第3号 令和7年3月14日(金曜日)
令和七年三月十四日(金曜日)午前九時開議
出席委員
委員長 谷 公一君
理事 上田 英俊君 理事 上川 陽子君
理事 牧島かれん君 理事 神津たけし君
理事 坂本祐之輔君 理事 森田 俊和君
理事 東 徹君 理事 黒田 征樹君
理事 日野紗里亜君
大西 洋平君 加藤 竜祥君
岸 信千世君 草間 剛君
栗原 渉君 小池 正昭君
田野瀬太道君 土田 慎君
萩生田光一君 広瀬 建君
三反園 訓君 宮内 秀樹君
宮下 一郎君 東 克哉君
安藤じゅん子君 市來 伴子君
中谷 一馬君 橋本 慧悟君
福田 淳太君 福森和歌子君
柚木 道義君 奥下 剛光君
仙田 晃宏君 浮島 智子君
大森江里子君 阪口 直人君
本村 伸子君 吉良 州司君
…………………………………
国務大臣
(デジタル大臣)
(デジタル行財政改革担当) 平 将明君
国務大臣
(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当) 三原じゅん子君
国務大臣
(地方創生担当)
(新しい地方経済・生活環境創生担当) 伊東 良孝君
内閣府副大臣 辻 清人君
厚生労働副大臣 仁木 博文君
厚生労働副大臣 鰐淵 洋子君
防衛副大臣 本田 太郎君
デジタル大臣政務官
兼内閣府大臣政務官 岸 信千世君
総務大臣政務官 古川 直季君
政府参考人
(内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長) 井上 学君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岸田里佳子君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 岩間 浩君
政府参考人
(内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官) 大森 一顕君
政府参考人
(内閣府地方分権改革推進室長) 坂越 健一君
政府参考人
(内閣府地方創生推進室次長) 宮本 岩男君
政府参考人
(こども家庭庁長官官房長) 中村 英正君
政府参考人
(こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君
政府参考人
(こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 冨安泰一郎君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 楠 正憲君
政府参考人
(デジタル庁統括官) 布施田英生君
政府参考人
(デジタル庁審議官) 蓮井 智哉君
政府参考人
(総務省大臣官房審議官) 新田 一郎君
政府参考人
(法務省大臣官房審議官) 大竹 宏明君
政府参考人
(国税庁長官官房審議官) 斎須 朋之君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 森 真弘君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 大隈 俊弥君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 吉田 修君
政府参考人
(厚生労働省大臣官房審議官) 榊原 毅君
政府参考人
(環境省大臣官房審議官) 伯野 春彦君
政府参考人
(防衛省地方協力局次長) 森田 治男君
衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君
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委員の異動
三月十四日
辞任 補欠選任
大西 洋平君 広瀬 建君
三反園 訓君 土田 慎君
同日
辞任 補欠選任
土田 慎君 三反園 訓君
広瀬 建君 栗原 渉君
同日
辞任 補欠選任
栗原 渉君 大西 洋平君
同日
理事東徹君同日理事辞任につき、その補欠として黒田征樹君が理事に当選した。
―――――――――――――
三月十四日
国・自治体の責任を堅持・拡充し、保育・学童保育の基準・施策の抜本的改善と予算増額を求めることに関する請願(稲富修二君紹介)(第三二八号)
同(おおつき紅葉君紹介)(第三二九号)
同(山崎誠君紹介)(第三三〇号)
同(宮川伸君紹介)(第三四六号)
同(大西健介君紹介)(第三五三号)
同(西岡秀子君紹介)(第三五四号)
同(村岡敏英君紹介)(第三六二号)
同(篠原孝君紹介)(第三七〇号)
同(島田智明君紹介)(第三七一号)
同(白石洋一君紹介)(第三七二号)
同(福田玄君紹介)(第三七五号)
同(坂本祐之輔君紹介)(第四五八号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政府参考人出頭要求に関する件
地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件
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○谷委員長 これより会議を開きます。
理事辞任の件についてお諮りいたします。
理事東徹君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
ただいまの理事の辞任に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
それでは、理事に黒田征樹君を指名いたします。
――――◇―――――
○谷委員長 地域活性化・こども政策・デジタル社会形成の総合的な対策に関する件について調査を進めます。
この際、お諮りいたします。
本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房国際博覧会推進本部事務局次長井上学君、内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局審議官岸田里佳子さん、同じく岩間浩君、同じく大森一顕君、内閣府地方分権改革推進室長坂越健一君、同じく地方創生推進室次長宮本岩男君、こども家庭庁長官官房長中村英正君、こども家庭庁成育局長藤原朋子さん、同じく支援局長吉住啓作君、デジタル庁統括官冨安泰一郎君、同じく統括官楠正憲君、同じく統括官布施田英生君、デジタル庁審議官蓮井智哉君、総務省大臣官房審議官新田一郎君、法務省大臣官房審議官大竹宏明君、国税庁長官官房審議官斎須朋之君、厚生労働省大臣官房審議官森真弘君、同じく大隈俊弥君、同じく吉田修君、同じく榊原毅君、環境省大臣官房審議官伯野春彦君及び防衛省地方協力局次長森田治男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○谷委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。柚木道義君。
○柚木委員 立憲民主党の柚木道義でございます。
質疑の機会をいただき、ありがとうございます。
また、今日は三原大臣、そして厚労両副大臣に御出席いただき、ありがとうございます。
追加通告せざるを得なかったことからまず入ります。
皆さんもそうだと思いますけれども、私は本当に驚きました。石破総理大臣が、初当選の衆議院の十五名の議員の方々にそれぞれ十万円の商品券を、自らのポケットマネーということであれば、自らの判断で渡されたとお認めになっている。
これだけ政治と金の問題、裏金問題、自民党さん、政治不信を何とか払拭していかなくてはならない。企業・団体献金の禁止法案を今まさに同時並行でやっているわけでしょう。政治と金の不信極まれりという中で、いまだに十五人の方々に十万円の商品券を渡す。
三原大臣、当然我々与野党共に襟を正していかなきゃいけない問題ですけれども、時には恥を知りなさいというぐらい厳しく叱責されるような、そういう歯切れのよい発言もされる三原大臣ですから、今回この状況の中で石破総理自らの判断で十万円の商品券を渡していた、これは辞任に値すると思われませんか。
○三原国務大臣 御指摘の報道に関しましては、夕べ、そして今朝、総理が御説明されたことは承知しておりますが、私はそれ以上の事実関係の詳細は承知しておりませんので、私からお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○柚木委員 元々の質問通告にも、もちろん追加通告もしましたし、今日は、実は、質問通告の中に石破総理への党内からの辞任要求についてという項目も入れていて、そして、それに関連する最新の報道も踏まえて御答弁ください、しかも、追加通告で、石破総理の十万円の商品券の十五人の衆議院の初当選の皆様への手渡しについては、きちっと報道も見て自分の言葉で答弁できるようにしておいてくださいと委員部からも連絡室からも行っているわけです。その答弁では通りません。
石破総理は総理になる前から、政治と金の問題について、与党内、政府の対応も甘いとあれだけ厳しく言い続けてきたわけです。そんな中で自らが、私の元にも届いていますし、三原大臣の元にも届いているんじゃないですか。ねぎらい、苦労、家族の皆さんへ。議員の皆さんに十万円を渡した。ねぎらってほしいのは国民の方でしょう。
物価高で、それを上回る賃金上昇を得られない方がたくさんおられる。本当だったらガソリン減税の話も地方担当大臣にしたいんですよ、電気、ガス、水道に加えて。十万円の商品券を自民党の議員さんに配る前に、十万円を国民に給付してください、そういう声が満ち満ちているじゃないですか。
三原大臣、石破総理に対して、十万円の商品券給付、恥を知りなさいとここで明言すべきじゃないですか。いかがですか。
○三原国務大臣 個人としてそうしたことをお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
○柚木委員 今日は通告の高額療養費の問題、年金法案の問題もこの後もちろんやりますけれども、なぜ自民党の中から石破総理退陣要求の声が今出てきていて、石破総理自らが十万円、裏金問題、これだけ今同時進行で審議もしている中で、辞任要求へのお墨つきを与えるんじゃないですか。正当性が増すんじゃないですか。
三原大臣、自民党内からも、特に参議院の改選を控えた現職の議員の方からも公然と、石破総理は辞任すべきだ、そういう声が高まっている。もちろん我々は、自分の選挙が危ないからとかそういうことで辞任すべきだということにくみしません。しかし、今回、十万円の商品券を十五人の新人議員の方々に渡されていた、しかも全員返したんでしょう。この中におられるのかどうなのか。全員返したのはなぜですか。やましいからでしょう。政治資金規正法二十一条、二十二条に当たる可能性があるから危ないと思って返したんでしょう。
そういうことをしている石破総理御自身への辞任要求が高まって当たり前だと思います。正当性を与えるんじゃないですか。自民党内の声がこれによって更に辞任要求が高まって当然だと思いますが、自民党の参議院議員のお一人として御答弁ください、三原大臣。
○三原国務大臣 内閣の一員としてこの場に立たせていただいておりますので、一政治家としてのお答えは差し控えさせていただきます。
○柚木委員 内閣の一員だからこそこの問題を真摯に受け止めるべきではないですか。自民党さんだけじゃない、政治全体がこれだけ不信感を持たれているわけです。時には恥を知りなさいと言っておきながら、自分の総理がそういうことをされて答えないというのは国民に対して理解されると思いますか。余りにも身内に甘く、そして国民には物価高の中で厳しい状況が続いている。
石破総理の十五人への十万円の商品券の給付は国民の理解は得られる、今の石破総理の弁解で、政治活動ではない、法律には触れない、個人のポケットマネー、こういう説明は国民の理解は得られると思われますか。三原大臣、個人的な見解で結構です、いかがですか。
○三原国務大臣 国民の皆様が今物価高で苦しんでおられる、そうしたことについて、物価高を上回る賃金上昇に政府として全力を挙げて取り組んでいるところであると総理が述べられたと承知しております。まさにそのとおりだと思います。
○柚木委員 質問に答えてください、大臣。違うメモを渡すのはやめてください、読んじゃうから。御自分の言葉で是非お答えください。
今回まさに物価高で賃金上昇、それは今しているわけです、皆さんが労使で春闘を一生懸命やって。大手は確かにいい結果が今出てきているかもしれない。しかし、私の地元の中小零細はそんなことはありませんよ。大臣の地元はいかがですか。
そういう中で十万円の商品券を、これは法律には触れないと。触れるかどうかは石破総理が決めることではありません。政治活動には該当しないというのも、夜の会食を官邸でわざわざ開くことが何の目的もなくお互いが忙しい中に行かれますか。今後の党内基盤を固めるとか、仮に総裁選が次にあったら自分を応援してほしいとか、脱派閥で囲い込むとか、そういうことを考えてお互いが行かれているのは誰が見ても明らかではないですか。政治活動そのものではないですか。
そういう中で、国民は、むしろ国民に十万円給付してくださいと私のところにも来ているし、大臣のところにも行っていると思います。たくさんネット上で大臣に対してもそういう書き込みはあるじゃないですか。そういう中での十万円の商品券の給付が国民の理解を得られますか。大臣、御自分の言葉で御答弁ください。
○三原国務大臣 政治活動ではないと総理がおっしゃっていると承知しております。
○柚木委員 そこを何で避けて答弁されるんですか。国民の理解は得られますか。今回の石破総理の十万円の商品券は十五人の初当選議員のお祝いじゃないですか、配られたのは。国民の理解を得られると思いますか。イエスかノーでお答えください。
○三原国務大臣 国民の理解が得られるようにしっかり丁寧に説明することが必要だと思っております。
○柚木委員 どうやったら国民の理解が得られるような説明ができるのか、どうやったら得られるか。御迷惑をおかけしましたと今朝も石破総理はおっしゃっていましたけれども、それで済むんだったら今後はみんなそれでいいじゃないですか。これまでの裏金問題の皆さんも辞めたり、選挙で落選したり、そういうことをしなくていいじゃないですか、謝ればいいじゃないですか。この問題についてはこれだけでは済まないと思います。
今日は厚労両副大臣にも年金法案、高額療養費のことで来ていただいていますので伺いますが、年金法案自体も、鰐淵副大臣にお越しいただいていますが、昨日も予算委員会で野田前総理、代表からも、まさに総理出席の重要広範を過去に国会に提出、審議しなかった例は一度もないんです。百本近くある法律の中で四本でしょう、総理出席の重要広範は。過去に審議しなかった例は一度もないのに、今日が提出期限でしょう。厚労大臣は当然ながら高額療養費の問題もぶれぶれですから、副大臣、政務官が合わせて提出に向けて、今日が期限だったら最後の最後まで今日一日努力すべきじゃないですか。あるいは延期してでも提出の可能性はあるんですか。提出すべきでしょう。
おまけに、今回、石破総理が十万円の商品券を配っていた。内閣全体が国民から不信任を突きつけられてもおかしくない状況に今立ち至ってきている中で、今回の年金法案は今日が提出期限ですが、最後まで努力して延期してでも提出していただきたいということへの御答弁と、この十万円の商品券の手渡しは、公明党さんは政治と金の問題に非常に厳しくこの間当たってこられていますね、国民の理解を得られると思いますか。以上、二点御答弁ください。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
まず、年金改正法案につきましては、例えば、社会保険の適用に関しまして就業調整が行われていないのではないかといった課題が指摘される中で、被用者保険の適用拡大を行い、より手厚い年金が受けられる方を増やすとともに、より希望に応じて働きやすい制度とするなど、重要な法案でございます。
現在、今国会への提出に向けまして検討及び各種調整を進めておりますが、様々な御意見がございまして調整に時間を要しているところでございます。
厚生労働省としましては、できる限り早期に法案を提出できますよう、各方面に幅広く御理解をいただくべく、最大限説明と努力を重ねているところでございます。
また、もう一つ御質問いただいております。
総理が今回の件につきまして説明されたということは報道等で存じ上げておりますが、それ以上の事実関係は承知しておりませんので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○柚木委員 まず、年金法案の方は、特に私は、将来年金三割カット法案のときには、衆議院の厚生労働筆頭理事として当時の安倍総理とまさに重要広範議案としてやり取りをして、将来三割カットなんてうそだと言われて、実際やはりそうだということになって、まさにそれを手当てする内容も含まれているわけです。これを提出しないということになれば、厚労大臣、政務三役はもとより、内閣全体の信が問われかねない状況だと思います。是非、今日、期限内も含めて提出に向けて全力を尽くすということはここで明言してください。
○鰐淵副大臣 お答え申し上げます。
先ほども申し上げました、今回の改正案は大変重要なものと認識しておりまして、政府としましても今国会の提出予定法案ということで取り組ませていただいております。
引き続き、丁寧な説明、努力を重ねてまいりたいと思います。
○柚木委員 三原大臣も厚生労働副大臣をされていますから、この重要性をよくお分かりだと思うんです。
今日は高額療養費問題の中でも、やはり子供たちに対する、家族に対する影響は不可避ですので、そのことも通告しておりますが、年金も、将来の子供たちの年金カットを食い止めるという意味では非常に重要なわけです。少子高齢化は言うまでもなく、結婚もしない、子供も持たない、希望が持てない。その中に将来の老後のことも含めて希望が持てないわけです。若い世代が不安なわけですよ。
だから、こども担当大臣としても、子供たちの将来の年金削減を食い止める、この法案を国会で審議することは大変重要かつ必要である、そういう認識の下に、内閣の中でも関係する省庁を挙げてこの年金法案を提出する、そういうふうに三原大臣御自身も是非御尽力いただけませんか、いかがでしょうか。
○三原国務大臣 先ほど御答弁がありましたように、様々な御意見があって時間を要しているということでございますので、私からは、所管外でありますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
○柚木委員 高額療養費問題に入ります。
三原大臣は三月十一日の記者会見で、今回の高額療養費の値上げ、負担増の見送りに関して、そうすると、当然、今日資料をたくさんつけておりますが、二ページ目にこの間の会見の資料、それ以降、特に四ページ目以降、まさに昨年十二月二十二日に閣議決定されたこども未来戦略の中で、全体の三・六兆円のうち、二八年度までに高額療養費も含めて一・一兆円の社会保障の歳出削減によって確保する。これが確保されないということになれば、財源に穴が空くことが想定されるわけです。今回の百五億円だけじゃありませんからね。今後の三か年の中でどんどん確保していく、要は値上げが進んでいくという前提でしたから。
そういうことであれば、そもそも、二八年度までに一・一兆円の財源捻出、これ自体を見直す必要が出てくるわけです。当時、保険料値上げは流用かつ子育て増税だということで岸田総理も大きな批判を受けられました。
加えて、今回の高額療養費の値上げもゼロベースから見直すということであれば、当然、予算の再修正という戦後初の状況にもなってきている中で、昨年末の岸田政権が閣議決定したこども未来戦略の閣議決定そのものを一旦立ち止まって見直すということでなければ整合性が取れないと思いますので、是非、閣議決定を見直す、撤回してください。三原大臣、お願いします。
○三原国務大臣 こども未来戦略の加速化プラン、三・六兆円の財源につきましては、歳出改革による公費節減や、令和八年度から始まる子ども・子育て支援金制度等により必要な財源を確保することとされております。
この歳出改革につきましては、御指摘の高額療養費の見直しのみならず、改革工程に記載された医療・介護制度等の改革を実現することを中心に取り組むことで公費節減等の効果を積み上げ、引き続き二〇二八年度に向けて各種の改革に取り組むことで政府全体として加速化プランに必要な財源の確保に努めていくものと考えております。
○柚木委員 それが積み上げられないおそれがあるから言っているんです。多分お分かりの上で言っておられると思うんです。
非常に慎重な会見のコメントです。引き続き各種改革に取り組むことで政府全体として少子化対策に必要な財源に努める。これはどっちにも読めるようになっているんです。確保できてもできなくても、つまり、高額療養費の削減分がなくてもあってもと読めるわけです。ちゃんと霞が関文学でそういうふうになっているわけです。
だから、確保できない可能性も考えてのコメントだと思うんです。ですから、そうであるならばなおさら、私は、閣議決定を一旦見直す、撤回するのが筋だと思いますが、積み上げられなかったときは、結局、高額療養費問題は患者の理解なくして負担増なしと石破総理も明言されていますから、再修正前のものはゼロベースの可能性が高いわけですから、そうすると、積み上げられない可能性が高いということになります。
その場合に、岸田総理は、子育て増税、保険料の値上げも含めて実質的な追加負担は生じないとずっと言い張ってきたんです。しかし、追加的な実質的な負担が生ずる可能性が出てくるじゃないですか。例えば、更なる保険料の値上げをしなきゃいけないとか。そうしないと三・六兆円確保できないことに論理的にもなりますから。
高額療養費が予定どおりいかなければ実質的な追加負担が生ずる可能性が出てくる、そういう理解でよろしいですか。
○三原国務大臣 御指摘の実質的な負担を生じないにつきましては、こども未来戦略に記載されているとおり、基本的に、支援金制度の創設が実質的に負担とならないよう、保険料負担の抑制を図る旨を述べたものと承知しております。
保険料負担を抑制するための歳出改革等については、高額療養費の見直しに限らず、改革工程に記載された医療・介護制度の改革を実現することを中心に取り組むこととされており、令和十年度にかけて各種の改革努力を継続し、必要な規模の社会保険負担の抑制効果を積み上げてまいりたいと思っております。
○柚木委員 その答弁どおりなんです。だから、高額療養費の値上げができなければ、更なる保険料の値上げを含めて何か削らないと出てこないわけですから、だから、実質的な追加負担が生ずるおそれがあるということを述べて、これは更に詰めていきたいと思います。
ちょっと飛ばしまして、私は、仁木副大臣に前回の予算委員会の分科会にも来ていただいて、連続で来ていただいていまして、私の提案に対して重要な指摘なので持ち帰るということで、その後、担当部局とずっとやり取りを積み重ねてきておりますので、是非その成果をここで御答弁いただきたいんです。
まさに三原大臣もこども担当大臣として、今回の問題は、高額療養しながら子育て中のがん患者さんとか難病治療の方がたくさんおられるわけです。その中で、制度の持続可能性は私たちも必要だと思います。しかし、患者さんが利用できない制度が持続可能であったら保険に入っている意味がないわけですから、利用できて持続可能であることが必要なんです。
そんな中で、まさに子育て中のがん患者さん、難病患者さんがどれぐらいおられるのかということをまず一つ御答弁いただきたい。
それから、次のところを併せて聞きますが、今回ゼロベースで見直すにしても、この制度の変更、つまり、利用者、患者さんにとっては値上げになるわけです。
資料にこの間のやり取りのベースになり得るものをいろいろつけております。特に、七ページ目、これは保団連さんの調査です。結局、家計、子育てへの影響で、高額療養費が値上げになれば、治療中断が五割、回数を減らすが六割、あるいは、育児や子供への教育、生活への影響、進路変更が五割、習い事を減らすが六割。習い事を減らすということは、つまり、今、授業料無償化でどんどん私立に流れている中で、進学にも影響を受けるわけです。
