第12号 令和8年7月9日(木曜日)
令和八年七月九日(木曜日)午前十時一分開議
出席委員
会長 古屋 圭司君
幹事 鬼木 誠君 幹事 北神 圭朗君
幹事 新藤 義孝君 幹事 鈴木 英敬君
幹事 高階恵美子君 幹事 和田 義明君
幹事 國重 徹君 幹事 馬場 伸幸君
幹事 浅野 哲君
秋葉 賢也君 阿部 弘樹君
石井 拓君 石橋林太郎君
井出 庸生君 稲田 朋美君
大野敬太郎君 長田紘一郎君
加藤 勝信君 木村 次郎君
黒崎 祐一君 今 洋佑君
下村 博文君 高木 宏壽君
棚橋 泰文君 田野瀬太道君
辻 由布子君 土田 慎君
寺田 稔君 中川 貴元君
中山 泰秀君 葉梨 康弘君
星野 剛士君 細田 健一君
細野 豪志君 本田 太郎君
丸川 珠代君 盛山 正仁君
保岡 宏武君 山田 基靖君
若林 健太君 有田 芳生君
泉 健太君 河西 宏一君
神谷 裕君 阿部 圭史君
池畑浩太朗君 西田 薫君
飯泉 嘉門君 玉木雄一郎君
川 裕一郎君 和田 政宗君
古川あおい君 畑野 君枝君
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衆議院憲法審査会事務局長 吉澤 紀子君
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委員の異動
七月九日
辞任 補欠選任
石井 拓君 今 洋佑君
石川 昭政君 細田 健一君
伊藤信太郎君 山田 基靖君
上川 陽子君 辻 由布子君
木村 次郎君 黒崎 祐一君
細野 豪志君 長田紘一郎君
西村智奈美君 神谷 裕君
同日
辞任 補欠選任
山田 基靖君 阿部 弘樹君
同日
辞任 補欠選任
阿部 弘樹君 伊藤信太郎君
長田紘一郎君 細野 豪志君
黒崎 祐一君 木村 次郎君
今 洋佑君 石井 拓君
辻 由布子君 上川 陽子君
細田 健一君 石川 昭政君
神谷 裕君 西村智奈美君
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七月三日
憲法九条改悪に反対することに関する請願(畑野君枝君紹介)(第一一〇八号)
同(有田芳生君紹介)(第一一九六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一二一〇号)
憲法改悪を許さないことに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一一五四号)
同(辰巳孝太郎君紹介)(第一一五五号)
同(田村智子君紹介)(第一一五六号)
同(畑野君枝君紹介)(第一一五七号)
は本憲法審査会に付託された。
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本日の会議に付した案件
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件(合区・地方公共団体を中心とした、論点深掘りのための討議)
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○古屋会長 これより会議を開きます。
日本国憲法及び日本国憲法に密接に関連する基本法制に関する件について調査を進めます。
本日は、合区・地方公共団体を中心とした、論点深掘りのための討議を行います。
この討議につきましては、幹事会の協議に基づき、まず、各会派一名ずつ大会派順に発言していただき、その後、各委員が自由に発言を行うことといたします。
それでは、まず、各会派一名ずつによる発言に入ります。
発言時間は七分以内といたします。
質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて七分以内といたしますので、御留意願います。
発言時間の経過につきましては、おおむね七分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。
発言は自席から着席のままで結構でございます。
発言の申出がありますので、順次これを許します。新藤義孝君。
○新藤委員 自由民主党の新藤義孝です。
まず、前回の合区に関する意見につきまして、本日は、地方公共団体の位置づけについて私から意見を述べたいというふうに思います。
私たちが提案している、地方公共団体の位置づけを明確にするための憲法改正は、未完とされている憲法第八章、地方自治の章を完成させるための作業というふうに位置づけております。
大日本帝国憲法には地方自治に関する規定がございませんでした。明治憲法においては、法律以下の下位法令で地方自治は定められていたわけであります。
まず、国家行政を処理するための地方制度として、知事の官選、大臣による知事に対する指揮命令権などの規定がありまして、地方官についての勅令で定められておりました。もう一つは、事業団体としての地方制度であり、路面電車や地下鉄、バスの運行、廃棄物処理など地域のための事業を行う団体に関する事項が、府県制、市制町村制といった法律で定められていたわけであります。
つまり、明治憲法下での地方制度は、国家行政を処理する国の出先としての側面と、また地域のための事業を行う団体としての側面があり、国の出先としての側面が圧倒的に大きかったため、全体として中央集権的な性格が強かったと言われているわけであります。
これに対して日本国憲法では、地方自治と題する特別の章が設けられ、僅か四か条ではありますけれども、幾つかの事項が規定されています。まず冒頭の九十二条では、地方自治の本旨という理念が規定され、次に九十三条では、地方議会を必ず置かなければならないこと、そして首長や地方議会の議員は全て住民による直接公選で選ぶべきことが定められました。さらに九十四条では、地方公共団体は国とは別の団体として行政執行権や条例制定権を有することが明記されています。
これらは、中央集権的で国の下請機関という位置づけであった明治の地方制度と比較すれば画期的なことだった、このように思うわけであります。新しい民主国家日本を建設するための地方自治を憲法に規定したことは、国家運営の根本概念を変更する大改革であったというふうに言えるわけであります。一九四六年の日本国憲法制定時に初めて規定された地方自治の概念を具体化し、その規律密度を高めること、それは制定当時から今に続く要請ではないか、このように考えております。
地方に関する一般法律は、地方自治法を中心に、国民生活と社会の変化を踏まえ、度々改正がなされ、二〇〇〇年代には地方分権に関する大改革が行われました。現在まで様々な検討が加えられているわけでありますけれども、一方で、基本法である憲法には、この第八章、制定当時の四か条のままでありまして、一般法と同様に、地方自治の理念をより明確にし、必要な制度の具体化を憲法においても図る必要がある、このように考えているわけであります。
私たちが提案する、合区解消、地方公共団体に関する憲法改正は、基礎自治体としての市町村と、これを包摂する広域自治体としての都道府県、これを憲法に明確に位置づけて、議会制民主主義の基礎となる選挙区の設定についても、一票の格差の是正に併せて、民意の適切な反映のエリアの根拠を明確にしようとするものであります。これは、九条の改正や緊急事態条項の創設と同様に、日本国憲法の未完成部分を完成させようとする提案と御理解いただければありがたいと思います。
次に、これまでの討議を深掘りする観点から、九条に関する残った論点を整理させていただきます。
国民民主党の玉木委員からは、私が申し上げた国際法上も国内法上も自衛隊は軍隊と位置づけられるという発言は党の見解なのか、それとも個人的な見解なのか、従来の政府見解とどのような関係にあるのかという御質問をいただいております。
私の発言は、これまでの政府見解を受け止めて、それを整理して申し上げた発言だというふうに考えております。
昭和三十年代から現在に至るまで、政府は、外国からの侵略に対処する任務を持つものを軍隊というならば、自衛隊は軍隊といえるという見解を述べています。あわせて、政府はこの点について、自衛隊は、憲法上、自衛のための必要最小限度を超える実力を保持しないなどの制約が課せられており、通常言われる軍隊とは異なる面があるとも答弁し、自衛隊が軍隊かどうかは定義の問題に帰着するという認識を示しているわけであります。
