衆議院

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第2号 令和8年4月9日(木曜日)

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令和八年四月九日(木曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   会長 古屋 圭司君

   幹事 鬼木  誠君 幹事 北神 圭朗君

   幹事 新藤 義孝君 幹事 鈴木 英敬君

   幹事 高階恵美子君 幹事 和田 義明君

   幹事 國重  徹君 幹事 馬場 伸幸君

   幹事 浅野  哲君

      秋葉 賢也君    石井  拓君

      石川 昭政君    石橋林太郎君

      伊藤信太郎君    稲田 朋美君

      大野敬太郎君    長田紘一郎君

      加藤 鮎子君    金澤 結衣君

      上川 陽子君    木村 次郎君

      熊田 裕通君    斉藤 りえ君

      下村 博文君    高木 宏壽君

      田中 昌史君    田野瀬太道君

      辻 由布子君    土田  慎君

      寺田  稔君    中川 貴元君

      中山 泰秀君    葉梨 康弘君

      星野 剛士君    細野 豪志君

      丸川 珠代君    盛山 正仁君

      山口  晋君    若林 健太君

      渡辺 勝幸君    有田 芳生君

      泉  健太君    河西 宏一君

      西村智奈美君    阿部 圭史君

      池畑浩太朗君    西田  薫君

      飯泉 嘉門君    玉木雄一郎君

      豊田真由子君    和田 政宗君

      古川あおい君    畑野 君枝君

    …………………………………

   衆議院憲法審査会事務局長 吉澤 紀子君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二日

 辞任         補欠選任

  加藤 勝信君     下村 博文君

  神田 潤一君     伊藤信太郎君

  小池 正昭君     秋葉 賢也君

  小寺 裕雄君     丸川 珠代君

  坂本竜太郎君     中山 泰秀君

  塩崎 彰久君     盛山 正仁君

  中曽根康隆君     星野 剛士君

  中谷  元君     石川 昭政君

  西田 昭二君     本田 太郎君

  西村 康稔君     高木 宏壽君

  根本  拓君     土田  慎君

  平沢 勝栄君     木村 次郎君

  藤丸  敏君     石橋林太郎君

  古川 禎久君     棚橋 泰文君

  三ッ林裕巳君     保岡 宏武君

  宮内 秀樹君     中川 貴元君

  武藤 容治君     石井  拓君

  村井 英樹君     若林 健太君

四月九日

 辞任         補欠選任

  井出 庸生君     渡辺 勝幸君

  熊田 裕通君     山口  晋君

  棚橋 泰文君     金澤 結衣君

  中山 泰秀君     斉藤 りえ君

  細野 豪志君     長田紘一郎君

  本田 太郎君     田中 昌史君

  保岡 宏武君     辻 由布子君

同日

 辞任         補欠選任

  田中 昌史君     加藤 鮎子君

同日

 辞任         補欠選任

  長田紘一郎君     細野 豪志君

  加藤 鮎子君     本田 太郎君

  金澤 結衣君     棚橋 泰文君

  斉藤 りえ君     中山 泰秀君

  辻 由布子君     保岡 宏武君

  山口  晋君     熊田 裕通君

  渡辺 勝幸君     井出 庸生君

    ―――――――――――――

三月十三日

 憲法改悪を許さないことに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一号)

 同(辰巳孝太郎君紹介)(第一二号)

 同(田村智子君紹介)(第一三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一四号)

 同(田村智子君紹介)(第一二一号)

は本憲法審査会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(憲法審査会の今後の議論について)


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     ――――◇―――――

古屋会長 これより会議を開きます。

 日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。

 本日は、憲法審査会の今後の議論について討議を行います。

 この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、各会派一名ずつ大会派順に発言していただくことといたします。

 発言時間は七分以内といたします。

 発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。

 発言は自席から着席のままで結構でございます。

 発言の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。

新藤委員 自由民主党の新藤義孝です。

 与党の筆頭幹事として、まずはこの憲法審査会、与野党が丁寧に話合いをし、充実した憲法審査会の運営がなされるように最大限努力をしてまいりたい、このように思います。

 本日は、改めて、憲法審査会の今後の議論の基本的な方向性について、私どもの考え方を述べたいと思います。

 まず、何よりも、憲法審査会は、政局を離れ、国民のための憲法論議を真摯に進める場でなければなりません。そのためにも、定例日である木曜日には審査会を安定的に開催し、議論を着実に進めていきたい、このように思います。

 憲法審における議論は、憲法の本体論議と、手続法である国民投票法の整備、これに分けられるわけであります。

 まず、国民投票法の整備のうち、公選法と横並びの投票環境を定める外形的事項につきましては、共通投票所などを定めた七項目案が二〇二一年に成立しております。その後、公選法では、投票立会人の拡大などの三項目の投票環境向上に関する改正が既に行われております。私たちは、二〇二二年に、これを国民投票法に反映させる改正案、いわゆる三項目案をお出ししておりましたけれども、さきの衆議院解散で廃案となっております。したがって、新たに国民投票法の改正案を早急に再提出して整備することについて、各会派に御相談をさせていただきたいと思います。

