衆議院

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第2号 平成28年3月9日(水曜日)

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平成二十八年三月九日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 岸  信夫君

   理事 島田 佳和君 理事 新藤 義孝君

   理事 土屋 品子君 理事 中山 泰秀君

   理事 橋本  岳君 理事 篠原  豪君

   理事 武正 公一君 理事 岡本 三成君

      小渕 優子君    大野敬太郎君

      城内  実君    黄川田仁志君

      小林 鷹之君    佐々木 紀君

      鈴木 隼人君    薗浦健太郎君

      辻  清人君    松島みどり君

      三ッ矢憲生君    宗清 皇一君

      山田 美樹君    大島  敦君

      吉良 州司君    寺田  学君

      長島 昭久君    浜地 雅一君

      笠井  亮君    丸山 穂高君

      小熊 慎司君    玉城デニー君

    …………………………………

   外務大臣         岸田 文雄君

   外務副大臣        木原 誠二君

   外務副大臣        武藤 容治君

   防衛副大臣        若宮 健嗣君

   外務大臣政務官      黄川田仁志君

   外務大臣政務官      浜地 雅一君

   外務大臣政務官      山田 美樹君

   国土交通大臣政務官    江島  潔君

   防衛大臣政務官      熊田 裕通君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 水嶋 光一君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 大菅 岳史君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 相木 俊宏君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 竹若 敬三君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 道井緑一郎君

   政府参考人

   (外務省北米局長)    森  健良君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局長)            上村  司君

   政府参考人

   (外務省中東アフリカ局アフリカ部長)       丸山 則夫君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局次長)       野村 正史君

   政府参考人

   (防衛省防衛政策局長)  前田  哲君

   政府参考人

   (防衛省整備計画局長)  真部  朗君

   外務委員会専門員     辻本 頼昭君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月九日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     宗清 皇一君

同日

 辞任         補欠選任

  宗清 皇一君     小林 鷹之君

    ―――――――――――――

三月八日

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

 国際情勢に関する件


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     ――――◇―――――

岸委員長 これより会議を開きます。

 この際、浜地外務大臣政務官から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣政務官浜地雅一君。

浜地大臣政務官 皆様、おはようございます。外務大臣政務官を拝命いたしました浜地雅一でございます。

 先日の御挨拶の機会をいただきましたが、公務のため欠席をさせていただきました。本日、改めて御挨拶をさせていただきます。まずは、皆様方の御理解に感謝を申し上げます。

 本年は、日本外交にとり、勝負の年でございます。御存じのとおり、議長国としてのG7伊勢志摩サミット、また日中韓サミットの主催、そして日本が主導しますTICADの初のアフリカ開催など、これらに全身全霊をかけて貢献してまいりたいと思っております。

 特に、担当でございますアジア大洋州、南部アジア、そしてアフリカ諸国との関係強化に努めます。そして、在外邦人の安全対策に全力を尽くしてまいります。また、ODAの戦略的活用、地球規模課題の解決にも真摯に取り組んでまいります。

 岸委員長初め理事そして委員の皆様の御支援と御理解を何とぞよろしくお願い申し上げます。

 ありがとうございました。(拍手)

     ――――◇―――――

岸委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官水嶋光一君、大臣官房審議官大菅岳史君、大臣官房審議官相木俊宏君、大臣官房審議官竹若敬三君、大臣官房参事官道井緑一郎君、北米局長森健良君、中東アフリカ局長上村司君、中東アフリカ局アフリカ部長丸山則夫君、国土交通省水管理・国土保全局次長野村正史君、防衛省防衛政策局長前田哲君、整備計画局長真部朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岸委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

岸委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。

武正委員 皆さん、おはようございます。民主党の武正公一でございます。

 外務委員会、久しぶりに筆頭理事の役を仰せつかりましたので、よろしくお願いしたいというふうに思います。

 大臣にお伺いをしたいと思いますが、まずは、お手元の方にも、日韓外相会談の外務省資料、二ページでお配りをしております。総理も日韓新時代だというふうに言った、この日韓外相会談でありますが、私からすれば、ようやく振り出しに戻ったな、日韓で真摯にいろいろなことが進められる土台にようやく立ったなというふうに思うわけですが、この外相会談についての外相の評価、総括。また、今回の外相会談は非常に異例でして、合意文書もないし、会見では質問も受け付けないということでありまして、引き続き、日韓双方のメディアを含めた発言が、両国の合意といった点についてそごが見受けられる点もございます。また、昨日の、国連の委員会での報告といったことも、既に外相からもそれに対する反論があったわけでございまして、そうした異例の対応も含めて、御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 御指摘の昨年末の日韓合意ですが、慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決することを確認するということを、日韓両政府が世界に向けて明言をしたという意味で、これは歴史的な合意であったと考えています。ぜひ、未来志向で、そして新時代に向けて、両国関係を進めていきたいと思っています。

 そして、例えば、ことしに入りまして、北朝鮮の核実験、そして弾道ミサイル発射等もありました。その際に、日韓の間において、首脳レベルあるいは外相レベルで速やかな意思疎通が図れた、こうしたこともこの合意の一つの成果のあらわれではないかとも受けとめています。

 いずれにしましても、今回の合意を受けて、引き続きさまざまなレベルで意思疎通を図り、両国関係を進めていきたいと考えています。

 そして、ただいま委員の方から、今回の合意について文書等が交わされなかった、この点について御指摘がありました。この点につきましては、今回の合意、まず昨年の十二月二十八日、外相会談を行いました。合意に次ぎまして、日韓の外相が膝詰めで交渉を行い、内容を確認し、そしてその上で日韓の両首脳が電話会談を行い、内容を確認し、その上で共同記者会見という場に臨みました。テレビを通じて、両国の国民のみならず、全世界に向けて、両国の首脳がこの合意の内容を明言したという形をとった次第であります。

 文書にはしなかったわけですが、こうした形で、世界を証人として両国政府が明言したということで、明確かつ十分な確約を韓国政府からも得られたものと我々は受けとめている次第であります。ぜひ、この世界を証人として明言した両国の合意をしっかりと履行するべく努力をしていきたいと考えます。

武正委員 外務省の資料で、二ページをお開きいただきますと、幾つかの論点ということで、外務省から、三つの論点がこの外相会談であったというふうに書かれております。在韓国日本大使館前の少女像、第三国での慰安婦に関する石碑、像の問題、こういった点については、一部報道では撤去というようなことが報じられておりますが、そういったことなのか、単なる移動ではないのか、こういうやりとりも国会でもあったわけでありますが、改めて、この点についてどんなやりとりがあったのか、論点として明記をされておりますので、あるいは合意があったのか、あるいは近いところの認識の一致を見たのか、お答えいただければと思います。

岸田国務大臣 御指摘の在韓国日本大使館前の少女像についてですが、これまでも累次にわたりまして、我が国としましては、公館の安寧ですとか威厳の維持、こういった観点から懸念をしており、早期に移転することを求めてまいりました。そして、今回の合意において韓国側からは、公館の安寧、威厳の維持の観点から、日本政府が懸念していることを認知し、韓国政府として適切に解決されるよう努力をする、こうした表明がありました。

 今、韓国側におきましては、この合意の内容につきまして、韓国国内における説明努力を続けている段階にあります。韓国側においても、この合意に基づいて、今後適切に対処されるものであると我々は認識しているところであります。

 いずれにしましても、日本側、韓国側、合意の内容を誠実に履行することが重要であると考えます。

武正委員 そうすると、報道であるような撤去とかいう形での合意というわけではない、あるいはまた韓国側もそのことを明言したわけではないということでしょうか。

岸田国務大臣 今回の合意の中身は、十二月二十八日の記者会見において発言をした内容が全てであります。あの内容が合意された全てであり、それをお互い誠実に履行するということにおいて認識が一致をしているところであります。

武正委員 この二番目の、海外での、第三国での慰安婦に関する石碑、像の問題についてはいかがでしょうか。

岸田国務大臣 第三国における慰安婦像あるいは記念碑、こうしたものにつきましては、十二月二十八日に行われました日韓外相会談の中において、私の方から、第三国における慰安婦関係の像、碑の設置について懸念を提起いたしました。そして、この外相会談のやりとりの中で、韓国側からは、韓国政府としてもこのような動きを支援することはない、こうした認識が示されました。韓国側において、この認識に基づいてしっかり対応していただけるものと考えています。

 また、今回の日韓合意を受けて米国政府が発言をしていますが、米国内における慰安婦関係の像、碑の設置に関し、米国政府は、米国内の人々が日韓の合意とその完全な履行を支持することを希望する、こうした立場を表明しています。

 こうした各国の動き等もしっかりと念頭に、この問題につきましても、政治問題化あるいは外交問題化することがないような方向で進んでいくことを、我々としては希望しております。

武正委員 ぜひ、そうした韓国側の誠実な履行を引き続き日本政府としては求めていただきたいというふうに思います。

 ただ、そういった両国間の信頼、これが基礎ですので、例えば、民主党政権時であれば、朝鮮儀軌の返還なども通じながらも、日韓EPA局長級事前協議へのさまざまな準備、こういったものも進めてまいったんですが、これも平成二十三年五月九日で途絶えております。また、日韓秘密情報保護協定の署名、これも、平成二十四年六月二十九日に延期を発表いたしましたが、署名直前まで行った経緯もあります。

 先ほど、北朝鮮の国連決議、これについては、日米韓の連携、こういったものも、安全保障については当然あってのことというふうに理解をしておりますが、そうした日韓間の信頼関係の醸成があって初めて、今言ったようなさまざまなことが進められるわけですので、日韓間のそうした信頼醸成を引き続き進めていただければというふうに思います。

 そこで、三ページ目でありますが、日韓の間で日本海呼称問題という問題がございます。これについては、外務省の立場は、同じく外務省の資料に書かれてあるわけなんです。

 ただ、これは、四ページ、五ページ目にありますが、平成十六年の三月十六日、本委員会で、この後趣旨説明が予定されております在外公館法の附帯決議で、具体的には五ページをお開きいただきたいんですが、五番目、「日本海呼称問題に関する誤った対応を二度と繰り返さないために、在外公館における訓令に対する履行、履行状況の本省への報告等の確実な実行を確保すると共に、在外公館における日本海呼称履行への取組を徹底すること。」こういった決議を行っております。

 当時、私もこの外務委員会の筆頭理事でありましたので、この附帯決議作成に当たったわけでございます。

 この後、外務省を中心に、日本海呼称を徹底する、そういった取り組みがされてきたわけなんですが、昨今、日本海呼称についての状況、韓国は東の海、トンヘを主張する、あるいはそうした日本海の場所に名称が記載されない地図が出回る、こういったことがこの間あったわけなんですが、最近の状況、あるいは外務省としてどう承知をされているのか、伺いたいと思います。

岸田国務大臣 まず、日本海の呼称ですが、日本海の名称は当該海域の国際的に確立した唯一の名称であり、国際連合や米国を初めとする主要国の政府も公式文書等において日本海の名称を使用している、このように認識をしています。

 政府としてこれまでどのような努力をしてきたのかということについて申し上げるならば、英国、フランス、米国の主要な図書館等が所蔵する古地図の調査を行う、あるいは在外公館を活用して各国の地図出版社等に対して申し入れを行う、こうしたさまざまな取り組みを続けてまいりました。

 国際社会において正しい理解を得るべく努力をしてきたところですが、その結果として、最近の状況ですが、平成二十六年に調査を行いました。そして、有効回答のうち約九割の国がその主要機関において日本海単独表記を用いている、こういった結果が判明をしております。こうした状況も見ながら、引き続き、正しい理解を得るべく努力は続けていきたいと考えます。

武正委員 たしか、このときは、日本の機関の地図に東の海と記載をされていた、こういったことがあったり、このときは委員会でも私が何度か取り上げたんですが、もともと、支持者の方から、タイ航空の機内誌の地図を持ってこられて、おまえ見てみろ、日本海のところに何も記載がないじゃないかというふうに言われて、それで外務委員会で取り上げたのがきっかけだったというふうに承知をしております。

 その後、例えば国連で配られた地図に東の海と、国連みずからが配っている地図に記載があったりというような経緯もあったりして、今言われたのは各国の主要機関での地図の九割という話なんですが、航空会社の地図とか、例えば国際的なメディア、CNNを初めとするそういったところはどう呼んでいるのか、映像に記載をしているのかを初め、さまざまな調査をこの間も行ってきた経緯があります。

 ですから、外務省にそのことを求めても今みたいな九割みたいな答えしか返ってきませんので、改めてしっかりと調査をしていただいて、それを御報告いただきたいというふうに思います。

 この点、いかがでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘のように、実態を把握すること、これは大変重要なことだと思います。

 外務省としましても調査は行ったわけですが、より実態を把握するためにはどうあるべきなのか、具体的にどんな調査ができるのかも含めて、実態をより正確に把握するための努力は続けたいと思います。

 調査の仕方等につきましては、ぜひ工夫をさせて検討をさせたいと考えます。

武正委員 ぜひ御報告をお願いいたします。

 また、二〇一四年一月八日、教科書に日本海、東海の併記を求める法案がバージニア州議会上院及び下院に提出され、成立をしております。また、ニューヨーク州、ニュージャージー州でも提出ということで、今の資料の三ページ目、外務省も記載をしているわけなんですが。

 先ほどの慰安婦像の件なども含めて、日本海呼称についても、米政府あるいはそれぞれの州に対してしっかりと働きかけを行っていく必要があると思うんですが、この点いかがでしょうか。

岸田国務大臣 まず、基本的にそうした働きかけを行うというのは重要だと思います。

 具体的に、どこにどういった働きかけをしたかということを公の場で申し上げるのは、逆にマイナスの動きを惹起することにもなりかねませんので、ちょっと具体的に申し上げることは控えますが、さまざまな形で、在外公館等を中心として働きかけを行うことは重要だと認識をしておりますし、努力は続けたいと考えます。

武正委員 日韓関係というのは最重要な二国間関係の一つであり、日本の隣国であり、先ほどの北朝鮮制裁決議についての日米韓の取り組みなども含めた、特に安全保障のそうした枠組みも含めて極めて大事な関係であることは申すまでもございません。そして、何よりも両国の信頼関係、これが基礎に立っての関係構築ということでありますが、やはり、外交関係にあって言うべきことは当然言っていくという中の一つに日本海呼称問題があるということで、引き続きの取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 そこで、きょうは国交大臣政務官もお見えですが、続いて、尖閣周辺の中国公船等の動向ということで伺いたいと思います。

 お手元の資料六ページ、「尖閣諸島周辺海域における中国公船等の動向」ということで、いわゆる尖閣三島の取得、保有後このように領海侵入隻数がふえたわけでありますが、今、大体それが月に二、三回というようなことも含めて安定をしているというような報告を受けております。

 一方、それについて、七ページにありますように、海保、海上保安庁では体制整備を進めているということであります。

 まず、最近の状況を見ますと、平成二十五年の七月以降に、いわゆるそれまでの海監と漁政に分かれていたものが中国海警に一本化したこと、また、平成二十六年九月から小笠原諸島周辺海域における中国のサンゴ漁船が急増したこと、そしてまた、平成二十七年六月からは防衛当局間の海空連絡メカニズムについての協議が行われたこと、また、二十七年七月十六日に日中漁業共同委員会が開かれたことなども承知をしておりますが、昨年の十二月二十六日以降、砲塔を持った海警の船が領海に入ってきている、これまでの四桁の番号ではなくて五桁の番号、こういった新たな対応が迫られているという状況であります。

 まず、海上保安庁の対応について伺いたいと思います。

江島大臣政務官 それでは、尖閣諸島周辺の海域における状況から、まず御説明申し上げます。

 まず、中国公船の領海侵入でありますが、一昨年が三十二件、昨年が三十五件発生しておりまして、ことしに入りましても既に五件発生をしている状況であります。

 また、中国公船が、荒天の日を除きましてほぼ毎日接続水域を航行しているというのが、最近の尖閣諸島の周辺海域の情勢でございます。

 海上保安庁といたしましては、現場海域に巡視船を配備するなどしまして、我が国の領土、領海を断固として守り抜くという方針のもとで、事態をこれ以上エスカレートさせないよう冷静かつ毅然とした対応を続けております。

 また、今後とも、関係省庁と緊密に連携をしながら、その時々の情勢に応じまして適切に対応してまいりますとともに、尖閣専従体制等の必要な体制整備を推進しまして領海警備に万全を期してまいりたいと思います。

武正委員 お手元の七ページのような、巡視船新造、そしてまたヘリコプター搭載巡視船などの整備が行われているというふうに聞いておりますが、先ほど触れましたように、砲塔を積んだ中国の公船が領海を侵犯しているというようなことも含めて、こうした海保としての対応がさらに必要ではないかというふうに思っております。

 これについて、外務省としての御認識を伺いたいというふうに思います。

岸田国務大臣 御指摘のように、尖閣諸島周辺で活動する中国公船の中に、外見上、明らかに機関砲を搭載した船舶が含まれている次第です。尖閣諸島周辺海域において、かかる船舶を含む中国公船による接続水域航行及び領海侵入が継続していること、このことは極めて遺憾なことです。

 我が国は、中国側に対しまして、外交ルートを通じてその都度厳正に抗議するとともに、さまざまな機会を捉えて、かかる公船派遣の中止を求めております。引き続き、断固として我が国の領土、領海、領空を守り抜く、こうした決意で、毅然として、そして冷静に対処していかなければならないと考えます。

武正委員 国交政務官に伺いますが、聞くところでは、中国側では一万トン級のそういった船なども配備がされるのではないのかという報道もあるやに聞いておりますが、今の七ページの体制で十分、尖閣周辺の海域の警備、「万全を期す」というふうに書いてありますが、大丈夫なのか、さらなる対応が必要ではないかというふうに思いますが、御所見を伺いたいと思います。

江島大臣政務官 海上保安庁といたしましては、周辺海域の領海警備に万全を期すために、大型巡視船の十四隻相当による尖閣領海の警備等の専従体制の整備を進めていたところでありますが、先月、最後の二隻が就役をいたしまして、専従体制が現在確立をしたところでございます。

 また、今後、海警等の大型船投入等のことも予想されるところでありますけれども、このようなさらなる情勢の変化が生じた場合におきましても、これに的確に対応できるよう、我が方といたしましても、高性能化を図った巡視船への代替整備を行うなど、全国からの応援派遣体制の構築を今進めているところでございます。

 今後ともまた、相手方の出方というのもありますので、必要な体制の整備等を通じまして、尖閣諸島の周辺海域における領海警備には万全を期してまいりたいと思います。

武正委員 今の政務官のお話だと全国からのということなんですが、全国から応援をすると、その応援をした方は手薄になってしまうわけで、過日のサンゴ船の小笠原海域へのそうしたことは、そういう意味では尖閣と小笠原と二方面というような形になってしまったわけですので、やはり引き続き海保としてのこうした体制のさらなる強化が必要かというふうに思いますが、これについて外務大臣の御所見と、先ほどちょっと触れていただけなかったんですが、中国の五桁の新たな船が砲塔を積んで、これまでなかったんですが、この尖閣海域に入ってきたわけなんですけれども、これについては外交ルートでしっかりと申し入れをしているのかどうか、これについても触れていただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、我が国としての対応ですが、こうした問題については政府全体としてしっかり取り組まなければなりません。装備あるいは体制等につきましても、政府全体としてしっかりとした予算を確保し、その上で装備や体制を整えていく、こういった取り組みを進めていくべきであると考えます。関係省庁がしっかりと連携する必要があると考えます。

 そして、我が国として、こうした砲塔を搭載した船舶が活動している、こういったことについてしっかり申し入れをしているのかという御質問でありますが、そういった事実もしっかり指摘をした上で、我が国として、こうした接続水域航行あるいは領海侵入について遺憾であるということをしっかり申し入れ、抗議をしている次第であります。

武正委員 引き続き万全の対応を求めたいというふうに思います。

 続きまして、日本人学校補習校について伺いたいと思います。

 資料八ページは、これは外務省が御提出をいただきまして、日本人学校あるいは日本語補習校についての外務省と文科省の役割分担、仕分けを御説明していただいた資料でございます。