私の発言は、国の平和と独立、また国民の生命財産を守るために武力行使をするという点では、各国が持つ軍隊と自衛隊の役割は変わることはなく、そのような定義であればと申し上げた上で、国際法上も国内法上も軍隊と言えるというふうに述べました。そして、これに続けて、他国を占領し占領行政をしくことや、自国防衛と直接に関係しない純粋国際協力の場面での武力行使はしないという意味で、他国の軍隊とは違う面があるとも述べているわけであります。政府がこれまで述べてきたように定義の問題に帰着するという意味で、政府答弁と同趣旨の発言であることが御理解いただけるのではないかというふうに思います。
いずれにしても、自衛隊は、我が国の存立と国民の生命財産を守り切るために必要な活動は実際に行うことができる法制度となっていると解釈され、運用されております。
一方で、国の防衛を担う自衛隊の活動と機能は、刻々と変化する我が国を取り巻く安全保障などに応じて相対的に変化をさせ、強化させていかなければならないわけであります。
私たちが提案する、憲法九条一項、二項はそのままに、九条の二として国防規定の創設、実力組織としての自衛隊の明記、シビリアンコントロールの規定、これを定める改正案は、憲法上の自衛隊の位置づけを変えることなく、明確な規定により国防に関する基本法と一般法体系を完成させ、実際の運用場面での総合的な検討の拡充を行うことによって、常に我が国の国防体制の最適化、抑止力強化を図ろうとするものであります。
憲法審査会では、各会派の理解と協力を得て様々な議論を精力的に行い、議論をピン留めし、更に深掘りすべき点を明確にしてまいりました。次回の審査会では、こうした現状を全体的に整理する意味で、総括的な討議を行ってはどうかと考えております。あわせて、国民の皆様にこうした私たちの議論を直接お伝えするためにも、NHKに対し中継放送を要請することをただいまの幹事会で決定させていただきました。具体的な内容については筆頭間や各会派の皆さんと相談してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
○古屋会長 次に、國重徹君。
○國重委員 中道改革連合の國重徹です。
本日は、地方自治について意見を申し上げます。
地方自治を考える上で確認すべき転換点、それは、国と自治体の関係性を大きく変えた二〇〇〇年の第一次地方分権改革です。一九八〇年代の行政改革、一九九〇年代の政治改革の流れを受け、地方分権は国政の重要課題となりました。一九九五年には地方分権推進法が制定され、この議論が第一次地方分権改革として結実しました。
この改革の核心となったのは、機関委任事務の廃止です。国の事務を知事や市町村長に処理させるこの仕組みにおいて、国と知事、市町村長は上下の関係に位置づけられていました。機関委任事務は自治体の事務ではなく国の事務と整理されていたことから、その事務について、自治体が条例で独自に定めることもできませんでした。この機関委任事務は、都道府県の事務の七、八割、市町村の事務の三、四割を占めていたと言われています。
そこで、第一次地方分権改革によってこの仕組みを廃止し、国と地方の関係を、上意下達から対等協力へと位置づけ直しました。これは国の形に係る大きな改革で、諸外国であれば憲法改正により実施されたであろう内容です。しかし、地方自治について定める憲法第八章は、規律密度がとりわけ低く、僅か四か条しかありません。そのため、憲法改正ではなく、憲法附属法とされる地方自治法の改正によって改革が実現されました。
なお、この地方自治法は、規律密度の低い憲法に対し、自治体の箸の上げ下ろしまで縛っていると評されるほどに詳細な規定を置く法律となっています。
このような制度上の大転換が実現した二〇〇〇年当時、これからは地方の時代だと言われ、改革派知事も相次ぎ誕生し、地方自治の現場には大きな希望が満ちあふれていました。
他方で、地方は財政上の課題を抱えていました。当時、我が国の地方財政は三割自治と呼ばれ、地方税は自治体の歳入の三割ほどしかないほど脆弱でした。国と自治体の事務事業の割合が四対六であるのに対し、その財源となる国税と地方税の配分割合は六対四と逆転。自治体は、多くの仕事を担いながら、常に財源が不足し、国の補助金や地方交付税に頼らざるを得ない状況でした。権限だけを移しても、財源と人材が伴わなければ現実の改革は成し遂げられません。
そこで、二〇〇一年に地方分権推進委員会が取りまとめた最終報告で課題の一つとされていた地方財政秩序の再構築について、小泉政権の下、補助金、地方交付税、税源移譲を一体で見直す三位一体改革が行われました。
ところが、この改革の結果、二〇〇四年の予算における地方交付税等は約三兆円もの大幅な削減がなされ、予算が組めなくなるとの衝撃が自治体関係者に広がりました。
その後、第二次地方分権改革を経て、法令による義務づけ、枠づけの見直しや、事務、権限の移譲は進められていますが、人口減少、地方の過疎化、担い手不足も重なり、現在の自治体にはもはや二〇〇〇年当時のような熱気はなく、疲弊を極めている地方自治の現場は少なくありません。
そのような地方の現状を踏まえ、憲法の地方自治に関する規定は十分に対応できているのか、こうした観点から、次のような憲法上の論点が指摘されています。
まず第一に、地方自治の指導理念である地方自治の本旨についてです。
地方自治の本旨から導かれる住民自治と団体自治については、その具体的な内容が憲法に明記されているわけではなく、多くが解釈や法律に委ねられてきました。そこで、これらの内容をどの程度憲法上明確化する必要があるかという論点があります。
第二に、国と自治体の役割分担についてです。
地方自治の本旨の三つ目の内容ともされる補完性の原則、すなわち、公的な役割は原則として住民に最も身近な市町村などの自治体が優先的に担い、それだけでは対応が難しいものや広域的、全国的に処理すべきものを都道府県や国が補うという考え方を憲法上規定する必要があるのかどうかが論点になります。
第三に、自治体の組織の在り方です。
首長と議会議員の双方を住民が選ぶ二元代表制、また基礎自治体と広域自治体の二層制という在り方を、人口減少や都市集中といった現代の課題を踏まえてどう考えるか。これは特別区や特別市の議論とも関わる問題です。
第四に、自治体の権能、すなわち条例制定権の在り方を再検討する必要があるか、また課税自主権を明記する必要があるかという論点です。
課税自主権については、基本的な行政需要を満たすための財政基盤を確保するため、自治体間の財政調整制度や国による財政上の措置の在り方なども検討する必要があります。
これらの憲法上の論点について考える上で、前提として重要になるのは、地方自治はどうあるべきか、国と地方の関係をどう設計するのかという視点です。
一方では、国の関与をできるだけ少なくし、自治体の多様性や独自性を発揮する基盤の強化を目指すという方向が考えられます。他方で、どこに住んでいても一定水準の行政サービスを受けられるよう、地方自治を毀損しない範囲で一定程度国が関与し、平等性を確保するという方向性もあり得ます。地方の多様性と全国的な平等性のバランスをどのように考えるのか。これは国の形に係る大きな議論になります。
その上で、地方自治のあるべき姿を実現するために、これまで同様、憲法附属法などの法律改正で対応するのか、それとも憲法改正まで必要なのか、順序立てて検討すべきです。
この点、憲法改正の必要性については、法律改正では足りない場合に限って憲法改正を行うべきだという考え方もあれば、地方の厳しい現状を踏まえ、法律の規定を憲法に格上げし、地方自治のあるべき姿を憲法に明記すべきだという考え方もあります。いずれにしても、結論ありきではなく、国民生活に直結する問題として真摯に議論することが重要です。
人口減少社会において、地方自治をどう持続可能なものにするのか。自治体の疲弊を踏まえればこれは喫緊の課題であることを申し上げ、私の発言といたします。
○古屋会長 次に、西田薫君。
○西田(薫)委員 日本維新の会の西田薫でございます。
