衆議院

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第3号 平成25年3月22日(金曜日)

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平成二十五年三月二十二日(金曜日)

    午前九時二十分開議

 出席委員

   委員長 河井 克行君

   理事 岸  信夫君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 薗浦健太郎君 理事 土屋 品子君

   理事 原田 義昭君 理事 山口  壯君

   理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君

      あべ 俊子君    城内  実君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    島田 佳和君

      東郷 哲也君    星野 剛士君

      牧原 秀樹君    松島みどり君

      三ッ矢憲生君    武藤 貴也君

      大串 博志君    菊田真紀子君

      長島 昭久君    浦野 靖人君

      村上 政俊君    岡本 三成君

      山内 康一君    笠井  亮君

      玉城デニー君    村上 史好君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        鈴木 俊一君

   外務大臣政務官      あべ 俊子君

   外務大臣政務官      城内  実君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   越川 和彦君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 柳  秀直君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  西  正典君

   政府参考人

   (防衛省地方協力局長)  山内 正和君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十二日

 辞任         補欠選任

  玄葉光一郎君     大串 博志君

  玉城デニー君     村上 史好君

同日

 辞任         補欠選任

  大串 博志君     玄葉光一郎君

  村上 史好君     玉城デニー君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二六号)


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     ――――◇―――――

河井委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長越川和彦君、大臣官房審議官柳秀直君、大臣官房参事官山田滝雄君、防衛省防衛政策局長西正典君、地方協力局長山内正和君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河井委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸信夫君。

岸委員 おはようございます。自民党の岸信夫でございます。

 きょうは在外公館法でございますが、この中にベレン総領事館の出張駐在官事務所への変更というものが含まれておるわけです。国会での審議に先立って、党内でもこのことでいろいろ議論があったんですけれども、今、振興著しいブラジルとは、我が国は大変いい関係を長年続けてきているわけですね。それにもかかわらず、この総領事館についていわゆる格下げということをなぜ行うか、こういう問題の提起がなされたのは十分御存じのことだと思っておりますけれども、今回、ベレンが総領事館から出張駐在官事務所になったということの主な理由をまずお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 在ベレン総領事館の現在の領事業務量等に照らしますときに、同総領事館を出張駐在官事務所に切りかえた後も、引き続き総領事館同様の領事サービスの提供は可能であると判断しております。日系社会、在留邦人に対する各種支援や領事サービスに影響を与えることはないという判断でございます。

 また、ブラジルには大使館もありますし、四つの総領事館、あるいは二つの出張駐在官事務所が設置されております。こうした公館ネットワークを活用してブラジル外交を展開していく、こうした方針であります。

 こうした判断のもとに、今回、在ベレン総領事館を出張駐在官事務所に切りかえる、こうした決定をした次第でございます。

岸委員 面積的には大変広大な面積を持っていますブラジルで、地方都市のベレンでありますけれども、このベレンがカバーする地域も大変広いわけであります。また、日本からの進出企業の駐在員、日本人というのは限られているかもしれませんけれども、いわゆる日系人社会は相当な規模がまだこちらにあるわけです。そういう意味で、いわゆる査証発行とかそういう業務とは別に、海外で日本のことをよくわかってくれている日系人の皆さんを大切にしていかなければいけないということは、一方であると思うんですね。

 現地で、特に日系人の社会の中で、今回、総領事館から出張駐在官事務所になってしまうということに対して、大変不満とか不安の声というのもあると思うんですね。そういうところにしっかりと、問題はないということを答えていただかないといけませんし、そうしたところの現地での説明、こうしたことについてしっかりやってもらわなきゃいけないんですけれども、その辺の状況というのはいかがなんでしょうか。

岸田国務大臣 現地の日系社会、あるいは地方行政府、さらには伯日国会議員連盟、こうしたところから、今回の在ベレン総領事館切りかえについて再考を求める声があるということ、これは承知しております。こうした現地の声に真摯に耳を傾けつつ、現地において説明会を行う、こうした努力を続けております。ぜひ、日系社会や在留邦人といった関係者の理解を求めるよう、これからもしっかり努めていかなければならないと思っています。

 いずれにせよ、総領事館同様の領事業務を維持するために影響を与えることがないように、しっかりと対応し、それを理解していただく努力が大変重要だと認識をしております。

岸委員 世界の中で見れば、我が国が公館を設置していない地域というのはまだまだあるわけですね。来年度はアイスランドと南スーダンに新たな大使館を設置するということが決まっているわけですけれども、このベレンの総領事館からの引き下げによって、いわゆるコストの削減の効果もある。ある意味で、全体の費用の中で、マネージの中で、二つ公館をふやし、一つ出張駐在官事務所に格下げをするということなんだと思いますけれども、これによって費用の削減効果というのは大体どれぐらいあるかというのはわかりますか。

越川政府参考人 お答え申し上げます。

 大体でございますが、二千七百万円前後でございます。

岸委員 これは、できるだけ効率的に外務省の予算を使っていかなければいけない、その中で外交を展開していかなきゃいけないということで、重要性が相対的に下がってしまったところはそういう措置をするということは仕方のないことかもしれないとは理解をしているわけでございます。

 ちょっとほかの地域の関係ですけれども、先ほど言いました、アイスランドと南スーダンは今回ふやすわけです。ただ、我が国が外交関係を持つ相手国というのは、たしか百九十四あるというふうに了解しています。このうち大使館を設置している国が、これまで百三十四で、この新たな二つを加えて百三十六ということだと思いますけれども、この体制というのは、ほかのいわゆる先進国と比べるとまだまだ見劣りをしていると思うんです。

 これから積極的な外交、主張する外交というものを展開していくに当たって、この公館の体制というのが十分と考えておられるんでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、今回、在アイスランドそして在南スーダン大使館が新設されれば、大使館数は百三十六になります。各国との比較において十分かという御質問ですが、各国との比較でいうならば、最も多い米国で百六十八という数字になっております。

 そうした数字上の比較もありますが、ぜひ、重要外交課題に適時適切に対応するため、効率的、効果的な業務遂行が可能になるよう、適切な配置に努めなければならないと思っております。

 目標、水準等については、今の安倍内閣においては、まだそうした目標、水準というものを決めているものではありませんが、今後、財政状況等も踏まえながら、そして外交実施体制の強化の必要性等も検討しながら、こうした整備目標とか水準についてもこれからぜひ検討していきたいと考えております。

岸委員 公館数がほかの国と比べて多いとか少ないとか、単純にそれだけではやはり判断はできないと思うんです。我が国は我が国の独自の外交をしていかなければいけないと思いますし、そのための体制をつくっていくということから、逆に、どれぐらい必要なのか、こういうことも出てくるんだと思うんですね。

 その中で、平成十九年に、我が党の中で、外交力を強化していくための特命委員会がございました。そこで外交力強化へのアクション・プラン10というものを策定しているんですが、これは、平成十九年の時点で十年間、すなわち平成二十九年ですか、三十年までに百五十の大使館の体制をつくる、そして定員について二千人増員するという提言をその時点でしています。

 平成十八年では、当時、大使館の数が百十七でした。十九年に六つふやして百二十三だった。二十一年に百三十三にふえているんですけれども、その後、ジブチの一館が平成二十三年にふえていますけれども、ちょっと横ばいなんですね。来年度、二館ふやして百三十六。このとき立てた百五十という目標からすると、ちょっとまだ未達なわけです。

 このときに我々が立てた目標について、百五十大使館体制、そして定員を二千人ふやすということについて、外務省ではどのように考えておられますでしょうか。

岸田国務大臣 自民党の外交力強化に関する特命委員会において、百五十大使館体制の実現、また定員二千名の増員等が盛り込まれた提言をされているということは、当然承知しております。

 現状、先ほど申し上げましたように、もしあと二館新設が認められれば、百三十六の大使館数になります。一方、定員につきましては、約五千八百名ということで、他の先進国と比較して限られた人員になっていると認識をしております。

 こうした現状の中でより適切な体制を考えていかなければいけない、こうした認識のもとに、ぜひ現政権でも、この整備目標、定員水準、しっかりとした数字を、目標を検討していきたいとは考えております。ぜひ、こうしたさまざまな御提言等も参考にしながら、現政権においてどの水準を目指していくのか、しっかり考えていきたいと思っております。

岸委員 まだまだ十分な体制ではないわけですけれども、今回、ベレンを格下げにする、あるいはこれまでも幾つか、数年にわたって、総領事館が格下げになったり、あるいは廃館になったりということもあると思うんです。その中で、いわゆる在外公館の配置について、スクラップ・アンド・ビルドという考えがあるのかどうか。

 私は、在外公館においてそういう考えを持ち込むというのは間違っていると思っているんですね。我が国としての外交政策に沿って、必要性に応じて不断の検証というのは必要だと思います、もちろん、必要のなくなったところはそれなりの措置をすればいいと思いますけれども、新しい公館をつくるための費用を捻出するために削るのだ、こういうことは、我が国の本来あるべき姿、外交を進めていくための姿からするとちょっと違うのではないかなと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

岸田国務大臣 スクラップ・アンド・ビルドについて御質問いただきましたが、在外公館については、この十年間を見ますと、二十大使館、六総領事館及び一政府代表部が新設をされています。一方、二大使館及び十一総領事館を廃止しています。

 こうした実績を見て明らかでありますように、一公館新設のために一公館廃止を求めるといった、いわゆる一対一でのスクラップ・アンド・ビルド原則、こうしたものが機械的に適用されているものではないと認識をしております。

 いずれにしましても、厳しい財政状況等も踏まえつつ、在外公館の新設を含め外交実施体制を強化していくに当たって、既存の公館についても必要な見直しを行い、そして、業務量が増大し、必要性の高まっている地域の公館の新設に資源を重点的に配分していく、効果的な体制に最適化していく、こうした考え方は重要だと思っております。

岸委員 確かに、財政上厳しい中でやっていかなきゃいけない、そういう事情があるのはわかった上でですけれども、やはり今、国際社会の中で我が国がどういうふうに見られているか。特に、近年、経済情勢も非常に厳しい状況で、国際社会の中での地位がどうしても低下傾向にあるという状況ですから、そこは何としても早急に立て直していかなければいけないわけですから、しっかり取り組んでいただきたい。そのためには予算も必要でしょうし、そして定員もふやしていかなければいけないんだというふうに思いますので、ぜひ外務大臣が先頭に立ってやっていただきたいと思っております。

 先般、一月にアルジェリアで、邦人が十人犠牲になるというテロの事件が発生をしました。厳しい結果であったわけですけれども、これに対しては、政府の検証委員会の報告書も出されております。その中では、事件発生後の体制についてのみならず、平素からの情報収集体制とか、あるいは在外邦人への支援体制についても検証がなされているわけですね。

 その中で、体制の強化ということについて、「国際テロ情勢に関する分析体制の強化や海外における情報収集能力の強化のための方策を検討する必要がある。」として、「軍や治安・情報機関を含む各国関係機関との間の一層の信頼関係の醸成及び情報源の開拓に努める」、あるいは「地域情勢や言語に通じた要員の確保」ということが入っております。

