衆議院

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第3号 平成27年3月27日(金曜日)

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平成二十七年三月二十七日(金曜日)

    午前八時三十五分開議

 出席委員

   委員長 土屋 品子君

   理事 秋葉 賢也君 理事 大野敬太郎君

   理事 島田 佳和君 理事 辻  清人君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 寺田  学君

   理事 小熊 慎司君 理事 佐藤 茂樹君

      池田 道孝君    小渕 優子君

      大隈 和英君    大塚 高司君

      河井 克行君    小林 鷹之君

      佐々木 紀君    白須賀貴樹君

      鈴木 隼人君    渡海紀三朗君

      中根 一幸君    星野 剛士君

      松島みどり君    武藤 貴也君

      務台 俊介君    緒方林太郎君

      吉良 州司君    鈴木 貴子君

      長島 昭久君    青柳陽一郎君

      木内 孝胤君    村岡 敏英君

      岡本 三成君    穀田 恵二君

      玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務大臣政務官      中根 一幸君

   政府参考人

   (外務省大臣官房長)   上月 豊久君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 鈴木  哲君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省中南米局長)   高瀬  寧君

   政府参考人

   (防衛省大臣官房審議官) 武藤 義哉君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     池田 道孝君

  薗浦健太郎君     大隈 和英君

  木内 孝胤君     村岡 敏英君

同日

 辞任         補欠選任

  池田 道孝君     小林 鷹之君

  大隈 和英君     務台 俊介君

  村岡 敏英君     木内 孝胤君

同日

 辞任         補欠選任

  務台 俊介君     白須賀貴樹君

同日

 辞任         補欠選任

  白須賀貴樹君     薗浦健太郎君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)


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     ――――◇―――――

土屋委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房長上月豊久君、大臣官房審議官鈴木哲君、大臣官房参事官水嶋光一君、中南米局長高瀬寧君、防衛省大臣官房審議官武藤義哉君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田学君。

寺田(学)委員 おはようございます。さまざまな事情と配慮を勘案して朝早い質疑になっていますので、よろしくお願いします。

 きょうは法案の審議ですので後ほど始めたいと思いますが、岸田大臣とは初めての質疑になりますので、一問だけ、以前から岸田さんにちょっとお伺いしたかったなと思うことがありまして、お伺いしたいと思います。

 この間、長島同僚議員からもお話がありましたけれども、やはり、岸田大臣に対する期待感というのは与党、野党隔てずあると思いますし、私自身も、今の政権の中で頑張ってほしいなと思える数少ない大臣だと思っていますし、今求められている大臣である、自民党政権が続く限りにおいては頑張っていただきたいというふうに思っています。

 お伺いしたいことは何かと申し上げますと、まさしく名門派閥宏池会のトップであり、保守本流のど真ん中で頑張っていらっしゃるというのが周辺からの評価である、世間からの評価であると思っています。そこでなんですが、その保守本流とはどのような政治理念なのかということを、一度、大臣から直接お伺いしたいと思っておりました。

 保守本流とは、大臣にとってどのような政治理念なのでしょうか。

岸田国務大臣 まず、御声援をいただきましたこと、心から感謝を申し上げます。

 そして、保守本流とはどういう政治なのかという御質問ですが、これはあくまでも私の考え方を申し上げさせていただくわけですが、そもそもは保守本流という言葉、まあ最近は余り使われなくなりました。戦後の政治に関するさまざまな文献を見ておりますと、保守本流という言葉は、昭和三十年、保守合同が行われまして自民党が結党された際に、旧自由党系、吉田茂につながる人脈、この人の流れを保守本流と呼んでいたようであります。そして、この保守本流につながる人脈の方々が、政策的には、軽武装、あるいは経済重視、さらには積極財政、積極経済、こういった政策を打ち出してきた、こういった歴史があります。

 ただ、私は常々思っているんですが、具体的にどのような経済政策を打ち出したかということだけに目をとられていては、この保守本流につながる人脈の本質が見えてこないのではないかと思っています。こうした人脈の体質、哲学がまずあった上で、こういった政策が打ち出されたというふうに思っています。

 こういった保守本流と言われる人脈は、旧自由党の流れをくむということから、もともと、言論の自由とか表現の自由、この自由というものを重視した人脈でありました。よって、その後、リベラル勢力、自民党の中においてはリベラルと言われた人脈につながっていきます。

 そして、もう一つ、この人脈の特徴としては、戦後政治の中にあって、特定のイデオロギーとかあるいは概念にとらわれることなく、極めて現実的に、リアルに物を考えて、リアリズムに基づいて政策を打ち出した、こういった人脈であったと私は思っています。

 当時の国際情勢の中で日本はどの立ち位置に立つべきなのか、当時の世界情勢の中で経済と安全保障のバランスをどうとるべきなのか、また、当時、本当に貧しい日本国の中で国民の生活を向上させるためには何を優先するべきなのか、これを極めてリアルに考えた上で、政策を打ち出した。その結果が、軽武装であったり、経済重視であったり、積極財政、積極経済であったのではないかなと思っています。

 そして、あともう一つ加えるとしたならば、例えば、池田内閣のキャッチフレーズは寛容と忍耐でありました。そして、大平内閣のキャッチフレーズは信頼と合意でありました。物の決め方につきまして極めてコンセンサスを大事にする、権力の使い方にあっては謙虚であらなければならない、こういった哲学を持っていた人脈ではないかと思っています。

 最近は保守本流という言葉は余り使われなくなりましたが、リベラル、あるいはリアルな政策提言、また謙虚な姿勢、こういった姿勢につきましては、私自身もこれからも大事にしていかなければならない大切な姿勢なのではないかと考えております。

寺田(学)委員 すばらしい御答弁ありがとうございました。

 私も本当に、今大臣がお話しされている保守本流の哲学というものに対して、強く同意をしているものであります。あくまでも個人的な思いですが、今の政権自体が果たして保守本流なのか。

 保守政党、保守政党と今言われていますけれども、本来、今まで、歴史上語り継がれてきた保守というもの自体が変質しているような気もします。今大臣お話しされたとおり、言論の自由があり、イデオロギーではなく、物すごくリアルに物事を捉えて現実的な判断をしていく、そして、寛容と忍耐、信頼と合意、そして権力に対する謙虚な姿勢ということに関しては、長らく自民党がその本流として守り続けてきた部分だと思っております。

 そういう部分を大臣としてごらんになられて今の御発言があったのかどうか、それはわかりませんけれども、大臣自身、一年前の記者クラブの中でも、これからの集団的自衛権の法制度、議論に関しては、宏池会としての考え方をしっかり示したいというようなお話もされておりました。

 ですので、外務大臣という非常に枢要なお立場にあって、まさしく保守本流の体現というものをするのに最も適しているポストでもありますから、この二年間以上に、御自身のお考え方を十分に、海外においても、そして何より閣内においてもしっかりと示していただいて、大臣のお考えになられるような保守本流の政治というものを、私の表現で言うと、しっかりと取り戻していただきたいというふうに思っておりますので、期待申し上げております。

 このような大局的な議論の後に、物すごくミクロなこの法律の議論に入りたいというふうに思っております。

 今回、いわゆる公館法と言われていますけれども、在外公館、名称そしてそこに勤める方々の給与体系等を議論させていただきます。

 まずは、一般的なところを質問したいと思いますが、在外公館、どのような形で配備していくのか、中長期的な視野、計画というものがあれば御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 在外公館の整備ですが、在外公館名称位置給与法案、そして平成二十七年度予算案がお認めいただいたならば、平成二十七年度末の我が国の在外公館設置状況は、大使館で百四十五、総領事館六十二及び政府代表部八、合計二百十五公館となります。

