衆議院

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第3号 令和6年12月23日(月曜日)

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令和六年十二月二十三日(月曜日)

    午後二時開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 古賀  篤君 理事 土屋 品子君

   理事 平沼正二郎君 理事 小熊 慎司君

   理事 近藤 和也君 理事 森山 浩行君

   理事 林  佑美君 理事 田中  健君

      尾崎 正直君    鬼木  誠君

      梶山 弘志君    工藤 彰三君

      小寺 裕雄君    後藤 茂之君

      小森 卓郎君    佐々木 紀君

      田畑 裕明君    西田 昭二君

      根本 幸典君    平井 卓也君

      松本 洋平君    簗  和生君

      阿久津幸彦君    岡島 一正君

      金子 恵美君    小宮山泰子君

      齋藤 裕喜君    竹内 千春君

      馬場 雄基君    福田 昭夫君

      藤岡たかお君    柳沢  剛君

      市村浩一郎君    美延 映夫君

      菊池大二郎君    鳩山紀一郎君

      中川 宏昌君    西園 勝秀君

      櫛渕 万里君    堀川あきこ君

      北神 圭朗君

    …………………………………

   国務大臣

   (復興大臣)       伊藤 忠彦君

   国務大臣

   (国土強靱化担当)

   (防災担当)       坂井  学君

   国務大臣

   (防災庁設置準備担当)  赤澤 亮正君

   復興副大臣        輿水 恵一君

   復興副大臣        鈴木 憲和君

   農林水産副大臣      笹川 博義君

   財務大臣政務官      東  国幹君

   文部科学大臣政務官    赤松  健君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   防衛大臣政務官      金子 容三君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     山野  謙君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     桜町 道雄君

   政府参考人

   (復興庁統括官付審議官) 牛尾 則文君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房司法法制部長)          松井 信憲君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房学習基盤審議官)       森  孝之君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           橋爪  淳君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文部科学戦略官)       今井 裕一君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官) 藤川 眞行君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           吉田  修君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官)            谷村 栄二君

   政府参考人

   (林野庁森林整備部長)  長崎屋圭太君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           横山 征成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           宿本 尚吾君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         服部 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術参事官)         安部  賢君

   政府参考人

   (気象庁長官)      森  隆志君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           小野 功雄君

   衆議院調査局第三特別調査室長           南  圭次君

    ―――――――――――――

委員の異動

十二月二十三日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     平井 卓也君

  根本 幸典君     佐々木 紀君

  梅谷  守君     藤岡たかお君

同日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     根本 幸典君

  平井 卓也君     梶山 弘志君

  藤岡たかお君     梅谷  守君

    ―――――――――――――

十二月二十三日

 被災者生活再建支援法の一部を改正する法律案(近藤和也君外七名提出、衆法第二二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 この際、輿水復興副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。輿水復興副大臣。

輿水副大臣 さきの十二月十二日の委員会は欠席しておりましたため、本日、遅れての御挨拶となり、申し訳ございません。

 復興副大臣の輿水恵一でございます。

 福島を中心とした原子力災害からの復興及び再生に関する事項並びに福島復興局に関する事項を担当いたします。

 伊藤大臣をお支えし、被災された多くの方々が復興に希望を持てるよう全力で取り組んでまいりますので、金子委員長を始め理事、委員各位の御理解と御指導を何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

金子委員長 東日本大震災からの復興・防災・災害に関する総合的な対策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房防災庁設置準備室次長、内閣府政策統括官高橋謙司君、復興庁統括官山野謙君、復興庁統括官桜町道雄君、復興庁統括官付審議官牛尾則文君、消防庁国民保護・防災部長小谷敦君、法務省大臣官房司法法制部長松井信憲君、文部科学省大臣官房学習基盤審議官森孝之君、文部科学省大臣官房審議官橋爪淳君、文部科学省大臣官房文部科学戦略官今井裕一君、厚生労働省大臣官房高齢・障害者雇用開発審議官藤川眞行君、厚生労働省大臣官房審議官吉田修君、農林水産省大臣官房危機管理・政策立案総括審議官谷村栄二君、林野庁森林整備部長長崎屋圭太君、国土交通省大臣官房上下水道審議官松原誠君、国土交通省大臣官房審議官横山征成君、国土交通省大臣官房審議官宿本尚吾君、国土交通省大臣官房技術審議官服部卓也君、国土交通省大臣官房技術参事官安部賢君、気象庁長官森隆志君及び防衛省統合幕僚監部総括官小野功雄君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党、森山浩行でございます。

 この委員会、復興それから災害対策という二つの委員会を一つにしての発足ということになったわけですが、本来であれば、この委員会、それぞれが三時間及び三時間余りというような所信質疑があるということが前提でありましたけれども、今回、非常に時間がないという中で、合わせて三時間しかないということでございますので、これでは十分な審議という形にはなりません。

 これは、年が明けてからということになりますけれども、しっかり審議時間を取っていけるように、与野党力を合わせて頑張っていきたいというふうに思います。特に災害対策というのは与野党を超えてという問題でありますので、充実した審議をしていきたいと思います。

 という中でありますけれども、非常に残念なのが、まず大臣の不祥事の話をしなきゃいけない。

 伊藤復興大臣が代表を務めた自民党の支部の収支報告書を十年以上も出さずに活動という報道がありました。参議院ではおわびをされていますけれども、この経過、御報告ください。

伊藤国務大臣 先日、国会におきまして、私が知多市支部の代表を務めていたのは二〇一〇年の春までであり、そのため、この後の当該団体の活動内容については承知をしていない旨御答弁を申し上げたところでございます。

 経緯を説明させていただきますと、二〇〇九年の分の収支報告書が未提出であったのは、当時の事務担当者のミスであるということを承知しております。当該事務担当者は、前年分までは収支報告書をしっかり提出していたので、信頼して任せていたのが非常に痛恨の極みであります。本当に申し訳ないと思っております。今後このようなことがないように、自分自身も含めて、しっかりと引き締めて対応してまいりたいと考えております。

 なお、二〇一〇年の分の収支報告書の提出期限は二〇一一年三月末日でございますが、未提出であったのは、二〇一〇年六月に新たに就任した支部長の事務的ミスであるということを承知しております。

 その上で、いずれにいたしましても、私が関係をしていた団体についての御心配をおかけしたことについては、率直におわびを申し上げます。申し訳ありません。

森山(浩)委員 という答弁を参議院でもなされたわけなんですけれども。

 これは国民の皆さんはよく分からないかもしれませんが、我々、衆議院議員になるときには、総支部というのを結成をして、衆議院の選挙区全体の支部の代表者になるというのが一般的だと思います。

 伊藤大臣は二〇〇五年初当選でありますので、当時もう既に総支部長として衆議院小選挙区全体の総支部長をされているわけですが、そのときにこの知多市支部の代表を兼ねているという形になっているんだろうと思います。この九年、一〇年、知多市支部の代表を兼ねていた理由をお聞かせください。

伊藤国務大臣 一九九九年、私は、愛知県の県議選に知多市の選挙区から立候補をし、初当選をいたしました。そして、自由民主党の愛知県知多市支部の支部長となりました。

 その後、二〇〇五年、先生がおっしゃったとおり、九月に私が県議から国会議員となった後は、私の後を継いだ県議が知多市支部長となりました。当該県議は二〇〇七年四月の県議選に落選をいたしまして、その後は、新しい候補者が四年後の二〇一一年の県議選に向けて準備を行うとともに、知多市支部の事務を担当することとなっておりました。

 この新しい候補者は、二〇〇八年三月に、前年の二〇〇七年六月十日付で私を知多市支部の支部長とする異動の届出を行い、私を代表者とする支部において活動を行っておりました。

 その後、この者は、二〇一〇年六月、知多市支部の総会で支部長に選出されましたが、この者の事務的ミスにより、支部長の異動届を行っておらず、届出書上は、二〇〇九年、二〇一〇年の知多市支部の代表は私となっていたものでございます。

 いずれにいたしましても、私の関係していた団体についての御心配をおかけしたことについては、心からおわびを申し上げます。どうも。

森山(浩)委員 ということは、総支部内にある支部についての管理ができていなかったという話ですね。正式に総支部長でありながら支部の代表も兼ねているという状況の中で起こった話であるということですけれども。

 二年連続で収支報告がないということになった場合に、政治団体としての資格がなくなるわけなんですけれども、資格がなくなった日はいつですか。

伊藤国務大臣 知多市支部が収支報告書の未提出により政治資金規正法上のみなし無届け団体となったのは、新しい支部長が選任された後の二〇一一年四月一日と承知をしております。

森山(浩)委員 二〇一一年の四月一日で資格がなくなって、その後は政治団体でなくなりますから、寄附を受けたり支出をするということが禁じられる、許されていないという状況になるわけですけれども、当時は御存じなかったと思いますけれども、これは質問の要旨を提出しております。その後の活動実態について、お分かりになったことはありますか。

伊藤国務大臣 二〇二三年の四月、事務担当者でありました県議が引退をし、新たに当選した宮島県議が支部長となり、支部長としての事務を進めていたところ、県の選挙管理委員会より、過去未提出であった二〇〇九年、二〇一〇年の二年分の収支報告書があることと、これにより過去の支部がみなし無届け団体となることを伝えられ、宮島県議が、選挙管理委員会の指導に従い、二年分の収支報告書と支部の解散届を二〇二四年三月二十八日付で提出したところであります。私は、このことを後で知った次第であります。

 その後なんですけれども、知多市支部は、二〇一〇年六月の支部総会において新しい支部長が選任されており、知多市支部が収支報告書の未提出により政治資金規正法上のみなし無届け団体となったのは、新しい支部長が選任された後の二〇一一年四月一日と承知をしております。このため、知多市支部としての活動については承知しておりませんが、十日後の四月十日の県議選においてこの新しい支部長が県議に当選をし、その後、二〇二三年四月に引退するまでの十二年間、県議として活動していたことは承知をしております。

 いずれにいたしましても、私の関係していた団体についての御心配をかけるということでは変わりがありませんので、こうしたことではありますけれども、大変反省をしているところでございます。

森山(浩)委員 済みません。質問の意図ですけれども、二〇一一年四月一日に政治団体ではなくなりました、二〇二四年三月二十八日まで活動していました、でもこれは支出も収入も認められていません、それで支出や収入はあったんですかという話です。

金子委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

金子委員長 速記を起こしてください。

 伊藤大臣。

伊藤国務大臣 そこは承知をしておりません。

森山(浩)委員 ちょっと不真面目じゃないですかね。というのは、政治資金報告書が出ているわけです。これは見たら分かるんだよ。ですから、しっかりと調査をしていただいて、ここに報告をしていただかないと駄目だと思います。これは事前に質問をお渡しをしていますので、しっかり見てください。

 税制優遇、これは国会議員関係団体であればあり得るんですね。税制優遇を受けていた可能性も含めてあり得るということも含めて、活動実態及びどういう収支があったか、税制優遇をしていた部分はないのか、この委員会に報告をしてください。

 時間が来ましたので、終わります。

金子委員長 伊藤大臣、簡潔に。

伊藤国務大臣 はい。

 そのことにつきましては、税制優遇を活用したことは、知多市支部長に確認をしましたが、していないということでございましたのと、第八選挙区、すなわち私の選挙区全体として、税制の優遇措置を活用したことはありません。

森山(浩)委員 終わります。

金子委員長 次に、齋藤裕喜君。

齋藤(裕)委員 立憲民主党の齋藤裕喜です。

 伊藤大臣、まずは福島への御来県、ありがとうございます。

 質問に先立ちまして、能登半島地震、奥能登豪雨により被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 福島でも、この間、ふるさとに帰還することができずに亡くなられた方々への御冥福もお祈りいたします。

 私は、東日本大震災の原子力災害地域、福島第一原発、第二原発に一番近い被災地に住んでいる国会議員として、福島県浜通りの方々より大事な思いを託していただき、この場に立たせていただいております。私も伊藤大臣と同様に重責を感じているところではございますが、来年は東日本大震災から十四年となります。この十四年の歩みは非常に厳しくもあり、悲しい、そして苦しい、悔しい思いを抱きながら、津波、地震、そして原子力災害の甚大さ、福島については問題が山積し、更に長期化する中、次の世代へと道筋を早期に示さなければなりません。

 まだ復興道半ばの福島の経験が、少しでも、能登半島地震や奥能登豪雨、全国で災害に見舞われた方々が一日、一秒でも早く復興復旧できるように、今後も全力で取り組んでいきたいと思います。

 立憲民主党としても、能登への一千億円を補正予算での修正案について取り組めたことは、本当に困っている方々、苦しんでいる方々のため、最優先事項として達成しなければならないものでした。

 福島や能登の災害については、今後も、政局に関係なく、与野党を超えて取り組むことが引き続き重要だと考えます。

 今月十四日には石破総理大臣、伊藤大臣の御訪問、二十二日、昨日には野田代表にも訪れていただき、小熊議員、金子議員、馬場議員、福島県議会議員の方々とも、福島県の復興について、二〇一一年の震災当時の避難者は十六万人でした、今もなお二万六千人が避難を余儀なくされている中で、当時の復興の道筋を、レールをつくった政党として、来年度で終了する第二期復興・創生期間後の今まで以上の財源の確保の重要性について改めて確認をしたところですが、伊藤大臣は、現在の福島の現状を視察され、どのような思いやお考えでもって今後取り組まれるおつもりでしょうか。

 伊藤大臣、御答弁よろしくお願いいたします。

伊藤国務大臣 復興大臣に就任をさせていただきましてから、六回、福島県を訪問させていただきました。内堀知事や被災十二市町村の首長さんと意見交換を行ったほか、東京電力福島第一原子力発電所、中間貯蔵施設、除去土壌の再生利用実証事業の現場、帰還困難区域、震災伝承施設等を訪問させていただきました。

 去る十四日には、今お話がございましたとおり、石破総理とともに福島第一原発等を訪問をさせていただきました。

 各首長のお話や視察を通じて改めて感じたことは、復興の歩みは着実に進んできた一方で、市町村によってはいまだに多くの帰還困難区域を抱えるとともに、市町村ごとに、避難指示解除の時期等の違いから復興の状況はそれぞれに異なり、帰還、移住の促進、産業、なりわいの再生など、様々な課題に直面しているということであります。

 福島の復興には、安全、着実な廃炉、除去土壌等の県外最終処分、帰還困難区域全域の避難指示解除と生活、産業の再生など、中長期的な対応が必要となってまいります。今後とも、復興のステージに応じた多様なニーズ等にきめ細かく対応していくことが重要と考えております。

 引き続き、復興庁が司令塔となり、福島の復興なくして東北の復興なし、東北の復興なくして日本の再生なしという決意の下に、被災地に丁寧に寄り添い、福島の復興に責任を持って取り組んでまいりたいと考えております。

 以上でございます。

齋藤(裕)委員 昨日、浜通りの浪江町の吉田町長、双葉町の平岩副町長、大熊町の吉田町長、広野町の遠藤町長、楢葉町の総務課長、住民の方々とも意見交換をさせていただきました。そこでは、やはり自分たちのふるさとを心より愛しているからこそ、どうか、伊藤大臣、能登も含めて、最優先事項として財源の確保をしていただき、確かに国の安全保障も大事だとは思いますが、今後、東日本大震災の復興財源としてきた復興特別所得税の税率を一%引き下げた上で、防衛費の財源確保として一%を上乗せすることについて、国自体が、まだ目の前に困っている方、苦しんでいる方々に対して寄り添う姿勢に欠けているという住民の声があります。決して置き去りにすることなく、しっかりとした姿勢で取り組んでいただきたい。人的支援、早期住民帰還のために引き続きお力添えをよろしくお願いいたします。

 次の質問に移らせていただきます。福島県内の医療、福祉、介護、保育についてです。

 長期間の避難生活により住民の帰還が進まず、人口が思うように増加していません。また、避難者の方々の多くはいわき市に現在居住されていますが、医師の偏在が顕著になっております。

 伊藤大臣、浜通り、いわき市から新地町、中山間地域、帰還における住民アンケートの最重要課題は、一位、二位は御存じでいらっしゃいますでしょうか。どうか御答弁をよろしくお願いいたします。

伊藤国務大臣 大変申し訳ありませんが、確とした答えを承知しておりませんけれども、恐らく、医療、介護、福祉、そして教育、そうしたことではないかと思います。よろしいですか。

齋藤(裕)委員 いわき市を始め、双葉郡、相馬郡、新地町、飯舘村、葛尾村、川内村、特に原子力災害については、各地で人口動態が大きく変わりました。医師会の先生方、医療、介護に従事されている方々含めて、震災からコロナ禍まで、本当に毎日御苦労されております。復興庁が今まで取り組まれてこられたことについても敬意を表しますが、帰還や移住、定住が思うように進んでおりません。

 現在の居住人口に対して、医療、介護、保育、児童福祉、障害者における施設を整備し、そして、医療業界や経済業界、全ての業種において人口流出や変動により収入も十分確保できない状況で、経営指標にも表れておりますが、物価高による原価率の上昇、貴重な人材確保のための賃上げをしたことによる、人件費が上昇していくことによる経営の悪化が叫ばれております。

 震災後の浜通りは、長期にわたり、原子力災害において経済合理性が今も成り立ちません。特に公共性の高い医療、福祉、介護、保育、障害のための運営機関の施設整備や、人件費や経費に関わる支援策の拡充、運転資金等、経営に対する柔軟な融資について、今までの歩みを検証し、これからスピード感を持った対策を講ずるべきと考えます。

