衆議院

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第11号 平成26年4月11日(金曜日)

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平成二十六年四月十一日(金曜日)

    午前九時七分開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺  周君

   理事 小熊 慎司君 理事 上田  勇君

      石原 宏高君    大岡 敏孝君

      神山 佐市君    神田 憲次君

      木内  均君    木原 誠二君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    島田 佳和君

      渡海紀三朗君    東郷 哲也君

      星野 剛士君    武藤 貴也君

      小川 淳也君    玄葉光一郎君

      松本 剛明君    阪口 直人君

      村上 政俊君    岡本 三成君

      青柳陽一郎君    笠井  亮君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   防衛副大臣        武田 良太君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   外務大臣政務官      木原 誠二君

   防衛大臣政務官      若宮 健嗣君

   政府特別補佐人

   (内閣法制局長官)    小松 一郎君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  山崎 和之君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 上冨 敏伸君

   政府参考人

   (外務省大臣官房儀典長) 広木 重之君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 福島  章君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 下川眞樹太君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 相川 一俊君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 丸山 則夫君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    冨田 浩司君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長)     中山  亨君

   政府参考人

   (海上保安庁次長)    岸本 邦夫君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 宮園 司史君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  徳地 秀士君

   政府参考人

   (防衛省経理装備局長)  伊藤 盛夫君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     神山 佐市君

  河井 克行君     木内  均君

  木原 誠二君     大岡 敏孝君

同日

 辞任         補欠選任

  大岡 敏孝君     木原 誠二君

  神山 佐市君     神田 憲次君

  木内  均君     河井 克行君

同日

 辞任         補欠選任

  神田 憲次君     あべ 俊子君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)

 国際情勢に関する件(沖縄基地問題)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 国際情勢に関する件、特に沖縄基地問題について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房儀典長広木重之君、大臣官房審議官福島章君、大臣官房参事官山田滝雄君、大臣官房参事官下川眞樹太君、大臣官房参事官相川一俊君、大臣官房参事官丸山則夫君、北米局長冨田浩司君、国際法局長石井正文君、内閣官房内閣審議官山崎和之君、法務省大臣官房審議官上冨敏伸君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長中山亨君、海上保安庁次長岸本邦夫君、防衛省大臣官房審議官宮園司史君、防衛政策局長徳地秀士君、経理装備局長伊藤盛夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本剛明君。

松本(剛)委員 よろしくお願いいたします。

 まず、日米の地位協定について、現在の状況を幾つか確認させていただきたいと思います。

 三年前の秋に、これは米国の連邦最高裁の判決等を受けての扱いだったと思いますが、平時の軍属に対する裁判権の扱いであったり、また、公務であっても飲酒をしているケースもあるかのようにとれる運用になっていたものを、飲酒をしていれば公務であることはない、こういうような扱いに可視化するなど、二〇一一年の秋に幾つか運用改善を実行されていると思います。

 その後、できればその前ぐらいから、アメリカ側に裁判権があるということで我が国では裁判がされていない、不起訴とされたケースというのは大体どのぐらいあるんでしょうか、お伺いをいたします。

上冨政府参考人 まず、平成二十四年の一年間で、米側に第一次裁判権があることを理由に不起訴とした米軍人軍属の人員は百二十八件でありました。その内訳としては、自動車による過失致死傷が八十五件、それ以外の刑法犯が一件、道路交通法違反が四十二件でございました。

 同様に、平成二十五年の一年間では、米側に第一次裁判権があることを理由に不起訴とした米軍人軍属の人員数は百四十三件であり、内訳は、自動車による過失致死傷が八十六件、それ以外の刑法犯が三件、道路交通法違反が五十四件でございました。

 なお、平成二十三年十一月二十三日、御指摘の合意の前後で区別した統計は二十三年についてございませんが、二十三年の一年間について申し上げますと、米側に第一次裁判権があることを理由に不起訴とした米軍人軍属の人員は百五十二件でございまして、内訳としては、自動車による過失致死傷が八十件、それ以外の刑法犯が二件、道路交通法違反が七十件でございました。

松本(剛)委員 今のは過失致死傷ですね。

上冨政府参考人 自動車による過失致死傷でございます。

松本(剛)委員 致死の重大な犯罪、死に至ったような犯罪がどのぐらいあるかというのは今お手元でわかりますか。

上冨政府参考人 統計上、致死と致傷を分けて集計しておりませんので、その内訳は、ただいま手元ではわかりかねます。

松本(剛)委員 重みが大分違うような気がしますので、どういうことが起こっているのかということ、これは政府として、今法務省から犯罪の統計という立場からお答えをいただいたと思いますが、やはり沖縄における問題という意味では、どんな状況がどのぐらい起こっているのかということをぜひ把握していただきたいと思います。

 先ほど申し上げましたように、軍属についての扱いは二〇一一年の秋に変わってきているというふうに思いますけれども、それ以降の取り扱いで、いわば運用改善がなされた結果、従来と扱いが変わることになったような案件というのはどのぐらいあるんでしょうか。

上冨政府参考人 お尋ねは、二〇一一年十一月二十三日に日米地位協定の運用改善がなされて以降、米軍属による公務中犯罪について日本側が当該合意に基づいて第二次裁判権を行使した数という御趣旨だと承りましたが、その数は一件でございます。

松本(剛)委員 確認ですが、一件というのは、当該合意で、特に二〇一一年一月十二日の交通死亡事故について、いわば個別に取り上げてというか、さかのぼって、二〇一一年十一月の合意ですからさかのぼって取り上げております。これはたしか、うるま市で、ちょうど成人式に向かおうとしていた十九歳の少年が事故で亡くなった事案だったというふうに記憶をしておりますけれども、その一件だけという理解なんでしょうか。

上冨政府参考人 平成二十三年一月十二日に沖縄県内で発生し、十一月二十三日の合意締結の契機となった事件、その事件のことでございます。

松本(剛)委員 済みません、沖縄市ですね、うるま市ではなくて。私の方の訂正をさせていただきたいと思います。

 そうすると、それ以降は、我が国が求めて、米側の同意を得て裁判権を行使するという仕組みになっていると理解をしますが、同意を求めなかったのか、求めたけれども同意がなかったのかといったようなことは把握されていますか。

上冨政府参考人 運用改善後、合同委員会から第二次裁判権の行使に同意を与えるように要請した事件はございません。

松本(剛)委員 つまり、こちら側から特に求めていないということになろうかというふうに思います。

 先ほど過失致死傷のところでもお伺いしましたが、どのぐらい重大な事案が起こって、どのぐらいしっかり我々が求めているのかということ、これはきちっと政府として把握をしていただきたいと思いますし、その趣旨で両政府の合意で運用改善がなされているのではないかというふうに思っております。

 私も、外国の軍が他国に駐留をする地位協定は、ある程度、定型というか、国際的な一つのパターンがあるというふうには理解をいたします。ただ、多くの場合、やはり外国の軍隊が他国に駐留をするというのは、かなり特別な状況であろうかというふうに思います。

 我が国の米軍の駐留に関しては、沖縄においても、返還以降でも既にもう半世紀近い話になろうかと思いますし、戦後ということであれば間もなく七十年ということになるとすれば、地位協定のもとではありますが、やはり日常、つまり特別な状況ではなくて日常に近い状況であるだけに、できるだけやはりそういう取り扱いになるように持っていかなければ、沖縄と駐留する米軍との関係も安定的なものになりにくい。

 そのために運用改善の努力を歴代の政府がしてきているんだというふうに思いますので、それを、本来、その趣旨にかなった形で運用されているのかどうかということが大変気になっているところでありまして、結果としては、今のところはそういう事案がなかったから特に求めなかったのか、たまたまこの一件は特に問題になったので求めて同意も得たわけですけれども、それ以降はそのままになっているのかということであります。

 後ほどまとめて岸田大臣の御所見を伺いたいと思いますが、ぜひこのあたりも、どういうふうになっているのかということをやはり大臣御自身にも関心を持っていただいて、これはやはり、沖縄の基地が我が国の安全保障上必要であると考えればこそ、逆に大変重要なことではないかな、こういうふうに思っております。

 もう一つ、これは外務省か法務省かあれですが、少なくとも従来は、米側に裁判権があるケースで、米側が懲戒ないしは刑事処分を行った場合に、その処分、これは刑事処分を行った場合は一定の連絡があったような記憶もありますけれども、やはり、被害者が日本人である場合、一切何も教えてもらえないということでは、先ほどの本来の日常の姿からいってもなかなかおさまりがつかないということになってこようかと思いますが、今、これについてはどういう形になっているか、お答えをいただけますでしょうか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 日本国また日本国民に対して犯された疑いのある米軍人軍属による犯罪で、米国が第一次裁判権を行使したものの処分結果についてのお尋ねと理解をいたしました。

 この処分結果につきましては、かつては、裁判が行われた場合の最終の結果のみが日本側に通報される仕組みでございました。その結果、裁判によらずに科せられた懲戒処分等は通報の対象となっていなかったということがございます。したがって、裁判の最終結果以外の処分の結果については、個別の事案ごとに地方の検察庁から非公式に照会していたというのが実態でございます。

 しかしながら、日本政府といたしまして、日ごろから地位協定の適切な運用を図るための不断の努力を行う、そうした一環の中で、米側の処分の結果を漏れなく把握し、結果を被害者側にお知らせする枠組みを設ける必要があるという問題意識を持っていたところでございます。こうした問題意識のもとで米側と協議を行った結果、昨年十月に、これらを可能とする新たな枠組みに合意したわけでございます。

 この枠組みのもとでは、例えば刑事裁判につきましては被害者の御家族等に結果を開示する仕組みはございませんでしたけれども、これを整えた。あるいは、裁判ではなく懲戒処分に付された場合の通報の仕組みはなかったわけでございますけれども、これらについても手続を整えたというふうな改善を見たわけでございまして、この枠組みは本年一月一日以降発生した犯罪に適用するということで、私どもとしては、これを適切に運用、活用してまいりたいと考えている次第でございます。

松本(剛)委員 かつてより状況が前進をしたという御報告であったかと思います。

 大臣初め関係の皆さんの御努力は評価をしたいと思いますが、被害者の方々にお知らせをするというか、これも一つの段階で、まず、日本政府に対してどんな処分であったのかというのが知らされる段階があって、これを被害者にお知らせをすることができるかどうかという段階があって、公表できるかどうかというような段階があると思いますが、今のお話だと、刑事処分については被害者にお知らせをすることができるようになったと。

 そのほかの懲戒処分は、日本政府には知らせる、そこから先について、かつて、そもそも自動的にというんでしょうか、制度として知らせる仕組みになっていなかったときでも、個別に聞いて知らせていただいた場合でも、いわば懲戒処分されたということ自身が個人の情報であるということもあるので、政府間ではお知らせするけれども外には出さないでほしいといったようなケースもあったやに聞いておりますけれども、新しい制度では、これは被害者の方々には必ずお知らせされる仕組みになっているんでしょうか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 刑事裁判が行われた場合と懲戒処分だけの場合とを分けて御説明をいたしたいと思いますけれども、まず、刑事裁判が行われた場合については、これについては、日本政府に結果の通報が行われることはもとより、その結果について被害者及び御家族に開示をするということが定められているわけでございます。

 他方、懲戒処分の場合につきましては、これについては、処分の結果について日本政府に通報するということは今回の合意で約定されたわけでございます。ただし、その通報の内容について被害者、御家族に開示するかどうかについては、これは米国における個人情報保護との兼ね合いがございますので、被処分者の同意が得られた範囲で、処分の内容等について被害者、御家族に開示をするという仕組みを設けたわけでございます。

松本(剛)委員 処分の内容の段階によるという理解ですね。

 これまでもやはり、制度と同時に、その具体的な運用が、結果として被害に遭われた方々に対して誠意が通じた形になっているかなっていないか、そういうことによって、もちろん事故、事件はなくしていかなければいけません。しかし、先ほど、案件、件数の報告からいっても、残念ながら一〇〇%ゼロにはならないとした場合には、万一のことが起こった場合でも、しっかり誠意ある対応になっていることが極めて重要だというふうに思います。

 その意味では、特に被害者の方々が求めている場合は、やはり、ぜひとも同意を取りつけてでも知らせるような仕組みに今後持っていっていただきたいと思いますし、現段階では日本政府側に御努力をいただかなければいけないんだろうと思いますが、誠意を持って御努力をいただくことによって、先ほど申し上げたように、安定的な日米関係に資する形で御尽力をいただきたいと思います。

 その上で、幾つかお願いをさせていただきたいと思います。

 今の運用そのものも一つのお願いでありますが、先ほど、事案について、過失致死傷の区別をつけていないという統計が今のところ手元にあるということでしたが、特に地位協定に関する事案については、これは法務省と外務省とで連携をしていただくのか、一時的には法務省がデータをお持ちなのかもしれませんけれども、具体的にどのぐらい重大な案件が起こっているのか、死に至ったか至っていないかというのは、やはりかなり大きな違いがあると思います。ですから、どういう事案が起こっていて、どういう取り扱いがなされているのかということをやはりきめ細かくフォローしていただきたいと思います。

