衆議院

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第3号 令和7年4月3日(木曜日)

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令和七年四月三日(木曜日)

    午前十時十二分開議

 出席委員

   会長 枝野 幸男君

   幹事 上川 陽子君 幹事 寺田  稔君

   幹事 船田  元君 幹事 山下 貴司君

   幹事 武正 公一君 幹事 津村 啓介君

   幹事 山花 郁夫君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 浅野  哲君

      井出 庸生君    稲田 朋美君

      井野 俊郎君    大野敬太郎君

      小林 鷹之君    柴山 昌彦君

      高市 早苗君    葉梨 康弘君

      平口  洋君    平沢 勝栄君

      古川 禎久君    古屋 圭司君

      細野 豪志君    三谷 英弘君

      森  英介君    山口  壯君

      山田 賢司君    五十嵐えり君

      岡田  悟君    奥野総一郎君

      階   猛君    柴田 勝之君

      波多野 翼君    平岡 秀夫君

      藤原 規眞君    谷田川 元君

      吉田はるみ君    米山 隆一君

      青柳 仁士君    阿部 圭史君

      和田有一朗君    平岩 征樹君

      福田  徹君    河西 宏一君

      浜地 雅一君    平林  晃君

      大石あきこ君    赤嶺 政賢君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   衆議院法制局長      橘  幸信君

   衆議院憲法審査会事務局長 吉澤 紀子君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  新藤 義孝君     平口  洋君

  松尾 明弘君     波多野 翼君

同日

 辞任         補欠選任

  平口  洋君     新藤 義孝君

  波多野 翼君     松尾 明弘君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(憲法改正国民投票法を巡る諸問題(放送CM・ネットCM))


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     ――――◇―――――

枝野会長 これより会議を開きます。

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 本日は、憲法改正国民投票法を巡る諸問題、特に、放送CM・ネットCMについて自由討議を行います。

 本日の議事について申し上げます。

 まず、幹事会の協議に基づき、衆議院法制局当局から説明を聴取し、その後、自由討議を行うことといたします。

 この際、前回の審査会において、発言時間の割当て等について問題提起がありましたので、改めて確認いたします。

 まず、各会派一名ずつの発言につきましては、発言時間は七分以内となっており、質問を行う場合は答弁時間を含めて七分以内となります。したがって、質問を行う場合には、当然に答弁時間を残すのが礼儀であり、答弁時間を残さずに七分を全て使って質問した場合には、答弁を求められた委員が二巡目以降の発言の中で答弁をしていただくか、あるいは答弁されないか、その委員の自由に委ねられるということになりますので、御留意願います。

 次に、その後の委員各位による発言につきましては、発言時間は三分以内となっており、質問を行う場合は、全ての答弁時間を含めて最大でも五分以内となりますので、御留意願います。

 また、冒頭の各会派一名ずつの発言及びその後の委員各位の発言のいずれにつきましても、一度に答弁を求めることができるのは二会派までとなっておりますが、答弁が長くなることが明らかに予測されるような質問の仕方は慎んでいただくなど、七分あるいは最大五分の範囲内で答弁できるような質問の仕方とするよう御留意願います。

 また、当然のことですが、議論がいたずらに拡散しないよう、質問はテーマに沿った内容とするようお願いをいたします。

 さらに、発言の中で不適切な表現が見受けられるとの御指摘がございました。本審査会の品位を傷つけることのないよう、発言に当たっては御配慮願います。

 また、前回も申し上げましたが、この後、法制局長より説明聴取をいたしますし、また、各回、資料を事務方から提供いたしております。これらは、幹事会の協議に基づき、会長の責任で提供し、御発言をいただいているものでありますので、事務方に対しての非難、誹謗中傷等はなされないように強く申し上げておきたいと思います。

 以上の点を基本とした上で、議論がかみ合うよう、会長の議事整理権に基づいて柔軟に対応する場合もありますので、御承知おき願います。

 以上が幹事会において確認された内容でありますので、委員各位におかれましては、御留意を願います。

 では、衆議院法制局当局から説明を聴取いたします。衆議院法制局橘幸信局長。

橘法制局長 衆議院法制局の橘でございます。

 本日は、枝野会長を始め幹事会の先生方の御指示により、国民投票法に関する本審査会でのこれまでの議論のうち、放送CM及びネットCMに関する議論の概要につきまして御報告をさせていただくことになりました。前回及び前々回同様、先生方の御議論の参考に資するよう、簡潔で分かりやすい説明を心がけたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、早速ですが、お手元配付のパワポスライドのA4横長の資料を御覧ください。

 まず、表紙と目次をおめくりいただきまして、一ページですが、放送CMに関する議論の経緯を御理解いただくために、まず、国民投票法制定時の議論について御報告申し上げます。

 衆議院憲法調査会の最終報告書取りまとめの議論が行われていた二〇〇五年当時、憲法制定後約六十年を経てもなお、憲法改正国民投票法は、憲法九十六条に基づく基本的な憲法附属法規であるにもかかわらず、制定されておりませんでした。

 その制定に向けた議論が大きく進展するきっかけとなったのは、同年二月、当時会長代理を務めておられた枝野幸男先生の次のような御発言でした。

 政権がどちらの側にあったとしても共通のルールを憲法で規定する、そういう観点から、憲法改正手続につきましても、今のような共通の基盤を持てる政党間において真摯な協議、議論の上で、幅広い国会の意思で早期に制定をすることが望ましいというふうに考えております。

 この御発言に対して、自由民主党の保岡興治先生、船田元先生、公明党の太田昭宏先生などが相次いで呼応する御発言をされ、その後、与野党協議を経て、同年九月、衆議院に、国民投票法制定のための憲法調査特別委員会が設置されたのでございました。

 また、この御発言の前後から、この法律の基本的な枠組みをどうするかが議論となっておりました。

 一方には、昭和二十八年に当時の自治庁が作成した法案をベースに、公職選挙法の仕組みに倣いつつ、これに国民投票に特有な部分の手直しを施せばよいという発想がございました。

 これに対して、公選法は、候補者間の平等を旨として規制でがんじがらめになっている、べからず集だ、識者によってはこれを不自由の平等と称しているようですが、このような公選法の仕組みを前提とすることなく、主権者国民が国家の基本政策に直接関与できる貴重な機会なのだから、できるだけ規制のない自由な運動を保障する仕組みを構築するべきとの意見もございました。この後者の主張をされたのが、当時の枝野先生と山花郁夫先生でした。

 様々なやり取りの中で、多くの会派の先生方がこの枝野・山花ラインの主張を受け入れて、具体的な制度設計の議論に入っていったのでございました。

 その際に、大きな論点の一つになったのが、放送CMの問題でした。

 新聞や雑誌などの紙媒体については、編集行為や一定の時間的経過の中で真偽や適否が判断され、また、それに対する対抗言論もそれなりに可能なので、有料広告も含めて一切自由でいい。しかし、テレビやラジオの放送メディアについては、その即時性などのメリットとともに、視聴者の感性に訴える扇情的なものも少なくなく、有権者の冷静な判断にとって弊害となるおそれもある。また、テレビCMには相当な費用がかかるので、その経済力によって流せるCM量に大きな差が出てきてしまうなど、国民投票の公平公正に大きなマイナスの影響を与える可能性があることが共通の認識となっていきました。

 そこで、原則自由な国民投票運動においても、放送CMについてだけは、一つ、期日前投票が始まる投票日前二週間は禁止、二つ、これ以上の法規制はしない代わりに、放送事業者は放送法の下でCMの自主規制を行う、三つ、国民投票広報協議会が賛否平等の枠の下で公的な広報活動を行う、これら三つの手法によって、放送CMの賛否平等と、それを通じた国民投票の公平公正を担保することとされたのでした。

 ここで、国民投票広報協議会について簡単に御説明申し上げておきます。

 資料二ページを御覧ください。

 広報協議会は、憲法改正が発議されたときに国会に設置される広報のための特別な機関です。メンバーは、衆参両院から十名ずつ、合計二十名の議員によって組織されますが、本日の報告との関係で重要なのは、この資料の右側にありますように、この広報協議会が行う様々な広報活動、すなわち、国民投票公報の原稿作成、新聞やテレビ、ラジオ、ネットも含めた様々な媒体で行う公的な広報活動について、二つの法的な義務づけがなされているということです。すなわち、一つ、憲法改正案の内容や議論の経過等については、客観的、中立的に、かつ、分かりやすい説明をすること、二つ、これに関する賛成意見、反対意見の記載等については、公正かつ平等に、すなわち、賛否の意見を量的にも平等に掲載すること、この二つです。

 次に、資料三ページを御覧ください。

 以上のように、二〇〇六年から二〇〇七年の法制定時の議論においては、放送事業者が国民投票CMに関し自主規制を行うことは与野党の共通認識とされ、当時の民放連の山田参考人も、「自主規制はできます。やらなければいけないというふうに思っております。」と発言しておりました。そして、この発言の前後のやり取りから、ここで言う自主規制は、量的に賛否平等の自主規制との受け止めがなされておりました。まずはこの点を確認することがポイントになります。

 その後は、昨年十二月十九日の私の御報告でも言及いたしましたように、一時期、国会の憲法論議は大きく停滞いたしましたので、この議論が再度本格化したのは、二〇一八年に入ってからになりました。

 同年七月、民放連の責任者を幹事懇談会に招致し、自主規制の検討状況について伺った際は、本格的な検討はこれからとのことでした。

 ところが、同年九月に、民放連の大久保会長が量的自主規制はしないと発言され、また同年十一月には、制定時の民放連の山田参考人の発言は量的な賛否平等の自主規制を行うことを前提としたものではないと表明されました。