そして、がん患者の約半数は収入減というのもあって、そして、私たちはそれを踏まえた凍結法案を出しておるのが八ページ目、九ページ目です。特に、十ページ目以降は、レセプトの上位百位について、昨日田村元厚労大臣もこの表で触れられていましたけれども、各疾患ごとにこういうレセプトのデータが上がってきていて、十一ページ目を御覧いただくと、年収、年齢ごとに、がん、関節症、リウマチとか、あるいは高血圧とか、そういったものをそれぞれ医療費、自己負担額等が書いてある。そして、十二ページ目は、七十歳以上以下によって多数回該当、それ以外というので人数分布も書いてあります。
こういったものを踏まえて、年収、疾患、治療費、治療期間、家族構成、こういったものを調査して、より精緻な形でのモデルケース的なものを、こういう中に皆さんはある程度当てはまりますよというものを出さないと、私もこの間患者団体、患者さんともやり取りしていますけれども、分からないから不安なんです。だから、こういうものに該当して自分はある程度こういう形でちゃんと治療が継続できますよというものがなければ、総理のおっしゃる患者の納得、理解を得られないと思いますので、仁木副大臣、冒頭の質問に加えて、モデルケースになるものもしっかりお示しいただきながら、いきなり秋以降から急にやるんじゃなくて、これから積み上げていく、こういう形で是非御答弁をお願いいたします。
○仁木副大臣 柚木委員にお答えします。
今、冒頭におっしゃった子育て世帯に関する医療のありよう、負担のありようという目の向け方は重要な視点でございます。
ただ、今の状況で、具体的な検討というのは今後の話でありまして、家計がどのような影響を受けるかというのをお示ししようがないわけでございますけれども、今おっしゃったようなことも踏まえながら、今秋、秋に、全体を含めた新たな方針を検討し、決定することになっております。ですから、そういう意味でこのことは対応したいと思っております。
後段のことについても、確かに、シミュレーション等々をしていく上で、それを知った方がまさによりよい制度になっていくわけでございますが、このことに関しましても、その指摘は分かるわけでございますけれども、このことも併せて、今秋、秋以降、改めて方針を決定していくような形になっております。検討が始まるということでございますので、まだ今の時点では、そういう具体的なありよう、決定のプロセスは決まっていないというのが現状での答弁でございます。
○柚木委員 事務方の皆さんも今後ろにいるんだけれども、もうちょっと踏み込んだやり取りはできているんですよ。上から止められているのかもしれないけれども、もうちょっと前向きに答えてほしいんです。
一つ更問いの確認は、高額療養を行いながら子育て中のがん患者や難病患者さんはどれぐらいいらっしゃるか、大体の概数でいいので答弁してください。
○仁木副大臣 お答えします。
本当は把握しているべきかもしれませんが、今のところは把握していないというのが今の答弁でございます。
○柚木委員 これは、この委員会でも機会があればやりますし、私自身が質疑を厚労委員会で必ずやりますから、その場合は厚労大臣に聞きますけれども、答えられるようにしておいてください。
それで、副大臣も医療の現場の専門家でドクターでもいらっしゃるからお分かりのように、具体的なケースを示していかないとますます不安が高まる。
一つだけここで明言いただきたいのは、まさに年末に、石破政権になって一か月で、四回ぐらいで患者の意見を聞かずに決めちゃったから今があるんでしょう。患者さんもその疑念が消えていないんです。参議院で答弁された轟浩美さんを始め、私も皆さんとやり取りを続けています。消えていないどころか、疑念が深まっているんです、今のような答弁をするから。参議院選挙が終わったら、またどさくさに紛れて急に決めちゃうんじゃないのと。そのとき石破さんかどうか分かりませんからね。石破さんが患者の納得を得ずに強行しないとか言ったってどうなるか分からないじゃないですか。
だから、今ここで、この秋に向けて、今から具体的なそういうモデルケースも示しながらこの委員会で議論を始めていくということを私は事前通告で申し上げているんですから、一、二ぐらい具体例を用意しているはずだから示してください。お願いします。
○仁木副大臣 お答えします。
実は、この高額療養費制度、患者として使ったケースで柚木委員には質問レクで回っているかもしれませんが、ちょうど上限が八万二千円のときでした。本当にありがたい制度ということで、皆さんの日本の皆保険制度にプラスアルファしましてこういうありがたい制度があるということ。
ですから、今、急激な変化に対して様々な声がありますので、それに対応していかないとというのは分かりますが、根本的には、このすばらしい制度を持続可能なものにしなければいけないということがあります。
柚木委員もそのことに関して財源も含めて考えていらっしゃると思いますけれども、今の時点におきましては、可能な限り実態を踏まえていきますし、まず、その実態把握の中において、厳しい環境の中で治療を受けられている患者さんの意見も踏まえながら、今秋、秋以降の中で検討に向けて取り組んでいきたいと思っているのが今の答弁の全てでございます。
○柚木委員 時間がないから最後にしますけれども、今秋、秋以降に向けてそういう議論の努力をする中に幾つかのモデルケースをそのプロセスの中で示す、それぐらいは最後に答えてください。お願いします。
○仁木副大臣 そういった趣旨は十分受け止めて検討させていただきたいと思います。
○柚木委員 もう終わりますけれども、三原大臣、今回の石破総理の十万円の商品券は、私は、今じゃないでしょう。今じゃないでしょうと党内からもそういう声が出ていますよね。このタイミングでやりますか。あれだけ厳しく政治と金の問題を自らも言っておきながら、しかも、これまでもやっていたと言われています。
これまでやっていたのが百歩譲ってありだとしても、いまだに十万円の商品券の給付をやっていることに対して、昭和か、平成も越えてもう令和ですよ、恥を知りなさい、そういうことだと私も思いますと最後に国民の皆さんに対して一言明言ください。
○谷委員長 時間が過ぎておりますので、三原大臣、簡潔にお願いします。
○三原国務大臣 お答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、国民の皆様に丁寧に御説明をする必要があるのだろうと考えております。
○柚木委員 終わります。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、黒田征樹君。
○黒田委員 日本維新の会、黒田征樹でございます。
私は、二〇一一年、大阪の堺市議会議員選挙に初当選させていただいて、それから十三年五か月にわたって、堺の成長、そして住民サービスの向上、そして何よりも、市民の皆様が納税に納得できる、そういった政治、行政を目指して力を尽くしてまいりました。
そして、二〇二三年の八月に衆議院選挙に出ると決まってから活動をシフトさせていったわけでありますけれども、そのさなかに、政治とお金の問題というものが取り沙汰されるようになりました。
それまで、自分が堺で積み上げてきた実績、そういったものを中心に訴えをさせていただきましたけれども、これは全国的に、ほかの野党も含めて、政治とお金の問題をしっかり決着をつけようということで選挙戦も訴えたと思います。
私自身も、政治とお金の問題に決着をつけて、そして政治の信頼を取り戻します、その上で、この日本の成長につなげる、そして次の世代に誇れる、そんな日本をつくり上げていきます、そういう訴えをさせていただきました。
その選挙戦のさなかに、さらに、これは自民党によりますいわゆる裏金によって公認しなかった、そういう議員候補者に対して二千万円配付する、そういった出来事もありました。まさに、政治とお金の問題、これはしっかりと決着をつけないと、国民の信頼を取り戻せない、そういう怒りが頂点に達した瞬間だったんじゃないかなというふうに考えております。
それから、この衆議院に当選させていただいて、今の国会を拝見していますと、大きく三つ、旧文書通信交通滞在費を公開していきましょう。もう一つは、政策活動費を廃止しましょう。最後は、今残っております企業・団体献金の禁止をしっかりと進めましょうということかなというふうに思いますけれども、この政治とお金の問題、僕は大きく三つあるのかなと思っておりまして、一つは納税に対する国民のその思い、そして一つは、前から言われております、そういう政治とお金によって政策がゆがめられるんじゃないかなということ、そしてもう一つは、やはり今のこの日本の財政状況、そして課題が山積するという中において改革を前に進めないといけない、そんなときに、人に何か言う前にまずはルールを作る側である政治家が身を正していきましょう、大きくこの三点があるというふうに考えております。
そんな中で、最後に残っております企業・団体献金の廃止、まさに自民党さんが今抵抗している真っ最中ではありますけれども、今のこの状況を鑑みて、是非、党内からも突き上げをしていただいて、企業・団体献金の禁止にみんなで一緒に踏み込んでいただきたいというふうに思いますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、地方創生と地方分権について質疑を進めたいと思います。
今、大阪・関西万博がいよいよ四月の十三日に開幕ということで、一か月を切りました。開幕直前ということで、テレビでも報道がされる、若しくは特集が組まれる、そういった機会も増えてまいりました。
昨日の日経新聞によりますと、見出しで「大阪万博まで一カ月 ホテル予約二倍、外資系開業は最多に」といった見出しで、その中では、新規ホテルの開業が相次ぎ、会期中、いわゆる四月十三日から十月の十三日の大阪府内の宿泊予約数が既に前年同期比の二倍に達した、そういう民間サイトも出てきたということであります。また、空港、鉄道各社は、輸送力の向上に向けて、施設増強、そしてダイヤの改正を実施する。今、そのチケットの売上げですね、伸び悩んではいますけれども、町の方では徐々に準備が整いつつあります。
また、あした、関西空港におきまして、第一ターミナルをリノベーションしてグランドオープンというものがあります。大阪では着々と準備は進んでおりますし、大阪府内の自治体も、万博を契機に、その効果を最大限に波及させるために様々な企画も進めております。
自分の地元堺市でも、市民の機運醸成、こういった取組だけじゃなくて、商工会などにも所属していない、いわゆる中小零細企業を含めた、そういった市内業者全体に向けた機運醸成、そしてまた、どういったことができるのか、そういった連携策も含めて議論してきたところであります。
このように、大阪では徐々に盛り上がりを見せてきておりますけれども、これは大阪だけじゃなくて、先日ちょっと資料を見つけたんですけれども、瀬戸内海を挟んだお隣徳島県では、万博のブースで、フェリーとか鉄道、バスで使える、五百円の、ワンコイン、そういったチケットを販売するというようなことで、要は、万博に来てくださった方々を徳島県に呼び込もうという取組の一環であります。
各地で様々な万博を契機にした、自分のところに呼び込もう、そういう動きが加速してきております。これはどの地域でも、万博を契機に、大きなチャンスだというふうに考えるのは当然であると思いますけれども、地方創生を担当する大臣の所信におきまして万博のバの字も出てこないというところが、僕は非常に残念に思っております。
先日開催されました大阪・関西万博地方創生シンポジウムというものがあります。大臣、どこが主催されているか御存じでしょうか。分からないですよね。これは内閣官房の方でされております。その中の内容として、一番初めに大阪・関西万博の見どころ、次いで、万博により加速する地方創生というふうにあります。あとは、ポスターセッションとか、万博を契機とした新たな取組等々あるわけですけれども、メインはこの会の名称である大阪・関西万博、地方創生だということでありますから、そういったところを積極的に所信に入れて、取り組んで、姿勢を示していただきたかったなというふうに思います。
これは来年度ですね、もう間もなく始まりますけれども、五十五年ぶりのビッグイベントでありますから、そういったところをしっかりと、例えば、これは、万博を契機に地方創生を加速させますというぐらいの一文は入れていただきたかったなというふうに考えますけれども、その点、ちょっと大臣の認識をお聞かせいただきたいと思います。
○伊東国務大臣 黒田先生には、御地元で大変に万博に後押し、応援をいただいておりますこと、心から感謝申し上げます。また、貴重な御提言を含めて御意見いただいたところでありまして、大変私もありがたく、うれしく思う次第であります。
実は私、今日ここに万博担当大臣という立場では呼ばれていない、答えることができないことでありまして、一昨日も私は万博会場へ行ってまいりまして、つぶさに見学もしておりますし、気がついた点を進言もしてきたところでありますけれども、この地こデジにおきましては、万博の担当ではないというか、お答えする形にはなかなかなりませんので、御理解をいただきたいというふうに思います。
○黒田委員 いや、大臣、そういうことを言っているんじゃなくて、地方創生をしていくに当たって万博が契機になります、これは日本中のどの自治体もそういうふうに考えて取り組んでおられるわけですね。
ですから、万博がどうのこうのという話じゃなくて、地方創生をするためのチャンスとして、契機として万博というものを捉えておられるならば、そういうのを所信にしっかりと示していただいて、要は、万博を契機に、最大に効果を、地方創生に向けて頑張っていきますみたいな、そういうことでよかったと思うんですけれども、これは毎年の巻き直しのような、そういう大臣所信やったのが残念だなというお話をさせていただいているわけでありますので、その辺、御理解いただきたいというふうに思います。
それでは、まさにこの万博の効果を最大限に広げていくための目標、そしてまたどのような支援というものを考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
国内外から二千八百二十万人の来場を想定しております大阪・関西万博は、これまでに例のない規模の人流を生み出す、まさしく、地域の魅力とかビジョンを世界に発信する、地方創生を加速させる絶好の機会と我々は考えてございます。
そのため、政府としましては、万博チケットを組み合わせた旅行商品の企画の促進支援、あとは旅行商品を紹介する万博観光ポータルサイトなどを通じた観光PR支援、あと、新しい地方経済・生活環境創生交付金などを活用して、地方自治体による観光促進の取組支援、あとは万博交流プログラム、こちらの方は全国自治体と海外の交流でございますが、それの交流支援などを通じて様々な取組を進めているところでございます。
先生おっしゃるとおりに、国内外から多くの方に来場していただき、また各地もいろいろ訪ねていただいて、万博と地方創生のシナジー効果を最大限発揮していきたいと考えてございます。
○黒田委員 大臣、そういうことなんです。結局、様々な取組をせっかく進めていただくわけなので、大臣所信といったらやはり僕は重たいものやというふうに思うんですね。だから、そういうところに、毎年のような巻き直しじゃなくて、契機が、万博というチャンスがあるこの年のこの所信に関しては、一文やはり入れておくというのが僕はよかったんじゃないかなというお話をさせていただいているわけであります。
だから、とにかく、今言っていただいた取組を含めて、各地域それぞれの将来像に合わせていろいろな工夫をしているわけでありまして、そういう取組が一過性にならないように、これはどこの自治体でもそういう議論はされていると思いますけれども、万博が終われば何か終息をしていくといったようなことであっては、効果としては残念だなというふうに思いますので、そういうふうにならないように、国もいま一度ギアを上げていただいて、各自治体を全力でサポートしていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。
次に、伊東大臣の所信にもありました、東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散、この一環かと思いますけれども、地方創生テレワーク推進事業について、これまでの取組成果、そしてどんな課題があるのか、そして目標とPDCAのサイクルをどのように回しているのかとか、そういったところについて見解をお伺いしたいと思います。
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症拡大を契機としたテレワークの導入拡大を踏まえ、転職なき移住など、地方への人の流れの創出のため、デジタル技術を活用して、地方創生に資するテレワーク、いわゆる地方創生テレワークの普及啓発を目的として、自治体や企業等に対し、ポータルサイトやセミナーによる情報提供や相談対応、さらに優良事例の表彰等を行ってまいりました。
取組成果としては、例えば令和三年七月から令和六年三月の間で、自治体からの相談は百七十六件、企業からの相談百九十四件、自治体と企業のマッチング面談二十六件に対応し、支援を行っております。
他方で、新型コロナウイルス感染症の影響が薄れ、出社に回帰する企業が増えておるということで、企業が地方でのテレワークに十分なメリットを感じられていないのではないかというようなことを課題として今捉えているところでございます。
そこで、企業が事業成長の面でも意義を感じられるよう、昨年秋に、官民共創での地域課題解決に関心の高い地方の自治体と東京圏等の企業とのマッチングコミュニティーを設立し、地域におけるテレワークを活用した事業創出を推進しているところでございます。マッチングを契機に、地域においてテレワークを活用する関係人口を創出することや、地域での取組をきっかけに移住する働き手を増やすということを目標としております。また、実際にテレワークを活用して社員が転職なき移住を行った事例を表彰し、発信するなど、更なる事例創出に向けた普及啓発を行ったところでございます。
今後とも、地方への人の流れの創出に向けて、地方創生、テレワークの普及啓発、機運醸成に取り組んでまいりたいと考えております。
○黒田委員 今、取組の成果、そして課題は何かというお答えはいただきましたけれども、僕、続いて、どのような目標を立ててPDCAを回しているんですかということをお聞きしたんですけれども、今、目標と言っていただいたのは、移住する働き手を増やすことという、何かざっくりしたような話でしたけれども、具体的な数値目標とか、それに対してのPDCA、それがどうなっていますかということをお聞きしているんですね。どちらも今お答えいただいていないというふうに思うんです。
再度お聞きしますけれども、どのような目標を立ててPDCAを回しているのかというところをお聞かせいただきたいと思います。
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
本事業につきましては、結構いろいろな事業を複合してやっているところがございまして、大きな目標としましては、やはり転職なき移住というのを通じまして、また地方への人の流れを創出していくということが大きな目標だと捉えております。
以上です。(黒田委員「PDCAは。それをどうやってチェックしていくんですか」と呼ぶ)
毎年のレビュー資料等も出させていただいておりますけれども、それぞれの年度に応じてきちっと取組を行っているかどうかということで検証しているところでございます。
○黒田委員 三年間で九億円、この九億円という数字、ふだん大きな数字を触っている皆さんからしたらどういうふうに聞こえるのか分かりませんけれども、少なくとも、地方議会出身の自分としては、非常に大きい数字であります。税金ですから。
今、取組成果として、令和三年七月から令和六年三月の間で、自治体からの相談が百七十六件、企業からの相談が百九十四件、自治体、企業のマッチング面談が二十六件に対して、相談を行ったと言っておられました。実際にどうなったかという成果じゃなくて、相談とか面談の支援、こういったものを成果とは言えないというふうに思っております。
しかも、自治体からの相談が百七十六件。日本全国で、市町村、都道府県、合わせて千八百ぐらいあるわけです。その中の相談が百七十六件。企業なんて一体何万件あるんですか、そういう数字の中で、相談が百九十四件。これはちょっと事業としてどうなのかなというふうに感じますけれども、今僕が御説明した中で、この点、その認識について、大臣でもどなたかでも、お答えいただきたいというふうに思いますけれども、よろしくお願いします。
○大森政府参考人 お答え申し上げます。
今委員御指摘ございましたけれども、確かに、相談件数とかマッチングの面談の件数の数字からすると、少ないというふうにお感じになるかもしれませんけれども、例えば、ウェブ相談の成功事例、例えば、酒田市とPLCパートナーズという企業さんなんかは、この事業を契機にマッチングできちっとそういう成果を出している、こういった事例が結構ありまして、これ以外にも複合の事業をやってございますので、一例としてこの相談とマッチングのものを申し上げましたけれども、それ以外にも成果というのはあるものというふうに認識しております。
○黒田委員 はっきり見える成果があるものがあれば、それは初めから答えていただけたら僕も分かりやすかったのかなというふうに思います。
聞いていると、この目標達成に向けた取組としては、打っている施策というか、それが的外れとまでは言いませんけれども、転職なき移住、それを目標とする中の取組としてはちょっと間接的過ぎるんじゃないかなというふうに思っておりまして、結局、人の行動の変容ですし、あとは企業の理解、そしてまた意欲、そういったものも必要ですので、単純に何かをすれば効果が出るというものではないかもしれませんけれども、予算を使ってやっているわけでありますから、その辺のしっかりとした効果検証と、そしてそれをしっかりとチェックする、いわゆるPDCAをしっかりと回していくというところはお願いしたいというふうに考えております。
済みません、ちょっと順番を前後させていただきます。東京一極集中と地方創生についてであります。
長年、東京一極集中、地方創生というものが言われてきましたけれども、この地方創生、二〇一四年九月に発足した第二次安倍晋三内閣の目玉政策の一つでありました。同じ年の十二月には、二〇六〇年に一億人程度の人口を確保する、東京一極集中を是正し地方の人口減少に歯止めをかけるという長期ビジョンを策定いたしましたけれども、地方創生一・〇、この取組の成果と課題についてお聞かせいただきたいと思います。
○伊東国務大臣 これまで十年の地方創生の成果、課題は何だったかということでありますけれども、十年前に地方創生の取組が始まって以降、地方創生版の三本の矢であります財政支援、これは交付金などでありますけれども、人材支援、これは人材派遣などであります、また情報支援、RESASなどを活用し、各地で地域の活性化につながる様々な好事例が生み出されてまいりました。
例えば、地方創生の交付金を用いて、ドローンを活用した買物支援サービスや、あるいは移動診療車を活用したオンライン診療、また自動運転バスを活用した地域交通など、好事例が生まれてきたことも事実でございます。
また、企業の地方移転等を促す施策として、地方拠点強化税制などの取組を行ってきたところであり、地域再生法に基づく計画の認定数は約七百五十件、計画における雇用創出数は約三万二千人となっているところであります。
他方、人口減少や東京への一極集中の流れを変えるまでには至っていないと受け止めているところでありまして、地方創生一・〇の課題につきましては、現在私の下で開催しております有識者会議で御議論いただいており、例えば、地方からの女性、若者の流出の原因として、男女間、地域間の賃金格差、アンコンシャスバイアス、無意識の思い込みなどについて御指摘いただいているところでもあります。
地方において地域の多様な関係者の知恵が十分に引き出されてきたか、国においてこれを十分に後押ししてこれたかについては改善の余地が多分にある、このように考えているところであります。
