衆議院

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第2号 平成24年6月15日(金曜日)

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平成二十四年六月十五日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 市村浩一郎君 理事 菊田真紀子君

   理事 長安  豊君 理事 村越 祐民君

   理事 山尾志桜里君 理事 河井 克行君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 赤松 正雄君

      相原 史乃君    打越あかし君

      大泉ひろこ君    大西 健介君

      柿沼 正明君    笠原多見子君

      勝又恒一郎君    熊田 篤嗣君

      後藤 祐一君    阪口 直人君

      首藤 信彦君    菅川  洋君

      玉木雄一郎君    中津川博郷君

      中野  譲君    仁木 博文君

      萩原  仁君    浜本  宏君

      早川久美子君    三宅 雪子君

      山口  壯君    吉川 政重君

      小野寺五典君    金田 勝年君

      城内  実君    後藤田正純君

      高村 正彦君    笠井  亮君

      渡辺 義彦君    服部 良一君

      浅野 貴博君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   外務副大臣        山口  壯君

   経済産業副大臣      牧野 聖修君

   防衛副大臣        渡辺  周君

   内閣府大臣政務官     園田 康博君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   防衛大臣政務官      下条 みつ君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山野内勘二君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ審議官)      草賀 純男君

   政府参考人

   (外務省国際協力局長)  越川 和彦君

   政府参考人

   (防衛省運用企画局長)  松本隆太郎君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  小川 淳也君     玉木雄一郎君

  勝又恒一郎君     後藤 祐一君

  萩原  仁君     笠原多見子君

  秋葉 賢也君     城内  実君

同日

 辞任         補欠選任

  笠原多見子君     菅川  洋君

  後藤 祐一君     打越あかし君

  玉木雄一郎君     三宅 雪子君

  城内  実君     秋葉 賢也君

同日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     柿沼 正明君

  菅川  洋君     萩原  仁君

  三宅 雪子君     大西 健介君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 健介君     仁木 博文君

  柿沼 正明君     勝又恒一郎君

同日

 辞任         補欠選任

  仁木 博文君     熊田 篤嗣君

同日

 辞任         補欠選任

  熊田 篤嗣君     吉川 政重君

同日

 辞任         補欠選任

  吉川 政重君     小川 淳也君

    ―――――――――――――

六月一日

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)

四月十九日

 米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と沖縄県内移設の中止に関する請願(瑞慶覧長敏君紹介)(第八九九号)

 同(玉城デニー君紹介)(第九一五号)

 同(石川知裕君紹介)(第九五九号)

 普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去に関する請願(志位和夫君紹介)(第九一四号)

五月二十一日

 米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と沖縄県内移設の中止に関する請願(服部良一君紹介)(第一〇五四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一一八九号)

 中国及び中国周辺地域における人権弾圧問題等の解決に向けて、日本国政府からの働きかけを強化することに関する請願(渡辺義彦君紹介)(第一二一一号)

六月六日

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一四二三号)

 同(笠井亮君紹介)(第一四二四号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一四二五号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一四二六号)

 同(志位和夫君紹介)(第一四二七号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一四二八号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一四二九号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一四三〇号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一四三一号)

同月十二日

 普天間基地の無条件返還を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一六七一号)

同月十四日

 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一七八五号)

 同(笠井亮君紹介)(第一七八六号)

 同(穀田恵二君紹介)(第一七八七号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第一七八八号)

 同(志位和夫君紹介)(第一七八九号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第一七九〇号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一七九一号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一七九二号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一七九三号)

 イラク戦争検証委員会の設置に関する請願(服部良一君紹介)(第一八〇五号)

 普天間基地の無条件返還を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一八八八号)

同月十五日

 鹿児島県内への米軍基地移設に反対し、普天間基地の無条件撤去を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二一四五号)

 原子力空母の横須賀母港をやめることに関する請願(志位和夫君紹介)(第二二四六号)

 普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二四七号)

 中国及び中国周辺地域における人権弾圧問題等の解決に向けて、日本国政府からの働きかけを強化することに関する請願(渡辺義彦君紹介)(第二二四八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房参事官山野内勘二君、中東アフリカ局アフリカ審議官草賀純男君、国際協力局長越川和彦君及び防衛省運用企画局長松本隆太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山尾志桜里さん。

山尾委員 おはようございます。民主党の山尾志桜里です。

 本日は、私にとっては、外務委員会、初めての質問に立たせていただいて、ありがとうございました。

 また、玄葉大臣の所信の表明から二カ月弱が経過をいたしまして、その間、委員会でいろいろなメッセージを受け取る機会がなかったわけですけれども、玄葉大臣、もちろん世界を駆けめぐっていただきながら、実は国内でも、いろいろな場所でさまざまな前向きなメッセージを発信していただいております。例えば、内向き志向からの脱却、実のある外交、フルキャストディプロマシー、そしてまたネットワーク外交、こういったメッセージを、ぜひきょうはこの委員会の場でお伝えをいただきたい、そんな思いで質問に立たせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それではまず、内向き志向からの脱却、あるいはフルキャストディプロマシー、これを活用していく場としてはODAということが挙げられると思います。その意義や増額反転の決意などについてお伺いをしたいと思うのです。

 所信で大臣は、ODAに関して、戦略的かつ効果的に活用するとおっしゃられました。質と量でいえば、質を高める観点に言及をされたと受けとめましたが、一方で大臣は、就任以来、日本の内向き志向を脱却する一つの象徴がODA予算の反転であるとメッセージを発信し続けておられて、実際に平成二十四年度予算でその端緒を開かれました。これは、内向き志向脱却の象徴であると同時に、言ったことを実行する外交、実のある外交の象徴という意味で本当にうれしく思います。というのは、決して大臣を持ち上げる意味合いではなくて、大臣は、世界に対する日本の顔ですので、その有言実行の振る舞いが大臣の信頼へとつながり、日本の信頼へとつながるという意味で非常にうれしく思っております。

 そこで、改めてこの機会に、大臣から、ODA予算の強化が国益にいかに直結をする、影響をするのかという観点からその意義を語っていただき、そして、さらに来年度予算に向けた強化への決意、これもいただければと思います。

玄葉国務大臣 ただいま、内向き志向からの脱却、その象徴としてのODA予算の増額という問いをいただきましたけれども、まさにODAは日本の外交にとっては最重要ツールの一つであるということを、外相になって十カ月目くらいになるんですけれども、実感として感じることが多々ございます。

 一つは、日本政府自身、これは先輩方でありますけれども、人間の安全保障という概念をつくり出して、今やこれは世界各国で用いられるようになってきています。こういった人間の安全保障、一人一人の尊厳を大切にする、まず、そういった観点からの日本からの援助に対して、日本への信頼というものが寄せられていることを感じますし、また、これから日本の経済成長につなげていくような、ウイン・ウインの関係を築くような、ODAの効果的、戦略的な使い方というものについても意義を強く感じています。

 総理にも直談判して、何とか今回、少々ではありますが、外務省のODA関連予算をふやすことができました。でも、これは直談判したからだけではなくて、山尾委員初めきょう御出席の方々、そして、これはもう党派を超えて御支援をいただいたおかげだというふうに思っていまして、何とかこのODA予算、日本は軍事力で貢献するということは、主要国であるにもかかわらず、極めて限定されるわけでありますから、ODA予算の増額について御理解をいただいて、端緒に終わらせずに、この反転基調を確実なものにしたいというふうに考えているところであります。

山尾委員 反転基調を確実にするという強い決意を承りました。ありがとうございます。

 その反転基調を確実にする、来年度、さらにその次の年、次の年ということを視界に入れていくに当たって、目標設定について少しお伺いをしたいのです。

 物差しとして、対GNI比という物差しが利用されます。日本は、対GNI比〇・七という目標の達成に向けて引き続き努力をするというふうに、期限を切らない努力目標を表明しているというふうに伺っています。

 ただ、これは、日本は現在〇・一八、そしてまた日本のODAピーク時の一九九一年ですら〇・三二、こういうことを考えたときに、ちょっとこの〇・七という数値は現実問題としては非常に厳しいのではないかと率直に感じています。

 厳しい目標を掲げていても、なかなか本気度が各国に伝わらないですし、あるいは国内に向けても、毎年毎年予算を設定していくに当たって、本気で実行していくてこになりにくいのかなというような気がしているものですから、例えば、ピーク時であっても〇・三二、この数値を一つの基準、一つの参考値ということも含めて、もう少し現実的な目標設定をすることも検討してよいのではないかと思いますが、大臣の考えをお聞かせください。

玄葉国務大臣 今おっしゃったように、対GNI比ということでいくと、日本は〇・一八というのは、これは先進国の中ではかなり低いパーセンテージであるということも我々は理解をしないといけないというふうに思います。

 目標の立て方ということでありますが、おっしゃるように、〇・七というのが国際社会で広く受け入れられている目標ですから、その大きな目標を仰ぎ見ながらも、今おっしゃったような、半分というのを一つの目標にしたらどうかということについて、残念ながら、現時点で、例えば財務省なんかをまだ説得できているわけではないんですけれども、今おっしゃった御提案は参考にさせていただきたいなというふうに思っています。半分でもかなり大変な数字なんですけれども、一つの参考にさせていただきたいというふうに考えています。

山尾委員 ありがとうございます。

 ODA強化ということについては、外務部門会議でも、来年度予算の獲得に向けて、心を一つでしっかりと行動していこうと結束をしているところですので、党としてもしっかりと支えていきたいと思っております。

 次に、先ほどODAについて、人間の安全保障、そしてもう一つ、新成長戦略、ウイン・ウインの関係、こういった二つの視点をお示しいただきました。

 最初に、ちょっと成長の観点からお聞きをしたいのですが、具体的にはどういうことかというと、ODAを活用した中小企業の海外展開支援、これについてお伺いをしたいと思っています。

 というのも、ODA強化のためには国民の理解、支援が不可欠。もちろん私も、なかなか外交の問題に地元の集会で興味を持っていただくというのは非常に難しいんですけれども、正面から、本当に国境の垣根が低くなっている中で、世界の安定なしに日本の安定、安全、私たちの安心というのはないんだ、こういうことをお伝えもしているわけです。

 それでも、一方で、ではその集会で私が半分以上の時間を何に費やしているか。消費税のことをお話ししております。国の借金が本年度末には千兆を超えるだとか、人口減少、少子高齢化の中で、税金の担い手が減って、税金で賄うべき社会保障がふえていくんだとか、こういう話を一方でやはりするわけですね。そういう中で、ODA強化に本当の国民の理解、支援をいただくというのは、相当覚悟を持って私たち政治家が説得に当たらなければいけないということを体感しております。

 その中で、これまで、ODAは日本の成長にもつながっていくんだということは申し上げてきたわけですが、やはり大企業中心、大型インフラ中心であったように思います。でも、多くの国民の皆さんは、やはり中小企業、その中の企業人としての顔を持っている方が多くて、こういった御時世に広く国民に理解をいただくために、中小企業の海外展開支援、ここに光を当てて、多くの企業人にODAを通じた成長のチャンスを感じていただくということが非常に重要だと思っています。

 また、このODAを通じた成長には、もう一つの観点、フルキャストディプロマシーという、政府のみならず、もちろん民間企業、そしてまたNGO、あるいは個人、こういった国民の総力を使い、そして、国民全体にその果実が返ってくる、こういった側面もどんどんメッセージを発信していただきたいなと思います。

 そんな観点から、これまでの成功事例なども、もしあれば含めまして、中小の皆さん、広く国民の皆さんへのメッセージをお願いいたします。

玄葉国務大臣 ただいまおっしゃっていただいたように、私はフルキャストディプロマシーというのを提唱しています。それは、政府だけではなくて、地方自治体も、大企業も、中小企業も、NGOも、個人も、今外交の主体になり得る、そういう時代になってきたというふうに思います。

 その上で、ODAというものを、おっしゃったように、人間の安全保障という観点から途上国に対して支援をしていくと同時に、ウイン・ウインの関係で日本の社会に還元をしていくために、効果的、戦略的に使うという側面がある。そのときに、まさに御指摘のとおり、大企業ばかりじゃないか、パッケージ型インフラ展開を官民一体で応援しているけれども、結局大企業の利益になるだけではないか、中小企業には来ないのではないか、こういうお話も指摘としてはございます。

 今、中小企業とODAの連携というのは、最近始めました。例えば、ウクライナから北海道の帯広に、JICAが、いわば研修生というものをお招きしました。たしか小麦の品質管理の研修をしたんですけれども、結果として何が起きるかというと、その研修員たちと地元の農機具メーカーたちが人脈ができてくるわけですね。そうすると、将来ウクライナに帰ったときも含めて、その農機具メーカーは、輸出なんということも含めて、中小企業だけれども考えるようになっていく。

 あるいは、青年海外協力隊に、今、中小企業からぜひ協力隊員にならないかということを実は募集していまして、五十人くらい、今、中小企業から行ってもらう。その結果として、人脈をつくってもらう。そして、それぞれの地域の中でのビジネス展開に、場合によっては役立つような形というものも今考えているところであります。

 まさにおっしゃったように、最近なんですけれども、ぜひ中小企業への裨益ということも真剣に考えて、ODAについて実行をしていきたいなというふうに考えております。

山尾委員 ぜひ国民に広く開かれた国際協力を進めていただきたいと思います。私も、地元の中小で頑張っておられる皆さんに具体的にお呼びかけをしてみたいというふうに思っています。

 今は、国民の理解をいただくために、非常に夢のある前向きなメッセージをいただきました。もう一つ、これは少し厳しい側面なんですけれども、やはり理解をちょうだいするために説明をしなければいけない対中ODA削減の問題について、大臣のお考えを伺いたいと思います。

 もちろん削減論、継続論、それぞれに理由があって、一概に割り切れるものではないことは承知をしております。しかし、一般の皆さんの感覚からすると、例えば外務委員会でどんなことに興味がありますか、ODAというと何が思い浮かびますかというと、必ずこの話題が出てくるんです、一般の方からも。そうしますと、この違和感の解消なしに、なかなか説得をし切れない。あわせて、この文脈で触れるのが適切かどうかはわかりませんが、安保理決議違反とも言える内容の中国に対する対北朝鮮輸出の問題も大きく今報道をされています。

 こういう背景あるいは状況も含めて、対中ODA予算に対する厳しい視線が、ODAそのものに対する厳しい意見に変わらないように、今後の予算についての方針、大臣から御説明をいただければと思います。

玄葉国務大臣 対中国向けのODAというのはもう一定の役割を果たしたというふうに思っていますし、これからますます絞られていくというふうに私は考えています。

 では、何で、限定的とはいえ続けるんだということについて言えば、絞られていくんだけれども、例えば感染症の問題とか黄砂の問題とか、そういった部分というのはやはり残りますねということで、そういった部分については今後とも考えていかざるを得ないだろうし、また、いくべきなんだろう、こういうふうに考えておりまして、大まかに申し上げれば、さらに絞り込まれていくというふうに考えていただいて結構でございます。

山尾委員 明確な御答弁をありがとうございました。

 それでは、ODAのもう一つ、非常に重要な柱であります人間の安全保障の観点から、アフガニスタンについてお伺いをしたいと思います。

 来月、東京会合、さかのぼって五月のシカゴ・サミットでは治安に焦点が当てられ、今回の東京では開発に焦点が当てられると聞いています。本当に治安の確保があって初めて、開発の果実が国のみならず国民にもたらされる。その果実が国民にもたらされて、国民の生活が向上すれば、さらに良好な治安環境がもたらされる。そういう意味では、治安が開発の前提であって、治安が一定のレールに乗り始めた後は、この二つは車の両輪になるんだろうというふうに思います。

 そこで、来月の東京会合では、もちろん開発に焦点が当たるということですけれども、アフガニスタンによる治安あるいはガバナンスの改善に向けたコミットメントをしっかりと確約してもらうことが重要であります。そしてまた、その上で、治安の権限移譲が完了する二〇一四年末以降も国際社会はアフガニスタンを見捨てない、しっかりと持続可能な開発を援助していくんだという強いメッセージを発信していただきたいと思います。

 具体的にお伺いをします。

 アフガニスタンに対して、ガバナンス改善のコミットメントをいかに求めるのか。焦点の当たる対象は幾つかあるんだろうと思います。麻薬もあれば、選挙、民主化プロセス、人権、カブール銀行の問題などの汚職、どこに焦点を当てて、どういったレベルまで求めていくのか、お知らせください。

 そして、済みません、もう一つあわせて、国際社会の側からすれば、各国とも厳しい財政の中で、どこまで資金援助のコミットメントを具体化していくのか、そんなことをお知らせいただければと思います。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、アフガニスタンの治安、経済、社会、この安定は国際社会全体の課題であります。

 先般のNATOの首脳会合では、治安に焦点を当てて、我々はアフガニスタンを見捨てないということでコミットメントをしたわけでありますけれども、治安が前提ではありますけれども、東京会合は開発に焦点を当てます。その上で、NATOの首脳会合で私が各首脳の発言を聞いていても、各首脳から出る発言というのは、アフガニスタンのガバナンスが改善されていないじゃないかとか、何人もの首脳が発言していました。同時に、国連の事務総長、カルザイ大統領を初め、皆さん、東京会合への期待というものも発言をされていました。

 そういう中で、今度の東京会合では、やはりガバナンスの改善をアフガニスタン政府に約束していただく。おっしゃるように、何を具体的に約束してもらうのかということについて今詰めておりまして、麻薬、いわゆる汚職、さまざまあるわけですけれども、こういったガバナンスの改善について約束をしていただく一方で、開発について優先順位づけをしようと思っているんです。優先順位づけをして、その優先順位づけされた開発分野に資金的コミットメントを各国がしていくという形で、各国と今話し合いをしています。

 国によっては非常に厳しくガバナンスの改善を求めている国もあれば、そうでもない国もあります。その調整役を今、日本国政府が行っているということで、さまざまな貢献額も具体的に今出始めてきているんですけれども、七月八日の東京会合までに大きな成果が得られるように鋭意努力をしたいというふうに考えております。

山尾委員 ぜひ、フォローアップのメカニズムによる実効性の確保、これも大臣がおっしゃっていただいておりますので、このことも含めて実を上げていただきたいと思います。

 さらに、人間の安全保障といえば、シリア、これを避けて通るわけにはいかないと思います。

 今、子供、女性、民間人、シリアに生きる人間一人一人の安全と命が危険にさらされています。既に失われてしまった人間の命が、昨年三月以来、一万人を超えて、数えられないとも言われています。人間の安全保障の提唱国として、さらなる人道支援、制裁強化に取り組んでいただきたい、取り組んでいくべきだというふうに思います。

 七月六日にパリで第三回のシリア・フレンズ会合が予定されています。そのほか、コンタクトグループというようなものの立ち上げも仄聞をしておりますが、まだ明確には決まっていない。こういう中で、今、七月六日にセットをされているこのパリの会合、ここには日本はいかなる提案を持って、そしてどのレベルの方が行かれることを予定しているのか、教えてください。

玄葉国務大臣 シリアのフレンズ会合への出席者はまだ決まっていないんですが、しかるべき出席者を考えたいというふうに思っています。

 シリアの状況というのは極めて深刻な状況であります。やはり一番大切なことは、国連安保理がまとまっていないということなんですね。今、米ロでよく話し合いが行われていますけれども、やはり安保理がまとまるということがまず大事だというふうに思っています。

 日本政府は、言うまでもなく、アナン特使の具体的提案というものが履行されていくということを求めていますし、おっしゃるように、では、日本政府としてあと何ができるんだといったら、人道支援ということになりますし、圧力強化ということになりますので、必要な措置をシリアについてもさらに、これまでもとってはきているんですけれども、双方ともですよ、圧力あるいは人道支援、今後とも、相応の措置をとっていきたいというふうに考えております。

山尾委員 非常に深刻な状況だという言葉を今聞きました。どなたが出席されるかということは、その深刻度、その受けとめをあらわす一つの要素にもなりますので、その点をよろしくお願いします。そしてまた、八万人を超す難民支援の具体策、経済制裁対象の追加の提案など、いろいろな観点から御検討いただいて実行に移していただきたいとお願いいたします。

 あと五分ということになりましたので、日米中戦略対話、この点についてお伺いをしたいというふうに思います。

 大臣が一貫してこの日米中戦略対話を立ち上げたいとおっしゃられておりまして、私もそれを最初に聞いたときから、これが日本のリードで実現できた場合の大きな意義を感じております。

 私から申し上げるまでもなく、日米中、GDP一位、二位、三位の三国が定期的に対話の場を設けられる、当然、日米中のバランスを探る場にもなるでしょうし、戦略的な安定を探っていく場になると思います。その安定は、日米中のみならず、アジア太平洋、そしてまた国際社会全体の安定に直結すると言っても過言ではないと思っています。

 さらに、こういった枠組みを日本が提唱し、セットしていくということになれば、これは日本がこれからこのアジア太平洋で果たしていく一つの大きな役割、象徴的なことになるのではないかというふうにも思っています。

 この提案に対して、アメリカ側、クリントン長官は賛同を示していただいていると聞いています。これは、まさに玄葉大臣を初め、政権のさまざまな方の努力によって、今、日米同盟が本当に揺るぎない信頼に支えられて、深化、発展に向かって進んでいるんだ、こういう今であるからこそ、クリントン長官も明確に賛同を示していただいたのではないかと私は思っております。

 一方、中国は、賛同まではいっていないというふうに聞いておりますが、五月十三日の首脳会談では、真剣に検討している、こういう発言まで出たと伺っています。

 また、研究者間での三角対話、これは着実に前進をしているというふうにも感じています。大きなテーマであるだけに、不必要に焦ることなく、さまざまなレベルでの段階を踏んで、関係を構築しながら、ぜひこの対話を実現に結びつけてほしいと思っております。

 改めて、残りの時間で、大臣、この日米中対話の意義、そして進捗についてお答えをいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 山尾委員が御指摘をしていただいたとおりなんですけれども、やはり日米中、もう既に日米韓、あるいは日米豪、日米印というのはあるんですね。また、日中韓というのもあるわけです。しかし、肝心の日米中、一位、二位、三位のGDPを有する国々がこの戦略対話の枠組みを持たないということは、私は、非常に問題があるというよりは、この日米中の戦略対話ができれば、アジア太平洋全体のみならず、グローバルな戦略的安定に大いに役立つというふうに考えています。

 アメリカは、おっしゃるとおり、すぐ賛同してくれました。中国は真剣に検討している。ただ、一・五トラックも進んでいます。さらに言えば、最近、トウカセン元外相、また李肇星元外相と私は会談しましたけれども、お二人は、この日米中の対話に対して賛同をしてくれています。ですから、少しずつではありますけれども、そういった方向に向かってきているというふうに考えておりますので、引き続き、焦ることなく、実現に向けて努力していきたいというふうに考えております。

山尾委員 ありがとうございました。

 以上です。

田中委員長 次に、浅野貴博君。

浅野委員 おはようございます。新党大地・真民主、浅野貴博でございます。

 久しぶりに外務委員会が開かれました。日本の国益を守るため、三百六十五日、二十四時間なく展開される外交に邁進されている玄葉大臣に心から敬意を表します。同時に、それを国会でチェックするはずの外務委員会が、いろいろな政局の動きを受け、この二カ月間開催されなかったことは非常に残念であり、私も国会議員の一人として責任を感じておる次第でございます。

 十五分間という時間でございますので、早速質問に入らせていただきます。

 まず、丹羽宇一郎駐中国日本国大使のファイナンシャル・タイムズにおける尖閣諸島、東京都による土地購入に対する発言についてなんですが、さまざま新聞紙上で批判等の報道がなされております。玄葉大臣として、この丹羽大使がこのような発言を行ったことを、いつ、どのようにしてお知りになったのか、具体的に御説明いただきたいと思います。

玄葉国務大臣 済みません、これは事実関係なものですから、見ながらお話をさせていただきますが、インタビューは六月一日に行われました。それで、外務本省としてその発言を承知したのは、七日に丹羽大使のインタビュー記事がフィナンシャル・タイムズ紙に掲載された時点ということで、私自身もその時点で報告を受けたというのが事実関係であります。

浅野委員 外務省職員に限らず、国家公務員が何か著書を出版する、もしくは雑誌等に論文を寄稿する際には、事前に寄稿届といったものを提出する義務があるかと承知します。

 インタビューを受ける、このような丹羽大使の事例においても、事前にインタビュー届といったものを提出する義務はあるんでしょうか。

玄葉国務大臣 これは通告いただいていました。

 今回のインタビューにつきましては、そもそも事前の届け出が必要な場合には当たらないと。それで、届け出は提出されておりません。

 それで、在外公館の職員によるインタビューというのは、在外公館で行う政策、一般広報といった通常業務の一部であり、在外公館長、つまりは大使だったり総領事だったりするわけでありますけれども、その責任のもとにこれを実施しているということでございます。

浅野委員 はい、わかりました。在外公館長の責任のもとにということですが、非常に我が国の国益を損ねることに結果としてつながってしまったと思っております。

 ただ一方で、これはいろいろな考えがあるかと思うんですが、私は、その前になされた石原東京都知事による尖閣諸島、東京都として土地を購入する、これを表明したこと、それで、既にもう十億を超える寄附が集まっているとも聞いておりますが、このようなことを都知事が表明されたことが国益に果たしてつながったのかということに関しても、私は疑問を感じております。

