衆議院

メインへスキップ



第18号 令和6年5月14日(火曜日)

会議録本文へ
令和六年五月十四日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 井上 信治君 理事 小林 史明君

   理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君

   理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君

   理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君

      今村 雅弘君    上杉謙太郎君

      黄川田仁志君    小寺 裕雄君

      橘 慶一郎君    谷川 とむ君

      土田  慎君    土井  亨君

      中川 貴元君    中川 郁子君

      橋本  岳君    福田 達夫君

      藤丸  敏君    堀井  学君

      保岡 宏武君    柳本  顕君

      城井  崇君    坂本祐之輔君

      中谷 一馬君    福田 昭夫君

      山井 和則君    早稲田ゆき君

      赤木 正幸君    伊東 信久君

      伊佐 進一君    浮島 智子君

      高橋千鶴子君    田中  健君

    …………………………………

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)          加藤 鮎子君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    土田  慎君

   法務大臣政務官      中野 英幸君

   厚生労働大臣政務官    三浦  靖君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (デジタル庁統括官)   冨安泰一郎君

   政府参考人

   (法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官)           中村 功一君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 吉田 雅之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 小山 定明君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       浅野 敦行君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           淵上  孝君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           森  孝之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 田中佐智子君

   政府参考人

   (厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長)    辺見  聡君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  土田  慎君     中川 貴元君

  坂本祐之輔君     山井 和則君

同日

 辞任         補欠選任

  中川 貴元君     土田  慎君

  山井 和則君     坂本祐之輔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(内閣提出第六一号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案、いわゆる子供性暴力防止法を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人としてこども家庭庁成育局長藤原朋子さん、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、法務省大臣官房サイバーセキュリティ・情報化審議官中村功一君、法務省大臣官房審議官吉田雅之君、同じく小山定明君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行君、文部科学省大臣官房審議官淵上孝君、同じく森孝之君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官田中佐智子さん及び厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長辺見聡君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。岡本あき子さん。

岡本(あ)委員 立憲民主党・無所属の岡本あき子でございます。

 本日は、質問の機会をいただき、ありがとうございます。

 冒頭に、野党の筆頭理事として、先日、本委員会の一般質問の折、我が会派の阿部知子委員から、こども家庭庁の御答弁でちょっと不誠実、不十分なところ、理事会で協議をしてほしいという発言がありました。その後、委員長それから与党筆頭理事にも御配慮いただきまして、そのことに感謝を申し上げたいと思います。こども家庭庁及び厚労省から、阿部知子委員それから私に御説明がありました。

 一言申し上げれば、阿部知子委員の意図は、今回の子ども支援金制度で今後、後期高齢者に一定の御負担をいただく、それと同時期に、出産一時金ということで、これが増額することについて、後期高齢者に新たに、今まではいただいていなかったんですが、新たに御負担をいただくことになります、後期高齢者が一体、この二つ合わせたら新たにどのぐらい負担することになるのか、このことを示してほしいという思いで伺ったものです。答弁としては、支援金はこども家庭庁が答えられるが、出産一時金については医療なので厚労省になるということで、前々回、一般質問のときにはお答えになりませんでした。

 出産に係る費用を支援するというのは、やはり少子化対策としても非常に重要な政策になります。年金額百万円とか二百万円の後期高齢者が新たに一体幾ら負担増になるのか、これは誠意を持ってお願いするべきというのが私たち立憲民主党の思いです。

 大臣、厚労省とこども家庭庁が別々な制度だから分からないではなくて、子供のための、後期高齢者にもこういうお願いをさせていただく、そういう姿勢を、こども家庭庁、そしてその筆頭の大臣自ら持っていただきたいということを強く求めたいと思います。この点はお聞きいただければと思います。(発言する者あり)ありがとうございます。

 では、子供性暴力防止法案について伺ってまいりたいと思います。

 最初に、予防、早期把握のための取組について伺います。

 性暴力防止の大前提として、子供たちに対する、性や妊娠、出産に関する正しい知識を習得する機会となる包括的性教育、これは大前提として不可欠です。

 資料1を御覧いただきたいと思います。

 生命の安全教育を今は推進されて、一歩前進しましたが、それ以前、二〇〇〇年には性教育が大きく後退をいたしました。学習指導要領で、いわゆる歯止め規定、これに縛られたままです。

 資料1で、二〇二二年八月に、公益財団法人日本財団、性と妊娠にまつわる有識者会議が、包括的性教育の推進に関する提言書を公表いたしました。

 ユネスコに基づく国際セクシュアリティ教育ガイダンスに沿って、科学的に正しい知識と、関係性や健康と幸福のためのスキルなどを身につけ、自分を大切にする判断を自分で持つということが大変重要です。ここ、ちょっと資料が小さくて見えないと思いますけれども、赤線に書いた部分を説明させていただきました。包括的性教育により性的行動が慎重になることはあっても、寝た子を起こすような早めることにはならない。これは、研究のエビデンスもしっかりあります。

 国際的にも、日本の性教育は大きく後退したままです。性行為そのものを過剰に避ける歯止め規定、とらわれ過ぎではないでしょうか。この点、改善があるのか、文部科学省に伺います。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 学校における性に関する指導につきましては、発達段階を踏まえつつ、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切な行動が取れるよう取り組むということが大事であるというふうに考えてございます。

 学校における性に関する指導に当たりましては、個々の生徒間で発達の段階の差異も大きいということ、また、児童生徒、保護者、教職員が持つ性に対する考え方も多様であるということから、集団で一律に指導する内容と、個々の生徒の抱えている問題に応じて個別に指導する内容とを区別して指導するということとしているところでございます。

 こうした中、全ての生徒に共通して指導する内容としては妊娠の経過は取り扱わないということとしているところでございますけれども、子供たちが性に関して正しく理解をし、適切な行動が取れるよう、現行の学習指導要領に基づく着実な指導に努めることが重要であると考えているところでございます。

 今度とも、そうした指導の徹底に努めてまいりたいと考えてございます。

岡本(あ)委員 集団では取り扱わないというのは、依然残ったままなんですね。

 資料1の右側に、円で描いた図があります。小さくて見えにくいんですが、一番真ん中の一定程度大きな丸に「生殖」、それから左下に「避妊」というところがあるんですが、包括的性教育の中でも一番科学的に正しい知識で教えるべきことが、すっぽり抜ける可能性があります。個々にということは分かりますけれども、ただ、学校の先生方、性教育のことを子供たちの発達状況において全ての子供たち個々にやれるほど余裕がございません。

 改めて、この点、必要な知識として、過剰に踏み込むなというところは分からなくはないですけれども、しかし、正しい知識をしっかり理解をいただくということは必要だと思います。

 もう一度、ちょっとこの個々にということが本当にできるのかどうか、この点も含めてお答えいただきたいですし、全てにおいてということでいまだに歯止め規定を掲げている必要はないんではないかと思います。この点、もう一度お答えいただけますでしょうか。

森政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど御答弁申し上げましたように、学校における性に関する指導に当たりましては、発達段階を踏まえて、児童生徒が正しく理解をし、適切な行動が取れるように取り組むということが重要であるというふうに考えてございますけれども、個々の差が大きい、考え方も多様であるということから、一律に指導する内容と個別に指導する内容とを区別して指導すると。

 こうしたことで、全ての生徒に共通する指導内容といたしましては妊娠の経過は扱わないということにしているところでございますけれども、いずれにしても、子供たちが性に関して正しく理解をし、適切な行動が取れるように、着実な指導に努めてまいるということが重要であるというふうに考えてございます。

 そうした観点で、生命の安全教育に関わりましても、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないということを目的として実施をしているわけでございますけれども、子供たちが、性に関する指導、性に関する理解を正しく、理解をしっかりとしてもらうという観点から、集団で一律に指導する内容というふうにはしてございませんけれども、生命の安全教育に関する教材におきまして、児童生徒の発達段階に応じて、例えば幼児期、小学校低学年等では、水着で隠れる部分を他に見せない、触らせない、触られたら大人に言う等、自分を守ることの重要性、また、小学校の高学年では、自分と相手を守る距離感の概念、SNSの危険性等々を取り上げているところでございまして、生命の安全教育においてこういった内容を教えることで、子供たちが性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないよう、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

岡本(あ)委員 実際に生命の安全教育でどういうふうに取り組まれていくのか、結果が伴っているのか、この点はしっかり見ていただきたいと思いますし、国際的な基準からしてもやはり日本は遅れているんだということは認識していただきたい。

 国際のガイダンスより踏み込めとは言っておりません。ガイダンスに沿ってしっかり正しい理解をしていただく、そして、生殖に関して、体を守ることと同時に性行為ということ自体の持つ意味ということも正しく理解していただく、この点は引き続き求めていきたいと思いますし、結果として、歯止め規定が残っているということが、教育現場で触れてはいけないという教職員側の方の萎縮につながっているということも指摘をさせていただきたいと思います。

 続いて、相談機能について伺います。

 今回の法律の中に書かれているものですが、学校校内では、正直言って、子供が相談しにくい場面があるんじゃないかと思います。日常の相談先が学校校内など身近にあること、これは否定をしませんが、支配性、継続性、閉鎖性がある場所で、あるいは、そういう空間、そういう周りに人がいる中で相談すること自体が困難な場合があります。

 問題が起きた場合、内輪だけではなく、コミッショナーなど第三者機関の設置も必要ではないでしょうか。こども家庭庁、お答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案では、犯罪歴の確認のみならず、児童対象性暴力が行われる端緒を早期に把握するために、児童等が容易に相談を行うことができるようにするために必要な措置として内閣府令で定めるものを講じることを求めております。

 一律に義務づける具体的な措置として、現時点で、例えば相談員の選任やその周知等が考えられますけれども、そのような義務づけ以外にも、子供の視点に立ち、より相談がしやすくなるようにする更なる環境整備についても、関係省庁や業界団体とも相談をし、教育、保育分野に加えて、ほかの分野も含めた先行的な取組も把握をしながら、よりよい相談体制、方法を検討していきたいと考えております。

岡本(あ)委員 一か所である必要はないので、いろいろな、それこそ個々に応じて相談先がある、こういうところを求めたいと思います。

 次に、ちょっと時間の関係があるので、この件に関して大臣にお答えいただきたいと思います。

 学校や事業所内では、被害者が特定されることを避けるという理由で事件化せず、あるいはもみ消し、示談等を勧めるなどが過去にあったと聞いたことがあります。この法律によって、未然防止、また、もし性被害が発生したら、子供にしっかり寄り添う、しかも、子供の本音に寄り添った対応となることを期待したいと思います。

 この法律によってどういう効果があるのか、期待されるところ、大臣に伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の法律案におきましては、児童等に対して教育、保育等を提供する事業者が児童等に対する性暴力等を防止する責務を有することを明らかにするとともに、事業者が児童を対象とした性暴力等を防止するために講ずべき措置について定めております。

 事業者が当該措置を講じるに当たりましては、子供の視点に立ち、子供に寄り添った対応がなされるよう措置の内容を検討してまいります。

 また、教員等による児童を対象とした性暴力等が行われた疑いがあると認められるときは、その事実の有無及び内容について調査を行うことにしております。当該調査によって犯罪の事実があると認められるときは、速やかに所轄警察署に通報すること等を事業者に周知をし、厳正に対応することを求めていきたいと考えております。

岡本(あ)委員 学校あるいは保育所については、既に免許の関係で法律があるので、かなり毅然とした対応になってきていると思います。今後、事業所等が対象になっていきますので、是非、実効が上がるように、そして子供の本音に寄り添った法律施行になることを期待したいと思います。

 次に、対象事業者について伺います。

 狭い意味の民間教育事業のみならず、子供に関わる業務の事業者はすべからく認定事業者になることが当たり前、こういう啓発をしていただきたいと思います。

 資料2で赤線を引かせていただきました児童に技芸又は知識の教授を行うもの、これは、教育機関じゃなくても、プロであっても、こういう事業所、いわゆるタレント養成所とか、あるいはプロ契約、こういうところも対象にしていただきたいと思います。この件については、この後、山井委員がしっかりと質問してくださると思いますので、答弁は今回は飛ばして、次に進みたいと思います。

 一点、対象事業者で、ちょっと質問を一個飛ばしますが、医者、医療スタッフ等で小児医療に携わる場合、この法律では認定の対象になりますでしょうか、お答えください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 児童等に対して教育、保育等の役務を提供する事業につきましては、児童の教育、保育がその心身の健やかな育成に資することを目的とするものであるにもかかわらず、そういった場において児童の心身に重大な影響を与えるような被害を生じさせることはこの目的にそぐわないこと、こういった性質を有することから、児童の性暴力防止について特別の注意を払うことが必要でございます。そのような観点から、本法律案では、児童等に対して教育、保育の役務を提供する事業者を対象としております。

 一方、医療機関でございますけれども、実際には、教育、保育施設とは異なり、必ずしも、患者さんは様々いらっしゃるので、子供を対象とする機関ということではないこと、あるいは子供との接し方が様々であって、また医療機関のいかなる事業、いかなる業務を、医療機関には医師以外にも様々な職種の方がいるわけですけれども、どのような業務を対象にするかなど、これらをどのように線引きするかといった課題があると考えられまして、本法律案においては医療機関を対象事業としてはしてございません。

 引き続き、関係省庁とも連携して、対応については考えていく必要があると認識をしておりますけれども、まずは、本法律案の施行についてしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

岡本(あ)委員 ちょっとこの点については私は異論がございます。

 医療機関、確かに様々な患者さん、ただ、私が質問しているのは、小児科の診療と言わせていただいております。ドクターが異動されるケースもあるということは重々承知ですが、それはほかの事業者でも同じことが言えると思います。

 主に子供に接する業務に携わる方は、私は先ほど、すべからく認定を受けていただく、この努力を法律の施行とともに啓発をする、これがこども家庭庁の任務だと思っております。

 医療だけは例外というところには私は違和感がありますので、これが完成形ということではなく、やはり今後もしっかり見ていく、このことを申し上げたいと思いますし、そのことを受け止めていただきたいと思います。

 あと、本会議の質問、それから委員会でもありました、データベースが複数存在するということについて伺いたいと思います。採用する側、事業者側の負担が非常に増大することが予想されます。この点については、デジタル庁にお伺いをしたいと思います。

 ワンストップ、ワンスオンリーなどの原則を考えると、それぞれ別々のデータベースを事業者が確認する手間、これを増やすという手続は、今後、改善を図る検討はされるべきじゃないかと思います。特に、デジタル庁としては、こういうときに必要な助言、こういうことができる立場ではないかと思います。是非、この点もこども家庭庁だけがやればいいということではないということで、デジタル庁、お答えいただければと思います。

冨安政府参考人 御答弁いたします。

 一般論といたしましては、委員御指摘のように、関係する複数の情報システムがございます場合に、それを連携することなどによりましてワンストップなどを実現し、利用者の利便性の向上や業務の効率化を高めることは非常に重要なことだと考えております。

 本件に関しましては、関連するデータベースにつきまして、それぞれの制度に基づき順次整備されてきていると承知しており、いわゆる子供性暴力防止法案における犯罪歴確認の仕組みにつきましても、こども家庭庁において詳細に検討されていくものと承知しております。

 デジタル庁といたしましては、このこども家庭庁のプロジェクトに対しまして民間専門人材も派遣しておりますし、引き続き、必要に応じてこども家庭庁と課題の認識を共有しつつ、デジタル技術の知見を生かした支援を行いたいと考えております。

 また、デジタル庁では、各府省情報システムの予算や執行の内容を確認するレビューを行っておりますので、そういったレビューを通じましても、関係する情報システム間の整合性の確保を図るなど、効率的かつ利便性が高い行政サービスの提供がなされるよう、委員御指摘のように、助言を行ったり、必要な連携を各府省としてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 ここの委員会はデジタルも扱う委員会ですので、是非、こういう新たな制度に取り組む際に、デジタルの発想で何ができるか、この点も視野として入れておいていただきたいと思います。

