第16号 令和6年5月8日(水曜日)
令和六年五月八日(水曜日)午後一時開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 井上 信治君 理事 小林 史明君
理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君
理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君
理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君
今村 雅弘君 上杉謙太郎君
黄川田仁志君 小寺 裕雄君
橘 慶一郎君 谷川 とむ君
土田 慎君 土井 亨君
中川 郁子君 橋本 岳君
福田 達夫君 藤丸 敏君
堀井 学君 保岡 宏武君
柳本 顕君 山口 晋君
吉田 真次君 阿部 知子君
城井 崇君 坂本祐之輔君
中谷 一馬君 福田 昭夫君
早稲田ゆき君 赤木 正幸君
伊東 信久君 伊佐 進一君
浮島 智子君 高橋千鶴子君
田中 健君
…………………………………
国務大臣
(デジタル大臣)
(デジタル行財政改革担当) 河野 太郎君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 加藤 鮎子君
国務大臣
(地方創生担当) 自見はなこ君
内閣官房副長官 村井 英樹君
内閣府副大臣 工藤 彰三君
デジタル大臣政務官
兼内閣府大臣政務官 土田 慎君
総務大臣政務官 船橋 利実君
財務大臣政務官 瀬戸 隆一君
文部科学大臣政務官 安江 伸夫君
農林水産大臣政務官 舞立 昇治君
国土交通大臣政務官 尾崎 正直君
政府参考人
(内閣官房内閣審議官) 門前 浩司君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 上村 昇君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 西 経子君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 佐々木正士郎君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 中村 広樹君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局経済取引局長) 岩成 博夫君
政府参考人
(警察庁長官官房審議官) 親家 和仁君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房長) 小宮 義之君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長) 熊木 正人君
政府参考人
(こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 冨安泰一郎君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 村上 敬亮君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 布施田英生君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 榊原 毅君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(消防庁国民保護・防災部長) 小谷 敦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 淵上 孝君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森 孝之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 増田 嗣郎君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 日原 知己君
政府参考人
(経済産業省大臣官房審議官) 西村 秀隆君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 秋山 公城君
政府参考人
(国土交通省大臣官房審議官) 長谷川朋弘君
政府参考人
(国土交通省大臣官房技術審議官) 菊池 雅彦君
政府参考人
(国土交通省航空局航空ネットワーク部長) 蔵持 京治君
衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君
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委員の異動
五月八日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 吉田 真次君
橘 慶一郎君 山口 晋君
中谷 一馬君 阿部 知子君
同日
辞任 補欠選任
山口 晋君 橘 慶一郎君
吉田 真次君 上杉謙太郎君
阿部 知子君 中谷 一馬君
―――――――――――――
四月二十六日
子供のための予算を大幅に増やし、保育・学童保育の基準・施策の抜本的改善を求めることに関する請願(山本ともひろ君紹介)(第一二一二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件
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○谷委員長 これより会議を開きます。
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官門前浩司君、内閣府大臣官房審議官上村昇君、内閣府地方創生推進室次長西経子君、内閣府地方創生推進事務局審議官佐々木正士郎君、同じく岩間浩君、同じく中村広樹君、公正取引委員会事務総局経済取引局長岩成博夫君、警察庁長官官房審議官親家和仁君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁長官官房総務課支援金制度等準備室長熊木正人君、こども家庭庁成育局長藤原朋子君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、同じく村上敬亮君、同じく布施田英生君、デジタル庁審議官榊原毅君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、同じく森孝之君、厚生労働省大臣官房審議官増田嗣郎君、同じく日原知己さん、経済産業省大臣官房審議官西村秀隆君、国土交通省大臣官房審議官秋山公城君、同じく長谷川朋弘君、国土交通省大臣官房技術審議官菊池雅彦君及び国土交通省航空局航空ネットワーク部長蔵持京治君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。小林史明君。
○小林(史)委員 自由民主党の小林史明です。
本日も質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。
この間一時間いただいたばっかりなんですけれども、様々な委員会日程の調整の結果、今日この二十分を牧島理事からしっかりやるようにという御指名がありましたので、お許しをいただいて、質問をさせていただきたいと思います。
前の一時間のときに質問し切れなかった部分を、質問通告をしてありましたので、前日に決まった関係もあって、この通告分を今日は質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、あの質問以降、与野党のやり取りを聞いていてちょっと気になった部分について最初少しお話をした上で、質問に入っていきたいと思います。
まず、様々な法案や様々な政策を考える上で、一つ一つに対して個別最適の議論をするのではなく、やはり、ありたい社会の姿、向かいたい国の方向性を一本定めて、その方向に対してこの法案やこの予算、政策は適切なんだろうかということで判断していくべきだと私は思っています。
その点でいくと、私としては、議員になって以来、テクノロジーの社会実装で、多様でフェアな社会を実現する、より多くの個人が、一人一人が、自由に、そして様々な背景を持っていても意欲を持って活躍できる、そして努力や成果がフェアに評価される、そんな社会をつくっていきたいと思っています。そのときに、デジタルというのは大変有効であると考えています。
それを考えたときに、テクノロジーの部分でも、一般の日常活動を行う上で、いわゆるアプリケーション的に、ソフトの世界で便利に使うという部分と、社会インフラとして全国民が必ず使っていただくことによって社会全体が効率的になったり安全になったりという部分と、ちょっと層が違うと思うんですね。気になっていたのは、やはり、マイナンバーカードと健康保険証の一体化についての議論は、完全に後者のインフラの部分であるということを前提に議論すべきだと私は感じました。
そこで一つ、立憲民主党の中谷さんを中心にいろいろお話があったのは、やはり全員が持ちたいと思える便利な状況になってからちゃんと持っていただくということが重要ではないか、私もそれはすごく大事なアプローチだと思います。当然、国民の皆さんに使っていただくためには、使ったら便利であるという完璧な状況を用意すべきだ、私もそう思うんですね。
ただ、インフラとしてむしろ先に全員に使ってもらう必要があるものについては、これは申し訳ないですけれども、期限を区切って、全員持っていただく必要があると思います。
なぜマイナンバーカードがそうなるのかということなんですが、一つは、先般の質疑でやり取りした社会保障の無駄ですね。今の健康保険証を紙で発行してやり取りし続ける限り、毎年百億円以上の費用が事務手続で無駄になっていく。データを使った社会保障改革まで含めると、もう一桁必ず増えるはずだと思います。それをやはり早く改革をし、保険料をできれば下げていく、抑制していくというところに力を注ぐべきだと思います。
もう一つ、実は、この議論に抜けているのは国民の安心、安全なんですね。
健康保険証という身分証明書に顔写真がない、電子的に資格をリアルタイムで確認する方法がないというのは、実は非常に不完全で危険な個人認証の仕組みになっているということです。実際に、一時期、スマートフォンを使った口座開設のときに、偽の口座、成り済ましの口座を開設するときに使われたのが健康保険証でした。様々議論があった結果、今、口座開設等には健康保険証は使えないということになりました。それはまさに健康保険証が個人を証明するのに不完全なものであるということなんですね。だからこそ、早く健康保険証は手放していただいて、完全にリアルタイムに個人の認証ができる仕組みを持っていただきたい。それは政府として提供する義務があると思っています。
今少し話題になっているのは、マイナンバーカードの券面、表面を偽造したもので、何か、個人を偽る人が出てきているということがあります。これは問題です。
でも、理想の姿というのは、どうしなきゃいけないかというと、私はマイナンバーカードの券面は全部消せばいいと思っているんですね。何も書いていないマイナンバーカードを用意する、そして、一般の方々、事業者の方々がスマートフォンやタブレットで気軽に読み取ることができる、読み取れば必要な情報が読める。こういうふうになると、番号も表に出す必要はないし、個人の名前や住所も表に出す必要がなくなります。実際に、現在、クレジットカードは、ナンバーレスカードということで番号すらも表に書いていないカードが普及しています。
ですから、次期カードについてはまだ表記は残りますが、第三期については私は券面の表記をなくすべきだと思います。それによって、電子的にリアルタイムで読み込むことが本当に安心、安全な個人認証を提供することになると思います。
実際に、今、デジタル庁の中では、マイナンバーカードの電子的な読み取りを簡単にできるようなアプリケーションを開発をして、提供が予定をされています。これが広がっていけば、現在のマイナンバーカードの券面、表面を偽造した詐欺というのも撲滅することができますから、こういったアプローチでまずはやっていくことが重要ではないかと思うんですね。
そしてもう一つ、アプローチの仕方です。
先ほどのソフトの世界、アプリケーションの世界であれば、なるべく使いやすくしていって皆さんに使っていただく、促していくことで利用率を上げる、こういうアプローチが適切だと思いますが、インフラ部分についてはどこかで期限を区切ってやる必要があります。
実際に地デジ化のときはそれをやっていますね。アナログ放送を停波します、それに当たって皆さんの御自宅の受信設備を全部デジタル対応にしていただくということを、当時、総務省が、ボランティアも募り、様々な機関と連携して、複数年かけてやり切っています。でも、それによって、この社会のインフラは圧倒的に前に進み、利便性が高まり、そしてコストは抑制された。
同じようなアプローチを今回マイナンバーカードと健康保険証でやろうとしているということですから、我々は、それを国民にちゃんと説明をして、そして、持ったときにはやはり便利だったと思える瞬間をつくる、これでいくしかないと思いますので、その考え方は、是非、立憲民主党やその他の政党の皆さんとも共有しながら、そこの丁寧さとか便利さが余りにも低いんじゃないか、こういうところで改善していくというところで議論ができればと思っています。
加えて、私、とても大事な気づきをいただいたのは、中谷さんの質疑の、もう一つは性別の表記の話ですね。国際基準ではもうちょっと違う、男女以外の表記もあるので、そういったことも政府として考えるべきではないかという提起がありました。これは大事な話だと思うんです。
ただ、ベースレジストリーというのは、もう永久に残る、国として責任を持って保管する唯一のデータベースになりますから、生まれた瞬間の遺伝子的な性別とかこういったものがここで分からなくなると、場合によっては、国際的なスポーツ大会とかはどうするんだっけみたいなことが起こってくると思うので、あくまで、住民基本台帳や戸籍、これはベースレジストリーですから、性別はちゃんと取っておく。
一方で、もう一層上に、自分が申告したい性別であったりとか、もしかしたら別姓の情報であったりとか、あわせて、先般の質疑でやり取りさせていただいた、何か自分にあったときの連絡先とか遺言の内容、こういったものを保管をしておくデータベースを一層設けて、何か、必要な証明書として表に出すものについてはこの情報を引っ張り出せるということになれば、政府として唯一のデータベースは持ちつつ、国民として使いたい情報、表に出したい情報を随時引き出すことができるということは、利便性高くできるんじゃないかと思うんですね。
こういうふうに、少し層を切り分けて構造的に整理をしていけば中谷さんの提案も私はできるんじゃないかと思っていまして。これは、党派を超えて、このシステムの在り方であったりとか、そもそも政府が持つべきベースレジストリーの情報とは何か、これは共産党の高橋さんとも是非御相談したいと思いますが、本当はもうちょっと、独居老人の話とか孤独、孤立の話も含めて、政府側が統一的に持った情報を増やした方がいいんじゃないの、福祉のために必要なんじゃないの、何で携帯電話番号を持っていないんだっけ、連絡がつかなくて困るよね、こういうことも解決に導けるのではないかと思いましたので、これまでの野党の皆さんの質疑を聞いて少し思ったこと、御提案をちょっと共有させていただきました。
その上で、このような国民の利便性、そして安心、安全を守るためには、政府がつくっていくシステムというのが非常に重要になってまいります。だからこそ、丁寧につくる、きちっとつくるということがずっと続いてきたわけですけれども、結果として非常に高い費用のかかるシステムがたくさんでき上がってしまったというのが現在であります。それをやはり改善をし、利便性は高いけれども値段は低く、そして複数の省庁が共同で使えるような、場合によっては自治体が独自でシステムを調達しなくても業務を簡単にシステム化できるような、そんな状況をつくろうということでデジタル庁ができ上がったわけです。
そこで、デジタル庁に提案及び質問をしたいと思います。
とにかく、システムをつくるときに、私もワクチンの仕事をやったときにも思いましたけれども、何か新しい業務をやるときに、システムをつくろうと思うと、ゼロから調達をかけてつくろうということから検討が始まるんですね。
でも、本来は順番が逆で、今ある政府のシステムで相乗りして使えるやつはないんだっけというところから本来は考えるべきではないか。それが難しかったら、民間事業者が既に提供している、いわゆるSaaSと呼ばれる、一般企業も使えるようなクラウドのサービス、これを使えないのかと本当は考えるべきだ。次の順番はいわゆるPaaSですね。プラットフォームサービスを提供していて、その上に簡単に、プログラミング言語を書かなくてもシステムがつくれるツール、これはローコードツールと呼ばれていますが、これを使えないんだっけというふうに考えて、それでも駄目だったら独自でシステムをゼロからつくろう、こういう思考の順番になった方がいいと思うんですね。
そう考えたときに、厚生労働省は、コロナ対策の病床の確保や検査数など、病院の調査をするためにG―MISというローコードのツールを使ってつくった仕組みがあって、これを現在ではどんどん使途を広げていって、全ての医療機関向けに多数の法定調査をするときもこの仕組みでやるとか、部署ごとに調査事業をやっていたんですけれども、それももうシステムを使わなくて、このG―MISでアンケートを取っちゃう、調査も全部やっちゃうということで、もう完全に相乗りを増やしていっているんですね。これはすごくいい事例だと思うんですね。
こういう事例を横展開して、何か既存の仕組みでできそうなんだけれども、ちょっとだけこの制度があるからできないんだよねみたいなのは、むしろ制度を変えてシステムに載るようにしちゃうというふうにした方が、確実にアプローチとしてはいいと思うんですね。それに合わせて業務を見直すということが的確なのではないかと思います。
それを他省庁にもちゃんと求めていくということに、デジタル庁が持っている、伝家の宝刀である勧告権を私は使うべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○冨安政府参考人 御答弁いたします。
何か新しいシステムをつくる場合に、最初からつくるのではなくて、既にある共通機能ですとか、あるいは既にあるシステムを活用する、あるいは、先生御指摘のように、そういうものがなければ民間企業が提供しているようなサービスを活用するということを検討することは非常に大事だと思っております。デジタル庁としてもそういうことを各府省に求めているところでございます。
また、制度をつくる場合において、今私どもも、システムの制度と業務の整合性を確保するというか、そういうことを、表現を使っておりますけれども、やはり、既にあるシステムですとかあるいは業務との関係を意識して、そこに無駄がない、あるいは整合的な形になるように考えることは非常に大事だと思っております。
これは、デジタル庁といたしましても、そういうプロジェクト管理を通じまして、あるいは旧デジタル臨調の活動なども通じまして、そういったことを各府省に理解を求めながら進めているところでございまして、各省と連携しながら、デジタル庁としてはしっかりそういった考え方を着実に進めてまいりたいと考えております。
○小林(史)委員 残り五分になりましたので、もう質問はしません。皆さんに共有ということで締めていきたいと思います。
やはり、与野党でデジタル庁と向き合うときに一つの共通認識にしたいのは、デジタル庁が、他省庁の制度に合わせて、他省庁の業務に合わせてシステムをつくる存在になったら、必ず失敗するということは共通認識にしたいんですね。そもそも、アナログなやり方、アナログな社会を前提にできた制度と業務のやり方にシステムを合わせたら、どう考えたって効率化しないんですね。それは単純な電子化であって、デジタルトランスフォーメーションではありません。
そのことを考えると、デジタル庁が本当に今の権限と今の仕事のやり方でいいのかということを与野党で問うていくことが私は重要だと思っています。特に、何か突発事故が起こったとき、突発的な案件が起きたときは、政府というのは基本的に副長官補室から始まっているわけですね。この補室で全省庁を調整して業務を割り振って、そこから仕事が始まっていくということが様々緊急案件では起こります。ワクチンのとき、コロナのときもそうでした。
そこにデジタルが分かる人材がいないと、アナログな業務のやり方の設計で各省庁に業務が振られて、そこからこれはデジタルで何とかできないのと。これが数十年のデジタル敗戦の根源なんですね。そもそもの仕様が悪い、設計が悪い。でも、それは、今のメンバーがいいとか悪いとかではなくて、そういう専門性を持った人がそのメンバーにいるかどうかなんですね。これが本来の組織のダイバーシティーの必要性だと思うんです。だから、そこに女性がいるのかとか、専門性がある人がいるのかとか、障害がある人がいるのかとか、これが本当にダイバーシティーの獲得だと思うし、その意義だと思うんですね。
その点では、もっと業務レベルや制度レベルの最上流のところにデジタル庁及びデジタル庁と連動した人材を是非我々の力で配置をし、この社会全体を誰もがフェアに、そして自由に、意欲を持って活躍できる社会や制度にするということにできたらいいなと思っています。
その上で、もう一つ。これは叱られるかもしれないんですけれども、最近気になっているのは、本当に私たちは、ちゃんと一本筋を通して、あるべき社会像とか、あるべき民主主義国家の姿を描きながら改革の議論ができているだろうかということなんですね。
今の政治資金規正法の話もそうだと思うんです。何となく、目の前で起きている問題に、右と左からいろいろ対処してやった結果、もしかしたら資本家しか政治家になれない制度になりやしないか、特定の政党組織だけが強い、そんな民主主義国家になりやしないか。本当は、多様な個人が自由にチャレンジをし、その中で自ら多くの人を巻き込んで政治活動ができるというのが重要だと思います。
その点では、パーティー券の公開基準、二十万円から引き下げるという議論があったり、もうそもそもパーティーを禁止する、それも選択肢であると思うんですね。じゃ、そのときに、必要な活動資金をどこから別で調達するのかということをセットで議論しないと、本当にお金持ちしか政治家になれなくなる、若しくは国会議員が完全に地方議員に依存する、そういう形の民主主義の政治の世界になっていきます。
