衆議院

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第14号 令和6年4月23日(火曜日)

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令和六年四月二十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      黄川田仁志君    小寺 裕雄君

      小森 卓郎君    橘 慶一郎君

      谷川 とむ君    土田  慎君

      土井  亨君    中川 郁子君

      橋本  岳君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    藤原  崇君

      堀井  学君    柳本  顕君

      城井  崇君    坂本祐之輔君

      中谷 一馬君    福田 昭夫君

      赤木 正幸君    伊東 信久君

      伊佐 進一君    浮島 智子君

      高橋千鶴子君    田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (デジタル大臣)     河野 太郎君

   デジタル副大臣      石川 昭政君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   政府参考人

   (内閣官房経済安全保障法制準備室次長)      彦谷 直克君

   政府参考人

   (内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官)  佐脇紀代志君

   政府参考人

   (内閣府孤独・孤立対策推進室長)         江浪 武志君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 小林  豊君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房審議官)          黒瀬 敏文君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   楠  正憲君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   村上 敬亮君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   布施田英生君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君

   政府参考人

   (消防庁審議官)     鈴木 建一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           日原 知己君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           小林  出君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十三日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     藤原  崇君

  保岡 宏武君     小森 卓郎君

同日

 辞任         補欠選任

  小森 卓郎君     保岡 宏武君

  藤原  崇君     黄川田仁志君

    ―――――――――――――

四月十九日

 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。河野デジタル大臣。

    ―――――――――――――

 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

河野国務大臣 おはようございます。

 情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 この法律案は、デジタルによる手続完結に加え、行政機関等が円滑なデータ連携を行い、手続において一度限りの情報提出とすること等の環境整備を行うことで、国民の利便性向上と行政運営の簡素化、効率化を図ることを目的とするものであります。

 次に、この法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。

 第一に、デジタル社会形成基本法において、施策の策定に係る基本方針にデータの内容を正確かつ最新に保つこと等のデータの品質の確保のための措置を講ずることを追加するとともに、デジタル社会の形成に関する重点計画において定める事項にデータの品質の確保に関し政府が迅速かつ重点的に講ずべき施策を追加することとしております。

 第二に、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律において、公的基礎情報データベースの整備等の推進に係る措置を講ずるとともに、他の法令の規定により変更届出を行わなければならない法人に係る名称等の登記事項について、行政機関等がデータ連携により入手した場合は、当該変更届出が行われたものとみなす旨の措置を講ずることとしております。

 第三に、独立行政法人国立印刷局法及び情報処理の促進に関する法律において、公的基礎情報データベースの整備等を効果的に推進するための体制整備として、独立行政法人国立印刷局にデータの加工等の業務を、独立行政法人情報処理推進機構にデータの標準化に係る基準の作成等の業務を追加した上で、関係業務の主務大臣に内閣総理大臣を追加する措置を講ずることとしております。

 第四に、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律において、内閣総理大臣が特定個人情報を利用して事務処理を行う行政機関等に対し、当該情報の正確性の確保のための必要な支援を行う旨の規定を定めることとしております。また、個人番号カードについて、本人確認に係る機能を移動端末設備に搭載するための措置を講ずるとともに、次期個人番号カードの導入に当たり、同カードの電磁的記録事項として性別は残した上で、券面記載事項から性別を削除する等の措置を講ずることとしております。

 なお、この法律は、一部を除き、公布の日から起算して一年三か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。

 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

谷委員長 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房経済安全保障法制準備室次長彦谷直克君、内閣官房デジタル行財政改革会議事務局審議官佐脇紀代志君、内閣府孤独・孤立対策推進室長江浪武志君、警察庁長官官房審議官小林豊君、こども家庭庁長官官房審議官黒瀬敏文君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、同じく楠正憲君、同じく村上敬亮君、同じく布施田英生君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、消防庁審議官鈴木建一君、厚生労働省大臣官房審議官日原知己君、経済産業省大臣官房審議官小林出君及び環境省大臣官房審議官飯田博文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林史明君。

小林(史)委員 自由民主党の小林史明です。

 今日は、質問の機会をいただきまして、理事そして関係者の皆様、本当にありがとうございます。

 今日は、この法案に関して、六十分という長めの時間をいただきました。これをどう使っていくかということなんですが、これに当たって、谷委員長から、余り専門性の高い話というよりも、多くの国民の不安を払拭するような内容にしたらどうか、こういう御提案をいただきましたので、不安の払拭にワンテーマ置いて、やりたいと思っています。

 そして、もう一つは、日頃から私は国会改革を訴えているんですが、委員会の場で、質問する人と質問しない人がずっといる意味は何があるかというと、与野党の考えの違いや共通点をお互いに理解し合う、そういう場の意義もあるのかなと思っていますので、特に、デジタル政策というのは余り与野党で対立しないテーマだと思っていますので、この辺りは共通していますよねという共通認識を作りつつ、一方で、ここだけちょっと違いがあるのでそこについて論じていったりとかできれば、今後も、いつだって政権交代はあるわけで、政権交代があったときにもやはりデジタル化はちゃんと前に進んでいく、こういう状態をつくっていきたいと思って、認識の共有を広げるような質疑にしたいと思っております。

 ということで、お手元の資料をめくりながらお話をしていきたいと思いますが、まず、先般、この法案の趣旨説明が本会議で行われたときに、立憲民主党の中谷一馬さんが質問をされました。その場で、やはり、誰一人取り残されないデジタル社会をつくりたい、そして、スマートフォンが使えないとかデジタル機器が使えない人、苦手な人も損をしないような、そういう社会をつくるべきだ、こういうお話がありました。全くそのとおりだなと思っています。これは、与党案もそうだと思っていますし、政府案もそうだと思っているんですね。

 お手元の資料の一枚目なんですけれども、これは二〇二三年の五月に自民党で、私が事務総長として提言を書いたものなんですが、誰一人取り残されない人に優しいデジタル社会ってどういうものかということを書いたときに、左側に、国民の皆さんがいらっしゃいます。真ん中に、国民が行政と情報をやり取りするための接点を書いていますが、一番上がスマートフォンやパソコン、まさにITリテラシーの高い人はここからワンストップでサービスを提供できるし、実は、矢印が本人の方にも向いているのは、これを使える人はプッシュ型で行政からサービスが届いてくるということで利便性を感じられる、こういう仕組みが一。

 二つ目、スマートフォンやパソコンが苦手な人は、コンビニや郵便局そして市役所に行ったときに、マイナンバーカードさえかざせば、全ての手続がそこで終わる。これも、表面はアナログですけれども、裏側はデジタルになっているので、デジタルが苦手な人も損をしない仕組みですね。その代表的な事例が、今、デジタル田園都市交付金で広げている、書かない窓口ということで、役所に行って、マイナンバーカードさえ出せば、あとは要件を口頭で伝えると全ての手続がワンストップで終わる。これもまさに、アナログだけれども、後ろはデジタルで便利ということです。

 そしてもう一つ、今回の法案にも関わってきますが、医療機関や例えば水道事業者、こういったところに、ちょっとしたアクシデントというかイベントがあったときに行く。例えば、子供が生まれました。場合によっては、家族が亡くなった。この亡くなった情報が行政機関に伝わっていって、死亡届が自然と終わっているとか。あとは、口座情報の共有であったりとか、お引っ越しの情報とか、これが公共サービス、公共インフラにも反映される、こういうふうになるといいよねということを我々は目指しているんだと思っていまして、これは与野党、余り差がないんじゃないかと思っているんですね。

 何でこの話をしたかというと、谷委員長からお話しいただいた、国民の不安を払拭するという意味で、どういうときに我々は不安になるかというと、まず、行き先がよく分からないときだと思うんですね。なので、私たちはどんなデジタル社会に行こうとしているのかということを共有することが重要だと考えています。

 ただ、この部分は与野党共有しているんですけれども、中谷さんの質問で大きく違うなと思ったポイントは、やはり健康保険証の一体化の考え方なんですね。中谷さんからは、もう延期をして、そしてもう一旦止めるべきじゃないかということでした。そういう考え方ってあるのかもしれないけれども、なぜこれを進めようとしているのか、進めるメリットについてもちゃんと検討した上で判断をする必要があると思いますし、止めるんだったらいつまで止めるんですかということがないと、だらだらと終わらぬままそのままずっと続いてしまうということが起きると思うので、ここを示す必要があると思うんです。

 そこで、厚生労働省に伺いたいと思います。

 元々この健康保険証の廃止、私の理解では、まず、健康保険証が成り済まし、身分証の偽造に非常に多く使われるので、これを防がなきゃいけないというのが一点。そしてもう一点は、これは郵送を毎年毎年やっていたり様々な事務コストがかかるし、そして、医療機関では二十億回の保険請求の申請の中で五百万回もミスがある、これはまさに、健康保険証を書き写したり、保険資格がリアルタイムで確認できないからだというふうに理解しています。

 今回、この保険証とマイナンバーカード一体化、そして保険証の廃止のメリットについて説明をお願いします。

日原政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナ保険証でございますけれども、御本人の同意に基づきまして、過去の薬剤情報などを医療機関等に提供して、これらの情報に基づくよりよい医療を受けることができるというメリットがまずございます。さらに、リアルタイムでの薬剤情報の連携が可能な電子処方箋の普及や電子カルテによる情報の共有といった医療DXを進めるに当たりまして、そのメリットを享受いただくためのパスポートとなるものでございます。

 また、ただいま御指摘ございましたように、現行の健康保険証には券面に御本人の顔写真がございませんで、成り済ましのリスクが指摘されているのに対しまして、マイナ保険証につきましては、確実な本人確認による成り済まし防止が可能でございます。

 また、こちらについても御指摘ございましたけれども、医療機関におきましてレセプトコンピューターとの連携を行うことで、それまで手入力されていたような資格情報の入力などの手間や、また誤記リスクが減少しまして、レセプト返戻の減少につながるなど様々なメリットがございます。

 コストの面で申し上げますと、現行の健康保険証の発行に要しているコスト、この削減などが想定をされまして、今後、将来にわたり、毎年度、医療保険者全体で見たコストの削減につながるものであると考えてございます。

