第21号 令和6年5月24日(金曜日)
令和六年五月二十四日(金曜日)午前八時五十分開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 井上 信治君 理事 小林 史明君
理事 田中 英之君 理事 牧島かれん君
理事 岡本あき子君 理事 藤岡 隆雄君
理事 一谷勇一郎君 理事 河西 宏一君
今村 雅弘君 黄川田仁志君
小寺 裕雄君 高木 啓君
橘 慶一郎君 谷川 とむ君
土田 慎君 土井 亨君
中川 郁子君 橋本 岳君
福田 達夫君 藤丸 敏君
堀井 学君 柳本 顕君
山口 晋君 青山 大人君
城井 崇君 坂本祐之輔君
中谷 一馬君 福田 昭夫君
早稲田ゆき君 赤木 正幸君
伊東 信久君 伊佐 進一君
浮島 智子君 高橋千鶴子君
田中 健君
…………………………………
国務大臣
(デジタル大臣) 河野 太郎君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 加藤 鮎子君
国務大臣
(地方創生担当) 自見はなこ君
内閣府副大臣 工藤 彰三君
デジタル大臣政務官
兼内閣府大臣政務官 土田 慎君
財務大臣政務官 瀬戸 隆一君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 安楽岡 武君
政府参考人
(内閣府地方創生推進事務局審議官) 中村 広樹君
政府参考人
(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) 徳増 伸二君
政府参考人
(公正取引委員会事務総局官房審議官) 塚田 益徳君
政府参考人
(消費者庁政策立案総括審議官) 藤本 武士君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房長) 小宮 義之君
政府参考人
(こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君
政府参考人
(こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 楠 正憲君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 布施田英生君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 三橋 一彦君
政府参考人
(総務省総合通信基盤局電気通信事業部長) 木村 公彦君
政府参考人
(文部科学省大臣官房学習基盤審議官) 浅野 敦行君
政府参考人
(文部科学省大臣官房文部科学戦略官) 梶山 正司君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮本 直樹君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 鳥井 陽一君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 宮本 悦子君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 日原 知己君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 須田 俊孝君
衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君
―――――――――――――
委員の異動
五月二十四日
辞任 補欠選任
上杉謙太郎君 高木 啓君
保岡 宏武君 山口 晋君
坂本祐之輔君 青山 大人君
同日
辞任 補欠選任
高木 啓君 上杉謙太郎君
山口 晋君 保岡 宏武君
青山 大人君 坂本祐之輔君
―――――――――――――
五月二十三日
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五五号)
は本委員会に付託された。
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第五五号)
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件
――――◇―――――
○谷委員長 これより会議を開きます。
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣府地方創生推進事務局審議官安楽岡武君、内閣府地方創生推進事務局審議官中村広樹君、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官徳増伸二君、公正取引委員会事務総局官房審議官塚田益徳君、消費者庁政策立案総括審議官藤本武士君、こども家庭庁長官官房長小宮義之君、こども家庭庁成育局長藤原朋子さん、こども家庭庁支援局長吉住啓作君、デジタル庁統括官楠正憲君、デジタル庁統括官布施田英生君、総務省大臣官房審議官三橋一彦君、総務省総合通信基盤局電気通信事業部長木村公彦君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官浅野敦行君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官梶山正司君、厚生労働省大臣官房審議官宮本直樹君、厚生労働省大臣官房審議官鳥井陽一君、厚生労働省大臣官房審議官宮本悦子さん、厚生労働省大臣官房審議官日原知己さん及び厚生労働省大臣官房審議官須田俊孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柳本顕君。
○柳本委員 自民党、大阪の柳本顕でございます。
質疑の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
国家戦略特区について、自見はなこ大臣、そして地方創生推進事務局政府参考人に何点かお伺いをさせていただきます。
国家戦略特区については、世界で一番ビジネスがしやすい環境の構築を目的としまして、平成二十六年以降、一次から三次までの指定があり、令和四年には、スーパーシティ型とデジタル田園健康特区として、区域及び規制・制度改革の舞台が指定されています。特区の名称はここに来て様々ではありますが、一貫した国家戦略特区の目的というものがあると考えます。世界で一番ビジネスがしやすい環境の構築という言葉だけでは、目的がいまいち明確にはなりません。
そこで、まず、全国一律ではなく、まさに特区として地域を指定して、選定された事業について対応するという国家戦略特区の目的を改めて簡潔に分かりやすく御説明いただけますでしょうか。
○安楽岡政府参考人 お答えします。
国家戦略特区制度の目的ですが、国家戦略特区法一条に規定がございまして、大変長い条文ですので少し割愛いたしますが、我が国を取り巻く国際経済環境の変化その他の経済社会情勢の変化に対応して、国が定めた国家戦略特別区域において、規制改革その他の施策を総合的かつ集中的に推進するために必要な事項を定め、国民経済の発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とするとされております。
内閣府としては、特区指定区域と連携し、大胆な規制・制度改革の突破口としての役割を引き続きしっかり果たしてまいりたいと考えています。
○柳本委員 規制改革などを進めることによって、経済の発展、そして生活の向上を目的とするということであります。
そういった意味におきましては、特区というものを指定すること自体で一定の目的は達成されることになるんだろうと思います。しかし、時代の大きな変化とともに、目的が本当に達成されているのか、しっかり進捗管理をし、検証、評価をした上で、指定された区域のみならず、国家戦略特区の効果を国全体として享受できるような状況にしていかなければなりません。
国家戦略特区の進捗状況、そして成果や効果というものについて、どのように確認をしているんでしょうか。また、より実りある特区とするためには、指定された区域において、指定時点での改革項目に加えて、新たな規制・制度改革事項を追加するようなことも必要であると考えます。そのようなことについてどのように対応しているのか、併せてお聞きをいたします。
○安楽岡政府参考人 お答えします。
国家戦略特区の進捗管理については、国家戦略特区法に基づき、年に一回、各指定区域と国が共催する会議において、指定区域ごとに特区の取組状況に関する評価を行うことで、その成果や効果について確認をしております。その際には、既存の事業の進捗状況だけでなく、新しい規制・制度改革に関する提案や新たに創設された特例の活用状況も評価を行うことで、各区域において、時代や環境の変化を踏まえた新たな規制改革への取組を促すこととしております。
○柳本委員 やはり進捗管理をした上で、その上で効果がどのように発現しているのか、その辺りを共有していくことが非常に重要であるというふうに思いますので、引き続き、こういった評価、そして効果検証については強化をしていっていただくようにお願いをいたします。
次に、私の地元でもあります大阪において指定をいただいたスーパーシティ型の特区についてお聞きをいたします。
かつては商都大阪と言われ、日本の経済の中核を担い、また、東洋のマンチェスターと言われたときから、物づくりの中心として中小企業が集積している大阪市であります。
しかしながら、二〇〇〇年代以降、日本全体の経済の低迷の中で、特に大阪市、大阪においては、経済情勢、社会経済情勢と言っていいかと思います、非常に厳しく、リーマン・ショック以降、各地で、東京を中心に経済情勢は一定の回復基調にあると言われるここ十年においても、なかなか大阪、関西においては非常に厳しい経済情勢、回復が実感として感じられないというような実情にあります。
そんな中で、スーパーシティの指定というものは、反転攻勢の機会と捉えて、私も含めて、大阪市も含めて積極的に国に働きかけて求めてきたことでありますし、二〇二二年の指定を受けて、二〇二五年開催の大阪・関西万博を生かして、新たな技術開発と実証、そして制度の構築を導き、新たな時代に対応する町づくりのモデルを示していきたいというふうに考えているところです。
そのためには、当然、特区指定を受けたことをゴールとするのではなくて、精密な効果検証をしながら、二〇三〇年頃を見据えたロードマップに即して、着実に歩みを進めていく必要があると考えます。
スーパーシティ型として指定された大阪府市の規制・制度改革事項について、どのように進捗管理を行っているのか。万博の準備並びに開催に合わせて対応することで、二〇二五年以降、万博開催以降の状況、日本全国に、あるいは大阪以外の地域にもいろいろな、その間の大阪での取組を広げていけるような状況につなげてこそ意義があるというふうに考えます。そのためには、進捗状況等々について効果的に情報発信をしていくことも大切であると考えます。自見大臣の御所見をお伺いいたします。
○自見国務大臣 お答えいたします。
柳本委員御地元の大阪スーパーシティでございますが、空飛ぶ車の社会実装に向けた基準の整備を始めといたしまして、当初提案のあった規制改革事項はおおむね実現するなど、取組が着実に進捗しているところでございます。
昨年十月には、私と知事と市長が出席の下で区域会議を開催をいたしまして、各プロジェクトの今後の取組方針を確認するとともに、万博時の仮設バスターミナルの建築が円滑に進むよう、仮設建築物の設置に関する特例を区域計画に盛り込むなど、万博開催などのスケジュールを意識した上で、大阪府市と連携して取組の進捗管理を進めているところでございます。
デジタル田園都市国家構想の先導役として、スーパーシティの取組の横展開は重要な使命と認識してございます。引き続き、大阪府市とともに、規制・制度改革と併せまして、具体的なサービスの実装やデータ連携基盤の利活用に取り組むとともに、全国に大阪の先進的な取組を発信する場としてフォーラムを開催するなど、他の地域でもスーパーシティの成果を踏まえました取組が進むように努めてまいりたいと存じます。
○柳本委員 ありがとうございます。
自見大臣の国家戦略特区担当そして万博担当大臣としての発信力にも是非期待を寄せるところでもございますので、力を合わせ取り組んでいきたいというふうに考えております。
その上で、先ほど大臣からも御答弁をいただきましたが、大阪におけるスーパーシティの規制改革項目として、例えば、空飛ぶ車の社会実装であるとか、バスターミナルについての効率的な運送について対応するとか、あるいは次世代の都市型MaaSみたいなことも項目として挙がっているわけです。こういうふうに、万博関連の改革事項にはモビリティーについてのものが複数あるわけです。
一方で、現在、ライドシェアについて、日本版ライドシェアの動きが出てきておりまして、大阪においても、四月二十六日、国交省より、運行できる曜日やあるいは時間帯、台数が示されています。その一方で、せんだっても知事の方から、二十四時間対応できるようにとか、あるいは台数に制限なくということで、特に万博期間中にライドシェア制度を拡充して実現させたいというような要望があるようなんです。
これは事務的な話で結構なんですけれども、事務的に、国家戦略特区との関係でどのような事務所掌を分担されているのか、整理されているのか、お聞かせください。
○安楽岡政府参考人 お答えします。
大阪府及び大阪市のスーパーシティに関する取組には、現在、大阪府市が御要望されている、万博開催中の移動需要への対応を目的としたライドシェア導入に関する提案は含まれておりません。
ライドシェアに関する課題については、デジタル行財政改革会議や規制改革推進会議において検討が行われているものと承知しております。
○柳本委員 ありがとうございます。
国家戦略特区の枠組みではなくて、ライドシェアとして、国全体の取組として検討を進めていっているということであります。今日、ここでライドシェアの是非や賛否や内容についての議論はいたしませんけれども、ただ、これは移動手段として、先ほど申し上げましたように、今要望がなされている時間帯あるいは台数の規制緩和というものがなされるということは、選択肢が増えることはいいことだというふうに思うんです。
その一方で、道路渋滞がどのような状況になるかということはなかなか分からないわけでありますので、これは国家戦略特区の効果検証にも言えることでありますけれども、しっかりと、今現在の日本版ライドシェアというものが進められる中で、やはり大阪における道路状況がどうなっていくのかという検証あってこそ拡充なども行っていけるものであるのではないかなというふうに私自身考えているということだけ、ちょっと付言させていただきます。
その上で、次に、同じくスーパーシティとして指定されたつくば市の事例、とりわけ、つくば市の中でインターネット投票の実施による住民政治参加の促進ということが記載されておりまして、その内容についてお聞きをいたします。
これは、指定された時点で、二〇二四年、すなわち今年十月につくば市長選挙並びに市議会議員選挙が予定されていることを受けて、インターネット投票に向けて頑張っていこうというようなことがうたわれているわけでありますけれども、現在の取組状況についてお聞かせいただけますでしょうか。
○安楽岡政府参考人 お答えします。
つくばスーパーシティでは、誰一人取り残さないという考え方の下、インターネット投票を含めた投票環境の向上にも取り組んでいます。これまで、つくば市の提案を受け、特区ワーキンググループ等においてインターネット投票に関する議論を重ねてまいりましたが、所管の総務省からは、セキュリティー等の技術的課題のほか、民主主義の根幹に関わる話であり、各党各会派における慎重な議論が必要といった慎重な意見があったところです。
こうした状況も踏まえ、つくば市では段階的に取組を進めていくこととしており、まずは、障害者など投票所に行くことが困難な方でも投票が容易となるよう、個々人の利用希望を踏まえて移動投票所が自宅等を巡回する、いわゆるオンデマンド型移動期日前投票所の取組を本年秋のつくば市長選、市議会議員選挙で実施するべく検討が進められております。
内閣府においても、規制改革のほか、技術面、運用面での検証を支援してきたところであり、引き続き、関係省庁と連携して必要な支援を行ってまいりたいと考えています。
○柳本委員 ありがとうございます。
今年十月に、いきなりというか、一足飛びにインターネット投票というところまでは、なかなか、いろいろ課題もあって難しい。ところが、その一方で、オンデマンド型移動期日前投票所というものを設けて、これについては、規制改革というよりは、改めて総務省等々と連携、調整をし、現行法制度上で、一定、期日前投票のありようを拡充することによって対応できるという手法を取られるということであります。
なかなか面白い取組だなというふうに思いますし、これは恐らく、つくばで第一回目ということになろうかというふうに思いますけれども、もちろん現行法制度上の流れの中でということなので、全国各自治体における選挙などでも対応できないことではないということなんだというふうに理解します。
また一方、インターネット投票については、憲法改正に向けての国民投票のありようやどうやという話もありますし、国政選挙においてもどうあるべきかというようなことも、一定、総務省においても議論があるというふうに認識しております。このつくば市の動きが国全体での議論に資するように取り組んでいただきたいというふうに思うわけです。
また、大阪における空飛ぶ車の話も出てきました。この社会実装というものは万博を契機として取り組まれておりますけれども、実は、ほかの地域で、先んじてこの空飛ぶ車なるものの活用に向けて動いてきたところもあるわけでありまして、そういう自治体であるとか事業者は、特区による基準の整備に期待を寄せて注視しているという一面もあるわけです。
そういったことを考えますと、特区による事業を進めるに当たっては、地域限定である前提で考えるのではなくて、全国措置化を念頭に置いておかなければ、結果として指定地域でしか運用できないということになりかねないわけであります。
スーパーシティ型にかかわらず、国家戦略特区を進めるに当たっては、指定地域での実装や実証であったとしても、地域限定のものではなくて、全国での展開を視野に入れた対応を図っていくべきであるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○安楽岡政府参考人 お答えします。
国家戦略特区における規制の特例措置の全国展開につきましては、国家戦略特区基本方針において、「特例措置の活用から一定期間が経過し、特段の弊害のない特区の成果については、全国展開に向けた検討を重点的に進める」とされており、特区制度の創設以来、約九十の特例が全国展開されております。
こうした全国展開を進めていく上では、個々の特例措置に関心を有する特区指定区域での先行的な取組が円滑に行われ、全国展開に向けたエビデンスを収集していくことが大変重要です。引き続き、特例措置の全国展開が進むよう、各特区指定区域と協力をして特例の活用を進めてまいりたいと考えています。
○柳本委員 よろしくお願いをいたします。
この国家戦略特区関連で、最後に、今後、新たな区域指定の動きについてお聞きをいたします。
国家戦略特区は、当初の大きな目的を維持しながらも、現在は、デジタルを活用しつつ、より地域に根差した地方創生の流れにシフトしていっていると感じております。これは非常によいことだと思います。
デジタル田園健康特区の取組の横展開を図るべく、今年二月まで新たな提案募集を行ってきたと聞いておりますが、今後、新たな区域指定の動きはどのような状況なんでしょうか。名は体を表すではありませんが、新たに指定される特区の名称はどうなりますかね。今年六月に、区域諮問会議に向けて、今、ちょっと言えることと言えないこととあるかと思いますけれども、言えることを是非この機会に教えていただけたらと思います。
○安楽岡政府参考人 お答えします。
人口減少、少子高齢化など地域の抱える深刻な課題の解決に向けては、地域の幅広い関係者の連携に加え、自治体の枠組みを超えた連携が重要となっていることを踏まえ、昨年十二月の国家戦略特区諮問会議では、自治体間の連携により地域課題解決に取り組む連携“絆”特区の取組を新たに進めることとなりました。