 主に文科省が中心ですけれども、やはり邦人そして邦人家族、日本人の子供たちの安心、安全のために、そしてまた、教員のやはり支援、援助ということを外務省としても取り組んでいるわけなんですが、今現在、平成二十七年度、八十九校の日本人学校、補習授業校は二百五校ということであります。大体、文科省さんの資料で、これは二十六年度なんですけれども、在外で学ぶ子供たち、小中学生七万六千五百三十六人のうち、日本人学校が二万一千二十七人そして補習授業校は一万八千九百八十三人ということで約四万人、残りが、三万六千五百二十六人が現地校、その他ということでありまして、七万六千人の半分以上が日本人学校、日本語補習校に学んでいるということであります。やはり取り組み、支援、文科省もやってはいただいていますが、さらに外務省としての取り組みが必要ではないかというふうに考えるところでございます。

 また、補習校については、先ほど二百五校と言いましたが、そのうち十四校は子供たちの人数が百名を超えている大きな補習校でありまして、日本人学校とかぶっていない、すなわち同じ都市に日本人学校もなく補習校のみといったところが、バリ、それからラスベガス、デンバー、オーランド、アリゾナ学園というようなところは日本人学校もない、日本語補習校単独といったところでありますから、特に百名を超える補習校支援というのが必要ではないか。

 また、教科書も、こうした在外で学ぶ子供たちの教科書配付については大使館が担うことになっておりますので、とりに来てもらったり郵送というお答えですが、果たして、ちゃんと子供たちに日本の教科書が届いているのか、こういったところの配付方法についてもやはり工夫が必要ではないかというふうにも思います。

 また、最後になりますが、高校生については、いわゆる授業料無償化、今は就学支援金ということで行われておりますが、海外の七校から八校の日本の邦人の学校の、今高校一年生でありますが、四十四名には、就学支援金にかわるものを高等学校等修学支援事業費補助金ということで支払っているということなんですが、多分、在外の高校生は四十四名ではなくてたくさんいると思うんですね。今のところ、そういったカバーがされていないわけなので、それもやはりこの際、カバーをしていく必要があると私は思うんです。

 文科省に聞くと、実態がわからないといったことを言っていますので、これについてはやはり外務省、在外公館で、在外の高校生がどの程度、それぞれの地域で学んでいるのか、どこで学んでいるのか、その把握に努めるべきだと思いますが、以上について御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 政府においては、我が国の主権の及ばない外国においても、少なくとも、義務教育年齢相当の子女が国内に近い教育を可能な限り安価で受けられるよう、外務省と文部科学省が協力して、日本人学校そして補習授業校に対して支援を行っております。

 外務省においては、現地採用教員、講師の給与、そして校舎の借料及び安全対策費に対する援助を行い、文部科学省としては、主に、日本国内からの教員の派遣、そして義務教育の教科書の供与、これを行っている、こうした、それぞれの役所が取り組みを行っているわけです。

 昨今、外務省の立場から感じますのは、深刻な国際テロ情勢を受けて、やはり児童生徒の安全確保、これを重視していかなければならないと感じています。そういったことから、予算を確保し、そしてさまざまな取り組みを行っている、こういったことであります。

 そして、教科書の配付方法あるいは学校の規模についてもさまざまな御指摘をいただきました。おっしゃるように、日本人学校あるいは補習授業校、これは世界各国さまざまな環境の中にあり、事情はそれぞれ、さまざまであります。そういったことに対してきめ細かく対応しなければならないと考えています。

 教科書の配付等につきましても、外務省の在外公館を通じて行っているわけですが、受領者が在外公館に直接出向き受領するか、あるいは郵送で行うか、さまざまな形があるようでございます。現実に即した対応を行っていかなければならない、このように考えます。

 そして、高等学校についても御質問をいただきました。

 高等学校レベルの教育につきましては、今申し上げました義務教育課程とは異なるわけですが、安全確保についてはしっかり考えていかなければならないと思いますし、何よりも実態を把握するべきだという御指摘はそのとおりであります。在外公館として、高等学校レベルの教育の実態そして必要性につきましても、実態を把握する努力はしっかり行わなければならないと認識をいたします。

武正委員 国内の高校生については、年収制限はあっても、就学支援金が支払われているわけで、また、在外についても、これは慶応大学のニューヨーク高校とか、立教のロンドン高校とか、そういったところの生徒四十四名には、先ほどの高等学校等修学支援事業費補助金ということで、これは文科省マターですが、お金が支払われていると。

 ただ、文科省に聞いても、先ほど言ったように、実態がわからないということですから、在外公館を通じての、高校生の今の学習状況についての把握にぜひ努めていただくとともに、政府としても、やはり、慶応のニューヨーク校と立教のロンドン校はいいけれども、それ以外の現地校などに学んでいる子供たちに対しての補助はないというと、いかがなものかというふうに思いますので、やはり在外で日本人、邦人が元気にそれぞれ会社を初めとするさまざまな活動に頑張ってもらう、それを支える家族のあり方、そして特に子女教育のあり方にかかわりますので、ぜひ把握とお取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 そこで、十ページでございますが、在外選挙の実施状況等について、これは総務省の統計資料、出典でございます。

 直近の平成二十六年十二月十四日の衆議院選挙、選挙区での投票率は一八・四七%、比例代表は一八・八六%ということで、二〇%台を維持していた衆議院選挙の投票率が、在外選挙では、今度は二割を割ってしまったということであります。

 今度、参議院選挙からは選挙権年齢も十八歳に引き下がるわけですので、七十年ぶりの大改正のそういった選挙にもなります。在外選挙の投票率の向上は、総務省に聞いても、やはりこれは第一義的に在外公館、外務省であるということを言われておりますので、どういった取り組みを現状はされているのか。また、十八歳選挙権実施を踏まえてさらなる取り組みが必要だと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 公職選挙法に基づく在外選挙制度ですが、これは在外選挙人名簿の登録と在外投票、この二本柱で成り立っております。

 名簿に登録された者のみが投票できる、こういった制度でありますので、在外公館におきましては、在外選挙人名簿の登録申請受け付けのほか、国内選挙管理委員会が登録後発行する在外選挙人証の申請者への交付等の業務を行い、また、在外公館投票の実施に際しては、大使館多目的ホール等への投票記載場所の開設、管理、あるいは記載済み投票用紙の外務本省への搬送、こういった業務を行っている次第です。

 こうした制度の広報啓発についても引き続き努力をしなければならないと思いますが、その中にあって、今御指摘の、選挙権年齢が十八歳へ引き下げられることについての対応ですが、このことについても特に力を入れて広報啓発を行っております。ホームページあるいはメールマガジン、こういったものの活用、あるいは現地日本人会、商工会、あるいは日本人学校等の行事における説明会、あるいは戸別訪問、こういったことも行っております。

 そして、在外選挙人名簿の登録申請につきましては、改正公職選挙法施行日の本年六月十九日において満十八歳以上の者であれば、受け付けが可能となっております。よって、既に申請の受け付けを開始しているというのが現状であります。

 引き続き広報啓発に努めていきたいと考えます。

武正委員 先ほど、高校生の実態を把握していただきたいと言ったのは、あわせて、今回、高校三年生の一部は投票権を得るわけですので、そういった在外投票、また、特に十八歳選挙権、対応ということも含めて、高校生の実態の把握をお願いしたいと思いますし、これまでも、民主党政権時代からも、在外投票の日本人会への働きかけ、そういった促進といったこともやってきましたし、まだまだいろいろな工夫があると思いますので、やはり投票率向上ということで、外務省としての取り組みをお願いしたいというふうに思います。

 最後に、日本語教育の普及について伺いたいんです。

 これについては、今、国際交流基金を中心に進めておりますが、在外での日本語学習者が約四百万人ということで、二〇一二年の統計です。中国は百万人を突破し、中国、インドネシア、韓国で約七割。増加しているのは中国、インドネシアなんですが、減少は韓国。韓国がなぜ減っているかというと、二〇一一年に中等教育の第二外国語の必修を選択に変えたというのが大きかったというふうに言われております。

 一方、人口当たり多いのは、やはり韓国、オーストラリア、台湾ということで、教師一人当たりの担当人数が百名を超えるのは東南アジア、大洋州といったことで、日本語を母語とする教師は北米、西欧には多いんですが、そういった意味では、東南アジア、大洋州などの教師の不足が指摘をされております。

 インドネシアでは、施設設備不十分が七割、そして教師不足二五%、教師の日本語能力が不足しているが四割、教師の教授方法が足りないが約四割ということが、アンケートからは明らかです。ベトナムでは、教材不足が五割、教材、教授法情報が不足しているが四割、教師不足が三割というアンケートでもあります。

 こういったことへの対応がやはり必要だというふうに思いますが、主に拠点の強化、教員養成が必要だというのが一つ。

 それから、お手元の方の資料にそういった、在外での日本語教師の養成ということを、これまで国際交流基金は、さいたま市の日本語国際センターあるいは関西国際センターで実施をしてまいりました。十一ページ以降、資料をつけております。特に、十二ページ、十三ページでは、日本語国際センターと地域とのかかわりについて触れておりますので、ごらんをいただければと思っております。

 こういった取り組みをこれまでもしてまいりましたが、今、政府では、地方創生の観点から、特に、この日本語国際センターを地方へ移転しようというような検討がされているやに聞いておりますが、これについては、平成二十七年十二月三日、日本語国際センターの移転に反対する要望書を埼玉県、さいたま市なども提出しております。これは外務省所管の国際交流基金でありますが、この移転について、現状の認識、御所見、外務大臣としての御意見、これもあわせて伺いたいと思います。

岸田国務大臣 海外における日本語の普及ですが、これは、我が国に対する理解を深め、そして諸外国との友好関係の基盤を強化していく、こういった点から大変重要であると認識をしております。

 外務省としましても、国際交流基金等と連携しながら、さまざまな事業を実施しております。そして、その中で、海外の拠点としては、国際交流基金の海外の拠点が重要な役割を担っていると認識をしています。

 そして、日本語教師の養成に当たっては、日本語教師を招聘し、さいたま市にあります日本語国際センターの研修を実施する、こうした取り組みを行っております。

 今後とも、国際交流基金との連携、あるいは日本語国際センターでの取り組み、こうしたものを大切に、日本語普及に取り組んでいきたいと考えております。

 そして、その中で、日本語国際センターの機能の移転についてでありますが、政府関係機関の地方移転のプロセスにおいて、国際交流基金の日本語パートナーズに係る研修事業を大分県で実施する方向で検討をしております。日本語教師の授業の補助ですとか、生徒の会話相手を担う人材をASEAN諸国に派遣する、こういった事業ですが、この事業を大分県で実施する方向で検討しています。

 機能の一部が移転した場合でも、日本語国際センターは、これまで同様、海外の日本語教師に対する研修事業の中核を担う、この点は変わりはないと認識をしております。

武正委員 平成元年にさいたま市に設立され、そして、さいたま市が敷地の無償貸与を行い、県、市が二十年間にわたって職員を派遣し、また地域でのホームステイ事業、あるいは指導者養成プログラム、また人形組合などとの交流なども含めて実績があるセンターでありますので、拠点でありますので、ぜひ、それはしっかりと存続をし、さらなる充実をお願いしたいということを申し添えまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

岸委員長 次に、篠原豪君。

篠原(豪)委員 維新の党の篠原豪です。

 外務委員会における初めての質問となりますので、よろしくお願いいたします。

 本日は、お伺いしたいことがたくさんありますので、答弁なさっていただく皆様におかれましては、できるだけ簡素に、的確にお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

 さて、本年の四月十二日から十九日まで、表現の自由の国連特別報告者であるデビッド・ケイ氏が訪日することが、二月三日、外務省より発表されました。この特別報告者は、特定の国の状況または特定の人権テーマに関し調査報告を行うため、人権理事会から任命された独立専門家で、ケイ氏は二〇一四年八月に就任しました。

 実は、このデビッド・ケイ氏、昨年の十二月上旬に訪日する予定でした。しかし、日本政府の意向で延期されて、そして、日程の再調整の後、今般ようやくこれが実現することになったというふうに聞いています。

 これまでの経緯を見てみますと、昨年十二月の訪日予定については、約半月前になって政府から延期の申し入れがあったことに対して、御本人は再考を求めましたけれども、受け入れられなかったとのことです。在日メディアの取材に、延期の連絡がありびっくりした、日本では特定秘密保護法など多くのことを調べる予定だったと応じています。

 そこで、まず、同氏の訪問はなぜ直前に中止になったのか、その理由についてお伺いをいたします。

岸田国務大臣 まず、国連の人権理事会の特別報告者制度ですが、我が国はこれまでも全面的に協力し、特別報告者の要請に応じて訪日を受け入れてきました。

 しかし、今委員の方から御指摘がありましたデビッド・ケイ氏のケースでありますが、当初、昨年十二月初めの訪日を受け入れる方向で調整をしておりましたが、調整の過程で、特別報告者の関心事項の範囲が極めて広範であることが判明をいたしました。

 その結果としまして、かなり準備に作業を要すること、さらには、政治レベルを含めて幅広いレベルの方々に直接面会をし、そして対話を行う、こうしたことも必要ではないか、こういったことが指摘をされた次第であります。

 ちょうど十二月、予算編成作業の時期でもありますので、その調整を行い十分体制を整えることが困難だという判断のもとに、再調整をさせていただく、こういったことになった次第であります。

 そして、結果として、先ほど委員からも御指摘ありました四月十二日から十九日の日程で受け入れさせていただくということを二月三日に発表させていただいた、これが経緯でありました。

篠原(豪)委員 このことについては、今御説明ありましたけれども、御本人は、やはり日本政府にキャンセルをされて失望したというようなことも言っています。

 国内でも、このことについては、去年の十二月四日の毎日新聞にも、社説として、国連の人権理事会は、国際的な人権基準に照らして調査を行い、各国に勧告をしている、国連の人権機関は、近年、日本に対して厳しい勧告を繰り返してきている、そして、政府はその都度反論をしているけれども、国連の加盟国として、勧告に対しては謙虚に耳を傾けて、正すべきところは正して、そして、見解を異にするならば政府の立場を丁寧に説明するのがとるべき基本的な立場だろうというふうに報じられています。

 結果として、こういったことが起きたことで、日本が、表現の自由、国民の知る権利をないがしろにする国だということかはわかりませんけれども、はたから見れば、政府が国連との対話を避けて、国内外から心配の声が上がったというのは事実だというふうに思っています。

 ちなみに、ジャーナリストによる非政府組織、国境なき記者団が二〇〇二年から発表している報道の自由度ランキングにおいて、日本は最新の調査が何位かということは御存じでしょうか。そして、その評価についてもどのような御感想をお持ちか、お伺いさせていただければと思います。

岸田国務大臣 御指摘の、国境なき記者団の報道の自由度ランキングですが、最新のランキング、二〇一五年のランキングで六十一位であると承知をしております。

 六十一位という順位については、いろいろ評価の仕方、評価の方法にもよりますので、この六十一位ということについて何かコメントすることは控えたいとは思いますが、いずれにしましても、報道の自由、さらには言論の自由、こうした価値観は尊重しなければならない、これは当然のことであると認識をいたします。

篠原(豪)委員 今お答えいただきましたように、六十一位、これは実は日本にとっては過去最悪の順位というふうになっています。

 私もちょっと調べてみて、今度G7サミットをやりますけれども、この七カ国中、日本は下から二番目ということになっています。北東アジア地域を見ても、我々の地域よりも下の国というのは実は中国と北朝鮮ぐらいしかないんだということで、韓国の方が一つではありますけれども上になっているということであります。

 いろいろな指標があって、いろいろな調査があるというふうに、それは一つあると思うんですけれども、そうはいえ、同じ調査で、たしか二〇一〇年だったと思いますけれども、このときには大分上の方で、十位台だったというような気がします。それが、二〇一二年から、五十位台、ずっと落ちてきているというところはやはり気にかかるところではあります。

 このような状況が海外から評価をされて、我が国は自由主義、民主主義の国家であって、それが国民の皆さんにとってもこういう数値が出るということは決して誇らしいものではないんだろうというふうに思っています。海外からもそういった指標で判断されるところもありますので、信頼をきちっとつくっていくためにはこのあたりをきちっと考えなきゃいけないと思っております。

 そこで、デビッド・ケイ氏がこれからいらっしゃいますけれども、国内の声がこういったことがあり、そして海外の評価ということがあることを受けて、今回、この調査についてどういうふうに捉えて、具体的にどのようなサポートをされていくおつもりかをお伺いいたします。

岸田国務大臣 先ほどのランキングにつきましても、六十一位、全部で百八十カ国の中で六十一位ということでございます。先ほど申し上げたように、それについて直接コメントは控えますが、言論の自由、表現の自由、日本が大事にしているんだということはしっかりと示していかなければならないと存じます。

 その上で、御質問のデビッド・ケイ氏に対する我が国の支援、対応ですが、デビッド・ケイ表現の自由特別報告者は、意見及び表現の自由に対する権利の促進と保護に関して、我が国の取り組みや状況を調査することを目的として訪日される、このように承知をしております。

 その上で、四点、関心事項の通報をいただいております。一つが国内規範枠組み、二つ目としてメディアの自由、三つ目としてインターネットの自由、四つ目として特定集団の表現の自由、この四点を通報いただいておりますので、デビッド・ケイ氏は関係省庁、NGOとの面会も希望しておられますので、これらを踏まえまして具体的な面会先について鋭意調整を行っております。

 いずれにしましても、訪日が有意義かつ建設的なものになるよう、しっかり対応していきたいと考えます。

篠原(豪)委員 なぜこのことについて伺ったかといえば、やはり五月には伊勢志摩でG7のサミットが開かれます。時間があれば後ほどこのことについても伺いたいと考えていますけれども、ホスト国である我が国がやはり開かれた印象をきちっと持っていただくということが大事だと思っています。

 大臣所信で、国連加盟六十周年のことしから二年間、非常任理事国入りをして、その中で、私が、これは岸田大臣のことですけれども、本部長を務める国連安保理に関する戦略本部も活用し、アフリカ等の改革推進派との連携を通じて、安保理改革推進のためのリーダーシップを発揮するということですので、まあ、国連との関連もありますと所信にもありましたので取り上げさせていただきました。

 過去、国連特別報告をめぐっては、我が国としても、誤解や事実関係が確認のできないような内容から抗議を申し入れたということもあったかに思います。情報の透明性をより高めればこういった誤解も防ぐことができますし、指摘を受ければ国際的な非難の根拠になってしまいますので、今回の調査は、そういったことがくれぐれも起きないよう、誤解が生じないように、また信頼回復のためにも真摯な対応をしていただければと思います。

 さて、本題に入ります。

 先ほどの外務大臣所信の中で、アフリカについての発言がありました。所信冒頭でも、本年は日本外交にとって重要で責任の多い一年だと述べられております。具体的に、G7サミット議長国、国連安保理非常任理事国、日中韓サミット議長国、そして第六回アフリカ開発会議を取り上げています。これらの機会を通じて、日本の国益を増進させて、グローバルな課題の解決にも貢献するとしています。

 そこで、まず、第六回アフリカ開発会議から伺ってまいりたいと思います。TICAD6でございます。

 このTICADは、第一回目、一九九三年に東京で開催されてから二十三年、これまで五回は全て日本国内の開催でした。そして、初開催からほぼ四半世紀となることし八月、ケニアのナイロビにおいて初めてアフリカで開催されることになります。

 そこで、まず、TICADの目的、そして日本政府のこれまでの会議への関与、そして今回初めてアフリカ開催となった経緯についてお伺いしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、TICADの目的ですが、TICADは、アフリカの開発と成長について首脳級で議論をし、国際社会としてこれを後押しする、こうしたことを目的とする国際会議です。

 そして、一九九三年に立ち上げ、今日まで日本政府はこの会議を主導してきております。現在は、国連、世銀、国連開発計画、あるいはアフリカ連合委員会、こうした組織が共催者として加わっている、こういった実情にありますが、その中にありまして、開催地につきましては、過去五回、日本で開催してきました。

 その中で、アフリカ側は日本とアフリカの交互開催を希望してきた、こういった経緯がありました。そして、今回、こうしたアフリカ側の意向を踏まえて、日本及び他の共催者間で調整した結果、二〇一四年九月、安倍総理から、次回のTICAD、ことしのTICADですが、これをアフリカで開催すべきとのアフリカの要望に応えて、日本とアフリカの持ち回りで開催していきたい、こういった表明を行わせていただいた、これが開催地をめぐる経緯でございます。

