衆議院

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第6号 令和7年4月16日(水曜日)

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令和七年四月十六日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 金子 恭之君

   理事 古賀  篤君 理事 土屋 品子君

   理事 平沼正二郎君 理事 小熊 慎司君

   理事 近藤 和也君 理事 森山 浩行君

   理事 林  佑美君 理事 田中  健君

      岩田 和親君    尾崎 正直君

      鬼木  誠君    梶山 弘志君

      工藤 彰三君    小寺 裕雄君

      後藤 茂之君    小森 卓郎君

      高見 康裕君    田畑 裕明君

      西田 昭二君    福原 淳嗣君

      松本 洋平君    森下 千里君

      簗  和生君    若山 慎司君

      阿久津幸彦君    梅谷  守君

      おおたけりえ君    岡島 一正君

      金子 恵美君    小宮山泰子君

      齋藤 裕喜君    竹内 千春君

      馬場 雄基君    福田 昭夫君

      柳沢  剛君    市村浩一郎君

      猪口 幸子君    杉本 和巳君

      菊池大二郎君    鳩山紀一郎君

      福田  玄君    中川 宏昌君

      西園 勝秀君    櫛渕 万里君

      堀川あきこ君    北神 圭朗君

    …………………………………

   国務大臣

   (防災担当)       坂井  学君

   内閣府副大臣       瀬戸 隆一君

   内閣府副大臣       鳩山 二郎君

   内閣府大臣政務官     今井絵理子君

   国土交通大臣政務官    国定 勇人君

   政府参考人

   (内閣官房防災庁設置準備室次長)

   (内閣府政策統括官)   高橋 謙司君

   政府参考人

   (内閣法制局第二部長)  栗原 秀忠君

   政府参考人

   (警察庁警備局警備運用部長)           今村  剛君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 近藤 玲子君

   政府参考人

   (総務省自治行政局公務員部長)          小池 信之君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小谷  敦君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 内野 宗揮君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           岡本 利久君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           大隈 俊弥君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房上下水道審議官)       松原  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           横山 征成君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         服部 卓也君

   政府参考人

   (国土交通省不動産・建設経済局次長)       玉原 雅史君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 飯田 博文君

   政府参考人

   (防衛省統合幕僚監部総括官)           小野 功雄君

   衆議院調査局第三特別調査室長           南  圭次君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十六日

 辞任         補欠選任

  尾崎 正直君     高見 康裕君

  田畑 裕明君     若山 慎司君

  根本 幸典君     福原 淳嗣君

  金子 恵美君     おおたけりえ君

  林  佑美君     猪口 幸子君

  菊池大二郎君     福田  玄君

同日

 辞任         補欠選任

  高見 康裕君     森下 千里君

  福原 淳嗣君     岩田 和親君

  若山 慎司君     田畑 裕明君

  おおたけりえ君    金子 恵美君

  猪口 幸子君     林  佑美君

  福田  玄君     菊池大二郎君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     根本 幸典君

  森下 千里君     尾崎 正直君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 災害対策基本法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

金子委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、災害対策基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として、お手元に配付のとおり、内閣官房防災庁設置準備室次長高橋謙司君外十五名の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 質疑の申出がありますので、順次これを許します。古賀篤君。

古賀委員 自由民主党の古賀篤でございます。

 昨年の元旦、能登半島地震が発生した中で、政府の現地対策本部長として対応に当たってまいりました。今回のこの法改正の理由として、令和六年能登半島地震から得られた教訓を今後に生かし、災害対応の強化を図るためとされており、対応した者として大変重要な法案であるとしっかり認識をした上で、審議に当たらせていただきます。

 先日、四月の七日、岸田前総理、そして平沼当時政務官、今は理事をされていますが、とともに、能登半島地震からの復旧復興の状況を見てまいりました。着実に復旧が進んでいる一方で、引き続きの課題だったり、あるいは、新たな段階に入ってきた中での課題を把握させていただいたところでございます。

 党内におきましても、あした、議員の会を立ち上げて、今後、この震災対応に引き続きしっかり当たっていくということにしております。

 そうした把握した課題の一つが、液状化対策であります。

 石川県内においては、かほく市、内灘町、また金沢市、羽咋市でも、液状化の被害、特に側方流動という、大きく地表が横にずれている、大きいところでは二、三メートルずれているという状況になっておりまして、当時私も現地を見ましたが、大変な被害が出ております。今後、地籍の再調査、その上での土地の境界を確定させる必要があるなど、これからだというふうに理解をしております。

 国交省を中心に、中央省庁においては被災地に助言等を行っていただいていると聞いておりますが、今後の対応として、国交省また法務省や法務局を始め関係省庁がより連携をし加速化していく、また、被災地住民の方の見通しが立つような情報発信、スケジュールを組むことが不可欠だと考えているところであります。

 今回のこの法改正においても、液状化対応について追加していると認識しておりますが、役所に液状化についての考えを伺うとともに、是非、坂井大臣には、能登半島地震における液状化地域への今後の対応について、御答弁いただければと思います。よろしくお願いします。

玉原政府参考人 まず、液状化の対応についてのお尋ねにお答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、令和六年能登半島地震では、液状化に伴い、地表面が水平方向に移動する現象である側方流動が発生し、土地の境界と現況にずれが生じております。

 国土交通省といたしましては、被災地の今後の復興に向け、土地の境界を確定することが重要と認識しており、被災自治体に対し、土地境界の確定に関する専門家を派遣し、地籍再調査による現況とのずれの把握や、今後の土地境界確定手法についての助言などを行っております。

 これまでの専門家派遣を踏まえ、被災自治体においては地籍再調査の準備が進められているところですが、引き続き、法務省とも連携しつつ、土地境界の確定に向けしっかり支援してまいります。

坂井国務大臣 まず、古賀委員におかれましては、昨年一月の発災当日より、現地対策本部長として石川県庁において陣頭指揮に当たられたことについて敬意を表するとともに、また、感謝を申し上げたいと思います。同時に、今回の法改正に関しましても、そのとき現地対策本部長として様々経験された教訓等をアドバイスをいただいていると聞いておりまして、こちらも感謝を申し上げたいと思います。

 今般の能登半島地震におきましては深刻な液状化被害が生じたことを踏まえ、法案においては、液状化対策の推進を新たに位置づけることといたしました。

 液状化による被害を受けた自治体においては、先月までにまず復興まちづくり計画を策定したところであると承知をいたしておりますが、今後、それを具体的に進めていくためには、土地の境界確定であったり、液状化対策事業を実施した場合の周辺への影響等について調査を進め、一つずつ結果を出して乗り越えていくことが必要であり、こういった作業を進めながら、一日も早い事業着手を目指してまいりたいと思っております。

古賀委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 液状化対策は複数年かかるというふうに理解しておりますので、今避難されている住民の方が見通しが立つような取組を政府においても是非お願いさせていただきたいと思います。

 続きまして、避難所について、あるいは避難先についての考え方を伺いたいと思います。

 今回の法改正あるいは現行法を見ますと、やはり避難所避難が中心、原則となっている、やむを得ない場合は避難所以外、そういう整理になっているように見られるわけでありますが、今回の能登半島地震においても、あるいは過去の震災におきましても、避難所に多数の住民の方が押し寄せ、雑魚寝となったというような事実がございます。

 昨日の参考人質疑でもございましたように、例えば、福祉施設が福祉避難所に指定されていても、施設が損傷して使えない、その結果、やむを得ず避難所に来られて体調を崩されたり、あるいは、平時に在宅ケアをされていた方がそのまま在宅避難となった上で、そうした避難者の方の声が届かなかった、こういった声もあったわけであります。

 今回の教訓としまして、いろいろな報告書を政府も昨年の十一月にまとめておりますが、場所の支援、避難所の支援から、今度は人、被災者の支援に変えるというような考え方が示されていると理解しております。

 そうであるならば、どこに避難をするのか。それは、決して避難所が原則ではなくて、自宅が安全であれば自宅で、あるいは、でも、サポートの方がおられなければ、しかるべきところへ、広域避難も含めてすべきだと思いますけれども、避難先の考え方について政府にお伺いします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 被災者一人一人に寄り添った支援を行うためには、委員から御指摘いただきましたように、場所の支援から人の支援へと考え方を転換することが重要だというふうに考えております。

 これまでも、発災時には、在宅避難者に対しても、避難所と同様に、必要な物資を提供するなどの支援に努めてきたところでございますけれども、今般の改正法案におきましては、福祉サービスの提供を新たに規定をいたしまして、在宅や車中泊で避難生活を送られる方に対してもDWATによる支援を充実させること、また、広域的な避難が行われる場合に、避難元及び避難先市町村間の情報連携を図るとともに、避難者に対する情報提供を充実させることなどについて措置をしているところでございます。

 内閣府といたしましては、被災者が避難する場所にかかわらず、被災者一人一人に必要な支援が行き届くよう、必要な取組を講じてまいりたいと考えております。

古賀委員 引き続きしっかり対応を強化していただくようにお願いしたいと思います。

 続きまして、今回の法案の四十九条には、毎年一回、物資の備蓄の状況の公表を義務づけているということであります。各地において必要な物資の備蓄を行うことは大変重要だと理解していますが、これは単に公表するだけではなくて、その内容であったりメニューであったり、あるいは量について、どういう人数あるいは日数、さらには想定している被害状況という前提をしっかり示していただいた上で、その備蓄が足りているのか、どういう計画なのか、さらには国等のほかの備蓄の関係、あるいは発災後のプッシュ型の支援との関連、こういったことが分かるような公表になると、より意味があるのではないかと考えるところであります。

 そして、この物資の備蓄の計画を立てるに当たっては、当然、国の備蓄状況や、ほかの地域にどういう備蓄があるのか、そういうことも踏まえて計画を立てることが大変大事だと思っておりますが、必要な備蓄の計画が立てられるようにするためにどういう考えなのかを政府に伺います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 大規模災害時、道路の寸断等により被災地外からの支援には時間を要する可能性もありますことから、家庭内での備蓄も含め、まずは地域自ら十分な備蓄を行っていただくことが重要であると考えております。

 南海トラフ地震や首都直下地震を想定した政府の活動計画におきましても、発災から国のプッシュ型支援が届くまでの三日間は、各家庭や地域の備蓄で対応することを想定しているところでございます。また、防災基本計画では、大規模災害を想定し、地域の地理的条件や過去の災害等を踏まえ、食料、飲料水、生活必需品等を自治体が備蓄をすることとしているところでございます。

 今回の改正案では、年一回、自治体に物資の備蓄状況の公表を求めているところでございます。必要な物資が適切に備蓄されるよう、今後、備蓄すべき品目や数量等の考え方をより具体的に示すなど、必要な対応を講じてまいりたいというふうに考えております。

 また、昨年の補正予算でお認めいただいた新たな地方創生交付金等を通じまして、国としても自治体の備蓄を力強く支援するとともに、国のプッシュ型支援用の物資の備蓄を全国八地域で行う等により、被災者支援の迅速化を目指していきたいと考えております。

古賀委員 備蓄も事前防災という意味で大変大事な要素だと思っておりますので、是非、自治体関連者との連携の中で対応を強化していただきたいと思います。

 残すところ時間が僅かとなってまいりまして、私は二問、残り、質問を用意しておりましたが、ちょっと指摘にとどめさせていただきたいと思います。国交省にも来ていただいて大変恐縮でございますが、指摘にとどめさせていただきたいと思います。

 まず一点目でありますが、今回の法案におきましては、水道法の改正法案というのも入っております。法案の内容というのは、水道事業者が配水管の調査、復旧を行うために宅地に立ち入って給水装置を操作することができる、こういった規定がございます。

 恐らく、いろいろな、能登半島地震におきましても、広範囲に上下水道が損傷した結果、全国各地の水道関係者のお力をおかりして復旧に当たったということでございました。改めて関係の皆様方に心から感謝を申し上げたいと思っております。

 その際に問題になったのがやはり宅内配管と呼ばれる部分でございまして、配水管までは、つまり家の近くまでは復旧しても、最終段階の宅内の配管が、住民の方が別途事業者に御依頼をして復旧させないと最終的に家の蛇口から水が出ない、そして、事業者の方もなかなか手が回らなくて、その結果、帰宅が進まなかったというような事態に陥ったわけであります。

 ですから、今回の能登半島の地震の教訓を生かして、そういう意味での、今回、宅地に立ち入っての規定を置かれていると思いますが、さらに、私からのお願いとしては、宅地配管の復旧についてもうまく連携させて、よりスムーズに家に戻っていただけるような取組を御検討いただければと思います。

 そして、もう一点、最後でありますが、先ほど最初に申し上げましたように、元旦から現地に入ってまいりましたが、多くの政府の職員、あるいは全国各地から、DMATを始め、自治体の方も現地に入っていただきました。

 被災地の宿泊施設も損傷して、現地の宿泊施設を利用できなかった。一方で、金沢市の、被災地の距離も百キロ以上あったという中で、やはり現地に入っての作業が必要になってきたわけですが、結局、何が起こったかというと、市庁舎を始め、現地にあった建物に雑魚寝をする、あるいは机でうつ伏せて寝る、こういうことを政府の職員あるいはいろいろな関係者も余儀なくされたところがあって、そういった中で、シャワーも浴びることなく事に当たっていただいたわけであります。もちろん被災者の方も本当に大変な状況になっている中で、支援者がどういう環境で活動すべきなのか、当時も大変悩みながら対応に当たってきたところであります。

 一方で、今回の法案でも、被災者の援護に従事する者の環境の整備ということを追加していただいておりますが、被災者のことを思っても、支援をする方が体調万全で長く被災地にとどまってしっかり活動できることはやはり重要ではないかということを、体験して感じたところであります。

 是非、この法改正の中の記載にとどまらず、しっかりその環境をつくっていただいて、次の災害に備える、そして、より活動が上がっていく、皆様方に必要な支援が届くということをできるような体制整備を行っていただければと思います。

 今回の法改正、そういう意味では、本当に大事な、前進だと思っておりますので、是非とも法改正を受けての取組をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、近藤和也君。

近藤(和)委員 石川県能登半島の近藤和也でございます。

 各関係省庁の皆様、そして坂井大臣含め関係の政務官、副大臣の皆様に、今、能登への復旧復興、御支援をしていただきまして、ありがとうございます。

 そして、先ほど質問されました古賀委員、ありがとうございます。何度か去年お顔を合わせるときには、顔色がよくないとか、ちょっと痩せていたりとかということで、この国会で久しぶりにお会いしたときには別の人かとしばらく思っていたんですけれども、本当に、まだ戦は続いていますが、共に戦っていた仲間だ、同志だという思いでございます。本当に感謝を申し上げます。

 今回は、この能登半島地震を受けてということも含めての、基本法を含めての改正だというふうに思っています。

 私も、当時から、福祉のことについては、福祉関係者の皆様からも、例えば、福祉避難所の実際の運用はどうなのかということであったり、福祉施設でも、福祉仮設がなかなか思ったように造ってもらえないだとか、自分たちのことが少し横に置かれているんじゃないか、優先順位が下なのではないかというようなお声もいただいてきました。

 今回、実は私どもの方も、災害対策基本法と災害救助法のところは独自に法案を作りました。けれども、政府の方で対応していただいて、よりこのゾーンが広いということで修正を求めてきましたが、今日は後半はそのお話をしていきたいと思います。採決はまだですから、何とかいい形で同意をしていただければなと思います。

 そして、今の能登の状況ですが、ようやく仮設住宅、豪雨災害で被害に遭われた方も含めて、全ての方が仮設住宅の鍵が当たりました。ようやく入れるようになったということで、石川県の馳知事ですとか、また輪島市の坂口市長も、ずっと防災服を着ていたんですが、ようやく防災服ではなくスーツで動き回るというようなことで、さあこれから平常時へ向かっていくぞというような雰囲気になってきました。

 そして、能登での観光の状況でいきますと、のとじま水族館、先月、全面回復ということでオープンをいたしました。去年の夏までにも途中の段階でオープンしたんですけれども、やはりなかなかお客さんが戻ってきてくれなくて、飲食店も再開をしたけれども、がらがらだという状況が生まれました。ようやくゴールデンウィークに間に合ったということで、のとじま水族館の近くの、能登島に渡るところと七尾の石崎、和倉温泉のところはいつも渋滞が起きるんですね。今年は何とか渋滞が起きてほしいなというふうに思います。

 そして、和倉温泉は、今、二十一の旅館がありますが、今まで四つ営業再開をしていましたが、この夏までに更に三つ営業再開をするということでございますので、是非とも皆様、七尾でも三分の一は泊まれるようになりましたし、また金沢は全く普通の状況ですし、また七尾からで考えれば、金沢よりも富山の氷見だとか高岡の方が近いです。四十分から五十分ぐらいで、氷見だと三十分で行けますので、富山から泊まって能登を回っていただいて金沢で帰るということも可能です。

 そして、飛行機も、先週土曜日に私も飛行機で帰ったんですが、百四十六席中百四十一席、一日二便しかないんですけれども、かなりお客様が乗っていただけるような状況になってきましたので、どんどん使っていただければと思います。

 そして、今、大阪では万博をしています。できれば、万博に行った全国の方々、世界中の方々が能登についでに立ち寄ってもらえれば、輪島塗だとかを買っていただければありがたいなというふうに思いますので、全面的に戻っているわけではないですけれども、復旧復興へ向けて全力で頑張っているということで、皆様からお力添えをいただければと思います。よろしくお願いいたします。

 こういう状況ではあるんですが、今、ステージが徐々に移りつつあります。仮設住宅に皆さんが入れるようになりました。一方で、今、災害公営住宅をどうしようかということで、各地域で話し合われてきています。

 これも、私も、仮設住宅、全部で百八十一か所あるんです、全部回って今二巡目なんですけれども、今、仮設住宅で言われることは、災害公営住宅に入れるようにしてくれということを言われます。私が申し上げていることは、家を建て直すことができないとか直せないとか、そういう方々には、もうどうしようもできない方には、災害公営住宅に入れますよ、遠慮なさらずにおっしゃってくださいと。これは間違いないんですよね。

 なんですけれども、今、ある自治体で、先日、市会議員の方々に対しての説明会がありまして、少しこの解釈で現場が戸惑っています。何を申し上げたいかといいますと、資料の一枚目の右下、青色のところで、災害公営住宅は以下の要件を満たすことが必須ということで、1収入要件、2住宅困窮要件、3災害により住宅を失っていること。そして、このことが少し今現場で混乱をしています。

 災害により住宅を失っているということなんですが、現場ではどういう説明がされているかといいますと、公費解体をしないと、若しくは申し込んでいないと災害公営住宅に入れないという説明が今なされかかっています。少なくとも一つの自治体で。もう一つの自治体でも恐らくされたのではないかということなんですけれども。

 これは、災害により住宅を失っていることイコール公費解体を申請した、若しくは公費解体をしたということではないということを確認をしたいんですが、お願いをいたします。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 被災地の一日も早い復興に向けまして、災害公営住宅を含めた恒久的な住まいの確保は喫緊の課題であるというふうに認識をしております。

 そこで、改めまして、災害公営住宅に入居する場合には、三つの要件がございます。入居者の収入が一定額以下であること、二つ目が、現に住宅に困窮していることが明らかであること、三つ目が、今ほど委員御指摘いただいております、災害発生から三年間は当該災害により住宅を失った者であることという三つの要件を満たす必要がございます。

 このうち、能登半島地震につきましては、被災市街地復興特別措置法に基づきまして、災害発生から三年間は災害により滅失した住居に居住していた者につきまして収入要件を問わない、こういう仕組みにまずなっているということであります。

 そこで、御指摘をいただいているこの三つの要件のうちの住宅を失った者であることにつきましては、従前居住していた住宅が物理的に解体されることが制度上必須の要件となっているわけではございません。先ほど申し上げました要件を満たすことが認められれば、災害公営住宅の入居資格を満たすものと考えております。

 その上で、具体的なケースで要件を満たすかどうかにつきましては、入居しようとする方の現在の住居や収入の状況などを踏まえまして、それぞれの地方公共団体におきまして適切に判断をいただくべきものと考えているところでございます。

近藤(和)委員 イコール解体ではないということですね。ありがとうございます。

 どういうケースかといいますと、今、仮設住宅に入っています、家は全壊だとか半壊だとかという状況で、家を壊すのは忍びないなということで解体申請を迷っていたという中で、例えば、親戚だとか地域の方だとか若しくは解体事業者の方が買いたいということで、若しくは親戚がもらうということのケースがやはり起きてきているわけですね。

 今、石川県の方でも、解体が半分ぐらい済んできているので、本当にすかすかの状況になってつらいんですけれども、直せば何とかなる建物はやはり使っていきたい、使ってほしい、これは、その所有者の思いもそうですし、地域にとっても建物を残してもらうということは本当に大事なことです。

 今改めて公費解体が前提ではないという答弁をいただきましたので、是非とも各自治体の方での情報共有をしていただけたらと思います。

 そして、更に加えてなんですけれども、とはいっても、ただで誰かが引き受けてくれるんだったら、その方は別に財産を得ることじゃないですから、災害公営住宅に入れるんだろうなと思いますが、やはり一千万円でもし売れたら、さすがにそれは難しいのかなというふうに思いますが、この点はどうですか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 個別の事案につきましては、それぞれのケースになっていきますので、それぞれ地方公共団体の方の御判断ということをやはり待たなければいけないわけでありますが、まず、全体の設計思想から申し上げますと、議員御指摘いただいております、やむを得ず自宅を売却している場合、これにつきましても、入居資格要件のうち、住宅を失った者であること、これに該当するものと考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、国土交通省といたしまして、被災者の状況等を踏まえまして適切に災害公営住宅が供給されますよう、被災地の地方公共団体へ必要な助言、これは行っていきたいというふうに考えております。

近藤(和)委員 一千万円は無理よという答弁をいただく方がむしろ話を進めやすかったんですが。

 例えば、百万円とか五十万円とかで、どこか、その百万円で家を買うとかということは非現実的だと思うんですよね、違うところで。百万円だとか五十万円だとか、次の住居を確保するには至らないような金額であれば、災害公営住宅へ普通に入れるんだということでよろしいか、もう一度お願いいたします。