 憲法審査会の先生方は与野党を問わずに大いに驚き、一部には、法制定時の約束がほごにされた以上、国民投票法は欠陥法になってしまった、このままでは国民投票は実施できないとの主張までされるようになりました。

 また、この約束ほご論とは別に、法制定後十年以上経た今日、国民投票を取り巻く環境は大きく変わったとして、改めて、国民投票の公平公正確保の観点から、放送CMの問題を含めて国民投票法の仕組みを見直すべきではないかとの事情変更論も出てくるようになり、放送CMの見直しの議論へとつながっていったのでございました。

 その後、民放連は、同年十二月に国民投票運動対応に関する基本姿勢を、また、翌二〇一九年三月には国民投票運動CMの考査ガイドラインを発表し、民放連が考える自主規制の全体像が明らかになっていきました。

 そこで、同年五月、憲法審査会に永原専務理事らを招致して参考人質疑が行われました。しかし、民放連側は、我々はCMの受け手であって、量に特化した自主規制はできないし、行わないことにしたとの主張を繰り返し、議論は平行線のままでした。

 その後、しばらくの冷却期間を置いた二〇二二年になって、与党筆頭幹事となっていた新藤義孝先生は、民放連のCM考査ガイドラインを子細に検討した上で、このガイドラインの下でも運用次第で量的規制はある程度できるのではないか、その点を審査会の質疑を通じて確認し、担保する必要があるとのお考えの下に、同年四月、改めて永原専務理事らを招致して、次のようなやり取りが行われました。

 資料四ページを御覧ください。

 新藤先生は、民放連の自主規制のポイントを幾つか挙げられた上で、その中に、特定の広告主のCMが一部の時間帯に集中して放送されることがないよう特に留意するといった項目があることを指摘して、ここには量も要素とした規制が盛り込まれているのではないかとの趣旨の質問をしました。

 これに対して、永原専務理事は、「今、新藤先生が大変分かりやすく、整理してお話しされていたと思います。先生のおっしゃるとおりの意味でございます。」と述べ、さらに、「量を全く考慮せずやるかといったら、そんなことはなくて、ありとあらゆることを総合判断する。」と述べました。

 このやり取りを受けて、新藤先生は、民放連の自主規制は評価できるものであり、残る問題は、広告の主な出し手である我々政党側による取組と、広報協議会を通じた公平な広報活動の確保ではないかとの意見を表明され、これに賛同する意見が他の会派からも述べられました。

 これに対して、立憲民主党の先生方からは、今日まで一貫して、民放連の自主規制では賛否の量的平等は担保されているとは言えず、憲法改正が発議された日から投票日までの全期間、全ての勧誘CMは禁止するべきである、また、広報協議会を通じて意見表明の機会が保障されている政党等については、勧誘CMだけではなく、意見表明CMも禁止するべきであるといった御主張がなされているところです。

 以上の放送CMに関する議論が、次のネットCMの議論にもつながってまいります。

 資料五ページを御覧ください。

 放送CMに関する参考人質疑の中で、永原専務理事の次の御発言は、ネットCMの議論を喚起する大きなきっかけの一つとなりました。

 すなわち、テレビやラジオのCMは投票日前二週間禁止されるが、ユーチューブなどの動画CMは禁止されない、とすると、時に感情に訴える、扇情的な影響力を持つ動画広告が大量に流れ、SNSを通じて大量に拡散されることになってしまうではないか、果たして、そういう状況は、国民投票法第百五条、これは放送CMを投票日前二週間禁止した条文ですが、この条文が期待した、国民が冷静に判断できる投票環境と言えるのかとの趣旨の問題提起をされたのでした。

 また、次の資料六ページのグラフが如実に表しているように、CMを取り巻く背景事情も大きく影響してございます。国民投票法が制定された二〇〇七年当時にはテレビ広告費の三分の一以下だったネットCMの市場規模が、二〇一九年にはテレビ広告費を上回り、二〇二一年にはマスコミ四媒体の広告費をも上回るといった状況です。

 次に、資料七ページを御覧ください。

 以上を踏まえて、本審査会では、ネット広告事業者の団体である日本インタラクティブ広告協会の専務理事らを参考人として招致し、ネットCMへの対策について議論を行いました。

 参考人からは、インターネットに限らず、メディアからの情報経路は多岐にわたり、放送CMとネットCMだけを仮に規制することで本当に効果があるか疑問である、実務面や実効性の観点からは、広告の受け手側が自主的に公平性を確保することは難しい、広告の出稿方法は広告の出し手側が設定するものであるといった意見が述べられたところです。

 最後に、資料八ページの一覧表を御覧ください。以上のような経緯と議論を踏まえて、各会派から指摘された主な意見のポイントをまとめたものです。

 議論の全体像を御理解いただきやすいように分類、整理して、左の欄から法的効力の強い順に並べております。すなわち、一番左の欄には、当該行為の禁止といった直接的な法規制、その右の欄には、努力義務を含む一定の法的義務づけを伴う間接的な法規制、その右の欄には、より緩やかな法的措置としてのガイドラインの策定など、最後に、その右の欄に、広告の受け手である事業者や出し手である政党などによる自主的取組を掲げております。また、一番右端の欄には、備考として、これら四つの規制手法に関する議論のポイントを掲げておきました。

 本日のテーマであります放送CM及びネットCMの欄から読み取れる事項を、時間の関係もありますので二つほど挙げて、本日の御報告のまとめとしたいと存じます。

 一つは、「放送CM」の欄においては、強い法規制として、先ほども御紹介しましたように、全期間、全ての勧誘CMの禁止と、政党等による意見表明CMの禁止といった事項が提案されております。他方、そのすぐ下の「ネットCM」の欄になりますと、全ての者に対する禁止規定は難しく、政党等に対する禁止規定のみが提案されております。ここに、来週のテーマにも通じるネット規制の難しさが表れていると言えるかと存じます。

 もう一つは、だからこそ、間接的な法規制の分野において様々なアイデアが出されてきているように思われることです。例えば、広告主の表示義務や、事業者のCM取扱件数などの広報協議会への報告義務、さらには、ネットCMの分野については、その事後的な検証を可能とするデジタルアーカイブの作成義務などです。

 今後の先生方の御議論を通じて、以上の間接的な法規制に加えて、緩やかな法的措置の分野及び自主的取組の分野を含めて、ハードロー、ソフトローを組み合わせた更なるアイデアが出てきて、自由な国民投票運動の保障と公平公正な国民投票のバランスが取れた制度設計がなされていくものと確信しております。

 以上、放送CM及びネットCMについて、本審査会におけるこれまでの議論の概要を分類、整理して御報告申し上げたつもりでございます。

 御清聴ありがとうございました。

枝野会長 以上で衆議院法制局当局からの説明聴取は終わりました。

    ―――――――――――――

枝野会長 これより自由討議に入ります。

 この自由討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。

 それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。

 発言時間は七分以内となっております。

 質問を行う場合、一度に答弁を求めることができるのは二会派までとし、一回当たりの発言時間は答弁時間を含めて七分以内となりますので、御留意願います。

 発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 発言の申出がありますので、順次これを許します。船田元さん。

船田委員 自由民主党の船田元です。

 本日のテーマに入る前に、前回の審査会に関しまして一言申し上げたいと思います。

 立憲民主党の藤原規眞委員から、衆議院法制局それから憲法審査会事務局に対しまして、学説の捏造であり、改憲派の先生方をミスリードしているというような発言がございました。これは、与野党を問わず、全会派に対して常に公平中立で客観的な立場から補佐をしてくれている橘局長を始め法制局、そして憲法審査会事務局に対する礼を失する発言でありまして、許容し難いものと受け止めていることを明確に表明したいと思っております。

 その上で、本日のテーマである国民投票法の放送CM、ネットCMの問題について意見を述べます。

 まず、放送CMの問題につきましては、近年、民放連が量的自主規制は行わない旨を表明したことなどを受けまして、当審査会で改めて議論がなされてきました。その中で、民放連の方にはこれまでに二回、参考人としてお越しをいただきましたが、その際にも、民放連は確かに、CM量に特化した自主規制は行わない旨を明言しているところでありますけれども、その一方で、日頃のCM考査に加えて、憲法改正国民投票に特化した考査ガイドラインを作成し対応することを明らかにされています。

 この考査ガイドラインでは、広告主としての適否を放送事業者が総合的に判断をする、また、国民投票運動CMの場合はその旨をCM内に明示したものでなければ取り扱わない、さらに、放送事業者の意見と混同されないようにするために、CMの放送時間帯はニュースの中、直前、直後を避けるなどの自主的な取組を定めております。さらに、特定の広告主のCMが一部の時間帯に集中して放送されることがないよう特に留意する必要がある、そういった量的自主規制にもつながる項目も入っているということです。

 国民投票運動は自由であるという国民投票法制定当時の趣旨や、以上に述べました放送事業者の自主的取組を踏まえますと、公平公正な放送CMの姿に近づけるためには、一つとして、放送事業者の自主的取組について、広報協議会に対する定期的な報告とそのチェックが行われるようにすること、また二つ目には、広告の出し手である我々政党間の申合せを組み合わせることによってその公平公正を保ち、また、量的な問題についても一定の解決が考えられると思っております。

 他方、ネットCMにつきましては、次回のテーマであるネットの適正利用と同様に、ネット特有のシステムの問題、すなわち、プロファイリングによりますターゲット広告、フィルターバブル、アテンションエコノミー、エコーチェンバーなどの問題がございます。閲覧者の感情に訴える扇情的な内容や特定の考え方を繰り返し送りつけて植え付けることなどにより、国民の冷静な判断が阻害されるおそれがあると思われます。