 というのは、尖閣諸島をめぐる領土問題というのはそもそも存在しないはずです。我が国として有効に尖閣諸島を実効支配してまいりました。ただ一方で、中国が、尖閣は中国の領土だと騒ぎ立て、一方では領土問題は存在しない、ただ、もう一方では領土問題は存在する。こういうやりとりがなされれば、国際社会において客観的に、ああ、尖閣をめぐって日中の争いがあるんだなという認識が広まってしまいます。

 よって、これまで政府は、政権交代の前の自民党政権時代からも、あえて尖閣諸島を無人島にして、波風を立てないようにする、それが一見弱腰に、弱腰だと批判される方もいますけれども、冷静な外交の知恵というものを発揮して、ここに焦点が当たらないようにしてきたんだと思っております。

 よって、石原都知事が勇ましく、政府が何もしないから東京都がやるんだと言ったことに対して、玄葉大臣初め政府関係者の方々が冷静な対応を示されたということは、外交上正しかったと思っております。

 そもそも、土地を所有していることと、国家がその場所を、領有権を有しているということに、本来なれば何の関係もないはずです。例えば、対馬の島を韓国の方が、たくさん買っている方がいます。私の地元の北海道でも森林や水資源に関するところを、外国の方、特に中国の方が買われていることが問題になりましたけれども、外国の人が土地を買おうが、我が国の土地であり領土であることに何も関係はございません。

 よって、政府が、繰り返しますけれども、冷静な対応をとってきたことは知恵だったと思っておりますが、そこで、我が国の立場を代表して、天皇陛下の認証を受けて中国に行っている丹羽大使が、そういうことをしたら日中間に重大な影響が生じると言ってしまったことは、まさに土地の所有と国家の領有権がリンクするといったことを日本政府を代表する人間が述べてしまった。非常に国益を損なったと思っております。

 しかも、これは事前に玄葉大臣に対しても届け出がなされていない中での発言であった。率直に申し上げて、少々、中国大使館、外務省全体としての規律の緩みがあったんじゃないかと思うんですが、玄葉大臣はどうお考えになりますでしょうか。

玄葉国務大臣 規律の緩みがあったのではないか、こういうお話でございます。そこのところは真摯に受けとめなければならないと思いますけれども、今回の丹羽大使の発言、不適切であった。つまりは、インタビューに答えるときには、そもそも領有権の問題は存在しないのであるということをやはり言うべきなのであるということなんですね。

 ですから、そのことについて私は報告を受けて、もうその時点で、私の名前で、外務大臣名で注意をするようにということを指示したということでございます。

浅野委員 わかりました。しっかりと外務省、全職員というものの手綱を引き締めて指揮に当たっていただきたいとお願いを申し上げます。

 残された時間もわずかになってまいりました。北方領土問題について質問を移させていただきたいと思います。

 五月七日、プーチン大統領が三期目の体制を発足させました。そして、新たな閣僚体制というものも既に明らかになっております。

 その中には、北方領土問題といえば我が党の代表鈴木宗男と、ありがたいことに多くの方々にそういう評価をいただいておりますが、例えば、ロシア政府の中で随一の知日派と言われておりますアントン・ワイノさんが大統領府副長官に就任されました。非常に日本語も堪能な方で、先日、前原民主党政調会長が訪ロされた際にも会談をされております。

 または、エリビラ・ナビウリナ大統領補佐官、前経済発展大臣ですね。または、ユーリー・ウシャコフ大統領補佐官、元駐米大使。この方は、一昨年五月に、鈴木代表がモスクワに外務委員長として訪ロした際に会談をしております。または、このたび新しく新設されたポスト、極東発展担当大臣になられたビクトル・イシャエフさん。この方も、鈴木が外務委員長だったときに、二年前の四月に、今、国家院議長になられたナルイシキンさんとともに訪問してくださった。大変、知己をいただいている方なんですが、このような新体制に対して、玄葉大臣としてはどのような評価をされているのか、お聞かせください。

玄葉国務大臣 浅野委員から、今、プーチン新体制に対する評価、こういう話がございました。

 外務大臣として、一人一人について、なかなか、論評するというのは差し控えたいと思いますけれども、確かに、おっしゃるように、例えばイシャエフ極東開発担当大臣が日本との関係が深いとか、いろいろあるというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、私は、今の日本とロシアの関係というのは、信頼醸成が生まれてきているというふうに実感として感じておりますし、あわせて、戦略環境が日本にとってもロシアにとっても変わってきている。この変わってきていることをやはりお互いがしっかり捉えて、あらゆる分野での協力関係を進めながら、最大の懸案である領土問題を解決して、平和条約を締結するということが大切だというふうに考えております。

浅野委員 日ロ関係の発展を妨げてきた北方領土問題の解決、これが、日ロ両国のみならず、極東、世界の平和の安定に資すると私も考えております。

 三月七日、もう三カ月前になりますが、衆議院の沖北委員会において玄葉大臣は、これから、イルクーツク声明、二〇〇一年、当時の森総理とプーチン大統領が締結をされたイルクーツク声明に基づいて、それを重視しながら交渉を進めていく旨の答弁をいただきましたが、あれから三カ月の間、日ロ間の北方領土交渉はどのような状況にあるのか。そして、今後も変わらず、我が国の政局はいろいろ動いておりますけれども、イルクーツク声明を重視して、イルクーツク声明に基づいて北方領土交渉を行うということで変わりはないのか。この二点、御確認をしたいと思います。

玄葉国務大臣 三月七日以降の日ロ間の出来事について若干申し上げたいと思いますけれども、既に御存じのことばかりかもしれません。

 本年三月以降の主なやりとりということでいえば、ロシアの大統領選挙でプーチン首相が当選をした直後の三月五日、野田総理から電話をプーチン大統領にかけました。始めの号令をかけて、プーチン大統領とともに日ロ関係の次元を高めるべく協力していくことを楽しみにしている、領土問題について、英知ある解決に取り組みたい、こういうふうに伝えております。

 また、四月十一日、ワシントンDC、これはG8外相の会合の際でありますが、ラブロフ外相と、改めてではありますが、五月以降に、これまでの諸合意、諸文書、法と正義の原則に基づいて議論を本格化させていこうということで、ラブロフ外相は、プーチン大統領が就任をしたらば政府間の議論を進めていこうということで、それを確認したということでありますし、さらに、五月七日、プーチン大統領が就任をした直後の五月十一日には、再度、首脳で電話会談を行って、両国間の基本的な問題、喫緊の課題について議論を進めていくことで一致をしています。また、来週のG20の際には日ロ首脳会談も予定をされております。

 また、五月二十一日だったと思います、NATOの首脳会合にアフガニスタンが出ているときに、私からラブロフ外相に、ラブロフ外相再任のお祝いのメッセージを私からかなり早い段階で出させていただいているということでございます。

 イルクーツク声明につきましては、先般も申し上げたとおり、重要な文書であるというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございます。

 今、野田総理は、消費税増税、財政再建、待ったなしとおっしゃっています。それも大変な重要な課題ですけれども、待ったなしというならば、戦後六十七年解決をしていない北方領土問題、既に七十八歳という高齢を迎えておられる島民の方々を考えたら、この問題こそ待ったなしだと私は思っております。根室に限らず、北海道、この領土問題が解決しないことで疲弊している地域もある。国民の名誉と尊厳がかかっているということで、待ったなしの問題に引き続き取り組んでいただきたいと思います。

 最後に一点。九月にロシアの極東ウラジオストクでAPECが行われます。ロシアにとって、新しく発足したプーチン大統領にとって、非常に重要な外交課題であると思っておりますが、この九月のAPEC成功に向け、我が国としてどのような支援、協力を行っていくのか、最後にお伺いをしたいと思います。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、ウラジオストクのAPECは、プーチン新大統領が発足をして初めてのロシアがいわゆる主催、ホストになる国際会議でございますので、もともと、日本として当然APECそのものを重視しているわけでありますけれども、このウラジオストクAPECについては、日本としてしっかりと協力を行っていきたいというふうに考えております。

浅野委員 ありがとうございました。

 質問を終わります。

田中委員長 次に、河井克行君。

河井委員 皆様、おはようございます。自由民主党の河井克行です。

 質問に入る前に、きょうは一体何月の十五日なんでしょうか。大臣所信に対する質疑という、本来ならば三月の上旬から中旬に行われるべき委員会が、通常国会会期が終わる六日前になってようやく開かれている。実に三カ月以上のおくれであります。

 昨年の臨時国会、十二月九日、日本とペルーの経済連携協定、EPAの批准承認案などをめぐり、田中眞紀子委員長が職権で外務委員会開会を強行した。そのことにより、委員会運営が不正常な状態に陥ってしまいました。年が明けて、今通常国会が始まりましたけれども、残念なことに、与党側からは熱心かつ十分な働きかけがない。逆に、野党である公明党やそして我が党理事を中心として、このままでは国民の負託に応えることができないという危機感もあり、与野党間の折衝によって、ようやく四月の十八日に、委員会冒頭での田中眞紀子委員長の陳謝により委員会は正常化され、同日、玄葉大臣の所信表明を聞き取り、すぐに所信質疑を行う予定でございました。

 ところが、その十八日に参議院に提出された田中直紀防衛大臣及び前田武志国交大臣への問責決議が、二十日の参議院本会議におきまして、自民、公明、みんなの党、共産、社民、新党改革、無所属などの賛成多数で可決をされた。にもかかわらず、今の野田内閣は、二閣僚への問責決議を無視し、結局、六月四日の内閣再改造まで四十日間以上にわたって二人の閣僚を更迭しなかったため、衆参両院の全ての委員会は不正常な状態に陥り、当外務委員会も開会することができませんでした。

 加えまして、きょうは、大臣所信質疑に続き、今国会最初の法案審議を始める予定でありましたけれども、会期末を控えた来週、急遽外務大臣が外遊をされることが判明をし、委員会に出席しない。よって、在外公館名称位置給与改正法案は本日審議入りすることができなくなりました。

 もし、このまま会期の延長がなければ、外務委員会において一本の法案や条約案の審議もできなかった異常な国会になってしまう。日本外交全般に数え切れないほど多くの課題が山積みで、かつ日本国民の外交への関心がこれほど高まっている時期は戦後恐らくなかったと思われますが、国民の負託に応えることができなかったこの国会における衆議院外務委員会の運営の責任は政府・与党に源があるということを、野党の筆頭理事として、ここではっきりと言っておきたいと存じます。まことに残念であります。

 それでは、きょうの質疑に入ります。

 丹羽宇一郎中国大使の失言問題。尖閣諸島の石原慎太郎東京都知事による購入計画、実行された暁には日中関係に極めて深刻な危機をもたらすとの六月七日付フィナンシャル・タイムズ、この発言について、いろいろな方面から、角度から質問をさせていただきます。

 まずは玄葉大臣、この新聞記事は読んでいるものと思いますけれども、あなたは、八日の朝の十時三十二分からの会見で、私の名前で丹羽大使を注意した、私の方から注意をしたと、二度おっしゃいました。

 では、あなたが注意をした丹羽大使の今回のこのインタビュー、どこが問題だったのか、どこが間違っていたのか、認識をお聞かせください。

玄葉国務大臣 私といたしましては、フィナンシャル・タイムズにインタビューで載ったその記事を一読したときに、まず一つは、石原都知事の尖閣の都の購入計画あるいは利活用の計画等について、政府としてコメントをしていない中で予断を持ってまずコメントしているということが一つ。もう一つは、先ほど申し上げましたけれども、領有権の問題というのは、この問題について存在をしないにもかかわらず、領有権の問題が存在するかのような、そういう答え方になっているということについて問題がある、私はそういうふうに判断をしました。

河井委員 確認ですが、尖閣諸島は、大臣、言うまでもなく日本固有の領土ですね。

玄葉国務大臣 言うまでもなく尖閣諸島は我が国固有の領土であり、それは歴史的にも国際的にも疑いのない事実であるというふうに考えています。

河井委員 中国は不当かつ不法にその領有権を主張しているにすぎない、この認識で間違いないですね。

玄葉国務大臣 中国はということですか。それはもう我が国固有の領土でありますし、中国は中国で独自の主張があるというのは承知しています。

河井委員 いやいや、そうじゃない。中国は不当かつ不法にその領有権を主張しているにすぎない、その認識で間違いないですねと聞いているんです。(玄葉国務大臣「中国政府の認識ですか」と呼ぶ)中国政府は不当かつ不法に彼らの言うところの領有権を主張しているにすぎないという認識を日本国政府として持っていますねということ。

玄葉国務大臣 今おっしゃったのは中国政府の主張ですね。(河井委員「そうです」と呼ぶ)中国政府の主張というのは、私が承知をしている限りでは、我が国の立場、立場というよりは、もう領有権の問題そのものも存在しないわけでありますけれども、そのことについて根拠がないとか、受け入れられないとか、そういうことを言っているというふうに承知しています。

河井委員 違う、違う。私の質問に答えてください。

 私が聞いているのは、中国の主張は不当かつ不法ですねと確認をしているんです。(玄葉国務大臣「中国の主張を言っているんですね」と呼ぶ)日本政府の認識を聞いている。何でイエスと言わないの。(玄葉国務大臣「今の話は、中国政府がどう主張しているかという意味ですか。いやいや、そういうことでしょう」と呼ぶ)

田中委員長 ちょっと玄葉大臣、では手を挙げてから発言してください。

玄葉国務大臣 今のは中国政府の主張を確認しているんですね。(河井委員「違う」と呼ぶ)

田中委員長 違う、違います。日本はそういう認識ですねと、政府の認識を聞いているんです。

玄葉国務大臣 中国の独自の主張は、それはもう全く根拠がない話であるというふうに考えています。

河井委員 だから、その根拠がないじゃなくて、それは不法かつ不当ですねと確認しているんですよ。

玄葉国務大臣 中国独自の主張というのは不法かつ不当ですねと。

 いや、国際法上根拠がないというふうに私は考えていますし、それは不法というより、国際法上、もう根拠そのものがない、そういうふうに思います。

河井委員 これは大事なことですからね。

 だから、不当で不法か否かと聞いているんですよ。あなたの認識、外務大臣としての認識を今尋ねているんです。日本国政府は、中国側の主張に対してどういう認識を持っているか。不当かつ不法と認識しているのか、していないのかと聞いているんです。

玄葉国務大臣 だから、不当とか不法とかというよりも、それ以上に、もう根拠そのものが全くない、こういうのが私の、日本政府の立場だと。

河井委員 では、不当かつ不法とは答弁しないわけですね、それだけ確認しておきます。

 大事なことだよ、これは。それで前の……

田中委員長 河井委員、勝手にしゃべらないでください。発言したいんですか。質問ですか、もう一回。(河井委員「いや、もういいです。だから、今私質問しました。質問したから、答弁してください」と呼ぶ)では、終わったの。いや、今ぼやいただけだから、もう一回質問してください。

河井委員 委員長、そんな言い方、失礼な言い方、何ですか、それは。

田中委員長 いや、よくわからなかったから。

河井委員 そんな失礼な言い方しないで。私は今、挙手をして、立ち上がって、委員長の許可を得て発言したんですよ。

田中委員長 では、もう一回おっしゃってください。

河井委員 それについて答弁がなかったら、今度はぼやいたとは何ですか、その言い方は。

田中委員長 だから、何て今発言したのか。もう一回お願いします。

河井委員 もう一度確認します。

 中国の主張は不法かつ不当だと日本国政府は認識しているというふうに答弁できないのですかと聞いているんですよ。

玄葉国務大臣 いや、何度も申し上げますけれども、それ以上に、根拠がないというふうに思っています、全く。

河井委員 最後まで、中国側の主張が不当で不法だということはあなたは答弁しなかったということは、きちんと記録にとっておきたいと思います。

 だから、その上で、日本の領土、固有の領土を日本側がどう扱おうと、それは日本の国家主権の範囲内だ、そういう認識で間違いないですね。

玄葉国務大臣 どう扱おうとというよりも、日本固有の領土であり、かつ、有効に支配をしている、領有権の問題は存在しないというわけですから、いわば、そういう意味では、まさに日本自身の問題であるということであります、基本的に。

河井委員 問題は、その日本国家の主権の行使の範囲内であるべきことについて、中国に行っている日本国の代表である特命全権大使、これが、中国政府の反発を恐れて、深刻な危機をもたらすからという発言をしたということによって、日本政府内部でこの尖閣諸島の領有権について意見が割れている、そういう印象をかの国に与えたということが問題なんです。私は、これははかり知れない悪影響を与えたというふうに考えています。

 今回のこのフィナンシャル・タイムズの見出し、大臣のお手元にありますね。新聞の見出しには、東京は島を買う動きに警告をした、そう書いてある。東京というのは、要するに日本国政府のことなんです。

 つまり、一丹羽大使の個人的見解なんてことじゃなくて、この記事によって、日本国を代表して中国に赴任している大使がそういう認識を示したという印象を与えてしまった、そこに私は最大の問題点があるというふうに思っております。

 その上で、事実関係を幾つか確認したい。

 まず、大臣、この記者によるインタビューの依頼は五月の十七日に外務省宛てになされ、六月一日に北京で実施をされ、そして七日付の紙面に掲載された。これで間違いないですね。

玄葉国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、一日にインタビューを受けて、七日に掲載されたというふうに承知しています。

河井委員 あなたはいつも、質問に対して正確に答えようとしない。

 前段で、五月十七日に外務省宛てにインタビューの依頼がなされましたねということもあわせて確認しています。時間がないから簡潔に答えていただきたい。いかがですか。

玄葉国務大臣 五月十七日かどうかはちょっと手元にございませんけれども……。

 五月十七日、フィナンシャル・タイムズ紙在京支局長より外務省宛てに、丹羽大使に対するインタビュー要請が接到しているということであります。

河井委員 つまりそれは、事実関係を確認したということでありまして、五月の十七日には、既に外務本省はこの事実を知っていた。インタビューの依頼があったという事実は知っていた。かつ、一日に北京で実施をされて、七日の紙面の掲載まで、インタビュー実施の日から数えても六日間もあったんです。

 なぜこれだけ国益を損なう言動を、あなたはさっき、別の議員の質問に答えて、在外公館長の責任においてこの種のインタビューについては対応するというふうにお答えになった。その責任を負っている大使自身のインタビュー、その内容について、なぜそれだけの期間、放置をしていたのか。

 まず、外務本省はこのことは把握をしておりましたか。丹羽さんがこういうことをインタビューに対して答えたということ。

玄葉国務大臣 先ほど申し上げましたが、まず、認識していたかということでありますが、外務本省としては、七日、掲載されたときに認識をし、私にも七日の時点で報告が上がったということであります。

河井委員 しからば、日本国の中国大使館においては、当然この事実は知っていて、放置をしていたということで間違いないですね。

玄葉国務大臣 放置をしていたというか、七日まで報告はなされなかったというふうに承知をしています。

河井委員 当然その場には、通訳あるいは他の、大使付も含め、外務省の職員が同席していたはずでありますが、この発言について、日本の中国大使館にいる外務省職員は問題意識を感じなかったということですか。お答えください。

玄葉国務大臣 中国の大使館の職員が、このインタビューの内容についてどこまで、その時点で、つまりは同席をしていたのかとか、承知をしていません。

 ただ、どういうふうに編集するかというのは、それはフィナンシャル・タイムズの方なんだと思います。

 ですから、放置をしていたのですね、こういう問いでありますが、少なくとも報告は上がってこなかったことは、事実として認めざるを得ないということであります。

河井委員 放置をしていたということを、今事実上認めた。その責任はどこにあるんですか。

玄葉国務大臣 それは、全ての最終的な責任は私にあるというふうに思います。今回のインタビューにおける発言の重大性に鑑みて、報告もあった方が適切だったというふうに思います。

 ただ、これは先ほども申し上げましたけれども、その部分について言えば、内容は不適切であったということは先ほどから何回も申し上げていますけれども、一旦インタビューに答えてしまった、ではそのときに、私に報告が上がったと仮に仮定した場合、編集権を我々は持っていません。ですから、フィナンシャル・タイムズが編集権を持っていますので、そういった事後の報告の有無というのがどこまで本質的なのかという問題はあるのではないかというふうに思います。

河井委員 大臣、あなたの認識は極めて甘い。

 私が今言っているのは、メディアの編集権の問題は一言も言っておりません。その問題ではなく、この種の、国益を損なう、さっきも言ったけれども、東京、つまり日本国政府が石原都知事たちの動きに警告を発したというふうな見出しがつく記事がインタビューとしてとられてしまった。そのことについて、少なくとも六日間ほったらかしになっていたという、その認識が私は間違っているというふうに申し上げているわけであります。

 全ての責任は外務大臣にあると今おっしゃいましたが、それを踏まえて、では、一日から七日までの間、あの大使館においてどういうことが実際にあったのか、経緯も含めて今後調査をするべきだと私は思いますが、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 冒頭、河井委員は、この問題の本質は中国初め他の国々に日本政府の立場が間違えて伝えられる、そのことであるということをおっしゃいました。

 私の名前でこのことに対して注意を行って、その結果として、例えば中国のメディアなどでどういう報道がなされているかについて私もいろいろと調べましたけれども、やはり日本政府の立場というのは、その注意によってかなり明確になっているというふうに考えています。

 一日から七日の出来事というのが、もちろん調べろと言われれば調べたっていいんですし、また一定の、何が起きていたのかということは、それは調べさせますけれども、ただ、そのことが本当に本質的な問題なのかということは、私は考えなきゃいけないと思っています。

河井委員 調査をすると今答弁をいただきました。

 この丹羽大使につきましては、これまでも何度も大使としての資質を疑わせるような言動があると報じられております。

 六月八日付の産経新聞によりますと、訪中した横路孝弘衆議院議長と習近平国家副主席との会見と書いてありますが、きょうの産経では、そうではなくて李建国全人代常務委員会副委員長と衆院議長との昼食会だというふうに複数の同行筋が明かしたと書いてありますが、この尖閣諸島の購入表明を支持する意見が日本国内で多数を占めていることについて、日本の国民感情はおかしいと述べていたとか、この際、丹羽氏は、日本は変わった国なんですよとも語っていたと報道されている。

 大臣、この発言は事実だったんでしょうか。当然、日本国の衆議院議長が訪問しているわけですから、同席者はいたはずでありまして、記録もとっているはずですけれども、あったのかなかったのか、お答えください。

玄葉国務大臣 それは私も調べました。そう指示もしました。そういう発言はなかったというふうに承知しています。

河井委員 今後、もしあったという別の証左が出てきたときには、今の大臣答弁は極めて重いものになると考えております。

 次に、丹羽さんが中国に向かう前、二〇一〇年の七月二十六日、東京都内において歓送迎会が開かれました。そこにおいて丹羽さんは、中国の軍事力の増強について彼独特の見解を言った。これは二〇一〇年七月二十七日付の産経新聞の一面に掲載をされております。

 まず、その前に、大臣御自身の中国の軍事力増強についての認識、これを伺いたいんです。中国の軍事力増強は当然のことだというふうに考えていらっしゃいますか。

玄葉国務大臣 中国の軍事力、特に軍事費が二十一年連続二桁で伸びています。より大きな問題は、伸びもそうなんですけれども、内訳がわからない、つまり透明性に欠けているということだというふうに思っていまして、例えばあるシンクタンクなどは、その倍あるのではないかとか、さまざま言われている。

 そういった国防力の増強及びその不透明性といったものについては、やはり我々としては、しっかりとこの件について注視をしていかないといけないというのが私の認識です。

河井委員 今、二十一年連続とおっしゃいましたが、二十一年連続二桁の後、一年間だけ一桁になったと言われて、またことしから二年連続で二桁成長が続いてきている。

 今の大臣の認識を受けとめた上で、この七月二十六日に丹羽さんが、まさにこれから中国に向かう、その直前であります、彼が何と言ったか。二十一年連続で中国の軍事力増強が続いていることに対して、大国としては当然といえば当然のことと発言をしたと言われている。

 大臣、丹羽新大使(当時)のこの発言は、適切な発言だったとお感じでしょうか。

玄葉国務大臣 そこについては、まず事実関係を確認させていただきたいというふうに思いますが、日本国政府の認識としては先ほど申し上げたとおりなので、繰り返しません。

 ただ、私が知る限りにおいて、丹羽大使はインタビュー等で、中国の軍事力の強化は日本も注目すべきである、二桁成長しているが、その透明度をもっと高めるべきである、白書なども出しているようだが、まだ不十分である、できるだけ透明度を高めていくことを日本としても要望していかなきゃいけない、こういうインタビューの記事があるというふうに承知しています。

河井委員 調べてみるというお答えでしたので、今度いつ外務委員会が開かれるかわかりませんが、またそのときに調査結果をおっしゃっていただきたいというふうに思います。

 それで、きょうは経産副大臣にも忙しい中お見えをいただいておりますけれども、この丹羽宇一郎中国大使、一九六二年四月に伊藤忠商事株式会社に入社以来、六年間の社長、六年間弱の会長、そして取締役相談役を経て二〇一〇年六月に退任するまで、実に四十八年と二カ月の間、伊藤忠でずっと仕事をしてきた方でありました。私が調べた範囲では、一、二を除いて、ほかの会社の社外取締役などはそれほど経験していらっしゃらない。まさに伊藤忠一筋でこれまで仕事をしてこられた方だ。この丹羽大使の出身母体である伊藤忠商事と中国のさまざまなビジネス、極めて深いつながりがあるのではないかというふうに指摘をされております。

