衆議院

メインへスキップ



第5号 令和7年4月3日(木曜日)

会議録本文へ
令和七年四月三日(木曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 谷  公一君

   理事 上田 英俊君 理事 上川 陽子君

   理事 牧島かれん君 理事 神津たけし君

   理事 坂本祐之輔君 理事 森田 俊和君

   理事 東   徹君 理事 日野紗里亜君

      東  国幹君    大西 洋平君

      加藤 竜祥君    岸 信千世君

      草間  剛君    小池 正昭君

      田野瀬太道君    土田  慎君

      萩生田光一君    三反園 訓君

      宮内 秀樹君    宮下 一郎君

      山本 大地君    東  克哉君

      安藤じゅん子君    市來 伴子君

      中谷 一馬君    橋本 慧悟君

      福田 淳太君    福森和歌子君

      柚木 道義君    うるま譲司君

      奥下 剛光君    仙田 晃宏君

      浮島 智子君    大森江里子君

      阪口 直人君    本村 伸子君

      吉良 州司君

    …………………………………

   国務大臣

   (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画担当)         三原じゅん子君

   内閣府副大臣       辻  清人君

   厚生労働副大臣      鰐淵 洋子君

   内閣府大臣政務官     友納 理緒君

   デジタル大臣政務官

   兼内閣府大臣政務官    岸 信千世君

   政府参考人

   (こども家庭庁長官官房長)            中村 英正君

   政府参考人

   (こども家庭庁成育局長) 藤原 朋子君

   政府参考人

   (こども家庭庁支援局長) 吉住 啓作君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           尾田  進君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           青山 桂子君

   衆議院調査局地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別調査室長 阿部 哲也君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月三日

 辞任         補欠選任

  加藤 竜祥君     山本 大地君

  田野瀬太道君     土田  慎君

  宮下 一郎君     東  国幹君

  黒田 征樹君     うるま譲司君

同日

 辞任         補欠選任

  東  国幹君     宮下 一郎君

  土田  慎君     田野瀬太道君

  山本 大地君     加藤 竜祥君

  うるま譲司君     黒田 征樹君

    ―――――――――――――

四月二日

 国・自治体の責任を堅持・拡充し、保育・学童保育の基準・施策の抜本的改善と予算増額を求めることに関する請願(浅野哲君紹介)(第七六七号)

 同(三角創太君紹介)(第八四七号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 児童福祉法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、児童福祉法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付いたしておりますとおり、こども家庭庁長官官房長中村英正君外四名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。大西洋平君。

大西(洋)委員 自民党、東京十六区選出の大西洋平でございます。

 本日は、貴重な質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 過日の予算委員会の分科会におきましても、こども家庭庁所管の事項につきまして質問をさせていただいたところでございますが、まさに私も子育て世代でございます。日頃いただく御意見も胸に今日も質問をさせていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 それでは、通告に従いまして質問に入らせていただきます。

 本日議題となっております児童福祉法等改正案につきましては、これまで取り組んできた制度の拡充や、国家戦略特区で試みてきた制度の全国展開、児童虐待に関する対応について法的根拠を与える措置など、子供及び子育て家庭にとっての安心、安全を確保し、保育士の皆様の労働環境整備に必要な改正であると評価をさせていただいております。その上で、幾つか気になった点につきまして質問をさせていただきたいと思っております。

 まず、保育所等の職員による虐待に関する通報義務についてお伺いをさせていただきます。

 今回の改正において、保育所等の職員による虐待や不適切保育が行われた場合には、そうした行為を発見した職員は、都道府県などへの通報義務が課せられることになります。既に高齢者施設や障害者施設などにおいては通報義務が課せられており、必要な措置であると考えております。

 高齢者施設や障害者施設と同様、保育所内での虐待行為においても、経営者や上司、同僚などによるものもございます。こうした状況下で、虐待事案の通報を行うことで通報者に不利益処分等が行われないように、何らかの対応が必要と考えますが、こども家庭庁として通報者の保護についてどのように考えているか、お伺いをさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、虐待を発見をし、通報した方が不利益な取扱いを受けないようにすることは重要であると考えております。

 まず、公益通報者保護法の第五条では、公益通報したことを理由に降格、減給その他不利益な取扱いをしてはならないとされており、保育所等の虐待通報に関しても当該規定は適用されます。現在、ガイドラインで虐待通報の仕組みを運用しているところですが、こうした内容をガイドラインにも記載をし、通報した方の保護を図りながら、現在も取組を進めているところでございます。

 その上で、今回の法案において虐待通報の仕組みを法制化するに当たりましては、ただいま申し上げた公益通報者保護法の規定に加えまして、児童福祉法においても、虐待通報を行った保育所等の職員は、通報したことを理由として解雇その他不利益な取扱いを受けない旨を入念的に規定することとしております。

 法改正後、施行までの間にガイドラインを改訂をし、児童福祉法の不利益取扱禁止について明確に記載した上で、保護される通報者の範囲の明確化や自治体による周知の必要性などについても盛り込みまして、児童福祉法の新たな規定の趣旨をしっかり伝えられるよう、内容を充実させまして、周知徹底を図ってまいりたいと思っております。

 虐待を発見した方が通報しやすい環境づくりにしっかりと取り組んでまいります。

大西(洋)委員 答弁をいただきました。

 児童福祉法においてもしっかりと対応していただくということでお話をいただきました。やはり、子供たちのためにしっかりと使命感を持って通報いただく方が多いと思います。そのときに不利益があってはならないと思っておりますので、しかるべき対応をしっかりとやっていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 次に、一時保護中の児童の面会、通信等の制限についてお伺いをさせていただきます。

 これまで、児童虐待防止法第十二条は、面会、通信制限等ができる対象として、児童虐待を行った保護者としており、児童虐待が行われた疑いがある段階については対象となっていませんでした。虐待が行われた疑いがある中で、落ち着いた環境下で虐待の有無について精査する必要があることや、子供の心身の安全を確保するためにも、行政指導等として面会、通信制限等が行われる場合が実務上はあったものと伺っております。

 今回の改正では、これまで行政指導として行われてきた実務上のこうした措置に法的根拠を与える改正で、適切な措置であると考えております。これまで法的根拠がなく、現場の皆様に御負担をかけていたことが解消される措置でもございます。

 一方で、保護者と面会等ができなくなることは、対象となる児童への心理的影響が大きいことから、面会、通信制限等を行うに当たっては厳正な運用が求められると考えておりますが、厳正な運用と子供の心のケアをどのようにして実現するかについてお伺いをさせていただきます。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、一時保護中に保護者と面会、通信を制限することは、保護者に会いたいという子供の気持ちや権利を制限することとなり、子供への心理的影響も懸念されるところです。

 このため、本法案においては、子供の安心、安全と子供の最善の利益に立ち、子供の意思や気持ちを尊重した上で面会、通信制限の要否が判断されるよう、面会、通信制限を行う場合等に意見聴取等措置を行わなければならないとしたところでございます。

 この意見聴取等措置においては、児童福祉司や児童心理司等が、子供の気持ちに寄り添いながら、現状や今後の見立て等を丁寧に説明し、子供の意見を聞くこととしており、子供の年齢や状況によっては、言葉だけではなく、表情や身ぶり等から意向を酌み取ることとしております。また、不安を抱えている場合は、安心感を与えられるように、継続的に話を聞きながら心のケアを行うこととしております。

 施行に当たりましては、子供の心身に有害な影響を及ぼすおそれが大きいと認められる場合の考え方や児童への心のケア等、面会制限をする場合に必要な対応を含めた運用の方法について、現場の実態や関係者の意見等を踏まえて検討し、施行通知等でお示しすることにより、児童相談所で適切な運用が図られるよう対応してまいります。

大西(洋)委員 御答弁いただきました。

 やはり、実際、明確にお話ができるお子様が全てであればいいんですが、いろいろな事情がある中で、そういった形で、心の声じゃないですけれども、身ぶり、そぶり、そういったのもしっかり考慮していただけるという踏み込んだ前向きなお話をいただきましたので、是非丁寧に御対応していっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 続きましては、少し視点を変えまして、保育士の処遇改善の更なる充実についてお伺いをさせていただきます。

 今回の改正では、保育士・保育所支援センターの法定化を行うことで、潜在保育士の再就職促進や職場のマッチングの促進などを進めていくことになるかと思っております。一方で、どんなにマッチングを促進したとしても、働く意欲を持つ保育士の方々の絶対数が不足をしていれば保育士人材の確保はできません。

 共働き世帯は、データのある一九八〇年、昭和五十五年の約六百万世帯から、二倍以上の約一千三百万世帯まで増えています。多くの共働き世帯、子育て世代の方々から切実な御用命のある保育所は、社会全体にとっても必須の社会インフラであることは言うまでもございません。

 保育所の整備は、待機児童の解消という段階から、安心、安全な保育環境の充実をより一層進めていく段階になっています。このためにも、保育士の皆様には、ある意味、余力を持った労働環境となるような体制整備を目指していくべきと考えております。こども・子育て支援加速化プランの中で保育士の方々の処遇改善を進めていることは重々承知をしておりますし、衆議院、参議院の予算委員会でも、審議におきましてはそれぞれ質問がされてきて、議論も行われてきました。

 職員の配置基準の見直しを含めて、更なる保育士の皆様の処遇改善についてどのようにお考えか、三原大臣の改めての決意をお伺いさせていただきます。

三原国務大臣 未来を担う子供たちの育ちを支えるすばらしい保育園を職場として選んでいただき、また、働き続けていただくためにも、そして、子供たちにより質の高い保育を提供する上でも、保育士等の皆様の処遇や配置の改善、極めて重要だと考えております。

 私自身、保育現場など視察をする中で、保育士はもとより保護者の方からも、保育士の処遇改善が必要だという強い御意見をいただいてまいりました。子供に一番身近な存在である保育士等の皆様の処遇改善、これは保育の質の向上につながるものでもあり、保育士等の皆様はもちろん、未来を担う子供たちのためにも、これは進めていくべき大切な取組だと考えております。

 私も、大臣になって最初の予算であります令和六年度補正予算では、一〇・七%、大幅な処遇改善を実施し、令和七年度予算でも財源を確保した上でこれを反映しております。今回の処遇改善を含め、平成二十五年度以降では累計約三四%の改善を図ってきたところでございます。

 こうした中で、昨年十二月に公表いたしました保育政策の新たな方向性では、こうした取組を継続していくために、保育士等の処遇改善について、他職種と遜色ない処遇の実現を目標として掲げさせていただきました。

 また、配置基準の改善につきましても、こども未来戦略に基づき、令和六年度から四、五歳児の配置基準を改善するとともに、令和七年度予算におきましては、一歳児についても、保育の質の向上、職場環境、処遇改善等を進める施設を対象に、職員配置を六対一から五対一へ改善した際の新たな加算を設けており、まずはこれらの円滑な施行に取り組んでまいります。

 保育士等の皆様、そして子供たちのために、引き続き、こども未来戦略に基づき、更なる処遇改善、配置改善を進めてまいりたいと思います。

大西(洋)委員 大臣から強い御答弁をいただきました。衆議院や参議院や、それぞれの委員会でも真摯にお答えなさっていた中で、また今日も改めて力強い決意をいただきました。

 大臣のお言葉でもありましたが、やはり、未来を担う子供たちを支えてくださっている保育士の方々の改善というのは本当に大事なことでございますので、同じ子育て世代の一人として、大臣の決意を伺って安堵した思いでございます。是非、引き続き、大きな子育て施策に対して更に更に強い使命感を持っていただきまして、尽力をしていっていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。

 最後に、三歳児から五歳児のみを対象とする小規模保育事業の創設についてお伺いをさせていただきたいと思っております。

 これまで国家戦略特区において実施されてきた三歳児から五歳児のみを対象とする小規模保育事業を全国展開する改正ですが、これまで認められてきたゼロ歳児から二歳児を対象とする小規模保育事業と併せると、これまで例外的な場合のみ認められたゼロ歳児から五歳児の小規模保育事業が正面から認められることとなります。小規模保育事業においてゼロ歳児から五歳児を全て対象とできるようにするには、職員配置基準などの要件緩和のように、誤解を与える可能性がないかと危惧をしているわけでございます。

 ゼロ歳児から二歳児を対象とする小規模保育事業については、幼稚園に入園するまでの間の保育所利用者にとってのニーズが予想されますが、三歳児から五歳児のみを対象とする小規模保育事業は、どのような利用者のニーズを想定し、制度の創設目的はどのようなものなのかをお伺いさせていただきます。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 三から五歳児のみの小規模保育事業については、平成二十九年より国家戦略特区における特例措置として実施をしてまいりました。

 このような中、特例措置の対象である成田市、堺市、西宮市の三市においてこれまで特段の弊害が確認されていないこと、例えば集団生活を過ごすことが苦手なお子さんのニーズなども考えられまして、利用者にとっても子供の保育の選択肢を広げることになることなどを踏まえまして、今般、法改正によりまして三から五歳児のみの小規模保育事業の全国展開を盛り込んでおります。

 また、この特区では、実際に、小規模保育事業を実施しておられる事業者が、姉妹園として三から五歳児を対象とする事業所を併せて設置する例があったほか、人口減少地域においては保育機能のダウンサイジングをする過程においても一つの選択肢になり得るものということで、保育提供体制の地域における選択肢を増やすものというふうに位置づけております。

 なお、三から五歳児の保育はゼロから二歳児と比べて教育的な要素が強く、専門性を持つ保育士による関わりが必要であるということに鑑みまして、保育士のみを配置するA型の事業所に限って全国展開をすることとしておりまして、質の確保にも努めてまいりたいというふうに考えております。

大西(洋)委員 ありがとうございました。

 時間が来ましたので、終わります。

谷委員長 次に、市來伴子さん。

市來委員 おはようございます。立憲民主党、埼玉八区の市來伴子と申します。

 児童福祉法等の一部を改正する法律案、立憲民主党のトップバッターで質問させていただきます。

 私からは、まず、児童相談所、一時保護に関わる問題について伺ってまいります。

 本改正案では、一時保護委託先を登録する制度が創設されるとあります。これまで一時保護委託は児童相談所長又は都道府県知事が適当と認める者に委託をしておりましたけれども、本改正による登録制度、これはどういった方が対象になるのでしょうか。

 そして、これまで委託されていた方が登録の対象にならないということはあるのでしょうか。自治体によっては、いろいろな経緯でこの方にお頼みしますということで委託をされているところもあると思うんですが、そういう方が登録をされないことによって委託先が不足する事態にならないのか懸念をいたします。自治体によって貴重な委託先を失うことのないようにしていただきたいですが、大臣から伺います。よろしくお願いします。

三原国務大臣 一時保護中の子供の一時保護委託先につきましては、子供の権利擁護が図られて、適切なケアが提供される安全、安心な環境であること、これが重要であると考えております。

 この点、一時保護委託先の大部分を占める児童養護施設や乳児院、里親など、法令に基づいて児童の福祉に関する事業を行っている機関等につきましては、既に質の担保が図られていることから、改めて登録を求めずとも委託を可能とするという予定でございます。

 他方、本登録制度の対象といたしましては、民間のシェルターや管理人つきシェアハウス等が想定されております。これらにつきましては、児童の適切な処遇を確保する観点から、従事する者の要件として、児童の保護に知見のある者であること等を、内閣府令に基づき、都道府県知事が条例におきまして登録の基準として定めることとなりますが、本制度は公布日から一年六か月以内の政令で定める日に施行することとしておりまして、各都道府県等が、十分な準備期間を持って、委託先に制度の趣旨等を説明し、基準を満たした上で登録をしていただくための働きかけ等を行うこととしております。

 こども家庭庁といたしましても、そうした準備期間が確保され、しっかりと委託先の確保が図られるように、法案成立後、できるだけ速やかに委託基準等をお示しをしてまいりたいと思っております。

市來委員 この登録者にならない方については、直ちに一時保護が必要なときは、二週間以内に限り登録者以外に委託することができるとしておりますが、二週間以上になりますと、やはりいろいろなケースがあると思うんですよね、二週間以上でも一時保護が必要だというケースもあると思いますので、地域の実情やケースによっては柔軟に対応するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

三原国務大臣 一時保護委託先の質を確保するために、一時保護委託は、原則、登録一時保護委託者等に限り行うことができることとする一方、登録一時保護委託者等に委託できないものの、直ちに一時保護を行うことが必要である場合には、二週間以内に限り登録一時保護委託者等以外の者に一時保護委託ができる規定を設けることとしております。

 そのため、まずは、この二週間に、法令上の質の担保が図られた一時保護委託先へ再度委託することや委託先に登録を受けていただくことにより、子供が安心できる環境で一時保護が継続されるようにしていくものと考えております。

 一方で、今委員御指摘の、二週間を経過したことのみをもって委託先を変更することが状況によっては子供にとって不利益になるおそれもあることから、今後、内閣府令等によりまして委託期間の延長等の運用も可能とすること、これを検討してまいりたいというふうに考えております。

市來委員 よろしくお願いいたします。

 続きまして、一時保護の可否を判断するAIツールについて伺います。

 報道でもありますけれども、こども家庭庁が、約十億円をかけて開発をいたしましたが、導入を断念したという報道でございますが、その理由について伺います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 児童相談所における一時保護判断に資するAIツールは、令和六年度に協力自治体における試行、検証を行った結果、事前に定められた一定の項目に該当するか否かのみでは、けがの程度や範囲等、一時保護の判断に影響する情報を正しく反映できないという課題があり、全国に提供するツールであることも踏まえますと、現在の判定精度では十分ではなく、更なる改良が必要と判断し、現時点でのリリースを延期したものでございます。