 それからもう一つ、投票に関する質の問題がございます。国民投票の公平公正を担保するための放送CMの規制につきましては、これまでの議論において、量的側面も含めた民放連の自主規制により、一定の担保がなされることが確認されております。これに加えて、SNS規制等についても、選挙制度全般の議論とも密接な関係がありますので、これを踏まえて更に議論を進めてまいりたいと思います。

 また、国民投票広報協議会規程の整備という課題もございます。これにつきましては、広報協の組織面を定める広報協議会規程、広報協の活動面を定める放送、新聞広告等の実施規程、そして事務局に関する事務局規程などの整備が必要であります。これらの規程の多くは広報協の運営細目を定める技術的なものでありまして、速やかにこれも整備していきたい、このように考えています。

 次に、憲法本体論議でございます。

 私たちは、四項目の条文イメージたたき台素案を既に提示しております。

 まず、緊急事態条項のうち、選挙困難事態における国会機能維持のための議員任期延長については、既に二回の論点整理が行われており、いよいよ条文案を詰める段階に入っておるのではないかと考えています。あわせて、残る課題である緊急政令や緊急財政処分につきましても議論を深掘りしていきたいと思います。是非、次回以降、各会派より緊急事態条項についての御意見をお聞かせいただきたいとお願いを申し上げます。

 そして、二項目めでございますが、憲法九条です。

 幾度も議論がなされ、それを踏まえて私なりの論点整理をかつてお示ししたこともございます。議論は着実に進んでいるのではないかな、このように思いますが、日本国憲法の三大原理であります基本的人権の尊重、国民主権、平和主義は今後も引き続き堅持していくべきと考えます。

 他方、九条には、誰がどのような方法で国と国民を守るのか、そのための規定、すなわち国防の規定がございません。この日本国憲法の未完成部分である国防の規定を憲法に明確に位置づける必要があると私たちは考えているわけであります。そのため、九条の二として、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つという国防規定を創設するとともに、それを担う組織としての自衛隊を明記し、これに対するシビリアンコントロールの規定も明記すること、これを提案しているわけであります。九条につきまして、是非、次回以降に各会派からも御意見を頂戴し、更に議論を深め、具体的な条文案の作成に入ってまいりたい、このように考えております。

 そして次に、三項目めとして、地方公共団体に関する条文イメージであります。

 日本国憲法第八章、地方自治の章、冒頭の九十二条は、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とするのみでありまして、地方公共団体にはどのようなものがあるのか、地方自治の本旨とは何か、こうしたものは全て解釈と一般法律に委ねられているわけであります。

 地方自治の理念である地方自治の本旨、これは団体自治と住民自治から成り立っているわけでありますが、地方公共団体には、あわせて、基礎自治体としての市町村、さらに広域自治体としての都道府県があることなどを憲法にきちんと明記しておくべきではないか、このように私は考えております。

 そもそも、地方公共団体は、地域の民意の適切な反映の基礎として、選挙制度の関係でも大きな意義があります。選挙は我が国の民主主義の根幹であり、法の下の平等を踏まえて一票の格差を是正することは当然ですけれども、同時に、地域の民意の適切な反映も重要であります。

 今後、少子高齢化と人口減少がますます進み、都市と地方の格差が拡大していく日本社会の在り方を踏まえると、地域の民意の適切な反映という観点から、参議院における合区の解消は大きな課題となります。合区された地域においての民意の反映が適切な範囲となるのかなど、地方自治の規定を見直す中での早急な議論が必要ではないか、このように考えているわけであります。

 そして、四項目めでございますが、教育の充実です。

 日本国憲法は、教育を受ける権利や義務教育の無償などを規定していますけれども、教育の理念についての規定がありません。

 敗戦直後の荒廃した社会状況の下では、国の宝であり、将来国家の再建を担う子供たちに、せめて義務教育は無償で受けさせなければならない、こういう規定は大きな意味を持ちました。しかし、それから八十年がたって、現代社会においてリカレント教育ですとか生涯教育、こういう重要性が認識されている中で、教育そのものの位置づけが憲法制定時から大きく変化しています。

 これらを踏まえて、教育の理念を憲法に位置づけるとともに、経済的状況のいかんにかかわらず教育が受けられるようにする教育充実に関する規定を憲法に定めることは、私は当然のことと考えておりますが、これらについても各会派の御意見をお聞かせいただきながら更に議論を深めたい、このように思います。

 そして、論点が整理されたテーマについては、順次、条文起草のための検討作業に入っていくことを改めて各会派の皆様に提案させていただきます。次回以降の議論が活発かつ有意義に進むように、与党の筆頭幹事としても最大限努力してまいりますことを再度申し上げまして、私の発言といたします。

 ありがとうございました。

古屋会長 次に、國重徹君。

國重委員 中道改革連合の國重徹です。

 生活者一人一人の現実から出発する政治。国民一人一人が自分らしく生き、その活力が社会の発展を支える政治。国家やイデオロギーのために国民を従わせる政治ではなく、人間の尊厳を守り抜く政治。そうした政治を我が国の中心に据える、生命、生活、生存を最大に尊重する人間主義、これこそが私たち中道改革連合の理念であり原点です。この考え方は、憲法論議においても何ら変わるものではありません。立憲主義を政治の土台とし、権力の濫用を防ぎ、個人の尊厳と国民の権利を守る、これが中道改革連合の基本姿勢です。