 私、誤解のないように言っておきますけれども、日本の総合商社の皆さんに心から敬意と感謝の気持ちを強く強く抱いております。私が外務大臣政務官のときに出張で訪れた先のアフリカやアジアやあるいは南米、劣悪な生活環境の中とか厳しいビジネス環境の中で、歯を食いしばって一生懸命商売をしていた彼ら。彼らの存在がなければ、私は今の日本の平和と繁栄はないと言っても決して言い過ぎではないぐらいに心を寄せております。ただ、そのことと、丹羽大使が中国大使としての資質があるかどうかということについては、私は何の関連性もないというふうに信じております。

 まず初めに、経産副大臣、その伊藤忠商事株式会社、中国におけるさまざまなビジネス活動、極めて深いつながりがあるという私の認識に誤りはないでしょうか。お答えをください。

牧野副大臣 河井委員にお答えします。

 丹羽大使の過去の経歴、実績は私も承知しておりますけれども、大使になりましてからは、日本経済のために、特に中国で一生懸命活動されていた、そういうことだけは認識しておりまして、厳しい中で日本経済全体のために努力をしてきた方ではないかなとは認識しております。

 以上です。

河井委員 いや、だから質問に答えてください、時間がありませんので。

 中国において伊藤忠商事株式会社は多くの商業活動を行ってきている、極めて深いつながりがある、今は丹羽さんは関係ない話なんです。伊藤忠商事が中国において極めて深い商業活動をやっているという認識で誤りがないですかとお尋ねしているんです。

牧野副大臣 最近の三年間の実績を見てみますと、平成二十二年度には伊藤忠商事の対中投資残高が千二百二十六億、二十三年には千二百四十三億、そして二十四年の三月には千三百九十億と、かなり一生懸命中国で頑張っているな、そういう感想は持っております。

河井委員 さらに副大臣にお尋ねしますが、その数字はほかの総合商社と比べてどのような水準なんでしょうか。もしお手持ち資料があったらお答えください。

牧野副大臣 おおむね他の会社とも同じような状況だったな、そういうふうに思っています。

河井委員 今の答弁は、副大臣、間違っていますよ。あなたが持っていないんだったら、私がかわりにお答えしてもいいけれども。

 伊藤忠商事株式会社は、中国向けの投融資保証残高は、総合商社中、第一位です。比較している先は、三菱商事、三井物産、住友商事です。なぜあなたはそんな答弁をされるんですか。

 加えて、営業債権も含めた数字を言えば、二〇一二年三月末に伊藤忠商事は二千五百五十七億円。丹羽さんが大使に赴任する前の二〇一〇年三月末と比べると、五百五十九億円ふえている。これは、今言いましたほかの三つの総合商社と比べて、ほかの総合商社は大体百億から二百億円ぐらいしか増加していない中で、伊藤忠商事は突出してふえてきている。

 さらに言えば、各社の国別投融資保証債権残高の内訳を見ますと、三菱商事はインドネシア向けが多い、三井物産はブラジル向けが多い、住友商事はインドネシア向けが多い、伊藤忠は中国向けが最も多くなっている。これはもう公表資料であります。

 加えて、伊藤忠商事は、二〇一〇年三月、当期純利益が千二百八十一億円、二〇一二年三月期には三千五億円、二・三倍に膨れ上がっているが、日経新聞によると、中国の需要増を追い風にして鉄鉱石などの金属、エネルギー部門の利益が拡大したと報じられている。私見を交えずに、事実だけを私は今言っております。

 このように、二〇一〇年六月の丹羽大使任命以来、伊藤忠の中国におけるビジネスは順調に拡大する一途でありまして、昨年の二月には広州におけるリニア鉄道車両受注、これで広州におけるリニア鉄道の受注残高が合計七百億円。十一年四月には、政府系の金融グループ傘下の投融資会社と提携をした。これだけ伊藤忠は中国において商業活動を行っているわけであります。

 玄葉大臣、当時の岡田克也外務大臣は、なぜ丹羽さんをほかの国ではなく中国の大使に任じたんですか。

 事前に筆頭間で岡田副総理をこの委員会にお呼びしたいと言ったところ、それは適切ではないと言われたので、あなたが今現職の外務大臣ですから、岡田さんが答弁することができればいいけれども、できませんので、お答えください。どうしてほかの国じゃなくて中国の大使に丹羽さんが任じられたのか。

玄葉国務大臣 岡田さんのそのときの思いを正確に私がこの場で代弁するというわけにはいかないと思いますが、日中関係は、我が国にとって、最も重要な二国間関係の一つであります。そのような中国における大使を任命するに当たって、広く人材を求めた結果、経済界において実績があり、中国との関係においても一定の経験、理解を有する丹羽大使が選ばれたものというふうに理解をしています。

河井委員 中国との経験という、選任理由の一つを今おっしゃいました。中国に強いということは、イコール、ビジネスの面でさまざまな貸し借りがこれまで会社としてあったに違いないということの裏返しなんです。

 きょう、理事会のお許しをいただいて、配付資料を幾つか持ってまいりました。まず一つが、これは伊藤忠の二〇一一年三月期の年間の年次報告書、ここには「「中国最強商社」伊藤忠商事」と書いてある。下の方には、「当社がなぜ中国で圧倒的な存在感を持つのか、」という文言があります。二ページ目を繰ってください。左上、「常に中国の利益を尊重しながら地歩を固めていきました。」右に書いてあるのは、「中国人材」、「現在では、総合商社のなかでは群を抜く四百人を超す陣容を誇ります。」と誇らしげに書いてある。

 資料の二。これは二〇一一年から一二年度の中期経営計画。伊藤忠コーポレーションのクレジットが右下に入っております。あの会社はこの中期計画で、三点、重点分野を設定しています。その筆頭が、一番上に書いてある「中国ビジネス積極拡大」というところであります。

 繰り返しますけれども、私は、伊藤忠商事株式会社が中国で頑張っていることを否定するものでも何でもありません。もっともっと頑張っていただきたい。

 ただ、そのことと、問題は中国の政治体制が一党独裁であるということ。一党独裁とは、特定の一政党が政治権力を握ることを通じて、軍事、外交、経済、文化活動を掌握し、国民生活の隅々にまで深く関与をする政治体制のことを言う。

 そのことは、資料三をごらんいただきたい。丹羽大使御自身が、月刊文芸春秋二〇一〇年七月号、恐らくはゲラ刷りの関係で、赴任する直前、中国は共産党一党独裁というものを強みとして高度経済成長をなし遂げつつあると触れているんです。

 大臣、丹羽さんはもう今七十三歳でいらっしゃいますが、伊藤忠からの企業年金を今でも受け取っているかどうか、御存じでしょうか。

    〔委員長退席、長安委員長代理着席〕

玄葉国務大臣 丹羽さんは、伊藤忠商事を退職しています。企業年金を受け取っているかどうかは、私は今わかりません。

河井委員 ぜひ大臣、調べていただきたい。

 というのは、いわば、自分が四十八、九年間いた会社の大事なビジネスが、人質となって中国で存在をしている。本当にそういう人物が伊藤忠の利益に反する言動を大使としてできるのであろうかという疑念がいささかでも持たれた段階で特命全権大使としての資格はアウトだ、私はそう考えているんです。

 そして、そんな人を鳴り物入りで大使に任命したのは民主党政権であり、当時の岡田克也外務大臣である。だからこそ、ぜひ玄葉大臣、伊藤忠からの年金の授与についても調べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 それは調べたいと思います。

河井委員 調べて、またこれはいつの外務委員会になるかわかりませんが、委員会で報告をしていただきたいし、また、大臣会見などありますから、お答えいただきたいと思います。

 日経ビジネスの二〇一〇年八月二日号には、「丹羽宇一郎新中国大使に聞く」というインタビュー記事がありまして、そこで丹羽さんはこうおっしゃっている。二〇一〇年の八月二日ですから、任じられて一カ月、二カ月たったころです。「万が一、問題が起きたら、私はいつでも辞職する。」と書いてあります。私は、今がその時期に差しかかっていると。

 最後に、時間が参りましたので、大臣にお尋ねをいたします。

 このような形で、自分の出身母体が中国大陸において極めて深い、そして大きな商業活動を行っている今の丹羽宇一郎大使、日本国の特命全権大使として、あなたは、適格だと信じていらっしゃいますか。

玄葉国務大臣 丹羽大使は、先ほども申し上げましたように、伊藤忠商事を退職しています。そして、当然ながら、特別職の外務公務員でございます。外務公務員法に基づいて、国家公務員法の服務に関する規定、官吏服務紀律に従うということになっていますので、私は、丹羽大使はそういう振る舞いをしているというふうに信じています。

 今回注意を行いましたけれども、現時点で、深い反省の意というものをあらわしましたので、そのことを受けとめているということでございます。

河井委員 深い反省を抱くべきは、丹羽宇一郎中国大使だけではありません。彼を中国における大使に任じた今の民主党政権を含めて深い反省を抱き、国民に対する唯一の対処は、一日も早い中国大使の更迭だと最後に訴えて、質問を終わりたいと思います。

 以上、ありがとうございました。

長安委員長代理 次に、三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 自由民主党の三ッ矢憲生でございます。

 この前、この委員会でいつ質問したのか、ほとんど忘れてしまいまして、大臣の顔も忘れかけていた。懐かしいお顔を拝見するような気がしております。

 最初に、通告にはないんですが、いよいよ社会保障と税の一体改革の三党協議が大詰めを迎えて、きのうの夜の段階、けさ未明と言ってもいいのかもしれませんが、民主党と自民党は、社会保障の関係で大筋合意ができたというふうに聞いております。ただ、公明党の皆さんにちょっと異論があるようで、また、今ちょうどやっているところですかね、十時から再開されたというふうに聞いております。

 どうも、私、今まで見ていまして、民主党の中で、消費税法案それから社会保障の改革、これに本当に熱心に、それこそ命がけで取り組んでおられるのは三人ぐらいしかいないんじゃないかなと。誰かといいますと、野田さんと岡田さんと藤井さん。あとの方は、正直言いまして、それほどでもないなというふうに私には見えておりました。

 まず、大臣、野田内閣の一員として、閣僚の一員として、また民主党の要職をこれまでも歴任してこられて、幹部のお一人でございますので、今のこの状況、まとまればいいのかもしれないですが、どう見ておられますか。ちょっとお答えいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 外務大臣の立場でどこまで言及するかということはありますけれども、三ッ矢委員からのせっかくのお尋ねでございます。

 私も、政調会長もいたしましたので、思いは強いです。一言で言えば、私は、やはり待ったなしの状況に社会保障と税の一体改革というのはあるという認識です。

 それは、国民皆年金、皆保険ができ上がってから五十年たって、人口減少時代を本格的に迎えて二〇四八年に一億人を切るという状況の中で、一定のレベルの年金、介護そして医療の水準を保つということであれば、しかも少子化の問題に対して適切に対応していくということを考えれば、やはり今行われなければならないし、さらに言えば、財政の問題を含めて、本当に日本の財政というものは今何でもっているのか。

 それは、純資産だ、いろいろな議論がありますけれども、私は、消費税の引き上げ余力というのがあるのではないか、少なくともマーケットはそう見ているのではないかというふうに考えておりまして、これは何としてもまとめ上げるのが国益であるというふうに考えております。

    〔長安委員長代理退席、委員長着席〕

三ッ矢委員 三年前といいますか前の選挙のときに、民主党の皆さんがどうおっしゃっていたのか。大臣御自身がどうおっしゃっていたのか、私はよく存じませんが、それはさておきまして、もしこの協議が合意が成立して、ただ、ちょっと心配なのは、民主党の中がどうも治安の状況が余りよくなくて、シリア状態になりつつある、内戦状態になっているんじゃないかというふうに心配しています、余計なことかもしれませんけれども。

 もし党分裂とか、そういう分裂含みのような動きが出てきたとしても、大臣は、この法案について、この国会で採決をして成立させるべきだ、突っ込んでいくべきだというふうにお考えですか。

玄葉国務大臣 結論から申し上げれば、今国会で成立をさせるべきである、強くそう思っております。

 これは若干の誤解が世にあるというふうに私は思っていまして、民主党がもともと主張している最低保障年金等々将来の絵姿について、今回、消費税八%、一〇%にするということではないんですよね、御存じのように。

 つまりは、新幹線の問答が党首討論でありましたけれども、いわば、東京から福島まで行って、福島から秋田に行くか、山形に行くか、岩手に行くかというのはまさにあるんです。あるんですけれども、まず福島までのチケットをきちっと買って、それは消費税八%、一〇%までのチケットであり、かつ、例えば被用者年金の一元化だったり、あるいは医療、少子化の問題、介護の問題等々の充実、一部効率化だったりすると思いますけれども、私は、そういった福島までできちっと合意できる。あとの話は、どこに行くかという話は、まさに今回の消費税の税率アップとは直接関係ないというのが私の認識です。

三ッ矢委員 この話、外務委員会で余りこんなことばかり言っていてもしようがないので、この辺でやめますが、とにかくグッドラックというふうに申し上げておきたいと思います。

 それでは、本来の外務委員会での質問をさせていただきたいと思います。

 最初に、米軍再編についてお伺いしたいと思います。

 アメリカは、中国の軍備拡張とか、あるいは、ちょっと言葉が適切かどうかわかりませんけれども、覇権主義的な動きに対する警戒心もあるんだろうと思いますけれども、それに加えて、イラクあるいはアフガニスタンからの撤退ということもあって、リバランシングということで、アジア太平洋地域にパワーシフトしようということを言っております。

 四月の日米安全保障協議委員会でも明らかになりましたように、海兵隊のローテーション配備を進めていこうとしておりますし、今月二日にパネッタ国防長官がシンガポールで、これからアジア太平洋地域にアメリカ海軍の、海軍力の配備をより重点的にやるんだということで、太平洋と大西洋のバランス、今まで大体五対五なのを六対四にしていこうかというようなことをおっしゃっていました。それから、同じ時期にベトナムに寄られて、カムラン湾、あれはベトナム戦争のときに大変なことになっていたところなんですけれども、そこの基地といいますか港を米海軍の艦船が使えるように協定を結んできた。

 それから、この関連で言いますと、海兵隊は、沖縄から九千人ですか、移して、グアムだとかハワイだとか、あるいはオーストラリア、米本土もあるのだと思いますが、ローテーションで配備しようとしている。それから、海空の兵力につきましても、今ちょっと申し上げましたが、シンガポール、オーストラリア、ベトナム、あるいはフィリピン、こういうところへも寄せていこうということで、着々とアメリカの中国に対する包囲網が築かれつつあるように私には見えます。

 大臣は、このアメリカのリバランシング、米軍再編、中国包囲網と言うとちょっと語弊があるかもしれませんけれども、この戦略についてどういう評価をされておりますか。お答えいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 一言でこのリバランシングをどう評価するかと言われれば、歓迎します。ただ、日本国政府が特定の国を云々ということはございません。

 さらに言えば、米国は既に、いわゆるA2AD、アンチアクセス・エリア・ディナイアルなどについて言及をしているというのは、これまた事実だというふうに思います。このアジア太平洋重視というものについて歓迎をすると同時に、やはり日本国政府としては、アジア太平洋において役割と責任を米国と分担する必要があると私は考えております。

 しかも、このアジア太平洋は多様な事態が今後生じ得るというふうに考えていまして、そういったさまざまな多様な事態に柔軟に対応できるような体制とは一体何なのか、かつ、日本国政府としては、また日本の外交や安全保障に携わる立場としては、日本国政府の、防衛、安定というものを当然重視しますので、そういったことも含めて、最もよい自衛隊と米軍の役割の分担、責任の分担とは何かということをこの間ずっと考えながら、日米交渉を進めてきたということでございます。

三ッ矢委員 他方で、上海協力機構、これは中国がロシアあるいはカザフスタンとかあの地域の国々を集めて、これはイランも参加しているようでありますけれども、どちらかというとアメリカに対抗しようということでやっているのではないかと思いますけれども、中ロがかつてない接近ぶりを見せていまして、今月の七日ですか、北京で首脳会議が行われましたけれども、非常に蜜月ぶりを見せつけた。これは逆に、アメリカのアジア太平洋シフトが中ロを接近させているんじゃないかな、私はそういう気もしているんですが、それはそれとして、この地域で予測し得ないような状況がいろいろ出てくる可能性もあります。

 その中で、アメリカが軍事費を大幅に削減される。これまでのように、さっき大臣がおっしゃったように、全てを自分一国で対処するということはできなくなった。例えば、軍事基地についても、恒久的な施設を自分で持つんじゃなくて、それらの友好国や同盟国の施設を適宜適切に使わせてもらうというようなやり方をとってきているんだと思います。現に、もうそういう状況が出てきておりますけれども。さはさりながら、二十一世紀半ばぐらいまでには恐らく中国のGDPがアメリカのGDPを抜くんじゃないかと言われていまして、そのときには、経済面だけじゃなくて軍事面においても相当パワーシフトが起こってくるんじゃないかという気がいたしております。

 大臣はさっき、アメリカの今回の米軍再編といいますかリバランシングについて評価する、歓迎するとおっしゃいましたが、日本としてどこまで、ついていかざるを得ないというか、ついていくべきだと私も思うんですけれども、どこまでやるのか、これは非常に厳しい選択を迫られてくるんだと思うんですよ。だから、短期的にできることと、それから中長期的に日本としてやるべきこと、ちょっと二つにフェーズを分ける必要があると思っているんです。

 憲法の制約あるいは憲法解釈の問題もあろうかと思いますけれども、このパワーシフトといいますか、米軍再編の中で日本がどこまで何をすべきか、短期と中長期に分けてもしお答えいただければ、御所見を伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 今の三ッ矢委員のお話は、抽象的ですけれども本質的なお話であるというふうに思います。だからこそ、先ほど山尾委員からもお話があったこの日米中の戦略対話というものができるようになるというのは、やはり非常に大切なことであるというふうに思っています。

 その上で、安全保障だけではないと思うんですね、経済も含めてあると思うんです。ですから、いつだったか、TPPについてかなり突っ込んだ議論をしたと思いますけれども、こういった経済の問題もある。

 安全保障の問題について、どこまでともに行うのかということは、日々、安保環境は変わります。私は、安保環境の変化というのは待ってくれないからこそ、今回、さまざまな評価はあるかもしれませんけれども、六年ぶりに野田・オバマビジョンというのを出して、つまり首脳同士のビジョンというのを出して、2プラス2も発出をしたわけです。それで、普天間の問題を切り離した。また、嘉手納以南の土地の返還を海兵隊のグアム島への移転ともさらに切り離した。

 ということを行って、その普天間の問題も本質なんですが、さらに日米同盟を深めていくための、他のたくさんある重要な課題について議論をより深められるようにした。現に私は、それからも日米外相会談とか、パネッタ長官とも何度か話をしていますけれども、そういう議論が行われるようになったと思います。

 そういう中で、どこまで行うのか。今回、動的防衛協力という概念を一つつくり上げたんですね。これは、グアムや北マリアナ諸島におけるいわゆる基地の共同使用はもちろんなんですが、整備をすることも含めて検討していこうじゃないか、こういうことにしたわけです。これは確かに、全く新しい分野といえば分野です。

 そこに、例えば集団的自衛権の問題をどう考えるのかとか、長期的にはそういった問題も含めて出てくるのではないかと私自身考えていまして、安全保障でそういうさまざまな事態に対応できるようにしながらも、やはり経済で相互依存関係をきちっと深めていって、その経済関係も高いレベルにしていって、かつ、中国と、戦略的互恵というのが言葉だけではなくて、本当に人的、文化的にももっともっと深めて、責任ある大国として中国が国際社会の中で振る舞っていく、やはりこのことがとても大事だと思うんですね。

 そういうふうに日本としてどのように促していくか。その一つの手段として、先ほどの日米中の対話というのがありましたけれども、そのことが非常に大切だというふうに考えています。

三ッ矢委員 ちょっと具体的なことも伺おうと思っていたんですが、大臣の方から先に言及されましたので。

 共同訓練とか、それから、テニアンとかあるいはパガンの訓練施設整備、これは具体的にもう話はされているんだと思いますけれども、この費用負担について、日本政府として、これで新たな負担が出てくるのか、あるいは今までの合意の範囲内でやろうとしているのか、そこはどうなっているんでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、これまでのグアム協定の、いわゆる二十八億ドルの真水の部分の内数というふうに整理をしております。

三ッ矢委員 いずれにしましても、私は、我が国も戦後六十数年間を経て、アメリカあるいは中国、ロシア、アジア全体もそうでしょうし、世界的にもそうかもしれませんが、いろいろパワーバランスが変化してきている中で、日本もそろそろ自前の安全保障を真剣に考えるべき時期に来ているんだと思うんですね。

 これは、別に政権がどうのこうの関係なく我々は考えていかないといけない話であって、短期的に自衛隊の配備の問題とかいろいろおっしゃいましたけれども、例えば南西諸島とか、もう少し自衛隊のプレゼンスを高めるようなこともやっていく必要があるでしょうし、アメリカとの共同のいろいろな訓練、まあ、作戦までできるかどうか私もわかりませんが、できる範囲でやっていく、あるいはそれを検討していく時期に来ているんじゃないかと思います。軍事面の話はこの程度にします。

 質問の通告とちょっと順番を変えまして、TPPの話が出ましたので、TPPのことを伺いたいと思います。

 最近、ちょっと影が薄くなっているんですね、TPP。野田総理も多分、TPPどころじゃなくて、税と社会保障一本やりなんだと思うんですけれども。いつも外務省の方から、現在の進捗状況といいますか、事前交渉といいますかのことを聞いても、なかなかはっきりした答えが返ってこない、情報も出てこない。我々も何か実態がよくわからないんですが、今どうなっているのか聞こうと思ったんですけれども、大体わかっていますので結構です。

 ただ、大臣は、アメリカとの関係は軍事面だけじゃなくて経済面、特にTPPに言及されましたので、そういう重層的な関係を築いていく、私もそれは必要だと思いますが、TPPそのものに私は余り賛成じゃないんです。

 このコンテクストの中でいいますと、実は、自動車に関してアメリカがどうも余り前向きじゃないといいますか、要するに、基準・認証の問題だとか、あるいは販売系列の問題だとか。実を言いますと、私は二十年前にワシントンにいまして、ちょうど二十年前、自動車も燃え盛っていたころなんですね、協議が。全く同じことを言っていたんですよ。これをまた蒸し返して言ってきたのは一体何なんだろうかと。

 恐らくビッグスリーも、今さら日本でまたアメリカ車がどんどん売れるようになるとは思っていないと思いますよ、正直言いまして。あれだけのことをやったんですよ、二十年前に。例えば、基準・認証の問題にしましても、何をやったかといいますと、デトロイトに総領事館をつくって、あそこに自動車関係の技術屋さんを送り込んで、一台一台の検査じゃなくて型式承認といいまして、それを、アメリカの会社に行って型式承認を上げようということまでやったんです。系列の問題もいろいろあって、メーカーも販売店もいろいろ苦労して精いっぱいのことをやったんですね。だけれども、結局売れなかった。

 うがった見方をすれば、アメリカの自動車業界が、日本は今、輸入車について関税ゼロですね。ところが、アメリカは、乗用車については二・五%、ピックアップトラック等については二五%かかっていますから、TPPに日本が入ってくるとこれがゼロになっちゃうから、ますます日本車に有利になっちゃうんじゃないかというので、業界、組合もそうかもしれませんが、挙げて、このTPPについては、正面から反対とは言わないまでも、事実上日本が参入できないように逆に邪魔しているんじゃないか。大統領選挙を十一月に控えて、オバマさんも業界の言うことを聞かざるを得ないでしょうから、私は、日本側が今まで考えていたように、簡単にTPPの参加表明ができるとは思っていないんです。

 まさか、今度のG20の場で、総理は正式な交渉参加を表明されることはないと思いますけれども、全体、TPPの今までの交渉の状況も含めて、大臣の御所見を伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 かつて交渉に携わられた経験もいろいろ御紹介いただいて、ありがとうございます。

 私は、TPPは大戦略の一つだというふうに思っています。だからといって、日中韓といったものを否定するものでも全くなくて、両輪だというふうに思っているんです。

 米国の状況というのは、いろいろと解説をしていただいたように、特に自動車業界というものが、なかなか日本の自動車に勝てないぞ、そう考えているということは容易に私も想像できます。二・五%の自動車関税、トラック二五%というのがなくなったら果たしてどうなるのかということで、特に、いわゆる逆のベクトルのコメントを、自動車業界、米国において出しているというふうに私も承知をしています。今はいろいろな考え方が出され、アイデアなども出され、関心事項も出されということです。