 震災住民のアンケートの一位として挙げられてきたのが、大臣がおっしゃったように、医療機関や、生活に必要な商業施設の社会的インフラです。これまでのスピード感を持った対策を講ずるのに必要なものとは何でしょうか。大臣、御答弁、よろしくお願いいたします。

伊藤国務大臣 帰還意向のある住民の方々に帰還をしていただき、安心して生活ができるようにするためにも、医療、介護、福祉を始めとした生活環境の整備は重要な課題と考えております。

 このため、復興の基本方針に基づいて、福島県や市町村で作成する計画等に応じて、医療、介護、福祉施設の整備、事業再開後の医療施設や介護施設の経営確保、そして医療、介護従事者の確保等の支援を行い、地域のニーズを踏まえた基盤整備を推進してまいりました。

 医療についても、帰還を進めるために重要な基盤との御意見などを多く我々もいただいておりますが、帰還の状況、復興の進展に応じて、避難地域等で確保すべき医療機能も変化をする中で、福島県における医療ニーズを踏まえた必要な医療の確保に向けた取組を支援してまいります。

 復興庁としては、福島県や関係自治体、関係省庁とも連携をし、必要な対応について共に検討して、被災地域での必要な支援がなされ、福島県において適切な医療、介護、福祉サービスが確保されるように取り組んでまいりたいと存じます。

齋藤(裕)委員 ありがとうございました。

 十四年近くたった今でも整備されていない状況を、国が責任を果たすと言い続けてまいりました。与野党を超えて、能登も含めて、最優先事項として、財源の確保と人的な支援を、よりスピード感を持って自治体の方々と取り組んでいかなければならないと思いますので、今後とも御協力をよろしくお願い申し上げます。

 私の質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

金子委員長 次に、金子恵美君。

金子(恵)委員 立憲民主党の金子恵美でございます。よろしくお願いいたします。

 冒頭、全ての災害の被災者の皆様方に心からお見舞いを申し上げますとともに、災害によって亡くなられた皆様方に心から哀悼の意を表したいというふうに思います。

 この特別委員会は、先ほどもお話がありましたけれども、復興特そして災害特、二つの委員会が一つになって設置されました。ですから、私たちは、やはり二倍の時間を取らなくてはいけないというふうにお願いをさせていただいておりましたが、残念ながらそれは取り入れていただくことはできなかったということで、三時間のみです。短い時間ではありますけれども、でも、地元の声をしっかりと届けさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 私は福島県の人間ですので、東日本大震災原発事故からの復興について質問させていただきますが、まずは、地元紙、福島民報と福島テレビが共同で実施しました県民世論調査というものがありまして、その中で、東日本大震災そして原発事故の記憶、教訓が風化していると感じるかという問いに、大いに感じる、感じると答えた方が何と七四%にまで上っております。これは十二月の十六日に報道されました。

 特に、この永田町そして霞が関で風化が進んでいるのではないかと私は思います。だからこそ、このような形で、本来、復興は復興の課題、そしてまた、能登半島を中心といたしまして本当に災害で苦しんでいる方々のための議論というのはしっかりと災害特別委員会を設置して対応すべきだというふうに思っておりましたが、残念ながらこのような状況でもあります。

 そして、次期エネルギー基本計画の原案からは、原発事故以降明記されておりました「可能な限り原発依存度を低減する。」という文言が消えてしまっているということであります。

 そしてまた、大臣にもいろいろ御発言はこれまでいただいておりましたけれども、秋の行政事業レビューにおきましては、福島の復興に重要な福島再生加速化交付金、この見直しということが言われました。この指摘というのは極めて残念なものだということで、福島県知事、内堀知事も復興大臣に面談されたということで、そのときは復興大臣も、心配ないというような、そういう御趣旨のことをおっしゃったということでありますから、それは信じたいというふうに思います。

 そして、大臣のところには、恐らく、福島県議会でこの十二月議会で採択されました意見書が届いているのではないかと思います。私のところにも写しが届きましたから、大臣、御覧になっていらっしゃると思うんですが、今回、与党からも、そして私たちの仲間の県民連合という会派からも意見書が、大臣の元にも、もちろん各関係閣僚の皆様のところにも届いているはずです。それも御覧になっていただいていると思いますが、今、この永田町そして霞が関等で風化が進んでいるこの状況を、大臣はどのように思われますか。

伊藤国務大臣 今先生からもお話ありましたが、十月に内堀知事にお会いをした際に、三つのキーワードの下にお話をいただきました。一つ目は複合災害であるということ、二つ目は長い戦いであること、そして三つ目が風化をさせないということでございました。委員御指摘の風化防止については、私も、重要なことであるという認識を更に強くさせていただいているところでございます。

 そして、復興庁では、東日本大震災の記憶と教訓を後世に継承するために、取組といたしまして、震災遺構の保存に対する初期費用の支援、それから復興政策十年史の作成と公表、そして復興ノウハウの講演会の開催、それから語り部の団体へのハンズオン支援、そして復興大臣表彰の実施、さらには伝承館を紹介するガイドブックの発行やその英語版の作成など、様々な復興の知見、ノウハウの収集と提供を行ってまいります。

 また、福島復興再生には中長期的な対応が必要であり、第二期復興・創生期間以降も引き続き国が前面に立って取り組むという決意に揺らぎはございません。

 現場主義を徹底し、被災地の皆様の声をしっかりとお聞きしながら、福島の復興再生に全力を尽くしてまいる所存でございます。

金子(恵)委員 ありがとうございます。決意は伺いました。

 実際に今、二万五千六百十名の方が県内外に避難をしているという状況であります。特に、県外避難者は一万九千八百四十九名。私は、これは多いと思います。もう十三年九か月以上たっているんですよ。これだけ多くの方々が避難されている。そうしますと、やはりこのことをしっかりと全国民の皆様に知っていただきたいというふうに思っておりますし、全ての都道府県に福島県から避難をされている方々がいるという状況であるということです。

 子ども・被災者支援法の下で、基本方針に基づいて支援が行われているというふうに承知はしておりますけれども、しっかりと、被災者支援総合交付金も含めた予算の確保をし、そしてこれからもしっかりとこの支援を継続していくことができるのか。例えば、来年の三月三十一日で切れてしまうような母子避難者等に対する高速道路の無料措置などもあるわけです。こういうこともしっかりと延長していかなくてはいけないですし、やるべきことはたくさんあるんです。大臣、いかがですか。

伊藤国務大臣 東日本の震災から十三年九か月がたった今もなお、原子力災害により、福島県外に二万人の方々が長期にわたって避難を継続されていることから、被災者一人一人に寄り添った支援を行うことが極めて重要であると認識をしております。

 私は先日、東京に避難をされてこられた五人の方と直接お会いをして、声も聞かせていただきました。

 このため復興庁では、県外避難者への支援について、住宅、生活再建に関する相談や被災者の生きがいづくりのため、心の復興事業などの支援に取り組んでいるほか、全国二十六か所の生活再建拠点を通じて、避難先における相談対応や交流会などの取組を支援しているところでございます。

 先ほどの話に続きますが、これまでの御苦労、五人の方から伺いましたし、ふるさとに対する様々な思いを直接伺わせていただきました。被災されている方々の状況は非常に多様であり、一人一人に寄り添い、きめの細かい支援を行っていくことの重要性を感じたと同時に、五人の方が最後の最後に全員一致して言われたことは、帰りたいということです。その言葉は非常に重い言葉でした。

 これまでも、子ども・被災者支援法を踏まえて、関係省庁が連携をして必要な施策を推進してきたところでありますけれども、今後とも、被災者の方々の声にしっかりと耳を傾けながら、でき得る限りの支援を取り組んでまいりたいと考えております。

金子(恵)委員 ありがとうございます。支援はしっかりと継続していただきたいということ、そしてまた、被災者の方々、避難者の方々とお会いしていただいて、ありがとうございました。

 それで、実は、復興庁の長は総理大臣です。復興庁設置法六条にしっかりとそれが書いてあります。その総理大臣が、石破総理が、今、第二期復興・創生期間というのが来年までありますけれども、それよりも次の五年間というのはもっと予算というものを獲得していきたい、今までの五年間を十分に超えるものにしたい、そういうお考えだというふうな発言をしているということだし、また、地元紙では、恐らく第二期以降というのは一兆円台後半で検討などというものも、地元紙の一面なんですが、その記事に書かれています。こういう数字が出てくるわけですね。

 間違いなくそれが本当に獲得できるのか、財源を確保できるのかということを、先ほど申し上げました意見書にありました……

金子委員長 済みません、申合せの時間が来ておりますので、おまとめください。

金子(恵)委員 このことについて、もう一度大臣の決意を伺いたいと思います。

金子委員長 時間が経過しておりますので、簡潔にお願いします。

伊藤国務大臣 はい。

 現在、次の五年間で必要な復興政策の整理を行っているところでありますが、財源につきましては、総理から、福島県を訪問された際に、次の五年間は東日本大震災からの復興に向けた課題を解決していく極めて重要な期間であり、今の五年以上に力強く復興施策を推進していくための財源を確保すると言われました。福島については、県、市町村の事業を十分に確保した上で、次の五年間の全体の事業規模が今の五年間を十分に超えるものとする旨の発言もありました。これらに基づいて、次の五年間の具体的な事業費、必要な財源を確保していくことが求められていることを覚悟しております。

 いずれにいたしましても、第二期復興・創生期間の次の五年間においても、引き続き、現場主義を徹底し、地元の声を丁寧に拾わせていただきながら、国が前面に立ってしっかりと取り組んでまいります。よろしくお願いします。

金子(恵)委員 終わります。

金子委員長 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 初めに、福島イノベーション・コースト構想についてお伺いをさせていただきます。

 東日本大震災及び原子力災害から十三年がたちました。福島県の浜通り地域の産業は大きなダメージを受け、福島の活気を取り戻すために、二〇一四年、国家プロジェクトとして福島イノベーション・コースト構想が取りまとめられました。浜通り地域等において重点分野に位置づけられている廃炉、ロボット、ドローン、エネルギー、環境、リサイクル、農林水産、医療、航空宇宙の各分野の具体化をそれぞれ進めていくとともに、その実現に向けた産業集積や人材育成、交流人口の拡大、情報発信、生活環境の整備など、多岐にわたる基盤整備に取り組むとして進められてまいりました。

 また、特にその中の中核を担うのがいわゆるF―REIであります。福島を始め東北の復興を実現するために、我が国の科学技術力、産業競争力の強化を目指しまして、創造的復興の中核拠点となるために設立をされまして、研究開発、産業化、人材育成等を一体的に推進するものであります。

 浜通りでは、例えばAIによるデータとロボットを活用しましたスマート農業ソリューションの開発ですとか、また、人の動作どおりの動きを遠隔操作で再現をするアバターロボットの開発などを始めといたしまして多くの企業が集まってきており、こうした流れを更に太くしていくことで、にぎわいを取り戻し、震災前よりもよくなったと言われる浜通り、福島にしていかなくてはなりません。

 福島イノベーション・コースト構想、とりわけF―REIの取組の推進につきまして、復興大臣の所見をお伺いいたします。

伊藤国務大臣 福島イノベーション・コースト構想を更に発展させ、世界に冠たる創造的復興の中核拠点を目指して、令和五年四月に福島国際研究教育機構、F―REIが設立をされたところでございます。

 先般、私も現場に行きまして、まず、どこに建てるかという現場を歩きました。こうした目標の実現のために、F―REIは、国内外の優秀な研究者等の確保を進めるほか、研究成果を生かした産業化や人材育成に取り組んでいくことに相なると思います。

 復興庁といたしましては、関係省庁と連携をしながら、F―REIの組織をしっかり支援するとともに、敷地造成の設計を進めるなど、可能な限り前倒しをして、皆様方の目に入ってくるような努力をまずさせていただきたいと思います。

 山崎理事長を始めとする皆さんも非常に活気のある皆さんでありますので、どうか、前に前にとみんなで応援をしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

中川(宏)委員 今、力強いお話をいただきました。

 このイノベ構想ですけれども、構想から今は実行、実現の段階に移ってきている状況でございます。今お話のあったとおり、産業集積を進めつつ、イノベ構想の独自性というのを更に復興庁としては是非PRをしていただきたいと思っております。とりわけ若い皆さんにこのイノベ地域を知っていただくということが非常に私は将来にわたって大切なことだと思っておりますので、地域の熱意を伝える工夫を是非行っていただきたいと御要望をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、能登半島地域の農業支援についてお伺いをさせていただきます。

 奥能登地域では農業は基幹産業の一つでありまして、特に稲作が盛んでありますが、二重の被災で多くの水田が作付できない状態となり、来年春からの営農再開に不安が募っております。水田の土砂や流木の除去作業も徐々に開始をしておりますけれども、土壌の質への心配、また機械のリース代などへの経費を含め会社存続への心配、どこから手をつけていいのか分からない、こういった窮状をお聞きしているところであります。

 石川県によりますと、奥能登地域で昨年水稲が作付された水田面積は二千八百ヘクタール、これに対し、今年の震災の影響で、六割強の一千八百ヘクタールまで縮小をしております。追い打ちをかけるように、豪雨災害に伴う河川氾濫などで農地の計九百五十ヘクタールが冠水をしまして、このうち約四百ヘクタールで土砂や流木が堆積をします大きな被害が発生をしておりまして、生産基盤へのダメージが更に広がっております。

 大打撃を受けた農業者が来年から営農が再開できるように、石川県といたしまして、十一月に奥能登営農復旧・復興センターを開設をいたしまして、被災農業者向けの相談窓口の機能を強化し、伴走型支援の強化をしているところでありますが、地震の影響によります耕作者、農業法人の従業員の減少がある。こういった中での奥能登地域の農業の復活は並大抵ではなく、更なる支援強化がないと、基幹産業、奥能登地域の農地と一体となった里山は崩壊してしまいます。

 被災した機械の再取得を始めといたしまして、融資の相談対応、農地復旧と耕作者確保の調整、農業従事者の居住の確保等、来年度の営業に間に合うように、国として全面的な支援を望むものであります。国として、強力な支援策と営農復興への決意をお伺いをさせていただきます。

谷村政府参考人 お答えいたします。

 農林水産省といたしましては、やはり、一月の地震、九月の豪雨と度重なる被害を受けた奥能登地域において、再びなりわいを再開したいという農業者の方々の意欲に応えられるような支援を行っていくということが何よりも大切だと認識しております。

 このため、九月の豪雨災害による被害についても、被災した農業用機械の再取得も含め、一月の能登地震対応と同様の支援を講じるということとしたとともに、豪雨災害が収穫期である九月に起こったということを踏まえまして、収穫前に浸水のあった農地のいわゆる作物の残渣などの処理にも支援を講じることとしたところでございます。

 引き続き、これらの支援策が被災された農業者の皆様に御活用いただけるよう、事業の申請や融資に係る相談への対応などの伴走支援を行うこととしております。

 また、農業に従事される方の住居の確保の相談などがなされた場合には、地方自治体の空き家活用の支援策を紹介するなど、関係省庁や地方自治体と連携して対応してまいりたいと考えております。

 また、農地の復旧については、先ほど中川先生から御指摘ありましたように、奥能登営農復旧・復興センターを拠点といたしまして、国、石川県、市町、地元のJAの四者が一体となって、奥能登の各集落を巡回しながら、農地の復旧の進め方、復旧した農地を誰が担うのか、復旧した農地でどのような作付を進めるのかなどにつきまして、地域の担い手の方々の参画も得ながら今話合いを進めているところでございます。

 また、課題である建設業者の確保、これにつきましても、国と県で連携いたしまして、業界団体にも要請をし、これまで県内外の二十三の業者を確保したところでございます。現在、調整がついたところから順次復旧工事に着手しておりまして、来春には一枚でも多くの農地で営農再開を目指していきたいと考えております。

 農林水産省といたしましては、引き続き、関係省庁、県、市町とも緊密に連携いたしまして、地震と豪雨からの復旧復興を一体的に進めるため、遅延なく支援を行い、奥能登地域の農業をできるだけ早く必ず復旧させるという決意の下で取り組んでまいります。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 この能登地域の風土を捉えますと、農林水産業の復興なくして能登の復興はないと私は感じているところでございます。是非とも、今お話のあったように強力な推進をお願いしたいと要望をさせていただきたいと思います。

 そして、最後になりますが、新総合防災情報システムの普及についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 災害時に被災者支援と復旧を迅速に行うには、被災地域の情報を一元的に、また、いかに早く収集、集約していくことが何よりも重要であります。能登半島地震におきましては、石川県とまた内閣府リエゾンが市町から収集をしました避難所情報を地図化するとともに、厚労省DMATなどが収集をしました避難所情報を民間等の協力の下で石川県防災情報システムに集約をしました。これによりまして、避難所への物資、医療支援に係る対応の情報として活用された、このように伺っているところでございます。

 こうした事例もある中で、国と地方自治体が一体となった災害対応を更に強化していくため、災害情報を地理空間情報として共有するシステムであります新総合防災情報システムを現在構築しているところであります。

 旧システムは、手間と時間がかかるとともに、地図情報も少なく、利用者も国の関係省庁のみであったところを、自動収集する情報を拡大しまして、そしてまた、地図情報を増加して、国のみならず、これは今度、地方自治体、指定公共機関等、千九百十七機関まで利用者を拡大するということで、このシステムを速やかに全国的に広めるべきだと思います。

