、数多くの方が日本に来日されると想像がつきます。宗教として考えれば難しい面はございますけれども、シャンパンと同じGI、ジオグラフィカル、地理的表示と考えて、決まった製法がある食品と考えることはできないのでしょうか。実際に、日本に来て困っている方がいるという現実があるんです。何らかの対応をとるべきだとは思います。答弁は結構でございます。

 次に、消費生活相談員についてお伺いをいたします。

 消費生活相談員については、二つの資格があり、日本産業協会が一九八〇年から行っている消費生活アドバイザー、もう一つが、国民生活センターが一九九一年に試験を開始して、消費生活専門相談員とのことですが、おのおのの数が、資格者が、一万二千、六千名とのことであります。

 この二つの資格の差異について、御教示をいただきたいと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費生活アドバイザーでございますけれども、一般財団法人日本産業協会が実施しておりまして、そちらの資料等に書いてございます目的でございますけれども、消費者と企業や行政のかけ橋として、消費者の意向を企業経営や行政等への提言に反映させるとともに、消費者からの苦情相談等に対して迅速かつ適切なアドバイスができる人材を養成することを目的としているということでございまして、昭和五十五年から始まっております。

 それから、消費生活専門相談員でございますけれども、目的としまして、国民生活センター及び各地の消費生活センターで消費者相談に携わる相談員の能力、資質の向上、新たな人材の発掘、相談員のモラルの向上といった諸課題を具体的に解決するためとしておりまして、その試験としましては平成三年から始まっているところでございます。

佐藤(明)委員 これは、窓口相談を設置している体制を維持したり充実するということになれば、当然、相談員の待遇改善も必要なのではないかなと。

 お聞きしましたら、消費者庁が発足してから、相談員の時給というのが、やっと、これまでで百円程度しか上がっていない。地方消費者行政強化交付金は、事業メニュー、研修メニューと多くの対象がある中で、消費生活相談に対してしっかりと予算を使っていただくように、消費者庁には引き続き各自治体への働きかけもお願いをしたい。

 また、予算にも関係する話でありますけれども、消費生活相談員への雇いどめというんですかね、これがまだ若干残っているということであります。相談員の任用期間の更新回数制限を超えても、能力実証を経た上で引き続き任用が可能であると嘱託取扱要綱の見直しがされているわけですから、まだ八県ほど雇いどめが残っているんではないかと思います。

 このことについては、総務省でも、任期ごとに客観的な能力実証を行った結果として同一者の再度任用は排除しないという立場でおります。ぜひとも、残る八県についても相談員の雇いどめが解消されるように、消費者庁としての働きかけをしていただくようにお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁としては、これまでも、地方消費者行政推進交付金等を通じて、自治体による相談員の配置、増員、レベルアップ等の取組を支援してきたほか、消費生活相談員の職や任用要件等の法定化、地方公共団体の長に対する雇いどめの見直しを求める通知の発出等を通じて、相談員の処遇改善に取り組んできたところでございます。

 消費者庁は、令和二年度予算概算要求において、地方消費者行政強化交付金に加えて、消費生活相談員など地方消費者行政の人材育成や国民生活センターによる地方研修開催のための経費の要求を行ったほか、引き続き、地方公共団体の首長等への働きかけを行っているところであり、このような取組を通じて、相談員の適正な配置、処遇の改善、資格保有率の向上を図ってまいります。

佐藤(明)委員 時間がありませんので、最後に要望をさせていただきます。

 食品ロスの関係でございますが、端的に言えば、食品ロスについては、何と申しますか、期限切れで廃棄される食品を削減することが最も早い成果が上がるのではないか。ちょっと大ざっぱな話ではあるんですが。

 先日、十一月七日付の読売新聞に、クリスマス、お節についての食品ロス削減の取組事例が掲載をしてありました。いわく、お節は多彩な具材が魅力ではありますけれども、不人気な料理もあり、食べ残した経験がある方が六割に上り、その八割が罪悪感を感じている。それならばということで、好きなものだけを詰め合わせてつくったお節を販売して食品ロスにつなげようという取組が行われ始めています。

 また、ある大手コンビニエンスストアでは、クリスマス食品、ケーキとかチキンですね、これを何種類か予約のみで販売するという取組を行っております。同社が、本年の七月に、土用のうしの日、ウナギ弁当を予約のみで販売したところ、廃棄した商品は金額ベースで前年八割減、加盟店の利益は七割増だったと聞いております。こうした取組、ぜひとも積極的に消費者庁は発信していただきたい。

 また、八日、FNNライブニュースアルファでは、食品残渣をアパレルの染料に使うフードテキスタイルというのが紹介されております。

 日本全体が食品ロス削減に意識を高め、こうした取組について、やはり消費者庁が全面的な後押しをやっていただきたいと思います。私も、賞味期限切れの食品は捨てないというふうに誓いまして、質問を終わります。

 以上です。

土屋委員長 次に、古屋範子君。

古屋(範)委員 公明党の古屋範子でございます。

 衛藤大臣、御就任、大変におめでとうございます。本日は、所信に対する質疑を行ってまいりたいと思います。

 まず、このたびの災害関連の質問からしてまいります。

 この相次ぐ台風によりまして亡くなられた方に哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。全国からの関係機関の支援、またボランティアの皆様にも心から御礼を申し上げたいと思っております。

 昨年の西日本豪雨に続きまして、このたびの十五号、十九号、二十一号と、千葉を始め東日本全体に甚大な被害をもたらしました。私は神奈川に住んでおりますけれども、やはり家が古いもので、十五号で相当雨漏りがいたしました。犠牲者の方が全体で九十名、いまだに二千八百人の方々が避難所生活を余儀なくされております。

 一昨日、私も千葉に行ってまいりました。市原、また長柄町の被害現場に行ってまいりました。住宅被害、そして農業被害、竜巻の被害もございまして、大変甚大な被害をこうむっております。河川の氾濫、それから土砂崩れ、浸水、広域で相当な雨の被害が発生をいたしまして、停電も長く続きました。台風のとき、風速五十七メートルという記録的な暴風に見舞われまして、いまだに復旧は途上というところでございます。

 それに対しまして、生業、生活再建に対するパッケージがこのたび発表となりました。地元に確実にそれが届くように、活用できるように、ぜひとも御努力をいただきたいと思っております。

 災害の折に、大規模災害等が発生すると、点検商法、便乗商法、災害に関連した消費者トラブルが多く発生をいたします。過去には義援金詐欺というのもありました。

 国民生活センターによりますと、台風の後片づけをしていたら業者が来て、損害保険を使って無料で雨どい修理ができる、経年劣化で壊れたものも保険でできるというふうに言われた、かなり不審である、また、雨どい等が壊れて外壁も剥がれて、火災保険で修理できるという業者が突然来て、保険請求手続の代行と住宅修理を依頼したが、これはやめた、あるいは、屋根瓦がずれて、見積りをとるというので業者を呼んだところ、屋根にビニールシートをかけられ高額な作業料金を提示をされた、仕方なく支払ったけれども納得ができない、このようなトラブルが続いております。

 私も、千葉の地元の議員からも、高額な請求に遭ったという事例をきのう、おとといも聞いてまいりました。

 こうした、台風被害に遭って、更にその後消費者被害にも遭ってしまって、追い打ちをかけるような事例がございます。相談件数が増加をしていると聞いております。

 消費者庁から、今回の一連の台風、豪雨災害により寄せられた消費者生活相談の被害状況について御説明をお願いします。

坂田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の台風関連で寄せられた相談は、十一月十一日時点で、十五号関連が千四百二十一件、十九号関連が五百五十五件となっております。

 内容といたしましては、被災した住まいを訪問する事業者から持ちかけられる家屋修理等の見積りに関する相談や、不審な義援金募集の呼びかけに関する相談などが寄せられているところでございます。

古屋(範)委員 かなりの件数が寄せられているということでございます。

 国民生活センターでは、十一月一日から、今回の台風、大雨の被災地を対象として、消費者トラブルの相談を受け付けるフリーダイヤルを開設されています。

 消費者被害防止に係る取組、さらに、ウエブサイトにおける注意喚起の内容も更新、地方公共団体とも連携をして、消費者ホットライン一八八、イヤヤンの周知を進められているということを聞いております。

 こうした注意喚起、ホットラインの周知、クーリングオフの対応などについて、特に、今回の被害も、過疎地、独居老人が多い地域もございます。PCとかスマホを使わないという方も多いわけでありまして、やはりそこは対話などにより丁寧な対応が求められているところでございます。

 被災地で起きているこうした消費者相談への対応、自治体とも相談の上でしっかりと取り組んでいただきたいと思います。大臣の御答弁を求めたいと思います。

衛藤国務大臣 災害に便乗した悪徳商法を防いでいくためには、今お話がございましたように、被害に遭わないための情報を消費者に着実に届けるとともに、切れ目のない消費生活相談の体制を確保することが不可欠です。

 そういう中で、従来の消費者ホットライン一八八(いやや)や架空請求に対する注意喚起のほか、今お話しいただきましたように、今月一日から、今般の台風等の被害地域を対象として、通話料無料で相談を受ける令和元年秋台風関連消費者ホットライン、〇一二〇―四八六―一八八、「しんぱいむよう いやや」を開設したところでございます。

 また、地方公共団体においても、独居高齢者あるいは障害者を始めとする消費者の見守りを強化する観点から、見守りネットワークの構築を進めているところであります。各地域地域において、福祉関係で頑張った方々のところにそれをお願いしながら、見守りネットワークを重層的につくり上げていこうということで今頑張っているところでございます。

 今後とも、被災者からの相談の状況や被災自治体のニーズをきめ細かく把握しながら、御指摘の独居高齢者等の災害弱者への対応も含め、災害に便乗した悪質商法の防止に全力を尽くしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

古屋(範)委員 今、大臣からさまざまなお取組を伺いました。ぜひ、今後も消費者被害に対する対応を全力で取り組んでいただきたいと思っております。

 私も、災害対策、防災、減災につきまして、女性の視点から今までも取り組んできたところでございます。

 今回、注目を集めました液体ミルクについてお伺いをしたいと思います。

 この液体ミルク、粉ミルクのように、災害に遭って水が出ないとか、お湯を沸かせない、こういうときにそのまま飲むことができますので、災害時には特に有用であります。必要なビタミン、たんぱく質など、母乳に近い栄養素が含まれていまして、常温で約半年間保存が可能となっております。

 欧米ではこの液体ミルクの普及が進んでおりますけれども、缶であったり紙パックであったり、いろいろな形状で発売されておりまして、容器に直接吸い口をつけられるような、そういう商品もございます。

 この液体ミルク、なかなか製造、販売ができませんで、国とすれば、企業から申請があれば審査をしますということだったんですが、いやいや、待っているだけではなくて、国の方から積極的に促していくことが必要だということで、私も厚生労働副大臣のときに取り組みまして、私たちもこの製造、販売促進をさせてまいりました。

 昨年八月に、厚生労働省が製品の規格基準というものを定めた改正省令を施行いたしました。消費者庁も、乳児の発育に適した特別用途食品として表示する許可基準を定めて、施行されました。そこで、二社から、ことしの三月、生産、販売に至ったわけであります。

 災害時には、どちらかというと、ストレスなどで母乳が出にくくなる母親が多いのではないかなというふうに思います。そうしたときに、こうした液体ミルクは大変便利であります。

 私たちも、公明党の地方議員が、自治体で備蓄をするように議会の側からも働きかけているところでございます。

 そして今回、避難所に災害物資としてこの液体ミルクを輸送していただきました。

 二〇一六年四月に、熊本地震の際、フィンランドから救援物資として液体ミルクが支給され、その必要が認識をされました。しかし、昨年九月の北海道地震の際には、届いた北欧製のミルクが、被災者になじみがなかったということもあり、採用されませんでした。

 まだまだこの認識が深まっていないという現実もあるのではないかというふうに思っております。

 この液体ミルクについて、国民の理解がまだまだ深まっていない中で、災害時に認知不足で活用されないということがないように、子育て世代、自治体、医療機関、関係団体等へ液体ミルクの情報、具体的な活用方法等をわかりやすく解説し、また、防災イベントなどの場を活用いたしまして、普及啓発を図っていただきたいというふうに思っております。

 これに関して、厚生労働省の取組を伺いたいと思います。

依田政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時においては、授乳中の女性にとって、避難所等でのなれない生活環境により心身の負担が大きくなるとともに、断水や停電等により清潔に授乳できる環境が確保できない可能性も考えられるため、委員御指摘のように配慮が必要であると考えております。

 このため、厚生労働省におきましては、本年十月二十五日付で、各都道府県等に対しまして、災害時における授乳中の女性への支援等に関しまして、断水等によりライフラインが断絶された場合においても、水等を使用せず授乳できる乳児用液体ミルクを母子の状況等に応じて活用いただくことをお願いしたところでございます。あわせまして、平時からの対策といたしまして、育児用ミルク等の授乳用品などの母子に必要となる物資の備蓄を進めることをお願いしたところでございます。

 具体的には、災害のために備蓄した育児用ミルクにつきましては、ローリングストックでございますとか、また、防災に関する訓練や啓発活動において、災害への備えとして正しい使用方法等を説明した上で活用することが可能である旨をお示ししたところでございます。

 引き続き、関係省庁と連携しながら、災害時における母子の状況に応じた乳児用液体ミルクの活用等について周知を図るとともに、授乳に関する正しい知識の普及に努めてまいりたいと存じます。

