衆議院

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第10号 平成25年6月14日(金曜日)

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平成二十五年六月十四日(金曜日)

    午後一時二分開議

 出席委員

   委員長 河井 克行君

   理事 岸  信夫君 理事 鈴木 馨祐君

   理事 薗浦健太郎君 理事 土屋 品子君

   理事 原田 義昭君 理事 山口  壯君

   理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君

      あべ 俊子君    黄川田仁志君

      小林 鷹之君    島田 佳和君

      鈴木 淳司君    東郷 哲也君

      永岡 桂子君    星野 剛士君

      牧原 秀樹君    松島みどり君

      三ッ矢憲生君    宮澤 博行君

      武藤 貴也君    菊田真紀子君

      玄葉光一郎君    長島 昭久君

      浦野 靖人君    村上 政俊君

      岡本 三成君    佐藤 正夫君

      山内 康一君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務大臣政務官      あべ 俊子君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 柳  秀直君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山田  淳君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 渡辺  優君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山崎 和之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 正木  靖君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    伊原 純一君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            宮川眞喜雄君

   政府参考人

   (外務省領事局長)    上村  司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房審議官)           本東  信君

   外務委員会専門員     細矢 隆義君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十四日

 辞任         補欠選任

  城内  実君     宮澤 博行君

  河野 太郎君     永岡 桂子君

  松島みどり君     鈴木 淳司君

  山内 康一君     佐藤 正夫君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 淳司君     松島みどり君

  永岡 桂子君     河野 太郎君

  宮澤 博行君     城内  実君

  佐藤 正夫君     山内 康一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 投資の促進及び保護に関する日本国政府とパプアニューギニア独立国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とコロンビア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とクウェート国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 投資の促進、円滑化及び保護に関する日本国政府、大韓民国政府及び中華人民共和国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)

 投資の促進及び保護に関する日本国とイラク共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)

 社会保障に関する日本国とインド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件(条約第一三号)


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     ――――◇―――――

河井委員長 これより会議を開きます。

 投資の促進及び保護に関する日本国政府とパプアニューギニア独立国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とコロンビア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とクウェート国との間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進、円滑化及び保護に関する日本国政府、大韓民国政府及び中華人民共和国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件、投資の促進及び保護に関する日本国とイラク共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件及び社会保障に関する日本国とインド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官柳秀直君、大臣官房審議官山田淳君、大臣官房審議官渡辺優君、大臣官房審議官山上信吾君、大臣官房参事官山崎和之君、大臣官房参事官正木靖君、北米局長伊原純一君、中東アフリカ局長宮川眞喜雄君、領事局長上村司君、国土交通省大臣官房審議官本東信君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

河井委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菊田真紀子君。

菊田委員 民主党の菊田真紀子でございます。

 岸田外務大臣におかれましては、日本外交の最高責任者として日夜御奮闘いただいております。外務大臣に就任をされて約半年が過ぎましたが、この間を振り返っての感想をまず伺いたいと思います。

岸田国務大臣 外務大臣に就任しまして半年がたちますが、改めて、日本が置かれている厳しい戦略環境を痛感しております。我が国は、国際社会の平和や安定を脅かす危機や脅威から日本を守り、平和そして繁栄を守るために、しっかりと外交を進めていかなければいけないと強く感じております。

 就任しましてから、日米同盟の強化、近隣諸国との協力、そして経済外交の展開、こうした三つの柱をもとに、自由ですとか民主主義ですとか、市場原理、あるいは法の支配、こうした基本的価値を基礎としながら外交を展開してきました。

 ASEANを初めとする東南アジア諸国から始まり、その後、米国、中南米諸国、さらには大洋州諸国、こうした国々を回らせていただきました。そして、G8外相会談、さらにはTICAD5、こうした国際会議にも出席をさせていただきました。こうしたさまざまな会議、要人との意見交換を通じて、外交における多層的な連携の大切さ、重要さを痛感いたしましたし、そうした多層的な協力、連携を深めるために努力をしてきたと考えております。

 今後とも、こうした厳しい戦略環境を好転させるために、全力で取り組んでいきたいと考えております。

菊田委員 今大臣からお話がありましたけれども、我が国外交の基軸は日米安保体制を中核とする日米同盟ですが、同盟国である米国は、日本の首脳が中国や韓国の首脳と直接対話ができない状態が続いていることについてどう見ているとお考えでしょうか、見解を伺います。

岸田国務大臣 まず、日本と韓国の関係ですが、韓国は、基本的な価値を共有する、ともに歩むパートナーであると考えています。ぜひ、未来志向の日韓関係を築いていかなければならないと考えます。

 一方、日中関係は、我が国にとりまして最も大切な二国間関係の一つであり、大局的な見地から、戦略的互恵関係の原点に戻ってこの関係を進めていかなければならない。対話のドアは絶えずオープンにしていると考えています。

 そういった中にあって、さまざまな困難はあるものの、我が国が、日中関係あるいは日韓関係、こうした関係を重視している姿勢は、米国に対しましても、これまで累次にわたりしっかりと説明をしてまいりました。こうした我が国の姿勢については、米国も理解をしていただいていると思っております。そして、日中関係においても日韓関係においても、こうした対話が行われることは、米国も好ましいと考えていると考えます。

 ぜひ、我が国においても、韓国、中国といった国々との対話を行うために、しっかりと努力をしていかなければならないと考えています。

菊田委員 日本が韓国や中国とハイレベルの政治対話ができない状態が続けば、日本がアジアの中でだんだん孤立していくという懸念を米国に抱かせ、結果として日米同盟が弱体化するのではないか。日韓関係の改善、そして日中関係の改善に、ぜひこちらから積極的に働きかけていくべきだと考えます。

 参議院選挙が終われば、安倍政権は河野談話、村山談話を見直し、安倍総理初め閣僚が靖国神社参拝を繰り返すのではないか、日本は右傾化していくのではないかという懸念が、韓国や中国だけでなく、米国にもあるように聞きますけれども、大臣はどのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 安倍内閣は、さまざまな歴史認識につきましても、こうした歴代内閣の立場全体をしっかりと引き継いでおります。このことは、今後も、しっかりと国際社会において説明し、理解を得ていかなければならないと思います。外務大臣としては、こうした安倍内閣の姿勢、立場がしっかりと国際社会に理解されるべく、努力を続けていきたいと考えております。

菊田委員 米中首脳会談について伺います。

 今月の七日と八日、カリフォルニア州の保養施設において、オバマ大統領と習近平国家主席との間で非常にカジュアルな雰囲気の中で首脳会談が行われ、米中両国が新たな形の協力関係をどう構築するのか、世界の注目が集まっています。

 似たようなセッティングとして、二〇〇二年にブッシュ大統領がテキサス州クロフォードで江沢民主席と行った会談がありますが、この会談は、江沢民主席の任期末期に行われたもので、会談時間も二時間程度でありました。これに対し、今回、オバマ大統領は、習近平氏の国家主席就任直後に、しかも二日間で合計約八時間にわたって会談を行いました。

 首脳会談のセッティングには必ず外交上のメッセージが込められると言われています。今般の米中首脳会談は、オバマ政権のアジア太平洋への回帰、いわゆるリバランシング戦略において、中国との関係をその中核に位置づけ、それを世界に向かって発信するものとなったと思いますが、大臣はどのように見ておられますか、見解を伺います。

岸田国務大臣 六月の七日から八日にかけて行われました米中首脳会談ですが、米中二国間のみならず、国際社会が直面する諸課題につきまして意見交換が行われたと承知をしております。