国定大臣政務官 災害公営住宅に入居をしていくというのは、現在進行形の、まさに進み始めたフェーズでございます。一件一件それぞれ個別のケースがあろうかと思っておりますので、まずは地方公共団体との間で調整をいただき、私ども国土交通省といたしましても様々な形で支援体制を設けておりますので、先ほども少し答弁申し上げましたけれども、必要な助言、これをしっかりと行ってまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 ケース・バイ・ケースでお願いをしたいと思います。

 現実的にはもう住めないというところに、解体業者の方だとか建築業者の方々が、そのもう住めないところを買い取っていただいて、そして売った人は仮設住宅へ入っていて、次、災害公営住宅に入れないと大変ですから、恐らくは、ただで譲ったケース、百万円で譲ったケース、三百万円で譲ったケースがあるので、住めると思っていて譲ったわけなので、何とか救っていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、液状化について質問を進めます。

 液状化は、本当に今回の能登半島地震、先ほど古賀さんが取り上げていただきました、内灘、そして、かほく、宝達志水、羽咋も含めてなんですが、実際には奥能登の方でも、珠洲も含めて、輪島も含めて、液状化被害というのはあちこちに出ています。

 難しいのが、何をもって液状化なのか、正直分からないんですね。国の方でも明確な定義がない。現象として、砂が噴き出した、噴砂だとか、沈下だとか言われていますが、ただ、沈下でも、地面が割れて沈んでいるのか、傾いているのか、若しくは本当に沈んだのか。例えば、横に小川が流れていました、地震で少し小川のところが横が崩れて、それで土がどんどん減っていってしまって傾いてしまっている、これは液状化なんですかということなんですね。

 今のままでいきますと、何が問題かといいますと、ちょっと資料の二を見てください。これは石川県の支援の事業、復興基金を使った事業で、この左側で、新設、被災宅地等復旧支援事業、これは熊本地震のときにも復興基金で行われた事業で、熊本のときには上限一千万の計算だったんですが、今回、上限一千二百万で、五十万円を引いて三分の二ということで七百六十六万円、大変大きいです。被災者生活再建支援金でいきますと、家を建てる、直す、二百万円、百万円で、また、新しくつくっていただいた給付金では二百万円なんですが、金額が一番大きいのはこちらなんですね。

 下の図を、対象範囲、イメージを見ていただきたいんですが、例えば、右側にある宅地の復旧だとか擁壁の復旧というのは、これは液状化は関係ないんですね。一方で、地盤改良のところは、これは熊本地震からの延長線上で、液状化再発防止ということが注釈でついています。これは、石川県と何度かやり取りしているんですが、市町の判断ですよということをおっしゃっているんですね。

 何が起きるかというと、隣の町ではいいと言ったのにうちの町では駄目だ、うちの方、こっちの方が液状化じゃないか、そもそも液状化というのは何なんだということになります。これは必ず混乱が起きるので、混乱が起きないように、むしろ被災者の皆さんを助けるというための事業だと思うんですね、見捨てるという事業じゃなくて助けるということでつくられている事業だと思いますので、そこの解釈ということを明確化していただいて、少なくとも、被災に遭うということはもう不公平ですよね、不公平というか、何で自分はこんなひどい目に遭っているんだという中で更に差をつけられると、余計につらい思いになるわけです。

 ですから、明確に基準というものを、これは県のものですが、液状化とはそもそもということをしっかりと作っていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 液状化現象の判断基準でありますけれども、地盤の液状化が発生をいたしますと、噴砂が生じる、地中の軽い埋設物が浮き上がる、あるいは地上の建物が沈下するといった被害が生ずることがございます。

 そうした中で、液状化の被害を受けた宅地の復旧や地盤改良を行う際の支援といたしまして、まさに今ほど委員から御紹介いただきました、石川県の方で被災自治体による支援制度が創設をされているところでございます。

 この支援制度も、あくまで地方自治体において創設をされているものでございますので、その運用につきましては、これは、一義的には当該自治体、ここに任せざるを得ないということでございますが、その中で、国土交通省としての対応ということになるわけでございます。

 被災自治体ごとに地区担当を配置をしておりまして、自治体から相談があった際には、液状化に関する知見をお伝えするなど、丁寧に対応してまいりたいと考えておりますし、国土交通省全体といたしましては、それぞれの相談事項、こうしたことをしっかりと、先ほどおっしゃられたように、各地区地区ごとに考え方、見解が異なるというようなことがないように、国土交通省としても、こうした立場の中でその知見をお伝えをするということにまずは取り組んでいきたいというふうに思っております。

近藤(和)委員 これは、家、地面が被害を受けた被災者も困りますし、前面に立っていらっしゃる市町の職員の皆さんも、矢面に立っていて困っているわけです。

 ちなみに、私は、仮設住宅を回りながら、いらっしゃらないところは名刺、はがきを置いていっているんですけれども、一番が、災害公営住宅に入れるよねということ、そして次に、この液状化のことなんです。困っている、よく分からぬ、駄目だと言われた、何とかしてくれということでありますので、できれば皆さん救っていただきたいですし、もう駄目だ、これはしようがないよねということが明確に分かれば、ストレスも、支援していただけないのはつらいですけれども、それならそれで違うことを考えていこうかということになりますので、何とか分かりやすくして助けていただければと思います。

 それで、そもそもなんですけれども、結果的に、災害は全国どこで起きるか分からないですから、液状化もどこで起きるか分からないということも含めて、熊本のときもそうですが、国の制度が追いつかないから復興基金で行うという流れでの今回の事業だと思うんです。それこそ液状化の定義のところもそうなんですが、こういう事業は国が本来行っていく方がいいと思うんですが、いかがでしょうか。

国定大臣政務官 お答え申し上げます。

 恐らく委員も十二分に御承知かとは思いますけれども、国の事業といたしましても、自治体が道路等の公共施設と宅地の一体的な液状化対策を行う場合に、防災・安全交付金の宅地液状化防止事業による支援を可能とさせていただいているところでございます。この事業のエリア内におきましては、被災者の方々が工事の支障となる宅地の地盤であったり住宅基礎の復旧などを行う場合につきまして、国と自治体による費用支援を可能としているところでございます。

 国土交通省といたしましても、今後の液状化対策につきまして、被災地等のお声をよくお聞きをしながら、各地の実情を把握しつつ進めてまいりたいと考えております。

近藤(和)委員 答えていただいているのか、いただいていないのかよく分からないような、今後ということであれば、変わらないのは本当に心配だなと思うんですが。

国定大臣政務官 回りくどい答弁で申し訳ございませんでした。

 少なくとも、現行でも、この防災・安全交付金、一定の要件は必要ではございますけれども、発動可能な形で御用意をさせていただいているということでございます。

近藤(和)委員 本来国がということでいけば、個人財産云々という話のところも、国交省さんとは話をさせていただいていますが、そもそもでいけば、例えば、なりわい補助金も、グループ補助金、最初、東日本大震災のときにつくられたのは、個人の財産形成に税金を使うのはいかがかということで、グループだからということで二者以上というのが、もう今となっては一者でもよくなってきているわけですね。

 やはりスピード感というのは大変重要ですから、今の国の制度でいくと、実際、地域がまとまらないといけないということで、今回、この復興基金による復旧のところだと思うので、何とか一つ一つハードルを乗り越えていただいて、今の能登のところは、今さらひっくり返そうというのは私もこれは難しいとは思うので、運用上でちゃんとしていただいて、今後のために改善をしていただきたいと思います。

 そして、液状化で、最後、もう一つなんですが、液状化の被害認定調査に対しては相当皆さん不満があります、残念ながら。皆さん頑張って、現場の調査をされていただいている方は頑張られていますが、やはり、準半壊の方であれば、おかしいとなるわけですよね。それは致し方ない部分もあるんですけれども、特に、液状化に関しては被害が軽くなってしまうんじゃないかという見方がございます。

 資料の三ですが、これが少し分かりやすいなと。一番下のところで、米印の百分の一というのが、百センチ、一メーターに対して横に一センチ傾いている、この傾き未満であれば一部損壊のところになってしまうということで、私もその家に行きましたけれども、普通にビー玉が転がるんですよね。本当に気持ち悪いです。こういうところでずっと暮らせということは、本当に酷だと思います。

 それで、液状化のこの傾きに関しては、「医療関係者等にヒアリングを行い設定した居住者が苦痛を感じるとされている値」と書いてあるんですが、これは見直さなきゃいけないと思います。そもそも、何人のお医者さんで、医療関係者でこういったことを決めたのかということはありますが、これは是非とも今後の被災地のために改善をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 液状化被害を受けた住宅の被害認定調査についてでございます。

 今御指摘のように、角度が百分の一、六十分の一、二十分の一、それぞれありまして、百分の一以上の場合は半壊、六十分の一以上の場合は大規模半壊、二十分の一以上の場合は全壊など、一応、そこは明確な基準がありますが、その基準そのものが不適切ではないかという御指摘だったかと思います。

 この基準をどうやって決めたかということですが、東日本大震災において住宅の液状化被害の事例が多数発生をしたことから、防災、それから建築、そして医療関係者にヒアリングを行って、例えば居住者が苦痛を感じる傾斜がどの程度かといった専門的見地からの意見を踏まえ、定めたものでございます。

 この被害認定調査の在り方については、今回、能登半島地震における事例も踏まえまして、現在、検証作業を進めているところでございます。

 これは、まず、基準は基準としてありますが、それとは別にして、被害認定、大変御不満が多かったというお声もありましたので、不動産鑑定士協会連合会などと協定を結びながら、時間が早くできるように、また、液状化以外のものに関しての被害認定に関しても適切に同じ基準で行えるような、こういう努力はさせていただいて、できるものから移しているところでございます。

 この液状化被害につきましては、当然のことながら、受けられる認定の調査の結果により支援策の内容が変わることから、被害認定調査の在り方を見直す際には、十分な理由と納得していただける理屈づけの下、丁寧かつ慎重に検討を進めることが重要であると考えておりまして、この被害認定調査の在り方を見直すのに、今年度、予算もつけさせていただいたところでございます。

 ですので、被災された方々に認定調査の結果に納得感をお持ちいただいて、早期の生活再建を実現するための被害認定調査の在り方について不断に見直しを行ってまいりたいと思っております。

近藤(和)委員 不断の見直しということ、ありがとうございます。

 そこで、私は、医療関係者ですとか、あと専門家以外に、できれば、液状化で準半壊、一部損壊、そういう方々にもヒアリングということを行っていただいて、正直、私も、今更被害認定調査をひっくり返せというのは、混乱すると思うので、そこはごめんなさいとは言いながら、今後のためなので御協力してくださいとお願いをすれば、被災者の方々も、今後自分たちのようなしんどい思いをする人が減るのであれば協力しようという方は出てくると思いますので、是非とも、この見直しのときには、液状化の被害で、むしろ準半壊、一部損壊の方々にもヒアリングを行ってほしいんですが、どうでしょうか。

坂井国務大臣 申し訳ありませんが、私は、今どういう形で専門家の皆さんにお話を伺ったりヒアリングを行わせていただいているかということは、ちょっと今、にわかには分からないので、何とも申し上げられませんが、もしかしたら、そういった建築とか住居の専門家の方にヒアリングを行っていただいて我々にお伝えいただく方がいいのか、それとも、おっしゃるように直接お話をお伺いした方がいいのか、その辺を含めてちょっと検討させていただきたいと思います。

近藤(和)委員 一部損壊、準半壊で、直すお金もほとんど支援がない中で、気持ち悪い中で我慢して暮らしていらっしゃる方がおられるので、何とかそういう方々の声を拾っていただいて、今後に生かしていただけたらと思います。

 もちろん、そういう方々に支援していただきたいというのはありますが、今回、一千億のうちの五百億が石川県に行って、この交付金の分ですね、二百五十億を市町でしていただいていますので、何とかこれは各市町でも対応していただきたいなというふうに思います。

 それでは、災害救助法に話を移しますが、今回、私たちも作りました修正案の方では、やはり、従事命令、福祉関係の方々にお願いをするというのは、けがをしたときだとかのためにも、これは必要だという認識を持っています。ただ、従事命令に従わない場合は罰則というのは、さすがにいかがかと思います。特に、罰則とはいっても、行政罰ではなくて刑事罰ですね。農林水産委員会でも、前の国会でも問題になっていました食料供給困難事態法の中で、調査に応じないときには今刑事罰ということで、さすがにひどいんじゃないかということで、私たちの方も修正法をまた出させていただきますけれども。

 刑事罰ということは、罰せられれば前科ということですよね。さすがにこれはかわいそうなんじゃないかと思うので、これは外すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 済みません、ちょっと聞き漏らしたんですけれども、これは、今回の福祉関係者についてということでよろしいんでしょうか。

近藤(和)委員 ちなみに、今までは、土木、運輸、医療の方々には刑事罰、三十二条のところで、六か月以内の懲役と、五十万円か四十万円かだったと思うんですが、その方々と同じカテゴリーに入ります。

 確かに、医療であったり、土木関係、建築関係の方であったりというのは、命に関わるところだから、行ってくださいというときにはやはり従ってほしいという気持ちは分かりますが、福祉とはいっても、かなり幅広いわけですね。御高齢の方々をお支えするという福祉もあれば、妊産婦の方々も含めて、小さい子供たちを応援する保育士さんなども含めて、従えと言って、いや、ちょっと無理なんです、従えというかお願いしますと言う、無理なんです、じゃ、刑事罰、前科というのは、そういうことはなくても皆さん協力しますから、ちょっと乱暴じゃないかなと思うんです。いかがでしょうか。

坂井国務大臣 政府の改正案において、災害関連死の防止を図る観点からも、被災者への福祉サービスの提供が確実に行われるように、福祉関係者に対して、医療、土木建築工事又は輸送関係者と同様の措置を講じることとしております。

 これらは、人命を守るに当たって、万が一の場合に備えた、いわば最後の手段として規定されるものであって、通常の場合に適用するとは思っていないものでありますが、しかし、非常時でございますので、どんな状況、どんな場面にぶつかるか分からないという中で、最後の手段として規定をしたいということでございます。

 ちなみに、今まで、三業種が指定をされておりますが、適用実績はないということでございます。

 ですから、この改正法の運用に当たりましては、福祉関係者の皆様の御協力により被災者への支援が円滑に行われるよう、丁寧に説明をしながら取り組んでまいりたいと思います。

近藤(和)委員 適用の実績がないから入れてもいいんだという議論をするのであれば、それこそ、れいわさんが修正案を出されていますが、また別の党の方とも議論があったのが、福祉の関係者を入れるのはひどいと。じゃ、医療も建築も運輸の方々も全部外してもいいんじゃないかという議論だって、これはしてもいいと思うんですね。

 ちょっと時間が参りましたので、問題提起として、今日採決ということなので結論は出るんでしょうけれども、人の心を持った形で、この災害対応、皆さん持っていらっしゃると思いますが、やはり法律になると冷たいというふうに感じてしまいますので、何とか改善をしていただければと思います。そして、被災者生活再建支援金の倍増法も提出をしていますので、こちらも何とか議論していただきたいということも含めて。

 終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

金子委員長 次に、阿久津幸彦君。

阿久津委員 立憲民主党・無所属の阿久津幸彦でございます。

 まず初めに、能登半島地震に対して現在進行形で御努力、奮闘されている古賀篤委員、そして先ほどの近藤和也委員に心から敬意を表したいというふうに思います。両委員とも能登半島地震の教訓に触れながらお話をされたと思うんですけれども、私の場合は、東日本大震災以降の熊本地震や西日本豪雨などを通じての教訓を基に質問させていただきたいというふうに思っております。

 冒頭、まず坂井防災大臣の方に、今回の災害対策基本法改正の意義を伺いたいと思うんです。

 私は今回の全体の改正を評価しております。その理由というのは、今、災害関係の法整備というのは、災害救助法があって、その上に災害対策基本法があって、更にその上に国土強靱化法があるわけなんですけれども、国土強靱化法だけ、東日本大震災の後に、その教訓を基にいろいろ細かく書かれたので、心のケアとか福祉サービス関係の項目が、国土強靱化といいながらも結構入っているんですね。ところが、元々の災害対策基本法や災害救助法は、昭和の初期に作られた法律ですから、そこの部分が、改正は重ねてきたけれども、ややまだ不足しているところがあった。そこを今度埋めてくださる法改正だと基本的には思っているんです。

 それでは、大臣に伺いたいと思います。

 今回の災害対策基本法改正の意義を教えてください。

坂井国務大臣 我々、能登半島地震を体験をしたわけでございまして、今回の災害は、高齢化の進んだ半島地域という地理的、社会的な制約のある地域での震災でございまして、これまでの災害対応と比較をしても、様々な困難な状況に直面をしてきたところでございます。

 この災害対応から得られた教訓を今後に生かし、次なる災害に備えていくことは大変重要であり、政府として幅広く検討を行ってきた中、法制上の措置が必要なものについて今回改正を行いたいと考えております。

 その一点目が、国による災害対応の強化でございまして、災害対応に当たる被災自治体を国がしっかり支援をしていく体制をつくっていく。

 二点目として、被災者支援の充実でございまして、福祉サービスの提供を災害救助法に位置づけることによって、在宅でありますとか車中泊で避難をされる方々に対しても福祉的支援が届くようにして、被災者の生活環境をよりよいものとしていくとともに、被災者援護協力団体の制度を創設することによって、被災者支援の実績や知見を有するNPO等と連携したきめ細やかな被災者支援を実現をしていくということでございます。

 三点目が、インフラ復旧復興の迅速化でございまして、能登半島地震で課題となった水道の復旧でありますとか、先ほどから議論になっております液状化被害等に万全な対応を期していくという点を盛り込んだものでございます。

 いずれも能登半島地震の課題を踏まえたものと考えておりまして、我が国の災害対応を更に向上させていきたいと考えております。

阿久津委員 三点ほどにまとめていただいて御答弁いただいたというふうに理解しております。

 その中で私が鍵かなというふうに思うのが、一つがNPO団体等との連携の強化、それからもう一つが福祉サービスの強化充実ということだというふうに思っております。

 二問目以降、個々の問題についてお聞きしていきたいというふうに思っております。

 二問目です。被災者援護協力団体の登録制度の創設について伺いたいと思うんですが、これはどのような団体、個人の登録を、何人くらいを念頭に置いているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 改正法案の被災者援護協力団体の登録制度でございますけれども、登録団体の活動内容や活動実績等の情報を全国の自治体に対し広く共有することで、連携体制づくりの後押しを図ることを目的としております。

 この協力団体は、避難所の運営や炊き出し、災害により生じた土砂の除去等、被災者の援護への協力業務を行う団体であって、NPO法人のほか、任意団体も含むものと考えております。

 御質問いただいた登録団体の見込み数ですけれども、これはなかなかお答えすることは困難でありますが、例えば能登半島地震では、四百を超える支援団体が現地に入って、避難所の運営とか炊き出しとか重機による土砂の除去などの活動を行っていただいておりますので、これらの経験も踏まえまして、こうした団体に登録の申請を呼びかけてまいりたいというふうに考えております。

 この登録制度を通じまして、地元自治体と豊富な支援経験を有する団体とが平時から顔の見える関係を構築し、発災時に円滑かつ効果的な官民連携により適切な被災者支援が行われるよう取り組んでまいりたいと考えております。

阿久津委員 そうすると、登録団体ということなので、個人は含まれないんでしょうか。お答えください。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 協力団体というふうにしておりますので、個人の方お一人ということでは対象とはならないというふうに考えておりますけれども、一方で、こうした被災者援護業務を行おうという個人の方につきましては、団体に所属いただくことで業務に携わることができますし、先ほども申しましたけれども、法人格のない任意団体であっても対象とするというふうに考えておるところでございます。

阿久津委員 ボランティアの方々との災害時の連携、もちろん災害以前から人間関係を構築しておかなくてはいけないというふうに思うんですけれども、これは極めて重要だと思っています。ただ、登録制度にはやはり、いい点、悪い点があるのかなと正直思います。

 ちょっと悪い点だけ先に申し上げると、やはり登録団体の上下というか、登録されたところとされないところでちょっと分断を生む可能性、これは是非御注意いただきたいなというふうに思っております。

 それから、個人についてなんですけれども、私は、最終的には、高度技術を持った個人の方々、個人指名でいくのか、あるいは団体に入れながらネットワークをつくっていくのかは別にして、入っていただく方がいいと思うんですね。

 坂井大臣よく御存じのとおり、イタリアにはこの制度がかなり普及しておりますし、昨日の参考人質疑では、沢渡さんだったかな、ドイツにも似たような登録制度があって、お金の補償の、実費弁済の件などもあるというようなことをおっしゃっていた気がしますので、是非この点も、個人にまで進んでいければなおうれしいなということをお伝えしたいというふうに思います。

 続きまして、次の質問に移りたいと思っております。

 この法改正の肝に当たる部分の、災害救助法の救助の種類に福祉サービスの提供を追加し、福祉的支援を強化する改正でございます。これは私は評価しております。

 福祉的支援を強化しようとすると、個人情報保護法の壁が立ちはだかることがあります。民間等と連携した支援体制の構築について確認したいと思うんですけれども、登録された団体には被災者の個人情報の提供を可能とすると理解していいんでしょうか。その場合、事前に災害時の避難に不安のある避難行動要支援者名簿もその対象に入るんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 高齢者や障害者などの要配慮者のうち、自ら避難することが困難な避難行動要支援者の方につきましては、条例に特別の定めがある場合や本人の同意が得られない場合を除き、市町村は、災害の発生に備え、避難支援等関係者に名簿情報等を提供するというふうに、これは既に現行規定でされているものでございます。

 また、災害時には、本人の生命又は身体を災害から保護するために特に必要なときは、市町村は、避難支援等関係者に本人の同意を得ないで名簿情報等を提供することができる、そういうふうにされているところでございます。