古屋(範)委員 ぜひ、この液体ミルク、正しい知識の普及啓発に引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 次に、レジ袋有料化の義務化について質問をしてまいります。

 近年、プラスチックごみの海洋流出が新たな地球規模での問題となっております。地球温暖化に続く新たな地球環境問題であると思っております。

 こうした中、本年五月、政府においては、プラスチック資源循環戦略を策定し、リデュース、リユース、リサイクル、再生利用と、各方面との目標が打ち立てられました。

 その目標として、二〇三〇年までに使い捨てプラスチック二五%削減、これは海洋プラスチック憲章を上回る目標でありまして、政府としての強い意気込みが感じられるところでございます。

 このプラスチックごみの削減に関して、レジ袋有料化を義務化をしていくということ、この方針が打ち出されました。来年の二〇二〇年七月、商品を持ち帰るレジ袋の原則有料化を目指すというものでございます。世界四十五カ国以上も禁止化、有料化をしており、日本もやっとそれに追いついたということになっております。

 このレジ袋有料化義務化につきまして、十一月一日に取りまとめられ、また公表されましたレジ袋有料化のあり方についてのポイント、また今後のスケジュールについてお伺いをいたします。

松澤政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘いただきましたレジ袋有料化の取りまとめ案でございますけれども、そのポイントは、消費者が商品の購入に際し商品を持ち運ぶために用いる、化石資源由来のワンウエーのプラスチック製の買物袋を省令に基づく有料化の対象といたしております。一方、今回省令の対象とならない一定の環境性能が認められるものにつきましても、環境価値に応じた価値づけなどを進めていくことといたしております。

 それから、施行時期については、先生御紹介いただきましたけれども、来年七月一日としつつも、先駆けて有料化を実施することを推奨することとしております。

 今後のスケジュールにつきましては、現在実施中のパブリックコメントを経まして、年内には改正省令を公布させていただきたいと考えております。

古屋(範)委員 幾つかの業界からもヒアリングをいたしましたけれども、日本チェーンストア協会では準備期間がもっと必要だ、あるいは日本スーパーマーケット協会では、もう全てのレジ袋に徹底をしてほしいというような意見もございます。また、業界団体とも調整をしながら、進めていただきたいと思っております。

 そして、このレジ袋の価格です。目的は、レジ袋を減らしていくということだと思います。

 既にスーパーなどで、一枚二円から五円というところが多いんですね。このプラスチックごみのレジ袋というのは全体のプラごみの数%なんですけれども、やはり環境問題を考える、プラスチックごみを削減していくというところで、日常生活の中で、国民にとってもその意識を高めるまず入り口になっていくと思います。

 富山ではもう長年この取組をしていまして、協定方式でスーパーと五円というふうに設定をしておりまして、辞退率は九割に達していると伺っております。

 幾らであれば消費者がマイバッグを持っていってレジ袋を買わずにいこうと思えるのかどうか、この価格設定に関して調査をしてみてはどうかというふうに思います。この提案についていかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者を取り巻く社会経済情勢が絶えず変化する中、消費者の日常生活における意識や行動を的確に捉えていくことは重要だと考えております。

 御指摘のレジ袋の問題を始め、環境問題に関する消費者の意識については、消費者庁の今年度の消費者意識基本調査により実施しているところでございます。

 レジ袋につきましては、消費者のレジ袋への向き合い方等、消費者の具体的な対応に関するさらなる意識調査の可能性を関係省庁と連携して検討してまいります。

古屋(範)委員 検討してくださるということであります。もし財源等の面で消費者庁でできなければ、きょうは環境省もいらしていますので、環境省とも協力をして、ぜひこの調査をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 最後になります、エシカル消費、倫理的消費について大臣にお伺いをしたいと思います。

 国連環境計画などでは、国内で出る食品包装容器など、プラごみは年間約九百トンに上っております。一人当たりの発生量、米国に続いて第二位となっております。こうした現状の中で、プラスチック容器の問題だけではなくて、食品ロスの問題もあると思っております。

 消費者庁の消費者意識基本調査においても、消費者が日ごろ消費生活で行っていることを聞いたところ、このエシカル消費という言葉を知らなくても、節水、節電、食品ロス、ごみを減らすなど、そういうことに対する意識は皆さん持っていらっしゃいます。

 人や社会、環境に配慮した消費行動、エシカル消費の普及に向けて、最後、大臣の御決意を伺いたいと思います。

衛藤国務大臣 先ほどお話ございましたように、食品ロスの問題も、今改めて、ちょっとどう強化できるのか、環境省それから農林省とも打合せをさせていただいている最中でございます。

 そして、このプラスチック類とかそういうことも、もっと環境に優しいという形でどうできるのかということについて、私どもも力を入れて取り組んでまいりたいというふうに思っております。

 いずれにいたしましても、やはり、自身の消費行動が環境にどのような影響を与えるのか自覚して行動することによって、将来世代にわたり、よりよい社会実現をすることができると思います。

 そういう観点からも、消費者庁は、人、社会、環境等に配慮した消費行動、いわゆるエシカル消費の普及啓発に取り組んでいるところでございまして、今先生から御指摘ございましたように、今後ともレジ袋の有料化等も契機としながら、もっともっと環境に配慮した消費行動が更に広がるように、関係諸団体、関係省庁とももっと緊密に連絡をとりながら取り組んでまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

古屋(範)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

土屋委員長 次に、尾辻かな子君。

尾辻委員 立憲民主・国民・社保・無所属フォーラムの尾辻かな子です。

 きょうは、衛藤大臣、所信に対する質疑ということで、順次御質問をさせていただきたいというふうに思います。

 消費者問題に対する質疑の前に、衛藤大臣の政治理念や政治の姿勢についてまずはお伺いをさせていただきたいというふうに思います。

 大臣は、この消費者の担当大臣以外に少子化や一億総活躍や沖縄北方担当と、さまざまな役割を担っておられます。その役割を担う大臣としてお考えをお聞きしたいというふうに思いますが、大臣、参議院のとき、今も参議院議員でいらっしゃいますけれども、第百八十五回の国会、二〇一三年十二月五日の参議院本会議においての大臣の採決の姿勢についてお伺いしたいと思います。

 これは、二〇一三年九月の最高裁の決定で、非嫡出子の規定は法のもとの平等を定めた憲法に違反するという判断がありまして、それを受けて、婚外子の相続差別を解消する民法の一部を改正する法律案、これが採決されたわけです。このとき、衛藤大臣はなぜか賛成ボタンを押しておられません。全会一致ということですけれども、参議院の方では賛否が見れますから、そのときに賛成ボタンを押されなかったその理由はどこにあるのか、お聞かせください。

衛藤国務大臣 それは、私は、二〇一三年の参議院の本会議において、この民法の一部を改正する法律案について、自分なりの判断で恐らく棄権したんであろうという、自分なりの判断で棄権したんだろうというぐあいに思っています。

 この法律案は国会の判断によりまして成立をいたしましたので、それについての論評は、今は私は担当でもありませんので、閣僚としてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。

 この成立した法律にのっとって、当然、担当大臣を中心にこの法運用がなされるわけでございますので、それに従って行動するのは当然であるというように思っております。

 以上です。

尾辻委員 今、御自分の、自分なりの御判断だというふうにおっしゃったかと思うんですけれども、まず、憲法十四条一項に反するという判決をどのようにお受けとめになって、そして自分の判断で棄権されたのかということについてお聞かせください。

衛藤国務大臣 それは今の担当大臣としての申し上げるべき内容だと思っていませんが、ちょっと私もそのときの詳しい中身を、大分前のことですから、全部思い出したわけではございませんし、いずれにいたしましても、そのときの心理がどうであったかということについて丁寧に覚えているわけではございませんから、それを私がまた、担当の大臣でもありませんし、この行動についてこの場でいろいろ申し上げることではないというぐあいに思っております。

 それから、あと、少子化の問題とか、それから一億総活躍について具体的なことがあれば、どうぞお聞きをいただければ、それなりに考えを表明させていただきたいと思っております。

尾辻委員 これはやはり大きなことだと思うんです。司法が違憲だと判断したことについて立法府の一員として棄権をされたということは、三権分立ということをどう考えておられるのかということ、さらには、少子化担当大臣でもあられます。この非嫡出子への、半分ですね、相続が半分になるという差別について、これだけ最後に確認しておきますけれども、婚外子であることで相続が半分になる差別を大臣は是認されているのか、それともそういう差別はいけないと今は思っていらっしゃるのか、これだけ確認させてください。

衛藤国務大臣 法に従って行動しようと思っております。

尾辻委員 ちょっとお答えになっていないかと思うんですが、差別をどう考えておられるのかということについてお答えください。

衛藤国務大臣 私は、その差別についていろいろ答える立場でもありません。また、そのときにそういう判断を恐らくしたんだと思います。ですから、ただ、今は、その法令が成立したわけですから、その法に従って考え、そして行動するということが私の仕事だと思っておりますから、その方向で頑張ります。

尾辻委員 まあ、これは過去のことですから、今、少子化担当大臣でもあります。さらには、一億総活躍ということでもありますし、消費者問題の担当大臣でもあります。こういったところで任務を果たすためには、やはり婚外子に対しての相続差別を是認する立場では、これは私はやっていけないと思いますから、しっかりとやっていただきたいというふうに思います。

 さらに、もう一点だけ確認をさせてください。

 これも、政府の一員ということですから。今まで、衛藤大臣、いろいろ発言されております。村山談話や河野談話についてですけれども、安倍内閣としては、これは引き継ぐ、踏襲するという立場です。衛藤大臣としてもこの政府の方針に従われるのかどうかということについて、お答えをいただければと思います。

衛藤国務大臣 政府は、これらの談話とかいろいろなものについては、それを否定するというような形の対応は余りとっていません。

 そして、この河野談話というものが発表されたわけでございますけれども、それについて、私どもなりに、私は当時内閣にいましたが、いろいろな調査をしてみました。その中で、またどう処理すべきかということについては、これは引き継ぐんだということについて賛同してむしろやってきたわけでございますので、それについて、そういう質問をいただきましたが、当然、安倍内閣の一員として、引き継いでやっていく。

 むしろ、そのときに、私は、それを否定するなんてことはできませんよということを申し上げた立場でございましたから、そのことは御理解いただければと思います。

尾辻委員 それでは、確認させていただきましたので、消費者に関する質問に参りたいと思います。

 二〇〇九年九月一日に、消費者庁、発足をいたしました。ことしで十年という節目を迎えます。あわせて、消費者委員会も十年という節目であります。この十年を評価し、そして検証して、そして次の十年に向けてしっかり動くときが来ているのではないかと思います。

 ただ、近年の消費者庁の動きというのは、どうも事業者に遠慮しているのではないかとか、私もるる聞いてまいりました地方消費者行政についても、本当に地方消費者行政が置き去りになっているのではないかというような懸念もありますので、このあたりについてお聞きをしていきたいと思います。

 まず確認ですが、大臣、消費者庁の使命とは何かということについてお聞きをしたいと思います。

衛藤国務大臣 消費者庁は、二〇〇九年に、消費者を主役とする社会の実現を目指すための政府のかじ取り役として設立をされました。それは、消費者の観点で政策全般に横串を通しまして、幅広い分野で消費者の利益の擁護、増進を図ることが求められており、大変重要な使命を担っていると考えております。

 前回所信で申し上げましたとおり、消費者を取り巻く社会状況の変化に適切に対処できるよう、多様な主体と連携しながら、令和時代の将来を見据え、重要な施策の推進に全力で取り組んでまいりたいというように思っています。

尾辻委員 私がお聞きしたのは、消費者庁としての理念、使命があるかと思いますが、その使命について、決められている部分、明文化されている部分があると思いますが、それについてお答えいただきたいと思います。

衛藤国務大臣 今申し上げましたとおり、消費者を主役とする社会の実現を目指す、この消費者をどう擁護するかということは私どもの基本的な理念であり立場でございまして、そのために政府の中におけるかじ取り役として設立されたというように思っておりますから、そのかじ取り役を十分に果たしていけるように、消費者庁としては頑張ってまいりたいというように思っています。

尾辻委員 ちょっとここはもう確認だけだったんですが、消費者庁の使命というのは一番最初のところに書いてありますよね。消費者行政のかじ取り役として、消費者が主役となって、安心で安全で豊かに暮らすことができる社会を実現する、これをちょっとお答えいただきたかったんですけれども。これを確認した上で、大臣にお聞きしていきます。

 先に地方消費者行政についての方をお聞きをしていきたいというふうに思います。

 私は、最近、本当に消費者庁は地方消費者行政を充実させる気があるのかということを疑問に思っております。

 例えば、先日、消費者庁から出された地方消費者現況調査を見てみますと、自治体における消費生活相談員は、実は四十五人減少しているんですね。市町村の職員は、兼務割合一〇%。だから、兼務して一〇%しかこの消費の仕事をしていませんよという人たちが半数を超えたり、消費者団体連絡会の調査でも法執行での専任職員の減少ということが指摘をされている、特商法の行政処分もできていない都道府県もある、こういう状態なわけです。

 地方消費者行政推進交付金が大幅に削減をされて、自治体ニーズとのミスマッチが指摘される強化交付金、まるで地方消費者行政には消費者庁は責任を持たないんだというような状態であるかと言えます。

 大臣は所信で、消費者がどこに住んでいても質の高い相談、救済が受けられる、誰一人取り残されることがない体制の構築を図ると言われておりますが、これは現実と乖離しているのではないかと思います。大臣、いかがでしょうか。

