衆議院

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第4号 平成24年8月1日(水曜日)

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平成二十四年八月一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 田中眞紀子君

   理事 菊田真紀子君 理事 長安  豊君

   理事 村越 祐民君 理事 山尾志桜里君

   理事 河井 克行君 理事 三ッ矢憲生君

   理事 萩原  仁君 理事 遠山 清彦君

      市村浩一郎君    小川 淳也君

      大泉ひろこ君    勝又恒一郎君

      阪口 直人君    首藤 信彦君

      中野  譲君    中林美恵子君

      浜本  宏君    早川久美子君

      三浦のぼる君    谷田川 元君

      井上 信治君    金田 勝年君

      後藤田正純君    武田 良太君

      長島 忠美君    丹羽 秀樹君

      瑞慶覧長敏君    渡辺 義彦君

      赤松 正雄君    笠井  亮君

      服部 良一君    浅野 貴博君

    …………………………………

   外務大臣         玄葉光一郎君

   外務大臣政務官      中野  譲君

   農林水産大臣政務官    仲野 博子君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    鈴木 久泰君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

七月三十一日

 辞任         補欠選任

  中津川博郷君     三浦のぼる君

八月一日

 辞任         補欠選任

  勝又恒一郎君     谷田川 元君

  山口  壯君     中林美恵子君

  秋葉 賢也君     井上 信治君

  小野寺五典君     長島 忠美君

  後藤田正純君     武田 良太君

  高村 正彦君     丹羽 秀樹君

  東  祥三君     瑞慶覧長敏君

  遠山 清彦君     赤松 正雄君

同日

 辞任         補欠選任

  中林美恵子君     山口  壯君

  谷田川 元君     勝又恒一郎君

  井上 信治君     秋葉 賢也君

  武田 良太君     後藤田正純君

  長島 忠美君     小野寺五典君

  丹羽 秀樹君     高村 正彦君

  瑞慶覧長敏君     東  祥三君

  赤松 正雄君     遠山 清彦君

同日

 理事遠山清彦君同日委員辞任につき、その補欠として遠山清彦君が理事に当選した。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 理事の補欠選任

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――

田中委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として海上保安庁長官鈴木久泰君及び防衛省防衛政策局長西正典君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜本宏君。

浜本委員 おはようございます。民主党の浜本宏でございます。

 十分間の時間でございますので数点しか質問ができませんが、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず冒頭に、一昨日、ブラジルの首都のブラジリア近郊でお亡くなりになられた西島公使、そして館員の福地由花さん、また、同じくブラジル側のお二人が亡くなる、四人が亡くなられるという交通事故がございました。西島公使を初め、亡くなられた皆さんの御冥福を祈りたいとともに、また、奥様が非常に大きな重傷を負われたということで、一日も早い御回復を祈りたいと思います。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 今申し上げたようなこういう交通事故、我々、海外で日本人が交通事故に遭ったり、あるいはテロに遭ったり、自然災害に遭ったり、そういうときに非常に心の支えになるのが在外公館だと思います。私なんかも学生のころから、最近でこそ海外に行く機会がなかなかとれませんが、過去、学生の時代から百回ぐらい海外に出たわけでありますが、特に若いころに海外に出たときに、在外公館の大使館とか、日本の大使館なんかを見たときに、外国によっては、何とも言いがたい安心感というのか、そういうものを感じたわけであります。

 そういう意味では、本当に、今我々国民は海外に出ていく機会が多いわけですが、そういう心の支えという意味でもこの在外公館の果たす役割は大きいですし、もちろん外交に果たす最前線基地としての役割という意味でも、在外公館が果たす役割は非常に大きいと思います。

 我が国の今の財政状況、非常に厳しい状況でありますし、また、政府の方針として、国家公務員の抑制政策ということで、国家公務員を減らしていくんだという要請があるわけであります。しかしながら、その一方で、我々はこういう、海外に出ていったり、あるいは外交の面で日本が果たす役割はますますふえてきているわけでありますけれども、特に在外公館につきまして、きょうは在外公館の名称位置給与法ということでありますから、これに焦点を当てて質問いたします。

 当時の岡田外務大臣のころに、在外公館に関するタスクフォースができ上がりました。そして、ことしの二月には外務省が在外公館の設置基準ということで提出をしておりますけれども、こういった資料によりますと、在外公館を先進国並みに、具体的に言えば約百五十の在外公館、大使館を設置していくんだ、これは二〇一五年までにやっていくんだ、こういう強い意思を、この二月に外務省の設置基準の中で明らかにしておられるわけであります。

 しかし、今申し上げたように、一方で、そういう国家公務員の削減とか、あるいは財政状況が厳しい、こういう問題がありますが、こういう状況の中で、果たして、二〇一五年までに百五十の在外公館を設置するんだ、特に大使館百五十、これは可能なのかどうか。そのあたり、外務大臣はどういうふうにお考えになっておられるのか、御見識をお聞かせいただければ幸いです。

玄葉国務大臣 国際法の教授でもある浜本委員は、外交力強化に御理解をいただいて、まず感謝を申し上げたいと思います。

 その上で、私も、就任してから改めて、この百五十という一つの目安を置きました。置いた上で、実館というより大使館の数をふやしていく、そのためにどうするかということを具体的に今検討させているところであります。

 可能なのかどうかと問われれば、まさに党派を超えて、人員の拡充も含めたバックアップがこの問題については必要であるというふうに率直に思っております。

 今、国連加盟国で百九十三、国家承認している国で百九十四、しかし実態は百三十四でございますので、あと十六ふやさないと一つの目安である百五十にならないわけでございますので、かなり急カーブを描いていかなきゃいけないという認識を持っています。

浜本委員 ありがとうございます。

 本当に厳しい状況でありますけれども、我々、恐らく超党派で、この問題についてはバックアップをさせていただけるのではないか、こういうふうに思っております。どうぞ我が国の外交の発展のためにも在外公館を、やはり基地があるかどうかというのは非常に大事なことでございます。めり張りをつけて、やはり外交の面は、財政が厳しくてもそこには光を当てていくということが非常に大事だと思いますので、釈迦に説法かとは思いますが、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 さて、そういう在外公館、私たちの生活にとって大事な在外公館でありますけれども、もちろんバックアップをしていくということは申し上げましたけれども、しかし残念ながら、最近の会計検査院、あるいは総務省の行政評価局の報告、指摘によりますと、在外公館における問題点が散見されるわけであります。

 例えば、もう時間がありませんから全部は言いませんが、これは処理ができておりますけれども、公館の館長に対する着後手当問題。これは千七百九十五万円節約できたんだというふうな指摘があります。

 それから、在外公館の配備医薬品の調達問題。

 これはちょっと申し上げておきますと、厚生労働省は、ジェネリックの薬品を二〇一二年、平成二十四年、本年までに三〇%やる、こういうふうに言っておりました。しかしながら、在外公館の配備医薬品の調達、平成二十年から二十二年の間に一億五千四百三十三万円出費しておるわけでありますが、そのうち、千百二十五品目を調達した中で、八百三十四が新薬、ジェネリックじゃない。しかしながら、その八百三十四のうち二百三十八がジェネリックだったということでありまして、もしジェネリック薬品を調達しておけば七百五十五万円の節約ができた、こういう指摘があるわけですね。

 同じ政府で、一方、厚生労働省がジェネリックを買ってください、こういうふうに言っているときに、在外公館の方では違った形でのものをやっていた。非常に残念なことであります。

 あるいは、ペルーのサンアンドレスの零細企業埠頭冷蔵施設設備計画、これも草の根・人間の安全保障無償資金協力で九百九十一万円を我が国が出して、冷蔵庫をつくりましょうということであったんですが、二年十カ月の間ほったらかしになっていて、そしてその資金を使わずに向こう側の資金でやっていた。これも、在外公館がもっと現地に行って調べておけばできた問題であります。

 こういうふうなことに象徴されるように、在外公館の皆さんが一生懸命活躍しておられる、これは感じるわけでありますが、しかしながら一方で、こういうふうに、工夫をすれば、あるいはもう少し努力をすれば、厳しい財政状況の中でもう少し改善できたのではないかという問題点があるわけであります。在外公館の皆さんに、ぜひこういった面でもひとつ、国民の皆さんに理解された外交の推進という意味でもこれは非常に大事な問題だと思いますので、外務大臣、このあたりどういうふうにお考えになられるのか、お聞かせいただけますか。

玄葉国務大臣 おっしゃるように、大使館をふやす、ふやすと言っても、国民の皆様から理解を得られなければ、なかなか、この予算をふやしていくということも含めて、実現しないということがあると思います。

 ですから、今おっしゃっていただいたような、会計検査院とか総務省の行政評価局からの指摘に対しては改善を図りましたけれども、常に外交実施体制を最適化する中で、スクラップ・アンド・ビルドをすることも含めて、また、必要な効率化は図りながら大使館の数をふやしていく、全体としての外交力を強化するということで、襟を正すべきは正しながら、大使館の数をふやすということに取り組んでいきたいというふうに考えております。

浜本委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いをいたします。

 では、最後になりましたが、今回のクック諸島及び南スーダンの二国と我が国はどのような外交関係を構築しようとしておられるのか、これについてお尋ねしたいと思います。

玄葉国務大臣 クックは、御存じのとおり、PALM6を先般開いて、いわば太平洋島嶼国でございます。太平洋島嶼国というのは十三カ国プラス一地域ということで、我が国が先鞭をつけて、島嶼国とのいわばサミットを行っているわけであります。五月の会議、サミットも成功したというふうに思っておりますけれども、その中で共同議長を務めてくれたのがクックであります。自然災害とか環境・気候変動、あるいは海洋の問題、国際場裏での協力等々について、やはりクックと協力関係を強めていきたいというふうに考えております。

 さらに、南スーダンにつきましては、もう言うまでもないことでありますが、自衛隊が出ているわけでございますから、この自衛隊についての支援をしっかりと行っていく必要がございます。また、原油がございます。たしか日産三十五万バレルくらいあったと思いますけれども、資源国です。南スーダンというのはアフリカの安定のかなめでもありますので、そういう意味で、やはり南スーダンとの関係を強化していかなければならないというふうに考えております。

浜本委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

田中委員長 次に、服部良一君。

服部委員 社民党の服部良一です。

 きょうは質問の順番について御配慮いただきまして、委員長初め各理事、委員の皆様にお礼を申し上げたいと思います。

 南スーダン大使館設置を含む在外公館法改正案の質疑ということでありますけれども、その前に、朝鮮半島出身の民間徴用者の遺骨返還問題について質問をいたします。

 実は、私は昨年の四月二十二日にも松本前外務大臣に質問をいたしましたが、その後全く進展がございません。

 二〇〇四年に日韓首脳会談で日韓両政府が合意をし、強制徴用者の遺骨調査をするということになり、仏教会に協力を求めました。それで、曹洞宗さんが宗門寺院を挙げて調査をされ、約七百体の遺骨の所在が明らかになっております。その中には、わずか五体ではありますけれども韓国内の遺族まで判明したものもあります。しかし、日韓両政府の話し合いがつかず、遺骨の返還が一向に進んでおりません。