 私たちは、日本国憲法を、戦後日本の民主主義の礎を築いてきた優れた憲法であると高く評価しています。とりわけ、国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義という三つの基本原理は普遍の原理として将来にわたって堅持します。

 その上で申し上げます。

 私たちは、改憲それ自体を目的とする立場には立ちません。他方で、現行憲法を固定的に捉え、時代や社会の変化に伴う新たな課題に目を閉ざす立場にもくみしません。

 中道改革連合は、その基本政策において、時代に対応した憲法改正論議の深化を掲げています。憲法施行時には十分に想定されていなかった課題が明らかとなり、その対応のために憲法改正が必要と認められるときには、改正の内容を真摯に検討していきます。

 その際、私たちが何より重んじるのは、個人の尊厳と国民の権利をいかに実効的に保障するかということです。このことは、人権保障に関する規定にとどまりません。統治機構の在り方もまた、国民の権利を現実に保障するための制度的基盤である以上、その検討においては、常に個人の尊厳と国民の権利の保障という原点に立ち返らなければならず、そのための手段として、統治機構に対し民主的統制を及ぼしていくことが必要です。

 党派間また党内においても見解の違いがあり得ること自体は、憲法論議において当然です。だからこそ、憲法論議において最も大事にすべき共通の基準を改めて確認、共有した上で、論点を整理し、真摯に議論することが大切です。

 以上を踏まえ、今後取り組むべきテーマについて意見を述べます。

 憲法審査会においては、これまで様々なテーマについて議論が積み重ねられてきました。そうした議論の蓄積も踏まえつつ、私は、先ほど申し上げた観点から、特に次のようなテーマについて議論を深めていくべきと考えます。

 例えば、自衛隊の憲法上の位置づけや緊急時における国会機能の維持については、いついかなる事態にあっても国民を守り抜くことを大前提としつつ、自衛隊の行動が行き過ぎたり、緊急時における措置が濫用されることのないよう、民主的統制の観点から議論を深める必要があると考えます。

 また、臨時国会の召集期限の問題も看過できないテーマです。

 議院内閣制の下、国会の行政監視機能の中心的な担い手は少数派に当たる野党です。憲法五十三条の少数派による臨時会の召集要求権も、その趣旨に基づくものです。国会が適時に開かれず、十分な審議の場が確保されなければ、行政監視機能は弱まり、主権者である国民が政治を見極めるための判断材料も乏しくなってしまいます。したがって、臨時国会の召集期限の問題は、単なる手続の議論にとどまらず、国民主権と議会制民主主義を実質化するための重要な憲法上の課題であると考えます。

 さらに、国民の権利の保障という観点からは、選挙権の保障がとりわけ重要であり、これに関連して、解散権の在り方も避けては通れないテーマです。

 選挙権は、主権者たる国民がその意思を政治に反映させるための民主主義の根幹を成す権利です。解散の本旨が民意を問うことにある以上、国民が何を問われているのかを明確に理解し、熟慮の上で一票を投じられるだけの判断材料があらかじめ示されていなければなりません。

 さきの衆議院解散に際し、総理は、国論を二分するような大胆な政策転換について国民の信を問いたい旨を述べられました。しかし、その具体的な内容が主権者の判断に足るほど十分に示されていたのかについては大きな疑義が残ります。国民の信を問う以上、少なくともその争点を事前に具体化し明示することは、解散権の行使に当たって当然に果たすべき責務ではないでしょうか。そして、そのことを法制度上も明確にしていくことは、選挙権を実効的に保障する観点から、今後の憲法論議における極めて重要な論点であると考えます。

 ほかにも、デジタル社会が急速に進展する中で人権や民主主義をどのように守るのかといった、憲法施行時には想定されていなかった現代的な課題への対応も急務です。

 さらに、国民投票法に関しては、実際の国民投票の場面において、国民が必要かつ適切な情報に接した上で、その意思を適正かつ確実に反映できる環境をいかに整備するかという観点からの議論が必要です。

 最後に、審査会の進め方について一言申し述べます。

 憲法論議は拙速に進めるべきでないことは当然です。他方で、丁寧な議論と粘り強い合意形成は必要ですが、不必要に議論を遅らせ停滞させることも望ましくありません。今後も、落ち着いた環境の下で、毎週木曜日の定例日に審査会あるいは幹事懇を開いて、着実に実りある議論を深めていくべきと考えます。そのためにも、各会派、各議員がしっかりと準備をして議論に臨むことができるよう、今後のテーマや進め方について、ある程度の見通しを共有しながら審査会を運営していくことが必要です。

 中道改革連合としても、これまでの審査会における議論を踏まえ、憲法に基づいた政治が行われているのかという点も含め、国民のための充実した憲法論議を行っていく決意を申し述べ、私の発言といたします。