 それで、御質問いただいた今改正案におきます援護協力団体との関係でございますけれども、この協力団体が避難支援等を実施する場合には、先ほどの現行規定の中の避難支援等の実施者ということになりますので、市町村から要配慮者の名簿情報等の提供を受けることができるというふうに考えておりますし、また、発災後に被災者の援護協力業務を実施し、又は実施しようとする場合には、今回の改正法の中で新たに盛り込んでおります被災者台帳に記載された個人の方の必要とする支援情報、そうしたものの情報の提供を受けることもできるものというふうに考えております。

阿久津委員 大喜びするぐらいいい答弁をいただいたというふうに思うんですが、余りにうれしいので、坂井大臣にもう一回、念押しで確認したいというふうに思うんです。

 要するに、避難行動要支援者の名簿も、しかるべき条件がつきますけれども共有できる、それから被災者台帳も、被災が起こってから、台帳も一定の条件の下で公開できるということなんですが、坂井大臣、実は、個人情報の公開については地域間格差がかなりあって、避難行動要支援者名簿とかについても、地域間で、こっちは大丈夫だけれどもこっちの地域では駄目とかということが往々にしてありますので、総務省等を通じて、各都道府県、市区町村とも十分に情報共有をお願いしたいんですが、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 災害対応はそれぞれ地域の実情を踏まえて行われることになりますので、それぞれの地域の自治体が中心となって扱うというか対応するということになります。逆に言うと、そこが地域間で格差があるということにつながる原因になるのかもしれません。

 これまでも、防災分野における個人情報の取扱いに関する指針でありますとか事例集は、我々作成をいたしまして、自治体に対して周知を行ってきたところであります。地域間格差の解消というのは認識をしておりまして、これを目指して引き続き努力してまいります。

 内閣府においては、関係省庁や自治体等と連携をして個別避難計画を作成するなどにより、避難支援に必要な情報の共有が図られ、避難行動要支援者の避難の実効性を高める取組を進めてまいりたいと思います。

阿久津委員 本当にうれしいです。

 実は、要支援者の名簿は、今まで、自治会長のところまで行くんですよ。でも、自治会長が抱えて、どう使ったらいいのか分からなくてそこでとどまってしまっているケースも多々ございましたので、これは大きな災害支援の強化につながる突破口になると考えております。

 次の質問に移らせていただきます。次はちょっと嫌な話をしなくてはならないんですが。

 一方で、都道府県知事等は、協力命令を発し、登録被災者援護協力団体を救助に関する業務に協力させることができるとしています。

 そもそも、自発的な意思に基づく社会貢献活動を行う、営利を目的としない団体であるNPO等に対して協力命令というのはなじむのかなと私は思いますし、この協力命令は何のために必要なのか。むしろ、個人やNPOと連携するに当たり、国が率先して企業や行政機関との事前協定を仲介するくらいのことを国の責務として法律に明記するぐらいあってもいいと思うんですけれども、ここのところはいかがでしょうか。

坂井国務大臣 改正法案の登録被災者援護協力団体に対する協力命令でございますが、災害発生時に大規模で広域的な被害が生じた際、都道府県知事等において、被災者援護協力団体に対して救助に関する業務に協力していただくよう要請することにより、迅速な救助の実施を可能とするという趣旨でございます。

 災害救助法では、「都道府県知事等は、救助を要する者及びその近隣の者を救助に関する業務に協力させることができる。」とされており、被災者援護協力団体は元々自発的に登録いただいているわけでありますが、その目的としては、被災者支援を行う団体であるということから登録いただいておりますので、同様の規定を設けたものでございます。

 登録被災者援護協力団体に対する協力命令につきましては、命令に協力して救助に関する業務を行った場合は必要な実費が弁償されるほか、正当な理由がある場合には、従わなくとも、登録取消しの対象とはなりません。

 改正法の運用に当たっては、関係者の皆様の御協力により被災者への支援が円滑に行われるよう留意をしながら取り組んでまいりたいと思います。

阿久津委員 私は、ここは是非、この委員会の中で修正あるいは改められればなというふうに強く期待しているところなんですね。

 それは、これから官民連携というか、ボランティアの方々と協力をしていく体制を築く上で、これは昨日の参考人質疑でもみんな口をそろえて、この協力命令はないだろう、お願いする側だったんじゃないのということをおっしゃっていたと思うし、それから、JVOADの栗田さんなんかは、いや、お金なんか要らないんだみたいなこともおっしゃっていたと思うんですよ。

 私は、ある種、ボランティアの認識をもうちょっと共有しなければいけないかなと思っているので、質疑に残したいのであえて言えば、ボランティアというのは、日本では無償の奉仕活動と捉えがちなんですけれども、本来の意味は、自発的意思による行動を指します。皆さんについてはもう百も承知のことだと思うんですけれども。

 ボランティア団体というのは、NPOであれば、ノンプロフィット・オーガナイゼーション、つまり営利を目的としない団体、非営利です。自発的に社会貢献活動などを行います。NGOについて言えば、ノンガバメンタル・オーガナイゼーション、国際協力や人道支援を行う非政府組織。ですから、例えばミャンマーなんかで、政府とは関係なしに、つまり政府と切り離して支援もできるような方々で、NPOとNGOが一緒に登録している団体というのはかなり多いと思うんです。

 だから、NPO、NGOの活動というのも、被災者の方々に寄り添うし、政府とも協力するけれども、それはあくまで自発的な、彼らのある意味では自らの思いでやっているだけであって、対等な関係なんですよね。ここのところを是非、彼らのプライドというか思いにもっと寄り添っていただければ、こういう協力命令という文言にはならないのではないかなと私は思います。

 大臣、何か一言あれば、感想を。

坂井国務大臣 今回創設する団体、登録被災者援護協力団体の制度でございますが、まず、この登録制度に登録いただくということが、まずはボランタリーで、自発的に行っていただいているということがございます。

 一方で、大変混乱もしている非常時の中におきまして迅速に救助の実施を具体的に行うためには、今回のような形で、協力をしてほしいという形で要請できる仕組みというものが適切ではないかと考えております。

阿久津委員 私は、登録抹消というのはあっていいと思うんです。ただ、災害時には中央集権にした方が本当は楽なんですよ、ぼんぼん命令を出しながら進められますから。でも、そこはやはり権力の側に立つ者はぐっと抑えて法整備をやっていかないと、まさかのときに隙が出て、あらぬ方向に国が行ってしまうという懸念も含めて、私はここのところを申し上げておきたいというふうに思います。

 次に移ります。

 災害関連死について伺いたいと思うんです。お手元に資料が行っていると思うんですが、ちょっとまず資料の読み込みから、ぱっぱっぱっと行きたいと思っています。

 私の資料一に、実は、なかなかないんですけれども、東日本大震災、熊本地震や能登半島地震の、やや無理やり同じ基準にしてもらって、直接死と災害関連死、その割合を分けてもらいました。

 東日本大震災でいうと、直接死で亡くなった方、行方不明者は含みませんけれども、一万五千九百七十四名、全体でですね。災害関連死で亡くなった方は三千八百八名です。

 驚くのは県別なんですね。岩手県、宮城県、福島県でいうと、やはり原発事故のあった福島県、つまり、より過酷な心へのあるいは身体への負担があったと思われる福島県が、災害関連死のパーセンテージが六〇%、全体の死者数の六〇%も占めるんですね。ある意味、これは本当にしっかり分析して対応していかなければならないんですけれども。

 その後の熊本地震は、直接死で亡くなった方が約五十名、この四倍以上の方々が災害関連死で亡くなっています。

 この件については、アドバイザリーボードメンバーにも登録されております新潟大学の榛沢先生が分析されていて、一つの原因は血栓ではないかと。車中泊などによって血栓ができやすい。エコノミークラス症候群になって、血栓がふくらはぎで最初に見つかる。そこで見つけていれば予防できるんですけれども、それが心臓に突き刺さったり肺に刺さったりして万が一のことになってしまう場合があるということも含めて熊本地震はこの数なのではないかと、まだまだ分析が必要ですけれども、考えられているんです。

 問題は能登半島地震なんですね。私はショックを受けているのは、直接死で亡くなった方が二百二十八名、災害関連死で亡くなった方が、その直接死を超える三百四十四名なんです。

 昨日の参考人質疑でも、兵庫県立大学の阪本真由美先生が、今回の能登半島での政府対応は決して遅れていない、ちゃんと早く進んでいるんだということもおっしゃってくださっていました。にもかかわらず、もちろん、課題として、災害発生直後のメディアの発信にやや課題があったということは指摘されていましたけれども、でも、それだけでこんなに、何が理由なんだろうかというふうに考えております。

 ちなみに、災害関連死というのは、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づいて、災害が原因で死亡した方々と定義されております。そこは下に書いてありますので。

 お伺いしたいと思います。この災害関連死について、その認識と対策を伺いたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害関連死とは、委員から御指摘いただきましたように、災害による負傷の悪化又は避難生活等における身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給等に関する法律に基づいて、災害が原因で死亡したものと認められたものとされておるところでございます。また、御紹介いただきましたように、熊本地震、また能登半島地震において、直接死を上回っているような状況でございます。

 政府としても、能登半島地震の発災当初から、医師や保健師等による避難者への支援とか、また、ホテル、旅館等の安全で快適な場所への二次避難に取り組んできたところでございますし、現在も、仮設住宅での入居者の見守りとか健康観察、あるいはデイサービス等を提供するサポート拠点の整備などにより、被災者の支援に取り組んでいるところでございます。

 さらに、今回の改正法案の中では、福祉サービスの提供を災害救助法あるいは災害対策基本法に位置づけさせていただきまして、被災者の福祉的支援をより一層充実させることで、災害関連死の防止に努めていきたいと考えておるところでございます。

阿久津委員 ありがとうございます。

 私は、原因究明と分析はまだまだ半ばだと思うんですけれども、是非、内閣府防災中心に、厚生労働省等の力もかりながら、この災害関連死については、今回の能登半島地震でなぜこれほど多くなってしまっているのかという点についてはよく分析していただきたいというふうに思っております。

 それで、東日本大震災のときは、御存じのとおり復興庁をつくりました。復興庁で、私は実は、復興庁が正式にできる前の、復興庁設置準備室の責任者をやっていたんですね。それで、一番初めに復興庁をつくるに当たってお伝えしたことというのは、復興庁の大きな仕事の一つは、心のケアをしっかりやり遂げる機関にしたいということを言いました。

 能登半島地震でももちろん丁寧にやっていらっしゃると思いますけれども、心のケアはやればやるほど効果が出るというふうに思っておりますので、是非その心のケアを辛抱強く推進していただけますようお願いをしたいと思っております。

 ちょっと順番を入れ替えてというか、六、七を飛ばして、防災庁の設置準備担当政務に伺いたいというふうに思うんですけれども、防災庁が石破内閣の下で肝煎りでつくられようとしております。防災庁の優先課題は災害発生時の司令塔機能の強化と本気の事前防災と認識していますけれども、それでいいんでしょうか。

瀬戸副大臣 御質問ありがとうございます。

 南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模災害、自然災害に備えるべく、平時から万全の備えを行う本気の事前防災に取り組むとともに、政府の統一的な災害対応の司令塔としての機能を担う防災庁の設置に向けた準備を進めているところでございます。

阿久津委員 私の持論でいうと、やはり災害対策というのは、本当は一気通貫でやるべきことがかなり多い案件だというふうに思っています。つまり、災害予防があって、災害時の応急対策があって、その後長い時間がかかる災害復旧復興、ここまでが災害対策だというふうに思っているんです。

 ただ、今、日本の課題ということでいえば、関東大震災のときの避難所の風景と東日本大震災のときの避難所の風景が、白黒写真で撮るとほとんど変わらないというんですね。その後、大分改善されてきている、能登半島地震の避難所はかなりよくなっているとも聞いているんですけれども、それでいうと、日本の一番の課題はやはり事前防災なのかなと思っています。

 だから、そこに力を入れるという政府方針は私は評価していますので、是非それはそれできちっとやり遂げていただきたいというふうに思っているんですけれども、一方で、ちょっと分かりやすく言えば、その後長く続く復旧復興に向けた、心のケアを含めた、まさに今回の法改正の肝である福祉サービスの充実等については、是非力を入れ続けていただきたいなというふうに思っております。

 それからもう一つ、内閣府防災の人員増強等もあると思うんですけれども、東日本大震災で心のケアを始めとする復旧復興を担ってきた復興庁との合流、合併というのは防災庁設置の将来の絵として入っているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 復興庁には、東日本大震災の復興を担ってきたということで、これまでの東日本大震災の災害対応の経験とか知見、そうしたものが蓄積されているものと認識をしております。

 防災庁は、事前防災、応急対策、復旧復興という一連の災害対応の司令塔となることを想定しておりまして、こうした東日本大震災での対応で蓄積された復興庁の取組の教訓もしっかりと生かした上で、防災庁の組織づくりを進めてまいりたいというふうに考えております。

阿久津委員 多分、今の答弁は、要するに、復興庁そのものが新しくできる防災庁と合体することはないということだと思うんですが、是非、私は、一気通貫で災害対策を考える意味でも、これはおいおいその教訓をしっかり生かしていかなくちゃならない。ただ、今は、復興庁の方は復興庁の方で、福島をまだ抱えていますし、任務がありますので……

金子委員長 持ち時間が終了しましたので、おまとめください。

阿久津委員 はい。

 それを完成していただきたいということを最後に申し上げて、終わらせていただきます。ありがとうございます。

金子委員長 次に、森山浩行君。

森山(浩)委員 立憲民主党の森山浩行でございます。

 今日の、今回、改正案ということでありますけれども、改正案の中で福祉的支援というような言葉があります。福祉的支援をすることにより、何がよくなるのか、プラスになるのかということをお伺いします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害時には、避難所に限らず、在宅等で避難生活を送られる方も多くいらっしゃるところでございます。

 今般、災害救助法の救助の種類として、福祉サービスの提供を追加するとともに、DWATの活動範囲の拡充や、必要な体制を確保することで、そうした方々に対しても福祉的支援を実施していくことが可能になっていくというふうに考えておるところでございます。

森山(浩)委員 ガイドラインを見直していく、あるいはDWATの方に、あるいは在宅、車中泊、いろいろなシチュエーションがあるかと思います。

 二番、登録団体についてですけれども、これはちょっと分けて質問をしていきたいと思います。

 昨日の参考人の質疑の中でも、障害を理由とする欠格条項というような読まれ方をするんじゃないかというような話がありました。

 これは、「心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの」というような書き方になっているわけですけれども、東日本大震災、また今回の能登の震災においても、障害者団体自身が被災障害者の支援活動に大きな役割を果たしてきたことに鑑みて、障害者権利条約との整合性、これを確保をしていくということは非常に大事だと思うのですが、これは、意思の疎通というようなことでありますから、もちろん障害者を指している文言ではないということでよろしいですね。

坂井国務大臣 申し訳ありません、この意思疎通というのが障害者を指しているものではないという御質問でしょうか。

 逆に申し上げますと、これは、法律が成立した後、府令で具体的な要件をお示しをする形になりますが、その中で、必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者に該当しなければ、この要件には当たらないという考え方でおります。

森山(浩)委員 つまり、これは障害を理由とした欠格条項ではないということですね。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 この被災者援護協力団体の役員の欠格条項ですけれども、法文上、「心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの」というふうに規定しておりまして、今大臣から答弁ありましたように、必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者というように府令で定めることを考えております。

 これは当然、障害者を意識しているものでは全くございませんので、意思疎通とか認知、判断ができる方であれば当然どなたでも役員になっていただいて、当然活動していただきたいというふうに考えておるところでございます。

森山(浩)委員 ありがとうございます。内閣府令でしっかりと定めていただきたいというふうに思います。

 それに加えて、これで、ふだん活動されているのにはじかれるようなことがあってはならないという部分においては、宗教団体のボランティアという部分がもう一つあるかなと思っています。

 この間、カルト宗教に絡む問題で非常に世の中的にも厳しい視線があったり、あるいは、社会福祉協議会の中において、政治活動あるいは宗教活動をしてはいけないなんというような条項が入っていたりというようなことで、なかなか最初の取っかかりが難しいというようなこともあるわけですけれども、この宗教団体のボランティアについてはいかがですか。

坂井国務大臣 宗教団体であることを理由とした欠格条項は、今回の改正案には含まれておりません。

 例えば、内閣府においては、避難所に関する指針等で、避難所の設置に当たっては、お寺、神社、教会等の宗教施設の利用を検討することとしておりまして、災害対応に当たっては宗教団体とも連携をしてまいりたいと思います。

森山(浩)委員 加えまして、今回、能登の被災地においては、非常に顕著に活動されていた中に、シェフのボランティアというようなチームがありました。

 炊き出しをやるというようなチームは結構これまでもたくさん活躍をされてきたわけですけれども、特に能登は食材が豊富で、その能登の食材をもとにしたレストランというのも盛んだというようなこともあり、シェフの皆さんが冷蔵庫に残っているものを、最初はそれを使って炊き出しをするというところからスタートをし、ボランティアの人には五百円、千円で食べてもらおう、被災者の皆さんにはただで振る舞おうというようなところから、最後はきちんとお金を取って復興につなげていくというようなことで、非常に地域の中においても喜ばれ、また、温かいものの中でもおいしいものを食べられるというようなことがございました。

 このシェフのボランティアというようなものは、今後、登録団体というようなことでなり得るだろうなというような気持ちはしているわけですけれども、団体としてどうかという部分、そしてまた、食材の支援であるとかというようなことも含めて、支援する可能性について、大臣、お願いいたします。

坂井国務大臣 被災者援護協力業務の一つに、炊き出しその他による食品の供与又は飲料水の供給を規定をしておりまして、委員御指摘のシェフによる食事提供のボランティア活動についても対象となっております。

 また、その費用につきましては、災害救助法に基づいて自治体より支弁することを現行法においても想定をしておりまして、可能となっておりまして、被災自治体のNPO等に対する業務委託が円滑に行われますように、その際の手順でありますとか具体例、よりよい好事例など取りまとめたマニュアルを作成をして、引き続き周知をしてまいりたいと思っております。

森山(浩)委員 一般の炊き出しボランティアとなると、ふだん大きな鍋をどこに置いておくのかというような話になりますが、シェフあるいはお店をしている方であればそういった設備もあるのだということで、非常にいい活躍ができるのではないかなと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。

 さて、自治体の備蓄についてでございますけれども、これも自治体によってばらつきがあるといいますか、何日分、どんなものがあるのかというようなことがしっかりと把握をされ、また、いざというときに隣の町とも協力をしながらやるというようなことも必要かなと思いますけれども、備蓄量の確認については政府として行っておられますか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 内閣府では、全国の地方公共団体における物資の備蓄状況に関する調査を行ったところでございまして、その結果を本年一月に公表させていただいたところでございます。またさらに、この四月からは物資システムをちょっと更新したものを運用を開始しておりまして、このシステムの中ででも、各地方公共団体が備蓄する最新の数量、そうしたものを確認できるような体制としておるところでございます。

 また、今回の災害対策基本法の改正案の中で、年一回、地方公共団体に物資の備蓄状況を公表いただくというような案を盛り込ませていただいているところでございます。

 内閣府といたしましても、各地域において適切な備蓄がなされるよう、今後備蓄すべき品目や数量等の考え方を具体的にお示しするなど、必要な対応を講じてまいりたいと考えております。

森山(浩)委員 備蓄ということでございまして、自治体独自で考えるというのも大事なことで、気候やら風土やらも違うと思います。また、今回、水道、下水道の問題でいうとトイレの備蓄、いわゆる携帯トイレであるとか、あるいは家の便器を使ってこれを分解をするというようなことであるとか、とにかくそういったもの、食べ物、飲物だけではなくて、生活に必要なものというものをしっかり備蓄をしていくということが大事かと思いますが、これは、個人で備蓄をすべきもの、そして自治体で備蓄をすべきものというようなことで、しっかりリストにまとめたり、あるいは周知徹底をしていくなどということが大事だと思いますけれども、いかがですか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 御指摘をいただきましたように、発災時、必要な物資がしっかりと被災者の方に届くように、各層にわたってしっかり備蓄をしていくことが大変重要だというふうに考えております。

 御指摘いただきましたように、個人の方にも是非家庭で必要な備蓄をしていただきたいというふうにも思っておりますし、自治体においても当面必要となるような食料、水あるいは資機材等の備蓄を行っていただきたいというふうに考えております。

 そうしたものに対して、昨年の補正予算で盛り込まれた新しい地方創生交付金、そうした制度も活用して、自治体の備蓄についても国としても支援を行っているところでございます。

 さらには、国の方でも、補完的に必要に応じて自治体の方に物資を提供できるような、全国八地域に拠点を設けて、必要なパーティションとか段ボールベッドとか、そうした物資をしっかり備蓄をする、そんなことに取り組んでいきたいというふうに考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 我々、都市部に住んでいると、一万人に一校ぐらい小学校があります、そこの体育館に逃げましょうといっても、全員が入れるわけでは当然ありません。また、公民館もそんなにたくさんあるわけではないという中でいうと、自宅で、また高層マンション等で、特に自宅で避難をする方というのが非常に多くなるのではないのかというふうにも考えています。

 そのときに、どうやって情報を伝達をするのか、あるいは、水を下からくんで上に持って上がるというような運搬方法などというようなことも課題になってくるかなと思いますし、また、そういうタワーマンションに住んでいますよというような方々の中には、自治会活動であるとか地域とのつながりであるとかが薄いというような傾向もあったりするわけですけれども、こういったところに対する自宅避難への支援についてお尋ねをいたします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 発災時には、在宅等で避難生活を送っていられる避難者の方に対しても、物資や医療・福祉サービスなど必要な支援を行うことが重要であるというふうに考えております。被災者に対しては、支援情報の掲示とかリーフレットの配布、あるいは自治体のホームページや防災アプリへの掲載などにより、支援情報を適切に提供することが必要であると考えております。