 日米の協議も確かに大事なんですけれども、ただ、私から見ていると、日米協議より、まず国内全体での合意形成が日本としてどこまでできるか、そして、それに対して熟度がどのくらい進んでいくかということの方がどうも大変だなという思いを私自身は持っています。例えば、米国と自動車の問題をこれからやりとりして、このくらいの車は必ず数字を出して輸入しなきゃいけないとか、そんなことは絶対受け入れられないですよね、はっきり申し上げて。ヨーロッパの車はそれなりに売れているわけです。ですから、そこは、そんな理不尽な話は当然私は言ってこないというふうに思っています。

 いずれにしても、議論がどの段階で煮詰まるのかというのを今見きわめる必要があるというふうに思っていまして、まあ、この数日間で煮詰まるという感じではちょっとないのではないかというふうに思っています。

三ッ矢委員 日中韓のことも言及されましたので、この前、日中韓の協議でFTAの推進について話をされて、年内ですか。

 ただ、私は正直言いまして、例えば、日韓のFTAといいますかEPAについては、もう何年も何年もやってきているけれども全然進展していないわけですね。これは当然なんですね。だって、韓国にとって何にもプラスがないんですから、日本にやられるだけなんですから。今でも貿易赤字なのに、ますます赤字になっちゃいます、韓国。これは絶対のまないですよ。

 日中も、一応、格好はつけていますけれども、日本がTPPに前のめりになればなるほど、私は中国は引いていくと思います。

 そこは圧力として、北風と太陽みたいな話かもしれませんけれども、それは硬軟使い分けないといけないんですけれども、どう見てもこの三国のFTAはなかなか障害が多いなというふうに私は見ております。それはどうでもいいんですが。

 ほかにもいろいろ質問させていただこうと思っていたんですけれども、だんだん時間がなくなってきました。

 一つだけ、イラン。今ちょうど国土交通委員会で、イラン原油の積み込みをするタンカーについての再保険の特別措置法を審議されているところだと思います。まあ、これももちろん重要なんですけれども、ほっておくと、もう六月いっぱいで再保険が切れちゃいますのでタンカーが走らなくなっちゃう、もちろん必要な措置なんですが。

 それ以上に、今までどうもイランはIAEAの査察といいますかを拒否したり、今度、モスクワで十七、八ぐらいでしたか、P5プラスドイツとイランとの首脳会合が開かれようとしていますけれども、余り進展しないんじゃないかという気がしてしようがないですね。予断を持ってこんなことを言うといけないですが。

 問題は、イランの核開発について一番神経質になっているイスラエル。これは大臣、連休のころですか、イスラエルに行かれたと思いますけれども、しびれを切らして冒険主義的な行動に出るというようなことがもし起これば、既にアメリカとイスラエルは共同して実はサイバー攻撃をやったことがあってこれは失敗しているんですけれども、もっと軍事的な措置をとるとかということになると、それこそ、ホルムズ海峡が封鎖されるとか、あるいは、もうタンカーが航行できなくなる。日本へ来ている原油の八割はあの地域から来ているわけですし、天然ガスも二割あそこから来ているわけですから、これはもう日本にとって死活問題なんですね。

 大臣はイスラエルに行かれたときに、このことに関して言及されたのかどうか。それから、そういう冒険的な行動をとらないような自制を促されたのか。そこをひとつ伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 全くおっしゃるとおり、ホルムズ海峡の問題、これはもう日本にとっては死活的に重要であるという認識なんです。

 ですから、私、一月も、ゴールデンウイークも中東に行きました。何とか外交的解決をしたいというふうに考えていまして、日本としての役割を果たしていこうと。イスラエルも、リーベルマンという方が外相なんですけれども、いわば忍耐と自制を求めました。あらゆるオプションを排除しない、これが正式な答えであります。ネタニヤフ首相とも、ちょうど、実はお父様が亡くなられて、葬儀だったんですが、葬儀の方にお邪魔したら三十分ぐらいネタニヤフ首相とも話をしましたけれども、そのことについては、やはり大事なメッセージなので伝えたんですが、我々は戦争を望んでいないということでありました。

 ただ同時に、イランに対してやはり働きかけをしていかなきゃいけないし、しっかりその圧力が効果をあらわすものにしていかないといけない。一定の効果というのは、私はイランに対して出てきているというふうに思っているんですが、どうもまだまだではないかという議論もこれありの中で、例えばアメリカに対しては国防授権法の例外適用を求めるとか、イラン産原油の輸入は、この減少傾向は続けていきますけれども、あわせて、ヨーロッパの保険の問題についても対応しなきゃいけない。

 しかし、日本の石油タンカーというのはヨーロッパの保険に頼っていたという、大変勉強不足だったんですが、私はかつてはちょっと知りませんでした。もちろん、この問題に携わってからは、もう十分わかるようになりましたけれども。

 したがって、まずアシュトンさんとかドイツの外相とかに電話して、まず再保険も期間を延ばしてもらいました。六月末まで延ばしてもらったんですけれども、六月末以降はなかなか難しいぞということで、私、早い段階で法案作成を指示しました。これはもう自分たちの国できちっとやらなきゃいけない。

 ただ、いろいろな諸事情があって、国会の諸事情もあったと思います。そういうこともあって、今の法案提出になって大変申しわけないと思っていますけれども、何とかこれは党派を超えて御理解いただきたいというふうに思っています。

三ッ矢委員 時間が来ましたので、この辺で終わらせてもらおうと思いますが、ちょっと一つだけ。

 イランに対する制裁、これは非常に各国厳しくなっています。ところが、もう既に核を持っている北朝鮮に対して、ちょっとバランスを失しているんじゃないかと。もっと強く北朝鮮に対して私は国際社会が当たるべきじゃないかと思います。きのうの新聞にも、中国が北朝鮮に対して車両とかバナジウムを売っていたというような話もありました。これは、国連の決議もないがしろにされるものですから、まさに民主党のマニフェストみたいになっちゃいますから、そんなことにならないように、ぜひ外務省として注意をしていただきたい。

 終わります。

田中委員長 次に、小野寺五典君。

小野寺委員 自由民主党、小野寺五典です。よろしくお願いいたします。

 まず冒頭、お伺いをしたいんですが、実は今国会、これは日切れ法案も含め、それから、アメリカから大変強い要請がありますハーグ条約も含め、二十本近くの条約、法律の審議が必要とされております。ここに至ってまだ一本も、提案理由も説明されていないという異常事態になっています。私どもとしましては、ぜひしっかり会期を延長してこの審議をするということが筋だと思っておりますが、外務大臣として、これらの条約を所掌する大臣としてどのようなお考えか、教えてください。

玄葉国務大臣 これは閣僚という立場でどこまで言及していいか、つまりは国会が決めることだと思いますが、私の立場から申し上げれば、それは、提出をさせていただいている条約等々について、何とか成立を図りたいという強い思いがございます。

小野寺委員 既に我が党では、党内手続はかなり終わっております。ですから、早く国会を延長して審議していただければ、これらの、ほとんど異論がないような内容もたくさんございますので、進めていくためには国会延長というのが必要だと思っております。

 その中で、先ほど三ッ矢委員からも御質問ありましたが、今回の消費税の引き上げに関する内容、これは内閣一致ということで、当然、外務大臣も賛成というふうにお考えしてよろしいんでしょうか。

玄葉国務大臣 はい。私は今提出している法案について賛成でございますし、当たり前の話でありますが、何とか今回の修正協議も国益のためにまとめるべきだというふうに思っています。

小野寺委員 内閣の一員としては当然のことだと思っております。

 その中で、今回こうして初めて質問をさせていただきますので、改めて玄葉外務大臣のいろいろなお考えを見るために文献等を当たっていたんですが、ちょうど今月号の文芸春秋、ここに、ポピュリズムとの決別、こういう文章がありましたので、ちょっとこれを読んでいて、少し確認をさせていただきたいと思います。

 例えば、この中で、ポピュリズムとの決別ですので、〇九年の政権交代選挙で民主党が掲げた子ども手当や高速道路無料化こそが御機嫌取りじゃないかという質問に対して、大臣は、我々として大いに反省し、考えなければいけないことは幾つもある、マニフェストについても、一言で言えば、やはり気負いがあったり、財源の面で甘さがあったということ。これは素直に認められていると思うんです。

 そこで、もう一つ確認したいのは、実は、今の普天間基地をめぐるさまざまな迷走、日米関係の問題。

 当初鳩山政権で行われたさまざまなこの政策というのは、今のお立場から考えて、どのような印象をお持ちでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、就任当初、たしかこの場でお答えをした記憶がございます。

 やはりあのときに、あっというふうに思いましたし、ただ、それは鳩山元総理一人の責任というよりは、民主党の政策形成過程の中でもそういった動きがあったのも事実だというふうに思いますので、そういう中で、やはり反省すべき点はあるというふうに思っています。

小野寺委員 大変率直なお話で、しかも、私ども腑に落ちないのは、今、民主党の外交の最高顧問でいらっしゃいますでしょうか、鳩山元総理が今でも県外という発言をされている。

 このことに関しても、私は、先ほどの丹羽大使ではありませんが、間違ったメッセージをいろいろなところに与えてしまうと思うんですが、この鳩山元総理発言については、どのような感想をお持ちでしょうか。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、政府の方針はもう御承知のとおりでございますので、これは政府の方針をぜひ理解していただきたいというふうに思っています。

 確かに、そのインタビューにも答えてしまっているんですけれども、県外と言って、次に、学べば抑止力、こういう話があって、またという話なので、やはり、その点については、私は御本人にも直接そういうときは申し上げるようにしておりますし、ぜひ政府の方針について御理解を賜れればというふうに思っています。

小野寺委員 政権交代という大きな動きの中でさまざまなリスクが伴い、そこで、もし誤ったことがあれば誤ったという形で訂正をするということも、私は大切なことだと思います。

 その中で、実は今、鳩山総理のお話だけをしているんですが、時の外務大臣は岡田外務大臣でした。私、この場でも岡田外務大臣に何度もお話をしました。このまま県外という形を続けていき、そしてまた地元の首長の選挙にも県外という方を応援するということになったら、これは大変なことになりますよと何度もお話をしましたが、そのときは岡田外務大臣は方針を変えませんでした。

 結果として、私は、外務大臣当時の岡田さんにも責任があると思いますが、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 いや、これは私も含めて、やはり当時の民主党全体が責任を感じるべきなんだと、本当にそう思っているんです。

 それと、岡田外相は恐らく、内々いろいろな思いをずっと持ちながら答弁されていたんじゃないかというふうにも推測いたします。

小野寺委員 この場で岡田さんにお伺いしたのは、選挙のときに、県外に行かなければ私は政治生命をかけるということを街頭で何度もお訴えされたということをお話をしたんですが、そのことに関しては意に介せず、結局こういう大変な外交的な汚点を残してしまったということになります。

 そして、何を言いたいかというと、私は、やはりけじめが必要だと思います。こういう外交的な大変な重い責務を負っているお立場、そして、言ってみれば、今外務大臣も認めた当時の鳩山外交の失敗の、ある面ではフロントランナーであった岡田さんが、今は副総理という形で、また政策の責任者にいる。

 私は、民主党全体を見て、政権交代のいろいろなリスクはあってしかるべきだと思いますが、何か、責任のある方、あるいは失敗をされた方が、なぜかまたぐるぐるぐるぐる回って政策の中枢にいて、結局何も、本当に反省しているのかどうかわからない。これだけメンバーがたくさんいて、本来であれば、政権交代したら、ここにいっぱい優秀な人材がいるじゃないですか、そういう方がどんどん出ていけばいいのに、なぜか、責任者だった人がいつの間にかまた違うポジションの責任者になっている。こういうことが、私ども野党からすれば大変不審に思っております。

 そして、翻ってみれば、先ほど我が党の筆頭からも質問がありましたけれども、丹羽大使の任命責任も、これは当時の岡田外相にあります。ですから、こういう面で、私はしっかり改めていただきたいと思います。

 ちょっと変わった質問をさせていただきます。もし玄葉外務大臣だったら、丹羽大使、民間大使でありますが、この方を中国大使として任命されたでしょうか。

玄葉国務大臣 模範答弁をさせていただきますと、そういった仮定の質問にはなかなかお答えできないということであります。

 その当時、岡田大臣、これは、大使の任命というのは、外務大臣の申し出があって、内閣が決めて、天皇陛下の認証、こういうことでありますので、岡田外務大臣なりに、先ほど申し上げたような、河井委員にお答えをしたような視点から選任をされたものというふうに理解をしています。

小野寺委員 私は、玄葉外務大臣であればきっと任命しなかったんだろうなというふうに思っています。

 実は、丹羽大使については、一昨年の尖閣の船長釈放事案のときに、どうもさまざまな圧力が企業側からあったんじゃないかといううわさが一部流れたり、あるいは、これはことしの初めでしょうか、例の、中国に対して日本の大使館が、なかなか建築確認がおりないときに、口上書を日本の大使館が中国側に出したという前代未聞のことがありました。

 私はこの問題も大きな問題だと思いますが、実は、これがなぜわかったかというと、丹羽大使が記者懇でみずから、口上書を出しちゃった、これを記者に言ったことで私どもわかったんですよ。これはやはり大使としての守秘管理の義務に関して大変問題があるのではないか。

 そしてまた、今回のこの事案、この発言は、軽率だというそしりは免れないと思います。

 大臣にお伺いしたいんですが、通常、こういうことがあったら、一度この丹羽大使を日本に呼んで、電話とか文書ではなくて、事情を聞くのが普通だと思うんですが、まだそれがなされておりません。今後、そういう予定があるんでしょうか。

玄葉国務大臣 今、小野寺委員が言われた、特に最後の部分につきまして、御意見として承っておきたいというふうに思っています。

 現時点では、注意をして、本当に心からのおわびも含めて、ございます。もう一切こういうことはしないんだということでありますので、今はそのことを踏まえたいというふうに考えています。

小野寺委員 この問題というのは、結局、ここでふたをしてしまうと、いつまでもこの問題が多分じくじくするんだと思います。

 私は、外務省の対応として、本来であれば、速やかに大使を本国に招いて、そして大臣みずからお話を聞き、やはりこういう委員会の場で丹羽大使の真意を聞かせていただくことが、大使の名誉のためにも一番大切だと私は思っています。今のままでいくと、丹羽大使は恐らく、もう二年が過ぎて、そろそろ大使の交代の時期ということになったときに、何となく、任期が来ました、交代ですということで、実はこの問題にふたをされたら、私は、丹羽大使自身の本意にも沿わないところだと思います。

 ぜひ、こういう場で、本来、大使の真意を聞き、また注意をするのであれば、私ども院としての意見というのも大使に聞いていただくことが筋だと思いますが、大使の本国への招聘、そして事情を聞くということ、そしてこの院での大使に対しての質疑、それを認めていただきたいと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか。

 それから、委員長に、そのようなお取り計らいをいただけるかどうかをお伺いしたいと思います。

玄葉国務大臣 まず、これは院が決めることであります。

 それと、これはもう想像できると思いますけれども、こうして小野寺委員が発言をしていること、さまざまな委員が今回の丹羽大使の発言について意見を言っていることについて、全て、当然本人は、そのことを文書として、あるいはビデオかもしれませんけれども、見ているし読んでいるというふうに思います。ですから、そういう意味で、それぞれの委員の思いというのは、私は大使には伝わっているというふうに思っています。

田中委員長 ただいまの小野寺五典議員からの御提案につきましては、理事会で取り計らいたいというふうに思います。協議いたします。

 どうぞ質問を続けてください。

小野寺委員 ことしの初め、春先だと思います。大使会議の折に、実は、丹羽大使を含めて主要な大使は私ども自民党本部にも来ていただきまして、直接お話を伺いました。中国外交に関して大変鋭い御意見、御指摘をされていらっしゃいました。すばらしい方だなと私も思っております。

 ですから、こういうことを私ども、非常に不満に思っているんですよ。やはり御本人、あれだけ識者でありますので、本来であれば、こういうところでしっかりと御本人の意見を開陳して、私どもの疑問に対しても答えていく機会を与えるのが私は大事だと思うんですが、何かこのままでいくと、外務省はなるべくこれを表に出さないでふたをしてしまおう、そういう印象があります。通常であれば、最低限、まず本国に呼ぶのが普通ではないか。

 一昨年だと思います、駐ロシアの河野大使、あの方が、北方領土にたくさんロシアの要人が行ったときに、なぜこれだけ往来しているのかということに関して、やはり日本政府の対応について多少非難めいたことを発言されました。そうしたら何をしたかというと、即座に河野大使を本国に呼び寄せて、そしてたしか、更迭するぞという発言をされた。そこまで苛烈にされたのを見て、私は大変不満に思いました。

 実は、その年の夏、私ども、当時の外務委員会、鈴木宗男委員長でございました。視察で行ったときに、河野大使が私たちに何と言ったかというと、とにかく、政権がかわって、ロシアに今の政権はさっぱり来ない、ロシア政府は大変いらいらしている、こういうことを私ども委員にも伝えていただきました。このことを私ども、外務省にも伝えました。そこまで言っておきながら、実は動いていなかった。そして、結果として、ああいうロシアの首脳が北方領土にたび重なる訪問をすることになった。

 これはやはり政府に問題がある。大使が言うのは真っ当です。真っ当なことを言った大使をすぐに呼びつけて、そして更迭だと叫ぶ。自分たちに問題があるとすぐに首を切ろうとする。だけれども、今回こうやって日本の国益に一番そぐわない問題が起きているのに、日本に呼んで何も聞かない。私はおかしいと思います。

 改めてお伺いします。大使をお呼びする、そして、大臣みずからお話を聞く、そういうおつもりはありますでしょうか。

玄葉国務大臣 それはもう先ほど申し上げましたように、御意見として承っておきたいと思います。

小野寺委員 恐らく田中委員長も同じお気持ちだと思いますが、ぜひ本人からしっかりと話を聞く機会、例えば、平場じゃなくてもいいですよ、理事会の中でもいいと思います。そこでやはりお話を聞くという機会をぜひつくっていただきたい、そう思っております。

 もう一点、私は、この文芸春秋を読んで、なるほどなと思ったことがあります。これは玄葉大臣のお言葉です。「外交の大前提というのは、すなわち国力なんです。その国力に安定感がないと、首脳同士であろうが外相同士であろうが、来年、あるいは再来年のことをこの人と約束してもいいのかな、と思われてしまう可能性があります。」これは日本の国益という観点から望ましい状態ではありませんということをお話しされています。

 残念ながら、今のこの国会状況、あるいは与党の中の状況、これを見ると、非常に不安定さを私は覚えています。

 外務大臣、こういうお話を御自分からされています。一体、今の日本の状況、今の国力、そして、対外的に見られている日本の状況はどんな状況でしょうか。

玄葉国務大臣 今、私は外相になってからは約十カ月ですが、率直なところを申し上げれば、やはり日本は言うまでもなく主要国であるということを感じます、実感として。それと、信頼もされている。これは、だから先輩方に対する敬意も込めて、私は申し上げているんですよ。これまでの蓄積、実績に対する信頼というのがある、それは私は思います。

 ただ、人口がこのまま減っていく中で、また……(小野寺委員「いや、日本の国政の状況」と呼ぶ)いや、それで、人口が減っていく中で、また経済などが必ずしも高い成長というのが望めない中で、どういうふうに日本の内政全体がかじ取りをするのかということについて、固唾をのんで見守っている側面は私はあると思うんです。

 ですから、先ほど来議論になった、いわゆる一体改革の議論もそうであります。あるいは、原発再稼働だってかなり固唾をのんで見守っているというふうに感じますよ。あるいは、例えばTPPをどうするのかなんというのもそうかもしれません。そういったことを、強い視線を感じるんですね。そういう中で日本が果たしてどう決断し実行していくんだろうか、そのことによって日本の国力が今後どうなるのかということを見ていく、そういう向きもあるのではないかと私は感じています。

小野寺委員 これは政治体制のことを言っているんです。

 今、非常に政局不安な状況になっています。そういう中、総理は十七日日曜日からG20に行かれる。そして玄葉外務大臣は、もう金曜日からイスタンブールに行って不拡散のイニシアチブに行かれたり、あるいは、その後リオに行きましてプラス20に出る。大変な忙しい日程になっています。

 ところが、恐らく対外的に見れば、日本の政局は一体どうなっているんだ、日本の政治は大丈夫なのか。逆に言えば、今の税と社会保障の問題で非常に揺れている状況で、例えば、総理大臣が外交で話をしている間に一体国内はどうなっているんだろう。もしかしたら、外務大臣だって、リオに行っている最中に解散になっているかもしれない、会期末ですから。こんな状況で外交というのはしっかりできるんですか。

 もっと厳しいことを言えば、アフガニスタンに対しても東欧諸国に対しても、いろいろな支援をするすると言っています。でも、ことしの予算の、公債特例法さえまだ通っていないじゃないですか。予算の裏づけさえないんですよ。こういう足元がしっかりしていない中でやたら外交外交と言っても、これは相手に響かないし、逆にそこでいろいろな約束をされたら迷惑だと。

 今回の2プラス2、アメリカとのさまざまな協議もあります。あれだって、これからこの委員会で恐らくグアムの移転協定を見直すことになるでしょう。今約束されて、本当に、約束の審議をする委員会のときに、一体どこが、どの組み合わせで、どの政権になっているかわからない。だから、余りこういうときは外交的に、国力がないんだからやるべきじゃない、それは外務大臣自身が言っているじゃないですか。

 ぜひ、今のこの日本の政治体制、この中で変な約束を外交交渉でしてほしくない、こう思いますが、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 これは大いに異論がありまして、私は、今回の野田・オバマビジョンも2プラス2も確実に日米安保の深化だというふうに思っています。その約束をしたことが大きく実っていくということを確信しています。

 その上で、国力という話は、これは自民党政権だろうと何だろうと、本当にここは虚心坦懐に日本人そして日本の国会議員はやはり考えるべきであって、これからどうやって少子高齢化社会の中で日本の経済成長を実現するのか等々も含めて、もっと言えば、安定した政権というのが大切であるということは、私もそれで述べています。

 ですから、安定した政権というものをつくるためにどうするのか。決める政治を行うために、例えば野田総理は今まさに粉骨砕身、努力をしているわけでありまして、やはりそういったことに対して、国際社会は固唾をのんで見守っていますし、野田政権に対する信頼というのも私は感じます。

 ですから、そういった意味で、きちっと決めるべきことを決めていくということを行っていくことで、国際社会からの信頼というのをさらにかち得ていきたいというふうに考えています。

小野寺委員 大変厳しいことを言うと、前にもお話ししましたが、いまだに沖縄県の選出の民主党の議員はこの基地移転には反対をしていますし、また、恐らく、もしかしたら正しかったのかもしれません、沖縄の民主党の県連が、今回のオスプレー配備をめぐって、防衛大臣に対しての罷免要求をすると。これは注意をすると野田総理はおっしゃっていましたが、今回のオスプレーの事故を見れば、これは、もしかしたら民主党の沖縄県連の皆さんの警告というのはある面では正しかったのかな、そう思わざるを得ない、そんな状況にもなっているんだと思います。

 さて、ちょうど昨日起きたオスプレーの事案について、これは日米外交にとって当然大きな問題になります。それについてちょっと確認をしたいと思います。

 きょう、防衛省からおいでいただいております。現在把握している範囲で、このオスプレーの事故の状況について教えてください。

下条大臣政務官 先生、お答えさせていただきたいと思います。

 事故が起きてすぐに、防衛大臣の方からルース駐日大使の方に、また、藤崎駐米大使の方から国防副長官の方に、事実の確認と速やかなる情報をお願いしてございます。

 現状は、その情報について、私どもとして十分な説明もまだいただいていない状態でございますので、早急にいただくようにお願いしているのが現状でございます。

小野寺委員 もう八月上旬にもオスプレーの配備というのがあるのではないか。そして、オスプレーの航路ですが、本州から九州で訓練計画がある。

 ちょっと防衛省にお伺いしたいんですが、この訓練計画ですと、航路の経路というのは、青森から福島、青森から新潟、新潟から群馬、長野、和歌山から徳島、愛媛、九州北部、熊本、阿蘇周辺のルート、この五ルートが一応今予定されている。

 言ってみれば、このオスプレーの問題というのは、沖縄の問題だけではなくて、実は、きょうここにいらっしゃる多くの議員の地元にもかかわる内容です。今この飛行計画があるということで、間違いないんでしょうか。

下条大臣政務官 もし配備が終わって確定した場合は、そのように承知しております。

小野寺委員 ですから、オスプレーの問題、今のお話を聞くと、もちろん私ども宮城もそうですし、外務大臣の御地元福島もそうです、委員長の御地元の新潟もそうなりますが、これが本当にオスプレーの範囲ということになってしまう。ですから、この問題というのは日本国民が、当然、沖縄の負担の問題もありますが、真剣に考えなきゃいけない、そういう問題になっていると思います。

 ところが、政府の発言を聞くと、私どもが非常に不安になるのは、官房長官はまだ時期尚早みたいな話をされ、そして防衛大臣はちょっと事実確認が必要だとされ、それぞれ官邸内で、政府内で、考え方が少し違うんだと思います。