○黒田委員 これは、以前行われました予算委員会の省庁別審査でも御議論させていただきましたけれども、そういった様々な課題がある。要は、東京一極集中にまだ歯止めがかかっていないという状況の中で、これまでの十年間で、毎年一千億円を投じて、補正予算も合わせると一・四兆円つぎ込んでいるわけです。今後は、予算を倍増させる、十年で二兆円、補正予算を入れるともっとつぎ込んでいくということになるわけですから、これはしっかりと、取るべき対策というのはどういうところなのかというところを見定めていただきたい。
これからまたその話はさせていただきますけれども、そもそもの一極集中の解消、地方創生の考え方、これはやはり、我々が言っているところと少しずれているんじゃないかなというふうに思っておりまして、東京一極集中を是正するという意味において、何も、東京という強い都市の存在、これを弱める必要はなくて、むしろ、今の東京の強さがあるから国際競争にも闘っていけるというような状況にあると思いますので、要は、東京に流入する人、人口、企業を抑制する、若しくは剥ぎ取っていく、そういった発想じゃなくて、東京に並ぶ大都市を日本各地につくっていく必要があるんじゃないですかということを私は前々から言わせていただいているわけでありまして、今の地方創生のやり方、進め方というのは、東京一極集中から、千七百四十一ある自治体に満遍なくお金を配って、千七百四十一極化を目指していっているわけです。それではやはり的外れだと言わざるを得ないというふうに思います。
まずは、東京に並ぶ大都市を日本のどこかにしっかりと拠点としてつくっていく、その拠点がうまくいけば、それを日本全国、大都市を中心に広げていく、それがひいては道州制の議論にもつながっていこうかというふうにも考えておりますけれども、要は、東京に匹敵する町をつくっていこうという中で、小さな地方都市、その千七百四十一をやったらいいんですよ、やったらいいんですけれども、それと合わせて拠点をしっかりとつくっていく、そういう認識が必要だということを僕は前から言わせていただいているんですけれども、大臣の認識についてお聞かせいただきたいと思います。
○伊東国務大臣 お答えいたします。
黒田先生お話しの、東京並みの大都市を、拠点都市をたくさん日本全国に展開する。地方分権、そしてまた今回の取組の中でも、石破総理が十年前に初代の地方創生担当大臣になっていただいて以来、相当地方には力を入れてこられたところでもあります。
ただ、残念ながら、うまくいった例もたくさんありますけれども、うまくなかなかいかなかった例もたくさんありまして、日本全国各地で、いい取組、好事例と言われる、活性化に向かういい取組もたくさんあった。それを見習って、あるいはそれに倣って増やしていく、その好事例を増やしていく、ここに力をこの十年間入れてきたところでありまして、うまくいったところも、うまくいかなかったところも現実にあったということであります。
しかし、こういう取組が全国各地でなされたということは、私は、地域社会にとりましてはよかったのではないか、日本全体として考えれば、そういう取組がなされてきたというのは、その地域においてよかったのではないかなという思いをしているところであります。
○黒田委員 ですから、僕は全然否定しているわけじゃなくて、それはそれでやったらいい、それはいいと思うんです。ただ、好事例とおっしゃいますけれども、これを横展開といったときに、なかなかやはり難しい場面に直面していると思うんです。
それはなぜかというと、やはり、好事例が生まれるところというのは、その地域に合った事業であったり人であったり、そういう方とその地域性と合致するから初めて成功に至るわけでありまして、それをどこかの地域に持ってきたというところでうまくいかないというのはあり得ることだというふうに思いますので、その辺は御認識していただきたいと思います。
あと、最後になりますけれども、地方分権の在り方、地方創生、地方分権というのがありますけれども、これは、今まで、地方分権について、地方分権推進法が成立してから地方分権推進委員会というものが発足されて、過去二回開催されております。一回目が平成七年、二回目が平成十九年ということで、既に二回目から十八年経過しているわけでありますけれども、今のこの枠組みの中で地方分権を話し合うんじゃなくて、今こそ新たな枠組み、いわゆる三回目のそういう会議体をつくって、今の課題、社会背景も変わってきましたし、コロナも乗り越えました、そういう状況において次の枠組み、ステージに移るべきだと考えますけれども、最後に、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○伊東国務大臣 委員おっしゃられるとおり、これまでも数次にわたり地方分権を進めてきたところであります。第三次分権改革推進委員会を設置して検討すべきではないかという御提言でありますけれども、東京一極集中の是正という観点からも、地方分権改革の推進は重要であると考えております。このため、人口減少やデジタル化の進展などの社会経済情勢の変化を踏まえ、地方分権改革の進め方や、あるいは国と地方の役割の分担、効率的、効果的な事務の在り方について、私の下でも開催していただいております地方分権改革有識者会議の御意見も伺いながら議論を進めてまいりたいと考えております。
また、一方で、国、都道府県、市町村の枠組みそのものに関する議論につきましては、国と地方の在り方を大きく変更するものであり、自治体行政を担っていただいている地方の皆様も様々な御意見が今あろうかと思われます。このため、地方の声を十分にお聞きし、国会における議論も踏まえつつ対応する必要があるというふうに認識をいたしております。
御提言、ありがとうございます。
○黒田委員 ありがとうございます。
平大臣、そして三原大臣、済みませんでした、時間が足りずで。また、引き続きよろしくお願いします。
御清聴ありがとうございました。
○谷委員長 次に、大森江里子さん。
○大森委員 公明党の大森江里子でございます。
質問の時間を頂戴し、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
初めに、子供への性暴力の防止についてお伺いいたします。
性暴力や性犯罪は、魂の殺人であり、人間の尊厳を踏みにじり、生涯にわたり心身に深刻な傷を負わせる極めて悪質な行為であり、断じて許されるものではありません。
新聞などによると、二〇二三年度に児童生徒や同僚への性暴力やセクハラで処分された公立学校の教員は、前年度から七十九人増えて三百二十人と過去最高であり、そのうち、児童生徒ら子供への性暴力による処分は、前年度から三十八人増えて百五十七人だったとあります。そして、最近でも教員による生徒への性暴力などの事件報道は後を絶たず、震えるほどの強い憤りを感じております。
こうしたことから、教育、保育等の現場で子供と接する職に就く人の性犯罪歴の有無を確認する日本版DBSの創設や、これらの現場における相談体制の確保、性暴力に関する研修の実施などを内容とした子供性暴力防止法が昨年六月に成立しました。
被害者の御家族の涙ながらの相談を受けた我が党の浮島智子衆議院議員が先頭に立ち、全ての子供たちを性暴力から守り抜くとの原点に立ち、二度と犯罪を起こさせないという強い思いで、公明党は日本版DBSの制度設計をリードし、創設に取り組んでまいりました。
現在、こども家庭庁において、来年十二月の施行期限に向けた準備が進められていると承知しております。まずは円滑に制度をスタートさせることが重要だと思いますが、施行までに必要な準備や検討状況、今後の進め方について、こども家庭庁にお伺いいたします。
日本版DBSでは、学校や保育所などに、全ての就労希望者の性犯罪歴の照会を義務づけております。そして、学習塾や放課後児童クラブなどの民間教育保育等事業者で、一定の条件を満たせば制度を利用できる認定制度も設けられました。認定を受けた事業者に限り、性犯罪歴の確認を義務づけています。
犯罪歴が確認された場合、就業希望者は採用せず、現職の教員らは配置転換するといった対応を求められます。犯罪歴がない職員でも、児童との面談や面接で性暴力を行うおそれがあると認められる場合は、子供と接する業務から外すといった措置が求められます。
政府は、施行までに制度運用のガイドラインを策定し、講じる措置の具体的内容などを示すことになっています。
そこで、具体的な運用方法についてのガイドラインの作成を急ぐ必要があると思いますが、現状をお聞かせください。よろしくお願いいたします。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
委員から御紹介いただきましたこの子供性暴力防止法でございますけれども、今後、制度対象となる事業、職種の範囲の詳細ですとか、事業者認定の基準や手続、事業者において日頃から講じる子供への面談、相談、あるいは事案発生時の対応、従事者への研修など、いわゆる安全確保措置の具体的な内容ですとか、犯罪事実確認の具体的な手続フロー、事業者における犯歴情報の適正な管理方法、こういった多岐にわたる検討を行いまして、これらを下位法令やガイドラインなどに定めるとともに、必要なシステムの構築や執行体制の確保などを行い、一定の周知、準備期間を経た上で施行することが必要でございます。
令和六年度においては、こども家庭庁におきまして、教育、保育の場における性暴力防止の取組や犯歴情報の適正な管理方法、犯罪の事実確認を行うシステムとして必要な機能、こういったことに関する調査研究を先行して実施してきておりまして、これと並行しまして、局長クラスの関係府省庁連絡会議の枠組みを活用しながら、政府部内で各論点の具体化に向けた具体的な検討を進めているところでございます。
これらの結果も踏まえつつ、令和七年度には有識者検討会を開催しまして、関係者の御意見も伺いながら、対象事業者の準備期間にも十分に配慮した上で、更なる検討、施行の準備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
○大森委員 是非とも、現場の声を丁寧によく聞いて、早急に策定を進めていただきますようお願い申し上げます。
小規模な民間事業者は、資金的な面から研修等の対応ができず、認定を受けたくても受けられないケースも考えられます。教員免許や保育資格が失効した者が、認定を受けていない民間事業者の下で再び子供たちの前に現れてくるような事態を防止するためにも、小規模事業者でも認定を受けやすくするために、政府でのサポートや制度の周知なども重要と考えておりますが、検討状況をお聞かせください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、教育、保育等の現場における子供への性暴力を防止していくためには、小規模な事業者も含めて、可能な限り多くの事業者の方々に認定を受けていただくことが重要と考えております。
既に、児童福祉関係団体や学習塾などの民間教育業界からは、制度への参加を強く希望する声が表明されております。こうした関係団体とも連携しながら、多くの対象事業者に認定制度に参画いただけるように、意見交換を行いながら、引き続き働きかけを行ってまいります。
また、認定を受けた後には、認定を受けた事業者の方々には、子供との面談、相談体制の確保、事案発生時の調査、保護、従事者への研修といった安全確保措置の義務が課されることになります。
こうした認定に伴う負担が過度なものとならないように、認定審査方法や義務の内容を分かりやすくガイドラインやマニュアルで示していく、研修素材を国の方で作成し用意する、こういったことを予定しておりまして、事業者の負担感を軽減しながら、多くの事業者の方々に認定制度に参加しやすくなる、そういった工夫に努めてまいりたいと考えております。
○大森委員 より多くの事業者が認定を受けられるように、更なる御検討をお願いいたします。
次に、システム構築についてお伺いいたします。
就労希望者がいれば、事業者は、まず、こども家庭庁に性犯罪歴の確認を申請し、こども家庭庁は、法務省に性犯罪歴を照会し、回答を受けます。性犯罪歴という高度な個人情報を取り扱いますので、システム構築の際のセキュリティー対策を万全にすることも重要だと思っております。
政府内のセキュリティー対策の考え方をお聞かせください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、個人の性犯罪歴は非常に機微性の高いプライバシー情報でございますので、現在、こども家庭庁で開発を予定しております犯歴情報を取り扱うシステムのセキュリティー対策は非常に重要と認識をしてございます。
このため、本システムを通じまして、犯歴情報をやり取りする法務省と、セキュリティー対策を含め、システムの要件について緊密な協議を進めてきているところでございます。
その協議内容を含めて、セキュリティー対策の具体的な内容については、事柄の性質上、現時点でお答えを差し控えたいと思いますけれども、外部からの不正アクセスやサービス妨害を目的とした攻撃への対策、こういった観点から、高いレベルのセキュリティーを確保できるように、法務省、デジタル庁など関係省庁と引き続き緊密な協議を継続をしまして、必要な対策が実装できるよう、施行に向けて検討を進めてまいります。
○大森委員 取り扱う情報が極めて重要な個人情報ですので、セキュリティー対策を万全にするためにしっかり詰めていただきますようお願いいたします。
施行後は、現職者の性犯罪歴の確認も必要になってまいります。学校設置者等の現職者は施行から三年以内、民間教育保育等事業者の従業者は認定から一年以内での確認が必要になりますが、予定される確認対象者は相当な人数だと思います。
予定される確認対象者の人数、認定申請の対応や確認作業の対応の体制など、御検討中の方針についてお聞かせください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
犯罪事実確認の対象者数でございますけれども、昨年九月に開催をいたしました関係府省庁連絡会議におきまして、教育、保育等の事業に関係する省庁に対しまして、対象となり得る事業者、従事者の数を登録いただくように依頼をし、各省庁から既に回答を得たところでございます。現在、その数の精査を行っているところでございますが、学校設置者等、従事者数につきましては、これまで法案審議等の場でお答えをしていた、少なくとも二百三十万人という数字、これを超えるような見込みでございます。いずれにしましても、民間教育保育等事業者の従事者数も含めて、確認対象の人数規模については引き続き精査をしてまいります。
体制の確保についてお答え申し上げます。
本法の施行に向けては、執行体制の確保も非常に重要な課題と思っております。まず、公権力の行使に該当するような認定の判断や特定性犯罪事実該当者への対応、事業者への立入検査、監査、こういった事務についてはこども家庭庁で実施していく予定ですが、他方、認定審査や犯罪事実確認申請の事務的なチェック、一般的な問合せ対応、こういった業務については、マニュアルに基づく業務委託を考えてございます。その上で、現在、委託する業務の具体的な範囲や委託先において必要となる人数規模、委託先に求められる要件、こういったことを検討しているところでございまして、この検討結果も踏まえて、引き続き、法の円滑な施行が確保できる執行体制の確保に努めていきたいと考えております。
○大森委員 子供たちのことを考えますと、膨大な人数ですが、施行後一日でも早く確認を済ませることが必要であると思いますので、どうか体制を早く整えていただきますようお願いいたします。
子供への性犯罪は再犯率が高く、性加害者対策の強化が必要であると思います。附帯決議には、性嗜好障害の治療等のデータの蓄積など、科学的根拠の構築に必要な調査研究を進めることや、認知行動療法に基づく治療的支援の強化、そして加害者更生プログラムの充実を図ることも含まれています。現段階までの取組や進捗状況をお聞かせください。
○吉田政府参考人 まず、厚労省の関係についてお答えを申し上げます。
性嗜好障害やその治療法につきましては、実態が十分に明らかとなっていないことから、昨年度、厚生労働省におきまして、性嗜好障害に対する治療などの情報収集を行うための調査研究を実施したところでございます。この研究では、国内外の性嗜好障害の有識者からの意見聴取や論文検索を行い、医療従事者や支援者が行っている効果的な対応方法などについて確認をいたしました。さらに、性行動異常のある者の特性の分析や、それらの対応法の適用可能性の模索をするため、本年度、令和六年度におきましては、認知行動療法などを含め、性嗜好障害への治療に有効的な介入方法等について研究を行っているところでございます。
附帯決議を踏まえました性嗜好障害の治療等への対応につきましては、当該調査研究の進捗状況も踏まえながら、引き続き、こども家庭庁等の関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
○大竹政府参考人 法務省からは、加害者更生プログラムについてお答え申し上げます。
法務省における性加害者に対する更生の取組につきましては、性犯罪に及んだ者のうち、実刑判決を受けて刑事施設に収容された者や、保護観察付執行猶予となり社会内で処遇を受ける者等に対しまして、刑事施設や保護観察所において、認知行動療法に基づく性犯罪者処遇プログラムを実施しているところでございます。
このプログラムにつきましては、令和二年三月に法務省において効果検証を行った結果、統計的に一定の再犯抑止効果があることが認められたものの、より一層その抑止効果が高まるよう、処遇プログラムの内容等を一部改定いたしまして、その改定内容に基づき、令和四年度から引き続き実施しているところでございます。
法務省といたしましては、今後も同プログラムの充実を図ってまいりたいと考えております。
○大森委員 済みません、質疑の時間が迫ってまいりましたので、大臣の御決意を最後にお伺いしたかったのですが、申し訳ございません。
最後に、公明党は、信頼する大人から子供が性暴力を受けるなどということは絶対に許せない、全ての子供たちの尊厳を守り抜くとの強い思いで法律の成立に取り組んでまいりました。どうか、施行に向けた準備を着実に進めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
本日はありがとうございました。
○谷委員長 次に、本村伸子さん。
○本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。
まず最初に、虐待が疑われる子供の保護判定AIの導入見送りについて質問させていただきたいと思います。
二〇二三年から、みえ施設内暴力と性暴力をなくす会の皆さんと、この児童虐待の一時保護判定に関するAIの活用に関し、こども家庭庁から聞き取りを行ってまいりました。きっかけは、AIを利用していた三重県で、実の母親から命を奪われた四歳の子供さんの事件があったからです。
当時、AIでは保護率三九%と出ていたと報道がありました。その後、この事件の際はAIはほとんど使われていなかった、活用されていなかったというふうに、二〇二四年三月の三重県の検証委員会の報告書にはあります。しかし、保護率三九%と出ていた、それでお亡くなりに、命を奪われてしまったということがありまして、やはりAIに頼ることのリスクについても痛感してまいりました。
実際、児童虐待に関するAIの開発者の方が、報道番組の中でこうおっしゃっておりました。AIが一〇〇%正しいというわけではなく、間違った答えが返ってくることもある、AIの結果が逆に子供を危険にさらす可能性もあると、開発者の方がおっしゃっておりました。この開発に関わる方の言葉は、重く受け止めなければならないというふうに思っております。
今回、こども家庭庁が開発してきました、虐待が疑われる子供の保護判定AIの導入に関し、見送り、こども家庭庁は延期というふうに言っていますけれども、見送り、延期の原因と、これまで使った公費についてお示しいただきたいと思います。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
今般のAIツールは、令和三年度より国において開発に着手し、令和五年度にプロトタイプが完成し、今年度、協力自治体における試行、検証を行ってきました。
AIツールは、約百項目の情報を入力し、一時保護の必要性を判断するものですが、試行、検証では、項目はあるものの、あざの範囲やけがの部位など、程度や範囲が適切に反映できない等、既存の項目だけでは保護判断に影響する情報を正しく反映できないという課題が見えてまいりました。
その上で、AI領域の学識経験者や児童相談所職員等から成る検討会で、検証結果の分析や本ツールの活用是非を議論いたしました。検討会では、既存の項目に該当するか否かだけではリスクを算出する情報として十分ではないが、これ以上の項目追加は緊急を要する一時保護判断の場面では現実的ではない、子供の命に直結するとともに、全国に提供するツールであるため、ツール単独での判定精度が非常に重要になるが、現在の判定精度は十分ではなく、AI技術の更なる進展を踏まえた更なる改良が必要で、現時点での導入は慎重に判断すべき等の検証結果を得て、今般のAIツールは、現時点ではリリースしないことといたしました。
これらの開発に当たり、令和三年度から五年度の三年間で約八・二億円の予算を執行してきたところでございます。
○本村委員 資料一に契約金額などを出させていただいておりますけれども、八億二千四百四十五万円ということです。野村総研とNTTデータが受注しております。
報道では、予算額を足し合わせると十億円程度になるというふうに思いますけれども、そうしたものが試行段階で約六割の判定に疑義があった、そういう結果となったと。リスクが低く出てしまうと。これでは子供たちの命を守ることができないということでリリースを今回は見送り、延期したということだというふうに思いますけれども、二〇二一年からやってきた事業だというふうに思いますが、この入札の過程というのはそもそも公正だったというふうに大臣はお考えになっておられますでしょうか。
○三原国務大臣 今回の、児童相談所におけるAIを活用した緊急性の判断に資する全国統一のツールの開発における令和三年度の仕様書等作成支援業務、令和四年度と令和五年度の設計、開発業務及び工程管理業務は、全て、会計法に基づく一般競争入札、総合評価方式によって調達しております。
具体的には、ホームページ等により五十日以上公募を行った上で、入札を申し込んできた企業等の提案内容について第三者評価委員会に評価いただくとともに、入札価格についても点数化し、これらの評価に基づき調達先を決定しております。
こうしたプロセスを経て、公平な競争に基づいて適正に入札が行われたものと考えております。
○本村委員 資料の二から四を見ていただきますと、今回の入札に関する開札調書というものをつけさせていただきました。入札が一社しかないというのが、五つのうち四つあります。そして、一つ、複数の会社が入札しているんですけれども、落札をした以外の会社は黒塗りになっております。
私、ほかの省庁にもいろいろこの入札調書ですとかいただくことがあるんですけれども、国交省ですとか、先日は最高裁のデジタルに関する入札調書をいただきましたけれども、そこでは予定価格もちゃんと公表されております、情報開示をされております。そして、入札に参加した全ての企業の情報も、名前も、きちんと情報開示がされております。もっとほかの省庁は情報開示があるわけです。こども家庭庁は、このように黒塗りの部分がかなり多いというふうな印象がございます。
情報開示というのはやはり国民主権の土台ですから、情報はしっかりと開示するべきだ、黒塗りを外して出していただきたいというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○三原国務大臣 開札調書に係る資料につきましては、こども家庭庁として、行政機関の保有する情報の公開に関する法律の考え方にのっとり、企業の競争上の地位等に関する事項等についての公表を控える必要があるため、三月十一日に、一部黒塗りをして事務方から議員に提出したものと承知をしております。
予定価格や低入札価格につきましては、同種の他の契約の予定価格等を類推されるおそれがあること、落札事業者以外の入札事業者名につきましては、企業の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、開示できないと考えてございます。