 また、避難所を在宅避難者等の方も含めた支援の場として機能するものとして設置をしていくということに加えまして、地域に例えば在宅避難者の方向けの支援拠点を設置し、避難所で配布している物資と同様の物資の配布や支援情報の発信等、必要な支援を行うことも検討することも必要であるというふうに考えておりまして、昨年六月に策定いたしました在宅・車中泊避難者等の支援の手引きにおいてそうした内容を盛り込んで、自治体にも周知をしているところでございます。

森山(浩)委員 そうなんですよね。行政側がこんな用意をしていますよというようなことでいろいろ考えて用意をするんだけれども、それがちゃんと住民まで届くかというようなことは、特に高層住宅、タワーマンション等の問題については大きいかなと思っています。

 我々、広告を打つときなんかでも、ここのマンションに表示をされるように、SNSに表示をされるようにというような広告の打ち方もありまして、電波をまず復旧をさせるということが前提になりますけれども、その上で、ここのマンション、あるいはここの一丁目の皆さんに対して、二丁目の皆さんに対してというようなことを電子的な手段においてもお伝えをするなどというようなことも大事かなというふうに思いますので、いろいろ工夫をしていただければと思います。

 大臣、コメントはありますか。

坂井国務大臣 様々な技術でありますとか様々な状況が想定される中で、それぞれに適した最も望むべき在り方を不断に検討していきたいと思っておりますので、今御指摘の面も検討を進めていきたいと思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 備蓄場所の話が抜けておりました。

 先ほど備蓄量の確認という質問をいたしましたけれども、備蓄場所という部分についても、これは自治体でいろいろと差があるのかなと思います。

 私の隣の町であります大阪市においては、本願寺の北御堂というところに三百食分ぐらいの市の備蓄をお願いをしているというようなことで、市とお寺とで協定を結んで、いざというときにはそこを避難所にさせてもらったり、あるいは備蓄をふだんからしてもらったりというようなことをやっているところと、それは全く触れていないというところが自治体ごとにあります。静岡なんかでも随分と進んでいるという話も聞いたりしますけれども、私の地元の堺においては、そういったことが行われていない。

 津波が来たときなんかに、ざあっとつかっている中で、石段の上にあるお寺の本堂の畳、これはぬれていないんだというような状況もあったりするわけですけれども、そういったことも、これもまた、ふだんの市の体制や社会福祉協議会の体制においては、宗教団体と話をするということはなかなか政治、宗教の中立の面から難しいんだというような思いを持っておられる現場の方も少なくないと思います。

 これについてはどうお考えですか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 自治体におきまして、災害に備え、物資や資機材の備蓄をいただいておりますけれども、被災者に物資を迅速に届けることができるよう、物資拠点を分散させておくということは重要だというふうに考えております。

 委員が御指摘いただいたような寺院等との協定により、物資拠点として活用されている事例があることは承知しており、有効な取組であると考えてございます。

 内閣府におきましては、避難所に関する指針等で、自治体において避難所や物資拠点に必要な備蓄を確保することについて周知しておりますほか、先ほど大臣からも御紹介いただきましたけれども、避難所の設置に当たりましては、お寺とか神社とか教会等の宗教施設の利用も検討するというふうにお示しもさせていただいているところでございまして、寺院等の活用も含めまして、必要な物資を災害時にも迅速に届けることができる、そうした最適な体制を検討していくことが重要だというふうに考えております。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 大臣、これは総務省等とも連携をしながら、書いてはいるんだけれども、しっかりお伝えをして、前向きに検討してくれぬかというようなことでお伝えいただけませんか。

坂井国務大臣 私も、幾つかの宗教団体の方からは、こういった、災害時に御協力をしたいということでの御相談もいただいたことがあったりいたしております。

 ですから、そういった方々の思いも含めて、しっかり形にできて、そして住民の皆さんがより一層安心な環境をつくるためにも、多くの自治体の方にも御協力いただくということは大事だと思いますので、努力をさせていただきたいと思います。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 災害救助法が適用されたインフラ災害、埼玉の今回の下水管の破裂による道路の陥没の事故がありまして、これはまだ、五月の半ばぐらいとも言われていますけれども、補修に大分時間がかかっています。

 大きな、大き過ぎるといいますか、インフラというのが破損をしたときに、これを補修をするというのは非常に大きな労力もかかりますし、またその間のお金も、また人命もというようなことを考えますと、同じ機能を果たすものであっても、例えば、四・七五メートルの下水管、これをどんと入れるのではなくて、二メートル、三メートルの管を二本、三本入れるというような形で、同じところを通すにしても、補修のやり方というのはもっと早く対応ができるのではないかということを考えたりもいたします。

 また、災害のときに都市ガスが復旧をするよりもプロパンガスの方が早いというように、小規模分散型で普段のインフラを造っていくというようなことをやっていくことにより、また水道なんかでも、小規模で浄水、あるいは管の長さ自体が短くなっていればもうちょっと早くいろいろな対応ができるというようなことも含めて、ふだんからのインフラの造り方というものも、災害対策、事前の防災という意味では非常に大事な部分かなというふうにも思います。

 これは是非、横横で検討をしていただいて、日本のインフラの在り方、大きければいいんだということではないのだということを前提としながら御検討いただきたいというふうに思います。

 南海トラフの対口支援の問題、一度取り上げさせていただいたんですけれども、二月に総務省から、南海トラフ地震における応急対策職員派遣制度アクションプランというものが発表をされています。これは、いろいろな事務をする職員の派遣ということですけれども、どんなことを前提に作っているのか。また、消防については、どのようなことを前提に派遣の対応をしているのか、お知らせください。

小池政府参考人 南海トラフ地震における応急対策職員派遣制度アクションプランというのを、今委員御指摘のとおり二月に策定したところでございますけれども、こちらは、能登半島地震でも運用いたしました応急対策職員派遣制度について、南海トラフ地震の場合には非常に規模の大きい被害が予想されることから、あらかじめ応援される側の県と応援する側の県の組合せを定めておくということを主な内容としておるところでございます。(森山(浩)委員「消防は」と呼ぶ)済みません、消防については、今日は来ておりませんけれども、緊急援助隊のアクションプランとして別途定めておるところでございます。

森山(浩)委員 昨日のやり取りと違うんですけれども、職員さんについては避難者数と倒壊建物数を基礎に作っている、消防については死者数を基に作っているので同じものは使っていませんというようなお話がありました。

 警察、自衛隊については、これは同じように影響するんでしょうか。

今村政府参考人 お答えいたします。

 南海トラフ地震が発生した場合に被災者の救出救助活動等に当たる警察部隊の派遣につきましては、委員御指摘の総務省のアクションプランではなく、警察庁が策定する警察災害派遣隊等派遣計画などに基づいて行うこととしております。

 具体的には、想定上被害のない十八道県の警察部隊をあらかじめ指定された十の重点受援県に向けて派遣する一方で、それ以外の十九都府県警察の部隊につきましても、被災状況に応じて警察庁が決定する派遣先に派遣することとしております。

 いずれの場合におきましても、実際の被災状況に応じまして必要な規模の部隊が派遣されるように、派遣先と派遣規模を柔軟に決定してまいります。

小野政府参考人 お答えします。

 自衛隊の災害派遣につきましては、都道府県知事等から要請を受け、緊急性、公共性、非代替性の三要件を総合的に勘案をいたしまして、人命救助、生活支援等のために部隊等の派遣を行うものでありまして、この総務省のいわゆるアクションプランにあります対口支援制度の影響を受けるものではございません。

 例えば昨年の能登半島地震におきましても、自衛隊は、石川県知事からの要請を受けて、人命救助やその他の各種活動を行っております。また、南海トラフの関係でも、被災地の近傍部隊の活動に加えまして、被災状況に応じまして、全国の増援部隊を柔軟に展開をし、しっかりと対応してまいります。

森山(浩)委員 ありがとうございます。

 それぞれ機動的にということですけれども、例えば、私のところの大阪とか、兵庫とか奈良とかが入っていないわけですね。これが被害確認後応援都府県というような形になっているわけですけれども、これについて御説明ください。

小池政府参考人 南海トラフ地震における応急対策職員派遣制度アクションプランにおいては、十県の重点受援県のほか、御指摘のありました被害確認後応援都府県等の区分がありまして、被害確認後応援都府県等については、あらかじめ応援団体の組合せは決まっておりません。

 しかし、被害確認後応援都府県等については、被災状況によっては外部からの応援が必要になる可能性があることから、その場合には応援職員派遣の要請を行うようこのアクションプランに定めており、その要請があった場合には、重点受援県十県に対して即時に応援に入ることとはなっていない団体からの応援職員の派遣を調整することとしております。

森山(浩)委員 被害があっても大阪は勝手にやっておけよというふうな伝わり方がしている部分もありますので、いざというときにはお互い助け合うんだよというようなことも含めてお願いをしたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、林佑美君。

林(佑)委員 日本維新の会、林佑美です。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。前回残してしまった質問がありますので、本日は、その続きから質問させていただきます。

 まずは、南海トラフ地震等の大規模災害への備えと経済支援についてです。

 昨年八月八日の夕刻、日向灘を震源とするマグニチュード七・一、最大震度六の地震が発生し、太平洋側の広い地域で大きな揺れを観測いたしました。気象庁は、南海トラフ地震臨時情報を発表し、当時の松村防災担当大臣が、今後一週間、日頃からの地震への備えの再認識や、直ちに避難できる態勢を取るように、国民に特別な注意の呼びかけを行いました。

 幸いにもその間に津波や大きな余震が生じることはなく、一週間後には特別な注意の呼びかけは終了いたしましたが、お祭りやイベントの自粛、新幹線の減速運転などの措置が取られ、お盆の帰省時期と重なって、少なからぬ混乱があったのは記憶に新しいところです。私の地元和歌山でも、隣の選挙区になりますが、白浜の海水浴場が閉鎖され、旅館やホテルの予約のキャンセルが続出し、観光収入は大きな打撃を受け、白浜町は観光業を支援するための事業を補正予算で措置いたしました。

 南海トラフ地震臨時情報を受け、自治体によって対応が異なったことや、各事業者の対応あるいは情報発信などについて政府で検証が行われたと承知しておりますが、検証結果と課題認識をお聞かせいただくとともに、影響を受けた地域観光業への支援について、政府の見解を伺います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 昨年八月、日向灘を震源とする地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報の巨大地震注意が発表となりました。初めての臨時情報であり、各主体における情報の受け止めや取るべき防災対応について戸惑いが見られたことから、有識者によるワーキンググループにおいて検証をいたしまして、新聞広告や動画などを活用した平時からの周知、広報の強化、内閣府と気象庁による合同の記者会見や平時との違いを意識した説明など、臨時情報発表時の呼びかけの充実、さらには、地方公共団体や事業者等との意見交換や研修の実施支援などによりまして、各主体における防災対応検討の推進、こうした方策を取りまとめ、改善を図っているところでございます。

 一方、臨時情報は、自然災害のリスクが高まったことをお知らせすることによりまして、各主体の被害を軽減することを目的としたものであることから、御指摘の地域観光業を始めとする民間事業者等の経済損失を支援することはなじまないものと考えているところでございます。

 臨時情報発表時に取るべき具体的な対応は、各主体の実情に応じて事前に決めておくことが必要と考えておりまして、政府としては、それらを支援するため、防災対応の事例集の作成、共有、防災対応の検討の参考になる事項を取りまとめたガイドラインの改定などを行いながら、各主体の計画の見直しや検討の促進につなげてまいりたいというふうに考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 是非とも、この検証を基に、地域経済への支援策における御検討のほどをよろしくお願いいたします。

 関連する質問となりますが、和歌山県では、過去、県で死者・行方不明者二百六十九名の犠牲者が生じた昭和二十一年昭和南海地震など、幾度も南海トラフ沿いの地震が発生し、また、毎年のように台風による深刻な被害が生じております。能登半島と同じく紀伊半島も地理的に不利な状況にあり、陸路のみならず、海や空からの物資輸送が重要となります。南紀白浜空港を始め、空港や港湾の整備、強化を平時から行っていくことも必要でないかと思っております。

 和歌山県に限らず、各自治体が、いつ発生するか分からない災害に対し、事前の備えをハード、ソフトの両面から行っていく必要があり、政府にはその支援をしっかりと行っていただきたいと思っております。

 そこで、事前防災とはどのようなものか、今後発生する可能性のある南海トラフ大地震や大規模災害、風水害に備えて、これらの支援体制をどのように強化していくか、具体策について伺います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 ハード、ソフトが一体となった事前防災の取組は、災害による被害の発生の未然防止や軽減につながるものでありますので、災害に強い国づくり、地域づくりのために重要であると考えております。

 このため、まずはハード対策といたしまして、空港や港湾等の交通インフラの耐震対策、また空港や港湾等の主要な拠点と高規格道路等のアクセス強化、建築物の耐震化、海岸堤防等の整備、耐震対策、あるいは津波避難のための避難路や津波避難施設の整備などを推進することとしているところでございます。

 また、あわせまして、ソフト対策といたしまして、津波ハザードマップの作成、見直し、周知、あるいは住民の防災意識向上につながる訓練の実施、新地方創生交付金を活用した備蓄の支援、あるいはキッチンカー、トイレトレーラー等の登録制度等によりまして避難生活環境の抜本的改善、こうしたことを推進しているところでございます。

 引き続き、関係省庁、自治体、民間事業者等と連携しながら、事前防災をしっかりと推進してまいりたいと考えております。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 事前防災を含めて、政府の支援強化策についても今後注視してまいりたいと思います。

 次に、企業との平時からの連携、協定の在り方について質問いたします。

 まずは官民連携の視点から伺います。

 これまでの大規模災害の教訓を振り返りますと、災害対応というのは、行政機関だけで完結するものではなく、多様な主体との連携があって初めて機能するものであるという事実が非常に明らかになっております。

 特に、近年は災害が広域かつ複合的に発生することが常態化しており、通信、物流、交通、建設、医療、小売、エネルギー供給といった、生活や産業インフラの担い手である民間企業の果たす役割はますます大きくなっています。

 災害時において、携帯電話通信や電力供給の復旧、物資や食料、医療品の供給網の維持、道路や交通手段の確保、一時避難施設としての民間施設の活用など、企業と連携した対応が速やかにできるか否かが、その後の被害の広がりや住民の生活再建のスピードを大きく左右しています。

 こうした状況の下、本法案では、被災者援護協力団体の登録制度が新たに創設され、民間団体やボランティア団体等との連携を制度的に位置づけた点は評価できるものと考えております。

 しかしながら、それに加えて、民間企業との災害時の連携についても、より体系的に、かつ戦略的に制度化すべきと考えます。例えば、インフラ系、運輸系、情報通信系企業と包括的な災害対応協定を結ぶですとか、災害時に優先的対応に関する法的整理、物流供給や物流の支援などを行うですとか、平時からのBCP、事業継続計画と地域防災計画の接続、そして自治体と企業とのマッチング支援や事前訓練の導入支援、このような取組を通じて、災害時の官民一体の実動型ネットワークを構築することが極めて重要です。

 そこで、内閣府として、今後の法制度や支援体制の中で、民間企業との連携をどのように強化しようとしているのか、また、自治体単独では難しい企業との関係構築を支えるために、国として果たすべき役割についてどのような御認識をお持ちか、併せて御所見をお聞かせください。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害対応力の強化を図る上で、官民の連携体制を強化していくことは重要であり、政府としては、災害発生時に全国的な支援活動を行う民間企業等との連携体制を構築するとともに、自治体と地域の民間企業との連携を支援することが重要と考えているところでございます。

 民間企業等との連携体制の構築につきましては、防災上重要な役割を果たす民間企業等を指定する指定公共機関という制度が災害対策基本法上ございますけれども、これにつきまして、東日本大震災発災当時の五十七の指定公共機関から、現在は百六まで増加をさせておりまして、そうした指定公共機関との連携によって災害対応を図るというような体制を構築しておりますほか、また、内閣府と企業等との間で災害時応援協定を締結して具体的な取組を実施していく、そうした取組も進めているところでございます。

 また、自治体と民間企業等との連携への支援でございますけれども、自治体が、他の自治体でどういった災害の応援協定を締結されているか、そうした状況を確認できるようにということで、自治体が締結されておられる協定のデータベースを国の方で整備をいたしまして、そうしたものを参考にしていただいて、自治体において協定の締結をしていただくといった促しを行っておりますほか、民間企業等の先進技術と自治体のニーズをマッチングをいたします防災×テクノロジー官民連携プラットフォーム、そういうマッチングの取組をしておりまして、こうした運営を行っているところでございます。

 また、今般の改正法案におきましては、民間企業等も含めた関係者との連携を進めていく、そういう考え方の中で、自治体が法律に基づき策定する地域防災計画において、災害応急対策又は災害復旧を円滑に実施するために必要となる民間との連携に関する基本的な方針について定めることができる旨を規定もしておるところでございまして、民間との更なる連携を促すこととしているところでございます。

林(佑)委員 ありがとうございました。

 現場の声に耳を傾けますと、まだまだ、企業との協定締結ができている自治体とできていない自治体に大きく分かれており、災害対応力に格差が生まれているのが現実です。また、事前協定があったとしても、それが実際の訓練や有事の場で有効に機能する仕組みになっているかというと、必ずしも十分とは言えない地域もあります。

 是非、今回の改正を契機に、地域における官民連携のモデル事業の全国展開や、連携協定の質の検証や、標準化ガイドラインの整備、そして企業との協定締結状況の見える化、先ほどデータベース化されているとおっしゃっていましたが、公表制度の検討といった取組にも今後積極的に取り組んでいただきたいと要望いたします。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 今の委員の御指摘も踏まえまして、しっかりと民間企業との連携が進むように、私ども、実際に動くような、そういった取組を進めていけるように頑張っていきたいというふうに考えております。

林(佑)委員 どうもありがとうございます。しっかり頑張っていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 まだ少し時間がありますけれども、質問がいっぱいある杉本先生がいらっしゃいますので、これで質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

金子委員長 次に、杉本和巳君。

杉本委員 日本維新の会の杉本でございます。

 先ほど、国会の中のテレビを拝見しながら、阿久津議員の質問に、立法事実というか、今回の法改正の意義みたいなところで、坂井大臣は、能登半島の地理的、社会的な、私の理解ですと、厳しい条件下での被災ということがあったので今回の法改正になったんだというお話がございました。

 そういった意味で、今回の法改正の意義は私ども維新も賛同しておりますので、冒頭、それを申し上げたく存じます。

 それで、積み残しの質問等も含めて、ちょっとボランティアの定義づけみたいなところも阿久津議員が質問されていたんですが、重ねて同じような質問になるかもしれませんが、伺いたいと思います。

 まず、この部屋だったかと思うんですが、大分前に、西日本の、広島の豪雨の件がございました。その件を受けて質疑をさせていただいて、当時の大臣が小此木さんでいらっしゃいました、小此木大臣に私は提案をさせていただき、引き続き同じ提案を坂井大臣にさせていただきたいと思うんです。

 今回、第二条の用語の意義の中で、地盤の液状化というのが付記されるという法改正になっております。埋立地の液状化も当然、被災項目に入るということなんだろうと思うんですけれども、私の理解ですと、どこと言うと御無礼になっちゃうんですけれども、海だったところを埋め立てて土地を造って、そこにおうちを建てて、そこが住宅街になってというのは、ある意味、住めるところが増えることはいいことなんですけれども、同時に、やはりぐらっと来たときに液状化するリスクが非常に高いということがあるのではないかなと思っています。

 私の経験則からいくと、例えば、何とか島とかいうような地名が、私の地元でも、あそこに若山さんがいらっしゃいますけれども、若山さんも同じ地元ですけれども、地名がついたところは地域的に地盤がしっかりしているのかなという理解を私はしつつ、何とか池とか、いろいろそういったような名前の地名がついたところというのは、逆にむしろ、歴史的に見て、長い歴史の中で、液状化とかそういう被災のリスクが高いと思うんです。

 そういった意味で、私の問題意識は、例えば不動産を、人生に一回しか買わないようなおうちを買うときに、本当によく調べていただければ、そこに家を建てて、あるいは建て売りを買うのかというような判断がきちっとなされれば、被災される方というのは、最終的に、例えば値引きをして売ってしまって、被災される方は出てしまうかもしれないけれども、少なくとも御本人の意思によって、そこに住まないで、そこで被災しないで、液状化にならないでということが可能性として私は大事なことではないかなというふうに思って、当時、小此木さんにも提案したんですけれども。

 いわゆる旧町名ですね、蛇崩れなんという地名もどこかにあったような気がするんですけれども、そういった旧町名を、これはあくまでも不動産業界の任意の思いの中で、例えば備考欄に旧町名を付記していただくとかそういうことをすれば、被災される方も少しは減るし、あるいは国家的な負担も少なくて済むという可能性もあると思うんです。

 そういった意味で、旧町名等古い地名の不動産売買等での備考欄への記入、こういったことについてどんな御見識をお持ちか、あるいは意義があればもうちょっと前向きにまた坂井大臣は考えてくださるのか、この辺りをお伺いしたいと思います。

坂井国務大臣 私も、熊本の緑川という川がございまして、そこの近くの方にお話を伺うと、加藤清正公が治水をやったときに、わざと、川が氾濫をする場所、要は水をあふれさせる場所を造り、その近辺は、犬という地名がつくところ、いぬ、いちゃ駄目という意味ではないかというようなことも言っていましたが、その犬という地名がつくところは、いわば水があふれるように川を造った場所であって、人が住んではいけないということをわざとお知らせするためにそういう地名をつけている、こういうお話を伺いまして、まさしく今、杉本委員の御指摘を聞きながら、それを思い出していたところでございました。

 今実際、不動産を購入するときに、重要事項説明において、そういった、ここの場所がどういう場所かというのをちゃんと購入者にお示しをしなければいけないということになっておりまして、しかしそれは、こういった地名ではなくて、多くの方に御納得いただくということからも、今、科学的に作られたハザードマップの情報であったり、浸水想定区域の情報であったりということで地方自治体も取組が進んでおりますから、その情報を重要事項説明として、土砂災害警戒区域内か否か、若しくは、令和二年からは水害ハザードマップも作るようになっておりますので、当該宅地建物の所在地がどうなっているかということを説明をしなければいけないことになっておりまして、今、災害リスクについてはこういった形で情報提供がなされるところと承知しておりまして、まず役割は果たしているのではないかなとは思っております。