 まず、米国と中国が相互に関与を深めること、このことについては、地域及び国際社会の平和と安定の観点から望ましいと考えておりますし、こうした対話は歓迎したいと思います。

 一方、我が国は、米国と同盟関係にあります。平素から緊密に意思疎通を行い、今回の米中首脳会談においても、米国は我が国の立場を踏まえながら対応したと理解をしております。中国との間も、個別の問題はあるものの、我が国は、戦略的互恵関係の原点に立ち戻って、大局的な見地で臨んでいきたいと考えています。そして、米国との同盟関係も強化に努めていく方針であります。

 米中首脳会談が行われた今、我が国としても、それぞれの国との連携を深めていきたいと考えております。

菊田委員 米側の発表によりますと、北朝鮮問題に関し、米中両首脳は、関連安保理決議の履行を含め、朝鮮半島の非核化に向けて協力することで合意したとありますが、拉致問題を含む人道上の問題については言及されたかどうか、改めて確認します。

 現在、北朝鮮に最大の影響力を有するのは中国ですが、残念ながら、日本と中国の首脳同士が胸襟を開いて話し合える環境になく、日中間の対話は途絶しています。そのような中、米国から中国に対し、拉致問題解決に向けて協力を要請することは極めて重要だと思いますが、今回の米中首脳会談で拉致問題についてぜひ提起してほしいと日本政府は事前に米側に働きかけたでしょうか、伺います。

岸田国務大臣 まず、日米両国は、平素から緊密な意思疎通を図っております。また、昨日十三日の日米首脳電話会談も含め、拉致問題に関する我が国の立場への支持を累次にわたって示してきております。

 今回の米中首脳会談における米中二国間のやりとりについて断定的に申し上げる立場ではありませんが、米国は、米中首脳会談においても、こうした我が国の立場に立って対応したものと理解をしております。

菊田委員 尖閣諸島について伺いますけれども、オバマ大統領は、習近平主席に対し、問題をエスカレートさせず外交上の対話を通じて解決するよう求めたようです。

 米国は、尖閣諸島の領有権については中立の立場をとりながらも、日米安保条約第五条が適用されるとの立場をとっていますが、オバマ大統領は、習近平主席に対し、その点についても言及したのでしょうか。

岸田国務大臣 我が国は、米国との間で、平素から緊密な意思疎通を図っております。そして、米国は、尖閣諸島に対する日本の立場を十分理解し、そして、尖閣諸島は日本の施政のもとにあり、日米安保条約第五条の適用対象である旨、これまで、さまざまな場において、会議において、累次にわたって表明をしてきております。

 この会議の中、米中首脳会談の中での詳細なやりとりについて断定的に申し上げる立場にはありませんが、我が国の立場を踏まえて、オバマ大統領から御指摘の問題についても発言がされたと我々は理解をしております。

菊田委員 習近平国家主席は、尖閣諸島は中国の核心的利益だと発言したのかどうか。菅官房長官はこの件に関しまして記者会見でいろいろ述べられているようですけれども、この場で改めて確認します。

岸田国務大臣 今回の米中首脳会談におきまして、中国側から、尖閣諸島と核心的利益を直接結びつける発言があったとは承知しておりません。

 いずれにせよ、尖閣諸島に関して中国独自の主張に基づく言動が行われたとしても、これは我が国として全く受け入れることはできません。中国がいかなる発言を行ったとしても、尖閣諸島に関する我が国の基本的な立場は何ら影響を受けないと考えております。

菊田委員 ありがとうございました。

 オバマ大統領は、中国国内の諸団体による、米国の政府機関、民間企業へのサイバー攻撃について提起をし、中国に解決を求めました。その結果、両首脳の指示のもと、サイバー空間に関するルールづくりのために協議をしていくことで合意したようです。

 日本へのサイバー攻撃も報告されている中で、米中だけでルールづくりが進めば、日本は蚊帳の外に置かれ、日本の国益を害するおそれがあるのではないでしょうか。日本として、今後の米中の作業にどのように関与していくつもりでしょうか。

岸田国務大臣 承知しておるところによりますと、オバマ大統領は、米中双方はサイバーセキュリティーの問題に関するルールと共通のアプローチが今後重要になると認識をしている旨述べたとのことであります。また、習近平主席は、中国政府もサイバーセキュリティーの確保を支持し、これに対する懸念を有しており、同問題は両国が共同できる分野である旨述べていたということでありますが、我が国も、こうしたサイバー空間におけるルールづくりにぜひ積極的に取り組んでいきたいと存じます。

 主要国との間で、二国間協議はもちろんでありますし、ARF等の地域的枠組み、国連の関連会議等の多国間協議、会合においても、議論に積極的に参加していきたいと考えております。

 いずれにせよ、サイバー空間というものには国境がありません。ですから、米中だけでルールをつくるということは難しいと考えております。ぜひ、米中も交えた形で、国際的な議論に我が国としてもしっかり関与していきたいと考えております。

菊田委員 続きまして、TICADについて伺います。

 六月の一日から三日に行われましたTICAD5の成功に、まずは祝意を表したいと思います。安倍総理は、三十九名の首脳を含む五十六名とバイ会談を行い、岸田大臣は、首脳、閣僚、国際機関の代表者を合わせると三十二名と会談を行ったと聞いています。こうした精力的な活動は、日本にとって大きな外交資産となったと思います。大臣、本当にお疲れさまでした。

 かつて貧困と飢餓の大陸と言われたアフリカですが、今や、平均GDP成長率六%で推移する希望の大陸へと変貌しました。TICAD5を通じ、アフリカとの経済関係を援助から投資に重点を移していくというメッセージが世界に向けて発信をされ、安倍総理は、今後五年間でODA約一兆円を含む最大約三・二兆円の官民の取り組みでアフリカの成長を支援する旨表明をしました。

 他方、二〇一一年の中国の対アフリカ投資残高は百六十二億ドルということで、日本のほぼ二倍であります。中国との比較がよいとは思わないけれども、日本の投資が伸び悩んでいるというのは事実です。

 アフリカは活力の大陸ですが、資源取引への依存、格差拡大、紛争、政治不安といった構造的問題を抱えており、日本企業が二の足を踏む原因となっています。こうした構造的問題を解決するためには、経済にとどまらない包括的な取り組みが必要ではないかと考えますが、大臣の見解を伺います。

岸田国務大臣 まず、委員御指摘のように、アフリカへの支援、量ももちろん大事でありますが、日本の特色を生かした、質においてもこれからしっかりと検討し、貢献していかなければいけないと考えています。

 アフリカは近年目覚ましい経済成長を遂げておりますが、御指摘のように、格差ですとか紛争ですとか、大きな課題も抱えています。このため、先般のTICAD5におきましても、単なる経済成長ではない、確かな平和を土台とし、成長の果実が広く社会に行き渡る、質の高い成長の実現につき、包括的に議論をいたしました。

 ですから、この議論の中でも、ソマリアの国づくりに関する会合ですとか、あるいはサヘルの安定化に焦点を当てた会合ですとか、こうした会合もTICAD5の中に設けられました。また、人間の安全保障を推進する、こうした議論もさまざまな会合の中で強調されたところであります。こうした、開発と成長の土台であります平和と安定の達成のためにも、我が国は、アフリカ自身の努力をしっかりと後押ししていかなければいけない、このように思っています。