まず、前回、正式には前々回でありますが、国民民主党の玉木議員の方から、日本維新の会の九条に対する考え方が変わったのではないかという御質問がありましたので、維新としての経緯を説明させていただきます。
我が国を取り巻く安全保障環境が大きく変化する中で、御指摘のとおり、維新も憲法九条をめぐる考え方を見直してきました。
かつて維新は、現在の自民党案と同様に、九条一項、二項を維持したまま、新たに九条の二を設けて自衛隊を明記する案を示しておりました。政府の従来解釈の範囲内で自衛隊の存在を条文上はっきりさせるという発想でありました。
しかし、その後、中国、北朝鮮、ロシアなどをめぐる安全保障環境が一段と悪化する中で、解釈に依存した自衛隊の位置づけでは、抑止力の強化も同盟国との役割分担も不十分であり、現場の自衛隊員のリスクに見合うだけの憲法上の裏づけがないという問題意識が強まりました。
このため、維新は、九条二項の戦力不保持、交戦権の否認を形式的に残したまま、その上に自衛隊を書き加えるだけでは解釈改憲に依存した曖昧な状態が続くだけだと判断し、主権国家として、自衛権の行使とその担い手を憲法上正面から規定すべきだという考え方に踏み込んだわけであります。
その結果として、現在の維新の案は、九条二項を削除し、自衛権を明文で規定した上で、その裏づけとなる国防軍を憲法に明記し、必要な場合には集団的自衛権を含めた自衛措置を取り得るようにという内容へと進化しております。
一部では戦争するための改憲であるという意見がありますが、全くそうではなく、我々は、解釈改憲に依存する不安定な状況から脱し、国民の皆さんの命と暮らし、そして自衛隊員の安全を守るために、憲法上の規定をより実態に即した責任ある形に改めるべきだという判断から九条二項削除へと立場を整理してきたというのが、維新としての経緯であります。
それでは、参議院選挙における合区解消の問題について意見を述べます。
まず前提として、我々は、将来の道州制を見据え、参議院選挙は、人口規模や地域の実情を踏まえたブロック制の導入が必要だと考えます。都道府県単位を前提にしたまま人口偏在が進めば、一票の格差是正のたびに、合区か定数増減かというその場しのぎに陥り続けます。現行の鳥取、島根、そして徳島、高知といった合区に固執するのではなく、統治機構改革の方向性を見据えたブロック制による根本的な合区解消こそが望ましいと考えます。
合区問題の根底には、一票の格差と地域代表制という二つの価値の緊張があります。一方で、投票価値の平等を確保しなければ、都市部からは地方選挙区の過大な保護への不満が高まります。他方で、地方から見れば、地元出身の参議院議員を送り出しにくくなれば、国政から切り離されたという疎外感が強まります。
我々はこれを、ゼロサムではなく、制度設計の工夫で両立し得ると考えます。その具体策の一つが、人口比例を重視した広域ブロック制です。ブロック単位で定数を柔軟に配分すれば、一票の格差を抑制しつつ、候補者調整や比例名簿の工夫により、各県出身の議員をバランスよく送り出す余地が生まれます。
また、身を切る改革を掲げてきた我々維新の会としても、単に合区だけをやめて定数だけを増やすような合区解消には賛同できません。選挙制度と定数、行財政改革は連動して議論すべきであり、国会議員の定数削減とセットで、真に国民の皆さんの納得が得られる合区解消の在り方を示していくべきだと考えます。
そこで、改めて申し上げますが、我々日本維新の会が目指すのは、都道府県単位を前提にした合区解消ではなく、広域ブロックを基本単位とする制度設計への転換です。
第一に、ブロック制は、道州制を見据えた統治機構改革と整合的です。将来、道州ごとに権限と財源を移譲して地方分権を進めるなら、参議院はその広域自治体の代表としての性格を強めるべきです。
第二に、ブロック制なら、全国を適切な人口規模のブロックに区切り定数配分ルールを定めれば、人口変動に応じて機械的に増減が可能となり、裁判ごとに違憲状態かどうか争う不安定さを避けられます。
第三に、ブロック制の下では、政党の候補者選定や比例名簿作成で県ごとのバランスや地域課題を踏まえることにより、各県の声を政治に反映することができます。
重要なのは、制度を固定的に捉えることではなく、どう運用し、どう説明責任を果たすかです。
このように、我々日本維新の会が言う合区解消とは、現在の二つの合区を元に戻すことではなく、将来の日本の形を見据え、ブロック制への転換を通じて一票の格差是正と地域代表制の両立を図ることを意味します。
最後に、この憲法審査会の役割についても申し上げます。
多くの議論は、合区はけしからぬから元に戻せという立場と、一票の格差是正のために合区もやむを得ないという立場の対立にとどまり、統治機構改革や道州制といった中長期ビジョンと十分に接続されていないのではないかと感じております。我々日本維新の会は、道州制を含む統治機構改革を目指す政党として、参議院選挙制度も、単なる利害調整ではなく、この国の形をどうするかという観点から提案しております。
九条については、現実の安全保障環境との整合性を正面から問う、そして合区については、ブロック制を軸に一票の格差と地域代表制の両立を図る、こうした具体的提案を通じて憲法議論を前に進めていきたいと申し上げ、私の発言を終了します。
○古屋会長 次に、飯泉嘉門君。
○飯泉委員 国民民主党の飯泉嘉門でございます。
前回、六月の二十五日、発言をさせていただきました参議院の合区解消の憲法改正案のイメージとして、あくまでも必要最低限のものに限る改正とすべきと考えております。
一つは、衆参両院の選挙制度を定める四十七条と、第八章地方自治の総括条項である第九十二条を改正すべきと考えています。
まず、四十七条についてであります。
まず、衆参限ることなく、両院の議員の選挙について、選挙区を設置する場合には、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢などを総合的に勘案することといたします。
次に、参議院議員の選挙については、一つの独立項目を設けまして、広域的な地方団体ごとの区域を単位とする選挙区を含む場合には、各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができると定め、参議院に地域代表的な性格を持たせ、立法府として、投票価値の平等の要請と調和を保たせる努力を行うべきであります。
次に、第九十二条についてであります。
まず、住民は、国民主権の原則、憲法第一条でありますが、並びに生命、自由、そして憲法十三条、幸福を追求する権利に基づきまして、自らの意思により地方自治に参加する権利を有する、このように規定をし、住民発意による地方自治、つまり住民自治を規定をいたします。
次に、地方公共団体は、住民の参加と福祉の増進に努めるべく、住民に身近な公共的事務を処理する固有の権能を有する、このように規定をし、団体自らの意思と責任に基づく地方自治、いわゆる団体自治を規定をいたします。
さらには、地方公共団体は、基礎的地方公共団体と、これを包括する広域的な地方公共団体及びその他法律で定める特別の地方公共団体とすると定め、憲法上規定をされていない地方公共団体の種類を明示をし、先ほど申し上げた四十七条の独立した項目であります選挙区の単位の根拠とすべきであります。
さらには、国は原則として、国家の存立に関する役割及び全国的な視点を必要とする政策、その他国が果たすべき役割を担い、国と地方公共団体の間で適切な役割分担を図らなければならない、このように規定をし、地方自治の基本理念として、国と地方の役割分担を明示すべきであります。
さて、今話題に上っております合区問題、なぜ生じたんでしょうか。それはまさに、憲法における地方自治の規定が、第八章、しかも九十二条から九十五条までのたったの四条、しかも、第九十二条、総括規定でありますが、こちらにおいては、地方自治の基本原則である地方自治の本旨の表現が余りにも抽象的であり、地方自治の侵害を防ぐための基準として不十分である、このように指摘がなされているところであります。