じゃ、それを公費で負担するのか、それとも個人の寄附にするのか。個人の寄附でやろうとしたときに、インターネットでの政治寄附というのは全然広がらなかったんですね。ということは、制度をつくって、その文化を根づかせていくためには時間軸が必要ですから、何年かけてその社会に移行するのかということも思い描いて、ちゃんと議論することが重要だと思うんですね。それは様々な政策でも同じだと思います。
その点では、そこを共有しながら、登り方は違うかもしれないけれども、よりよい社会をつくるということで、これからも与野党で、デジタル及び子供、そして地域をよくするという議論ができたらなと思って、この時間をいただきました。
というわけで、三十秒ぐらい残しましたので、おつなぎしたいということで、今日はありがとうございました。
○谷委員長 次に、浮島智子さん。
○浮島委員 公明党の浮島智子です。
本日は、スタートして一年を迎えたこども家庭庁の在り方と今後のテーマについて質問させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
こども家庭庁設置法には、子供が自立した個人としてひとしく健やかに成長することのできる社会の実現を目指し、子供の年齢及び発達の程度に応じて、その意見を尊重し、その最善の利益を優先して考慮することを基本とするとして、子供の福祉の増進及び保健の向上や、子供の権利利益の擁護に関する事務を行うことがこども家庭庁のミッションだと規定をされております。
こども家庭庁は、スタートして一年になりましたけれども、そこで、加藤大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますが、この一年を通じて、こども家庭庁として成果だと考えられていること、また、まだまだこれからだと捉えられていること、そして、こども家庭庁とともに、こども家庭審議会やこども政策推進会議を含めてどうなっているのか、教えていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
先月、こども家庭庁の発足から一年を迎えました。この間、様々な取組を進めてきておりますが、幾つか主なものを御紹介をさせていただきます。
まず、昨年末にこども未来戦略をまとめました。約三・六兆円に及ぶ、前例のない規模で政策強化を図る加速化プランをお示しし、今国会において子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案を御審議をいただいております。
また、同じく昨年末には、こども基本法に基づく、我が国初のこども大綱を閣議決定いたしました。こども家庭審議会の各分科会、部会において精力的な御議論をいただいた上で、総理を長とするこども政策推進会議の議を経て策定したものでありまして、子供政策の基本的な方針と重要事項を一元的にお示しをいたしました。
さらには、子供を性暴力から守るため、いわゆる子供性暴力防止法案、これを今国会に提出するとともに、私の下で子供性暴力防止に向けた総合的な対策を取りまとめました。
加えまして、子供や若者の意見を政策に反映させる取組でありますこども若者★いけんぷらす、これを立ち上げました。現在、全国から約四千人の子供、若者が参画をしており、昨年度は、二十七のテーマで延べ約二千六百人から意見を聞き、関係省庁の政策づくりに生かしてまいりました。
最後に、このほか、文部科学省等の関係省庁と連携した児童虐待防止ですとか、いじめ防止、子供の自殺対策などにも取り組んでまいりました。
様々取り組んでまいりましたが、今後の課題としましては、まずは、今国会に提出をさせていただいた二つの法案の成立、これに向けて万全を期してまいりたいと考えております。
また、こども大綱の着実な実行に向けまして、政府としては、骨太の方針までにこどもまんなか実行計画を策定するとともに、現場を担う地方自治体との連携も重要でありますので、自治体こども計画の策定を促進してまいります。さらには、子供、若者の意見の政策への反映について、国の取組を一層強化するとともに、地方自治体の取組を促してまいります。
こども家庭庁があってよかったと、子供、若者や子育て当事者の方々を始め、一人でも多くの方々に実感していただけるよう、引き続き精一杯取り組んでまいります。
○浮島委員 様々なお声を聞いていただいているということで、ありがとうございます。
今のような一年の総括の中で、今問われていることは、こども家庭庁の独自の固有の役割や意義だと私は思っております。社会保障やケアの施策を担う厚生労働省、また、教育、人を育てる政策担当の文部科学省、また、その間にあって、こども家庭庁は、この二つの省とは異なる独自の役割や意義を大臣はどのように捉えられているか、お答えいただきたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
こども家庭庁は、常に子供や若者の視点に立ち、子供や若者の最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会を実現するために創設をされた組織でございます。
このため、まず第一に、幅広い子供政策の司令塔機能を果たすことが求められているものと認識をしております。具体的には、こども家庭庁は、これまで各府省において別々に担われてきた子供政策に関する総合調整権限が一元化され、また、総理を長として全ての閣僚から成るこども政策推進会議が置かれております。こうした権限、また会議を活用し、昨年十二月には、子供政策に関する基本的な方針や重要事項を一元的に定める、我が国初のこども大綱を策定しました。
第二に、こども家庭庁ができるまでは各府省の間や制度のはざまに陥っていた課題ですとか、また新規の政策課題にしっかりと対処していくことが期待されているものと考えております。例えば、これまで長年実現できてこなかった、前例のない規模での政策強化を図る子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律案や、いわゆる子供性暴力防止法案の今国会への提出、また、幼児期までの子供の育ちや子供の居場所づくりに関する政府方針の閣議決定などを行ってまいりました。
第三に、こども家庭庁ができるまでは、子供や若者の意見を政策に反映させていく仕組みがありませんでした。こども家庭庁は、子供、若者の意見を何よりも大切にして、子供や若者とともに政策を進めていくことが必要とされていると考えております。
今後も、常に子供や若者、子育て当事者の視点に立って、こうした総合調整権限を活用しつつ、子供政策の司令塔として政府全体の子供政策を推進していくとともに、自ら所管する施策の充実をしっかりと図りながら、こどもまんなか社会の実現に力を尽くしてまいります。
○浮島委員 今大臣の方から、子供の最善の利益というお言葉と、子供、若者の意見をしっかり聞いていくというお言葉がありました。私は、こども家庭庁というのは、霞が関の百五十年の歴史の中で、初めて子供の側に立った、子供の権利利益の擁護を図るための中央省庁として、本当に創設された大きな意義があると思っております。
その中で、厚生労働省は、地方自治体や社会福祉法人、保育園、保育士といったサプライサイドに軸を、施策を推進しています。また、文部科学省も、地方自治体、そして学校法人、学校、教師といったサプライサイドを軸にしていると、同じ点であると思います。
しかし、こども家庭庁は、子供や家庭などのデマンドサイドに立って、その権利利益をしっかりと守って、そして子供たちの健やかな成長や学びを支えるという、これまでにない中央省庁だと私は思っております。だからこそ、こども家庭庁には、このような任務を果たすにふさわしい、多様なスタッフが必要になると私は思います。
そこで、こども家庭庁の審議官以上の指定職の職員、また課室長級の職員、それ以外の職員のそれぞれのグループにおいて、厚生労働省からの出向者、文部科学省からの出向者、その他の府省からの出向者、そしてNPOや企業など霞が関以外から登用された職員の方は、それぞれ何人いますか。それと、特にNPO、企業などから専門性やマネジメントの観点からも登用された方々が具体的にどのような分野で活躍されているのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
本年四月一日時点のこども家庭庁の内部部局における常勤職員でございますけれども、まず、審議官以上の指定職職員は、厚生労働省から四人、文部科学省から一人、その他の府省から三人、そして、課室長級の職員につきましては、厚生労働省から十八人、文部科学省から三人、その他の府省から九人、さらに、それ以外の職員につきましては、厚生労働省から百六十四人、文部科学省から十八人、その他の府省から五十七人、そして、NPOや企業など霞が関以外からの登用者、これが七十八人となってございます。したがいまして、多様なバックグラウンドを持った人材によって、こども家庭庁は支えられているところでございます。
また、特にNPOや企業などから登用された方々につきましては、具体的には、民間団体における子供の権利に関する業務経験を生かし、子供や若者の視点に立った政策を実現するための仕組み、すなわち、こども若者★いけんぷらすなどの企画立案、さらには、保育所などの児童福祉施設での業務経験を生かし、現場の視点に立った政策の企画立案、さらには、法務経験を生かし、児童の権利擁護等に係る法的措置の企画立案など、前職の専門性を生かせる業務を担っていただいておりまして、こども家庭庁職員一丸となって、こどもまんなか社会の実現に向けて取り組んでいるところでございます。
○浮島委員 四月の六日の読売新聞の朝刊には、特に、幹部職員、厚生労働省からの出向者が多く、重要な政策が身内だけで決まることもあり、第二の厚労省とやゆされているという掲載がありました、報じられておりました。この第二の厚労省とかいうのはさておいて、子供や家庭といったデマンドサイドに立つこども家庭庁のスタッフの構成が多様性に乏しいとすれば、一つの課題だと私は思っております。
そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、中央省庁において、子供たちの側に立って、子供たちの権利利益擁護を任務とするこども家庭庁は、多様なバックグラウンドや専門性を持った職員で構成されている必要があると思います。特に、NPOや企業、子供たちと向き合ってきた保育士や教師の経験のある方、また外部人材登用の拡充は重要だと思っております。
こども政策担当の国務大臣として、こども家庭庁の職員の多様性の向上について、今後どのように取り組まれるのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
こどもまんなか社会の実現を目指す上で、こども家庭庁の職員の多様性の向上は、委員御指摘のとおり、大変重要であると考えております。
こども家庭庁の設置に当たり閣議決定をされましたこども政策の新たな推進体制に関する基本方針、こちらにおきましても、こども家庭庁の基本姿勢として、子供の視点、子育て当事者の視点に立ち、その声を適切に政策に反映すること、地域の実情を踏まえつつ、国と地方公共団体の視点を共有しながら政策を推進すること、これに加えまして、こども家庭庁への民間人の登用や出向を積極的に行うとともに、民間団体等からの政策提案を積極的に取り入れていくこととしてございます。
この基本姿勢に基づきまして、今後も、NPOや企業、子供と向き合ってきた保育士や教師を経験した方々等を始め、様々な分野で活躍をされた人材を積極的に登用し、子供、若者や子育て当事者の声を適切に反映した政策を推進するなど、こどもまんなか社会の実現に向けて全力を尽くしてまいります。
○浮島委員 是非積極的に取り組んでいただけるようにお願いを申し上げます。
こども家庭庁設置法に規定するこども家庭庁の所掌事務には、「こどもの虐待の防止に関すること。」そして「いじめ防止対策推進法の規定によるいじめの防止等に関する相談の体制その他の地域における体制の整備に関すること。」とあります。
児童虐待もいじめも、これからこの本委員会で審議がなされます子供性暴力防止法で防止しようとしている子供たちに対する性暴力と同様に、子供たちの尊厳を踏みにじり、その生涯に大きなダメージをもたらすものであります。大人が本気でこの防止に取り組まなければならないと私は思っております。
児童虐待の兆候を早期にキャッチするためには、学校における健康診断などにおいて、子供たちのちょっとした変化、これに教師が気づくこと、これが大切であり、またそれが数多くございます。また、現在も、文部科学省の方でも、いじめの認知件数が多いことは教職員の目が行き届いているあかしであると言っております。
学校や教師も、いじめの認知についてアンテナを高くして対応していると思いますけれども、そこで大事なのは、自治体や中学校区などの、教育と福祉の連携、学校と児童相談所、スクールカウンセラーや、スクールソーシャルワーカーと児童相談所とケースワーカー等の顔が見える形で、情報を共有しながら対応する体制をいかにつくるかが大事だと思っております。また、こういう体制の構築のために、こども家庭庁の子供、子育てに関する予算をしっかり投じるべきであると私は思います。
そこで、大臣にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、児童虐待やいじめ防止に関する地域の体制の整備について、この一年間、どこまで施策が進んだのか。また、この成果等をどのように認識されているか。特に、求められるのは各自治体における学校と福祉の間の具体的な連携であり、そのための予算や制度的な枠組みだと私は思っております。その点について、今後の課題について大臣にお伺いをさせていただきます。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
まず、児童虐待の防止、これにつきましては、改正児童福祉法に基づき、全国の市町村にこども家庭センターの設置を進めており、学校、保育所等の関係機関との連携の強化のための職員配置などを支援するとともに、学校において気づいた子供の異変等の情報を児童福祉部門と学校の間で定期的に共有すること、また、個々の家庭に対するサポートプランを作成し、計画的、継続的に支援を実施すること等の取組を進めております。引き続き、現場への徹底、定着を図ってまいりたいと考えております。
また、いじめ防止につきましてですが、こども家庭庁におきましては、令和五年度より、自治体の首長部局におけるいじめ解消の仕組みづくりに向けたモデル事業を開始しました。首長部局において、教育委員会、学校とも情報を共有しながら対応を進め、いじめの認知件数の増加につながったなどの成果が報告をされているところであります。
今年度は、モデル事業の実施地域を拡大し、首長部局と教育委員会等との連携も含め、事業を通して得られた成果や課題を整理し、全国の自治体に広げてまいります。
こども家庭庁としましては、児童虐待の防止やいじめ対策、こういったことを始めとした各種の施策について、自治体の福祉部局が学校などと連携協力して対応するよう、引き続き必要な支援を行ってまいります。
○浮島委員 また、こども家庭庁は、「大学等における修学の支援に関する法律の規定による大学等における修学の支援に関する関係行政機関の経費の配分計画に関すること。」を所掌をされているところでありますけれども、こども家庭庁には、子供や家庭のサイドに立って、志や意欲のある若者が学びを続けられるような社会の仕組みの大きなビジョンを文部科学省などとしっかりと対話を重ねて描いてほしいと私は思っております。
そこで、まず大臣に、こども家庭庁は、幼児教育から大学教育まで保護者がしっかりと子供を支えて育てて、子供たちが成長するためにどのような支援をしていくのか、すなわち、人生前半の社会保障に対してしっかり社会が投資するという構造をいかにつくるのか、ビジョンを示していただきたいと思います。
また、あわせまして、文部科学省には、こども家庭庁とアンテナをしっかりと高くして子供たちの声をしっかりと受け止めて、子供や家庭のサイドに立っているこども家庭庁とともに、文部科学省は子供たちや保護者の声をしっかりと踏まえて、教育委員会、学校、教師としっかりと向き合って教育環境を整備していくことが私は大切だと思っております。
そこで、併せて文科政務官にもお伺いさせていただきたいと思いますけれども、文部科学省にとって、こども家庭庁はある種のクリティカルフレンズだと私は思っております。文部科学省は、こども家庭庁と切磋琢磨しながら、児童の虐待やいじめ防止、大学教育の無償化などの分野について、子供の目線に立って実効性のある施策へと進化させる、その思いを文科政務官にも併せてお伺いをさせていただきたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
こども未来戦略では、三・六兆という規模で、全ての子供、子育て世帯を対象にライフステージ全体を俯瞰して、切れ目ない子育て支援の充実を図るとともに、共働き、共育てを推進していくための総合的な対策を推進していくこととしてございます。
具体的には、児童手当の抜本的拡充、十万円の出産・子育て応援交付金と伴走型相談支援の制度化、高等教育費の負担軽減、こども誰でも通園制度の創設、両親が一定期間育児休業を取得する場合の手取り十割相当の給付の創設など、親の就業形態にかかわらず、どのような家庭状況にあっても分け隔てなく、ライフステージに沿って切れ目なく支援を行ってまいります。
また、これらを支える安定財源につきましては、徹底した歳出改革、既定予算の最大限の活用と歳出改革等によって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で構築する支援金制度により確保してまいります。
子供、子育て政策は最も有効な未来への投資であります。担当大臣として引き続き全力で取り組んでまいります。
○安江大臣政務官 お答えを申し上げます。
委員御指摘のとおり、文部科学省としても、子供に関わる施策の充実に向けて積極的に役割を果たしていくことが重要であると考えておりまして、私自身も、大臣政務官としてその先頭に立って、文部科学省における取組をしっかりと牽引をしていきたいというふうに考えているところでもございます。こども家庭庁とも率直に議論をし、政府全体として、子供に関わる施策の充実、質の向上に努めてまいる所存でございます。
引き続き、誰一人取り残されない社会の実現に向けて、子供たちの最善の利益を第一に考えて、こども家庭庁と同じ目的で前進をしてまいりたいと思います。
○浮島委員 しっかり連携をして、実効性のあるこどもまんなか社会をつくっていただきたいと思います。
本日はありがとうございました。
○谷委員長 次に、阿部知子さん。
○阿部(知)委員 立憲民主党の阿部知子です。
本日は皆様の委員会の貴重なお時間を頂戴いたしまして、ありがとうございます。
質問をさせていただきます。
先般、子ども・子育て支援法の改正案が既に衆議院を可決いたしまして、現在、参議院で審議中のことと思います。そして、子ども・子育て支援法審議の折には、子ども・子育て支援金という財源について多くの議論がございましたが、逆に、様々な政策が打ち出されている中、そもそも、その支援の考え方、内容について十分な議論がなされたとは言えないのではないかと思います。
子供の権利を守り、子供を中心に据えているのか、ユニバーサルな制度になっているのか、子供の貧困の連鎖を断ち切り、格差を是正する仕組みになっているのか、限られた財源の中で優先順位が高く有効な施策は何かなど、もう少し掘り下げた観点があってよいものと思いますので、今日はそのような視点から質問をさせていただきます。
いろいろなメニューと申しましたが、その中でも特に、妊婦のための支援給付、妊娠届出のときの五万円、あるいは出産のその後の五万円の創設と、妊婦等包括相談支援事業の組合せによる支援というものがメニューとして出ておりました。
そもそも、このメニューは、令和四年、二〇二二年の十月に閣議決定されました物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策に基づいて、第二次補正予算で出産・子育て応援交付金事業となって創設をされております。
今回は、法案では、妊婦のための支援給付と、これが変えられております。そもそも経済政策として、物価高、経済的に大変だろうということで始まり、今度は妊婦のための給付というふうになってございますが、妊婦のための支援給付としたことの意味と、その財源をいわば子ども・子育て支援金に求めた理由について一点お伺いいたします。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
まず、妊婦のための支援給付として、今般、御指摘の妊婦のための支援給付、これは、十万円相当で令和四年度二次補正により開始したものを、出産・子育て応援給付金について、行うことについてですが、対象者が確実に給付金を受給できるよう、子ども・子育て支援法の新たな個人給付として位置づけ、制度化をするものでございます。
支援金を充てる事業という考え方としましては、事業主にも拠出をお願いすることとなるため、これまで社会保険料や子ども・子育て拠出金を充当してきた事業を踏まえつつ、加速化プランに基づく制度化等により新設、拡充する事業であって、対象者が広く、切れ目ない支援を実現する制度ということにしております。
この考え方に基づきますと、先ほど申し上げたとおり、今回の給付金の制度化は、対象者が確実に給付を受給できるように、子ども・子育て支援法の新たな個人給付として位置づけ、制度化するものであり、また、それによって全ての妊婦を対象とした継続的な実施が可能となることから、広い対象者という意味でありましても、これを賄うための安定的な財源として支援金を充てることとしたものでございます。
○阿部(知)委員 御説明が抽象的なので、ちょっと、大臣自身の言葉でお願いしたいんですけれども。以前、経済対策として五万円、五万円、お渡ししていたときと、今度は妊婦に対する給付にしたときと、何が拡大するんですか。幅広い対象者とは何でしょう。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