古屋会長 次に、馬場伸幸君。

馬場委員 日本維新の会の馬場伸幸です。

 昨年の十二月四日以来、約四か月ぶりに本審査会での実質審議を迎えました。解散・総選挙があったため、昨年の通常国会で最初の実質審議が行われた三月十三日から約一か月の遅れとなりましたが、本日、本審査会長の座が現行憲法の自主的改正を党是に掲げる自民党の手に戻り、自民党の委員の方々がこの第十八委員室を席巻されている風景を目にし、大変心強く存じます。

 日本維新の会は、野党当時、長らく会期中も開かずの扉状態だった審査会の定例日開催をほぼ軌道に乗せたほか、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所設置、自衛隊の明記、緊急事態条項創設の五項目の改正原案を公表し、緊急事態条項に関しては、国民民主党、有志の会とともに条文案を策定しました。加えて、昨年九月、戦後最悪とされる我が国をめぐる安全保障環境を鑑み、「提言 二十一世紀の国防構想と憲法改正」をまとめ、九条二項削除による集団的自衛権の全面容認、自衛権や国防軍の明記などを打ち出しました。

 昨年十月に結んだ自民党との連立合意書には、一、我が党の提言を踏まえ、九条改正に関する両党の条文起草協議会を設置すること、二、緊急事態条項に関する両党の条文起草協議会を設置し、令和八年度中に条文案の国会提出を目指すこと、三、可及的速やかに憲法審査会に条文起草委員会を常設すること、四、憲法改正の発議のために必要な制度を設計することを明記しました。既に両党の条文起草協議会が設置され、三回にわたり会議を持つなど、合意の実現に向けて鋭意議論を重ねています。

 このように、私たちはフロントランナーとして国会内外で憲法改正論議を牽引してきたと自負していますが、立法府の使命は自由討議なる堂々巡りをだらだらと続けることではありません。民主的プロセスによって速やかに衆参の憲法審査会の下に条文起草委員会を設置し、火急の項目の改正成案を得て憲法改正発議を行い、主権者たる国民に判断を仰ぐこと、つまり、国民に初めて、国民主権の発露である国民投票権を行使していただくことです。

 本審査会では、この四年間の大半を緊急事態条項の議論に費やしてきました。昨年の通常国会で、自民、維新、国民、公明、有志の五会派でおおむね方向性が一致し、幹事会での骨子案の提示に至りました。公明党が解散前に加わった中道改革連合の出方は分かりませんが、論点は出尽くしています。したがって、本審査会に条文起草委員会を速やかに設置し、残された課題である緊急政令の議論と併せ、その骨子案及び連立合意に基づき、我が党と自民党が本年度中に国会に提出する方向の条文案を土台に、憲法改正原案の作成に着手するべきであります。同じく喫緊の課題である九条改正をめぐる議論も加速させ、可及的速やかに条文起草委員会で憲法改正原案の作成を進めることも欠かせません。

 現下のイラン情勢をしっかりと受け止めてください。

 さきの日米首脳会談は成功裏に終わったと評価していますが、事実上封鎖されているホルムズ海峡通航の問題によって、日本が抱える課題が浮き彫りになりました。憲法を始め現行法体系の下では、護衛のための艦船派遣など、海外での自衛隊の活動がおぼつかないことです。

 そもそも、ホルムズ海峡をめぐる対応は、トランプ大統領に言われて考えたり行動したりする次元の問題ではありません。海峡封鎖は、エネルギーの大半を中東の石油資源に頼る日本にとって死活問題であります。最悪の事態を打開する方策は何かを論じ、備え、必要ならちゅうちょせず行動する、それが生存本能を持つ国家です。

 一部の野党、メディアから、憲法九条のおかげで自衛隊派遣を断れる旨の言説が喜々として発信されていますが、ざれごとにすぎません。普通の国において、軍隊の海外派遣は政治判断の問題ですが、日本では、法的根拠をめぐる神学論争に明け暮れ、国の生存を図る手だての議論が置き去りにされているのが常で、まさに本末転倒です。要因は、自衛隊を国際法上の軍とみなしながら、国内法上は警察と同じような扱いにしたままだからです。この矛盾に目をつぶっているため、政策決定はゆがみ続けています。

 憲法上の政府解釈で自衛隊の海外での武力行使を禁じている点も含め、自衛隊明記でも解決しない重大な憲法上の瑕疵があることは明白であり、自衛隊を名実共に軍に位置づけ、国際標準の海外での活動に憂いなく道を開く九条改正議論に真剣に取り組むべきであります。

 衆議院は、自民党が単独で憲法改正発議に必要な三分の二超の議席を確保しましたが、少数与党の参議院で多数派形成の道筋を描くのは容易ではありません。とはいえ、衆議院で改憲論議を最大限活性化させて、国会発議への歩みを前へ前へと進め、世論も動けば、周回遅れの参議院も重い腰を上げざるを得なくなると思います。

 日本維新の会は、引き続き、我が国の平和、国民の生命財産を守るために、一刻も早く国民投票が実現するよう、改憲論議をリードしていく覚悟であります。各会派の皆様にも協働を強く求め、私の発言を終わります。

古屋会長 次に、玉木雄一郎君。

玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。

 一年十か月ぶりの憲法審査会復帰ですので、慣れないところも多いと思いますが、よろしくお願いいたします。

 ただ、一年十か月ぶりなんですが、今、新藤幹事以下皆さんの御意見を聞いていて、全く進んでいないどころか、むしろ後退しているのかなと思うところもあって、大変残念に思っています。