また、金融庁を中心に検討されている金融・資産運用特区の取組についても、主にビジネス、生活環境や地域の成長分野に関わる規制改革については、国家戦略特区制度も活用して検討することとされたところです。
これらの特区に関しては、全国から寄せられた規制・制度改革提案を踏まえ、国家戦略特区ワーキング等を中心に検討いただいているところであり、今後、国家戦略特区諮問会議において、区域指定の在り方や名称も含めて御審議いただく予定となっております。
○柳本委員 まさに時代の変化に伴って、国家戦略特区というこの取組は、未来に向けて新たな動きを各地方において実装し、そして実証し、その結果として、日本全体の社会のありようを変容させていく大きなつながりになるというふうに思いますので、そういった大きな意識を持ちながら引き続き取り組んでいただくように要望をしておきます。
ちょっと時間もありますので、一問だけ、企業版ふるさと納税についてお聞きをしたいと思います。
企業版ふるさと納税については、この間、非常に、対象企業数、対象自治体並びにその金額も増加傾向にあります。その一方で、自治体からすると、やはりなかなかノウハウがないとか人手がないとか、あるいは、寄附する側の企業側としても、寄附したいんだけれども、相手方となる自治体がその取組をしていないとか、具体的なメリットとして、個人版のふるさと納税のように返礼品のようなものがないとか、そういった課題もあるわけです。
ただ、地方創生の観点からも、自治体の自主財源獲得並びに事業の大きな展開ということから考えても、非常に有益なものであるというふうに思いますので、国としてもしっかりとバックアップして、更に拡充していけるように取り組んでいくべきであるというふうに考えますが、この点についてどのような対応をされているでしょうか。お伺いをいたします。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
企業版ふるさと納税制度の寄附金額、寄附件数は大幅に伸びており、活用団体数も増加してきましたが、委員御指摘のとおり、まだ本制度を活用されていない団体や企業もございます。
内閣府においては、こうした企業や地方公共団体にも本制度を御活用いただけるよう、企業と地方公共団体のマッチング会について、例えば、防災や教育、子育て支援など、多くの団体で取り組まれることが想定される分野をテーマとして開催したり、寄附獲得に向けた企業への訴求力、提案力の強化を図るための地方公共団体職員向け研修会を開催するなどの取組を行っているところです。
内閣府としては、多くの企業、地方公共団体に本制度を御活用いただけるよう、引き続き取り組んでまいります。
○柳本委員 地元大阪におきましても、河内長野市であるとか泉佐野市で積極的に、企業版ふるさと納税、事業者などとも連携をしながら取組を進めていただいております。こういった好事例もしっかりと全国の中で共有しながら、更に広げていただきますように要望させていただいて、私の質疑を終えさせていただきます。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、河西宏一君。
○河西委員 おはようございます。公明党の河西でございます。
本日は、リトルベビーハンドブックについて取り上げさせていただきたいと思います。
昨今の晩婚化、また医療の発達等を背景といたしまして、二千五百グラム未満の低出生体重児の割合、これは、一九八〇年は五・六%でございましたが、二〇二二年には九・四%ということで、約十人に一人まで増加をしております。
ところが、母子健康手帳、今年で誕生から七十六年を数えますけれども、その発育曲線は、御案内のとおり、体重一キロ以上しか記録できずに、特にお母さん方のつらさは察するに余りあるものがあるわけであります。
こうした中、二〇一一年に、当事者の皆様のお声を受けて、静岡県で初めてリトルベビーハンドブックが誕生いたしました。その後、お母さん方を始め当事者の方々、また国際母子手帳委員会の事務局長の板東あけみ先生、そして我が党も地方議員を先頭に全力で取り組ませていただきまして、着実にこの導入は広がっております。
本日は、こうした取組に心から敬意を表しつつ、当事者の方々のお声も踏まえて質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
まず、政府が提供する発育曲線についてお伺いをいたします。
現在、この発育曲線は、千グラム未満が含まれておりません。すなわちプロットができない形となっております。一方、統計によれば、赤ちゃんの生存率でありますが、五百グラム以下で六〇・二%、五百一から七百五十グラムで八四・六%、そして七百五十一から千グラムで実は九四・七%に及ぶわけでありまして、この既存の、また現行の発育曲線、実態と乖離をしていると言わざるを得ないわけであります。
なぜ現行の発育曲線がこうした範囲にとどまってきたのか、その理由を伺うとともに、今後、千グラム未満も含んだ発育曲線へのアップデートが必要ではないかと考えるわけでありますけれども、こども家庭庁の見解をいただきたいと思っております。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の乳幼児身体発育曲線でございますけれども、乳幼児の体重や身長等の身体計測値を客観的に評価できるように、乳幼児身体発育調査の結果から得られた年、月齢別の基準となる値を帯状のグラフで示したものでございます。
委員御指摘のとおり、乳幼児身体発育曲線の体重の表記が一キロからとなっておりますためにプロットができないという御指摘をいただきました。この基となっている乳幼児身体発育調査、これは大体十年周期で調査をしておりますが、ちょうど昨年の九月から乳幼児身体発育調査を実施をしておりまして、今年度中に当該調査の結果に基づいて最新の身体発育曲線を作成したいと考えております。
その際、出生体重が千グラム未満の低出生体重児のお子さんの記録についてどのような対応が可能か、適当であるか、保護者の方の疎外感を感じることがないようにという御指摘も踏まえて、有識者や当事者の方の御意見も聞きながら、検討を進めていきたいと考えております。
○河西委員 ありがとうございます。
是非、当事者の方々の思い、ここに寄り添って、最新の発育曲線、検討をいただきたいと思っております。
また、母子健康手帳には保護者の記録という欄がございます。手足をよく動かしますかとか、あとは、気軽に相談できる人はいますか、こういったことに、はい、いいえで答える形になりますけれども、低出生体重児の赤ちゃんが生まれた場合、やはり、いずれにもいいえに丸がついてしまうわけであります。
こうした経験を持つ当事者にしか分からないこの不可欠なコンテンツに、私も教えていただいて初めて認識をしたわけでありますが、同様にリトルベビーの赤ちゃんが生まれたお母さん方からの励ましのメッセージ、これを入れ込んだリトルベビーハンドブックも存在をしております。大変重要なコンテンツだと思っております。また、ネット上には、出生体重別の生存確率など、気分が落ち込んでしまうような内容もありますので、スマホを閲覧しないように助言をする医療機関もあるということで、リトルベビーハンドブック、実は、これはネット社会のこの時代でありますけれども、紙媒体であることも大変重要である、こういったことも教えていただきました。
こうしたお母さん方を孤立、不安、また自責から守るといった視点は、従前の母子健康手帳では事足りない、また、リトルベビーハンドブックを作成する都道府県の行政サイドにも、こういった視点を更に浸透させる必要がある、こういったことを感じた場面もあったというふうに伺っております。
そこで、このリトルベビーハンドブックを作成、更新するに当たっては、当事者団体の代表者の方などの意見を十分に踏まえるように、政府としても都道府県の取組を是非後押しをしていただきたい、こう思うわけでありますけれども、是非見解をいただきたいと思っております。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
リトルベビーハンドブックにつきましては、現在、各都道府県で独自に作成されているものと承知をしております。各都道府県の取組を進めるため、母子保健対策強化事業におきましては、都道府県が、当事者の意見を十分に踏まえることができるよう、当事者団体を含む関係団体との連携を図るための協議会を設置し、また、ハンドブックの作成や普及啓発、医療従事者等に対する研修を行う場合に財政支援を行っております。
こども家庭庁としましても、引き続き、自治体等を通じた必要な支援を行うとともに、こうした支援をより多くの自治体に御活用いただけるよう周知を図ってまいります。
○河西委員 是非そういった様々なお支えをいただく中で、様々な意思疎通というものも図っていただきたいというふうに思っております。大臣、ありがとうございます。
続きまして、もう一問、加藤大臣にお伺いをしたいと思います。
今のお話でお分かりいただけるように、母子健康手帳がリトルベビーハンドブックに取って代わることはできないというふうに私は思っております。
実は、今年度の秋田県をもちまして、このリトルベビーハンドブック、全四十七都道府県で作成、導入することが決まりました。一方、この当該ブックへの国の補助事業等、今大臣も言及いただきましたけれども、こういったものはあるんですが、法律上は、母子保健法上、市区町村への母子健康手帳の交付義務しか位置づけられておりませんので、地方財政措置の算定には、母子健康手帳は含まれるんですけれども、リトルベビーハンドブックは含まれない、こういったたてつけになっております。
こうした法制度のたてつけでありますけれども、やはり、時代のニーズ、変化、また地方自治体の行動が変容する中で、やや前時代的になってきたのかなというふうにも思うわけであります。そこで、今後は、制度上の公平性の観点から、母子保健法で、母子健康手帳に加えまして、是非リトルベビーハンドブックを位置づけることも検討してはどうか、こう思うわけでありますけれども、大臣の御見解をいただきたいと思っております。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
母子保健法におきましては、妊産婦や乳幼児に保健指導を行う際の基礎資料となるよう、妊娠、出産、育児に関する母子の健康状態を一貫して記録するものとして、妊娠の届出をした方に対して母子健康手帳を交付することとしてございます。
御指摘のリトルベビーハンドブックは、低出生体重児を持つ保護者の心情に配慮した記録欄の設定や情報提供等がされるものとして、母子健康手帳とは別に都道府県が独自に作成されているものと承知をしてございます。
リトルベビーハンドブックを母子保健法に位置づけることにつきましては、低出生体重児以外にも保護者の心情に配慮が必要となるケースが様々考えられる中で、リトルベビーハンドブックのみを母子保健法に位置づけることをどのように考えるかといった観点を踏まえた慎重な検討が必要であると考えてございます。
一方で、低出生体重児を持つ保護者に寄り添って安心して子育てをいただくために支援すること、これは大変重要なことだと考えておりまして、母子保健法におきましては、体重が二千五百グラム未満の乳児が出生したときの届出義務を課した上で、必要に応じて保健師等による訪問指導を行うこと、入院が必要となる未熟児に対してその治療に必要な医療費を公費で一部負担することを定めております。
こども家庭庁としましては、そうした取組を通じて、低出生体重児とその御家族を支援してまいります。
○河西委員 ありがとうございます。
現状は慎重な検討を要するということで理解をしておりますけれども、やはりこういった時代の変化を踏まえた、手帳とかブック全体がどうあるべきなのかということも踏まえて、是非これからもちょっとやり取りをさせていただきたいと思っております。
大臣への質問は以上でございますので、もしお時間、お忙しいようでしたら、御退席いただいても結構でございます。
続きまして、厚労省の方にお伺いをいたします。産前産後休業についてでございます。
産前休業は出産予定日までの原則六週間と規定をされておりますので、低出生体重児の場合、早産となりますので、実際の出産日が予定日よりも大幅に前倒しをされる。結果、取得できる産前休業の期間は六週間よりも短くなるわけであります。
こうした中で、その後の産後休業、これが終わっても、やはり子供が入院中の例もリトルベビーの赤ちゃんの場合少なくないということに鑑みまして、当事者団体の方々からは、取得し切れなかった分の産前休業を産後休業に追加して付与できないのか、あるいは、早産の場合でも産前産後休業の境目を出産予定日のままにできないのか、こういった御実感からの御意見をいただいているわけでございますけれども、厚労省の見解をいただきたいと思っております。
○宮本(悦)政府参考人 お答え申し上げます。
産前及び産後休業は、労働者の心身の疲労の回復等を目的とした年次有給休暇等の休暇制度とは異なり、母体保護の観点から労働基準法において規定されたものでございます。
産前休業につきましては、胎児の成長が著しい妊娠末期は母体への負担が大きく、休養を取る必要があることから、労働基準法におきまして、使用者は、六週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合は当該労働者を就業させてはならないこととされております。
また、産後休業につきましては、妊娠、出産を経た母体の平均的な回復期間が六週間から八週間であるという医学的知見を踏まえまして、原則、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならないこととされております。
このように、医学的知見を踏まえまして、産前におきましては女性労働者の母体及び胎児の健康のために、産後におきましては母体の回復のために十分な休業期間を確保できるよう、適切な休業期間を定めているところでございまして、先生御指摘の、産前休業で取得し切れなかった期間を産後休業に追加することや、産後休業を出産予定日からカウントすることは法の趣旨からは異なるものであるというふうに考えてございます。
一方で、妊娠中や出産後の母体の状態は個人差があるため、男女雇用機会均等法に基づく母性健康管理措置におきましては、事業主は、医師等による指導事項に基づき、女性労働者に対する休業等の必要な措置を講じなければならないこととされてございます。
厚生労働省といたしましては、女性労働者が安心して妊娠、出産できますよう、これらの母性保護の制度につきまして周知徹底を図ってまいりたいと考えてございます。
○河西委員 ありがとうございます。
産前産後休業は母体の回復を念頭に置いた法定休暇であるということでありました。一方で、やはり、先ほど申し上げましたが、産後は赤ちゃんの看護に十分な配慮と休暇が必要であります。また、お母さん自身も、自責の念が強まるということで、心身が置かれる状況、これは非常に厳しいものがあるわけであります。
一昨年、公明党が提言をいたしました子育て応援トータルプラン、これは、リトルベビーハンドブックの全国展開とともに、育児休業、また時短勤務をより利用しやすくする取組を広げていただきたいということで求めてまいりました。
こうしたことも踏まえまして、こども未来戦略、また、今国会に提出をされております育児・介護休業法の一部改正、ここには、妊娠、出産等の申出時や子が三歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取及び配慮、これを事業主に義務づけるというふうに承知をしております。
大切なことは、今後の事業主の行動変容もそうなんですが、やはりお母さん御自身、また当事者御自身が、今回の制度改正、それを踏まえた子の看護休暇や短時間勤務制度などを利用できる、そういったことを安心して理解をしていただいて、心の準備ができる環境づくりであるというふうに思っております。
そこで、法改正の暁には、意向の聴取や配慮が義務化されることについて、リトルベビーハンドブックの内容や医療関係者の知見がアップデートされるように政府として十分な周知に努めていただきたいと思いますけれども、最後、こども家庭庁にお伺いをしたいと思っております。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
今般の育児・介護休業法の制度改正におきまして、子供や家庭の様々な事情がある場合にも仕事と育児を両立できるように、両立に関する個別の意向の確認とその意向への配慮を事業主に義務づけることとされていると承知をしております。
この法案の成立後、厚生労働省等で必要な周知がなされることはもちろんでございますけれども、こども家庭庁としても、しっかり保護者の方への周知に取り組んでいく必要があるというふうに認識をしております。
低出生体重児の保護者の方を含め、育児中の方々ですとか医療機関などその支援者、そういった方々に広く必要な情報を周知するということは非常に重要でございます。
従来から、こども家庭庁におきましては、母子健康手帳ですとか、こども家庭庁の情報サイトにおきまして、妊娠、出産、子育てに関する情報提供を行っているところでございますが、今般のこの改正法につきましても、厚生労働省とも連携をして、必要な情報をしっかり届けられるように周知に取り組んでいきたいと考えております。
○河西委員 時間が参りました。最後、ちょっと一問通告を残しましたけれども、就学猶予についても、なかなか認められないというお声もいただいておりますので、これは文科省さんに申し上げるだけで終わりますけれども、事務連絡から十一年がたっておりますので、更なる取組をお願いを申し上げまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、早稲田ゆきさん。
○早稲田委員 おはようございます。立憲民主党の早稲田ゆきでございます。
本日は、二問、大きな質問ということではさせていただきたいと思いますが、自見大臣にはよろしくお願いいたします。
まず、先般の、前回のこの当委員会の方でも質疑をさせていただきました宗教二世への児童虐待、この調査の結果が出ました。このことにつきましては、私は、医療ネグレクト、この問題は、厚生労働省とそれからこども家庭庁が連携をして、課題の抽出、そしてまた、一日も早く、一刻の猶予を争うような場合のときにどうするかということも詰めて考えていただきたいということをそのときに申し上げました。そのときの実態調査、大変詳細にやっていただきましたことを大変評価をさせていただいているところでございます。
その上でなんでございますが、ここで聞き取り調査もしていただきました。その中では、虐待の経験が誰にも相談できずという方が半数ということであります。つまり、これが児童虐待に当たるのかどうかも分からない、それからまた誰に相談していいかも分からないということが、本当に、宗教二世と言われる方々、大変な思いで幼少期を過ごされたということも聞いております。
その上ででございますが、今、こども大綱の下に、こどもまんなか実行計画、これの取りまとめが政府の中で行われていると思います。その上で、基本政策部会、五月九日に開かれております。この中で宗教二世に関する虐待に関する発言もございますので、読み上げさせていただきます。
十二回のこの部会の中で、木田委員、弁護士であられますが、困難な状況に置かれた子供についてですが、これについての記載が若干弱いのではないかと。そして、宗教二世の問題が基本政策部会で繰り返し御指摘もあったところですが、今回の計画に含まれていないということが気になりました。そして、こども家庭庁では調査研究も行っているので、これを踏まえて引き続き宗教二世について、相談体制の整備、それから自立支援に向けた取組の継続といったものが書き込めるのではないかとおっしゃっています。
また、大学生の委員である大隅委員も同様のことも指摘をされておるわけですが、是非、こども大綱を作っていただいて、子供の実行計画を作るわけですから、その中に、これだけ社会問題となっている、しかも、今明るみに出ておりますけれども、長年にわたりの子供たちの声なき声ということを是非改善するためにも、この実行計画に、今申し上げました相談窓口の整備、それから自立支援の取組の強化、これを入れていただきたいと切にお願いしたいのですが、参考人から御答弁をお願いします。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