 確かに、アルジェリアなんかはそういう情報収集というのが厳しい地域だったと思います。日本から遠く離れたアフリカで、しかもイスラム圏ですね。我々日本と比べると、生活習慣から何から何まで、文化、風習も含めて全く違う社会で、ただ、そういうところでも日本人が頑張っているわけです。

 何といっても、日本人の命と財産を守るというのが国家としての最大の使命だと思っているわけですけれども、そうしたところでテロ活動など危険情報を収集する体制を整えていく難しさについて、どのようにお考えになっていますでしょうか。

岸田国務大臣 情報収集につきましては、御指摘の二月二十八日に公表された官邸での検証委員会の検証報告書の中においても言及されております。

 外務省として、情報収集・分析体制の強化、公開情報の一層の活用、さらには治安情報機関を含む各国関係機関との関係強化が大変重要だと認識しておりますし、ぜひ、これからもしっかりと、どうあるべきなのか、検討していかなければならないと存じます。

 情報収集についても、まずは平素の情報収集体制が大変重要だというふうに思います。そして、こうした体制に備えてどういった専門能力を持った人員を配備していくのか等々、体制についても考えていかなければならない、このように思いますし、さまざまな観点から、情報収集さらには分析体制の強化、在外公館も含めて、外務省としてしっかりと検討していかなければならない課題だと強く感じております。

岸委員 特にテロ活動などの危険情報、それからインテリジェンスの絡むことでは、普通ではなかなか情報というのはとれないんだと思います。表向きではとりにくい情報というのがたくさんあるんだと思います。そういう意味で、それぞれの国での、さまざまなレベルでのしっかりとした信頼関係というものも必要だと思います。

 それから、特に今、防衛駐在官とか、そのほか警察からもアタッシェが来ていると思います。あるいは警備対策官。このレポート中でも述べられていますけれども、「本来任務が公館警備関連業務であることを踏まえつつ、」「治安・危険管理専門家としての立場を生かした情報収集活動」というのが入っているわけですけれども、外務省は、そうした方々の出向を受けて、それぞれの大使の方がトップになってやっているわけです。ですから、ある意味では、他省庁と連携をしながら、最大の効果が出るような環境というのをそれぞれつくっていかなきゃいけない話だと思います。

 全体で見ると、防衛駐在官の数が足りないとか、そういう議論は別途ありましたけれども、やはりもう一つは、防衛駐在官がある意味では外務省の職員として出向して活動している、そのことによる、何というんですか、軍人として相手の国の軍人と対等につき合っていかなきゃいけない、ところが、身分は外務省の職員になっているわけです。そういうことで、不利益が、そこで本来とれるべきものがとれてこないとか、そういうことがあってはならないんだと思うんです。

 その点について、特に防衛駐在官をうまく活用していく、それはやはり大使の腕の見せどころでもあると思うんですが、そのあたりについてはいかがでしょう。

鈴木副大臣 防衛駐在官につきましても、外務大臣それから在外公館長の指揮監督に服しておりまして、これは、他省庁から在外公館に出ている出向者と同様でございます。

 ただ、防衛駐在官のそういう立場もございますので、在外公館においては、防衛駐在官も含め、本邦との連絡通信は外務省を通じて行うこととなっておりますが、防衛駐在官が起案するいわゆる防衛情報については、防衛省に自動的かつ確実に伝達する仕組みとなっておるところでございます。

 こうした各省庁からの出向者についても、しっかりと活用してまいりたいと思っております。

岸委員 とにかく、一体として、大使館一丸となってしっかりした外交に取り組んでいただけますように、大臣にも先頭に立って外交力の強化のために力を尽くしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

河井委員長 次に、菊田真紀子君。

菊田委員 おはようございます。民主党の菊田真紀子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 私も、約一年間でありましたけれども、外務大臣政務官を務めさせていただきまして、西アフリカのマリ、モーリタニア、セネガルというような国、あるいは南スーダンの独立記念式典にも出席をさせていただきました。

 本当にアフリカは気候的にも、またさまざまな条件が厳しくて、私も、マラリアの予防ですとか、たくさん注射を打って行ったことを今でも覚えておりますし、また、パキスタンとかあるいはパプアニューギニアという国も訪問させていただきまして、本当に厳しい環境の中で外務省の職員が奮闘されておられる、その姿を間近に見て、帰ってきたところでございます。

 いずれの国も非常に親日でありまして、日本に対する信頼感、そして期待感を持っておられました。これは私は、本当に外に出てみないと、これだけの期待感がある、信頼感がある、しかも、これは長い歳月をかけて努力をしてきた結果だということ、やはり外に出てみて改めて感じたわけでありますけれども、とかく、日本国内にいますと、何かそういうところが余り見えてこない。

 国民の皆さんも、日本の外交は弱腰だとか、日本は世界から信頼されていないと思っているようなところが私はあると思っておりますので、ぜひ大臣からも、さまざまな機会を通じて、もっと自信を持っていいんだ、日本に対する信頼感は非常に大きいんだということを発信していただきたいというふうに思っております。

 それから、大臣は先週末、エチオピアのアディスアベバに外遊に行かれました。これはTICADの準備ということでありますけれども、私ども、政権与党にあったとき、大臣の外遊ということ自体が物すごく大変だったんです。

 委員の皆さんの理解を得られないとなかなか出られない、国会の許しがないとなかなか出られないということで、私は、やはり日本の顔として、大臣あるいは副大臣、政務官がさまざまなところに出かけていく、そして堂々と日本の主張をするというのは非常に重要だと思っておりますから、野党になったからといって、大臣の外遊はけしからぬというようなことはないように努めていきたいというふうに思っておりますけれども、ここまででちょっと、大臣、所感をいただければと思います。

岸田国務大臣 大変貴重な御提言をいただきました。

 まず、日本がもっと自信を持って国際的にも発言するべきだ、堂々とこうした思いを述べるべきではないか、こうした御指摘について、私も全く同感でございます。

 外務大臣になりましてから、最初の外国訪問としてASEAN諸国を回らせていただきましたが、たしかシンガポールを訪問させていただいたときに、シンガポール首相からも、日本はもっと自信を持って発言するべきだ、こうした激励をいただいたのを記憶しております。

 大変不透明なアジア太平洋の戦略状況を考えましても、ぜひ、世界第三の経済大国である日本として、この地域の平和と繁栄のために何をするべきなのか、しっかりと思いを伝えていかなければいけない、このように思っています。

 また、外務大臣がしっかりと海外に行って仕事をするべきではないか、国会日程が厳しい中ではありますが、やはり外務大臣が海外に行くべきではないか、こういった点について、ぜひ国会において御理解をいただき、後押ししていただけるということ、大変ありがたいことだと思っております。

 先週、TICAD5の準備閣僚会議ということでエチオピアに行かせていただきましたが、アフリカにおいて、改めて躍動の大陸として大きな可能性を感じ、日本としてもしっかりと支援を行っていかなければいけない、こういったことを感じる一方で、アフリカ諸国における中国等、他国の支援のあり方等についてもいろいろ考えさせられるところがありました。

 中国を初め各国とも、外務大臣を初め担当者が海外を回り、さまざまな意思疎通を図っている、こうした現実を前にして、日本もおくれをとってはならない、こうしたことも感じるところでございます。

 ぜひ、委員を初め外務委員会の委員の皆様方の御理解もいただきながら、しっかりと仕事を果たしていきたいと改めて感じるところでございます。

河井委員長 せんだっての理事懇談会で、今おっしゃっていただいた外務大臣の積極的な海外出張については、いろいろと今議論を深めていこうということで各党各会派の意見をお伺いしているところでありまして、大変貴重な御意見として受けとめさせていただきたいと存じます。

菊田委員 大臣、ありがとうございました。

 現在、我が国が承認をしている国は百九十四カ国であります。しかし、いまだ大使館が設置されていない国が六十カ国あるというわけでありますけれども、平成二十五年度はアイスランドと南スーダンを優先して大使館を設置するという、この理由についてお伺いいたします。

岸田国務大臣 まず、大使館の新設に際しては、二国間の貿易量、投資量、あるいは在留邦人数、進出企業数といった定量的にはかることのできる指標を勘案しつつ、その時々の国際情勢、あるいは二国間関係における政治的意義、資源獲得を含む経済上の利益、こうしたさまざまな要素を総合的に勘案するということでございます。

 その中にありまして、まずアイスランド、伝統的な親日国であり、近年、国際社会での存在感を増しています。二〇〇一年には我が国にアイスランドの大使館が設置されております。そして、これまでも再三アイスランド側から特命全権大使の派遣を要請されてきた、こういった経緯もございました。

 そして、北極圏外交、あるいは再生可能エネルギー面での協力を初め、アイスランドとの二国間関係を具体的な形で深化、発展させるということを考え、兼勤駐在官事務所を大使館に切りかえる、こうした判断をしたということでございます。

 一方、南スーダンの方は、南スーダンの安定がアフリカ全体の安定に直結する、要は地域の平和の定着支援の重点国というふうに捉えております。現在、御案内のとおり、我が国は同国の国づくりを支援するために自衛隊施設部隊要員約三百三十名を派遣中でございます。また、南スーダンは資源国としても大きな潜在性を有すると認識をしております。

 こうした点を踏まえて、南スーダンにおける外交実施体制を強化するため大使館を新設する、こうした判断をした次第でございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 ちなみに、アイスランドそれから南スーダン、それぞれ大使館を設置するのに幾らの予算がかかるんでしょうか。事務方の方、お答えになっても構いませんが。

越川政府参考人 南スーダン大使館につきましては約一億四千六百万円でございます。在アイスランド大使館につきましては八千六百万でございます。

菊田委員 ありがとうございました。

 やはり大使館を一つ設置するというのは大変な予算、財源が必要でありますし、私は、スクラップ・アンド・ビルドを前提にして、そして、必要なところに大使館をつくっていくというのは重要だと思っておりますけれども、しかし、そのために大変厳しい国で勤務をしている、そういう職員のさまざまなサポートをする予算が削減されるというのは、これは本末転倒だというふうに考えておりますので、ぜひ、そういったことがないように意を払っていただきたいというふうに思っております。

 気候、治安、インフラ、衛生など、大変厳しい環境の中でも日本外交推進のために頑張っている在外職員が大勢いるわけですけれども、勤務地の厳しさの指標、これを特勤度というふうに言われているそうでありますが、これが一から六の段階があって、最も厳しいのが特勤度六の国だというふうに伺っておりますが、特勤度六の国は現在幾つあるんでしょうか。

越川政府参考人 平成二十五年度政府予算案に計上しております特勤度六級地の公館数は八公館でございます。

菊田委員 八公館を御紹介ください。

越川政府参考人 特勤度のランクづけは、単に物価水準のみならず、治安あるいは生活、勤務環境等、さまざまな要因を考慮して決定してございます。

 相手国との関係もあり、これは普通は対外的に申し上げていませんが、例えばイラク、アフガニスタン、それから私も勤務しておりましたアンゴラ、それ以外のアフリカの厳しい国等々でございます。