 その意味では、まず古屋会長にお願いしたいのは、今日もそうですし、これからもそうだと思うんですが、自由討議はいいんですけれども、いつも言いっ放し大会になりがちなので、ある程度テーマを絞って具体的に議論をピン留めしながら進めていくという運営を是非お願いしたいと思います。

 その際の有力なテーマの一つが、選挙困難事態における選挙期日、議員任期の特例の創設を含む緊急事態における国会機能維持を可能とする憲法改正だと思います。

 これは、私がまだ審査会にいた岸田内閣のとき、二〇二四年の通常国会の最後のところで、自民党、当時の公明党、日本維新の会、我が党、そして北神さんがいた有志の会の五会派で、ほぼ要綱案の一歩手前ぐらいまで行きました。こうしたこの伝統のある審査会で積み上げのある議論を重視しながら、常に一からゼロから全部始めるのではなくて、議事録も残っていますし、法制局にマトリックスを作っていただいてかなり精緻な論点整理をして、ほぼ論点は出尽くしたと思っていますので、いろいろなテーマをこれからも議論されると思うんですけれども、特に選挙が困難なときの対応についてどうするのかというのは、これはイデオロギーを超えて、立法機能をどう維持していくのかという観点から合意が得やすいテーマだと思いますし、様々な論点も潰してきたと思っていますので、まず、この選挙困難事態における選挙期日、議員任期の特例の創設を中心に、具体的な憲法改正の条文案作りに着手していくことが重要だと思います。

 もし今日答えていただければ結構なんですが、次回以降で結構なんですが、当時五会派で合意した、馬場さんは同じ顔なので大丈夫だと思いますし、新藤幹事もそうだと思いますし、北神さんも今は自民党ですけれどもオーケーだと思いますが、國重幹事は当時公明党で同意をいただいていたというふうに私は思います。今新しい党になっているので、この点については、是非党内をまとめていただいて、建設的な議論を進める中心的な役割を是非果たしていただきたいなというふうに思います。

 起草委員会を是非つくってほしいということは当時からも申し上げてきましたが、かなり条文ベースで、元々我が党と維新の皆さんと北神さんの有志の会で条文を作って、そして自民党にも公明党さんにもある程度理解をいただいて作られたもののひな形がありますので、それを基に具体的な起草委員会を設けてこのテーマを優先的に議論することをお願いしたいので、是非ここは会長のお取り計らいをお願いしたいと思います。

 その際、当時、我々はある程度まとまったんですが、自民党も公明党さんもそうだったんですが、特に緊急集会の在り方について、自民党の中でも参議院と意見が違う、公明党さんの中でも参議院と意見が違うということで、なかなか集約が難しかった経緯がありますので、衆議院である程度まとまっても参議院が意見が違うから進まないよねということがないように、この優先的に行うテーマについて、自民党さんもそうですけれども、それぞれの党内での意見集約を是非お願いしたいなと思います。

 中道改革連合の國重幹事におかれては、今おっしゃったことを聞いていて非常に心強いなと思いました。護憲一本やりとかではなくて、現実的にやるところはやっていこうという中道改革連合の新しい憲法改正についての姿勢をお伺いすることができたと思いますので、是非、具体的には、当時立憲民主党さんの議員の皆さんがおっしゃっていた参議院の緊急集会で基本的に対応できるじゃないかということだったんですが、我々は、あくまで一時的、限定的、暫定的なものが憲法の規定からする一つの緊急集会の制約なんだと。また、衆参の同時活動原則というのが憲法の原則ですから、そういうことで、もちろん一部緊急集会を使ってもいいんですけれども、ただ、万能のスーパー緊急集会ではあり得ない。かえっていたずらな拡大解釈を許してしまうということになるので、この点については改正が必要なんだということを、改めて國重幹事からも、また中道改革連合の皆さんにも考えをまとめていただいて、この場できちんと表明いただければなと思います。

 最後に、憲法九条について申し上げます。

 これもこの審査会で何度も議論されてきましたけれども、まず、当時と違って、先ほど馬場幹事からあったように、維新の皆さんは九条二項削除論ということを昨年からですかね、おっしゃっておられます。同じ与党の中でも九条の改正の在り方について考え方が違います。これは、単にいじる条文の考え方だけではなくて、私が代表質問で高市総理に伺いましたけれども、九条二項に規定する戦力に自衛隊が当たるのか当たらないのか、もっと言うと、国際法的には軍隊なんだけれども国内法的には軍隊ではないという、ある種アクロバティックな解釈をし続けてきたことを維持するのかしないのかという本質にも関わる問題であります。

 今、馬場幹事からホルムズ海峡の話が出ましたけれども、いわゆる改憲四項目の自衛隊明記案においては、一項、二項を維持して、その解釈も維持する、その状況の中で自衛隊を明記するということになっていますので……

古屋会長 玉木君、申合せの時間が参りましたので、まとめてください。

玉木委員 はい。

 そこは戦力には当たらないんだという範囲の中での改憲を自民党は維持するのかどうか、ここも次回以降お答えをいただければ建設的な議論になっていくのかなと思いますので、よろしくお願いいたします。

