衆議院

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第13号 平成26年4月18日(金曜日)

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平成二十六年四月十八日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 鈴木 俊一君

   理事 城内  実君 理事 左藤  章君

   理事 鈴木 馨祐君 理事 薗浦健太郎君

   理事 原田 義昭君 理事 渡辺  周君

   理事 小熊 慎司君 理事 上田  勇君

      石原 宏高君    河井 克行君

      黄川田仁志君    小林 鷹之君

      河野 太郎君    島田 佳和君

      瀬戸 隆一君    武井 俊輔君

      渡海紀三朗君    東郷 哲也君

      星野 剛士君    武藤 貴也君

      小川 淳也君    玄葉光一郎君

      松本 剛明君    阪口 直人君

      村上 政俊君    岡本 三成君

      青柳陽一郎君    笠井  亮君

      鈴木 克昌君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   外務大臣政務官      石原 宏高君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房地球規模課題審議官)       香川 剛広君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 山上 信吾君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 山田 滝雄君

   政府参考人

   (外務省経済局長)    片上 慶一君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   石井 正文君

   政府参考人

   (水産庁資源管理部審議官)            遠藤  久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         坂下 広朗君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十八日

 辞任         補欠選任

  あべ 俊子君     瀬戸 隆一君

  木原 誠二君     武井 俊輔君

  玉城デニー君     鈴木 克昌君

同日

 辞任         補欠選任

  瀬戸 隆一君     あべ 俊子君

  武井 俊輔君     木原 誠二君

  鈴木 克昌君     玉城デニー君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件(条約第六号)

 千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件(条約第七号)

 南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件(条約第八号)

 二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件(条約第九号)

 視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)


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     ――――◇―――――

鈴木委員長 これより会議を開きます。

 意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件、南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件、二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件及び視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各件審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房地球規模課題審議官香川剛広君、大臣官房審議官山上信吾君、大臣官房参事官山田滝雄君、経済局長片上慶一君、国際法局長石井正文君、内閣官房内閣審議官澁谷和久君、水産庁資源管理部審議官遠藤久君、国土交通省大臣官房技術審議官坂下広朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田仁志君。

黄川田(仁)委員 自由民主党の黄川田仁志でございます。

 本日は、貴重な質問の時間をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は五つの協定または条約についての審議ですが、私は、南インド洋漁業協定と船舶バラスト水規制管理条約の二本に絞って質問を行いたいと思います。

 それでは、時間もございませんので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず南インド洋漁業協定についてですが、この南インド洋の漁業の状況を教えていただきたいと思います。例えば、この漁場の特徴とか、違法漁業、過剰漁業などの状況を含めてお願いします。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、インド洋には、マグロ類等を管理します機関としまして、インド洋まぐろ類委員会がございます。そこでは、マグロ類等の資源管理のための一定の保存管理措置が導入それから実施されております。

 今回審議の対象となっております南インド洋漁業協定は、マグロ類以外の水産資源を管理する協定でございまして、我が国漁船が協定の対象水域で漁獲する魚種といたしましては、キンメダイあるいはメロという、いわゆる底魚というものが主体でございます。

 本協定は二〇一二年六月に発効した新しい協定でございまして、現時点では具体的な保存管理措置は定められておりません。来年三月に開催予定の第二回締約国会議で保存管理措置が採択される予定であるというふうに認識しております。

 このため、我が国といたしましては、南インド洋の漁業資源の長期的な保存それから持続的な利用という協定の目的に沿った形で適切な保存管理措置が採択されるように、締約国会議等の場において積極的に対処していく考えでございます。

黄川田(仁)委員 今、この海域にはマグロ管理の協定しかないということで、これからこの漁場を開拓していくということであると思います。このような若い漁場で日本が積極的に管理に参加するということは、非常に望ましいことであると思います。

 この漁場について調べますと、私、ちょっと気になる点がございました。これははっきり言ってこの協定のちょっと範囲外になりますけれども、南インド洋を含んでいるという意味で。モザンビークの二百海里の中を、環境保護団体のグリーンピースと国家であるモザンビークが共同してパトロールをしているということであります。グリーンピースのホームページを見てみますと、日本船が取り調べを受けているようなんです。