 外務大臣として、これからアメリカに対して実際この問題を交渉するわけですが、今後オスプレーの導入についてどのような方針をお持ちか、お伺いしたいと思います。

玄葉国務大臣 今回の事故は大変残念な事態だというふうに私自身感じています。

 先ほど下条防衛大臣政務官がお答えになりましたけれども、森本大臣がルース大使と話をし、また、藤崎大使が国防副長官に話をした。これからやはり情報をしっかりと把握して、共有し次第、きちっと説明をするということが非常に大切だというふうに思っていまして、配備との関係については、現段階でお答えできるような状況にないというふうに私は思っています。

 そのことについては、朝、官房長官と防衛大臣と、きちっと三人で意思疎通を行いまして、そこがきちっと統一されるということが大切だというのはおっしゃるとおりでありますので、統一した対応をとっていきたいというふうに思っています。

小野寺委員 きょうの朝というわけじゃなくて、きのう起きた時点で、私ども、午後にはこの問題の対応について防衛省等に確認をしておりました。ですから、すぐに政府部内で一つの方針を決めていただく、これがやはり一番基本だと思います。じゃないと、やはり各大臣がばらばらというのは、最終的に非常に不安になります。

 さて、もう一つ、最後の質問になりますが、確認をしたいのは、これは先般の予算委員会でも我が党の山本一太参議院議員が質問されていましたが、北朝鮮の軍用車両、これは中国から輸出されたものじゃないかということ。

 報道によりますと、日本政府は、昨年十月、既にこのことを確認していたということですが、そのような確認をしていた事実はあるんでしょうか。

玄葉国務大臣 これは言うまでもなくインテリジェンス情報ですので、一般論として申し上げると、このことの事実関係を私がこの場で申し上げるというのは、やはり適当ではないだろうというふうに思っています。

小野寺委員 では、確認しますが、この車両、当然映像等で流れていますが、防衛省でも構いませんが、これは中国から輸出をされたもの、あるいは中国製であるということが認定されるものでしょうか。

下条大臣政務官 先生、御質問でございますが、情報にかかわることでございますので、お答えはここでは控えさせていただきたいと思います。

小野寺委員 誰が見ても、恐らくどの人が見ても明々白々で、これは中国から来ているということがわかり切っている中で、日本政府として確認をしようと思わないんでしょうか。

玄葉国務大臣 先ほど申し上げましたけれども、一般論として言えば、例えば、今直接の質問にはございませんけれども、対北朝鮮措置が実効性としてきちっと担保されているのかどうかなんということについて、きちっと担保されるように当然我々として働きかけを行いますし、例えばあるインテリジェンスの情報が得られたというときに、基本的には、関係国と連携をとったり、あるいは我々の外交に効果的に使うなんということも、一般論としては当然あり得るということであります。

小野寺委員 一つだけ。玄葉大臣はよく物事がおわかりの方なのでお話をしますが、ここまで明々白々なときに、これを今さらそういう形で言いわけする方が、日本国民から見たら、かえって非常に頼りない政府に映ります。問題であれば問題と認め、そして、既に外交的に抗議をしているのであれば抗議をし、国連の安保理で決議違反だというのであれば、それをきちっとした公の場で言う。ぜひG20で、中国の首脳も参るということになります。外務大臣から総理に、この問題については首脳同士でしっかり抗議をするということをお願いしたい。

 そのことを申し伝えまして、質問を終わります。ありがとうございました。

田中委員長 次に、城内実君。

城内委員 城内実でございます。

 引き続き、丹羽大使の件で質問させていただきたいと思います。

 大臣は、フィナンシャル・タイムズの記事を多分読まれたと思うんですが、そこに、非常に重大な危機を日中間にもたらすと。これは英語でも私も確認したんですが、エクストリームリー・グレーブ・クライシスなんですよね。これは、具体的にどういったことを大臣は想像しますか。

玄葉国務大臣 これは想像する云々というより、その以前の問題だと、私はこの記事を読んで思いました。つまり、これでは、政府の見解として主張している、領土問題そのものの存在がないんだと言っているのに、そもそもそういうことを前提とした発言だということでありますので、そのことをきちっと言うということが大事だということで、私は注意をしたということなんです。

城内委員 私自身、この非常に重大な危機、これは英国人にも確認しましたけれども、武力衝突を想定、戦争ですね、こういうことを我が方の中国大使が発言していいかということですよ。これは中国側に、いわゆる核心的利益、チベットやウイグルと同じように、武力衝突をもってしてでも解決する、そういうものを想定するんですよね。ですから、これは大変とんでもない、政府の立場と違うとか以前に、ここまで書かれてしまった。

 しかも、フィナンシャル・タイムズというのは、どこかの片田舎の百部ぐらいの地方紙だったらまだしも、超一級のクオリティーペーパーで、これは当然、潘基文元韓国外交通商部出身の国連事務総長、果ては、絶対あってはいけませんけれども、もし領土問題ということになって、これは我々絶対認めませんけれども、提訴されて、それを応訴して国際司法裁判所で争われた場合どうなるかということを考えた場合、国際司法裁判所の裁判官も毎日読んでいる新聞なんですよ、FTというのは。

 こういうFTにこんなインタビュー記事を載せること自体、見識を問われますし、これについて大臣が注意したとか、謝罪をして済む問題じゃないと私は思いますけれども、いかがですか。

玄葉国務大臣 注意したということで済まないんじゃないか、こういう話でありますけれども、私も、今回の発言は不適切である、すぐそういう判断をしましたので、注意をして、ただ、それに対して本当に深いおわびもございます。

 さらに私も、ですから当然、いろいろ各紙チェックをしたんですけれども、この外務大臣の態度によって日本政府の態度というのはしっかり伝わっているというふうに私は認識しています。

城内委員 いや、今大臣はしっかり伝わっているとおっしゃいましたけれども、これは外務省のつくった資料ですけれども、六月八日付の北京青年報に何て書いてあるかというと、藤村官房長官は以前、必要があれば政府として、これは魚釣島のことだと思いますけれども、購入することもあるかもしれないと発言しており、これに対して日中関係の最前線に立つ丹羽大使が反対を述べた、丹羽大使はこれまで日中関係改善のために払われた数十年の努力が水泡に帰すようなことがあってはならないと述べたと。まさに丹羽大使のフィナンシャル・タイムズ紙の発言を引用して、藤村官房長官の発言を見事に否定してくれているんですよ。そういうふうに利用されているわけですよね。

 私は、もう一点大問題だと思うのは、私がベトナムとかフィリピンとかマレーシアの政府高官だったら、日本はとんでもないことをやってくれたと。今まさに南沙諸島、西沙諸島、スプラトリーアイランド、パラセルアイランドで紛争が起きている中で、日本の大使がのこのことそんな軽率な発言をしたら、これは東南アジア諸国にも影響する問題だと思いませんか。

玄葉国務大臣 もちろん、例えば南シナ海の航行の自由等々の問題というのは国際社会共通の関心事項ですし、日本もやはり国際法の遵守というものを求めていきたいと思っていますし、さらに言えば、アジア太平洋全体の経済のみならず、今申し上げたような航行の自由を含めた、海洋の問題を含めたルールメーキングというのを主導していかなきゃいけない、そう思っています。

 ですから、そういう中で、安定あるいは繁栄、価値のネットワークというのをそれぞれつくり上げていきたいんですが、今おっしゃったように、今回の発言というのはそういう意味でも確かに私も不適切であるというふうに思います。ですから注意をしたということでございます。

城内委員 中国という国は、勝手に大陸棚説とか自分に都合のいいようなことを言ってきて、しかもそういった東南アジアの中小国をいじめて、とんでもない、ならず者国家なわけですよ、はっきり言うと。

 ですから逆に、中国大使としては、まさに西沙諸島、南沙諸島についてはいいかげんにしろと注意をするぐらいのことがあってしかるべきなのにかかわらず、存在すらしていない領土問題についてわざわざ世界じゅうに発信すること自体、私は万死に値すると思います。

 ただ、私はあえて丹羽大使を擁護しますけれども、私は、質問主意書で平成二十二年六月に既に質問を出しているんですけれども、そもそも伊藤忠という私企業のトップが公正中立に任務を遂行できるのかどうか。これはできるわけないんですよね。それは民主党の政治主導というパフォーマンスで、継続性が重要な外交の、しかも、我が国にとって、これは失礼ですけれどもブータンという友好国だったらいいですよ、今度大使館を開設するみたいですけれども。しかし、いろいろな利害が対立している中国の大使人事に持ち込むのはおかしいという質問をしたんですね。そうしたら、答弁が非常に鼻をくくったような、高い見識を有するとかいう基準を設けているけれども、まさにそれに当てはまるみたいな、中国事情にも明るいし、経済分野に豊富な知見を持つと。

 でも、まさに、丹羽大使が百歩譲って経済的な知見を持っていらっしゃるとしても、国際法や安全保障についての知見はゼロに等しいということが露呈されたわけですから、私はむしろ、丹羽大使は犠牲者であって、これは任命責任の問題だと思うんですよ。

 鳩山元総理なのか岡田さんなのかわかりませんけれども、これはまさに民主党の任命責任であって、もう時間がないのであれですけれども、これはまさに、多分、朝日新聞の去年だかの記事に書いてありましたけれども、丹羽大使自身、官僚出身者では政治に直言することは難しいと言っておきながら、傷つき、汚れて、やめても構わないと。本人もやめたいと思っているんですよ、やめさせてくれと。ところが、やめると任命責任が問われるからやめさせないというふうな構図にしか私はとれないんですけれども、実際、どうでしょうか。

玄葉国務大臣 中国に対する経験とか理解とかを含めて任命したというふうに理解をしています。

 それと、城内委員が今おっしゃったように、どこの国かというのも、確かに民間人大使の場合というのは私も大事だというふうに思います、一般論として。ただ、御存じのように、各国とも、例えばアメリカだって民間人大使がたくさん重要な国などに行っている、そういう側面もあります。

 要は、どういうふうにサポートするかとか、そういったことも含めて考えていかなきゃいけないんだろうと。全てにおいて民間人大使の道を閉ざすという必要はないというふうに思います。

城内委員 今大臣おっしゃいましたけれども、私は別に民間大使を否定するわけじゃありませんけれども、よりによって中国大使というのはないでしょうと。先ほど言いましたようにブータンとか、ほかにも、すごく友好的でほとんど利害関係がなくて仲よくやっている、そういう国であれば、丹羽大使みたいな方が行って、日・ブータンの経済協力を死ぬほど頑張ってやっていただければいいわけですけれども、よりによって中国ですよ。

 私は、チャイナスクールの方々は、ある勢力から批判されていますけれども、国際法をしっかりわかっている方ばかりですから、こんなとんちんかんなことを絶対発言しませんので、やはり外交に知見のある、専門的な知識と経験を持っている、安心感がある、まだ外務省出身の方の方がよっぽど、百倍ぐらいきちっと対応できると思いますけれども、こういったビジネスマンを大使にすれば、今までのビジネス上の貸し借りとか、そういうことをやはりつい考えてしまうはずですよね。

 しかも、今アメリカの話をしましたけれども、アメリカみたいに、世界一の国力を持って、丸をバツと言ったり、白を黒と言えるような大国であったらいいですけれども、日本は中国とアメリカのはざまにあって呻吟している国なんですから、民間の大使が言った発言が、後から訂正なんかできるわけはありません。

 そういったことから、私は民間大使を必ずしも否定するわけではありませんけれども、外交という仕事、そして大使という仕事が専門職であるということと、そして、知識と経験に裏打ちされた、あるいは人脈とか、そういうものがない人がなるとこういう結果になるという、まさに好例がこの丹羽大使の発言ですから、この点について私ははっきりと更迭を求めたいと思いますけれども、どうでしょうか。

玄葉国務大臣 これはちょっと繰り返しになって申しわけございませんけれども、今、注意をして、深い反省の意を表しているということを現時点では踏まえたいというふうに思っています。

城内委員 大臣の御答弁、全く納得できませんが、もう時間も来ましたので、これで終わらせていただきます。

田中委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。

 まず、大臣に、福島県選出の大臣、これは外務委員会とは直接関係ないかもしれませんが、福島第一原発をめぐる話、原子力発電所問題について若干お聞きしたいと思います。

 実は、私どもの山口那津男代表を初めとして、私は残念ながら参加できなかったんですけれども、先日、あの福島第一原発の惨状を見てきたんですね。

 私の親しい参議院議員がいろいろその状況をつぶさに教えてくれましたけれども、彼の言葉で印象に残っていたのは、もう廃炉にするしかない、後始末の状況になった惨たんたるこの姿、これは大変なお金がかかるわけですが、そのことよりも自分が深く心に残ったのは、要するに、具体的な地名は知りませんが、原子力発電所に行く道の途上、まさに誰もいない荒涼たる風景、下手な言い方をするとまた大変ですけれども、本当に悲惨な、何もない風景というものに本当に心が痛んだということを言っていました。そのことについての御感想を聞かせていただきたいのが一つ。

 もう一つは、原子力規制庁の法律をめぐる議論の中で、私、うんっと思ったんですが、今も公明党の人間、直接参画しているのに確認をしたんですが、四十年廃炉ということについて自由民主党の意向を酌む形で少し見直し条項というものが入るということについて、それはいけないなと私は強く思っているんですが、もしそれについての御感想があれば。

 つまり、原子力一般、原子力発電所のこれからをどう考えるかという問題でもいいですから、答えていただきたいと思います。

玄葉国務大臣 後者については非常に機微なのでなかなか申し上げにくいんですけれども、今、赤松先生から、第一原子力発電所の周辺の地域の状況についてどう思うかというお話をいただきました。

 私は、以前も申し上げましたけれども、この三・一一があったときに、県民の最後のとりでになろうと思いましたし、生涯背負わないといけないなというふうに思っているんです。今、外相という立場でいたときに、気が気じゃありません、赤松先生にも以前指摘をしていただきましたけれども。

 私も実は第一原発をまだ見られていないんです、今度行くつもりなんですけれども。ただ、政調会長時代、周辺はできる限り回りました。あのときは、迷惑になると思って行かなかったということなんですけれども。

 やはり、どこまで日本人として寄り添えるかということだと思うんです。私は、内外の評価の違いというのも外相になって感じるんです。それは、各外相等が被災地に行ってくれるんですね。それで、帰ってきたときに、まあお世辞もあるでしょう、ただ、かなり高い評価をいたします。

 確かに、ある国は、ハリケーンがあったら、そのハリケーンの地域をそのまま放置してしまう、そういう国も私はあるように見受けられます。地震があったときに、その被災地を放置してしまう、そのような国も私はあるように見ています。そういう中で、日本人というのは、やはり徹底して寄り添っていくというのは日本人の美徳だし、私はそれはできるというふうに思っています。

 ただ、第一原発の本当の周辺は時間がかかります。非常に時間がかかるけれども、可能な限りやはりよみがえらせるということが大切で、その中で、私は、世界に改めて日本人の、日本的な価値も含めたモデルというものを発信できるんじゃないかというふうに考えております。

赤松(正)委員 さて、渡辺副大臣、お越しいただきました。

 先ほど同僚委員が政務官に若干その経緯を聞かれておりましたが、まず、渡辺副大臣、このオスプレー、実はきょうのこの質問を考えようと思っていたのは、モロッコの事件に端を発して、聞こうと思っていたら、きのうになったらまた落ちる。まるで洗剤の宣伝じゃないと思うんですね。よく落ちる、それこそクリーニングじゃないですけれどもね。全く本当に、こういうことを冗談めかして言ってはいけないんですけれども、もうあきれ果てる。

 このオスプレー墜落について、まず副大臣、防衛省を代表して、どのように受けとめられるか、簡潔で結構です。お願いいたします。

渡辺副大臣 昨日、第一報が入りましたときは、大きなショックを受けました。今、沖縄県、山口県に対して、オスプレーについての説明を、自治体等に回っているところでございます。そのやさきにまたフロリダ州で墜落をしたとニュースが入って、なぜという思いでございました。

 昨日、森本大臣がアメリカのルース大使と、そもそも表敬という形で挨拶を受ける予定になっておりました。このタイミングでございまして、アメリカ大使館を通して、とにかくこの事実、事故の原因究明については速やかに情報を出していただきたいと。ルース大使の方からも、これは協力をするというお答えをいただいています。

 我々として、この原因がわからない以上、今どのような形で沖縄県やあるいは山口県に御説明ができるかということを問われれば、全くもって、アメリカから何らかの原因、確固たるものがない限りは、我々としても物の言いようがないわけでございます。

 そういう意味では、今、非常に厳しい局面にあるんだ、そういう認識でございます。

赤松(正)委員 渡辺さん、要するに、私に言わせると、アメリカ本土できのう落ちたという以前の話。それが落ちたから大変じゃないんですね。

 実は、これもたまたまきのう、防衛省は、「MV―22オスプレイ 米海兵隊の最新鋭の航空機」という、パンフレットというんでしょうか小冊子というんでしょうか、これが来た。これは別に話をしたいというのではなくて、投げ込まれてきたんですよ。それは別にいいんですが、それが、八ページのところに紙が入っている。八ページのところに何が入っているのかと思ったら、「モロッコにおいて発生した墜落事故について」、こう書いてあって、事故の状況、原因に関してアメリカ政府内で調査中と本体に書いてあるのを十数行にわたって直してあるんですが、要するに、直してある文章を差しかえてほしいということが書いてあるんだ。

 ここで私は、二つのことを言いたいんです。

 まず、このオスプレーの安全性ということについては、七ページの部分で、開発、試験段階に発生した主な事故というのは、実に四回にわたってあるわけですね。一九九一年から二〇〇〇年まで四回。本当によく落ちるわけです。

 そして、この次のページ、八ページには、量産決定以降に発生した主要な事故ということで、二〇〇七年十一月六日の事故と二〇一二年四月十一日の事故が書いてあって、その事故原因について、後者の方、四月十一日の事故については調査中、こう書いてあったのを、直してくださいということで、差しかえのペーパーが入っている。

 私はまず、開発、試験段階で四回、そしてその後、今回の事案を含めて三回落ちた。今回の事案はのけましょう。のけて、モロッコまでに至る二回で、もう本当にこのオスプレーというのは際立って危険だということが言えると思うんですね。

 そこで、私がここで今、副大臣の見解を聞きたいのは、細かいことを通告していないんですが、これは当然、この場で見られてわかる話ですから。

 差しかえの紙はお持ちですね。その差しかえの中にこう書いてありますよ。「米側が実施してきた航空機事故安全調査を通じ確認されたデータによれば、機体はMV―22海軍訓練運用手続標準マニュアルどおりに機能しており、機体に機械的な不具合はなかったと断定され、機体の安全性に何ら問題はない。」

 この表現について、渡辺さん、どう思われますか。

渡辺副大臣 機体のメカニックといいましょうか、構造的な問題については問題がないというような書きぶりになっていると理解しております。

赤松(正)委員 副大臣、「機体の安全性に何ら問題はない。」こう断定するというのは、アメリカが断定しているというふうには、この文章を読んで、見えないんですよ。いいですか。

 これは私に言わせれば、これに時間をそんなにかけられないので言いますが、機体の安全性に何ら問題はないと見られるというふうにすべきなんですよ。日本国の防衛省の判断として、「機体の安全性に何ら問題はない。」と、こんな断定的に言えないですよ。あるいは、米側が言っていると言うんだとしたら、米側が言っているというふうに、読んだ人が読めるようにしないといけない。

 いずれにしても、この表現は、非常に防衛省、日本国の、私はきょう時間をかけていろいろな角度から大臣、山口副大臣等にお話をしようと思っていますが、非常に小さい話じゃないかと言われるかもしれないけれども、そうじゃない。非常に大事な、オスプレーについて日本政府が、言ってみればアメリカのことをそのまま無批判に受けているということの重大な証拠がここにあらわれていると思うんですよ。どうですか。

渡辺副大臣 私も学校を出た後にしばらく記者という仕事をやったことがございますので、文章を書いたり読んだりすることは私のかつての仕事でもございました。

 今御指摘のとおり、ないとのことであるという、この文言を捉えると、これはあくまでも言いぶりをそのまま伝えているというふうにとられますので、日本政府として断定したものではないという御指摘であれば、そのとおりかと思います。

 ですから、今先生の御指摘を重く受けとめて、このような書きぶりについて、適切であるかどうかということも含めて、今後この説明をする場合には少し考えるように指示をしたいと思います。

赤松(正)委員 副大臣の元読売新聞記者としての受けとめ方で、それが大事なので、こういうのはしっかり見てもらいたい。

 そして、これはまさに、氷山の一角という言い方が適切じゃないぐらいの、今まで、事ここに至るまで、今回、文字どおりきょうの委員会の直前に落ちたという、非常に象徴的なことが起こったわけですけれども、それ以前に、防衛省や外務省の姿勢というのは、さっきも言ったように、際立って無批判としか言いようがない。

 例えば、一例を挙げますけれども、田中前防衛大臣は、僕は正確な発言は聞いていませんが、安全性についてしっかり調べて、それを沖縄県民に見せると言ったはずですよ。ところが、その後大臣につかれた森本大臣は、そうではない、今オスプレーの重要性を認識して、これは当然受け入れてもらいたいという意味合いのことを言われたはずなんですね。そういうことも、我が防衛省、そして外務省、こういった基本的な姿勢というものが如実にあらわれている、そんなふうに思うんですね。

 そういう意味で、さっき防衛大臣がルースさんを通してアメリカに言うと。私が見た範囲では、直接アメリカの国防省関係者に連絡をする、そういう報道に接触したと思うんですが、いずれにしても、その辺の事実関係と、さっきちょっと見たら、森本さんは隣の部屋で答弁をしておられましたけれども、森本防衛大臣の認識も際立ってよくない、そう思うんですね。これは田中防衛大臣の方がよっぽどしっかりしていたと思うんです、その部分において。

 要するに、副大臣は、政治家の副大臣として、いつも私が激励しているように、非常に能力もあるし、大事な副大臣の役割も持っておられるんだから、そういうところはがんがん注意してほしいと思う。

 そういうことを言ったことに対して、答弁をお願いします。

渡辺副大臣 御指摘の点を本当に重く受けとめておりまして、昨日、私、あるBS番組に出たとき、やはりこの議論になりました。そして、同盟国であっても、私たち日本側として、やはり言うべきことはしっかり言うつもりだというようなことを番組の中で言いました。

 それは、防衛省が第一義的に窓口になりますけれども、外務省あるいは官邸も含めて、今回の件について、アメリカに対し、どういうふうにこれから我々として今回の原因究明を、データを要請し、そしてまた、今起きている日本国内のいろいろな声をどのように伝えるかということは、これは考えていかなければいけないことだというふうに思っていますので、それは政府全体を挙げて何らかの形をとることを、少し中心になって、森本大臣にもその意味では役割を果たしていただくように、きょうのこのやりとりを大臣にもしっかり伝えたいと思っています。

赤松(正)委員 森本さんは私も知らない仲じゃなくて、前政権時代から、いろいろな角度で教えていただいたり、こちらからもお話をしたりしました。ですから、かなり肩に力が入っていて、要するに日米関係というものをしっかりさせなくちゃいけないということがある。

 私に言わせれば、後で言う丹羽さんも際立って問題が多い大使ですが、森本さんを今この場面で登場させるというのも、これはちょっと問題ありだと思いますよ。なぜかというと、この人は、文字どおり、辺野古に持っていくということに全使命感を感じている人。今の状況は、公明党もかつてと変わりましたよ。かつては東京と沖縄がねじれていました。しかし、今は東京も、それこそ沖縄に寄り添う、そういう姿勢ですよ。だから、もう変わったんですよ、局面は。そういう意味で、森本さんが昔ながらの頭で対応しようとしたら、手ひどい反発を沖縄から受ける。

 そのことをやはり、渡辺さんを評価するのはジャーナリスト経験者だからだけでもないけれども、しっかりとしたいわゆる常識を持っていると思うから、しっかり言ってほしい、こういうことであります。

 さて、大臣、今のことについて、オスプレーの墜落、このことについて、しっかりと事の本質というものを見抜いて、今までの経過とか、あるいは抑止力維持のためにオスプレーが必要だとかどうか、そういう議論ではなくて、まず沖縄県民の安全、そして、今彼らが思っていることに対して応えるという観点から、何をすることが必要だと思いますか。

玄葉国務大臣 特に、今おっしゃった、沖縄の方々の思いに応えるという観点から何が必要かというお話でありますが、当然、私の立場からはトータルに物事を考えていかなければならないと思いますが、やはり地元の方々に丁寧に説明するということだと思うんです。今回のことも、できる限りの情報をしっかり把握して、説明をしなければならない。

 そして、実は岩国も含めて、これは説明をしなきゃいけなくて、もともと岩国に、今ももちろんそうでありますけれども、機体を運んで、そしてそこで整備をして準備飛行をしてということを考えているわけでありますけれども、今回の事故を受けて、もう一回きちっと情報を把握して、説明をして、現段階で配備への影響についてなかなかお答えできる、そういう状況に、率直に言うと、ないと思っています。

赤松(正)委員 大臣は正直に真情を吐露されましたけれども、まずは、さっき丁寧にと言われましたか、沖縄の県民に対して丁寧に何を説明するのかといったら、これを配備させてほしいということを説明することになるというふうに聞こえますよ。

 だから、要するに、アメリカが言うところの安全というものをそのまま記述したのが防衛省のペーパーだということをさっき申し上げましたでしょう。そういう姿勢では、みんな聞く耳を持たないですよ。