 しかしながら、この百四十五という大使館数は、米国の百六十八大使館、中国の百六十五大使館を初めとする主要国と比べまして、決して十分ではないというのが現状だと認識をしています。また、相手国は我が国に大使館を置いていますが日本は現地に大使館を持っていない、こういった国がいまだ十六カ国存在いたします。

 こういった状況でありますので、ぜひ、国会の議論もしっかり踏まえながら、主要国並みの外交実施体制の実現を念頭に置くとともに、極めて厳しい状況ではありますが、昨年六月二十四日閣議決定いたしました、いわゆる骨太の方針二〇一四において定めたとおり、人的体制及び在外公館等の物的基盤の整備を含めて、総合的外交力強化、引き続きしっかりと取り組んでいかなければならないと考えています。

寺田(学)委員 私も、以前勤めていた会社が海外に駐在員を置くような会社でもありましたので、その地域に、本当に場所を張りつけて人を配置するということ自体があるとないとで大きく違うということは、十分承知しております。ですので、今、アメリカや中国の例をお話しされました。特に中国が、非常に、今まで以上に海外とのつき合い方をさまざまなルートを使って密接化している中において、日本としても、十分な海外の拠点体制というのは必要だと思っております。

 今回、具体的に、ハンブルクであり、レオンの方に総領事館を設置するという法改正になっています。

 そもそも論というか、ちょっと基礎的な部分になりますが、総領事館と、それの一つダウングレードした領事事務所、この二つの役割の違いというのはどのように考えていらっしゃるのか、御答弁をお願いします。

上月政府参考人 お答えいたします。

 総領事館につきましては、領事関係に関するウィーン条約でその役割が決められておりまして、在留邦人の保護、通商経済問題の処理、政治、経済その他の情報収集、分析、広報活動等を主要な任務とする機関で、世界の主要な都市に設置されております。

 他方、領事事務所の場合には、既存の在外公館の館員若干名が、当該親公館の大使館または領事館の管轄区域内の一都市に常駐する形をとって、領事分野に限られた所要の事務を行うというのが領事事務所でございます。

 このように、領事事務所は領事分野に限られた業務でございますので、総領事館はもっと広範な業務を行うということで、総領事館ないし領事事務所のいずれを設置するかを決定するに当たっては、それぞれの都市の在留邦人数や進出企業数、我が国との経済関係等の要素を考慮しつつ、総合的に判断しております。

寺田(学)委員 そういう判断の中で、今回具体例を挙げている今の二つの都市の方が出てくると思います。

 ちょっと、脇道とは言いませんが、少し議論がずれますけれども、これから本当に日本が世界各国でプレゼンスを示していく意味で、もちろん質は問われますけれども、本当に場所を置いていくということが重要な局面であると思っています。

 常々というか、私が政権の一員であったときに疑問に思っていた仕組み自体は、具体的な部局を言うと問題があるかもしれませんけれども、総務省、当時ありました、行政評価局と、あと定員管理の局。この定員管理というあり方自体が、これからの日本の行政をやっていく中で、単純に頭数だけ整理をしましょうというやり方が果たしていいのかどうかということを、強く疑問を持っていました。

 もちろん、国内業務をされる役所の定員を一律制限して管理していくことは必要で、一定程度理解できるんですけれども、これから本当に諸外国とのある種情報戦の中で日本のプレゼンスを示していく中において、定数管理というものを海外に駐在する、もちろん外務省の外交官の方々の人数に当てはめていくこと自体が、これから本当に日本のプレゼンスを高めていこうという中においては、私は、大きなネックになるのではないかなと。

 今回も、定員がある程度認められる中で配置をするのでしょうが、場所をふやせばふやすほど、既存のところの人数を減らしてほかに割り当てていくという路線自体が、本当の意味で、その場所に総領事館ないしは大使館を置く意味自体を希薄化させていくのではないかなと思っています。

 そういう意味での問題意識で、ある種在外公館を設置することと公務員の定数管理を行っていくことの親和性といいますか、どのように捉えているのか、それを御答弁いただければと思います。

上月政府参考人 委員御指摘のとおり、この問題は深刻な問題だと思っております。

 一方で、厳しい財政事情のもと、総人件費の抑制を図るため、政府全体として国家公務員を削減、さらに抑制しなければならない、こういう状況が継続していることは認識しておりますが、他方で、やはり外務省として、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増し、外交課題が多様化する中、外務省定員を含む我が国の外交実施体制のさらなる強化が必要と考えております。

 今回、平成二十七年度予算案でも、現在の定員は五千七百八十七名でございますけれども、八十二名の定員増を求めておりまして、これは例年になく大きな数を認めていただいております。

 こういったことを工夫しながら、財政事情もございますけれども、やはり主要国並みの外交実施体制を引き続き目指していきたいと思っておりまして、引き続きの御支援をよろしくお願いいたします。

寺田(学)委員 そういう意味でも、大臣、閣内で頑張ってください。本当にしっかりと外交環境、まあ人を置いたからいいということではないと思いますけれども、まず人ありきの部分もありますので、ぜひともそういう定数、この制度自体をなくすことを私は提案したいと思いますけれども、今、定数管理をされている現状の中においては、最大限有効な人員配置ができるように努力していただきたいというふうに思っています。

 具体的に、ハンブルクとレオンの方に入っていきます。

 ハンブルクの総領事館を今新設するということですが、歴史的な背景を役所の方にお伺いしますと、以前の自民党政権の行革の方向性の中で、一つの候補としてハンブルクの当時の総領事館を一つ格下げをしていたものを、また再び今回総領事館に格上げをするという、ある種行って来いの形になっていますけれども、どういう理由で格下げをし、大して年月がたたない間に格上げをするのか、そこら辺を見通しと過去の反省を踏まえて御答弁いただければと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 まず、総領事館から領事事務所へ格下げされた経緯でございますが、平成二十一年度の外務省機構要求に対する総務省の査定で、平成二十四年度査定において一総領事館を廃止すると明記されました。これを受けまして、平成二十四年度の総務省の査定でハンブルク総領事館の廃止が決定され、平成二十四年九月の在外公館名称位置給与法の改正案の可決、成立によりまして、平成二十五年一月一日に在ハンブルク総領事館は領事事務所へ格下げされたものでございます。

 次に、今回、総領事館の再設置が必要な理由について御説明いたします。

 まず第一に、ハンブルクには国際海洋法裁判所が所在しておりますけれども、海における法の支配の強化について中心的な役割を果たしております。同裁判所は、近年付託される事案が量、質ともに増大しているのみならず、特に平成二十五年におきましては、フィリピンが中国を相手取って開始した仲裁手続において同裁判所長が仲裁人を任命するなど、その重要性がさらに高まっております。このような中で、情報収集体制の強化が必要になってきているところでございます。

 二つ目に、ハンブルクの管轄地域では、過去四年間、約一千名増加する等、在留邦人数、駐在員数が増加傾向にございます。日系企業活動への支援、領事業務等、在留邦人、企業の行政ニーズに対応する必要も高くなっているところでございます。

 このような点を総合的に勘案いたしまして、再び総領事館を設置することといたしたものでございます。

寺田(学)委員 先ほど、一般論では、これから日本のプレゼンスを示すために頑張っていただきたいというところがありましたが、個別具体の部分でいくと、このように、政権を何個か挟んで考え方の変革があったのかもしれませんが、私が役所から聞いた限りでいうと、自民党の無駄撲滅の行革の大きな大きな流れの中で、相対的にこのハンブルクを格下げしようという結論になり、民主党政権で正式に決定をし、今回、また再び総領事館に戻す。