 この状況を踏まえて、最近、シーシェパードの活動もありますけれども、グリーンピース、これはどちらかというと過激な部類の環境保護団体であるというふうに思いますけれども、これについて、トラブルといいますか、先ほど言いました、日本船も取り調べを受けているということなんですが、それについての情報、また見解、今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。

遠藤政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、モザンビークの二百海里の中では一度そのようなケースがあったということでございますが、その後はないということを伺っております。また、この協定の対象水域であります南インド洋の公海域では、今のところ、我が国漁業者と環境保護団体の間のトラブルが発生しているということは聞いておりません。

 しかしながら、今後ともこのようなトラブルが発生することがないように、水産庁としましても、関係情報の収集、それから関係漁業者に対する注意喚起に努めてまいりたい、このように思っております。

黄川田(仁)委員 今のところトラブルはないということでありますけれども、グリーンピースのホームページだと、三隻取り調べて一隻が取り調べを拒否したということで、モザンビークがそれに対して法的措置を検討しているというのが保護団体の話でした。まだ外務省の方には具体的な話は入っていないようなので、今後、これらの保護団体、グリーンピースを含めて、十分注意して漁業そして管理を行っていただきたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 世界の海で漁業協定に意欲的に参加していくということは、貴重な漁業資源保存のために日本が積極的に貢献する意図を国際社会に伝える大切な場になっているというふうに思います。ですから、本協定に参加するということを、私は積極的に支持したいと思っております。

 しかしながら、日本は、責任ある国家として持続可能な資源管理に努めているにもかかわらず、海外においては、世界のあらゆる漁場に入っていって魚をとり、または他国がとっている魚を輸入して消費しているということで、どうも我が国は、持続可能な資源開発のために積極的に活動しているんですけれども、漁業資源の確保に逆に寄与しているという印象を与えているのではないかというふうな懸念を私はしております。

 それはどうしてなのか、もしかしたら私の見解が違っているかもしれませんが、外務大臣のそのあたりの認識と御見解をお聞かせいただきたいと思います。

岸田国務大臣 我が国としましては、科学的な根拠に基づいて国際的な漁業資源の持続的利用を行い、水産業という我が国の重要な産業の利益を確保し、そして水産物の安定供給を図る、こうしたことが大変重要だと認識をしております。こうした認識のもとに、我が国はこれまでも、関連する地域漁業管理機関に加盟をし、そして関係国と一致した適切な資源管理措置を講ずることによって、漁業の持続的な発展、また資源管理、こうしたものに積極的に貢献してきたと自負をしております。そして、こうした取り組みにつきましては、関係国からも評価を受けていると認識をしています。

 ただいま委員が御指摘になったような我が国に対するイメージがあったとしたら、これは大変残念なことだとは思いますが、そうしたイメージを受けないためにも、国際社会にそういった印象を与えないためにも、引き続き持続可能な資源の利用を確保するために、関係国とも協力しつつ、ぜひ、我が国がルールづくり自体を主導していく、こういった姿勢をしっかりアピールしていくことが大事なのではないか、このように認識をしております。

黄川田(仁)委員 そのあたり、我が国が資源を枯渇させるのではなくて、保護、そして国際的に協調して開発していくのだということを十分にアピールするためにも、この南インド洋漁業協定、しっかりとやっていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、またこの漁業協定に関連して、もうちょっと範囲を拡大して、日本の海洋政策における外交姿勢について質問をいたしたいと思います。

 まず、最近話題になっている捕鯨について御質問させていただきたいと思います。

 国際司法裁判所において、南氷洋における日本の調査捕鯨が違法であるという判決が出ました。日本は大敗北を喫したということで、新聞紙上もにぎわせております。

 負けたことはもちろん問題であると思いますが、私がそれ以上に大問題であると思いますのは、負けるということを全く予想していなかった、むしろ大勝するのではないかという、非常に楽観的といいますか、そういう認識を持っていたというところで、私たち国会議員も寝耳に水というような状態でありました。

 これは本当に、世界の潮流を見誤っている。外務省としては、負けそうだなということを認識しておれば、その後の対応が後手後手に回ることもないと思うんですけれども、全く予想していなかったということで、これからの対応が後手後手に回るということを非常に心配しております。

