衆議院

メインへスキップ



第12号 令和6年4月16日(火曜日)

会議録本文へ
令和六年四月十六日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      黄川田仁志君    小寺 裕雄君

      鈴木 英敬君    橘 慶一郎君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      土井  亨君    中川 郁子君

      橋本  岳君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    堀井  学君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      城井  崇君    坂本祐之輔君

      中谷 一馬君    福田 昭夫君

      早稲田ゆき君    足立 康史君

      赤木 正幸君    伊東 信久君

      伊佐 進一君    浮島 智子君

      高橋千鶴子君    田中  健君

    …………………………………

   内閣総理大臣       岸田 文雄君

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   厚生労働副大臣      浜地 雅一君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   林  伴子君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            小宮 義之君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長)            熊木 正人君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    有馬  裕君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 中村 英正君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   寺岡 光博君

   政府参考人

   (財務省理財局次長)   湯下 敦史君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           宮崎 敦文君

   参考人

   (日本銀行理事)     清水 誠一君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  谷川 とむ君     鈴木 英敬君

  赤木 正幸君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 英敬君     谷川 とむ君

  足立 康史君     赤木 正幸君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として日本銀行理事清水誠一君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府政策統括官林伴子さん、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、外務省北米局長有馬裕君、財務省大臣官房審議官中村英正君、財務省主計局次長寺岡光博君、財務省理財局次長湯下敦史君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己君及び同じく宮崎敦文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより内閣総理大臣出席の下、質疑を行います。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。藤丸敏君。

藤丸委員 おはようございます。

 総理、訪米お疲れさまでございました。

 バイデン大統領との首脳会談、議会での演説、大歓迎の様子を拝見いたしました。同行取材の峯村君が、日米同盟の意義が大きく変わった、日本周辺から広く世界の平和を守っていくビジョンへと言っておりました。また、テレビで、ポール・サイモンのアメリカに架ける橋、本当は明日に架ける橋、YOASOBIの最強で最適のアイドルと拝察いたしました。

 そして、余談ですが、総理肝煎りの資産倍増計画、新NISAも順調で、四万円もつけました。次のDC、iDeCo改革もお願いいたします。

 第一問、早速ですが、訪米についての所感を一言お願いいたします。

岸田内閣総理大臣 今回の公式訪米に際しましては、世界が歴史的な転換点にある中にあって、日本とアメリカ、グローバルなパートナーとして、どのような未来を次の世代に残そうと考えているのか、そして、そのために日米は何をしなければならないのか、こういった点について、未来に向けてのメッセージを国の内外にしっかり示したい、こういった思いで臨んでまいりましたが、日米首脳会談、あるいは連邦議会での演説等を通じて、そういった思いを国の内外、世界に向けて発することができたと感じています。

 あわせて、今回は、日本の総理大臣として九年ぶりの国賓待遇での訪米ということでありました。非公式の夕食会、公式晩さん会、歓迎式典、特別な行事も催されました。あわせて、日米比三か国の首脳会談も初めての開催となりました。結果として、バイデン大統領とは合計九時間、時間を共にする、こうした日程でありました。

 こうした時間を通して、現在の国際情勢の下で日米が取るべき戦略、なすべき施策、率直な意見交換を通じて首脳レベルでのすり合わせもできたと感じております。

藤丸委員 ありがとうございました。

 次に、子供、子育てにつきまして。

 まず、財源の問題がよく言われます。税か保険かという議論があります。岳先生の年表にもありますように、初めは消費税でありました。しかし、三・六兆円もの大きな財源であります。

 そもそも、税は、行政の徴税権により、反対給付、前提なしに徴収するものです。保険は、律令の五保の制や、鎌倉からの頼母子講、仲間でなけなしのお金を積み立てておいて、困った人を助けるというのが源流です。そして、ビスマルク労働三保険で労使折半ができ、今日の制度ができ上がっております。子供、子育てを社会全体で支えるという趣旨で、保険制度の上に支援制度を置くことは、理にかなっていると思います。

 そこで、支援金の負担はどうなっているのか、負担と給付の再配分についてです。

 資料の一ページ、これはこども家庭庁の資料を逆からつけているだけです。だから、一ページはスキームですね。赤で内・公費の部分を、大体こんなものだろうというふうに書いておきました。書き出しております。

 二ページ目は、これは加入者一人当たりの月額平均、よく議論を先生もされておりましたが、これに、下の注のところがもっと詳しいのが出ておりますので、確認されていると思いますけれども。

 三ページ、これは年収別の支援金額です。

 ちょっと飛びますけれども、八ページ、九ページが外から取ってきたやつなんですが、八ページは、保険料が違うということでよく政府が言っておりましたが、これは政府管掌の協会けんぽのものです。これは都道府県別に決まりますから、大体、中小企業中心ですから、余りばらつきはないです。一〇%前後で動いていると。

 その次のページ、九ページが、これは健保組合の料率ですので、いい組合というか、出費が少ない組合とそうじゃない組合では全然違ってきて、少ないのは三十何%という保険料率、見るとばらつきがあるので、なかなか簡単に出せないと言っていたのだと思います。

 そこで、ページをめくってきましたが、加藤大臣に、要点、ポイントだけで結構ですので、お願いいたします。

加藤国務大臣 支援金の具体的な拠出額につきましては、医療保険者に納付いただく子ども・子育て支援金の総額を、一定のルールに沿って、医療保険者ごとに按分をし、その上で、各医療保険制度ごとの賦課方法により算定をされます。

 具体的に申し上げますと、支援納付金の按分は、後期高齢者医療制度とそれ以外では保険料負担に応じて、そして、被用者保険と国民健康保険につきましては加入者数に応じて、そして、被用者保険の間では総報酬に応じて行うこととしてございます。

 こうした按分をする結果、三月二十九日にお示しをした医療保険制度ごとの加入者一人当たりの支援金額の試算としましては、令和十年度におきまして、全制度平均で月四百五十円、被用者保険につきましては月五百円、国保につきましては月四百円、後期高齢者医療制度につきましては月三百五十円となる見込みでございます。なお、医療保険制度全体の保険料額を示す場合は、加入者一人当たりで統一して示すことが一般的でございます。

 また、四月九日には、被用者保険について、年収別の支援金額を機械的に計算をし、年収二百万円の場合の月三百五十円から、一千万円の場合の月千六百五十円までをお示ししておりますが、加入者一人当たり平均が月五百円であることに変わりはございません。

 また、昨日四月十五日にお示しをした国保と後期高齢者医療制度についても、加入者一人当たりの平均がそれぞれ月四百円、月三百五十円であることに変わりはございません。

 これまで申し上げてきているとおり、個々人の拠出額は負担能力に応じたものになってございます。これにより、年収が高く負担能力のある方に相応の拠出をいただくことで、負担能力の小さい方の拠出を抑えることができます。また、拠出額が大きい方につきましては、歳出改革による社会保険負担軽減効果も基本的に大きくなります。

藤丸委員 続いて四ページです。

 慶応の権丈先生がよく言っているんですが、若い世代に負担が集中するのではないかという、この表でございます。

 そうすると、この表を見ると、これは入っていないんですが、百万から八百万までの間は現状では給付の方が多い、負担より給付が多いと出ています。これに今度子育て支援金が乗るわけでございますので。

 次の五ページについて説明をお願いします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金制度は、今般の加速化プランの給付拡充を支える安定財源の一つとして、全世代、全経済主体が子供、子育て世帯を支える仕組みでございます。

 具体的には、給付面で申し上げれば、児童手当の拡充などに支援金を充てることで、子供一人当たり、ゼロ歳から十八歳までの間、平均約百四十六万円の給付拡充を受けることとなります。また、現行の平均的な児童手当額も加えますと、子供一人当たり平均約三百五十二万円の給付を受けることとなります。

 このように、支援金は、全世代、全経済主体に負担能力に応じた拠出をお願いをしつつ、子育て世帯への経済的支援の充実等に充てるものであり、適切に所得を再分配する仕組みと考えてございます。

 なお、加速化プランには、支援金を活用した給付以外にも、児童扶養手当の拡充ですとか、また子供の貧困対策、こういったものも盛り込んでおりまして、更に所得再分配機能は強化されるものと考えております。

藤丸委員 これで終わりますが、最後に、最後の二ページ、これは、岸田総理の政策の賃上げ税制の効果が出ているのをここに示しています。十ページは、令和五年度も入っていますので、四年から五年にぐっと上がっています。三年から四年も、賃上げ税制で、けんぽの月収が上がっている。最後に国税の資料もつけておきました。国税も、三年、四年、五年、六年と上がっていきますので、給料が上がっていくというのを示したものでございますので。

 それと、最後に、小一の壁の問題もよろしくお願いします。

 あと、日本版ライドシェアが始まり、期待しているところです。

 終わります。

谷委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一でございます。

 総理、本日は、訪米直後、大変にありがとうございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今回の議論は、どちらかといえば負担、つまり、子ども・子育て支援金、こちらの議論に焦点が当たったわけでありますけれども、給付についても更に厚みがある議論ができれば更によかったんだろうと。これは今後の議論でしっかり行っていきたいというふうにも思っているところでございます。

 その上で、この子ども・子育て支援金制度について、政府が御説明をしてきた法的性格、また給付と負担の関係からしても、これは、今後、我が国が少子化対策に明確な結果を出していくことが極めて重要となってまいります。その意味で、政府は、二〇三〇年代に入るまでの六、七年がラストチャンス、また対策は待ったなしということで、こういった政府の御答弁、また参考人の方々からの御意見も度々あったところでございます。

 であるならばということで、まず総理にお伺いいたしたいと思いますが、今後三年間の加速化プラン、その後継に位置づけられる第二のプランも大変大事になってくるんだろうというふうに思っているわけでございます。この今申し上げた第二のプランの策定について、可能な限り早期に着手をすべきだ、待ったなしということでありますので、着手をすべきだというふうに考えますし、また、その際、子供、子育て予算倍増に向けた安定財源についても、これは幅広い手段を検討して、できることならば、与野党を超えた幅広い合意を得た上で、給付の議論も深めていくことも大変重要なのではないか、このように思っているわけでありますけれども、是非総理の御見解をいただきたいと思っております。

岸田内閣総理大臣 今回の加速化プランですが、委員のおっしゃる給付という部分につきましても、児童手当の抜本的拡充、高等教育の負担軽減、保育所の七十六年ぶりの配置改善、児童扶養手当の拡充など、長年指摘されながら実現しなかった、こういった施策を数多く盛り込んでいます。

 少子化対策は二〇三〇年までがラストチャンス、こういった強い危機感を持って、政府・与党がこういった危機感を共有しながら、まずは加速化プランをスピード感を持って実行していく、このことに全力を挙げていきたいと思いますし、あわせて、こうした制度や施策を充実するだけではなくして、それが社会や職場に活用されなければ結果につながりません。社会全体でも子供、子育て世帯を応援する機運を高めていく取組が重要であるということで、社会の構造、意識の改革、これを車の両輪として進めていく、こういったことに注力していきたいと思っております。

 委員御指摘のように、第二のプランという言葉を使われましたが、子供、子育て政策の充実、これは当然のことながら、加速化プランで終わるものではないと認識をしています。

 ただ、まずは加速化プランの実現に全力を挙げていきますが、それとともにこの効果の検証、これは丁寧に行っていかなければなりません。そして、その上で、更なる政策の内容、予算についても検討していくということで、加速化プランの先についても走りながら検証していく、こういったことで未来を考えていかなければならないと考えます。

河西委員 総理、御答弁ありがとうございます。

 加速をしながら、PDCAを回しながら、そして更に進化をさせていくということで、我が党としても全力を挙げてまいりたいというふうに思っております。

 先般、立憲民主党の皆様から、財源について対案を頂戴をいたしました。これは先般、階議員がここに立たれて御説明をしていただきました。支援金を廃止をする代わりに、日銀が保有をする時価七十兆円程度のETFを政府が簿価、これは三十七兆円でありますけれども、これで買い取って、日経平均株価が三〇%程度下落をしても一兆一千億程度を見込めるだろう、その分配金収入を財源として活用されるという案でございます。

 これまで、所得税や法人税、また金融所得課税など、ざっくりとした税目のお示しはあったんですが、具体的な額がなかったために、その意味で、今回の案、率直に評価をさせていただきたいと思います。

 今日は、建設的な議論のために、まず財務省、日銀にそれぞれ確認をいたしますが、まず財務省にお伺いをいたします。併せてお伺いしますが。

 日銀が保有するETFの分配金収入でありますけれども、これは、日銀法により他の経常利益と同様に必要経費を差し引いて既に国庫納付をされて、既に政府の一般財源として活用されているというふうに考えますけれども、御見解をいただきたい。

 併せて日銀の方にお伺いしますが、今回の案、このETFを政府が簿価三十七兆円で日銀から買い取るということですので、差引き、七十引く三十七、三十数兆円の含み益も日銀から政府に移動をするということになります。これが、日銀の財務体質への見方など、市場に与える影響について見解をいただきたいと思います。

 まず財務省からお願いいたします。(発言する者あり)

谷委員長 御静粛に願います。

湯下政府参考人 お答え申し上げます。

 日本銀行が保有するETFの分配金収入は、例えば、日本銀行が保有する国債の利息収入といった他の収入と同様に、これまでも、日本銀行の収入になった上で、法律上の納付義務規定に基づき、日本銀行からの国への国庫納付金の一部として一般会計の歳入に計上されており、委員御指摘のとおり、既に国の一般財源として活用されているところでございます。

清水参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、仮に日本銀行の保有するETFを簿価で売却する場合には、実現益は発生せず、含み益も残らないことになります。また、その後は、ETFの分配金がゼロとなりますので、日本銀行の収益は下振れることになります。

 その上で、日本銀行では、これまでの大規模な金融緩和の実施に当たりまして、準備金の積立てや債券取引損失引当金の拡充など、財務面の手当てを行ってきておりますが、中央銀行の財務リスクが着目されて金融政策をめぐる無用の混乱が生じる場合、そのことが信認の低下につながるリスクがあります。

 日本銀行といたしましては、引き続き、財務の健全性にも留意しつつ、適切な政策運営に努めてまいりたいというふうに考えております。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 ですので、結局、この一兆円、一般財源の中でつけ替えにすぎないということ、あと、市場の混乱リスクもこれは否定できないということを今明確に御答弁いただきました。

 その上でありますが、これは総理にお伺いします。

 そもそも、先ほどの二点の課題は、それはそれとして、これが安定財源としてふさわしいのかということをお聞きをしたいと思います。

 運用収益を社会保障財源に活用するという意味ではGPIF等が想起をされるわけでありますけれども、これは保険料収入と公費という、いわば安定財源のメインエンジン、これに年金積立金の管理運用を加えた、あくまで更なる安定化を図るもの、私はこう理解をしております。運用収益自体をメインの安定財源とするものではない、GPIFは。

 そこで伺いますけれども、政府として、ETFの分配金収入を特別会計に入れて加速化プランに必要な三・六兆円の三割近くを占める一兆円に充てる案でございますが、責任ある政府として、子供、子育て政策を支える安定財源の在り方としてふさわしいかどうか、これを総理にお聞きしたいというふうに思っております。

岸田内閣総理大臣 御指摘の立憲民主党の提案ですが、これは既に一部の有識者の方からも同様の提案がなされていたと承知をしています。ただ、このETFの分配金収入については、ただいま財務省から答弁がありましたとおり、現状、法律に基づいて、日銀から国への国庫納付金の一部として一般会計の歳入に計上され、国の一般財源として既に活用されているものでありますから、これを仮に子供、子育て財源に充てるとすれば、その分、国の一般財源が不足をし、同額の国債を一般会計において発行する必要が生じるため、これをもって財源と考える余地はないと考えています。

 いずれにせよ、安定財源をしっかりと確保すること、これは若い世代が将来のライフプランを考える上で極めて重要であります。そういった意味から、安定財源をしっかり確保させなければならない、政府としては、歳出改革を中心として、支援金を含め、安定した財源を確保する今回の枠組みについて、今後ともしっかり説明を続けていきたいと考えております。

河西委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄です。

 今日は、早速質問に入ります。

 まず総理、訪米、大変お疲れさまでした。いろいろな成果や課題があったと思います。明後日の本会議の帰朝報告で同僚議員が質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

 さて、国民には実質の子育て増税がされるという中で、そもそもお願いできる環境なのか。まず、大事な裏金問題をめぐる処分について質問をさせていただきます。

 共同通信の世論調査も踏まえ、総理、自らの裏金処分なしに納得しない声、約八割あります。総理、今からでも自らに裏金問題の処分を下すべきではないですか。

岸田内閣総理大臣 今回の事案につきまして、検察の捜査等において刑事責任は尽くされているわけでありますが、政治家でありますので、政治責任について明らかにしなければならない、けじめをつけなければならないということで、党としても、党紀委員会を始め、党の仕組みに従って処分を決定した次第であります。その処分の内容について様々な意見がある、これは御指摘のとおりでありますが、党としては、党の規約に基づいて、そして党の仕組みの中で処分を行ったということであり、この結果については重く受け止めなければならないと思います。

 その上で、私自身の責任という御指摘でありますが、今回の事案によって自民党の政治の信頼を損なう、こういったことに至ったわけでありますから、この点については、自民党総裁として責任を重く受け止めなければならないと考えております。

 だからこそ、政治の信頼回復のために総裁が先頭に立って取組を続けていかなければならないと考えています。今まで、刑事責任に続いて、実態解明、そして政治責任についても問われてきたわけでありますが、何よりも信頼回復のためには、再発防止、国会における法改正を始めとする取組を続けていかなければなりません。こうした取組をしっかりと先頭を切って進めることによって、総裁としての責任を明らかにしたいと考えております。

藤岡委員 リーダーの姿勢として恥ずかしいですね。

 私は、二十歳のときに政治を志し、金融危機がきっかけで志しました。当時の山一証券の野沢社長、私らが悪いのであって社員は悪くありませんからということも語っておりました。こうした姿と比較しても、総理のリーダーの姿勢は本当に恥ずかしいということを私は強く指摘をさせていただきたいと思います。いいです、結構です。

 安倍派五人衆の一人と言われました萩生田前政調会長、不記載は二千七百二十八万円、ランキング三位。総理は、処分基準を示唆するものとして、国会で、政倫審など、説明責任の果たし方などを見極めながら処分などを判断していくと国会で語っておりました。萩生田さん、政治倫理審査会に出席もされませんでした。不明、不明という収支報告書も話題になりました。なぜ、萩生田前政調会長の処分は大甘なんですか。

岸田内閣総理大臣 今回の処分に当たっては、それぞれの議員歴ですとか、派閥における立場ですとか、さらには不記載の額、そして御指摘の説明責任の在り方等、これを総合的に判断したと説明をさせていただいております。

 長年にわたって不記載という慣行が続いたことにおいて、不記載をやめさせることができる立場にあった方の責任、これは大変重たいと思います。そういう立場にあったかなかったか等もしっかり勘案しなければならない等、それぞれ個別に判断をしたということであると理解をしています。

 いずれにせよ、外部の有識者を含めた党紀委員会において、党の手続に従って処分を判断いたしました。この判断を重く受け止めて、政治責任を明らかにし、けじめをつけたいと考えております。(発言する者あり)