 資料3―1、資料3―2を御覧ください。

 この制度の根幹に関わる部分でもあるんですけれども、私はそもそも、なるべく犯罪履歴、これを外に出さない仕組みにできなかったのかという点をずっと考えております。資料3―1で、結局、犯罪履歴があっても交付できる仕組みが残っております。犯罪履歴なしの場合は交付する前提になっています。資料3―2のところで、有識者の委員からも御発言がありました。プライバシーとの関係で、最高裁の判決も出ておりますが、特に前科等は高度のプライバシーに係る情報であるということになります。

 今回、無犯罪履歴あるいは手続によっては犯罪履歴を事業者に渡すという状況で、大きな判断が入っている法律になります。今回の制度においても、犯罪事実確認書ではなくて、例えば確認済みだという通知などにすることができなかったのか、あるいは犯罪履歴がある場合は通知を出せないという旨を知らせるということができないのか。将来的には、例えば、子供に関わる仕事を希望する者の登録制などの仕組みをつくって、そこに登録するには、犯罪履歴のチェックを登録機関が行って、チェックをクリアした人のみ登録されて、求人をする側はその登録リストに載っている人を採用するなど、犯罪履歴そのものが外部に出る、これを防ぐことの仕組みということを考えてはいかがかと思いますが、この点、大臣、どうお考えでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、犯罪履歴を外部に出さない仕組みはできなかったものかどうかという点につきましてですが、御指摘のように、性犯罪前科は高度なプライバシー情報であることから、これがみだりに公開されるようなことがあってはなりません。

 一方で、本法案におきましては、子供に対する性暴力を防止する責務を有する対象事業者に対し、その責務を果たすための重要な手だてとして、性犯罪前科を交付する制度を創設することとしてございます。このような仕組みとすることにより、事業者がより主体的に子供の安全確保に取り組むこととなり、それによってより子供の安全の確保に資する制度になるものと考えております。その場合、交付する性犯罪前科の内容につきましては、事業者が児童対象性暴力等を防止するために必要な措置の実施に必要最小限の情報を記載することとしてございます。

 また、後段で登録制度の創設を検討したらどうかという御指摘でございます。

 個人が登録できる仕組みにつきましては、仮に犯罪歴がなければ登録されるというものを指しておられるとすれば、それは前科の有無を公にすることに等しいことともなります。この場合、対象事業とは無関係の業種に関して、就職時に登録の有無を証明するよう求められるなどして、前科の有無が明らかになってしまうおそれが生じます。

 また、仮に職にふさわしいことを表す幾つかの要件の一つとして犯罪歴がないことを求め、そのような審査をした者について登録するという意味の登録制度、仕組みとすることをおっしゃられている場合ですと、個人からの登録申請の一つ一つについて、その申請の当否を確認しなければならないこととなり、膨大な人手や手間を要する結果、実効的な仕組みの構築が困難となるおそれがあるといった課題があるものと考えてございます。

 また、最後に御指摘をいただいた点ですね、確認済みという通知を出すこととして、犯罪履歴がある場合は通知を出さない旨を知らせるという方法についてでありますが、その場合ですと、通知を出せない者については性犯罪前科を有する者ということになるため、性犯罪前科を有することを事業者に明らかにしてしまうことと同じことになるものと考えられますので、ちょっと難しいのかなというふうに考えております。

岡本(あ)委員 登録制にすると非常に膨大だとおっしゃっておりますけれども、それくらいの覚悟が必要なんじゃないかと私は思っているんです。私は、子供に携わる方、非常に対象を広げていただきたいという思いがあるので、であれば、作業量は膨大になるという前提で、それこそデジタルを活用する、あるいは資料3―1で、こども家庭庁の中に、このシステムの中にそういう登録機関というのをつくることができないか、そういう様々な検討は今後もやっていただきたいと思います。

 犯罪履歴をどんどん交付するということがいいという前提に立つよりは、よりお互いにとって不利益を講じない、加えて、やはり最終目標として、子供を徹底して守る、そのための事業者も広く求める、この点を私たちの党としては主張していきたいと思っています。

 このデータシステム、扱うのは、やはり、高度な情報ですので、信頼あるところでなければならないと思います。委託先の話、前回、委員会でもありましたけれども、個人情報漏えいは絶対あってはなりません。委託先も慎重に選んでいただきたいと思います。この点、お答えいただきたいと思います。

 あわせて、ちょっと時間の関係で最後の質問をさせていただきたいと思いますが、この点も含めて、ガイドラインで決めていくことになるのかなと思っています。子供に関わる仕事の働き方に大きく関わる法律で、ガイドラインです。法制度の専門家のほか、働く者の代表も参画して策定をするべきです。また、子供自身の意見表明の機会も確保することが必要だと思います。

 システムを委託する点はこども家庭庁に、それから、ガイドラインの策定のメンバーに関する件は大臣にお答えいただきたいと思います。

藤原政府参考人 まず、委託先につきましてお答え申し上げます。

 特定性犯罪事実の該当者への事前通知や、公権力の行使に当たる認定の判断ですとか監督事務そのものにつきましては、こども家庭庁が実施をすることになると考えております。

 また、これ以外の事務につきましても、委託先が特定性犯罪事実該当者の情報を知り得ることは適当ではないと考えており、例えば個人の犯歴についての情報の取扱いを委託することは想定をしておりません。

 こうした情報以外の、認定申請のチェックですとか犯罪事実確認交付申請のチェック、例えば入力された戸籍情報と戸籍謄本の照合などですけれども、こういった事務は委託する方向で検討していきたいと考えております。

 また、この場合であっても、従事者等の個人情報が含まれることも想定されますので、委託先の選定においては、十分な情報管理体制があるかといったことも考慮して、漏えいが生じないように万全の体制を構築していきたいと考えております。

加藤国務大臣 ガイドラインの検討過程についての御質問にお答え申し上げます。

 ガイドラインを検討する各過程におきましては、関係団体等の意見もしっかりとお聞きしながら進めてまいります。

 例えば、児童対象性暴力等が行われるおそれの考え方ですとか、それを判断するに当たっての判断プロセス等につきましては、今後、事業者向けにガイドライン等を作成していく予定であります。このガイドライン等の作成に当たりましては、労働法制を所管する厚生労働省、また各施設等を所管する業所管省庁等とも相談をしつつ、労働法制に関わる関係団体や専門家の方々の御協力も得つつ検討を行っていくことが有効だと考えております。

 また、性暴力を防ぐ端緒をつかむ上で、子供たちが相談しやすい環境づくり、これについてもとても重要になりますので、その具体的な内容を定めるに当たっては、是非当事者である子供たちの意見も聞いた上で進めてまいりたいと考えております。

岡本(あ)委員 時間が参りましたので終わりますが、全ては、多くはガイドラインに懸かっていると思います。この点、事業者にとっても理解しやすく、そして、徹底して子供を守っていく、その点が盛り込まれることを期待申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、山井和則君。

山井委員 よろしくお願いいたします。三十分間、DBS法案に関連して、このDBS法案も再発防止に大きく役立つと思いますが、私は、ジャニーズの性加害の被害者の方々のお話をさせていただきながら、このDBS法案の重要性について加藤大臣と質疑をさせていただきたいと思います。

 最初に申し上げますけれども、これは、去年、約四万人の署名をジャニーズの被害者の方々が集められて、各党に持参されました。ここに書いてありますように、法改正をしてほしいと。

 そういう意味では、私が初めてジャニーズの被害者に会ったのは去年の五月十六日でありまして、ここにもありますように、橋田康さんと岡本カウアンさん。今日の配付資料にもございますけれども、六ページ。第一印象、やはりジャニーズの方というのは格好いいなと本当に思いました。子供が性被害を防ぐのは難しい、繰り返さないため法整備が必要ということで声を上げられました。

 この一年の間、私は七人の被害者の方に話を聞きました。もちろん、私個人だけで聞いただけではなく、私たちの党のヒアリングにもお越しをいただいてお話をお聞きした方もおられます。

 そういう中で、最初に申し上げますけれども、被害者の方々は、はっきり言って、政府を攻撃されているわけでも全くありませんし、各党がどうとおっしゃっているわけでも全くありませんし、私も、今日こうやってジャニーズの被害者の方々のある意味での代弁をさせていただく以上、政府と戦う気も全くありませんし、各党仲よく力を合わせてやりたいと思っているんです。

 というのは、被害者の方々の思いはそういうことなんですよね。政府にも頑張ってほしい、各党にも頑張ってほしい。ただ、やはり一番の願いは、昨日の晩も私のところにメールが被害者の一人から来ましたけれども、御無沙汰しております、子供たちを性加害から守ることができるようにならなければ、旧ジャニーズの性加害問題は完全に解決したとは言えないと思いますと。ある被害者の方々からメールをいただきました。

 そういう意味では、元々この被害者の方々が声を上げられたのは、ストレートに言いますけれども、補償金が欲しいからではないんです、全くないんです。もう彼らは言っています、自分たちの人生は戻ってこないと。自分たちの経験を顔出しで話すことによって子供たちを性暴力から守りたい、できれば法整備をしてほしいという思いで顔出しで発言をされています。

 そういう意味では、私が今日質問させていただきますのは、今回のDBS法案も、このジャニーズの被害者の方々のような、子供への性暴力の再発防止に大きく役立つと思いますから、ジャニーズの被害者の方々も大変、このDBS法案に関しては期待をして、喜んでもおられます。

 申し上げにくいんですけれども幾つか具体例を読み上げますが、ここに幾つか本がありますけれども、実は五十年以上被害が続いていると言われているんですよね。例えばここにあります本でも、ジャニー喜多川氏がジャニーズの若者をそういう性被害に遭わせているというこの本を見たら、一九八九年なんですね、今から三十五年前。かつ、週刊文春が連載をしたのも二十数年前。つまり、これは言いづらいんですけれども、知らなかったんじゃないんですよ。マスコミ、政府、議員、国民も含めて、言っちゃ悪いけれども、みんな知っていたんですよ。

 それで、この被害者の方々が何を悲しんでいられるかというと、みんな知っていたんじゃないんですか、ジャニーズの若者がこういう性暴力にジャニー喜多川氏から遭っているということは知っていたんですよね、知っていたのに政府も国会もマスコミも何で止めてくれなかったんですか、止めていたら新たな被害者は出てこなかったじゃないですかと。

 ちょっとこれも具体名で言いづらいですけれども、この当時の、二、三十年前には、私も大好きだったフォーリーブスの北公次さんも本を書いて、こういう性被害に遭ったからやめてほしいということを、告発をもう二十数年前にされましたけれども、やはり、ジャニーズのタレントさんははっきり言ってテレビでも大活躍されているわけだから、そういう声を言ってもみんな見て見ぬふりを続けて、北公次さんも、覚醒剤でも、一時期薬物中毒にもなられますし、最終的に亡くなってしまわれました。

 何を言いたいのかというと、それで今、今日の配付資料にありますように、私、去年の五月十六日、初めて会ったときに、あっ、二、三十人ぐらい被害者はおられるのかなと思いました。でも、今日の配付資料にもありますように、十四ページ、名のり出た方だけで現時点で九百八十五人。名のり出た方だけで九百八十五人ですから、二、三千人ぐらいもしかしたら被害者はいるんじゃないか。そのうち補償で合意されたのは三百九十九人ですから、一年たったけれども、半数以上の方は補償、救済のめども立っていないんですね。

 私も、こういう個別の、SMILE―UP.やジャニーズという問題を国会で取り上げることに関してはちゅうちょもあります。ちゅうちょもあります。ただ、今回、DBS法案で議論される以上は、言っちゃ悪いけれども、国会や政府もこのジャニーズ被害の問題を見て見ぬふりはできないんじゃないか。私も二十四年間議員をやっていますから、私自身も見て見ぬふりをしてきたわけです。

 ちょっと早口でいきますけれども、週刊文春さんが書かれたこととか、例えば本人が話していられることですから読み上げますが。

 カウアン・オカモトさん。ジャニーさんに十五回されました、こういうことを自分でおっしゃっています、顔出しで。

 次、橋田康さん。話をしたら両親は泣きました、そして、小学校六年生のときに被害に遭った。橋田さん。

 それで、あとは、次は二本樹さんですね。この方もヒアリングの場でおっしゃいましたけれども、私は、一九九六年、中学一年生のときにジャニーズ事務所のオーディションを受けて、ジャニーズジュニアとしての活動を始めました、それから三か月ほどたった頃、ホテルでジャニー喜多川氏による口腔性交などの性加害を受けました、ジャニー氏の予想しない行動に体が硬直してしまったことと、事務所の社長に抵抗したらどうなるんだろう、仕事がもらえなくなるんじゃないだろうかという考えがよぎり、拒絶することができませんでした、その後、半年間の間に十回以上の性加害を受けましたと。

 それで、タッキー&翼のコンサートの夜、ジャニーさんに襲われました。中村一也氏。

 そして、これも読み上げるのはつらいんですけれども、被害者の石丸氏は、「ジャニーさんがお尻に自分でクリームを塗って…」というふうな、本当にもう余りにもひどい、こういうことです。

 それで、私、聞き取り調査で会ったときに聞いたんですね、何で顔出しして発言されるんですか、大丈夫ですかと。これは誹謗中傷が山のように来るわけですよ。私もジャニーズファンの一人ですから。ジャニーズのタレントさん、好きな人が多いわけですから。

 ある人はおっしゃいました。いや、それはそんな、自分は顔出しして発言するなんて全く考えていなかったけれども、自分が携わっている仕事で、最近、ある中学生の女の子が不登校になっちゃった。どうしたんですかと聞いたら、いや、ある男性の先生からそういう、性暴力を振るわれたと聞いた。そのときに、このジャニーズジュニアのある人は、あっ、そうか、今も被害は続いているんだ、自分が顔出しで言うことによって、そういう今の若い子供たちを救えるんじゃないか、それで顔出しを決意したと。

 もう一人の方は、何で顔出しで発言されているんですかと聞いたら、実は、ジャニーズをやめてからちょっと、タレント養成というかそういう仕事をしていたと。そこには、女性の多くのタレントの卵の方もたくさんおられた。ところが、すてきな、すばらしい、デビューできる女の子だなと思っていたら、一人消え、二人消え、あれっ、あれっと思って聞いてみたら、実は、事務所の社長さんやレッスンの先生からそういうことをされて、もうやっていけませんと言われたと。そのときに、ジャニーズジュニアの人は、そうか、被害に遭っているのは自分だけじゃないんだ、特に女性の方々なんかはもっと声を上げられない、そういう人たちを守るためには、勇気を振り絞って自分たちが十年前、二十年前のことでも告発すればというふうに立ち上げられたわけで。

 これは、千人以上の被害というのは、世界で見ても、人類史上、最も多くの被害なんですね。

 前置きが長くなりましたけれども、まず、加藤大臣、DBS法案に関連しているんですけれども、残念ながら、世界で最大規模の、ジャニーズの性加害問題というのが日本で起こってしまって、長年、申し訳ないけれども、山井本人も含めてみんな見て見ぬふりをしてきた。こういうふうなジャニーズの性加害の問題について、いかが思われますか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 性暴力は個人の尊厳を著しく踏みにじる重大な人権侵害でございます。被害者が一人であっても許されるものではありません。

 本件は、旧ジャニーズ事務所自体が長期間にわたる性加害を認めていると承知をしており、私としても決してあってはならないことと認識をしております。

 さらに、子供に対する性暴力につきましては、こども政策担当大臣として、また、子を持つ一人の親として、かけがえのない子供たちの尊厳を守ることが必要だと強く認識をしております。

山井委員 やはり大臣がそういう重要な答弁をしていただけることが本当に重要だと思っております。

 残念ながら、これは誹謗中傷がやはり多くて、誹謗中傷も一つの原因となって自ら命を絶たれてしまった方もおられるわけであります。

 この写真を見ていただきたいんですけれども、繰り返し言いますけれども、私は、本当に格好いいなと思うんですね。みんな、口をそろえて言っていますよ。

 誹謗中傷が、死ね、売名だろう、金もうけだろうといって、雨あられのように、嵐のように誹謗中傷にさらされて、不眠症になった、体調を壊した、寝込んでいる。そこまでして何で発言するのと言ったら、いや、自分たちがここで頑張らないと、日本の国の子供の性暴力がない社会がつくれないから、自分たちはもう命懸けで声を上げているんですとおっしゃっているんです。そういう方々の声を今回の法案に盛り込んでいただきたいと思うんですけれども。

