第2号 令和6年4月26日(金曜日)
政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会は令和六年四月十一日(木曜日)議院において、設置目的を「政治改革に関する調査を行うため」とし、その名称を「政治改革に関する特別委員会」とすることに決した。―――――――――――――
四月十一日
本特別委員増員の結果議長の指名で、次のとおり選任された。
鈴木 馨祐君 山下 貴司君
山岸 一生君 金村 龍那君
福島 伸享君
令和六年四月二十六日(金曜日)
午後一時一分開議
出席委員
委員長 石田 真敏君
理事 大野敬太郎君 理事 鳩山 二郎君
理事 平口 洋君 理事 藤井比早之君
理事 落合 貴之君 理事 本庄 知史君
理事 笠 浩史君 理事 浦野 靖人君
理事 中川 康洋君
石原 正敬君 小倉 將信君
大串 正樹君 奥野 信亮君
勝目 康君 金子 容三君
川崎ひでと君 岸 信千世君
斎藤 洋明君 鈴木 馨祐君
寺田 稔君 冨樫 博之君
中川 郁子君 中西 健治君
古川 直季君 宮路 拓馬君
山下 貴司君 野田 佳彦君
太 栄志君 山岸 一生君
柚木 道義君 吉田はるみ君
青柳 仁士君 金村 龍那君
斎藤アレックス君 輿水 恵一君
中野 洋昌君 塩川 鉄也君
長友 慎治君 福島 伸享君
…………………………………
衆議院調査局第二特別調査室長 森 源二君
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委員の異動
一月三十一日
辞任 補欠選任
尾崎 正直君 加藤 竜祥君
西田 昭二君 小森 卓郎君
三月二十一日
辞任 補欠選任
池下 卓君 青柳 仁士君
奥下 剛光君 斎藤アレックス君
山本 剛正君 浦野 靖人君
四月十一日
辞任 補欠選任
大塚 拓君 宮路 拓馬君
加藤 竜祥君 岸 信千世君
亀岡 偉民君 中西 健治君
小森 卓郎君 石原 正敬君
山田 美樹君 中川 郁子君
源馬謙太郎君 吉田はるみ君
後藤 祐一君 笠 浩史君
伊藤 渉君 中野 洋昌君
同月二十六日
辞任 補欠選任
木原 誠二君 金子 容三君
同日
辞任 補欠選任
金子 容三君 木原 誠二君
同日
理事西田昭二君一月三十一日委員辞任につき、その補欠として藤井比早之君が理事に当選した。
同日
理事山本剛正君三月二十一日委員辞任につき、その補欠として浦野靖人君が理事に当選した。
同日
理事本庄知史君同日理事辞任につき、その補欠として笠浩史君が理事に当選した。
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三月五日
政党助成金を直ちに廃止することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二五七号)
同(笠井亮君紹介)(第二五八号)
同(穀田恵二君紹介)(第二五九号)
同(志位和夫君紹介)(第二六〇号)
同(塩川鉄也君紹介)(第二六一号)
同(田村貴昭君紹介)(第二六二号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第二六三号)
同(宮本岳志君紹介)(第二六四号)
同(宮本徹君紹介)(第二六五号)
同(本村伸子君紹介)(第二六六号)
四月十八日
金権腐敗政治を一掃することに関する請願(田村貴昭君紹介)(第一〇五四号)
同(赤嶺政賢君紹介)(第一〇七一号)
同(笠井亮君紹介)(第一〇七二号)
同(穀田恵二君紹介)(第一〇七三号)
同(志位和夫君紹介)(第一〇七四号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一〇七五号)
同(田村貴昭君紹介)(第一〇七六号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇七七号)
同(宮本岳志君紹介)(第一〇七八号)
同(宮本徹君紹介)(第一〇七九号)
同(本村伸子君紹介)(第一〇八〇号)
同月二十六日
政党助成法の廃止を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一三〇三号)
同(笠井亮君紹介)(第一三〇四号)
同(穀田恵二君紹介)(第一三〇五号)
同(志位和夫君紹介)(第一三〇六号)
同(塩川鉄也君紹介)(第一三〇七号)
同(田村貴昭君紹介)(第一三〇八号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第一三〇九号)
同(宮本岳志君紹介)(第一三一〇号)
同(宮本徹君紹介)(第一三一一号)
同(本村伸子君紹介)(第一三一二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
理事の辞任及び補欠選任
政治改革に関する件(政治資金規正法改正に関する考え方)
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○石田委員長 これより会議を開きます。
この際、一言御報告申し上げます。
本委員会は、去る四月十一日の本会議において、その設置目的が「政治改革に関する調査を行うため」となりました。
また、本委員会の名称につきましても、政治改革に関する特別委員会となりましたので、御報告申し上げます。
――――◇―――――
○石田委員長 次に、理事の辞任についてお諮りいたします。
理事本庄知史君から、理事辞任の申出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
引き続き、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
ただいまの理事の辞任及び委員の異動に伴い、現在理事が三名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石田委員長 御異議なしと認めます。
それでは、理事に
藤井比早之君 笠 浩史君
及び 浦野 靖人君
を指名いたします。
――――◇―――――
○石田委員長 政治改革に関する件、特に政治資金規正法改正に関する考え方について調査を進めます。
本日は、各会派を代表して一名ずつ大会派順に十分以内で発言していただきたいと存じます。
それでは、各会派の代表者から発言の申出がありますので、順次これを許します。大野敬太郎君。
○大野委員 自由民主党の大野敬太郎です。
特別委員会の設置に当たり、政治資金をめぐる問題に対する我が党の考え方について意見を述べさせていただきます。