衛藤国務大臣 消費者行政の現場は地域にあるということはもちろんでございます。そういう意味では、地方の消費者行政の充実強化は最重要課題であるというぐあいに考えています。

 そのため、消費者庁といたしましても、地方消費者行政推進交付金等の財政支援も活用しながら、地方公共団体における消費者行政の体制整備を支援してきたところであります。これにより、平成二十七年に消費生活窓口相談の空白地域が解消されることとなり、一定の成果を上げてきたものというぐあいに見ています。

 他方、厳しい地方財政情勢や新たな担い手不足などを背景といたしまして、相談員の配置数が、今お話がございましたように、減少するなど、地方消費行政の推進体制は依然として脆弱であるということは否めないというように思っています。

 今後とも、私どもとしては、自主財源の確保を含めた地方消費者行政の体制整備を強化するためには、交付金等を通じた支援に加えて、地方公共団体の首長等への働きかけが重要であるというように思っております。

 先般、私も京都に出向きまして、京都市長と京都府知事に要請を行ったところでございますが、今後もさまざまな機会を捉えて地方の現場に出向き、地方消費者行政の充実強化に向けた働きかけを行ってまいりたいと思っております。

尾辻委員 自治体への働きかけだけで本当に自治体は自主財源を出してくれるのかということは、やはり疑問があるわけです。

 そして、やる気のある首長さんのところはどんどん進みますけれども、やはり財政が厳しいところというのはどうしても後回しになって、全国一律という質の高い相談をどうやってキープしていくのかということは、これはやはり自治体任せでは私はいけないと思うんですね。ここはやはり、地方消費者行政は維持すべき最低の水準があるんだ、例えばPIO―NETの入力作業などもそうですけれども。ですから、やはり、自治体の一部をしっかり国庫負担化して、この最低基準は消費者庁が支えるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

衛藤国務大臣 この地方消費者行政が前線でありまして、そういう意味では、そこをどう大事にするか、そして、国としてもどれだけバックアップできるかということです。

 そういう意味で、交付金等を通じたものとか、あるいは、消費者庁自身も、京都市や京都府でお願いしていますけれども、各自治体の首長に対してお願いをしております。消費者庁自身も、地方を充実するという意味では、その分室を徳島に設ける等のそういう行為を今しながら、その充実方についてお願いしているところでございまして、それを、充実方を今後とも図ってまいりたいというぐあいに思っております。

尾辻委員 大臣も、地方消費者行政が大事だという思いはしっかりわかっていらっしゃると思います。ただ、今までの推進交付金の削減とか強化交付金の出し方で、自治体は実際困っていらっしゃるんですね。

 ぜひ、その生の声、更に聞いていただきたいということを思いますし、現場の消費生活相談員さん、やはりこの処遇をしっかりとしていかなければいけない。高齢化、担い手不足というところがあります。今、私たちもバッジをつけて、一八八(いやや)ですね、これを普及しているわけですけれども、電話をかけても電話をとる相手がいなければこれは問題になっていくわけですから、ここをしっかりと支えていただきたいと思います。

 来年、実は四月から、消費生活相談員さんは、会計年度任用職員という形で変わられる方が多いというふうに思います。これになると、処遇が改善される方もいれば、今の処遇からちょっと下がってしまうような方もいらっしゃって、この移行がどうなるのか、それによって、消費生活相談員さん、継続して仕事ができるのかとか、そういうこともあります。

 ぜひ、この四月からの会計年度任用職員の移行に対しては、影響調査をしっかりしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

衛藤国務大臣 会計年度任用職員さんに移行します、そうしますと、通常の場合ですと、一般職と同じように、ボーナス等も支給されるということになります。各自治体にとってみたら負担増になるところが相当あるんでしょうけれども、そのことにぜひ御理解をいただきながら、身分の安定について、そのことを一緒に図ってまいりたいし、そして、その調査も当然のこととしてやらせていただきたいと思いますので、やってまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

尾辻委員 よろしくお願いしたいと思います。

 消費者がどこに住んでいても質の高い相談、救済を受けられる体制整備が本当に大事ですので、大臣、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、ちょっと時間がありませんけれども、預託法のことについても、先ほども質疑がありましたけれども、お聞きしていきたいというふうに思います。

 大臣、少子化担当大臣でもあられるわけで、少子高齢化の中で、やはり高齢者に対する悪質商法の増加というのは、本当にこれはもう憂慮すべき状況になっております。特にジャパンライフとか安愚楽牧場とかケフィアなどに代表される悪質な預託商法は、合計で一兆円を超える消費者被害を出してきております。

 ことしの八月三十日に、消費者委員会が、いわゆる販売預託商法に対する消費者問題についての建議を出されております。これは異例でして、同時に委員会として建議以外に意見も出すという、二本立てになっているわけです。

 これに対して、ちょっともう時間もありませんので、消費者庁さんとしては、この建議や意見に対して、特に意見の方は、法改正、預託法の今の現状では、法執行ではどうにもできないんだ、だから、やはりしっかりと法改正をしなければいけないということをおっしゃっているわけです。これは、消費者委員会とそして消費者庁で、実効性についての解釈が分かれる形になっております。

 消費者庁として、本当に法改正なく販売預託取引が取り締まれるのか、実効性がちゃんと担保できるのか、ここについてお聞きをしたいと思います。

小林政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁といたしましては、いわゆる悪質な販売預託商法によって消費者被害が発生しているということは極めて問題であるというふうに認識をしております。

 消費者庁としましては、いわゆる悪質な販売預託商法につきましては、法に違反する事実が認められた場合、これまでも厳正かつ迅速に対処してきておりまして、現行法制で可能な限り対処してきているところでございます。

 しかしながら、いわゆる悪質な販売預託商法は消費者被害が大きくなりやすい悪質な取引方法でございまして、こういった悪質商法には引き続き厳正かつ迅速に対処するとともに、消費者委員会が八月三十日に公表された建議等も踏まえて、実効的な法制度や法執行のあり方を検討してまいります。

尾辻委員 これについて、預託取引被害弁護団三団体、記者会見までされたんですよ、この消費者庁の受けとめについて。こういうことを言っているんですね。消費者庁は、消費者行政の司令塔としての役割を失っているかのように見えて愕然とする、消費者庁をつくるために頑張った応援団が、こんな消費者庁を見るために頑張ったわけではないという発言もされているわけです。

 ですから、この預託法に対する今の消費者庁の姿勢というのは、こうした応援団にまで失望を与えているということですから、これはしっかり受けとめていただかなければいけないと思います。

 ちょっと、これについてはまた次回続きをさせていただきたいので、指摘をして終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、大河原雅子君。

大河原委員 立国社、立憲民主党の大河原雅子でございます。

 お昼休みにかかるこの時間でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、大臣、歯磨きは日に何度なさいますでしょう。どんな歯磨き剤を使って、歯磨きは何度なさるかなと思いますけれども、どうでしょう。

衛藤国務大臣 朝と夜、二回、歯磨きは、何というのかちょっと忘れましたけれども、済みません、朝夜二回、歯磨きをさせていただいています。

大河原委員 虫歯予防ということが非常に大事になってきました。小さいときは、本当に、虫歯にならないようにといって、甘いものを食べた後、御飯の後ちゃんと磨きなさいと言われて、また、年をとってきますと、八〇二〇、八十歳のときに自分の歯が二十本ある、このことが大事でございます。

 今、弗素による虫歯予防が盛んに言われております。それも、小さいとき、幼稚園、保育園、小中学校などで集団で弗化物の応用、応用というのは、使ってそれで予防するという、応用というそうですけれども、また、そういう集団で、弗素の入った水溶液で口をゆすぐというか洗うという、洗口というそうですね。そして、あとは家庭でやはり普通の歯磨きをする、これも歯磨き剤が高濃度の弗素になってきています。

 随分弗素をたくさん使うようになったんだなという素朴な疑問もございまして、そして先日、五月の八日なんですが、NHKの番組で「ガッテン!」という大変人気のある番組がございます。そこで、「ガッテン!」、虫歯リスクが激減、新歯磨き法というのが紹介されたんですね。びっくりしました。歯磨きを普通につけて、弗素入りの歯磨き、それをゆすがないんですね。飲み込むんです、最終的には。ちょっと驚きました。

 それで、私は、五月の十四日と六月の十四日の二回にわたって、質問主意書でこの弗化物応用の問題点を質問させていただきました。しかし、国の御回答では、弗素で虫歯予防ができるという確実な、これが安心な方法ですよというような、今、世の中、弗素が多くなっているのにその根拠はどうなんだというところについては、十分な説明がなされたというふうには私は思いませんでしたので、重ねてきょうここで質問したいと思っております。

 最終的に歯磨き剤を一緒に飲み込んでしまう新しい歯磨き法だというふうに紹介されたんですけれども、虫歯予防における弗素の有効性というのはどのように捉えておられるんでしょうか。

 弗化物による虫歯予防で最も安全な、有効な方法というのは、水道水に弗素を添加するというふうに言われる方もおられます。そして、それを実際やろうとしている方たちもおられますし、これが実は、弗素、弗素化先進国のアメリカでは歯の弗素症というのが激増しておりまして、八月にはアメリカの小児学会の雑誌で発表されておりますけれども、実は、その影響として、例えばIQが下がるとか、ほかの副作用、そういったものも理由にされてきているんですね。

 水道水への添加ということでは、選べないわけですから、水道水で出てきちゃったら。ですから、これは人権侵害じゃないかというような市民や学者の声もありまして、環境保護庁、EPAを訴える裁判が始まっています。これまで二回の予備裁判がありまして、来年の二月には本裁判の予定と聞いております。

 諸外国では、この弗素症などによるさまざまな有害事象、こういう研究や報告がされております。大臣、この情報を御存じでしょうか。

衛藤国務大臣 委員御指摘のNHKの番組等については、あるいはいろいろな情報についてありますが、必ずしも定まったというような形のものはなくて、相議論が出ます。

 先ほどお話ございましたように、水道水に弗素を若干まぜているところは虫歯の率が低いとか、私も、この問題、歯医者さんにも聞いたことがございますけれども、いろいろ意見も分かれているようでございまして、そんな意味では、私は、消費者問題として、ここのところでお答えする立場にはありませんけれども、でも、一応虫歯予防には一定の役割を果たしているものじゃないかというぐあいに、使用の仕方についていろいろあるんでしょうけれども、それは思っている次第でございます。そこまでしかありません。

 なお、私は、今これは全部自分の歯でございますので、今後とも歯を大事にしてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

大河原委員 大臣、私も、こういう科学の話とか、素人でございます。でも、先ほど質疑がありましたけれども、消費者庁の役割、特に消費者問題を担当する大臣としての私は感性が問われるんだと思うんです。消費者じゃない人は一人もいませんので、そういう意味では、何か危ないんじゃないと思うアンテナも私は備わっているのが大臣であってほしいなというふうに思います。

 往々にして、プラスな情報というのは入ってくるんですが、なかなか、マイナス情報というか、そういったものは入ってこないんですね。

 虫歯予防に使用される弗化ナトリウムというのは、口腔粘膜とか食道からはほとんど吸収されず、飲み込まれていくそうです。そして、飲み込まれると胃酸と反応して弗化水素が生成します。弗化水素です。聞いたことありますよね。毒ですね。

 二〇一九年五月二十四日の第六十八回口腔衛生学会ではフッ化物応用委員会のシンポジウムがございまして、これが、胃の中で弗化水素の生成は、確かに生成されると認めておられまして、胃壁の、胃の壁の細胞は中性なので、すぐに弗化水素はなくなるというふうに発表されています。しかし、その弗化水素は千分の五秒という速さで胃の壁を通過し、全身をめぐり、さらに歯、あるいは骨、そして脳に蓄積をするということも、危険とすべき報告ということがございました。

 特に子供たち、特にアレルギーがある子供がふえている中で、弗化ナトリウムで弗素洗口をさせるということは、洗口液の濃度の間違いとか、管理上の過失、それから洗口が上手にできなくて誤飲してしまう例ということも多いものですから、この弗化水素に関する研究は、弗化物応用の有用性、これが仮にあるとした場合でも、リスクの大きさというものをちゃんと示しているんじゃないかと考えております。

 この研究報告について厚生労働省は承知しておられるでしょうか。また、保育園や教育機関での弗化物集団応用に、この事実というか、こういったことがあることを周知しているのかどうか。そしてまた、弗化ナトリウムと弗化水素の有害性についての見解を厚生労働省から伺いたいと思います。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 虫歯予防のための弗化物応用につきましては、さまざまな意見があることは承知をいたしておりますけれども、WHOのほか、日本歯科医学会など、国内外の関係学会など多くの関係機関の見解から、その有効性と安全性を含めまして、公衆衛生の観点からすぐれた方法であるというふうに認識をいたしております。

 こうした中で、一部に、弗化ナトリウムが悪影響を与えるという報告があることも承知をいたしておりますけれども、平成十五年一月十四日付で厚生労働省医政局長それから健康局長通知としてお示しをいたしておりますフッ化物洗口ガイドラインについて、こういったことを参考にして行っていただいております弗化物洗口につきましては、高い齲蝕予防効果がございまして、安全性が確保されているものというふうに考えております。

 なお、このガイドラインにおきましては、弗化物洗口を実施する場合には、本人あるいは保護者に対して、具体的な方法、それから期待される効果、安全性について十分に説明した後で同意を得て行うというふうにされておりまして、適切な情報提供を行いまして、同意を得た上で実施されているものと考えております。