大臣からのお答えの中にございましたように、この応援給付金につきましては、毎年度、これまで予算事業として実施をしてきた。今回、制度改正によりまして、法律に基づく新たな個人給付として制度化をすることによりまして、全ての妊婦を対象として、かつ、継続的な実施をお約束するということになります。
このような形で、個人給付化ということで事業の性格が大きく変わり、それに伴う支援金の充当先ということも規定をさせていただいたということでございます。
○阿部(知)委員 お伺いしたいのは、前は全ての妊婦じゃなかったんですか。前の経済的な応援のお金は全ての妊婦を対象にしていなかったのですか、物価高対策のときは。そうではないと思うんですね。
一応ここにまとめましたけれども、養育者というふうに給付対象者がなっていて、その心は、私も随分考えたんですけれども、これだと世帯主に行ってしまうから、例えば妊婦さんに確実に行くようにという意味なのか、もう少し平易な言葉で、何を変えたのか、前だともらえない妊婦さんがいて、今度になればもらえるのか、これを御説明いただきたいです。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
端的に申し上げれば、補正予算の段階でも、我々から自治体にお願いをいたしまして、基本的には全ての妊婦さんにお支払いいただくようにお願いをしますというふうに周知を申し上げてまいりました。ただ、法律上の位置づけがございませんでしたので、あくまでも予算事業、単年度、単年度の対応ということでございました。
今回これを新たな法定給付として創設をするということになりまして、この給付、個人給付というものが子ども・子育て支援法に位置づけられる、現金給付の一つの新しい類型として位置づけられるということになりますので、継続的な実施が義務づけられるというふうな大きな変化がございます。
○阿部(知)委員 これまでの財源のやり方では、先が見通せない、続かないのではないかと思われたのではないかなと思うんですね。
ただ、私は、妊婦に対しての給付となったことはとてもよいことだと思っているんです。でも、果たして、妊婦に対する支援ならば、給付という形でお金をお渡しするのがよいのか、他の政策とも比較、検討の余地があったのではないかと思うんですね。
例えば、妊娠中の健診、十四回となっていて、これは地財措置をされておりまして、各自治体で補助の現実が違うわけです。この前、国光さんも取り上げておられましたけれども、どこで妊娠するのかによって受けられる健診補助が違うというのも、これもいかがなものかと思いますし、平成二十九年から始まった産婦健診、これは出産後二週間、一か月たったときのお母さんの健診ですが、これもまだ実施自治体は半分ほどになっていると思うんですね。
まず、妊娠、出産というのは女性だけが今は担っております。将来も、どうなるか分かりませんけれども、女性が非常な負担を負って、子供をはらんで産むわけですね。その母体への負荷とか、それから母性という問題とか、そこには私は特別な目が注がれ、支援が注がれて当然だと思うんです。
ところが、妊娠中の健診についても、十四回を上回るものについてはもちろん補助がないし、自治体間格差があるし、そして片っ方の産後はまだ半数くらいしか実施されておりません。この産後の健診が始まったのは、産後うつでお母さんも育児が厳しくなる、ゼロ歳の赤ちゃんの死亡、虐待死が多いなどがあって、お母さんの心身を早くにチェックしてさしあげようということであって、私はとても意味がある事業だと思うんです。
それについて、お示しした資料の三枚目、総務省が、厚生労働省がやっていた事業ですから、これを行政評価したときに、産後ケア事業とこの産婦健診事業というものを共に行政評価していて、自治体、市町村と国だけが担っているものから、県の役割を大きくした方がよいという、簡単に言えば、共にそういう行政評価が出されているのですね。
何度も伺いますが、もし妊婦のためだったら、今一番最初にしなきゃいけないことは何であろうかとまず考えてみるべきで、そうした勘案、比較、あったのかどうか、加藤大臣に伺います。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
今般、妊婦のための支援給付に支援金を充てることとしたのは、この給付を新たに法律上の個人給付として位置づけることを踏まえ、全ての妊婦を対象とした継続的な実施を可能とするに当たり、安定財源としての支援金を活用することとしたからでございまして、支援金を充てるかどうかですとか、国と地方の負担割合をどのようにするかという点については、それは、支援金というものに対する考え方と、またそれぞれの事業の性質や内容等をその考え方に当てはめていく、そして決めていくものでございまして、支援金を充てる事業をそうでない事業より優先して実施をするというふうにしたものではありません。
委員御指摘の妊婦健診のばらつきの改善、これもしっかり進めていかなければなりませんし、産婦健診も課題があることだと認識をしております。また、御指摘の産後ケア事業も非常に重要な事業としてこれから拡充を進めていくこととしてございます。
いずれにしましても、妊産婦や子育て世帯の支援につきましては、ライフステージに沿って切れ目なく必要な支援が包括的に提供されるよう、様々な施策を組み合わせて実施することが重要であります。加速化プランに盛り込まれた妊産婦支援策の拡充をしっかりと進め、着実に実施をしてまいります。
○阿部(知)委員 私が申し上げたかったのは、何が今喫緊で一番重要かということに安定財源を使ってほしいんですね。
先ほど、これを事業から支援金に変えたのは財源が安定するからだとおっしゃいました。そうだと思います、支援金の取り方は別ですけれども。確実に個人給付するというものであれば、是非健診に向けていただきたい。そこがしっかりしないと、多く妊娠中の問題を抱えるお母さんたちも、出産後の問題を抱えるお母さんたちも、子育てに本当に課題を抱えてしまいます。
そういう政策の重点をどこに置くかということがどこで話されるのかがないのが、私は子供、子育て支援の一番問題なんだと思います。
こども戦略未来会議というのがありますが、取っつきのいいと言うと失礼ですが、現金で渡せるとか何かできるというものがすごく多いと思うんです。それに比べて、厚生労働省がやってきた、総務省が行政機能評価した、足らざるはここだ、次のステップはこうだと。行政というのは、連続性があって本当の子供、子育て支援になるものと思います。
大臣も、こども未来戦略会議のメンバーであると思います。しっかりそうした行政の連続性、総括、何が不足しているかにのっとってこれからもお仕事をしていただきたい。時間がないので、これは私からのお願いにいたします。
続いて、児童手当の拡充についても、同じように子ども・子育て支援金が財源として足らず前を埋めるというか、十八歳までに拡張して、いわゆる様々な所得制限を撤廃してということで、そうすると額が増えますから、足りない分を支援金とされています。ここを支援金で埋めるか、ほかの財源を考えるかということはなさったのでしょうか。大臣、お願いします。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
支援納付金は事業主にも拠出をお願いすることとなるため、これまで社会保険料や事業主の拠出である子ども・子育て拠出金を充当してきた事業を踏まえつつ、加速化プランに基づく制度化等により新設、拡充する事業であって、対象者が広く、切れ目のない支援を実現する制度に充てることとしております。
そこを踏まえまして、児童手当につきましては、従来から子ども・子育て拠出金を財源の一つとしてきたことに加え、今般、所得制限の撤廃や高校生年代の対象拡大により、全ての子供の育ちを支える基礎的な経済支援としての位置づけを明確化した上で抜本的に拡充することから、対象者が広く、切れ目のない支援を行う事業であるとして、支援金の充当対象としたものでございます。
こうした考え方につきましては、昨年開催をいたしました支援金制度等の具体的設計に関する大臣懇話会、ここにおける御意見も踏まえつつ、政府のこども未来戦略会議において、こども未来戦略として決定をさせていただきました。
○阿部(知)委員 答弁を簡略に言うと、対象者を広くするということでおっしゃいましたが、そうであれば税という考え方も成り立ちます。税は応能負担で、まあ消費税はちょっと違いますけれども、納めています。
今回、所得制限を取ったということは、逆に言うと、ある意味、拠出するというか財源としてはきちんと応能負担のものでやらないと、所得制限を給付の方は取った上で、こちらの財源の方については逆に逆進性が強いものを持ってきてはいけないんだと思います。私はそういう論議をこそしていただきたいと思います。
大臣、もし可能だったら私に教えてほしいですが、例えば、後期高齢者医療制度に出産育児一時金が賦課されました。今度、また子育て支援金が賦課されます。伺っただけでも、後期高齢者医療制度の保険料というのは、これはどんどん上がっていくのではないか。簡単に、伺った数値を考えても、とても懸念されます。これから五年間というか、こちらの一時金も加わる、出産育児一時金も加わる、果たしてどこまで上っていくのか。
例えば、令和四年、五年の平均的な後期高齢者医療制度の保険料六千五百七十五円が、令和六年、七千八十二、令和七年、七千百九十二、ここからは更に上昇のスピードが上がります。上がったところに、今度、令和八年からの子育て支援金の賦課も加わってまいります。これを見えやすく分かりやすく説明をする責任が政府にはあるんだと思います。
そもそも、医療保険を財源にするということの問題は我が党も指摘をさせていただいております。でも、具体的に考えると、あっ、またかとなります。出産一時金も今度の支援金も、あっ、どこまで上がっていくんだろうなと。そういうことを説明してこそ、私はそれでも医療保険に乗せるべきでないと思いますが。
この間、質問取りで何度かこれをお伺いしたんですけれども、分かるデータをお示しいただけませんでした。例えば、令和五年から令和十年まで、後期高齢者医療制度の保険料はどこまで上がるんでしょう、二つ重なると。多分出ないと思います、聞いても教えていただけなかったから。
○熊木政府参考人 先生御指摘のとおり、後期高齢者医療制度の保険料が今後数年間の間にどのように上がっていくかということについては、試算ないしはされていないというふうに承知をしております。
他方で、こちらの少子化の子育て支援金につきましては、制度発足の八年度、それから九年度、十年度、十年度に満年度化され、満年度化された際には、平均しますと、加入者一人当たり三百五十円程度ということでございます。
○阿部(知)委員 まあ、それは、これについてはこれくらい、これについてはこれくらい、両方合わせればどれくらいと言ってくれないと、払う側の実感はないわけですよ。いかに何でもちょっとこれはひどいと思います。そして、次々拡充される、これから支援金が上がれば上がるほど、これは一例ですけれども、分かりやすかったので取らせていただきましたけれども、試算されていないし、持ってきていただけなかったので、大臣、是非これはやってください。
出産育児一時金だって、七十五歳以上の方がなぜそこで負担するのかですよ。今回、子育て支援金もまた負担するんですよ。合わせてどれくらいになるんですか。各々を言われても、払う側は各々で払わないんですね。どれくらい負担かというのがありますから、終わったらで結構です、数値で示してください。これまで求めても出てまいりませんでしたので、さっきの答弁のように。大臣からそこを確約してください、出してください。いかがですか。
○熊木政府参考人 大変恐縮ながら、保険料の今後の推移ということでございますので、厚生労働省の方にお聞きいただくしかないかと思います。
支援金につきましては、今後、子供の数が残念ながら当面増えていくということがちょっと考えにくいということがありますので、基本的に、増えていくというような、高齢化に伴って増加していくような医療、介護とは異なる、そういうものであることははっきりと申し上げさせていただきたいというふうに思います。
○阿部(知)委員 私は、看過しづらい一言ですよ。どれくらい上がるかは厚生労働省に聞け、そうじゃないでしょう。だって、支援金というものを考えられたのは皆さんですよ。中身は分からない、それは厚労省がやっているからというのは、余りにも不誠実ですよ。
子供の数が当面増えないから、そんなためにやっているんですか。子供、子育て支援は、ここ五年間を、強化月間というのは三年ですよね。三年の後も支援金は少しあるわけですから、そこまで見通したものを出してこそ審議の前提だと思います。
委員長、是非これは理事会で検討をよろしくお願いいたします。
○谷委員長 後日、理事会で協議いたします。
○阿部(知)委員 次に、こども誰でも通園制度の創設。
私が言わせていただいているのは、どれもやろうとすることはいいことだと思っています、だけれども、それを論議で積み重ねて、何が一番効果的か、現状にどう影響するかを見ないと余りに無責任だということなんです。
こども誰でも通園制度の創設ということについては、これについては、加藤大臣、自治体から何かお声をお聞きですか。令和五年から試行事業が始まっていますが。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
こども誰でも通園制度の実施に向けましては、令和五年度において、学識経験者ですとか、保育所などの関係事業者、また自治体の皆様の参画を得て、試行的事業の在り方に関する検討会というところで議論を行っており、また、制度設計に関しましては、こども家庭審議会において、全国知事会等の団体のメンバーの皆様を含めて議論を重ねてきたほか、自治体の皆さんの理解を得るために事前の説明会等を複数回実施をしてきているところでございます。
○阿部(知)委員 どんな意見があったんですか。
私は、自分の聞き得る自治体に幾つか聞きました。でも、子ども・子育て支援計画になかなか織り込みづらい、ニーズが把握しづらい、それから、非常に期間が、スピードが速過ぎて、全体の計画というものに収め切れない懸念があるということでした。
私は、今まで保育を中心的にやってくださっている自治体がどのようにハンドルできるかというのがすごく大事なんだと思うんです。
この事業に当たって、自治体がこれまで一時預かりという事業をやっていました。その事業も順次拡大をしているんですね。
私が一時預かりとの差は何ですか、こども誰でもどこでもというのはと言ったら、一時預かりは親の側の事情で、どこでも誰でもこどもは子供の事情だとおっしゃいましたけれども、自治体でも、子供のニーズ、子供がお友達をつくるとか、そういうニーズに従うメニューも既に取り組んでいるところであります。
大臣のお手元に、終わりから二枚目、これは世田谷区から聞きましたので。おでかけひろばというところで、子供が出かけて、そこでほかの子供に出会うようなタイミングをつくって、経験を広めたり、あるいは、定期的な預かり事業というのがあって、週二回くらいですが、四十八時間までというのを拡充したり、それぞれの工夫で、今の定期的な預かり事業は東京都がやっているんですけれども、拡充をしているんですね。
私は、是非、自治体とよく話されて、一時預かり事業の拡充という中でやれることなのかどうか。というのは、今回は、自治体を越えて子供は動くんですね。でも、そうすると、既存の自治体の子供たちの保育を受ける権利を毀損するかもしれない。だって、保育士さんも足りないし。そういう問題も生じてくるんです。自治体が、安全、ニーズ、それからどれくらいサービスが出せるかを見ながら、やはり丹念にやっている事業なんです。
まだ試行中と思いますから、是非、もう一度、各自治体の意見をお聞きいただきたいが、どうですか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
こども誰でも通園制度を実施するに当たりましては、子ども・子育て支援分科会の委員より、現場の人材、体制、費用も十分に見極めていく必要があるので、それぞれの自治体が円滑に実施できるように制度の準備を進めていただきたいといった、こういった委員と問題意識を共有するような御意見を頂戴しているところでございます。
これに関しましては、制度の本格実施を見据え、実施主体となる市町村において計画的に提供体制の整備を行っていただく必要がございます。国としましても、市町村に対し、具体的な整備量の把握を行ってもらえるよう依頼を行っているところでございます。
さらに、今、試行的事業を通じて地域の実情に応じた制度設計を行うとともに、市町村向けの説明会を適時に行うことなどにより整備を支援をしてまいります。
また、こども誰でも通園制度につきましては、御指摘のとおり、保護者が居住する市町村以外に所在する施設を利用することも可能とすることとはしてございます。その上ではありますが、基本的には、各市町村において当該市町村に居住する子供を受け入れることができるよう提供体制を整備していただくことは、まずは重要であると考えており、そのような支援事業計画を策定いただくものと考えております。
○阿部(知)委員 そこに混乱があると思います。どこでも利用できると言ったんだから、自治体の子じゃないんですよ。計画は、自治体の子のニーズを見て作るわけですよ。よそから来るかもしれないわけですよ。そういうこともできますよ、それに給付をしますよと決めちゃった上で、自治体が必要量を考えると思いますと言っても、矛盾じゃないですか。そんないいかげんなことはしてほしくない、子供の安全のために。保育園の必要な保母さんの人数もあります、スペースもあります、そういうものがきちんと確保された上で子供たちが事故なく預かられるんだと思いますから、非常に飛び越えたやり方だと思います。
そうしたことをこども未来会議で、ある意味でアイデアだけで言っても、現実とずれるということを私は申し上げたいです。どこでも行っていいよと言っているんですから、でも自治体ごとなんですから、実際は。よろしくお願いします。
最後に、私は、「森のようちえん」とか、子供たちが自由に遊び、手作りの幼児教育ができる施設を大変重要と思い、超党派でこれを、幼児教育の無償化から外されましたので、何とかここにも補助をお願いしたいということで、今は子ども・子育て支援交付金の中でやっていただいている事業になりました。ところが、無償化は二万五千七百円、こっちは二万円。差があります。
最後につけた資料で見ていただきたいですが、その内容においても、また、親御さんたちの期待値においても、特色ある活動を行っているからと選ぶ方が多いわけですよ。私は、日本の課題は、子供の個性を本当に育てる教育に変えていくことだと思います。こういう部分への支援も、差をつけず、行っていただきたい。
大臣には、初めて聞かれるかもしれませんので、私からお伝えをしておきますので、是非、幼児教育類似型施設、これからも、やり続けられ、差別なくなるようお願い申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございます。
○谷委員長 次に、坂本祐之輔君。
○坂本(祐)委員 立憲民主党の坂本祐之輔でございます。
まず、マイナ保険証について質問をさせていただきます。
先月、四月十日に社会保障審議会医療保険部会が公表した、令和六年三月時点のマイナ保険証の利用率は五・四七%でした。
このような中で、政府は、今月から再来月の七月までをマイナ保険証利用促進集中取組月間として、医療機関への最大十万円、病院へは二十万円の支援金を給付することとしました。また、あらゆるメディアを動員し、集中的な広報展開をするということで、インターネット広告に加えて、新聞広告、テレビCM、地下鉄車内放送による集中展開を行うとしております。しかしながら、これだけの取組をするには相当な費用もかかることになると考えられます。
そこで伺いますが、このマイナ保険証利用促進集中取組月間に係る費用は幾らになると見込んでいるのでしょうか。厚生労働省、答弁をお願いいたします。
○日原政府参考人 お答えを申し上げます。
今月から七月までのマイナ保険証利用促進集中取組月間についてでございますけれども、まず、現在実施しております医療機関等におきます利用促進のための支援金について、医療機関等にとってより分かりやすい制度となるように、この期間における利用人数の増加に応じた額を支給する一時金へと見直してございます。
このための費用についてでございますけれども、マイナ保険証利用促進のための医療機関等への支援として令和五年度補正予算に計上いたしました約二百十七億円の内数により対応することとしてございます。
また、同様に、令和五年度補正予算におきまして、厚労省では、マイナンバーカードと健康保険証の一体化につきまして、コールセンターにおけるお問合せへの対応なども含めました周知、広報全体として約四十一億円を計上してございまして、集中取組月間における広報につきましてはこの予算の枠内で対応することとしておりますほか、政府広報等とも連携の上、効果的な広報に取り組むこととしてございます。
○坂本(祐)委員 予算の枠内ということでおっしゃっておられますけれども、現在の厳しい国家財政の状況の中で、ほかにも様々な形で政府の支援を求めている国民の皆様がたくさんいらっしゃるわけでございます。
今、マイナ保険証の利用促進にそこまでのお金を使う必要性があるのでしょうか。現行の健康保険証の廃止を延期して、もう少し長い目で、余裕を持って普及させるのであれば、利用促進の集中取組をする必要もなくなりますし、国民の皆様から納めていただいた貴重な税金を無駄に使う必要もなくなるのではないかと考えますが、この点、河野大臣、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 今、マイナンバーカード保険証を持って医療機関に行かれても、残念ながらカードリーダーが使えない状況になっている医療機関がございますので、まずそこをしっかり対応することで利用率を上げていきたいというふうに思っております。
十二月二日で健康保険証の新規発行の停止、これは予定どおりしっかりやりたいと思っておりますので、今のうちからこのマイナンバーカード保険証を使っていただくことで直前での混乱というのは避けられるというふうに思っておりますので、医療機関にはしっかりお願いをしてまいりたいと思っております。