 にもかかわらず、放送CMは投票日二週間前から勧誘CMが禁止されているのに対し、ネットCMにはそうした制限がございません。これでは言論空間のバランスを著しく崩してしまうのではないかと思っております。その結果、公平公正な報道が意味を成さなくなるのではないかとも危惧をしております。

 ネットCM自体をコントロールすることは極めて難しいわけですが、幾つかの重層的な措置によりまして公平性、公正性を保つことは決して不可能ではないと思っています。具体的には、次の六つの方策が考えられるのではないかと提言をしたいと思います。

 まず、プラットフォーマーなどの事業者に対し憲法改正国民投票に関するCMであることの表示を義務づける、それから、事業者団体に憲法改正国民投票に関するCMの取扱いについてガイドラインを策定してもらう、こういうことが考えられます。

 第二に、広報協議会におきましてもネットCMの在り方についてガイドラインを策定した上で、ネットCMの出し手である各政党間でも申合せを行うということであります。

 第三に、プラットフォーマーから定期的に広報協議会にネット広告の回数や内容を報告させることが考えられます。

 第四に、これはちょっと難しいことかもしれませんが、広報協議会がガイドラインに照らして不適切と判断をしたネットCMあるいは意見表明記事については、表現の自由の観点からは難しい点がございますが、その削除を命じることができるようにすることもアイデアとしては検討してしかるべきであると思っております。

 第五に、ネット広告や意見表明について、できる限りデジタルアーカイブ化を行い、事後的に検証する手段を確保することも有益ではないかと思っております。

 最後に、政党、政治団体によるネットCMについては、放送CM同様、投票期日前二週間は行わないことにするということも考えられます。

 以上述べてきましたとおり、これらの施策を講じる上で、広報協議会に期待をされる役割や機能が当初の予定以上に膨らみ、その責任も極めて重要になってくると思います。このため、国会議員で構成される広報協議会の下にしっかりとした事務局を設置することがこれまで以上に必要になってきていると考えています。

 国民投票法の問題について各党各会派の共通認識を形成していけるよう、更に議論を進めていきたいと思っております。

 発言を終わります。

枝野会長 次に、津村啓介さん。

津村委員 私たち立憲民主党は、憲法改正国民投票法について、かねてより、一つ、憲法改正案に対する賛否の勧誘のための広告放送の全面禁止、二つ、政党等による賛否の意見表明のための広告放送の全面禁止、三つ、政党等によるインターネット有料広告の禁止などを具体的に提案してまいりました。

 国民投票法の附則四条は、施行後三年を目途に、国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずることを定めております。

 立憲民主党は、なぜこの検討条項が附則に盛り込まれたのかという原点を確認することからこの議論をスタートしたいと考えております。

 元々、国民投票法が立案された際には、憲法改正の賛否を問う国民投票は、人間を選ぶ通常の選挙とは大きく異なる性質を持つことが強く意識されていました。公職選挙法は、今から七十五年前、一九五〇年に制定されて以来、社会環境の変化や情報技術の進歩に伴い、幾たびも改正されてきました。しかし、国民投票に関しては、必ずしも公職選挙法と同様の立法事実が確認され得ない場合も存在します。

 そのため、一つ、有権者名簿の作成や投開票に関する事務など投票そのものに関するルールについては基本的に公職選挙法に準拠するものとしつつ、他方、二つ、いわゆる運動に関するルールについては、ゼロベースで検討した上で、必要最小限度のものとするとの原則にのっとって立案された経緯がございます。

 放送CMについては、当初から、禁止すべきとの議論もありました。

 欧州の先行事例を俯瞰いたしますと、フランスでは、国民投票については、放送CMは全面的に禁止されています。イタリアも、地方局では一定の要件の下に認められる場合があるものの、全国放送の放送CMは禁止。デンマークでも、放送CMは全面禁止。そしてスイスでは、テレビのみならず、ラジオの放送CMも禁止されています。

 なお、二〇一六年に実施されたイギリスのEU離脱、いわゆるブレグジットに関する国民投票に際しても、放送CMは全面禁止され、賛成派と反対派の双方に同じ量の放送枠を無償提供するルールが採用されました。

 こうした世界的な潮流を受け、日本における国民投票法制定時にも、放送CMは禁止すべきとの見解がございました。

 しかし、二〇〇六年六月の衆議院憲法調査特別委員会におきまして、賛否の双方にイコールタイムの確保が可能かという趣旨の質問に対し、民放連の参考人が、放送CMについて、自主規制はできるし、やらなければならないとの趣旨を発言されたことから、法的規制ではなく自主規制で目的が達成可能との認識で現行法の仕組みができ上がった経緯があります。

 ところが、二〇一九年五月九日、衆議院憲法審査会の冒頭の意見表明におきまして、民放連の永原専務理事は、「民放連としましては、昨年九月の理事会でCM量の自主規制は行わないという方針を決定して以来、国民投票運動の放送対応について進めてきた検討作業は、これで一区切りとなります。」「昨年九月の理事会で、CM量に特化した自主規制は行わないと決定したわけでございます。」と発言をされました。ここにおきまして、本件の議論の前提が大きく変わったと認識します。

 この問題が再燃したきっかけはもう一つあります。二〇一五年に大阪市において行われた、大阪市を廃止して、府と統合して特別区を設置する、いわゆる大阪都構想に関する第一回目の住民投票でございます。運動期間中、放送CMについて、賛成派が反対派の約四倍の量であったことなどの指摘がなされました。国民投票法制定時に述べられた民放連の自主規制表明には、既にこの時点で大きな疑義が生じておりました。

 このように、国民投票法制定当時において前提とされていた民放連の対応にそごが生じたことに加え、必ずしも立法事実が確認できないとされていた放送CM規制の重要性、有効性が確認されたことから、改めて、放送についてのCM規制について議論する必要性が生じたと思料いたします。

 なお、翻りまして、当憲法審査会での議論を眺めましても、資金の多寡によって情報の差がつきやすいことへの懸念や外国政府の介入のおそれ等を指摘する意見表明が、国民民主党の玉木雄一郎議員や立憲民主党の奥野総一郎議員からなされております。

 放送については、他のメディアにはない特徴があります。免許制が取られていること、番組編集準則が定められていることなどです。

 なぜ放送についてはこのようなことが認められているのかについて、伝統的な見解は、一つ、電波の有限性、希少性と、二つ、社会的影響力の大きさから、特殊な規律があっても憲法違反ではないという説明をしてきました。伝統的な理解に従えば、放送CMについては規制の余地がより大きく存在すると考えられます。

 しかしながら、いわゆるネットCMについて規制をする根拠をどのように考えるかは、放送CMとは切り分けて考える必要があります。この点は、本日この後御発言される同僚議員の指摘に委ねたいと考えます。

 最後に、当審査会におきまして、放送規制の根拠やネット規制の可能性について学識経験者から最新の知見を拝聴する機会を設けていただくことを提案いたしまして、立憲民主党を代表しての私の意見表明とさせていただきます。

 終わります。

枝野会長 次に、和田有一朗さん。

和田委員 日本維新の会の和田有一朗です。

 放送CM、ネットCMに関する意見を申し述べたいと思います。

 国民投票法は、国民投票運動はできるだけ自由にすべきだという考え方に基づいて、国民投票運動については、投票期日前二週間の勧誘CMの禁止など、必要最小限の規制にとどめています。

 投票は、選挙ですから、私も選挙を経ている者ですし、皆さん方も選挙をやっている方ですから、恐らく多くの方は、今の選挙を取り締まる法律、公選法は非常に複雑で、あれはしてはいけない、これはしてはいけない、がんじがらめで、よく意味の分からない不思議な規定があったり、時代に合っていなかったりしているのではないかと思う方が多いと思うんです。これは私一人ではないと思います。例えば、事務所でお茶は出していいけれどもコーヒーは駄目よみたいな、本当はどうか分かりませんけれども、ちょっと首をかしげるような、いろいろな都市伝説みたいなものが生まれてくる。そういう中で、やはり現実に合っていないと思うのは私一人ではないと思うんです。

 過度の法規制というのは、政治的表現の自由に対して過度の制約につながるおそれがあって、国民投票法制定時の考え方からすれば、やはり慎重に検討すべき課題だと私は考えます。法規制は慎重に検討すべき、自主的取組での対応が基本だということです。広告の受け手となる放送、ネット事業者、いわゆる業者さんですね、この自主規制と、出し手、発注者、これは政党になると思います、この自主的取組で対応することがやはり基本であるだろうと私は考えます。

 その中で、受け手側の自主規制については、参考人の質疑を通じて各事業者の取組が明らかになり、国民投票の公平公正に資するものとして評価できると私は考えています。先ほど説明があったように、二百八国会での新藤先生との議論等々も受けてです。

 広告の受け手側の自主規制については一定評価できると考えていますが、とはいえ、現在の社会状況、現代という時代を見るときに、もはやこういった議論だけでは捉えられない、超えてしまったものがあるのではないかとも思っています。

 それは様々な議論があったわけですが、制定時の考え方を基本としながら、例えば、今、ネット上での様々な選挙の際の活動、二馬力の選挙、ポスターの掲示の手法、新しい時代の新しい課題が生まれているのは事実です。こういうときに、国民投票の公平公正を実現していくことが重要になります。

 四月一日から新生活を始めて独り暮らしを始めた若い方は多いと思うんですけれども、おおよそ若い方を見ていると、テレビを見ないので、テレビを家に置いていない、もうテレビは家にないという方が急激に増えてきています。これは先ほどの説明の中で広告収入のグラフを見ても分かるとおりです。

 さらに、我々、先生方もすると思いますが、折り込み広告をやると思うんです、新聞で。折り込み広告で、データを広告屋さんから、折り込み屋さんからもらっても、ここ数年、劇的に、毎月のように新聞購読数は減っています。要は、新しいメディア、ネットなどに物事が移っていっている。こういうものにどう対応するかを真剣に考える時代が来ていると思います。