 今後とも、情報収集等に努めまして、関係機関と連携をしながら、適切に弗化物洗口等が実施されるように対応してまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 弗素をめぐる、弗素を虫歯予防に利用しようということについては、賛成、あるいは危険がやはりたくさんあるんだというふうな論争というんでしょうか、意見がずうっと続いてきているんですね。ずうっと続いてきている。

 多くの方たちに埋め込まれたのは、まあ大丈夫じゃないのと。そこの根拠が、大丈夫だという根拠がやはりきちんと、今御答弁いただいて、有効な方法だというふうにおっしゃいましたけれども、データを伴って示されていないんです。そのことはまたきちんとやっていただきたいと思いますけれども。

 弗素というのは栄養素ではないので、積極的に取り込んでいく、弗素欠乏症とかあるわけじゃないわけですね。ですから、どちらかといえばとらなくてもいい。それをわざわざ虫歯の予防のためにつくる。

 虫歯というのは、私たち、昔の考えでいうと、ミュータンス菌とかいう話じゃなかったので、歯を強くすれば虫歯にならないと言われていたんですけれども、だから、弗素を塗るのも、エナメル質がカバーされるでしょうという論理。今も歯磨き粉の宣伝文句にはそういうことが書いてあります。

 でも、エナメル質というのは本当に薄い部分で、それが強くがっしりしていくわけじゃないんですね。だから、科学的にしっかり、現在の知見をきちんと集めて対応していってほしいというのが一つございます。

 それで、内閣府食品安全委員会では、飲物の基準の中に〇・〇五ppmという基準をつくられておりますけれども、これはどういうふうにつくって、何を根拠にしているんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの弗素について、食品安全委員会は、厚生労働大臣より、清涼飲料水中の弗素の規格基準改正に係る食品健康影響評価の要請を受け、平成二十四年十二月に、人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量である耐容一日摂取量を〇・〇五ミリグラム・パー・キログラム体重・パー・日と設定し、厚生労働省に答申しております。

 その設定根拠でございますが、米国での十二歳から十四歳の子供五千八百人を対象とした疫学調査に基づいて、影響が観察されなかった飲料水中の濃度である一ppmを根拠といたしまして、子供の体重を二十キロ、一日の飲量を一リットルと想定いたしまして、〇・〇五という計算をしているところでございます。

大河原委員 家庭で使う歯磨き剤、弗素入りの歯磨き剤というのは、その濃度の基準が変わりました。二〇一七年に、一〇〇〇ppmから一五〇〇ppmへ、新たな基準になっている、上限になっているわけですけれども、これは臨床試験なしに許可されたというふうに聞いています。どのような基準で許可をしたのか。

 一五〇〇ppmというのは高濃度ですけれども、最近では、できるだけ弗素を口の中に残そうとして、さっきの「ガッテン!」ではありませんけれども、うがいを少なくするというような指導もされているようです。弗素のとり過ぎになる危険があるんじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答えいたします。

 医薬部外品である薬用歯磨き類というのは、承認に対して基準を設けておりまして、弗素につきましては、一〇〇〇ppmを配合というのが従来の基準であったわけでございますが、一五〇〇ppmを配合した歯磨きというのがその基準を超えるということで、これにつきましては、企業からの申請に基づきまして、科学的な審査を行いまして、平成二十九年一月に、薬事・食品衛生審議会の化粧品・医薬部外品部会に報告の上、承認をしております。

 この際、弗素の有効性につきましては、既に高濃度で使用されている欧米での状況、あるいは既に公表されておりますWHOの技術レポートによりますと、複数のヒトでの使用試験評価というのが行われておりまして、これに基づきまして、弗素として一〇〇〇ppmを配合した歯磨き剤と比べて、一五〇〇ppmを配合した歯磨き剤でより高い虫歯予防効果が得られているということを確認してございます。

 また、安全性につきましては、弗素として一五〇〇ppmを配合した歯磨き剤を使用した場合の歯の弗素症等の発生リスクというのを評価しておりまして、ただ、六歳未満のお子様の場合は、歯の弗素症発生のリスクを考慮いたしまして使用しないということにしまして、承認をしてございます。

大河原委員 配付しております資料の二をごらんいただきたいと思いますけれども、基準策定、今、注意書きというものも、資料の一に、日本の歯磨き、見ていただけるとわかります。高濃度弗素処方、これで「フッ素はムシ歯予防に有効な成分です。」と、もうきっぱり言い切っちゃっているんですけれども、一四五〇ppm、高濃度ですというふうになっていて、弗素がとどまる、口の中に残っている、そういうふうにつくられもし、そしてそのような形で使ってくださいということも言っています。

 確かに、六歳未満の使用は控え、子供の手の届かないところに保管と書いてある。いつものとおりに読んでしまうんですが、この資料の二を見ていただくと、例えばアメリカは、非常に、ここのところも、「六歳未満の子供の」とありますが、「太字で目立たせる」とか、注意事項が詳しく書いてあるんですね。「六歳未満の子供には、適切なブラッシングとすすぎの習慣を教育すること。」それも書いてあるんですよ。先に、歯磨き粉を使うというよりは、ブラッシング、適切に十二歳未満の子供にはこうした習慣をつけさせるということがはっきり書いてあります。

 どちらかというと、日本は、乳歯が生えてきた子供たちにも弗素の塗布をするというようなこともあって、ちょっと使い過ぎて、やはり摂取量が多くなっちゃうんじゃないか。自己管理したい人たちのためには、表示の徹底というものをメーカーにも求めていかなければならないというふうに思います。その点ではどうでしょうか。短目にお願いします。

森政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、現在、一〇〇〇ppmを超える弗素を含有する歯磨き剤につきましては、承認に際して、歯の弗素症に対する懸念から、六歳未満に対しては使用しないということにしておりまして、この製品の容器にも、その旨、弗素の配合濃度を表示するようにしておりますが、また、この取扱いにつきましては、平成二十九年三月十七日に都道府県の衛生主管部局長宛てで通知としてこの取扱いを示してございます。

 このような状況で弗素の過剰摂取に関する表示について注意喚起をしているところではございますが、更に丁寧な注意喚起をするということにつきましては、関係する専門家の方々にも御意見を伺いながら、引き続き検討していきたいというふうに考えてございます。

大河原委員 私は、基準をつくる、例えば弗素の塗布であるとか弗素洗口、基準を持っていますよね。だけれども、食品からもとるわけで、さっきの飲料水もそうですけれども、平均的な一日のトータルのもの、基準というのは、総合的な、総摂取基準というものを私はやはり考えておいた方がいいんじゃないかというふうに思っております。

 それで、二〇一一年にできた歯科口腔衛生法によって、これをもとにして各自治体が歯科口腔条例というのをつくっております。これがないのは東京都と大阪府と福井県ということですけれども、学校の集団弗素洗口とか、さまざまなことがありますけれども、ガイドラインはあるにしても、インフォームド・コンセントをやるにしても、そこに対して反対運動も行われておりますし、もろ手を挙げて弗素を推進していこうという機運は、地元というか地域にはないということも御承知おきいただきたいというふうに思いますけれども、国はこういったことを御存じでしょうか。

迫井政府参考人 御答弁申し上げます。

 先ほどの御答弁でも触れさせていただきましたけれども、この弗化物の洗口の集団応用につきまして、その有効性あるいは安全性につきましてはさまざまな御意見があることは承知はいたしておりますけれども、虫歯予防のための弗化物応用につきましては、WHOのほか、さまざまな関係学会を含め、多くの関係機関の見解から、その有効性、安全性を含め、公衆衛生学的にすぐれた方法であると認識をいたしておりまして、今後とも、弗化物洗口の適切な実施を含めまして、歯科疾患の予防対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

大河原委員 弗素入り歯磨き剤でさえ、過剰摂取によってアメリカでは死亡事故もありましたし、中毒というのがすごい件数あるんですね。ですから、やはりそれぞれの方たちの自己責任と言われればそうですけれども、プラス、マイナス、十分な情報をしっかりと手渡す、関係者そろってそういう思考を持つということが大事だと思います。

 時間がなくなってきたので、最後に、大臣、新しい公害があるんですけれども、御存じでしょうか。香りの害です。

 資料の三をごらんいただきたいと思いますが、これは、柔軟剤とかさまざまな香り、化学物質過敏症を発症する方たちが、特に柔軟剤、洗剤に入っているもの、さまざまなところから被害が及んでいます。このポスターですけれども、当事者である小学生の文章です。学校にもう行けなくなっちゃっているんですね。勉強が続けられなくなる。

 この香害については、まだ因果関係がわからないからということで、厚労省も経済産業省も環境省も文科省も、そして、中心となる消費者庁も連携して事に当たっていただきたい。被害というふうにいつか呼ばれる、それをきちんと受けとめ得る役所にならないと、消費者庁は司令塔にも、また、その中心にもなれないというふうに思っています。

 消費者庁は、きょうはもう時間がないので申し上げますが、関係会議というのを始めておりますけれども、まだ外に向かってなかなか広報もされておりません。大臣がここで足跡を残すとしたら、この新しい香害、これについて、受けとめる相談窓口、そして、それに対応する会議をしっかりとつくることだと思います。期待をいたします。意気込みがございますでしょうか。

衛藤国務大臣 香害につきまして、家庭で使用される柔軟剤とか仕上げ剤ということで、そういう香料について、頭痛、吐き気などの症状が出ているということについて今認識をしているところでございますが、そういうものが、消費生活センター等にも消費生活相談が寄せられているというわけでございますので、この実態について、国民生活センターからも情報提供を行ってまいりたいと思います。

 引き続き、関係省庁ともよく連携をして、相談情報の傾向等をしっかりと注視してまいりますし、そしてまた、そういう中で、相談情報の傾向等を見きわめた上で、必要な事項があれば検討を行いたい、そして、適切に、関係省庁とも、事業者団体とも連携をして、対処してまいりたいというぐあいに思っています。よろしくお願いします。

大河原委員 ありがとうございました。

 資料の四と五をごらんいただければ、自治体が動き始めて、苦しんでいる人たちを助けようというふうになっています。国の役割をしっかり果たしていただきたいとお願い申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時十六分開議

土屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。堀越啓仁君。

堀越委員 立憲民主党・国民・社保・無所属フォーラムの堀越啓仁でございます。

 本日は、諸先輩方に格段の御配慮をいただきまして、質問に立たせていただきました。まことにありがとうございます。希望した委員会でございますので、これまで以上に消費者問題に取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 残念ながら、きょう、私、ちょっと風邪で喉を痛めておりまして、お聞き苦しい点は御容赦いただければというふうに思っております。

 まず、これまで各委員の皆様からお話がありますように、消費者問題は、やはり、科学的なイノベーションが起こること、あるいは時代が大きく変化してくる中で、あらゆる新しい問題が日々散見されるのがこの消費者問題であるというふうに思っております。

 特に、きょう質問させていただきたいのは、やはりグローバル化が進めば進むほど、世界の潮流に日本も乗っていかなければいけないんだということについての大きなこの消費者特は役割を持っているんだというふうに思っております。そうした点からも、十分な熟議を重ねた上で、時間を十分とりながら議論が進むことを切に希望させていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきたいと思いますが、私は、常任委員会は環境委員会にずっと身を置かせていただいております。特に今、SDGs、言われておりますが、自然資本という考え方からすると、やはり自然環境が基本的には経済のベースにあって、日本の経済をしっかり支えていくためにも環境というものと向き合わなければいけないんだという観点から、私、自称自然系国会議員というふうに言わせていただいているわけですが、自然系国会議員として、今回、大臣の所信の中に触れられていなかったのが非常に残念な点である、エシカル消費についてお伺いをさせていただきたい、そして、それに深く寄与するアニマルウエルフェアについても伺っていきたいと思います。

 消費者庁では、二〇一五年から二年間、「倫理的消費」調査研究会が行われて、報告書をまとめられておりました。また、徳島や秋田県などでエシカル・ラボを開催するなど、エシカル消費の推進を行っております。

 地方を中心にさまざまな取組をされていることはすばらしいことだというふうに思いますが、政府として、倫理的消費、つまりエシカル消費の推進のための委員会や研究会が、その後、継続されず、いっときのブームで終わるのではないかということは、正直、私は危惧をしております。

 そこで伺っていきたいんですが、「倫理的消費」調査研究会を再開したり、またエシカル消費に特化した委員会などに発展させたり、エシカル消費を更に推進するための制度を整えるなど、消費者庁がリーダーシップをとるべきと考えておりますが、政府の見解、そしてエシカル消費を普及、浸透させるためにどのような政策をお考えか、お答えいただければと思います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年五月から約二年間、消費者庁におきまして「倫理的消費」調査研究会を開催し、エシカル消費の必要性について国民の理解を広め、日常生活での浸透を深めるための方策等について調査研究を行いました。

 その取りまとめを踏まえ、消費者庁が旗振り役となって国民全体による幅広い議論を喚起するため、地方公共団体との共催による啓発イベント、エシカル・ラボを今年度四回の開催含め計十回、子供向けの体験型ワークショップの実施、先進的な取組の収集、紹介や、各種イベント等への積極的な参画などに取り組んでおります。

 今後とも、国民により浸透するよう工夫しながら、広くエシカル消費の普及に努めてまいります。

堀越委員 これまでエシカル消費を推進していくためのエシカル・ラボを開催、本当に私は評価をさせていただきたいと思いますし、エシカル消費そのものがまだまだ国民の皆さんに普及、浸透していないという実情から鑑みれば、ますますこれは推進していかなければいけない大きな課題であるというふうに思っております。