自民党の新藤筆頭幹事から、未完の第八章、この表現がよく用いられるところであります。実は、我々地方自治に携わった者にとってみては、この言葉が立法府の中で、しかも憲法審査会の中で明らかにされることはまさに悲願であったところでありまして、今回の憲法審査会、本当に大きな一歩がしるされたものと、地方行政を長らく、また知事会長を務めた者として、大変感謝を申し上げるところであります。
戦前帝国主義であった日本に民主主義を根づかせるために、地方自治は民主主義の学校との理念の下、日本国憲法に第八章地方自治の項目が定められ、地方自治法が、昭和二十二年五月三日、日本国憲法と同時に施行、そして今年、施行から約八十年となる七十九年を迎えたところであります。
この間、国が本来行うべき事務を知事や市町村長に委任をしていた機関委任事務制度が廃止となりました。また、国の包括的な指揮監督権の廃止がなされ、地方公共団体の自己決定権が大きく拡充をされたところであります。また、地方自治に影響を及ぼす国の政策の企画立案、実施につきまして、内閣総理大臣を始めとする関係大臣と全国知事会を始めとする地方六団体の代表がまさに対等な立場で協議を行う機関である国と地方の協議の場の法制化が平成二十三年になされるなど、今まさに、国と地方は対等とも言える関係に変遷をしてきたところであります。
という私も、ちょうどコロナのときには、安倍総理、さらには菅総理と、全国知事会長として地方六団体代表の皆さん方とともに、あのかつてないパンデミックの様々な対策を国とともに力を合わせ、そして、世界中から、日本はまさにこのパンデミック解消の優等生である、このような評価もいただいたところでもあります。
今こそ、国民イコール住民が直接地方公共団体に権能を授権をしているとの考え方に基づきまして、憲法第九十二条の地方自治の本旨の明確化、さらには地方自治に関する憲法の規定の充実がまさに不可欠となるところであります。そして、その具体的な成果といたしましてまさに合区解消を成し遂げることこそが、今立法府に求められているところであります。皆様方、御理解と御協力、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
以上でございます。
○古屋会長 次に、和田政宗君。
○和田(政)委員 参政党の和田政宗です。
合区解消と選挙制度改革は密接な関係にあるとの観点から、まず申し述べます。
今国会において与党より提出された比例定数四十五削減法案は、衆議院議長の下設置された衆議院選挙制度協議会において今年秋までに抜本改革の成案を得るべく各会派が協議している中、提出されました。現状の選挙制度のまま比例定数四十五議席のみを削減しようというもので、選挙制度の抜本改革潰しと言える法案でした。
野党からこれを指摘された与党は、ようやく昨日になって、衆議院選挙制度協議会における協議の結論を待つこととすると軌道修正しました。これは当たり前のことです。この間、国会は空転し、毎週開催予定の憲法審査会も先週は開くことができませんでした。このような状況をもたらした与党に猛省を促したいと考えます。
これら衆議院と参議院の選挙制度の抜本改革ないし一体改革がなされることを前提とし、憲法改正による合区解消を議論する必要があると考えます。いま一度、衆議院、参議院の立法府としてのそれぞれの役割を整理し、選挙制度の抜本改革を行い、定数をどうするのか、どのような憲法改正が必要なのかを考えるべきです。
定数のみ削減するのでは、その分、国会議員による立法機能が失われることになります。既に日本は、衆議院においても参議院においても、人口当たりの議員定数は世界と比較しても少なく、OECD加盟国三十八か国中、少ない方から数えて三番目となっています。このままの制度で定数を削減し続ければ、地方の声が国会において反映されにくくなる危険性があります。
参政党は、もし議員定数を削減するならば、その分、公設秘書の人数を増やし、立法機能が損なわれないことを担保する必要性を訴えてきました。単に議員定数を削減するということが目的ではなく、衆議院のみならず参議院を含めた我が国の選挙制度の根本的見直しにおいての定数削減や国会の立法機能を高める観点から、議員定数の削減に対し、公設秘書を一議員当たり十名程度に増やすなどの大幅拡充を行い、調査、立法、法案精査能力を底上げするならば、定数削減を含めた議論をすることができると考えます。
何よりも選挙制度改革において必要なのは、国民が選挙ごとに所属する選挙区が変わる不便を解消し、選挙への民意のより正確な反映と、地方の声が切り捨てられないことを重視することです。抜本改革が第一であるとともに、憲法上、将来の人口減少に備え、衆議院ないし参議院において都道府県を単位とする選挙区を基本とする選挙制度でありながら、一方で都道府県をまたぐような合区が生じ、それを生じさせないための憲法改正を行うというのであれば、参政党として賛意を示します。
参政党は、改憲でも護憲でもなく、憲法を一から作り直す創憲の立場を取っています。参政党がなぜ憲法を重視するかというと、憲法は国の理想や統治の在り方を示すものであり、制度や法律を考える場合も、単なる表面的な政策論争ではなく、その背景にある歴史、思想や哲学、自分たちがどのような国をつくりたいかという憲法の次元まで遡って考えることが非常に大切だからです。
憲法改正の議論は、単に一つの条文にとどまるのではなく、憲法前文、皇室、国民の権利を始め、国防、教育、食と健康、選挙制度、統治機構、財政、地方自治まで幅広い分野にわたって根本的に見直す必要があります。合区解消の議論についても、この観点を失ってはなりません。
参政党は、憲法を変えること自体は賛成ですが、改憲だから全てよしとするのではなく、日本の国益や反グローバリズム、国民にとってよいかどうかという観点から判断していきます。
いずれにせよ、合区の解消、地方公共団体の在り方については、衆参両院に関わることであるとともに、我が国の統治機構全体を憲法上どう位置づけていくかということでありますので、衆議院、参議院の憲法審査会それぞれの議論とともに、衆議院、参議院での合同の議論の場が必要であると考えます。この合同議論の場の設定については繰り返し提起してきましたが、憲法審査会会長におかれましては、強くお力を賜りますようお願い申し上げます。
そして、本日、自民党筆頭幹事より、九条改正、自衛隊明記案に関連し、自衛隊の定義等について説明がありましたが、解釈に頼ることなく、参政党は、いついかなるときも国家国民を守り、平和を守るため、国防のための軍隊の保有を憲法に明記すべきとの考えです。
また、憲法審査会幹事会において、次回の審査会についてNHK中継を要請することと決めたことは、極めて重要なことと考えます。現行憲法は、GHQ占領下で、GHQ草案を基に、主権が制限された中作られたもので、国民の自由な意思に基づいておりません。だからこそ、広く国民が憲法について議論するためにも、NHKのテレビやラジオ放送は大きな要素となると考えます。憲法改正への賛否を含め、どのような議論が憲法審査会で行われているかを国民が知ることは極めて重要であると考えます。NHKは公共放送の使命とは何かを考え判断していただきたいと考えます。
国民が広く憲法について議論し、国民が一から憲法を作り直す創憲が必要と参政党は考えていることを改めて述べまして、意見表明を終わります。
○古屋会長 次に、古川あおい君。
○古川(あ)委員 チームみらいの古川あおいでございます。
前回の憲法審査会では、合区について、地方の声と一票の価値の平等という、いずれも欠かすことのできない二つの価値をどう両立させていくのかということについて考えを申し上げました。
本日は、その続きとして、二つの点を申し上げます。
第一に、憲法第四十三条の全国民の代表という原則について、なぜこれを大切にするべきなのか、私どもの考えを申し上げます。
憲法第四十三条第一項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と定めております。この全国民の代表という原則には、一人一人の国会議員が、自らの選挙区や出身地の利益だけを託された使者ではなく、日本全体の未来に責任を負う立場であるという意味が込められていると考えております。憲法学では、これを自由委任と呼んでまいりました。議員は、自らの選挙区や後援者の個別の指示に法的に縛られず、国全体の利益を見据えて判断すべきだという考え方でございます。