 私は兵庫県が地元です。維新の議員です。前職は兵庫県の県会議員でした。今回の知事選挙の真っただ中にいて、その状況というものを皮膚感覚で今感じています。現在進行形です、これは。

 まさに既存メディアのCMについて議論するということがどういう意味があるのかな、さらに、新たな観点からの議論があるのではないかと日々考えています。もはや、ネット広告をどうするかということを考える前に、広告とはどこまでを指すんだろう、例えば、インフルエンサーの人にお金を払って主張してもらってそれが広まっていくことは広告なんだろうか、対価をもらうことなく、意図しない人がユーチューブの切り抜き動画を上げることについてはどう考えたらいいんだろうか、法の規定で対処することなんだろうか。国民的議論の中で果たす役割を捉えたときに、こういう議論もこの中で出てくると思うんです。

 さらに、国家、民族の行く末を規定する根本の憲法改正ですから、外国勢力の介入、情報工作活動を許してはならないのは当然です。外国からの、国外からの情報戦からどう公正中立を担保すべきかを議論せねばなりません。

 そんな中で、広告の出し手側の自主的取組についても議論を深めるときが来ていると思います。参考人質疑では、広告の受け手側の自主規制には限界があること、特に、ネット広告の自主規制の困難さは明らかになっています。参考人質疑では、広告の出し手側のルール作りの重要性も強調されました。政党の自主的取組については今すぐ議論ができるはずですし、また、ネットや新しいメディアの関わり方もこの憲法審査会で議論を深めるべきです。

 そこで、投票運動に偏らない正しい情報を提供する機関、オーソリティーが重要になると思います。ここで言う意味では、広報協議会の広報の在り方、規程制定についての速やかな議論を始めるべきだということです。

 こうした取組に加え、客観的、中立的な立場から憲法改正案の広報を行う国民投票広報協議会の活動が極めて重要になると思います。制定時に余り議論されていなかったインターネットによる広報などの広報の具体的な方法や、広報協議会が活動するに当たり必須となる広報協議会規程、細則についての議論を速やかに開始すべきだと私は意見を申し述べて、終わります。

 以上です。

枝野会長 次に、福田徹さん。

福田(徹)委員 国民民主党の福田徹です。

 発言の機会をいただき、ありがとうございます。一期生議員ではありますが、長年我が国のために尽くされました諸先輩方とともに我が国の根幹である憲法について議論させていただけることを光栄に思うと同時に、感謝申し上げます。

 憲法前文には、「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と記されています。私たちは、厳粛に、そして国民の権威を汚さず、むしろ高めるような政治を、国民の利益のために執り行うことが求められています。私は、この憲法前文の価値観に基づき、この憲法審査会の場で議論させていただくことを誓います。

 私からは、国民投票期日前十四日から投票日までのネット広告規制について意見を述べさせていただきます。

 現行の国民投票法において、放送CMについては、投票期日前十四日から投票日まで国民投票運動CMの放送が禁じられているのに対して、現時点でネット広告については規制が全くありません。

 インターネット広告費は、二〇一九年にテレビ広告費を、二〇二一年にテレビ、新聞、雑誌、ラジオのマスコミ四媒体の広告費の合計を上回っています。このように国民がインターネットを通して多くの情報を得ている現代において、ネット広告が何の規制もなく流されている状態において放送CMを禁止することそれ自体に意味がなくなるという意見があります。

 また、この憲法審査会において何度も発信されておりますとおり、アメリカの大統領選などにおいてフェイスブックの大規模な個人データを活用して政治広告が打たれたケンブリッジ・アナリティカ事件など、ネット広告が選挙に多大な影響を与えるという事例が起きています。プロファイリングやアテンションエコノミーの効果で民主主義に多大な影響を与えるものになっており、令和四年十二月八日に慶応義塾大学の山本龍彦参考人が発言された、混沌とした言論空間において選挙権者が適切に選挙権を行使できるかという懸念は、国民投票においても起き得ると考えられます。

 また、外国からの介入で我が国の言論空間がねじ曲げられる可能性も考えられます。

 以上の理由から、投票期日前十四日から投票日までのネット広告を禁止することは、一定の社会的公益性にかなうのではないかと考えられます。

 一方で、ネット広告を禁止したとすると、テレビやラジオを使わずインターネットのみから情報を得ている者に、国民投票に関する情報が届かなくなってしまいます。ネット広告の制限又は制約を検討する場合は、インターネット上でも、公職選挙法における政見放送や国民投票法における国民投票広報協議会による広報のように、広く公平公正な情報を提供する手段の検討が望ましいと考えられます。

 他方で、禁止ではなく自主規制がよいという意見もあります。日本民間放送連盟、民放連の放送基準や憲法改正国民投票運動の放送対応に関する基本姿勢、国民投票運動CMなどの取り扱いに関する考査ガイドラインといった自主規制は、一定の到達点と考えられます。

 ただ、ネット広告の自主規制は難しいという意見があります。日本インタラクティブ広告協会、JIAAがインターネット広告全般に対して定めたインターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドラインがあるものの、選挙や国民投票を対象にしたものはありません。ネット広告を出稿する仕組みが複雑であること、JIAAに加盟しない中小事業者や個人も多く存在すること、以上から、令和四年十二月八日、JIAAの橋本浩典参考人は、事業者に対して特定の規制に従うよう強制し得る権限は有していないと述べております。

 これらの理由から、ネット広告において自主規制で実効性を確保することは難しいと考えられていますが、国民投票広報協議会が国民投票運動CMに関するガイドラインを掲示するならば、自主規制の後押しができると考えております。

 さらに、もし国民投票法でネット広告を禁止したとしても、すり抜けが多く起こるという意見があります。例えば、広告主の悪意によって、国民投票運動ではないように装った内容のネット広告が流されたり、広告の内容自体は問題ないが、広告のリンク先が国民投票運動に関する内容である、そういう広告が流される可能性があります。

 ネット広告に関しては、野放しにしていては結果の正統性が疑われるほどの影響を与え得る、でも、実効性のある自主規制が難しい、そして、禁止してもすり抜けが起こるという難しい状況です。その中で、どのように健全な言論空間をつくっていくのか、表現の自由と社会的公益性のバランスを考えながら議論を進めていく必要があると考えます。

 どのような手法を取るにせよ、広告主、広告事業者、そして広告を見る国民、これら全てが、正確で多角的な情報を基に、自由な意思と冷静な判断で投票するという理想を共有し、皆がその実現に向けて努力することが欠かせないと考えます。

 この憲法審査会の議論がその取組の背中を押すものとなることを期待して、発言を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

枝野会長 次に、平林晃さん。

平林委員 公明党の平林晃と申します。

 本日のテーマについて発言をいたします前に、三月十三日の本審査会における私の発言に対しまして委員室内外で様々な反応を頂戴いたしましたが、それらの中で、私の立場が正しく理解されていないかもしれないと感じられるものがありましたので、党の立場を含めて、改めて確認をさせていただきます。

 公明党は、昨年の衆議院マニフェストに掲げていましたとおり、日本国憲法が戦後民主主義の基盤を築いた優れた憲法であると認識をしており、国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の三点を普遍の原理として、将来とも堅持することをうたっています。

 一方で、憲法施行時には想定されなかった新しい理念や、憲法改正でしか解決できない課題が明らかになれば、必要な規定の追加は検討されるべきとも示しております。いわゆる加憲という立場はこの意味で使っているものと理解をしております。

 こうした考えは、私がここまでの半生をささげてきたエンジニアリング、工学分野の基本的考え方に通じるものであります。課題があれば、それに必要な対策を講じていくということであり、対策ありきではありません。この点が、誤解されたかもしれないと危惧している点です。

 すなわち、私は、三週前、首班指名の正統性に関する疑義を申し述べ、思料すべき課題の一つとして提起をいたしました。改憲ありきで申し述べてはおりません。であるにもかかわらず、そう決めつけておられるような反応をいただきましたので、そうではないことを明確に申し上げまして、本題に入らせていただきます。

 先ほどの橘局長の御説明におきまして、国民投票法の基本理念について言及がありました。すなわち、憲法改正に向けての国民投票運動は、賛否を問わず、できる限り自由に行われるべきであり、その制約は必要最小限であるべきというものでありました。こうした理念は今後も堅持していくべきであると考えております。

 ただし、様々これまでも御言及がありましたとおり、情報通信をめぐる我々の環境は、AIやSNS等の急速な発展により劇的に変化をし、国民投票法成立、公布の二〇〇七年当時とは全く変わっております。

 このため、国民投票運動の自由を認めつつ、一方で国民投票の公平性、公正性を確保するという課題の解決はより困難なものになってきております。二律背反のこの状況は、本年が登場百年と言われる量子力学における不確定性原理をほうふつとさせるものであります。

 この課題を解決するための知恵が必要ですが、自由を尊重し、制約を最小限にという国民投票法の基本理念にのっとれば、自主的な取組を促す重要性を感じます。

 その意味で、まずは、広告主である政党側の自主規制は、我々が論じるべき重要テーマと認識いたしております。

 一方で、広告の受け手側の自主規制につきましては、放送とネットで異なってまいります。

 まずは、放送の自主規制に関しまして、放送事業者は、放送法の第五条の規定に基づき、放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集を行うこととなっています。これとは別に、国民投票法第百五条において、投票日前二週間の国民投票運動のための広告放送を禁止しております。この点は法規制ですけれども、自主規制として、民放連は国民投票運動CMなどの取り扱いに関する考査ガイドラインを策定し、意見表明CMなどについても投票日前二週間は取り扱わないことが推奨をされております。国民が冷静に判断できる投票環境の構築という意味で、評価をいたしております。