 きょうは、曹洞宗のホームページを参考までに配付させていただきました。外務大臣、まだお読みになっておられないのであれば、ひとつ、後ででも結構ですけれども、ちょっとじっくりとこの曹洞宗の声を聞いていただきたいと思うんです。

 この中には、こういう指摘がされております。「待ちわびる遺族の心情とはおよそかけ離れた国家の威信や外交上の駆け引きという戯論によって、本質を見失った日韓両政府の遺骨返還事業が、着手の見通しすらなく、中途挫折の危機に遭遇している。」それから、「国家と戦争・植民地によって作り出されたこれらの無縁遺骨が、またしても政府の理屈と不毛の駆け引きという国家の回路に埋もれていく。私たちは、このような不条理や不敬を許していていいのだろうか?」という非常に厳しい問いかけをされていらっしゃるわけですけれども、二〇一〇年、菅談話にも触れられたこの遺骨返還の問題、外務省としてどうされていくのか、外務大臣、御答弁いただけませんでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、もう既に服部委員は御存じのとおりでありますけれども、人道的な観点から、可能な限り真摯に対応しているということであります。

 旧軍人軍属に関しては、その方々の御遺骨を返還してまいりました。それは祐天寺に預託をされている方々の御遺骨でございます。また、今おっしゃっているのは旧民間徴用者等の御遺骨の返還ということでありますけれども、確かに、現時点で、いまだ所在の把握に努めているという段階でございます。

 残念ながら、韓国政府といまだ調整が進んでいないというのはおっしゃるとおりでございます。ただ、これは一昨年八月の総理談話で明らかにしておりますので、外務省として、韓国の外交当局と緊密に連携をしながら、可能な限り早期に返還が行われるように対応をしたいというふうに考えております。

服部委員 仏教会に頼まれたのは外務省なんですね。それを真摯に受けとめて、曹洞宗でこういう事業を毎年何千万もお金をかけてやられて、一向に返還が進まないということで、本当にあきれ果てておられるんですよ。だから、もう自分のところで直接やろうかというような話まで出ているというふうにお聞きしております。

 これは一体何が問題でとまっているんでしょうかね、外務大臣。どういう御認識でしょうか。

玄葉国務大臣 これは、基本的には協議の中身については、相手国との関係もあるので、この場では差し控えたいというふうに思っています。

 現状を、恐らく服部委員はいろいろと御存じなのではないかというふうに思います。

服部委員 いやいや、私は知らないから質問をさせていただいておるわけです。

 大臣、いずれにしても、こういったことはやはり丁寧に、ぜひ指導力を持ってやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 南スーダンにPKOが派遣をされております。国づくりを支援するために今何をすべきかということですけれども、私は、アフガンの経験からしても、日本がやるべきはやはり人道支援、民生支援だろうというふうに思っているわけです。

 そういった中で、今回、PKO法を改正して駆けつけ警護を可能にしようという動きが表面化しておるわけですけれども、今国会にPKOの改正法案というのは出さないということでよろしいんでしょうか。

玄葉国務大臣 これは、もう率直に申し上げますけれども、内閣法制局との調整にてこずっておりまして、そういう意味で、今国会提出は少し難しいという状況にございますけれども、最後まで努力を続けたいというふうに私は思っております。

服部委員 ちょっと玄葉大臣の御認識をお聞きしたいんですけれども、法制局との調整にてこずっていると。てこずっているということは、早うしろ、早う変えたいんだというんだけれども、法制局が何かだだをこねているみたいな語感のニュアンスで私はちょっと聞こえるんですけれども。

 この駆けつけ警護に武器を使用することになる、いわゆる自衛隊の武器使用の緩和に結びつくことなんですけれども、このこと自身の憲法解釈といいますか、玄葉大臣の御認識はどういうものなんでしょうか。

玄葉国務大臣 結論から申し上げると、私は駆けつけ警護について真剣に検討していく必要があるというふうに考えております。

 PKOに派遣された自衛官自身の生命または身体の危険が存在しない場合に、当該自衛官の所在地から離れた場所に駆けつけて他国軍隊の要員等を防護するために武器を使用することは、憲法第九条の禁じる武力の行使との関係で慎重な検討を要する場合があるが、真剣に検討していく必要があるというふうに考えております。

 ただ、今法制局との関連ということを申し上げましたけれども、憲法上許容され得るのかどうかということについて、引き続き検討していかなければならないというふうに考えております。

服部委員 玄葉大臣は、案外タカ派なんですね。

 では、集団的自衛権についても、強い問題意識を持っておりますというふうに御発言されておりますけれども、この集団的自衛権についての強い問題意識というのは何でしょうか。

玄葉国務大臣 私は、集団的自衛権の問題について、現時点で内閣全体として憲法解釈を変えることはしないということを明確に申し上げた上で、問題意識を持っているということを言っています。

 つまり、まず、我が国の安全保障環境が厳しい中で、我が国自身の防衛力を適切に整備するということが大事でありますけれども、その上で、日米同盟というものがあるわけでありますけれども、この日米同盟を深化させていく。そのときに、例えば計画検討であるとか、ミサイル防衛であるとか、拡大抑止であるとか、宇宙、サイバー、情報保全、あるいはRMC、それぞれこれから充実をさせていかなければならないわけであります。あるいは周辺事態の問題などもあり得るでしょう。そういった事態の中でどういう形で我が国の安全保障をまさに担保していくのかということの中で、問題意識として私は持っているということでございます。

服部委員 非常に前向きの印象を受けましたけれども、これは御存じのように、過去、長年にわたって憲法解釈で議論のあったところでありますし、我々社民党はもちろん反対ですけれども、玄葉大臣についても、ひとつバランス感覚のある、冷静な、良識のある御判断、解釈を心よりお願いいたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、金田勝年君。

金田委員 在外公館名称位置給与法改正法案の審議ということで、私は、この法案とのかかわりを二十年前に持ちました。そんな関係もあります。今は名前が変わりましたが、財務省、旧大蔵省の主計局で課長をやっておりましたとき、この担当を持ちました。したがって、非常に懐かしい思いを持って、この法案の現状について、どういう状況にあるのか関心を持っている。

 それから、六年前は、外務省のために一生懸命働いた経緯もあります。ということは、国家国民のために働くということであります。六年前、外務副大臣をやらせていただいて、そのときも、強力な外交を推進するためには、やはり外交執行体制というか、そういうものが非常に重要だということを感じておったものですから、そういう時点時点で私が感じたことを比較しながら大臣の所見を伺いたい、こういうふうに思っております。

 同時に、この前、玄葉大臣がロシアを訪問された。そのことについてもまず質問をしたいな、こういうふうに思っております。

 初めに、先日、私の地元の秋田から、秋田犬がプーチン大統領に贈られたということなんですね。プーチン大統領がみずから「ゆめ」と命名された。ロシア語で夢はメチターというんだそうでありますが、私の地元でも、世界に夢が届けということで、大変盛り上がっておるんですね。ロシア側から秋田県に対してシベリア猫が贈られるといったようなことで、ロシアとの新たなかけ橋として大きな期待が寄せられているという状況があるわけであります。

 この秋田犬から、互いの友人に対します近隣の信頼関係の大切さというものを感じるきっかけになってもらえば非常にいいな、こういうふうに私は思うんですが、大臣の所見を伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 旧知で秋田出身の金田先生から、秋田犬、犬の方のお話が出ました。

 これは、もともとの経緯は先般もこの場で申し上げましたけれども、日本がというよりは秋田県知事の、あるいは秋田県の、プリフェクチャーの方の秋田県の発意でありまして、被災地支援の感謝の意を込めて贈りたい、こういうお話をいただいたわけであります。三カ月の子犬でありましたけれども、野田首相から六月十八日のロスカボスでの首脳会談で秋田県側の希望を紹介して、七月二十七日にロシア側に秋田犬を引き渡したということでございます。

 プーチン大統領との会談でもこの話は出ました。そして、この秋田犬について、私は、とにかくこの愛らしいプレゼントをいただいて、県知事さんによろしく伝えてほしいということでありました。予想していなかったのでありますけれども、おっしゃったとおり、シベリア猫を贈りたいというお話でございましたので、少しでもこういったことがかけ橋の一つになればというふうに考えております。

金田委員 さて、ここからは私の質問は多少厳しくなるんですが、我が党の麻生外務大臣、おやりになった当時というと今から六年前ですね、私は外務副大臣をやらせていただきました。そのときに、二〇〇六年だったんですけれども、私は、北海道の根室沖で拿捕された日本漁船の船長の釈放を求めるためにロシアを訪問させていただきました。長時間会談をさせていただいたんですが、そのときのロシアの外務大臣、もうそのときに既に現在と同じラブロフさんだったんですね。六年前ラブロフさん、実は二〇〇四年からラブロフさんなんです、外務大臣なんです。

 ところが、日本の場合は、政権交代後、この三年間で四人目、岡田大臣、前原大臣、松本大臣、そして玄葉大臣、わずか三年足らずで四人の外務大臣が誕生した。申し上げるまでもなく、外交は国益と国益がぶつかる政治で最も大切な分野だというふうに思っておりますが、こうした状況の違いというか、こういうものをやはり踏まえて、いろいろな戦略を持って交渉するということが非常に重要だと思うんですが、そこでお聞きをしたいと思います。

 七月二十八日に玄葉大臣はロシアを訪問して、ラブロフ外務大臣、プーチン大統領と会談された。今回の訪ロの目的というのは、先般の、七月初旬のメドベージェフ首相の国後島訪問に抗議をして、今後ロシア首脳が北方領土に訪問することがないようにくぎを刺すのが目的だったと思うのであります。前回、二〇一〇年十一月でしたね、当時はメドベージェフさんは大統領でありました。国後島を訪問した際は直ちに在ロシア日本大使を帰国させた、そういう外務大臣の対応だったと思うんですが、今回は逆に玄葉大臣がロシアを訪問したことになるわけです。

 ラブロフ外相は、ロシア政府要人の北方領土訪問を今後控えることはないんだと明言をされた、日本側の抗議は受け入れられないという反論もされているということですけれども、これは事実でありましょうか。

玄葉国務大臣 反論したかと問われれば、それは事実であります。まず、恐らく、時代認識等も含めて、認識が違うのかなというふうに思います。

 ラブロフ外相との会談では、ラブロフ外相自身も二〇〇七年に北方領土に行ったというふうに言っておりました。あるいは、一九九三年にはチェルノムイルジン首相が北方領土を訪問しています。ちなみに、その当時、ほとんど抗議らしい抗議をしておりません。今回、私は、前後を含めて対応しながら、かつ訪ロをして遺憾の意を伝えたわけであります。そして、国民感情への配慮が必要であるということをラブロフ外相との会談で何度も強調した。

 その上で、当然ながら、外相会談というのは、私も全ての記録をこの間読んでおりますけれども、実質的な交渉に入れば入るほど、最初は原則論の応酬をやらざるを得ません。そういう中で、プーチン大統領との間では、そういう応酬ではなくて、双方受け入れ可能な解決策を探るということで一致をした。

 これから、外相間、首脳間、そして次官級、それぞれのレベルでこの北方領土の問題の交渉を続けていくということについて一致を見たというのは、一定の成果であるというふうに私は考えております。