仮に特定の地域からの代表であることを憲法に直接書き込みますと、議員が地域の利害の代弁者としての性格を強めていくのではないかということも考えられます。それは、人口が減っていく地域と増えていく地域もある中で、限られた資源をどう分かち合うのかという国全体で背負うべき難しい判断をかえって進みにくくしてしまうおそれもあると考えます。
地域の声を国政に届けることと、一人一人の議員が全国民の代表であり続けることは、決して対立するものではございません。むしろ、地域の実情を深く知る議員がその知見を国全体の視点に立って生かしていく、そうした形を目指すべきではないかと考えております。
地方の声を国政に届ける器は、選挙区の区割りだけではございません。その声を託す一票を誰もが確実に投じられる環境そのものもまた、もう一つの大切な器でございます。チームみらいが掲げている、インターネット投票や電子投票を導入し、テクノロジーの力で一票を投じやすくしていく取組は、地方の声を届けるという議論と根を同じくするものでございます。
第二に、合区を解消する手段を憲法改正に求めるのか、法律の改正で対応するのかという議論に入る前に、一度立ち止まって確かめておきたい論点がございます。それは、私たちが参議院にそもそも何を期待するのかという点でございます。
合区が導入されて十年ほどがたちますが、この間、対象となった選挙区では投票率の低下が指摘され、投票用紙に合区反対と書き込まれた無効票も見られたと言われております。自分たちの地域を代表する顔が見えにくくなったという有権者の戸惑いは決して小さくないのだと感じております。
前回の憲法審査会でも、参議院を地域の代表の府と位置づけてはどうかというお考えや、まずは参議院のあるべき姿から議論すべきだというお考えなど、様々な御意見が示されました。
合区をどう扱うのかは、突き詰めれば、衆議院と参議院で役割をどう分け合うのか、そして、参議院に地域の視点をどこまでどのような形で持たせるのかという、二院制の設計そのものに関わってまいります。参議院を都道府県の代表と明確に位置づけるのか、それとも、全国民の代表という原則を保ちながら地域の実情に配慮していくのかという部分について、各会派の考え方にはなお隔たりがございます。
この点について、私どもの立場を改めて申し上げれば、先ほど述べましたとおり、参議院議員もまた全国民の代表であるという原則そのものを踏まえつつ、合区の問題を、地域の代表か全国民の代表かという二者択一として捉えるのではなく、全国民の代表という土台を保った上で、その枠の中で地域の実情への目配りをどこまでどのような形で確保していくのかという、程度と設計の問題として受け止めたいと考えております。
地域の実情を肌で知る方がそれぞれの地域から選ばれ、その知見を国全体の視点に立って持ち寄ることそれ自体は、全国民の代表という原則と何ら矛盾するものではなく、むしろ大切にするべきことだと考えております。
この問いには、世界の国々もそれぞれに異なる答えを出してまいりました。
例えば、アメリカでは、上院を人口にかかわらず全ての州から二人ずつ選ぶ仕組みを取っております。人口が最多のカリフォルニア州と最少のワイオミング州ではおよそ六十七倍の差がありますが、上院ではひとしく二議席です。
イタリアでは、憲法で上院について州を基礎として選出されると定め、人口の少ない州にも議席をあらかじめ保障してあります。憲法に州という単位を書き込むことで地域の声を反映させています。
このように、地域の視点をどう組み込むのかは国によって答えの分かれる重要な選択でございます。こうした課題については、手段を先に決めるのではなく、まず、参議院に何を期待するのかという土台の部分でどこまで認識を共有できるのかを確かめることから始めるべきではないかと考えております。
選挙制度は、その時々の一時的な多数だけで形作るのではなく、幅広い合意と国民の皆様の納得を土台に腰を据えて議論を進めていくべき領域でございます。
私どもは、合区の問題も地方公共団体の在り方も、突き詰めれば、人口が減少していく時代にあっても地方の声を国政に反映し続けるにはどうしたらいいかという一つの問いに行き着くものと受け止めております。この問いに開かれた形で向き合いながら、引き続き議論を深めてまいりたいと考えております。
以上です。
○古屋会長 次に、畑野君枝君。
○畑野委員 日本共産党の畑野君枝です。
本日のテーマに関連して、選挙制度の在り方について幾つか意見を述べます。
日本国憲法の前文は、日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動しから始まり、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないよう決意し、主権者が国民であることを明記しています。
民意を正確に反映した国会での徹底した議論を通じて国の進路を決めることこそ、国民主権における議会制民主主義の原則です。その根幹を成すのが選挙権です。したがって、選挙制度は、国民の多様な民意を正確に反映するものでなければならず、投票価値の平等を求める十四条や、国会議員が全国民の代表であるとする四十三条一項など、憲法の要請に基づくことは当然のことです。
この観点から、三つの点を指摘しておきたいと思います。
一つ目は、参議院選挙での合区の問題です。
前回述べたように、合区は自民党の党利党略によって持ち込まれたものです。二〇〇九年の最高裁判決は、参議院選挙の一票の格差について、国民の意思を適正に反映する選挙制度が民主政治の基盤であり、投票価値の平等が憲法上の要請であると指摘しました。さらに、二〇一二年に最高裁が再度出した判決は、二〇一〇年の参議院選挙を違憲状態とし、都道府県を参議院選挙の選挙区の単位としなければならないという憲法上の要請はないとして、再び、仕組み自体を見直すことを求めました。
国会に問われていたのは、投票価値の格差是正のための選挙制度の抜本的な改革でした。ところが、自民党は、この最高裁の指摘に背を向け、二〇一五年に二つの合区を含む十増十減の改定案を突如提出し強行したのです。
前回の審査会で、自民党の委員から、合区による弊害が表れているとの発言がありました。合区が地方の声を切り捨てることにつながるという批判は、当初から出されていたものです。私たちは、一部の県だけが対象となる合区制度は不公平だと指摘してまいりました。こうした反対意見を一顧だにせず、自民党は、衆議院、参議院を合わせても数時間の審議で制度を強行したのです。その責任をどう考えているのでしょうか。自らの責任を棚に上げて、合区の解消を理由に改憲を主張するなど、断じて認められません。
参議院の選挙制度は、都道府県を選挙区の単位とするのをやめて、比例代表を中心とした制度に改革すべきです。
二つ目に、衆議院選挙での小選挙区制度の問題です。
小選挙区は、得票率と獲得議席に著しい乖離を生み出し、民意をゆがめるものです。一九九四年に小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、一貫して、小選挙区において第一党は、四割台の得票率にもかかわらず、六割から八割もの議席を獲得してきました。議席に反映しない死に票は、各小選挙区の約半数にも上っています。まさに小選挙区の根本的欠陥が浮き彫りになっています。
小選挙区制による民意をゆがめた虚構の多数の下で、自民党政権が安保法制を強行成立させ、敵基地攻撃能力を導入するなど、平和主義や立憲主義を破壊する政治を強行してきたことは極めて重大です。小選挙区制は廃止し、比例代表中心の選挙制度に抜本改革すべきです。
三つ目に、与党が衆議院の比例定数の削減を推し進めようとしていることです。
国会議員は多様な国民の声を正確に国会に反映させるための手段であり、そのためには一定の議員数が必要です。とりわけ、地方や女性などの意見を議席に反映することは、国会が行政監視の役割を果たすために不可欠です。