 先ほども若干触れさせていただきましたけれども、持続可能な開発目標、SDGsにとってもこのエシカル消費という概念というのは非常に重要な観点になりますので、広げていかなければいけないという点がまず一点。

 そして、更に言えば、経済の動向からしても、やはり地域貢献や、あるいは社会的な貢献を行っている企業にこそ、実は消費者も購買意欲が高まるというアンケート結果もあるんですね。つまりは、それぐらい、社会貢献にどれぐらい取り組んでいるのかという企業理念そのものが消費拡大にもつながっていくという、これは企業側のスタンスからしても、やはり消費者の意識が上がってくること、そしてそれについて企業が取り組んでいくことというのは好循環を生んでいくことだと思いますので、引き続きこれを広めていくためにやっていかなければいけないのは、これは消費者庁の大きな仕事であるというふうに思っております。私も、そうした意味では、特別委員会の委員として一緒に応援をさせていただきながら進めていきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 そして、エシカル消費の対象になるのは、イギリスのエシカルコンシューマーではエシカル消費の分野を五つに区分しておりまして、人、社会、環境、地域、生物ということで、具体例を見てみますと非常に多岐にわたるわけですよね。

 例えば、人でいえば、障害者支援商品であるとか、あるいはLGBTQ、ハラルなどの多様性対応商品。今、これからオリンピックが行われる方向で進めておりますので、食の多様性の観点からしても、ビーガンであるとかベジというような、そういった食に対しても対応していかなければいけないということもあると思います。また、社会でいえば、フェアトレードやユニバーサルデザイン、バリアフリー、寄附つき商品。環境でいえば、自然エネルギー、エコマーク、リサイクル、オーガニック、いろいろあるわけです。地域でいえば、地産地消、被災地支援産品。生物でいえば、動物愛護商品や動物実験代替法。こういったものというのがあるわけですね。

 この中で、私もライフスタイルとしてずっと取り組んできた、次は、アニマルウエルフェア、動物福祉のところについてお話を伺っていきたいというふうに思います。

 アニマルウエルフェアの推進については、消費者教育の観点からこれは非常に重要であると思いますので、その点から伺っていきたいと思いますが、エシカル消費運動の中で生物分野で触れられているアニマルウエルフェアなんですけれども、これは、来年の東京オリパラを控えて、日本でも徐々に動物福祉ということが聞かれるようになってきました。

 私、環境委員会所属でございますし、これまで農林水産委員会でも所属をさせていただきました。この横串に刺してやはり訴えていかなければいけないのがこのアニマルウエルフェアというふうに思っておりますが、ことし二月に発効した日本・EUの経済連携協定にも動物の福祉という条項があるぐらい、高まりを見せているというふうに思っております。

 さらに、ESG投資の中でも、畜産リスクを嫌って、またアニマルウエルフェアに配慮していないと投資しないとする機関投資会社というのもふえてきています。

 実際は、FAIRRイニシアチブという機関投資家の畜産関連のイニシアチブでは、ESGリスクとして集約的畜産のリスクは大きいものとして捉えており、アニマルウエルフェアに配慮した企業に参画する機関投資家の運用資産総額は、先月で何と十九・三兆ドル、日本円で約二千九十六兆円にもなる。つまり、これまで行われてきた集約的畜産のリスクというのは非常に高いから、アニマルウエルフェアに配慮した畜産の方法でなければ投資先にならないということになってきているのであります。このFAIRRイニシアチブの評価で、残念ながら、日本の大手食肉企業はハイリスク企業としてマークされてしまっているんですね。

 そして、アニマルウエルフェアを評価するBBFAWという団体の評価でも、評価対象となった日本を代表する食品流通のグローバル企業、大手ですね、これが全て最下位にランクづけされているというのが現状なんです。つまり、どれだけ日本のアニマルウエルフェアがワールドスタンダードから下回っているのかということが、こういったところでも明らかであります。

 日本の、消費から持続可能な社会をつくる市民ネットワークが行う企業のエシカル通信簿でも、外資系企業のアニマルウエルフェアは得票が高く、国内企業は軒並み最低ランクに位置づけられているというありさまです。

 つまり、このままの日本の畜産動物の飼育形態を続けていれば、国際社会からまたしても取り残されて、日本の一次産業、これは打撃を受ける可能性が非常にあるわけです。

 まず、さきの「倫理的消費」調査研究会の報告書には動物福祉が含まれていますけれども、日本ではアニマルウエルフェアやESG投資についての国民全体の意識が低く、薄く、消費者も生産者も知らないという状況が残念ながら続いております。国内のNPO団体が行った日本人のアニマルウエルフェアについての認知度調査では、八五%がアニマルウエルフェア又は動物福祉という言葉を聞いたことがないという結果でありました。消費者がまず認知していなければ、生産者も企業も、エシカルな選択肢を消費者に提供することはできません。

 そこで、二点お伺いしたいんですけれども、この現状を是正する施策を打たなければ、気候変動問題の脱石炭と同じく、またしても、日本のこのアニマルウエルフェア、世界の潮流から取り残されてしまうのではないかというふうに危惧をしております。これについて、現在どのような消費者への普及啓発を行っているのかという点がまず一点。

 そして、畜産のアニマルウエルフェアに関しては、これは農林水産省が所管になるわけですし、屠畜等々に関しては、これは厚生労働省が所管になるというふうに思っております。農林水産省では、レベルは世界基準に達しておりませんけれども、アニマルウエルフェアという言葉の浸透を図って現場の生産者を教育しているというふうに承知しておりますが、消費者への教育はやはり消費者庁の役割であると思っておりますので、消費生活センターでの啓発や地方自治体の消費者行政担当者への周知、各学校への啓発など、より積極的に教育すべきと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

衛藤国務大臣 委員からお話をお聞きしまして、私どももそこまで必ずしも認識していたわけじゃありませんでしたから、大変参考になりましたというか、非常にいい勉強になりました。

 そのとおりだと思いますから、今まで消費者庁も、チラシを配ったりとかいろいろな形の啓発の努力はしておりますけれども、更にもっともっと努力をさせていただかなきゃいけないなということをつくづく感じたところでございますので、そういう方向で頑張ります。

堀越委員 大臣からの御所見、本当に心強くいただきました。ありがとうございました。

 エシカル消費については、本当に、先ほどもお話しさせていただいたように、このSDGs、持続可能な開発目標についても本当に重要な観点でありますし、倫理的なことだけではなく、経済にとっても非常に重要な観点でありますので、ぜひ取組のほどを進めていただければと思います。

 それと、政府参考人で結構なんですけれども、現在行われているアニマルウエルフェア等々についての消費者教育、現状行われているものについて、もしあれば御答弁いただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御説明しましたように、エシカル消費という一般的なものについては先ほどのエシカル・ラボなど進めておりますが、私どもが知る限り、アニマルウエルフェアに特化したという形でのは、ちょっと消費者庁として、今までは恐らくやっていないと思います。

堀越委員 そういうことなんだろうと思っております。

 今、東京オリパラに向けて、実は、オリンピックの選手団からも、このアニマルウエルフェアに配慮した飼養管理指針のもと飼育されたものをぜひ提供してくれという申入れが上がっておりますので、そうした観点からも、これを機運としてやはり高めていって、日本の畜産に対してアニマルウエルフェアを強く推進していくことによって、日本の一次産業である大事な基幹産業を守っていくことにもつながります。それを支えるのはやはり消費者ですから、この消費者の教育、ぜひ消費者庁、アニマルウエルフェアについてもしっかりと進めていただきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。

 特に、昨今問題となっている、現在進行形である豚コレラの問題については、まだまだ終息したものではなく現在進行形であり、さらに、アフリカ豚コレラも隣国に迫っています。この大規模の、集約して畜産物を扱わなければいけないという飼養管理は、やがてどこかにゆがみを生じさせ、そして、ワンヘルスということも今言われています。つまり、動物の不健康がやがて人間の不健康に直結するのではないかというところにも言われてきているという状況から鑑みれば、やはり動物福祉を盛り込んだ飼養管理をしっかり徹底していくという、これは農林水産省が所管なのは私も十分承知しています。

 しかし、繰り返しになりますが、それを支えるのが消費者なので、その消費者の持っている課題について、ぜひ牽引していただきたいということを申し述べさせていただきたいと思います。私も全力でこの点は応援をさせていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 次に、ゲノムの編集食品を取り上げたいというふうに思います。

 先月一日から厚生省はゲノム編集技術応用食品の販売に関する届出の受け付けを開始し、早ければ年内にも国内市場にゲノム編集が施された食品が流通するのではないかとの報道があります。

 海外では、米国は、ゲノム編集食品を規制しないとしております。しかし、一方で、EUでは、欧州司法裁判所がゲノム編集で開発した作物も原則として遺伝子組み換え作物の規制の対象とすべきとの判断を示すなど、米国とEUでの見識は大きく差があるわけですね。

 現在国内で開発中のゲノム編集食品のほとんどというのは、安全性審査不要のものであるというふうに言われています。このため、事実上規制がない状態となって、私たちの食卓に、法律に基づいた安全性審査がなされていないゲノム編集食品が並ぶことになるわけです。

 このゲノム編集食品の規制のあり方について、厚労省は、現在の遺伝子組み換え食品に該当する場合は法律に基づく安全性審査を求めるものの、一部の遺伝子を切り取るもので外からの遺伝子を組み込んでいない場合には、従来の品種改良とリスクは変わらないということから、法律に基づく安全性審査の対象外との方針を決定して、ゲノム編集の技術や改変内容、新たなアレルギーの原因物質の有無などの情報開示を開発者側に求め、開示内容は同省のホームページで公開する方針を示しております。

 しかしながら、これは任意の届出制度であって、届出がなくても罰則などは科されることはありません。厚労省は届出のない団体名を公表するとしておりますが、これがどの程度の抑止力になるかは未知数であり、届出のないゲノム編集食品が販売された場合、どのようにこれを追跡するのかも明らかにはされておりません。

 消費者の立場からいえば、このゲノム編集食品にどのようなものがあるのか、知ることができる状態にしておくことが当然必要であるというふうに思っております。情報を蓄積をして、問題が生じた場合に速やかに追跡や回収ができるようにしておくことが求められると同時に、届出情報について、行政がしっかりと確認を行って、安全に対する責任を持つことが重要であるというふうに思っております。現時点ではやはり届出を法的な義務にしていないということですが、開発企業しか知り得ない情報について届出がなされなければ、国民は、何も知らないままゲノム編集食品を得る可能性が当然あります。また、ゲノム編集技術で遺伝子に予想外の変化をもたらし、未知のアレルゲンや毒性が発生した場合、今の規制では、トレーサビリティー、追跡手段がない可能性がある。

 そこで、そうならないようにするためにも、届出は法的な義務を私は課すべきであるというふうに思っております。さらに、いかにして届出の実効性を担保するかが重要になりますが、政府、厚生省の見解を伺いたいと思います。

浅沼政府参考人 お答え申し上げます。

 ゲノム編集技術応用食品の食品衛生上の取扱いにつきましては、審議会の有識者の御意見を踏まえて策定した取扱要領に基づき、十月一日より運用を開始したところでございます。

 取扱要領では、安全性審査の要否を確認するため、開発者などが厚生労働省に事前に相談する仕組みとした上で、ゲノム編集技術応用食品のうち、自然界又は従来の品種改良技術でも起こり得る範囲の遺伝子変化のもの、例えば一から数個のDNAの変異などは、従来の品種改良と同程度の安全性であることから、公衆衛生の見地からの強制力を持った法的な届出ではなく、開発者などから任意の届出を求め、公表することとし、それを超える遺伝子変化のものの食品につきましては安全性審査の対象としております。

 厚生労働省といたしましては、届出の実効性を高めることが重要と考えており、そのための取組として、取扱要領に沿わず、安全性審査の可能性がある食品を市場に流通させた場合には食品衛生法違反となるおそれがあるため、事前相談の仕組みを通じて届出又は安全性審査といった必要な手続に着実につなげるとともに、取扱要領に沿わない事実が確認された際には、経緯などを確認の上、食品衛生法やその他法令にも照らし合わせつつ、当該開発者などの情報とともにその旨を公表する場合があることも含め、自治体、関係団体、各国の日本大使館を通じ、届出制度の周知を図ったところでございます。

 また、これらの取組のほか、引き続き、ホームページの充実、パンフレットやQアンドAの作成、意見交換会や説明会などの開催により、届出制度の実効性を確保するとともに、消費者の皆様の不安の払拭に努め、ゲノム編集技術応用食品に対する理解の促進を図ってまいります。

堀越委員 食品の安全を守るというのは、やはり生命や健康を維持する上で極めて重要なことでありますし、国民の皆さん、このゲノム編集、遺伝子組み換えも一部そうなんですけれども、いわゆるまだまだ未知の分野に関して、先ほどもお話しさせていただいたように、いわゆるこれから明らかになってくる未知のアレルゲンですとか毒性、こういったものに関してはリスクマネジメントの観点からも避けたいという消費者の皆さんもあるわけですから、これを、私は、やはり届出というのは法的に義務を課すべきであるというふうに思っておりますし、例えば諸外国でも、EUとアメリカだけ見ても違いがあるわけですから、これはやはり更に厳格化をしていかなければいけない。

 それから、もし何かあった場合の追跡が行われるということから考えれば、しっかりこれを管理していかなきゃいけないのが国の責務だと私は思っておりますので、こうした点からもぜひ厳格化を更に求めてまいりたいと思います。