金田委員 反論されたかということであれば、それはそうだというお話ですけれども、ロシア政府要人の北方領土訪問を今後控えることはないと明言したり、あるいは日本側の抗議は受け入れられないという反論があったということであるとすれば、これは何のための訪ロだったのかな、成果はなかったというふうに言わざるを得ないと思うんですが、どうでしょうか。

玄葉国務大臣 そこは、認識が違うということであります。

 つまり、まず一つは、直接、国民感情への配慮が必要であるということを言う。それは、相手の立場に立つ必要はないのですが、議論のための議論をあえてすれば、相手の立場からすればそう言わざるを得ない。しかも、共同記者会見で記者から聞かれて、それに対してどう答えるかといったときに、私は、私が逆の立場だったらそう答えるのかなと思わなくもない。

 そういう中で、私は何度もラブロフ外相には国民感情への配慮ということを言った。しかも、プーチン大統領とは、先ほど申し上げたように、応酬はなく、かつ国民感情への配慮について語り、しかも、それに対して首肯したということでございますので、くぎを刺すことだけが目的ではありません。もちろん、そのことをきちっと伝えるということは一つの目的ではありますけれども、もっとビッグピクチャーで日ロ関係を見ないといけないということだと思います。

 やはり、日本とロシアの関係をこれからどうしていくのか。現下の国際情勢の中での日ロ関係をどう見るのか。これからお互いに、ある意味、世界史が本当に大きく変わろうとしている今の国際情勢の中で、私はお互いの戦略的な利益は合致をするというふうに考えていますので、そういう大前提について、これはラブロフ外相ともプーチン大統領とも一致をいたしましたので、私はそのことを一致させたいという思いで参りました。

 ですから、今回の反論、率直に申し上げて、完全に想定内のことでありますので、今回、先ほど申し上げましたように、首脳間も外相間もあわせて交渉を継続する、しかも、日ロ間の協力がこれからますます重要であるということを確認できたということは大変意味があるし、実質的な議論に入ったということ、そのこと自体も意味があるというふうに思います。

金田委員 そういうプラス面を今後の手続面、そういうことから評価しようという大臣の姿勢はお聞きしましたが、やはり基本的に外交交渉も、会談するだけでは、成果が出ているかというチェックは非常に重要なので、会談を重ねるだけではだめなので、成果が出るか出ないか、そこのところをしっかりと見きわめていかなきゃいけないと思うんですよね。

 在ロシアの日本大使を呼び寄せた前回の対応、そして、今回は大臣が出かけていって、そこで向こうに日本側の立場を話をした。まあ、この交渉について、どちらがどういう効果を持つのかという評価は、時間をかけてもう少し別の機会にやりたいと思いますけれども、領土問題について、互いの原則的な立場を言い合うだけで終わってしまってはいけないと思うんですよね。

 ですから、北方領土問題というのは、二国間の基本的立場が全く違う、溝が深い。幻想といいますか、プーチン氏の大統領復帰によって領土問題が進展するというふうに思うのは幻想にすぎないのではないか。ただ対話を重ねていくだけで推移していってしまっては既成事実がいろいろ積み重ねられていく、こういう状況を我々は看過することはできないというふうに思いますから、会談するだけで成果を求めないという考え方はどうしても、常に戦略を見直していく、そういう姿勢が必要なんじゃないかな、こういう感じがするわけであります。

 もっとも、政権交代後三年間、外交はいろいろ言われました。これは玄葉大臣が大臣のときじゃありませんから、いろいろなお荷物をしょっていらっしゃるような、そういう状況だと思うんですけれども、普天間基地移設問題、尖閣諸島をめぐる問題、北朝鮮のミサイル発射への対応の問題、そして今回のオスプレーの配備の問題、数々の対応に、今国民の不安が非常に高まっている。国際社会における我が国の国益が失われつつあるのではないかという不安、そういう思いが非常に今高まっているわけです。ですから、政権交代後の政権の外交交渉能力がどうなんだ、ないんじゃないかと言う人も多いですし、それから、政権担当能力があるんだか、そういう声も多い。だから、そういう結果となってしまうわけですね。

 ですから、では強力に政権基盤を持って外交交渉するということであるのかなと思うと、政党の中で、まさに党内を見ても離党者が続出する。こういう、政権基盤が弱くなっている、極めて弱体化しているという場合には、本格的な交渉を進める時期ではないというふうに相手から足元を見透かされているのではないか、こういう心配が出てきます。

 したがって、北方領土問題の解決に向けて、また、平和条約締結についても、今後どのような交渉を行っていくのか、その点を非常に心配していますので、答弁いただきたいと思います。

玄葉国務大臣 まず、先ほど申し上げましたけれども、私は、この間の日ロの交渉の全ての記録を何度も読んでおります。これはもちろん公開されていないものもたくさんあるわけでありますけれども。その上で、交渉に入るときには、まず必ず原則論の応酬があります。ただ、そのときに感情的にならずに、今回もそうなんですが、冷静に、しかし、先方が第二次世界大戦の結果だと言ってきたら、それに対して明確な反駁、反論というものをしなければなりません。これはメディアの前で私はやるつもりはありません。

 ちなみに、ラブロフ外相は、自分は委員会に出るのは二カ月に一回くらいなので、徹底して他の国の議事録を読んでいるんだというふうに言っておりました。日本の議事録も訳してもらって読んでいると言っておりましたけれども、そういう意味では、この場でも手のうちを明かすわけにはいかないんですが、ただ、まずは、そういった実質的な交渉に入るときはそれを行わなければならない。

 その上で、やはり領土問題というのは、最終的には首脳間の信頼関係がなければ私はだめだと思います。首脳間で最終的に決めていく、そして、もちろんそのバックには国民の支持が必要であるということだと思います。

 先ほど政権基盤の話がございましたけれども、私も一般論で申し上げれば、政権基盤が安定すれば安定するほど外交交渉は行いやすいというふうに思っていますよ。その上で、私はやはりオール・ジャパンで外交というものを展開しなければならないというふうに考えておりますし、ですから、今、今後を見通した中で、何をどこまで今回進めるべきなのかということを考えながら私は今回訪ロし、そういう意味では、大体、所期の目的というか、考えていたとおりの成果を得たというふうに考えております。

金田委員 首脳間の信頼関係、それから政権基盤が強いほどいい、オール・ジャパンで、そういうお話は当然のことだというふうに思います。

 視点を変えますと、ロシアは今、アジア太平洋地域を重視しております。経済では日ロの協力プロジェクトが進んでおりますし、サハリンの石油、天然ガス開発、それから自動車工場など、日本企業の進出も進んでいるんですね。そして、この九月にはウラジオストクで、極東ロシアでは初めてのAPECが開催される。

 また、我が自由民主党が提出しております議員立法の国土強靱化基本法というのは、事前防災に加えて、リスク分散のための日本海国土軸といった多極分散型の国土形成をうたっておりますし、先日は全国知事会で日本再生デザインといった中間報告が出されまして、日本海側に国土軸を形成する方針が明記された。

 こういうふうに、環日本海の対岸交流、貿易・投資、こういう側面は、両国にとってメリットのある日ロ関係の強化という考え方で出てきているわけですね。ですから、経済だけではなくて東アジアの安定のためにも、こういったものが今後ますます重要性というのが高まってくるというふうに思われるわけです。

 だから、オール・ジャパンでと言われましたけれども、そうは言いながらも、外交交渉の手続面だけで、中身に成果、展望がない交渉を重ねるというのではなくて、やはり中身が前進する、意味のある交渉の成果を持つ、そういうところが非常に重要なので、そのための具体的戦略というのが必要だと思うんですが、その点について簡単にお願いします。

玄葉国務大臣 今の金田先生の言われた中の前半は、私は認識、一緒です。

 先ほど申し上げたように、手のうちは全て明かすわけにはいきません。ただ、おっしゃったとおりなのは、このアジア太平洋の中で、日ロの関係というのはますます互いにとって重要になっていく。

 おっしゃったとおり、ロシアは極東シベリア開発というものを大変重要視しています。私も、極東シベリアのいわば投資についての可能性に言及したことも事実であります。特にプーチン大統領は、私との会談でも、さまざまな日ロのこれからの可能性について、多分野にわたって多様性のある協力関係を深めたいのであるということをとうとうと述べておられました。私は、その潜在力のふたあけを本格的に行っていくためには平和条約が必要なのである、もしその平和条約ができれば強力なパートナーに日ロというものはなれるのである、そういったことも私の方から述べたところであります。

 したがって、今回、ラブロフ外相とは私、五回目の会談、電話会談も何回もやっておりますけれども、本格的にこの領土交渉についての議論をしたのは初めてなんですね、時間をかけてやったのは。これからまさに受け入れ可能な解決策というものを探り始める、こういうことになろうかと思いますけれども、一回で全ての成果というものを求めるというのは、私は余りにそれは無理があるというふうに思いますので、今回の訪ロでどこまで得られればよいか、一定の達成目標というものを持って私は訪ロいたしましたので、そういう意味では所期の目的を達成したというふうに考えております。

金田委員 手のうちは明かさない、そういう便利な言葉があるわけですけれども、そこを乗り越えて、ぜひ具体的な戦略、そういうものをしっかりと持ってこれからも前進していただくように、心からお願いしたいと思います。

 それでは、今回提出されております在外公館名称位置給与法、これは一回聞いただけではなかなか覚えることのできない名称であります。この改正法案について幾つかお尋ねをしたいと思います。

 厳しい国際情勢の中でありますから、我が国の国益をしっかりと確保しながら外交力を強化していく、そのためには、在外公館で働く皆さんのやる気というものを引き出して、外交実施体制を強化していくという必要があるわけであります。

 我が自民党のことを申し上げますと、二〇〇六年、平成十八年に外交力強化に関する特命委員会というものを設置したんです。そして、十九年に、平成十九年は二〇〇七年ですね、外交力強化へのアクション・プラン10が採択されたんです。その中に、これも私が副大臣をやっているときだったんですが、「今後十年間で百五十大使館体制を早期に実現するとともに、二千人マンパワーを着実に増強し、外交実施体制を抜本的に強化する」と明記されておったんですね。

 こうした提言を受けて、実は、二〇〇七年から二〇〇九年までの政権交代直前までの三年間に大使館体制は具体的にどれだけ整備されたのか。それから、加えて、政権交代後、二〇一〇年、一一年、一二年、この三年間で、現在まで整備状況は、どれだけ整備されたのか、これをお聞きしたいと思います。

玄葉国務大臣 まず、この自民党政権下での外交力強化に関する特命委員会の活動について、私も若干説明を、かつて受けたことがあるんです、この百五十の体制にしようというふうに指示をしたときに。私は、こういった委員会に関しては敬意を表したいというふうに思います。

 その上で、確かに、平成十九年度、二十年度、二十一年度は、それぞれ大使館が新設されているんです、四つなり、五つなり、六つなりですね。最近、ではこの三年間はどうかというと、平成二十三年度は在ジブチ大、そして政府代表部としてASEAN代表部が新設されているというのが現状であります。これは率直に認めざるを得ません。