藤岡委員 今、えこひいきじゃないかという声も上がりました。本当に、何か見ていて、処分を利用して、総裁選に利用しようじゃないかというふうな雰囲気にしか見えませんね。

 そして、次に、支援金のことで関連しまして、政府の開示されている資料の中で、加入者一人当たり四百五十円、年間五千四百円、五年間で二万七千円。これをはるかに上回る裏金五百万円未満、五百万円。

 総理、裏金五百万円未満を処分の対象にしないということは、何か自民党は五百万円の壁というものがあるんでしょうか。裏金公認と思われても仕方ないんじゃないんでしょうか。

岸田内閣総理大臣 先ほども申し上げたように、長年、不記載という慣行が続いてきた。こうしたことについて、やめさせる立場にある人間とそうでなかった人間、これは政治責任を考える上で一つのポイントになるということが指摘をされました。そして、それと併せて、金額の多寡についても、政治責任を考える上で一つの物差しとなる、こういったことも指摘をされました。

 そういったことから、金額が少額であり、そうした不記載の慣行をやめさせるというような立場にもなかった人間については、処分において差がついたものであると認識をしております。

 いずれにせよ、党の党紀委員会等の手続に基づいて判断したものであります。

藤岡委員 自民党さんには裏金五百万円の壁がある、裏金公認で自民は脱税、国民は増税と言われてもしようがないというふうに私は思います。

 さて、総理、子育て増税と言われる、医療保険に上乗せして徴収される支援金制度、これまで、この間の審議等、いろいろ通じまして、本当に情報開示は小出し、また不誠実、いわば詐欺的とも言える説明が続いてまいりました。

 その中で、総理、一点、まず最初に事業主の拠出の点ですね。総理は、支援金の拠出による企業への影響について、賃上げを抑制したり、非正規雇用を増加させるとは考えておりませんというふうに答弁をされております。しかし、どう見ても賃上げの原資となるものを事業主に拠出させるようなものでありますから、このやり方は賃上げブレーキを踏むことになるのではないですか。総理、いかがですか。

岸田内閣総理大臣 支援金については、実効ある少子化対策の推進、労働力の確保あるいは国内市場の維持の観点から、これはまず極めて重要な受益を企業にもたらすものであると考えています。

 こうしたことから、これまで社会保険制度において事業主が果たしてきた役割や取扱いも踏まえて、事業主にその一部を拠出していただく、このようにしたわけでありますが、歳出改革によって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築する、このことによって実質的な負担を生じさせない、これは、事業主が拠出する分についても同様であります。

 この事業主拠出を求めることが賃金の引上げを阻害したり、あるいは非正規雇用の増加を促したりする、こういったことではないと考えておりますし、一方で、政府としましては、賃上げ促進税制を始め、あらゆる政策を動員して、中小企業を含めて企業における賃上げの促進を進めている、こういったことであります。結果として、この支援金制度が賃上げを阻害する、こういったことにはならないと考えております。

藤岡委員 賃上げの原資となるお金が、当然拠出をするわけですよね。その総理のおっしゃる、いわゆる実質負担ゼロの話も、この数字いじり的な分かりにくい説明に国民は辟易としていますよ。私、今、総理の説明、企業の、中小企業の経営者が聞いたら、もう怒る方がいらっしゃると思いますよ。どうして、事業主のところからお金が、負担して拠出していくのに、賃上げへの影響が、賃上げに対する抑制の効果がないと言い切れるんですか。これ、あるでしょう、総理。

岸田内閣総理大臣 冒頭申し上げたように、そもそも、事業主に対して御負担をお願いする、これは、少子化対策、これを実効あるものにしていくということは、事業主にとっても、労働力の確保、さらには、国内市場、これが維持されるということから考えて、大きな受益となるということがまず基本であります。

 こうした、企業にとっても少子化対策を抜本的に進めることが大きな意味があるということをまず申し上げた上で、こうした制度への協力をお願いしているわけですが、その協力とて、社会保険料負担の軽減効果の範囲内で御負担をいただくということでありますから、実質的な負担はないと申し上げています。

 そして、賃上げに影響があるのではないか、こういった点がありました。ですから、この取組とは別途、賃上げについては、政府が政策を総動員して賃上げを実現する、可処分所得を引き上げていく、こうした政策を進めています。結果として、企業においても賃上げを進めていくことができる環境をつくっていくということを申し上げている次第であります。

藤岡委員 もう全く納得できませんね。賃上げへの影響、それはあると思いますよ、私は。それを認めないというのは、本当にもう情けないと私は思います。

 そして、続きまして、昨日示された子ども・子育て支援金に関する試算、本当にずっと加入者一人当たりで政府はこだわられているんですけれども、赤ちゃんまで含めて何か負担してもらうことを想定してもらうようなデータが本当にずっと出されてきているんですけれども、パネルも用意させていただきましたけれども、総理、昨日、これはちょっと細かい話で、注書きの四というところで国保のまた負担ということが出てきているんですけれども、またこれは加入者一人当たりなんですよ。

 年収四百万円の場合は五百五十円、六百万円の場合は八百円、八百万円の場合は千百円とされておりますけれども、これは加入者一人当たりの数値ですけれども、この政府の試算方法の前提にのっとって、三人世帯、じゃ、四百万円の場合、六百万円の場合、八百万円の場合のそれぞれにおいて、参考となる支援金の負担額、幾らになりますか。是非正直にお答えをいただければと思います。

岸田内閣総理大臣 加入者一人当たりの金額ということで説明することがどうも説明として不適切であるという御指摘のように聞こえますが、しかし、現実を考えますと、保険制度等において実情は様々で、国民健康保険ですとか後期高齢者医療制度では被扶養者が存在しないわけですから、加入者一人当たりと被保険者一人当たりの額、これは違いがない、これはそのとおりでありますが、被用者保険では被保険者が被扶養者分を含めて保険料を払っている。当然、加入者一人当たりと被保険者一人当たり、額は異なるということになるわけですから、これを全部比較するとしたならば、一つ統一した物差しをつくらなければならない。そういったことで、加入者一人当たりという金額、月四百五十円、平均値で示すなど、こういったことを行っているわけであります。

 それで、実際、数字はどうなのかという御質問でありますが、これは、従来から申し上げているように、医療保険制度ですとか収入の多寡ですとか、今申し上げた世帯単位なのか個人単位なのか、このように異なるからこそ、従来申し上げているように、一覧表としてきめ細かく金額をお示しさせていただいているわけであります。

 保険の制度等によってそれぞれ異なることからして、きめ細かく一覧表として示させていただいている。具体的な数字については、その一覧表を是非確認していただきたいと思います。

藤岡委員 通告させていただいているんですけれども、全く今お答えになられていませんね。

 これは、四百万円の場合は五百五十円、六百万円の場合は八百円、八百万円の場合は千百円と。これは、だって、政府のやり方にのっとって、夫婦子一人、三人で考えたときに、単純に、政府は加入者一人当たりでやっているわけですから、三人だったら、これは普通に三倍するということが参考となる数値じゃないんですか。四百万円の場合は千六百五十円、六百万円の場合は二千四百円、八百万円の場合は三千三百円、普通にこの政府の一つの参考となるやり方にのっとれば、こういうふうな機械的な試算になるんじゃないんですか。

 どうしてこういうふうなお答えができないんですか。本当にこの間、ごまかしだらけじゃなくて、正直に、総理、お答えください。

岸田内閣総理大臣 正直に資料としてお示しをさせていただいております。

 それで、その上で、つけ加えておりますのは、その加入者一人当たりの数字、資料から確認をしていただけると思いますが、これは、世帯でまとめて払うということになりますと、その分数字は当然増えるわけでありますが、その際に歳出改革による保険料負担軽減効果も併せて大きくなる、これも併せて申し上げなければなりません。その拠出の額に併せて保険料の負担軽減効果も大きくなる、そして、全体を見たならば、社会保険負担率との関係において負担は増えることがない、このように説明をさせていただいています。

 歳出改革によって財源を捻出する、この考え方は大事だと思います。これは、借金、国債あるいは増税で財源を求めるのではなく、歳出改革を中心に財源を確保するのが大事であり、そして、社会保険負担率というメルクマール、精神論だけではなく数字として示している。そして、それを詳細に示したのが一覧表であります。

 是非、それぞれの負担については数字を確認していただきたいと思いますし、いずれにせよ、その全体において負担増にならないという説明、具体的な数字に基づいて、単なる精神論ではなくして、しっかり示している。この考え方について、これからも丁寧に……(発言する者あり)

谷委員長 御静粛に願います。

岸田内閣総理大臣 説明をさせていただきたいと考えております。

藤岡委員 単純にこれは三倍になりますよね、政府のやり方にのっとれば。それを聞いているだけなんです、三人世帯の場合。三人世帯の場合の負担は幾らですかとお聞きしているだけなんですよ。それをお答えください。

岸田内閣総理大臣 全体として、社会保険負担率との関係において負担は増えないということを申し上げています。

 そして、個別にいろいろ御指摘がある、これはそのとおりでありますが、今御指摘のように、三倍になるのではないか、要は、国保世帯のうち六百万であるならばその三倍になるのではないかという御指摘でありますが、これは、まず、国保世帯のうち被用者世帯、これは約三割です。年収五百万以上は四・五%、三人以上の世帯は約一割、こういったことから考えますと、御指摘のようなケース、これは国保全体のうちの〇・一%であります。

 しかし、でも、全体として平均的な姿、これは、個々、一世帯当たりの平均支援金額、これは大きな公費投入により個々人の拠出額が抑えられる結果、これは月六百円となるということを申し上げております。そういったことで、全体として負担の増にはならないという説明をさせていただいています。

 こうした一つの基準を設けて、国民の皆さんに、負担が増えないということはどういうことなのか、これを丁寧に説明をさせていただいています。これをこれからも丁寧に説明していきたいと考えています。

藤岡委員 御指摘のとおりということですから、これは三倍だということですから、是非一覧表にして、この三倍になる数値、資料を求めたいと思います。委員長、よろしくお願いします。委員長にお願いします。

岸田内閣総理大臣 極めて限られた例を取り上げて御指摘になりたいのかもしれませんが、先ほど申し上げた例につきましても、国保全体の〇・一%の例にすぎないということであり、全体の平均として負担は増えないということ、この理屈については従来から何度も繰り返し説明をさせていただいております。その理屈において、ルールにおいて負担は増えないということ、これは、これからも説明として変わることはありません。

藤岡委員 本当にもう総理の説明はごまかしのオンパレードでありました。

 最後に、歳出改革により、増えた三千四百億円を控除もされているので、本当に、実質負担ゼロという説明も粉飾をされているということを指摘させていただきまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、一谷勇一郎君。

一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。

 本日、どうぞよろしくお願いをいたします。

 総理は、二〇三〇年に入るまでに少子化傾向の反転ができるかどうかのラストチャンスとおっしゃいます。これは、鼓舞される意味もありますが、反転しなかったらどうなるかという議論がないことを踏まえると、私は大変恐怖感も感じております。

 そこで、総理に御質問をさせていただきたいんですが、一旦、支援金制度が創設されれば、少子化対策の拡充のために支援金の規模が拡充していくものと考えます。少子化対策のためにこども家庭庁の予算の倍増ということもうたわれていますが、総理の今後のこの支援金の規模拡大に対しての考えをお聞きいたします。

岸田内閣総理大臣 児童手当あるいはこども誰でも通園制度など、支援金が充てられる事業、そしてその充当割合、これは法定化されているため、そもそも政府が支援金の総額や使途を勝手に増加させられるものではないと考えています。

 そして、今般提出された法案において、附則第四十七条において、支援金の導入によって社会保障負担率は上がらないということ、これを具体的にお約束するとともに、附則第四十九条において、被用者保険の支援金の料率の上限を定めるときに附則第四十七条の規定の趣旨を考慮しなければならない、このようにしております。

 こうした現状を考えますと、附則四十七条に違反して支援金の料率を政府が勝手に引き上げる、こうしたことはないと考えています。

一谷委員 勝手に増やすことはできない、国会審議が必要だということなんですが、先ほどの質疑の中で加速化プランは走りながら考えていくということで、エビデンスが今少ない中、根拠も出てきて、これをやれば少子化反転に効果がかなりあるということが分かれば、これは、歳出削減の中だけで今サービスをつくっていますが、その歳出削減の中だけではサービスを充当できない、サービスが出せないということになってくると、支援金を上げていかないといけないというふうになると思うんですが、それはどうでしょうか。加速化プランを進めながら根拠が出てきて、今後。

岸田内閣総理大臣 まず、現状においては、先ほど申し上げたように、支援金というのは勝手に上がるものではありません。そして、将来において更なる効果的な対策、政策、これが議論されるということ、これは当然あることだと思いますが、それはそれで、また国会において、それを支えるためにはどうあるべきなのか、こういう議論が行われることになると思います。

 いずれにせよ、今、この法律を審議、お願いしている中にあって、この加速化プラン、三・六兆円、これを実施するためにこの支援金制度を用意したい、そして、それについて説明をさせていただいている、この範囲内で是非まずはこの加速化プランを実行させていただきたい、こういったお願いをさせていただいている次第であります。

一谷委員 私は、やはり、サービスの積み上げによって予算をつくるべきではないかと思うんですが、今回、三・六兆円という予算が確保できたから、その範囲内だけでサービスをつくっていくということになると、なかなかこれは反転の効果というのは薄らぐのではないかなというふうに思いますので、質問をさせていただきました。

 それでは、次の質問をさせていただきます。

 厚生労働大臣は、医療保険等に応能負担の考え方を導入していくとおっしゃっていますが、支援金についても、今後、同じような、同様の考え方でいくのかということを総理にお伺いをしたいと思います。

岸田内閣総理大臣 医療保険制度を含め、社会保障制度の持続可能性の観点から、全ての国民がその能力に応じて負担し、支え合う全世代型社会保障の構築は重要であり、御指摘の厚生労働大臣の答弁は、こうした方向性について申し上げたものであると承知をしています。

 支援金は、医療保険料と併せて徴収するものであり、医療保険制度に準じて負担能力に応じた仕組みとしています。このため、医療保険制度において応能負担を徹底する観点から、保険料の賦課徴収を見直す場合には、支援金も同様の取扱いをすることが基本になると考えております。

 いずれにせよ、そういった考え方について、支援金についても取り扱っていきたいと思います。

一谷委員 今の答弁ですと、医療保険に準じるということでよろしいんでしょうか。やはり、資産課税も考慮するという記載があるんですが、どうしても今の構造ですと若者に負担がかかってくる。考えると資産がやはり少ない若者に負担をなるべくかけないように、この資産課税も今後考慮していくということが必要だと思うんですが、もう一言、総理のお考えをお願いします。

岸田内閣総理大臣 税との関係についての御質問ですが、昨年末にこども未来戦略でお示ししたとおり、少子化対策の財源確保のための消費税を含めた新たな税負担、これは考えておりません。

 そして、若い世代の負担軽減を図るためにも税構造を見直すべきであるという御指摘だと聞きましたが、若い世代の所得を増やしていくことは重要であり、こども未来戦略においても、児童手当の抜本的拡充、出産育児一時金の大幅な引上げ、出産・子育て応援交付金、育児休業給付の充実、こうした長年指摘されながら実現できなかった経済的支援の強化についても、これは歳出面から抜本的に取り組んでいく、このようにしており、若い世代の可処分所得を増やしていく、こういった取組はしっかり進めていきます。

 一方で、税構造全体の話については、これは、公平、中立、簡素の観点から、絶えず、税制はどうあるべきなのか、こういった議論は行っていくべきであり、その際に、若い世代の負担はどうあるべきなのか、こういった議論が行われる。こういった議論は絶えず行われるべきであると考えております。

一谷委員 今、絶えず行われるべきだということだったんですが、やはり、消費税を今回考えないということについては、なぜそういったことになっているのかということを、総理のお考えをお聞かせいただけたらと思います。

岸田内閣総理大臣 これはまさに御党の基本的な考え方にも一致すると思いますが、やはり、新しい政策を実行する、その際に財源を考えなければならない、しかも安定的な財源を考えなければならないという際に、まず借金、国債に頼るとか、まず増税に頼るというのではなくして、まずは歳出改革を最大限努力をし、その歳出改革によって削減された予算の範囲内で新しい政策の財源を考えていく、これがまず第一に考えるべき考え方であるということで、今回、この支援金制度についても考えているわけであります。

 そういった考え方に基づいて今回の制度をつくったわけであります。よって、消費税増税等について考えるのではなくして、今説明させていただいている制度を用意したということであります。

一谷委員 もう時間もありませんので、最後、意見を述べて終わりますが、歳出改革はよく考えられていると思いますが、やはり歳入改革が必要ではないかというふうに私は強く思います。今後やっていかないといけないのは、やはり税の構造改革、歳入改革、そして負担構造の改革だということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 誠にありがとうございました。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 総理、簡潔にお答えをお願いいたします。

 最初に、理念を一つだけ伺いたいと思います。

 子育て真っ最中の世帯への支援、こども大綱に基づくこどもまんなか社会、そして若者応援、いずれも少子化対策に役立つとは思うし、関連してはいると思うんです。だけれども、それぞれの独自の意義、目的があると思います。それは、それでよろしいでしょうか。つまり、子供を持たない家庭もあり、結婚しない若者もいる、LGBTQなどジェンダーの多様性がある。そうした人たちが生きづらい社会であってはならないと思いますが、総理も共有できますか。そのことを確認した上で、今度の法案の目的は少子化対策ですか。お願いします。

岸田内閣総理大臣 加速化プランは少子化対策として今後三年間で集中的に取り組む施策を取りまとめたものでありますが、子供の貧困や虐待防止といった多様な支援ニーズの対応についても盛り込んでいます。

 昨年末閣議決定したこども未来戦略において、「こどもたちがいかなる環境、家庭状況にあっても、分け隔てなく大切にされ、育まれ、笑顔で暮らせる社会の実現を図る。」とされているとおり、これらは少子化対策以外の意義や目的にも資するものであると考えています。

 今回の法案は、こうした加速化プランの実行のための中核になるものであると考えております。

高橋(千)委員 それぞれ、以外の目的にも資すると。だから、少子化が中心ということですよね、おっしゃっているのは。

 私、ちょっと、ずっとこれがもやもやしていて、だから、子供に対するいろいろな施策、あるいは若者に対する施策、それぞれあるんだけれども、加速化プランに集中することで予算とか国の方向がどうなるんだろうか、そのことにずっと疑問を持っておりました。だとしたら三倍頑張らなきゃいけない、こういうことに単純に言うとなると思うんですね。

 それで、次の質問に行きます。

 実質負担増はないと総理がおっしゃいました。私はそこに無理があると思うんです。支援金は明らかに負担増です。社会保障の歳出改革とは自己負担増の側面もある、これは既に内閣官房が私の質問に対して答えています。むしろ、三兆六千億円の新たな予算をやるのに、負担がないと言うからおかしなことになるんじゃないでしょうか。

 そもそも、国の存続に関わる大事な問題だから、それなりに負担をしてもらいますとなぜ堂々と言えないのか、子育て予算倍増という目標があって、その差引きから出てきた金額ありきなんじゃないですか。