 ついては、今回のDBS法案の目的というものに関しては、昨年来大きな問題になっている、こういうジャニーズの性加害問題の再発防止というのも一つの目的になっているという理解でよろしいですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供に対する性暴力の被害は、被害児童等の権利を著しく侵害し、被害児童等に対して生涯にわたって回復し難い有害な影響を与える極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではないと考えております。

 こども政策担当大臣として、先ほども申し上げましたが、本当に子供たちの尊厳を守ることがまず必要であると認識をしており、今回のこの法案やこども・若者の性被害防止のための総合的対策を推進することにより、御指摘のような事案も含めて、あらゆる子供への性暴力の防止が図られるよう最大限努力をしてまいりたいと考えております。

山井委員 私も、この七人の方々、国会に来ていただいて、十六控室でヒアリングをさせていただきましたけれども、お聞きしたんですね。どうして国会でこういう話をテレビカメラの前でするということを決意してくださったんですかと言ったら、やはり、再発防止には法律を作ってほしいんです、法律がないと子供を守れないと思いますということをおっしゃっていました。

 そういう意味では、加藤大臣が、今答弁していただいたように、今回のDBS法案を通じてこういう子供の性暴力が防止されるようになることを祈っております。

 そういう中で、ジャニーズの被害者の方々がテレビで、日本で声を上げられてから約一年がたっていますが、先ほどの配付資料にもあります、十四ページを見ていただけますでしょうか。これですね。

 繰り返し言いますけれども、私も数十人の被害者がおられるのかなと思いましたけれども、声を上げた方だけで、四月三十日時点で九百八十五人。残念ながら、その補償というので合意した人は三百九十九人と、四割なんですね。

 これは、言いづらいですけれども、何かヒアリングというのがあるそうですけれども、二十年前、何月何日、どこを、何回、どうやって触られたんですかとか、そういうヒアリングだと聞いておりますけれども。これもきついですよね、本人にとったら。忘れたいんですから。だから、そういうことをしながらも、かつ、まだ三百九十九人しか補償になっていないんですけれども。

 こういう個別の企業のことを国会で質問するのも、私もはばかられるところはあるんです。ただ、申し訳ないですけれども、余りにも規模が多過ぎて、社会的影響が大き過ぎるんです。ということは、今回、SMILE―UP.なりがどういう補償なり対応をするのかということは、今後の日本社会における一つの前例、モデルになってしまうんですね。

 そういう意味では、答えづらいとは思いますが、現時点で四割の人しか補償の合意がなされていない、こういう現状を、加藤大臣、いかが思われますでしょうか。

加藤国務大臣 今の御質問にお答えする前に、先ほどの御質問の最後、一つ加えさせていただきます。

 今法案は、子供への性暴力を防止することが目的であり、先ほど御指摘をいただいたような、子供への性暴力に係る事案の防止に資することも目的の一つだと考えております。

 その上で、今御指摘の御質問についてですが、個別事業者の対応の内容に関しましてはお答えを差し控えさせていただきますが、一般論として、事業者において性加害があったことを認めている場合については、例えば被害者への補償等を行うことを含め、事業者において適切に対応されるべきものと考えております。

 いずれにしましても、あらゆる子供への性暴力の防止が図られるよう最大限努力をしてまいります。

山井委員 もちろん個別企業のことは答えづらいと思いますので。でも、答弁していただいて本当にありがとうございます。

 ここにも書いてありますけれども、この資料のところに、石丸さん、千八百万円の補償額を提示されたということですけれども、今調停になっております、同意しておられないということで。ここにも書いてありますけれども、石丸さんは十四歳で事務所に入所。事務所にいた約三年で、ジャニー氏による性的な被害は五十回以上に及んだ。それで、結局、性被害から精神的な不調を感じ、三十代の頃には、心療内科でうつ病と診断されておられます。それで、今、仕事もできない状態で、私も、御自宅まで二度ほど行って、お話も聞かせていただきました。

 それで、今回、技芸ですね、岡本議員も申し上げましたように。この配付資料の一ページ目の、要は、民間教育事業、児童に技芸を行うものはDBS法案の対象ということですけれども、そうしたら、例えば、こういうジャニーズ事務所のように、子供たちに、ダンス、歌を含めて、子供たちのタレント養成所、こういうところは今回の法案の対象になるんでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 民間教育保育等事業者の認定に関して、児童等に知識又は技芸の教授を行っている事業者は対象になり得ると考えており、業務の実態を確認した上で、できるだけ多くの事業者を幅広く対象にできるようにしたいと考えております。

 御指摘の芸能事務所につきましては、児童に知識又は技芸の教授を行うなどの一定の要件を満たしている場合には対象となる事業者に該当するものと考えております。

山井委員 ありがとうございます。(発言する者あり)

 今、岡本議員もおっしゃった、宿舎の提供とかそういうところもしているわけで、今回のジャニーズの方々も、合宿所で一晩に五人連続とか、そういう被害にも遭われているわけですね。だから、残念ながら、今、タレントの卵で、仕事を与えるから、デビューさせてあげるからということで、その見返りに性暴力に遭っている若い男の子、女の子というのは残念ながら多いんですね。そういうことを根絶するということもこのジャニー被害者の方々の願いなんです。

 それで、加藤大臣、一つちょっとお願いがあるんですけれども。去年の七月、八月、ここのパネルにありますように、国連の調査団が来られたんです、二人の方ですね。ダミロラ議長とピチャモン氏という方、二人来られました。実は私も、国会議員でただ一人、ジャニーズの被害のことについて話を聞かせてほしいと言われまして、ジャニーズの被害者の方数人と、また、別々ですけれども、私も三十分間ヒアリングを受けました。

 そのときに、私、感動したんですね。開口一発、国連人権理事会のダミロラ議長の、ビジネスと人権の分科会の議長から言われたのは、私たちは、ジャニーズの被害のような、子供への性暴力の再発防止の法整備が必要だと思って、どのような法整備が必要かを聞きたくて山井さんにインタビューを申し込んだ、山井さんも、議員立法で、こういう法改正を検討しているらしいからということで。私は、国連の担当者が日本まで来て、再発防止に法整備が必要ですというのを、アフリカの方ですからね、言われたことにすごい衝撃を受けました。また、私の後に会われたジャニーズの被害者の五人の方は、議長さんたちは、話を聞いて、泣いてくれた、自分たちも泣きました、議長さんも泣いてくれたと言っていました。

 そういう中でですけれども、これもお願いしづらいことをお願いするんですけれども、こういうこと、発覚から丸一年がたちました。補償体制も整って、補償も進んでいる。そしてまた、DBS法案というものも国会で審議になって、恐らくですけれども成立すると思いますから、そういう意味では、ジャニーズの被害者の方々も、加藤大臣始めこども家庭庁の方々、自分たちの思いを受けて、こういう再発防止に資する法律を成立させてくださってありがとうという思いもあるんだと思います。

 ついては、非常にお願いをしづらいんですけれども、是非、ジャニーズの被害者の方々に、加藤大臣、会っていただいて、マスコミクローズでもちろんオーケーですから、話を聞いていただけないでしょうか。

 今日している質問は、全部質問通告していますから、質問通告どおりの質問ですけれども。

 このジャニーズの被害者の方々は、補償してくれとか、そんなこと、自分たちのことは一切おっしゃいません。一切おっしゃいません。やはり再発防止のための是非とも取組をしてほしいということを、人のことを話されますから、自分たちのことじゃなくて。

 私も一人一人の性暴力の被害の方に会ってくださいとは言いませんよ。ただ、日本の国が千人規模の性暴力を五十年にわたって見て見ぬふりをしてきたというのは、私も含めて痛恨の出来事です。痛恨の出来事です。

 おまけに、この方々は勇気を持って顔出しで発言されているので、この方々に会って、お話を聞いていただけないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 委員のお話を聞いておりまして、大変本当にその方々の思いが伝わってくるようでございます。本当にリアルに伝わってくるようでございます。

 子供、若者への性暴力は、繰り返しになりますが、決してあってはならないことでございます。長期間にわたって子供に対する性加害が繰り返されるということは断じて許されることではありません。年齢、性別にかかわらず、どのような状況に置かれた子供、若者であっても、性被害を受けることのない社会を実現するため、本法案や先般取りまとめた総合的対策を着実に実施することが政府の役割であると考えております。

 また、本法案の策定過程におきましては、子供の頃に被害に遭った当事者の方々から被害の状況や御意見を伺い、検討を進めてきたところでもございます。さらに、子供、若者の性被害防止対策を進めていく上で、継続的に当事者の方々のお話を伺うことが重要であるということを認識をしてございます。

 今後の取組の中でどのような方からどのような形でお話を伺うかは、今後適切に判断をしてまいりたい、このように考えております。

山井委員 もしどうしても大臣が御都合がつかないということであれば、こども家庭庁の担当の方でもいいと思いますが、やはり、ちょっと言いづらいんですけれども、私、一番思ったのは、なぜ、国連の担当者が、日本に聞いて、法整備、どうしましょうかという相談に乗っているのかと。日本の政府、動いてほしいなという思いがありますので、是非御検討いただければと思います。

 また、それに関連して、このジャニーズの被害者の方々は、女性を含めた再発防止のために取り組んでおられて、芸能界の健全化のために勇気を持って発言されているんですけれども、すごい誹謗中傷を受けておられまして、残念ながら、その結果、お亡くなりになられた被害者の方もおられているんですね。質問通告八です。それで、代表の方も、そういう誹謗中傷のせいもあってか、心筋梗塞でも倒れておられます。

 ついては、加藤大臣から是非とも、誹謗中傷しないようにということをこの場で、ジャニーズにかかわらず、性暴力の被害者が声を上げるというのは大変なことなんですよ。でも、そういう方がおられないと、やはり再発防止にならないと思うんです。いかがですか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 故ジャニー喜多川氏による性加害を訴えておられた方が誹謗中傷を受けているということは、報道でも承知をしてございます。

 個別の事案について申し上げることは控えますが、性犯罪、性暴力の被害に遭われた方々が誹謗中傷を受けるということはあってはならないことだと考えております。被害者が声を上げることは非常に勇気の要ることであります。被害者が被害を申告しやすい環境を整備し、被害者への支援が、再犯防止対策の充実へとつなげていくこと、これが重要であると考えております。

 私からも、被害に遭われた方々への誹謗中傷は是非やめていただきたいと、この場をおかりして世の中に呼びかけさせていただきたい、このように思います。

山井委員 いや、これはもう、私、ジャニーズの格好いい方々にお目にかかって、私たち以上に政治家だなと。もう命を失ってもいい、でも子供たちを性暴力から救いたいんだとおっしゃっているんですよ。本当に志が高いんです。

 そんな中で、この副代表の、当事者の石丸さんは、先ほど言いましたように、お金のことで恐縮ですが、千八百万円の補償金に不服として今調停に入っていられます。

 あえて私はお金のことを申し上げたいんですけれども、今日の配付資料にもありますように、例えばですけれども、十八ページ、アメリカでは、聖職者の性的虐待、一億ドル賠償で和解、被害者八十七人に約一億ドル、百二億円という記事が出ております。また、次の記事は、被害者四十五人に総額七十億円と。その次の記事も、被害者は一人平均百三十万ドル、一億五千八百六十万円と。

 これは多少一般論として聞いていただきたいんですけれども、イギリスとかは例えば数百万円の例も当然あったと思いますし、アメリカは非常に高いんです。ただ、石丸さんがこういう、千八百万円を不服として今調停に入っていられるのは、ストレートに言いまして、犠牲的精神なんですよ。つまり、お金が欲しいんじゃないんです、石丸さんは。誰かがお金のことで争わないと全体の相場が上がらない。例えば、アメリカだったら一億円、日本だったら一千万としましょうか。そうしたら、国際的に見たら、ああ、日本は性暴力を軽く見られているんですねということになりかねないんですね。そういう思いもあって石丸さんはこういうふうな調停もされております。

 これも個別企業のことですから答えにくいのは分かっておりますけれども、やはり日本の子供への性暴力への賠償というのは、補償金、安過ぎるんじゃないか、一般論として。いかが思われますか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 個別事案に関してのお答えそのものは差し控えたいと思いますし、また、一般論としましても、補償の額につきましては、あくまで個別事案の具体的事情を踏まえて両者の合意により決定されるものであるために、一概にお答えできるものではないと考えております。

 しかし、私の思いとしては、早期に両者が合意をして、被害者の方々の精神的苦痛について緩和されることが望ましいと考えております。

山井委員 今回、DBS法案を与野党協力していい形で成立できたらと思っておりますし、そのことによってジャニーズの被害者の方々が、声を上げてよかったというふうに思ってもらえるようないい法案を成立させていきたいと思っております。

 今日はありがとうございました。

谷委員長 次に、早稲田ゆきさん。

早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田ゆきでございます。

 今日はDBS法案の審議でございますが、別の質問を用意しておりましたが、今、山井委員からのお話もございましたので、DBS法案、二番から先に質問をさせていただきたいと思いますので、加藤大臣、よろしくお願いを申し上げます。

 今、るる山井委員の方から、ジャニーズの問題、性加害問題についてお話がございました。私も国対ヒアリングに出席し、そしてまた、一番最初にジャニーズ被害の被害者の方ともこの国会内で早朝にお会いをしたときの衝撃を今思い返しているところでございます。

 あってはならないことでありますけれども、これが数十年にわたり、被害者は少なくとも数百人、そしてまた千人、二千人とも言われる、そういった本当に前代未聞の性被害ということが子供に対してあったにもかかわらず、先ほどもお話ありましたとおり、この日本で無視をされてきた、放置をされてきたという問題。私自身も含めて、もう国会もそれから政府もマスコミもということになろうかと思いますけれども、そこの反省を踏まえれば、今このDBS法案が審議をされるこのときだからこそ、このことも含めて、やはり子供に対して性被害があってはならない、そういうことを広く社会に訴える、そういう機会にするべきだという思いを強くいたしました。

 そしてまた、加藤大臣からは、その被害者の方への誹謗中傷についても、あってはならない、それからまた、民間の芸能事務所であってもこれは対象になり得るし、広くそういうことを社会に広めていきたいという強い決意、その思いを今日は聞かせていただきましたので、私も期待をして質問に入りたいと思います。

 その中ででありますけれども、重なる部分もありますが、放置をされてきたこうした前代未聞の性加害でありますけれども、このことを踏まえて、それからまた、先ほどございました国連の調査団、この調査団の方たちは、日本政府に対して、主体として被害者の実効的救済を確保する必要があるともおっしゃっています。さらに、日本で人権の尊重ができているのか国際社会が見ている、見られていますということもおっしゃっています。

 そうした調査団の方々のお話、そしてまた、今度、六月にも国連から勧告が出るという予定もございます。そうしたことも踏まえて、大臣が、この国連の調査団のお話も踏まえて、このDBS法案がより実効性のあるものにしていかなければならないと思いますので、それに対する御決意それから見解をお述べいただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供に対する性暴力の被害は、被害児童等の権利を著しく侵害し、被害児童等に対し生涯にわたって回復し難い有害な影響を与える極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではないと考えております。御指摘のような事案が生じることや長期間にわたり繰り返されるようなことは、私としても決してあってはならないことだと認識をしております。

 また、御指摘の国連ビジネスと人権の作業部会による訪日調査のミッション終了ステートメントを拝見をしてございまして、本法案や子供、若者に係る性被害防止のための総合的対策を推進することにより、御指摘のような事案も含め、あらゆる子供への性暴力の防止が図られるよう最大限努力をしてまいります。

早稲田委員 最大限努力をしていくということでございますから、民間の方たちにも周知徹底、それから、みんなで、日本の社会全体がそういう意識を持って、事業者であれ、それから働いている方々であれ、子供を守るという視点をこのDBS法案でより深めていただきたいと思います。

 その上ででございますが、やはり再発防止ということが、もう本当にこうしたことがないようにしていくということが一番だと思いますが、このジャニーズ事務所のような、こうしたジャニーズにおける性被害はありますけれども、それ以外にも私は、準強姦の疑いで逮捕された映画監督がいらっしゃいまして、その方から大変性被害を受けていたという女優の石川優実さんという方からもお話を伺う機会がございました。