 ですから、先ほど超党派と申し上げましたが、今、菊田座長にも相談をしておりますけれども、本当に党派を超え、また与党の応援を得ながら、この外交実施体制の強化というものに努めていかなければならない、こう考えております。

金田委員 三年間でどのぐらいの数字の差があるか、余りはっきりしなかったんですが、たしか、私の記憶では百十七から百三十三、百三十四、だから、十六ぐらい最初の三年間ではふえていました。ところが、政権交代後、一つふえただけかな、百三十三から百三十四、三年間で。こういう状況は、私は非常に残念であると申し上げざるを得ないんです。

 言い方をかえれば、我が国が承認している国の数というのは百九十四になりますね。だから、今回は南スーダン、クックですか、この二カ国は、その百九十二から百九十四に、承認されているところに大使館を置きますよという法改正になるわけですけれども、実際に設置されている大使館の数というのは今は百三十四ですね。

 この六十という差は、ずっとここのところ、三年間、六十のままだ。まあ六十一のときもあったけれども、六十のままだ。これが問題なので、政権交代前、二〇〇六年―二〇〇九年の三年間、十六、七ふやしていたときに比べて、全くそれがとまってしまった。

 だから、二〇一二年二月の外務省の提言があるんですよね。ことしの二月ですよ。この提言でいけば、在外公館の基本方針というのをおつくりになっている。これは大臣のもとでつくったんですよね。これでは、二〇一五年度までに百五十大使館体制の実現は可能であるのかどうかという問題提起が出てきちゃうわけですよ。あと三年で十六ふやす、ことしの二月にそういうことをうたっているんです。さあ、どうですか。可能ですか。

玄葉国務大臣 百五十、一つの目安です。おっしゃるように大変だと思っています。

 ただ、ことし、まず頑張らないといけないと思っているんです。概算要求から頑張っていかないといけないと思っていまして、少々高目の目標を持って、おっしゃるとおり、この三年で余りつくれなかったわけですから、挽回をしなければならないというその強い思いは受けとめていただきたいというふうに思っていますし、やるからには結果を出せるように、予算編成に向けて頑張りたいというふうに思っております。

金田委員 大臣からは、強い思いがあると。二〇一五年までに百五十大使館、実館数というか、実際の設置数、今は百三十四だけれども百五十まで持っていきたい、こういう力強い発言があったんですけれども、これはなかなか大変なんですよ。だから、今までの三年間、一つしかふえていないというのは非常に問題だというふうに受けとめております。

 六年前の話をして恐縮なんですが、麻生外務大臣当時は国連の常任理事国入りを目指していたんですね。だから、非常に我が国が国際社会の中で、プレゼンスというか存在感を高める努力を猛烈にしていました。それが、ぴたっと今やんでいる。政権がかわったらやんでしまったというのは、これはトップに立つ大臣やいろいろな皆さんの努力が足りないんじゃないかというふうにみんな思っちゃう。やはり、いろいろな国々は、いろいろな課題について、その国と全力でぶつかり合うわけですから、足元を見る。こういうことをしっかり踏まえていただきたいんです。

 一方で、中国なんかを例にとれば、国際社会での発言力を非常に強めている。こういう状況は、国際政治の中で非常に重要な要素だ。特に、アフリカに進出している。実際は、アフリカに限らず、全世界の外交拠点を拡充しているわけです。

 そこで、中国が大使館を設置していて我が国が設置していない国というのはどのぐらいあるのか。逆に、我が国が設置していて中国が設置していない国というのはどのぐらいあるのか。また、アフリカの場合はどうなのか。簡単に答えてください。

玄葉国務大臣 まず、三年間で百五十の話でありますけれども、確かに、国連安保理の常任理事国入りを目指していたときに一気にふやしていった側面もあると思うんです。おっしゃったとおり、伸ばしたときというのは一年間に六つつくっているんですね。ですから、六つつくるレベル、つまり、そのくらいの勢いで頑張れば不可能ではないということでの目標だというふうに御理解をいただければと思います。

 その上で、今の御質問でありますけれども、平成二十四年一月時点、中国は大使館を設置しているが我が国は大使館を設置していない国、これは四十カ国。このうち、十八カ国がアフリカ。これに対して、我が国は大使館を設置しているが中国が大使館を設置していない国は十カ国。このうち、一カ国がアフリカということであります。

 我が国が大使館を持っているのは、おっしゃったとおり百三十四でありますが、中国は百六十四カ国持っているというのが実態でございます。

金田委員 こういう現状なんですよね。だから、中国は世界じゅうで発言力を強めていくという状況。特に、アフリカのような開発途上国あるいは新興国の中でその傾向が顕著だ。これは、将来を考えたときに、やはり我が国の外交力には非常に大きな影響を与えてくるというふうに思うんですね。

 だから、こういうところを、単年度の予算主義の中で、今だけを考えればいいような、そういう課題ではない。私たち国会議員は、この国のために、国の将来のために命がけで頑張っているわけですから、そういうところを見逃してもらっては困るので、もっと外交に自信を持てる国になってほしいという意味で、そういう体制の整備も、ぜひこの際お願いしておきたいと思います。

 となりますと、今回の改正案で、アメリカのポートランド、それからドイツのハンブルクの総領事館が廃止される。これはいろいろな考え方で、つくるところもあれば、その用を達したのでもうこれは兼轄にしてもいいなというような感じで、それを廃止するということもあるわけです。外交拠点、発信の拠点、まあ情報収集ももちろんですけれども、それからサービスの拠点、邦人保護とか、そういったさまざまな課題を持つ在外公館として、我が国の経済関係の深さあるいは在留邦人の数から見て、維持する必要はもうなくなったという判断なのか。この辺はしっかりと、やはり廃止するところも精査をしていってほしいな、こういう思いを持つわけであります。これは聞きません、時間の関係で。

 それから次に、人員の体制についても拡充していくという考え方が私は必要だと思っているんですが、この辺をお聞きします。

 私も、これは六年前の外務副大臣のときに、アメリカ、中国はもちろんですが、アフリカ、中南米、中東地域を訪問しました。そして、中には非常に厳しい環境で、実際に外交の最前線で奮闘している職員を見てきた私としては、強調したいのは、やはり人員体制の拡充も同時に必要なんだよということだというふうに思います。もしそれがなければ、真の外交実施体制の強化にはつながらないということであります。

 現在の外務省の定員の水準というのは、主要国と比べてどういう水準であるか、そしてまた外交を展開する上で十分と言えるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

玄葉国務大臣 こういった問題について財務省時代からずっと取り組んでおられますからお詳しいと思うんですが、外務省の職員定数は、平成二十四年度で五千七百六十三人、平成十九年度のときは五千五百四人ですから、二百六十人増員とはなっているということなんです。

 ただ、今の御質問は、主要先進国と比べてどうか、こういうことでありますけれども、主要先進国、例えば、先ほど申し上げたように日本の外務省が五千七百六十三名ですが、イギリスは六千二百十名、ドイツが七千七百三十二名、フランスが九千六百三十四名、アメリカは二万六千五百十六名。ちなみに、新興国ということなんでしょうが、主要国ですが、中国が九千名、日本の約一・五倍、ロシアが一万二百七十八名、日本の約二倍というのが実態でございます。

金田委員 要は、財政事情は厳しい、あるいは行革も常に見直す、それは当然のことであります。しかし、ほかの主要国に比べて、私どもの方の外交を預かる人員体制がどうなっているか、これはやはり別の角度というものもあるわけですから、そういうところをしっかり見ていただかなきゃいかぬな、こういう思いを持つんですね。

 例えば、今おっしゃった数字なんですけれども、これまた傾向があるんですよ。大臣には耳ざわりが悪いと思うんだけれども、外交力強化のアクション・プラン10で、先ほど言いました二〇〇七年につくったものですね、二〇〇七年の、十年間で二千人、マンパワーの純増を目標としていたわけです。これをやるために、二〇〇六年に比べて、二〇〇七年、八年、九年の三年間で二百五十人、たしか私の記憶では二百五十人ふやしている。ところが、その後、政権交代があってから、二〇一〇年、一一、一二年の中では六十人ふやしているんですね。だから、要するに、今、アメリカは二万六千人、フランスは九千数百人、中国は九千人、ロシアは一万三百人、こういう数字がありましたが、堂々とそういうところを乗り越える、そういうやはり努力も必要なんじゃないかな。

 それから、もう一つ必要なのは、先進国から新興国とか発展途上国に、変化する国際情勢を踏まえて、人員を再配置していく、やはりしっかりとした知恵も出しながら、そういうふうに対応していく必要があるんだろうというふうに思います。

 そこで、三つ目に入ります。在外公館の数から、人員から来ましたから、今度は、その働いている人たちの適正な処遇の確保というものも重要な視点だという点であります。

 開発途上国では、勤務環境、生活環境が非常に厳しい、したがって、こういったところで勤務する職員の適正な処遇の確保というのも、やはり外交力強化の中では非常に重要な視点だということを忘れてはいけない。まさに、私も、在外基本手当、二十年間この言葉とつき合ってきましたので、私は非常に、これもまたお願いしなきゃいかぬなと思うんですよね。在外公館で勤務する職員に、職務と責任、外交の第一線を担うというものがあるとするならば、それに応じた、役割にふさわしい処遇というものをやはり整えていく努力はしていかなきゃいけないんじゃないのかなと。

 二十年前と現在で在勤基本手当というのはどのように変わったのか。どうぞ、お答えください。

玄葉国務大臣 今、行政改革の要請が厳しい財政事情の中でございますから、そういった中で定員をどういうふうに確保していくのかということなんですが、先ほどおっしゃっていただいたように、外交について、特に外交力強化という観点からはまさに正面からきちっと主張していく、そのことは確かに大事だと。ただ、冒頭、質問がありましたけれども、これはちょっと無駄かなとかそういった部分について、あるいは会計検査院などから指摘されるような事項について、しっかり対応していくということもあわせて必要なんだろうというふうに思います。

 今の在勤基本手当でありますけれども、モデルケースとして、在米大使館で中堅館員である一等書記官レベルの在勤基本手当、平成五年度は四十五万五千六百円、平成二十四年度は三十三万八千八百円、それが現状であります。

金田委員 在ワシントンの一等書記官のベースでこの数字を決めるんですけれども、これは円高であれば、換算すれば、ドル建てでいくと大体そんなに変わっていないと思うんですが、円高でいけば、円建てでいけば下がるのは当たり前ですけれども、ただ、その下がり方が、現地の消費者物価上昇率と日本の消費者物価上昇率の差も加味しなければいけない。しかし、それを加味すると、恐らく非常に厳しい現状になっていると思うんですよ。

 私は今政治家ですが、昔は査定する方にもいたんですが、そこのところはしっかりと強調しながら頑張っていっていただかなければいけない、こういうことですが、どうですか。

玄葉国務大臣 おっしゃったとおり、物価変動率を加味すると、おっしゃったような状況になるというのが実態なんです。

 こういう行革を不断に行っていかなければならない状況なので、一定の人件費抑制というのはやむを得ないところがあるというふうに私は思っていますけれども、ただ、さはさりながら、やはり、より負担の大きい職員の処遇等々にしっかりと配慮していくということを行っていかなければならないというふうに考えております。