 これらのメリットを広く国民に周知して御理解をいただくことは大変重要であると考えてございまして、本年五月から七月、マイナ保険証の利用促進集中取組月間として集中的な広報の展開、こちらに取り組むこととしてございます。

 マイナ保険証のコストの面でございますけれども、これは昨年八月に、ごく粗い試算をお示しさせていただきました。マイナ保険証の保有状況が、当時、五二%のままでありましても、約七十六億円から八十二億円が毎年の削減につながるというふうに試算をしてございます。

小林(史)委員 なので、本当に一〇〇%持っていただくと、毎年百億円以上の費用が削減されるわけですね。しかも、事務負担だけです。そこに先ほど追加で言っていただいたような過剰な医療であったり薬剤の提供というのが効率化されると、更にもっと桁の大きな削減になるということになります。

 なので、決して悪く言うわけじゃないんですけれども、今の立憲民主党さんの考え方だと毎年百億円以上の費用を無駄にする案になってしまいますし、自民党、与党の案はどうかというと、毎年百億円以上の財源を生み出し、そして、偽造防止をし、利便性を高める案になります。

 ただ、問題は、先ほど、レセコンとつながって医療機関が楽になるということだったんですが、実際、今、受付でマイナンバーカードを読み取って、そのままレセコンにちゃんと連携できている医療機関がどれぐらいあるか、ここが少ないというのが問題でありまして、医療機関からすると、結局もう一回写さなきゃいけないじゃない、これは面倒くさいということになるわけで、そうするとやはり使いたくないよねということになるわけです。なので、そこはしっかり丁寧に見ていただいて、どうやってそれを導入を支援していくのか、連携を進めていくのかということだと思いますので。

 私は、この健康保険証とマイナンバーカードの一体化というのは、全ての国民が持つデジタル社会における個人を特定する唯一の手段になりますから、持たないという選択肢はむしろほぼなくて、それを使った上で後ろの処理をどのように丁寧にしていくか、利便性を上げていくかという論点だと思うので、もはや止める止めないではなく、きっちりやり切るために、医療機関をどうサポートするか、そして、ユーザーに向かってどのように説明するか、さらに、社会全体としてこれぐらいの、全員でのコスト削減効果があって、新たな財源を生み出すことができるということを周知する、こういう取組に移っていくタイミングだと思いますので、是非そこを大臣始め政務官も御協力をお願いしたいと思っています。

 では、本題に入っていきたいと思いますが、今回、ベースレジストリーということで、唯一無二の帳簿をしっかり作っていきましょうという考え方です。

 これは何で必要なんでしたっけというのが、資料を一枚めくっていただいて、裏面であります。先ほどの表面の世界をやろうとすると、後ろ側の仕組みとしてどんなものが必要かということを分解したのがこの図であります。

 ユーザーである国民や企業が一番上にありますが、そこから様々な申請を行う、これは情報が流れるということになりますが、それがどこに連携していって、その情報を参照して、この人はその給付を受ける資格があるのか、この企業はどのような企業なのかということをちゃんと特定をする。それを何度も何度も別の場所に同じようなものを確認していたら手間だよねということで、右下に、ベースレジストリーというものも必要ですよね、こういうふうに位置づけたわけであります。

 ただ、国民に対して、実際整備するとどんないいことがあるのということが分からないと、やはりこの法案の意義が伝わらないと思いますので、今回、この法人ベースレジストリー、整備の目的、そして具体的に得られる効果について、政務官に伺いたいと思います。

土田大臣政務官 お答え申し上げます。

 本法案でございますけれども、行政機関等が円滑なデータ連携を行い、手続において一度限りの情報提出とすること等の環境整備を行うことで、国民の利便性向上と行政運営の簡素化、効率化を図ることを目的としているところでございます。

 その上で、現状、法人が名称や所在地等の変更をした場合に、これらの変更について、その変更を登記することに加えて、各種法令に基づき変更の届出を行政機関等に行うことが規定され、手続負担が生じており、法人ベースレジストリーを整備することでこれらの変更の届出を不要として、そして法人の手続負担解消を目指しているところでございます。

 第二の効果のところでございますけれども、今後の検討の中で詳細に示してまいりたいというふうに思っておりますが、現時点で、先ほど申し上げた取組に加えて、添付書類の削減、自治体等による登記情報のオンライン確認への対応により、年間約二千万件の手続の効率化がされることと想定しております。

小林(史)委員 企業にとって大変大きな効果があるということが分かりましたので、しっかり進めていただきたいと思います。

 ここで話題になった法人についてより考えていかなきゃいけないと思うのは、我々、国民とともに本当につらい思いをしたコロナの期間のことを思い起こす必要があると思います。事業所ごとにどんな支援ができるだろうか、それぞれの国会議員が地元を回って本当に汗をかいた。そして、つらい時期だったと思います。でも、あのときに、事業所のデータベースがきちっと整理をされていて、資本金であったりとか業種であったりということが整理をされていれば、あなたの事業所にはこの補助金が使えますよということを、せめて郵送でも、そして、できればメールで、こうやって送ることができたはずだと思うんですね。

 今後、様々なプッシュ型のものをやろうと思うと、やはり、法人だけではなくて、事業所として、何々支店とか、こういったところまできっちりデータベースにして管理する必要があると思うんです。なんですが、この事業所と施設のベースレジストリーというのは作る予定はあるんでしょうか、お伺いしたいと思います。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、法人向けの様々なサービスを便利にしていく上で、事業所や施設のデータに関しまして官民共に名寄せコストが発生しているというふうに承知をしておりまして、これは非常に大きなデジタル化における課題というふうに認識をしております。

 過去、デジタル庁においても、特にコロナ禍における協力金等における課題解決の一環といたしまして、事業所ベースレジストリーの検討を進めていたことがございます。しかしながら、この検討を進めてまいる中で、事業所の概念が制度単位に異なっておりまして、なかなかすぐにこれを集約するということが困難である、さらに、具体的に検討を進めてまいりますと、当初想定したユースケースの実現がかなり難しいということが判明をいたしまして、二年前の三月にこのシステム開発の中止を決断するとともに、ベースレジストリーとしては、まずは事業所の上位概念である法人から整備を行うという方針に転換をしたというような経緯がございます。

 議員御指摘の名寄せコストにつきましては、これは非常にデジタル庁としても課題であるというふうに認識をしておりますけれども、事業所については、まずは、それぞれの制度単位でデータ整備を行うことが適切であるというふうに考えております。

 なお、デジタル庁では、本法案で創設することとしている公的基礎情報データベース整備改善計画に基づきまして、いわゆるアドレスベースレジストリーとして、誰もが利用可能な町字データの整備を行うこととしているところでございます。当該データやデジタル庁が提供するジオコーダーを利用することによって、住所や所在地に関するデータの突合、まずは、ここからしっかりと容易にするということを想定をしております。

 デジタル庁といたしましては、まずは、これらのデータ等の整備や利用促進を図ってまいりたいというふうに考えております。

小林(史)委員 制度によって事業所の概念が違うというのは、ここからやはり整理しなきゃいけないということなので、そこも諦めることなく頑張っていただきたいと思いますが、とはいえ、分野によってできるところからやっていこうということで、全体最適を基に分野から整備するというのは重要なことだと思うので、進めていただきたいと思うんですね。

 今後、この委員会にも出てくるDBSの話があります。様々、それ以外にも、保活ワンストップということで、保育所に通えるようにするための活動がすごいアナログで大変だみたいな話があって、それをデジタルでワンストップにしよう、こういう取組も始まってくるんですけれども、それをやるに当たって、そもそも、保育所とか幼稚園とか、子育ての施設のベースレジストリー、これは必ず必要になると思うんですが、これについて、整備、検討状況、こども家庭庁、いかがでしょうか。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 子育て分野におきましてでございますけれども、施設等による報告から都道府県知事による公表までを全国一律でインターネット上で実施をいたします子ども・子育て支援情報公表システムというものがございます。通称ここdeサーチと呼んでおりますが、これが令和二年度に公開をされてございます。これは、保育所、認定こども園にとどまらず、新制度に加入している幼稚園ですとか、又は地域型保育といったものまで、横断的なID付番ルールを定めまして、保護者の施設選択の参考となる情報をインターネット上で閲覧できるようにしてございまして、年間閲覧件数が約百七十万件ということで、保育所等の利用を希望する保護者の方から広く御利用いただいている状況でございます。

 委員御指摘のように、子育てに関する施設の情報をより広く一元化することは、利便性の向上につながりますので、大きな課題だというふうに考えてございますが、一方で、レジストリーの対象とか粒度をどうするのかとか、また、実施するとなった場合には、市区町村とかといったところのいわゆる構築や更新に当たっての協力も欠かせないところでございますので、施設レジストリーの整備に関する政府全体の動きも踏まえまして、今後の方向性についてしっかりと検討してまいりたいと考えてございます。

小林(史)委員 保育園とか子育て系の施設を考えると、保育園はどういう資格者の人が何年ぐらい働いているかみたいなことで施設として給付が受けられたりとか、そういうこともあるわけですね。そういうこともやろうと思うと、今度はそこで働いている従事者、働く人のレジストリーも実は用意しておかなきゃいけないと思うんですね。

 これは、DBSの話にもつながっていきます。性犯罪履歴のある人が働けないようにするということになると、やはり、一旦、どこかのタイミングで、働いている人にそれのチェックをちゃんとする。恐らく、マイナンバーカードか何かをみんなでかざしていって、この人を登録し、また登録しました、その名簿があって、A番の人が一番の施設で働いているということがちゃんとレジストリーとしてなきゃいけないし、一番の施設で働いたA番の人が何かあって、今度、二番の施設に移ったということもちゃんと追えないと、実質これは機能しないんですね。なので、利便性向上の観点というよりは、むしろ必須なんですね。従事者のレジストリーと施設のレジストリーがセットになっていないと、今やろうと思っていることは仕組み上できないということなんです。