市來委員 報道では六割を超える判断ミスがあったということで、そもそも、AIが一時保護を判断するというもの自体が本当に業務になじむのかという疑いもあります。三原大臣はあくまでも延期と強調したと報道にもありますけれども、このまま開発を続けていくんでしょうか。

三原国務大臣 先ほど局長からも申し上げたとおりでありますが、一方で、迅速かつ的確に児童虐待対応を行うためには、児童相談所の業務の効率化は進めるべきであるというふうに考えておりまして、AIの活用は、一時保護の判断等、児童相談所が行う複雑なケースワークを多面的に支援し、職員の業務負担を軽減するものとして有用であるというふうに考えております。

 御指摘のとおり、児童相談所における様々な判断というものは、最終的には人が行うべきであり、AI技術に過度に頼り過ぎるということのないよう徹底すること、これは当然重要であるというふうに考えております。

 委員のそうした御指摘も十分踏まえまして、AIの活用を含めた、児童相談所の業務におけるデジタル技術の活用、利活用につきましては、今後も引き続き様々な観点から検討してまいりたいというふうに考えております。

市來委員 AIを否定するものではないんですが、むしろ、業務負担を軽減ということであれば、別の方法も多々、まだまだあると思いますので。

 私の知り合いでAIを開発されている方に聞きますと、やはり、こういう一時保護のいろいろなケースがあることに対するAIの判断というのは非常にコストがかかるということもおっしゃっていまして、十億円じゃとてもとても、今の開発では難しいんじゃないかという御意見もありましたので、もしそのお金があるんでしたら、今まさに人件費の向上ですとか、あるいは配置ですとか、そういうところにまだお金をかけて、人を増やしていっていただきたいなというふうに思います。

 児相で働く児童福祉司、児童心理司の離職率は非常に高くなっております。今お手元に資料を配っておりますけれども、この資料によりますと、三年以内で辞めていらっしゃる方が、児童福祉司だと四六%、そして児童心理司だと四三%ぐらいになっているんです。こういう、離職率が非常に高い職種になっておりまして、離職しないために、人件費の向上、あるいは配置を拡充して一人一人の負担を減らしていく、そういうことに充てていくべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

三原国務大臣 議員御指摘のとおり、児童福祉司等の児童相談所の職員につきまして、心身の不調や業務上の悩みなどの理由によって離職する方が大変多い。私も視察に行かせていただきましたけれども、現場で職員の皆さんが本当に昼夜問わず多忙な業務に当たっておられる状況をずっと拝見しておりまして、そしてその中で、どうしても、人材確保というより定着、これが非常に難しいんだという切実な声も頂戴したところでございます。

 この児童福祉司及び児童心理司の方々、これまでも増員を図ってきておりまして、昨年末のプラン改定によって今後二年間でも更なる増員を図ることとしております。さらに、体制強化に向けては、職員の処遇、人材の確保、職場環境の改善など総合的な取組というのが必要だと考えておりまして、私どもといたしましても、地方財政措置において児童福祉司等の特殊勤務手当なども考慮しているほか、自治体が行う採用活動に対する補助ですとか、児童相談所等の魅力の発信、児童相談所職員向けのオンライン相談、ピアサポート、またメンタルヘルスをケアする職員の配置に対する補助なども取り組んでいるところであります。

 子供の命を守る最後のとりでであります児相の人材確保、そして何よりも定着、こうしたことを国を挙げてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

市來委員 児相においては、これは政府も出しておりますけれども、介入と支援を分けるべきではないかと。御家庭に対する介入、そして支援、この職員の配置がなかなかまだまだ進んでおりません。

 今お手元にあるこの資料にもありますけれども、事例によって職員の担当を分けているというところが一五%、そして、同一の担当が、全て、つまり介入と支援を全て対応しているというのがまだ一九%もあるんですね。

 私は、配置を拡充をして、一人一人の職員さんがしっかりとその御家庭に関与するためにも、そしてまたストレスなく対応するためにも、まず、ここが、この介入と支援をしっかりと分けていくということが大事だと思います。

 そういった体制を強化すべきだと思いますが、三原大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 委員御指摘のとおり、児童相談所が、子供の安全確保のため必要がある場合にちゅうちょせずに一時保護等を行うとともに、保護者等への支援機能も適切に果たす観点からは、その一時保護等の介入的対応を行う職員と保護者支援を行う職員を分ける、役割分担をすることは望ましいというふうに考えておりまして、これは児童虐待防止法においてもその旨が規定してございます。

 こうした支援と介入の役割分担を進めて、増加する児童虐待相談に適切に対応するためには、児童相談所のやはり体制整備、強化というのは喫緊の課題であると認識しております。

 委員御指摘のとおりだと考えておりますが、そのためには、やはり、職員をしっかりと確保して、定着させていくということが大切だと思いますので、そのことによって配置ということの補助もしっかり行うということを国としてしっかり取り組んでまいりたいと考えます。

市來委員 是非取り組んでいただければと思います。

 それでは、次のテーマに行きます。

 こちらも資料をお渡ししておりますけれども、新しい問題が出てきております。AIで生成ポルノが作られるということでございます。

 子供たちの卒業アルバムやSNSに載っている写真を使って、AIの技術でわいせつな画像や動画を加工する、そういう性的ディープフェイクというものが今問題になっておりまして、報道でも多々出ております。しかも、今お配りしている記事ですと、これがネット上で売買をされているということもございますし、あるいは、同じクラスの同級生が、そういうところにアクセスして、自分のクラスの女の子でそういう性的なディープフェイクを作ってしまうといった事例もあるようでございます。

 こういった問題を大臣はどのように考えていらっしゃるでしょうか。

三原国務大臣 青少年が、いわゆる性的ディープフェイク等の問題に巻き込まれることなく、安全に安心してインターネットを利用できるような環境の整備、これは大変重要であると考えております。

 このため、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律に基づきまして、こども家庭庁が中心になって、関係省庁と連携し、基本計画にのっとって様々な対応を行っているところでございます。

 加えて、現在、有識者等によるワーキンググループを開催いたしまして、インターネットの利用をめぐる青少年の保護に関し、課題と論点の整理を行っております。この中では、今委員御指摘のような、生成AI等を用いたいわゆる児童ポルノに関する御意見もございます。引き続き、これは関係省庁とともに丁寧な議論を行っていきたいと考えているところでございます。

 今後、性的ディープフェイクのみならず、青少年の保護の在り方全般について、ワーキンググループの課題と論点を整理をすることとしておりまして、法制上の対応の必要性の有無や各論点に応じた所管省庁への検討要請等を含めまして、こども家庭庁が司令塔の機能をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。

市來委員 イギリスでは、今年に入って、AI生成の子供虐待画像、これを取り締まる法案を発表したという報道がございましたが、どのような法案か把握していますでしょうか。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員から御指摘のあった法案でございますけれども、私どもは報道のレベルで承知をしております。イギリスでは、子供性的虐待画像を作る目的でのAIツールの所持、作成、流通を禁止する、そういった内容かというふうに報道により承知をしているところでございます。

市來委員 鳥取県では、生成AIの子供の性的画像を児童ポルノと定義するという条例を作りました。こういった取組はこれから国でも必要だと思います。

 こども家庭庁は、オンライン上の子供の権利擁護をどのように考えているか、そして、青少年が安全に安心してインターネットを利用できるようにするための施策に関する基本的な計画に盛り込んでいくべきではないでしょうか。

 この基本計画は、三年に一度の更新となっていまして、昨年改正されたばかりでございます。ただ、一方で、インターネットをめぐる環境は日々変化をしておりまして、こういった新しい問題にも迅速に対応していただきたいですが、大臣の見解を伺います。

三原国務大臣 青少年が、人権を侵害することもされることもなく、安全に安心してインターネットを利用できるような環境の整備、これは大変重要であると考えております。

 委員御指摘の計画は、青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律に基づいて、有識者等における御議論を経て、昨年の九月に第六次計画が決定され、次の見直しは令和九年を目途に予定しているものでございます。その見直しに当たりましては、いただいた御指摘も踏まえて、関係省庁と連携の上、丁寧な議論をしてまいりたいと考えております。

 その上で、先ほど答弁いたしましたとおり、委員御指摘のように、現在、インターネットの利用をめぐる青少年の保護に関して、関係省庁ともワーキンググループにおける検討を進めているところでありますので、生成AIを利用した子供の性的画像や、ただいま御指摘のありました鳥取県の条例も含めて、状況をよく把握しながら検討を深めて、この夏頃を目途に取りまとめをしっかり行ってまいりたいと考えております。

市來委員 ありがとうございます。

 夏頃までに取りまとめということで、是非しっかりと対応していただきたいと思います。

 本当に、子供の権利に関わる問題ですので、三原大臣のリーダーシップを期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。

谷委員長 次に、東克哉君。

東(克)委員 おはようございます。立憲民主党の広島三区、東克哉と申します。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。

 まず初めに、先日の大臣所信に対する質疑でも少しお尋ねさせていただきましたが、今般の児童福祉法改正案の中身のうち、児童虐待防止の対応の強化に関わる部分についてお尋ねさせていただきたいと思います。

 令和五年度は、令和四年度の過去最高値を超えて、二十二万五千五百九件の児童虐待対応件数となっていることが厚生労働省によって公表されました。そして、この二十二万五千五百九件のうち、私の身の回りで起きたのが実は四件あります。

 というのは、私は、理学療法士として、介護と障害福祉の分野、放課後デイサービスと児童発達支援事業所で勤めてきました。今回、この話をずっと働いていた事業所にしたところ、実は私がリハビリを担当していたその子も虐待だったんですよと。私はそのとき初めて知ったんですけれども、私が議員になって、この一月にそういうことが発覚した。これも、予防的に相談所、児相の方が動かれて、この二十二万五千五百九件のうちの四件がそうなったんだというふうに認識をしております。

 本当に、予防という観点で非常に大事なわけなので、件数が増えていくことは悪いことではないとは思うんですけれども、非常に、逆を言えば、これが減っていかないといけないということも強く感じているところであります。

 早速質問に移りたいと思いますが、今回の法律の改定、児童相談所の所長による、保護者と児童の面会。私が言った子も、自閉症の子で、ある程度コミュニケーションは取れているんですけれども、やはり、相談員の方から聞くと、お父さんとお母さんと会えなくなると寂しいということを言われている子供さんでした。私も実際に接しているのでよく分かるんですけれども。そういう子供たちの、先ほど大西議員も言われていましたけれども、安全で、子供のメンタルケア、そのことの制限、特に通信を制限するということになりますので、そのことを行うことができるように、子供たちの心のケア、これまで以上に早くから対応できるようになると考えていますが、こども家庭庁の課題意識、対策強化についてお尋ねいたします。

    〔委員長退席、牧島委員長代理着席〕

三原国務大臣 委員御指摘のとおり、これまで、児童虐待を行った保護者についてのみ面会、通信制限ができるとされていたところ、今回の法改正によって、児童虐待の疑いの段階につきましても、児童相談所の所長が児童の心身に有害な影響を及ぼすおそれが大きいと認めるときに行うことが可能になり、面会、通信制限の対象となる子供の範囲が広がることとなります。

 保護者と面会、通信ができなくなることは、お子様にとっても、心理的影響も懸念されるため、子供の意思や気持ちを尊重した上で面会、通信制限の要否が判断されるよう、子供に対する意見聴取等の措置を行わなければならないとしています。

 この意見聴取等措置におきましては、児童福祉司や児童心理司等が、子供の気持ちに寄り添いながら、現状や今後の見立て等を丁寧に説明して、そして子供の意見を聞くこととしておりますけれども、今委員おっしゃったように、子供の年齢や状況によっては、言葉だけではなく、そうした表情ですとか身ぶり、そうしたところから意向を酌み取るということは大変重要だというふうに考えております。また、不安を抱えている場合は、安心感を与えられるように、継続的に話を聞きながら心のケアを行うこととしております。

 加えて、制度施行に当たりましては、子供の心身に有害な影響を及ぼすおそれが大きいと認められる場合の考え方ですとか児童への心のケア、面会制限する場合に必要な対応を含めた運用の方法につきましても、現場の実態そしてまた関係者の意見等も踏まえて検討して、施行通知等でしっかりお示しをする予定でございます。

 こうした取組によって、子供の安心、安全と最善の利益を第一に、適切に制度が運用されるようにしっかりと対応してまいりたいと考えております。

東(克)委員 ありがとうございました。

 先ほど大臣が言われましたように、現場の実態に応じて是非運用していただきたいというふうに思っております。

 そして、今般の改正では、先ほど市來議員からも質問がありましたけれども、一時保護委託先の登録制度が創設されると承知しております。これまで一時保護委託先については特段の基準が設けられなかったところに、基準や欠格要件、義務、取消しなどの規定を整備することというふうに理解をしております。

 一方で、一時保護先として児童の受入れを担ってきた先については、登録に当たって過度な事務負担、登録をしないといけないから事務の負担ができるだけないようにお願いしたいということがあります。

 児童にとって適切な受入れがなされているか、継続的な監督指導も重要になってくるとは思いますが、加えて、居住している地域によってこうした子供たちの受入れにケアの差が生じないような配慮、運用も必要かと考えています。こども家庭庁の課題認識についてお伺いさせていただきます。

    〔牧島委員長代理退席、委員長着席〕

吉住政府参考人 お答えいたします。

 一時保護中の子供の一時保護委託先につきましては、子供の権利擁護が図られ、適切なケアが提供される安全、安心な環境であることが重要でございます。

 この点、一時保護委託先の大部分を占める児童養護施設や乳児院、里親など、法令に基づいて児童の福祉に関する事業を行っている機関等については、既に質の担保が図られていることから、改めて登録を求めずとも委託を可能とする予定でございます。

 一方、本登録制度の対象につきましては、今後、児童の適切な処遇を確保する観点から、従事する者の要件として、児童の保護に知見のある者であること等を、内閣府令に基づき、都道府県知事が条例において登録の基準として定めることとなりますが、本制度は公布日から一年六月以内の政令で定める日に施行することとしておりまして、各都道府県等が、十分な準備期間を持って、委託先に制度の趣旨等を説明し、基準を満たした上で登録いただくための働きかけ等を行うこととしております。

 また、今回の登録制度においては、登録時の基準への適合性や欠格要件等の確認に加え、登録基準に適合している状態を維持するために、都道府県知事による報告徴収や基準への適合命令、適合しなくなった場合の登録取消し等ができるよう規定を整備しております。

 対象事業者に過度な事務負担が生じないよう配慮しつつも、報告徴収等の必要な対応を行うことで、登録一時保護委託先の質の担保を図ってまいりたいと考えております。

東(克)委員 ありがとうございました。

 本当に現場に即した形で、私、冒頭に申し上げたように、委託基準の中に発達障害の研修を是非入れていただく、これは要望になりますけれども。虐待を受ける子供たちの相当数が、やはり、発達障害を持っている子供、若しくは親御さんが発達障害を持っている可能性がある、そして、子供と親、両方とも発達障害を持っているという方が相当数いるというふうに、私の知人は、児相で働いている方ですけれども、言われていますので、その基準の中にそういう研修を是非入れていただいて、特に、新規で登録しようとしてくれる心ある方が、発達障害の知識がないために受け入れられなかったということがないように運用していただきたいな、これは要望になりますので、お願いしたいと思います。

 続いて、また先ほどの市來議員と少しかぶりますけれども、こうした児童相談所で働く方々のことについてお伺いさせていただきたいと思います。

 メンタルケア、警察の連携など、支援的に取組がある。先ほど大臣も、メンタルケアされているというふうに言われていましたけれども、そういう職員の安全確保も含めた、定着率向上に資する評価や処遇改善の一定の取組、課題が重過ぎるという指摘がある。課題というのは、所長の責任が重過ぎるということです。それに見合った評価やケアが必要だと考えていますし、そして、大臣も先ほど何回も言っていますが、人員増、人材確保策として実際に政府が令和四年十二月に策定した新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランにおいて、児童福祉司の増員について、令和六年度末までに六千八百五十人という目標が未達であるということは承知しておりますけれども、これが令和八年度までに七千三百九十人程度とする目標が示されているということを承知しております。

 こうした職員の確保、定着、処遇の改善について、こども家庭庁の意識、対策についてお伺いさせていただきます。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、児童相談所において、保護者面談を含め、虐待相談に関する調査等を行う際は、職員自らの安全に配慮することも重要と考えており、調査に当たっては、複数の職員で対応することにより不測の事態に備えるとともに、虐待通告受理後、四十八時間以内に安全確認を行うことができず立入調査を行う際には、必要に応じて警察への援助要請を行うよう、児童相談所運営指針においてお示しをしております。

 また、児童相談所職員の人材確保、定着につきましては、先ほど何度も指摘をしておりますが、新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランに基づきまして計画的に増員を図っておりまして、昨年末にはプランを改定し、更なる増員を図ることとしております。

 プランに掲げた目標も踏まえまして、こども家庭庁としては、児童相談所業務等の魅力発信、児童相談所職員向けのオンライン相談、ピアサポート、職員のメンタルヘルスをケアする職員の配置に対する補助といった人材確保や定着の支援のみならず、地方財政措置において児童福祉司等の特殊勤務手当を考慮する等の処遇改善にも取り組んでおり、今後も、子供の命を守る最後のとりでである児童相談所の人材確保に向け、国としてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