しかし、国会議員の定数削減は、地方の議席を減らし、少数者の声を切り捨てることにつながります。議会制民主主義の土台を崩し、政権への反対意見や少数意見を封じ込めようというものにほかなりません。議会を形骸化させ、翼賛体制をつくるもので、断じて認められません。
そもそも日本は、歴史的にも国際的にも、国会議員は極めて少ない水準になっています。日本の国会議員の総定数は、一九八〇年代には衆議院五百十二、参議院二百五十二でした。ところが、いわゆる政治改革以降、衆議院、参議院とも定数が削減され、現在では衆議院四百六十五、参議院二百四十八となっています。その結果、人口当たりの国会議員数はOECD加盟三十八か国中三十六番目と、最低水準となっています。国民の多様な意見を正確に反映させるためには極めて不十分です。
今必要なのは、国民主権に基づき、民意を公正に反映する選挙制度へと抜本的に改革するための議論だということを指摘して、発言を終わります。
―――――――――――――
○古屋会長 次に、委員各位による発言に入ります。
発言を希望される委員は、お手元にある名札をお立ていただき、会長の指名を受けた後、御発言ください。
発言は自席から着席のままで結構でございます。
なお、発言の際には、所属会派及び氏名をお述べいただくようお願いいたします。
発言が終わりましたら、名札を戻していただくようお願いいたします。
また、幹事会の協議に基づき、発言時間は五分以内といたします。質問を行う場合、発言時間は答弁時間を含めて五分以内といたしますので、御留意願います。
発言時間の経過につきましては、おおむね五分経過時にブザーを鳴らしてお知らせいたします。
それでは、発言を希望される委員は、名札をお立てください。
○井出委員 自由民主党の井出庸生です。
私からは、合区の問題について発言いたします。
私は、我が国の最高裁判所が判示している、国政遂行のための民意の的確な反映を実現するため、選挙区の在り方、合区の解消について議論が深まることを強く望むものです。
最高裁判所は、衆議院議員の選挙について、憲法上、議員一人当たりの選挙人数ないし人口ができる限り平等に保たれることを最も重要かつ基本的な基準とすることが求められているというべきであるが、それ以外の要素も合理性を有する限り国会において考慮することが許容されているものと解されるものであって、具体的な選挙区を定めるに当たっては、都道府県を細分化した市町村その他の行政区画などを基本的な単位とし、地域の面積、人口密度、住民構成、交通事情、地理的状況などの諸要素を考慮しつつ、国政遂行のための民意の的確な反映を実現するとともに、投票価値の平等を確保するという要請との調和を図ることが求められていると判示をしています。
また、国立国会図書館が二〇二三年四月に出している「レファレンス」八百六十八号によりますと、欧州評議会の諮問機関である法による民主主義のための欧州委員会は、二〇〇二年に取りまとめた「選挙に関する優れた取組の規範 ガイドライン及び説明文書」の中で、基本原則の一つである平等選挙主義について、投票権の平等、投票価値の平等など五つの項目を掲げています。
このうち、投票価値の平等の中では、地理的基準及び行政上の境界又は場合によっては歴史上の境界を考慮に入れてもよい、投票価値の平等を保障するため、定数配分は少なくとも十年ごとに見直さなければならない、選挙区画は、可能であれば行政区画と一致させるべきである、選挙区の境界を見直す場合は、いびつにならないこと、過半数が独立した構成員から成る第三者委員会の意見を考慮に入れることが望ましいなどと定めています。
デンマークでは、一九一五年、憲法で、人口密度を議会選挙における選挙区への定数配分に用いることが定められました。現在まで数値の変遷はあったものの、憲法に基づき法律で定められた面積係数を乗じた形で定数配分が行われています。
ノルウェーでは、都市部と農村部から選出される議員数を一定の比率に保つため何度も憲法改正が行われ、二〇〇三年からは、面積係数を乗じ、面積を考慮に入れる形で定数配分が行われています。
両国の面積係数には様々な問題点がありますが、根拠が憲法に明記をされていることに加え、定数配分プロセスを客観的かつ透明的なものとし、選挙区での投票を全国単位で集計した結果を議席に反映させるなど、そうした選挙制度と相まって、人口希薄地域における民意を尊重する方策として定着をしていると言われています。
参議院選挙の合区は、都道府県という長く定着している地域の枠組みと国政との結びつきを弱めてしまうのではないかという懸念をはらんでいます。京都大学の毛利透教授は、人口減少地域に住む人々にとって、地域の選出議員との物理的距離が都会の住民よりもはるかに離れたものになることは政治的に軽視をされているという意識を与える旨の指摘をされています。参議院の熱心な御議論も踏まえ、本審査会でも議論をするべきです。
また、衆議院の選挙区においても、人口減少、過疎地域の民意を的確に反映する改正が行われてきているか、根強い懸念があります。自民党は、選挙区の設定について、人口を基本としつつ、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案する憲法改正案を提案しています。
選挙制度には、民主制度の根幹として守らなければいけない部分と、社会の変化に応じて柔軟に対応しなければならない部分があると考えられます。一票の権利と同様に、選挙区の在り方、その根幹となる考え方についても議論を深め、憲法にこれを定め、その上で社会の変化に対応する法律改正を積み重ねていくべきと申し上げ、私の発言を終わります。
○泉委員 中道改革連合の泉健太です。
まず、さきの国民投票法改正について申し上げます。
やはり、前回改正時に附則に記されたインターネット広告規制などの検討事項が結論を得られぬまま今次の法改正を迎えたことは問題であったと考えます。今後は、附則の重要性に鑑み、附帯決議の内容を議論する時間を確実に確保し、結論を得るべきです。会長そして幹事の皆様の御配慮をお願いをいたします。
さて、本日は、地方自治についてであります。
まず、地方自治の本旨については、過去の審査会で幾度となく、団体自治、住民自治の考え方として、補完性の原則、近接性の原則が語られてきました。この点、各会派も意見を同じくすることと存じます。私としても、是非、憲法への明記の方向で議論をしたく存じます。
ただ一方で、実際の地方自治の確立は不十分だと言えます。憲法九十二条は本来、地方自治を確立させ、国の介入に対する防御的機能を果たす、そういった条文のはずですが、後段の「法律でこれを定める。」が、逆に広範な法律委任状態を生み出しております。この点、まずは、地方自治の行政権の拡大や、国政における国と地方のより対等な協力関係の構築に向けた改善を行うべきと考えます。
例えば、国と地方の協議の場は平成十六年に初めて設置をされ、毎年三回ずつ官邸で開催されております。先日も開催されました。これは平成二十三年に法制化されたものであり、この国と地方の協議の場は、その後、子供、子育て政策分野でも個別に設置されるなど、発展を続けております。今後、こうした国と地方の協議の場を各省庁ごとに設置してはどうでしょうか。それにより、各政策分野において地方の視点が一層反映されることでしょう。
同時に、立法府においても立法府と地方の協議の場を設置することも一案です。国会審議や立法活動に対し地方からの提言の機会が保障されることになれば、国と地方の対等性は一層増すものと考えます。
憲法九十四条については、二項に、国会が法律を定めるに当たっては第九十二条の趣旨を尊重しなければならないとの文言を追加することで、先ほどの協議の場の設置も根拠が明確になると考えます。これは、かつて全国知事会のワーキングチーム報告書でも提案されております。是非、こうした点の改正を今後各党と議論してまいりたく存じます。
最後に、合区と選挙制度についてであります。
合区の解消は、投票価値の平等との両立において非常に難しい課題を抱えております。
また、選挙制度については、かつて安倍元総理も国会において、定数の削減と選挙制度の改正というのは民主主義の土俵、なるべく多くの政党の皆さんが議論に参加をして賛成できる環境を、比例区の議員、これを一方的に減らしていく、これは少数政党にとって問題であることからもっとちゃんと議論しようと発言されておりました。この点、まずは衆参両院において、両議長の下に設置されている協議会で丁寧に議論し、衆参ばらばらではなく一体となって結論を得ていくべきと考えます。