 新システムと、これまでと違う有用性、また、全国的に広めていくための課題をどう克服し、定着に向けた取組をなさっていくのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 内閣府では、災害対応機関の間で災害情報を迅速に集約、共有をいたします防災デジタルプラットフォームの構築に向けて、その中核を担う新総合防災情報システム、SOBO―WEBと呼んでおりますけれども、の運用を本年四月に開始したところであり、現在、各機関のシステムとの接続を順次進めているところでございます。

 SOBO―WEBは、利用者の範囲を地方公共団体や指定公共機関にまで拡大するとともに、避難所情報を含め、各々保有する災害情報を集約し地図情報として迅速に共有するもので、専用端末不要でございますので、被災現場でも利用が可能なものでございます。

 委員御指摘いただきましたように、今回の能登半島地震におきましては、防災科研が開発したSIP4Dを始めとする様々なデジタル技術が災害情報の集約、共有に貢献したところでございますけれども、システム操作に必ずしも慣れていないというようなことから、活用に戸惑った面もあったところでございます。こうした教訓を踏まえまして、新しいSOBO―WEBでは、旧システムから操作性を向上しておりまして、より使いやすい画面、レイアウトに変更しております。

 また、今後も、分かりやすいマニュアルによる説明会の開催とか、習熟度を高めるための戦略的な訓練プログラムの作成等によりまして、システムの積極的な利用を促していくということで普及に努めていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

中川(宏)委員 ありがとうございました。

 私なりに、今回の新システムの有用性は二つあると思っております。それは、これまでばらばらだった情報というのを一つの基盤上に集約をさせていくということであります。これは今までになかった取組でありまして、防災、減災の取組を更に加速すべきシステムだと思っております。

 そしてもう一つが、この度の能登半島地震におきましても、小規模自治体では職員の数が非常に少ないということ、全国的に見ても自治体の職員が減少傾向にある中で、情報収集に割かれていたマンパワーを、仮に災害があった場合に災害対応に回すことが可能になる、こういったシステムではないかというふうに思っております。

 ですので、全国にいかに早く、また、このシステムが活用できるかということが、今後想定される災害におきまして大変重要なところでありますので、是非、全国的な普及に向けて御尽力をしていただきたいとお願いを申し上げまして、時間となりましたので、以上で終わりにします。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、西田昭二君。

西田(昭)委員 自由民主党、能登半島出身、西田昭二でございます。

 本特別委員会で貴重な質問の機会をいただき、誠に感謝申し上げるところでございます。

 今臨時国会においても、多くの場で、会派を超えて、様々な形で能登半島の復旧復興についての質疑が行われたわけでございます。私も本当に、被災者の一人として心から感謝を申し上げるところでございます。

 また、本年元旦に未曽有の能登半島地震が発生をいたしました。それから一年を迎えようとしているところでございます。これまで、国の全面的な支援、復旧復興に対する多くの多くの御支援、御協力、そしてまた全国の皆さん方からの温かい支援や御協力、お支えをいただき、能登半島は復旧復興に向けて歩みを進めていたところでございました。

 しかしながら、九月の過去最大級の豪雨災害によって、更なる甚大な被害が発生をいたしました。地震で辛うじて何とか持ちこたえていた家々が土砂や流木によって押し流されてしまいました。そして、貴い命も失われ、その悲しみも癒える間もなく、本当に能登半島はまだまだ厳しい状況下にあるわけでございます。

 復旧復興のために希望を持って一生懸命頑張ってこられた被災者の方々も、もう心が折れて、中には、神も仏もないんじゃないのか、そんな悲痛な訴えを多くいただいたわけでございます。本当に将来が見通せない状況にある、そんな状況でないかなと思っているところでございます。

 能登半島地震、そしてまた豪雨災害、二重災害に遭ったこの能登地域の被災者の皆様方の復旧復興、そして、この経験を踏まえて、今後の我が国の防災について、坂井防災担当大臣にその決意、思いをお伺いをさせていただければと思います。

坂井国務大臣 防災大臣就任以降、複数回にわたりまして被災地をお伺いをいたしました。

 二度の被害によって大変な不安を感じておられる被災者の方々の切実な思いも直接お聞きするとともに、被災状況を現場で確認をし、被害の甚大さを痛感しました。改めて、復旧復興への思いを強く抱いたところでございます。

 能登地域が地震と豪雨の二度にわたる災害により被災したことを踏まえ、豪雨の被害について激甚災害に指定したほか、災害廃棄物処理において、能登半島地震と大雨を一体的に取り扱い、半壊以上の家屋等の解体を公費解体の対象にしました。中小企業の施設整備、復旧に係るなりわい補助金や、農業用機械、施設を復旧する農地利用効率化等支援交付金についても、地震に加え、大雨で被害を受けた方についても適用いたします。新たに雇用調整助成金の特例措置を講ずるなど、能登半島地震と同水準の措置を速やかに講じることとし、豪雨災害、対応させていただいております。

 また、今回成立いたしました補正予算二千六百八十四億円につきましては、災害公営住宅の整備について、能登半島における建設費の高騰に合わせ整備費の補助限度額を引き上げ、また、仮設住宅に入られている方への見守り支援を進めるとともに、デイサービス等を提供する仮設住宅のサポート拠点の整備を進めるといった施策を講じることとしております。

 こうした今までの取組の中で、能登半島地震の経験や教訓というものがたくさんあるわけでありまして、こういったものを踏まえ、有識者によるワーキンググループにおいて、災害応急対策でありますとか生活支援策の今後の方向性について取りまとめをいただいたところでございます。

 このワーキンググループの報告書を踏まえ、具体的には、新地方創生交付金による自治体の備蓄への支援などについて令和六年度補正予算に盛り込むとともに、NPOやボランティア団体等の事前登録制度の創設などについて、法改正を含め、必要な制度見直しを検討しております。

 引き続き、関係省庁と連携して、着手可能なものから取組を進め、我が国の防災対策の強化に努めてまいりたいと思います。

西田(昭)委員 ありがとうございます。

 坂井大臣には、就任前から何度も石川県に足を運んでいただいて、直接、現地を見ていただき、様々な声を聞いていただいておりました。そしてまた、今、大臣に就任してから、精力的に能登半島の復旧復興に大変なお力添えをいただいております。引き続きよろしくお願いを申し上げます。

 能登半島地震の政府の制度対応については、激甚な被害状況の下、かなり迅速に行われたと思っております。発災当日に非常災害対策本部が設置され、同日中に災害救助法の政令指定が行われ、一月六日以降に随時各県において被災者生活再建支援法の政令指定が行われ、一月十一日には激甚法の激甚災害の政令指定、さらに、一月十九日付で大規模災害復興法の非常災害に政令指定がなされたわけでございます。

 限られた復興予算をいかなる復興のニーズに重点配分していくべきか、経済再生や都市計画型の復興のみならず、被災者の生活再建を最優先に、暮らしの復興が進められてきたと思っております。

 世界有数の災害発生国である我が国の人命最優先の防災立国の実現のため、赤澤防災庁設置担当大臣の抱負、思いをお伺いをさせていただきたいと思います。

赤澤国務大臣 元旦の地震、そして九月の豪雨と、御自身が被災者でありながら、もう一年近く被災地、被災者の皆様を支えてこられた西田先生に心から敬意を払うものであります。

 そして、我が国は世界有数の災害発生国でありまして、国民の生命、身体、財産を災害から守り抜くという国にとって最も重要な責務を果たすには、人命最優先の防災立国を早急に実現する必要があると考えております。

 今後、大規模な被害が予想されます南海トラフの巨大地震や首都直下地震、さらには日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震や富士山噴火といった大規模災害に備え、平時から不断に万全の備えを行うことが必要不可欠であります。

 このため、防災業務の企画立案機能を抜本的に強化し、本気の事前防災に取り組むとともに、大規模災害発生時における政府の統一的な災害対応の司令塔として、専任の大臣を置き、十分な数のエキスパートをそろえた防災庁の組織づくりを進めたいと思っております。

 令和八年度中の防災庁設置に向け、今回の能登半島地震を始めとするこれまでの災害対応を通じて得られた知見、経験をしっかりと引き継ぎながら、目指すべき方向性とそのために必要な体制の在り方について検討を進めてまいります。

西田(昭)委員 この度の能登半島地震、そしてまた豪雨災害という二重災害は、今後の防災、減災に大きな教訓となったと思っております。震災からの復旧復興の途中で未曽有の豪雨災害に被災し、改めて自助、共助、公助の役割と大切さを実感させられたところでございます。

 自助では、各々の家庭で日頃から災害に備えたり、災害時には事前に避難をしたりするなど、自分で命を守ること。共助では、災害時に助けを必要とする人たちの避難に協力したり、地域の方々と消火活動を行うことなど、周りの人たちと共に助け合うこと。そして、次に公助が加わって、被害を最小限に食い止めることができるわけでございます。

 災害には自助、共助、公助の三つの要素は不可欠でございます。この考え方を国民の皆様方に定着させるための政府の取組、所見について伺いたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、災害の多い我が国におきましては、公助はもとより、国民の一人一人が自ら取り組む自助、住民、ボランティア等が互いに助け合う共助を組み合わせ、地域全体で防災意識を高めていくことが重要でございます。

 国民一人一人がふだんから災害を自分事として捉え、自らの命は自らが守るという意識を持っていただくため、内閣府といたしましては、防災週間や津波防災の日等におきまして、水や食料の備蓄とか家具の固定といった、いざ災害が起きた際の備えについての周知啓発をさせていただいているところでございます。

 また、地域住民による自発的な防災活動を定めた地区防災計画の策定の促進、あるいは、高齢者や障害者などの避難を支援する計画である個別避難計画の策定促進に取り組むとともに、防災の取組を行う関係者が一堂に会する防災推進国民大会、これはいわゆる「ぼうさいこくたい」と呼んでおりますけれども、そうしたものの開催、あるいは、避難生活支援を行う地域のボランティア人材を育成するためのリーダー、サポーター研修の実施など、様々な取組を通じて地域防災力の向上を図っているところでございます。

西田(昭)委員 自助、公助、共助のバランスな支援の継続に私はつながると思っておりますので、引き続きよろしくお願いをいたします。

 能登半島地震、豪雨災害で甚大な被害を受けた際に、自衛隊、消防、警察など関係省庁に迅速に対応していただき、多くの被災者の方々は大変心強く、感謝をしているところでございます。

 その中で、地域の消防団の皆さんには、自らも被災しながら、地域住民の命を守るために、発災直後から、避難の呼びかけや消防隊との連携した消火活動のほか、倒壊家屋からの救助、孤立集落からの住民搬送、行方不明者の捜索、避難所の運営の支援など、懸命な活動を展開していただいておりました。

 全国的には消防団員が大きく減少しているとお聞きをしておりますが、改めて、防災、減災に大きな役割を果たしていただいた消防団員の減少、そして消防団への支援について、政府の所見を伺いたいと思います。

小谷政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、能登半島地震、豪雨災害においても、消防団員の方々が、自ら被災しながら、発災直後から様々な活動に取り組んでいただき、大きな役割を果たしていただきました。

 今回のような大規模災害になればなるほど、地域に密着した消防団の力が重要とされる中、依然として消防団員数は減少しており、団員確保を含めた消防団の充実強化を図ることが極めて重要と考えております。このため、消防庁では、消防団員の処遇の改善、女性や若年層にターゲットを置いた広報、機能別消防団員制度の活用、企業と連携した入団促進、各地域の優良事例の横展開など、できる限りの対策を講じているところです。

 能登半島地震、豪雨災害を踏まえ、令和六年度補正予算においては、機動性の高い小型車両を中心に、救助用資機材等を搭載した消防車両の無償貸付けや、小型、軽量化されたチェーンソー等の救助用資機材等の整備に対する補助のほか、ドローンの操縦講習の充実を図るなど、消防団の災害対応能力の強化に向けた措置を講ずることとしております。

 また、今年度作成予定の消防団員の確保に向けたマニュアルにおいても消防団員の魅力発信や負担軽減などのノウハウをお示しすることを考えており、引き続き、こうした様々な施策を通じて消防団員の充実強化に向けて取り組んでまいります。

西田(昭)委員 ありがとうございます。

 消防団員の活躍、そしてまた使命感というのは本当に頭が下がる思いでございました。地域にとって大切な消防団員、しっかりと支援、サポートをこれからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

 復旧復興を進めていく際に大きなネックとなっている課題として、建設費の高騰があります。特に、地域においては大工の不足も影響があり、住宅再建をされる方々にとって坪単価が大変高騰しております。私の住んでいるところでは坪百万、そしてまた奥能登に行けば百二十万、三十万と言われているところでございます。大変厳しい状況があります。この問題について、政府の所見をお伺いをさせていただきたいと思います。

横山政府参考人 お答えいたします。

 発災以降、避難の段階から、仮設住宅の供給など応急的な住まいの確保、それに引き続き、切れ目のない、自力再建等による恒久的な住まいの確保に向けて、国土交通省として関係府省とともに取り組んでまいりました。

 自力での住まいの再建や修理あるいは取得を目指して融資の利用を希望される方がいらっしゃいます。そういう被災者に対しましては、住宅金融支援機構による災害復興住宅融資を提供しているところでございます。最大五千五百万円の融資の枠を設けてございますけれども、これは昨今の、委員御指摘の建設費の高騰、これも踏まえまして、あと、能登半島地震では液状化の被害なんかもございました。本年三月から融資限度額を増額した対応をしてございます。

 また、地域の特性を踏まえて、手が届く質の高い住まい、この再建プランの具体的なイメージを持っていただこうということで、いしかわ型復興住宅モデルプラン集の作成を県が進めておられます。これを支援しているところでございまして、年内にも石川県が中間報告を行う予定と聞いてございます。

 さらに、自力での住宅再建等が難しい被災者もいらっしゃるかなと思います。この方々のためには、災害公営住宅の供給が大事だということを考えてございます。補正予算で当面必要な予算の確保をするとともに、被災自治体の要望を踏まえて、建設費の高騰にも対応いたしまして、今回、特に整備費の補助限度額を引き上げるといったような措置も行わせていただきました。早期整備に向けた取組を進めたいと考えてございます。

 被災地は非常に少子高齢化も進んでいて、条件不利な地域も多うございます。引き続き、地元の声を聞きながら、県、市町と連携して、被災者の住まいの確保に向けて丁寧な支援に取り組んでまいりたいと考えてございます。

西田(昭)委員 様々な対策を講じて、住まい、本当に将来を見据えた形で安心して暮らせるように、また御支援、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 災害後、能登地域では、上下水道の老朽化もあり、一時は最大で十一万戸の断水で復旧までに時間を要したわけでございます。特に、工事業者不足のために、断水が解消されても宅内配管の工事が進まず、何か月も使用できず、不便な生活を強いられた方々もたくさんおいでました。

 ライフラインとして一番重要な上下水道の復旧、強靱化について、能登半島での経験も踏まえて、政府の所見を聞かせていただければと思います。

松原政府参考人 お答えいたします。

 上下水道は国民の生命や暮らしを支える重要インフラであり、能登半島地震におきましては、浄水場や下水処理場など上下水道システムの急所、すなわちその施設が機能を失えばシステム全体が機能を失う最重要施設や、避難所などの重要施設に接続する上下水道双方の管路の耐震化の重要性が改めて明らかになったところです。

 また、上下水道の応急復旧に当たっては、重要施設において速やかに水が使えることを最優先に、上下水道一体で機能確保に取り組んだところです。

 国土交通省としては、これら能登半島地震における教訓を踏まえ、急所施設等一連の上下水道システムの耐震化状況について緊急点検を実施した上で、全国の地方自治体に対して上下水道耐震化計画の策定を要請しているところです。この耐震化計画に基づく地域の取組を技術的、財政的に支援をし、分散型システムの導入も含め、強靱で持続可能な上下水道システムの構築を図ってまいります。

西田(昭)委員 ありがとうございます。

 私も、自宅が水道が三か月止まりました。下水道が半年間使えませんでした。まだ私の方としてはいい方なのかなとは思っておりましたけれども、ただ、家内がつらい思いをしていたのが少しつらいなと思ったところでもあります。またしっかりと、そういったことをしっかり支援をしていただければと思っております。

 この度の震災で、液状化被害も甚大でございました。特に被害が大きい内灘町やかほく市では、側方流動という現象で地中の土砂が流れて、その影響で、被災地域の住宅地では本当に壊滅的な被害が発生をいたしました。家屋が十メートルも移動する、そんな特殊なケースもございました。

 国として、発生した液状化災害の再発防止策、そして全国での大規模地震時の液状化対策の進め方について、政府の所見を伺いたいと思います。

服部政府参考人 お答えいたします。

 能登半島地震により発生した液状化災害について、早期の復旧に向け、国土交通省では、被災自治体による液状化災害の再発防止に向けた対策等の検討について、直轄調査や、本省職員を地区担当として被災自治体ごとに配置することにより、技術的な支援を行っております。

 この十月に、著しい被害が集中したかほく市、内灘町に対して、液状化対策方針案をお示しをしたところでございます。引き続き、被災自治体における液状化対策について、技術面も含めてしっかりと支援をしてまいります。

 また、全国の液状化被害が懸念される地域においては、住民、行政などの関係者で液状化被害リスクを確認、共有し、事前の備えについて共に考えるリスクコミュニケーションを実施することにより、液状化の予防対策を促進していくことが重要であると認識しております。