金田委員 今見てまいりましたその三点を、やはり今の状況というのは国民が不安に思っている、外交力の低下が今叫ばれているわけですから、この法案は非常に重要だというふうに私は思っております。国益に対する国民の意識を高めると同時に、我が国の存在感を世界に示していく、この国をしっかりと守りながら、言うべきことを言って世界と交渉をしていく。

 例えば、TPPもそうなんです、国益と国益がぶつかる、外交ですから。そのときに何を得て何を失うのか、何が国益なのかというところを、やはり情報の収集もしてもらわなきゃいかぬし、国民への説明もしてもらわなきゃいかぬし、対策の準備もしなきゃいけない。これが全く不足しているから、この問題は頓挫しているわけですね。

 だから、そういう意味において、しっかりと世の中で、相手の国に言うべきことを言って世界と交渉していく。そのための活動を前面に押し出していくのが外務省であって、そしてまた職員の皆さんだ。この原点が非常に重要だ。そうすれば、外交力の低下なんて言われないで、もう少し日本のプレゼンス、外交力がすばらしいという評価が相手の国からも得られることになるのではないか。

 やはり、その外務省の皆さんが安心して働けるように努めることも、我々政治家の、国政を預かる国会議員の最も大事な仕事であるということを、エールとして最後に大臣初め皆さんに申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

田中委員長 次に、瑞慶覧長敏君。

瑞慶覧委員 国民の生活が第一・きづな会派、無所属の瑞慶覧長敏です。私の名前も長いんですが、これも長いです。本委員会では初の質問となります。よろしくお願いいたします。

 まず、在外公館に関連して外務省に御質問いたします。時間の関係上、ちょっと早口でやります。

 今回、南スーダンにも日本大使館を新設したいなということだと思うんですけれども、南スーダンの昨年七月独立以降の同国とスーダンとの激しい対立の中で、いわゆる南スーダン問題に対しての我が国の基本的なスタンスについてお聞かせください。

中野大臣政務官 お答えをさせていただきます。

 我が国といたしましては、南北スーダンの平和的共存がアフリカ全体の安全の鍵であるというふうに考えております。その中で、例えば、ことしの五月には玄葉大臣が、そして七月には山根副大臣が両国の担当閣僚と会談をさせていただきまして、いろいろな形で働きかけをさせていただいております。

 その内容としましては、例えば、安保理決議第二千四十六号をしっかりと両国に対して遵守をしてもらいたい、あるいは、諸課題を平和裏かつ交渉による解決によってしっかりと結果を出していただきたいということを働きかけさせていただいておりまして、南スーダンとの関係強化は、我が国の対アフリカ外交における喫緊の課題であるというふうに理解しております。

 その上で、今回、ぜひ、南スーダンにおきましての大使館の設置をお願いさせていただいているところでございます。

瑞慶覧委員 本日御提案の在外公館及び外務公務員給与法一部改正案に関しては、私も賛成ですので、本法案については一問のみの御質問とさせていただきます。

 大臣、質問事項にはないんですが、今、オリンピック、パラリンピックが開かれております。スポーツを通して、平和の祭典ということで、一生懸命スポーツに取り組んでおられる。オリンピック、パラリンピックに関して、外務大臣としてどういう御感想をお持ちか、お聞かせください。

玄葉国務大臣 四年に一度のオリンピックそしてパラリンピックについては、私も、放送そのものがそうでありますから、どうしても日本人選手が中心になってしまうわけでありますが、スポーツが好きなものですから、できるだけ観戦をし、また応援をするという状況にございます。

 ただ、私がやはり今回見ていて感じるのは、改めてスポーツマンシップというのを幾つかの場面で感じていまして、本当にスポーツというのは完全に国境を越えますし、音楽なんかもそうだと思うんですけれども、非常にそういう意味で人々に感動を与えるものであるということを感じながら今回観戦をさせていただいております。

瑞慶覧委員 恐らく、現地に行って応援もしてきたいなとは思っていると思うんですけれども、本当に、世界がああいう形で、四年に一度、平和のもとでスポーツが開かれるというのはすばらしいことだと思っています。

 それで、現実的な質問に入らせていただくんですけれども、オスプレーに関してです。

 オスプレーの事故の件数、オスプレーの我が国への配備と訓練について、沖縄県民や現在事実上の配備先となっている岩国市民、あるいは山口県民だけではなく、その訓練などをめぐって、全国各地の皆さんがその危険性を大変心配しております。

 そこで、まず防衛省にお伺いしたいんですけれども、七月二十日付の朝日新聞ですけれども、これは、米軍の海兵隊安全部と空軍安全センターの資料によると、オスプレーに関連する事故が、量産決定後の二〇〇六年から二〇一一年までの五年間に五十八件起きていたと報じております。

 それと同時に、その資料では、米軍の航空機事故は三つに区分されていると。死者や全身障害者が出たり二百万ドル以上の損害が出た事故をクラスA、重い後遺症が残るか五十万ドル以上の損害が出た事故をクラスB、そして、軽傷者か五万ドルから五十万ドルの損害が出た事故をクラスCとしていることです。

 さらに、オスプレーの米海兵隊用はMV22というんですけれども、Aの件数が二件、Bの件数が六件、Cが二十二件の計三十件となっています。それから、空軍用CV22は、Aが二件、Bが六件、Cが二十件の計二十八件と説明しております。

 防衛省としても、この米軍の事故報告の件は御承知かと思いますが、いかがでしょうか。

西政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、事故につきましては、被害の総額、人身への損害の程度によってクラスA、B、Cと分けております。

 今先生おっしゃられましたとおり、二〇〇六年の二月から一一年の十二月までの間、MV22の事故件数に関しましては、クラスAが二件、Bが六件、Cが二十二件というふうに承知をいたしております。

 その概要につきましてもまた、クラスAにおきましては、先般のナセル部分の出火、乗組員の落下というものがありますし、クラスBでは、誘導路の移動中に前足の部分でふぐあいが発生した、あるいは離陸直後のハードランディングといったものが報告されております。また、クラスCに関しましては、整備作業中の負傷、故障などといったものが挙げられておりますが、個々の事故につきましては、ちょっと原因等までは承知はいたしておりません。

瑞慶覧委員 今報告があったとおり、事故の原因が、さまざまな原因で起きているわけですね。ほかにも、飛行制御装置の配線ミス、あるいは油圧コンピューターのふぐあい、油圧系統の破損、それから、一番問題なのが人的ミスによる墜落事故だと思っております。これでは、事故の再発防止、安全対策をしようにも、とてもできないんじゃないか。

 特に、オスプレー自身が、欠陥、あるいは欠陥じゃないにしても、非常に操縦が難しいというふうに言われておりますが、そこら辺、現時点で事故の原因は、人的ミスも含めて、操縦が非常に難しいんじゃないかと言われている。それに対してどうお考えか、お聞かせください。

    〔委員長退席、長安委員長代理着席〕

西政府参考人 オスプレーの操縦に関しましては、巷間いろいろな報道がございます。残念ながら、これは私ども自衛隊においては運用しておる機種ではございませんで、そこの点はつまびらかにいたしておりませんが、先般、防衛大臣の命によって設置いたしました委員会の方におきまして、そういった点も含めて今後調べていきたいと思っております。

瑞慶覧委員 きょうお配りされている資料、これは衆議院調査局外務調査室の資料、この五十三ページを見ると、新聞の記事、これは東京新聞ですかね、米国防総省系の研究機関で性能分析を担当していたレックス・リボロ元主任分析官がインタビューに答えているんですけれども、MV22オスプレーに関しては、山間部での訓練は普天間周辺よりはるかに危険としているというふうに記事が載っているんですけれども、この記事に関しては、これはそうなんですか。

西政府参考人 恐れ入ります。

 その記事に関しましては私どもも承知しておるのでございますが、具体的にどのような操縦、運用形態を指して当該コメントになっておるのか、ちょっと私どももつまびらかにしないところがございます。今後確認していきたいと思っております。

瑞慶覧委員 まだわからないということですね。

 それから、オートローテーション機能について、最後ですけれども、これは書いているんですね。オスプレーは持っていないと明言しているんですね。

 オートローテーション、持っているんですか、持っていないんですか。

西政府参考人 その点に関しましても議論があることは承知いたしております。

 私ども、これまで海兵隊から承知しておる情報の範囲では、オートローテーションの機能はある、また、それに関してはシミュレーターによって訓練をしておるというふうに承っております。

瑞慶覧委員 シミュレーターだけじゃなくて、実際の訓練の中で、そのオートローテーションの訓練というのは行われたんですか。

西政府参考人 オートローテーションの訓練というのは、一般の回転翼におきましてもかなり危険性を伴う訓練でございます。

 このオスプレーの関係におきましては、実機における訓練、実際にやっておるのかどうかということに関しても私ども関心を持っておりますが、そういった点も今後きちんとして御報告できればと思っております。

瑞慶覧委員 つまり、まだはっきりしていないということじゃないんですか。

 ということは、この間の衆議院の本会議で、防衛大臣それから総理御自身が、お二人とも、いや、オートローテーション機能はあると明言したんですけれども、これはちょっとそごがあるんじゃないですか。大臣、どうですか。

西政府参考人 恐れ入ります。

 技術的なことで、私の方から御答弁させていただきます。

 私ども承知しておりますのは、先ほど申し上げましたとおり、シミュレーターによる訓練は行っておると。ただ、それを実機で行っておるかどうかという一点につきましては、私どももまだ今後確認すべき点があると。

 ただ、いずれにしましても、オートローテーション機能自体はあるということが海兵隊からの回答でございます。

瑞慶覧委員 オートローテーション機能に関しては、今後これは明らかにしてもらわないと困ると思っております。

 それからもう一つ、これも琉球新報、沖縄の新聞ですけれども、七月二十日付の記事ですけれども、オスプレーの訓練マニュアルの記事が出ております。

 そういった訓練マニュアルというのは、オスプレーの戦闘訓練の実施に接受国の同意が必要、訓練する場合ですね、というふうに書いていますが、実際そうなんですか、これは。

西政府参考人 先生御指摘の新聞に記載されておりますのは、MV22訓練即応マニュアルというものでございまして、海兵隊のホームページに掲載されておるもので、私どもも承知いたしております。

 このマニュアルにおきましては、防御的戦闘機動訓練指定区域は連邦航空局との合意文書に従って設定されるもの、または接受国の合意がない限り、連邦政府の航空路や管制圏及び航空交通の混雑した区域を避ける旨記述されております。

 したがいまして、当該マニュアルによりますと、米国以外の他国におきましては、管制圏や航空交通の混雑した区域でオスプレーが訓練を実施する場合には接受国の同意が必要とされておりますが、その他の区域で訓練を実施すること自体につきましては接受国の同意が必要とされているとの事実はない、このように私ども認識いたしております。

 いずれにしましても、当該マニュアルにおきましては、搭乗員の実施するさまざまな訓練に関する規約など、これが定められておりますので、そうした記述があるものと承知しております。