こどもまんなか実行計画の策定に向けては、こども家庭審議会基本政策部会において議論がなされ、一部の委員より御指摘のような宗教二世についての相談体制の整備、自立支援に向けた取組の継続を盛り込む旨の要望が出され、議論の結果として、五月十六日にこども家庭審議会の御意見として取りまとめていただいたところでございます。
この中で、御指摘の相談窓口の整備等については、こども家庭センターが、妊産婦、子育て家庭のSOSを受け止めるとともに、ヤングケアラーや保護者の思想信条等を背景とする等、自覚しづらく、支援を求めづらい状況にある子供等のSOSを、子供と日々の接点を有する学校等の関係機関の目を通して着実に把握し、必要な支援を届けることとされた上で、こども家庭センターの相談対応体制の整備等を推進する旨の記載がなされております。
また、御指摘の自立支援も重要な観点と認識しており、いずれにいたしましても、保護者の思想信条等が背景にあるケースも含め、子供の虐待の予防、早期発見等の取組が有効なものとなりますように、引き続き、こどもまんなか実行計画策定に向けて検討、調整を進めてまいります。
○早稲田委員 是非、宗教というキーワードを入れました中で、相談体制の整備ということ、自立支援ということをしっかりと書き込んでいただきますように強く要望させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは次の質問に移りますが、地方創生、そしてまた、先ほども議論が出ておりました企業版ふるさと納税についてでございます。
資料の方をお目通しをいただければと思います。
このことにつきましては、地方創生法の十年、まち・ひと・しごと創生法、これが十年でございまして、地域活性化についてどうだったのか、地方創生が進んできたのかという議論をこれからまた検証をしっかりしていただけると思っておりますが、この中で、大変、一極集中というところには政府が苦悩という報道もございます。自見大臣も記者会見のところで、過度な東京一極集中などの課題が残っている、これも述べられていらっしゃるところであります。残念ながら、十年前に転入の超過が十万人ぐらいの流入であったものが、更にこの十年間で十一万人台に増えているという実態もございます。
その中で私も質問をさせていただきたいのですが、今回この資料を使わせていただきましたが、食われる自治体、溶ける地方創生マネーというのが週刊東洋経済でたくさんのページを割いてのこの指摘がございました。好事例があって、そして地方創生に資する、やはりそうした取組もたくさんあるでしょうけれども、一方で、本当にそれが公金を使うのにふさわしいかどうかという、そういう課題も大変ございます。
この中で伺いたいのでございますが、企業版ふるさと納税の利用は、二〇二二年度、最高の三百四十一億円であります。そしてまた、これはいろいろ税制改正などがございまして、時限措置ですけれども、税制優遇が最大九割、これが控除になる、実質的に、そういうことになっております。
そしてまた、今年度はこの時限措置の最終年度でありますから、夏に向けて検証はされるわけですが、やはり、そのときには制度の問題点、これをしっかり洗い出していただきまして、必要な部分は見直しをしていくということをやっていただきたいという趣旨で質問をいたします。
この東洋経済のものを読んでいただくと分かるんですけれども、詳細について時間がないので説明はいたしませんが、結局、都会のコンサルに吸い上げられているのではないかという話です。
この中で、やはり、七七%の自治体がこの計画、再生計画を策定をするのに当たり、コンサルに委託をしております。そして、そのコンサルのうちの五割が東京に集中しているという話でございます。つまり、地方創生という公金がまた東京に戻ってきてしまっているというような話もございます。
その中で、今回取り上げるのは、福島県の国見町で、企業版ふるさと納税をした企業の子会社が、その寄附金を使った町の事業を受注するという問題でありまして、これは高規格の救急車の十二台リースという話なんですけれども、資金還流の疑惑、課税逃れではないかという疑惑が持ち上がり、この事業を町は中止をいたしました。
そして、今現在、町議会では地方自治法に基づく百条委員会も開かれておりまして、大変な問題になっております。今報告書が取りまとめられている最中だと伺っています。
この問題ですけれども、制度の所管は、もちろんつくったのは内閣府でありますから、その中で、私が非常にこの制度設計でどうなのかと思うのは、自治体が公平公正な制度で入札を行い、議会を含めて説明責任を果たせる場合、寄附企業がこの対象事業を受注しても経済的利益の供与には当たらないというのが内閣府の見解だと思われますが、それがQアンドAに書かれているわけですけれども、そういう理解でよろしいのかということがまず一点。
それから、ではこれまで、そうではなくて、経済的な見返りがあったと把握した事例があるのか、私は、今回のこの国見町のような場合は、経済的見返りに当たる可能性が高いと思われますけれども、じゃ、そういう場合、不適切な事例があった場合、一般論として、内閣府としてはどのような対応をされるのか。二点まとめて伺います。
○自見国務大臣 お答えいたします。
二問いただいたと思ってございます。
まず一問目でございますが、国におきましては、本制度に関するQアンドAにおきまして、地方公共団体が、入札、契約に関する法令、当該地方公共団体の定める条例、規則等を遵守した上で、寄附企業等を寄附活用事業の契約の相手方とすることは、寄附の受領を理由に寄附企業等とその他の企業との別異、違って扱うということでございますが、に取り扱う場合を除き、内閣府令が禁止する寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与することに該当しないとしてございます。
これを踏まえまして、国としては、地方公共団体におきまして、寄附活用事業を実施する際の委託先等との契約手続の公正性、透明性を確保するとともに、その説明責任は各地方公共団体において十分に果たしていただく必要があると考えてございます。これが一問目に対する回答でございます。
二問目でございますけれども、現在、具体的な事例を出していただいておりますが、現在、内閣府令におきまして、寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与することを禁止しているところです。
そういったところでございまして、これまで地方公共団体から寄附企業に対し寄附の代償として経済的な利益の供与があった事例は把握してございません。
福島県の国見町の事案につきましては、町議会において、地方自治法第百条に基づくいわゆる百条委員会が設置をされ、調査が行われていると承知してございまして、国としては、その調査の内容等を注視しているところでございます。
その上で、個別の事案についてのお答えは差し控えますが、一般論を申し上げれば、不適切な事案が生じた場合には、地方再生法に基づく報告の徴収や措置の要求等の実施も含めまして、国として適切に対応していくことになります。地域再生法でございます。失礼いたしました。
○早稲田委員 結局、公平公正なプロセスかどうかということは全て自治体任せということであろうかと思いますが。
では、何が見返りに当たるかどうか、どうやって判断するのでしょうか。そのチェックの仕組みがありますか。
○自見国務大臣 企業版ふるさと納税を活用した事業につきましては、各地方公共団体の自主性、自立性に基づいて行われるものでございまして、地方議会での予算や決算の審査等の過程で、地方公共団体が説明責任を自ら果たすという観点から、地方公共団体においてまずは適切に対応していただきたいと考えているところでございます。
○早稲田委員 なかなか難しいと思うんですね。それは特に、今、議会や住民がチェックする、決算、予算とおっしゃいましたけれども、百条委員会を開くきっかけになったのも、いろいろ報道があったからだと思うんです。というのは、その企業が匿名で寄附をしておりますから、その匿名で寄附をしたところと、それから受注の事業がどうなっているのか、その受注した企業が同じなのかどうか、子会社なのか関連会社なのか、それは一部の関係者しか分からないわけです。
百条委員会が開かれているから、調査権があるからやっているということにはなりますが、この百条委員会、私も鎌倉市議会議員のときにやりましたけれども、もちろん、調査権はあるけれども、捜査機関ではないので、本当にやはりそこは限度があります。その中でやっておられることは大変評価をしておりますけれども、そういうことではなくて、やはり、内閣府の所管の制度自体に甘さがあるのではないか、穴があるのではないかということで、私は今日は質問させていただきたいので、是非、議会のチェックといっても、名前が分からなければチェックのしようもございません。
今回、監査委員が指摘をしておるわけなんですけれども、これは内部の通報によって監査委員が調べた。そのときに、委託先選定については公平性に欠ける、それからまた不適切で乱暴である、それから仕様書というのが、これが計十二台の救急車両の高規格の発注なんですけれども、なぜ十二台にしたのかというところにおいては、寄附の金額がそうだったからということらしいんですね。それで、監査委員の方では、必要のないものに貴重な予算が使用される可能性があり、公金を扱う者としては一番やってはいけない状況だ、そういうふうに断じておられるわけです。
それやこれやを見ましても、非常にチェックする仕組みが甘いと、外から。住民などはまず分からないという状況になってしまいますので、私は、これから制度を拡充したり、存続をしたりしていくのであれば、やはり国民がもっと納得できるような透明性を確保すべきだと思います。そのときには、具体的に国の責任で、匿名による寄附の禁止、それから資本関係、人事関係のあるような子会社等、これが寄附金を使う事業に受注をすること、これを規制すべき、禁止すべきと考えますが、大臣、いかがでしょう。
○自見国務大臣 お答えいたします。
匿名による寄附につきましては、国では、本制度に関するQアンドAにおきまして、地方公共団体に対し、公表を希望しない企業を除き、寄附企業名等を公表するよう要請しているところであります。
また、企業名等を非公表とする場合におきましても、その理由等について、地方公共団体において説明責任を果たすように求めているところであります。
いずれにいたしましても、地方議会での予算やあるいは決算の審査等の過程におきまして、地方公共団体が説明責任を果たすという観点から、地方公共団体において適切に対応していただきたいと考えております。
○早稲田委員 匿名企業について、内閣府としてこれをやるべきではないのではないかという質問に対してはいかがでしょう。
○自見国務大臣 いろいろな考え方があると思いますが、この匿名の寄附について、内閣府のQアンドAで、先ほど申し上げたように、寄附を公表しない希望を除きということでありますが、その理由でございますが、私ども、地方公共団体の皆様と接している中で、事実上は、多くの地方公共団体では企業名を公表してございます。
なぜこの公表しないというような話について認めているかということでございますが、本制度自体は、地方創生に貢献するという意欲に基づきまして企業が自発的に寄附を行うものでありまして、企業においても、寄附を公表することによって、他の地方公共団体からも、自分のところにも寄附をしてくれということを求められるということを防ぎたい等の理由があるということから、地方公共団体が一律に企業名や寄附金額を公表することを義務づけてはいないということでございます。
繰り返しますが、とはいっても、多くの地方公共団体では企業名を公表しているところでございます。
○早稲田委員 とはおっしゃっても、非公表のところが増えてきているんですね、この寄附の企業が。そういうことも踏まえていただくと、やはりこれは改善をしていく、また、その実態調査もきちんとしていただきたいと私は思います。
今大臣がおっしゃった、ほかのところからもオファーが来るというようなこともあるでしょうけれども、それは企業の論理であります。公金、私たちが納めている税金、公金の使われ方ということが、公平、そして透明性があるということが一番重要なこの中での課題だと思いますので、そういうことが担保されないのであれば、やはり考えるべきと私は強くお願いをしておきたいと思います。
それからまた、国交省、外務省などにおいても、その入札の取組でありますけれども、国交省の公共事業においては、設計業務の受託者だけでなく、設計業務の受託者と資本面又は人事面に関連がある建設業者、これは工事の一般競争入札に参加をできません。また、外務省所管のODA、これも、コンサルタント等の契約におけるガイドラインが改正をされまして、利益相反を排除するため、公共工事同様、こうした関係の入札参加を制限することになっております。
こういうことも踏まえて、もちろん寄附と入札は違うというふうにおっしゃいますでしょうけれども、やはり、それだけ透明性を確保する必要があるからこそこういうことをやっているので、是非、大臣におかれても、こうしたことを考えていただきたい。
規制をするべきではないか。私は、基本的に、寄附企業が入札に参加をすることを規制すべきではないかと考えますが、お願いいたします。
○自見国務大臣 お答えいたします。
委員御指摘の事例は国等における取組事例でございますが、今のは国という意味ですね、今回の事案等は地方公共団体ということでございます。委員の御指摘の事例は国等における取組でありますが、各地方公共団体における企業版ふるさと納税を活用した事業に関する入札そして契約につきましては、これは、地方自治法に基づきまして、一般競争入札等の方法により実施されているものと認識をしてございます。
ただ、いずれにいたしましても、本制度は今年度が最終年度でございますので、他の制度を参考にするとともに、地方公共団体からの意見を踏まえつつ、これまでの取組状況等を総合的に検証するなどして、今後の本制度の在り方をしっかりと検討してまいりたいと考えております。
○早稲田委員 検証はしていただくのだとは思いますが、これは非常に、過疎ビジネス、また、この事業者自体が、事業者自身がおっしゃっている、超絶いいマネーロンダリングだ、仕事にして返す、キックバックじゃない、業務にして返すとおっしゃっています。そこまで言っていらっしゃる、こういう事例もあります。好事例もあるでしょうけれども、悪事例もあるわけなので、是非そこを、穴にならないような制度にしていただきたいと私は思います。
企業版ふるさと納税の延長を議論する前に、内閣府の責任として、経済的見返りの点検、チェックの仕組みをつくり、透明性、公平性を担保できる制度改善が必要と考えます。その中には、寄附企業と受注事業の関係性をきちんと確認するなど、そうしたことも含めて、それから過度な税制優遇についても検討する、そうしたことも踏まえて、大臣のお考えを伺います。
○自見国務大臣 お答えいたします。
先ほどから申し上げているとおりで、一部繰り返しで恐縮でありますが、各地方公共団体におきまして、寄附を活用した事業を実施する際の委託先等の契約手続の公正性、透明性について、説明責任を十分に果たしていただくことが必要だというふうに考えてございます。
国といたしましては、透明性、そして公正性を担保する、確保する観点から、地方公共団体において、法令を遵守した上で、本制度が適切に活用されるように、国によります寄附実態の把握等の方策をしっかりと検討してまいりたいと考えております。
○早稲田委員 寄附実態、その受注の事業との関係性もきちんと調べていただくということをきちんとやっていただきたいということを私は申し上げておきたいと思います。強く要望をさせていただきます。そうでないと、やはり悪事例が出てまいります。そして、国見町の報告書がどのようになるか、きちんと注視をしていただいて、それを踏まえた制度改善をしていただくように、私も要望をさせていただきます。
それからもう一つ、企業版ふるさと納税についてですけれども、今回の問題の発覚の一つは、職員による内部告発によるものでありました。この方が、関係資料を町の監査委員事務局に提供して告発したということであります。そして、その職員の行った行為は公益通報には当たらないとして、今年の三月一日付で、減給十分の一、そして降格ならぬ降任処分という懲戒処分が出ております。
そこで伺いますが、中身の詳しいところは省きますけれども、現行の公益通報者保護制度において、一般論として、公益通報のための職務を逸脱した情報収集は、この制度において禁止をされていますか、されていませんか、参考人に伺います。端的にお願いします。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
公益通報者保護法上、公益通報のために職務を逸脱して情報収集する行為につきましては、禁止する規定はございません。
○早稲田委員 それからもう一つ、公益通報者保護制度において、一般論として、公益通報を行うに当たり、具体的に、どの法律の、どの部分に触れるかを明示する必要があるか、要件となっているか、また、公益通報であることを通報者自身が自覚をして、そして公益通報ですよということを発言することが要件となっているかどうか、教えてください。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
公益通報者保護法の規定上、具体的に、どの法律の、どの部分に触れるのかを明示する行為や、公益通報であることを通報者自身が認識をして、その旨発言するような行為は、本法により保護される公益通報の要件とはされておりません。
○早稲田委員 ありがとうございます。
この公益通報者保護制度、これについては、大臣の所管ではあられますけれども、当委員会の議題ではないということなので、今日は聞いていただくのでございますが、是非改善も含めてやっていただきたいということで、最後の質問をいたします。
今、検討会が開かれていると思います。今回の検討会で、前回の法改正のときに附帯決議として明記をされました、資料持ち出しに関する免責を含む保護、それから刑罰や過料のない法律違反にまで通報対象事実を広げることについても検討すべきではないかと考えますが、見解をお願いいたします。
○藤本政府参考人 お答えいたします。
令和二年改正法の附帯決議におきまして、本法附則第五条に基づく検討に当たっては、通報対象事実の範囲や証拠資料の収集、持ち出し行為に対する不利益取扱いなどについても検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとされております。
今月立ち上げました公益通報者保護制度検討会におきまして、有識者の方々に御議論いただく予定にしております。
○早稲田委員 前向きに検討していただきたい、不利益にならないようにということを強く申し上げまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、福田昭夫君。
○福田(昭)委員 立憲民主党の福田昭夫でございます。
デジタル化は必要な話だと思っておりますが、様々な問題が最近発生しておりますので、今日は、我が国のデジタル化の問題点についてパートツーということで政府の考えをただしてまいりますので、河野大臣始め答弁者は簡潔にお答えください。
まず、会計検査院が調査したマイナンバー制度における地方公共団体による情報照会の実施状況についてであります。
資料一に会計検査院の簡潔な報告が書いてありますが、一つ目は、地方公共団体を情報照会者とする千二百八十五手続について、システム活用低迷の原因は何か。二つ目、専門家から新制度づくりが目的化してしまったのではないかというような話、それから過大設計なのではないかという疑いもあるという指摘もあります。それから三点目、会計検査院が非常に大きな影響が出ていると指摘している、会社の退職などに伴う自治体に届け出る国民健康保険への切替え手続をどのように改善するのか。三点まとめてお答えください。