 その上で、二つ目は、少なくとも日本政府には、どのような処分がなされたのかということまではこれで伝わる仕組みになったというふうに理解をいたします。ここからが評価の難しいところですけれども、今まで不信の一つの背景にあったのは、米国側の方で処分をされた場合は何か大変軽い処分で終わっているんじゃないだろうかという疑念を持たれているがゆえに、またこの地位協定の運用も大きな問題になってきたと思います。そうなりますと、事案がわかって、どんな処分がなされたか、これから日本政府は基本的には全て把握できるということになると思います。

 もちろん、適切な程度の処分がなされたかどうかの基準をどこに置くか。同じような事案であっても、米国内の法律で、もしくは米国内の制度で対応するのと我が国の国内で対応するのとでは、基準が全く一緒じゃありませんから、必ずしも同じ結果になるとは言いがたいところがあるかもしれません。

 しかし、基本的には、日本の国内で起こった事案で、少なくとも被害者が日本人であった場合には、日本の基準に照らしてみて著しく異なるような処分であるかどうかということについてはしっかり検証していただいて、それに対応する形で必要な要請等をしていただく、やはりこういう形をとっていただく必要があるのではないかというふうに思います。

 私は、米国という国はフェアな国であるというのは、やはり米国にとっての一つの重要な、大切な精神ではないかというふうに思います。その精神にかなった形でしっかりなされているんだろうかという我々の検証については、しっかりと求めていくことで相手に受け入れさせることは十分にできるのではないかと思いますので、ぜひそういう対応を今後していただきたいと思います。

 まず統計も含めて実情の把握をしっかりしていただくこと、そして処分等を検証していただくことをお願いいたしたいと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

冨田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御指摘のあった件につきましては、関係省庁でよく連携いたしまして、適切に対応していきたいと思っております。

松本(剛)委員 大臣にも真摯に質疑をお聞きいただきました。ぜひこれについて深く関心を持っていただいて、これはやはり日米関係にとって大変重要なことではないかと私は思いますので、今お願いをしたことがぜひとも実現できるように御尽力をいただきたいと御要請を申し上げたいと思います。

岸田国務大臣 まず、ただいまの委員の御質問につきましては、しっかりと聞かせていただきました。

 委員御自身、外務大臣をお務めになられた時代等を通じましてこの問題について真剣に取り組んでこられたこと、こうしたことにつきましては敬意を表し申し上げたいと思いますし、政府としましても、そうした思いをしっかり引き継いでいかなければならないと存じます。

 米軍関係者による犯罪、これはまず大変遺憾なことであります。あってはならないことであると思っています。御指摘の点も含めて、日米地位協定につきましてはさまざまな御意見があること、これにつきましては私も十分承知をしております。

 地位協定をめぐりましては、政府として、手当てすべき事項の性格に応じて、合同委員会を通じた取り組みなどによって、協定の実施を実質的に改善する多くの日米合同委員会等における合意を達成してきたわけでありますが、先ほど来御指摘がありました、米側の処分結果を被害者にお知らせする、この新たな合意もその一つであります。

 まずは、こうした目に見える改善を一つ一つ具体化し、積み上げていくことが重要だと存じますが、御指摘のように、実態把握をしっかりしなければなりません。そして、何よりも、そうした合意をしっかりと活用していく、合意された枠組みをしっかり活用し、結果を出していくことが重要だと存じます。

 二つの御要請、実態をしっかり把握するべきである、きめ細かくフォローするべきであるという御指摘と、そして昨年十月の合意に基づく今回の新しい対応につきましても、処分は日本政府に伝えられるわけでありますが、その後の対応が重要である、しっかりと日本政府としても対応するべきである、こういった御指摘、この二つの御指摘につきましても、しっかり重く受けとめて、政府として対応を考えていきたいと存じます。

 いずれにしましても、地元の皆様の気持ちに寄り添いながら努力をしていく、こういった姿勢が何よりも大切かと存じます。私自身もしっかり目配りをしていきたいと考えております。

松本(剛)委員 よろしくお願いをいたします。やはりトップである大臣が重大な関心を持ち続けていただくことが大変重要なことではないかと思います。

 次のテーマに移りたいと思いますので、法務省その他、一問目で御要請を申し上げた関係の方々は、私の方からはこれからお聞きをすることがありませんので、適宜、委員長の許可をいただいて御退出ください。

 それでは、国際司法裁判所における調査捕鯨の問題についてお聞きをいたしたいと思います。

 やはり、国際司法裁判所で負けたということが大変重いことではないかというふうに私も思っております。それから時間が経過をいたしましたが、敗因の分析というのは、なかなか役所はやりにくいところでありますけれども、やはりこれをやっていかないと同じことを繰り返すのではないかと思います。多少敗因の分析なりをされた結果があれば、お知らせいただきたいと思います。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 私も、ハーグで判決を聞いておりまして、非常に重くこの敗訴というのを受けとめております。

 我が国といたしましては、政府機関が一体となりまして、内外の有力な専門家の全面的な協力も得まして、ICJの裁判に誠実かつ真摯な姿勢で臨み、日本の立場と考えを全力を尽くして明確に主張したつもりでございますけれども、我が国の主張が認められなかったことはまことに残念だと考えております。

 判決におきましては、裁判所は、第二期南極海鯨類捕獲調査、いわゆるJARPA2でございますが、これが国際捕鯨取締条約八条一の規定の範囲にはおさまらないという結論を出しております。その理由といたしまして、我が国によるJARPA2の計画及び実施が、表明された科学的な目的を達成するために合理的であることを証明していないという指摘をしております。

 裁判所は、このJARPA2の計画及び実施につきまして判断を下す際に、さまざまな事実関係について具体的な検討を行っておりますところ、そういう点をいかに評価すべきかについては、今、引き続き慎重に精査をしているところでございます。

松本(剛)委員 我々もそうですし、恐らく携わった皆さんもそうですし、政府の皆さんも、勝てると思ってやっていて、結果、負けた。

 今、政府の公式な説明としては、いや、やるべきことはやったし、一生懸命やったんだ、こうなってしまうんですね、今までも。そうでなければ、誰かが責任をとるとかとらないとかという話に、確かにこれまでの議論ではついついなりがちで、それを避けるためにということもあるのかもしれませんが、我が国にとって、これはやはり、なぜこうだったのか。

 少しストレートな言い方をしたら、捕鯨ということは、価値観もかかわってくる部分がないわけではありません。もちろん、これは国際法の判決ですから、判決の中に価値観であるとかそういったことで書かれているのではなくて、法の論理構成で書かれていますから、反論もそうせざるを得ないというふうに思いますが、そもそも捕鯨というものを我が国のように文化として認めているのか。全く認められないものとして考えている国で育った判事さんもいらっしゃるわけであります。

 ですから、そういう中で、今回の判決というのは、捕鯨という、大変文化の違いがあるものであるからこそこういうことになったのか、それとも、我々の国際司法裁判所への理解の求め方というものを今後根本的に変えていかなければいけないのか。

 私たちは、国際社会を、これから国際法に基づく形でしっかりやっていくべきだということを言い続けています。これは釈迦に説法ですけれども、法治ということについては、司法は最終的なものとしてやはり決して欠くことのできない大きなポイントになってくるわけでありますから、この司法において、私たちから見て、きちっとした理屈できちっとして申し上げたことがしっかり通る、そういうことでなければいけないわけでありますから、この捕鯨の問題でなぜこういう形になったのか、特殊要因なのか、それとも根本的な問題があるのか、こういったことについては、出し方も難しいと思います、誰がいいとか悪いとかという話に往々にしてつながりやすいんですが、求めているのはそういうことではないんです。この国にとって、きちんとやはり今後どうしていくのか。

 今、私は政府の立場ではありませんから、おっしゃったように、裁判所では、するべき主張を、その時点でのベストの努力をしっかりされたんだろうと私も期待をしておりますし、そう思います。しかし、他方で、司法というのは、日本でもそうですけれども、ロビー活動をするような場ではありませんから、どういうふうにアプローチをしていいのかというのを考えていかなければいけないと思います。先ほどお話しさせていただいたように文化的な背景の違いもあるような中で、多様な国々の判事さんに対してどういう形で我が国の主張なりを理解してもらうのかという方法、あり方、それは、個別の案件が始まってからというのもあるかもしれませんし、個別の案件がある以前に、国際司法裁判所の判事の方々にどういうふうに、我が国の文化なり我が国の考え方なり、我が国が考える国際法のあり方というのは、我が国は真面目ですから一番正当な考え方をしていると私は確信をしているんですけれども、そういったものがしっかり通用するような理解を広められるのか。

 判事さんの構成を拝見すると、外交官の経験者の方も結構いらっしゃいます。政治家とも言えるポジションを経験された方も結構いらっしゃいます。法律家と言える方ももちろんいらっしゃるし、学者と言える方もいらっしゃる。もちろん、中身は法律、国際法に基づいて処断をされているわけでありますけれども、やはりバックグラウンドとかを含めて、今後何らかの、国際司法裁判所へのアプローチの仕方、結果が出ている以上は、やはり改善なり新たな方法なり、追加を考える必要があるというふうに思いますけれども、今、そういったことについて何かお考えがありますでしょうか。

石井政府参考人 まさに委員がおっしゃいましたとおり、結果が出ておりますので、かつ、今後国際裁判に打って出るということがこれで最後だということはないと思います。したがって、今回の結果から十分教訓を得ることは、おっしゃるように非常に重要だと思っております。

 その上で、裁判所にどういうふうな働きかけをすべきかということでございますけれども、やはり、委員もおっしゃいましたけれども、法律に訴える、法に訴えるというのがどうしても基本にならざるを得ないというふうに思います。

 国際司法裁判所の裁判官は、付託される紛争を国際法に従って裁判するということを任務としております。したがって、我が国の主張を理解してもらうためには、裁判所のルールに従いまして、書面、口頭の手続において、我が国の立場と考え方を明確な国際法上の根拠に基づいて説明することがやはり基本であり、一番重要ではないかと考えております。その際、国際司法裁判所の判事は、国籍のいかんを問わず、選挙される独立の裁判官の一団で構成されるということとなっておりますので、やはりその独立を最大限尊重しつつ対応していく必要があると考えております。

 なお、今回の裁判では十六人の判事でやりまして、十二対四ということで、四名は日本の立場を支持していただきました。そのうちの一カ国はフランスでございますけれども、これは捕鯨反対国でございます。したがって、ほかのほとんどの国、反捕鯨国が反対に回ったというのは事実でございますけれども、全員がそうだったというわけではないというのは事実関係としてもあることを申し上げたいと思います。

松本(剛)委員 それも含めてしっかり分析をしていただきたいと思います。もちろん、国際法の判事になられるような見識のある方ですから、単純に価値観で判断をされるようなことでおっしゃっていることはあり得ないと思いますが、やはりどこか背景にないとは限らないと見るのかどうなのかという真摯な分析をしていただきたいと思っております。

 これについては、もう一つだけお願いをしておきたいと思います。

 やはり、そもそも、国際法の世界、国際法の学会とかを我が国もしっかり応援していく必要があるのではないかというふうに思います。やはり着実に予算なりで支援をして、昨年でしたか、万国国際法学会が開催をされたというのは、レセプションなどの御案内をいただいた記憶があるんですけれども、やはり活発に国際法の関係者、学者さんなどを日本にお呼びして、さまざまな学会、シンポジウム等を開催して、日本自身もいかにしっかりした法治国家であるかということを頭の片隅に植えつけていただく機会をもらいながら、また同時に、我々としても、今後国際法の重みはますますふえてくると思いますので、その発展に寄与する予算を確保して御尽力をいただきたい。当委員会でも、党派を超えて、ODAの予算を確保すべきだという主張もたび重なってありますけれども、それも含めて、必要なことについては我々もしっかり応援をしていきたいと思いますので、そういう御尽力をいただきたいということをお願い申し上げて、次の話題に行きたいと思います。

 では、集団的自衛権の話に移りたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。

 集団的自衛権の解釈については、これまでもたびたび議論をされてきております。過去の議論の経過をおおむね私も承知しておるつもりでありますが、集団的自衛権の現在の解釈を前提に、私が現在の政府の解釈と思っているものを前提に幾つかお聞きをさせていただきたいと思います。

 これは、国際法の関係だと外務省の方になるのかもしれませんけれども、政府の解釈では、今、集団的自衛権の定義そのもので、武力攻撃を受けた国と集団的自衛権を行使して共同して対処に当たる国とは密接な関係にあるということが前提になっているようでありますが、集団的自衛権の定義そのもので、武力攻撃を受けた国とそれをいわば援助する国との関係が、二つの関係が密接であるという定義は、これはどこから出てきているんでしょうか。

石井政府参考人 委員御指摘のとおり、集団的自衛権とは、国際法上、一般に、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利というふうに解されております。

 そこで、自国と密接な関係にある外国ということにつきましては、一般に、外部からの武力攻撃に対して共通の危険として対処しようとする共通の関心があることから、集団的自衛権の行使について要請または同意を行う、そういう国を指すものというふうに考えております。

 これは何を根拠としておるかと申しますと、この集団的自衛権と申しますものは国連憲章第五十一条によりまして確立した概念でございますけれども、その後の国家実行の蓄積によって、今申し上げたような形での行使というものが国際慣習法上の権利になっているというふうに考えております。

松本(剛)委員 国連憲章五十一条に密接といういわば要件が特に書いてあるというふうには理解をしていないんですが、その後の運用の結果としてそうだという理解である、運用というか、実例の積み重ねとしてそう解されるという理解ですか。