杉本委員 ありがとうございました。

 現状の重要事項説明、ハザードマップ、浸水想定区域、確かに意義があると思います。それに加えて、売買される御本人が、やはりちょっと過去の歴史等を調べて、本当に一生に一度の大切な住宅購入等を考えていただくということを私はお勧めしたいなというふうに思っております。

 さて次に、ボランティアのことについて。

 昨日、参考人からのお話があって、ボランティアの語源というお話もたしかあったやに記憶していまして、そのとおりに私は言えないんですけれども、ラテン語で、決意するがボーロで、ボランタスというのが自由意思という、これもラテン語ですね。そして、そこからの派生語で、自ら進んでというのはボランテートと言うんですかね。これがフランス語になったときに、ボランテといって、喜びとか精神とかそういう意味になって、それが最終的に、英語のボランティア、自発的意思による行動というような、ボランティアのそもそもの語源があるんです。

 今回、改正案の第五条の三、新設の。国は、広報活動、啓発活動等を通じて、ボランティアによる防災活動に対する事業者及び国民の関心と理解を深めるとともに、休暇取得の促進その他のボランティアによる防災活動への国民の参加を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならないというふうにあって、ここにボランティアという言葉が出てくるんですけれども、一体、これを法律的にも、ボランティアという外国語というか英語というかをそのまま我々は導入していいのかどうか、きちっと定義づけをしなくて本当にいいのかなというふうに感じています。

 昨日の参考人質疑でも、団体と個人の違い、先ほど阿久津さんはグループというようなことをおっしゃっていたような気もいたしますし、特に、例えば個人なんかでも、登録制にしたとすると、個人のところでの防災意識というのが、自助、共助、公助でいくところの自助と共助の部分が非常に高まってというようなことも言えるんじゃないかなということで、今回の法案は団体等を登録するという方向感であると思うんですけれども、この個人をどういうふうに今後考えていくのかとか。

 あるいは、昨日の参考人の中でもあった専門性、あるいは私の言葉で言うと経験値みたいな、技術的な団体とか、そういう言葉が昨日あったかと思います。こんな点もどういうふうに分類分けして把握していこうとするのか。

 まとめて質問しますけれども、まとめてお答えいただければと思います。

 それと、あと、交通費の補助なんかでも、昨日、栗田さんという方が言われていたのが、例えば、大学生にお金がないからこれは助かるんだということで交通費の支援をするという声がありますけれども、そういうのがあるんですけれども、大学生ならば、大学がきちっと支援したり、あるいは、大人にちゃんと言って資金をもらって自分たちの団体を立ち上げていくぐらいの自発性が本当はボランティアに必要なんだろうな、これからの若い人たちが、ボランティアに行くときにいつも国からお金が出るんだみたいなことで本当にいいのかという懸念がございますということを言われました。

 そういった意味で、交通費補助における、既に民間部門では助成制度があって、赤い羽根、日本財団等があるというふうなことを教えていただきました。これに対してのボランティア精神、自発性、自律性、多様性、こういった観点からどういうふうに我々は捉えていったらいいのかということ。

 それともう一点、参考までに、おっしゃっていたのは、官と民の関係でいくと、連携はしなきゃいけないんだけれども、決して官が上に立って命令調になっちゃいけなくて、技術のある民に頼むとかそういう意味では、むしろ謙虚に、誰かが抑制的にと言ったら、権力は抑制的じゃなきゃいけないというような言葉もございますけれども。

 そういった、今回のボランティアというテーマに関係して、今申し上げたような点を総括的に、まとめて大臣からちょっとお答えいただければと思います。

坂井国務大臣 大きな災害が起こった場合には、そこにお住まいの方々だけでは対応ができないということは多々あるわけでございまして、そのときにどういう方に応援に入ってもらえるのか、支援をいただくのかということが一つの大きな課題であり、入ってもらうお願いの仕方、入ってきていただくいただき方とかそういったところも含めて、大きな課題の一つと考えております。

 先ほどの質疑でも御指摘がありましたが、イタリアとかは、やはり社会として制度をつくって、そういったことをやれるような制度、仕組みがあるということでございましたが、そういったことも含めて、日本の今の社会を見ながら、どういう形が一番いいのかということを模索しながら、大きな論点として頭に置きながら個々の施策を進めていくということが必要かと思っております。

 災害対策基本法においてのボランティアという意味は、個人、法人を問わず、広く被災者の支援のために自発的に防災活動に参加するもの全般を指すということになっておりまして、今回の改正でこの定義は変えておりません。事業者や国民等々、関心と理解を深めるとともに、国民や企業に対して働きかける等、広く国民のボランティアによる防災活動への参加を促す取組が重要だと思っております。

 交通費の補助に関して、先ほど栗田さんの引用をされましたけれども、大変奥深いというか、やはり現場を経験している方の感覚だなと思ったんですが、そういった状況も行く行く考えなければいけませんが、まずは幅広くボランティアの裾野を広げ、被災者支援に当たる自主的、自発的な活動を国民の中により一層促進をしたいという観点から、交通費補助を四月一日から開始をしたところでございます。

 なお、個人が今回対象とはなっておりませんが、団体というのは、法人格がなくとも、任意団体も対象としているところでございます。

 今申し上げましたように、どういう制度があるのか、どういう形が日本に合うのかといったことを含め、また、個々人の方々にどういった取組やどういう伝え方をすると理解を深めていただき、そして御参加いただけるのかということを含めて、いろいろと実際に動きながら、やはり不断な検討は必要だと思っておりますので、今後とも様々御指導、御指摘いただければと思います。

杉本委員 ありがとうございます。

 今日は赤澤さんがアメリカに行かれて、トランプ関税の方に一生懸命目が行っちゃっているんですけれども、石破政権の大切な一丁目一番地の一つはこの防災のことでございますので、おっしゃっていただいたとおり、個人の防災意識を高める意味からも、個人のボランティアも含めて、やはり我々は認識を深めて、そして皆さんに認識も深めていただくということをお願いしたいと思います。

 残り五分ぐらいになってしまったので、ちょっと、さきの質問の積み残しで行きたいと思うんですが、森林火災のことについて。

 この間は質問できず御無礼しましたけれども、例えば阿蘇なんかですと、阿蘇の野焼きということで、焼き畑農業で、草原なんですね、草原を焼いて土地を肥やすというのは私は分かるんですけれども、そうじゃなくて、直近の事例でいくと、例えば、安芸太田町、広島ですね。報道で、これはまさしく野焼きが原因で出火したというのが、九日現在の、大分前ですけれども、今日は十六ですね、というような、日にちがたってしまったんですけれども。

 この出火原因というものをどういうふうに関係当局、消防庁は御認識でいらっしゃり、やはりこれは、例えば、野焼きは禁止だ、乾燥した地域において、樹木があるところで雑草を焼かないでください、周りが迷惑して、おうちが焼けちゃいますということできちっと禁止とかいうことをしていく必要が、この地球温暖化の時代において私はあると思っているんですけれども、出火原因とそれに対する対策をどんなふうにお考えかを確認させてください。

小谷政府参考人 お答えいたします。

 まず、出火原因についてでございますけれども、令和五年の林野火災の出火原因につきまして、その他ですとか不明、調査中に分類されるものを除き、多い順に三項目を挙げますと、たき火が三二・〇%、火入れが一九・〇%、放火及び放火の疑いが七・五%となっているところでございます。

 林野火災につきましては、まさにこのように人為的な要因による火災の割合が高いことから、消防庁ではこれまで、予防の徹底など啓発活動の取組を中心に進めてきたところでございますし、今回、大船渡市での大規模林野火災など大規模な林野火災が相次いだことを受けまして、地方自治体に向けまして林野火災の予防の徹底を求める通知を発出したほか、政府広報も含めて、各種媒体による啓発活動を行っているところです。

 今、火入れの禁止のお話等ございました。各種法律、例えば森林法でいきますと、森林の近くでの火入れというのが許可制になっている等々いろいろありますし、罰則があるような行為もございます。

 こういったこともございますが、現在、消防庁としては、林野庁と共同で、大船渡市林野火災を踏まえた消防防災対策のあり方に関する検討会というのを開催しておりまして、この場におきまして、今後取り組むべき火災予防等の在り方について検討を行うこととしております。

杉本委員 小谷部長さん、ありがとうございます。

 罰則をやはり強化する必要も考えていただく必要が、これだけ事案がぼんぼん出てくる中で、また後追いで全国各地で出火しているという状況でございますので、できるだけ早い段階で、ちょっと罰則強化みたいなのも林野庁と協力して考えていただきたいとお願いを申し上げます。

 もう時間がなくなってきてしまったのでございますが、最後に。

 東日本大震災のときに私は宮古に入ったんですけれども、そこでの経験からいくと、津波が結局到達してしまったところに碑がありまして、大体、明治時代の碑があって、ここまで津波が来ましたという碑がありました。大体、その地域の神社を見ますと、その碑よりも高いところに、全ての神社と言ってよかったかもしれないんですけれども、そういうところにございました。

 そういった意味で、もう時間になりましたけれども、やはり過去の歴史的な、冒頭申し上げた古い地名というのも大事ですが、古い歴史的な碑などでも我々は参考にしていくと津波もよけられるのではないかと思いますので、南海トラフの地震に対しても我々はそういった備えもできるところはしていくということをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。

 以上です。ありがとうございます。

金子委員長 次に、田中健君。

田中(健)委員 国民民主党、田中健です。よろしくお願いします。

 私からは、まず福祉サービスについて伺いたいと思います。

 今回、高齢者等の要配慮者や住宅避難者など多様な支援ニーズに対応するため、災害救助法の救助の種類に福祉サービスの提供を追加をいたしました。そして福祉関係者との連携を強化していくということです。これは災害対策基本法においても、この福祉サービスの提供を明記をしました。

 具体的にはこの対象者は誰を想定しているのかまず伺いたいと思いますが、避難行動要支援者は、しっかりと、障害者や高齢者、外国人、妊産婦等が示されていますが、これとの関連についても併せて伺います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 被災者に対する福祉的支援の充実は重要であり、災害救助法の救助の種類として、福祉サービスの提供を追加をする法案となっておるところでございます。

 福祉サービスの提供の対象といたしましては、福祉支援が必要な高齢者や障害者など、避難生活において配慮を必要とする被災者を広く想定をしておりまして、例えば、御指摘いただきましたような外国人の方とか妊産婦の方とかでも、福祉支援が必要な状態、そういった方については当然含まれ得るというふうに考えておるところでございます。

田中(健)委員 特に定義のようなものはないということで、対象者を明確にしているわけではないということであります。

 また、今、福祉サービスが必要な人に広く提供するということでありますけれども、そもそも、じゃ、その福祉サービスというものも何を指すのか伺いたいと思います。今回、災害救助法ではDWATを想定しているということもお話がありましたけれども、そうしますと、対象や期間というものが限られるんじゃないかということを言われています。

 災害対策基本法における福祉サービスというのはどのようなものを指定しているのか、そして災害救助法と定義が異なるのか、これは大臣に伺いたいと思います。

坂井国務大臣 まず、災害救助法の福祉サービスの提供でございますが、要配慮者への相談支援でありますとか日常生活上の支援等を想定をいたしております。具体的には、DWATが要配慮者を支援することを想定をしておりまして、福祉的支援が必要であれば、対象者を限定することなく、社会福祉協議会等の支援と相まって継続的に支援することを想定をしております。

 また、災害対策基本法の福祉サービスは、被災者の生活環境の整備に必要な福祉サービス全般を含むものでございます。

 両法に基づく福祉関係者等による支援により、被災者の方お一人お一人に寄り添った福祉的支援が行われますよう取組を進めてまいります。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 相談支援も含めて継続的な支援ということを今お話しいただきましたが、やはり福祉サービスというと、それぞれの皆さんが思うサービスは大変幅広いと思うので、なかなか、現場任せでありますと、適切なサービスができるのかなという懸念が残ります。

 例えば外国人一つ取っても、大変インバウンドが多い地域もあればそうでない地域もあって対応が異なるかとは思いますが、具体的な例などを出して、ある程度ガイドライン等を示して整備を進めていくことが必要じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害時には、避難所に限らず、在宅等で避難生活を送られる方が多くいらっしゃるところでございます。今般の法改正で救助の種類として福祉サービスの提供を追加することで、DWATの活動範囲の拡充あるいは必要な体制を確保するということと併せて、そうした方々に対しても福祉的支援を実施することが可能になると考えてございます。こうした制度改正の趣旨あるいは実効性をしっかり担保していくということが大変重要かというふうに考えております。

 例えば、内閣府では、この改正をお認めいただけますれば、この関係の趣旨なんかを盛り込んだ施行通知をしっかりと出させていただくと同時に、災害救助法の事務の取扱要領、こうしたものをしっかりと改定をしていきたいというふうに考えておりますし、厚労省さんの方で、DWAT関係のガイドラインの改正とか、そうしたことについても御検討いただいているところでございます。

田中(健)委員 通知、要領で出すと今お話がありまして、また、厚労省の方でもガイドラインを考えているということでありますので、やはり適切な福祉サービスがどの地域においても提供できるように、ガイドラインの整備というのを是非検討いただきたいと思っています。

 引き続きまして、平時においては、今度は福祉避難所について聞きたいと思います。

 福祉避難所については、指定又は協定を締結していた施設について、能登半島地震では施設の被害や職員等の被災などにより開設は一部にとどまったということが、内閣府の「令和六年能登半島地震における避難所運営の状況」によって明らかになっています。

 そのため、高齢者等の避難所の受入れを行った施設については、一定の要件を満たすことで福祉避難所とみなすことで、設置や管理及び運営に必要な経費を求償の対象として多くのサービスを担ったということでありますが、このような臨時的な措置では、各自治体が適切に準備や対応をするのがなかなか難しく、施設やサービス機能が回復しないため広域避難が長く今回続きましたけれども、その避難の継続を余儀なくされるということが起きました。

 今回、施設やサービスが機能回復するまでの間は、先ほどDWATがありましたけれども、などによる切れ目のない支援というのが必要になってくるんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 能登半島地震におきましては、平時から福祉避難所として指定され、又は協定を締結していた社会福祉施設等が、施設の損傷、職員の被災などによりその機能が損失をし福祉避難所として開設できなかったケースがあったというふうに承知をしております。

 このため、災害時に福祉避難所となる社会福祉施設につきましては、その耐震化に向けた財政支援というものを行いますとともに、内閣府のワーキンググループの報告書も踏まえまして、災害時の人員の不足に速やかに対応するため、平時から他地域との応援協定の締結を進めることというふうにしております。

 また、施設やサービスが被災後回復するまでの間も、御指摘のように要配慮者の方々が適切な福祉的支援を受けることができるように、厚生労働省としましては、こうした一時的な支援を担う災害派遣福祉チーム、DWATの都道府県における人員確保を支援しているというところでございます。

 引き続き、内閣府とも緊密な連携を図って、こうした切れ目のない福祉的支援の確保を図っていきたいというふうに考えております。

田中(健)委員 このDWATは、DMATやJMATのような医療チームと比べて、被災地に活動拠点を構築して、そして継続的な支援を行うという体制がまだまだ不足しているということも聞いています。被災地への派遣や活動の継続には制約があるということも指摘をされています。

 先ほど大臣からは、相談支援に加えて継続ということが今回の福祉サービスに必要だということが述べられましたけれども、これについて、厚労省のページを見ますと、DWATの活動内容や手順の標準化が進んでおらず、災害時の対応はばらつきがある、そういった可能性があるということも載っております。

 先ほど内閣府の方から、ガイドラインをというお話がありましたが、これは災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドラインというのが厚労省の中にはあるかと思います。是非、このガイドラインをしっかり徹底していただいて、そして、今回の福祉サービスが入ることで更に継続的な支援につながることを、体制整備を強化、またしっかりと対応ができるような取組というのも進めてほしいと思いますが、せっかく厚労省が来ているので、御意見をいただければと思います。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生から御指摘のございました今回の地震による反省点等々を踏まえて、DWATというものについてしっかり充実強化をしていくことが大事だというふうに思っております。

 今回の改正法が成立をいたしました暁には、先ほど御答弁ありましたように、ガイドラインであるとか施行の通知の類いであったり、そういうものをしっかり整備をして、各都道府県で体制というのが充実を図れるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 もう一方、施設という観点で見ますと、福祉施設や福祉サービスの機能回復に向けた応援派遣や、必要物資や機材の調達などに係る経費について、災害の発生前から適切な準備ができるようにやはりしていくべきだと思っています。これは災害救助法の対象とするべきではないかと考えますが、見解はいかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害救助法による支援は、災害が発生し、又はそのおそれがある場合におきまして応急的に必要な救助を行う、そういったものを対象としているものでございます。

 災害発生前からの準備に要する経費につきましては、先ほど述べたような性格を有する災害救助法の対象にはならないものと考えておりますが、例えば、平時から、福祉施設の耐震化改修等に要する費用などに対しまして財政支援が行われているものと承知をしております。

田中(健)委員 災害救助法は、基本的には被災直後の一時的な救援というのを目的としておりまして、今回の福祉施設の機能回復や、物資や機材の事前整備というのは対象外であることはもちろん分かっているんですけれども、今回、一時的に福祉施設を利用した、また多くの福祉施設がなかなか機能しなかったことを考えれば、やはりこれから今まで以上に考えていかなきゃならないと思っています。

 例えば、福祉施設を災害時の生活基盤と位置づけることによって、機能回復支援というのを法的に明文化したり、そして災害救助法においては、第四条の一項は、避難所及び応急仮設住宅の供与、これには資金を出せるということでありますが、この費用を拡張して、障害者施設や高齢者施設等の再稼働をする準備も対象にしたらどうかということも考えてみました。

 そのためには、冒頭から質問してきましたけれども、福祉サービスとは何なのか、さらには福祉施設とは何なのかということや、機能回復とは何なのかという、この定義というのを具体的に示して、どういった措置ができるのか、さらには経費の対象となるのか。

 今、なかなか災害救助法ではすぐできないということでありますけれども、それを、今回の福祉サービスというのを法案に位置づけるときだからこそ、これはしっかりと整理をしていくことが必要かとは思いますが、お考えがあれば伺いたいと思います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害発生時に被災者の方に適切な支援が届きますようにいろいろな体制をしっかり確保していくこと、これは大変重要だというふうに考えております。

 それぞれ役割分担を持ちながらやっておりますので、例えば、先ほど申しましたような福祉施設の耐震改修等であれば厚労省の方の交付金等を用いて助成をしているところでございますし、また、災害時のいろいろな必要となる経費につきましては災害救助法の方を適用して支援をしているということでございますけれども、委員の御指摘も踏まえまして、全体としてしっかりと災害対応がなされるように、今後ともしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

田中(健)委員 是非よろしくお願いします。

 やはり災害発生前から事前に準備や調整を進めることで、災害直後の混乱を抑えたり、福祉施設や福祉サービス、まさに今回定義するものですが、その迅速な機能回復が実現できると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 二番目の質問に移ります。個別避難計画について移りたいと思います。

 東日本大震災では、障害者や高齢者、外国人、妊産婦などに対する情報提供や、避難、避難生活などの対応が不十分ということから、二〇一三年の災害対策基本法改正により、災害時に自ら避難することが困難な高齢者や障害者など避難行動要支援者の名簿を作成することが市町村の義務となっています。

 さらに、避難支援などの実効性確保に向けて、二〇二一年の改正では、避難行動要支援者に対する個別避難計画を策定することが市町村の努力義務とされてきました。二〇二四年四月現在、九二%の自治体がこの策定に着手をしているということでありますが、過半数が避難行動要支援者の二〇%未満の策定にとどまっておりまして、いまだこの実効性確保には課題が残っています。

 こうした中、果たして迅速に避難支援というのができるのか、また、必要な人に福祉サービスを提供できるのかということがまだまだ課題として残っておりますが、この実効性確保に向けた取組ということを伺いたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 自ら避難することが困難な高齢者や障害者などお一人お一人ごとに作成する個別避難計画は、平時から災害に備え、災害時における支援につなげていく取組として重要であると認識しているところでございます。

 内閣府におきましては、個別避難計画の作成手順などを示した取組指針や手引を提供すること、あるいは、ケアマネジャー等の福祉専門職の参画を得た取組など優良事例を全国展開をするというためのモデル事業を実施して横展開を図る、あるいは、既に作成された市町村の職員の方を派遣をいたしまして実際に同じ目線での助言を行っていただくといったサポーターの派遣制度、あるいは、今年の一月に、福祉専門職などの全国団体との連携を図る協議会を立ち上げさせていただきまして、福祉関係の専門団体の皆様とか消防団、自主防災組織の皆様などなどに協力を要請して、これを全国各地で取り組んでいけるように、そういうふうに要請もしてきたところでございます。

 引き続き、関係省庁や自治体等とも連携しつつ、要支援者の方の避難の実効性を高める取組を進めてまいりたいというふうに考えております。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 先ほど、要支援者名簿を広く活用できる、それには各自治体によって差があるということを阿久津先生は言っておりましたけれども、その前提として、やはり整備が進んでいなければこれは絵に描いた餅になってしまいますので、かなり進んでいるところと進んでいないところ、この整備にばらつきがあるということでありますので、様々な優良事例や、また、全国組織をつくって今進めているということでありますが、やはり最低限の整備というものにまず全力を尽くしていただきたいと思っております。

 引き続きまして、災害時の女性や子供の安全確保について伺います。

 災害時には、女性や子供が暴力などの被害に遭うことのリスクが高まることや、女性用品や乳幼児用品の備蓄が十分でなく、必要な物資が行き届かないといった課題がこれまでも何度も繰り返し指摘をされてきました。令和六年能登半島地震を踏まえた災害対応検討ワーキンググループの報告書でも同様の指摘がありました。