 我が国としては、質の高い成長をアフリカに遂げてもらうためにも、TICAD5で打ち出したさまざまな支援策を実行に移して、相互に関連するさまざまな課題について包括的に取り組んでいくことが大事だと考えております。

菊田委員 今回のTICADでは、安保理改革に関する日・アフリカ首脳会合も開催されました。中国人民解放軍の機関紙は、日本の支援策を、金で常任理事国の席を買う云々と論評したそうですけれども、残されたグローバルガバナンス上の重要課題について日本とアフリカが胸襟を開いて議論することは当然のことでありますし、安保理改革実現のためには、アフリカ五十四カ国の支持は不可欠だと考えます。

 アフリカにおいては、日本の常任理事国入りについてはほぼコンセンサスがあるけれども、改革の全体像では日本と折り合っていないと聞いております。

 アフリカの共通ポジションとはいかなるもので、どの点が問題なのでしょうか。そして、それを克服するための今後の方策についても伺います。

岸田国務大臣 アフリカにおける安保理の共通ポジションは、まず一つは、常任理事国そして非常任理事国、この両方の議席を拡大するということ、そして、新常任理事国は拒否権を有するというものであります。

 日本とアフリカは、新常任理事国の拒否権の扱い等において立場の違いは存在いたしますが、常任、非常任理事国双方を拡大していく、こうした方向を目指す革新推進勢力としては、大きな方向性は一致していると考えています。

 さきのTICAD5の機会を利用して、安保理改革に関する日・アフリカ首脳会合を開催いたしました。ここで一層緊密に連携協力していくことで一致したわけですが、首脳レベルで日本とアフリカの間で安保理改革をテーマに会議を行ったというのは、今回が初めてのことであります。

 こうした会議を通じて有意義な意思疎通が図れたと考えておりますが、今後とも、安保理改革早期実現に向けて、アフリカその他の関係国と一層緊密な連携協力を図っていきたいと考えています。

菊田委員 ありがとうございました。

 それでは、投資協定について、残りの時間で質問をさせていただきます。

 パプアニューギニア、コロンビア、クウェート、イラク、日中韓、いずれの投資協定も民主党政権下で推し進めてきたものでありまして、昨年の通常国会で承認を得ようと努力をしてまいりました。むしろ、今日まで先送りされてきたことを残念に思っています。資源外交を力強く推進するという現政権の考え方、そしてその重要性について私どもも共有をしておりますので、そのことをまず申し上げて、質問に入ります。

 まず、パプアニューギニアですけれども、液化天然ガスを初めとする豊富な天然資源を有しております。太平洋島嶼国地域においては最大の人口と面積を有しております。この地域の主導的地位にある大変重要な国でありますが、この投資協定締結によりまして、今後、我が国との関係は具体的にどのような発展、強化が期待されるか、伺います。

柳政府参考人 お答えいたします。

 パプアニューギニアは、先生御指摘のとおり、地域の中で最大の人口、面積を有し、また、天然ガス、金、銅等豊富な資源を有しておる国でございまして、我が国からパプアニューギニアへの投資累積額は年々増加しております。

 このような中で、国会の御承認を得てパプアニューギニアとの投資協定を早期に締結することにより、投資家の権利を保護する法的枠組みが構築され、投資環境の透明性、法的安定性、予見可能性が向上することとなります。これによりまして、資源の安定的確保を含め、両国間の経済関係がさらに強化されていくと思います。

 既に我が国からパプアニューギニアには企業が約二十社進出しておりまして、投資への関心も高いところでございます。

菊田委員 私は、二〇一一年二月にパプアニューギニアを訪問しまして、この投資協定について実質合意に達しました。その際、現地の日系企業関係者と意見交換をさせていただいたんですけれども、治安への不安がたびたび話題になっておりました。

 この投資協定によりまして両国間でさらにビジネスの機会が拡大していくということは大変喜ばしいことですけれども、治安について非常に懸念されるわけでありますが、現状はどういうふうになっているのか、伺います。

柳政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、パプアニューギニアにおきましては、武装凶悪犯罪が多発しておりまして、邦人が被害に遭ったこともございます。我が国からの投資が一層増加するためには、現地の治安が確保されて、日本企業関係者が安心してビジネス活動を展開できることが重要ということでございます。

 外務省としましては、パプアニューギニアに対して、さまざまな機会に治安の改善や邦人の安全確保を要請しております。日本企業への治安情報の提供や相談を通じて、現地の邦人の安全確保には最大限の注意を払っていく考えでございます。

 以上でございます。

菊田委員 たまたま新聞を見ておりましたら、パプアニューギニアで魔女狩りという殺人が相次いでいるというような報道がございました。地元紙によりますと、二十歳の女性が公衆の面前で暴徒に襲われて焼き殺されたということで、この女性が魔術を使って男の子を呪い殺したために報復されたんだというふうに伝えられたと報じられております。

 パプアニューギニアでは、一部地域に、高等教育を受けた国民も含めて、魔術とか呪術という存在が今もなお広く信じられているということでございまして、それに関して大変残虐な事件というものが相次いでいるわけでございます。こういう私たちの感覚では少し信じられないようなことも起こるわけでありまして、引き続いて治安の改善を求めたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 続きまして、日本にとりまして最大のビジネス相手国の一つであります中国との社会保障協定はどうなっているのか、伺います。

 在中国日本企業約二万三千社分の二重払い問題の解消というのは両国間の重要な政治課題になっていたはずですが、日本よりも先に、韓国やドイツとの交渉が優先されているのではないかというようなことも耳にしたりいたします。交渉の進捗を伺います。

柳政府参考人 お答えいたします。

 中国との社会保障協定につきましては、日本の産業界からの要望を踏まえまして、平成二十三年十月より、三回にわたりまして政府間交渉を行ってきたところでございます。

 政府といたしましては、同協定の早期締結に向け、引き続き取り組んでまいりたいと思っている所存でございます。

菊田委員 もうちょっときちっと説明していただきたいんですけれども。二〇一一年十月から交渉が開始されているんだけれども、二〇一二年三月の第三回会合を最後にとまっているのではないですか。これはどういう理由でとまっているのか、そして再開の見通しはどうですか。

柳政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、第三回の会合は昨年の三月末でございます。

 第四回交渉の開催につきましては、現時点で中国側と引き続き調整中でございまして、早期の協定締結を目指して交渉を加速する必要性につきましては日中双方で一致しているところでございますが、まだ種々調整すべき点もございまして、早期開催及びその合意に向けて引き続き努力していきたいと思っております。

菊田委員 中国側はどういう言い方をされているんですか。どういう理由でこれがとめられているかということです。

柳政府参考人 中国側から、どういう形で交渉に応じていないかということについて明確な説明があるということでは必ずしもございませんけれども、まだ双方一致していない点も多々ございます。それから、日程的なものも含めまして、引き続き調整しているというところでございます。

菊田委員 この社会保障協定締結は中国との関係で非常に重要ですので、ぜひこれを前に進めていってほしいと思います。

 実は、中国との関係におきましては、このことに限らず、さまざまな交渉がとまっているということがございます。やはり日中間の関係が改善していかないとさまざまな政治課題が解決していかないということでありまして、例えば、私は新潟県ですけれども、農作物は、風評被害があるということで、いまだに中国への輸出が許されていないわけでございます。そういうことも含めて、日中間の関係で懸案になっている、ストップされている交渉が前に進むような努力をぜひ引き続いてやっていただきたいと思います。