 一方で、ネットCMについては、これも先ほど局長から御説明ありましたように、事業者団体であるJIAAが、国民投票に特化してはいないものの、ネットCMの掲載基準について、業界標準の指針を定めておられます。ネットCMの出稿の複雑さなどを踏まえれば、法規制では容易ではなく、まずはこうした事業者団体による自主規制の取組を尊重すべきであると考えています。

 そして、広告主名、表示などの事業主の自主的取組について、これを遵守していない広告に対しては、国民から見て情報の信頼性を欠くというような状況をつくり出すことが重要と考えています。そのために、我々としても知恵を絞っていく必要があると考えております。

 さらに、もう一点付言させていただければ、日本ではフィルターバブルといった用語の認知度が他国に比べて低いという調査結果が総務省から報告されています。こうした状況を変えていくためにも、国民のネットリテラシーの向上を目指していくことも重要であると考えています。

 以上、るる申し上げてまいりましたが、本日のテーマである放送やネットのCMにおいては、事業者のみならず、広告主側の自主規制によって、ある程度、国民が冷静に判断できる投票環境の構築に資するのではないかと考えています。

 一方、それ以上に問題なのは一般のネット発信であり、これを制御して静ひつな環境を構築することが真に重要かつ極めて困難なテーマであると考えていることを申し述べて、私の発言を終わります。

 以上です。

枝野会長 次に、大石あきこさん。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 まず、本日のこのテーマもあくまで改憲の準備ですから、任期延長改憲が立法事実がないというのは前回までに終わった話なので、こういったテーマを議論すること自体そぐわないと考えています。

 毎回言っていますけれども、毎週開催をやめていただきたいです。これは枝野会長にです。

 そして、所要一時間四十五分なんですけれども、前回も私が挙手したんですけれども、当たらなかった。他党に質問できるこういう会は非常にいいんですけれども、当たらなかったので、先ほど会長が、こういうたてつけで、七分以内で答弁も含めてというルールはおっしゃるんですけれども、やはりある程度の打ち合いが数回ないと議論として深まりませんので、例えば三週に一度にしてこの一時間四十五分を二倍にするとか、そういうふうにすれば頻度も減るしクロスもできるので、そのような運営に改めていただきたいです。

 そして、何会派か表明されていますけれども、前回の法制局の資料への批判に対して、これが許されないことなんだというような表明があったんですけれども、果たしてそうでしょうか。

 私は、これもまた枝野審査会長に申し上げたいんですけれども、昨日、四月二日、参議院の憲法審で、自民党の佐藤幹事が、三月二十七日のこの衆議院の憲法審で七十日限定説が一つの目安だという発言に不満を表明されているんです。自民の船田幹事の発言に対してですけれども、誤解を生むと不満を表明されていて、結局、参と衆で行われていますので、この衆議院の審査会においてより偏りがあるのではないかという指摘であれば受け止める必要があるのではないかと思いますし、会長として、そういったことがあるのではないか、受け止めて検証する必要があるんじゃないでしょうか。

 この衆議院法制局の資料、三ページにもわたる緊急集会の立法事実を、二年前のオリジナルには記載していないけれども今回記載していることはなぜかというような質問だったと思うんですね。この内容が、衆議院で、特に改憲派の多数が唱えている七十日限定説の背景となる連関構造説なるものに基づいた憲法学者の意見かのように見える資料としてまとめられているようにも見えましたので、では、やはり、衆議院特有の偏りによって、その意を酌んだような資料作りではなかったのかという論評は成り立つと思います。

 ですので、解明いただきたい。意を酌む、法制局の方が意を酌んでしまうということは当然あり得る、一般的にあり得ることだと思いますので、これは、審査会長として、不適切な言動だったと言うよりは、受け止めて検証していただきたい、そのように思います。

 さて、本日の国民投票法のCM規制に関してなんですけれども、各会派で述べられているような放送CM・バーサス・ネットCMといいますか、放送CMの規制に対してネットがバランスを欠くのだという話というのは、ちょっと表層でしかないといいますか、既に放送CMも、二週間前のCM禁止と言われていますけれども、ざるではないか。意見表明CMなら可能ではないんでしょうか。人気タレントとかを使って、憲法を変えるのはいいことなんだとその人が意見を表明するという限りにおいては無制限に許されるのではないでしょうか。

 これは妄想ではなくて、大阪で既に行われていることで、吉村知事ですね、例えば。知事は本来タレントではないですけれども、大阪においてはメディアと吉村知事、大阪維新の会との蜜月がありまして、そのようなことになっているんですよ。本来であれば、吉村知事は政治家でもあるので政治的中立というのを常に問われるんですけれども、なぜか大阪においては、行政の長なんだ、行政のトップとして出ているんだということで、たくさんCM、たくさん番組に出ては、万博がいいんだ、カジノはいいんだというふうに宣伝して回っているので、やはり、こういった権力者側というか与党側が、広告という枠を離れても、そういったメディアの宣伝においていかに有利かということを思い知らされているのが大阪ですので、その現実を見ずに、テレビのCM規制をすれば足りるんだ、これに対してネット広告のバランスが欠くんだという議論は、現実を捉えていないんだろうと私は考えます。

 そして、やはり、住民投票という意味で見なければいけないのは、立憲の方も引用されましたけれども、都構想ですね、大阪都構想。二〇一五年と二〇二〇年に二回行われまして、両方、僅差で反対が多数になりまして都構想は否決されているところなんですけれども、これは、まさに公選法が適用されない、ある意味何でもありの住民投票だったわけで、ここでいかにうその数字を使って、与党側、行政側が、行政とマスコミの力でその数字や宣伝物を垂れ流して票を動かしていくのかという、これは非常に危険であるという事例として、この審査会でも、やるならそういった検証をするべきだと考えます。

 例えば、これ自体、橋下徹さんという都構想を考えた人で、二〇一五年の都構想、住民投票の実施者である方が、憲法の国民投票の参考になるであろう、実験みたいなものだというところまでおっしゃっているので、ここに核心があると考えます。

 都構想で維新の会が、これはネット広告とか放送CMではないですけれども、チラシの時点でこんなチラシを書いているんですよ。安心してください、全て特別区が引き継ぎます、大阪都構想実現で住民サービスぐうんとアップ、財政効率化で一兆一千億円というふうに書いているんですけれども、都構想で大阪が成長したら一兆一千億円がプラスになるんだと言っているこの数字の内訳は、何と、国が公表している全国一律の一%の経済成長をシミュレーションに入れた結果で、ほとんどがその成分なんです。だから、都構想をやらなくても全国でも同じように伸びる数字を、都構想によってこうなるんだという宣伝を、チラシをまきまくって、ほかのチラシにおいても、副首都推進局が疑問に答えます、こちらまでということで副首都推進局の電話番号を記載して、副首都推進局では、先ほどの一兆一千億円、全国一律成長一%の数字を用いたものがあたかも都構想の成長によるものであるという答えを、実際に都構想の副首都推進局の方が丁寧にお答えしておられますので、やはり、こういった間違った数字であっても、与党側、強い側ですね、流したときに大きな宣伝になるのだということを、皆さん、事例として検証するべきだと考えます。

 以上です。

枝野会長 ただいまの大石さんの御発言の中で、前回の藤原委員の御発言についての話は、事務方に対して一種誹謗中傷と受け取られかねない発言をされたことについて問題があるということで、幹事会でも協議をし、私からも繰り返し、再び申し上げました。

 ここに出されております資料、そして先ほどのものも含めて、事務方からの説明は、幹事会での協議に基づき、会長の責任で出ておりますので、それを実務的に作成をした事務方を非難するのは、それは全く筋が違うということで申し上げております。

 なお、この審査会の開催日時等、あるいは運営の方式については、御意見も踏まえて、引き続き幹事会で協議をしてまいります。

 次に、赤嶺政賢さん。

赤嶺委員 赤嶺政賢です。

 私たちは、国民が改憲を求めていない中で改憲のための国民投票法は整備する必要はないという立場です。今、憲法改正は差し迫った政治上の課題とはなっておらず、国民の中から改憲の手続を整備すべきだという声は上がっていません。国民投票法の整備を性急に進める必要はどこにもありません。

 現行の国民投票法は、第一次安倍政権の二〇〇七年に、自民党が改憲を推し進めようとする下で作られたものです。

 安倍首相は、憲法改正を政治スケジュールにのせるべくリーダーシップを発揮すると述べ、そのために国民投票法の早期成立を期待すると繰り返しました。この下で、自民党は、期限を区切って国民投票法の審議を推し進めました。当時、特別委員会に出席した多くの参考人からも法案の不備が指摘されていたにもかかわらず、自民党が衆議院で採決を強行し、成立させたものが今の国民投票法です。そのため、現行法には幾つもの重大な問題が残されたままとなっています。

 私たちは、当初から、法案は、国民の民意を酌み尽くし正確に反映させるという根本において重大な問題があると指摘をしてきました。今でも、法律や憲法の専門家からも不備を指摘する声が上がっています。日弁連は、現行法が公平性や正当性に疑義を抱えているとして、有料広告の規制や最低投票率の新設など八項目について繰り返し見直しを求めています。

 この現行法の不備について、私たちは、これまで三つの点を指摘してきました。

 第一に、最低投票率の規定がないことです。

 現行法は、投票率がどんなに低くても国民投票が成立する仕組みになっており、有権者の一割から二割台の賛成でも改憲案が通ってしまいます。これでは、国民の民意を酌み尽くし、その意思を正確に反映しているとは到底言えません。