石井政府参考人 おっしゃるように、国連憲章五十一条には、密接な関係にある国ということは書いてございません。その後の国家実行の積み重ねでそのような認識が成立しているという意味でございます。

松本(剛)委員 かつて、戦闘地域、非戦闘地域の議論のときに、自衛隊が行くところが非戦闘地域だという話がありましたが、今の御説明も、整理をすると、他国の武力攻撃で応援をする国は密接な関係の国だ、つまり、国家実行の積み重ねということは、応援をした国がある、それはやはり援助の要請を受けた。密接なという言葉が、どこからその定義が来ているのかということについて、私自身はまだすっきりとしていないんです。

 おっしゃったようにこれまでもいろいろな例があって、国際司法裁判所でも何度か議論されていて、その中で、ニカラグア事件の判決などでは、ある国に武力攻撃があって、武力攻撃があったことをその国が表明して、武力攻撃を受けた国が第三国に援助の要請をしてといったようなことが書かれている。これが定義であり、ある種要件であるということが書かれているんです。

 実際はそうだと思いますよ。他国に軍を出そうというのであれば、自国のいわば貴重な軍であり、多くの場合、自国民である兵をわざわざ他国の応援に出すわけですから、基本的には、一定の密接な関係がなければ、兵を出すことそのものが国として理解されないわけですから。

 それは、実態としてそうだったということと、定義としてそうだということは違うと思うんですけれども、今のお話を聞く限りは、そういう積み重ね、慣習法ですからそこは確かに難しいところですけれども、今のところは、そういう例であったことを考えればそう解するべきである、こういう解釈だという理解でいいんでしょうか。

石井政府参考人 委員御指摘のとおり、ニカラグア事件の判決など、国際司法裁判所も一定の判断を下しております。

 私、先ほど密接な関係にある国について申し上げましたことは、要請国と被要請国というのがございます。その間に、やはり外部からの武力攻撃に対して共通の危険として対処しようという共通の関心があるということでございますので、したがって要請が行われる、そういうふうな関係を密接な関係と呼んでおるということでございます。

 実際の実行に即して申し上げますと、まさに委員もおっしゃいましたように、武力攻撃の発生した国の要請または同意なしに集団的自衛権を行使できる場合は考えられないというふうに考えております。

松本(剛)委員 これまでも、どの範囲が密接な範囲なのかといったような議論が行われてきたんですね。演繹的に決まるものなのか、帰納的に決まるものなのかということであります。

 私がここにこだわる一つの理由は、集団的自衛権そのものを認めるか認めないかということについてもさまざまな議論があります。私自身は、日本国憲法は、基本的に武力の行使を禁止していますけれども、我が国の存立そして我が国の国民の平和のために自衛することそのものまでは否定していないということで自衛を認めた。その自衛の中に、態様として、今、個別と集団というところで線を引いていますけれども、本来の趣旨の、我が国の存立であり国民の平和、その自衛のために何が認められるのかということを考えたときに、もし個別的、集団的でないところに線が引かれることになった場合に、私はそうなるべきだと思っていますけれども、その場合に、しかし、密接な、特別な一定の関係にある国に対する支援の範囲に限るべきだと思っていますので、そのときに、密接なという言葉をひょっとしたら使うことになるかもしれない。

 その密接なという言葉は、我が国の解釈の中で、そういう国との関係に限ってやるというふうに考える、その密接なと、いやいや、いろいろ積み重ねてみたら、助ける国と助けられる国は密接だから、集団的自衛権というのは密接なんですよ、こういう形で使うのかどうかというのは、やはり大きな違いがあるんですね。

 ですから、我が国の解釈の密接なというのは、慣習法上というお話でしたけれども、もう一度、本当に国際法上どう解するべきなのかという問題提起をさせていただきたいと思っております。

 二つ目、済みません、毎回法制局長官をお招きしながら長らくお待たせをしておりますが、集団的自衛権が行使できない理由は、必要最小限度の範囲にとどまるべきものであると解しており、行使をすることはこの範囲を超えるということになっていますが、我が国の個別的自衛権も、急迫不正の侵害があって、他に排除する手段がなくて、そして行使は必要最小限度にとどめなければいけない、こういう三要件があると思います。この必要最小限度というのは、いわば過剰防衛であってはいけないという話を指しているわけですね。

 そうすると、集団的自衛権というのは、文脈から見る限り、全て過剰防衛なのかというふうに読めてしまうと思いますが、この必要最小限度の意味を説明いただきたいと思います。

小松政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 委員も正しくおっしゃいましたように、自衛権は国際法上の概念でございまして、憲法には自衛権についての明文の規定はございません。

 政府が申し上げていることは、従来から、憲法第九条の文言を一見すると、武力の行使をあらゆる場合に禁止しているかのように見えるが、いわゆる自衛権発動の三要件を充足する場合には例外的に武力の行使を行うことも許容されると解釈してきたわけでございます。

 この三要件でございますが、第一要件、我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち我が国に対する武力攻撃が発生したこと、第二要件、この場合にこれを排除するために他の適当な手段がないこと、第三要件、必要最小限度の実力行使にとどまるべきことでございます。

 この従来からの政府解釈は、次のような基本的考え方に基づいております。すなわち、憲法前文で確認している日本国民の平和的生存権や、憲法第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利を国政上尊重すべきこととしている趣旨を踏まえて考えると、憲法第九条は、外国からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合に、これを排除するために必要最小限度の範囲で実力を行使することまでは禁じていないと解される、こういうことでございます。

 そこで、必要最小限度という言葉が、私は、従来の政府の見解の中で、二つの文脈の中で使われてきているというふうに考えます。

 第一の文脈というのは、三要件の第一要件の部分にかかわっている問題でございまして、我が国の国民の生命や身体が危険にさらされるような場合、これを排除しなければならない、そういう必要最小限度の必要性がある場合には武力行使が例外的に認められるというのが第一要件でございます。

 それに対しまして、第三要件、これは今委員が正しくおっしゃいましたように、武力行使が例外的にできる場合があっても、その場合に行うことのできる武力の行使というのは、極めて厳しい比例性、また均衡性と言うことができると思いますが、そういう厳しい必要最小限度という枠がはまっていなければならない。

 こういうことで、非常に舌をかむような話で恐縮でございますけれども、この二つの文脈の中で必要最小限度という言葉が使われてきているということが事実としてあるわけでございます。

 そこで、従来は、集団的自衛権は、我が国に対する急迫不正の侵害に対処するものではなく、他国に加えられた武力攻撃を武力で阻止することを内容とするものであるので、その行使は、いわゆる自衛権発動の三要件の第一要件を満たしていないという説明をしてきているところでございます。

松本(剛)委員 委員各位、いかがでしょうかと聞きたくなる説明なんですが、おっしゃったことは、三要件の三つ目は、いわば、どのぐらい実力行使をするか、これが最小限度というのはよくわかります。もう一つ、我が国に急迫不正の侵害があることということも必要な条件だと。必要最小限度という、大小で表すものではなくて、最小限度という気がしますが。

 もう一つ申し上げると、そこの論理を一度整理していただきたいと思っておるんです。というのは、おっしゃったように、憲法の前文、十三条から、我が国の存立、国民の幸福追求にかかわる、このために自衛は認められるという論理の構成になっていると思います。そこから急に、個別的自衛権でなければならないという、この論理構成の部分ですね。つまり、我が国の存立にかかわる問題であれば、憲法が認めている範囲内ではないか。この態様が個別的なのか集団的なのかということを決めているとは必ずしも言えないのではないか。

 今お話があったのは、長官の説得力で、聞いていると何となくそういう気にならなくもないんですが、よく頭の中を整理して考えてみると、個別的自衛権の三要件ですね、当該国に急迫不正の侵害があって、他に排除する方法がなくて、そして相当性、均衡性のある実力の行使にとどめるべきであるというのは。

 そうすると、憲法の趣旨からいって我が国には個別的自衛権が認められているけれども、個別的自衛権に当てはまらないから集団的自衛権は認められないと言っているようにも聞こえるんですが、集団的自衛権はそもそも個別的自衛権ではないから別の話になってきているわけであって、個別的自衛権の三要件を持ち出して集団的自衛権は行使できないと言うことは余り論理的ではないのではないか。

 逆に言うと、個別的自衛権までしか認められない、集団的自衛権は個別的自衛権じゃないんだからだめだ、そこはわかる、というか一貫はしているんですよ。しかし、ではなぜ個別的自衛権だけなのかといったときに、我が国の存立から考えていったときに、その態様が個別的か集団的かということで、そこでばさっと切られる。このことというのは、必ずしも今までの見解は論理的ではないのではないかと思います。

 私は、歴史的な背景とかを考えれば、我が国が自衛権をいわば振り回しているように見られるようなことは決してよくないので、何らかの形でどこかで線を引いて、我々はこれ以上自衛権を振り回しませんというスタンスに立つことは、我が国への信頼という外交資産上も極めて重要だと思います。その一つの線が今までは個別、集団だったのかもしれませんが、我が国の存立にかかわるという問題からスタートをしたときに、本当に個別、集団で切れる論理的な説明ができるのかどうか。

 御答弁をいただく余地がありますでしょうか。

小松政府特別補佐人 お答え申し上げます。

 ここは非常に舌をかむような問題でございまして、それは、今もまさに委員がおっしゃいましたように、おまえは個別的自衛権発動の三要件というものを援用しているではないかという御指摘があったわけでございますけれども、実は、そういうことを従来政府が申し上げているわけではございませんで、まず出発点として、自衛権は国際法上の概念であるので、憲法を解釈するときに、自衛権かどうかということは、実は憲法九条の解釈が直接それに関係しているわけではないというのが出発点でございます。

 私が申し上げておりますのは、従来から、憲法第九条との関係で、我が国が例外的に武力の行使を行い得る場合があるのかないのかという議論が行われてきて、それを従来、用語の適切性という点について、私、諸先輩がいらっしゃいますので、余り口幅ったいことを申し上げることが適切とは思いませんけれども、いわゆる自衛権発動の三要件という言葉を使ってきた。

 ところが、これが自衛権発動の三要件なのであろうかというところがまさに本質ではないかと思うわけでございまして、この三要件というのは、我が国の国民の生命と身体、これを全ういたします前提でございます国家の存立、こういうようなものが侵されたときに、これを排除する必要最小限度の必要性があるか、これが第一要件でございまして、第二要件はほかの手段がないこと、第三要件は、先ほど申しました手段の均衡性ということでございます。

 それで、従来、第一要件につきましては、我が国に対する急迫不正の侵害があること、すなわち、我が国に対する武力攻撃が発生しないとその条件は満たされないのであるという解釈を政府が一貫してとってきたということでございまして、現時点における憲法九条の解釈というのは従来どおりであるということを繰り返し総理も申し上げているところでございますので、私も現時点でそれ以上は申し上げられないわけでございます。

松本(剛)委員 時間が参りましたので、続きはまたの機会をいただかなければいけないと思いますが、今まさに長官がおっしゃったように、我が国の存立にかかわることについて、我が国はしっかり我が国の存立を守っていく、そういう権利はあるんだということがスタートラインだと思いますが、そこから、すなわち、我が国に急迫不正の侵害がある、すなわち、我が国に直接の武力攻撃がある、ここのすなわちが本当にどういう論理なのかということをもう一度きちっと整理する、今、いい議論の機会ではないかと思っております。

 その結果からいくと、私は、我が国が憲法上集団的自衛権を保有しているのかどうかということにも結論が出るのではないかと思いますし、これまでの考え方は一貫しているというのがお立場だと思いますけれども、一貫というのはどういうことなのかという議論もまだ残っているかな、こういうふうに思っているところでございます。

 ありがとうございました。以上で終わります。

鈴木委員長 次に、阪口直人君。

阪口委員 日本維新の会の阪口直人でございます。

 きょうは、民主主義及び民主化支援についてまず最初にお伺いをさせていただき、その後に、沖縄問題の一環として、日本、台湾双方の漁業関係者にヒアリングを先日してまいりました。その問題意識に基づいて、日台漁業取り決めについて質問させていただきたいと思います。

 まず、民主主義そして民主化支援についてなんですが、私は、今、民主主義のあり方が世界的に変容してきているのではないかと感じています。

 ITの進化などによって、従来、なかなか情報にアクセスできなかった人たちもあらゆる情報にアクセスできるようになり、また、多くの政権が、自分たちにとって都合の悪い情報を統制しようとしている、そのことで強いリーダーシップを確立しようとしている、そういった方向にあるのではないかと思います。

 これまでは、民主主義の発展と豊かさというのは一定の相関関係があると言われてきて、私も、民主化支援という活動を行ってきた中で、民主主義を取り入れる、深化させることによって豊かになれる、平和になれるんだということを伝えてきたわけですが、一方で、決して民主的とは言えない中国の存在が、そういったこれまでの考え方に対して問題提起をしているようにも思えるんです。

 これは一般的に言うと、先進国はどこも少子高齢化が進み、また、途上国は民族問題やあるいはさまざまな環境問題、災害対策、地球温暖化にかかわるそういった問題への対処や事後処理などで、双方に政府としての負担すべきコストがふえて、財政的に大変厳しい状況になって、国民に十分にサービスを提供することができなくなってきている。そういう状況の中で、社会に不満分子を抱える、それを抑えるために強権化する方向性にあるのかなと私は感じているわけでございます。