東(克)委員 ありがとうございます。是非取り組んでいただきたいと思います。

 昨晩、夜の九時ぐらいに、私がこういう質問をすると言ったら連絡してきてくれた方がおられまして。児童相談所で働いている方です。何かというと、基本的に、人は増えてきている、国のいろいろな働きで増員は、増えてきているので非常にありがたいですということを言われた後に、定着しないという原因の一つに、やはり、都道府県の職員若しくは政令市の職員なので三年に一回異動がある、それで、三年に一回異動があることで経験値が積み重なっていかないということを言われていました。AIの判断基準とさっき市來議員も言われていたんですけれども、やはり、判断基準は直感といいますか経験からくるものが十分に生かされている、それをAIに活用できるかどうかは別として、経験値を積み重ねられるような異動を働きかけることができないかということを言われておられました。

 それで、例に例えてその方が言われたのが、乳幼児健診を行っている保健師さん。保健センター、保健所は、全て保健師という専門分野の中で異動する、母子であったり、成人であったり、高齢者であったり。その中で異動することが、こういう制度とならないかということを言われていました。

 これは、昨日の夜の話なので通告も何もしていないですから、一意見として、要望として聞いていただければ構いません。そういうことを言われていました。せっかく専門的にその分野で、児童発達支援事業所で働きたいといって社会福祉士になった方が三年で異動しないといけないとか、全く畑違いのところから児相に来るというところに、非常にもったいないといいますか、何とかならないかなということを言われていましたので、これは一要望として是非御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 そして、済みません、幾つか。

 先ほど四十八時間以内に対応しないと言われたということは、やはり、二十四時間体制のオンコールで、夜中でも携帯を持たないといけない、それが非常にストレスになると言われていまして。私も、理学療法士や訪問看護分野で働いていたときに、訪問看護さん、小児の訪問看護をしているところがあるので、そういうところに業務委託とかをして、できるだけ職員さんのストレスを減らせられるような、これは法律とはちょっと違いますが、運用時点で、訪問看護、特に小児をやっている訪問看護のところに業務委託を、行政側がそういうところに出せるようなものが、もし可能であれば、働く方々の負担が大分軽減されるかなと思いますので、これは現場の意見として、是非検討いただければというふうに思っております。

 済みません、昨晩のこの方が、熱い思いをしたので、是非とも届けてほしいということで、届けさせていただきました。ちょっと時間が押してしまいますが、済みません、よろしくお願いします。

 続いて、保育士・保育所センターのことについてお伺いさせていただきたいと思います。

 これまで、保育士・保育所支援センターについては、四十六都道府県七十五か所で事業が実施されているというふうに承知をしておりますが、再就職に関する相談、就職のあっせん、求人の情報の提供はこれまでも取り組んでいる中で、法定化をすること、これをあえて法定化するということでどのような成果を期待しているのか、こども家庭庁のお考えをお聞かせください。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士の有効求人倍率、全職種平均と比べても依然として高い水準を推移しておりまして、保育人材の確保は喫緊の課題であると認識しております。

 これまで、各都道府県におきまして、保育士・保育所支援センターは、予算事業として保育人材と事業所のマッチング支援などに取り組んでいただいております。ただ、一方で、保育士・保育所支援センターの取組内容、自治体間に相当程度ばらつきがあるということも課題になっております。

 このため、本法案におきまして、保育士の業務の広報ですとか職業紹介や研修の支援、保育所に対する就労環境向上のための相談支援などの、業務を行う体制の整備に関する義務を都道府県に課すこととしておりまして、都道府県を中心として、関係機関、連携をいただきながら、これらの機能が各都道府県でしっかりと確保されるようにつなげていきたいというふうに考えております。

 また、こうした法定化に併せまして、国としても、好事例の横展開により各地域の実情に応じた取組の底上げを図るほか、取組内容に応じためり張りのある財政的な支援を行うこととしておりまして、各都道府県における保育士・保育所支援センターの取組の強化をしっかりサポートしていきたいというふうに考えております。

東(克)委員 ありがとうございます。

 是非、この保育士・保育所支援センターも、法定化することで、今まで自治体、都道府県任せになっていたことを後押ししていただいて、いろいろなことに、保育士さんが本当に働ける環境をつくっていただきたいなというふうに思いますし、先ほどお伝えしたように、私も現場の声をできるだけ届けていきたいと思っております。

 そして、現場の声をと言いましたが、これもまた私の知人の保育士さん、いわゆる潜在保育士さんです、潜在保育士さんの声を届けさせていただきたいと思います。

 お尋ねしたところ、その方がやりたい保育を提供している保育所がどこにあるのかが分からないというふうなことを言われています。やりたい保育を提供している環境を確認すること、つまり、保育士側が知りたい情報が潜在保育士さんの皆さんが復帰を考えている上で大切ではないだろうかという御意見をいただきました。その方の、一人の話ですけれども、やはり、小規模で子供たちをしっかり見ていきたいということを言われておられたんですね。

 そうした保育士さんのやりがい、やりたい保育につながる求人の情報の提供は、やはり、事業者さん側、私たちの事業所、保育所はこういうことをやっていますという情報発信が大事だというふうに認識しております。ということと、そして、新卒ですね、これから保育士を目指そうとしている方々にとって支援センターと養成校との連携も非常に重要になると考えております。

 このことを踏まえて、保育所支援センターの情報発信、そして、新卒者に対してどういうふうな連携を取ろうとしているのか、こども家庭庁のお考えをお尋ねいたします。

三原国務大臣 先ほどの、児相の現場の声をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。しっかり参考にさせていただきたいと思います。

 そして、保育士・保育所支援センターですが、保育士を専門に就職等の支援を行う機関であるという点で強みがあると考えております。

 委員御指摘のとおり、潜在保育士の立場に立った手厚い支援に取り組むこと、大変重要だと考えております。

 これは、域内の保育所等を巡回して関係性を構築した上で、その保育方針ですとか、先ほどおっしゃるような労働環境、これに関してきめ細かい情報を求職者に提供してマッチングにつなげる。そして、保育からしばらく離れていた潜在保育士さんに対しましても復職に向けた研修の実施ですとか、また、試行的に短期間で働くトライアルのような形などもあっせんする。そしてまた、就業した後も保育所等を巡回して、雇用管理はどうなっている、業務分担などに関することなどの助言等もしっかり支援をしていくということを通じて、そのマッチングした保育士が長く働くことができる支援、こういった伴走的なことを各地域で進むように取り組んでまいりたいと思っております。

 加えて、委員御指摘ありました、新たに保育士の資格を取得した方の就職支援も重要であると考えておりまして、既に多くの保育士・保育所支援センターで取り組んでいただいている養成校との連携、これも更に強化していくために、今回の法案において、養成校を含めた関係機関との連携について規定というふうにしてございます。

 保育士を専門に扱う保育士・保育所支援センターの強みを生かしながら、しっかりとつなげていけるように頑張ってまいります。

東(克)委員 ありがとうございます。是非取り組んでまいりたいと。

 最後に、もう時間となりますので、もう少しで終わります。済みません、残りました地域保育士と保育士の処遇改善については、ここから続きます同僚議員の橋本議員と福田議員にお任せして、私の質疑はこれで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、橋本慧悟君。

橋本(慧)委員 立憲民主党・無所属の橋本慧悟です。

 冒頭、質問の機会をいただきました諸先輩方、関係者の皆様に心から感謝を申し上げます。そして、地元兵庫九区、明石市、淡路市、洲本市、南あわじ市の方々にも感謝を申し上げて、質問に入らせていただきます。

 これまでの議論にも度々出てまいりましたが、保育の質の向上とか保育士不足への対策というのは、やはり早急に進めないといけないことは皆さん一致することかなと思います。

 まず、保育士・保育所支援センターの法定化についてです。

 東委員からも先ほど効果を尋ねられていましたが、私の住む兵庫県明石市においても、明石保育士総合サポートセンターというものがございまして、中核市なんですけれども、日々の相談対応や、各大学、専門学校との連携、就職フェアへのブース出展など、精力的に活動いただいているところです。

 例えば、皆さん、保育士就職フェアというのも行かれた方もあるかと思うんですけれども、三年間で、毎年約三百五十名から四百名ぐらい明石では来場者がありまして、その中で、昨年の、九十七保育園のアンケートの結果というのが出ておりまして、フェアへの来場者三百五十名のうち約一割以上に相当する三十七名が、保育士サポートセンターへの相談が採用に最も効果的な窓口、チャンネルであったというような結果も出ているわけですね。これは就職フェアだけの数字なんですけれども、年間を通じての相談も含むと更にこの件数は増えまして、やはり、支援センターというのが保育士確保の一定の重要な役割を担っているということも、この事例からも読み取れると思います。

 特徴は、明石の場合は、公立保育園の園長が、OBとして、コーディネーターとしてしっかりきめ細やかに御相談をお受けして、マッチングについても、なるべくミスマッチのないようにつないでいる。そういったところで、地域の事情に精通した方々が相談に乗ることで効果がより出るのではないかなと思っております。

 このように、市町など基礎自治体やその地域が把握している情報に深く触れることができて、きめ細やかな運用がなされるように、国としてもその観点でしっかり支援を行っていくことが大切だと思いますが、三原大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 保育士・保育所支援センターの設置に当たり、保育人材の確保には広域的な対応が求められることを踏まえて、都道府県に設置を義務づけすることとしております。

 他方、センターの運営に当たっては、日頃から保育所とやり取りをして地域の課題を把握している基礎自治体のほか、養成校ですとか保育関係団体等の関係機関と連携して、保育所や保育士へのきめ細やかな支援に取り組むことは大変重要と考えております。

 現在、予算事業で行われております保育士・保育所支援センターにおきましても、市町村とのイベントの合同実施ですとか、都道府県が指定都市また中核市と共同でセンターを運営する等の取組が見られているところでございます。

 今回の法案においては、全国の保育士・保育所支援センターにおいて市町村等と連携した取組が進むように、関係機関が相互に連携を図りながら協力することについて規定しておりまして、今後、施行に当たっては、こども家庭庁としても、この連携の重要性や取組例を周知するなど、必要な支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

橋本(慧)委員 御答弁をいただきました。

 先ほど東委員からもお話が出ていたように、やりたい保育を提供しているところが分からない、求職者のニーズにしっかりと合っているかどうか分からないというような声も実際全国であると思いますので、是非、連携も深めて、しっかりと実効性のある展開をいただきたいと思います。

 では、続きまして、小規模保育事業についてお聞きいたします。

 大西委員からも出ておりましたが、この事業につきまして、平成二十七年の子ども・子育て支援制度により設けられた事業でありまして、原則としてゼロ歳児から二歳児までを対象として、定員六名から十九名といった比較的小さな施設において、家庭的保育に近い雰囲気で、この規模の特性を生かしたきめ細やかな保育ができる、そういった理解をしております。

 現在、子ども・子育て支援制度の開始からもう約十年が経過しておりまして、目的でありました都市部における待機児童はある程度減少した一方で、人口減少の加速によって、人口減少地域などにおける地域の子育て支援機能の維持、確保という要請は、地元淡路島も含めていろいろと、本当に人口が減っているエリアはたくさんあります、そういう要請が本当に増大しているとも感じているんです。

 小規模保育事業の現状と課題、そして今後の在り方について、どのようにお考えでしょうか。御見解をお聞かせください。

三原国務大臣 委員御指摘のとおりです。

 小規模保育事業を含む地域型保育事業につきましては、都市部における待機児童の解消、また、人口減少地域における地域の子育て支援機能の維持、確保等を目的として導入されたものでございます。

 小規模保育事業につきましては、都市部では、例えば土地の確保が困難な地域等で活用されてきたと承知をしております。御指摘のとおり、待機児童数、減少しておりますが、都市部は現在も待機児童が発生しているということを踏まえれば、引き続き小規模保育事業が重要な役割を果たす側面はあると考えております。

 他方、過疎地域などの待機児童が少ない地域では定員充足率が低下している中で、小規模保育事業、保育機能のダウンサイジングの過程における一つの選択肢としても活用されているというふうに承知をしており、今後、その意義がより一層増していくと考えております。

 少子化による保育需要の変化に地域差がある中、引き続き、地域の実情に応じて小規模保育事業を活用していただけるように取り組んでまいりたいと考えております。

橋本(慧)委員 御答弁をいただきました。是非よろしくお願いします。

 そして、保育所保育指針につきましては、三歳児以上の保育について、集団としての遊びや活動に留意をして、人と関わる力を育てていくという旨が記載されておりまして、小規模保育事業も都市部を中心に大切だとは思うんですけれども、例えば、認定こども園に入りたいのにもかかわらず、望んではいないが枠がないということで小規模保育事業に入るしかないという状況があるとしたら、私はこれは防いでいかないといけないと思っております。

 私も、自分の子供の四人のうち三人を保育所、こども園、幼稚園に預けさせていただいて、お世話になってまいりました。例えば、次女については、ちょうど制度変更のタイミングもありまして、引っ越しもあったので、保育所と認定こども園にも入りましたし、そして幼稚園にも通わせていただいて、それぞれの特色ある保育とか教育を受けてきた身としては、それぞれメリット、デメリットもあると思いますが、いろいろとこの環境を経験した身からいいますと、この三歳から五歳をどう過ごすのかというのは、園での活動方針でありますとか教育方針、本当に大きく関わると考えております。その後の人格形成とか成長にも少なからず影響していると思います。

 子供の視点に立てば、それがどのような保育の場、環境にあったとしても、就学に向けて、そして心身共に成長を遂げるこの大切な三歳から五歳の学びや成長を、これまで以上に国ももっと支援をすべきだと思うんですよね。

 厳密には、小規模保育事業というのは、この保育指針を準用するということになっておりまして、保育所指針の対象外であるとお聞きはしておりますが、今回の法改正に合わせて保育所保育指針の対象範囲に小規模保育事業も含めて、三歳から五歳児の保育について国の考えをしっかり支援していく、応援していくんだという考えを示していただくべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 保育所保育指針は、保育所における保育の内容に関する基本的事項を示すものであり、「子ども相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にし、集団における活動を効果あるものにするよう援助すること。」等の方針が示されております。

 小規模保育事業は、設備の基準や定員が異なりまして、連携施設の設定が求められるものであることから、指針を直接そのまま適用するものではなく、準ずることとされておりますが、保育所と同様、この指針を踏まえ、他の子供との関わりの中で人と関わる力が育まれるよう、しっかりと取り組むべきと考えてございます。

 今回の改正法の施行に際しても、小規模保育事業について、保育所保育指針に沿って保育を行うべきことを周知徹底し、保育所か小規模保育事業かを問わず、集団としての遊びや活動に留意し、人と関わる力が育まれるよう取り組んでまいりたいと考えております。

橋本(慧)委員 実際、私にもまだ二歳の息子がいますので、今は自宅で見られていますが、仮にどちらかを選べると聞かれたら、やはり、私は認定こども園でありますとか幼稚園教育でありますとかを選ぶと思います。何もそれは小規模保育事業が全て悪いと言っているわけではなくて、望む方々がしっかりとお子さんを入れたい施設に入れられるような、そんな整備を是非とも国としてお願いしたいと思います。

 保育の最前線の現場に身を置く方からもお聞きをしたんですね。私も現場を見たことはあるんですけれども、やはり、小規模保育事業の中には、決して、環境がお世辞にもいいとは言えないところも実際あるんですね。これは実情です。マンションやテナントのビルの一角にゼロ歳児から満三歳児の十九名がひしめき合っているということが、都市部ではある意味仕方がないのかもしれませんが、子供の視点に立ったときには改善すべきことがたくさんあると考えています。

 このように、どうしても三歳から五歳の行き先を確保する必要があるというのであれば、私の提案にもなりますが、既存の認定こども園における設備の基準、保育室又は遊戯室の面積は一人当たり一・九八平方メートルが必要だという認可基準がありますが、これを少し緩やかにして、例えば幼稚園基準を適用することで、認定こども園での三歳から五歳児の受入れを増やすことができるんですね。小規模保育にはない環境である広い庭園、広いホールを使って、集団で就学前の質の高い教育を受けられる、その人数自体を増やしていく。時限的でも構いませんので、この設備基準を緩和する等の対応がより効果的ではないかなと私は考えるのですが、三原大臣、どのようにお考えでしょうか。

三原国務大臣 教育、保育を受ける全ての子供に対し、ひとしく質の高い教育、保育が提供されること、これが重要だと考えております。

 認定こども園は、就学前の子供に対し教育、保育を一体的に行う施設であり、運営に当たっては人員配置ですとか設備に係る基準を遵守する必要がございます。

 児童福祉施設としての性格を持つ認定こども園は、学校である幼稚園と設置目的等が異なり、幼稚園と同様の基準とすることにつきましては慎重な検討が必要というふうに考えております。

 他方、小規模保育事業につきましては、例えば集団生活を過ごすことが苦手な子供にニーズがあることも考えられますが、今回の改正では、保育士のみを配置するA型に限って全国展開するとともに、園庭の開放ですとか合同保育などの連携協力を行う保育所等を連携施設として適切に確保しなければならないこととされております。そういうこととしており、これは三歳から五歳児のみの小規模保育事業において質の高い教育、保育を提供することができるよう対応することとしています。

 いずれにしましても、地域の実情に応じて、それぞれの施設、事業の特性を生かしながら、質の高い教育、保育の提供がなされるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。