篠原(豪)委員 安倍総理が提案をして、話し合いをして、これからアフリカと日本で交互にやっていくということになったということでして、頻度も、これまで五年に一回だったものを三年に一回にして、回数をふやしていこうと。アフリカの持続可能な発展と開発に対して、スピードが上がっているので、こうやって会議の数をふやすということは本当にいいことだと思っています。

 今回のアフリカ初開催を契機に、TICADは、加速する地域の開発とともに、新たなステージに入っていくんだろうというふうに考えています。この加速するアフリカの開発と発展にはこれまで日本の協力がどの程度寄与してきたのか、これが気になるところです。

 そこで、これまで五回、日本が主催国としてやってきて、その中で、TICADを通じて我が国のアフリカ支援についてはどのような成果があって、それをどういうふうに評価されているのか、そのことについてお伺いをいたします。

岸田国務大臣 まず、TICADは、一九九三年、冷戦後のアフリカの重要性を改めて喚起し、アフリカのオーナーシップそして国際社会のパートナーシップ、これを重視した協力を進めてまいりました。今でこそアフリカは躍動する大陸として注目を集めていますが、当時、紛争や貧困の中にあり、暗黒の大陸とまで言われた時代にあっても、日本はアフリカに注目をし支援を行ってきた、こういった歴史があります。

 そして、どのような成果が上がっているのかという御質問につきましては、例えば、二〇〇八年に開催したTICAD4におきましては、年九億ドルから十八億ドルへの対アフリカODA倍増を表明してきました。初等教育就学率の改善、乳幼児死亡率の低下、あるいは安全な水に対するアクセスの改善、こうした成果をおさめました。

 また、二〇一三年、横浜で開催されましたTICAD5におきましては、五年間で、官民合わせて約三・二兆円の取り組みを表明いたしました。

 このODAについては、今の表明の中で、二〇一四年までに四五%実施を終えている、着実に支援を進めている、こういったことであります。

 それ以外にも、ビジネスあるいは教育にかかわるさまざまな取り組みが成果として挙げられております。

 引き続き、アフリカの質の高い成長実現に向けて努力をしていきたいと考えます。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 これまでについて、大体、成果と、どれぐらいのインフラの整備、これは本当に貧困にかかわる問題ですので、そういったところにまず積極的にいろいろとお金を使ってやってきた。

 本当に日本の技術、後でお話をさせていただきたいと思っているんですけれども、どういうふうに水道水をつくっていくのかとか、飲める水をやっていくのかとかいった問題もあると思うんです。これは、国際協力の中でも、そういったODAを活用して、本当に生命にかかわるようなところだと思うんですが。開発協力という面のみならず、同時に民間企業によるアフリカ投資をこれから円滑に進めていくという面でもあるんだろうというふうに、今回、思っています。

 この点については、前回開催のTICAD5を契機に高まった対アフリカビジネスの期待を維持して発展させるために、官民連携によるビジネス機会を創出するべく、TICAD官民円卓会議が設置されて、TICAD5の支援施策実施に関する官民の情報共有及び意見交換並びにアフリカのビジネスに関する情報集約や対外発信を目的として、日本の主要企業、関係省庁、政府機関関係者が一堂に会するようになったというふうに聞いています。

 官民連携については、これに先立っては、貿易・投資の官民合同ミッションの派遣もこれまで実施してきているというふうに伺っています。

 そこで、まず、これらの活動の進捗状況について、せっかく官民挙げて、日本の国力にもつながる、成長にもつながるといったこと、そしてまた国際貢献にもつながるといったことでやっていこうというふうにされているわけですので、進捗状況を聞いた上で、今申し上げたようなところに対して、今後政府としてどのような方針で官民連携を進めていくのかについてもお伺いいたしたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の官民連携は、前回のTICADにおきましても、アフリカの質の高い成長、これを追求していく上で強調された点でございまして、アフリカの活力を日本経済に取り込んでいく、そういう点でも重要だと認識しております。

 委員御指摘のとおり、次回TICADに向けては、アフリカにおけるビジネスの現状を分析し、アフリカへの日本企業の進出促進をいかに図っていくか、こういったことにつきまして官民で議論すべく、官民円卓会議を立ち上げた次第でございます。TICAD6に向けて提言書を提出していただく、そういうことになっております。

 それから、貿易・投資の促進の官民合同ミッションでございますけれども、これは、二〇〇八年以来、既に八つのミッション、アフリカの各地に派遣されております。日本、アフリカ間の貿易・投資のさらなる拡大、双方の経済成長の促進、それを期待しております。

 次回TICADにおきましても、政府といたしましては、日本の経済界の意見を十分踏まえつつ、日本企業の進出を最大限後押ししていく考えでございます。

 以上でございます。

篠原(豪)委員 日本の民間企業の進出を最大限後押ししていくということでございました。

 そこで、官民連携でビジネス機会が創出をされて、そういった場を通じてどんどんやってきているという中で、では、いよいよ民間企業が投資を始めるとなったときには、投資協定の存在が次に重要になってくるんじゃないかというふうに捉えています。なぜならば、円滑な投資活動をきちっと保障するということになるからだというふうに思います。

 これまで日本がアフリカにおいて投資協定を締結したのはエジプトとモザンビークだけだというふうに聞いておりまして、現在、その他、アルジェリア、ケニア、ガーナ、モロッコ、タンザニア、この各国との投資協定の交渉を行っているというふうにも聞いています。

 協定の締結に向けては、相手の政府がありますので、十分な協議をやはりやっていかなければいけないし、連携をするためにも十分な協議というのが必要だというふうに思いますけれども、本年、TICAD6がせっかく開かれますので、この機会を投資協定の締結に向けてどう生かしていくのか、そういったことについて伺わせていただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の投資協定は、投資家が安定的な投資活動を行う、そのための法的な枠組みを定めるものでございまして、我が国企業の海外展開の支援のために極めて重要、そういうふうに認識しております。

 政府といたしましても、我が国企業のアフリカにおける活動を後押しする、この観点から、各国との間で投資協定交渉を鋭意進めているところでございます。

 TICAD6におきましては、官民連携による貿易・投資の促進が首脳レベルで議論をされるということも予定されておりまして、アフリカ各国との投資協定の早期締結に向けて大きな弾みをつける機会、そのようにしたいというふうに考えております。

篠原(豪)委員 これは質問通告していないんですけれども、投資協定の締結に向けて、アフリカの場合はほかと比べてどういったあたりがネックになってくるのかというのをちょっと教えていただければと思うんですけれども、よろしいでしょうか。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 投資協定が必要なのは法的な枠組みの安定という観点からでございまして、さまざまな観点から日本企業が進出する際に幾つか障害になるようなものがある、これを両国政府の法的な枠組みの中で解決していこう、そういった点が特に重要だというふうに認識しております。

篠原(豪)委員 いろいろな国のいろいろな制度がありますので、それぞれ大変なのかなというふうに思いますけれども、格好の機会をつくるためにもチャンスを逃すことなくやっていく、そのための会議のタイミングでもありますので、ぜひ、企業進出と投資活動の保障を積極的に進めていっていただきたいというふうに思っております。

 さて、アフリカでもう一つ日本の強みが発揮できる分野に、恐らく保健や医療、衛生の分野があるんだろうというふうに思っています。

 この問題は、二〇一四年から発生しましたエボラ出血熱、昔からあるものではあるんですけれども、これが非常に爆発的にふえてしまって、西アフリカでは猛威を振るったということに対して御記憶の方も多いと存じます。

 昔から、やはりHIVウイルスなど、アフリカ地域では感染症対策が本当に最重要課題の一つであると考えています。

 先ほどの話にもつながるんですけれども、開発協力だけではなくて、今後、日本の民間ビジネス展開が拡大すれば我々にとっても身近な話として迫ってくるんだというふうに、今のうちから捉えておいた方がいいと思っています。

 これらの分野については、従来からODAなどで開発協力の実績があると思いますけれども、今後よりその必要性、重要性が増していくということを考えたときに、今回のTICAD6の機会を利用して、日本がTICAD6主導国でもありますので、日本はこの分野においてどのようなイニシアチブを示そうとしているのか、このことについてお伺いいたします。

竹若政府参考人 お答え申し上げます。

 外務省といたしましても、御指摘のとおり、エボラ出血熱やHIV、エイズ等の感染症への対策は、アフリカ地域における最重要課題の一つであるとともに、国際的に取り組むべき重要な課題と認識しております。

 日本は二〇一三年のTICAD5で表明した保健分野における五百億円の支援などを通じ、アフリカにおける感染症対策に着実に取り組んできております。エボラ出血熱対策につきましては、我が国は一億八千四百万ドルを超える支援とともに、専門家派遣や物資供与といったさまざまな貢献を行い、また、エイズ対策につきましては、技術協力を中心とした二国間支援を実施してきましたほか、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、グローバルファンドなどを通じました協力を行ってきております。

 また、昨年アフリカ自身がその開発目標を示しましたアジェンダ二〇六三におきましても、保健は重点分野の一つと位置づけられております。

 外務省としても、エボラ出血熱流行の教訓を踏まえまして、TICAD6に向けて感染症対策を含む保健システム強化等の支援策を検討していく考えでございます。

篠原(豪)委員 人の命は何よりも重たいだろうと思いますし、アフリカ大陸であろうとこの日本であろうとそれは変わらないと思いますので、困っている方々のためにも、これは患者さんの方々もふえる傾向にあったりもしますので、しっかりと対応をしていって、頑張っていただきたいというふうに思います。

 さて、視点を少し変えて、国内という視点から考えてみたいと思います。

 実は、このTICAD、第四回、第五回は私の地元の横浜で開催されました。第五回目の当時は私は横浜市会議員をやらせていただいておりまして、開催自治体の現場を私も直接自分の目で見てきた経験があります。

 市内の子供たちに対して、例えば、教育の一環として、小学校で一国一校運動というのをやって、学校がどの国の担当だというふうに決めて、そしてTICADに来てくださる方々に学校に来ていただいていろいろな交流をする。あるいは、市民の皆様とも多くの交流行事を行ったり、ビジネス面でも市内企業との機会の創出を促進して、最近聞いたんですけれども、ある横浜市の職員さんによれば、今や日本で一番アフリカに近い都市になったというふうに言っていました。

 これは、日本の都市や自治体そして中小の企業にとっても大変よい機会の創出となるものでしたし、いらっしゃるアフリカ諸国の方々にとってもよい日本の理解の場を自治体が積極的にやらせていただいたんだというふうにも思っています。

 ところが、今回はアフリカ開催ということでございまして、アフリカで日本のプレゼンス向上に対して資することはあっても、せっかく日本国内でこれまで五回やって、一九九三年から盛り上げてきたこういうアフリカに対する関心の勢いが落ちてしまっては、ちょっと残念だなと思っています。その結果、子供たちから大人まで、アフリカ文化の理解、日本企業の対アフリカ投資、そしてアフリカとの交流活動にマイナスの影響が出ないかということを危惧しています。自治体からも実際にこういう声が上がっております。

 そこで、継続性の観点からも伺いたいんですけれども、今回アフリカで開催しますけれども、TICAD6に際して何か日本で取り組みとして考えているものがあるのかどうか、これまでは、NGOであるとか国際機関、そして大学、教育機関、地方自治体の話を今申し上げましたけれども、せっかく連携をしてきたということなので、そういった可能性についてもどうお考えか、伺わせていただければと思います。

岸田国務大臣 TICADはそもそもアフリカ諸国に加えて、国際機関、市民社会、民間企業、学術機関、そして地方自治体、こうしたさまざまな組織、団体が参加する包摂的かつオープンなフォーラムであると位置づけています。

 これまでのTICADにおいても、こうした多様な関係者から会議で発言してもらう、あるいはサイドイベントの開催を通じて日本の取り組みを官民挙げてアピールしてもらう、こうしたことを行ってきました。

 今回、TICAD6、初のアフリカ開催ですが、御指摘の地方自治体を含めてさまざまな関係者に、引き続き、重要なパートナーとして参加していただきたいと考えています。率直な対話を重視した準備プロセスを進めるとともに、国内及び現地でのイベント等を通じて、TICAD成功に向けて、官民挙げて機運を盛り上げていきたいと考えます。

 ぜひ、地方自治体等の皆様方の御協力も、今回のアフリカでのTICAD6においてもお願いを申し上げ、今後につなげていただければと思います。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。それでは、その旨を自治体の方にも伝えさせていただきたいと思います。

 六回はアフリカでやる。なるべく、アフリカでやっても、日本の今まで参加した方々もいますので、そういった方は継続性も持ってやるということがあるんですが、次回は二〇一九年、ちょっと話が早いかもしれませんけれども、日本に返ってくるということになります。

 これからどんどんと、官民協力も含めて、そしていろいろな中小企業、アフリカにもう海外展開をいろいろとしていますけれども、アフリカにも行く時代が来るんだろう、あっという間に来るんだろうというふうに思っています。

 いろいろ声を聞いていますと、実際はなかなか難しいところもあるみたいなんですけれども、そういった状況がどんどん変わっていく中で、今度日本に返ってきたら、きっとどの自治体もすごくやりたいんじゃないか、手を挙げて、うちでやってくださいというふうになるんじゃないかということを期待しています。

 そのときに、三年先なのでまだ早いですけれども、どういったプロセスで、これが終わった後、日本でどう開催していくおつもりなのかということについて、今現状でわかることがあれば教えていただきたいと思います。

丸山政府参考人 お答え申し上げます。

 TICAD7の開催地の検討に当たりましては、過去の日本開催の経験を踏まえまして、首脳会議を開催する会議場ですとか、首脳、閣僚等が宿泊する宿舎等の施設、そういったこととともに、アクセスの利便性、それから警備、また、これは種々の多くの行事が予定されておりますので、そういったことを踏まえながらあらゆる要素を総合的に検討していく必要があると考えておりますが、TICAD7の開催地の検討はこれからでございます。

篠原(豪)委員 あれだけ大きな会議でありますし、何十カ国もの首脳が一堂に会するアフリカの会議でありますので、それは場所は限られてくるかもしれませんけれども、過去の経緯も踏まえていろいろと御検討いただくということですので、またぜひ御検討いただければというふうに思います。ありがとうございます。

 それで、TICADという観点からここまで伺ってまいりましたけれども、アフリカ外交全体に対して、TICAD云々というんじゃなくて、全体としてこの安倍内閣がどのような姿勢で臨んでいくのか、我が国はどのようにアフリカ外交というものを今位置づけていて、そして臨まれるかということについて、アフリカ関係で最後にお伺いいたしたいと思います。

岸田国務大臣 アフリカは、高い経済成長を示しています。また、豊富な資源を保有しています。また、人口の増加についても、今世紀の末までずっと人口の増加が予想されていると承知をしています。こういったことから、国際場裏において、その存在感はますます高まっていると認識をいたします。

 その一方で、アフリカにおいては、貧困、格差の拡大、テロ、紛争、ガバナンスなど多くの課題を抱えている、これも事実であります。

 こうしたアフリカですが、日本にとりまして、日本の戦略的な外交にとりまして、大変重要な地域であると認識をしています。そして、こうした認識を踏まえて、我が国はTICADというものを、対アフリカ外交の具体的な実践の場であると捉えています。

 ぜひ、こうした考えに基づいて、G7や国際機関とも連携しながら、アフリカの開発アジェンダを後押しし、そして関係を強化していく、こうした取り組みを進めていきたいと考えます。

篠原(豪)委員 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思っております。

 次に、自治体外交について少しお伺いしたいというふうに思っております。

 ここまで取り上げた今のTICADのお話でも、自治体と一緒になっていろいろなことができるんだということを申し上げたつもりです。なぜこのような話をさせていただいたかといえば、外交は、本質的には国と国の間のものです。ただ、より国民に近いレベルで外交を活性化していくことが、国レベルでの外交の補完、強化をするものとして有効ではないかというふうに考えるんです。

 特に、現在は、全世界的に見て、都市への人口の集中が進む中、新興国や途上国では、我が国がかつて経験したような都市課題に直面していますし、先進国では、少子高齢化対策、女性の活躍支援等の課題は共通しているというふうに思います。また、都市の間で連携協力を強化して、いわばお互いに切磋琢磨することによって、ともに成長していくことも可能だと考えています。

 この意味で、我が国の自治体と海外の自治体の間の自治体間外交の重要性というのは実は高まっているというふうに思っています。都市ごとに、例えば、市長さんであるとか知事さんであるかわかりませんけれども、直接話しに行って、そして、技術協力もそうですし、中小企業まで含めた自分の自治体のところの企業の進出、あるいは文化ということの交流も含めて、今トップセールスを行う時代になってきています。

 私の地元の横浜市でも、昨年四月に、これは全国に先駆けて、政令指定都市として初めて国際関係専門の国際局というのを設置しました。本当に局をつくってやることになりました。先般、横浜市国際戦略というのを策定して、強力かつ効果的に自治体外交を推進していく予定です。

 そこで、こういった自治体の自主的、先進的な取り組みについてどう評価されているのか、大臣のお考えをお伺いいたします。

岸田国務大臣 まず、外交において、自治体の役割というのはますます高まっていると認識をしています。経済協力一つとりましても、かつては国や大企業の独擅場でありましたが、今や自治体や中小企業の役割もどんどん大きくなってきている、こんな時代を迎えていると認識をしています。

 そして、外交において幅広くそして重層的な関係を構築するためにも、国だけではなくして、自治体に大いに外交の分野で活躍していただく、交流を進めていただく、こういったことは歓迎すべきことであると考えています。

 横浜市が横浜市国際戦略に基づいて国際交流や経済交流の取り組みを幅広く活発に行われること、これは大いに期待したいと考えています。外務省としても、こうした取り組みを支援する観点から、横浜市国際局国際政策部担当部長として外務省の職員を出向させている、こうした取り組みを行っているところであります。

 ぜひ、引き続きまして、横浜市あるいは自治体の外交における活躍を期待いたします。

篠原(豪)委員 ありがとうございます。

 外務省の方が横浜市に来てくださって、外交のプロですから、いろいろとやっていただけることは、私としてもありがたいことだというふうに思っています。そういったことの取り組みも含めて、これからもっと国と自治体がいろいろと手を合わせてやっていくことができるんだと思いますので、柔軟にそして積極的に対応していただきたいというふうに思います。

 大臣の所信表明の中にも、経済外交の一環として、「日本企業の海外展開支援、インフラシステムの輸出を官民一体で推進します。」というふうに書いていまして、これは非常に重要だというのは先ほど来からの話だと思います。

 私たちの町もこれまで、小さな町から今三百七十万人の日本最大の自治体に高度経済成長とともに発展した中で、いろいろな課題の解決というのをインフラについてはやってきたんだというふうに思っています。

 最近は、具体例として、具体例というか、横浜市の中小企業が、海外展開にこれから自分たちの活路を見出していこうといったようなところが多くあります。

 横浜市も、従来から、幾つかの自治体でもやられていますし、JICAでやっていることだとも思うんですけれども、水道のインフラ整備の国際協力が始まっているんですけれども、今、新興国の都市課題の解決の支援と企業の海外展開の支援を目的として、横浜の資源、技術を生かした公民連携による国際技術協力を開始して、昨年五月には、海外インフラビジネス推進に向けたプラットホーム、Y―PORTセンターというのも発足させて、その取り組みを進めています。

 最近の例としては、一つ挙げれば、フィリピンのセブ市と横浜市との間で覚書を結んで、同市におけるプラスチックのリサイクル事業等の調査、実証事業を実施している最中です。このリサイクル事業では、現地に雇用が生まれていて、ビジネス展開自体が貧困対策という国際貢献にもつながるいい例になっています。この取り組みに対しては、外務省、JICAの中小企業の国際展開支援スキームが大変有効な手段となっているというふうに聞いています。

 こういった流れで、さまざまな分野が実際のビジネス展開につながる段階に入ってきていますけれども、課題は、経験や体制が十分でない中小企業にとって、海外ビジネスの展開というのは大きなリスクを伴うものであって、実際のビジネスの事業化に当たっては、開発協力等の資金の活用も重要だということでございます。技術協力だけでなくて、無償資金協力も中小企業の国際展開においても極めて有効なツールだというふうに聞いています。

