衆議院

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第1号 令和5年9月8日(金曜日)

会議録本文へ
令和五年九月八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

  経済産業委員会

   委員長 竹内  譲君

   理事 井原  巧君 理事 岩田 和親君

   理事 関  芳弘君 理事 細田 健一君

   理事 落合 貴之君 理事 山崎  誠君

   理事 小野 泰輔君

      石井  拓君    石川 昭政君

      稲田 朋美君    今枝宗一郎君

      上川 陽子君    小林 鷹之君

      小森 卓郎君    國場幸之助君

      鈴木 淳司君    鈴木 貴子君

      田所 嘉徳君    土田  慎君

      中川 郁子君    長坂 康正君

      堀井  学君    牧島かれん君

      松本 洋平君    宗清 皇一君

      山下 貴司君    吉田 真次君

      大島  敦君    菅  直人君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      長妻  昭君    馬場 雄基君

      足立 康史君    遠藤 良太君

      河西 宏一君    中川 宏昌君

      鈴木 義弘君    笠井  亮君

  農林水産委員会

   委員長 笹川 博義君

   理事 あべ 俊子君 理事 武部  新君

   理事 若林 健太君 理事 渡辺 孝一君

   理事 近藤 和也君 理事 緑川 貴士君

   理事 足立 康史君 理事 庄子 賢一君

      五十嵐 清君    伊東 良孝君

      泉田 裕彦君    上田 英俊君

      江藤  拓君    加藤 竜祥君

      神田 潤一君    鈴木 憲和君

      高鳥 修一君    根本 幸典君

      平沼正二郎君    古川 直季君

      穂坂  泰君    細田 健一君

      宮下 一郎君    保岡 宏武君

      山口  晋君    梅谷  守君

      金子 恵美君    小山 展弘君

      佐藤 公治君    山田 勝彦君

      渡辺  創君    池畑浩太朗君

      掘井 健智君    稲津  久君

      角田 秀穂君    長友 慎治君

      田村 貴昭君    高橋千鶴子君

      福島 伸享君

    …………………………………

   農林水産大臣       野村 哲郎君

   経済産業大臣       西村 康稔君

   内閣官房副長官      磯崎 仁彦君

   総務副大臣        柘植 芳文君

   外務大臣政務官      高木  啓君

   農林水産大臣政務官    角田 秀穂君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 岩本 桂一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 大河内昭博君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長)   北川 克郎君

   政府参考人

   (農林水産省輸出・国際局長)           水野 政義君

   政府参考人

   (水産庁長官)      森   健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  湯本 啓市君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           山本 和徳君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房福島復興推進グループ長)   片岡宏一郎君

   政府参考人

   (環境省大臣官房環境保健部長)          神ノ田昌博君

   政府参考人

   (原子力規制委員会委員長)            山中 伸介君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 佐藤  暁君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          児島 洋平君

   参考人

   (東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長)            小早川智明君

   参考人

   (全国漁業協同組合連合会代表理事会長)      坂本 雅信君

   農林水産委員会専門員   飯野 伸夫君

   経済産業委員会専門員   藤田 和光君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 経済産業の基本施策に関する件(東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分)


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     ――――◇―――――

竹内委員長 これより経済産業委員会農林水産委員会連合審査会を開会いたします。

 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。

 経済産業の基本施策に関する件、特に東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分について調査を進めます。

 本日は、参考人として東京電力ホールディングス株式会社代表執行役社長小早川智明君及び全国漁業協同組合連合会代表理事会長坂本雅信君に御出席をいただくことになっております。

 質疑の申出がありますので、順次これを許します。石川昭政君。

石川(昭)委員 おはようございます。自由民主党の石川昭政です。

 八月二十四日からALPS処理水の放出が開始をされました。私の地元は茨城の県北地域でございます。五つの漁港がございまして、常磐沖で漁をしている。すぐ私は、地元、平潟漁港、大津漁港と回りまして、漁協の皆さん、漁業者ともコミュニケーションを取ってまいりました。そんな中、政府は千七億円の水産業の政策パッケージを取りまとめ、非常にスピード感ある対応だったと私は評価したいと思います。

 その一方で、中国が日本の水産物を禁輸するという措置に出てまいりました。私は、これは非常に、科学的根拠もありませんし、憤りを持っているわけですけれども、調べてみますと、日本のみならず世界でもトリチウムというのは放出しているわけです。

 とりわけ隣国の中国、調べてみますと、秦山原発、年間に液体で百二十四兆ベクレル、気体では百十四兆ベクレルを放出しております。一方、ALPS処理水の放出濃度は、年間で二十二兆ベクレル、千五百ベクレルだったと思いますけれども、値としては非常に低いわけですね。

 こうした科学的根拠を踏まえると、やはり、こうした中国の暴挙に対して政府は強い姿勢で臨むべきではないかと。すなわち、WTOへの提訴も辞さない、むしろすべきだと私は思います。こうした科学的根拠を挙げれば、日本が有利であるということはほぼ間違いないと思います。

 上級委員会がなかなかスタックして動かないというのも承知をしておりますけれども、政府のこうした対応をどのようにしていくのか、高木外務政務官にお伺いします。

高木大臣政務官 石川先生の御質問にお答え申し上げます。

 中国が従来の輸入規制措置に加えまして、同様に科学的根拠に基づかない新たな措置を導入したことは、極めて遺憾でございます。

 我が国はこれまでもWTOにおいて、中国を含む各国の規制につき、早期の規制撤廃を一貫して強く働きかけてまいりました。具体的には、例えば、WTO・SPS委員会においての規制の早期撤廃を求めてきたところでございます。

 今般、中国がWTO・SPS協定に基づく通報を行ったことを受けまして、我が国は、九月四日、WTOに対し中国の主張に反論する書面を提出いたしまして、全WTOメンバーに回覧されたところでございます。

 WTO提訴も含めた今後の対応につき予断を持ってお答えすることは差し控えますが、引き続き、WTOその他の関連協定の枠組み等の下で、何が最も効果的なものなのかという観点から様々な選択肢を不断に追求してまいりたいと存じます。

石川(昭)委員 ありがとうございます。

 外交交渉なので公にできない部分があるのは承知をしておりますが、是非強い態度を示していただきたいと思います。

 それで、二問目ですけれども、この一千七億円の政策パッケージの中で、私がちょっと感じるのは、水産業をなりわいとしている地元への対策というのが薄いのではないかと。やはり地域振興、地域の主たる産業である水産加工業を支援するその自治体への支援、これは政府はどのように取り組んでいくのか、これについて西村経産大臣にお伺いいたします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、これまで措置をしておりました八百億円に加えまして、今般二百七億円を追加して、一千七億円の対策を講じているところでありますが、引き続き、自治体に対しましては丁寧に説明を重ねていきたいと思いますし、自治体とも連携しながら国が責任を持って対応していきたいと考えております。

 自治体からのニーズも含めて、関係省庁ともよく協議をして、万全の支援体制を組んでいきたいというふうに考えております。

石川(昭)委員 質疑時間が終わりましたので、是非、政府を挙げて、地域振興のため、漁業のため頑張っていただきたいと思います。

 以上で終わります。

竹内委員長 次に、武部新君。

武部委員 自由民主党の武部新です。

 引き続き、ALPS処理水の処分について質問をさせていただきます。

 ALPS処理水の海洋放出に対して、中国は日本の水産物の輸入を全面的に禁止しました。

 IAEAは、ALPS処理水の海洋放出は、国際安全基準に合致し、人及び環境に対する放射線の影響は無視できるほどであると包括報告書で結論づけています。また、環境省が行っている海域モニタリングでも、人や環境への影響がないことを確認し、公表しています。

 それにもかかわらず、中国は非科学的根拠で輸入を停止しました。中国が行っていることは、法の支配や科学、IAEAという国際機関への信認への挑戦であることを国際社会にしっかりと強調すべきだと考えます。

 政府は日本の水産物禁輸を行う中国に対して即時撤回を申し入れていることは承知しております。ASEAN首脳会議においても、岸田総理は、中国の李強首相に撤回を求め、中国は突出した行動を取っていると批判したという報道もなされています。

 中国に対して科学的根拠に基づかない輸入停止の撤回を求め続けるのと同時に、やはり、ALPS処理水の安全性について国際社会の理解、それから中国の措置に対する国際社会の不支持、これを得ることが重要と考えますが、外務省の対応をお聞きしたいと思います。

岩本政府参考人 今委員から御指摘のありましたとおり、今回中国が取りました輸入規制の措置、これは科学的根拠に基づかないものでございまして、極めて遺憾であるという具合に考えております。

 委員も御案内のとおり、今回のALPS処理水の放出開始前から、中国は日本の十都県の農産物に対して規制をしております。こういったことも踏まえまして、政府としましては、以前から、首脳、外相レベルを含め、様々なレベルで申入れをしてきております。そして、今回の水産物の輸入規制についても、その導入が発表されてすぐに様々なレベルで申入れをしているところでございます。

 また、今御指摘ありましたとおり、今週行われましたASEANの関連の首脳会議において、岸田総理から、この中国の措置の問題についても各国に対して我が国の立場を説明したところでございます。また、李強総理との立ち話も行われましたので、そこでも我が国の立場を明確に述べたところでございます。

 政府としましては、今後も、あらゆる機会を捉えて、各国の支持、理解を確固たるものにするべく努力をしますとともに、中国のこの措置の問題性について訴えていきたい、このように思っております。

武部委員 次に、中国を含む一部の国、地域の輸入禁止、規制強化によって受ける水産業への支援について伺います。

 風評被害などについては三百億円の基金、漁業者への経営支援の五百億円の基金など、万全な準備、用意はしてきたと承知しております。

 今般、予備費を活用して、更に二百七億円の新たな緊急支援事業を創設されましたが、その背景についてと、水産物の安全性について国内外の理解を得ることが重要ですが、科学的根拠に基づいた情報発信の強化、これが重要だと思います。これについて。

 また、輸入禁止が長期にわたる可能性もございます。そのことから、基金の積み増しなど、必要に応じた機動的な対策の必要性について西村大臣にお聞きしたいのと同時に、野村大臣にもお伺いしたいんですが、私の地元北海道は国内生産の八割超を生産しておりまして、中国向け輸出の八百三十六億円のうちの四百八十九億円がホタテガイでありまして、地域への影響が大変深刻であります。緊急支援事業が追加されましたけれども、やはり現場に精通している農林水産省、水産庁が漁業者や水産加工業者に寄り添って対策を講じていくことが大事だと思います。その上で、野村大臣の決意も伺いたいと思います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 既に措置をしておりました八百億円の基金に加えて、二百七億円、追加で今回手当てをしたわけでありますが、御指摘のホタテのように、特定国、中国の輸入停止措置によって需要が減少した品目への支援策として、今回、この二百七億円を活用しまして、販売促進のPR、ネット販売、直売会の開催など様々な販路拡大のための支援策、それから漁業者団体などによります一時買取り、保管への支援をしっかりと行っていきたいというふうに考えております。

 また、御指摘の国内の生産者や消費者に対する情報発信につきましては、安全性の確保それから風評対策の説明、これまでも一千五百回以上行ってきておりますけれども、今後更に、テレビCM、ウェブ広告、リーフレット、分かりやすいリーフレットですね、それから解説動画などの作成も行ってきておりますし、これを更に強化をしていきたい、多言語での発信もしっかりとしていきたいというふうに考えております。

 そして、この八百億円の基金は今ようやく支出が始まったところでありますので、現時点では何か積み増すことは考えておりませんけれども、御指摘のように、今後状況を見ながら機動的に予算を確保して、水産業の支援に万全を期していきたいというふうに考えております。

野村国務大臣 御答弁を申し上げる前に一言おわびを申し上げたいと思いますが、先般の私の言い違いによりまして、福島の皆さんや、そして全国の漁業者、そしてまた今日お集まりの先生方に大変不快な思いをさせたということは深く反省をしておりまして、今日お見えの全漁連の坂本会長とも先般お会いしましておわびを申し上げたところでございますが、わびて済む問題ではないということは重々承知いたしておりますけれども、真剣にこれからも取り組んでいきたい、緊張感を持って取り組んでまいりたい、かように思っておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 今、武部先生から御質問がございました、今般取りまとめました政策パッケージの実施に向けて、農林水産省としても、経済産業省と連携して、我が国の水産業を安心して継続できるように、漁業者の皆さん方に寄り添った対策の実施に万全を期していきたい、かように思っております。

 特に、大きな需要先を失うホタテにつきましては、先ほども西村大臣の方から御答弁がございましたけれども、国内需要への影響を防いで、特定国それから地域依存を分散させるための一時買取り、保管への支援を、いわば三百億円基金の別枠として予備費二百七億円を措置したところでございまして、海外を含めた新規の販路開拓に対しましても支援することといたしております。

 特に、先ほどありました北海道のホタテの問題につきましても、今まで殻つきで中国等に輸出いたしておりましたが、ホタテの殻むきのための追加の人材雇用に関わる人件費の上乗せなどの支援、それから、かかり増し経費や募集経費への支援、こういったことを二百七億の中で対応したいと思っておりますし、さらに、新たに殻むきラインの導入、特に、機械化が進んでおりませんので、あっても小さい工場でやっておりますので、水産加工機器の導入への支援を、これは農水省では余りないんですが、三分の二の補助でやりたい。この殻むきの機械が高いものですから、三分の二の補助を新たに措置したところでございまして、これからも引き続き、現場の情報把握に努めながら、我が国水産業を守るための臨機応変な対策の実施に万全を期してまいりたい、かように思っております。

武部委員 水産業、頼りにしているのは野村大臣でございますので、是非頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、東京電力による損害賠償について質問をします。

 風評被害のみならず、中国の輸入禁止によってシップバックなどの実害ももう生じていると聞いています。輸入禁止が続けば、単年度だけでは済まない損害も予想されます。東京電力には、漁業者、水産加工業者などが実際に被った被害について迅速かつ丁寧に賠償を行っていただかなければなりません。もちろん、水産業だけじゃなくて、農業、観光業等、多方面にもわたりますし、それから全国にも及びますので、これは相当のマンパワーも必要だというふうに思います。

 どのような体制で損害賠償を行っていくか、東京電力に質問をさせていただきます。

小早川参考人 東京電力ホールディングス社長の小早川でございます。

 まず、当社福島第一原子力発電所の事故により、今なお地域の皆様を始め広く社会の皆様に多大なる御心配、御負担をおかけしておりますことにつきまして、改めて、この場をおかりし、心よりおわびを申し上げます。

 先生からの御質問にお答えいたします。

 長期にわたる持続的な取組でありますALPS処理水の海洋放出期間を通じて、風評を生じさせないと強い決意を持って、設備運用の安全、品質の確保、迅速なモニタリングや正確で分かりやすい情報の発信、IAEAレビューなどを通じた透明性の確保、そして、何よりも風評対策並びに損害発生時の適切な賠償に全力で取り組んでまいります。

 具体的には、影響が生じた全国の事業者様の御事情を迅速かつ丁寧にお伺いできるよう、地域の御実情などを踏まえ、国内に御相談対応の拠点を新たに設置するとともに、既に予定しております四百名規模の体制から、更に数百名規模を増員し、千名規模の体制にするなど体制の強化を行い、様々な御不安の声に対して丁寧に対応してまいります。

 昨年十二月に賠償についての基本的な考え方を公表させていただきましたが、ALPS処理水の放出により風評被害等が生じた場合には、あらかじめ賠償期間や地域、業種を限定することなく、迅速かつ適切に賠償させていただきます。

 また、先生から御指摘ありました、外国政府からの禁輸措置を受け、国内事業者様から禁輸に関わる被害が生じたとのお申出に対しましては、外国政府からの禁輸措置の内容や国内外の取引状況などを確認させていただき、適切に賠償させていただきます。

 こうした風評被害若しくは禁輸に関わる直接被害以外にも、ALPS処理水の放出に関わる損害が発生したとのお申出に対しましては、個別の御事情を丁寧にお伺いし、適切に対応してまいります。

 既に、国内の事業者様から、禁輸措置に伴い実害が発生した、あるいはALPS処理水の放出に伴い風評被害が発生したとのお申出をいただいており、訪問して丁寧に御事情をお伺いするなど、機動的に対応しております。また、既に、こうした実害に対応して請求書もお送りさせていただいております。

 引き続き、個別の御事情をお伺いし、丁寧に適切に対応してまいります。

 私からは以上でございます。

武部委員 手続をどうしたらいいのかですとか、きちんと賠償が受けられるのかという不安の声もありますので、しっかりと対応していただきたいと思います。

 最後に、今こそ水産物の国内消費拡大に全力で取り組むべきだと考えます。政府・与党は全面的に消費拡大と販路拡大を支援してまいりますが、やはり国民の理解と応援が不可欠です。

 そこで、漁業者を応援するために、国民運動として水産物の消費拡大などの取組をしっかりと行っていくべきだと考えますが、厳しい漁業現場の先頭に立たれている全漁連の取組について、坂本会長の思いも含めて是非お聞きしたいと思います。

坂本参考人 全国漁業協同組合連合会の会長をやっております坂本でございます。

 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 ただいま武部委員のお話のとおり、この提案というのは、我々漁業者にとってみて大変重要な、強力なエールであるというように思っております。

 我々は、ALPS処理水、既に放流開始されたわけでありますけれども、決して漁業をやめているわけではありません。我々は、しっかりとモニタリングを続けながら、安全を積み重ねて漁業を続けております。しかし一方で、ある国が輸入の禁止というようなことをして、我々にしてみるともう大変な損害を被っている、そして、それが日本全国の漁業に広がっている、そういう状況にあります。

 そういった中で、ただいまの武部委員の御提案、国内の消費を広げていく、これは、我々にとってみても、まさに一丁目一番地の政策であるというように思っています。日本の魚を日本の国民の皆さんに食べていただく、これは我々にとってみると一番ありがたいお話であるというように思っています。今すぐできることであると思いますし、やらなければいけない、そういうことじゃないかなというように思っています。