 しかし、やはり多様性を尊重して、一人一人がそれぞれの価値観に基づいて自分らしい幸せのあり方を追求できる、そういった社会であるべきであるし、私は、そのような社会を広げていくことが、例えばインフラ輸出等々で日本が競争力をしっかりと担保する上でも必要だと思っています。

 一方で、日本はこれまで、民主化を支援するということを政府の一つのテーマとして捉えてきて、さまざまな民主化支援を行ってきたと思いますけれども、今私が申し上げた、これは私の認識なんですけれども、世界的に状況が変わってきていることに基づいての日本政府としての民主化支援の大きな方針ということについて、最初に大臣の考えをお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、民主主義をめぐりましてはさまざまな動きがあり、そしてさまざま議論が存在いたします。しかし、そうした議論や動きがあるからこそ、なおさら、法の支配に基づく民主的諸制度の促進、これはますます国際社会の平和や安定にとって重要な課題になっていると私は認識をしております。

 開発途上国において民主主義といった普遍的な価値を促進することは、我が国の外交にとりましても重要な課題であると考えておりますし、我が国のODA大綱におきましても、民主化に取り組む開発途上国への支援を重視しているところです。

 また、我が国は、人間の安全保障という考え方を重視しております。人間一人一人に着目し、個人と地域社会の保護と能力強化を通じて、人間それぞれが持つ豊かな可能性を実現していく、こうした人間の安全保障の考え方に基づいて、開発途上国における民主化の定着及び強化に向けてODAを積極的に活用してきております。

 今後とも、こうした考え方、方針は大事にしていきながら、民主的諸制度の促進ですとか、開発途上国における民主化の推進ですとか、こうした課題に向けて努力をしていきたいと考えております。

阪口委員 以前、外務委員会の中で、カンボジアに対する民主化支援の一環としての選挙制度改革のあり方について質問させていただいたことがございます。

 私も、昨年の十二月に、カンボジアにおいて、昨年七月の総選挙後に続いているデッドロック状態というんでしょうか、それを何とか日本の力で解決する方法はないものかということで、さまざまなアクターにインタビューをして、その中で、日本政府による選挙制度改革に対する期待が大変大きいことを感じました。

 カンボジアに対しては、日本はこれまでもさまざまな支援を行ってまいりましたが、例えば病院や学校をつくる、そういった支援には割となれてしまっている中で、日本が選挙制度改革をしっかりやるということが、今、紛争当事者である政権与党と救国党のそれぞれの責任者の方々に、日本がこの問題にしっかり取り組んでくれるのであれば、我々はその方向に従う、そのように言わしめるぐらい、日本に対する信頼、期待というのは大変に大きいなということを感じた次第でございます。

 今まさに、カンボジアにおいては、与野党の中で一定の政治的な合意ですね、去年の七月の総選挙以降、野党が国会に登院することを拒否しているという状況が解決されるような方向性になってきているわけですが、この詳しい状況については、今、日本政府としてはどのように認識をされているんでしょうか。

岸田国務大臣 カンボジアにおける総選挙ですが、昨年七月、総選挙が行われ、その後、野党救国党はこの選挙の不正を申し立て、大規模デモを実施し、そして国会審議をボイコットする、こういった状況が続いてきました。

 その後、与野党は断続的に選挙改革に関する協議を行いました。特に、四月に入ってからは主要な論点について歩み寄りが見られ、ここ数日で大詰めに差しかかっているとは承知をしております。

 ただし、カンボジアの現状を見ますと、フン・セン首相が二〇一八年二月に総選挙を行うことで合意をした、ただし、サム・ランシー党首は、ケム・ソカー副党首と協議するので一時間待ってくれという発言があり、一方、サム・ランシー党首の方は、数カ月の前倒しをしたのでは支持者は納得しない、こういった発言をするなど、昨日十日の時点においては、まだ最終的な妥結には至っていないと我が国は承知をしております。

 現状については、このように受けとめております。

阪口委員 日本としては、特にカンボジアに対しては、平和の仲介を行い得る数少ない可能性を持った国だと思いますが、この選挙制度改革をよりよいものにするということ自体が仲介のツールになっているのではないかというふうに私は思うわけでございます。

 ですから、双方が納得できるような選挙制度改革に日本が全面的に協力をするということをしっかりと伝えながら、一日も早く今の政治的な行き詰まり、デッドロック状態を解決できるように、日本としてサポートしていくべきだと思います。

 日本としてどのような選挙制度改革をすべきかということに対する調査ミッションを送るということも聞いております。私は、カンボジアの選挙にずっとかかわってきた中で、いつも一番問題になるのが、特に地方における選挙人登録の信頼性の欠如であって、これが野党勢力、多くの国民の選挙に対する信頼性の欠如につながっているということを感じています。

 この点を何とか解決できるような措置をしっかり講じることができるような選挙制度改革を行っていただきたいと思いますし、ここで一国の民主主義の確立に日本が寄与することができれば、それは本当に多くの国に対して、日本による民主化支援の大きな価値を伝えることにもつながってくると思っていますので、何が何でも成功させるという意欲を持って取り組んでいただきたいと思います。

 一方、ウクライナ情勢ですけれども、この問題は本当にウクライナの問題にとどまらず国際社会の問題であり、力による現状変更は認めないという日本政府の大きな方針、これを貫くことは正しいことだと思っています。

 国際法は、ある国の一部が住民投票によって独立や他の国への編入を決めても、中央政府の承認なしではこれは認めないということになっておりますので、この方針を貫いていただきたいと思います。

 一方で、やはり、特に日本はロシアに対して、対話のドアをオープンにしておかなければいけないと思うんです。きのうからG20が始まって、その中で、ロシアも含めた国際社会がウクライナ問題についても協議すると聞いておりますが、昨日のアウトプット及び日本として今どのような方針で臨んでいるのかという点について、まずはお聞かせをいただきたいと思います。

岸田国務大臣 お尋ねのG20、財務大臣・中央銀行総裁会議ですが、まず、この会議は、通常、マクロ経済協調あるいは金融規制改革などについて議論する場であります。基本的には、政治問題について直接議論をする場ではないと承知をしております。

 ですから、今回の会議においても、直接ロシアをめぐる政治問題を議論する、こういったことは予定はされていませんが、ただ、ウクライナをめぐる地政学的な不透明性が世界経済にどんな影響を与えるか、こういった観点からは議論がなされる可能性はあると認識をしております。

 そういった世界経済に与える影響等の観点から、まず、G20のこの会議におきましても、我が国はしっかりと貢献をしていかなければならないと思っていますが、そもそも我が国自身としましては、ウクライナにおけるこの問題につきまして、G7各国としっかり連携をし、力による現状変更は認めない、こういったメッセージをしっかり発すると同時に、昨年来の日ロ関係を踏まえて、ロシアに対して責任ある行動をしっかり求めていく、こうした方針で臨んでいます。

 アジアの厳しい安全保障環境を考えましても、日ロ関係は重要だということで、政治的な対話はしっかりと大切にしていかなければならない、このように考えております。

阪口委員 今、政治的な対話は重要であるという大臣のお言葉がありましたが、四月に岸田大臣がロシアを訪問するという予定、これは、現状ではどのような状況なんでしょうか。

岸田国務大臣 私がロシアを訪問することにつきましては、昨年の日ロ外相会談、あるいはことしに入ってからも日ロ首脳会談において、日ロ間で確認をされてきたところではありますが、ウクライナ情勢等を勘案しながら、現状においては、訪ロの具体的な日程は決まっていないというのが実情であります。

 今後、このウクライナ情勢あるいはG7各国の対応等を勘案しながら、総合的に判断し、訪ロについても決定をしていきたいと考えています。

阪口委員 昨今のウクライナ関連のニュースの中で、私は本当に大きな紛争のトリガー要因になり得ると危惧しているのが、ロシア系の住民がウクライナのドネツク、ハリコフ州などで共和国の樹立を宣言し、ロシア編入に向けた住民投票を行うんだと宣言していることでございます。これに対して、ウクライナ政府は強制排除も辞さないというような声明も出している。一方で、それを抑えるというような国際社会の動きがあることも承知しています。

 一方で、アメリカのケリー国務長官などは、八日の委員会での答弁において、ロシアの工作員が混乱をつくり出すために送り込まれているんだということで、ロシア系住民のさまざまな活動の背後に明確にロシアの存在があるということを言っております。

 この点について、日本はどのような認識をしているんでしょうか。

岸田国務大臣 日本政府としましても、東部ウクライナにおける情勢につきましては、深刻な懸念を持ちながら注視をしております。鋭意情報収集に努めているところであります。

 その中で、御指摘の点について、具体的に、断定的に申し上げることは今の時点では難しいと考えておりますが、いずれにしましても、あらゆる当事者が自制と責任のある慎重な行動をすることを求めていかなければならないと思いますし、何よりもウクライナの主権そして領土の一体性、これが尊重されなければなりません。

 平和裏に事態が解決されるように我が国としても努力をしたいと思いますし、しっかり働きかけをしていきたいと考えています。

阪口委員 アメリカのケリー国務長官が断言していることに対して、日本はまだ現時点でははっきりしたことは申し上げられないということは、日本とアメリカにおいてはこの件に関する密接な情報共有というのはないということでしょうか。

岸田国務大臣 日米においては、あらゆる課題において意思疎通を図ってきております。そして、国際社会にとりまして大きな懸念事項でありますウクライナ問題につきましても、日米間においてさまざまなレベルで意思疎通、情報共有は図っております。

 ただ、そうしたさまざまな情報を今分析しているところでありますが、今の段階では、我が国政府として断定的なものを申し上げる段階ではないと認識をしております。

阪口委員 今の岸田大臣の表情を見ていると、今の段階で断定的なことを言うのは得策ではない、何かそういうことを表情が語っているように私には感じられたんですが、どちらにしても、ロシアの外相と会談をするのであれば、この問題というのはなかなか機微に触れる問題でもあると思います。

 総理が三月にG7の会議に参加されたときに、一千五百億円の支援をウクライナに対して表明しました。キエフの下水処理改修に円借款を一千百億円程度提供する、あるいは、財政支援として、IMF、世銀と提携して百億円提供するというような、こういった支援を申し出ているわけでございますが、私は、この一千五百億円という金額を拠出するからには、やはりウクライナ政府に対して強く援助の条件を伝えなければいけないと思っています。

 具体的には、ウクライナの中には、タタール人であったり、もちろんロシア系の住民、さらにユダヤ系の住民がいるわけでございます。彼らは、本当に、統治形態によってどのような状況に置かれるかわからない、大変に脆弱な状況の中におりまして、私は、ウクライナ政府がこのような特に少数派の方々の権利、人権、それを守っていく、最大限の配慮をする、そういう姿勢を見せることが、ロシアがウクライナに介入するということに対する大きな抑止力になると思うんですね。

 ですから、日本としては、援助を行う限りは、ウクライナの暫定政権に対して最大限の自制と配慮を求める、これが必要だと思いますが、この辺のコミュニケーションはウクライナの暫定政権とはどのようにとられているんでしょうか。

岸田国務大臣 今後のウクライナの安定さらに発展を考えた場合に、少数派の包摂、さらには事態の透明性あるいは公平性の向上、また民主制度の確立、こうした課題が重要な課題であると認識をしております。

 このような観点から、OSCEの政治対話促進及び少数民族監視ミッション、この派遣に対しまして、派遣経費二十五万ユーロのうち十万ユーロを我が国として拠出を決定しております。さらに、このミッションの要員として、日本人のOSCE職員が任命をされています。

 このように、財政的にもあるいは人的にも、こうした少数民族監視ミッションに我が国として貢献をしていきたいと考えておりますが、少数派包摂のために努力するべきだという我が国の考え方は、ウクライナ政府に対しましてもしっかりと伝えていきたいと考えております。

阪口委員 以前、外務委員会の中で、このOSCEの調査ミッションの中に日本人を加えるべきだということを申し上げました。その当時はまだ日本人が参加する予定はないということでしたけれども、十万ユーロを出すだけではなくて、日本の価値観をしっかり伝える意味で、日本人を加える決定をしてくださったことについては、大変に評価をさせていただきたいと思います。

 一方で、五月二十五日にウクライナにおいて大統領選挙があるわけですね。新聞報道などによると、日本からも選挙監視ミッションを送ると聞いています。私がその新聞報道に接した段階では、OSCEの中に入るか、あるいは現地の選挙管理委員会に直接派遣をするか、まだ決めていないということでありましたが、日本が派遣する選挙監視ミッションの戦略そしてあり方については、現状ではどのようになっているんでしょうか。

岸田国務大臣 五月二十五日に大統領選挙が予定されています。ウクライナにおける少数派の参加を確保し、透明かつ公平な形で実施されることがウクライナの民主化を通じた安定の確保にとっても大変重要であると認識をしております。

 このため、OSCEが派遣を予定しております選挙監視団への貢献を含めて支援を行うということ、これを検討しているところであります。

 ぜひ、こうした貢献について前向きに対応していきたいと考えています。

阪口委員 大変重要なことだと思うので、できる限り多く、また長期間にわたって監視できるような体制で臨んでいただきたいと思います。

 日本による選挙監視チーム、これまでいろいろな形があったかと思いますが、余り短期間の、投票日の前後の監視ということでは、住民に対するさまざまな恐怖によって投票行動をコントロールしようという動きや、あるいは、現地のマスコミがどのように公平性を持って選挙を報じているかというようなことについては、なかなか実証できないかと思います。