瑞慶覧委員 玄葉大臣、この訓練マニュアルの存在については御存じでしたか。

玄葉国務大臣 英語版でかなり厚いものだというふうに承知しております。

瑞慶覧委員 今の防衛局の方の回答ですと、確かに、接受国の同意が必要だということも書いているということですね。

 そうすると、オスプレーに関して、訓練をする場合に、日本として同意する、しないを伝えないといけないんですね。恐らく、接受国の通知があった時点で、それがどういう形で同意をしたのか、あるいは同意していないのか、そこをちょっと明らかにしていただきたいんですけれども。

    〔長安委員長代理退席、委員長着席〕

西政府参考人 重ねて技術的なことで御容赦いただきたいと思いますが、文書において明らかにしておりますのは、管制圏や航空交通の混雑した区域での訓練云々とございます。ですので、その他の区域における訓練を実施すること自体に関しましては、接受国の同意が必要とされているという事実はない、このように考えております。

 ですので、私ども、必ずしも、そこのところで接受国の通報が常に必要であるのかということに関しましては、先般も森本大臣より御答弁させていただきましたが、そのような形ではないのではないかというふうに認識いたしております。

瑞慶覧委員 いずれにしても、普天間周辺というのは、交通混雑というんですか、それはないにしても、周りは住民がいっぱい住んでいるわけですね。それに関しては、これはノーと言うべきものじゃないかと私は思っているんですが、その配備は容認しないと言うのが最初で、アメリカから、本国から船に載る前に言うべきだったんじゃないかと思っています。外務大臣、それに関してはどうですか。

玄葉国務大臣 さまざまな激しいやりとりが搬入前からありました。激しいやりとりという意味は、日米の協議、事実上の、実質的な事前協議でもあったというふうに私は思いますけれども、そういう中で、結果として、安全性を確認するまではいかなる飛行運用も控える、つまりは飛ばさない、こういうことになったわけであります。

 私は、初めにスケジュールありきというふうには考えていません。日本政府が主体的に、日本政府の責任で安全性を確認する、そのことがまず大事。

 そして、その上で、今、日米合同委員会、もう前々から考えていたんですけれども、この合同委員会の場、そして外交防衛、お互い担当局長同士でこの間派遣をしました。つまりは、日米合同委員会というのは在日米軍ですから、やはりワシントンからの指示がないと動きにくい、こういった面もありますので、そういう意味では、今の西局長なんかが行ってきたわけでありますけれども。

 そういう中で、低空飛行などを含めた運用ルールをやはりしっかりと日米で協議していくということが大事だというふうに思っていますので、その点について今精力的に行っているということでございます。

瑞慶覧委員 非常に力強いお言葉をいただきました。

 それで、日米合同委員会で、見直しも含めて、オスプレーの配備に関しては結論ありきで進めているわけではないと大臣の方はおっしゃっておりますので、であれば、十月に沖縄に配備するとかしないとか、それも含めて、これだけ日本の国民全体が心配している中、安全性も、今答弁があったように、まだ調査中だと。はっきりとわからないということなんですよ。六つのルートを日本国の中でオスプレーが訓練として飛び回るわけです。それに対して、これは日米合同委員会か、あるいはどの話し合いになるかわかりませんが、やはり強い態度で、見直しも含めるという交渉をすべきじゃないですか、大臣。

玄葉国務大臣 先ほど申し上げましたように、私は、初めにスケジュールありきと本当に思っていないんです。ただ、大前提は、やはり力の空白は生じさせてはいけません。これは、外交、安全保障に責任ある立場の者としてですね。

 最初にスケジュールありきではなくて、やはり日本政府がさまざまな手段をもってして、先ほどの繰り返しになって若干恐縮ですけれども、安全性をみずから確認する、そして再発防止策も考えていく、そういったことがまずあって、そしてさらにその運用ルールというものを日米で協議をしてつくり上げていく、そして配備がある、こういうことだと私は思っています。

 ただ、御存じのように、安全保障上の要請というのは、決してこれは米国からの安全保障上の要請ではありません。日本の安全保障上の要請であり、東アジアの安全保障上の要請ということでありますので、この安全保障上の要請と安全性への懸念に対する払拭、この両立を図れるように全力を尽くしたいというふうに考えております。

瑞慶覧委員 ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 終了いたします。ありがとうございました。

田中委員長 次に、赤松正雄君。

赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。おはようございます。

 きょうは、在外公館名称位置給与法一部改正案ですけれども、これに関連をいたしまして、つい最近のある総合雑誌で、民主党の失敗の本質を探るというふうなテーマでたくさんの識者がいろいろな見解を述べていた。大変におもしろくというか興味深く読ませていただいたんですが、その中で、私の年来の友人である、ある評論家が、民主党の目玉政策というのは自分が思うところ二つあったと。一つは、一般会計と特別会計を一緒にあわせて考えていく、そういう観点に立った政策リード。なかんずく、その中でも事業仕分け、これが一つ。もう一つは、いわゆる政治主導。政治主導の中でも一番の目玉であったと自分が思うのは、大使に対する民間人の登用であった。こういうふうな指摘をしていたということについて、大変興味深く読んだんです。

 そこで言うところの、今申し上げた二つの点、事業仕分け、それから大使における民間人の登用、この二つについて、きょうのこの法案と深くかかわりがあるので、短い時間ですが、その二点について質問したい、こう思います。

 まず第一点目は、今回の改正案の中で、在外公館の新設及び廃止ということがあるわけですけれども、在クック日本大使館の新設とか、あるいは在南スーダン日本国大使館の新設、これについては、双方ともに懸案であったということで、結構であろうと思うんです。

 一つ、やはりただしておきたいというか、政府、大臣の物の考え方というものについてただしたいと思うのは、在ポートランド日本国総領事館の廃止及び在ハンブルク日本総領事館の廃止という問題ですけれども、アメリカにおいては、総領事館が全部で十五あるんですね。大変多い数でありますが、日米関係の重要性ということに鑑みてそういうことなのかなとは思いますが、この総領事館の、言ってみれば改廃、やめて新しくまたつくるとか、こういうところの基準というものについて、どういうふうな基準を持って考えておられるのかということをお聞きしたいわけでございます。

 アメリカということでいえば、ポートランドが廃止になって、そして、似たような感じで、廃止の対象になってもいいと言われているマイアミの総領事館、これがそうならないということ、このあたりはどういうふうな基準というものをお持ちなのか、お聞きしたいと思います。

中野大臣政務官 委員御指摘のポートランド総領事館でございますけれども、外務省といたしましては、その地域にお住まいの在留邦人の数ですとか、あと進出の企業数、あるいは査証発券数等、定量的にまずはかることができる部分を勘案し、そして、あとはほかの、既存の公館との距離ですね、今委員から御指摘ありましたが、十五公館ありますけれども、近接する公館との距離ですとか、あとは地方政府との関係、拠点としての重要性、そういうものを総合的に考えて判断をさせていただいているという次第でございます。

赤松(正)委員 全体のバランスの中で、距離であるとか、今おっしゃったような判断基準というのはあったわけですが、そういう観点で、アメリカにおいてはポートランドは要らなくてマイアミは要る、こういう判断をされているというふうに今聞いたわけです。

 では、そういう意味では、韓国の済州は、既に総務省から、要するに余り事業量が多くないという指摘があって、そして、それに対して外務省の方としても、平成二十二年十二月に改善措置状況を公表して、領事の業務担当職員の削減を行う旨回答をしている、こういうことがあります。

 そういうこと等を勘案して、済州の総領事館というものについては、在留邦人の数、あるいはまた、進出している日系企業はゼロである、こういう観点から見れば、先ほど言われたような基準というものに余り合わないんじゃないのか、そう思いますけれども、大臣、この点どうでしょうか。

玄葉国務大臣 今の済州ですね、在済州総領事館の業務の実施体制、おっしゃるとおり、平成二十三年度の機構・定員要求どおりに定員を二名合理化したということでございます。

 これは先ほど言った基準と合わないのではないか、こういうことでありますけれども、基本的には、私たちとしては、在留の邦人、日系企業数、渡航者数に加えて、各種の領事業務、日系企業の支援件数などの業務量の推移を見ながら、必要な見直しは随時検討していきたいというふうに考えております。

赤松(正)委員 余りぴんとこない御回答でございました。マイアミにしても済州にしても、いわゆる一般的な印象として観光客が多い、こういうふうなことがあって置いているのかな。余り総領事館の改廃について明確なる基準があるように思えないということを指摘しておきたいと思います。

 それから、もう一点、冒頭で申し上げました、いわゆる大使に対する民間人の登用という問題ですが、まず、中国大使の丹羽さん、丹羽大使の帰国というのは、就任以来何回でしょうか。日本に公用で帰ってこられた回数。

玄葉国務大臣 用務帰国ということでありますと、丹羽大使は五回ということでございます。

赤松(正)委員 きのう、資料要求でいろいろ、遅くまで外務省の皆さんの手を煩わせたんですが、その五回の丹羽さんの帰国の中身というのは掌握しておられるでしょうか。

玄葉国務大臣 済みません、五回それぞれ掌握しているわけではございません。もちろん、先般の一時帰国、用務帰国については掌握しております。

赤松(正)委員 帰国、五回それぞれがどういう理由で帰ってきたのかということまではきょう質問するとは言っていなかったので、そういう用意がされていないのは、まあ、いいかと思いますが、五回目の、つい直近の丹羽さんが帰ってこられたということについて、その中身、やりとり、これを端的におっしゃっていただきたいと思います。

玄葉国務大臣 私が、あれは日中外相会談等もあった前後を含めた現下の、そのときの日中情勢を踏まえて、丹羽大使に一時帰国してもらって現在の中国の状況について報告をしてもらうことが適当であるということで判断をしたわけでございます。

 その中身について、まさに内部の協議なので、どこまで申し上げるかということはありますけれども、当然ながら、中国の最近の、例えば共産党人事などもそうでありますし、さまざまな国内の状況、あるいは中国が行っている対日政策等々について、丹羽大使から報告を受けて協議をしたということでございます。

赤松(正)委員 さっき私は、中身について一つ一つを明かせられないのはやむを得ないような言い方をしましたが、どうでしょう、過去、その一回を除いて四回、いずれも玄葉大臣が担当しておられた時期ではないんですが、ほかの大臣と丹羽さんがいろいろ協議したということはあるんでしょうか。帰ってくるたびに大臣との懇談というのはあったんでしょうか。

 まあ、いいや。大臣がその間、岡田さん、前原さん、松本さん、そして玄葉さんと、四人かわっているから、なかなか難しいかもしれませんね。

 丹羽大使の就任に当たっては、彼自身が私たち外務委員会の理事懇談会の中で、彼に出てきていただいていろいろ懇談をした経緯があって、その間、丹羽さんは、自分はぜひ中国の全域を、地方をずっと回りたい、こんなふうなことをおっしゃっていたわけであります。

 任命をされた民主党の政権の側としても、企業人としての立場からの日中交流の促進であるとか、あるいは日中相互理解において大きな期待があったと思いますけれども、現在、彼自身、中国全域を回れているのか、あるいはまた、企業人としての彼の持っているものというものが十全と発揮されているのかどうか、このあたりの評価について、大臣はいかがでしょうか。