 それから、日中韓の投資協定ですけれども、二〇〇七年に交渉が始まりました。そして、署名まで五年二カ月ということであります。これはほかの交渉に比べてやや時間を要しているというふうに思いますけれども、その理由について伺います。あわせて、日中韓のFTA交渉の現状についてもお聞かせいただきたいと思います。

正木政府参考人 御質問の第一点の、日中韓の投資協定の交渉の期間の件でございます。

 先生が御指摘されましたように、本協定は、二〇〇七年三月に交渉を開始しましてから二〇一二年五月に署名するまで、約五年を要しております。この投資協定交渉に要する期間というものは交渉相手国により異なり、交渉開始から一年から二年で署名に至るものも多いですが、韓国やコロンビアの交渉のように、二年以上の期間を要した例もございます。

 日中韓投資協定につきましては、三国間の交渉であったこと、それから、特に中国との関係で、より高い水準の約束を目指し、粘り強く交渉を行いました。その結果、五年余りの交渉を経て、三カ国がともに満足し得る内容となったと判断され、妥結に至ったという事情がございます。

 御質問の第二点の、現在行われている日中韓のFTAの交渉状況でございます。

 日中韓FTAにつきましては、本年の三月に、ソウルにおきまして第一回の交渉会合を開催いたしました。この場では、交渉の取り進め方あるいは交渉の分野などについて議論を行ったことに加えまして、物品の貿易、投資、サービスなどについても協議を行いました。このほか、貿易救済措置、原産地規則、税関手続・貿易円滑化、競争、総則・最終規定など、それぞれの分野についてワーキングレベルでの協議を開始することで一致しましたほか、知財、電子商取引などの分野につきましては、専門家で意見交換を行うこととなりました。七月の末をめどに第二回の交渉を中国で開催すべく、現在準備を進めております。

 いずれにしましても、日中韓のFTAは、三カ国間の貿易・投資を促進するのみならず、TPP、RCEPとともに、アジア太平洋自由貿易圏、FTAAPの実現に寄与する重要な地域的取り決めの一つと認識しておりまして、包括的かつ高いレベルのFTAを目指して、政府としまして精力的に交渉していきたいと思っております。

菊田委員 もう時間が参りましたので終わりにしますが、この日中韓FTAも大変重要な交渉ですので、ぜひ前進をさせていっていただきたいと思います。

 投資協定は、我が国にとって非常に重要なものでありますので、賛成をしたいというふうに思っています。これからも頑張ってください。

 どうもありがとうございました。

河井委員長 次に、山内康一君。

山内委員 みんなの党の山内康一です。

 まず、投資協定について質問をいたします。

 日中韓の投資保護協定の中で五条というのがありまして、投資家の投資財産に対し、公正かつ衡平な待遇並びに十分な保護及び保障を与えるという項目があります。

 それから、十二条に、各締約国は、武力紛争等の緊急事態により、自国の領域内における投資財産に関して損失等をこうむった他の締約国の投資家に対する原状回復等の解決方法に対し、内国民待遇または最恵国待遇のうち当該他の締約国の投資家にとっていずれか有利なものよりも不利でない待遇を与えること。

 五条と十二条ですね。この中で、何かあったときに投資家の財産を守ってくれるということだと思うんですけれども、仮に、中国でここ数年あったように、日本企業が焼き討ちに遭ってしまった場合、そういった場合に、この協定が結ばれることで何か影響があるのでしょうか。

正木政府参考人 日中韓の投資協定は、先生御指摘のように、既存の日中の投資協定と比べまして、全体として高い水準の保護を規定しております。

 御指摘のように、締約国の投資家の投資財産に対する公正かつ衡平な待遇、あるいは、現地調達要求など投資の阻害要因になるような要求の禁止になる規定というものも含まれております。

 加えまして、投資家と受け入れ国の間の紛争解決、いわゆるISD手続につきましても、あらかじめ国際投資仲裁への付託を認め合う対象範囲を広げております。したがいまして、現在の日中投資協定においては収用などの補償額に関する紛争に限られていましたが、今回の日中韓投資協定においては、原則、協定上のあらゆる義務の違反に関する紛争を仲裁の対象としております。

 したがいまして、日中韓投資協定の下で仮に暴動、焼き討ちというような事態が起きますれば、受け入れ国によるこれら協定上のいずれかの義務の違反、例えば、受け入れ国がほかの締約国の投資家の投資財産に十分な保護及び保障を与えることを定めました、先ほど先生が御指摘された、五条の規定の違反によりまして、投資家の投資財産に損害が生じる場合には、投資家がその損害の賠償を求めて受け入れ国を国際仲裁などに付託することができるようになります。

山内委員 わかりました。

 次に、インドとの社会保障協定に関連して質問をさせていただきます。

 先ほど、菊田委員からも、中国との社会保障協定がまだであるという話がありました。少なくとも中国は既に交渉には入っているわけですが、ほかにも、在留邦人がたくさんいる、日本企業がたくさん進出しているにもかかわらず、交渉中、協議中にもなっていない国というのがたくさんあります。

 タイ、シンガポール、台湾、インドネシア、こういった国は、日本企業がたくさん出ていっている割には、社会保障協定が結ばれてもいないし、交渉も始まっていない、協議すらやっていない、こういう状況にあるわけですけれども、なぜまだ協議に入れていないんでしょうか。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 社会保障協定の目的は、駐在員などが、二つの国の間の年金制度で、二重加入の問題ですとか保険料掛け捨ての問題を解決することを目的として締結するものでございます。

 政府としては、このような社会保障協定の締結に当たりましては、一般的に申し上げて、相手国の社会保障制度における一般的な社会保険料の水準、相手国における在留邦人数及び進出日系企業の具体的な社会保険料の負担額等、あるいは我が国経済界からの具体的要望の有無、我が国と相手国との関係、そして我が国と相手国の社会保障制度の違いなどの諸点を総合的に勘案した上で、優先度が高いと判断されるものから順次締結交渉を行っていくこととしております。

 したがいまして、在留邦人の数が多いことのみを理由として社会保障協定を締結するわけでもなく、先ほど申し上げましたような諸点を総合的に勘案しつつ、優先度が高いと判断されるものから積極的に締結交渉を行っていく考えでございますので、御理解をいただきたいと思います。

山内委員 総合的に判断ということですが、では、具体的に、タイとかシンガポールとか、日本企業や在留邦人が多い、ベストテンに入るような国が、タイの場合、シンガポールの場合、なぜ対象になっていないんでしょうか。もしお答えになれるのであれば。

上村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、タイに関しましては、確かに、現地日系企業の日本駐在員にも保険料支払い義務がございます。そういう意味では、二重払いの問題が生じ得ます。

 しかしながら、タイの社会保障制度の保険料の上限額は非常に低いと伺っておりまして、保険料の二重払いの問題は、現地の日本人商工会議所にとっても直ちに解決すべき必要のある問題とはみなされていない、いわば優先順位が低いという現状がございます。

 シンガポールでございますが、シンガポールの社会保障制度につきましては、外国人は強制加入の対象から除外されていると理解しております。

 したがいまして、我が国との間で保険料の二重払い問題は発生しないものと承知しております。

山内委員 よくわかりました。ありがとうございました。

 次に、ちょっと別の、きょうの議題ではありませんが、最近、官邸の有識者懇談会で、在留邦人及び在外日本企業の保護の在り方に関する懇談会の報告書というのが四月二十六日に出ました。具体的には、アルジェリアの事件を受けて、官邸として海外の日本企業、日本人をどうやって守るかという、そういった観点の報告書です。これは非常に興味深い報告書なんですけれども、実際、官邸の有識者懇談会ですが、ほとんどは外務省がやるべきことになってくると思います。これについて質問させていただきます。