 第二に、公務員や教員の国民投票運動を不当に制限していることです。

 国民投票の大前提は、国民が幅広い多様な意見に接し、自由闊達に意見を表明し、理解できることです。しかし、現行法は、定義の曖昧な地位利用を理由に、国、地方の公務員や、大学の教員から幼稚園の先生に至るまで、およそ教育に携わる全ての投票運動を禁止しています。その対象は五百万人以上になると言われており、その影響は極めて甚大です。このような不当な投票運動の制限は、公務員や教員だけにとどまらず、国民全体の意見表明や運動を萎縮させることにつながりかねない重大な問題です。

 第三に、改憲案に対する広告や意見表明の仕組みが公平公正なものになっていないことです。

 資金力の多い方がテレビなどの有料広告の大部分を買い占めてしまい、憲法がお金で買われるおそれが繰り返し指摘されています。しかし、現行法にはそれに対する実効性のある措置がありません。

 国会につくる広報協議会も、委員の大多数は、改憲に賛成した会派から割り当てられます。広報の内容も、改憲の理由と改憲案の説明、改憲に賛成する意見が大部分を占め、改憲を進めるのに都合のよい仕組みになっています。このような重大な問題を持つ広報協議会を具体化していく規程作りは認められません。

 現行の国民投票法は、その審議の手続においても、その内容においても重大な問題を抱えた欠陥法です。この根本的な欠陥を持つ手続法を作り、改憲の議論を進めてきた自民党のやり方は、断じて許されるものではありません。

 今必要なのは、改憲の議論ではありません。憲法の原則と乖離した現実の政治を正し、国民の基本的人権を守るための議論こそやるべきだと改めて申し上げて、発言とします。

枝野会長 次に、北神圭朗さん。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 私からも、国民投票について御意見申し上げます。

 まず、有料広告の制限につきましては、当然、表現の自由とともに、国民投票の公平公正、それぞれを確保することが求められます。これを踏まえ、私は、できるだけ法的規制には頼らずに、一方で、報道機関やインターネットプラットフォーマーなどの自主性を重んじる立場を取ってまいりました。

 一つは、放送CMについては、令和四年四月二十一日に開催された本審査会で、民放連が、量的規制について公正公平に調整する意向を表明しています。これは一定評価したいと思います。CMの出し手である政党も、国民投票広報協議会において、自主的に上限を設定するのが適切だと考えます。

 ネットCMについても、基本的には、プラットフォーマーなどの自主的取組を重視すべきだと考えます。というのも、ネットは市場システムが複雑で、多数の広告主、媒体社が存在すること等から、CMの量や時間などはなかなか調整することは難しいと思います。やはり、政党などが自主的に申し合わせて上限を設定することで対応することが現実的ではないかと考えます。

 確かに、一部の会派では、放送CMの規制に関し、勧誘CMは主体を問わず全期間禁止、意見表明CMは政党等について禁止すべきだという意見が出ています。また、ネットCMについては、政党等による有料広告も禁止すべきだといった意見もあります。しかし、こうした法的規制は、国民投票運動の自由と国民の判断形成に係る公平公正性との均衡、また表現の自由等への配慮からも、慎重に考えるべきです。

 憂慮するのは、政党活動までが規制されると、逆に、いいかげんな偽情報等が蔓延し、悪貨が良貨を駆逐することにより、国民投票の公平公正性が損なわれることです。

 以上から、放送・ネットCMは、事業者と政党の自主的対応を基本にすべきだと考えます。

 ただし、これには、一つの重要な前提条件があります。それは、外国勢力の介入を除くことです。

 実際、二〇一六年の英国におけるEU離脱の是非を問う国民投票、二〇一六年及び二〇二〇年の米国大統領選挙、オーストラリアやカナダの総選挙、さらには最近の台湾総統選挙においても、外国勢力の介入が発覚しています。これらは、他国の選挙に都合よく影響する政治的動機があり、特定候補者の支援や世論の分断などを目的としています。

 その手段としては、偽情報の拡散はもとより、選挙関係者に対するサイバー攻撃、特定候補を支援する大量のアカウント作成、SNS事業者へのハッキングを通じたアルゴリズムの変更等が挙げられております。

 最近では、昨年十一月のルーマニアにおける大統領選挙について、同国の憲法裁判所が、デジタル技術の不透明な利用により投票が誘導され、公正な選挙過程が損なわれたとして、第一回投票の選挙結果を無効にしました。要は、ティックトックの不正使用やロシアの介入が疑われているわけであります。

 具体的には、投票の数週間前に親ロシアの二万五千ものアカウントが突如生まれました。また、アルゴリズムの不正操作により、ティックトックで特定候補の動画が優先的に表示されて、フォロワーが一気に増えました。さらに、この候補を応援したネット上のインフルエンサーに違法に資金が渡っております。これらの結果、この親ロシアの候補者は僅か三週間で支持率が五%から二三%にまで上昇したのです。

 この事態を受けて、EUは、外国からの干渉の重大な兆候があるとして、ティックトックに対する正式な調査に乗り出しています。この背景にあるEUのデジタルサービス法という法律は、事業者に対し、違法な製品、サービスを排除するための措置を義務づけるものであります。とりわけ、EU域内の利用者が月間平均四千五百万人以上の大規模事業者については、リスク評価の実施と緩和措置の導入、監査の実施など、より厳格な規制が義務づけられております。

 ここで言うリスク評価とは、例えば、プラットフォーマーが、雨後のタケノコのように数万のアカウントができて特定の候補者を支援していることに対し目を光らせることも含まれます。また、緩和措置とは、これに対し、選挙に影響が及ばないような効果のある措置を実行することであります。これらの措置を怠った者に対しては、最大で、この事業者に対し、年間売上げの六%までの制裁金が科されます。

 こうしたEUの法律や措置は、国民投票に際して、国民の自律的な意思が阻害されないようにどのように対応すべきなのかを問うています。

 我が国のプラットフォーマー対策は、表現の自由に強く配慮し、民間の自主的な規律を重視するEU型の規制、枠組みを一応は採用しております。しかしながら、肝腎の、EUにおける制裁金等の強力な規制手段がありません。やはり、我が国でも、外国からの選挙介入を突き止める能力の向上や、有権者に正確な事実を伝達する体制が強く求められ、EU型の規制の導入が必要だと考えます。

 実際、我が国でも、民間団体が実施する、ALPS処理水放出に反対する署名活動や、自衛隊による南西諸島の防衛力強化に反対する署名活動に中国の世論工作の疑いが強い投稿があることが読売新聞等でも報道されております。

 とりわけ、憲法改正に関する国民投票は民主主義の根幹であります。我々も、外国からの選挙介入に対し、より強い危機感を持って、これまで以上の積極的な姿勢で臨むべきだと申し上げて、私の意見とします。

 以上です。

    ―――――――――――――

枝野会長 次に、委員各位による発言に入ります。

 発言を希望される委員は、お手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 なお、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。

 発言が終わりましたら、名札を戻していただくようお願いいたします。

 また、幹事会の協議に基づき、一回当たりの発言時間は三分以内となります。質問を行う場合、一度に答弁を求めることができるのは二会派までとし、一回当たりの発言時間は全ての答弁時間を含めて五分以内となりますので、御留意ください。

 発言時間の経過につきましては、それぞれおおむね三分経過時、五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 それでは、発言を希望される委員は、名札をお立てください。

山下委員 自由民主党の山下貴司です。

 本日は、国民投票のCM規制が中心テーマですが、その前提として、まずは、与野党四会派が令和四年四月に提出し、審議入りしたにもかかわらず廃案となった、投票環境整備のための国民投票法改正案を早期に再提出の上、議決すべきと考えます。この改正案は、同じ趣旨の公職選挙法改正の際にはほぼ全会一致で可決された内容で、内容において各党に異論もないはずであります。

 質問ですが、この三項目案に関する国民投票法改正法案の再提出について、二会派ということなので、維新、国民の委員の見解を後ほど私の質問の時間内でお答えいただければと思います。

 さて、国民投票運動に関するCMの規制は、憲法で保障される政治的表現の自由に直接関わるものであります。

 例えば、アメリカ連邦最高裁は、二〇一〇年、団体による政治的なCMの規制を違憲、憲法違反と判断いたしました。他方で、イギリスやフランスでは、政党等に与えられた無償の放送枠以外は、国民投票に限らず、政治的性格を有する広告放送を流すこと自体が一般的に禁止されています。

 これに対し、我が国の国民投票法では、国民投票運動はできるだけ自由であることを原則として、投票の公正の確保のための必要最小限の規制のみが設けられております。

 そもそも、広告規制は、ネットCMの実態、偽情報対策など、多くの論点を含むものでありますけれども、これらについては公職選挙法上の規制においてもいまだ結論が出ていないテーマであり、政治的表現の自由の原則や各国の選挙法上の規制等を踏まえた慎重な議論が必要であります。

 したがって、既に公職選挙法でも内容が固まっている投票環境整備のための三項目案に関する国民投票法改正案とは異なり、この問題は、まずは、法規制による一律の対応ではなく、ガイドラインの策定等を通じた事業者、政党等による自主的な取組を促進することが現実的であり、そのためには、国民投票法に定める広報協議会がガイドライン等を示し、各事業者の自主的な取組を促しつつ、必要な実効性を確保する措置を取ることが必要であります。

 そのためには、広報協議会の具体的な活動内容に関する制度設計の詰めを早期に行うべきであります。既に、令和五年十一月のこの審査会の幹事懇談会で法制局、憲法審査会事務局より提示された広報協議会、広報協議会事務局に関する規程の条文案が示されております。さきの国民投票法改正案と併せ、広報協議会の在り方についても早急に審査会で議論して、法令整備を進めていくことを申し上げ、私の質問といたします。