 もちろん、今、総領事館に戻す理由をお述べいただきましたけれども、ある程度中長期的な、そこの潜在的な需要と必要性というものを十分吟味した上で御判断をいただいて、しっかりとした根をその地域で張るべきだと思います。今回、総領事館に上げるということ自体は地元の方々も喜ばれているとは思いますけれども、一度下げるというところで、日本の信頼というもの、築き上げてきたものは一定程度毀損しているでしょうから、そういうところは余りぶれずに頑張っていただきたいというふうに思います。

 もう一方のレオンですけれども、今回、ハンブルクの方は、総領事館になるわけですけれども、事務所からの格上げになりました。レオンの方は、いきなり事務所を経ずに総領事館になるという、この一足飛びの方向に関しても、何か順を追って、需要を見きわめて一つ一つという形ではなく、総領事館にいきなりなるということがあります。

 この経緯と理由ということに関して御答弁いただければと思います。

高瀬政府参考人 お答えいたします。

 まず、メキシコのレオン市に総領事館を設置する意義でございますが、レオン市が所在しますメキシコの中央高原地帯は、自動車、自動車関連部品メーカーを中心に、近年、日系企業が急速に進出しております。過去三年間で申しますと、中央高原地帯の日系企業拠点数は、八十七から三百四十八に急増しております。また、在留邦人数も、過去三年間で千五百八十人から三千百一人に拡大し、その規模は、首都でありますメキシコ市に匹敵するものであります。

 中央高原地帯におきます進出企業数、在留邦人数の増加に伴い、数多くの査証申請が寄せられ、邦人保護要請も多数発生しており、領事サービス、企業支援の拡充が急務でございます。

 このような状況に鑑み、同地帯の在留邦人、日系企業が恒常的に迅速かつきめ細やかな邦人援護や企業支援サービスを受けられる体制を構築するため、レオン市に総領事館を開設するものでございます。

 また、なぜ一足飛びに総領事館としたかという理由でございますが、先ほど官房長からも説明しましたとおり、領事事務所は領事分野に限られた業務を行います。これに対し、総領事館は、さらに、通商経済、政治面での情報収集や働きかけ等幅広い業務を行うものでございます。

 レオン市に総領事館ないし領事事務所のいずれを設置するかを決定するに当たりましては、中央高原地帯の在留邦人数、進出企業数、我が国との経済関係等の要素を考慮した結果、領事事務に限らず幅広い業務をレオン市において実施することが必要であると総合的に判断したところでございます。

寺田(学)委員 必要であるということ自体に対しての大きな疑義はないですが、大体の、以前からそういうような需要が盛り上がってくるということを予測し、ある程度の事務所を置いて領事サービスを行いながらというような順を追っている風景が見えないものですから、ぜひとも、国民の皆さんの理解も必要な案件でもありますので、しっかりと日本としてどういうところに力点を置いているのかということが中長期的に見えるような形で、こういう設置というものをしていただきたいと思います。

 置けばいいというだけではないと思いますので、そこの質というものは非常に大事だと思います。

 今回、質疑に当たって、会社の同僚や先輩の方々、二十カ国ぐらいの方々に、おたくの国の外交官の方々、大使の方々はどのような働きぶりでしょうかという話を聞きました。

 多くの方から意見が寄せられまして、一般的には非常に頑張ってもらっているというような話がある一方で、他の国の外交官の方々は、自分の国を売るために相当必死で、特定の企業の利益になったとしても、それでも構わないから、とにかく自国を売り込んでいくという姿勢にたけている、大手の流通の幹部の方々から聞いたんですが。それに引きかえ、日本の外交官の方々は、そういう商売人としての意識、日本を売り込もうという意識に乏しいというような厳しい御評価がありました。

 この点に関して、ぜひとも改善していただきたいと思いますので、特定の企業の利益だけが伸びるような形ではあってはならないと思いますが、そういうことをネックにして何も動かないということがないようにしていきたいと思いますけれども、今後の外交官の方針を御答弁ください。

上月政府参考人 お答えいたします。

 外務省として、職員一人一人の高いプロ意識を持って国益増進に精力的に取り組むことは重要と考えております。

 今の企業の問題につきましても、在外公館において、日本企業と一体となって経済外交に取り組み、我が国の国益の増進を図る、これが今、在外公館の主要な任務ということで、意識改革をだんだん図っているところでございます。

 その中で、ちょっと事例を御紹介いたしますと、企業の支援の実績を報告するというシステムを導入しまして、定期的に本省への報告を義務づけておりますけれども、その実績は、平成二十五年で年間三万五千六百件になっておりまして、過去六年間で四・三倍となっております。次第に変わってきてはいると思います。

 また、外務省員の日々の意識面の向上を図ることは重要と考えていて、在外公館赴任予定者に対する民間企業からの講義をお願いしております。具体的には、企業関係者から在外公館に対する要望事項や、日本企業が有するすぐれた技術の紹介などの講義を行っていただき、官民連携を強化する機会を設けているところでございます。

 また、大使、総領事等の在外公館長に対しては、館長みずから率先して日本企業支援や情報収集活動等を実施するよう、機会を捉えて指示を出しているところでございます。

 今の委員の御指摘も踏まえまして、いまだ至らぬ点もあると存じますから、引き続き、職員の意識や能力向上に取り組んでまいりたいと思います。

寺田(学)委員 大臣、しっかり御指導ください。

 もう一点、ちょっと時間がないので最後の質問にしますけれども、現地にいる仲間から言われて私も初めて気づいたんですけれども、大使公邸の料理人の給与自体を大使のポケットマネーで半分以上出して、私的契約の中でやっているということでした。

 補助はどれぐらい出ているのかと聞いてみますと、月十七万ですか、間違っていたら訂正してください。それで、それ以外の部分を大使がポケットマネーで援助する。もちろん、個人の食事も賄うということがあるからこそ、そういうような形になっているかもしれませんが、大使公邸にお招きをして、大使が御接待して、多くの方々と人脈を広げ、かつ、それこそ日本食のおいしさを知ってもらうというのは、大きな大きな機会だと思いますが、このような脆弱な体制であれば、十分なサービスというもの、十分な好感触というものは得られないと思います。

 これはちょっと大臣に御答弁いただきたいんですが、十七万の補助というのは、私はどうかしていると思います。国民からの批判があるかもしれませんが、月百万円ぐらい、私はもっとあってもいいと思います。本当の一流の料理人を日本から招聘し、しっかりと海外の方々に日本食の楽しさを味わっていただきながら、その中で、親睦を深め、そして情報共有を図って、日本の国益を伸ばしていくことは、私は、ささいなことのように見えて非常に大事なことだと思うんです。

 これを大幅に、ちょっときょうは質問できませんでしたけれども、ジャパン・ハウスに百億円以上使うより、だったら、日本食を広めるための大きな大きな投資というものをこういう形でするべきだと思うんですが、大臣、いかがでしょう。その答弁をもって終わりたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、公邸料理人というものの存在、私も大変大きなものがあると思います。

 海外において円滑にさまざまな交渉や情報交換を進めるためにも、また、日本の世界に誇る和食あるいは酒類をしっかりアピールするためにも、公邸料理人の存在はまことに大きなものがあり、しっかりバックアップしていかなければならないと思います。