まず冒頭、政治資金は、その出し手、受け手双方にとって政治活動の自由を保障するものであって、民主主義にとって重要な要素でありますから、その政治資金の運用に一旦疑義が生じ、国民の信頼が失われれば、我が国民主主義の基盤が揺らぐと認識をしております。
今回、まさにそうした事態を我が党内部が引き起こしました。極めて遺憾であると同時に、党所属議員の一人として国民の皆様に深くおわびを申し上げる次第でございます。我が党としては、真摯に、謙虚に、そして深刻に反省をし、国民の皆様には再度信頼をお寄せいただけるよう、責任を持って改革に邁進してまいります。
その第一歩目が再発防止に向けた改革であり、今国会中に制度改正を必ず実現します。
まず、我々が取り組まなければならないのは、今回のような政治資金パーティーをめぐる不適切な会計処理という事態を二度と起こさないための再発防止策です。もちろん、今回の事案は、現行法の遵守でさえできなかった遵法精神、コンプライアンス意識の欠如に起因するものであり、法令遵守意識の徹底が何よりも重要です。この点、党ガバナンス改革の一環として、コンプライアンス研修の充実等を通じて対応してまいります。
その上で、法令遵守違反を起こさせないための制度的手当ても不可欠であり、その前提として、現行制度のどこにコンプライアンス意識を緩める制度的穴があったのかの考察は不可欠です。
この点、現行法制度については、第一に、派閥が国会議員関係政治団体の登録義務対象から除外されており規制が甘かったこと、第二に、外部監査の対象は支出のみで収入は対象外であったこと、第三に、現金による管理を許容していたこと、第四に、代表者たる国会議員の責任範囲が不明瞭であったこと、この主に四つの問題点があったと理解をしております。
まずは、この四つの問題点に対して次のような三つの制度的対応を速やかに実施してまいります。
第一に、代表者の責任強化です。
会計責任者に任せていた、知らなかった、お金の問題には一切関与していなかった、そういう政治家の言い逃れを今後は二度とさせない、このために政治資金改正法版のいわゆる連座制の導入が必要と考えております。まず、政治家が収支報告書について会計責任者が適切に事務処理を行っていることを監督する責務を有することを明確にすべきと考えます。これが出発点です。
その上で、そうした監督責任を具体的に果たすために、第一に、会計帳簿等の書類が保存されていること、第二に、会計責任者が会計帳簿を備え、収入及び支出の状況を記載していることを定期的に確認すべきことを政治資金規正法で明確にしてまいります。
他方、会計責任者においては、収支報告書を提出する際、あらかじめ政治家に対して収支報告書や付随する提出書類が適正に作成されていることを説明する義務を課す必要があると考えております。政治家はこれらの確認、説明などを経て会計責任者に確認書を交付し、会計責任者は収支報告書提出の際、当該確認書を併せて提出することといたします。
その上で、会計責任者が収支報告書の不記載、虚偽記載で処罰された場合、代表者が前述の確認を怠って確認書を交付したときには、罰金刑とし、政治家の公民権を停止することといたします。さらに、不記載に相当する収入は付加刑として没収するなどの措置を講じてまいりたいと思います。
第二に、外部監査の強化です。
政治資金監査の対象に収入を含めることといたします。また、政治資金は、監査の実効性を担保するため、金融機関への預貯金により保管することといたします。
より具体的には、会計責任者は、収支報告書の翌年繰越額が預貯金残高と整合していることを確認することといたします。もしそれらが一致しない場合には、その説明書を作成した上で、これらを政治資金監査の対象とします。
第三に、オンライン化の推進です。
国民からのチェック機能がより果たされるよう、国会議員関係政治団体の政治資金は、収支報告書のオンライン提出を義務化します。また、総務省、都道府県選管に対し、収支報告書のインターネット公表を義務化することとしたいと考えております。
以上、我が党としては、党所属の同僚議員による今回の事案に対する制度的対応について、まずは自ら責任を持って実現してまいりたいと考えております。その上で、今回の事案とは必ずしも直接関係しない改革項目であっても、逃げることなく正面から取り組んでいきたいと思います。
その際、大切な視点が二つあると考えます。
第一に、政党間のイコールフッティングを確保することです。民主主義とは、それぞれの政党が最終的には選挙を通じて政権を獲得しようとする競争であります。その競争は政策を通じて競われるべきで、それ以外の要素についてはイコールフッティングを確保するべきと考えております。その意味で、政治資金をめぐる改革についても、各政党の成立経緯などに由来する政党ごとの収支構造の違いや統治構造の違いを考慮した上で、各党各会派において十分に議論を進め、公平なものとしなければなりません。
すなわち、政党の収支全般に関わる課題を解決していくためには、税金が原資である政党助成金の使途や、いわゆる政策活動費の透明性、出版、機関紙販売事業の透明性、労働組合等の政治活動及び政治資金等の透明性などの在り方といった点を包括的に議論すべきだと考えております。そうした包括的な議論を、静ひつな環境の中で党派を超えて議論してまいりたいと考えております。
第二に、政策立案に対する影響を排除する観点から、政治資金の多様性、バランスを確保することです。具体的には、政党交付金、企業、団体からの寄附金、個人の寄附金、そして政治団体の事業収入のバランスが必要であると考えております。
政治家個人の政治資金パーティーについても、こうした観点を踏まえつつ、その透明性の在り方や、外国人や外国法人によるパーティー券購入の在り方などについて議論すべきだと考えます。あわせて、企業・団体献金についても、企業、団体が社会的存在であること、企業、団体にも政治活動の自由が認められていることなどを十分に考慮しつつ、政治資金の多様性確保の観点に立って議論をすべきです。
以上、我が党の基本的考えについて概要を意見表明させていただきましたが、最後に一点付言させていただきたいと思います。
当然のことながら、政治資金については公開が大原則、透明性の確保が第一義的に重要です。しかしながら、同時に、政治団体の支出に関しては、出し手側の国内外の政治勢力に対するセキュリティー、受け手側の営業秘密やプライバシー確保にも配慮が不可欠であり、一定程度公開になじまない部分があることについても一定の共通理解に至る必要があると考えております。以上を踏まえて改革に向けて努力してまいります。
以上、当委員会の自民党筆頭理事としての意見を述べるとともに、民主主義の健全な発展に向けて引き続き全力を尽くしてまいる所存です。
ありがとうございました。
○石田委員長 次に、笠浩史君。