 そこで、今回の日本の体制に問題がなかったか、また、今後の外務省の体制も含めて、情報収集、分析のさらなる強化、見直しが必要であると思いますが、そのあたりの御見解をよろしくお願いいたします。

岸田国務大臣 今回の判決につきましては、政府関係機関が一体となって、また、内外の有力な専門家の協力も得て、誠実かつ真摯な姿勢で臨み、日本の立場と考え方を最大限主張した次第ですが、御案内のような結果になりました。

 結果を事前に予測することは大変難しいことではありますが、我が国としましては、あり得べき判決の内容を種々検討し、あらゆる可能性を排除せず判決に臨んだ次第であります。そして、その中にあってもこうした結果になったことは、まことに残念なことだと思っております。

 そして、この判決の中で、国際捕鯨取締条約第八条1との関係において、科学的目的に照らして合理的とは言えない等の内容が盛り込まれていますが、こういった判決内容につきましてしっかり今精査を行い、そして具体的な今後の対応につきまして検討を行っている次第であります。

 外務省としましては、まずは、関係省庁と連携して具体的な対応について検討していかなければならないと思っていますが、今回の経験を踏まえて、ぜひ、国際法及び国際裁判における情報収集、分析の強化も考えていかなければならないと思っていますし、今後、こうした法の支配あるいは国際法の重要性、これはますます高まっていきます。こうした時代の変化に対応するべく、人材の育成ですとか体制の強化、こういったものについてもしっかり考えていかなければならないと考えております。

 ぜひ、今回のこの裁判の結果を受けてしっかりと検討し、今後考えていきたいと思っております。

黄川田(仁)委員 敗訴して二週間余りということで、今後どうしていくかということはまだまだ固まっていないということであると思いますが、情報収集、分析のさらなる強化をお願いいたしたいと思います。

 また、気になるのは、外務省の国際司法裁判所に対する位置づけといいますか、どういう場であると認識しているかということが私は非常に気になっております。

 今回の捕鯨の裁判を見るに当たって、この場所、例えば、捕鯨国と反捕鯨国の裁判官の意見が分かれて、中立に国際紛争を裁く場というよりも、極めて政治的な判断をしているのではないかということが非常に疑われてなりません。

 今後、この国際司法裁判所をどういうふうに認識して我が国は使っていくのか、考えていくのかということが非常に重要であると思いますが、そのあたり、答弁をお願いいたします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 国際司法裁判所は、ICJ規程第二条に基づきまして、選挙される独立の裁判官の一団で構成されており、出身国の立場にかかわらず、国際法に従って裁判を行うということになっております。これ以上でもなく、これ以下でもないと思います。

 一方、議員御指摘のとおり、通常十五人の判事、今回、オーストラリアも加わりまして十六人でございました。このうち、出身国で見ますと、反捕鯨国の出身は十でございます。捕鯨国の出身は四、IWCに参加していない国が二でございます。

 一方、実際の判決の結果、十二対四で敗北をいたしましたけれども、日本の立場を支持してくれた四の中には反捕鯨国の中からもフランスの判事が入っておるということで、完全に反捕鯨国と一致しているというわけではないという状況もございます。

 いずれにしましても、ICJは、国連憲章上、国連の主要な司法機関と位置づけられておりまして、国連憲章第九十四条によりまして、加盟国はその判決に従うことを義務づけられております。このICJというのは、引き続き、国際的な紛争を解決する上で非常に重要な機関として位置づけられているものと思います。

黄川田(仁)委員 わかりました。

 また、今回の判決を受けて、すぐさま判決に従うというふうに明言しております。私、疑問に思うんですけれども、判決直後にそういうことをすぐさま言うのでよろしいのか、やはり、不満は不満であるということを強く表明する必要がなかったのかというふうに思います。いい子になることがよいことではなくて、国際法遵守はもちろん大切ですが、ただ従うだけではいけないというふうに思っております。