 こうした考え方に基づき、全国で液状化リスクの把握、周知を図るため、液状化ハザードマップ作成の手引きを公表しているところでございます。今後、地盤のボーリングデータを反映させた、より実態に即した全国の液状化リスク情報を国として整備するなどにより、自治体における液状化ハザードマップの作成を促進してまいります。

 国土交通省としては、これらの取組により、能登半島地震の被災地を含め、大規模地震時の液状化対策にしっかりと取り組んでまいります。

西田(昭)委員 では、よろしくお願い申し上げます。

 最後に、和倉温泉は能登半島の観光拠点であり、和倉温泉の再生は能登の創造的復興に欠かせないことから、令和六年能登半島地震に伴う雇用調整助成金の特例措置について延長要望を行ってきたところでございます。

 政府においては、令和七年一月から新たな特例措置を決定していただくと聞いております。その具体的な措置内容についてお聞かせいただきたいと同時に、併せて、護岸の被害が甚大であった箇所の応急工事、そしてまた市管理護岸の代行工事による護岸工事について、進捗見通しを担当からお伺いをさせていただきたいと思います。

藤川政府参考人 お答えいたします。

 雇用調整助成金につきましては、本年一月の能登半島地震に対応するため、能登半島地震特例を創設し、助成率や支給日数の引上げなどの特例措置を講じてきたところでございます。

 他方、休業の長期化は働く方の仕事への意欲やスキルの維持にも影響が出る懸念があることや、石川県全域が被災地域を含めて人手不足の状況にあることを踏まえると、被災企業に在籍しながら働くことのできる在籍型出向への支援により、被災企業の雇用維持と地域の人材確保の両立を図ることが大切でございます。このため、在籍型出向を促す観点から、能登半島地域を対象とした手厚い助成金を創設することといたしました。

 加えまして、能登半島地域が、令和六年能登半島地震から一年もたたずに本年九月に豪雨災害が重なるという極めて特異な被災状況に直面し、半島で、かつ高齢化が著しく進む過疎地域という地理的制約下にあること等から、地元を中心とした在籍型出向への円滑な移行が確保できる十分な期間等を考慮し、令和七年の一年に限り、これまでの雇用調整助成金の能登半島地震特例と同様の休業支援を行う新たな特例も創設することといたしました。

 引き続き、これらの措置を通じ、県、市町、地元経済界等と一体となって、被災地に寄り添った支援を行ってまいりたいというふうに考えております。

安部政府参考人 護岸工事の復旧進捗状況についてお答え申し上げます。

 地域のなりわい再開に向け、被災した海沿いの護岸の復旧、再整備について、旅館事業者など関係する方々と調整を進め、先週二十日、全面着工するに至りました。旅館事業者が所有する護岸についても、関係者の御要望を踏まえ、公有化した上で公共事業として再整備いたします。また、数多くの旅館が立地している和倉港付近については、七尾市に代わり国土交通省が一括して工事を進めます。

 今後、旅館の営業再開予定を踏まえつつ、令和八年度中を目途に、できる限り早期に復旧、再整備を完了することができるよう取り組んでまいりたいと考えています。

西田(昭)委員 終わります。

金子委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 地震から十一か月半がたちました。今まで復旧復興に当たっていただいた関係者の全ての皆様に感謝を申し上げます。

 今年、もう残りあと十日を切ったわけでございますけれども、委員の皆様は今、今年最後の挨拶をされる方も多いかと思います。今年一年間ありがとうございました、よいお年をお迎えくださいというのが普通の挨拶だと思いますが、やはり私たちは、最後の、よいお年をお迎えくださいという一言を言っていいのかどうか、すごくためらいをこの数日間感じています。

 こんな年ですから、来年はよい年になってほしいに決まっているんですけれども、去年も同じようなことを言って、今年こういう目に遭っていますから、今私たちは、やはり来年を迎えるのが怖い、でも来年は必ずやってくるし、よりよい年にしていかなくてはいけないという中で、今、復旧復興は一歩ずつ進んではきていますけれども、心の傷はそう簡単には治らないということは是非とも皆様に御理解をいただきたいと思います。そして、心の傷はお金ではそう簡単には治りづらいですが、お金の点で直せるところは、やはり物理的に直せるところはどんどん直していただきたい、これも被災地の声でございますので、どうか皆様にお力添えをいただきたいと思います。

 それで、先週の十二日の日に衆議院におきまして、補正予算が修正の上で成立をいたしました。皆様からお力添えをいただきまして、一千億円の実質的な増額と修正をすることができました。能登半島地震の復旧復興のためということは、これは与野党力を合わせたということの一つの象徴だというふうに思います。心から感謝を申し上げたいと思います。

 それから一週間はたったわけでございますが、十二月十二日の、これは城井委員からの質問に対して総理の答弁、一千億円をちゃんと使ってくださいねということに対してですが、総理は、引き続き、被災地のニーズを踏まえまして、今回の修正案でも明確化をされます、そして、よく野党の御意見も踏まえながら、私ども、予算の成立後は執行に努めてまいりますとおっしゃっていただきました。そして、私から総理に対して同じような質問をした中で、いかにして早くできるかということ、機動性と迅速性、そして、いかにして広範囲にできるか、その点は遵守をしてまいりたい、そのようにもおっしゃっていただきました。

 そして、十七日ですが、参議院の予算委員会において、私どもの仲間の高木真理委員より同様の質問をさせていただきましたら、今回の修正で目的が明確化された予備費を活用して、引き続き、能登地域の被災地のニーズ、これをしっかりと踏まえて、切れ目のない支援を行っていきたい、これは加藤財務大臣にお答えをいただいた答弁です。

 この衆議院の採決から一週間、そして参議院の採決から数日間たちましたが、この一千億円の活用について、どこまで具体的に踏み込んで今検討されているのか教えてください。

東大臣政務官 今般の補正予算においては、豪雨により再び被災された方々も含め、状況に応じて切れ目のない対応を迅速に行うため、被災地の要望も伺いながら様々な支援制度を拡充した上で、被災者ニーズが高い二千六百八十四億円の施策をきめ細やかに講じることといたしております。

 その上で、衆議院の予算修正によって、予算総則において、一般会計予備費の残額のうち一千億円については、能登地域の被災者の生活及びなりわいの再建その他の復旧復興に要する経費に使用する旨が明記されているところであります。

 政府といたしましては、今般成立した補正予算に盛り込んだ施策を着実に実行していくとともに、今回の修正で目的が明確化された予備費も活用して、引き続き、被災地の声も踏まえながら、切れ目のない支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

 以上でございます。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 切れ目のないということですけれども、切れていなくても、やはり隙間のようなところ、空いているところもあります。

 この点では、坂井大臣は能登に何度も入っていただいています、この一千億の活用についてより望ましい姿を見せていただきたいんですが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 今、近藤和也委員が御指摘されましたように、制度というものは、どんなにうまくつくっても、まだ足りない部分であったり、また不足する部分が出てくる場合もございますので、そういったところも含めて、地元の様々な御要望や御意見を伺いながら、財務省とも相談をして、そういった声にしっかり応えられるような使い方をこの後お示しできるように努力をしてまいります。

近藤(和)委員 何とか踏み込んだ形で有効活用していただきたいと思います。前例を乗り越えてやっていくんだ、政府がその気になっているんだということそのものが、被災者の皆様にとって、前向きになっていける、心の傷を埋めていくきっかけになっていきますので、何とぞお力をかしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、具体的な質問に参ります。

 先日の予算委員会では、仮設住宅に入られている方、二年間で出ていけということはないですねということを、総理はそうではないということを答弁をしていただきました、場合によっては延長もあり得べしだということを答弁いただいたんですが、その方々の例というのは、あくまでも持家の方の例なんですね。借家の方であれば、原則、みなし仮設であったり仮設は一年です。そして、原則一年で、場合によっては二年ということも、これも国から方針を示されていますが、今、現状でいきますと、来年の三月で借家の方々はもう出ていってくださいねということで連絡が来ているそうなんです。

 特に、輪島市や珠洲市、能登町、穴水町、志賀町も七尾もそうなんですけれども、アパートやマンションは圧倒的に少ないです。そもそも少ないです。ですから、来年の三月までで、アパートやマンション、戻れるようなところ、そして空き家を直して借りられるようなところは、恐らく来年の三月には到底間に合いません。

 ですから、一年ではなくて、借家の方でも二年というところまでは大丈夫なんですよという答弁をしていただきたいんですが、確認です、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 被災前の元の住家が借家又は公営住宅である被災者の仮設住宅への入居期間は、御指摘のように、入居の日から一年以内とされておりますが、その期間内に代わりとなる適当な物件を見つけられない等の場合には、石川県とそれから市町の協議、同意により、更に一年の範囲内で入居期間の延長が可能であると承知しております。

近藤(和)委員 やはり現場に行きますと、原則のことから、例外的なことを現場の職員の方、なかなか言えないんですよね。そうなので、原則を被災者の皆様が信じ切って、来年四月からどうしよう、一月、二月、必死になって家を探さなきゃいけない、でも見つかりっこないという現場の状況ですから、是非とも、各自治体に対して、そして被災者の皆様に、いや、実は更に一年なんだよと、今から一年後でも似たような状況かもしれないんですけれども、少なくとも、そういったことをしっかりと周知をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、今、仮設住宅の空き部屋の有効活用、こちらが大変重要です。実際には、各市町では空いていないということは言ってはいますが、現状、空いています。

 例えばですけれども、私が十月の二十九日に行きましたある市の仮設住宅、五十四室ある中で四十三部屋使っていまして、十一部屋余っています。二部屋ある部屋が七か所、そして三部屋ある箇所が三つ、広い部屋ほど空けてある。そして、障害の方の使える部屋も一つ空いているということも伺いました。

 実際には、余ったほど造る仮設住宅というのはむしろ税金の無駄遣いだというふうに指摘されかねないんですけれども、被災者の皆様にとってはむしろ大変ありがたい、余るくらい造ってくれて本当にありがたいと思うんです。ただ、結果として、余っていますよということを示すことができなくて、空いたままで放置をされていて、それこそ本当の税金の無駄遣いだというふうに思います。

 是非とも、空いている部屋の有効活用ですね。先日、被災地のボランティアの方のためであれば空いているところを使っていこうという相当前向きな答弁をいただきましたが、工事関係者の方であったり、奥能登に今働き手も少ないですから、金沢など南から働いて来ていただく方にこの仮設の空いた部分をお渡しをするとか、若しくは、実質二世帯の方々に、本来のルールであれば五人だと一つの固まりだけれども、実質二世帯だったら二つに分けてもいいというような形で柔軟に運用していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 仮設住宅は、被災自治体が被災された方々のニーズを把握した上で必要戸数を建設しているということになっております。

 避難所を一日も早く解消するためにも、被災された方々に御利用いただくというのを原則としておりますが、ただし、現実問題として、被災者が退去した、若しくはいろいろな理由で入居希望者がいないということで空き室が生じているというのも事実かと思います。被災者を支援するという本来の目的を逸脱しない範囲内で被災者以外の方にも目的外使用で入居いただくことは、御相談をいただければ、可能かと思っております。

 また、大雨により被災された方は、御要望を踏まえて、石川県が建設している大雨の被災者向けの仮設住宅に御入居いただくことが原則となりますが、例えば、さっき御指摘もあったような、障害をお持ちである等の理由により、そういったお部屋に先に、要は地震用の仮設住宅に入りたいというような御希望があれば、これもまた御相談をしていただければ、入居していただくことも可能かと思っております。

 どちらにいたしましても、そういった被災された方々の生活再建の状況等を注視しつつ、相談に丁寧に応じてまいりますので、御相談いただければと思います。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 丁寧に丁寧にしていただいて、何とか有効活用、そして被災者の皆様に寄り添っていただければと思います。

 最後の質問になります。下水道の修理についてです。

 仮復旧については大方進んだんですよね。ただしなんですけれども、あくまでも仮復旧であって、流れはするけれども、やはり途中で詰まってしまって、おうちの前が汚物が出てくるということは実際あります。そこについても相当丁寧に現状把握して対応していただきたいと思います。特に、子供たちが通う通路のところで、そういったものが出るところがやはりあるんですね。

 こういった点で、仮復旧はしていますということは十分分かるんですが、本復旧まで、その見通し、そしてさらに、本復旧に至るまでの応急的な処置を迅速にしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、本復旧に向けた現状の段階でございますけれども、まず、必要となります災害査定につきましては、手続の効率化等を図ったことによりましておおむね完了している状況でございまして、これから設計、そして本格的な工事に入っていく、こうした今段階にあるということであります。

 他方で、本年四月より、国土交通省といたしまして、新たに七尾市内に能登上下水道復興支援室を設置をさせていただきまして、被災市町さんと十分な連絡調整が取れるような体制を今構築をしているところでございます。

 先ほど具体的な御指摘をいただきましたけれども、各市町さんとしっかりと連携を取らさせていただきながら、必要な対策を講じていかなければいけないというふうに考えております。

近藤(和)委員 ありがとうございます。

 物理的に難しい部分はたくさんあると思います。資材の問題であったり、業者の方が来ていただける、来ていただけないがあると思うんですが、少なくとも、お金の問題で解決でき得るところは幾つもあると思いますので、せっかく与野党協調してこの一千億というものを積み上げていただきました。お金で未来を諦めることがないように、是非ともお力添えをお願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、市村浩一郎君。

市村委員 日本維新の会、市村でございます。よろしくお願いします。

 まず、赤澤大臣、この間の所信で、日本は世界有数の災害発生国であるという中で、例として富士山噴火ということで、富士山を入れていただいたということであります。これまではどちらかというと、富士山が爆発するなどと言うとおどろおどろしいので余り入れたくないということもあったのかもしれませんが、私はこれは本当によかったと思うんですね、災害の表現をしてよかったというわけではないんですけれども。

 やはり日本は、いわゆる火山噴火ということに関して、一時期、どうしてもないがしろにしてきた時代があったと私は思っているんです。阪神・淡路大震災、来年三十年になりますけれども、阪神・淡路大震災の前は、「地震・火山」という言い方で、必ず「・火山」が入っていたというふうに聞いております。ところが、阪神・淡路大震災以降、この「・火山」が取れまして、地震ということになった。その結果、火山に対する研究調査とかがないがしろになってしまったということを聞いていまして。

 それで、実は、ちょうど今から十三年前なんですが、私が当時、災害対策、復興の特別委員会の与党の筆頭理事をしているときに、火山活動の観測監視及び調査研究体制等の充実強化に関する件ということで決議案を当時の災害対策特別委員会で出させていただいて、これは全会派一致で決議を通させていただいたんですね。ここで、非常に火山というものに対して目を向けるべきであると。

 それまで火山に対する人材育成が全然できていなかった、ないがしろになっていたんですね。そうなるとどうなるかというと、例えば、火山噴火で被害を受けた場合の保険というのが、保険額を算定する場合に、日本に人材がいないがために、どこか海外から誰か人材を呼んできて、それで保険の料率を算定させるということも当時あったんです。だから、それではいかぬ、これだけ火山国である日本が、我が国で人材が育っていないというのではいかぬということで決議案をさせていただいて、これは十三年前です。

 今回、ようやくこの度、今年度から火山本部なるものが、火山調査研究推進本部がようやくできたということで、ちょっと遅いかなと思いながらも、ただ、この間いろいろな議論があった上でこういうのができて、そして、もちろん火山防災協議会などというのがあるんですけれども、今回、火山本部もできて、赤澤大臣が火山ということを、富士山噴火ということを災害の例に入れていられるということで、やはりこれから政府は火山に対しても特段の思いを持って取り組もうとされているんだと思いますが、御決意を赤澤大臣から聞かせていただければと存じます。

赤澤国務大臣 今の御質問を伺っていても、市村先生は間違いなく災害のエキスパートだなと本当に感じるところでありまして、やはり人間の心には正常性バイアスという大変大事な傾向があって、自分にちょっと都合の悪いこととかは比較的小さく見積もって、端的に言えば、それがふだんは困難に打ちかつ人間の心の強さをあれするんですけれども、災害対応をするときには、自分はまだ大丈夫だとか都合のいい考え方だけして、結果的に大変大きな被害を被っちゃったみたいな。

 そういう意味で、ただでさえ、災害は起きたら起きたときのことだと人間の心はなりやすいところがあるので、いろいろな機会に、こういうリスクもあるよということは、委員おっしゃったように、おどろおどろしくしないで、きちっと冷静に事実としてお伝えしておくことは必要なんだろうと思っています。

 我が国は世界有数の災害発生国でありますが、地震や風水害のみならず、百十一の活火山を抱える火山国でもあって、特に、富士山噴火が発生した場合は、これは委員には釈迦に説法でしょうけれども、火口から溶岩流等が流出し周辺地域に大きな被害が発生するという直接的なものに加えて、火山灰が首都圏を含む広範囲に降ることで、交通機能の麻痺やライフラインの機能停止、あるいは、更に言えば、都市近郊農業が壊滅的な打撃を受けるとか、日照がなくなって大変深刻な被害が生じることが見込まれます。

 このため、地震対策のみならず、委員御指摘のとおり火山対策も含め、様々な大規模自然災害への備えを平時から万全にする必要があることを広く認識していただきたいとの思いを込めて、富士山噴火のおそれにも言及をさせていただいたものでございます。

 富士山噴火を含む大規模自然災害の発生が懸念される中、防災業務の企画立案機能を抜本的に強化し、本気の事前防災に取り組むとともに、大規模災害発生時における政府の統一的な災害対応の司令塔としての機能を担う防災庁の設置に向け着実に準備を進め、人命最優先の防災立国を早急に実現していきたいと考えております。