○本村委員 例えば、最高裁のシステムに関するそうした入札調書を見てみますと、同じようにNTTデータですとか野村総研なども入札しておりますが、予定価格、そして、どのように入札価格を出したかというところもしっかりと開示されております。情報開示はしっかりとやっていただきたいということを重ねてお願いを申し上げたいと思います。
委員長、是非、黒塗りを外して資料を出していただくということを委員会として求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○谷委員長 後日、理事会で協議させていただきます。
○本村委員 よろしくお願いいたします。
資料二、三の、こども家庭庁の、児童相談所におけるAIを活用した緊急性の判断に資する全国統一のツール開発に係る仕様書等作成支援業務一式という業務は、野村総研が受注をしております。こうした仕様書などの検討に当たっては、識者の方によれば、開発前に実現可能性を吟味し、綿密に制度設計をしなければうまくいかないという指摘があります。
今回の仕様書等の話なんですけれども、開発前の実現可能性の吟味、そして綿密な制度設計、仕様書など、適切だったのかという疑義もございます。大臣は適切だったとお考えでしょうか。
○三原国務大臣 委員御指摘のとおり、AIツールの開発に当たりましては、開発の構想段階から先行事例や関連する研究等を収集、検討した上で、必要となる機能等を定めて実現可能性を踏まえた開発プロセスを計画しておくこと、これは大変重要だと考えております。
このため、今般のAIツールの開発に先立ち、AI領域や児童福祉分野の有識者や児童相談所職員の参画を得て、一時保護の必要性を判断するための要素であるアセスメント項目や全国の実態調査を基にした幅広く活用が見込めるツールに求められる機能に関して、システム設計を行う上で必要な調査研究等を進めてまいりました。
これらの調査研究結果を基に、仕様、設計においても、各自治体間の運用実態の違い等も踏まえつつ、都道府県等の業務フローやアセスメント項目に対応できるツールとして、実際の活用場面を想定しながら進めてまいりました。
こども家庭庁といたしましては、今回のAIツール開発における制度設計、開発工程等については、適切であったものと考えてございます。
○本村委員 これだけのお金を使っても導入はできなかったというところでありまして、やはり、元々の制度設計ですとか、あるいは仕様書の問題もあるのではないかというふうに思います。
児童虐待対応に関わるAIを開発された方が、先ほども申し上げましたように、AIの結果が逆に子供を危険にさらす可能性もあるというふうに言っている中で、どこまでお金をつぎ込むのかという問題がございます。
本質的には、AIを使ったとしても、職員の方がしっかり専門性を持って判断しなければならないわけですから、児童福祉司を始め職員体制を増やし、専門性を高めること、職員が定着していく、育成していくということこそ必要なんだというふうに思いますけれども、大臣に御見解を伺いたいと思います。
○三原国務大臣 児童相談所における一時保護判断に資するAIツール、全国に提供するツールであることも踏まえますと、現在の判定精度では十分ではなく、更なる改良が必要と判断いたしまして、現時点でのリリースを延期したものでございます。
今般のAIツールにおきましては、事前に定められた一定の項目に該当するか否かのみで一時保護を判断することの難しさゆえに精度が十分でなかったものと考えておりますが、開発を開始した数年前と比較して、AI技術の大幅な進化もあり、今後、児童に関する記録に記載されている文字情報等を学習できるAI技術が確立されることも期待されるところでございます。
また、令和六年度補正予算においては、AIを活用し、面談等での音声情報をテキスト化するとともに、児童相談所にとって活用しやすい形式に沿って要約を行うことを目指しており、これによって、記録の業務を軽減し、業務の効率化を図られるものと考えております。
このように、AIの活用は、児童相談所で行う複雑なケースワークを多面的に支援するものとして有用であると考えており、今後もAIの活用を含めた児童相談所業務におけるデジタル技術の利活用についても検討してまいりたいというふうに考えております。
そして、委員がおっしゃるように、AIのツールはあくまで業務を支援するためのツールであって過度に頼り過ぎることのないように、そこは徹底してまいりたいと考えております。
○本村委員 職員の方々の専門性を高めていただく、そして育成、そして増員というものが決定的に大切なのだというふうに考えております。
それで、二〇二二年十二月に策定をいたしました新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランでは、二〇二四年度末までに千六十人児童福祉司を増員して六千八百五十人とすることを目標としておりました。しかし、二〇二四年度、最終年度ですけれども、六千四百八十二人という見込みでありまして、目標に達していない現実がございます。その原因は様々ありまして、定年以外で辞める方が多いというふうに伺っております。
資料五を見ていただきますと、今後の目標なども出されておりまして、今度、児童虐待の一時保護に関しまして司法審査が入るということもありまして、今後二年間で九百十人増員を図っていくという計画になっております。しかし、そういう目標を持ってもなかなか目標を達していないというのが今の現実です。どうやって児童福祉司さんを増やしていくか、定着していくかという問題があるというふうに思います。
現場の児童福祉司さんに、何人かの方々にお話も伺ってまいりました。増員というのは基本的に必要なんだけれども、次々と辞めてしまっている現実がある。あるいは、ほかの部署に異動を希望するという方が相次いでいるという現実がある。定着にももっと力を入れてほしいというのが現場の児童福祉司さんのお声でした。
実体験のお話として伺ったんですけれども、ベテランの方に新しく入った方が一、二年同行して、日常的に気軽に相談をでき、コミュニケーションが取れるようにすることが職員の方々が機微にわたっていろいろ理解していくことにもつながりますし、育成にもつながっていく。ベテランの方に同行する、一緒にいるということが職員の育成に効果を発揮して、定着率もそういうケースは上がっているというのが現場の実態であるというふうなお話もお伺いをいたしました。
子供さんからお話を聞くと、同じように心理的な問題とか、お話を聞く職員といえば家庭裁判所の調査官がいるわけですけれども、家庭裁判所の調査官というのは育成に二年かかるというふうに言われております。しかし、児童相談所の児童福祉司の皆さんの育成というのは、私が見るとかなり位置づけられていないな、地元の自治体を見てもなかなか体系的になっていない、現場任せになっているというふうに思っております。
そういう中で、地元の自治体では、入職して三か月ぐらいは少し手厚いものがあるそうなんですけれども、そして三か月後にはある地域を任されてしまって、全て三か月たった新人の方が判断しなければいけないという現実があるそうです。ベテランの方々もいらっしゃるんだけれども、新人の方には余りケースが少ない、重くない地域というのをお任せになって、そしてベテランの方はやはり重いケースが多い地域を任せられているので、ベテランの皆さんもスーパーバイザーと言われる方々ですけれども、もう本当に忙しい現実がある。そういう中で、相談もできない、心が折れてしまう、そして児童相談所を辞める、こういう現状を改善していかなければならないというふうに思っております。
家庭裁判所の調査官は、先ほども申し上げましたように、二年育成にかかるというふうに言われております。その育成手法も視野に入れながら、児童福祉司の育成計画を国としてもちゃんと体系的に作って進めるべきだというふうに考えますけれども、大臣、御見解を伺いたいと思います。
○谷委員長 三原大臣、時間が経過していますので、簡潔にお願いします。
○三原国務大臣 御提案ありがとうございます。
児童福祉司は各都道府県によって採用された職員であるため、都道府県において児童福祉法に定める児童福祉司任用前の講習ですとか、その後の研修ですとか、法定研修を実施するほか、各児童相談所において計画的な育成を図る観点から、様々な取組が行われております。
こども家庭庁におきましても、今まで職員のメンタルヘルスケア、様々な形で取り組んでまいりましたけれども、加えて、今年度からは、新たに人材確保、定着を強化する観点から、児童福祉司同士が仕事の悩みを相談したり意見交換する場を提供するピアサポート等の人材定着支援事業を始めたところでございます。
この事業に関しまして、大変好評をいただいております。こうしたことを引き続き、現場の声を聞きながら、支援に取り組んでまいりたいと思っております。
○本村委員 国としても、継続して働けるように体系的な育成計画を立てていただきたいということを強く求め、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○谷委員長 次に、東克哉君。
○東(克)委員 立憲民主党、広島三区、東克哉と申します。
本日は、大臣所信に対する質疑におきまして質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、子育て支援、そしてデジタル補助金の申請について質問させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
私自身が理学療法士として、発達に特性のある子供たちや医療的ケア児の直接リハビリをする機会があり、そして、そのような支援をしている事業所さん、御家族、その方々と共に接する機会を日々持っておりました。先日、三原大臣の所信表明にもありました、発達に特性のある子供や医療的ケア児への支援等について、まずはお伺いをさせていただきたいと思います。
発達に特性がある子供や医療的ケア児の支援については、児童発達支援センターを中心に、入所系、通所系の施設、相談支援を一体的に市町村で整備して提供し、その強化に取り組んでいると承知をしておりますが、一方で、実際にケアの現場、そして地域の中では連携が余りうまく進んでいない、情報共有がされていないという声も聞きますし、私自身も余り連携がなかったなという実体験がございます。
そして、児童発達支援センターとの情報共有がうまくなされなかった、これは様々な地域の原因があるとは思うんですけれども、児童発達支援センターとの連携について、こども家庭庁のお考えについてお聞かせいただきますようお願いいたします。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
発達に特性のある子供や医療的ケアが必要な子供が身近な地域で必要な支援を受けられるようにする体制を整備することは、議員御指摘のとおり、重要であるというふうに考えてございます。
このため、地域における支援体制整備についての手引を作成し、自治体の主導により、児童発達支援センターに地域支援の担当者を配置し、事業所を訪問しての助言を行う事例、地域の事業所等の関係者の参画した会議体を設置し、各地区の課題やニーズに対応した支援体制を構築している事例等、地域の実情に応じた取組事例をお示ししており、こうした各地域の工夫を凝らした取組を全国に広げていきたいというふうに考えてございます。
また、地域において関係者が連携し、早期に切れ目なく支援するために、児童発達支援センター等の機能強化、医療的ケア児支援センターの人材配置等への財政的支援等に取り組み、国として全国の各地域の支援体制の整備を後押ししております。
さらに、全国の自治体における障害児の支援体制の可視化や、各地域の工夫を凝らした取組を横展開等するためのネットワーク等の構築を実施すること等を通じまして、支援体制の整備充実に取り組んでまいります。
○東(克)委員 ありがとうございます。
先ほど言いましたように、センターの人材配置や様々な中核を担っていかなければならないということ、これからも是非進めていただきたいというふうに思います。
また、地域での連携もありますが、事業所内での連携、これは特に令和六年度の報酬改定で始まりました五領域の取組、非常に私は重要だったというふうに認識しております。事業所内では保育士さん、看護師さん、児童発達支援管理責任者、児発管ですね、そして介護福祉士など多職種での連携が必要となり、そして医療的ケア児や強度の行動障害などがある児童への適切な支援、これらの相応の経験そして技術を持った職員の配置も本当に必要不可欠であると感じております。
様々な特性や障害の程度が違うことは踏まえて質の高い発達支援を行うために、働く方々の処遇改善、こちらのセンターの方は先ほど言われましたけれども、これについて政府の対策についてお聞かせください。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
障害児支援事業所等で働く職員に対する処遇改善につきましては、これまで、累次にわたり、基本報酬の見直しに加え、処遇改善加算等の充実等を行ってきたところでございます。
直近の令和六年度の障害福祉サービス等の報酬改定におきまして、基本報酬の見直しに加え、障害児支援に携わる保育士等の賃上げにつながるための処遇改善加算を実施しております。さらに、令和六年度補正予算におきましても、障害児支援人材確保、定着の取組を行う事業所を対象に更なる賃上げに向けた支援を行っております。これらの取組が最大限活用されるよう、更なる賃上げに向けた支援に引き続き取り組んでまいります。
○東(克)委員 ありがとうございます。
先ほど言われました令和六年度の補正予算であったり処遇改善加算、一般的な処遇改善加算ですね、四段階あると思うんです。
ここからちょっと要望になりますけれども、この四段階ということ、できるだけ上位の加算を取っていただきたいとは思うんですけれども、書類の手続であったり給与の規定であったりそういうことのサポートを是非していただければなということがまず要望の一点目。
そして、もう一つが、発達に特性がある子供たちの親御さんのことです。これは、親御さんの働き方について御要望させていただきます。働きたくても子供を預ける事業所がまずないということ、受入れ可能な保育所がないということ、そして時間的な制約、預かり時間が九時から三時まで、それ以降は受入れが難しいという事業所がやはり多々ありますので、このような制約を是非取っていただいて、働きたくても働けない親御さんの現状を踏まえて御対応いただきますように、これは御要望として申させていただきたいと思います。
そして、ここの、障害のあるところで言いました保育士さんについてですが、一般の保育園、保育所の方についても少しお伺いさせていただきたい。保育士不足についてもお伺いさせていただきたいと思います。
私自身も子供が四人おりまして、長年にわたり保育士さんには大変お世話になりまして、また、次の四月には四番目が年少になりまして入園式を迎えることになります。ですが、入園式に行けるかどうかが非常に、国会日程を見ながら冷や冷やしているところでございます。
まず、令和六年度の出生数が厚生労働省の調査によると七十二万九百八十八人となっており、九年連続減少という現状があります。保育に関わる現状はどうかというと、全国の待機児童自体は減少していますが、一方で、保育士さんの人手不足は本当に厳しい状況であるということは認識をしております。保育の現場を担う保育士さんの置かれている状況や今後の処遇改善について、こちらも幾つか御質問させていただきます。
令和六年度の補正予算において、人事院勧告において保育士等の公定価格の人件費を令和六年度の当初と比較して一〇・七%引き上げるという方向になっていると承知をしております。こうした継続的な賃上げにつながる処遇改善は保育士不足の解消にとって必須でありますし、職場での事務負担の軽減、そして精神的な負担軽減のための見守りサポートなどの機器の導入の支援、これはもちろんなんですけれども、令和七年度以降も賃上げにつながる取組が必要不可欠だと認識しております。こうした賃上げにつながるこども家庭庁の取組についてお聞かせください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
保育士、幼稚園教諭等の処遇改善、これは人材確保の観点からも非常に重要であると思っております。令和六年度補正予算では一〇・七%の大幅な改善を実施し、令和七年度予算案、当初の予算案でも財源を確保した上でこれを反映しているところでございます。
仮に各現場でこの水準の賃上げが行われた場合には、平均賃金を用いて機械的に計算をいたしますと三万円を超える改善となるほか、これを含めまして、平成二十五年度以降、累計で約三四%の改善を図ってきているところでございます。
政府のこれまでの取組によりまして全産業平均賃金との差は縮小してきておりまして、今後も改善状況を注視しながら、こども未来戦略に基づいて民間給与動向を踏まえた更なる処遇改善を進めてまいりたいと考えております。
○東(克)委員 ありがとうございます。
ざっくりとした計算で大体三万円以上上がるということは、非常に現場の職員さんも喜ばれると思いますし、私も入園式に胸を張って上がるよと言えると思いますので、是非継続的な支援をお願いしたいというふうに思います。
賃上げについては大変前向きな答弁をいただきましたが、続いては、多様な働き方についてお伺いさせていただきたいと思います。
先日の参議院の予算委員会で、奥村議員と石破総理の質疑のやり取りの中で、石破総理は、潜在保育士の数は百十一万人で、こうした潜在保育士を含めた担い手の確保にフレックスタイムも含めて検討したいという旨の御発言をされておられます。
こうした多様な働き方を充実していくことは、保育士さんの処遇改善、そして多様な働き方を進めていけるというふうに承知はしていますが、これからこの多様な働き方がどのように進んでいくのか、こども家庭庁のお考えをお聞かせください。
○辻副大臣 お答えします。
委員御指摘のように、保育人材の確保のためには、賃金の引上げによる処遇改善だけでなく、多くの方が職場として保育現場を選び、長く働き続けられる環境を整備することが重要と考えています。
こども家庭庁としては、令和五年に、保育士がそれぞれの家庭状況等に応じ、多様な働き方を選択することができるよう、常勤の保育士の定義を明確化しています。具体的には、月当たりの勤務時間を基準として常勤保育士を定義し、週四日勤務等の柔軟な働き方が可能であることを明確化しました。
また、育児、介護等と就労の両立を可能とする観点から、令和六年には、育児や介護等により労働時間を短縮して就労する保育士を配置基準上の定数に参入できる仕組みを設けている旨周知を行ったところです。
さらに、今国会に提出させていただいた児童福祉法等の一部を改正する法律案においても、潜在保育士の復職支援等を行うために必要な保育士・保育所支援センターの法定化を盛り込み、多様な働き方への対応を進めております。
加えまして、働きやすい職場環境づくりのため、保育現場へのICTの導入や保育補助者等の配置の推進、巡回支援等による保育士へのサポートの充実などにも取り組んでおり、引き続き賃金の引上げによる処遇改善だけでない保育士の処遇改善に取り組んでまいります。
○東(克)委員 ありがとうございます。
事業所側として、週四日でも常勤換算ができたり、短期の分ができるということ、非常にこれからも進めていただきたいというふうに思います。
是非潜在保育士さんの活用を進めていただきたいと思うんですが、実際に保育士不足と言われていますが、どれぐらい保育士さんが不足しているのか、もしこども家庭庁として把握しているのであれば、お聞かせくださいますでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
保育士の必要数や不足数について国として具体的に把握をしているという数値はございませんけれども、保育士の有効求人倍率で見ますと、令和六年十月時点で三・〇五倍となっておりまして、全職種平均の一・二七倍と比べると依然として高い水準で推移をしていることから、保育人材確保は喫緊の課題であると認識をしてございます。
また、四、五歳児、あるいは一歳児の職員配置の改善を図っているところ、あるいは、こども誰でも通園制度が制度化されスタートをする、こういった政策の変化もございますので、そういったことを踏まえると、保育人材の確保はより一層重要になるというふうに考えております。
○東(克)委員 ありがとうございました。
三・〇五倍という本当に高い数字のまま推移されているということで、やはり手を打たなければならないというふうに思うんですが、この保育士不足の中から、さらに、今年四月から施行される改正育児休業法について、十月から柔軟な働き方ができる制度の導入がスタートいたします。
民間の保育士さんにもこの法律が適用されて、保育士という職業を子育て、介護をしながら続けていくためにはとても活用できる非常にいい制度だとは思う一方で、現状では、先ほど何回も出ている保育士さんが不足しているという点に加えて、十月以降、事業所側としては配置基準を満たすための保育士さんの確保は困難となると思われるんですが、改定育児休業法、この法律によって保育士不足になるかもしれない。この対策について、こども家庭庁の認識をお聞かせください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
改正育児・介護休業法によりまして、本年十月から、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置といたしまして、事業主は、三歳から小学校就学前の子供を養育する労働者に対して、始業時刻等の変更、あるいは短時間勤務制度など、五つの措置の中から二つ以上の措置を選択して講じ、一方、労働者は、事業主が講じた措置の中から一つを選択して利用することができるという制度がスタートをするというふうに承知をしてございます。これによりまして、保育現場においても、育児や介護を行う保育士が柔軟な働き方によって働き続けることができるようになるということが期待されております。
こうした柔軟な働き方をする保育士について、先ほど副大臣から御答弁いただいたとおりでございますが、一定の要件の中で最低基準上の保育士の定数にカウントできる仕組みを設けているところでございます。
一方で、こうした柔軟な働き方の進展によりまして、最低基準を満たすという点においては、保育士を追加的に確保することが必要になる場合もあろうかと思います。こうした課題への対応として、保育士が希望する働き方と保育事業者のニーズに寄り添った丁寧なマッチングを行うことが重要になると考えておりまして、今国会に提出させていただきました児童福祉法等の一部を改正する法律案におきまして、こうしたマッチングを担う保育士・保育所支援センターを法定化し、機能強化をしていくこととしております。
こうした取組により、多様な働き方の進展に対応しながら、必要な保育人材の確保に努めてまいります。
○東(克)委員 ありがとうございます。是非、今国会の法律の改定で、深く議論していきたいなというふうに思います。
また、賃上げや、先ほど言った働き方改革もありましたが、それ以外でもし保育士さんの人材確保についての取組がございましたら、教えていただけますでしょうか。
○辻副大臣 委員は四人のお子さんを育てているというふうにお聞きしましたが、そういった問題意識の中、御指摘のとおり、保育の担い手確保はこども家庭庁として対策を強化していく必要がある喫緊で重要な課題と考えていまして、私自身も、私ごとですが、二人の子供を育てながら、そういう意識で今やらせていただいています。
対策を進める上で、数ある選択肢の中から保育の職場を選んでいただくこと、在職中の方に長く働き続けていただくこと、さらに、何らかの事情で離職された方が復職しやすくすることを意識した環境づくりが重要だと考えています。
このため、保育士としての就業を希望される方への資格取得支援、先ほど申し上げましたが、保育現場へのICTの導入、保育補助者の配置の支援などによる働きやすい職場の環境づくりや潜在保育士へのマッチングや段階的な職場復帰の支援等に総合的に取り組んできたところであり、こうした取組の強化を、委員の御指摘も踏まえながら、これから図ってまいりたいと思っています。