○笠委員 立憲民主党の笠浩史です。
立憲民主党は、令和のリクルート疑獄ともいうべき今回の自民党派閥の裏金事件を受け、岡田克也幹事長を本部長とする政治改革実行本部を立ち上げ、本気の政治改革実現に向けて議論を進めてまいりました。
自民党派閥の裏金事件、そしてこの問題についての自民党の対応は、国民の政治に対する信頼を根本から失わせる深刻な事態を招いています。もはや自民党だけの問題ではなくて、日本の政治そのものの危機であるという強い危機感を持って対応しなければならないという観点で、私たちの改革を提案申し上げます。
政治に対する信頼を取り戻すために重要なことは、まずは、裏金を受け取りながら今回立件に至らなかった政治家や派閥の幹部が説明責任を果たすことです。いかに法律改正、制度改革に取り組んでも、今回のように、決められた法律さえも守らず、さらに証拠隠滅まで平然と行われるようでは何の意味もありません。関係者が明確な説明責任を果たすとともに政治責任を取ることが必要であることを改めて強調しておきたいと思います。
組織ぐるみの裏金づくりは、政治資金規正法上の不記載という犯罪であるとともに、所得税の脱税にほかなりません。今回の裏金問題は断じて許されるものではなく、自民党によるお手盛りの甘い処分での幕引きは許されません。本委員会においても徹底した真相究明と責任追及を求めてまいります。
さて、政治資金規正法は、政治活動を国民の不断の監視と批判の下に置くことで公正さを確保する狙いがあります。これまでに、大きな政治腐敗、汚職事件を契機に何度か改正を重ねていますが、それでも抜け道だらけの法制度であると指摘され続けています。
制度改革に当たっては、何よりも、国民の皆さんの政治全体に対する不信を払拭し、信頼を回復できるものとなるのかが重要であると考えます。そのためには、今回の裏金事件を徹底検証し、さらには予算委員会等で明らかになったいわゆる岸田方式や茂木方式等のこの課題についても対応し、何としても抜け道を塞ぐ抜本的な法改正が必要です。
改革の第一の柱は、政治家本人の罰則の強化です。
自民党の派閥が組織ぐるみで違法な行為をしていましたが、結局、秘書や会計責任者に責任を押しつけて、政治家が罪を逃れることが繰り返されています。秘書や会計責任者だけでなく、政治家本人に対して責任を問うことができる仕組みを強化しなければなりません。
そこで、国会議員本人にも一定の責任があることを明確にするため、代表者にも収支報告書の記載、提出義務を負わせて共同責任とするようにして、収支報告書の不記載や虚偽記入等に故意、重過失がある場合は代表者も処罰することにします。さらに、政治資金の隠匿に係る罰則の強化として、百五十万円を超える寄附に関する収支報告書等の不記載について、過失による場合の罰則を新設することを考えております。
第二の柱は、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、ガラス張りの政治を目指して政治資金の透明性、公開性を高めることです。
全ての国会議員関係政治団体、政党及び政策集団、派閥の政治資金収支報告書を検索可能な形でデジタル化し、オンラインで提出することを義務づけます。
総務省、都道府県選挙管理委員会に対し政治資金収支報告書のインターネットによる公開を義務づけるとともに、総務省において国会議員に係る公職の候補者ごとに一元的に閲覧できるようにします。
デジタル化を前提に、政治資金収支報告書の公開時期を早めるようにします。
検証しやすくするため、政治資金収支報告書の保存期間及び会計帳簿等の保存期間を、最低限参議院議員の一期をカバーできるように、三年から七年に延長します。
第三者によるチェックを強化するため、政党本部及び政策研究団体を登録政治資金監査人による外部監査の対象に追加するとともに、今回、政治団体の収入が問題となったことから、支出だけでなく収入についても外部監査の対象とします。あわせて、いわゆる国会事故調を参考に、政治資金問題に関する調査及び政治資金に関する政策提言を行う第三者機関の設置について検討を進めてまいります。
国会議員関係政治団体から寄附を受けた政治団体の収支報告について、公開対象を拡大強化する特例を講じるようにして、厳しい支出公開規制の適用を免れていたいわゆる茂木方式の抜け道を塞ぎます。
今回の事件で、派閥からの裏金を政策活動費と認識していたとの説明がなされました。政治資金規正法は、政党から政治家個人への寄附を例外的に認めており、政策活動費等の名目で各党幹部らに支出されています。
しかし、最終的な使途の報告義務はなく、表に出ない金になっており、裏金の温床とも言えることから、政治資金の透明性向上を図るため、政策活動費について全面的に禁止します。そのため、政党から公職の候補者個人に対してされる寄附を禁止するとともに、精算不要の渡し切りの方法による経費支出を禁止することで、最終的な支出先やその金額が会計帳簿や収支報告書に記載されるようにします。
調査研究広報滞在費、いわゆる旧文通費については、使途可能な範囲を明確にするとともに、収支の公開及び残余額の返還を図ります。
第三の柱は、金の大きさに左右される利益誘導政治からの脱却です。
これまでも、多額の企業・団体献金が腐敗や癒着構造の温床となってきました。国民のための政策を実行するためには、特定の企業、団体によって政治、政策決定がゆがめられることのないようにすべきであり、企業・団体献金を禁止します。
今回、派閥の政治資金パーティーで集めた金の一部が収支報告書に記載されず、キックバックや各議員のノルマ超過分の中抜きによって裏金化され、参議院選挙の年にはパーティー券代の全額を報告書に記載せずに還流していたことが明るみになりました。
元々、現行の政治資金規正法は、政治資金パーティーについて、一回二十万円まで企業名や金額が公表されないなど、公開基準が年間五万円超を公開とする寄附より緩く、買った側が政治資金規正法の対象でない個人や企業の場合は購入側による公開はほとんどなく、売った側の記載する額が正確かどうかの検証も難しく、さらに、現金でのやり取りもあるため裏金化が容易だと言われてきました。会場のキャパシティーの数倍にも及ぶパーティー券の販売や無人パーティーの開催など、事実上の政治家個人への企業・団体献金の迂回路となっているとの指摘もあります。
政治資金パーティーそのものに関して国民の疑念が高まっていることから、政治資金パーティーはオンラインで開催されるものも含め全面禁止とします。あわせて、寄附金控除の適用対象となる公職の範囲の更なる拡大を検討するとともに、個人のする政治活動に関する寄附に係る税額控除の拡充を行い、個人献金への移行を促します。