市村委員 ありがとうございます。

 富士山噴火はどうやって起こるのかというと、約三百年前に、いわゆる今日的に言われる南海トラフの三連動なのか、五連動だという言い方もされていますが、これが起きた一か月後ぐらいに、富士山が三百年前に爆発をしている。今、富士山の東側に向けたところに大きな穴が空いていますが、あそこが爆発したところですね。あそこがどおんといって、そのいわゆる溶岩、流れだけじゃなくて、すごい岩の塊が吹っ飛んでいって、何か私の聞いているところでは、新横浜駅の辺りにはそれが落ちているというぐらいですから、すさまじいものが飛んでくるわけですね。それが富士山噴火であります。

 南海トラフ三連動若しくは五連動がもうあと十年ぐらいで起こる可能性はある、高いと言われているときに、富士山が、ひょっとしたら三百年前と同じように、まあ、噴火しないかもしれませんけれども、これは分からないんですね。けれども、噴火した場合は、これはすさまじい被害になるだろうという予測がされています。

 ですから、そういうことも踏まえた上で、しっかりと、富士山を含めて、これは富士山だけじゃありません、浅間山も多分危ないというところで、いわゆる危険度がA級というところが浅間山も入っていますけれども、富士山は実は危険度はA級じゃないんですが、浅間山なんかはA級。

 だから、どんどん東北を背骨のように走って、そして北海道に走る。樽前山というのがありますが、支笏湖があるところですが、これもすさまじい爆発力を持ったところであります。

 実は、ちょっと今日のこの委員会には関係ないのかもしれませんが、今、日本は命運を懸けて、半導体のラピダスというものをあそこの千歳の辺りにと言っていますが、あそこの近くにあるのがまさに樽前山でございまして、樽前山を余り知らないかもしれませんが、皆さん、これは本当に富士山級の爆発力を持った、富士山だということで、私は十数年前、火山研究をしていたときに教えていただいているということでございます。

 ですから、そういうものも含めて、やはり富士山をしっかり研究しておかないと、いざというときに日本の命運を懸けた半導体工場が使えなくなったということでは、大変、日本の未来に対してまた更に深い影を落とすということもあります。

 だから、地震、津波では文明は滅びないけれども火山噴火では文明が滅びると言われていますし、実際に、七千年前に、鬼界カルデラ、これは海底火山ですけれども、噴火したときには、南九州の縄文文化がこれでなくなったというふうにも言われています。まさに文明を終わらせるものが火山噴火であります。

 今申し上げた鬼界カルデラ、海底火山も、太平洋プレートの反対側にある、チリだったかな、火山がたしか十年ぐらい前に大爆発しているんですね。七千年ぶりに。大体、プレートの反対側で起こることはこっちでも起こるということですから。

 この鬼界カルデラは海底火山なので、分からないんですね、いつ起こるのか。七千年ぶりに爆発した場合、本当に大変な被害があの地域に及ぶ。地域に及ぶだけじゃなくて、まさに今、赤澤大臣がおっしゃっていただいたように、海底火山の灰というのはなかなか降りてこないというふうに言われています、その性質上。すると、地球を一周して、それこそ日照りを悪くして飢饉を起こすという被害に発展するということも言われているところでありますので、非常に、そういうものを含めて、火山研究については、本当に真剣に、政府、それからいわゆる大学、研究機関が一体となってやはり進めていくべきことだというふうに思います。

 是非とも、これは政府におかれましても、せっかく火山本部もできておりますので、ここを中心に、迅速に、これは十年ぐらいかけてという、ここを見ると、どこかに十年ぐらいをめどにと書いてあったんですが、そんな余裕はないんですね。もう本当にこの二、三年ぐらいでまとめておく必要が私はあると思っておりますが、大臣、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 今、市村委員がおっしゃったことは、全くどれもそのとおりでありまして、過去、やはり千年に一度とかと言われる地震でありながら、東日本大震災の三陸沖、それと首都直下地震、関東と、それから南海トラフが数年差とかぐらいで三つとも連動したなんということが歴史上、現に何回かあるということでありまして、そこは科学的に立証されておりませんが、本当に、やはり備えておかなければならず、南海トラフと富士山が連動したみたいなことも歴史上やはりあるわけです。ということなので、なかなかそういうことは起きないけれども、起きたときはもう一大事中の一大事、国難中の国難ということなので、備えをしておかなきゃいけないと思います。

 先生御指摘の富士山もそうですし、浅間山、あるいはおっしゃった樽前山、いずれも、百十一の活火山のうち、活動火山対策のために観測、測量、調査及び研究の充実等が必要な五十一の火山に指定をされておりまして、ここは危ないと思って研究していた山については、山体が少し膨れてくるとか、いろいろな兆候をつかんで、噴火の前に住民に避難していただくことが現に過去にうまくいっている例も、有珠山だったかと思いますがありますので、やはりそういうことは気を抜かずにしっかりやっていく。そしてやはり、考えていないことというのは対応できませんので、いろいろな噴火のパターンにも備えてシミュレーションとかをやっておき、住民避難に万全を期す。

 とにかく、人命最優先の事前防災というものの中に、先生の御指摘もいただきながら、しっかり火山も含めて考えてまいりたいというふうに思います。

市村委員 感謝いたします。

 是非とも、これはひとつ、今日は国土交通省からいらっしゃっていただいていないんですが、私が十三年前ぐらいに国土交通省の大臣政務官を一年間やらせていただいたときに、リニアの建設について大分議論したんですね。

 そのときに私から申し上げておったのは、富士山がもし噴火をすると、多分、東海道新幹線はしばらく使えないだろうなというところもあって、いわゆる大動脈が切れるので、だからリニアを急いでほしいと。リニアはなるべく地下を通して、富士山の火山灰は大体、偏西風に乗って東に流れますから、多分、北とか西には行かないだろうということで。ですから、富士山の北側をリニアがなるべく地下を通っていくことによって動脈を常に確保しておくということを言っていました。

 二〇二七年に名古屋まで開通するはずだったのが、結局、いろいろな状況で、今聞くと、ひょっとしたら三二年とか三三年になるんじゃないかという話なんですね。だから、政府におかれましては、静岡県のこともあるんでしょうけれども、できる限り、二七年がもう無理だとしても、二八年、二九年とか、できるだけ、南海トラフ三連動が起こるだろうと言われている二〇三〇年代初頭までに是非ともリニアを通しておいていただいて大動脈を確保していただきたいと思いますが、これもちょっと大臣の御見解をいただければと思います。

赤澤国務大臣 御指摘は非常に傾聴に値すると思いますが、私がリニアの担当ではございませんので、それについてはちょっと申し上げられませんが、いずれにしても、所与の、与えられた条件の中で、火山の噴火とかについても、人命最優先で、国民の生命、身体、財産を守り抜くという国の最も重要な使命をしっかり果たせるように万全を期してまいりたいと思っています。

 本当に、御指摘のとおり、噴火が起きると、今おっしゃったように、溶岩流とかいろいろなもので線路がやられれば、鉄道というのは線なので、切られたら全くその先に行けないということが起きます。

 あとは、もっと深刻なのは、これは委員御案内と思いますけれども、まず、火山灰があれすると、成田も羽田も全く民間機の離着陸ができなくなり、ヘリについても、火山灰対策で灰を吸い込まないようにしていないような機材はチヌークとかも全部飛べなくなりますので、それこそ本当に大ごとですね。かつて北欧で、アイスランドだったですかね、何か噴火して、結局、全くその辺りを飛行機が通れなくなって日本も大変な影響を受けた時期があったと思いますが、そういうこともありますので、いろいろな事態に備えていかなければならないというふうに思っております。

市村委員 今からまた話題が変わるのは、今度は防災庁の話ですね。これも赤澤大臣が防災庁の担当ということであります。

 まさに、防災庁をつくるということは、リニアだけじゃなくて、総合的に判断して防災対策をするというところだと思います。ただ、今あえて私も防災という言葉を使わせていただいたんですが、防災庁で本当に名称がいいのかというのを少し議論させていただきたいと思っているんですね。

 というのも、たしか二十年前とか二十五年ぐらい前に、まさに、防災というのはどうも適切な言葉ではないんじゃないかと。つまり、災害というのは防げるものではない。例えば、特に自然災害は我々人間が防げるものではないので、ですから、いざ起こったときに災害の程度をできるだけ減ずるということで、減災という言葉になったと思うんですね。一時期、これも「防災・減災」だったんですね。それがいつの間にか、また「・減災」が取れて、防災、防災というふうになっているんです。

 しかし、これは聞いたら、災害を防ぐということの意味での防災なんだというんですけれども、じゃ、災害を防ぎ切れるかというと、私は、残念ながら防ぎ切れないと思うんですね。だから、どうしてもこれは難しいと思います。一〇〇%防ぎ切ることはできないことを前提に考えておかないと、何でもかんでも、いや、ゼロ災害だ、ゼロ何とかだと言って、ゼロゼロと言っておいて、できなかったら、ほら見ろ、できないじゃないかと言う。どう考えても、そもそもできない設定をしておいて、できないからほらといってまた責められるというのは、そもそも何かばからしいなと思います。

 だから、そもそもできないことはできないとはっきり言っておいて、できることをしましょうと。ということは、やはり減災だと思いますし、この場合、防災庁じゃなくて、例えばアメリカのFEMAというのは、私は日本版FEMAをというのは二、三十年近く言い続けてきていることなんですけれども、このFEMAというのは緊急事態管理庁なんですね。いわゆる緊急事態を管理するということでありますから、こっちの方が分かりやすいし、若しくは、私は危機管理庁なんという表現でもいいんじゃないかと思っているんですが、やはり防災庁でいきますでしょうか、大臣。

赤澤国務大臣 市村委員の御指摘には本当に多く傾聴に値すると思うところがあって、東日本大震災で我々が経験したことなんですね。あのときは、十メートルの堤防があるから津波は絶対に乗り越えてこないので津波を見に行こうといって堤防の上で待っていたら、それをはるかに越える津波が来て、のまれた被災者の方もおられました。また、本当に痛ましい話としては、堤防を越えない前提で、水門を閉めるために、津波が向かってきているのに、その津波に向かって走った消防士の方たちが何人も命を落としておられます。

 ということで、我々の教訓は、どんなに備えて、過去最大の災害に耐えられるようなものを造っておいても、災害というのは容易にそれを超えてくる。だから、想定外のことが起きるという前提でやっていかなきゃいけないということなので、おっしゃるとおりで、防ぎ切れると思って対応するとすれば、それはもう傲慢以外の何物でもないというふうに思います。

 そのときに、まさに、防災を諦めよう、できないんだ、だから減災なんだということがすごく言われたのは私どももよく承知をしていまして、あのときに考えを変えたのは、災害は防ぎ切れないので、とにかく人命最優先でいこうと。だから、津波であればこれは防げないけれども、津波避難ビルを造って、人間は必ず駆け上がって全員助かる状態にした上で、ただ、家や車や財産はもう諦めようじゃないか、人命さえ救えればそれでよしとするというふうに、大分考えが変わってはきたんですね。

 ただ、そんな中ですけれども、防災という用語は、これは災害対策基本法において「災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ること」と定義されておりまして、災害の予防、応急対策、復旧復興まで幅広く含まれて、また、用語としては広く一般にも浸透しているというふうに考えております。

 加えて、省庁の名称については、一応、所掌する事務の内容を端的に表すことが望ましいと考えておりまして、危機管理庁とやっちゃうと、自然災害に限られない事件、事故、テロなどを含む危機管理事態全般を所掌し、かつ、ちょっと復旧復興フェーズが含まれないかのような印象を与えかねないという感じがいたします。危機管理庁だと、ちょっと復旧復興までは読めないかなと。

 その点で、防災庁という名称は分かりやすく、かつ、災害対応全般の事務を所掌することを想起させることができると考えておりまして、防災庁の設置は主に自然災害に対応するために事前防災を徹底することを狙いとして検討しているものであるため、現時点においては、この名称で設置に向けた検討を進めるのが一番いいかなというふうに考えております。

 いずれにしても、様々な御意見、委員の御指摘などを踏まえながら、具体的な組織の在り方について検討を進めてまいりたいと思います。

市村委員 感謝いたします。

 それで、能登半島の震災でもそうだったんですが、これはやはり、地域によって災害というのは非常に異なる事態が発生するということで、今回、特に一番被害があったのが半島の突端の地域での災害ということで、道も限られていたということでありました。

 そのときに、いつも、自衛隊、もちろん地元のまずは警察、消防、先ほど消防団の御活躍の話もあって、本当に必死な皆さんの活躍がある、そこにやはり自衛隊の皆さんにも御活躍をいただくということなんですが、やはり、昨今、自衛隊、もっと早く行け、もっと早く行け、何で早く行けないんだというようなことも、ちょうど今回の担当地域が、中部方面総監、二府十九県を担当しているのが中部方面総監、私の地元にそのヘッドクオーターがありますけれども、そのところに、もっと早く行け、もっと早く行けという話だった、どうなっているんだ、どうなっているんだという話があったように思うんですね。

 しかし、なかなか、そんな簡単に把握はできない。かつ、被災地に一気に人が集中してしまうと、道路が寸断されているときに行くと、余計に、二次被害みたいな感じが起こるんですね。救急車両が通れなくなって、救える命も救えなくなる。そういうことも含めて、防災庁なり何らかの担当省庁ができることが大切なんですね。

 ちょっと自衛隊の皆さんに、短く、今回あったことについて、簡潔にお話しいただければと思います。

小野政府参考人 お答えします。

 本年一月一日十六時十分に発生しました能登半島地震におきまして、自衛隊は、発災後直ちに航空機を発進させ、被害状況の把握に努めました。

 また、現地に航空自衛隊の輪島分屯基地がございますけれども、こちらの基地そのものも被災している中で、発災後一時間で約千人の被災者を基地内に保護するとともに、隊員を派遣し、倒壊家屋からの生存者の救助を行いました。

 また、今委員御指摘にありましたように、能登半島の半島部において、道路網が寸断され陸上からのアクセスが非常に困難であり、港の被災によりまして海上自衛隊の艦艇も接岸できないというこうした状況の中で、自衛隊の航空機を集中運用するとともに、海上自衛隊の艦艇を洋上の拠点として活用することによりまして、人命捜索や孤立住民の救助等を行いました。

 また、こうした自衛隊単独の活動に加えまして、被災者の人命に直結し、一定の時間的猶予もないというこうした状況の中で、警察、消防のレスキュー要員等、これを自衛隊の艦船、航空機で被災地へ輸送する等を行うなど、関係機関とも連携をし、一人でも多くの命が助かるよう手段を尽くしたところであります。

市村委員 ありがとうございます。

 最後に、坂井大臣。

 坂井大臣は、前も災害対策特別委員会で御一緒だった、筆頭理事もされていましたが、今大臣をやられていて、私は適任者だと思います。坂井大臣には是非とも、復興についても、創造的復興という形で、やはり元に戻すんじゃなくて、例えば、私は三陸沖に防潮堤をぼんと造るのはいかがなものかと言ったときに、坂井大臣も賛同してくれたような気がします。だから、そういうことじゃなくて、やはり能登半島の災害も是非とも創造的復興を果たしていただきたいなと思うんですね、元に戻せばいいというものじゃなくて。

 ですから、そういうことが分かる大臣だと私は思っておりますので、大変期待をいたしておりますので、ちょっと大臣のお志を聞かせていただければと思います。

坂井国務大臣 一番難しいのが、創造的復興、復興ということかと思います。まずは、何が復興か、どういう状況が復興かということもなかなか難しいし、多くの、要は被災住民の皆さんの意識も一つではないという中で、しかし、以前よりもよくなった部分が必ずあって、そして、それが多くの方の張り合いであるとか生きがいであるとか、それから、そこで自分のやりたいことができるという環境を実感できるとか、そういった状況にその地域をしていくということが必要かと思いますが、これが一番難しい点だと思っております。

 ですので、役所を挙げていろいろな方々のお話をお伺いをしながら、そして今、被災地ばかりではなくて、やはり、関係人口といったような、二地域居住であるとか、ふるさと住民登録であるとか、そういった、その地域だけではなくて、周りの方々の応援団をつくって、応援団も巻き込んで、様々な、お金であったり、知恵であったり、人脈であったり、技術であったり、情報を活用することによっていかに復興できるかということを、あちこちで今努力しておりますので、同じような形で努力していただけるような環境をつくっていければと思っております。

市村委員 では、委員長、終わります。

 感謝いたします。ありがとうございました。

金子委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いいたします。

 まず、能登半島地震に関して質問を行います。

 発災から一年を迎えようとする中、ちょうど、質問通告で、法テラスの被災者法律相談支援、これが十二月三十一日で終了するということで、是非この支援を、引き続き必要でありますので、継続してほしいということを質問通告しておりましたら、ちょうど金曜日、閣議でこの延長が決定されたということでありますが、是非、どのような内容になったのかをお示しいただければと思います。

松井政府参考人 お答え申し上げます。

 本年十二月二十日、いわゆる令和六年奥能登豪雨による災害について、委員御指摘のとおり、総合法律支援法に基づく被災者法律相談援助を行うための政令が閣議決定されました。

 この政令は、令和六年能登半島地震により激甚な被害を受けた奥能登地域において更に豪雨災害が発生したことに鑑み、制定することとしたものです。この政令の施行日以後、令和七年九月十九日までの間、法テラスにおいて、奥能登豪雨の被災者に対し、資力を問わない無料法律相談を行っていくこととなります。