 そこで、この問題に関連をして、いかに沖縄県の皆さんの心、これを掌握するというか、しっかりとそれこそ寄り添うということが全ての問題解決の一番最初にあることだということを、私は今までいろいろな角度で言ってきたつもりです。

 例えば、これは大胆な言い方だということで身の周りからもいろいろな意見をいただきましたけれども、沖縄県を四十七都道府県の一つとして扱ってはいけない。これは逆差別みたいな話ですけれども、つまり、それぐらいの重みのある県なんだと。

 私は、日本という国は三つの大きな民族からできていると思いますよ。大和民族とアイヌ民族と琉球民族ですよ。もとをただせば、その三つの民族から成っている、こういう理解です。それについては、今、若干の異論が多分、外務大臣にはおありなのかもしれない。だから、そこをお聞きしたいと思うんです。

 例えば、国連人種差別撤廃委員会に、あるNGO団体の皆さんが、沖縄の基地問題をめぐる状況、要するに、沖縄に米軍基地が集中しているということ、あるいはまた、米軍のヘリパッド建設、これは高江においてされている、こういうことで、つまり、国連人種差別撤廃委員会に意見を求めているわけですね。それは、彼らは、まさに沖縄県に生存している私たちにとって差別であるというふうに受けとめているということを国連人種差別撤廃委員会に求めた。

 それに対する見解、日本政府から二〇〇一年八月の段階で出されているペーパーがあります。その中の記述はこう書いてあるんですね。「沖縄県に居住する人あるいは沖縄県の出身者は日本民族であり、一般に、他県出身者と同様、社会通念上、生物学的又は文化的諸特徴を共有している人々の集団であると考えられておらず、したがって、本条約の対象とはならないものと考えている。」こういう言い方がされているんです。

 私はここで問題にしたいのは、日本民族という表現、これは、先ほどの防衛省のパンフレットと同様に、やはりここは少しばかり使い方が不用意である。もう少し丁寧に言わなくちゃいけない。

 このことについて、大臣はどう思われますか。

玄葉国務大臣 民族というふうに言う場合、私がこれまで承知している限りでは、日本民族、アイヌ民族ということであります。

 沖縄のこれまで有してきた歴史、特に琉球王朝のときの歴史等々を考えたときに、さまざまな主張があるということは私は理解をしていますし、独自のいわば伝統文化というものを形成してきた、育んできた、そのことについても私は理解をしているつもりでありますし、沖縄に私がお邪魔をする際は、できる限りそういったことも、その都度その都度、さらに深く理解をするための行動というかアクションというか、勉強もさせていただいたりしています。

 これは赤松先生、確かに、丁寧な表現という意味でいえば、工夫の余地というのはいろいろあるかもしれません。ただ、御指摘の国連人種差別撤廃委員会ということでいうと、これは民族的な区別を人種差別の一類型としているという前提で人種差別の撤廃委員会は言っていますので、やはり沖縄県民というのは当然日本国民でございますし、そこは誤解のないような形で、しかし同時に、本件の書簡については、条約の締約国でありますから、誠実に回答をお返ししたいというふうに考えています。

赤松(正)委員 私は、沖縄の人々、琉球民族、もとを正せば琉球人と言われる人たちが日本人ではないと言っているわけじゃないんです。幅広く日本民族というふうに言われるという向きもあるかもしれません。だから、何も、ここを琉球民族と書けと言うつもりはない。ただし、そこはしっかりと、今私が述べたような認識、また大臣が言ったようなことを、つまり、琉球の人々、沖縄の人々に対してそのメッセージが伝わるように書かなければ、これは全然、誤解を呼ぶんですよ。現に、NGOの皆さん、国連の人種差別撤廃委員会にこれを出した皆さんが、文字どおり、今問題にしようとしているんですよ。

 だから、そういう意味で、もっと心を配った、沖縄県民に寄り添った、そういう表現をしなくちゃいけない。ここでこういうふうにしろと私は言いませんけれども、もっともっと心を砕いたことをしないと、幾ら丁寧にとか、辺野古の問題にしても何にしても、そういうふうに説明しますと言っても、聞く耳を持たれない。

 そのことをやはり根底から、私たち、私も含めてですよ、外交の折衝に当たられている大臣が革命的に頭の中を転換しないと、自分の受けとめ方というものを変えていって沖縄というものを見ていかないと、根源的に言えば、こういうことに取り上げられる筋合いのものではないんだというお気持ちがおありなんですよ。そんな気持ちでこの問題に対応していたら、絶対と言っていいぐらい、断言しておきますけれども、オスプレーは第二の辺野古になりますよ。

 問題の性質が若干違いますけれども、非常に難しい処理を迫られることになるということを申し上げて、あと、今、七月までに回答を迫っているわけです。それはきちっと、情報を提供してほしいということに対しては答えられるんですね。

玄葉国務大臣 期限までにしかるべく回答を行いたいというふうに考えております。

赤松(正)委員 ぜひそのときの表現、それこそ丁寧な、きちっとした、琉球民族というものを包み込む格好でお願いしたいと思います。

 さて、先ほど来、尖閣をめぐる問題、そして丹羽大使の発言の問題、いろいろと仲間の委員の皆さんが取り上げられました。

 実は私、先日、衆議院決算行政監視委員会で、石原都知事が参考人で来られたときに、外務委員会が開かれないもので、そちらへ出向きました。石原さんと意見を交わしました。私は憲法観も対中観も全然あの人とは違うんですけれども、しかし、日本の領土を守りたい、守り抜くという激しい思い、これには際立って共感をするものがありました。

 彼が言っていたのは、筋違いのことをやっているんだ、俺は。だけれども、国がやらないから、筋違いなことだけれどもやるしかないんだという意味合いのことを言っていました。

 防衛副大臣も、この問題については昨日テレビで発言をされたり、テレビで発言もいいですけれども、そういうことになるとだんだん本業が飛んでしまいますから、よく注意した方がいいですよ。

 それで、今いなくなりましたけれども、さっき、自由民主党の河井筆頭理事と大臣とのやりとり、あるいはほかのメンバーとのやりとりを聞いていて、六十数年間生きてきた私のいわゆる常識が、少しばかり警鐘を乱打する、大臣の発言に対して、これでいいのかなというのが幾つかあった。そのことを中心にちょっと、もう皆さん、お昼御飯の時間が来ているので、深い眠りに入っている人もいますけれども、あと十分ぐらいで終わりますが。

 まず、さっき河井氏が言っていた、要するに中国が不当で不法な主張をしているという認識を大臣は持っているんですねと聞いたら、大臣は、不当で不法という以前の話だという言い方をしましたね。

 以前の話というのは、何かうまくごまかされたような感じがするんですが、私がこの一連のやりとりを聞いていて解釈するのは、不当で不法だという言い方をしちゃうと、だから、しないということにこだわりましたよね。こだわった。それをもししちゃうと、もし不当で不法な行為だと言うと、要するに領土問題の存在を認めたことになるから、言わないんですか。

玄葉国務大臣 こういった公の場で言葉を使うときは、私はできるだけ慎重にしているものですから、いわゆる今まで使ってこなかった言葉について使おうと思うときはもう少し検討させていただきたい、そういうふうに思ったということであります。

 いつも私が申し上げてきているのは、そもそも中国の独自の主張には根拠そのものがないというふうに思っています。

 御案内のとおり、この尖閣諸島をめぐっては、あれは一八九五年ですか、日本が、あの当時相当慎重に調査をして、清国の領有が全く及んでいないということを確認を行った上で沖縄県に編入することを閣議決定しているはずでありますし、そこからさまざまな経緯をそれぞれ踏まえても、全く中国側の主張に根拠はないというふうに考えています。

赤松(正)委員 それって、普通でいうと不当で不法じゃないんですかね。

 そうすると、北方領土、竹島、この問題について、ロシア、韓国の主張は不当、不法ですか。

玄葉国務大臣 もう全て御存じでおっしゃっていると思うんですけれども、いわゆる北方領土問題について、私は、法的根拠のない占拠を行っている、そういう表現を使わせていただいております。(赤松(正)委員「竹島は」と呼ぶ)竹島も同じであります。

赤松(正)委員 そうすると、中国は違うと。

 そのことについては、先ほどの発言では、いわゆる自分の言葉の使い方ではふだん使わない言葉になると慎重に考えるんだと言われましたね。ということは、まだここでは答えが出ないというふうな理解にしておきます。(玄葉国務大臣「委員長」と呼ぶ)いや、後でいいです。後で一緒に答えてください。

 さらに、丹羽大使の問題でありますけれども、これも、私の常識が警鐘を打ったのは、一つは、丹羽さんの発言について注意をされた。しかも、自分で注意をされたのではなくて、玄葉光一郎が注意すると言っているよということを伝えたわけですね。そのやり方。

 それから、何人もの皆さんがおっしゃった、やはりここの場面は帰ってくるべきだろうということに対して、聞いておくという発言を……(玄葉国務大臣「承りますと」と呼ぶ)承りますと言われた。これも私は非常に落ちないんですね。

 なぜ落ちないかというと、これは二つあって、一つは、そういうふうに大臣が言われるというのは、そういう行為をすると、それこそ事を荒立てる、結果として誰が得をするのか、誰が損をするのかということからすれば、注意をするということを伝えることでもう十分目的が達せられているんだから、わざわざ呼んでどうこうするという必要はない、こういう観点があると思うんですね。

 そういう観点は、そっくりそのまま、実は私が石原慎太郎さんと意見が一致したのは、海外へ行って日本国外務省の悪口を言うわけではないから、日本国で外務省が問題だということは言っていいと思うので、意見が一致したのは、外務省は事なかれ主義だと。事なかれ主義というものがやはり根強くあるという部分で、赤松正雄と石原慎太郎は一致したんですよ。

 それで、この場面、先ほどの大臣の発言を聞いていると、事を荒立てない、言葉をかえれば事なかれ主義、ほかにもいっぱい材料はあるんだけれども、この場面、そういうふうに感じるということを言いたいんですが、どうですか。

玄葉国務大臣 まず、尖閣、北方領土、竹島、これは全て我が国固有の領土でありますが、いわゆる違いがあるのは、尖閣については、領土問題そのものの存在がないというのが我が国の立場であります。北方領土につきましては、日ロ双方とも領土問題があるというのが双方の立場でございます。竹島は、残念ながら、韓国が領土問題ではないと言っている。

 実はそれぞれこういう違いがあるということも踏まえながら対応しなきゃいけない部分も、部分もですよ、原則は一緒なんですけれども、私はやはりあるというふうに思いまして、私も慎重に言葉は選びたいというふうに思っています。

 その上で、事なかれ主義か、こういうお話でありますけれども、私は、正すべきは正すし、毅然と対応すべきは対応します。これまでの歴史の中で外務省が事なかれ主義だったかどうかということについては、それぞれ意見があるだろう。私だって全く思わないことはございません。ただ、今回のことについて、事なかれ主義ということで今のような対応をとっているわけではありません。私なりに深く考えて、今のような対応をとっているということでございます。

赤松(正)委員 先ほど、同僚委員の中での、浅野さんだったかしら、要するに、伝統的な日本の外交というものを見たときに、例えばこの尖閣の問題というのは冷静な外交の知恵だという表現を使っておられたような気がしますけれども、冷静な外交の知恵と見るか、それとも、今言った事なかれ主義という言い方はあれですが、結果として事なかれ主義と見られてもしようがない、そういうふうになっているのか。

 私は、自民党政権の最末期に、公明党の一員として政権に位置した。その対尖閣、対中政策というのは、明らかに事なかれ主義ですよ。これは、中国との間で一致した事なかれ。要するに、トウショウヘイさんの、次代の、次の世代に任せようということに飛びついたわけですから、日本の政党政治家たちは。

 それに対して、民主党政権が敢然とそれを切りかえるやに見えた。これはすごい外交方針の転換だなと思ったら、さにあらず、へなへなへなと壊れちゃって、結局もとへ戻ったというふうに私は理解しています。

 そのあたりは御意見があっても、二十分になりましたので、大臣の言いたいことは別の機会にいたしまして、きょうは時間どおり終わりたいと思いますので、以上のところで終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十四分開議

田中委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 米海兵隊の新型輸送機オスプレー、MV22の普天間基地配備と日本での運用問題について質問をまずいたします。

 まず、玄葉大臣、今回のオスプレー配備計画がいよいよ具体的にということで明らかになってきた中で、午前中もございましたが、モロッコで四月に墜落事故があったのに続いて、六月十三日にフロリダ州で墜落をするということでありました。訓練中でありました。あれは空軍でありますけれども、そういうことであります。

 それで、今回の連続の事故がありまして、沖縄県民は一層、配備計画に対して反対を強めております。私、当然だと思うんです。

 大臣、なぜ沖縄県民が、世論調査でも九割、オスプレー配備にこれだけ強く反対しているというふうに受けとめておられるでしょうか。

玄葉国務大臣 今回、空軍の方の、MVじゃなくてCVですが、オスプレーであることはおっしゃるとおりでございます。

 もう既に米国では、たしか、東海岸、西海岸に、九十二機、四十二機配備されているというふうに思いますし、たしか、CH46Eと比べて、速度が二倍になって、搭載量が三倍になって、行動半径が四倍になる、こういうことで高性能であるということなんですが、結果として抑止力が高まるということなんですけれども、ただ、今、笠井委員がおっしゃったとおり、地元の方々が心配されているというのは、やはり安全性に対する懸念というものを有しているということだと私は考えておりまして、このことに対して丁寧な説明がなされないといけないというふうに考えております。

笠井委員 安全性に対する懸念なんですが、丁寧な説明で済むかというと、もはや、そういう問題でもないという段階に来ているということだと思うんですよ。沖縄県民の気持ちを本当にわかっていただきたいというふうに思うんです。

 私も繰り返し、いろいろな方からも聞きました、また現場にも行きましたが、二〇〇四年の八月には、普天間基地の大型輸送ヘリが、この飛行場に近接する沖縄国際大学に墜落をして炎上する事故があった。それだけに、普天間周辺の住民のみならず、沖縄県民の、オスプレー、今、高性能と言われたけれども、実際には安全性に非常に心配を持っている、懸念を持っていると言われましたが、事故に対する危機感や、騒音などの生活被害への懸念が強い。オスプレーの相次ぐ事故と重なり合いまして、まさに反対を強めているということだと思います。

 そこで、大臣、この問題を、私自身としても、自公政権時代の一九九九年の十二月八日に参議院予算委員会で、参議院にいたときに、当時の河野外務大臣に質問して以来、民主党政権の時代の昨年に至るまで、このオスプレーの配備計画や、騒音や、それからたび重なる事故の問題についてもただしてまいりました。だけれども、一貫して、アメリカの側に配備計画、ちゃんと確認するというよりも、ちゃんとそれがされていないとかいう話があったり、危険性についても、まともに問い合わせもしてただすということでやられてこなかったというのが経過だと思うんですよね。

 午前中に隣の安保委員会では我が党の赤嶺議員も質問の中で言いましたし、先ほど赤松委員も言われていましたが、まさにアメリカが説明したり言っていることに対して、ある意味、うのみにして、そして県民、国民に理解を求めてきたということが最近の経過でありますし、今度は、例の環境レビューの問題で米側が安全性に問題ないと言われると、それをもって一生懸命理解を求めようとしてきたやさきにまた事故が起こったわけであります。

 こういう経過を見ると、本当にこの問題に対して、国民あるいは沖縄県民の立場に立ってしっかりと米側に対してもただして、問題点はどうなっているのか、これは一体どうなっているのか、徹底的にやる、配備計画についてもきちんとただす。やはり、やってこなかったという政治の責任といいますか、政府の責任というのは大きいんじゃないかと思うんですが、振り返って、今回の事故が重なる中で、どういうふうに認識されているでしょうか。

玄葉国務大臣 自民党政権のときから、おっしゃるように、オスプレーの問題というのは出ておりました。

 これは、基本的には、米国のいわば運用の問題であり、機種の変更であるということが一つ。それともう一つは、先ほど申し上げましたけれども、既に米国では配備をされていて、現に中東や湾岸などでも実戦で使われている、こういう実態もある。

 他方、おっしゃるように、私自身も先ほど申し上げましたけれども、地元沖縄などには、安全性に対する懸念というものを有しているのも私は承知をしています。

 ですから、今回の事故も受けて、改めて米国側に情報提供を、既に求めているのでありますが、重ねて求めていきたいというふうに考えておりますし、米側とはよくすり合わせをしていきたいというふうに思っています。

 ただ、先ほども申し上げましたけれども、基本的に、これは米国の運用の問題であるということも一方の事実でございます。そういう中で、どういうすり合わせが可能なのかということではないかというふうに考えております。

笠井委員 大臣は、真摯にという態度で今は臨みたいとおっしゃったんですけれども、結局、昨年のことだと思うんです、予算委員会で質疑がありましたときに松本外務大臣当時が、いろいろと問題点を指摘される中で答弁されて、「米側の当局から同盟国である我が国に対する説明でありますから、確認をしつつも信頼してまいりたい、」つまり、同盟国だから確認はするけれども、アメリカ側の説明や情報を信頼していくんだと言われているんですが、実際にいろいろ問題があったり事故が重なっている中で、確認はするけれども信頼するというところが基本に据わっちゃうと、それはどっちをきちっと、やはり国民、県民の立場をというか、生命と安全ということに立つのかということが問われてくると思うんですよね。

 例えば今回の、米側から出したレビューの問題でも、先ほど午前中の安保委員会の質疑でも、結局、事故率の問題でも、空軍と海兵隊、CVとMVで違う。それぞれ別個に計算すると事故率は低くなる。しかし、ほとんど機種としては同じなんだ。そうすると、これは、事故率という点では一緒に考えなきゃいけない、見直しが必要だということの答弁がありました。森本大臣だったと思うんですけれども。

 そういう形でいうと、アメリカが説明して、そのことについても県民に対して今説明を始めたところで事故が起こったんですけれども、これまで、事故の重なる前は、安全ですよとアメリカが言っていますという話を言われたわけですよね。

 だから、そういう意味では、もうこれだけ重なったんだから、いわゆるこれまでみたいに同盟国だから信頼するという基本に立つんじゃなくて、うのみにするんじゃなくて、やはり国民、県民の立場に立っていろいろな問題点を徹底的にただしていく、こういう立場が必要だと思うんですが、それはそれでよろしいですか。

玄葉国務大臣 基本的に、信頼という話がありましたが、それはやはり同盟関係なので、信頼というのはもちろん大前提として必要だというふうに思います。

 ただ、この安全性の問題について、先ほども申し上げましたけれども、現実に、既に実戦で使われたり、米国ではもう配備されている、そういう実態も含めて、正確なところを把握して説明をしなければならないし、米国から得られた情報について、それを、でき得れば、もっとわかりやすい形で、何回か問い合わせをしながら説明できるというのがよりよいだろうというふうには思います。

笠井委員 防衛省渡辺副大臣にお越しいただいています。

 その報告書や、アメリカが何を言っているかということについても、やはり国民の立場で我々も検証しなきゃいけないし、そういうことが必要だと思うんですが、ちょっとこれは防衛省の姿勢として、一言だけ言っておきたいことがあります。

 実は、今回の配備をめぐって、沖縄県と関係自治体に、この環境レビューというのでアメリカ側が出したものの配付をしているということで、私も今回、きょうの質問準備に当たって防衛省の本省に、日本語訳全文がないかということでただしました。昨日も何回もやりとりしたんですが、要するに、あるのはこのエグゼクティブサマリーだ、これ以外ないんですということを言われたんですよ。

 それで、沖縄県に聞いたら、沖縄県にはこの三百ページのものがある、全部訳されている、もらっているということで、沖縄を通じてもらっていたんですが、何か出し惜しみするような話じゃないと思うんですよ。それで、私どもの赤嶺議員に聞きましたら、きのうも何回かやりとりして、地方協力局からこの分厚いものがようやく来たと。私のところには来なかったんですけれどもね。

 何か基本的に、アメリカ側が説明していることについて、沖縄には説明するし、国会議員が聞いても、だけれども、それはなかなか、これしかないんです、これだけですとか言って、ようやく来るところがある。私のところにはいまだに来ないわけですが。そういう姿勢ではまずいと思うんですけれども、副大臣、ちょっとそこだけ。

渡辺副大臣 笠井委員だから出さないとか、そういうことではないとは思うんですが、赤嶺委員にはお渡しをされて、委員のところには行っていない、今そういう御指摘をいただきました。

 これは報告書として、大体千ページぐらいに及ぶ分厚いものですから、これは時間をかけて職員たちが日本語訳したわけですね。かなりの分量にはなりますが、できています。

 それは、御指摘のとおり、決してそれを我々は隠すものでもございませんので、どういう理由で先生のところにまだ行っていないのか、そういうことも、きょう御指摘をいただきましたので、役所に戻りましたらその辺をただしまして、しかるべき対処をしたいというふうに思います。

笠井委員 沖縄関係の議員だからということで来たのか、あるいは英語を読めるからいいと言われたのか、どっちかわかりませんけれども、いずれにしても、これはきちっと、やはり求めているものに対して、あるんだったら出していただくというのが大前提としてあるんだろうと思うので、しっかりそこはやってもらいたいと思います。

 それで、次の問題で、若干具体的に聞いていきたいんですけれども、これまでも繰り返し、この事故の原因については言われました。そして、今回も人為的、あるいは、そうはいっても、モロッコのはまだそれでも暫定的という話があったり、そもそも欠陥があるんじゃないのかと言われますけれども、私は、その個々の事故、この前がどうだったかと、きちんとそれは原因究明して出してもらう必要があるけれども、これだけこの経過がある中で何度も事故があり、そして重なってきたということになる中で、やはり改めて、専門家の指摘などについても正面から捉え直して見ていく必要があるんじゃないか。もちろん、アメリカ自身がやる必要はありますが、配備計画ということで日本にかかわる問題ですから、日本政府としても、しっかりやはりやる必要があると思うんです。

 専門家の中にも、このオスプレーにはそもそも構造的な欠陥があるのではないかということが繰り返し言われてきました。そういう中でいろいろな事故が繰り返されている。そして、沖縄県民も、そういうことに重大な懸念を持っている中で反対を強めているわけであります。

 その一つが、国会でも何回か議論になってきましたが、オートローテーションという問題であります。自動回転ということですが、これは渡辺副大臣に伺いたいんですが、ヘリコプターなどの回転翼の航空機のオートローテーションというのはどういうことか、端的に。そして、オスプレーが回転翼で航行する際に、それが働くという認識なのかどうか。

 オートローテーションというのはどういうものか。そして、オスプレーについては、このオートローテーションが、要するに回転翼で航行する際には働くという認識なのかどうか。その二つ、伺いたいです。

渡辺副大臣 オートローテーションという意味でございますけれども、回転翼機が飛行している間に、エンジンからの出力によらないで、いわゆる空力といいますか、空を切る力で、主回転翼を回転させて揚力を得るということでございます。

 もう一点が……(笠井委員「オスプレーは回転翼でやる際にそれが働くという認識なのか」と呼ぶ)はい。それが働くという認識で我々も理解をしております。

笠井委員 今副大臣からありましたけれども、要するに、オスプレーの場合でいえば、エンジンが故障などをしたときに、動力を失ってもすぐに墜落しないように、空気の力で、竹トンボといいますか、そういう形でゆっくりとおりてくるということができると。それがオートローテーションということだと思うんです。

 それでは、その回転翼の航空機において、飛行中に全エンジンが不作動になった状態で、なおかつオートローテーションによる飛行に移行しないという場合はどうなるか。つまり、安全な着陸に支障を来す可能性があるということに、その上でなるのかどうか。その点はいかがでしょうか。

渡辺副大臣 今の御指摘は、二つのエンジンの出力が完全に停止をして、そしてまたオートローテーションもできない場合はどうなのかということでございますが、これまで十万飛行時間以上飛んでいるデータからすると、そのようなことになったことはないということで、我々は、そういうことは起こらないということを前提に御説明をしているわけでございます。

笠井委員 ちょっとそこは違うんじゃないですか。つまり、起こらないという前提じゃなくて、そういうことで、飛行中に全エンジンが不作動となった状態で、オートローテーションによる飛行に移行しないとき、どうなるかということを聞かれたら、質問主意書の答弁書の中でも、それは答えはしているんじゃないですか。

渡辺副大臣 そこは、いわゆる滑空モードという形になって、それで緊急着陸をするということについて、そのように質問主意書ではお答えをしているはずです。

笠井委員 滑空モードになるというふうにならない場合があるわけですよね。つまり、こうやってなったときに、滑空モードに移動するのに時間がかかりますから。

 二〇一一年の七月十九日付で答弁書が出ておりますが、答弁の中ではこう言っています。「回転翼航空機において、飛行中に全エンジンが不作動となった状態で、オートローテーションによる飛行に移行しない場合は、安全な着陸に支障を来す可能性があるものと考えられる。」これは答弁書じゃないんですか。閣議決定してあると思うんですけれども。

渡辺副大臣 正確に言いますと、固定翼モードに移行して滑空するか、オートローテーションを行うということでございまして、それ以外の場合については、今、そのような形でお答えをしたと思います。