 なので、これをちゃんとやるべきだと思いますが、デジタル庁及びこども家庭庁、どのように進めていくか、お願いします。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 事業者のレジストリーにつきましては、これまでデジタル庁において検討できておりませんので、なかなか詳細をお答えすることは難しいんですけれども、こちらも、事業所と同様に、制度によって対象となる情報が異なるということが予想されますので、事業所ベースレジストリーと同様の課題がある、存在するのではないかという可能性があろうかというふうに認識をしております。

 まずは個別の分野における検討を注視するとともに、各府省に対して、必要に応じて技術的支援等を行ってまいりたいというふうに考えております。

黒瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 従事者ベースレジストリーといったときに、我々としては、例えば保育所の給付、監査業務、こういったところにおいて非常に重要な意味を持ってくるのではないかということで、今検討をいろいろ進めてございます。

 例えば、保育所の給付、監査業務におきましては、保育施設でのICT導入が非常に今は限定的で、手書き、アナログの業務が存在をしておりまして、また、類似の書類ですとか、複数部署に対してそういったものを提出するということが求められたり、また自治体間で様式が異なったりといったことで、負担の大きさが非常に指摘をされてございます。

 今後、保育所におきましては、更なる配置基準の改善ですとか、また処遇の改善とかいったことも進めていくことが求められますが、そのときには、例えば、従事者に着目をして、職員配置の状況がどうなっているかとか、あと給与の加算の状況はどうなっているかといったことについても報告をしていただく必要が出てくるというところでございます。

 その際に、保育施設や自治体の職員の負担軽減といったことが欠かせませんので、委員御指摘の従事者に係る情報の内容を含めまして、給付、監査に係るデータや業務全体の標準化を進めまして、データの各種システムでの有効活用ですとか、またひいては保育業務のワンスオンリーの実現につなげていきたいというふうに考えてございます。

小林(史)委員 これは本当に保育所施設の事務手続を物すごく楽にする仕組みになると思うので、是非早めに検討していただきたいと思います。

 あわせて、先ほどの一枚目でもあったプッシュ型で、やはり、あなた、こういう給付金をもらえるけれども、もらえていませんよみたいなものができたらいいよねとずっと言われ続けてきているわけですけれども、これをやろうとすると、今度は、国、都道府県、市町村で支援制度がどんなものがあるのかというのも、これも一覧でデータベースになっていなきゃいけないわけですね。なので、これは支援制度のレジストリーというのが必ず必要になると思います。

 これについてはデジタル行財政改革会議で検討いただいているんじゃないかと思いますが、よろしくお願いします。

佐脇政府参考人 お答えいたします。

 御指摘いただきましたとおり、子育て支援制度は多様で、自治体ごとにばらつきがあるものですから、子育て世帯にとりましては、必要な情報を自ら調べて把握する負担がとても大きいという課題がございます。

 こうした課題の解決を図るために、デジタル行財政改革において、関係省庁と連携して、必要な情報を最適に届ける仕組みの構築に取り組んでいるところでございます。

 具体的には、自治体独自の制度も含めまして、全国の子育て支援制度の網羅的な調査を実施しまして、標準的なフォーマットで登録することで、子育て支援制度レジストリーを整備したいと思います。これをオープンデータ化することによりまして、民間の子育てアプリと連携ができることになりますから、子育て世帯がそういうアプリをお使いになりますと、必要な情報が最適なタイミングで配信できる、そういった仕組みを整備することによりまして、子育て世帯の負担軽減を図る、制度のサービスの知りそびれでありますとか、もらいそびれの防止に取り組んでまいりたい、そんなふうに思っております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 というわけで、子育ての制度はすごい複雑なので、これをプッシュ型でやるためにレジストリーをちゃんと整備したいと思いますということだったんですが、これまでの議論で、施設のレジストリーがないとできないですよね、従事者のレジストリーがないとできないですよね、制度のレジストリーがないとできないですよね、この感じを、DBS制度をやるぞといったときに、ちゃんと全員把握できているのかなということなんですね。やはり、制度をつくったときに、じゃ、運用を考える、運用がアナログ前提で考えられちゃうと物すごく複雑になってコストが上がっていくわけなので、デジタル前提で考えなきゃいけない。

 なので、ここは河野大臣や土田政務官への提案ですけれども、やはり、こういうときに、一番最初の上流で、業務のやり方とか、それをやろうと思ったときに、じゃ、どういう構造で情報のやり取りをやるんだっけという、大きな絵をデジタル庁が最初に言って、その省庁と一緒に描いて、あとのシステムの発注とか調達みたいなのは、ある種、単独省庁でやっていただいていいと思うんです。ここの上流を押さえていただきたいというのを是非お願いをしたいと思います。

 もう一点は、デジタル行財政改革会議事務局にお願いですけれども、今回、子育てで制度レジストリーを作るということなんですが、将来を見据えて、全体最適で作っていただきたいと思っています。私の理想は、全ての世の中の制度に番号を振る。そうすると、マイナンバーA番の小林さんに最適な予算は何番と何番と何番かということが分かって、それはお知らせが届く。そして、その何番と何番と何番の予算は、自治体のものだけれども、大本は国の予算である。それが毎月どれぐらい消化されているのかということがリアルタイムに追えるようになるとどうなるかというと、私たちが作った予算がどれぐらい使われていて、誰に届いていないのかということが毎月分かるようになるわけです。そうすると、政策をつくるPDCAサイクルの回転が物すごく速くなるわけです。

 我々、決算行政監視委員会で、一年に一回、前年の分とか二年前の分を見て、どうだったっけみたいな議論をしていると、もう終わっているんですよ。むしろそれが執行されている最中に見られる仕組みをつくることが理想だと思っていて、その第一歩がこの子育て系の制度レジストリーになるということなので、全部に番号を振る前提で設計をしてスタートをしていただきたいと思うので、そこは是非お願いをしておきたいと思います。実際に、民間の社団法人が、国から県、自治体まで、枝番まで全て番号を振るルールまで作って、もう準備して待ってくれていますので、是非そこを前提に考えていただきたいということをお願いしたいと思います。

 最後に、このレジストリーの話を終えるに当たって、一枚めくっていただいて、横須賀市のチラシをちょっと見ていただきたいと思います。

 先日、私はABEMA Primeというネット配信番組に呼ばれまして、コメントをする役割で出てきたんですけれども、そのときのテーマに、一人で暮らす高齢者の問題、ここをどう対応していくのかという話があったときに、政府は幸齢社会という言葉を使い始めて、幸せに年を重ねるという幸齢という字を使われていますが、そういったことで議論がいろいろされているということなんですけれども。

 横須賀市、面白い取組だなと思いまして、事前に「わたしの終活登録」ということで、お墓の場所とか、親族の連絡先とか、エンディングノートとか遺言書はここに置いてありますみたいなのを市役所に申請して、登録しておく。そうすると、一人で亡くなったとしても、そのデータベースを見れば、誰に連絡すればいいかが市役所は全て分かるという仕組みになっているんです。これは非常にいい取組だと思うんですが、この人が引っ越しちゃったらもう終了になっちゃうわけです。もったいないですよね。

 私は、そろそろ、住民基本台帳の情報量が少な過ぎるんじゃないかと思っているんです。本当は、住民基本台帳に本人の携帯電話番号も本来あった方が、市役所から何かあったときに連絡できますし、災害のときに一斉配信でショートメールを送ることだって本来できるはず。そして、こうやって独居の高齢者が増えたときには、このような終活登録も本当は載っていて、どこに転籍をしても、引っ越しをしても、この情報にアクセスできる。これは、別に、マイナンバーを使ってワクチン接種記録システムで管理したことと何ら変わりないわけです。これは全国展開をちゃんとやった方がいいんじゃないかなと思うんですが、こういうことを私は内閣府で検討していただきたいなと思うんですが、いかがですか。

江浪政府参考人 お答え申し上げます。

 我々内閣府におきまして、孤独・孤立対策というものを進めてございます。孤独・孤立対策は、人生のあらゆる場面で誰にでも起こり得るものであり、幅広い社会的課題に密接に関連する問題であるということから、孤独・孤立対策、関係府省庁と連携しながら推進をしております。今後、単身高齢世帯の増加が見込まれ、孤独、孤立の問題の進行が懸念される中、御指摘の横須賀の事例は、身寄りのない高齢者などの死後の問題などに関する支援として先進的な取組であるというふうに考えております。

 こうした死後の問題なども含めた高齢者の意思決定支援につきましては、厚生労働省におきまして、今年度、死後の事務への対応や日常生活の支援など身寄りのない高齢者などが抱える生活上の課題に関する相談を受け止め、包括的支援のマネジメントなどを行うコーディネーターを配置するモデル事業を実施するものと承知をしております。身寄りのない高齢者等の死後の問題などに関する支援の在り方につきましては、まずはこの厚生労働省におけるモデル事業の取組を進めた上で検討する必要があるものと考えてございます。

 引き続き、関係府省庁と連携しながら、孤独、孤立に悩む人を誰一人取り残さない社会の実現を目指して取り組んでまいります。

小林(史)委員 こういうふうにマイナンバー制度とかマイナンバーの仕組みを使うと、結構人に優しい仕組みができるんじゃないかと思っていまして、高橋先生筆頭に共産党の皆さん、ちょっとマイナンバーはどうかなと思われることも多いかもしれませんが、こういう優しいところにやはり手が届く仕組みをやるためには、一人一人をちゃんと把握する仕組みというのが必要だと思っていまして、その辺りは共感いただけるんじゃないかな、一緒に進められるんじゃないかなと思っています。

 その上で、ちゃんと、これはやはり何となく実証実験をやるんじゃなくて、全体としてこういう社会がいいよね、こういう仕組みがあった方がいいよねということに対して近づくために実証をやっていってもらえるならいいと思うので、是非これは全国化を検討してみてほしいなと思っています。