田中(健)委員 これは各会派からも様々な要望が出ておりまして、対応していただいたことに感謝をいたします。

 まだまだ、復旧、皆さんのお力添えをいただいておりますが、遅れておるところもあります。避難所で避難生活を余儀なくされておる方もいますし、また、九月の豪雨災害により、住宅や仮設住宅までも浸水被害を受け、生活や住宅再建の入口に至るまでもまだ時間がかかる方もいます。是非、この法テラスの無料相談を活用して、それを促すことで、弁護士等の専門家による助言や紛争解決の支援が進むことを更に後押しをしていただきたいと思います。

 また、今回、被災者生活再建支援法の改正法案、これを、立憲さん、そして維新さん、国民の三党会派共同で提出をいたしました。近藤先生にはいろいろとお骨折りいただきまして、ありがとうございます。基礎支援金を二倍とし、半壊世帯の枠を拡大するものでもあります。昨今の物価高騰により被災地の復興の環境が厳しさを増す中、生活再建の呼び水になることを期待しております。これからの再建に是非必要なものでありますので、今後の災害への備えとしても、是非、与野党の皆で、また常会での議論となるかと思いますが、実現をお願いをしたいと思っています。

 その中で、来年度の住宅に関してですが、四号特例が縮小されるということです。これは、新築のみならず、大規模修繕工事にも適用されるため、能登半島の復旧工事にも影響が出るものと思われます。大地震による住宅倒壊を避ける目的もあり、この法律自体は私は必要なものかなと思っておりますが、まだまだ知らない方が多いということであります。一般の方にも周知をしていく必要があるかと思いますが、この周知徹底の取組について伺います。

宿本政府参考人 建築基準法における、いわゆる四号特例の縮小についての御質問にお答えをいたします。

 令和四年六月に改正をされました建築基準法におきまして、建築確認検査の審査省略制度、いわゆる四号特例の対象となる建築物の規模などを見直すこととなっており、令和七年四月から施行されることとなってございます。これによりまして、木造二階建ての戸建て住宅において、屋根の過半を改修するような、いわゆる大規模の修繕に該当する工事を実施する場合などにおきましては、新たに建築確認の手続が必要となってまいります。

 国土交通省といたしましては、改正内容についての周知チラシを作成いたしまして、住宅リフォーム事業者などに広く配布をした上で、建築主、いわゆる施主の方との相談の際に御周知をいただくようお願いをしているところでございます。また、大規模の修繕などに該当するか否かを判断しやすくするための実例集の作成を行うとともに、大規模の修繕などに特化をいたしました関係事業者向けの説明会を開催をしてまいります。

 引き続き、改正法の円滑な施行に向けまして、関係団体とも連携をしながら周知徹底を図ってまいります。

田中(健)委員 四月からの適用ということでありますが、計画を立てる場合は、もう今から計画に盛り込んでいかなきゃなりませんので、是非、説明会も、また周知徹底もしていただけるということなので、お願いをしたいと思います。

 引き続きまして、地震係数の見直しについて伺います。

 私は、今年二月の予算委員会で、この地震地域係数について見直しが必要ではないかと取り上げました。言うまでもなく、これは、東京や大阪など、リスクが大きいとして、一般的には係数は一・〇となっておりますが、例えば、新潟や広島県などは〇・九、福岡、長崎などは〇・八とされておりまして、構造計算時にそれぞれ強度を一割また二割下げることができて、一般的には建築コストが低くなります。

 二〇一六年の熊本地震、また一八年の北海道地震、これは震度七が観測されましたが、この地域はいずれも〇・九でありました。今回も、震度七を観測した能登半島地震が発生したエリアも係数は〇・九であります。

 今回、能登半島地震における建築物構造の被害の原因分析を行う有識者会議が行われまして、ちょうど十一月一日に、この有識者委員会の中でも再検討の必要性というのが提言をされました。地域別の係数の見直しについて、今どのような検討がされているのか伺います。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 先ほど委員御指摘のとおり、国交省の方で、令和六年能登半島地震を受けまして、建築物の構造の専門家などで構成をいたします有識者会議を設置をさせていただき、本年十一月に中間取りまとめを公表させていただいたところでございます。

 この中間取りまとめによりますれば、今回の地震におきまして、現行基準に基づき、地震地域係数を用いて構造計算された建築物の倒壊被害は、地震地域係数が〇・九の地域におきましても確認をされていないということでございます。すなわち、地震地域係数を要因とした建築物の倒壊被害は確認をされていないということとなります。

 他方で、中間取りまとめにおきましては、今ほど委員御指摘いただいておりますとおり、地震地域係数が一・〇未満の地域におきましても大きな地震動が頻発をしていること、また、建築物の最低の基準を定めるという建築基準法の趣旨等を踏まえまして、この地震地域係数を用いた基準の在り方について検討を行うこととされているところでございます。

 そこで、御指摘の点でございますけれども、国土交通省におきまして、この中間取りまとめを踏まえまして、今後、有識者の御意見も伺いながら、地震地域係数の在り方について検討を行ってまいりたい、このように考えております。

田中(健)委員 被害がなかったことはよかったことではあるんですけれども、これは、熊本のときも同じように、このような被害状況の原因分析の中で、この係数でも大丈夫であったということで、見直しがそのままになってしまったんですが。

 私、近年の地震はやはり大規模化していますし、また頻発化を考えると、どこで起きてもおかしくない、日本中、この地域は起きやすいとか起きやすくないというのはもう言えない状況にあると思っていますし、さらに、この地震強度を、差があるということは、これは直接的な地震の確率論ではないんですけれども、しかし、やはり政府としてのメッセージとしてミスリードを国民に与えてしまうんじゃないかという思いがあります。また、防災意識を高めるという意味でも、これは醸成の妨げにもならないかという視点での危惧もありますが、この点については、副大臣、こういった考えについて、もしも御見解があれば伺いたいんですが、いかがでしょうか。

国定大臣政務官 今ほど委員の方から御指摘をいただいた点もあろうかと思います。他方で、建築基準法そのものは建造物に対するいわば制限をかけていく法律になりますので、私権に対するある程度の制約をかけていくということも他方で併せて考えていかなければいけないというふうに承知をしているところでございます。

 こういった点を踏まえながら、先ほども答弁申し上げたとおり、今後、改めて有識者の先生方にお集まりをいただいて、しっかりと冷静な環境の中で意見を拝聴してまいりたい、このように考えております。

田中(健)委員 地震の防災に対しては、やはり耐震化というのは必要でありまして、それには、今言った建築基準法等の工学の見地も必要でありますが、一方で、地震学の、揺れがどうなるかというようなこともあって、私、この地震学と耐震の工学の連携というのが余りうまく進んでいないんじゃないかというか、両方の観点でこれから考えていかなきゃならないと思っておりますので、是非、これから検討するということですが、早めにこの検討結果をお示しいただきまして、どこで起きてもおかしくないというやはりメッセージを国から国民に発信をしていただきたいと思います。

 引き続きまして、先ほど市村委員からもありましたが、火山の噴火についてもお聞きをしたいと思います。

 御嶽山噴火から十年がたちました。六十三人の死者・行方不明者を出し、戦後最悪の火山災害となりました。この間、気象庁は、この教訓を生かして、全国五十か所の全国常時観測火山で対策を強化をしてまいりました。

 火山噴火予測に関しては、噴火のタイミング、難しいと言われておりますが、この十年でどのように進んできたのか、まず伺います。

森(隆)政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、平成二十六年の御嶽山噴火災害を受け、火口周辺の観測施設の増強、火山監視・警報センターの設置、火山担当職員の増員など、火山の観測監視体制の強化を実施してまいりました。これらの取組により、例えば火口周辺の微小な地震活動など、従来よりも火山活動の細かな変化を捉えられる事例が出てきましたが、このような現象が必ず噴火に結びつくとは限らず、噴火のタイミングを正確に把握することは難しい状況にございます。

 観測された火山活動の変化を基に、噴火の発生を含め、どの程度火山活動が高まっているかの評価につなげるためには、各火山についてデータの蓄積が重要と考えており、気象庁では、今後も火山観測データを蓄積し、より適切な火山活動評価ができるよう努めてまいります。

田中(健)委員 観測においては、衛星等を活用したリモートセンシング、こういった分野の火山監視強化も必要だといった提言も出ておりますので、是非、更なる対策を求めたいと思います。

 その中で、これまでばらばらに行われてきた研究を一元的に統括する火山調査研究推進本部が、本年、文科省に設置をされました。その下部組織であります火山調査委員会は、九月二十五日、日本国内に百十一ある火山について、火山本部として初めての評価案を公表をいたしました。中身の詳細と、そして、今後それをどのように地方自治体やまた経済団体の皆さんに周知をして対策を進めていこうと考えているのか、伺います。

橋爪政府参考人 お答え申し上げます。

 本年九月二十五日に開催した第三回火山調査委員会におきまして、火山本部設立後初めてとなる全国百十一の活火山の現状の評価を行いました。これは、関係行政機関、研究機関、大学の観測結果などに基づいて、各火山について火山活動の活発化の見通しや噴火の発生状況などを取りまとめたものでございます。

 また、最近一年間に噴火した火山及び火山活動に変化が見られる火山のうち、観測データや調査研究等の更なる充実等の検討が必要な八つの火山を重点評価火山として選定をいたしました。

 本年十月十日には、活火山を有する都道県の火山防災担当者などを対象とします説明会を開催させていただきまして、火山本部で取りまとめた評価結果について御説明をしたところでございます。

 今後とも、火山本部での評価の内容などについて、関係地方公共団体に丁寧に御説明を行い、活動火山対策の強化に資するよう努めてまいります。

田中(健)委員 八火山について指定がされ、またそれについての調査が発表されましたけれども、この八つの火山以外も、噴火の可能性というのはどこも高いと言われておりますので、是非それ以外の火山にも周知を進めていただきたいと思います。

 そして、その八火山の中に、一つ、今回選ばれなかった富士山ですが、これは静観ということで評価され、動きがないということでありますが、富士山の噴火については、先ほど詳しく御説明がございましたが、様々な社会経済活動の麻痺ということにつながり、大きな被害を生むと想定されています。

 それを受けて、気象庁は、広範囲や長時間の降灰を予測する広域の降灰予報を導入することを検討をされており、その前提となる調査が今政府で行われているということを聞きました。年内にも、富士山の大規模噴火で首都圏に灰が降った場合に備え、住民の安全確保策や火山灰の処分方法を明記した指針を策定するということでありますが、これについて伺います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 富士山噴火に伴う降灰につきましては、首都圏を含む広範囲に及ぶ可能性がありますことから、令和二年に、大規模噴火時の広域降灰に関する影響について、富士山噴火をモデルケースとした報告書がまとめられるとともに、本年七月より、首都圏における広域降灰対策検討会を開催をしているところでございます。

 本検討会では、降灰厚に応じた住民の安全確保策、早めの防災対応を可能とするための広域降灰の予測、また状況把握、物資供給やライフラインの復旧、維持のための方策、火山灰の処理等に関しまして、具体的な対策の考え方等をガイドラインとして取りまとめたいと考えております。

 引き続き、関係省庁、地方公共団体、また民間事業者等と連携いたしまして、広域降灰対策について検討を進めてまいりたいと考えております。

田中(健)委員 是非、早くこれは進めていただきたいと思います。これが進まないと、次の広域降灰の予報にもつながりませんし、今ガイドラインを作るということで、自治体としては、これを受けてそれぞれ対策を進めていくと思いますので、早急な取組を求めたいと思います。

 引き続きまして、今度は変わりまして、予防伐採について伺いたいと思います。

 今年も多くの台風が日本を襲いました。五年前の房総半島の台風では、電柱二千本が損壊し、破損し、そのうち、倒木や建物の倒壊による被害が七割を占めました。私有林の樹木はもちろん所有者に管理責任がありますが、現在、所有者の高齢化や転出などで、管理ができない樹木がますます増えています。

 停電対応の強化と題しまして、経済産業省が樹木の事前伐採の取組を推進をしてきましたが、費用負担や役割分担の課題が長らく言われております。自治体と電力会社等が連携して取り組んでいる中で、そんな中で、林野庁が森林整備事業を活用する例で対応をしていることも聞きましたが、これは、伐採後に植栽が求められたり、使い勝手が悪いということを自治体から聞いていますし、また、これは農地や民家周辺では適用できないといった制約も多いと聞いております。

 是非、使いやすいメニューを考えていただきまして、更にこの事前伐採を進めていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

笹川副大臣 御質問ありがとうございました。

 今委員が御指摘をいただきました令和元年台風十五号、千葉県の房総半島に襲来し、結果的には、社会インフラに対する大きな影響、課題が浮き彫りになったというふうに思っております。

 特に、インフラ施設周辺の森林を改良し、森林としての機能を維持しながら、インフラ施設への被害を未然に防止するという取組を、重要インフラ施設周辺森林整備をそのときに創設をしたということでありますので、現在、十四の道府県で活用していただいております。

 ただ、本事業は、あくまでも、鉄道ですとか道路ですとか送配電線とか、いわゆる地域住民の皆さんに多大な影響を与えるということがあるということの中で、重要な生活基盤の関連施設周辺の森林を対象としており、いわゆる森林整備の一環として行う事業というふうにお考えいただいて、いずれにいたしましても、斜面の保全とかになると、やはり植栽もしていかなきゃならないということでございますので、御理解をいただければ幸いでございます。

田中(健)委員 確かにおっしゃるとおりです。これは森林整備の事業であり、あくまで森林整備ということでありますので、これを主とするわけではないんですが、伐採後十年は森林として管理する必要があるため、例えば、太陽光を、用地転用を検討する所有者は伐採の承諾が得られないとか、いろいろな例も挙げられています。是非、森林整備ということはもちろんなんですけれども、使いやすい方法を考えていただきたいと思います。

 そして、根本的に、この予防伐採についてなんですが、経産省は、電気事業法に基づく伐採、二メートルの範囲で電力会社が伐採しているわけですけれども、あくまでこれは風などの、電線が触れないような保安のためでありまして、そして今、林野庁においても、あくまで森林整備だということでありまして、やはり、これは予防という意味では、是非、政府全体で取り組む必要があるのではないかと思っております。

 現在、総務省が各地の自治体の実態調査も行っているということですが、国が、やはり広域的に課題を整理し、財源を確保していくべきと考えますし、そして、これは事前防災として一元的に、今後できる防災庁が取り組むテーマではないかなとも思っておりますが、大臣の見解を伺いたいと思います。

赤澤国務大臣 大変重要な田中委員の御指摘だと思います。

 我々、今年の四月から、新総合防災情報システムとか、デジタル防災といったようなことを全力で取り組んでやっております。全省庁の情報を共有するとか、都道府県、市町村、指定公共機関、共有するとか、つくり上げているんですが、御指摘のとおりで、電力と通信いずれかが落ちますと全て使えなくなるということで、本当に本質的な御指摘だと思っています。

 日常生活や経済活動はもちろんのこと、災害時において電力の確保は本当に必要不可欠でありまして、災害の影響をできるだけ軽減するために、事前防災として樹木の予防伐採を進めることは重要な観点であると思っております。

 ただ、その上で、災害等により、電気の安定供給を図るため、令和二年の電気事業法改正による、一般送配電事業者が共同して作成することになった災害時連携計画、これについては、御指摘のとおり、送配電線の断線等のおそれのある樹木の事前伐採に関する協定を自治体との間で締結するなど取組を進めてもらい、また、これも委員御指摘ですけれども、農林水産省において、重要インフラ施設への倒木被害の未然防止につながる自治体等による森林整備に係る支援を実施しているものと承知しています。

 その上で、一元的に防災庁でやるべきではないかというあれだったんですが、役所の性格として、防災庁は防災業務の企画立案に係る総合調整を担うという性格づけになっております。その上で、個別の施策を実施する各省庁、関係機関が一体となった災害対策を一層効果的、効率的に実施できる体制整備を進めてまいりたいということで、委員がおっしゃる意味が、個別の施策を実施するという意味で防災庁がもう一元的にやれという意味だと、ちょっと我々考えている役所の性格として難しいのですが、事前防災の非常に重要な、御指摘のとおりのポイントでありますので、総合調整機能としての防災庁が、今おっしゃったような電気事業法による経産省の取組、あるいは農水省の取組で足りない部分はないかということを真剣に考え抜いていくということは全く御指摘のとおりで、これはやっていかないと、いざというときに電気が落ちたり、通信ができなくなったり、これはもう本当に大きな事態になるというふうに思っています。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 問題意識を共有していただいたと思っております。予防や事前防災というこれからの国の取組に是非力を入れていただきたいと思います。

 済みません、南海トラフ地震についても質問します。

 今年の八月八日、初めて南海トラフ地震の臨時情報が発生をされました。大変に私も皆さんも、困惑したり、いろいろな影響がありました。今回調査が行われまして、都道府県でも五割、市町村二割で、なかなか十分に認知していなかったという結果が出ています。

 これについて、まず、そもそも今回のこの臨時情報がどうだったかということで、大臣の見解を伺いたいと思います。

坂井国務大臣 南海トラフ地震臨時情報は、確度の高い地震の予測が困難な現状におきまして、続けて発生する可能性のある大規模地震からの被害を少しでも軽減をするために発表される情報であります。