○坂本(祐)委員 マイナ保険証の利用率はいまだに五%程度であります。私自身、マイナ保険証の普及を否定するものではありませんし、利用したい方は利用していただければよいと思っております。しかし、率直に申し上げて、ほとんどの国民の皆様も医療機関も、その必要性や利便性をそれほど感じていらっしゃらないのではないかと思います。むしろ、現行の健康保険証の方が便利だし安心だと感じていらっしゃるのではないでしょうか。
河野大臣は、マイナ保険証の方が現行の保険証より優れていて利便性が高まるとお考えでしょうが、私自身、マイナ保険証には利点もあれば問題もまだまだあると感じております。仮に利点が勝るにしても、多くの国民の皆様や現場の医療機関がそれを求めていないのであれば、単なる強引な押しつけになってしまいます。御高齢の皆様からすれば、医療情報、お薬情報云々よりも、暗証番号や顔認証など、よく分からないし面倒だから、普通に今の健康保険証を使わせてほしいというのが率直の願いだと私は思います。
河野大臣には、政府の方針、立場があるのは理解できます。しかし、現行の保険証の廃止については、誰のための医療制度なのか、誰のために行うのか、国民のためなのか、政府のためなのか。私は、もう少し国民の立場で、国民の目線で考えていただきたいと思いますが、河野大臣、いかがでしょうか。
○河野国務大臣 現行の保険証には顔写真もございません。成り済ましが簡単にできるだけでなく、健康保険証を身分証明書に偽造した詐欺事件というのも起きてきているわけでございまして、紙の保険証を続けても医療DXを進めるということはできませんから、これは一刻も早くやめたいというふうに思っております。
そして、その代わりのマイナンバーカード保険証の利便性を国民の皆様に周知をしようとすると、それには予算がかかるといって今度はそっちを批判されるのは、それは厚労省が余りにかわいそうだと思います。
○坂本(祐)委員 そうであれば、多くの国民の皆様が、マイナ保険証についてもっとその利用が自然に高まっていくのではないかというふうに私は考えております。国民の皆様の目線、そして国民の皆様の立場も大切にして物事を進めていただく、これが政治の最も大切なものではないかというふうに私は考えております。
河野大臣への質問は以上になりますので、御退席をいただいて結構でございます。ありがとうございます。
では、次に、前回にも質問いたしましたが、扶養控除、特定扶養控除における早生まれの不利の是正について改めて質問をさせていただきます。
前回の質疑の際、私から、扶養控除、特定扶養控除について、就学年での適用とすることで、子供が早生まれであっても、早生まれでない子供と同じように扶養控除の対象になるよう、そして、その後の特定扶養控除についても同様に、同じ学年で同じ扱いになるよう、直ちに是正をするべきとの質問に対し、瀬戸財務大臣政務官からは、遅生まれの子供であっても、高校卒業後に就職し扶養から早期に外れれば控除の対象とならなくなり、適用される年数についてもそれだけ少なくなることになる、このように、早生まれか遅生まれかによってのみ扶養控除が適用されるかの違いが生じているわけではなく、一概に問題があるとは言えないとの答弁がありました。
この瀬戸政務官からの答弁によりますと、早生まれの不利の是正についての回答は避けて、高校で卒業して扶養控除から外れた場合と、大学など高等教育機関に進学して扶養控除が続いた場合の違いについて説明をされました。これらの質問の意図とは異なる答弁でございましたので、改めてお伺いをさせていただきます。
今回は資料を用意いたしましたので、資料一を御覧ください。表の2「高校卒業と同時に就職した場合」のところを御覧ください。
瀬戸政務官がおっしゃった、高校卒業時に大学など高等教育機関に進学せずに就職して、扶養から早期に外れて扶養控除の対象にならなくなったケースですが、遅生まれの子供は、高校一年生から高校三年生までの三年間、扶養控除の対象になります。これに対して、早生まれの子供は、高校一年生のときには扶養控除の対象にはなりませんので、高校二年生から高校三年生の二年間しか扶養控除の対象になりません。
もう一度申し上げますが、高校卒業後に就職して扶養から早期に外れた場合、遅生まれの子供は、三年間扶養控除の対象になります。しかし、早生まれの子供は、二年間しか扶養控除の対象になりません。早生まれの子供は、一年間分、扶養控除の対象になりません。大学等高等教育機関に進学した場合の特定扶養控除につきましても同じ不利が続きます。
資料一の表の1「大学卒業と同時に就職した場合」のところであります。これが早生まれの不利なのであります。一月から三月に生まれた子供は、この早生まれの不利に該当してしまいます。一月から三月に子供を産んだ家庭は、この早生まれの不利に該当してしまいます。
瀬戸政務官がおっしゃったとおり、暦年課税の原則があるのは分かりますが、一方で、我が国では、入学、進学、就職など、子供の成長の節目は年度単位になっています。扶養控除、特定扶養控除につきましては就学年で適用することで早生まれの不利を是正するべきと改めて求めますが、瀬戸財務大臣政務官、いかがでしょうか。
○瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。
扶養控除の趣旨は、特定の年齢の子供を扶養する者の親ですけれども、税負担について一定の軽減を行うことでありますが、これは、政府において種々の子育て支援策がある中で、あくまで所得税制の範囲での配慮として、所得控除の形で設けているものであります。
そして、所得税におきましては暦年で所得を把握することとなっております。また、税額の計算上考慮すべき事情についても、その所得に対応したものにすべきであるということになっております。
扶養控除の適用につきましても、ほかの所得控除等と同様に、十二月三十一日時点を基準として、その時点で対象となる年齢の扶養親族の有無を判断することが適当というふうに考えております。
また、扶養控除の対象となるかどうかは、いわゆる成年扶養控除、老人扶養控除も含め、年齢が基準とされているところであります。これは、進学の有無、住居、就学状況、収入の額など、納税者及びその被扶養者がそれぞれ千差万別の事情を抱える中で、こうした多くの納税者を対象とする所得税におきまして一定の基準を設ける必要性から、制度全体の整合性や租税原則の一つである簡素さも踏まえて措置されているものと承知しております。
したがって、こうした扶養控除の現在の取扱いにつきましては一定の合理性があるものと認識しておりまして、御指摘のような見直しを行うことには慎重な検討が必要であるというふうに考えております。
○坂本(祐)委員 政務官の答弁の中では、扶養控除は、一定の年齢の子供を扶養する者の負担について、税制の観点からその軽減を行う旨で設けられているものということでありますが、高校一年生の子供を扶養する家庭の中で、早生まれの高校一年生の子供を扶養する家庭だけがこの年に税制による負担軽減を受けられないことについて、それでは、瀬戸政務官、どのようにお考えになるでしょうか。
○瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。
ちょっと重なる部分もあるんですけれども、扶養控除の対象者の基準に年齢を用いていることにつきましては、先ほど申し上げたとおり、納税者及びその被扶養者がそれぞれ千差万別の事情を抱える中で、こうした多くの納税者を対象とする所得税において一定の基準を設ける必要性から、制度全体の整合性や租税原則の一つである簡素さも踏まえて措置されているものと承知しております。
したがって、早生まれの高校一年生について、四月の入学時に十五歳である場合は、入学した年分の所得税において扶養控除の適用がなされないことは御指摘のとおりであります。
一方で、遅生まれか早生まれかにかかわらず、高校に入学しない場合も、対象となる年齢で扶養に入っている限りは扶養控除の適用の対象になります。つまり、必ずしも就学の有無が適用の条件とはなってはおりません。
また、扶養控除は、あくまで所得税制の範囲で子供を扶養する者の負担に配慮するものです。政府としましては、例えば、歳出面の取組として、高等学校等就学支援金制度を設けているほか、児童手当の支給についても、今般、高校生年代まで延長されることとしております。
高校生への支援につきましては、こうした政策全体で進めていくことが重要であると承知しております。
○坂本(祐)委員 全体を見てということでありますけれども、私は、地元の多くの子供を育てるお父さん、お母さんの御意見を聞いて、この不利について申し上げているところでございます。
遅生まれならば扶養控除や特定扶養控除を全て受けられたのに、遅生まれでなく早生まれだったから扶養控除又は特定扶養控除が一年分受けられなかったということは、制度として早生まれを否定することにもつながっていくのではないか、また、そのように思う保護者もいらっしゃるのではないかと思いますが、この点につきまして、政務官、いかがお考えでしょうか。
○瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。
また、先ほども御説明させていただきましたが、扶養控除の適用につきましては、十二月三十一日時点における対象者の年齢と、扶養に該当するかといった点により判定されることとなっております。したがって、早生まれの子供であっても、例えば、大学の入学や卒業に一年間追加の期間を要した場合とか、大学院に進学した場合などには、二十二歳においても扶養される状況、状態にあれば、一般に扶養控除が適用されることにはなっております。
このように、早生まれか遅生まれかによってのみ扶養控除が適用されるのかの違いが生じているわけではありません。納税者及びその被扶養者の状況に応じて適用の有無が異なるものでありまして、制度として早生まれを否定することにつながるとの御指摘は当たらないものというふうに考えております。
また、保護者の皆様方が早生まれを否定されたと感じられることのないよう、制度の趣旨を丁寧に説明してまいりたいと考えております。
○坂本(祐)委員 それではお伺いいたしますけれども、前回、瀬戸政務官、答弁の中で、仮に見直しを検討する場合におきましても、所得税における暦年課税の原則や他の扶養控除との関係も含めて慎重に検討する必要があるとの答弁がありましたが、私としては、見直しを検討する準備や余地があるとも受け取れる、少し踏み込んだ答弁であったのではないかと感じました。検討の準備や余地があると受け取ってよろしいでしょうか。政務官、お願いします。
○瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。
現時点で検討ということはしておりませんけれども、仮に見直しを検討する場合には、所得税における暦年課税の原則やほかの扶養控除との関係も含めて慎重に検討する必要があるというふうに考えています。
○坂本(祐)委員 是非、仮に見直しを検討していただきたいというふうに要望いたします。
それでは、加藤大臣にお伺いいたしますけれども、大臣には、大臣としてでなく母親の立場でお考えをいただきたいのですが、もし子供が早生まれで、高校一年生になっていて、いろいろと子供にかかる家計負担が大変な中で、扶養控除は受けられません、又は大学一年生になって、特定扶養控除ではなく控除額の少ない扶養控除ですとなったら、大臣はどのように思われますでしょうか。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
まず、前提として、母親としてのコメントという形では差し控えさせていただきます。
また、委員からの御質問の趣旨に答えさせていただくとしますと、御指摘の扶養控除につきましては、財務大臣政務官から先ほど答弁がありましたとおり、扶養控除のみならず、他の控除も含め、所得税制度全体が暦年課税となっているものと承知をしております。
同じ高校一年生や大学一年生でも扶養控除等の適用の有無が異なっていることについては、分かりづらいと感じられる子育て当事者の方もいらっしゃるかとは思いますが、制度の趣旨を丁寧に説明していくことが重要であると考えております。
○坂本(祐)委員 加藤大臣は、前回の私の質問に対する答弁で、加速化プランにおいては、児童手当の高校生年代までの延長、また高等教育費の負担軽減などに取り組むこととしている、その上で、扶養控除や特定扶養控除については、財務省の政務官から答弁があったとおり、早生まれか遅生まれかによってのみ扶養控除が適用されるかの違いが生じているわけではないと承知している、また、そもそも所得税そのものが暦年課税を原則としていると承知していると答弁もされました。
加速化プランは結構ですが、それでは早生まれの不利は是正されません。児童手当が延長されても、子供三人以上家庭の高等教育費の負担軽減がされても、早生まれの不利は是正されません。
また、扶養控除や特定扶養控除の不利の是正について、加藤大臣は財務省の答弁を繰り返しているだけでありますが、大臣は誰のために大臣をされていらっしゃるのでしょうか。財務省のために大臣を務めていらっしゃるのでしょうか。省庁間のそれぞれの領域や立場があるのは十分に分かりますし、しかし、加藤大臣はこども政策担当の大臣であります。大臣は、こども家庭庁は司令塔として子供政策に関する省庁間の縦割りを打破するとおっしゃっておられますが、政府の中で、誰が子供や子育てをしているお母さんやお父さんの代弁者になるのでしょうか。子供や子育てをしているお母さんやお父さんのことが分かるから、子供を持つ母親であり、子供を育てる当事者であるから、加藤大臣が抜てきをされたのではないでしょうか。大臣が、財務省の政務官から御答弁がありましたとおりとおっしゃっておりますけれども、子供やお母さん、お父さんの味方がいなくなってしまいます。
加藤大臣に改めて伺いますが、こども政策担当大臣として、財務省に対し早生まれの不利の是正を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
まず、私自身は、こどもまんなか社会、これを実現することを目指し、こども家庭庁をしっかり所管をしながら、こども政策担当大臣として務めを果たさせていただいているつもりでございます。決して、財務省のための大臣ということではありません。
その上で、こどもまんなか社会をしっかり実現していく上で、多角的な広い視点を持って進めていくことも重要だと考えてございます。一つ一つ進めるべき施策を進めていく上でも、幅広く省庁間とも連携を取りながら、実現できることを一つ一つ進めていくことが必要だと考えてございます。
今般のこちらの論点につきましては、扶養控除等の在り方については、子供政策という観点からのみ議論するのではなく、これまでの所得税制度の歴史なども鑑みながら、暦年課税の原則ですとか、また租税の簡易であることによる国民のメリットもございますので、そういったところもしっかり勘案をしながら他の扶養控除との関係も含めて慎重に検討する必要があるという、財務省と重なる答弁にはなりますが、そういったものであると承知をしているところでございます。
いずれにしましても、子育て当事者の方が、実は私の長男も三月後半の生まれでございますけれども、早生まれが不利だと、この制度だけを見てそう感じるのではなく、様々な制度がございまして、それぞれ凸凹はあろうかと思いますけれども、子育て当事者の方が早生まれは不利だと感じられることがないように、制度の趣旨を丁寧に説明していくことが重要であると重ねて申し上げたいと思います。
○坂本(祐)委員 私が申し上げているのは、この制度を見て不利だと感じているお母さん、お父さんたちがたくさんいらっしゃる、だからこそその声をここで代弁をさせていただいているわけでございまして、暦年課税の原則や税制上の観点ではなくて、国民観点の立場から国民の皆様方のための政治を是非断行していただきたいと存じます。
次に、保育所における三歳児以上の主食持参、御飯持参の件について質問します。
現在、保育所の給食については、副食であるおかずは提供されているものの、主食である御飯は、保育所によって、提供されているところもあれば、提供されず持参しなければならないところもあるとのことです。
平成二十九年六月に出されている全国保育協議会会員の実態調査報告書二〇一六によりますと、三歳以上児の主食に関する調査で、回答した施設のうち、およそ四割が主食持参としています。
また、資料二から四を御覧ください。保育園からおむつの持ち帰りをなくす会が、二〇二四年一月十五日から二月十五日の期間で、全国の公立保育施設がある計一千四百二十七市区町村の保育課に電話で行った、公立保育施設における登園準備物の状況、全国調査結果によりますと、およそ四割の市町村が主食持参となっているとのことであります。
さらに、同調査によりますと、都道府県ごとに差があるようで、北海道や北陸、甲信、九州エリアでは半数以上の市町村が主食持参となっているとのことです。さらに、富山県と佐賀県では九割以上の市町村が主食持参となっています。一方で、和歌山県では、二十七市町村全てで主食の持参はなく、保育施設で提供が行われているとのことでした。
御飯持参の保育所に子供を通わせている保護者の方からは、御飯だけでも朝忙しい中で用意するのは負担、前日の夜に御飯を炊き忘れてしまうことがあり、そのときは困るといった御意見も届いています。
主食持参となった経緯を調べますと、一九五〇年代に、国が保育所の給食について、三歳以上の副食費と、三歳未満の主食費、副食費を財政支援の対象にして、三歳以上の主食費を支援対象外としており、この方針が今日まで続いているものと考えます。
子育てにおける負担軽減のためにも、保育所において主食と副食の両方が提供されるよう国としての対応をしっかりと進めていくべきと考えますが、最後に大臣に答弁をお願いいたします。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
保育所における三歳以上の子供の主食費、これにつきましては、調理等の負担が余りかからない主食に関して保護者に持参していただくという考え方が制度創設当初よりあったことから、所得にかかわらず保護者の方に御負担をいただいております。
その上で、現行の制度においても、主食についてその費用を実費として徴収する場合のほか、家庭から持参することも制度上制限をしていないため、御指摘のような事例もあることは承知をしております。
私も、共働きの母親として、保育園に子供を預けるときに主食を毎朝持たせてとなるとかなり負担だろうなというのは想像に難くないわけでありまして、委員の御指摘や問題意識も共有はさせていただくところでありますが、保育所における主食の持参につきましては、地域における特色を踏まえたものであるなど様々な事情があることから、国として一律に保育所における主食の提供を促すということは難しいものと考えているところでございます。
一方で、保護者の皆様の負担等の観点も踏まえるとともに、こどもまんなかの視点で、是非、当事者である子供自身ですとか、また、そのお子さんたちの保護者の方々の声も是非とも聞いていただきながら、各自治体等において適切に検討していただきたい、このように考えております。
○坂本(祐)委員 質問を終わります。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、藤岡隆雄君。
○藤岡委員 立憲民主党の藤岡隆雄でございます。
本日も、地元栃木県第四区の皆様に感謝を申し上げ、質問の機会を与えてくださいました先輩、関係各位に感謝を申し上げまして、質疑に入らせていただきます。
今日は、少子化対策ということを考えたときに、本当に今日ここにいる皆さんにはもう釈迦に説法過ぎますけれども、婚姻率の低下という課題への対応について取り上げさせていただきたいと思います。
もちろん、最初に、当委員会でも再三皆さんからも言われておりますように、何か価値観を押しつけるとかそういうことではなくて、結婚の希望を持たれる方に、その希望がかなうように、そういうことを、大変僭越過ぎますけれども、例えば後押しをできないか等の視点でも取り上げさせていただきたいと思います。
最初に確認の意味で申し上げますけれども、あくまで、合計特殊出生率、直近では一・二六。一方で、夫婦のいわゆる完結出生児数は近年でも一・九〇ということ、対象は結婚持続期間十五年から十九年の初婚同士の夫婦ということでございますが、一・九〇ということで、一定の出生率があるということでありますけれども、そういう中で、やはり少しでも少子化を止めていくために、いわゆる婚姻率が低下しているというところですね。
二〇二三年におきましても、四十八万九千二百八十一組の婚姻数ということで、これは前年より五・九%の減少率ということで、一九三三年以来の水準ということで、九十年ぶりに婚姻数が低下をしているというふうな状況がまずあるという中で、やはり、結婚の希望を持たれている方に、私は、結婚を難しくさせてしまっている壁というのもあるのではないか、それを少しでも、ある意味、壊していけるようにと言ったらあれですけれども、それを応援をできないかというところで今日は議論をさせていただきたいと思っているんです。
まず、こども家庭庁にお伺いしたいと思いますけれども、結婚の希望があるけれども結婚を選択されない理由として、いわゆる非正規雇用にとどめ置かれているとか、結婚後の生活資金とか、そういう問題を除けば、いわゆる適当な相手に巡り合わないということも大きな理由の一つになっているという認識でよろしいでしょうか。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
国立社会保障・人口問題研究所の、直近の二〇二一年、第十六回出生動向基本調査によりますと、結婚意思のある二十五歳から三十四歳の未婚者に現在独身である理由を尋ねますと、男性の四三・三%、女性の四八・一%が、適当な相手に巡り合わないからと回答しております。
これは、同調査において、男性、女性いずれにおいても最も多い回答となっておりまして、大きな理由の一つになっているという認識でございます。
○藤岡委員 いわゆる適当な相手に巡り合わない、なかなか取り上げづらい話ではあるんですけれども、あえて正面から取り上げさせていただきますけれども、こういう出会いをどうするかというところで、今回のこども未来戦略のところでも、例えば、まさに「二十五〜三十四歳の男女が独身でいる理由について、「適当な相手に巡り合わない」とする割合が最も高くなっていることも踏まえた対応も必要」という記述はあるわけなんですね。ところが、この具体策というと、特にこれが出ていないというふうな形だと思うんですね。
だから、この具体策をちょっと今日は議論させていただければと思って、そのうちの一つとして、資料を今日はお配りしておりますけれども、ちょっと資料の二ページ目を御覧いただきたいと思うんですけれども。