 この方はもちろん成人でありますし、子供とはまた違うことではありますけれども、芸能界で、やはりキャスティングを降ろされるのではないかという心配から、そうした監督など支配性のある方たちからの要求を断れない、そういう土壌があるのではないかということは、やはり皆さんもそういうふうにお感じになられていることと思います。

 その上で、石川優実さんのことも含めですけれども、やはり特に子供たち、児童生徒が所属する芸能事務所、学習塾、そうしたこれまでにも子供に対する性暴力の発生が問題となった事業にも広く、私は、学校等と同様の児童対象性暴力防止の措置を義務づけるべきではないかと思います。そしてまた、義務づけない場合、認定を受けない小規模事業者などに性犯罪の前科がある方々が流れるおそれについて、認定を促す以外にどのような方策を考えておられるのか、こども担当大臣に伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 学校や認可保育施設など特に公的関与の度合いが高い認可等を受けた事業者は、その認可等を受けるに当たり個別法において定められた運営体制等の基準を満たしていることから、この法律案に基づく措置を直接義務化しても対応できるものと考えております。

 他方、芸能事務所ですとか学習塾、習い事などの民間事業者は、法令上、運営体制等の基準がないため、この法律に基づき、学校等が講じる措置と同等のものを実施する体制が確保されていることや、犯歴確認の対象となる従事者の範囲を個別に確認をする必要がありますことから、認定の対象としているところでございます。

 また、認定を受けない小規模事業者などについてでございますが、国による認定事業者の公表ですとか認定事業者による表示、こういったことを通じまして保護者の選択に資するような仕組みにしているところでございます。

 まずは、認定制度への参加の働きかけや、保護者の皆様に対する制度の周知広報、こういったものを行っていくことによって社会的にも認定を取得することが重要であるという認識、これを高めていくように努めてまいります。

 加えて、今後、ガイドライン等で認定の申請手続の詳細や留意点などを示すこととしてございまして、事業者の方々の円滑な認定申請をしっかりとサポートをしてまいりたいと考えております。

 そのほか、今年度新たに取りまとめた総合的対策を推進して、この法案以外の部分でも、子供に対する性被害の防止に努めてまいります。

早稲田委員 社会的に認定が重要だということを広めていくということだろうと思いますが、やはりまだまだ、これは始まるところでありますけれども、ガイドライン任せになっておりますので、そこのところをしっかりやっていただくよう要望させていただきます。

 その上ででありますけれども、こうした芸能事務所等も本法案の認定対象になるということではありますが、例えばですけれども、ダンスや歌唱指導など技芸又は知識の教授、これを全て外注している場合、専門家の派遣や委託であっても、そして、そういう場合でも宿舎で生活をさせるなどということは、やはり性加害の可能性があるので、こういう委託で全ていろいろなことがやられていても、やはり認定の対象とすべきではないかということをまず一点伺いたいと思います。

 それからもう一つは、今、学習塾の業界などには働きかけをされていると伺っておりますけれども、是非、芸能団体、芸能業界の団体への働きかけも、今すぐこれをしていただきたいと思います。そうでないと、理解も深まらないですし、相談体制の整備にも時間がかかるかもしれません。研修それから認定促進に向けて、是非、芸能のそうした団体にも働きかけをしていただきたいと思います。

 二点、お願いします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 民間教育事業者の認定に関しましては、児童等に知識又は技芸の教授を全く行っていない場合はその事業者は対象となりませんが、マネジメントを主とする事業者でありましても児童等に知識又は技芸の教授を行っている場合は対象となり得ると考えており、業務の実態を確認した上で、できるだけ多くの事業者を幅広く対象にしたいと考えてございます。

 また、御指摘のございました、事業者が、日程や営業などのマネジメントを主としつつ、ダンスや演劇等に係る指導者と業務委託契約を行い、児童等にダンスや演劇に係る指導を行わせている場合は対象になります。

 委託契約すらも行っていない場合は、対象の外になるということになります。

 また、子供の安全を確保する上では、対象となる事業者に幅広く認定を取得いただくことが重要であると考えており、関係する団体には強く働きかけてまいりたいと考えております。

早稲田委員 マネジメントを主体としていて、派遣であるとか委託契約をしている場合でも、それは対象となり得るということでよろしいですね。はい。うなずいていただきました。確認をいたしました。是非、芸能界、芸能団体へも働きかけを今からでも早く進めていただきたいということを強く要望させていただきます。

 それから、認定制度についてでありますけれども、認定といいますと、当該事務所に性犯罪の前科を持つ従業員がいないといった、ちょっと間違った、誤認を避けるような周知広報というのも必要ではないかと思います。これはあくまでもそうした方たちに、従業員に確認をしていますよという認定でありますので、そこも含めて、誤認されないように、認定マーク、現時点ではどんなイメージを検討されているのか端的に教えてください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 御指摘の点、大変重要だと考えておりまして、認定制度の内容については、保護者の皆様に誤解が生じないようにしっかりと周知広報をしていきたいと考えております。

 認定等の表示につきましては、本法案の第二十三条第一項において、認定事業者の広告に内閣総理大臣が定める表示を付することを認めてございます。具体的にどのような表示にするかについて現時点でイメージしているものはございませんが、今後、認定等のマークを含め、表示方法を検討する上で、保護者の皆様等に誤解が生じないよう、かつ分かりやすいものになるよう、しっかりと検討をしてまいります。

早稲田委員 是非、そこの誤認がないようなマークにしていただきたいと思います。

 それから、二条の七でありますけれども、日本版DBS法案の対象犯罪について、特定性犯罪についての対象について伺います。これは、私は、資料の方の六、ストーカー規制法の資料がございますが、これも御覧ください。

 これについては、その前科だけでなく前歴も含めると考えます。そもそも下着泥棒やストーカー行為は前科でさえ対象となっていない、これは不適切ではないかと考えます。下着泥棒やストーカー行為による懲戒免職の事案は、全国の教育委員会においても前例があります。これらの事案のうち起訴された事案については、性犯罪歴として確認対象とすべきではないでしょうか。このことについて伺います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 本法律案の対象犯罪は、その前科を有する者の事実上の就業制限の根拠となるものであることから、児童等の権利を著しく侵害し、その心身に重大な影響を与える性犯罪として、人の性的自由を侵害する性犯罪や性暴力の罪等に限定をしてございます。

 また、これに対して、御指摘の下着窃盗等につきましては、財産に対する罪である窃盗罪でございまして、また、ストーカー規制法違反につきましては、恋愛感情又はそれが満たされなかったことによる怨恨の感情を充足する目的でつきまとい、著しく粗野又は乱暴な言動等を繰り返すことなどを内容とする罪であり、人に対する性暴力とは言えないことから、それぞれ本法案が限定列挙している罪とはその性質が異なり、本法案の対象とはしないこととしてございます。

 本法律案におきましては、前科があることを理由として防止措置を講ずべきこととなる場合以外でも、事業者に対して、児童との面談等の日頃からの措置を行った上で、児童との面談等を通じて、例えば下着窃盗やストーカー規制法違反の罪に当たる行為等が判明し、児童対象性暴力が行われるおそれがあると認められるときは、これを防止するために必要な措置を講じていただくことを求めていくことになります。

 具体的な児童対象性暴力等が行われるおそれの考え方ですとか、おそれを判断するに当たっての判断プロセス等は、繰り返しになりますが、前の御質問にもありましたが、事業者向けにガイドライン等を作成、周知していくことを考えております。

早稲田委員 そうしますと、本当に整合性が取れなくなると思うんですよね。そうではなくて、子供についてもつきまといということはあり得ることですし、やはり下着泥棒ということも大変、これは子供にとってだってあり得ることかもしれません。そういうことも含めますと、やはり、もっと幅広にそれは考えるべきではないかと私は強く要望をしたいわけです。

 それでは、伺いますが、教職員の性暴力等防止法においては、ストーカー規制法上の前科のうち、児童生徒に対して、性的羞恥心を害する言動であって、児童生徒等の心身に有害な影響を与える行為であれば、処分権者の判断で処分の対象となり得ると理解してよろしいか、文科省に伺いますが、そう理解してよろしいかどうかを端的にお答えください。

浅野政府参考人 お答えいたします。

 教育職員等に対する懲戒処分は、処分権者である教育委員会の権限と責任に基づき行われるものでございます。

 その上で、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律の第二条第三項におきまして、本法で禁止する児童生徒性暴力等に該当する行為を列挙しており、そのうち第五号には、御指摘のありました、「児童生徒等に対し、性的羞恥心を害する言動であって、児童生徒等の心身に有害な影響を与えるものをすること。」と規定されております。

 このため、委員御指摘の、ストーカー規制法上の前科がついた行為のうち、処分権者である教育委員会において、児童生徒等に対し、性的羞恥心を害する言動であって、児童生徒等の心身に有害な影響を与えるものをすることと認められると判断された行為につきましては、同法、児童生徒性暴力等となり、それを行った教育職員等は懲戒処分の対象となります。

早稲田委員 今、文科省から、教育委員会の判断で処分の対象となり得るということを伺いました。

 それを踏まえてですけれども、先ほどの第五号というのは教職員性暴力等防止法の五でありますが、それと同じ、ストーカー規制法にもあります、第二条第八号に該当する前科であれば、本法案、DBS法案においても、性犯罪歴として確認対象とすべきではないかということを重ねて申し上げたいと思いますが、御答弁をお願いします。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のストーカー規制法第二条第一項第八号につきましては、性的羞恥心を害する事項を相手の知り得る状態に置くことという、それ自体、人に対する性暴力とは言えない行為が含まれており、これは、対象犯罪の考え方に照らし、対象犯罪とすべきものに該当しないと考えてございます。

早稲田委員 でも、これは人に対する行為ですよね。そうしたことが繰り返し行われるような場合もあるわけですから、やはりこれは私は納得できません、今の御答弁では。やはり、三年後の見直しには、ここの部分も含めて、入れていただくように私は強く要望をさせていただきます。

 次の質問でございますが、第五条、相談体制の整備でありまして、これは子供がいかに相談できるかということが大変重要な部分だと思っています。このDBS法案を作っても、やはり、子供が相談しても、それが、例えばですけれども、学校内で隠蔽されるというようなこと、これがあってはならないわけで、そこのところをどのように酌み取っていくかというのが一番重要です。そうでないと、法律を作っても魂入れずということになりかねませんので、私は伺いたいのですが、学校内や事業所内の相談窓口で本当に大丈夫なんだろうかということです。

 いじめの相談窓口も各所にありますけれども、やはり、そこに相談しても取り上げられなかった、問題にされなかったという事案はたくさんございます。そして、それが重大な事案につながっていることもあるわけなので、そこのことを考えれば、やはり子供オンブズパーソンのような第三者性を有する相談体制を整備すべきではないかということを申し上げたい、そのことについてお答えしていただきたいのです。

 先行事例を、今、いろいろ好事例を収集して、ガイドラインを策定するとおっしゃっていますけれども、それは、文科省で今やっていらっしゃる教職員性暴力防止法に基づく相談体制しか今ないわけで、それでは、第三者性ということよりも、専門性ということは書かれていますけれども、第三者性は入っていないんですね。やはり、第三者性ということがここでは担保できないとよくないのではないか、子供が相談できる体制に実際ならないのではないかと大変心配をしております。

 それから、内閣府の性暴力ワンストップセンターとの連携というのもこども家庭庁から聞いておりますけれども、これも全国、非常にばらつきがあります。財政基盤もなかったり、人員体制も、それから専門性も非常にまだ不安定というようなところもありますので、やはり、第三者性を有する相談体制、これは初犯の対策、それから予防という観点からも必要だと思いますので、大臣、どのようにお考えでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 本法律案では、犯罪歴の確認のみならず、児童対象性暴力等が行われる端緒を早期に把握するために、児童等が容易に相談を行うことができるようにするために必要な措置として内閣府令で定める措置について講じることを求めております。

 一律に義務づける具体的な措置としましては、委員御指摘のとおり、例えば相談員選任及びその周知が考えられますが、そのような義務づけ以外にも、第三者性の観点から、外部機関との連携も含め、関係省庁、業界団体等と相談をし、他分野も含めた先行的な取組も把握しながら、よりよい方法を検討してまいります。

 また、ワンストップ支援センターにつきましては、地域の実情に合わせた体制を整備いただけるよう、内閣府において、都道府県等へ交付金を通じて運営の安定化や支援の質の向上、これを図っており、引き続きこうした取組により支援体制の更なる充実に努めてまいりたいと考えております。

早稲田委員 地域の実情とおっしゃいますけれども、やはりこれはいろいろばらばらなんですね、ワンストップセンターにおきましても。それで、まだまだ体制が整っていないところもありますし、やはり第三者性を有する相談体制というのは、このDBS法案にとっては大変重要な課題でありますので、引き続きガイドラインも含めて検討をもっと深くしていただきたいということを要望させていただきます。

 それから、時間がないので要望にいたしますが、例えば、学校の中でやる場合、学校の先生とか、それから、事業所の中でも事業所内の従業員とかがやられるという面談ではなくて、せめてスクールカウンセラーとかソーシャルワーカーなど専門性を有するスタッフ、この面談が必要と考えます。学校におきましても、今その人員配置も限られております。更にこのDBS法案の対応となるともっと人員の拡充が必要だと思いますので、文科省には、是非そこのところ、人員の拡充を財務省の方に強くお願いをしていただきたいと要望させていただきます。

 それから、さらに、ワンストップセンターではまだ電話相談などが主流になっておりますが、SNS、チャットでの対応を基本とすべきではないでしょうか。子供はもう電話ということはほとんどしませんので、そうしたところをやっていただきたい。まだこれは、全国四十七都道府県のうち、SNSの対応は七都道府県にとどまっておりますので、不十分だと思いますから、加藤大臣の方から強くこれも働きかけをしていただきたいと要望させていただきます。

 それから、もう一つ、第六条のおそれのところですが、このおそれの認定に当たって、私はやはり、英国同様、日本版DBS法の対象事業者に通報義務を課してデータベースを整備すべきとの意見がありますけれども、このような仕組みが必要ではないかと考えます。これを三年で、今はなくても三年で検討すべきということを考えますけれども、加藤大臣のお考えを伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、通報情報など、様々な情報がDBSに寄せられ、これに基づくなどしてDBSが一定の職業に就くことを法的に禁止するための就業禁止者リストを作成するという仕組みがあると承知をしております。

 日本でも同様の仕組みを導入すべきとの指摘につきましては、一般からの通報情報を基に就業制限を誰がどのように判断できるのかや、英国DBSは約千三百人が業務に従事しており、同程度の規模の組織を編成することが可能かといった体制上の課題が考えられます。

 いずれにしましても、まずは本法案に基づく制度の導入及び円滑な実施に向けて万全を尽くしてまいりたいと考えております。

早稲田委員 まだこれからではあろうかと思いますけれども、やはりここも大変重要な課題でございますので、前に進めていただきますよう、御検討をいただきたいと思います。三年後に見直しということもありますので、そこに向けた検討もしていただきたいと強く要望させていただきます。

 それでは、一、二点だけ、時間がございませんけれども、宗教二世への児童虐待の実態調査についてであります。

 これにつきましては、私も厚労委員会、これは資料の方にありますけれども、昨年の三月の厚労委員会でその当時の加藤勝信厚労大臣から答弁をいただき、そして調査をやっていくということを前向きにしていただき、そして、それをこども家庭庁に受け継いでいただいて、加藤大臣、大変先頭に立って、そしてまたこども家庭庁の皆様が大変熱心にこれに一年間かけて取り組んでいただいた成果だと私は大変感謝を申し上げ、また評価をしているところであります。

 そして、そこからどうやって対策をしていくかということがこども家庭庁に課せられた大きな課題でございますので、その点について伺います。

 前回の厚労委員会の方で、輸血拒否について、これは現在の武見大臣からの答弁では、こども家庭庁に医療ネグレクトに対する対応が引き継がれているけれども、厚労省としても、こども家庭庁と緊密に連携して確実に協力していきたい、こども家庭庁さんが主管だけれどもということをおっしゃっています。