○楠政府参考人 まず、最初の二点につきましてお答え申し上げます。
今般公表された会計検査院の報告書におきまして、自治体の情報照会件数は毎年増加している一方で、一部の自治体や事務手続では情報照会が低調になっているものがあるとされていることを承知をしております。
この原因につきまして、検査院の報告書では、情報連携を実施していない自治体に対する調査によると、業務フローの見直しが未了であったり、また、添付書類を提出してもらった方が効率的といった回答があったものというふうに承知をしております。
また、マイナンバーの情報照会は、先行して制度等の面で情報照会を可能とし、その後に各自治体がシステム整備を行って照会するという順番になっておりますので、どうしてもタイムラグが発生してしまう。特に自治体の場合につきましては、基本的に住民の情報は庁内の連携で入手することができまして、転入者の過年度の情報についてのみマイナンバー情報照会が必要な手続もございますので、どうしても件数が少ないことでシステム対応してこなかったといった事情もあるものと承知をしております。
これらを踏まえて、デジタル庁としては、情報連携を実施していない自治体において何が支障となっているのか、また、所管府省において情報連携について必要な周知を自治体に適切に行っているか等の調査を行い、各事務手続における実態や課題を具体的に把握し、効果が高いと見込まれる事務手続から優先順位をつけつつ、実態に合わせて効果的に支障の解消を図っていくということとしております。
また、二番目の御質問にありました過大設計の指摘につきましてですけれども、マイナンバー制度による行政機関等の間での情報連携は、これまで各事務手続の申請などで必要であった住民票の写しや課税証明書等の添付書類を省略可能とすることで、国民の皆様が各種書類の取得のために市役所に出向くことや、取得した書類の提出といった負担を軽減することを可能とするものでございます。そのため、これまで各行政事務の手続の性質や具体的なニーズを踏まえ、制度開始以降、対象となる事務手続を選定し、法令改正やシステムの基盤整備を行ってきたところでございます。
実態といたしましても、マイナンバー情報照会の件数も、平成二十九年度は百六十四万件であったところ、令和四年度には約一億九千万件に増加をしておりまして、実際に、会計検査院の報告書でも、情報照会を活用している地方公共団体では、国民の利便性向上につながった、行政運営の効率化につながったと約九割が御回答いただいておりまして、マイナンバー制度による情報連携について効果を認識していただいているところでございます。
また、今回……(福田(昭)委員「ごめんなさい、短くして」と呼ぶ)はい。今後も、新制度づくりが目的化しているというような、あるいは過大設計の疑いもあるというような御指摘は当たらないというふうに考えております。
○日原政府参考人 続きまして、会計検査院の報告書で指摘をされております、被用者保険の資格情報の登録が遅れていることによりまして、国民健康保険の手続においてマイナンバー情報連携が活用されていないという点について御答弁を申し上げたいと思います。
御指摘をいただきました被用者保険の資格情報の登録の迅速化、こちらにつきましては、事業主からの届出及び保険者の資格情報の登録につきまして、新規の資格取得から計十日以内にデータ登録することを省令でルール化をいたしまして、令和五年六月より施行したところでございまして、これに基づきまして、中間サーバーへの迅速かつ正確な情報登録が実施されるよう取り組んでございます。
具体的に申し上げますと、新規採用や転職などによる資格移動の際、内定者の方につきましては、入社日前に資格取得届などの作成を行うなどによりまして、資格取得届等の速やかな提出と資格登録を行うよう事業主及び保険者に対して呼びかけを行いますとともに、資格情報の登録の迅速化を進めるためには届書にマイナンバーの記載を行っていただくということが大変重要でございますことから、関係機関と連携をしまして、リーフレット等を通じて、加入者や事業主の方に対してこの点の周知を図るなどの対応を進めているところでございます。
引き続き、迅速な資格情報の登録に向けて事業主や保険者の取組が徹底されるよう、必要な対応を行ってまいりたいと考えてございます。
○福田(昭)委員 余りにも原因が、ちゃんと会計検査院が指摘しているような、地方自治体の対応が整っていないんだということをしっかり認識して取り組まないと駄目だと思いますよ。
それでは四つ目ですけれども、マイナ保険証についても利用率が低迷し、本年四月時点で六・五六%にとどまっているとの話ですが、本年十二月までに何%に達したら紙の保険証を廃止するのか、お伺いをいたします。
○日原政府参考人 お答え申し上げます。
直近、四月のマイナ保険証の利用件数についてでございますけれども、これは過去最高の千二百十万件となりまして、利用率六・五六%でございますけれども、これも、これまで最も利用率が高かった昨年四月の六・三〇%を超えたものでございますけれども、更なる底上げが必要であると考えておりまして、今月から七月までをマイナ保険証の利用促進集中取組月間として利用促進に取り組んでございます。
マイナ保険証の利用率についてでございますけれども、これは、あくまでマイナ保険証を利用されるか否かは御本人の御意向によるものでありますこと、また、紙の保険証からマイナ保険証への移行期におきましては、最大一年間現行の保険証が使用可能であるといった事情もございますことから、国におきまして、その利用率の目標を設定するということは考えていないところでございます。
○福田(昭)委員 ちょっと余りにも無責任じゃないですかね。もし、十二月一日までに本当に半分以上の方が利用しない中で紙の保険証を廃止してしまうなんていうのは、やはり厚生労働省としても一大汚点をつくるという話になると思いますよ。よく考えた方がいいと思います。
それから五つ目ですけれども、SIM再発行等を利用した携帯電話番号の乗っ取り事件の防止策はあるのかということで、お伺いをしたいと思います。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘ありました、いわゆる本人確認書類として偽造しましたマイナンバーカードや運転免許証等を使用して携帯電話番号を乗っ取る、いわゆるSIMスワップと呼ばれる手口を用いた事案があることは承知してございます。
こうした事案に対処するために、これまでも警察庁と総務省とで連携をしまして、携帯電話事業者に対して、SIMカード再発行時や機種変更時の本人確認の徹底を始めとした対策、これを講じるように働きかけを行ってきたところでございます。
また、今般の事案発生を受けまして、マイナンバーカードの偽変造への対策のために、デジタル庁や警察庁と連携をしまして、去る五月の十七日に、携帯電話事業者関係団体に対しまして、マイナンバーカードのセキュリティー対策について周知を行い、対策の徹底を依頼したところでございます。
こうした取組を始めとしまして、今後も犯罪の実態等を踏まえて、関係機関と連携して取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○福田(昭)委員 何か、先日この被害に遭った本人からお話を伺いましたけれども、被害に遭ったはずなんですけれども、被害者がいないというとんでもない話を伺って、ですから、これが事件にならないというのでびっくりしておりますが。こんなことがもし事件にならないということになれば、こんなことをやる人がまたたくさん出てくるということも考えられますから、ここはしっかり、やはり警察庁とも連絡を取って、こういう犯罪が起きないようにする必要があると思いますが、今の話ではとてもそれができないような気がしておりますので、是非これはしっかり取り組んでいただきたいと思います。
次に、地方自治体の基幹業務システムの統一、標準化の問題についてでありますが、一つ目と二つ目、昨日も答弁していただきましたので、簡潔にお答えください。
まず一つは、統一、標準化が二〇二五年度末に間に合わない自治体の現状と、間に合わない理由は何なのか。それから、ガバメントクラウドを導入すれば自治体全体でシステム運用経費を三割削減できると説明してきたけれども、どうもそれも怪しくなってきたということでありますが、実態はどうなっているのか、簡潔にお答えください。
○楠政府参考人 お答え申し上げます。
三月に公表した移行困難システムに該当する見込みのシステムを有する自治体は百七十一自治体、約一〇%、システム数では七百二システム、全体の二%でございます。
これら移行が難しい要因といたしましては、現行システムがメインフレームであったり個別開発で運用されていること、また、現行事業者が標準準拠システムの開発を行わないとして、かつ代わりとなるシステム調達の見込みが立たないといったような理由がございます。
デジタル庁としては、引き続き、PMOツールや共創プラットフォーム、都道府県からの派遣職員等による支援体制などを通じて、自治体の状況を丁寧に把握をし、円滑かつ安全な移行に向けた支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
二点目、三割削減の件でございますけれども、標準化基本方針では、標準化対象事務に関する情報システムの運用経費等について、平成三十年度比で少なくとも三割の削減を目指すこととしておりますけれども、自治体の情報システムをガバメントクラウドへ移行した後の運用経費等の削減効果は、自治体の規模や現行システムの運用形態の違いによって様々であるというふうに想定をされます。例えば複数団体でクラウド上のシステムを共同利用するなど既にコスト削減を進めている場合、単に標準化対応のみを行ってガバメントクラウドへ移行するだけではコスト削減効果を見込みにくい場合というのもございます。
デジタル庁としては、クラウド利用料の大口割引や長期継続割引の提供、システム、ネットワークの最適化支援、要請があった団体への見積り精査支援などの取組を通じて、ガバメントクラウド移行後の情報システムの運用経費等の削減ができるよう、最大限の支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
○福田(昭)委員 それでは次ですけれども、米国の大手クラウド四社が政府と地方自治体向けのガバメントクラウドの事業認定を受けているわけでありますが、政府と地方自治体の四社の利用状況はどうなっているのか、利用状況だけ簡潔にお答えください。
○布施田政府参考人 お答えいたします。
令和六年四月末時点で、国、地方公共団体の百七十七システムがガバメントクラウド上で稼働しております。各事業者別の内訳としましては、アマゾンウェブサービスで百五十五システム、グーグルクラウドで九システム、マイクロソフトアジュールで五システム、オラクルクラウドインフラストラクチャーで八システムとなってございます。
○福田(昭)委員 これではっきりしたのは、アマゾンが独占状態だ、こういう話であります。
そんな中で、四つ目ですけれども、公正取引委員会は、欧州のデジタル市場法のように、クラウドサービスを提供する巨大IT企業の規制を考えていない、今回の新法では考えていないということでありますが、今後は法制化を考えるのか、考えないのか、簡潔にお答えください。
○塚田政府参考人 お答え申し上げます。
委員御指摘の欧州のデジタル市場法でございますけれども、これは、競争的で公正なデジタル市場を確保することを目的として、スマートフォンだけではなく、パソコンのOSやクラウドサービスなども含め、デジタル市場における重要なプラットフォームサービスを規制対象としているものと承知しております。
一方で、今国会に提出されておりますスマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律案、通称スマホソフトウェア競争促進法案は、スマートフォンが我が国の国民生活や経済活動の基盤となっている中で、スマートフォンにおけるアプリストアなどの特定ソフトウェアの市場において様々な競争上の問題が生じていることを踏まえ、まずはスマートフォンに係る四つの特定ソフトウェアを対象に、公正な競争環境を確保するために整備するものでございます。
公正取引委員会は、独占禁止法を所管しておりまして、基本的には、個別の事案に独占禁止法を執行しながら、必要に応じてこのような独占禁止法を補完する新しい仕組みを整備して、競争政策を推進していくべきものと考えております。
公正取引委員会といたしましては、委員御指摘のクラウドサービスなど、スマートフォン以外のデジタル市場につきましても競争上の問題がないか引き続き注視し、独占禁止法上の問題があれば独占禁止法に基づいて対応してまいりますが、将来的にそれらのスマートフォン以外のデジタル市場において、スマホソフトウェア競争促進法案が対象としているものと同様の競争上の問題があると認められる場合には、同様の規制の対象とすることも含め、検討を続けてまいりたいと考えております。
○福田(昭)委員 ちょっと遅いんじゃないでしょうかね。
御案内のとおり、EUはデジタル市場法に続いて、五月二十一日には、世界初のAI包括規制法も制定をして、これについてはEU域外も適用するというようなことが報道されておりますけれども、日本も引き続きやはり作る必要があるんじゃないでしょうか。指摘をしておきたいと思います。
次に、ガバメントクラウドの問題点について、ちょっと時間がなくなってまいりましたので、二番目と五番目をお聞きしたいと思います。
資料の三に大変な記事が出ておりますけれども、この中身が本当なのかということも含めてお聞きしたいと思いますが、まず、日本のガバメントクラウドはもはやアマゾンの独占となっており、行政の機微情報が米国に筒抜けになるとの指摘がありますけれども、そういう認識が河野大臣にはございますか。お聞きをいたします。
○河野国務大臣 そもそも、ガバメントクラウド上のデータは、バックアップを含め、この日本国内に置いてございます。そこに保有されるデータは暗号化されておりますし、クラウド事業者はそのデータにアクセスできないように制御されておりますので、今委員がおっしゃったのは、どういうところからそういう認識になったのか、甚だ疑問でございます。
○福田(昭)委員 大臣、米国にはCLOUD法という法律がありまして、捜査当局の判断次第で、アメリカのIT大手のデータを自由に見ることができる、こういう法律があるんだそうです。御存じですか。
○河野国務大臣 先ほど申し上げましたように、ガバメントクラウド上のデータは米国にはございません。日本国内にございます。また、何か係争がある場合には、これは日本の裁判所で、日本の法律で係争をするということになっておりますので、アメリカの国内法が適用されることはございません。
○福田(昭)委員 前回の質問のときに、河野大臣は、スノーデンの日本に対する警告を、謀略論にはくみしないということで、全く無視をしておりましたけれども、しかし、そんなことでは私は大変なことになると思います。
実際に、この内部の人が、日本の行政の機微情報も米国に筒抜けになる、こういうふうに認識をしているわけでありますから、そこはちゃんと考え方を改めた方がいいと思います。
じゃ、二つ目ですけれども、二つ目は、政府と地方自治体のクラウドを米国大手四社に任せることによって、国の富、国富の流出とデジタル主権が失われるという認識は河野大臣にありますか。お伺いします。
○河野国務大臣 ガバメントクラウドの契約については、セキュリティーであったりコストであったり、あるいは様々なサービスレベル、パフォーマンス、標準を設けて、この標準に合致しているところと契約をしているわけでございます。
海外だから、国産だからということで、そこに差をつけることは考えておりませんし、セキュリティーレベルの低いところと契約をするというのは、これはデータのセキュリティー上問題があると思っております。
また、今、日本の国産のクラウド事業者、ここともいわば仮契約のような形で、この標準に合致すれば契約するということになっておりますので、国産の企業にも頑張っていただきたいというふうに思っているところでございます。
○福田(昭)委員 今、それこそスノーデンの告発以来、世界の各国は自分の国の自前のやはりデジタル業者を育てるということに、実は方向性が行っているんですよね。ですから、日本だけ、要するに、ほかの国のデジタル業者は心配だけれども、米国の業者だけは安心だって話は私は通じないと思っていますよ、基本的に。
ですから、それはやはり日本独自のデジタル業者を育てて、自前のクラウドをちゃんとつくるべきだと思います。サクラ何とかというのも入っているそうでありますが、しかし、それについては何かいろいろ……(発言する者あり)別にいいじゃないですか。だって、これは……(発言する者あり)余計なことを言わないでください。
○谷委員長 静粛に願います。
○福田(昭)委員 それで、そのサクラ何とかというのは本当に、あれですよ、ちゃんとまだ……(発言する者あり)いや、国産が大事だと言ったって、これは、だって、まだちゃんとシステムも開発できていないんだから、これからの話。(発言する者あり)
それで、委員長、ちょっと止めてください。
○谷委員長 静粛に願います。
○福田(昭)委員 それで、まず、やはりしっかりと国産のあれも育てるということが大事だと思っていますし、問題は、やはり、この米国の、だって、あれですよ、それこそ、情報の専門家ならみんなよく分かると思いますが、だって、一度預けた情報というのは返ってこないんですよ、もう。ですから、まさに、いかに国産のちゃんとした業者を育てるということが大事だというふうに思っております。
そんな中で、デジタル収支の赤字、それから所得収支の赤字、どちらかですね、デジタル収支の赤字が広がるか、あるいは、最近米国の四社が四兆円も投資をして、日本にデータセンターなどを造ると言っておりますから、そうなると、やはり所得収支の赤字が増えるということになるんだと思います。
そうなると、せっかく国が一生懸命不公平な税制などをつくり、ため込ませたお金なども、実はここから流出していくということもありますので、ここはやはり、総合的に考えて日本のデジタル化はもう少しじっくり進めていくべきだということを申し上げて、時間がなくなりましたから、これで質問を終わります。
○谷委員長 次に、青山大人君。
○青山(大)委員 まずは、地域活性化の視点から一問質問させていただきます。
予算決算及び会計令九十九条でいわゆる少額随意契約の金額が定められておりますが、昭和四十九年、一九七四年を最後に、この金額が改定されておりません。五十年金額が据置きとなっていますが、当時からの物価上昇を考慮して、現代に見合った金額に改定すべきじゃないかと思いますが、政府の考えをお伺いします。
○瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。
先生おっしゃるように、物価の上昇はいろいろな方面に出てきておりまして、資材が高騰したりとか労務単価が上がったりとか、そういったのをお聞きするところでもあります。
そういった中で、少額随意契約につきましては、予算決算及び会計令におきまして、予定価格が一定の金額を超えないときに結ぶことができるとされております。
国が契約を締結するに当たっては一般競争入札を行うことが原則とされていることも踏まえまして、少額随意契約の基準額を見直すことにつきましては、契約の公平性や競争性、透明性を確保する観点から、慎重に検討する必要があるものと考えております。
○青山(大)委員 もちろん、一般競争入札が前提というのは分かった上で、あえて質問しているんですけれども。
では、政務官、変えないということですね。
○瀬戸大臣政務官 お答えさせていただきます。
繰り返しになりますけれども、国の契約の相手方の選定に当たりましては、公平で透明性のある競争入札の下、競争性を確保しつつ、国にとって最も有利なものを選定することが重要であるということであります。
このため、随意契約によることができるケースを拡大することにつながる制度見直しにつきましては、慎重に検討していく必要があるものと考えております。
○青山(大)委員 では、ちょっと別の視点からいきます。