 我々、そこの中で先頭に立っていきたいと思いますので、国のしっかりした後押しをお願いしたいと思います。

 ありがとうございます。

武部委員 質問を終わります。ありがとうございました。

竹内委員長 次に、庄子賢一君。

庄子委員 公明党の庄子賢一でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 早速質疑に入らせていただきます。

 東京電力福島第一原発から処理水の海洋放出が始まって約二週間経過をいたしました。この間、モニタリングをやっていただいておりますが、いわゆる放出を停止する判断基準となる七百ベクレルをはるかに下回っているという数値、公表になっているとおりでありますし、IAEAも、この放出については、国際安全基準に合致した、そして人や環境に与える影響は無視して構わない程度だということも公表しているわけでありまして、現時点では科学的に見ても安全性が保持されているというふうに評価ができるというふうに理解をしております。

 ただし、今後三十年にわたって、長期間にわたる事業でありますので、管理、監視、これを怠らずに、そして緊張感を持ってこのことに当たっていかなければいけないということだというふうに思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 まず一点目は、情報発信についてでございますけれども、国内外の風評被害、これを払拭していくためには正確かつ分かりやすい情報発信を丁寧に行っていくということが極めて重要だというふうに思っておりまして、改めて、政府としてどのように取り組んでいかれるか、お考えを伺います。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 まず、IAEAの包括報告書の内容ですね、御指摘のように、環境、人への影響は無視できるということ、国際基準に合致しているということ、こういったことを含めて経産省のウェブサイトでしっかりと発信をしているところでありますし、地元紙への広告掲載などもしているところであります。私自身、地元の漁連始め、直接説明もさせていただいておりますし、SNSなどの発信も強めているところであります。

 また、国際会議や二国間対話の場、あるいは在外公館などを通じて丁寧に発信、説明を行ってきております。

 引き続き、国内外に多言語での発信も含めて情報発信、しっかり取り組んでいきたいと思っております。

 それで、御指摘のように、放出開始以後、関係機関がそれぞれ、海水や魚のトリチウム濃度を迅速に分析をして公表しております。これまで計画どおりに放出されておりまして、安全であることが確認されております。こうしたモニタリング結果についても、国内外に多言語で分かりやすく公表しているところであります。

 引き続き、安全性につきまして、科学的根拠に基づいて、透明性を持って、しっかりと情報発信していきたいというふうに考えております。

庄子委員 ありがとうございます。

 今は放出直後ですから、非常に皆さん注目もしているし緊張感もあろうかと思いますが、これが五年、十年、十五年とたったときに、今と同じような緊張感を持ってこの事業に取り組んでいけるかどうか、ここをしっかり政府としてもグリップをしていただきたいというふうに思っております。

 そうした科学的根拠に基づく安全性が証明されている中で、一方、中国では、そうした根拠に基づかない、自らの正当性のみを主張するということが行われています。

 中国向けに、昨年一年間で、水産物の輸出については約八百三十六億円、香港が四百九十八億円でございますので、水産物の輸出全体に占める割合が三五%にも達しているわけでありますから、影響が大きく出てくるのは当然かというふうに思っております。

 そこで、政府としては、先ほどもございましたけれども、WTOに反論文書、これを提出しております。あわせて、日中両国が参加をしております地域的な包括的経済連携、いわゆるRCEP協定に基づきまして、緊急措置について討議を要請したということでございました。このRCEP協定においては、こういうふうに示されています。実行可能な限り速やかに討議を行うという旨が記されているわけであります。

 今後、政府として、こうした協定等に基づきまして、中国側に対してどのように理解を求めていくのか、その取組を伺いたいと思います。

岩本政府参考人 ただいま委員から御指摘のありましたとおり、まず、WTOにおきましては、中国が、WTOの衛生植物検疫措置の適用に関する協定、いわゆるSPS協定と言っておりますが、これに基づきまして緊急措置の通報を行いました。これを受けまして、我が国は、九月四日、WTOに対して、中国の主張に反論する書面を提出いたしました。そして、この書面はWTOの全メンバーに回覧されたところでございます。

 そして、これも御指摘のありました、いわゆるRCEP協定、この枠組みの下におきましては、同じく九月四日、我が国として、緊急措置に関する規定に基づく討議の要請を行ったところでございます。

 日本政府としましては、今後とも、引き続き、様々な機会を捉えて、このALPS処理水の海洋放出を科学的根拠に基づいて説明、そして情報提供を継続したいという具合に思っております。また、IAEAとともに行っている透明性のある取組等についても改めて説明をして、まずは中国、そして中国を含む国際社会の理解、そして支持を求めていくよう努力してまいりたいと思います。

 いずれにしましても、中国に対しては、日本産食品の輸入規制の即時撤廃、これを継続的に求めていく考えでございます。

庄子委員 喫緊でやらなければいけない課題、中長期的にやらなければならない取組の課題、ここを少し整理をしたいと思いますが、まず、一番現場の生産者あるいは加工業者の皆様がおっしゃっているのは、金融支援、ここを急いでほしいということでございました。

 政府が示した政策パッケージでは、無担保、無保証の資金繰り支援を行うというふうにされておりますけれども、先般、私の地元宮城県の石巻で、若手の漁業者、水産加工業の皆様と懇談をしてまいりましたが、いわゆる三陸沿岸の地域は、十二年前の東日本大震災で甚大な被害を受け、大きな損失を被りました。その後も度々自然災害に見舞われております。また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要減で借入れが増加をしている、保証の枠もいっぱいになっている現状だということでございました。

 水産業は、元々体力が余りない中小零細、個人事業主が多いわけでございまして、近年の主要魚種の不漁も重なりまして、厳しい経営環境だというふうに私も理解をいたしました。ここにいかにしてニューマネーを入れていくのか、これが非常に大きな課題だというふうに思います。

 現場の皆様は、新たな融資の実行には疑問視をする声も正直出ておりまして、この政策パッケージをもって、着実な資金繰り支援、どのように実現をしていくのか、伺いたいと思います。

森政府参考人 お答えいたします。

 政策パッケージに盛り込まれました水産関係事業者の資金繰り支援につきましては、まず、日本政策金融公庫の融資制度でございます農林漁業セーフティネット資金等について、融資の迅速化が図られるよう措置するとともに、特別相談窓口を設置したところでございます。

 あわせて、この輸入規制措置等の影響を受けました漁業者、水産加工業者の皆様の信用を補完し、円滑に運転資金を調達できるよう、御指摘の実質無担保、無保証人による融資を推進するということにしているところでございます。

 個別融資、保証の判断につきましては、最終的には融資機関等の判断ということでございますが、各融資機関等に対しましては、資金繰りに重大な支障が生じないよう、既往債務の償還猶予なども含めて実情に応じた十分な対応を取るよう依頼をしているところでございます。

 今後とも、水産関係事業者に寄り添った対応がなされますよう、経済産業省とも連携し、適切に対応してまいりたいと考えております。

庄子委員 債務超過に陥っているような小さな水産加工屋さんもたくさんありますから、是非、今の御答弁をしっかり実行していただきたいというふうに思います。

 次に、東京電力における風評被害等への損害賠償については、今御指摘をしてまいりました国の資金繰り支援以上に迅速さが求められていると思います。

 まず伺いますが、漁業協同組合との協議をいつまでに終えていつから賠償に応じる考えか、また、損害額の算定方法として、基準年、基準売上高をどう設定するかが極めて今後重要になってまいります。

 基準年は、処理水の放出前年若しくは放出前の複数年平均、これを採用するというふうにされておりますけれども、水産業だけではなくて、農業あるいは観光関連産業も、長引く新型コロナの感染拡大によりまして需要減そして人手不足による受注控えなど、近年なかなか売上げが立ちにくいという環境にあったわけでございまして、そうした影響を被っている側に寄り添うきめ細かい適切な賠償姿勢、基準年の設定、これを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

小早川参考人 御質問にお答えいたします。

 関係各団体の皆様からいただいた御意見等を踏まえ、昨年十二月に賠償の基本的な考え方を公表させていただき、また、風評被害が発生した損害につきまして、十月から請求書の発送の御依頼を受付開始する予定としております。

 先生からただいま御指摘いただきました基準年につきましては、昨年十二月に賠償の基本的な取扱いをお示ししましたが、特に御指摘いただきました新型コロナウイルス感染症の影響などによりその取扱いが適さない場合につきましては、個別に御事情をお伺いし、適切に対応していく所存でございます。こうした丁寧な対応を踏まえ、漁業関係者の皆様との協議を早期に終息させてまいる所存でございます。

 また、諸外国の禁輸措置により、既に国内の事業者様からALPS処理水の放出に伴う被害が発生したとのお申出もいただいており、これらにつきましては訪問をするなどして御事情を伺い、機動的に対応しているところでございます。

 いずれにしましても、ALPS処理水の放出により風評被害等が生じた場合には、あらかじめ賠償期間、地域、業種を限定することなく迅速かつ適切に対応させていただく所存でございます。

 私からは以上でございます。

庄子委員 どうかよろしくお願いします。

 国内の加工体制の強化について伺います。

 これは予備費を活用しまして加工能力強化に向けた機器の導入支援を行うということでございますが、例えば影響が大きいホタテの殻むきにしてもあるいはウロ取り機にしても、非常に高額でございます。

 先ほど三分の二というお話がありましたが、一億円もする機械を入れれば三千万円以上自己資金が必要ということでございまして、現場の皆様からおっしゃっていただいているのは、例えばグループ補助金並みのそうした支援ができないのか、でないと手が出せないという話がありましたし、加えて、既存の機械はエラーが非常に多くて、最終的には検品作業に人手が必要であったり、結果、手作業の方が確実だという現場の声も伺ってまいりました。

 こうしたことを捉まえて、国内加工あるいは流通業者の加工能力を格段に向上させ、同時にHACCPの取得を強力に推進をすべきだというふうに思っております。結果として輸出先の分散につながっていくよう国の強力な支援を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

森政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の国内加工能力の向上に向けましては、国内加工ができる体制整備というものを速やかに着手できるよう、人材確保や機器導入への支援を行うということにしておるところでございます。

 具体的には、現場のニーズをきちっと伺いながら、人材活用につきましては、人材雇用に係るかかり増し経費ですとか募集経費の支援も盛り込んでおるところでございますし、また、新たな殻むきラインの導入などの水産加工機器の導入につきましては、これには改良して設置をするという場合も含むわけでございますけれども、通常よりも高い補助率、先ほど三分の二と申し上げましたが、これで支援をするということに資するところでございます。

 また、新たな輸出先として期待できる外国向けに、HACCP等の要件に適合する施設、機器整備や認定手続も支援するということでございます。

 しっかり現場の声も聞きながら運用していきたいというふうに考えております。

庄子委員 実際には、そういう機械を造っているメーカーというのはほとんど少ない、年間で供給できる機械の台数も極めて限られているというのが実態でありまして、是非、そうした根本からの体制をしっかりと整えていただきまして、生産者また事業者をお支えいただきたいと思います。

 以上で質疑を終わります。

竹内委員長 次に、長妻昭君。

長妻委員 おはようございます。立憲民主党の長妻昭でございます。

 時間もありませんので、端的に御答弁いただければありがたいと思っております。

 本日は、ALPS処理水の処分との連合審査でございますので、このテーマに沿って質問をさせていただきたいと思います。

 先日も同僚議員と福島県いわき市と相馬市に参りまして、漁業を営む方々から御意見をお伺いしてまいりました。相馬でおいしいシラスも食べてまいりました。

 やはり、超長期にわたる処理水の排出ということで、漁業では、親、子、孫、三代にわたって、本当に人生を懸けて農業をされておられる方も多いということをお伺いしました。子々孫々まで漁業を継続できるということ、何とかこのなりわいを続ける、これを確保していただきたいという話も聞きました。印象的だったのは、うそと事故は本当に二度とないようにしてほしい、こういうことを言われていたのが私は本当に印象的でございました。

 総理は、こういうことを先日おっしゃいました。今後、数十年の長期にわたろうとも全責任を負う、こういうふうにおっしゃったんですね。

 ただ、総理大臣というのは何十年も続けるわけにはいかないし、大臣も替わるわけでございまして、超長期で全責任を負うということをどう担保するのかというのをお伺いしたいんですね。

 何らかの法的枠組みなのか、何か大臣が替わったり総理が替わって、ころころその方針が変わっては超長期担保できないので、これは何らかの枠組みを、どういうふうに長期を担保するために考えるのかということをお聞かせください。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、漁業者の皆さんの不安なお気持ちに、しっかりと長年、これから長期にわたって応えていかなきゃいけないということでありまして、まさに岸田総理が、今御指摘のように、全責任を持って取り組むということを言われたわけでありますが、そのことにつきましては、八月二十二日の関係閣僚会議におきまして、そこにおきまして、その文書で、まさにALPS処理水の処分に伴う風評影響やなりわい継続に対する不安に対処すべく、今後これらの対応に政府としてALPS処理水の処分が完了するまで全責任を持って取り組む旨が記載がされております。

 これは関係閣僚会議の公式の文書で書かれておりますので、これは非常に重いものがあるというふうに思いますし、その中でも、漁業者とのフォローアップ体制を構築するということが盛り込まれております。

 今後、漁業者との意思疎通を図りながらこの体制をつくって、この文書でしっかりと書かれている、政府の公式の文書で書かれているものを実行していくということでございます。

長妻委員 ちょっと質問に答えていないんですね。

 文書に書かれているのは分かりますが、総理大臣は替わるわけですよね。こういう状況の中で、どういう枠組みを、不変の、変動しない枠組みを、法的な枠組み、何らかの枠組みをつくるのかということを、じゃ、ちょっと宿題として受け止めていただいて、ちゃんと考えていただきたいということを強くお願いを申し上げます。

 そして、東京電力にお伺いしますけれども、例の、二〇一五年に、東京電力も入って、福島県漁連とこういう文書を交わしました。関係者の理解なしにはいかなる処分も行いません。これは、東電の理解では、関係者の一定の理解は得られた、こういう見解でございますか。

小早川参考人 御質問にお答えいたします。

 当社は、ALPS処理水の海洋放出につきまして、関係者から一定の理解が得られたと判断されたことを重く受け止め、政府の方針に沿って放出に係る取組を進めているところでございます。

 当社といたしましては、実施主体として果たすべき役割である設備運用の安全、品質の確保、迅速なモニタリングと正確な情報発信、IAEAレビュー等を通じた透明性の確保、そして風評対策、損害が発生したときの適切な賠償を廃炉の期間を通じて遂行し続けることがこの一定の理解の前提になっていると受け止めており、重い責任を感じているところでございます。

 関係者の御懸念の本質は、風評被害により、安心してなりわいが継続できることと認識しております。私どもといたしましては、先ほど申し上げた取組を廃炉の期間を通じて徹底し、ALPS処理水の海洋放出を安全に完了したその先に、子々孫々までしっかりとなりわいが継続していることをもって理解が完了したことになると考えております。

 私からは以上でございます。

長妻委員 相当これは超長期にわたる話を、責任を持っていただきたいというふうにも思います。

 その中で、今度、賠償の関係で東電にお伺いしますけれども、損失の補償、損失の賠償は東電が担当すると聞いております。

 中国がとんでもない禁輸という措置を取って、あらゆる知恵を絞って日本国政府はそれを撤回させるように努力していただきたいということを強く要請しますが、いずれにしましても、それも含めて大きな損失が発生する可能性が高いわけですね。既に発生しています。

 東電にお伺いするんですが、私、事前にレクを受けてちょっと驚いたんですね。東電の方にお話を聞きますと、例えば、中国から禁輸ということで、中国に輸出できない、できない場合、賠償するんですかとお伺いしたときに、いや、中国には輸出できないけれども、ほかの国に輸出をする努力をしたかどうかを見させていただく、それによって、それが本当にできないということを確認したときに損失を確定するんです、こういうことをちょっとおっしゃられたので、じゃ、その努力、ほかの国に輸出する努力というのを東電が評価するということなんですね。

 ですから、ただ中国の、輸出できないで損害が出ただけでは駄目で、当然事業者も、それは努力すると思うんですね。それでも出てしまうということで、その努力を評価するというプロセスが入るというのはちょっと気になるんですけれども、小早川社長、そういうややこしいことではなくて、きちっと、申請があればそれを受け止めていく、損害が続く限りは賠償するということをここでちょっと明言いただけますか。

小早川参考人 御質問にお答えいたします。

 外国政府の措置を受け、国内の事業者様から被害が生じたとのお申出があった際には、外国政府からの禁輸措置の内容、それから国内外の取引状況などを確認させていただき、輸出に関わる被害が確認できた場合には適切に賠償させていただきます。

 以上でございます。

長妻委員 そうすると、ほかに輸出できる努力をしたか否かということは余り細かく問わない、基本的には問わないということでよろしいんですね。

小早川参考人 一概には申し上げられませんが、個別に御事情をお伺いさせていただき、適切に対応させていただきます。

 以上でございます。

長妻委員 これまでも実は苦情がすごく来ているわけですね。例えば、二ページ目でございますけれども、東電がなかなか応じずに大ごとになって原賠審が和解を仲介するというようなこと。つまり、例えば申立て、これは氷山の一角だと思いますが、二・九万件来て、ほとんどが合意が成立したと。つまり、東電の判断が間違っていたということになっているわけで、これだけのことですから、渋い査定はやめていただきたいということを強く申し上げます。

 そして、十月から申請を受け付けるということなんですが、一番早い賠償金の支払いというのはいつ頃がめどになりますか。

小早川参考人 今先生が御指摘のあった十月からというのは、国内の風評賠償、いわゆる値段が下がったりとか数量が変わったりしてお取引が、統計的なデータで差異が出てきたときに、それを推認してお支払いするというものだというふうに認識しております。それを……(長妻委員「中国も入っているの」と呼ぶ)それと今回の中国の禁輸措置で実害が生じているというのは別の枠で考えておりまして、中国からの禁輸措置によって実害が生じたというお申出があったものにつきましては既に御請求を受け付けておりまして……(長妻委員「いつ払われるの」と呼ぶ)それは、先ほどから御答弁させていただいていますとおり、損害の実額が確定した段階で速やかに払う予定として……(長妻委員「大体どのくらい、何か月ぐらい」と呼ぶ)今確定的なことは申し上げられませんが、速やかに対応させていただいております。