玄葉国務大臣 赤松先生が今言われたように、私、委員会であるいは理事会でどういうふうに語ったのかは承知していないんですが、ただ、私がこの間聞いている限りでは、丹羽大使が非常に熱心なのは地方への訪問です。草の根の交流ということも含めて非常に大事にしておられて、私は、そのことについて大使は非常に熱心にこの間努力されてきたというふうに評価をしているところであります。

 その上で、先般は不適切な発言があったものですから、その点については、私は大臣の指示ということで注意を行ったところでありますけれども、ただ、丹羽大使の名誉のために申し上げれば、その前に、つまり、大使になってから、日本の尖閣に対する基本的立場について正しい伝え方をしてきたというふうに私は思いますし、注意を行った後も、基本的立場について正しい伝え方をしているというふうに考えています。

赤松(正)委員 今大臣おっしゃった二つの点の前半部分、つまり、彼が中国全域を回っているという評価をされているんですか。現実に、彼は回れていない、自分は思っていたんだけれども、実質にはほとんど果たし得ていないというふうにおっしゃっていると思いますが、その辺はどうなんですか。

玄葉国務大臣 確かに、御本人は、思っていた、つまり自分が考えていたほどは回れていないというふうに思っているということのようでありますけれども、ただ、私は、大使としてそういう努力を誠意を持って行っているというふうに考えています。

赤松(正)委員 最近では、例の王子製紙の問題が中国の中で大変に大きな話題になり、かつ、私たちも大変いろいろな意味で気をもんでいるわけですが、この問題についての大使の大臣への報告というのは、どういう形でなされておるでしょうか。

玄葉国務大臣 大使から直接電話があるとか、そういうことではありませんけれども、事実関係の公電は読んでおります。要は、事実関係についての公電を読んでおります。

赤松(正)委員 私は、今、短い時間の中でいろいろ聞いてきたんですけれども、要するに、この丹羽大使の大使としての行動というのは、いろいろな意味で、御本人も極めて不満なところがあると思われるんですけれども、不発の部分が強いと思うんですね。

 そういうことを私が言うのは、一つは、五回の帰国がありました。

 これは、私、外務省の皆さんに調べてもらったら、民主党政権になってからのいわゆる純然たる外部の大使というのは、丹羽さんとギリシャ大使の戸田さん二人だけ。あとは、半政府といいますか、政府関係機関の方とか、あるいはほかの省庁からの大使があって、全部で十一人です。この十一人の人たちが日本に帰ってきた帰国の回数からすると、圧倒的に丹羽さんが多いわけです。しかし、その多い五回の中で、日本に帰ってきて一度も地方に行っていない。

 これは、時間がないので詳しく申し上げませんが、大臣も御存じだと思いますが、外交青書の中でも、要するに、外務省として、大使が帰国した場合は、地方都市を回って、そして自分の担当している国のことをしっかり語る、こういうことをどんどんやっていきたいんだ、やっているんだ、こういうふうな記述が一番最終のところに書かれているわけですけれども、丹羽さんが、五回も帰ってきていながら一回も日本の地方都市を回っていないのはなぜでしょうか。

玄葉国務大臣 事実関係を申し上げれば、今御指摘のように、五回帰ってきていますが、用務帰国時に地方訪問の実績はないということでございます。

 ちょっとその理由について、今申し上げる手だてが、率直に申し上げて、ございません。

赤松(正)委員 大臣、戸田ギリシャ大使も一回も回っていないんですよ、二回帰ってきておられますけれども。

 二回、彼が赴任してから日本に帰ってきているんですけれども、ほかの大使は、二回帰ってきたら一回行っていたり、あるいは、一回帰ってきたら一回行ったりしているんですが、ある種の目玉商品という言い方は適切かどうかわかりませんが、この丹羽さんと戸田さん、しかも中国とギリシャ、今世界じゅうが注目している両国家、そして日本じゅうが注目しているこの国家に日本の代表として行っている二人が、帰ってきて、ある種、地方行脚を全くしていないということは、外務省の方針にも反するし、どんどんそういう相互理解という部分でも、そういう人が帰ってこられたら私なんかはぜひ会ってみたい、そう思うんですけれども、そういうことがなされていないという現状について、どう思われるでしょうか。

玄葉国務大臣 私になってから、三・一一もございましたので、大使は帰ってきたら被災地に赴くようにというか、足を運ぶようにという指示を実は出したんです。だから、恐らく相当の大使が被災地に行ったと思います。

 だけれども、今おっしゃったように、その二人について、行っていないということ、私、勉強不足で申しわけなかったんですが、赤松先生の御指摘で初めてわかりましたけれども、そのことについては残念な思いがいたします。

赤松(正)委員 外交青書に書かれていることで、私が外務省の方針としてなかなかいいなと思ったのは、外部識者と外務省の側との相互協議をしっかりやっていこう、識者の意見をいっぱい聞いて、そしてそれを政策に反映させていこう、こういうくだりがあるんですね。

 さっき冒頭で申し上げましたように、民主党政権が、大使に民間の人材を登用させるという部分で、ある種、この二人を登用させたんだろうと思いますけれども、しかしながら、先ほど来申し上げているように、大臣は余りそういうことに関心をお持ちでない。また、当のお二方も、一生懸命やっておられるんでしょうけれども、そういう意味では、中国の中も回り切れていない、あるいは日本の方に対しても回り切れていない。戸田さんについてはほとんどよくわからないんですけれども。そういうことがあるということが非常に残念だと思います。

 つまり、恐らく、これはもう時間がありませんから聞きませんが、戸田さんにしても、あるいは丹羽さんにしても、ある種、事前に外務省との間で、識者としてそれぞれその国に対してどういう知見を持っているのか、どういう意見を持って、どういうふうな角度でつき合っていこうとしているのかということについて、十全たる協議、打ち合わせ、そういうものがなかったんだと私は思うんです。だから結果としてこういう事態になった。

 これでは、せっかくの目玉であっても、目玉が十全たる力を発揮し得ない、こういうことを申し上げさせていただいて、時間が参りましたので、終わりたいと思います。(玄葉国務大臣「詳細、わかりましたので、最後に」と呼ぶ)

田中委員長 簡潔にお願いします。

玄葉国務大臣 五回の帰国の内容がわかりましたので。

 二〇一〇年十一月、APEC、一一年二月にアジア大洋州大使会議、二〇一一年五月、日中韓サミット、二〇一二年二月、アジア大洋州の大使会議、二〇一二年七月が先般の私との協議ということでございました。

赤松(正)委員 終わります。

田中委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 先ほど来あります在外公館体制の強化の問題について、まず伺いたいと思います。

 民主党政権になってから、二〇一〇年の五月に総務省が勧告を出して、そして、これを受けて外務省は二〇一〇年の八月に検討結果を発表した。そして、ことし二月に、整備方針ということで、先ほどありましたが、二〇一五年までに他の主要国並みの百五十大使館体制の実現を目指していくということで、この三月には大臣御自身も事務当局に指示を出されたということであります。

 そこで伺いたいんですが、二〇一二年の一月現在で、大使館実館数でいうと百五十以上ある国というのが、アメリカが百六十八カ国、中国が百六十四カ国、フランスが百六十三カ国、そしてドイツが百五十二カ国というふうになっていると承知しております。

 それで、外務省の資料を拝見しますと、日本が国家として承認しているけれども大使館実館を設置していない国というのは全部で六十カ国ということになりますが、そのうち、相手国が日本に大使館を有している国は十七あると思うんです。

 そういう状況のもとで、大臣、百五十目指してはあと十六伸ばさなきゃいけないということがありましたが、一方で財政状況が厳しいということもあるもとで、どのような方針に基づいて、当面、どのような国に優先的に配置する、あるいは、国名でというとなかなか難しいかもしれませんが、どの辺に力点を置きながら目指してやっていくという方針なのか、伺いたいと思います。

玄葉国務大臣 確かに、これだけ予算が厳しい中でどうするのであるか、こういうお話であります。

 一つは、先ほど総領事館の廃止についての議論がございましたけれども、やはりそういったことは考えていかないといけないところが私はあるというふうに思っています。

 その上で、どういったところに大使館をつくるのかということでありますけれども、いろいろな考え方はあり得ると思うんです。今回の南スーダンのような、いわゆるアフリカの安定、あるいはPKOが行っている、こういう意味合い、あるいは資源なども一つの意味合いだというふうに思います。つまり、政治的な重要性あるいは経済的な重要性、そして日系企業の例えば進出数などなど、あるいは、もっと言えば国際社会の中での位置づけ、こういったものを総合的に勘案して優先順位を決めていきたいと思っています。

 自分なりにも、今省内で検討していますから、大体ここらあたりからふやしていこうかなどということは省内で検討が今進んでいる、そういう状況でございます。

笠井委員 PKOの問題はまたいろいろ議論があるので、それはありますが、今、大臣から基本的なことについては伺ったということであります。

 それで、在外公館、出先の役割というのは重要であるというのは間違いないと思うんですが、同時に、大臣が言われたみたいに、国民の理解を得ていくことが大事だしということでいえば、そもそも、ではどういう外交政策と方針のもとに在外公館が活動するのかというのが根本であると思うんですね。

 そういう点でいうと、TPPの問題にしても、在米の日本大使館もアメリカ合衆国政府との間でいろいろとつなぎながらまた役割を果たしているということで政府はごらんになっていると思うんですが、そもそも、ではそういう方針そのもの、TPP参加をする方向で検討するのかどうかということ自体も、やはりこれは国民的に議論が必要と大臣も言われた問題だと思うんです。

 そこで、関連して伺いたいんですが、七月二十四日に参議院の予算委員会で玄葉大臣は、このTPPの参加の問題をめぐって、日米の二国間協議に関するやりとりの問題があります。そこで、我が党の紙議員の質問があって、それに対して大臣は、結局、日米の協議の中で信頼醸成の材料というものを米国側が希望していることは事実なんだというふうに言われました。

 玄葉大臣が言われる米国側の信頼醸成の材料というのは、具体的に何のことを指しているんでしょうか。

玄葉国務大臣 先般、おっしゃったとおり紙委員の質問に答えて、自動車についての米側関心事項というのが示されている。これはできるだけ情報をやはり出さなきゃいけませんので申し上げているんですけれども、透明性、流通、技術基準、認証手続、グリーンテクノロジー、税ということで関心表明があるのは事実なんです。

 それで、米国政府としては、仮に日本のTPP交渉参加について議会通報を行うこととなる場合、それに先立ってアメリカの議会と協議をするということになります。その際、仮に日本がTPP交渉に参加することとなれば、自動車について幾つかの項目で前進を得ることが可能であることを議会に報告できることを希望しているというふうに私は理解をしています。

 そういう意味で私は、信頼醸成の材料、こういう言い方をしたということでございます。

笠井委員 そうすると、米議会と米政府との関係があるので、アメリカが二国間の懸案事項とする、今言われた自動車を初めとする項目、非関税、関税措置撤廃に日本が応える、それが信頼醸成の材料あるいはあかしになるというような意味で言われたということでしょうか。

玄葉国務大臣 結局、アメリカのシステムというのが、日本は、御存じのように、交渉参加を仮にした場合に、締結をしましょうということになったら、後で国会承認なわけですね。アメリカの場合はそうではなくて、最初に議会の承認。逆に言えば、最初に議会の承認を得れば、後でどうかといえば非常に容易な形になるということで、システムがまず違うということが一つあるだろうというふうに思います。