 時間ももうそろそろ終了に近づいてきておりますので、最後、一点、今度は消費者庁に伺いたいんですが、今回、ゲノム編集食品について、科学的検証が困難であり、従来の品種改良と判断できないことを理由に表示の義務化を見送ってしまいました。しかし、先ほどお話しさせていただいたように、非常に不安を持っておられる方々も当然多いわけですので、改めて、消費者庁、ゲノム編集の表示、義務化しない結論を出してしまいましたけれども、表示の義務化の必要性、義務化に向けた継続的な検討の必要性について、ぜひ大臣、お伺いしたいんですけれども。

衛藤国務大臣 お話しのように、ゲノム編集技術応用食品については、食品がそれに当たるか否かを知りたいという消費者ニーズがあることは承知をいたしています。

 しかし、今の段階での結論は、遺伝子組み換え技術に該当するものは義務づけというところで、安全性審査を要するものは表示を義務づけということでございますけれども、そうでないものについては義務づけしないというものを、今のところ、事業者に対して積極的に表示等の情報提供を行うように働きかけるということになっておりまして、それを農林省とも一緒に今進めようとしているところでございます。

 しかし、さらなる検討を丁寧にしていかなきゃいけない。やはりゲノムの問題は非常に難しい問題がありますので、それを常に警戒を怠らないということは大事だと思っていますから、その検討、必要に応じて見直しをやるということも含めて、検討していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。

堀越委員 大臣、ありがとうございました。

 質問を終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、初鹿明博君。

初鹿委員 立国社の初鹿明博です。

 会派の最後のバッターになりますので、よろしくお願いします。

 まず、衛藤大臣、御就任おめでとうございます。衛藤大臣とは障害者政策で一緒にいろいろな法律をつくってきたという関係もありますので、このように質問者とまた大臣ということで相対することになったこと、非常にうれしく思っております。

 さて、大臣、今週十日から十六日までの一週間、何週間か御存じでしょうか。

 済みません、突然だったのでぴんとこなかったかもしれませんが、議場の皆さんもぜひ知っていただきたいんですけれども、今週はアルコール関連問題啓発週間でございます。アルコール依存症や、またアルコールによってのさまざまな問題、例えば飲酒運転による事故だとか、そういうことについての啓発を行う一週間でありますので、ぜひそのことを、皆さん、覚えておいていただきたいと思います。

 その上で、きょうはアルコール飲料について質問をさせていただきます。

 皆様のお手元に、資料として、東京新聞の記事をお配りをさせていただいております。

 大臣は、お酒、飲まれますよね。缶酎ハイなんて飲まれますか。

衛藤国務大臣 飲みます。

初鹿委員 では、今、缶酎ハイでいろいろな度数のものがあるんですよ。三%、五%、七%、九%、大体そんな感じであるんですが、三%、五%、七%、九%の缶酎ハイが並んでいたら、大臣はどれを選びますか。

衛藤国務大臣 大体、真ん中辺を選びます。

初鹿委員 五か七ということなんでしょうかね。

 何でこんなことを聞いたのかというと、この記事を読んでいただきたいと思うんですが、近年、ストロング系缶酎ハイという、七%とか九%というアルコール度数の高い商品が非常に店頭に並ぶようになっているんですね。どうも、メーカーも度数の高いものを推奨しているように感じます。

 実際に、ここ数日、コンビニだとかに行って商品が並んでいるのを見てきたんですけれども、やはり、手のとりやすいところにはアルコール度数の高いものを置いている傾向がありましたね。大体というか、ほとんどそうでした。大体、目の位置にあるのは九%のものが多かったですね。三%のものとかもあるんですが、ちょっと下の方にあったりして、結構回って見てきましたけれども、大体そうでした。

 国税庁に、じゃ、最近、アルコール度数の高いのと低いので売上げがどうなのか、販売量が変わっているのかというのを聞いてみたんですが、現状だと、酎ハイは酎ハイで統計をとっているけれども、度数ごとにはとっていないということですよね。度数ごとはわからないんですよね。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在のところ、そういう統計はとっておりません。

初鹿委員 そこはちょっと残念だなと思ったんですけれども、直観として、度数の高いものの方が今伸びているんじゃないかというふうに思います。この新聞記事でもそういう趣旨のことが書いてあるんですね。ただ、数字できちんと示せていないので、感覚であります。

 ここで問題なのは、アルコール度数の高いもの、これは同じ一缶なんですけれども、三%も九%も同じ一缶なんですけれども、中に入っているアルコールの量が違うんですよ。同じ一缶だから一缶かなと思うかもしれないんですが、アルコール量が違うんですね。

 ちなみに、議場の皆さんも、バーベキューなどへ行ったときに、外だと結構開放的になって、何缶も飲んじゃったりしますよね。九%の缶酎ハイを三本飲んだら、どうでしょうか、どれぐらいのアルコール量になるかわかりますか。なかなか想像つかないですよね。

 ここに書いてあるんですが、実は、九%だとアルコール量が約二十五グラム入っているんです。二十五グラムってどういう数字かというと、厚生労働省が健康日本21で示しております一日当たりの節度ある適度な飲酒の量というのがあるんですが、これは二十グラムなんですよ。

 皆さん、御存じでしたか。皆さん、大丈夫ですか。多分、議員の皆さん、あっ、やばい、それ以上毎日飲んでいるわというふうに思った方が多いんじゃないかなと思うんですが、二十グラムなんですよね、一日当たりの節度ある適度な飲酒量が。つまり、九%の缶を一缶飲んでしまうとそれを超えてしまう。三缶飲むと三倍以上になってしまうわけですよ。

 そう考えると、九%とか、七%で大体二十グラムぐらいになるんですけれども、やはり一缶でどれぐらいのアルコール量が含まれているのかということをきちんと消費者に知らしめていくということは、私は非常に重要じゃないかというふうに思うわけです。

 この記事に書いてありますけれども、アルコール専門外来があるクリニックの病院の先生が、最近の傾向として、アルコール依存症で受診する人によく飲んでいたものを聞くと、安く酔えるという理由から、この三、四年、ストロング系と答える人がふえているという印象だと。再び飲むようになって手を出すのもストロング系が多い。つまり、依存症になって、一回治療に入って飲むのはやめていたけれども、再発しちゃった人は高い度数のものをつい買っているんじゃないかということなんですね。

 つまり、依存症のリスクや再発するリスクなども非常に大きいし、飲み過ぎにもなるということでありますので、まず、今週はアルコール関連問題啓発週間でありますので、この週間だからこそ、ここで、ぜひ、ストロング系の缶酎ハイというのは、一缶だけでも健康日本21で厚労省が示している一日当たりの節度ある適度な飲酒の量を超えるんだということをきちんと消費者に伝えるような周知をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

衛藤国務大臣 適量が二十グラム以下だということを、正直言って、知りませんでした。

 今まで、私も、大体、ビールだったら五パーぐらいとか、清酒とかワインだったら一五パー前後とかいう感じで見ていました。しかし、そういうのを、具体的な総量についてやはり記すべきだということについて、缶でもいろいろな表示は違うかもしれませんけれども、本当に、そういう意味では、私どもは検討していかなきゃいけないのかなと。

 最近、私ども、できるだけ薄いと言ったら悪いんですけれども、のを飲むようにしていまして、ただ、沖縄に行ったらどうしても、時々、泡盛を水割りを飲んでいたら、沖縄の方も担当していますから、何を言っているんだ、ロックで飲めとか言われるときもありますから、これを飲むとやはり非常に酔いが速いですから。

 ということで、やはりいろいろな検討を本当にしていかなきゃいけないんだろうなと思います。特にアルコール依存症の問題は、私ども、深刻な問題として捉えていますので、この方々にわかりやすい形はどうなのかということについて、改めて私どもも検討を、見直していけるものがあれば見直しをしていきたいと思っておりますから、どうぞよろしくお願いします。

初鹿委員 ぜひよろしくお願いします。

 それで、今大臣、すごくいい答弁をされたと思うんですが、やはり、大臣も一日当たりの適量が二十グラムというのを知らなかったぐらいに、厚生労働省も一生懸命頑張っていると思うんですが、世の中の人は知らないんですよ。だから、これもきちんと知らしめるようにしていかなければならないと思うし、それとあわせて、ストロング系はそれを超えちゃうんだというのを、両方セットで知らせていくということが重要だと思います。

 ただ、問題は、日本の場合、表示が度数だけなんですね。度数だけなんですよ。アルコール量の表示がないんです。

 何でそうなっているのかなというのを事前に聞いたら、まず、国税庁の方は、度数によって税金をかけているから度数の表示をしているんだと。では、食品という観点でこの量を表示したらどうかと言ったら、栄養成分は今表示義務があって表示されているけれども、アルコールは栄養成分とは言えないから表示していないんだということなんですけれども、副大臣、笑われましたけれども、やはり、そうかもしれないけれども、どっちの法律でやるかはそれぞれの省庁で考えていただきたいと思いますが、私はやはり表示した方がいいと思うんですね、アルコール量を。

 それで、ほかの国はどうなっているのかということで、ちょっと調べました。一ページめくってください。

 一番わかりやすいオーストラリアの例を出させていただいておりますけれども、オーストラリアは、アルコール飲料にこういうイラストと単位が描かれているんですね。スタンダードドリンクという単位になっているそうで、大体、一単位が十グラムぐらいだそうですね。ビール一本だと一・三スタンダードドリンクということになるということで、一日当たりの適量は、このオーストラリアだと二ドリンク、そういう推奨をしている。一日に四ドリンク以上飲むといろいろなアルコールの問題を生じるということも言っている。

 例えば、また、英国などではこの単位を一ユニットという単位の呼び方にしていて、英国でも、男性は一日に三から四ユニットを超えるアルコールを常習的に飲んではいけません、女性は一日二から三ユニットを超えるアルコール量を常習的に飲んではいけませんというふうになっているわけです。

 ぜひ日本もこれを参考にして、日本も、ドリンクと呼ぶかユニットと呼ぶかわかりませんけれども、一単位十グラムとかにして、二単位が一日の節度ある適度な飲酒量だというふうに定めて、こういう商品に表示をしていくということをしたらいいのではないかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

橋本政府参考人 お答えいたします。

 先ほど先生御指摘のとおり、オーストラリアにおいて、酒類中のアルコール総量についてスタンダードドリンク表示というものが義務づけられているというのは承知しております。

 一方で、我が国と同様に、EUや米国においては、アルコール総量の表示については義務づけされないというふうに聞いております。

 食品表示の義務化に当たりましては、消費者にとってわかりやすいかとか、社会的な必要性はどうか、実行可能性はあるか、国際的な動向はどうか等を踏まえる必要があり、慎重な検討が必要ですけれども、アルコール総量について、御趣旨としては、国民にアルコールの過剰な摂取をさせないということが伝わるという趣旨かと思いますので、節度あるお酒とのつき合い方なども含めまして、まずは、できるだけわかりやすく情報が届くような情報提供を行うよう、関係省庁とも連携してまいりたいと考えております。

初鹿委員 今、例えば国際的な動向と言いましたけれども、海外はアルコール量を表示しているんですよね。それと、消費者にわかりやすいということを言いましたけれども、この図になっている方がわかりやすいじゃないですか。わかりやすくないですか、皆さん。これを取り入れないわけにはいかないんじゃないかという今の答弁だったように感じるんですよね。

 それで、やはり、繰り返しになりますけれども、せっかく今週がアルコールの啓発週間なんですから、いかがですか、消費者庁、ちょっと、ストロング系はこういう量なんだということを周知する啓発をこの週間の間にやったらいかがでしょうか。

橋本政府参考人 諸外国の状況につきましては、繰り返しになりますけれども、オーストラリアでの表示は御指摘のとおりですけれども、EUや米国においては、量と、量というのは飲料の量と度数の表示というのが義務づけられているというふうに承知しております。

 情報につきまして、とにかく、御趣旨というのは、国民がアルコールの過剰な摂取をしないようにするということが目的だと思いますので、消費者がそういったものでどのように、アルコール量を知るということのみならず、あわせて、節度あるお酒とのつき合い方等も含めて知っていただくことが大切であるというふうに考えておりますので、まずは、どのようにそういったことを消費者に伝えることが適切かということを関係省庁と連携してまいりたいと考えております。

初鹿委員 だから、何度も言っていますけれども、今週は週間なんだから、ここのタイミングが一番いいんじゃないかということを今言っているわけであります。度数は既に日本は表示しているわけだから、アメリカとEUは度数とグラム数だと言ったけれども、それと一緒になるんだから、やればいいじゃないですかという提案ですので、ぜひ本当に真剣に考えていただきたいと思います。

 では、続いて、ちょっと広告のことを少し、広告の仕方についてお伺いしますけれども、電車に乗ったときにやはり気になるのは、最近、電車の広告も、スポンサーになるような企業が少なくなっているせいか、特定の業界に非常に偏っていますよね、例えばエステだとか。最近、サラ金だとかは少なくなってきたと思いますが。その中で、お中元とかお歳暮のシーズンになると、やはりビールだとかそういうものの広告が目につくんですよね。それと、やはり気になるのはギャンブルです。同じ依存性のあるものだということでいうと、公営競技の競輪、競馬、競艇の広告が、電車内、非常に多いです。