 ただ、現実は、今委員の方からおっしゃったように、現実の業務の中で、大使の個人的な料理も賄う、そういった仕事もやらなければなりません。

 そして、こうした公邸料理人は、仕事で料理を出せばいいというわけではなくして、今申し上げたように、世界に向けて日本の魅力をアピールするわけですから、それなりのレベルの人間をしっかり維持しなければなりません。そういったことも考えながら、今日までさまざまな工夫が加えられてきました。

 そして、御指摘の公費十七万円、これにつきましては、今までも、そして各方面からも、さまざまな問題点が指摘をされてきました。そして、平成二十四年七月、外務人事審議会の方から、将来的には、公邸料理人制度を外務省と料理人との公的契約に基づくものとし、給与等は官費から支出し、私的に使用した部分については私費負担とすべきとの勧告が外務大臣に提出をされました。

 外務省としては、その勧告を踏まえて、最適な公邸料理人制度のあり方について検討を進めているところですが、来年度予算政府案において、公的契約に基づく公邸料理人を試験的に十公館に派遣するための経費を計上いたしました。

 ぜひ、公邸料理人の制度につきましては、引き続き検討を加え、こうした公邸料理人がしっかりと活用され……

土屋委員長 時間が過ぎておりますので、簡潔にお願いいたします。

岸田国務大臣 なおかつ、現実に最適な制度を追求していきたいと考えます。

寺田(学)委員 一言だけ。

 私的な部分にも使っているので云々とか、小さいことを我が党としては文句を言いませんので、大胆にやってください。

 以上です。

土屋委員長 次に、青柳陽一郎君。

青柳委員 維新の党の青柳陽一郎でございます。

 本日は、三十分の時間をいただきまして、ありがとうございます。

 早速ですが、議論に移りたいと思います。

 まずは、本日の法案である在外公館名称位置給与法改正について伺う前に、私も一点、大臣の御認識を伺っておきたいと思います。

 安倍総理が、国会審議で、自衛隊を我が軍と発言しました。その後、官房長官が記者会見で、自衛隊も軍隊の一つであるという説明をされております。大臣もこれは同じ認識でございましょうか。

岸田国務大臣 自衛隊は、憲法上、必要最小限度を超える実力を保持し得ない等の制約を課せられており、通常の観念で考えられる軍隊とは異なると考えます。

 これは、今日までの政府の認識であったと承知をしておりますし、この認識は基本的には変わっていないと考えています。

青柳委員 それでは、今回の、安倍総理が我が軍と発言し、官房長官が自衛隊も軍隊の一つだというふうに説明されていることというのは、今大臣が述べられた見解、これまでの政府の見解、あるいは憲法九条二項の範囲というのを逸脱しているということにならないでしょうか。御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 政府の基本認識は、今申し上げたとおりです。

 また、国際法上、軍隊の定義が定まっているわけではありませんが、一般的には、武力紛争に際して武力を行使することを任務とする国家の組織を指すと考えられています。

 自衛隊は、直接侵略等に対し我が国を防衛することを主たる任務とする組織であり、このような意味において、一般的に言えば、国際法上、自衛隊は軍隊として取り扱われるものと考えられる。これは、こうした考え方も、従来から申し上げているところであります。

 このように、自衛隊が軍隊であるかどうか、これは軍隊の定義いかんによるものであり、こうした考え方についても政府としてたびたび説明をさせていただいておりますし、この認識は一貫していると考えています。

青柳委員 これまでは、自衛隊は軍隊ではないという位置づけが憲法の制約で許される範囲であったのではないかなと思いますし、国内では、国会ではそういうことが言われてきたわけであります。今回の発言や官房長官の説明は、完全に、私どもは安倍政権の前のめりな外交・安全保障政策の姿勢そのものじゃないかなというふうに思っておりまして、憲法の範囲というのを逸脱しているのではないかと危惧をしております。

 まさにこうした姿勢や発言そのものが、安倍政権自体が批判している、外交で、力による現状変更というのを批判しているわけですが、国会で、こうした数の力を背景にして、憲法の解釈やこうした発言、こういうことを力による現状変更しているんじゃないかと思いますので、まさに先ほど寺田委員の質問にもありましたけれども、岸田大臣のまさに健全な立場で、ぜひ見解をしっかりとただしていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に、在外公館名称位置給与法改正について伺ってまいりたいと思います。

 先ほど寺田委員の質問にもありましたが、私も在ハンブルク総領事館の件について伺いたいと思います。

 先ほど政府委員の方から、国際海洋法裁判所あるいは駐在員の増加、こうしたことが背景にあって、今回、二年前に廃止した在ハンブルク総領事館をまた大使館に格上げ、新設するということでございますが、これはこの二年間で変わったことではないと思いますので、もう一度明確に、国民の皆さんにわかりやすく、なぜ、この在ハンブルク総領事館、廃止したものをまた格上げするという明確なわかりやすい理由を教えていただきたいと思います。

岸田国務大臣 先ほども官房長の答弁の中にありましたが、在ハンブルク総領事館につきましては、平成二十一年に一度廃止するという決定をいたしました。そして、その後廃止をされたわけですが、今回、再び総領事館へ格上げするお願いをしております理由としましては、まずは、基本的には、時代の変化、我々の想定以上に激しく動いているということなのだと思います。

 理由の一つとして、国際海洋法裁判所の重要性を挙げました。この国際海洋法裁判所、これは従来から重大な役割を担ってきたとは認識しておりましたが、特に近年大きな注目を集めています。そして、特に注目を集めたのは、平成二十五年にフィリピンが中国を相手取って開始した仲裁手続において同裁判所長が仲裁人を任命するなど、この重要性が世界的にも注目を集めました。

 昨年、安倍総理もシャングリラ・ダイアログの中で海洋における法の支配の重要性を訴え、多くの国々から評価をされたところであります。我が国の外交の取り組みの一つの重要なポイントとして、法の支配、海洋における法の支配、こういった取り組みがありますが、今後、国際情勢の変化も考えますときに、こうした議論はますます重要になってくると考えます。

 こうした国際海洋法裁判所、特に近年大きく注目を集めてきた、これに対する日本としてのしっかりとした対応を考えなければいけない、これが一つ、理由として挙げているところであります。

 そして、加えて、先ほど申し上げました経済的な活動を支えるための役割、過去四年間で千人を超える在留邦人や駐在員数の増加が見られることに対するニーズの高まり、これに対応したということであります。

 いずれにしましても、できるだけ中長期的なしっかりとした見方を大事にしながら、こういった問題は考えていくべきだと考えます。

青柳委員 今まさに大臣が御答弁いただきました最後の部分、中長期的にしっかりと見ていくということが当然重要なんだろうと思っております。

 国際海洋法裁判所や駐在員の増加というのは、何もここ数年で始まったことではないと思いますので、廃止を決定したときにも駐在員というのは増加していたというふうに私は確認していますし、進出企業というのも、別にここ二年、三年で急激にふえたわけではありません。ですから、まさに大臣が今最後に御答弁されたとおり、中長期的に考えていくということで、ぜひ今後の方針についてもお願いしたいと思います。

 そこで、今後の方針について、先ほど御答弁いただきました、各国に比べて、我が国は百五十になってもまだ少ない、あるいは我が国に在外公館があって我が国が先方の国にないというところについてもふやしていきたいというお話があったかと思いますけれども、やはり私は、数よりも、先ほど寺田委員の質疑にもありましたとおり、質の向上が重要だと思います。この質の向上について、どのような点に重きを置いて対応されていくのかについて、お考えをお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、数につきましては、先ほど申し上げたように、引き続き努力をしなければならないと思います。また、その際に質も重要であるという御指摘、これも当然のことであります。