 ですから、民主主義そして自由、公正な選挙の証人として大変に重い責任を負う選挙監視チームについては、できる限り実情をしっかりと把握できるように、また、これは終了後に記者発表といいますか、その成果、結果を世界に向けて発表することになるかと思いますが、しっかりとした視点で、自由、公正に行われていたのかということをぜひ報告をいただきたいと思います。

 実は、台湾について、日台漁業協定について質問しようと思っていたんですが、もう残り一分程度になってしまったので、これは次回ということで、これで質問を終えたいと思いますが、とにかく私は、日本にとっての民主化支援、これは、日本が今後、中国も含めた世界との競争に勝っていく上で非常に重要だと思っています。

 民主的に物事が決められる、多様性をしっかりと重視して国民の幸福のために政策を選択できる、そういった政府でないと、なかなか、日本のよさを理解していただいて、日本が例えばインフラ輸出をする際に、環境配慮だったり持続可能性だったり、そういったことをアピールしても、コストが安いとか、あるいは時期が短期間で工事を実施できるというようなことを選択されてしまう。結果的に、その国の人々の生活環境に悪影響を与えてしまうことになりかねないと思います。

 こういった意味で、ぜひ、カンボジア、そして今申し上げたウクライナに対する広い意味での民主化支援を日本のイニシアチブで成功させて、さらなる信頼を国際社会に対してアピールして、日本の信頼というものを確立していっていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、村上政俊君。

村上(政)委員 日本維新の会の村上政俊です。

 きょうは、まず、オバマ大統領の訪日について伺いたいと思います。

 オバマ大統領、もうすぐ国賓として来日されるわけで、きょうの議題の沖縄基地問題を含めて、さまざまな幅広い問題について日米の間で議論されることと思います。

 振り返ってみますと、オバマ大統領が日本に来たのは、二〇〇九年の鳩山政権ができてすぐ、これはサントリーホールでスピーチされたわけですし、あるいは菅政権のときに横浜でAPECがあったときに、二度来られて、自民党に政権が交代してからは初めてということで、日米関係を考えるときにも、また日米同盟を深化していくという観点からも、この訪問は非常に重要だと思います。

 この訪問は、国賓として我が国が接遇するということだと思います。この国賓として接遇するに至った経緯というのはどういったところでありますでしょうか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 国賓として接遇するかどうかということで、一般論でございますけれども、これは、相手国との二国間関係等の文脈で、お迎えするお客様を国賓としてお迎えして最大限の歓迎をすることの意義、これを総合的に判断して決めているところでございます。

 そこで、今回のオバマ大統領の訪日でございますけれども、これは、日米関係そのものの重要性ということもございますし、それから、今委員から御指摘がございましたけれども、オバマ大統領はこれまで二回訪問されておりまして、今回が三回目の御訪問に当たりますけれども、これまでの二回は実務的な訪問であったということ、それからさらに、米国が東日本大震災に当たって空前の支援を行ってくれたこと等、これらを総合的に踏まえて、今回の御訪問に当たっては国賓として接遇するということを決定した次第でございます。

村上(政)委員 大臣にお伺いしたいんですけれども、私は直接オバマ大統領に会ったことはありませんので、どういう人物かというのはよくわからないというか、実際に会った感じというのはどういう人かというのはわからないわけでありまして、ただ、岸田大臣は何度もオバマ大統領と会われたり顔を合わせたりされて、どういう印象を持っておられる人物かということをお聞きしたいんです。

 オバマ大統領という人は、ビジネスライクな人なのか、あるいは、そういう格式とか形式というものに非常に重きを置く人なのか、どういうタイプだと大臣は感じていらっしゃいますでしょうか。

岸田国務大臣 私自身、オバマ大統領と直接お会いしたのは、昨年二月、日米首脳会談が行われた際に、安倍総理とともにワシントンに行かせていただきまして、一緒にお会いさせていただいた。

 直接お会いしたのは、たしかその一回だと思いますので、もちろん、オバマ大統領の人となりを十分承知しているわけではありませんが、委員御指摘のように、オバマ大統領は大変ビジネスライクの方であるという評価が、さまざまなところでなされていますが、私自身の印象としましては、大変知的で、そして言動につきましても大変きびきびとした印象を受けてきました。一国のリーダーとしての雰囲気は持っておられる方ではないかと感じてまいりました。

村上(政)委員 他方、国賓というのは、先ほど北米局長からも御答弁あったとおり、非常に重要な格式でお迎えするということであって、これは陛下のお客様としてお迎えするということでありまして、非常に重要なことだと思います。

 我が国の中には、外国からの賓客をお迎えする際に、さまざまなランクがあると思うんです。国賓であったり、公賓、これは近いところでいえば、オーストラリアのアボット首相は公賓で来られました。あるいは、公式実務訪問賓客、それから実務訪問賓客、外務省賓客、さまざまなランクがあるわけですね。国賓というのは、年に二、三件ぐらいしかない。これは、陛下の御都合あるいは御体調、そういったことも勘案した上で、一年の中で非常に限られた回数しかありません。

 先ほど経緯を伺ったわけですけれども、国賓としてお迎えするということを我が国の政府として決めたのは、いつごろということになるんでしょうか。

冨田政府参考人 国賓として接遇することを決定いたしましたのは、先週の金曜日、四月四日の閣議でございます。

村上(政)委員 四月四日の閣議で決定されたと。それで、二日間、とりあえずは国賓として待遇するということを閣議決定されたというふうに承知いたしております。

 先ほど大臣からも、オバマ大統領の、大臣としての御感想なり、人となりについての考えが示されたわけですけれども、私が申し上げたいのは、オバマ大統領が来られて日米関係を強化するというのは非常に重要だと思うんですが、国賓として迎える必要性というのは本当にあったんだろうか。オバマ大統領は、ビジネスライクで非常に知的な雰囲気もある方だと思うんですけれども、そういう国賓として来るということに果たして意義を見出す人なのかどうか。

 先ほどお話ししたように、国賓というのは、年に二、三回しかない、恐れ多くも陛下のいろいろとお手を煩わせることにもなる、こういうふうな極めて重たい接遇であるわけであります。

 アメリカの大統領というのは極めて我々にとって重要な存在だけれども、十八年ぶりの、九六年のクリントン大統領が訪日されて以来の国賓の訪問だと承知しておりますが、本当に我々として、そういうふうな形で迎える必要が、オバマ大統領を国賓として迎える必要があったのかどうか、この点についてはどう思われるでしょうか。

岸田国務大臣 先ほども北米局長から答弁させていただきましたように、国賓としてお招きするに当たりましては、さまざまな観点から検討し、判断することになります。

 オバマ大統領に関しましては、今回で三回目の訪日であるということ、そして東日本大震災において米国から大変手厚い支援をいただいたということ、そして日米関係、昨今のさまざまな動きの中でますます重要性が高まっているということ、そしてこの時期に日米のトップが日米同盟の強靱さを内外にしっかり示すということの大切さなど、さまざまな観点から考えまして、今回、国賓としてお招きすること、これは適切な判断ではないかと考えております。

村上(政)委員 十八年間、この間に日米関係はさまざまな変遷があって、風雪に耐えながら今の日米同盟という姿があって、その間にいろいろな問題もあったと思いますし、困難な局面もあったと思いますし、また、先ほど大臣から御紹介のあった、三・一一のときはトモダチ作戦ということで我々を非常に助けてくれた友人でもあると思います。

 しかし、国賓として迎える必要性がどこにあったのかなというのは、この質問は最後にしたいと思うんですけれども、安倍政権が発足以来、さまざまな問題に関して日米関係にさざ波を立てたのを糊塗するために、この国賓という格式を利用しているんじゃないかなという気もするんですけれども、この点はいかがでしょうか。

岸田国務大臣 日米関係につきましては、昨年来、普天間飛行場の移設の問題あるいはTPP交渉開始の問題など、さまざまな課題において具体的な成果が着実に積み上がっていると評価しています。そして、日米間においては、こうした二国間の課題のみならず、中東和平、シリア、あるいはイランの核問題、こういったさまざまなグローバルな課題においても協力関係が具体的な成果として上がっております。

 こうした日米関係につきましては、さまざまなさざ波が立ったのではないかという御指摘もありましたが、我が国政府としましては、日米関係は着実に関係が進展していると感じておりますし、私自身も、ことしの二月、ワシントンに行かせていただきまして、日米外相会談、あるいはヘーゲル国防長官、ライス大統領補佐官、こういったアメリカ関係者と会議を行わせていただきましたが、その会議の中にあっても、日米同盟は強靱なものであるということを改めて確認した次第であります。

 よって、こうした日米間にさざ波が生じたから、それを覆い隠すためにオバマ大統領を国賓として招くのではないかという御指摘については当たっていないと私は思っております。

村上(政)委員 次に、アボット・オーストラリア首相の訪日についてお伺いしたいと思うんですけれども、アボット首相は公賓として来られて、岸田大臣もお会いになられたと思います。

 お会いされた機会というのは、NSC、国家安全保障会議の特別会合というものを官邸で開かれて、これには、安倍総理、麻生副総理、岸田大臣、それから小野寺大臣も出席されたと思います。

 このNSCの特別会合の成果というか、概要、評価というのはどういったところでしょうか。

山崎政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘がございました国家安全保障会議特別会合は、四月七日に開かれております。

 会議の冒頭、アボット首相から、これまで日本が世界の平和と安全のために果たしてきた役割や、法の支配確立のために行ってきた貢献などを評価するという発言がございました。

 会議の中では、日本とオーストラリア双方から、普遍的な価値と戦略的利益を共有する特別なパートナーであるとの認識に基づきまして、緊密な安全保障協力をさらに一段引き上げ、両国が地域の安定のためにさらに貢献していく方途につき、幅広い議論が行われております。

 政府といたしましては、今回のアボット首相の日本訪問は、この安全保障会議への御出席も含めて、日豪間の安全保障協力を強化していく上で非常に有意義であったというふうに認識しております。

村上(政)委員 日豪の間の安保協力はぜひ進めていくべきだと思います。我々とオーストラリアは価値観を共有しているわけでありますし、お互いにアメリカの同盟国でありますし、アジア太平洋の中での友人として、これからも経済も含めて関係を深化していくべきだと思います。

 他方、この特別会合というのは、どういった法的な根拠なりによって開催されているものなんでしょうか。

山崎政府参考人 ただいま申し上げました特別会合でございますけれども、日本とオーストラリアが安全保障分野において極めて緊密な協力関係にあることから、国家安全保障会議の四大臣会合の出席閣僚が一堂に集まったところで、そこにアボット首相を直接お招きして意見交換を行うことが、今後の両国の協力関係をさらに深化させていくことに資すると判断して開かれたものでございます。

 これは、通常の国家安全保障会議とは異なりまして、四大臣会合に参加の総理を初めとする閣僚の方々とアボット首相との意見交換の場ということで設定したものでございます。

村上(政)委員 ということは、要するに、NSCの設置法に基づいて開かれた会議ではない、NSCのメンバーが集まって、一堂に会して、それでアボット首相と一緒に会ったということだと思うんですよね。

 こういった会合をするというのは非常にいいと思うんですけれども、では、そのNSCの特別会合という名前というのは、それはちょっとしっくりこないんじゃないかなと思うんですよね。NSCのメンバーがたまたま集まってアボット首相と会っただけで、NSCの特別会合という名前をつけるのはちょっと、詐称とまでは言わないですけれども、そういった面があるんじゃないかな。

 あと、オーストラリアの首相というのは我々にとっての友好国の首脳ですので、来ていただいて外務、防衛閣僚と会っていただいて、大いに意見交換するというのはいいと思うんですけれども、そういった外国の首脳を、法的な根拠もなく、NSCのメンバーと一堂に会してNSCの特別会合をやりましたというのは、今後、例えば全然友好国じゃない首脳が来たときに、一緒に会うとか、情報が漏えいするとか、そういう心配があるんじゃないかなと思うんですけれども、この点、いかがでしょうか。

山崎政府参考人 国家安全保障会議は昨年十二月に発足いたしましたので、今回のアボット首相と国家安全保障会議四大臣会合の参加閣僚との間の会合が初めてのケースでございました。

 一般的に申し上げますと、外国の首脳が訪日され、このような国家安全保障会議の出席者との間で意見交換をしていただくかどうかということにつきましては、それぞれの訪日のスケジュール等のさまざまな要素を総合的に勘案して、個別に判断されるものというふうに考えております。

村上(政)委員 ぜひこういう取り組みというのは大いにやっていただきたいと思うんですけれども、根拠とかあるいは秘密の漏えいとか、そういったことにきっちりと目くばせをしていただきながらやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 今回、我が国の外交、安全保障の司令塔たるNSCの特別会合にアボット首相に御出席をいただいたことは、日豪間の信頼関係の充実ぶり、あるいは今後の安全保障関係における一層の深化への意欲を示す大変重要な機会であったと思っております。