 あとは、TPP交渉そのものについて、高い野心、つまりは、高い野心という意味は、高いレベルの経済連携に対するコミットというものをするのかしないのかということについての意思が、ある意味、そういったところで試したい、そういう思いもあるのかもしれません。

 また、あわせて申し上げれば、後で出てくるのかもしれませんけれども、いわゆるメキシコとかカナダのような新規参加国、この間交渉参加を認められたわけでありますけれども、同じように、こういった信頼醸成の材料といったものをいわば協議の中で行った上で交渉参加している。

 これから、では仮に日本が入りました、それで、一カ月後あるいは半年後、一年後でもいいんですけれども、どこかほかの国が、これは私の推測で物を言っちゃいけないのかもしれませんけれども、ほかの国が新しく参加をしたいとなったときに、今度は、仮に日本がその間に参加をしていれば、もしかしたらそういった信頼醸成の材料を求めていくことになるかもしれないということなんだと思うんですね。それが今起きている事象であるということであります。

笠井委員 今行っている日米の二国間協議でいいますと、米側から、大臣言われました自動車の問題、保険、そして、レベルが違うとかいろいろ言われますが牛肉の問題ということで、懸念事項、懸案事項が示されて、いわばその中身については国民の目が届かないところで協議が進行中ということです。

 今大臣、高い野心にコミットする意思を確かめたいということでそういうことを言ってきている、それが材料ということで、それに対する日本の対応を見ているんだということを言われたんですけれども、では、日本の交渉参加に当たっての米側の懸念事項というのは、この自動車、保険あるいは牛肉という三つだけなのか、それ以外にはないということをアメリカに確認しているのかどうか、その点はいかがですか。

玄葉国務大臣 基本的には、今、笠井委員がおっしゃったとおり、自動車、保険、牛肉なんですが、ただ、牛肉は以前から申し上げているとおり、これは全く別の意味で、科学的知見に基づいて、今、全く我々の手出しのできないところで、中立的な食品安全委員会の審査が行われているということでございます。

 そういう意味では、それ以外に関心の表明がなされたというふうには私自身承知しておりません。

笠井委員 今の時点では承知していない、だから三つだということでありますけれども、では、日米協議の中で、仮に日本側が、向こうが試したいということで、つまり意思を試したいというふうに言っているような三点あるいは二点、三点の懸案事項について、米側が、それは意を酌んで、要するに、日本はそういう意思があるんだなというふうに判断したとすれば、その時点でさらに米側が新しい懸案事項を日本側に提起してくる、あるいは突きつけてくるということはない、もうこれ以上ないということは断言できますか。

玄葉国務大臣 結論から申し上げると、もちろん一〇〇%の断言はできません。ただ、先ほど申し上げたように、私はその三つ以外は承知していないということなんです。

 結局、二つあって、一つは、まず我が国としての国内の合意形成をした上で、少なくとも国家として、政府として意思表明をするという行為が必要だというふうに思います。その上で、米国、豪州、ニュージーランドが日本の交渉参加に対してまだ支持を表明しておりませんので、そういった国々との事前協議で合意を得る必要があるということでございます。

笠井委員 一〇〇%断言できるわけではないというふうに言われましたが、ならば、なおさら、TPPに関する日米の事前協議で、日本側が米側に対して、日本国民各界からの懸案項目をきちんと伝えて、米側にしっかりと回答させて、そして、日本政府が日本国民に対してきっぱり公開するかどうかというのも、その姿勢が大事になってくると思うんです。

 私は、大臣に二月二十日の予算委員会で質問したときに、その前段で古川大臣が、二月十六日に在米の日本大使館を通じて日本側の質問リストをUSTRに提供したと答弁したので、ではリストを出してくださいというふうに求めたら、なかなかうんと言わなくて、大臣は出しますよと。やりとりの結果、出すと答弁されて、そして、外務省などがこのペーパーを出されたわけです。ただ、これは二月二十九日に予算委員会の理事会に出しましたが、これはアメリカとの関係での質問リストじゃなくて、九カ国の丸めたものですという形で言われました。

 それで、回答はどうなったのかという問題も含めてなんですけれども、では、日本が米側にした質問項目と、それに対して米側が何と言ったかということについては、これはQアンドAという形で国民と国会に公開していますか。

玄葉国務大臣 済みません、国家戦略担当大臣が全体を統括しているものですから、今ちょっと私承知しておりませんが、少なくともQアンドAという形ではまとめて出せているわけではないのではないかというふうに思います。

 ただ、いずれにしても、できる限りの情報公開はもちろん必要です。ただ、もちろん言えないこともございます。ですから、そこらあたりは、できる限りの整理をした上での情報公開は、精いっぱい行っていきたいというふうに思います。

笠井委員 私がいろいろ聞いた限りで言いますと、大臣が言われたみたいにQアンドAで出していないんですね。それで、丸めて九カ国に対して投げた質問とその答えについては、この分野別状況の中に盛り込まれておりますと言うんですけれども、これは全部見ないと、どれが質問に対して答えたのがあったのか、どの国がそういうふうに言ったのかというのもわからないということなんです。

 そうすると、日本国民は、アメリカが何を要求して、日本がそれに対して何を確認して、ただして、議論がどうなっているかがわからないままに、中身が決まってしまうんじゃないか、どうやって参加問題について国民的議論ができるのかという問題になってきます。

 しかも、この三項目、向こうが懸念事項を言っていて試していると言うんだけれども、試された後に、それ以外にないかといえば、それはまだわからないということになりますと、そうすると、これは本当に、何もわからないのに、いつの間にか日本が、アメリカからオーケーをもらい、ほかからオーケーをもらいというふうな形で、入ったよとなっちゃうんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。

玄葉国務大臣 TPPは、確かに事前協議でのメリット、デメリット、損得ということも大事でありますけれども、当然、交渉に入れば、日本の要求というのを強くぶつけていくわけですね。

 ですから、そういう中で、まさにトータルの国益、トータルとしてのメリット、デメリット、これは経済的なメリット、デメリットだけではなくて、外交、安保上のメリット、デメリットもあると思います。そういったトータルな国益を考えた上での大戦略としての判断が私は必要だというふうに考えています。

笠井委員 時間になりましたので終わりますが、交渉に入った段階で物が言えると言うけれども、その前に、基本的に高いレベルという意思があるかどうかが確かめられて、そして、基本的には原則撤廃ですから、入ってみたら、もうその枠の中でやるしかないということになる。私は、こんなやり方での協議も、交渉参加もきっぱりやめるべきだということを改めて申し上げて、きょうは終わりたいと思います。

田中委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

田中委員長 この際、本案に対し、長安豊君から、民主党・無所属クラブ提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。長安豊君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

長安委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 第一に、原案では「平成二十四年四月一日」となっている施行期日を「公布の日」に改めるものであります。

 第二に、この法律による改正後の在勤基本手当の基準額及び研修員手当に関する規定は、平成二十四年四月一日から適用するものとすることであります。

 以上であります。

 よろしく御賛同くださいますようお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

田中委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、長安豊君提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

田中委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、長安豊君外六名から、民主党・無所属クラブ、自由民主党・無所属の会、国民の生活が第一・きづな、公明党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び新党大地・真民主の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。

    在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  我が国に未曾有の被害をもたらした東日本大震災から既に一年四箇月余りが経過した。この間、国際社会から我が国に対して多くの支援が寄せられた。これらの支援をこれまでの我が国の外交活動に対する評価の表れと捉え、我が国は引き続き積極的な外交活動を行う必要がある。また、我が国を取り巻く国際情勢は不確実性を増しており、とりわけ、本年四月十三日に北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことで、北東アジアの安全保障環境は以前よりも緊張の度合いを高めている。さらに、本年は、ロシア及びフランスで五月に新大統領が就任したほか、中国、米国、韓国などでも大統領選挙や指導者の交代が予定されており、核軍縮・不拡散問題や気候変動問題、貧困削減、平和構築といった国際社会が一致結束して取り組むべき地球規模問題の解決を左右する転機の年となる。そのような中、我が国に求められているものは、国益を踏まえつつ、国際社会との協力・連携の下、諸課題に毅然と対応する外交力である。そのためには、外務省の外交体制の強化や危機管理体制の改革が不可欠である。

  他方、国内においては、厳しい財政事情及び東日本大震災に対処する必要性に鑑み、一層の歳出削減が求められており、在外職員に支給される在勤手当など、在外公館に係る様々な経費についても、国民から厳しい視線が注がれている。外交体制強化等への取組に際しては、こうした国内事情を重く受け止め、国民の声に真摯に応えていく必要がある。

  これらを踏まえ、政府は、本法の施行に当たり、次の事項について検討の上、適切な措置を講ずるべきである。

 一 我が国の外交力強化の観点から、外交の最前線基地である在外公館の重要性に鑑み、我が国の国益、相手国との相互主義等を踏まえつつ、戦略的に大使館の実館化を進めること。特に、国連南スーダン共和国ミッションが展開され、我が国も自衛隊を派遣している南スーダンについては、国造りを継続的に支援し、緊密な二国間関係を構築するため、一刻も早く実館を設置すること。なお、実館開設までは、在スーダン大使館が在南スーダン大使館を兼轄するが、南スーダンにおける外交活動に遺漏なきよう万全を期すること。

 一 在外公館においては、大規模自然災害、治安情勢の悪化、犯罪・テロ等の緊急事態の際、在外邦人に対して迅速かつきめ細やかな支援を行えるよう、情報の日常的な提供・共有体制等も含めて危機管理体制の機能拡充に努めること。

 一 我が国の厳しい財政事情を厳粛に受け止め、在外公館に関わる予算の効率性・透明性を高めるとともに、その執行に当たっては、適切な支出が図られるよう具体的な措置を講ずること。

 一 在勤手当については、各任地の事情を勘案するとともに、民間企業や諸外国外交官の給与・手当の水準、為替・物価の変動など客観的な基準を踏まえ、必要に応じて全般にわたる見直しを行うこと。見直しに際しては、国内の財政事情及び外交活動を推進する上での必要性の双方を考慮し、適切な額を算出すること。

 一 国際社会のグローバル化による海外渡航者や在外邦人の増加に伴って領事業務の重要性が高まっていることに鑑み、邦人の活動環境を向上させるため、国民の視点に立った領事サービスの不断の向上に努めること。

 一 外務省においては、より一層の情報公開と外交機能強化のための組織・制度の改革に全力で取り組み、その成果を国民に対して分かりやすく説明すること。

 一 在外公館における監査・査察体制の一層の強化を図ること。

  右決議する。

以上でございます。

 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

田中委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

田中委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、ただいまの附帯決議につきまして、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。玄葉外務大臣。

玄葉国務大臣 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を可決をいただきまして、まことにありがとうございました。

 外務省としては、ただいまの附帯決議の御趣旨を踏まえつつ、今後とも外交実施体制の強化を図り、種々の外交案件に全力で取り組んでまいる所存です。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

田中委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

田中委員長 この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。

 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。その補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

田中委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 それでは、理事に遠山清彦君を指名いたします。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時十三分散会


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