 以上です。

古屋会長 今、玉木委員から具体的な提案がございましたけれども、後刻、幹事会で議論させていただきます。

 次に、和田政宗君。

和田(政)委員 参政党の和田政宗です。

 まず、参政党の憲法に対する考えを申し述べます。

 参政党は、創憲、憲法を一から国民の手で作り直すことを掲げています。国民が積極的に政治に参画する参加型民主主義を提唱している参政党は、広く国民が憲法論議に参加する創憲という考えを取っています。

 なぜ創憲なのか、憲法を作り直すのか。それは、現行憲法が国民の自由な意思で作られていないことからです。占領下におけるGHQ草案が基になっており、原案を書き上げたのはGHQです。日本国憲法は、GHQの作った草案に基づいて、主権が制限されている状態の中、占領下で制定されたものであり、国民の自由な意思に基づいて作られたものではないからです。

 二つ目に、現行憲法は、日本の伝統や文化など、日本固有の価値観や考え方がほとんど取り入れられておらず、GHQによる占領下で言論統制の下つくられた歴史認識に基づいているからです。

 三つ目に、現行憲法には外国の侵略から国を守る仕組みが備わっていません。自らの国を自らが守る体制になっていません。自国の独立を外国任せにすることはそもそもあり得ません。自らの国の独立を国民の手で守る憲法が必要です。日本の憲法がいまだに占領時代に外国の草案に基づいて作られたままで、国の独立を守れるか疑問符がつく内容となっているものを根本から変えるべきです。

 こうしたことから、参政党は、日本国憲法を部分的な改正ではなく、根本的に前文からもう一度国民が自分たちで考えて、一から作り直す必要があると考えています。

 創憲、新憲法作りに当たり、参政党は、令和四年八月、次の三つを憲法の基本原則と定めました。国の守りの強化、国民の自由と権利の尊重、日本の国柄を反映した憲法とすることです。

 参政党では、令和四年十一月から党内の創憲チームで憲法案の作成に入るとともに、令和六年には全国各地で創憲キャラバンを開催し、合計十か所で五百名以上の党員が九十一グループの案を発表しました。今までの憲法の常識にない斬新なアイデアもありました。それはまさに国民の声そのものです。

 我々は全く新しい形で国民が自ら考え作り上げる憲法草案作成の作業を進めました。令和六年三月の党大会で創憲チームの憲法案を発表し、十二月には創憲フェスを開催し、全国十一ブロックからの憲法案の発表を行いました。そして、昨年、令和七年三月の党大会で参政党新憲法草案の概要を発表。その後、党員アンケートを実施し、憲法草案の最終更新作業を行い、党員による承認の採決を経て、昨年五月に参政党憲法案を発表しました。

 参政党の新憲法草案は七章三十三条から成ります。この参政党の新憲法草案の三つの原則は、国体と国民参加、権利の基盤としての公益、自立と平和の追求です。

 国体と国民参加は、国体は国民を守るためにあるとの前提に立ち、国民が積極的に政治に参加して国を運営する、すなわち国民主権を真に生かすために必要との考えに基づいています。天皇の権威により権力の濫用を防ぎ、国民が一つに団結して外敵から日本を守る。そして、国家観を持ち、国の存続と発展に向け、国民の政治参加の原動力を起こすという原則です。

 権利の基盤としての公益は、個人や企業の利益追求が過度に進み、公共の利益が損なわれることを避け、国民の権利擁護のために公益を守るという考えです。そのため、政府が守るべき公共の利益、公益を憲法に具体的に定めています。

 自立と平和の追求は、平和の理想の実現のためには当然に国の自立が必要との考えからです。自らの国は自らで守り、世界の大調和を実現する。参政党の理念にも掲げられている真の国家としての自立と世界平和を実現しようというものです。

 参政党はこのように憲法を一から国民の手で作り直すことを掲げていますが、改正の議論には積極的に参加してまいります。その観点から申し述べます。

 現在自民党が示すたたき台案では憲法への自衛隊明記が盛り込まれていますが、現状維持のまま自衛隊の存在を記すだけでは、我が国の国防に関する課題が克服できるのか疑問を持っています。もちろん自衛隊の違憲論争に終止符を打つべきと考えますが、参政党は、根本的な憲法改正を行い、自衛のための軍隊、自衛軍を保持することを憲法草案で掲げています。国家、領土、国民を守るために、ごく当たり前のことを当たり前にできるようにしなくてはなりません。制約でがんじがらめになってしまえば、国家国民をいざというときに守れません。

 さらに、参政党は、憲法改正において、感染症の蔓延、パンデミックが含まれる緊急事態条項創設に反対しています。

 昨年、米国ホワイトハウスは、新型コロナウイルスの起源について、武漢の研究所からの漏えいが最も可能性が高いとの見解を公表しました。今後、もし人工でウイルスが作られ、PCR検査で陽性者を増やすということでパンデミックによる緊急事態が演出できるとなれば、人為的に国民の権利を制限することが可能になってしまいます。