最後に、今、国民の皆さんの政治自体への不信感がかつてないほど高まっています。抜け道が残るような小手先の見直しはもはや許されません。与野党の真摯な協議で政治資金をめぐる諸制度の抜本的な見直しを行い、政治不信の根を絶つだけの実効性のある再発防止策を確立しなければなりません。立憲民主党は、その先頭に立ち、本気の政治改革を断固実現する決意を申し上げ、意見表明を終わります。
○石田委員長 次に、浦野靖人君。
○浦野委員 日本維新の会・教育無償化を実現する会の浦野でございます。よろしくお願いいたします。
今般の裏金問題は、与党である自民党の議員が意図的かつ組織的に裏金づくりにいそしんでいた点で、国民の政治不信を招く極めて悪質なものであり、到底看過できません。発覚後の動きに関しても、総裁の一連の対応には事実をつまびらかにする姿勢が見られないと言わざるを得ません。
自民党は、政治資金規正法改正の方向性として、代表者の責任強化、外部監査の強化、デジタル化による透明性の向上を掲げています。なぜこの三点のみなのでしょうか。政治改革大綱という平成元年の大綱こそ、自民党案の基礎とまずすべきではないですか。皆さんが目を背けているのであれば、この大綱をどうしていくのか。お忘れのようなので、資料配付として、今日、皆さんのお手元にお配りいたしております。
我が党も、この大綱を参考に様々な改革の案を作ってまいりました。
この一年で露呈したのは自民党の金権体質そのものであり、これを根底から解決するには、献金の在り方、政治資金パーティーの在り方、政策活動費などの論点に触れないわけにはいきません。リクルート事件を受けて自民党が発表した大綱では、収入は公正明朗な資金によるべきであり、いやしくも不当違法なもの、疑惑を招くような関わりは厳に慎むとして、徹底的な透明性の確保を宣言しました。
今こそこの理念を徹底的に実現すべく、我々は、旧文通費の改革から政党法の制定まで、政治資金全体を射程に捉えた改革を提言します。
まず、企業・団体献金の禁止についてです。
我々が維新版政治改革大綱でイの一番に掲げたのは企業・団体献金の禁止です。企業や団体からの献金が政策決定をゆがめる弊害については、今国会で我が会派の議員も徹底的に指摘をしてきました。
自民党の政治改革大綱では、情実や直接の利害が絡む場合があることを認めつつ、自由主義経済において法人が重要な役割を担っているとして企業・団体献金を高く評価してきました。一方で、平成六年に政党助成金制度が与野党合意で開始された際には、企業・団体献金の廃止とセットで行われることが前提であったはずです。しかしながら、結局、政党が受け取ることは例外的に認めるとする抜け穴によって実質的に企業・団体献金を議員本人が手にすることができていることは皆様御存じのとおりです。
今こそ、企業・団体献金は政党支部も含め例外なく禁止する立法措置を講じなければなりません。また、企業、団体が政治団体を設立し、政治家若しくは政党に献金する抜け道に関しても制限する措置を講ずるべきと考えます。
次に、パーティー券の企業、団体売り制限についてです。
裏金問題では、パーティー券の販売が企業・団体献金の代わりとされていることも浮き彫りになっています。企業・団体献金を禁止するのであれば、企業、団体へのパーティー券の販売も制限すべきです。パーティー券の大口の販売や購入は企業・団体献金同様に政策をゆがめるとの認識から、我々は、パーティー券購入者の公開基準額の引下げや年間購入上限額の設定、預貯金口座への振り込みの義務化等を求めています。
過去には、自民党においても政治改革大綱でパーティー収支の明確化や同一の者による一定金額を超えるパーティー券購入の禁止を掲げており、問題意識を一定程度共有していただけると確信しています。
ただし、政治団体が政治資金規正法第八条の二に規定する政治資金パーティー以外の催物を開くことは当然可能です。これらについても、政治資金パーティー同様、収支報告義務などの規制を設けるべきと考えます。
一方で、企業・団体献金やパーティー券販売に代わり、個人献金は政治活動を支える重要な要素として促していかなければなりません。個人献金者やパーティー券購入者のプライバシーに配慮して情報公開範囲を見直すとともに、税制上の優遇措置を拡充し、国民が積極的に個人献金を行うことができる環境づくりに取り組むべきです。
次に、政策活動費についてです。
さきに述べたとおり、自民党の政治改革大綱では、収入は公正明朗な資金によるべきであり、いやしくも不当違法なもの、疑惑を招くような関わりは厳に慎むとして、政治資金の透明化の重要性を強調しています。我々も同様の問題意識を持っていますが、そのためにまず透明化すべきは政策活動費ではないでしょうか。
政策活動費は使途が全く追えないため、今般の裏金問題では言い訳として利用する議員が何名も現れています。
そもそも、選挙資金など不適切に活用されているとの疑惑が絶えない政策活動費は、これを機に改めるべきではないでしょうか。具体的には、政党から候補者個人の政治活動に寄附ができるという例外的な規定は削除し、また、経費の支出を渡し切りで行うことを禁ずることで透明性を向上させるべきです。透明化は、政策活動費のみならず政治資金全体の課題でもあります。そのための手段として、国会議員関係政治団体以外の政治団体で支出公開の範囲を拡充することやオンラインでの政治資金収支報告書提出の実現に向けて取り組まなければなりません。
次に、連座制についてです。
裏金問題では、会計責任者がやったというフレーズがしばしば聞かれました。現行法制度上は、収支報告書に虚偽などがあった場合、一義的に責任を負うのは会計責任者となっています。しかし、民間感覚であれば、本人が直接関係や指示をしたものでなくともトップとしての責任を負うのは当然ではないでしょうか。政治資金規正法及び政党助成法の責任規定については早急に見直し、政治家本人が原則として責任を負うものとしなければなりません。
次に、旧文通費についてです。
自民党が前向きにならず、牛歩のごとく進まない政治改革をある意味で象徴するのが旧文書通信交通滞在費の改革です。これまで与野党で日割り支給、使途の公開、未使用額の返納の三点について協議を行ってきましたが、いまだに日割り支給しか実現していません。また、維新、立民、国民の三会派は令和四年に歳費法改正案を提出していますが、いまだに審議されていません。
これらはどれも、自民党が前向きになればすぐにでも実現するものです。先日、総裁は使途の公開に前向きな姿勢を見せました。それ自体は当然評価しますが、我々は、併せて未使用額の返納も引き続き求めていきます。また、使途公開は内規で実現できるものであり、現に我々は実施をしています。野党各会派においても、法改正によって実現するまでの間、自主的な使途公開を求めていきます。