 以上でございます。

長妻委員 速やかというのは、レクでは一か月ぐらいと聞いたんですが、それでよろしいんですか。

小早川参考人 様々な個別のケースがあると思いますので、私どもとしては、できるだけ速やかに手続を進めてまいる所存でございます。

長妻委員 これは相当、資金繰りが危うくなって組織がもたないということもあり得ますので、かなり早く、レクチャーで一か月というのを聞きましたので、小早川社長、それがめどでいいんですね。ちょっとうなずいていただければと思うんですが。

 一か月というのはどういう言葉なんですか。責任ある方が私にレクチャーで説明に来られたわけですけれども、一か月というのはどういう意味ですか。

小早川参考人 恐らく、おおむね、過去の事例等で、実例であった範囲でお答えさせていただいたと思いますが、私どもとしては、先生が今御指摘のとおり、非常に被害が、実害が出て、なりわいがなかなか進まないというような状況もお伺いしておりますので、そうした期間、今先生が御指摘いただいた期間にかかわらず、御事情に応じて、若しくは適切に損害額が算定された時点で速やかに対応してまいりたいと思います。

長妻委員 是非お願いします。

 これは政府に申し上げたいんですけれども、この中国の問題は、単なる風評被害の枠から超えた外交上の問題でもあると思うんですね。ですから、賠償を東電だけに押しつけるんじゃなくて、ちょっといろいろなサポートの考え方というのもお願いをしたいというふうに思います。

 農水大臣にお伺いしますけれども、配付資料一ページ目でございますが、中国の全面禁輸は全く想定していませんでしたと会見でおっしゃったんですね。驚いているところですと会見でおっしゃったんですが、全く想定していなかったということは事実でございますか。

野村国務大臣 政府としましては、日本の水産物が全面的に輸入停止になるなど、あらゆる可能性も想定しておりまして……(長妻委員「いや、想定していない」と呼ぶ)それは私が個人的な話をしたところでありまして、政府としては、そういう可能性も想定して、被災地の水産物限定でなく、全国どの地域の水産物についても支援可能な、三百億の基金による風評影響対策を講じてきたところでございます。

 その際、日本水産物の全面禁輸という事態が確実に起こるとは限らないため、特定国、地域依存からの脱却などの構造転換については、状況に応じて臨機応変に対策を講じることとしておりました。

 今回、我が国としては……(長妻委員「いや、答えていないですね。分かりましたから」と呼ぶ)

竹内委員長 続けてください。

野村国務大臣 科学的根拠に基づく措置を求めてきましたが、日本水産物の全面禁輸が実際に生じたために追加対策を講じたものでありまして、そうした事態が生じたことについての所感を述べさせていただきました。

長妻委員 役所は想定していたということは私も聞きました、レクチャーで。しかし、大臣は、個人的には想定していなかったと。つまり、役所とのちゃんと連携が取れていたのかどうか。もし大臣がきちっと想定していれば、事前に官邸に上げて、外務省を挙げて、そういうことがないように、かなりの事前の根回しや努力というのが私はできた余地があると。役所の中からもそういう声が聞こえてきますので、是非しっかりとした、個人的には驚いたけれどもというような、ちょっと危機管理がなさ過ぎるんじゃないかと。

 この百七億円の予算をつけていただいたというのはいいことだと思いますけれども、先ほどもちょっと質問がありましたが、沿岸漁業者向けには余り中身が入っていないということで、非常に偏りのある内容ですので、これも精査していただきたいというふうに思います。

 そして、風評被害を防ぐためにもう一つ重要なのは情報開示ということだと思うんですが、今、六ページ、七ページ、配付資料でございますが、放射能の濃度を測っているんですね。これは、水を放出する前のタンクの中の水の放射能の濃度を測っている。

 これは、測っているのは一体誰が測っているのかといいますと、東京電力と国なんですね。国というのは、JAEA、日本原子力研究開発機構、これは国立研究開発法人で、いわゆる独法なんですね。ですから、東電と国が今測っているということで、これは、できれば是非、第三者機関、第三者の中立的な、大学でも国際機関でもいいんですけれども、そこも濃度を測って公表すると非常に客観的なものが積み上がるんじゃないかという意見もあって、私もそういうふうに思うのでございます。

 IAEAも担当官を実は派遣していて、初回の放出についてはIAEAも濃度を測っていただいていると聞いています。でも、ずっと常駐するわけじゃないので、初回とか何回かだけのような話でございますので、是非、第三者による放射能濃度の測定というのも加えていただきたいと思うんですが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 まず、IAEAが、自身、それから韓国、フランス、アメリカ、スイスといった第三国への研究所に、分析した結果、これは最初に放出したALPS処理水のものについて対応しています分析結果を発表していまして、その結果として、まず東京電力の分析能力が十分信頼できるということを裏づけております。このことが報告書に書かれております。したがって、東京電力の分析能力は大丈夫だ、IAEAがそう認めてくれているわけでありますので、そして、その上で、IAEAも引き続き常駐をして、今チェックを受けておりますが、必要に応じて分析の実施がなされるものというふうに承知をしております。近々、IAEAが独自のモニタリングを実施することにも期待をしております。

 いずれにしても、まず国際機関の権威であるIAEAが東京電力の分析能力は大丈夫だということを言ってくれておりますので、引き続き、このIAEAのレビューを受けながら、透明性を持って公表していきたい。そして、IAEAにも、近々、独自によるモニタリング、これを私ども期待をしているところであります。

長妻委員 これは別に与野党で敵対する話じゃないと思うんですね。我々も、風評被害を防ぐために、やはり国と東電だけだと、もっと、第三者機関も加えて、これは三十年にわたるわけですよね。今はIAEAは年内とかやってくれると思いますけれども、来年もやるかどうか。二年後、三年後、四年後、十年後、やはり第三者機関のそういう測定というのもかぶせた方が、そういう意見をいっぱい聞いていますので、相当、風評被害も含めて、私は資することだと思いますので、検討ぐらいはいただけないですか。

西村(康)国務大臣 まず、IAEAは、グロッシー事務局長が、まさに、処理水の最後の一滴が安全に放出し終わるまでこの地にとどまるというふうにコメントしてくれております。私ども、IAEAのレビュー、チェックを受けながら、安全性を確保して、透明性を持って数値を公表していくということです。

 それから、それ以外の第三者機関についてでありますけれども、これまでも様々な議論がありましたが、その機関の分析能力が確かなのかどうかなど、様々議論があります。その上で、漁連など、もう既に公表されていると思いますが、茨城大学に依頼をして、その結果を独自に出されているというようなことはございます。

 私どもとしては、IAEAが認めてくれた東京電力の分析能力を、しっかりと分析結果を公表しながら、そして国の機関もしっかりと、それぞれが独自に分析を行って、それを透明性を持って公表していくということで対応していきたい。

 いずれにしましても、IAEAのレビューを引き続き受けるということであります。

長妻委員 IAEAは途中でフェードアウトすると聞いておりますし、今、漁連の話は魚に対する測定だと思います。今私が申し上げたのは、放出する前の水の濃度の話でありますので、是非検討いただければ。

 最後に、SNS対策でございますが、他国の状況を五ページに添付しておりまして、やはりフェイク動画とかフェイク画像の対応、対策というのは、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスもいろいろ講じているということで。

 ちょっと私が驚きましたのは、事前に、今日質問するときに、政府にそういう対応部署はあるのかと聞きましたら、ないということなんですね。一般的なものはあるけれども、今回の処理水の放出についてのフェイク動画とかフェイク画像をチェックしたり情報収集したりする部署はない、こういうことが言われておりまして、今日は、官房副長官に来ていただいていますが、これは一省庁というより、やはり官房でそういう重要案件については情報収集して、そして、何らかのアラーム、訂正、日本国政府からの発信というのを強力にしていただきたい。

 大臣も被害を受けていまして、三ページ目に記事が載っておりますが、大臣の動画がフェイクで、加工されている。これは大臣はさすがに対応を、御自身のことだから、ツイッターでも対応されておられましたけれども。

 ただ、ほかの、何か奇形な魚が出たとか、イワシが海岸に打ち上げられたとか、黒い水が海に流れたとか、これは全くフェイクの画像、動画でありますけれども、そういうことを、相当いっぱい出ているんですね、ちょっと見ても。これは、官房副長官、ちゃんとやりませんかね。

磯崎内閣官房副長官 偽情報の対応についての御質問でございます。

 昨年十二月に策定をされました国家安全保障戦略、この中で、外国による偽情報等に関する情報の集約、分析、また対外発信の強化等につきましては、新たな体制を政府内に整備する旨記載をされました。

 これを踏まえまして、先日、四月の十四日でございますけれども、官房長官の方から発表したとおり、外国による偽情報等の拡散への対処、この能力を強化するための体制、これを内閣官房に整備することとしております。確かに、新しい組織をつくるということではございませんけれども、内閣官房にしっかり整備をしていくということでございます。

 政府としましては、外国からの偽情報等の収集、集約、分析、また偽情報に対する対外発信、これにつきましては、内閣情報官と内閣広報官に加えまして、外政を担当する内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長を含めた体制で一体的に推進をしております。

 今回のALPS処理水の海洋放出に関する偽情報の拡散、これへの対応につきましては、内閣官房としましても、情報収集等や官邸のホームページ、またSNSを通じた正確な情報の発信に努めておりまして、引き続き適切に対応してまいりたいというふうに思っております。

 また、本件につきましては、外務省及び経産省におきましても適切に対応しているというふうに承知をしております。

長妻委員 ちょっと事前に聞いているのと違うんですが、そうすると、今回のフェイク動画、フェイク画像は一体どういうものがあって、幾つかあって、どういうふうに拡散しているかという情報は全部集約を官房でしているということでいいんですね。

磯崎内閣官房副長官 お答えいたします。

 これにつきましては、外務省と防衛省等が外国からの偽情報の収集強化をするとともに、内閣におきましては、内閣情報調査室内閣情報集約センターにおいて様々な公開情報の分析、収集を行っております。(長妻委員「処理水の情報、集約しているんですか」と呼ぶ)これにつきましては、内閣官房が体制を強化をして整備をしておりますので、内閣官房におきまして集約をしているということでございます。

長妻委員 これは今初めて聞きました。フェイク画像、フェイク動画、今回の処理水の案件について、集約しているということなので、一体何件あって、どういう動画なのか、どういう画像なのか、これをすぐ教えてください。これは別に機密じゃありませんから。むしろ、国民の皆さんにこれを教えて……(発言する者あり)

竹内委員長 お静かに願います。

長妻委員 これを国民の皆さんに教えて、そして、これはフェイク動画、フェイク画像だということを発信していただきたいんですよね。もう集約して持っているわけですよね。それを抱えるのではなくて、是非そういう対応をしていただきたいというふうに思います。

 以上です。

竹内委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 立憲民主党の落合貴之でございます。

 本日は、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の処分の関係についての審議でございます。

 私は、選挙区は東京でございますが、ごく近い親類たちが福島の浜通りに住んでおります。したがって、震災の前も後も浜通りを見てまいりました。そして、一昨日、久しぶりに浜通りへ行ってまいりまして、様々な方々へのヒアリングもしてまいりました。

 まず、今回の委員会の開催のやり方についてなんですが、今回の処理水の放出の決定というのは、総理自らが漁業関係者に面会をして、理解を求めて、総理が決断をしたという形を取りました。それぐらい大きな話で、そして、先ほどの審議も、官房副長官に来ていただいたり外務省の政務官に来ていただいたりということで、省庁またがって多岐の分野に及んでいます。

 今回、総理から説明をということで予算委員会の要求もしましたが、それも駄目で、連合審査の開催ということで、そして連合審査への総理の出席もかないませんでした。私は、これぐらいの大きな問題は、やはり立法府に、総理が国会に出席をして国民にもそして立法府にも説明するべきであるということを申し上げたいというふうに思います。

 風評被害の対策等、国が全責任を持って、必要な対策を講じ続けることを約束しますと総理が表明をしております。先ほど長妻委員からもありましたが、燃料デブリの処理などもまだ時間がかかるわけで、何十年も続くわけです。これはしっかり補償を担保していくということが重要だというふうに思います。

 それから、この補償の範囲です。今回、処理水を放出したということで水産業を守るというパッケージで支援も発表がされました。しかし、これは、今回の風評被害にまつわる被害、損害は水産業だけではありません。例えば、東京でも化粧品会社が大量に化粧品の注文がキャンセルされたりストップをしています。それから、ほかにも、もう多々報道もされていますけれども、団体旅行が中止になったり、飲食店やホテルの予約がキャンセルなど大量にされているということでございます。

 これは水産業以外にも補償、賠償等していく必要があると思いますが、経産大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 まず、長期にわたろうとも全責任を持って対応するということを総理が言われておりますし、このことは関係閣僚会議の文書に明記をしておりますので、政府として全責任を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。

 それから、賠償の範囲でありますけれども、まさに、期間、地域、業種を画一的に限定することなく、被害の実態に見合った必要十分な賠償を行う、そして、データ等の活用によって風評被害の推認を行って、被害者の立証責任を軽減するということを政府の基本方針として掲げているところであります。

 したがって、風評被害については、本件事故と相当因果関係のあるものであれば賠償の対象とするというふうに原子力損害賠償紛争審査会が示した中間指針においても示されているところであります。

 東京電力においては、こうした方針を踏まえて、昨年十二月に賠償基準の基本的な考え方を公表しておりまして、既にその相談を受け付けておるというふうに聞いておりますが、まさに私どもとしても、被害の実態に見合った必要十分な賠償が迅速にかつ適切に実施されるよう、東京電力をしっかりと指導してまいりたいというふうに考えております。

落合委員 それでは、水産業以外にもしっかり補償、賠償していくということでよろしいということですね。はい、分かりました。では、これは経過を我々の方でもしっかりと調べて、問題がありましたらまた取り上げていきたいというふうに思います。

 それから、二〇一五年に、安倍政権時代ですが、政府と東京電力が、地元の理解なしにはいかなる処分も行わないということを表明しております。

 理解についてなんですが、今回の放出までに地元の方々にしっかり説明や対話をしてきたというように認識しているということで、大臣、よろしいでしょうか。

西村(康)国務大臣 これまでも地元の皆さんに対して、あるいは漁業者の皆さんに対しても、千五百回以上の説明会などを開いて丁寧に説明をしてきておりますし、私自身も、福島のみならず近隣県、三陸、常磐の地域の漁業者の皆様あるいは自治体の皆様などとも、説明をし、意見交換をしてきております。特に、七月四日にIAEAの包括報告書が出されて以降、この包括報告書の内容につきましても丁寧に説明を重ねてきたところであります。

 その上で、岸田総理と漁業者の皆さんに会っていただきまして、最終的な判断を岸田総理がされたということでございます。

落合委員 では、その対話や説明は十分だというふうに認識されているということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 例えば、全漁連の坂本会長から、この八月二十一日の岸田総理との面談の中で、まさに、漁業者のなりわい継続に寄り添った政府の姿勢と安全性を含めた対応について、我々の理解は進んできていると考えているというお話をいただきました。

 また、福島県漁連からは、その日は、野崎会長の御都合がつかずに、鈴木専務が代表で参加をされましたが、廃炉の安全な完遂とその時点で漁業のなりわいの継続が確認されて理解は完了し約束は果たされたことになるということ、そして、漁業者と国、東電は復興と廃炉という共通目標に向かって同じ方向に向いて進んでいるということ、さらに、それらの発言を踏まえて、したがって、約束は果たされていないが、つまり処理水の放出が完了した時点で漁業のなりわいが継続した時点で理解は完了するということ、したがって、今の時点ではまだ果たされていないが破られたとは考えていないというお声をいただきました。

 こうしたことから、私ども、一定の理解を得られたというふうに判断したところでございます。

落合委員 破られてはないですとか、ちょっと哲学的な回答を漁連の方がしているぐらい、苦しい回答を地元の方々はしているんだと思います。

 地元で、トップの方々は直接経産省や東電の方々と日頃やり取りがありますが、一般の方々で、特に反対論ですとか納得していないという意見がそれなりにあるということは、大臣、御認識でしょうか。

西村(康)国務大臣 私自身も、もちろん組合、漁連の組合長、会長さんなど代表される方々と何度となく意見交換をさせていただいておりますけれども、併せて車座の集会も、若手の漁業者や女性部の漁業者の皆さんとも意見交換を重ねてきております。そうした中で、おっしゃったように、指摘されたように、まさに不安な気持ち、複雑なお気持ちを持っておられるということ、私自身もよく理解をしております。

 また、私の選挙区も兵庫県の明石と淡路島で漁業者の多いところであります。組合長からは香港からもう買わないと言われているというふうな話も直接伺っておりますし、日本全国の漁業者はもちろんのこと、特に福島の皆さんは不安なお気持ちが非常にお強いこと、よく理解をしております。したがって、今おっしゃったように、漁連の会長としても非常に苦慮しながら、それぞれの組合員の思いを受け止めながら、こうした御発言になっているものというふうに推察をしております。

 そうした漁業者の皆さんのお気持ちに寄り添って、私ども、漁業のなりわいを継続していけるように、全力で、責任を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。

落合委員 いろいろな方からお話を伺いますと、あれだけの事故があったわけです。もう引っ越してしまった方々もたくさんいます。そういった中で、不信感が、今までも本当のことを教えてくれなかったですとか、そういうことが積み重なってこの十年来ているわけです。私は、今回の放出に当たっても、もう少し工夫のしようがあったんじゃないかなというふうに思います。

 それで、説明会ですとか千五百回やっているというようなことを、役所からも来るんですが、その千五百回の内訳をうちの同僚議員が聞いても、紙でも出てこない、ただ千五百回という数字しか出てこないわけです。これは何を根拠に千五百回と言っているのかぐらいは、我々に説明を、国民やそれから議員に説明した方がいいと思うんですが、大臣、紙も出してくれないのはどうなんですか。