合区も定数削減も、憲法審査会のみで、衆院のみで、また一部政党のみで結論を出すべきではありません。この点、与党の自民党、維新の会の見解を次回改めてお示しいただきますようお願いをして、私の発言を終わります。
○池畑委員 日本維新の会、池畑浩太朗でございます。
まず、参議院合区の問題に対する日本維新の会の基本的な立場を申し上げたいと思います。
日本維新の会では、合区解消を憲法改正の最優先項目と位置づけることには慎重であります。
維新がこれまで一貫して掲げてきた改憲テーマは、教育無償化、統治機構改革、憲法裁判所の設置、そして緊急事態条項や九条改正などでありまして、合区の問題は、そうした統治機構全体の見直しの中で議論すべき一要素だというふうに考えております。
憲法を改正してまで合区を解消するのであれば、その効果は一時的なものではなく、将来の日本の形にとっても意味のある骨太の設計でなければいけないというふうに思っております。
その中で、単に今の二つの合区を解消することだけを目的に条文を変えるのではなく、そもそも参議院をどういうふうに位置づけていくのか、地方分権と道州制の将来像をどういうふうに描いていくのか、一票の格差の許容範囲をどう考えていくのか、そうした論点をセットで丁寧に詰めていくことが不可欠であるというふうに考えております。
合区は確かに、有権者の政治的疎外感や投票率の低下、無効票の増加など具体的な弊害を生んでおります。この点については与野党を問わず問題意識が共有できる部分だと思っております。
しかし、それを理由に、合区解消さえできればよいと、憲法九十五条のような個別特例的な発想で、特定の県のためだけの条文を作るようなことがあってはならないというふうに考えております。それでは、憲法という国家の骨格法を、場当たり的な選挙制度を変える道具にしてしまうおそれがあります。
維新は、一票の格差や合区問題を統治機構改革全体の中に正面から位置づけて議論するべきだというふうに考えております。参議院は何のために存在するのか、衆議院との役割分担をどうするのか、二院制のメリットとコストをどう考えていくのか、こうした根本的な問いを避けたまま取りあえず合区だけを解消するという順番には賛成しかねるというのが、日本維新の会の立場であります。
そこで、憲法審査会に対して日本維新の会から三点、具体的な提案を申し上げます。
第一に、合区解消をめぐる議論を、単なる選挙制度の技術論に矮小化をせず、参議院の役割や我が国の統治機構の将来像と一体のものとして議論していくべきだというふうに思っております。
参議院を衆議院と同じような民意のダブルチェック機関として維持するのか、それとも、地方自治体も含めた機能、権能の在り方を明確に位置づけるのか、そこを曖昧にしたまま合区だけを変えていくということは、政治的には分かりやすくても、憲法論としては不誠実だというふうに考えております。
第二に、先ほど西田委員からもありましたが、都道府県単位を前提とするかどうかという固定観念から一歩踏み出して、広域ブロック制を含めた複数の選択肢をテーブルにのせ、そのメリットとデメリットを国民に分かりやすく示すことであります。
日本維新の会は、結党以来、道州制による二層制を掲げてきました。参議院についても、将来の道州制を見据えた広域ブロック制を含めて様々な案を比較検討し、その長所、短所をオープンに提示していくべきだと考えております。
第三に、その際、一票の格差の数値目標だけにとどまらず、投票率や無効票の推移、合区地域における候補者擁立の状況、地方の政治的疎外感といった、制度がもたらす実際の影響を含めた総合的な検証も行う必要があります。制度のよしあしは、条文上だけではなく、現場でどのような政治参加や民意の反映が実現しているかで判断するべきだというふうに考えます。
日本維新の会としては、道州制を見据えたブロック制の導入を一つの具体案として提示しつつ、合区問題を契機に、参議院のあるべき姿と統治機構の全体像について建設的な議論を続けていきたいというふうに考えております。
同時に、現に合区の下で不利益や不満を抱えておられる有権者の皆様がいるという事実も決して軽んじてはなりません。合区解消を、教育無償化や緊急事態条項、九条二項削除といった維新が掲げる他の改憲項目と並べて憲法全体の設計の中でどう位置づけるのか、真正面から議論する必要があるというふうに考えております。
維新は、合区問題を憲法改正の入口にするという発想ではなく、合区を含めた統治機構のゆがみを正し、日本の将来の形を見据えた骨太な憲法議論を進める、そのための素材としてこのテーマに真摯に向き合っていきたいというふうに考えております。
以上であります。
○浅野委員 国民民主党の浅野哲でございます。
本審査会では、この国会会期中、選挙困難事態における国会機能の維持、すなわち議員任期延長をめぐる議論、憲法九条をめぐる議論、そして本日のテーマであります参議院選挙の合区の問題と、論点を絞りつつ議論を深めてまいりました。これらを振り返り、私からは、今後更に議論を深めるべき三つの論点を提示したいと思います。
第一に、選挙困難事態における国会機能維持の条文案の起草であります。
本年、衆議院法制局から示されたイメージ案は、大規模な自然災害、感染症の蔓延、内乱、外部からの武力攻撃など五つの類型を挙げ、認定期間中は次の選挙期日の前日まで議員任期を延長するという具体的な骨格を示しました。また、賛否が分かれた点として緊急政令や緊急財政処分が挙げられますが、その分、議論を深めるべき論点の所在は相当明らかになったと考えます。次は、抽象論、機能論から具体的な条文起草へと歩みを進めるべきであります。是非、論点の拡散を防ぎつつ、当審査会における審査スケジュールを明確にすべきと考えます。
第二に、本日の主題である合区の問題です。
参議院側では、本年四月、参院改革協議会が合区解消の具体策を検討する専門委員会の設置を決めました。もっとも、その解決策としては、憲法改正が必要とする立場と公職選挙法の改正で対応可能とする立場とが併存しています。
他方、昨年の参議院選挙では、一票の格差をめぐり、違憲状態との高裁判決が相次ぎました。本日、我が党の飯泉委員の発言にもあったように、投票価値の平等と都道府県という地域代表制の確保、この二つの要請の調整は、純粋な法律論だけでは決着せず、まさに政治判断を要します。であればこそ、両院協議会を始めとする衆参両院の意思疎通の場を設け、議論を前進させる環境を整えることを提案いたします。次の参議院選挙は二〇二八年、時間は限られています。
第三に、国民投票法改正と、広報協議会の規程、そしてインターネット広告規制の具体的イメージの作成です。
去る六月十八日、投票環境を整える三項目の改正案は衆議院の憲法審査会で可決され、現在、参議院憲法審査会でも質疑が始まっております。しかし、二〇二一年改正の附則が三年をめどに措置をするとした宿題、すなわち、CM、ネット広告、運動資金の規制は今なお手つかずのままであります。
ここでは、客観的な海外事例に基づき申し上げます。
EUは、政治広告透明化規則を制定し、昨年十月から全面適用しています。費用を誰が負担したのかの表示義務、投票日前三か月間の外国資金による広告の禁止、七年間の記録保存、そして違反には全世界売上高の最大六%という制裁金を定めました。
一方で、その定義の広さゆえに、メタやグーグルなどはEU域内での政治広告の取扱いから撤退をしています。規制が過度に広ければ有権者の正当な情報アクセスまで失われる、これが教訓だと思います。
他方、英国、EU、ドイツの調査で共通していた原則は、国家はコンテンツの真偽に直接介入しないというものでありました。
この原則を踏まえ、透明性の確保を軸に据えた上で、広報協議会にプレバンキング、すなわち予測される偽情報への事前の備えの機能を持たせること、そして民間のファクトチェック機関に独立性を担保した公的支援を行うこと、この具体的イメージを本審査会で作り上げることを提案してきました。