最後に、政党法制定についてです。
るる述べてきたとおり、政治と金の問題を包括的に整理し、新たな立法措置を行うことは不可欠です。しかし、我が国では、会社法における会社のように政党を規定する法律は存在しません。そのために資金や組織と各々の規制が結合せずガバナンスを失わせてきたことは、今般の裏金問題の収集がつかなくなったことの一因とも思われます。各政党が目指すべき政策を示した綱領や内部組織の規定を公開することなどを定めた政党法を策定し、公党にふさわしい政党ガバナンスを確立すべきと考えます。
以上のとおり、我々は、自民党が掲げる三点のみならず、政党法制定のような抜本的改革にまで踏み込んで幅広く議論を進めるべきと考えます。
以上、ありがとうございました。
○石田委員長 次に、中川康洋君。
○中川(康)委員 公明党の中川康洋でございます。
今回の政治と金の事案により、国民の政治に対する信頼は大きく損なわれました。一刻も早く民衆から遊離した政治を正し、信頼回復に全力で取り組む、このような決意で公明党も今回の事案に臨んでまいります。
そのような意味から、公明党は、各党に先駆けて一月の十八日に公明党政治改革ビジョンを策定するのとともに、四月の十九日には規正法改正案の要綱を発表させていただきました。具体的には、今回の事案の再発防止策としては、政治資金の収入と支出をより明確化する透明性の向上と、抑止力を高める罰則の強化、この二点が重要と考え、ビジョン並びに要綱を策定させていただきました。
具体的な内容につきましては、第一には、政治団体の代表者の責任の強化でございます。
罰則の強化、いわゆる連座制の強化を盛り込みました。具体的には、収支報告書の虚偽記入等があった場合において、政治団体の代表者がその政治団体の会計責任者の選任又は監督のいずれか一方について、現行法は選任及び監督でございますが、それを又はとし、相当の注意を怠ったときは五十万円以下の罰金に処する、この罰金刑により公民権の停止さらには国会議員の失職という流れになります。
また、加えて、私ども公明党は収支報告書に関する確認書制度の創設を提案いたしました。会計責任者が収支報告書を提出するときは、その収支報告書が適法に作成されていることを代表者が確認する確認書を添えなければいけない、このような内容を盛り込んだわけでございます。これにより、政治家である代表者が私は知らなかったということを許さない、さらにはトカゲの尻尾切り、今回の事案においてもそういった状況が散見されましたが、こういった状況を許さないという姿勢で私どもはこの罰則の強化を規定いたしました。
大きな二つ目といたしましては、政治資金の透明性の向上でございます。
その一つ目には、政治資金パーティーに関する透明性の強化。具体的には、政治資金パーティーの対価の支払い方法において、これまでは現金も許されていたところを、これがいわゆる不正の温床という判断の下で口座振り込みのみとする、そういった要綱を入れさせていただきました。さらには、政治資金パーティーの公開基準の引下げにつきましても、今回の事案においてはパーティー券の売上げを派閥に報告せず事務所で留保していた、こういった事案も見られる中で、この公開基準をパーティー一回当たり現行の二十万円超から五万円超に引き下げる、こういった内容も盛り込み、いわゆる透明性の確保を図るという内容を盛り込んでおります。
二点目は、いわゆる政策活動費の使途公開の義務づけでございます。公職の候補者がその所属する政党から、これは当然現職の議員も含まれますが、いわゆる政策活動費を受けたときはその使途に係る明細書が作成されなければいけない、こういった内容にしてあります。いわゆる政党からの支出については明記をされておりますが、収入として受けた側の報告は現状においては全くされておりません。そういった意味においては、使途に係る明細書の義務づけ、そして、この明細書については、会計責任者が収支報告書を提出するときにその明細書を添付しなければいけない、これにより支出の流れも明確にする、こういった内容を盛り込んでおります。
三点目には、国会議員関係政治団体から寄附を受けたその他の政治団体の透明性の確保でございます。特定の国会議員に係る国会議員関係政治団体から年間で一定以上の寄附を受けたその他政治団体は、その寄附を受けた年及びその翌年の二か年において国会議員関係政治団体と同等の支出公開に係る規制の適用を受けるという内容を入れさせていただいております。今回、当初のビジョンにはこの案はございませんでしたが、その後の様々な事案により、この内容を要綱においてはプラスさせていただいたものでございます。
四点目には、国会議員関係政治団体の収支報告書のデジタル化の促進でございます。このデジタル化の促進については、各党各会派、多くのところが書いてあるところでございますが、我が党といたしましても、この収支報告書について、オンラインによる提出の義務づけ、さらには、国はオンラインによる収支報告書の提出を円滑に行うようにするために必要な措置を講ずるべきである、具体的には、この収支報告書が検索可能となるようなそういった仕組みを盛り込む、これにより収支報告書の見える化を図る、こういった内容を入れさせていただいております。
五点目には、外部監査、第三者機関に係る検討条項でございます。収支報告書の外部監査の充実強化、今は支出のみの部分でございますが、収入も含めその監査の充実強化を図る、ないしは第三者機関の活用による透明性の確保、こういった検討条項を設けるべきである、こういった内容も入れさせていただきました。
最後には、収支報告書に記載された個人寄附者等の個人情報、プライバシーの保護でございます。現在、収支報告書につきましては住所の記入が義務づけられており、いわゆる最後の番地まで入れるわけでございますが、この公表につきましては最近の配慮により一定の住所表記の配慮をするべきである、こういった内容を入れさせていただいたわけでございます。
以上が規正法改正に関わる内容でございますが、その他、公明党におきましては、例えば調査研究広報滞在費における使途の明確化、使途の公開、未使用分の国庫返納、さらには当選無効となった際の歳費について国庫への返納、こういった内容もビジョンにおいては入れさせていただいているところでございます。
私ども公明党は、今自民党との協議をさせていただいておりますが、必ず今国会において国民の皆様に理解をいただける規正法改正を成し遂げてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
以上でございます。
○石田委員長 次に、塩川鉄也君。