西村(康)国務大臣 隠すことはないと思いますので、千五百回のうち、福島県で七百回近く、宮城県で百五十五回など、それぞれの地域で行ってきた説明会がございます。それから、オンラインなどで参加される方もあるというふうにも聞いておりますし、私自身も、この間、福島はもう十四度だと思いますが、昨年の就任以降訪問しておりまして、その中で、多くは漁業者の皆さんとも意見交換を重ねてきております。

落合委員 大臣には資料が行っているのかもしれませんが、我々にはいただいていないので、その千五百回、何月何日に何をやりましたという、一行ずつでいいので、千五百回という答弁書を出すということは記録があるから千五百回と言っていると思いますので、是非出していただければと思います。大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 できる限り、正確なものを御提出したいと思います。

落合委員 せっかく言っていただいたので、理事会に提出をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それから、今長妻委員も取り上げましたが、トリチウムもモニタリングしていますが、トリチウム以外のモニタリングの数値も発表がされています。長妻委員からは第三者の機関も設置するべきだという指摘もありました。私も、国民に一定の不安がある以上、こういったものは目に見えないものですので、第三者機関の設置、これはやるべきだというふうに思います。

 それに加えて、各種のモニタリングをして、今のところは基準を下回っています。トリチウムもそうですけれども、ほかの核種というんですか放射性物質も含めて、基準値を超える数値が出た場合はすぐに放出を止めるということでよろしいですね。

西村(康)国務大臣 もちろん、直ちに止めさせていただきますし、それから、トリチウムの場合は一千五百ベクレル未満ということで出しておりますが、放出から三キロの地点で七百ベクレルになった時点で止めることにしておりますので、いずれにしましても、安全性をしっかり確保しながら、そしてIAEAのチェックをしっかりと受けながら進めていきたいというふうに考えております。

落合委員 ここも重要なことだと思います。調べている中で異常な数値が出たらすぐに対応するということを求めていきたいと思います。それから、第三者機関の設置も重要だと思いますので、これについては改めて取り上げさせていただければと思います。

 今日、外務省から政務官にお越しをいただいています。

 やはり、この放出に至ったことで、中国政府、それから香港、マカオが禁輸を強化するという形になりました。ほかの地域はそういう対応をしていないわけです。それから、中国からいろいろ抗議が来ていますが、日本の見解と大分食い違っているところもあるわけです。

 そういったことに当たって、WTOとかRCEP等を通じて解消させていくということですが、役人だけに頼っていても、これは解決できない問題だと思います。政治家がしっかり出ていく。今日、外務大臣もお越しいただきたかったのですが、来ていただけませんでした。これは、しっかり政府に入っている議員が責任を持って積極的に対応する、役所任せではなく積極的にやっていくということでよろしいですね。

高木大臣政務官 落合先生の御質問にお答え申し上げます。

 日本産食品の安全性は科学的に証明されておりまして、政府として、以前から首脳、外相レベルを含め、科学的根拠に基づき、日本産食品に対する輸入規制を早期に撤廃するよう中国側に求めてきております。本年七月の林外務大臣と王毅中央外事工作委員会弁公室主任との会談においても、林大臣から日本産食品に対する輸入規制の早期撤廃を求めたところでございます。

 こうした中で、中国が従来の輸入規制に加えまして新たな措置を導入したことは、日本からの食品輸入規制緩和、撤廃という国際的な動きに逆行することでありまして、極めて遺憾でございます。

 これを受けて、今週行われたASEAN首脳会議においても、岸田総理から、日本産水産物の輸入を全面的に一時停止するなど、中国が突出した行動を取っていることを指摘しつつ、我が国の立場を改めて明確に述べたところでございます。

 委員御指摘のとおり、今後とも、政府一丸となって、あらゆる機会、あらゆるレベルを通じて、科学的根拠のない輸入規制措置について、即時撤廃を中国側に強く働きかけてまいります。

落合委員 是非、役人だけでは対応できない事態であると思いますので、見える形で積極的にやっていただければと思います。

 最後、経産大臣とそれから総務副大臣に伺います。

 まず、先ほど長妻委員も取り上げた偽サイト、海外の偽サイトですね、これは、もし今回しっかり目に見えて対応できない場合は、日本政府は海外の偽サイトをやっても対応できないんだということになってしまいます。これは重要な問題だと思いますので、西村大臣もリーダーシップを発揮いただければと思います。

 それに加えて、中国の番号から嫌がらせ電話がたくさん来ています。経産大臣に伺いたいのは、嫌がらせ電話で損害等、経済的なものが出た場合、営業妨害等も出た場合に、これは賠償とか補償の対象になるのかということを経産大臣に。

 それから、総務副大臣、自治体にもたくさん電話が来て、自治体の対応、かなり追われているわけです、そのサポート、交付金の積み増し等も含めてですね。それから、電話を管轄しているのも総務省だと思います。これはしっかり対応するということでよろしいでしょうか。

 その二問を最後の質問にさせていただきます。

西村(康)国務大臣 まさに、飲食店や、ましてや病院などにも大変な電話の数がかかっておりまして、嫌がらせ電話ですね、まさに人の命に関わるようなところにもかかっておりまして、極めて遺憾であるということで、様々な対応を政府全体でしているところであります。

 御指摘の被害と賠償の関係につきましては、因果関係があるかどうかというところの判断でありますので、個別の事情、個別の事案に照らしてそれがあるかどうかということで判断をしていくことになると思いますので、いずれにしても、適切に判断を東京電力がするように指導していきたいというふうに思います。

柘植副大臣 落合先生にお答えいたします。

 八月の二十四日のALPS処理水の海洋放出開始後、中国から発信されていると思われる嫌がらせ等の不審な電話が多数発生していることは承知をいたしております。こうした事案が生じていることは極めて遺憾であり、憂慮をいたしております。

 外国からの発信と思われる不審な電話への対応については、海外からの着信の制限など各種の嫌がらせ電話への対応サービスの活用が効果的であると考えております。

 総務省といたしましては、効果的な対策といたしまして、公式SNS等を通じて広く国民に周知を行うとともに、通信業者に対し、対応サービスに係る相談、申告に迅速かつ円滑に対応するよう要請を行ってまいります。

 これに加えて、先ほど先生から御指摘のあった、自治体にも大変御迷惑をかけておりますので、自治体向けに対しましては、対応の窓口を設置するとともに、個別の相談に積極的に応じてまいりたいと思っております。

 今後も継続して被害の状況を注視し、関係省庁と連携して不審な電話への対策に全力で取り組んでまいりたいと思います。

落合委員 今お二人の答弁内容で効果があるのかは少し分かりません。日本の国民が海外から嫌がらせされ放題ということにならないように、政治の力が求められています。しっかり対応いただければと思います。また取り上げさせていただきます。

 ありがとうございました。

竹内委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 立憲民主党の近藤和也でございます。どうかよろしくお願いいたします。

 立憲民主党会派としては最後の質問になりますので、少し質問の順番を変えさせていただいて、ちょっと対応していただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 まず、西村大臣に伺います。

 先ほど落合委員からございました今回の風評被害等に対して、水産業以外、宿泊ですとか化粧品等も含めて、そちらについては期間、地域、業種も含めて賠償していく、そして東電を指導していくというふうに答弁をいただきました。

 実際には、これは東京電力さんにも後で伺おうと思っていますが、やはり幅広くといったところは当然対応していかなければいけないですが、少し気になりましたのが、この賠償するということ、東電を指導していくということであって、あくまでも賠償は東京電力ですよね、国がやるわけではないですよね。今回のパッケージも含めて国として責任を持って対応していくということなのか、そちらを御答弁いただけたらと思います。

    〔竹内委員長退席、笹川委員長着席〕

西村(康)国務大臣 風評被害なり影響が出ているところに対して、一時買取り、保管であったりあるいは販路拡大であったり、こうした支援策を、国、政府として、今回二百七億円を追加して、一千七億円のパッケージの中で実施をしていく、その上で最終的に被害が生じた場合には東京電力が賠償するということでありますので、いわば二段構えというか、まずは風評の影響がないように様々な対応を私どもとしてしていく、その上で被害があった場合には賠償があるということであります。

 そして、この賠償については、東電の賠償法の中で、一義的には、電力会社、東京電力が賠償責任を負うということでありまして、それを国が、これも支援パッケージの中で、交付国債を発行して全体として支援をしていっているということであります。こうした体制の下で、東京電力の賠償を適切に迅速に行われるよう指導していきたいというふうに考えております。

近藤(和)委員 確認なんですけれども、パッケージの中でまずは水産業以外も含めてしっかりとサポートしていくということが少し、はっきり言われなかったのかなということと、あとは、東京電力のあくまでも賠償ということであって、国としてあくまでも指導していくということしか言われなかったのかなというふうに思うんですが、確認です、お願いいたします。

西村(康)国務大臣 一千七億円のパッケージは、水産そして加工などに関わるものについての支援策のパッケージであります。そして、それ以外の業種にも影響があるということでありますので、それはそれ以外の様々な支援策で対応していくということであります。

 いずれにしても、状況を見ながら、観光であったり、いろいろな業種で影響がある可能性がありますので、そうした業種についても政府としてしっかりと支援をしていきたいと思いますし、最終的には、業種を問わず、限定することなく、相当な因果関係が認められるものについては東京電力が賠償するということであります。

近藤(和)委員 私自身、今日は、農林水産委員会の野党側の筆頭理事という立場で、農林水産業の方々、何とか心が折れないように頑張っていただきたいという思いで今質疑に立っているんですけれども、少し確認だけでいきますと、水産業以外の方、例えば農家の方も宿泊施設に食べ物なども出しているわけですよね。そして、お米なども出しているし、輸出の部分でももう既に影響が出ているわけです、もう明確に。

 ですから、先ほどそれ以外の様々な支援策と言われましたが、少なくとも、今回の一千七億円の支援策の中に水産業以外の方は入っていないということをくしくも大臣が言われたので、是非とも、入っていないじゃないかと言いたいのではなくて、ちゃんとこれから策を打ってくださいねということを申し上げたいというふうに思います。

 そして、長妻委員からもございました、今回の最終的な賠償ということでいけば、東京電力が第一義的に原賠法に基づいて賠償していくということはある、これは間違いないとは思いますけれども、少なくとも、外交といったところ、ファクターが今回あるわけですよね、中国の動きというのが最大でしたけれども。こちらについては、東京電力の、影響といいますか、それこそあずかり知らない部分も当然あるわけです。

 ですから、彼らに全ての責任を負わせるというわけではなくて、最終的には彼らが賠償を、東京電力が賠償するにしても、そこまでの時間軸、先ほども一か月なのかどうなのかというやり取りが東京電力さんとありましたけれども、正直分からないわけですよ、紛争だってやっているわけですから。そういったところを国がちゃんとサポートしていくべきだと思っています。

 そして、別の委員の質疑の中にもありました、もうこれ以上借りられないんですよね。技術的には可能であっても、心理的に借りられないんですよ、もう借金。そういったところも含めて、金融支援だけでは足りないということも含めて、この賠償までの時間軸、隙間をしっかりと埋めていくべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 まず、一千七億円、これは、水産業、加工業者も含めて守るパッケージということで、最も影響を受ける漁業者の皆さんあるいは加工業の皆さんにこうした予算を迅速に活用することで対応していきたいというふうに考えております。

 そして、そのパッケージの中に入っているんですけれども、例えば相談窓口の設置とありますが、これは全国のジェトロの事務所において相談窓口も設置しているんですけれども、ここは、漁業者に限らず、水産加工業者に限らず、観光業や様々の相談を受けております。既に、一部化粧品や日本酒などだと思いますが、そうした相談も受けているようでありますので、そうした相談に対しまして適切に対応していきたい、これは、既存の予算もありますし、特に海外の販路開拓、売っていたものが売れなくなるということについては、今まさに一万者の新たな輸出拡大をしていこうということの支援策などもありますので、既存の支援策を通じて支援をしていきたい。

 そういった状況を見ながら、そして足らないところは機動的に予算を確保して支援をしていきたいというふうに考えております。その上で、最終的に損害が出た場合には、相当な因果関係の下で東京電力が賠償するという仕組みでございます。

近藤(和)委員 農林水産物の輸出五兆円戦略、これは旧の民主党のときから一兆円、そして今五兆円ということで、順調に増やしてきているということは評価をしたいというふうに思います。

 ただし、実は、農林水産業に関わる方にとってみれば、一つトラウマといいますか、クラスター事業という形で酪農等をどんどん国としても増やしていこう、大規模化していこうということで、お金も出しますよ、貸しますよということで大規模化していったら今回のコロナに遭ってしまって、借金が増えて売上げが減ってしまって、もう困ったというのが去年、おととしあったばかりなんです。

 そして、水産加工業者などの方にとってみても、さあ五兆円の中で自分たちも加工業として頑張らなきゃという中で、いろいろな設備投資を準備してきた、借入れも起こしてきた、そして今回の中国のことですから、政策にせっかく協力してきて、自分自身も頑張ろうという中で、今大変な思いをされているということも、是非とも、自分たちはこんなにやっているんだというようなPRだけではなくて、ちゃんとこれからも寄り添っていくという姿勢を見せていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、質問の順番を更に変えまして、全漁連さんにもお越しいただいています。本当にありがとうございます。

 今回の中国の水産物の全面禁輸に対して、じくじたる思い、そして様々な声というものも寄せられているというふうに思います。政治に期待すること、そして政治に対して様々なお声をいただいていると思いますが、また政治に望むこと、国民に望むこと、皆様に望むこと等ありましたら、よろしくお願いします。

坂本参考人 ただいまの中国の輸入規制、これに関してということでございます。

 私ども、可能性としては、中国が何かやるんじゃないか、そういうことというのは想定していたわけでありますけれども、どれぐらいの規模で、またどういう形でやるのか、そういうこと、また時期についても、これはもう、我々がやれるというか、また可能性として判断できるような、そういうものを超えております。

 現在、中国の輸入規制において、非常に困っている漁業者、北海道のホタテだけの話ではなくて、これは全国の漁業者に広がっています、その影響というのは。そういった中で、この影響をどうやって抑えていくのかというのは、まさに、もう漁業の話じゃなくて、我々自身の話じゃなくて、これは政治に求めていくことだというように思っております。

 政府がちゃんとした責任を持ってこれに対処していって、我々の不安に応えてもらいたい、そういうように思っております。

近藤(和)委員 判断を超えている、そして政府には不安に応えてほしいということをお答えをいただきました。本当にごもっともだ、おっしゃるとおりだというふうに思います。

 その中で、野村大臣です。今日の一番最初、冒頭のところで言い間違いについておわびがあった。謙虚なおっしゃり方だなと私は思いました。

 一方でなんですが、長妻委員の質問に対して、大変驚いているということに対して、個人的にというのは、私自身、これはずるいなというか大変驚いたというような思いがございます。

 実際に、今、農林水産省も、先日、中国は七月の当初から、実際には七月七日の時点で、中国は日本の全水産物に対してサンプル調査から全品調査に切り替えたわけですよね。実質禁輸に近い、一歩手前のことをやったわけじゃないですか。そして、二割程度減った、日本から中国への水産物の輸出は二割程度減った。ジェトロの調査によれば、これは八月二十四日に出しているものですけれども、鮮魚については五八%も既に減っている。これは八月二十四日の時点でジェトロがレポートで出しているんです。

 そして、中国も、恐らくは、日本の水産物は人気がありますから、ある程度厳しくし過ぎたら中国国民がどうするかという打診も含めて全品の検査を一度厳しくやってみよう、そういった動きをしたと思うんです。そして、ある程度日本からの輸入が滞っても、これはいけるということで、八月二十五日に水産物に対しての全品の禁輸ということに至ったと思います。

 このことで考えてみれば、個人としても十分に予測し得たのではないかというふうに思います。そして、もう覆水盆に返らずですから、このことについては個人的に認識していなかったのであれば仕方ありませんが、先ほど全漁連の会長さんが言われましたように、不安なんですよ。自分たちだけではどうしようもできないんです。ですから、政治がしっかりしてくれなきゃ困る、こういったことも含めて、この後段の発言の反省も含めて、自分たちが全責任を持ってやっていくんだということをおっしゃっていただきたいんですが、いかがでしょうか。

野村国務大臣 先ほど、長妻委員の御質問に対して申し上げたのは、確かに、国としては、三百億、五百億、八百億ぐらいの影響が出てくるんじゃないかということで、全体的な網羅はしていたわけでありますけれども、しかしながら、最終的に、今回、政策パッケージを取りまとめまして、二百七億円追加したわけでありますが、そういう全面的な禁輸になったときの影響というのがどの程度になってくるのかというのは、なかなかこれは、当初は八百億ぐらいだろうということで検討していたわけでありますけれども、よくよく、特にホタテの関係でいきますと、影響が大き過ぎて、これではなかなか全部を対応できないということで二百七億円を追加した、予備費を追加したところでございまして、できるだけ我々としてはパッケージを速やかに実行していく、そして水産業者の皆さん方に寄り添ってやっていきたいという考えでございまして、私の、非常に配慮のなさといいますか、そこまでいくのかなという一時は思いがありましたけれども、実際やってみると、まだまだ、先ほど委員御指摘のような、まだ問題が惹起してくるのではないかな、こんなことは思います。

 ですから、それをどこまでフォローできるのか、これもまた経産省ともよくよく考えながら検討させていただきたいと思います。

近藤(和)委員 謙虚なお答え、ありがとうございます。

 想定し得る、まだ禁輸的な可能性は正直あるわけですよね。この場で言うと余りよくないと思いますけれども、まだあるわけですよね。ですから、そういったときにもしっかりと迅速に対応して、ちゃんと準備はしていましたよ、嫌だったけれども準備はしていましたよということで、次に進んでいただきたいと思います。

 そして、今、国際的な評価については、中国と一部の地域を除けば、ある程度日本の今回の動きについては許容されてきているということが報道等で言われてきております。一方で、民対民であれば、そうではない部分がありますよね。

 先ほど日本酒のことを大臣も言われましたが、ある焼酎のところ、これも今、一月から輸出が止まっているというお話も聞きました。これもジェトロの調査によりますと、一月で四割ぐらいですか減って、二月で七%減って、七月でも五%、日本からのお酒、発酵されたお酒が、中国向けが減ってきているというお話もございました。