 是非、この手術拒否、輸血拒否、子供に緊急に医療行為が必要なのに、こうしたことができないような場合、こども家庭庁の皆さんが、こども家庭庁として、この課題をどのように対策、取り組むのか、加藤大臣のお考えを伺います。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 輸血を含め、医師が必要と判断する医療行為を受けさせないことはネグレクトに該当するものであり、子供の生命身体の安全確保のための対応が求められると考えております。

 このため、医師が必要と判断する医療行為の実施に保護者が同意せず、児童の生命身体の安全確保のため緊急の必要があると認める場合等には、一刻を争う状況であることを踏まえて、児童相談所長は可及的速やかに一時保護及び医療行為への同意等を行うものであるという旨を改めて昨年三月にも通知をするとともに、全国の医療機関に対して周知を行ったところでございます。

 こども家庭庁としましては、引き続き、この通知の周知について機会を捉まえて行ってまいりますが、一刻を争う状況で救急搬送を受け得る医療機関に対していかに周知徹底を図っていくかについては、厚生労働省とも連携の上、改めて対応を検討してまいります。

 また、医療ネグレクトの事案において、児童相談所に一時保護及び医療同意を依頼する、そのいとますらない緊急の場合、これについて医療機関の判断で医療行為を行うということについては、親権との関係に関わる課題など、どういった課題があるかについて、関係省庁とも連携しながら、その検討と整理を行ってまいります。

早稲田委員 ありがとうございました。

 課題をきちんと整理して前に進めていくということを是非やっていただきたいと強く要望させていただき、引き続き、また質問してまいります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 九日の本会議で、先行する教員性暴力等防止法並びに改正児童福祉法の検証が先ではないかと質問しました。

 答弁は、同時に行っていくべきという趣旨であったのかなと理解しましたけれども、改めて伺いたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 今回の子供性暴力防止法案は、教員免許や保育士資格の有無にかかわらず、学習塾講師など幅広い業務の従事者を対象とするものであるほか、教員性暴力等防止法では義務とされているのが事業者によるデータベースの活用であるのに対し、こちらの法案では、犯罪事実確認を行った上で、その結果等を踏まえた防止措置が義務づけられるなど、先行する制度とは顕著な違いがあり、補完関係にあるものと認識をしております。

 子供が性暴力に遭う事件が後を絶たず、子供への性暴力防止に向けた取組は待ったなしでございます。子供への性暴力を防止していくためには、先行する制度の状況を踏まえつつ、こども家庭庁が中心となって、文部科学省などの関係省庁とも緊密に連携を取りながら、本法律案も含めた総合的な対策、これを進めていくことが必要であると考えております。

 このため、先行する制度も着実に進めつつ、本法案も速やかに導入していく必要があると考えております。

高橋(千)委員 着実に進めつつということと、補完関係にあるという答弁だったかなと思うんです。

 将来的にはそうであるべきだと思うんですが、私は、実際そうかなと。現場は、一遍にいろいろな事務がやってまいりまして、実は、子供そのものに向き合うことがなかなか難しくなるのではないか、そういう危機感を持って伺いました。

 本会議でも公明党の浮島委員から紹介されたように、わいせつ教員を子供に近づけてはいけないと、熱い思いから、超党派の議員立法として、三年前、法律ができました。一昨年施行されたわけですが、データベースの保存期間は四十年間、官報情報検索ツールにより採用権者が免許失効歴の有無を確認できるとしたものです。児童への性暴力を行った教員は原則懲戒免職など、任命権者という資格と責任があるからこそ、この制度設計ができたのだと思っております。

 ただ、この所管委員会の附帯決議では、日本版DBSの検討が盛り込まれました。その背景には、そうはいっても、対象事業者と従事者をもっと広く網かけてほしい、子供を守るためにという思いがあったんだと思います。

 そういう点から見ると、今回、認可、措置の施設に義務を限定したということは、やはり、行政の責任が及ぶ範囲というところにとどまった。それは、一遍にはできなかったからだと私は逆に理解するんです。だからこそ、先行する事業をしっかりワークさせ、検証していくことが重要ではないかと考えております。

 そこで、まず文科省に伺いますが、現行の教員性暴力等防止法の執行状況について伺います。

淵上政府参考人 お答え申し上げます。

 議員立法で策定いただきました教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律、これは、データベースに関する部分は令和五年四月から、それ以外の部分は令和四年四月一日から施行されておりますけれども、この施行年度でございます令和四年度における公立学校教職員の児童生徒性暴力等に係る懲戒処分の件数は、総計で百十九件となっております。

 また、同法に基づくデータベースには、児童生徒性暴力等が原因で懲戒免職等となり、教員免許状が失効又は取上げとなった者の情報が、当面、少なくとも四十年分記録されることとなっておりまして、令和六年四月一日現在で合計二千四百九十八人分の情報が記録されております。

高橋(千)委員 一年間で百十九件の処分と、そのデータベースに既に二千四百九十八人の履歴が入っているということは、なかなかの衝撃であるかなと思っております。

 同じく、改正児童福祉法の執行状況について伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 令和五年四月に施行された改正児童福祉法に基づきまして、令和五年度中に、児童生徒性暴力等を行ったことにより保育士登録の取消しが行われた件数が八件ございます。

 また、令和六年四月から保育士特定登録取消し者に関するデータベースの運用がスタートいたしました。令和五年度以前、児童生徒性暴力等を行ったことにより登録を取り消された者の情報も含めまして、四月一日時点で累計で九十七件の取消し者の情報をデータベースへ記録しております。

 保育士の場合には、平成十五年に登録制度が創設されたので、平成十五年以降、令和五年度末までの二十年間に取り消された者の数というふうになってございます。

高橋(千)委員 ありがとうございました。

 やはり、このデータをどのように間違いなく使っていくかということ自体がとても大事なことではないかと思うんです。

 先ほどお話ししたように、附帯決議で日本版DBSの創設を検討すべしとあったときに、具体的な職業名を例示されています。教員職員以外の職員、部活動の外部コーチ、ベビーシッター、塾講師、高等専門学校、放課後児童クラブなどなど、いずれも児童生徒と接する職業であるし、一対一の場合が心配だというのは本当に理解できるんです。

 これらは、全部任意の事業者、従事者となるんでしょうか。確認したいと思います。逆に、対象外というのもあれば、そのことを教えていただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 教育職員等による児童生徒性暴力等の防止に関する法律案の附帯決議におきましては、ただいま御紹介いただきましたように、教職員等以外の職員、部活動の外部コーチや塾講師、放課後児童クラブの職員等、免許を要しない職種についても照会制度が必要だというふうにされました。

 また、同じく、児童福祉法の改正法の附帯決議におきましても、保育所等では保育士資格を持たない者が保育補助として勤務をしている実態があるということから、保育士に限らず、同様の対策を講ずることについて検討するというふうなことが附帯決議で決議をされた経緯がございます。

 こういったこともありまして、政府として、これまでこの本法案を提出に至るまで検討してまいりました。

 今般提出をしました本法案につきましては、児童に対して教育、保育を提供する事業者のうち、法律に基づき、公的な関与が高い認可などによって運営をしている学校や保育所等、これを学校設置者等と呼んでおりますけれども、学校設置者等についてはこの対象とすることを義務づける。そして一方、学校設置者等以外の民間教育保育事業者については、こういった元々の監督の仕組みが整っていないということもありまして、学校設置者等が講ずべき措置と同等の措置が取れる体制の確保について個別に認定をするという、認定という新しい仕組みを設けることで、できるだけ広く対象へ含まれるようにしたものでございます。

 このように、資格にかかわらず、幅広い事業を対象とする枠組みということで御提案を申し上げております。

高橋(千)委員 ちょっとここで大臣に一言伺いたいと思うんですが、私は、データベースを確認し、その上でおそれを判断するという仕組み、ほかにももちろん研修等防止措置があるわけですけれども、そういう体制がきちんと取れるかというのは、おのずとできないところがある。しかし、それは大人の都合であって、子供から見たら違いはないし、あってはならないと思うんですね。

 データベースを活用しない施設に性犯罪前科のある者が集まるのではないかという指摘があります。また、手薄だから防止措置ができない施設なのに、逆に子供にとってのリスクが高まってしまうことをどう見るかということなんですね。

 有識者会議で、日本民間教育協議会の会長であり公益社団法人全国学習塾協会の会長が発言をしておりますが、学習塾業界の年間売上げは約一兆円産業だ、そのうちの三三・五%が会員だということでありました。そうすると、学習塾の六割が認定を申請という報道があったんですが、これは三割掛ける六割で、結局、二割満たさないくらいじゃないかと思うんです。そうすると、全体をカバーできるわけではないという前提で、では、どうするかということは考えなきゃいけないわけなんですね。

 だから、塾業界としても取組を強めようと考えた。そのきっかけは、二〇〇三年に十五歳以下の子供を狙った事件が百二十六件もあった、そろばん塾の帰り道の事案があった、二〇〇五年にはアルバイトの塾講師が塾に通う女子児童を刺殺してしまう事件も起きた。だから、自主的なガイドラインなどでは難しいということで、大変な危機感を持っての発言だと思っております。

 ですから、九割の初犯の対策もあるし、再犯を繰り返すおそれがある者が、結局、外に出てしまう、データベースの世界じゃないところに出てしまって犯罪に及ぶ、そういうことをやはり本当に防ぐためには、社会全体が子供を守るという強い政府の働きかけ、つまりデータベースだけに熱心になってそれだけというわけにはいかないということがあると思うんですが、一言伺いたいと思います。

加藤国務大臣 こども家庭庁としましては、できる限り幅広く認定の対象に当てはまるように、対象事業者の考え方はしっかりと定めてガイドライン等で示していきますけれども、対象事業者ができる限り幅広く含まれるように検討を進めていきたいということと、また、今般の制度のことを広く周知をして、できる限り社会全体でこの制度の重要性を理解をしていただき、この制度に入ることが事業者にとってもメリットがあるんだということを広く周知をしていくことによって、網を広くかけていけるように、広報もしっかり強化してやっていきたいと考えております。

高橋(千)委員 最初から、認定できないところもあるというのを想定した制度になっていると思うんです。

 私がちょっと紹介したのは、塾の帰り道なんですよ。だから、塾の講師が性加害をやったわけではないんです。そういうことは当然起こっている、今も起こっているわけですよね。だから、うんとデータベースで対象を広げれば、広げても、しかし、その外に逃れて、いろいろな場所で、公園だとか駅だとか、そういうこともあるから、このことを本当に社会全体で取り組むんだというふうにしなければ防げませんよねということを言っている。

加藤国務大臣 大変済みません。

 端的に申し上げますと、今法案で網羅されない部分につきましては、四月にも取りまとめました総合対策、これをしっかりと実施をしていくことにより、子供たちを性被害からしっかり守っていくことを、こども家庭庁として最大限努力をしてまいりたいと考えております。

高橋(千)委員 今日はこの話題はここまでにして、次の機会にしたいと思うんですが、今は、学校であっても保育施設であっても、やはり地域の中の役割というのがすごく強調されているわけですよね。だから、地域全体で子供を守るというふうにしなければ、その仕事に就く人だけを追っかけていても本当の意味では防げないんだという趣旨でお話をさせていただきました。また提案をさせていただきたいと思います。

 それで、義務の対象を限定している理由は、今回の措置が事実上の就業制限となるからだと思います。これは本会議で大臣が繰り返し答弁をされました。

 有識者会議では、事実上の就業制限ではなくて、もう前科がある者を欠格事由にしたらどうかという意見もあったはずです。しかし、職業選択の自由など、憲法との兼ね合いなども指摘をされて今回になったと思うんですが、どのように整理をされたのか、お願いします。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 本法案における性犯罪歴確認の仕組みは、その結果に基づいて事業者が措置を講ずるものであり、対象前科を有する者にとって事実上の就業制限となります。

 この点につきまして、こども関連業務従事者の性犯罪歴等確認の仕組みに関する有識者会議、この会議の報告書において、憲法が保障する職業選択の自由との関係から、「対象範囲を無限定に広げることは許されず、その必要性や合理性が認められ、同じ目的を達成できるより緩やかな規制手段がない場合に限定することが求められる」と指摘をされております。

 本法案の内容につきましては、これを踏まえ、例えば、対象となる犯罪の期間につきまして、子供の安全を確保するという目的に照らして許容される範囲、具体的には、再犯に至った者の実証データに照らし、再犯の蓋然性が高い期間を設定するなど、憲法上の職業選択の自由との関係で許容されるものとなるよう制度設計をしてございます。

 本法律案におきまして、事業者は、児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めるときは、本来の業務に従事させないことその他の児童対象性暴力等を防止するために必要な措置を講ずることが義務づけられますが、本法律案は、労働契約法等の労働法制の整理を変更するものではないため、雇用管理上の措置については労働法制に従うものと認識をしてございます。

高橋(千)委員 これは、この次のときにまた聞きます。次の問いで聞きます。

 先に法務省に伺いたいんですが、刑法三十四条の二によれば、「禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。」「刑の消滅」とあります。

 消滅されてからなお、一度でも前科があったら、データベースに登録され、事実上の就業制限を受けるというのは問題ないのでしょうか。

吉田政府参考人 御指摘の刑法三十四条の二の趣旨について、まず前提として申し上げたいと思います。

 この規定は昭和二十二年の刑法改正で設けられたものでございまして、それ以前は、個別の法律で資格制限事由として刑に処せられた者と規定されている場合には、刑の言渡しを一度受けると、その後、恩赦を受けない限り、その資格の取得や回復が永久に制限されることとなっておりました。しかし、これは刑の言渡しを受けた者の更生意欲を損なうものであると考えられたことから、刑の言渡しを受けた者について、一定期間の善行の保持を条件として前科のない者と同様の待遇を受けるという原則を樹立することによりその更生を促すという趣旨で、この規定が設けられたものと承知しております。

 御質問は、仮に、個別の法律において、性犯罪の前科があることをもって、この期間を超えて事実上の欠格事由を生じさせるようなことが刑法三十四条の二との関係で許されるのかどうかというお尋ねであったかと思いますけれども、そうしたことが許されるかどうかに関しては、欠格事由を設ける趣旨、目的に照らしつつ、また、その資格をめぐる実情を踏まえて、その期間を超えて、刑法三十四条の二の定める期間を超えて就業の制限をするべき必要性、合理性が認められるかという観点から検討がなされる必要があると考えております。

 この点については、今回の法案については、我々としては合理性を有するものと考えておりまして、刑法三十四条の二との関係で問題が生じるものではないというふうに考えております。(発言する者あり)

高橋(千)委員 そうなんです。そこを、合理的な理由は、本当に、事業者に責任を持たせて、そして、ひょっとしたらそれが損害賠償に当たるかもしれないよ、そういう世界になっちゃったんですね。だから、結局、欠格事由ということを避けたわけですよ。有識者会議で議論したんだけれども、やはり、刑法に触るんじゃないかという、いろいろな中でこうなっちゃったわけで、そうすると、法律を作る人が、ちゃんとそこに今答えられなければ、責任を持たなければ余りにも無責任だ、私はそう思うんですね。

 それで、学校設置者等が果たすべき措置として、犯罪事実確認は義務になっています。児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めるときは、その者を教員等として本来の業務に従事させない、第六条とありますが、採用しないということですか。本来の業務に従事させないと。

 では、もしそうではないというんだったら、その他の必要な措置、何ができますか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案において対象前科ありとされる者、特定性犯罪事実該当者の範囲は、過去の性犯罪の再犯状況等のエビデンスに着目をしまして、再犯の蓋然性が高いと判断される者ということで設定をいたしました。その者をそのまま対象業務に従事させることは、したがいまして望ましくないと考えておりまして、採用するかどうかは別として、基本的には、その者を教員等としてその本来の業務に従事させないことを講ずることが必要になるというふうに考えております。

 また、六条におきましては、対象業務に従事させないことその他の必要な措置を講ずると規定をしてございます。(高橋(千)委員「それを聞いている」と呼ぶ)はい、そうですね。申し訳ありません。