 そこで、まずアルコールからお伺いしていきますけれども、やはり公共交通機関は、好きか好きじゃないか、好むか好まざるかに限らず、どうしても乗らなきゃいけないものですから、見たくなくても目にしちゃうんですよね。アルコール依存症でお酒を断っている人からすると、朝から目に入るとやはり飲みたくなる、そういうリスクがあるわけで、やはり電車内のアルコール飲料の広告は私は一切禁止するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

後藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、国税庁では、酒類の表示の適正化を図る観点から、二十歳未満の者の飲酒防止に関する表示基準を定めるといったことなど、不適切な飲酒の誘引防止に努めているところでございます。

 一方で、酒類業団体で構成されます飲酒に関する連絡協議会がございますが、こちらで業界の自主基準を定めまして、広告宣伝に関する事項について規制をしております。この自主基準の中で、公共交通機関の広告につきまして、車体広告、それから車内独占広告、自動改札ステッカー広告、階段へのステッカー広告、あと柱巻きの広告は行わないという規制を行っているところでございます。

 今御指摘のあったような規制のあり方につきましては、これは依存症の方への配慮の観点も踏まえまして、酒類業界にも問題提起したいと思いますし、引き続き検討してまいりたいと思います。

初鹿委員 ありがとうございます。

 ぜひお願いをしたいんですが、今、自主規制のことを紹介していただいたんですが、聞いていましたよね、皆さん。車体広告、車内独占広告、自動改札機のステッカー広告、階段へのステッカー広告というのは、階段のステップのこのところにずっと張っていって、遠くから見るとそれが一つの図柄になるような広告ですね、それとあと柱巻き広告、駅の構内の柱を一つの広告で全部埋め尽くすような広告です、これはアルコールでは自主規制をしている。

 ところが、これから多分、十二月になると有馬記念などがあるんですが、日本ダービーのときもそうですけれども、渋谷駅とか、全部、駅がJRAの広告になりますよね。皆さん、目にしたことはありますよね。

 この前も厚生労働委員会で質問しましたが、京王線、今、三車両が車内全部、JRAの広告になっています。皆さん、JRAは国の関係機関でありますよね。国としてギャンブル依存症対策を取り組むんだと言っておきながら、アルコールでは禁止をしているような、自主規制しているような広告の出し方を国の機関が率先してやっているというのは、どうでしょう。私は、これは余りにもひどいんじゃないかというふうに思います。

 そこで、少なくともアルコールと同じぐらいのやはり規制はする必要があると思います。これは民間の企業じゃないわけですよ。国のコントロールがきくところですよ、競艇も競馬も競輪もオートレースも。ですから、せめてこれぐらいの規制はしていただきたいし、やはり交通機関というのは、強制視認性という言い方をしておりますけれども、強制的に見てしまう、そういう広告ですから、これは一切禁止をするということをぜひしていただきたいと思います。

 最近ですと、電車のところにムービーがありますよね、ムービーでも競艇とか流すんですよ、皆さん。やはりちょっとやり過ぎだと思いませんか。だって、国として依存症にならないようにしましょうよと言っているわけですから。

 きょうはギャンブル依存症対策の担当の方も来ておりますが、ぜひこの広告規制、しっかりやっていただくようにお願いしますが、いかがですか。

榎本政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 ギャンブル等依存症対策基本法の第十五条におきましては、公営企業やパチンコの関係事業者が行います広告宣伝などの実施の方法につきまして、国は、「関係事業者の自主的な取組を尊重しつつ、ギャンブル等依存症の予防等が図られるものとなるようにするために必要な施策を講ずる」というふうにされているところでございます。

 その上で、本年四月でございますが、閣議決定されておりますギャンブル等依存症対策推進基本計画におきましては、関係事業者は、広告宣伝が射幸心をあおるものにならないよう、広告宣伝に関する全国的な指針を策定し、公表するということとしているところでございます。また、その指針におきましては、注意喚起標語の一定の大きさや時間の確保といったようなことなどにつきまして盛り込むことを検討するということになっているところでございます。

 内閣官房といたしましては、このような基本計画に定めます施策が着実に実施されることにより、関係事業者が行う広告宣伝のあり方が適切に検討されますように、所管省庁などともよく連携をして、引き続きギャンブル等依存症対策を推進してまいりたいというふうに考えているところでございます。

初鹿委員 時間になりましたので終わりますけれども、これは政府としてきちんと取組をしっかりしていただくようにお願いをいたします。

 終わります。

土屋委員長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 消費者問題について、衛藤晟一担当大臣に伺います。

 まず、消費税が一〇%へ引上げの強行がされてから一カ月余りがたちました。マスメディアの世論調査でも、消費税増税によって家計支出を減らしたというのが二一%、こういうものもあります。少しでも節約しよう、外食を減らそう、こういう状況になってきていると思います。

 そうした中で、増税後、ある大学のキャンパス内にあるコンビニエンスストアが、当店のイートインとはキャンパス内の全ての場所での飲食となりますと掲示した例があったということです。具体的に、報道によれば、それは、学生食堂、テーブルと椅子のある屋外のテラス席、そして昼休み中の教室となっているということも言われております。その後、変更があったかもしれません。

 消費者庁では、こうした問題について、総合相談センターに寄せられた相談事例をホームページで紹介しております。その最後に、詳しくは所轄の税務署にお問い合わせくださいとなっているんです。

 それで、今回の事例について国税庁に伺います。

 どの範囲まで軽減税率の適用となるのか。大学内全体をイートインとするには、余りにも適用除外の拡大解釈であって、生活に必要な食料品の税率は据え置くという考え方からしてもおかしいのではないかと思いますが、いかがですか。

重藤政府参考人 お答えいたします。

 まず、コンビニエンスストアにおきまして飲食料品を提供する場合に、適用税率、まず一般的にどうなるかということを申し上げますと、イートインスペースなどの飲食設備がまずない場合、これは単なる飲食料品の譲渡ということで軽減税率八%が適用されます。飲食設備がある場合には、顧客に飲食設備を利用して飲食するかどうかの意思確認を行うなどによりまして適用税率を判定し、飲食するとの申出があったときには標準税率一〇%が適用されるということになります。

 ここで言う飲食設備とは、テーブル、椅子、カウンター、その他飲食に用いられる設備をいい、その規模や目的は問わないこととされております。また、飲食料品を提供する事業者以外の方が設置した設備であっても、その設備設置者と飲食料品を提供する事業者との間の合意などに基づき、その設備を顧客に利用させることとしているような場合には飲食設備に該当するというのが一般的な考え方でございます。

 大学内のコンビニエンスストアということでございますが、まず、一般的には、食堂の中とか、あるいは屋外のテラス席など、そのコンビニエンスストアの管理の及ぶ設備等について飲食設備として合意するケースというのが一般的には想定されますが、そこで飲食させる場合には、軽減税率の適用とはならず、標準税率が適用されるということでございます。

 それから、今、教室というお話がございました。私ども、個別具体的な例を承知しているわけではございませんが、設備設置者と飲食料品を提供する事業者の間でそこを飲食設備として使うという合意等があれば、その場合には標準税率一〇%が適用されるということとなりますが、通常、一般的には、余り教室をそういうことに使用するということは考えにくく、そういう合意がない場合であれば、コンビニで買ったものを教室で食べるという場合には、通常は、飲食料品の譲渡として軽減税率の適用対象となる場合が多いのではないかというふうに考えております。

畑野委員 通常は、学校の教室で食べるというのは軽減税率適用ですよね。というふうに御答弁いただいたというふうに思います。

 私、国税庁の消費税の軽減税率制度についてのQアンドAというのを読ませていただきました。

 合意ということを先ほどおっしゃいましたが、その中には黙示の合意というのもあって、それは、前提がいろいろ書かれた後、最後に、かつ、飲食料品を提供する事業者がその設備を支配、管理しているような状況をいうと言った上で、さらに、また、ここで言う管理、支配しているような状況とは、例えば、その設備にメニュー等を設置、顧客を案内、配膳、下膳、清掃を行っているなど、みずからの飲食設備として利用させている状況が挙げられているというふうに書かれていますから、それぐらい管理がいくところだというふうに、私は、国税庁のQアンドAを見ても思った次第です。

 次に、消費税の問題で消費者庁について伺いたいと思います。

 この間、政府は、消費税を八%に上げた二〇一四年度に比べて、価格に対する監視を緩めてきたのではないかというふうに指摘されているんです。

 私も以前、委員会で指摘させていただきましたが、消費者庁のパンフレットでは、二〇一四年当時は便乗値上げはしてはいけないと厳しい表現をしていたのを、今回は、「合理的な理由があれば便乗値上げには当たりません」と一転させてまいりました。

 その結果、今、値段はそのままに内容量を減らす、いわゆるステルス値上げなども問題になっております。そういう声が上がっている。

 それで、消費税増税前後で便乗値上げに関してどのような相談が何件あったのか、月別、また内容、状況について伺います。

高田政府参考人 お答えいたします。

 消費者庁では、消費税の円滑かつ適正な転嫁に資するため、便乗値上げ情報・相談窓口を設置し、便乗値上げに関する情報を継続して受け付けております。

 便乗値上げ情報・相談窓口に寄せられた件数は、消費税率に関する種々の問合せを含めまして、本年の七月は六十件、八月は八十七件、九月は百九十二件、十月は百十件となっております。

 主な情報、相談内容の例といたしましては、事業者からは、消費税率引上げ前を中心に、具体例を挙げて、自社が便乗値上げに該当するかどうかの確認、消費者からは、消費税率引上げ前後を問わず、消費税率引上げ分以上の値上げについての情報提供、その他消費税率適用関係の相談があった模様でございます。

畑野委員 つまり、やはり経済にいろいろな影響を及ぼしている。私は、一〇%の引上げに反対だというふうにこの間申し上げてまいりました。本当に、生活上いろいろな影響が出ているというふうに思います。ですから、私はやはり、経済を冷え込ませていく、消費を冷え込ませていくという点で、消費税は五%に引き下げ、さらに、廃止をしていく必要があるというふうに思っているんです。

 実は、加えて、ことしは台風の影響が相次ぎました。十五号や十九号、あるいは二十一号にかかわっての大雨などもあったわけです。ですから、被災と増税という大変な状況が、この秋、起きております。

 この中で、消費者庁はホームページで台風、豪雨災害に関する電話相談をされておりますが、どのようなものでしょうか。

高田政府参考人 お答えいたします。

 令和元年秋台風関連消費者ホットラインでございますが、今般の台風等の被害の影響に鑑み、十一月一日から独立行政法人国民生活センターが開設したものでございます。

 同ホットラインは、被災地域及び被災者の負担を軽減するため、一都十三県からフリーダイヤルで相談を受け付けられるようにしております。同ホットラインには、開設以来、昨日十一月十一日まででございますが、住宅等に関する相談を含め、合計六十八件寄せられているところでございます。

畑野委員 その中で、災害に関する主な相談例とアドバイスというのも読ませていただいたんですが、例えば、こういうのがあります。

 大家から賃貸マンションの退去を求められた、退去しないといけないのか、また、退去に伴う引っ越し費用や敷金の返却を請求できるかというのがありまして、いろいろ詳しく書いていただいています。建物が滅失していない以上は賃貸借契約は継続するので退去する必要はありませんとか、滅失とは何ですかとか、あるいは、いろいろ、立ち退きによって受ける借り主の不利益、貸し主からの立ち退き料、引っ越し費用の支払い云々というふうに書いてありまして、よく話し合いましょう、うまくいかない場合は最寄りの消費生活センターや弁護士会に相談しましょう、こういうふうに書かれているんです。

 私も被災の地域に伺いまして、背の高さよりも賃貸マンションに水が入ってしまって、ごっそり、全てがだめになって、廃棄しなくてはいけないというところにも伺ってまいりました。

 そこで、賃貸住宅についての支援というのはなかなか情報が知らされていないという声を被災地から伺ってきたんです。例えば、賃貸住宅の入居者が被災した場合、被災者生活再建支援制度の支援金は支給されるのか、また、貸し主側へはどういう支援があるのか、伺います。

青柳政府参考人 お答えいたします。

 被災者生活再建支援制度は、著しい被害を及ぼす一定規模以上の自然災害が発生した場合に、持家、貸し家にかかわらず、住宅に全壊や大規模半壊等の重大な被害を受けた世帯に対して支援金を支給するものでございます。

 そのために、例えば、被災前に賃借していた住宅が全壊して、みずから建設、購入する世帯には三百万円、また、再度賃貸住宅に入居する世帯には百五十万円を支給するという形でございまして、周知がなされていないという話につきましては、そういうことがあってはならないということですので、改めて周知を図ってまいりたいと思います。

渡邉政府参考人 お答えいたします。

 貸し主に対する支援につきましてでございますけれども、小規模事業者持続化補助金がございます。生産機械や車両の購入、店舗改装、事業再開時の広告宣伝など、事業再開に取り組むためのさまざまな費用を補助するものでございます。

 被災賃貸物件の貸し主である事業者に対しては、例えば、外観の改装やホームページ、チラシ等の作成により今後新たに借り主を確保しやすくするための費用を補助することが可能となっております。

 当該補助金につきましては、今般、台風十九号の被害を受けた十四都県に所在する事業者に対して新たに公募を実施することとしてございますけれども、特に被害の大きかった宮城県、福島県、栃木県、長野県に所在いたします事業者は補助上限を二百万円、その他十都県につきましては補助上限百万円に引き上げて支援をすることとしております。

 いずれにいたしましても、これら支援策につきましては、被災企業の方々にしっかりと使っていただくことが重要であります。今後、自治体や中小企業団体と協力し、各被災地で支援策の説明会を開催するなど、丁寧な情報発信に取り組んでまいる所存でございます。