橋本(慧)委員 A型でありますとか、園庭の確保を義務づけるとか、そういった改正点、御留意いただいているのは重々承知はしております。

 是非とも、子供の視点に立って、こどもまんなか社会ということで、大臣も声高らかにおっしゃっていただいているわけですから、子供中心の目線で施策の展開をしていただきたい。そして、どうしても縦割りの弊害というのが見え隠れしますので、認定こども園の基準と文部科学省の幼稚園の基準が違うからということで一概に切ってしまうのではなくて、やはりそこに横串をしっかり通していただくような力強いリーダーシップをお願いしたいと思います。

 続きまして、次の質問に移らせていただきます。

 保育士の処遇改善について、先ほど来の質問にも出ておりますが、本当に今、保育人材、全国的に不足をしております。保育士の有効求人倍率は、昨年一月時点ですが、三・五四ポイントと、対前年比で〇・四二ポイントも高い。そして、全職種平均の一・三五倍と比べてもかなりの高水準だということです。いまだに待機児童が解消できない自治体のうちその四六%が、保育人材の確保が困難だったため利用定員の見込みを達成できなかったことを挙げています。

 御庁、こども家庭庁の二〇二二年の調査では、保育士の登録者数は約百七十九万人ですが、そのうち従事者数は約六十八万人で、残り百十一万人が潜在保育士となっています。これは大きく保育従事者を上回っているんですね。この方々に戻ってきてもらうことにこそ、我々は国として予算とリソースを集中的に投資すべきだと考えています。

 潜在保育士の方々にお話もお聞きしましたし、皆さん御承知だと思いますが、何も仕事がしたくなくて保育士をしていないというわけではないんですよね。皆さん、子供が大好きで、子供たちの成長にも関わっていきたい、そして仕事もしたい、子供の成長を身近で関わって支えたいという方々が大半でした。何よりも職場復帰の妨げになっているのが、やはり待遇、処遇の低さであると私も考えておりますし、そういった若手保育士からも本当に痛切な声をお聞きします。

 他職種と遜色ない水準の給与水準を実現すると今朝の答弁でも大臣はおっしゃっていただきましたが、やはり、保育士を増やすためには、そして保育の質を上げて子供たちに寄り添う保育の環境をもっと向上させるためには、保育士の処遇改善、更に抜本的に進めて潜在保育士の現場復帰を促すことがまずは何よりも大事かなと思うんですが、ここについての見解をお聞きしたいと思います。

三原国務大臣 御指摘のとおり、保育人材を確保する上でも、また子供たちにより質の高い保育を提供するという上でも、保育士等の処遇改善は極めて重要であると考えております。

 このため、処遇改善につきましては、令和六年度の補正予算、一〇・七%、大幅な改善をいたしました。これは令和七年度の予算でも財源を確保した上で反映をしており、これを含めまして、平成二十五年度以降では累計約三四%の改善を図ったところでございます。

 先ほどもお話しさせていただきました、昨年十二月に公表いたしました保育政策の新たな方向性では、保育士等の処遇改善、他職種と遜色のない処遇の実現を掲げさせていただきました。そしてまた、保育士の魅力発信ということも私は非常に重要なんだと思います。そうしたことも丁寧に行っていきたいというふうに思います。

 保育士の皆様、そして子供たちのために、引き続き、こども未来戦略に基づいて、更なる処遇改善、そしてまた配置改善、進めてまいりたいと考えています。

橋本(慧)委員 御答弁いただきました。是非とも、力強く、まだまだ足りていない部分があると思いますのでお願いいたします。

 時間が少しなくなってきましたが、例えば私の明石市では、保育士一人一人を確実に応援するために、市内の認可保育施設に採用された保育士が長く働き続けられる環境を整えていけるように、処遇改善、保育士定着支援金というのを市の単独事業で行っているんですね。採用後三か月で十万円を支給をして、その後、一年たつごとに二十万円を支給する、そして七年目には三十万円を支給するということで、現場で活躍する保育士を市の単独事業であってもしっかりと応援をしているわけです。

 こういったものを、是非とも、好事例、横展開というお話もありましたので、やはり、地域で頑張っている自治体とか、本当に頑張っていらっしゃる保育士さんがいらっしゃるわけです、これを国としても財政的な面でしっかりと応援をする。そして、いろいろなリソースをしっかりと投じて、こどもまんなか社会というのを、保育士の処遇改善、社会的な地位の向上も含めてやっていただきたいということを最後に申し上げて、質疑を終わらせていただきたいと思います。

 残余の質問が出たことは、申し訳ありません、また質問させていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、福田淳太君。

福田(淳)委員 立憲民主党、長野五区の福田淳太です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。児童福祉法改正案に関連して、虐待関連に絞って質問をさせていただきます。

 私は、昨年の四月まで千葉県で新聞記者を五年半勤めておりました。当時千葉県議だった安藤議員や小池議員にも取材をさせていただいたことがあったわけですが、この千葉県で二〇一九年に起きてしまったのが野田女児虐待死の事件です。

 皆さん御記憶にあるかとは思いますが、少し振り返ってみますと、野田市で当時小学四年生だった少女が父親の虐待により亡くなりました。少女は、学校が行った調査で父親からいじめられていると回答し、右頬にあざがあったため、野田市が児童相談所に連絡して一時保護をしました。しかし、父親と少女の関係が改善し、少女が帰宅を望んだため、一時保護を解除。その後、児童相談所が虐待の程度が小さかったと判断したことで自宅訪問をせず、虐待はエスカレートしてしまい、ついに少女は亡くなってしまいました。

 この事件は、千葉県だけではなく、全国の皆さんにとっても虐待に対する認識が変わる契機になったのではないでしょうか。

 この事件を受けて、国は関係機関との連携を強化。全国的にも虐待に対する認知度が高まり、自治体なども広報活動に更に力を入れるようになりました。こういった結果、先ほど東議員の質問にもございましたが、令和五年度、全国の児童相談所が子供の虐待について受けた相談は二十二万五千五百九件で過去最多となり、十年前に比べ約三倍に増加しております。一時保護の件数も約一・六倍に増えております。

 まずは、虐待件数が最多となったことについて、そもそもこれは悪い傾向と捉えているのか、大臣に認識と要因について伺います。

三原国務大臣 令和五年度の児童相談所の児童虐待相談対応件数は二十二万五千五百九件と増加傾向にあり、令和四年度から一万件を超えて増加していることは非常に重く受け止めております。

 増加の背景には、社会の児童虐待防止に対する意識が高まり、児童相談所への相談や通告が増えたこともあるものの、核家族化ですとか地域関係の希薄化等によって孤立した状況で子育ての困難に向き合わざるを得ない世帯が多くなっているということも影響しているのかというふうに考えてございます。

 また、近年、心理的虐待というのが大変増えております。これは、配偶者への暴力を目撃するなど、いわゆる面前DVの増加が要因の一つであると考えております。

 こうした様々な要因による児童虐待に対する対応に、こども家庭センター、児童相談所におきまして、御家庭の様々な相談に応じる、必要な支援を行うことが重要と考えております。引き続き、子供を守るために、悩んでいる親御さんを守るためにも、こども家庭センターの設置、児童相談所の体制強化等というのが大変重要だと思いますので、しっかり取り組んでまいりたいと考えています。

福田(淳)委員 虐待は、最悪死に至るのはもちろん、そうでなかったとしても長年心に傷を負ってしまうものかと思います。私は、虐待が顕在化しているという意味でいえば、この相談対応件数ですとか一時保護件数が増加傾向にあること自体は必ずしも悪いことではないと考えております。

 こども家庭庁が公表している虐待相談の内容別の件数の推移を見ると、先ほど大臣からもお話がございましたが、特に心理的虐待は十年前に比べて約四・七倍に増えているところでございます。これは、以前であれば見過ごされてきたことが虐待として認識をされてきたことが大きいのではないかと考えております。

 しかし、児童虐待相談対応件数や一時保護件数が増加することにより、必要となる児童相談所職員の人数も増えておりますが、その需要に対応し切れていない状況があります。都市部を中心に深刻な人手不足に陥っている自治体もあります。

 私が記者をしていた千葉県では、令和六年度に行った児童相談所関連の採用試験で、児童指導員が募集時の採用予定者数五十九人に対して採用見込み者数が十九人、保育士は五十八人に対し三十三人という状況です。県としても様々な工夫や努力を行っているも、抜本的解決に至っていないのが現状です。もはや自治体の努力だけでは限界もあるかと思います。

 この人手不足の状況をこども家庭庁としてどのように認識しているか、そして、人手不足を解消する抜本的な対策が必要と考えますが、大臣の所見を伺います。

三原国務大臣 先ほども申し上げましたが、令和五年度の児童相談所の児童虐待相談対応件数、前年度に引き続き増加傾向、こうした状況に対応するためには児童相談所の体制強化というのが何よりも重要だと考えております。

 新たな児童虐待防止対策体制総合強化プランで、児童相談所の児童福祉司について、二〇二四年度末までに全国で六千八百五十人を配置することを目標としておりましたけれども、実際の配置は六千四百八十人程度となり、目標を達成していないという状況でございます。

 目標の達成に至らなかった背景には、この二年間、採用により一定の人材確保は図られている一方で、心身の不調、そしてまた先ほど来お話があります業務上の悩みなどを理由に離職する方が大変多くいらっしゃるということで、児童福祉司の職場への定着が課題であるというふうに考えております。

 この御指摘のとおり、児童相談所の職員の採用や定着支援に対しまして国としても自治体の取組を支援していく必要性を強く感じておりまして、自治体が行っている採用活動に対する補助ですとか魅力発信、また、人材確保支援を進めるとともに、職員の働く環境や質の向上を図るための職員のメンタルヘルスをケアする職員の配置に対する補助ですとか、ICT化による職員の業務を軽減する、効率化するという支援ですとか、さらに、児童相談所の職員同士が仕事の悩みを相談し合って意見を交換する場を提供するピアサポート、こうしたことで人材の定着支援の事業も行っているところでございます。

 昨年末こうしたプランを再改定して、今後二年間で更なる増員を図るという目標を掲げております。しっかり取り組んでまいりたいと考えています。

福田(淳)委員 ありがとうございます。

 御案内のとおり、やはり過度な負担や心理的な負担が増している状況にあります。

 こども家庭庁が公表している全国の児童相談所で働く皆さんの退職者数の内訳を見ますと、定年以外の理由で退職した人が、児童指導員、保育士で約四割、児童心理司は七割強、児童福祉司に至っては八割強に上ります。定年退職以外の退職理由を見ますと、先ほど御答弁でも触れていただいたところと重なりますが、最多が心身の不調、次いで業務内容、量等に対する悩み、不満となっております。このデータを見るだけでも、児童相談所職員の皆さんが安心して働けるような職場環境が整備されているとは言い難い状況にあるのではないでしょうか。

 定年以外で退職する割合がこれだけ高い背景をどのように分析されているか、伺います。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、児童相談所の職員のうち、例えば児童福祉司につきましては、令和五年度中の全退職者二百七十人の約八割に当たる二百二十五人が定年以外の理由で退職しているところでございます。

 児童相談所を設置する各自治体に退職理由として考えられることを聞いたところ、心身の不調、業務内容、業務量等に対する悩みや不満といった理由が比較的多く掲げられたところでございます。また、職員の職場定着に関する課題についても聞いたところ、時間外業務の多さ、モチベーションの維持向上の難しさ、職員への精神的ケアなどが挙げられているところでございます。

 このような背景には、児童虐待に関する通告については夜間、休日を問わず緊急的な対応が必要であること、一時保護等の介入的対応は保護者と対立的な関係となり得ることなど、児童相談所の業務が精神的、肉体的負担が大きいことも掲げられるところでございまして、児童相談所の職員の定着に向けては、児童相談所職員のメンタルヘルスケアに資する取組が重要であるというふうに考えてございます。

福田(淳)委員 是非とも、児童相談所職員のこういった負担軽減に引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 次に、児童相談所の相談対応件数について、先ほど来申し上げておりますとおり、全国的には増加の一途をたどっております。一方で、自治体によって傾向が異なるようにも見受けられます。例えば、鳥取県では前年度比で四四%、奈良市は三七%増加している一方で、福島県は一五%、堺市は一四%減少しております。

 仮に、それぞれの自治体の取組や関係機関との連携強化により、虐待の認知度が大幅に増えたり、若しくは虐待自体が減っていたとしたら、全国的にも活用できる事例とも言えるかと思いますが、増減率が大きい自治体の要因は一体何か、お伺いします。

吉住政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの増減率が大きい自治体の要因については一概には申し上げられませんが、自治体からの聞き取りによりますれば、増加要因としては、児童相談所に寄せられる相談が増え、それに伴って虐待と判断されたものが増えたことや、新たに開設した児童相談所の存在が住民に認知され、虐待に限らず全体の相談件数が増加したことが考えられるとのことでございます。

 また、減少要因といたしましては、児童相談所と市町村の連携が強化され、役割分担が進み、以前は児童相談所が対応したケースを市町村において対応するようになり、児童相談所の対応件数が減少したこと等が考えられるというふうに承知をしております。

福田(淳)委員 ありがとうございます。

 次に、一時保護と面会、通信制限について伺います。

 私は、仮に空振りでも積極的に一時保護を行うこと自体はよい取組であると考えております。ただ、空振りだったときの対応に既に問題が生じております。

 私の地元、長野県伊那市では、当時高校三年生だった娘が、弁当の中身を捨てたことにより両親と口論になり、学校の担任に家に帰りたくないと相談すると、高校が児童相談所に連絡、娘はすぐに帰れると思ったものの、愛着障害などがあり支援が必要と判断され、成人した後にもかかわらず児童養護施設に入所し、九か月間面会ができなかったそうです。

 この父親と娘は、面会や交流を不当に制限されたとして、長野県に今、損害賠償を求める裁判を起こしております。娘は大学受験の時期という極めて大事な時期だったにもかかわらず、父親に進路を相談することができなかったそうです。父親は娘に会うことができず、毎日のように涙を流していたといいます。

 実際に、この父親に話を聞いてみました。このお父さんは、本来保護されるべき子供が虐待を受けて亡くなる事件を目の当たりにすると本当に胸が痛いと話して、こういった、たとえ空振りでも積極的に一時保護をすること自体は賛成だと話してくれました。

 しかしながら、父親は、一時保護の後の対応について改善を求めております。父親は、一時保護を決める際などに第三者の客観的な判断がより欲しかったと語っております。また、係争中の案件なので、あくまで父親によるとでありますが、今回のケースでは児童相談所は虐待はないと認めていたのに、加害者だと言われたと父親は話しております。

 地方に行けば行くほど、お互いの顔だったり家族構成というのは分かっているものです。御近所づき合いもあります。子供が児童相談所に一時保護されると、場合によっては地域社会で白い目を向けられてしまうということもあり得ることだと思います。

 そこで、第三者の客観的な判断について、六月に導入される司法審査は不当な一時保護を防ぐ効果も見込んでいるか、また、虐待がないにもかかわらず誤って一時保護をした場合、アフターケアを行う必要があると考えますが、大臣にその見解を伺います。

三原国務大臣 一時保護は、子供の最善の利益を最優先に、子供の心身の状況、養育環境、意思等を総合的に考慮、判断し、子供の安全を迅速に確保する必要がある場合や、子供の心身の状況や置かれている環境等をアセスメントする必要がある場合に行われるものですが、親子を一時的に分離させる側面もあることから、本年六月より一時保護開始時の司法審査を導入し、一時保護の適正性や手続の透明性を確保することとしました。

 一時保護については、親子が分離されることで心理的影響も懸念されることから、いかなるケースであっても一時保護解除後の心のケアは丁寧に行う必要があるものと、委員御指摘のとおりだと考えております。

 このため、一時保護の解除に当たっては、子供や保護者の心理状態に配慮しつつ、家庭環境の調整等を行い、関係機関や地域による継続的な支援体制を確保するなど、家庭復帰後の支援計画を立てて準備するとともに、家庭復帰後も児童福祉司等による家庭訪問ですとか関係機関や地域による継続的な見守りや必要な支援を行うこととしております。

 また、子供や保護者等に対してカウンセリングを実施するほか、子供との関わり方を学ぶ保護者支援プログラム等を実施する親子再統合支援事業を昨年四月より法定化したところであります。

 親子関係の再構築に向けた支援の充実もしっかり図ってまいりたいと考えます。

福田(淳)委員 ありがとうございます。一時保護解除後の心のケア、是非慎重に、丁寧に行っていただきたいと思います。

 そして、次に、面会、通信制限について先ほど来質問に出ているところでございますが、この法案の改正によって、児童虐待が疑われた段階で面会、通信制限が行えることとなります。

 確かに性的虐待のケースなど保護者の面会、通信が子供の心を傷つけるような場合も考えられます。疑いの段階で制限を行う必要性は理解できます。ただ、明確に虐待行為があったときとは違い、疑いを定義づけるのは難しい面もあるかと思います。

 先ほどの質問のように、親子双方が虐待の事実がないと認識しているにもかかわらず、一時保護をされてしまうこともあります。そもそも児童が保護者と会うことは児童の権利に関する条約などでも保障されている重要な権利です。これを制限することにもなるわけでございます。

 そこで、疑い、虐待の疑いとはどういう状態なのか、また、どのような判断基準があるのか、そして、今回の規定が過度な運用とならないよう、各児童相談所で適切に運用されるためにこども家庭庁としてどのように対応していくのか、大臣に伺います。

三原国務大臣 児童虐待が行われた疑いで一時保護する場合とは、近隣住民や保育所等の関係機関等から相談や通告があり、その内容や安全確認を行った際に把握した養育状況等により、児童虐待が行われた疑いがあり、児童の安全を迅速に確保する必要があると児童相談所が判断した場合等を指すものであります。