 そして、二会派につきましては、質問にお答えいただければ幸いであります。

枝野会長 では、今の山下さんからの質問について、維新、回答できますか。

馬場(伸)委員 御質問ありがとうございます。

 山下議員御指摘のとおり、国民投票法の改正、これは公職選挙法の質疑、議論においては全会派一致で成立をしておりますので、特段、審議をしないという理由も見当たりませんので、一日も早く再びこの憲法審査会に法案を提出するという方向で我々も協力させていただきたいというふうに考えています。

 以上です。

枝野会長 国民民主党。

浅野委員 国民民主党としても、以前提出したものになりますので、この提出に関しては現在も必要性はあると考えております。

 ただ一方で、本日も議論されている様々な論点については、いま一度整理の必要はあるかと思いますので、党内に持ち帰って協議をしていきたいと思います。

山下委員 ありがとうございます。以上です。

階委員 立憲民主党の階です。

 本日は、ネットCMに関して意見を述べたいと思います。

 現在の国民投票法にはネットCMの規制は全くありませんが、立憲民主党は一定の法規制を設ける必要があるという立場です。

 理由として、第一に、津村委員が先ほど述べた、我が党の放送CMの規制強化案とのバランスです。

 これについて、先ほど来議論がありますけれども、我々は、放送CMとネットCM、全く同じ規制を課すという趣旨ではありません。政党等以外のものについては、放送CMのように、運動期間中に投票勧誘CMを配信することまで禁止していないからです。広報協議会がガイドラインを定めるなどして、ネットCMの内容の適正化を図るということにとどめています。表現の自由に配慮したものですが、放送CMとのバランスを欠くという御指摘もあることは承知しております。更にここで議論を重ねたいと思います。

 ネットCMに法規制を設ける第二の理由は、業界団体の自主規制が及ばないアウトサイダーへの対応の必要性です。

 業界団体たるJIAAは、インターネット広告掲載基準ガイドラインを定めています。JIAAに属さない広告主や媒体運営者も数多く存在する中で、アウトサイダーによって国民投票運動の公平公正が害されることのないようにすべきです。JIAA自身も、当審査会での私の質疑の際、法規制を設けることに反対まではしていませんでした。

 ネットCMに法規制を設ける第三の理由、そして現状では最大の理由と思われる点は、ネットCMは受け手の意思を支配する力が強く、放送CMとは別の意味で法規制が必要になるということです。

 すなわち、個人情報に基づくプロファイリングによるターゲティング広告によって、情報の受け手は無意識のうちに自分の趣味や嗜好に合う情報だけに取り込まれてしまうフィルターバブルに陥り、意思決定がゆがめられる危険が生じます。さらに、ネット上では、自らの考えに批判的な意見よりも同質的な意見を持つ者との交流が強まって、自説がより強固で先鋭的なものになってしまうというエコーチェンバーという現象もあります。一旦意思決定がゆがめられると、正常化するのは困難なのです。

 この問題については、EUのターゲティング広告の規制が参考になります。そこでは、ターゲティング広告は、基本的に本人から提供されたデータに基づき本人の明示の同意の下に行われること、あるいは、人種や政治的意見のデータをプロファイリングに使用しないことといったような規制が設けられており、そもそも、ターゲティング広告であるということの表示も義務づけられています。こうしたことも参考にしながら、国民投票法に盛り込む内容を早急に検討すべきです。

 関連して、憲法上の新しい人権として、かねてから私は、自己情報コントロール権、情報アクセス権、情報環境権という三つの権利の必要性も主張してきました。この点についても当審査会で議論を深めていきたいというふうに思っています。

 以上です。

阿部(圭)委員 日本維新の会の阿部圭史でございます。

 まず、先ほど大石委員の方から、我が党の吉村洋文代表、大阪府知事に対して、まさに現実、事実を捉えていない言説をおっしゃっていらっしゃいましたので、一言申し上げたいと思います。

 前回も我が党から申し上げましたけれども、特定の人物や我々全議員に対して事実でないことを言うことはそもそも誹謗中傷、名誉毀損ということになるわけでございまして、こういった言葉を言われる方に対してるるいろいろと取り上げて申し上げる意味、義務もないのではないかということについては、我々、皆様と本当に同じ立場を有しているということだというふうに認識をしております。

 改めて申し上げます。

 前回の本審査会において我が党の青柳仁士委員から提案をした点について、改めて確認をさせていただきたいと思います。

 我が党の青柳委員からの提案は、緊急事態条項に関する次の二点を申し上げました。一つ目、条文起草委員会を早期に立ち上げるための意思決定を採決で行うこと。二つ目、各党の考える条文案を本審査会に提出すること、そのための意思決定を採決で行うこと。

 これら二点について、国民民主党と有志の会は、異論なしということでございました。公明党は、党内で検討し答えるとおっしゃっていらっしゃいました。自民党も、異論なしとのことでございます。同時に、船田元幹事は、三者協議で議論するともおっしゃっています。

 しかし、自民党については、前回の審査会において、自民党の山田賢司委員から次のような発言がございました。緊急時における選挙困難事態、議員の任期延長については、賛成、反対、いずれの会派も立場ははっきりしているため、もう結論を出して前に進めるべき。まさにおっしゃるとおりだと思います。

 また、同様に、前回の審査会において、自民党の、本日いらっしゃいませんけれども、新藤義孝委員から次の発言がございました。緊急事態に対してどう対処するかということについて、自民、公明、維新、国民、有志の会の五会派で論点整理をして、かなりのところが合意できている、これをどうやって今後作業していこうかということでやっていくさなか、また原点に戻るような議論は大変残念。心から同意いたします。

 自民党の船田元幹事は、筆頭幹事という大変難しいお立場上、御配慮されて三者協議について言及しておられますけれども、山田委員や新藤委員の御発言から分かるとおり、自民党も党として結論が出ているというのが明白な事実だと私どもも思っております。

 そこで、自民党に対し、前回の本審査会で我が党が提案した二点、条文起草委員会の立ち上げに関する採決、各党の条文案を本審査会に提出することの採決について、改めて見解を伺います。

 次に、党内で検討するとした公明党に対しましても、我が党が提案した二点の採決について、党内での検討結果をお聞かせいただきたく存じます。

 また、自民党の新藤委員がおっしゃったとおり、議論を繰り返しているだけの状況を打破せねばなりません。国民から負託を受けた国会として、何ら社会に対して価値を具現化していない本審査会の状況は国民に対して極めて不誠実である状況に鑑み、枝野会長に対しては、本審査会のこのような状況を改めるため、まさに本日、橘法制局長から、国民投票法制定時に枝野先生のリーダーシップがあったからこそ次のステップに進んだように、今回も枝野会長の勇気ある行動を求めたいというふうに思っております。

 加えて、れいわ新選組の大石委員からも、前々回及び前回の本審査会において、緊急事態条項についてはこれ以上議論する必要がないという御発言が再三述べられていることも申し添えます。

 これまで幾多の議論を重ねてきたこの緊急事態条項については、論点が出尽くしていると思っております。是非とも、次なるステップに向けて委員の皆様のお力添えをお願い申し上げます。

 ということでございまして、自民党、公明党、そして枝野会長からのお答えをお願いいたします。

枝野会長 ただいまの御発言は、前回の皆さんからの御発言を踏まえて、三者で協議の上、幹事会、幹事懇等で協議すべき事項でありますし、本日の議題の範囲内ではございませんので、今後、発言には御留意をいただければ、議題の範囲内でお願いをしたいと思います。

 その上で、質問がありました自民党、公明党、回答されますか。

船田委員 今、阿部委員から御指摘をいただきました。

 この問題につきましては、我々も方向性としては、もうこれでいきたいという気持ちは大変強く持っております。

 ただ、やはり、これは三分の二という大きなハードルもございます。もちろん、起草委員会をつくる、あるいは提示をすることについて採決をすること自体は、これは二分の一でいいわけでありますが、しかし、三分の二ということを考える場合には、やはりそこは慎重に判断をしていきたいと思っております。

 いずれにしても、三者でしっかりと協議をして方向性を追求していきたいと思っております。

 以上です。

枝野会長 公明党さん、お答えになりますか。

浜地委員 公明党の浜地でございます。

 先ほどの起草委員会等の採決ということでありましたが、私は、もう少し環境整備を整えながら、各党いろいろな意見を整えながら、この憲法審査会という場でもございますし、やはり環境整備というものが少し大事だろうと思っています。したがいまして、今現在ですぐこういったものを採決するということについては、若干ネガティブであるということを表明したいと思っています。

 その上で、やはり、先ほど山下さんからもありましたが、国民投票の環境整備や広報協議会の規程、細則ということは、環境整備で、恐らくこれは改憲派若しくはそうじゃない会派についても共通でございますので、こういった共通のテーマから一つ一つ詰めていく、そういった審議会にまずはすべきではないか、そのように意見を表明したいと思います。

 以上でございます。

浅野委員 先ほど我が会派の福田委員から発言もありましたように、私たちは、インターネット空間においても、放送CMと同様に、投票日前二週間における政党等によるCMの制限と広報協議会による公的広報の確保、これをセットで主張をしております。

 しかしながら、これだけでは十分とは言えないので、ここから補足的に発言をいたします。

 私たちは、投票日前二週間よりも前の運動期間についても一定の規制が必要であると考えております。特に重視すべきは、先ほど北神委員からも言及があったように、諸外国による国民投票への不当な介入を防ぐという観点であります。憲法十九条により思想、良心の自由は保障されておりますが、私たちは、単に思想、良心の内心の自由のみならず、それを形成する過程における自由も守られるべきであると考えています。