 まず最初に、この提言の中で、一つ具体的な提言がありました。外務省の領事局所管の海外安全官民協力会議など既存の官民協力体制を再活性化させるべきだというような議論がありました。

 再活性化すべきということは、今活性化されていないということだと思うんですけれども、こういった提言を受けて、外務省、どのようにこの海外安全官民協力会議、こういったものを強化していくんでしょうか。

あべ大臣政務官 今の御質問でございますが、活性化というのは、さらに活性化していくという意味でもございまして、在アルジェリア邦人に対するテロ事件を受けた在留邦人及び在外企業の安全確保につきまして、これまで、政府検証委員会が報告書を提出いたしまして、また、御指摘の有識者懇談会の報告書、与党の在外邦人に対するPT報告からも、具体的な提言をいただいているところでございます。

 これらを踏まえて、五月三十日に、政府としての取り組みを発表したところでございまして、このうち、御指摘の官民協力体制につきまして、アルジェリア事件を踏まえる形で、二月十五日に、本邦におきまして、海外安全官民協力会議の臨時本会合を開催するとともに、百七十六の在外公館で安全対策連絡協議会を開催いたしまして、政府、在外公館と、民間企業、団体との間で緊密な情報共有、さらには危機管理体制に係る意見交換を行ってきているところでございます。

 今後とも、このような既存の官民協力体制を一層活用するとともに、海外安全対策にかかわる官民集中セミナー、これは七月に予定されておりまして、中東、アフリカなども絡めてのことでございますが、実施の新たな取り組みも含めまして、これを進めてまいり、さまざまな形で官民連携体制の強化に努めてまいります。

山内委員 ありがとうございます。

 そのほかに、この提言の中にもう一個おもしろいと思ったのは、日本企業から相手国政府の警察なりあるいは軍なりに警備を依頼するよりも、企業が直接行くよりも、日本の大使館から相手国政府に申し入れてくれた方が効果的であると。だから、もっと大使館で、日本企業から要請があれば、柔軟に対応して、相手国政府に働きかけをやってほしいという切実な要請だと思います。

 これについて、外務省、どのようにお考えでしょうか。

岸田国務大臣 外務省におきましては、在外公館を通じまして、日本企業の海外展開を積極的に支援しており、その際に、進出する企業の安全対策、リスク管理に関しても、さまざまな情報提供や相談を行ってきております。

 そして、働きかけについて御質問いただきましたが、全ての在外公館には日本企業支援窓口を設置して、海外における日本企業のビジネスが円滑に行われるよう、各種の情報提供や相手国政府、関係機関への働きかけ等を行っております。

 進出先における安全確保についても、日本企業からの相談に応じ、必要な場合には、相手国政府や関係機関への申し入れを行う等の取り組みを行っております。

 今後とも、官邸におきます報告書ですとか、あるいは外務省におきます対策チームの検討、こういったものを踏まえながら、相手国政府への働きかけも含めて、日系企業の安全確保、取り組みを進めていきたいと考えております。

山内委員 これは質問というよりも要望ですけれども、私も、国会議員になる前の前職時代は、いろいろな国の日本大使館の人とおつき合いがありましたけれども、外務省の大使館というのは、非常に、担当者によって、一生懸命やってくれる人もいれば、あれっという人も多くて、ぜひ、全世界一律できっちり対応ができるような、そういう制度づくりをやっていただきたい。

 特に大使館というところは、プロパーの外交官だけじゃなくて、他省庁から二年、三年の任期で来ている人なんかも多いわけで、そういった意味では、世界じゅう、どの日本大使館でも適切な対応ができるような、そういうシステマチックな対応というか、マニュアル化というか、そういったものも心がけていただきたいというふうにお願いを申し上げます。

 それから、この報告書を読んでいて、おもしろいというか、若干問題だなと思う点が一点ありました。

 それは、アルジェリアの事件のときに、城内大臣政務官が応援に行かれました。城内さんはもともと外務省出身の方なので、適切な措置だったと思いますが、城内政務官を含めて約五十名の応援部隊がアルジェリアに行ったということでした。ただ、五十人も送った外務省の応援部隊のうち、一人としてアラビストがいなかった、アラビア語ができる職員が含まれていなかったというのが指摘されておりました。

 アラビア語を研修している外交官は百五十人近くいるというふうに思います。百五十人もいるアラビア語研修組の中で、一人としてこの応援チームに入っていなかった。これはちょっと問題じゃないかと思うんですけれども、この点について、外務省はどのようにお考えでしょうか。

あべ大臣政務官 この件に関しまして、在アルジェリア大使館に設置された現地対策本部、ここにおきまして、在アルジェリア大使館勤務の経験者、領事、広報の専門家、フランス語専門家などの在外公館及び東京からの応援出張者を得て、最終的に、城内政務官以下、五十名以上の体制で本件の対応に当たったところでございます。

 そうした中、言語におきまして、アルジェリアにおいてはフランス語が非常に広く使われておりまして、特にアルジェリア政府関係者との会話は通常フランス語を用いていることから、在アルジェリア大使館におきましては、大使以下、フランス語を専門とする職員を複数配置しているところでございます。また、応援出張者に関しましても、フランス語を専門とする職員を他公館及び本省からできる限り多く現地に派遣したところでございます。

 なお、今回の事件に対する現地対策本部にアラビア語を専門とする日本人職員はおりませんでしたが、フランス語とアラビア語を両方理解する現地職員、また外務本省、近隣公館のアラビア語を専門とする職員によって、アラビア語メディアなどに関しましても適切にフォローしたというふうに認識しております。

 実際には五十五名、これは警察庁からの出張者も含むところでございますが、この五十五名が現地対策本部におきまして勤務をしておりまして、これは、在アルジェリア大使館員が十三名、さらには応援出張の方が四十二名、うち、フランス語専門家は、在アルジェリア大使館四名、さらには応援出張者八名ということになっております。

 今後とも、政府といたしましては、万が一同様の事件が発生した場合の対応も念頭に、関係機関との間の一層の信頼関係の醸成及び情報源の開拓に努めることが必要であると私どもも考えておりまして、そのために、地域情勢また言語に通じた要員の確保、例えば、在アルジェリア大使館のアラビア語を専門とする職員の配置の検討など、在外公館の情報収集・分析体制の拡充が必要であるというふうに考えておりまして、事件発生のときの対応におきましても、地域情勢、言語に通じた要員の確保にまたさらに一層頑張ってまいりたいというふうに思っております。

山内委員 言語の問題はそんなにシンプルではないと思うんですね。仏語圏だからフランス語ができればいいということではなくて、恐らく庶民はみんな仏語はそんなに流暢じゃないと思います。

 それから、アルジェリア政府の職員で、フランスで教育を受けたようなキャリア組はいいかもしれませんが、末端の職員とか末端の警官、末端の兵隊のレベルは、恐らくそんなに洗練されたフランス語をしゃべるとは思えませんから、やはりアラビア語なんだろうなと。それも、いわゆるアラビア語というよりは、もしかしたらアルジェリアなまりのアラビア語ができる人がいた方が、現場の生の情報というのは得やすいんじゃないかなと思うんですね。