 犯罪事実確認の結果、犯歴ありであった者は、過去のエビデンスに着目した際に、おそれがある者である以上、いずれにしても、子供に対する性暴力を防止するために実効的な措置の実施が求められると考えております。

 確認の結果、犯歴ありであった者についての防止措置は、対象業務に従事させないこと以外の措置で十分その目的が達成できるものがあるかどうかといった点も含めて、詳細について、関係者の協力を得ながら、今後、ガイドライン等で示していくことを予定しております。

高橋(千)委員 だから、それが法律のときに答えられないというんだったら、現場がすごい困るんですよ。そのことを言っている。

 それで、第四条の二項には、急な欠員を生じた場合その他やむを得ない事情として、犯罪事実確認の前に採用した場合は六月以内にその者の犯罪事実確認を行えばいいわけなんです。だけれども、その犯罪事実確認を行うまでの間は特定性犯罪事実該当者とみなすんですよね。これもおかしくないですか。みなしてしまったら、それこそ本来業務をやれないことになっちゃうんですよ。どういう意味ですか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 本法律案におきましては、子供と接する対象業務に従事する者について、当該業務に従事させるまでに犯罪確認を行うということを原則としております。この点、たとえ欠員等の事情によって時間的な余裕がない場合であったとしても、犯罪事実確認の結果が分かっていない者を何ら措置を講ずることのないまま業務に従事させることは望ましくはないと考えております。このため、犯罪事実確認を行うまでの間は一定の措置を講ずる必要があると考えております。

 ただ、一方で、この場合、犯罪事実確認で犯歴ありだった場合、あるいは相談、面談によっておそれが明らかになった場合のように、児童対象性暴力等の具体的なおそれが確認されているわけではないということも事実でございます。

 措置の内容も、子供の安全を確保しつつ、事業運営上過度な支障が生じることのないような措置、現時点では、例えば当該教員等と児童とを極力一対一の状況にさせないなど、留意しながら従事をしていただくとか、そういったことを求めていくという方向で考えておりますけれども、今後、専門家や現場などの御意見も聞きながら、ガイドライン等で詳細をお示ししていきたいと思っておりますし、事業の運営、一方で、子供の安全、保護者の安心、こういったものを両立できるようにしっかり検討していきたいというふうに考えております。

高橋(千)委員 いや、本当に分からないんですよ。だって、教員とか、交代が必要になって、いなくなって、代わりで急いで来てもらうのに、あなたは特定性犯罪事実該当者よ、本来の業務はできないと。それじゃできるわけないじゃないですか。元々の先生がやってくれていた仕事をやってくださいと言えないと。それは、とてもじゃないが、それだったら応募する人もいなくなるし、募集する人だってどうしていいか分からなくなりますよ。そこはちゃんと説明できるようにしていただきたいと思います。

 そのことを強く要望して、残念ながら時間が来てしまいましたので、また次にしたいと思います。終わります。

谷委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党の田中健です。

 私からも質問をさせていただきます。

 性犯罪は、一番は子供を守ることであります。そして、再犯をいかに減らすかというのが重要だと思っています。

 今回の法改正では、子供を守るという観点からすると、一歩前進、大きな一歩をまず踏み出したと思っています。しかし、子供性暴力防止法案の活用による再犯の防止だけでは全ての犯罪を防げるわけではありません。

 議論にありますように、九割以上が初犯に当たるとも言われています。過去に性犯罪歴がなくても加害のおそれがある場合の対策もその中で法案に盛り込まれましたが、学校や保育所、国の指定を受けた塾などは、職員研修や子供の面談といった日常的な対策も義務化となります。

 その中で、まず、この犯罪歴の確認においては、新規採用者が議論となっておりますけれども、現職の教職員らも対象となるかと思っています。

 このいわゆる学校設置者等の学校や幼稚園、保育園等で働く対象となる職員は、現在の時点でどれだけを想定をされているのか、また、四条の三項では、施行から三年以内と規定がありますけれども、全ての対象者というのが確認できるのはいつ頃になるのか、さらに、相当の事務量になるかと思うんですけれども、どのようにこども家庭庁として対応を図ろうと考えているのか、まとめて伺います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 学校設置者等に係る犯歴確認の対象従事者数につきましては、少なくとも二百三十万人を想定をしているところであり、現職者については、先ほど委員から御紹介いただきましたように、法施行後三年以内で政令で定める期間内に犯歴の有無を確認することとしております。

 一方、民間の教育保育事業者ですけれども、こちらにつきましては、幅広い業務に及びますので、一概にその業務量、従事者数を申し上げることが難しいのですが、幾つか主なものを例示で挙げますと、学習塾につきましては、対象業務に従事する者、必ずしも限定されないのですが、統計上は約三十八万人、放課後児童クラブであれば約十九万人、認可外の保育施設について見ますと約十万人といった従事者がおられます。現職者については、この民間教育保育事業者につきましては、法施行後一年以内で政令で定める期間内に犯歴の有無を確認をするということになってございます。

 これら犯歴確認については、システムの構築、そして、内容によっては、公権力に該当しないような形式的なチェックについては委託するなど、工夫をしながら効率的な体制を確保していきたいと思いますけれども、現場の負担にも考慮しつつ、事業者の皆様方の意見をよく聞きながら、円滑に実施できるよう、体制構築にも尽力をしてまいります。

田中(健)委員 いわゆる学校設置者が三年ということでありまして、民間の教育保育等事業者、認定の企業は一年ということであります。

 この法案が施行されました、二年半以内に実施がされますが、更にそこから三年というと今から六年後ということで、そこでやっと学校の先生においては確認ができるというのでは、ちょっと私は時間がかかり過ぎではないかと。私も子供を育てていますけれども、今育てているお母さん、お父さんは、今、やはり子供たちの安全を守ってほしい。

 この法案が通れば、まさか六年後まで時間がかかるとは思っていないとは思いますので、民間においては、今、一年でやるということをおっしゃっていただきましたが、この学校設置者等においても、数は多いとはいえ、今、様々な工夫を凝らすということでありますので、是非、大臣、これは三年とは言わず、一日も早く、まず現職で働いている皆さんの確認をするということを進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

加藤国務大臣 子供を性被害から守る施策の充実というのは待ったなしだと考えております。

 できる限り早く整備をするように努めてまいりたいと考えておりますとともに、こういった制度ができるんだということを広く世の中にも周知することによって、性犯罪を世の中全体でなくしていくんだという、また、そのようなことをする者が仮にこの数年以内に就職をしたとしても、この制度があることによって、整備された場合には、自分たちの、チェックの対象となり得るんだということがあらかじめ分かっていくことによって、様々、抑止することもあるかと、できることもあるかと思いますので、制度の周知なども含めてしっかりと進めていきたいと考えております。

田中(健)委員 先んじて行っておりますイギリスでは、年間七百万件の性犯罪歴をチェックしているということで、その職員、携わる方は千二百人とも言われています。大変大勢の人が関わっているわけで、なかなかこども家庭庁はそれだけのマンパワーはないかもしれませんが、是非、今、大臣、一日もということを言っていただきましたので、施行されたら一日も早く、まず確認をすることに努力していただきたいと思います。

 その性犯罪歴の確認結果などを踏まえて、児童らに性暴力を行うおそれがあると認めるときは、教員等として本来の業務に従事させないことその他児童対象性暴力等を防止するために必要な措置を講じなければならないと六条にあります。先ほど高橋委員からも、最後、質問がありました。

 この件について、本会議において、私ども、西岡議員から、この判断基準という質問をいたしました。具体的に、犯罪事実確認の結果、教員等が特定性犯罪事実の該当者であることが判明した場合ということを加藤大臣は例に挙げられましたけれども、そうではなくて、性犯罪歴が元々なくても、そのおそれがあれば措置の対象になり得るわけでありますが、そういった場合はどのような場合を想定しているのかを伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 本法律案における児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めるときとは、児童を対象とした性暴力等について行われる可能性が合理的に認められる場合を指すものであります。

 具体的な場合としましては、例えば、犯罪事実確認の結果、教員等について特定性犯罪事実該当者であることが判明した場合、また、児童等の面談、相談、通報などから、特定の教員等に不適切な行為があり、児童を対象とした性暴力に発展するおそれがあると判明した場合などが考えられます。

 このおそれがある場合の防止措置につきましては、おそれの具体的な内容に応じて講じられることとなりますが、おそれの具体的な内容やその判断プロセス等、また、おそれに応じた防止措置などの内容につきましては、性暴力の防止のために実効的なものとして、またかつ、恣意的、濫用的な運用がなされないよう、施行までに事業者向けにガイドライン等を作成し、しっかりと周知をしてまいります。

田中(健)委員 そのガイドラインが重要なんです。今、法律上に決まっていませんから、私たちは、何をもってそこがおそれとしてまた判断されるのか、可能性の、合理的というのも、大変言葉としては立派なんですけれども、中身は全く分かりません。

 ここにおいては、五条に、まず、内閣府令で定めるとありますが、児童等との面談その他教員等による児童対象性暴力が行われるおそれがないかどうかを早期に把握するための措置をする、そして二番目に、教員等による児童対象性暴力に関して児童等が容易に相談を行うことができるようにするための必要な措置をすると。つまり、一の措置で把握した、面談で状況を、二の実情を踏まえて性犯罪などが行われるおそれが認められるということであるんですが、この一と二が何かというのが分からないんですね。客観的な基準や、ないしは法律に示さなければならないと私は思っています。

 先ほど、そうでない人がなってはならないということがありましたけれども、やはり教育、保育士ら大半は性犯罪とは無関係であります。子供たちと真摯に向き合っている人がほとんどであるかと思いますので、この曖昧な制度運営により、こうした教員たち、また保育に関わる人たちにやはり不安を抱えさせたり、また現場を混乱させることがあってはならないと思っています。

 ですので、先ほど大臣からは犯罪が認められればと。それは当然です。犯罪が認められれば、これは対象になります。さらに、先ほどの委員会の議論の中では、犯罪が認められれば通報するということがありました。それも当然です。しかし、そうではなく、犯罪が認められないのに、その合理的な可能性というのをどういうふうに判断するかというのが、後でガイドラインで示しますから後で見てくださいでは、なかなか私たちは、そうですかというふうにはいかないかと思っています。

 ですから、本来あるべき、その基礎となる情報の範囲、どこまでを合理的な判断の情報とするか、また、取得する際の判断基準ですね。やはり、子供たちはその日によっても気分が違いますし、また、例えば、先生がじっと見ていたのを、私はじろじろ見られたと。それ自体も、見られた方によっては、生徒によってはそうかもしれませんが、先生はそうでなく子供を見ていたかもしれませんが、それをどういうふうに合理的に判断できるかというのが、どちらの立場に立ったとしても、今の状況では余りに不明確だと言わざるを得ません。

 ですから、この内閣府令、ガイドラインで示すとありますが、やはりその具体的な内容、方向性というのを、私たちも、白紙委任されるような形ではなく、しっかりこの議論の中で示すべきであるかと思いますが、もう一度お答えください。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 本法案におきましては、対象となる性犯罪前科がある場合はもちろんのこと、性犯罪前科がない者によるものも含めた性犯罪の発生を防止する観点から、児童対象性暴力等が行われるおそれがあると認めるときは、教員等としてその本来業務に従事させないことその他の児童対象性暴力等を防止するために必要な措置を講じることについて義務づけることとしてございます。

 本法案では、学習塾のように、現在法律に根拠のないものも含め、幅広い業種を対象に防止措置を義務づけており、児童等の年齢なども施設によって大きく異なります。このため、児童対象性暴力等が行われるおそれの内容やその判断プロセス等、また、おそれの具体的内容に応じて講じられるべき防止措置、これにつきましても様々なものが考えられ、一律に同じ基準に基づく同様の措置を義務づけるよりも、子供の安全の観点から実効的な内容となるよう、それぞれの現場や専門家の意見も聞きながら、ガイドラインにおいてお示しすることとしてございます。

    〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕

田中(健)委員 それじゃ判断ができないという質問をしているわけです。異なるからガイドラインが示せないでは説明にはならないと思います。異なるからこそ、今まさに事業者にも同様の措置を義務づけるわけでありまして、事業者は更に混乱をしてしまうかと思います。

 先ほどもありましたように、これは教員などを本来の業務に従事させないという措置を取らなきゃならないという義務にしています。ですから、このようなことがあった場合、どのようなプロセスを踏むのかも明確でないですし、それによって従事させられない、例えばそのような立場になったときに、不服申立てをしたり、私は認めないと言うならば、それは客観的な判断にならないということでよろしいのか。

 例えば、私がそうでないと言った場合、それは認めることにならない、誰がそれを決め、そして判断をし、そして決定をするのか、そのプロセスぐらいはお示しできれば、お願いいたします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣から答弁申し上げましたように、今回の法案につきましては、非常に対象範囲が広いということ、そして、児童の年齢、発達状態も様々でございます。そういった観点から、おそれの内容や判断プロセス、おそれの具体的な内容に応じて講じられる防止措置についても様々なものが考えられるので、一律に事前にお示しするということが難しいということは、申し訳ないのですが、お答えさせていただければと思います。

 その上で、具体的なおそれの場面ですけれども、例えば、保育所であれば、おむつ替えを個室で行う場合に直接の身体接触の場面が想定をされる、あるいは学習塾であれば、SNSを介したもの、多様なものがあると思います。

 また、おそれの把握方法につきましても、学校のように生徒本人から話を聞ける場合もあるでしょうから、そういった場合には先生と本人両方から客観的な状況を聞けるということもあるでしょうが、保育所のように乳幼児がいらっしゃるような場合には、御本人から聞くということができないために、どのような方法で判断プロセスを講じることができるか、様々類型を整理していく必要があると思っておりまして、現場が混乱しないようなガイドラインを関係者の御意見も聞きながらしっかりお示ししていきたいというふうに考えております。

 それから、一点、先生、済みません、私の前の答弁で、現職者の判断の期間を、認定事業者について法施行から一年というふうに間違って申し上げてしまったようでして、法律上は、認定時から一年以内、政令で定める期間に確認をするというふうに法律上規定をしております。申し訳ありません。訂正させて、おわびさせていただきます。

田中(健)委員 答弁を聞いてもまだ納得できないわけでありますけれども、その場合、やはり大事なのが五条にあります児童との面談であります。

 これについても、もう先ほど来、岡本委員もありましたけれども、事業者の場合は、そもそも、子供との間に支配性、継続性、閉塞性というのが生じる事業者を対象としていますから、既に、子供と事業者、従事する者との間にいわゆる支配性がもう生じておりまして、なかなか、事業者が聞き取りをして、立場の弱い子供からすれば自分から話すことは難しく、正直に告白できないと思っています。

 先ほど、相談員の選任、周知、更なる環境整備、教育、保護者のみならず、これを民間業者にもと言いましたけれども、それでは子供の権利擁護の視点と全然なっていないんですね。子供の話を、しやすさ、また聞くということをどのように確保していくのかということ、これは事業者にとっても大変にこれから課題になってくるかとは思いますけれども、これについては、面談や相談体制というのが、子供が本心を出せるような環境を整えていくというのを、環境を整えていくということは聞かせてもらったんですけれども、どのように実際整えていくのか、大臣にお聞きします。

    〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 本法律案では、犯罪歴の確認のみならず、児童対象性暴力等が行われる端緒を早期に把握するために、児童等が容易に相談を行うことができるようにするために必要な措置として、内閣府令で定める措置を講ずることを求めてございます。一律に義務づける具体的な措置としては、例えば、相談員の選任及びその周知等が考えられます。

 そのような義務づけ以外にも、子供の視点に立ち、子供が本心から相談しやすくなるようにする更なる環境整備等についても、関係省庁、業界団体等と相談をし、他分野も含めた先行的な取組も把握しながら、よりよい方法について検討してまいりますし、その検討の方法も含めてしっかり検討をさせていきたいと考えております。

田中(健)委員 もう義務づけるのに、これから検討するのでは、大変に不安になってしまいます。

 例えば、教育職員等による児童生徒性暴力等の防止に関する法律、先ほども出ましたが、この十九条の中では、専門家の協力を得て行う調査として、しっかりと法律上に、医療、心理、福祉及び法律に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、当該報告に係る事案について自ら必要な調査を行うというふうに定めています、法律上に。そして、更にその上で、都道府県が行う措置として、上記調査が適切に行われるように、学校の設置者に対して、同項の専門的な知識を有する者に関する情報の提供その他の必要な助言をすることができると定めています。