 そこで、外務省のJICAによる草の根技術協力、中小企業による調査、実証事業、無償資金協力等の支援策を、こういった中小企業の海外展開に対して活用しやすいように柔軟な運用を行っていくことが今後一層求められるんだろうというふうに伺っています。

 このことについて、岸田大臣、どういうふうに思われるか、そして、どういうふうにやっていくのかということについて、きょうはちょっと時間がないのでこれが最後の質問になると思いますので、伺いたいと思います。また細かい話はいろいろとありますので次回以降にさせていただきたいと思いますので、お答えいただければと思います。

岸田国務大臣 先ほども申し上げたように、外交におきまして、地方自治体、そして中小企業の役割はどんどん大きくなっていると認識をしております。

 そういった観点から、外務省としても、またJICAとしても、地方自治体、中小企業の海外展開、積極的に後押しをしています。

 例えば、草の根技術協力では、地方自治体の有する知見を活用する開発途上国の発展を支援しています。また、中小企業の製品や技術の途上国での普及、途上国の開発への活用、こうした支援を行っています。

 そして、その一つの事例としては、横浜市は平成二十六年二月から、ベトナムのフエ省水道公社を対象に、人材育成を中心とした技術協力を実施しております。これによって両国間の官民の水ビジネスネットワークの構築が期待される、こうした例が挙げられます。

 政府としては、地方自治体、中小企業の要望を踏まえながら、ODAを活用し、しっかりと支援をしていきたいと考えております。

篠原(豪)委員 ありがとうございました。

 今のフエのお水の話は、私も現地に市会議員時代に行ってまいりましていろいろ話を聞いたんですけれども、水道水が、ベトナムのフエという本当に田舎のところで飲めるようになる。そうすると、蛇口をあけて飲めるようになりましたといっても誰も信じないというんですね。水道の水が飲めるわけがないじゃないかというようなことがあって、そういったことも大きなインパクトとして、その後もなかなか苦労するということも聞いています。

 そういったことも含めて、これから実際に、貧困の、それから途上国の方々の生活の質の向上に資するために我々はやれることがいっぱいあると思いますので、ぜひ、地方自治体もいい取り組みをやっていますので、手を携えて一緒に進めていっていただきたいと思います。

 どうもありがとうございました。

岸委員長 次に、吉良州司君。

吉良委員 吉良州司でございます。

 きょうは、大臣所信に対する質疑ということで、真に受けて、大臣所信の中で大臣が述べられていることに対していろいろと質問をさせていただきたい、このように思っています。

 その中で、私自身、追及型の質問だとか、言い方はよくないけれども揚げ足をとるようなことというのは全く興味がありませんので、そういう意味では真摯な議論を大臣とさせてもらいたいと思っていますので、大臣の方も、余りにも安全運転することなく、大臣としての率直な見解を賜ればというふうに思っています。

 それと、あと一点、私自身は、民主党所属の議員として、本会議、委員会等での採決等は、当然、党の意向に従った行動をとりますけれども、こういう委員会の場においてのもろもろの質問については持論を展開させてもらいますので、私自身が申し上げたことが民主党の見解というわけではないということも御理解いただいた上で対応いただければというふうに思っています。

 まず最初に、これは質問通告していないことでありますが、岸田外務大臣にお願いです。

 安倍総理は、就任以来ずっと、地球儀を俯瞰する外交と言い続けているんですね。そんな地球儀みたいなちっぽけな、こんなものを俯瞰してどうするんですか、地球を俯瞰してくださいよ。だから、地球儀を俯瞰と言わずに、地球を俯瞰というふうに今後きちっと訂正をしてもらいたい。聞いていて、地球儀を俯瞰と言うと、物すごくちっちゃくなるんですよ。まず、それを大臣の方から安倍総理にきちっと進言していただくということをお願いできませんでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘をいただいてなるほどなと思う部分もありますが、政府としていろいろなところで地球儀を俯瞰する外交と使っておりますので、一応、そういった委員の御意見があったこと、これはしっかり受けとめさせていただきまして、政府全体として、この言葉遣いについてどう考えるか、また考えてみたいと存じます。

吉良委員 いい訂正であれば、過去こうであるけれども、地球儀と言うとちょっと小さい、やはり地球全体を俯瞰するんだと言いかえればいい話なので、ぜひお願いをしたいというふうに思っています。

 先ほど言いましたように、大臣所信に沿って質問していきたいというふうに思っていますが、本会議での外交演説の中で、シリア情勢について大臣はこのように言っておられます。「シリア情勢の政治プロセスの進展を支持し、日本としても人道支援を中心に各国と連携しつつ、情勢の改善に尽力していきます。また、地域各国の建設的な役割を働きかけていくとともに、可能な限りの支援を非軍事的な面で実施してまいります。」このように述べられております。

 私自身も、中東においては、専門家の上村局長がおられますけれども、どの国とも良好な関係を維持しているという極めて世界の中で珍しい、いいポジションをキープしている国だというふうに思っているんですね。だから、そういう意味で、どこかの国、まあ、怒らせるではないですけれども、関係を悪化させるような立場を絶対とるべきではないというふうに思っていまして、大臣が所信の中で述べておられるこのシリアに対する考え方というのは共有いたします。

 そういう意味で、仮に今後、国連決議があるなし、国連決議の内容、また、国連決議がないけれども、ある意味、多国籍軍等で、例えば国際社会が結束してISに対する対応をする、もっと言えば軍事行動をとるというようなことがあった場合も、大臣がここで述べられているように、人道支援を中心に、可能な限りの支援を非軍事的な面で実施してまいる、この方針どおりでいかれるのかどうか、その辺、確認をさせていただきたいと思います。

岸田国務大臣 まず、我が国としましては、ISILに対する軍事作戦あるいはISILに対する軍事作戦の後方支援も含めて、全く考えておりません。

 こうしたテロあるいは暴力的過激主義に対する対策ですが、もちろんこれは国際社会全体としてしっかり連携をしなければならないと思いますが、その際に大事なのは、それぞれの国の強みを生かした支援を行うという点ではないかと思います。

 我が国の強みを生かした対策、支援ということを考えますならば、これは人道支援を中心とした非軍事的な分野であると確信をしています。

 ぜひ、こうした分野において、テロですとか暴力的過激主義に対する対策を我が国はしっかりと考えていく、この方針を貫くべきであると考えます。

吉良委員 ありがとうございます。

 全く考え方を共有します。暴力的過激主義とおっしゃいましたけれども、ISILに対しては、国際社会としてやはり闘っていかなければいけない、その辺については共有しているんですけれども、大臣がまさにおっしゃったように、我が国ができるし得意とする、また、すべき内容で貢献をしていくべきだというふうに思っていますので、米国からも含めて友好国からいかなる要請があったとしても今の基本方針を貫いていただきたい、このように思っております。

 今の大臣の考え方を了として、私が思うには、なぜ昨年、政府からしたら通した安全保障法制の中で、私に言わせると、周辺事態概念を世界じゅうにまで広げてしまったのか。

 もうちょっと言うと、日本周辺以外のところでいろいろな形で国際的な協力を求められる場というのは、頭に浮かぶところとしては中東があったと私自身は思っているんですよ。その中東に対して、今大臣がおっしゃられたように、非軍事的な側面で、人道的な側面で、日本が得意とする分野でと、ここまで明確な方針を持っておられながら、なぜ形上は世界のどこまでも後方支援がやれるという法制にしたのか、その辺について大臣の見解をお伺いしたいと思います。

木原副大臣 お答え申し上げます。

 今、周辺事態について、今回、重要影響事態に変わったということについての御質問をいただいたわけでございます。

 もう委員よく御案内のとおりだというふうに思いますが、従来の周辺事態も事態の性質に着目した概念でございまして、地理的概念ではないということでございますので、この点は変わらないということでございます。

 そして、実際の問題として、国家間の相互依存関係がより深化をしている、あるいは安全保障環境が大きく変化をしている、こういう現状におきましては、我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態が生起する地域というものを、あらかじめ特定の地域を排除するということはなかなか困難であるという現状認識を我々は持っております。

 ただ、現実の問題としては、我が国の近くで起きた事態の方が、我が国の平和と安全に影響を与える程度が相対的に高い。したがいまして、重要影響事態に当たる蓋然性もより高いというふうに考えているところでございます。

 いずれにしても、個々の事態を個別に判断しながら適切に対応してまいりたい、こう考えております。

吉良委員 以前も申し上げましたけれども、我が国を取り巻く安全保障環境の変化、こういうことについては全く認識が同じなんですね。というよりも、私ども民主党政権のときも、二二大綱の中でそのことを前面に出して、それでいて動的防衛力構想というのを打ち出したわけであります。

 そういう意味では、今、木原副大臣がおっしゃられたように、確かにこれまでの政府答弁も、周辺事態とはいっても地理的概念ではないということはおっしゃられています。だけれども、法律上は周辺にというのが入っていて、今回それをあえて消しているわけですから。答弁上はそうだとはいってもある意味漠とした地理的概念があった、これは否定できないというふうに思っているんです。

 今申し上げましたように、私自身も二二防衛大綱をつくる際に深く携わった人間として、まさに我が国を取り巻く周辺における極めて大きな安全保障環境の変化に対処するために、ここは冒頭言いました党の見解とは違いますけれども、私自身は、周辺事態というものがある種の日本周辺という地理的概念を持ったとするならば、限定的な集団的自衛権の行使も含めて政府案に賛成なんです、その部分については。

 けれども、繰り返しますけれども、それを地理的に世界に広げて、確かに、今後どこでどういう紛争が起こり、日本が国際社会と結束して対応しなければならない、今予断はできないです、そのことはよくわかります。だけれども、今大臣もおっしゃられた、中東、特にイスラム国との闘いにおいての方針をお聞きしましたけれども、この方針というのは、日本周辺以外のどういう地域で起ころうとも基本的には共有できる考え方だというふうに思うんです。

 ですから、昨年の法案で非常に残念なのは、今言った日本周辺だけを捉えての抑止力の向上による戦争抑止、これを前面に出したならばもう少し多くの人の賛同を得られた、議員の賛同も得られたんだろう、こういうふうに思って、それが非常に残念でなりません。

 そういう意味で、私どもとしては、私自身もそうですけれども、今後も、今言った、まさに周辺事態を、地理的概念あるとせばそれでよしだけれども、世界のどこでもということに対してはやはり考え直していくべき、基本的に人道支援中心に、日本の得意分野でやっていくべきだということを申し上げたいと思います。

 成立した安全保障法制も国会承認が必要なわけです。特別措置法による人道支援というのは、いろいろな議論の中でも指摘されておりましたように、当然時間がかかって、時には野党からそれを人質としてとられてしまう、時間がかかり過ぎれば国際社会の一員として協力する際のタイミングを逸してしまうとか、それからまた、自衛隊の訓練が、特措法が成立した後訓練をしていたらまたそこから時間がかかってしまう、こういうような問題はあったというふうに思うんです。

 これも以前、外務委員会の場でも申し上げたと思いますけれども、そのことについては、主要政党間で、特措法が出たときの審議時間、二週間なり一カ月なり、ある種、基本的な合意をしておくということと、NSCで自衛隊が日ごろから想定し得る海外的な活動についての訓練をしておけるようにする、それから、特措法が政府から提案されたときにすぐに現地の調査を開始できる、こういうふうにしておけば、審議に時間がかかる、自衛隊の準備が追いつかないという問題も解決できるというふうに思っているんです。

 国会承認が必要だということであれば、今言った特措法でも、そして特措法による人道支援を中心にしていくと明確な方針があるのであれば、全く政府の安全保障法制に対する基本的な考え方に私は反しないというふうに思っております。

 私の持論ではありますけれども、私のこの考え方に対して大臣のコメントがあれば、お聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 昨年議論し成立しました平和安全法制につきましては、何のためにこの法制があるのかということを申し上げるならば、これは、まずは外交を通じて日本にとって好ましい国際環境をつくっていく、これが基本ではありますが、万が一の場合が発生したとしても国民の命や暮らしをしっかり守ることができる、こういった体制が切れ目なく整備できているかどうか、これを点検した上で必要な部分を加えていく、このためにこの法制があり、議論が行われたと認識をしています。

 そういった点から法律を用意し、議論を行い、成立をさせていただいたわけですが、万が一の場合にあらゆる事態に対応できるためにしっかり準備をしておかなければいけない、そういった考え方においては、今委員の方からいろいろありました御提言、基本的な考え方は一致するのではないかと思います。ただ、具体的にどう対応するかということについて、政府としましては、昨年法律を提出させていただき、御議論いただき、成立をさせていただいたということであります。

 いずれにしましても、政治にとりまして、国民の命や暮らしを守っていく、これは最も大切な責務であります。この責務をしっかり果たすためにどうあるべきなのか、法律が成立した後も、引き続き建設的な議論を行っていくべきであると認識をいたします。

吉良委員 この問題はもう最後にいたしますけれども、大臣のおっしゃったこと、政府が考えていることも理解はできますが、一方で、米国というのは、日本にとって一番大事な国、一番頼りにできる国だと思いますけれども、非常にタフなネゴシエーターであります。

 であるだけに、私としては、日本の方針が明確であるならば、そこで場合によってはノーと言える、そういう状況をつくっておくことが大事だったんじゃないか、こういうふうに思っています。日本が望んでやるべきだと思えばやれる状態があって、日本がやるべきでないと思うときにはきちっとノーと言える環境、これが大事だと思って私は今申し上げているということを御理解いただきたいと思います。

 次に、やはり大臣所信の中で、冒頭に、ことしは、「国連安保理非常任理事国を務めるほか、日中韓サミット議長国、初のアフリカ開催となるTICAD6など、日本が国際社会の議論をリードする多くの貴重な機会があります。」こういうようなことを述べておられます。それから、それに続いて、「こうした貴重な機会を十分に活用し、日本の国益を守り、増進させるとともに、国際社会におけるグローバルな課題の解決のためにも貢献していきます。」「国際社会における存在感を一層高めるため、引き続き、戦略的な外交を展開してまいります。」このように述べておられます。

 我が国がことしリードしていきたいと思っている国際社会、今、日本はどういう国際社会をある意味では構築しようとしているのか、どういう国際社会が望ましいと思っているのか。それがあって初めて国際社会をリードするというふうに言っていけると思いますし、その国際社会のリーダー役であるG7における議長国が務まるというふうに思っています。

 そういう意味で、非常に抽象的な質問で恐縮ですけれども、日本が、または岸田外務大臣がかくあるべきと思っている国際秩序はどういうものなのか、岸田大臣の口からお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 委員から御指摘いただきましたように、我が国はことし、G7の議長国、国連安保理非常任理事国、日中韓サミット議長国など、こうした立場にあり、しっかり責任を果たすと同時に、国際社会をリードするチャンスを得ていると考えています。

 そして、どのような議論をリードしていくのかということですが、まずは、こうした立場をしっかりと活用して、国際社会におけるさまざまなグローバルな課題を解決する、こういった議論をリードしていかなければならないと思います。そして、具体的なグローバルな課題を解決することによって、人権を初めとする基本的な価値観ですとか人の命あるいは暮らし、こういったものが守られる、こうした好ましい国際環境をつくっていく、こうしたことにつなげていかなければならないと思います。そして、そのことが、ひいては我が国の国益にもつながっていく。こうした議論を国際社会の中で展開していく、こういった議論をぜひことしリードしていきたいということを強く思っています。

 ぜひ、こうした全体像を念頭に、ことし我が国に与えられた大きな職責、国際社会における責務を果たしていきたいと考えています。

吉良委員 大臣、ウルグアイの元大統領で、ムヒカ大統領という方がおられます。環境を議論したリオデジャネイロ会議で有名な演説をされておりますけれども、その内容については御存じでしょうか。

岸田国務大臣 知っているかという御質問でありますので、事前にちょっと確認をしてまいりました。承知をしております。

吉良委員 それでは、現在、アメリカの大統領選挙において民主党のバーニー・サンダース候補がかなり活躍をしておられるというふうに思いますけれども、このウルグアイのムヒカ大統領の演説、それからアメリカにおいてバーニー・サンダース氏が活躍している、このことで共通することはどのようなことだと思われますでしょうか。

岸田国務大臣 まず、アメリカの大統領選挙の候補者の発言について、今、米国国内の選挙が続いている最中ですので、私の立場から何かコメントするのは控えなければならないとは思いますが、あえてその上で、御質問の、ムヒカ・ウルグアイ大統領の発言そしてバーニー・サンダース氏の発言の共通点としては、要は、従来の発想の転換、従来多く広まっている発想を転換しようということについては共通しているのではないか、このように認識をいたします。

吉良委員 私もムヒカ大統領がどういう演説をしたかということも披露したいんですが、時間的に限りがありますので。あえて言いますならば、共通していることというのは、ポスト成長だというふうに思うんですね。

 先進国が今直面している課題というのは、ずっと成長が社会を豊かにして人々に幸福をもたらすということで走ってきた社会が、その資本主義の、市場経済の権化であるアメリカにおいてすら、それで本当にみんなが幸せになるのかということが意識され始めて、議論され始めて、日本でもしかり、先進国の多くが実体経済の成長の限界を何とか克服するために金融経済に手を出して、それがまたバブルではじけて、その後また金融緩和をしてと、これを繰り返していく。

 この中で、今申し上げたように、成長で全てが解決するのかということが問われ始めているというのが今の世界。そしてまた、世界をリードしてきた先進国においてもそのことが国民の多くに意識され始めている。だから、ピケティあたりがこれだけ読まれ、共鳴をされているんだというふうに思っているんですね。

 私自身は、自分自身もある意味では成長を具現化する企業戦士として走ってきたこともあり、ある時期は、新自由主義者だと言われるぐらい、市場経済を重んじる立場でずっと来たわけでありますけれども、それでも、やはり今世界が直面している、特に先進国が直面しているこの問題については、実は真摯に向き合い始めなければいけないんじゃないかというふうに思っています。

 だから、そういう意味で、私自身は、G7における議論もポスト成長ということを、いきなりそういう言葉を投げかけると余りにも刺激的だし、協調して世界経済を守り立てなければいけない、その機関車役をやらなければいけない日本からしてみると総スカンを食らうこともあるので、そういう意味では言葉を選んだりしなければいけませんけれども、やはりこの先進国会議においてはそこを意識した議論が必要だというふうに思うんですね。このことについては、大臣、どう思われるでしょうか。

岸田国務大臣 御指摘の点については大変興味深く聞かせていただきました。

 それに対する評価につきましては、先ほど、質問の流れとして、アメリカの大統領選挙とも絡めての御質問でしたので、ちょっと直接申し上げるのは控えたいと思いますが、そういった議論がある、そういった指摘につきましては興味深く聞かせていただきました。

 そして、G7の議論の中にそれを盛り込むかということについては、これは今現在各国とも調整しておりますので、今のところ何も決まっておりません。引き続き、これから調整をしていくことになると考えます。

 とりあえず、御意見は興味深く承らせていただきました。

 以上でございます。

吉良委員 ポスト成長とかいうと、今、安倍政権そのものが成長をどうやって取り戻すかということを至上命題としていますので、日本からそういうことを取り上げて議題に出すというのは正直、非常に政治的には難しいというふうに思っていますが、どこかにそこに対する問題意識を持っていないと、これからの国際社会の中では、まさに国際社会をリードしていけない。大臣の所信の中で、国際社会をリードしていくという強い意思がありますので、私はあえてそのことを申し上げているんですね。

 ですから、私自身も大の推進派であるTPPについても、一方では、先進国社会、先進国経済の日本においては、成長と同時に、ポスト成長というものを考えながら国内を運営していかなければいけない。だけれども、一方で、日本がずっと得意としてきた、培ってきた中で、成長そのものを追求していける領域がまだまだあるわけですね。

 そういう意味で、TPPもしかり、これまでも締結してきたし、締結しようとしている経済連携も、一方では、日本が得意としてきた成長モデル、それを生かせる場としてどんどん拡大していく、だけれども、一方では、先進国国内、日本の国内においては、さっき言ったようなことも意識しながらの運営が必要だろうということを指摘しておきたいというふうに思います。