岸田内閣総理大臣 まず、少子化の進行、これは危機的な状況にあり、個々人の結婚や子育ての希望の実現を阻む障壁を取り除いていくための総合的な対策として、必要な事業費を積み上げ、三・六兆円の加速化プランを取りまとめました。これは、予算額ありきという御指摘は当たらないと考えています。

 その上で、これは先ほども少し触れさせていただきましたが、新たな政策を掲げ、そのために歳出を増やすには、増税か国債発行ではなく、既存の歳出の改革が重要であると考えています。既存の歳出を削る一方で、その際、削減した歳出の範囲内で新たな政策の支出に回す、こうしたことを行えば、国民に新たな負担を求めないということになります。

 ただ、これは抽象論で、頑張りますというだけでは説得力がないわけであります。具体的なメルクマールを設けなければならない、そういうことで、支援金の導入に社会保障負担率は上がらない、こういったことを示し、国民に新たな負担を求めないことのあかしとしてお約束する、こういった制度を考えた次第であります。

 こうした支援金の仕組みについて、国民の皆様に御理解いただけるよう、引き続き説明を尽くしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 それがまやかしだと言っているんですよ。先ほど、藤岡委員の質問に対して、国保は世帯で保険料を取るんだから三倍になるんでしょうというのは、当たり前の質問なんですよ。そうですと言えばいいのに、何で言えないの。十八歳未満は均等割のことがあるから若干少ないですと、それを説明すればいいだけの話なんですよ。それを何で言えないのか。レアケースだから、四百万の人は一割しかいません、それより上の人は〇・数%しかいません、そういうふうに言うから。

 逆に言うと、じゃ、今日配っている資料の一枚目に言っているように、所得が低い人が圧倒的に多い国保の平均、全体で割った平均と、被用者保険の平均とを比べて、国保の方が支援金は安いよねなんて言っても何の意味もないんですよ。何の意味もありません、そういう比べ方は。それに対して、いやいや、社会保障の歳出改革とセットだから大丈夫って、じゃ、国保のそういう人たちに対する、相対する社会保障の充実があるのか、そこはないでしょうが。そこも証明をしないで、抽象的な議論ではないなどということは断じて認められないと思います。

 残念ながら時間が来たので、これで終わります。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。よろしくお願いします。

 総理は、少子化傾向を反転できるかのラストチャンスだと今回明言をしております。子育て支援はもちろん大事でありますし、誰もが賛同するところではありますが、支援金をつくった場合、我々の将来がどのようになるのかということがまだ示されていないかと思います。

 その上で、子供、子育て支援のKPIというのはどうなっているのか。やはり、重要目標達成指数、KGIは、私は、最終的には、出生率をどうするのかということを総理が明確に示し、そして私たちに訴えることだと思っています。

 少子化傾向の反転というのは何で評価すればいいのか、伺います。

岸田内閣総理大臣 加速化プランは、若い世代が希望どおり結婚し、子供を持ち、安心して子育てできる社会を目指すものであり、本法案はその中核を成すものであります。

 そして、子供、子育て政策のKPIについては、既に、こども大綱で政策全体に係る数値目標を含めた指標を設定しています。今後、加速化プランに盛り込まれた施策を含め、具体的施策の進捗状況を把握するための指標を、本年六月をめどにまとめるこどもまんなか実行計画で設定することとしております。

 そして、委員の方から出生率について御指摘がありましたが、結婚、妊娠、出産、子育て、これは個人の自由な意思決定に基づくものであり、政府として、出生率そのものを数値目標とする、これは適切ではないと考えております。若い世代の結婚、妊娠、出産、子育ての希望と実現の差を埋めていくことにより、結果として出生率が向上していくことを目指していく、これが政府の基本的な考え方であります。

田中(健)委員 二〇二〇年には、少子化大綱において、結婚したい人が全て結婚し、そして産みたい子供が全て生まれたとき、まさに今総理が言った、それを実現すると言いましたけれども、その出生率を一・八というふうに定めて目標としています。やはり、これをまず実現するんだという思いを是非私は訴えてほしいと思います。

 今、もろもろ言いました。確かにKPIはたくさんあるんですけれども、結果、それがどうなったかというのが判断できないと、私たちもその評価というのができないんだと思うんですが、いかがでしょうか。

岸田内閣総理大臣 これは先ほど答弁させていただきました、こども大綱で掲げたKPIですが、例えば、数値目標、「「結婚、妊娠、こども・子育てに温かい社会の実現に向かっている」と思う人の割合」、現状は二七・八%ですが、これを七〇%を目指そう、あるいは「「自分の将来について明るい希望がある」と思うこども・若者の割合」、現状は六六・四%ですが、これを八〇%を目指す。さらに、数値だけではなくして、合計特殊出生率、あるいは五十歳時点の未婚率、また、いずれ結婚するつもりと考えている未婚者の割合、夫婦の平均理想子供数、予定子供数、若年層の平均賃金、また男性の育児休業取得率、こういった指標を示しています。

 こういったものを通じて全体の進捗状況を把握していく、こういった姿勢は重要であると考えております。

田中(健)委員 その重要性は私も否定をしないんですけれども、少子化がどういうふうに反転したかというのがそれでは分からないということを言っているわけです。

 是非、少子化傾向を反転させると言ったんですから、じゃ、どういうふうに少子化が反転したかというのを、そして今の掲げた様々な政策が本当に少子化に寄与しているのかということが分かるのは、私は、明確に、KGIというのは達成指標ですから、指標を出生率にすべきだということを改めて訴えたいと思います。

 時間がありませんので、最後、子ども・子育て支援金においては、歳出削減、先ほども何度も出ていました、大事だ大事だと言っていました。しかし、具体的な数字が出てきていません。それが前提となっているのに出てきていないのは問題だと感じるとともに、今必要なのは、現役世代の社会保険料負担をどう減らすかということです。そして、手取りをどう増やすかです。ですから、今回の歳出削減は、本来は、まず現役世代の、働く世代の社会保険料負担をそれで減らしていくということにつなげていくのが筋ではないかと思うんですが、総理の見解をお伺いします。

岸田内閣総理大臣 今回の取組によって、子供、子育て世帯は、児童手当やこども誰でも通園制度など給付の充実が図られます。結果として、子供一人当たり、ゼロ歳から十八歳までの間に平均百四十六万円の経済的な支援の強化を受ける、このようにしております。これによって若い世代の所得を増やし、結婚、子育てを確実に応援していくものになると考えています。

 支援金制度を導入しなかった場合、まず、こういった政策の抜本的な強化、これは図ることができなくなるわけでありますし、現役世代の可処分所得の向上、これはもちろん重要な課題ではありますが、少子化が危機的な状況にある中にあって、今申し上げた経済的支援を強化することと現役世代の可処分所得の向上、これはバランスを持って適切に対応すべき課題であると考えております。

 可処分所得の向上については、全体の賃上げの底上げあるいは所得減税の実行など様々な政策を総動員していく、一方、子育て政策についても、今申し上げたように、しっかりと充実を図っていく、このバランスが重要であると考えています。

田中(健)委員 時間となりました。

 ありがとうございました。

谷委員長 これにて内閣総理大臣出席の下の質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。御苦労さまでした。

 質疑を続行いたします。福田昭夫君。

福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。

 少子化の大きな原因となっている非正規雇用、少子化を悪化させている消費税、年収の壁など、抜本的な問題解決がないことは非常に残念ですが、給付の内容は今までよりも充実することはよいことだと思っております。

 しかしながら、医療保険に上乗せして強制的に徴収する支援金は、全く評価に値しません。私がこれから具体的な税財源論を提案をいたしますので、是非、政府の決断を求めたいと思っております。加藤大臣始め答弁者は簡潔にお答えください。

 まず一つ目、我が国の経済財政状況と子ども・子育て支援金の問題点について質問をいたします。

 一つ目は、岸田総理はデフレから完全脱却すると宣言しておりますけれども、どういう状況になったらデフレ脱却宣言を行うのか。例えばGDPのデフレーターが二年連続してプラスになったら判断するのか。教えてください。

林政府参考人 お答え申し上げます。

 政府として、デフレ脱却とは、物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがないことと定義しておりまして、現在、我が国経済は、デフレではないが、再びデフレに戻る見込みがないとまでは言えず、デフレ脱却への道はいまだ道半ばであると認識しております。

 再びデフレに戻る見込みがないことを判断するに当たっては、様々な指標を幅広く見て、丁寧に見て適切に判断してまいりたいと存じます。

福田(昭)委員 結局、デフレ脱却したと言えないんですね。だって、既に、二〇二二年、二三年とデフレーターが二年連続プラスになっているじゃないですか。今年もまた物価は上がっているんですよ、どんどん。ですから、デフレになるということをちょっと予想できないじゃないですか。

 ですから、残念ながら、岸田さんの、私のときにデフレ脱却した、こう言いたいというために宣言しないんじゃないか、私は本当にそういうふうに思っております。

 では、二つ目ですけれども、二つ目、我が国は、国、地方を合わせて千二百八十五兆円の公的債務を保有しておりますけれども、財政破綻の危機にあるのか、どうぞ教えてください。

寺岡政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の政府債務残高は対GDP比で世界最悪の水準にありますが、これまで、家計の金融資産や経常収支の黒字等を背景にして、大量の国債の大部分を国内で低金利かつ安定的に消化してきてございます。

 このため、現在、我が国は財政破綻の危機に陥っているとは考えていませんが、一方で、今後もこれまでと同様の環境が継続するといった保証はない中で、一たび財政の持続可能性の信頼が損なわれれば、金利の上昇等を通じ利払い費が大きく増加することや、市場からの国債発行を通じた資金調達が困難となる可能性があることなど、財政面においても重大な影響が及ぶと考えてございます。

福田(昭)委員 いつもそうやって脅していたんじゃ駄目ですよ。だって、金利が上がることは上がるけれども、国民の今度は利子も増えてきたりして、いろんな人たちの利子も増えてきたりして、経済は何も国債だけで動いているわけじゃないからね。

 だから、そういう意味では、お金はちゃんと回っているので。しかも、後で申し上げますけれども、日本の国の金融資産は九千五百兆円もある。ですから、そう簡単に一千二百八十五兆円の公的債務で財政が破綻するような危機にはありませんし、しかも、発行している国債は全て円建てじゃないですか。自国の通貨建てで発行している国で、国際収支は、経常収支、一九八〇年から四十年間も黒字です。これが赤字になっていけば、それは分かりませんよ。しかし、まだ赤字になるような見通しはなさそうでありますから、そんな簡単に財政破綻の危機にあると脅していたのでは駄目だというふうに思っております。

 次、三つ目でありますけれども、三つ目は、支援金は保険の範囲を逸脱している上に、本年、六年に一度の医療報酬それから介護報酬の見直しの年になっております、改定の年になっております。それに応じてやはりそれぞれ医療保険料も介護保険料も値上げをされるというような状況になっておりますが、そうしたことを踏まえて、被用者保険、健保組合、協会けんぽ、共済組合も、国民健康保険組合も、後期高齢者医療広域連合など、いずれも、その財務内容が厳しい中での値上げであります。

 そんなことを前提として、本当にこの支援金を上乗せするというのがいいのかどうかということでありますが、いずれもこうした財務内容が厳しいというのを踏まえた上での支援金なのかどうか、厚労省にお伺いしたいと思います。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、子ども・子育て支援金でございますけれども、社会連帯の理念を基盤に、子供や子育て……(福田(昭)委員「支援金はいいですよ、組合のことだけ言ってください」と呼ぶ)分かりました。

 高齢化等による医療費の伸びに伴いまして、近年の状況を見ますと、それを支える医療保険の保険料も上昇する傾向にございます。

 支援金制度につきましては、歳出改革などによりまして……(福田(昭)委員「だから、支援金はいいと言っているでしょう」と呼ぶ)ええ。

 上昇する傾向にございますので、昨年末に閣議決定されました改革工程を踏まえまして、負担能力に応じて全ての世代で増加する医療費を公平に支え合う全世代型社会保障の構築にしっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

福田(昭)委員 答えになっておりませんけれども。

 介護保険料は、多くの自治体で既に値上げの発表がされております。低いところでは月四千円台、最も高いところでは月一万円という発表があります。

 それから、医療保険についても、特に後期高齢者医療保険は、全ての都道府県で値上げをされるという見込みが発表されております。最も低いところでは、秋田県、月四千三百九十七円、最も高いところでは、東京都、九千百八十円というような見込みが既に発表されております。さらに、二〇二五年度は、後期高齢者医療制度は更に値上げが見込まれているということであります。

 こうしたことを踏まえると、まさにこれに支援金を上乗せすれば、総理が一生懸命、あの訳の分からない、国民が八割理解できないという支援金のことを実質負担はないと言っておりますけれども、これは相当の負担につながるものと私は考えております。

 そこで、四つ目ですけれども、四つ目は、それなのに医療保険者は支援納付金を納付する義務を負うことになるわけでありますけれども、仮に賦課された支援金が集まらない場合は不納欠損金として保険者が処理できるのかどうか、大臣に伺います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金は医療保険料と併せて拠出いただくことから、支援金のみが滞納となることは基本的に想定をしておらず、仮に被保険者等が滞納したとしても、保険者には賦課された支援納付金の金額を拠出いただくことになります。

 いずれにしましても、政府としましては、支援金の滞納等がなるべく生じないように努めてまいります。

福田(昭)委員 医療保険料が滞納すると、一緒に支援金も滞納になるんでしょう。そうしたときに、例えば、国保でいえば、国保の滞納率が一番多いんですけれども、納付率が一番低い、逆に言えばなんですけれども、これは、それこそ市や町によって違うかもしれませんが、五年に一遍、三年に一遍、欠損金処理をするんですよ。それと一緒に欠損金処理できなかったら、どんどんどんどん滞納金がたまっていっちゃうんですよ。支援金もたまっていきますよ。

 そういったことが、やはり医療保険者が義務を負うということは、大変な負担になるということなんです。そこをやはりよく理解してほしいと思っています。

 それでは、今日の本題は支援金、その代わる財源なので、次に行きますけれども。

 次に、我が国の保有資産と行き過ぎた直間比率の見直しの必要性についてであります。

 一つ目は、我が国は簡単には沈みません。我が国は、先ほど申し上げましたが、保有資産を九千五百兆円もため込んだ上、多額の金融資産を保有している大企業と富裕層は、今後とも毎年毎年金融資産を増やして超格差社会をつくり、少子化問題を悪化させることに対する政府の基本的認識をお伺いしたいと思っております。

 資料の二を御覧になってください。資料の二、これは日銀と財務省に発表していただいた数字であります。

 一、国全体の金融資産、九千五百八十九兆円。(一)家計、二千百二十一兆円。(二)金融機関以外の法人の金融資産、千五百八兆円。一般政府の金融資産、八百十四兆円。民間・非営利団体の金融資産、七十一兆円。金融機関の金融資産、これは預り金も含めてでありますが、五千七十六兆円。これで九千五百兆円を超えるという話であります。

 また、法人企業の内部留保資金も、金融業、保険業を含めますと、何と六百二十七兆円。

 それから三番目、対外純資産残高、約四百十九兆円。これは世界一の金持ちの国になっています。

 四番、外貨準備金、これが約百六十九・七兆円。これも、今は変動相場制ですから実は必要のないお金でありますが、ほとんどアメリカの国債を買っているために日本が簡単に売ることができない、処分することができないという形になっているわけであります。

 こうしたことを踏まえて、先ほど申し上げたお金をきちっと有効に使っていないことについて、政府の基本的認識をお伺いしたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 個人の金融資産につきましては、例えば、NISAの抜本拡充等を行いまして、その活用を促しているところでございます。また、企業についても、内部留保の活用を促進するために、研究開発税制、賃上げ促進税制などを通じて積極的な取組を後押ししているところでございます。

 こうした取組を通じまして、我が国の企業や家計の資産を適切に活用し、経済の好循環につなげていくことが重要であると考えております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 そういう答えでは、やはり、この二極化した超格差社会をどうやって是正するんだ、少子化問題を悪化させる消費税をどうするんだ、そういう基本的な認識がないと駄目だと思いますよ。

 次に、二つ目。今やるべきことは、消費税創設以来優遇され続けてきた大企業と富裕層の法人税、所得税、金融所得課税などに、担税力に応じて負担を求める税財源の賢い集め方が必要ではないか、こう考えております。

 資料の三を御覧ください。これは、平成元年度に消費税を創設以来の推移です。

 歳出予算の使い方は、よく、賢い使い方、ワイズスペンディングと言われておりますけれども、しかし、私は、歳入の税財源の集め方も、やはり、経済成長を阻止するような消費税ではなく、消費税率を上げれば必ず物価が上がって景気を停滞させてきた、そうした経済成長を阻止するような消費税ではなく、景気に影響を与えない、大企業と富裕層に担税力に応じて負担を求めるという税財源の賢い集め方、ワイズギャザリングが必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃるとおり、税制の在り方につきましては、経済社会の構造変化などを踏まえつつ、所得税、法人税、消費税などを適切に組み合わせながら、安定的な税収基盤を築いていくことが必要であると考えております。

 今後とも、中長期的に、構造変化に対応したあるべき税制の構築に取り組んでまいりたい、このように考えております。

福田(昭)委員 財務省は、財務大臣始め、消費税については、私が質問すると紋切り刀で、全世代型社会保障に必要なお金だと言うんですよ。でも、それは、これから申し上げますが、全く不適切な話であります。

 三つ目。消費税が生み出した三つの巨大権益をこれから指摘をして、考えをお伺いしたいと思います。

 第一点、消費税の還付金。輸出免税還付金を含む還付金は、三十六年間で何と二十倍になりました。平成元年度は五千三百四十四億円、還付率一一・二四%。二〇二四年度、令和六年度の予算ベースでは、何と十一兆六千九百九億円、還付率二七・八九%ですが、しかし、この数字を見ていただきたい。十一兆六千九百九億円ということは、一%で二・八兆円、国と地方で消費税が入るとすると、四%で十一・二兆円です。ということは、一〇%のうち四%超を還付してしまう。こんな税金が何で全世代型社会保障にふさわしいのか、これをちゃんとお答えいただきたいと思っております。

 それから、二点と三点目はまとめて伺いますけれども、法人企業の内部留保資金、三十四年間で何と五・四倍。これは、平成元年度は百十六・二兆円でありました。それが、令和四年度末には六百二十七・五兆円になっています。

 私も、内部留保資金は必要なお金だと思っておりますけれども、しかし、この間、株主配当を優先をし、経営者の報酬も引上げなどして、働く人には賃金を払わずに、先進国七か国で賃金が三十年近く下がり続けたのは日本だけであります。そうしたことをしてため込んできたお金が、この内部留保資金であります。そして、政府が一番心配している設備投資もそんなにしてこなかったということであります。

 三点目。家計の金融資産は三十五年間で二・二倍でありますけれども、それは額がでかいですからすごいんですよね。平成元年度は九百八十二・三兆円でありました。しかし、令和五年九月末には、何と二千百二十一兆円。政府が、所得税の一億円の壁があって、税金は課税所得一億円の人が一番負担しているんだ、それからどんどんどんどん税金が下がっていっちゃうんだと。これは、株式などの金融所得が一律二〇%だから、こう政府が、財務省自身が指摘しているわけでありますから、そういう意味では、こうした金融所得の一律二〇%、これをやはり改めていくということも大事なポイントじゃないかな、こう思っておりますが。