また、社会全体の働き方が多様化する中、保育士の方々にも、石破総理も先週答弁されていましたが、柔軟な働き方をしていただけるように、短時間勤務の保育士の活用等を図っていきたいところでありまして、引き続き、育児・介護休業法の改正等の動向も踏まえつつ、対応してまいりたいと考えています。
○東(克)委員 ありがとうございます。少し時間も迫ってきましたので、お礼を述べさせていただきたいと思います。
続いて、学童保育についてお伺いさせていただきます。
私も、先ほど何度も言いましたように、共働き世帯でしたので、学童保育、長男、長女、二男と三人ともお世話になりましたので、非常に働く方々の現場の声を聞くことがありますし、非常に頼りにしておりました。
しかし、令和六年度五月時点において、学童保育の待機児童の数が約一万八千人となっております。一層の支援が必要な状況になっているんですが、待機児童の解消について、こども家庭庁の支援の在り方についてお聞かせください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
放課後児童クラブにつきましては、ただいま委員からも御紹介いただきましたように、令和六年五月一日現在で、登録児童数は過去最高の約百五十一万九千人となった一方で、待機児童数は約一万八千人と、依然として相当数発生をしておりまして、待機児童の解消が喫緊の課題と認識をしてございます。
待機児童対策の一層の強化を図るため、昨年十二月に文部科学省とともに放課後児童対策パッケージ二〇二五を取りまとめまして、場と人材の確保、適切な利用調整、マッチングでございますけれども、こういった各種の取組を推進しているところでございます。
本パッケージでは、待機児童の発生状況に地域の偏り、あるいは時期の偏りがあることを踏まえまして、待機児童が多く生じている自治体を対象としたモデル事業の実施ですとか、小学校の夏季休業期間中における放課後児童クラブの開所の支援、こういった新たな取組も行おうとしているところでございます。
引き続き、放課後児童クラブが、共働き等の世帯の就労を支援し、子供の健全な育成に資する仕組みであるように、待機児童の解消に努めていきたいと考えております。
○東(克)委員 ありがとうございます。
放課後児童クラブは共働き世帯の本当に家庭になっておりますし、特に夏休みです、先ほど政府参考人も言われましたけれども、夏休みのときに子供を預けられるというのは非常にありがたいところですので、そこの強化も併せてお願いしたいと思いますし、そして、そこで働く方々の放課後児童支援員さんについても、今後継続的に働いていただく環境が必要だというふうに考えています。
そこで、放課後児童支援員さんの平均的な勤務年数はどれくらいなのか、分かれば離職率、若しくは離職率を下げるための方策、取組について、こども家庭庁さんの見解をお聞かせください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
放課後児童クラブが子供の安全、安心な居場所であるためにも、職員の方が安定して働き続けられる環境の整備、これも重要であると認識をしてございます。
まず、職員の平均勤続年数についてお尋ねがございました。令和五年度に実施をした調査研究によれば、常勤職員については十年以上と回答する事業所が一七・七%と最も多く、次いで七から十年未満が一五・四%となっておりました。それ以外の非常勤職員の方については、三から五年未満が一番多く、一七・六%というふうになっております。
こうした状況の中で、委員から離職率を下げる方策ということでお尋ねがございましたが、先ほど述べた調査では、職員定着の課題についてもお聞きしております。精神的又は肉体的な負担が大きいことが特に指摘をされております。
離職率を下げるためにも、業務負担軽減、これは非常に重要だと思っておりまして、直接子供に関わらない周辺業務を担当する職員配置のための財政補助ですとか、保護者との連絡を簡便なものとするようなDXの推進のモデル事業、放課後児童クラブを巡回して事業の相談に応ずるアドバイザーを配置する際の補助、こういったことに取り組んでいるところでございます。
また、職員の処遇改善を図るための各種の補助事業も実施をしておりまして、特に令和六年度からは常勤職員を二名以上配置した場合の運営費の引上げを行っております。
こうした取組により、引き続き職員の方々が安定して働き続けられる環境の整備を図っていきたいと考えております。
○東(克)委員 ありがとうございました。
先ほど最後の方に言われました、放課後児童支援員を二名以上配置した場合の補助が盛り込まれているということではあったんですけれども、ちょっとまとめて、時間がありませんので、三点お伺いさせてください。
まず一つ目が、常勤職員の確保に向けた何か支援策があるのかということ。二つ目が、放課後児童支援員さんの処遇改善について、賃上げ等も含めて。そして三つ目が、放課後児童クラブの経営状況が実際に分かるのかどうか。そういう取組はしているのか、若しくは検討されているのかということもお聞かせください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
まず、常勤職員の確保に当たりましては、新規に採用するケースや、現に勤務する非常勤職員を常勤化する、こういったケースがございますけれども、それらに追加的な費用が生ずることを踏まえて、今年度から新たに、常勤の放課後児童支援員を二名以上配置した場合に通常より高い補助基準額を適用することとしております。本制度を積極的に活用いただくように、各種会議において自治体等への周知を行っているところでございます。
あわせて、職員の処遇改善に向けては、十八時半を超えて開所する放課後児童クラブの職員の賃金改善に必要な経費の補助ですとか、勤続年数や研修実績に応じた処遇改善に継続して取り組んでいるところでございます。その上で、これらの事業においては適切に職員の賃金に反映することを補助要件として明確に定めているところでございます。
さらに、経営情報の見える化というふうな御提言もございました。
放課後児童クラブ、小学校の授業終了後から開所をするという特性から、職員の就業の在り方が非常に様々、多様でございまして、保護者組織やNPO等、多様な運営主体によって実施をされている。運営形態も大きく様々異なっているということもありますので、クラブ間の適切な比較を可能とする見える化の手法としてどのようなものがあるのかとか、事業者の方々の事務負担も考えなければいけないなど、相当慎重な検討を要する問題ではあると思いますけれども、いずれにしても、処遇改善というものは非常に重要な課題だと我々も認識をしておりますので、今ございます処遇改善の様々な補助、これはまだまだ活用の執行率が高いとは言えない状況ですので、活用の促進ですとか常勤配置の推進、こういったことを自治体に対して強く働きかけていきたいというふうに考えております。
常勤職員配置の改善や処遇改善が進むように、自治体に丁寧に寄り添いながら活用を促し、安定的な放課後児童クラブの運営につながるよう尽力してまいります。
○東(克)委員 ありがとうございます。是非、自治体とも連携を強化していただいて、子供たちへの支援をよろしくお願いいたします。
また、同じ子供たちですけれども、次は児童相談所についてお伺いさせていただきたいと思います。
これも、私の長女の友達が実際にお世話になったという状況がありまして、非常に大変なことだというふうに感じております。本村議員の質問にもありましたけれども、また三原大臣の所信にもありましたが、児童虐待への対応、社会的養護の質の向上、自立支援というのは、支援が必要な子供たちの成長に大変重要な役割を担っており、そして、虐待の対応件数は、令和四年度は二十一万四千八百四十三件、これは過去最大です。これは今まで表に出てこなかったからというものもあるというふうに認識していますが、そしてもう一つ特徴として、警察などからの通告が同様に過去最高であるということ。これも児童相談所と警察の連携が一層進んでいる表れかと理解をしている一方で、これまで以上に虐待が多様化して、強制力を持って一時保護を行うなどの対応がこの児童相談所の職員さんに求められていることと考えます。実際に、私の娘の友達も本当にそういう現場に出くわしました。
ですが、児童相談所で働く職員さんの安全のサポートをしていかなければならないと思っています。現状においても強い態度で職員さんに当たっている親御さんがいることも承知しておりますし、そのときには複数人で対応する、警察関係者と連携するなどがあるというふうに認識もしております。ですので、何がしかの対策が国にはあってもいいかと思いますし、人材の定着、確保についてもあるかと思いますので、その辺りの見解についてお聞かせください。
○吉住政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘のとおり、児童相談所において子供の安全確保や調査等を行う際は、職員自らの安全に配慮することも重要と考えておりまして、調査に当たっては、複数の職員で対応することにより不測の事態に備えるとともに、虐待通告受理後、四十八時間以内に安全確認を行うことができず立入調査を行う際には、必要に応じて警察への援助要請を行うよう、児童相談所運営指針においてお示しをしております。
また、児童相談所職員の人材確保、人材定着につきましては、令和四年十二月に策定した新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づきまして計画的に増員を図っており、昨年末にはプランを改定し、更なる増員を図ることとしております。
加えて、こども家庭庁といたしましては、自治体が行う採用活動に対する補助、児童相談所業務等の魅力発信といった人材確保の支援のみならず、職員のメンタルヘルスをケアする職員の配置に対する補助、ICT化への支援等により人材定着にも取り組んでおりまして、今後も、子供の命を守る最後のとりでである児童相談所の人材確保、定着に向け、引き続き国としてしっかりと取り組んでまいります。
○東(克)委員 済みません、時間が来ましたので、デジタル庁の皆様、質問できずに、準備していただき申し訳ございませんでした。
私の質問はこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、阪口直人君。
○阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。
かつてない安全保障上の危機という言葉、これは国防に関してよく使われますが、しかし、少子化というのも本当に日本の将来を危うくする大きな問題だと思います。今日は、このテーマに絞って、三原大臣に質問をさせていただきたいと思います。
まず、こちらの表を御覧ください。これはこども家庭庁のホームページから引用したものなんですが、実は、この少子化、政府の最悪の予測とほぼ同じペースで進んでしまっています。日本人の出生数は、二〇一九年に初めて九十万人を切ってから、僅か三年後の二〇二二年に八十万人を切りました。そして、更に二年後の昨年、七十二万人という数字になっているんですけれども、日本人に限って言えば六十八万人台ということで、大変なペースで少子化が進んでいます。加えて言うと、二〇二三年以降の数字、こども家庭庁が発足して以降の数字というのは、実はこのグラフには反映されておりません。
大変に大きな期待を背負って二三年にこども家庭庁がスタートしたにもかかわらず、全く少子化に歯止めがかかっていない。つまり、対策には十分な効果が得られていないという認識からスタートしなければいけないと思います。
まず、大臣、予測をはるかに上回るスピードで少子化が進んでいらっしゃるということに対する状況について、どのような分析をされていらっしゃるんでしょうか。
○三原国務大臣 令和六年十二月分の人口動態統計速報によりますと、令和六年の出生数は七十二万九百八十八人、前年比マイナス五・〇%となり、統計開始以来、過去最少でありました。急速な少子化に歯止めがかかっていない状況、このことは重く受け止めてございます。
少子化の流れを反転させるのは時間との闘いであり、少子化の克服に向け、政府を挙げて、希望する若者が子供を持ち、そしてまた安心して子育てできる社会を実現していかなければならないと考えております。
少子化の要因には、大きく、婚姻数の減少と夫婦の子供数の減少が挙げられるかと思います。夫婦の子供数の減少の背景にある子育ての経済的、身体的、精神的負担、そしてまた仕事と子育ての両立の難しさなどの課題には、三・六兆円という前例のない規模で、子供、子育て支援の抜本的強化を図る加速化プランを始め、子育て支援を積極的に進めて、子育てしやすい環境をつくっているところでございます。
あわせて、婚姻数の減少には、若者の賃上げ、また、働き方改革に加え、大幅に要件緩和を行いました地域少子化対策重点推進交付金による地域の結婚支援、将来設計支援の着実な実施、そしてまた、若者の将来設計の支援やプレコンセプションケア、これは大変重要だと思っておりますが、などの取組と連携しつつ、一人一人が自分らしく将来設計、しっかり展望を描いて行動に移すことができるように、その後押しをする、具体化を検討するということが大切だと思っております。
こうした取組に当たり、こども家庭庁におきましては、結婚や子供を持つことが当たり前のことではないといった若い世代の価値観の多様化や人生設計の変化等も直接お聞きをしまして、施策の検討に生かすために、今ワーキンググループを開催してまいりました。こうした若い世代の声をしっかりと反映して、これからも具体化を取り組んでいかなければならないというふうに思っております。
少子化対策は、来年度から本格実施する加速化プラン、これを着実に実施して、政府全体で粘り強く取り組んでいくことが必要不可欠であると考えております。
〔委員長退席、牧島委員長代理着席〕
○阪口委員 様々な対策を精力的に立案し、実行していくという姿勢はうかがえましたが、ただ、私の周りの子育て世代、あるいはこれから結婚を考えている人たちの声を聞いても、まだまだ安心して子供を産んで育てる、そういった環境になっていないという声が大きいと思います。
ただ、少子化の問題というのは、日本だけではなくて、重立った先進国はどこでも同じような課題を抱えていて、そしてそのための様々な施策がなかなかうまくいっていないという事情もあるかと思います。
その中で、有名なのがフランスの試みですね。既にいろいろと研究もされていると思いますが、フランスにおいては一九九三年から九四年にかけて出生率が一・六五ということで大幅に落ち込みましたが、十年後には二・〇六という数字、大幅に改善することができたわけですね。
私もフランスがどのような対策を講じたのかということをいろいろ調べてみたんですが、一言で言うと、ここまでやるかというぐらいの徹底した少子化対策、そのことによって、子育て世代、これから子供を産む世代に安心感を与えるということが大きな鍵であったかと思います。
具体的な政策を述べると、子育て世帯、特に三人以上の子育て世帯に対しては、大幅な所得税の減税を実施する。あるいは、子供を三人養育すると年金が一〇%加算されるというような政策を取っています。また、子育てのために例えば週四日だったり三日だったりというふうに働く日数を減らすことも自分たちで選べるとか、あるいは父親、つまり、母親だけではなくて同じように子育てをする父親に対しても賃金の八〇%を保障する。これらはそこまでやるのかというような大胆な政策だと思うんですが、やはりこれぐらいやって初めて成果が出る、政府が本気で取り組んでいるということが国民に伝わるのではないかという例でもあるかと思います。
大臣にお伺いしたいんですが、例えば、これまで諸外国の様々な少子化対策を調べられていると思いますが、その中で、このようなことを日本でもやりたい、これは効果的なのではないかということですね、もし個人的に思うところがあれば是非お知らせいただきたいと思います。
○三原国務大臣 委員御指摘のフランス、あるいはスウェーデンというところも少子化対策に大変力を入れていて、出生率の向上、回復に成功した国として論じられているものというふうに認識をしております。
また、内閣府が実施したアンケート調査によりますと、自国は子供を産み育てやすい国だと思うかの問いに対して、日本では約六割がそう思わないと回答しているのに対し、スウェーデンですとかフランス及びドイツではいずれも約八割以上がそう思うと回答しており、これらの国では子供、子育てを応援する社会の雰囲気というものもしっかりとつくられているんだなということを考えさせられているところでございます。
私自身も、こども政策担当大臣着任後すぐにスウェーデンのテニエ大臣と意見交換をする機会がございまして、その中でも、若い世代が安心して子供を産み育てられる環境づくり、これが非常に重要なんだ、そして今やらなければならないんだということ、そのことも感じました。
その上で、我が国では、加速化プラン、先ほど申し上げましたように、子供一人当たりの家族関係支出、こうしたものはGDP比でOECDトップのスウェーデンに達する水準となるなど、子供、子育て支援の抜本的強化を進めているところでございます。
あわせて、社会全体で子供や子育て中の方々を応援するという機運を高めるということ、これが非常に大切だと思います。社会の意識改革を進める、そして、委員おっしゃるように子育て世帯に安心感を持っていただくこと、これが重要なんだというふうに思います。
いろいろな御意見があります。少子化対策、その効果が表れるまでは一定の期間を要するものでありますが、これは、でも、政府全体で粘り強くしっかり取り組んでいく、これが必要不可欠だと思っております。若者ですとか子育て中の当事者の方々の視点に立って、政策を総合的に前に進めることが重要ではないかというふうに考えております。しっかり頑張ってまいります。
〔牧島委員長代理退席、委員長着席〕
○阪口委員 今例を挙げさせていただいたフランスは、十年間で確実な成果を出しているんですね。ですから、一年、二年とは言わないけれども、近い将来に大きな成果が得られる、このようなダイナミズムを持った政策を展開する、そのための司令塔としての役割を果たしていただきたいと思います。
子供を安心して産んで育てること、これはもちろん大事なことですが、しかし、生まれてきた命を守る、これから生まれようとしている命を守ること、これは更に重要なことだと思います。
二〇二四年における子供の自殺の数が五百二十七人ということで、過去最多になりました。こども家庭庁のホームページを見ると、自殺の理由として学校関連という項目がありまして、学業不振一七%、学友との不和一四%、不登校一二%などが挙げられております。
一方、こちらが日本財団ジャーナルが一万五千人余りのアンケートで調査した結果なんですが、これは自殺未遂ではなくて自殺の念慮という、ちょっと誤りなんですけれども、学校関連が自殺を考える要因になっている数が約半分で、その更にまた半分がいじめによるものという結果が出ています。つまり、若者にとってこのいじめ問題というのは非常に深刻なんですね。
これはこども家庭庁の分析結果と大幅に違っているということを私は疑問に思うんですが、大臣、特にいじめによる自殺をなくすために最も必要なことは何だとお考えでしょうか。
○三原国務大臣 いじめ、そして自殺の防止対策ということで私どももいろいろな取組を行っておりまして、先日も、中高生と直接お会いをさせていただいて、友人の悩みにどう寄り添うかというようなお話も聞かせていただいたところでございます。
やはりそうした、悩みを打ち明ける、そしてまたそれが、信頼できる大人がすぐそばにいてくれること、そしてちゅうちょなく悩みを打ち明けられる場があるということ、こうしたことが必要なのではないかと考えております。
○阪口委員 ありがとうございます。
やはり、孤独感であったり、無価値感というか、自分には価値がないんだと感じることが自殺の大きな要因になっている。子供の頃から虐待を受け続けてきて、自分が愛されているという実感を持てない子供が特にこの傾向があると聞いています。是非、子供の自殺、これはゼロにするというのが本当に絶対的な目標であるべきだと思うので、徹底した対策をお願いしたいと思います。
大臣にお聞きしたいんですが、私も実は子供の頃から転校が多くて、新たな学校になじめなくて、自分がいじめられていると感じるような経験もあるんですが、大臣は、いじめということに関する個人的な経験というのはございますでしょうか。
○三原国務大臣 私も、大変個人的なことでございますが、子供の頃から芸能界というところで仕事をしておりましたので、大変そうしたいじめという状況を経験したことは多くございました。
○阪口委員 大臣はどちらかというといじめをしているような印象を持たれている方も多いと思いますが、ただ、大臣自身がいじめを受けたという経験は、これは子供のいじめに対する理解を持っていただく上で貴重な経験だと思います。
次、人工中絶なんですが、こども家庭庁ができた令和五年度においては十二万六千七百三十四件ということで、前年度に比べて四千九件、三・三%増加しています。どうしても子供が産めない事情というのはあると思います。ただ、経済的な理由で子供を持つことを諦め、中絶をする、これはやはりゼロに近づけるべきだと思うんですね。
これはまたこども家庭庁のホームページを拝見したところ、経済的な理由で中絶をしたという例と身体的な理由で中絶した例というものがまとめてセットで記載されているんですね。これは全然違うと思いますし、これをまとめてしまうと経済的理由による中絶に対する対策というものが非常に難しくなってしまうと思うんですが、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま統計的なお話でございましたので参考人から御答弁させていただければと思いますが、母体保護法に基づきまして人工妊娠中絶を行うことができる場合が、二つ規定がございます、委員御承知かと思いますけれども。妊娠の継続、分娩が身体的又は経済的な理由により母体の健康を著しく害するおそれがあるものと、二つ目としては、暴行、脅迫などで抵抗できないような状況の中で妊娠をされた場合というふうな二つの規定があるものですから、大変恐縮ですが、統計上はこの二つについての区分としては整理ができますけれども、その一つ目の中身の内容の細かい精査ということまでは統計上できないというふうな状況でございます。
○阪口委員 対策を行う上では、やはり経済的理由による中絶ということを、独立したデータ化をして、そして手を打っていくということが必要だと思います。
最後に、こども家庭庁のホームページ、私も詳細に見させていただきました。トップのページに三原大臣の様々なメッセージが出てくるんですね。とても心に響くメッセージを発信されていると思うんですが、ただ、高評価というのが本当に少なくて、五つとか六つ。いいねに当たるものの数が本当に少ないんですね。
大臣は知名度も抜群ですし、親しみやすい話し言葉で語りかけていらっしゃるにもかかわらず、なぜ余り見られていないのか。この点、どのように自己分析されていらっしゃいますか。
○三原国務大臣 ありがとうございます。見ていただいて、感謝を申し上げたいと思います。
今、ホームページに載せているものを、そのとき、そのときで様々なSNSに投稿させていただいております。その投稿先が、私自身も引用して、リポストというんでしょうか、そういう形で載せたりとか、様々なSNSに載せさせていただいているんですね。
ですから、ちょっと分散しているのかな。今委員御指摘のように、数が少ないとおっしゃられたんですけれども、私の方のページの方ではすごくたくさんの数を見ていただいている。分散してしまっているということもあるのかもしれませんので、そういうところもいろいろと検証して、皆さんの御意見を伺いながら、とにかく周知をしっかりできるように、様々な政策、いっぱいありますので、そうしたものが皆様の元に届くように、そうしたことも精いっぱい頑張って検討してまいりたいと思います。
○阪口委員 分散している、それは理解するんですが、それにしても数が少ないとは思うんですね。是非、ボディーにがつんと響くような、そういう発信を続けていただいて、少子化問題に対する司令塔としての考え方を広く伝えていただきたいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、福森和歌子さん。