 質ということにつきましては、まず、大使館そして在外公館で勤務する人間の質の向上を考えなければいけない、これは先ほども質疑の中にあったとおりであります。まずは一人一人がしっかりとしたプロ意識を持ち、昨今の動きをしっかり踏まえて、経済外交ということも外交官にとりまして大変重要な任務になっている、主要な任務であるという認識のもとに取り組むなど、さまざまな努力をしていかなければならないと存じます。

 そして、大使館に、経済の専門家のみならず法律の専門家も配置するなど、さまざまな事態に対応できる、こうした在外公館も考えていかなければなりません。

 いずれにしましても、数の部分につきましても、今回かなり工夫をいたしました。コンパクト公館とかミニマム公館という、従来から考えますと非常にコンパクトな形の大使館を設置するなど、厳しい財政状況の中で、苦労しながら今回のお願いをしているわけです。数と質ともに充実させるよう、しっかり努力をしていきたいと考えます。

青柳委員 今の大臣の御答弁の中に、危機管理についての言及が全くございませんでした。

 最近の大使館に求められる機能としては、危機管理、これについて、在留、在外の邦人等求められていると思いますが、この点について、どのように整備していくんでしょうか。あるいは、二年前に起きたアルジェリアの事件を踏まえて、どのように対応されているのか。こうした答弁が今全くなかったのが残念だと思います。どうでしょう。

岸田国務大臣 この質の向上の部分には、おっしゃるように、危機管理、これも重大な役割、任務として取り上げなければなりません。

 二年前のアルジェリア事件を受けて、大使館へ駐在武官の配置を充実させるなど、取り組みを続けてきたわけでありますが、昨今の中東におけるテロ事件等を受けまして、中東、アラブ世界における専門家の充実など、さまざまな分野における専門家を、より大使館、在外公館にしっかりと配置していく、こういった取り組みを続けているところです。

 予算の制約の中にあっても、そういった努力はしっかり続けていかなければならないと考えます。

青柳委員 外務省には、ほかの役所とは違って、在外公館の給料等々を決めるために、外務人事審議会というのが設置されていますが、この外務人事審議会について、役割、人選、開催頻度、どのような勧告を出しているか、あるいはその報酬、こうしたことについて、まず政府委員の方から御説明いただけますか。

上月政府参考人 お答えいたします。

 外務人事審議会は、外務公務員法及び外務省組織令によって設置された審議会でございまして、原則として月に一回会合いたします。その議論されるところは、名誉総領事の任命に際し外務大臣に意見を述べたり、在勤手当改定額の外務大臣への勧告であったり、人事管理に関する外務省令の制定または改廃に関する議論でございます。

 その際には、委員は、企業の方、あるいは大学の先生の方、人事院出身の方、研究者の方と広く求めておりまして、定数は今七名でございまして、任期二年でございます。

 今、経費のことについて御質問がございましたけれども、委員の手当は、会長については年間十四万円の予算が、それから委員については、六名について七十六万八千円の予算が認められておるところでございます。

青柳委員 月に一回、この外務人事審議会というのが開かれているということですね。七名の委員がいるということです。

 今回の在外公館の配置、それからその整備計画、こうしたことについて、どのように外務人事審議会の勧告が生かされているんでしょうか。

上月政府参考人 お答えいたします。

 今回審議いただいている内容は、在外公館の新設、在外公館の在勤手当の基準額を各在勤地における為替変動等を勘案して改定するものでございます。

 これに関しましては、在勤基本手当の基準額の改定について、外務人事審議会から昨年七月に勧告が出されておりまして、その中で、昨今の為替の状況も念頭に、我が国外交官が在外において士気高く職務に専念できるようにするためには、諸外国外交官に引けをとらない、しかるべき処遇が確保されるべきとの勧告をいただいておりまして、今回の在勤手当の改善も、こういったものを踏まえたものでございます。

 また、在外公館の新設等につきましても、外務人事審議会、昨年十一月でございますけれども、攻めの外交を展開するための外交実施体制の強化の必要性について提言をいただいておりまして、今回の在外公館の設置も、そのことを踏まえて決定されたものでございます。

青柳委員 私、きのう外務省の方からお話を聞いたんですけれども、これまでの外務人事審議会の勧告で非常に厳しい意見というのは何かあったんですかと聞いたら、厳しい意見というのは、これまでに、在勤基本手当の給与水準について、民間調査会社の客観的な調査結果をもとに改定を行うべきということが非常に厳しい意見でしたということなんです。

 メンバーを見ると、偉い人がいっぱい入っているわけですね。月一回開いているわけです。それで、どんな厳しい勧告があったのかといったら、民間調査会社の客観的な調査結果をもとに改定を行うべきというのが非常に厳しい御指摘でしたと。

 これは完全に形骸化しているんじゃないかと思いますし、やる意味はあるんでしょうかと思います。他の省庁にない、こうした審議会がせっかくあるのに、私はこれは形骸化していると思いますが、大臣、いかがお考えでしょうか。こうした人事審議会の勧告といいますか、こうした制度をもっときちんと活用すべきだと私は考えますけれども、これは大臣にお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 外務人事審議会のそもそもの役割ですが、外部有識者の方々に外務省の職員についてさまざまな御意見を客観的にいただくことだと承知しておりますが、この議論の中で、例えば、大気汚染等の問題に関し、在外公館職員の健康上の問題に外務省は十分対応していないとか、女性が活躍できる職場とする観点において、在外公館への赴任時における子育て等の問題に十分対応できていない、あるいは、現地職員を十分に活用できていないのではないか、こうした実質的あるいは率直な意見をいただいております。

 また、このような実質的な議論の結果を取りまとめた外務人事審議会の勧告の中には、外務省の従来の取り組みを改めるべきである、こうしたものも含まれています。平成二十二年には、在勤基本手当の支給水準について、それまでの外務省が独自に行った調査では客観性に欠けるので、これを改め、民間調査機関の客観的な調査結果をもとに改定を行うべきである、こういった勧告をいただいた。こうした勧告に従って手当水準の改定を行った。こういった経緯もあります。

 これで十分なのかという御議論につきましては謙虚に受けとめたいと思いますが、外務人事審議会におかれましては、この外部の方々、それぞれ御努力はいただいていると認識をしております。

青柳委員 今の御答弁を聞いても、私は、特にそんなに、なるほどなという意見は余り感じられませんでした。せっかくやっているのであれば、有効に活用していただきたいなと思います。

 次の質問に移ってまいりたいと思いますが、ちょっと視点を変えまして、また人事の話に戻りますが、大臣、日中関係について、この日中関係の重要性について、まずは御答弁いただきたいと思います。

岸田国務大臣 日中関係、我が国にとりまして最も重要な二国間関係の一つです。そして、日本と中国は、地域あるいは国際社会の平和や安定や繁栄にも大きな責任を担っている二つの国であると認識をしています。そして、中国が、国際社会のルールあるいは法の支配、こうしたものを尊重する形で平和的に発展するとしたならば、これは日本にとってもチャンスではないかと考えています。

 昨年十一月の北京APECでの首脳会談、外相会談を経て、少しずつ対話のプロセスが再開しつつあります。こうした傾向は歓迎すべきものですが、まだ十分なものではなく、引き続き努力をしていかなければならないと考えています。