 そんなことを踏まえて、資料の三を見ていただきますと、名目GDPは、この三十数年間、僅か一・三倍しか増えなかったんです。ですから、一般会計の税収も名目GDPに比例をして約一・三倍しか増えなかったんです。これでは、まさに日本の財政がよくなる話はないんですね。

 ですから、法人企業と家計の金融資産はどうしてこんなに巨大な富を築けたと思うのか、財務省の考え方をお聞かせいただきたいと思います。

中村政府参考人 お答えいたします。

 二問、御質問をいただきました。

 まず第一点、消費税の還付でございます。これはもう先生よくよく御存じのことと存じますけれども、売上げのときに受け取った消費税額から仕入れ時に払った……(福田(昭)委員「それはいいですよ、仕組みはいいです」と呼ぶ)はい、分かりました。

 還付の仕組みは、これは諸外国共通の仕組みでございますので、我が国においても共通して導入していることについて問題があるというふうに考えておりません。

 また、二つ目の御質問をいただきました企業と家計の内部留保、金融資産の増加要因でございますけれども、我々といたしましては、企業、これは生産の効率化や人件費の抑制等といったコストカットや海外生産の拡大に伴う営業外収益の増加など企業収益の改善を背景に増加したものと考えており、また、家計の金融資産につきましては、雇用者報酬の増加や株価の上昇などといったものが要因というふうに、このように認識しております。

 以上でございます。

福田(昭)委員 消費税の仕組みは私もよく分かっていますが、これはフランス人に頭がいい人がいたんだね。でも、私はヨーロッパの人もみんなだまされていると思っていますよ、これは。ですから、これはやはり日本が改めればヨーロッパも改めると思いますよ。

 それから、法人企業や家計の金融資産も、これはやはり一番は不公平な税制ですよ。消費税をつくったときに、法人三税、所得税、住民税、金融所得課税、相続税などを大幅に引き下げた、それが一番大きな原因ですよ。ただ、相続税はちょっと戻していますけれども。ですから、こうした抜本改革をしないと財政健全化は図れない、こう思っております。

 それで次に、三番目、子ども・子育て支援金、一兆円の代わりの財源は幾つもありますよ、政府がどれを選択するかだと思うがいかがですかと。本当は岸田総理にこれを言ってやった方がよかったんですが、岸田総理は全く分かっていないようでありますから、加藤大臣、これから私が申し上げる括弧一から括弧三ですね、これは三つの具体的な話をしますが、これらについて加藤大臣から感想を求めたいと思っています。

 最後に、最後にはどういう方法がいいかというのを加藤大臣が決断すると、それこそ子供、子育て加速化プランはもっと充実いたしますよ。そんなことを前提に質問をいたします。

 まず一つ目。第一に、令和六年度予算で減税した所得税、住民税の計四兆円、これはもう鈴木大臣も、一年限りだ、こう宣言していますから、ですから令和六年度で終わりなんですよ。四兆円のお金、これは余ってくる。だから、これを子供、子育ての加速プランに充てれば、三・六兆円を上回るお金が令和七年度からはもしかすると生まれるかもしれない。これを使えば、この複雑な、国民の八割が理解もしないと言っている支援金制度なんて要らないんですよ、加藤大臣。これなら加藤大臣始めこども家庭庁の皆さんも苦労する必要は全くない。これが一つ目。

 それから、二つ目ですね。二つ目は、第二に、為替特別会計の剰余金、一兆円以上充当すれば支援金は幾らでも確保できるがいかがかという話でありますが、資料の四を御覧ください。これが、外国為替資金特別会計の損益及び資産等の平成二十九年度から令和六年度予算までの数字であります。

 これを御覧いただきますと、実は一番下の欄、「翌年度の一般会計に繰入(剰余金)」ということで、一兆七千五百二十億円から、令和五年度の決算予定では二兆百三十三億円、令和六年度はまだ出ておりませんけれども。これについて注の一に「「防衛力強化一般会計へ繰入」は、特例法に基づき、当該年度の剰余金の中から当該年度の一般会計に繰り入れるもの。」こう書いてありますけれども、どうでしょう。日本の国の将来を考えた場合は、防衛力強化資金よりも、子供、子育て予算じゃないですか。私は、そう思うんですけれども。ですから、法律で決めれば、ここからまず優先的に子供、子育て予算に入れるということができますよ。

 それから、三つ目ね。三つ目は、これは、第三に、不公平な税制の抜本的改革、直間比率の見直しにより一兆円は幾らでも確保できるが、いかがかという話であります。資料の五を御覧ください。これは、実は、私どもの、立憲民主党の不公平な税制の抜本的是正により財源を捻出する会、私を含めて六十四名が泉代表に提言した中身であります。

 まず、一番目。一、二、三、四、五とありますが、一点、巨大な権益をつくり出した行き過ぎた直間比率を見直し、応能負担の原則に基づき、担税力のある大企業や富裕層に応分の負担を求め、年々増大する子供、教育費を含む社会保障財源を捻出する。

 二、なお、経済社会を混乱させないため、現行の法人税、所得税の租税特別措置及びその他の特別措置はそのまま維持する。また、現在保有している法人企業の内部留保資金六百二十七・五兆円、家計の金融資産二千百二十一兆円には課税しない。今後、毎年発生する、この人たちは今後毎年毎年所得を大幅に獲得するわけです、毎年毎年発生する所得に対して担税力に応じて応分の負担を求める。大企業、富裕層に増税しても景気には全く影響しません。

 三番目、消費税を当分の間五%に引き下げ、同時に軽減税率八%とインボイス制度を廃止をし、物価を確実に引き下げ、鈴木財務大臣も、消費税を下げたら物価は下がりますかと言ったら、下がりますと答えましたからね、ですから、物価を引き下げ、消費を拡大し景気を浮揚させ経済を成長させる。

 四番目、直間比率の見直しは、一、消費税率五%に減税、二、法人税に四段階の累進税率を新設、三、所得税の累進税率を強化、四、金融所得課税に二段階の累進税率新設などによって行う。なお、法人税の累進税率新設によって労働者不足と相まって経営者のマインドが変わり、持続可能な賃上げが期待できる。

 これは、面白いんですよ。経団連の会長、最初は防衛増税、法人税負担は嫌だ、こう言っていた。ところが、いつの間にか、人材不足がはっきりしてきちゃったものだから、何と言ったかというと、経団連の会長ですよ、賃上げは企業の責務だと言いましたよ。だから、政府が言わなくたって大企業は賃上げをやりますよ。それはもう、人材不足で、いい人を雇うためには、やはり、賃上げしたり待遇改善したりしないといい人は集められませんからね、まさに。

 そして、我々が試算してみたら、何と、法人税、これは、隣の韓国は四段階入れていますよ、累進税率、法人税に。アメリカも、トランプ大統領以前は四段階入れていました。このアメリカの四段階を参考にして制度設計して、専門家に試算していただいたものであります。これをやりましたら、何と、法人税が八兆九百四十二億円も増えることになりました。今回の試算では、大企業はだんだんに増税になります、累進税率を入れましたから。中小企業はだんだんに減税となります。

 ですから、どちらの経営者も、税金が増える経営者も、ああ、何だ、そんなに税金を持っていくんじゃ、では、社員の給料を上げよう、設備投資しようと思うじゃないですか。逆に、税金が浮いた中小企業の経営者は、おお、いいな、じゃ、やはり社員の給料を上げようとか設備投資しようと思うじゃないですか。私も何人かの中小企業の社長と話しておりますが、いやあ、それはいいね、賛成だ、賛成だとみんな言いますよ。ですから、政府がやっている賃上げ税制よりこっちの方がいかに有効かということを申し上げたい。

 それから、所得税。所得税については二段階の累進税率強化でやりました。課税所得五千万以上の人たちに二段階を入れて、しかも、一億円を超える人は五〇%で試算をしてみました。そうしましたら、何と、一兆三千七百八十九億円ほど増える見込みになりました。

 それから、金融所得課税にも、今は比例税率ですけれども、二段階の累進税率を入れて、課税所得五千万を超える人たちには三〇%を負担をしていただく。残念ながら、これは、財務省が統計不足で試算できませんでした。一億円の壁を言っている財務省が、金融所得を幾らもらっているんだか分からないというのは、これはちょっと財務省の怠慢だと思っています。

 しかしながら、これを合わせると、やはり九兆四千七百三十一億円。ですから、この金融所得課税がきっちり、二段階なりあるいは三段階なりやれば、これはもっと金融所得課税も増えますよ。そうすると十兆円ぐらい楽に出ちゃう、そういう話であります。

 ですから、こうしたことから、質問の四番目に入りますけれども、以上のように、加藤大臣、こども家庭庁を始め関係省庁の職員を苦しめ、その上、各種健康保険組合はもちろん、被保険者、国民からノーと言われるような支援金制度はやめたらどうでしょうか。そして、仕方がないからやめるということになったときには、令和六年度は、皆さんが予定しておりますつなぎの子ども・子育て支援特例公債で対応して十分じゃないかなと考えております。

 ですから、支援金に代わる制度は、お金は、税財源はきちっと出すことが可能ですから、是非、加藤大臣は、岸田総理とじかに、直談判してみたらいかがでしょうか。こんな仕組み、絶対国民にノーと言われますから。批判が、きっと、今のところ国民はよく分からないから、分からない、分からないと言っていますが、実際に、支援金も含めた医療保険の納付書がそれぞれ届くと分かりますから。もう既に、きっとサラリーマンの人たちはもう四月分の給料をもらっているから、届いているんじゃないですか。ですから、それはやはりしっかり、これから一つ一つは確認することになりますけれども、しっかり国民が確認したときにはどういう反応が出てくるか。

 ですから、そういうことを考えれば、岸田総理が、それこそ増税眼鏡とネットの社会でやゆされたことによって、増税はしたくない、増税は見せたくないということで、防衛増税も先送りしているじゃないですか。本来ならもう出るはずなのに、全然その法律は出てきません。

 今回も、本当はそれこそ、政府の方針、財務省の方針だと、消費税を充てるはずなんですよ、子供に。ところが、これも嫌って、私は消費税は反対ですけれども、消費税も嫌って、この支援金という摩訶不思議な仕組みをつくって、官僚の皆さんは優秀だから、よくつくりましたよ。私はよくつくったなと思っています。でも、これは絶対国民に受け入れられない。

 実は、消費税、付加価値税というのは、アメリカのあれが来たときに日本に提言された税金なんですよ、元々。それが、法律が成立したけれども、実は四年間たなざらしに遭って、廃案になっちゃったんですよ。ですから、そういう意味では、この支援金もそういう可能性も出てきますから、ここはしっかり考え直した方がいいと思います。

 以上、加藤大臣に直談判をお勧めして、質問を終わります。

 以上です。

谷委員長 次に、藤岡隆雄君。

藤岡委員 立憲民主党・無所属の藤岡隆雄でございます。

 今日も、地元栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、そして質問の機会を与えていただきました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきます。

 加藤大臣にまずお伺いをしたいと思います。

 基本的なことでございますが、支援金を充てる事業というのは、いわゆる医療保険各法上の保険給付なのか、それとも保険給付ではない事業なのか。これは保険給付ではないという位置づけということになるんでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金は、医療保険料と併せて拠出いただくものであり、保険料として整理されるものの、支援金を充てる児童手当等は保険給付とはしてございません。

藤岡委員 今はっきりおっしゃっていただきましたけれども、やはりそこなんですよね。負担をする方からしたら、保険料だといって納めて、保険給付ではないというものに使われるという、このことですね。やはり、これは御高齢者の方にとっても、ある意味、受益を受ける可能性が極めて低いという中で、非常にこのところの基本的なところ、やはりなかなか納得ができないという話だと思うんです。

 私、初代の元老健局長の堤元老健局長のちょっと御見解などもお伺いしてきたんですけれども、やはり保険者が保険料を保険給付以外の事業に使うことが認められるのは、言葉をそのまま申し上げますけれども、その事業が保険給付の実施にとって有用であること、保険者自身の観点から、その保険者に属する被保険者の合意があることというふうなお話をお伺いしております。

 今回、例外的に保険料を保険給付ではない事業に充てているというふうな整理になっているのかなというふうに思うんですけれども、やはりここは、何でもかんでもそういうふうに整理していいというわけでは私は全くないと思いますし、今回の支援金というのは一兆円というすごい規模で、多くの皆さんに負担を求めてもらうということで、私は、やはり保険料だけれども保険給付ではないというところが非常に納得がなかなかできないところです。

 今日、熊木室長にお伺いもしたいと思います。

 この間、考え方は非常に、私、ちょっと違いますけれども、いろんな御答弁を聞いておりまして、一つの考え方として大変必要な答弁、分かりやすい答弁であったというふうに私は思っております。そこは本当に敬意を表したいと思いますし、また、何というのか、総理が非常に、ある意味、勝手な思いでというふうに申し上げますけれども、保険料だ、そして実質負担ゼロだという中で、非常に結論ありきの中で制御されているということも何となく理解をいたしますけれども、もちろん、私はその考え方を取ることは全くできませんけれども。

 やはり、保険料を保険給付ではない事業に充ててよいとする、このところの例外の歯止めというんでしょうか、基本的なそこの、私は一線を越えているというふうに思いますけれども、この前、大西健介先輩議員が話していたように、このところのどこをある意味防衛ラインとして考えているのか、そのところを室長にお伺いしたいと思います。

熊木政府参考人 まず最初に、結論的に申し上げますと、何でもかんでもよいということではないというふうに考えております。

 少し説明させていただきましたが、医療保険制度においては、保険料を保険給付以外に充てている例というものはいろいろとございます。保健事業しかりでございますし、それから後期高齢者の支援金ですとか出産育児支援金というのは、医療保険制度ではないですけれども、別の医療保険制度に対してお金を出してございます。

 さらに、介護納付金、これは医療保険とは異なる介護保険という制度、別の制度に対してお金を出してございます。医療保険の保険給付ではないですけれども、医療保険の各法に基づいて介護保険料として頂戴をいたしまして、それを別の介護保険制度というものにお出しをしている。介護保険におきましては、介護保険の給付のみならず、地域支援事業といいまして、これまた保険給付でないものにも出してございます。そういう意味ではいろいろな幅がまずあるということは前提でございます。

 その上で、今回のものは、医療保険の仕組みを通じて行うことが目的の範囲内であるという整理をさせていただきました。まずもって、ずっと申し上げていますように、次世代の育成というのが健康保険制度の持続可能性を高める、確保するという観点で重要でございます。

 それから、健康保険制度におきましては、出産育児一時金ですとか出産手当金といったような形で、分娩のものだけではなくて、出産、育児に関わる給付を行ってまいりました。支援金を充てる事業というのは、児童手当ですとか十万円の給付ですとか、そういったものでございますので、こうした出産を起点とするような保険給付と連続的なもので、地続きという言い方もさせていただいております、そうしたものであるということ。それぞれの事業が、当然ながら、子供の心身の健康の維持向上にもつながることが期待されるものであるということも踏まえさせていただきました。こうしたことに鑑みまして、支援金の賦課徴収を医療保険の仕組みを通じて行うことは健康保険の目的の範囲内であるというふうに考えてございます。

 保険給付が被保険者にとって有用かどうか、あるいは、それが保険給付ではなくて、事業が被保険者にとって有用かどうかということも当然重要だということ、それは間違いございません。これは、今申し上げましたような、広く児童手当ですとか保険給付という形は取っておりませんが、被保険者に対して直接的な受益が大きいということと、今申し上げましたような持続可能性を高めるといったような大きな意味での受益があるということでございます。

 被保険者が合意ができるかどうかというのは、まさにこの国会での御審議を通じまして、民主的なプロセスの下でこれが成立するということが一番重要なんだろうというふうに考えてございます。

藤岡委員 被保険者は、やはりなかなか納得ができないんじゃないかなというふうに思います。各種の世論調査を見ておりましても、やはり六三%とか、いろいろな、なかなか反対であるというふうな結果も出ております。非常に、やはりまだまだ、この制度についての納得感というのは私は得られていないというふうに思うんですね。

 今、いろいろ御説明いただきました、本当に。いろいろな、例えば出産一時金というのは、療養の給付に代わるようなものということで、非常に医療に関わるというか、そういうふうに近いようなものであると私は思いますし、また、いろいろな拠出金というのは、何だかんだ言って、将来、自分たちが受益をする可能性もあるということで。今回の支援金制度というのは、特に御高齢者の方にとって、児童手当を受けるというのは、なかなか、ほぼ可能性というのは低いというふうに思いますし、非常に、今まで入っていたものからすると、今回のものは、やはりちょっと、これは別物だよね、そういう認識はまず持っておいていただかないといけないと思うんですけれども、熊木室長、御見解、いかがですか。

熊木政府参考人 これは、全世代、全経済主体が子育て世帯を支える、そういう連帯の仕組み。したがって、これは連帯の仕組みを基盤となす社会保険制度を活用するということを申し上げております。

 この連帯の仕組み、何が連帯の中に入るのか、何が助け合いの輪に入れるべきなのか、これは、当然ながら時代とともに一定の変遷がありながら、基本的なところはしっかりと担保しながら、基本的な考え方はしっかりとしながら考えていくということだと思っています。

 確かに、子育てに対して社会保険の活用をするということはこれまでしておりませんでした。したがって、今回は新しい提案でございます。新しい分かち合いなり助け合いの提案をさせていただいている。これは、これまでの考え方とプラスアルファの部分、それは、当然ながら、今の少子化というものが、誰にとっても、医療保険制度にとっても被保険者にとっても大変大きな課題であるということを認識した上で、充てる給付は厳密に議論をさせていただきまして、かなり健康保険制度の目的に沿ったものにした上で、そうした受益があるということを鑑みまして、このような提案をさせていただいた。

 したがって、私どもは、これまでにあった連帯の仕組みそのものだと申し上げているものではありませんで、新しい分かち合い、新しい助け合いの仕組みなんだ、そういう提案をさせていただいているということであります。ただ、基本的なところの連帯の考え方というものは変わるものではございません。

藤岡委員 新しい提案だということは、まずお認めをいただきました。今までとはやはり違う、踏み込んだ提案ということだと思うんですけれども。

 やはり、連帯という、ちょっと恐縮ですが、美辞麗句で何でもかんでも片づけていいという話では私はないと思うんですね。基本は、やはり保険の原則に沿ってやられなければ私はいけないと思うんですよね。

 そういう中で、今回、少なくとも、例えば医療保険各法の出産に関してとか、今、出産は地続きという話、浅野議員も以前質問されておりましたけれども、ある意味、逆に、医療保険の各法のところを、法律をもうちょっと改正をして、もうちょっときちっと法律上位置づけていくとか、そういうことは考えなかったんでしょうか。室長、お願いします。