 その中で、各市町村における防災や危機管理部局の女性職員の割合は一一・五%とまだまだ低く、平時からの防災・減災対策に女性の視点が生かされているとはなかなか言い難い状況が続いています。

 こちらもまた小宮山委員の方が昨日も指摘をされていましたけれども、諸外国と比べ課題が多く指摘をされる避難所の生活環境の改善はもちろんのこと、避難所での性暴力被害防止や性犯罪対策が不可欠であり、お風呂やトイレや宿泊のスペース、様々な避難所におけるプライバシーが守られてハラスメントや犯罪を未然に防ぐためには必要な機材の確保も必要と考えておりますが、この対策について、政府の考えを伺います。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 避難所におきまして、プライバシーを確保すると同時に、性犯罪を含む各種犯罪を未然に防止することは重要と考えております。

 内閣府におきましては、避難所ガイドラインに基づきまして、避難所開設時からパーティションを設置してプライバシーを確保すると同時に、防犯上の観点から、女性用トイレや更衣室を適切な場所に設置し、照明や防犯ブザーなどで安全を確保することなどにつきまして、自治体にも周知をしているところでございます。

 また、能登半島地震におきましては、警察におきまして、避難所等へ防犯カメラを設置し、犯罪の未然防止も図ったところでございます。

 引き続き、被災地における性犯罪を始めとした各種犯罪の抑止に取り組んでいきたいと考えております。

田中(健)委員 パーティションがなかなか使えなかったといった報告もありますので、是非もう一度、必要な資機材の確保というのを見直していただきたいと思います。

 その中で、今回の改正案では、基本理念の中に、災害復旧及び災害からの復興に必要な準備をするということが述べられています。この必要な準備ということについてお聞かせいただきたいと思います。

 これらには、例えば、「災害対応力を強化する女性の視点 男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」や、また、避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針等々、女性そして子供をめぐる様々なガイドラインがあるんですけれども、こういった取組がしっかりと意図されて、必要な準備とされているのか。この基本理念に明記された必要な準備という政府の考えを伺いたいと思います。

坂井国務大臣 委員が御指摘の規定は、平時から災害が発生した際のことを想定をし、復興に資する対策を事前に準備しておく、復興事前準備を推進することを規定したものでございます。

 また、この事前準備に当たりましては、女性の視点等も重要でございまして、防災危機管理部局などの現場への女性の参画促進に関し、ガイドラインを定め、その取組状況について調査をし、公表いたしております。優良事例等の横展開を図り、普及に努めていきたいと思っております。

田中(健)委員 是非、調査、公表して、皆さんにこの理念を広めていただき、徹底していただけるようにお願いしたいと思います。

 少し質問を飛ばしまして、最後の質問から先に行きたいと思います。

 従事する労働者の安全衛生確保について伺いたいと思います。

 今回の改正では、道路や水道などのインフラ復旧復興の迅速化の観点から改正が行われましたが、人命を優先とした災害対策の強化に当たっては、今回、電気やガスなどインフラの整備というのも不可欠であります。しかし、迅速なインフラやライフラインの復旧に当たっては、従事する労働者の安全衛生の確保の強化や周囲の理解促進を図ることが重要であります。

 今回行かれた皆様にお聞きをしますと、復旧作業に従事した現場の作業員の皆さんの話は、下水道の被害と断水の長期化で公衆トイレやコンビニのトイレが使用できず、仮設トイレは被災者を優先し、使用しづらい状況であった、トイレの頻度を減らすために食事を減らしてカロリーメイトでしのいでいたという方もいるということです。また、民間事業者では作業員の宿泊場所を見つけることが困難で、毎日長時間をかけて災害現場へ移動しなければならなかった、一日の作業量を削減せざるを得なかったということであります。

 迅速なライフラインの復旧に当たっては、国や地方公共団体は、トイレや宿泊場所の確保等、民間も含めた作業員の安全衛生の確保と、また周りの理解促進も図ることが極めて重要であるかと思っておりますが、大臣のお考えを伺います。

坂井国務大臣 災害対応に当たる、支援においでいただいた方々が安全な環境の下で活動できるようにすることは重要と考えておりますが、今般の能登半島地震におきましては、これらの方々がトイレが不足するなど厳しい環境の中で活動し、宿泊場所の確保が困難な事例も見られたところでございまして、ここは大変大きなジレンマでもございました。

 現行法では、国や自治体の長などは災害応急対策の従事者の安全確保に配慮をしなければならないとされているところでございます。今般、支援者が円滑かつ効率的に活動を行うことができる環境の整備の推進も明記することとしたところでございます。

 また、内閣府においては、交付金によって自治体によるトイレカー等の購入を支援するとともに、トレーラーハウス等の事前登録制度の準備を進めているところでありまして、これらは、もちろん被災者もそうですけれども、支援者においても活用することが可能という状況にしております。

 今後は、こうした車両等を発災時に迅速に確保し被災地に展開することで、被災者のみならず、災害対応に当たる支援者の方々の環境改善にも努めてまいりたいと思います。

田中(健)委員 ありがとうございます。

 既に、災害対策基本法の中には、災害応急対応に従事する者の安全確保に十分に配慮するということは規定されているんですけれども、今回の能登半島地震においてはなかなかそれが生かされなかったということでありますので、是非ここを配慮してもらって、今大臣からも述べてもらいましたが、対策の強化をお願いして、質問を終わります。

 以上です。

    〔委員長退席、土屋委員長代理着席〕

土屋委員長代理 次に、中川宏昌君。

中川(宏)委員 公明党の中川宏昌でございます。よろしくお願いいたします。

 今回の改正では、災害法制に初めて福祉サービスの提供が明記をされ、災害対応に福祉の視点が制度として位置づけられたことは大きな前進と評価をいたします。

 能登半島地震では、全国からDWATが派遣をされ、避難所支援や施設への応援職員、災害ボランティアセンター運営など、多面的な福祉支援が展開をされました。これらの取組は、今や、一時的、任意的なものではなく、公的責任の下で制度として明確に位置づけるべきだと思っております。

 しかし、現行制度におきましては、これらの活動が福祉サービスの提供として明示的に規定されておらず、自治体の裁量また財源に左右されているのが実態であると思っております。

 そこで、こうした現場で実施されてきた支援、すなわち、DWATの派遣、福祉施設への応援職員の派遣、災害ボランティアセンターの運営など、法制度上、福祉サービスの提供として明確に対象とし、恒常的に支援をしていくべきと考えますが、見解をお伺いします。

 また、災害ボランティアセンターの運営に当たりましては、ボランティアの募集や調整、被害者ニーズの把握、家屋復旧の支援、輸送費や駐車場確保など、実務面での課題も山積をしているところであります。これらを安定的に支えるために、災害救助費等による助成制度の明確化また制度化が必要と考えますけれども、政府の方針を坂井大臣にお伺いさせていただきたいと思います。

坂井国務大臣 災害時におきまして、福祉サービスの充実を図り、被災者一人一人に寄り添った支援をすることは、災害関連死の防止のためにも重要と考えております。

 令和六年能登半島地震におきましては、DWATの避難所への派遣や福祉施設への応援職員派遣について、災害救助費や各福祉サービスの枠組みを活用して支援をしておりまして、今後とも着実に実施してまいります。

 また、社会福祉協議会等が行う災害ボランティアセンターの活動のうち、災害救助とボランティア活動との調整に必要な人件費等について、救助事務費の支弁対象としております。

 加えて、令和七年一月からは、ボランティアバスの運行等を含め、被災地に支援に駆けつけるボランティア団体の交通費を補助することとしたところでございまして、災害時には、これらの制度を適切かつ柔軟に運用することで、被災地への支援を着実に実施してまいりたいと思います。

    〔土屋委員長代理退席、委員長着席〕

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 近年の災害対応で繰り返し明らかになったことは、官民が連携していかなければ避難所運営や福祉支援が立ち行かなくなってしまっているという事実があります。それを踏まえますと、官と民が連携して支える体制をしっかりと確立していくこと、これが何よりも重要だというふうに思っております。

 今、大臣からは、これからもしっかりと支援をしていくという御答弁をいただいたところでありますけれども、更に明確化をしていって、活動に当たって是非支障のないように、対応をこれからもお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 そして、具体的な話に入ってまいりますけれども、この改正では、福祉サービスの提供主体を自治体と明記をしましたけれども、平時に福祉現場を支えているのは民間の福祉法人、施設であります。災害時に急に自治体主導へ移ることは体制的な課題がありまして、官民連携による防災体制が不可欠であると思います。

 全国社会福祉協議会では、都道府県単位で災害福祉支援センターの設置を提案をしまして、既に十二県で整備が進められております。災害ボランティアセンターやDWATの調整、また人材育成、資機材確保などを一元的に担う体制としてこれは重要でありまして、全国展開には制度的、財政的な支援が必要だと思っております。

 そこで、この災害福祉支援センター構想について、厚労省としてはどのように受け止めていらっしゃるのか。全国的な整備に向けた支援の在り方、特に、平時は国と都道府県が運営費を支援をしていって、災害時には災害救助費で対応する、こういう財政支援の制度化についても大事だと思っておりますが、見解をお伺いさせていただきます。

岡本政府参考人 お答え申し上げます。

 災害時に福祉的支援を円滑に行えますよう、官民、多様な主体と協力しながら、平時から広域的な連携体制の構築を進めるということは重要であるというふうに考えております。

 このため、厚生労働省におきましては、災害ボランティアセンターの設置、運営に当たりまして、都道府県の社会福祉協議会が市町村の社会福祉協議会に対して行う研修、指導でありますとか、あるいは、自治体、社会福祉法人やNPO法人、民間企業など、県内の多様な関係機関との平時からの関係づくりに対して財政支援を行っているところであります。

 また、各都道府県で要配慮者からの災害時の福祉ニーズに円滑に対応できるように、災害福祉支援ネットワークを構築し、平時から必要な支援体制を確保するとともに、DWATの配置を進めておりまして、これについても厚生労働省から財政支援を行っているというところでございます。

 先生から御指摘、御紹介がありましたように、都道府県によりましては、こうした災害ボランティアセンターや災害福祉支援ネットワークの機能を集約をして、災害福祉支援センターとして組織しているものがあるということは承知をしております。

 こうした災害福祉センターの設置を全国的に広めていくということにつきましては、地域の実情も異なる中で、既に設置しているセンターの機能あるいは取組の状況をよく把握しつつ検討する必要があるというふうに考えておりますが、いずれにしても、引き続き、災害時の福祉的支援の充実に向けて、都道府県あるいは全社協といった関係団体とも緊密に連携をして取り組んでまいりたいというふうに考えております。

中川(宏)委員 ありがとうございます。

 この運営についてですけれども、官民連携による平時からの体制構築の要だと私は思っております。そういう意味でいきますと、全国社会福祉協議会と更に連携をしていくとともに、既存の先進事例もありますので、これを是非とも参考にしていただいて、今後の支援の在り方、これにつきましても是非とも検討していっていただきたいと思っております。

 続きまして、今日の委員会でも古賀委員、近藤委員、また杉本委員から質問がありましたけれども、液状化対策についてお伺いさせていただきます。

 今回の改正では、地盤の液状化が災害の類型として新たに明記をされました。液状化は、建物の傾きやライフラインの寸断、また土地の境界線のずれなど、住民生活を根底から変えてしまう深刻な問題となっておりまして、能登半島地震においても復旧復興の進行を大きく阻んでおります。

 そこで、地盤の液状化を災害類型として明記したことの意義、今後どのような施策の展開を想定しているのか、具体的には、対策費の支援、技術的なガイドラインの整備、自治体への支援など、従来との違いについてお伺いをさせていただきます。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 能登半島地震におきましては、揺れによる建物倒壊等のほか、広い範囲にわたって液状化による被害が生じたところでございます。

 今般の法案におきましては、こうした能登半島地震による被害を踏まえまして、災害の定義に地盤の液状化を追加するとともに、災害の発生を予防し又は災害の拡大を防止するための取組として、宅地の耐震化、すなわち液状化対策を盛り込むことによりまして、液状化対策の一層の進展を図ることとしているところでございます。

服部政府参考人 液状化対策についての今後の展開についてお答えを申し上げます。

 全国の液状化被害が懸念される地域においては、住民、行政などの関係者で液状化被害のリスクを確認、共有し、事前の備えについて共に考えるリスクコミュニケーションを実施することにより、液状化の予防対策を促進していくことが重要であると認識をしております。こうした考え方に基づき、全国で液状化リスクの把握、周知を図るため、令和三年二月に液状化ハザードマップ作成の手引きを公表したところでもございます。

 今後、地盤のボーリングデータを反映させた、より実態に即した全国の液状化リスク情報を国として新たに整備するなど、自治体における液状化ハザードマップの作成を一層促進をしてまいります。さらに、自治体が公共施設と宅地の一体的な液状化対策を実施する際には、防災・安全交付金により重点的な支援も行ってまいります。

 国土交通省としては、これらの取組により、全国における液状化対策をしっかりと進めてまいります。

中川(宏)委員 今、被災地での液状化の対応、専門家の派遣ですとか、また地籍再調査の支援を行っていただいておりますけれども、なかなか前に進まない状況があります。

 例えば、かほく市ですけれども、被災者に寄り添いまして、市と県とも協議を重ねまして、土地境界の確定に奔走しまして、今回ようやく、地籍調査事業でいけるのではないか、こういう協議をしておりますけれども、地籍調査事業が液状化現象を想定しておりませんので、地籍の再調査で測量誤差の範囲というのが四十五センチ以上の場合は登記ができないとなっております。これは、阪神・淡路大震災のときに、法務省が側方流動があっても筆界はずれないと回答していることが遠因となっております。

 液状化が今回初めて災害法制に明記された中で、是非、国交省においては、法務省を始め関係省庁との間で、住民生活を取り戻すという強い決意の中で、解決に向けた具体的な取組、これを求めたいと思いますが、お伺いをさせていただきます。

玉原政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省におきましては、液状化に伴う側方流動が発生した被災自治体に対し、昨年十月から専門家を派遣し、現況のずれの把握や今後の土地境界確定手法についての助言等を行っているところであり、現在、被災自治体では、これらの助言等を踏まえ、土地境界と現況とのずれを把握するための地籍再調査の着手に向けた準備が進められているところです。

 今年度からは、この再調査を円滑に進捗させるとともに、土地境界の確定に向けた手法を検討するため、国土交通省、法務省、石川県、関係市町などが一堂に会した今後の対策を議論する場を設置する予定でございまして、法務省との連携にも意を用いつつ、被災者のニーズに対応した支援に取り組んでまいります。

中川(宏)委員 是非力強くお願いしたいというふうに思います。

 時間がありませんので、最後、これは要望としてお訴えだけさせていただきたいと思います。

 液状化への対応、これは事後だけではなく、大事なことは平時からの備えが要だと思っております。そういったところで、予防的対策が必要でありますけれども、現在法務省が進めております、土地の位置や区画を明確にする法務局地図作成事業がありますけれども、この事業は非常に重要な取組でありまして、液状化のある地域でこの制度により高精度の地図が作成をされていきますと、将来の対応力を高めることができると私は思っているところであります。こういった事業を知らないところが多いと思っております。ですので、この事業を更に戦略的に推進をしていただきまして、災害予防の柱として今後是非とも進めていただきたい、このようにお願いを申し上げまして、質問を終わりにします。

 ありがとうございました。

金子委員長 次に、櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 先日、四月一日の本会議での代表質問でも申し上げましたが、日本の避難所は百二年前の関東大震災の頃から変わらない、石破総理も前からこのようにおっしゃっています。自民党総裁として、その責任も感じていただきたいところでありますが。初動態勢の遅れ、体育館に雑魚寝、冷たい食事、劣悪な環境による災害関連死の多発。避難所だけではありません。被災者の人権も憲法も守られていません。

 こちらを御覧ください。パネル一です。

 今年は阪神・淡路大震災から三十年ですが、その後の東日本大震災、熊本地震、能登地震の避難所の写真ですけれども、まるで変わっていませんね。災害のたびに避難生活の環境改善が繰り返し指摘されてきましたけれども、三月三十一日時点で能登地震の災害関連死は、死者五百七十人のうち三百四十二人で、直接死を上回っているのが現状です。大臣、なぜそのような状況になるんでしょうか。

 災害が相次ぐ一方で、その対応に当たる自治体の現場がいかに脆弱な状況に置かれているのか、最初に確認したいと思います。

 パネル二を御覧ください。

 こちらは、去年の決算行政監視委員会で私が指摘したのですが、過去十年で災害救助法が適用されていない自治体は五二%というデータなんですね。つまりは、過半数の自治体には災害対応の経験がないということであります。災害のたびに最前線に駆けつける災害NPOや民間の支援組織、そことは大きく違いがあるわけですね。

 次に、パネル三です。

 国は、南海トラフ地震や首都直下型地震など巨大地震が想定される地域を防災対策推進地域あるいは緊急対策区域に指定していますが、こうした危険地域にある自治体ですら、専任職員を置いていないところが二割を超えるんですよ。

 ただでさえ公務員の数が減少していますから、専任職員なしに平時も非常時もきめ細やかな対応ができるはずもありません。この点を質問したとき、林官房長官は、NPOの皆さんはノウハウを蓄積されておられますから、これが一つの答えになる、このようにお答えになっています。

 れいわ新選組が提出している修正案には、災害NPOが機動力を発揮できるよう、必要な救助の知識や経験を有する民間の多様な人材を積極的に活用するよう努める条項を入れています。

 大臣、自治体の災害対応が実に脆弱な現状、これをどうお考えか、お聞かせください。

坂井国務大臣 災害発生時には、被災自治体の職員が現場の第一線で対応に当たることとなっておりますが、被災自治体の職員御自身も被災者である場合も多く、災害対応に一〇〇%で当たることができない場合があったり、また、人口規模の大きくない自治体では、御指摘のとおり、職員数が少ないため、災害の規模によっては十分な対応ができない場合があるものと考えております。

 こうした課題に対し、国としては、総務省の応援派遣制度によって、自治体間で職員の応援派遣を行う仕組みを構築しているところであり、他方、自治体に対しては、そういった場合に自治体がそういった応援職員を受け入れる受援計画の策定を促しているところでございます。

 また、四月から内閣府防災の体制拡充の中で創設した地域防災力強化担当も活用し、避難所環境の確保や官民連携など平時の備えを充実させるとともに、発災時には職員を現地に派遣し、被災地を支援する体制を構築しております。

櫛渕委員 先ほど小さな自治体はというお言葉があったんですけれども、例えば大阪市は、人口二百八十万人、職員数三万五千人を超え、防災専従職員は人数こそ四十四人いるんですけれども、人口一万人で見ると〇・一六人にしかならないんですよ、計算上。

 日本の自治体は大都市を含めて災害対応をする力が乏しいという、この現実から出発すべきではないんですか。そして、こうした行政ができないところを担ってきたのが災害NPOなんですよ。

 さて、今回の法改正で、被災者援護協力団体の登録制度が創設されます。そして、都道府県が団体に協力命令を出した場合には実費を支弁とあります。

 大臣、まず、この制度の趣旨は、先ほど確認したように、行政だけでは災害対応が厳しいから、是非NPOや民間の力をおかりしたい、こういう認識でよろしいですね。簡潔にお答えください。

坂井国務大臣 御指摘のように、災害NPOの皆さんは経験もあります。また、様々な知見もお持ちでありまして、今回の能登半島地震におきましても大変に活躍をいただいた、こういう経緯から御協力を賜りたいという趣旨であろうかと思います。

櫛渕委員 その前提の考え方、大変大事だと思うんですね。昨日の参考人質疑でも、JVOADの栗田代表理事がこのようにおっしゃっていました。制度の趣旨を考えると、能登半島地震で行政だけでは対応できなかった、だから是非民の力をかりたいんだという、その主語は官から民へのお願いであって、そこがいつの間にか官が民に命令するということになってしまうようならば、それはおかしいんじゃないか、こういう指摘があったんです。

 大臣、今回の制度の趣旨は、官から民への要請、お願いである、命令ではないということ、もう一度明言いただけませんか。

坂井国務大臣 被災者援護協力団体の制度を設立をするというところに関しましては、今御指摘の災害NPOといったような方々も当然大きなポーションとして入っているわけでありますが、そういう方々を含め、自発的に、災害があったときに被災者の支援をお願いをしたいということで、そのために、コミュニケーションをよく取るためにこの制度を創設したということでございます。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 今後の官民連携の重要なポイントだと思うんですね。平時でも非常時でも決してNPOは行政の下請ではない、対等なパートナーである。この基礎的な認識を土台として官民連携を図っていくということは私も強く求めたいと思います。

 そして、その認識に基づけば、命令がないと実費弁償もないというのはおかしいんですよ。大臣、そのおかしさに気づいていただきたいんです。実際に命令がなくても災害NPOは現場に駆けつけるわけであり、活動するときには誰でもお金は必要ですから、必要経費はしっかりと出していく、これは当然だと思うんですね。

 本会議の私の代表質問で、大臣は、そこは委託契約等でやっていくと答弁されていますけれども、それは法律事項にもなっていません。緊急時なのに、活動する側は予見性も立てられない。まずは団体は自腹を切って事故リスクを背負って被災地を走り回ってくれ、政府はそのように言っているのにも等しいんですよ、そのことに気づいていただきたい。それは、結局、被災地で救えたはずの一人でも多くの被災者の生活を救えなくなってしまうことにもつながりかねません。

 大臣、改めてお伺いします。

 協力命令がなくとも団体に実費弁償するよう、見直していただけませんか。

坂井国務大臣 今回の改正案により、協力命令により被災者援護協力団体が業務に従事した際に実費を弁償するという規定を設けました。

 これは、協力命令による活動に対して実費を弁償しなければならないということを規定したものでありますが、これまでも、被災者支援を実施するNPO等が自治体からの委託契約等により救助に関する業務に従事した場合は、災害救助法等に基づきその費用を支弁しており、こうした取扱いを何ら変更するものではありません。