 今般、こういった児童虐待が行われた疑いのある段階での面会、通信等について、子供の心身の安全、安心を図るために、児童の心身に有害な影響を及ぼすおそれが大きいと認められる場合に面会、通信制限することができることとしております。

 また、児童の心身に有害な影響を及ぼすおそれが大きいと認められる場合とは、例えば、子供からの明示的な言及は得られていないものの、様々な状況から性的な虐待が疑われ、面会、通信を行った場合にフラッシュバック等により子供の心身に傷つきを与えるおそれが大きい場合などが考えられます。

 一方、一時保護中の面会、通信に関する制限につきましては、子供への心理的影響も懸念される制限でありますので、その必要性は子供の意見等を踏まえながら適切に判断されるべきものと考えています。

 制限の必要性について適切に判断いただくために、具体的にどのような場合が児童の心身に有害な影響を及ぼすおそれが大きいと認められる場合に該当するのかにつきましては、今後、現場の実態や関係者の御意見をお伺いしながら、施行通知等でお示しをすることとしております。

 また、判断を行った後も制限継続の必要性を定期的に見直す等、児童相談所で適切な運用が図られるように対応してまいります。

福田(淳)委員 時間が参りましたので、終了します。

 どうもありがとうございました。

谷委員長 次に、東徹君。

東(徹)委員 日本維新の会の東徹でございます。

 今日は、私、通常国会で初めて地域・こども・デジタル特別委員会での質疑をさせていただくことになります。

 我々維新の会、ちょっと冒頭にお話をさせていただきたいと思うんですけれども、国対委員長の方針というのがございまして、それは何かといいますと、議員は質問の二日前に通告を出すことが決められておるんです、二日前の五時までというところを厳守しないといけないということになっております。ですから、それをしようとすると、理事会で次回と次々回ぐらいまで決めていただけると、それができるなと。

 これはなぜなのかといいますと、充実した審議ができるように、充実した質疑ができるようにということと、もう一つは、官僚の皆さんに早めに通告を出すことによって官僚の負担を軽くしていく、そして生産性を上げていくといったことを目的にさせていただいております。

 今日は、谷委員長を始め、また森田理事、そして上川理事のおかげで次回の決定と次々回まで頭出しをしていただくことになりまして、本当に感謝いたしております。

 それでは、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今回の法案の保育士・保育所支援センターの法定化というところを見させていただいて、保育人材の確保策の強化を図る、これはもう当然のことでありまして、それを図る観点から、保育士・保育所支援センターの機能を担う体制を法定化するというものであります。

 私は、これを見たときに、こんなもので保育士の人材確保が、保育士人材不足が解消できるわけがない、そう思いまして、これはこんな法案だったら反対でいいんちゃうかなと思ったんですけれども、ただ、ほかにも内容がありますので、これをもって全て反対するというのはいかがなものなのかなというふうに判断をしたところでございます。

 まず最初に質問させていただきたいと思いますが、保育士の人材不足、大変これは深刻な問題なんです。保育士の採用についてでありますけれども、今回の法案で保育士・保育所支援センターの法定化をするものですけれども、これによって保育人材の確保が本当に進むというふうに考えているのかどうか、お聞きしたいと思います。

三原国務大臣 保育士の有効求人倍率は、令和六年十月時点で三・〇五倍となっており、全職種平均の一・二七倍と比べると依然として高い水準で推移をしております。また、配置改善やこども誰でも通園制度の実施を踏まえると、保育人材の確保は本当に喫緊の課題でございます。

 これまでも、各センターでは、予算事業として保育人材と事業所のマッチング支援や地域に応じた保育人材確保の支援がされていると承知しておりますが、取組内容については自治体間に相当程度のばらつきが存在すること、これが課題だと認識しております。

 このため、今回の法案において、保育士の業務の広報ですとか就労することを希望する者への研修等の支援、保育所への就労環境向上のための相談支援等、業務を行う体制の整備について都道府県に義務を課すこととしており、都道府県を中心として、関係機関と連携しながら、これらの機能が各都道府県においてしっかりと果たされるものと考えております。

 また、保育士を専門に扱う機関である保育士・保育所支援センターの強みというのは、伴走的支援だと考えております。域内の保育所等を巡回して園との関係性を構築した上で、保育方針ですとか労働環境に関してきめ細かい情報を求職者に提供してマッチングにつなげるですとか、保育からしばらく離れていた潜在保育士の方に対して復職に向けた研修を実施するとか、試行的に短期間で働くトライアルなどもあっせんするとか、就業後も保育所等をしっかり巡回して、雇用の管理あるいは職場の業務分担等に関する助言等を、支援を通じて、マッチングした保育士が長くその園で働くことができる伴走的な支援、これをしっかり各地域で進むように取り組んでいくことが強みだというふうに考えておりますので、そうしたことをしっかり進めていくことで解決を望んでいるというところでございます。

東(徹)委員 御説明ありがとうございます。

 ただ、現状を見させていただきたいと思いますが、今日、皆様にお配りしておる資料をまず御覧いただきたいというふうに思います。

 まず、一枚目ですけれども、これはこども家庭庁の提出資料になりますが、保育士・保育所支援センターの実施状況ということで、就職件数が各自治体名の横に書かれております。北海道、何と一ということですね。もちろん一桁台もあるんですけれども、ほぼほぼ二桁台なんです。これが現状であります。こういった状況である中で、本当にこの問題が解消するのかということなんですね。

 続きまして、その次の資料をつけさせていただいておりますけれども、NHKも保育士の人材不足について真剣に調査をしてくれております。保育士不足は深刻だというふうなことで、大規模にアンケートを行っていただいております。

 見ていっていただくと、この調査というものは、NHKが調査してくれたんですけれども、全国二四%に当たる四百十七の市区町村を通じて一万二千七百五十四の保育施設に対してアンケート調査をしてくれたという、これは大々的な調査だと思います。

 その中で、見ていっていただくと人材紹介会社が頼みの綱というふうにありまして、これはWAM、独立行政法人福祉医療機構が調査したものですけれども、二〇二二年度の調査です。この調査は複数回答ですけれども、正規職員の採用に結びつく効果の大きかった媒体、経路は何ですかと聞くと、一位が人材紹介会社で何と七八・二%でトップに来るわけですね。そのあといろいろとあって、保育所支援センターは出てこないんですけれども、ハローワークが四五・九%ということで、一番最下位に出てくるわけですね。保育士の人材紹介は、民間の人材紹介会社が一番多いという結果になっております。

 その中で、この調査はなかなかしっかりとしてくれておるんですけれども、結局、民間の人材紹介会社に頼むとどういったことになるのかというと、手数料なんですね。保育士の年収の二〇%が手数料だということなんですね。

 あと、一番最後のページの、これは都道府県の保育所の施設の状況ということで、一番右側が赤字施設の割合ということで、北海道は四割が赤字というふうなことになっているんですけれども、全国平均を見ますと二三・一%が赤字の施設だということになるわけですね。

 これはNHKの調査の中でも出てくるんですけれども、民間人材会社に払う手数料の平均なんですけれども、民間の人材紹介会社にどれだけ手数料を払っているかというと、一施設当たり平均二百十七万円も払っているというんですね。これはすごい金額だなと思ってこの資料をつけさせていただいたわけでございます。

 ということで、民間の人材紹介会社が七八・二%で最も大きくなっているわけですけれども、なぜ民間の人材紹介会社が使われていると考えるのか、まずお伺いしたいと思います。

青山政府参考人 お答えいたします。

 民間人材紹介がなぜ利用されているかということにつきまして、まず、職業紹介による保育士の常用就職の令和五年度の実績をハローワークと民間で比べますと、ハローワークが一万四千五百三十七件、民間の有料職業紹介事業所、人材紹介会社に当たりますが、二万一千四百五件となっております。

 今お尋ねのありました件につきましては、必要な人材を確保するため、保育分野の事業主におかれましては、自ら人材を募集するほか、ハローワークなどの職業紹介サービスや求人広告など様々な採用ルートを活用しているものと考えておりますが、民間の利用に関しましては、その時々の置かれた状況等に応じつつ、例えばでございますが、至急人員を充足したい場合などに民間の有料職業紹介事業所を利用することがあるものと承知しております。

東(徹)委員 ちょっと分かりにくい御答弁かなというふうに思うんですけれども、要は民間の人材会社が早く紹介してくれるんだという一言なのかなというふうにお聞きしていて思ったんです。

 今説明のあったように、ハローワークが紹介している件数が一万四千五百三十七件です。その次に、保育士・保育所支援センター、これが少なくて四千五百九十七件。民間の人材紹介会社が最も多くて二万一千四百五件。これは厚労省から集計してもらった数字を今読ませていただいたわけでありますけれども、実態はそういうことなんですよ。

 私は、この保育施設が支払う手数料は本当に問題だというふうに思っておりまして、一施設当たり平均二百十七万円ですから、人材会社に払っている金額が。これは調査、把握しているのかどうか、まずここもお聞きしたいと思います。

青山政府参考人 お答え申し上げます。

 今おっしゃいました民間の職業紹介事業者が求人企業から徴収している紹介手数料につきましては、令和三年度に厚生労働省におきまして委託して行ったアンケートがございます。その集計を見ますと、保育士が含まれる医療、福祉、介護の職業においては、紹介手数料率が年収の二〇%以上三〇%未満と回答する事業者の割合が最も高くなっておりまして、実際、約四三%でございます。

 なお、ほかの職種などと比較しますが、同じアンケート調査で、医療、福祉、介護の職業以外のほかの職種の多くは、紹介手数料率が年収の、その上の三〇%以上四〇%未満、すなわち、先ほど申し上げました保育が含まれる医療、福祉、介護の職業で最も回答割合が高い手数料率の水準よりも高い水準で最も回答割合が高くなっているところでございます。

東(徹)委員 これは、調査していただいた資料を私も見させていただきました。年収三百から五百万円だったら保育士の紹介手数料が八十九・二万円、二百万から三百万だと四十八・三万円というふうな高額な手数料を実際に払っているんですよね。

 保育所というのは、幼児保育も今だんだんと無償化の時代になってきているわけですよね。国の方が税金でお金を出しているわけですよ。そうやって賄われている保育所、要するに税金で賄われているのが保育所ですから、そこから手数料を取るというのはおかしいんじゃないか。

 もっと言えば、これは保育所だけではないですけれども、保険と税金で賄われている介護施設もそうだし、それから医療関係もそうですよね。こういった分野、こういう高額な手数料をこのままほっておくというのはとんでもないことだというふうに思うわけですよ。こういうところこそ規制をかけていかないと、いつまでたっても、結局、皆さんが保険を払ったり税金を払って運営されている施設が、こういった人材不足で、人材紹介会社にお金がどんどんどんどんと出ていって赤字になってしまっているというこの現状、これは早く止めないと、いつまでたっても変わらないわけですよ。

 これを変えていくためには、僕は、今回の保育士・保育所支援センターの法定化ではなくて、ここの民間の人材会社に規制をかけていくということをしないと、問題が抜本的に解決できないですよ。ここを本当にやらないと駄目だというふうに思っています。

 だから、例えば民間の人材紹介会社も、保育所の紹介をするんだったら手数料をゼロにしなさいというふうなことをするとか。ほかの民間企業は幾らでもやってもらったらいいと思うんですよ。でも、これは税金で賄われている施設だから、そういったところはゼロにしなさいとか一切やめなさいとかそういう規制をかけて。

 ハローワークがあるわけですよ、ハローワークが。ハローワークと保育所支援センターが分散するのもどうなのかなというふうに私は思うわけです。集約していくというのは非常に大事だというふうに思っていて、ハローワークだったらハローワークに一本化してでもいいと思いますし、もっとハローワークの機能を強化させて、民間人材紹介会社は手数料をなしにして、そしてもっとハローワークを活用していく、こういったことをやっていかないとこの問題は抜本的に解決できないというふうに思っていまして、この点について三原大臣にお伺いしたいと思います。

三原国務大臣 保育人材の確保に関し、有料職業紹介事業者に支払う紹介手数料の負担感の強さが課題として指摘されていることは承知をしております。

 有料職業紹介事業者の手数料について、これは厚生労働省が所管ですので私から見解をお答えする立場にはありませんが、厚生労働省において、お祝い金とか転職勧奨禁止の実効性確保ですとか職種ごとの紹介手数料、実績の見える化、あるいは丁寧なマッチングを行う事業者を認定する適正事業者認定制度の取組など、保育分野を含めて様々な取組を実施していると承知をしております。

 私たちとしても、人材紹介業を所管する厚生労働省と連名で、保育事業者が有料職業紹介事業者を利用する際の留意点ですとか注意事項の周知を行ったところであります。引き続き連携してこうした必要な対応を行ってまいりたいと思っております。

東(徹)委員 これは、三原大臣もよく厚生労働委員会で私も御一緒させていただいていたので、自民党の先生方もこの問題をよく指摘されていました、武見先生とか。そうやって皆さん、この問題は共有して分かっているのに、何でこれは変わらないのかなと。本当にこれは残念で仕方がないんですね。十年ぐらいこの話をしているなと私は記憶しているんですけれども。

 ここをきちんとしないと人材不足問題は解消しないし、結局、施設がどんどんこういったところに紹介手数料を払っていって赤字になっていく、運営が厳しくなる、この状況も変わらないわけですよ。

 これは本当に、確かにここは厚生労働委員会ではありませんので厚生労働大臣が答弁できないからということかもしれませんけれども、ここは厚生労働省にしっかりと言わないといけないし、厚生労働省、これはできるんじゃないですか。これはできないですか。

青山政府参考人 お答えいたします。

 保育分野における事業者の皆様が、人材の確保が切実な課題のある中で、人材紹介手数料の負担を重く感じていることは本当に十分認識しております。

 他方で、民間の職業紹介事業者が保育の分野の人材確保においても一定の役割を果たしている部分はあろうかと思いまして、丁寧なマッチングを行っている適正な事業者からの人材供給がなされている部分はありますので、おっしゃったような規制を行うことは、そういう影響を考えますと人材の確保に支障が生じかねないかなと思っております。

 ただ、そうはいいましても、おっしゃったように手数料についてのいろいろなお声もありますので、先ほど三原大臣が紹介なさいました様々な規制、手数料の見える化などの取組を進めておりますので、透明性を高めることで、求人者が納得して事業者を選択してサービスの質や実績のよいところを利用される環境を整備していきたいと思いますし、御指摘のありましたハローワークの強化にしっかりと取り組んでまいりたいと思います。求人者への指導や求職者への丁寧な相談などでしっかりとハローワークを利用していただき、そこでの人材確保がより実現されるように、ハローワークの機能強化には不断に取り組んでまいりたいと思います。

東(徹)委員 ハローワークは手数料がただなんですよね。無料ですから、本来ハローワークにやってもらったらいいけれども、でも、ここは民間の人材会社が、お金になるから、施設は困っているから早く人を入れたいから、これはそういうビジネスになるわけですよね。ここを、是非問題を解決していかないと、いつまでたっても変わらないというふうに思います。

 では、三原大臣、どうぞ。

三原国務大臣 なので、今回の法定化を契機に、保育の分野ではしっかりと保育士・保育所センターを使っていただくということで、公的な機関を使っていただくということで解消していきたいというふうに考えております。

東(徹)委員 本当に法定化でできるんですかねと思うんですよね。ハローワークがある、保育所支援センターがある、分散していますよね。ハローワークも僕は地域密着型だと思いますよ。ちょっとそこは、どういう在り方がいいのか。まずは、でも、僕は民間の人材会社の手数料をなくさないと変わらないと思いますので、是非そこを検討していっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

 以上です。終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、日野紗里亜さん。

日野委員 国民民主党の日野紗里亜です。

 昨年の臨時国会におきましても、私は保育士不足の課題について質疑をさせていただきました。その際にも、三原大臣におかれましては、同様の課題意識をお持ちでいらっしゃると受け止めております。

 本法案には、喫緊の課題である保育士不足への対応として、保育士・保育所支援センターの法定化をすることが盛り込まれています。保育士の確保や潜在保育士の復職支援を本気で進めるための一歩として、私はその方向性自体はいいものだと思っております。しかしながら、法定化によって何がどう変わるのか、その実効性が伴わなければ意味がないものになってしまいます。

 そこで、確認させてください。現在、全国七十五か所で運営されている保育士・保育所支援センターですが、人材の確保に向けて、就職相談やあっせん、求職情報の提供、これが業務の内容として明記されております。それぞれの取組の直近の実績、相談件数、あっせん件数、求職情報の提供回数を数字でお答えください。また、法定化することで今後どのような数的目標を掲げておられるのか、内容や課題につきましては先ほどいろいろ聞いておりますので、数字のみお答えいただければと思います。お願いします。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士・保育所支援センターは、令和六年十月一日時点で秋田県を除く四十六の都道府県に設置をされておりまして、指定都市、中核市が設置しているものを含めますと七十五のセンターが運営されてございます。

 その実績でございますけれども、直近で把握をしている令和五年度の数値におきまして、新規で求人の登録がされた件数は三万三千百八十件、新規で求職の登録がされた件数は一万一千六百十六件、登録された方でセンターが求人を紹介した件数は八千二百四十六件、登録された方で就職につながった件数は四千五百九十七件というふうになっております。

 今後、この保育士・保育所支援センターの法定化によりまして、都道府県のセンターごとの取組はまだばらつきがございますので、そういったことを法定化してしっかり底上げをしていきたいというふうに思っております。

日野委員 登録された方の就職件数でありますので、あくまでセンターを通じて就職したという件数ではないと思います。具体的な数値目標を掲げることが、法定化するのであれば必要だと思っています。