 もう一個、済みません、逃していました。国、都道府県、市町村の関係で連続して、これは資料はないんですけれども、やはり先ほど言ったパーソナルデータ、個人の情報のレジストリーの取扱いについて、そろそろ整理が必要なんじゃないかと思うんですね。特に、広域自治体と言われる都道府県で、災害時や緊急時の給付において対象となる住民の特定や情報の一括抽出がなかなか難しいという話を聞いています。

 例えば、実際に、東京都の〇一八サポート給付金というのを始めるといって、給付をやりますというふうになったときに、J―LISが住民の情報を持っているわけですけれども、都度抽出を依頼しないと在住者を教えてもらえないですし、事務費もかかるし、戸籍などの親子関係を確認する情報は取れないということで、やはりこれは何かあったときに、大きな災害のときというのは結構都道府県が出張ってくるわけですね。特定の市町村がなかなか動けないというときは、これはやはりアクセスして、ちゃんとサポートできた方がいいと思うんです。

 ここのやはり住民基本台帳や住民の基本的な情報にアクセスできる権限、そしてそれをどこまでデータベースにして共有を広域にするのかということを整理して考えていく必要があると思いますが、デジタル庁及び総務省に伺いたいと思います。

楠政府参考人 お答えの前に、先ほどの答弁におきまして、従事者と申し上げるべきところを誤って、最初、事業者と申し上げてしまったので、おわびを申し上げます。

 御質問に関しましてですけれども、都道府県のような広域自治体による行政サービスの実施の際に、対象の住民の特定及び住民情報活用の点において多くの課題があるというふうに認識をしております。この問題は、広域自治体のみならず、基礎自治体においても同様の問題があるというふうに認識をしております。

 具体的に、自然言語で書かれた、この制度の対象はこういう人ですというところを、それぞれの自治体で異なるデータベースでどういうふうに抽出をしていくかというところ、これは個別にベンダーがSE作業として取り組んでいる、こういったところで細かい解釈等の違いも出てくるというような課題があるというふうに認識をしているところです。

 デジタル庁では、住民情報の、給付等のサービスを迅速に行っていく上で、自治体内のシステム間の情報連携の在り方というところを検討をしております。まず、基礎自治体を対象とすることを想定しておりますけれども、具体的には、自治体が基幹業務システム内に保有する住民情報を業務システム横断的に抽出、加工して、ほかのシステムに連携をさせて迅速にサービスを提供するということの実現を目指しておりまして、こういったことが技術的に実現をできれば、御指摘いただいたようなところにおきましても大きな効果を発揮できるのではないかというふうに考えているところです。

 令和七年度中を目途に、基礎自治体の任意に応じてそれらの機能を実証的に利用できるように、必要な機能につきまして、今年度中に検討、実証を行うこととしております。

三橋政府参考人 都道府県における住民基本台帳情報の活用についてのお尋ねでございます。

 都道府県は住民基本台帳を備えておりませんが、住民基本台帳法の規定により、市町村長から氏名、住所、生年月日等の本人確認情報の通知を受け、これを保存するとともに、住民基本台帳法の別表に掲げます災害対策基本法や災害救助法などに基づく事務や、条例で定める事務などを遂行する際に、自らこの情報を利用することができることとされております。

 その上で、現在は、各都道府県は、この情報を管理するサーバーを、地方公共団体情報システム機構、いわゆるJ―LISでございますけれども、ここに委託して管理運用しておりまして、各都道府県が本人確認情報を利用する際は、J―LISにおいて当該サーバーからデータを抽出するといった対応を行う必要がございます。

 委員御指摘の都道府県における独自策に係る事務を処理するために対象住民のリストを迅速に作成することなどの、都道府県内の対象者に係るデータ活用の利便性を高めることは重要だと考えておりまして、今後、各都道府県やJ―LISとともに、システムの機能強化等の観点から検討すべき事項だと考えております。

小林(史)委員 これから五十年、人口減少とつき合っていったときに、やはり市町村の機能が落ちていくのは仕方ないことなんだと思うんですね。それをどうやって都道府県でサポートするかということを考えるというのは、総務省、自治のど真ん中の恐らく構想としてしなきゃいけないことだと思うので、是非、三橋さんには深く検討いただいて、早めに柔軟な対応をお願いしたいと思っています。

 では、続いて、この法案にある、IPA、経産省傘下の組織でしたけれども、こことデジタル庁も共管になるということが、変更を加えられます。このIPAが参画する意義について質疑をやっていきたいと思います。

 特にIPAに期待するのは、やはりデータ戦略なんですね。データの流通というのは、日本国内でも円滑にする必要がありますが、国際的なデータ流通というのも非常に重要だと考えています。ただ、何かそれだけ言っていてもちょっと概念的でよく分からないなということがあるので、実際に実業としてどういう意義があるのかということ、そこに戦略が必要なんじゃないかということを最初にちょっと問いたいと思います。

 そのときに取り上げるテーマがサーキュラーエコノミーですね、循環型経済ということで、プラスチックとか様々な素材、貴金属とか、これをやはり再生して利用していこうという考え方です。

 ただ、これは非常に美しく聞こえるんですけれども、欧州の様子を見ていると、ヨーロッパはむしろ資源を囲い込みに来ているというような、かなり野心的な戦略を裏に持ちながらこのサーキュラーエコノミーの推進をやっているということが見えてきますし、中国は中国で、自分たちでたくさん資源を囲い込んで、場合によってはどんどんリサイクルといいながら海外から買い取るということをやって、国内にため込むという動きをやっています。

 日本としては、むしろオープンなサーキュラーエコノミーの循環をグローバルサウスを巻き込みながらつくっていく必要があると思っていまして、ここを戦略的にやっていく必要があると思うんですね。

 そのときに、何となくルール整備かなとなるんですけれども、実際にやろうと思うと、この資料をめくっていただくと、右下、五ページなんですけれども、リサイクルをやろうと思ったときに、じゃ、買ってきた素材にどんな材料が入っているんだっけ、そしてまた、別の場所に行ったときに、加工されたときにどんなものが追加されたんだっけというのがちゃんと追っかけられないと、リサイクルをやるのはきついですし、適正な製品になるのかというのは分からないわけですから、これを全部管理するシステム、仕組みが必要になるわけです。

 これはなかなか世界各国つくれていなかったんですが、何と、経済産業省、IPA、デジタル庁が連携してウラノス・エコシステムというのをつくられたと聞いて、私、見てみたんですけれども、物すごく出来がよくて、これは本当にすばらしい仕組みだと思っています。

 これを徹底的に活用していくということが必要なんだと思いますが、経済産業省としてどのように取り組む考えがあるか、お伺いしたいと思います。

小林(出)政府参考人 お答え申し上げます。

 ウラノス・エコシステムでございますが、こちらは、企業や業界、国境を越えたデータ連携を実現するイニシアチブでございます。

 御指摘のとおり、経済産業省では、このウラノス・エコシステムを通じまして、昨年夏に制定された欧州電池規則対応を進めているところでございます。

 欧州では、まさに委員御指摘のとおりでございますが、蓄電池が先行してはおりますが、それ以外にも、欧州委員会主導によるサーキュラーエコノミー関連規制の導入が進められております。これによって、サーキュラーエコノミー関連の計画的な市場形成が進められておりまして、資源制約それから環境制約への対応、そして成長機会の確保という観点から、日本においてもサーキュラーエコノミーへの移行において積極的に取り組んでいかなければいけないというふうに我々は認識しております。

 国民、企業の行動変容を促すということが重要になってくるわけでございますが、そのためには見える化が大変重要であるというふうに考えております。このためには、デジタル技術を活用したデータ連携の取組、これを進めることが重要であるというふうに考えております。

 ウラノス・エコシステムで構築した仕組み、これを活用しまして、サーキュラーエコノミーに関する情報流通プラットフォーム、これを策定を進めておりまして、現在、二〇二五年、来年を目途に構築することとさせていただいております。現在、要件定義そしてデータフォーマット等の検討を進めているところでございます。

 こうした取組を是非ともスピード感を持って進めていきたいというふうに考えてございます。

小林(史)委員 いつも何か、重要な案件のプラットフォームは大体海外企業に持っていかれるみたいなことがあって、いろいろな心配を受けるわけですけれども、この資源循環、サーキュラーエコノミーに関しては、実は日本が最も安心なプラットフォームを提供できるプレーヤーになれるということがもう目の前に来ているわけです。

 特にASEANやグローバルサウス、ここをしっかり巻き込んでいくということが重要だと思いますので、資料六ページに私がいろいろな省庁と話をして勝手に整理をした書類がありますけれども、それはルールがまず重要ですし、一方で、産業界を巻き込むということも必要ですし、それをしっかり支えるデジタルの仕組みという、この三者が連携することが重要だと思っています。それを各省、関係者の役割分担に落とすと右側になると思っていますので、それぞれ個別に進めるのではなくて、一体となって、旗を振りながら進めていただけるようお願いをしたいと思います。

 デジタル大臣に関しては、これはDFFTに非常に関わってくるわけですね。DFFTというのは、信頼あるデータスペースで情報を流通させてみましょうという概念から始まってきたわけですけれども、それが本当に実際に物として動く形というのはこれが一番分かりやすい事例になってくると思っていますので、しっかりそこを見ながら海外とも交渉を進めていただきたいと思います。

 その上で、デジタル庁がこのDFFTの推進を考えていると思いますので、このような取組と一体でやるべきだと考えますが、検討状況はいかがでしょうか。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 海外を見ますと、広島サミットでの承認を経て、十二月にIAP、国際枠組みがスタート、五月の閣僚理では更に具体的に進んでいくということで、我が国政府のイニシアチブにより枠組みが整いつつございます。

 他方で、国内も見ますと、例えば、個別企業でも、国外で操業している重機からデータを送ろうとしたら、条件をその国の政府につけられそうになりましたでありますとか、まさにマーケティングのために個人情報を分析したら、その国がどういう制度を取っていて、それは国外に持ち出していいのかどうかが分からなかった、そのために分析が日本の国内でできなくなるかもしれないといったように、かなり具体的な課題が国境を越えたデータ連携では生じ始めてございます。