 もう時間が限られてきました。

 あと、大臣所信の中で、オーストラリアとの協力について「基本的価値と戦略的利益を共有し、特別な関係にある豪州との協力関係、日米豪の協力を一層強化します。」それから「基本的価値を共有する欧州各国との関係を、」というくだりもあります。

 ここで、基本的価値を共有するということをあえて大臣が強調するという意味は何なのか、その意義が日本の外交上にあるのかということについてお聞きしたいと思います。

岸田国務大臣 まず、基本的価値、自由とか民主主義、法の支配、人権、こういったものを指しているわけですが、国際社会にとって、こうした基本的な価値は土台になっていると認識をしています。そして、我が国の経験を考えましても、こういった普遍的な価値が実現してこそ、政治的な安定ですとか経済的な繁栄、これを持続的に達成することができてきたという貴重な経験を我々は持っていると考えます。

 こうした普遍的な価値を重視する考え、これは、国連憲章ですとか世界人権宣言ですとか、先進民主主義国家間の諸条約あるいは国際的な政治宣言、こうしたさまざまなところで見ることができ、国際社会として共有されているとも認識をしています。

 こうした基本的な価値ですが、これは、例えば先日の北朝鮮による核実験あるいはミサイルの発射という事例を挙げてみても、こうした行動に対して国際社会が結束する際に、こうした基本的な価値観を重視するという考え方は大変重要であると思います。こうした北朝鮮の対応が基本的な価値に対する挑戦であるということで国際社会が結束する、こういった形で基本的な価値を大切にする意味があるのではないか、このようにも考えますし、また、人間の安全保障の促進ですとか女性の人権の擁護、こういったことを考えた際にも、この基本的な価値を重視するということが、さまざまな問題を未然に防ぐためにも大変重要な議論なのではないかと思います。

 このように、国際社会の結束ですとか、さまざまなグローバルな課題に対応していくために、この基本的な価値というものを重視していくという考え方は大切にしていかなければならない考え方なのではないか、このように私は考えます。

 そういった観点から、外交において、基本的な価値、自由や民主主義や法の支配や人権、こういったものを大切にしていきたいと考えているところです。

吉良委員 わからなくもありませんけれども、私は、あえて、そういう基本的価値を共有するから大事で、そうじゃなければ違いますよと、そう線引きする必要はないというふうに思っています。

 それと、今大臣がおっしゃられた中で、女性の人権を守る、これは大変重要なことで、普遍的価値だというふうに思っています。だけれども、一方で、我が国の国体でもある天皇制について、私自身は、女性・女系天皇には反対であります。男子男系、これは世界の標準から見たときにそうなのか、だけれども、我が国の伝統であり、我が国の歴史そのものであるという観点から、やはり守っていかなければいけない。

 そういう意味も含めて、もうちょっと言えば、先ほどISとの闘いのことを話しましたけれども、今、ある意味では、イスラム圏とキリスト圏とでもいいますか、そこのある種文明的対立というのは、やはり、その価値観はこれが自然なんだ、これが普遍的なんだというところとそうじゃない、この価値観の衝突で起こっているのではないかというふうに私自身は思っています。

 ですから、あえて価値観を共有するとかいうことを外交の前面に出さなくても、大事なところは大事にしていけばいいんですよ。

 もうちょっと言えば、今言った、分明圏的、文明の衝突みたいな状況が世界を不安にさせている今日、日本が打ち出すべきは、まさに、やおよろずの神を信じてきた、多様性を認めていく、あらゆることを受け入れていく、このことを、この価値を、日本独自の、まさに歴史も含めた価値を発信していくことの方がより重要なんじゃないでしょうか。いかがですか、大臣。

岸田国務大臣 もちろん、基本的な価値を共有しない方々や国を一方的に排除するという意味ではありません。基本的な価値を大切にすることによって大きな成果も上がるのではないか、よって、外交において大事にするべきだということを申し上げているわけです。ですから、基本的な価値を大事にはしたいと思いますが、こうした価値を共有しない方々とも意思疎通を図る、あるいはさまざまな考え方を共有する、こういった努力も外交においては重要だと考えます。

 繰り返しますが、基本的な価値を共有しないからといって排除する、そういった考え方に立っての発言ではないということを申し上げたいと思います。

吉良委員 そうであれば、基本的価値を共有する国と二国間で外相会談をやる、首脳会談をやるときに、お互い大事な基本的価値を共有していますねと言えばいいので、わざわざ外交演説または大臣所信の中でそういうことを強調する必要は私はないというふうに思いますよ。

 それよりも、先ほど言いました、繰り返しますけれども、ことしは日本が世界をリードしていく、国際社会をリードしていくということを強く大臣自身が思っておられるわけですから、そういう意味では、日本ならではの価値観、それでいて今国際社会が必要としているであろう価値観、それは多様性の尊重ですけれども、そこをもっと前面に打ち出していくべきだというふうに思っています。何かございますか。

岸田国務大臣 御指摘はしっかり受けとめます。

 ただ、基本的な価値は外交において大切にしたいという思いは、ぜひ大事にはしていきたいと思います。その上で、基本的な価値を共有しない国や人々との意思疎通も図っていく、そういった姿勢で努力をしていきたいと考えます。

 いずれにせよ、御指摘は踏まえながら、今後についていろいろ考えてみたいと思います。

吉良委員 ありがとうございます。

 これで終わります。ありがとうございました。

岸委員長 次に、笠井亮君。

笠井委員 日本共産党の笠井亮です。

 きょうは、自衛隊と他国軍との共同軍事訓練にかかわって質問をしたいと思います。

 自衛隊は、毎年タイで実施される、コブラゴールドと呼ばれる米軍主導の、東南アジアで最大規模と言われる多国間軍事訓練に参加をしております。このコブラゴールドについて、昨年二月に行われた、安倍総理とタイのプラユット首相との首脳会談の中で取り上げられて、両首脳による共同プレス声明にもこのことが盛り込まれております。

 岸田大臣に伺いますが、具体的にどのように共同プレス声明の中で触れられているか、お答えください。

岸田国務大臣 昨年、プラユット・タイ首相が三度訪日をされました。こういった機会を通じまして、日・タイ首脳会談、四度実施をされました。

 これらの会談を通じまして、長く緊密な友好関係に基づく日・タイ両国間の戦略的パートナーシップが着実に強化されたわけですが、このうち、昨年二月のプラユット首相訪日時に、両国首脳は、訪日の成果をまとめた日本・タイ共同プレス声明を発出いたしました。

 そして、その中での表現ぶりですが、「両首脳は、コブラ・ゴールドの一連の演習への参加を含む、長年にわたる安全保障・防衛面での両国の活発な交流・協力を高く評価した。特に、両首脳は、日本国自衛隊が二〇一五年にタイで行われるコブラ・ゴールド演習へ参加することを歓迎した。両首脳は、様々な分野における、安全保障・防衛面での可能な協力を一層促進するとの認識で一致した。」このように言及されています。

笠井委員 そのコブラゴールドでありますけれども、ことしも一月の十九日から二月十九日まで、コブラゴールド16というふうに言われておりますけれども、実施をされました。

 そこで、若宮防衛副大臣にお越しいただいておりますが、伺いたいと思います。

 このコブラゴールドというのは、一体どんな訓練なのか、その訓練の背景、それから、自衛隊が参加する目的、ことしはどんな訓練に何人の自衛隊員が参加をしたのか、お答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 笠井委員には、私が防衛政務官のときにもたびたび御指名をいただきまして、ありがとうございます。また、本日も御指名をいただきまして、重ねて御礼申し上げます。また、いっとき体調をちょっと崩されておられましたが、大変お元気になられたということで、御自愛申し上げます。

 その上で、今御質問をいただきましたので、御答弁を申し上げます。

 私ども防衛省・自衛隊は、今委員御指摘のように、本年の一月から二月にかけまして、タイで行われました多国間訓練、コブラゴールド16に、人員約三百名に加えまして、艦載機一機を含みます海上自衛隊の護衛艦を一隻、それから航空自衛隊の輸送機一機等で参加をさせていただきました。

 本訓練につきましては、私ども防衛省・自衛隊は、任務遂行に必要な能力の向上、それからまた、関係国間の相互理解の促進や信頼関係の強化を図ることを目的といたしてございます。

 各種訓練のうち、海賊対処に係る指揮所演習、また、衛生及び建設にかかわります人道民生支援活動、並びに在外邦人等輸送訓練に参加をいたしております。

 以上でございます。

笠井委員 確認ですけれども、このコブラゴールドというのは、今説明がありましたが、PKO、国連平和維持活動などの国際活動に焦点を当てた多国間の共同訓練として実施されているということだと思うんですが、そこはいかがですか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘のとおりでございます。

笠井委員 統合幕僚監部の公表資料を見ますと、過去五年間の自衛隊のコブラゴールドへの参加状況でありますが、こうなっておりました。

 二〇一一年に六十名、それから二〇一二年が七十名、それから二〇一三年が八十名、二〇一四年が百名、そして二〇一五年が百名というふうに推移をしておりますが、それが、今回、ことしの場合は三百名ということで、昨年比で三倍、五年前と比べると五倍に激増しているわけですが、その理由はなぜでしょうか。

若宮副大臣 今回は、護衛艦も参りまして、訓練の内容に応じまして少し人数がふえているというふうに御了解いただければと思っております。

笠井委員 今、護衛艦ということでお話がありまして、そういう点では「まつゆき」が参加をしたということも承知しておりますが、それでふえているということでありますけれども、昨年より参加が増加したのは海上自衛隊だけではないと思うんですね。陸上自衛隊からの参加についても、二〇一五年が四十五名だったわけですけれども、今回は七十名ということで一・五倍にふえているわけですが、この理由は何でしょうか。

若宮副大臣 お答えさせていただきます。

 陸上自衛隊に関しましては、今回は車両を現地の方へ持ち込みましたこと、それからまた、国際平和協力活動における施設建設に必要な能力の向上ということを目的といたしまして、建設に係る人道民生支援活動ということで参加をさせていただいているところから人数がふえてございます。

笠井委員 このコブラゴールドは、PKOなどに焦点を当てた訓練ということで、先ほどもそうであるというふうにお答えもあったわけですけれども、昨年九月に強行された安保法制、ここでは国連PKO等における自衛隊の任務が拡大をされて、安全確保業務や、それから他国軍の部隊などを救出する駆けつけ警護が新たに追加をされました。また、武装集団などを排除する任務遂行のための武器使用ということも認められたわけですけれども、そういうもとで、今回のコブラゴールドは、この安保法制成立後初めての訓練だったわけであります。

 陸上自衛隊からの参加がふえたというのは、今説明があって、車両を持ち込んだとか、施設建設で人道民生支援というような話があるからだというのがあったわけですけれども、安保法制成立後でふえているということでいうと、この安保法制に基づく海外任務の拡大と関係があるのかどうか、この点についてはどのように考えていらっしゃるか、お答えください。

若宮副大臣 今委員御指摘のように、昨年の九月に安保法制を成立をさせていただきましたが、コブラゴールド16の訓練内容につきましては、平和安全法制により新たに行うということの任務には全く含まれてございません。

笠井委員 全く含まれていないということでありますけれども、自衛隊員とその家族向けの機関紙、防衛ホーム新聞というのがありますが、昨年三月一日付を見ますと、コブラゴールドは各国が自国の法律の範囲内で作成した計画に基づいて翌年のコブラゴールドで演習されるというふうにあります。

 この報道どおりであるならば、自衛隊は今回のコブラゴールドに、安保法制、つまり、昨年法制度をつくったわけですが、これを受けて作成された計画に基づいて、翌年、つまり、ことし訓練に参加したことになるわけですけれども、そういうことじゃないんですか。

若宮副大臣 昨年成立をさせていただきました平和安全法制につきましては、法律に定められたさまざまな任務をもしも適切に遂行するためには、部隊の運用構想についての検討ですとか、あるいは内部規則類の検討、整備、また、訓練の実施のための必要な準備、それからまた、所要の訓練を実施してその結果を必要に応じてフィードバックするなど、慎重を期して任務の遂行のための能力を高める必要があると考えているところでございます。

 現在、平和安全法制の施行に向けて、こういった各種の準備、検討を行っているところでございまして、訓練の開始時期なども含めて、具体的な方針というのは決まっているわけではございません。

 こういったところから、コブラゴールドのような多国間訓練におきましても、平和安全法制に関する訓練等というのは実施をいたしていないところでございます。

 いずれにいたしましても、私どもといたしましては、与えられた任務を適切に遂行できますよう、平和安全法制の施行に向けて必要な、所要の準備、検討は行ってまいりたいというふうに考えております。

笠井委員 今、準備、検討が十分に必要なんだ、いろいろな検討を行っていきたいという話だったんですけれども、今答弁の中でも、準備、検討という中に、訓練のための準備というのがありましたし、それから所要の訓練の実施というようなことも、今、法制が成立した後、あるという話がありました。

 所要の訓練の実施という中に、このコブラゴールドというのは含まれていないということですか。

若宮副大臣 現時点では含まれてございません。

笠井委員 現時点ではということは、今後、そういうことも含めて、やはりコブラゴールドも位置づけになっていくということは考えているということでしょうか。

若宮副大臣 コブラゴールドに限らずですけれども、やはり平和安全法制の施行に向けてさまざまな課題について検討を進めてまいりたい、このように考えております。

笠井委員 コブラゴールドに限らずということで、さまざまなということですから、そういうこととして、このことも含めてやっていくということを検討するということを言ったんだと思います。

 別の角度から伺いたいと思いますが、統合幕僚監部の公表資料によれば、このコブラゴールドには陸上自衛隊から毎年中央即応集団という防衛大臣の直轄部隊が参加をしております。

 中央即応集団のことし一月一日付の広報紙、CRFというのがあります。私もここにコピーを持ってきましたが、こういうものですけれども、結構いろいろなことが書いてあります。そうした公表したもの、あるいは、それ以外の自衛隊関係の文書あるいは資料などにも、具体的に、そういうことについて、中央即応集団の直轄部隊がコブラゴールドにいろいろかかわっているということについて述べていると思うんです。

 政府が安全保障法制に基づいて新たな任務の付与を検討している南スーダンのPKO、これにどういう部隊が行っているかということについて、先ほどのCRFなどにも書かれているわけですけれども、中央即応集団隷下の司令部付隊、中央即応連隊、中央特殊武器防護隊あるいは国際活動教育隊といった所属部隊が派遣をされているということは間違いないでしょうか、南スーダンに。

若宮副大臣 南スーダンの派遣施設隊を編成するに当たりましては、委員おっしゃるように、陸上自衛隊の各方面隊をまずは基幹といたしまして、さまざまな部隊から活動に必要な人員を選定いたしております。

 御指摘の中央即応集団につきましては、南スーダンPKOへの第一次要員派遣の際に、中央即応集団を、一部北部方面隊も含まれますけれども、基幹として派遣施設隊を編成させていただきました。

 また、二次要員以降でございますけれども、各方面隊の師団それから施設団を基幹単位といたしまして、施設要員を中心といたしまして、派遣施設隊の活動に必要な要員として、中央即応集団を含む他の部隊からも一部要員を集めて派遣いたしているところでございます。

笠井委員 私が具体的に伺った司令部付隊とか中央即応連隊、あるいは中央特殊武器防護隊、国際活動教育隊といった所属部隊が、これは中央即応集団の所属部隊ですが、これが南スーダンPKOに派遣されているかどうか、これはどうですか。

若宮副大臣 この中央即応集団には、国際平和協力活動を実施する上で必要な教育を平素から実施することを任務といたします国際活動教育隊というのがございます。主として、この同部隊から派遣をいたしております。

笠井委員 それ以外に、私が指摘した中央即応集団隷下の部隊が行っているかどうか。今、国際活動教育隊については行っているという話でしたが、それ以外はどうですか。

若宮副大臣 ただいま申し上げた部隊以外も参っておりますが、詳細についてはお答えを差し控えさせていただければと思っております。

笠井委員 差し控えるような理由があるんでしょうか。

 私、先ほど言いましたCRFという中央即応集団の機関紙、ここに、行ってきましたと書いてあるんですけれども、具体的に司令部付隊とか書いてあって、これも別に秘密の資料でも何でもないんですが、答えを差し控えなきゃいけない理由があるんですか。

若宮副大臣 委員今お手元に持っておられる資料、確かにあるかと思いますが、具体的な部隊の内容につきましては差し控えさせていただければと思っております。

笠井委員 差し控えなきゃいけない理由は何ですか。はっきり言って、公表していますよね、CRFの機関紙というので。うちから行っていますと書いてあるんですけれども。それから、別のところでも、中央即応連隊も、こうやってホームページを見ると出てきて、南スーダンに派遣していますと書いてあるんですけれども。

 差し控えなきゃいけない理由は何でしょうか。

若宮副大臣 差し控えるというのは、今私は手元にはそれを持ち合わせておりませんものですから、具体的に今お答えが、ちょっとその手元に書いてある部隊の名前がわからないんですが、全体として、何がという細かい詳細につきましては差し控えさせていただければということでございます。

笠井委員 なぜ差し控えるかという理由なんですけれども、今副大臣、それはもちろん手元にないかもしれないですけれども、後ろに職員の方がいらっしゃって、資料もちゃんと持ってやっているわけですよね。なぜそんなに断らなきゃいけないのかなと思うんですが。

若宮副大臣 大変恐縮でございますが、今ちょっと手元に資料としてございませんものですから、別途またお答えさせていただければと思っております。

笠井委員 別途しっかり答えてもらいたいと思うんですが、いずれにしても、中央即応集団隷下の部隊が参加しているということで否定はされないわけです。コブラゴールドに参加している中央即応集団というのは、政府が新たに任務付与を検討している南スーダンPKOにも所属部隊を派遣しているという事実がある、ここは間違いない話であります。その詳細については、またしっかりと出していただきたいと思います。

 委員長、お願いします。

岸委員長 はい。

 よろしいですか。

笠井委員 今、はいと言ったんですね。

岸委員長 はい。

笠井委員 委員長がよろしいですかと、はいと今防衛副大臣が言われました。

 では、中央即応集団の任務というのは何ですか。

若宮副大臣 中央即応集団と申しますのは、ゲリラですとか特殊部隊によります攻撃などの各種事態が生起をいたしました場合に、機動運用部隊や、あるいは各種専門部隊を各地に迅速に提供するとともに、国際平和協力活動に係る教育訓練などを実施することを任務といたしてございます。

 中央即応集団には約四千百名の人員がおりますが、具体的には、航空機から落下傘降下による機動展開をいたします第一空挺団が約二千百名、また、ゲリラ、特殊部隊によります攻撃に対処することを任務といたします専門部隊であります特殊作戦群が約三百名、また、災害派遣や国際緊急援助活動等の輸送を任務といたします第一ヘリコプター団が約七百五十名、いわゆるNBCでございます、核ですとか生物化学兵器でございますが、これが使用された場合におきます汚染地域の除染などを任務といたします中央特殊武器防護隊が約二百名、また、国際平和協力活動を実施する上で必要な教育を平素から実施することを任務といたします国際活動教育隊というのが約八十名、ゲリラ、特殊部隊による攻撃などの各種事態が発生した場合におきまして、重要施設が集中するような地域におけます各方面隊を増援するとともに、国際平和協力活動の先遣隊の要員として派遣をいたします中央即応連隊が約七百四十名ということなどの部隊から編成をされているところでございます。

笠井委員 今説明ありましたが、ゲリラや特殊部隊の攻撃に対処するという任務を持つ中央即応集団が毎年コブラゴールドに参加するという理由は何でしょうか。何のために。

若宮副大臣 それは、各部隊が任務遂行あるいは能力向上のために、共同訓練ということで派遣をさせていただいております。

笠井委員 統合幕僚監部の報道発表によれば、二〇一〇年の二月に行われたコブラゴールド10、ここでは、国連平和維持活動に関する実動訓練に訓練部隊を初参加させたことに加えて、特殊作戦に関する実動訓練に初めて研修要員を派遣したというふうにあります。

 この特殊作戦に関する実動訓練というのはどんな訓練でしょうか。

若宮副大臣 今委員が御指摘になられました、平成二十二年に実施されましたコブラゴールド10でございますが、アメリカとタイ軍の特殊作戦に関する技能等を研修し、また、自衛隊の特殊作戦に関する技能向上の資を得るということを目的といたしまして、アメリカとタイの二国間で行われる特殊作戦訓練にオブザーバーとして派遣をさせていただきました。