○福森委員 立憲民主党の福森和歌子です。
本日は、質疑の機会をいただき、誠にありがとうございます。よろしくお願いいたします。
まず初めに、地方創生についてお伺いしたいと思います。
先日、伊東内閣府特命担当大臣より地方創生二・〇の基本的な考え方をお聞きいたしました。地方創生は非常に重要な課題であると私自身も認識しておりますが、石破首相もおっしゃっているように、何がうまくいかなかったのかをきちんと反省しないとこれから先の展望はないと思います。
そこで、お聞きします。デジタル田園都市国家構想交付金の成果はいかがでしょうか。行政事業レビューシートによると、例えば地方創生拠点整備タイプの交付金は施設整備等を支援するものとして非常に期待されていたと思います、しかしながら、執行率は二〇二三年度二七・二%と低いというふうに、課題もあるように思います。実際にはどの程度執行され、どういった効果が出ているのか、お聞かせください。
○岩間政府参考人 お答え申し上げます。
今の地方創生交付金ということでございますが、地方の創意工夫を凝らした自主的、自立的な取組を推進するということで、これまで、市区町村も含めて自治体レベルでいいますと九四%使われているということでございます。
ただいま御指摘いただきました補正の執行率が低いじゃないかというところでありますが、この行政事業レビューシート、まさに執行率ということで、今御指摘の二七・二%、二〇二三年度でありますが、率でありますので、これはいわゆる分子、分母の関係ということでありまして、特に分母の部分でありますが、実は、構成上、二〇二三年度のお話をおっしゃられましたので、前年度の二〇二二年度からの繰越額と二〇二三年度の当初予算額とそれから同じく二〇二三年度の補正予算額、それを全部合わせたものを分母、分子の方は二〇二四年度の繰越額を含まない執行額という構成でございます。
そういう意味では、実際、一般論として、補正予算は、多くは十二月に成立して、そこから公募をして三月末に交付決定ということで翌年度に繰り越される実態がありまして、そういう部分では、今申し上げました分母の部分は前年度の繰越額と当年度の補正予算額が二重に計上される関係になっているんじゃないかということでございます。
そういう意味で考えますと、実際に、分母から翌年度への繰越額を除いた執行率は、それよりも、恐らく二七・二%の倍ぐらい上がるのではないか、特に、直近の二〇二四年度については八二%ということでございます。
あと、当初予算につきましては、全体として九割ぐらいの執行率ということでございます。
○福森委員 今お聞かせいただいた、補正予算というようなこともあっての執行率、実際にはもっと高いということでございますが、まだまだ地方自治体からすると使いづらいというようなお声も聞きますので、更なる推進をお願いしたいと思います。
次に、地方拠点強化税制の利用状況についてお聞きしたいと思います。
伊東大臣の所信表明でも、地方創生二・〇の基本的な考え方として、東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散を挙げておられ、地方拠点強化税制により企業の本社機能の地方移転や拡充を後押しするとおっしゃっておられました。
しかし、本年二月十四日の日経新聞によると、この地方拠点強化税制の利用が思うように進んでいない、東京二十三区から移転目標の合計は二百八十件だったけれども、二〇二四年末までの認定実績というものは七十二件しかない、また、自治体の側が本腰を入れているようには見えないケースもある、企業誘致の中間評価をしているのは十県のみと書かれておりました。
実際、東京二十三区にある企業経営層にお聞きしましても、税の優遇措置が永続的に受けられるわけではないから、移転の予定があればこれを使って移転するかもしれないけれども、税制優遇によって移転を検討するということには至らないというお話でございました。
実際、現状はいかがでしょうか。この措置は企業の本社機能の地方移転を後押しするとまでは言えない状況なのではないかと思いますが、どう評価されていらっしゃいますか。
○宮本政府参考人 お答え申し上げます。
地方拠点強化税制の活用の前提となる地域再生法に基づく特定業務施設整備計画の実績につきましては、本年一月末現在で、認定件数が七百四十九件、雇用創出数は約三・二万人となっており、議員御指摘のとおり東京二十三区から地方への移転を行う移転型七十二件ということですけれども、これは認定件数全体の約一割となっております。別の、移転型ではない、地方拠点の整備を行う拡充型よりも低い状況という、御指摘のとおりかと思います。
一方で、別の分析をいたしますと、本税制の対象施設というのは、事務所、研究所、研修所というふうに三種類ございますけれども、その内訳を分析いたしますと、研究所の整備を含む計画における雇用創出が全体の約六五%を占めるなど雇用創出効果が高くなっている、そういうことではあるんですけれども、この研究所における雇用創出効果を移転型と拡充型で比べますと、拡充型の方がより高いというような状況にもなっております。
いずれにいたしましても、今後の制度の在り方について、本税制の趣旨や、今申し上げたような分析をして、これまでの効果等の分析を行った上で、どのような効果的な制度にできるか検討してまいりたいと考えております。
○福森委員 ありがとうございます。
今お話しいただいたように、拡充型が多いのかな、あるいは研究ということで、東京一極集中のリスクに対応したというところの目的にはまだまだ未達ではないかと思いますので、おっしゃっていただいたとおり、より改善をしていっていただければと思います。
今お聞きしたように、地方拠点強化税制というのは、東京にある企業の地方移転を大きく促進するまではまだ至っていないのかなと思われます。記事でも、実際、企業が地方に移転するハードルは高く、税制で誘導するのには限界があるというふうにされていました。本気で移転に取り組むとすれば、企業や人に呼びかけるばかりではなく、政府関係機関が先陣を切るべきではないかと思います。
伊東大臣の所信表明でも、地方創生二・〇の基本的な考え方の第二として、政府関係機関の地方移転に取り組むとございました。具体的な計画をお聞かせ願えませんでしょうか。大臣、お願いいたします。
○伊東国務大臣 福森先生の御質問にお答えいたします。
本当に御指摘いただいているところばかりでございまして、本当になかなか思うように進んでいないところでもございます。
政府関係機関の地方移転につきましては、これまで文化庁やあるいは国立工芸館を始めとした中央省庁七機関、研究、研修機関二十三機関五十件を対象に実施してきたところでありますけれども、令和五年度に取組機関を対象に行いました総括的評価では、地域連携による技術開発など地方創生上の一定の効果は確認をされたところであります。
一方で、国会対応やあるいは人材確保、移転費用など様々な課題があると認識しているところでありまして、政府関係機関の地方移転につきまして、総理は、一月二十四日の施政方針演説におきまして、これまでの取組を検証し、地方からの提案を改めて募り、日本全体にとって望ましい効果を生み出すのはどこかという視点を踏まえ、順次結論を出していく旨の御発言をされているところであります。
このため、今後の取組の進め方につきましては、石破総理の御発言を踏まえつつ、まずは、既に移転をいたしました機関の評価や地方移転に関する様々な課題、条件などをしっかり検証してまいりたいと考えているところでございます。
○福森委員 ありがとうございます。
実際、例えばですけれども、消費者庁、具体的に徳島市に移転をされましたけれども、全部移転するのかなと思っていたら、新未来創造戦略本部というところでございまして、全面移転には至らなかった。今おっしゃったとおり、国会対応ですとか費用の問題とかいろいろあると思います。でも、せっかく二・〇に掲げていらっしゃるわけですから、みんなで検討し、よりよい形にしていっていただければと思います。
伊東大臣、以降、大臣への御質問はありませんので、お時間のあれがございましたら御退席いただいて構いません。ありがとうございました。
では、次に参ります。
多くの県では、人口転出の超過が続き、高齢化や過疎化が進んでいます。例えば、広島県の調査によれば、就職先を重視する若者の六〇%以上が県外に流出するとされています。この若者は、広島県に決して不満があるわけではない。居住環境に対する評価も高く、県に対するイメージも悪くないのですが、仕事内容や自身の適性が生かせる就職先を重視するということで県外に出てしまうそうです。また、多くの県では、若年女性の流出が課題となっています。
いずれも、これまでもずっと課題であるとされながら、いまだ解決されず、むしろ拡大していると感じます。この要因をどう捉え、どういった対策を考えておられますか。私自身は、この要因の捉え方が非常に大事だと思っております。数字の動きだけではなくて、若年層のリアルな声に耳を傾ける、それに対応していくべきと思います。
例えば、昨年六月十七日にNHKで放送された「クローズアップ現代」「女性たちが去っていく 地方創生十年・政策と現実のギャップ」という番組なんですが、これは今でもコメント欄が開放されています。日々、若い女性、中年もですけれども、いろいろな書き込みがございます。こちらを見てみると、東京に住んでやっと呼吸ができる感じがする、田舎では、女のくせに、女なんだから勉強より家事をしなさいと言われることが多い、そういった書き込みもございました。
こういった本音に向き合って、制度でバックアップできる部分を強化すべきと思いますけれども、今言った広島県の例ですとか、こういった若年女性の声、実際にどう捉え、どう対応されていこうとしているか、お答えをお願いいたします。
○岸田政府参考人 お答えいたします。
地方からの人口流出は主に進学や就職が契機と考えられ、例えば、広島県におきましても、県人口の転出超過数は新卒就職時に最も多いと指摘されているところでございます。
流出の要因といたしまして、議員御指摘の広島県調査にありますように、地域の企業が自社の魅力を伝え切れていないなどに加えまして、アンコンシャスバイアス、すなわち無意識の思い込みなどが若者や女性の地方離れを進めているなどの示唆もあるところです。
このため、内閣府では、これまでも、企業の職場環境の改善等も踏まえた地域の魅力向上について、地方創生の交付金を活用して地方公共団体の取組を支援してまいりました。
さらに、地方創生二・〇においては、若者や女性にも選ばれる地方の実現を第一の柱として強力に進めていくため、地域間、男女間の賃金格差の是正、アンコンシャスバイアスの解消などに取り組むこととしております。今後十年間集中的に取り組む基本構想を策定していく中で、更なる対策についても検討してまいります。
○福森委員 分かりました。本当に、リアルな声、生の声を聞いて、より具体的なバックアップが必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
ここからは、子供政策、少子化対策についてお聞きしたいと思います。
昨月、厚生労働省より、二〇二四年の国内の出生数が速報値で過去最少の七十二万九百八十八人と発表されました。前年から、先ほど大臣もおっしゃったように、三万七千六百四十三人、五%が減少し、九年連続で最少を更新しております。また、少子化の要因とされる婚姻数も夫婦の子供の数も減少傾向にございます。この問題をどう捉え、どう対応していこうとされているか、改めて大臣にお答えを望みます。
○三原国務大臣 委員御指摘いただきました令和六年十二月分の人口動態統計速報によりますと、令和六年の出生数七十二万九百八十八人、前年比マイナス五・〇%、統計開始以来、出生数過去最少、急速な少子化に歯止めがかかっていないということ、この状況を非常に重く受け止めているところでございます。
この少子化の流れを反転させるのは時間との闘いであり、少子化の克服に向け、政府を挙げて、希望する若者が子供を持ち、安心して子育てできる社会を実現していかなければならないと考えております。
今委員御指摘いただきました少子化の要因、大きく、婚姻数の減少と夫婦の子供数の減少、これが挙げられると思います。夫婦の子供数の減少の背景にあります子育ての経済的、身体的、精神的負担、そしてまた仕事と子育ての両立の難しさ、こういう課題があります。三・六兆円という前例のない規模で、子供、子育て支援の抜本的強化を図る加速化プランを始め、子育て支援を積極的に進めて、子育てしやすい環境、これをつくっていかなければならないと思っております。
また、あわせて婚姻数の減少ということでございます。若者の賃上げ、そしてまた、働き方改革に加え、大幅に要件を緩和いたしました地域少子化対策重点推進交付金、これによって地域の結婚支援ですとか将来設計支援の着実な実施、そしてまた、若者の将来設計の支援やプレコンセプションケアの取組、こうしたことも、一人一人が自分らしく将来展望を描いて行動に移すという、その後押しをするということが大切だと考えております。
こうした取組に当たりまして、結婚や子供を持つことが当たり前のことではないといった若い世代の価値観の多様化、そして人生設計の変化、こうしたことも直接お聞きして施策の検討に生かすため、ワーキンググループを開催してまいりました。取組の具体化に当たっても、こうした若い世代の声、これをしっかり反映してまいりたいと思っております。
いずれにいたしましても、少子化対策、来年度から本格実施する加速化プラン、これを着実に実施して、子育て当事者、そしてまた子供、若者の皆様の視点に立った政策を総合的に前に進めてまいりたいと考えております。
○福森委員 ありがとうございます。
今、婚姻数について言及されておられましたけれども、昨年七月に実施されたこども家庭庁のウェブ調査によると、未婚者の五一・一%が結婚すると夢がなくなると回答しておられます。先ほど経済的な原因とか精神的なものとかということをおっしゃっていましたけれども、結婚すると夢がなくなっちゃいそう、こういう感覚がやはり非婚化や子供を持たない若年層を増やしている可能性が非常に高いと思います。
この調査結果の背景や理由というもの、今どう捉えて、どのように具体的に対策をされていこうとなさっておられますでしょうか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
委員ただいま言及された調査結果の背景でございますけれども、大臣がただいま御説明されたように、経済的な不安やライフスタイルの多様化等々あるかと思っております。
ただ、加えまして、まさに委員が御指摘いただいた調査につきまして、同じ質問を既婚者の方にしたところ、未婚者の割合は五一%が結婚すると夢がなくなるということでございましたけれども、既婚者の方は逆に六三・七%の方が結婚すると夢が広がるという答えをしているという調査もございます。
やはりそれも様々な背景があろうかと思いますけれども、これから若い方々が人生に関して選択をしていくわけですけれども、まずは正確な情報あるいはロールモデルをきちんと説明する機会を持って、その上で、当然多様な価値観や考え方を尊重することが大前提でございますけれども、そういったことをきちんと情報として併せて、今申し上げたように結婚する前の感じ方と結婚した後の感じ方は違うところもあるんだよというようなデータも併せてお示しすることで対策を進めていきたいと思っています。
また、政府がやれと言ってもなかなか進むものでもありませんので、やはり現場である自治体や民間企業、そういった場できちんとした正確な情報が伝わるような機会、これをこども家庭庁としても後押ししていきたいと思っています。
以上でございます。
○福森委員 是非深掘りをお願いしたいと思います。夢がなくなるというのは、どういう夢を今お持ちでそれがなくなると不安を持っていらっしゃるか、そこを聞いていく、具体的に対応していくことが重要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、男性の育児休業の取得率、こちらは二〇二三年度三〇・一%と年々高くはなってきております。しかし、その実態をお聞きすると、二週間未満の方が四割で、半年以上取る率が九割を超える女性に比べたら非常にまだまだ短いです。
家事関連時間で見ても、六歳未満の子供を持つ夫婦と子供の世帯では、夫は一日一時間五十四分、妻は七時間二十八分と差が非常に大きい。女性に家事、育児がやはり偏っているなと思います。これでは、キャリアを積みたいと思う女性が産み控えてしまう可能性もあると思います。
また、育児中の女性に聞くと、仕事を優先したときに、子供がかわいそうだと言われることも少なくないそうです。男性は、育児休業を取らなくても、あるいは子育て中心の働き方でなくても責められないのに、女性は責められるわけです。働くお母さんからしたら、必死で働いて、育児も家事も頑張っているのに、そんなに責められるなんて私が一番かわいそうじゃんと言いたくなっちゃう、そのように私は思います。
さらに、子供がいないならいないで、お子さんはと聞かれて、子供がいないことを責められているように感じる方もいらっしゃるそうです。社会の圧が強く、産んでも大変だ、産まなくても大変だ、どうすればいいんだと思う女性は少なくないと思います。
実際、昨年十二月に「産む気もないのに生理かよ!」という本が発売されましたが、既に三十万部を超えるベストセラーだそうです。出版社にお聞きすると、三十代女性の支持が多いということでした。これは、産む、産まないで悩む女性が書いたエッセーです。こういったことで悩んでいらっしゃる女性がやはり多いんじゃないかな。私は、こういった女性たちを応援していかないと国の少子化は止まらないというふうに思っております。
こういった状況に対し、どのような調査をされ、どう対応していくか、お聞きしたいと思います。
○大隈政府参考人 お答え申し上げます。
我が国では、依然として家事、育児の大半を女性が担っている一方で、家庭責任を果たすために男性が仕事に制約を抱えることが当然とは受け止められにくい職場風土がございます。このような現状の背景にある性別役割分担意識やアンコンシャスバイアスの存在は、女性のキャリア形成の障壁ともなっていると考えております。
これらの解消を図るため、厚生労働省におきましては、男女雇用機会均等法の遵守や女性活躍推進法による取組を推進するとともに、女性労働者や管理職を含む男性労働者、企業経営者などを対象とするセミナーを開催し、周知啓発を進めているところでございます。
こうした取組を通じまして、男女共に育児等の家庭責任を果たしながら、職場においても活躍していけるよう、社会、職場双方における意識改革を進めてまいりたいと考えております。
○福森委員 ありがとうございます。
今お答えいただいたこと、非常に重要だと思っています。特に、アンコンシャスバイアスもありますけれども、ジェンダーギャップの解消というのはまだまだ途上にあると思います。法律、制度でバックアップできること、まだまだあると思いますので、是非よろしくお願いしたいと思います。
時間も少なくなってまいりましたので、ちょっと飛ばしてもよろしいでしょうか。
今、少子化対策として、子供を産む、産まないで悩む方々、特に女性たちを支援することが非常に大切ではないかということを質問に応じてお聞きしてまいりました。ここで、三原大臣のお考えや支援策、あればお聞かせ願いたいと思います。
○三原国務大臣 委員御指摘のとおり、依然として家事、育児関連時間、これは夫婦の差というのは物すごく大きくて、子供がいる共働き夫婦の帰宅時間を見ても、女性よりも男性の方が遅くて、育児の負担、そうしたものは女性に集中しているという現状があると認識しております。
また、男性育休、制度を利用しなかった理由を見ますと、取得しづらい職場の雰囲気、無理解などが挙げられておりまして、家事、育児等のために男性が仕事を制約することは女性と比べて当然とは受け止められてはいない、言い難いという状況だというふうに思います。
今お話がありました固定的な性別役割分担意識、アンコンシャスバイアス、こうしたことによって、特に女性の子育てとキャリアの両立というのが難しいという意識、そして結婚に夢が持てないといった考えに至るのではないかというふうに考えてございます。
こうした中で、若い世代が結婚、子育ての将来に明るい展望を持てるようにしていくためには、先ほども申し上げましたとおり、子育ての経済的、身体的、そしてまた精神的負担、こうしたことや、仕事と子育ての両立の難しさなどの課題を解決していかなければならないと思います。
加速化プランにおきましては、これから、妊娠期からの伴走型相談支援、こども誰でも通園制度の創設、育児期を通じた柔軟な働き方ができる環境整備など、子育ての負担を軽減して、また、男女が共に希望に応じて仕事や育児を両立できるように、子供、子育て支援の抜本的な強化というものを図っております。
あわせて、今の若い世代の価値観の多様化、そして人生設計の変化、こうしたものも反映しながら、若者の将来設計の支援、先ほどのお話です、固定的な性別役割分担意識、アンコンシャスバイアス、こうしたものを解消していく、社会全体で子供、子育てを応援するといった意識改革、こうしたことにしっかりと取り組んでいかなければならないと思っております。
いずれにいたしましても、若い世代が希望を持って結婚、子育て、出産、そうしたことに、選択ができるようにということ、そうしたことを、各種施策、しっかり前に進めるように全力で取り組んでまいりたいと思っております。
○福森委員 是非よろしくお願いしたいと思います。
本日、男性の育児休業をもっと取るようにするにはとか産婦人科の減少についてとか、お聞きしたいことございましたけれども、終了時間となってまいりましたので、最後に一つだけ。
地元の三重に戻ると、障害児の通所支援や入所支援でお困りの保護者の方の声を聞きます。通所支援の場合、遠くて通えない障害児に対し、施設は受け入れたくても人材不足で対応できない、あるいは、入所施設の場合、預けるに適した施設が地元市町村にないというようなことで待機しているということもあります。三重の場合ですけれども、いずれも保護者の方が我慢して声を上げていないというようなこともございます。
こういったこと、国としてどう声を聞いてどう対応されていこうとされておられますか。これも、こどもまんなかとして非常に大事なことだと思いますので、最後に大臣にお聞きして終わりたいと思います。
○谷委員長 時間が経過しておりますので、答弁は簡潔にお願いします。
○三原国務大臣 はい。
障害児支援の体制につきましては、現行の制度となった平成二十四年と比べて障害児通所支援の事業所数も格段に増加するなど、体制の整備に努めてきたところでございます。
障害児支援の体制整備につきまして、国が定める基本方針に即して自治体が、地域のニーズや資源の現状を把握し、整備に関する計画を定め、確保、充実ということに取り組んでいただいているところでございます。
また、身近な地域で個々のニーズに応じた支援ということでございますが、こども家庭庁といたしましても、児童発達支援センターの機能強化や巡回支援専門員の整備、そしてまた、障害児の支援体制の可視化、ネットワーク構築等の実施等に取り組んで、地域の障害児の支援体制の強化、こうしたことをしっかり後押ししてまいりたいと考えております。
○福森委員 ありがとうございました。
時間の都合で幾つか質問を飛ばしましたこと、おわび申し上げます。ありがとうございました。
○谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時六分休憩
――――◇―――――
午後一時開議
○谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。仙田晃宏君。
○仙田委員 国民民主党・無所属クラブの仙田晃宏です。
本日は質問の機会をいただき、ありがとうございます。
デジタル領域につきましては、前回の予算委員会分科会にて平大臣に御質問をさせていただきました。遅い時間帯に御対応いただきましてありがとうございます。その際、平大臣が出番が少ないとおっしゃっておられましたので、本日は、いただいたお時間二十四分間を丸々平大臣に使わせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