 例えば、ノルウェーは、モラトリアムに異議申し立てをしておりますし、また、北東大西洋のミンククジラを保護資源として指定するということについても異議申し立てをして、商業捕鯨を行っているということであります。また、アイスランドは、一九九二年に一度IWCを脱退して、二〇〇四年に再加入する際に、モラトリアムに異議を申し立てて、商業捕鯨を続けているということであります。これはIWCの決議には従っておりませんが、異議申し立てをして商業捕鯨を行うということ自体は、IWCの中で認められている行為であって、決して違法ではありません。

 ですから、日本も、ただ従うということではなく、しっかりと戦略的に考えて、違法ではない状態で行っていく必要があると思います。

 また、IWCは、遅くとも一九九〇年までに、モラトリアムが資源に与える影響について包括的評価を行うという規定が付されておりましたが、まだ実際にこれは実行されておりません。

 ですから、そういうIWCが約束したことを実行していないにもかかわらず、日本だけが国際法遵守ということを訴えているのは、評価されるよりも、かえってばかにされて国益を損なうのではないかというふうに思われますが、そのあたり、どのようにお考えでしょうか。

片上政府参考人 お答え申し上げます。

 委員からも御指摘がありましたとおり、日本は、六十年以上も前にIWCに加盟して、IWC内の根深い見解の相違にもかかわらずIWCにとどまり、委員会が抱える問題に対して広く受け入れ可能な解決方法を模索してきたところでございます。近年見られるIWCの機能不全は大きな問題である、課題であると認識しております。

 今回、国際司法裁判所が、第二期南極海鯨類捕獲調査は国際鯨類取締条約第八条1の規定の範囲におさまらないと判示したことは残念であり、深く失望しているところであり、かかる旨、官房長官談話でも表明したところでございます。

 しかしながら、日本は、国際社会の基礎である国際法秩序及び法の支配を重視する国家として、判決には従う考えでございます。

 今週、農水委員会で決議が採択されて、あらゆるオプションを追求すべしという決議がなされていることも十分承知しているところでございます。

 他方、政府は、現在のところ、先ほどもありましたように、判決の内容及び今後の対応に与え得る影響について引き続き検討しているところであり、こうした点を踏まえて、今後の具体的な対応について真摯に検討しているところでございます。

黄川田(仁)委員 ありがとうございます。

 ほかにももう一つ、バラスト水についての質問を用意していたんですが、質問時間が来たということで、申しわけないですが、これで私の質問は終了させていただきます。

 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 次に、岡本三成君。

岡本委員 公明党の岡本三成です。おはようございます。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 まず、議案となっております五つの条約ですけれども、これまでにさまざまな議論が当委員会でなされまして、その必要性に関しましては十二分に私も納得しております。

 その上で一点だけ、バラスト水規制につきまして質問させていただきたいと思いますけれども、この条約は、二〇〇四年に採択をされたときに発効の要件が決められておりまして、その発効の要件の一つが船腹量三五%以上であります。今回、日本がこれを採択したというようなことになりましても、この発効要件にまだ届いていないわけなんですね。加えまして、日本の船の六六%は税金上の理由もありましてパナマ船籍になっております。

 ということは、パナマが加わるかどうかということが日本商船全体にとっては大変重要なポイントとなるわけですけれども、この条約をより有効なものとして日本の国益につなげていくためにも、日本政府からパナマ政府に対して、この条約に参加するということを働きかけることが重要だと思っているんですが、実際にそういうふうな働きかけをやっていらっしゃるのかどうかということをお伺いできればと思います。

香川政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、船腹量が三五%を超えて発効するということになっていまして、加盟国数はもう既に条件を満たしておるわけでございます。パナマを初めとして、主要な海運国が加入をすれば発効するということなので、我々としても、そういう状況を見て、今この条約の批准をお願いしているところでございます。

 パナマに対する働きかけも、今後、しっかりしていきたいというふうに考えております。

 以上でございます。

岸田国務大臣 ちょっと整理しますと、まず一つ、国内法の整備が重要なのではないか、この質問がありました。

 これにつきましては、まさに今国会に国土交通省から提出させていただいております海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の一部を改正する法律案、これがまさにこの条約実施のための国内措置を規定するものであります。