地方自治法の施行令第百六十七条の二、これは地方自治体の少額随意契約の金額が示されておりますけれども、こちらも制定時、昭和五十七年、一九八二年から改定されていませんが、こちらも変えるような予定はないでしょうか。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
地方公共団体における契約は、公正性と機会均等性を確保するために、地方自治法上、一般競争入札によることが原則とされておりまして、随意契約はこの例外として、政令で定める場合に限り行うことができることとされております。
これは、随意契約は、競争に付する事務作業を省略できるということができる一方で、その運用によっては、契約の相手方の選定が一部の者に偏り、公正性の確保がなされなくなるとともに、地方公共団体が不利な価格で契約を締結することとなるおそれがあるためでございます。
地方公共団体が随意契約をすることができる、地方自治法施行令で定める金額につきましては、このような観点を踏まえ、国の随意契約の要件等を勘案して定められているところでございますので、その改正につきましては、国の随意契約の要件との均衡を図りながら、慎重に検討すべきものであると考えております。
○青山(大)委員 別に、私は、一般競争入札を縮小しろとか言っているわけじゃないんですよ。この少額随契の制定された金額が四、五十年前なんですよ。当時その金額を決めたんだから、現在の物価高に応じてそれを少し上げないとという話をしているんです。私は、極めてこれは、別に、何もさっきの答弁の趣旨と反するものじゃないと思いますし、内閣府が実施しています地方分権改革に関する提案募集でも、何度も地方自治体から上限額を上げてほしいというふうな提案もされているじゃないですかという中なんですね。
じゃ、仮に、地方自治法施行令百六十七条の二の、この上限を上げないとしても、都道府県に対して市町村が金額の半分なんです。例えば財産の買入れだと、都道府県及び政令指定都市は百六十万円、一方、市町村になると八十万円というふうになっているんですけれども、これも、平成の大合併等があって、五十年前とは市町村の規模も全然違うわけですよ。何で都道府県の半分にしているのか。これは意味がないと思うんですよね。だったら、仮に上限を上げないとしても、市町村をわざわざ半分にする必要はないと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
○三橋政府参考人 お答えいたします。
随意契約をすることができる金額につきましては、都道府県・指定都市の財政規模と市町村の財政規模の違い等を勘案いたしまして、地方自治法施行令におきまして、指定都市を除く市町村は、おおむね都道府県の二分の一の金額と定められております。
これは、繰り返しになりますけれども、随意契約は、競争に付する事務作業を省略できるということができる一方で、その運用によりましては、契約の相手方の選定が一部の者に偏り、公正の確保がなされなくなるおそれがあることから、公正性と機会均等性を確保するために、地方自治法上、一般競争入札によることが原則とされておりまして、随契契約はこの例外となっております。
このため、現在の金額を見直して、随意契約の範囲を拡大するということにつきましては、慎重に検討しなければならないものと考えております。
○青山(大)委員 私は別に、少額随契の幅を広げろと言っているわけじゃないんですよ。
物価が五十年前に比べて上がっているわけじゃないですか。言うまでもなく、今、地方自治体も人手不足、これは地元の雇用、経済を支える中小企業も一緒じゃないですか。だから、私は、地域の活性化に資するという観点で、随契の幅を広げるんじゃなくて、金額を現代の物価に合ったものに見直すべきじゃないかという提案をしているわけでございます。(発言する者あり)ですよね。
今回、瀬戸政務官が答弁に来てくれて、私は非常に期待を持ったんです。瀬戸さんの御地元も、香川二区、大きな、困っている町村があると思うんですよ。ましてや、政務官は元々、郵政省かもしれませんが、総務省の御出身じゃないですか。総務省の御出身で、今財務の政務官をやっている、一番最高のポジションじゃないですか。
政務官が、私の政務官としての実績としてこれをやりたい、それをやってみてくださいよ。政務官、今までいろいろな選挙で御苦労されているのを見ていますけれども、これをやったら、地元の市町村長さんたちは、政務官を地元から上げてよかった、今の自民党は、パー券を買ってくれる大企業だけじゃなくて、本当に地域のことを分かってくれているんだ、そういう評価に私はつながると思います。
政務官、政務官はどうでしょうか。是非ここは、やると言いましょうよ。せめて、御自身の政治的判断で、参考人の方は非常に慎重な御答弁をされているけれども、私はこれをやってみたいと、政治家だったら言いましょうよ。どうぞ。
○瀬戸大臣政務官 済みません、地方自治法につきましては、総務省の問題でありますので、私からお答えすることはできませんが、国としましては、まだ国の方でも具体的に少額随契についてお話があると聞いておりません。そういった中で、制度の見直しにつきましては、慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
ただ、先生がおっしゃるように、いろいろな物価が値上がりしているということについては、地方の状況、重々聞いておるところでございます。
○青山(大)委員 これ以上この質問の答弁を求めませんけれども、地方からそういう意見を聞いていない、そういうことを言う政治家が政権を握っているから、こうなっちゃうんだよ。(瀬戸大臣政務官「国です」と呼ぶ)国として。でしょう。政治家なんでしょう、あなたは。その甘さが、地方はみんな困っているんですよ。必ず相みつを取って、八十万、見積りを取って、もちろんそれは来るかどうか分からない中で、職員も困っている、事業者も困っている。
別に私は、随契を広げろとは言っていないんで、物価高に合わせて、五十年前にこれを決めたんだから、ちょっと上げよう、そういう提案。これは、誰も別に私は困らないと思うんですよ。
それを自身の答弁で決められない、その政治姿勢が、私は、政治家としてどうかなと思うところを指摘させてもらいますけれども、時間がないんですけれども、何かもしあれば。よろしいですか。
○瀬戸大臣政務官 基本的には総務省の話なんですけれども、私が先ほど、聞いていないと申しましたのは、国の方でございますので、国の機関からは聞いていないということであります。地方の方については、ちょっと総務省にという話になりますが。よろしくお願いします。
○青山(大)委員 それでは、次の質問に行きます。
異次元の少子化対策ということで、子供政策について、まずは質問させてもらいます。
学童保育の充実、放課後児童クラブですけれども、ちょうど私も、今年から子供が小学校一年生になって、私はたまたま運よく放課後児童クラブに入れたんですけれども、やはり、希望する全ての児童が利用できるよう、放課後児童クラブにおける待機児童を早期に解消すること、そして、児童の安全確保及び生活の場を保障するため、集団の規模については、国のガイドラインに沿って四十人以下とする、三点目、開所時間や閉所時間については、保護者の就労状況などを踏まえ、保育所と同等程度になるよう柔軟化を図る、こういった放課後児童クラブの充実について提案させてもらいますけれども、政府の方の考えをお伺いします。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
放課後児童クラブでございますけれども、令和五年五月現在で、登録児童数が約百四十六万人と、過去最高というふうになった一方で、約一・六万人の待機児童が発生をしており、待機児童の解消、喫緊の課題でございます。
このため、昨年十二月に決定をいたしましたこども未来戦略において、百五十二万人分の受皿整備を加速化プランの早期に達成するということを目標として、現在、取組を進めております。
特には、まず、場の確保につきましては、学校施設の徹底活用、余裕教室の活用などをしっかり進めてまいりますし、また一方、設備の整備、施設の整備につきましても、プレハブ施設のリース料の補助など、小学校内での設置の推進などについても取り組んでいるところでございます。
また、人材の確保も重要でございます。これまで、未来戦略に基づきまして、今般、六年度から常勤職員配置の改善ということで、常勤の放課後児童支援員を二名以上配置した場合の補助基準額の引上げ、今年度から実施をしております。これに加えまして、質の向上ということで、常勤職員の改善とともに、これまで処遇改善、複数の補助事業を継続していくということとともに、安全面も重要でございますので、国の基準を改正しまして、全ての事業所で安全計画を策定いただく、こういった取組についても進めていきたいと考えております。
以上のような取組を進めまして、量の確保にとどまらず、質の確保についてもしっかり取り組んでいきたいと考えております。
○青山(大)委員 詳細な御答弁、ありがとうございました。
次の質問に移ります。
小児がんを抱えながらも明るく生き、十二歳で亡くなられた森上翔華さんという方の実話をヒントに制作された映画、「神さま待って!お花が咲くから」。この映画、地元のつくば市でロケが行われたこともあって、ちょっと試写会を私、見ましたところ、ずっと最初から泣きっ放しでした。命の貴さ、すごく改めて思いましたし、是非小学生や小学生を持つ親御さんにも見てほしいなと思った映画です。
また、最近、ドジャースで活躍される大谷翔平選手が、花巻東高校時代に曼荼羅チャートを活用して志や将来やりたいことを明確化し、見える化して、それに向けて目標設定し、日々実践していったという話から、最近、曼荼羅シートを取り入れる学校が増えてきました。
ちょっとこれは、質問とそんなあれですけれども、大臣、ちなみに、この「神さま待って!お花が咲くから」という映画、知っていたり、見たりしましたか。あとは、大谷翔平さんが曼荼羅チャートとかやっていたというのを知っていましたかというのをちょっと質問させてください。これは別に深く追及しませんので。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
委員の今おっしゃった映画については、私、見たことはありませんし、実は、聞くのも初めてでした。
また、曼荼羅チャートは、ちょっと耳にはしたことはあります。
○青山(大)委員 「神さま待って!お花が咲くから」、お時間のあるときに、忙しいと思いますけれども、お子さんと一緒に是非見てください。
私は何が言いたいかというと、やはり、こういった映画とか有名人の行いとかテレビとかというのは、非常に影響力があると思うんですよね。私も最近、やはり、若い方に聞いていると、結婚とか出産とか子育てに対して非常にネガティブなイメージを持っているなと。結婚とかを強制することはもちろんできませんよ、あくまでもこれは個人の自由だと思いますし。
ただ、個人は社会のいろいろな影響を受けやすいと思います。やはり、ニュースとか、ネガティブな内容が報道されたりとか、最近はSNS、テレビ、私も余りテレビは見ませんけれども、たまに見ると、家庭内不和のドラマとかというのが、結構、最近多いじゃないですか。見ていると、何かすごい情報空間から、ネガティブな刷り込みの方が、ネガティブな方がポジティブなイメージよりも多いと感じます。
そういう中で、やはりそういった結婚とか出産とか子育てに対して肯定的な機運を醸成するようなことが大きく見れば少子化対策にもつながるんじゃないのかなと思っているんですね。
たまたま、最近も、上田慎一郎監督の「みらいの婚活」というショート映画を見たんです。これは本当に、ものの二分ぐらいのショートフィルム三回分なんですけれども、非常に、監督のコメントにあったように、こんな未来ならいいかもしれないな、こんな未来をつくっていきたいな、そんなふうに未来に希望を持ってもらえるとうれしいですという監督のコメントもありましたけれども、これは大臣、ちょっと長くなったんですけれども、異次元の少子化対策という、二〇三〇年までが大きな山場という年末のプランがあるじゃないですか。今一番大変な時期なので。
大臣が率先して、例えば、こども家庭庁とかで、コンテストじゃないですけれども、コンペみたいな感じでいろいろな人、映画監督とか、私は作家とか漫画家でもいいと思うんですよ、そういった、結婚とか出産、子育てに対して非常にポジティブになるような、そういうものを一堂に募集して、それをどんどんどんどん社会に発信していく、そうやって機運をつくり上げていくこととかというのはいいかなと思うんですけれども、大臣、どうでしょうか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
少子化対策を進めるに当たりましては、単純に制度や施策を充実させるだけでなく、施策が社会や職場で活用され、子供、子育て世帯にしっかりと届くよう、社会全体で子供、子育て世帯を応援する機運、これを高めていくことが重要であり、車の両輪として取り組んでいく考えでございます。その意味においては委員と問題意識を共有させていただいていると思っております。
委員の御提案は、その際、みんなが共感し、前向きに捉えてもらえるよう、発信方法も工夫すべきということだと思っております。
その点、こども家庭庁におきましては、企業や地方自治体などに、こどもまんなか応援サポーターとなっていただき、こどもまんなかなアクションをSNSで発信することで、その輪を広げていく取組を進めています。こどもまんなか応援サポーターの中には、子供向けの国際映画祭を実施している団体ですとか、取組をイメージ動画にして発信されている団体、そういったものもあると承知をしてございます。
こうした取組を応援をすることによって、子供や子育てに優しい社会づくりの輪が全国に広がっていくよう取り組んでまいります。
○青山(大)委員 ちょっと私の質問が余り上手じゃなくて、大臣、済みません、私が伝えたいことが全く伝わっていなかったので、申し訳なかったです。
今いろいろな施策をやられていますと。それはそれでもちろん大切なんですけれども、単純に、こども家庭庁として、フィルムコンテストとか、SNSのショート動画のコンペティションとか、そういったようなものを募集して、本当にそれもいろいろな人、無名な人から、学生からでもいいし、有名人、いろいろな人、撮って、それを社会にどんどんどんどん発信しましょうよ。ツイッターを開けたら悲観的な動画じゃなくて、そういうようなものを常に発信していくというのが私はマインドづくりにいいのかなと思って。
ただ、あくまでも、さっきも言いましたように、別にこれは、結婚しなさいというわけでも何でもないですからね。個人の選択には踏み込まないけれども、あくまでそういった判断材料として、非常に今やはりネガティブなイメージが横行している中で、そういうことをやってほしいなという提案でございます。本当にシンプルな提案でございます。大して予算もかからないと思います。そういうことで、是非よかったら、大臣にこの提案をやってほしいなということを伝えさせていただきます。
次、最後の質問なんですけれども、結婚したいけれどもなかなか結婚できない方たちの中で、やはりそういった結婚サポートセンター、民間もいろいろあるんですけれども、都道府県、自治体でもやっているところ、頑張っているところがあります。
私の地元茨城県では、二〇〇六年にいち早くいばらき出会いサポートセンターを開設して、これまで二千七百組余りの成婚に貢献をしていますけれども、そういった自治体の、もちろん都会なんかは民間のいろいろな業者があるんですけれども、地方はなかなかそういった婚活支援の業者も少ないので、是非、都道府県のそういった取組を、伴走型、支援してほしい。特に自治体にはマッチングから更に伴走型まで含めてそういった支援を求めたいなと思っているんですけれども、都道府県への支援状況をお伺いします。
○加藤国務大臣 結婚の意思のある二十五歳から三十四歳の未婚者に独身でいる理由を尋ねますと、適当な相手にまだ巡り合わないからという回答が最も多くなっております。こうしたことを踏まえまして、こども家庭庁としましては、地域少子化対策重点推進交付金、これを活用しまして、結婚支援センターの設置や出会いの機会、場の創出など、地方自治体による地域の実情に応じた取組を支援しているところでございます。
そうした仕組みの中で、私どもも、御指摘のありました伴走型支援を重点項目と位置づけておりまして、地域のボランティアの方々また事業者の方々を活用した伴走型結婚支援の充実などを図っているところでございます。
こうした地方自治体による取組について、その効果も検証しつつ、引き続き支援をしていくことで、結婚を希望する方をしっかり後押しをしてまいります。
○青山(大)委員 多分、政治家の皆さん、あるあるだと思うんですけれども、地元を歩いていると、うちの子供とかうちの娘の結婚相手を探してくださいとか、結構頼まれると思うんですよね。私も多分これまで五十回ぐらいセットして、そのうち四件、実際に御結婚されたんですよね。本当にこれはなかなか大変なんですよ。もちろん私は、一切、ボランティアですけれども。やはりそういう地道なことって大切だと思うんですよね、本当に。
なので、自治体のそういう公的な出会いサポート、伴走型を支援してほしいと思いますし、先ほども言ったように、機運の醸成というのはやはり大事なので、本当に、加藤大臣、第一回こども家庭庁フィルムコンペでいいんですよ。そういう動画とかをやって発信したら、みんなちょっとマインドが変わってくると思うんです。是非お願いしたいです。
最後は、瀬戸政務官、本当に申し訳ないです、最後までおつき合いいただきまして。政務官、是非、少額随意契約、ちょっと金額、もし国、都道府県が上げられなければ、市町村が五〇%じゃないですか、あれの五〇%をちょっと外すとか、その辺を工夫してもらえると非常に地域の活性化にもつながると思っていますので、是非よろしくお願いいたします。
以上で私の質問を終わりにします。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、高橋千鶴子さん。
○高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。
二〇一三年、超党派の議員立法として子どもの貧困対策推進法が成立してから十年以上がたちました。私も当時、超党派の議員連盟の一人として、団体の皆さんの熱意に突き動かされるように法案ができていったことを覚えています。子供の七人に一人が貧困状態、一人親家庭の二人に一人が貧困である、こうしたことが言われていました。当初は、貧困の見える化が重要であるとして、指標作りにも注力をしてきました。
資料は、その指標と二〇二二年までの指標の変化をまとめた表であります。まず、この指標を作ったことで前進したと思えるものは何か、また、今後も引き続き重要と思うのは何か、伺います。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
御質問の、指標を作ったことで前進したと思えるものは何か等でございます。
委員御質問のとおり、超党派の議員立法として制定されました子どもの貧困対策の推進に関する法律では、第八条において、子供の貧困率等、子供の貧困に関する指標及び当該指標の改善に向けた施策を子供の貧困対策に関する大綱に定めるということが明記をされました。
その後、当該大綱に必要な指標と施策が盛り込まれ、施策の実施状況や効果等について、当時の内閣府に置かれた子供の貧困対策に関する有識者会議、ここにおきましても検討、評価いただきながら、対策が進められました。
子供の貧困率について、その後、改善が見られ始めているほか、教育分野を中心に、多くの指標も改善傾向にあるというふうに認識をしてございます。
子供の貧困対策に関する大綱を引き継いだ、こども大綱におきましても、貧困と格差の解消、これを基本方針とし、子供の貧困対策を重要事項として掲げ、子供の貧困率など様々な指標を掲げているところでございます。
引き続き、子供の貧困対策に政府を挙げて取り組んでいくことが極めて重要であると考えてございます。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