 今後の運営等につきましては、おっしゃるように、さまざまな観点から検討しながら一つ一つ進めていくべきものだと存じます。ぜひ、今後とも、そうした運営の仕方については検討を続けていくべき課題であると思っております。

村上(政)委員 次に、集団的自衛権については今まで累次にお尋ねしてきたわけでありますけれども、我が国の安全保障上の課題というのは集団的自衛権に限らないわけでありまして、先ほど松本先生からも御質疑があったように、集団的自衛権というのは、我が国が我が国の危機に対して対応する、一つの対応の類型ということだと思います。

 集団的自衛権の議論というのは、やはり我が国の安全保障上の課題全般の中で、全体像の中で議論されるべきことであると思います。ですので、ちょっときょうは、その横というか、話をお聞きしたいと思うんですけれども、一般的にグレーゾーンと言われている問題、平時と有事の間の安全保障上の課題があると思うんですが、これについては大臣はどういった課題があるとお考えでしょうか。

岸田国務大臣 おっしゃるように、我が国を取り巻く安全保障環境に鑑みて、我が国としてどういった対応が求められるのか、こうした議論については真剣に議論を進めていかなければなりません。

 そして、今、安保法制懇においてこの議論が行われ、政府としましては、その最終報告を待って、政府・与党としての議論を行った後にしっかりとした方針を決めるという段取りを想定しているわけですが、この安保法制懇の議論の中にあっては、集団的自衛権と憲法の関係のみならず、集団的安全保障ですとかあるいはPKO活動、さらには、今おっしゃったグレーゾーン、いわゆるマイナー自衛権と言われる部分についても議論が行われております。従来の個別的自衛権におきましても、さらに考えていかなければいけない点があるのではないか、さらには、具体的な事態において切れ目のない対応をするためにはどうしたらいいのか、そういった観点から、こうしたグレーゾーン、マイナー自衛権の議論も行われていると承知をしております。

 こうした議論等をあわせて、我が国がこの厳しい安全保障環境の中において具体的にどういった対応をしなければならないのか、国民にとってわかりやすい議論を進めながら、政府としての結論を出していきたいと考えております。

村上(政)委員 二月四日に第六回の安保法制懇が開かれて、この回はグレーゾーンについて具体的に議論した回なんですけれども、その際、総理から、具体的に、グレーゾーンのこういう面が課題であってというふうな冒頭の御発言があったように私は承知しているんですけれども、今の御答弁ではシームレスに対応していくというお話がありましたが、どういうふうな具体的な事例があって、どういう点が問題というふうにお考えでしょうか、大臣。

山崎政府参考人 いわゆるグレーゾーンに関しまして、安保法制懇で議論されている一つの事例でございますけれども、武力攻撃には至らない侵害に関するものということで、国際法上、外国の潜水艦は、他国の領海内では海面に浮上して国旗を上げ航行しなければなりませんけれども、日本の領海内において外国潜水艦が水中に潜ったまま航行し、退去の要求に応じず徘回を継続する場合など、武力攻撃に至らない侵害に関してどのような対応が可能かということが、安保法制懇においては一つの事例として話に出ているというふうに承知しております。

村上(政)委員 総理がそこで挙げられたのは、今御答弁いただいた、潜水艦の領海内への侵犯、それから、武装漁民の離島への上陸といった点を挙げて、議論しろという指示があったと思うんですよね。

 このグレーゾーンというのは喫緊の課題だと思いますので、ぜひ、これについてきっちりと議論していきたいと思います。

 大臣、改めて伺いますが、このグレーゾーンについてはどういった対応なり検討というのをされますでしょうか。

岸田国務大臣 安保法制懇におきましては、今答弁がありましたように、外国潜水艦が水中に潜ったまま我が国領海内を航行した場合にどう対応するかなどの議論が行われているわけですが、こうした議論等、安保法制懇での議論、しっかりと最終報告書に盛り込んでいただき、それを受けて政府・与党としてはしっかり議論をし、政府としての方針を確定したいと考えております。

 御指摘のこのグレーゾーンにつきましても、大切な課題として取り上げられることになると想定をしております。

村上(政)委員 質問を終わります。ありがとうございました。

鈴木委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 結いの党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、沖縄基地問題の集中審議ということで、質問の時間を十五分いただきました。ありがとうございます。

 それでは、早速質問させていただきます。

 まずは、米軍普天間飛行場移設問題をどのように進めていくかということについて、先日に引き続いて質問させていただきます。

 二〇一二年十一月に沖縄県が実施した県民意識調査では、国内の米軍専用施設の約七割が沖縄に集中するという現状について、七四%の人が差別的だというふうに回答しているそうです。この差別という言葉について、最近では、沖縄県の職員の方も指摘するようになってきているということであります。

 また、毎日新聞のことし一月の調査では、普天間飛行場の辺野古移設に六四%の方が反対、仲井真知事の埋立承認を六二%の方が評価しないというふうに回答しております。

 普天間移設問題がこれまで全く予定どおりに進んできていないというのは、まさにこうした沖縄県民の理解と合意が得られていないというのが言うまでもなく最大の原因であり、県民の理解と合意を得るには、この差別されているという意識を払拭すること、基地の負担を分かち合うという連帯感を醸成していくということ、そして、沖縄からすれば本土への不信感というのがあり、それを払拭することが必要だということが指摘されているわけであります。

 私も、先日の外務委員会で大臣に、さらなる県民の理解を得る努力を実行してほしいということを申し上げたんですけれども、岸田大臣の答弁は、もちろん、県民の理解を得る、沖縄県とも意思疎通を図るということは答弁されてはいるんですけれども、最大の根拠とされたのは、日米両国政府の合意に従って進めていく、議定書の締結によって法的に日米双方の行動が確保されるということが最大の根拠だという答弁を先日の外務委員会ではされました。

 でも、実際には、普天間の移設、米軍再編計画の日米合意というのはこれまでもあったわけであります。それにもかかわらず全く予定どおりに進んでいなかったというのが現実であります。

 そこで、改めてお伺いしますが、この普天間の移設問題について県民の理解をどのように得ていくのかということについて、まずは外務大臣にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、先日は議定書の審議でありましたので、議定書に基づいて日米合意を進めていくことを強調した答弁をしたのかとは思いますが、おっしゃるように、今後の対応につきまして沖縄県民の皆様方の理解を得ることの重要性、これは言うまでもありません。この点は、政府としても最大限配慮しなければならない点だと認識をしております。

 沖縄におきましてさまざまな意見があるということは承知をしておりますが、普天間飛行場の固定化は絶対避けなければならないという点につきましては、我が国政府も、そして沖縄県民の皆様方も、共通の認識であると考えております。ぜひ、今後とも、丁寧に説明をし、沖縄県民の皆様方の御理解をしっかり得ながら、早期に負担軽減を実現していきたいと考えております。

 政府としましても、昨年、仲井真沖縄県知事に、政府に対して要請をいただいたわけでありますが、こうした要請を受けて、普天間飛行場負担軽減推進会議、こうした会合を立ち上げたわけでありますし、また、先日もヘーゲル国防長官が来日をされました。その際にも、この仲井真知事の要請につきましてはしっかりと説明をし、引き続きの協力を要請した次第であります。米側からも、負担軽減に関する日本政府の取り組みを引き続き支持、支援する、こういった発言がありました。

 政府としましては、こうした具体的な努力を積み上げる中で、ぜひ地元沖縄県民の皆様方に御理解をいただき、御指摘のような一体感ですとか信頼感、こうしたものを醸成するべく、しっかりと努力をしていきたいと考えております。

青柳委員 ことし一月の名護市長選挙では、基地移設反対派の市長が再選されています。この選挙結果について、菅官房長官は、市長の権限は限定されている、理解を求める中で淡々と進めると述べられました。さらに、報道によれば、首相周辺の政府関係者は、選挙結果は、負けてはいるが善戦だという認識をしているということです。選挙期間中に自民党の石破幹事長が表明した五百億円の振興基金についてもゼロベースで見直すということを、石破幹事長も菅官房長官もともに述べられています。

 こうした認識について伺いますが、つまり、選挙は負けたけれども善戦だという認識、そして基金はなかったことにするということ、そしてそれを踏まえて辺野古移設を淡々と進めるということについて、岸田大臣も同じ認識でしょうか。

岸田国務大臣 まず、選挙の結果につきましては、これは謙虚に真摯に受けとめなければならないと思っています。選挙の結果は真摯に謙虚に受けとめた上で、今後のありようについて考えていくべきだと思っております。

 今後の政府の取り組みといたしましては、先ほど来答弁させていただいておりますように、普天間飛行場の固定化は絶対あってはならないという沖縄県民の皆様方と共有する認識のもとに、しっかりと丁寧に地元の理解を得ながら取り組みを進めていきたいと考えております。今後ともこうした丁寧な作業を続けていくことが何よりも重要であると考えております。

青柳委員 そうすると、今の私の質問は、菅官房長官は淡々と進めるということでありましたが、岸田大臣は丁寧に誠意を持って進めるということで答弁をいただきました。やはり岸田大臣はとても心の温かい方だなと改めて実感したわけでございますが、ぜひそういう姿勢で取り組んでいただきたいと思っているところでございます。

 名護市の稲嶺市長は、市道の道路使用の不許可、河川のつけかえ工事不許可、燃料タンクの設置不許可など、法律に基づく市長の権限を駆使して移設を阻止するということを明言している、そういう構えを見せておりますが、こうした法的抵抗に対してどのように政府は対応していくおつもりでしょうか。これは参考人の方に伺います。

伊藤政府参考人 御質問にお答えいたします。

 名護市の市長さんがそうした発言をされているという報道があることは承知しております。

 いずれにしましても、先ほど外務大臣からお話がありましたが、普天間飛行場につきまして、その固定化は絶対あってはいけないという観点から、普天間飛行場の代替施設の建設事業に係る工事等の実施につきましては、きちっと一日も早く行う必要があるというふうに認識をしております。

 その工事等の実施に必要な法的手続につきましては、現在、調査、設計、あるいは入札をしたり、いろいろな手続を進めているという状況ではございますが、そうした進捗状況に応じまして、精査の上、工事等の実施に当たりましては、関係法令に従って適切に進めていきたいというふうに考えております。必要な手続をとってまいりたいというふうに考えております。

青柳委員 やはり淡々と進めていくということだと思います。

 次に、辺野古移設反対派の市民団体など、今度は法的抵抗ではなくて物理的抵抗に対してどのように対応されていくのかについて伺いたいと思います。

 守屋元防衛事務次官の著書「「普天間」交渉秘録」によると、二〇〇四年の辺野古環境アセスのためのボーリング調査に対し反対派の実力行使が起こった、これに対して防衛庁は、海上保安庁に対し、強制排除を守屋さんは要請した、ところが、海上保安庁から明確に拒否されたということをこの秘録で明かしているわけであります。

 しかし、ことし二月二十四日の産経新聞の報道によると、今回、調査や工事の妨害活動を排除するという方策の検討に入ったということが報道されていますが、現在のこうした物理的な抵抗に対してどのように対応していくのか、防衛省、海上保安庁、それぞれの参考人に伺いたいと思います。

伊藤政府参考人 先ほど、工事等の実施に当たりましては、関係法令に従いまして適切に進めて、一日も早い普天間飛行場の返還とキャンプ・シュワブへの移設に向けて引き続き全力で取り組んでいきたいという趣旨で御答弁させていただきましたが、その際には、今後とも、キャンプ・シュワブへの移設の意義を粘り強く丁寧に説明するなど、地元の皆様の御理解を求めながら進めていくことが重要であるというふうに考えております。

 したがいまして、御指摘にありましたような妨害行為への対応についてどうこうするということにつきまして現時点でお答えすることは、差し控えるべきではないかというふうに考えております。

 いずれにしましても、普天間飛行場代替施設建設事業に係る調査や工事等の事業の実施に当たりましては、安全を確保し、危険防止に万全を期した上で、法令に従って粛々と進めてまいりたいというふうに考えております。

岸本政府参考人 普天間基地の移設に関しましては、移設を進める過程において危険な行為が引き起こされることがないようにすることが何よりも重要であると考えております。

 この点をしっかり心得ながら、海上保安庁としては、海上の安全及び治安を確保する観点から、防衛省等関係省庁と緊密に連携しつつ、所要の警備を実施することとしております。仮に違法な行為が行われた場合には、法令にのっとり適切に対処してまいりたいと考えております。

青柳委員 きょうは時間が十五分しかありませんので、次に行きます。

 ことし十一月に予定されている沖縄知事選挙についても最後に伺いたいと思います。

 今の世論調査でいけば、ことし十一月の知事選挙も大変厳しい情勢だと思います。県内移設反対派の知事がもし新しく当選すれば、これまでとはまた違った法的抵抗をとるというリスクも存分にあると思います。

 最後に、大臣のこの知事選の情勢の見通しと、反対派が勝利した場合でも淡々とこれまでどおり進めていくのかについて御見解を伺って、終えたいと思います。

岸田国務大臣 まず、政府として、個別の地方自治体の選挙の結果に予断を持ってお答えするのは、まず困難でありますし、また、そうした発言をすること自体が選挙に影響を与えることになりますので、選挙の結果の予想について申し上げることは控えなければならないと考えております。