笠井委員 中央即応集団の所属部隊には、みずからを陸上自衛隊で唯一の特殊部隊と称する特殊作戦群という専門機能部隊があるわけですけれども、この実動訓練に特殊作戦群が参加しているということではないんですか。

若宮副大臣 委員が御指摘の平成二十二年のものにつきましては、あくまでも自衛隊の特殊作戦の技能向上の資を得るというための目的でございまして、具体的な部隊の特殊作戦に関する参加を前提としているということではございません。

笠井委員 参加を前提としているわけではないと言われたんだけれども、では、米、タイでやっているものについてオブザーバー参加したのは、どこが参加したんですか、どの部隊が。

若宮副大臣 今、アメリカとタイの二国間で行われました特殊作戦訓練に確かにオブザーバー、派遣をさせていただきましたんですが、具体的な人数とか詳細についてはお答えを差し控えさせていただければと思っております。

笠井委員 今度もまたそうなんですね。先ほどの中央即応集団でどの部隊かということを聞いたときもそうなんだけれども、防衛省みずからが、あるいは自衛隊みずからが公表していながら、委員会で質問すると、詳細については控えるという話になっちゃって。

 今もそうですけれども、防衛省みずからが特殊作戦に関する実動訓練への参加というのを発表しているわけですね、今、オブザーバーという言い方はしたけれども。しかし、そこに行ったということを言ったのに、中身についてただされると、答えを差し控える、説明しないというのは、私は認められないと思うんです。

 どんな訓練を行ったのか、どの部隊が、オブザーバーだったらオブザーバーでもいいですけれども、そこに参加していたのか、自衛隊のどの部隊が行っていたのかぐらいはしっかり言うべきじゃないですか。

若宮副大臣 今委員が御指摘で、全てのものを公表した方がよろしいんじゃないかというようなお話向きでございますが、さまざまな観点から考えますと、どの部隊がどういった中身でどういった訓練をしたかという細かいところにつきましては、やはり安全保障上の観点からもお答えを差し控えさせていただければと思っております。

笠井委員 全てを公表しろと言われるという話ですけれども、さっきだって、中央即応集団、自衛隊自身の部隊が機関紙でも明らかにして、私たち行ってきましたといったことについても、個々には言えないという話で、言わないわけでしょう。

 安全保障上の話じゃないですよ。それだったら、自衛隊の部隊や防衛省自身が何でそういうことを発表したり出したりしているわけですか。この委員会で聞いたら、出しているものも言えないという話では、安全保障の話と全然違うじゃないですか。それはやはりおかしいんじゃないですか。

 特殊作戦群が参加していたのかどうかということについては言えるでしょう。

若宮副大臣 中央即応集団自体がコブラゴールドに参加したということは確かに申し上げることは可能なんでございますが、個別の隷下にある部隊でどの部隊が何人という詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただければということでございます。

笠井委員 いずれにしても、先ほどからやっておりますけれども、中央即応集団のどの部隊が南スーダンに行ったかというのは発表しているのに、ここでは具体的には言えないと言って、教育のものだけ言うという形だったわけですが、私はそういう態度ではだめだと思うんですね。先ほど冒頭に大臣にも伺ったわけですけれども、首脳会談でコブラゴールドについての参加ということについても盛り込まれてやってきたという話の中で、やはりそういう点ではしっかりと明らかにすべきだと私は思います。

 そこで伺いますが、防衛庁時代ですけれども、運用局の訓練課がまとめた平成十四年度の政策評価書というのがございます。

 その中で、これが政策評価書、総合評価ということで、この文書があるわけですけれども、これによりますと、二〇〇一年のコブラゴールドに、当時、防衛庁・自衛隊から八名が参加したとあります。このときに実施された交換訓練、部隊が実際に動いて実施する交換訓練では、比較的小規模な陸軍及び海兵隊の部隊によるサバイバル技術や人質救出等に係る基本的な技量向上のための訓練が行われたというふうに明記をされております。

 このように、先ほどの説明にはなかったんですが、コブラゴールドでは、参加国が米軍などとともにサバイバル技術や人質救出訓練を実施しているというわけであります。自衛隊が派遣したという特殊作戦に関する実動訓練というのは、この人質救出訓練ということじゃないんですか。

若宮副大臣 私、ちょっと手元に資料がないんですが、今委員がお示しになった資料というのはたしか二〇〇一年のものというふうに伺っておりますが、コブラゴールドに参加をいたしましたのが二〇〇五年からでございますから、ちょっと資料を拝見していないものですから何とも言えないところでございますけれども、二〇〇五年から参加をさせていただいているということでございますので、委員の御指摘はちょっと当たらないのかなというふうに思っております。

笠井委員 私、これは文書があるんですけれども、防衛庁の文書で。

 二〇〇一年、確かにオブザーバー参加ですよ。だけれども、オブザーバー参加で八名参加したといって、評価書が出ているわけです。その中で、私が今引用したような形で、交換訓練の中でのサバイバル技術や人質救出に係る基本的な技量向上のための訓練が行われているということが書かれているわけで、結局、このコブラゴールドというのは、参加国が米軍などとともにそうしたサバイバル技術や人質救出訓練を実施しているというもとで、自衛隊が派遣したという特殊作戦に関する実動訓練、これは二〇一〇年に初めて参加したというわけですけれども、それはそういう人質救出訓練のことじゃないんですかということを聞いているんです。

若宮副大臣 二〇〇五年からということで参加をさせていただいておりますが、私どもといたしましては、今回で十二回目ということになるわけでございますけれども、当初の、例えば二〇〇五年では指揮所演習ですとか、あるいはその翌年でもやはり指揮所演習と。具体的に、人道民生支援活動、これは主に医療がメーンになってきておりますが、そういった活動に参加したのが二〇〇七年以降ということでございまして、それからまたさらに、在外邦人等の輸送に関しましてもその以降ということでございます。

笠井委員 違うんですよ。私がさっきから質問している話で、二〇一〇年に統合幕僚監部の報道発表で、特殊作戦に関する実動訓練に初めて参加したというふうに、研修要員派遣と書いてあるということを言っているわけですね。それをやってきたわけです。

 もとをたどると、ここに防衛庁当時、評価書の中に、「コブラゴールド01演習へのオブザーバー参加」とあるんですよ。そこに八名参加したと書いてあって、どういう演習が行われたか、アメリカ、タイなど含めてやったということが書いてあって、今申し上げたようなサバイバル訓練とか、そういうのがやられているというのをオブザーバーで見てきたというわけでしょう、やってきたというわけでしょう。

 そういった中に人質救出という話が、実際訓練をやられているという話だったから、結局、二〇一〇年に初めて参加したという特殊作戦に関する実動訓練というのは、そういう訓練が入っているんじゃないかと聞いているわけですよ、人質救出訓練が。

若宮副大臣 今、私、手元には委員のお持ちの二〇〇一年のものというのがないものですから、何とも申し上げられないところもあるのでございますが、基本的には、このコブラゴールドというのはアメリカとタイが共同訓練ということでいたしているわけでございまして、私どもはあくまでもそこに参加をさせていただいているというところでございますので、具体的に、人質救出作戦というのを何かやったとか、そういったことではございません。

笠井委員 私は、きょうコブラゴールドについて質問しますということで具体的に昨日も通告いたしていますので、オブザーバー参加を含めて私もそうやって調べているわけですから、資料が手元にないということ自体が私は非常に問題だと思います。

 今言われた形で、二〇〇一年の際も、アメリカとタイの間でやっているというのをオブザーバーとして参加しているという中に、さっきも言いましたけれども、サバイバル技術とか人質救出に係る基本的な技量向上のための訓練が行われたというふうに防衛庁自身が報告しているわけですよ、行った結果として。

 そういうのを見てきているということをやっていて、あと、二〇一〇年、例えばということで、さっき言ったように、そこで、特殊作戦に関する実動訓練に初めて研修要員を派遣したというふうに、これも統幕監部がちゃんと報道発表しているわけですから、その関係を聞いているので、そういうのをごまかしちゃだめだと思うんですよ。しっかりと確認して答えてもらいたいと思います。

若宮副大臣 今委員のお手元にある資料、二〇〇一年の資料も含めまして、しっかりと確認させていただきたいと思っております。

笠井委員 これでは、本当に充実した質疑ができないと思うので、しっかりそこのところはやってもらいたいと思います。

 私は、先月の二月二十九日の予算委員会で、防衛省が、PKO法の改正に伴って、駆けつけ警護などで、武装集団の監視要員を狙撃、射殺することを前提とした人質救出、奪還作戦を秘密裏に想定、検討している内部文書を示して、安保法制上そうした作戦が排除されていないことをただしました。防衛省の政策評価書によれば、コブラゴールドではまさにそうした人質救出訓練が行われているということだと私は思うんです。

 ことしのコブラゴールドで、陸上自衛隊の参加がふえました。なぜふえていたかといえば、特殊作戦群など中央即応集団の所属部隊が、特殊作戦に関する実動訓練として法律上可能となった人質救出訓練などに参加したためだ、こう見るのが自然だと思うんですけれども、そういうことじゃないんですか。

若宮副大臣 この一、二月に派遣をいたしました訓練では、今委員が御指摘になられたような訓練というのは参加をいたしておりません。従来の訓練の延長ということで参加をさせていただいております。

笠井委員 そういうふうに言われますけれども、コブラゴールドでの人質救出訓練の事実というのは、先ほど承知していないという話があったわけですが、なぜ、そういう中で参加していないという形で言い切れるのかというのが、私は非常に疑問であります。

 岸田大臣に伺いますが、コブラゴールドには、在タイ日本大使館を初めとして、在外公館など外務省職員も、五十名余りというふうに伺っていますけれども、参加していると承知しておりますが、その訓練に、安保法制成立後、日本がどのようにかかわっているのか、本来明らかにすべきことも明らかにしない、そういう政府の姿勢では問題ではないかと思うんですけれども、公表すべきことはきちんと公表するのが、政府としても当然のことではないか。

 首脳間でコブラゴールドについても議題になって、そして参加ということも共同プレス発表でも出ているような状況ですから、それについて、やはり公表すべきことはする、これは当然だと思うんですけれども、その点についての大臣の所見を伺いたいと思います。

岸田国務大臣 このコブラゴールドの重要性に鑑みて、外務省からも、二〇〇八年以降、訓練項目の一つであります在外自国民等輸送訓練に外務省職員を参加させております。

 そして、自衛隊員と連携しながら、在外邦人等の輸送を円滑に実施するための能力強化を図ってきているところですが、その中で、本年の訓練においては、自衛隊の車両を使用して邦人の陸上輸送訓練が初めて行われました。また、二〇一三年のアルジェリアの邦人人質テロ事件の際に発足しました海外緊急展開チーム、ERT要員や、在外公館の医務官も参加をいたしました。気候や言語等日本と異なる環境において、より実際のオペレーションを意識した有意義な訓練になったと認識をしております。

 外務省としては、平素からこうした訓練を通じて、在外邦人の安全対策の強化について万全を期していきたいと考えます。

 なお、申し添えますが、この訓練は現行法制を前提として行われたものであると認識をしております。

岸委員長 時間が来ております。もうまとめてください。

笠井委員 はい。時間が来ましたので終わりますが、現行法制には安保法制が含まれているということになります。

 若宮副大臣には私の体調のことも触れていただきましたが、おかげさまで復帰できましたので、引き続きただしていきたいと思います。

 終わります。

岸委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 おおさか維新の会の丸山穂高でございます。

 岸田大臣とは、予算委員会、あとは、去年はたしか安全保障法制の特別委員会で何度もお話をさせていただきました。外務委員会、実は初めてでございまして、大臣とは何度かやりとりさせていただいているんですけれども、委員会では初めてでございます。

 なので、きょうはいろいろな観点から、大臣の外交の御所見、特に、臨時国会がありませんでしたので、そういった意味でお伺いしていきたいなというふうにけさまで思っていたんですが、ちょっと質問の順番を変えさせていただいて、非常に国として大事な部分だと思いますのでお伺いしていきたいんですけれども、いわゆる慰安婦問題に関して、国連女子差別撤廃委員会の最終見解が出ております。その話を先にさせていただきたいと思います。

 まず、けさの新聞を見て驚きまして、まさか皇室典範まで今回の女子差別撤廃委員会で話が出ていて、それが、記事によると、撤回を日本政府から言って、最終的には撤回されたけれども、ぎりぎりのところまで入っていたというような記事まで出ていたので、この問題も含めてお伺いしていきたいんです。

 まず、全体的に大臣にお伺いしたいんですけれども、今回出た最終見解についてどのように受けとめられているのか、政府として、大臣としてお答えいただけますでしょうか。

岸田国務大臣 今回の女子差別撤廃委員会の最終見解ですが、内容におきまして、まず申し上げなければいけないのは、慰安婦問題における取り扱いであります。

 慰安婦問題については、二月十六日、対日審査が行われて、日本政府より、事実関係あるいは政府の取り組みについて説明を行いました。

 そして、そうした中で、今回の最終見解では、性奴隷という表現ではなくして、慰安婦、英語でコンフォートウイメンですが、こうした用語に統一されているということは確認されています。

 他方、三月七日に発出されたこの最終見解、日韓合意は被害者を中心に据えたアプローチを採用していないと批判するなど、日本政府の説明内容を十分踏まえておらず、これは極めて遺憾であり、受け入れられないと考えます。

 日韓合意につきましては、最終的、不可逆的に解決されることを確認したものですが、潘基文国連事務総長を初め、米国、英国などもこれは歓迎をしています。こうした国際社会の受けとめ方と最終見解の内容はかけ離れており、見解中の批判は当たらないと我々は認識をしております。

丸山委員 詳しく、細かいところをお伺いしていきたいんですけれども。これは大臣じゃなくて事務方の方で構いません、お答えいただきたいんですけれども、慰安婦の問題も大事な問題で、まずこれはやりたいんですけれども、その前に、先ほど触れました皇室典範について、この委員会の最終見解で触れられたという報道があります。

 この最終見解で触れられたという報道は事実、そしてそこを政府として削除を求めたと。理由も、その記事では、ジュネーブの日本政府代表部を通じて、十分な議論もない中で皇室典範に対する意見を突然盛り込むのは手続上の欠陥があるという理由と、国民の支持を得ている世界の王室、皇室制度を取り上げるのは不適切だという反論で削除を求めたというのがありますけれども、この最終見解案について削除を求めたというのは事実ですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 外交上のやりとりでございますので、詳細を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、先週末の時点で委員会の方から提示がございました最終見解のドラフトには、皇室典範に関する言及が含まれておりました。

 これを受けまして、我が方ジュネーブ代表部から女子差別撤廃委員会側に対して、この問題について記載することは適当でないということで、記述を削除すべきだというふうに強く申し入れたところでございます。

 今般発出された最終見解から皇室典範への言及が落ちたというのは、委員会側が我が方の申し入れを受け入れた結果であるというふうに認識をしてございます。

丸山委員 明らかに内政干渉ですし、的外れで、そして、その国の歴史とか伝統とかそういったものを踏まえていない。それを言い出したら、ローマ教皇庁のあるバチカン市国はどうするんだ、またイスラム圏のある王国でも、いろいろな国が同様の制度をとっているわけで、そういった現状、伝統や歴史といったものを無視して内政干渉をしてくることに、私はすごく、非常に憤りを感じるんですが、その点、大臣、どのように思われますか。

岸田国務大臣 今回の皇室典範に関する委員会における取り扱いですが、そもそも女子差別撤廃委員会におきましては、今日まで、先ほど申し上げました対日審査など、さまざまな議論が行われてきました。その議論の過程においては、皇室典範というのが取り上げられたことは一度もなかったのではないかと認識をしています。よって、最終見解を取りまとめる手続の上からも、これは疑問を感じるところであります。なおかつ、我が国の実情につきまして、しっかり説明をさせていただきました。

 そういったことも踏まえて、最終見解の中には最終的に盛り込まれなかったということになったと認識をしております。

丸山委員 これまでのいわゆる慰安婦の問題も、しっかり外務省の方が言ってこられなかった歴史が私はあると思っていて、それによって、国際社会の中で、さもこの問題が歴史的な事実かのように歪曲して捉えられてしまってきているのが今の状況で、それを何とかようやく直させようという動きになってきた中で、また新たにこういった話が出てきて、これがまたねじ曲げられてというのは非常に問題になると思いますので、しっかりと、そうならないように食いとめていただくような外交をしていただかないとだめだと思います。

 それを言い出したら本当に切りがなくて、次は、相撲は女性差別だとか、琉球にもウタキという男性が入れないのがありますけれども、それは逆に男性差別だとか、あらゆる点で言ってくる可能性があると思いますので、しっかりやっていただきたいんですが。

 そういった意味で、外務省として、このあたり、しっかりと国際社会の中で説明できているかというのは、常々、この外務委員会以外でも、いろいろなところで委員からの御指摘があるところだと思うんです。

 まず、この最終見解についての事実ベースをお伺いしていきたいんですけれども、事務方の方で構いません、お伺いします。

 去年夏に、委員会より日本政府へ、強制連行を証明するものはなかったとの報告を受けたがどうか、見解を求めるという形で来ています。そうした中で、日本政府の回答で、当初は慰安婦問題を否定するような文面が入っていた、しかし、それが結局文書から落とされて、回答から落とされて、口頭での答弁になったんじゃないかという報道があります。

 具体的なその内容は、現に現地で口頭では述べられているんですが、一つは、九〇年代初頭以降の日本政府の調査で、軍や官憲による強制連行を示す記述が見当たらなかったという点。そして、いわゆる吉田証言の記事について、朝日新聞が事実関係の誤りを認め取り消したということ。そして、二十万人という数字が、朝日新聞が慰安婦と女子挺身隊を混同したことがもとになっていて、具体的裏づけがない。そして、女子挺身隊は、労働であって性の相手ではないので、性奴隷という表現は事実に反するんですよ、軍の関与というのは、あくまでも慰安所の設置、移送、医療提供だという旨の口頭の答弁をされたというふうに記事にも出ているんです。

 一方で、これが文書に最初に入っていたのに口頭に変わった、そういう報道がありますけれども、これは事実なんですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 書面回答あるいは口頭での答えということに関しての御質問でございます。

 書面回答につきましては、かねてから国連女子差別撤廃委員会から質問が出されていたところ、昨年末の日韓外相会談におけます慰安婦問題に関する両国の合意を踏まえつつ、慰安婦問題をめぐる現在の状況を丁寧に説明し、理解を得ることが重要との考えのもとで必要な説明を行ったものでございます。

 検討過程については、内部のことでございますのでつまびらかにすることは差し控えたいと存じますが、書面でも口頭でも、慰安婦をめぐります状況を丁寧に説明して理解を得ることが重要であるという考えのもとで、必要な回答を行ったというところでございます。

丸山委員 国連のホームページを見ますと、英文で、日本政府の委員会宛て報告書、委員会への回答があります。それによると、十二月八日付というふうに英語で書いています。

 これは日韓合意とのタイミングとしては微妙なタイミングだと思うんですが、この十二月八日付というのは、日韓合意の後で、逆に修正みたいなことがされているのかというのをお伺いしたいんです。もともとの回答を送って、そしてそれを修正した事実があるかどうかというのはどうですか。

水嶋政府参考人 書面で回答いたしておりますものにつきましては、十二月付ということでございますが、慰安婦の部分につきましては、最新の状況を踏まえて、日韓合意を踏まえた上で提出をしているということで、その旨を明記して先方に文書で提出してございます。

丸山委員 つまり、最初に委員会に出した報告書と、その後修正した報告書があって、修正した報告書は、日韓合意を踏まえて慰安婦の部分が変わったということでよろしいですか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 提出した文書を修正したわけではなくて、提出時期を、慰安婦の日韓合意の後に提出をしたということでございます。

丸山委員 つまり、日韓合意前には提出をしていなくて、そして日韓合意の後に提出をした。それが十二月八日なんですか。

水嶋政府参考人 そのとおりでございます。

丸山委員 日韓合意は、正式には何日ということになるんでしょうか。

水嶋政府参考人 昨年の十二月二十八日と承知しております。

丸山委員 ここをもう一度申しますけれども、国連のホームページの英文では十二月八日提出となっていますが、今のお話だと、八日に出して、二十八日の日韓合意を踏まえた上で修正したということじゃないんですか。