 今般の臨時情報発表に伴い、各主体における情報の受け止めや取るべき防災対応について戸惑いが見られたということから、有識者によるワーキンググループにおいても検証いたしました。平時からの周知、広報の強化、臨時情報発表時の呼びかけの充実、各主体における防災対応検討の推進の改善方策を取りまとめたところでございます。

 委員御指摘の周知、広報につきましては、地震発生のリスクや防災対応に関する平時との違いを明確に示すことに重点を置いた周知、広報の強化というものを今まで以上に取り組んでまいりたいと思っております。

田中(健)委員 最後に、その中で、イベントの中止というのが具体的に影響がありました。この判断については自治体が求めていた統一基準を示さなかったということですが、これはどのような考えによるものなのか、最後に伺います。

坂井国務大臣 南海トラフ地震の対象地域、要は、対策を取るべくと言われる対象地域は大変広いものでございますし、それぞれの地域地域におきましてそれぞれ事情が異なるということでございますから、元々、具体的な行動は各主体の実情に応じて自ら考えて事前に決めていただきたいということで整理をいたしたところでございます。

 今後に関しましても、それぞれの各主体ができる限り考えていく素材といったようなものを、例えば、どこの取組がこうなっているという好事例でありますとか、その他の実例でありますとか、またガイドラインの改定といったものなどは行ってまいりますが、基本的には各主体で計画の見直しや検討等促進をしていただきたいと思っておりますので、こういった方向で進めていきたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございました。

 赤松政務官、済みません、お越しをいただいたのに時間がなくて、失礼いたしました。

 終わります。

金子委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 十一月の十九日、私は衆議院の予算委員会理事会の一員として、被災地の視察に行ってまいりました。それまでも、地震発災直後の一月、そして三月に被災地に足を運び、NGO時代から、私自身、国内外の様々な災害の現場を経験してきましたけれども、その私から見ても、能登半島の地震の規模、これは衝撃的な規模であり、大変な災害、そして、被災地の状況はいまだに復旧のめども立たないという状況、今も確認しております。しかも、九月の豪雨との二重の災害です。

 また、れいわ新選組の代表である山本太郎参議院議員も、この一年間にわたって何度も何度も被災地に足を運んで、しかも、被災者の方々だけでなく、民間の事業者や災害NPO、そして福祉事業者の皆さんなど、様々な方面の方に聞き取りを重ねてまいりました。

 そうした中において、私にとっては十一月の被災地の訪問であったわけですけれども、ほとんど変わっていないどころか、九月の豪雨災害によって更にひどくなっている、こういった状況が多々見受けられました。特に土砂撤去と流木の撤去、これは雪が降る前に急務であることは誰の目にも明らかでした。

 今のままでは、地震と豪雨の災害、それに加えて政治の無策という三重苦に被災者は苦しめられかねません。何としてもそれを防がなければいけない。せめて自衛隊の民有地での土砂撤去、これを是非とも私からもお願いしたい、この問題意識で今日は質問をさせていただきます。

 十一月十九日の視察のときに、石川県の馳知事は次のように述べられておりました。宅内の土砂を出してあげないとこの冬を前にして生活ができない、今、実は内々に、できたら自衛隊をお願いできないかと申し上げています、当然、自衛隊の場合は公共性、緊急性、非代替性という原則があるのは存じておりますが、八方手を尽くしたけれども冬を前にして大変な状況になっている、こうおっしゃっているんです。これは、堆積した土砂撤去を省庁一体でお願いしたいという要望の中でのお話でした。そして、その二日後、資料一のように、こちらですね、知事は会見でもこのことをお話しされています。

 一方、十二月十六日の参議院予算委員会で、土砂撤去に対する自衛隊の出動を求めた我が党の山本太郎代表の質問に対して、坂井大臣はこう答弁されました。以前その問題があったときに馳知事から携帯で電話があり、自衛隊に確認したら、出動の三要件に当たらないという回答だった。ところが、同じ予算委員会で石破総理は、要請がなかったと繰り返し述べています。防衛大臣も同じ。どうも理解ができないんです。

 まず、防衛省にお聞きします。

 これまで自衛隊に対して災害派遣の要請があった場合で、一件でも断った事例はありますか。あるかないか、簡潔にお答えください。

金子大臣政務官 お答えします。

 都道府県知事から自衛隊法に基づく災害派遣要請がなされた場合は、緊急性、公共性、非代替性の三要件を総合的に勘案して部隊等の派遣を検討することになります。

 今般、直近十年間の文書を確認した限りにおいては、自衛隊が当該要請を断った事例は確認できておりません。

櫛渕委員 十年間、少なくとも十年間の間は全部受けているんですよ。

 しかし、今回は、最初は知事が要請する意向で防災大臣に相談した結果、三要件に当てはまらないという形で、要請しないことになったわけです。つまり、実質断った。言ってみれば、非公式な形で前さばきが行われていたんじゃないですか。

 坂井防災大臣への相談の経緯についてお伺いいたします。

 大臣、相談があった、以前というのはいつのことですか。また、自衛隊に確認したのはいつどのような形であったんでしょうか。携帯での相談内容、それと結果について、当然記録はありますよね。

坂井国務大臣 携帯電話の記録を見ますと、馳知事から御連絡をいただいたのは十一月の二十二日だと思われます。

 そこの中でどういう相談をいただいたかというと、当時は四百二十一件、宅内に土砂が残っていて、土砂撤去を年内に終わらせたい、とにかく何とか終わらせたいから力をかしてほしいという趣旨でありまして、要は、まずはボランティアの皆さんにお願いをしたいけれども、そこが今まだ足りないようだ、それから、建設業者の皆様方にもいわば仕事としてお願いをしたいと思っているけれども、それも足りないようだ、それぞれが足りないということになれば自衛隊ということも考えなければいけない、こういう趣旨でありました。

櫛渕委員 大臣、知事の方に、自衛隊に確認したけれども三要件には当たらないというふうに回答したのはいつですか。

坂井国務大臣 その電話を聞いて、要請を聞いて、その日のうちに私は、自衛隊の、防衛省の幹部の方にお電話をしたところ、今の段階では三要件に当たらないという認識だという認識をいただきました。

 その後、内閣府防災の担当者にお話を聞いたところ、各省連携をしたスキームがあって、そこで各省連携をしてこの問題には対処する、いわば実務者チームができているということでございましたので、その実務者チームで相談をしていただいた結果、基本的には、ボランティアの皆さんへの呼びかけの強化と建設業者の皆様方の御協力をいただくことで、年内の土砂撤去というものが見通しがつくということになりましたので、馳知事にはその日のうちにこれはお戻しをしたと覚えております。

櫛渕委員 事は自衛隊の三要件に当たるかどうか、こうした自衛隊の要請に関わる大変重要な事項です。これは記録があるかないかお答えになっておりませんが、あるんだったら出していただきたいんですが、委員長、お取り計らい、お願いします。

坂井国務大臣 済みません、記録はしておりません。

櫛渕委員 そういう非公式で行われると、何が何だかうやむやになりがちなところは厳しく指摘をしておきたいと思います。

 そして、自衛隊の出動要請に関わる事項ですから、やはりこのような非公式な形で、幾らその実務者協議で、二十一日、二十二日のうちに、簡単にころっと知事の意向が、あれだけ強い、八方手を尽くしたという状況が変わるはず、私は基本的にないと思うんですね。

 防衛省にお聞きいたします。

 政務官、参議院の予算委員会では、防衛省統合幕僚本部の小野統括官がこう答えています。石川県と防衛省を始め、各省の連携で緊密に連携しているが、正式な要請はない。正式な要請がないということは、正式ではない要請はあったということですよね。

 そして、このときの坂井大臣の答弁は、出動の三要件に当たらないと回答だったということまでおっしゃっています。いつ、誰が、どういう法的根拠に基づいて判断されたんですか。お答えください。

金子大臣政務官 お答えいたします。

 十二月十六日の参議院予算委員会におきまして、山本議員からの質問に対し、防衛省の政府参考人から御答弁申し上げたとおり、石川県知事からの正式の御要請というのはいただいておりません。

 また、十二月三日の石川県議会におきましても、石川県知事から、宅地内からの泥出し等について、緊急性のある被災者の方の要請には年内に対応できる見込みとなった旨の発言があったと承知をしております。

 いずれにいたしましても、知事から災害派遣要請を受ける場合は、自衛隊法施行令で定める要請手続にのっとり、災害派遣を要請する事由、派遣を希望する期間や区域、活動内容等を明らかにした文書をいただく必要があるというふうに承知をしております。

櫛渕委員 よく分からないんですよね。

 先ほど大臣は、省庁の中での実務者チームで、ボランティアによる、呼びかけをするとお決めになったからということが理由のようにおっしゃったんですよ。それであれば……(坂井国務大臣「それと建設業者」と呼ぶ)まだお話ししています。建設業者もということですが、しかし今、防衛省の方のお答えは、要請はあったけれども、県議会で、要請しなくてもいい、済むみたいなことで、要請はなかったみたいな答えで、おかしいですよね。

 そもそも、大臣が三要件がなかったと回答したときの、防衛省の三要件には当たらないという判断は誰がしたんですか。いつしたんですか。そしてその内容を教えてください。理由を教えていただきたい。

金子大臣政務官 正式に要請をいただいていないというふうなことは先ほど申し上げましたけれども、自衛隊法施行令で定める要請手続にのっとり災害派遣を決めていくというふうなところでございますけれども、これに関しましては、文書による正式な要請が必要というようなことで認識をしております。

坂井国務大臣 派遣要請、派遣要請とおっしゃいますが、馳知事御本人も、私の電話は派遣要請をしたつもりは全くないとおっしゃっております。

 つまり、知事とは現場のお話で、いろいろな案件で、いろいろな状況で、こうだああだという話をやり取りをしながら、現場が一番いい形になるように常にやり取りを行っている、そういった中で、一番のあれは、四百二十一件、宅内に残っている土砂を年内にはそれを撤去したいというのが彼の相談事であって、自衛隊を出してくれと言っているわけでは、それだけを言っているわけではなくて、その前にやりようがある、初めはボランティアだ、そして次は建設業者だ、この二つが駄目な場合は自衛隊という案があるのではないか、ある意味そういう趣旨だったと認識をしておりまして。

 ボランティアに要請を強化をし、そして建設業者さんにも国交省から含めてお願いをさせていただくことによって、結果として、四百二十一件の宅内撤去が年内に実施されることが見えてきたということでございまして、いっときは二十七日には終わるということで、NHKでも放送がありましたけれども、今ではちょっと雪が降るので少し遅れるかもしれないけれども、基本的には年内で終わる予定だ。こういう状況になったので、馳知事も石川の県議会で、この件に関しては大丈夫だという趣旨の発言をしたと思っております。

櫛渕委員 ちょっと話が混乱するので、もう一回戻します。

 政務官には、三要件には当たらないというふうに、少なくとも大臣には回答しているんですから、その稟議書等々、あるはずですよね。そこまでの重要な判断、三要件に当たらないと言っているんですから。それを是非出していただきたい。

 委員長、お取り計らい、お願いします。

金子委員長 はい。

櫛渕委員 そして、今の坂井大臣の御回答ですけれども、じゃ、防災大臣として、ボランティアが年内に問題解決できるという調査は行ったんですか。私自身も現地に確認をいたしました。余りにそんなことがあるのかと驚いたからです。そうすると、知事も、ボランティア人数が増えたから年内に対応できる見込みなどと発表されていますけれども、しかし現地は、当初見積もった人数の申込みが数字上来ていても、日本海の冬は、大荒れる天候が多くて、今でさえ災害ボランティアの活動自体が休止になる日が多々発生している、こう言っています。

 また、資料三のように、ボランティアが活動できない地区では堆積箇所が九百件も残っているんです。パネルでも御覧ください。そして、資料四の方でも、石川県の重点要望事項に、「建設業者やボランティアによる対応が困難な場所が多数ある」とも書かれていますよね。

 こうした状況があるにもかかわらず、さらに、土砂撤去だけではないです、屋根へのブルーシートなど、専門技術を必要とする災害NPOの支援は全然追いつかず、来年六月まで残ると決めた団体もあると聞いています。五年前の千葉の豪雨災害では、ブルーシートの部隊、自衛隊から二千名増員されて派遣されているんですよ。どうしてこういう対応ができないんですか。

 是非、これはもう公助で能登の被災者を救ってほしいんですよ。共助に頼るとか、ましてや自助ではとても無理な規模だということを大臣として、そして防衛省も御認識いただきたい。是非もう一度、ボランティアというような、建設業者というような、非代替性がないというようなもし判断があったんだとすれば、県の方ともう一度しっかり協議をして、検討だけでもしていただきたいと思いますが、いかがですか。最後、お答えください。

坂井国務大臣 石川県といろいろ相談をさせていただきたいと思いますが、ただ、今朝の段階におきましても、年内に土砂の撤去をしてほしいという要請のあった家屋に関しては、年内に全て作業が終わる予定であるという報告を受けているところでございますので、結果として、それはお約束どおりというか、見込みどおり、間に合ったという結果なのだろうと思っております。

 どちらにしても、様々、石川県と御相談をさせていただく中で、また判断をしていきたいと思います。

櫛渕委員 時間が来てしまいましたが、最後に、赤澤大臣に一つだけお伺いします。

 このような状況を克服するために私は防災庁ができるんだというふうに認識をしています。一点、防災庁ができた場合には、そのトップが、こうした自衛隊の派遣要請、受ける側になりますか。そしてもう一つ、ボランティア、ボランティアと言いますけれども、官民連携等々が言われていますが、ボランティアなどに対する調査、これを、防災庁の設置準備室ではあったとしても、これだけの非常事態を今能登半島で抱えているわけですから、ボランティアや民間事業者の責任にしないよう、是非調査をしていただきたい。お願いします。お答えください。

金子委員長 赤澤大臣、申合せの時間が終わっておりますので、手短にお願いします。

赤澤国務大臣 はい。

 簡潔に申し上げますが、自衛隊は我が国の最高の実力組織です。比類なき存在です。だからこそ、災害派遣とはいえ、部隊が派遣されることについては極めて厳格な手続が定められており、それについては、この国会において本当に長い歴史、培ってきて、これがベストと思われるものができております。

 そういう意味で、今委員の御指摘、必ずしも通告が全部あったかとは私は分かりませんが、防災庁の方で何か派遣について手続にかむようなことを考えているかと言われれば、現時点において、大規模災害発生時における政府の災害対応の司令塔としての機能、様々な御意見、御提案を賜りながら具体的な組織の在り方について検討を進めてまいりますが、自衛隊の災害派遣の手続について、何かそれを枠組みを今変えるようなことは考えておりません。

 それから、是非委員に御理解いただきたいのは、やはり行政機関というのはかなりの権限を行使をします。国民に何か御負担をいただいたり、あるいはその利益といいますかね、国民の皆様に何かしらその権利を少し我慢していただく、いろいろなことがあり得ます。なので、行政機関の仕事については、設置法というものがあり、何をやっていいかというのがきちっと定められているわけでありまして、防災庁の設置準備担当に今既に防災庁があるかのように調査をする権限というものはございませんので、今の御指摘ではありますけれども、それについては、我々としては、役所の中できちっと設置法等で与えられているその所掌の範囲内で仕事をしていくということだけ申し上げておきたいと思います。

金子委員長 質疑を終了してください。

櫛渕委員 はい。

 来年の議論に持ち越したいと思います。ありがとうございます。

金子委員長 次に、堀川あきこ君。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。

 復興・災害特別委員会では初質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず最初に、被災地の子供たちの就学状況や、その支援についてお尋ねをしたいと思います。

 日本共産党の石川県委員会も参加をしております共同支援センターが行った被災者アンケートの中で、小学三年生の子供は地震後に一人で寝られない、夜トイレに行けない、地震後は一部屋で寝るようになった、またあるいは、仮設からの通学は車で送ることがある、娘は友人と遊ぶことがなくなってストレスがたまっている、こうした被災者の声が届けられています。

 臨時国会の開会日には、新日本婦人の会石川県本部の方々の省庁への要請の中にも、子供たち、子育て世帯への支援も含まれていました。

 震災によって、子供たちを取り巻く環境は大きく変化をしています。また、失業や休業などによって家計が急変をして、住宅再建も先が見えずに能登を離れていく子育て世帯も少なくありません。

 こうした災害が起きたときに、国としてどのような支援があるのか。経済的支援と同時にソフト面での支援も重要だというふうに思いますが、能登で実施されているものはどのようなものがあるでしょうか。お願いします。

森(孝)政府参考人 お答えを申し上げます。

 能登半島地震により被災した児童生徒への支援についてのお尋ねでございますけれども、文部科学省では、今年一月の発災後より、市や町が被災によって経済的に就学が困難になった児童生徒に対して学用品費等を支援する就学援助への国庫補助でございますとか、高等教育の修学支援新制度を通じまして、災害等により家計が急変した場合も含め、低所得世帯の学生等を対象とした給付型奨学金、授業料減免等の実施、また、被災した児童生徒に対して心のケアを行うスクールカウンセラーの追加配置などの支援を行っているところでございます。

 今後とも、文部科学省といたしましては、被災自治体と丁寧にやり取りしながら、制度の周知そして活用の推進を図り、必要な支援に努めてまいりたいと存じます。

堀川委員 先ほどお答えになった就学援助への支援ですけれども、自治体によっては、国の支援が届く前に支払っている場合もあるというふうにお聞きをしています。恐らく、自治体間によって支援のスピードが異なるのではないかと思われます。必要な支援が確実に迅速に被災者に届くように、自治体とも密に連携を取りながら実施をしていただきたいというふうに思います。