 例えば、バラスト水が条約に定める基準に適合するよう処理するための装置を船舶に設置する義務、あるいは条約で求められる各種船舶検査などが同法律案で新たに措置されております。こうした国内法の実施を行って、ぜひ条約との整合性をしっかり確保したいと考えております。

 そして、二点目のパナマの重要性は、ただいま答弁させていただきましたが、日本商船隊のうち、約七割に当たる約二千隻がパナマ船籍であります。このパナマが条約に入るかどうか、これは大変大きな問題であります。そして、パナマ以外にも、シンガポールほか主要な船主国でまだ条約を締結していない国、地域が存在いたします。こういった国、地域に対しましても、しっかりと働きかけを行っていくことは大変重要だと認識をしております。

岡本委員 続きまして、五日後、来週水曜日、二十三日からオバマ大統領が国賓として来日をされます。重要な議案がたくさんあると思いますので、その何点かにつきまして質問させていただきたいんですが、時間内で優先順位の高いところから質問させていただきたいと思いますので、若干順番が前後するかもしれませんが、お願いいたします。

 昨日から甘利大臣が渡米をされまして、フロマン代表とさまざまなTPPの最終交渉をされているということを報道等で伺っております。

 最新の情報を聞きましたところ、昨晩の交渉の中で、日本側がいわゆるセンシティビティーとして最も守りたい米の関税につきまして米国が容認をするというような報道もなされておりまして、大統領来日までにある程度の大筋合意ができて、この来日の際には、安倍総理とオバマ大統領が笑顔で握手ができるのではないかというふうに期待をしているんですが、最新の交渉の状況と、大統領来日時までに実際に妥協できるかどうかということの見通しについて、コメントいただければと思います。

小泉大臣政務官 今まさに交渉の真っただ中ですから、具体的なそういったところにはお答えを控えさせていただきますが、今、岡本先生がおっしゃった妥協ということはなくて、TPPという高い目標をどうやって達成していくのかという観点と、国会の農水委員会の決議、そして党の決議、そういったことをどうやって守るのかという、そういった両面の整合性を持った結果を出していくための大変厳しい交渉に当たっている。

 来週からオバマ大統領が日本に来られますが、決してそれはデッドラインではない、一つの節目ということで、これからも鋭意協議を進めていきたいと思います。

岡本委員 小泉政務官、ありがとうございます。

 落としどころで妥協というふうに思っているわけではなくて、もともとTPPの目的である日本の可能性をより広げていくということの中で、守るべきセンシティビティーを守るというところの整合性をどうつけるかということで、今のお話の中にありましたように、デッドラインが大統領の来日ということではないということはよく理解いたしましたけれども、早期の合意ということに向けて全力を尽くしていただいているというふうに理解いたしましたので、引き続きよろしくお願いいたします。

 政務官、もしお忙しければ、委員長の許可をいただいて。

 続きまして、大統領来日の際にぜひ御議論をいただきたい点の一つといたしまして、日韓関係がございます。

 先日、オバマ大統領のイニシアチブで、核サミットにおきまして日米韓の会談が行われたわけですけれども、さまざまな御評価はあるにせよ、私は会うこと自体に意味があるというふうに思っています。

 それで、今回、来日の後にそのまま大統領は韓国に行かれるわけでして、その際に、日本政府の伝言を正式にオバマ大統領に朴大統領向けに託していただきたいと私は思っているんですね。

 それは、来年は韓国の建国七十周年ですし、日韓基本条約締結五十周年ですので、基本的な日本の日韓関係に対する姿勢、未来志向的な姿勢というものを何回もお伝えしているわけですけれども、いい意味でオバマ大統領がその接着剤役になってくださっているわけですので、日本政府からの正式なメッセージとしてお伝えいただくような、そういう労を大統領にとっていただくことができないかと期待しているんですけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 今回のオバマ大統領の訪日に当たりましては、ぜひ、日米の首脳間におきまして、日米間の二国間関係について、あるいは地域情勢について、さらにはさまざまなグローバルな課題における日米の協力について率直な意見交換を行い、何よりも、日米両国の首脳間でしっかりとした信頼関係をより深めていただくことが重要だと思っております。そして、十八年ぶりのアメリカ大統領の国賓としての来日ですので、何よりも、内外に対しまして、日米同盟が強靱なものである、揺るぎないものであるということをしっかり示すことが重要だと考えております。