最近のいわゆる結婚の動向の変化といいますか、これも釈迦に説法でありますけれども、これは明治安田生命の「いい夫婦の日」に関するアンケート調査の結果ということでありますけれども、経産省のホームページの調査報告書からの抜粋でもありますけれども、近年、やはり結婚における夫婦の出会いのきっかけとして、例えばこの明治安田生命の調査によれば、マッチングアプリが一番になってきているというふうな状況が出ております。これは、いろいろな、例えばミニ集会等でもそういう話をしても、最初は、一発目に話しても、なかなかぴんとこられないというケースも結構あるんですけれども、現状、マッチングアプリが一番になっているというふうなデータもあります。
こども家庭庁にもお伺いしたいと思いますけれども、このマッチングアプリの出会いが、近年の結婚の、夫婦の出会いとしても大きく上昇しているというところで、事実認識として、こども家庭庁の認識をお伺いしたいと思います。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
まず、先ほど御答弁申し上げました人口問題研究所の第十六回出生動向基本調査によりますと、結婚した夫婦におきまして、配偶者と知り合ったきっかけ、これにつきましては、ネット、インターネットでございますけれども、と答えた者が一五・一%を占めております。
また、委員御指摘もございましたが、民間の調査でございますと、例えば明治安田生命保険が昨年実施いたしました「いい夫婦の日」に関するアンケート調査によりますと、一年以内に結婚した夫婦の出会いのきっかけがマッチングアプリだと回答した割合が、職場の同僚、先輩、後輩と同程度の二五%という結果になっております。
また、この調査の過去の結果も併せて見ますと、二〇〇九年以前に結婚した人のうち、マッチングアプリで出会ったと回答した人はゼロ%、二〇一五年から二〇一九年に結婚した人では六・六%という過去の結果になっておりましたので、マッチングアプリが夫婦の出会いのきっかけとして一定程度の割合を占めてきているものというふうに認識をしてございます。
○藤岡委員 ありがとうございます。
非常に近年、出会い、これが変わってきている、マッチングアプリが大きな割合を占めてきているというふうな動向も踏まえて、今後のちょっと対応も議論させていただきたいんですけれども。
二ページ先に資料をめくっていただくと、そういう中で、マッチングアプリをやはり利用しないという方も当然いらっしゃるわけで、その理由が、これも経産省のホームページから抜粋して、日本総研さんの出典の資料でございますけれども、やはりマッチングアプリを使用しない理由として、サクラや勧誘とか、真面目な出会いが、目的がどうなのかとか、個人情報が流出しそうだとか、プロフィールに信憑性がないとか、いろいろな理由が出ていて、信頼性だとか安全性ということにやはり不安を抱えていて、なかなか、やはりまだまだ利用を控えているという方もいらっしゃる。ある程度、まだまだ利用動向も伸びていくんだというふうなデータも出ているところであります。
こういう中で、先日、赤木委員も取り上げておりました、例えば、SNSを通じたいわゆるロマンス詐欺とか、こういうことも非常にまた信頼性を損ねて、せっかく出会いが広がってきているものが阻害されてしまうというふうな懸念もあると思います。
先日、赤木委員の質問に対しても、いわゆる非対面型、SNSを通じて接触して、その後、具体的にまだ会っていないという形での詐欺の件数を答弁いただいておると思うんですけれども、マッチングアプリなどを通じて、その後、更に具体的に会ってということまで含めて、実際、このマッチングアプリに関連したロマンス詐欺は今一体どういう状況にあるのか、ちょっと警察庁の見解をお伺いしたいと思います。
○親家政府参考人 マッチングアプリなどに関連したロマンス詐欺の状況についてお尋ねでございますけれども、都道府県警察から報告を受け、警察庁で把握している数値を申し上げますと、令和五年に認知したSNSを使った非対面型のロマンス詐欺の被害のうち、最初の接触ツールがマッチングアプリであるものは三百九十三件、被害額は約五十三・九億円となっております。
また、それとは別に、マッチングアプリ等を介して被害者と被疑者が対面し、その後、詐欺の被害に遭った事件について、令和五年の認知件数は二百三十七件、被害額は約九・三億円となっております。
○藤岡委員 マッチングアプリで最初接触をして、出会っていないケースで五十三億円、マッチングアプリで最初接触して、その後、実際に対面して九・三億と。
対面すると、やはり実際、あっ、ちょっと何か怪しいのかなというのに気づくから、これは減っているのかもしれませんけれども、いずれにしても、五十三億と九億、合計六十数億ということで、このマッチングアプリに関連した詐欺というのも非常に大きい数字になっているなということもあります。
改めて、せっかく出会いのツールとしてマッチングアプリが広がってきている中で、こういう詐欺があると、ますますまた信頼性に疑問符がつけられてしまうと思うので、ちょっと警察庁、これはしっかり取締りを強化していただいた方がいいと思うんですけれども、御見解はいかがでしょうか。
○親家政府参考人 お答えいたします。
お尋ねのような詐欺につきましては、対面で行われるものもあれば、SNSを使って非対面で行われるものもあるなど、その形態は様々でありますけれども、警察におきましては、被害の申告がなされた場合は、関係者からの事情聴取や証拠の収集等、必要な捜査を行いまして、被疑者の検挙に努めているところでございます。
引き続き、こうした捜査を徹底するよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
○藤岡委員 是非、捜査を徹底していただいて、よく都道府県警察の方を指導をしていただければということを思います。
御退席いただいて、お忙しい中ありがとうございます、結構でございます。ありがとうございます。
その中で、先ほどからお話しさせていただいておりますが、このマッチングアプリの信頼性、安全性というところの中で、やはり、その結婚目的がどうなのか。ある意味、独身かと思ったら既婚者の方が何か相手だったとか、何かプロフィール写真が全く別人の方だったとか、年収が虚偽だったとか、いろいろなそういう話は、私もちょっといろいろヒアリングしたんですけれども、聞こえてきたりもして、やはり、マッチングアプリを通じた中での、まだ今の段階で利用を控えている方の不安というのも多くあると思うんです。
こういうところを改善していくことも、いい形の出会いになって、私は、このマッチングアプリ、一ついいなと思うのは、やはり、いろいろな婚活パーティーとか、ああいうのも、もちろんそれはそれでいいんですけれども、どんどんあれば、あれでいいんですけれども、もうちょっと、いろいろお聞きしていると、人知れず、できれば誰にもアプリを使っていることも知られたくないし、こっそりできれば会えたらという話はやはり聞くわけなんですね。そういうところも、できれば何か後押し、うまくなっていけるように応援、やはり婚姻率の低下というところも何とか改善するというところにもなっていったらな、価値観を押しつけるわけじゃないですよ、というふうに私は思うんですね。
その中で、あくまでも、一つ、経産省の検討会なんかでも出ているんですけれども、いわゆる独身証明書、こういうものを例えば提出してもらおうかというときに、今、独身証明書というのは、今日は河野大臣に来ていただいておりますけれども、戸籍と同じように、戸籍のある自治体で求めないといけない。
今日、理事会の場でも、デジタルの先生、牧島委員や、小林委員や、話にも挙げていただいておりましたけれども、本当に、まさに戸籍のあるところでしか求められなくて、あるいは郵送で求めないといけなくて、例えばマイナンバーでぱっとコンビニで取得できるかというと、なかなか今取得できなくて、やはり、より出会いの信頼性を高める独身証明書といっても、まだアプリの主な業者でも、それを必須とは、なかなか今そういう環境なので手間がかかってできないという課題があって、やはり独身証明書の提出、電子的な対応、例えば独身証明書に代わるものでもいいですけれども、電子的な対応を、可能になった方がいいというふうな意見も出ていると思います。
これは、河野大臣、是非、今検討していただいていると思うんですけれども、こういう電子的な対応をやはり進めていただく方が私は本当にいいと思うんですけれども、河野大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○河野国務大臣 デジタル庁の私のスタッフもマッチングアプリでめでたく結婚をいたしましたので、非常に委員の質問は的を得ているなと思います。
今、マイナポータルは、本人の同意があれば、データ連携をして、API連携、API機能を使って、民間事業者が同意されたデータを取ることができるようになっておりますので、今年の八月から、婚姻関係を含む戸籍情報も、本人の同意があれば、API機能を通じて提供することになっておりますので、マッチングアプリの事業者も、本人の同意を得てそうした情報を入手することができますので、是非役立てていただきたいというふうに思います。
○藤岡委員 本当に、今、ありがとうございます。
八月から利用できるということで、本人の同意を得てと今おっしゃっていただきました。ある意味、本当に、こういう個人情報の管理も、私、大変重要だと思いますし、同意を得て八月からということで今御答弁いただきましたので、河野大臣、是非、業界の方にもこれは周知していただいた方がいいと思うんですけれども、河野大臣、いかがですか。それと、済みません、デジタル庁のスタッフ、おめでとうございます、御結婚、アプリで。
いかがでしょうか。
○河野国務大臣 周知をしっかりやってまいります。
○藤岡委員 ありがとうございます。
じゃ、河野大臣、御退席いただいて結構です。お忙しいところ、ありがとうございました。
八月から可能になるということが明らかになりましたので、是非よろしくお願いいたします。
その次に、このマッチングアプリにおいて、相手の情報がやはり虚偽でないということをどう担保していくか。いわゆる公的な認証とかいろいろな視点もあると思うんですけれども、まず、マッチングアプリにおいて、今、相手の情報が虚偽でないことを担保する取組、こうしたことについて、こども家庭庁からお伺いしたいと思います。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
マッチングアプリの安全性の確保に向けてでございますけれども、特定非営利活動法人結婚相手紹介サービス業認証機構というのがございまして、ここによりまして、一定の基準に適合したマッチングアプリ等の事業者に認証を付与するというサービス、すなわちインターネット型結婚相手紹介サービス業認証制度、この制度が、令和四年、一昨年の八月に始まってございます。本制度における認証基準の中で、事業者に対して、不適切な利用、言動の監視を行うことを求めているというふうに認識をしてございます。
こども家庭庁といたしましては、このような本制度の運用状況をまずは注視をしながら、マッチングアプリ事業者とも、安全な利用環境についても含めて意見交換も始めたところでございます。引き続き、官民及び関係省庁が連携をしながら、結婚を希望する方が安心して婚活に取り組めるよう、環境整備を推進してまいります。
○藤岡委員 加藤大臣にもお伺いをしたいと思うんですけれども、経産省の方の検討会でも、いわゆる公的な色合いを強めた認証制度の制定などのことも指摘をされていると思うんですね。
確かに、自由なネット空間のものを、公的な、規制するとすると、一つ、また逆に利用控えになるんじゃないかともちろん懸念もあると思うんですが、ただ、やはり、信用を高める、例えば、結婚目的できちんとやっています、独身証明書の提出も求めるようになっていますとか、そういうところを、例えば認証するのかどうかとか、あるいは、何かうそのことを書いたら、年収とかプロフィール写真でも、明らかにうそなことを書いたら、これは非常に難しいんですけれども、それは、ただちょっと加工しているのか、完全に全く別人のものかとか、もちろんあるんですけれども、虚偽のものを書いたら、それはさすがに罰則になるのかどうかとか、いろいろな公的な対応というのもやはり検討していくということもあり得るんじゃないかと思うんですけれども、加藤大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
マッチングアプリの信頼性や安全性の確保に向けましては、先ほど答弁ありましたとおり、NPO法人結婚相手紹介サービス業認証機構による第三者認証制度が運用されているほか、各事業者においても、安全な利用に向けた普及啓発に取り組んでいると承知をしてございます。
また、一部の自治体におきましても、マッチングアプリ業者と連携協定を結び、アプリを安全に利用するためのセミナーを開催するなど、官民連携をした取組が進められているものと承知をしてございます。
このため、まずは第三者認証制度の運用状況を注視するとともに、官民連携の取組を後押ししていきたいと考えておりますが、引き続き、マッチングアプリ業者とも意見交換を行いながら、アプリの信頼性や安全性の確保に向け、どのようなことができるか、しっかりと関係省庁と連携しつつ検討してまいりたいと考えております。
○藤岡委員 本当に、こども未来戦略のところでも指摘はあるんですけれども、何か具体的な対応がないところで、ちょっと婚姻数の低下を何とかという視点でも、このところ、マッチングアプリのところ、なかなか、まだちょっと大先輩方だとイメージが湧いてくださる方がいないときもあるんですけれども、是非、ちょっとこれは検討していっていただければと思うんです。
例えば、こども未来戦略会議の有識者の構成員というのも教えていただいたんですけれども、この構成員は構成員の方で頑張っていらっしゃると思うんですけれども、十九人中、二十代、三十代が三名しかいないんですね。アプリとかそういう話を、六十代、七十代の先輩方だけだと、ちょっとやはり、こども未来戦略会議で、こういう具体的な、私も議事録を見ましたけれども、なかなか議論にならないと思うんですよね。もうちょっと若い人、これを是非入れて、増やしていきませんか。これは加藤大臣、どうですか。
○加藤国務大臣 実感のこもった意見を聞くということは大変大事だと思います。
こども未来戦略会議は内閣官房の所管ではありますが、二十代、三十代の委員の方々三名に御参画をいただき、こども未来戦略を取りまとめるために開催をされまして、昨年末にその取りまとめを終えたという状況であると承知しております。
委員の御指摘のとおり、子供政策を進める会議体に、本当にリアルな声を届けてくれる若い方々が参画すべきということ、これは大変重要だと私も考えております。
今後、加速化プランを含む子供政策につきましては、こども家庭審議会の下で議論していくこととしておりますが、それを担当する基本政策部会、こちらの方では、二十代、三十代の委員が七名おりまして、全体の三割を超えているところでございます。また、いろいろなヒアリングの形を取ったりとか、若い方々の声を極力酌み取って政策立案に生かしていきたい、このように考えております。若者の視点に立って推進してまいります。
○藤岡委員 ありがとうございます。
最後に、学童保育のことを一点だけお聞きしたいんですけれども、今日は、資料、朝日新聞デジタルの記事をつけましたけれども、すし詰めという記事があります。
学童保育の質の向上に向けて、やはり、学童保育の設備運営基準の子供一人当たりの面積を是非広げていく、これは子供たちのために、子供たちの居場所をよりよくという視点で広げていくということを是非進めていただきたいと思うんですけれども、大臣、最後に御見解をお伺いしたいと思います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
放課後児童クラブを行う場所の面積につきましては、児童福祉法第三十四条の八の二の規定に基づき、市町村が国で定めた基準を参酌して、条例で適切な基準を定めることとされております。
国が定める基準においては、児童一人当たりおおむね一・六五平米以上という面積基準を設定しておりまして、この基準は、有識者による専門委員会の議論を踏まえて策定したものであり、小学校の標準的な普通教室の広さを参考に定められたものであります。
国としましては、施設の修繕や整備への補助を実施しているところでありまして、必要な面積を確保できるよう、放課後児童クラブの適切な運営に向け、地方自治体とも連携して取組を進めてまいります。
○藤岡委員 質疑を終わります。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、伊東信久君。
○伊東(信)委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の伊東信久です。
まず冒頭、自見はなこ地方創生担当大臣に、大臣が三月八日、大臣所信において、地方創生を進め、地方が元気になることが日本経済を再生するためには重要とおっしゃいましたけれども、まず、この地方創生を推し進めるための地域インフラの構築に対しての御所見をお伺いしたいと思います。
○自見国務大臣 お答えをいたします。
地方創生の柱といたしまして、魅力的な地域をつくることや、人の流れをつくることなどを掲げているところでございまして、利便性の高い暮らしを実現するに当たりましては、十分な移動手段や、これを支えるインフラの確保が重要であると認識をしてございます。
お尋ねの、道路を始めとする地域インフラの構築につきましては、都市そして地域を結んで、人流、物流の円滑化や活性化に寄与するものでございまして、地方創生の観点からも意義があると考えてございます。
○伊東(信)委員 道路を始めとする地域インフラに地方創生で意義があるとおっしゃっていただきましたけれども、その中でも、高速道路というのは重要な役割を果たしていると思うんです。安全性の向上が上がる、交通が円滑化する以外に、物流の効率化、そして、環境への影響も低減いたします。急勾配が少ない、車両の燃費がいい、排出ガスが低減するなどあるんですけれども。
これらの全国の高速道路網及び、先ほど大臣、道路を始めといたしますとおっしゃっていただいたので、基幹道路の構築について、国が目指すものというのをまずお尋ねしたいと思います。
国土交通省において、これまでも国土ミッシングリンクの解消に向けた方針を示されておりますけれども、計画的な整備のために事業進捗を図る必要のある事業を強力に推進しますとも計画の中でもおっしゃっていただいているんですけれども、地方創生の観点から、尾崎国土交通大臣政務官にお尋ねいたします。
〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕
○尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
高規格道路は、御指摘のとおり、人、物の往来を支援しますとともに、国民の安全、安心を確保するなど、国民生活に不可欠なインフラでございます。高規格ネットワークの整備によりまして、企業立地や観光交流が進みますほか、災害時の代替性の確保により防災機能を強化するなど、様々な効果が期待できる、そのように認識をいたしております。
しかしながら、全国には、いまだネットワークがつながっていない、いわゆるミッシングリンクが残されておりまして、広域的に人や物の流れを活発化することにより地方創生を推進するという観点からも、ミッシングリンクの早期解消が重要であると考えております。引き続き、高規格道路のミッシングリンクの早期解消に向けまして、しっかりと取り組んでまいります。
○伊東(信)委員 私が選出いただいております大阪十九区というのは、大阪府下では一番南で、和歌山県に隣接しておりまして、そちらにおいてもちょっとミッシングリンクがあるんですけれども、同時に、関西国際空港がございます。
関西国際空港は、言わずもがな、重要な交通拠点になっているんですけれども、それ以外にも様々な役割を担っておりまして、国際航空交通のハブであったり、地域経済に貢献したり、ロジスティックのハブにもなっていまして、また、地域の国際化と国際交流にも寄与しております。
とはいえども、先ほど自見大臣から、地方創生の話に道路が大事とおっしゃっていただいたんですけれども、近年、やはり自然災害も多くて、資料一を見ていただければ、記憶にも新しい二〇一八年の九月四日の台風二十一号で、タンカー船が関西国際空港の道路橋に衝突して通行不能になったというところで、こういった弱い面もございます。
当時、松井一郎知事が官邸にお願いして、結構早急に復旧していただいたんですけれども、やはり地元では、関西国際空港のリスクマネジメントの観点から、関西国際空港の連絡橋、もう一つの、南にもルートをつくろうということで、この早期実現期成会が発足して、政府にも御要望しているところなんですけれども、この関西国際空港の連絡の南ルートについて、政府はどのように把握されておりますでしょうか。尾崎政務官、続けてお願いいたします。
○尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
この空港連絡南ルートにつきましては、御地元の皆様を中心に実現を望まれる声があることは私どもも承知をいたしているところであります。
他方、関西国際空港に現在あります連絡橋でありますが、これは新関西国際空港株式会社が整備したものであります。ただ、この新関西国際空港株式会社でありますけれども、現在、コンセッションによる運用権対価の活用によりまして、空港整備による巨額の債務、これが約一兆円ありますけれども、この確実な返済に努めているところであります。そういうことから、巨額の費用を要する事業については、慎重な検討が必要ではないかと考えるところであります。
ただ、御指摘のとおり、空港の災害対応力の強化も必要であることは言うまでもございません。そういうことでございますので、防災対策事業のほか、万が一、空港アクセスに問題が生じた場合の対策といたしまして、旅客の島外輸送を行うための船舶やバスの事業者との連携強化等の取組を行っているところでございます。
国土交通省といたしましても、これらの対策が着実に実施されるよう、適切に支援をしてまいりたいと考えるところでございます。
○伊東(信)委員 尾崎政務官ありがとうございます。