 こうしたことを含め、現行憲法の一部手直しではなく、私たち日本国民が自らの手で外国語の翻訳ではない正しい日本語で憲法を書き、諸課題を解決することが真の独立国として問われていると考えます。

 参政党は、今月から憲法タスクフォースを党内に設置し、憲法を国民の手で一から作り直す創憲に向け、更なる作業を始めました。昨年発表した新憲法草案を更に高め、党員のみならず国民が積極的に議論に参加し、国民が作り上げる真の日本国憲法の作成に入っていきます。

 参政党は、真に国家国民のための政治を創憲を通じても実現していきます。

 以上です。

古屋会長 次に、古川あおい君。

古川(あ)委員 チームみらいの古川あおいです。本日、チームみらいとして初めて憲法審査会で発言の機会をいただきました。よろしくお願いいたします。

 チームみらいは、衆議院議員十一名、参議院議員一名の少数会派でございます。憲法審査会において会派の大きさによらず各会派に平等の発言の機会が与えられていることに、まず感謝申し上げます。憲法は国民全体のものであり、憲法論議は数の論理によって進めるものではないというこの基本姿勢が新しい国会構成の下で初めて開かれる今国会の審査会においても引き続き尊重されることを望みます。

 チームみらいは、昨年結党したばかりの若い政党として、こうした審議の在り方も含め、これまでの議論の蓄積に敬意を払いながら議論に貢献できればと考えております。

 チームみらいは、我が国の憲法について、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という三大原理を揺るぎのない大前提として堅持した上で、時代の変化に合わせて憲法の在り方を検討することには前向きに捉える立場でございます。その上で、我が党から三点、重要だと考える点を申し上げます。

 第一に、国民投票法の議論など、憲法改正の手続に関する論点と、個別条項の中身に関する論点を切り分けた上で議論を積み上げていくべきだという点です。

 両者を混在させたまま議論を進めると、個別論点での立場の違いにより、手続整備の話も進まないという状況になりかねません。まずは論点ごとに合意できる部分から一つ一つ議論を積み上げていくことが建設的な議論につながると考えます。

 こうした手続面の整備が重要である理由の一つは、現行憲法の想定を超えた事態が生じた際に、改正の中身の議論に集中できる環境を整えるためです。国民投票法においても検討すべき課題が残されていますが、憲法改正を行うか否かとは独立した議論としてプロセス上の課題を取り除いていくことが必要だと考えます。

 例えば、新型コロナウイルス感染症拡大の下では、第二百八回国会において、憲法第五十六条第一項の「出席」にオンライン出席も含まれるかという論点が議論され、緊急事態が発生した場合等においては、機能に着目し、オンラインによる出席も含まれると解釈できるという見解が各会派の意見の大勢としてまとめられ、衆議院議長に報告されました。

 このときは、緊急時のオンライン出席を認めるために憲法改正が必要であるという結論にはなりませんでしたが、今後、これまで想定できていなかったような事態が発生し、憲法改正が必要という合意に至る可能性はあり得ます。そのような場合に、国民投票における広告規制の在り方など、手続の整備から議論を始めることになれば迅速な対応は望めません。こうした理由からも手続面の整備を着実に進めることは重要だと考えております。

 第二に、国民投票法の課題についてです。

 国民投票は、主権者である国民が最高法規の在り方について直接意思を表明する場であり、全ての有権者が実質的に参加できる環境を整えることは正当性確保の前提条件ですが、この点、現在の国民投票法には課題があると考えております。

 例えば在外投票です。国民投票法第六十二条により国民投票においても在外投票は可能とされていますが、在外選挙人名簿への登録には居住実績と手続のための期間が必要であること、在外公館での投票受付期間が短いこと、郵便投票では投票期日内に届かないリスクがある地域があるなど、投票の実効性が十分に担保されるとは言い難い状況があります。海外に滞在する日本国民にも国民投票に参加する権利があることは当然で、こうした現実的な障壁を一つ一つ丁寧に議論し、取り除いていく必要があると考えます。

 また、国内の投票環境についても、自治体職員数の減少などを背景に、投票時間の繰上げや投票所数の減少といった問題が全国的に生じています。直近の衆議院議員選挙では、積雪等で投票所への来場が困難になった地域も実際に生じました。憲法改正の議論の対象では一票の格差のような問題が含まれる可能性もあり、まさに当事者である過疎地や離島の住民、そういった方々の投票のハードルが著しく高い状態で国民投票が実施されるとすれば、制度の正当性そのものに疑問が生じかねません。こうした課題の解消に向けては、テクノロジー活用の可能性も含めて議論を進めていくべきと考えます。

 さらに、国民投票運動の情報環境について、令和三年改正法の附則に規定された広告放送、インターネット有料広告の制限や運動資金規制などの検討期限は既に過ぎております。加えて、AIによる偽情報、誤情報の生成と拡散は附則が設けられた時点と比べても急速に深刻化しており、最新の情報環境の変化を踏まえた議論を進めるべきだと考えます。

 第三に、個別論点の議論と民意の把握についてです。

 憲法改正の議論を進めるに当たり、国民の意見に耳を傾けることは大変重要なことだと考えております。しかし、憲法改正に賛成か反対かという問い方では国民の実質的な意思を正確に把握することは難しく、個々の改正項目ごとの是非、さらには、その改正の方向性についての民意を丁寧に確認することが本来は重要であると考えます。