 そして、その中にあって、日韓関係について委員の方から御提案をいただきました。

 会うことがまず大事だという御指摘、これは全く同感でございます。日韓においては難しい問題がありますが、難しい問題があるからこそ、特に政治の高いレベルでの意思疎通が重要になってくると認識をしております。先日のハーグでの日米韓首脳会談におきましても、日米、日韓、そして日米韓の緊密な連携は重要であるということを確認したところであります。

 そして、今般の日米首脳会談において、ぜひオバマ大統領に提言するべきではないかという御指摘をいただきました。

 私の立場で、今の段階で、首脳会談での内容について何か具体的なことを申し上げることは控えなければならないとは思いますが、我が国は、今日まで、こうした難しい問題があるからこそ対話が重要であるということ、日韓関係を重層的で未来志向の関係にすべく前向きに取り組んでいるということ、こうした我が国の姿勢についてはオバマ大統領にしっかり理解していただくことは大事なのではないかと認識をいたします。

岡本委員 続きまして、当然この会談の中では日中関係も話題になることというふうに想像しますけれども、ことし、米国は、リムパック、環太平洋の合同軍事演習に初めて中国を招待されます。極東アジアの緊張を緩和するということからは私は好ましいというふうに思っているんですけれども、一方で、日中関係を考えますと、日中の海域で緊張が高まって、万々が一にも偶発的なことが起こらないように、海上連絡メカニズムをつくろうということで、日本側から中国に対して何回もそういう申し入れをしているというふうに認識をしておりますが、事務方の方に伺いますと、中国の現場、事務レベルではその必要性については十二分に納得はいただけているんだけれども、トップレベルについての合意がまだとれていないというふうな報告も受けております。

 これは、米国からしますと、リムパックにまで招待するわけですから、全体最適を考えていきますと、この連絡メカニズムの締結というのは米国においても大変な利益になっていくというふうに思いますけれども、余りアメリカにいろいろなことをお願いし過ぎるのもどうかと思いますが、米国の利益にもかなうことですので、オバマ大統領にも海上連絡メカニズムの構築に関して御尽力をいただけないかということも提言されてはいかがかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 日中間で偶発的な事態が生じることは、結果として誰の利益にもならないと考えています。そういったことから、御指摘の海上連絡メカニズム、日中の防衛当局間での協議を、早期に運用を開始するべきであるということ、我が国としましても、これまでさまざまな形で働きかけを行っています。

 こうした日中間の課題につきましては、例えば、ことし二月、私も訪米させていただきまして、ケリー国務長官との間で日米外相会談をやらせていただきましたが、こうした日中関係につきまして議論をさせていただきました。

 今回の首脳会談の具体的な内容について申し上げるのは、先ほども申し上げましたように、控えなければならないとは思いますが、今回の日米首脳会談におきましても、日中関係についても率直な意見交換が行われることは有意義ではないかと考えます。

岡本委員 最後に、我が国の国連活動における、国会への報告、国民への広報、他国へのロビー活動についてお伺いをしたいと思います。

 私、昨年の十一月一日の当委員会におきまして、大臣に対しまして、日本の国連外交、非常に重要だけれども、一方で、国内でのその報告が十分になされていないのではないかというふうな問題意識を提言させていただきました。

 特に、我が国の国連団体に対する拠出金、過去十年をとりますと、一年平均五千六百六十三億円、十年で五兆七千億円拠出しています。これほどの巨額の拠出をしているにもかかわらず、十分な報告がなされていないという問題意識を私持っておりまして、また、その際、大臣から答弁といたしまして、

 今大変貴重な御提案をいただきました。

  国会への報告ということになりますと、これはまさに衆議院の外務委員会の先生方や国会の関係の皆さん方と調整をしなければいけない、御判断いただかなければいけないことだとは思いますが、ぜひ、外務省としても、どんなことができるのか一度検討してみたいと思います。