 このように、やはりしっかり法律上で定めることによって、やるべきことと、そしてその実効性が担保できるかと思うんですが、今回はそのように法律上で定めず、内閣府令、後でガイドラインでお示しする、そして、これから検討すると。そして、外部機関、関係団体と言われましたが、どこかも分かりません。これでは、なかなか私たちは国民にも説明しづらいですし、また、これに関わる事業者にも説明が難しいかと思います。

 ですので、先ほど来もこれはありましたが、対象事業者で相談体制を整備するほかに、第三者、先ほど子供コミッショナーという発言がありましたけれども、そういうものも設置をして、子供の権利を守るために、性被害を始め、あらゆることを相談できるということ、そういうこと、また、ないしは、第三者機関が子供の生活する場所にそれぞれ赴いていって現状をチェックできる、そういった事業者やいわゆる行政ではない独立した存在というのが必要かとは思いますが、大臣の見解を伺います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供の権利が侵害された場合の救済といった個別事案の対応は、一義的に地方公共団体において行われるべきものと考えております。現に、幾つかの地方公共団体において、そうした機関が置かれている例があると承知をしてございます。

 昨年末に閣議決定をしたこども大綱におきましては、「こどもの権利が侵害された場合の救済機関として、地方公共団体が設置するオンブズパーソン等の相談救済機関の実態把握や事例の周知を行い、取組を後押しする。」こととしてございます。

 こども家庭庁としましては、地方公共団体における取組が広がっていくよう、しっかりと進めてまいります。

田中(健)委員 いや、地方公共団体が広げていくのではなくて、法律でしっかりと定められていますよということが言いたくて、今回の法案では法律で定めていなくて、あくまで内閣府令、そしてガイドライン、そしてお任せということになってしまうと、余りにも不明瞭で、そして不安を生むということを最後にお伝えしまして、時間となりましたので、質疑を終わります。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、赤木正幸君。

赤木委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の赤木正幸です。

 会派を代表して質問させていただきます。貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日は、いわゆる子供性暴力防止法案についての質疑をさせていただきます。先日の九日の本会議で日本維新の会の浦野議員より加藤大臣に質問させていただいた内容を踏まえて、幾つか論点を更に深掘りした質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 質問の大前提として、非常に重要なことですのであえて繰り返しさせていただきますが、私たち、私もそうですが、子供たちを守るために一番重要なことというのは、まさに大人一人一人が子供の安全を常に考えて事前にリスクを回避することと考えています。これは法案の冒頭にも記述されていますが、性暴力は被害児童に対し生涯にわたって回復し難い心理的外傷、心身に対する重大な影響を与えるものです。決してこれはやり直しができるものではないので、万が一にでも何かが起こってしまってはならないと考えております。このことは、加藤大臣はもちろんのこと、ここにいる全ての委員の皆様と共通認識になっていると考えております。

 その上で、ただ一方、やはり子供の権利を守るということと、職業選択の自由、営業の自由、そして個人情報の保護といった非常にセンシティブかつバランスを取るのが難しい内容があると思っておりますが、今回の法案はまさに日本で初めての制度でもありますので、今回についてだけではなく、今後どうやって改良していくか、改善していくかということを見据えた議論になればと考えております。

 まず、最初の質問に関しては、犯罪事実の確認の在り方について質問させていただきます。

 本法案では、犯罪歴証明方式、犯罪歴を証明する方式が採用されていますが、今度の法案で参考にしているイギリスのいわゆるDBSの制度は、言葉どおり犯罪履歴を開示して就業を制限することで子供たちを危機から守るものであって、犯罪事実確認書というものが数段階のレベルに分けられていると認識しております。

 具体的に言いますと、簡易的なチェックであるいわゆる無犯罪証明書のようなものに始まって、職業ごとに求められる厳しいチェックというのを出し分けられる仕組みになっています。特に、基本となっている無犯罪証明書というのは、教育現場に限らず、例えばボランティアの世界とかも含めていろいろな業種で、採用面接の際の、言い方はあれですけれども身分証明書と同じような、就労希望者本人が用意するものとして、子供の安全のために提出は当然というような、そういった社会常識が定着していると聞き及んでおります。

 ここで質問になるんですけれども、これは何度か質問されている質問ではありますが、なぜ日本版DBSでは犯罪歴証明書が採用されたのかについて御説明をいただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案におきましては、子供に対する性暴力を防止する責務を有する対象事業者に対しまして、その責務を果たすための重要な手だてとして、性犯罪前科を交付する制度を創設することとしております。このような仕組みとすることによりまして、事業者がより主体的に子供の安全確保に取り組むこととなり、それによってより子供の安全の確保に資する制度になるというふうに考えております。

 この場合、交付する性犯罪前科の内容につきましては、事業者が児童対象性暴力を防止するために必要な措置の実施に必要最小限の情報を記載することとしております。

 以上のことから、無犯罪であることの証明という方式ではなく、犯罪歴の有無を事業者の方に交付をするという仕組みといたしました。

赤木委員 ありがとうございます。

 おっしゃられる意味は分かる部分はあるんですけれども、逆に、個人が自らの意思で取得、活用できる無犯罪証明書をできれば使いたいといった方たち、若しくは被害者を守る活動をされている方たち、実際に子供の頃に犯罪被害を受けられた方たち、何人もの方たちと私も実際にヒアリング、お話をお聞きしているんですけれども、今回の事業者の対象とか、認定事業者の対象になっているところではないような、もうちょっと幅広な、具体的にはボランティアなんかの関係とか、あと、子供には接するんですけれども事業者としては認定されないような内容の事業に関しても、やはりそういったものがある方が当然安心はできるし、子供を任せる上で一つのすごい重要な判断材料になるということを、度々御質問というか、要望をお受けしている状態です。

 ここでまた質問になるんですけれども、逆に、無犯罪証明書のようなものをあえて採用しなかった理由、若しくは採用できなかった課題といったものを、どういったことを認識されているかについて御回答いただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 委員が御紹介いただきましたイギリスの制度、様々な段階のものがございます。特に基本チェックリストと呼ばれているものについては、個人がどのような事業者に対しても使える、そして全犯罪について対象となるというふうな仕組みがあるというふうに承知をしております。その意味でいいますと、本人が申請をし、本人に交付を受けるという仕組みにできないのかといったことが課題になるかというふうに今お聞きして考えました。

 本人に配付をしないで事業主に配付をする、交付をするという仕組みにいたしましたのは、仮に従業者本人が自らの犯罪事実確認書の交付申請を行うということにいたしますと、今回の教育、保育事業とは無関係の業種に就職をされるときにもこの犯罪歴の確認書の提出を求められ、前科の有無が明らかになってしまうおそれがあるのではないかといったこと、また、これはイギリスでも課題にはなっているようですが、本人に交付をされてそれをどこかに出すということになりますと、偽造された犯罪事実確認書が事業者に提出されるおそれもあるといった課題があるといったことでございます。そういったことも踏まえて、事業者を申請主体にする法律案を御提案申し上げているところです。

 また、もう一点お尋ねがありましたイギリスの基本チェックリストでございますが、複数の段階的な確認の仕組みがあり、特に、一般人が使用目的を問わず、職種にかかわらず、全犯罪について犯歴照会書の発行を受けることができる仕組みがございます。これも我々は承知をしております。

 一方、日本では、個人の前科の犯歴といいますものは、個人情報保護法上も開示請求の規定の適用から除外をされていること、そして最高裁の判例でも、前科というものは、前科のある人もこれをみだりに公開されない法律上の保護に値する利益を有する、このように、非常に前科については要配慮というふうな扱いをされているということで、かなりイギリスと日本では前科、犯歴に対する取扱いが異なっているということがございまして、これをそのまま日本に導入することは難しいということもあり、有識者の会議の検討も踏まえまして、事業主が申請をし事業主に返す、その代わり、犯歴ありの場合には事前に本人にお伝えをしてから対応するというふうな丁寧な仕組みを講じることといたしました。

 以上でございます。

赤木委員 ありがとうございます。

 無犯罪証明書方式の導入が難しいといったことを御説明を受けましたが、まず、犯罪事実確認書の偽造のおそれに関しては、これは単に技術的な課題だと考えています。今特に、証明書にIDとかコードを付してウェブで更に照会する二段階の方式を取るとか、あとは、新しい技術であるブロックチェーンといったものを用いてセキュアなデジタル証明の仕組みを構築するということは、実際に現段階でもう既に実用化されているような技術を用いれば十分に可能ですので、これは、子供の権利を守ることを妨げる理由にはもはやできない時代ですので、そういった理由を前面に出していただかないようにしていただきたいなというのがまず一つ要望としてあります。

 また、あと、もう一つの理由として、対象事業者と無関係の業種に就職するときに無犯罪証明書みたいなものを提出を求められて、そこで前科の有無が明らかになるおそれがある、それはつまり職業選択の自由に関する過度の制限になり得るということに関してなんですが、これは正直、少し、イギリスと日本の風土の違い、社会的な環境の違いということも御回答されましたが、やはり、無犯罪証明書を子供たちを守るための役割や機能の基本的なものとして、採用とかサービス利用の際の情報の一部として考えるような社会に変えていけばいいのであって、現行法上のハードルとか課題といったものは、まさにこれは政治的な判断で検討していくべき内容かと考えております。

 こういった、ちょっと大げさな言い方ですけれども、社会を変えていくような立法を目指すことこそが我々政治家の役割でもありますので、今後の改善に向けて、引き続きこういった議論は継続させていただければと考えております。

 次に、質問ですが、今回の法案では、まさにちょっと対象事業に該当しないような個人事業主とかボランティア等、今の話でいくと、海外では無犯罪証明なんかでカバーできているような職業や活動について、本法案でなかなかカバーできづらい状態になっていると認識しています。こういった場面において、日本においては、どのようにして子供に対する性暴力から守っていこうと考えているのか。これは本法案で対応できないから、対応できるまでは放置しておこうということをさすがに考えては駄目ですし、絶対あってはならないことと考えております。

 ですので、これは大臣への質問になるんですが、ちょっと本法案の範疇からはみ出る部分もあると思いますが、こういった今回の法案でカバーできないような内容についての子供の安全をどのように守っていくかをお答えいただけますでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 子供たちを性犯罪から守るためには、本法案の対象事業に該当しないものも含めて、関係省庁が連携して総合的な対策を進めていくことが必要であります。

 このため、四月二十五日に開催した関係省庁合同会議におきましては、子供、若者性被害防止に向けて、加害を防止する取組、相談、被害申告をしやすくする取組、被害者支援の取組、性嗜好障害などの治療や加害者更生に関する取組といった、四つの柱から成る、関係省庁で取り組むべき総合的な対策を新たに取りまとめました。これに基づきまして、性犯罪の成立要件をより明確化するなどの改正刑法等による厳正な対処、取締役の強化、また、業界における児童への性暴力防止の取組を横断的に促進するための先進事例の把握、指針のひな形作成、また、ワンストップ支援センター等における被害者支援の強化等、各種取組の推進、充実を図ってまいります。

 引き続き、本法案とともに、これらの取組を総合的に推進することで、子供の性被害を防止してまいります。

赤木委員 ありがとうございます。

 本法案だけで全ての子供の安全を守れるわけではないと認識されて、今列挙していただいただけでも、かなりな数の周辺の法制度の整備をされていくということなので、加藤大臣のこの意気込みによって実現のスピード感、制度も変わっていくと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

 次に、最初の質問にもまた関わる内容なんですけれども、まずは、今回は犯罪歴を証明する内容でいくとのことなんですが、先ほどいただいたイギリス、若しくはほかの海外もそうなんですけれども、証明のレベル分けとか、一部、無犯罪証明書みたいなものを追加して犯罪証明をしていって子供の安全を守るといった方法というのは十分あり得ると考えているんですが、こういった新たな仕組みを拡大していく際に、現在認識できている課題若しくは懸念点、解消して乗り越えなければいけないと認識されている論点について御回答をいただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 恐縮ですが、課題と御指摘いただいたのは、既存のデータベースと本犯歴照会の課題ではなく、本法案における課題でございますか。(赤木委員「新たな仕組みを追加していく際の」と呼ぶ)恐縮でございます。申し訳ありませんでした。

 今回、この法律案によりまして、新たな犯歴の照会の仕組みをつくるということにしております。それに関して言えば、やはり、今回は、認可で規制が行われている学校とか保育所については、既存の監督の仕組みが既にありますので、それを使ってしっかり監督をしていく。一方で、認定ということで、学習塾のように業法のない方々についても網をかけるということになりますので、こういった方々を、いかにスムーズに認定の取得に取り組んでいただけるかということをしっかり努めていきたいというふうに思っております。

 特に、認定につきましては、認定を取れないところも出てくるのではないかというふうな御指摘も様々な先生からいただいているので、できるだけ義務化に近いような状況になるようにしっかり周知も図り、そして、国の公表、事業者自身の表示、そして保護者にも理解いただく、こういった合わせ技の取組をやることによって、認定をしっかり進めていきたいというふうに考えております。

 それから、犯歴照会につきましても、先ほど来、様々な先生方から、長期的な検討課題それから目の前の運用に関する課題、様々いただいておりますので、まずはこの法案の円滑な施行に取り組めるように、ガイドラインなどをしっかり関係者の意見を聞きながら策定をすること、そして、その上で、我々のこの法案にも検討規定がございますので、不断の検討を続けていくということもやっていかなければいけないというふうに考えております。

赤木委員 ありがとうございます。

 今、認定を限りなく義務に近づけていく御意思もあるということなんですが、まさにこれは、犯罪歴をオープンにするところまでたどり着かないにしても、子供を守ることが最優先であるという国民の意識をつくっていく必要があって、つくっていかなければならないので、こども家庭庁さんへの期待は大きいので、是非、旗振り役として、よろしくお願いいたします。

 特に、無犯罪証明の発行、私、すごくこだわって、今日、何度も繰り返しているんですが、本法案の対象を広げるものであって、いろいろと、目的の正当性、あとは手段の必要最小限度性、情報管理の厳格性等、いろいろな課題があることは当然理解をしております。ただ一方、この法案、五年ではなくて、あえて三年というめどを持って必要な検討を加えて措置を講ずるという規定がされていますので、是非、この検討事項の重要なポイントとして犯罪事実の確認の在り方というものを検討事項に加えていただいて、無犯罪証明の導入も含めて、必要性、手段等々のバランスの取り方、継続して議論させていただければと考えております。

 少し時間を取られ過ぎましたので、ちょっと一つ通告を飛ばしまして、犯罪事実の確認結果の取扱い等に関して質問させていただきます。

 先ほど田中委員からも御質問がありましたが、法律の施行時の現職者の確認まで三年というのが、これは長過ぎるんじゃないかということ、実質五年半ぐらい放置というか確認できない可能性が生じるということなんですが、これは極力早くされていくという回答がありましたが、ちょっと細かい話、質問になるんですが、施行時点の現職者に内定者も含まれるかどうかについて御回答いただけますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 おっしゃるとおりでございます。施行時に対象業務に現に従事している者及び施行日前に内定を出し、施行日後に対象業務に従事させる者についても、犯罪事実確認を行う対象従事者としております。

赤木委員 かなり細かい話なので、恐らくガイドライン等で規定されるのかと思いますが、駆け込み内定のような形で、こういったことがなかなか、犯罪歴の確認が先延ばしにならないような形を是非取っていただければと考えております。

 次に、今度は、事業者が、犯罪歴がないこと若しくは犯罪歴の確認済みであることについて、どのような形をもって公表していけばいいのかということを結構懸念されて、今から準備しなければいけないと考えられていらっしゃる事業者さんがたくさんいらっしゃいます。現にそういった相談を受けています。

 具体的に言うと、学校とか事業者さんが、子供の安全を我々は重視していますよ、うちは安全ですよということを情報提供することも非常に重要になってきますし、営業上、そういったことがとても大事になる場面というのが今後は出てくると考えております。