 私が申し上げたいのは、国と国で理解が進んでいたとしても、中国以外の理解してくれているであろう国や地域でも輸出が止まってきている、減ってきている。焼酎の例でいけば台湾ですし、私が伺いましたある加工業者の方であれば、東南アジアの数か国、名前を挙げられました。今回、いずれも日本の動きに対してはしっかりと評価をしていただいているところでも、民間対民間ではそうはいっていないよ、止まっているよという動きは、把握はされていますよね。ちょっと済みません、時間がなくなったので、ですよねということだけで進ませていただきたいと思います。

 それで、こういった指摘もいただきました。東南アジアそして台湾も含めてなんですけれども、華僑の方々との取引がうまくいっていないよというような御指摘もいただきました。全部が全部よくない、華僑の方がそういった動きをしているかは別ですけれども、少なくとも、こういった地域、国々の方々へのしっかりとした、民間の方々へのメッセージということも大変重要なのではないかなと思います。

 資料の一を御覧ください。こちらは農林水産物の上位二十か国です。中国、香港は水産物も含めて一位、二位ということですけれども、青で囲ってあるところが水産物です。ベトナム、シンガポール、タイ、フィリピン、マレーシア、カンボジア、インドネシア、ASEAN諸国でございますけれども、これらの水産物を全部足せばアメリカを上回るわけです。

 そして、経産省、外務省の資料をいただきましたが、動画や資料等だけでいけば、外務省の資料でようやくタイ語に対応しているだけで、動画等ではほかのところはほとんどカバーしていません。ちなみに、シンガポールとマレーシアは中国語とマレーシア語、そして英語等が公用語で使われているとは聞いていますけれども、しっかりとした、こういったところをカバーしていった方がいいのではないかと思っていますが、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、在京の外交官とか在京メディア、外国のメディアですね、こうしたブリーフィングも重ねてきておりますし、海外のニュース番組への出演とか提供、あるいは海外紙への広告記事の掲載なども重ねてきております。

 そして、政府そして東京電力のホームページなどにおきまして、日本語、英語だけではなくて、中国語、韓国語など他も含めて多くの言語で情報発信してきておりますが、御指摘のように、それぞれの国の状況を見ながら、それぞれの国の言語で発信していくことを更に強化をしていきたいというふうに考えております。

 ちなみに、ロシア語、フランス語、スペイン語、アラビア語、タイ語、それから在外公館では御指摘のマレーシア語とかインドネシア語でも発信をしておりますが、更にこうした広報体制の強化をしていきたいというふうに考えています。

近藤(和)委員 前向きな答え、ありがとうございます。

 そして、その上でなんですけれども、私、経産省と外務省の動画を見ました。もうちょっと工夫した方がいいですよね。残念ながら、経産省さん、役所の方、怒らないでいただきたいんですけれども、再生回数はとんでもなく少ないですよね。見ましたけれども、正直見ようという気がなかなか起こらないんですよ。外務省のは経産省よりも四桁再生回数が違っていました。

 そして、よくよく考えてみれば、今回の風評対策というのは、日本に来てください、そして日本のものを買ってくださいということですよね。日本に来られる方、日本のものを買いたいという方がどうやって調べるかということであれば、経済産業省のホームページはそもそも見ないと思います。せいぜいが外務省。そして、できれば、農林水産省、観光庁、そして環境省、こういったところにむしろアクセスをされるのではないかなと思います。農林水産省であれば、BUZZMAFFという、非常に工夫を凝らしたすばらしい動画等もあります。

 今回の件は余り軽く扱うものではないので、雰囲気といったところは気をつけなければいけないですが、少なくとも今できることは、せっかく経産省そして外務省が作っているものを農水省や観光庁等に張りつけておく、若しくは、本来であれば、経済産業省の作るものではなくて、発信ではなくて、農林水産省等から発信をした方が、むしろ、日本の農林水産物を買っていただくためには、安全だよということも含めて、よりよい方向性になると思うので、こちらをもうちょっと努力していただきたいと思うんですが、西村大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、これは常に進化させていかなきゃいけないと思っております。様々な声もいただいておりますし、今御指摘もいただきましたので、関係省庁でもう一度、それぞれがブラッシュアップするとともに、リンクを張ることを含めて、効果的な対外発信、多言語で是非行っていきたいというふうに思います。

近藤(和)委員 東京電力さんにもお越しいただきました。

 東京電力さん、今回の中国等の禁輸については想定をされた上で、昨年の十二月、賠償のスキーム等をつくられたのかどうか、こちらを伺います。

小早川参考人 御質問にお答えいたします。

 当社は、関係団体からの禁輸に関する御懸念の声を踏まえ、様々な動きがあることを想定し、ALPS処理水の放出により、諸外国からの禁輸措置などによって生じた損害を賠償させていただく旨を昨年十二月に公表させていただいております。

 機動的に対応できるよう、既に対応も始めております。影響が生じた全国の事業者の皆様に御事情を迅速かつ丁寧にお伺いできるよう、影響が大きいエリアで御相談対応の拠点を新たに設置するなど、体制も強化しているところでございます。

 以上でございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 第一義的には、賠償は東電。そして、政府も含めて今政治に関わる者全てが、農林水産業に関わる、そして観光等に関わる方々にしっかりと、心が折れないように私たちも努力していきますことをお誓い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

笹川委員長 次に、足立康史君。

足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。

 先ほど立憲民主党の長妻委員が、偽情報、フェイクということをおっしゃいました。他方、立憲民主党の議員さんの中には、ALPS処理水のことを汚染水と言う方がいらっしゃいます。処理されている水を汚染水というふうに表現することは、まさに偽情報であり、フェイクであると思いますが、大臣、いかがですか。

西村(康)国務大臣 全くそのとおりであります。

 ALPSで処理をした水でありますので、ALPS処理水というのが正しい言い方でありまして、過去にそういう質問をされた議員もおられましたので、その場で私から正したこともございます。

足立委員 ありがとうございます。

 大臣も、そういうフェイクの、改ざんされたりとかの犠牲者でありますから、しっかりこれはみんなで正しい議論をしていきたい、こう思います。

 今日は、私は一貫して、科学が風評に負けてはならない、こういう観点から質問させていただきたいと思います。

 まず、中国への対応です。

 先ほどから中国への対応については質問が出ていますが、外務省は、これは最後の問いから行きます、WTO提訴について、予断を持って言わないと。今日、先ほども政務官がおっしゃいました。何が最も効果的か不断に考えていくんだと。

 いやいや、効果の問題じゃなくて、これは法の支配の問題ですから、筋論ですから、私はWTO提訴を真剣に考えるべきであると思いますが、いかがでしょうか。

岩本政府参考人 ただいま委員から御指摘のありましたとおり、中国の措置に対する我が方の今後の対応については、何が最も効果的かという観点から様々な選択肢を検討しているところでございます。

 一番最近では、九月の四日に、中国がWTOのSPS協定に基づく緊急措置の通報を行いました、これを受けて中国の主張に反論する書面を提出して、これはWTOの全てのメンバーに回覧されたところでございます。また、RCEP協定の緊急措置に関する規定に基づく討議の要請も行ったところでございます。

 こうした枠組みもしっかり活用しながら、しっかり検討を進めていきたいという具合に思っております。

足立委員 WTOの場で取り上げることではなくて、いや、それはもう当然ですよ、しかし、いわゆるWTO協定の下での提訴ですよ。この提訴の第一段階は、まず協議要請をする。協議要請をした上で、解決しなければパネルを設置して付託していく。こういう手続があるわけですね。

 だから、改めて外務省に確認をしたいことは、これは今現在も選択肢なんだと。いや、もちろん外交ですから御判断があると思います。高度な御判断があると思うので、野党の分際で何か申し上げる立場にないが、ただ、国家として、日本国として、これは選択肢として、だって、制度があるんだから。制度はあるんだ、だから、やろうと思ったらできるんだ、だから、今、この場、今日現在においてもWTO提訴は選択肢なのである、これは当たり前ですね。確認させてください。

岩本政府参考人 ただいま委員から御指摘のありましたとおり、まず一般論として申し上げれば、他の加盟国が取った措置、これにつきましては、WTO協定に照らして問題がある場合、紛争解決手続、これを利用することは可能でございます。

 したがいまして、そういったこともしっかりと念頭に置きながら、先ほど申し上げたとおり、何が最も効果的か、こういった観点からしっかりと検討を行っていきたい、そのように思っております。

足立委員 大臣、御所管の関係があるかもしれませんが、WTO提訴は選択肢である、これは仕組みの問題なので、当たり前なので、選択肢だと言ってください。そうしたら報道してくれるので。お願いします。

西村(康)国務大臣 今、外務省から答弁があったとおりですけれども、何が最も効果的かという観点から様々な選択肢、今、一般論として、当然、その紛争解決手続を利用するということはあるわけでありますので、そうしたことも含めて様々な選択肢を不断に検討している、今それを急いでいるというところであります。

足立委員 まさに選択肢であります。これは、効果の問題、もちろんそれもありますが、筋の問題です。法の支配、そういう、自由民主主義国家として、これは私は筋を通すべきだと訴えておきたいと思います。

 さて、ALPS処理水でございますが、通常炉からも排水はされています。そして、何よりも、再処理工場、国内の再処理工場、世界の再処理工場からも排水をされています。福島から今回、福島第一原発事故を受けて、処理水が海洋放出をされます。それぞれ三者三様でありますが、全くこれは、そういうリスクとか環境への影響ということでいうと差がない。みんな影響がないわけですから。

 だから、今回の、事故炉ということでは新しいんだけれども、その海洋放出される水、排水の科学的な評価ということにおいては、これは何か世界で初めてのことが起こっているのではなくて、これまでも世界で行われてきたことが、逆に言うと、もっとレベルは低いと思いますね、今までやってきていることよりも。だって、基準を満たした上で百倍に薄めてやっているんだから。

 だから、私は、これは新しいことではないのであるということを確認したいんですが、規制委員長、お願いします。

山中政府参考人 お答えいたします。

 放射性液体廃棄物に含まれます核種、それぞれの施設の特徴に応じて異なりますが、それらの核種が規制基準を満たして排出される限り、人と環境には影響はございません。

 規制委員会は、放射性液体廃棄物の排出が規制基準を満たす形で行われていることを審査や検査において確認をする中で、核種の選定あるいは排出の管理についても確認をしております。

 具体的には、ALPS処理水の海洋放出につきましては、東京電力が示した測定、評価の対象とする核種の選定が妥当であることを規制委員会は審査の中で確認を行いました。その考え方に基づいて選定されました三十核種について、放出前の測定、評価により規制基準を満たすことを確認した上で放出が行われます。

 同様に、再処理施設のうち、例えば日本原燃再処理施設から海洋に放出される液体廃棄物中の核種につきましては、日本原燃が示した選定の考え方が妥当であることを規制委員会は審査の中で確認を行っております。その考え方に基づいて選定された十九核種について、放出前の測定、評価により規制基準を満たすことを確認した上で放出が行われております。

足立委員 まさに、世界の中で議論されてきたルールがあって、その規制基準を満たした形で放出しているという点においては全く新しいことではない。

 大臣、ちょっと、せっかくの機会なので、今私が申し上げた、新しいことではないんだという、何か新しいことのようにみんな大騒ぎしているわけです。まあ、事故炉ですから。それから、漁業、水産業の話もある。これは、丁寧にやっていくという、今やっていらっしゃることを私は支持をしています。ただ、新しいことではないんだ、ちょっと騒ぎ過ぎじゃないか、むしろ、もう福島の常磐物の世界では、風評はそんなに起こっていないという声もあるんです。日本人はやはり賢明だと。そういう中で、やはり今回の海洋放出はそんなすごいことではなくて、これまでも世界が海洋放出してきたこと、それが今回も行われているのである、新しいことではないんだと、お願いします。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、原子力発電を行っている各国においては、それぞれの原子力発電所からこのような形で海洋放出を行ってきておりますし、日本国内でもそれぞれの原発で行ってきております。

 そして、今回、もちろんトリチウム以外のものについてもしっかりと処理をして安全基準を満たすわけですけれども、処理が非常に難しいトリチウムについても、総量で年間二十二兆ベクレルという、これは福島第一原発が震災前に稼働していたときの上限、実際にはもっと少なかったんですが、その上限を上回らないということで二十二兆ベクレルというのを設定しておりまして、これはほかの原発に比べても低い数字でありますので、そういう意味では、海洋放出、これまで実績があるということでございます。

足立委員 今、二十二兆ベクレルという話が出ましたので、少しその話をしたいと思います。

 令和三年四月十三日の廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚会議、ここで、菅総理のリーダーシップで、二年数か月前でありますが、海洋放出ということが決まった。心から敬意を表します。

 私たちは、とにかく早くやろう、何を手をこまねいているんだということを、日本維新の会は、結党以来というか、結党したのがちょうど東日本大震災の直後でありますので、この十年、十一年、福島の復興、東北の復興のために党を挙げて仕事に邁進をしてきたわけでありますが、二年前に基本方針が作られ、そして、その前にかな、ALPS小委の報告書が出ています。

 ALPS小委の報告書の中にこう書いてあるんですね。今規制委員長からも御紹介があった、国内の再処理施設においては、最大で年間千三百兆ベクレル、これは二〇〇七年です、二〇〇七年に、単年度で一千三百兆ベクレルの放出実績があるとALPS小委の報告書に書いています。

 福島第一にたまっているトリチウムの総量は七百か八百だったと思います。だから、科学的に言えば、単年度で放出したらいいんですよ。科学的に言えば。でも、大臣今おっしゃったように、福島の事故の前、通常炉を運転しているときの排出レベル、当時目標値があって、それ以下だったんだけれども、今回はその目標値、当時の二十二兆ベクレルというものに合わせて、三十年かけてやるんだと。

 でも、繰り返しになりますが、トリチウムの総量だけでいうと、三十年じゃなくて単年度でやってもいいんです。じゃ、何で時間をかけるんだというと、もちろん丁寧にやるということもありますが、恐らく、これは私の個人的な推測ですが、デブリがあるわけですね。デブリがなくならない限り処理水は発生し続けるから、だから、ちょっと分かりやすく言うと、急いでも仕方ないという面もある。そういうことだと思うんだけれども、そうであれば、今後、デブリの取り出し作業が早まれば、処理水への理解も深まれば、これは三十年というのを前倒ししていくということも全然、私は科学的には、科学的にはありだと思いますが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 実際に、御指摘のように、IAEAのレビューにおきましては、まさに御指摘の、放射線影響評価から導かれるトリチウムが放出可能な量の上限は年間二十二兆ベクレルよりも多い量となるということも指摘をされております。

 ただ、私ども、先ほど申し上げましたとおり、震災以前に福島の第一原発で管理目標値とされていました二十二兆ベクレルというものがございましたので、地元の皆さんの様々な感情にも配慮しながらこの二十二兆というものを決定しているところであります。加えて言えば、慎重にやはり進めていくことが大事ですので、今年度は、初年度は約五兆ベクレルということで考えております。

 そうした方針の下で、二〇四一年から五一年までかかるであろう廃炉作業を着実に進めていき、このALPS処理水についても安全を確保しながら堅実に進めていきたいというふうに考えているところであります。

足立委員 丁寧にスタートするのは分かるんですけれども、私は前倒しはありだと思うんですが、それはお答えはちょっと難しいということですね。はい。また政権交代もあるかもしれませんので、しっかり頑張りたいと思います。とにかく、福島のため、東北のため、日本のために日本維新の会は働いてまいりたいと思います。

 最後に、私は、中国、ロシア等の、今回の福島の処理水の海洋放出に対する中ロの対応はひどいと思いますよ、ひどいと思うが、一つだけちょっと議論しておきたいことが水蒸気放出の話です。

 私は、科学的にはありだと思うんですね。風評のことを考えたり、ちょっと量が多いとか、モニタリングとか、いろいろあるんだけれども。だって、別に問題ないんだから。

 加えて、先ほど御紹介したALPS小委の報告書にはこうあります。海洋放出に比べて、水蒸気放出では、ALPS処理水に含まれる幾つかの核種は放出されず乾固して残ることが予想され、環境に放出する核種を減らせる。

 要は、海洋放出と水蒸気放出。それから、世界の再処理工場では、ALPSのようなやり方でやっている再処理工場が多いんですが、一部そういう水蒸気放出に切り替えたりしているケースもあります。それはそういう趣旨もあるわけですね。

 だから、私は、今回の判断は支持します、一〇〇%支持しますが、三十年間ずっと水蒸気放出に何か背を向ける必要はなくて、それは科学的に利用価値があると考えれば、その都度不断に再評価をしていく、今回、スタート地点で決めたことが全てではなくて、不断に再評価をしていくことが必要ではないかと思いますが、いかがですか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、六年以上にわたって、水蒸気放出を含む様々な選択肢について議論がなされてきたところであります。

 そして、放出する核種を減らすということが予想できるというメリットもある一方で、まさに今、液体の状況である、液体の放射性廃棄物の処分を目的として水蒸気放出で実施した例は国内にはないということ、それから、残渣が放射性廃棄物として残るということなどの留意点もこれまで挙げられております。

 他方、海洋放出については、先ほどから議論がありますとおり、国内の多くの原子力発電所で実績があるということ、それから、モニタリングは海洋で行いやすいというものもあります。そうしたことから、より確実に処分を実施できるということで評価をされたわけであります。

 ちなみに、七月七日、IAEAのグロッシー事務局長が来日したときも、その時点で、海洋放出よりよい代替案はないというコメントもなされております。

 こうした評価を踏まえて海洋放出を決めたところでありますが、御指摘のように、科学技術はどんどん進化をしていくと思います。そうしたことも踏まえながら適切に判断をしていきたいと思いますが、これまでの実績、そしてIAEAの評価などを踏まえて海洋放出を進めていきたいというふうに考えております。

足立委員 ありがとうございます。大変よく分かりました。

 じゃ、時間が来ますので終わりますが、今日はもう質問しませんが、野村大臣にお越しいただいています。言い間違いとか、いろいろあると思いますが、とにかく政府はしっかりやってください。