という御答弁をいただきまして、既に四カ月たっておりますけれども、どのような御検討がなされたのか、教えていただければと思います。

岸田国務大臣 昨年の十一月、衆議院のこの外務委員会の場で、委員の方から貴重な御提案をいただきました。そして、我が国の国連活動につきまして、しっかりと広報するべきである、レポートするべきである、こうした御提案をいただいた次第でございます。

 こうした御提案は大変重要だと認識をし、これまでも、国連総会一般討論演説、あるいは国連事務総長との会談の機会に対外発信を行う、あるいは記者会見、寄稿等を通じて広報に努めているわけですが、加えて、国会議員の皆様方との関係におきましては、国連側の要人が訪日した際には、可能な限り、議連等を通じた意見交換の場を設けております。先日も、アッシュ国連総会議長が訪日をされましたが、その際に議連の皆様方との意見交換の場を設けるなど、具体的にこういった努力は積み重ねている次第であります。

 そして、委員から御指摘をいただいた広報につきましては、今申し上げましたような我が国としての努力、これを引き続きより拡充していかなければいけないということで努力をしているわけですが、加えまして、これは各国の取り組みをぜひ参考にしなければならない、参考にした上で、より充実を考えなければいけないということで、この御指摘後、我が国としましては、主要国が国連外交に関して議会あるいは国民向けにどのような報告あるいは広報活動を行っているのか、こうしたことにつきまして在外公館を通じて調査を行わせていただいております。この調査、今引き続き続けているわけですが、この調査結果も十分踏まえた上で、取り組みにつきまして、より具体的なものを考えていきたいと思っております。

 引き続き努力をしていきたいと考えておりますので、ぜひ御指導賜りますようお願い申し上げます。

岡本委員 今大臣がおっしゃった各国の取り組み、私、調査してまいりました。

 実は、諸外国においては大変な量の報告がなされておりまして、例えば米国では、国務省のウエブページ、国連関係の活動をほぼ毎日更新されておりますし、フランスやドイツでは、母国語だけではなくて英語でも報告をされて、諸外国向けにロビーイング活動をやっています。

 実は、アメリカは、法律で、国務省が毎年上院と下院に報告書を提出しなければいけないように定めておりまして、イギリスにおきましては、女王陛下の命令で、これも議会に報告書を毎年提出しております。

 したがいまして、やはり諸外国の取り組みから考えると、日本は、これほど拠出金を出していることに加えて、国連外交がより有効だということを考えると、取り組むべき課題は多いのではないかなと思っています。

 特に、ことしは非常任理事国入りを目指して諸外国にさまざまな活動をしなければいけないわけですから、国内向けの報告以外に、英語でつくることによって、その小冊子を持ちながら諸外国に営業して回る、ロビーイング活動をして回るということは非常に有効だというふうに思うんですね。

 加えて、もう一つ強調したいことがありまして、国連の中では、例えば中国や韓国が歴史認識等につきまして日本を暗に名指ししながら批判しているような講演もたくさん見られているわけですけれども、それに対して我が国がどのように反論をしているかというようなことに関しては余り報道をなされていないように感じるんですね。そういうこともちゃんと歴史に残さなければいけませんから、この報告書に書き込むことによって、国内にもしっかりと広報をして、海外にもそのような活動をしていくことが重要だというふうに思います。

 こういうレポートをつくるとなると、私は日本語でも英語でもつくっていただいて国会に提出していただきたいわけですけれども、予算を伴うことになりますけれども、来年度からぜひやっていただきたいという期待を込めて言いますと、この予算づけに関してもこれからなるべく早急にさまざまなそういう調整等をお願いしたいと思っているんですが、外務大臣、御決意を一言いただければと思います。

岸田国務大臣 御指摘ありがとうございます。

 先ほども申し上げましたが、外務省としましても、各国の状況を今確認しております。その上で、具体的なものを検討し、予算につきましてもしっかり検討させていただきます。

岡本委員 ありがとうございます。

 以上で終了いたします。ありがとうございました。

鈴木委員長 これにて各件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

鈴木委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、千九百七十九年九月二十八日に修正された千九百六十八年十月八日にロカルノで署名された意匠の国際分類を定めるロカルノ協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、南インド洋漁業協定の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、二千四年の船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 次に、視聴覚的実演に関する北京条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

鈴木委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

鈴木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時四十五分散会


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