青柳委員 ありがとうございます。

 日中関係は非常に重要だということと、引き続き努力をしていい関係に持っていかなきゃいけないというのが今の御答弁だったと思います。

 では、その重要な日中関係で引き続きやらなきゃいけない日中関係の、大使館の次席公使の任務について、お答えいただきたいと思います。政府委員の方で結構です。

上月政府参考人 在外公館におきまして、一般に次席公使は、大使を補佐し、同時に館内を統括していく、そういう地位にあると認識しております。

青柳委員 つまり、実際ナンバーツーということですね。

 その中国大使館の次席公使の通常の任期について、教えてください。

上月政府参考人 お答えいたします。

 平成に入って以降の次席公使の在任期間の平均を見ますと、約二年三カ月でございます。

青柳委員 先般交代になった次席公使の任期は、どのぐらいだったでしょうか。

上月政府参考人 先般交代になりました和田前次席の在任期間は、約八カ月でございます。

青柳委員 なぜ、通常二年三カ月ぐらいあるのが、八カ月で交代になったんでしょうか。

上月政府参考人 和田前次席は、島サミットの準備に従事するために帰朝いたしまして、三月十七日に第七回太平洋・島サミット準備事務局長に任ぜられました。

青柳委員 重要な中国との二国間関係よりも島サミットの方が重要だという認識でしょうか。

上月政府参考人 今大臣からも御答弁しましたとおり、日中関係は最も重要な二国間関係の一つでございまして、対中国外交の最前線ともいえる在中国大使館の次席職員のポストが重要なことはもちろんでございます。

 同時に、島サミットは、我が国の重要なパートナーである太平洋諸国との関係を強化する貴重な機会でございまして、和田次席の、全体の人事の状況、主催の国際会議準備を総括する能力等を勘案しまして、島サミットを主管する大洋州課の首席事務官の経験も持ちます和田前次席を帰朝させ、同サミットの準備事務局長に配したところでございます。

 いずれにしましても、後任となる中国大使館の次席のポストは、近く発令する予定でございまして、在中国大使館次席公使のポストを軽視しているということではございません。

青柳委員 今の御答弁だと、島サミットの開催が迫ってきたから有為な人材を事務局長に配したというふうに聞こえますけれども、それでは、島サミットというのはいつ開催することが決まったんでしょうか。

上月政府参考人 お答えいたします。

 島サミットの開催時期が決まりましたのは平成二十五年の十月でございますが、ロジ面を含めた準備作業が最近本格化しまして、本年三月十七日に準備事務局を設置いたしまして、今回の人事はこの準備事務局の設置に合わせ和田前次席を帰朝させ、同日付で準備事務局長の任につかせたものでございます。

青柳委員 今までの経緯はわかりました。これで納得できるのかということでございます。

 日中関係は非常に重要だということは、これはもう明らかですね。その重要な日中関係の任を担う、大使館の実質ナンバーツーである次席公使が、通常二年三カ月ある任期を八カ月でかわるということです。そのかわる理由が、もう二年も前から決まっている島サミットの事務局長、この準備が忙しいからだということです。これで納得できるんでしょうか。一般に聞いたら納得できないと思いますが、大臣、こういう人事、納得できるんでしょうか。

岸田国務大臣 今官房長から御説明がありましたように、日中関係はもちろん重要ですが、太平洋・島サミット、これも我が国にとりまして重要な課題であります。その中にあって、適切な人材を配置しなければならない、こう考えました際に、三月十七日に島サミットの準備事務局が立ち上がりました。そこに大洋州課の首席事務官を務めた次席公使を準備事務局長としてつかせたということであります。外務省の全体の人事の中で人材を適切に配置するという観点から行った人事だと受けとめています。

青柳委員 国会の審議の場に週刊誌の写真を持ち出すことはしませんけれども、私は、今おっしゃられている理由が本当にそうなら問題ないと思いますよ。しかし、その人事異動と同じ時期に、中国の次席公使の、通常では考えられないような、文字ではなくて写真が出回っているわけでございます。

 ですから、島サミットも当然重要なんでしょう。日中関係も重要なんです。そういう状況の中で、本当にしっかりとした人事の配置が行われているのかということを問題にしているわけでございまして、私は、もし問題が、本当に今おっしゃられているような理由であればいいんですよ、でも、実際は、人事の異動が、そうした通常では考えられないような写真が出回っているということと時期を同一にしているというところに、どうも腑に落ちない点があるわけでございます。

 こうしたことがないように、人事は適正に行っていただきたいと思いますし、そういうときだからこそ、外務人事審議会のようなところできちんと評価してもらっていただきたいなと思いますが、最後に、そうした点を踏まえて、大臣の御決意を御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。

岸田国務大臣 まず、外務人事審議会の任務につきましては外務公務員法等に規定されていますが、中国大使館の次席公使のような一般職の公務員の具体的な人事の任免、ここまでは審議会の審議の対象になっていないとされています。次席公使を含む一般職の国家公務員の人事に係る任命権者、これは国家公務員法に基づいて外務大臣となっています。

 引き続き、外務大臣としてしっかりと指導を行い、そして、適切に人事を進めていきたいと考えます。

青柳委員 質問を終わりますが、財政が厳しい状況の中で、しっかりとした人事の配置を行っていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

土屋委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 日本共産党の穀田恵二です。

 在外公館にかかわる法案については、当該地域の実情を踏まえた改正と言えるので、賛成です。その態度表明だけしておきたいと思います。

 そこで、きょうは、先日行われた日中韓外相会議に関連して、岸田大臣に質問します。

 三カ国外相会議では、「歴史を直視し、未来に向かうとの精神の下、三外相は、三か国が関連する諸課題に適切に対処すること、」このことを明記しました。第七回日中韓外相会議共同報道発表が発出されています。

 岸田大臣は、日本政府として、歴史をどう直視し、どのような諸課題に適切に対処するおつもりなのか、お聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 今回、三年ぶりに日中韓外相会談を開催いたしました。そして、御指摘の共同報道発表という形で三国で文書をまとめることができたということ、このことは意義あることだと思いますし、こうした日中韓の対話のプロセスが再開したことは評価できるのではないかと思っています。

 そして、その中で、この共同報道発表に盛り込んだ文言ですが、御指摘のように、「歴史を直視し、未来に向かう」という文言を盛り込んでおります。この表現は、これまでも過去に日中韓サミットの発出文書等において何度か使った表現であります。また、昨年十一月、日中の間においては、四項目の確認というのを行いました。この確認された四項目の中にも同じ表現、「歴史を直視し、未来に向かう」という表現を使っております。

 こうした表現をこの共同文書の中に盛り込んだわけですが、まず、この歴史ということにつきましては、七十年前の歴史、これはもちろんであります。それに加えて、我が国は、さきの大戦の反省に基づいて、自由や民主主義や法の支配といった価値観を大事にしながら、戦後七十年間、平和国家として歩んできた、こうした歩みも歴史でありますし、また、一九六五年、そして一九七二年に、韓国、中国とそれぞれ国交を正常化したわけですが、この国交正常化後の私たちの先輩たちの努力、今日の二国間関係の繁栄に結びつけるためにされた多くの努力、これも歴史の中に含まれるというふうに認識をしております。

 加えて、その文書を見ていただければわかりますが、これは努力するのは日本だけではありません。三カ国が、今申し上げた歴史に対して適切に対応する、こういった文書を、この共同報道発表の中に盛り込んだ次第であります。

穀田委員 今聞いたのは共同発表ですよね。

 その次にお聞きしたいのは、共同記者会見でどう言っているかということを見ますと、中国の王毅外相は、近年、とりわけ中日関係、韓日関係では歴史認識の問題が困難をつくり、協力を妨げ、三カ国の共通利益にもかなっていない、戦後七十年が過ぎて、三カ国にとって歴史問題は過去形ではなく現在進行形だ、歴史を直視して未来を切り開くこと、これが今回得られた三カ国の共通認識だ、また、最も重要で意義のある成果だと。