○塩川委員 日本共産党を代表して、意見表明を行います。
今国会の重要な課題は、裏金事件の全容を解明し、その政治責任を明らかにし、金権腐敗の根を絶つ抜本的改革を実現することです。これは当委員会に課せられた任務であります。
裏金事件は、自民党の主要派閥が政治資金パーティーを通じて組織的に大規模に長期間にわたり、収支報告書の不記載、虚偽記載という政治資金規正法違反の犯罪行為を行っていたものです。自民党政治の底知れない腐敗構造を露呈したものであります。その中でも安倍派は巨額の裏金をつくり、突出しています。長期に政権を握り、数の力で強権的な政治を進めてきた安倍派を支えていたのが巨額の裏金だったことは許し難いことです。この前代未聞の金権腐敗事件に国民の批判と怒りが沸騰したのは当然です。
ところが、自民党はいまだに自ら真相を解明することができず、この間、衆参の政治倫理審査会に出席した派閥幹部たちは、誰がいつからどれだけの裏金をつくったのか、裏金を何に使ったのか、肝腎な点は何も明らかにしませんでした。にもかかわらず、自民党は極めて甘い党内処分と派閥解消で幕引きしようとしています。真相解明に蓋をすることは断じて許されません。
政治資金規正法は、政治資金の収支を国民の不断の監視と批判の下に置くことによって政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与するとしています。収支報告書の不記載、虚偽記載は法の根幹に触れる悪質なものであり、国民に対する背信行為であり、民主主義の根幹を脅かすものにほかなりません。国会の責任でキーパーソンの森元総理を始め関与した政治家の証人喚問を行い、その全容を徹底解明し、その政治責任を明らかにしなければなりません。
金権腐敗根絶の核心問題は企業・団体献金の全面禁止です。日本共産党は既に、パーティー券購入も含め企業、団体による寄附を全面禁止することを柱とする法案を国会に提出しています。配付資料は我が党の法案の大綱であります。
今、政治改革というとき、一九九〇年代の政治改革の検証が必要です。
三十年前、リクルート事件を始め、相次ぐ金権腐敗政治に国民の厳しい批判が向けられました。一九九三年八月、細川総理は企業・団体献金については廃止の方向に踏み切ると述べました。ところが、政治改革と称して行われたのは、政治と金の問題を選挙制度の問題にすり替えて小選挙区制を導入し、政党支部への献金、政治資金パーティー券の購入という二つの抜け穴をつくって企業・団体献金を温存し、政党助成金との二重取りを認めることでした。我が党は、この重大な問題点を当時から指摘し、いわゆる政治改革四法案に反対してきました。
派閥の政治資金パーティーは、派閥への企業・団体献金を禁止した一九九九年法改正以降急増しています。パーティー収入に頼る派閥において、幹部になるほどノルマが増え、多数購入してもらうには企業に依存することとなり、企業との癒着を深める構造になっています。企業・団体献金がパーティー券購入に形を変え、今も大がかりに行われているのであります。
自民党と財界、大企業が企業・団体献金にしがみついてきたことの害悪は明らかです。経団連は、一九九三年に献金あっせんを中止しましたが、二〇〇三年に露骨な政策買収である政党通信簿方式の企業献金の促進策を打ち出し、金も出せば口も出すと企業献金を続けています。三十年前の政治改革の失敗は明らかです。
そもそも、企業の政治献金は本質的に政治を買収する賄賂です。国民が自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのものです。選挙権を持たない企業が献金することは国民主権と相入れず、国民の参政権を侵害するものです。
政治のゆがみを正し、国民主権を貫くためにも、企業・団体献金を全面禁止し、抜け穴は完全に塞がなければなりません。日本共産党は、一貫して企業・団体献金を受け取らず、企業・団体献金の禁止を主張し、そのための法案を九〇年代から国会に提出し続けてきました。
次に、罰則強化と政治資金の公開、透明化について述べます。
一つは、秘書、事務方のせいにして政治家が罪を免れることを許さないため、議員、政治家の責任を厳しく問う仕組みが必要です。我が党の法案は、全ての政治団体の代表者に監督義務を明記し、会計責任者らが違反行為を行った際には代表者も同等の刑に処するとしています。公民権停止の期間の延長、罰則の強化も盛り込んでいます。いわゆる連座制という言葉が飛び交っていますが、肝腎なのは政治家の責任をどう問うかの具体的仕組みです。
二つは、政治資金の収支はそのまま速やかに公開し、国民がチェックできるようにすることが極めて重要です。
そのため、収支報告書を迅速に公開する必要があります。
これまでの法改定により、収支報告書は翌年十一月末まで見ることができません。また、大半の都道府県選管が要旨を作成しなくなり、収支は直近三年分しか分からない状況になっています。我が党の法案は、収支報告書を早期に公開し、要旨作成の義務を課し、報告書要旨を官報や都道府県公報に掲載し、公的に永久に残すこととしています。また、収支報告書の情報公開開示請求に対して要旨公開前は開示しないという法規定を廃止し、速やかに開示できるようにします。
また、政策活動費は禁止すべきです。
政党から政策活動費と称して政治家個人に支出された巨額の資金は支出内容が全く不明瞭であり、収支を全て明らかにするという政治資金規正法の趣旨に反するものです。裏金が横行する背景となっていることも看過できません。第三者機関によるチェックという議論がありますが、現行制度として国会議員関係政治団体の収支報告に政治資金監査制度が導入されています。しかし、この監査を受けていてもキックバック不記載が横行し、不明朗支出や白紙領収書の問題などが頻発をしています。
我が党は、この制度は監査人のチェックを受けたというお墨つきを得ようとするものにほかならないとして導入に反対しましたが、実際の運用からもこうした制度が何のチェック機能も果たさないことは明白です。最高のチェック者は国民です。政治資金の収支はそのまま速やかに公開し、国民が直接チェックできるようにすればいいのであります。
金権腐敗政治を根絶するためには、企業・団体献金の全面禁止と政党助成制度の廃止を一体として行うことが必要です。
日本共産党は、政党助成金を一貫して受け取らず、政党助成法廃止法案を国会に提出しています。政治資金の拠出は、国民の政治参加の権利そのものです。これに反するのが政党助成制度であり、思想、信条の自由や政党支持の自由を侵す憲法違反の制度です。法施行以降、約九千二百五十億円もの税金が我が党以外の各政党にばらまかれ、企業・団体献金と政党助成金の二重取りが続いています。