 この点、近年ではAIを活用したアンケートや熟議の手法が発展してきており、従来の世論調査よりも奥行きのある形で国民の意見を集約することが可能になってきています。議論の過程においてもこうした手法の活用を検討し得るのではないかと考えております。

 また、この審査会における議論の過程と結論を国民にとって分かりやすい形でオープンに届けていくことが憲法論議の正当性を支える基盤になるのではないかとチームみらいとしては考えております。

 以上でございます。

古屋会長 次に、畑野君枝君。

畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。

 私たちは、国民の多数が改憲を求めていない中で、憲法審査会を動かすべきではないという立場です。

 憲法審査会は、二〇〇七年に、当時の安倍首相が私の内閣で憲法改正を目指すと意欲を示す下で、自民党などが改憲手続法を強行採決してつくったものです。その任務は、憲法改正原案を発議し、審査することです。かつて国会に設置された憲法調査会が日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うとしていたのとは根本的に違います。したがって、この憲法審査会での議論は、改憲項目をすり合わせ、発議することにつながります。

 今、どの世論調査を見ても、多くの国民は改憲を政治の優先課題とは考えていません。日経新聞の三月の調査では、高市政権に優先的に処理してほしい政策課題について、多くの人が物価高対策や雇用、賃金、社会保障政策を選んでおり、憲法改正は一一%にとどまっています。

 むしろ、今、国民から、憲法を守れの声が上がっていることに目を向けるべきです。昨日も、全国四十七都道府県、百五十四か所で改憲に反対するアクションがあり、三万人を超える市民がこの国会を包囲しました。国民が改憲を求めていないにもかかわらず、国会の側が改憲議論を喧伝し、国民の改憲機運を高めようとするのは本末転倒です。ましてや、条文案起草のための委員会をつくり議論を強行することは、国民に改憲を押しつけようというものです。そのような委員会は設置すべきではありません。

 看過できないのは、高市首相が国会に対して改憲議論をあおっていることです。高市首相は所信表明演説で、国会における発議が早期に実現されることを期待すると述べました。内閣総理大臣が国会に早期の改憲発議を呼びかけるなど、三権分立に反して国会の審議に介入するものであり、断じて容認できないと強く指摘しておきます。

 次に、国会は憲法問題をどう議論すべきかについてです。

 私は、改憲のための議論ではなく、憲法の原理原則を現実の政治に生かすための議論を大いに行うべきだと考えます。それが憲法尊重擁護義務を負う国会議員が果たすべき責任だと思うからです。

 今、格差や貧困の拡大により国民の生存権が脅かされています。憲法は義務教育を無償とすると定めていますが、実態はそうなっていません。夫婦同姓の強制や同性婚を認めない現行の婚姻制度は、個人の尊厳や両性の平等を侵害するものです。これらは全て憲法問題です。

 憲法の基本的人権や民主主義の諸原則を生かして政治を変えていくことが私たち国会議員には求められています。そのための議論を予算委員会や各常任委員会の場で大いにやるべきです。

 とりわけ今、憲法九条を始め、日本国憲法の平和主義に基づく外交努力が世界中で求められています。

 アメリカとイスラエルによるイラン攻撃は深刻な事態をもたらしています。両国は、イランの軍事施設だけでなく、学校や病院などの民間施設への攻撃も繰り返し、これまでに二百人以上の子供を含む二千人以上が犠牲になったと言われています。この攻撃に横須賀基地や沖縄などの米軍基地から出撃していることは極めて重大です。

 イランもホルムズ海峡を事実上封鎖し、戦火は中東全域に広がっています。

 日本経済や国民生活への影響も重大です。ガソリンや軽油、ナフサなど、石油関連製品の値上がりで物流や建設業、農林水産業などにも大きな影響が出ています。医療現場では手袋から人工透析に使う血液浄化装置まで不足し、国民の命が脅かされています。

 今回の事態は、アメリカとイスラエルによる国際法違反の先制攻撃によって始まったものです。ところが、日本政府は、アメリカの無法な先制攻撃には一切言及せず、攻撃の中止さえ求めていません。余りに無責任な対応です。

 アメリカとイランは、昨日、二週間の停戦に合意しましたが、重要なことは、停戦合意を恒久的な戦争の終結につなげることです。そのためには、アメリカが再びイランを攻撃しないことが決定的に重要です。これ以上犠牲者を増やさないためにも、ホルムズ海峡問題の解決のためにも、両国が外交交渉によって戦争を終結させることを強く求めるべきです。日本政府がそのための積極的な役割を果たすべきです。

 今回のアメリカによるイラン攻撃を見ても、軍事力では絶対に争い事を解決することはできないということです。それどころか、罪なき市民や子供たちに悲惨な犠牲を強いる惨禍を生み出すだけです。今こそ憲法九条の精神を生かすべきです。

 戦争を絶対に許してはならないという九条の精神に立脚した外交と政治が強く求められているということを強調して、私の発言を終わります。

古屋会長 これにて討議は終了いたしました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十分散会


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