 また、潜在保育士が六割近くいると言われている中で、就職件数、余りにも数が少ないのではないかなという課題感を感じております。また、各地のセンターからは、潜在保育士の掘り起こしが進まない、センターの存在自体が知られていないといった運営上の課題が数多く寄せられています。

 そういった中で、保育士資格保有者に対するセンター登録者の割合は現在どの程度で、大臣はその課題をどのように認識されていますでしょうか。簡潔にお答えいただけましたらと思います。

三原国務大臣 令和四年十月一日現在で、保育士登録者数は約百七十九万人となっています。また、保育士・保育所支援センターに登録している方の数は約十一万人となっています。

 なお、保育士登録者数の中には、保育士として保育所等に勤務している方が約六十八万人含まれるほか、幼稚園などで勤務する方、現に他の職種等で就業する方、高齢で仕事に就いていない方なども含まれて、直ちに保育所等で保育士として就業できる方や就業を希望している方のみではない点は留意が必要だと考えております。

 保育士資格を持ちながら保育所等に勤務していないいわゆる潜在保育士の掘り起こしや復職支援のため、潜在保育士の情報を把握し、アプローチしていくことは不可欠であると考えておりまして、登録者の数を増やしていくことが重要であると認識をしています。

 このため、新たに保育士登録を行う者や保育所から離職する者等に対し保育士・保育所支援センターへの登録を促しているほか、保育士登録時に本人同意を得て登録情報を保育人材の確保等に活用することができることとしつつ、住民登録情報と連携して登録者の住所地を更新することが可能な、国家資格等情報連携・活用システムを保育士登録業務に導入することを予定してございます。

 より多くの保育士の方に支援が届くように、各センターにおきましても、こうした仕組みを活用し、登録を促していくとともに、私どもといたしましても、先ほど委員御指摘でありましたセンターの周知ということにもしっかりと取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。

日野委員 資格保有者が百七十九万人で登録者が十一万人というのは余りに少ないと思っております。

 本気で人材確保を進めるのであれば、まずはセンターに登録したくなるような具体的なメリットを提示するとともに、いずれは就職したい、いずれは復職したい、条件が合えば働きたいといった潜在層に対し、ピンポイントで丁寧にアプローチできる体制を整えることが不可欠だと思っております。単に窓口を設けるだけでは実効性は期待できません。センターが本当に機能すれば、保育士を探す保育園にとっても、働き先を探す保育士にとっても、双方にとってメリットしかないはずだと思っております。

 先ほど東議員の御指摘にもありました、現場では今多くの保育園が民間の紹介会社に百万円規模の高額な紹介料を支払っており、こうしたコストが園の経営を圧迫し、結果的に現場職員のボーナスや待遇にも悪影響、まさに負の連鎖が起きています。こうした状況を断ち切るためには、センターとハローワークがしっかりと連携を行い、有料の職業紹介を介さずにマッチングできる仕組みの整備が急務です。

 センターを法定化するのであれば、問われるのは実行力です。まずは、センターの存在を知らしめる広報の充実、保育資格取得時のセンターへの登録の制度化、ハローワークとの連携など、センターの実行力を担保する具体策を真剣に策定いただければと思います。

 続きまして、小規模保育事業について質問させていただきたいと思います。

 今回の改正案では、これまでゼロ歳から二歳児のみを対象としていた小規模保育事業において、三歳から五歳児を対象とした事業の全国展開が盛り込まれました。この三歳から五歳児のみを対象とした小規模保育事業は、地域の実情に応じて必要と認められる場合に実施するとされています。

 では、その必要とする判断は一体誰がどのような基準で行うのでしょうか。また、一体誰のために行う事業なのか。本改正の目的も含めて、大臣、お答えください。

三原国務大臣 三歳から五歳児のみの小規模保育事業については、平成二十九年より国家戦略特区における特例措置として実施するとともに、国家戦略特区の基本方針における特例措置の活用から一定期間が経過し、特段の弊害のない特区の成果は重点的に全国展開していく旨の方針に基づき検討を進めてまいりました。

 現在、この特例措置の対象区域となっている成田市、堺市、西宮市の三市における特例措置の活用実態を確認いたしましたところ、例えば、〇―二歳児を対象として小規模保育事業を実施する事業所が、姉妹園として三から五歳児を対象とする事業所を併せて設置するなどの活用方法が確認されておりまして、これまで特段の弊害等は確認をされておりません。

 また、三から五歳児のみの小規模保育事業の創設により、例えば集団生活を過ごすことが苦手なお子さんなどの多様なニーズに対応した保育提供体制の整備の選択肢となり得るなど、保育の選択肢を広げるという観点から意義があるというふうに考えられることですとか、今回、法改正によって三から五歳児のみの小規模保育事業を全国展開することとしたものでございます。

 このほか、この事業は、先ほどもお話ありました人口減少地域における保育機能のダウンサイジングの過程においても一つの選択肢となり得るものでありまして、地域の実情に応じた保育提供体制の確保の選択肢を増やして、子供を安心して預けられる環境の整備に資するものと考えております。

日野委員 必要とする判断、また、誰のために行う事業なのか、もうちょっと明確にお答えいただけたらと思います。

 今大臣がおっしゃった、集団生活を過ごすことが苦手な子供たちへの対応という説明がありましたが、確かに多様な子供のニーズに応えることは大変重要なことだと思います。しかし、それであれば、当然、療育に関する知見を持つ、そうした専門職の配置を義務づけるとか、保育体制そのものの高度化をする必要があるのではないでしょうか。子供の個性に応じた保育を掲げるのであれば、それを担保する人員配置と支援体制が整っていなければ、むしろ子供のためにはならないと私は思っております。

 更に申し上げますと、三歳から五歳というのは、社会性を育む上で極めて重要な時期だと思っております。そのような時期に、この子は集団生活が苦手だと早期に線引きをしてしまうような判断を保育の現場が行うことが果たして適切でしょうか。

 ほかにも説明がありました。姉妹園としてという御回答がありました。ただ、現在もゼロ歳から二歳の小規模保育事業の運営者は、既に連携施設は義務づけられていますね。なので、これに関しましても、同法人で姉妹園として設置するといった特段の理由はないと私は思っております。

 ダウンサイジング、人口減少地域における選択肢の一つとしてという話がありましたが、元々ゼロ歳から二歳児の小規模保育事業というのは待機児童対策の一環でもありました。であるならば、ゼロから二と三から五をセットするのではなくて元々の通常保育所に一本化でいいと私は思っております。

 そうした中で、少子化の影響によって保育所の利用者数というのは年々減少しているわけですね。なので、このゼロ歳から二歳児対象の小規模保育施設の定員が埋まりにくくなった事業者が、三から五歳児対象の小規模保育事業に事業拡大し経営の安定を図ろうとしている、つまり経営上の都合が背景にあるのではないか、こういった見方も私は否定できないと思っております。

 こうした懸念は、安全面にも直結していきます。小規模保育事業には園庭がないケースも多くあると思います。代わりに近隣の公園を戸外の活動場として使用している、こういった現状が多くあります。しかし、公園は一般利用を前提として設計されているため、安全対策や遊具の対象年齢の面では月齢に合っていないものも多くあります。実際に、柵に囲われた園庭でさえ事故が起こる中で、一般的な公園で日常的に三歳児から五歳児を遊ばせる、これに私は強い危機感を持っています。そうした理由から、危険を避けるために戸外活動の機会が十分に持てないといった事態も子供にとっては大きな問題ではないでしょうか。

 こうした状況を見たときに、果たして本当にこどもまんなか社会と言えるか、むしろ大人真ん中になっていないか、そういったことを私は感じてしまいます。

 もちろん小規模保育事業を否定しているわけではありません。家庭的な雰囲気の中で手厚く子供を見てもらえるというよさがあります。実際、我が家の四人も、上の子が三歳になるまで四人の子供全員がお世話になり、ここでよかったと心から思っていますし、先生たちには大変感謝しています。

 私が問題として挙げているのは、運動量が増え活発になってくる三歳から五歳児が、マンションの一室で園庭のない施設が主流となっている小規模保育事業が本当に適しているのかという点でございます。先ほど橋本議員も指摘されていました保育所保育指針においても、三歳以上の子供は体を十分に動かすこと、戸外で遊ぶこと、集団生活を通して人との関わりを深めること、これが保育の狙いとして明記されています。先ほど、大臣、答弁の中で、保育所保育指針に沿ってという答弁がありましたが、これは小規模保育事業では物理的に不可能だという意味でございます。安全性や子供の成長、そして制度整合上いずれもこどもまんなかとは言い難い本制度の全国展開について、政府として一旦立ち止まり、見直しを検討すべきではないかと私は思っています。

 また、それでも地域性によってどうしても必要だというところがあると思います。そういった場合は、本当に必要性が認められる場合に限り、例外的、特例的に実施すべきではないでしょうか。子供の成長、発達のみならず、命にも関わることです。明確にお答えください。見直しの検討、そして特例的な運用とすることについて御賛同いただけますでしょうか、大臣、お答えください。

三原国務大臣 大変たくさんの御質問をいただきました。

 まず、三から五歳児のみの小規模保育事業を行う事業所は、現行の小規模保育事業等と同様、いわゆる国が定める基準に基づいて市町村が条例で定める認可基準を満たすもののみが認可を受けることができることとなっております。また、市町村がニーズを調査等して定めた事業計画を踏まえ、あらかじめ見込んだ必要量を超える場合等には認可をしないことができることとなっております。これらの仕組みにより質を担保し、地域のニーズにしっかりと応じた体制を整備することは可能であるというふうに考えてございます。

 そして、小規模保育は保育所保育指針の内容に準じて保育を行うこととされており、指針の中では、子供相互の関係づくりや互いに尊重する心を大切にし、集団における行動を効果あるものにするよう援助することとされてございます。各事業所におきましては、指針を踏まえ、友達との関わりの中で子供の社会性等が育まれるよう、保育士による支援がなされていると承知をしております。

 また、三から五歳児の保育は〇―二歳児と比べて教育的な要素が強く、専門性を持つ保育士による関わりが重要であること等を踏まえまして、今回の改正においては保育士のみを配置するA型に限って全国展開することとしており、全国展開後も専門性を有する保育士による質の高い支援が期待されるものと考えてございます。

 その上で、集団保育の体験機会を提供するため、今後、認可基準におきまして園庭の開放や合同保育などの連携協力を行う保育所等を連携施設として適切に確保しなければならないことを規定する予定としております。

 こうした取組を通じまして、小規模保育事業においても集団の中で子供の社会性等が育まれるようしっかり取り組んでいきたいというふうに考えてございます。

日野委員 ニーズは市町村が判断すると言っておりましたが、その必要性においてはしっかりと国がガイドラインを示す必要があると思います。

 私は、こども誰でも通園制度における課題提起をした際にも同様のことをお伝えさせていただきましたが、これだけ保育士不足が深刻化している中で、新たな園児の受皿をつくる、これが本当にこどもまんなかでしょうか。国が次々と新しい法律や制度をつくっていきますが、これは的外れな制度がつくられたとき、その影響を受けるのは地方自治体であり、事業の担い手であり、働き手であり、サービスを利用する子供とその家族であります。

 制度がつくられるたびに、自治体はその導入、周知、運用のために多くの時間と労力を費やします。事業者は、国の方針に振り回されながら、生き残りをかけて事業の組替えを迫られます。そして、その結果、働き手は分散し、更に人材不足が加速します。利用者は、制度が増えることでかえって分かりづらくなり、必要な支援に届きづらい、そんな場合があります。

 今すべきことは、小手先の制度を増やすことではなく、既にある制度を生きた制度として機能させることです。そのために解決しなきゃならない課題はたくさんあります。私はこれからも現場の声をしっかりとまっすぐ届けさせていただきますので、大臣には、その声に真正面から耳を傾け、応えていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

谷委員長 次に、浮島智子さん。

浮島委員 公明党の浮島智子です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日議題となりました児童福祉法等の一部を改正する法律案に関連いたしまして質問させていただきたいと思います。

 今回の法案におきまして、保育士の確保のための施策の充実や虐待を受けた子供への対応の強化を図っていくこと、これは極めて重要であると思っております。公明党としては、この法案を速やかに成立させ、子供たちが健やかに育つ環境の整備を図ることは喫緊の課題であると思っております。

 このような保育に関する体制の強化は、そこで育った子供たちが自らの未来を自分で決めるための環境づくりに社会としてしっかりと取り組むこととセットでなければなりません。

 公明党はかねてから、子供たちが集団の学びと実体験等の個別学習を行き来する中で、一人一人に光が当たり、子供が生きる喜びに輝いている輝き教育というのを提唱してまいりました。

 そのことは引き続きしっかりと取り組んでまいりたいと思っておりますが、本日は、保育士の確保、虐待を受けた子供の対応をしっかりするとともに、自分の関心や適性に応じて頑張っている子供たちを支え、その思いに応える、心の成長という観点からお聞きをさせていただきたいと思います。

 順番をちょっと変えさせていただきまして、まず初めに、舞台に立つ子供たちについてお伺いさせていただきたいと思います。

 現状の理解では、特に十五歳未満の子役、二〇〇五年以降は、厚生労働大臣の措置で午後九時までの出演が可能となり、運用がされているところでございます。

 劇団四季では、二五年三月時点で、子役を起用する演目は「ライオンキング」と「アナと雪の女王」の二つです。各々の上演時間は、「ライオンキング」が二時間四十分、そして「アナ雪」が二時間二十五分、また、懸案のソワレの開演時間、これは夜の公演ですけれども、「ライオンキング」が平日六時半、土曜日五時半、「アナ雪」は平日六時、土曜日十七時、五時となっています。

 「ライオンキング」の場合、平日のソワレの終演の時間が九時十分となります。十分過ぎているために、子役はカーテンコールに出ることができません。また、当該公演に出演して一幕で出演を終えた場合は身支度をして二幕の上演中に劇場を出なければいけない、退館しなければいけないということもあります。いかに熱演しても、そしてお客様の前で一生懸命演技させていただいても、お客様から拍手を受けることができません。

 松竹においても、二十一時に楽屋を出るということが求められているため、実際の出演時間はそれよりも早く、前に終わらなければなりません。ですので、カーテンコールのみ出演できないという例があります。

 先日も、今日はカーテンコールに出られないよと子役の方に伝えたところ、その出演者が号泣してしまうというプロデューサーからのお話も伺いました。こういった制約を回避するために、終演が遅くなる場合、本来の児童の子役が担うべき役どころを、小柄な大人のアンサンブルの方がやっているということもしばしば起こるということでございました。

 また、十八時以降の開演でさえ、多くの会社員の方、また今海外からインバウンドでたくさん来られておりますけれども、観光客の方が劇場に駆けつけるのが困難な時間帯でもありまして、大幅に影響を受けております。まして、子供が最後まで出演する必要がある演目は、十七時開演など、極端に早い時間にしなければならないということで、上演自体の是非にもつながりかねないという現場の声があります。

 また、海外の例を申し上げさせていただきますと、ブロードウェーでは、現在上演中の「ライオンキング」は七時から八時の開演、これは開始時間です。なので、終演が二十一時半、九時半から十時半になりますけれども、カーテンコールに子供が出られないということはありません。また、トニー賞受賞作品でも、「秘密の花園」や「メリー・ポピンズ」、「ビリー・エリオット」、「アニー」、「マチルダ」などで子役が主演俳優、特別功労賞なども受賞しております。表現活動については大人と区別は全くありません。

 これまでも、団体の方々が政府に要望を出してきたという経緯もあります。三原大臣は、小学校二年生のときから劇団に入って子役、そして俳優として活躍なさってきたのでお分かりになっていただけると思いますけれども、今、この児童福祉の観点から、労働基準法において満十三歳以上十八歳未満の児童については原則として午後八時あるいは九時を過ぎると深夜労働となり、働くことが禁止されています。

 でも、カーテンコールに参加できないため、私がもう何回も目にしているのは、大人の出演者は皆さん客席に向かっておじぎをして、たくさんのカーテンコールをいただいているんですが、子役の子は、かわいそうに袖の中に入って、誰もいない真っ暗の中で観客に向かっておじぎをしているというのを私も何回も見てまいりました。もう本当に胸が詰まる思いです。

 また、演技者は命を削って本当に最高の演技をしようと舞台に出ています。子供も全く一緒です。それは、自分への挑戦であるとともに、何といっても、劇場がいっぱいである、その皆様から拍手をいただき、やってよかった、本当に苦しい思いをして毎日毎日自分との闘いを乗り越えてそこに立ちます。そして立って、その最後の最後のカーテンコールで皆様から拍手をいただく、その拍手で、また次も頑張ろう、自分自身に自信をつけていく、これが私は必要であると思っております。

 そこで、まず厚生労働副大臣にお伺いさせていただきたいと思いますけれども、演技者にとってカーテンコールは最もすばらしい名誉であります。そして喜びであります。カーテンコールを労働だと思う出演者、演技者は誰もいないと思います。しかし、労働基準法では、カーテンコールが午後九時以降になってしまった場合は、児童福祉の観点から、深夜労働の禁止を理由に児童がカーテンコールに並ぶことができません。

 この点、是非、必死で演技に取り組んでいる子供たち、児童のためにも、カーテンコールには出るようにするべきだと思いますけれども、見解をお聞かせください。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 労働基準法は、児童の健康及び福祉確保等の観点から、義務教育終了前の児童を労働させることを原則として禁止しております。その上で、行政官庁の許可を得た場合に限り午後八時まで労働させることができ、さらに、特例といたしまして、義務教育終了前の児童が演劇の事業に使用され、演技を行う業務に従事する場合は、午後九時まで労働させることができることとしております。