 例えば、外務省は、フィリピンの大使館は英語圏だから英語ができればいいんだという発想で、余りタガログ語の職員がいないんですね。ところが、フィリピンみたいな公用語が英語の英語圏と言われても、庶民はタガログ語の新聞を読んでいるんですね。多分、アルジェリア人は、日常会話は別にフランス語でしゃべっていないと思うんですよ。

 そういった意味では、フランス語ができればいいというんじゃなくて、やはりアラビア語、それも、もしかしてテロ組織の無線を傍受しようと思ったら、現地語なまりのアラビア語がわからないと意味がないわけなんですね。ですから、フランス語が五十人行ったからそれでいいんだという外務省の説明をうのみになさらない方が、あべ政務官におかれましては、いいんじゃないかなと思います。

 だからこそ、私は、外務省はもっと言語、それも英語、仏語、中国語みたいなメジャー言語だけじゃなくて、アラビア語、それもいろいろなアラビア語を覚えた方がいいと思うんですよ、レバノンなまりのアラビア語、サウジアラビアなまりのアラビア語。そうじゃないと、恐らく、日本の場合を考えてみると、ジャパン・タイムズとデーリー・ヨミウリしか読んでいないアメリカ人の政治学者が本当に日本の政治をちゃんと分析できるか。できないと思いますね。やはり、朝日、読売、週刊文春、新潮まで読んで初めて日本の政治というのは分析できるんだと思います。

 そういった意味では、ちゃんと現地語、フランス語だけではだめなんじゃないかなという問題意識をぜひ持っていただきたいと思います。そういった意味では、外務省の特殊言語の研修、教育というのをもっと力を入れるとともに、そういう人材を大事にする人事のローテーションなんかも考えられてはいかがかなと。

 今回、アルジェリアの大使館にアラビア語の人がもともと一人もいなかったということも報告書の中で書かれておりました。そういった意味では、せっかく金をかけてアラビア語ができる人を百五十人も、正確には百四十九人ですね、養成しているわけですから、そういう人をもっと活用すべきではないかというふうに個人的な意見を申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 以上です。

河井委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、日中韓投資協定について質問いたします。

 本協定では、第九条で、締約国は、自国の法令に従って知的財産権を保護する義務を負い、また、知的財産権に関する透明な制度を確立、維持する義務等を負うことが定められております。

 岸田大臣に伺いますが、日中投資協定や日韓投資協定、それぞれバイの協定にはこのような規定は設けられていなかったと思うんですけれども、いかがでしょうか。

 また、本条項が新たに設けられたことにより、偽造品の取り締まり等の法執行など、締約国における知的財産権保護の強化に資すると考えるんですけれども、この点ではいかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御指摘のように、日中投資協定そして日韓投資協定には、知的財産権に関して、日中韓投資協定第九条と同一の内容の規定は存在しておりません。

 日中韓投資協定につきましては、交渉当初から、日韓両国が、本協定において知的財産権の保護に関する規定を設けるべきという主張を行ってまいりました。交渉の結果、この第九条の規定が盛り込まれるということになりました。

 日中韓投資協定第九条は、知的財産権の保護が不十分であることにより投資の促進を阻害するようなことがないよう、各国が自国の国内法令に従って知的財産権を保護すること、こうしたことを設けております。

 また、同じくこの九条におきましては、既存の協議の枠組みを通じて、知的財産に関する透明性のある制度を確立、維持するため、全締約国間の協力、連絡を促進する、こういった旨が定められております。

 こういった規定に基づいて、例えば、中国または韓国において、当該国政府が国内の関連法令に基づき知的財産権を保護せず、我が国の投資家の投資財産に損害を生じるような場合、この投資家は当該国政府に対して仲裁に付託することができる、こうしたことになります。

 こういった内容を持つ九条は、日本企業の知的財産権の保護に寄与するという大きな意義を有していると考えております。

笠井委員 先ほどの山内委員からもあって、関連してなんですけれども、今の大臣からのことにも関連しますが、本協定では、第五条の1で、締約国は、他の締約国の投資家の投資財産に対して、公正かつ衡平な待遇と十分な保護及び保障を与える義務を負うということが定められております。一般に公正衡平待遇と呼ばれるものであります。

 この規定について、日中投資協定では不断の保護と保障を与える義務のみが規定されていたわけですが、本協定が発効されれば投資家保護の可能性が大幅に広がる、こういうことで理解してよろしいんでしょうか。端的にお願いします。

岸田国務大臣 御指摘のように、本協定五条1ですが、他の締約国の投資家の投資財産に対し、国内法に基づく公正かつ衡平な待遇並びに十分な保護及び保障を与える趣旨の規定でありますが、まず、ここで言う「公正かつ衡平な待遇」というのは、例えば、投資家が適正な裁判を受ける権利を与えられないといった不当な差別等の禁止が含まれると考えております。

 また一方、「十分な保護及び保障」の中には、受け入れ国が第三者による暴力行為等から投資家の投資財産を適切に保護するための措置をとる義務、こういったものが含まれると考えております。

 こういったことから、この規定の意味は大変大きいと考えております。

笠井委員 この第五条1の規定によれば、例えば日系企業が、先ほどありましたが、反日デモの暴動による被害を受けた場合に、締約国が合理的に必要な措置をとらなかったときには、十分な保護及び保障を与える義務に反するものとして、本協定に基づく仲裁、ISD手続において認定される可能性もあるということでよろしいんでしょうか。

岸田国務大臣 まず、日中韓投資協定は、第二十七条7に定めておりますように、この協定の効力発生前に生じた事態に起因する請求については適用しないとされております。

 ですから、先般の反日暴動に関しては適用はされませんが、この協定が発効いたしますと、先般のような暴動等の事態に際し、受け入れ国による協定上のいずれかの義務、例えば第五条1に定める十分な保護及び保障を与える義務の違反により投資家の投資財産に損害が生ずる場合、投資家が、その損害の賠償を求めて、受け入れ国を相手として仲裁等に付託することができるようになると考えています。

笠井委員 要するに、遡及されないけれども、今後同じようなことがあった場合についてはそういうことがあるということだと理解いたしました。

 現在、日中韓の間には、それぞれ二国間投資協定が締結をされて、本協定第二十五条では、既存の二国間協定との関係について、各締約国が二国間協定の効力を終了しない限りは、本協定の影響を受けることなく、引き続き効力を有することが定められております。

 そこで、確認なんですけれども、投資紛争が発生した場合に、本協定と二国間協定のどちらに基づいて紛争解決手続をとることになるんでしょうか。これはいかがですか。

岸田国務大臣 この協定二十五条に、既存の二国間投資協定に基づく締約国の権利義務に影響を及ぼさない旨規定されております。

 さらに、同規定の注釈において、投資家と締約国の間に問題が生じた場合、当該投資家自身がこの協定よりも有利と考える二国間投資協定に依拠することを妨げない旨も確認をしております。

 したがって、投資紛争が生じた場合、日中韓投資協定と既存の二国間協定のうち、いずれの協定に基づいて仲裁を提起するかは、その投資紛争の当事者である投資家が決めるということになると考えます。

笠井委員 投資家自身が選択できるということであると思います。

 私は、二年前に、当委員会で日本とインドのEPAの問題の質疑の際に、投資家対国家の紛争解決条項について質問いたしました。今回のパプアニューギニア、コロンビア、クウェート、イラクとの投資協定についても、従来のEPAや投資協定の規定ぶりと類似しているというふうに理解をいたしております。