 私たちは国会議員ですから、国会をしっかりと真っ当な国会にしていきたいと思います。先ほど冒頭申し上げたように、まだ国会議員の中に、先ほど西村大臣がおっしゃられた偽情報を、フェイクを拡散している国会議員がいます。立憲民主党とかね。だから、政府は政府でしっかりやっていただくけれども、私たちは国会運営、国会の中から偽情報を駆逐していく、その決意を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございます。

笹川委員長 次に、小野泰輔君。

小野委員 日本維新の会の小野泰輔でございます。

 今日は、両大臣、よろしくお願いいたします。

 足立委員の方からはALPS処理水の放流のことについて御質問だったんですが、私の方からは、その放流に伴い中国が輸入禁止を行った、そのことによって発生した、今、水産業の苦境、それをどういうふうに打破していくかということについて御質問させていただきたいと思います。

 先ほど長妻委員の方からも質問があったので、繰り返しになっちゃうと思いますので、これはちょっと質問という形にはしませんけれども、基金を三百億円プラス二百七億円追加でということで、この需要対策について積み上がっている。

 この三百億円の部分については令和三年度の補正予算で積まれたということでありまして、このときに、先ほど想定外なのかどうなのかという話がありましたが、私は余りその話には興味はなくて、そうではなくて、この事業が三百億積まれたときに、これは全国の水産物に関するものだというような、対象とされていたというような先ほど議論がありました。このこと自体は、私は、あらゆることを想定して政府が用意していたんだということが分かりましたので、非常に高く評価をしているんですけれども、この三百億円の中で、水産物の一時的な買取りとか保管とかいうことで水産業を守っていこうというようなことが手当てをされているわけなんですね。先ほど、これは長妻委員と近藤委員からも議論がありましたけれども、じゃ、様々な支援策の中で東電の賠償との関係をどう考えるのかというのは、私は余りはっきりしていないなというふうに思っているんですね。

 例えば、水産物の一時的な買取りとか保管というのは、これは漁協が買い取ります。そういう意味では、処理水の放流によって買取りをしなければいけなくなった事情があるわけですから、こういったものも本当は、国が税金を使って基金でこれを補償するということではなくて、東電に、やはりこれは賠償すべきものでもあるというふうにも考えられると思うんです。

 ここについて、例えば基金、これからどんどんどんどん拡大していく可能性もあるんですけれども、こういったものに関して、政府のメニューに、基金でカバーしますよというような買取り費用とか、そういったものを、例えば、これは東電が本当は持つべきだよねということで求償するとか、そういうお考えもあるんでしょうか。

西村(康)国務大臣 お答え申し上げます。

 漁業者団体、漁連などが三百億円の基金を利用して、一時的に価格が下がったり売れにくくなったものを買い取る、そして保管をする、その費用を見ています。そして、その後に、漁連は保管の費用を見ていますから、一定期間保管したりした後に、また売却できるタイミングが来れば売却するわけですので、そこはそれで一定のものは成り立つ、商取引は成り立つわけですね。

 そして、漁業者の方は、市場価格ベースで買い取られることになりますので、落ちている段階で買い取られてしまうということで、一定の損失が生じるということが最終的に確定をした場合に東京電力が賠償するということであります。その差額分について、因果関係を見ながらやるわけですが。

 したがって、この一時的なもののところは政府が責任を持って行って、そしてその後に、最終的に損害が確定したものについては東電が賠償するという仕組みにしておりますので、私どもとして、この一連の保管費用などについては、この部分については国が責任を持ってやるということで、東電への求償は考えていないところであります。

小野委員 お答えいただきましたけれども、例えば、これは私もレクを受けたときに、損害額の算定というのはどうやってやるんですかというふうにお聞きしたら、東電の方でも基準をもう作っていて、これは価格が下がった分に関しての差額補填と。今大臣もおっしゃいましたけれども、私はそれだけじゃないと思うんですね。

 例えば、今回、価格が下落しないように一時的に漁協が買い取って保管をしていく、これは価格対策だということで、補償ではない、一時的にそうやって価格の低下を回避しておくとかということで、それでも最終的に損害が発生した場合、その保管したものを売った場合に結局損害が生じた場合にはそれを補償する。それはそれで分かるんですが、例えば、保管している間に商品価値がなくなってしまったというようなことがもしあった場合に、これはやはりカバーすべきだと思うんですね。

 ですから、私はこの話を聞いたときに、今の東電が設けている基準というものが、損害賠償の範囲というものが一応ガイドラインとして定まっているわけなんですけれども、ただ、西村大臣、是非漁業者の皆さんの声をしっかり聞いていただいて、これは質問はしませんが、様々な損害があるんだということを幅広く聞いていただいて、そして、東電の賠償スキームというものを不断なく見直していただくということをお願いをしたいと思います。

 そして、私、先ほど求償というお話を言いましたが、何も国がとにかく国民の税金を使っていろいろ支援をすべきじゃないというふうに言うつもりではなくて、逆に、東電よりも国の方がやった方が迅速な解決につながるんだということであれば、これはもう政府が踏み出して支援に乗り出すということも柔軟に考えていただきたいというふうに思います。

 予備費もあるということでもありますので、是非その辺を柔軟に、そして、とにかく一番大事なことは、漁業者の皆さんの生活を守る、そして将来的に漁業が、先ほど約束を果たすという話がありましたが、将来に向けて漁業者の皆さんがちゃんと安心していいお魚を出せるような環境、これが一番の目的だと思いますので、そのことをまず申し上げたいと思います。

 そして、次に需要の対策について、これは二つに分けてちょっと申し上げたいと思います。一つが短期的な対策についてです。そして、二つ目が中長期的、特に、今回、中国が禁輸という措置を取ったことについて、我々はやはり考え直さなきゃいけないんじゃないかという問題がありますので、この二つについて御質問させていただきたいと思います。

 まず一つは短期的なものなんですけれども、私も、この八月二十四日以降、自分自身でスーパーに買物に行って売場を見ているんですね。ただ、余り変わった感じがしないなというふうに思いました。

 先ほど足立委員も、国内の消費者の皆さんは風評被害という面では結構冷静に見ていらっしゃるんじゃないかというような話もありましたけれども、ただ、やはり中国が禁輸したことによって、当然、市場がだぶつくおそれもあるということでもありますし、より国内の需要を高めていく努力は積極的にしていかなければいけないというふうに思うんですね。

 私も、スーパーの売場で刺身用のホタテを買いまして、子供たちにも食べさせたら、すごくおいしいおいしいと喜んでいました。ただ、それをちゃんと買ってくださいねというような、促進するようなバナーが、例えばPOPですね、POPが売場に置いてあるのかというと、そういうスーパーはほとんどなかったというふうに、私は、自分が見た限りでは思いましたし、また、結構大手の通販サイトでも、日本の、今こそ国産の海産物を食べましょう、そして漁業者を応援しましょうというようなキャンペーンは、やはり私はあった方がいいと思いますし、そのことについて、民間の事業者の方々も、これはそれぞれのお考えがあるんでしょうけれども、やはり後押しがないとなかなかそこまでやらないのかなというふうに感じております。

 そういう意味では、この三百億円の基金の中で、販促についての使い道なんかは当然入っているわけなんですけれども、先ほど申し上げたスーパー、それからウェブとか、あるいはふるさと納税も含めてかもしれませんが、そういった販促の取組、学校給食とか、今回、これは経産省もよく考えられたなというふうに思いますけれども、社食にもそういった海産物を使っていただく際には補助も入れるというようなこともありましたが、私は、もう二週間たっているわけですから、これは早く、例えば大手の販売会社、例えばスーパーとか、それからウェブ上で通販を行っているところでもいいと思いますけれども、個別に経産省がどんどん積極的にアプローチをして、そして、そうした国内での需要喚起というものを特に強化していくというようなことをすぐにでもやるべきだというふうに思うんですが、この点、大臣、いかがでしょうか。

西村(康)国務大臣 御指摘のように、非常に大事な点でありまして、政府におきましては、これまでも様々なイベント、キャンペーンなど実施をしてきております。岸田総理を先頭に、私もでありますし、各閣僚も、できる限り、この三陸、常磐物を食する姿、おいしく食べている姿なども発信をしてきているところであります。

 また、御指摘ありましたふるさと納税も、国民の皆さんの御協力を本当にありがたいと思うんですけれども、福島県いわき市とかあるいは北海道別海町で、九月の一週目は、昨年同期比、比べて、いわきで約十倍、あるいは北海道別海町でも昨年同期比で五倍とかのふるさと納税の申込みがあるということで、本当にありがたい、心強く思っているところであります。

 そして、御指摘の小売業界の皆様にも、私、直接お願いをいたしまして、代表の皆様からは、海洋放出が開始された後も三陸、常磐物をこれまでどおりしっかりと扱っていくというお考えをお示しをいただいております。

 その上で、三百億円の基金、既に活用しておりまして、キャンペーンやPR活動、学校給食あるいは社員食堂、ネット販売、それからいろいろな展示会とかイベントへの出展費用なども、被災地の、まさに三陸、常磐の皆さん方への支援も行ってきております。

 これまで以上に力を入れて販路拡大の取組を行っていきたいというふうに考えております。

小野委員 ありがとうございます。

 もちろん努力はされているんだと思いますが、私が見た感じだと、やはりスピード感はもっともっとあった方がいい。特に、水産物というのは生ものですから、先ほどのように冷凍保存というのも当然ありますが、日々操業をされて水揚げがされて、それをどうやって消費拡大をしていくのかというのは本当に喫緊の課題だと思います。

 先ほど大臣がおっしゃった、これまでどおりではなくて、これまで以上に売っていかなきゃいけないということでございますので、そこはもう本当に、これから経産省の皆さん、毎日やっているとは思うんですが、大手のところを中心に電話をかけられるところはかけて、それは大臣御自身でももちろんお願いしたいと思いますが、スーパーが、例えば来週ぐらいからPOPが出ているとか、それから、特設サイトとかというのも余りないんですよね。私が見た限り余りなくて、そういったものもどんどんどんどん進めていくんだということ、これを是非進めていただきたいと思います。

 そして、こういったことをやっていくには、もちろん本業は農林水産省なわけでございますので、これは、この基金を使ってやるわけですから、経産省と当然連携をしていかなければいけないんですけれども、農林水産省が遠慮しないでどんどんこの基金を使っていくということで踏み込んだらどうかと言うと、ちょっと経産省の人、嫌がっていたんですけれども、そんなことあっちゃいけないと思います。どんどん踏み込んで、西村大臣のお財布を使ってやるぞということでやっていただきたいと思うんです。

 その点について、野村大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

野村国務大臣 小野委員おっしゃるとおりだと思います。国内の消費促進というのは、我々も、農林水産省とやれるところ、それから経産省がやれるところ、いろいろありまして、やっておりますが、実は、今朝、閣僚懇談会におきまして各大臣にもお願いしたところでございまして、各省庁で一緒にこの消費拡大について御協力をいただきたいということをしております。

 一つだけ情報として申し上げたいのは、防衛省が、各基地とか全ての食堂、自衛隊の皆さん方の食堂に対して、水産物の提供というのを積極的にやってもらうということで、もう浜田大臣の方から指示をいただいておりまして、非常にありがたい、こんなふうに思っているところでございます。

 したがいまして、いろいろな形で、いろいろな各省庁協力し合いながら、是非、国内の消費拡大に向けて取り組んでまいりたいと思います。

小野委員 ありがとうございます。

 是非遠慮せずに、やれることは、先ほどの浜田大臣の、まさに国を守っている自衛官の皆さんが、胃袋も使いながら日本の水産業を守っていただいているというのも非常にすばらしいことだと思いますし、是非積極的にこの基金を、農林水産省の側から積極的に提案をして、どんどんこのプロモーションに使っていただきたいと思います。

 では、最後に、中長期的な輸出戦略の策定について御質問したいと思います。

 中国に対する水産物の輸出額というのはかなり比重が高かったんだなということを、今回のことで我々は痛感したわけであります。

 数字を申し上げますと、二〇二二年で、全体で三千八百七十三億円の輸出金額に対して、中国に対してが八百七十一億円、シェアとして二二・五%、香港向けが七百五十五億円ということで一九・五%、合計で千六百二十六億円、四二%ということで、四割もの水産物の輸出が、今、禁輸状態みたいなことになっているわけでございます。

 こういう中で、私たちは、これから、じゃ、経済安全保障の観点から、どの国に輸出するのかということについて考えなければいけない時代が来たんじゃないかと。

 昨年も、経済安全保障というのは、これは半導体とか物づくりの分野で一生懸命議論してきて、そして法律も通ったわけでありますが、農林水産業においても、我々が安全保障と言うと、食料安全保障は、自分で穀物をどれだけ、食べ物をどれだけ自給できるのかということに終始しがちなんですけれども、ただ、農林水産業も輸出もしていて、その業がちゃんと持続的に維持できるかどうかというのは輸出戦略も非常に大きく関わってくる。サプライチェーンの出口のところ、そこの問題については実は我々は余り考えていなかったなというふうに思います。

 私も、熊本時代に副知事として、くまモンが営業部長ですから一緒に連れていって、それで、海外に熊本の農産物を輸出するキャンペーン、もう何回も何回も行きました。一番行っていたところはどこかというと、香港なんですね。これは全国の都道府県あるいは市町村、みんな同じなんですけれども、香港にとにかく集中するわけです。

 それはなぜかというと、香港は、例えば台湾とかほかの地域とは違って、自国で農業とか漁業を持っていませんので、全部食料を外から頼っている。ですから、検疫を厳しくするというようなこともないので、日本の農林水産物が非常に出しやすい環境にあるということで、みんな香港に行っていた。そして、香港を経由してメインランドにも入っていったというような事情があって、先ほど冒頭に申し上げたような輸出額になっているということなんですけれども、こういったこともやはり見直していく必要があるかなというふうに思っています。

 実際、この水産白書の六十一ページに水産物をどうやって輸出拡大するのかということについて書かれているんですが、そこでは、当然、経済安全保障の観点から輸出先のバランシングを図るということは特に書かれていなくて、とにかく、私が先ほど申し上げたように、売れるところに売っていくんだと。そして、これは農林水産省はマーケットインだというふうに呼んでいて、私もそのとおりのことをやっていたわけなんですが、それだけではやはり駄目だなと。

 これから輸出先の分散というものも考えながらやっていかないと思わぬことで足をすくわれる、特に、自由や民主主義そして法の支配といった価値観が共有できないところに対して殊更に頼ってしまうと本当に大きなリスクになりかねないということで、そういった戦略を来年の白書では作成すべきだろうというふうに思いますが、この点、野村大臣はどういうふうにお考えでしょうか。

野村国務大臣 農水省としましても、おっしゃるとおり、安定的な輸出のためには、輸出先を特定国に集中させずに、多面的なやはり売り方をしていこうということで、これはもう既に輸出拡大実行戦略ということで、これはホタテで一つの例を取っていきますが、中国は二〇一九年で二百六十八億、ホタテなんですが、これを二〇二五年には二百七十億、僅か二億、増額した形での輸出をしようという計画を立てているんです。

 しかしながら、一方、台湾につきましては、同じ年度ですが、二〇一九年に五十四億を、これを二〇二五年には七十億まで伸ばそうとしておりましたが、もう既に現在で百三十二億になっているんです。もう一九年当時からしますと二倍以上になっております。

 そういう意味での拡散といいますか拡大をほかの国にもしておりまして、アメリカも二十三億を百三十億という形で、一極集中の販売というのは、やはりこれは問題があるということで、事前にこういった計画を作りながら、今、一生懸命推進をしているところでございまして、今後ともこういった形でやはり分散化を図っていきたいと思っております。

小野委員 最後にもう一問残っていたんですが、もう時間が来ますので、それは質問はしません。私の方でちょっと考えを述べさせていただきたいと思います。

 そうやって今のリスクが特定国に集中しているというものの解消というのを図りつつあるということは、非常にこれは大事なことだというふうに思っています。あとは、具体的にどうやって、じゃ、ほかの新しいマーケットを開拓していくのか、そしてまた、既にある、例えばより安全な輸出先のところを振興していくのかということが非常に大事だというふうに思うんですね。

 そういう中では、先ほど近藤委員が少しおっしゃっていました華僑社会というところに我々がもっともっと深く入っていくということが必要だと思います。そういった方々は、中国の政府とは違った考えを持った方もたくさんいらっしゃるというふうに思いますし、我々の商取引とかそういった考え方に共感していただける方もたくさんいると思うんですね。

 例えばマレーシアであれば華僑の方の人口は相当多いですし、そしてアメリカやカナダでも中国系の社会というのは非常に大きなものがあるわけで、これからは、国別のマーケティングというよりかは、その国の中でどういったターゲットの人がいて、そして、そこにはどういったコミュニティーがあって、キーマンは誰がいてというようなところまで、これは農林水産省が戦略を立てて攻めていく必要がある。そして、そこにちゃんとチャンネルを持っている人が適切にアプローチするというような、非常に綿密で細かい戦略を練っていく必要があるというふうに思います。

 この点、農林水産省には是非、これが、農林水産業全体もそうですけれども、リスク回避のため、そして日本の農家さんや漁業者の方がこれから安心してちゃんとやっていけるというためには必要だと思いますので、是非よろしくお願いしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

笹川委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 国民民主党の鈴木義弘です。

 自省を込めて、今回の問題も含めて、ちょうど三・一一が起きたとき、私は県会議員だったんですけれども、私たちは、日々、政治の場でも、安全、安心というのをイコールにするような言葉をずっと発信し続けてきたと思います。

 安全、安心な町づくり、安全、安心な何々、安全、安心な何々、それをずっと言うし、行政側もその言葉を使うんですね。幾ら安全基準を満たしている、安全基準はこうなんだと言っても、少しでも不安な人に対しては、全然聞いてくれる言葉にならない。でも、私たちは、安全、安心な町づくり、安全、安心な何々、ずっと言い続ける。

 いつの間にか、今回の件もそうですけれども、喉元過ぎれば、みんな、半年、一年たつと、何だったのかなと忘れちゃう。そうじゃないんだと思うんですね。平時のときほど安全基準を精査して、それに近づけるような努力をふだんからしていかなければ、何か起きたときに不安を払拭することにつながっていかないんじゃないか。