確かに、民間でありますし、債務を抱えているのであれば、それを返済するのは当然のことでございます。そういった中で、国と関空だけじゃなくて、大阪府と連携してやっていただければというところで、そういったところの把握はしていただけると承知をいたしました。
そこでまた道路の話に戻っていくわけなんですけれども、関空とのアクセス道路について、先ほど申し上げましたように、この地区というのは、和歌山県にもすぐ隣接しておりますし、大阪の中でも一番南にございます。そこで、二〇二三年度の予算において、国交省の近畿地方整備局は、大阪南部、和歌山県の都市について、関空とのアクセス道路については、資料二でお示ししましたように、府と県と連携してネットワークの検討を実施するとしております。
この事業につきまして、和歌山県の中でも紀の川市とそして私の地元の大阪府の泉佐野市が、二〇〇九年二月に、紀の川関空連絡道路促進協議会を設立いたしまして、これが二〇一五年七月、関空と京奈和自動車道を結ぶ京奈和関空連絡道路実現を目指す、京奈和関空連絡道路建設促進期成同盟会として発足いたしました。
こういったところで、これもまた国にお願いをしているところなんですけれども、今度は京奈和の関空連絡道路の現在の検討状況について、また今後の具体的な取組について、再び尾崎政務官、よろしくお願いいたします。
○尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
京奈和関空連絡道路でございますが、これは、京奈和自動車道と関西国際空港を最短で連絡する道路でございまして、令和三年に、和歌山県及び大阪府が策定しました新広域道路交通計画において、高規格道路として調査中路線に位置づけられたところでございます。この道路によりまして、特に、大阪南部や和歌山方面などから関西国際空港へのアクセス性が向上し、物流効率化や観光振興など、地域の更なる活性化が期待をされております。
現在、和歌山県、大阪府、紀の川市、泉佐野市とともに、地域を取り巻く状況や道路交通の課題、整備効果などについて検討を重ねているところでございます。引き続き、計画の具体化に向けまして、大阪府、和歌山県を始めとする関係自治体と連携し、検討を進めてまいりたいと考えております。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
今、大阪の状況、特に、私の選出いただきました十九区の話をさせていただいているんですけれども、これは何も特定の地域に限ったことではなくて、ここからちょっと大きい話をしていくわけなんですけれども、日本の国としての国土のデザインはどうかという話になります。
平成十年、一九九八年に、第五次の全国の総合開発計画となる二十一世紀の国土のグランドデザインが策定されました。そこで、四つの国土軸の形成が構想されました。つまりは、現在は、やはり東京圏と太平洋ベルト地帯に人口が、若しくはいろいろな活動が集中しておりますので一極一軸型の国土構造となっているんですけれども、これをやはり日本の国として四つの国土軸を持つ多軸型の国土構造に転換させることを目指すものでございます。
もちろん、少子高齢化となりまして、このメリット、デメリット、果たしてベネフィットは幾らあるのかというのも検証しなければいけないですけれども、こちらの委員会としましては地域の活性化を目指すものでございますので、少子化対策が先なのか、国土の新たなデザインが先なのかという話にもなろうかと思いますけれども、まずは国土軸に関して御質問をさせていただければと思うんですけれども、こういった国土軸というのは、ふだんの国民の皆さんの利便性だけではなくて、防災においてもやはり発揮すると思います。
例えば、こればっかりはあくまでも予想でしかなく、いつ起こるか分からないわけなんですけれども、しっかりと備えなければいけない南海トラフ地震などの災害にやはり備えようと思いますと、あらかじめ交通ネットワークやライフライン施設の多重化や予備の手段、こういうのが用意されていかなければいけない、これがリダンダンシーと呼ばれるものなんですけれども、こういったところの機能を四つの国土軸も併せて持っていると理解しているんです。
二十一世紀の国土のグランドデザインというのを提案されたわけなんですけれども、この国土軸の構想、今どのような形で推進して具体化していくおつもりなのか。尾崎政務官、あと二問ありますので、よろしくお願いいたします。
〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕
○尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
御指摘のとおり、平成十年に策定をされました二十一世紀の国土のグランドデザインにおきまして、太平洋新国土軸を含みます四つの国土軸から成る多軸型国土構造を目指すことが位置づけられたところであります。
その後、二回の計画策定、改定を経まして、昨年策定しました新たな国土形成計画におきましては、シームレスな拠点連結型国土の構築に向け、日本海側、太平洋側二面活用などの国土全体にわたる広域圏相互間の連結強化を図り、全国的な回廊ネットワークの形成を図ろうということを目指しているわけであります。そして、これまでの国土計画において構想された四つの国土軸構想とも、これを重ねて推進をしていこうということとなっております。
国土交通省としましては、国土全体にわたって広域レベルでは人口や諸機能が分散的に配置される国土構造を目指していくべきだという考えでありまして、陸海空それぞれのインフラ整備を着実に進めていくことを通じてシームレスな総合交通ネットワークの機能強化などに努めてまいりたいと考えております。
○伊東(信)委員 今の御答弁でしっかりと、努めていきたいと。係る問題はやはりたくさんあるというのは、多分共通認識だと思います。
現在、西日本の状態を考えますと、国土軸の観点でも、やはり大阪南部と四国を最短で結ぶ道路網というのは現在はございません。今、本州と四国を結ぶのは明石海峡大橋、大鳴門橋、瀬戸大橋の本州四国連絡道なわけなんですね。これらで兵庫県、岡山、広島、四国の徳島、香川、愛媛のアクセスは飛躍的に向上したのは事実なんですけれども、現在、紀淡海峡を渡る連絡橋はない状態です。
例えば、淡路島と岬町とか、今、実験的にフェリーではない船が渡ったりとかもしていたりとか、和歌山と徳島港を結ぶ南海フェリーという選択肢もあるんですけれども、やはり連絡橋を利用した方が早く着くことにはなります。
資料の三にお示ししているんですけれども、では、この紀淡連絡道路の構想としますと、海峡の幅は約十一キロとなると。和歌山市と洲本市をつなげる紀淡海峡大橋を建設すると延長は約四十キロに上り、紀淡海峡大橋は友ケ島の二島を経由する長い大橋になります。
経緯を言いますと、一九九一年に当時の建設省の調査が始まって、一九九二年には紀淡海峡連絡ルート実現期成同盟会、現在は紀淡連絡道路実現期成同盟会という名前に変更になったんですけれども、これまた一九九三年に第十一次道路整備五か年計画で大阪湾全体としての環状道路になるんじゃないかということで具体化が明示されているんです。
ここでお尋ねしたいのは、現在、泉佐野まで、そうなると先ほどのミッシングリンクの話になるんですけれども、関空のところで阪神高速自体が終わっているわけなんですね。和歌山の加太まで延伸し、そこから友ケ島を経由して紀淡海峡大橋を造ると、もう一つの国土軸になるんじゃないか。
友ケ島自体は南海トラフ地震に対する津波のエネルギーを吸収する役割もあるんじゃないかと言われるんですけれども、この紀淡海峡の大橋、地下にするのか地上にするのかで変わってきますけれども、地上にした場合、防波堤の整備にもなり得るということなんです。
今、私としましては、地域というか、地元の構想の方をお話しさせていただいたんですけれども、尾崎政務官、最後にしますので、どうか、これまで国として行ってきた検証と今後の検討について、具体的な内容を力強くお願いいたします。
○尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
御指摘の阪神高速湾岸線の延伸や紀伊淡路連絡道路につきましては、令和三年に和歌山県、大阪府、兵庫県が策定した新広域道路交通計画において、構想路線として位置づけられているところであります。
これらの道路につきましては、地元の自治体などからは、近畿圏と四国圏の圏域間の交流、連携促進や、大規模災害に備えたリダンダンシーの確保など、様々な効果が期待できるため、早期実現に向けた要望があります。
一方、紀伊淡路連絡道路の実現に向けては、海峡を連絡する大規模なプロジェクトでありますことから、その実現のためには国民のコンセンサスを得ることが重要であると考えているところであります。
国土交通省としては、新たな国土形成計画における国土づくりの方向性も踏まえまして、地域の実情の把握に努めてまいりたいと考えております。
○伊東(信)委員 尾崎政務官、長らくのおつき合い、ありがとうございます。
本当に、国民のコンセンサスを得ようと思えば、やはり、日本の国土としてのベネフィットがいかにあるのか、若しくは逆にどういったところが問題であるかということも解決しなければいけません。
国土軸の話をさせていただきましたので、そうなると、コストとベネフィットをやはり満足させるためには、紀淡海峡大橋の話だけじゃなくて、愛媛県と大分県の豊予海峡をつなぐことも併せて考えて、国交省としてはしっかりと国のデザインをしていただくことを最後にちょっとお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
これは、通告に入っていないので、私からのお願いというところで、国には大局からの調査や判断をしっかりと行っていただきたい。我が党の馬場代表もつい最近、こういったところもコメントをされたと思います。
災害の話をしておりますので、このまま災害の話をさせていただきたいと思うんですけれども、近年では豪雨や台風、そして地震等の激甚災害が本当に多発しています。全国レベルではこの激甚災害を本激、市町村レベルでは局激と呼びます。
この本激のいわゆる指定に関してなんですけれども、特定地域に限り激甚な被害を及ぼした災害では、さほどの被害額の合計とはならずに、激甚災害として指定されない状況もやはり生じてきたのも事実でございまして、それで昭和四十三年、大分前になるんですけれども、局地の激甚災害指定基準が創設されて、特例措置が適用されました。
必要と認められる災害が発生したときに、激甚災害と指定して、災害復旧事業等に係る国庫補助の特別措置を指定するものなんですけれども、これは一般的には一割、二割程度の補助率のかさ上げなんですけれども、やはりそうはいっても地方の財政措置は必要となるために、その後の復興政策というのは地域によってはやはり大変なところもあると思うんですけれども、国庫の補助率の更なる引上げであったりとか、これは一つ目なんです。
二つ目としては、大きなインフラであったりとかガスだったり道路だったりとかだったら、地域と、地方自治体との話なんですけれども、やはり個人の支援というのは果たしてどうなっているのか、家屋とかそういった話なんですけれども。この激甚災害指定に伴う措置の一つとして、こういった個人の支援についても財政措置がなされるように改善を図る必要があるのではないか。
能登半島のときにも顕在化したんですけれども、全壊、半壊において、外形的に判定していくわけなんですけれども、やはり住民への補償が不十分であったこともあったとお聞きしています。罹災証明書の発行自体が遅れまして、人手不足や悪路が壁となったり、それが原因で遅れたわけなんですけれども、やはりふだんから災害を想定して、こういった罹災証明も早期にいかなければいけないということです。
ちょっと三つまとめてお聞きしたんですけれども、まずは特例措置の国庫補助率、そして二つ目は個人の支援はどうなるか、全壊、半壊の罹災証明の発行に関して、三つにつきまして、内閣府に、政府にお尋ねいたします。
○上村政府参考人 お答えいたします。
最初に激甚災害制度の話であります。
激甚災害制度につきましては、関係省庁が実施します高率の国庫補助に加えまして、激甚災害が発生した場合に更に補助率のかさ上げ等の特例措置を講じることで地方負担の軽減を図るものであります。
制度については、これまでもその時々の状況を踏まえ見直しを図ってきたところでありまして、公共土木施設災害復旧事業等の特例措置の指定基準については、平成十二年に標準税収入等の伸びを踏まえて、本激、局激、双方の基準を緩和したほか、平成二十三年には局激の方の指定基準を改正して、財政基盤の脆弱な市町村を対象に標準より要件を緩和した基準を新たに設けるなどの措置を講じております。
また、激甚災害制度の対象となる施設につきましても逐次追加してきておりまして、今年の四月からは公共土木施設災害復旧事業に水道施設を新たに追加したところであります。
激甚災害制度等の財政支援制度を含めまして、防災対策については、災害の発生状況や規模等を踏まえながら、不断の見直しを図っていくことが重要であると認識しておりまして、その激甚災害制度の見直しについても適切に対応してまいります。
また、次、個人に対してということでありますが、個人に対しましては、今の激甚災害とは別に、災害救助法の、家屋の修理であれば応急修理制度ですとか、それから、見舞金的な性格ではありますけれども、被災者生活再建支援金といったような制度、また、今回の能登半島地震においては、特定非常災害に指定されたことから、公費による全壊、半壊の家屋の解体といったような措置を講じているところであります。
また、最後に罹災証明のお話がございました。住家の被害認定調査につきましては、被災者生活再建支援金の支給を始めとしました各種支援の根拠となりますことから、できる限り迅速な対応が必要であります。
このため、能登半島地震におきましては、迅速な被害認定調査の実施に向けまして、国や全国の自治体から応援職員を派遣したほか、航空写真の活用、デジタル技術を活用したリモート判定等の積極的な活用を被災自治体に促してまいりました。
これを受けて、例えば、珠洲市ではドローンを活用した被害認定調査が実施され、輪島市では東京都や区市町村職員がリモートで被害認定を行うといったような、新技術を活用した被害認定調査の迅速化の取組が浸透しつつあると認識しております。
委員御指摘の基準の見直しにつきましては、能登半島地震における対応の振り返りを行う中で、その結果得られた教訓を今後の取組にも生かしてまいりたいと思います。
○伊東(信)委員 能登半島地震、東日本大震災、熊本の地震もありましたし、私は実家が兵庫県の神戸市の六甲なんですけれども、阪神・淡路大震災もありましたし、災害というのは本当にいろいろな顔がございます。本当にそれぞれの備えはやらなければいけないんですけれども、本当にそれぞれの教訓はそれぞれ生かしてやっていただければと思うんですけれども。
教訓といえば、尾崎政務官、再び御登場いただく、さっき最後やと言ったんですけれども、その教訓を私も生かしていこうと思うんですけれども。
東日本大震災ではやはり津波が問題になったんですけれども、その際の避難経路、私、今、泉南市というところの、比較的海沿いのところに住んでおるんですけれども、避難経路とかそういったところが示されておるんですけれども、東日本大震災では、やはり避難時に問題があったという指摘もありました。三割ぐらいやはりちょっと問題があったという指摘がありまして、その理由、問題点としては、やはり、渋滞があったりとか、信号が停止したというところがございます。
消防庁の津波対策推進マニュアルの検討会の報告書では、避難所までの距離が五百メートル程度が目安になっているんですけれども、現実では、やはり、乳幼児や高齢者など、歩行速度が遅い人がいた、歩行困難な同行者がおられたわけなんですけれども、五百メートル程度と言われていましたけれども、やはり八百メートルぐらいには及んでいたみたいです。
やはり、こういった避難路をできるだけ短縮していく、直線で、直線形状というのが可能かどうかというのもあるんですけれども、そういったところも検討が必要ではないかということと、あと、津波の避難誘導サインということ、やはり見たことがないという方もおられます。サインの標識、音声などを駆使した誘導方法を、地方自治と連携する必要があるのではないかと。
もう一つは、道路を使う場合、やはり踏切の問題もありまして、列車が緊急停止しますので、そういう場合は踏切は遮断機が下りたままになってしまいます。
資料四に示しておるんですけれども、避難路に対する支援メニューというのがあるんですけれども、防災・安全交付金として基幹事業に都市防災総合推進事業などが、国庫補助金として建築物耐震対策緊急促進事業というのがあるんですけれども、実際に災害が起きたとき十分と言えるかどうかというところもあるんですけれども。
三点、避難路をより短くする、避難誘導のサインを分かりやすくする、そして踏切の問題などがあるんですけれども、尾崎政務官、これが本当の最後なので、お答えをお願いいたします。
○尾崎大臣政務官 お答えをいたします。
短時間に津波が襲来することが想定される巨大地震に対して、住民の命を守るためには、地震発生後の迅速な避難の確保を図ることが不可欠だと考えます。そのためには津波避難路の整備は有効な対策の一つでありまして、国土交通省といたしましては、まず第一に、地方公共団体が行う津波避難路の整備に対し様々な技術支援を行っていくこととしておるところであります。
そして、第二に財政支援ということでありますが、これにつきましては、防災・安全交付金によりまして財政的な支援を行っているということであります。また、地方単独事業として整備する場合には、緊急防災・減災事業債の活用も可能ということでございます。
この防災・安全交付金に関して、例えば、東日本大震災以降、昨年度末までに、全国四十一市町村における約五百三十路線の津波避難路の整備に対しまして財政支援を行ってきたところでありまして、引き続きしっかりとこのような支援を行ってまいりたいと考えるところです。
さらに、御指摘のように様々な地域の実情に応じた課題もあろうかということでございまして、国土交通省としましては、地方公共団体からの具体的な対応策の相談などにワンストップで対応できる体制の構築を行ったり、さらには主管課長会議において事業説明などを行ったりいたしまして、地方公共団体のニーズをよく伺いつつ、この整備の支援に積極的に取り組んできたところでございまして、今後も継続してまいりたいと考えております。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
続けて、今度は総務省にお聞きしたいことなんですけれども、災害時における情報伝達なんです。
私の地元の自治体では、デジタル防災行政無線を始めとする情報伝達手段を整備しておるところなんですけれども、資料五にお示ししていますけれども、民間活力を使いまして、具体的にはJCOMとかと提携して防災情報サービスを行っている。戸別の受信機のような音声受信だけじゃなくて、テレビに接続するとテレビ画面でも表示できるし、停電時であっても乾電池で使えるし、取り外してラジオとしても使用可能だと。民間事業者と直接契約すると月々三百円ぐらいで使えるそうなんです。
このような事例を積極的に横展開を図るとともに、津波浸水想定区域、土砂災害警戒区域、携帯電話が通りにくい地域で、高齢者、障害のある方などにはやはりこういった戸別の受信機を義務化して、その配備費用の一〇〇%を補助を行うということも検討いただければと思うんですけれども、問い九は船橋総務大臣政務官にお願いしたいと思います。
○船橋大臣政務官 お答えいたします。
防災行政無線につきましては、大雨あるいは台風の際には聞き取りにくいということもございまして、その対策として、住戸内に設置する戸別受信機というものが有効だというふうに言われております。
したがいまして、防災行政無線等を整備している市町村のうち約九〇%の市町村で戸別受信機というものが配備されてございますけれども、これらの市町村の多くで、費用面で全住戸にこれを配備するということが難しいことから、土砂災害警戒区域にある世帯、要配慮者のいる施設や世帯、自治会長宅など、優先順位をつけて配備を推進しております。
消防庁といたしましては、防災行政無線等の整備や戸別受信機の配備について緊急防災・減災事業債や特別交付税措置の対象とし、手厚い財政措置を講じてきているところでございますし、災害時に住民へ確実に情報を伝達するためには、戸別受信機の配備に限らず、災害情報伝達の多重化というものも重要でございますから、技術的知見を有するアドバイザーを派遣をし、自治体職員に対しまして、災害情報伝達手段の多重化に係る技術的提案や助言というものを行ってきているところでございます。
引き続き、市町村における防災行政無線等の整備や戸別受信機の配備、災害情報伝達手段の多重化を推進してまいります。
○伊東(信)委員 船橋政務官、ありがとうございます。
ヒアリングのときに実は聞いていたんですけれども、戸別受信機は、やはり、安くても一万円から三万円かかるわけで、そういったところで優先順位をつけなければいけないという御答弁だったと理解します。
何も、災害というのは、天災だけじゃなくて人災もあるわけで、ロシア、ウクライナによる紛争において、原材料価格が上がっていたり、食料安全保障に対しての懸念も上がっております。
そこで、日本維新の会というのは、これまで一貫して、農地法を改正して、株式会社を始め、あらゆる主体による農地所有や新規参入の促進、生産性の向上を訴えておりました。
同時に、国内市場が縮小する中で、世界市場への輸出強化により生産を維持拡大するということも大事じゃないかということです。ですので、ふだんは輸出して、いざというときは自給自足ができるようにすると。
もう一つは、高齢化、担い手が不足して、若者が独立就農していけるような環境もつくると。体験型観光農園であったりとか、輸入原料に依存しない高品質な肥料の製造とか、こういったところも大事じゃないかということで、資料六にお示ししているんですけれども。
これは、今国会に提出されました食料供給困難事態対策法案というやつなんですけれども、食料不足の兆候が発生した後に取られる措置のみを指しているわけなので、平時からやはり必要だとは思うんですけれども、ここは舞立農林水産大臣政務官にお尋ねいたします。