水嶋政府参考人 文書を提出した際に、この回答は十二月八日付である、ただし慰安婦についてはということで、日韓合意の後の状況を報告しているということを明記した上で提出をしております。

丸山委員 外務省の方は未来のことがわかるんですかね。十二月八日に出して、そして日韓合意は二十八日なんですよね。それを踏まえた上で修正したんじゃないんですか。

水嶋政府参考人 失礼しました。

 実際に提出をした日付は一月二十九日でございますが、そこの中で、この文書に書かれている内容は十二月八日現在のものである、ただし慰安婦については十二月二十八日の合意を踏まえてからのことが書いてありますということで、先方に提出をしております。

丸山委員 なるほど。そうすると、これは十二月八日の時点でもこの慰安婦の記述があったという理解でよろしいんですよね。

水嶋政府参考人 先方に提出した日付が一月二十九日でございますので、十二月では提出をしておりません。

 ただ、いろいろな形で準備をしておりましたものですから、一月二十九日で提出したものは、十二月八日現在の内容について書いてあります、慰安婦については十二月二十八日の日韓合意を踏まえた内容を書いてありますということで先方に提出したということで、十二月中に提出をしたことはございません。

丸山委員 部屋にいる皆さんが首をかしげていると思うんですけれども、十二月八日の現状だと言って出したわけでしょう。でも、それは日韓合意を踏まえたものですとおっしゃっているんですけれども、日韓合意は二十八日なわけですよ。出したのは一月二十九日でしょう。全くこの関係の事実の説明ができていないと思うんですが。

水嶋政府参考人 混乱して申しわけございません。

 提出をいたしましたのは一月二十九日でございます。(丸山委員「出した日ですね」と呼ぶ)はい。ですからその以前には提出はしておりません。

 ただ、慰安婦問題だけではなくて、さまざまな事象について質問に答える形で文書を提出してございますので、その過程で、慰安婦問題以外の部分については十二月八日現在に基づいてこの回答はしておりますということを明記した上で、慰安婦問題については十二月二十八日の日韓合意を踏まえた記述ということで提出をしたということでございます。

丸山委員 なるほど。物理的に出したのが一月二十九日ですね。慰安婦以外のものは十二月八日までの見解に基づいている、そして、慰安婦の部分は十二月二十八日の日韓合意の動いたものに基づいて書いているということでよろしいんですね。わかりました。

 そうすると、この慰安婦に対する記述に関して、十二月八日までにも出したかというと、それは出していないということなんですか。

水嶋政府参考人 十二月には提出をしておりません。

丸山委員 提出の前にいろいろやりとりをされると思うんですが、そのやりとりされていた部分から修正したという事実はありますか。慰安婦の部分。もちろん日韓合意を踏まえてやられているので、日韓合意までに文書をつくられていると思うんですよ。

 一月からつくられたんですか。作成されたのが一月からだとわかるんですけれども、十二月二十八日までに、十二月八日の見解だと言っているんですから、現に、十二月八日以降の部分でも、もちろん、向こうとのやりとりも含めて、文書をつくっていると思います。そして、その中で、日韓合意を踏まえた上での修正が加えられたという認識でいるんですけれども、その認識でよろしいんですか。

水嶋政府参考人 もちろん回答するためにいろいろ準備をしたのは事実でございますけれども、その内容がどうだったのかというのは、仮定の問題ですので、つまびらかにするのは控えさせていただきたいと思います。

 いずれにしましても、この慰安婦の問題につきましては、十二月二十八日に日韓合意という前向きかつ画期的な成果があったものですから、それを踏まえてしっかりとした内容を回答する必要があるということで、一月二十九日付で回答を出したということでございます。

丸山委員 何を言いたいかといいますと、今回、つまり、それらの記事によると、文書で出すはずだったものが口頭に切りかわったという記事です。それは何を意味するかというと、もちろん文書で出せれば正式に出して、それが必ず、例えば国連のサイト等で英文でアップがされるんですけれども、しかし、一方で、口頭で答弁すると、これが必ずしもアップされるかどうかというのはわからない状況にあって、現にアップされないという状況なんです。

 これまでの話をしていても、また、きょうの話を聞いていても、国としてどう発信していくのか。皇室典範の話、おかしいじゃないか、内政干渉だよと、どう言っていくのか。そして、この慰安婦の話も、事実じゃないんだよと。今までの朝日新聞がでたらめに書いて言ってきたことが広まってしまってこんな状態になっている、これをとめられなかった、情報発信がうまくできていなかったところにすごく問題があると思っていまして、そういった意味で、その部分に関して、今回も口頭の答弁に変えたことで、ある意味後ろに下がったことで、国際社会に対して発信ができなくなるんじゃないかというのを危惧しているんです。

 今回の、ある意味事なかれ主義になりかねない問題にもつながると思うんですけれども、こういった部分、外務省が口頭で述べた、今私が申し上げた、特に三点の部分なんですけれども、これは外務省のホームページに今は載っていないんですか。

岸田国務大臣 まず、女子差別撤廃委員会での議論ですが、そもそも、我が国は質問を受けて、書面と口頭と両方で答えるということになっておりました。それぞれ質問を受けて、その質問に的確に答えるということでしっかり準備をし、対応をいたしました。そして、口頭の部分も国連のホームページで動画で全て見られるようになっております。そういったことで公になっておりますので、口頭でお答えした部分については、我が国外務省のホームページにおいてもアップして、確認できるような形になっております。

 いずれにしましても、女子差別撤廃委員会における議論については、我が国が受けた質問に対しましてしっかり答えるべく最善の努力をいたしましたし、その結果につきましても公になっているものだと認識をしております。

 ぜひ、今後とも、我が国の立場、考え方についてはしっかりと国際社会に説明するべく、努力をしていきたいと考えます。

丸山委員 大臣の決意、しっかりやっていただきたいと思うんですけれども。これは、動画でアップしているのは私も見たんですけれども、一方で、文書にする、記事になっているのと、動画で出るというのは全然違うと思うんですよ。

 もちろん動画が持つインパクトというのはあるんですけれども、一方で、こういった会議の絵というのは余りインパクトになりにくくて、例えばエジプトの例の歴史的な革命とかも含めて、一枚の写真だとか一つの動画が何か大きな歴史的な動きをつくるような時代になってきました、映像の時代みたいな形になってきましたけれども、一方で、こうした会議体というのは余り動画をごらんになる人はいないので、やはり文書化されているというのは非常に大事だと私は思っているので、逆に、外務省のホームページにこういったものは載せていないのかなというふうに思ったんです。

 このあたり、文書化という意味ではどうなんですか。見解として出されているかどうか。

岸田国務大臣 動画が適切なのか書面が適切なのかということかとは思いますが、いずれにしましても、我が国の外務省におきましては、書面、文字によって内容は明らかにしております。

 どちらの形をとったにせよ、国連においても我が国外務省においても、内容につきましてはしっかりと明らかにしているものであると認識をしております。

丸山委員 余り詰めるところではないと思いますので、いずれにしろ、どう発信していくかというのは非常に大事だと思いますので、大臣も的確にやっていただいているというふうに思いますけれども、もっと、誤解のないように、国際社会において、新たな、また日本がいわれのないあれを言われるような時代にならないようにやっていただきたいというふうに思います。

 そういった意味で、今回の日韓合意で、お互いに非難しないということは出ていますけれども、しかし、客観的な事実を説明するのと、非難をしないというのは違うと思いますので、きちんとした事実の部分についての反論の手続とか、どういうふうにやっていくかというのは非常に大事だと思うんですけれども。

 今回の報告書を受けて、遺憾の意は表明されていますけれども、具体的に何かとれる行動というのはあるんでしょうか。このあたりをお答えいただけますか。

岸田国務大臣 先ほども申し上げましたように、今回の国連女子差別撤廃委員会の最終見解の慰安婦問題の部分につきましては、極めて遺憾であると考えております。そして、遺憾であるということにつきまして、既に国連に対しまして申し入れを行っております。我が国の考え方を示させていただいております。

丸山委員 遺憾の意と申し入れをしても出てくるのがこれで、次のこの委員会は四年から六年後だというふうに聞いているんですけれども、この間、この委員会はこういった見解を出しているわけで、それに対して、世界に対して誤ったメッセージが出るというのは非常に残念なんですけれども、しかし、何かしら手がないかというと、一つは、外務省として、やはりしっかり発信していくしかないと思うんです。

 そういった意味で、先ほどの、ホームページだけじゃなくて動画をアップしているという話もありました、もちろん、いろいろな国際会議で発言をされていくんだと思うんですけれども、しかし、外務省のホームページにしっかり見解を出していく、動画じゃなくて文書で出していくというのは、私は非常に大事な一つの観点だと思います。英文で出していただくというのは非常に大事な観点だと思うんですけれども。

 大臣の御見解は伺いましたけれども、事務方、載っていない理由というのはあるんですか、きちんと文書化していないというのは。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの、慰安婦問題に関します杉山外審の発言ですけれども、これは現場で日本語で行いました。そういうことで、今ホームページに日本語で発言した内容を載せております。

 これは、訳を正確に訳す必要があるということで、今、内部で精査をしてやっているところでございます。その精査が済みましたら、ホームページに掲載をしたいというふうに考えております。

丸山委員 そのお言葉が聞きたかったんです。きちんと載せていただきたいというのを、事前に聞いたら、今準備中だというお言葉があったので、逆にしっかり委員会でそれをお伺いしたかったので。

 しっかり訳していただいて、世界に対して、我が国の見解はこうで、これが事実なんだというのを発信していただきたいですし、大臣も、さまざまな会議に出られたときに、こういった問題を、日本としての立ち位置をしっかり御説明いただきたいと思います。

 あっという間に時間が過ぎてしまいました。あと数分あるので、本当はきょうはいろいろな観点を伺いたかったんですけれども、一つ、一番細かい部分になってしまうんですが、気になっているところをお伺いしていきたいんです。

 今般、例のパリのテロ事件を受けまして、そしてG7が伊勢で開かれる関係で、国際テロ情報収集ユニットを外務省におつくりになられていると思うんです。この所掌、つまりデマーケーションについて、ちょっと気になっていたので、時間があと数分なので、最後にこれをお伺いして終わりたいんです。

 現在、外務省に国際情報統括官組織があると思うんですけれども、これも同じような情報の収集をやられていると思うんです。今回、新たに別の局に国際テロ情報収集ユニットをつくられているんですけれども、明らかに所掌のデマーケーションとして重なっているんじゃないかなと。やるのなら一緒にやるべきですし、逆に、変につくることで壁ができてしまうんじゃないかと、私も役所出身だったので思うんですけれども、これはどうして別の局でつくられたのか、その辺をお伺いできますでしょうか。

水嶋政府参考人 お答え申し上げます。

 国際テロ情報収集ユニットでございますけれども、シリア邦人人質事件、またパリ連続テロ事件など、一段と厳しさを増すテロ情勢を踏まえまして、我が国のテロ情報収集、集約体制の抜本的強化が必要であるという認識のもとに、国際テロ情報収集ユニットの新設を初めとして、官邸を司令塔とした新たな国際テロ対策の体制を発足させることとしたものでございます。

 その中で、今御質問ございました、国際情報統括官組織との関係でございますが、国際情報統括官組織は、全世界を対象として、国際情勢に関する情報の収集及び分析などを行っております。収集、分析の対象も、各国あるいは国際機関の対外政策、それから軍事、内政、経済、テロなど、あらゆる分野に及んでございます。その一方で、新たに設置をいたしました国際テロ情報収集ユニット、こちらはテロ情報に特化をして情報収集を行うというものでございます。

 ですから、それぞれ役割は重複せずに、連携をとりながらやっている、そういう次第でございます。

丸山委員 テロ情報については、今の御説明だと、既に最初からある国際情報統括官組織でも集めているんじゃないですかね。そういった意味で、今の御説明だと、デマーケーションの説明になっていないと思うんですが。

 しかし、最初のが長くて質疑時間が終わりそうなんで、これはまた次回以降、私、会派では一人なので、恐らく何度も質問の機会はありますので、お話をお伺いしていきたいと思います。

 とにかく、最初のお話が非常に大事だと思っていまして、今回の報告書、最終報告取りまとめの主査が中国の方だという話もありますけれども、非常に恣意的に、作成過程で偏った考え方とか、個人の話に依拠し過ぎているんじゃないかなというのは非常に思います。

 同様に憤りをお感じになって、そして、遺憾の意を大臣としても表明くださっているんだと思いますので、しっかり、先ほどの国際発信の点、抜かりないようにしていただきますようお願い申し上げまして、私、丸山穂高の質疑を終えます。ありがとうございました。

岸委員長 次に、小熊慎司君。

小熊委員 改革結集の会の小熊慎司です。

 まず初めに、この後、夕方四時から、まさにこの委員会室で、アイスランドの議員さんたちとの懇談があるわけでありますけれども、前外務委員長の土屋委員が超党派の友好議連の会長もされていて、きのうも議連の方では懇談をさせていただきました。

 その際に、アイスランドの議員さんたちから、日本との自由貿易協定について国会決議がなされたということで、お手元に資料をお配りしておりますけれども、こうしたことがアイスランドの国会で決議をされたところであります。

 アイスランドと日本との友好関係、これから進展していかなきゃいけないという思いで、土屋委員の強い御指導のもとで今これを質問させていただいているところでありますが、日本政府としてのこのアイスランドの国会決議に対する見解をまずお聞きしたいと思います。

黄川田大臣政務官 御指摘のとおり、三月一日、アイスランド国会において、我が国との自由貿易協定の交渉開始を求める国会決議が再提出され、全会一致で可決されたと承知しております。

 同決議は、我が国との経済関係、協力を求めるアイスランド国会の総意であり、政府としても真剣に受けとめてまいりたいと思っております。

 我が国としては、本年が日・アイスランド外交関係樹立六十周年であることの機運を生かして、EPAやFTA等、特定の方法に固執することなく、経済分野を初めとするアイスランドとの二国間関係を一層進展させたいと考えております。

小熊委員 今の答弁、土屋会長が言うには、いろいろな分野でと言いますけれども、いろいろな分野でいろいろな手法でというのを、そこは具体的に言ってもらわないと、四時からの会合で、こういう答弁ですと、こんな抽象的ではちょっと会長が恥をかいちゃうから、これだけじゃなくて、いろいろな分野でと言いましたけれども、具体的には、では、どうするんですか。少しぐらい言わないと、四時に格好つかないな、これは。

黄川田大臣政務官 さまざまな分野でということでありますが、特に、アイスランドと我が国とでは、捕鯨関係、捕鯨と水産の持続可能な発展に向けてさまざまな場で共闘しておりますので、そういった関係を深めて、さらに発展していただければと思っております。また、アイスランドは、地熱のエネルギーでありますと、再生可能エネルギー等で地熱を多く利用しております。我が国も非常に地熱のポテンシャルが高いというところで、アイスランドのそういう地熱の発電のこととか、いろいろな形で、お互い学んで発展していきたいなというところであるということです。

小熊委員 ぜひ、議連に入って、もう少しお勉強していただきたいなとも思います。

 アイスランドが非常に重要だというのは、北極圏、北極海のあり方というのが今問われているところでもありますし、北極海航路を活用していけば、ヨーロッパへ行く航路も三分の二ぐらいになるわけですよ。

 そういう意味では、アイスランドとどう連携を深めていくかという意味では、貿易の観点、また北極圏という新たな地域での国防上のあり方、安全保障のあり方も問われているところでありますし、ずっと日本は頑張ってきて、今、北極評議会にオブザーバーで参加をしているところでありますが、まさにこの北極圏をどうしていくか、北極海の航路をどう利活用していくかという意味でも、アイスランドとの協力が重要になってくるわけであります。

 この北極圏のあり方、北極海航路のあり方、それを、アイスランドとどう連携を深めていくかという点については、政府としてはどういう見解をお持ちでしょうか。

黄川田大臣政務官 アイスランドは、北極海においてハブ的な役割を果たそうということの意欲を出しているというのも承知しておりますし、特に中国とアイスランドで北極海に関する協定を結んでいるということも承知しておりますので、我が国としても、アイスランドと、そういった北極海をめぐる、北極海航路を利用するに当たって、いい関係が築ければというふうに思います。

小熊委員 ですから、この条約にこだわらず、連携を深めていきたいというものの一つのまた道筋として、この北極海航路、北極圏のあり方といったものでアイスランドと連携を深めていくということが必要になってくるわけです。

 それで、今答弁がありましたけれども、実は、昨年十一月だったかな、韓国の大統領とアイスランドの大統領が、一緒にいろいろやっていきましょうと、もうやっているんですね。そういう意味では、日本は少しおくれているんじゃないかな。

 今回、国会議員の方が五人アイスランドからお見えでもありますから、言って、いきなり答弁も余り変わらないんでしょうけれども、四時までの間に、ぜひいいコメントを土屋会長にお届けいただいて、この委員会室で我々が懇談するときには、土屋会長から、より一層アイスランドと日本との友好関係が進展する、そうした土屋ドクトリンが発表できるように、四時までの間、猶予をお与えしますので、ぜひ御検討の上、土屋議連会長にお伝えいただきますようお願いを申し上げて、次の質問に移ります。ぜひお願いしますね。(岸田国務大臣「はい」と呼ぶ)

 次に、核軍縮に対してです。

 大臣も、この国会でも、核軍縮をリードをしていくんだ、世界の中でもリードをしていく、強く貢献をしていくという発言がありましたけれども、ことし、大臣の地元で、数年ぶりにG7の外相会合が行われるということでもあります。

 まさに、唯一の戦争被爆国として、核軍縮に関しては、とりわけ日本はリードしていかなければいけませんし、まさに大臣の地元広島ということもありますので、この外相会合の議題の中にもこうした核軍縮が大きなテーマになってくるというふうに思いますが、この会合においてどのように核軍縮に取り組んでいくのか。リードするという大臣の強い言葉は今までもありましたけれども、この外相会合はいいきっかけだというふうに思います、具体的にどういうふうにこの会合で核軍縮に対して取り組んでいくのかというのをお聞かせください。

岸田国務大臣 まず、我が国は唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界へ向けて国際世論をリードしていく責務があると考えています。

 そういった中にあって、昨年行われましたNPT運用検討会議において、核兵器国と非核兵器国が対立することによって最終文書が採択されなかったという出来事がありました。改めて、核兵器のない世界に向けて具体的な成果を上げるためには、核兵器国と非核兵器国が協力をしなければ結果につながらないということを痛感いたしました。しかし、残念ながら、昨年のさまざまな議論あるいは動きを見ておりますと、核兵器国と非核兵器国の対立はますます深まっている、こんなことを感じざるを得ません。

 やはり我が国としましては、両者の協力のもとに、現実的そして実践的な取り組みを進めていかなければならないと考えます。その中で、G7というのは、御案内のとおり、核兵器国と非核兵器国両方が含まれる、こういった枠組みです。この枠組みをぜひ活用しなければならないと思います。ぜひG7の各国の外相に被爆地に足を運んでもらうことによって、核兵器のない世界に向けて有意義な議論を行ってもらいたいと思いますし、ぜひ被爆地から世界に向けて強いメッセージを発する機会にしたいと考えております。

小熊委員 まさに、そういう意味で大臣のリーダーシップが求められているというふうに思いますし、まさにこの外相会合を通じて、今まで先鋭化してしまった対立を、核兵器国と非核兵器国がしっかり共同でやっていくという素地づくりのきっかけにこの会合をしていかなければいけないというふうに思います。会合の結果も内容も注視をしながら、また引き続きこの件については議論していきますので、ぜひ来月の会合については、しっかり成功できるように特段の努力をしていただくことを御期待申し上げる次第であります。

 次に移りますけれども、二〇一四年、おととしもこの委員会でもやりましたが、震災から五年たって、まだまだ積み残された問題がありますし、原発事故はまだ継続中の災害でもあって、私のところはほとんど実害がない、会津では百キロ以上離れて実害がないんですが、風評被害に大変苦しんでいる、また、これがまだおさまっていない。