見える化、指標を明確にして、そして課題を明らかにするということが最初の目標だったんですが、そのことが施策にも位置づいて、政府としても取組をいろいろあっても進めてきた、このように言えるのではないかと思っております。
それで、今、答弁の中にあったように、こども大綱に、子供の貧困だけではなく、少子化対策大綱、あと子供・若者育成支援推進大綱、この三つがまとめられることになりました。大事なことだと思うんですが、逆に薄まっては困ると思っているわけですね。いずれも重要であり、子供の貧困の現状や、これまでの対策の実施状況を踏まえていくことが重要と思います。
子どもの貧困対策推進法十年の意義と、今後は更に子供の貧困解消そのものを目指すべきと思いますが、大臣の認識を伺います。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
貧困により日々の食事に困る子供、学習の機会や部活動、地域クラブ活動に参加する機会を十分に得られない子供、進学を諦めざるを得ない子供たちのことを考えますと、子供の貧困を解消し、連鎖を断ち切る必要があると強く認識をしてございます。
お尋ねの子どもの貧困対策の推進に関する法律が成立してから、政府としては、子供の貧困対策に関する大綱の策定及び改定を通じて、子供の貧困対策を総合的に推進してきたところでございます。また、その中で、子供の貧困率などについても改善が見られていると承知をしております。
一方で、一人親世帯について、相対的貧困率が依然として高く、また、養育費の受領率も低い、また、生活保護世帯などの子供の大学進学率も、改善は見られるものの、全体より低いなど、いまだに困難な状況に置かれている子供や家庭があるものと考えてございます。
これまでの子供の貧困対策に関する大綱を引き継ぎ、昨年末に策定をしましたこども大綱、ここにおきましては、子供の貧困を解消することを明記した上で、教育の支援、生活の安定に資するための支援、保護者の就労の支援、経済的支援を進めること等としてございまして、引き続き、こうした方針に基づきながら、子供の貧困対策にしっかりと取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 貧困率の改善とお話しされましたけれども、最初にこの法律を作る頃は七人に一人と言っていたものが、今、九人に一人。改善は確かにしていると思っております。
それで、子供の貧困に関する指標のうち、資料を見ていただきたいんですが、一枚目の下の方ですね、就学援助に関する周知、これが八二・三%となっています。これが二〇二二年の数字、令和四年の数字で、スタートは二〇一七年、六五・六%。その下の、新入学児童生徒学用品費の入学前支給、これは大事なんですよね、入学前に支給してあげないと全部立て替えなきゃいけなくなるということで、これも小学校で八四・九%、中学校で八六・二%。ですから、伸びたというのは間違いないんですね。
だけれども、正直言って、こういう問題というのは、自治体で差が出るというのはもうなくていいんじゃないかと。なぜ八割なのかなと思うんですよね。できるだけ一律が望ましいと思いますが、どうでしょうか。
○梶山政府参考人 お答え申し上げます。
義務教育段階においては、経済的理由によって就学困難と認められる児童生徒の保護者に対しましては、市町村が地域の実情に応じ学用品等を支援する就学援助を実施しており、市町村における制度の周知及び入学前支給の実施については重要と考えております。
文科省の調査では、令和五年度には、新入学時や毎年度の進級時に学校で書類を配付している市町村の割合は八三・二%と増加しているほか、各市町村においては、民生委員やスクールソーシャルワーカー等を通じた書類の配付も行われているなど、周知のための様々な取組が行われているものと承知しております。また、新入学児童生徒等学用品等の入学前支給を実施している市町村の割合についても、小学校については、令和五年度は八五・八%と増加しているところでございます。
就学援助の周知方法や入学前支給の実施につきましては各市町村が判断することでございますので、文科省といたしましては、都道府県別や市町村別の実施状況を公表する、また、入学前の支給等を促す通知の発出や各種会議での周知、それから、自治体での周知に活用できるチラシの作成などにより自治体に対して積極的な働きかけを行うとともに、文部科学省といたしましても、就学援助ポータルサイトなどにより制度の周知を図り、今後も対象となる方々が確実に支援を受けることができるよう取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 実情は、今の答弁、とてもよく分かりました。
問題は、市町村の事業だというのはよく分かるんですよ、だけれども、実際に就学援助という制度があることを知らないという世帯がまだあるということですよね。それから、要保護世帯、準要保護世帯と、生活保護だったらそれはみんな一律なんだけれども、それ以外のところで自治体によってすごく差があるですとか、そうしたことというのは、やはりみんな同じにしていくということが必要なんじゃないかなと、考え方として今日は聞いたんですけれども、どうでしょうか。
○梶山政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のように、就学援助というものに関して、市町村の実情に応じて行うことは極めて重要だと思っております。その際に、制度の周知、それから入学前の実施について、極めて重要であり、文科省としても、できる限りのことを行うとともに、市町村等に対して促してまいりたいというふうに考えております。
また、実際の中身、どのような中身を行うかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、やはりその市町村の実態を見つつ行うということは重要だとは思っております。ただ、周知等に関して、子供たち、それから保護者が確実にその状況が分かるようにするということ、そのようなことに関して、私どもとしても引き続き促してまいりたいと考えております。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。周知徹底を行っていただけるということだと思います。
やはり、私が聞いているのは、自治体がいろいろな取組をして、特色ある子育て支援ですとか、それは大いにやった方がいいと思うんですよ。だけれども、貧困の問題としてこれはもう絶対やった方がいいよなというものはやはり一律で、標準というんでしょうか、スタンダードと言えばいいんでしょうか、そういうふうにやっていくということも必要だと思うんですよ。
今ちょっと就学援助を例として取り上げたわけですけれども、そういうことは、大臣に伺いたいと思うんですが、自治体の格差によって貧困が起きるということはできるだけ避けるべきと思うんですが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
問題意識、共有させていただきます。
昨年末に閣議決定をしましたこども大綱、こちらでは、貧困の状況にある家庭が抱える様々な課題や個別のニーズに対応した支援を進めることにより、貧困の解消、貧困の連鎖の防止に取り組むことを基本的な方針として掲げております。また、子供の貧困対策を重要事項の一つとして盛り込んでいます。さらに、ここが大事だと思いますけれども、地域間格差をできる限り縮小していくことも念頭に置きつつ、必要な支援を行うとともに、現場のニーズを踏まえた地方自治体の先進的な取組を横展開すること、このようにしてございます。
地方自治体は、こども基本法において、このこども大綱を勘案して自治体こども計画を定めるよう努めることとされておりまして、自治体のこども計画には子供の貧困対策が盛り込まれることが大変重要であると考えております。
ちょうど本日、自治体こども計画策定のためのガイドラインを公表いたします。このガイドラインの周知等を通じまして、地方自治体における子供の貧困対策を含めた自治体こども計画の策定を促し、各地域での子供の貧困状況にできる限り差が生じないようにすべく、地方自治体や関係省庁としっかり連携しつつ取り組んでまいります。
○高橋(千)委員 ありがとうございます。
こども大綱に移行する前の、子供の貧困対策に関する有識者会議が二〇二三年に出した意見の中で、子供の医療費助成について、こんなふうに言っています。子供、若者の医療の無償化は、将来的な国民医療費削減の効果が高く、特に貧困状態にある親子に医療が気兼ねなく受けられる機会を拡大することは、子供自身の健康にとって重要な支援であり、十八歳までの医療の無償化を国として実施するべきである。子育て家庭の経済的負担軽減のため、全ての子供が平等な医療サービスを受けることができるよう全国一律の支援が必要とあります。
先般の委員会でも、私、この少子化対策の文脈で、各自治体がすごい頑張って広がってきたということを指摘した上で、国としても医療費無料化をやるべきではと質問いたしました。
政府はこれまで、無料化すれば医療機関の安易な受診が増えて国民医療費が増える、こういう論調だったと思うんですね。だけれども、やはり、子供の貧困対策に関する有識者会議にしてみれば、そうじゃないよ、いろいろな事情があってためらう子供たちがいる、世帯がいる、そこがむしろ気兼ねなく受けられることによって重症化を防ぐことになるわけだから、それはひいては国民医療費削減の効果が高いんだし、これは一律でやるべきだよとおっしゃっているのはすごく大事なことだと思うんですよね。
その認識に立ってもう一踏ん張りしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤国務大臣 お答えを申し上げます。
委員御指摘の、子供の貧困対策に関する有識者会議の構成員の御意見は承知をしてございます。
子供の医療費につきましては、医療保険制度において、就学前の子供の医療費の自己負担が三割から二割に軽減されており、これに加えて、各自治体独自の助成制度により、自己負担の更なる軽減が図られているものと認識をしてございます。
子供の医療費の無償化に関しましては、不適切な抗生物質の利用などの増加が懸念されるですとか、比較的健康な子供の外来受診を増やすなどを示唆する実証研究の指摘もあると承知をしてございまして、国の制度としましては、子供の医療費の助成制度を創設することについては課題が多いものと考えてございます。
子供医療費の負担軽減については、基盤となる国の制度と、各地域における様々な実情を踏まえた地方自治体による支援、これが相まって行われることが適当であると考えております。
○高橋(千)委員 残念ながら、全く前回と同じ答弁なんですよね。
やはり、今引き合いに出したその論文というのは、言ってみれば一つのチームの論文でしかないわけですよ。だけれども、全国の自治体が実証し、それを踏まえて有識者会議が提言をしている、その方がずっと総合的じゃないですか。そういう視点に立ってほしいということを私は指摘をしましたので、多分、もう一度聞くとまた同じ答弁になってしまうと思いますので、引き続きこれは述べていきたいと思うので、検討していただきたいと思います。
それで、時間の関係で、次の質問はちょっと丸めて質問をいたしたいと思います。
資料の二枚目は、なかなかこれは空欄が多いんですね。数字が入っておりません。
例えば、二〇一七年の数字で、食料が買えない経験、一人親家庭は三四・九%、子供がある全世帯は一六・九%。衣服が買えない経験、一人親家庭は三九・七%、子供がある全世帯は二〇・九%。剥奪指数と言われるわけですが、所得の金額だけでは分からない貧困の状況を、こういう形で、一般の家庭なら当たり前にできているはずのことができていないこと、こうしたことをピックアップして表すというのは非常に重要だと思います。
まして、今、子供食堂や食料支援などが全国各地で取り組まれ、給食だけが唯一の栄養というような子供が増えている実態が広く認知されています。
昨年十二月二十七日の食料安定供給・農林水産業基盤強化本部決定による、食料安全保障強化政策大綱には、国民一人一人の食料安全保障という節があり、全ての消費者がいかなるときにも十分かつ健康的な食生活が実現できることが重要であるが、食品価格の高騰はこれに支障を与えるおそれがある、加えて、トラックドライバーの人手不足、不採算地域からの流通業の撤退などと述べた後で、貧困、格差の拡大等により、国民全体の食料の必要量が確保されていても、国民に行き渡るとは限らない、いわゆる食品アクセス問題が社会問題となっているとあります。
つまり、食料は足りている、数字的には足りているんだけれども、格差が、貧困であるがために、食品にアクセスできない、十分に食べられない、そういう状況を政府自身が認めているということだと思うんですね。
それで、やはりこうしたことを浮き彫りにしていく必要があると思うんです。子どもの貧困議連では、たくさんの民間団体、NPOなどがヒアリングなどに参加していますし、一度この委員会でも紹介した、子供と保護者六千人調査というのは、非常に圧巻で、実態がよく分かるし、よく集めたなと思ったとともに、自分たちの調査には限界がある、そうおっしゃっておられました。
政府も、しっかりここに着目し、調査を精度を高めていくこと、そして、追跡調査などを行って、貧困の解消が、本当に役に立ったのか、そうしたことを見える化していく必要があると思うんですが、いかがでしょうか。
○小宮政府参考人 お答えいたします。
まず、御指摘ございました、食料が買えない経験、衣服が買えない経験等の数字でございます。
それで、年末に定めましたこども大綱には間に合わなかったんですけれども、元々のデータは、社人研が作っております生活と支え合いに関する調査というのが五年ごとにございまして、その基データを基に、更に社人研にお願いをして、この子貧困大綱で掲げている指標を集計、精査してございます。
それで、近々、こども白書を国会に御報告する予定にはなってございますけれども、その中でこの数字についても掲げようと思っておりますが、今、最終調整中でございますけれども、現時点の状況を一言だけ御報告申し上げますと、子供がある全世帯で、食料が買えない経験、それから衣服が買えない経験、共に、二〇一七年の数字に比べると、四、五%、若しくはそれ以上、改善を実はしてございます。それから、一人親世帯について見ますと、食料を買えない経験が、一七年に三四・九%が二一%程度。衣服が買えない経験も、一七年が三九・七%だったのが一九%程度ということになっております。これは、いずれも最終精査中でございますので、それを御理解の上でお聞きいただければと思います。
今後に向けてでございますけれども、まず、本年度に、このような子貧困に関する指標についての研究を実施をしてございまして、外部の専門家の知見もいただきながら、具体的な調査の設計について、今検討を進めることとしてございます。
これも踏まえつつ、また、御指摘いただいた点も踏まえつつ、令和七年度に子供・若者総合調査というものを実施したいと考えてございまして、その中でも、子供の貧困対策の観点を含むウェルビーイング指標の在り方についても検討を進めることとしておりますので、その中で、できる限り見える化を図っていきたいと考えてございます。
○高橋(千)委員 終わります。よろしくお願いいたします。
○谷委員長 次に、一谷勇一郎君。
○一谷委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の一谷勇一郎です。本日はどうぞよろしくお願いをいたします。
私からは、本日、生成AIの話、そして、医療的ケア児、子育て支援、その分野の質問をさせていただきたいと思います。
五月二十一日にEUが世界初の包括的なAIの規制法の成立をさせたというふうに、記事を読みました。EU市場におけるAIの安全性を確保する目的で、AIシステムの定義や事業者に課す義務、違反者への罰則を定めたということであります。
我が党の三木圭恵代議士が、衆の本会議、六年の四月十八日に、我が国の生成AIに対する法整備は遅れているのではないか、生成AIの規制と活用の面から法規制が必要ではないかというふうな質問をさせていただきました。その総理の回答が、規律と利用促進のどちらも偏ることなく両者を一体的に進める、御指摘のような国内法の整備が必要かどうかも含め、AI戦略会議等においてしっかりと議論をするというふうに回答をいただいております。
また、五月十七日、朝日新聞の、官房長官会見では、林官房長官が、我が国として、AIについて、規制と利用促進を一体的に進めることが重要というふうに書かれています。
やはり、規制だけではなく、イノベーションを起こすためにどのような利用促進をしていくかということが非常に重要だというふうに認識をしています。
EUのAI法ができて、成立をしたんですが、その前に、二〇二〇年にはデータガバナンス法、データの共有と利用を促進するための枠組み、そして二〇二一年にはデジタルサービス法、プラットフォームとオンラインサービスの規制を強化、そして二〇二二年にはデータ法、データの育成、アクセス、利用に関する包括的な規制というふうに、このAI法が決まる前に、どういうふうに利用していこうかというような法整備がしっかりされていて、そして今回の規制の法律が成立したということなんです。
これは、日本側は、どういった、イノベーションと規制というふうなことに対して考えているのか。今ガイドラインが出たということですが、改めてお考えをお聞きしたいと思います。
〔委員長退席、田中(英)委員長代理着席〕
○徳増政府参考人 お答えいたします。
EUのAI法案は、イノベーションを促進しつつ、安全性や基本的人権の遵守を確保することなどを目的として、欧州議会に続き、今月の二十一日に欧州理事会において承認をされ、成立に至ったものと承知をしております。
AIをめぐるルールの在り方については各国・地域の事情に応じて様々であり、我が国としては、規制と利用促進を一体的に進めることが重要との認識の下、先月、AI事業者ガイドラインを策定をしており、この活用促進を図っていくこととしています。
また、先日開催をされたAI戦略会議ではAI制度に関する考え方について議論が行われていまして、AIのリスクや技術進歩に応じた柔軟な制度の運用、国際的なルールとの整合性や相互運用性の確保、AI事業の主体やリスクの高低に応じた制度の検討などを主な論点として、マルチステークホルダーの意見を聴取しながら検討していくことについて、構成員の皆様に了承をいただいたところであります。
内閣府としては、先日のAI戦略会議の議論や国際的な動向などを踏まえて、様々な関係者の御意見をお聞きしながら、国内法の整備が必要かどうかも含めて、関係省庁と連携をして、しっかりと議論を行ってまいりたく存じます。
○一谷委員 そのAI戦略会議にも関わっておられる松尾研究所の方の資料を読むと、松尾先生は、これまでの日本のAI政策、AI戦略会議が中心となって、他国に引けを取らない速さでAI政策を進めてきたというふうにも書いていただいています。
ただ、私、地元の神戸の大学であるとか研究所の先生方から意見を聞くと、本当に法整備しないで大丈夫かという不安の声、この差がすごくあるなというのを非常に感じております。
また、今朝の日経新聞を読むと、生成AIを悪用したサイバー攻撃、チャットGPT―4を利用すると八七%がソフトウェアの脆弱性をついてサイバー攻撃ができるというようなこともありました。
非常に期待と不安が入り交じっているこの生成AIなので、もう少し分かりやすいふうに、政府も、一般の皆さんにも向けても告知というか広報をしていただけた方がいいのではないかというふうに思います。
また、これは部署が違うのでちょっと説明ができない、質問ができないということだったんですが、私の地元の研究者の方は、二〇一九年時点で科学の在り方が変わりましたというふうにおっしゃっています。
どういうことかといいますと、ロボットとこの生成AIが一緒になって仕事をすることによって、三百六十五日二十四時間、実験を繰り返していくということです。そして、AIの一番の脅威とこの方はおっしゃっていましたけれども、実験結果によって次の実験を考える、自律実験を繰り返していくということなんですね。