畑野委員 ぜひ進めていただきたいというふうに思います。

 最後に、衛藤大臣に伺いたいと思います。

 このように被災や増税の負担がのしかかり、十月の世論調査でも、日本経済の先行きが不安、ある程度不安という方は七割近くに及んでおります。こうしたときに大事なのは消費生活相談員の存在である、消費者庁でいえば、そう思うんです。

 財務省のホームページに予算執行調査資料というのが載りまして、相談員一人一日当たりの相談件数が少ないというのが載りまして、もう関係者から、消費生活相談員の実態を見ないものだという怒りの声が上がっているんです。

 そういう点では、相談だけではなく、いろいろな仕事を、出前講座に行く、消費者教育に行く、被害の防止や救済をやっている、あらゆることをやっているのが相談員なんですね。

 そういう点では、やはり相談員の役割や実態を大臣としてもしっかり支えていただきたい、必要な財源も確保すべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

衛藤国務大臣 消費生活相談員は、地方の消費生活センター等の現場において、消費者からのいろいろな意味でのあらゆる相談等に直接対応するなど、まさに最前線で重要な任務を担っているというぐあいに認識をいたしています。

 先ほどの質問にもございましたが、やはりその充実方をどうしてもやらなきゃいけないということで私どもは考えておりますので、財務省の指摘は指摘として、充実方をどうやるかということについて、真剣に考えていかなきゃいけないというふうに思っています。

 そういう中で、私どもも、今、この相談業務の中においても、例えば、成年年齢が引下げになりまして、学校現場においてもっと消費者教育を徹底できるようにとか、あるいは高齢者の場合の、あるいは障害者に対しての見守りネットワークをもっとちゃんと整備していけるような、今それを進めているところでございますから、そういう意味で、この消費生活相談員の方々の仕事は拡大していると言っていいと思っておりますので、充実方について、それは特に財務省にも理解を求めながら、充実方についても頑張ってまいりたいというふうに思っております。

畑野委員 ぜひ充実を求めて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次に、串田誠一君。

串田委員 日本維新の会の串田誠一でございます。

 きょうは、動物の販売に関する質問をさせていただこうと思っているんですが、先ほど堀越委員からもアニマルウエルフェアの話が出ておりまして、私も大変重要なことだろうなというふうに思っています。

 最終的な末端の販売がどうであるかだけではなくて、それまでの過程というものも、これから、同じ地球上の生物ということでやはり関心を持っていかなきゃいけないんだというようなことが必要だと思うんですけれども、このアニマルウエルフェアというのは実は非常に広い概念でありまして、畜産であるならば農水ということでありますけれども、この中には、家で飼う愛玩動物もアニマルウエルフェアというものの中に入れるというようなことがあるわけでございます。要するに、動物に苦痛を与えないというようなことが一番の根本的な部分だと思うんですね。

 そういう意味で、きょうは消費者特ということでございますけれども、動物の販売というと環境省というのがどうしてもなっていくんですが、環境省というのは、動物を愛護するという点では専門的な部分の部局があるんですけれども、販売という部分というのは、これはかなり環境省にとっては不得手な部分なんだろうというふうに思っています。

 ですから、実は、省庁挙げて、いろいろな省庁合わせてやはり動物の愛護というものに関して検討していかないと、販売というものに関して、販売業者のやりたい放題になっているというような部分が現実にはあるわけですよ。これはいろいろなところで報道されていると思うんですけれども、そういう意味では、環境省だけに任せずに、これは国民が購入をして一緒に家族として暮らすわけですから、消費者庁としてもしっかりとこの部分については監視をしていっていただきたいというような思いで、きょうは質問させていただこうと思うんです。

 まず、ペットショップに関して何らかの販売規制があるのかどうかを確認させていただきたいと思います。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 ペットショップの販売規制の件でございますが、動物愛護管理法におきましては、第十条に基づきまして、ペットショップ等の動物の販売を業として営む者は、第一種動物取扱業としまして、資格要件それから飼養施設等に関する基準を満たした上で、都道府県等の登録を受ける必要があります。さらに、十三条に基づきまして、五年ごとにその登録の更新を行う必要があるということでございます。

 さらに、業の登録後も、第一種動物取扱業者は、動物の健康及び安全を保持するとともに、生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、飼養施設の構造や規模、適切な給餌及び給水の方法などといった動物の飼養管理方法等に関する基準を遵守することが同法第二十一条において義務づけられているというところでございます。

 加えて、犬猫を販売する犬猫等の販売業者には、犬猫等健康安全計画を登録時の申請書に記載しなければならないこととされておりまして、この計画には、販売の用に供する幼齢の犬猫の健康及び安全を保持するための体制の整備、販売の用に供することが困難となった犬猫等の取扱い等について記載するということになってございます。

 さらに、犬猫等販売業者は、第二十二条の六に基づきまして、犬猫の飼養状況等を帳簿に記録、保存し、毎年一回、都道府県知事等に報告しなければならないこととされております。

 これらの動物の管理の方法につきまして基準を遵守していない事業者には、法第二十三条に基づきまして都道府県知事が勧告、命令を行うことができることとされておりまして、命令に違反した場合には登録の取消処分や百万円以下の罰金が科されるという規定が設けられているのが規制の体系でございます。

 なお、本年六月に公布されました改正動物愛護管理法におきまして、こうした飼養の基準につきまして、動物の愛護及び適正な飼養の観点を踏まえつつ、基準に定める事項を具体化するとともに、特に犬猫についてはできる限り具体的なものとすること等が規定されてございます。

 環境省では、省内に動物の適正な飼養管理方法等に関する検討会を設置いたしまして、この飼養管理基準の明確化、適正な飼養管理のあり方につきまして調査検討を進めてきたところでございまして、これらの検討を踏まえて、二年後の施行に向けて具体的な基準の設定に取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

 以上です。

串田委員 いろいろ今説明をいただきましたが、実際は、例えば高齢者がペットを購入するに当たっては、みずからそのペットを飼い続けるということができないぐらいの、寿命が長いペットを購入してしまって、そして、入院するなりなんなりすることによって放置されて、その動物が保健所に回され、結局は、最終的には処分されていくというようなことというのが非常に多く報道されているわけですね。

 要するに、ペットショップについての規制はあったとしても、販売をするときに、消費者や購入者に対してそれをどういうふうに飼い続けるのかということのフォローをしないまま、とにかく購入をしやすくしていくというようなことが指摘されているというふうに報道されているんですけれども、こういったようなことに対して環境省としては対策を考えているんでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 高齢者が最後まで、ペットの寿命を全うするまで飼うことができなくなるんじゃないかという御質問でございます。

 まず、大前提といたしまして、動物愛護管理法におきましては、第七条第四項で、終生飼養、すなわち、動物がその命を終えるまで適切に飼育するということが飼い主の基本的な責務というふうにされてございます。

 まさに世の中、高齢化が進む中で、高齢者自身によるペットの世話が年々負担となり、ペットを手放さざるを得なくなる事例、あるいは飼い主の死亡、入院等によりまして取り残されたペットの引取り先に悩む事例が見受けられ、課題の一つというふうに認識してございます。

 こうした課題を踏まえまして、動物を飼い始める前に、みずからのライフスタイルなどを熟慮いたしまして、万一の際の飼養者をあらかじめ決めておくことのほか、飼育する動物の種類、年齢などを考慮いたしまして、飼育しないといった選択肢も含め、適切に判断いただくことがまず重要ではないかというふうに考えてございます。

 環境省では、このような点につきましてホームページやパンフレット等を活用して広く周知を図り、飼い主責任の徹底に努めてきたところでございまして、引き続き、高齢者も含め、適正飼養に関する普及啓発を進めてまいりたいというふうに考えてございます。

串田委員 これは非常に難しいのは、販売店が高齢者に向けて、ずっとあなたは飼い続けられますか、ペットよりも長生きできますかと聞けないんですよ。

 そういったようなことの難しさもある中で、例えば諸外国では、アニマルポリスのような形で、飼えそうもなくなったらばSOSをすると新たな飼い主を探してくれるというようなことが公的にも用意されていたりとかいうようなこともあるので、現実的に、ペットショップが本当にそういったようなことをやっていればそれは一番いいんですけれども、そういうことをやっていないからこそこういう社会問題になっているわけで、余り建前ばかりを言っていてもやはり殺処分というのはなかなかなくならないというようなことで、そういうことをやりにくいというようなことを、事前に何か考えていかなければいけない時代になっているかと思うんです。

 もう一つ、そのペットが、どういう親、例えば父親や母親がどういうものであるのかということをさかのぼるということが大変今難しくなっている。これは、オークションというような形があって、繁殖業者とペットショップの間にオークション業者が入ってしまっているものですから、ペットを購入する側が繁殖業者と直接に連絡をとり合うということが非常に難しくなっているというようなことが指摘されています。

 これは、消費者の問題に考えてみていただければ、物、食品ならば、販売から消費されるまでの間というのはしっかりと流通過程が透明化されていくということを食べ物だとちゃんとやるにもかかわらず、どうして動物に関してだけは、そこの部分について、明確な基準なり、あるいはそういったようなことを消費者がわかるようなシステムを環境省は用意されないんでしょうか。

白石政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、ペットの販売、譲渡を行う際には、適正な飼養又は保管のために必要な情報を把握して、譲渡を受ける者や購入しようとする者に対して提供していただくよう努めていただくことが重要だというふうに考えてございます。

 実際に、流通の問題でございますが、まず、ペットを販売する第一種動物取扱業者というのは、末端の販売業者もいらっしゃいますが、競りとかあっせんを行う業、競りあっせん業としてオークション等をやる業者も含まれてございまして、これも第一種の動物取扱業として都道府県知事の登録を受ける必要があるということでございます。

 これらの業者につきましても、販売業者と同様に、動物の健康、安全の保持の観点から定められた施設の基準それから管理基準に適合しない場合には、登録を拒否するという取扱いにしてございます。

 さらに、業の登録後も第一種動物取扱業者には動物の飼養管理等に関する基準を遵守することが義務づけられておりまして、遵守基準に基づく細目において、動物の例えば疾病に関する措置として、健康であることの目視とかあるいは聞き取りによる確認、競りに付される動物の一時保管を行うための、他の動物と接触させないこと等が規定されているというような規制もございます。

 各種規制を流通過程でもかけてございまして、更にこうした制度について規制の趣旨を踏まえた適切な運用が図られるように、自治体と連携を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

串田委員 特に繁殖の環境というのが劣悪である。よくテレビでも、ドキュメンタリーで流されたり、報道でもされたりしているんですが、非常に狭いところで大量に飼っているというような状況が繁殖業者として見受けられるわけですね。

 そういうものというのは、例えば食べ物の場合、製造工場というものが見学できたりとか、あるいは、消費者がどういうところでつくられているのかというのがたやすくわかるようになっているんですけれども、動物に関しては、今言ったようにオークションなんかが入っているものですから、繁殖状況がわからないまま、大変きれいにはなっているんですよ、ペットショップに置かれているときは。しかし、その前の繁殖の状況というのは極めて、特に、母親としての犬や猫というのは、ぼろぼろな状況になって子供を産まされているわけですね。

 こういったようなことを、この今売られているペットの繁殖状況というのはどういうものであるのかということを、これは消費者が容易に、ビジュアルな形で、写真でも何でもいいですから、どういったところで育てられているのかということがわかるようにするということが、これはやはりアニマルウエルフェアの一番の大事なことだと思うんですが、環境省はそういったようなことをぜひとも実現していただきたいんですが、どうでしょうか。

白石政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、動物愛護管理法等におきましては、第一種動物取扱業者が遵守すべき施設基準の、構造や規模、管理等に関する基準が定められてございます。

 議員御指摘の衛生面に関することに関しましては、この遵守基準の詳細を示した細目におきまして、飼養施設の管理に関する基準といたしまして、定期的に清掃を行うとともに、汚物や残渣等を適切に処理し、衛生管理を行うべきこと等が規定されているほか、ふん尿に係る動物の衛生管理のため、例えばケージ等には、ふん尿の受皿を備え、又は床敷きを敷く等の措置を講じるということ等が規定されてございます。

 また、清掃、消毒及び保守点検の実施状況等について記録した台帳を調製いたしまして、五年間保管するとか、ケージや設備は、清掃が容易である等衛生状態の維持及び管理がしやすい構造及び材質とするということも規定されてございます。

 議員御指摘の、情報提供を義務づけろという話は、なかなか、いろいろ議論があろうかと思いますが、少なくとも、こういう基準をきちっと実施をいたすということが大前提でございまして、こうした制度が適切に運用されるように、動物の健康と安全が確保が図られるように、自治体との連携に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

串田委員 時間になりましたので質問にはなりませんが、実は、最後の質問の中では、売れ残ったペットというのをどうしているのか。これは、御存じのように、引取り屋といって、お金をもらって引き取っていって、一生死ぬまでゲージに入れているという業者がペットショップでは行われているわけです。それをしないとペットショップというのはやっていけないらしいんですね。

 要するに、処分はできない、保健所は受け取りませんから。だから、処分はしていないかわりに、引取り屋によってお金を払って引き取ってもらって、死ぬまで散歩もさせないというような状況になっている。こういったようなことを消費者庁として見過ごしていていいのかどうか。アニマルウエルフェアの観点から、ぜひともこういったところに力を入れていただきたいということを申し上げまして、終わりにしたいと思います。

 ありがとうございました。

土屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時三十六分散会


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