 そういう意味で質問をしたいんですけれども、そもそもの話です。もう前任の方が何回も質問はしているんですけれども、例えば、海洋放出を最終的な選択肢にしました。外国でも同じように海洋放出をしています。隣国でいえば中国でも韓国でも、カナダでも、アメリカでも、フランスでも出しているわけですね。ペーパーをもらいました。どこの施設がどのぐらい年間出しているか。桁が違う国もありましたよ。でも、それをなぜもっとアピールしないのかということなんです。影響がありません、影響がないんです、抽象的な言い方で終始してしまっている。

 だったら、そこの国で出しているものがどのぐらいの濃度のものを出しているのか、日本が今回出しているのはどのぐらいの濃度のものなのかというのを比較対照してもらって、だから安全なんだというような論法を立てないと、ただ影響はありません、影響がありませんと言うだけでは不安の払拭にならないんじゃないかと思うんですけれども、その辺を踏まえてもう少し、他国でも安全性が実証できているんだと言うのであれば、数値をきちっと挙げて私はアピールすべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘ありました中国や韓国を含む世界の多くの原子力施設におきまして、各国の規制基準に基づいて、トリチウムを含む放射性の液体廃棄物が海洋等に放出されているということは事実でございます。

 こうした状況につきまして、私どもとしましても、ウェブサイトやパンフレット等のコンテンツへの掲載、それからSNS等を通じた画像や動画といった形での発信を行うとともに、安全性の確保や風評対策に関する説明会、意見交換会といった場におきましても、具体的に説明をさせていただいております。

 また、国際社会に対しましても、こうした情報を含めて、国際会議や二国間対話の場、あるいは、在京外交団あるいは在京外国メディアへのブリーフィング、海外紙への広告記事の掲載、海外ニュースでの番組で取り扱っていただくなど、丁寧に説明を行ってきているところでございます。

 引き続き、国内外に対して、ALPS処理水の海洋放出が国際慣行に沿った処理処分方法であり、科学的根拠に基づき安全な処分方法であることを丁寧に分かりやすく発信してまいります。

鈴木(義)委員 そもそも、事故以前でトリチウムは発生していたんでしょう、今回の福島の第一原発の事故以前に。まあ、ここの施設もトリチウムを出していたと思うんですね。では、どのぐらいの量を出していたのかということなんです。

 昨日のレクでもそれをお尋ねしたんですけれども、原発が稼働していた五十基の施設からトリチウムも出ているわけですね。ほかの国も出ているんです。出さざるを得ない、海洋放出をしているわけですから。では、その濃度がどのぐらいだったのかということですね。

 それは、数値でどこからどのぐらいの総量が出ているかというのは承知しているんですけれども、それをずっと、モニタリングじゃないけれども、海洋に放出した後、どういう状況になっているのかというのをきちっと調査しているのかということなんです。

 何を申し上げたいのかといったときに、今までもトリチウムを海洋放出していたんでしょう。日本も、原発の事故があろうがなかろうが、原発を稼働しているときにはトリチウムを出してきたわけですね。そのときの環境調査と、今回、処理水を出すことによって、放出することによって、どのぐらいのレベルの差があるのかというのが私は大事になるんじゃないかと思うんです。だから問題ないんです、影響がないんですというふうに説明しないと、私は、納得感というんですか、不安を払拭するということにつながらないんじゃないかと思うんです。

 その点をもう一度お尋ねしたいんですが。

児島政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事故以前の福島原発におけるトリチウムの放出量につきましてお答え申し上げます。例えば、事故以前の五年間につきましては、最も多かった平成十八年度に年間約二・六兆ベクレルを放出していたという報告を東京電力から受けております。

 また、国内のモニタリングの状況につきまして、我が国では、原子力施設の海水のトリチウム濃度のモニタリングが全国的に行われており、その結果は、関係自治体等で公表されるとともに、原子力規制庁においてもホームページで公表しているところでございます。

 他方、海外のモニタリングにつきましては、網羅的に把握しているわけではございませんが、例えばフランスや韓国などがモニタリングの結果をホームページで公表している例があると承知しております。

 以上です。

鈴木(義)委員 各国で放出している状況の中で、やはり、そこのデータを入手して、日本の今回の件と比べて全然もうレベルが違うんですというのを、きちっと数値の上でも発表するべきだと思いますし、これからでも海外のいろいろな情報を入手する努力をして、日本が出している処理水がこんなに安全なんだ、安全基準を下回るぐらい、だから不安にならないでくださいというような訴え方をしていかなければやはりいけないんじゃないかと思うんですけれども、その点をもう一回確認したいんです。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の海洋放出に当たりましては、まず、東京電力が実施しております状況について、細かく、どういった濃度の処理水を放出しているのか、あるいは、希釈放出でございますので、千五百ベクレル以下、実際には二百ベクレル程度でございますが、こういった濃度で放出をしていること、こういったことをほぼリアルタイムで情報発信、これは多言語でやらせていただいております。

 加えまして、海域のモニタリングについても、ほぼ毎日の形で、トリチウムの海水中の濃度の方を測定し、あるいは、水産物のトリチウムの濃度の方も測定をして公開をしてございます。いずれも、下限値以下あるいは極めて低いレベルということでございまして、安全性が確認されているということでございます。

 こういったことを引き続きしっかり発信するとともに、御指摘のありました海外の状況というところもしっかりと情報収集しながら併せて発信をすることで、皆様の御理解が深まるように進めてまいりたいと思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 文献を見ていきますと、一九六〇年代に核実験をいろいろな国でやったんですね。そのときに、大気圏内で核実験をやっておりますから、トリチウムを含めたいろいろな放射性物質が大気に放出されて、そこから雨として落ちてきて、いまだに私たちが飲んでいる水道水、天然水もそうでしょうけれども、その中にもトリチウムは入ってしまっている、そういう実態があるのは事実だと思うんですね。そういったこともやはり踏まえて、私たちが、夏場になると海水浴に行ったり山に行ったり、いろいろなバカンスを楽しむと思うんですけれども、太陽から来ている宇宙線を浴びることによって、それも放射線なんですよね。だから、いろいろなところに放射線はあるんだというようなことも踏まえて、その中で、じゃ、どういう生活をしていけばいいのかというのが、もう一回再確認した方がいいんじゃないかというふうに思っております。

 それで、一つお尋ねしたいのは、国際放射線防護委員会というのが二〇〇七年に勧告を出している、放射線を浴びたときにこうなります、ああなりますと。それに対して、放射線を浴びる可能性が高い業種に従事している方に対して健康調査をずっと続けてきているんだと思うんですけれども、その結果どうだったかということですね。

 いろいろな、原子力発電所で従事している人もいれば、研究開発で、放射線を使って研究開発している、商品を作っている人もいらっしゃるでしょうし、それを処理する人、処理するのをなりわいにする人もいると思うんですけれども、そういった方の健康調査というのは今までしてきたのか、それでどういう結果だったのか、お尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 私どもでは、放射線業務従事者に対する健康調査につきましては、私どもとして、一九九〇年度より継続して疫学調査というものを行ってきておるところでございます。

 具体的には、原子力発電所などの原子力施設における放射線業務従事者を対象に、喫煙などの生活習慣やがん罹患に関する情報を集約し、被曝線量との関係を統計的に解析しているところでございます。現在続けているところでございます。

 以上です。

鈴木(義)委員 これはなかなか対象になるかどうか分かりませんけれども、じゃ、太平洋側の魚を食べて私は健康を害したんだという人が仮に現れてきたときに、それはどうなるんですか。調査する対象になるのかならないのか、お答えいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 規制委員会としては、規制基準を満足した形でALPS処理水の海洋放出を行う限り、人や環境への影響はないというふうに判断しておるところでございます。

鈴木(義)委員 では、もう一点。

 三・一一のときにいただいた資料を見たときに何でかなというふうに思ったんですけれども、今調査していますと。結果として、日常生活で受ける放射線の量を比較すると、人への健康影響が確認される被曝量というのは百ミリシーベルトであるというふうに言われています。

 また、原爆被害者の健康影響調査の結果から、がん罹患リスクは百ミリシーベルト以上で、がん死亡リスクは二百ミリシーベルト以上で、被曝線量とリスクとの関係に比例関係が見られると指摘されている、その資料は見たんです。

 ただし、百から二百ミリシーベルトより低い線量における関係性については、研究者の間でも意見が分かれているというふうに聞くんですね。

 日本国内で百ミリシーベルトの線量の発がんリスクの研究は今までも行ってきたのか、行っていなければ今後行っていく考えはあるのか、お尋ねしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答えいたします。

 先ほど私が御答弁申し上げた疫学調査でございますけれども、こちら、一九九〇年度から二〇一四年度までの調査結果におきましては、委員御指摘の発がんリスクに関して、低線量域の放射線が悪性新生物、これはがんのことでございますけれども、これの死亡率に影響を及ぼしていると結論づけることはできないというふうにされております。

 ただし、この期間の調査では喫煙などの影響を十分に取り除けていなかったことから、二〇一五年度から新たな調査手法を取り入れた調査を実施しているところでございます。具体的には、低線量域での健康への影響を明確に評価し得る集団を設定し、喫煙や飲酒など詳細な生活習慣などの情報を取得して、放射線被曝による影響の調査を継続しているところでございます。

 引き続き、本調査事業について進めてまいりたいと考えております。

鈴木(義)委員 最近余りテレビを見る機会が少ないんですけれども、テレビ番組にいろいろな御自分の考えを発表する評論家の方がいらっしゃるんですけれども、どっちが本当のことを言っているのかよく分からなくなってしまうと、やはり不安になっていくんじゃないかと思うんです。そこのところを今後やはり気をつけてやっていかないと、ずっとこの話が長引いてしまうことにつながっていくんじゃないかと思うんです。

 だから、私が報告を受けている中では、二十ミリシーベルトとか三十、四十、五十ぐらいの被曝をしたとしても、それは、たばこだとか酒だとかストレスだとかいろいろな要因がありますけれども、それ自体で発がん性のリスクが高いかといったら、そんなに高くないということも現実あるんだということをやはりお知らせしていくことが大事じゃないかなというふうに思います。

 それと、次に、トリチウムを含む処理水、今回、三十年。先ほども質問があったんですけれども。

 トリチウムの半減期って何年ですかと言ったら、十二年というふうに聞きました。そうしますと、一番最初にため始めたタンクにあるトリチウムは、ほとんど、ゼロにはいかないんですけれども、半減期を過ぎているようなものも出てきます。だから、それを流しても、もっと放射線量は下がっているはずなんですね。

 それでいったときに、これから、汚染水だとか、冷却するために出てきた汚染したもの、地下水が来たもの、雨が降ったもの、それを汚染水という形にしてALPSで処理して、トリチウムだけは取り切れない、まあ、ほかの核種も微量は入っているんですけれども、放出していくというと、三十年で、デブリの取り出しも含めて、逆に延びてしまう可能性もあるんじゃないかと思うんですね。

 水がどんどんどんどん、一年間の放出する数量を決めているんでしょうから、薄ければどんどん出しちゃうということでもないんだと思うんですね。そうすると、三十年で対応しようということが、もしかしたら五年延びるか十年延びるかということもあり得るんじゃないかと思うんですけれども、その辺について、大臣でいいですかね、答弁をいただきたいと思います。

西村(康)国務大臣 福島第一原発の廃炉につきましては、国が定めております中長期ロードマップに基づいて、二〇一一年十二月の冷温停止状態達成から三十から四十年後の廃止措置終了を目標として、この達成に向けた対策や工程表をお示ししているところであります。

 このロードマップに基づきまして、廃炉作業は一歩一歩着実に前進をしてきております。いわゆる雨水とか地下水なんかでデブリに触れた汚染水、これが増えないようにするということで、この発生量もかつては一日五百立方メートルぐらいあったんですけれども、今や九十立方までかなり低減してきております。

 そして、今後も、表面のフェーシング、地下に入らないようにするなどの措置を更に広げていくことなどによって、二〇二八年度のいわゆる雨水、地下水などでデブリに触れる汚染水の発生量を一日当たり五十立方メートルから七十立方メートルぐらいまで減らしていくという計画を立てております。

 こうしたことを踏まえて、ALPS処理水の放出計画は、実施計画に基づきまして、東電が毎年度策定することとしておりますけれども、同社が行った事前シミュレーションにおきまして、二八年度以降七十立方メートルのデブリに触れる汚染水発生が続くとしても、二〇五一年までの廃止措置終了までには海洋放出が完了できるという見通しが示されているところであります。

 御指摘のように、作業が遅れないように、廃炉作業に支障が生じることのないように、しっかりと対応していきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 時間が来ているんですけれども、ある大学の教授は、海洋放出で大切なのは、計画どおりに進んでいるのか、適切なタイミングで情報が届けられているのかということを指摘されています。

 隠さない、うそをつかない、情報開示が重要であり、これにより国民の信頼を得て、安全基準の精度を上げていって、安心を国民に届けることができるように鋭意努力していただきたいと思いますが、最後に御決意を聞いて、終わりにしたいと思います。

西村(康)国務大臣 全ての情報、データ、分析結果などを公表することによって、透明性を持って公表することによって、国内外の信頼を得ながら、安全性を完全に担保しながら、この廃炉の作業、そしてALPS処理水の海洋放出、堅実に、着実に進めていきたいというふうに考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。終わります。

笹川委員長 次に、高橋千鶴子君。

高橋(千)委員 日本共産党の高橋千鶴子です。

 八月二十四日、東電は、福島第一原発事故により生じたいわゆるALPS処理水の海洋放出を開始しました。断固抗議いたします。

 全面禁輸という極端な対応に出た中国などに対して粘り強く理解を求めていくことや、大きな影響を受けている水産業を始め関連産業を守っていくことは当然やるべきことであります。問題は、だからといって今回の海洋放出が正しかったのか、あるいはそこに至る政府と東電の対応がどうだったのか、これは問われなければならないと思います。

 岸田総理は、坂本全漁連会長との面会で、今後、数十年の長きにわたろうとも全責任を持って対応すると述べました。しかし、僅か八年前の同じ日です、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないと交わした約束はほごにされたわけです。

 約束の当事者である福島県漁連とも直接会うことなしに放出に踏み切ったのはなぜでしょうか。

    〔笹川委員長退席、竹内委員長着席〕

西村(康)国務大臣 まず、関係者の理解なしにはいかなる処分も行わないとの福島県漁連との約束、これは経済産業省が行ったものでございます。

 そして、二〇二一年四月の基本方針を決定以後、経産省から漁業者を始めとする地元の皆様に、回数でいいますと一千五百回以上の説明会を重ねてきております。私自身も直接、漁業者の皆さん、あるいは車座で集会的に意見交換なども行って対応してまいりました。漁業者の皆さんのお気持ちにしっかり寄り添って対応しなきゃいけないということを改めて感じているところであります。

 その上で、八月二十一日に、全漁連の坂本会長を始め幹部の皆様、そして被災地の漁連会長の方々と岸田総理でお会いをされて、そして、政府の方針について御理解をいただけるようお願いをしたところであります。

 その際、全漁連の坂本会長からは、漁業者のなりわい継続に寄り添った政府の姿勢と安全性を含めた対応について、我々の理解は進んできているというお言葉をいただいておりますし、県漁連から代表で出席されました鈴木専務から、約束は果たされていないが破られたとは考えていないという声もいただきました。また、復興と廃炉という共通目標に向けて、漁業者と国、東電は同じ方向を向いて進んでいるということもいただいたわけであります。

 こうした、岸田総理は直接漁業者の皆さんと意見交換をされまして、その上で、今申し上げたような御発言をいただいたものですから、私ども、一定の理解は得られたというふうに判断をし、海洋放出を、最終的に日程を決めさせていただいたところでございます。

高橋(千)委員 私が最初に指摘したことには答えていないと思うんですね。福島県漁連と交わした約束なのに、総理は会っていないわけですよ。その場に専務が一人いたというだけじゃないですか。それは全然約束にならないし、だったら、この場になぜ総理がいない。総理がいないところで委員会をやっているわけですよ。それ自体がやはり誠実じゃないし、約束をほごにした。だって、反対と最初に言っているわけですから、それに対しては答えていないと指摘をさせていただきたいと思います。

 東電の小早川社長は、放出開始に当たっての記者会見で、放出開始はあくまで政府の判断だと強調したと報じられております。

 資料の一枚目を見てください。一部ですが、平成二十七年八月二十五日、これは東電が社長名で福島県漁連に対して出した回答書です。

 右側の四番のところを読みます。発電所内のタンクにて責任を持って厳重に保管管理を行い、国民の理解を得られない海洋放出は絶対に行わないこととの要望に対して、こうしたプロセスや関係者の理解なしにはいかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内に貯留いたします、こう約束した。これは約束じゃないんでしょうか。

小早川参考人 御質問にお答えいたします。

 二〇一五年に福島県漁連様と交わした文書では、漁業関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うことを約束しており、これまでも県漁連様には、廃炉・汚染水・処理水対策の内容につきまして、定期的に御報告、御説明をさせていただいておりました。二〇二一年四月に政府がALPS処理水の処分に関わる政府方針を定めた以降も、安全かつ慎重に作業を進め、理解醸成活動につきましても継続して取り組んでまいりました。

 当社は、ALPS処理水の海洋放出について、この度、政府が関係者からの一定の御理解が得られたと御判断されたことを重く受け止め、政府の方針に従って慎重に放出の作業を開始したところでございます。

 当社といたしましては、実施主体として果たすべき役割である設備運用の安全、品質の確保、それから、迅速なモニタリングと正確な情報発信、IAEAレビューなどを通じた透明性の確保、さらには風評対策、そして、損害が発生した場合の適切な賠償を廃炉の期間を通じて遂行し続けることがこの一定の御理解の前提になっていると受け止めており、重い責任を感じているところでございます。

 関係者の御懸念の本質は、風評被害により、安心してなりわいが継続できなくなることだと認識しております。私どもといたしましては、先ほど申し上げた取組を廃炉の期間を通じて徹底し、ALPS処理水の海洋放出が完全に完了したその先に、子々孫々までしっかりとなりわいが継続していることをもって御理解が完了したことになると考えております。