 しかし、いずれにしましても、現状、普天間飛行場の移設につきましては、地元沖縄県にさまざまな意見があるということは十分認識をしております。こういった状況でありますので、引き続きまして丁寧に説明を続けながら理解を得ていかなければなりません。ぜひ、今後とも丁寧に作業を進め、説明を続けることによりまして、一日も早い負担軽減を実現するべく努力をしていきたいと考えております。

青柳委員 ありがとうございました。質問を終わります。

鈴木委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 まず、岸田大臣、沖縄の米軍基地をめぐっては、昨年八月のHH60救難ヘリの墜落炎上事故が記憶に生々しいわけでありますが、先月も、F15戦闘機風防落下や、それからAH1Wヘリの揚陸艦への着艦失敗など、米軍機による事故が相次いで発生しております。

 こうした事態に対して、那覇市、宜野湾市、うるま市、嘉手納町、読谷村の各議会では、原因の徹底究明と迅速な情報の公表、当該米軍機の飛行の停止を求める意見書や抗議決議を全会一致で相次いで可決しておりますが、こうした事故が相次いでいる問題について、そしてそういう現地からの抗議が相次いでいる問題について、大臣の受けとめはいかがでしょうか。

岸田国務大臣 米軍機の運用等につきましては、公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならない、これは言うまでもないところであります。そういった観点から、まず、御指摘のような事故や事案が続いているということにつきましては、まことに遺憾なことであります。こうした事故を受けまして、政府としましては、米側に対して、遺憾の意をしっかりと表明するとともに、原因究明と再発防止の徹底を申し入れているところであります。

 こうした事故等につきましては地元の懸念が大変大きいということ、こういったことにつきましてしっかりと受けとめながら、引き続き米側に、万全の安全対策あるいは事故の原因究明、こうしたことをしっかりと働きかけていきたいと考えております。

笠井委員 この三月四日の嘉手納基地所属のF15による事故は、沖縄本島北西百三十キロの東シナ海上空で訓練飛行中に、操縦席を覆う風防が外れて海に落下したというものであったわけであります。風防はアクリル製で、重さが百十三キロとされている。一歩間違えば大惨事になりかねない事故だったわけです。

 防衛省若宮政務官お越しになっていますが、事故原因は公表されたのでしょうか。

若宮大臣政務官 今、笠井委員御指摘の、先月、三月の四日、米軍嘉手納基地所属のF15戦闘機の訓練中の事故に関してでございますが、米側からは、安全調査の結果、損傷のあった箇所が確認されたということの連絡は受けてございますが、事故の原因につきましては米側におきまして引き続き調査中であるというふうに認識いたしております。

笠井委員 公表されたのかどうか。

若宮大臣政務官 原因がまだはっきりしていないものですから、引き続き調査中ということでございます。

笠井委員 嘉手納町や沖縄市、北谷町でつくる三連協の当山嘉手納町長が沖縄防衛局に抗議を要請した際には、武田局長が、事故原因となった箇所に関して米側から公表は控えたいとの回答があったと。公表しないというふうに言っているという。調査中という話だったんですが、向こうはしないという話をしているという問題があります。

 米軍は、事故から数日後にF15の飛行を再開したということでありますけれども、事故原因は何も明らかにされていないのか、なぜそういうもとで飛行再開に同意したのか、いかがでしょうか。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 米軍が一時的に停止をしておりました嘉手納基地所属のF15戦闘機の飛行につきましては、米軍によります安全調査の結果、同基地所属の全てのF15戦闘機の安全性が確認をされました。また、通常の整備を行った後に、特に先ほど委員御指摘の事故におきまして損傷が確認された箇所を再度チェックするという追加的な予防措置も講じているということで、三月十日から再開をされたというところではございます。

 私ども防衛省といたしましても、F15の運用を含みます軍用機の飛行、運用に関しましては、これまで以上に公共の安全に妥当な考慮を払うとともに、安全対策には万全を期すように、飛行再開に当たりまして改めて申し入れているところでもございまして、引き続き、米軍機の運用に際しましては安全管理の徹底を求めてまいりたい、このように考えているところでございます。

笠井委員 万全を期すように申し入れていると言われるんですけれども、事故原因は調査中だと言うわけですね。調査中でまだわかっていないのに同意しちゃうという問題になる。

 大臣、事故が起きれば、日本政府はいつもその直後は、原因究明、安全確保、そして米側にきちっと安全確保を求めていくということを言われるんだけれども、米側から整備状況などの説明を聞けば、その約束をすぐほごにして、以前と同じように飛行再開を受け入れる、そして事故原因は何一つ公表されないということであります。

 これでは、国民、県民の命よりも米軍を最優先して、およそ主権国家とは言えない屈辱的な姿勢、こう言われても仕方がないんじゃないですか。大臣、いかがですか。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、米軍機の運用につきましては公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならない、このことについては言うまでもありません。

 そして、三月四日に発生しました今回のF15戦闘機の風防ガラス紛失事故に対しましても、我が国として、しっかり遺憾の意を先方に伝えると同時に、事故原因の究明、再発防止を申し入れたところであります。

 そして、その後、米軍においては、嘉手納飛行場の全てのF15戦闘機の安全点検を行ったと承知をしております。安全性の確認を行ったということで、三月十日、運用を再開したと承知をしています。

 しかしながら、委員御指摘のように、地元にさまざまな懸念があるということ、これはしっかり受けとめなければなりません。今後とも、万全の安全対策はもちろんでありますが、事故原因の究明につきましても、引き続き働きかけは続けていきたいと考えています。

笠井委員 究明なしにオーケーしちゃうというのは、これは県民としても納得できない。

 F15は以前も機体パネルや衝突防止レンズなどの落下事故を繰り返して、昨年五月には国頭村沖に墜落する事故まで起こしている。この事故でも、米軍は、そもそもの故障理由、原因をわからないとしているわけであります。こういうことを繰り返したって、全然安全なんて話にならないじゃないか。

 三月五日に着艦失敗事故を起こしたAH1Wのヘリでありますけれども、これは、三月七日の当委員会で私の質問に対して若宮政務官が、普天間基地から辺野古新基地に移転される六機種五十八機のうちの一つと認めたものであります。

 そこで伺いますが、辺野古新基地に配備予定の六機種の米軍機で、この間、わかっている範囲で、日本国内で事故を起こした機種というのはどれぐらいあるのか、機種名ごとに何件事故を起こしたか、報告を願いたいと思います。

若宮大臣政務官 お答えさせていただきます。

 米軍から通報がございました日本国内におけます米軍機の事故のうち、現在普天間飛行場に配備をされており、今後その代替施設に移転をすることが想定されております航空機と同型の機種のものといたしましては、平成十五年の一月から平成二十六年の三月末までの間で合計十六件ございます。

 笠井委員、個別にということでございますので、CH53E、これが六件、それからAH1Wが四件、UH1Y、これは二件、それからMV22、こちらは二件、C12、こちらが二件となっておりまして、C35については該当はございません。

笠井委員 MV22オスプレイを含む計五機種が国内で十六件の事故を起こしているわけでありますけれども、そのうち沖縄県内で発生した事故は十六件中何件でしょうか。

若宮大臣政務官 MV22でございますが、これは沖縄県内では二件でございます。

笠井委員 五機種、全体十六件あるうち、沖縄で何件かだけ。

若宮大臣政務官 失礼いたしました。

 先ほどお答えいたしました合計十六件の通報のうち、沖縄県及び沖縄本島沖合の公海上におきまして発生したものといたしましては、CH53Eが一件、AH1Wが三件、UH1Yが一件、MV22が二件、C12が一件の合計八件でございます。

笠井委員 半数が沖縄県内で事故を起こしている、集中しているわけです。

 では、伺いますが、辺野古新基地に配備予定の米軍機というのは、国内だけではなくて、海外でも事故を起こしている。この間、わかっている範囲で結構ですが、それらの米軍機が起こした機種ごとの事故というのは、その重大性で区分したクラスA、B、Cというのがありますが、それぞれ別で何件ずつありますでしょうか。

若宮大臣政務官 お答え申し上げます。

 海兵隊所属の航空機の海外におけます事故の件数、これは、米側が公表いたしております資料には、二〇〇六年から二〇一一年十一月までの間でございますが、CH53EのクラスAの事故、こちらが四件、クラスBの事故が五件、クラスCの事故が十九件、それから、AH1WのクラスAの事故は八件、クラスBの事故が三件、クラスCの事故が九件、それから、UH1YのクラスAの事故は一件、クラスCの事故は三件、MV22のクラスAの事故は二件、クラスBの事故は六件、クラスCの事故は二十二件、C35につきましてはクラスCの事故が一件ということで、その他の航空機につきましては事故の記載はなかったものというふうに承知いたしております。

笠井委員 このCH53EのクラスAというのは五件じゃないですか。そこはどうですか。間違っていないですか。

若宮大臣政務官 先ほど申し上げましたのは二〇〇六年から二〇一一年の十一月まででございまして、失礼いたしました、二〇一二年の十月から二〇一四年の四月の間に、委員御指摘のCH53EのクラスAの事故が一件ございました。

笠井委員 そうすると、先ほどの国内事故と合わせますと、国内外で計百件の事故を起こしています。

 辺野古新基地には、環境アセスによれば、それら配備予定の米軍機以外にも、他の基地から飛来するC21などの使用も想定されておりますが、それらの米軍機でこの間事故を起こしたものがあるんじゃないですか。どうですか。

若宮大臣政務官 お答え申し上げます。

 委員御指摘の他の飛行場から飛来する可能性のある航空機につきまして、米軍が所有いたします航空機の事故件数につきましては、二〇〇三年から二〇一四年までの期間、米軍が公表いたしております資料で、C12につきまして、クラスAの事故が二件、クラスBの事故が一件、C20につきましてはクラスBの事故が一件、C21につきましては、クラスAの事故が一件、クラスBの事故が三件ということで承知をいたしているところでございます。

笠井委員 ですから、この配備予定に飛来するものを含めると、辺野古新基地を使用する予定の七機種が、これまでに国内外で、計百十件くらいになりますかね、ちょっと今、私は数字を足していないですけれども。それぐらいの事故が発生しているということになります。

 そこで、大臣、政府は、普天間基地の危険性の除去を進めていくというふうに言われるんですけれども、これでは、基地の危険性というのは、結局、移設することによっても何も変わらないということになるんじゃないですか。

岸田国務大臣 住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間飛行場の固定化は絶対に避けなければならない、こうした地元の皆様方とも共有する認識に基づいて、政府としましては、引き続き丁寧に地元の理解も得ながら、一日も早い沖縄の負担軽減を実現しなければならないと考えています。

 そして、御指摘の米軍機による事故でありますが、こうした事故につきまして、もちろん大変重要な課題だと認識をしておりますが、こうした事故の発生を防止するためには、やはり関係者による不断の取り組みが重要であると認識をしております。

 私も、昨年、HH60ヘリコプターの墜落事故を受けまして沖縄を訪問させていただきました際に、ウィスラー在沖縄四軍調整官に対しまして再発防止を申し入れたところでありますが、今後とも、さまざまな機会を捉え、さまざまなレベルでしっかりと米側に対しまして働きかけを行って、事件、事故の防止に取り組んでいきたいと考えております。

笠井委員 時間が来たので終わりますが、何度申し入れても繰り返されて事故が起こっている。それで、負担軽減と言われるけれども、辺野古に移しても危険性が除去されるわけじゃないというだけじゃなくて、飛来や訓練でさらに来る可能性があるわけで、これでは沖縄県民にとって危険あるいは負担が増すだけになる。そういう点でも、改めて辺野古新基地建設に断固反対の立場を申し上げて、きょうは質問を終わります。

鈴木委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党の玉城デニーです。

 きょう、この時間は、沖縄県における駐留米軍に関する件を集中的に質問させていただくということもありますので、先日、九日、グアム協定の改正協議が委員会で採決、昨日の本会議では衆議院でも採決され、参議院へと送られておりますが、沖縄の問題、特に米海兵隊普天間基地の移設問題について、そして米軍の訓練移転問題等について、きょうは十五分質問させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、九日も当委員会で議論になりましたが、今回のグアム協定見直しの中にあります北マリアナ諸島、いわゆるテニアンでの米国海兵隊と共同訓練を行う日本側からの自衛隊の参加部隊はどのような部隊の構成と要員を予定しているのか、伺います。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 在沖米海兵隊のグアム移転に際しまして、グアムそれから北マリアナ諸島連邦において整備される予定の実弾射撃場あるいは上陸訓練場等の訓練場におきまして、自衛隊とアメリカの海兵隊が具体的にどのような共同訓練を実施していくかということにつきましては、これはいろいろなものがあろうかと思いますが、例えば自衛隊の水陸両用機能の強化の観点といったことも含めまして、現在検討中の段階でございますので、まだ具体的なことをお答えできる段階にはございません。

玉城委員 水陸両用機能を備えた部隊ということですから、当然、海兵隊の主体的な行動と一体的に動いていくことを念頭に置いて、その部隊を充てるものだというふうに思います。

 では、続いて伺いますが、この共同訓練を行う、予定されている部隊の日本における拠点基地や施設及び訓練施設・区域はどこへ配置する計画となっているのか、その予定について伺います。

徳地政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、そもそも、自衛隊のどういう部隊がこれからグアムなり北マリアナで共同訓練を行っていくかということにつきましては現在検討中でございますので、したがいまして、どういう部隊なのかということ、その部隊構成等につきましても、まさに今後の検討でございますので、具体的に申し上げることはまだできない段階にございます。