以上三つの論点はいずれも、法律論を超えた政治判断と衆参、与野党の合意形成を必要とします。また、現時点において、その実現可能性が十分に見込める論点でもあると言えます。会長そして各会派の皆様には、これらのテーマについて、限られた期間の中で具体的な成果を出すための十分かつ円滑な議論の機会を設けていただくことを求め、発言を終わります。
以上です。
○本田委員 自由民主党の本田太郎です。
今国会の本審査会では、自衛隊の行動がネガティブリスト方式か、あるいはポジティブリスト方式かという議論がなされてまいりました。ネガティブリスト方式とは、リストアップされた行動以外は全て行うことができる方式、ポジティブリスト方式とは、リストアップされた行動のみ行うことができる方式のことです。
私からは、ポジティブリスト方式によって運用する自衛隊の活動について申し述べます。
まず、自衛隊の任務の法的位置づけについてです。
自衛隊の任務には、我が国の防衛や公共の秩序維持などがあります。このうち、我が国の防衛は自衛隊の主たる任務とされ、自衛隊のみが果たし得る任務です。
他方、公共の秩序の維持は自衛隊の従たる任務とされ、一義的には警察機関の任務であり、警察機関のみでは対処が困難な場合などに警察機能の延長として自衛隊が対処するものです。具体的には、弾道ミサイル等に対する破壊措置、災害派遣、領空侵犯対処措置、いわゆるスクランブル発進、機雷等の除去など幅広い活動が含まれます。
こうした従たる任務に関する活動は、ポジティブリスト方式、つまり、自衛隊の行動や権限について、できることを個別に定める形式で規律されています。これらは、自衛隊による国内に対する警察権の行使であり、ポジティブリスト方式で規律されております。このことは、諸外国の軍隊が同様の警察作用を担う場合においても同じ仕組みとなっています。
ポジティブリスト方式で規律される自衛隊の行動について、具体的な事例を紹介いたします。
まず、スクランブル発進についてです。
国際法上、領空侵犯を行っている航空機に対しては、警察活動の一環として、領空外への退去、着陸を命じ、従わない場合には強制着陸させることができます。その際、警察比例原則に従う限りにおいて、強制着陸をさせるための威嚇射撃等を行うことも認められております。自衛隊法八十四条では、領空侵犯に対する措置として、必要な措置を講じることができるとされ、正当防衛、緊急避難の要件に該当する場合には、必要な措置に武器の使用も含まれるとされています。
次に、機雷の除去についてです。
国際法上、武力攻撃の一環として敷設された機雷を除去することは武力行使に当たる一方、遺棄された機雷のように、どの国からもいかなる権利の主張も行われることのない機雷については、これを航行の安全確保のために除去することは武力の行使に当たりません。我が国においても、遺棄された機雷など、外国による武力攻撃の一環として敷設されているのではない機雷の除去については、我が国の船舶の航行の安全確保のために、自衛隊法八十四条の二に基づき、自衛隊が警察活動の一環として除去することが可能となっています。
また、PKOにおける武器使用も、ポジティブリスト方式で規律されているものの一つです。
我が国では、PKOの活動への参加に当たり、当然、正当防衛又は緊急避難の場合には自己保存型の武器の使用が認められています。これに加えて、任務地において警護やパトロールを行う安全確保業務や、緊急の要請に応じて活動関係者の保護を行う駆けつけ警護に従事する自衛官には、任務遂行のため、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度での武器の使用、すなわち任務遂行型の武器の使用も認められています。このように、二〇一五年の平和安全法制などの整備により、PKOにおいても必要かつ十分な武器の使用ができるようになっています。
以上、自衛隊の活動のうち、ポジティブリスト方式で規律されているものについて、具体例を挙げながら御説明をいたしました。
今後も本審査会において、憲法九条に関して論点整理を行うなど、憲法改正の実現に向けた歩みが進展することを期待いたしまして、私の発言を終わります。
ありがとうございました。
○下村委員 自民党の下村博文です。
今の本田委員の発言に沿って、重ねて発言を申し上げたいと思います。
軍隊の行動については、諸外国では一般的に、してはいけないと列挙されていること以外はしてもよいというネガティブリスト方式で規律されております。これに対して自衛隊は、してよいこととして列挙されている権限のみを行使できるというポジティブリスト方式で規律されていると指摘をされていることがしばしばあります。
確かに、自衛隊創設以来、これまで防衛出動が下命されたことは幸いにして一度もありません。そのため、自衛隊は、ポジティブリストで行動してきたことは事実であります。しかし、いざ防衛出動し、武力を行使する際には、自衛隊も自衛隊法八十八条の規定に基づいてネガティブリスト方式で行動することになっているということについて、改めて整理して申し上げたいと思います。
まず、ネガティブリスト方式とは、そもそも軍隊は国と国民を守るためであれば原則として何でもできる権限が与えられている、ただし、例外的に、個別的に列挙される制限事項についてだけは行うことができないと位置づけられているものであります。そして、その権限事項としては、国際法による規制、例えば、非軍事目的に対する攻撃の禁止や、捕虜、文民の取扱いに関する規制などが挙げられております。逆に言えば、こういった制限以外の事項は国を防衛するためには何でもできるということでもあります。
外国からの武力攻撃があった場合の自衛隊の対応について、具体的条文に当たりながら説明をさせていただきたいと思います。
外国からの武力攻撃があった場合に、防衛出動が下命された自衛隊は必要な武力行使を行うことになりますが、その根拠は自衛隊法八十八条になります。まず、第一項で、防衛出動を命じられた自衛隊は、我が国を防衛するため、必要な武力を行使することができるとされ、第二項では、事態に応じて合理的に必要と判断される限度を超えない限り武力を行使することができるとされております。その上で、同じ第二項では、武力行使に際しては、国際の法規及び慣例を遵守しなければならないともされております。
このように、自衛隊は、外国からの武力攻撃があった場合、我が国の存立と国民の生命財産を守り抜くために必要かつ十分な武力行使は原則として何でも可能であり、できないことは国際法上できないことのみに限られているということであります。諸外国の軍隊と全く同様の典型的なネガティブリスト方式となっているということが御理解いただけると思います。
なお、防衛出動時においても、自衛隊法に適用除外規定がない限り、一般法の規制は自衛隊にも原則そのまま適用され、結局は、国と国民を守り抜くための武力行使は原則何でも可能とは言えないのではないかという指摘をいただくことがあります。例えば、自衛隊法百六条では、自衛隊の行う火薬類の製造、貯蔵、運搬、消費その他の取扱いについて火薬類取締法の規定を適用しないこととなっており、こうした個別の適用除外規定がない限り、武力行使を行う自衛隊に対しても通常どおりの規制がなされるのではないかという疑問であります。
しかし、こうした適用除外規定が妥当するのは、あくまでも戦闘行為以外の場面と解されております。すなわち、防衛出動の下命がなされ、自衛隊が武力を行使するといった戦闘行為の場合では、先ほど申し上げた自衛隊法八十八条が優先的に適用されますので、適用除外規定の有無は関係ないということになります。このことは政府答弁でも明確に述べられております。
以上、自衛隊も防衛作用としての活動の際には法制度上もネガティブリストで行動することができるということについて申し述べました。このことは大変重要な点でございますので、憲法審で更に議論を深めていただくことが必要であるということを申し上げて、私の発言を終わります。
以上です。
○古屋会長 以上で予定していた時間が経過いたしました。
これにて討議は終了いたしました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午前十一時二十二分散会