 さらに、本法案が根づいた先にあるのは、保護者若しくは関係する大人も、こういった情報を踏まえながら、では、どういったサービスを利用していけばいいのか判断していくというのが世の中の常になるのかなと考えております。

 この際に、従業者に犯罪歴がないことを開示する場合、例えばウェブページにメンバーの顔写真とかプロフィールがあって、その中に犯罪歴なしとかと記載するような場合があり得るかと思うんですが、果たしてこれはオーケーなのかどうか。また、あとは、もっと全体的な話で、例えば本校は従業者が犯罪事実確認済みですということを公表する場合。二パターン、少し考えていますが、こういったことは、そもそも可否について御回答をいただけますでしょうか。

加藤国務大臣 お答えを申し上げます。

 事業者が従事者に犯罪歴がないことを公表することは、本法案において禁止されている第三者提供や目的外利用に該当することから認められません。他方で、事業者が従事者に関して犯罪事実確認済みであることを公表することは、犯歴確認義務を履行している旨の公表に当たるため可能でございます。

 事業者がどのような情報を公表できるかにつきましては、事業者が混乱しないよう、ガイドライン等でしっかりと周知をしてまいります。

赤木委員 そうですね。まさに混乱という言葉をいただきましたが、私が例示した前者に関しては、現に、こういったことをやっていいのかなというだけじゃなくて、犯罪歴を確認して、犯罪歴がないということを知っているからには、それを伝える義務があるんじゃないかというふうに拡大して、先走って考えられている事業者はもう既にあります。当然私は、それは多分駄目だと思いますよということは言ってはいるんですけれども。

 ちょっとまだ、二年半ぐらい状況はありますが、是非この辺り、どこまで、何をやってよくて、よかれと思ってやっていることが実は違法なことになりかねないということはもう今の時点で容易に想定できますので、是非その辺りの周知を進めていただければと思います。

 特に、私もこれは恥ずかしながら勉強不足だったんですが、犯罪歴がないこと自体もすごく重要な個人情報で、要配慮個人情報であるということ自体はなかなか知らない世界もあったりしますので、是非よろしくお願いいたします。

 次は、今度は逆のパターンですね、保護者やサービス利用者さんが当然こういったことを気にされることになると思います。従事者に犯罪歴がないこと、犯罪事実を確認済みであることを是非開示してほしいということを事業者さんが受ける場合があると思うんですが、こういった、一般の利用者とか保護者の方が開示請求すること自体についての可否、若しくは開示請求を受けた場合にどういった対応をすればいいのかについて御見解をいただけますでしょうか。

加藤国務大臣 まず、保護者かサービス利用者に対して、従事者に犯罪歴があるかないか等を、開示請求をすることの可否につきましては後ほど事務方の方から答弁をさせますが、事業者が保護者やサービス利用者に対して、従事者に犯罪歴がないことを回答することは、本法案において禁止されている第三者提供や目的外利用に該当することから認められず、従事者が犯罪事実確認済みであることにつきましては、犯歴確認義務を履行している旨の開示に当たることから回答可能でございます。

 事業者がどのような情報を利用者に教示できるかにつきましても、事業者が混乱しないよう、ガイドライン等でしっかり周知をしてまいります。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保護者の方から照会をしていいかということについては特段規制はないわけですけれども、ただ、それに対して、事業者が保護者に対する回答については、先ほど大臣が申し上げたような、第三者提供や目的外利用に該当するような、犯罪歴がないことを回答することが認められないということになります。

赤木委員 ありがとうございます。

 時間も参りましたのでこれで終わりますが、最後に、繰り返しとなりますが、検討事項に犯罪事実の確認の在り方に関して是非加えていただいて、継続した議論を進めさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会・教育の無償化を実現する会の伊東信久でございます。

 さて、本法案でやはり大事なことは、本当に子供の安全を守ることができるのか、その際、何が一番重要だと考えるのか、そのために具体的に誰がどういった行動を取ることが必要と考えているのかということが大事だと思うんですけれども、この法案の中では、そういった観点から、子供に関わる職場への就労制限が、極めて限定的になるんですけれども、就労制限に係ることは当然としていますけれども、今回は、個人の職業選択の自由も尊重しつつ、対象範囲を学校施設等に限定しております。

 そうなると、それ以外の多くの場面で子供たちを危険にさらしたままになるということの指摘がありまして、そこにやはり全く合理性を感じない、本当に子供を大切にする思いがあるのかという投げかけもあるわけなんですけれども。

 ここでちょっと大臣に改めてお尋ねしたいんですけれども、本法律の必要性及びこの規制内容の妥当性について、加藤大臣、どのようにお考えでしょうか。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 児童や生徒に対する性暴力の被害は、被害児童等の権利を著しく侵害し、被害児童等に対し生涯にわたって回復し難い有害な影響を与える極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではありません。このため、本法案は子供を性暴力から守るための様々な措置を講じております。

 他方で、本法案における仕組みは、一定の性犯罪前科を有する者の職業選択の自由に一定の制約を課すものであるため、その規制の範囲につきましては、その必要性や合理性が認められ、同じ目的を達成できるより緩やかな規制手段がない場合に限定されることが求められると考えております。

 このため、例えば犯歴確認の対象とする期間は、再犯に至った者の実証データに照らし、再犯の蓋然性が高い期間を犯歴確認の対象期間として設定をしてございます。

 また、対象となる事業につきましては、被用者が児童等を指導するなどし、支配的、優越的立場に立つ等の性質を有しており、児童等に対する性暴力等の発生に特別の注意を払うことが求められるものを対象と設定をしてございます。

 このように、子供を性暴力から守ることを第一としつつ、規制の必要性や合理性等を考慮した内容としてございます。

伊東(信)委員 恐らく、加藤大臣自身も、今の答弁の中の裏側を読めば、なかなかじくじたる思いもあるのではないかなと私はお察しをしているわけです。

 やはり、どのように防止するかという面で、職業への就労制限がどうしても限定的になれば、ではどうしたらいいのかということを考えないといけないんですけれども、私自身、医師でもありまして、同じ医師仲間というか、精神科の医師には、こういった性暴力は依存症と捉えて長期的なフォローが必要と考える方もおられます。

 フォローという意味で、この資料一を見ていただきますと、刑事施設における特別改善指導で、性犯罪防止指導という中で、いわゆるグループワーク、認知行動療法というのを入れているわけなんですけれども、これはやはり、こういった十三歳以下にしか性興奮を抱かない小児性愛の事例があるというところもありまして、この小児性愛に対しては認知行動療法が有効であるということも指摘されております。

 次の資料二のところにも、赤枠の中で、性被害防止のための総合的取組の中に、性嗜好に対する治療、加害者更生に向けた取組というところがあるんですけれども、まずは中野法務大臣政務官にお尋ねしたいんですけれども、こういった加害者が改善更生や社会復帰を図る上で、どのように考え、具体的にどのように盛り込まれているか、お教えください。

中野大臣政務官 お答えいたします。

 性犯罪の背景として性犯罪者の考え方の偏り等が指摘されていることから、法務省では、刑事施設や保護観察所において、認知行動療法に基づく性犯罪者処遇プログラムを実施いたしております。

 本プログラムでは、職員等とのグループワーク等を通して、性犯罪の背景にある自身の認知の癖を気づかせ、問題行動を起こさせないように対処する方法を身につけさせるものであり、必要な者に対し受講を義務づけるとともに、効果検証の結果や外部有識者からの提言等を踏まえ随時見直しを行うなど、充実を図っているところでございます。

 また、刑事司法手続を離れた者に対しましても、地域社会において継続的に支援を行っていくことも重要であると考えており、必要に応じて地方公共団体とも連携をしながら、引き続き、性犯罪者に対する再犯防止の対策を進めてまいりたいと存じます。

伊東(信)委員 政務官、今答弁いただいたところで確認なんですけれども、刑に対する執行猶予や保護観察がついた場合、執行猶予後、保護観察後についてはどのような対処になるのでしょうか。

中村政府参考人 今お尋ねのありました保護観察付執行猶予がついた者などにつきましても、性犯罪防止プログラムを保護観察所において実施しているところでございます。

伊東(信)委員 私の質疑の中で、いわゆる、こういった嗜好に対して、依存症として、精神科の医師からの指摘もあると申し上げたんですけれども、実際に関係性がはっきりしているわけではないんですが、それでもやはり関連はあると指摘せざるを得ないんですけれども。

 では、仮に、これを病である、病気である、若しくは実際に病気と診断された方がおられるとして、中野政務官からは法務省としての対策を答弁いただきましたけれども、厚生労働省として、この性嗜好障害を病気と捉えたときの治療法について、ほかにどのような対応があるか、お教えください。

三浦大臣政務官 お答えいたします。

 制御や治療を効果的に行う方法というのは確立しておりませんけれども、性嗜好障害の患者の治療に関して言えば、例えば性衝動の制御等を目的として、認知行動療法等の考え方を用いた面接技法、いわゆるカウンセリングでございますけれども、そういったものが考えられるのではないかと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 どうしても、認知行動療法とか考えていくと、人数も必要になってくるわけなんですね。

 資料三で大阪府の取組を見ていただけたらと思うんですけれども、今、三浦政務官がおっしゃっていただいたように、カウンセリングというのを大阪の方でも取り入れているんですね。同じ過ちを繰り返さないために、やはりより早い段階での対策というのが大事だと思います。

 こういった、各自治体でも取り組んでおられるんですけれども、法務省としてはそこの辺りをどのようにお考えいただいていますか。これも中野政務官にお尋ねします。

小山政府参考人 お答えいたします。

 法務省におきます地方自治体との連携方策についてのお尋ねというふうに理解をいたしました。

 法務省といたしましては、令和四年度に、地方公共団体が活用可能な性犯罪者に対する再犯防止プログラムというのを開発いたしまして、各都道府県に提供をさせていただいております。

 また、今委員の方からもお話ございました大阪府に関しましてでございますけれども、大阪府子どもを性犯罪から守る条例というのがあると承っておりまして、この施行に当たりまして、大阪府の依頼を受けまして、法務省では、大阪府に対し、届出者の同意を前提といたしまして、出所された方の情報を提供しております。

 加えまして、受刑者及び保護観察対象者に条例の内容を周知するために、刑事施設や保護観察所の中にポスターを掲示いたしましたり、刑事施設での、先ほど御答弁を政務官からさせていただきました、性犯罪者再犯防止指導の実施の際に、この大阪府の資料を閲覧させたりというような対応を行っておるところでございます。

 あくまでも情報提供に関しましてでございますけれども、一般論として申し上げれば、個人の犯罪経歴に関する情報ということでございますものですから、人の名誉あるいは信用に直接関わるものということでございますので、個人情報としてもその取扱いに特に配慮を要するものということで承知しております。

 その上で、受刑者の居住先に係る情報につきましては、そもそも法務省として網羅的に把握しているものではないということもございまして、情報提供に当たりましては慎重を期すべきものというふうに認識をしておるところでございます。

 繰り返しになりますけれども、刑事司法手続を離れた者に対しまして、地域社会において継続的に支援を行っていくことということは重要であるというふうに考えております。必要に応じまして地方公共団体とも今申し上げましたような連携をさせていただきながら、引き続き、性犯罪者に対します再犯防止対策を進めてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 この大阪での取組というのは、DV案件による加害者プログラムのようなものをイメージしておりまして、また、子供に関する職業に就けなかった者に対しても支援体制を構築する必要があると思いますので、まさに今回の法案にとても大事な指摘ではないかなと思うんですね。

 DV案件に関する加害者プログラムのようなものをイメージと申し上げたんですけれども、家庭内においての性被害があれば、それは、児童虐待防止法第六条第一項において、親などから虐待を受けたと思われる児童を発見した場合は児童相談所への通告が義務づけられているんですけれども、本法案、学校等が対象になった場合、この通報義務は一般的な規定には入っておりません。モニタリングを行うとしても、なかなかこの措置が入っていないと難しい側面もあるとは思うんですけれども、政府は、児童対象性暴力を発見した者に通報義務を設ける必要があるというこの指摘に対して、どのように思われていますでしょうか。

加藤国務大臣 まず、犯罪に該当する児童対象性暴力等の疑いがある場合について、それについての通報という御質問だと受け止めて答弁をさせていただきます。

 疑いがある場合において、その端緒を発見した者による通報を義務化すべきかということにつきましては、本法律案では、子供に対する教育、保育等を提供する事業者につきまして、現在業法のない学習塾等も含め、できるだけ幅広く対象とした上で、教育、保育等の現場における児童等への性暴力を防止するために、全ての対象事業者が必ず講ずべき措置について定めることとしたものでございます。

 具体的には、これらの事業者に対し、新たに、児童等との面談、相談等の性暴力等の端緒の早期把握のための措置、また、性暴力等のおそれがある場合の防止措置、性暴力等が行われた疑いがある場合の調査、被害児童の保護等を義務づけることとし、これらが実施されることによって、適切に端緒を把握した上で必要な対応が講じられることになるものと考えております。

 委員御指摘の通報も端緒を把握する上では有効な手段になり得ると考えますけれども、できるだけ幅広く事業者を対象とするに当たり、一律に特定の手段を義務づけることとはせずに、端緒の把握や調査等の具体的な方法に関し対象事業者へのヒアリング等も行いつつ、これを参考にしながら内閣府令で詳細を定めることとしてございます。

 いずれにしましても、措置の内容が、子供被害防止に実効的なものとなり、かつ、全ての事業者が適切に実施できるものとなるよう検討をしてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 なかなか、通報義務を設けても、それを隠されたりすると、それは実際に運用にはならないとは思うんですけれども。

 ただ、やはり、疑いのある者と大臣はおっしゃっていましたけれども、ヒアリングするのであれば、通報というのが相談という形になるのか分からないですけれども、これは、家庭内におきましては、今申し上げました児童の虐待法がありまして、教育職員等による児童生徒に対する暴力等の防止に関する法律は、該当暴力が発生した場合には通報義務が規定されるわけなんですけれども。

 ちょっと前にジャニーズ問題がありまして、あれは家庭内での話じゃなかったので、こういった通報義務があればこういったジャニーズ問題の対処にもなるのではないかというところも指摘させていただきたいと思うんですけれども、実際、今回の法案に当たり、やはり人権とのバランスというのは、これは立法機関であるのでしっかりと慎重に議論しなければいけないとは思っております。個人情報との関連を、どれだけ本当にひもづけるのか、どれだけ徹底していくのか、子供を中心に、子供を守るという立場で考えていくという意味では非常に難しい議論であります。

 それでも、ちょっとあえて質問させていただきますけれども、性犯罪歴を管理することについて、我が党の議員が参議院でも、予算委員会でも質問したんですけれども、性犯罪歴を例えばマイナンバーにひもづけて管理することについてどのように考えていますでしょうか。また、ひもづけが難しい場合には、その理由及びその懸念点というのはどのようなものでしょうか。教えていただきたいと思います。

加藤国務大臣 お答え申し上げます。

 本法律案の犯罪事実確認書は、事業者から申請のあった従事者の氏名、生年月日、本籍等の本人特定情報を法務大臣に提供し、法務大臣において本人特定情報に合致する特定性犯罪についての事件の保管記録を確認の上、こども家庭庁に通知し、こども家庭庁において事業者に交付することとしてございます。

 そのため、マイナンバーを利用した犯歴確認の仕組みとするためには、前提として、犯歴情報とマイナンバーのひもづけがなされることを制度上及び運用上可能とする必要がございますが、仮にこの点について検討を行う場合には、関係省庁において、高度なプライバシー情報である犯歴情報の性質等を踏まえつつ、慎重に検討することが必要になるものと承知をしてございます。

 いずれにしましても、本法律案による犯歴確認の仕組みにおいて、事業者、従事者、行政の負担を可能な限り少なくすることは重要な課題と認識をしてございます。このため、既に提出した戸籍情報等は原則再提出を不要とするなどの規定を法案に盛り込んでございますが、これに限らず、運用上の負担軽減の工夫、これを行ってまいりたいと考えます。

伊東(信)委員 時間ですので、終わります。

 ありがとうございます。

谷委員長 次回は、来る十六日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.