熊木政府参考人 いろいろなミクロの観点、マクロの観点がございますが、ミクロの観点で、今委員が御指摘した文脈で申し上げれば、保険給付という構造にするかどうかというのはあったかと思います。ただ、既に児童手当というものが今まで自治体において支給されているとか実績なり経緯がございますので、あえて児童手当を保険給付という形に変えるということの必要性はないというふうに判断をいたしました。

 したがって、元々、保険給付でなければ保険料を充てられないということではないと思っておりますので、そういう意味では、保険給付化はしないで、事業のまま提案をさせていただいたということでございます。

藤岡委員 保険給付でなければもちろん保険料を充てられないということではないというふうにおっしゃいました。そのところが、やはり今回、ちょっと決壊してしまっているんじゃないかな、一線を越えてしまっているのではないかなというふうに私は感じるわけなんでございますが、このいわゆる支援金を充てる事業と支援金の負担については、熊木室長にお伺いしたいと思いますけれども、やはり、これは政府としても、受益と負担の関係はやはり少し遠いな、そういう要素があるなというふうに思っているということでよろしいですか。

熊木政府参考人 受益と負担の関係が遠いとは、実は必ずしも思ってはございませんです。受益と負担の関係はむしろ明確で、この児童手当なり、十万円の給付だったり、共働き、共育ての支援というものに対して、しっかりと法律上明確にして、そのために支援金、これを医療保険各法上は医療保険料とは区別をして規定をさせていただいて、しっかりとした、これに充てるものとしての支援金であるということでございます。したがって、その意味で、受益と負担の関係は非常に一対一で、マッチしたものであるということでございます。

 それで、受益ということでいうと、申し上げたように、それによって、その給付によって被保険者に対して大きな給付が、保険給付ではないですけれども、事業としての給付、大きな給付、大きな便益といいますか、そういったものになりますし、申し上げましたように、持続可能性の向上といった、間接的といいますか、大きな意味での受益というものがありますので、一概に給付と負担の関係が遠いというふうには考えてはございません。

藤岡委員 回り回って持続可能性を高めるとか少子化対策にということでということで、ただ、御高齢者にとってはやはり、改めて、重ねてなんですけれども、自らはなかなか、直接の給付という点では受ける可能性というのは極めて低い。実際、保険料として納めるということに今なかなか反対の声が多いのも、何で保険料なんだろうという、やはりそういうことだと思うんですよね。

 そこの中で、今、必ずしも受益と負担の関係、いやいや、遠いとは考えていないと。やはり、でも、これはなかなか、反対給付性と言ってもいいんですけれども、ここはちょっと、少し遠いということは少なくともお認めいただいた方がいいんじゃないんですか。室長、いかがですか。

熊木政府参考人 済みません、若干私の方で誤解していた面もございまして、おっしゃられたように、例えば高齢者の方ですとか子育てを終えた方々からすれば、給付というものがなかなか考えられないという意味において、給付と負担の関係が遠い方もいらっしゃる、そういう御趣旨だというふうに理解をいたしました。

 それにつきましては、もうずっと申し上げているように、医療保険制度においても出産育児一時金という仕組み自体がそもそもずっとございまして、これはまさに、高齢者ですとか子育てを終えた方についてはなかなか給付がないという中で保険料をいただきまして、そこで給付を行っております。

 更に言えば、出産育児一時金については、今回、四月から、健康保険法の改正によりまして、給付の一切ない後期高齢者が後期高齢者医療制度の中から保険料を納めていただいたもので現役世代の出産育児一時金を賄うという仕組みを導入いたしました。これはまさに、給付がない方々に新たに保険料の拠出をお願いして、出産育児一時金を四十二万円から五十万円にさせていただいたところでございます。

 こういったことを考えますと、健康保険制度全体の関係の中で、必ずしも給付と負担の関係がやはり遠いというふうには思ってはございませんが、先生おっしゃったように、給付のない方がいるということを踏まえて、しっかりと説明を尽くしていかなければならないというのは全くおっしゃるとおりでございますので、そこは、政府において足りない部分があるということであると思いますので、しっかりと引き続きやってまいりたいと思います。

藤岡委員 今、後期高齢者からという話もあったんですけれども、やはり、保険料を保険給付ではない事業だとか、ある意味そういう、ちょっとなかなか給付を受けられないという方が保険料として納めて、それがちょっと何か自分が受益を受けないところに使われちゃうというのは、ちょっとこれは非常に、慎重にといいますか、もう少し、今総理が言われて、もう総理がかたくなだからそれはどうしようもないという、そこも、理解はできませんけれども、しかし、そういうふうになっていることは、理解はできませんけれども、そうなっているんだなということはお察しをいたしますけれども、ちょっとこれはやはり、官僚の皆さんの矜持を示して、これは駄目だよということは言っていただかないと私はいけないと思うんですよね。

 これは何でもありという、そうしたら、当然この国会としても、租税法律主義ということで、何でも本当は法律で、税であれば法律でちゃんと料率等も決めなくちゃいけないのが、内閣の方であるいは保険者の方でということになって、これは租税法律主義を、ちょっとこれを骨抜きにされてしまう、そういうこともあるわけなんですよね。

 だから、議員みんな、本当にこういうことは、国会議員としてももっともっと問題意識を持って私は考えていかないといけない課題だと思うんです。総理一人暴走して、ああ、どうしようもないですねということで本当に済ませては私はいけないというふうに思うんですよ。

 それで、るる言われた例の反対給付性の話ですね、保険料全体。せっかくですから、こういうすごく真面目な議論をさせていただきたいと思うんですけれども、まさに法案審議でありますから……(発言する者あり)ありがとうございます。

 それで、これも初代の堤元老健局長に御見解を伺ってきました。

 保険料の反対給付性が、保険料全体ということで御答弁が加藤大臣から先日もありましたけれども、保険料の反対給付性が、全体としてとおっしゃいましたけれども、保険料の反対給付性が個別の保険給付等と一対一で判断されるべきことは言うまでもないことです、全体として判断されるなどとは聞いたことがありません、健康保険の反対給付性は保険料水準と保険給付のバランスを考える際の基礎になるものであり、そこに全体としての判断と称して保険給付以外の要素を忍び込ませるのは保険財政の自律性を脅かすものですというふうに、御見解、これはそのまま私ちょっと読み上げさせていただきましたけれども、大先輩であると思いますけれども、こういうお話、御見解をいただいております。

 全体としてという考え方、言い切られましたけれども、先日の委員会、ちょっと私も言い過ぎた面もありましたけれども、全体として判断するということを言い切っていいんですか。室長、御答弁をお願いします。

熊木政府参考人 これは、反対給付性については全体で判断するもの、そこはそのように考えてございます。

 そもそも社会保険制度でございますので、非常にいろいろな方がいろいろな御事情があって、給付は、どの給付が自分にとっては当たるのか、当たらないのか、そういったことの事情というのは物すごく様々でございますので、率直に申し上げて、一対一で、この給付があるからこの反対給付としての保険料を払うということをどこまで厳密に詰めるかというと、それはなかなか元々難しいものであるというふうに考えてございます。

 その上で、最高裁の判例の話になりましたものですから、最高裁の判例におきましては、当然ながら、そういった様々な給付、先生がおっしゃる意味においては、なかなか反対給付性がないのではないかといったものが含まれている状況の中で、最高裁が判断をされまして、国民健康保険の保険料については、これは税ではなくて保険料である、具体的には憲法八十四条に違反するものではない、こういう判示をされました。

 これは、当然ながら様々なものが含まれて、先生がおっしゃる給付、反対給付の関係が怪しいといいますか、説明が難しいというものもある中で、全体としての判断をされましたので、私どもといたしましても、最高裁の考え方と同様、全体で判断するということでよろしいかというふうに考えてございます。

藤岡委員 全体としてということでよろしいかということをおっしゃいましたけれども、いろいろ入っていた状況下でというふうにおっしゃいましたけれども、本当に、出産一時金はある意味療養の給付に代わるものというふうにも捉えられますし、当時の老人保健拠出金は、これも堤局長の御見解をいただいていますけれども、国保加入の御高齢者の方に対して、国保に代わって市町村から保険給付をするものですから、その費用は国保の保険料から負担するのは当然のことであって、ある意味、つながりという面では全くないというものでもないです。

 だから、何か違うものが入っていた状況というのは、なかなかちょっと、私はまだそこは納得できないところではありますし、ある意味、全体として、一つ一つで今判断は難しいとおっしゃいましたけれども、この支援金制度という大きい制度、いろいろ細かいものをいっぱい入れていること自体が本当はどうなのかということがあるので、私は、ちょっとまだまだこの保険料全体として判断するというところについて納得は非常にできないなということをすごく感じます。

 その中で、ちょっと話を、時間もあれですから移していきたいと思うんですけれども、全く話を変えますけれども、今回の法案の附則四十七条の一項。副大臣、ありがとうございます、いらっしゃっていただいて。解釈についてお伺いしたいと思うんですけれども、法律のこの附則四十七条の一項で、いわゆる支援金が導入されることによる社会保障負担率の上昇に与える影響の程度が、全世代型社会保障制度改革等及び労働者の報酬の水準の上昇に向けた取組を実施することにより社会保障負担率の低下に与える影響の程度を超えないこととされていると思います。

 今回、私もるる申し上げて、歳出改革の中から〇・三四兆円をある意味抜き取ってしまっている、これは私は、この抜き取っているということに関して非常に大きな問題だと思っております。

 その中で、この法律の条文に照らして、これはある意味、全世代型社会保障制度改革の取組によって生じた社会保障負担率の低下に与える影響というところで、今回、プラスマイナスで、一部控除されちゃっているんですけれども、この法律を普通に読むと、これはそういうふうに抜き取ることはなかなかできないんじゃないかと思うんですけれども、副大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

浜地副大臣 お答えいたします。

 今委員御指摘の法案の附則四十七条一項、この趣旨でございますけれども、そもそもこの支援金制度につきましては、歳出改革と賃上げにより実質的な社会保険負担軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築をしていく、その結果、実質的に負担が生じないことというのが法の趣旨でございます。したがいまして、この附則四十七条一項の趣旨も、これを示したものでございます。

 そこで、委員が御指摘されました、今回、〇・三兆円分、賃上げ相当分を要はマイナスをしている、控除をしているということでございますが、これはもう以前から申し上げていますとおり、いわゆる医療・介護従事者の皆様方の賃上げ、これは政府が全力で行うべき取組の一環でございます。そして、この控除をさせていただいている金額につきましても、賃上げによる雇用者の報酬の増加率が上昇することを通じて、その範囲内で今回控除したものでございまして、この四十七条の趣旨に反するものではないというふうに理解をしております。

藤岡委員 賃上げによって報酬が伸びて、ある意味、社会保険の増収がある、その増収の範疇で、ある意味、今回、〇・三四兆円が除かれているということが、今、これでまた読めるというふうにおっしゃっているということだと思うんですけれども。

 実際に支払っている立場の方からすると、賃金は上がりました、でも、実際、保険料は、払う量は増えているわけですね。それは負担の軽減というふうに私は言えないと思うんですね。実際、払う人からしたら、払うのは増えているわけですから。それを減らしてくれたんだったら分かりますけれども、それを負担軽減の効果として読むというのはちょっと私はふさわしくないと思いますし、今後もこういうふうな運用が行われるんだとしたら、もう一兆円って何でもかんでも、歳出改革をやったって、好き勝手に除いちゃって、いやあ、歳出改革の成果ですというふうになるのは、本当にこの歳出改革の粉飾が続くおそれがあるということは強く指摘をしておきたいなということを私は思います。

 それから、続きまして、加藤大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、市町村の格差ですね。

 先日、宮本徹議員からもお話ありましたけれども、ある意味、料率のことを先日なかなかお答えになられなかったわけですけれども、当然、今回、医療に関わるものはちょっと関係ないんだということ、それはそうですけれども、児童手当の額はやはり同じで、市町村間で支援金の所得に対する料率等が異なるということになれば、当然、児童手当の額は同じですから、それに対して負担する額が異なるとなれば、非常に不公平ということも言えると思うんですけれども、これはある意味、料率の差は出てくるということで、同じ所得でも料率の差は出る可能性はあるということで、これは当然よろしいですよね。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 国民健康保険の給付については、一部を除き、基本的に市町村間で異なるところはない中で、医療保険料は異なるものとなってございます。

 なお、医療費の違いは、支援金については反映されない仕組みとしてございます。

 所得の格差につきましては、様々な調整措置が講じられており、一概には申し上げられませんけれども、これまでに申し上げてきた医療保険料と併せて徴収することの合理性も併せて考えれば、こうした仕組みについて問題があるものとは考えておりません。

藤岡委員 料率に差が出るということでよろしいですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 市町村国保における支援金につきましては、医療保険料と同様、市町村が条例において賦課方法等を定め、それに基づき決定されます。

 具体的には、賦課方法として応益割と応能割をどのように組み合わせるか、また、所得割の支援金率や均等割の額をどのように定めるかは各自治体の条例によることとなります。そのため、現時点で、市町村における支援金について一概に申し上げることはできません。

藤岡委員 だから、今でも当然、国保でいえば大きな料率の差がある。支援金についても当然に差が出るということでよろしいですね。

加藤国務大臣 繰り返しになりますけれども、先ほど申し上げた理由により、現時点で、市町村における支援金について一概に申し上げることはできません。

藤岡委員 都道府県にいろいろ分配した後に、実際、市町村に、各所得水準等に応じていろいろな、当然、所得の水準によって、どれだけの支援金を負担してもらうのかということを割り振っていくんだと思うんですけれども、そこのところでは、本当に、非常に厳密に差が出ないように行われるということになっていくんでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 基本的には、市町村間の所得水準の差につきましては、調整交付金による調整や、低所得者数に応じて公費で支援するなどの措置を講ずることとしてございます。

藤岡委員 本当に、なかなか十分なお答えがいただけません。

 改めて、やはり、今日もお話を聞いておりましたけれども、支援金制度、本当に、これはとても容認することはできないなということを強く思います。改めて、支援金制度の撤回ということを求めまして、私の質疑を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 この法案も、質疑をする機会が最後かなと思います。全体の議論で皆さんといろいろな御議論をさせていただいて、深められることがあったというのはとてもありがたいと思いますし、一方で、今、藤岡議員が申し上げたとおり、やはり、支援金制度にはいろいろな問題がある、容認できない問題があるということを改めて確認したところでございます。

 私とすれば、やはり、子供、若者の政策、次世代のために何とか支えていきたい、その思いは皆さんと共有するところです。だからこそ、まだ国民の納得が得られていない、そして、協力をしたいけれども実際どのくらい負担するのか、そして、それが、子育てのために当てはめるのが妥当なのか、自分が負担する分が妥当なのか、しようがないと思ってもらえるのか、その納得感を得ていただく努力を政府を挙げてするべきだと思っています。だからこそ、岸田総理、そして加藤大臣には、国民の皆さんに御負担はお願いするけれども、協力してくれ、頼むよという姿勢を示すことが必要なんだと思います。

 先ほど、岸田総理、負担は増えないと言い切ったんですね。後でちょっとこれは確認をさせていただきたいと思います。今まで実質負担増ゼロと言っていましたが、負担は増えないと、先ほど重たい答弁をされました。

 そして、話を最初に戻しますけれども、国民健康保険と後期高齢者医療制度の年収別の試算について、私たち、ずっと資料を出してくださいと求めさせていただきました。ようやく、資料三のとおり、政府から提出がございました。御協力ありがとうございます。ただ、欄外に小さく、この赤文字ですけれども、説明をしているというのが非常に残念です。そして、国保に関しては相変わらず加入者一人当たりというところです。

 この文章、ちょっと分かりにくいので、私の方で資料一を用意しました。

 資料一の右側、「政府が既に公表した金額」というものです。四月九日に、先ほどの資料三でいくと注二の被用者保険、公表していただきました。先ほどの資料でいくと注釈四番のところ、国保について口頭で示していただいたのが四月十一日。それから、一番右側、四月十五日、昨日出された資料には、後期高齢者医療制度、これも欄外の注釈五ですけれども、出されました。

 加入者一人当たりという部分と実質、余りにも違い過ぎるんじゃないかという指摘、再三、藤岡さんからもさせていただいております。加入者一人当たりと実質、国保を負担する世帯でお一人の方、支払う方がどのぐらい違うのかというのは、残念ながら、また実際との格差が広がり、怒りが増すという状況になっています。

 改めて、年収別の保険料、国保、後期高齢者、本人の支払う負担の額というのを示すべきなんじゃないでしょうか。その点、お答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金額につきましては、医療保険制度全体の額を示す場合には、加入者一人当たりで統一して示すことが一般的かつ適切であると考えております。

 御指摘の、保険料を負担する本人がどのぐらい負担するのかにつきましては、三月二十九日付の試算資料において、令和十年度の支援金額と令和三年度の医療保険料額の比較をお示しし、個々人の目安としていただけるものとしてございます。

 また、この資料の中で、国保の年収別支援金額の試算として、夫婦子一人、夫の給与収入のみのケースで、年収八十万円の場合、加入者一人当たり五十円、百六十万の場合は二百円、二百万の場合は二百五十円、三百万の場合は四百円とお示しをしてございます。

 これらに対する、三人世帯の世帯主が拠出する一世帯当たりの額は、年収八十万円の場合は百五十円、百六十万円の場合は五百五十円、二百万円の場合は八百円、三百万円の場合は千二百円となります。

 また、こども家庭庁としましては、法案審議におきまして医療保険制度ごとの支援金額を全体として御理解をいただくためのものとして、加入者一人当たりで令和十年度における全制度平均の月額四百五十円、これを医療保険別、制度別に見た、被用者保険で五百円、国保で四百円、後期高齢者で三百五十円、こういった制度別の試算をお示ししつつ、実際の拠出額は加入する医療保険制度や所得、世帯の状況等により様々であることや負担能力に応じたものであるということはこれまでも繰り返し申し上げてきておりまして、これらは、引き続き、変わるものではございません。

岡本(あ)委員 加入者一人当たりというのは、やはりごまかしになるんです。制度の説明をする分には分かるんです。私たちが求めているのは、国民の一人一人、自分たちが、自分の条件の場合はどのぐらい負担になるのか、これが子供、子育ての支援金として使われることに納得がいくのか、その点を問うています。

 資料一の左側なんですが、資料二に、実は、岸田総理の御地元広島市では、国民健康保険料、目安として年収ごとでも既に毎年公表しています。多くの政令指定都市は公表しておりまして、残念ながら加藤大臣の鶴岡市は御自分で計算してくださいということになっていたので、広島市を使わせていただいて左側の資料を作らせていただきました。

 夫婦子一人、三人世帯、赤で縦に囲んでいるところですが、これは先ほど藤岡議員が単純に加入者掛ける三倍で間違いないですかと質問したところとほぼほぼ似ております。ですので、何なら、加入者掛ける世帯人数分、国保の人数分掛けてください、それが一つの目安ですと言い切っていただいた方がいいんですけれども、年収四百万でも、国保は五百五十円に対して、私たちの試算でいくと千五百円。それから、年収六百万の方でいきますと、国保の加入者は八百円と政府は説明していますが、広島市でいきますと二千百五十円になるんじゃないか。余りにもこれは開きがあり過ぎるんじゃないかと思います。