 その中で、先ほども御質問いただき、御指導いただいたように、蓄電池の二次利用というのは、国内外、制度設計も一体となって、具体的にデータ連携をどのように進めていくか、形になったものではないかというふうに考えてございます。

 今後につきましては、海外を、引き続き日本主導、政府主導で進めていくと同時に、こうした国内のデータ連携の実需やそれを支える制度ということを我が国のリードする議論とうまく有機的に込め、その議論に魂を込めていく段階ではないかというふうに考えてございます。

 引き続き、各省庁とよく連携し、国内の実態を見ながら、国際的な議論も大臣のイニシアチブの下、進めていければと考えてございます。

小林(史)委員 今、村上さんから前向きな答弁をいただきましたが、国内の話がありました。

 まさに既存のデータの流通の動きというのは、いわゆる有価物ということで、動脈側の産業はこの議論が活発なんですけれども、実際にサーキュラーでリサイクルしようと思うと、この廃棄物というのもしっかり対象にして、データを流通させていく必要があります。特に、日本は世界の中でもリサイクル技術とかケミカルの技術が強いですから、ここも競争力になっていくので、しっかり取り組んでいく必要があると思うんです。

 この廃棄物行政で情報を流通させる仕組みというのは、電子マニフェストの仕組みというのが重要な役割を果たしているんですけれども、これは公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターというのがこのシステムを所管をして、やっています。この廃棄物の取扱いというのは、皆さん御存じのとおり、本当に中小企業、多様な企業がたくさんいらっしゃるので、これは相当使いやすく、軽くしないと広がらないんですよね。これは古くなっているんじゃないかな、ちょっと使いづらいんじゃないかなということも聞きますので、ここについて、先ほどの大きな取組と併せて連携して、よりよいものに変えていく必要があると思いますが、環境省、いかがですか。

飯田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの電子マニフェスト制度でございますけれども、これは、廃棄物処理法に基づきまして産業廃棄物を排出する事業者がその処理を外部に委託する際に、適正処理の確保のため、排出事業者と処理業者との間で廃棄物の種類や量などの情報を記載したマニフェストを電子的にやり取りするものであります。紙マニフェストに代わる制度として、平成十年十二月からその運用が開始されております。令和六年三月時点におきまして電子マニフェスト普及率は八一・二%となっており、排出事業者や処理業者に広く活用いただいております。

 他方、環境省ではこれまでも、入力データの自動チェック機能や、事業者の許可取消処分に係る最新情報の確認機能を追加するなどの取組を進めてきたところです。引き続き、ユーザーの利便性向上に努めてまいりたいと考えております。

 また、循環経済の実現に向けまして、製造業者や廃棄物リサイクル業者の連携を強化するに当たり、電子マニフェスト情報は有益なデータとなり得ると考えています。本年二月の中央環境審議会の意見具申におきましても、電子マニフェスト情報の量、質両面の高度化やシステム連携に向けた技術的、制度的な検討を進めるべきと指摘されているところであります。

 環境省におきましては、これらの考え方を踏まえまして、また、国内外のデータスペースをめぐる動向も注視しながら、電子マニフェスト情報の活用方策について必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

小林(史)委員 ここで、河野大臣に記憶にとどめておいていただきたいんですけれども、これは結構重要なシステムなんですけれども、環境省が直接じゃないんですよね、環境省所管の外部の財団法人とかというのが所管をしている。これは大体システムとして見落としたりとか、運営としてとか規制として見落とすんですよね。

 私も昔、蓄電池の規制を見直そうと。なぜ日本の蓄電池はこんなに高いのか、そして性能が低いのかと思ったときに、海外の最先端の蓄電池が入ってこない仕組みだった。何でかと思うと、JETという経産省の所管の団体が技術認証していて、最先端の海外の蓄電池は僕たちは認証する力がありませんといってお断りしていた。これに認定されないと、系統接続とかああいうのができない。だから、実質除外しちゃっていたわけですね。ここを直していただいて、今は結構いい蓄電池が入るようになって、国内でも競争が入ってきました。

 今後、恐らく、規制改革や行革の観点で見ると、次にやらなきゃいけないのはトラックにつけるデジタコメーターですね。これはトラックの、自動車の中にデータが全部たまっているわけです、走行距離とかスピードとかブレーキとか。移動の距離とか、それってどうするんだっけというのは、これは別にGPSを積めばいいだけですから、スマートフォンが一台あって車と連動すれば、本来このデジタコメーターというのは要らないはずなんですね。だけれども、なぜこのデジタルタコメーターの基準というのを国交省の所管の団体が決めていて、特定の事業者しか作れないということになっていますし、何かそこから出てくる紙の速度が毎秒何ミリみたいなことまで決まっていて、それはさすがにデジタル化できないよねということがあるわけです。

 というように、所管省庁だけじゃなくて、実は外にある団体が様々なガイドラインとかルールとか技術認証を決めることによって社会のデジタル化が進まなくなっているというところに、これは政務としてしっかり目をみはっていただいて、最適な形に変えていくということを是非意識して取り組んでいただきたいと思います。ここは行革も得意な河野さんこそできることだと思いますので、お願いをしたいと思っています。

 では、後半、もう最後に入ってきますので、じゃ、こうやってデジタル化を進めていくと便利になるよね、そして安心、安全な社会もやってくるよねということを申し上げました。

 でも、もう一つ忘れてならないのは、やはり社会全体として行政コストが下がって、国民の将来の負担を下げることができるよね。これは国民民主党の皆さんですね、やはり増税じゃなくて減税ということをおっしゃっていたりとか、あと、維新の会の皆さんなんかは本当に共感するところだと思うんですよね。やはり行政改革でしょうということだと思っています。

 なのですが、維新の会の赤木さんのいつもの質問というのは私大好きで、かなり独自の切り口で、ふるさと納税の話とか空き家の話とか、国交委員会も一緒なので大変注目しているんですが、一個だけちょっとつらいなという発言があったなと思っていまして、それは、子供、子育ての財源の捻出のときに議員定数の削減とかいう話が出たんですけれども、議員一人削減したって全然お金は出てこないですね。これを言っちゃうと、何か説得力が薄れちゃって、もったいないなと思って。一方で、私は、やはり将来にわたって人口減少するので、議員定数の削減というのは必要だと思うんですよ。だから、何か絡めずに、それはそれ、一方で行政改革は行政改革をやる必要があるんじゃないかなと。

 もう一つ、自民党と維新の会で考え方がちょっと違うなと思うのは、何か平成に続けてきた行政改革をそのまま行こうとしている感じがして、それが何となく公務員の数を減らすみたいな話ですね。これはもう現場では限界ですと。むしろ、私のアイデアとしては、一瞬、数年増やして、業務の最適化、デジタル化を終えた後、自然と減っていくということにしないと、恐らく、今の状態でデジタル化というのは、もう追加業務でやっていられないということだと思いますので、それぐらい少し時間軸を持って柔軟に定員や人員配置を考えていく必要があるんじゃないかと思うんですね。

 とはいえ、そうはいったっていろいろな財源が必要だよねということなので、もっと財源が出る方法というのを幾つか考える必要があると思っています。

 ちょっと質問の順番を変えまして、消防庁さんに行きたいと思います。

 全国の自治体のシステムを共通化しようよという話をしているんですが、自治体の中の職務は共通化になっていくと言っていますが、例えば、先般、予算委員会で取り上げたんですけれども、水道事業のシステムってどうなのと。水道は、今、全国千三百事業体でやっているんですけれども、これをこのまま続けるというのは、間違いなく、みんな不可能だと思っているわけですね。本来であれば、全国八ブロックとか東西二ブロックという、あるべき姿を描いて、それに向けてどうやって事業体を集約していくのか、料金体系は個別のままなのか一緒にするのかみたいな議論をやっていかなきゃいけないと思うんですけれども、いつまでもこれは自治体にお任せというふうになっているわけですね。これはちょっと考え直した方がいいと思っているんです。

 ちなみに、先ほど出てきたIPAが、ずうっと実は、厚労省と当時、水道事業の効率化について考えて、水道事業を運営するためのシステムについて標準化して、いろいろなベンダーが参入できるようにし、できれば共通化をするとどれぐらい削減になるかと出した試算があるんですね。何と年間一千四百億円です。物すごいお金が出てくるんですね。これはやった方がいいですよね。でも、いつまでも自治体で事業体が一緒になったらいいですねということを言っている。これはやはりそろそろ考えを変える瞬間が必要なんじゃないかと思います。

 そこで、もう一つやるべきは私は消防だと思っていまして、消防もやはり広域でやった方が効率的だと思うんですね。そこについて、消防庁、救急も持っていますけれども、このシステムの共通化、標準化、広域化をどのように考えているか、教えてください。

鈴木政府参考人 お答え申し上げます。

 消防のシステムの関係でございますが、各消防本部のシステムについて、消防庁において消防力の整備指針というのを定めて、指令システムなどの設置をお願いしているところです。

 御指摘いただきましたように、システムの具体の整備などは各消防本部において取り組まれているところでございますが、私どもとしては、その業務の標準化ということで、一一九番通報の処理などを行います消防システムについて、関連するシステム間の連携推進、あるいは効率的な運用導入、こういうものを進める観点から、消防庁におきまして、例えば今年の三月には消防指令システムの標準化仕様書というのを公表いたしました。このようにして、消防システムの、全国の消防本部の導入すべきシステムの標準化というのを今進めているところでございます。

 それからまた、広域化の点も御指摘いただきましたけれども、現場に人員を手厚く配置する、あるいは、機能の高い、高機能の消防指令センターを導入する、こういった効率的な運用、消防力の強化ということにつなげるために、広域化の取組を推進をいたしておりまして、昨年度の末に広域化の基本指針というものを改正いたしまして、消防広域化推進アドバイザーの派遣とか地方財政措置などを通じまして各地域の取組を支援しておりまして、広域化による消防力の強化というのを進めてまいりたいというふうに考えております。

小林(史)委員 大臣、お聞きいただいたとおり、自治体ごとにということになっています。救急もあるんですよ。救急の搬送システムも、本来これは共通化した方が絶対的に、データの連携もできますし、分析もできますから。