 協力命令がない場合であっても、被災自治体のNPO等に対する業務委託が円滑に行われるよう、その際の手順でありますとか具体例等を取りまとめたマニュアルを作成をして、周知をしてまいりたいと思います。

櫛渕委員 だったら、どうして業務委託しますよと法律に書かないんですか。

 れいわ新選組は、修正案において、この点、協力命令によらない場合においても、登録団体か個人かにかかわらず、専門性を持った災害ボランティアには実費経費始め保険などの必要な支援を国や都道府県が行うよう規定を入れています。当たり前です。イタリアでは、実費に加え、最大二週間の休業手当、保険が整備され、国が身分保障までしています。だからこそ、自治体任せではない避難所運営や温かい食事など、被災者支援が可能になっています。日本も大きく踏み出していく必要がありますよ。

 さて、今回の登録制度自体は一歩前進であると考えますが、しかし、この協力団体の登録に当たって、障害を理由とする欠格条項が設けられていることはとても認められません。

 昨日、日本障害フォーラムの大野参考人からも、この条項の削除を求める意見とともに、これが法律に書かれれば、障害のある人は被災者支援できない存在、劣った存在という考え方が根づき、差別、偏見につながっていきかねないという深い懸念が出され、他の当事者団体からもこの件については抗議が届いています。

 大臣、障害を理由とする欠格条項、削除してください。いかがですか。

坂井国務大臣 この被災者援護協力団体ですが、国、地方公共団体、その他の協力団体等と協力をして、被災現場におきまして厳しい環境に置かれている被災者の支援に当たる必要があることから、一定の登録要件を設けることとしております。

 災害対策基本法改正案では、被災者援護協力団体の役員の欠格要件の一つとして、「心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの」を規定することとしておりますけれども、内閣府令におきましては、被災者援護協力業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者と規定することを考えております。

 この役員についての要件は、被災者援護協力団体の活動方針を決める者でありますから、障害者であっても、必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者に該当しなければ、この要件には当たらないものと考えております。

 一方、被災地の支援に当たる障害者の方々を排除することは全く考えていないことから、そのような団体が排除されることのないよう、内閣府令については、委員の御指摘も十分に踏まえて進めていきたいと思います。

櫛渕委員 大臣、深刻な差別発言ですよ、それ。

 既に我が党の木村英子参議院議員が予算委員会でも指摘されていますけれども、同じ答弁をまた繰り返すんですか。必要な認知、判断及び意思疎通ができることを誰が決めるんですか。行政が決める能力も権限もありません。直ちに撤回してください。憲法違反ですよ。

 れいわ新選組としては到底認められませんので、これは削除した修正案を提出してまいります。

 次に、大臣、官民連携を実際に機能させていくためには、こうした災害NPOが平時や非常時において災害対応の意思決定プロセスに参加してもらうことが必要だと考えます。

 既に四月一日の本会議でも質問しましたが、中央防災会議や災害対策本部などに災害NPOの正式な参加を法律で保障すべきです。なぜなら、災害が起こった直後、何が起こるのか、何が必要か、数々の現場からそのニーズを分かっているということ、また、次にどんなフェーズが来るか予測がつく、この点も大きいからです。

 避難所、車中や自宅避難者、要介護者、炊き出しなど、多様な被災者が人間的な生活を送るために何が必要かを支援する、これは、行政というよりも、多様な主体がいる災害NPOや災害ボランティアであります。れいわ新選組の修正案では、登録団体などを国や地方の防災会議の構成員に入れる条文を追加しています。

 大臣にこの点、二つお伺いしたいんですが、災害対策本部への参加は、基本法第二十三条で行政職員のみと規定されているんですが、これは運用で特別職やアドバイザーに災害NPOを任命して参加いただくことは可能ですか。

 委員長、時間を止めてください。

金子委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

金子委員長 速記を起こしてください。

 坂井防災担当大臣。

坂井国務大臣 災害対策本部は、構成員は行政職員ということですが、特別職でありますとか非常勤の行政職員も可能だということでございます。

櫛渕委員 もう一点伺います。

 災害対応に当たる主体は誰かを規定する基本法の第二章には、今回の法改正で登録被災者援護協力団体が加わることになります。

 提案ですが、今後新たに主体として、法的にもう一つ、災害救援エキスパートとして、知見や経験を積んだ者を位置づけること、大臣、お考えはいかがですか。

 委員長、止めてください。

金子委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

金子委員長 速記を起こしてください。

 坂井防災担当大臣。

坂井国務大臣 災害エキスパートでしたか、それはどういうものなのか、もうちょっと説明いただけますか。

櫛渕委員 肝腎なことは、支援をする、救援をする、救助をする主体は誰かということが、災害基本法には、都道府県、これが基本ですね。そうなっていますよね、法律上。なので、行政が被災者を支援する、救助をする、こうしたたてつけのところに、今回は登録団体制度というのが入りました。

 そして、そこは団体だけになりますから、個人でエキスパートも存在しています。もうこの三十年、国内外で大変いろいろな現場を踏んできた、こうした災害救援エキスパートがいるんです。こうした主体をしっかり今後位置づけていく、このことを私は提案したいと思います。そのお考えをお聞きいたしたい。

坂井国務大臣 今回の変更においてまた一歩進むことによって、今おっしゃったような災害エキスパートと言われるような方々、個人ということでございますが、にわかにお話をいただいた件で、私もここで明確にどうするというお答えはできませんが、ただ、まさしく今後この新しい制度が運用されることによって、いろいろな動きも出て、変わってくると思いますし、状況も、いろいろな御意見も出てくると思いますので、そういうのも含めて状況を見ながら、今の御指摘を頭に置いて考えてまいりたいと思います。

櫛渕委員 是非、検討をお願いいたします。

 阪神・淡路大震災以来、国内外で災害救援に当たって、技術系団体として、そして技術系エキスパートとして、個人が車両救出や瓦れき撤去、道路啓開、ブルーシート張りなどの専門的な技術や知見を蓄積してきた人たちがいるんですね。こうした方々をしっかりと主体として法的に位置づけることは、もう実際彼らはやっているわけですから、これを見落としちゃいけないんですよ。そして、法的にしっかりと位置づけることが、日本のこれからの多発する災害の対応にとって、私は不可欠だと思うんです。是非、このことを御検討をお願いいたします。

 さて、大臣、一方で、これを見てください。パネル四です。

 これは驚くんですが、これは被災者救助法に基づく救助実施概念図なんですね。現状は、ここに災害NPOの存在さえないんです。右下の僅かなところにボランティアと小さく書かれているだけ。このボランティアは、いわゆる一般ボランティアの方々のことです。そして、上の災害ボランティアセンターは社協のことだと思います。それとは別に、先ほど来申し上げている専門的な災害ボランティアとして、上の点線に囲まれたメニューにある、こうした、避難所の設置や運営、炊き出し、障害物の撤去、調整など、現場でやっている存在をしっかりと位置づけていただきたい。

 大臣にお聞きします。この図というよりも、この図の背景にある、災害救助法における災害NPOや災害ボランティアの位置づけへの認識、これを改めるべきだと思うんです。今回の改正や、今、どんどん新しい状況が生まれていると大臣もおっしゃいました。是非、これは単に図を書き換えればいいという話ではなく、こうした新たな認識を行政全体として徹底をさせ、そして実効ある災害対応の体制構築の話ですから、改めた図を是非委員会に提出をいただきたいと思います。

 委員長、お取り計らい、お願いします。

金子委員長 理事会で協議いたします。

櫛渕委員 この認識、是非、大臣、覚えて帰っていただいて。余りにも実態と乖離しているということであります。

 さて次に、パネル五、御覧ください。

 昨日の参考人質疑でも申し上げましたが、れいわ新選組代表の山本太郎参議院議員が予算委員会で、民有地の土砂撤去に使う重機のリース代や燃料費を災害救助費から出せるよう、繰り返し繰り返し石破総理に求めたところ、何とか今回は認めていただけたという結果となりました。ただし、今回だけなんですね。昨日、参考人の方々からも、ここは是非、今後も公費でバックアップすべきとの御意見をいただいたところです。

 大臣、その原因はここなんですよ。パネル六です。

 これは災害救助のために都道府県が積み立てている基金の使い道を説明したものですが、被災者へは救助費が出る、けれども、被災者を支援する者へは救助費は出ないとなっているんです。ここに、救助を行う者が使用する救出用の重機も入っていて、だから救助費が出ないということなんですね。

 大臣、法律上、被災者、つまり補助を必要とする者だけではなく、被災者を支援する者、つまり救助を行う者についても救助費を活用できるようにする、そのためには、救助法の第四条第三項を中心に見直すことが必要です。そのお考えはありますでしょうか。

金子委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

金子委員長 速記を起こしてください。

 坂井防災担当大臣。

坂井国務大臣 都道府県が重機を借り上げ、これを市や町の社会福祉協議会を通じてNPOに貸し出す場合、そのリース費用や燃料費は、災害救助費の対象として、国の支援が既に可能であります。

 奥能登豪雨における災害対応に際しても、内閣府より、石川県や災害NPOの窓口となっているJVOADに対しその旨を周知しており、現在も被災地では、NPOによる障害物の除去活動が進められているものと承知をいたしております。

 専門NPOの協力を得ながら災害救助に当たることは大変重要であり、今後発生する災害においても、国として適切に支援してまいります。

櫛渕委員 そのたびそのたびはやめてくださいと申し上げているんです。ちゃんと法律で条項を見直して、ずっとこの件については、現場が必要とされている、この活動に公費でしっかりバックアップするべきです。そのことを改めて強く申し上げます。是非、救助法の第四条第三項を中心に見直しをお願いします。

 次に、従事命令、協力命令について伺います。

 元々、災害救助法の従事命令については、昭和二十二年の制定の際、自由権の侵害ではないかとの議論がありました。

 内閣法制局にお聞きいたします。今回新設される登録団体への協力命令と憲法の自由権との関係を簡潔に教えてください。

栗原政府参考人 お答えいたします。

 災害救助法第八条の協力命令について今お尋ねがあったかと思います。

 この命令の対象をどうするかということでございますが、一般に、命令の対象とするか否かにつきましては、当該命令によって果たされる法益の内容や大きさ、それから一方で、制約される権利、自由の内容、態様、手続等を総合的に考量の上、個別の立法の目的等に応じまして具体的に判断されるべきものと考えられます。

 本法律案におきましては、協力命令の対象に登録被災者援護協力団体を位置づけることとされておりますけれども、この団体が、避難所の運営や炊き出し、障害物の除去といった被災者援護協力業務を適切に行うことができるものとして自発的に登録を受けたものであるということを踏まえまして、救助の迅速かつ円滑な実施のために登録被災者援護協力団体に協力命令を行う必要があると考えられるものであります。

 この旨、内閣府から説明を受けまして、私どももこれを了としたものでございます。

櫛渕委員 ありがとうございます。

 大臣、NPOの方々から、これは協力命令の存在、理解がちゃんと定まっておりません。登録団体ではNPOが大きな位置づけとなりますが、NPO法の目的には、市民が行う自由な社会貢献活動とあるわけです。この点、協力命令と自由な活動との関係、極めて大きな論点です、NGOにとって、NPOも。ですので、幅広いNGOの方々、NPOの方々を交えて、是非議論の場を設けることを求めます。

 さて、最後に、今回の改正法案の見直し規定についてお伺いします。

 本日の質疑で様々問題点を指摘させていただきましたが、改正案の附則第三条では、必要があると認めるときはという書きぶりで、明確な時期が示されておりません。大臣、災害が多発し、災害対応の在り方が問われる今日、柔軟に不断の見直しが必要です。時期もさることながら、必要があるときと誰が決めるのかということなんですよ。

 今回、官民連携で強化すると言っておりますので、行政とともに最前線で活動する災害NPOと協議する、そのことをお約束いただけませんか。

坂井国務大臣 本日の質疑において、委員からは、特に災害NPOの、我々の認識であったりとか位置づけといったものをかなり強調されたし、我々に要求されたということを考えております。

 今後様々な局面があろうかと思いますが、災害NPOの皆様方にもそれぞれの局面でそれぞれ専門的な知見をいただくということで、様々な決定も進めていきたいと思っております。

櫛渕委員 もうあと、そろそろ……

金子委員長 終わりました。

櫛渕委員 はい。終わりますが、最後、まとめさせていただきます。

 是非、見直し規定については、今お約束いただけたと受け止めました。

 阪神・淡路大震災以来、国内外で三十年、今でも現場に関わっている友人がこんなことを言っていました。ボランティアなのか……

金子委員長 終了してください、時間が来ましたので。

櫛渕委員 災害支援なのか、行政サービスなのか、現場は区別できないんだ、全ては被災者の方々が人間らしく尊厳を持って生きるための支援なのである、そのためには、多様な人やNPOがそれぞれの発想で主体的にかつ持続的に関わるからこそ、一人一人の支援者が笑顔になっていく。まさに実感だと思います。

 このことを根源に置いて、是非、あるべき官民連携、期待を申し上げ、そして、私もしっかり議論してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 今日はありがとうございます。

金子委員長 次に、堀川あきこ君。

堀川委員 日本共産党の堀川あきこです。

 災害対策基本法等改正案について質疑を行いたいと思います。

 まず最初にお聞きしたいのが、広域避難に関することについてです。

 法案では、広域避難に当たって、被災自治体と受入れ自治体間の被災者情報の提供などが新たに盛り込まれました。広域避難に関する内閣府の見解をお聞きしたいと思っているんですけれども、今回の能登半島地震では、市町や県をまたがる広域避難が進みました。被災した場所では、寒さや栄養不足、インフラの復旧に時間がかかるというふうなことで、命を最優先するという判断の下、DMATを始めとして懸命に避難活動がなされて、助かった命もたくさんあるというふうに認識をしています。

 ただ、その一方で、広域避難についての問題提起もこの間なされております。

 発災直後から石川県庁で国立病院機構本部のDMATの事務局を務められた近藤次長が、一月二十五日付の朝日新聞の中で、広域避難、搬送はやむを得ず行う措置であるという認識を持つ必要があると感じていますというふうに発言をされております。その後に、一たび被災地の外に運ばれると、戻ってくることはなかなか難しい、慣れない土地での生活になり、家族や友人とのつながりも弱くなってしまう、被災地のコミュニティーやなりわいにもダメージを与えますというふうに続けておられます。

 能登半島地震から一年と四か月たとうとしている今、人口減少が被災自治体の大きな課題となっている中で、その一つの要因が広域避難だというふうな指摘もあります。難しい問題だとは思うんですけれども、やはり一旦立ち止まって考える必要があるというふうに思うんですね。

 様々な指摘がある中で、広域避難について、大臣の見解をお伺いしたいと思います。

坂井国務大臣 災害も様々ございますし、それぞれの地域地域、それぞれの災害で、現場の状況は違うと思います。ですから、この記事のことも御指摘されましたけれども、これだけ長いこと経験を積んだ方が、果たして何がよかったのかということで率直に悩まれている、苦しんだということをおっしゃっているんだと思います。これは大変難しい問題だと思います。

 しかし一方で、災害というのは先が読めないですよね。見通しがどうなるかという予見がなかなかできない、正確な予測ができないという中で、だけれども、その時点で判断しなければならないということでございますから、その時点で、どちらが被災者の方がより命の安全を確保できるのか、よりよい環境で避難生活が送れるのかということを想定する中で、二次避難がふさわしいということもあろうかと思いますので、ここはやはり現場現場で、二次避難が必要だということも当然出てくるだろうと思っておりますので、そのときは二次避難を選択をすべきだと思っております。

堀川委員 私は、広域避難の結果、今どういうことが起きているのかというふうなことも含めて、少なくとも検証をするべきだというふうに思うんです。

 広域避難で命は助かったものの、元いた地域に帰りたいという人が、高齢者施設の復旧に時間がかかったり、その施設に職員が戻れなかったりというふうなことで、なかなか戻れないというふうな実態もありますし、最悪の場合、避難先で亡くなるというふうなケースもあります。広域避難、搬送を受け入れた病院関係者の方々からも、地元に帰れずに亡くなっていった方々を見て、本当にこれでよかったのかというふうな問いかけを自身になされるというふうな報道もありました。

 やはり、震災前に住んでいた地域に戻りたいという願いがかなえられない現実というのが、一体何が足りないのか、能登の現状や被災者の実態も受けて、少なくとも検証をやるべきだと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 様々な御意見がありますので、ワーキンググループにおきまして、能登半島地震の経験や教訓を基に、今後の災害において、ホテル、旅館等への避難をどうするかといったような議論をしていただきました。ある種の検証だったと思います。そして、それを基としてガイドラインを作成することとしております。

 また、改正法案においては、広域避難者に対する情報提供を充実させ、市町村間での情報連携を推進することを規定しており、こういったものを円滑にしていくように、より取組を進めていきたいと同時に、医療や介護が必要な方への支援状況の検証につきましては、厚生労働省でこれまた検討していると承知をいたしております。

堀川委員 少なくとも検証は国としてやるべきだということを改めて求めたいというふうに思います。

 先ほど紹介をさせていただいた近藤次長は、たとえ広域避難、搬送を余儀なくされた場合でも、コミュニティーを崩さないようにするべきだ、災害後に地域の機能をいかに維持し、復興させていくのか、地域や自治体として考え、準備しておく必要があるというふうに話されています。重要な指摘だと思いますので、是非受け止めていただきたいと思います。

 続いて、昨日の参考人質疑の中で、自治体が作成する個別避難計画と災害ケースマネジメントの連動の必要性というのが、たしか、二人の参考人の方から、その必要性について意見があったというふうに思います。被災者情報の提供を個別支援につなげていくということについて、JDF、日本障害フォーラムの大野参考人から問題提起がありました。被災地に入ってから実際に自治体との連携というのはかなり時間がかかって、その時間がかかった中で、支援を必要としている障害者とつながるのにかなり苦労されたというふうなお話があったと思います。

 障害のある方を必要とされる支援につなげるためには、専門性の高い、こういった支援団体との連携というのが不可欠だというふうに思います。様々な団体や手段で入手をした被災者情報と行政の持つ情報をどうやって、救助段階だけではなくて、被災者の個別支援、生活支援に結びつけるのか、今回の改正案ではどのように検討されているでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 被災者支援に当たりましては、様々な民間団体と行政とが、それぞれ有する被災者ニーズ等の情報を共有して、連携して対応することが重要だと考えております。

 熊本地震以降の災害では、例えば、災害中間支援組織が中心となりまして、行政、NPO、ボランティア等で構成される情報共有会議を開催し、これは能登でも毎日開催をしておりましたけれども、官民連携により、被災地のニーズに応じた支援活動を展開してきているところでございます。

 この災害中間支援組織は、現在、二十三の都道府県で設置をされておりますけれども、内閣府では、この取組を更に進めるために、モデル事業等により支援をしているところでございます。

 また、今回の改正法案で新たに創設される被災者援護協力団体につきましては、一定の秘密保持義務を設けた上で、被災者の個人情報を協力団体に提供できることとしておりまして、行政の持つ情報と民間の持つ情報を結びつけて被災者支援を行っていけるようにしていきたいと考えております。

堀川委員 済みません、個別支援、生活支援に関しても、被災者の情報というのが提供されるというふうな理解でよろしいですか。うなずいていただけたらいいんですけれども。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 今申しました、協力団体への被災者の個人情報は、被災者の台帳情報を提供できるというような規定になってございまして、被災者の方々が、それぞれいろいろなニーズがございますが、そうしたニーズ情報などを提供できる、そうした規定を設けておるところでございます。

堀川委員 ありがとうございます。

 次の質問、済みません、時間の関係で飛ばさせていただきまして、その次の質問に移りたいと思います。

 昨日の参考人質疑で、応急支援から長期的支援へ切れ目なく続けていくことの必要性というものが語られました。応急対策と復興対策がかけ離れているというふうな意見もありました。

 私、このことを本会議でも質問させていただいたんですけれども、ちょっと意図したことが伝わっていないように思いましたので、改めてお聞きをしたいと思います。

 様々な支援団体が応急期に入って様々な活動を担っているというふうなことなんですけれども、そうした支援を復興の担い手である地元に引き継いでいく、その必要性と意義について、大臣、どういうふうに認識されているのか、そして、具体的な施策、何か検討されていることがあれば、お答えください。

坂井国務大臣 委員御指摘のように、被災地が自立し、本格的な復興を図っていく上で、将来的に地元による復興が成し遂げられるように、この支援に当たっても、応急対策期から復興期というか、に切り替えていくという意識は極めて大事だと思います。

 昨日の参考人質疑におきましても、能登半島地震において、当初から地元団体と外部支援団体とが連携した取組が紹介されたものと承知をいたしておりますが、やはり、切れ目なくというか、うまくつないでいくということは、コミュニケーションを十分に取っていくということが何より大事だと思っておりますので、官民の様々な支援施策も活用しつつ、これらの団体がうまくコミュニケーションを取って、そして少しずつ担っていく主体を移していくということ、これが大変大事だと思いますし、これを目指していきたいと思っております。

堀川委員 引き続き、この問題は議論をし続けたいというふうに思います。

 最後です。

 被災者協力団体の登録要件についてです。

 本会議でも質問しましたし、昨日の参考人質疑の中でも議論がありました。障害者を役員とする団体が登録できないという要件についてのことです。私のところにも、他の障害者団体から、障害者の権利条約に反するというふうな抗議の声をいただいております。改めて、昨日の参考人質疑の中でも削除を求められた方もいらっしゃいました。

 こうした声に対する大臣の受け止めを聞かせていただきたいのと、やはり、障害者自身も被災者支援活動の中で大きな役割を発揮してきたというのが昨日も紹介をされたというふうに思います。こうした実績やあるいは団体の自主性、自発性を生かすのが今回の改正の趣旨だというふうに思っているんですけれども、これまでなかなか行き届かなかった障害者の支援を支援団体と行政が連携して進めるようにするべきだというふうに思うんですが、併せて見解をいただきたいと思います。