 このように、演劇の事業に従事する児童の就労可能時間は極めて例外的に認められた措置でございまして、これを更に午後九時以降に延長することにつきましては、児童の睡眠時間が減少することや、学業や心身の発育に影響を与える可能性があることなど、様々な課題がございまして困難ではございますが、委員から御紹介いただきましたとおり、子供たちの様々な思いもございます。いただいた御指摘につきまして、関係者の御意見を伺いながら、どのような対応ができるか、その可否を含めまして検討させていただきたいと思います。

浮島委員 子供たちの健康や、早く帰って寝かせなきゃいけない、だから八時まで、九時までというのは分かるんですけれども、今、補導されるのは十時以降、そして、子供たちも今塾とかいろいろなところに通っております。その子供たちも九時、十時、十一時まで外で勉強していると思いますので、そこのところはしっかりと検討してください。

 また、私が運営していた劇団にも養護施設の子供たちがたくさんいました。様々な養護施設に私も行かせていただいております。

 もう本当につらい思いをするのは、養護施設にいるときに、中学生の女の子が御両親に連れられて入ってこられたんですね。その御両親がその女の子に告げた言葉は、今日からここがあなたの家だよと言って去っていきました。その女の子は、顔は真っ白、顔面蒼白、それでもう人のことが信じられない。そうだと思います。施設に入りました。その子供は、私の劇団に通ってくれました。

 そして、もう一人の男の子は、やはり小学校の頃から養護施設に入った。そして、自分に自信をつけたいということで劇団に入ってきた。そして、一生懸命練習をしてきた。

 もう一人の女の子は虐待を受けています。虐待を受けている中でも、自分に自信を持ちたい、自分が悪いんだ、悪いんだと毎日言っていました。でも、自分に自信をつけたい。

 そして、このみんなは、自分との闘いでずっと闘ってきました。

 その一人の男の子は、僕には夢がある、一つだけ夢があるんだ、僕にもできるというのをおじいちゃん、おばあちゃんに見てもらいたい、僕は認められてこなかった。私は、必死でおじいちゃん、おばあちゃんを捜しました。そして舞台に来てもらいました。そして、最後に、おじいちゃん、おばあちゃんが花束を上げたんです。そうしたら、その男の子はずっと夜空を見て泣いていました。僕にもやればできたんだ、僕は自信がついた、これから頑張る。

 こうして拍手を受けるこの温かさが、自分が今までほったらかしにされた、その子供たちがどれだけ勇気を持って前に出ていかれるかということでございます。

 そんな観点から、子供ど真ん中政策の責任者であり、御自身も小学校の頃から演技に挑戦されてこられた三原大臣に、この問題についてどう思われるか、是非、子供の意見を尊重し、最善の利益を優先して考慮することを基本として、子供、権利利益の擁護を図るミッションとするこども家庭庁を担当する大臣として、厚生労働省と連携の上、子供たちの気持ちに応えていただきたいと思いますけれども、お答えをお願いします。

三原国務大臣 今委員のお話をお聞きしていてちょっと思い出してしまいましたけれども、私も、七歳のときから、特に舞台を中心にお芝居をさせていただきまして、そのきっかけも、今からじゃちょっと想像がつかないかもしれないんですが、人見知りがひどくて、人前でしゃべったりすることが余り得意ではない、その自分を克服するために親が劇団に入れてくれたというのがきっかけだったものですから、その今のお話を聞いていて、とても胸が痛くなる、熱くなるような思いをいたしました。

 そうしたお子さんにとってのカーテンコールの意味、これは特に経験をした者なら分かることなのかもしれませんが、これは本当に大変な名誉であり、御褒美のようなものだと思っております。

 それを労働と見るのかという御質問でありましたので、今厚生労働省の方から答弁がございましたように、お子さんの睡眠時間ですとか、そういうことを考えれば当然そうなのかもしれませんが、子供の意見を一番に尊重するという私どもの立場からすると、これはまた深く考えなければならないなというふうに思いながらお話を伺っておりました。しっかりと考えてまいりたいと思います。

浮島委員 是非よろしくお願いいたします。

 今大臣からもありましたけれども、子供たちが早く帰って休む、これは重要なことだと思います。でも、やはりほかのものと比べると、補導は十時以降になっていたり、みんな子供たちが塾に通ったり、様々なスポーツの練習をしたり、まだ遅くまで頑張っている中で、やはり頑張ってきた子供たちが、その最後のたかが十分、十分過ぎたからといってそこのカーテンコールに出られないというのは、本当に私は残念ですし、その子供たちの心を思うと、是非とも、是非とも穴を空けていただきたいと思っておりますので、是非よろしくお願いします。

 最後にもう一回副大臣にお伺いさせていただきたいと思いますけれども、どうか、今の話を聞いて、厚労省としてもしっかりとここに取り組んでいただくということを、もう一度御答弁をお願いします。

鰐淵副大臣 お答え申し上げます。

 私ごとで恐縮ですが、私も、文部科学大臣政務官をさせていただきましたときに、芸術も担当させていただきました。当事者の、携わっていらっしゃる方の思いの一端も私も分かっているつもりでございます。そういった思いも含めて、様々な御意見もありますので、それを踏まえた上でしっかりと検討させていただきたいと思います。

浮島委員 どうぞよろしくお願いします。

 どうか、こ家庁と厚生労働省、しっかりと連携を取りながら進めていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。

 今回の質問に当たって、子供が大好きで、子供の頃からの夢であった保育者になるという夢を実現した方々から数多くお話を伺いました。ただ、その方々から語られたのは、本当に厳しい保育者を取り巻く環境でした。

 例えば、子供の指導や保護者対応が非常に多様化し、変化をしている。また、環境整備であったりクレーマー対策、クレーマー防御のために身を守ることも大きな負担になっている。また、様々な書類作成など、やることが本当にいっぱいで、出口が見えない中、いっぱいいっぱいで仕事をしなければいけない、本当に余裕がない、もう辞めたい、そういう声をたくさん聞きました。

 また、自分自身の子育て期になると、自分の子供を見るために、本当にたくさんの仕事と子育ての両立ができなくなって辞めざるを得ない、育休制度はあるけれどもそれでは補えない、精神的に本当に病んでしまう、こういう人が周りにたくさんいる、そんな声も聞きました。

 また、最近では、アレルギーを持つ子供も増えていて、これも命に関わることなので様々な対応をしなければいけない、そのための学習も大きな負担になっている。

 全く労力に合った給料ではない、非正規の方々は更に低い、本当にみんな余裕がなくて、だからこそ、いろいろな、虐待につながってしまう、そういった状況があるんだということを切々と訴えていました。もちろん、子供が真ん中、保育者である以上は、子供のために全力で仕事をすること、これは根本的な状況であります。

 そして、先ほど来、三原大臣から、保育者の方々の給料が上がっている、一年間で一〇・七%アップさせた、そういう努力についても表明がありました。ただ、物価上昇であったり、また他業種との兼ね合いで、これが保育者の方々の職場環境の魅力にダイレクトにつながっているかというと、なかなかそうは思えない、元々が低過ぎたんだ、こんな声もたくさん聞きます。

 子供問題の司令塔として本当に活躍していただかなければいけないわけですが、今日は、九人目の質問者ということで、かなり用意した質問がされ、また回答もあったということで、大臣の哲学に関わるようなことも含めて質問させていただきたいと思います。

 まず、虐待の定義について伺いたいと思います。

 熱心なしつけと虐待、これは紙一重の面もあるかもしれません。子供を虐待から守ることは絶対的に必要だけれども、でも、まず、虐待の定義と、そして熱心なしつけとの違い、大臣はどのように考えているんでしょうか。

三原国務大臣 虐待はいかなる理由があっても許されるものではありません。私も一政治家として、十五年前に政治家になってからずっと児童虐待防止ということに取り組んでまいりました。

 そういう中で、身体的虐待ですとかネグレクト、性的虐待、様々ありますが、今、最近本当に増えているのが心理的虐待ということで、いわゆる、お子さんの目の前で御両親がけんかをされる、そのけんかも大変な暴言等、暴力等が行われるというようなことが大変増加をしているという結果が出ております。

 そういうことを思いますと、本当に、子供の体だけではなく心を大きく傷つけ、それが後々まで傷となって残ってしまう、そういうことは本当にあってはならないですし、それこそ虐待ということにつながるのではないかなというふうに考えております。

阪口委員 虐待は絶対あってはならない、これは本当に当然のことであります。

 ただ、例えば、保育者の方が子供に対して熱心なしつけをしていた、子供が泣き出して、そして大変な状況になってしまった、本当に、号泣した子供の状況を見て、それを例えば虐待として通報されるようなこともあり得ると思います。より弱い立場の子供の尊厳、そして命が守られる、これは当然のことでありますが、しかし、愛情を持って熱心に子供をしつけようとしている方々、この人たちも守らなくてはならない。

 総合的に虐待なのか熱心なしつけなのかということを判断する上で、どのような基準で分析すべきなのか、この点、お答えいただければと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま委員御指摘いただいたように、虐待なのか、あるいは保育の世界のいわゆる不適切な保育なのかという仕分が非常に分かりにくいというふうな現場からのお声をいただいております。

 私どもは今年度、ガイドラインを策定するということを目的としまして、調査研究をやっております。現場の方々にもお入りいただきまして、不適切な保育と虐待、どういうふうに考えたらいいんだろうかということの行為類型を調査研究をしているところでございます。

 現場の皆さんが萎縮し過ぎないように、かつ、虐待はあってはならないという大臣からの強い御答弁もございましたように、あってはならないこと、そして一方で、現場が萎縮し過ぎて適切な保育に支障が生じるということがないように、そういった概念を整理するということを現在やっておりまして、もう少しお待ちいただければと思いますが、現在その整理をしているところでございますので、整理ができ次第、現場の皆様方にも御説明をしたり意見交換をしたりという機会を持っていきたいというふうに考えております。

阪口委員 本当にここが大事なところだと思うんですね。

 やはり、保育者の方々が熱心に仕事に取り組む余り、でも、結果的にそれが評価されずに辞めていくというような状況を何とか防ぐということが今回の法案の大きな目的でもあるわけですから、このガイドラインというものの制定、そしてそれが実効性のあるものにするということは非常に重要だと思います。

 私が今回ヒアリングした中では、子供の個性であったり、あるいは保育環境、これは人的配備であったり施設環境、職員の人間関係、また保育者自身の資質、また保護者のこれまでの教育など、虐待の表面的な事実に関わる様々な状況を客観的に分析して、そして、これが虐待なのか、あるいはそうではないのかということをしっかりとやはり評価するガイドラインというのが必要だし、やはり、それがないと、まさに保育者の方々が萎縮しかねない、これが職場を離れる原因にもなってしまいます。

 繰り返しますが、子供の命や尊厳を守るということは絶対に必要だけれども、同時に保育者の方々を守るということも念頭に置かないと、結果的に、自分を熱心に指導してくれた人が職場を離れるというのは、これも子供を傷つけることになりかねないと思います。その点、是非配慮をいただきたいと思います。

 もう一つは、虐待があったということを通報すること、これは必要なことだと思います。見てみぬふりをすることは許されないことだと思います。ただ、現状の日本社会というのは、仲間内で告発をすることというのは、様々な人間関係なども踏まえると、これも大変難しいことだと思います。

 この通報者を守るという上でどのような対応、またガイドラインなどを作っていくのか、この点もお答えいただきたいと思います。

藤原政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、法改正によりまして、児童虐待の通報制度、保育所等においても設けるということで改正をお願いしてございます。

 この通報者を守るという委員の御指摘、非常に重要な論点だと思っております。現在でもガイドラインによりまして虐待の通報をお願いしておりますけれども、その中でも、公益通報者保護法の適用になりますので、不利益な取扱いをしてはいけませんよということを既に通知の中では盛り込んでおりますけれども、今回の児童福祉法の改正の中にも入念的な規定を設けたところでございます。

 したがいまして、法定化された通報制度が実施されるに当たりましては、改めてガイドライン等でしっかり通報者を守るということについて、児童福祉法の規定、公益通報者の保護の規定、両面についてしっかり明らかにしながら周知していきたいというふうに考えております。

阪口委員 是非、この点、しっかりとした対応をお願いしたいと思います。

 また、保育者の方々のヒアリングをする中で最も強く要望があったのは、根本的な待遇の改善、つまり給料を増やしてほしいということなんですね。

 子供問題の司令塔として、保育者の待遇改善ということについて、三原大臣、今後、どのように要求し、そのためのリーダーシップを取っていこうと考えているのか、お答えいただきたいと思います。

三原国務大臣 委員御指摘のとおり、保育士の処遇改善というのは極めて重要であると考えております。令和六年度補正予算でも一〇・七%という大幅な改善を実施いたしまして、令和七年度予算でも財源を確保した上でこれは反映しているところでございます。そしてまた、平成二十五年度以降では累計で約三四%の改善を図っているところということも先ほど来お話をしているところでありますが、処遇改善、お給料というところだけではなくて、環境というところもしっかりと整備していかなければならないと思っておりますし、また、他職種と遜色ない処遇の実現というものをこの度の保育政策の新たな方向性ということで昨年の十二月に公表させていただきました。ここに懸ける私の強い思いというものも是非御理解をいただけるとありがたいなというふうに思っています。

阪口委員 子供たちの未来をつくっていく大変すばらしい職業だと思うんですね。ですから、そこにふさわしい待遇、そして給与、これは是非実現していっていただきたいと思います。必要なことは、受持ちの定数を下げること、そして正規職員を増やしていくこと、そして何よりも給料を上げること、このような待遇改善に全力で取り組んでいっていただきたいと思います。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

谷委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回の法案、保育士不足に対処するというものと言われておりますけれども、やはり根本的なところに手を打つべきだというふうに考えております。

 保育士不足に関しては、ほかの産業と比べても低い賃金を引き上げるということ、そして子供の命と安全、発達を保障する、そして人権を保障する、保育士の皆さんにそういうことを保障して、やりたい保育がちゃんと実現できるようにしていくこと、そのためにも保育士の配置基準の改善ということが必要ですし、保育士さんが産休や育休を取るときに、本当にごめんねと周りの方に言いながら、泣きながら取るような状況がありまして、そういう環境を変えていくこと、有休も、そして病休も取りやすくしていくということ、こうしたことこそ保育士不足の解消の道だというふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

三原国務大臣 今もお答えさせていただいたとおり、保育士の皆様の処遇改善、そしてまた配置改善ということは大変重要なことだというふうに思っております。

 このため、処遇改善につきましては、私が大臣になって本当に最初の予算であります令和六年度の補正予算からしっかりと一〇・七%という大幅な改善を実施しようということで、これは令和七年度予算でも財源を確保した上で反映させていただいたところであります。そして、今まさにお話しさせていただいた、昨年の十二月に公表いたしました保育政策の新たな方向性で、他職種と遜色ない処遇の実現、こうしたものを掲げさせていただいたところであります。

 やはり処遇改善、お給料の面、先ほどもお話ししましたけれども、それだけではなくて、やはり働きやすい職場環境ということが、委員御指摘のとおり、大変重要だというふうに考えております。現場へのICTの導入ですとか、また保育補助者の配置の支援、こうしたことも環境づくりに取り組むためには大変重要なことだというふうにも思います。

 そうした意味も込めて、今回の法案で保育士・保育所支援センターというものを法定化して、保育士の就労環境向上のための相談支援等の業務を行う体制の整備を行っていくということ、これもまた大変重要なことだと思っておりますので、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。

本村委員 補正予算と今年度の予算の中で処遇改善ということで一〇・七%ということですけれども、例えば大臣のお地元の神奈川県の方からお話をお伺いしたら、やはり保育園としては基準を超えて加配しているわけですよね、子供たちのために。なので、そういう方々の給料も保障しないといけないということで、そのことを合わせると、現場では半分ぐらいになってしまうんじゃないかというお声も聞いております。

 そして、保育士の皆様や保護者の皆様から切望されてきた一歳児の保育士の配置基準の改善が、今年度、見送られてしまいました。保育現場からは落胆と憤りの声が寄せられております。

 加算の予算は増えましたけれども、結局のところ、要件があって、実際に一歳児のところの保育士を加配している保育園でも加算が取れないという実態があります。現場の皆さんを失望させているというふうに思うんです。

 こども家庭庁の一歳児の加算を取る要件は、私は本当に子供さんのことを第一に考えた要件なのだろうかというふうに疑問を持つ点がございます。

 一つは、職員の方々の平均経験年数が十年以上の保育園は加算の一つのハードルを越えることができるというふうになっているんですけれども、十年未満の保育士さん、ベテランの方々が少ない保育園、だからこそ子供たちのために保育士の配置を手厚くするというのが必要なのじゃないかというふうに現場からは言われております。

 また、デジタルの保育計画、これもポイントが一つクリアできるわけですけれども、デジタルか手書きかなのではなく、例えばデジタルでも、コピー・アンド・ペーストした保育計画だったらその子のためにならないわけですよ。やはりその子のための保育計画であるかどうか、この点を評価するべきだというふうに思います。また、デジタル導入ということで、導入費やメンテのお金も必要だというところも、ハードルが現場にはあるわけです。

 いろいろな要件をつけて実際に一歳児のために保育士が加配されているのに、その要件のために一歳児の加算が取れないという現実があります。一歳児の加算が取れないと、一歳児さんのための加配された保育士は公定価格の給料のアップの対象外になってしまうわけです。そういうふうになるのではないかというふうに思いますけれども、大臣の御見解を伺いたいと思います。