重大なことは、この制度が極めて深刻な形で政党の堕落を招いていることです。多くの政党が運営資金の大半を政党助成金に依存する官営政党となっています。政党は、国民の中で活動し、国民の支持を得て、国民から浄財を集め活動資金をつくることが基本です。その努力もせず、税金頼みになっているから金への感覚が麻痺し、腐敗政治をつくり出す根源の一つとなっています。
民主主義を壊す極めて有害な税金の使い方である政党助成制度は廃止すべきです。
最後に、議員の処遇の問題について申し述べます。調査研究広報滞在費、旧文通費において我が党は使途公開、返納のルール作りを主張してきました。議院運営委員会において各党間の協議を行い、実施に向けた結論を出すことが必要です。
以上、発言を終わります。
○石田委員長 次に、長友慎治君。
○長友委員 国民民主党の長友慎治です。
自民党の派閥による政治と金の問題が発覚した昨年末から、私たち国民民主党は、古川元久政治改革・行政改革推進本部長の下、協議を開始し、政治資金問題を始めとして、政党改革、選挙制度改革に及ぶ議論を重ねてきました。
具体的には、令和の政治改革案について、また政党法制定について構想日本代表の加藤秀樹代表理事と意見交換、令和臨調共同代表声明、政党改革を起点とした令和の政治改革大綱策定について曽根泰教慶応大学名誉教授と意見交換、平成の政治改革の振り返りと教訓について星浩元朝日新聞社政治部特別編集委員と意見交換、政治資金制度改革等に関する緊急提言について令和臨調主査総括の谷口将紀東京大学教授と意見交換、政治資金に関する第三者機関の設置について政治学者の鈴木崇弘氏と意見交換、その他、選挙制度について、また政治改革に関する立法について衆議院法制局よりヒアリングを行い、また、諸外国の政党法制について国会図書館よりヒアリングを行ってきました。
そうした議論を党内で行い、議員間で協議をしてまとめ、一週間前の四月十九日に発表させていただいたのがお手元に配らせていただいている政治資金規正法等の改正についてになります。
第一から第五までの大きく五つの項目に分けておりますけれども、要点を御説明させていただきます。
第一、政治資金の収支報告の適正化、DX化においては、収支報告書のデジタル化を義務づけることで誰もが見ることができる透明性を確保し、検索性を上げることとともに、現金でのやり取りがなくなるように、寄附及び政治資金パーティーの対価の支払い方法はその全てがあらかじめ指定した預貯金口座に入金されなければならないとしました。
第二、政治資金パーティーの規制強化については、収支報告書における政治資金パーティーの対価収入の記載基準額を二十万円超から五万円超に引き下げること、また、外国人、外国法人等からの政治資金パーティーの対価の支払いの受領は禁止、さらに派閥による政治資金パーティーの開催を禁止することを明記しました。
第三、議員の厳罰化、政党交付金の減額、停止等については、まず収支報告書に関する政治団体の代表者の責任を強化します。会計責任者に加え代表者にもその記載及び提出を義務づけることとし、秘書や会計責任者がやったことで私は知らないというようなことがまかり通らないようにします。また、所属議員に規正法違反等があった場合は政党交付金の交付停止を盛り込みました。これは、是非、他党も同じように改正を目指していただきたいと思います。
第四、政策活動費、旧文通費対策においては政策活動費の廃止をうたいました。こちらは我が党は昨年十月から既に政策活動費は廃止しています。また、調査研究広報滞在費、旧文通費の透明化については使途公開と残余額の返還を義務づけるべきです。こちらも我が党は既に自主的に行っているものです。
第五、第三者機関の創設については、国会原発事故調査委員会を参考にして、国会による政治資金に関する立法等の機能の充実強化に資するため、政治資金に関する調査及び政治資金に関する政策についての提言を行う第三者機関を創設することを盛り込みました。
以上、我が党の政治資金規正法等の改正について説明させていただきましたが、使途不明を放置する現在の規正法の運用は甘過ぎることを指摘せざるを得ません。国民の感覚、民間の感覚とはかけ離れた現行の規正法の改正がこの委員会で真摯に誠実に議論が行われますことを強く要望します。
我が党としては、政治資金規正法の改正を皮切りに政党改革、選挙制度改革、国会改革を行い、有権者の皆様の政治不信の払拭、信頼回復に取り組まなければまたこの政治と金の問題は繰り返されてしまうと考えます。是非、政党改革、選挙制度改革、国会改革にまで国会全体で取り組むべきであること、そして自民党自らが生まれ変わる必要があることを最後に強く申し上げ、私の意見表明とさせていただきます。
御清聴ありがとうございました。
○石田委員長 次に、福島伸享君。
○福島委員 有志の会の福島伸享です。
各党の御理解をいただき、本委員会の議席と発言の機会をいただきましたことをまず感謝申し上げます。
有志の会を代表して、政治資金規正法改正に関する考え方を申し述べます。
今般の自民党の派閥パーティー裏金問題に端を発した本委員会での政治改革の議論は、単に収支報告書の記載漏れとか政治家を罰することができないといった形式的な問題にとどまらない、戦後の日本政治の構造的な問題にアプローチするものでなければならないと考えます。
そもそも、現行の政治資金制度や政党助成制度、小選挙区比例代表並立制の選挙制度などは、戦後の一大疑獄事件であるリクルート事件で平成元年に竹下内閣が退陣して以降の平成の政治改革によってつくられたものです。
平成四年、平成の政治改革で大きな役割を果たした民間政治臨調の発足総会では、政治改革に対する基本方針として、政権交代の欠如による政治の停滞、不毛な利益誘導政治による疲弊から政党と政治家を解放し、健全な政党間競争と政策選択によって政治のダイナミズムを蘇生するとしております。
平成の時代は、世界的に見れば、冷戦の崩壊によってイデオロギー対立の時代からグローバリズムの時代へと大きくパラダイムが変わった時代でした。そうした時代にこそ、利益誘導による資源配分の政治から脱却し、政権交代で民意を受けた政策選択がなされ、制度やシステムを大きく変えることができる政治のダイナミズムが期待されました。このことこそが平成の政治改革の目的だったんです。
しかし、平成九年の民間政治臨調では既に平成の政治改革の限界が指摘されております。
小選挙区制度の下、与野党の競争条件の不平等化、野党の戦略的能力の欠如などの条件が重なると、多数派が固定化し、有効な対抗政党が登場する可能性が極小化するという病理形態が出現し得る。野党は対抗勢力に成長することを諦め、本来の主張を放棄して与党に接近することによって協調体制を生み出す場合もあるし、原理主義的少数派として孤立に甘んじる場合もある。