坂井国務大臣 まず、今まで障害者団体がこういった支援活動において貢献された実績を否定するつもりも全くありませんし、また、そういった方々に引き続きお力をいただきたいと思っておりますし、排除するという考えは全くございません。

 今、法案が出ている状況でございますが、法律が成立をいたしますと、内閣府令を出すということで、その中で、今日も何度か申し上げましたが、必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者に該当しなければ要件に当たらない旨を明らかにするつもりでおりますけれども、つまり、そこまでが今、表にまだ出ていないということから、十二分にまだ我々の意図がお伝えできていないんじゃないかなとは思っております。

 ですから、この法案をお認めいただければ、その後に内閣府令について検討していくわけでありますが、今御指摘の点も十分踏まえて、その点、検討を進めていきたいと思っております。

堀川委員 法の運用がどうなっていくのか、当事者の方々が本当に厳しい目で見ておられますので、しっかり受け止めていただきたいというふうに思います。

 質問を終わります。

金子委員長 次に、北神圭朗君。

北神委員 有志の会の北神圭朗です。

 大臣、太陽フレアというのは聞いたことはありますか。私も全然知らなかったんですけれども、太陽の表面に、大体黒点の辺りに、爆発して放射線が放出される。かつては日本の宇宙衛星も一回それで墜落したこともあるんですね。

 これについて、総務省にちょっとお聞きしたいのは、資料を御覧いただきますと、太陽フレアというのは、宇宙天気、宇宙の天気というのがあるみたいなんですが、その中の一つの例なんですが、総務省関連だと思いますけれども検討会というのがありまして、令和四年六月二十一日に、宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会報告書というのが出ました。これを見ますと、三つ目の丸を御覧いただきますと、「今後は、同法に」、同法というのは災害対策基本法、今改正を議論している法律です、「同法に基づく災害対策法制の中に宇宙天気現象による災害を組み込むことにより、我が国全体として確実にリスクに対応していく必要がある。」ということが取りまとめられている。

 こういうのは、専門家たちが議論していますけれども、大体、役人が裏でいろいろ吹き込んだりして、自分たちの都合のいいようにでき上がるものだから、ここまで来たら、普通、災害対策基本法に載るんですが、ぱっと見たら、第二条の方に災害の例示みたいなのが列挙されておりますけれども、液状化は入ったんですが、宇宙天気あるいは太陽フレアとか、こういう文言は全く入っていないので、総務省としてこの辺どうお考えなのか、お聞きしたいと思います。

近藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、災害対策基本法の改正案では、災害対策基本法で対象となる災害について、暴風、竜巻、豪雨、豪雪、洪水、崖崩れ、土石流、高潮、地震、津波、地盤の液状化、噴火、地すべりが異常な自然現象として例示されておりますけれども、宇宙天気現象は例示をされてございません。

 他方で、今後、太陽フレアなどの宇宙天気現象による被害が発生した場合には、当該現象による被害の状況に応じて、災害対策基本法上の災害に当たるか否か、これが判断されるものと承知をしております。

北神委員 ちょっと聞き取れなかったんですけれども。

 もう一回、理由、なぜこれを取り入れなかったのかというのを簡単におっしゃっていただければ。

金子委員長 済みません、ポイントだけ。声が小さいので、マイクを引きつけてやってください。

近藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現状で把握をされている観測史上最大の宇宙天気現象としましては、一八五九年に発生をしましたキャリントン・イベントと呼ばれるものがございまして、欧米の電信網に障害が発生し、システム停止や電報用紙の発火といった事象が生じたと言われております。

 今後、これに匹敵する大規模な現象が発生した場合、委員御指摘の報告書によれば、高度な電波利用が普及する現代社会は前例のない打撃を世界各地で受けるおそれがある旨言及をされております。

 他方で、現代社会におきましては、このような大規模な影響をもたらした宇宙天気現象というのがまだ確認をされておらず、社会インフラへの具体的な影響に関する知見というのが十分に得られておりません。

 こうした状況も踏まえまして、災害対策基本法に規定する災害の定義において宇宙天気現象を例示することについては、その必要性も含め判断されるものと承知をしております。

北神委員 よく分かりました。ありがとうございます。

 要するに、こういう問題、宇宙天気による災害というものは、確認はされたことはあるけれども、今後そんなに発生する確率は高くないのではないか、だから入れなかった、こういう理解でいいですよね。うなずいていただければ。駄目。まあ、強制的にやるつもりはないんですけれども。

 大体そういうことで、これは私もよく分かりません。これは多分、専門家たちがやっているので、この前も、私、首都圏の直下型地震の災害の予想について、専門家に対して私が直感で物を言う資格はないという話をしましたけれども。

 私もよく分かりませんけれども、じゃ、総務省としては、専門家たちがいろいろ言っている、でも、この人たちはある意味でオタクみたいな人たちで、自分たちの領域で頑張っておられる、けれども実際はそんな大したことはない、こういう判断をされたということですかね。

金子委員長 総務省近藤大臣官房審議官、大きな声でお願いします。

近藤政府参考人 お答え申し上げます。

 いずれにしましても、この宇宙天気現象につきましては、甚大な被害をもたらす可能性があるということで、こちらにつきましては、総務省におきましても、非常に重要な事象というのは認識をしております。

 災害対策基本法上で例示するかどうかということにつきましては、今後、その必要性なども含めて判断されていくものというふうに認識をしております。

北神委員 判断されていくものということなので、今後判断されるということだというふうに理解しました。

 これは、内閣府あるいは大臣、今回例示に入らなかったと。これも私も分かりませんけれども、この報告書によると、専門家たちは、こういう地震、津波、自然災害がもたらす被害と並ぶリスクだ、我々は他の自然災害に対する備えと同じように対策を進める必要があるというふうにありますので、普通に考えると、専門家たちがそう言っているんだったら例示に入ってしかるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えをいたします。

 災害対策基本法の対象となる災害につきましては、地震や豪雨、洪水、噴火などの異常な自然現象というような規定となっております。今般、能登半島地震によりまして大規模な液状化被害が発生したことを踏まえ、異常な自然現象の例示といたしまして、地盤の液状化を追加する法案を提出させていただいたところでございます。

 一方で、災害対策基本法では、異常な自然現象により生ずる被害を災害としておりまして、御指摘のあった太陽フレア等の宇宙天気現象につきましても、今後、当該現象による被害の状況に応じまして、災害対策基本法上の災害に当たるか否かが判断されるべきものと考えておりまして、必要な場合には、災害対策基本法に基づいて適切な対応を行ってまいりたいと考えております。

北神委員 つまり、解釈で認めるということですね。解釈で、場合によっては。ということでいいですか、立法意思を示されたと思いますけれども。はい、ありがとうございます。じゃ、それで結構です。もう済みました。

 最後に、これは災害対策基本法四十九条の第二項で、毎年一回、物資の備蓄の状況を公表しなければならないものとする、これは地方公共団体ですね。これはこれでいいと思うんですが、やはり国として、どのぐらいの備蓄、どういう備蓄を持つべきなのかというのを私は示すべきだというふうに思うんです。

 今回の能登半島でも、結局、彼らが期待されていた備蓄がなかったので非常に困ったという現状もありますので、国が示して、財政状況によって違う都道府県もありますから、そういったところを支えていく、テントとかキッチンとかベッドとか、そういうものを供給することがやはり極めて重要だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

坂井国務大臣 自然災害でございますが、やはり、それぞれの地域地域や場合場合で状況はかなり変わると思われます。

 ですから、最終的には、やはり地方公共団体が、自分の地域がどれだけの被災者が想定をされ、どれだけの備蓄が必要になるかという判断をしていただいて備蓄を行っていただくべきものとは思っておりますが、しかし、委員御指摘のように、自治体が防災に必要な物資を適切に備蓄いただけるように、今後、備蓄すべき品目でありますとか、数量等の考え方、どのくらい必要か、どういうふうにそれを考えるかという、この考え方等をより具体的にお示しするなど、いわば各地方自治体が必要な備蓄をしっかり行っていただけるために、我々が行える支援というか必要な対応というものを考えて講じてまいりたいと思っております。

北神委員 ありがとうございます。非常に積極的な答弁をいただいたというように思います。

 イタリアなんかでは、全人口の〇・五%の人たちにちゃんと必要な物資を提供できるようになっていますし、シチリアでは、津波、地震の可能性がある、これは人口の三%。こういうある程度の指針を示さないと、各自治体は、財政当局が自分の財政に都合のいいような備蓄というものを指定する可能性がありますので、是非そこはよろしくお願い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

金子委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、本案に対し、竹内千春君外二名から、立憲民主党・無所属、日本共産党及び有志の会の三派共同提案による修正案、また、櫛渕万里君から、れいわ新選組提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を求めます。竹内千春君。

    ―――――――――――――

 災害対策基本法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

竹内(千)委員 ただいま議題となりました災害対策基本法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 本修正案は、高齢者等の要配慮者である被災者に対する応急的な福祉の充実について、政府原案より一層の明確化を図るとともに、幅広い福祉関係者に従事していただくに当たって、刑事罰の威嚇によることは適切でないとの観点から、修正を行うものであります。

 第一に、災害対策基本法の改正では、災害応急対策のうち、被災者の救難、救助その他の保護に関する事項に、要配慮者である被災者に対して行うその配慮を要する事情に応じた応急の福祉的支援に関する事項が含まれることを明記し、災害応急対策の範囲の明確化を図ることとしております。

 第二に、災害救助法の改正では、都道府県知事等が行う救助の種類に、単に福祉サービスの提供を加えるのではなく、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児その他の特に配慮を要する者である被災者に対して行うその配慮を要する事情に応じた福祉的支援その他の支援を追加し、福祉サービスの内容をよりきめ細かく記述することとしております。

 また、従事命令の対象者に福祉関係者を追加するに当たり、従事命令に従わない場合について、現行の医療関係者等と同様に一律の罰則対象とするのではなく、罰則を伴わない形での追加に改めることとしております。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

金子委員長 次に、櫛渕万里君。

    ―――――――――――――

 災害対策基本法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

櫛渕委員 れいわ新選組、櫛渕万里です。

 災害対策基本法等の一部を改正する法律案に対する修正案趣旨説明、れいわ新選組を代表して行います。

 ただいま議題となりました災害対策基本法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨及び内容を御説明申し上げます。

 ボランティア元年と言われた一九九五年の阪神・淡路大震災以降、我が国で多発している災害の救援や復旧復興において、今や、災害NPOや災害ボランティアの存在なしには日本の災害対応は立ち行かないのが実態です。

 しかしながら、原案では、災害ボランティア団体を始めとする登録被災者援護協力団体制度に関し、過剰な規制がある一方で、支援が十分でないこと、中央防災会議や災害対策本部への参画が不明確であることといった問題があります。また、災害救助法の従事命令や協力命令に対し、できる限り、強制権によることなくその自発性を尊重し、また、その場合においても実費弁償等に相当する金銭が支給されるべきです。本修正案は、以上に鑑みて、必要な修正を行おうとするものです。

 修正の第一点目は、今回新設される登録被災者援護協力団体について、役員の欠格条項のうち、心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるものとの規定の削除です。東日本大震災、あるいは能登半島地震などの災害では、障害当事者の団体も被災者支援に当たってきました。その経緯をないがしろにするような欠格条項は、インクルーシブ防災を重要と考えるれいわ新選組として、到底認められません。

 二点目は、登録被災者援護協力団体について平時における環境整備を行う条項の追加です。国が、登録団体の活動費用の一部を補助することができるようにすることで、平時の備えとなる研修、訓練などでも官民連携を進めることや災害NPOが持続的に人材を確保して業務運営に当たることを可能にすることが目的です。

 三点目は、四月一日の本会議でも質問しましたが、中央防災会議や都道府県防災会議の委員に、登録被災者援護協力団体の代表などを入れる条項の追加です。正式な構成員として、災害対策の意思決定のプロセスに参画することを保証することが目的です。

 四点目は、強制力を伴う従事命令等を避けるため、雇用契約その他の方式を可能な限り活用するよう、努力義務規定を置くことです。

 五点目は、命令ではなく雇用契約その他の方式によって救助に関する業務を行った団体に対し、実費弁償及び扶助金に相当する金銭の支給を行うことができる条項の追加です。政府案では、協力命令に従った団体には実費が支給されますが、それ以外の活動では自腹を切って事故リスクを背負ったまま支援を継続することになるため改善が必要です。

 関連する六点目として、救助に関する業務について、都道府県知事は、必要な知識や経験を有する民間の多様な人材を積極的に活用するよう努める条項を追加します。行政よりも各地の災害対応に当たってきた災害NPOや専門人材の方が知識や経験を豊富に持っています。その活用と連携なしに災害対応は立ち行きません。

 さらに七点目は、命令を受けることなく、救助に関する業務に相当する業務を行った者に対しても、金銭その他の必要な支援を行うよう、国や地方自治体が努力することを定める条項の追加です。五点目との違いは、災害救助法では都道府県知事が救助に関する業務を行い、今回の改正で規定する被災者援護協力業務もその一環となりますが、それ以外の被災者支援活動にも支援を行うよう定める点です。なお、れいわ新選組としては、知事が行う救助業務を含めた全体的な被災者支援活動の在り方について、更なる法改正を含めて引き続き検討を行ってまいります。

 最後の八点目は、従事命令等に違反した場合の罰則規定の削除です。高い志を持って災害救助に当たるNPOやボランティアその他の者に対して、罰則をもって強制的に従事させることは、今の時代にふさわしくありません。なお、立憲民主党・無所属、日本共産党及び有志の会の三派共同提出の修正案では、今回の法改正で従事命令の対象に追加される福祉関係者のみ罰則から除外することとなっていますが、れいわ新選組の修正案は罰則そのものを削除する点で、大きく異なります。

 以上が、本修正案の趣旨及び内容であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

金子委員長 これにて両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

金子委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申出がありますので、これを許します。櫛渕万里君。

櫛渕委員 れいわ新選組の櫛渕万里です。

 私は、会派を代表して、ただいま議題となりましたれいわ新選組提出の修正案に賛成、立憲民主党、日本共産党、有志の会提出の修正案及び政府提出の原案に反対の立場から討論いたします。

 今年は阪神・淡路大震災から三十年。しかし、能登半島地震を始めとする日本の災害現場では、被災者の人権も憲法もずっと守られていません。この間、小さな政府を進めた結果、公務員が減らされ、行政の災害対応能力は大きく劣化しました。一方で、多くの現場経験により、災害NPOは知見や経験を積み上げてきており、今や、災害NPOの存在なくして日本の災害対応は立ち行かないのが現実です。

 それなのに、政府の危機感は余りに薄い。自助ばかりを重視して、共助を軽視、公助を切り詰める姿勢は変わらない。今回の法改正による登録団体制度も、行政が限界に来たので民間の力をかりるはずが、命令を新設するなど、ちぐはぐなことになっています。登録団体となっても、命令に従ったとき以外は、救助活動の実費すら法律に明記されていません。

 この法改正では、行政は貧弱なまま、NPOの自己負担やリスクも大きいまま、そして、そのツケを次の大きな災害の被災者が払わなければならない、こうした構図が更に続いてしまいます。能登半島地震と豪雨災害で流されたたくさんの涙と汗が、これからの改善に役立つことなく消えていく。災害大国なのに、災害対応小国のまま。だから、れいわ新選組は反対するのです。

 具体的な反対理由は、大きく五点です。

 一点目は、登録被災者援護協力団体の役員の欠格条項は、明らかな障害者の差別に当たり、インクルーシブ防災を重要と考えるれいわ新選組として、到底認められません。

 二点目は、登録被災者援護協力団体に発出される協力命令での実費弁償以外では、災害NPOやボランティアへの財政支出が法律に明記されていません。

 三点目は、防災会議や災害対策本部の意思決定プロセスに災害NPOが参加することが保証されていないからです。

 四点目は、従事命令に従わない場合の罰則条項が残ることです。しかも、今回、福祉関係者も対象とされ、追加されてしまいます。

 最後の五点目は、附則の検討条項が事実上空文化しているからです。大規模災害が多発する現在、経験と教訓を早期に法改正につなげる必要がありますが、原案にはそのような姿勢は見られません。

 れいわ新選組は、防災省の設立を公約としています。積極財政で、被災者の生活再建まで国が責任を持つこと、災害NPOの人材を公務員的に雇用し、その知見や経験を被災者支援に生かすことを目指しています。繰り返しますが、今や、災害NPOなしには日本の災害対応は立ち行かないのが実態です。しかし、今回の法改正では不十分であり、政府提出の原案には反対いたします。

 なお、立憲民主党や日本共産党、有志の会提出の修正案については、災害応急対策の明確化など一部評価できる点もありますが、従事命令の罰則の適用について福祉関係者のみを削除するにすぎず、罰則自体を削除するれいわ新選組の修正案とは大きく異なりますので、反対いたします。

 以上を申し上げ、討論を終わります。

金子委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

金子委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、災害対策基本法等の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、櫛渕万里君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、竹内千春君外二名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

金子委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、柳沢剛君外五名から、自由民主党・無所属の会、立憲民主党・無所属、日本維新の会、国民民主党・無所属クラブ、公明党及び有志の会の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。柳沢剛君。

柳沢委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文の朗読にて趣旨の説明に代えさせていただきます。

    災害対策基本法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、令和六年能登半島地震の教訓を生かし、南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模地震や激甚化・頻発化する気象災害の発生に備え、本法の施行に当たり、次の事項の実現に努めるべきである。

 一 災害関連死を防ぐため、事例の検証を行うとともに、被災者に対する充実した福祉的支援及びスフィア基準に沿った避難所運営が担保されるよう、地方公共団体に対し、適切な助言及び支援を行うこと。

 二 避難所に避難できず、在宅や車中で避難生活を送っている避難者に対しても、避難所で提供される物資や情報等が同等に提供され、適切に行きわたるよう、地方公共団体に周知徹底するとともに、適宜その運用状況を把握し、必要な対応を図ること。

 三 災害時における福祉的支援の充実・円滑化を図るため、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児その他の特に配慮を要する者である被災者に対して、その配慮を要する事情に応じた応急の福祉的支援が行きわたるよう努めること。

 四 福祉サービスの提供に当たっては、必要とする者に適切なサービスが提供されるよう、ガイドライン等の整備を行うとともに、福祉施設や福祉サービスの機能が回復されるまでの間は、関係府省が連携し必要な支援を継続するよう努めること。また、施設やサービスの機能回復に向けた応援派遣や必要物資・機材の調達等について、災害発生前から適切な準備ができるよう適切に支援すること。

 五 福祉関係者に対する従事命令の発出及び罰則の適用については、福祉の範囲が広範にわたることに鑑み、緊急性や必要性等を十分に検討し、慎重な運用がなされるよう、都道府県等に適切な助言を行うこと。

 六 被災者援護協力団体の登録制度については、登録基準を明確化するとともに、評価方法の公平性及び透明性の確保を図ること。また、登録を受けた団体以外の協力団体や個人ボランティアの活動促進について検討し、必要な措置を講じること。

 七 被災者援護協力団体の登録に当たっては、当該団体の役職員が、被災者及び支援者に対して暴力、ハラスメントその他不適切な行為を行うことのないよう、教育・訓練を実施していることを考慮するとともに、登録被災者援護協力団体の業務状況を把握し、必要に応じて改善を求めること。また、役職員に不適切な行為があった場合には、当該団体に対し、改善命令・登録取消等の対応を行うこと。

 八 被災者援護協力団体が登録を受けることができない事由のうち「心身の障害により被災者援護協力業務を適正に行うことができない者として内閣府令で定めるもの」については、東日本大震災等で障害者団体が被災障害者の支援活動に大きな役割を果たしてきたことに鑑み、障害者差別解消法との整合性を確保し、心身に障害があることをもって一律に排除することのないよう十分留意するとともに、内閣府令を定める過程において、障害者団体の意見を積極的に聴取すること。また、障害者団体を共生社会の構成員として、連携に努めること。

 九 障害者、高齢者等への実効性の高い避難支援に向けて、各市町村における避難行動要支援者に対する個別避難計画の策定が進むよう、防災や災害対応人材の確保、財政措置、先進・優良事例に関する情報の提供等、必要な支援の強化を図ること。

 十 インフラ及びライフラインの迅速な復旧に当たっては、民間事業者も含めた作業員の安全衛生確保の強化及び周囲の理解促進を図ること。

 十一 液状化による宅地被害を軽減するため、液状化対策の周知・啓発を更に推進するとともに、市町村の液状化ハザードマップ作成の加速化を促し、策定状況の改善に努めること。

 十二 埼玉県八潮市における道路陥没事故により、インフラの老朽化問題が改めて顕在化し、老朽化対策が喫緊の課題となっている。自然災害が激甚化する中、インフラ老朽化の進行により、被害規模が拡大することのないよう、抜本的対策を図るとともに、インフラを維持管理する地方公共団体を適切に支援すること。

 十三 地方公共団体における物資の備蓄状況の公表については、その結果を踏まえ、地域格差の是正を図ること。また、物資の備蓄に当たっては、女性や高齢者、アレルギー疾患を有する者など多様なニーズを踏まえた物資の確保に努めるとともに、地方公共団体においても、同様の取組がなされるよう促すこと。

 十四 防災、復旧・復興に関する意思決定の場及び防災・危機管理部局等の防災現場への女性参画の強化など、「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」に沿った取組を全ての地方公共団体に徹底するとともに、取組の進捗状況を把握・公表し、必要な改善に努めること。

 十五 気候変動に伴い激甚化・頻発化する大雨・大雪等の気象災害や、岩手県大船渡市を始めとする各地で相次ぐ林野火災に適切に対処するため、災害救助や消防活動、避難所環境などに関し、地方公共団体間の格差是正や連携・協力の在り方について、国として必要な検討を進めること。

以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

金子委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、本附帯決議に対し、政府から発言を求められておりますので、これを許します。坂井防災担当大臣。

坂井国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重して、適切な措置の実施に努めてまいります。

    ―――――――――――――

金子委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

金子委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十五分散会


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