笠井委員 これは要するに、オスプレーというのは、なかなか普通の飛行機やヘリと違いますので、両方兼ね備えているわけなので、前進速度や高度が不足していると、結局オートローテーションに移行せずにおっこっちゃうということが起こり得るということを答弁書でも言っているということだと思うんです。

 それで、玄葉大臣、これは松本大臣が前に答えられていて、去年八月八日の予算委員会で、我が党の赤嶺議員の質問に対して松本大臣が、オスプレーのオートローテーションについては訓練をシミュレーションでやっているというふうに答弁をされているんですね、シミュレーションで。

 なぜこれは実際の運航による訓練じゃなくてシミュレーション訓練なのかというのは、何か米側から説明を受けていますでしょうか。

玄葉国務大臣 済みません、これは私、事前にこのことを担当者に確認しておりませんので、私が承知しているところだけ申し上げれば、確かに、オスプレーのパイロットは、両方のエンジンが停止した場合に、シミュレーターを使って緊急着陸の訓練を行っているというふうには承知をしていますけれども、直接の答えになっていないと思うんです。

 そのことについては改めて担当者に聞いて、お知らせをさせていただきたいというふうに思います。

笠井委員 ぜひ確認してもらいたいんですけれども、これはいろいろな問題点、そういうところにも出てくると思うんですね。

 オスプレーは、CH46のヘリに比べると、機体の重量の方は二倍以上も重い。一方で、回転翼の、ローターの部分でいうと、羽根の長さは短い。短くないと、要するに飛行の、こうやるときにひっかかっちゃいますから。ということで、そういう機能があるので、より重い機体をより小さな回転翼の発生する揚力で安全に着陸させるというのは難しいよねという指摘があるわけですよね。

 だから、シミュレーションでなくて実際に訓練をやっちゃうと、おっこっちゃう、だからやらないんじゃないかというふうに言われる方もありますので、そこはやはり今後、運用という問題、あるいは配備と向こうが言ってきている問題ですので、しっかりとこれは確認をする必要があるというふうに私は思っております。

 私はここに、アメリカ国防長官が設置をしたV22プログラム審査専門委員会、レビュー・オブ・ザ・V22プログラムというもので、これを持ってまいりまして、この報告書を見ますと、V22というのは、ほかのどのヘリよりも自動回転能力が劣っている、それからグライド、滑空能力は他のどの固定翼輸送機よりも低い、滑降とさっき言われましたけれども。こういうことがあったり、エンジン停止時の運航方法を見直すべきだ、エンジン停止時の滑空飛行能力を最大化するよう設計、運航技術を見直すべきということを提起しております。しかし、こういう指摘が実際には採用されないままに運用が開始されている。

 オスプレーが安全に自動回転、つまりオートローテーションできないということは、米海兵隊の中でも認められているというふうにされています。オスプレーを開発したボーイング社も、ガイドブックの中で、エンジン停止時の緊急着陸ではオートローテーションに頼らないというふうに説明して、事実上そういう機能が欠けているということを示唆しているわけです。

 私は、アメリカでもこういう欠陥や問題点が指摘されているのに、普天間基地への配備計画を受け入れるというのは、これはあってはならないというふうに思うんですが、その点は大臣、いかがでしょうか。

玄葉国務大臣 いずれにしても、今は詳細を含めて照会中でありますので、その情報について速やかに提供を求めていきたいというふうに思っていますし、当然ながら、米国だってこのことについて最大限の協力を行うはずだというふうに考えております。

笠井委員 二〇〇九年の六月二十三日のアメリカ下院公聴会でこのオスプレーの危険性を証言したアメリカ国防総省の元主任分析官のレックス・リボロ氏という方がおられますが、最近もこの方は、オートローテーション機能の欠如による事故はいつか起こり得る、万が一市街地でエンジンが停止すれば問題だ、通常のヘリならオートローテーション機能を使って安全な場所を探して着陸するための操作が可能だけれども、MV22は操縦不能になってどこにでも墜落する可能性があるということを指摘しています。

 日本政府はこれまで、このリボロ氏の発言については、個人の発言内容とか、米国議会における議事内容について見解を述べることは差し控えたいということを言って、これらの指摘をあえて無視してきたということがあると思うんですが、私は、これだけ事故が続いているので、あらゆる指摘や、あるいは専門家のいろいろな意見についてもしっかりと注目すべきだと原発事故の問題でも言われました。事故が起こって、とにかくやはりいろいろな指摘があったけれども、それを無視した結果こういうことになったということがあったので、少なくとも、これから臨む態度というのは、政府として、そういう真摯な態度が必要だと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、一つは、米国のまさにMV22であり、CV22であるということですね。米国の中で、それぞれ東海岸、西海岸の基地に、先ほど申し上げましたけれども、九十二機、四十二機。たしかアメリカは、MVの方は百四十機持っているのではなかったかというふうに承知をしています。

 当然、米国も、事故があれば、その事故原因というのを、これは日本のためでもあるんですが、アジア太平洋全体のためでももちろんあるんですが、米国そのもののためにも、現にもう実戦配備されているわけでありますから、当然調べていくということになるのではないかというふうに推測をしています。

笠井委員 調べていくという問題とどうするかという問題が出てきて、徹底的にそこは調べて、日本の政府もただしてもらいたいと思うんです。

 同時に、米軍ヘリが普天間基地上空を航行する高度というのは一千フィート、約三百五メートル未満に設定されていると思うんです。配備計画に従って普天間基地を使用するオスプレーがヘリモードで着陸するときに、そういう低高度ですから、万一エンジンが停止して、オートローテーションによる飛行に移行しなければ、まさに飛行モードに移行する、滑空と言われましたが、それをやる間のないうちに、そのまま墜落する危険も避けられないという問題が出てくるということがあると思うんです。そうなったときに、二〇〇四年のヘリ事故の二の舞になりかねない、まさに住民にとって多大な被害を受けることになるんじゃないか、やはりそこが大きな県民、住民の不安と懸念だと思うんです。

 それで大臣、今、アメリカでさえ配備計画の見直しが行われている。ニューメキシコ州のキャノン空軍基地で計画していた、あれは空軍ですからCV22オスプレーの低空飛行訓練計画が、住民の要求を受けて棚上げされる事態となっています。キャノン空軍基地が発表した声明によりますと、公聴会で寄せられた住民らの意見を精査した上で、改めて訓練計画の必要性を再検討して、二〇一三年までに計画を続行するかどうかを判断するというんですね。

 防衛省が出したレビューの最終版によりますと、オスプレーの訓練飛行というのは、普天間だけじゃなくて沖縄全土五十カ所に及んで、飛行回数は、伊江島の補助飛行場だけでも、従来のCH46ヘリの二〇一〇年実績、二千八百八十回の二・三倍、六千七百六十回にふえると。さらに、沖縄にとどまらず、全国にある低空飛行ルートの訓練が行われることが明らかになっているわけであります。

 米本土では国民の要求で訓練計画を棚上げしているというところなのに、日本では事故原因が究明されていないままに配備が強行されようとしてきて、今回また起こった。しかし、アメリカにきっぱり物が言えずに受け入れようとするということになりますと、これは本当にどこの国の政府かということになりますので、私は、県民や国民の命を守るという立場に立ったら、これだけ欠陥が問題になってきている、そして、県民の九割が反対しているということで言われているわけですから、こういう配備そのものについても見直して、これは撤回を求める、断るというぐらいの決断が必要だと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

渡辺副大臣 先ほどからいろいろ、元主任分析官の議会での発言でございますとか、あるいは住民からの意見が出て訓練を見合わせているというような報道は、我々も承知をしているところでございます。

 この沖縄に配備される予定のものは、アメリカの空軍用と、いわゆる輸送用のヘリと、若干訓練の手段等が違うというようなことがございます。だからといって、違うと私はここで強弁するつもりはございませんけれども、アメリカの場合は、例えば空軍の特殊部隊が使用する訓練形態と輸送に使うこととでは、若干運用が違うということではあります。

 ただ、昨日ああいう事故が起きて、この点については、沖縄のみならず、山口県の方々も大変不安の声を寄せられていますし、また、首長さんたちがそのように明確に防衛大臣に対しまして意思表示もされております。重く受けとめておりますので、この点については、これは防衛省のみならず、第一義的には防衛省であるかもしれませんが、外務省やあるいは官邸とも、政府全体で今回のことを重く受けとめて、アメリカに対してどのような原因究明の要請をしていくか、また、それをどう分析していくかということは、政府を挙げてしっかりと取り組まなければいけないと思います。

 その点の今回の事の重大さは私どもも受けとめているところでございますので、御趣旨はよく受けとめております。

笠井委員 先ほど午前中、森本大臣も、官房長官、そして玄葉大臣とも協議しながらと言われましたので、大臣からも一言お願いします。

玄葉国務大臣 確かに三人で協議をしましたけれども、まず大切なことは、詳しい中身は申し上げられませんが、しっかりと米国に情報提供を求める、その方法、あるいは、どういうルート等々について、話をしたりとかということもいたしました。

 そういうことをきちっと行いながら、やはり、現段階で配備への影響について申し上げられるという状況にはないというふうに私としては考えているということでございます。

笠井委員 この問題については、これだけ深刻な問題、長い経過の中でのことですから、しっかりと国民の立場に立って、沖縄県民の立場に立って政府として決断をする、そして、しっかりと物を言って問題点をただして聞くとともに、ただせばただすほど、この欠陥というのは明らかになるはずですから、やはりこうした配備についてはきっぱり断るということで臨んでいただきたいと思います。

 残された時間、若干、普天間基地の移設問題に関連して質問したいと思うんです。

 四月二十七日の日米合意文書、共同文書の中で、辺野古がこれまで特定された唯一の有効な解決策だということで、あくまでそれにこだわる態度をとられている。

 そこで、玄葉大臣に伺いたいんですが、あの四月の合意文書の中で、代替施設の検討の前提として、端的に四つ基準が書いてあったと思います。一つは「運用上有効」、二つ目に「政治的に実現可能」、そして三つ目に「財政的に負担可能」、四つ目に「戦略的に妥当」ということが、文章の中で端的に並んでぽんぽんぽんと書いてあったと思うんです、これが基準だと。

 この四基準というのは具体的にどういうことでしょうか。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、2プラス2の文章、「閣僚は、運用上有効であり、政治的に実現可能であり、財政的に負担可能であって、戦略的に妥当であるとの基準を満たす方法で、普天間飛行場の移設に向けて引き続き取り組むことを決意する。」というふうに書いてございます。

 この間、この普天間飛行場の問題につきましては、さまざまな検討がなされてきたというふうに思います。今申し上げた四つの観点からしたときに、さまざまな検討、選択肢というものを検討する中で、やはり普天間飛行場の移設というのが最も妥当であるということを改めてこの四つの観点から結論づけている、こういうふうに御理解いただければというふうに思います。

笠井委員 今の説明では、具体的にどういうことか余りよくわからないんですけれども。

 では、ちょっと絞って聞きましょう。

 特にその中で、二番目に「政治的に実現可能」という基準が挙げられておりますが、これを満たしているのかという問題なんですけれども、最近の沖縄地元紙の世論調査を見ても、国外移設が三九%、県外移設が二九%、移設せず撤去というのが二一%で、合わせて八九%にもなっております。

 県議会、名護市、多くの県民が県外移設を求めているという、オール沖縄という現状のもとでは、これは日米合意文書にある「政治的に実現可能」ということでいうと、そういう基準を満たしていないと誰が見てもはっきりしているんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。

玄葉国務大臣 このポリティカリー・フィージブルという表現についてということだと思うんですけれども、結局、何度かこの場でも申し上げましたけれども、普天間のヘリ部隊というのは、そのヘリ部隊だけで機能を発揮するわけではない。つまりは、ヘリですから、運ぶ陸上の部隊があり、後方支援部隊がある、兵たんもある。一体として一定のある場所になければならない。では、普天間が容易なのかといえば、容易ではありません。おっしゃるとおり、大変な困難に向き合っているというふうに私も感じています。

 ただ、訓練も含めて一体となって行わなければならないこの海兵隊を、では、ほかのどこに移せるのかという見通しがないまま軽々に他の地域等々に言及するということは、安全保障あるいは外交を担当する立場としては、それは行ってはならないと私は考えておりまして、そういう意味で、私としては、政治的に実現可能、ポリティカリー・フィージブルというときに、これは米国の政府も、政府としてはそうでありますが、現時点で普天間、そして、ここにも書いてありますけれども、「これまでに特定された唯一の有効な解決策」、こういうことだというふうに理解をしています。

笠井委員 運用上の問題や戦略上の問題も触れられながら言われたんですけれども、要するに、政治的に言うと、県民の意思あるいは世論の状況から見たらこれは難しいということで、大分今も何か苦しい答弁をされたんですが。

 要するに、この間、県議選もありましたけれども、辺野古移設に保留の一人を除いて、立候補者はそれ以外全てがやはり与野党の別なく現行案に反対ということで、地元紙のアンケートに対しても、立候補者でいえば六十三人中六十人、九五%が国外・県外移設、無条件撤去というふうに言っているわけですから、そういう沖縄の状況、そしてオール沖縄というところから見たら、政治的にはこれは無理だというふうにやはり判断して、きっぱりこれは無条件撤去、そして新基地をつくらないということで、そう言って説得するのが政治の仕事だ、私はそのことを強く申し上げたいと思います。

 ありますか。

玄葉国務大臣 今回の2プラス2でも、特に嘉手納以南の土地の返還について合意を行いました。もう御承知のとおりだと思います。つまりは、三つに分けて、速やかに返還可能な場所、そして、海兵隊の移転がグアム等へ進まない間にあっても、県内における代替施設ができ上がれば返還をしていく。特に沖縄県の要望が強かったのは牧港補給地区の倉庫地区の大半でありますけれども、そういったことも含めて、嘉手納以南の土地の返還で私は成果を得ていると思うんですが、ただ、その成果はまだ目に見えているわけじゃありません。

 したがって、具体的に目に見える返還というものを着実に行っていく、そういうことを行いながら、しっかり成果を示して理解を得ていく努力を積み重ねていきたい、こういうふうに考えております。

笠井委員 時間になったので終わりますが、一言だけ。

 今、嘉手納以南ということで言われたんですが、パッケージの一環から切り離したと繰り返し大臣は言われるんだけれども、キャンプ桑江にしても那覇港湾施設にしても、既にSACOで返還することが決まっていた施設なわけですよね。それを海兵隊グアム移転とパッケージにしていたことが問題だったので、SACO合意に戻っただけなんです。

 沖縄県民からいうと、とにかくそういう形では本当に我々のこのあれはもう解決しないということは意思があるわけなので、申し上げたように、無条件撤去しかないということで、そういう決断こそ必要だ。

 またこの議論は引き続きさせていただきます。終わります。

田中委員長 次に、渡辺義彦君。

渡辺(義)委員 新党きづなの渡辺義彦であります。

 質問の時間をいただきまして、大変感謝申し上げます。ありがとうございます。

 私は、経済的にも文化面でも歴史的にも互いに重要な隣国であります日中関係といいますか、大切にしていかなければならないという観点から、少し御質問をさせていただきます。

 先日でございますが、程大使から、駐日本大使でございますが、こういうお手紙、私だけではございませんが、チベット、ウイグルに関する中国の立場がるる書かれておられるわけでございます。日本国内でこの問題で中国にとって後ろ向きの動きが見られたら日中関係の妨げになっておって、私はちょっと憂慮しているんだというような内容ではございます。大臣はこのお手紙をお手にされましたか、また届きましたか。

玄葉国務大臣 私のところには届いておりません。

渡辺(義)委員 読んでおられたら、ちょっと御感想を聞きたかったんですけれども。

 この大使の行為を受けて、国会議員のたくさんの皆さんが抗議を申し入れておるんですけれども、外務省としては、中国大使に何らかのアクションなり云々を起こされたということはございますか。

玄葉国務大臣 これは通告もございましたので、改めて私の方から確認もしましたし、私自身も実は記憶もしておりますが、程大使から一部の国会議員に対して、世界ウイグル会議の開催に抗議をし、同会議の関係者といかなる形でも接触せず同組織に対していかなる支持も与えないこと等を希望する書簡が送られたというふうに承知をしています。

 このウイグルの地位をめぐる問題というのは、日本国政府の立場は、中国の内政の問題である。ただ、私も繰り返し申し上げているんですけれども、表現の自由という観点も、私は、日本国政府としてはしっかりと踏まえて適切に対応しなければならないというふうに考えていますし、そのような指示を与えてきている。

 この書簡そのものについては、これは個人の議員それぞれの対応ということもあると思うんです、政府に対して出されたわけではありませんので。ただ、今おっしゃったような疑問というものを感じているんだというようなことを含めて、在京の中国大使館にはその旨伝えております。

渡辺(義)委員 お伝えいただいた後、何かアクションというか、反応というのはございましたでしょうか。

玄葉国務大臣 私自身が実は伝えたわけではございません。担当者から伝えて、その後の報告については、現時点で私、承知をしておりません。済みません。

 それは確認をしたいと思いますが、基本的には、そういったことについて話をし、伝えてある。もちろん、中国は中国独自の立場というものを恐らく主張するのではないかというふうに推測はできます。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 外交といいますか、二国間の問題であります。対といいますか、でこぼこというのがあって、攻めと守りがある。漫才でいえば、ぼけと突っ込みというのがあって、ぐっと突っ込んでいく方が突っ込みになるんですけれども、我が国と中国でいえば、私にとっては突っ込まれるような行為だと思うんですけれども、こちらの突っ込みの方が弱くて、ぼけの方が強いというのは、ちょっとバランスとしてはよくないんじゃないかな、私自身はそう思っております。

 例えばですよ、こういうお手紙をいただいたわけでありますけれども、我が国の大使が中国政府の高官に、尖閣諸島は我が国固有の領土であって、これを核心的な利益であって中国領土だとするのは間違いでございますよというようなお手紙を出すのと同じ意味合いになると私は思うんです。ですから、やはりこの問題は大きいなというか、中国大使がそういうことをやられることに対しては、やはりもう少ししっかりと御抗議をいただいた方が私は日中間のためにもいいんじゃないか、そう思っておりますが、いかがでございますか。

玄葉国務大臣 事実関係、手元にございました。

 五月の中旬でありますが、外務省の首席から在京の中国大参事官、そして十八日に課長から在京の中国大使館、書簡の発出について大いに疑問に感じたということについて述べておりますので、基本的に、中国は中国のもちろん独自の主張があるわけでありますけれども、あるいは立場というのがあるわけでありますけれども、日本側のいわば発言、申し入れについてきちんと受けとめた、少なくとも本国にしっかりと伝わったというふうに理解をしております。

渡辺(義)委員 御答弁ありがとうございます。

 もう一つ、また中国のこと。

 チベットのセンゲ首相がお越しになったときのことでございますが、新聞とか週刊誌で私は知ったことでございますので、事実関係はしっかり把握はしておりませんが、四月に、この議員会館の中、国会の会館の中で、国際会議場にお越しになって、意見交換を我々有志の議員が行ったわけであります。

 その動きというか、そういうことを事前に察知された中国の参事官の方が、議運の委員長でございます小平議員のもとに行かれて、会場の使用を中止するようにということで言ってきたということでございますが、この動きに関しては、外務省さんは御認識されておられますでしょうか。

玄葉国務大臣 ロブサン・センゲ氏でありますけれども、憲政記念館において開催されたシンポジウムに出席をしたことは、報道などもございますから、承知をしています。

 ただ、憲政記念館を使用する云々ということについては、必要な所定の手続を踏んで行われているんだろうというふうに私自身は理解をしておりますし……(渡辺(義)委員「国際会議場、会館の中であります」と呼ぶ)ああ、そうですか。

 いずれにしても、そのことについて、政府としてコメントするという立場にもないのかなというふうに私自身は感じています。

渡辺(義)委員 では、コメントはないという部分では、けれども、これは、やはりさっきおっしゃいました言論の自由等々も鑑みて、こういうシンポジウムなり、また意見交換をするということをとめるような行為というのは、これは内政干渉というようにお感じになりませんでしょうか、大臣。

玄葉国務大臣 これは、私は、関連する国内法とか国際法とか、そういったことに従って適切に対処するということがやはり大事なことだというふうに思っているんです。それは、やはり日本としての一つの原則だというふうに思います。

渡辺(義)委員 先ほどのお手紙云々についても、中華人民共和国大使館ということでありますから、私は、中国というお国の看板で、大使お一人のというよりも、本国の御意向も含めてということで受け取っております。

 この辺の、尖閣の問題とか、日中の間ではいろいろな問題がございますが、冒頭も申しましたように、大切な隣国でございます。もっともっと腹を割ってといいますか、お互いに、それはちょっとな、いかがなものかと思いつつ、外交を進めていく、もっと友好な関係をつくっていくという部分では、はっきり物を申し、また、向こうの意見も聞き入れながら、この日中関係というのを築いていただきたいと要望いたしまして、この件、終わらせていただきます。

 続きまして、竹島のことについて御質問させていただきます。

 四月十一日に、今度は憲政記念館でございますが、竹島問題の早期解決を求める東京集会というのが開催されまして、きょうお越しいただいております山口副大臣、そして長島総理補佐官も御参加をいただきまして、盛大にされたわけでございますが、この集会において、二月二十二日を竹島の日としてほしい等々の決議案を政府の方に出しておられますけれども、この決議案は、大臣、御存じでございましょうか。

山口副大臣 私、出席させてもらっていたので、かわって答弁させていただいて済みません。

 決議は、あのときに私も最後までいさせていただいて、しっかり胸に刻んでいます。できることはどういうことがあるかなということを、今まだ政府内で検討しているところです。

渡辺(義)委員 島根県が催しております竹島の日の式典というのも毎年開催されておられますけれども、ここの要望にも、決議にも書いてあるように、いまだ政府関係者の出席がございません。

 北方領土であるとか、そういう集会には御出席、御参加をいただいていると私思っておりますが、同決議にもあるように、政府関係者の御出席をぜひとも求めていきたいと思っておりますけれども、来年の竹島の日に、外務省関係、また政府関係者の方が御出席されるというか、出席していただけるというようなお考えがございますでしょうか。

山口副大臣 この間の二月二十二日は日程上の都合がつかなかったので誰も行けなかったのですけれども、現実にどういう、次、我々がいるかどうかわかりませんけれども、いればできるだけ行きたいと思いますし、それから、いない場合には、誰か適当な人が行けるかどうか、きっちり検討させてもらいたいと思います。

渡辺(義)委員 そんなこと言わぬと、いてくださいよ。ありがとうございます。

 グーグルマップというのは御存じでございましょうか。韓国は、竹島は日本語読みすれば独島と書くんだけれども、日本海は東海と称していこうという運動もされておられるのですけれども、このグーグルマップで竹島を鬱陵島と、韓国領であるのかなと誤解するような表記になっておるのです。

 グーグルアースというところに、二〇〇五年八月十八日に韓国のとある掲示板から抗議が届きまして、日本海の英語名がシー・オブ・ジャパンからイーストシーというふうに変更されたようであります。日本側から抗議がグーグルに殺到したということで、結局、朝鮮半島側の海をイーストシーにして、日本海側をシー・オブ・ジャパンと表示されておるようでございますが、こういうことによって、日本海と東海と両方を併記するようなことが世界の中でもふえているようでございます。

 我が国にとってはちょっとゆゆしき問題であるなと私は認識しておりますが、外務省としては、こういった問題を解消するように何か取り組んでおられたり、今後何かお進めしようとされていることはございますでしょうか。

山口副大臣 渡辺議員おっしゃったように、韓国は、全世界的に、この日本海というものを東の海ということでやりたいということで、相当攻勢をかけていますね。この間の、ある国際機関でも、日本海ということに東海ということを併記しろと。我々は、申しわけないけれどもだめだということで、そういうことに今なっています。全世界の地図を分割して、そこだけは言ってみれば結論出さずで、ほかのところだけ片づけようかとか、あるいはその機関を全部なくしてしまおうかとか、相当きつい議論もやったのですけれども、最終的には、現状どおりということで落ちつかせたような次第です。

 私も、この間、日中韓の投資協定の前にソウルに行きまして、そのときに第一外務次官の人と話をしたわけですけれども、いろいろなことを話した後、あなた、時間あるかということで、二十五分延々と、日本海は東海ということで併記してくれと。これぐらい片づけられないと日韓の関係というのはどうにもならぬぞとまで言って、いや、申しわけないけれども、名前というのは昔からずっとこういうふうになっているんだから、それはもうこれでやらせてもらうよということで、相当やり合いました。

 ただ、最初会ったときも、唇がぷるぷる震えているものですから、何か言われるんじゃないかなと思っていたら、ああ、これだったのかと。向こうも相当緊張して言ったんだと思うんですけれども、私の方からはかなりきつく言わせてもらって、そんな細かいことを言っているようでは日韓関係は進まないぞというようなことで言わせてもらったのですけれども、相当韓国は全世界的に運動をしていることが、我々もはっきり実感しています。

渡辺(義)委員 副大臣、ありがとうございます。もっと力強く頑張っていただきたいと思います。

 そこまでおっしゃるなら、竹島問題については、もう国際司法裁判所に提訴したらいいんじゃないかというか、踏み切ってしまえというか、そういう御意向というのはございますでしょうか。