 そのために、具体的には、まず、外国人や外国資本から資金提供を受けている団体はCMを放送できないとする規定が必要ではないかと思います。国政選挙や国民投票は、国内の有権者が自らの意思で判断するという原則に立脚すべきであり、外国資本による影響を排除するのは当然であります。

 加えて、ネット広告については広告主の表示義務を明記すべきであります。これは放送CMについても同様であろうかと思いますが、さらに、単に表示するだけではなく、CM放送時点で広告主の身分が確認されていることは必要かと思います。先ほどのように、外国からの献金を受けているかどうか、これが担保されていない状態でCMを流してもよいという状況が許されるとは考えにくいかと思います。

 これにより、匿名性や出所不明の資金を用いたネット広告による世論誘導を未然に防ぐことにつながるのではないかと思います。

 国民民主党は、ネット空間においても公正公平な国民投票環境を確保するため、実効性ある制度整備が不可欠であるということを申し添え、発言を終わります。

柴山委員 自由民主党の柴山昌彦でございます。

 長らく憲法改正国民投票運動の在り方について本審査会で議論をされてきましたけれども、先ほど来お話がございましたとおり、この数年間で、放送とネットの垣根の相対化、あるいはフェイクニュースの深刻化など、状況が劇的に変化をしております。

 先ほど御紹介があった、二〇一六年、英国で実施されたブレグジットの国民投票においては、御紹介があったように放送CMが全面禁止になったにもかかわらず、ネットの様々な活動を通じて、実際にブレグジットが可決をされた後、あれは一体どういうことだったんだろうかということで、国民のこれに対する様々な検索活動が再度活発化したというような皮肉な調査も報告されておりますし、また、これも先ほど来お話があったとおり、ともすると、ネットにおける様々な意見表明がイメージが先行するなどの実態も報告をされているところであります。

 津村委員も、先ほど階委員も御発言されて、もう出ていってしまったのでちょっと質問することができなくなってしまいましたけれども、実はお二人には、放送CMを過度に規制した場合に、今申し上げたような、ネットにおける様々な予定していない活動が非常に相対的に重みを増してしまうということについてどのように考えるかということを是非質問したかったところであります。

 もちろん、こういったネットに対する規制を更に強化すればいいじゃないかというお話だと思いますけれども、例えばリンク先を張るですとか、あるいは、これも先ほどお話があったように、個人的なインフルエンサーのワンフレーズ的な発言を支援するような、様々な活動があります。また、JIAAに対するアウトサイダーの存在など、こうしたネット広告に対する規制というものは困難を極めるわけでありまして、こういうことを考えると、果たして、放送CMに過度な法的な規制を加えるということはバランスを欠くのではないかということについては、是非、次回でも結構ですので、立憲の先生方の御意見も伺ってみたいというふうに考えております。

 そして、先ほど北神委員からはEUのデジタルサービス法についての御紹介もありましたし、確かに外国勢力のチェックをどのようにするのかということも極めて重要な論点でありますので、私の提案としては、是非、この憲法審査会に、幹事会において、新しい時代のネットCMに対する規制についての検討と並行してこの議論を行うような仕組みをつくってはどうかということを提案させていただいて、私の発言を終わらせていただきます。

枝野会長 ただいまの後段のお申出については、幹事会で協議をさせていただきます。

 会派として答えられますか。山花さん、短くお願いします。

山花委員 CMについてです。放送CMについてですけれども、過度にわたらないようにということは議論できればと思います。

 ただ、放送CMの場合には、量的にどれぐらいだったのかという測定が比較的ネットに比べると容易です。それがバランスを欠いていると、投票結果に対する公正さの信頼、投票結果の正統性に関わることだから、このことについて、放送についてネットとは別に検討することが必要なのではないかと考えています。

吉田(は)委員 立憲民主党の吉田はるみです。

 発言の機会をいただき、ありがとうございます。

 私は、ネットCMを取り上げます。

 最も大切なことは、民意がお金で買われてはならないという点です。ネットCM規制をする場合、コンテンツを規制することは表現の自由の観点から慎重な対応が必要です。一方、発信方法に関しては、バズればもうかるという収益モデルがあり、問題を深掘りする必要があります。言論の自由、そして表現の自由は守るというスタンスを明確にした上で議論させていただきます。

 ネットCMは、お金を出す広告主とSNSなどプラットフォーマーとの間での取引ですが、現実は、既にネットCMを超えた、いわば隠れネットCMというべきものが存在します。

 ある学生の提案にはっと気づかされました。政治に興味を持ってほしいなら、人気のあるインフルエンサーの人に発信してもらえばいい。この場合、ある人がインフルエンサーにお金を払って、特定の政治的主張を広めることが可能です。この場合、取引は個人間にとどまり、表に出てこない、支払われるお金の規模そして実態は見えず、闇の中になりかねません。

 このような事態も起きています。

 一昨日投票が行われたアメリカのウィスコンシン州の州最高裁判事の選挙で、Xの所有者であるイーロン・マスク氏は、支持しない判事に反対する請願書に署名した有権者お二人に百万ドルの小切手をお渡しし、署名した人にも各百ドルを支払い、その総額は日本円で三十億円を超えると報道されています。

 政治的自由は、こうしたお金の影響力を断ち切ることで初めて担保されるのではないでしょうか。政治家の主張や政策を拡散する自由は保障されるべきです。しかし、それは、お金を介さずとも、個々人の思いで支援し、共鳴する内容であれば拡散するはずです。

 バズって再生回数を増やし収益を得るというアテンションエコノミーは、二〇一三年の公職選挙法改正の時点では想定できませんでした。中には、誹謗中傷など、人を傷つけ自死にまで追いやってしまう事案も発生しています。

 政治、選挙を稼ぐ材料にしてはならない。政治や選挙関係のコンテンツの動画拡散は広告料収入の適用外とすべきではないかと考えますが、自民党さん、そして公明党さんの御見解をお伺いできれば幸いです。よろしくお願いいたします。

枝野会長 お答えいただけますでしょうか、それともペンディングしますか。

寺田(稔)委員 資金規制については、それが実効性がある規制となり得るかどうか、先ほど吉田委員言われたとおり、民民の取引も含めて、これは党内でも検討したいと思います。

枝野会長 公明党さん、お答えになりますか。

浜地委員 今後しっかり検討していきたいと思います。

山田(賢)委員 維新の阿部さんから御指摘いただいた点に関してだけ回答させていただきたいと思います。

 一部正しくて全体がというところでちょっと反論させていただくと、もちろん、選挙困難時における議員任期の延長、これだけで提出するのであれば、もう議論は集約しているので、さっさと起草委員会なりそういうものにした方がいいと。

 前回私が申し上げましたのは、それだけでいいのか、緊急政令の話、あるいは自衛隊明記とか、ほかの論点があるのであれば、それを集約させて条文を作成しないと、一部分だけ条文を作ってもしようがない。これだけにするのか、若しくはほかの論点を加えるのか、これは是非幹事会なりで御議論をいただいて、その辺、また各党で御協議をいただいて、それがまとまれば、私も起草に賛成でございます。

武正委員 まず冒頭、船田委員からも御発言がありました、前回、我が党藤原議員の発言で、橘法制局長の説明作成資料について、捏造などという指摘がありました。公平公正で当審査会の運営に当たる法制局への発言としては不適切であると考えます。こうしたことがないよう、会派としては努めてまいります。

 その上で、先ほど柴山委員からも御発言がありましたけれども、二〇一六年の際のブレグジットのイギリスでの国民投票については、たしか、憲法審査会でも行ったときに、政権の是非が問われるというような形で国民投票法が行われたということが随分指摘があったということも申し添えておきたいと思います。

 以上です。

大石委員 れいわ新選組、大石あきこです。

 枝野会長にお伺いしたいんですけれども、この回の二回前だと思いますけれども、冒頭に、ここでの発言は会派を代表しての発言をするようにというお言葉がありました。

 一方で、四月二日の、昨日の参議院の憲法審での自民党の発言は、七十日を一つの目安という発言は誤解を生む発言だというふうに違和感を唱えられていて、これは同じ自民党の船田幹事の発言を捉えて言ったものと思いますので、捉えてかどうか分かりませんが、少なくとも、船田幹事は一つの目安、七十日とおっしゃって、そごがある、矛盾があると私は考えていて、これは会派を代表する意見として矛盾があるのではないかと考えるんですが、枝野会長はこのような衆議院の憲法審での発言だったり運用というのはどう思いますかというのが一点。

 それから、先ほど維新の方が、私に二回連続、名誉毀損だとおっしゃったので、これは申し上げておきたい。そういう言葉は慎んでいただきたいと申し上げるんですけれども、名誉毀損というのは公益性と真実相当性が問われるんですよね。私は、具体的事実、数字を挙げて、それを念頭に極めて公益性の高い議論をしていますので、名誉毀損には当たりません。名誉毀損をよく勉強していただきたい。

 維新の創始者の橋下徹さんも弁護士ですが、私を名誉毀損やと言って訴えてきまして、その裁判は橋下さんが完敗しています。私が完勝で終わりましたので、そうやって安易に名誉毀損だと言ってきたり、ましてや訴えたりということはやってはいけないんです。だから、逆に、名誉毀損だと私に言い続けること自体が名誉毀損に当たりますので、慎んでください。

 終わります。

枝野会長 私に対してお尋ねがございましたが、他の院の審査、審議の状況については、今後の当会の運営に当たって、幹事会等での協議に当たっては考慮すべき事項だとは思いますけれども、私が今の時点でお答えする立場にはないというふうに思っております。

大石委員 ありがとうございます。

枝野会長 予定した時間が経過をいたしました。

 これにて自由討議は終了いたしました。

 次回は、来る四月十日木曜日午前九時五十分幹事会、午前十時審査会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十二分散会


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