菊田委員 こうした特勤度六という大変厳しい環境の大使館にも女性の職員というのは勤務されているんでしょうか。

越川政府参考人 特勤度六級地での女性の勤務者の数は十四名現在ございます。

菊田委員 女性職員が勤務する場合、何か特別な配慮はありますか。

越川政府参考人 六級地か否かを問わず、勤務環境が厳しい任地で働く女性に対する特別の措置は現在ございません。

菊田委員 私もさまざまな国を訪問させていただいたときに、女性の職員がもうすごく頑張っていらっしゃる。私は本当に感動しましたけれども、外務省は四分の一が女性ですから、そういう中で、女性の活躍ぶりをぜひ大臣からもいろいろなところで発信をしていただきたいし、激励をしていただきたいというふうに思っておりますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、私も、外務省の職員の中で、女性の職員の皆さん、大変厳しい環境の中で、厳しい条件の中で大変な奮闘をしていると認識をしております。

 そして、先ほど、厳しい勤務環境にある在外公館での仕事について御指摘がありましたが、こうした海外での環境においても頑張ってもらえるように、外務省としてもしっかりとこの体制を組んでいかなければいけない、このように思います。

菊田委員 ありがとうございました。

 在外だけでなく、本省で働く女性も非常に優秀な方々が頑張っていらっしゃいますけれども、仕事と家庭の両立で大変苦労されているということで、私も政務官時代、本当にこれは心残りなんですけれども、こうした女性職員の勤務環境を向上させるためのさまざまな施策を実現したいという思いがありましたけれども、道半ば、志半ばでありました。

 ぜひ、大臣、こういったことにも注意を払っていただいて、外務省で働く、在外も含めて本省もですけれども、女性の勤務環境改善のために力を尽くしていただきたいというふうに思っております。

 続きまして、質問を続けますけれども、我が国の在外公館の約三分の二がいわゆる不健康地に所在しております。心身の健康管理、生活、勤務環境の向上、安全な飲料水や日本食材確保のために、こうした不健康地で働く職員に対して、どのような措置がとられているんでしょうか。

越川政府参考人 勤務環境が厳しい任地、いわゆる不健康地で働く職員に対する措置としましては、例えば、官費による休暇措置あるいは館員住宅に対する自家用の発電機あるいは浄水器の設置といった措置を講じております。

 また、公用物資を近隣の先進国で調達する機会にあわせて、館員が日本食等の生活必需品を調達することを認めております。費用等はもちろん館員の自己負担になっております。

 以上でございます。

菊田委員 少し気になることは、この公用物資調達の平成二十五年度予算額は、前年度予算額に比べて一五%減額でございます。それから、館員の住宅基盤整備、これは、電気事情、水質事情が劣悪な土地におきまして、自家発電機とか浄水器を館員の住宅に配備するものでありますけれども、これも前年度の予算額と比べてみますと一〇・七%減になっておりますが、これはどのような判断によるものですか。

越川政府参考人 ただいま御指摘の点、円ベースではちょっと下がっております。ただ、外務省としましては、実質的に前年のレベルを維持したいということで、若干円高の効果があって減額という数字にあらわれているかと思います。

菊田委員 ぜひ、厳しい国で働いている職員の生活環境を向上させるための必要な予算というのは、削減をしないようにしていただきたいというふうに思っております。

 在外公館、特に大使館というのは、海外におきまして日本の顔であります。テロに対しては毅然とした態度をとるべきでありますけれども、日本は大国でありますし、米国の同盟国であるだけに、在外公館がテロなどの標的になる可能性というのは常にございます。在外公館の安全対策について確認をします。

岸田国務大臣 在外公館の安全確保ですが、まず第一義的には接受国政府の責任とされておりますが、他方、在外公館長は、公館の維持管理権の範囲において、その警備の権限と責任を有しているため、必要な措置を講じております。

 現地の治安情勢、さまざまでありますが、この情勢に応じて人的、物的両面から安全確保に必要な警備体制を講じており、脅威が高い公館につきましては防弾車の配備ですとか身辺警護員を配置する、こうした警備体制も構築している、こうした現状にあります。

菊田委員 先般、一部の報道で、警備専門員が民主党政権で五割以上減員をされていた、安倍政権の平成二十五年度予算案でも、減員に歯どめはかからず、三億円に減額されたという報道がございました。

 大使館警備がおろそかになっているとの指摘があるようですけれども、事実関係を確認させてください。

岸田国務大臣 御指摘の警備専門員ですが、この警備専門員は、警備対策官、さらには現地警備員、そして任国の治安当局要員、こうした関係者とともに在外公館の人的警備対策を構成しております。

 その中にあって、この警備専門員の配置数、平成十九年度で三十八公館四十五名でありましたが、平成二十五年三月の段階で十八公館十九名となっております。

 今後とも、在外公館の安全対策において、配置がえ等を行うことにより、警備専門員においても適正な配置に努めていかなければならないと考えております。

菊田委員 この警備専門員だけで全ての警備が行われているわけではありませんから、今、配置も考えていきたい、適正な配置をしていきたいというお話がありましたけれども、ちょっとこの報道ぶりは、そこの一点だけを報道しておりまして、私は、この全体像が見えていないというふうに申し上げたいと思っております。

 この中で、きょうは資料も提出させていただいておりますけれども、平成二十五年度外務省の警備関係予算というのは四十四億円予定をされておりますが、その中で、在イラク日本大使館と在アフガニスタン日本大使館の警備には幾らの経費がかかるのでしょうか。平成二十四年度でも結構でございますが。

岸田国務大臣 お尋ねの在イラク及び在アフガニスタン日本国大使館の警備関係費用の合計額ですが、平成二十年度以降を見てみますと、約十億円前後でずっと推移をしております。

菊田委員 そうすると、全体の四分の一がこのイラク、アフガニスタンのエスコート警備経費に回っているわけでありますから、全体の予算がふえないと、イラク、アフガニスタン以外への経費がどうしても削られてしまう、こういうことでありますので、留意が必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。

越川政府参考人 御指摘の点、そのとおりだと思います。

 限られた予算、警備関連予算が伸び悩む中で、先ほどからお話のある警備専門員以外に、現地警備員の配備の確保、警備機器の設置、あるいはインフラ整備など、在外公館警備対策を総合的に勘案して万全を期しているという状況でございます。

菊田委員 それから、治安の悪い国では、職員の住居に暴漢が侵入をしたり、あるいは通勤中に強盗に襲われたりということがございます。

 職員のセキュリティーのためにどのような措置をとられているんでしょうか。

岸田国務大臣 現地の治安情勢が厳しい国・地域に所在する在外公館においては、職員に対するセキュリティー上の措置としまして、例えば、移動時の安全対策として防弾車や防弾チョッキ等の配備、また、住居の防犯対策として警備員の配置、こうした措置を行っております。

菊田委員 在外で働いている職員の方でどれだけの人が実際に防弾車を運転して通勤できるかといったら、それは現実は違う。本当にごく限られた、大使とか公使とかはそうかもしれませんけれども、一般の職員までそこまでのセキュリティーがなされているかといったら、そうではありません。

 これは非常に予算もかかりますけれども、私は、自己責任で、自分で自分の安心、安全を確保しろということだけでは限界があるのではないかという問題意識を持っておりますので、ぜひそういったことについてもきちっと目を向けていただきたいというふうに思っております。

 それから、国際情勢の変化を踏まえまして、民主党政権のときに、先進国、これは特に欧州でありますけれども、先進国から新興国へ在外公館の定員を再配置していくという方針を決めました。

 現状と今後の方針について伺います。

岸田国務大臣 在外公館における定員配置、現状と今後について御質問いただきましたが、現在、我が国の在外公館における定員、約三千五百名であります。他の主要国と比較して限られた人員となっている中、重要外交課題に適時適切に対応するため、効率的かつ効果的な業務遂行が可能になるよう、適切な配置に努めているところです。

 そして、今後でありますが、配置につきましては、山積する困難な外交課題への対応、そして他の主要国に劣らぬ外交を展開する、こうしたことを果たしていくために、国内の財政事情も踏まえながら見直しをしていかなければならないと思っています。

 そして、在外公館間のバランスの点にも御指摘がありました。これについても、今申し上げました、全体を考えながら適切な配置を考えていかなければいけない、そのように思っています。

菊田委員 私、政務官時代、いろいろな国へ行かせていただきましたけれども、どこに行っても中国の巨大な大使館というのが建っておりまして、独特の存在感を放っていたわけでありますけれども、現在、中国は世界じゅうに幾つの在外公館を有しているのか確認をしたいと思います。あわせて、中国の外務省の職員の数についても伺います。

越川政府参考人 中国の在外公館数は、平成二十四年度末現在、大使館数百六十四、総領事館数七十六、政府代表部数九、合計二百四十九カ所でございます。また、中国外交部の職員数は約九千人と承知しております。

菊田委員 日本は、大使館が百三十四、これが平成二十五年度で百三十六になるということでありますけれども、総領事館とか代表部を含めると全体で二百三、これが平成二十五年度には二百五になるということであります。

 私は、日本の人口の十三倍の人口を持つ中国、そして在外公館数も、今言ったように、四十四の差があるわけでありますけれども、そこに照らしてみると、中国の外務省の職員の数というのは少ないんじゃないかなというふうに、そんな印象を持つんですけれども、特に近年の中国の積極的な外交の拡大からすれば、ある種、驚くべき効率性と言えるのではないかなというふうにも思えるんですが、中国の外務省の職員の数が少ない理由について、どういうふうに見ていらっしゃいますか。

 これ、少ないと思うのは私の印象です。大臣はどういうふうに見ていらっしゃいますか。

岸田国務大臣 多い少ないの話、全体の数の比較というのもあるかと思いますが、やはり外交のあり方、内容も検討した上で、適切な人員というのは考えなければならないのではないかと思います。日本の外交のありよう、日本の重視する外交の中身ですとか、あるいは対象国、こうした国々との関係等を考えた上で、総合的に人員等も考えていくべきだと存じます。

 中国の人員が多いか少ないか、ちょっと私はにわかにそれを判断することはできませんが、我が国として、適正な人員についてはしっかりと検討していかなければいけないと思います。

菊田委員 中国の近年の外交の拡大、物すごい勢いで大使館をどんどんつくっておりますし、それから、もちろん比較は単純にはできないかもしれませんけれども、さまざまな分析というものは必要だというふうに思っております。

 それから、外務省は、日本の在外公館数とか、それから職員数が少ないと説明するときに、必ず中国と比べてという説明をされるんですよ。ですから、そういった分析をきちっと示していただかないと合理性がないというふうに思います。

 それから、民主党政権で、在外公館を活用した地方の魅力発信プロジェクトというものを取り上げまして、地方自治体が海外の日本大使館などを活用して、地元の物産をアピールしたり、観光を誘致するという事業を行いました。どちらかというと、在外公館とか外務省というのは、ちょっと地方自治体からすると敷居が高いというところがこれまであったわけですけれども、これを積極的にオープンにして、皆さんから活用していただくということで、都道府県・政令指定都市、さらには市町村にまでこれを拡大して行いました。