これは今日のことではございません。もう既に四半世紀前に指摘されていたことなのです。
平成八年の最初の小選挙区比例代表並立制の選挙区選挙では、比例区の存在とも相まって、最近の利益誘導政治への批判、全党挙げての行政改革の提唱にもかかわらず、いや、それゆえに、政権党は相当な利益誘導による票の動員を行った可能性がある。
もう平成八年でこう指摘されております。
結局、平成の政治改革は未完成のまま、相も変わらぬ利益誘導型の資源配分の政治が続いたことによって、この三十年間、我が国は世界の大きな変化に対応できず、平成元年には一人当たりの名目GDPがG7トップの世界四位と紛れもない世界の経済大国でしたが、今やG7で最下位の世界三十位前後へと、アジアの二流国に転落する寸前まで凋落しております。すなわち、未完の平成の政治改革こそが我が国の停滞の最大の要因であるということを私たち国会議員自体が強く自覚しなければならないのです。
自民党の派閥パーティーの裏金問題は、あたかも古い木にはびこる菌の糸から出てくるキノコのように相も変わらぬ古い政治があることを国民に再認識させました。
今こそ、平成の政治改革で不完全なまま放置されてきた政権交代を起こし得る政治を実現するための選挙制度改革や立法機能を強化するための国会改革と一体となって、利益誘導型政治から脱却するための政治資金制度改革が必要なのではないでしょうか。
こうしたことから、令和の政治改革の一丁目一番地は企業・団体献金の廃止であると考えます。
岸田首相はこれまでも国会で、憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を有するとの最高裁判決があるにもかかわらず、企業・団体献金が金の力で政治をゆがめ国民の参政権を侵害するというのは論理の飛躍であると答弁しておりますが、これこそ論理の破綻です。
ポピュラーな芦部信喜先生の「憲法」に基づくと、政治活動の自由とは憲法二十一条の表現の自由から導かれる概念であり、干渉を受けることなく自己の意見を持つ自由と、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由の二つで成り立つとされております。その上で、表現の自由といえども無制約ではないとして、公職選挙法における戸別訪問の禁止を合憲とする最高裁判決などを挙げています。金の力で政策がつくられることがないよう企業・団体献金を禁止したり規制することに憲法上の制約はないのです。むしろ、表現の自由の一形態として、政治活動の自由として大事なのは、国民にとって情報を求め、受ける自由、すなわち知る権利です。
平成の政治改革によって政党助成制度ができてから、政党の運営に係る経費には国民からお預かりしている税金が含まれていることになります。
そうであるとするならば、いわゆる政策活動費の何らかの形での使途公開を政党側が拒否する理由はないと考えます。同じ国民からお預かりしている税金を原資とする調査研究広報滞在費も、使途を全面的に公開し、残金返済を義務づけることは当然のことです。さらに、故安倍元首相の政治団体を安倍昭恵氏が継承し、自民党の政党支部の資金がそこに移された事例に見られるような、親族間での政治資金の移動についても規制をすべきです。
一方、そうなると、個人による政治献金によって政治活動を支えていただく政治文化をつくっていかなければなりません。
個人献金を促すためには、税額控除等の税制優遇を抜本的に拡大すべきです。また、政治資金パーティーについても、個人が政治活動を支えるという重要な役割を果たすものであることから、企業、団体による購入や外国人による購入を禁止した上で、むしろ税制優遇によって個人による政治献金を促すものとすべきです。
一昨年六月に広島で開かれた岸田総理就任を祝う会のような、他団体が開催したという名目で自らの政治団体に資金を繰り入れる脱法的な政治資金パーティーは当然規制が必要です。
これらの政治資金の出入りの流れをチェックする第三者による監督が必要であるという意見も多く出されております。現行の登録政治資金監査人による外部監査の対象となっていない政党本部の収入を監査の対象に入れることは当然であるものの、政治資金の収支の状況を明らかにするという現行制度以上の政治資金の収支の妥当性などを監督する第三者の機関の設置は、政治活動の自由と折り合いをつけながらどのような権限をどのような範囲で持たせるかなど、緻密で慎重な検討が必要であると考えます。
今回の政治改革の発端となった問題を引き起こした自民党は、議員本人に政治資金収支報告書が適正に作成されたことの確認書の提出を義務づけることで、議員本人に刑罰がかかる可能性のある仕組みの導入を提案しようとしております。政治資金収支報告書のオンライン提出と併せて、これらはこれまで述べた論点に比べて余りにも本質から外れた論点と言わざるを得ません。この国会での政治資金規正法改正の議論が連座制の導入の在り方に終始して、本質的な政治改革の議論から目をそらすことがないよう注意しなければならないと考えます。
私たち有志の会は、政党要件を満たしていたときも、武士は食わねど高ようじと、あえて政党とはせず、政党助成金をいただかずに政治活動を行ってまいりました。政党も支部もない私たちは企業・団体献金をいただくこともできません。確かに資金的には厳しいものがありますが、それでも多くの支援者にお支えをいただき、政治活動を継続することができております。
平成の政治改革関連法案が成立した後の民間政治臨調の「政治の現状を憂うるすべての国民と政治家へ」という文書では次のように言っております。
政治改革は、政治と金をめぐる国民の根強い批判から出発したが、同時に、既成政治の限界に対する多くの政治家の深刻な危機感に根差すものであった。その制度の改革を目指すものであったが、運動を絶えず支えてきたのは、紛れもなく、時代の閉塞を打ち破ろうとする政治家同士のきずなであり、党派を超えた連帯意識であった。そして、この政治家同士の精神のきずなこそが、政治改革が残した最大の遺産であり、古い政治の殻を打ち破り、新しい政党政治をつくり上げていくためにも必要な条件であった。
果たしてこうした空気が今あるか。本特別委員会でこうした時代の閉塞を打ち破ろうとする党派を超えた精神のきずなによって本質的な議論が行われることを求めまして、有志の会を代表しての意見表明とさせていただきます。
ありがとうございます。
○石田委員長 これにて各会派の代表者からの発言は終わりました。
次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後二時散会