この松尾先生の資料の中にも書いてありました、ロボットと生成AIの融合をどのようにしていくかということなんですが、日本としてはこういった、ロボットと生成AIが研究所を持てるようなことも整備していかなければならないのではないかというふうに思います。
また、もう一つ意見があったのは、G7で日本はリーダーシップを取って生成AIの議論をしてくださったということなんですが、BRICS、ヨハネスブルク宣言、第三回にもAIのことが書かれていたそうなんですが、このBRICSとの関係をどうしていくかということも非常に危惧をされていました。
私は、このロボットと研究というところを聞いたときに、生成AIと聞いたときに、やはり医療分野、私は、日本は医療分野が非常に発展をしていって新しい産業の基になるというふうに思っているんですけれども、このデータが次の競争戦略の基になりますので、ここはしっかり頑張っていただきたいなというふうに思います。
すごくうなずいていただいているので、もし、管轄外でも答弁があれば、いただけたらありがたいんですけれども、なければ次の質問に行きます。大丈夫ですか。ありがとうございます。
○徳増政府参考人 お答えいたします。
御指摘いただきましたAIの研究への活用については、AIの基盤モデルを科学研究に活用すること、これはAI・フォー・サイエンスという言い方をしますけれども、科学研究の手法や研究そのものに大きな変革をもたらす可能性がある重要な取組だと認識をしておりまして、関係省庁とも連携してまいりたいと思います。
それから、BRICSとの関係でありますけれども、御指摘いただいたとおりに、昨年十二月に、G7として、日本が中心になりながら包括的な政策枠組みについて合意したところでありまして、そのアウトリーチ活動として、その一環として、BRICSも含めて、賛同国の拡大に取り組むことをイタリア等々とも一緒に進めているところになっています。
以上であります。
〔田中(英)委員長代理退席、委員長着席〕
○一谷委員 御答弁ありがとうございます。
是非、日本がリーダーシップを取って進めていただきたいということと、非常にうまくいっているというところと不安という、声の差がありますので、ここを埋めるような広報をしていただけたらというふうに思います。
この生成AIについての質問は以上ですので、徳増審議官、もしお時間があれでしたら御退席いただいて結構ですので。ありがとうございます。
それでは、次、医療的ケア児について御質問をさせていただきます。
二〇二一年に、九月、医療的ケア児支援法が成立をされました。当時はまだこども家庭庁が発足をしていなかったんですが、今、改めて、こども家庭庁が発足をして、そして、医療的ケア児から医療的ケア者がこれから問題になっていくという側面というか場面で、こども家庭庁として、こども家庭庁ができたからこそ、この医療的ケア児、医療的ケア者に対してどのような対策、ケアを取っていくかということを考えておられるか、大臣にお答えを求めます。
○加藤国務大臣 昨年四月のこども家庭庁の発足に伴い、医療的ケア児を始め障害児支援につきましては、こども家庭庁において子供政策全体の中で一層の推進を図っているところでございます。
まず、医療的ケア児とその御家族に対する支援に当たりましては、医療的ケア児支援法の理念を踏まえ、個々の医療的ケア児の状況に応じ、大人になった後も見据えながら、関係機関が連携し、切れ目なく支援を行っていくことが重要と考えております。
また、地域の支援体制の要となります医療的ケア児支援センター、こちらにつきましては、国として、センターへの人材配置の支援や取組の事例集の作成など、財政面またノウハウ面での支援を行っており、自治体の御尽力の下、本年二月には全ての都道府県で設置されることとなりました。これによって、医療的ケア児やその御家族からの専門性の高い相談への対応、また、市町村や関係機関との連携による支援の強化や地域資源の開拓、さらには、支援に当たる人材の育成などなどの取組が各地域において進められてございます。
そして、今度、保育所につきましては、医療的ケア児への支援に当たる看護師等の配置に必要な費用について支援を行い、受入れ体制の整備を進めてございます。令和六年度から訪問看護ステーションなどの看護師等が保育所を巡回して対応する方式も可能とするなど、柔軟で効率的な看護師等の配置を可能としてございます。
引き続き、厚生労働省や文部科学省等の関係省庁とも連携をしつつ、医療的ケア児とその御家族が安心して地域で暮らし、育つことができるよう、更なる支援の充実にしっかりと取り組んでまいります。
○一谷委員 今、訪問看護ステーションの質問も後でさせていただきたいと思うんですが、訪問看護ステーションの方が保育所に行くことができるというのは、私は初めて知ったんですけれども、非常にいい政策だなというふうに思いますので、是非進めていただきたいと思います。
政府参考人の方にお伺いをしたいんですが、今、医療的ケア者の話は少しなかったように思うんですが、今、医療的ケア児は推計で約二万人いらっしゃるということなんですが、この医療的ケア者がどれぐらいの数になるのかというのは把握できていないのではないかなというふうに思うんですね。
また、医療的ケア者になれば厚生労働の担当になるのか、そこの連携をどうするのかというのも併せてお考えをお聞かせいただけたらと思います。これから医療的ケア者の方が増えてきて、どのように支えていくかということが、関係省庁、考えないといけないと思うんですが、大丈夫でしょうか。もし答弁の通達がうまくいっていなかったら、次に行きます。難しいですね。分かりました。次へ行きます。済みません、一応私は伝えたつもりなんですが。
これは二万人という推計で、成人の数は把握し切れていないと。専門家の方に聞くと、数十万人に及ぶのではないかというふうに言われていまして、ここは、分母ですね、どのような決まりというか、ことをもって医療的ケア者と位置づけるかということは決まっていないということなんですが、ここはどれだけ受け入れていかないといけないかということもしっかり調査をしないといけないと思いますので、是非よろしくお願いをいたします。
それに関連して、障害福祉等の報酬改定についてお話をお伺いしたいと思います。
今回、トリプル改定ということで、二〇二四年は大きな改定がありました。その中で、障害福祉の改定も行われたんですが、私、この改定の内容を見させていただきますと、新設されたものの中に、入浴支援加算と、あと送迎加算が入っていたんですよ。
私は、介護分野に長いこと、二十年いますけれども、私の分野でいきますと、この入浴支援というか、それは物すごく重要で、衛生管理であったりとか、とてもやないけれども、家族の方が入浴をしていると体も壊すということもあって、これが新設されたということに対して少し驚いたんですが、基本的には、障害の方のケアというのは、持っておられる能力を引き出していくということが基礎にあるということをお聞きしております。
ただ、やはり、医療的ケア者になってきたりとか、医療的ケア児でも、家族の方の不安は、負担は大きいですし、ある一定、ちょっと言い方は申し訳ないですけれども、今まで助からなかった方も助かって、人生を送っていける中で、家族の方の不安、負担を軽減しなければならないという視点もあると思うんですが、今回のこの改正、どういった考えで改正をされたのか、何か大きく考えが変わったのかというところを政府参考人の方にお伺いをいたします。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
今般の報酬改定においては、障害児支援では、医療的ケア児など支援ニーズの高い子供への支援の充実や家族支援の充実の観点から、医療的ケア児や重症心身障害児に、発達支援と併せて、先生から御指摘がございました入浴支援を行った場合の評価、入浴支援加算の創設や、延長支援加算について預かりニーズに対応した見直しを行ったところでございます。
また、障害者サービスでは、医療的ケア児の成人期への移行にも対応した支援体制の整備を更に推進するため、例えば、日中の支援を行う生活介護において、介護職員を手厚く配置した際の加算の拡充や、医療的ケアが必要な方への入浴支援加算の創設、親のレスパイトの観点から、短期入所において、医療的ケアを必要とする児者の受入れや、緊急時の対応等について評価の充実を図ったところでございます。
引き続き、医療的ケアが必要な方とその家族が安心して地域生活を送るため、必要な支援の充実に取り組んでまいります。
○一谷委員 今、短期入所とか、お話もありました。この点数も見させていただきますと、緊急短期入所ですけれども、医療型は二百七十点から五百点に上がっているということで、福祉型も百八十点が二百七十点ということで、ほかの点数の具合を見てみるとかなりの思い切った点数のアップだなというふうに思いますので、やはりレスパイトという視点は非常に重要であると思いますので、ここを考慮していただきたいと思います。
医療的ケア児支援法は、施行から三年をめどに見直し検討を行われるということで、成立時に附帯決議で、成人期に移行する際の支援に万全を期すということも書かれています。これは三年ですので、私の計算では来年の国会での改定に向かっていくんじゃないかなというふうに思うんですが、障害者福祉の報酬改定は、これは今からまた三年後になりますので少しずれがあります。
ですから、同法の見直しをしながら、本当にこの点数加算で、入浴とか送迎とか、レスパイトが機能して、家族の方が負担が減るということができているのかということもちょっと見ていっていただきたいなというふうに思います。だんだん医療的ケア児も大きくなってきて、何かお母さんとかお父さんに負担をかけているんじゃないかなというようなことが、やはり思わなくて済むような支援をしていただけたらというふうに思います。
次は、企業における、医療的ケア児を抱える家族の方のサポートについてお話を伺いたいと思います。
ちょっと今あれですけれども、河西先生も先ほどおっしゃっていましたが、今回の育児と介護の休業の法案の改定の中で、介護休業は九十三日ある、そして三回まで分割できて、介護休暇は五日、看護休暇も五日あって、合計最大百三日休みが取れるということになっています。
ただ、やはり、医療的ケア児の方のケアをしながら仕事をするとなると、少し働き方に対して柔軟に対応してもらうということも必要になるんじゃないかというふうに思いますし、この医療的ケア児と、もう一つ、いきなり小児がんになってしまったようなお子さんであれば半年から二年ぐらいは治療期間がかかるというふうに言われていますので、この百三日では到底足らないとなったときに、お父さん、お母さんが離職して家庭が苦しくなるというような状況も想定されて、実際その現場を私もずっと見てきていますので、そういったところをもう少し配慮ができないのかなということについて、政府参考人の方にお伺いをいたします。
○宮本(悦)政府参考人 お答え申し上げます。
障害のある子を育てる方々も含めまして、男女が共に、自身のキャリアを諦めることなく、仕事と育児を両立できる環境を整備することが重要でございます。
先ほど先生からお話がございました今回の育児・介護休業法の改正では、子に障害がある場合など、子の家庭の様々な事情に対応できるように、労働者からの仕事と育児の両立に関する個別の意向の確認と、その意向への配慮を事業主に義務づけることとしてございます。
加えまして、事業主が個別の意向に配慮するに当たりまして、更に望ましい対応といたしまして、子に障害がある場合や医療的ケアを必要とする場合であって希望するときには、短時間勤務制度や子の看護休暇制度などの利用可能期間を延長することなどを指針で示すこととしてございます。
指針の具体的な内容につきましては、今後、審議会における公労使の御意見も踏まえまして検討してまいりたいと考えてございます。
○一谷委員 私も、育児と介護休暇の法案の採決に対して、厚労委として、メンバーとして入らせていただいたんですが、ここまでちょっと私の意識が及ばなかったんですが、配慮義務があるということですが、更に何をするかまでは入っていないので、配慮しただけで、義務で、そこで終わってしまわないようにするのが大事ではないかということと、ある側面、何か雇用にも影響してくるのではないかなというふうにちょっと危惧もしています。
例えば、医療的ケア児の方であったり病気をちょっとお持ちの方の家庭が、分かっていて雇用をできるかどうかというところは、これは企業にとっては負担になると思いますので、そういった負担軽減も併せて考えていただけたらというふうに思います。うなずいていただいているんですけれども、負担軽減の部分とか何かありますか。もしあれば。なければ次に行きます。大丈夫ですね、はい。では、次に行かせていただきます。
次、企業のところはそういった配慮義務から次は何をするかということも決めていただきたいと思うんですが、先ほどお話のありました訪問看護ステーションについて質問をさせていただきます。
訪問看護ステーションは、数は増えています。指定訪問看護ステーション、二〇二三年は一万五千六百九十七件ということで、これは一般社団法人全国訪問看護事業協会のデータであります。訪問看護師の方も約十万人と、常勤換算でも七・六万人の方がいてくださいます。このように訪問看護ステーションは非常に増えてきてはいるんですけれども、でも、訪問看護ステーションが増えることと、この医療的ケア児の方を対象に診てくださる訪問看護ステーションが増えるということは一体ではないというふうに思うんですが、この看護ステーションを増やしていくためにどのような考えを持っていただいているのかということを政府参考人の方にお伺いします。
○須田政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘をいただきましたように、医療的ケアが必要な子供への支援、これは大変重要な課題だというふうに認識をしております。このため、そうした子供に対する訪問看護の対応強化を図るということは重要な課題であるというふうに認識をしております。
このため、令和六年度の診療報酬改定におきましては、難病や医療的ケアの必要な乳幼児に係る訪問看護の加算額を引き上げるなど、乳幼児の状態に応じた評価を行う仕組みへの見直しを行ったところでございます。
今般の診療報酬改定を踏まえた訪問看護現場での対応状況を引き続き注視しながら、医療的ケアを必要とする子供などに対する支援の在り方につきまして、引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。
○一谷委員 第八次医療計画において、県の訪問看護に定めるいろいろな、小児に特化した形での報酬もあると思うんですが、是非、これは二年後、医療の改定ですから、二年後に改定をされる際には、この訪問看護ステーションの中でもやはりある意味特殊だと思います、かなりの技術が必要ですし、まだまだ整備されていないと思うんですが、この医療的ケア児の方に対しての訪問看護ステーションの在り方、これを一体で訪問看護ステーションとくくってしまわずに、ある程度仕切りができるようなことも考えていただいて、先ほど保育所にも訪問看護ステーションの方が訪問できるようなことも、これはすごいいい制度だと思うんですが、なされるということですので、次期改定では俎上にのせていただいて、ある程度分けた考えができるようにしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
では、残り十分ですので、少し問題を飛ばして、時間があれば戻ってきたいというふうに思います。
出産、子育てについて、出産費用の保険適用が今議論に上っているんですが、助産院は医療機関ではないので、ここをどういうふうに整理していくのかという質問と、産前産後ケアを広めていこうという国の政策の基になっているのは、私はやはり助産院だと思うんですね。助産院がなくなれば、それを、産前産後ケアのステーションを担っていただく箇所がなくなってしまうと思うんですよ。
ですから、もし、今検討しておられるんですけれども、出産が保険適用になった場合、助産院はどんな対応になるのかということをお聞きしたいと思います。
○須田政府参考人 お答え申し上げます。
出産の保険適用における助産所の扱いでございますけれども、総論で申し上げますけれども、今後とも、助産所が妊産婦の出産場所の選択肢として、また、地域の周産期医療提供体制の一員としてしっかり役割を果たしていける、そういう環境を維持していくことということについては大変重要であるというふうに考えております。
出産費用の保険適用に関しましては、昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略を受けまして、今後、厚生労働省及びこども家庭庁が共同で有識者による検討会を設置し、議論を行っていく予定になっております。保険適用の導入を含め、妊産婦に対する具体的な支援策の在り方についてはこれからこの有識者会議で検討していくということになっております。
助産所も含めた地域の産科医療提供体制の観点も十分に留意しながら、関係者の意見をよく伺い、丁寧に議論を進めてまいりたいというふうに考えております。
○一谷委員 是非助産院のことを考えていただきたいと思いますし、この産前産後ケアを担える事業所、これはやはり、なかなか数が、まだまだ増えていないというふうに思います、点数の改定もいろいろされていますけれども。
そこで、先ほどの医療的ケア児の方であったり障害をお持ちの方であったりというところで、一つ、これは私の提案というか考えなんですが、今、共生社会ということが言われています。そして、少し産前産後から戻って医療的ケア児や障害の方の話をしますと、これは共生型サービスということで、介護事業所も担うことができます、障害の方を。障害をお持ちの方も、本当に、なかなか動くのも大変という方から、気管切開であったりとか、経管栄養であったりとか、人工呼吸器ですか、そういったことで、介護事業所の看護婦さんや、あと、残存能力を生かすということであれば理学療法士さんや、私は柔整師ですけれども、リハビリをして、残存能力を生かすこともできます。
ですので、是非、この共生社会、共生型サービスというところ、これは、二〇一七年に成立して、介護保険法と障害総合支援法、児童福祉法が一体になって、年齢の仕切りを取っていくということで成立されましたが、なかなか進んでいない現実があります。
そして、地域包括ケアシステムという中であれば、私は子育て、子供も含まれると思いますので、私はこれは確認しましたけれども、介護施設、特老とか有老のところの空いているスペースで産前産後の事業をやっても問題がないというふうに聞いていますので、まさに人手がない中で、また過疎地に行くと専門職もいない中で、是非、一体的にやっていく、これが必要ではないかなというふうに思います。
訪問看護ステーションの点数も上がったとはいえ、本当にこれで数が、看護師さんとか、医療的ケア児の方に対応できるのかな、医療的ケア者の方に対応できるのかというのは、ちょっと私は不安であります、実際問題。点数は上がったからといって、雇用に結びつくまでの点数アップにはなっていないので、こういったことも考えていただきたいなというふうに思って、今ちょっと提案をさせていただきました。是非、一体的に共生社会の中でやっていくということが大事ではないかというふうに思います。
次は、お父さんですね。お父さんの子育てについて、今、千人以上の企業から三百人以上の企業に決まりが変わって、育休を取っているかどうかというのを公表されていきます。
私が週末、国政報告会をやっていますと、男性の育児休暇をしっかり進めていきますよ、今は三百人以上の企業の方がこれから対象になっていきますといったときに、三百人ではなくて、全ての企業がお父さんの育休を取ってもらわないといけないのではないか、そうなったらうちの会社は対応できるかなというふうな、非常に、そういった不安とともに、いい制度ではあるけれども対応できるのかということもありますし、やはり、今まで、育児ということに対してお父さんが初めて関わるとなったときに、何度もこういう場で言っていますけれども、産後のうつ病になってしまって会社に復帰できないということも実際に起こってきて、信州大学ではそういったお父さんの外来、育児の、ケアの外来をやっています。