 こうした事業をぜひ今後も継続していただきたいと思うんですけれども、実績と今後の取り組みについてお聞かせください。

岸田国務大臣 御指摘のように、地方が外交上重要な役割を果たしていることを踏まえ、地方との連携の強化は大変重要だと認識をしております。

 その一環で、地方の魅力発信プロジェクトとして、在外公館の施設を活用し、地方自治体等との共催により、地方の物産、観光等をプロモーションする活動を実施しております。平成二十四年度は九件、二十三年度は十件、在外公館を活用した地方の魅力を発信する事業が行われております。

 来年度については、現在、同プロジェクトの活用を希望する自治体を今調査中ですが、今後とも、同プロジェクトの活用を自治体等に広報し、在外公館の活用を通じた地方の魅力発信を推進していく考えでおります。

菊田委員 ありがとうございました。

 これは、実績を今御紹介いただきましたけれども、私もいろいろ調べてみましたけれども、例えば和歌山県の物産プロモーションなどは、スペインの大使館であったりとか、キルギスの大使館であったりとか、イスタンブールの総領事館であったりとか、いろいろなところでやっておられます。

 他方、余りそういったことをやったことがない都道府県もまだまだたくさんございますので、ぜひ、もう少しこれが活用しやすいものになるように、知恵を絞っていただいて、積極的にアピールをしていただきたいというふうに思っております。

 もう残り時間が少なくなりましたけれども、きょうは、私、副大臣いらっしゃいますけれども、全ての御答弁を基本的には大臣そして官房長にお願いさせていただきました。

 在外公館の日切れ法案というのはもう毎年出てきて、そして、日切れだということもあり、通ってきたということもありますけれども、大臣からすると、本当に大臣はお忙しいですから、いろいろな大きな懸案、重要案件に目が向けられてしまう。他方、在外公館で働く職員の本当に細かいところ、そこにどこまで目が配られているか、あるいは情報が入っているかということがあるというふうに思います。したがって、大変恐縮でしたけれども、きょうは全て大臣に御質問に答えていただきたいということで通告をさせていただきました。

 ぜひ、多忙をきわめておられると思いますけれども、外務省という組織のトップとして、職員、そしてとりわけ女性の職員、そういった士気の向上のために大臣もしっかりと取り組んでいただきたいということを最後に要望いたしまして、感想、所感をお伺いして、私、質問を終わらせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 日本の外交を進めるに当たって、さまざまな重要な要素があります。しかし、いずれにしましても、その基本は人だと思っています。優秀な人材がしっかりと力を発揮できる体制をつくる、環境をつくる、大変重要な点だと私も認識をしております。

 ぜひ、このさまざまな課題に外務省として取り組まなければならないとは思いますが、在外公館あるいはそこで働く人間の環境整備に向けてしっかりと努力をしていく、これからもしっかりと努めていきたいと思います。

菊田委員 終わります。

河井委員長 次に、浦野靖人君。

浦野委員 おはようございます。日本維新の会の浦野です。よろしくお願いをいたします。

 まず最初に、大使館の増設にかかわる今後の基本方針のあり方について質問をさせていただきます。

 三月十五日の当委員会において、我が会派の村上委員が在外公館体制の強化に向けた今後の方針について質問をしたところ、鈴木副大臣は、我が国の国益増進のためにも、外交実施体制の強化は不可欠であり、平成二十五年度予算では、在アイスランド大使館及び在南スーダン大使館の新設経費を計上していますが、我が国が承認している国の数百九十四カ国に比べまして、大使館設置国は百三十四にとどまっているということで、既存の外交実施体制を最適化しながら、引き続きその強化を図っていきたいと答弁をいただきました。

 この副大臣の答弁は、大使館の増設の必要性は、我が国の国益増進のためという漠然とした言い方でありました。重点地域についても明示をされておりません。

 しかし、例えば、平成二十一年三月十八日、衆議院外務委員会において、当時の中曽根外務大臣は、在外公館の新設に関連し、国連加盟国の約三割を占めることや、豊富な天然資源等を基礎とする経済関係強化等のためにも、アフリカを含めた大使館新設の必要性を判断していくという旨の答弁をされておりますように、本来ならば、大使館の設置の必要性や重点地域について、具体性を持って方針を明示しなければいけないと思います。

 限りある人的、財政的な資源の効率的な利用の観点から見ても、明確化というのは不可欠であると思われますが、鈴木副大臣の答弁は、具体的にはどのような地域を念頭に置いたものだったのか、お伺いをいたします。

岸田国務大臣 大使館というものは、設置国に対し、我が国を代表する機能を果たしており、我が国の国益を実現する拠点として、その果たす役割は大変重要だと思っております。

 他方、大使館の新設には必要な定員と予算を確保する必要があり、政府全体の財政状況を見つつ検討する必要があります。

 二十五年度には、御案内のとおり、在アイスランド大使館あるいは在南スーダン大使館新設経費を計上しているわけですが、この結果、大使館数は百三十六になります。

 先ほど申し上げましたように、主要国を見ますと、最も多い国が米国、百六十八ですので、我が国としても、そういった数字を参考にしながら、我が国のあるべき大使館数を考えていかなければならないと思っています。

 そして、この新内閣、安倍内閣においては、在外公館の整備目標、まだ確定をしておりませんが、ぜひ、財政状況も踏まえながらも、主要国の設置状況を踏まえて、安倍内閣としてどういった整備目標を持つべきなのか、至急検討したいと考えております。

 そうした考えで、ぜひ、我が国として、この大使館数、どうあるべきなのか、しっかりしたものを示していきたい、このように考えています。

浦野委員 今大臣が御答弁いただいたように、本来は、これからどういうふうな手順を踏んで、どの地域を重点的にしていくのかとか、いつまでに、これぐらいの予算をかけて、幾つの大使館、公館をふやしていくんだという計画がまずあらなければ、我々も今回はこの件については異論は今のところありませんけれども、やはり計画的にふやしていくということをしていかなければならないと思いますので、今大臣の御答弁の中にありましたので聞きませんけれども、計画を進めていただけたらと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 ふやすに当たって、やはり予算というものが必ずついていきます。この外交にかける予算というのは、本来ならば削らない方が、むしろ増額をしていく形である方がいいんですけれども、今どんどんどんどん予算を削っている状態です。さらに、今まで円高だったので、その予算を削った分の中でも、何とか現地の大使館の皆さんがやりくりをしてこなしてこられた部分もあると思います。

 今、政府の経済対策のおかげで円安が進んでおります。こうなってきますと、現地の予算がこの円安によってさらに厳しくなるというのが現実ではないでしょうか。

 ことし、来年、さらに予算をつけていく中で、このまま経済が好転するという考えでいけば円安もまだ進むかもしれません。そうなった場合、思っている以上に非常に現地予算が厳しくなるんじゃないかと思いますけれども、その辺は大臣はどうお考えですか。

岸田国務大臣 まず、外務省としてしっかり予算を確保しなければならない点、これがまず基本だと思っています。

 二十五年度予算、この外務省所管予算、総額六千八十三億円を計上しております。

 この厳しい財政状況の中で、必要な予算は何とか確保できたと考えておりますが、しかし、その中にあっても円安の影響が出る、御指摘、これもごもっともだと思います。

 この為替変動による影響については、財務省との協議によってこれまでも調整してきております。円安が外交力に影響を与えることがないよう、しっかりと予算の確保に努めたいと思っています。

 そして、予算が確定した後、執行する段階にあって円安が進行する、こういったことも十分考えられます。これにつきましては、外国送金に際する為替差損について送金時に調整を行う、こうした制度を活用していきたいと考えております。

浦野委員 私は、地方議会で海外視察に行かせていただいたときに、地元の総領事さんに非常にいろいろとお気遣いをいただいて、その中の雑談の中で、予算をずっと削られていっている中で、実は公邸にちょっと行かせていただいたんですけれども、公邸ももう維持ができなくなったので、もっと安いところに移ろうと思うとおっしゃっていたんですね。それで、家主さんに、もう払えなくなったので出ますと言ったら、いや、そんなこと言わぬと、値段を安くするから住んでほしいというふうな、それは安くしてもらうのはええことなんですけれども、僕が大阪の人間やからそう言うているわけじゃないんですけれども、やはり、国を代表して、顔として行っている方々がそういった交渉までされて苦労をされているのを見ると、そういったところに苦労をかけずに、外交についてもう少しきっちりと仕事をしていただけたらなというふうに感じましたので、これからも予算は、必要経費は必ずとっていただきたいなと思っております。

 続きまして、先ほど菊田先生の御質問にもありました、三月十七日の日曜日の産経新聞の記事ですね。民主党政権下で半減ということを書かれておりましたけれども、これは新聞のニュアンスは急激に半減させたみたいな感じになっていましたけれども、外務省としては、この記事についてはどう捉えましたか。

岸田国務大臣 先ほども答弁させていただきましたが、警備専門員の配置数は、平成十九年度、三十八公館四十五名であったものが、平成二十五年三月現在で十八公館十九名となっております。

 そして、在外公館の安全確保につきましては、この警備専門員が、警備対策官ですとか、現地警備員ですとか、あるいは任国の治安当局要員とともに警備対策を構成している、こうしたことであります。

 ぜひ、こうした全体として在外公館の安全が図られるように、しっかりとした体制をつくっていかなければいけないと認識をしております。

浦野委員 例えば、一月に額賀さんが特使で韓国に行かれました。そのときに、最初はちゃんとした警備のもとで移動をされるということになっていたのが、なぜか直前にその警備が変更されまして、非常に大きな反日運動をされているたくさんの方々の前を通っていかざるを得なくなったという状況があったそうです。

 在外公館は現地のそういった警察とか治安の担当の方々にお世話になる部分も確かにあるとは思います。ただ、あれは安倍総理の特使で行かれたんだと思うんですけれども、相手国の政治的意図によって危険が増したりとかするような状況もあるわけなんですね。

 だから、在外公館も含めて、やはり外交にかかわる人たちの身の安全を国が積極的に守っていくべきだと思うんですけれども、その点について、大臣、いかがですか。

岸田国務大臣 まず第一義的には、これは相手国政府の責任で安全を確保する、こうした考え方にあります。

 そして、その上で、例えば在外公館の高官の安全ということであるならば、公館の維持管理権の範囲内において、在外公館長が警備の権限と責任を有しておりますので、必要な措置を講じていく。こうした考え方のもとで、結果として、しっかりとした安全確保が図られるように努めていかなければいけないと思っています。