玉城委員 では、今まだ具体的に申し上げる段階にないということですので、これからしっかりとその推移についてはただしていきたいと思います。

 ただ、今現在も、例えば、西部方面連隊の訓練等々、さまざまな形で、海兵隊あるいは米軍と統合的な訓練を行っている部隊があります。恐らくは、部隊を新設するにしても、現有の部隊を中心とした取り組みになると思いますので、そのことを想定して、これから共同演習をしていく、あるいはテニアンにつくる施設を利用していく、そのための我が国からの資金の拠出であるというふうなことになるということは間違いありません。それは、先般の委員会でも質疑をさせていただいた際にも、そのような方向性を確認させていただいています。

 では、続けて伺います。

 今回のグアム協定の見直しによって、沖縄から移動する司令、陸上、航空、後方支援などの米軍海兵隊構成部隊、MAGTFのうち、航空部隊はどの部隊が移動するというふうに上がっておりますでしょうか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄からグアムに移転する予定である在沖米海兵隊の主要な部隊は、第三海兵機動展開旅団司令部、第四海兵連隊、第四戦闘後方支援大隊の全部または一部であると承知をいたしておりますが、いずれにいたしましても、その詳細な計画についてはまだ決定されておらず、今後、日米間の協議で取り扱われていくものと考えておるところでございます。

玉城委員 日米間でこれから協議をするということなんですが、基本的に、この計画は、沖縄からの基地負担の軽減ということが日本政府の大きな眼目であり、米国の方は、今までパッケージになっていた辺野古移設とは切り離して、MAGTFとして部隊を展開させていく、そして、その空地部隊も引き続きMAGTFで運用を管理していくということが、九日の委員会でもそのような話があったと思います。

 今答弁にありましたように、出ていく部隊は大体どの部隊から想定されるということは、沖縄県内にいる部隊を展開させていく、グアム、ハワイ、オーストラリア、アメリカ本国へ展開させていくという方向ですので、その中で、では、航空部隊はどこになるのかということは、それはもう先刻その部隊も織り込み済みであるというふうに思うわけですね。

 今回承認されたグアム協定の改正によって移動する九千名、これが、先般の委員会でも、これまでの2プラス2から見直しになったということで、九千名の要員及びその家族というふうになっております。

 では、その九千名が移動するということを前提にして、沖縄におけるMAGTFを引き続き維持、構成する部隊の要員数及び施設や装備等はどのようになりますでしょうか、お聞かせください。

徳地政府参考人 お答えいたします。

 沖縄に残留する予定の海兵隊の主な部隊、これは、第三海兵機動展開部隊司令部、第三一海兵機動展開隊、第一海兵航空団司令部、第三六海兵航空群、第一八海兵航空管制群、第三海兵後方支援群司令部、第三五戦闘後方支援連隊、第三歯科大隊の全部または一部であると承知をいたしておりますが、各部隊の具体的な隊員数、それから施設と装備につきましては、現在、米側において検討中であるというふうに承知をいたしておりまして、防衛省といたしましては承知をしておりません。

玉城委員 いろいろな情報が、まだこれから米軍側の調整を待って、それから行われるということなんですが、嘉手納以南の基地の返還も、もう既に、二〇一四年あるいはそれ以降というふうな、それぞれが設備を移設せねばならないという年限が区切られているわけですね。そうすると、その施設を県内の既存のどこの施設の中に収容していくのかというふうなことも含めると、具体的な計画がこの時点でまだアメリカ側と協議が行われていないということは、非常に不可解でなりません。

 先ほど私はこのMAGTFを引き続き維持、構成する部隊の要員数についても話を伺いましたが、具体的には数字として九千名がグアム及びハワイ、オーストラリアに、つまり国外に移っていくというふうな形になっております。

 沖縄県知事公室の基地対策課は、沖縄の米軍及び自衛隊基地の統計資料集を、このように毎年、その数字として明かしております。

 その中によりますと、最初に出てきます海兵隊の数、在沖米軍人・軍属・家族数の中で海兵隊の占める数は、軍人が一万五千三百六十五人、軍属が九十二人、家族が八千百二十六人の二万三千五百八十三人、これは平成二十三年の六月末の数字となっておりますが、一方、在日米軍兵力の中での海兵隊の数を見ますと、沖縄を含む数だと、海兵隊が、平成二十四年六月末の統計の数字で一万八千三百六十四人というふうになっています。これは海兵隊の兵員数です。

 在日米軍兵力の現況、沖縄を含む兵力が一万八千三百六十四人ということであれば、沖縄にいる兵力は一体どのくらいになるのか。一万九千人から九千人が移動するということは、つまり一万人が沖縄に残るということですが、今の兵力数からしても、では、沖縄以外の兵力がどのようになるのかということが数字として明らかにならないのは、大変不可思議でなりません。

 そのことに関してはこれからも引き続きただしていきたいというふうに思いますが、この数字も、実員数が、どんどん展開していくということになると、一体、では、その数字の根拠、整備の根拠、予算の根拠が、どこからはじき出されてくるのかということが不明確なままになってしまいます。そのことは委員会でもしっかりたださなくてはいけないのではないかというふうに本員は思料いたします。

 では、続いて、米軍の訓練移転問題について伺います。

 二〇一四年二月十二日の閣議で、辺野古沿岸部への移設が唯一の解決策であるという閣議決定が行われました。その閣議決定、唯一の解決策としたその根拠となる調査、検討に付した調査報告はどこが担当したのか、また、その報告書はどこが作成し、どこが保管しているのか、その閣議決定に参考に付したそのことについて伺いたいと思います。

武田副大臣 まず、報告書自体、それは存在しておりません。報告書自体の存在はありません。

 唯一の解決策という表現につきましては、これは、二十四年の四月、民主党政権下において、2プラス2において初めて表現として出てきた言葉であります。

 その間、長年にわたりまして、日米、そして沖縄県も含めて、とにかく、普天間の固定化はあってはならない、これは、継続使用ということは避けなければならない。そうした中で、抑止力を維持しながらも、安全性、そしてまた運用所要、そして環境面等々、ありとあらゆる角度から協議を重ねて、やはり一番適切なのはこの辺野古沖であるという結論に至ったものと思います。

玉城委員 さまざまな検討をするに当たって、その調査した報告書がないという、それが現存しないのに、何で唯一の解決策が辺野古になるのかという、根拠がどこにあるのかということが明らかにならないのは、これは、政権がかわろうと何であろうと、行政の手続は引き継がれるものというふうなその原則に照らしますと、全く不可解でなりません。

 ですから、これまでにも私は、民主党政権下でも、この唯一の解決策とうたっている根拠は何なのかということを聞いてきたんですが、閣議決定する際に当たっても、その報告書はない、今までの、その検討された経緯をそのままなぞっているだけだというのであっては、閣議決定のその重みも、あるいはその内容も、果たして国民が納得するのかということのその根本的な問題が、ここでもやはり明らかになっている。

 つまり、実は辺野古は唯一の解決策ではない、そのための調査資料、報告書は存在しない、であれば、果たして何をもとに解決策だという閣議決定ができるのかというふうなことを、改めてその疑義はたださなくてはならないのではないかというふうに思います。

 続いて、海兵隊MV22オスプレイ運用部隊は、今回のこの訓練移転で沖縄以外の米軍あるいは自衛隊の有するどの施設・区域を運用のために常時使用する計画となっているか、お答えください。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 MV22オスプレイの飛行につきましては、沖縄の負担を軽減して、本土に分散させる観点からも、一昨年九月の日米合同委員会合意、それから昨年十月の2プラス2共同発表に従いまして、沖縄県外における訓練の増加を検討してきておるところでございます。

 そして、この検討におきまして、沖縄県外における米軍の施設・区域または自衛隊の施設を恒常的に使用する計画というものは今のところございませんけれども、防衛省といたしまして、オスプレイの沖縄県外における訓練をさらに促進するために、複数の本土所在の演習場などに訓練基盤、拠点を整備することとしておるところでございます。

 そして、最終的には、この訓練基盤、拠点を活用いたしまして、沖縄の負担軽減を確実なものとしていきたいと考えておるところでございますが、まずは、昨年十月の滋賀県の饗庭野演習場で行われました日米共同訓練のように、引き続き沖縄以外の場所における訓練を順次取りまとめてまいる所存でございます。

玉城委員 訓練移転のための沖縄以外における民間空港等の使用は予定しているのでしょうか。

徳地政府参考人 お答え申し上げます。

 沖縄県外におけるオスプレイの訓練に際しまして使用される飛行場などの施設につきましては、引き続き、実際に訓練を実施する場所、それから米軍の運用上の要件など、さまざまな角度から幅広く検討していく中で今後考えていくことになるものと考えております。

玉城委員 幅広く検討するということは、それでは、那覇空港の第二滑走路が工事竣工して二本目の滑走路ができたら、在日、在沖米軍もしくは本邦周辺で訓練展開している米軍が、平時において那覇空港を使用することもあるというふうな考えでしょうか。

冨田政府参考人 お答えをいたします。

 米軍機による那覇空港の使用に関するお尋ねでございます。

 まず、地位協定上の取り扱いでございますけれども、米軍機は、日米地位協定第五条に基づきまして、我が国の飛行場に出入りすることは認められているわけでございます。したがって、那覇空港につきましても、今後建設される予定の第二滑走路を含めて、必要に応じて米軍機が同空港を使用することはあり得るというふうに考えておりますけれども、現時点で具体的な計画があるとは承知をしておりません。

 ただ、いずれにいたしましても、米軍機の運用というのは公共の安全に妥当な考慮を払って行われなければならないことは言うまでもございません。また、米軍機による民間空港の利用に際しましては、事前に航空当局に対して必要な通報が行われているというふうに承知をしておるところでございます。

玉城委員 もう時間が来ましたので、最後に申し上げておきますが、地位協定の改定なくして沖縄の負担軽減もありません。

 あわせて申し上げますと、辺野古の基地は、広大な海を埋め立ててつくっても、そこで運用するオスプレイを県外、国外へ移すのであれば、無駄な費用と言うしかありません。

 先般、二月二十六日、宜野湾市の佐喜真市長は、市議会での施政方針演説で、昨年九月に新型輸送機MV22オスプレイ二十四機の配備が完了した普天間に関し、基地負担はもはや限界に達したと、オスプレイの配備撤回や県外への分散移転に取り組むことを主張しています。

 県外にどれだけ移転できるか、それは、訓練の二、三日の移転が本当の負担軽減になるというふうに県民は考えておりません。真摯に取り組むことをお願い申し上げて、私からの質問を終わります。ニフェーデービタン。

     ――――◇―――――

鈴木委員長 次に、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件、南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件、二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件及び視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 政府から順次趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件

 千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件

 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件

 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件

 視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この協定は、平成十一年七月にジュネーブで開催された国際会議において採択されたものであります。

 この協定は、複数の国に対する意匠の保護のための出願を出願人が一括して行うことを可能とするため、意匠の国際出願及び国際登録に関する手続等について定めるものであります。

 我が国がこの協定を締結することは、意匠の保護を国際的に促進するとの見地から重要であります。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この協定は、昭和四十三年十月にロカルノで開催された国際会議において採択されたものであります。

 この協定は、締約国が採用する意匠の国際分類、その修正及び追加の手続等について定めるものであります。

 我が国がこの協定を締結することは、我が国として意匠の国際分類の修正及び追加の手続に関与するとの見地から重要であります。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この協定は、平成十八年七月にローマで開催された国際会議において採択されたものであります。

 この協定は、南インド洋の公海における漁業資源の長期的な保存及び持続可能な利用の確保を目的として、締約国会議で定める保存管理措置をとること等について定めるものであります。

 我が国がこの協定を締結することは、このような目的に積極的に協力し、及び我が国の漁業の安定した発展を図るとの見地から重要であります。

 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。

 次に、二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この条約は、平成十六年二月にロンドンで開催された国際会議において採択されたものであります。

 この条約は、船舶の安定性を確保するため船舶に取り入れられたバラスト水及び沈殿物の規制及び管理により、有害な水生生物及び病原体の移動から生ずる環境等に対する危険を防止すること等について定めるものであります。

 我が国がこの条約を締結することは、船舶のバラスト水及び沈殿物による環境等への被害の防止のための国際的取り組みに貢献するとの見地から重要であります。

 なお、この条約に定める基準の一部については、国際海事機関総会が、同総会が決議した計画に従って実施するよう勧告していることに鑑み、我が国としては、その勧告するところによりこの条約を実施することとしております。

 よって、ここに、この条約を所要の留保を付して締結することについて御承認を求める次第であります。

 最後に、視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。

 この条約は、平成二十四年六月に北京で開催された世界知的所有権機関の視聴覚的実演の保護に関する外交会議において採択されたものであります。

 この条約は、視聴覚的実演に関し、人格権並びに複製権及び譲渡権等の財産的権利を実演家に付与するとともに、これらの権利の行使に関する法的な保護及び救済等について定めるものであります。

 我が国がこの条約を締結することは、視聴覚的実演に関する実演家保護の国際的な取り組みに資するとの見地から重要であります。

 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。

 以上五件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認いただきますようお願いいたします。

鈴木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十六分散会


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