三原国務大臣 保育士等の処遇改善について、先ほどお話をさせていただいたとおりでありますが、公定価格について、園児の人数に対する保育士の人数を決めた法令上の基準である配置基準や、公定価格上、評価することとしている加算分、これを基に算出しておりますので、保育の現場においてこうした配置基準や加算分を超える保育士が配置されている場合には、機械的な計算どおりにならない場合があるということは承知しております。

 他方、今般の当初予算による公定価格上の人件費の増額分を活用した賃金改善は、通常の教育、保育に従事する全ての職員を対象とすることを可能としておりまして、各事業者においてその実情に応じながら処遇改善を進めていただきたいというふうに考えているところでございます。

本村委員 入ってくるお金は公定価格のところということで、それをどのくらいの人に分配するかという話で、一人一人が薄くなってしまうわけです。

 私は、以前に、一歳児の子供さんの命が失われてしまった事故が相次いでいるということ、そして、自治体のその事故の第三者の検証の報告の中で、配置基準の改善が必要なのだというふうに書かれていることを指摘いたしました。

 一歳児の保育士の配置基準を改善するべきだというふうに思います。また、少なくとも一歳児の保育士の加配を実際に行っているところに対しては加算を使えるようにするべきだというふうに考えますけれども、大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 先ほども申し上げましたように、御指摘の一歳児の配置改善は、三歳児や四、五歳児の配置改善より大変多くの保育人材が必要となるため、まずは、基準の見直しではなくて、保育の質の向上、職場環境、処遇改善等の観点から、一定の要件を満たす事業所への加算措置による対応を進めるものでございます。

 いずれにしても、一歳児の配置改善、これは五十数年ぶりであります。まずはこの形で、令和七年度から一歳児の配置改善加算、これを着実に実施して、そして保育現場における職員配置の改善を進めていく、その上で、本要件の在り方につきましては、加算の取得や実際の配置の状況等を踏まえて、また検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

本村委員 実際に子供たちのために加配しているわけです。五人に対して一人ですとか、四人に対して一人、こういう保育園がある中で、その要件があるために国からはお金が入らないというところは市町村が配るわけですけれども、それは直ちに改善していただきたいというふうに思っております。

 子供たちのことを真ん中にして考えているのかという問題、もう一つございます。幾つもあるんですけれども、小規模保育についてです。

 今回は全国で三歳以上の子供さんの小規模保育ができる規定になっているんですけれども、小規模保育についてはA型、B型、C型というものがありまして、ビルの一角というところもあり、もちろん一生懸命やっているところもあるということを私もお話を聞いて存じ上げておりますけれども、三歳児以上の子供が過ごす、そういう場として本当にふさわしいのかということもございます。

 A型は保育士さんで保育してくださいと。しかし、営利法人が五三・七%、そして人件費割合が六四・八%ということで、通常の認可保育園でいいますと、人件費というのは七五・一%なんですけれども、A型の人件費は六四・八%。B型になりますと、保育士は二分の一以上でいいですよということになっておりまして、営利法人の割合は四七・四%、人件費の割合は六四・五%。C型となりますと、保育士でなくてもいいですよ、研修を修了した人でいいですよというふうになっておりまして、営利法人の割合は三五・二%、人件費割合は六二・五%というふうになっております。特にB、Cは、国家資格である保育士ではない方々が見ているという点で、保育の質に格差ができてしまうのではないかという懸念もしております。

 今回の法案は、三歳以上のみ小規模保育ということで、A型を想定しているんですけれども、でも、そのことは法律に書いていないわけです。ですから、将来、B型、C型に拡大するんじゃないかという懸念もありますし、地域の皆さんにお伺いをしたら、今、公立保育園を潰す動きがあるんですけれども、質の向上のためにも大切な役割を果たしている公立保育園を潰して、そちらの保育に、受皿としてこの小規模保育が使われてしまうのではないかという懸念の声も出されております。

 やはり、保育の質を低下させる、そういう施策ではなくて、保育環境を整えて、保育士を手厚く配置して、子供たち一人一人の命と安全を守り、そして発達を保障する、そういう施策こそ、今、求められていると思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

三原国務大臣 小規模保育事業所における保育の質の確保は重要であると考えておりまして、特に三歳から五歳児の保育、〇―二歳児と比べて教育的な要素が強く、専門性を持つ保育士による関わりが重要であるということを踏まえ、今回の改正におきましては、保育士のみを配置するA型に限って全国展開することとしております。

 この小規模保育事業のA型、B型、C型の類型、これは従前より内閣府令で規定されているものでございまして、今回の三から五歳児のみの小規模保育の創設におきましても、これは、法律ではなく、内閣府令で対応することとしております。

 なお、B型及びC型については、令和六年十二月の国家戦略特別区域諮問会議決定において、引き続き特区での実証や活用ニーズ等を踏まえて全国展開の可否を検討するとされて、引き続き、特区の仕組みの中で実施し、検討することとしており、今回の法改正の議論の中でいただいた保育の質を担保すべきという趣旨の御意見等も踏まえまして、関係者の御意見も伺いながら、丁寧な検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

本村委員 保育の質がやはり後退するのではないかという懸念があります。法律事項ではないために、やはり白紙委任はすることはできないというふうに思っております。

 認可保育所と比べても人件費比率が低いということで、処遇の水準が低くなってしまうという懸念もございます。こうした問題もございます。

 また、一時保育の子供さんと保護者の面会に関しては、パートナー弁護士なんかも配置して、子供の権利を保障できるようにすることと同時に、臨床現場では、家庭裁判所で面会交流を決められた子供たちが、面会交流を嫌悪し、面会をめぐる別居している親との紛争にさらされ、あるいは、過去のトラウマから回復が進まず、全身で苦痛を訴え、不適応を起こして健康な発達を害している事例が増えているという学会の指摘もございます。

 こうしたこともしっかりと、一般社団法人日本乳幼児精神保健学会の皆さんが声明を出しておりますので、こうしたことも踏まえて、丁寧に、慎重に運用していただきたいということを強く求めまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより討論に入ります。

 討論の申出がありますので、順次これを許します。東徹君。

東(徹)委員 日本維新の会の東徹です。

 私は、会派を代表して、児童福祉法等の一部を改正する法律案について、賛成ではありますが、討論させていただきます。

 今回の法案にある保育人材の確保に関する対応策は、全くもって不十分です。何年も前から、保育所が保育士確保に苦労している、民間の人材紹介会社から高い手数料を取られ、それが保育所の経営を圧迫していると言われ続けているにもかかわらず、今回の法案では、保育士・保育所支援センターの法定化など現状を変える効果が見込めない対策にとどまっております。政府が本気で保育所のことを考え、保育士の確保を進めようとしているとは到底思えません。

 保育所は全国で二割以上が赤字であり、赤字施設の割合が四割を超える県もあります。将来にわたって質の高い保育を続け、子育てしやすい国を目指すのであれば、政府は、厳しい現状を早急に把握して高額の紹介手数料にメスを入れるべきであります。保育所は税金で賄われている事業であることを重く受け止めなくてはなりません。

 保育だけでなく、医療や介護なども含め税金が多く投じられている公的な分野では、センターやハローワークの体制強化では足りず、紹介手数料をゼロにするなど民間の人材紹介に実効性のある規制をかけ、福祉ビジネスと言われる状況を変えていかなければならないことを指摘し、討論といたします。

 ありがとうございました。(拍手)

谷委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 れいわ新選組の阪口直人です。

 この児童福祉法の一部を改正する法律案に対して、反対の立場で討論させていただきたいと思います。

 少子化に対してもうとにかく全力で対応する、これはもう国の最大の危機の一つなんだということを考えた場合に、やはりこの法律についても、厳しい環境の中で、多様化する価値観の中で日々闘っている保育者の方々に希望を与えるものでなければいけないと思います。

 ただ、私が様々な保育者の方々にヒアリングをしたところ、やはり皆さん、顔を曇らせるというか、まだこれでは十分ではないという声がたくさんありました。保育を取り巻く環境を抜本的に改革する、こういった基準で見た場合、十分ではないということ。

 そして、虐待対応の強化、これは評価できます。ただ、例えば虐待と熱心なしつけをどのように区別するのかというような点についてガイドラインが制定中であったり、あるいは、通報者を守るということに関しても、本当に萎縮することなく取り組めるのかということについては、やはり不安を感じました。また、地域限定保育士制度についても、質の低下をもたらしかねないということや、過度な地域間競争、これがやはり、市場原理を持ち込んではいけない、子供を守るという保育士の仕事に対して悪影響を与えかねないということ、これらが懸案事項であります。

 法改正で受皿を整備すること、これは重要なことではありますが、中身がゆとりのある教育環境の整備につながっていないと、やはり虐待というのはこれからも増加するおそれがあります。

 採用の門戸を広げると同時に、何よりも職場環境を充実したものにする、そのための本気の改革を行うことを強く求めるという視点から、今回の法改正には反対という立場で討論をさせていただきました。

 ありがとうございます。

谷委員長 次に、本村伸子さん。

本村委員 私は、日本共産党を代表し、児童福祉法等の一部を改定する法律案に反対の討論をいたします。

 反対の理由の第一は、保育の質を後退させる危険性があるからです。

 小規模保育事業は、待機児童対策として、原則ゼロ歳児から二歳児を受け入れてきました。本改定案は、三歳児以上の子の受入れを可能とするものです。小規模保育事業は、マンションなどの一室が使われることもありますが、活発に動く三歳以上の子供の活動を制限し、小さな部屋で保育することは、現行の保育所の認可基準から後退させるものであり、認めることはできません。公的保育の質の向上のために必要な公立保育園が廃止され、その受皿になるのではないかとの懸念の声も出されています。

 また、小規模保育事業は約半数が営利法人が運営しており、市町村から支払われる運営費には使途制限がないため、保育士の人件費等、処遇低下のおそれがあります。

 第二の理由は、公的保育の非営利原則を弱めることにつながるからです。

 国家戦略特区における地域限定保育士の試験について、筆記試験は通常の試験と同じですが、都道府県で行われる講習会を修了した人は実技試験が免除されます。本改定案は、これを全国展開するものです。保育士不足の背景にある処遇や配置基準の問題を抜本的に改善せず、緩和策で保育をする人を確保しようとするものであり、認められません。保育士の抜本的な処遇改善と保育士配置基準の抜本的な改善によって、保育士確保を進めるべきです。

 また、地域限定保育士の試験については、認定を受けた都道府県又は指定都市が行う判定事務の委託を営利企業にも認めるなど、公的保育の非営利原則を弱めるものであり、認められません。

 なお、反対ではありませんが、本法案では、一時保護された子供と保護者との面会等制限について、行政処分として児童虐待が行われた場合に加えて、児童虐待を行った疑いがあると認められる場合にも可能としています。

 保護者と子供の面会は、子供の意思の尊重が何より重視されなければなりません。子供の権利を擁護する子供パートナー弁護士などを位置づけること、DV、虐待ケースでは、DV、虐待の被害者支援の経験を有し、複雑な子供の心理を理解する高い専門性を持った児童精神科医や児童心理司などによる子供の意思の確認など、慎重に対応する必要があります。そのためにも、児童相談所の体制強化、児童福祉司、児童心理司など職員の定着化のプログラムが必要です。

 以上を指摘し、反対討論といたします。

谷委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

谷委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、児童福祉法等の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

谷委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、牧島かれん君外四名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ及び公明党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。神津たけし君。

神津委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明いたします。

 案文の朗読により趣旨の説明に代えさせていただきます。

    児童福祉法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用等について遺憾なきを期すべきである。

 一 保育士の確保が困難な状況にある中、保育士の一層の処遇改善を進めるための措置を講ずるとともに、平時からの保育所等の職員配置基準の改善や災害時の対応の強化について引き続き検討すること。また、職務の専門性を適切に評価する観点から、公定価格上の人件費の基本分単価の在り方も含め、保育士の平均賃金が他職種と遜色のない水準となるよう、実効性のある対策を検討すること。

 二 保育士・保育所支援センターを法定化するに当たり、支援の実効性を高めるため、各センターに地域の実情に応じた支援目標や確実な根拠に基づくKPI(重要業績評価指標)を設定させ、その達成状況や支援実績を定期的に公表して評価する枠組みを導入することを検討するとともに、同センターの支援実績を向上させるため、保育士資格を有する者への周知など必要な措置を講ずること。あわせて、保育士の就職あっせんを行う民間の人材紹介会社が高額な手数料を得ており、保育所の経営を圧迫している現状を踏まえて、手数料実績の公開、求職者への金銭等提供の原則禁止、ハローワークによる無料職業紹介機能の強化など政府における取組の実施状況を踏まえながら、必要な対策を講ずること。

 三 保育士が特に不足するおそれが大きい地域が集中的に保育士確保に取り組むことができるよう、潜在保育士の実態やニーズを把握し、職場復帰を強力に支援するために必要な措置を講ずること。

 四 地域限定保育士の登録後三年経過と一定の勤務経験により他地域での勤務が可能となる仕組みを設けることが、試験実施区域内の保育士不足が解消されない事態につながることを避けるため、地域や職場で適切な処遇を実現できるよう、保育の公定価格における地域区分の在り方の見直しを含め、保育士の職場定着を図るために必要な措置を講ずるとともに、地域で十分な保育士を確保するための適切な対策を検討すること。

 五 実技講習を修了することで実技試験の免除が可能となる地域限定保育士制度を創設することが、保育士の専門性に対する社会的評価を低下させることのないよう、保育人材の社会的地位を向上させる観点から、保育士資格の在り方について引き続き検討を行うこと。

 六 地域限定保育士試験の実施に関する事務を一般社団法人及び一般財団法人以外の法人にも行わせることができるとしているところ、保育の公的責任を後退させることのないよう留意すること。

 七 地域限定保育士の一般制度化を行うに当たり、保育士試験及び指定保育士養成施設の修了と同程度の知識及び技能の水準を確保する観点から、都道府県等が実施する地域限定保育士試験及び講習の質を担保するための措置を講ずること。あわせて、指定保育士養成施設における教育内容を充実させ、保育士試験の内容について十分な検討を行うことにより、保育人材に期待される資質が適切に確保されるようにすること。

 八 小規模保育事業において、一人一人のこどもの命と安全が守られ、特性に応じた発達が保障できる保育の質を確保するために不断の努力を行うこと。

 九 三歳以上児を対象とする小規模保育事業において、集団生活の重要性に留意しつつ、集団としての遊びや活動を通して人と関わる力を育てていくために必要な保育の在り方を示すこと。

 十 三歳以上児を対象とする小規模保育事業については、地域の実情を十分に踏まえ、その必要性が認められる場合において、適切に実施されるよう努めること。その際には、こどもの成長発達や安全性に十分配慮するとともに、必要に応じて専門的知見を有する人材の配置や、戸外活動の環境確保など、保育の質の向上に取り組むこと。

 十一 保育所等の職員による虐待に関する通告義務等について、専ら保護者と離れた環境下においてこどもが不安を抱えることなく安心して通える場所を網羅する観点から、対象となる施設及び事業の範囲について、引き続き検討すること。

 十二 被措置児童等虐待の事案の共有や公表の在り方について、虐待の発生を防ぎ、全国どこでもこどもや保護者が安心して保育所等を利用できるようにする観点から、所管行政庁によって対応に著しい差が生じないよう、適切な指針を示すこと。

 十三 一時保護委託の登録制度について、登録に伴う手続等により委託先に過度の負担を与えることのないよう配慮し、これまで多様な存在が一時保護委託を担うことにより蓄積されてきた経験を尊重しつつ、委託先での性暴力など加害行為がなされないよう万全を期するなど、委託先の適切な監督を行うこと。

 十四 一時保護されたこどもが、委託先を転々とする事態をなくすためにも、児童相談所設置都道府県・指定都市等が一時保護施設を新増設できるよう、かつ、安心して過ごせる生活、教育環境を整備することができるよう、必要な財政措置を行うこと。

 十五 一時保護中の児童の面会通信制限等について、児童の権利に関する条約の趣旨を尊重し、児童の最善の利益を考慮した運用が行われるように適切な制度設計を検討すること。その上で、児童虐待が行われた疑いにとどまる段階で、児童相談所長が要件を拡大的に解釈して判断することを防止する観点から、面会通信制限等を行う場合の具体的な基準と、指導又は行政処分の運用の在り方について、詳細な指針を策定して児童相談所長に示すとともに、不断の見直しを行うこと。

 十六 両親の離婚後又は別居中において、家庭裁判所で面会交流を決められたこどもたちが、全身で苦痛を訴え不適応を起こして、健康な発達を害されている事例が臨床現場であることに留意し、児童相談所長が面会通信制限等を行うべきか判断する場面においても、児童の最善の利益に資する判断ができる体制を整えること。

 十七 DV事例(面前DV)の場合、虐待を受ける環境で生き抜くための心理的背景から、こどもが暴力を目撃しているうちに、被害を受けている親に対して加害行為を行う親の歪んだ見方に同化し、虐待を否認することがあることに鑑み、DV・虐待家庭で育ったこどもの複雑な心理を理解する高い専門性を持った児童精神科医や児童心理司などの判断が求められていることにも十分配慮し、面会通信制限等については、丁寧に判断される運用体制を整えること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。

谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

谷委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。三原国務大臣。

三原国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、努力してまいる所存でございます。

    ―――――――――――――

谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

谷委員長 次回は、来る八日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二十分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.