 文書をつくったことと再開したこととあわせて、そういうことも含めて相手は言っているわけですけれども、その点での認識はいかがですか。三年ぶりだということと、同じだということはわかっているんです。

岸田国務大臣 王毅部長の記者会見の発言の真意とか背景については私から申し上げる立場にはありませんが、王毅部長を含めて、韓国の尹炳世長官も交え、三カ国の外相会談におきましては各国のさまざまな関心事について議論したわけですが、その中で、歴史について中国、韓国から発言はありました。そして、私の方から歴史認識について、一緒に行われた二国間のバイ会談も含めて述べさせていただきました。

 日中外相会談におきましては、王毅外交部長より、ことしは戦後七十年ということで、日中双方にとって重要かつ敏感な年である、この機会に世界の人々が歴史について注目することは必然であり、日本がどのような態度で歴史に向き合うのか注目が集まっている、そういった指摘がありました。これに対しまして、私の方から、安倍内閣は歴代内閣の歴史認識を全体として引き継いでおり、これからもそうしていく、そのことはこれまでにも何度も表明している、こうした我が国の立場を説明いたしました。

 日韓の間におきましても、日韓外相会談において、日韓関係の前進に向け日韓の協力関係を中心に前向きな意見を行い、そして、本年が、日韓国交正常化五十周年が意義深いものになるよう協力していく、こういったことで一致をした次第であります。

 このように、今回、三カ国の会談あるいはバイ会談におきまして、歴史についてさまざまな意見交換を行いました。率直な意見交換ができたことは意義ある機会であったと受けとめています。

穀田委員 今、三人そろっての会談とバイの会談についてお話がありましたけれども、韓国の尹炳世外相からは、三カ国会議が二〇一二年以来三年ぶりとなったことについて、過去に起因する対立を克服できず、不信と緊張が他の分野の協力の進展まで阻害したためだという指摘があったと報道されていることは事実ですね。

岸田国務大臣 今、報道について御指摘いただきましたが、その部分はちょっと確認しておりませんので、後ほど確認いたします。

穀田委員 報道があったということで、そういう事実はなかったかということを聞きたかったわけですが、そういう指摘はありましたかと。まあいいです。

 あわせて、大臣はバイの会談の話もしてはります。そこで聞きたいんですけれども、歴代内閣は引き継いでと、いつもこのパターンを繰り返しておられるわけですけれども、やはり、日中会談でいうと、王毅外相からは、日本がどういう態度であの侵略戦争を扱うかが中日関係の政治的基礎にかかわると述べたと言われています。報道ではそうなっています。

 岸田大臣は、今、繰り返し、歴代内閣の立場を全体として引き継いでいくということを何度もおっしゃっているんですけれども、問題は、その中心であるところの国策の誤り、植民地支配と侵略を行ったという村山談話の核心部分を含めて引き継ぐのかどうか、そこを明確にしてほしいんです。

岸田国務大臣 おっしゃるように、政府としましては、歴代内閣の歴史認識を全体として引き継ぐということを申し上げております。そして、その歴代内閣の歴史認識を全体として引き継ぐわけですから、その中にあります個々の部分について、ここを引き継いでここを引き継がないなどということはあり得ません。全体として引き継ぐ、そのとおりであります。

穀田委員 繰り返しになりますけれども、全体として引き継ぐ、いつもこう言って、私どもの笠井議員の質問に対しても、もう一度質問されたときには、もう一回答えているんですけれどもね。

 大事な問題は、国策を誤り、植民地支配と侵略を行ったという部分は確実に含まれていると言っていいですね。

岸田国務大臣 全体として引き継ぐと申し上げている以上は、御指摘の点も含めて引き継いでいる、当然のことであります。

穀田委員 なぜそういうことを言うかといいますと、安倍総理は、二月二十五日の戦後七十年談話に関する有識者懇談会で次のように述べています。さきの大戦への反省、戦後七十年の平和国家としての歩み、そしてその上に、これからの八十年、九十年、百年がありますと述べているんです。しかし、ここの有識者懇談会の提起の中でも、侵略、それから植民地支配という村山談話の核心的部分の文言は避けてやっています。だから、幾ら反省するといっても、それは全く中身のない反省ということになりはしないかというふうに私は思います。

 そこで、日本と韓国、それから日本と中国の間には、一九九八年の二つの宣言、小渕総理と金大中大統領による日韓共同宣言、小渕総理と江沢民主席による日中共同宣言がある、これは岸田大臣もよく御存じですよね。

岸田国務大臣 先ほどの穀田委員の御質問を聞いておりまして、まず一つは、歴史認識については、歴代の内閣の歴史認識をしっかり全体として引き継ぐ、これは申し上げたとおりであります。途中から、御発言が七十年談話の話に変わってしまいました。

 七十年談話は、これは総理が発する談話でありますし、加えて、今、有識者の中で議論をしていることでありますので、この部分は、これからそういった作業が進むものだと思います。それをちょっと整理した上で、確認をさせていただきたいと存じます。

 そして、今二つの文書について御指摘をいただきました。そういった文書があるということを承知しております。

穀田委員 日韓共同宣言には、「我が国が過去の一時期韓国国民に対し植民地支配により多大の損害と苦痛を与えたという歴史的事実を謙虚に受けとめ、これに対し、痛切な反省と心からのお詫びを述べた。」と明記されています。また、日中共同宣言には、「過去の一時期の中国への侵略によって中国国民に多大な災難と損害を与えた責任を痛感し、これに対し深い反省を表明した。」と記されています。いずれの宣言も、今回の三カ国共同報道発表と同じく、過去を直視することを重要な共通認識として、村山談話で示された核心部分を引き継いだものとなっています。

 大臣は、七十年談話という問題について、話が二つと言っていますけれども、もともと、この七十年をどう見るかという問題について、王毅さんからも、韓国からも提起されている、そのつながりで話をしているわけです。ですから、これを見ても、日本政府として、村山談話が歴史認識の問題に対処する上での外交の基礎となっているということではないんですか。

岸田国務大臣 これは中国や韓国にも説明していることですが、村山談話を含めて、歴代内閣の歴史認識を全体として引き継いでおりますということであります。

穀田委員 相手の国が本当にそうとってくれているのかということが大事な問題なんですよね。ロジックで含めてという話をされても、一番大事な核心部分は何かという問題について私は指摘しているわけですよね。

 そこで、この基本認識というのは、実は、日中、日韓だけではなくて、二〇〇二年の小泉総理と北朝鮮の金正日総書記による日朝平壌宣言でもそういう認識が書かれているんですね。「過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した。」こういうふうに書かれて、引き継がれているわけですよね。

 今お話ししたように、村山談話の核心部分というのは、日中、日韓、日朝、つまり北東アジアの主要国との外交の基礎となっている、これほど重いものだと私は思うわけですね。この一連の北東アジアにおける共同宣言、ずっとやってきた中にそれが位置づけられている、そういうものだという認識はありますか。

岸田国務大臣 歴史認識につきましては、先ほど申し上げましたように、歴代内閣の歴史認識を全体として引き継いでいます。

 そして、それに基づいて、さまざまな外交の場面において議論を行い、さまざまな文書を交わし、外交を進めているというのが我が国の外交のありようです。

穀田委員 さまざまな文書というふうにさらりと言われると困るんですよね。

 やはり、時代時代の区分、そして、それが、三十年とか四十年とかという、国交回復を初めとした動きだとか、和解と協力という一つの節目に当たって行われた宣言である。ましてや、日朝の宣言などは、初めて行った宣言なんですね。小泉総理大臣が行った宣言は初めての宣言であります。