浦野委員 ちなみに、このときの件は、外務省は韓国には何かおっしゃったんですか、大臣。

岸田国務大臣 済みません、今、私自身、ちょっと承知しておりませんので、確認させます。

浦野委員 特使でしたので、そういった身の安全を現地政府にきっちりと確保していただくというのは、やはり外務省からも言われたらどうかなと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 今、韓国の話も出ましたけれども、韓国と中国、非常に日本に近い隣国が、指導者がかわりました。その中で、これから質問をさせていただきたいんですけれども、我が国でも、安倍政権ができて三カ月たっております。お互いの新政権が、これから日中、日韓、関係を築くことは非常に重要だと思いますけれども、今のところ進展をしているような感じはいたしませんけれども、外務大臣の基本的な方針をお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 日中関係そして日韓関係、ともに我が国の外交にとって重要な関係だと認識をしております。

 日韓関係でいうならば、ともに基本的な価値観あるいは利益を共有する大変重要なパートナーだと認識をしております。

 また、日中関係につきましても、日本にとって最も大切な二国間関係のうちの一つだと認識をしております。世界第二と世界第三の経済大国の関係が安定しているということは、二つの国の国民にとって利益であるだけではなくして、アジア太平洋地域の平和と繁栄のためにも大変重要なことではないかと思っています。

 こうした大切な二つの国との関係、難しい個別の課題等、状況等は存在するわけですが、しかし、こうしたものにとらわれて全体を見失ってはならないと考えております。ぜひ、大局的な見地に立ち、この大切な国との関係を考えていかなければならない。

 そして、その際に、中国においても韓国においても、新しい政権がスタートした。そして、我が国においても、昨年末、新政権がスタートしている。こうした機会を捉えて関係改善に努力をしなければならないと思っています。

 そして、その際に、やはり両国間、さまざまなレベルでの意思疎通を図ることが重要であると思います。そして、政治レベルにおいても、しっかりと意思疎通を図るべく努力をしなければならないと考えています。

 安倍総理も、ドアはオープンにしてあるということを繰り返しておられますが、ぜひこうした態度で意思疎通を図るべく努力をしていきたいと考えています。

浦野委員 安倍総理は、海外から見ればタカ派のイメージが大きい。日本は右傾化をしていくんじゃないかというふうに言われていますけれども、私は右傾化ではないと思います。当然のことを言っているだけで、例えば、その国の指導者が自分の国を守るといった発言のどこが右傾化なのか。それならば、中国も韓国も北朝鮮もアメリカも右傾化だというふうに言わざるを得なくなりますから、私は当然のことだと思っております。それが右傾化であるというふうには私は全く思っておりません。ただ、韓国、中国も警戒をしているのは恐らく事実なんだろうと思っています。

 今大臣が答弁の中でおっしゃったみたいに、安倍総理はドアは常にオープンにしているということをおっしゃっておりますけれども、それはあくまでも受け身のイメージが私には非常に強くて、こちらから進んでチャンネルを開けていくという作業も必要なのでは、まあ、押したり引いたりということだとは思うんですけれども、そういう外交のやり方もあるとは思うんですけれども、まず、日中、日韓の外相会談を呼びかけるなどという、そういった予定とかは今のところはあるんでしょうか、ないんでしょうか。

岸田国務大臣 中国、韓国、こういった国々との間には難しい課題も存在します。尖閣諸島あるいは竹島における我が国の基本的な立場、これを譲ることは決してありません。

 しかしながら、先ほど申し上げました、重要なこの二国間関係、こういった両国との関係、ぜひ大局的な見地から考えていかなければならない。意思疎通を図ること、政治レベルの意思疎通が重要だということ、これは改めて強く感じます。

 そして、日中韓の外相会談を呼びかけるつもりはないかという御質問でありますが、例年であるならば、日中韓の首脳会談というものが行われてきたわけですが、こうしたことも踏まえて、この意思疎通、どうあるべきなのかを考えていかなければならないと存じます。

 まだ、具体的な日程等、何も決まってはおりませんが、ぜひ、各国の動き等もしっかり注視していきながら、意思疎通を図る方策を考えていきたいと思っています。

浦野委員 隣国との関係が重要なのはもう間違いはありませんので、安倍政権下において、言うべきことはきっちりと言っていただいて、その中で、我が国が、さすが日本やと言われるような外交を展開していただけたら、先ほどの質問の中にもありましたけれども、自信を持ってしていただくということは本当に大事だと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 もう一つお伺いをさせていただきます。隣国と言ってもいいと思うんですけれども、北朝鮮の件です。

 今、かなりいろいろな激しい動きをしております。朝鮮戦争の休戦協定は白紙だとか、あと、日米韓への攻撃も辞さない、さらには、先制攻撃もするぞというようなおどしをかけてきております。

 このような行動、発言の意図を政府はどのように認識されておりますか。

岸田国務大臣 北朝鮮の意図について断定的に申し上げるものは私も持ち合わせておりませんが、政府としては、日朝平壌宣言に従って、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の包括的な解決に向けて、対話と圧力の方針を貫き、全力で取り組んでいきたいと存じます。

 北朝鮮の核、あるいはミサイル開発の継続というのは、我が国のみならず、国際社会の平和と安全に対する大きな脅威だと思っています。これは強く非難するとともに、挑発行為を決して行わないように国際社会連携して強く求めていかなければいけない、このように思っております。

 ぜひ、こうした方針で、北朝鮮の自制とそして前向きな行動を求めていきたいと思っています。

浦野委員 非常にあの国の方が何を考えているのかよくわからないのが現状だと思いますけれども、そこをやはり、外務省だけではなく防衛省も非常に重要な役割を担っていると思いますけれども、さまざまなチャンネルで情報をとるという努力をこれからも続けていただきたいと思います。

 先ほど、中国との問題の中で尖閣諸島のお話とかありましたけれども、先般、中国の艦船からレーダー照射があった、なかったという話で、ネットで中国の軍関係者がレーダー照射を認めたという記事がありましたけれども、この事実については何か外務省として把握はされておりますか。

岸田国務大臣 さまざまな報道があるのを承知しています。そして、その中に中国の関係者が認めたという報道があったということも承知しています。ただ、その後、中国当局が否定したという報道もあったと記憶しております。

 いずれにしましても、こうした情報についても注視をしていきたいと思っています。

浦野委員 大臣のおっしゃるとおり、その後、中国側はまた否定をしたということで、実際はどうだったのかというのがよくわからないまま私たちも終わっているんですけれども、先ほど言ったように、そういった物事の真偽がわからないとなかなか外交的な話もできませんので、その辺もいろいろと情報をとっていただけたらなと思っております。

 我が日本維新の会も、特に、総理大臣もそうですけれども、やはり外務大臣も国益のために世界を飛び回っていただく、そのために私は協力を惜しまないということで、私たちもそういう立場をとっております。

 その中で、TICAD5、エチオピアに行かれました。大臣、行かれた中で、成果、それからこれからのこと、何かその会議で感じたこととかを述べていただけたらと思います。

岸田国務大臣 先日、国会のお許しをいただきまして、エチオピアで開催されましたTICAD5閣僚準備会合に出席をさせていただきました。五十四カ国のアフリカ諸国の代表と会議に臨み、大変建設的なさまざまな議論がこの二日間にわたって行われました。

 その中で改めて感じたことですが、近年、アフリカは毎年五・八%、五%以上の経済成長を続けています。躍動する大陸と言われていますが、経済の成長センターの一つとして大きな存在感を示している、こうしたことも感じました。

 そして、アフリカに対する支援のあり方ですが、引き続きましてODAを初めとするインフラ整備は重要だとは思いますが、こうした支援にとどまらずに、やはり民間企業の投資と貿易、こうした民間企業が主体となった経済交流、官民の連携、こういったものに対する期待が大変強いなということも感じてきたところであります。

 アフリカ諸国のオーナーシップと言われる自主性を尊重した支援のあり方についてもしっかり考えていかなければいけない。ただ、我々の支援の方向性はそれに一致するものでありますので、日本に対するアフリカ諸国の期待は大変大きい、こういったことも感じてきたところであります。

 そして、あわせて、その際に、先般のアルジェリアにおけるテロ事件の発生を受けて、アフリカの平和と安定について我が国はしっかりと貢献したいということで、五・五億ドルの支援を発表した次第ですが、これも大きな評価を得たところであります。

 六月にTICAD5の首脳会談が予定をされています。本番は六月ということでありますが、こういった点を踏まえて、六月のTICAD5、恐らく、ことし我が国国内において行われる外交行事としては最大のものになるかと存じますが、このTICAD5首脳会談、ぜひ成功に導いていきたいと考えております。

浦野委員 会議の行われたエチオピアなんですけれども、エチオピアは、ここは大使館でしたか、ありますよね。そのエチオピアの公使とお話をさせていただいたことが実はあるんですけれども、非常に標高が高くて、生活環境が非常に厳しいところで、公使も大変苦労されておりました。

 お会いしたときに、なぜお会いしたかといいますと、エチオピア航空が、直接便がまだ日本に乗り入れていないんですかね。それで、それを何とか実現したいということで、ただ、こちらの成田はもう発着枠が全くなくて、まだまだ先になる、それやったらぜひ関空にという話になったんです。

 そういった協力をしていく中で、そういう航空便に関してもやはり努力を国としてしていかなければいけないと思うんですけれども、そのあたりは今、現状、どういうふうなお話になっているか。済みません、突然ですけれども。

岸田国務大臣 これは国土交通省の所管だと思いますので、私がお答えするのはちょっとどうかと思いますが、エチオピアにおきまして、そうした議論が行われました。

 そして、エチオピアの日本の乗り入れにつきましては、成田への乗り入れの希望がエチオピア側から示されてはおりますが、まずはプログラムチャーター便での実績づくり等から始めたらどうかという議論が両国間で行われている、こうしたことを承知しております。

 ぜひ、そうした議論を積み重ねながら結論を導き出していきたい、このように感じております。

浦野委員 成田はやはり厳しいということですので、ぜひ関空で調整をしていただけたらと思います。

 いずれにしましても、外交というのは非常に重要な政策ですので、これからも日本維新の会として応援をしていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 以上で質問を終わります。

河井委員長 ただいまの質疑中、額賀議員が特使として訪韓された際の警備上の問題があったのではないかという点につきまして、事前通告はありませんでしたが、大臣より、しっかり確かめるという答えがありましたので、後刻、浦野委員に、外務省からきっちりと対応してもらいます。それでよろしいですか。

浦野委員 はい。

河井委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 まず最初に、先ほど外務大臣も、在ベレン総領事館が廃止されても、出張駐在官事務所ができて業務が継続されるので、何らサービスに影響を与えることがないといったような御趣旨の発言がありました。

 だとしたら、もっと早くに総領事館を出張駐在官事務所に移行させておいた方がよかったのではないでしょうか。その点についてお伺いします。

岸田国務大臣 先ほども、在ベレン総領事館を出張駐在官事務所に切りかえても、領事業務量等に照らすと影響は少ないというふうに申し上げましたが、総領事館を出張駐在官事務所に切りかえると、総領事は配置されません。ですから、政治とか経済とか、広報とか文化ですとか、こういった活動は限定的になるわけです。領事業務を中心とした体制となり、職員数も縮小いたします。