一つ目に、所得税改正対応について三点お伺いさせていただきます。
所得税法の改正、いわゆる百三万円の壁の引上げに伴い、今回、e―Tax、国税総合管理、いわゆるKSKシステム、そして確定申告書等作成コーナー等、システム改修が多岐にわたりますが、システム改修に係る予算はどの費目に幾ら計上されているのでしょうか。また、本法案は来年令和七年の確定申告より適用されますが、令和七年確定申告までにシステム改修が間に合うのでしょうか。お答えください。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
国税庁のシステム改修に係る予算は、現在国会において御審議いただいております令和七年度一般会計予算のうち、所管、デジタル庁、項、情報通信技術調達等適正・効率化推進費、目、情報処理業務庁費の中に計上されております。
お尋ねは、基礎控除、給与所得控除、特定親族特別控除の改正に係るものと存じますが、これにつきましては、納税者が利用するシステムや国税庁の内部システムにつきまして所要の改修を行う必要がございまして、令和七年度に要する経費として合計で約十四億円を見込んでいるところでございます。
税制改正に伴いますシステム改修には毎年度取り組んでいるところでございますが、今申し上げましたシステム改修につきましても、今後、税制改正法案が成立いたしますれば、令和八年一月からサービス提供できるようにしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
○仙田委員 御回答ありがとうございます。
今、十四億円というお金をお聞きしました。この税改正システムの改修には毎年五十億円から六十億円ものお金がかかっていると聞いております。プラス、所得税法改正、百三万円の壁の追加予算についても十四億円ということでございますけれども、今回、二年間の暫定措置のために国民の皆様に納めていただいた大切な税金を活用するのでしょうか。お答えください。
○斎須政府参考人 お答え申し上げます。
国税庁といたしましては、税制の執行官庁といたしまして、改正法案が成立いたしますれば、納税者の方が適正に、また円滑に申告できる環境を整備することが重要であると考えております。
オンラインの申告が普及しておりますけれども、重要なインフラでございますので、税制改正の内容に沿いまして安定してサービス提供ができるようにシステム改修に取り組んでまいりたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
税制改正に合わせて適切に対応していくということでございますが、平大臣には釈迦に説法かもしれませんが、システム開発はQCDの三つの項目で成り立っております。QのクオリティーとCのコスト、価格、デリバリーの納期の三つでございます。今回は既に、税金をしっかり計算するというクオリティーと、納期、確定申告までにやるというところが必達条件となっておりますので、C、お金でコントロールするしかない状況でございます。
システムは作ろうと思えば何でも作れます。システム提供ベンダーは、皆様から作れますかと聞かれれば、作りますと答えます。しかし、その後ろには、作れます、お金をいただければという言葉がついて回ります。十四億円もあれば、平大臣肝煎りのAI領域への予算をもっと増やせたはずでございますし、デジタル庁の千五百人目標でいっても、年収百万円の方であれば百四十人を採用できるという大きな大きな金額でございます。
今回、十四億円も投資してやるべき案件なのか疑問はありますが、当初予算内でやり切れるのか、価格は妥当なのか、デジタル庁としてしっかりと検証をお願いし、次の質問項目に移らせていただきます。
先ほど申したとおり、システム開発はQCDの三つの項目で成り立っております。開発期間、納期が決まっている中で、国民の皆様からいただいた税金計算を間違えないようにするためにも、システム改修負荷を減らすべきであると考えております。今回の本法案に対し、所得にかかわらず百三万円から百七十八万円まで引き上げる等、シンプルな制度設計とすることが、Q、クオリティーとコストを守る意味でも必要だと考えております。また、業務設計をシンプルにすることは、国税庁及びデジタル庁で本システム開発に携わる職員の皆様の負荷軽減にもつながります。
高額療養費制度も今回見直しとなりました。所得税法改正について、デジタル所掌大臣の立場で、職員の負荷を軽減し、また、システム開発をスムーズに進行させるためにも、法律案の見直しに向けた検討を平大臣から石破総理に進言していただけないでしょうか。
○平国務大臣 御質問ありがとうございます。
まず、仕組みはシンプルな方がデジタルに対する負荷が減るのは仙田議員御承知のとおりだと思います。
私は、コロナ禍でデジタル担当副大臣をやっているときもいろいろなデジタル化に取り組んでまいりましたが、そのとき、いろいろな大臣から思いつきに近いような形で、あれはできないのか、これはできないのかと言われましたけれども、そういうものは極力排してシンプルなシステムにすることに心がけてきたところであります。
今御指摘のところは所得税百三万円から百七十八万円というところでありますが、こちらは専ら、所得税、まさに財源とその効果において決定されるべきものだと思いますので、我々デジタル庁といたしましては、決まったことを財務省と一緒にシステムをしっかりつくり上げていくということになろうかと思います。
○仙田委員 大臣、御答弁ありがとうございます。
大臣もシステム開発はシンプルな方がいいとおっしゃっていただきました。おっしゃるとおり、今、人材と時間、お金は有限でございます。現場の仕事、業務量とシステム開発の難易度を把握していただいた上で、所得税にかかわらず、業務にシステムを合わせていくのではなく、システムに業務を合わせるくらいの気概で取組をお願いし、是非職場の方々の声に耳を傾けてシステム開発に取り組んでいただきたいと思っております。
それでは、次の項目に移らせていただきます。
二つ目に、ガバメントクラウド関連について五点質問をさせていただきます。
三月五日の日経新聞朝刊に、自治体システム標準化に関する記事が掲載されておりました。全国六十二の中核市でつくる中核市市長会の会長、木幡浩福島市長は二〇二五年一月二十九日、総務省内で記者団に不満をあらわにした。矛先を向けたのは政府が旗を振る自治体のシステム標準化だ。標準化によって運用経費を一八年度比で少なくとも三割減らす政府目標に対し、同市長会の調査ではむしろ二・三倍に増える見込みとの結果が出た。平均で二・三倍、最も大きい市では五・七倍という。
また、私の選挙区であります岐阜県美濃市では、ガバメントクラウド移行に伴いランニングコストが約二・一倍にもなると試算があり、岐阜県市町村行政情報センターの調査によりますと、本センターに加盟している岐阜市以外の全ての市町村が現行コストよりも割高になるという試算が出ております。
予算委員会分科会でも質問させていただきましたが、二十事務の共通化、標準化は、地方公共団体における事務処理の内容の共通性、住民の利便性の向上、地方行政運営の効率化ですが、費用削減も目的の一つと理解しております。価格低減も目的であれば、自治体ごとにパッケージを搭載するのではなく、マルチパッケージ化前提での商品設計を最初からシステムベンダーに依頼するべきではなかったでしょうか。平大臣のお考えをお聞かせください。
○平国務大臣 まず、先ほど税制システムのところでデジタル庁と財務省が協力をしてと申し上げたのですが、国税庁の誤りでございますので、訂正させていただきたいと思います。
地方公共団体の基幹業務システムは、これまで各団体が自ら事務処理に応じて作り上げてきた経緯があります。この点を考慮せず国が一つのシステムを作って提供した場合、地方公共団体にとってかえって使いにくいものとなり、事務の遂行に支障を来すおそれがあります。また、当該共通化したシステムを提供するベンダーによる巨大なベンダーロックインに陥りかねないという懸念も我々は持っております。
これを踏まえて、今御指摘いただいたように、地方公共団体情報システムの統一化、標準化の取組においては、ベンダー間の競争性を担保した上で、標準仕様に適合する複数のベンダーが提供するシステムから地方公共団体が最適なものを選択することができることとしています。
また、デジタル庁としましては、地方公共団体等がクラウドベースのソフトウェア、SaaSを調達しやすくなるように、カタログサイトに登録されたソフトウェア検索をして絞り込み、選定することで調達できるデジタルマーケットプレースという調達手法の導入を進めているところであり、将来的には、標準準拠システムについてもこうした調達手法が活用され、競争性が働いていくものと考えております。
今後とも、デジタル化の進展に当たって必要な共通化や基盤の整備を進めつつ、各地方公共団体が地域の特性、状況にマッチしたデジタルサービスの展開が効率的に可能になることを目指していきたいと思っております。
○仙田委員 ありがとうございます。
ベンダーロックインにならないようにしていくという発言がございましたけれども、もう既にこのシステムについて音を上げて、できないと言っているベンダーがあるのも事実でございます。ベンダーロックインになっていないのに、ベンダーができないから延長するといったことが起因していないとは思いますが、このガバメントクラウドの移行に関する補助金の給付金を二〇二五年度から五年間延長する方向と伺っております。その分、元々デジタル庁が掲げていたデータの共通化、標準化の整備も遅れることになります。
そもそも、令和七年度末までに全ての自治体が移行を完了するという当初の計画に無理があったのではないでしょうか。また、仕様書を提示してから開発着手までの期間が短かったともお聞きしております。実際はどのぐらいの期間があり、本当に実現可能なもくろみがあったのでしょうか。御回答をお願いいたします。
○平国務大臣 自治体の基幹業務システムについては、原則二〇二五年度末、令和七年度末までの標準準拠システムへの移行に向けて、自治体、関係省庁、関係事業者と協力して取り組んできています。
目標として二〇二五年度末の移行期限を示したことにより、昨年十月末の時点で、システム数ベースでは九割超の自治体システムが、移行期限までに標準準拠システムへ移行できるよう、ベンダーの選定や移行スケジュールの確定に向けた作業が着実に進捗していると認識しております。これは、目標を持たなかったら多分ここまでの進捗はなかっただろうと思っております。自治体の皆さんの御協力があってのことであるのは言うまでもありません。
また、標準仕様書は各制度所管官庁及びデジタル庁において策定されていますが、二〇二二年、令和四年八月末に二十業務全ての標準仕様書が策定され、順次ベンダーによる開発が行われてきたと認識しております。
○仙田委員 ありがとうございます。
確かに自治体の数でいきますと九割が移行しているとお聞きしておりますけれども、残りの一割は政令指定都市が含まれておりまして、人口比率でいきますと約五割がまだ移行できていないのが実態だと理解しております。ですので、令和七年度末までにガバクラへ移行できなかった自治体及びシステム提供ベンダーが更に五年間延長したらシステム移行が完遂するという理由にはなっておりません。
システム移行に向け政府としてどこまで介入する予定でしょうか。また、仮に五年間の間に移行を完遂できなかった自治体、システム提供ベンダーについて、デジタル庁からの厳しいペナルティー措置は取らないのでしょうか。完遂に向けた大臣の決意をお聞かせください。
○平国務大臣 昨年十月末時点で、システム数ベースで九割超の自治体システムについては、二〇二五年度末の移行期限までに標準準拠システムへ移行できるよう、ベンダーの選定や移行スケジュールの確定に向けた作業が着実に進捗していると認識しています。
他方で、事業者のリソース逼迫による開発又は移行作業等の遅延の影響等を理由として、標準準拠システムへの移行が二〇二六年度以降とならざるを得ないことが具体化したシステムもあり、昨年十月末の時点で二千百六十五システム、全体システムの六・三%が該当すると見込まれております。引き続き状況を注視していきたいと思います。
こうしたシステムについては、特定移行支援システムとして、おおむね五年以内に標準準拠システムへ移行できるよう、国としては積極的に支援してまいりたいと考えております。
具体的には、現行システムの事業者の撤退等により次期事業者の選定に至っていない自治体に対する事業者情報の提供、標準化PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)ツール上での制度所管省庁からの助言の充実、デジタル基盤改革支援基金の設置年限の延長に必要な法改正に向けた対応によって、標準準拠システムへの移行を各自治体の事情などに応じて丁寧に個別に支援していきたいと考えております。
システム移行に当たっては、住民サービスに影響を及ぼさないよう円滑かつ安全に移行を行うことが重要だと考えておりまして、自治体やベンダーにペナルティーを科すことは考えておりません。
○仙田委員 ありがとうございます。
デジタル庁がデータ共通化、標準化をしっかりやっていくという旗印を掲げているにもかかわらず、リソースが逼迫しているからできませんとお手上げしているところに対しては、しっかりとした是正をしていくべきだと私は思っております。
データ共通化、標準化の整備は、データ流通圏をつくっていくという意味では非常に大事なシステムでございますし、これは国策と言っても過言ではございません。司令塔として力強い推進をお願いし、万が一の場合はシステム提供ベンダーにもヒアリングできるよう取り計らいをお願いしまして、次の質問に移らせていただきます。
今回の二十業務の標準化を全体統制しているのはデジタル庁と理解しておりますが、省庁ごとの横串を刺せているのでしょうか。例えば、現場からは、サイトウ、タカハシ、ワタナベといった外字や文字のフォント、文字体の統一規約を作っておくべきだという声が上がっております。
自治体システムの標準化に関して、行政事務で使用する文字フォント、文字体、外字を含めて国として統一提供するべきではないでしょうか。その際、今回のシステム移行を契機に、戸籍統一文字と登記統一文字も行政事務標準文字に統一するべきだったのではないでしょうか。平大臣の見解をお伺いします。
○平国務大臣 地方公共団体の基幹業務システムの統一化、標準化については、デジタル庁を司令塔として、総務省や制度所管省庁と連携して取組を進めているところであります。また、地方公共団体の基幹業務システムにおいては、個人の氏名や住所等の情報を正確に扱うため、自治体ごとに外字が作成され、それが原因となって情報システム間のデータ連携の阻害要因となったり、ベンダーロックインが生じるといった課題があります。
このため、デジタル庁としては、基幹業務システムで使用する文字セットとして約七万文字の行政事務標準文字を令和六年三月に策定し、現在、各自治体において導入に向けた準備を進めていただいているところであります。また、文字フォントについては、検討過程における自治体等からの意見を踏まえ、令和六年九月に当用フォントとして自治体に参考として提供しています。
なお、登記を含めた氏名等以外の漢字に係る取扱いについても、統一的に対応すべく、今後有識者等の意見もお伺いしながら前向きに検討していきたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。
外字を含めて七万文字という大きな、膨大な数がございますけれども、是非、統一規格をしてデータ標準化、共通化に向けて前進していただきたいと思っております。
ガバメントクラウドの最後の質問になりますが、移行する全ての自治体がガバクラ移行後にコストを削減できていない状況の中、期日どおり移行を完了した自治体が追加のコスト負担を負うことは、コストの面のみで判断した場合、ガバクラ移行を遅らせた方がよかったのではないかという声も出てくる可能性がございます。
先ほどの日経新聞には、政府は運用経費について、二〇一八年度比で少なくとも三割削減目標を掲げている、同市長会は二十九日、デジタル庁と総務省に、想定を上回る運用経費の増大については国の責任において適切に財政措置をしてほしいと要望したという記事がございます。
システムコストが増える自治体に対し、実態把握の上、地方交付税交付金を適用する等、追加の支援策等を検討していただけないでしょうか。平大臣の御意見をお伺いさせていただきたいです。
○平国務大臣 移行後の運用経費が増加する要因は、自治体の現行システムの利用形態や移行後のシステムの状況など様々な要因が考えられるため、まずは事業者の見積書の内容をしっかりと精査していただく必要があると考えております。
デジタル庁としては、運用経費が抑制できるよう、事業者に対して見積り内容を自治体に丁寧に説明することの要請、依頼があった自治体への見積り精査支援、クラウド利用料の大口割引等の提供、クラウド最適化支援などの取組により自治体を最大限支援してまいります。
この間の予算委員会でも答弁申し上げましたが、見積り精査支援は結構利きますので、是非御活用いただきたいと思います。意外とこれが活用されていない現実があるというふうに報告を受けています。
その上で、自治体の情報システムの運用経費については、自治体が現行システムで負担する運用経費に相当するものであることなどを踏まえ、各自治体が負担することが基本となりますが、ガバメントクラウドの利用料等の増加分については、デジタル庁で把握しているガバメントクラウドへの移行状況等を踏まえ、所要の地方交付税措置が講じられることとなっております。
引き続き、地方自治体の御意見をよく伺って、関係省庁とも連携して対応してまいります。
○仙田委員 ありがとうございます。
おっしゃっていただいたとおり、クラウド最適化につきましてはクラウドのスケールメリットが出てくると思いますけれども、パッケージにつきましては、一自治体一パッケージを購入しなきゃいけない今の制約の中では、抜本的にコストが下がるとは思っておりません。ですので、パッケージについても、国が買って人口割で提供する等、検討していただきたいと思っております。
業務の標準化、共通化を含め、データ規格の整備は将来的なデータ活用に非常に重要な施策となっております。二十業務以外にも順次業務を追加していくとも伺っております。期日を守ってガバクラに移行した自治体が先行デメリットにならないよう、是非追加支援策の検討をお願いし、次の質問項目に入らせていただきます。
三つ目に、AI活用について御質問させていただきます。
先般、予算委員会分科会で平大臣が、注力していく領域はAIとおっしゃっておられましたが、AIを活用する分野は具体的にどの分野でしょうか。教えていただきたいです。
○平国務大臣 まず、AIについては、内閣府の科学技術・イノベーション担当大臣が司令塔となり、法案の提出準備を進めているところであります。私は、AIの安全性の確保と競争力強化を担当大臣と協力して取り組むように総理指示をいただいているところであります。
私が所管しているところで一番重要なのはデジタルガバメントでありまして、デジタルガバメント、ガバメントクラウドと来たら、政府AI、行政支援AIということになろうかと思います。
今、デジタル庁ではAIアイデア・ハッカソンをやっていて、私の感触だと劇的に霞が関の業務を効率化できると思っておりますので、デジタルガバメントのところにAIの実装をスピードを上げて進めていきたいと考えております。
○仙田委員 ありがとうございます。是非、行政支援の分野でAIを使って効率的なシステム開発をしていっていただきたいと思っております。
ガバメントクラウドは自治体を巻き込んだ国としての一大プロジェクトだと理解しております。国主導で進めていく上で障害、障壁となる部分については、すぐにアラートを上げ、迅速に解決できる組織づくりをお願い申し上げ、私の質問を終了させていただきます。
本日はありがとうございました。
○谷委員長 次に、草間剛君。
○草間委員 自民党の草間剛でございます。
本委員会では初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。
私は、三期十二年横浜市会議員を務めて、共働き世帯、今日も多くの子育て中の皆さんから質問がありましたけれども、私も一歳と六歳の子育て中でございまして、まず、同じ神奈川県の三原大臣に子育て政策からお聞きしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
昨年十一月に私の地元であります宮前区の保育・子育て総合支援センターを大臣が視察いただきまして、私も同行させていただきました。
視察内容は、政府が来年度から本格的な導入を考えておりますこども誰でも通園制度ですけれども、保護者の方との意見交換の中で、保育士の先生方の処遇改善をしてほしいという声に、大臣が、私もどうにかしたい、頑張りますとお答えしている姿を今でもよく覚えております。
今国会でも様々な子供施策の無償化の議論がありますけれども、それと同じく、またそれ以上に重要なのが、まさに現場の先生方の処遇を上げることだと思います。
大臣やこども家庭庁の皆さんの御尽力で、昨年末には保育士と幼稚園教諭の給与を一〇・七%引き上げる処遇改善策が盛り込まれ、私としても初めてだった国会でその補正予算が成立いたしました。今までここまで上げることができなかった保育園、幼稚園の先生方の給料を上げたということは大きな成果だと考えます。
そこで、保育園、幼稚園の先生方の賃上げに対する大臣の思いを伺いたいと思います。
○三原国務大臣 未来を担う子供たちの育ちを支えるすばらしい保育園や幼稚園を職場として選んでいただき、また働き続けていただくためにも、保育士や幼稚園教諭の皆様方の処遇改善は極めて重要だと考えております。
私自身、先ほどお話しいただきました、昨年、委員の地元の川崎市の方に訪問させていただいた中でも、保護者の皆さんから、保育士の処遇改善が何とか必要ですという強い御意見をいただきました。子供に一番身近な存在である保育士等の皆様の処遇改善は保育の質の向上にもつながるものであって、未来を担う子供たちのためにも大変重要でございます。
私が大臣になって最初の予算であります令和六年度補正予算において一〇・七%の大幅な改善を実施いたしまして、令和七年度予算案でも財源を確保した上でこれを反映しております。仮に、各現場でこの水準の賃上げが行われた場合は、平均賃金を用いて機械的に計算しますと三万円を超える改善となるものであり、保育士等の皆様の処遇が大きく改善されて、保育現場が魅力ある職場だと実感していただけることを強く期待しているところでございます。
今回の改善も含めまして、平成二十五年度以降では累計約三四%改善を図ってきました。そのことによって全産業の平均賃金との差は随分縮小してきたと考えております。
昨年十二月に公表いたしました保育政策の新たな方向性では、保育士等の処遇改善につきまして、他職種と遜色ない処遇の実現を掲げさせていただきました。引き続き、こども未来戦略に基づいて、民間給与の動向等を踏まえまして更なる処遇改善を頑張ってまいりたいと思っています。
○草間委員 これから私も地元に帰ってまさに保育園に娘を迎えに行くんですけれども、大臣の今のお言葉をしっかり伝えてきたいと思います。ありがとうございます。
続きまして、子育て中の親として、最近ニュースを見ていて本当に胸が痛むのが子供の自殺の増加です。
政府の調査では、令和六年は、昭和五十五年から調査を始めて以来、過去最高となる五百二十七人の子供たち、小中高生が自ら命を絶っています。特に高校生が多くて全体の六六%、三百四十九人が一年間で亡くなられています。未来ある子供たちがこれだけ亡くなっていることについては、本当に言葉になりません。
今月発表されたこども家庭庁の調査では、十五歳から十八歳の子供の五人に一人以上が、実際に深刻な悩みを持つ子供に向き合った経験があると答え、およそ八割が子供の自殺が周囲で起こる可能性があると認識しているということでございまして、この問題は国家としての深刻な課題だと思います。
大臣もこの件については大きな課題認識をお持ちだと聞いておりますし、実際に視察もされていると聞いておりますけれども、そこで、子供の自殺の増加に対する大臣の認識と、この問題に向き合う大臣の決意を伺いたいと思います。