○舞立大臣政務官 気候変動によります食料生産の不安定化、そして世界的な人口増加等に伴う食料争奪の激化、そして国際情勢の不安定化など、我が国の食料安全保障上のリスクが高まる中、平時から食料安全保障を確立することは重要と考えております。
こうした中、我が国では、人口減少社会の中で、国内市場の縮小が生産基盤の弱体化につながらないよう、現在国会で御審議いただいております食料・農業・農村基本法改正案で規定しているとおり、先生御指摘の輸出の拡大によりまして、国内生産基盤を維持することは重要と考えております。
また、先ほど例で出していただきました食料供給困難事態対策法案におきましては、食料供給が大幅に減少したときの供給確保のための対策として、出荷、販売の調整等の規定がございますが、この中には、輸出から国内への仕向け先の変更等も含まれているところでございます。
これらの法案が成立した暁には、これに、食料供給困難事態対策法案に基づきます基本方針におきまして、平時からの取組を含む、食料供給を確保するための対策に関する基本的な考え方を定めることとしておりますので、引き続き適切に取り組んでまいりたいと考えております。
○伊東(信)委員 本当に有事というのはあってはならないことなんですけれども、実際、二〇二三年四月、北朝鮮がミサイルを発射して、Jアラートが発令されて、建物の中、地下への避難というところだったんですけれども。
やはり、十一月二十四日に総務委員会で私も質問したんですけれども、私の地域ではなかなか地下の施設も少ないと思うんですけれども、そのときの答弁で、武力攻撃を想定した避難施設の在り方に関してというところで、諸外国の調査も行うとおっしゃったわけなんです。
それに加えて、地下シェルター若しくは地下の核シェルターに対する財政支援というのもそれぞれの地域でもやはり必要だと思うんですけれども、これは前回に御質問したお話なので、官房副長官にお尋ねしたいと思います。
○村井内閣官房副長官 政府としては、本年三月に、武力攻撃を想定した避難施設の確保に係る基本的考え方などを取りまとめたところであります。この中で、一定期間避難可能で堅牢な避難施設である特定臨時避難施設の整備に着手することとしておりまして、令和五年補正予算で確保した、設計の支援等に係る国費を活用していくこととしております。この四月には、早速、整備対象であります先島諸島の五市町村と具体化に向けた協議を開始しております。あわせて、コンクリート造り等の堅牢な建築物や地下施設といった緊急一時避難施設に関して、政治、経済の中枢を含む都市部及び地下施設について一層の指定推進に取り組むとともに、地域の実情に応じて、その充実も含めた在り方を検討することとしております。
その上で、こうした取組に当たりましては、先生御指摘のとおり、諸外国の事例を参考とすることが重要でありまして、これまで各国の状況を調査してきたところでありますけれども、今後、より具体的な調査を進め、我が国における取組に生かしてまいりたいと存じます。
引き続き、関係府省庁とも連携しながら、スピード感を持って、地域の実情に応じて、必要なシェルターの確保に努めてまいります。
○伊東(信)委員 副長官、ありがとうございます。本当にやっていただいていると理解いたしました。
もちろん、優先順位がありまして、南の方の諸島のところがまず優先になりますけれども、各自治体の要望がありましたら、また御検討とか、またお話しさせていただければと思います。
副長官、これで、ありがとうございます。御退室いただいて結構ですので。
先ほど小林議員が、今ちょっとおられないですけれども、デジタルの人材に関してお話をされましたけれども、サイバーセキュリティーという観点もやはり有事のところで大事で、資料七にありますけれども、地方自治体によっては、専門性のある人材の確保やシステム等、やはり多額の費用がかかる。だから、こういったところの国の財政支援があるか、若しくは、人材確保に関して国から何か支援があるかということを、先ほどの小林議員とも関連づけてお尋ねしたいと思うんですけれども、これは総務省なので、船橋政務官、お願いいたします。
○船橋大臣政務官 お答えいたします。
現在、自治体における情報セキュリティーにつきましては、総務省におきまして技術的助言としてお示しをしているガイドライン等、これをお踏まえをいただきまして、個々の自治体の判断で情報セキュリティーに関する施策を実施していただいている状況にございます。
これに対しまして、第三十三次地方制度調査会の答申におきまして、国や自治体のネットワークを通じた相互接続、これがますます進展することに伴い、その情報セキュリティーの確保が提言をされております。
これを踏まえまして、今般の地方自治法の改正案では、各自治体に情報セキュリティー対策の方針の策定及び実施を義務づけ、総務大臣が共通的に必要とされる対策を統一的な指針としてお示しすることで、いずれの自治体においても一定以上の水準の情報セキュリティー対策が講じられることを担保することとしてございます。
○伊東(信)委員 まずはスタートに立ったという解釈だと思います。地方からまたそういった要望があれば、またお話を聞いていただければと思います。
最後は、どうしても河野デジタル大臣にお尋ねしたいんですけれども、ちょっと話が変わるんですけれども、昨日、財務金融部会長として、元々我々は歳入給付庁設置ということを考えていたんですけれども、これにデジタルを加えることによって、デジタル歳入給付庁という、こういったところの法案を提出させていただきました。このことによって、いわゆる国民の公正性も、そして利便性も保たれる、かつ、役所の中のやはり効率化も図られるということなんです。
ちょっと駆け足の質問で申し訳ございませんけれども、河野大臣、デジタル行政改革担当大臣といたしまして、この我々のデジタル歳入給付庁に対する御所見を、最後、いただければと思います。
○河野国務大臣 マイナンバー制度で、公平な負担と給付、これはもう実現できるところまで来ておりますし、マイナポータルで税と社会保険、これも一体的に、ワンストップでいろいろなことができるようになっておりますので、組織論で体力を奪われるよりも、デジタルをいかに活用していくか、デジタル庁としてはそこに集中してまいりたいと思っております。
○伊東(信)委員 ありがとうございます。
本当に、組織論ではなくて、デジタルの利便性を最後にお尋ねしたくて、最後に力強い目力をいただきたかったんですけれども、残念ながら、これで終わります。ありがとうございます。
○谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
二〇一四年にいわゆる増田レポートを発表した人口戦略会議が、先般、二〇二四年版を発表、若年女性人口が二〇一〇年から二〇四〇年までの三十年間で五〇%以上のスピードで急減する地域では、消滅可能性自治体であるとして、七百四十四の自治体が該当すると発表をいたしました。資料の1は朝日新聞の二十五日付でありますが、この消滅可能性自治体の数の多い順から並べておりまして、上から四つが我が東北の四県でして、なかなかの衝撃であります。
レポートでは、一つは、二十歳から三十九歳の女性が減り続けることは出生数も低下し続けること、二つは、十年前のレポートでは人口流出という社会減に重点が置かれ過ぎて、若年人口を近隣自治体間で奪い合うかのような状況も見られる、このように指摘をしております。
今日のテーマは、人口減少に政治の責任はないのか、裏を返せば政治の責任でできることはないのか、このことを、短い時間ですが、聞いていきたいと思います。
まず、加藤大臣に伺います。
資料の二枚目なんですが、このグラフ、出発点は一一八五年の鎌倉幕府の成立から遡っているんですが、人口が徐々に増え続けてきたものが、二〇〇八年、一億二千八百八万人をピークに急降下しているんですね。この急激な人口減少が進んだのはなぜだと思われますか。大臣の認識を伺います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
厚生労働省の人口動態統計によれば、出生数が減っている一方で死亡数が増えていることから生じる自然減が、総人口のピークであった二〇〇八年以降の人口減少の理由とされていると承知をしております。
このうち、こども政策担当大臣として出生数について申し上げれば、その減少の要因は、女性人口の減少、未婚化、晩婚化、そして夫婦の持つ子供の数の減少、この三つであると認識をしております。
さらに、その背景を申し上げますと、経済的な不安定さや出会いの機会の減少、仕事と子育ての両立の難しさ、家事、育児の負担が依然として女性に偏っている状況、子育ての孤立感や負担感、子育てや教育に係る費用負担、年齢や健康上の理由など、個々人の結婚、妊娠、出産、子育ての希望の実現を阻む様々な要因が複雑に絡み合っていると認識をしております。
○高橋(千)委員 様々な要因が複雑に絡み合っているというのは、そのとおりだと思うんですね。
それで、問題は政治の責任で何を見るかということなんですけれども、やはり、今大臣のお言葉の中にもあった経済的な不安定さということがあるんですけれども、急激な人口減の背景は、やはり経済ではないかと思うんですね。経済が縮んで、当然、消費購買力も下がる。しかし、デフレの中でも、皆さん御存じのように、企業の内部留保は上がり続けてきたわけです。小泉構造改革やアベノミクスによる新自由主義経済の帰結ではないかと思うんですね。
安倍元首相が有効求人倍率が一を超えましたと、それを成果として訴えていたことがすごく私は印象に残っているんですけれども、私、実は教員時代は進路担当でありましたので、まだバブル前だったんですけれども、山のような求人票をさばくのが仕事で、求人倍率一というのは、一人に一件しかない、つまり選べないということなので、とんでもない話だ、こういうふうに思ったんですね。
これは単に、人手不足が急速に進んだからだということであって、決して経済が上向いたということではないというふうに見るべきではないかと思うんですね。ですから、やはり賃金を上げていくこと、長時間労働を是正していくこと、そして男女差別賃金の是正、これは必須だと思いますが、よければもう一言お願いできますか。
○加藤国務大臣 委員の問題意識について、共有させていただくところもございます。特に、今のお話の中で、私の担当する所管として、ここはちょっと、地・こ・デジではありますが、男女共同参画の担当として、あえて申し上げれば、男女間の賃金差異、こういったことは、制度的に、政策的に様々手を打てる部分もあることも考えれば、政府としてやるべきことをしっかり進めていくということが重要だというふうには考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。しっかり大臣の言葉でお答えいただいて、ありがとうございます。
次に、今度は自見大臣に伺うんですけれども、地方創生特別委員会ができて、まち・ひと・しごと創生法ができたのも十年前だったと思います。しかし、地方創生は東京一極集中の打破を目標としていたはずなのに、結局失敗していると言えるのではないか。市町村合併や広域化が進み、地域の公共交通、医療、学校の統廃合も同じように進みました。人口減だから統合するとなると、負のスパイラルになっていったこと。一方では、地方にやはり人を呼び込まなきゃいけないということで、駅前再開発など、補助金や交付金に合わせた箱もの、それが、どちらかというと、どこも似たり寄ったりのものになっているというのが印象だと思うんですね。これもある意味、政府の誘導策でもあったと思いますが、反省点はあるでしょうか。
○自見国務大臣 お答えいたします。
地域が抱える課題でございますが、一様ではなく地域ごとに様々でございますので、地方創生の推進に当たりましては、それぞれの自治体が主体的に行う創意工夫の取組を国が後押しすることを、基本的な、まず考え方としてございます。
それについて申し上げると、具体的には、言及もいただきましたけれども、まち・ひと・しごと創生総合戦略において位置づけてございます地方創生三本の矢を掲げた当時から、国が行う交付金などの財政支援、そして地方への人材派遣などの人的支援、そして情報支援、この三つを活用いたしまして、各自治体において様々な地域課題の解決に向けた取組が進められてきたところでございます。
そういった地方創生の観点でございますが、現在は四つの柱で、地域に、地方に仕事をつくる、人の流れをつくる、結婚、出産、子育ての希望をかなえる、魅力的な地域づくりの四つの柱とさせていただいておりまして、結果といたしまして、全国各地で地方創生関連の交付金の活用等を通じまして活性化がされてきた側面もあると存じております。
また一方、このような状況、今申し上げた地方創生、地域が元気になるというところでありますが、私といたしましては、委員御指摘のように地方創生の取組そのものが失敗しているということは、当たらないと思ってございます。
ただ一方で、もう一つの柱でございます、東京圏への一極集中の課題は依然として残っていると当然ながら承知をしておりまして、この大きな流れを変えることは容易ではございませんが、若年層を中心とした東京圏への過度な一極集中の流れを食い止め、地方に対してしっかりと人口を戻していくことが大変重要だと考えてございます。
地方の声を十分に伺い、悩みや課題に寄り添いながら、地方の活性化、地域活性化にしっかりとつなげてまいりたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 もちろん、その政府が進めてきたことを失敗と簡単には言えないというのは、それは当然だと思います。ただ、一極集中の是正という点では、まだまだ成功していないということはお認めいただいたと思う。
やはり、指摘された、近隣の市町村、都道府県で、同じことをやっていればどうしても違いが出ない、あるいは奪い合いになっているという指摘も一部当たっているということになるのかなと思っております。今日は、ここは芽出しでお話ししておきました。
そこで、社会減、社会的な減少、この要因になっているのが、私は最低賃金の格差が大きいと思います。
資料の3を見ていただきたいんですが、これは、日本地図に最低賃金を落としました。全国平均が千四円といいますが、実際に千円を超えているのは八都府県にすぎません。この赤い色だけです。
次に、資料の4なんですけれども、私の青森県と東京都を比較しますと、残念ながら、その差二百十五円で、大体一・三倍の格差で、ほぼずっと横ばいで固定しているということになります。
それから、資料の5なんですけれども、これは、全都道府県の社会増と社会減が棒グラフです。それに対して、折れ線グラフが、これは昨年の数字ですけれども最低賃金だと。そうすると、やはり高いところに人口が寄っているということは言えると思うんですね。
これは青森県労連が作成したものでありますが、同様の趣旨のグラフというのは、多分、与党の皆さんも御覧になったことはあると思いますし、予算委員会でも議論になりました。チェーン店では、仕事の内容は同じなのに、川を渡れば隣の県になって賃金が全然違う、こういう事例も紹介されてきたわけです。
そうなると、やはり最低賃金の格差が人口流出並びに地域格差とリンクしているということはあると思いますが、これは厚労省に伺います。
○増田政府参考人 お答えを申し上げます。
御質問にございましたように、最低賃金につきましては、昨年度、全国加重平均で四十三円の引上げを行い、政府目標でありました全国加重平均千円を達成したところでございます。
御指摘の労働者が都市部へ移動する理由につきましては、仕事のほか、教育や家族の事情などがあると承知をしているところでございます。
一方で、最低賃金の地域間格差は改善していく必要があると考えておりまして、最低賃金審議会におきまして地域間格差の観点も含めて御議論をいただいた結果、最低賃金の最高額に対する最低額の比率につきましては、昨年度八〇・二%と、九年連続で改善をしているところでございまして、引き続き、地域間格差の改善に向けて取り組んでまいりたいと思います。
○高橋(千)委員 何度も質問をしてきましたので、改善してきているというのは分かるんです。ただ、スピード的には全然追いついていないと言えるのではないかと思うんですね。
資料の最後のところを見ていただきたいんですけれども、これは、東北六県の県労連の皆さんが、一番下に最低賃金を書いているんですけれども、それに比較して、実際に最低生計費、一月どのぐらいかかるかなというのを、自らの体験を通して試算した数字なんですね。
どうやってそれを採用するかというのにはとてもいろいろな議論があって、例えば、見ていただくと、書籍費がゼロですとか、かなり我慢しているわけですよ。町会費三百円とあるんですけれども、これも前はゼロ円で数えていた。それはやはり社会的に問題じゃないかというので、町会費は入れましょうとか、そういう涙ぐましい努力をして計算をしていくと、やはり、例えば青森市でいうと、消費支出は十七万九千五百二十二円、それで、本当であれば、時給、百五十時間換算でいうと千六百六十四円必要ですよねと出るわけです。そうすると、これを、この最低生計費をこの当時の最低賃金で割ると、月二百九時間働かないとこの分が稼げない。そうすると、常に超過密労働ということになってしまうわけですよね。
中央最賃の審議会であっても、この最低生計費というのは当然考慮すると思うんですけれども、こうした観点からいくと、健康で文化的な最低限度の生活というふうに言えるのかどうか。どのようにお考えでしょうか。
○増田政府参考人 お答えを申し上げます。
最低賃金法におきましては、各地域における労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払い能力を考慮して最低賃金を決定することとされているところでございます。このうち、労働者の生計費につきましては、労働者の生活のために必要な費用をいうところ、これは、最低賃金制度が労働者の生活の安定に資することを目的としていることからも重要な要素であると認識をしております。
最低賃金の審議の際には、生活保護基準に関する資料や、また、各都道府県の人事委員会が作成いたしました標準生計費などの資料も踏まえ、公労使の委員に御議論をいただいているところでございます。
引き続き、こうした資料等を踏まえ、公労使三者構成の最低賃金審議会において、毎年の最低賃金額についてしっかりと御議論いただきたいと考えております。
○高橋(千)委員 前提は、例えば格差を是正するべきだとか、最低生計費が必要だということの前提は一致しているんだけれども、そこが、結局、実態がずれていくのはなぜかというときに、やはり、今答弁の中にあった中小企業の支払い能力、これを盛り込んでいるからなんですね。総理が二〇三〇年までに全国一律千五百円なんと言っていますが、この委員会の議論で二〇三〇年までが勝負だとか最後のチャンスだなんと言っているときに、そこまで延ばすというのは、全然追いつかないわけなんですよ。
やはりこれは、中小企業の支払い能力を勘案するという条文を削除して、国がもっと中小企業を支援するということを明確にするべきだと思います。いかがですか。
○増田政府参考人 お答えを申し上げます。
繰り返しになりますが、最低賃金法では、各地域における労働者の生計費、賃金、企業の賃金支払い能力を考慮して最低賃金を決定することとされております。
最低賃金につきましては、法的強制力をもって労働者の賃金の最低額を保障するものでございますので、国民経済や各地域の経済力とかけ離れた水準で決定されるものではなく、三要素のいずれも考慮されるものと考えております。
最低賃金の引上げに当たっては、中小企業が賃上げしやすい環境整備が必要であると考えておりまして、厚生労働省としては、中小企業の生産性向上の取組を業務改善助成金で支援をしており、中小企業庁などとも連携しつつ、引き続き中小企業への支援に取り組み、二〇三〇年代半ばまでに全国加重平均が千五百円となることを目指すとした目標につきまして、より早く達成できるよう取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 各地方審議会が、最賃審議会が、やはり中小企業に対する直接支援を行ってほしいと。そうじゃなければ、これはやはり、極端に増やすことを、必要だと思ってもできないという要望が各県から出ているわけですから、それをちゃんと受け止めていただきたいし、もちろん、これが要因、たった一つだとは言いませんけれども、社会減の大きな要因となっているという点では、本気で向き合っていただきたいと思います。
もう質問する時間がないのでここは言いませんけれども、女性の担い手が多い保育、介護、看護などの分野を、これでも、やはり賃金が違うために都市部に取られてしまう、こういう実態がありますので、これは本当に本気で取り組んでいただきたい。これは要望にします。済みません。
それで、二〇一四年のレポートの衝撃は大きくて、地方自治体にも非常に衝撃を与えたんですが、同時に、子育て支援策を充実強化して、消滅可能性自治体を脱却したところもたくさんあるわけなんですね。その中でも、やはり特筆すべきなのは、子供医療費無料化を本当に各地で頑張ったことではないかと思うんです。
子ども医療全国ネットによれば、二〇一五年までに、都道府県議会四十七のうち四十二の都道府県議会で国による医療費無料化への意見書を採択しています。二〇一二年までには、入院について、就学前以上とした市町村は一〇〇%となっています。二〇一四年で、高卒以上を対象に助成している市区町村は、通院で二百二、入院では二百十六になっていました。
それで、ちょっと時間がないので、これが今現在どうなっているかということと、国として、やはり位置づけて、無料化に踏み込むべきだと思いますが、済みませんが、大臣、お願いします。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
まず、前段の現状というところでございますが、二〇二三年四月一日現在、高校生以上の子供医療費の援助を行っている自治体は、通院で千二百九市町村、入院で千二百七十七市区町村となってございます。これが今、現状の最新のデータでございます。
さらに、先ほど後段の御質問の、更に踏み込むべきではないかという御質問に対してですけれども、子供の医療費につきましては、医療保険制度において、就学前の子供の医療費の自己負担が三割から二割に軽減をされており、これに加えて、各自治体独自の助成制度により、自己負担の更なる軽減が図られているものと認識をしております。お話のとおりだと思います。