 宮本徹議員が先日示したものとも私たちの試算は大きく変わりません。こちらの方が国保に加入されている方にとっては分かりやすいんじゃないですか。あるいは、加入者掛ける世帯人数、そういう示し方をするべきなんじゃないかと思います。加入者との負担額との整合性、御説明いただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 令和十年度の支援金額について、令和三年度の医療保険料のおおむね四から五%であることをこれまでもお示しをしてきたところでございますが、これは目安としていただくための平均的な数字となってございます。

 委員御提出資料に基づき計算するとお示ししていただいた金額になると思いますが、市町村国保における実際の支援金の拠出に当たりましては、市町村が条例において賦課方法等を定め、これに基づき決定されることとなります。このため、この条例が定められていない現時点で個別の市町村における支援金額についてお答えすることは困難であります。

岡本(あ)委員 もう一度、ちょっと加藤大臣、お答え願います。

 一つの目安としてこれは参考になるということでよろしいですか。今まで、医療保険、国保でいきますと、五・三%が一つの目安としてパーセンテージも示されました。ですので、政令指定都市でいきますと、国保の試算目安、医療保険の目安を出しておりますよね。なので、それぞれ、自分が住んでいる自治体、少なくとも広島市の方、公表しているところでそれぞれの、一人世帯、二人世帯、三人世帯、四人世帯、条件がついていますけれども、国保の場合、これに五・三%掛けると一つの目安としては使えるということで、今までの加藤大臣の御説明を聞いているとこういうことになるんだと私は受け止めているんですが、これでよろしいですか。

谷委員長 熊木準備室長。(岡本(あ)委員「あっ、いや、大臣に。これは大臣が言っていた」と呼ぶ)

 まず事務的に答えていただきます。

熊木政府参考人 じゃ、ちょっと済みません。先にという感じになるかと思います。

 先生のおっしゃっていることはよく分かります。医療保険制度の三年度の医療保険料のおおむね四、五%だと申し上げていまして、国保においてはその数字が五・三%だということでございます。

 ただ、これは、先ほどの議論でずっとありましたように、個別の市町村に当てはめるときは極めて大きな留意が必要で、と申しますのは、個別の市町村になりますと医療費によって多寡がございます。他方、支援金については医療費の差というものは基本的に出ない形になりますので、その当該市が医療費が高いところなのか低いところかによって、個別に当てはめると難しい。したがって、私どもは、制度で見て、国民健康保険の医療保険料の五・三%、これを目安にしていただきたい、こう申し上げています。

 したがって、ちょっと個別に当てはめるとなると一概に言えないというのが厳密なお答えになりますが、留意点を踏まえた上で、イメージのイメージというような趣旨でおっしゃるのであれば、あり得るのではないかというふうに思います。

岡本(あ)委員 今、重要な答弁をいただきました。イメージのイメージとしてはあり得るということです。

 それで、加藤大臣にもう一つ確認をしたいんです。

 やはり、国保と被用者保険というのは非常に、そもそも医療保険で差があるんですよね。ここ、年収六百万のところに赤を引いていますが、被用者保険は千円。私たちの試算でいくと倍、二千円以上国保だと払わなきゃいけない。八百円掛ける世帯の人数でも二千円を超えるんじゃないかというところがあります。この差、受益が、児童手当額は同じなのに、保険料がこんなにも差が出るということは非常に問題なんだと思います。

 もう一つ、新たな事実で、資料一の一番右側に後期高齢者、これは網かけしましたが、年収二百万円で三百五十円、それから年収三百万だと七百五十円。国保よりもはるかに後期高齢者の人は負担が増えるんです。

 後期高齢者の試算を示してくださいと申し上げましたけれども、やはり国保と後期高齢でも差が出る。それから、被用者保険と国保で倍近く差が出る。それから、先ほど指摘しています、前、城井議員も指摘をしました、自治体の国保でも差が出る。余りにもこれはひど過ぎる制度だと私は思います。

 せめて是正する努力を政府としてするべきなんじゃないですか。口出しできないかのような御答弁でしたけれども、やはりこの不公平感、是正するべきだと思います。大臣、お答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、国保と被用者保険の比較でということで申し上げますと、サラリーマン世帯が加入する被用者保険と、被用者保険に加入しない全ての方々が加入する国保とでは、保険料の賦課方法が異なるため、就業状況等も異なる中で、両者の支援金額を一概に比較することはできません。

 その上で申し上げさせていただきますと、医療の給付についても国保と被用者保険の間で基本的に異なるところはない中で、両者の医療保険料は異なるものとなっていると承知をしてございます。

 また、国保には大きな公費が投入をされ、低所得者の保険料軽減措置が設けられることにより、加入者一人当たりの支援金額は労使折半の被用者保険よりも低くなります。こうした仕組みについて問題があるものとは考えてございません。

 なお、国保の保険料は自治体間で医療費の格差を反映した差がございますが、支援金につきましては医療費の違いが影響する仕組みではございません。

 また、後期高齢者の医療制度についてでございますけれども、こども家庭庁としましては、法案審議において医療保険制度ごとの支援金額を全体として御理解いただくためのものとして、加入者一人当たりでお出しをしてきました。ここで、医療保険制度別に見て、まず制度全体では四百五十円とお示しをしてきたところでありますが、保険制度別に見たところ、被用者保険で五百円、国保は四百円、後期高齢者では、あくまで平均では三百五十円という試算等を示しつつ、実際の拠出額はそれぞれ世帯の状況等により様々でございます。

 いずれにしましても、負担能力に応じたものとなることはこれまで申し上げてきたとおりでございます。

岡本(あ)委員 医療の保険の制度で違いがあるんだから子育ても違いがあっていいんだというような説明だったように受け止めます。だからこそ、私たちは、健康保険料で取ること自体が大きな問題だということを指摘させていただきます。

 先ほど、岸田総理は負担は増えないと言い切りました。本当でしょうか。今までは実質追加負担ゼロとおっしゃっていました。

 資料四を御覧ください。

 先日、橋本岳議員が御説明いただいて、その前、井坂議員の資料ですけれども、とても分かりやすかったんですが、ちょっと疑問が起きました。私たちや制度に詳しい人は分かっていると思うんですが、一番下、比較Cです。

 健康保険については公費と保険料がありますが、社会保険もですけれども、健康保険に関して言わせていただければ、これも自然増があるんです。これから、自然増、まだまだ増えるんです。その増える部分の一部を歳出削減をします、それを子供のために充てますということは、一番右側の赤の棒を描いていますけれども、今負担しているよりは、歳出削減してそれを充てたとしても、実質負担は増になると私たちは思っています。この点をちゃんと説明をしてくれと言っております。

 岸田総理の、負担は増えないと言い切った点、これは虚偽の説明じゃないかと思います。その点も含めて、加藤大臣の考えをお示しください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金制度の構築に当たっては、社会保険料の負担軽減効果の範囲内で支援金を導入することによって、全体として実質的な負担が生じないと申し上げてまいりました。

 委員御指摘のとおり、高齢化に伴い医療や介護の保険料が上昇する傾向にあるため、歳出改革による保険料の軽減効果、これが見えにくくなっているという面はございますが、仮に高齢化等に伴う社会保険料の増加がなければ、支援金を導入しても歳出改革によって相殺されますので、支援金を導入することによって増えるということはなく、結果は元の額で止まることになります。

 歳出改革は支援金の見合いで行いますので、金額が増加したとしても、それは高齢化等に伴って社会保険料が増加することによるものと言えます。

岡本(あ)委員 私のこの図は間違っていますか、比較C。

 要は、自然増で歳出削減をすると、元より減るわけではなくて、頑張っても、やはり多少は自然増で負担をしなきゃいけない。その頑張った部分は支援金に回せるところはあるけれども、トータルではやはり負担は増えるんじゃないでしょうか。その点だけ明確にお答えください。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、支援金制度の構築に当たりましては、社会保険料の負担軽減効果の範囲内で支援金を導入することで、全体として実質的な負担が生じないと申し上げてまいりました。

 支援金を導入すると、それに対して、歳出改革をその見合いで行いますので、支援金の導入によって実質的な負担が生じるということは全体としてないということをこれまでもずっと申し上げてきたところでございます。

岡本(あ)委員 まだまだ疑念が残っているということは強く指摘させていただきます。

 そして、私たちは修正案を出しております。先ほど、一般会計として当てにされていると思って、答弁がありましたけれども、私たちは、剰余金とする前に子供、若者に使うということ、この点を指摘をさせていただき、修正案を用意しておりますので、これも検討いただければと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 いよいよ、先ほど岡本筆頭もこれが最後の質問になるとおっしゃったように、木曜日、金曜日に衆議院を通過していく可能性があると……(発言する者あり)まあ、まだ決まっていないんだけれども。

 結局、国民の皆様に、よく、例えば委員会とかで委員長席に詰め寄ったりするでしょう、あれは、ずっとやってきた仕事、国会議員の仕事が国民になかなか伝わっていないので、最後に何か抵抗している感を出すためにやってきたわけですね。だから、ふだんから私たちがどういう仕事をしているのか、国会で。それをしっかりと国民の皆様にお伝えすれば最後にばたばたする必要はないので。

 今回、じゃ、子ども法案、この法案について野党が一体どういう仕事をしてきたのか、これを今日は総括的に議論をしていきたいと思います。

 まず、歳出改革ですね。

 これは質問じゃありませんが、歳出改革への覚悟と実行力、これはもう完全に政府の勝ちですね。だって、岡本さん、今、何、剰余金だ何だと言ったけれども、今日午前中の対総理質疑で、公明党の河西宏一さんが、財務省とかを呼んで、ETFを財源にすることは、もう財源じゃないんだということで論破しましたよね。(発言する者あり)論破していないんだったら、ちゃんとその後続の委員の人たちは議論しなさいよ、そこで、ここで。何で反論しないの。じゃ、最後に言いっ放し。だから、ETFに関する立憲民主党の対案は対案になっていないと私も思います。加藤大臣、どう思いますか。

加藤国務大臣 様々検討すべき課題がある対案というふうに受け止めてございます。

足立委員 その課題が、今日はどんとやり取りがあって、与党はそこは言いますよ。でも、その後に、何、立憲民主党さんはたくさん質疑の時間があったよね、藤岡さん、それから福田さん、藤岡さん、岡本さん。それで、ずっとそれに反論せずに、最後一言、いや、剰余金ですと言って。それでは野党は勝てないですよ。

 だから、私は、歳出改革については、これはもう、我が党も人のことを言えないので、そこはやめておきますが、歳出改革への覚悟と実行力で、ここは、歳出改革については政府・与党の勝ちだと思います。

 もちろん、私たちは、改革工程に定められている社会保障改革についてはもっと深掘りすべきだということで、医療維新とかいっていろいろぶち上げたわけでありますが、もっと深掘りしようよという議論はもちろんあるんだけれども、しかし、今回の対案を見ていると、ちょっと野党はもう胸を張れないなということで、これが第一ですね。

 いや、これが全てではありませんから、岡本さん、余り怒らないで。

 二つ目は、やはり少子化対策と社会保障の関係であります。

 これについては、まさに私も何度か質問させていただきましたが、三党合意のときから、年金、医療、介護に加えて少子化に対処するための施策に要する経費については、これは社会保障四経費だということで、どんと全世代型社会保障ということをずっと政府・与党は進めてこられたわけであります。私は、私たちは、それは反対です。反対なんだけれども、そういうふうにやってきた。

 そういう中で、今日、藤岡さんもフォローしてくださいましたが、私がずっとこだわってきたのは、支援金は社会保険料だけれども、歳出は社会保険給付ではないということです。藤岡さんは、いや、今日は答弁取れたと言うけれども、いや、もうそれでさんざん僕がやってきたから。それは社会保険給付ではないということは、熊木室長からも何度も御答弁いただき、今日、大臣からも御答弁があった。

 問題は、その後際限なく広がるのかということを藤岡さんはずっと今日、聞いていたわけであります。熊木室長は、それについても今まで再三、少子化対策であれば何でもいいということではないと。だから、少子化対策は社会保障四経費なんです。だって、社会保障四経費に含まれるからといって全てが支援金の対象になるわけではない。じゃ、どういう線なのかというときに、例えば消費税法には社会保障給付という六文字が出てきます。そこには収まるんでしょうか。

 ええっと、これは誰に振ってあるかな。大臣、行けたら大臣に。もう決まっている答弁だから。じゃ、熊木さん、ちょっと。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

熊木政府参考人 まず、今後のことということになりますと、正直に申し上げると、私どもで予断を持って、これが入る、入らないというのはなかなか申し上げにくいというのは、前提としてはございます。

 ただ、今回の整理につきましては、少子化対策であるということであるとか、当然ながら、今回の整理、その前に健康保険法に位置づけておりますので、そういう意味では、健康保険法の目的、これに照らしてふさわしいものであるという事業を位置づけましたので、そういう意味において、社会保障給付の中でも健康保険法なりの目的に合致したもの、そういったものを厳選して対象としたということでございます。

足立委員 つまり、社会保障給付という六文字と社会保障四経費という八文字は、これは社会保障四経費の方が広いんですよね。違ったっけ。(発言する者あり)広い。

 まずそこから、ちょっと所管を超えているかもしれないけれども、分かったら教えてください。

熊木政府参考人 それぞれ極めて広い概念ですが、かなり重なっていながら、それぞれの外側のものがあると思います。

 例えば障害福祉の施策ですとか児童扶養手当ですとか、そういったものというのは個別のニーズに応じて対策を取っているものでございますので、少子化対策というものでは、元々の考え方としては少子化対策に対する経費かというとそうではない、ただ、少子化対策のもちろん側面もあるということでございます。

 他方で、社会保障給付以外でも少子化対策に資するものは当然ございます。その中には社会保障四経費に該当するものもあろうかとは思います。

 大きくは重なっていると思いますが、それぞれ例外があるということになります。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

足立委員 それぞれ例外がある中で、支援金の対象経費は、予断を持ってなかなか言いにくいが、先ほどの御答弁だと、社会保障給付には収まっている、その中で更に絞り込まれているものであるという御答弁だったですね。

 だから、やはり既存のそういうフレームとの関係でいうと、社会保障給付という言葉が消費税法に出てくるんです。だから、三党合意のときに、消費税を八%に上げたそのときに、年金、医療、介護の社会保障給付と少子化対策に要する経費と書いてあるんだけれども、今回の支援金はその消費税法に書いてある社会保障給付という六文字との関係でどうかということを、別にそれを確認したから何が得られるかはちょっとよく分からないんだけれども、一応、概念整理ぐらいはしておきたいということで、先ほど熊木さんから、社会保障給付という概念の中には収まっているんだという御答弁がありました。

 この社会保障については、これはちょっと通告できていないんだけれども、今日の質疑で社会保障負担率という議論が出てきましたよね。ちょっと、熊木さん、対応できるかな。先日も階猛議員が、〇・二二とか、大臣とやり取りして、それは試算的な、〇・二二増えるんだという話がありましたけれども、社会保障負担率はこれからどうなっていくのかというのをちょっと確認しておきたいんですけれども。

 これは実質的な負担増にならないということでの指標として導入されているわけですけれども、これは、五年、加速化プランの期間だけの間は社会保障負担率が増えないのか、これからも日本政府は、自公政権は社会保障負担率を上げていく予定はないのか、どっちですか。

熊木政府参考人 幾つか要素があったかと思いますが、社会保障負担率というのはやはり重要な指標ですので、しっかりと、上がらない、上がっていかないように軽減といいますか対応をしていくというのがまず一つのベースラインでございます。

 支援金を導入することによってそれが上がることがないように、歳出改革、及び賃上げも含めてでございますが、そういうことを行って、社会保障負担率が上昇しないような範囲で支援金を構築すると申し上げています。

 今後は、自然増みたいなものを、先ほど御議論がありましたので、それがどういうふうに影響するかというのが、社会保障負担率という、分母、分子でいえば分子の課題でございます。分母につきましては、賃上げなり、国民所得がどれだけ上がっていくか、こういう相対的な規定になります。

 ただ、二〇二八年、三・六兆円、この支援金を、一兆円を導入するに当たって、社会保障負担率が上がらないようにしっかりと歳出改革を行っていくというのが基本と申し上げまして、その後につきましては、分子につきましては基本的には子供の数によると申し上げていますので、子供の数は当然ながら、高齢化等によって、増えていくものではないということでございますので、分母、分子の関係によって社会保障負担率は変わりますけれども、二〇二八年度導入について枠組みを決めるというのが一番重要で、それを決めさせていただいているということでございます。

 なお、足下では社会保障負担率は下がってきているということであります。

足立委員 今の御答弁はこれまでもいただいている話で、よく分かります。

 伺っているのは、その後、社会保障負担率がどうなっていくかでありますが、それは、政府は、いや、私たちがなぜ支援金について議論しているかといったら、この後やりますけれども、負担構造上、支援金、社会保険料というのは現役世代の負担が大きいということなので、これが、今回はともかく、これからもこの支援金がどんどん活用されていくとなると、やはりそれ自体が少子化対策に反するのではないかということがこの委員会でずっと議論されてきたテーマなんです。

 すると、社会保障負担率は、おっしゃった、二〇二八年、三・六兆の一兆円の議論だけではなくて、今後も、確かに経済情勢はどうなっていくか分からないんだけれども、そんなことを言えば、財務省の財政運営だって全部そうですよね。その中で、例えばPBとか、いろんな議論を目標を決めてやってきている。

 だから、皆様が、こども庁がこの支援金制度を創設するに当たっては、例えば、社会保障負担率は上げないんだ、その範囲内で支援金で国民に協力を仰ぐんだということを本当は言ってほしいんだけれども、今回はそこはコミットしていないということですね。

熊木政府参考人 済みません、ちょっとお答えになっていないかもしれませんが、今回の支援金の導入に当たって社会保障負担率が上がらないようにする、これはコミットをさせていただいているということでございます。

 今後のことにつきましては、少子化の中で児童の数が増えていくというのはちょっとなかなか当面は難しいようにも思いますが。あとは、数につきましては、私どもとしては、少子化対策を担当している立場からは増えていただきたいという気持ちがありますので、余りそれにコミットを、増えないというコミットをするということはないんですが。

 ただ、数と、それから事業ですね、事業は法定化しているとずっと申し上げていますから、費用が増えるとすれば、数が増えるのか、事業が増えるのかということだと思いますが、事業が増えるということについてはしっかりと法案に書き込んでいるので、それは国会の御審議がなければない、政府が勝手に増やせるものではないというふうに申し上げてございます。

足立委員 ちょっと熊木さん、歩く距離が、申し訳ないんですけれども。

 今の御答弁は、子供が増える、増えないという話と、支援金を使うかは別でしょう。私たちが今議論しているのは、支援金を使うかどうかなんです。税を使うことは否定していないんですね、だって、これまでも使ってきているんだから。

 今回はまさに、今日議論があったように、政府は新しい支援金制度をつくったわけです。その支援金の使い方について議論しているときに、いやいや、子供が増えれば、減れば社会保障負担率がどうという議論、もちろんありますよ、それはありますけれども、もし、また将来本当に子供が増えれば、それは税収となって返ってくるわけですから。だから、まさにずっと議論してきているように、それだったら、本当に増えてきたら、それは国債でもよかったねということになるわけであります。