 当社は、実施主体として責任と役割をしっかりと果たすべく、引き続き、廃炉が終わるそのときまで、緊張感を持って一つ一つのプロセスを積み重ねる努力を継続してまいります。福島県漁連様と当社が交わした文書の内容につきましては、引き続き、廃炉が終わる期間を通じ、しっかりと遵守してまいる考えでございます。

 私からは以上でございます。

高橋(千)委員 この後、質問するんですけれども、廃炉に何年かかるか分からないのに、廃炉が終わって初めて理解が得られるかどうか検証されるみたいな、そんな無責任な話はありませんよ。しかも、放出の実施主体であるということはおっしゃっているんです。だけれども、理解を得られたかどうかというのは、政府がそう言っているという、何でそこだけ間接話法になるんですか。そこも、さっきから言っているように、約束を交わしたのは東電と福島県漁連なんですよ。そこは約束の主体であるということもきちんと認めた上で答弁してほしいと思います。

 それで、そもそも、八年前の約束はどういう背景で出されたものだったかということなんです。

 資料の二を見てください。「流出非公表 東電に憤り」、これは二〇一五年二月二十六日付の朝日新聞です。写真の真ん中は、おわびで頭を下げる東電の新妻復興本社副社長、その左隣が福島県漁連の野崎会長です。この日は、原子炉建屋の手前の地下水をくみ上げて浄化後に流すサブドレーン計画を協議する予定でした。しかし、港湾外の海に汚染水が流出していた事実を把握しながら東電が公表してこなかったことが発覚、一旦この協議が棚上げされたという記事であります。しかも、それが一つではなくて、右下に表がありますが、二〇一三年六月六日、一四年一月、一五年二月と、情報公開が常に問われている、そういうことが記録されているわけなんですね。

 だから、漁業者に言わせれば、何度も裏切られた、そういう思いを持っているんですよ。東電に対する信頼が何度も崩れている。そうしたことが繰り返された上で、理解なしにいかなる処分も行わない、そういう条件をつけて、最終的に、山側、海側の地下水バイパス、建屋周辺のサブドレーン、これはまだ原子炉建屋に触る前の水ですから、そこまでは認めよう、やはり復興には必要だ、そういう決断をしてきたんですよ。このことを理解されているんですか。

小早川参考人 御質問にお答えいたします。

 当社は、二〇一一年の福島第一原子力発電所の事故以降、プラントの安定化を始めとする廃炉作業に取り組んでまいりましたが、その中で様々な御心配をおかけする事態を生じさせてしまったことも事実でございます。改めて、この場をおかりし、おわびを申し上げます。

 今回、ALPS処理水の放出時期の判断に先立ち、八月二十日に岸田総理が福島第一原子力発電所にお越しになり、廃炉の現場を直接御確認いただきました。ALPS処理水の設備についても御視察いただきました。

 その中で、現場と経営が最大限の緊張感と決意を長い期間しっかりと持続し、責任を果たし続けること、また、地元の皆様の御懸念や御不安にしっかりと向き合い、丁寧なコミュニケーションと分かりやすい情報発信を続けることに加え、国内外の関係者の皆様との信頼の上に今日があり、最大限の緊張感を持って、長期間を見通して内外の信頼を裏切らないとの決意と覚悟をしっかり持って全力を尽くすことについて強く要請を受け、当社は、このことを大変重く受け止め、決意と覚悟を持って長期にわたる廃炉をしっかりとやり抜くことをお約束いたしました。

 二〇一五年に福島県漁連様と交わした文書では、漁業関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うことを約束させていただいており、これまでも県漁連様には、廃炉・汚染水・処理水対策の内容について、定期的に御報告、御説明をさせていただいてまいりました。二〇二一年四月に政府がALPS処理水の処分に関わる政府方針を定めた以降も、安全かつ慎重に作業を進め、御理解いただけるよう継続して取り組んでまいりました。

 いずれにしましても、当社がこうした重い責任を負っていることにつきまして、しっかりと、今後の廃炉期間を通じてその責任と役割を自覚し、全力で取り組んでまいりますことで、福島県漁連様と交わした文書の約束を遵守してまいる所存でございます。

 私からは以上でございます。

高橋(千)委員 何度も裏切られたという思いに対しての答えではなかったと思います。

 私たちも、笠井亮委員とも一緒に、二〇一三年八月二十二日でした、県漁連、それから、いわき、福島、相馬漁協、それぞれの単協を回って御挨拶をしたことがありました。あのときも、本当に苦渋の決断をするという決意をしていた、その前の日に三百トンの汚染水が流れていたということが分かって、それをずっと公表しなかった。また裏切られた、そういうことを繰り返してきた。繰り返してきた上の約束なんだと。これを結果として今回また踏みにじったことになるわけですよ。その反省が全くない。今からでも中止すべきだと思います。

 それで、次の廃炉の問題に行きたいと思うんですが、資料の三の読売新聞、これは「処理水放出開始 完了まで三十年」、毎日新聞、「東電処理水放出を開始 完了まで三十〜四十年」と、大概の新聞各紙、このように書いております。多くの方は、あと三十年たてばタンクがなくなるのかしらとか、若しくは、廃炉が完了して、あそこ、きれいになるのかしら、そう受け止めているのではないのでしょうか。

 それで、実際そんなことはないと思うんですね。資料の五、最後のページにあるんですが、放出開始から第一回目は七千八百立方メーター、今年度中は三万一千二百立方メーター、これを放出する予定ですが、百三十四万立方メーターの一%にすぎません。しかも、当初から減ってきたとはいうものの、現在、一日九十トン汚染水は発生し続けているわけです。地下水の流れを止められていないからです。

 そこで、今から三十年後の辺りには汚染水の発生はゼロになりますか。

小早川参考人 御質問にお答えいたします。

 現在、二〇二五年内に一日当たり百立方メートル以下に抑制するという中長期ロードマップの目標に向け、重層的な対策に取り組んでいるところでございます。

 二〇二二年度の汚染水発生量は、年間降雨量が少なかった影響もありますが、敷地舗装などの対策により、先生今御指摘いただきましたとおり、一日当たり約九十立方メートルとなっております。これを、更なる対策を進めていくことで、二〇二八年度末には一日当たり五十から七十立方メートルに抑制してまいる計画としております。

 汚染水の発生をゼロにすることにつきましては、引き続き努力し、目指してまいりたいと考えております。

 以上です。

高橋(千)委員 ゼロにはできない、答えられないと思います。減らしてきたことは分かった上で質問して、今のお答えでありました。

 そこで、今話題になったロードマップ、資料の四にあります。これは、廃炉が、冷温停止から三十年から四十年後という目標はずっと同じなんですね。

 それで、廃炉とともに汚染水の発生もなくなる、先ほど西村大臣の答弁の中にそういう表現があったと思うんですが、ただ、これまでの、私、何度もこの問題を質問していますが、エネ庁も東電も、廃炉の最終的な姿がどうなっているのか描けないと答えてきているんです。これは変わらないんでしょうか。そうだとすれば、三十年たったとしてもそれはまだ通過点にすぎないと思うんですが、廃炉、一体どんな状態になっているということでしょうか。お答えください。

湯本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のありましたとおり、中長期ロードマップにおきましては、三十年から四十年後の廃止措置完了、二〇一一年十二月の冷温停止状態からの目標ということで取組を進めてきております。

 廃止措置を完了した状態でございますけれども、現在、事故を起こした炉内の状況ですとか燃料デブリの性状など、これを明らかにすべく、内部調査ですとか、それに基づくデブリ取り出しに向けた研究開発を今進めているところでございます。

 こういった取組の成果を踏まえながら、適切な廃炉の工法あるいは廃棄物の処分の在り方について検討を深めていく必要があると思っております。

 したがいまして、現時点ではこういった取組を進めているところでございまして、廃炉の最終的な絵姿については、地域の皆様とも、思いをしっかりと受け止めて具体化していくということでございます。

高橋(千)委員 そういうことなんですよ。描けていないんです。だから、三十年から四十年といっても、それを廃炉と言えるのか、どんな状態がそれを廃炉と呼ぶのか分からないということなんです。

 そういう中で、その最大の問題は、やはり燃料デブリの取り出しが、全く見通しがまだ見えていないということなんですよ。

 この資料の中にあるように、初機の、二号機から着手をして、段階的に取り出し規模を拡大とあるんですが、着手が二〇二一年の予定だった。それすらもできないで、一応、今年内、二〇二三年内と言われています。だけれども、八百八十トンと言われる燃料デブリはまだ一ミリも取り出せていないんだと。取り出しが開始されて以降は、何をするか、場所、方法、それからメンテナンス、様々なことをやらなきゃいけない。それがまだ何にも決まっていないと思いますが、いかがですか。

小早川参考人 御質問にお答えいたします。

 まず、二号機の燃料デブリの試験的取り出しにつきましては、現在、現場設備を模擬した各種試験を行うなど、慎重に準備を進めているところでございます。

 また、廃炉中長期実行プランにてお示ししておりますが、二号機での少量の試験的取り出しから始め、段階的な取り出し規模の拡大、さらに、その知見を踏まえて、一号機及び三号機での取り出し規模の更なる拡大と、ステップを踏んでまいります。

 今後、まず、試験的取り出しを行ったその廃棄物の性状などの解明を進めた上で、適切な処理処分の方法について安全を最優先にしっかりと検討してまいります。

 以上でございます。

高橋(千)委員 結局ちゃんと答えていないんですけれども。

 昨日聞いたのは、試験的取り出しをこれからやっていくわけですよ。だけれども、その中で、処分方法も処分先も、それから、当然、例えば機械のメンテナンスですとか、いろいろなことを準備しなくちゃいけないんだということをおっしゃっていた。そのことの説明がまだ全くない。つまり、着手されていないわけですから。

 そういう意味では、残念ながら時間が来たのでこれで終わりますが、廃炉の道のりというのは本当にまだまだ遠いし、しかも、その姿さえ見えていないということをきちんと国民や関係者に説明する必要があるんですよ。それは、その間ずっと流れ続けるわけですから、海洋放出だけを急ぐべきではないんです。トリチウムの分離技術についても現在進行形のはずです。そして、海洋放出を中止して、安全な保管方法も様々意見が出されています、それを本当に検討して、別の道を決めるべきだ、そのことを訴えて、終わります。

竹内委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 有志の会の福島伸享でございます。

 今日は質疑の機会をいただきまして、ありがとうございます。十分間という短い時間ですけれども、地元の皆様方の思いを込めて質問させていただきたいと思います。

 この処理水の放出の決定を受けて以降、私も、地元の漁業関係者とか観光関係の皆様方からいろいろな相談を受けましたし、復興特別委員会の場では毎回毎回この問題について質問をしてまいりましたので、それなりに、いろいろな方のお話を聞いて取り組んできたと思います。

 先ほど来、約束が果たされたか果たされていないかという話がありますけれども、私は、福島県漁連の鈴木専務の、約束は現時点で果たされていないが破られたとは考えていない、この言葉に全ての苦渋が集約されていると思います。あわせて、廃炉の安全な完遂とその時点での漁業のなりわいの継続が確認されて理解は完了し約束は果たされたことになるというふうに言っておりまして、つまり、何事もなく、放出がなかったと同じ状況で長い間いれば、それは約束が果たされたということであって、反対、賛成、いろいろな声がありますけれども、まずは、その一番の被害を受ける漁業者の皆さんが、三十年後、四十年後、分かりませんけれども、そのときに同じように自分たちの代、次の代も暮らしていれば、それが初めて約束が果たされると。私は、その思いに寄り添って、私たち政治家は党派を超えて行動していかなければならないんだというふうに思っております。

 私、茨城県なんですけれども、実は余り茨城が水産県だと知られておりませんで。資料一でありますけれども、海面漁業漁獲量のランキングがあります。ずっと一位は北海道です。二位は長崎県の場合が多いんですけれども、赤が茨城県でありまして、ここ数年は茨城県の漁獲量が全国二位です。県民もこのことを知りません。それで、三位は茨城県、四位は、今は宮城でありますけれども、宮城も大体上位。あとは静岡県といったところが上位です。福島県は、かつては上位におりましたけれども、御存じのように、東日本大震災以降は一時このランキングから下がって、ようやくランキングに載るところまで努力してきたということでありまして、私の地元の茨城県は大水産県であります。

 よく皆さん、常磐物と言って、西村大臣も食べておりましたけれども、あれは福島の魚ですね。常磐というのは常陸と磐城を併せたものでありまして、常陸は茨城県、磐城は福島県であります。海はつながっておりますし、福島県の勿来港と茨城県の平潟港と本当に隣り合っていますから、同じ海で捕っていますから、福島県も茨城県も同じ海で同じ苦しい思いをするんだということを御理解をいただきたいというふうに思っております。

 そして、この資料三でありますけれども、私、一九九九年のジェー・シー・オー事故、このときに経産省におりまして、その後、科技庁に出向して、まさにこの風評被害、初めて風評被害という言葉が世の中に出た頃にその対応策に従事してまいりました。その後、二〇一一年の東日本大震災と、二回も大きな風評被害で傷を受けておりまして、ここのグラフのように、一九八八年から一貫して就業者数、漁船数とも減っております。だから、もう三度目は懲り懲りというのが地元の皆様方の思いでありますし、私もその思いを共有してこれまでやってきたつもりであります。

 うちの地元の茨城の漁連、飛田会長のコメントでも、今後、数十年続く海洋放出によりどのようなことが起こるのか正確に見通すことは難しく、国は海洋放出の決定を下した責任者として、漁業者が安心して継続できるよう万全の対策を講じることを強く求めると言っているんですね。

 今、いろいろ対策をやっています。現地の話を聞きますと、意外と、ホタテとかはありますよ、ただ、沿岸漁業で風評被害は余り起きていません。私も大洗とか那珂湊の魚市場に行って見てきましたけれども、お客さんがいっぱいいました。中国の方もおいしそうに食べておりました。値段もそんなに下がっていない。とにかくそのまま静かにしてほしいというのが現場の皆さんなんですね。ただ、問題は、今のままずっと三十年間放出が続くと、将来が見通せないんですよ。後継ぎに出る人がいない、漁船を更新していいのかどうか分からない、設備投資を行っていいのか分からない。それが長期的な影響になって、日本第二位の水産県である茨城の漁業が衰退をするということを恐れているんですね。

 今回の様々な予算措置、ありがたいです。特に、漁業者支援の五百億円というのもありますが、この基金は所管は経産省です。メニューはいろいろあるんですよ。ただ、細切れで、その細切れのメニューを要求して補助金としてつけてもらうというスタイルなんですね。長期的な対策をやるためには、やはり構造的な問題が必要なんです。

 今、日本の水産業自体が様々な課題を抱えている中で、そうした課題を乗り越えるような、私はかつて構造改革特区というのをやりましたけれども、まさに福島や茨城や宮城を水産特区として、長い間未来的な先進的な漁業を実現できるような政策をパッケージとしてやって、そのためにこの基金を使ったりする必要があると思うんですけれども、どうも現場で話を聞くと、野村大臣、水産庁の熱が低いんじゃないかと。なかなかこれは皆さんに直接おっしゃらないと思うんですよ。野党の議員の私だから言うのかもしれない。まだまだ水産庁の熱が低い。お金はあるのに対症療法ばかりで、長い目で見た対策を講じていないと言われているんです。

 大臣はあと何日務められるのか分かりませんけれども、是非、これまでの失言を取り戻すためにも、中長期、構造的なしっかりとした骨太なパッケージ、パッケージというのは細切れの短冊の合わさったものじゃなくて、三十年後の日本の水産業を見据えたような骨太な支援策を講じることをお願いしたいんですけれども、いかがでしょうか。

野村国務大臣 福島委員にお答えを申し上げます。

 常磐地域におきましては、特にその中で福島県においては本格操業に向けた取組が進んでいるということと、また茨城においては、まき網漁業や底引き網漁業が盛んで、全国二位の漁獲量と先ほど御説明があったとおりでございまして、茨城が全国二位というのはなかなか皆さん御存じなかったんじゃないか、そう思っておりまして、いや、私もさすがだなと思ったんですけれども、しかしながら、一方で、東日本大震災の発生以前から、水産資源の減少による漁獲量の減少、それから漁業就業者の減少などの厳しい状況に直面しておられるということは、これは、福島だけじゃなくて、全国の水産業に携わっている方々が感じておられるというふうに思っております。

 しかし、こうした中で、これまでも、復興予算を活用しながら、がんばる漁業復興支援事業による漁業の収益性向上、それから商談会開催や加工機器の整備等による水産加工業の販路回復、それから、水産物の消費拡大への取組、漁家子弟を含めた長期研修、あるいはまた就業に必要な漁船、漁具のリース方式の導入による新規就業者の確保などの支援を、先ほど細切れというふうにお話がありましたが……(福島委員「構造的な対策を講じるかどうか」と呼ぶ)はい。そういういろいろな対策は講じていることは事実でございまして。

 今後とも、やはり、そういう各般の施策を現場の水産関係者に寄り添いながら実施していくことによって、水産業の直面している課題を解決していきたいというふうに考えております。

福島委員 本当はいろいろな質問を用意していたんですけれども、そういう答弁だから駄目なんですよ。

 先ほどの、個人的な感想として想定外だったという話もありましたけれども、もっとその前の、七月ぐらいから、大臣は、香港とかマカオとかが水際措置をやっているときに、報道で見ていますけれども具体的な内容は聞いていませんとか、報道について承知しており現在確認しておりますとか、まだ具体的な現象を確認していないから分かりませんとか、全部、人ごとなんですよ、これ。

 今、本当に、このときに明るい未来を見せられるかどうかが、三十年後の浜の元気さを決めるんですよ。いつまで大臣をやられるか分かりませんけれども、是非、中長期的に漁業者の皆さんが、子供に譲ろう、船を新しく造ろう、加工の皆さんが、設備に投資してみよう、そう思えるような姿を示すことを求めまして、私からの質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

竹内委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。

 これにて散会いたします。

    午後零時二十一分散会


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