玄葉国務大臣 これはちょっと私、今手元にないんですけれども、たしかICJは、もう二回、過去そういう判断をしているんですけれども、これはたしか、受け手がそういう判断をしないと裁判がいわゆる成り立たないということなんですね。これは韓国側が拒否したんですよ。たしか、私はそう承知しています。ですから、そういう意味では、どういう手段が一番よいのかということは、おっしゃるように、オール・ジャパンで、最も有効な方策というのを検討していきたいというふうに考えています。

 今、山口副大臣から、日本海の単独呼称の問題がありましたけれども、私もそのことは感じますね。つまりは、本当にこのことについても含めて、しっかりと日本国政府は対応しないといけないと思っていますし、かなりシビアに担当者には指示をしているところであります。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 こういった日本の、我が国の領土、領海、領空、領域をしっかり守るという部分も考えまして、外務省、また内閣府になるのかわかりませんけれども、領土を守るような総合的な部局を設置するというようなお考えはございますでしょうか。内閣府と外務省にお聞きさせていただきます。

園田大臣政務官 先生御指摘、御関心事のように、自国を守る、あるいは領土、領海、領空、ここに関しての国の主権にかかわる大変重要な、極めて重要な課題、問題であるというふうに私どもは認識をさせていただいているところでございます。

 そういった意味では、領土の管理に関しての、今御指摘いただいた体制面も含めて政府としてどのように取り組んでいくべきかというものは、これはやはり内閣府、私は今内閣府の立場で答弁させていただきますが、内閣府のみならず、これは政府全体で取り組んでいく極めて重要な課題であるというふうに思っておるところでございますので、先ほど外務大臣からも御答弁がありましたように、オール・ジャパンで、政府全体としてもしっかりとこのことを考えていく必要があるというふうに考えておるところでございます。

山口副大臣 今、三つの、我々、尖閣は領土問題は存在しないということですけれども、尖閣については中国を担当する課、それから竹島については北東アジア課、あるいは北方領土についてはロシア課というところで、外務省的には、それぞれの地域でもってどういう協力があり得るかという、例えばロシアについてはそういうことも含めながらやっています。

 政経不可分ということをきちっと言いながら、なおかつ、その中でどういう経済協力があり得るかということを、これからプーチンさんとのやりとりも始まると思いますし、今度のG20では日ロで初めて野田総理とプーチン大統領が会うということも、我々、今アレンジしつつあります。

 そういう中で、領土問題ということだけよりも、それぞれの地域での見方を全部あわせた格好でこの問題をきちっと見ていきたいなと思っています。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 中国の問題はちょっとおきまして、次に、アフリカの問題に移らせていただきます。

 南スーダン、私も、PKOが派遣されるというようなことで隊旗授与式等々に行ってまいりました。ことし一月ごろでございました。今の南スーダンの情勢といいますか、それ以降、私も余り、新聞で少し、小競り合いがある程度のことを、今までのPKOの中では最も危険な地域ということで認識もしておったんですが、その後の情勢、治安も含めて、国内情勢についてお教えをいただけたらと思います。

草賀政府参考人 現在の南スーダンの情勢でございますが、お答え申し上げます。

 南スーダンの情勢は、実は北スーダンの情勢とも関係がございますが、南北スーダンの情勢について、四月中旬ごろ、南スーダンの方から北スーダン領とされる油田地帯に侵攻がありまして、軍事的緊張が一時高まりました。

 しかるところ、その後、日本も含めて、安保理ですとか、あるいはアフリカ連合ですとか、そういう諸国がいろいろ働きかけをいたしまして、五月以降は小康状態になってございます。実は、その中で、五月末からスーダンと南スーダンの間で、話し合いによるいろいろな諸課題の解決に向けた交渉が再開されてございます。

 国境はそういう状態でございますけれども、ジュバの方については、相当離れていることもございまして、治安は非常に安定的でございます。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。安定しているということでございますね。

 それでは、きょうは防衛省の方にもお越しをいただいておりますので、PKOで派遣されたその後の状況という部分、施設部隊のことについてお聞かせをいただけたらと思います。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに独立した南スーダンの安定は、国際社会で対応すべき重要な課題だというふうに私どもも認識しております。防衛省・自衛隊としても、インフラ整備などの、国連の期待が高い分野での人的貢献を行うことが、同国の国づくりに協力し、自衛隊施設部隊がその足跡を残せるような役割を担うということは高い意義を有するというふうに考えております。

 御指摘の施設部隊でございますけれども、平成二十四年一月から順次展開をしておりまして、南スーダンのジュバ及びその周辺で宿営地整備等を行いつつ、三月の上旬からは国連施設内の排水溝等の整備を開始しております。また、四月以降、国連の施設外で、ジュベル川というナイル川の上流でございますけれども、その給水点に至るまでの道路の整備でございますとか、今月からは、UNHCR、国連難民高等弁務官事務所の施設の敷地造成等を開始しております。

 施設部隊については、実は今月、一次隊から二次隊に部隊が交代いたします。二次隊になりまして、人員だとか機材が増強されまして、これから本格的な施設活動を行うための体制が整うというような形になります。

 また、今回は、施設部隊の活動にかかわります国連や現地政府機関等との調整を実施いたします現地支援調整所というのを設けまして、より一層、現地のニーズを生かした活動の案件形成というのもできるようにいたしております。

 私どもとしては、このような活動を通じまして、南スーダンの国づくりにこれからも積極的に協力してまいりたいと考えております。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 東北での自衛隊の活躍ぶりというのは、本当に国民の認識が変わるほどすばらしいものであったと思いますが、南スーダンの方での自衛隊の施設部隊というのはどういう御評価をいただいておりますか。

松本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども申し上げましたとおり、施設整備活動が始まったばかりで、正確な評価というのはまだないというふうに思いますが、国連の関係者等からは、我々の防衛省の職員でありますとかが訪問した際には感謝の言葉を述べられているところでございます。

玄葉国務大臣 本来防衛省だと思いますけれども、PKOの、特にこういった国づくり支援というのは、私は総じて高い評価を受けているというふうに思います。今回、南スーダンにつきましては、まだ始まったばかりということでありますが、私は高い評価を得ていくだろうというふうに考えております。

 なお、モロッコでTICADのフォローアップ会合があったときに、私はあえて南北スーダンのそれぞれの大臣、担当者と話をして、実は日本の特徴の一つなんですけれども、フォローアップ会合をするのも特徴なんですが、南北スーダンにバランスよく援助しているんですね。普通は実はバランスよく援助していなくて、どちらかの国に偏っているんですね。ですけれども、日本の場合、バランスよく援助しているものですから、それぞれに働きかけがしやすいんですよ。

 私から伝えたのは、こういう状況、つまり、今は小康状態になりました、私が行ったときはちょっとよくない状況だったものですから、こういう状況が続くなら、やはり経済的な援助にも当然ながら影響が出てくるという懸念も含めて伝えたんですね。非常に双方ともしっかり受けとめていたように私には受け取られました。

渡辺(義)委員 詳しく御説明いただきまして、ありがとうございます。よく理解できました。

 アフリカという国は、アラブの春じゃないですけれども、これからどんどん独立していく。また、これから日本の支援を求める国もたくさん出てくると思います。また、中国も一生懸命アフリカの方に向いて支援されておるようでございます。

 ぜひとも、我が国のポジションというか、そういうものを確立するためにも、法案の方にも出ておりましたけれども、大使館というものも早く設置される方が私自身もいいんじゃないかなと思っておりますので、御努力いただきますように一言お願いします。

玄葉国務大臣 ありがとうございます。ここは、在外公館名称位置給与法の改正が必要になりますので、ぜひ、この法案が成立すれば、南スーダン大使館の設置を検討したいと思っております。

 なお、中国がアフリカに出ていっている、おっしゃるとおりなんですが、日本に対する評価は非常に高いです。それは、先ほど申し上げたように、フォローアップ会合があって、しかも、約束したことを実行している、誠実である、こういう評価が私はアフリカ各国から直接届きます。そのことについては我々は、ある意味、誇ってもよい話であるというふうに考えますので、これは先輩方の蓄積も含めて、私は、日本は信頼を置かれているというふうに考えています。

渡辺(義)委員 ありがとうございます。

 法案がいつ審議されるかは、国会が延長されるかどうかというのはわかりませんので、あれでございますが、ぜひとも対アフリカ政策というものを前に推し進めていただき、すばらしい外交を展開してほしいということを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 昨年の臨時国会で、議論が尽くされないままに原子力協定の採決が強行されました。そのことが本委員会の不正常になった発端にもなったわけですけれども、あれだけの事故を起こしてなぜ原子力発電所を輸出するのかという議論の中で、野田総理も玄葉大臣も、積極的にはセールスしないけれども、もともと話が進んでいて、三・一一を経てもなお日本の技術が欲しいと言っていただけるのであれば協力するのが信義だという趣旨の発言を繰り返されていたと思うんですね。要するに、相手国のニーズがあるということをおっしゃっていたと思うんです。

 お手元に資料を配付させていただきました。

 ヨルダンでは、先月の三十日、下院議会が、原発計画には経済性と安全性に懸念があるとして、一時停止をする議案を可決いたしました。この委員会でも、内陸の乾燥地での冷却水の確保の問題なんかについてもいろいろ議論がありましたけれども、そういった極めて不十分な中で採決をされてしまったわけですけれども、議会を通じてヨルダンの民意というものが明らかになったという意味は非常に重大だ、重たいというふうに私は思っております。

 それから、裏には、ヨルダンの原子力委員長が、朝日新聞のインタビューに、シリア情勢などの安全保障上のリスク、あるいは資金調達等の課題を挙げて、それが解決するまで三、四年の計画延期もあり得るということもおっしゃっているわけです。

 大臣、このヨルダンの民意をやはりしっかり受けとめるべきだというふうに私は思いますけれども、それに関する所見をお願いいたします。

玄葉国務大臣 私や野田総理が、服部委員がおっしゃったような答弁をしていたことは事実でありますし、今でもそう思っているんです。つまり、相手国が日本に対して信頼と期待があって、相手国の事情、IAEAの問題等々を考えれば、やはり原子力協力そのものは、私は、この間の知見について共有をしていく、そのことには意義があると思うんです。

 ただ、それと商談、つまりセールスの問題とは、またこれは次元の異なるところが私はあるというふうに思っているんです。

 ヨルダンがどういうエネルギー政策をとるかというのは、まさにヨルダン政府自身が決めることであるというふうに思います。おっしゃったように、議会からこういう意見が出てきている、あるいは専門家からこういう意見が出てきているというのは、それぞれあるだろうというふうに思います。

 ちなみに、ヨルダンは今、シリアの難民を受け入れたりいろいろしていて、かつてよりは安定しています。ただ、あえて申し上げると、ゴールデンウイークだったと思いますけれども、ヨルダンに少しの時間、参りました。外相と話をしたときも、中東和平の話を中心にいたしました。私は、原子力のセールスのようなことはしないというふうに、私自身の中でそう思って、あえて、そのヨルダンの外相との会談ではしなかった。

 誤解のないように申し上げたいのは、私は、パッケージ型のインフラ海外展開というのは絶対必要であって、これについてウイン・ウインにするように積極的に後押しをしていくということが必要であるというふうに思っています。

 ただ、原発のビジネスの輸出の部分については、行け行けどんどんというか、何でもありということでは、私は、それはないだろうと。日本のエネルギー政策、原子力の問題についての一つの区切りというのをどういうふうに考えていくかということも踏まえながら、私は、政府がどのくらいビジネスそのものを応援するかということについては考えていかないといけないんじゃないかというふうに思っています。

服部委員 言わずもがななんですけれども、国会の決議というものは非常に重たいわけで、まさにヨルダンの民意だというふうに受けとめるべきだというふうに思います。こういった事故を起こして、やはり、海外に出すということのリスクも含めて、ここは本当に立ちどまって慎重にやっていただかなければならないというふうに思うんです。

 ベトナムでも今、声が上がっているわけです。四百五十三人が署名した抗議文書が日本政府宛てに提出をされております。その中でこういう文章があるんですね。日本政府がベトナムの原発建設を支援するのは無責任、非人間的、不道徳というふうに批判をされております。

 政府と政府はもう協定を結んでいるから、それは政府間の話だというふうにおっしゃるかもしれないけれども、こういったベトナムの声が上がっているということ、このことも十分深く受けとめていただきたいということを申し上げたいと思います。

 次に、沖縄の基地問題にも入りたいんですが、ちょっとその前に。

 ことしは、日中国交回復、いわゆる正常化四十周年に当たるわけです。私は、未来志向で日中関係を深めていくためにもやはり戦後補償の問題の解決というものは極めて必要不可欠である、そういう考えでおります。

 七三一部隊と日本軍による細菌戦の問題なんですけれども、二〇〇三年の十月に、「外務省、防衛庁等の文書において、関東軍防疫給水部等が細菌戦を行ったことを示す資料は、現時点まで確認されていない。」としつつ、「新たな事実が判明する場合には、歴史の事実として厳粛に受け止めていきたい。」こういう政府答弁をされておるんですね。

 それで、きょう、ちょっと資料をお配りいたしましたけれども、その新たな事実が国立国会図書館の関西館に所蔵されているということが昨年十月に日本の民間研究者によって発掘をされました。七三一部隊所属の金子順一軍医少佐による論文集であります。この中で、昭和十五年から十七年まで、六回にわたる細菌作戦が実施をされた場所、効果等がまとめられているわけです。

 これは米国が行った細菌戦に関する事実調査の結果とも符合する、既存の信頼できる資料等とも符合しているわけですけれども、大臣、この金子論文の新たな発見を踏まえて、日本政府として中国における細菌戦の事実の問題についてどういう見解をお持ちか、お聞きをしたいと思います。

玄葉国務大臣 細菌戦の話は、森村誠一さんの小説なんかで出て、いろいろ話題を呼びました。

 今の服部委員の指摘、いわゆる七三一部隊というのが旧日本軍の関東軍防疫給水部のことであること、及び他の旧日本軍部隊にも防疫給水部隊が存在したことは、これは公文書からも明らかになっている、先ほどおっしゃったとおりであります。ただ、いわゆる七三一部隊の活動の詳細については、やはり政府内部に資料は見当たらないというのが今の実態でございます。

 今の御質問は、この金子論文が新たな事実として出たのではないか、こういうお話なんだろうというふうに思いますけれども、今回、少なくとも、見つかった資料を含めて、歴史の学者の方々が今後どういう研究をし、その研究の深まりがどうなっていくのか、そういったことを踏まえながら、まさに先ほどおっしゃっていただいたように、新たな事実がそのことで判明するというのかどうか、そういったことを判断していきたいというふうに思っています。

服部委員 学者がということじゃなくて、これはもともと国が起こした戦争、国の機関としてやったことですから、ここはやはり外務省としてきちっと受けとめてやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 細菌戦遺族の皆さんの希望は、日本政府の責任で旧日本軍七三一部隊等の調査機関を設けて事実調査をまず行ってほしいということをおっしゃっているわけです。ですから、この金子論文が発見されたということを一つの大きな契機にして、七三一部隊の細菌戦の調査研究、真相究明に着手するという決意をぜひおっしゃっていただけませんか。

玄葉国務大臣 細菌戦に係る事実関係などは、時間的経過などを踏まえれば、政府が例えばさらなる調査を行って事実関係として断定できるのかどうなのかといえば、やはりこれはかなり難しいのではないかというふうに思っています。ですから、先ほど申し上げたように、歴史学者の方々のさらなる調査を待ちたいというふうに考えております。

服部委員 いや、だから、研究者に依頼されるのはもちろんいいんですよ。しかし、そのことも含めて、外務省としてきちっとやっていただきたいということを申し上げているわけで、まあ、この件については、引き続きまた別の機会に議論をさせていただきたいというふうに思います。

 次に、沖縄の基地の問題ですけれども、先週日曜日に沖縄の県議選がございました。実は、ことしの一月に、我が党の山内徳信参議院議員を団長に、沖縄から直接アメリカに声を届けようということで、数十名が訪米をさせていただいて、その際に、ダニエル・イノウエ上院議員ともお会いをしたわけです。

 その中で、イノウエ議員の言葉として、日本政府が、政府は沖縄県民と合意に達します、六月の選挙までは気を長くしてお待ちいただきたいということを言っていたというんですね。こんなことを言うのは大使館か外務省しかいないんだろうと思うんですけれども。

 今回、野党多数ということで、もう辺野古はだめだという県議選の意思表示は明確に示されたというふうに思うんですけれども、この県議選の結果について、今私が申し上げた事実も含めて、コメントがあればいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 ダニエル・イノウエ上院議員は、米国において大変な存在感のある方でございます。そして、日本に対する理解も大変深い方であります。私も何度もお会いをしておりますが、私からそういう言い方をしたことはございません。先ほどおっしゃったような言い方をしたことはございません。

 その上で、県議選の結果ということでありますけれども、全ての選挙結果というのは真摯に受けとめるべきであるというふうに考えております。

服部委員 真摯に受けとめていただいて、もう辺野古は断念をしていただきたいということを改めて申し上げておきます。

 米軍再編に絡んで、アメリカの上院軍事委員会が、改めてグアムの移転予算を凍結いたしました。今、嘉手納以南の基地のグアムへの移設とかいろいろあるんですけれども、肝心かなめのグアムの予算は凍結されている。それを解除するための条件として、米軍再編の全体像がまず明らかになっていない。これはアメリカの議会が言っていることですよ。それから、普天間移設の見通しが明らかになっていない、そのままではこれを解除するわけにはいかないという趣旨の御発言なんですね。

 こういう、アメリカの上院がこの状況の中でも予算を承認しない、まあ、パッケージを外してということで玄葉さんもいろいろ頑張っておられたのは私もよく承知しているんですけれども、この状況に対してどういう御見解をお持ちでしょうか。

玄葉国務大臣 アメリカにおいても議会というのは力があるわけでありますけれども、ただ、やはり、政府としてのコミットがより大切だと思うんですね。

 今おっしゃった動きは当然承知をしていますし、注視もしております。ただ、審議自体が、スタートをしてまだプロセスの段階にあるということで、結論がどうなるか、率直に言ってまだわからないという状況で、政府としては、日米両政府とも、同じコミットをしているということでございます。

服部委員 そういう厳しい状況だということはよく承知のことだと思いますけれども、これもまた引き続き議論させていただきます。

 テニアンで自衛隊と米軍が共同訓練を行う、その施設整備について、このグアム移転経費の枠内で日本も負担するというような報道が流れております。

 報道によると、それは合意したというようなことも流れているんですけれども、こういった、テニアンで日米が、日本もお金を出す、そこで共同訓練をするということ自身は、集団的自衛権の行使といったことにつながらないのかという懸念もあると思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

玄葉国務大臣 これは結論を申し上げれば、そういうことにはならない。つまりは、結局、自衛権とは一体何なんだということだと思いますけれども、その自衛権の中核というのは、やはり実力の行使でございます。

 仮に、今回のように、今回の場合はグアム及び北マリアナ、つまり、テニアン、パガンのことを指しているわけでありますけれども、訓練場を共同で整備することを検討することに合意をしたんですね。おっしゃるとおり、二十八億ドルの真水の内数でということにいたしましたけれども、このこと自体をもって、いわゆる集団的自衛権の行使に当たるかといえば、それは軍事施設であっても、いわゆる施設の整備そのものが集団的自衛権の行使に当たるというふうには私は考えられないというふうに考えています。

服部委員 事実関係としては、計画することを合意したということですね。

玄葉国務大臣 協力の検討につき合意というのが正式な言いぶりでございます。

 ただ、基本的にはそういう方向で検討していきたいというふうに考えております。

服部委員 施設そのものが集団的自衛権になるというふうには私も思いませんけれども、しかし、お金を出し、そこで施設をつくり、共同訓練をするという一連の過程が集団的自衛権に道を開くものでないかという懸念を私は持っておるということを、きょうのところは表明をさせていただきたいと思います。

 先ほど来オスプレーの問題、ずっと議論がございました。きょうの外務委員会の前日にオスプレーが落ちるということもちょっと話題になっておりましたけれども、実は十七日の日曜日、宜野湾市では、オスプレー配備反対の大きな市民大会が予定されているわけですよ。これはもともと、モロッコの墜落事故のもっと前に、このオスプレーは非常にリスクの高い航空機だということで反対だと。そこで、モロッコで落ち、アメリカで落ちということで、これは本当に大変な状況になっているというふうに思っております。

 それで、質問なんですけれども、先ほど玄葉大臣はアメリカに情報を求めるという言い方もされたわけですが、そもそも、まずモロッコの事故についても、事故報告はあくまで中間報告なんですよね。アメリカの事故報告というのは中間報告なわけです。ですから、そもそも中間報告でこれを安全だというふうに突っ走ってしまう、そういう考え方も非常に問題があるというふうに思います。

 そこで、このモロッコの事故の原因究明、それから今回、アメリカのオスプレー事故究明、この事故が完全に究明されて対策が行われるまでは日本の配備は認めない、こういうことでよろしいでしょうか。

玄葉国務大臣 先ほどモロッコの事故についておっしゃったんですけれども、航空機事故安全調査、これは、先ほど防衛副大臣からも答弁がありましたけれども、いわば機体に機械的なふぐあいはなかったと断定をしたということでございます。

 ただ、別途、法務官による調査が同時に行われている。なぜかといえば、事故による死亡、重傷が発生した場合などは法務官による調査が行われるというのが通常だと私は聞いておりますけれども、それは、事故調査は本年遅くに終了するというふうに見込まれていると聞いております。

 今回の事故を含めて、配備への影響そのものについては、先ほど来から申し上げておりますが、現状、何とも申し上げようがないという状況で、とにかく米国からしっかりと情報を収集して、提供を求めて、そのことを含めて、地元の皆さんに丁寧に説明をしていく。現時点で申し上げられることはそういったことでございます。

服部委員 沖縄県の幹部も、ヒューマンエラーに至る問題がなかったのか、詳細をしっかり説明してほしいということも言われております。

 お答えできる状況ではないということは、配備できない、配備しないという選択肢もその中にはあるという理解でよろしいでしょうか。

玄葉国務大臣 現状、先ほど申し上げた以上でも以下でもないということでございます。

服部委員 はっきりおっしゃいませんね。多分、沖縄の皆さんは注目して聞いておられると思いますよ。

 これは岩国に先行して配備するという話なんですが、一番最初、そうだったんですよね。ところが、現地が最初、反対したと聞いています。それで結局、那覇港に陸揚げするという計画になったんですよ。そうすると今度、那覇港の管理組合あるいは那覇市長がびっくりして、だめだ、こうなったんですね。そしてその後、報道では、米軍のホワイトビーチから搬入しようという打診もしたけれども、これも米軍が難色を示したという記事もございました。そこで、今度また岩国に持ってこようと。そして、岩国から直接航空機で普天間に移動したらどうだというような、そういう見方も出ているわけです。ところが、今回アメリカの事故が起きて、今度は山口県の県知事もやはりだめだ、こうなっているわけですね。

 この流れについて、たしかそうだったなというような認識をお持ちなのかどうかという点と、それから、今度は山口県知事がまただめだと言われているので、それならもうやはり直接沖縄に持っていこうかというような話になるのか。これは外務大臣に聞く話かどうかちょっとわかりませんけれども、その認識をお尋ねいたします。

玄葉国務大臣 これは防衛大臣だと思うんです。

 ただ、今服部委員がおっしゃったことは、少なくとも事実でない部分が含まれております。どこかというのはちょっと、あえて申し上げませんけれども、それは私は、経過は全部承知をしています。

 ちなみに、岩国は、一時さまざまな声を上げられたことがございましたが、この件で上げたということではなかったというふうに承知をしています。

服部委員 経過の中で私の認識の間違いがあるんだったら、それは率直に言っていただかないと、そういうカムフラージュ的な答弁をされても、私は非常に困るんですけれども。

 要するに、私は何を言いたかったかとすれば、先ほど、このオスプレーが日本全土で訓練飛行をやるということになれば、これは日本全体の問題だという指摘もありました。私も、それはそのとおりだと思います。

 ところが、沖縄はもっとシビアに考えていて、オスプレーを沖縄に上陸させるのに、反対があってやはりいろいろふぐあいがあるから、ちょっとカムフラージュとして、なだめるために、ほかのところを経由して沖縄へ持ってくるんじゃないかという疑念を持っているわけですね。要するに、沖縄に配備ありきという、その目的のためにいろいろやっているんじゃないか、そういう疑念を持っているということも改めて申し上げておきたいと思います。

 いずれにしましても、もう時間が来ましたので終わりますけれども、辺野古の新基地建設もそうですけれども、このオスプレー問題も、これはもう本当にだめです、大臣。原子力の再稼働も言いたいところなんですけれども、やはり、本当に政治生命をかけるというのであれば、消費税だとか原発の再稼働とか普天間とかオスプレーとか、こんなことをやめて、もっと我々の生活再建のために、ぜひ頑張ってくださいよ。それがそもそもの政権交代の目的だったんじゃないんですか。

 そのことを強く申し上げて、質問を終わります。

田中委員長 お疲れさまでした。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十分散会


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