 こういった点を念頭に、在ベレン総領事館のあり方についてこれまで慎重に検討を行ってきた、そして今回、国会にお願いをすることになった、こうした次第でございます。

山内委員 同じブラジルでいうと、ベレンと同じぐらい余り利用者数が多くないのは在マナウス総領事館。これも、それほど在留邦人も多くないし、それほど企業も多くない。こういったところも、先ほどからスクラップ・アンド・ビルドの議論がありましたけれども、スクラップというよりは、総領事館から出張駐在官事務所に振りかえていい対象になるのではないかと思うんですけれども、そういった計画あるいは検討はなされているんでしょうか。

岸田国務大臣 在マナウス総領事館についての御質問ですが、今申し上げましたように、総領事館を出張駐在官事務所に切りかえると、さまざまな業務が限定的になる部分もあります。そういったことから、総合的に判断していくべきだというふうに思っています。

 この在マナウス総領事館につきましては、管轄区域内に四十を超える日系企業が既に進出をしております。統計で確認できる平成十七年以降、在留邦人数及び日系企業数は約一三%増加をしております。いずれも増加傾向にあることから、引き続き、幅広い業務を担当する総領事館として、我が国のプレゼンスを現地に維持する必要があるのではないか、このように認識をしております。こうした企業支援等を考えますときに、必要だと考えておるところでございます。

山内委員 先ほど菊田委員からも質問がありました二〇一〇年の在外公館タスクフォースの結果として、先進国の在外公館から新興国の在外公館へ百名の人員の再配置を進めているということで、まだその途中だと思いますが、百人というと、実際、在外公館の職員が三千四百人ぐらいいるわけですから、わずか三%ぐらいしかありません。もっと思い切って先進国の領事館なり大使館から新興国の在外公館へとシフトしていくということはこれからも必要ではないかと思うんですが、それについて外務大臣の御所見を伺います。

岸田国務大臣 平成二十二年六月から八月にかけて、外務省にてタスクフォースを設置し、新興国の台頭とそれに伴う戦略環境の変化への対応等のために、今後の在外公館体制のあり方について検討したと承知をしております。

 その結果、より効果的な、そして効率的な人員配置を目指して、平成二十二年度から、三年から五年をかけて、約百名をめどに、体制強化が必要な新興国や資源国、新設公館所在国に再配置することとしたということであります。

 そして、これまで実績としまして、平成二十二年度に六ポスト、二十三年度に二十ポスト、二十四年度に二十二ポスト、結局、四十八ポスト再配置済みだということであります。

 この百名というのは二十六年度末を目標としているということですので、まずはこれを実現していかなければならないと思います。そしてその後も、効果的な、そして効率的な人員配置を目指す不断の努力は必要だと思いますので、こうした目標達成後も、引き続きこうした努力を続けていきたいと考えております。

山内委員 きょうは配付資料を用意しまして、大臣にもごらんいただきたい、あるいは副大臣にもごらんいただきたいと思いますが、この数字がいっぱい入った、うちの事務所でつくった資料は何かというと、先進国、それも英語圏の先進国に余りにも領事館、在外公館が多過ぎるのではないかという問題意識でつくった表です。

 例えば、先ほど来、日本は在外公館が少ない、少ないという議論がありますけれども、日本より在外公館がたくさんあるイギリス、フランス、ドイツも、アメリカには、日本ほどたくさんは総領事館を置いておりません。

 下の表二というところなんですけれども、在アメリカの日本の総領事館は十四あります。これに出張駐在官事務所が三つあります。十七の在外公館がアメリカだけであるわけです。これがイギリスだと、領事館の数でいうと十一、フランスは九、ドイツは八。世界全体でいうと日本よりもずっと在外公館の多い国であっても、アメリカにはそんなに置いていない。ということは、アメリカの例でいうと、余りにも在外公館、総領事館が多過ぎるんじゃないか。

 恐らく背景には、先進国で非常に住環境も整っている、治安も途上国に比べれば悪くない、外務省は英語研修組が多いので英語のポストをたくさん用意しなくてはいけない、いろいろな背景があると思いますが、これは余りにもアメリカ、あるいはオーストラリアもそうですね。在オーストラリアの領事館の数、日本は四、イギリスはもと植民地ですから四というのも不思議ではないですが、フランス、ドイツは一つしかない。だけれども、オーストラリアは非常に多くなっている。

 こういったことを考えると、先進国、特に英語圏で、しかも法治国家で法の執行機関もしっかりしている国よりは、もっと発展途上国に人員をシフトすべきではないかと思う。私も途上国に住んでいたときの感覚でいうと、例えば、法律にも不備がある、あるいは法律があるけれども執行する仕組みが整っていない、そういう国がたくさんあるわけで、そういう発展途上国の方がより大使館の領事サービスのニーズは高いと思います。しかも、英語が通じない発展途上国だとより難易度が高くなるわけですから、大使館のサポートというのはより重要になると思います。

 そういった意味では、アメリカ、カナダ、オーストラリア、こういう大使館がたくさんあり過ぎて、しかも、もう既に先進国で、英語圏だから英語の問題もないというようなところは、もっと思い切って人員を削って、その分、発展途上国に振りかえていってもいいと思うんですけれども、この資料を見て大臣はどのようにお感じになるか、お言葉をもらいたいと思います。

岸田国務大臣 いずれにしましても、こうした在外公館のありようは、相手国との関係とか必要性に基づいて判断されるべきものだと思います。

 米国に十四の総領事館が存在するということですが、日米関係が幅広い分野で重層的、緊密であるということ、これは今さら申し上げるまでもありません。米国にいる在留邦人は三十九万人ということですし、日系企業六千八百社が進出しております。貿易総額あるいは投資額等に照らしても、広大な米国にバランスよく総領事館を配置するということ、これは緊密な日米関係を維持する上でも重要なことではないかと考えます。

 また、豪州の方ですが、我が国にとって最大のエネルギー供給国です。在留邦人七万五千人、貿易相手国としては第四位の貿易総額を示しています。姉妹都市の数が百件を超える等々、日本企業の往来も盛んであります。さらに言うと、政府レベルのみならず、鉱物事業等への許認可権を有する州政府等との関係を維持発展させること、これも豪州において大変重要なポイントだと思っております。

 こういったことを勘案した上での総領事館のありようだと思っております。

 アメリカにおいても、十六年度には在カンザスシティー総領事館、十七年度は在アンカレジ総領事館、十九年度は在ニューオーリンズ総領事館、二十四年度は在ポートランド総領事館を廃止する、こうした柔軟な対応も示しているところでございます。

 いずれにしましても、総領事館のありようというのは、相手国との関係とか環境、さらには必要性、こういったものをしっかりと吟味した上で判断しなければいけないと考えております。

山内委員 アメリカが日本にとって重要な国である、それは全くそのとおりだと思いますが、恐らく日本と同じかそれ以上に緊密なイギリスでさえ、日本より少ない領事館しか置いていないわけですし、あるいは、同じアメリカでも、私は、こうやってアメリカじゅうに領事館をばらまくように配置するよりは、例えば、ワシントンの日本大使館で議会担当の大使館員は四名だと聞いています。しかも、四名のうち一人は衆議院の出向、一人は参議院の出向。要するに、プロパー職員二人と国会職員二人の四名だけでアメリカ議会に対応している。こういった状況は、本当はむしろそういうところに人をいっぱい張りつけて、恐らく、在京のアメリカ大使館で日本の議会担当をしているスタッフは四人じゃきかないと思います。結構多いような気がします。

 そういった意味では、同じアメリカでも、領事館に置いておくのが本当にいいのか、あるいは、ワシントンDCの大使館をもっと強化して議会対策をちゃんとやるとか、必要性を考えると、こんなにいっぱい総領事館を置いているのは、総領事というポストを維持するためじゃないかというふうに思わなくもありません。これまで数年間かけて減らしてきているのはいいことだと思いますが、さらに減らしていいと思います。むしろ、アメリカの人数は一定でもいいと思います。その分ワシントンを手厚くするとか、やりようはいろいろあると思いますので、これはいかがなものかと思います。

 オーストラリアにしても、エネルギー供給国というのであれば、サウジに領事館を三つぐらい置かないといけないんじゃないでしょうか。そういった意味では、本当に人口二千万のオーストラリアに四つも要るのかなという気がいたしますので、ぜひ検討していただきたいと思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

河井委員長 答弁はいいんですね。

山内委員 では、最後にもう一言お願いします。

岸田国務大臣 御指摘はまた参考にさせていただき、検討していく材料とさせていただきたいと思います。

山内委員 ありがとうございます。

 実は、ほぼ同じ質問を民主党政権の玄葉大臣にさせていただきました。そのとき玄葉大臣は、非常に前向きに答弁をしていただいて、その後、省内の会議でも私の指摘したことを言ってくださったとおっしゃっていました。そういった意味で、ぜひ検討していただきたいと思います。

 次に、在外公館の出向者の比率あるいは人数についてお尋ねをしたいと思います。

 私、国会議員になる前はJICAとNGOで働いていましたので、どちらかというと途上国の大使館の、しかも経済班とか経済協力班とばかりおつき合いがありました。途上国の経済班に行くと、大体、出向者の方が多い印象を受けます。多いというよりは、私の個人的な印象では、七、八割が出向者だったような感じがあります。

 今、各省なり、あるいは地方自治体、民間、いろいろなところからどれぐらい出向者がいて、それについて大臣はどうお感じなのかをお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 各省庁から在外公館を含む外務省への出向者は、現在約九百六十名です。このうち、在外公館における出向者数は約八百八十名です。在外公館職員数に占める割合は約二六%となっております。また、外務省からは、現在約百四十名、各省庁への出向者が存在いたします。

 諸問題に効果的に対処するためには、外務省の職員のみならず、政府内外から専門性の高い人材を幅広く活用することが重要であり、このため、現在、各省庁から派遣された出向者等の人材にも活躍してもらっているということでございます。

 こうした外務省からの派遣についても、各省庁間の緊密な連携の強化と幅広い視野に立った人材の育成の観点から引き続き推進していく所存ですが、こうした人的な交流を通じて、しっかりとした成果を上げるべく努めていきたいと考えております。

山内委員 私がこれまで会った大使館の経済担当の人たちを思い浮かべると、ほかの省庁から来て語学も怪しげなレベルの人とか、あるいはODAなんかわからないよみたいな人が結構来て、そういう人が担当になるというケースも非常に多かったと思います。私はむしろ、プロパーの職員をもっと大事にすべきではないか、プロパーの比率を上げていく必要があるんじゃないかと思います。

 しかも、例えば最近の報道でいうと、アメリカにほかの、総務省から出向してきている領事でDVで捕まっちゃった人がいたりとか、出向者が問題を起こすようなこともありますし、語学力が怪しい出向者もいるというふうに私は実感として感じます。

 そういう外交官として不適切な人を出向元から送られてきた場合、それを拒否したりあるいはスクリーニングすることは外務省としてできるんでしょうか。

越川政府参考人 御質問のまず一点目、語学力でございます。

 語学力に関しましては、派遣元の省庁に対しまして、一定の語学力がある、経験があるということを要請してございます。それから、実際、在外公館に赴任する前に、研修時におきまして語学研修の充実にも努めてございます。