 二年前の外務省の答弁では、投資家と締約国間で協議等で紛争が解決されない場合には、国際調停、仲裁に直接付託することができるというふうにし、そして、この仲裁の付託を受けた仲裁裁判所が下した裁定というのは、これは最終的なものであって、紛争当事者を拘束するという性質のものというふうに述べておりました。

 そこで、これは外務省で結構ですが、外務省に改めて確認いたしますが、今回の投資協定では、締約国内における国家の規制と投資家の権限について、どのようなバランスというんですか、そういうものをとっているのか。また、仲裁案件になった場合に、いかにして仲裁における公正性を確保するのか。協定上の規定ぶりも含めて説明していただけるでしょうか。

正木政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、投資の関連協定では、相手国における投資環境の法的な安定性、予見可能性を向上させることで、我が国からの投資のさらなる保護、促進につながることが期待されております。

 もちろん、その一方で、投資関連の協定は、外国投資家の投資の自由を例外なく保障するものではございません。投資受け入れ国が必要かつ合理的な措置をとることを認めているほか、自国の安全保障のために必要な措置などをとることを妨げない旨、さまざまな例外を設けております。

 したがいまして、今回御提出している協定も含めて、我が日本政府としましては、投資協定の締結に当たっては、投資受け入れ国として、みずからの規制権限を十分確保しつつ、その一方で、我が国に進出する海外の投資家の保護を図るという両面のバランスを確保した条約となっております。

 また、御質問の仲裁手続に関してでございますが、投資家対国家の紛争解決、いわゆるISD手続における仲裁につきましては、紛争当事者である投資家、それから受け入れ国が、それぞれ一名ずつ仲裁人を選定し、第三の仲裁人は原則として当事者間の合意により選定されます。また、仲裁廷は、両者の主張に基づき、投資関連協定、関連する国際法などに基づいて客観的な判断を行います。

 したがいまして、国際仲裁の公平性というのは十分担保される仕組みになっていると考えております。

笠井委員 アメリカとオーストラリア、米豪のFTAは紛争解決条項を規定として盛り込んでいないというふうに理解しているんですけれども、その理由は何だというふうに承知しているでしょうか。

正木政府参考人 御質問のアメリカとオーストラリアのFTAにつきましては、御指摘のように、国家と投資家の間の紛争解決、ISD手続は規定されておりません。今後改めて協議を行うことができる旨のみを定められているのは委員御指摘のとおりでございます。

 その理由につきまして、日本は直接の当事国ではございませんので、全く述べる立場ではございませんが、オーストラリアの外務貿易省のホームページを見ますと、アメリカ、オーストラリアともに、外国投資家と政府の間の紛争を解決するための強固かつ発展した法制度を有していること、また、アメリカとオーストラリアのFTAにはISDが含まれていないというようなことが説明されております。

 ちなみに、二〇一一年四月に発表された、現ギラード政権、オーストラリアのギラード首相の政権の通商政策に関する文書におきまして、オーストラリアは、貿易協定に国対投資家の紛争解決の規定は置かない方針であると表明しております。その理由としましては、この規定が外国の投資家に対して国内の投資家より大きな権利を与える可能性があることなどを挙げているようです。

 ただし、現在、オーストラリア国内においても、ISD条項に賛成する声もあるようでございまして、必ずしもオーストラリアの産業界あるいは国民全体の意見が反映された立場ではないのではないかと思っております。

笠井委員 私が二年前にこの問題を取り上げたときに、当時の山花大臣政務官が、今ギラード政権のことを言われましたが、「国内の投資家よりも外国の投資家に対してより大きな権利を与えたり、あるいは社会、環境、経済等に関する豪州政府の立法権限を制約する可能性があるという理由で、その規定を支持しないという政策を今とっております。」というふうに説明しておりました。

 私、理解しましたところによれば、主権国家が国民の安心、安全を確保する政策を導入すると、投資企業から訴えられた場合に、締約国が補償する、結果として、国民の税金が使われることになるということを問題にしているんだというふうに理解いたしました。

 以上、私、この問題を幾つか伺いましたが、投資協定に関連した質問を終わらせていただきます。

河井委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 投資の自由化、促進及び保護に関する協定の締結について承認を求めるの件、社会保障に関する協定の締結について承認を求めるの件、各協定における問題点について、これまで各委員から問題点の提起などがありました。かぶるところはあるかもしれませんが、どうぞ、真摯な御答弁をお願いしたいと思います。

 まず、パプアニューギニアとの国際関係について。

 現在、液化天然ガス、LNGプロジェクトが進められており、日本企業も権益四・七%を保有しています。今後、年間生産量六百六十万トンのうち、その半分に当たる三百三十万トンが日本へ輸出される計画であります。日本のエネルギー政策に大きく反映する投資活動として、十分な保護対策が必要であることは異論のないところであります。

 そこで伺いますが、パプアニューギニアとの保護協定において、投資参入の障壁削減、撤廃の努力義務など、自由化協定の要素を一部取り入れる件について、どのような投資環境が整い、有効な成果が得られるのか、外務省に伺います。

あべ大臣政務官 パプアニューギニアは、太平洋島嶼地域最大の人口、面積と、天然ガスなどの豊富な資源を有する地域の大国でございます。我が国は、同国との経済関係をさらに強化すべく、ODAによる、送電網、さらには道路、下水道の整備など、国づくりや官民合同の投資促進、さらには、ビジネス環境改善の会議の開催などを通じまして、ビジネス、投資環境の改善に努めているところでございます。

 日・パプアニューギニア投資協定におきまして、投資に関する制限的な措置を削減、撤廃するという努力規定が設けられているところでございまして、本協定の発効後、我々、引き続きODAによる国づくり支援を進めるとともに、現地の日本企業の要望も積極的に取り入れながら、パプアニューギニアのビジネス、投資環境が一層改善されるよう働きかけていきたいというふうに思います。

玉城委員 パプアニューギニアは、オーストラリア、パラオ、トンガ、ミクロネシア連邦などの太平洋島嶼国家の一つとして、直面するさまざまな問題について取り組むことなどを目的とする太平洋・島サミットへも参加しています。

 昨年、二〇一二年五月に沖縄で開催されました第六回太平洋・島サミットへも参加し、自然災害への対応、環境・気候変動、持続可能な開発と人間の安全保障、人的交流、海洋問題における協力など五本の柱から成る沖縄キズナ宣言も共同で採択されています。

 外務大臣に伺いたいと思いますが、パプアニューギニアと日本との関係について、この協定を結ぶ意義から、日本の太平洋島嶼国外交をさらに強力に進めていくための見解もしくは方針を伺います。

岸田国務大臣 パプアニューギニアを含む太平洋島嶼国は、我が国にとりまして、太平洋を挟んだ隣国であります。また、伝統的に親日的な国々でもあります。また、国際場裏においても、日本を支持してくれる大切な基盤であると考えております。あわせて、資源国でもあります。

 こうした観点から、我が国としては、これまでも、御指摘の太平洋・島サミットの主催ですとか、あるいは太平洋諸島フォーラム域外国対話への出席、こうしたことを通じて、地域全体と関係強化に努めてきた次第であります。本年十月には、太平洋・島サミットの第二回中間閣僚会合を東京で開催する予定にしております。

 なお、今後も、国ごとの異なる事情等を踏まえながらこの地域との貿易・投資を促進していく、こういった観点から、御指摘の、昨年六回目の太平洋・島サミットで採択した沖縄キズナ宣言に基づいて、ODA等も活用しながら、持続可能な開発、海洋問題を初めとする五分野での協力を進めていきたいと考えております。