 また、セーブ・ザ・チルドレンが行った被災地の子供たちへのアンケートの中には、自分たちの声や意見も政策に反映させてほしいという声もありました。是非こうした声も受け止めていただきたいというふうに思います。

 続いての質問に移りたいと思います。

 みなし福祉避難所の災害救助法の適用に関わってお聞きをしたいと思います。

 特別養護老人ホームなどの介護施設は、この間、みなし福祉避難所として定員以上の利用者を受け入れてきました。しかし、県から早期の解消が求められ、その一方では、県外避難者を県内に戻すための受入れも要請をされている。でも定員以上の受入れは認められないというふうなことで、一体どうしたらいいんだという状況が広がっています。

 そもそも、奥能登の介護施設は、再開のめどがなかなか立たない、あるいは、施設は復旧しても職員が戻ってこれなくて、元どおりの入所者の受入れが困難だという事業者がたくさんあります。こうした実態がある下で、まず何よりも入所者の生活の安定に何が必要かを示すのが必要だと思いますが、みなし福祉避難所の解消ありきで進めるべきではないということ。

 また、災害救助法の福祉分野の適用は一月ごとの協議となっているようですけれども、入所者の安心を考えたときに、一定期間の継続とするべきではないでしょうか。あわせて、みなし福祉避難所に避難された利用者の食事代や居住費は免除されていますが、今お話ししたような、戻ろうにも戻れないというふうな事情がある中で、入居希望を出すとその利用料免除の対象外となるような対応というのは改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 能登半島地震では、高齢者等の要配慮者の方々につきまして、委員御指摘のように、県内外の高齢者施設等へ広域避難せざるを得なかった方々がいらっしゃることは承知しておるところでございます。こうした他の高齢者施設への避難、福祉避難所としての避難ということになりますので、これにつきましては、災害救助法の対象として御支援をしているところでございます。

 また、石川県におきましては、被災者の方それぞれ御事情がございます。被災地に帰還をされたいというような方、また、恒久的な受入れ施設に移りたいというような方、そうしたお一人お一人の御意向を踏まえまして、必要な施設等との調整を進められているものというふうに承知しておりますけれども、引き続き、石川県と連携しながら、被災者の皆様に寄り添って、要配慮者の方に対する支援を行っていきたいと考えております。

堀川委員 重要なのは、入所者の暮らしの安定だというふうに思います。是非、柔軟な対応を市町村と連携しながらお願いをしたいと重ねて申し上げたいというふうに思います。

 続いての質問です。住宅の再建支援についてお尋ねをしたいと思います。

 被災者生活再建支援法による支援金が最大三百万、奥能登六市町に限定をした福祉ニーズの高い被災者を支援するとして、住宅再建に最大二百万円を支給できるとした特例交付金制度がつくられました。その枠に当てはまらない部分は石川県の利子助成事業があるというふうに聞いております。

 この特例交付金の制度ですが、半壊以上の世帯の九割をカバーできるというものですが、しかし、実績は、対象がおよそ二万世帯に対して、住宅再建の活用では三百三十二件、約一・五%、そして石川県の利子助成事業については、対象がおよそ三千世帯のところ、申請が三十二件、実績が二十八件というふうに聞いております。

 この支給実績の少なさについて、どのように見ておられますでしょうか。

吉田政府参考人 お答え申し上げます。

 地域福祉推進支援臨時特例交付金につきましては、能登六市町の特性に鑑みて支給されているものでございますが、この支給実績でございますが、家財給付金が一万八百六十五件、自動車給付金が千八百二十一件、住宅再建給付金が三百三十二件となっているところでございます。

 この背景でございますけれども、住宅再建給付金の受給に当たりましては住宅補修や購入の契約書が必要であり、応急仮設住宅で生活される被災者の方等につきましては、現時点では住宅再建の段階に至っていないことなどが考えられるところでございます。

 この給付金の支給手続におきましては、被災者生活再建支援金の支給情報を活用しまして、一定の要件の下、被災者の方からの申請を求めず支給するといった取組も行っておりまして、今後とも、給付金が必要な方に適切かつ迅速に支給できるよう引き続き取り組んでまいります。

堀川委員 今なかなかそういう段階に至っていないというふうなお話があったかと思います。

 では、例えば、応急仮設住宅あるいは仮設住宅から出る時期になれば、住宅再建しようという方が増えるという状況に果たしてなってくるのかということが疑問なんです。

 先ほど御紹介した共同支援センターのアンケートからは、今から家を建てるお金も元気もない、先のことは考えられない、特に高齢の方の方が建て替えに後ろ向きの方が多い、そういう印象です。現役世代についても、収入源となる仕事にいつ戻れるのか、ここでまた家を建てて子供たちと一緒に暮らしていけるのか、見通しが持てない状況があるというふうに思います。

 こうした現状をどう住宅再建に前向きなフェーズに持っていくのかということが今問われているというふうに思うんです。この制度自体が使えないと言っているわけではないんです。もちろん、改善すべき問題、六市町に限定をするというところで公平性に問題があるということは、我が党も何度も指摘をしてきました。

 それ以外にも、例えば、住宅再建をためらう声の中に、県内の業者にも限りがある中で県外の業者に発注をする、そうしたときに、見積りを取ったときに、県外からになりますから、その分、大工さんの交通費や宿泊費などが余計にかかるわけなんです。そこの費用負担についての懸念ということもお聞きをしています。

 石川県では、宅内の水道の配管修繕工事を行った際に、地元の業者では限界がある、地元以外からの業者を手配していて、その際、かかり増しの費用、ガソリン代や宿泊代などの費用を県が補助をしています。

 こうしたきめ細かな支援を始めとして、住宅再建に前向きなフェーズに持っていくための手だてが必要ではないかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 被災地の方々が一日でも早く元の日常を取り戻していただく上で、住宅の再建を進めることは大変重要でございます。

 そのためには、まず、被災した建物の公費解体を進めることが必要かと思います。公費解体は、現状、計画を上回るペースでは実施をされておりまして、このままのペースでいけば、十二月末の中間目標、一万二千棟解体という中間目標でございますが、これは達成する見込みとなっておりますが、解体撤去の更なる加速化に取り組んでまいりたいと思います。

 また、今後の住宅の再建の本格化に向けて、御指摘の地域福祉支援臨時交付金や石川県の自宅再建利子助成事業を始め、自宅の再建を希望される方がこういった支援事業など必要な支援策にしっかりアクセスができるよう、丁寧な情報提供を行ってまいりたいと思っております。

 また、石川県におきましては、持家の再建を希望する方が具体的なイメージを持っていただけるように、様々な住宅プランを取りまとめたプラン集を作成されていると承知しております。また、大手の住宅メーカーが、例えば一千五百万円程度若しくは二千万円程度でこういう形の家が建てられますよというチラシなども制作をしている、私もそのチラシを現地で見せていただきましたけれども、こういう状況になってきておりますから、こうした取組も相まって、住宅再建に向けた機運を高めてまいりたいと思っております。

堀川委員 住宅再建に前向きなフェーズに持っていくのかというところで、やはりまず、そもそものなりわいの問題、あるいは、先ほど提案をさせていただいたきめ細かな支援というものも必要だというふうに思います。是非、引き続き議論をしていただきたいというふうに思います。

 続いての質問です。能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方についてお尋ねをします。重要なテーマだと思います。

 今回、補正にも、キッチンカーやトイレカーなど、自治体備蓄への交付金、プッシュ型支援における物資の分散備蓄などが反映されました。こうしたものが、いざ災害が起きたときに迅速に被災者にその支援が行き渡る現場の体制というものが物すごく重要だというふうに思います。

 支援物資は届いているのに、配給する人員や避難所に配置する職員が不足しているということが今回の能登半島地震でも起きていました。そういう現場の体制はどのように担保されているのでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 能登半島地震の経験、教訓を踏まえた災害対応の在り方につきましては、中央防災会議の検討ワーキンググループで御議論を行っていただきまして、先月、報告書がまとめられたところでございます。

 災害応急対応や応援体制、また被災者支援の強化に向けた様々な取組についてお取りまとめいただいたところでございますけれども、自治体がこれらの取組を確実に実施できるように、例えば、避難所環境の改善に向けて、新地方創生交付金を活用した、避難所等の備蓄等の、資機材の備蓄の充実、また、キッチンカーとかトイレカー、トレーラーハウス等に係る登録制度の創設、また、自治体と連携いたしまして、ボランティアの養成研修などの研修機会の拡充などにつきまして、令和六年度補正予算で措置をさせていただいたところでございまして、こうした取組で、引き続き、現場の災害対応の備えの強化を促進してまいりたいと考えております。

堀川委員 済みません、あと一つだけ……

金子委員長 もう時間が経過しておりますので、御協力お願いします。

堀川委員 はい、分かりました。

 市町村の体制、本当に厳しいものになっているというふうに思います。是非、自治体職員の体制の担保というところでも引き続き検討が必要かと思いますので、そのことを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

金子委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 今度、防災庁をつくられるということで、我が国は、こども家庭庁とかデジタル庁とか、どんどん役所をつくっていて、本当に我が国は官僚が好きなのか嫌いなのかよく分からぬところがありますが、防災庁、やるからには充実したものにすべきだという観点から質問したいと思います。

 先ほど近藤委員さんから話がありましたが、能登半島の話なんですね。心の傷はなかなか癒えない、しかし、予算で対応できるところは早急に、かつ強力にすべきだという話なんですが、もう一点つけ加えるならば、今、堀川委員や櫛渕委員からも話がありましたが、人手がやはり非常に足りないということであります。

 防災庁をつくられるということなんですが、私も、実は十二月四日に実際現地に行って、一ボランティアとして輪島市に入ったんですね。やはり、ボランティアの方はたくさんおられたし、非常に士気が高い、地元の社会福祉協議会が非常に上手にみんなを調整しておりました。泥上げをやりました、農地の用水路の泥上げを。そこの所有者の方も、六十代ぐらいの方で、消防分団にも入っておられて、人のことばっかりやって自分のところは全くできていない、大変助かるという声がありました。

 ボランティアは、我が国は、本当に私の地元でも一生懸命、遠いところでも行かれて、汗を流してくれる方々がたくさんいることは非常に誇りに思いますけれども、それぞれ個別に行っている。そして、NPOの団体もあるし、ボランティアといっても専門技術を持っている方もおられる。一般の心ある方もおられる。これがわあっと行くんですが、防衛庁をつくられるんだったら、やはり……(発言する者あり)防災庁ね。防災庁をつくるのであれば、やはりそこは司令塔となって、そこを調整する機能を持つべきだというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

赤澤国務大臣 尊敬する北神先生の御指摘ですので、大変深さがある御質問だと思って私の思うところを申し上げますが、ボランティアについて言うと、本当にこれは災害のときの大きな存在でありまして、ただ、二点例えば申し上げると、ボランティアと聞いただけで、無償でやってくれるんでしょうとか、あるいはアマチュアなんでしょうという、こういう反応があって、今ボランティアをやられる方たちは本当に半分プロボノ的な実力のある方が多い中で、何かちょっと軽く見られている、低く見られていると思う問題意識も一つはあります。

 一方で、自衛隊以外の組織が被災地に行った場合、自衛隊だけは自己完結型で、寝泊まりする場所も、食べ物から全部自分たちで完結するんですが、警察、消防、あるいは海上保安庁、そういう実施組織も含めて、実は、被災地に入る人たちが自分の寝るところ、食べるものを確保して入っていただかないと、これは、被災者の方たちが、ただでさえコンビニで食べ物もなくなっているのにどうしたらいいのよと。入った方たちがみんなむしろ食べ物を必要としているみたいになるとこれまた大混乱になりまして、今、北神委員がまさにおっしゃったとおり、個々の善意を最大限うまくまとめて発揮していただくにはそれなりの工夫が要るというのは、過去の災害対応で経験としてよく分かっていることであります。

 その上で申し上げれば、本当に、災害時のボランティア、NPOの役割はますます重要になっておって、能登半島地震でも、避難所運営、炊き出し、瓦れき撤去、被災家屋の片づけ、また、北神委員が御参加いただいた泥出しですかね、そういうものも含め、本当に多くの民間支援者の方に御尽力いただいておりまして、心から本当にありがたいと思っていますし、我々公的な部分だけで足りない部分を本当に補っていただいているので、この場をかりて心から感謝をしたいと思いますし、敬意を払いたいと思います。うまく力を使えないのは、我々の準備とか環境整備がうまくないことだなと思って、しっかりやっていきたいと思います。

 その上で、委員御指摘のボランティア派遣の調整については、現在でも、実は、全国規模の災害中間支援組織である全国災害ボランティア支援団体ネットワーク、JVOAD、栗田さんという方が代表をやっておられますが、あるいは全国社会福祉協議会、その二つ、JVOADと全国社会福祉協議会がその役割を担っていただいています。

 なお、平時の取組としては、内閣府においても、避難所運営等を担う地域のボランティア人材の育成のための研修とか、それから、今後取り組むものとして、被災地支援について専門的な知見を有するNPO団体等の活動支援や調整を都道府県単位で行う災害中間支援組織の育成、これは、逆に言えば、JVOADの都道府県版みたいなものをきちっとつくっていこうということを実施しているほか、自治体等と連携して被災者支援を行うNPO団体等の事前登録制度、今の都道府県単位のJVOADみたいなものをちゃんと登録していくみたいなことをいろいろ取り組んでやろうと思っていまして、先生とは本当に問題意識は共有するもので、これだけの善意を持って、しかも相当熟練されたボランティアもおられます。最大限お力を有効にかりられるよう、きちっと環境整備をやっていきたいと思っています。

北神委員 ありがとうございます。

 今のお答えを聞いていると、そういう団体はもう既にある、それぞれ調整する団体、あるんでしょうけれども、今回の能登半島はどうか分かりませんが、例えば、阪神・淡路のときでも、発災後一年間は大体百三十七万人以上のボランティアがいた。東日本大震災は累積五百五十万人ぐらいだ。ここまで来ると、個別のNPOとかそういう団体だけではなかなか調整し切れない、社会福祉協議会とかですね。

 だから、やはり、せっかくこれは、多分米国の、市村委員がおっしゃっていたFEMAですか、米国危機管理庁か、そこなんかは赤十字が非常に充実していて、大体九割方、全米のボランティアというのはそこでしっかりと管理をしている。そこまでいかなくても、そういう組織とも連携をして、そして、何を言いたいかというと、災害直後は、まだ入ってはいけないときとか、あるいは偏る、本当はこっちの方に入ってほしいのに、なかなかそういう情報が発信されない。もちろん石川県も頑張っておられると思いますけれども、やはりそういう情報発信を国としてもやるべきだし、各団体あるいは個人のボランティアたちの調整というものも、本来は私は防災庁がやるべきだというふうに思っております。

 ただ、恐らく皆さんが心配されているのは人員のことで、今五十人ぐらいしかおられないんですよね。まだ決まっていないのか。アメリカの方はたしか九千人ぐらいFEMAにいますので、やはりこういうことをやるのには相当な人員も必要ですから、そういったことも後々また議論をしてまいりたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

赤澤国務大臣 おっしゃることは本当に重要な点でありまして、実は、二〇二一年、私が三度目の内閣府防災担当の副大臣をやったときに、五つ提言を出しているものの中の一つが災害ボランティアでして、非常にやはり悩んだのは、実は、感染症、コロナとかが蔓延している状態だと、どんなにスーパーボランティアであろうと、ウイルスを持ってくるから来ないでくれということになるんですね。そうすると、地域ごとにボランティアを育てていないと駄目で。

 これから我々が想定しているのは、避難者五百万人と言われる南海トラフの地震です。五百万人避難するときに、避難所が一体幾つ設置されるんだ、それを運営できるボランティアが地域ごとにいるのか、しかも、それを幾つか束ねられる方がいるのか、さらには、おっしゃったようなFEMAでいえば、赤十字とか社協とかとつながって介護サービスをその避難所につなげるのかとか、そういう人たちを全部どうやって育てたらいいかは、実は二〇二一年の私が一生懸命心血を注いで作った提言の中に書いてあって、着々とやっているつもりではあります。

 答えは、やはり地域ごとに必要な数のボランティアを育てて、それがちゃんとデータベースになっている。我が地域で、大きな南海トラフが起きたら太平洋ベルト地帯は軒並みですので、各地域ごとにどういうボランティアがいるか、どこにいるか、この人はどういう能力を持っているか、全部分かるように整理をすることと、あと、先生がおっしゃったような、むしろ、まとめる団体ですね、JVOAD、全国組織がありますが、それについての都道府県版と、あと社会福祉協議会、そういった方たちもきちっと登録をすることで、いざというときに各地域ごとにどういうボランティアの力をかりられるかも整えた上で、そういうことを全力でやった上で、今後の巨大自然災害に臨みたいというふうに思っています。

北神委員 もう終わっちゃったね。

 坂井大臣、簡単に。すぐ派遣した方がいいですよ。今、十月が一万一千人しかボランティアがいません、能登半島。それから、十一月は一万二百五十八。十二月十二日までで千八百七十三人しかいない。だから、非常に今細っていますので、是非、そういうボランティアを何とか動員して、あるいは情報発信して、行けるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

坂井国務大臣 委員御指摘のように、ボランティアは大変重要だと思っておりますので、補正予算等々を活用して、それは目指して頑張ってまいります。

北神委員 終わります。

金子委員長 次回は、明二十四日火曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十六分散会


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