一方、国の制度として子供医療費の助成制度を創設することにつきましては、医療費の無償化による受診行動への影響なども見極める必要があるなど、課題が多いものと考えております。子供の医療費の負担軽減につきましては、基盤となる国の制度と各地域における様々な実情を踏まえた地方自治体による支援が、両方が相まって行われることが適当であると考えております。
○高橋(千)委員 これで終わります。急降下の人口減少に対して、国の施策はまだまだ遅々として、ゆっくり過ぎるかなというふうに思いますので、引き続きお願いしたいと思います。
終わります。
○谷委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
今日、最後の質問となります。よろしくお願いします。
私、地方創生について自見大臣にお伺いをしたいと思います。ちょうど今高橋委員がお聞きをした内容と関連をいたします。
まさに、地方創生が始まったのは、二〇一四年の五月に増田元総務相らによって公表されたレポートに起因をしていると言われています。このまま人口が減り続ければ、全国の半分の自治体が消滅するというものでありました。それから十年がたちました。今回、財界人や学者らの有志でつくる人口戦略会議が、全国の七百四十四市町村を消滅可能性自治体と位置づけております。先ほどこの説明もありました。
まず、大臣としてこのレポートをどのように見られたかという見解を伺いたいと思います。
○自見国務大臣 お答えいたします。
民間有志による人口戦略会議が四月二十四日に公表したレポート、もちろん拝見してございます。
このレポートにおきまして、全体の四三%に当たる七百四十四自治体において、二〇二〇年から二〇五〇年までの間に若年女性人口が五〇%以上減少すること、また、今回の分析では人口減少傾向が改善する結果となっているものの、実態としては少子化基調が全く変わっていないことに留意する必要がございまして、楽観視できる状況にはないということが指摘をされておりまして、深刻な危機感が示されていると承知をしてございます。
○田中(健)委員 どうしても、その七百四十四という市町村の数が、大変大きな印象、またインパクトがあります。しかし、今大臣に言ってもらったように、今回のレポートでは、二〇二〇年から二〇五〇年までの三十年間の、出産適齢期と言われる二十代から三十代の女性の減に着目した数でありまして、特に減少率が五〇%を切るか切らないかで消滅可能性自治体に入ったり外れたり、四九でも、五〇でも、一%でも入る入らないという基準になってしまいます。
ですが、入らなかったからいいとか、入ったからどうというのよりも、それぞれ個別にやはりこの検証を行って、各自治体の現状というのを見る必要があるかと思っておりますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○自見国務大臣 お答えいたします。
人口戦略会議によるレポートにつきまして、民間有志が行った一つの考え方に基づく分析結果でございまして、委員御指摘のとおり、若年女性人口の減少率が五〇%を切るあるいは切らないといったことにのみとらわれるのではなく、地方創生に関する問題提起の一つの材料として受け止めるべきものと考えてございます。
このため、私といたしましては、当該レポートで示された危機感も踏まえ、また、今後は様々な声を伺いながら、女性や若者に選ばれるような魅力的な地域づくりを進めてまいりたいと考えてございます。
また、自治体におきましては、このレポートも参考にしつつではございますが、やはり現場の方、住民の方が、何を考え、どのようにしたいのか、そういった住民の方のお声を一つ一つ丁寧に拾い上げながら、地域によりよい施策を共に考え、実行していくことが重要だと考えてございます。
○田中(健)委員 まさに地域それぞれの課題は違って、またその内容も違うということで、その中身を見ていかないとということであるんですけれども、そのまさに中身をこれまで定めてきたのが地方版の総合戦略であります。
十年前の、地方創生の名の下に、政府は、全国の自治体に、特に人口減の抑止に向けた戦略を策定するように要請をいたしました。その際、策定費用として、各市町村に約一千万ずつの予算措置をしました。それによって、自治体はその予算を使って策定をコンサルに外注したと言われています。
それが資料の二であります。これは、地方自治総合研究所が一七年に実施した調査でありますが、実に七七%超の自治体がコンサルに委託をしていたということです。それ自体は民間に委託をするということなんですけれども、受注した企業の過半数は東京に本社があり、受注額、そこに書いてありますが、二十一億六千八百七十八万円、全国、額は四十億六千六百八十九万円ですから、そのシェアは五三%を占めるということです。地方創生のための公金が結局東京に還流するという流れになってしまって、本末転倒になってしまったんじゃないかといった指摘がありました。
その中で、一枚目でございますが、昨年の末、地方版の総合戦略、この策定状況に対する調査報告というのが上がっておりました。一枚目でありますけれども、策定状況は九九%、都道府県一〇〇%ということで、ここに書いてありますように、ほぼ全ての地方公共団体において地方版の総合戦略の策定が行われた、これらに基づいて各地域の実情に即した切れ目ない地方創生の取組が推進されていると評価がされていますが、お話ししたように、コンサルに頼めば、別に、その策定自体は誰でもできるわけでありまして、この策定状況を殊更に一〇〇%だと挙げるのは、私は余り意味があることではないかと思っておりまして、コンサルに頼んだ自治体でなくても、自分たちで考えて、四苦八苦しながらも取り組んできた自治体が成果を上げたとの声も聞いています。
このまさに地方版の総合戦略ということの、十年の取組というのを大臣はどのように評価をされているか、伺います。
○自見国務大臣 お答えいたします。
地方版総合戦略は、まち・ひと・しごと創生法に基づきまして、国の総合戦略を勘案して策定するように努めることとされており、国においては、毎年度、地方版総合戦略の策定状況について調査し、公表しているところでございます。
地方公共団体におきまして、地方版総合戦略の策定に必要な調査等の補助事業を民間コンサルティング企業等に委託すること自体は差し支えないものと考えてございますが、地方創生をより効果的に推進していくためには、まさに地域に住んでいらっしゃる住民の方々や、あるいは産官学、そして金融、労働又は言論界、あるいは様々な団体の皆様等々の、現場の方々の参加、協力を得ながら、各地方公共団体が主体的に取り組むことが非常に重要でございまして、国におきましては、地方版総合戦略の策定・効果検証のための手引き等につきまして、その旨を地方公共団体に周知をしているところであります。
また、これまでの十年の取組についてでありますが、地方公共団体が主体的に取り組むことで成果を上げてきた団体があると承知をしてございます。
国におきましても、これまで地方創生の取組を進めてきた結果でございますが、地域の魅力向上、にぎわいの創出の観点から、地方創生関係の交付金の活用等を通じ、地方の創意工夫を生かした取組が全国各地で推進された、促進されたこと、あるいは、移住支援事業を行ってございまして、この事業を活用して東京圏からの移住が約千三百市町村に及んだこと、進んだこと、また、地方拠点強化税制を活用し、企業の地方移転が進んだこと、そして、資金の流れでございますが、千三百団体以上の地方公共団体におきまして、企業版ふるさと納税が活用され、これまで八百億円近くの寄附が行われたことなど、一定の効果を上げてきたものというふうにも考えてございます。
地方創生の取組につきましては、今後も、これまでの成果を把握しながら、地域の声に十分に寄り添って取組を進めてまいりたいと考えてございます。
○田中(健)委員 今の評価ですと、成果はあった、また取組も進めてきたと。もちろん、これだけお金をかけてきましたからいろいろな取組が進んできたのは事実でありますが。
そして、主体的にと言っていましたが、まさにコンサルで丸投げして作ってしまったような自治体が多く、それは、自治体にもマンパワーがないこともあり、また時間もなかったから仕方ないということではあるんですけれども、どうしても自治体の職員は、私も地方自治体におりましたが、横並びで、他の自治体ではどうか、先駆的な取組はどうか、そういうことを一生懸命集めて、まあ、ほかがやっていることを同じようにやろうということでありますし。
成功事例というか、今挙げてもらいましたけれども、この地方創生においては、成功事例を普及させようとしましたが、自治体ごとで事情が違うと、まさに言ってもらったように、なかなか、その成功事例が全て当てはまるかというとそうではないと思っていますので。先ほど効果検証ということを言ったんですが、やはり効果検証をしっかりと、いいことも悪いことも、この十年という節目ですから行う必要があると思っています。
特に、この総合戦略に盛り込んだ一つ一つの事業があるんですが、これは、事業を進めるに当たり政府はかなり様々な要件を課しています。事業の先駆性や官民協働や自治体の広域連携といった観点から事業を審査し、そして交付金支給の可否を決める。さらに、各種施策の達成度合いを測るためにはKPIも盛り込んで、そして各事業を見てきましたが、しかしながら、先ほど来あったように、東京一極集中、また人口減というのはなかなかこの間改善ができていないということであって、厳正な審査とKPIの指標が設定されたにもかかわらず、一見、大変精緻に見えるシステムをつくり上げたんですけれども、この地方創生という政策が全体としては所期の目的をまだまだ達成できていないということではないかなと私は思っています。
そういう意味では、この総合戦略の達成状況やどれだけ実のある効果を生んだかということ、それを、検証を政府として行う必要があるかと思うんですが、いかがでしょうか。
○自見国務大臣 お答え申し上げます。
委員御指摘のとおり、地方版総合戦略の策定に当たりましては、地方公共団体に対し、地方版総合戦略の策定・効果検証のための手引き等によりまして、KPIの具体例の提示を含めKPI等の適切な設定を要請するとともに、PDCAサイクルに基づく効果検証の実施や必要な改善等を図るよう呼びかけているところでございます。
現在、委員もお話しいただきましたように、地方創生、今年十年という節目でございます。そのことに鑑みまして、地方版総合戦略におけるKPI等の達成状況などの調査を行い、現在分析を行っているところでございます。これらの分析結果を踏まえまして、地方創生の更なる推進につなげてまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 是非それを行っていただいて、私たちに見える形で、今回の十年間というのを総括してもらいたいと思います。
例えば、秋田魁新報という新聞社さんが、秋田の各事業全ての八百八十六項目、達成度合いを調査したということでありますが、達成できたのは、三百三十四、全体の三八%だと。多くは達成できていないに終わったというような、秋田だけですけれども、発表をしています。さらに、一年目は成功したけれども今はもう閉じてしまっている施設なども含めると、なかなか、実のある効果がどれだけ生まれたかというのは、KPIだけでも分かりづらいということでありますので、是非、今、十年の節目で検証していただけると言ったので、検証してもらって、更に、今どのような状況になっているのかということもつぶさに確認をしていただきたいと思っています。
さらに、審査をするのはこれまでは政府が行っているわけで、使途の自由度が比較的大きいのは交付金ではありますけれども、その実態というのは、やはり、先ほど言った支給の条件を事細かに決めて、補助金のような色合いが強い。
さらに、地方の役人が考えた事案を国の役人が評価する、そして交付金を受け取るというシステムは、結果として国による地方への関与というのが強くなった、中央集権的だと言われる、そういった声もありますので、是非、先ほどの評価の中にこういった視点も入れて、私たちにお示しいただければと思います。
そして、そうはいっても、多くの自治体に共通する悩みというのは、その地域の人口減少です。それで、地方はどの地域も都市部との人の取り合いということになってしまっています。同じ県内でも、うちは増えた、しかし隣が減って、ただただ移動しただけというような状況も散見されます。
そこで、地方版の総合戦略の中では、他から人に来てもらう移住や定住促進、また、域内の出生率を高める、この二点の重要課題が、取り上げて、そして、結果として、この総合戦略が目玉となっておりまして、自治体名がどこであっても同じような戦略になっているということがあります。
これはまさに日本全体の問題であって、市町村単位に置き換えて地方創生を掲げることというのは、ちょっと逆説的になるんですけれども、疑問の声が上がっています。つまり、これは、全体の、国の問題ではないか、一地方自治体が、町だけでやっていて解決できる問題じゃないということが、声が出ておりまして、特にこれは、今回のレポートが出てから、各知事の皆さんからこういった大きな声が上がっています。
自治体に転嫁していくレベルの問題ではないという指摘に対して、大臣はどのように見解を持たれるか、お聞きします。
○自見国務大臣 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、今回のレポートで示された深刻な危機感は、地方だけでなく国の課題として受け止めてございます。
政府といたしましては、規模の小さな自治体を含め、地域に共通する困り事というものも解決していくという観点から、地方創生、四つの柱も掲げさせていただいておりまして、それに沿った施策も推進しているところでございます。
加えまして、私といたしましては、共通課題というところで、新しい発想も取り入れつつ、更なる取組が必要だと考えてございまして、進学を契機に地方から東京圏に流入する若年層を地域に還流するため、地方への就職活動に係る交通費の支援と、地方への就職に際しての移動費の支援。
また、女性、若者、子育て世代にとって魅力ある雇用を創出するための地方拠点強化税制について、制度の対象となる部門の拡充や、子育て施設の対象への追加。
そして、三点目といたしましては、地方で安心して子育てができる環境づくりのため、遠方の分娩施設で出産する妊婦への交通費等の支援、里帰り出産を含めた効果的な周産期医療体制の確保。
そして四点目は、買物困難のお話も最近よく聞くところでございます。買物困難者に対する移動販売等による、移動販売の手段の確保による支援などの取組を進めてまいりたいと思ってございます。
先ほど申し上げたように、十年という節目でございますが、これまでの地方創生の取組の全体の振り返りも現在行っているところでございまして、六月にお示しすべく作業を進めてございます。
その中で、委員の御指摘についても振り返りの中で真摯に受け止めてまいりたい、あるいは自治体の様々な長の皆様の御発言についても真摯に受け止めてまいりたいと考えてございます。
○田中(健)委員 まさに今、交通費や移動費等はなかなか一自治体ではできないところもありますので、そこは大変にいい取組だと思いますので、取り組んでいただければと思っています。
最後、地方創生においては、これまで交付金ということが先行型や加速型、推進型と進んでいまして、二〇二〇年から臨時交付金ということで、これはコロナのばらまきとも言われるような、十八兆を超える巨費が投じられました。
そして、現在、岸田政権が看板政策に掲げるデジタル田園都市国家構想にこの推進交付金が組み込まれました。自治体のデジタル化を進める中で、自治体のDX市場は二五年度に一兆円に達すると言われています。この間、今検証すると言っておりますが、地方創生が必ず成功しているとは私も思えない中、同じようなことが繰り返されるんじゃないかといった危惧の声も上がっています。
結局、コロナ禍で変質してしまった、更に看板政策によって変遷を経て、この地方創生という四文字は、ちょっと後方に退いたというか、名前が後になってしまって、どうしてもデジタル国家構想の中に組み込まれてしまっていますが、どのようにしてデジタルによって地方創生ということに十年を経てつなげていくのか、大臣のお考えをお伺いします。
○自見国務大臣 お答えいたします。
我が国が、急激な人口減少、少子高齢化の進展や地方の過疎化、地域産業の衰退に直面する中で、地域の行政サービスの維持向上や産業の活性化をいかに進めていくかが地方創生の課題だと考えてございます。
こうした社会課題を解決する手段といたしましてデジタルの活用を推進しているところでございまして、地域社会の生産性や利便性を大きく向上し、地域の魅力を高めることができると考えてございます。
このため、政府といたしましては、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指しまして、デジタル田園都市国家構想の実現を地方創生の方針として掲げており、様々な具体的な施策も進めてございます。
ただ一方で、委員の問題意識の根底にもあるかと思いますが、デジタルは地方創生の手段でございまして、それ自体が目的化してはならないと考えてございます。よく河野デジタル大臣もおっしゃってございますが、国が共通するサービスを提供し、自治体はそれを使う、いわばつくり込みから使い倒しが大事だということをよく繰り返しおっしゃっておられます。そういった観点も併せつつ、地方創生の取組を加速化させてまいりたいと思ってございます。
○田中(健)委員 まさにデジタルは手段であります。それが目的化してしまうと、何のための地方創生かということがおかしくなってしまう、根本から変わってしまいますので、やはり地方創生担当大臣ですので、地方創生ということを主に置いて、そのための手段としてのデジタルをしっかりと考えてほしいと思っています。
次なんですが、地方創生の中には企業版ふるさと納税というのがあります。これは財源の不足に悩む自治体に向けて国が創設した制度でありますが、資料の三番目です。これを使って課税逃れの可能性ということが新聞に報道されておりました。
この企業版ふるさと納税をした企業の子会社がその寄附を使った町の事業を受注する、資金還流のような疑惑が持ち上がっており、この町議会では百条委員会も開かれて、今最後の報告書が上がっているようであります。
ちょっと詳しくは時間がないので読んでいただきたいと思うんですが、そもそも、この企業版ふるさと納税というのは、寄附額の最大九割が法人税などから排除されるということで、地域を支えるための制度だったんですが、このようなことが今起きているということで、これが地方創生と言えるのかということでありますが、現状の認識と見解を伺います。
○自見国務大臣 お答え申し上げます。
企業版ふるさと納税は、地方への資金の流れを生み出すとともに、寄附を通じた新たな官民連携の取組を創出するための制度でございまして、優れた地方創生の事例も生まれてきているところだとは承知してございます。
委員御指摘の点につきましては、内閣府令におきまして、寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与することを禁止してございまして、地方公共団体においては、法令を遵守した上で、本制度を適切に御活用いただきたいというふうに考えてございます。
○田中(健)委員 これは、利用の趣旨からいうと望ましい形じゃないと思っていますので、是非、実態を見極めて、また、報告書が出るということでありますので、必要であれば制度の見直しも含めて検討をお願いしたいと思っています。
済みません、副大臣、お待たせしました。最後、スマホ新法について伺いたいと思います。ずっと取り組んできた課題でありました。
四月末に閣議決定されたスマホ新法において、我が党は従来からデジタル小作人状態の日本を脱するための法整備が必要と訴えてきましたが、本法案によってそこから脱していけるのか。政府はどういった効果を期待して今回の法案を作成したのか、副大臣にお伺いします。
○工藤副大臣 お答え申し上げます。
田中委員御指摘のとおり、デジタル分野は、我が国経済の成長に不可欠であり、公正な競争環境確保は重要な政策課題と認識しております。
今般国会に提出した法案は、スマートフォンが国民生活及び経済活動の基盤となる中で、スマートフォンの利用に特に必要なアプリストア等の特定ソフトウェアについて、セキュリティー等を確保しながらイノベーションを活性化し、消費者の選択肢の拡大を実現するために競争環境を整備するものでございます。
このような対応によりアプリストアの新規参入が進めば、競争が促進され、手数料の引下げにつながるなど、デジタル分野の成長に伴う果実を、スタートアップを含む我が国の関連事業者、ひいては消費者が公正公平に享受できるようになることと期待しております。
○田中(健)委員 このデジタル小作人の問題も大変大きな課題でありまして、私たちの地方創生にも、また地域にもつながってまいります。
デジタル赤字は今や毎年五・五兆円であります。日本の企業の声や産業政策とも連動する必要性が高いと思いますが、経済産業省に今日来てもらっていますが、本法案に対してどういう動きを取っていくのか。また、既に経産省はデジタルプラットフォーム取引透明化法を策定しておりますが、この関係はどのようになるのか、伺います。
○西村政府参考人 お答え申し上げます。
我が国の経済の成長に不可欠なデジタル分野の更なる成長を促すためにも、スマートフォンにおけるアプリストア等の市場において適正な競争環境が維持されることが重要と考えております。経済産業省としても、御指摘の新法案を通じて競争環境が整備されることで、今後成長が見込まれるアプリ市場において多様な主体によるイノベーションが活性化されることを期待いたしております。
取引透明化法との関係についても御質問がございました。
アプリストア分野において規制が重複する部分については、二重規制を防止する観点から、御指摘の新法案において一元的に規制することが適当と考えております。
具体的には、新法の施行後に取引透明化法の規制内容が実質的に充足されるよう、新法の下位法令や運用について公正取引委員会と密接に連携、協議してまいりたいと考えております。
○田中(健)委員 済みません、質問を残してしまいましたが、時間となりましたので、終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 次回は、明九日木曜日午後二時三十五分理事会、午後二時四十五分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時三十九分散会