 過日の予算委員会の中でも、首都圏における消費者庁のデータを見ても、二割近い方々がずっと固定化して福島県産を買わないという状況にもあります。また、政府挙げて外国人誘客に取り組んでいて、もう二千万人を突破して、今度は三千万人まで目指そうというところでありますけれども、残念ながら、福島県は外国人誘客が四十位以下になっています。

 復興の予算の中でも、とりわけ被災三県には今回、外国人誘客のための予算は、今まで五億円ぐらいが十倍の五十億ついていますが、三県の五十億といったら、三つでぽちゃんぐらいしかいわないんですけれども。そういう意味では、これはやはり風評被害。国際的な風評被害というのはまだおさまっていませんし、渡航制限があったり、また輸入規制も、この近隣アジア国ではとりわけ色濃く残ってしまっているという段階にあります。

 これまでも政府また各界各層で、そういった科学的根拠のない輸入規制に関しては撤廃してもらうように努力をしていただいているところでありますけれども、これが全然変化がないということであれば、これまでの努力とは違うまた展開をしなければ改善されないということだというふうに思っています。

 そういうさなかで、一回、二〇一四年のときに、これは外務省も農水省も、日本の吉野家を通じて、いわれのない、いわれのないというか誹謗中傷に近いポスターの撤去を香港吉野家に求めたところでありますけれども、また同じようなコメントが、今度はホームページ上で昨年出たんです。

 二〇一四年は日本政府としてもアクションを起こしていただきました。そう、三ッ矢さんが副大臣、本当にありがとうございました。だけれども、今回、昨年の秋のこれは外務省として何か対応をしましたか。その形跡がないんですけれども。

黄川田大臣政務官 結論から先に申し述べますと、本件に関して言えば、しっかり外務省として対処をさせていただきました。

 まず経緯を申し上げますと、昨年十月十二日、香港吉野家は、我々は福島県産の米、野菜は使っていないという内容のポスターを店舗に掲示するとともに、同内容のメッセージを同社の公式ホームページに掲載しました。これが十月十二日でございます。

 翌十三日、報道を通じて事態を承知した在香港総領事館は、この日、十三日及び十五日、吉野家側に事実関係を確認し、このようなメッセージの発信は風評被害の原因となり得るとの懸念を伝達いたしました。その後、十五日にはポスターが撤去され、十六日にはフェイスブック上の記載が削除されたということでございます。

 政府としては、引き続き、福島県を含む被災地の食品や農産物の安全性を粘り強くアピールし、風評被害対策に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

小熊委員 いや、だから、これは同じ会社が二回やっているわけですよ。おととしやって、去年もやって。こっちから言っていることを聞いてもらえないということがどの辺に問題があるのかと把握をしていないから、出れば、申し入れしてやめてもらうというのは、何の改善にもなっていないんですね。根本原因をやらなきゃいけないんですよ。

 香港の吉野家さんも、福島県のものを使っている、そういうデマみたいなことを流されて、売り上げが落ちて困っているということで、私は二〇一四年も言ったはずなんです。どうやって正しい情報を伝えるかということも御提案していかなきゃいけない。もちろん、日本と香港、中国という、いろいろな社会背景、文化も違いますから、どうやって情報を伝えたらいいのかというのはいろいろ工夫をしなければなりませんけれども、そこに思いを寄せて、そこにフォーカスを当てて対策をとっていかない限り、真面目にいろいろ情報発信しているんですといったって、風評被害もなくならないし、一生懸命やっているんですけれどもなんて、結果は出ないんですよ、出ていないんですよ。

 こうやって繰り返しになっているということ、繰り返させてしまったということ。もちろん民間企業ですし、外国の企業ですしというのはありますけれども、日本の吉野家さんは福島県で農場をつくってくれているんですよ。だけれども、実はホームページ上、日本の吉野家さんはそれは宣伝していないんですよ。

 やはりその情報発信の仕方。これは民間でやっていることですから、政府がどこまで言えるかというのはありますけれども、こういうこともしっかり、どういうふうにしていったらいいのかというのを考えていかない限り、通り一遍の、やめてください、はい、こっちはちゃんと情報発信していますよといったって、それは一般の消費者には届かないんですよ。

 そこをもう一回しっかり考えていただいて、この五年間、民主党から自民党にかわったって、この風評被害対策はずっとやってきてもらって、多少は改善をされましたが、最後の残っている部分というのは、今までのやり方だと変わらないわけですよ。だから、今までのやり方の積み上げではなくて、やはりもう一度問題点を捉え直して新たな方策を考えない限り、こういう問題は続いていくし、固定化した風評被害というのは改善されません。

 外国人観光客にしても、これは福島県に魅力がないんじゃなくて、地域の魅力というのはいっぱいありますし、今まで来ていたわけですよ、外国人も。これが四十位以下に甘んじている、これだけ東京に近い、利便性もあるのに甘んじているというのも、これも風評被害の一つのあらわれですから。原発事故が収束しない限りこういうのは続いていくわけですから、しっかりとこれを捉えて、新たな視点でもう一回ちょっと考え直してください。

 何度も続くということは、皆さんの、我々の努力がどこか足りていないんですよ。そのあらわれですから。努力していないとは言いません。努力の仕方を変えなければこれまで以上の成果が得られないということですから、新たな手法、新たな視点をぜひ御検討いただいて、この風評被害対策に努めていただくのと同時に、また、いわれのない、科学的根拠のない禁輸措置に対しても、これまでも努力していますけれども改善の余地がないので、この禁輸措置、いわれのない禁輸措置に対しても新たな手法で、アプローチでやっていかなければ。努力はしていますよ、皆さん。わかります、それは。だけれども、結果が出ていないんですから。それは今までのやり方がやはり効果的でないということですから、新たなアプローチをぜひ考えていただきますようお願いを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

 あと、四時までにひとつよろしくお願いします。

岸委員長 次に、玉城デニー君。

玉城委員 生活の党と山本太郎となかまたちの玉城デニーです。

 国際情勢に関する件、大臣所信についての質疑を含めて質問させていただきますが、きょうは、やはりどうしても取り上げさせていただきたいのは、辺野古移設問題に関する件についてであります。

 名護市辺野古キャンプ・シュワブ区域への埋立工事を含む普天間基地移設問題に関する代執行訴訟で、県と国は、今月四日、福岡高裁那覇支部が示した和解勧告案を受け入れて和解が成立しています。県は国を相手に起こした係争委員会不服訴訟と抗告訴訟を取り下げ、国は県を訴えた代執行訴訟を取り下げ、また、沖縄防衛局は行政不服審査法に基づく審査請求と執行停止申し立てを取り下げ、新基地建設のための工事が一時中断することになっております。

 このことについて、まず、この代執行訴訟和解案を受け入れた判断理由についてお伺いいたします。

岸田国務大臣 先日、裁判所の和解勧告を受け入れ、国として沖縄県と和解することを決定いたしました。

 二十年来の懸案であります普天間飛行場の全面返還を実現するために、国としては辺野古への移設が唯一の選択肢であるということについて変わりはありませんが、しかしながら、国と沖縄県双方が延々と訴訟合戦を繰り広げている、こういった関係が続いたならば、普天間飛行場の現状がこれからも何年も固定化されかねません。そういった状況を踏まえ、政府としましては、裁判所から和解案の勧告が出されたことを受け、和解を受け入れるという決断をした次第であります。

 政府としましては、この和解内容を誠実に実行していく考えです。手続にのっとって誠実に対応していきたいと存じます。普天間飛行場の危険性を除去する、そして沖縄県民の負担を軽減していく、この思いにつきましては国も沖縄県も一致していると考えます。ぜひ、この和解を共通の目標に向けての一歩としたいと考えております。

玉城委員 共通の理解を得るための一歩としていきたいということでこの和解を受け入れたということなんですが、当面、国と県による協議が進む中において、国は、三月四日に成立した和解条項にあるように、地方自治法二百四十五条の七所定の是正の指示を行い、一連の審査申し出及び訴訟などの提起に今後進んでいくであろうということも予想されるわけですね。やはり話し合い、協議をするということが大前提の和解案であるはずなんですよ。ところが、和解発表からわずか三日後の七日、国交大臣から、今述べました是正の指示が出されています。

 まだ話し合いも何も行われていないのに、すぐ是正の指示が行われた。この和解案受け入れ三日後に国交大臣から是正の指示が出された理由をお伺いいたします。

岸田国務大臣 国としましては、今回の和解内容を誠実に手続にのっとって実行していきたいと考えております。

 そして、今回の対応は、この和解内容に沿ったものであると考えています。和解条項の三項に、是正の指示を行うという内容が盛り込まれています。そして、第八項の中に、是正指示の取り消し訴訟判決確定まで普天間飛行場の返還及び本件埋立事業に関する円満解決に向けた協議を行う、このように明記されています。こうした内容にのっとった手続であると考えており、国としてこうした手続を進めた次第であります。

玉城委員 では、今大臣がおっしゃった和解条項、三月四日成立の和解条項と、それから、実は代執行訴訟和解勧告文というのが一月二十九日に提示されています。この和解勧告文の趣旨に沿って和解条項が提案されたという経緯を、ぜひ、外務委員会委員の皆さんにも紹介をしながら、その中身を皆さんで共通の情報として共有しておきたいと思います。

 文章をところどころ省略して読ませていただきます。

  現在は、沖縄対日本政府という対立の構図になっている。それは、その原因についてどちらがいい悪いという問題以前に、そうなってはいけないという意味で双方ともに反省すべきである。

  本来あるべき姿としては、沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して、米国に協力を求めるべきである。そうなれば、米国としても、大幅な改革を含めて積極的に協力をしようという契機となりうる。

  そのようにならず、今後も裁判で争うとすると、仮に本件訴訟で国が勝ったとしても、さらに今後、埋立承認の撤回がされたり、設計変更に伴う変更承認が必要となったりすることが予想され、延々と法廷闘争が続く可能性があり、それらでも勝ち続ける保証はない。むしろ、後者については、知事の広範な裁量が認められて敗訴するリスクは高い。

 他方、県が勝ったとしても、辺野古移設が唯一の解決策だと主張する国がそれ以外の方法はありえないとして、普天間飛行場の返還を求めないとしたら、沖縄だけで米国と交渉して普天間飛行場の返還を実現できるとは思えない。

  そこで、以上の理由から、次のとおり和解案を二案提示する。

ということで、A案、B案が出てきたわけです。この場合のB案が、

 原告は、本件訴訟を、沖縄防衛局長は原告に対する行政不服審査法に基づく審査請求をそれぞれ取り下げる。沖縄防衛局長は、埋立工事を直ちに中止する。原告と被告は違法確認訴訟判決まで円満解決に向けた協議を行う。

というふうな形で、つまりオール・ジャパンで解決をするようにということが強く言われていて、しかも、代執行訴訟をその前段の手続を踏まないでいきなり踏み込んでいった国に対して、あなた方は負けますよ、負けるリスクがありますよということもこの勧告文には書かれているわけです。

 司法の場で、裁判を行っている、その裁判長、裁判所からこういうふうな勧告案が出るということは、およそ国にとっても県にとっても全くプラスにならない、むしろ、それどころか、ますます争いを深めてしまうということが前提となっていての和解条項、先ほど大臣がおっしゃった和解条項の三項それから八項に対して、是正の指示が書かれている。しかし、私が言ったのは、オール・ジャパンで最善の解決策を求める、そのために円満協議を行うという、それが前提でないと、事務的手続だけを進めても、それは手続上の話であって、お互いの理解を深めるということには相ならないのではないかということをあえて申し上げたいわけです。

 性急過ぎる印象にしか映らない、和解発表からわずか三日後の是正の指示は、単なる行政事務の手続にすぎないとはいえ、円満解決に向けた協議を行うとする和解案本来の意義を否定する行為になるのではないかということについて、お考えを聞かせてください。

岸田国務大臣 今、委員の方から和解勧告文について御紹介がありました。

 この勧告文、御紹介がありましたように、「そうなってはいけないという意味で双方ともに反省すべきである。」という、この文章から始まって、要は、このままいったならば現状が固定化されてしまうという点を強く指摘しています。そうならないために和解をするべきであるという文書であると認識をしております。

 そして、その結果として、調整が行われ、示されたのが、この和解条項と言われる項目、十項目にわたってまとめられました和解条項であると認識をしております。よって、この和解条項を誠実に履行することこそ、和解勧告文の意に沿って問題を解決する上で大変重要であると、我々は認識をしております。

 そして、この和解条項においては、先ほども少し触れさせていただきましたが、国と沖縄県が翁長知事による埋立承認の取り消しの是非を争う訴訟に向けた手続と、国と沖縄県が普天間飛行場の返還及び埋立事業の解決に向けた協議、この二つを行うこととされています。

 こうした和解条項の内容に従って誠実に対応していくべきであると考えており、今回の是正指示につきましても、政府と沖縄県とが合意した和解条項に基づくものであるという認識に立って手続を進めている次第であります。

玉城委員 確かに、大臣がおっしゃるように、その和解条項、和解勧告文の内容も含めて、国、県双方が歩み寄って話し合いをしなければならないということなんですが、和解案を受け入れたその日に、総理は、辺野古が唯一の解決策であるという、入り口からもう出口を閉じてしまっているような状況で、それでは、大変残念であると翁長知事はコメントを発出しています。そうすると、結局、片方が片方の主張をするだけで、もう片方に歩み寄れというのは、非常におかしな協議になるのではないかと、誰が見てもそう考えると思うんですね。

 であれば、ゼロベースで考えようというのが国の姿勢であるべきであり、そうであれば我々も協議に応じようというのが県の姿勢になるということが、私はスマートな捉え方ではないかと思うんですが、この普天間基地が固定化されるという言葉は、まるで沖縄県民に対するおどし文句のように聞こえます。しかし、そうではないと思います。なぜなら、在京五紙も含め、地方紙が、社説の中で、いろいろなコメントで、今回のこの和解についてのコメントを載せています。かいつまんで各紙紹介いたします。

 毎日新聞、「政府は誠意ある対話を」という表題です。「国と地方が対等・協力の関係になることが期待された改正地方自治法の精神に反すると指摘し、本来は沖縄を含めオールジャパンで最善の解決策を合意して米国に協力を求めるべきだ」という考えを示しているということで、先ほど私が紹介したとおりです。

 朝日新聞、「真の和解にするために」。「最大の問題は、安倍首相が「辺野古が唯一の選択肢」との姿勢を崩していないことだ。その前提にたつ限り、「辺野古移設NO」の民意に支えられた翁長県政との真の和解は成り立ちえない。」

 西日本新聞、「これを機に根本解決探れ」。「安倍首相は和解案を受け入れつつも「辺野古移設が唯一の選択肢との考え方に何ら変わりはない」と述べた。これでは、国と県の対立は終わらない。」

 中日新聞、「県内断念こそ選択肢に」。「普天間飛行場の辺野古への県内移設を断念し、国外・県外移設を米側に提起すべきではないか。」などなど、各紙こういうふうに、やはり、辺野古が唯一の解決策であると言っている限り、それはもうデッドロックなんだと。だから、そこから協議を進めていくための国の姿勢をしっかり問い直すべきではないかというふうに言っているわけです。

 ですから、きょう、この「国際情勢の動き」、衆議院の調査局外務調査室が用意してくださった安全保障に関する普天間飛行場の移設問題については、産経新聞と読売新聞の記事を載せておりますが、どちらかというと、産経新聞と読売新聞さんは移設推進を応援する側です。ですが、私が先ほど、あえて、これは沖縄の琉球新報という地方紙に載った各紙の社説なんですが、沖縄ではこういうふうに全国で辺野古の問題をしっかり捉えていますよということを県民に広く知らしめるために、進める側も、立ちどまるべきだと言う側も、両方の社説を紹介しています。

 その中で、本当に沖縄県民が考えることはどういうことなのかということは、やはり基地の負担軽減、それに伴う普天間基地の早期閉鎖・返還です。それに前提条件を付することなく、しっかり協議をする、これこそが根本的な解決を求めている沖縄県民の民意に寄り添うことになるのではないかと、私はかねてからそのことを訴えさせていただいております。

 根本的な解決を望むのであれば、この各紙の社説にあるように、県民の求める解決策を図ることこそが地方自治の本意であるというふうに私は思料いたします。

 辺野古が唯一の解決策とする根本的な理由が存在するのかどうか、いま一度お聞かせください。

岸田国務大臣 政府としては、辺野古への移設が唯一の選択肢であるという考え方は変わりはありません。一方、沖縄県においては、沖縄県の考え方があります。

 しかし、裁判所の和解勧告文は、まさに、だからこそ、このままでは現状が固定化されてしまう、この点を指摘し、和解案を提示されたと考えます。

 そして、その和解案を国もそして沖縄県も受け入れたわけですので、ともに受け入れたこの和解案を誠実に履行するべく、この内容を実行していく、これが何よりも大切なのだと思っています。

 国としましても、ぜひ和解案の内容を誠実に履行していきたいと考えています。

玉城委員 この件に関しては、さらに現場での行動と、それから、さまざまな方々からの意見が寄せられるものと思いますので、引き続き、大臣にも、それから政府に対しても、我々沖縄県民が求めている辺野古の新基地建設反対の本意というものをしっかり訴えていきたいというふうに思います。

 続いて、関連して、時間がないんですがお伺いさせていただきます。代替施設の要件についてですが、質問を一つ飛ばして伺います。

 普天間基地の代替施設選定の要件についてお伺いいたします。

 代替施設選定の要件は、一、政治的持続性、二、軍事的持続性があると言われています。この軍事的持続性とは、海兵隊の部隊運用上、効率性、利便性が高く、軍事的合理性を満たすものとあり、まさに運用における必要かつ優先されるものとなっています。他方、もう一つの政治的持続性とは、地元の理解、受け入れ度があり、基地を政治的、経済的、社会的に見て安定的に使用できることとされています。

 翁長県知事及び沖縄県民のこの辺野古への新基地建設を認めないという七割以上の意見がある現状と、安倍政権が新基地建設を万が一強行した場合、その後、その将来の基地の運用について政治的持続性が担保されるものと考えているのでしょうか。見解を伺います。

岸田国務大臣 政治的持続性について御質問いただきましたが、まず、普天間飛行場の危険性の除去につきましては、現状を固定化してはならないということで裁判所の和解案も示されたわけですので、ぜひ、和解案に従って誠実に対応していきたいと考えます。

 そして、政治的持続性ということを考えますときに、普天間の問題、もちろんこれも重要でありますが、あわせて、沖縄全体の負担の軽減についてもしっかり取り組んでいかなければなりません。現実と向き合いながら、一つ一つ、目に見える形で、さまざまな負担軽減策を着実に実施していく、こういった取り組みが重要であると認識をしております。

 こうした取り組み全体をしっかりと説明させていただく、そして御理解をいただく、こうした努力を続けることが政治的持続性の観点からも大変重要であると認識をいたします。

玉城委員 基地の固定化はあってはならないというのは、沖縄県全体から考えてください。普天間の辺野古移設はどこへの固定化ですか。沖縄への固定化です。

 戦後七十年余りがたっていまだに沖縄に基地を置き続けるという、このこと自体に対して県民は、構造的な差別ではないかという声さえ上げているわけです。ですから、本当に基地を固定化してはいけないというのであれば沖縄県全体で考えて、ぜひ、普天間基地の前提条件なき閉鎖、返還をアメリカに求めるよう、協議をするよう、和解案に従って円満解決に向けた取り組みをしていただくよう申し上げて、私の質問を終わります。

 ニフェーデービタン。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

岸委員長 次に、内閣提出、在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。外務大臣岸田文雄君。

    ―――――――――――――

 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

岸田国務大臣 ただいま議題となりました在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。

 改正の第一は、在ニウエ日本国大使館及び在ベンガルール日本国総領事館を新設するとともに、同大使館及び同総領事館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を定めることであります。

 改正の第二は、既設の在外公館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を改定することであります。

 改正の第三は、在外公館に勤務する外務公務員の子女教育手当の支給額を改定することであります。

 以上の改正内容のうち、在勤基本手当の基準額の改定及び子女教育手当の支給額の改定については、平成二十八年度予算案と一致させて行うため、四月一日から実施する必要があります。

 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。

 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。

岸委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十八分散会


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