 ですから、いわば、日中、日朝、それから日韓、北東アジアにおける一つの大きなかなめとなっている問題だという認識だと言ってよろしいですね。

岸田国務大臣 我が国の歴史認識ですが、まず、歴代内閣の歴史認識は全体として引き継いでいます。

 そして、歴史を語る際には、先ほど申し上げました七十年以前の歴史、もちろん歴史です。戦後七十年間、我が国は平和国家として国際社会に貢献してきました。この歴史に誇りを持っています。こうした国際社会に貢献した平和国家として歩んできた歩み、これも歴史としてしっかり各国に受けとめてもらわなければなりません。

 中国との間においても、一九七二年、国交正常化してから後、多くの先輩たちが努力をし、今や、両国の間、三千億を超える貿易量、五百万人を超える人が行き来をする、こういったところまで発展することができました。こうした一九七二年以降の先人たちの努力、これもないがしろにしてはならないと思っています。

 こうしたものを全て含めて歴史としっかり捉えて、歴史を直視し、そして未来に向かっていかなければいけないと考えています。

穀田委員 私は、平和国家としての歩みということを再三大臣はおっしゃいますけれども、それが揺らいできているという事実があるからこそ、戦後の、出発点に当たっての歴史認識が問われている、こういう問題だということがお互いわかって言っているわけですよね。

 日本共産党は、私どもは、北東アジア平和協力構想というのを提唱しています。これは、ASEANが実践している地域の平和協力の枠組みを北東アジアにも構築しようというものであります。私どもの考え方は、北東アジアにおける友好協力条約の締結の問題や、さらには、北朝鮮問題を六カ国協議で解決する問題、領土問題の外交的解決、あわせて、侵略戦争と植民地支配の反省は不可欠の土台となる、この四つの項目を明らかにして、北東アジア平和協力構想というのを打ち出しています。

 外相会議の共同発表の資料では、「韓国の「北東アジア平和協力構想」を高く評価し、歓迎した。」と述べています。これは、二〇一三年五月、朴槿恵大統領がアメリカ議会で北東アジア平和協力構想を提起し、北東アジア全体で多国間対話のプロセスを進め、平和と協力のメカニズムを構築することを訴えたものであります。日本共産党の立場と一定共通するものがある。ですから、私どもは、先ほど述べたように、日中、日韓、日朝、それらを含めて本当に今大事な時期に来ているということだと思っています。

 そこで、七十年談話が出てくるわけであります。村山談話で示された核心部分を曖昧にしたり、後退させる、そういう談話は、発表するのであれば、百害あって一利なしだと私は考えています。いわば戦後政治の出発点を否定することになると、私はあえて言っておきたいと思うんです。

 第二次世界大戦後の国際秩序というのは、日独伊の侵略戦争を不正不義のものとして断罪した上に成り立っています。その上に立って私は対処すべきだと考えています。そのことを強調して、終わります。

土屋委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたち、玉城デニーです。いつもほほ笑みをありがとうございます。

 きょうは、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、二点御質問をさせていただきたいと思います。

 私の手元に、これは読売新聞の記事、ちょっと前のニュース、二月一日のニュースなんですが、去る邦人人質事件、ISILの人質事件の経緯で報道されたものですが、安倍総理は、二月一日、首相官邸で開かれた関係閣僚会議で、関係各国との連携を強化し、国内外の日本人の安全確保を徹底すると表明したというニュースです。在外公館では、現地の日本人会などと安全対策連絡協議会を開き、最新の治安情報を伝えるとともに、治安当局と協力して日本人学校の警備を強化する方針等々の報道が行われています。

 そこで、在外公館に勤務する職員及び家族の安全の確保について、どのような体制、どのような方策でもってその確保に努めていらっしゃるか、お伺いいたします。

岸田国務大臣 在外公館の安全確保につきましては、現地の治安状況はそれぞれさまざまでありますので、その状況に応じて、人的、物的両面から安全確保のために必要な警備対策を講じております。特にこの脅威が高い公館につきましては、防弾車の配備や身辺警護員の配置等を行って、警護体制を構築しております。

 シリアにおける邦人殺害テロ事件及びチュニジアにおける銃撃テロ事件を踏まえまして、必要に応じて、治安当局員そして警備員等の臨時増員配置を実施いたしました。また、館員の家族についても、その安全を確保するため、本官に準じた必要な警備措置を実施すべく努めております。

 また、有効な警備対策を実施する上では、関連情報の収集も重要です。在外公館において、現地の治安当局関係者や各国外交団等のさまざまな情報源を通じて、治安、テロ情勢等の情報収集を行っており、外務本省のほか、近隣公館等とも情報を共有し、必要かつ適切な警備措置が講じられるよう努めております。

 引き続き、努力を続けていきたいと考えます。

玉城委員 常日ごろから情報を共有する、あるいは情報交換をする、その体制がやはり一番欠かせないといいますか、基本的な対策を立てる上での貴重なもととなるのではないかというふうに思います。

 当然ですが、在外公館で勤務をされていらっしゃる方々はもちろん、その御家族、そして現地で働いていらっしゃる邦人の方々、邦人企業で勤務をしていらっしゃる方々などの安全も含めて、全体での情報共有、安全のための情報共有こそ、欠かせない、強化すべき最も大切な部分ではないかと私は思料いたします。

 もう一点、質問させていただきます。

 例えば、その国内治安が急激に乱れて、さまざまな大きな動きになるということは事前から情報などでも十分察知できることだと思いますが、それ以外の、例えば在外公館周辺の非常事態、天候であれ、あるいはさまざまな状況が、蜂起されて非常事態が起きた際には、当然、在外公館が邦人保護のための拠点になるということも含まれると、その在外公館での常備体制、特に常備品などについても、十分な蓄えといいますか、用意が必要であろうというふうに思います。

 なかなか、こういうことに関しては質問する機会がないんですが、きょうは非常事態の際における常備等についてお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 海外で緊急事態が発生した場合、在外公館は、邦人保護を初めとする緊急事態対応の最前線となります。在外公館は、邦人保護の最後のとりでとして、邦人の安否確認、事態の情報収集、そして現地当局との連携を行うことになります。

 こうした対応は、大使、総領事の指揮のもとに、在外公館の全ての職員が一丸となって行うものであり、それら職員には必要な物資の調達が困難な場合もあり得ます。こうした場合に備えまして、全ての在外公館においては、全ての職員の十日分の緊急備蓄品を配備しています。

 そして、現地の邦人にとりましても、在外公館は大変重要であるという御指摘がありました。

 そのとおりでございまして、緊急事態が発生する蓋然性が高い国や地域にある百六十二の在外公館には、食料品や保存水といった短期渡航者用の緊急備蓄品を配備し、必要に応じて定期的に買いかえ、更新をしているということであります。この短期渡航者用の緊急備蓄品はどのぐらいかと確認しましたら、数十名の方が一週間過ごせる程度の量だということでありました。

 こうした体制に基づいて、例えば平成二十五年十一月のフィリピンにおける台風三十号の被害の際には、被災地域において食料品や水の調達が困難な事態となったことを受けて、邦人に緊急備蓄品を提供したという実績があるとのことであります。

玉城委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ニフェーデービタン。

土屋委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

土屋委員長 速記を起こしてください。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

土屋委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

土屋委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

土屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

土屋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十時七分散会


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