 こうしたことを通じて、太平洋島嶼地域全体との関係を一層強化していきたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 次に、クウェートについて伺います。

 クウェートとの協定についてですが、二〇一〇年度に採択された総額一千億ドル超の開発計画に基づく大規模なインフラ建設プロジェクトが注目されています。二〇一二年には、日本企業がイギリスの企業と組んで、総事業費約十八億ドル、一千四百五十億円の発電、造水事業の優先交渉権も獲得しています。そのほかにも、空港ターミナルビル、学校、病院、港湾、官公庁施設など、数百億円規模の工事の発注が予定されていますが、一昨年の十月三十一日付の日刊建設工業新聞には、クウェート側の呼びかけに応じて、国土交通省と日本の建設会社の関係者がインフラ事業説明会にも参加をしたという情報も載せられています。

 クウェートでは、政府発注案件受注の外国企業に対して、契約総額の最大三五%を八年以内に内国に投資する見返り投資、オフセットプログラムというのがあります。この制度があり、多大な金額を還元させることによって、逆に日本企業の積極的な投資参加への障害となる懸念があると思われますが、この制度によって日本企業側が事業参画をちゅうちょすることがないよう、オフセットプログラムの見直しに向けた日本政府側からの提起あるいは検討について、どのように進められているか、現況と今後の取り組みなどを外務省、国交省にそれぞれ伺いたいと思います。

宮川政府参考人 今先生御指摘のオフセットプログラムでございますけれども、確かに、このプログラム、日本企業によるクウェートに対するビジネスの参入の障壁になっていると考えられます。よって、政府といたしましては、首脳会談等の機会を使いまして、累次にわたって、クウェート側に対してこのプログラムの見直しを働きかけてきております。

 今後とも、外交ルートなどを通じながら、さまざまな機会を利用してこの見直しの働きかけを続けていきますが、同時に、クウェートにおける投資やビジネス環境の整備について、その改善に向けた取り組みを進めていく考えでございます。

本東政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のオフセットプログラムでございますけれども、我が国の建設企業からも、このプログラムの存在がクウェートの政府調達市場への参入の障壁になっているという声は確かに寄せられております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、外務省と十分な連携をとりまして情報収集に努めるとともに、このプログラムの見直しを働きかけるなど、我が国建設企業の事業環境の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。

玉城委員 ぜひ、省庁を超えて、団結して取り組んでいっていただきたいというふうに要望いたします。

 次に、日中韓の投資協定について質問します。

 日本と中国はこれまで、いわゆる戦略的互恵関係の構築を進め、政治的な相互信頼を高めつつ、貿易や投資関係が活発に行われてきています。二〇一一年末の推計では、日本から中国へ進出している企業が約二万二千社余り、尖閣諸島をめぐる政治上の懸念はあるものの、二〇一二年における日本からの直接投資額は百三十五億ドルと、二〇一〇年時点の二倍近い伸びを見せています。

 一方、韓国にとって、日本は第二位の貿易相手国です。日系企業の進出は二〇一二年時点で七百六十社、対内直接投資額は前年比九八・四%増の四十五億ドル余りと伸びています。歴史認識、竹島問題など、韓国との政治課題もまた懸念される状態にありますが、双方の経済活動に支障を来すことのないよう、政府間の積極的な連携も重要というふうに思います。

 他方で、日本の企業や商工団体側からは、貿易や投資における、幾つかの看過できないこれまでの問題等が指摘され、特に知的財産権の保護については、従来の日中の協定にもなかった規定として、本協定の第九条で知的財産権の保護に関する規定が盛り込まれたものの、九条1(a)において、「各締約国は、自国の法令に従って、知的財産権を保護する。」となっています。事業者間の不正な競争と国際約束の的確な実施を確保するための法律として不正競争防止法があるとはいいましても、実効性の部分では一部にやはり不安があることは拭えません。

 そこで、伺います。

 日中韓協定における知的財産の保護に関する取り組みについて、続く九条1(b)に記されている「透明性のある制度」を確立することについて、中国政府へどのように働きかけていく方針か、伺います。

正木政府参考人 先生御質問のとおり、今回の日中韓投資協定の交渉におきましては、交渉の当初から、日本、韓国両国とも、本協定におきまして知的財産権の保護に関する規定を設けるべきである旨強く主張し、交渉の結果、第九条の規定というものが盛り込まれることになりました。

 先生が御指摘の規定のところでは、もちろん、国内の関連法令に基づき知的財産権を保護せず、我が国の投資家の知的財産に損害が生じる場合にはという規定でございますが、この条約自体、そういった義務違反が起きた場合には仲裁に付託することができるという仕組みになっておりますので、その点では、一つ大きな意味があるものと考えております。

 御質問の、九条の透明性のある制度を確立、維持するための協力促進という点でございますが、これも今までの協定になかった項目でございまして、この協定の条文に基づきまして、既存の協議の枠組みも通じまして、知的財産に関する制度がより透明性のあるものになり、確立、維持するため、日中韓で協力、連絡を促進することができることになると思います。

 いずれにしましても、日本政府としましては、こういった取り組みなども通じ、今後とも日本企業の知的財産権のさらなる保護に努めてまいりたいと考えております。

玉城委員 ありがとうございます。

 では、最後にイラクとの協定について質問をさせてください。

 地域へ投資進出する日本企業にとって、このイラクとの協定における第五条3の、国が投資家になした約束の遵守義務規定、いわゆるアンブレラ条項にのっとって投資協定の仲裁が担保されるべきものではありますが、第十七条の5の(b)では、投資紛争についての調停または付託について必要な同意は紛争締約国により事案ごとに与えられるなど、一部には制約や制限が設けられているのではないかというふうに思料されます。これは、コロンビアとの協定にも同じような制限が実は見られるんですね。

 この制約によって、投資紛争調停に至らず、日本側の投資家や企業が不利益をこうむるなどの影響についてどのように捉えているのか、また、この影響を回避するための改善に向けて今後どのように取り組むのか、伺います。

あべ大臣政務官 イラクにおきまして復興が進展しつつありまして、日本企業の進出も進んでいるところでございます。他方、治安面の不安に加えまして、通関、法制度などといったビジネス環境の改善、ここが引き続き課題となっているところでございます。

 こういう中におきまして、政府は、日本、イラクの閣僚級の経済合同委員会の枠組みを通じまして、関連法制度の透明性の向上を含むビジネス環境の改善を継続的に働きかけているところでございます。また、官民合同ミッションを派遣するなど、日本企業のイラク進出を支援してきているところでございます。

 国会の承認も得まして日本・イラクの投資協定を早期に締結することもイラクにおけるビジネス環境改善に向けた重要な取り組みの一つでもございまして、政府といたしましては、引き続きこうした取り組みを行っていく考えでございます。

玉城委員 ありがとうございました。質問を終わります。ニフェーデービタン。

河井委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

河井委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、投資の促進及び保護に関する日本国政府とパプアニューギニア独立国政府との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河井委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の自由化、促進及び保護に関する日本国とコロンビア共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河井委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とクウェート国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河井委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の促進、円滑化及び保護に関する日本国政府、大韓民国政府及び中華人民共和国政府の間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河井委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、投資の促進及び保護に関する日本国とイラク共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河井委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、社会保障に関する日本国とインド共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

河井委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

河井委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

河井委員長 次回は、来る十九日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時二十五分散会


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