 だから、子供が増えるか減るかコミットできないからコミットできないというのは何かよく分からなくて、私たちは、支援金の使途についてなぜコミットしないのかと言っているわけですね。

 支援金の使途については、二〇二八年以降、二〇二九年以降についても社会保障負担率が、支援金を使うことによってそれが、支援金を措置する、支援金を例えば今度国会で議論して二兆円にしますというときに、それが社会保障負担率の上昇にならないようにするというのは私は当たり前だと思うんですね。それは二八年までだけじゃなくて、ずっと支援金というものはそういうものであるべきだ。

 二八年まで支援金はするものであるべきなんだったら、それ以降もするものであるべきではないかと言っているんだけれども、どうですか。

熊木政府参考人 二つの論点があったかと思います。

 まず、事業については法定化しているので、これを増やすということについては国会の御審議なくばできないということでございます。

 それから、仮にそれを増やす判断があったとしてということかと思いますが、その際に、じゃ、仮に一兆円を更にプラスした二兆円の支援金になるとき、このときは歳出改革で、見合いの歳出改革をして社会保障負担率が上がらないようにするのかという御質問だと思いますが、さすがに、今回の枠組みを決めさせていただきましたが、今後のことについてはもちろん決めているということではございません。

 一つ言えますのは、前半について言えば、かなり使途自体が、今回かなり厳格に決めさせていただいたというのは何回か申し上げたとおりですので、何でもかんでも使えるものではない、ましてやということでございます。したがって、二兆にするという仮定のところ自体が、しっかりとまず吟味をする必要があるんだろうというのが一つ。

 もう一つは、今回、こういう御議論があって、歳出改革の中で、実質負担がない、そういう範囲内で支援金をつくるんだ、二〇二八年度と申し上げていますので、この国会での御審議というのは、一つの大きな経過として、支援金制度においての議論のスタートラインにはなるんだろうというふうには考えます。これは、感じているという、残念ながら感想になってしまう点は御容赦いただければと思います。

足立委員 今の話は、だから、今度、二〇二八年を経てまた国会でこの枠組みが議論されるときには大きな論点になるということで、頭出しをしておきたいと思います。

 今日、一谷議員が総理に質問させていただいた論点が幾つかありました。今の支援金の規模が拡大していくのではないか、これが一つですね。それからもう一つ、二問目に一谷さんが総理に申し上げたのは、医療保険料自体は応能負担というものを強化していこうとしている、これについて支援金についても同様の改革、支援金改革というのはやっていくべきじゃないのか、こういう御質問を申し上げましたら、総理は何か、方向だ何だとよく分からない御答弁でした。

 大臣、これは総理と同じ御答弁になるね。ちょっと一応お願いします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 医療保険制度を含め、社会保障制度の持続可能性の確保の観点から、全ての国民がその能力に応じて負担し、支え合う全世代型社会保障の構築は重要であり、先日の厚生労働大臣の答弁は、こうした方向性についてお話があったものと承知をしてございます。

 支援金は、医療保険料と併せて徴収するものでございまして、医療保険制度に準じて負担能力に応じた仕組みとしてございます。そのため、医療保険制度において応能負担を徹底する観点から、保険料の賦課徴収を見直す場合には、支援金も同様の取扱いとすることが基本になると考えられます。

足立委員 応能負担については厚労委でさんざんやってきていますが、是非、支援金についても改革をやっていくのは当然であると。ただ、マイナンバー、そういう目的でちゃんと使われていませんから、それはこれからもやっていくということです。

 最後になりますが、その上で一谷議員から税構造改革という御質問を申し上げた。それに対して総理は、ちょっとちゃんとメモできていないんだけれども、若い世代の可処分所得をちゃんと増やしていくということが大事だ、そのための税制改革、税制の見直しというかそういうことは絶えずやっていくんだということをおっしゃった。まさにここにコミットしてもらうのが本当の修正案ですよ。ねえ、岡本さん。ETFとかそんな、すぐ公明党に論破されるようなことを言っても仕方ないわけですよ。

 一番私たち野党が政府に求めるべきは、まさに税構造改革をやるのかということなんですよ。私はそういう修正案を議論していたんですよね、議論していたんだけれども、絶えずやっていくわけだから、何か党でそういう協議はするなみたいなことになりまして、もうじくじたる思いでありまして。

 私は、この税構造改革についてのコミットメント、これが一番大事なのであって、総理は何度も私の質問に対して、これは不断にやっていくんだ、継続的な取組だ、社会保障と税の一体改革は終わっていないんだと。今日も一谷さんに対して、若い世代の可処分所得を増やしていくための税改革、税制改革は絶えずやっていくんだ、こうおっしゃいました。

 今日、中村審議官、通告していなかったかもしれぬけれども、いてくれてありがとうございます。ちょっと難しい質問だと思うんですけれども、総理は今日そう言いましたよね、聞いていましたか、絶えずやっていくんだと。まあ、いいや。そういう答弁があったわけです。どこに書いてあるんですか。どこかに書いてあるんですか、政府の、文字で。

中村政府参考人 総理の御答弁は、今般の少子化対策の税源確保のためということではなくて、税制の在り方を不断に検討すべき、公平、中立、簡素の観点なども踏まえつつ、あるべき税制を構築してまいりたいということを申し上げた。

 こういったことは、政府税制調査会に総理は諮問をされておりますけれども、そういったところにも、時々の経済構造を踏まえてしかるべく見直すということは、その諮問あるいはいろいろな場で政府としても申し上げているところでございます。

足立委員 いわゆる簡素、公平、中立、今日も総理はおっしゃいました。そういう税制の基本理念、基本原則にのっとった税制改革を常に常にやっていくということなんだけれども、私たちが今回この委員会でずっと議論してきたのは、まさに今回のような負担構造は、少子化対策、少子高齢社会に、超少子高齢社会に対応していくときにこの負担を導入することはマイナスではないのか、それだったら、今日、一谷さんが言ったように、まだ消費税の方がましだと。

 いや、消費増税しろと言っているんじゃないんですよ。それは、支援金だって、保険料負担を減らす中で実質負担増にならないように支援金を入れるんでしょう。一緒やんか。消費税だって、歳出改革をして実質的な消費税率が上がらないようにしながら少子化対策に消費税を投入していくということは、今回政府もやるわけですよ、歳出改革のところで。消費税だけではない。いろいろな税目があって、そういう税をいろいろなところでふんだんに入れていくということに今回なっていますよ。だって、三・六兆のうち支援金は一兆円だけなんだから。

 なっているんだけれども、支援金だったらまだ消費税の方がましだろうといろいろな有識者たちも騒いでいるという中で、なぜ支援金を入れるのかについては、結局私たちは、やはりそこは問題があると思っているわけですよね、岡本さん。そこについては、立憲民主党も我々も同じ意見なんです。やはり支援金は間違っているんじゃないかと。でも、それを言っていても、ETFじゃ駄目なんですよ。だから、そこで野党が出してくる対案がETF。

 維新の会だって人のことは言えないですよ。私は本格的な議論を一谷さんとやってきたんだけれども、日本維新の会という政党は、党としては、国会議員の定数削減でやると言っているんですよ。(発言する者あり)いやいや、国会議員の定数削減、行政改革、それから資産売却でやると言っているんですよ。いやいやいや、埋蔵金の話、ここで出てくるかというのが。

 だから、まだ政調会長一任になっているはずだから、今からでもこの修正案は僕はやめた方がいいと思いますよ。だってそれは、野党の政権担当能力がないということを見せることになるから。だから、もう修正案は出さない方がいいよ、一谷さん。いや、これは党内で協議中だからいいんだけれども、とにかく、今の維新の会の対案では立憲民主党と同じレベルになる。それは、政権担当能力はないということを示すんですよ。

 そうじゃなくて、私たちがこの委員会で再三、何週間にもわたって議論してきたのは負担構造ですよ。歳出構造も大事だけれども、超少子高齢社会に対応していくためには負担構造も大事でしょうと。そのときに一兆円の支援金というのは本当にいいんですか、それだったら税構造改革をやった方がいいんじゃないですかということを言って、私たちは、少子化対策に合致するような負担構造にしていくということを書けと言ったんですよ、法案に。真剣にそういう議論がされていたのに、それを止めたんですよ、党は。

 一体なぜ党が止めたかというと、要は、政府・与党がのみかねないというんですよ。いや、別に党の批判をしているんじゃない。私は、国民の皆様に一回、我々、一谷さんや足立や、こうやって厚生労働委員会や地・こ・デジ特委で私たち野党が一体何をしてきたのか、何週間にもわたって時間を使って何をしてきたのかというのは、そこを取るためにやってきたわけですよ。

 ようやく、少子化対策に資する負担構造というのが大事なんだ、それを法案に書いていないじゃないかと。今、中村審議官からも、いやいや、そういうことはいろいろなところでやっていると言うけれども、法律に書いたらいいんですよ、この支援金をつくるに当たっては、本則で、少子化対策に資する負担構造ということを視野に入れていくんだと。そうすれば、さっきの熊木さんにお願いした社会保障負担率の議論だって全部そこに含まれてくる。

 そして、負担構造。税と社会保険料の歳入の構造、負担構造、税構造、負担構造全体について、少子化対策から離れていくことがないように、超少子高齢社会にふさわしい負担構造になるということを僕は政府・与党にコミットしてもらおうと思ったんですよ。

 真剣に井上筆頭は議論をしてくれた。だから僕は、井上さん、万博でもお世話になりましたけれども、井上筆頭はやはりさすがだなと。そういう中で、立憲民主党は間に入れていませんでしたけれども、でも、しっかりと国会の中で御相談をしながら、私たちが、日本維新の会がこの一連の、何週間にわたる審議でやってきたことはそういうことなんですよ、それで議論してきた。

 ところが、やはり、もし万が一政府・与党がのんじゃったら賛成せないかぬ、選挙で批判できないじゃないかと。いや、そんなものは五五年体制というんですよ、そういうのを。辻元清美さんがずっとやってきたことですよ。

 だから、そういう国会はやめようということで、私たち日本維新の会は、医療維新というのをまとめ、去年からずっと準備をしてきて、まとめた。でも、医療維新というのは少子化対策の財源を生み出すためにやっているんじゃないんですよ、医療制度を守るためにやっているんですよ。

 じゃ、少子化対策はどうかというと、その少子化対策の財源は、それはまさに一般財源で、税でやればいいんですよ。そのときに税構造全体として、今、中村審議官がおっしゃったように、政府だって、超少子高齢社会において歳入がどうあるべきなのか、ずっと議論をしていますよね、その財務省が議論をしていることをちゃんとこの法案の本則に書けと言ったんですよ。もう悔しくて悔しくてね。いや、これぐらいの発言を僕は、まあいいや、ちょっとしんみりしてきましたけれども。

 しかし、この法案の問題点というのは、今日申し上げたように三つの層があるわけです、レイヤーが。

 一つは、歳出改革を本当にやるのかですよ。それは政府・与党は、だって、法律に書いてあるんだからやるでしょう。すごいよ、それは。あれだけの工程、改革工程を書き出し、それを法律に書き、やると書いてある。それで立憲民主党はETFですよ。完全にこれは政府・与党の勝ちです。

 それから、社会保障という概念の中で少子化対策をどう位置づけるか。これは今、今日議論したように、政府・与党は、そこは位置づけるのであると。一定の枠内だけれども、社会保障給付の枠内、又は更に絞り込んでだけれども、支援金を使っていくという御答弁があった。それはもう政府・与党の方針だから。

 そして、三つ目のレイヤーが、今あった超少子高齢社会における負担構造はどうあるべきなのかですよ。中村審議官、財務省は、さっきおっしゃったいろいろなテーマで財政審とかを回しているけれども、あるいは政府税調を回しているけれども、それは、今私が申し上げたような議論というのはなされているんですか、政府で。

 例えば、私は、ずっとこの委員会で、この委員会で示したかな、負担構造のグラフを出しました。これは財務省、厚労省監修の下で作った。要は、現役世代の負担の大宗は社会保険料なんですよ。社会保険料ばかりばんばんばんばん増えていくと、ますます現役世代は負担が重くなって、結婚できない、子供を産めないになっていくよね。だから、社会保険料よりは消費税、消費税よりは資産ベースの何か負担の方が。だって、現役世代、資産は持っていないでしょう。資産は高齢者が持っているんですよ。別に資産課税だって増税しろと言っているんじゃないんですよ。適正に取れと言っているんですよ。

 だから、厚労大臣も応能負担と言っている。そうであれば、少子化対策に見合う負担構造というのは、所得ベースの保険料よりも消費税、消費税よりも高齢者が持っている資産税、資産ベースの負担、これがいいに決まっている。そういう議論というのは財務省はしているんですか。

中村政府参考人 お答えいたします。

 先生おっしゃられたように、経済や社会の構造が変化しておりまして、それに合わせて税制をどのような観点から見直していくべきか、これは様々な場で検討しております。例えば、昨年六月に、政府税調の答申などもそういった観点から中期答申を出させていただいております。

 それはそれといたしまして、今般の子供、子育て政策の抜本的拡充に当たりましては、様々な現下の経済状況や財政状況を踏まえて、歳出改革や、保険料負担の軽減を図り、その範囲内で支援金制度を構築するということで御説明を申し上げているということは承知しております。

 以上です。

足立委員 時間が来ましたので終わりますが、とにかく歳出改革、社会保障論、それから負担構造論、この三つのレイヤーで、私たちは、この委員会、十分に議論をさせていただけたと思います。そして、加藤大臣、熊木室長を始め政府・与党の方針、これは明確になったと思います。

 私たちはそういうことで賛成をいたしませんが、政府・与党あっぱれと申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十二分開議

谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 ちょっと午前にも触れましたが、市町村国保について続けて質問したいと思います。

 十一日の委員会で、この市町村国保の年収ごとの支援金の見込額が示されました。あくまでも機械的な計算というお断りを入れた上でのことですが、資料の2にこれまでこども家庭庁が示した数字で単純比較をしております。例えば、年収二百万円の会社員だと三百五十円、国保では二百五十円、八百万円だと会社員は千三百五十円に対して国保は千百円と。もちろん、先ほど来議論があったように、国保の場合は三人世帯だとすれば約三倍という計算になるからそもそも高いよねという話はあるわけですが、今、一人でまず比較をして、同じ収入の、今言った二つの収入の比較で、それぞれ本来の医療保険料の平均額が幾らになるかお答えください。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 夫婦と子供お一人の三人世帯、それで夫の給与収入のみという前提を置かせていただきまして、まず、これは機械的な計算になりますけれども、国民健康保険料につきましては、令和三年度の全国平均の料率などを用いまして機械的に試算を行いました場合、年収二百万円の場合の一人当たり保険料額は月額約〇・五万円となりまして、年収八百万円の場合の一人当たり保険料額は月額約一・九万円となるというところでございます。(高橋(千)委員「両方両方」と呼ぶ)

 それで、被用者保険の保険料についてでございますけれども、こちらにつきましては、令和六年度の協会けんぽの全国平均の保険料率一〇%を用いて機械的に試算を行いました場合、被保険者一人当たり、年収二百万円の場合は月額約〇・九万円でございまして、年収八百万円の場合ですと月額約三・四万円となるというところでございます。

高橋(千)委員 今、分かりにくかったと思うんですが、後から言ったのと、〇・五万円などという表現をしましたので。

 二百万円の場合は国保が五千円に対して被用者が九千円とおっしゃったんだと思うんですが、これは保険料が被用者の方が高いように見受けられるんですけれども、最初に一人で比較するといったときに、やはりこれは単身で比較する、三人世帯だったら三人で比較する、そうじゃなかったらフェアじゃないんじゃありませんか。私はそういうことを事前に言ってありますけれども。

日原政府参考人 失礼いたしました。

 夫婦とお子さん一人の三人世帯での家庭ということでお答えをするということで伺っておりまして、そのようにお答えしたものでございます。

 そういう御指摘から補足をして申し上げさせていただきますと、先ほどの国民健康保険料の機械的な試算、これは一人当たりの保険料額で申し上げさせていただきましたけれども、これを三人の世帯でいらっしゃるということで世帯当たりで申し上げますと、年収二百万円の場合は約一・六万円、年収八百万円の場合は約五・八万円というところでございます。

高橋(千)委員 これではっきりしたと思います。国保の方が高いということであります。

 それで、総理に対して指摘したことを今度は大臣に質問します。

 大臣も、国保加入者の九割が四百万未満なんだということを繰り返しおっしゃいました。ですから、比較するときに、八百万円以上の加入者なんて極めて少ないわけで、そこで比較してもうまくないよというふうにおっしゃったんですね。それは、言ってみれば、私が言いたいせりふという話なんですよ。

 一枚目の資料は、赤字の部分は、ちょっと今回新しく追加した部分、見ないで、比較をしているときに、やはり単純に一人で割った額で比較しているわけなんです、所得階層を無視して。そうすると、当然ながら、所得の低い人たちの集まりの平均額と被用者保険の所得が国保に比べたらかなりある人たちの平均額と比べたら、当然支援金は国保の方が少ないとなっちゃうわけで、でも、それを単純に少ないと言ってはいけないと思いますが、いかがですか。

熊木政府参考人 国保の方が加入者の所得が低いとの御指摘だと思います。それはそのとおりでありますので。単純に少ないと申し上げるものではございませんけれども。

 そういったこともありまして、国保については公費を大きく投入させていただきまして、加入者一人当たりでいえば、平均的に言うと、被用者のケースで五百円、月額に対して、国保の場合は四百円というふうになっているということでございます。

高橋(千)委員 後ろ半分、言う必要ない話ですよ。分かり切ったことを言わないでください。単純に比較して、少ない、少ないと言う人がいるからなんですよ。それをはっきりさせたかっただけなんです。余計なことを言わないでください。

 それで、健保組合、組合健保も解散などが続いております。直近三年間で解散はどのようになっているでしょうか。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 健康保険組合の直近三年間の解散の状況でございますけれども、令和三年度は五組合、これは全組合に対する割合が約〇・四%でございます。令和四年度におきましては二組合、約〇・一%、令和五年度におきましては三組合、約〇・二%となっているところでございます。

高橋(千)委員 健保組合が解散すれば、協会けんぽに加入するわけですね。

 資料の3を見ていただきたいんですね。

 これは各保険の比較をしております。組合健保というのは、大体、比較的規模の大きい企業の組合なわけです。ですから、加入年齢も平均三十五・七歳、現役世代であります。一人当たりの平均所得が二百三十七万円で、かなり違いますよね。ですから、国費も七百三十一億円ということで、市町村国保や後期高齢者、あるいは中小企業の多い協会けんぽに比べても少ない、こういうふうになっているわけなんです。

 ただ、今、保険料収入の四四%を高齢者医療への拠出金などが占めるということで、参考人からも指摘をされてきました。保険者の自治ということがあるんじゃないかということが指摘されてきたし、今、赤字がかなり増えているということも聞いています、八割という数字も聞いていますけれども。

 そういう意味では、被用者保険全体も厳しくなっている、それは認識はあるでしょうか、一言で。

日原政府参考人 医療費全体が伸びていく中で、保険料も上昇する傾向にあるという状況でございます。

高橋(千)委員 そうなんです。国保が本当に厳しいと言っているんですが、同時に被用者保険もこのような状況だという中での、支援金を一律という形で押しつけてくるということに対して、やはり問題があるんじゃないかと言わざるを得ないと思うんですね。