 この消防、救急及び水道、是非デジタル行財政改革会議で、やはりグランドデザインをちゃんと描いて、そこに向かって何年で進んでいくか、こういうプランにしていただきたいんですね。これは、デジタル庁は人手不足ですけれども、各担当省庁がいらっしゃいますから、全体の絵をデジタル行財政改革会議で開いたら、それに向かって担当省庁で動いていただくというふうに役割分担すれば、デジタル庁の稼働は少なく、でも、システムによって浮くコストは大きくできると思いますので、是非検討をいただきたいと思います。

 大分時間が差し迫ってきたので、ちょっと幾つか質問できなくて申し訳ないんですが、一点、こういうふうに自治体や消防、様々ネットワークを結んでいこうとすると、やはり通信の環境というのはすごく重要なんですけれども、資料の九ページを見ていただくと、自治体現場に行くと、メールアドレスを持っていない職員さんというのはすごいたくさんいます。

 それは、どういうふうになっているかというと、住基ネットにつながる、マイナンバーにつながる端末のネットワークと、通常の財務会計とか人事をやる自治体の本業みたいなところのネットワークと、そしてオープンなインターネットにつながるネットワークというのは全部物理的に切断されているんですね。なので、USBで情報を動かして、こっちの端末に動かすみたいなことが起こって、そこでミスが起こるということになっているんですね。ITに詳しい岡本先生としてはもう考えられないみたいな感じだと思うんですけれども、でも、これがずっと続いているんですよ。

 そろそろ、この右側の、端末ごとにちゃんとセキュリティーを確保することで、ネットワークは柔軟化された、こういう将来像に変更していくべきだと思いますが、これは総務省と、ずっと長年の課題だったわけですけれども、これは大きな方針が必要だと思います。大臣、いかがですか。

河野国務大臣 今までは境界型防御に依存した三層ネットワークでやってきておりますけれども、職員一人が三台のパソコンを使わなきゃいけない、三台の端末を使わなきゃいけないとか、あるいは、端末間の移動をUSBでやっているというのはこれはセキュリティー的には非常にまずい状況になっています。それから、職員も、そろそろ自治体もテレワークをやってもらわなきゃいかぬということを考えると、この三層のネットワークはもう無理ですので、これはやめます。

 これをやめて、きちんと一台の端末で全ての業務が完結できるように、ゼロトラストの考え方を入れた方向にシステムを早急に変えなきゃいかぬというふうに思っておりまして、検討会で議論は大体煮詰まってきておりますので、なるべく早めにそうした方針を出して切り替えていきたいというふうに思っております。

小林(史)委員 ありがとうございます。

 是非進めていただきたいと思いますが、先ほどいろいろ議論したとおり、もうデジタル庁の仕事が山盛りです。他国と比べても圧倒的に人員の数が少ないという現状ですので、やはりそろそろデジタル庁本体の人員の在り方を大幅に増やすという考えが必要だと思いますし、さらに、他省庁で作っているシステムについても、先ほど言ったように上流で入っていって全体最適をつくるというのが必要ですから、他省庁にも人員を配置するという考えが必要だと思いますが、ここについて、補充、しっかり拡充が必要だと思いますが、デジタル庁、いかがですか。

冨安政府参考人 御答弁いたします。

 委員御指摘のとおり、デジタル庁自体の体制強化も必要でございますし、デジタル庁から各府省に対して、現在、プロジェクトマネジャーですとかプロジェクトを支援するDX人材、そういう民間の専門人材もお送りして、上流からなるべく伴走支援できるようにしているところでございます。

 昨年の重点計画におきましても、やはり各省の強化が必要だということで、我々もそうなんですけれども、各府省のいわゆるデジタルを扱っている人材であるPMOとかPJMOの体制をやはり充実し、情報システムの整備、運用の経験のある職員を増加させるため、積極的な配置、追加等を行うというふうに重点計画で規定しているところでございまして、各府省に対しても推進体制の強化を求めているところでございます。

小林(史)委員 最後にいたしますが、しっかり人員を確保していただいて取り組むようにお願いしたいと思います。

 冒頭、済みません、中谷さんの名前を出しちゃいましたけれども、党内でマイナンバーに否定的な人がずっといらっしゃるので、多分いろいろ配慮しての発言だったんだと思いますから、本来我々は共有していますし、維新の会の皆さんについては、やはり地方分権というのは、このままいくと、政権を取ったときに結構苦しいと思うんですね。やはり、共通化するべき部分は共通化するというふうにして、行政職員もどうするかということをそろそろ考えていく必要があって、なので、我々、これまでの政党の考え方ではなくて、新しいアイデアでまた一緒につくっていけたらなという思いを共有させていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

 今日はありがとうございました。

谷委員長 次に、河西宏一君。

河西委員 おはようございます。公明党の河西宏一でございます。

 最後、三十分、二人目でございますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 今、大変充実した御議論、小林委員の方でございました。私も、やはり我が党としても、誰一人取り残さない社会の実現のために、デジタル社会の形成というのは非常に大事だというふうに思っております。その連携、キーとなるのがマイナンバー制度でありますし、また、幾ら連携したとしても、そのデータベースが最新で、正確で、また標準的な形式で整備されておりませんと、幾らやってもそれは絵に描いた餅ということになりますので、今回の法案も非常に大事な、新しい一歩を踏み出していくものなんだろうというふうに思っております。

 まず、私の方では、マイナンバー制度についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 昨年の、マイナンバーと各種情報のひもづけ誤りということで様々な問題がございました。デジタル庁におきましては、マイナンバー情報総点検を行っていただきまして、その上で、私はちょっと気になった点が一つございまして、この総点検の中で判明した誤り、八千三百九十五件ということでありますけれども、その中で、マイナンバーの提出がなかった、また、四情報、氏名、生年月日、性別、住所でありますが、ではなくて二情報を用いて自治体のバックオフィス等で住基ネットで照会したことによるひもづけ誤りがあったということでありますが、この部類のひもづけ誤りはどの程度あったのか、どの程度の規模だったのかということをお聞きしたいことが一つ。

 あわせて、私も、サラリーマン時代に一定規模のデータベースはいろいろいじくって仕事はしてまいりました。その感覚からすると、個人を二情報を用いて正確に検索するということは、普通無理であります。それは困難だということは、事前にこれは、できればバックオフィスで気づいてほしかったというのが、私、率直な思いとしてあります。ですので、こういったところにも、システムだけではなくて、日本人としてのデジタル化の遅れということも率直に感じているところであります。

 ですので、ヒューマンエラーを回避をするということで、今回、システム的な措置も講じていただきますし、また、自治体の端末では、ユーザーインターフェースですね、ログアウトしないまま、その次の方にそのまま処理が行われてひもづけ誤りを行ったということもありましたので、こういったインターフェースの改修も行われておりますけれども、バックオフィスのリテラシー、この向上も大事であるというふうに思うわけでありますけれども、政府の課題認識と、また取組について、まず冒頭、お伺いをしたいというふうに思っております。

楠政府参考人 お答え申し上げます。

 マイナンバー情報総点検において、点検対象件数の八千二百八万件のうち、〇・〇一〇%に当たる八千三百九十五件のひもづけ誤りが判明し、既に解消するなどの対応を行っているところでございます。

 マイナンバーの提出がなく、二情報で住基ネット照会した際に複数人のマイナンバーが該当し、ひもづけを誤った事案、これは多くの事務において見受けられまして、ひもづけ誤りの件数についても相当数把握しているところでございます。

 こういった新規のひもづけ誤りを防止する観点から、二情報での住基ネット照会を防ぐため、四情報以外の照会では原則回答不可とするための改修を実施したほか、マイナンバー登録に係る横断的なガイドラインを策定、周知をいたしまして、名前、生年月日、住所、性別の四情報を用いて住基ネット照会を行うように徹底をしているところでございます。

 また、御指摘ありましたように、公金受取口座につきまして、自治体の支援窓口で共用端末を使って登録をする際に、ログアウト忘れにより同一口座が複数人にひもづけられてしまった事例を踏まえまして、再発防止策として、口座登録開始時だけでなく口座登録完了時にもマイナンバーカードをかざすことで別人が登録できないようシステム改修を行ったほか、登録支援を行う自治体においては、ログアウトの確認を含めたマニュアルの遵守徹底について通知を行ったところでございます。

 なかなか使い勝手と相反する、何度も何度もかざすのはどうなんだみたいな御指摘をいただくこともあったんですけれども、やはり、ひもづけ誤りが起こらないようにするということで必要な改修だというところで実施をしたところでございます。

 このような再発防止対策を各種講じているところではございますけれども、特定個人情報の正確性を担保するための支援規定を新たに設けまして、デジタル庁を中心として、ひもづけ実施機関に対する支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

 昨年も、ツールの提供を始めとして、デジタル庁もかなりハンズオンで各機関に入って支援をしてまいったところですけれども、今般の法案におきまして、ここをきっちりと制度化をして、根拠のある形でより一層支援してまいりたいというふうに考えております。

河西委員 御答弁ありがとうございました。

 これは生成AIの文脈でもよく語られますけれども、やはり人間が使いこなせるように成長していかなければならないということがございますので、是非そういった部分も踏まえながら御推進をいただきたいというふうに思っております。

 続きまして、これはまず警察庁にお伺いをしますけれども、これは何かというと運転免許証との一体化でございますが、今年度早期に実現をするとしているマイナカードと運転免許証の一体化でございます。

 これは、一昨年の四月十五日の内閣委員会で、この場で、道交法の改正のときに、これはやはりデジタル化を通じた行政コストの縮減ということが当然政策目的にございますので、この一体化による運転免許証の更新手数料の軽減ができないかということで取り上げさせていただきました。

 こういったことを契機といたしまして、デジタル社会の実現に向けた重点計画に関しましては、こういった記載を入れていただきました。当該一体化に伴う相当の行政コストの削減効果、これを踏まえて、関係省庁と連携し、運転免許証の更新手数料の引下げなど利用者負担の軽減を検討するということで、やはりデジタル化は国民負担の軽減にもひいては恩恵を及ぼしていくということはすごく大事なことだというふうに思うわけでありますが、現在の取組状況を警察庁の方にお伺いをしたいというふうに思っております。