 それから、その他いろいろと問題がないかどうか、この辺は、ないということを各省庁の派遣元から確認をとって派遣をしてございます。

山内委員 確認をとってもやはり問題を起こす例は、どのように今後対処されるんでしょうか。あるいは、語学研修をやっているのは知っていますが、三カ月ですか、それではとても足りないという大使館員に、私はこれまでの人生でたくさん会ってきました。それを何とか改善すべきだと思うんですけれども、その点、どうお考えなんでしょうか。

越川政府参考人 御指摘のように、そういう確約をとって派遣をしてもらっておりますアタッシェあるいは出向者の中にも、残念ながら幾つか事件が起きてしまうケースがございます。そのときには、内規あるいは法律に照らして人事上の措置をとっております。

 それから、語学につきましては、御指摘の点、先生が直接在外公館で接せられた方からの御経験ということで、そういう方もおるかと思います。その点、引き続き、語学力の高い人の派遣をさらに強く派遣元に求めていくとともに、研修についても充実を図っていければというふうに思います。

山内委員 質問時間が終わりそうなので、最後に大臣、もし一言いただければと思いますが、やはり、余りだめな出向者を出す省庁には、そういうのを送るなとがつんと言って、あるいは、基準に達しない出向者ははねつける、そういう対応が外務省として必要だと思いますが、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 出向していただくのは、さまざまな専門能力、優秀な能力を発揮していただくために出向していただくわけですから、そうした能力、人選については厳正に対応しなければいけない、このように感じます。

山内委員 以上で質問を終わります。

河井委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、在外公館法の改正案について質問いたします。

 岸田大臣は、三月十三日の当委員会での報告の中で、近年の海外への日本人渡航者の増加、企業の進出の増大に伴う日本人の生命と財産を守る活動の重要性を強調されました。

 昨年二月の外務省の在外公館の整備方針では、「今後は、新興国・資源国に優先的に総領事館を設置することを目指す。」としていたわけですけれども、先ほど来議論がありますが、安倍政権としては、いろいろな見直しもするということで、そういうことも見直すのか、全体として財政状況の厳しき折、在外公館の廃止、新設への基本的な考え方と今後の方針をいつごろまでにまとめるつもりか、伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の今日までの在外公館の新設等の方針については、しっかり参考にさせていただかなければならないと思っています。そうした方針を踏まえて、今の政権としてどういった整備目標を掲げるのか、これを検討していきたいと思っています。

 いつごろまでか、この期日、まだ確たるものを設けてはおりませんが、こうした方針については、できるだけ早くまとめなければならないと認識はしております。

笠井委員 重要な問題ですから、早急にということになると思います。

 そこで、この法案をめぐってはかなり論点がありましたので、私は、財政問題というのもかかわりますので、残された時間、もう少し広い意味での質問をしたいと思うんです。オスプレイの配備、訓練問題に関連してであります。

 この三月に入って、米海兵隊普天間基地に配備されているMV22オスプレイが、岩国基地を拠点に、紀伊半島、四国に設定されたオレンジルートで本土で初の低空飛行訓練を強行し、地元各地でも怒りと不安が広がり、抗議の声が上がっております。

 そこで、防衛省に来ていただいていると思うので伺いますが、この低空飛行訓練の経費というのはどこが負担することになっているか。日本側の費用負担はあるんでしょうか。

西政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今月六日から八日、またこの十九日から現在までのところ、岩国飛行場へアメリカ海兵隊MV22オスプレイが飛来いたしました。その間の運用経費、これは日本側は負担いたしてはおりません。

 また、こうしたことに関しましては、先生御存じのとおり、昨年九月の日米合同委員会合意に基づきまして、沖縄の基地負担軽減の観点から、沖縄以外の場所でオスプレイの飛行訓練を行う可能性を現在日米間で検討いたしておるところでございます。現在のところ、まだ検討は続いております。

笠井委員 日本側の負担はないということでありますが、昨年九月、今言われました日米合同委員会の覚書、この中では、こうした本土での低空飛行訓練とは別に、今局長も言われましたけれども、「MV―22の沖縄への配備の後、既存の計画の一部として、また、日本国政府からの支援も得て、日米両政府は、日本国内の沖縄以外の場所で飛行訓練を行う可能性を検討する」としております。

 まだ検討中だということでありましたが、防衛省に確認しますが、現在、沖縄でオスプレイのどんな飛行訓練が行われていると承知していますか。

西政府参考人 現在のところ、普天間飛行場におきます離着陸、あるいは滑走路の上空の通過、また、中部訓練場における着陸帯への離着陸、それからまた、バケツのような物体をつり下げての飛行、あるいはまた、伊江島の補助飛行場におきましてブロック状の物体をつり下げての飛行、こういったものについて目撃情報があるということを私どもも承知いたしてはおります。

 ただ、MV22オスプレイの訓練の状況につきましては、他の米軍機と同様でございまして、米軍の運用にかかわることでございますので、詳細については承知をいたしておりません。

笠井委員 承知している、目撃していることも含めて、幾つかの訓練が言われました。

 それら現在行われている飛行訓練というのを沖縄以外の場所で行う可能性を日米間で検討、協議している、こういうことでよろしいんでしょうか。

西政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、現在まだそういったことにつきまして協議中でございまして、確たるところはまだ決まっておらないのが現状でございます。

笠井委員 オスプレイがやっている訓練を沖縄以外でやるという可能性についてやっているということは間違いないわけですね。

西政府参考人 お答えを申し上げます。

 現在、私ども、検討を重ねておるところでございますので、具体的なその検討の中身も含めまして、お答えできる状況にはございません。

笠井委員 それ以外に、今後、どんなオスプレイの飛行訓練を沖縄以外の場所で行う可能性があるのかということについても、今、それも含めて言えないという話だったんですが、例えば、自衛隊との共同訓練ということを、このオスプレイをめぐって沖縄以外でやる可能性というのもあるんでしょうか。

西政府参考人 先ほど来申し上げておることの繰り返しで恐縮でございますが、具体的にどのような形で訓練を進めるのかといったことを検討しておる段階でございます。まだ私どもからお答えできるところではございません。

笠井委員 では、自衛隊との共同訓練を行うという可能性はないということをはっきり言えますか。

西政府参考人 先ほど来申し上げさせていただいておるとおりでございまして、今現在、議論をさせていただいております。そういった状況でございますので、細かいことはちょっと控えさせていただければと思っております。

笠井委員 では、伺いますけれども、沖縄以外の場所でこれらの飛行訓練を行う目的というのは何でしょうか。

西政府参考人 これにつきましては、先生先ほどおっしゃられましたとおり、昨年九月の合同委員会の合意におきまして、沖縄への配備後、既存の計画の一部として、また、日本政府の支援も得て、日米両政府は、日本国内の沖縄以外の場所で飛行訓練を行う可能性を検討するということは、既に御指摘のとおりでございます。

 また、昨年十一月、全国都道府県知事会議におきまして、防衛大臣の方から、沖縄の基地負担軽減の観点から、日本国内の沖縄以外の場所における訓練移転を検討いたしております、また、この点につきまして、今後、具体的内容が固まり次第、関係する都道府県の皆様方に御説明する考えでございますということをお話しさせていただいたとおりでございます。

笠井委員 では、先ほど来、いろいろな中身については協議中だと言われましたが、今局長が言われました、既存の計画の一部としてということが言われているわけですね。そうすると、既存の計画というのは、当然承知しているわけですね。

西政府参考人 既存の計画と申しましたのは、既に日米間で幅広く共同訓練が行われております。そういったものを前提に幅広く検討させていただきたい、こういうことでございます。

笠井委員 共同訓練を前提にということであります。

 では、沖縄の負担の軽減のためということも言われましたが、沖縄の負担軽減というのは、その点については、協議の中では日本側からの要請ですか。

西政府参考人 これに関しましては、先生御存じのとおり、私ども、長らく、沖縄の負担軽減ということを政策の重要な柱として掲げてきております。私どもの方から、当然、米側に対して、そういうことをこれまでも申し入れをしてまいりましたし、今後ともまたそういった姿勢で臨むという考え方でございます。

笠井委員 日本側の要請ということでございます。

 では、そこで、今局長も改めて言われました項目である、日本国政府からの支援も得てということで、沖縄以外の場所で訓練を行う可能性を検討しているということですが、この支援も得てという、そうした飛行訓練の移転についてですが、日本側が支援の中身として経費負担をすることも含まれるのか。

西政府参考人 先ほど来お答えを申し上げておりますとおり、繰り返しになって恐縮でございますが、現在のところ、検討を重ねております。どのような支援を行うことになりますのか、まだ決定されておりませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

笠井委員 支援というのは、では、どんなことがあるんでしょうか。経費負担は含まれないということは言えますか。

西政府参考人 支援の形態は、グラウンドハンドリングそのほか、いろいろな形でこれまでも米側の訓練を支援しておりまして、それに関して一々の議論をいたしている次第でございますので、その中に経費負担が含まれるか云々、そういった細かいことまで今まだお話しできるようなところまで煮詰まっておりません。御容赦いただきたいと思います。

笠井委員 米軍基地をめぐっての負担軽減ということで財政支援をやったということはありますね、これまで。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる特別協定に基づきまして、日本政府が訓練移転を要請した場合に追加的な経費を負担したという例はございます。

笠井委員 米軍の訓練というのは、本来、米軍自身の運用上の問題であるから、地位協定上は米軍が負担することが筋でありますが、ところが、米軍の訓練に伴う住民の負担を軽減するということを理由にして、一九九六年以降、日本政府が訓練移転を要請して、その訓練の移転に伴う追加的経費を日本が負担してきた。

 具体的には、NLPの硫黄島への移転、それから県道一〇四号線越えの砲撃訓練、パラシュート降下訓練、在沖縄の米軍再編に係る航空機訓練移転の四つがありますけれども、それぞれの経費負担額、始まった年は違うと思うんですが、二〇一一年度まで、要するにもう決算が出ているところまでの実績、数字を端的に言ってください。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 硫黄島におきます空母艦載機の着陸訓練につきましては約四十八億円、県道一〇四号線越え実弾射撃訓練移転につきましては約百十六億円、伊江島におきますパラシュート降下訓練につきましては約三千六百万円、米軍再編に係る航空機の訓練移転については約二十二億円となっております。

笠井委員 合わせて百八十六億円、大体百九十億円近くになると思うんですが、これらの訓練移転の中で日本側が経費負担した項目には、具体的にはどんな項目が含まれていますか。

山内政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる訓練移転に伴いまして追加的に必要となる費用ということで、例えば装備品の輸送費でございますとか、そういった費目がございます。

笠井委員 もう少し具体的に言ってください。それだけじゃないでしょう。

山内政府参考人 装備品の輸送費でございますとか兵員の輸送費、あるいは、いわゆる給食、食事等の差額と申しますか、高くなった分、こういった費用を負担しておるところでございます。

笠井委員 今回のオスプレイの訓練移転の検討においても、米軍訓練に伴う住民の負担を軽減するということで日本側が経費負担することになれば、そうした項目も含まれる、こういうことはあり得ますね。