 国保に戻りますけれども、資料の5を見ていただきたいと思います。

 この網かけのところは無職です。令和四年度でいうと四五・三%。ここには出てこないんですが、二割が無収入になっています。白いところ、三割以上を占めるのが被用者です。被用者といっても、事業主の都合で被用者保険の世界から移ってきた人もいて、被用者保険に比べれば所得も小さいです。最も被用者の中で多い層を見ると、三百万から三百五十万、その程度なんですね。だけれども、何しろ無職だとか無収入の人が多い中では、一定の支えている層になっているわけなんです。

 そこで、厚労省に二つ質問します。

 政府は被用者を社会保険に移行させていくという方針だと思いますが、伺います。それから、本来はそうあるべきだと思うんです、被用者なんだから被用者保険と。でも、今話したように、無職、無収入の人が多いなど、国保は非常に脆弱になっていて、ここが抜けるとかなり厳しくなっていくというのが現実としてはあるんですが、その国保の問題をどう見ているのか伺います。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 被用者保険の適用拡大につきましては、働く方々がその働き方や勤務先の企業規模、業種、あるいは年齢や性別にかかわらず、ふさわしい社会保障を享受できるようにするとともに、雇用の在り方に対して中立な社会保障制度としていくという観点から、平成二十八年十月以降、短時間労働者への被用者保険の適用拡大を進めているところでございます。

 御指摘ございましたように、近年、国保の世帯主の方の職業として被用者は約三割を占めてございまして、被用者保険の適用拡大により、被用者保険に移行される方もおられるというふうに考えてございます。

 他方、国民健康保険制度についてでございますけれども、これは、被保険者の方の年齢構成が高い、また、所得水準の低い被保険者の方が多いといった構造的な課題があるということでございまして、こうした課題を踏まえまして、これまで、給付費の約五割を公費負担とすることに加えまして、低所得者の方への保険料軽減制度、これを設けるなど、公費をほかの制度より手厚く投入するなどの措置を講じてまいりました。

 平成三十年の制度改革におきましても、低所得対策の拡充など毎年約三千四百億円の財政支援を行って、財政基盤を大幅に拡充するなどの措置を講じてきたところでございます。

 現在、次期年金制度改正に向けまして、被用者保険の更なる適用拡大などの制度の見直しについて議論を行っているところでございます。社会保障審議会医療保険部会などにおきまして、今後、国保の保険者の方も含めた関係者の御意見も伺いながら、丁寧に議論してまいりたいというふうに考えてございます。

高橋(千)委員 資料の4を見ていただきたいんですね。これは、都道府県別の平均所得と平均課税標準額及び保険料の一覧です。

 赤線を引いていますが、全国は一世帯当たり百四十二万五千円、横を見ていくと、一世帯当たりの保険料は十三万八千三百六十七円。だから、国保は本当に高いんですよ、十万ちょっとの収入で月々一万三千円強の保険料というのは、余りにも高いんですよ。

 そして、私の住む青森県は、元々県民所得がワーストに近いということで大変厳しくて、百八万四千円に対して十三万千五百五十八円の保険料である。そして、課税標準額に対する調定額の割合が、全国一二・七%に対して、青森県は一七・四%と非常に高い。

 つまり、東京も線を引いてありますけれども、所得の低い地域ほど、もちろんこれは市町村に分けるとまたいろいろ違いますが、低い地域ほど負担が重くなる、それが残念ながら国保の特性でもあると思うんですね。

 そして、保険者同士の比較でも、今見てきたように、元々の格差があります。それに上乗せすることで、どうしても格差が広がることになるんです。だから、支援金を社会保険料から徴収するのはやめるべきではないか。

 大臣に伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 医療保険料につきましては、応能負担を中心としつつ、低所得者への一定の負担軽減措置を講ずることにより、逆進性に配慮した制度としてございます。

 支援金は、医療保険料と併せて徴収をするものでありまして、賦課方法も基本的には医療保険制度に準じた取扱いになりますが、低所得者への一定の負担軽減措置等を講ずることなどを通じまして、負担能力に応じた仕組みとすることとしております。

 支援金は、子育て世帯への経済的支援の充実等に充てるものでございまして、また、歳出改革による負担軽減効果の範囲内で構築をするものであり、実質的な負担が生じるものではなく、負担能力に応じた拠出をお願いしていくこととなりますが、負担能力がある方はそうした軽減効果も大きくなることから、格差が広がるというふうにはならないものと考えてございます。

高橋(千)委員 もう一回聞きますけれども、今、各県の数字を出して質問しました、国保の特性ということ。つまり、保険料の世界で、支援金を抜きにして、保険料の世界で比べても、明らかに格差がありますよね、そのことをちゃんとお認めになりますか。

熊木政府参考人 午前中にも御議論あったかと思いますが、自治体によって、市町村の国保の決め方、様々でございますので、一概に言えない部分がございます。

 先生がお示しになられた表は、都道府県ごとの保険料の額が所得に対してどれぐらいの割合かということでございますが、一定程度医療費の違いが入っているか入っていないか、通常ですと入っているんじゃないかというふうに思いますので、そういった面も含んだ上での様々な数字になっていると思いますので、その面も含めまして、一概に申し上げることは難しいのではないかというふうに思います。

高橋(千)委員 何を聞いても、それぞれが決めることだから分からないとおっしゃるわけですよ。そのくせ、負担増にはならないとか格差を広げることにはならないって、何の根拠もないことになりませんか。私は、そういうふうにおっしゃるから、自分の試算ではなく、厚労省の出している実態を使って質問しました。それも認めないで、皆さんが言っている負担じゃないとか格差にならないなんということは、絶対に言えないですよ。違いますか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 医療保険料に準じた賦課徴収のルートを考えてございます。医療保険料、これを歳出改革でもって、支援金として頂戴をしていくその幅の分だけしっかり歳出改革を行って、しかも、その賦課徴収は医療保険料と同じ、準じた方式でやっていくことになりますので、支援金を頂戴する分だけ負担の方も削減をされると。それは、個人個人、どの医療保険制度に入っている方々も基本的には同じ、同様だと言えるというふうに考えてございますので、実質的な負担が生じないというところを留意をいただければというふうに思います。

高橋(千)委員 私が言っているのは、大臣が今お答えになったように、それぞれの医療保険の料率の出し方にのっとって支援金を乗せていくんだとおっしゃったんです。だから、元々の制度が格差があるんだから、それに乗っかったら同じでしょう。それは当然じゃないですか。違いますか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 支援金は、子育て世帯への経済的支援の充実等に充てるものであり、また、先ほど申し上げた、歳出改革による負担軽減効果の範囲内で構築するものであるとともに、負担能力に応じた拠出をお願いをしてまいります。負担能力がある方はそうした軽減効果も大きくなることから、格差が支援金によって広がるという御指摘は当たるものではないと考えております。(発言する者あり)

高橋(千)委員 周りの方がおっしゃってくださっているので。格差があるのはちゃんと認めるというところからスタートしないと。それに乗っけるから駄目なんだと何度も言っているじゃないですか。

 私、本当に、先ほどの皆さんの質疑を聞いていて思い出したんですが、大臣の地元の鶴岡市が合併したときに、物すごく面積の広い市になったんですよ。だけれども、鶴岡市に比べて周辺の町村というのはどうしても医療のインフラが少ないですので、国保料が一・五倍になっちゃったんです、市になったというそれだけで。やはり、国保ってそういうものなんですよ。それを、今、都道府県に一つにして、なるべく保険料を一緒にしろ、そういう指導をしているわけ。

 だから、格差を広げているというよりは、見逃しているということを言わなきゃいけない。だから、そこに乗っける支援金は駄目なんだということを重ねて指摘をして、終わります。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 最後の質問になります。よろしくお願いします。

 ちょっと一問質問を飛ばして、社会保険料から行きたいと思います。

 午前中、総理に、今必要なのは、社会保険料を、現役世代、どのように負担を減らして、また、手取り、可処分所得を増やすかということを質問しました。子供、子育て世帯の経済的支援が強化される、また、現役世代の可処分所得の向上をバランスを持って適切に対応すべきだ、それは確かにそうなんですけれども、この前提となる歳出削減、これを支援金に回す前に、今でも大変に社会保険料は負担が大きい、国保も大変だという声に応えるためには、やはり、まず社会保険料を減らしていくということも考えなくちゃいけないと思っています。

 その前提で、今日、厚労省から来ていただきましたが、歳出削減分が支援金に回るとなると、今後、幾ら歳出改革、工程表で進めて、どんどんと求めていきますけれども、若者世代の社会保険料が、負担が増えることはないと今日の議論もありましたけれども、逆に減ることもないということでよろしいんでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 御質問のございました歳出改革でございますが、歳出改革につきましては、厚生労働省といたしましては、持続可能な社会保障制度の構築に向けて必要な改革を今後も行っていくこととしておりまして、支援金制度との関係では、御指摘ございましたけれども、歳出改革と賃上げにより生じさせた社会保険負担の軽減効果の範囲内で支援金制度を構築することとしております。

 この仕組みをもって、今後、歳出改革をどれだけ進めても現役世代の社会保険料が減るということはないという御指摘は必ずしも当たらないと思いますけれども、御指摘のように、あるいは今日の午前中の質疑の中でも総理からも御答弁がございましたように、可処分所得の向上という要請というものも非常に重要な課題でございます。

 私どもといたしましては、現役世代の負担に配慮をしながら、また一方で、必要な給付が欠けることのないように配慮もしながら、歳出改革によって社会保険料負担の全体として抑制をしていけるようにしっかり取り組んでいくことが必要だと考えているところでございます。

田中(健)委員 皆、持続可能な社会保険料、もちろん大切ですし、もちろん可処分所得を増やすのも大事なんです。しかし、今回のこの歳出削減、また支援金によってどう変わるかというのをやはりしっかり説明しないと、国民も納得しないですし、なかなか委員でも理解が進まないと思います。

 今、必ずしも減ることはないということではないと言うんですけれども、給付を抑えていきますと、まさに給付と負担の関係でいえば、給付を抑えるわけですから、その負担もやはり減らすというのが元々の社会保険料の考えであるならば、もう一度聞きますが、減るということはあるということでよろしいんでしょうか。

宮崎政府参考人 お答え申し上げます。

 歳出改革と社会保険料の水準との関係、これは、社会保険料の水準自体が歳出改革の動向あるいは経済動向等々によって決まってまいりますので、現時点で、必ず増えるあるいは必ず減る、あるいは減る可能性が、必ず増えるあるいはと結論づけることも難しいと思います。

 ただ、御指摘のように、今後、高齢化の進展に伴って給付が増えていく中で、社会保険料の負担というものは、社会保険制度につきましては給付と負担がセットでございますので、給付が増えていくと見込まれる中で、負担が増えていくことはある程度見込まれるということは御指摘のとおりだと思います。

 その中で、先ほど申し上げましたように、一方で現役世代の負担にも配慮しながら、社会保険料負担が抑制されるように努力を続けていくということが我々の考え方でございます。

田中(健)委員 それを聞きましたのは、やはり若い世代の保険料負担が大きいということです。

 日経新聞の試算では、家計の所得に占める税と社会保険料の負担、二〇二三年九月では二八%と過去最高水準になったということです。そして、その中でも若年層に負担が偏っているということで、日本総研の試算では、二十九歳以下の世帯は、消費税などを抜いたとしても二二年度時点で三〇・二%と、どの世代よりもこの二十九歳以下が負担が大きいということです。

 まさにこの世代が、大臣が言うように、希望する結婚、希望する出産、家族をつくるという世代かと思いますが、やはり、少子化に歯止めをかける、少子化の反転をするということですが、かえって負担を増やして、その希望する、望む結婚、出産をためらわせる結果になりやしないかということです。ですので、社会保険負担が、給付を減らして歳出削減をしていくんだから、減るということもあれば、そこは負担が減り、今の三〇・二%から少しずつ減らすことができるのかなということで質問しました。

 この現役世代の社会保険料負担というのは、若い世代の手取りが減るということにつながりますけれども、これは少子高齢化につながることではないんでしょうか。大臣、伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 高齢化等に伴い、医療や介護の保険料は上昇する傾向にございます。若者、子育て世帯の手取り所得を増やすためにも、歳出改革等によりその上昇を最大限抑制することが重要であると考えております。

 こうした観点から、喫緊の課題であります少子化対策の財源確保、これに当たりましては、徹底した歳出改革で確保することをまず基本とし、それによって生じる保険料負担の軽減効果の範囲内で支援金を導入するということで、全体として実質的な負担が生じないようにしてまいります。

 また、こども未来戦略におきましては、若者、子育て世代の所得を伸ばさない限り、少子化を反転させることはできないことを明確に打ち出し、ここの問題意識は委員と同じだと考えておりますが、最重要課題であります賃上げなどに全力で取り組むとともに、加速化プランにおきまして、児童手当の抜本的拡充など、長年指摘されながら実現できなかった経済的支援の強化、こちらに取り組んでいくこととしています。

 こうした取組を通じまして、若者、子育て世帯の所得を増やし、そして、若者世代が経済的な不安を覚えることなく、希望どおりに結婚、妊娠、出産、子育てを選択できるようにしてまいります。

田中(健)委員 歳出削減によって、皆が負担をして、確かに、それによって、今言った子供、子育て世代の支給は大きくなり、負担が減ります。しかし、全ての人が今回負担をすることになりますから、まだ子供を持っていない世代、これから持つ世代にも負担がかかることになります。その負担増になる社会保険料の負担が、手取りが減り、そして将来不安につながるんじゃないかというふうに質問したわけですけれども、そこについてはどうでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 支援金につきましては、歳出改革、これを徹底することによって保険料負担の軽減効果を生じさせ、その範囲内で構築をします。拠出はお願いいたしますが、その分、歳出改革もしっかり行っていくということを法案の中でも示させていただいているところでございます。また、賃上げの効果も併せて確実に社会保障負担率を軽減することで、全体として実質的な負担は生じないこととしております。

 また、支援金制度は、企業や高齢者も含め、全世代、全経済主体が連帯して拠出をし、現役世代である子育て世帯を支える枠組みでございます。出産、子育て、それをしっかりと支えていくことで、これは若い世代全体にとって、自分自身の希望がかなえられる、そういう社会だという見通しを持たせていける、そういう制度として若い世代にも理解を得ていきたい、このように考えております。

田中(健)委員 歳出削減は分かります。その中の負担の中でやるということも分かります。しかし、やはり長期的にどうなるとか、ないしは、先ほど私、出生率の話をしましたけれども、それも政府としては示さない中で、負担の話だけが全世代にかかり、そして、子育てしやすくなるから、結婚して子育てすれば、これだけ所得が増えるよ、若しくは給付が増えるよと言われても、なかなか今まだ結婚していない世代や若い世代には響かない。それよりも、そんなことをするよりも、社会保険料を減らしてくれよ、とにかく今の生活を支えてくれよというのがやはり声だと思いますので、そのバランスというのは大変難しいですけれども、是非、ずっと同じ答弁になってしまうのでこれで終わりますが、その声をしっかり大臣にも分かっていただきたいと思います。

 その上で、今、財源というお話がありましたけれども、今回、子ども・子育て支援金に関して、政府は、当面はつなぎ国債として、新たに子ども・子育て支援特例公債を発行して財源に充てるとしています。これは、財政法の規定にかかわらず、支援納付金対象費用の財源について、各年度予算をもって国会の決議を経た金額の範囲で、特別会計の負担において公債を発行するということですが、私たち国民民主党も既に、この子供の予算に関して、また資金に対しては、教育国債法案というのを国会に提出をしています。

 同じように、教育にかかるお金を、公債の発行について定めようというものですけれども、私たちの言うこの教育国債、それを使途を限定すれば、政府が言う今回の子ども・子育て支援特例公債と同じじゃないかと考えるんですけれども、どのように違うのか、大臣のお考えをお聞かせください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 危機的な状況にある少子化に対し、加速化プランを速やかに実行することが今必要でございまして、その際、制度が安定的に維持されることが、先ほども申し上げましたけれども、これから結婚、出産を考える若い世代が将来のライフプランを考える上で重要だと考えております。

 今般お示ししております枠組みにおきましては、歳出改革や既定予算の最大限の活用、そして支援金制度によって三・六兆円の安定財源を確保することとしている一方で、給付の充実を先行させる中で、二〇二八年までにかけて支援金制度を構築するまでの間に財源不足が生じないよう、つなぎとして子ども・子育て支援特例公債を発行することとしてございます。

 子ども・子育て支援特例公債はあくまでもつなぎの国債でございまして、子ども・子育て支援の特別会計、いわゆるこども金庫の歳入から償還するという形で償還財源が明示されているという点で、教育国債とは性質を異にするものでございます。

 教育国債につきましては、これまでも政府から答弁しているとおり、安定財源の確保や財源の信認確保の観点から慎重に検討する必要があると考えております。

田中(健)委員 政府の考えはあれなんですけれども、自民党内の中でも、昨年度ですが、少子化対策、子育て支援の財源として、こども未来投資国債を発行して賄うという提言がされたようですけれども、これについての提言について政府内ではどんな議論がされて、そして結論に至ったんでしょうか。お伺いします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 昨年五月に御指摘のような提言があったことは承知をしてございますが、その後、昨年の六月に政府として閣議決定をしたこども未来戦略方針におきましては、まず一つ目として、財源の基本骨格は、歳出改革、既定予算の活用等、支援金制度の構築、この三つを骨格とし、また二つ目として、加速化プランの実施が完了する二〇二八年度までに安定財源を確保するとした上で、三つ目として、二〇二八年度までに財源不足が生じないよう、必要に応じて、つなぎとして子ども特例公債を発行するとされたところでございます。

 その上で、昨年末に閣議決定をしたこども未来戦略においても、この方針に沿って既定予算の活用等の具体的な金額など詳細を決定する中で、子ども・子育て支援特例公債の発行を行うこととしたものでございます。

田中(健)委員 そうしましたら、では、政府が今年発行したGX債がございますけれども、このGX債は、CO2を排出しない脱炭素の実現に向けて、環境に優しい事業に投資していこう、未来への投資であるということで発行をいたしました。

 私たちが言う教育国債も、教育や人づくりというのは未来への投資であると。皆さんも教育は将来への投資だと言っていると思いますけれども、将来の成長や増税につながる投資であるという考えもあるかと思うんですけれども、それについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。

加藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、子供、子育てに関する、少子化対策に関する今回の加速化プラン、これは、やはり若い世代、これから子供を持ちたいと考える世代の方々にとって、将来の展望を描ける、ライフプランを描けるという意味でもって、その安定財源であるということの意味がとても大きいことだというふうに考えておりまして、GX国債とはその辺りが違うのかなというふうに考えております。

田中(健)委員 若い世代も子供を持ちたい世代も将来を描けると。前半の質問ではとても、なかなか描けるような答弁をいただけなかったんですけれども、是非、今回の支援金に対して、私たちは医療保険に上乗せというのはやはり考え直すべきだということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る十八日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.