小林(豊)政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、デジタル社会の実現に向けた重点計画において、マイナンバーカードに一体化された運転免許の更新手数料について、一体化に伴う相当の行政コストの削減効果を踏まえ、更新手数料の引下げなど利用者負担の軽減を検討するとされているところであります。

 御質問の更新手数料につきましては、実費を勘案し、手数料の標準額を道路交通法施行令において定めることとなりますが、現在、警察庁において、更新に要する物件費や人件費といった費用の積算を行うなど検討を進めているところであります。

 いずれにしましても、警察庁としては、一体化に伴う行政コストの削減効果を踏まえ、適切な手数料を定めるため、引き続き検討してまいります。

河西委員 実費を勘案ということでありますので、当然、今後の検証といいますか、精査に委ねられるわけでありますが、結構やはり更新手数料は高いなと。数年に一回の更新において、それなりのコストがかかっているということでありますので、当然しかるべきなんですが、そういったところにも実感があるといいなというふうに思っております。

 実は、この点について当時副大臣として御尽力をいただいたのが、先ほど御質問された小林委員でございまして、大変に感謝を申し上げたいと思います。

 当時の小林副大臣からはこういう御答弁をいただきました。行政のデジタル化の本来の目的は、国民、企業の利便性の向上と行政運営の効率化であると。この行政運営の効率化でありますけれども、行政コストの削減効果がデジタルへの投資を上回れば、その差分を利用者、すなわち国民に還元をしていくことは当然なんだろうということで、適切な負担の在り方を念頭に置きながら、デジタル完結の実現に向けた取組を強力に進めてまいりたいという大変力強い御答弁をいただきまして、非常に私も勇気づけられたのを今でも明確に覚えております。

 本日は、改めて河野大臣に、まだ今後の様々な議論の余地があるということでありますけれども、デジタル化の一環として行われるマイナカードと運転免許証の一体化の更新手数料の在り方について、是非御所見をいただきたいと思っております。

河野国務大臣 当時の牧島大臣、小林副大臣の基本方針にのっとりまして、警察庁では手数料の引下げに向けた検討を鋭意やっていただいておりますので、二〇二四年度の一日も早いときから一体化というのを始めたいと思っておりまして、そこのところは、手数料の引下げに向けてしっかり政府内で頑張ってまいりたいと思います。

河西委員 前向きな御答弁をいただきまして、大変にありがとうございます。

 あわせまして、大臣に、ちょっとがらっと内容が変わるんですが、先ほど御議論の冒頭にも、誰一人取り残されない社会ということがありまして、そういう意味では、先日、四月の十二日、社人研が日本の世帯数の将来推計を公表いたしました。非常に新聞、メディア等でも取り上げられておりますけれども、一世帯当たりの平均人数、これは二〇三三年に二人を割り込み、一・九九ということでありました。また、二〇五〇年には、単独世帯、これが全世帯の四四・三%、二千三百三十万世帯に及んで、しかも、そのうちの六十五歳以上の高齢者が一千八十四万世帯を占めるということでありますので、全世帯の二割ぐらいが単身高齢者の方ということで、相当これは、昭和の時代と比べると社会のありようが変わってくるんだろうというふうに思っております。

 私は地元は東京でありますので、都市部の方にもそういった方々はたくさんいらっしゃるわけでありますが、まず、独り暮らしの中年の方というのは、知り合いが少ない方がやはり多いわけであります。場合によっては身寄りもない。そのまま、行政とか、あと、日々お忙しいですから、地域とのつながりもつくらないまま高齢期に入っていくということで、本来家族が担ってきた機能を社会化しなきゃいけないんじゃないかということを、これは日本福祉大学の藤森教授などが指摘をされております。

 この中でも御覧になった方がいらっしゃると思うんですが、一昨日のNHKの「日曜討論」、これがまさに今回の単身高齢者がテーマでありまして、その中で、放送大学の宮本みち子名誉教授がかつて都内の新宿で単身の中年また高齢者の方のアンケート調査に携わった、そのときのエピソードの御紹介があって、大変興味深く伺いました。

 というのは、その調査の後、もっと詳しく聞きたいということで、対面の詳細な聞き取り調査への協力者を募ったところ、余り来ないかなと思っていたんですが、予想を上回る百二十人程度の方が是非聞いてほしいということで、その理由を聞いたら、私たちのような独り暮らしの区民に行政が関心を持ってくれたことがうれしかった、言いたいこともたくさんあるし、また、どういうことが行政で利用できるか、そのサービスを知って、また行政との関係をつくりたいというお声が大変多く寄せられたそうでございます。

 この話を伺って私が思ったのは、残念ながら、この番組内ではマイナンバー制度のことはちょっと、一回も出てこなかったので非常に残念だったんですが、例えば、マイナポータルに登録したメールアドレスとかを活用して、単独世帯の方のニーズを探るアンケート、これを送るということも当然できると思いますし、また、年齢や世帯構成、また住所とかに合わせたいろいろな情報をプッシュ型で送る、例えば、地域のコミュニティーですとかイベントに関する情報、これを送って、人と人のつながりを育む契機にしていくということもあり得るんじゃないかなというふうに思っております。

 もう一点、非常に着目すべきが、この番組の中で有識者の方の多くが、家族が面倒を見るという前提が崩れつつある社会の中で、個人情報の保護、これが非常に必要な支援を届ける際の大きな障壁になっているということと、あと、やはり、生死に関わるところについては臨機応変であってもいい、また、個人情報保護のやり過ぎで萎縮をして現場が動かない、つながるものもつながらない、こういう状況を改善すべきだということを明確に指摘をされておりました。

 こうした観点でいいますと、消防庁の方で今、救急隊が現場で、患者や関係者からいろいろな通院先とか医療機関、これを聞き取って搬送先の参考にしているわけでありますが、当然、患者本人と会話できない状況もありますので、マイナカードを活用して専用のタブレットでその情報を掌握をするという、そういった実証事業もスタートをしているというふうに伺っております。

 そこで、これは御所見ということで大臣に伺いたいんですが、こうした個人と公助をつなぐ機能、これが今後、単独世帯が増えればますます重要になってくると思いますし、今御紹介した有識者の御見解等を踏まえて、単身世帯、単独世帯を支える社会基盤づくりという観点でマイナンバー制度の役割というのは非常に大事になってくる、こういうふうに思うわけでありますけれども、是非、大臣の御所見をこの機会にお伺いしたいと思っております。

河野国務大臣 私も、世帯の平均人数が二を割り込むというのを見まして、かなり世の中は変わってくるんだなと。それにいかに対応して行政サービスを提供するかというのは、非常に大きな課題だというふうに思っております。

 今委員がおっしゃいましたような、マイナポータルで個人個人といろいろな双方向のやり取りをする、この機能はもう少し強めていかなければならないというふうに思っておりますし、マイナンバーカードを救急車の中で活用する、これは五月の中旬から相当な自治体の御協力をいただいて実証実験をスタートさせ、できれば今年の後半には全国展開をしていきたいというふうに思っているところでございます。

 また、能登の地震の関連で、石川県から様々、マイナンバーあるいはマイナンバーカード、あるいは今回のSuicaを使ったやり方、いろいろと話を伺っておりますが、その中で、現在の法令の解釈でできるであろうことが、個人情報の保護との関係で、やはり現場の萎縮につながっている部分があって、これはガイドラインあるいは法令にきっちりうたってほしいというようなお話もありました。

 マイナンバー制度あるいはマイナンバーカード、非常時に非常に役に立つものだと思いますが、非常時に役に立たせようとすると、平時からそれを使っていないと、マイナンバーカードを携行していなければ、非常時に使えるといっても、カードそのものを持っていなければ使えませんし、非常時に使おうと思っていても、やはり平時から個人情報の保護の様々な取扱いに関して趣旨徹底が行われていなければ、非常時、更にどうしたらいいのかというのを考えている余裕がないということになりますので、非常時のことを考えると、やはり平時からしっかりと物事を使っていくというのが大事なんだろうなと。

 マイナンバー制度あるいはマイナンバーカード、この活用を平時からしっかり展開することで、将来、お一人お一人と社会をつなぐその懸け橋にもしてまいりたいというふうに思っております。

河西委員 大臣、大臣の思いも含めて、御答弁ありがとうございました。是非、一人を支えていくという観点、世帯の構成の変化に伴ってお取組をお願いをしたいというふうに思っております。

 大臣、こちらで答弁は以上でございます。もしよろしければ御退席いただいても結構でございます。

 続きまして、今、高齢者というテーマもございましたが、その関連で、マイナンバーカードの券面についてお伺いをしたいというふうに思っております。

 これは昨年の四月七日の内閣委員会で取り上げた件なんですが、現場を回っておりますと、高齢者の方からはこういうお声が多く聞かれます。それは、マイナンバーカードと言うけれども、券面にマイナンバーカードとどこにも書いていないということで、よく見ると小さい文字で個人番号カードとしか表示されていないので分かりにくいという、これは高齢者ならではの御指摘なんだろうというふうに思っております。

 やはり券面については改善の余地があるわけでありますが、この三月に出されました次期個人番号カードタスクフォース最終とりまとめでございますが、券面のデザインについては、「特に、大きさをはじめ、文字の読みやすさに配慮する」、これは大事だというふうに思っております。また、次期カード導入を契機にして、マイナンバーカード以外の新たな呼称も、場合によっては公募なども経て検討すること、その可能性も示唆をされているということでございます。

 そこで、今日はちょっと一点確認をしたいんですけれども、この券面の表記なんですが、これは法律上の個人番号が記載されていますけれども、要は、それにこだわる必要があるのか。これを呼称に変更すること、あるいは併記することはあり得るのか、その可能性についてお伺いをしたいというふうに思っております。