私、制度を見てみますと、両親学級であったりとか、あと、出産というのはやはり妊産婦さんが主体で、唯一、この伴走型支援のときはお父さんの参加ができるのではないかなというふうに思いますので、是非、この伴走型支援については、お父さんの参加を促していただきたいと思いますし、企業も、企業版両親学級みたいな、両親学級みたいな企業版があるとお聞きしているんですが、ほとんどの企業が、そういったマニュアルを作っているということを知らないんじゃないかなというふうに思いますので、そこはちょっと周知をしていただく方がいいのではないかなというふうに思うんですね。
こういったことも併せて、政府が、お父さんに対して、産前産後の関わり、どうやって深めていくかということのお考えをお聞きしたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
国際的に見ますと、我が国の父親の家事、育児関連時間、非常に低いというふうに承知をしております。こういった中で、共働き、共育てを推進する観点から父親の育児を推進する、非常に重要なことでございます。
御指摘の伴走型相談支援では、妊婦への面談を行う際に父親やパートナーの方も同席をすることが望ましいとしておりまして、また、面談の際には両親学級などの利用を案内するということを事業の実施要綱の中で明記をしてございます。
今般審議をお願いしております子ども・子育て支援法の改正法案におきましては伴走型相談支援の制度化を盛り込んでおりまして、法案が成立した暁には、施行に向けて、相談支援の方法など、父親の参画といった点も含めてガイドラインに、検討をしていきたいというふうに思っております。
このほか、父親の両親学級への参加を促進するために、平日の勤務後や土日など参加しやすい日時での開催ですとか、オンラインでの開催、こういった工夫についてもお示しをしているなど、あるいは、令和四年度の予算から、新規事業ということで母子保健対策強化事業を創設しまして、両親学級のオンライン開催などの体制整備についても財政支援を行っているところでございます。
こうした取組を踏まえまして、父親が積極的に、また主体的に育児を担えるような取組を引き続き進めていきたいと考えております。
○一谷委員 私は、自分の娘や息子を育てながら、育児は非常に楽しいなというふうに思ってできている方なんですが、皆そうではないかも分からないので、是非是非こういった取組を進めていただきたいと思います。
それでは、少しまだ時間がありますので質問を、時間がないかな、あと一分しかないので、そうしたら、私が今日質問させていただきたかったことをお話をさせていただきます。
先ほどの小児の医療的ケア児の方もそうなんですが、特に小児の方のオペであったり治療であったりとか、特に小児がんの方の治療なんかは、お子さんも減ってきている中で、症例も少なくなってきている。そうすると、若いドクターの方々が経験が不足をしていて、年一、二回の、例えば肝臓がんの手術だったら年一回か二回しかしていませんと。でも、物すごい難しい子供のがん患者さんがばっと来られて、対応ができにくいということがあるそうです。
そこで、私の関わっている医療NPOの奉仕団体は、海外に行っていただいて、海外で、これは持ちつ持たれつで、若いドクターが行って、手術を一日何件もやってくる、向こうにその技術をしっかり教えて帰ってくるということなんですが。
今、JICAさんがやっている日本の医療の海外派遣というのは、技術のあった方が行って、向こうに技術を習得していただくというのが主になっているそうなんですが、できたら、こういった若いドクターの方が、武者修行ではないですけれども、自分の技術を上げて、できるだけ症例に当たっていくということを目的として海外派遣ができるというような枠組みも是非つくっていただきたいと思います。
私の知っているドクターも、たくさん海外へ、ミャンマーやカンボジアへ行っておられますけれども、みんな自分で費用を出して行くということで、かなり負担ではあります。日本に症例が少ないといっても、助かる命が助からないということがないように、是非こういった制度にも目を向けていただけたらと思います。
以上です。私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、田中健君。
○田中(健)委員 国民民主党の田中健です。
本日最後の質問となります。よろしくお願いいたします。
一谷委員の関連質問のような形になるんですけれども、出産費用について、また産後ケア事業について、そして母子保健情報のデジタル化について質問させていただきます。
二十一日の報道によりますと、政府は、正常分娩での出産費用に公的医療保険を適用し、自己負担を求めない方向で検討に入ったということが掲載されていました。これまでは出産の保険適用化とも言われておりましたが、この記事ですと、制度的には保険適用化であっても、実質は基本的な出産に係る自己負担なしというふうに読めるんですけれども、政府はそのような方針で今進めているということでよろしいでしょうか。
○須田政府参考人 お答え申し上げます。
昨年十二月に閣議決定されましたこども未来戦略におきましては、出産育児一時金の五十万円への引上げ等の経済的負担軽減策や出産費用の見える化、これを進めた上で、これら効果の検証等を行いまして、二〇二六年度を目途に、出産費用、正常分娩の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進めるというふうにされたところでございます。
政府といたしましては、今後、厚生労働省及びこども家庭庁が共同で有識者による検討会を設置し、議論を行っていく予定としております。
御質問にありましたけれども、正常分娩の保険適用の導入を含め、妊産婦に対する具体的な支援策の在り方でございますが、これから設置される有識者検討会における議論を踏まえつつ検討していくということでございまして、現時点で何か決まった方針があるわけではございません。
○田中(健)委員 その方針をしっかり私は伝えてもらった方がいいと思いまして、この報道がネット等でもかなり広がっておりますので、様々な、専門家や、いろいろな意見がもう飛び交っておりまして、自己負担が増える地域もあると思ったけれども、よかった、懸念がこれで解消されたとか、無痛分娩や開業助産師による助産所はどうなるんだろうかとか、いろいろな議論が飛び交っています。
今答弁いただいたように、私も厚労委員会でこの議論をしてまいりまして、当初、出産費の比較サイトを全部作りまして、そして、その出産費用の見える化をしていく、さらに、医療機関から様々なデータを集めて、そして保険適用となるサービスやまた給付の水準を決めるということが昨年議論をされていたと思います。今答弁されていましたので、それをしっかり伝えてもらい、まだこれからだということと、余り先んじていろいろな、勝手に議論が進まないようにしていただきたいと思います。
その中で、比較サイトはこの年度中に作るということが言われておりましたし、また、出産費用の在り方の議論を併せてどのように進めていくのか、再度伺います。
○須田政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほども御答弁申し上げましたように、こども未来戦略におきましては、出産費用の見える化を進めた上で、これらの効果等の検証を行った上で、二〇二六年度を目途に、出産費用、正常分娩の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進めるというふうにされたところでございまして、今後でございますけれども、まずは分娩取扱施設ごとのサービス内容あるいは出産費用の状況などを公表いたしまして、出産費用の見える化をまずしっかり進めるということをいたしまして、その次の段階として、必要な検討をしていく。その検討に当たりましては、先ほども申し上げましたように、新たに設置される検討会においてしっかり検討をしていくということになります。
なお、出産費用の見える化につきましては、全国の分娩取扱施設から必要な情報の収集を進める作業を今進めている段階でございまして、見える化、ウェブサイトという形で本格的に稼働できるように準備を進めてまいりたいというふうに考えております。
○田中(健)委員 この比較サイトを五月いっぱいで作るということを言っておりましたので、もう五月は終わりを迎えておりますので、是非、一日も早くこのサイトを開いていただければと思っています。
生まれた後の産後ケア事業について引き続き伺いたいと思いますが、こども家庭庁は産後ケア事業の拡充に乗り出すという報道も、二十二日、一昨日あったばかりであります。
児童相談所の児童の虐待件数というのは、令和四年調査で二十一万九千百七十件と過去最多を記録するなど、家庭内での虐待、ネグレクトが増加傾向にある中、母親の心理的、身体的サポートを目的とした産後ケア事業の社会的ニーズというのは高まっています。しかしながら、二二年度に全国の八割に当たる千四百六十二市区町村で実施をされたにもかかわらず、利用者は一〇・九%、一割しかいなかったということであります。
実際、ケア事業者に話を聞いてまいりましたが、産後ケアで初めてゆっくり湯船につかることができた、睡眠をまとめて取ることができた、これがリフレッシュとなる、産後ケアは支援者と出会う最初のタイミングになり得る、自立支援にもつながる等、大変にその有効性また必要性というのが述べられている一方、なかなか受益者負担で利用できるのは公務員以上の給与レベルの人が多い、あと、夫や家族からの理解がなかなか得にくいため、母親が自分の心身のために利用料の支払いをしてまで利用が進まないんじゃないかといった課題も、声も聞いてまいりました。
この利用率の低調の原因というのをどのように分析をしているのか、また、今回、拡充策をするということが報道されていましたが、それによってどのように改善されるのか、大臣にお聞きします。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
産後ケア事業につきましては、令和四年度時点で、全市町村の約八四%に当たる千四百六十二市町村で実施されておりますが、産後ケア事業の利用率は約一割にとどまってございます。
その原因についてのお尋ねでございますが、各自治体によって事情は様々ではありますが、例えば、令和四年度まで、産後ケア事業の実施要綱上では、対象者を心身の不調のある者、育児不安のある者と定めており、利用者の制限を行っている自治体もあったこと、また、産後ケア事業は市町村事業となりますが、実施施設に地域偏在があり、小規模自治体など、委託先の確保に苦慮していた自治体もあったこと、こういったことなどが考えられます。
こうした課題を踏まえまして、随時事業の見直しを行っていくことが重要であると考えておりますが、まずは、利用者制限の点につきましては、令和五年度から、産後ケアを必要とする全ての産婦に対して利用料を減免する支援を導入するとともに、実施要綱で定める対象者につきまして産後ケアが必要な者と改めて、産後ケア事業がユニバーサルなサービスであることを明確化をいたしまして、希望する全ての産婦が利用しやすくなるような環境整備に取り組んでいるところでございます。
また、委託先の確保の点につきましてでございます。実施施設の地域偏在の課題がありますが、それにつきましては、都道府県による広域的な調整を支援するため、令和五年度より、管内市町村、また関係団体が参加する協議会を設置、開催し、委託先の確保の検討などを行う都道府県に対しましては国庫補助を行っておりまして、市町村を超えた利用促進、これを図っているところでございます。
こうした取組により、誰もが使いやすい産後ケア事業となるよう、引き続き必要な取組を進めてまいります。
○田中(健)委員 是非、今の課題は、私も事業者から聞いた課題とも重なりますので、取り組んでもらいたいんですけれども、実際、事業者から聞きますと、この運営、始まってまだ一年ですけれども、赤字が続いているというのも聞きました。
例えば、一日八時間のデイサービス型でありますと、一人に対して、市民課税世帯での受益者負担は、市の負担と合わせますと一万五千円。しかし、助産師の時給が千八百円で八時間来ていただきますと、それだけで一万四千四百円だということであります。これに食費や水道光熱費、消耗品費、さらには受付業務を始めとした人件費もかかりますので、やればやるほど赤字になってしまうということがあります。
また、実質、これは申請による支払いなので、手配した利用者が来なかった場合は、助産師さんの給料を払わなきゃいけませんが、補助はありません。そうしますと、なかなか、そもそも事業者が安定的に運営していくのが難しいという声を聞いています。
ですから、利用率が低い背景には、なかなか、いつでも必要なときに利用できる状況になっていないのではないかという問題点もあると思っています。最初の見積りの時点では、助産師の人件費を出せば何とか事業を運営できるんじゃないかというような試算だったと思うんですけれども、見積りが少し甘かったのではないかという指摘に対して、どのように対応し、また安定した運営につなげていけるか、お伺いしたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
産後ケア事業の確保におきまして、事業者の経営の安定化を図っていくことは非常に重要であると考えております。
経営上の課題でございますけれども、実は、令和五年度に事業者への調査研究を実施をいたしました。この中で、経営上の課題といたしましては、産後ケア施設における利用人数が少ないことによる稼働率の低さ、あるいは市町村からの委託料単価の低さ、こういった点が挙げられております。委員からの御指摘のとおりでございます。
このため、先ほどの大臣から御答弁いただいたことと重なりますけれども、令和五年度からは、産後ケアを必要とする全ての産婦に対して利用料を減免する支援をスタートいたしております。また、実施要綱で定める対象者は産後ケアが必要な者と改めまして、産後ケア事業がユニバーサルなサービスであるということを明確化をして、希望する産婦さんが利用しやすくなるような環境整備に取り組んでいるところでございます。こういった取組により、稼働率の改善というものを期待しているところでございます。
また、委託料の単価の低さという御指摘もございました。今国会に提出いたしております子ども・子育て支援法の一部改正におきまして、本事業を法律上、地域子ども・子育て支援事業に位置づけ、市町村が都道府県と連携しながら計画的に整備をしていくという改正項目を盛り込んでおります。
これは、法律上の施行時期は令和七年度からというふうになってございますけれども、この趣旨は、都道府県が広域的な調整をしながら計画的に整備を推進することに役割を担っていただくこと、その結果といたしまして、都道府県の負担を導入をするということも盛り込んでおります。そうしますと、市町村の負担軽減が図られますので、市町村から産後ケア事業者への委託単価の改善にもつながるのではないかということも期待をしてございます。
さらに、令和六年度の予算では、産後うつのリスクなど支援の必要性の高い産婦を受け入れた場合の加算なども創設いたしました。
こうした取組によりまして、市町村から産後ケア施設への委託の積極的な実施、委託単価の改善、こういったことについても図られるということも期待しておりますし、我々、ただいま申し上げましたような産後ケア事業の重要性については、機会を捉まえまして、自治体の皆様に適切に御判断いただけるように、しっかり周知についても努めていきたいと考えております。
○田中(健)委員 今、多々、支援を言っていただきました。是非、現場の状況を聞いていただきまして、そして、加算と、また委託費の、委託率を上げるということを言っていただきましたので、継続できる環境を整えていただきたいと思います。
一つ飛ばしまして、さらに、医療ケアが必要な子供を出産した場合というのは、産後ケアを受ける対象から外れている自治体があります。このため、医療ケアが必要な子供を出産した母への支援というのが手薄になっているということが言われています。また、医療ケアスタッフによる支援がメインとなりまして、なかなか地域ともつながりにくいということで、孤立につながるということも言われています。
一般の産後ケアと同様のケアが受けにくい状況にあることが考えられますが、医療ケアが必要な子供の母親こそがケアが必要な状態であると考えますが、このような状況に対してどのように対応をされているでしょうか。伺います。
○加藤国務大臣 お答え申し上げます。
産後ケア事業は出産後の産婦に対する保健指導や育児指導等を行うものですが、委員御指摘のとおり、医療的ケア児やその母親への手厚い支援は重要であると考えております。このため、産後ケア事業と併せまして、市町村の障害福祉とも連携をし、こども家庭センター等の関係機関を中心に、医療的ケア児に対する切れ目のない支援を行っているところです。
産後ケア事業では、宿泊やデイサービスのほか、居宅に訪問して支援を行うことも可能となっており、医療的ケアを必要とする乳児の母親が産後ケアの利用を希望する場合には、例えば、移動の必要がない居宅訪問型のサービスを活用するなど、産婦や乳児の状況に応じ柔軟に実施をされていると承知をしております。
こうした医療的ケア児やその母親への支援が着実に実施されるよう、今年度見直しを行うことを予定をしております産後ケア事業のガイドライン、こちらの中で、医療的ケア児がいる場合でもその母親に産後ケアサービスを受けていただけるよう適切に情報提供をしていくことや、産後ケアの対応方法の工夫、こういったことをお示しするなど、自治体への周知も含めて、しっかりと必要な対応を進めてまいります。
○田中(健)委員 障害福祉との連携ということを言ってもらいました。確かにそのとおりなんですけれども、なかなか現実はそれができていないという声を聞いています。もちろん、訪問型があると言ったんですけれども、訪問型は、家に来て、じゃ、産後のリラックスできるかというと、やはりなかなかできないのも事実であります。ですから、そもそも気分転換にならないと。
ですから、できる環境を整えるのは、大臣、確かに言ってもらったとおりなんですけれども、しかし、当事者のケアというのはまた違う、同義語ではないということを是非御理解いただきまして、さらに、この事業は始まったばかりですので、充実を図れるように皆さんで協力していただければと思います。
時間になりました。終わります。
――――◇―――――
○谷委員長 次に、内閣提出、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案を議題といたします。
趣旨の説明を聴取いたします。自見国務大臣。
―――――――――――――
地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案
〔本号末尾に掲載〕
―――――――――――――
○自見国務大臣 地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
地方分権改革は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるものであり、極めて重要なテーマです。
本法案は、昨年十二月に閣議決定した令和五年の地方からの提案等に関する対応方針を踏まえ、地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直し等を行うものであります。
次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
地方が自らの発想でそれぞれの地域に合った行政を行うことができるようにするため、地方公共団体に対する義務づけ、枠づけの見直し等を行うこととし、関係法律の改正を行うこととしております。
このほか、施行期日及びこの法律の施行に関し必要な経過措置等について規定するとともに、関係法律について必要な規定の整備を行うこととしております。
以上が、この法律案の提案理由及び内容の概要であります。
何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
次回は、来る三十日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
正午散会