○三原国務大臣 令和六年の小中高生の自殺者の暫定値が過去最多の五百二十七人となり、こども政策担当大臣として痛恨の極みで、自責の念に堪えません。
今回の暫定値の公表を受けまして、直ちに私から子供、若者に向けた緊急メッセージを発信するとともに、関係省庁連絡会議を開催して、こどもの自殺緊急強化プランに掲げる施策について、より効果的な取組方法、新たに講ずべき施策等がないかなどの総点検、更なる対策の検討を指示いたしました。
また、先日、中学生、高校生を対象とする、深い悩みを持った友人への寄り添い方を学ぶワークショップ、これは横浜市の関東学院で開催いたしまして、私も視察に行かせていただきました。参加した生徒の皆様から、自分が相手の気持ちになって考えるのがすごく難しいとか、悩んでいる友人がいればこれから気にかけていきたい、そんな身近な友人に寄り添うことの大切さや難しさを学んだということでございます。
信頼できる大人に相談してほしい、一人で悩みを抱え込まないでほしい、そしてまた、それを打ち明けられるような社会を子供たちと一緒につくっていきたいということを私からもお話しさせていただきました。
さらに、令和六年版自殺対策白書におきまして、四年以降の自殺者のうち、自殺未遂後一年以内に自殺した者は未遂歴がある自殺者の過半数を占めるということが明らかになっております。この未遂者への支援強化が重要であると考えておりまして、その家庭、自殺未遂者を保健、医療、福祉、教育、こうした各機関が連携して包括的に支援することが大切だと考えております。
○草間委員 ありがとうございます。
済みません、私は緊張して一問参考人の方の答弁を飛ばしてしまったんですけれども、後日また伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
先ほどの他の委員の御質問でも、大臣は過去にいじめを自身として経験されているというお話もございました。まさに当事者として、そして、今いじめ対策の責任者である大臣になられたということだと思うんですけれども、いじめ解消に立ち向かう取組、決意、これを伺いたいと思います。
○三原国務大臣 委員御指摘のとおり、いじめの重大事態件数も過去最多となりまして、極めて憂慮すべき状況でありますし、また、私も過去の経験もありますが、いじめというのは絶対に許されない行為であり、なくしていかなければなりません。
例えば、いじめの件数など調査結果の公表を受けまして、速やかにいじめ防止対策に関する関係省庁連絡会議を開催して更なる強化策を取りまとめさせていただきました。いじめ防止のためには、学校だけに任せず、福祉や警察など、学校以外の力を結集して地域全体で取り組む、こうしたことが大切だと思います。また、首長の皆様に対しても、学校だけでなく、地域全体でいじめ防止対策を進めることを強く働きかけを行ったところでございます。
また、新たにいじめの重大化要因等の分析・検討会議を立ち上げまして、学校現場等に役立つ情報をフィードバックできるように議論を進めているところでございます。
いじめをなくして子供を守るために必要な取組を積極的に進めていきたいと考えております。文部科学省など関係省庁と連携して、社会総がかりでいじめ防止対策を進めてまいりたいと思います。
○草間委員 ほかでもない三原大臣がいじめ対策の最前線に立たれている今、やらなければいけないことが多々あると思いますので、これからも是非とも取組をよろしくお願いしたいと思います。
これまで議論させていただきました子育て政策などは、今までほぼ自治体任せになっていたということを横浜市会議員時代も感じておりました。結果、何が起こるかというと、自治体財政の格差により、財政が豊かな自治体が子育て支援サービスをどんどん進めていって自治体間で子育て政策の大きな格差が生まれてしまい、それが人口流出にもつながっております。
その顕著な例が、私の地元であります川崎、横浜、そして千葉、埼玉のような東京に隣接する自治体だと思います。全国で唯一、私は川崎と横浜という政令指定都市をまたぐ選挙区の議員ですけれども、多摩川を越えれば保育園が無料とか、道の向こうの町田市民になれば高校が無償化とか、まさに多くの住民が東京に通勤通学しているにもかかわらず、住民サービスでは大きな格差が生まれてしまっていて、多くの不満が私の元にも届いております。
そこで、東京都隣接自治体の東京への人口流出の現状についての認識と所感を伊東大臣からいただきたいと思います。
○伊東国務大臣 今、東京の近隣の皆さんの東京への流入、一極集中ということのお話がございましたけれども、これは、東京が端的な例で出てまいりますけれども、私は北海道でありますから、北海道も全く同様でございまして、あの市がこれだけの無償化、無料化ができるのに、この町ではどうしてできないんだというような疑問あるいは不満というのがよく聞かれる話であります。
東京は特にその例が大きいかなと思うわけでありますけれども、もちろん、人口がたくさんいる、しかし、東京でも中央区とか千代田区とかのビジネス街は住民が少ないわけでありますけれども、そこで上がる税収は莫大な税収が上がるものでありますから、あれも無料にします、これも無料にします、そういう政策を取るわけであります。それが悪いという話をする気は全くありませんけれども、それぞれの自治体でそれぞれの住民サービスを計画し、実施されているところでありますが、残念ながらそれに追いつかない、あるいは、とても財政的にそれができない区や市、地域がたくさんございまして、日本全国大小ありますけれども、この格差に各地域で悩んでおられ、そしてまた格差が広がっている現状であろうと思います。
私は思うんですけれども、最低限、国の基本として、ここまでは国がやるよという方針をどこかで示す必要があるのではないかなという思いがいたします。
隣町で給食費がただになる、しかし、うちの町ではまだ財政的にそれができないなどという声がたくさん出てきているところでありまして、大きな町と小さな町との格差というものを是正していかなければならないだろう、このように思う次第であります。
○草間委員 大臣、気持ちのこもった御答弁をありがとうございます。
まさにその問題意識をどうにか解消していかなくてはいけない。国でやることもそうですし、自治体でやれることもあると思います。全部国がどうにかするということではなくて、税制と自治制度の改革によって自治体自らが変革して現状を打破していく環境をつくっていくということも大変重要だと思っておりまして、川崎市、横浜市を始め政令市からは特別自治市への要望が長年にわたり国に出されていると思いますけれども、そこで、特別自治市への取組状況について古川総務大臣政務官に伺います。
○古川大臣政務官 お答えいたします。
人口減少が進む中でも経済を持続可能なものとし、人々が全国で安心して快適に暮らしを営んでいけるようにするためには、大都市や大都市圏域の果たす役割が重要と考えられます。
総務省では、現在、ワーキンググループを設け、大都市における行政課題への対応について議論を行っており、この中で、いわゆる特別市制度についても指定都市を含む関係自治体から御意見を伺っているところでございます。
大都市や大都市圏域が今後果たすべき役割、そのために必要な制度の在り方について様々な意見がある中、自治体の声も伺いながら議論を深めてまいりたいと考えております。
○草間委員 特別市が提案されてから十五年が経過するわけでございますけれども、政令指定都市の人口は減少傾向にありまして、人口が多い分、少子高齢社会の影響をもろに受けているのも政令市だと思います。
行政DXにしても、標準化の作業も、行政サービスのニーズが多様な政令市ほど遅れている感もあるんですけれども、平大臣、自治体情報システム標準化については、都道府県だけではなくて、特に、人口が多く、行政区を抱える政令市をフォローする体制を強化すべきだと考えますけれども、認識を伺いたいと思います。
○平国務大臣 指定都市の多くは、早くから情報化に取り組まれていて、パッケージを使わずに独自に構築されてきたため、現行システムがメインフレームや個別開発システムで運用されているので、クラウドに上がっていく標準化のところは遅れているという問題があります。
なので、デジタル庁としては、都道府県ごとに標準化リエゾンを配置していて、この標準化リエゾンからもこういった指定都市の抱えている問題を把握しておりますので、これをベースに課題解決に向けて今助言等を行っているところであります。
引き続き、指定都市を含めた地方公共団体の取組を支援していきたいと思っております。
○草間委員 大臣、ありがとうございます。
そのリエゾンの方ですけれども、実は、横浜市を担当いただいている方は小田原市の方ということでございまして、かなり自治体の規模が違うということもあり、恐らくデジ庁の中でも頑張られてはいるんだけれども、そもそも人がいないということもあるので、是非政令市の人材をデジ庁でもっと活用いただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
最後の質問は、まさに先ほど仙田先生が平大臣だけの質問シリーズでございましたけれども、実は、個人的なことですけれども、私は大学院生のときに早稲田大学のマニフェスト研究所というところにおりまして、覚えていらっしゃらないと思うんですけれども、そこで当選したての平大臣に様々な御薫陶をいただきまして、君も研究所でデジタルをやるんだったら「攻殻機動隊」ぐらい読んだ方がいいよと言われて、全部読ませていただいた記憶もあります。
なので、実は私が二十代の頃から平大臣はずっとデジタルをやられていて、平大臣は今年で二十周年を迎えられるということでございますけれども、この二十年間のデジタル政策、平大臣が行ってきたものの振り返り、それから決意を、最後に一分四十秒ぐらいありますので、よろしくお願いしたいと思います。
○平国務大臣 「攻殻機動隊」は、私は経産省の大臣政務官のときに役所でこれを読むようにと言って、あの頃はデジタルという閉じた世界が、今はテスラとか自動走行とかロボティクスとか、外に出てきているわけです。あれを予測した漫画でありまして、今ああいったことをリスクとしてどう捉えていくのか。また、生成AIが出てきましたので、AI掛けるロボティクスとかAI掛けるヒューマノイドという世界に入っていきますので、あの問題意識は重要だと思います。
私が一番強烈なのは、コロナの対応でデジタル担当の副大臣をやっていました。そのときの一番の問題意識は、マイナンバーカードを普及させないとデジタルで対応できません。私が副大臣のときは一三%しか普及していませんでしたが、牧島元大臣もいらっしゃいますけれども、今、九千六百万枚超になりました。
あと、いわゆるコロナの陽性患者さんの数をファクスで報告してレイヤー構造で目詰まるというのがあったので、クラウド化しないと始まらない、標準化しないと始まらないということで、昨年クラウド化法案を通すことができました。
なので、ようやくマイナンバーカードの普及とクラウド化のデジタルガバメントで素地ができてきた。そこに生成AIが出てきましたので、先ほども申し上げましたけれども、生成AIをフル実装して一人一人に寄り添った、しかも人件費が余り上がらないでワン・トゥー・ワンの行政を実現する、そういったデジタルガバメントをこれから実現していきたいと考えております。
○草間委員 ありがとうございました。
これからもデジタル社会推進に向けて全力でよろしくお願いしたいと思います。僕も頑張ります。ありがとうございました。
○谷委員長 次に、吉良州司君。
○吉良委員 有志の会、吉良州司です。
実は、昨年の臨時国会の当委員会において、子育て支援、そして、地域の自立を促す、地域が主役の国づくりのグランドデザインについてというテーマを掲げて質問したんですけれども、子育て支援に時間を使い過ぎてしまいまして、今言った地域が主役の国づくりという件については、尻切れトンボで終わったというか、頭出しだけで終わりましたので、今日はテーマを、地域の自立を促す、地域が主役の国づくりのグランドデザインについてということについて伊東大臣と議論させていただきたいと思っています。
地方創生がこれだけ重要視されているということは、裏返せば、地域の活力が残念ながら失われているということ。だからこそ地方創生が非常に重要な政策になっていると思います。
では、地域また地方の活力が減退傾向にある、この根本的な原因は何だと大臣はお考えでしょうか。
○伊東国務大臣 何といっても、余り堂々と認めたくないところではありますけれども、地方の人口減少及び少子化に伴う若さが失われつつある地域の実態であろうというふうに思う次第であります。
○吉良委員 おっしゃるとおり、人口減、少子化、それから若い人たちがいなくなることにより若さが失われている、これが一番大きな問題だろうと思っています。
では、なぜそうなったのか。私自身の問題意識は、依存心が余りにも強いということ。これは地方だけではなくて、私に言わせると、個人も企業も地域もみんな国に依存している。残念ながら国も米国に依存している。依存体質の国になってしまっている。自立心が失われて活力が生まれてくるはずがないです。そういう意味で、私自身は、地方の活力が失われている最大の原因は、今言った依存心の横行だと思っています。
一方で、地方は依存心だらけだと今言ってしまいましたけれども、それを実は政治があおっているんです。自分を、自分の政党、政権を頼ればこうしてやるぞ、ああしてやるぞ。次から次に何かを与えることで政治をやっている気になっている。地方を活性化することになっていると思っている。
私はNHKの番組で「ワイルドライフ」とか「ダーウィンが来た!」とか自然ものが大好きなんですけれども、あれを見ていつも動物に教わるのは、親は、僅か一年、二年、場合によってはもっと短い期間に必死で、親元を離れたときに自分で生きていけるように、ネコ科の動物なんかは、ある一定の年齢に達すると親が暴力を使って追い出すようにしてでも独り立ちさせていく。このようにしなければ独り立ちできない。生きていけない。逆に、自立できれば活力が生まれる、生きる力ができてくるとまず思っています。
二点目は、市議をやり、道議をやり、首長もやられている伊東大臣には釈迦に説法になったり失礼な物言いになるかもしれませんけれども、私は、地方の政治、それは首長も地方議会も政治判断をしていないと思っているんです。
萩生田光一元文科大臣がおられますけれども、以前、文科委員会で二人ぐらいの大臣に、例えば、弁護士は法律のプロ、公認会計士は会計のプロ、政治家は何のプロですかと聞いたことがあります。いろいろな答弁があったんですけれども、ここでは言いませんけれども、萩生田大臣の答弁は本当に感服する答弁をいただきました。
私に言わせると、一番大きな役割は優先順位を明確にすることだと思っています。何百、何千という要望が来ても、予算が限られている、それに対応できる人員が限られている、そうなった時には、残念ながら十番目以下は予算をつけられませんと言わなきゃいけない。これが一番だろうという人に対して、いや、一番はこれだと説明して説得して納得してもらわなきゃいけない。
ところが、今の地方というのは、例えば、渋滞が問題だということで橋を架けなきゃいけないという課題がある。一方で、こんなに暑いときに、学校のクーラー、空調を整備しなければいけない。また、高齢者施設を新たに造らなきゃいけない。こういう課題があったとしたときに、本来なら、国に頼れなければ、その三つのうち例えば何が一番で何が二番で何が三番でと優先順位をつけて、それに基づいて今言った予算づけ、人員配置をしていかなきゃいけない。
ところが、今の日本の仕組みですけれども、橋が大事だといえば国交省にお願いに行って箇所づけしてもらう。文科省に行って、この学校に今言った空調の予算をつけてくれ。それぞれ中央省庁に行けば、各地域、地域で政治判断を、優先順位をあえて判断しなくていいという状況になっています。
自らそういう判断をしない。仕事でも、判断業務には一段高い、ある意味では責任を伴う職務として高い給料が払われますけれども、その判断をしていない。さっき言いました依存心、そして、地方が一番大事な優先順位の明確化、政治判断をしていない、これが最大の原因だと私は思っていますけれども、もう一度、大臣の私の問題意識に対するコメントも含めて答弁いただければと思います。
○伊東国務大臣 吉良先生がおっしゃられることはよく分かります。
私も、地方議員をし、あるいは首長をしておりまして、今お話にありますように、たくさんの案件、要望が山ほど来て、どういう順番で序列をつけていこうか、そんなことを悩んだ時期も相当あったわけであります。
最近思うんですけれども、人口減少が続く小さな町や村に行って私は最近気がついたんですけれども、その小さな町に農協のガソリンスタンドが一軒しかなかった、お年寄りの介護施設が一か所しかなかった、小さなクリニックが一か所しかない、そういう小さな町村がたくさんあるんですが、その町村で、優先順位は別として、その施設が一か所でもなくなると、その町も村も若い人が出て行ってしまう。奥さんたちは子供を病院に見せることもできない。お父さん、お母さんは年を取ったおじいちゃん、おばあちゃんをデイサービスで預ける場所もない。そういうところがたくさんありまして、それを見ると、それが一か所その町でなくなるだけで、その町や村は間違いなく疲弊していく、あるいは過疎化が更に進むということが目に見えて分かる場所がたくさんあります。
先ほどから優先順位の話をお聞きしながら、優先順位のつけようのない最低限の、町として、自治体として、コミュニティーとしてどうしても必要な部分というのはたくさんあって、甲乙つけ難いのではないかなという思いを最近するようになりました。
ですから、どんな小さな町でも村でも、その地域がコミュニティーとして存続する、商店一軒、ガソリンスタンド一軒、それがなくなった瞬間にその町が更に過疎化に輪をかけてしまう、そんな実態を見るにつけ、私は、地域のコミュニティーは大事だなという思いをしているところでありまして、それはきちっと残していかなければと思っております。
○吉良委員 伊東大臣がおっしゃることはもっともだと思っています。
ですから、私は地域とか地方と言いましたけれども、地方といっても、今大臣がおっしゃった農協がなくなる、ガソリンスタンドがなくなるというような地域もあれば、地方都市もあります。それら両方がウィン・ウィンになりながら、依存から自立へというふうに、ある意味では大きな国のグランドデザインとして仕組みをつくっていく。そのことによってどちらも救う手があると思っているんです。
もう半分使ってしまったので、私自身の地域活性化、地域分権、地方が元気になるための私なりのグランドデザインというのは、国と自立できる基礎自治体という二層制です。今は国があり、都道府県があり、市町村がありますけれども、これを国と基礎自治体にしていくという考え方です。
では、どういう基礎自治体なのかといいますと、まず、生活圏、経済圏がある程度一緒であること。生活圏、経済圏が一緒だということは、歴史的、文化的に共有している人たちがいるということです。
もう一つは、中核都市があるということです。
よく人口減少、地方の人口流出と言われますけれども、大分もそうですけれども、大分の周辺部は実は大分市に流れ込んでいる。大分市が実はダムの役割を果たしている。それでも県全体としては大都市へ流出してはいますけれども、でも、地方の中核都市が今言ったダムの役割を果たしている部分もあるんです。その中核都市をまさに中心として、今言った生活圏、経済圏が一緒の地域を一つの基礎自治体として自立できるようにできないかということを考えているんです。
この考え方でいきますと、奈良時代の律令制時代にあった国が、ある意味では、日本全国を見てみると、大概、中核都市があって生活圏、文化圏が一緒。文化圏が一緒というのは方言が一緒なんです。
上川筆頭がおられますけれども、静岡でいえば、今は大きな静岡県ですけれども、遠江があってそこに浜松市という中核都市があって、駿河があって駿府、静岡市があって、ですから、私の言う基礎自治体と二層制になったときは、静岡県ではなくて、遠江市というのか駿河市というのか分かりませんけれども、そこが一つ自立していくということなんです。石破総理の地元であれば、伯耆の米子と因幡の鳥取市が一つの基礎自治体になるというようなイメージ。それによって基礎自治体の中で自立を促していく、こういう構想を持っています。
一つだけ言っておきますと、さっき言った生活圏、経済圏、文化圏、中核都市があるという意味では、関東圏とか中部圏、関西圏、大都市圏はある意味では州という扱いにしなければいけないんだろうと思っています。例えば仙台圏、福岡圏をどうするかというのは議論があるところでありますけれども、基本は今言ったように、大都市圏は州、そして、地方は今言ったかつての律令制の国を一つの参考にしながら基礎自治体にしていく。これによって自立を促していくことによって、私は前に言ったかもしれませんけれども、今の日本の地方の弱さというのは、東京が機関車で、地方は客車で、自力走行ができない、引っ張ってもらっている。これを、今言った基礎自治体も全部電車や新幹線のように自力走行できていくようにして初めて日本全体が活力が生まれる、このように思っていますけれども、今言った私自身のグランドデザイン構想について感想も含めて大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
○伊東国務大臣 吉良先生の構想をお聞きして、本当に大きなお話、そしてまた、将来そういうところが生き残るのかな、そんな思いをしたところであります。
しかし、中核市、人口二十万以上の市でありますけれども、中核市であったところもこの十年で大幅に人口が減り始めております。それと同時に、この間の下水道事故ではありませんけれども、水道、下水道、ごみ処理、そういった事業が一つの自治体ではできなくなって、みんな広域化、集約化された形の中で処理せざるを得なくなってきておりまして、行政区域というか処理区域が拡大してきている部分も相当あるのではないかという思いがあります。
それに加えて、さらに医療関係が、医療、福祉関係の広域化というか、周辺を全部大きなところが吸収し、面倒を見ていかなければならない、そんな自治体がこれから増えてくる。それでなければ生き残れない、そんな感じもあちらこちらで見受けるものでありますから、そこをどういうふうに上手に整合性を取って協力し合って乗り越えていくかというのがこれからのテーマかな、そんな思いをしているところであります。
○吉良委員 先ほども言いましたように、私の構想する自立できる自治体というのは、農村部とかを含んでさっき言った広い地域、自分の大分を出して恐縮ですけれども、大分は、北部の方は豊前圏という福岡の経済圏があって、西の方は福岡経済圏に入るところがあるんですけれども、それを除いた部分が全部、豊後市というか豊後圏というか、基礎自治体になるというイメージなので、周辺の人口が大きく減少しているところも全部含んでいる。
ただ、そこは、農林水産業であったり、若いうちはそこから中核都市に通勤できるような仕組みをつくることによって、中核都市も栄えていくし、その中核都市を支えながら今言った周辺というか農村部も栄えていく。この一番いい単位がさっき言った経済圏、生活圏がある程度一致した地域ということであります。
あと、大臣が先ほど言いました下水道やそういう基礎インフラについては、同じ基礎自治体といっても、基礎自治体である程度完結できる規模の基礎自治体もできるでしょうし、おっしゃるように、二つ、三つの基礎自治体で広域連携をやることによって初めて基礎インフラを維持できる。そこはこれから各論について議論する必要があると思っています。
私は、地方を元気にするためには、自立心を促す。自立できると楽しくてしようがないですよね。自分も社会人になるときは、これから自分でお金を稼いで好きなように人生を切り開いていける、わくわくした経験を覚えていますから。自立することで活力を生み出す。そのグランドデザインに基づいて、地域も、地域の集まりである国の活力を取り戻していきたい。
時間が来ましたので、その思いをお伝えして私の質問を終わります。ありがとうございました。
○谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時五分散会