村上政府参考人 お答え申し上げます。

 券面事項につきましては、法律上規定されている項目もございますが、個人番号カードと書いている部分につきましては、その呼称は法律では直接は規定はされておりません。今回の取りまとめでは、呼称につきましても広く公募をした上でよくよく検討すべしと。

 私どもの悩みとしましては、特に、マイナンバーカードか個人情報番号カードかということもございますが、行政事務で利用するマイナンバーというものと、鍵の中にその人しか持っていない公開鍵と秘密鍵の組合せが一つございまして、それを本人の確認に利用するという公的個人認証と、行政事務の場合は両方組み合わせてオンライン申請等で使うわけでございますけれども、カード本体は後者の性格が強くて、それがマイナンバーなのかマイナンバーカードなのかという観点からも混乱を招いているのではないかというふうに考えてございます。

 呼称がこれだけ普及しました。知名度や普及ということも、継続性も考える必要がございますが、改めて国民の皆様の声をよく聞いて、券面デザインの在り方とともに、この呼称の在り方についても引き続き検討してまいりたい、このように考えてございます。

河西委員 先ほど申し上げたように、単身高齢者の方が増えると、やはり親しみやすさ、先ほど大臣も御答弁されていましたが、常に持ち歩くということで、非常にそういう意味でも様々な検討を是非実効的に行っていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、石川副大臣、ありがとうございます。一点、お伺いをさせていただきたいと思います。

 必要とする行政サービスを届けるという意味におきましては、今般の能登半島地震における災害対応、様々指摘がなされているところであります。今回に関しましては、避難所の入所、退所の管理については、カードリーダーがなかなか足りないということで、Suicaに切替えをして対応したということがありました。被災者の方の中には金庫にしまったままという方もいらっしゃいましたし、まさに先ほどの携行性がまだ普及をしていないということ。

 一方で、政府におかれては、このマイナンバーカードの重要性、災害時こそ、罹災証明の取得でありますとか、威力を発揮するものになるというお訴えがあったわけであります。

 そこで、今日お伺いしたいのは、避難所にこのマイナンバーカードを今回の能登半島地震で持参された方はどの程度いらっしゃったのかということと、あと、今後の大規模災害、ここ東京でも首都直下地震、大変高い確率で予測をされております。それに備えて、避難所になり得る学校等ですから、カードリーダーの配備などにつきましては、ハード面もしっかり今のうちから整備をしていく必要があると思いますけれども、御見解をいただきたいと思っております。

石川副大臣 お答えいたします。

 今回の能登半島地震におきまして、避難所において避難者に聞き取って確認した範囲におきましては、おおむね約四割程度の方がマイナンバーカードを携行したというふうに承知をしております。

 今回の地震の対応におきましては、カードの携行率の問題に加えまして、委員御指摘のとおり、マイナンバーカードの読み取りが可能なカードリーダーについて十分な数を確保できなかったことから、残念ながらマイナンバーカードを活用できず、JR東日本のSuicaを用いてシステムを構築したところでございます。

 今後は、マイナンバーカード携行率向上のため、マイナンバーを活用した救急業務の迅速化、円滑化に関する取組等のカードのメリットの拡大を進めるとともに、マイナンバーカードの機能を個人のスマホに搭載していくことを推進してまいりたい。あわせまして、平時において、マイナンバーカードを持っていない人に渡せるような予備的なカードやカードリーダーを用意していくことや、電力や通信が途絶した状況への対応などについてデジタル庁内で検討を進めてまいりたいと考えているところです。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 カードリーダーの備蓄といいますか、そういったことも含めて、ソリューションで電源も含めて御検討いただけるということで、是非お取組をお願いしたいと思います。

 副大臣、こちらで以上でございますので、御退席いただいても結構でございます。ありがとうございます。

 では、続きまして、厚労省に健康保険証との一体化についてお伺いいたします。

 本年十二月に原則廃止をされる紙の健康保険証でありますけれども、これは、一体化をしていない方については漏れなく資格確認書をプッシュ型で送付されるようにということで、以前、我が党の輿水衆議院議員も取り上げて、総理もプッシュ型で送っていただけるように決断をしていただいたというふうに承知をしております。

 この資格確認書の送付対象者、これは、念のために、当事者が御存じになれるようにということで伺いますが、どこがどのように対象者を確認をして、いつ頃本人に送付するのか。この送付時期については、紙の健康保険証の有効期限、これは猶予期間がありますのでそれぞれであるわけでありますが、その切れる前に確実に送付をされるのか、念のため確認をさせていただきたいと思っております。

日原政府参考人 お答えを申し上げます。

 健康保険証の発行を終了しまして、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行するに際しましては、ただいまお話ございましたように、マイナ保険証をお持ちでない方には、申請によらず各保険者において資格確認書を発行するなど、全ての方に安心して確実に保険診療を受けていただけるような必要な措置を講じることとしてございます。

 そのために必要なマイナンバーカードの健康保険証利用登録状況についてでございますけれども、これは、オンライン資格確認等システムの実施機関から各医療保険者のシステムに対して通知をすることといたしております。各保険者におきましては、この機能を活用いただいて、こうした資格確認書の交付対象者の方を把握して、それで資格確認書を交付していただくということでございます。

 それから、資格確認書の送付時期についてでございますけれども、これは、施行日以降最大一年間、現行の保険証が使用可能であるということを踏まえまして、各保険者におきまして、現行の保険証の有効期限などを勘案した上で、切れ目なく交付いただくこととなるというものでございまして、もう少し具体的に申し上げますと、マイナ保険証をお持ちでない方に対しましては、本年十二月二日以降、転入や転職などによりまして新しい保険者に加入いただく際はその時点から、それからまた、そうした転入や転職などはなく、保険証に有効期限が設定されている場合はその有効期限が切れる時点から、切れ目なく資格確認書をお持ちいただいて受診の際お使いいただけるよう、各保険者において交付いただくこととしてございます。

河西委員 御答弁ありがとうございます。

 いずれにしましても、遺漏なきよう、着実に、また確実に目くばせをして進めていただきたいと思っております。

 最後、もう時間も少なくなってまいりましたので、ちょっとベースレジストリーについて少しお伺いをいたします。

 ちょっと一問飛ばしまして、ベースレジストリー、非常にこれは効果は絶大である、行政コスト、また法人の皆様のコスト削減効果は絶大であるということでありますが、それに加えまして、中小企業目線でいえば、コロナのときも大変課題になりました各種補助金の申請、電子申請、これは一層整備して使い勝手のいいものにしてほしいというお声があります。スタートアップ企業からもこういったニーズは高いというふうに思っておりますが、今、デジタル庁で事業者手続タスクフォース、ここで非常に効果的な取組をしていただいている、検討していただいているというふうに伺っておりますけれども、この点についてお伺いをしたいと思っております。

村上政府参考人 お尋ねいただいてありがとうございます。

 個人の手続の場合は、かなりな程度マイナポータルに集約をされ、同じようなユーザー体験で申請ができるというふうになってございますが、特に、事業者の中でも中小企業は、省庁ごとにばらばらの手続、ばらばらの画面、ばらばらの署名、ばらばらの支払い、こういう面がございます。中期的には、これをやはり統合をしていきまして、どの省庁の手続でも同じようなポータルから同じような手続でという形に集約していく方向で、関係府省の連絡会議も設置をいたしまして、検討を進めているところでございます。

 まずは、二万を超える手続につきまして、現状の調査をするところからしておりますが、これも、民間出身エンジニアが、直接各省の担当が入力をし、集計結果がすぐそのまま円グラフ等で出せるようなツールも作らせていただいて、作業を進めているところでございます。また、具体的な見通しが出てまいりましたら、国会等の場でも御報告をさせていただきたい、このように考えてございます。

河西委員 デジタル庁は、民間、行政、また多様なバックグラウンドを持った方々が当事者の目線を持っておられるということで、これはすばらしい取組だというふうに伺っておりますので、是非推進をしていただきたいと思っております。

 最後、一問お伺いをさせていただきたいと思います。

 これは、がらっとちょっとこれもテーマが変わるんですけれども、一問飛ばしまして、セキュリティークリアランスに関連して、これは内閣官房にお伺いをいたしたいと思います。

 米国では、この適性評価にかかる期間、これは三か月近くかかるというような統計も二〇二〇年に出ております。この適性評価の期間短縮というのは我が国の課題の一つになってくるんだろうと思っているわけでありますが、米国では、こういった期間の短縮のために、商用データとか連邦政府のデータベースを自動的に随時チェックをして、この補完的な継続評価を行っていく、こういうふうに伺っております。

 まさに今回のベースレジストリーは、正確性や最新性を持つ、また、そういった中で社会コスト全体の削減に寄与していくということでうたっているわけでありますが、今後の取組の方向性についてでありますけれども、我が国として、あくまで個人ではなくて事業者に対するセキュリティークリアランス、例えばFOCIとか、企業に対する外国関係者による所有、支配又は影響に関して、継続的に又は補完的な評価として、経済安保の観点から、法人関係のベースレジストリー、これを活用していくお考えはあるのかどうなのか、最後、お伺いをしたいというふうに思っております。

彦谷政府参考人 お答えいたします。

 セキュリティークリアランスについては、現在、法案を提出しているところでございまして、御指摘の事業者のセキュリティークリアランス、これは法案では適合事業者の認定ということになりますが、その基準について、法案をお認めいただいた際には、政令や運用基準等でその具体的な内容を規定すべく検討していくということになります。

 御指摘のアメリカにおけるFOCIを含む組織的要件については、セキュリティークリアランスに関する有識者会議でも議論になり、最終取りまとめでは、「国内においても、現行制度の運用や主要国の例も参照しつつ、我が国の企業等の実情や特定秘密保護法、外国為替及び外国貿易法、会社法等との整合性も踏まえながら、実効的かつ現実的な制度を整備していくべき」とされているところでございます。

 今後、基準の策定の検討とともに、認定をどのように行うのかという点につきましても、ベースレジストリーの活用といった観点も含めて検討してまいりたいと考えております。

河西委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次回は、来る二十五日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時三十七分散会


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