西政府参考人 そういったことに関しましても議論は及ぼうかとは思いますが、先ほど来申し上げておりまして恐縮でございますが、どのような支援になるか、そのことについてはまだ決定いたしておりません。具体的なお答えはまだできる状況にございません。

笠井委員 米側からは具体的な要求は出ていますか。

西政府参考人 米側からは、ある程度具体的な要求というか申し越しはございますが、そういったことについては、まだ私ども検討しておるところでございます。

笠井委員 大臣、最後に伺いますけれども、オスプレイはもともと、米軍の運用という米側の都合で沖縄に配備を強行したものであります。ところが、沖縄での訓練、本土での低空飛行訓練に加えて、さらに負担軽減などという名目をつけて、日本国内の沖縄以外の場所で今言ったような飛行訓練の移転を行って、日本政府が支援と称して財政負担までする可能性がある。こんなことが協議されていて、沖縄県民や日本国民全体の理解が得られると思いますか。いかがですか。

岸田国務大臣 オスプレイにつきましては、沖縄を初めとする地元の皆様から依然厳しい目が向けられているということを認識しております。

 政府としては、オスプレイの安全性、また我が国配備の安全保障上の意義、あるいは日米合同委員会の合意等について、引き続き丁寧に説明をしていかなければならないと思っています。

 合同委員会合意の適切な実施について米国側との間で必要な協議を行っていく、そして、あわせて地元の皆様の御理解を得ていくべく努力をしなければいけないと認識しています。

笠井委員 今からでも遅くないと思うので、こんな日米協議はやめてオスプレイ配備の撤回を強く求めるべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。

河井委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 ただいま議題になっております法律案について質問をさせていただきたいと思います。

 さて、我が国は、世界各国とさまざまな関係を持って国際社会に寄与してきているわけでございます。私は沖縄に住んでおりますけれども、沖縄だけでも三十近い国と地域の方々が住んでおられて、その歴史と申しますか文化と申しますか、本当に、それぞれのお国柄あるいはお人柄などがありまして、そういう国の持っているよさをどんどんやはり取り入れていく、私は、沖縄はそのうってつけの場所であるというふうに思っております。この外務委員会でも、積極的に、日本の国益にかなうような、そういう質問もさせていただきたいと思います。

 さて、提案されておりますこの法律案につきまして、まず、在外の大使館や総領事館等々、今設置している国の数及びその公館の数、並びに在外職員等の数について教えていただきたいと思います。

越川政府参考人 お答え申し上げます。

 平成二十四年度末の我が国在外公館の設置状況、実館でございますが、大使館百三十四、総領事館六十一、政府代表部八の合計二百三公館でございます。

 また、平成二十四年度末の在外公館職員数は、定員でございますが、本官が三千五百二十七名、現地職員が五千二百九十八名となっております。

 以上でございます。

玉城委員 このように現地の方々もたくさん雇用しているということは、つまり、その当地の地域、国においても、日本のさまざまな技術、人材交流なども含めて、双方の国益にかなう多くのお仕事をしていらっしゃるというふうに思っております。

 さて、二百三公館あるということで今御報告いただきましたけれども、今後、相手国からぜひ設置してくださいというふうな要望などが上がっている国や地域があれば教えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 在外公館の新設に際しては、貿易量や投資量、在留邦人数、進出企業、こうした定量的にはかることができる指標を勘案しながら、国際情勢等を注視し、国際的な政治的な意義、資源獲得を含む経済上の利益、こういったものを総合的に判断するということです。

 今後について、まず二十五年度については、御案内のとおり、在アイスランド大使館そして在南スーダン大使館の新設の経費を計上したところですが、この二十五年度の予算編成の段階で、ブータン、アルメニア、あるいはソロモン、こうした大使館も候補に挙がったということを承知しております。

 いずれにしましても、先ほど申し上げましたような方針のもとに、総合的に判断していきたいと考えております。

玉城委員 やはり、さまざまな面からの検討が行われつつ、さらには、我が国の外交によって資源の獲得なども大変見込まれるところがたくさんあるのではないかと思います。

 さて、今般、この法律案で出ています在ベレン日本国総領事館を廃止する件についてお尋ねしたいと思いますが、このベレン総領事館を廃止して以降、先方のブラジル国における我が国の邦人に対する対応、あるいはブラジル国に対する対応などはどのようになるというふうに予想しておりますでしょうか、あるいは考えておられますでしょうか。

鈴木副大臣 現在の在ベレン総領事館の領事業務量を考えますと、同総領事館が出張駐在官事務所に切りかえられた後も、引き続き総領事館同様の領事サービスの提供は可能であると判断をしております。日系社会、在留邦人に対する各種支援、それから領事サービスに影響を与えることはないと判断をいたしております。

 ブラジルには、御承知のとおり、ベレン以外に、大使館はもちろんございますし、四つの総領事館、そして二つの出張駐在官事務所が設置をされております。こうした在ブラジル公館ネットワークというものをしっかりと活用いたしまして、引き続き積極的に対ブラジル外交を展開してまいりたいと思います。

 今回の在ベレン総領事館の切りかえというものは、決して我が国の対ブラジル外交の姿勢の変化を示すものではありません。

玉城委員 ありがとうございます。

 まさに、主要国といいますと、例えばアメリカですとか、あるいはヨーロッパですとか、そういう国が真っ先に思い浮かぶのかと思うんですが、しかしその一方で、やはり新興国BRICSの頭角を担うブラジル国ですから、そういう意味では、これからもますます日本は、外交の中でブラジルとの関係をしっかり結んでいってほしいなというふうに思います。

 ブラジルの邦人に対してのサービスについていま一度お伺いをしたいと思いますが、今現在の邦人に対するサービスそのものも、ほかの領事館、大使館で十分カバーすることができるということですね。

鈴木副大臣 そのように判断いたしております。

玉城委員 ありがとうございます。

 ぜひ、さまざまな交流も含めて、現地の方々の安全保障をしっかりと担っていただきたいなというふうに思います。

 さて、その安全保障の面を、少し、懸念することも質問させていただきたいと思います。

 在外公館職員の安全対策について、近々で考えますと、昨年の九月の中国における暴動、日本企業への、いわゆる荒らされたことなどを考えると、大使館へも同じように投石などがあったという写真も報道されておりました。その際の安全対策について、例えば、デモがあるというふうな形から、やがて、少しこれは危ない状況になっていくぞという情報の入手や、あるいは中国当局との連絡、連携、大臣は、こういう事案になりつつあるとなった場合に、安全対策として具体的にどのように連携をとられたのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 昨年九月、中国各地で行われましたデモ活動に関しては、我が国の在中国各公館がまず相互に連携しつつ、中国側関係当局、各地の日本企業及び在留邦人、インターネット等の各種メディア等を通じて、デモに関する情報を入手しておりました。また、可能な限りデモの発生現場に職員を派遣して、状況を把握するように努めたところであります。

 中国側に対しては、外交ルートを通じ、在留邦人や企業の安全確保等をハイレベルで累次要請したほか、各地での暴力行為の発生を受け、再発防止を強く求めたところであります。

 外務本省としましては、在中国公館に対して、関係当局への申し入れや当該公館のホームページやメールを通じた在留邦人への注意喚起等を行うよう、累次指示を行ったところであります。

 また、在中国公館職員の安全対策として、中国当局に対して職員の安全確保を要請するとともに、必要な警察官、警備員の追加配置等の措置を講じた次第であります。

玉城委員 事前に察知をするということは大変難しいかもしれませんが、やはり、大使館の方々の現地におけるふだんのいろいろな情報がしっかりと外務省本省の方に上がっていくというふうなことは、これからもぜひ鋭意努力をしていただきたいと思います。

 あわせて、大使館の職員だけではなく、職員の御家族の方々も、やはり現地に一緒に住んでいらっしゃる御家族が多いと思います。その家族の方々に対しての安全対策はどのようにとられましたでしょうか。

岸田国務大臣 在外公館の安全確保、これは一義的には接受国政府の責任とされているわけですが、他方、在外公館長は、公館の維持管理権の範囲においてその警備の権限と責任を有しているため、必要な措置を講じることになります。

 現地の治安情勢に応じて、人的あるいは物的、この両面から安全確保に必要な警備体制を講じております。脅威が高い公館については、防弾車の配置、身辺警備員の配置、警備体制を構築している、こうした体制にあります。

 家族についても、同じレベルでしっかりと安全について考えていかなければいけない、このように考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 これからまた、さまざまな地域、その地域の事情によって、経済事情あるいは宗教の事情等々、日本に住んでいてはなかなかわからない現地の事情、情報があると思いますので、その情報収集もしっかりそつなく行っていただきたいというふうに思います。

 さて、実は、日本が一九九七年から三年に一回開催しております太平洋・島サミットというのがあります。実は、第六回目は、昨年の五月の二十五、二十六日に沖縄県名護市にて行われ、当時の野田総理も御夫人と一緒に御出席をして、その島サミットを大いに盛り上げていただきました。

 太平洋島嶼国・地域が直面するさまざまな問題について首脳レベルで率直に意見を交換し合い、緊密な協力関係を構築していこうとするもので、私は、この太平洋島嶼国と日本とのつながりをもっとしっかりつくっていただきたいというふうに思うわけでございますね。

 例えば、この太平洋・島サミットに参加している国々、簡単に言いますと、クック諸島、ミクロネシア連邦、キリバス、ナウル、ニウエ、パラオ、トンガ、ツバルなどなど、多くの海域を有する国々であります。その海域はさらにはやはり資源も同様に有しておりまして、この太平洋の島嶼国家とは、自然災害への対応、あるいは環境、気候変動などなど、日本にとっても、先進的なレベルでの技術、人材交流がもっと盛んになってもいいのではないかなというふうに思うわけですね。

 こういう太平洋島嶼国との関係性について、ぜひ大臣からその意気込みにつながるような所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、第六回太平洋・島サミットは、昨年五月二十五日、二十六日の両日、日本を含む十七カ国・地域の首脳が参加して開催をされました。

 太平洋島嶼国は、まず、太平洋を挟んだ隣国であります。伝統的に親日的な国々であります。また、国際場裏においても、我が国の重要な支持基盤であると認識をしています。また、カツオ、マグロ、あるいは天然ガスといった資源の供給地でもあります。

 こうした重要な太平洋島嶼国との関係を重視して、御指摘のように、一九九七年以降、三年ごとにこの太平洋・島サミットを開催してきた、もう六回を数えたということであります。

 ぜひ、今後とも、第六回サミットの成果をフォローアップしながら、二〇一五年には第七回サミットが予定されるわけですが、この第七回サミットにつなげていきたいと考えておりますし、そのことによって、太平洋島嶼国との関係を一層確固としたものにしていきたいと強く感じております。

玉城委員 ありがとうございます。ぜひ、グアム、サイパン、ハワイまでも含めて、幅広い外交に御尽力をいただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

河井委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河井委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河井委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

河井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時四十六分散会


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